戦姫絶唱シンフォギア~未来へと響くは始まりの音楽~ (Dr.クロ)
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キャラ設定&改変まとめ(最新話までのネタバレ注意!)6/11更新

これは出てきたオリキャラの設定やキャラの原作との違いをまとめた設定集です。
最新話までのネタバレがあるので見たくない方はバックでお願いします。
それでも良い方はどうぞご覧ください。


ミューチェ

外見:ガールズ&パンツァーに出る髪の色を金髪に変えた継続学園のミカ

概要

音楽の始祖の女性

様々な音楽を力にして操ることができる始祖で様々な世界の音を求めて旅している。

ある時偶然訪れていたシンフォギアの世界で落とし物をし、それを探してくれた未来と響に出会う。

2人がブラバに誘拐された二人を助けに行くが、その二人の命を救うために自身の始祖としての力を二人に継承させた。

現在は響と未来、あとは始祖にしか見えない亡霊になっており、始祖の回復能力を調整したり助言したりと二人のサポートをする。

性格はプリズマイリヤのキス魔じゃないクロエ・フォン・アインツベルン

 

音楽の始祖の力

音や歌、またはそれらが発するときに出るエネルギーや振動を自由に操れる能力

音や歌を使って攻撃やバリアを張ることができる(何故音や歌でそうできるのかは音楽の始祖本人でも知らない)。

またエネルギーを増幅させたり無効化したりと調整する事もできる。

ちなみにエネルギーに関してはフォニックゲインみたいに見えるものと見えないもの両方操れる。(見えないのは音楽の始祖になら見ることもできる)

振動に関しては簡単に言えばトリコのゼブラみたいな使い方をする。

 

ファナ・アインツベルン

外見:髪が腰まで伸びたグラブルのファラ

概要

響と未来の同級生

実は前世の記憶を持つ転生者で響や未来の二人が大好きで二人を助けたいと言う理由で転生した。

特典として神獣鏡を貰ったが融合計数が低くて使えないのに愕然とした。

ツヴァイウイングのコンサートに響が死んでしまわない様に来ていた。

その際に響に助けられている。再会した際に二人が始祖であることを知った。

性格はプリズマイリヤのイリヤのに元気溌剌で友達思いで口調は外見のファラの様な後輩っ娘

ちなみに作者の裏話になるが当初は外見元のファラにしようと思ったけどGXで同じ名前の子が出るのを思い出して一文字変える結果になった。

 

エル・レジェンドラ

外見:パルテナの鏡のパルテナの服を着た髪が虹色の安心院なじみ

概要

遥か古の時代に生まれた女神の始祖である女性

Fateの遠坂凛の様な性格

引退しているが人を愛しており、今の神々(特にわざと命を散らして転生させる奴)に嘆いている心優しい人物

同じ神を絶対に消滅する事が出来る。

お酒大好きで結構酔っ払う。

今作では酔った勢いでファナを転生させちゃった事を説教されている。

その為、彼女の義母としてエル・アインツベルンと名乗り、リディアンの近くのマンションに住んでいる。

 

玉藻

概要

ご存知Fateの良妻で有名なキャス狐である。

エルとは親友で酒飲み友達

同じ様に説教されてから家政婦として一緒に住んでいる。

エクストラのとは別の存在であり、イケメンな魂の持ち主探し中

偽名として月詠 玉藻と名乗る。

 

ジェル・カンターレ

外見:パルテナの鏡のピットの髪を青くした感じ

概要

女神の始祖と共に生まれた天使の始祖である男性

めんどくさがりな性格だが天使としての使命を忘れていない。

人々を苦しめる神や歪める悪意ある者達を討ち果たしたりしている。

同じ天使を絶対に消滅する事が出来る。

今作では上司であるエルの失態に頭を抱えた後にファナの事をお嬢と呼び、とある仕事の片手間に彼女に合う聖遺物を探す。

 

原作との違い

父親が失踪してない。

前向きな自殺のがミューチェの説教で多少おさまってる(が無茶するのはあまり変わっていない)。

未来ので彼女に何かあったら原作より暴走してしまう。

 

未来

響関連で響を侮辱する者には徹底的に攻撃する。

響の身体に入ったガングニールの影響で始祖の力を使う際に不安定になってしまったのでミューチェにより連絡を受けたANから自身の体にミューチェが手に入れた神獣鏡の欠片をギアとして使えるようANが加工し響のガングニールの刺さった所と同じ個所に埋め込まれる。(埋め込まれている神獣鏡の力は原作のより弱いため、分身とステルス能力は使えない。)

ダイレクトフィードバックシステムはANが安心に使えるために改良したもので未来の為に組んだバトルパターンをインストールしてある。なお第三者に悪用されないようにロック済み

 

 

響&未来共通

始祖の力を貰った影響でお互いがお互いに依存している。

音楽の始祖の歌の影響でシンフォギアのスペックが上がっている。

始祖になった影響で身体能力がかなり上がっている。

本気を出せば高レベルフォニックゲインに楽々と到達出来る。

 

未来が絶唱のエネルギーを調整してくれたおかげで死ななかったが、身体の至るところがボロボロになり、車椅子に乗っていないと生活できないため装者として戦えなくなった。

現在は翼のサポートと響たちの学園の寮の管理人をしている。

自分のせいで責任を背負っている翼を心配している。

 

奏が戦えなくなったのは自分が弱かったせいだと責任を感じている。

そのため、戦えなくなった奏の分まで自分が戦うと努力している。

そのせいでガングニールを使う響の事を当初は敵意を見せていたが、心もとない言葉を出して未来を怒らせた後に弦十郎に教えられた事により自身の言った事を後悔する。

 

その後は和解し、共に戦う戦友となる。

 

いざと言う時はカッコいい防人だがギャグだと情けない可愛い小動物に変貌してしまう。

 

 

 

クリス

 

似た境遇に遭った響と未来のを聞いてから響の謝罪を受けた事を皮切りに響に惚れて未来ともども自分の恋人にしたいと考える。

 

普段は人の前だと原作の様にツンツンだがいない時には響にデレデレ攻め攻めなにゃんこに変わる。

 

一番をと言うので未来と競い合っている。

 

ただ人がいると恥ずかしい

 

響と未来のことをちゃんと名前で呼んでいる。



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序章
プロローグ~全てが始まった日~


この日の始まりから物語は変化する。


始まりは本当に唐突だった。

 

小学校からの幼馴染とのいつも通りの日常、いつも通りに笑いあったりしてそういう感じに過ごす筈だった。

 

本当にそれが起こったのは唐突だった。

 

彼女、立花響と幼馴染、小日向未来は誘拐された。

 

それもただの誘拐ではない、異形によるどこぞも知らない場所に連れていかれてだ。

 

怯えていた2人に異形はお前たちを俺の忠実な人形にしてやると言い、2人に何かをしようとして…2人にとっての希望が来た。

 

???「そこまでよ。蛇の残党」

 

異形「!その事を知っているということは貴様、始祖か!」

 

現れた女性に異形は憎々しげに吐き捨てた後に攻撃を放ち、女性は声を発すると女性に放たれた攻撃は見えない何かに阻まれる。

 

そのまま女性は異形を押して行き、響と未来は助かったんだと安堵する。

 

その安堵と言う名の油断が命取りとなり、自分達の運命を変える事になった。

 

異形「おのれ、こうなったら…!」

 

女性「!しまった!!」

 

不利と悟ったのか異形は女性の隙を付いて響と未来へと向けて口から2匹の子蛇を放ち、放たれた2匹の蛇を2人へと咬ませるとそのままどこかに逃げ去る。

 

女性は慌てて2人に駆け寄ってから蛇を握りつぶして確認すると2人は息を荒げ、目を見開いて痙攣していた。

 

その状態に女性は顔を歪める。

 

女性「この毒は始祖にしか耐えることができない猛毒…あいつなんてことを…!」

 

このままでは2人とも命が消えてしまう。

 

助ける方法はあるがそれをしたら…と女性は悩んでいて気づく。

 

未来へと必死に手を伸ばす響と響へと手を伸ばす未来。

 

言葉はなくてもお互いに互いを思い合っているその姿に女性は心を撃たれて決心する。

 

女性「……ごめんね。これから貴女達は人ではなくなり、この先永遠と言う時を過ごす事になる。友の死を見ていく事になる。そんな罪を背負わせた事を怒っても良い。これは私の我儘。だから…生きて!!」

 

その言葉と共に重なった2人の手に置かれた女性の手が輝き…

 

 

そこで目が覚めた。

 

1年前の懐かしい夢を見たな…と考えながら響は体を起こす。

 

んーと背伸びしてから自分の布団が自分以外に盛り上がっている事に気づいて苦笑してから布団を捲る。

 

響「みーく♪」

 

自分に抱き着いた幼馴染の未来の頬に響はキスすると未来はううんと声を漏らした後に響に微笑む。

 

未来「おはよう響」

 

響「さっきね。あの日の夢見たんだ」

 

挨拶した未来は響のにあの時ね…と懐かしそうに呟くと隣からふわーと言う声が聞こえてそっちを向く。

 

そこには夢で自分達を助けてくれた女性が半透明でいた。

 

女性「あーよく寝た」

 

未来「おはようございますミューチェさん」

 

響「おはようございます!」

 

ミューチェ「おはよう、響、未来」

 

んーと背伸びしながら挨拶する女性、ミューチェに2人は挨拶し、ミューチェも返す。

 

響「ミューチェさん、実はさっきあの日の夢を見ました!」

 

ミューチェ「あの日の夢ね……ホントごめんね二人とも」

 

出て来た言葉にミューチェは悲しい顔をして謝ると響は慌てて手を振る。

 

響「いえいえ!別にミューチェさんが謝る必要はないですよ!」

 

未来「そうです。もしミューチェさんが助けてくれなかったら私と響はあの日に死んでいたんですから」

 

必死にそう言う2人にミューチェはありがとうと言う。

 

ミュ「もしも辛かったら言ってね。なんとかしてみるから」

 

響「いえ、平気へっちゃらですよ!」

 

未来「逆に体調が良いので」

 

むふん!と胸を張る響に未来も笑って言う。

 

未来「あ、でも響がちょっと無茶しすぎかなって思うかも」

 

響「えぇぇ~未来~」

 

付け加えた未来のに響は思わず声をあげる。

 

それにミューチェは笑う。

 

ミューチェ「大丈夫そうで安心したわ。二人ならもしあの辛いことにあったとしても乗り越えられるわ」

 

そう言える程ミューチェは2人の絆の深さを感じたから2人を助けたのだ。

 

自身の存在が幽霊へと変わってしまったがそれをした事は悔いはない。

 

その時の気持ちを思い出しながらミューチェは感慨深くなっているとごはんよ~と言う響の母親の声が聞こえて来る。

 

響「あ、はーい!」

 

ミューチェ「あらちょっと話しすぎたみたいね」

 

未来「それじゃあ響、ご飯食べたらいつも通りのをね」

 

そう言ってウィンクする未来に響はうんと頷く。

 

そんな2人をミューチェはくすりと笑って見送ってから外の太陽を見る。

 

ミューチェ「良い天気ね…」

 

そう呟いた後に響達の後に続く。

 

別の家にて…

 

???「本当に転生したんっすね…」

 

ほわぁ…と目の前の光景や自分の手にあるのを見て少女は呟く。

 

その後にそれを握り締めて決意した顔で呟く。

 

少女「絶対にお二人を助けて見せるっす!」

 

強く真剣な目つきで少女は青空を見る。

 

少女は知らない。

 

自身の知るのより、少女達に変化が起きている事を…

 

こうして、変化が起きた物語は幕を開ける…




???「次回、『始まる変化した物語と転生した者』っす!」


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第一話~始まる変化した物語と転生した者~

ツヴァイウイングのコンサート、そこで少女たちの運命は交差する。


人気がない場所、そこで運動しやすい服装になった響と未来にミューチェがいて、ミューチェは手を合わせて言う。

 

ミューチェ「それじゃあ特訓を始めましょうか」

 

響&未来「はい!よろしくお願いします!」

 

元気よく答えた後にさんはいと言うミューチェの合図と共に響と未来は歌いだす。

 

周りに歌が広がり、草木は揺れる。

 

綺麗な歌が響く中でミューチェは舌を巻く。

 

ミューチェ「(やっぱりこの二人、凄い歌の才能があるわね)」

 

最初は響の部分はぎこちなかったが段々とコツを掴んでいき、未来と並んだ。

 

ミューチェ「(しかも二人が一緒に歌うと物凄い力を感じるわね)」

 

その現象にミューチェは1人ではなく2人一緒に力を与えたからではないかと考える。

 

試しに1人で歌って貰った時はそこまで感じなかったが2人がこうやって揃うとその力は1人の時より倍以上のを感じ取れる。

 

お互いを思っている2人だからこそこうやって同時に歌い、共鳴し合う事で歌や音の力を増幅させているのではないかと言うのがミューチェの見解である。

 

ミューチェ「(さてそろそろ…)」

 

手をパンパンさせて2人の注目を集める。

 

ミューチェ「2人とも、次は力の使い方の特訓よ」

 

響「あ、はい!」

 

未来「分かりました」

 

頷いた後に2人は集中してイメージをしながら口から音を吐き出す。

 

誰にも見えないがミューチェには吐き出された音が2人の周囲で壁の様に変化していくのを視認する。

 

ミューチェ「(うん。バリアのは上出来ね)次は響ちゃん、攻撃の方やってみて」

 

はい!と指名された響は頷いた後に息を吸ってから拳を構え…

 

響「Ra~~~~~~~~」

 

言葉を発すると音が腕に収束していくのをミューチェは視認して…

 

響「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

勢いよく拳が付き出されるとエネルギーが弾丸の様に飛んで木に命中して拳の跡が刻まれる。

 

ミューチェ「うん、上出来ね。これならノイズに触れずに攻撃できるわね」

 

響「はい!」

 

ミューチェは満足そうに頷いた後に自身の前に音の壁が出来たのにおっ?と少し驚いた後に未来の方を見ると未来が目を閉じて集中して手を動かして音の壁を作り出していた。

 

再びミューチェは2人の才能に舌を巻く。

 

響が攻撃ならば未来は守りと補助を得意とする。

 

互いに互いをカバーしあえてるのがなかなかと思うが未来はともかく響の格闘技は我流なので武術はからっきしなミューチェでは教えられない。

 

ミューチェ「(でも私の知り合いで武術と言ったら彼女しかいないけど…)」

 

自分の古い知り合いののんべえ龍娘を思い出して試しに響が彼女の武術を学んだらどうなるかを想像してみた

 

龍娘『さあ今日は山を壊しに行きますよ!』

 

響『はい!師匠!!』

 

ミューチェ「(うん、ヤバいことになるわね;)」

 

本当に山をぶっ壊しそうなのを想像してミューチェは思わず白目になった後に最終手段にしようそうしようと想像したのを振り払う様に激しくうんうん頷く。

 

その様子に未来と響は首を傾げる。

 

ミューチェが我に返ってから家に帰ると響の家の前で響の父親である晄が立っていて、2人に気づくとおーいと手を振る。

 

響「あ、お父さん!」

 

未来「おじさんおはようございます」

 

晄「うんおはよう未来ちゃん。ウチの響がホント世話になってるね。今朝も起こしに来てくれたみたいですまないね~」

 

挨拶する未来に晄はそう言うと未来はあははと少し苦笑する。

 

まぁ、起こしに行ったのは建前で響の温もりを感じたかったがあるが…

 

晄「しかし響、ランニングするなら僕も付き合わせて欲しいな~親子一緒に走るのも良いと思うんだよね」

 

響「あはは、ごめんねお父さん」

 

ミューチェ「(親バカねこの人)」

 

不満そうに言う洸に舌を出して謝る響の隣でミューチェは呆れる。

 

その後に洸は思い出した様にそう言えばと言う。

 

洸「ところで二人とも今日は確かコンサートとかに行くんじゃなかったのかい?」

 

響「……あ、ああああ!そうだった!」

 

未来「ツヴァイウイングのコンサート!楽しみだね響」

 

うん!と頷く響に洸は笑う。

 

ツヴァイウイング、風鳴翼と天羽奏の2人による人気のツインボーカルユニットで響と未来はファンで丁度今日、そのツヴァイウイングのコンサートがあるのだ。

 

洸「楽しんできなよ2人とも、けどあー、僕も響と行きたかったな。けどママに邪魔しちゃ駄目よ言われたから涙を呑んで2人を見送るよ!」

 

響「もうお父さんったら;って急がないと!」

 

未来「早く着替えないと」

 

ミューチェ「(良いお父さんよね…うん、ちょっと親ばか過ぎるけど;)」

 

心底残念そうにそう言う洸に響は恥かしそうだったが思い出してそれぞれ着替えに向かう。

 

それを洸は微笑ましそうに見送る。

 

 

響「着いた~」

 

未来「ギリギリ間に合ったね」

 

ミューチェ「(凄い人ねこれは)」

 

はひぃと息を整える響の隣で未来は感慨深く言う中でミューチェは人だかりに改めてツヴァイウイングの人気を認識する。

 

響「そりゃそうですよ!だってあのツヴァイウイングのコンサートなんだから!」

 

未来「響、シーシー!!」

 

興奮してミューチェに言う響だが未来のにやばっ!?と口を塞ぐ。

 

ミューチェは今は幽霊な存在なので力を与えられた響と未来にミューチェ同じ存在以外には見えないので今の響は虚空に話しかけてる様にしか見えないのだ。

 

未来「(ダメでしょ響、ミューチェさんは今は私達にしか見えないんだから;)」

 

響「(あ、危なかった…もう少しで変な人扱いされるところだったよ;)」

 

小声で言う未来に響はありがとうとお礼を述べる。

 

もう…と未来は響を見ながら本当にしっかりしないと…と自分に気を引き締める。

 

ミューチェ「(やれやれ……ん?)」

 

それにミューチェは呆れていると視線が向いているのに気づいて感じた方へと顔を向ける。

 

向いた先には1人の少女がいて何か驚いた様子で響と未来を見ていた。

 

ミューチェ「(あの子、何に驚いてるのかしら?)」

 

ん?と首をかしげてる間に少女はコンサート会場へとそそくさと入って行く。

 

未来「そろそろ入ろう響」

 

響「うん!」

 

何だったのかしら?とミューチェが首をかしげてる間に未来と響の番になって2人はチケットを渡して中に入る。

 

 

少女は驚いていた。

 

まさか自分の知ってるのとは違う状況に…

 

少女「(まさか未来さんもコンサートに来ていたなんて驚いたっす)」

 

彼女の知るのでは家族の事情でいなかった筈なのに響と共に仲良く歩いていた。

 

そんな状況もあって戸惑うが少女は深く深呼吸して自分を落ち着かせる。

 

少女「(取り敢えずお二人をノイズから助けないとっす!)」

 

その為の力も今自分の手元にあると少女は手に握った赤い結晶の様なペンダントを握り締める。

 

少女「(……でもこれちゃんと使えるのか心配っすね…)」

 

その後に不安になりながら手に入れた状況を思い出す。

 

 

ある時少女は意識を取り戻すとどこか知らない真っ白な空間にいた。

 

少女「あれ、此処は…」

 

戸惑いながら少女は意識を失う前を思い出そうとする。

 

少女「(えっと確か響さんと未来さんのフィギュア買いに行こうと出掛けてそれで…)」

 

そして思い出した。

 

何やら赤信号なのに止まろうとしなかったトラックから引かれそうになった女の子を助けようと飛び出して少女を突き飛ばした後にそこで意識を失った。

 

片隅でもう1人いた気がするが少女は思い出してあれ?と今の状況に首を傾げる。

 

少女「(じゃあもしかして自分……死んだっすか?)」

 

顔を青くした後にそう言えばと最近読んだ二次創作のを思い出す。

 

少女「(そう言えばこの空間ってよくある転生のに似てるっすね)」

 

つまり自分の死は間違いだったのか…と思っていると何やら笑い声が聞こえて来る。

 

なんだろうと少女は聞こえる方に顔を向ける。

 

???「うーん!このお酒美味しいですねー!」

 

???(2)「そりゃ良いのもってきたから当たり前ですよー!玉藻ちゃんオススメの一品なんですし!」

 

あははははは!と顔を赤らめ、笑いながらお酒を飲んでいる2人の女性がいた。

 

1人は服と髪が虹色以外は知っている安心院なじみでもう1人は狐耳を生やした女性であった。

 

少女「(えっと…あれが神様っす?)」

 

なんか普通にのんだくれの女性コンビなので少女は戸惑っていると狐耳の女性が気づく。

 

狐耳女性「おや、エルさん。誰かいますよ?」

 

虹髪女性「あらホント…んー…この子…可哀想に巻き込まれたのね」

 

エルと呼ばれた女性は少女を見るとそう言う。

 

少女「え、えっと…」

 

狐耳女性「なんですか~?玉藻ちゃんに分かり易く説明プリーズ」

 

エル「つまり、この子は寿命でもミスでも間違われて殺された訳でもなく、悪戯神共の転生させようと選んだ他の人のに巻き込まれてついでに死んじゃったって事」

 

戸惑う少女を前に玉藻と自身を呼んだ狐耳女性にエルはお酒を飲んでからそう言う。

 

少女「え…」

 

玉藻「それはまた、碌でもない事をされたもんですね」

 

愕然とする少女を見ながら玉藻は呆れた顔で言う。

 

エル「ようし!この女神の始祖、エル・レジェンドラちゃんが大サービスであなたを転生させてあげるわよ!こんなのしたくないけど事情が事情だし本当に大奮発の大サービスよ!」

 

玉藻「玉藻ちゃんも手伝っちゃいますよ!」

 

少女「ほ、ホントっすか!じゃあ自分、シンフォギアの世界に転生したいっす!」

 

ハイテンションで言うエルに玉藻も乗ると少女はすぐさま顔を輝かせて言う。

 

エル「ふむふむ、シンフォギアの世界ね。特典は何がいい?」

 

少女「神獣鏡のギアをお願いするっす!分身のとかステルス使えるバージョンのを!」

 

成程成程!とエルと玉藻はうんうんと頷いた後にハイタッチする。

 

エル「よっしゃ!頑張ってやるわよ玉藻!」

 

玉藻「了解ですエル。鏡をしっかり作りますよ!」

 

少女「(た、頼んでおいてなんでッスけど…不安っす;)」

 

ハイテンションで作業を開始してなんかトンテンカンと音が響く中で少女は不安を持ちながら待つ。

 

数分後

 

エル「はいできたわよ!」

 

玉藻「これが貴方様の神獣鏡です!」

 

いい汗掻いたとふーと満足気な2人にあ、ありがとうございますっす…と恐る恐る少女は差し出されたペンダントを受け取る。

 

玉藻「あ、そう言えば名前はどういう感じのにするんです?」

 

少女「そうっすね…んじゃあファナ・アイツンベルンでよろしくっす!」

 

エル「良い名前ね~ようし!ならばどうせ1人暮らしを望むでしょうし私が支援してあげるわ!お金とかは月一で振り込んでおくから貧乏の心配も大丈夫よ!ドーンと義母な私に任せなさい!」

 

お酒の勢いかハイテンションで告げた事に少女改めファナはええええ!?と驚く。

 

ファナ「い、いいんっすか!?」

 

玉藻「ついでに身体能力も良い感じに上げときますよ!強くないと生き残れませんからねあの世界!」

 

いえーい!とハイテンションな2人にこ、これは良いんっすか?とファナは怯えまくる。

 

エル「良いの良いの。貰えるものはドーンと貰っときなさい!」

 

玉藻「そうですよ。と言うかこの人がこんな事をするのは全然ないんですからまさにラッキーですよ!ハッピーですよ。ミラクルなんですから~」

 

今度は踊り出す2人にす、凄くノリノリっすとファナは戦慄する。

 

エル「んで、転生の仕方は転移?落ちる?通る?吸い込まれる?跳躍?のどれにする?」

 

ファナ「えっと…普通のでお願いするっす」

 

エル「オッケー!んじゃ転落ね!」

 

カパッ

 

そう言ってポチっとな!とどこからともなくボタンを取り出して押すとファナの足元に穴が出来る。

 

ファナ「転移って言えば良かったっすぅぅぅぅぅぅぅぅぅう!!」

 

ぴゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…

 

悲鳴をあげながらファナは落ちて行くのであった。

 

エル「さ、終わって見送ったし、酒盛りの続き続き♪」

 

玉藻「そうですね♪」

 

わいやわいや!と2人は宴会を再開したのであった。

 

 

ファナ「(って感じに転生したっすけど…うう、緊張するっす…)」

 

思い出すのを止めた後にファナは武者震いする。

 

前世からの記憶でコンサートでとんでもない事が起こる事を知っている。

 

その際に自分はするべき事は…

 

ファナ「(響さんがノイズに殺されないようにするっす!)」

 

ふんす!と気合を入れる。

 

例えシンフォギアを手に入れたとしても自分の手で全員を救えるなど厳しい。

 

本当になんでシンフォギアに転生しようとする人達はこのコンサートの事件を最小限のに留めないっすか?とファナは疑問に思ったがもうすぐ始まると言うのに慌てて自分の席に向かう。

 

 

響「もうすぐだね…ワクワクしてきたよ未来」

 

未来「そうね響…本当にワクワクを止められないね」

 

席に座り、今か今かとうずうずする響に未来は苦笑しながらそう言う。

 

そして…始まる。

 

ステージに主役、ツヴァイウイングが現れて歌を紡ぐ。

 

その歌に誰もが歓声を上げる。

 

響「キター!!!」

 

未来「ツヴァイウイング!」

 

ミューチェ「(へー、あれがツヴァイウイングの翼と奏ね)」

 

響と未来も同じようにテンションをあげてミューチェも感心交じりに歌う2人を見る。

 

歌いながら踊る様に動く2人に動きもなかなか…とミューチェは思う中で気づく。

 

動きの中に戦う者の動きが混じっているのに…

 

ミューチェ「(あの二人、ただのアイドルじゃないわね」

 

響「?何がです?」

 

心の中でのつもりがぼそりと呟いてしまったので気づいた響のになんでもないわと慌てて返す。

 

奏「まだまだ行くぞ!」

 

1曲目が終わった後も最高に盛り上がり、奏のにさらに盛り上がろうとした時…

 

ドカーーーン!!!

 

突如会場の中央で、爆発が起きる。

 

響「な、何!?」

 

未来「爆発!?」

 

驚いた後に緊急事態だとすぐに至った後に耳に力を集中し…聞こえて来たのに2人は能力をすぐさま発動した。

 

 

一方のファナも爆発で始まった事を察する。

 

ファナ「 とうとう始まったっすか…」

 

爆発の後に現れたノイズを見てファナは呟く。

 

まずは避難っすと…と思った後に奇妙な光景にえ?と声を漏らす。

 

観客にノイズが触れようとして…何かに弾かれる様にのけぞったのだ。

 

他の所も同じで触れようとしてのけぞると言う光景が観客たちの目に入る。

 

〝逃げてください!”

 

その光景に誰もが戸惑っていると観客の耳に声が入り…その声を皮切りに誰もが慌てて逃げだす。

 

ファナ「(一体今のは…)」

 

戸惑ってる間に逃げる観客の波に気づいてファナはとりあえず離れるっす!と足早で倒れた人を踏まない様に注意して走る。

 

奏「~~~♪gungnir♪~~~~♪」

 

翼「~~~♪amenohabakiri♪~~~♪」

 

人々の目が自分達に向いてないのに気づいた奏と翼がペンダントを握り締めると歌を紡ぎだす。

 

歌、『聖詠』を歌い終わると、ペンダントが光り、少しして光が爆ぜ、ステージ衣装を纏ってた筈の2人の姿は変わっていた。

 

奏はオレンジと白のボディスーツに両腕と両脚の装甲が分厚く、腰にはスラスターが付き、頭にはヘッドギアをつけた姿に。

 

翼は青と白のボディースーツに両脚にブレード型の脚甲兼ウイングスラスターを装備し、全体的にスマートな見た目に加え、耳にはブレードのようなヘッドギアを装着している姿になっていた。

 

そして翼は剣を、奏は槍を手に持つとノイズに向けて駆け出す。

 

ミューチェ「(変身した…!)」

 

それにミューチェは驚いている間に2人は歌いながらノイズを倒して行く。

 

翼は剣舞の如く剣を振るったと思えば飛び上がると巨大化した剣を振り下ろし…

 

蒼ノ一閃

 

それにより起きた巨大な青いエネルギー刃でノイズ達を両断していく。

 

奏は翼と違い、豪快とも言える槍使いでノイズ達を粉砕して行き、後ろからのノイズの攻撃に気づいて飛び上がって避けると共に槍を投擲し…

 

STARDUST∞FOTON

 

投擲された槍は大量に複製されると広範囲の相手を貫く。

 

その後に1つに戻った槍を握って別のノイズへと向かう。

 

響「す、凄い…。翼さんと奏さんが戦ってる」

 

未来「しかも私達より戦い慣れている」

 

それに響と未来はほわーとなる中でミューチェは奏を見てん?となる。

 

最初の頃より勢いが弱くなっており、さらには少し動きが鈍くなっているのだ。

 

ミューチェ「なんか奏の様子おかしくない?」

 

そう言われて2人も気づく。

 

さっきまでの善戦ぷりが嘘の様に顔を歪めている。

 

奏「くそ、時限式はここまでかよ…!」

 

響「時限式…?」

 

未来「!響、あそこ!」

 

聞こえて来た毒づいた奏のに響が首をかしげると未来が何かに気づいて響を呼びかける。

 

 

一方、ファナは必死に走っていた。

 

ファナ「神様の嘘つきー!使えないじゃないっすかー!」

 

ノイズから逃げながらファナは手にあるペンダントを見ながら叫ぶ。

 

さっき使おうとしたのだが全然輝きもせずに反応もしなかったのだ。

 

エルと玉藻もそうだが実はと言うとファナ自身も悪い所がある。

 

シンフォギアシステムを起動し、纏うには聖遺物との適合係数が必要となって来る。

 

ファナは玉藻が身体能力云々を言ってる時に適合係数の事を言わなかったせいで自身の適合係数を弄って貰うのをしてないので神獣鏡の適合者になっていないのだ。

 

エルと玉藻のうっかりもそうだが言い忘れたファナ自身も失念していたからこその上記の文である。

 

ファナ「転生したのにまた死ぬのはごめんっす!」

 

必死に走るファナだが途中の凸凹に足を取られて転んでしまい、ノイズが覆いかぶさろうとした時…

 

響「はあっ!!」

 

ズドォオオオン!

 

ファナ「!?」

 

響が拳からの音の打撃を叩き込んでノイズを吹き飛ばし、それにファナは目を見開く。

 

ガララッ!

 

刹那、響の着地した足元が崩れ、響は地面に落ちてしまう。

 

未来「響!」

 

ファナ「(今のって響さんが…?でもなんで?)」

 

慌てる未来の隣でファナは先ほど光景に驚きを隠せなかった。

 

一方の響は地面に落ちた際に足は痛みが走るが歩ける程度には問題ないとなんとか起き上がるとそこにノイズが迫り、攻撃に移ろうとして、右腕に痛みが走る。

 

地面に落ちた際に右腕を強打してしまった様だ。

 

それにより攻撃するのが遅れて響は慌てて防御しようとし…

 

奏「おらああ!」

 

そこに奏が駆けつけてノイズを斬り裂き…

 

奏「駆け出せ!」

 

振り向くと同時に叫び、響もそれに従い、痛む足を引きずりながら出口へと向かう。

 

そうはさせまいとノイズ達は響に向けてその身を弾丸へと変えて迫る。

 

未来「響、今バリアを…」

 

ミューチェ「駄目よ未来。バレたらどうするの」

 

慌てて響を守ろうとする未来にミューチェが止める。

 

どうして!?と目で聞く未来のにミューチェは奏やファナがいるからと言うのを伝えられると未来は唇を噛む。

 

そんな響を守る為に奏が前に出ると手に持った槍を高速回転させて盾にして防ぐ。

 

だが、今までのと今防いでいる事でか槍にひび割れが起こって行き…

 

パキィィィィィン!!!

