デート・ア・ライブ 万由里リジェネレーション (ベルリオーズ)
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全ての始まり

独占欲の果てが書き終わってないのに欲に負けて書いてしまいました。メインはあちらなのでこっちの更新は遅いです。万由里がヒロインの作品が少なすぎると思ったので書きました。反省はしている、後悔はしていない。それでは、こんな作品ですがお楽しみください。


突然だが、みんなは転生と聞いて何を思い浮かべるだろうか。俺はそんなもの存在していないと思っていた。そんな風に考えていた時期が俺にもありました。まさか俺が転生することになるとは思はなかった。ちなみに俺の名前は白夜響、転生する前はたしか22歳だったかな。その当時俺は大学で教授を目指そうとしていた。転生した日、俺は大学の講義を長い時間聞いていて疲れながら家に帰っていた。

 

「今日も一日疲れたな~」

 

そんなことを言いながら道を歩いていると、突然体が吹き飛んだ。体が空を舞う中、意識が飛ぶ前に俺に見えたのは突っ込んでくるトラックだった……

 

 

 

 

(ここはどこだ?)

俺が意識を取り戻した場所は、周り全てが白い空間だった。どこまでも白い、そんな異質な空間でどこからか声がした。

 

「ここまで来てください」

 

その声を頼りにこの空間を進んでいくと、一部だけ他と違い何もないのに輝いている場所があった。その場に入ってみると、一人の女神のような人物がいた。

 

「私の名はノルン、運命をつかさどる女神の一人です。貴方は本来あの場所で死ぬはずではありませんでした。貴方が亡くなったのは私の責任です。なのであなたに転生する権利をささげようと思います。本当に申し訳ありません」

 

「いえ、女神に謝れても困りますよ。俺はそんな正しい道を歩んできたわけじゃない。転生できれば問題ありません」

 

「そう言っていただけると助かります。それでは、転生する世界を決めてください。決めた後に貴方の望む権能を授けましょう」

 

(さて、俺はどこの世界に行こうか)

アーマードコアのキャラクターと一緒に戦ってみたいが、あの世界に行ってしまったらもう戻れない気がする。それに、俺はイレギュラーというわけでもなしあの世界ではすぐ死んでしまうだろう。だとした、どのような世界に行くべきなのだろうか?神の前でそんな悩むわけにもいかない。少し考えていると俺にいい考えが浮かんでくる。俺は強くなりたい、そしていろいろな世界を回ってみたい。ならば世界を転生しながら能力を増やしていけばいい。

 

「ノルン様、私は死ぬたびに転生して色々な世界を旅しながら様々な能力を手に入れることが出来る力が欲しいです。そして最初の世界はデート・ア・ライブの世界にしてください」

 

「わかりました。あなたの願いを聞き入れましょう。それではここにある光の扉をくぐってください。」

 

ノルンがそういうと、何もない空間に光の扉が出来上がる。

 

「それでは、良い船出を」

 

ノルンがそういったので俺は光る扉をくぐっていった。

 

 

-------------------------------------------------------------------------------------

 

 

光の扉をくぐると同時に俺は三つの能力を授けてもらった。一つ目は、自分に精霊の力を授けてもらった。二つ目は、アーマードコアのすべての作品のメンバーを召還する力。最後に、万由里を救う力。個人的に、俺はデート・ア・ライブの精霊の中で万由里が一番好きだ。にも関わらず、万由里はいまだに消えてしまってから復活することがない。だから、俺はこの世界では彼女を救いたいと思っていた。扉をくぐりぬけるとそこにはレイレナード社本社があった。何でこんなところに?そう思っているとノルンから声が聞こえてくる。

 

「そこは隣界です。貴方の世界ですね。そこではあなたの心が反映されています。その建物が選ばれたのはたぶんあなたの心に刻まれていたのでしょう」

 

確かに、この建物はアーマードコアをやっていた当時かなりショックだったな。それじゃあここを拠点にしてこの世界で暮らしていくとしよう。そう決意して俺はレイレナード社本社に入っていった。

 

 