 

奏「しまっ!?」

 

槍は砕かれてしまい、さらなる不幸が起こる。

 

ザクッ!!

 

響「あっ…」

 

なんと砕けた槍の欠片が響の胸に突き刺さったのだ。

 

それにより血が止めどなく溢れ、刺さった衝撃で響は瓦礫へと叩きつけられると力なく地面へと倒れ伏す。

 

ファナ「なっ……!」

 

未来「ひ、響ぃぃぃぃぃぃ!!」

 

それにファナは目を見開き、未来は絶叫した後に自身が怪我するのを構わずに降りると必死に駆け寄る。

 

先に奏も駆け寄って響を抱き起こす。

 

奏「おい死ぬな!お願いだ。目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!」

 

未来「響!響!!」

 

必死に呼びかける2人のに響は目を開いて2人を見る。

 

意識は朦朧としてるがまだ生きる気力を持っている。

 

それに2人は安堵したが奏は何か決意した顔で未来に響を預ける。

 

奏「わりぃ、あたしのせいだ。この子を守れなかった…だから…」

 

謝った後にそう言うと口から先ほどとは違う歌が紡ぎ出される。

 

それにファナは気づく。

 

ファナ「(…覚悟を決めたんっすね奏さん)」

 

ミューチェ「(この歌は…!)未来、今すぐ彼女の歌っている歌のエネルギーを調整して!彼女への負担をできるだけ少なくするように!」

 

未来「え?」

 

奏の紡ぎ出した歌に慌てた様子のミューチェから突然言われた事に戸惑う未来だがミューチェは鬼気迫る顔で言う。

 

ミューチェ「彼女、死ぬつもりよ!急いで!!」

 

その言葉に未来は慌てて目を閉じて奏の負担を減らす為に歌を紡ぎ出す。

 

奏は聞こえて来た歌に驚くが止めずに歌う。

 

そして…歌い終わった瞬間、奏を中心に紫色の衝撃波が放たれる。

 

衝撃波は沢山いたノイズだけを炭に変えていき、全てのノイズは消えた。

 

奏「やった…ぜ…」

 

未来「うっ……」

 

バタン!

 

それを見届けた後に奏は倒れ、未来も襲い掛かる負担に響と重なる様に倒れる。

 

翼「奏!?」

 

そこに翼が駆け寄り、剣を投げ捨てて奏を抱き起こす。

 

翼「奏!しっかりして奏!」

 

奏「そう…声を…出す…な…よ…頭に…響い…て…効く」

 

ファナ「(い、生きてるっす……まさかさっきの歌がバックファイアを弱めたっすか?)」

 

奏!!と抱き締める翼と体も痛いって…と弱弱しくタップする奏を見て驚いた後にファナは響と未来を見る。

 

ファナ「(響さんと未来さん……一体どうなっているっすかこの世界…)」

 

困惑するファナだが改めて認識した。

 

ここはもう自分の知る物語と言う名の世界ではなく、現実と言うの名の世界なのだと…

 

こうして、少女たちはファーストコンタクトを果たし、物語は進みだしたのであった。




ミューチェ「次回は『めんどくさがりな者と決意する者』よ」


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第二話~めんどくさがりな者と決意する者~

転生した少女は伝えられる。自身がシンフォギア纏えなかった理由を、音楽の片割れは改めて決意する。


前回から翌日、ファナは家へと帰宅していた。

 

あの後に自衛隊に保護された後は病院で怪我はないかの確認をされた後はすんなり帰されたのに疑問を感じたが神獣鏡のを知られる事がなくてホッとしていた。

 

それで自宅に帰って来て…目の前の光景に唖然としていた。

 

リビングに行き、彼女の目に入ったのは…

 

土下座する青年

 

そんな青年の後ろで正座させられ、その上に胸の下辺りまで石を乗せられ、首から私達は軽はずみな事で悪い事をしましたと言う看板をぶら下げたエルと玉藻

 

ファナ「(えっと……なんなんっすかこれ?)」

 

青年「本当にウチの女神様と親友がめんどくさい事をしまして申し訳ない」

 

戸惑うファナに青年は謝罪する。

 

青年「僕はジェル・カンターレ。そこで反省させてるエル様の部下です」

 

ファナ「ぶ、部下っすか?」

 

そうですとジェルは答えてから心底めんどくさい顔をする。

 

ジェル「いやマジで事情が事情でもバランスとか考えろと言いたくなるのに上司がするってマジめんどくせぇだよ。と言うか仕事を増やすなめんどくさい」

 

ファナ「(あ、なんか大変そうっすね)」

 

口調が砕けて心底めんどくさそうな顔をするジェルに苦労してるんッスねとファナは思った後にあっと思い出して神獣鏡のペンダントを取り出す。

 

ファナ「ところでこれ、使えなかったんっすけど!」

 

ジェル「……適合係数は?」

 

どうしてッスか?なファナにジェルは聞く。

 

え?と目を点にするファナにやっぱり…とジェルはため息を吐く。

 

ジェル「一応どう言うのを望んだのとか何をあげたかは聞いたけど…オタク、シンフォギアシステムを使う為に必要な適合係数を高めにして貰う様頼んだ?」

 

ファナ「…忘れてたっす」Orz

 

ガクッと崩れ落ちるファナにジェルはふうと息を吐く。

 

ジェル「使えないのもそれが理由。使うにはこの世界でなら…リンカー?だっけ、それ使ってあげねぇと無理。この場で適合係数上げろって言うのは却下、転生した後でそんな使える様にしましたは出来ないのとめんどくさい」

 

ファナ「そうっすよねー;」

 

がっくりとなるファナにジェルは言う。

 

ジェル「まぁ、流石に落ち度は聞かなかったこっちにもあるんでファナお嬢に合う聖遺物をこの世界で探してあげるんでしばらく我慢して貰うっす。後、エル様と狐は置いとて仕事させますんでマジお金のとかはあの人が言った様に心配ないんで」

 

ファナ「あ、ありがとうございますっす…」

 

戸惑いながら頭を下げるファナにまぁ、そう言う事と言った後にジェルは立ち上がる。

 

ジェル「じゃ、自分、エル様のバカやったフォローの以外にお嬢の死ぬ原因となった転生者やバカ神の処理とその他もろもろめんどくさい事を殺りに逝くのでここでおいとまさせて貰います」

 

ファナ「あ、ちょっと待ってくださいっす!一つ聞きたいことがあるっす」

 

そう言って出ようとしたジェルにファナは呼び止める。

 

ジェル「なんです?」

 

ファナ「この世界の響さんと未来さん、何か力を持っているんっすか?」

 

聞かれた事にジェルは怪訝とした顔をする。

 

ジェル「力?おかしいなこの世界は普通の筈…」

 

ファナ「なんか歌歌って絶唱の反動を抑えたりしてたっす」

 

出てきた言葉にジェルの他、エルや玉藻も反応する。

 

ジェル「…歌…まさか彼女が…?」

 

口に手を当てて考え込むジェルにファナは恐る恐る聞く。

 

ファナ「あの何か知っているっすか?」

 

ジェル「………自分からは言えません。聞くなら本人達に聞いた方が早いかと」

 

ファナのにそう返すとでは…とそそくさとジェルは出て行く。

 

意味深な言葉にファナはなんだろうかと不安になる。

 

他にも…

 

エル&玉藻「あの、この状態は?(涙)」

 

ファナ「(えっと…自分よく分からないのでスルーっす;)」

 

お仕置き状態のまま放置された涙目の義母と家政婦の視線にファナも少しは放置しとこうとスルーした。

 

2人が解放されたのはお昼となってからだった。

 

 

時間は進み、コンサートの日から3日経った病院では響はベッドに寝かされ、それを未来や洸が心配そうに見ていた。

 

未来「響…」

 

洸「大丈夫だよ未来ちゃん。響が僕達や君をおいて死なないさ」

 

不安そうに見る未来に洸が安心させる様に言う。

 

自身の方が不安そうなのに未来がいる手前そう振る舞っているのをミューチェは震える肩を見ている。

 

ミューチェ「(やはり不安なのね…。自分の娘の死の瀬戸際に立っているかもしれないから…)」

 

だから速く目覚めなさいよ響…とミューチェがそう考えていると…

 

響「うっ……」

 

声が漏れた。

 

聞いた瞬間、洸は顔を輝かせ、未来の目からは涙が流れる。

 

目を開けた響は未来と洸を見る。

 

響「未来…お父さん…」

 

未来「響!」

 

歓喜極まって響に抱き着く未来の後にお医者さん呼んで来る!と洸は病室を出る。

 

ミューチェは安堵する中で響は左手で未来にタップする。

 

響「み、未来。苦しい苦しい」

 

未来「だってぇ…」

 

ミューチェ「全く、無茶しすぎよ響。いくら始祖が死んでもすぐに復活するからと言って、あれは未来には心臓に悪いわよ…後未来も落ち着いて、響は右腕にギブスしてるんだから」

 

そう言われて響はすいませんと謝り、未来も言われて思い出したのか慌てて離れてごめんね響と謝る。

 

ミューチェ「それにね。いくら始祖でも何度も何度も死んだら…ホント狂うわよ?」

 

響「ど、どんな感じにですか?」

 

真剣な顔で言うミューチェに響と未来は息を飲んで聞く。

 

ミューチェ「私の古い知り合いの始祖はね…強者との闘いをボロボロになろうと楽しむ他、酒を飲まないとミイラになる」

 

響「ええ…」

 

未来「戦いを自分がボロボロになろうと楽しむって…」

 

ミューチェ「自分が死のうが関係なく戦い続けるのが好きなのよあいつは。…今はまあ娘ができたらおとなしくなってるけど」

 

顔を青くする2人にミューチェは2人と出会う前に久方ぶりに出会った時に聞いた事を思い出して付け加える。

 

そんなミューチェの話を聞いてから響は意識を失う前に聞いた奏の言葉を思い出す。

 

ー生きるのを諦めるな!-

 

響「(そうだ、私は不死だからって聞いて楽観していた。例え死ななくても悲しむ人がいる…)」

 

その後に響は未来を見る。

 

響「(奏さんもだけど、未来も悲しませた…私は…未来を悲しませたくない…)」

 

未来「響…」

 

心配そうな顔の未来の手を響は左手で握る。

 

響「ごめんね未来。私間違ってたよ。自分が傷ついても、死にかけても色んな人を救えれば良いって…けど、未来の悲しい顔を見るのはもっと嫌だ。私は未来の笑顔も守りたい」

 

未来「響…」

 

ミューチェ「じゃあ人助けはどうするの?」

 

謝ってそう言う響にミューチェは確認する。

 

響「もちろん続けます。私は絶対に死なずに全力で無茶を通して色んな人を助けたいです」

 

グッと左手を握り締めてそう言う響に未来は変わんないねと苦笑する。

 

ミューチェ「それならこれからもっと強くならないといけないわね」

 

はい!と気合を入れる響のに未来も頷いた後にあ、飲み物買ってきます!と部屋を出る。

 

それを見送った後にミューチェは響が寝ている間に流れたコンサートのニュースを思い出す。

 

コンサートでのノイズ〝による”死亡者は奇跡的に0だと言う。

 

それだけを聞いたら喜ばしいだろうがその後が問題だった。

 

人災による死亡者が出てるのだ。

 

死亡原因は主に転んだ後に沢山の人に踏み付けられて、ドミノ式による圧死など…

 

幸い、響や未来の様な年代のはいなかったそうだが、大人の死亡者は 相当であった。

 

ミューチェ「(んー、これは嫌な予感がするわね)」

 

難しい顔をして嫌な予感にミューチェは不安を隠しきれなかった。

 

一方でジュースを買った未来は車いすに乗った瓶底眼鏡をかけて体中に包帯を巻いたポニーテールの女性とそんな女性を押している少女とすれ違う。

 

未来は気づかなかったがポニーテールの女性、気づかれない様に変装していた奏は驚いた様子で振り返っていたのを…

 

奏「(今の子は…!)」

 

翼「どうしたの奏?」

 

突然振り返った奏に首を傾げる翼に奏はなんでもないと返す。

 

奏「(あの子…いや、あの二人…不思議な感じだったな)」

 

自分が声をかけた少女と自分が絶唱をする際に歌った少女…

 

奏は2人とはまた会う様な気がするのを感じていた。

 

それは当たりで、奏が2人と再会するのは…この時から2年の月日が経ってからである。




ジェル「あー、次回『別の始祖と聖遺物』に続く。はぁ…休憩したい」

ファナ「(ブラック企業に勤めてる人みたいっす;)」


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第三話~別の始祖と聖遺物~

ずれし音を知る為、始祖は別の始祖を呼ぶ。


前回から3ヵ月経った。

 

長らくリハビリと病院生活で窮屈な思いをしていた響は退院出来た事を喜び、特に外傷もなかったので響が目覚めた翌日に先に退院した未来と響の家族達も喜んだ。

 

ただ、嬉しいばかりでなかったのも事実。

 

コンサート事件の被害者の親族などからの悲痛な声と心もとない者達のバッシングが来たのだ。

 

それには洸が前に立ち、後者の者達に強く訴えた。

 

ーウチの子も辛い思いをしてるんだ!亡くなった人達はともかく、君等がウチや他のコンサートにいた人達を責める辻合はないんだ!そう言う事を言う資格なんて君達にはないだろう!ー

 

少しの間行方不明にもなり、娘が死ぬ思いをした事で生きてる間は娘を絶対に守ると言う強い意思を固めた洸の言葉にバッシングは来なくなった。

 

そんな洸に響や未来、ミューチェは頼もしかった。

 

まぁ、その分響に構う過保護さがアップしたが…

 

とにかく、今響達は休んでいた特訓を再開したのだが…

 

ミューチェ「んー?」

 

初めて少ししてミューチェは難しい顔をする。

 

そんなミューチェの様子に特訓を中断した響と未来は心配そうに話しかける。

 

響「どうかしたんですかミューチェさん?」

 

未来「響が入院していた分悪くなっていたんですか?」

 

聞く2人の、特に未来のに逆かな…とミューチェは返す。

 

ミューチェ「未来の方が悪くなってるよのね…なんでか分からないけど」

 

未来「え?」

 

ミューチェ「なんと言うか、バランスが悪いとかそういう感じがするのよね」

 

出て来た言葉にどういう事なのか未来と響は顔を見合わせる。

 

ミューチェ自身もどうしてなのか分からないので唸る。

 

自分で分からないのならそう言う事に長けて得意な知り合いを呼んだ方が良いかなと考える。

 

ミューチェ「(あ、ちょっと違うけど彼女に頼んでみましょうか)」

 

龍娘とは別の古い知り合い思い出して早速念話を飛ばしてみる。

 

ミューチェ「(もしもし、私だけど聞こえる?)」

 

??「(おや、その声はミューチェさんじゃないですか。お久しぶりですね)」

 

試しに声を掛けたら早速帰って来たのにミューチェは喜ぶ。

 

ミューチェ「(久しぶりねAN。貴女に頼みたいことがあるの。今私が居る世界にちょっと来てくれない?)」

 

AN「(分かりました。すぐ行きますね)」

 

来れるかどうかを聞くと快く承諾して貰えた。

 

ありがとうとお礼を述べた後にミューチェは念話で話してるのを不思議そうに見ていた響と未来に向き直る。

 

ミューチェ「今、私の知り合いが来て検査してくれるからちょっと待って」

 

響「ミューチェさんの知り合いって…」

 

未来「もしかして始祖ですか?」

 

はい、そうよと言った傍から離れた場所に女性と女性の腰にくっついたもう1人のメイド服を着た女性が来る。

 

響「えっと…ミューチェさん」

 

未来「どちらがミューチェさんの知り合いで…」

 

ミューチェ「……ロボットみたいな方が私の知り合いでロボットの始祖のANよ」

 

2人も現れたので戸惑う響と未来にミューチェは眉間を揉みながら答える。

 

AN「いやー、久しぶりですねミューチェさん。何百年ぶりでしょうか」

 

ミューチェ「900年ぐらいじゃないの?と言うかその腰の女性は……」

 

懐かしそうに聞くANにミューチェは呆れた顔でANの腰にしがみ付いて震えてる女性を見る。

 

この人ですかと聞かれたのでANは自慢げに言う。

 

AN「ああ、彼女は私のメイドのシオニーさんですよ」

 

メイド「しょ、紹介に預かりましたシオニー・レジスです」

 

よ、宜しくお願いしますと頭を下げるメイドもといシオニーにあ、こちらこそ…と響と未来も頭を下げる。

 

AN「ところでミューチェさん、なんか身体が透けてますけど何かあったので?あとそこのお二人は?」

 

ミューチェ「この二人は新しい音楽の始祖よ」

 

久々に会った親友の状況に首を傾げたANはミューチェの言葉に真剣な顔でどうしてそうなったかの詳細を、と聞き、ミューチェも経緯を教える。

 

経緯を聞き、成程…とANはなんとも言えない顔をする。

 

なお、シオニーはミューチェの姿が見えてないのでゆ、幽霊と怯えていたりする。

 

AN「それで私に頼みたいことと言うのはなんですか?」

 

ミューチェ「この二人のメディカルチェックをしてほしいのよ。なんか始祖の力がうまく使えなくて困ってたの」

 

ふむ…とお願いされた事にANは響と未来を見る。

 

その後にちょいとお待ちを…とどこからともなく材料を取り出して作業を開始し…

 

AN「出来ました」

 

響&未来「ええええっ!?」

 

シオニー「相変わらず凄いですねANさん…」

 

さっきやってもう出来上がった人1人入れるようなカプセルに驚く響と未来の隣でシオニーは疲れた顔で言う。

 

早速やりますよ~と最初に未来に入って貰い、分析を開始する。

 

ミューチェ「どう?」

 

AN「異常なしですね。おかしなところなんてひとつもなしですよ?」

 

確認するミューチェにANはそう返す。

 

次に響が入ると…

 

ビービー!!

 

AN「む、これは…」

 

未来の時と違う反応にANは目ざとく見つけて早速深く調べる。

 

カタカタカタ

 

ミューチェ「どうしたの?」

 

分析した事で分かった結果に厳しい顔をするANにミューチェは聞く。

 

AN「響さんの心臓に何か刺さってますね」

 

ミューチェ「心臓に……!まさか!」

 

ここ!と拡大されて映ったのにミューチェはあの時の光景を思い出す。

 

その反応にANは気づいて問う。

 

AN「何か思い当たることでも?」

 

ミューチェ「ええ、実は…」

 

そう前置きしてからミューチェはコンサートであった事を話す。

 

それですねとANは腕を組んで映っているのを厳しい顔で見る。

 

AN「なるほど、この欠片のせいで力がうまく使えなかったんですね」

 

未来「え、それってどう言うことですか?」

 

そう断言するANに未来は聞くとミューチェが変わりに答える。

 

ミューチェ「響と未来はそれぞれ半分ずつ始祖の力があってバランスを取っているの。それがガングニールの欠片が響の方に入ったことによりバランスが崩れて…」

 

未来「力がうまく使えなかったって事ですね」

 

説明にすぐさま察する未来にそういう事よとミューチェは頷く。

 

ガングニールと言う名前はミューチェがコンサートの際、奏が姿が変わる前に歌っていた中に槍に関連する名前でこれだと思ったからだ。

 

ミューチェ「ええ。だから響からこの欠片を取り出せば…」

 

AN「残念ですがそれは無理ですね」

 

元に戻る…と言おうとしたミューチェのをANは不可能だと否定する。

 

どういう事?と目を鋭くさせるミューチェにANは理由を話す。

 

AN「理由は二つあります。まずひとつはガングニールの欠片により上がってはいますが下手に取り除くと始祖の力を著しく減少させます。そしてふたつめ、これが一番重要です…この欠片、今響さんの細胞と融合しつつあり、今の技術では取り除く事が不可能です」

 

無論、私の技術もロボット専門であって医療関連ではないので詳しい調査が必要ですと付け加える。

 

ミューチェ「まさかそんな事になっていたなんて…」

 

未来「そんな…」

 

AN「(実は三つめの理由として響さんの中にガングニールがあると言うのは原作…歴史の流れでは必要な事…いちおう取り除く事も何事もなければ歴史通りに進めば出来ますし…)」

 

顔を伏せる2人を見つつ内心罪悪感を感じながらANは此処に来るまでに再会した人物から教えられた事を思い出しつつそう呟く。

 

無論、シオニーがいない時に教えられたのでシオニーも知らない。

 

AN「ただ、取り除く事は出来なくても力の均等を戻す事は一応出来る方法があります」

 

ミューチェ「それはもしかして…」

 

告げた言葉にミューチェは未来へと顔を向け、ANも肯定する。

 

AN「はい、未来さんの身体にガングニールと似た物、つまり聖遺物の欠片を埋め込めば釣り合っていつも通り、もしくはそれ以上になると思います」

 

未来「私の身体に…?」

 

響「そんな事が出来るんですか!?」

 

驚く2人にANは出来ますと言ってからただ…と歯切れの悪くなる。

 

AN「その聖遺物がないんですよね…」

 

シオニー「って駄目じゃないですか!?」

 

ミューチェ「……ねえ、これは違うの?」

 

驚くシオニーの後にミューチェがそう言うと虚空からANの手に何かが落ちる。

 

それは鏡の様な奴でそれにANは目を見開く。

 

AN「こ、これは…まさしく聖遺物、神獣鏡(シェンショウジン)!」

 

ミューチェ「三年前に偶然拾ったのよ」

 

ええ!?と驚くANにミューチェは理由を言う。

 

ただ、ANは別の意味で驚いていた。

 

AN「(三年前ってそれ、奏さんの事件が起きた時じゃないですか!)」

 

教えて貰った中にあった出来事ので何ちゅうことをしてるんですかこの人と…内心冷や汗を流しながらミューチェを見る。

 

ミューチェ「ん?」

 

AN「はぁ…とにかく、これで出来ますね」

 

なんか悪い事をした?な感じのミューチェにANは脱力した後にちゃんと相性が良いかを確認し、OKなのを確認してから手術の為のマシンを作り上げる。

 

AN「はい、完成っと」

 

響&未来「はやっ!?」

 

ミューチェ「これが彼女の普通だからね」

 

そしてまたも速く作り上げたのに響と未来は驚き、ミューチェはそう言う。

 

AN「さて、1つ警告です未来さん。これをする事であなたに何かしらの事が起きる可能性があります。それでもいいですか?」

 

響「何かしらの事…」

 

そう言ったANのに響は不安そうに未来を見て、ミューチェは未来に判断を任せるのか無言で見ている。

 

2人に見られながら未来は決意を秘めた顔でANを見る。

 

未来「……例え何かがあっても私はやります。響と同じ場所にいたいから…だからお願いします」

 

AN「そうですか。では早速始めましょう」

 

そう言ってANはマシンの中に入る様に言い、未来はANと共に中に入る。

 

響「未来…」

 

シオニー「大丈夫です。ANさんの腕は確かですし」

 

不安そうに見守る響にシオニーは安心させる様に言う。

 

少しして…ANと未来が出て来る。

 

響「未来!」

 

未来「お待たせ響」

 

AN「安心してください。オペは成功しました」

 

未来へと抱き着く響にANはそう言う。

 

ミューチェ「助かったわAN。今度お礼するから」

 

AN「いえいえ。あ、それともしその傷ので言い訳するときは闇医者とかに埋め込まれたことにしてくださいね。色々と正直に話すとややこしくなるでしょうし、話せるのに信用できる者が出来た時にお願いします。後、変調があったらすぐに呼んでくださいね」

 

礼を述べるミューチェにANが注意してからそう言う。

 

ミューチェ「ええ。本当にありがとうねAN」

 

響&未来「ありがとうございました!」

 

頭を下げる2人にいえいえ~と笑った後に…では…とANはシオニーの襟首を掴んで飛んで行く。

 

シオニー「なんでこんな去り方なんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

響「お元気でー!」

 

未来「響、あれツッコムべきだと思うよ!?普通に危ないって!」

 

ミューチェ「未来、試しに一回歌ってみましょうか」

 

シオニーの絶叫を聞きながら手を振る響に未来はツッコミを入れる中でミューチェはスルーして言う。

 

少し不満そうだがとにかく歌う事にした。

 

ミューチェ「(さて、どうなったのか…)」

 

歌を聞き、そして流れる力を感じながらミューチェはしばらく無言でいる。

 

響「すっごいよ未来!惚れ惚れする上手さだったよ!」

 

そこじゃないからねと響のにツッコミを入れた後にミューチェは感想を述べる。

 

ミューチェ「響のと同じくらいの力を感じたわ。これなら大丈夫ね」

 

未来「あ、ありがとうございます!」

 

響「良かったね未来!」

 

ワイワイはしゃぐ2人にミューチェはふふふと笑う。

 

ミューチェ「(本当に仲が良い二人ね)」

 

会った時から離れる時間が長かった時はなかった。

 

何時も仲良く、時に軽い喧嘩もするがそれでも2人の絆の強さは変わらなかった。

 

ミューチェ「(この絆はおそらく長い時生き続けても永遠に変わらないんでしょうね)」

 

響「ミューチェさん?」

 

ふふと笑うミューチェに首を傾げる響になんでもないと返す。

 

ミューチェ「それじゃあ次は聞こえない音で歌う練習するわよ」

 

響「聞こえない音で?」

 

未来「あ、そっか。それなら…」

 

出された事に首を傾げる響の隣で理解した未来にそういう事と肯定してからミューチェは分かってない響に理由を説明する。

 

ミューチェ「えっとね。世界には人には聞こえない音…特に動物とかにしか聞こえない音って言うのが存在するの。出す歌をその音のにしてやる感じよ」

 

響「そうなの!?」

 

未来「ホントよ響、代表的なのは蝙蝠の超音波や犬の訓練に使う犬にしか聞こえない音を出す犬笛がそうよ。ちょっと違うけど年齢が上がる事で聞こえなくなるモスキート音って言うのもあるのよ」

 

驚く響に未来が補足する。

 

ミューチェ「これならバレずに能力使えるでしょ?」

 

響「あのー、一つ聞きたいんですがそんなにバレたらやばいんですか?」

 

未来「たしかに、あの時もそうでしたし…」

 

質問する響と思い出して言う未来のにミューチェはやばいと頷く。

 

ミューチェ「そうねえ…組織とかに道具として使われるか。または解剖、実験、その他に…」

 

響「うわぁ…それは嫌だな…」

 

未来「うん…」

 

嫌な顔をする2人にだからこそ秘密なのよとミューチェは言う。

 

ミューチェ「だから絶対にバレないようね!特に組織とかそういう人たちには絶対に!」

 

はい!と元気よく答える2人に宜しい!とミューチェも満足そうに頷き…

 

ミューチェ「んじゃ特訓始めるわよ」

 

響&未来「はい!」

 

元気よく答えた後に2人は歌える様に発声練習をする。

 

お互いやその周りの人を守れる様にと言う思いを込めて…




AN「次回は『覚醒の2つの鼓動』です」


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ルナアタック編
第四話~覚醒の2つの鼓動~


時が流れ、ノイズの騒動に巻き込まれし時、2人の胸に宿った力は目覚める。


コンサートから2年経った。

 

立花響は制服で身を包んだ体に嬉しさでいっぱいであった。

 

そして叫ぶ。

 

響「リディアン学園にキター!!」

 

未来「ちょっと、響!それ入学した時も聞いたから!」

 

元気よく言う響に未来はツッコミを入れる。

 

???「ビッキー、ホント入学式の時にも叫んでいたよね」

 

???2「しかもどこぞの仮面高校生みたいに叫ぶのには目を引いたね~」

 

???3「その感想は弓美さんだけかと思いますわよ」

 

そんな響と未来と一緒に歩きながら3人の少女が各々に言う。

 

彼女達は喋った順に安藤創世(あんどう くりよ)板場弓美(いたば ゆみ)寺島詩織(てらじま しおり)で2人のクラスメイトである。

 

響が未来の言った様に叫んだのを切っ掛けに弓美が話しかけてその後に2人とも話して行く内に仲良くなったのだ。

 

未来「あ、皆おはよう」

 

響「おはよっー!」

 

創世「おはよ、ビッキー、ヒナ。今日も仲良く登校だね」

 

弓美「ホント夫婦みたいだよね~」

 

詩織「違いますわ弓美、この2人は女同士ですし、婦婦(ふーふ)が適切ですわ」

 

響「いや~それほどでも」

 

未来「もう響ったら、憧れの翼さんが通っているからテンションが上がるのは良いけどもう入学してからそれなりに経ってるんだから」

 

茶化す3人のに照れる響に未来は頬を赤らめながらそう言う。

 

ごめんね~と言う響やそんなメンバーを見てミューチェはうんうんと頷く。

 

ミューチェ「(良い友達ができて良かったわね二人とも)」

 

賑やかに話す5人にミューチェは微笑ましくなる。

 

ただ…少し気になる事があったりする。

 

チラリと別の方向へと顔を向けるとコンサートの時に響が助けた少女、ファナがチラチラと見てうーうー唸っていた。

 

ミューチェ「(あの子、一体何を唸っているのかしら?)」

 

入学してからも響や未来を見て何か悩んだり考え込む姿をチラホラと見かけているのでミューチェはそこがどうも気になったのだ。

 

ミューチェ「(そう言えばあの子、最初見たときからおかしかったわね?)」

 

コンサートの時の反応からもミューチェは彼女から違和感を感じていた。

 

まるで知っていたのが違う様な感じの反応でどうも気になってしまうのだ。

 

ミューチェ「(まさか転生者…?)」

 

その後にミューチェは長く生きていた中で思い当たるのに行き当たる。

 

ミューチェ「(いやだとしても今まで何も行動しなかったのはなぜ?響達が狙いじゃないのかしら?)」

 

自分が見て来たのだと良く色んな者を手籠めにしようとしたり、殺そうとしたりのが多かったので悩みまくる。

 

ファナ「あ、ちょ、待って欲しいっす」

 

弓美「良いじゃん良いじゃん」

 

声にミューチェが顔を上げると弓美によって引きずられて来るファナの姿が目に入る。

 

詩織「あら、確かあなたはファナ・アインツベルンさんでしたっけ?」

 

創世「ああ、なんか同年代の人にもっすって後輩口調な子」

 

ファナ「ど、どうもっす」

 

響「(あれ?この子?)」

 

そんなファナを見てすぐさま思い出して言う詩織と創世にファナは頭を下げ、響はんー?と首を傾げる。

 

未来「どうしたの響?」

 

ファナ「あ、あの実は……」

 

キーンコーンカーンコーン

 

おずおずと言おうとしたファナだったがそこにチャイムが鳴り響く。

 

弓美「あ、やば、遅刻しちゃう!」

 

詩織「急いだ方がよさそうですわね」

 

創世「だね。ファナさんも急いで」

 

ファナ「は、はいっす!」

 

響「あわわやばい!」

 

未来「急ぎましょう!」

 

慌てて6人は教室へと急ぎ、なんとか先生が来る前に着席を出来たのであった。

 

 

時間が経ち、お昼になって食堂で響と未来はファナと共に食べていた。

 

ミューチェから何やら自分達を見ていたと言うので丁度良いと思い、誘ったのだ。

 

お食事関連でワイワイ話せた事から2人は良い子だなと思っていると食べ終えた未来が最新のノイズのニュースを見つける。

 

未来「『自衛隊特異災害対策起動部による、避難誘導は完了しており、被害は最小限に抑えられた』―――だって」

 

響「へえ、そうなんだ…」

 

ファナ「それってここからあまり遠くないっすよね?」

 

気を付けないといけないねと言う未来のに2人が頷くとザワザワしてるのに気づく。

 

何事?と3人はした方を見て見ると響と未来がリディアンに入学するきっかけになった翼が歩いていた。

 

ファナ「あ、翼先輩っす」

 

響「えっ、翼さんっ!?」

 

真っ先に気づいたファナのに響は慌てて立ち上がって見ようとして誰かとぶつかる。

 

すいませっと謝ろうとした響だったがなんと当たった人物が翼であった。

 

ミューチェ「(あらあら、これはどうなるかしら…)」

 

響「え、あ…」

 

翼「あなた…ここ」

 

あまりのことで緊張する響に翼は自分の右頬を指す。

 

言われて響は自分の右頬を触り…違う感触から見てみると……ご飯粒が付いていた。

 

未来「響ッ、だからほっぺたにご飯粒…」

 

ファナ「あちゃーっす」

 

同じ様に言おうとしていた未来と冷や汗を掻くファナの声を聞いて恥ずかしくなる響を横目にそれだけと翼は去る。

 

 

お昼の事もあって放課後で響は落ち込んでいた。

 

響「あ~……もうダメだ~……。翼さんに完璧おかしな子だと思われた……」

 

未来「間違ってないんだからいいんじゃない?」

 

ファナ「響さん、ドンマイっす!」

 

ミューチェ「(面白かった~は本人に言ったら怒りそうだし黙って置こう♪)」

 

へこたれて机に突っ伏す響に未来は笑顔で辛辣な言葉を言い、ファナが励ます上でミューチェは笑うのを堪える様にしている。

 

未来の意地悪~と響が言うのを見た後にファナは何か決意をした顔をすると…

 

ファナ「あ、あの!響さん、未来さん!」

 

響「ん?何ファナちゃん?」

 

2人とも自分へと顔を向けたのを確認してファナは意を決した顔で聞く。

 

ファナ「二年前、お二人は不思議な力使っていたっすよね?」

 

響・未来「」カチン

 

出て来た言葉に響と未来は固まり、ミューチェは聞きに来たかと少し警戒する。

 

響「ファ、ファナちゃん、何を言って…」

 

ファナ「嘘ついたってダメっすよ。私ちゃんと見たっすから」

 

未来「……此処は人通り多いからちょっと場所移さない?」

 

慌てて誤魔化そうとする響だが真剣な目の強さにあうーとなって未来を見て未来がそう言う。

 

それに了解っすとファナも同意して移動を開始する。

 

路地裏に移動した3人とミューチェは誰もいない事と聞いていない事を確認してファナが切り出す。

 

ファナ「二年前、私はコンサート会場でノイズに襲われそうになったとき、響さんに助けて貰ったっす」

 

響「ああ、もしかして!?」

 

未来「!あの時の!」

 

思い出して声をあげた響はどおりでどっかで見覚えあると思った!と凄く納得する中でその節は本当に助かりましたっすと頭を下げる。

 

未来「でもなんで私達が力を持ってるって……」

 

ファナ「それは未来さんが奏さんを助けたからっす」

 

答えた事にあの時のを聞かれてたのね…と未来とミューチェが納得する中で意識が朦朧としていた響は驚く。

 

響「えっ?未来が奏さんを?」

 

ファナ「……本来奏さんはあの時絶唱を歌った後、その反動で死ぬ筈だったっす。ですが未来さんが歌を歌ったら奏さんは生き延びた…」

 

ええ!?とファナの口から出てきた衝撃の言葉に響と未来は驚きの声をあげる。

 

ミューチェ「(やっぱりこの子…)響、ちょっと身体借りるわよ」

 

響「え?」

 

それによりミューチェは一言断るとまだ戸惑っていた響に重なる様に入り込む。

 

目を閉じた響にファナは戸惑っている間に響が目を開けると、先ほどのオレンジ色の瞳から白銀に近い色に色が変わっていた。

 

ファナ「ひ、響さん?」

 

M響「はじめまして、私はミューチェ。今、響に憑依している存在よ」

 

戸惑うファナにミューチェが憑依した響、M響はそう挨拶する。

 

M響「それでファナ。ハッキリ言うけど貴女、転生者ね」

 

ファナ「!」

 

未来「転生者?」

 

ズバッと切り出した事にファナは目を見開き、未来は首を傾げる。

 

M響「さっきの言葉に弓美に話しかけられるまでに響達を見ていた反応、そして2年前のコンサートに入場する時の響と未来を見ての驚いていた様子からそう判断したんだけど、違う?」

 

ファナ「……そうっす。私は転生者っす。と言っても悪い転生者じゃないっすよ!」

 

未来「あのミューチェさん、転生者って……?」

 

確認するM響にファナは肯定して慌てて自分がどう言うのかについて言う中で未来が戸惑いながら聞く。

 

M響「転生者ってのは前世の記憶を持ったまま新たな生を受けた者の事を言うんだけど…最近は身勝手な神のせいで良い人もいれば身勝手過ぎる奴とかもいて困るのよ…」

 

響「(それがファナちゃんってこと?)」

 

M響「そ、彼女の言い分を信じるなら前者の方ね」

 

説明するM響のに響が確認してM響は頷く。

 

ファナ「あのー、ミューチェさんってもしかしてエルさんとジェルさんのお知り合いっす?」

 

M響「…………ちょっと待って、なんで貴女があの二人の事知ってるの?」

 

恐る恐る聞くファナのにM響は驚いた顔で聞く。

 

ファナ「えっとっすね……」

 

ファナ説明中

 

M響「なにやってるのよあの女神の始祖はぁぁぁぁああああああああ!!」

 

転生理由を聞いてM響は頭を抱えて叫ぶ。

 

そりゃだって酔っ払った勢いで転生させたとか、知り合いとしても頭を抱えたくなってしまうのは当然である。

 

それもそう言うのが嫌いな人物がやったらそりゃあ絶叫もしたくなるだろう。

 

未来「ミューチェさん、落ち着いて…」

 

ファナ「あのー、始祖ってなんなんっすか?」

 

M響・未来「あ」

 

宥めようとした未来だったがファナのにしまったとなる。

 

ファナ「えっと、エルさん自身も私を転生させる際に自分の事を始祖とか言ってたのでどういう存在か知りたいっす」

 

M響「……良いわ。教えてあげるけどこの事は他言無用でお願いね」

 

あの馬鹿女神は…と痛くなる頭を抑えながら毒づいた後にM響は始祖について教えて行く。

 

自分達がどんな存在か…

 

 

M響「始祖ってのは遥か昔、ある一つの世界が生まれたと共に誕生した存在でね。怪人や吸血鬼、天使や悪魔と言った様々な種類の始祖が存在するの。始祖はそれぞれ固有の力を持ってて私は音楽の始祖だから音に関するのを持っていたわ。また、始祖は不老不死でね…だから長い時間を生きていられるの…」

 

それを聞いたファナは口が塞がらなかった。

 

ファナ「(永遠の時を生きる存在…そんなのが居たなんて)」

 

M響「これで分かって貰えたかしら?」

 

は、はいっすとファナが頷き、他に何を聞こうと思った時…

 

響「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

突如響がミューチェの憑依を解除して叫ぶ。

 

それに弾き飛ばされたミューチェに未来とファナはギョッとする。

 

未来「ど、どうしたの響!?」

 

ファナ「あ、もしかして…」

 

響「未来~今日翼さんの新曲CDが発売されるんだった!!急がないと初回特典が無くなっちゃうよ~」

 

戸惑う未来にファナは自身の記憶から察すると響がそう言う。

 

未来「あ、そうだった!」

 

響「だからファナちゃん、この話の続きはまた今度!じゃあね!行くよ未来!」

 

そうまくし立ててから響は未来の手を取って走り出す。

 

速いっすね~とファナは感嘆した後にあっ!?となる。

 

と言うか、思いっきり始祖ので〝CDを買いに行った響”が遭遇する状況のが抜け落ちていた。

 

ファナ「響さーん!CD買うとき気をつけてくださいっすーー!!」

 

そんな2人の背に向けて大声で言った後にファナは急いでシェルターの方へと駆け出す。

 

 

響「CD~とくてん♪CD~とくてん♪」

 

未来「ちょっと、響。走りすぎ…」

 

元気よく走る響に未来はもう…と思いながら続く。

 

そして…CDショップに付いた響達は風に乗って来る…黒い粉に目を見開く。

 

響「えっ……」

 

未来「これって……」

 

ミューチェ「まさかっ!」

 

3人がすぐさま察した後に遠くでサイレンが鳴り響いているのに気づく。

 

そして…女の子の悲鳴が聞こえると共に2人は走り出し、ミューチェも後を追う。

 

さっきまでいたのとは別の路地裏が目に入って入ると小学校に入るか入らないかくらいの女の子が、壁際までノイズに追い詰められて囲まれていた。

 

響「未来!援護を」

 

未来「うん!」

 

それを見た瞬間に響はそう言って駆け出し、未来もすぐさま少女を守る様に音のバリアを張る。

 

ノイズへと接近した響は音纏わせたパンチや蹴りでノイズを蹴散らし、少女を抱き抱えて未来の所へと戻る。

 

響「逃げよう未来!」

 

未来「うん!あ、でもその前に」

 

そう言ってゴミ箱を崩して足止めにすると女の子を響が抱えて2人は駆け出す。

 

ノイズも倒して行けば良いだろうがいかんせん、今は響と未来だけでなく女の子もいるから安全な場所まで逃げるしかない。

 

女の子を抱えながら入り組んだ路地を進んでいた2人とミューチェは開けた場所に出ると共に目の前に川が広がる。

 

左右にノイズがいて、逃げる場所は…目の前にしかなかった。

 

響「行くよ未来」

 

未来「うん…」

 

ミューチェ「(こういう時、浮けるって便利よね)」

 

頷いた後に響と未来は女の子と共に川へと飛び込み、ミューチェは場違いな事を考えながら続く。

 

必死に泳いで陸地に上がった後に2人は再び走る。

 

まだ追いかけて来るノイズにしつこいわねとミューチェも顔を顰める。

 

夕日は沈み、暗くなる中で3人は港の室外機のある建物によじ登った事でやっと一息を付けた。

 

響「はぁ…はぁ…」

 

未来「こ、此処までくれば…」

 

女の子「だいじょうぶおねーちゃんたち?」

 

例え訓練してたとはいえ長時間走り続けたのはきつくて息を荒げる2人に女の子は不安そうに聞く。

 

未来「うん、大丈夫」

 

響「ここまでくれば流石に…」

 

ミューチェ「!二人とも!」

 

安心させる様に言う未来の後に響は言おうとしてミューチェの言葉に体を起こすと…3人を大量のノイズが囲んでいた。

 

慌てて未来は女の子を抱き抱え、響もなんとか立ち上がる。

 

死んでしまうのと絶望する女の子だが未来と響は諦めなかった。

 

未来「(死なせない…この子も響も…誰一人だって死なせない!)」

 

響「(奏さんが言った生きる事を私は絶対に諦めない!)」

 

そして2人は…無意識に歌を…聖唱を紡いだ。

 

響「~~~♪Gungnir♪~~~♪」

 

未来「~~~♪shenshoujing♪~~~♪」

 

それにより響と未来の胸元が強く輝く。

 

響はオレンジ、未来は紫の光で光は天へと登る。

 

ミューチェ「(この光は…まさか!)」

 

その光にミューチェはコンサートのを思い出す。

 

 

とある場所、そこでは複数の人間が発生した反応にざわめいていた。

 

???「これって…アウフヴァッヘン波形!?」

 

その中の1人が唖然とする中、波形の正体がモニターに移され、そこにはGUNGNIRとUNKNOWNと表示された。

 

???2「ガングニールにアンノウンだとッ!?」

 

司令と思われる男性がモニターのに驚く中で後ろに控えていた翼と車いすに乗った奏は驚いていた。

 

 

突如起こりし事に驚いていた2人は体に起こりし感覚に苦痛の声をあげる。

 

ミューチェ「二人とも、大丈夫!?」

 

ミューチェが声をかけるが響と未来には声は届かず、2人は歯を食いしばって何とか意識を繋ぎとめる。

 

そして次の瞬間…

 

未来&響「ッがあああああああああああああああ!あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

(推奨BGM:撃槍・ガングニール)

 

2人の背中を突き破り、生身ではありえない無機物が飛び出してきた。

 

ミューチェがギョッと驚く中で噴水のように吹き出した無機物は、やがて生き物のように2人の体に戻っていくと2人の体にアーマーとして装着されていく。

 

響は白とオレンジのボディースーツで両手には白をベースに金色のラインが入った籠手に両足には金色の脚甲、頭には二本のブレードアンテナを付けたヘッドホンに似たヘッドギアが装着される。

 

未来は紫のラインが入る中華風のアンダースーツで両腕には紫のガントレットと黒いムチのような物を装着し、両脚には巨大な紫色のホバーユニットに頭には獣の牙のような意匠のバイザーが装着される。

 

ミューチェ「ふ、二人とも…?」

 

響「ふ、あ」

 

未来「あ、あ…」

 

ミューチェ「!」

 

恐る恐る話しかけたミューチェは顔を上げた2人の表情を見て驚く。

 

その顔は野獣とも感じさせる怖い顔で暴走かとミューチェは思わずANか近くにいるだろうエルに念話をかけようとして…

 

響「あ、あれこれって…」

 

未来「え、え!?何これ!?」

 

すぐさま我に返った様で自分達の姿に戸惑う2人にミューチェは安堵の息を吐く。

 

女の子「おねえちゃんたちかっこいい!」

 

響「そうかな~」

 

未来「響のはカッコいいね」

 

ミューチェ「二人ともまずはどうするか分かっているわよね」

 

褒められて照れていた2人はミューチェのにそうだった!と気を取り直す。

 

そして変身した2人は始祖となった事で今の状態がどう戦えば良いのも分かった。

 

飛び出すと共に響は歌いながらいつも通りの戦いでノイズにパンチを叩き込むと楽に倒れていくのに良し!と実感が湧いた後に次のに向かう。

 

未来は女の子を守りながら手刀から音の斬撃を飛ばしながらノイズを切り裂いていく。

 

ミューチェ「(ん~なんか未来の戦い方違う感じがするのよね…)」

 

そんな未来の戦い方にミューチェは違和感を感じる。

 

ならばと自分が神獣鏡を出した時になんか知ってそうなANに念話をかける。

 

するとすぐさまANは念話に出る。

 

AN「(あ、なんですかミューチェさん)」

 

ミューチェ「(ちょっと急用。神獣鏡の戦い方今すぐ教えてくれないかしら)」

 

戦い方と言うのに、ANの様子が少し変わったのをミューチェは感じるがそれを考える前にANは分かりましたと答える。

 

AN「(えっとまず神獣鏡は特徴的な能力として三つ能力を持っています。まず一つは聖遺物分解能力、これは文字通り聖遺物を分解して消しちゃう能力なんですよ。ノイズにも効きますのでノイズ戦にも使えます。ちなみにアームドギア…つまり武器を出現させてやれば出し易いです。2つ目はダイレクトフィードバックシステム、これは簡単に言うならば情報を直接使う人物の脳に教えてすぐさま使える様にしちゃうと言う。最後の3つ目は飛行能力で他の聖遺物と違って文字通り空中戦を可能とするんですよ。だから空中を飛ぶノイズとも優位に戦えます。これだけですね)」

 

ミューチェ「(なるほど、分かったわ。ありがと)未来!アームドギアを出して!」

 

未来「え、え、アームドギア、ですか?」

 

詳細を聞いてミューチェはそう叫び、未来は戸惑いながら奏が持っていた槍を思い出しつつ出て来て!と願うとその手に機械的な巨大な扇子が握られる。

 

未来「これが私の武器…」

 

ミューチェ「それを使えば光線を放てて遠距離戦も出来るわ!」

 

言われた事になら!と未来は扇子を振るってノイズを吹き飛ばした後にトリガーを見つけてノイズへと先端を向けて押すと光線が放たれてノイズ達を薙ぎ払う。

 

未来「す、凄い…」

 

響「うわっ、かっこいいよ未来!」

 

予想していたのよりも凄い殲滅力に驚く未来に響がノイズを殴り貫いたり、蹴りで粉砕しながら褒める。

 

なら!と未来は再び光線を放ち、放たれた光線はそのままノイズを殲滅しつつ、曲がる様に別の方向のノイズを殲滅して行く。

 

それにミューチェは未来が音のバリアを応用して光線の向きを上手い具合に変化させたのだと理解する。

 

ミューチェ「(へー、やるじゃない未来)」

 

それを見てミューチェは改めて未来の応用力に脱帽する。

 

円形に変形させた音のバリアによって曲がる光線によりノイズ達が殲滅させられて行くのにこれなら…と思っていると…

 

ドシーン!

 

いきなりの振動に誰もが驚いて周りを見る。

 

すると巨大なノイズが出現しているのに気づく。

 

未来「えっ!?」

 

響「デカっ!?」

 

驚いた2人は巨大ノイズが腕を振り下ろそうとしてるのに気づいてすぐさま未来が女の子を抱えて飛び、響も飛び降りると巨大ノイズの腕はビルに直撃する。

 

着地した後に危なかった…と響はその様子を見て思う中で未来が隣に降り立つ。

 

響「どうしようかこれ」

 

未来「んー…」

 

巨大ノイズを見て顔を見合わせていると後ろからバイクの走行音が聞こえて振り返ると共に2人の横をバイクが通り過ぎ…

 

???「はっ!」

 

操縦者はバイクからジャンプし、操縦者を失ったバイクは巨大ノイズの足にぶつかり爆発する。

 

ミューチェ「あ、バイクが…」

 

???「~~~♪amenohabakiri♪~~~♪」

 

誰もが驚いていると聞き覚えのある歌が響き渡り、操縦者は3人とミューチェの前に着地する。

 

未来「あれって…」

 

響「翼さん!?」

 

翼「惚けるな。死ぬぞ」

 

驚く2人に翼は言うとノイズへと駆け出し、途中でコンサートで見た姿となる。

 

慌てて響も続く。

 

響「ま、待って!」

 

未来「響、私はこの子を避難させてくる」

 

了解!と言う響のを聞いてから未来は女の子を抱えると飛んでから自分の進む先にいるノイズをみつえて扇を展開し…

 

閃光

 

閃光状のビームを展開し、ノイズ達を殲滅して行く。

 

翼に追いついた響は翼と共に向かって来るノイズを蹴り飛ばしたり、音を纏わせた手刀で切り裂いたりしながら巨大ノイズへと接近する。

 

進みながら響は右手に音のエネルギーを収束する。

 

前に父が読んでいた漫画を借りて見た時に見つけた拳に破壊力と共に音の振動を乗せて、それにより相手の内部を破壊する技

 

こう言う相手にこそ相応しい技

 

響「はあっ!」

 

翼「てやぁぁ!」

 

左手で向かって来たのを切り裂いた後に残りを翼が空中から大量の剣を放って倒した所で響は飛び上がり…

 

我流・ビートパンチ

 

巨大ノイズの頭に右拳を叩きこむ。

 

それにより音の振動は伝わって行き、巨大ノイズは膨れ上がった後…

 

バァァァァァァァァン!!!

 

四散すると共に炭化する。

 

ミューチェ「うわーお、凄い技使ったわね」

 

翼「なんと言う…」

 

響「あはは;」

 

それにミューチェや翼は呆気に取られ、響は頭を掻く。

 

 

しばらくして自衛隊が来て、事後処理が行われた。

 

それを見ていた響と未来は助けた女の子が無事母親と再会する所を見て笑い合う。

 

???「はい、暖かい物どうぞ」

 

そんな2人に女性が飲み物を差し出す。

 

響「あ、ありがとうございます」

 

未来「いただきます」

 

ミューチェ「……さて二人とも、これから覚悟した方が良いわよ」

 

受け取って飲んで一息を付く2人にミューチェがそう言う。

 

言われた事にえ?と思っていると2人の体は輝き…

 

パキン!

 

元の姿に戻る。

 

響「あれ?」

 

未来「変身が…解けた」

 

驚いた2人はよろけかけるが後ろから翼に支えられる。

 

響「あ、ありがとうございま……って翼さん!?」

 

未来「あ、途中からのありがとうございます!」

 

頭を下げて礼を言う未来とそれに気づいて同じ様にするに翼はえ、ええと少し戸惑う感じで返す。

 

その後に女の子とその母親に職員と思われる先ほど響達に飲み物を渡したのとは別の女性がタブレットを持って説明を開始してるのを見て、長引きそうだなと思った響は申し訳なさそうに翼に顔を向ける。

 

響「あのー、私達もこれで失礼……」

 

未来「あ」

 

ミューチェ「気づいたようね未来」

 

言おうとした響だが周りを見た未来とミューチェの言葉に同じ様に周りを見て…絶句する。

 

なんと、何時の間にか3人は黒服の集団に囲まれていた。

 

翼「貴女達をこのまま帰すわけにはいきません。特異災害対策起動部二課に同行してもらいます」

 

響「え、なんで!?」

 

ミューチェ「だから言ったでしょ、覚悟しなさいって」

 

翼の口から出て来た言葉に驚く響の後のミューチェのに未来は納得とどことなく諦めた顔で身に染みた。

 

ガシャン!

 

???「すみませんね。貴女達の身柄を拘束させていただきます。」

 

何時の間にか響と未来の両腕に大きな手錠が付けられて、2人の隣に男性が何時の間にか立ってて謝りながらそう言う。

 

響「え!?」

 

未来「いつの間に!?」

 

ミューチェ「 二人ともー、行った先で口滑らせないように気を付けなさい。もし滑ったら……終わるから」

 

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?と絶叫している間に2人は車に乗せられて連行されるのであった。




響「次回!『おいでませ特異災害対策機動部二課へ』だよ!」


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第五話~おいでませ特異災害対策機動部二課へ~

音楽の始祖の少女たちは連れて行かれた先で影でノイズと戦う組織を知る。


前回、翼たちにより連行された響達。

 

連れて行かれた場所はなんとリディアンであった。

 

未来「あれ?此処ってリディアン?」

 

響「なんで学院に?」

 

戸惑う2人に付いて来て下さいと響達に声をかけた男性がそう言い、2人は歩く。

 

無言の翼に2人は困った顔をする。

 

しばらくすると中央棟まで歩き、とあるエレベーターに乗った後に男性は小型の端末を取り出してエレベーターの中にあった端末に翳す。

 

ガシャリ…

 

するとエレベーターのドアが閉じた後に、手すりのような物が展開され、上部分に【HANG ON】の文字があった。

 

男性「さ、危ないから捕まっていてください」

 

響「へ、危ないって…」

 

未来「何が…」

 

そう教える男性に響と未来は言われた通り握った後…

 

ギュン!

 

勢いよくエレベーターが降下した。

 

響&未来「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

それに思わず2人は悲鳴をあげるが普通に降りるからと思っていたミューチェは天井に磔な感じでGを受けていた。

 

幽霊だが物体をすり抜けれる時とすり抜けない時と言う感じにしてるのだが今回は後者にしていたので…

 

ミューチェ「(潰れる潰れる潰れるぅぅぅぅぅぅぅ!!)」

 

死なないけど潰れそうな衝撃を受けるミューチェは掴まれば良かった!と後悔してる中で風景が変わる。

 

まるでどこかの遺跡の様な風景に響と未来はうわぁ…と声を漏らす。

 

翼「こっちよ」

 

着いた直後に翼はそう言って歩く中で2人に言う。

 

翼「ここから先には微笑みは必要ない」

 

響「(滑らないようにできるかな…)」

 

未来「(なんか響は別の事を考えてそうだけど、この先は怖い人がいるのかな…)」

 

聞きながら2人は入り…

 

パァンパァン!

 

???「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!」

 

そこは何かのパーティー会場の様に飾られてて沢山の人が拍手をしており、一番偉いと思われる男性はハットを被り、そう言って思い切り笑っていた。

 

何気に上に【熱烈歓迎!立花響さまと小日向未来さま☆】と書かれた可愛らしい幕が貼ってある

 

ミューチェ「(えっと…なにこれ?)」

 

それには思わず響と未来と共にミューチェは呆気に取られ、翼は呆れた様に頭を押さえ、男性は苦笑する。

 

「さあさあ、笑って笑って!お近づきの印にツーショット写真♪」

 

すると眼鏡をかけた女性が前に出て響を抱き寄せると自身のスマホで写真を撮ろうとする。

 

響「え、あ、あの…」

 

未来「響断って!手錠をしたままの写真なんて悲しい思い出にしかならないから!」

 

ミューチェ「(ん?)」

 

戸惑う響に未来が引っ張ってそう言う中でミューチェは響に近づいた眼鏡の女性に違和感を覚える。

 

何やら隠してる感じを始祖の勘で感じていた。

 

ミューチェ「(なーんか怪しいわねこの人…)」

 

未来「なんで、初めて会う私達の名前を知っているんですか?」

 

響「あ、そう言えば!?」

 

ミューチェが警戒する中で未来がそう聞き、響も言われて気づく。

 

これよこれと眼鏡の女性が見せたのは…響と未来のカバンであった。

 

そう言えば少女を助ける時に投げ捨てたのを思い出して響と未来はあっ!?となる。

 

響「私達のカバン!」

 

未来「もしかして中身見たんですか?!」

 

シルクハット男性「我々2課の前身は大戦時に設立された特務機関なのでね、調査等お手のものなのさ♪」

 

ミューチェ「(いや、お手の者って2人のを調べたらそりゃあ分かるけど、国家の組織としてどうよ;)」

 

声をあげる2人にシルクハットをかぶり直し杖で手品をしながら言う男性にミューチェはツッコミを入れる。

 

翼「はぁ…緒川さん、お願いします」

 

男性「はい」

 

そんな面々に翼はなんとも言えない顔で隣にいた男性に言い、緒川と呼ばれた男性も苦笑しながら答える。

 

 

やっと手錠を外して貰い安堵する2人に災難だったなと聞き覚えのある声に顔を向ける。

 

向けた先には車いすに乗った奏がよっと手を上げていた。

 

響「か、奏さん?!」

 

未来「あ、お久しぶりです!」

 

奏「ああ、2年ぶりだな」

 

慌てて頭を下げる2人に奏はそう言う。

 

翼「奏、二人を知っているのか?」

 

奏「ほら、コンサートのであたしが助けた子と一緒にいた子だよ。覚えてないか?」

 

聞く翼に奏はそう答えてから聞き返すとそう言えば…と翼も思い出して納得する。

 

響「あの、二年前はありがとうございました!」

 

未来「奏さんのお蔭で響は助かりました」

 

奏「はは、助けるのは当たり前だからな(それに助けられたのはこっちだしな…)」

 

頭を再度下げる2人に奏はそう言って内心そう呟く。

 

シルクハット男性→弦十郎「よし、改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」

 

眼鏡女性→了子「そして、私はデキる女と評判の櫻井了子。よろしくね」

 

奏のが終わったのを見計らって先ほどのシルクハットの男性と眼鏡の女性が自己紹介する。

 

それにこちらこそと2人は頭を下げる中でミューチェは了子を観察する様に見る。

 

ミューチェ「(ん~なーんか感じるのよねぇ…古い力みたいなのが)」

 

自分達と違うが何やら不思議な感じのを了子から感じ取ったミューチェだがまだ確信が持てないので響と未来にはまだ内緒の方が良いだろうと考える。

 

了子「ところで…2人ともシンフォギアを纏ったのに興味があるのよね…」

 

響「シンフォギアって…」

 

未来「さっきのあれですか?」

 

出て来た言葉に2人は自分達が纏っていたのを思い出して言う。

 

翼「そうだ。あれがシンフォギアだ」

 

ミューチェ「(へー、シンフォギアって言うのねあれ)」

 

名前は分かったがどうして2人がシンフォギアを纏えたかを疑問に思ったがすぐさま思い出す。

 

2人のどこが光り、シンフォギアとなったのかを…

 

ミューチェ「(なるほどね。聖遺物がシンフォギアになるのに必要なアイテムだったのね)」

 

了子「貴女達の質問に答えるためにも、2つばかりお願いがあるの。最初の一つは今日の事は誰にも内緒。そしてもう一つは・・・」

 

納得してる間に了子がそう言って左手を響の腰に右手を未来の腰に伸ばして二人を自分に引き寄せると…

 

了子「とりあえず脱いでもらおうかしら?二人とも」

 

色っぽい流し目でとんでもない事を言った。

 

未来「……ふぁ!?」

 

響「ええええ!?」

 

奏「いや、了子さん、身体検査って言えよ;」

 

ミューチェ「(ああ、身体検査ね…。ちょっとバレないか心配だけど大丈夫よね?)」

 

告げられた事に驚く2人の後に奏が了子の頭を軽くチョップ入れてから訂正し、ミューチェは安堵してから不安になる。

 

心配してる事は2人が始祖だと言うのがバレないかである。

 

雰囲気的に弦十郎や奏は大丈夫そうだが、了子が力の事もあって心配である。

 

ミューチェ「(それに国の組織に始祖ってことがバレると色々と面倒なのよね…)」

 

んーーーーーと唸るが始祖を知られてはならないので話せないのもあって身体検査を断る理由が全然ないので下手に断ろうとしたら逆に疑いを持たれてしまう。

 

最悪このまま拘束されたままになりかねないのもあって受けるしか道がない。

 

ミューチェ「(それに検査するのは身体の中にある聖遺物を見つけるためだからそれぐらいなら大丈夫だと思うし…流石に力も探知なんて出来ないわよね…)」

 

そう考えている間にしばらくしたら帰って良いと言う事で少しお食事した後に響と未来にミューチェは自分達の部屋に戻った。

 

 

響「つ、疲れた~」

 

未来「ホントだね」

 

ミューチェ「大変な一日だったわね今日は…」

 

帰って早々にぐでーとなり、ベッドに寝転がる響に未来は同意し、ミューチェもふわふわしながらそういう。

 

響「それにしても翼さん、なんか私を睨んでいた気がしたんだけど…」

 

未来「そう言えば…」

 

話してる最中もそうだったが翼はどことなく、敵意とも言える視線に何かやったかなと響は心配してるとコンコンとドアがノックされる。

 

誰だろうと未来がはーいと出て…驚く。

 

奏「よ、さっきぶり」

 

響&未来「か、奏さん!?」

 

奏「なんでいるかは、私は今はここの寮の管理人をしてるからだよ」

 

少し分かり難い様に変装と名前を変えてなと奏は入れてる理由を答える。

 

響「ええ!?」

 

未来「奏さんが?!」

 

知らなかったと驚く2人に奏はしてやったりと悪戯が成功した子供の顔をした後に真面目な顔をする。

 

奏「んで此処に来た理由だけど…ありがとうな2年前助けてくれて」

 

そう言って頭を下げる奏に響と未来は慌てる。

 

響「え、えっと…奏さん。私達が奏さんを助けたって……あ」

 

未来「…ごめん響、実は…」

 

頭を下げられた理由が分からない響だったが自身が意識が朦朧としていた時を思い出し、未来もその時のを話す。

 

そうだったんだ…と響が驚いている間に奏は言う。

 

奏「あの時、なんで絶唱のを抑えられたかなんてのは聞かない。お前等に頼みたい事があるんだ」

 

未来「頼みたいこと?」

 

響「なんですか?」

 

首を傾げる2人に奏は頼みたい事を言う。

 

奏「これからを考えて協力して行く事になるから…翼と一緒に戦ってくれ」

 

響「翼さんと一緒に…」

 

未来「戦って欲しいですか…?」

 

ミューチェ「(あれ、出来るかしら…)」

 

顔を見合わせて困惑2人と翼の様子を思い出しながらミューチェは唸る。

 