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この世界に来ていつに間にか三年がたっていた。俺はあのあとレイレナード社のリンクスや社員、アブ・マーシュを召還してレイレナード社を組織、その後ほかの会社のメンバーも召還、その後企業連を作成した。今ではDEMとアズガルド社に並ぶ世界三大企業となった。アブ・マーシュやレイレナード社技術部のおかげで先の二社のものをはるかに超える性能のリアライザの作成に成功。さらにAMSを利用したウィザードの技術も完成した。しかもCRユニット版ネクストの作成にも成功した。この三年間の間に俺はアナトリアの傭兵やベルリオーズに稽古をつけてもらいかなり強くなった。天使の力もうまく使えるようになり今だったら一人で反転体に勝てる気がする。ちなみに俺の天使はまだ秘密だ。ヒントはAC4以降に出てくる天使の名を関する兵器をもとにしている。これが分かれば反転体はすぐ予想がつくんじゃないかな?ちなみに今日は五河士道と夜刀神十香が初めて出会う日だ。なので俺はレイレナード社製空中艦ノートゥングで彼らの接触を待っていた。ここが正念場だ……




一話は万由里は登場しません。というか、何話になったら現れるのだろうか……
正直言って私にも見当が付きません。とりあえず、気長に待ってください。
感想お待ちしています。


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最初の接触

とりあえず暫定での投稿です。まだ改良すべき場所があるので明日ぐらいに改稿と内容の追加をすると思います。投稿が遅れていますが失踪はしません。これからも頑張って書いていきたいと思います。


ちなみに、俺たちがいる場所は天宮市という場所だ。以前一度空間震がありその後再開発された土地だ。空間震とは空間の地震と称される、広域震動現象だ。発生原因不明、発生時期不明、被害規模不確定の爆発、震動、消失、そのほかもろもろの現象の総称である。まるで大怪獣が気まぐれに現れ、町を破壊していくかのような理不尽極まりない現象。この現象によって、この世界ではユーラシア大陸の真ん中がくりぬかれていたりする。この現象を起こすのが精霊と呼ばれるものたちだ。精霊が隣界と呼ばれる空間からこちらの世界に来るときにおこる現象、それこそが空間震の正体だ。止める方法は精霊を殺すか隣界に転移できないようにするかしかない。後者はそもそもする方法がなく、前者は全力でDEMを主体として取り組んでいるが厳しいと言わざるをえない。今のところは起きないことを祈るだけだ。しかし、五河士道はこれを解決する力を持っている。簡単にいえば、精霊の力を封印する力だ。この力が後々重要になってくるものだ。そのため、夜刀神十香との接触においてイレギュラーがあってはならない。

 

「プリンセス、顕現!」

 

オペレーターから連絡が来る。どうやら始まったようだ。

 

「総員、戦闘配置につけ!これより対イレギュラー作戦を展開する!」

 

俺が号令をかけると同時にノートゥングが加速する。フラクシナスに観測されないようにしつつ二人が接触している場所に艦は進んでいった。

 

その頃五河士道は空間震警報が発令されているにもかかわらずファミレスから位置情報が移動していない妹を探しに来ていた。

 

「まったく、こんな時になんで移動してないんだよ」

 

確かに妹は今日の朝どんなことがあってもファミレスに行こうと言っていたがこんなことになっても移動していないとは思っていなかった。町に鳴り響く警報の音を聞きながら妹を探していたがファミレスについても妹はいなかった。

 

「ここの下にシェルターはなかったはずなんだがな……」

 

そんなことを考えながら妹を探していると、突然目の前の空間が歪み衝撃が発生する。その衝撃に足をとられ体が吹き飛ばされたところで俺は意識を手放した。最後に見えたのは昼間にも関わらず、輝くドレスを纏った一人の少女であった。

 

「五河士道、気絶!同時にフラクシナスに回収されました」

 

「ここまでは予定どうりだ。一応プリンセスが帰らなかったときに備えてベルリオーズに出撃要請を出しておけ」

 

艦橋で指示を出した後、俺は艦内にある会議室へと向かう。会議室では待機中のベルリオーズを除いたこの艦の主要メンバーが集まっていた。

 

「どうやら、ひとまず終わったようだな」

 

副艦長である王小龍がそう言ってくる。

 

「あぁ、山場は越えたかんじだ。次は最低でも一週間後だろう。それまでは俺たちはフリーだな」

 

「ORCA旅団はメンバーが決まったから訓練を開始した。後でメンバーリストを送っておく。確認次第私に連絡してくれ」

 

現在ORCA旅団団長であるテルミドールが連絡してくる。どうやらメンバーが決まったようだ。

 

「今回の定期連絡はこれで終了にする。次回の日程は基地に帰還してから話し合おう」

 

俺はそう締めくくると会議を終了させ、一旦艦長室に戻ることにした。

 

五河士道は意識を失った後、フラクシナスの医務室に担ぎ込まれていた。彼はそこにあるベッドに寝かされていたのだが、ある夢を見ていた。謎の声をかけられるという夢だ。彼にとっては長い夢のようだったが実際にはすこししか時間は経っていなかった。それから少しすると彼の意識は覚醒した。

 

 




まだまだ万由里は出てきません。今年中には出したいと思います。感想お待ちしています。そんなことを言っていた割にはもう十二月になってました。頑張って今年中に万由里は出します。


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回り始めた歯車

皆さん、お久しぶりです。まず、謝罪を。ここ二年間、実質失踪したような状態になり申し訳ありません。どうしても創作意欲がわいてこなくなり、自分の小説をみるのも億劫になってしまっていました。今回の話はその中で少しづつ書き溜めたものになります。文字数は少ないですが、楽しんでいただけたら幸いです。これからも活動は続けていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


――久しぶり。

 

頭の中に、どこかで聞いたことのある声が響く。

 

――やっと、やっと会えたね、×××。

 

懐かしむように、慈しむように。

 

――

「…………はっ!」

 

士道は夢を見終わった瞬間飛び起きた。

 

(知らない天井だ……) 

 

思わずそう言ってしまいそうになるほど彼が起きた場所は見知らぬ場所だった。これまで病気で病院に行ったことはあるが、ここまで天井が白い場所は初めてだった。そもそもなぜ彼はここにいるのか、記憶を掘り出してみるがなかなか思い出せない。

 

「誰かいますかー?」

 

声を出してあたりに呼びかけてみるが誰も反応する気配がない。そのあと二回ほど声を出してみたが誰も来ることがなかった。なので少し立ち回ってみることにした。そのために扉を開けて外に出ようとすると、

 

「あぁ、起きたのかい。シン」

 

と目の前から声をかけられる。思わず、うわぁ!……と声を出してしまいそうになるのをなんとか堪えて、目の前に誰がいるのか見てみると、声の主と思われる女性が立っていた。

 

「あの……どなたですか?」

 

士道が彼女に聞いてみると、

 

「私かい?私は村雨令音、ここフラクシナスで解析官を務めているものだよ。そろそろ君が起きると思って来させてもらったよ。」

 

「村雨さんですか、いきなりですがここは何処ですか?病院とも思えないのですが」

 

「それについての説明をしようと思ってね。これから中央で説明をしたいんだが、ついて来てもらえるかい?」

 

「分かりました。」

 

士道がそう言ったのを確認すると令音はゆっくりと歩き始める。しかし、後ろから士道が見ているとどうもふらふら歩いており、出入り口の近くの壁に音を立てて衝突してしまう。

 

「! 大丈夫ですか?」

 

倒れはしなかったものの、彼女はうめきながら壁によりかかる。

 

「……ああ、すまないね。最近少し寝不足なんだ」

 

「どれくらい寝てないんですか?」

 

士道が問いかけてみると、令音は指を三本立てたのち、小首をかしげながら

 

「三十年くらいかな?」

 

と、世迷いごとのようなことを言い放った。三週間くらいまでならありそうだと思っていた士道もこの言葉には驚きを隠せなかった。思わずそもそも令音の年齢を超しているのではないか?という疑問も浮かんできたがとりあえずは口に出さず令音が進んでいくのについていく。その後、医務室を出て廊下に出たがそこには淡色で構成された機械的な壁と床が広がっていた。士道は何となく、スペースオペラなどに出てくる宇宙戦艦の内部や、映画で見た潜水艦の通路を思いだした。そして、ふらふら歩く令音の姿を追いながら数分歩くと、巨大なロックのかかった扉に突き当たる。

 

「ここだよ」

 

電子パネルに何かを入力しながら令音が言った。次の瞬間、電子パネルが子気味良い音を立てて扉がスライドする。

 

「さ、入りたまえ」

 