奏「いきなり言われて戸惑うのは仕方ないかもしれない。翼の奴、あたしが戦えなくなってから頑張ろうとしてるんだけど必死になり過ぎてこのままだとあいつもあたしと同じ事になりそうな気がするんだ。だからあいつの負担を和らげる為にも頼めないか?」

 

未来「それなら…」

 

響「あのー、私翼さんに睨まれているんですけど大丈夫でしょうか?;」

 

そう言われて奏はあーと申し訳なさそうに頭を掻く。

 

奏「わりぃ、あいつにとってガングニールはあたしのだったのもあるからそれで響を睨んじまってるかもしれねえ」

 

ミューチェ「(あーなるほど。そりゃ相棒でもある彼女のシンフォギア使っていたら睨みたくもなるわね)」

 

響「それで翼さん。私を睨んでいたんですか;」

 

睨んでいた理由を推測する奏にミューチェと響も納得する中で未来はそんな理由で響が睨まれていたのにちょっと気分悪いのかむぅとしていた。

 

奏「んじゃあそろそろお暇させて貰うよ。んで、明日検査結果ので呼ばれるだろうし、予定を空けといてくれ」

 

響「あ、はい!」

 

未来「おやすみなさい、奏さん」

 

奏「もう1つ理由があった。2人当てに手紙が来てたんだ。中身は見てねえから安心しな」

 

名前に見覚えあるか?と聞かれて未来は裏を見る。

 

そこにはシオニー・レジスと言う名前が書かれていた。

 

未来「あ、シオニーさんからだ」

 

響「え、シオニーさん?」

 

首をかしげてる間に中身を出すと1通の紙と共にUSBメモリーと思われるのが出て来る。

 

響「USBメモリ?」

 

未来「それに手紙…あ、これANさんからの手紙だ」

 

ミューチェ「ダイレクトフィードバックシステムの事とか色々書いてあるわね」

 

中身がANからのメールだったのにミューチェは内容を読む。

 

要約するとシンフォギアの起動を確認したのでどうしてそうなったかのを聞かれた際に同封したそれができるほどの者にしかわからないデータが入ったメモリを渡して欲しいとの事、後はどうして未来が上手く戦えてたかについて神獣鏡のダイレクトフィードバックシステムを安心に使える様に改良して未来に適したバトルパターンをインストールしていたからのと悪用されない様にロック済みだと言う事であった。

 

未来「あのシステム、元々のは少し危険だったんだ」

 

自身のに秘められていたのに驚きながら言う未来にミューチェは遠くにいるANにグッジョブとサムズアップする。

 

未来「ありがとうございます。ANさん…」

 

響「それにしても聖遺物分解できるって凄い能力だね」

 

礼を述べる未来の後に響が自分が分かった神獣鏡の特徴のを言う。

 

ミューチェ「確かにもしシンフォギア使いが相手なら圧倒的に有利ね」

 

未来「けど、流石に味方に当てない様にしないとだめねこれは」

 

そう言うミューチェのに未来は困った顔をする。

 

響「あーそっか」

 

ミューチェ「まぁ、そこらへんは追々気を付ければ良いのよ」

 

未来「はい」

 

確かに当たったらダメだねと同意する響の後のミューチェのに未来は頷いた後に響がふわーと欠伸をする。

 

ミューチェ「そろそろ寝ましょうか」

 

響&未来「はぁ~い」

 

言われて2人は体を洗って軽くシャワーを浴びた後にパジャマに着替えて一緒のベッドに入って寝る。

 

未来「明日から一緒に頑張ろう響」

 

響「うん。頑張ろうね未来」

 

言葉を交わした後に2人は目を瞑り、眠りに入る。

 

ミューチェ「(寝たみたいね。今日はホント濃い日だったわね…)」

 

そんな2人を見てミューチェはふうと息を吐いた後に自分も寝ようと体の横たえる様に向きを変えて眠り始める。

 

ひとまずは1日を乗り越えた響と未来。

 

だが、その翌日もまた、面倒な事になる事をその時は知らなかった。




未来「次回は『模擬戦、剣との闘い』になります…サスガニソレハユルシマセンヨ」

響「未来~怖いよ~;」


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第六話~模擬戦、剣との闘い~

防人は始祖の少女の怒りに触れる。


翼「立花響、模擬戦を申し込む」

 

突然言われた事に響は思った。

 

どうしてこうなった…と…

 

 

時間は放課後のに戻る。

 

創世達がふらわーと言う店に寄らないかと誘われたが用事があると言う事で断り、彼女達が帰った後にファナが話しかけて来た。

 

ファナ「響さーん!未来さーん!」

 

未来「あ、ファナちゃん」

 

響「昨日ぶり~」

 

どうもっすと話しかけた後にファナは周りを見て誰もいない事を確認して小声で言う。

 

ファナ「あのちょっと何処かで話しませんか?昨日の事でちょっと」

 

M響「昨日の事って…ああ、そう言えば貴女だいたいの事知ってるのよね」

 

そう持ちかけるファナにミューチェが響に憑依してそう返すとええ、まぁ…と困った顔をする。

 

未来「それじゃあ近くのカフェに行こうか、今日は呼ばれるって奏さんから言われてるからあんまり離れてない方が良いから」

 

ファナ「はいっす!」

 

頷いた後にリディアン学園から凄く近いカフェに移動して、情報を交換した。

 

ファナ「いやー昨日はお疲れ様っす」

 

響「ホント大変だったよーあーそう言えば翼さんのCD…」

 

そう労うファナに響はそう返した後に遭遇する前の用事を思い出して落ち込むのに未来はあははと苦笑する。

 

未来「それにしても知ってるなら教えてくれれば良かったのに…」

 

ファナ「教える前に行っちゃいましたからっすから…」

 

面目ないっすと言うファナのに未来はそれは仕方ないか…と納得する。

 

響「それにしてもまさか翼さんたちと一緒に戦えるようになるなんてねー」

 

ファナ「あーまあ響さんはこれから頑張らないといけないっすね」

 

未来「へ?なんで響だけ?」

 

感慨深く言う響に対して言ったファナから出て来た言葉に未来は疑問を感じて聞く。

 

ファナ「え、だってギア纏えるの響さんだけじゃ…」

 

未来「私も纏えるよ?」

 

ファナ「………へ?」

 

自身を指さして言った未来のにファナは口を開けて唖然とする。

 

そして理解して…

 

ファナ「一体どういうことっすかミューチェさぁああああああああん!!」

 

M響「こらこら、大きい声を出さない。後は私の名前も出さない。ビックリするでしょうが;」

 

絶叫して問うファナにミューチェは響に憑依して宥めた後に事情を説明する。

 

始祖説明中

 

ファナ「神獣鏡が未来さんの身体の中に…」

 

M響「ええ、響とバランスをとるために仕方なくね。まあ本人たちは同意してるけどね…」

 

ファナ「(むぅ、これはヤバいっすね…。このままだとフロンティアのでは二人とも…)」

 

ううむと唸るファナに2人は顔を見合わせ…

 

未来「ねえ、ファナさん。あなた何か知ってるの?」

 

ファナ「っす!?」

 

いきなり聞かれたのでファナはブッとも言える程噴いた後に目を泳がす。

 

ファナ「な、なんのことっすか。ファナには分からない……」

 

未来「お・し・え・て・ね?」

 

ゴゴゴゴゴゴとハイライトの無い目で迫る未来にファナはこくこくこくと頷くしかなかった。

 

少女説明中

 

M響「聖遺物が身体を浸食するね…」

 

未来「シンフォギアを纏えるのはそれのせいでもあるのね…」

 

説明された事に成程と2人は納得する。

 

ちなみに響は頭がパンクしかけていた。

 

ファナ「まあ今はまだ大丈夫っすけど後々になるとヤバいっす。原作では響さんかなりヤバかったっす」

 

ホントにな…と言いながらファナは前世の時に見ていたのを思い出しながら神妙な顔をする。

 

未来「治す方法はあるの?」

 

ファナ「はい、あるっす。それは神獣鏡の光っす」

 

確認する未来のに答えたファナのにM響はANに教えて貰った奴のを思い出して言う。

 

M響「なるほどね。神獣鏡の聖遺物分解能力で体内の聖遺物を分解すれば良いわけね」

 

未来「それじゃあもしヤバくなったらそうすれば良いの?」

 

ファナ「はいっす。原作ではそうして響さん救われたっす」

 

そう言うファナのに未来はホッとしているとファナがそれと…と続ける。

 

ファナ「もしよろしかったら自分がお二人のサポートをしたいんですが良いっすかね?」

 

未来「私達の…」

 

M響「サポート?」

 

そうっす!と力強く頷いた後にファナは理由を言う。

 

ファナ「自分、ギアは使えないっすけど、日常的なので2人をサポートする事が出来るとおもうんっす!ギアを纏うことだけが戦うことじゃないと思うからっす!」

 

M響「ファナ……それだけ2人を思っているのね」

 

未来「ありがとうファナさん…」

 

笑顔で言うファナに2人はジーンと感動してると…

 

翼「ここにいたか立花、小日向…ん?あなたは…」

 

そこに翼が来て、2人を見た後にファナを見る。

 

ファナ「あ、風鳴先輩!」

 

未来「あ、この子は私達の同級生の子です」

 

慌てて頭を下げるファナに未来がそう簡単に伝える。

 

翼「そうか。二人を借りるぞ」

 

響「あ、用事のですね」

 

そうだと翼は頷く。

 

ファナ「あ、どうぞっす。お二人ともそれではこれで失礼するっす」

 

そう言ってファナは一礼した後にここの分は自分が払うっす!と2人が言う前に未来と響の分を含めて払っていく。

 

翼「それじゃあ本部に行くぞ」

 

響「は、はい!」

 

未来「またあれに乗るのかな;」

 

そう言って先を歩く翼に響と未来も続く。

 

なお、また乗る際に手錠を付けられてなんでぇぇ!!と叫んだのはご愛敬である。

 

了子「それでは~先日のメディカルチェックの結果発表よ~♪」

 

二課に着いて手錠を外して貰った後に了子がそう言って2人のメディカルチェックで分かったのを画面で見せる。

 

了子曰く、異常はほぼ無しとの事でミューチェは安堵する。

 

ミューチェ「異常がなくて良かったわ…」

 

了子「た~だ~あなた達が聞きたいのはこんなことじゃないわよね?」

 

分かる?と了子は2人を見る。

 

その言葉に2人は頷く。

 

響「あ、あの。どうして私達がギアを纏えるんですか?」

 

未来「私達、歌が頭の中に受かんでそれを歌ったらああなって…」

 

それに弦十郎と翼がアイコンタクトをとり、翼は服の中に入れていた首にかかっているペンダントを取り出す

 

弦十郎「天羽々斬(あめのはばきり)、翼が持つ第1号聖遺物だ」

 

そう言った弦十郎の後に了子が聖遺物について説明した後にそ・れ・で…と未来に顔を近づける。

 

了子「響ちゃんは一応ギアを纏える理由は判明してるんだけど…あなたは分からないのよね…しかも聖遺物も翼ちゃんの話だけじゃあ具体的なのも分からないから知ってるから教えてくれるとお姉さんは嬉しいな~」

 

未来「え、ええと確か名前は神獣鏡と…」

 

奏「神獣鏡だとぉ!?」

 

聞いた了子に引きながら答えた未来のに一緒にいた奏は驚いた様子で叫ぶ。

 

それは弦十郎達も同じでそれぞれ驚いていた。

 

戸惑う未来に奏は車いすを動かして未来に近寄る。

 

奏「何故だ!何で神獣鏡がお前の手にあるんだ!教えろ小日向!」

 

了子「ちょっと落ち着いて奏ちゃん。けど、私も気になるのよね…そこんとこ詳しく」

 

未来「え、あその…」

 

必死な奏と押しとどめつつ真剣な顔で聞く了子に未来は戸惑う。

 

どうして2人があんな必死なのかを響は弦十郎を見て、弦十郎は知る必要があると判断したのか口を開く。

 

弦十郎「神獣鏡は奏君のご両親が発掘した聖遺物なのだが…ノイズにより奏くんの家族は亡くなり、その際に発掘された神獣鏡も行方が分からなくなってしまったのだ」

 

ミューチェ「(え、そうなの!?)」

 

告げられた事にミューチェはええ!?と驚く。

 

響「えっとそれって何年前の事ですか…?」

 

恐る恐る聞く響に弦十郎は覚えてるのか5年前だと答える。

 

ミューチェ「(それってちょうど私が神獣鏡拾ったのと同じじゃない!?)」

 

マジで!?と驚いた後にミューチェは必死に拾った時の状況を振り返る。

 

ミューチェ「(そう言えばなーんか騒がしかったなーと思ったけど気にしないで洞窟っぽい所に入ってなんか置かれてたのを持っていったんだっけ…)」

 

その後にミューチェは出した時のANの反応からあいつ知ってたわね…と教えなさいよと思わず八つ当たりする。

 

ちなみにANが話せなかったのは響達もいたからなのだが、ANはいないのと念話するのを忘れていたのでミューチェは知らない。

 

未来はそ、そう言えばと昨日の手紙にあったメモリーを了子に差し出す。

 

未来「あ、あのこれ。私に神獣鏡埋め込んだ人が了子さんに見せるようにって」

 

了子「私に?」

 

もしかしてあの手紙に付いてたのか?と聞く奏に未来が頷いている間に了子はメモリーを差し込んで内容を見てこれは驚いたと呟く。

 

了子「確かにこのデータを作れる奴ならあなたに埋め込む事自体可能ね…何者なのその人?」

 

未来「えっと、闇医者との事です」

 

ミューチェ「(そうとしか言えないわよねぇ)」

 

本人もそう言えと言ってたのでそう答える未来にミューチェもうんうんと頷く。

 

奏自身、なんとも複雑な顔で未来を見ていて、響はどうしようか…と思っていると…

 

翼「立花響、模擬戦を申し込む」

 

突如、翼が響を指さしてそう言った。

 

 

そして現在に戻る。

 

奏「お、おい翼…」

 

ミューチェ「(まさかいきなり戦いを申し込んでくるなんてね…)」

 

それに奏が止めようとするが翼は響をみつえたまま言う。

 

翼「貴方が奏のガングニールを使うに相応しいか、見定めさせてもらう。そうでなければ私は貴方と一緒には戦わない」

 

響「え、ええええ!?」

 

未来「そんな…」

 

断言する翼のに響と未来は驚く中で弦十郎は考える。

 

このまま模擬戦を許可しなければ翼は言った通り、1人ででも戦うだろう。

 

奏が戦えない今、今の翼を1人で戦わせるのは得策ではないと判断し…

 

弦十郎「……分かった。後腐れがない方が納得出来るなら許可しよう。ただし、シンフォギアでの戦いと言う意味では翼の方が一日の長があるから、響くんと未来くんの2人一緒にと言うのが条件だ。2人とも勝手に決めたがそれで良いだろうか?」

 

響「あ、はい!」

 

未来「わ、分かりました」

 

ミューチェ「(確かに状況を考えるなら彼の考えは正しいわね…)」

 

確認する弦十郎に2人は慌てて頷く中でミューチェはそう考える。

 

ミューチェ「(さてどうなるのかしらねこの模擬戦)」

 

何事もなければ良いけど…とミューチェは祈る。

 

 

案内されたトレーニングルームでシンフォギアを纏った翼、響、未来は対峙する。

 

翼「行くぞ。2人とも」

 

響「よ、よろしくお願いします!」

 

未来「が、頑張ります!」

 

その言葉と共に翼は先手必勝と駆け出して剣を振り下ろす。

 

ガキン!

 

翼「なっ!?」

 

起きた光景に翼は目を見開く。

 

それは弦十郎達も同じで弦十郎が代表で叫ぶ。

 

弦十郎「しゅ、手刀で剣を受け止めただと!?」

 

ミューチェ「(え?これぐらいで驚くの?)」

 

驚いている面々にミューチェは驚く。

 

まぁ、それは仕方がないだろう。

 

弦十郎達からすれば響は一般人であった少女だ。

 

そんな少女が戦いの経験的な意味で上の翼の剣を素手の、しかも手刀で受け止めるなど予想出来ただろうか

 

ミューチェはそう言う事を平然と出来る者達を知っているからそこまで驚きではない。

 

響「はっ!」

 

勢いの声と共に響は翼を押し返すと翼はすぐさま我に返ると剣を振るい、響は手刀で応戦する。

 

そのぶつかり合いで観戦していた了子と男性職員、藤尭朔也と響達に飲み物を渡していた女性職員、友里あおいは凄いと言うだけしか出なかったが武術に長けてる弦十郎は響に実力を改めて認識した。

 

弦十郎「(あの動き、荒々しい事から見て武術は齧ってはいないがそれを補う運動力と咄嗟の機転…実力的に言うならば翼より上かもしれない…!)」

 

なぜあれだけの動きが出来るのかについて弦十郎は緒川と藤尭が調べて知った事を思い出し、それで密かにトレーニングしていたのだろうかと考える。

 

真剣な顔で観察する弦十郎にミューチェは感嘆する。

 

ミューチェ「(へー、なかなか良い観察眼の持ち主だこと。司令としての実力もあるみたいね)」

 

翼「認めない…」

 

感心してると何度か打ち合った後に距離を取った翼が肩を上下させながらそう呟き…叫んだ。

 

翼「貴様の様な温かい家庭に育った者が奏の槍を握るな!!」

 

未来「!」

 

弦十郎「!?いかん翼!」

 

ミューチェ「(あ、死んだわねあの子)」

 

それに弦十郎は叫び、ミューチェがそう思った直後…翼は吹き飛んだ。

 

翼「グッ…何が…」

 

未来「いい加減にしてくださいよ翼さん?」

 

ゾクッ!と翼の体に悪寒が走る。

 

見あげると未来がおり、その目はハイライトがなく、殺意とも言える怒気を放っていた。

 

未来「それじゃあ翼さん、貴女は知ってますか?死がどんなに恐ろしいものなのかを。知らないのなら……私が教えてアゲマスヨ」

 

刹那、翼は横に転がる様に避ける事で未来のアームドギアの振り下ろしを避けた。

 

避けたと思った後に翼は体に衝撃が走る。

 

翼「ぐふ!?」

 

未来「あれ?どうしたんですか?まさかこの程度じゃないですよね?」

 

何が起きたか翼には分からないがすぐさま扇子のを受け止めた後にお腹に再び衝撃が来る。

 

翼「かはっ!?」

 

未来「ほら、どうしたんですか?見せてくれるのでしょう?」

 

押されて行く翼に藤尭と友里は驚く中で弦十郎だけは焦りながらも観察していた。

 

弦十郎「(翼が仰け反る攻撃は恐らく気か衝撃をそのままぶつけてるのかもしれない。それにより目に見えない攻撃となって翼に当てていると言う事か…)」

 

そう推測する弦十郎だが音が見えるミューチェには未来が翼を何で攻撃しているかに気づいている。

 

ミューチェ「(あの子、何普通に能力使ってるのよ;)」

 

翼を攻撃している不可視のは不可視でも気とかではなく音で、それだけ未来は怒っていると言う事だ。

 

響は止めようかオロオロしてる間に未来は翼を遠くに吹き飛ばした後に扇子を展開する。

 

ミューチェ「(あ、これって閃光?)」

 

未来「これで〆です」

 

閃光

 

その言葉と共に放たれた閃光が翼に当たろうとした時、翼の前に何時の間にか手に傘を持った弦十郎が割り込み…

 

弦十郎「はっ!!」

 

翳して開いた傘を高速回転させて閃光を防いだ。

 

響「えええ!?」

 

ミューチェ「(防いだぁ!?)」

 

まさかの芸当に響とミューチェは驚愕する。

 

それに未来自身も驚く中で閃光が収まり、骨だけとなった傘を止めて弦十郎は困った顔をする。

 

弦十郎「困ったな。お気に入りの傘だったのだが…また新しいのを買わないとな…」

 

ミューチェ「(あの人…一体何者!?)」

 

えぇぇぇぇぇぇ…と尋常でもない実力にミューチェが驚く中で弦十郎は口を開く。

 

弦十郎「とにかく、これで模擬戦は終了。君達の実力も分かった。なあ翼?」

 

翼「………分かりました」

 

響「あ、ありがとうございました!」

 

未来「ふう…」

 

顔を伏せて先に出て行く翼に響は心配そうにしてるが俺に任せてくれと弦十郎がそう言った後に頭を下げる。

 

弦十郎「すまない。響君、未来君。こちらの落ち度だ」

 

響「いえいえ、別に気にしてませんから!」

 

未来「私こそ、つい…」

 

そう言う響と未来にいや…と弦十郎は顔を横に振る。

 

弦十郎「本当に俺達が悪い。翼のモチベーションを落とすと思い、()()()()()()()()を話さなかった…それがさっきの結果だ」

 

ミューチェ「(あー、あれ聞いてなかったのね)」

 

弦十郎の言うのにミューチェや響達は納得する。

 

奏「旦那。どういう事だ?」

 

ビービー!!

 

同じ様に話を聞いてなかったのかそう聞く奏のにそれは…と弦十郎が言いかけた時、突如サイレンが鳴り響く。

 

慌てて走る藤尭や友里に響達も続く。

 

指令室と思われるのに着いた後に席に着席した藤尭はすぐさま操作する。

 

藤尭「ノイズ出現を確認!」

 

弦十郎「本件を我々二課が預かる事を一課に通達!」

 

友里「出現位置を特定!座標出ます!」

 

報告した後にノイズ出現位置が基地からそう遠くない事が知らされる。

 

翼「迎え撃ち「いや、翼は待機!まださっきのが残っているだろう!」っ、ですが!」

 

弦十郎「響君。未来君。君達の力を早速貸してくれないか?」

 

出ようとした翼を弦十郎が止めた後に響と未来にそう頼み込む。

 

響「わかりました!」

 

未来「行って来ます!」

 

頷いて2人は駆け出す。

 

なぜ?と見る翼に弦十郎は言う。

 

弦十郎「翼、お前は響くんを温かい家庭に育った者と言ったな?」

 

翼「はい、そうです。立花はコンサートのを抜きにしても、友人と一緒に笑っているのを見たらそう言えます」

 

答えた翼のにそうだな…と弦十郎は頷いたがだが…と続ける。

 

弦十郎「確かに、コンサートのを抜きにしたらお前にはそう見えるだろう…()()()()()()()()()()()…」

 

翼「あの出来事?」

 

奏「なんだいそりゃ?」

 

首を傾げる2人に弦十郎は藤尭と呼びかけ…呼ばれた本人も戸惑いながらある記事を出す。

 

弦十郎「3年前、つまりお前達のコンサートより1年前、とある2人の少女が誘拐にされると言う事件が発生した。犯人は不明、要求もなかった事から生存は絶望的かと思われたが4日後に少女2人は帰って来た。話を聞いた所、()()()()()()()をとある女性に助けられてギリギリだったそうだ」

 

翼「なっ!?」

 

奏「殺されかけただって…!?」

 

出て来た言葉に2人は驚いた後にまさか…と弦十郎を見る。

 

弦十郎「2人とももう勘づいてるだろう…その誘拐された2人の少女と言うのが響くんと未来くんだ…翼、なぜあの2人がそんな目にあったのに笑顔でいられてるのは2人を大切に思う家族が支えていたからこそだ…お前が心もとない事を言ったのはもう分かるな?」

 

はい…と顔を伏せる翼から目を放して弦十郎はモニターへと顔を向ける。

 

 

一方で現場に到着した響と未来はその多さにうわぁ…と顔を引きつらせる。

 

響「多いね…」

 

未来「まあ大きいのは居ないみたいだね」

 

ミューチェ「これぐらいならすぐ終わりそうね」

 

あ、それフラグじゃ…とミューチェのに響と未来が思った直後…ノイズ達はその体を崩すと混ざり合う様に1つとなり…巨人型ノイズに変貌した。

 

響&未来「ミューチェさん……」

 

ミューチェ「……ゴメン」

 

恨めしい目で見る2人にミューチェは頭を下げた後に気を取り直して響と未来は歌う。

 

響「~~~♪Gungnir♪~~~♪」

 

未来「~~~♪shen shou jing♪~~~♪」

 

光に包まれた後にシンフォギアを纏ってから巨人型ノイズののしかかりを避ける。

 

響「私は大きいのやるから未来は小さいのお願い!」

 

未来「分かった!気をつけてね響!」

 

うん!とかわした後に未来は合体しなかったノイズ達を光線を薙ぎ払って倒していく。

 

さらになるべく道路を傷つけない様に飛んでる飛行機がない事を確認してから光線を上に逸らしている。

 

響「そこっ!」

 

巨人型ノイズのをのしかかりを避けてからその横っ腹に叩き込んだ後に飛び上がる。

 

響「セイヤー!」

 

音で勢いを付けて急速に加速した後に飛び蹴りを叩き込み、巨人型ノイズを貫いて着地する。

 

響「倒したよ未来!」

 

未来「こっちも終わったわ響」

 

ハイタッチする2人に弦十郎はふっと笑う。

 

そしてチラリと翼を見る。

 

考え込んでいる翼にこれは時間が必要だなと弦十郎はふうと息を吐く。




響「次回!『果たされぬ約束と現れる少女』…見たかったな…」


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第七話~果たされぬ約束と現れる少女~

約束の日、二人の少女は白き鎧を纏った少女と出会う


前回から響と未来は翼と共にノイズが出現する度に出撃した。

 

一応、連携は取れてはいるが終わると翼はすぐさま戻ってしまったり、響達が話しかけようとするとそそくさと逃げる様に去ってしまったりするので弦十郎達はなんとも言えない顔をしており、相棒である奏も追試免除のレポートや課題をやっていた響とそれを見ていた未来の所に来てマジすまねぇと謝っていた。

 

奏「悪いな翼の奴の事で…」

 

響「いえいえ、仕方ありませんよ!翼さん知らなかったんだし」

 

未来「私自身、怒ったとはいえ翼さんを過剰に攻撃しましたし」

 

ミューチェ「(いやー、あれは怒ったで済ませて良いのかしらね;)」

 

頭を下げる奏に響は手を振り、未来も申し訳ない顔をする中でミューチェは冷や汗を掻く。

 

奏「と言うか響は大変だな…眠くね?」

 

響「眠いんですけどこれ終わらせないと…」

 

未来「やらないと追試が免除になりませんからね。と言うか響はホントに頑張ろうよ」

 

もう寝かけてそうな響に奏はそう聞き、未来は呆れた顔で言う。

 

しばらくして…

 

響「ひ、ひとまず出来る分まで、お、終わった…」

 

未来&奏「お疲れ様」

 

はひぃ…と机に突っ伏す響に2人は労いに言葉をかける。

 

奏「後で本部に行くが、まだ時間があるしゆっくり休みな」

 

響「そうしま~す」

 

未来「それにしても奏さんって響を可愛がってますね」

 

ワシワシと頭を撫でながら言う奏に響はふにゃ~としながら返すと未来が微笑ましそうに言う。

 

奏「んーそうだな…気分悪いかもしれないけど、死に別れた妹と少し被らしちゃってるかもな…」

 

響「へ?妹さんに?」

 

撫でられた状態で顔を向ける響にああ…と思い出して悲しい顔をする。

 

奏「響はあたしのガングニールの欠片で変身出来るから妹みたいな感じと思ったらそう見えちゃってよ…軽蔑するか?」

 

未来「いえ、全然」

 

ミューチェ「(まあ、気持ちは分かるわね)」

 

自嘲する様に聞く奏に未来は首を横に振り、ミューチェもそう呟く。

 

響「あ、そう言えばもうすぐだね流れ星!」

 

未来「ふふ、覚えていて嬉しいわ響」

 

えー酷くないと返しのにそう言う響のに奏では聞く。

 

奏「流れ星って…もう少ししたら見れるのか?」

 

未来「はい、そうなんです」

 

響「一緒に見ようって約束してるんです!」

 

ミューチェ「(無事に見れると良いんだけどね…)」

 

そう聞く奏に未来と響は答えるのを見ながらミューチェは現状のからそうぼやく様に呟く。

 

奏「良いな~もしいけるならあたしも付き合いたいぜ」

 

未来「それなら一緒に見ませんか?」

 

響「あ、良いね!何も無かったら見に行きましょうよ!」

 

良いな!と笑う3人にミューチェは微笑ましく笑う。

 

ミューチェ「(邪魔がないといいわね)」

 

 

しばらくして、奏と共に響と未来は二課へと入った。

 

響「今日こそは翼さんと話できると良いなー」

 

未来「ホントにね」

 

奏「大丈夫だと思うぜ、今日はミーティングだそうだから終わった後に逃げる前に捕まえれば良いしな」

 

そう言う響に押して貰いながら奏がそう言う。

 

管理人なので外出許可など色々と取れるからこういう時は頼りになるだろと笑う奏に響と未来は苦笑した。

 

弦十郎「お、来たか」

 

響「司令、了子さん。お待たせしました」

 

未来「大丈夫でしたか時間?」

 

了子「大丈夫大丈夫~普通に間に合ってるわよ~では、全員揃ったので仲良しミーティングを始めましょう♪」

 

確認する未来に了子は笑ってそう返した後に見渡して言う。

 

響と未来は座っている翼を見るが翼はコーヒーを飲んで2人を見ない。

 

そんな翼に弦十郎と奏は困った顔をする。

 

少しして画面にリディアン周辺の地図が展開される。

 

ただ、所々に赤い点が記されている。

 

弦十郎「これを見てどう思う?」

 

響「えっとこれって……」

 

未来「もしかしてノイズが発生した場所ですか?」

 

自信なさげの響に代わって言った未来のにその通りだと弦十郎は頷く。

 

弦十郎「ここ一ヶ月に渡るノイズの発生地点だ。ノイズについて2人が知っている事は?」

 

響「えっと人に触れると炭化するのと」

 

未来「あと普通の攻撃じゃ倒せないですかね?」

 

他にも大体ニュースや授業で受けた事を話すと弦十郎はほうと感心する。

 

弦十郎「未来くんもそうだが、響くんも意外と詳しいな」

 

響「今纏めてるレポートの題材なんです」

 

未来「それで丁度見直しついでに私も教えましたので」

 

ミューチェ「(そりゃまあ色々教えたからね)」

 

ビシバシと響に教えていた未来の様子を思い出してミューチェは苦笑する。

 

その後に了子と弦十郎がノイズの事を補足説明した後にここからが本題と了子は言う。

 

了子「ノイズの発生率は決して高くないの。この発生件数は誰の目から見ても明らかに異常事態。だとすると、そこに何らかの作為が働いていると考えるべきでしょうね…」

 

響「作為って……」

 

未来「誰かがノイズを操ってるってことですか?」

 

でもなんの為に?と首を傾げる2人だったが黙っていた翼が口を開く。

 

翼「中心点はここ、私立リディアン音楽院高等科、我々の真上です。サクリストD…『デュランダル』を狙って、何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

ミューチェ「(デュランダル…ね)」

 

響「あのー、そのデュランダルってのはなんなんですか?」

 

未来「何か特別なものなんですか?」

 

質問をした響と未来に友里と藤尭が説明する。

 

2人曰く、デュランダルとは二課の基地の奥深くに厳重に保管されている響や未来、翼の持つのとは違い、欠片ではなく完全な形で残っている聖遺物で、シンフォギアシステムのと違い、一度起動するとそれ以降は歌の必要はなく100%の状態で常時発揮し続ける他、奏者以外の一般人でも扱える様になってしまうと言う。

 

そんな事を提唱した了子の名前からを桜井理論と名付けられたそうだ。

 

ただ、その後の了子の説明によるとその起動にはシンフォギアを使う以上にそれ相応のフォニックゲインが必要になるとの事

 

ミューチェ「(あれそれ二人なら普通に起動できるんじゃない?)」

 

それを聞いた瞬間、ミューチェはそう思った。

 

2人とも音楽の始祖として彼らの言う起動に必要なフォニックゲインをあっさり出せそうだと確信するがそれと共に100%常時と言うのに不安も出来る。

 

ミューチェ「(…あれこれもし知らされたら利用される確率高くない?)」

 

その後にすぐさま別の危険性にも気づく。

 

もしも完全な聖遺物を簡単に起動出来るなどと知られたら2人はそのまま監禁されて道具にされかねない。

 

ミューチェ「(これは絶対にバレないようにしないとね…)」

 

そう決めてる間、話は米国のデュランダル引き渡しの要求や度々されているハッキングのになる。

 

こんな状況でめんどくせぇ事をするよなとぼやく奏のに確かにとミューチェは同意する。

 

ミューチェ「(ホント、こういうのは何処の世界も変わらないわね)」

 

緒川「風鳴司令」

 

心底嫌そうにミューチェはふうと息を吐くと何時の間にか入っていたのか緒川がいて、弦十郎に声をかけると弦十郎もそろそろか思い出した様に言う。

 

緒川「今晩はアルバムの打ち合わせが入っています」

 

未来「あ、お仕事のですね」

 

響「それじゃあ、この人は…」

 

翼にそう言った緒川のに未来は察して響は緒川を見る。

 

緒川「表の顔ではアーティスト風鳴翼のマネージャーをしております緒川慎次と言います。前はツヴァイウイングのマネージャーをしておりました」

 

眼鏡をかけながら説明の後に自己紹介してから未来と響に名刺を渡す。

 

響「あ、はい」

 

未来「こうやって名刺を貰うのは初めてだね」

 

ミューチェ「そう言えばこの人、私も気づかないうちに手錠はめてたわね」

 

貰った名刺を見ながら言ってる間に緒川と翼は出て行く。

 

色々と知れたがまた話せなかったと思ってる間に弦十郎は再び座る。

 

しかもノイズ以外の脅威もあると言うのでミューチェは頭が痛いと思った。

 

ミューチェ「(ホントこの世界、色々問題ありすぎよ)」

 

これは色々と前途多難だわ…とミューチェはぼやく。

 

 

時間が進み、翌日のお昼、学園の敷居内で響は必死に残りのレポート作成をし、それを横から創世と弓美がおかずを時折食べさせていた。

 

未来「もう、おバカな事をやってないで、レポートの締め切りは今日の放課後よ」

 

ファナ「響さん、ドリンク持ってきたっす」

 

それに未来が呆れる中でファナがストローを付けたドリンクを差し出してありがとうと響は飲みながらペンを動かす。

 

響「だからこうして限界に挑んでいるんだよ」

 

未来「はぁ…そう言えばファナさんはどんなレポート書いたの?」

 

ファナ「私っすか?私は歴史関係っす」

 

創世「へぇ、ビッキーのより難しい奴を書いたんだね」

 

弓美「確かにファナの口調的にスポ魂特訓関連のだと思った」

 

書きながらそう返した響に未来は呆れる中でファナに聞き、内容のに創世は感心して弓がそう言う。

 

ファナ「先生にも言われたっす」

 

詩織「言われたんですね」

 

弓美「まぁ、アニメじゃないんだし、こんな事して捗る訳ないしね」

 

そう言って弓美は立ち上がり、響はえーとなる。

 

響「ここ、どう書くんだっけ…」

 

うーと唸る響に横からファナが見る。

 

ファナ「ここはこう書くんじゃないっすか?」

 

響「あ、そっか!ありがとうファナちゃん!」

 

弓美「後輩に教えて貰う先輩の図に当てはまるね」

 

創世「確かに」

 

いえいえっす~と笑うファナと響を見て弓美はそう言い、創世は苦笑する。

 

詩織「邪魔するのもどうかと思うので私達はこれから屋上でバトミントンをやりますけど、未来さんはどうします?」

 

未来「私は響のレポート作成を手伝うよ」

 

ファナ「私も手伝うっす!」

 

響「ありがと~二人とも~!」

 

弓美「仲が宜しい事で~んじゃああたし等行くね~」

 

顔を輝かせる響を茶化した後に弓美は創世と詩織と共に歩いて行く。

 

未来「それじゃあ響、早く仕上げよう」

 

響「うん!」

 

頑張るっす!と言う言葉と共に響はレポートを2人の助言を聞きながら仕上げて行く。

 

 

放課後になり、響のレポート提出を待っていた未来とファナは出て来た響に近寄る。

 

未来「提出ちゃんとできた?」

 

ファナ「落ち込んでるけど、なんか言われたっすか?」

 

響「……壮絶に字が汚いって…まるでヒエロなんとかみたいだ…って」

 

そう言われ2人は急いで書いたしね…と冷や汗を掻く。

 

ミューチェ「(ドンマイとしか言いようがないわねこれは…)」

 

未来「それは仕方ないとして、時間過ぎてたけど、受け取って貰えたの?」

 

そう聞かれて響は少し間を開けた後に振り返って笑顔を見せる。

 

響「今回だけは特別だって!いえーい!お疲れさん!」

 

ファナ「良かったっすね!」

 

いえーいとハイタッチしようとして立花にアインツベルン!廊下ではしゃがない!!と職員室のドア越しから担任に怒鳴られる。

 

響「ご、ごめんなさーい!」

 

未来「もう、二人ったら…」

 

ファナ「面目ないっす;」

 

だからカバンを取って来るっす!とファナは駆け出す。

 

響「ホントいい子だよねファナちゃん」

 

未来「そうだね」

 

そんなファナに2人はほっこりしてると…

 

ピリリリリリリリリリリ!!

 

自分達の懐からの着信音に2人はハッとなって制服のポケットを見る。

 

ミューチェ「あら電話かしら?」

 

響「ううん。これは…」

 

未来「本部からの通信…」

 

それに2人は取り出して出る。

 

弦十郎『すまない2人とも、ノイズが出現した。すぐに急行してくれ。翼も別方向で向かう』

 

響「っ、ノイズが…」

 

未来「分かりました。すぐに向かいます」

 

頼んだぞと言う言葉の後に通信が切れた後に響はスマホを取り出して交換していたファナのに繋げる。

 

ファナ『あ、響さん。教室着いてカバンを取ったから今そちらに向かうっす!』

 

響「ゴメンファナちゃん。急な予定が入っちゃったから先に帰ってて」

 

その言葉を聞いてファナは察して了解っすと言ってから…

 

ファナ『あの、二人ともなんかオーラ出てないっすか?』

 

響「え?なんのことかなー?」

 

恐る恐る聞いたファナのにそう返したが、傍にいたミューチェは引いていた。

 

ミューチェ「(お、恐ろしいオーラ出てる!未来だけならともかくなかなか怒らない響もオーラ出してる!)」

 

それだけ今日は2人は楽しみにしていた。

 

一緒に流れ星を見ると言うのを…

 

切るよと言って響は通話を終えた後…2人は駆け出す。

 

目指すは弦十郎から通話が終わる前に伝えられたノイズ出現地点。

 

人影もない中で2人は歌い、シンフォギアを纏う。

 

その際、ミューチェは一瞬、ほんの一瞬で見過ごしそうな瞬間、それを見た。

 

2人のギアが、一瞬だが純白とも言えて、翼がある姿に…

 

ほんの一瞬だったので、すぐさま見覚えのあるギアになっていたが…

 

ミューチェ「(今のって…)」

 

なんだったのかと思っている間に現場である地下鉄の入り口前に辿り着いた後に中からノイズが出て来る。

 

響「……楽しみにしてたのに…」

 

未来「……なんでよりにもよって今日来たの…」

 

そんなノイズ達をみつえ、2人は静かに…そう静かに怒りの炎を燃やす。

 

響「だから今日はとっとと終わらせるから…」

 

未来「覚悟してね(黒笑)」

 

両拳をガツンとぶつけて言う響の隣で黒い笑みを浮かべた未来にミューチェはこわっ!?と顔を青くして体を震わせる。

 

ミューチェ「(ノイズ達……南無)」

 

未来「たあっ!」

 

響「はあああああっ!」

 

ズドォオオオオン!

 

歌を歌いながら響が殴り飛ばし、未来はアームドギアの扇子で殴り飛ばすと衝撃が壁や地面を陥没させる。

 

そのまま2人は向かって来るノイズを、響は肘撃ちや裏拳なども入れて粉砕して行き、未来は光線を使わずにアームドギアを巧みに振るいながらノイズを倒して地下鉄内へと突入する。

 

弦十郎『小型の中に一回り大きな反応が見られる。まもなく翼も到着するから、くれぐれも無茶をするな』

 

響「大丈夫です!すぐ終わらせます!」

 

未来「!響、あのブドウみたいなのがそうじゃい?」

 

通信して来た弦十郎に響がそう返すと未来が改札口の先にいるノイズ達の中でひときわ目立つ紫色で未来の言う通りブドウの様なノイズを指す。

 

響「あれだね!」

 

ダッ!

 

ブドウノイズ「!」

 

すぐさま気づいた響が改札口を飛び越えてブドウノイズへと向かって行く。

 

それにブドウノイズは自身のブドウを切り離して別のノイズを作るが未来の放った閃光により全て消される。

 

なお、役目を果たした閃光は音の壁で安全に地下鉄の外に向けて進路を変えたので他に被害はない。

 

響「たぁぁああああ!!!」

 

この勢いのまま倒そうと拳を振るう響だがブドウノイズはすぐさま房を再生させると響の拳が当たる前に1つを自分の前に落とすと爆発させ、それにより出来た爆風で吹き飛ぶと響の攻撃を避けてそのままホームの方へと逃げる。

 

未来「大丈夫響!」

 

響「これぐらいなら平気!それより追うよ未来!」

 

同じ様に爆風を受けたので安否を聞く未来に響はそう返すとブドウノイズを追いかけながら襲い掛かるノイズを蹴散らして行く。

 

その中でミューチェはブドウノイズの行動に違和感を覚える。

 

ミューチェ「(なーんかおかしいわねあのノイズ、まるで響達を誘導してるみたい)」

 

他のノイズと違い、襲い掛かる感じではなくまるで追いかけて来いと言わんばかりの行動にミューチェは疑問を抱く。

 

ミューチェ「……もしかして誰かがノイズを操って二人を誘導している…?」

 

響「はぁあああ!」

 

未来「そこっ!」

 

ズドォオオオオン!

 

行きついた中で響と未来はノイズ達を殲滅して行き、残ったのがブドウノイズだけとなった後にブドウノイズは線路に降りてから房を天井へと全てぶつける。

 

ドカカカカーン!!!

 

響「うわっ!?」

 

未来「上に逃げるつもり!?」

 

爆風から顔を腕で守った後に収まってから天井に出来た穴からブドウノイズが逃げるのを視認して追いかけようとするが素早い動きで登って地上へと逃げる。

 

響「まてっ!」

 

未来「!響、あれ!」

 

それに響は追いかけようとして未来が気づいて指さす。

 

見える星空の中青く光る一筋の光を…

 

ミューチェ「流れ星?……いえ、違う。あれは…」

 

それに思わずミューチェは流れ星と一瞬勘違いしたが、すぐさま何なのか理解すると共に…

 

蒼ノ一閃

 

一筋の光より放たれた巨大な青いエネルギー刃が逃げようとしていたブドウノイズを両断する。

 

未来に抱えられて地上に出た響達は改めて光の正体を知る。

 

それは…剣を構えたまま歌う翼であった。

 

響「翼さん…」

 

未来「まさか上から来るなんて…」

 

着地した翼に驚く中で翼はチラリと2人を見て…

 

翼「………あの時の無礼、すまなかった」

 

そう一言謝罪を告げた。

 

響「え?」

 

未来「あの時の…もしかして模擬戦のですか?」

 

突然のに戸惑う響の隣で未来は察して確認すると翼はコクリと頷く。

 

翼「…あの時、何も知らぬまま激情にかられて言ってしまった事を後悔していた。謝ろうと思ったがどう言えば良いか悩んだ」

 

響「それであまり話さなかったんだ…」

 

未来「翼さん…」

 

これまで話さなかった理由を言う翼に響と未来はそれだけ自分達にどう謝れば良いかを悩んでいたんだと理解する。

 

その後は誰もが黙る中で静寂が続き…

 

???「話は終わりか?その後はどうするんだよ?えぇ?」

 

静寂を破った誰でもない声に3人はした方へと顔を向ける。

 

そこには暗がりから3人へと向かって誰かが歩いて来てるのに気づく。

 

響「だ、誰!?」

 

未来「誰か居るの!?」

 

2人が言うと共に雲に隠れていた月が現れ、月明かりにより人影が明るみになる。

 

人影は響達とそこまで変わらない様な少女なのだが、その全身を鎧の様なので包み、顔はバイザーで隠していた。

 

翼「なっ!?」

 

響「あれって……シンフォギア!?」

 

翼と未来が驚くが翼の驚きは別であった。

 

翼には見覚えのあるものだった。

 

忘れられない存在…それである為…そして響達のを否定する為に弦十郎が言う。

 

弦十郎『いや、あれはシンフォギアではない…2年前…我々が管理していたデュランダルとは別の完全聖遺物!』

 

翼「ネフシュタンの、鎧・・・・!!」

 

響「ネフシュタンの鎧…」

 

未来「もう一つの完全聖遺物…」

 

呟きながら2人は少女が身に纏っている完全聖遺物を見る。

 

3人の前に現れた人物…その目的は…

 

オマケ

 

これは響達に連絡し終えた後の二課の風景である。

 

奏「ん?そう言えば今日響達、流れ星見るって言っていたような…」

 

弦十郎「流れ星だと?」

 

傍に控えていた奏の呟いたのに弦十郎は怪訝とした顔をする。

 

あたしも見るつもりだったんだけどな…とぼやいた奏のを聞いて誰もが弦十郎を見る。

 

了子「これ、やっちゃったんじゃないの?弦十郎君」

 

藤尭「司令、あとで未来ちゃんに怖い顔されてもしりませんよ…」

 

友里「おそらく前から楽しみにしてたんでしょうねぇ…」

 

う、うむ…と3人の言葉に弦十郎は困った顔をする。

 

ブドウノイズのが出るまでのしばらくの間、なんとも言えない空気が二課に流れたのであった。




ミューチェ「次回、『怒りの少女』。うん女の子は本当に怒らせてはいけないわね;」


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第八話~怒りの少女~

謎の少女の言った一言が少女たちの逆鱗に触れる


前回、響達の前に現れた少女は翼のに感心した様な声を出す。

 

少女「へぇ?そんな顔するってことは、この鎧の出自を知ってるってことでいいんだな?」

 

翼「……私の不始末で奪われたものを、忘れるものか」

 

警戒する2人とは別に翼は覇気を纏って少女へと踏み出す。

 

翼「何より、私の不手際で失った命を!忘れるものかッ!!!」

 

そのまま少女らしからぬ咆哮を上げ、少女へと剣を構えて突撃しようとし…

 

響「あのー翼さん?」

 

未来「失った命って奏さん死んでませんよー;」

 

2人の指摘にずこーとずっこけた。

 

それには少女も唖然とする。

 

奏『いやまぁ、人、死んでるからな…;』

 

弦十郎『翼のは、それの事だと思うぞ;』

 

ミューチェ「(あー確かに死者出てたわねあれ)」

 

そんな2人に対して奏と弦十郎がフォローし、ミューチェも思い出して頷く。

 

響「あ、すみません。んで貴女に質問なんだけど…」

 

未来「もしかしてだけど今回のノイズ出現って貴女の仕業?」

 

納得してこけた翼を起こしながら、響と未来が問う。

 

少女「あん?もしそうだと言ったらどうするんだ?」

 

響「もしそうだったら…」

 

未来「ちょーっとオハナシしようかなと思って」

 

ゾクッと…少女の背中に悪寒が走る。

 

目の前の少女たちが言葉を発した瞬間に走った感覚から少女はやべぇ…と冷や汗を流す。

 

少女「(無傷でって注文受けてるが…そんなのを受けてたらあたしがやべぇ…)」

 

すぐさま少女は腰から何かを取り出す。

 

一見すれば弓のようにも見える杖の様な奴で上部分にある水晶部分から翡翠色のレーザーが地面に撃ち出される。

 

するとレーザーが当たった地面からノイズが姿を現す。

 

響「やっぱりノイズ操ってたんだ」

 

翼「あの杖、もしや完全聖遺物か…?」

 

未来「ノイズを操れる聖遺物……まあそれは置いといて……ちょーっとオハナシしようか」

 

その言葉を合図にノイズ達は襲い掛かり、3人は応戦する。

 

少女は翼をメインに、肩の装飾の様なのを鎖の様に振り回して攻撃し、響と未来はノイズに任せる様だ。

 

響「たあっ!」

 

未来「えいっ!」

 

混沌

 

響が格闘戦で粉砕して行く中で未来は戦う中で知った足のアーマーから小型のミラーデバイスを複数射出してそれから光線が放たれてノイズを貫いていく。

 

未来「あ、これ連写できるから便利」

 

響「ホント便利だよね」

 

それを見てそういう未来に響は羨ましそうに呟く。

 

何度も戦いの中でアームドギアを出そうとしたのだがどうしてか響はアームドギアを出せないのだ。

 

そんな2人の間を鞭が通過する。

 

少女「チッ!やっぱノイズじゃ駄目か!なら片方だけでも……!」

 

未来「片方だけでも…?」

 

響「もしかして貴女の狙いって……!」

 

出て来た言葉に2人は察した様子に少女は面白そうに笑った後にそうだよ!と戦っていた翼を蹴り飛ばして少女は2人を指さす。

 

翼「ぐっ!?」

 

少女「あたしの目的は、ハナっからお前等をかっさらうことだッ!!」

 

響「私達を……拐う……」

 

未来「…………」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

ミューチェ「あーあ、禁句言っちゃったわねあの子」

 

出て来た言葉にミューチェはご愁傷様と呟く。

 

少女も未来や響からの威圧感にたじろぐ。

 

少女「(な、何だこのオーラ、さっきよりヤバい感じがするっ!?)」

 

未来「……ねえ、さっき片方でも良いって言ったよね」

 

顔を引きつる少女に未来は確認する様に問う。

 

少女「あ、ああ……最悪片方だけでも拐う事が出来れば良いって……」

 

答えなければやばいと感じたのか少女は素直に肯定する。

 

だが、それが自分をさらに追い詰める事になる。

 

未来「そう……分かった。貴女……消すね」

 

少女「は?」

 

ハイライトを消した未来から出て来た言葉に少女は呆気に取られた後…

 

流星

 

足のアーマーを円状に展開すると閃光の時よりも極太な光線を放ち、少女は慌てて避ける。

 

その際、左肩の装甲と鎖が光線に掠る。

 

転がった後に少女は左肩のを見て驚く。

 

左肩の装甲が少しだけ分解される様に消えてるのだ。

 

鎖にいたっては当たった先から完全に消えていた。

 

少女「(なっ!?完全聖遺物を分解しただとっ!?)」

 

未来「私と響を離そうとするなんて……ユルサナイ」

 

少女「っ!」

 

戦慄してると未来の低い声に少女は再び悪寒に襲われ、右側の鎖で未来へと攻撃しようとするが…

 

響「はあっ!」

 

少女「なっ!?」

 

それより前に響が手刀で右側の鎖を、あろう事か両断したのだ。

 

少女「(ネフシュタンの鎧の鎖を手刀で斬りやがった!?)」

 

響「未来を拐うなんて……絶対にサセナイ」

 

驚愕してると響からも発された低い声に少女は再び戦慄する。

 

それにより少女は自分に命令した者の気を付けなさいと言う言葉を思い出しながら顔を歪める。

 

少女「(気を付けろってこう言うことかよ…!てか聖遺物分解できるなんて聞いてねぇぞ!?()()()()!)」

 

 

一方で途中から飛び出して現場に了子と共に急行していた弦十郎は藤尭からの報告に驚いていた。

 

弦十郎「聖遺物を分解しただと!?本当なのか藤尭!?」

 

藤尭『はい!ネフシュタンの鎧の一部を分解しました!』

 

了子「まさか神獣鏡のギアにそんな力があるなんて…」

 

ホント驚きと了子も驚きの声をあげる。

 

了子「にしてもあの二人、凄く怖い感じになってたわね」

 

弦十郎「ああ、まさか響くんまでああなるとは…」

 

未来を怒らせた際のは翼ので知っていたが響もなると言うのには了子のに弦十郎は頷いた後に考える。

 

なぜああして2人が怖くなるかは3年前の誘拐により互いに依存しあっているのではないかと不安になり、片方を傷つけられるか、もしくは悪い事をしようとすれば過剰になるのではないかと弦十郎は推察する。

 

弦十郎「(だが一番なのはおそらく二人が離れる事が嫌なんだろうな)」

 

大人として見てきた中で2人はいつも一緒で互いを思い合っている。

 

そういう子達をを守って行かなければならないなと年上として、OTONAとして弦十郎は改めて固く決意する。

 

 

一方で少女はぜえぜえしていた。

 

鎧は再生はしているが所々が分解されている。

 

鎖も再生はするが響のにより何度も両断される。

 

少女「(なんだよあいつら……本物のバケモンかよ…)」

 

呻く中で撤退するしかねえ!とすぐさま考えた後に手に持っていた物、ソロモンの杖でノイズを沢山出して行き、響や未来へと押し掛けると共に後ろに下がる。

 

響「逃ガサナイ!」

 

未来「待チナサイ!」

 

混沌

 

それに未来が再び混沌でノイズ達を殲滅させていく。

 

少女「ソロモンの杖で沢山呼び出してもこのざまかよ!けど、そっちに意識が向いたのは良い感じだ!」

 

NIRVANA GEDON

 

鞭の切っ先にエネルギーを溜めて球体にすると地面へ向けて投げ…

 

ドーーーーン!!!

 

爆風が起きて土埃が辺りを包み込む。

 

収まった後には少女の姿がなかった。

 

戦いが終わったと認識した後に見ているだけしか出来なかった翼が恐る恐る話しかける。

 

翼「ふ、二人とも……そろそろ落ち着いたらどうだ?」

 

ミューチェ「そうよ。敵は去ったわ。貴女達を離れさせる者は去った。だから落ち着きなさい」

 

そう言われて2人がハッとなった所に弦十郎と了子が来る。

 

状況を見て逃げられたか…と弦十郎は呟く。

 

弦十郎「三人とも大丈夫のようだな」

 

翼「あ、はい。叔父様」

 

了子「それにしても随分とやったみたいね」

 

響&未来「や、やり過ぎたー!?」

 

まず翼に声をかける弦十郎に翼は返事をする中で了子が今いる場所の現状を見て言うと響と未来は頭を抱える。

 

所々に穴ぼこが出来ており、木々も何本か倒れていた。

 

弦十郎「随分と派手にやったなこれ。気づかなかったのか?」

 

響&未来「す、すみません…」

 

了子「翼ちゃんも止めれば良かったのに」

 

翼「面目ありません」

 

肩を竦めて聞く弦十郎に2人は頭を下げまくり、了子のに翼も縮こまる。

 

弦十郎「ま、とにかく今日は帰宅して、休んでくれ」

 

響&未来&翼「はい!」

 

ミューチェ「(ノイズを操るあの女の子…一体何者なのかしら?)」

 

返事を返す中でミューチェはそう考える。

 

襲撃して来た少女…彼女は一体…




奏「次回『しばしの日常と翼弄り』に続くぞ」

翼「ちょっと待って奏!?最後のはなんだ!?」


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第九話~しばしの日常と翼弄り~

奏者達は片翼の部屋の掃除に向かう。
そこはとんでもない部屋であった……


前回のネフシュタンの鎧を纏った少女の襲撃から1週間経った。

 

あれから少女の襲撃はないが、ノイズ出現は時たまあって、それを響、翼、未来の3人で倒して行った。

 

帰還した所で弦十郎がネフシュタンの鎧について教えるとの事で2人は座って弦十郎の話を聞く。

 

弦十郎「ネフシュタンの鎧は元々は第二次世界大戦時、ある聖遺物やガングニールと共に、ドイツから日本へ齎されたものであるんだ」

 

響「でもそれが何であの子が持っているんですか?」

 

未来「確かに話的に弦十郎さん達が保管してたんですよね?」

 

そう問われて弦十郎はなんとも言えない顔をした後に口を開く。

 

弦十郎「それなんだが…実はネフシュタンの鎧は2年前、とある起動実験ので起動はしたが暴走し…同時に起こったノイズ発生事故により行方不明になってしまったのだ…」

 

ミューチェ「(二年前…?それって…)」

 

未来「もしかして…コンサートの時に?」

 

出て来た言葉にミューチェはまさかと見て、未来が恐る恐る聞く。

 

それを弦十郎は…肯定した。

 

弦十郎「ああ…起動実験にはツヴァイウイングのライブ形式を模し、観客によって奏と翼の力をさらに引き上げる方法をとる方法で始まった。結果はさっき話した通りだ」

 

響「そんな…」

 

未来「…じゃあもしかしてあの時のノイズってそのネフシュタンの鎧を奪うために現れたのですか?」

 

愕然とする響の隣で未来がそう聞く。

 

弦十郎「そこまでは分からないが…誰かが盗んだと言うのはあの少女が纏っていたのもあって明白だろう」

 

ミューチェ「(って事はあの事故は人為的なものだった訳ね)」

 

未来「それで鎧を纏った少女はどうするんですか?」

 

そう答えた弦十郎のにミューチェはそう行きつく中で未来は聞く。

 

弦十郎「無論。彼女の身柄を確保する。また現れた時に抑え込んでくれ、あくまで我々の敵はノイズだ」

 

響&未来「はい!」

 

翼「分かりました」

 

奏「それにしても…翼、最近お前、良い所ないな」

 

グサッ!

 

返事をした後に一緒にいた奏が何気なく言うと翼は崩れ落ちた。

 

翼「う、うう…気にしてたのに…奏は意地悪だぁ~…」

 

奏「お、おうわりぃ;」

 

響「あ、なんか翼さん、可愛い…」

 

未来「(でもまあ仕方ないよね…)」

 

涙目で奏を見上げる翼に居心地悪そうに奏は頬をポリポリ掻く隣でそんな翼にキュンとなる響に頬を赤らめながら未来は奏のに同意する。

 

うっほんと空気を換える様に弦十郎が咳払いして3人を見る。

 

弦十郎「とにかく現状はノイズが出たら出撃といつも通りに頼む」

 

了子「まぁ、それ以外は気長にのんびりね」

 

未来「のんびりですか…」

 

ミューチェ「(まぁ、変に力を入れてるより、抜いてた方が良いしね)」

 

そうウィンクして言う了子のにそれで良いのかな…な未来の隣でミューチェはうんうんと同意する。

 

 

そんな訳でその日から翌日、響と未来は奏が使っている部屋でのんびりしていた。

 

その中で…ファナは緊張していた。

 

ファナ「(ま、まさか奏さんの部屋に来れるなんて……!)」

 

休日だったのでどうしようかと思っていた所で響と未来に遊びに行かないかと誘われて乗ったら管理人室で、入ったらまさかの奏がいて管理人をしていたのには思わず叫びそうになった。

 

奏「そんなに固くならなくても良いんだぞ?」

 

ファナ「そ、そうっすか?」

 

そんなファナに奏は笑いかけて話しかけるとファナははーふーと深呼吸する。

 

奏「んで、お前さんもこいつ等に助けられたんだってな」

 

聞いたぞと響の頭をポンポンしながら言う。

 

それを見たファナは犬を可愛がってる見たいっすと思った後に答える。

 

ファナ「ええ、二年前のライブで」

 

奏「そっか……やっぱやるせないな…」

 

それを聞いて奏はなんとも言えない顔をして頭をガシガシと掻く。

 

ファナ「ちなみに奏さんが戦ってるところもばっちり見てたっす!」

 

響「あ、ファナちゃんそれは…」

 

続けて言った事に響が慌てて止めようとするがそれよりも早く奏は落ち込む。

 

奏「マジかー…と言う事は響が重傷を負ったのも見てるって事だろ…ホントあの時のあたしがもっとしっかりしてればな…」

 

響「いやいやいや、私にも責任ありますし!」

 

ファナ「それに元々は自分を助けてくれたから響さんが落ちてしまったので自分の責任っす…」

 

そう言ってお互いに落ち込む2人に未来はあちゃあとなる。

 

あわあわしていたファナはあっと声を出して少し待ってて欲しいっすと部屋を出る。

 

少ししてお待たせっす!とファナが帰って来る。

 

未来「えっとこれは…」

 

ファナ「お二人が見れなかった流れ星の動画っす!撮っていたっす!」

 

パソコンの中で再生されたのに未来と響に奏はおおっと声を漏らす。

 

響「ファナちゃん、ありがと~!」

 

未来「撮ってくれていたなんて、本当にありがとう」

 

奏「お~これがそうなのか、こう言うのも良いがいつか生で見たいもんだな」

 

それに響と未来はお礼を言い、奏も見ながらそう言う。

 

ファナ「なら今度一緒に見ませんかっす!」

 

奏「良いなそれ、ノイズが来なければ見に行けるからな」

 

響「次こそは一緒に見ようね未来」

 

未来「うん!」

 

提案するファナに3人は賛成する。

 

奏「そう言えばよ。響って武術はやってないのか?」

 

響「武術ですか?」

 

未来「響はやった事ないからほぼ我流ですね」

 

話が丁度終わったからか別の話題としてそう聞く奏に未来が変わりに答える。

 

奏「旦那の言った通りか、我流であそこまで翼を押していたんだからすげぇな響は、刀も手刀で対抗しちまうしよ」

 

ファナ「あのー奏さん?」

 

響「ファナちゃんの前であの時のこと言ったら……」

 

奏「……あ」

 

そう言った奏のにファナと響が恐る恐る言い、奏も響と未来が連れて来たのもあってついポロリと漏らしてしまった。

 

奏「いやー、2人が連れて来たからなんか2人の様に秘密を知ってるかなと思ってさ…」

 

ミューチェ「(一応当たってはいるわね)」

 

ファナ「えーと…」

 

戸惑うファナにみなまで言うなと奏は手を出す。

 

奏「恩人と同じ様に話したくない秘密なら聞かねえよ。とにかくこれからも宜しくな」

 

ファナ「よ、宜しくお願いするっす」

 

二っと笑って言う奏にファナはそう返す。

 

奏「んで、話し戻すけど、ホントあれには驚かされたな」

 

響「そ、そうですか?」

 

ミューチェ「(まあ普通の人ならそう思うわね)」

 

そう言う奏に響は頬をポリポリ掻く中でミューチェも改めて普通の人ので考えて頷く。

 

奏「普通の刀と刀のぶつかり合いの様にしてたからな~なかなか凄かったぜ」

 

ファナ「そんなに凄かったんっすか!?」

 

そう言う奏にファナは興味津々で聞く。

 

奏「ああ、あの場にいた奴らがホントに驚いてたぜ」

 

ファナ「響さん、一体どんな特訓したんっすか」

 

響「えーとね……お父さんの読んでる漫画のを元にそれが出来る様に特訓してたな」

 

それを聞いて奏は呆れ、ファナはマジっすかと驚く。

 

奏「おおう、響は旦那の様に見て覚えるタイプか」

 

未来「え?司令のように?」

 

出て来た言葉に未来は驚いて聞く。

 

奏「旦那は映画鑑賞が趣味なんだけど…アクション映画を主に見て鍛えた様でよ…それで実力は規則外だぜ?どういう感じかは2人も見てるだろ?」

 

響&未来「そうだったの!?」

 

ファナ「(あー確かにあの強さはとんでもないっすよねー;)」

 

言った事に驚く響と未来の隣でファナは自身の記憶を思い出して納得する。

 