令音が中に入って行くのに続くと、そこには船の艦橋のような空間が広がっていた。士道がくぐった扉から、半楕円形に床が広がり、中央に艦長席と思わしき椅子が設置されている。そしてその先には複雑そうなコンソールを操作しているクルーのような人々がいる。

 

「連れてきたよ」

 

令音がふらふらしながら言うと、艦長席の隣に立っている長身の男が軽く礼をする。ウェーブのかかった髪と、日本人ばなれした鼻梁。耽美小説にでも出てきそうな男だった。

 

「初めましてして。私はここの副指令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを。司令がお待ちです」

 

士道が頭を少し下げると、こちらに背を向けていた艦長席が、低いうなりをあげながらゆっくりと回転した。そこには、

 

「――歓迎するわ。ようこそ、<ラタトスク>へ」

 

と言う大きな黒いリボンで髪を二つに括り、チュッパチャプスを口にくわえた士道の可愛い妹・五河琴里がいた。

 

 

 

 

 

その頃基地に帰還した白夜響は、1人自分の部屋で黄昏ていた。この世界に来てから三年、やっと士道がラタトスクと接触した。ここから物語は幕を開ける。そして俺というイレギュラーを迎えたこの世界でどのような変化が発生するのだろうか。

 

「万由里……」

 

まだ会ったこともない彼女の名前が口からこぼれる。士道がその形を救うことが出来なかった少女。彼女は暴走した天使を封印するため、その身をささげた。確かに彼女は消える間際幸せそうだったが、俺はどうしても納得することが出来なかった。

 

「たとえこの願いが俺のエゴだとしても、絶対に叶えてやる。そのためなら、俺は喜んでこの身をささげよう」

 

この三年間で俺の気持ちはさらに強まった。アブ・マーシュやアナトリアの傭兵、ベルリオーズには三年間ずっと支えられていた。アブ・マーシュからは技術を、アナトリアの傭兵からは力の使い方、戦場に向かう精神を、ベルリオーズからは組織のトップとして立つ方法を教わった。彼らがいなければ、俺は天使の力を持て余し、三年間の間に消えていたかもしれない。

 

「彼らの教えに報いるためにも、もっと強くならなくては……」

 

そう嘯き、俺は1人眠りについた。




いかがだったでしょうか。今回私が更新できたのは、実はマクロスΔと最弱無敗の神装機竜おかげです。マクロスΔには執筆途中に「ワルキューレがとまらい」にささえられ、最弱無敗の神装機竜には最新巻のラストの感動に創作意欲が支えられました。機会がありましたら、皆さんも見てみて下さいね。


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地を舞う剣 1

なんとか書けました。ですが、今回白夜の回ではなく、士道が精霊とデートすることを誓う回です。どうぞお楽しみください。


白夜が眠りに落ちた頃、士道は琴里から精霊とラタトスクについての説明を受けていた。曰く、精霊とは本来この世界には存在しないものであり、この世界に出現するだけで、己の意思とは関係なく、あたり一帯を吹き飛ばしてしまうこと。そして、その現象が空間震であるということ。また、ラタトスクとは精霊と対話するために作られた組織であるということ。一気に新しい情報を与えられた士道は思わずうめきそうになる。

 

「そもそも、なんで警報発令中に外に出てたの?馬鹿なの?死ぬの?」

 

「いや……だっておまえ、これに映ってただろ」

 

士道がポケットから携帯電話を取り出すと、そこには琴里の位置情報が表示されていた。それは、やはりファミレスの前で停止している。

 

「ああ……そういうことね」

 

琴里はそう言うと懐から携帯電話を取り出して見せた。

 

「え……?なんでそれ、今お前が持ってるんだよ?」

 

士道は自分の携帯画面と目の前に掲げられた琴里の携帯電話を交互にみた。こんなところに琴里がいるので、てっきりファミレスの前に落としてきたのだと士道は思っていた。

 

「なんで警報中なんかに外にいたのかと思ったら、それが原因だったのね。電源切っておけばよかったわ。ここそういえばファミレスの前だったわね」

 

「は?どういうことだよ?」

 

「ちょうどいいわ。見せた方が早いでしょ。一回フィルター切って」

 

琴里が言うと、今まで薄暗かった艦橋が突然明るくなる。しかし、照明がつけられたというわけではない。どちらかというと天井に着けてあった暗幕が取られた感じだ。事実、――あたりにはあたりには蒼空が広がっていた。