奏「あれだ。ノイズじゃなければ旦那はあたしらより十分戦力になる」

 

響「ですよねー」

 

未来「と言うか私達装者でも勝てないと思う…」

 

ミューチェ「(あの人、絶対龍の始祖が気に入りそうな強さ持ってるわね)」

 

断言する奏に響と未来も同意してミューチェは知り合いを思い浮かべながらそう考える。

 

奏「…と、そろそろ見に行くし…丁度良いから3人とも、手伝ってくれないか?」

 

響「あ、はい!」

 

ファナ「何を手伝えばいいんっすか?」

 

時間を確認してそう言う奏に内容を聞いてないけど響は返事をして、ファナが聞くと着いてからのお楽しみだと外出の為の準備をする。

 

 

しばらくしてとある部屋の前に着いて奏がトントンしておーいと声をかける。

 

翼「奏、来たんだ…」

 

響「……え…」

 

ファナ「こ、これは…」

 

ドアを開けた翼の後ろの光景に3人は言葉を失くす。

 

そこは…まるで殺人現場を想起させる程…酷かった。

 

翼「……………」

 

響&未来&ファナ「(ひ、酷すぎる…)」

 

奏「はあいと言う訳で掃除やるぞ」

 

恥ずかしさで顔を赤くする翼を横目に唖然とする3人に奏が手をパンパンさせて言う。

 

翼「か、奏~」

 

響「えっと翼さんってこういう一面あったんですね…」

 

ファナ「(翼さんって、こっちの知る限りでも片づけが出来ない人だったのは知ってたっすけど…実際に見るとめっちゃ酷いっす;)」

 

ポカポカと奏を軽く叩く翼を後目に色々と散らかっている部屋を見て響はそう言い、ファナは自分の記憶のから改めて翼の片づけられなさを実感した。

 

奏「まぁ、そんな訳で片づけ出来ない先輩の代わりに片づけの手伝いを宜しくな後輩ズ」

 

響&未来「は、はい!」

 

ファナ「了解っす!お掃除開始するっす!」

 

号令と共に3人はそれぞれわーと片づけに入る。

 

奏「翼も後輩達の指示で片づけような」

 

翼「分かった」

 

ファナ「んじゃこれは何処に置けばいいっすか?」

 

本を手に聞くファナにそれはそこの本棚だなと奏は指さして了解っす!とファナは早速本を本棚に入れようとして順番がバラバラなのにこれは分かりづらいっすと冷や汗を掻く。

 

ファナ「(えっとこれがこっちで、こっちがこれで…)」

 

せっせと順番にかつ分かり易く本の大きさで並べて行く。

 

響「翼さん、この服は何処にしまえば良いですか?」

 

未来「響、それ新撰組のじゃない?」

 

奏「ああ、とある番組に出た時にコスプレして記念に貰ったんだってさ」

 

そう言って響が拾って広げたのに未来は言うと奏がある理由を言う。

 

響「それじゃあこっちの日本刀も?」

 

奏「ああ、それもとある番組に出た時に的確に褒めてたって事で作った刀匠さんから貰った。ちなみにちゃんと証明書もある」

 

ファナ「なんというか……風鳴先輩に合うのが沢山あるっすね。これで部屋が和風ならもっと良いっすね」

 

羽織を丁重に折り畳んでから次に刀を持った響のに奏は答えてからファナのに頭を掻く。

 

奏「あー、流石に1人だけを優遇し過ぎるのは他の奴らに不満を持たせるからな」

 

未来「あ、確かにそうですね」

 

ファナ「うっかりしてたっす」

 

そう言われて3人は納得する。

 

確かに1人だけ有名人だからって部屋まで優遇したら有名人であろうと流石に贔屓し過ぎではないかと気づいた他の寮生が不満を言いに来るだろう。

 

奏「まぁ、こんな散らかしてたら豪華も意味ねえけど」

 

響&未来&ファナ「確かに」

 

翼「お前たち意地悪過ぎるぞ!」

 

肩を竦めて言う奏に手を動かしながら同意した3人に翼は涙目で言う。

 

奏「いやーホント翼と隣に立つであろうとする奴は苦労するだろうなホント」

 

響「あはははは;」

 

ファナ「(…確かに苦労しそうっす;)」

 

そう言う奏のに響や未来が苦笑いする中でファナは先の未来で合う女性を思い浮かばせて苦笑する。

 

翼「お、お前たちは…所で、その子は誰なんだ?」

 

響「え、翼さん。覚えてないんですか?」

 

未来「私達の同級生のファナちゃんですよ。ほら、カフェで会ってますよ」

 

そう言われて翼は頭をトントンしてあーとなる。

 

翼「す、すまない。あの時はある事で頭がいっぱいだったから半分忘れかけてた;」

 

ミューチェ「(ああ、響のこととかね)」

 

ファナ「うぅ、自分印象薄かったっすか…」

 

謝罪する翼の言葉にミューチェは納得する中で落ち込むファナに翼は慌てる。

 

翼「い、いやそんな事はないぞ!忘れていた私が悪いんだから!」

 

響「それにファナちゃんは全然印象薄くないよ!」

 

ファナ「ありがとうっす!」

 

笑顔になるファナに翼はホッとする中で奏がファナの頭を撫でる。

 

奏「ホント悪かったな相方が」

 

ファナ「いえいえ!全然大丈夫っす!」

 

同じ様に謝罪する奏にファナは手を振る。

 

ファナ「それに翼さんは歌手として色々覚えなきゃいけないことあるっすし」

 

未来「あー、確かにそうだね」

 

フォローする様に言うファナのに未来も同意する。

 

確かに歌手は歌う以外にも踊りやどう動くかの練習が必要になる時がある。

 

他にもグラビアだったりもあるので大変である。

 

響「翼さん、色々な番組に出ていますしね」

 

未来「ホントに凄いよね」

 

学園で入学してから見て来たのを思い出して言う響のに未来も同意する。

 

奏「片付けが終わったら翼が出てる番組を纏めたのを見るかい?」

 

ファナ「もちろん見るっす!」

 

響「私も!」

 

笑って言う奏の申し出にすぐさまファナが手を上げ、響も嬉しそうに手を上げるのに未来は少しぷーとなる。

 

ミューチェ「(ふふ、仲良いわね)」

 

そんなワイワイする光景にミューチェは微笑む。

 

長く見ていただけにこれは本当に安らぐものだ。

 

奏「ちなみに笑い系のもあるからな」

 

翼「奏ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

響「あ、そう言えばクイズ番組にも出てましたね!」

 

ファナ「旅番組も出てたっす!」

 

ニヤニヤ笑って言う奏のに翼は顔を赤くする中で響とファラは思い出して言う。

 

ミューチェ「(この子って歌手なのよね…?)」

 

未来「クイズ番組とかで歌を歌っている時とは違う翼さんを見れたって事で結構ネットで親近感が沸いたとか書かれてたりしてますね」

 

ファナ「確かに全然違うっすね」

 

翼「や、止めてくれ、それを見て奏や了子さんに笑われた事があるから;」

 

思い出して言う未来のに同意した未来のにファナも同意する中で恥ずかしさで顔を赤くしながら翼がそう言う。

 

奏「そうか~おもし、可愛かったぜ」

 

響「奏さん、本音出てる出てる」

 

翼「う~」

 

涙目になる翼に全員は可愛いなとキュンとなる。

 

ミューチェ「(弄られキャラ確定ね)」

 

平和だな~とミューチェは思う。

 

数分後

 

奏「は~いお掃除完了。お疲れさん」

 

響&未来&ファナ「お疲れ様でした!」

 

綺麗になった翼の部屋を見て言う奏に響達も返す。

 

翼「本当にすまない3人とも」

 

響「いえいえ、大丈夫ですよ!」

 

ファナ「はいっす!風鳴先輩の可愛い一面も見れましたし」

 

頭を下げる翼に響やファナはそう言う。

 

奏「んじゃあ、さらに翼の可愛さを見る為の鑑賞会を始めようじゃないか」

 

響&ファナ「はーい!」

 

未来「楽しみです」

 

そう言った奏のに2人は元気よく返事し、未来は翼の背中を押しながら管理人室へと向かう。

 

 

一方、とある屋敷で響達を襲撃した少女は苛立っていた。

 

少女「あークソッ!何なんだよあの二人は!」

 

ウロウロしながら少女が思い出すのは自分を圧倒した2人…響と未来。

 

あの時感じた恐怖を少女は顔を横に振って強引に振り払う。

 

少女「にしてもアイツら、なんであんなに怒ったんだ?」

 

その後に怒った理由を考えているとクリスと呼ぶ声に振り返る。

 

そこには一人の女性がいた。

 

少女「フィーネ…」

 

女性「あなたの疑問はこれで分かるわ」

 

そう言ってフィーネと呼ばれた女性はクリスと呼んだ少女へと近づいて1部の新聞を手渡す。

 

受け取ったクリスはその一面を見て目を見開く。

 

新聞は3年前ので、そこには少女2名行方不明、誘拐かと言う記事が載っていた。

 

そして載せられていた写真には、当時の響と未来のが載せられている。

 

クリス「チッ、なるほど。だからあの二人あんなに怒ったのか」

 

フィーネ「更に片方だけでもって言ったのがアウトだったようね」

 

顔を歪めて毒づくクリスにフィーネはそう言う。

 

クリス自身も新聞を見たのもあってフィーネのにそうだなと自身の過ちに頷く。

 

クリス「にしたってあの聖遺物分解できるなんて聞いてないぞフィーネ!」

 

フィーネ「ごめんなさいね。私自身、初めて知った事だから…なんたって調べる前に盗まれたのだから」

 

その後に怒鳴るクリスにフィーネはそう返した。

 

クリス「あんなのどう対応すれば良いんだよ…」

 

フィーネ「なら貴女も使えば良いじゃないの?本来のあなたの力をね」

 

その言葉にクリスは顔をさらに歪める。

 

怒気もあってそのままテーブルに拳をぶつける。

 

クリス「フィーネ、言っただろ?あたしは…」

 

フィーネ「ええ、分かってるわ。でももしもの時は頼むわよ」

 

もしも…つまりフィーネはそれだけ相手を警戒して、自分は苦戦すると認識してるのに歯を食い縛る。

 

クリス「…分かった。もしもの時はそうする」

 

フィーネ「それで良いわ。機会が出来た時に指示を出すからその間に英気を養いなさい」

 

そう言って背を向けるフィーネの背を見ながらクリスは響と未来を思い浮かべる。

 

クリス「(あの二人…次会ったら…)」

 

その後が続かない。

 

どうも誘拐のを聞いてから苛立ちよりも複雑と言う感情が湧き上がる。

 

それを振り払う様にクリスは顔を振った後に休むことにした。




ファナ「次回!『修行とデュランダル輸送任務』に続くっす!」


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第十話~修行とデュランダル輸送任務~

始祖の片割れは修業し、暴走する。


翼の部屋の片づけから1週間が経った日

 

弦十郎「え?俺に弟子入りしたいって?」

 

響「はい!」

 

来て早々に告げられた事に目を丸くする弦十郎に響は頷く。

 

未来「響、もっと強くなりたいそうで…」

 

響「だからあの、武術に精通している司令さんならもっとバリエーション増えるかなと思いまして…」

 

なぜ弟子入りしたいかの理由を言われて弦十郎はふむと顎に手を当てて考える。

 

弦十郎「(確かに響君の動きは素人交じりのだから磨けばさらに強くなるだろう…万が一を考えて幅を広げるのもありだろうし…)分かった。こんな俺でも良いなら俺なりのやり方で修業をさせてあげよう」

 

響「ありがとうございます!師匠!」

 

引き受けた弦十郎に響は頭を下げる。

 

 

弦十郎「と言う訳で今回はこのアクション映画のを模倣するぞ」

 

響&未来「……へ?」

 

しばらくして動きやすい服装になった弦十郎の言葉に同じ様に動きやすい服装に着替えた響とどういう感じか見ようと見学な未来は目を丸くする中で同じ様に見に来ていた奏はそうなるわなと苦笑する。

 

奏「やっぱ最初は驚くよな」

 

響「えっと……師匠?これが修行ですか?」

 

弦十郎「ああ、その通りだ。意外とバカには出来んぞ。アクション映画の中の武術やアクションの動きを真似る事でそれを己の糧にし、戦いに反映出来るからな」

 

未来「そ、そうなんだ…(でも……)」

 

ミューチェ「(それであの強さはおかしくない?)」

 

そう言った弦十郎のに未来とミューチェはあの時の光線受け止めのを思い出して冷や汗を掻く。

 

弦十郎「まぁ、百聞は一見に如かずだ!やって見てから続けるかどうかを決めてくれ」

 

響「は、はい!」

 

そう言う弦十郎のに響は頷いた後、訓練は始まった。

 

始めてみて響はこれ、バカに出来ないと認識する。

 

動き方を模倣すると言うがゆっくりのは良い。

 

だが早く動くのを真似すると言うのは結構自身の体勢を崩さない様に意識するのもあってなかなか大変だ。

 

しかも体で感じろを地で行ってるので細かい説明のはない分、飛んでの回し蹴りなどもあったら着地の際のバランスを崩さない様にするのにも意識が向く。

 

響「(これは良い修行になりそう!)」

 

そんな響を弦十郎も動きながらまたほうと感嘆する。

 

なかなか飲み込みが早い事からこう言うのにのめり込むタイプだと改めて理解する。

 

コツを掴むのも良いので弦十郎は笑みを浮かばせる。

 

弦十郎「なかなか良いぞ響くん!」

 

響「ありがとうございます!師匠、ホントに良いですねこれ!」

 

ミューチェ「(確かに良い動きするわね響)」

 

終わった後に褒める弦十郎に響は笑顔で言うとミューチェも見ていて弦十郎と同じ感想であった。

 

ふうと汗を拭う響に未来はスポーツドリンクを差し出す。

 

未来「はい、響」

 

響「ありがとう未来」

 

差し出されたのを飲む響を未来は微笑ましそうに見る。

 

奏「いやーしっかし旦那のにめっちゃしっくり来てたなホント」

 

弦十郎「ああ、俺も翼や奏くん以上のを感じたよ」

 

響「そ、そうですか?」

 

そう言う奏のに同意して言う弦十郎に響は以上と言われて戸惑う。

 

弦十郎「ああ、それに2人は主にアームドギアを使ってるから護身術程度になってるからな」

 

未来「でも響はアームドギアないから…」

 

響「そう言われると…複雑な気分になるな;」

 

そう述べる弦十郎のに未来はそう言い、響は困った顔をする。

 

少女が現れるまでの戦闘で響はアームドギアを出そうとするのだがなぜだか出せないのだ。

 

一応戦えているから良いが、響的にあった方が幅の広がりそうなんだけどなと考えている。

 

奏「なんでだろうな…あたしでも出せたのにな…」

 

弦十郎「俺にも分からんが…まぁ、とりあえずは出せる様にも含めて俺の特訓をやる感じで良いと思うぞ」

 

響「はい!」

 

ミューチェ「(……んー、もしかしてだけど……)」

 

不思議そうに呟く奏の隣でそう言う弦十郎に響が頷く中でミューチェはある仮説が思いつく。

 

と言うか戦いの中で了子からアームドギアは元となった聖遺物の形態と同時に、装者の心象もその形成に大きく影響していてその形を奏者に合わせたのに変わるらしいと言う話を聞いていたので出来た仮説だ。

 

ミューチェ「(響は色んな人を助けたい、手を差し伸べたいと言う思いがあるから、それもあってアームドギアは出ないんじゃなく、響の腕に装着されている奴がアームドギアの可能性がありえるわね…)」

 

弦十郎「良し、次のをやるか!」

 

響「はい!師匠!」

 

休憩を終えて特訓を再開する響を見ながらミューチェは微笑ましそうに見る。

 

だが、しばらくしてとんでもない事を知る事になる事をこの時の響達は知らなかった。

 

 

1か月経ち、響は弦十郎の特訓により格闘戦の技術を向上させた。

 

そんな中で朝一番に響と未来は呼び出されていた。

 

弦十郎「皆聞いてくれ、広木防衛大臣が、暗殺された」

 

全員の目が集まったのを見て弦十郎から告げられた事に誰もが動揺する。

 

未来「あ、暗殺!?」

 

弦十郎「ああ、それにより副大臣が繰り上げで大臣になるが…不安になる懸念がある」

 

響「どういう事ですか?」

 

腕を組んで言う弦十郎のに響は聞く。

 

それに答えたのは緒川であった。

 

緒川「国際協力を唱える親米派なんですよその人は、日本の国防にアメリカの要求が通り易くなってしまい、それにより二課の行動に支障が出かねないのですよ」

 

藤尭「つまり、ウチにとったらあんまり良くないって事」

 

響「そうなんですか……」

 

未来「そう言えばデュランダルのこともありましたね」

 

ミューチェ「(ホントそう言うのってめんどくさい事になりかねないから困るわよね)」

 

緒川のを引き継いで肩を竦めた藤尭のにミューチェはそう愚痴る。

 

弦十郎「広木前防衛大臣と面談の予定があった了子くんは運よく行き違いとなって無事だった。用件の一つであった重要データも無事に受け取っていた」

 

了子「それで狙いは本部最奥区画『アビス』に厳重保管されているサクリストDことデュランダルの強奪目的であると政府は結論付けました」

 

響「え?なんで?」

 

未来「確かに、どうしてですか?」

 

告げられた事に響と未来は首を傾げる。

 

弦十郎「2人には前に了子くんから説明されてた完全聖遺物が起動したら誰でも扱えると言うのは知ってるだろう?完全に起動した聖遺物をもしも軍事利用されたらどうなると思う?」

 

響「……あ」

 

そう言われて2人は顔を青くする。

 

弦十郎自身も厳しい顔で言う。

 

弦十郎「平和利用ならまだ良いが、もしも戦争などに使われでもしたらとんでもない事になる。世界は大混乱になる恐れもある」

 

未来「そうですね…」

 

ミューチェ「(あの子が使っていたみたいにしたら確かになるわね)」

 

重くなる空気にミューチェもネフシュタンの鎧を纏った少女の事を思い出して納得する。

 

了子「そんな訳で、デュランダルの輸送作戦をしようと思いま~す」

 

響&未来「デュランダルの輸送!?」

 

ミューチェ「今、狙われてるって言ってたのに!?」

 

ガチョーン!?と了子から出て来た言葉に驚く3人に弦十郎が理由を言う。

 

弦十郎「確かに今の状況で運ぶと言うのはおかしいだろうと思うが、今だからこそ、運び出して別の場所に保管した方が良いと判断したんだ」

 

ミューチェ「いやそれ、絶対敵の思惑通りの展開でしょ!?」

 

未来「理由は分かりましたけど…」

 

響「運び出すって何処に?」

 

響と未来にしか聞こえないが思わず叫ぶミューチェのに未来も同じ気持ちの中で響が聞く。

 

ここだと弦十郎の言葉の後に藤尭がパソコンを操作してマップが表示される。

 

弦十郎「永田町最深部の特別電算室。通称“記憶の遺跡”。そこならばと言うことだ。どのみち俺達が木っ端役人である以上、お上の威光には叶わないさ」

 

ミューチェ「(こういうのが組織の問題点なのよね…)」

 

例え志が立派だろうと上が腐敗しているとそれの責任は下が取る形にされるのが多い。

 

ミューチェにとってはそれが一番嫌な事であった。

 

肩を竦める弦十郎に大変ねとミューチェは思った。

 

とにかく輸送作戦は明朝の5時に決行される事になり、2人は部屋に戻った。

 

 

ミューチェ「やれやれ、困ったことになったわね」

 

響「ホントですね」

 

未来「輸送作戦…何かありそうですもんね」

 

そう言う2人だがミューチェは違う違うと手を振る。

 

ミューチェ「大臣が変わった事が困ったことなのよ」

 

疑問詞を浮かべる2人にミューチェは言った意味を説明する。

 

ミューチェ「ようするにね、もし二人のことがバレたらそれに目を付けた輩が2人を悪用しようとしかねないの。それによって暴走した始祖によって複数の世界が滅んだ事を知り合いから聞いた事あるの」

 

響「複数の世界が滅んだ……!?」

 

未来「でもそう考えると……私達もやりそうだよね」

 

響「うっ……」

 

出て来た事に響は驚くが未来の言葉に呻く。

 

そんな未来の言い分にミューチェも同意する。

 

ミューチェ「(確かにあの暴走していたらね……)」

 

少女の言葉で圧倒していた時のを思い出してミューチェは続かなくて良かったわと内心安堵する。

 

響「確かにもし未来がそうなったら私……」

 

未来「私も…響を利用しようとしたら我を忘れそう…」

 

ミューチェ「(ああ、やっぱり…)だからバレた時はこの世界を去って別の世界に行くことが多いわね」

 

2人のにミューチェは眉間を揉んだ後にそう言うが2人はうーんと唸る。

 

響「世界を去る…」

 

ミューチェ「(やっぱり悩むわよね。誰だって故郷に帰れなくなると聞いたらね…)」

 

そんな2人のにミューチェは罪悪感を感じながらも覚えて貰わなければならないと引き締める。

 

ミューチェ「だからそうならないためにも絶対にバレないよう二人とも気を付けてね」

 

響&未来「はい…」

 

その後に空気を換える様にミューチェは手を合わせる。

 

ミューチェ「さて、明日は早いのからこれから二課にお泊りな感じで行くんだから早く着替えの服とかその他もろもろ用意しなさいな」

 

響「あ、そうだった!」

 

未来「早く用意しよう、響」

 

そう言われて2人は慌てて準備を始める。

 

ミューチェ「(さて明日の輸送作戦、絶対あの子が来るわね)」

 

そんな2人の準備を見ながらミューチェは思案する。

 

もしも輸送作戦をするのがバレてるなら必ず現れるだろうとミューチェは確信して思う。

 

ミューチェ「(…なんだか嫌な予感がするわね)」

 

そう長年生きた者の勘が起こる事を感じていた。

 

それが当たる事をミューチェはその時に感じるのであった。

 

 

とある場所にて、クリスはフィーネより伝えられた事を考えていた。

 

クリス「(デュランダルの輸送作戦か…)」

 

輸送途中でデュランダルを奪えと言われたクリスは響と未来を思い浮かべる。

 

クリス「(ついでにあの二人も攫うか…デュランダルを奪うとみせかけてな)」

 

元々フィーネにお願いされたのはそっちだからな、と言い訳する様に自分を納得させた後に見える月を見る。

 

クリス「綺麗な月だな…」

 

そう呟いた後に響の顔が浮かんでなんであいつの顔が浮かぶんだよ!と顔を赤くする。

 

それぞれの思う中で翌日を迎えた。

 

 

太陽が登り始めた中、黒スーツの諜報課と整列する響と未来、翼に弦十朗と了子が指示を出す。

 

弦十郎「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備!“記憶の遺跡”まで一気に駆け抜ける!」

 

了子「名付けて『天下の往来独り占め作戦』♪」

 

ミューチェ「(良い作戦と言えるのかしらこれ;)」

 

作戦名もあって不安になる中で弦十郎が説明を開始する。

 

デュランダルを了子の車に乗せて護衛として響も一緒に乗って置く。

 

そんな了子の車を諜報課の車が守る様に囲んで走り、翼もバイクで並走し、弦十郎はヘリコプターに乗り込み、上から指示を咄嗟の指示兼空中警戒、奏者の中で飛べる未来も飛んで警戒すると言う事だ。

 

その後に作戦は開始された。

 

未来「敵の影は今のところありません」

 

弦十郎『やはり最初は様子見なのだろう』

 

走り始め、少し高い場所から見下ろして報告する未来のに弦十郎はそう返す。

 

弦十郎『空からも来るか分からないからそちらも頼んだよ未来くん』

 

未来「はい、分かりました」

 

そう返した後に未来は周りを見渡す。

 

しばらくの間は何もなかったが、海を横断する道路に差し掛かったとき、突如黒煙が上がったと思うと、道路の一部が崩れ去る。

 

弦十郎『来たか!』

 

未来「!司令!大量のノイズが現れました!」

 

それに気づいた弦十郎が叫んだ後に未来が前方を見て言う。

 

下では咄嗟に了子がハンドルを切ったため、響とデュランダルが乗っている車両は落ちずにすみ、バイクで並走していた翼も、同じように無事だったが1台だけが海に落ちてしまう。

 

弦十郎『海に落ちたメンツは大丈夫だ!それよりも未来くんはノイズを蹴散らして道を作ってやってくれ!』

 

未来「分かりました!」

 

指示に了承した後に混沌と音の壁の併用でノイズ達を蹴散らして了子達の通れる道を作る。

 

翼もシンフォギアを纏って迫ったノイズを切り裂く。

 

了子「しっかり掴まっててね響ちゃん!あたしのドラテクは凶暴よ?」

 

響「は、はい!」

 

ミューチェ「(私も何かに掴まってないと!)」

 

慌てて2人はそれぞれヒシッと車に掴まると了子はさっき言った通りに大きく蛇行してノイズを避ける。

 

それにより響とミューチェは車外に思わず放り投げられそうになるが落ちない様に引っ付く。

 

響「(す、凄い運転テクニック!)」

 

ミューチェ「(エレベーターより大丈夫だけど酔いそう…)」

 

各々に思いながら車は市街地へと突入する。

 

早朝だというのに人の気配がしないのは、恐らく一般人に何らかの理由をつけて退避してもらっているのだろう。

 

ノイズが出ているから被害が出ないと安堵する中で響はマンホールが動いているのに気づく。

 

ドパーーーーン!!

 

了子の車が通り過ぎた後に後ろを走っていた車がマンホールの上に来た所で蓋もろとも盛大に吹き飛ばし、ノイズの噴水が湧き上がる。

 

弦十郎『地下からの襲撃だ!気を付けろ!』

 

了子「分かってるわよ!」

 

響「!了子さん前!」

 

注意する弦十郎に了子は投げやりに返す中で響の注意におっと!と蛇行して目の前のノイズの噴水で吹き飛んだ前方車両を避ける。

 

その間も他の護衛車も吹き飛ばされるのを目にしてから後ろを見て、横転した車から危なげながらも這い出てくる諜報員達に、響は安堵のため息をつく。

 

ノイズは翼と未来が倒しているので諜報員は誰も襲われていない。

 

弦十郎『聞こえるか2人とも!?今進んでる所を真っ直ぐ行けば、薬品工場の敷地内に入る!そこに飛び込んでもらいたい!!』

 

了子「ちょ、ちょっと弦十郎君!?流石にそれは危険過ぎるわよ!もしも爆発でも起これば、いくらデュランダルでも木っ端微塵よ!?」

 

響「それに私がともかく了子さんが死ぬ可能性ありますよ!」

 

出てきた指示に了子は驚いて叫び、響も慌てて言う。

 

弦十郎『敵の狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険地帯に飛び込んで攻め手を封じるって寸法だ!相手も欲しい物が壊したくないだろう!』

 

了子「勝算はあるの!?」

 

理由を言う弦十郎に了子は聞いて響もうんうんと頷く。

 

それに対して弦十郎は、自信たっぷりに答えた。

 

弦十郎『思い付きを数字で語れるものかよッ!!』

 

ミューチェ「(思いついたばっかりなのね!?)」

 

了子「了解!やってやろうじゃない!!」

 

その言葉と共に了子はアクセルを思いっきり踏み込んで加速、それにより響とミューチェが車の天井に頭をぶつけたが、了子に謝る余裕なんて無かった。

 

翼『小日向!マンホールのは私が引き受ける!立花達の方へ行け!』

 

未来「分かりました!」

 

それを見た翼が未来へとそう指示し、未来も同意して響達の元へ向かう。

 

一方の響達は工場へと飛び込んだ良いが車が横転してしまった。

 

ミューチェ「(酔ったかも…うえぇ…)」

 

響「あいたたた…」

 

了子「いやー、ごめんね横転しちゃって…」

 

なんとか這いずりながらお互いに出て、響は慌ててデュランダルのケースを車から引きずりだす。

 

ケースに外傷がないのでホッと安堵した後に視線を感じて見上げると…口元に笑みを浮かばせたネフシュタンの少女、クリスがいた。

 

響「あの子は…!」

 

クリス「また会ったな!」

 

ペロリと舌なめずりするクリスに響はあ、なんか野性的だなと思いながらシンフォギアを纏う。

 

それを見てからクリスは地面に降り立って響と対峙する。

 

響「あの!」

 

クリス「ん?」

 

声をかける響にクリスはなんだ?と身構える。

 

響「この前はゴメンね!」

 

クリス「……は?」

 

頭を下げて謝罪する響にクリスは思わず呆けてしまう。

 

響「私、未来に何かあると暴走しやすくて…それで前はあんな事になって…」

 

クリス「……敵のあたしに謝るなんてホントバカだなお前」

 

理由を言う響にクリスは呆れた後に笑みを浮かばせて瞬時に響に近づき、それに響はうえっ!?と驚いた後…

 

チュ…

 

響「!?」

 

了子「あら~」

 

刹那、された事に響は一瞬呆けた後に顔を赤らめ、了子も状況が状況だが目の前のに面白そうに口元を抑え、それをしたクリスは響の耳元で雪音クリスだと呟いた後に離れる。

 

クリス「決めたぜ。お前を……いやお前ら二人をあたしのものにしてやる!」

 

響「え、えええええええええ!?」

 

ミューチェ「(……なにこの展開)」

 

獰猛な笑みを浮かばせて宣言された事に響は顔を赤くして絶叫し、ミューチェは思わず目を点にする。

 

バキメキバキ…

 

すると何か壊れる音がして了子は見て…oh…と呟いた。

 

そこには、壁にひびを入れてる目からハイライトがない未来がいて、背後には追いついたが未来の気迫にガタガタブルブルと子犬の様に震えてる翼がいた。

 

了子「生きていた中で修羅場見るの初めてだわ~」

 

ミューチェ「(あーこれ。血の雨降るわね)」

 

来たかと未来を見てクリスは笑みを浮かばせた後に自分に接近した未来に向けてキスしようとし…

 

響「んむ!?」

 

クリス&未来「!?」

 

それよりも未来に響がキスし、クリスは響の後頭部にキスする羽目になった。

 

翼「何やってるんだ立花ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ミューチェ「あー」

 

それには思わず翼は叫び、ミューチェは思わず納得する。

 

響「み、未来のキスは私だけのだからです!」

 

未来「ひ、響///」

 

クリス「ふふ、やるじゃねえか、それだからこそ、あたしが惚れちまった女だよ!!」

 

そう叫ぶ響に未来は先ほどのから一転、ハートマークを浮かばせてデレデレするのを見ながらクリスは距離を取ると共に鎖を振るう。

 

慌てて響は未来を抱えて避けた後に了子を守る為に立った翼の横に未来を降ろしてクリスへと接近する。

 

響「なんで未来にもキスを!?」

 

クリス「好きになった奴が好きな人も纏めて好きになるのが幸せだろう?」

 

鎖を払いながら問う響にクリスはそう返す。

 

未来「ようするに響を恋人にするなら私も一緒に好きになった方が良いと?」

 

クリス「そうだ!それに……まんざらでもねえだろ?」

 

正気に戻ったのかそう聞く未来のに笑みを浮かばせて言うクリスにええええ!?と響は顔を赤くして、未来はふうんと呟く。

 

未来「けどダメ、私は響が一番好きだから」

 

クリス「なるほど…こっちも譲れねえな」

 

お互いに威圧感を放つ未来とクリスに響はオロオロし、翼も翼でどうすれば良いか戸惑い、了子はおもしろそ~となんか達観している。

 

その時だった。

 

デュランダルのケースから光が溢れ出す。

 

すぐさま我に返った翼は了子の手からケースを引っ手繰ると遠くへ投げる。

 

クリス「なっ、まさか起動するのか…」

 

響「起動って……嘘!?」

 

未来「なんでこんな唐突に!?」

 

了子「いえ…唐突じゃないと思うわ」

 

翼「桜井女史?」

 

茫然と呟いたクリスのに響と未来が驚く中で了子が未来の唐突と言った事を否定する。

 

了子「ここには翼ちゃん以外に響ちゃんや未来ちゃんもいる…一番最初に聖遺物を起動させた翼ちゃんと、シンフォギアとの融合体である響ちゃんと未来ちゃん。指折りのフォニックゲインの持ち主と、いまだ未知数の可能性を秘めている2人の存在…そんな『質の良い歌』を、至近距離でいっぺんに受けていたのなら…」

 

ミューチェ「(確かにそれなら起動するかもしれないわね。でもマズイわ。起動したってことは……)」

 

仮説にミューチェは納得した後に焦るが時は遅く…

 

バキン!!

 

ケースが爆ぜ、その中から黄金の輝きに包まれながら一振りの西洋剣が飛び出す。

 

未来「デュランダルが!?」

 

響「!」

 

咄嗟の判断か、渡してはならないと言うので響はデュランダルへと駆け出す。

 

それにクリスも追おうとしたが未来に阻まれる。

 

誰もが固唾を呑んで見守る中、伸ばされた響の手がデュランダルをしっかり掴み…異変は起きた。

 

響「っ!?」

 

何かが侵食する様な感覚、それがデュランダルを通じて響に襲い掛かる。

 

気づいたミューチェが慌てて声をかける。

 

ミューチェ「響!?どうしたの響!?」

 

響「あ、アァァァァァアアアアアアアアアアア!!」

 

断末魔の様な悲鳴を上げると共に響の全身が見る見る黒に染まっていく。

 

翼「立花!?」

 

クリス「な、なんだ!?」

 

未来「響!?」

 

誰もが今起こってる現象に驚く中で3人の声に反応して、全身が黒く染まった響はゆっくり振り返る。

 

ぎらつく赤い目に、理性は残っていなかった。

 

瞬間、3人と了子は理解する。

 

止めなければ自分達が死ぬと…

 

クリス「ちっ、おい一時休戦だ。あいつを止めるぞ。嫁にする女をこのままに出来るか」

 

未来「うん。響をこのままには出来ないよ。早く助けないと」

 

翼「私も手伝おう。立花の為にも、此処で止める」

 

それを見て舌打ちしながらそう提案するクリスに未来と翼も受け入れて3人は構える。

 

敵だとか味方だとかは今は関係ない。

 

そうしないと無理だと言うのを響から発せられているのだ。

 

デュランダルを手に、響は3人へと襲い掛かる。

 




了子「次回、『暴走する激槍』よ。ホント凄いわね;」


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第十一話~暴走する激槍~

暴走した響を止めるため、装者たちは共闘する。


前回、デュランダルを握った途端全身が黒くなった響

 

牙を剥く暴走した響に翼と未来は敵対しているクリスと一時共闘をして止めに入る。

 

唸る響を前にまずはクリスが飛び出す。

 

クリス「まずはこれだ!」

 

NIRVANA GEDON

 

そう言ってエネルギー球体を響へと投げ飛ばす。

 

響「ガァァァァァァ!!」

 

ズバッ!

 

向かって来たエネルギー球体を響はあっさりと両断するのにクリスはんな!?と驚いた直後に悪寒から慌てて身をねじる。

 

それにより、体があった所に来た鎖が斬られる。

 

すぐさまミューチェはそれは音を超高速で放った音のカッターだと理解する。

 

ミューチェ「(能力も普通に使ってるわね…)」

 

翼「小日向!場所を変えるぞ!ここで戦えば爆発の恐れがある!そっちも良いか!」

 

未来「はい!」

 

クリス「良いぜ」

 

それにミューチェが呻く中で翼はそう提案し、2人とも賛成して頷いた後に未来が了子を抱き抱えて飛び、クリスと翼は走って続いて、それを響が追いかける。

 

了子「ごめんなさいね~」

 

未来「いえ大丈夫です。それよりしっかり掴まっててください!」

 

謝る了子にそう返した後に響の放った斬撃を避ける。

 

クリス「このっ!」

 

バシュバシュ!

 

ブィンブィン

 

一旦振り返ったクリスはソロモンの杖を取り出すとノイズを何体か召喚して壁役にしようとする。

 

響「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオン!!!

 

クリス「クソッ!壁にもなりやしねぇ!」

 

だが、一振りでノイズを一掃されるのにクリスは舌打ちしてから飛んで来た攻撃を屈んで避ける。

 

しばらくして人気がなく、工場からも遠い所で翼とクリスの2人は止まり、未来は了子を安全な場所と判断出来るさらに遠くまで運びに行く。

 

響「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

クリス「あぶなっ!?」

 

翼「はあ!」

 

千ノ落涙

 

止まったクリスにデュランダルを振るう響にクリスは慌てて横に転がって避けた後に飛び上がった翼が空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させて響を攻撃する。

 

ズバッ!

 

翼「なっ!?」

 

だが、大量の剣は一振りで全て両断され、それに翼は目を見開いた後に巨大な青いエネルギー刃を放つも、それもあっさり両断されてしまう。

 

クリス「おいおい…色々とチート気味だろ…」

 

翼「癪だが、それには同感だな」

 

口元を歪めるクリスに翼も顔を顰めながらゆっくりと来る響を見る。

 

翼「はあ!」

 

千ノ落涙

 

クリス「もってけダブルだッ!」

 

NIRVANA GEDON×2

 

再び翼は大量の剣を放ち、クリスもエネルギー球体を投げてからもう1つ作って投げ飛ばす。

 

響「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ズバッ!

 

ドカーン!

 

だが、どの攻撃もあっけなく両断され、両断されたエネルギー球体は響の後ろで爆発する。

 

クリス「ホント強くなり過ぎだろ…」

 

翼「デュランダルの力とはいえ…このまま立花をほうっておけばやばいな…」

 

未来「大丈夫ですか!」

 

自分達よりはるかに上な強さに戦慄して呻くクリスと翼の所に、了子を運び終えた未来が戻って来て、2人の隣に降り立って加わる。

 

翼「小日向、私とお前の攻撃で動きを封じる。それからそっちのネフシュタンの鎧の鎖で拘束してくれ」

 

未来「分かりました」

 

クリス「良いぜ」

 

そう指示する翼に未来は頷き、クリスも同意した後にでは行くぞ!とそれぞれ構える。

 

翼「はあ!」

 

蒼ノ一閃

 

未来「ええい!」

 

閃光

 

クリス「おりゃあ!」

 

未来が光線、翼が斬撃を放った後に拘束しようとクリスは鎖を振るう。

 

響「アアアアアアアア!!」

 

ブンッ!

 

だが、3人のを響はデュランダルで薙ぎ払う。

 

そしてそのまま放たれた斬撃が3人を襲う。

 

ドカーーン!

 

翼「ぐっ!」

 

クリス「がっ!?」

 

未来「キャッ!?」

 

地面に当たった斬撃により起こりし爆風と衝撃で吹き飛んで倒れる3人

 

ミューチェ「(とんでもないエネルギーを感じる…!あれがデュランダルの特徴なのかしら)」

 

倒れた3人へと近づく響が握るデュランダルを見ながら、デュランダルの秘めたる力にミューチェは唸る。

 

クリス「ちぃ…ネフシュタンの状態でダメかよ…」

 

未来「大丈夫?えっと…」

 

呻くクリスに未来は話しかける。

 

名前をまだ聞いていないので戸惑う未来にクリスは雪音クリスだと教えながらなんとか起き上がる。

 

クリス「仕方ねえ、嫁が今の状態で人を殺すのを嫌いそうだし…あれを使うのを考えねえとな…」

 

未来「あれ?」

 

響「ガァアアアアアアアアア!!」

 

呻きながら言ったクリスのに未来は疑問を感じたがそれより前に響が襲い掛かろうとし…

 

未来「…響!」

 

響「!」

 

咄嗟であった。

 

これ以上止めて欲しい。

 

元の響に戻って欲しいと言う思いから未来は咄嗟に呼びかけた。

 

それが功を奏したのか。未来が呼びかけた瞬間、響は反応して動きが止まる。

 

翼「っ!今!」

 

その隙を逃さず、翼は響の後ろに回り込むと響の首に当身を食らわせる。

 

それを受けた響はガッ!?と目を見開いた後にガクリと膝から崩れ落ち、それと共にデュランダルが手から抜けると表面を覆っていた黒が崩れ落ち、本来の響に戻る。

 

クリス「(戻ったか…)流石にこの状況じゃあ無理だし、帰らせて貰うぜ!」

 

戻るのを見届けてそう言い残すとクリスはそのまま高く跳躍して姿を消す。

 

未来「響、響!」

 

そんなクリスを翼は追いかけはせずに見送る中で、未来は響に近寄って揺する。

 

そこに終わったのを確認して来たのか、了子が息を荒げながら走って来てすぐさま響を見る。

 

了子「大丈夫よ。見るからにデュランダルの力のもあって気を失ってるだけ、しばらくしたら目を覚ますわ」

 

未来「良かった…」

 

近寄って状態を確認した了子の言葉に未来はホッとして座り込む。

 

その後に響の近くに転がるデュランダルを見る。

 

翼「デュランダル…もしもあのまま暴走していたら私達はおろか立花も危なかったな…」

 

未来「はい…」

 

同じ様にデュランダルを見た翼の言葉に、未来は同意するとお前たち!!と必死な顔で走る弦十郎が来る。

 

了子「ちょっと弦十郎君遅いわよ」

 

弦十郎「すまない。少し足止めを食らった!」

 

未来「司令さん」

 

翼「まさかノイズがまだいたのですか?」

 

文句を言う了子に肩を上下させながら謝罪した弦十郎に翼が聞く。

 

弦十郎「いや、ロボットだった。見た事もないのでな…数が多かったから多少は手こずった」

 

未来「ロボット?」

 

ああ、良く出来た奴だったと弦十郎は翼のに答えてから未来へとそう返す。

 

弦十郎「とにかくこうなった以上、輸送作戦は無理だ。デュランダルをまた二課の地下で管理するしかないな」

 

未来「あ、あのそのデュランダルなんですけど……」

 

ミューチェ「(起動しちゃってるのよね…)」

 

状況からふうと息を吐く弦十郎は未来の言葉にデュランダルを見る。

 

弦十郎「起動…してるな…『司令!』おお、藤尭」

 

藤尭『おお、藤尭じゃないですよ!デュランダルが起動したから慌てて通信したのになんで出なかったんですか!?』

 

そこに藤尭から連絡が来て、出なかったと言う言葉に顔を顰める。

 

弦十郎「…どうやら限定的な通信妨害を受けていたみたいだな…」

 

未来「一体誰がそんなことを?」

 

分からないと未来のに返した後に弦十郎はただ…と空を見上げて言う。

 

弦十郎「俺の勘になるが…これは少女の裏にいる者とは別の誰かの仕業かもしれない」

 

翼「別の誰か?」

 

ミューチェ「(……まさか転生者?でもそれならエルが動いてると思うし……)」

 

弦十郎の言葉にミューチェはある可能性を考えるがすぐさまううむと唸る。

 

誰もが迎えのが来るまでの間に考えるが情報が足りないので判断が付かなかった。

 

しばらく経ってだが、弦十郎は自身を足止めした存在を知る事になるのだが、本当にしばらく先の未来であった。

 




弦十郎「次回、『しばしの落ち着き』だ」


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第十二話~しばしの落ち着き~

あの暴走から二日後、響達はクリスの過去を知る…


前回から2日経った。

 

響は今…翼と未来に土下座していた。

 

響「二人とも、申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁ!!」

 

未来「ひ、響頭あげて!?」

 

翼「そ、そうだぞ立花!そんなに必死にやらなくても;」

 

大きい声で謝る響に未来はそう言い、翼も慌てて続く。

 

目が覚めたと思った所で2人に気づくとすぐさま床に正座したと思ったら土下座をし始めたのだ。

 

響「でも私は暴走したあげく二人に攻撃をしちゃったし…」

 

覚えていたか…とミューチェは困った顔で響を見る。

 

ミューチェ「(どうしましょうかねこれ……)」

 

項垂れる響に翼は膝を付いて顔を合わせる。

 

翼「立花…間違いをしたのなら、そうならない様に心がけるべきではないか?」

 

響「え……」

 

そう言われて響は顔を上げる。

 

翼「私もまた、貴方に向かって間違いを犯した。そういう意味ではお互い様だ」

 

響「お互い様…ですが」

 

まだ言おうとした響の指に翼は指をあてる。

 

翼「だからここまでだ。気にするならば次ので挽回すれば良い」

 

未来「そうだよ響。それに、落ち込んでいるより元気でいる響に私も元気になるから」

 

響「未来…うんわかった!次頑張るよ私!」

 

2人の励ましに響は笑みを浮かばせて頷く。

 

それを遠目で見ていた弦十郎と奏は微笑ましく見ていた中で弦十郎が近づく。

 

弦十郎「ちょっとほんわかな雰囲気の中ですまないが、あのネフシュタンの少女…雪音クリスくんについて皆に教えておきたい事がある」

 

響「クリスちゃんのことで?」

 

真剣な顔で言った弦十郎のに3人は弦十郎へと顔を向ける。

 

弦十郎「ああ、まさか彼女とは本当に驚きを隠せない」

 

未来「司令はクリスちゃんのこと知っているんですか?」

 

ああ…と弦十郎は未来の問いに頷いた後に話す。

 

弦十郎「彼女は…シンフォギア奏者候補であったんだ。なぜ候補だったのか彼女の父は世界的ヴァイオリニストの雪音 雅律(ゆきね まさのり)、母は声楽家のソネット・M・ユキネで、クリスくんは音楽に関わる2人を両親に持つ音楽界のサラブレッドだったんだ」

 

響「音楽界のサラブレッド……クリスちゃんが?」

 

未来「見えなかった…よね?」

 

弦十郎から出て来た彼女の家族関係に響と未来は驚く。

 

と言うかミューチェや翼たちも同じだった。

 

ミューチェ「(驚いたわ…まさかクリスがあの二人の子供だったなんて)」

 

いや、ミューチェは別の意味で驚いていた。

 

と言うよりも、ミューチェは響と未来と会う前に2人の奏でる音楽が大好きであった。

 

弦十郎「ただ…8年前、NGO活動に参加する両親に連れられ、訪れていた南米バルベルデ共和国の紛争に巻き込まれ…クリスくんの両親は死亡した…」

 

響「えっ……」

 

未来「そんな……」

 

ミューチェ「(あの二人……死んじゃってたのね…)」

 

告げられた事に響と未来は顔を青くし、奏と翼は顔を歪める。

 

ミューチェは悲しい顔で2人に黙祷した。

 

弦十郎「その後、クリスくんは捕まり、捕虜生活を送った。しばらくして国連軍の介入により救出され、2年前に日本に帰国したのだが…すぐに行方不明となった」

 

響「そうだったんですか…」

 

未来「クリスも過酷な過去を持ってたんだね…ううん。私達よりも酷過ぎる…」

 

締め括った弦十郎のを聞いて響を顔を伏せて、未来は涙を流す。

 

ミューチェ「(これだから戦争って嫌なのよね…)」

 

ふうとミューチェは嫌悪感を持って頭を振る。

 

その中で響は気になった事があった。

 

響「あれ?2年前に帰国後行方不明って……コンサートのと同じ時期ですよね?後、シンフォギア奏者候補って事は翼さんや奏さんが持っているの以外にも聖遺物があったんですか?」

 

未来「あ、もしかしてそれってガングニールと一緒に来た…」

 

気になったので聞いた響のに未来もデュランダルの時にガングニールとデュランダル以外にもう1つあるのを聞いたのを思い出して呟く。

 

それに弦十郎はあー…と困った感じに目を泳がせる。

 

弦十郎「確かにあったはあったが…10年前に二課設立と前後して失われてしまってな…名前はイチイバル。狩猟神ウルと言う北欧神話に出る神様が扱っていた弓の聖遺物だ」

 

響「イチイバル……弓の聖遺物…」

 

未来「あ、もしかして……」

 

出て来た名を呟く響の隣で未来は響が暴走していた時にクリスが呟いたのを思い出す。

 

弦十郎「どうしたんだい未来くん?」

 

未来「実は響が暴走していたときクリスがあれを使うかって言っていたんです。もしかしたらそれって…」

 

その言葉に弦十郎は未来の言いたい事を察する。

 

弦十郎「なるほど…もしかするとイチイバルもあちらの手にあるかもしれないと言う事か…」

 

響「出し惜しみしてる感じなのかな?」

 

ミューチェ「(……ちょっとおかしくないかしらこれ?)」

 

そんな中でミューチェは疑問を持つ。

 

ミューチェ「(なんでこうも簡単に二課から聖遺物や装者候補が敵の手に渡っているの?これじゃあまるで……)」

 

二課にスパイがいるのではないかとミューチェは思わず考えてそれに当て嵌まりそうな人物を思い浮かべる。

 

ミューチェ「(……櫻井了子)」

 

彼女ならば監視カメラや記録などを弄って持ち出す事など容易い筈だ。

 

それに情報関連のを纏めてるのならば簡単に隠避出来る。

 

ミューチェ「(それに二人の身体検査の時異常なしって言ってたわね…)」

 

続けて今度は身体検査のでもしも異常があったのにそれを隠した可能性があるならば…と考える。

 

ミューチェ「(…まあ今はこれぐらいしかないわね)」

 

話すべきか考えて今は無理だと判断する。

 

実体のない自分が伝えるなど出来ないし、まだ弦十郎達より年下の響達から話しても弦十郎はともかく、他の人が信じられるかと言われると否に近い。

 

ミューチェ「(まだ情報不足だし、未来はともかく響が隠し切れそうにないから確信が出るまで保留かしら…)」

 

弦十郎「とにかく、彼女と遭遇したら彼女に聞くしかないだろうな…」

 

響「クリスちゃん…」

 

未来「とにかく、クリスと出会ったら聞いてみようか」

 

ミューチェが考えてる間にそう纏めた弦十郎のを聞きながらクリスの事を考える響に未来はそう言い…

 

未来「クリス、今どうしているんだろ…」

 

その後に天井を見上げて呟いた。

 

 

時が変わり、早朝と呼ぶにはまだ早いが、深夜と言うには無理がある時間帯。

 

白んだ空の下、湖畔に佇んだクリスはその手にソロモンの杖を持ちながら湖畔を見ていた。

 

クリス「…………」

 

脳裏を過ぎるのはデュランダルの起動した時の事…

 

クリス自身、ソロモンの杖を起動させるのに半年はかかった。

 

だが、デュランダルはその眠りから瞬く間に目覚めた。

 

クリス「(……三人の装者の歌でか…いや、違うな…)」

 

あの場にいたクリスは自身の過去の経験と勘から、起動に関わったので一番だったのは響と未来ではないかと考える。

 

確かに翼はベテランで歌も見事だとクリスは思うが、力と言う意味での強さはあの2人の方が強かったとクリスは思う。

 

翼の歌が人々の心を鼓舞するなら、響と未来の歌は安らぎを与えそうだと考える。

 

だからこそ、だからこそ自分は響に惹かれ、未来もついでに手にしたいと心から思ったのだとクリスは思った。

 

自身の成し遂げたい事の為に…一緒にいて欲しい存在が…

 

クリス「……でも……」

 

グッ!とソロモンの杖を握り締める力が強まる。

 

クリス「(あたしの成し遂げたいことをあの二人は止めようとするんだろうな……)」

 

脳裏に響と未来を思い浮かべた後に首を横に振る。

 

あの2人を自分のにするのは終わってからだと改めて決めると背後から感じた事のある気配にクリスは振り返る。

 

そこには黒いワンピースに幅広い帽子をかぶった女性、フィーネが佇んでいる。

 

そんなフィーネにクリスはソロモンの杖を投げ渡す。

 

クリス「返すぜ、ソロモンの杖。そんなのなくたってあたしはやれる。これもだ!」

 

そう言ってネフシュタンの鎧も展開した後に弾け飛ぶようにクリスの体から外される。

 

その後に…翼が持っていたのと同じのを取り出して次はこれで行くと言わんばかりに見せた後に見上げる。

 

フィーネ「成程、嫌っていたそれを使ってでもあなたは自分の目的を…戦う意思と力を持つ者を滅ぼすのをやり遂げる気になったのね…」

 

クリス「ああ……そのためにもあたしはあの二人を……ブッ飛ばす」

 

再確認する様に言うフィーネにクリスは顔を歪めながらそう返す。

 

それにフィーネはまだ若いわね…と内心呟く。

 

フィーネ「(まあ最後の活躍、見てみましょうかね)」

 

もう彼女を使うのは無理そうだと感じながらフィーネはクリスの背を見る。

 




クリス「次回!『ガングニールVSイチイバル』だ!待ってろよ」


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第十三話~ガングニールVSイチイバル~

響達の前に現れたクリス、彼女が纏ったのは赤いシンフォギアだった。


前回から翌日、響と未来はファナと共にリディアン近郊の商店街の一角にあるお好み焼き屋『ふらわー』に足を運んでいた。

 

翼との模擬戦をした後の時に訪れて、その美味さに響と未来は何もない時は来る様になったのだ。

 

響「ん~!やっぱりふらわーのお好み焼きは最高!」

 

ふらわー女店主「ふふ、そう言ってくれるとこっちも嬉しいわ」

 

ファナ「本当に美味しいっすねこのお好み焼きは!」

 

未来「もー、2人とも食べ過ぎだよ」

 

もぐもぐと食べる2人に未来は呆れる中でミューチェは良いな…と見ている。

 

ミューチェ「(憑依しているときしか私食べることできないのよねー)」

 

今したいけど、流石に邪魔するのは野暮なので今度響と未来のどちらかに体を貸して貰って食べに行こうかな…と考えていると…

 

???「お好み焼きを1つ」

 

ふらわー女店主「はぁい」

 

聞き覚えのある声に響達はそちらに顔を向け、ファナは驚いた顔で顔を向ける。

 

未来&響「く、クリス(ちゃん)!?」

 

ファナ「!?(な、なんでクリスさんがふらわーに!?)」

 

暖簾をくぐって入って来たクリスに誰もが驚く。

 

 

しばらくしてから出るといやぁー美味かったなとクリスが言う後ろで響と未来にファナは戸惑っていた。

 

ファナ「(おかしいっすね?なんでクリスさんが此処に来てるんっすか?確かにそろそろ襲撃してきそうだなと思ってたっすけど…)」

 

クリス「んでよ…腹ごしらえにちょいと運動しねえか響」

 

戸惑うファナを知らず、クリスはそう言う。

 

響「え、運動って…」

 

未来「それよりもクリス。私達貴女に聞きたいことが…」

 

クリス「わりぃが、終わった後、それも響が勝ったらにして貰おうか」

 

聞こうとした未来に有無も言わさないと言葉に示すクリスに響はファナに顔を向ける。

 

響「ファナちゃんごめん。先帰っててくれないかな?」

 

ファナ「あ、はい。お二人ともお気をつけてくださいっす」

 

すぐさま別れるファナを見送ってからクリスはこっちだと歩き、響達も付いて行く。

 

人気がない近隣の公園まで来て、クリスは振り返り、響と向き直る。

 

クリス「ここでなら暴れても大丈夫だな」

 

響「ねえ…本当に戦うしかないの?」

 

そう言ったクリスのに響はそう返す。

 

クリス「野暮なんだよ。あんたとあたしは敵同士…今はそれだけだ」

 

響「クリスちゃん……」

 

行くぞ!とクリスの言葉に響はシンフォギアを纏う為に紡ぐ。

 

響「「~~~♪gungnir♪~~~~♪」

 

クリス「~~~♪Ichaival♪~~~♪」

 

未来「!今のって…聖詠!」

 

ミューチェ「(やっぱり持っていたのね…イチイバルを)」

 

未来が驚く中で同時に光に包まれた2人はシンフォギアを纏って対峙する。

 

頭に黒と赤の交互に彩られたのを装着し、その身を紅緋色のアーマーで包んだ姿となる。

 

クリス「歌が大嫌いだが…嫁だけに特別だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

BILLION MAIDEN

 

CUT IN CUT OUT

 

そう言って歌を紡ぐと共に…手甲が変形し、ガトリングとなった後に腰のアーマーも展開され、ガトリングが火を噴くと共に展開した腰のアーマーから小型のミサイルが数発発射される。

 

響「うぇぇぇぇぇ!?」

 

ミューチェ「(ちょっ!?なんでガトリングにミサイル!?イチイバルって弓の聖遺物じゃなかった!?)」

 

それに響は目を見開いて慌てて未来から離れて逃げる中でミューチェは弦十郎から聞いたのとは違うのに驚きを隠せなかった。

 

クリス「どうした嫁!あたしの歌を聞きやがれ!!」

 

響「うわわわっ!?」

 

必死にガトリングの弾幕とミサイルの爆風から逃げる響はどうしようと考える。

 

響「(そうだ!クリスちゃんに近づけば…!)」

 

そうと決まれば!と響は向かおうとし…ミサイルにギョッとした後に慌てて避けた後に爆風ので地面を転がってから慌てて走る。

 

響「(ち、近づけない!?)」

 

濃い弾幕とミサイルにクリスに近づけない響はさらに必死に考える。

 

例えば未来ならばどうするかなどを考え…

 

響「(……いや違う。私のやれる方法でクリスちゃんに近づかないと!)」

 

距離が長い?ならば素早く接近して短くすれば良い。

 

弾幕が濃い?ならば薄い場所を速く走れば良い。

 

ミサイルが追って来る?ならば追いつかれなければ良い。

 

自分を見てるならば自分なりのでクリスにぶつける。

 

響はすぐさま行きつくと共に急転換してクリスへと向けて走る。

 

クリス「(あいつ、あたしに近づくつもりだな。そうはさせるかよっ!!)」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 

ズダダダダダダダダダダダダダダッ!!

 

それに対してクリスは来させない様にさらに弾幕を激しくするが少しの傷がなんだ!と響は走る。

 

当たりそうなのは体を少し逸らして避け、掠るのはそのまま掠らせる。

 

そのままクリスとの距離を縮めて行く。

 

響「(最短で!最速で!まっすぐに!)」

 

突っ込みながら右腕の手甲を引き金を引く様に展開し…

 

クリス「!」

 

響「一直線にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 

右腕をクリスのお腹に叩き込む。

 

それと共に展開した装甲が元に戻ると共に凄い衝撃をクリスに叩き込む。

 

クリス「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」

 

撃ち込まれた衝撃で吹っ飛んだクリスは木にぶつかってかはっ!?と肺の空気を吐き出したと共に地面に倒れ、呻いた後に意識を失った様だ。

 

それを見届けた後にはひぃ…と響は尻もちを付く。

 

そこに万が一を考えてシンフォギアを纏った未来が駆け寄る。

 

未来「響、大丈夫!?」

 

響「うん……大丈夫だよ未来」

 

笑った後にいつつと今更だが掠った所の痛みが来る。

 

無茶したかいあったかな…と思っていると意識を失っていたと思っていたクリスが起き上がる。

 

呻いて頭を振った後に響を見て笑う。

 

クリス「まさかあの弾幕を突っ切ってくるとはな……流石だな響」

 

響「クリスちゃん……」

 

よろけながらもしっかりと2人をみつえながらクリスは手に持った銃を構える。

 

クリス「だけどな……あたしはまだ諦めるわけにはいかねぇんだよ」

 

未来「クリス、貴女は一体何をしようとしているの?」

 

ミューチェ「(そう言えば…アームドギアは人の心象を元にだったかしら…もしかして…!?)」

 

息を荒げながら言うクリスに未来は問いかける中でミューチェは弦十郎の説明の中で聞いたのとクリスに起きた事を思い出す。

 

ミューチェ「(確か彼女は戦争で両親を失い、8年間捕虜として扱われていた。もしそれで彼女が戦争と言うものを強く憎んでいたとしたら…イチイバルのアームドギアが弓じゃないのも頷ける!)」

 

単純な事になるが弓と銃はどちらとも簡単な共通点で言えば遠距離で射撃が出来る事

 

クリスが戦争を憎んでいる気持ちが強いなら忌み嫌う銃やミサイルなどを使えるのにも納得がいく。

 

ミューチェ「(ってことはあの子の目的は……!)」

 

響「どうして、ボロボロになってまで戦おうとするの!?」

 

クリス「あたしは……あたしの様な奴を増やしたくないんだよ…」

 

動きを止めようと組み付きながら問う響にクリスは力を込めながら振りほどこうとする。

 

響「クリスちゃん…」

 

クリス「だからあたしはこの力で戦う意思と力を持つ奴をぶっ潰してやる!その邪魔をするならお前らでも容赦しない!」

 

ググッ!とクリスは響を押し返そうとする。

 

響も聞いていたからこそクリスの思いは確かに分かる。

 

分かるからこそ…させたくなかった。

 

響「駄目だよクリスちゃん。そんな方法じゃ争いはなくならないよ」

 

ミューチェ「(確かに、ただ力をぶつけるだけじゃあ争いは無くならない…いえ、逆に加速させる可能性もある…)」

 

ただ武力だけでぶっ潰すなど誰でも出来る。

 

だが、それだけではまた争いが起こりうる。

 

響「……それにそんなことしたらクリスちゃん、一人になっちゃうよ?」

 

クリス「っ!」

 

悲しそうに言う響にクリスは言おうとして言えずに迷う様子に響は未来にごめんと謝罪しながら…クリスの口を自身の口で塞ぐ。

 

クリス「!?」

 

響「ぷは!!」

 

ミューチェ「ひ、響…?」

 

目を見開くクリスと横からのオーラに怯えるミューチェを知らずに響は言う。

 

響「私を嫁って言うならさ…消えちゃいそうな事をしないで…1人にならないでよ…」

 

クリス「っ…あたしは…」

 

涙を流してそう言った響にクリスは言おうとして…

 

???『言われたことも出来ないなんて、私をどこまで失望させれば気がすむのかしら?』

 

突如声が響き渡る。

 

それに響やオーラを発していた未来に丁度駆け付けた翼が驚く中でミューチェはどこから声がするのが探すがまるで全方位から発された様につかめない。

 

ミューチェ「(今の声って…)」

 

クリス「ふぃ、フィーネ!待ってくれあたしはまだ…!」

 

戦えると言おうとしたが声、フィーネは有無を言わさない声で…

 

フィーネ『あなた、もういらないわ』

 

そう言い捨てる。

 

翼「!上だ!」

 

その後に翼が上を見て叫び、響と未来も見あげると飛行型ノイズが飛んで来て響が抱き締めているクリスへと迫る。

 

翼「小日向!」

 

未来「はい!」

 

すぐさま翼と未来は反応し、未来が混沌で撃ち貫き、避けたのを翼が切り裂いて行く。

 

その直後に響のクリスちゃん!と言う声に2人は見ると響を振り解いてその場を去るクリスの姿があった。

 

響「クリスちゃん!待って!」

 

ミューチェ「(これは…響を巻き込みたくない感じかしらね…)」

 

ご丁重に銃弾による土煙でどこに行ったかを分からせない様にしているのでしばらく先かしら…とミューチェは唸る。

 

未来「響、クリスは!?」

 

響「ごめん、追おうとしたけど…」

 

首を横に振る響にそう…と未来は呟いた後に響の肩をガシッと掴んでハイライトのない目になる。

 

未来「ところで、なんで説得のでキスなのかな?かな?」

 

響「み、未来?;」

 

オーラを発して問う未来に響は冷や汗を流す。

 

後ろでは翼は涙目でブルブル震え、ミューチェはおおう…と顔が引きつってる。

 

未来「クリスにもしたのなら…してくれるよね?」

 

響「え、あ、うん」

 