 

「な、なんだこりゃ……ッ」

 

「騒がないで。外の景色をそのまま見せているだけよ」

 

「外の景色って、これ……」

 

「ええ。ここは天宮市上空一万五千メートル。――位置的にはちょうど、待ち合わせしてたファミレスの直上よ」

 

「つまり、ここって……」

 

「考えてる通りよ。この<フラクシナス>は、空中艦よ。この船についてもおいおい説明するから、今は黙って話を聞いてなさい」

 

「ああ……分かった」

 

「素直でよろしい。じゃあ、スクリーンを見なさい」

 

するとスクリーンに大きな画像が表示される。

 

「精霊はさっき説明した通りで、こっちがAST。精霊専門の部隊よ」

 

「精霊専門の部隊って--具体的には何してんだよ」

 

士道がそう問うと、琴里は当然というように眉をあげる。

 

「簡単なことよ。精霊が出現したら、その場に飛んで行って処理するの。つまり、ぶっ殺すということね。」

 

「なッ……!」

 

士道も琴里の言葉を全く予想していなかったわけではなかったが、それを聞いた途端思わず心臓が引き裂かれるような感覚に襲われた。言っていることはたしかに理解できる。精霊。なるほど確かに危険な存在だ。でも――いくらなんでも、殺す、だなんて。その時、士道の脳裏に、あの少女の顔が浮かんできた。

 

(――だっておまえも、私を殺しに来たのだろう?)

 

少女がどうしてあんなことを言ったのかが、やっとわかった。そして、なぜ今にも泣きそうな顔をしていたのかも。

 

「まあ、普通に考えれば死んでくれるのが一番でしょうね。この世に現れるだけで世界を壊す最強最悪の猛毒。存在しない方が良いに決まっているわ」

 

「けど……だからと言ってどうして殺すんだよ。本人の意思じゃないはずだろ!」

 

「意思があるかないかなんて関係ないのよ。どっちにしろ彼女たちは存在するだけで核弾頭レベルの被害を巻き起こすかもしれないのよ」

 

「だからって、殺すなんて……」

 

士道がしつこく追いすがると、琴里はやれやれと肩をすくめた。

 

「数分程度の接点なのに随分肩を持つのね。もしかして、惚れた?」

 

「っ、違ぇよ。ただ、もっと方法があるはずと思っただけだ。」

 

「方法ね……じゃあ、どんな方法があると思うの?」

 

そう聞かれ、士道はすぐに答えを出すことは出来なかった。しかし、士道の脳裏には、たった一度だけ見た少女の悲しそうな顔が浮かび上がってきた。――ああ、これは、なんか違うと思ってしまった。

 

「とにかく……一度……ちゃんと話してみないと分からないだろ」

 

あの時直面した死は、今でも体の奥底に刻まれている。正直なところ、逃げ出したいくらい怖い。だが、あの少女を放っておくのは、それよりも恐ろしいと思えた。その様子を見た琴里の唇の端がが、ニヤリと上がる。

 

「そう。じゃあ、手伝ってあげる。ラタトスク機関の総力をもってね」

 

「は……?」

 

「なに呆けちゃってるの?精霊に一人で立ち向かえるわけないでしょ。ラタトスクは精霊と対話するための組織。当然対話の方法も知ってるわ。あなたにしか出来ないことだけれどもね」

 

「その対話って……具体的にどうするんだよ?」

 

「それはね……精霊に――恋をさせるの」

 

「は……?」

 

「納得できないのも分かるわ。腹の底から賛成してくれなくても良い。でも、貴方が精霊を救うにはこれしかない。」

 

実際、その通りだった。何の後ろ盾もない士道がもう一度あの精霊の少女と対話したいと願っても、出来るはずがない。

 

「……わかったよ」

 

士道が苦々しくうなづくと、琴里は満面の笑みを作った。

 

「よろしい。これまでのデータから一週間以内に精霊が現界したことはないわ。早速明日から特訓よ」

 

「は……?特訓……?」

 

士道は、唖然とつぶやいた。

 

地を舞う剣との輪舞が幕を開ける。




コメントと評価を頂けると嬉しいです。次回以降もこの調子で投稿していきたいと思います。次回は1月12日までに投稿予定です。


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