顔を近づかせて聞く未来に響は頷くしかなかった。

 

そんな訳で二課が来るまで響は未来の機嫌が治るまでキスをしまくるのであった。




ファナ「次回!『傷ついたクリス』によろしくっす!」


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第十四話~傷ついたクリス~

イチイバルの少女は知る。自分がやろうとした行動の後に何があるかを…


ファナは唸っていた。

 

原因は前回のクリス来訪のである。

 

ファナ「(まさかクリスさんがふらわーに来るなんて思わなかったっす)」

 

自分の記憶的にもしも進んでいるのなら予想出来るが、現実だからこう違う事が起きると別のになってるかもと不安になる。

 

ファナ「(……なんだか嫌な予感がするっすね…)」

 

んーと唸っているとふと、路地裏を見る。

 

見たかはただの偶然だが、前世の記憶もあって気になってしまう。

 

何気に見てみると…そこに倒れていたの人物に驚く。

 

ファナ「(あれって……クリスさん!)」

 

それに驚いた後にさらにノイズが襲い掛かろうとするのにやばいと感じるが間に合わない…と思われた時…ノイズは光に包まれて消滅する。

 

一体何が…と思っていると…

 

エル「危機一髪ね」

 

ファナ「義母さん!」

 

買い物袋を片手にもう片方の手を付き出しながらファナの後ろにいたエルにファナは驚く中でエルは傍にいた玉藻に買い物袋を預けて、クリスを背負う。

 

エル「大丈夫?ファナちゃん」

 

ファナ「は、はいっす。お2人は何で?」

 

玉藻「買い物に来ていたら入って行くあなたを見かけたので…んでまぁ、いやはや、我々も関わる事になるみたいですね」

 

肩を竦めてクリスを見て言う玉藻のにファナはエルを見る。

 

エル「流石にほっておけないし、こっちで預かるから気になるなら時たまくれば良いわよ」

 

ファナ「は、はいっす!」

 

まぁ、今日はお泊りで良いんじゃないかしらと言いながらリディアンにそれを伝える為か玉藻がスマホを取り出して電話をかけている。

 

ファナ「(クリスさん、傷だらけっすね……)」

 

エルに背負われたクリスの服から出てる肌部分の傷を見てファナは見てなんとも言えない顔になる。

 

クリス「……ひび…き…」

 

ファナ「(クリスさん、響さんのを見てるんっすか?)」

 

偶然漏れた呟きにファナは撫でてあげるのであった。

 

 

しばらくして2人が住んでるマンションに到着し、クリスは治療を受けた後に布団に寝かされた。

 

エル「取り敢えず命に別状はないわ」

 

ファナ「よかったっす…」

 

寝ているクリスを見てそう言うエルにファナは安堵する。

 

ファナ「原作なら未来さんが助けていたっすけど」

 

エル「まぁ、現実なんだし、違う所は出ちゃうのはしょうがないと思うわよ」

 

ふとそう呟くファナにエルはそう言う。

 

玉藻「そうそう。知識とは時には考えるのを邪魔する物になったりしますから、一度は省いて考えませんといけませんよ」

 

ファナ「そうっすね……ありがとうございますっす!」

 

同じ様にそう注意する玉藻にファナも痛感してお礼を言う。

 

するとクリスが呻き声をあげる。

 

クリス「うっ、あたしは…」

 

ファナ「あ、目が覚めたっす!」

 

目を開けて周りを見るクリスに大丈夫っすか?とファナは話しかける。

 

ファナを見てクリスはああ…と思い出した様に頷く。

 

クリス「お前、響達と一緒に居た…」

 

ファナ「ファナっす。倒れていた所を見つけたんっす。そちらの名前は?」

 

一応まだ聞いていないので聞くファナにクリスは雪音クリスだと答える。

 

ファナ「クリスさんっすか。お身体の方は大丈夫っすか?」

 

クリス「あ、ああ、さっきまでの傷が嘘の様に痛くねえ」

 

聞かれた事にそう返したクリスに何かしていたエルが言う。

 

エル「それは良かったわ。さあこれどうぞ」

 

ファナ「お腹減ってると思ったので作って貰ったっす」

 

そう言って指し出したのは食べやすい雑炊であった。

 

差し出されたのを受け取りながらクリスはエル達に警戒しながらもお腹が鳴ったので料理を見た後に1口食べる。

 

クリス「うめぇ…」

 

それにクリスはそう呟いた後に黙々と食べ始める。

 

食べている内に…その瞳から涙が流れる。

 

ファナ「く、クリスさん…?」

 

クリス「……っ」

 

それに戸惑うファナの後にエルはあちゃあ…と今更気づく。

 

エル「(そう言えばこの子…親が死んでから親からの料理と言うのを全然食べてなかったもんね…)あー、話せるならなんで倒れていたか教えてくれると嬉しいんだけど…」

 

クリス「………信じてた奴に捨てられた」

 

ファナ「(やっぱり…)」

 

その言葉にファナ達はあーとなる。

 

それを感づかれない様にエルが話しかける。

 

エル「…ねえもし良かったらしばらく此処に居たらどう?」

 

クリス「何?」

 

驚くクリスにエルは続ける。

 

エル「家がないんでしょ?だったらここに身を置いても良いんじゃない?体は良いけど心のリフレッシュも兼ねてね」

 

ファナ「そうっす!ここでしばらく暮らした方が良いっすよ!」

 

そう言われてクリスは悩む素振りを見せる。

 

仕方がないか…とそれにエルは頬を掻く。

 

彼女自身、過去のせいで大人を嫌っていて、しかもフィーネに捨てられたのもあって警戒されてしまうのは仕方ないだろう。

 

クリス「……少し考えさせてくれ」

 

ファナ「そうっすか…」

 

玉藻「まぁ、体を休める的な意味でもいときなさいな」

 

そう返したクリスのにファナは仕方ないっすと思う中で玉藻はそう言う。

 

クリス「ああ、そうさせてもらうぜ」

 

頷いた後にんで…とクリスは自身の着ているのに目を向ける。

 

治療した際に脱がされた様で今身を包んでるのはネグリジェであった。

 

クリス「この服は……」

 

エル「ああ、丁度パジャマ的なの私はそう言うのしか買わないから、ファナのは…胸が合わなかった」

 

ファナ「ホントデカいっすよねクリスさん」

 

理由を言うエルの後に羨ましそうにネグリジェから見えるクリスの豊満な胸を見て言うファナのにじ、じろじろと見るなとクリスは顔を赤くする。

 

クリス「そ、それよりお前、あの二人の知り合いなんだよな」

 

ファナ「え、あ、そうっす!響さんと未来さんとは知り合いっす」

 

話題転換かそう聞くクリスにファナは頷く。

 

エル「そう言えば貴女、あの二人と戦ったそうね」

 

クリス「んな!?な、なんで!?」

 

目を見開いて驚くクリスにエルはまぁ、ちょっとした独自の情報網をね…とぼかす。

 

ファナ「 (……もしかして遠見の鏡使ったっすね義母さん)」

 

その中で様子が見れそうなのを思い浮かべたファナはハラハラする。

 

エル「確か貴女、響にご執心の様ね」

 

クリス「…あ、ああ」

 

改めて指摘されると恥ずかしいのか頬を赤らめるクリスにファナはあ、可愛いっすと思った。

 

玉藻「それなのになぜ戦ったりしたんですか?彼女はあなたの事を…」

 

クリス「そうだけど…そうだけどよ…」

 

続けての玉藻のに顔を歪めてクリスは黙る。

 

それにファナはエルの服をつまんで何で玉藻がああ聞いたのか聞く。

 

ファナ「(義母さん、なんで玉藻さんはクリスさんにあんなことを?)」

 

エル「(まぁ、彼女が道を踏み間違えない様にかしらね)」

 

踏み間違えない様にと言うエルの言葉にファナは玉藻とクリスを見る。

 

玉藻「…何か悩んでいますね貴女」

 

クリス「……………」

 

無言なクリスに玉藻は続ける。

 

玉藻「よかったら話してみてくれませんか?」

 

クリス「……あんたらに話して何になるんだよ」

 

そう頼む玉藻にクリスはそっけなく返す。

 

玉藻「多少気が楽になるかもしれませんよ?溜め込むのは毒ですし」

 

ファナ「そうっすよ。それに…力になりたいっす」

 

その言葉にクリスは無言だったが口を開く。

 

クリス「……あたしはぶっ潰したいんだ。戦争の火種を、戦う力と意思を持った奴らを。あたしから色んなものを失くさせた奴らを…」

 

出て来た事にやっぱりとファナは自分の知るのと変わらない事に内心唸る。

 

エル「でもそれは……」

 

クリス「ああ、そうだ。この方法は響達が絶対に受け入れない方法だ。それでもあたしは…」

 

うーんとエルはクリスの言葉に唸る。

 

確かに彼女の言いたい事は長年生きたエルには一応分かる所は分かるが…

 

それでも指摘しておかないといけない所はある。

 

エル「確かに無くしたいって気持ちは分かるわ…だけどさ、同じ武力を使って争いは無くせると思う?」

 

クリス「っ!」

 

ファナ「(そうっすよね……。その方法では新たな争いを生むっすから状況によるっすけど無理とも言えるっす)」

 

指摘に顔を歪めるクリスにファナも様々なアニメを見ていたのもあってエルの指摘に同意である。

 

エル「それに貴女、そんなことしていたら、あなたはあなた自身を見失うわよ」

 

クリス「は…?」

 

ファナ「見失うっすか?」

 

そうとエルは頷いてから言う。

 

エル「ぶっ潰すと言うけどどこまでやれば無くなるとか考えた事ある?国を失くせば?ある人がいなくなれば?そう言うのが分かってなきゃあ悪循環になるじゃない」

 

ファナ「あ…」

 

言われて見ればそうだ。

 

ぶっ潰すと言うが、どうすれば良いかなど分かってなければクリスのは絵に描いた餅や机上の空論に当て嵌まる。

 

改めて指摘されたクリスも顔を青くする。

 

クリス「そ、それは…」

 

ファナ「た、確かに見失う可能性高いっす」

 

言葉が詰まるクリスの隣でファナがそう言う。

 

エル「まぁ、そう言う訳だからいる間だけでも良いから自分が何をしたいのか見つめ直しなさいな」

 

ファナ「(クリスさん……大丈夫っすかな…)」

 

話は終わりと言うエルの後にファナはクリスを心配する。

 

クリス「(何をどこまでやれば……そんなこと考えたことなかった)」

 

布団に寝転がり、クリスはエルの言葉を噛み締めていた。

 

見えていなかった…そう言われても仕方がない事実にクリスは天井へ…その先の空へと手を伸ばす。

 

クリス「(……あたしは一体どうすればいいんだろうな)」

 

フィーネに捨てられ、自身の信念達成不可能の事実…その後にクリスは大嫌いな両親を思い出す。

 

歌で世界を救うと言った自身の両親を…

 

クリス「(……っ!あいつらのを思い出して何になるんだよ!あいつ等はとんだ夢想家で臆病者…)」

 

そう考えるが頭から離れないのにクリスは頭を抱える。

 

そんなクリスにエルが思い出した様に言う。

 

エル「あ、そうそう。雪音って事はあなたの両親ってもしかして雅律とソネット・M・ユキネさんよね?大体の事情を知ってるけど、あなたはまだ子供だから分からないだろうけど…大人は夢を叶えようと頑張るから、どんな状況だろうと頑張れる人達がいるのよ」

 

クリス「っ……だとしてもそれで死んだら意味ねぇだろうが!あいつ等はなんであんな地獄に踏み込んだ!なんであたしを連れて行ったんだよ!何を見せたかったんだよ!」

 

その言葉を切っ掛けにクリスは感情を爆発させて叫び、エルを見る。

 

なぜ自身の親の事を知ってるか分からないが、それでも先ほどまで親の事を考えていたクリスにとっては聞き逃せなかったのだ。

 

ファナ自身もエルが語り出したのにハラハラしながら見る。

 

エル「………私の推測だけど、あなたに見せたかったんじゃないかしら?夢は叶うんだっていうのを…子供が自由に夢を見れる様に自分達が小さい頃に夢にしていた事を…だから自ら戦争と言う名の地獄に踏み込んだ」

 

クリス「大人がそんな子供の絵に描かれた様な夢を持って良い訳!」

 

玉藻「違いますわクリス。大人だからこそ夢を見るのです。特に良い大人程、夢を見る意味が、大きくなりますわ」

 

そう言ったエルのに叫ぼうとしたクリスを遮って玉藻はウィンクしてそう言う。

 

大人だからこそ夢を見る…その言葉にクリスはなんだよそれ…と思わず笑う。

 

クリス「大人になったから夢を叶えようとしたのかよ…」

 

玉藻「ええ、大人になれば子供の時に付けられなかった力も得られますし、ちょっと汚い感じにも聞こえますが財布の中も増えますから、子供の時に描いていた夢を叶えられるチャンスが増えて…夢を見る意味が、大きくなりますわ」

 

静かに、玉藻が言ったのをクリスやファナは思う。

 

クリス「(だから父さん達はその夢を叶えるために……怖さもあったのに踏み込んだ…)」

 

ファナ「(……なんか弦十郎さんとのシーン見てるみたいっす)」

 

グッと握り締めるクリスを見た後にファナは自身の前世の記憶からそう思った。

 

そんなファナの頭にエルの声が響く。

 

エル「(ま、私達もその人と同じ考えって事よ)」

 

ファナ「(母さん、脳内に直接に!?)」

 

女神だからこう言うのも簡単よとウィンクする。

 

エル「(折角転生しちゃったんだし、あなたも自分の夢を作ってエンジョイしなさいな)」

 

ファナ「(ファナの夢っすか……)」

 

そう言われてファナはそう言えばそう言うのを考えてなかったなと思う。

 

ファナ「(私は一体どんな夢を持てば良いっすかね……)」

 

改めて言われた事でうーんうーんと悩むファナにエルはくすりと笑う。

 

クリス「…………」

 

クリスもまた考えていた。

 

エルや玉藻から聞いて改めて今後の事を…

 

クリス「(あたしは…あいつ等に見栄を張って置いてそれが不可能なんて…笑えねえな…どうすればいいんだろうな…)」

 

イチイバルを見てからクリスは響を思い浮かべる。

 

クリス「(あいつ…今どうしているんだろうな)」

 

自身の思い人を思い浮かべながらクリスはひとまず寝る事にした。

 

部屋を出たエルは響達の様子を見て、起こってる状況にえーとなる。

 

映っているのは…自分がいる世界ではなく、別の無人世界でぶつかり合う響と未来であった。

 

エル「なにこれ?なんでバトルしてるのこの二人」

 

それに思わずエルは呟くしかなかった。




エル「次回!『まさかの喧嘩!?響と未来』よ。マジでそうなるのよ…」


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第十五話~まさかの喧嘩!?響と未来~

2人の音の始祖はぶつかり合う。

己の意思を見せ合う為に


とある何もない荒れ地…

 

そこで響と未来は対峙していた。

 

何時もの中が良い雰囲気はなく、ただお互いに真剣な顔で佇んでいる。

 

それをミューチェは複雑な顔で見ていた。

 

ミューチェ「(……なんでこうなったのかしら…)」

 

 

話は30分前に戻る。

 

部屋で待機する様に言われた響ははーとため息を付いていた。

 

未来「どうしたの響?さっきからため息ばっかりついて」

 

響「……ねえ未来。私って間違っているのかな?」

 

心配して声をかけた未来は響から出て来た言葉にえ?となる。

 

響「私、自分がやっていることがクリスちゃんを助けるどころか苦しめているじゃないかなって思うの…」

 

未来「響、それは…」

 

その言葉に未来は違う!と言おうとしたがその後のどう励ますかで言葉が詰まる中で響は続ける。

 

響「だから私がやっているのって…結局人を苦しめる事しかできないのかな?」

 

未来「…うぅん。そんなことないよ響」

 

弱弱しい響のに未来は否定する。

 

未来「響のやっていることは間違ってない。人をちゃんと助けていると私は思うよ」

 

響「未来…」

 

そう言う未来に響は顔を上げるが再び顔を伏せる。

 

響「…でもそれが本当なのか未来にだってわからないでしょ…」

 

未来「……え?」

 

ミューチェ「(あら?)」

 

まさかの言葉に未来は驚き、ミューチェもその反応に戸惑う。

 

響「私のやっていることが本当に正しいのかどうかなんて…誰にもわからないよ…」

 

未来「響……いいよ。分かった。そんなこと言うなら私が力ずくで教えてあげる!」

 

響「え…?」

 

出て来た言葉に未来はそう言って響を掴むと集中し…部屋から消えた。

 

ガチャ

 

奏「二人とも、ちょっといい……!?」

 

そこに奏が来るが2人がいない事に驚く。

 

入って周りを見るが姿がないのに戸惑う。

 

奏「ど、何処に行ったんだ!?」

 

 

ないもない無人世界、そこに響と未来、ミューチェは現れる。

 

未来「ふぅ、初めてだけどちゃんと移動できた」

 

響「み、未来…ここで何を?」

 

聞く響だが未来は聖唱を歌い、シンフォギアを纏う。

 

未来「戦おう、響。私が勝ったらその間違ってるって考えをもうしないで」

 

響「未来……分かった。始めよう…初めての大げんか!」

 

そう言って響も歌い、シンフォギアを纏った後に響の拳と未来の扇子がぶつかり合う。

 

未来「はあっ!」

 

閃光

 

響「たあっ!」

 

ズドドドドドドドドォン!

 

閃光を放つ未来に響は避けた後にラッシュを仕掛けるが音の壁で防がれる。

 

未来「そこっ!」

 

響「っ!」

 

すかさず背中に備わった鞭で響を攻撃、響は咄嗟にガードしながら下がる。

 

響「やるね未来。でもこれならどう!」

 

そう言って右腕の手甲の上部分を後ろに撃鉄を起こす様に引くと未来に向けて突進し…

 

我流・撃槍衝打

 

叩き込むと後ろに引かれていた手甲の上部分が戻ると共に強い衝撃を未来へと炸裂させる。

 

未来「!」

 

それに未来は吹っ飛んだ後に扇を地面に差し込んで強引に態勢を立て直す。

 

未来「うっ…」

 

響「はぁあああ!」

 

未来「っ!」

 

ガコン!

 

続けざまに今度は足のを展開してから飛び上がり…

 

我流・撃槍衝脚

 

急降下キックを与えると共に…

 

ズドォオン!

 

先ほどのと同じ様に衝撃を叩き込む。

 

未来「っああ!」

 

響「まだまだ行くよ!」

 

そう言って響は追撃しようとする。

 

未来「っ、調子に乗らないで!」

 

それに未来は飛び上がった後に足のアーマーを円状に展開した後に鏡が複数出現し…

 

煉獄

 

放たれた鏡から連続で光線が放たれる。

 

響「うわわわ!?」

 

ミューチェ「(…それにしてもおかしなことになったわね)」

 

それに響が必死で避けてる中でミューチェは違和感を覚える。

 

戦う2人を見ながらミューチェは違和感はなんだと考える。

 

ミューチェ「(そもそもなんで響、さっきの未来の言葉を信じなかったのかしら?)」

 

いつもの響ならば未来の言葉を信じるのに、それが不自然だった。

 

ミューチェ「(…まさかだと思うけど、あいつらが介入してたりして…)」

 

もしそうだとするならぬかった!とミューチェは顔を歪める。

 

ミューチェ「(こういうのをあいつらは好き好んでるのをすっかり忘れてたわ)」

 

止めたいが今の自分では力不足だ。

 

2人が自力で気づかないといけない。

 

ミューチェ「(早く気づけば良いんだけど……どっちかが死ぬ前に)」

 

そう必死に願う。

 

戦う中で響もまた違和感を感じていた。

 

響「(……あれ?なんで私、未来と喧嘩してるんだろう?)」

 

どうしてそうなったか響は避けながら考える。

 

響「(確か私が未来の言葉を信じなかったから……あれ?なんで信じなかったの私?あれ?あれ?あれ?)」

 

そのまま違和感が響の中で強まる。

 

いつも未来の言葉を信じられるのになぜか今回だけは信じられなかった。

 

いつだって未来は自分を助けてくれて支えてくれてるのに…

 

響「(なんで私、信じなかったの?なんで?どうして?)」

 

そのまま疑問が膨れ上がった後…響は未来の扇子による攻撃を受け止める。

 

響「っ……!」

 

未来「響?」

 

顔を少し顰める響に未来は首を傾げる。

 

響「なんで…私…信じなかったの…どうして…?」

 

未来「………響…え、あれ…」

 

涙を流す響に未来は扇子から手を放す。

 

それにより扇子は地面に落ち、響は膝を付く。

 

響「なんで……未来と喧嘩してるんだろう私。未来は悩んでる私を助けてくれようとしたのになんで…」

 

未来「響…」

 

ミューチェ「(どうやら気づいたようね。全く、一人で悩みすぎなのよ)」

 

全く…とぼやいた後に…ミューチェは2人に近寄る。

 

ミューチェ「未来、貴女ならどうすればいいか分かるでしょ」

 

そう言われ、未来は少し考えてはいと答えてから響に顔を向ける。

 

未来「響」

 

響「未来…私は未来の言葉を信じられなかった…ごめん…自分でもどうして信じられなかった分からなかったけど…未来の言葉に助けられていたのに…本当にごめん」

 

頭を下げる響に未来は肩に手を置く。

 

未来「響、こういう事は誰にだってあるよ。次、また気をつければ大丈夫。その時は私がまた助けてあげるから」

 

響「未来…」

 

未来「それにね。響は一人で頑張ろうとしてるけど、私や翼さん達もいるんだよ。色んな人を頼った人助けをしても良いんだよ」

 

ね?と言う未来に響はうん…と頷く。

 

ミューチェ「全く、喧嘩するなんて思わなかったわよ」

 

参った参ったと頭を掻くミューチェに2人はあっ…と申し訳ない顔をする。

 

響「ミューチェさん、すみません」

 

未来「私達の喧嘩に付き合わせてしまって」

 

謝罪する2人にミューチェも大丈夫と言う。

 

ミューチェ「別に良いわよ。まぁもしこの喧嘩でどちらかが死んでたら二人とも死んでたわよ?」

 

ひびみく「へ?」

 

出て来た言葉に2人は一瞬呆気に取られたがすぐさまミューチェに詰め寄る。

 

響「ちょ、ちょっと待ってくださいミューチェさん!?」

 

未来「どちらかが死んだら二人とも死ぬってどういうことですか!?」

 

ミューチェ「ああ、そう言えば言ってなかったたわね。始祖は普通なら死んでもすぐ復活するけど始祖での攻撃で死んだらそうではないの。始まりの世界でながーい間魂だけの状態になるのよ」

 

説明された事に顔を青くする。

 

未来「そ、そうだったんだ…」

 

響「あれ?じゃあなんで二人とも死ぬんですか?」

 

よ、良かった…と心底安堵する未来の後に響が気づいた部分について聞く。

 

ミューチェ「それは貴女達が二人で一人の始祖だからよ。片方が死んだらもう片方も一緒に死ぬ仕組みになってるの」

 

答えられた事に響と未来は顔を見合わせる。

 

ミューチェ「ようするに貴女達はあやうく自殺するところだったのよね」

 

響&未来「色々と危なかった!?」

 

お互いに抱き締め合いながら怯える響と未来にホントにね…とミューチェはため息を吐く。

 

ミューチェ「全く、こんなことはこれぐらいにしてね。じゃないと本当に危ないんだから」

 

未来「は、はい!」

 

響「気を付けます!」

 

注意するミューチェに2人は頷く。

 

宜しいとミューチェは頷いた後に言う。

 

ミューチェ「んじゃ戻りましょうか。今頃大騒ぎになってると思うから」

 

響&未来「あ…」

 

そう言われて2人は顔を青くする。

 

確かに時間的にも騒がれててもおかしくない。

 

響「は、早く戻らないと!」

 

未来「そ、そうだね!」

 

慌てて未来と響は手を繋ぎ、ミューチェも掴まった後に部屋をイメージし…

 

奏「……………は?」

 

呆然としている奏が目に入った。

 

その瞬間、時が止まり…

 

響&未来「(あ、これ終わった…)」

 

ミューチェ「(バレたわねこれは…)」

 

それに響と未来は冷や汗を流し、ミューチェはどうしましょうかしら…と思っていると奏はあー…と目を泳がせる。

 

奏「なんと言うか…会った時から普通じゃないなと思ってたけど…いきなり現れるって転移も出来るって…お前等変わってるな…ああ、安心しろ。旦那たちにはまだ伝えてないと言うか伝える前に帰って来たからまだ無断で外出したのは言ってない」

 

響「奏さん…」

 

未来「ありがとうございます!」

 

その後に頭をガシガシ掻いて言う奏のに2人の秘密は言わないと言う意味を込めてるのに2人は頭を下げる。

 

奏「まぁ、それはそれとして…あたしには教えてくれないか?どうしてそう言うのが出来るのかとかそこんとこな」

 

未来「えっとそれは…」

 

響「どうしましょうか。ミューチェさん」

 

ミューチェ「…しょうがないわね」

 

困った顔で2人はミューチェに助けを求める。

 

ふうとため息を吐いた後にミューチェは響に憑依し、ファナの時と同じ説明をする。

 

それには奏は凄く目を輝かせて興奮する。

 

奏「音楽の始祖…!そんなに凄い存在だったんだな二人は!」

 

未来「凄い存在なんてそんな…」

 

響「私達はミューチェさんに力を貰っただけで」

 

謙遜するなと笑った後に奏は沈痛な顔をする。

 

説明の途中でどうやって2人が手に入れたかも聞いたからだ。

 

奏「しかし、まさか誘拐のでそうなってたとはな…そりゃあ翼の言葉にああなるのは仕方ないか」

 

響「ええ、まあ…」

 

未来「あのときは本当にすみません…」

 

頭を下げる2人によしてくれと奏は手を振る。

 

奏「その前に翼が心もない事を言ったんだからお互い様だ。それよりも色々と話してくれよ。リディアンに入学するまでの響達のを事をさ」

 

響「はい!」

 

未来「わかりました。それじゃあまずは…」

 

お願いする奏に響は頷き、未来がお茶を用意を始める。

 

その後は響達ので談義したのであった。

 

こうしてまた、響と未来の秘密を知る人が増えた。




ミューチェ「次回!『共闘再び』に宜しくね」


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第十六話~共闘再び~

心傷つきし弓の少女は再び決意を持って歌を纏う。


響と未来の喧嘩から3日経った頃…

 

玉藻「クリスさん、調子はどうですか?」

 

クリス「ああ、凄く調子が良いと言うか、怪我してたのかと疑問に思う位に治り過ぎな気もする」

 

確認する玉藻にクリスは手をグッパさせたり、軽くジャンプしながらそう返す。

 

エル「(私の血で作った薬混ぜたからその効果か出てるのね)」

 

クリス「ノイズ達の方は大丈夫なのか……?」

 

それを見てエルがそう考えているとクリスが聞く。

 

エル「それなら大丈夫よ。響ちゃん達が対処しているみたいだから」

 

玉藻「一応この辺に近づけないように私が結界を張っているので心配ないかと」

 

クリス「そ、そうか…」

 

そう返したエルと玉藻のにクリスは安堵する。

 

ちなみに結界については玉藻がひいこらひいこらしながらノイズが入らないのと出現しない様にこの付近を包み込む形で作り上げている。

 

解呪に関しては玉藻にしか出来ない様にしている。

 

そんな話す2人を見ながらクリスはイチイバルを見る。

 

クリス「(…だがアレがある限り、あいつらは無限に現れる…ソロモンの杖)」

 

グッと握り締めてからクリスは後悔する。

 

クリス「(私があれを起動させちまった……だから)」

 

そう考えていた時…警報が鳴り響く。

 

どうやら街の近くにノイズが現れたみたいだとエルと玉藻が思っているとクリスが駆け出す。

 

エル「クリスちゃん!?」

 

玉藻「ちょ、どこ行くんですか!?」

 

飛び出したクリスにエルと玉藻は驚いた後に玉藻が慌てて追いかけ、エルはああ、もう!とファナに連絡してクリスが飛び出したから響達に知らせる様にと携帯を取り出してかけ始める。

 

エル「(間に合えば良いんだけど……!)」

 

自分の知る限りのでは大丈夫と言えるが現実だからそんなのは当てにならないのを知ってるので繋がるのを待つ。

 

一方、飛び出したクリスはシンフォギアを纏うと壁を叩く様な動作をするノイズへと銃撃を叩き込む。

 

クリス「ぶっ飛びやがれ!!」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

 

放たれた銃弾で蜂の巣にされたノイズが塵と消えていった。

 

そのまま上空のをボーガンに変えたアームドギアから放った矢で撃ち抜いて行く。

 

クリス「オララララ!!」

 

ズダダダダダダダダダダダッ!!

 

そのまま撃ち抜いた後に次!と行こうとして…クリスの後ろからノイズが襲い掛かる。

 

クリス「チッ!」

 

ズダダダダッ!

 

咄嗟に撃ち抜いたが良いが至近距離で撃ち抜いたせいで炭となった途端に粉塵となってクリスを包み、歌っていたのもあって喉に入ってしまい咳き込んでしまう。

 

その隙を狙う様にノイズが襲い掛かり、しまっ!と思った時…

 

玉藻「とうっ!」

 

そこに玉藻の声と共に札が飛んで来て、ノイズに張り付くと共にノイズが燃えたり、凍り付いたしていく。

 

クリスがその現象に驚いている間に着ているのを青色の胸元や肩、太ももを露出した改造着物の様なのに変えた玉藻が駆け付けてクリスの隣に立つ。

 

玉藻「大丈夫ですかクリスさん!」

 

クリス「アンタ、その姿は…」

 

声をかけながら札を投げる玉藻にクリスは戸惑いながら問う。

 

玉藻「お話は後程に!今はこいつらを片付けますよ!」

 

クリス「あ、ああ!」

 

そう言う玉藻にクリスは頷きながら背中合わせになって迫るノイズを殲滅していく。

 

玉藻「炎天よ、払え!」

 

ボォォォォォォッ!

 

クリス「食らいやがれ!」

 

ズガガガガガガガガガガッ!

 

玉藻も加わった事でクリスの負担が減ると思いきや、場所を確認出来たからかノイズ達がしつこく現れて襲い掛かる。

 

クリス「チッ!ぞろぞろ現れやがって!」

 

玉藻「と言うか現れ過ぎでしょ!流石の私でも厳しすぎます!」

 

舌打ちするクリスに札を放ちながら玉藻は叫ぶ。

 

どうすれば…と思っていると…

 

???「はあッ!!!」

 

気合の籠った声と共に何かが降り立つと共に衝撃が迸り、隆起したアスファルトに2人に襲い掛かろうとしていたノイズは阻まれる。

 

それを成した人物…弦十郎は2人に振り返る中で玉藻は冷や汗を掻く。

 

玉藻「(な、なんですかこの人!?只の拳でこんなことをできるなんて!?)」

 

弦十郎「大丈夫ですか?」

 

強さに驚く中で弦十郎が玉藻に話しかける。

 

玉藻「え、ええまあ…」

 

クリス「…………」

 

戸惑いながら返事をする玉藻の隣で無言のクリスを一瞥した後に弦十郎は見上げる。

 

釣られて2人も見あげると…飛んでいる未来とその未来により運ばれて来た響が目に入る。

 

響「あ、クリスちゃん!」

 

クリス「!」

 

呼ばれてクリスはビクッと肩を震わせる。

 

響「クリスちゃん!無事でよかった!」

 

未来「そこの人は…?」

 

抱き着く響の跡に未来が玉藻を見て聞く。

 

玉藻「あ、どうも。私、月詠 玉藻と申します。ファナちゃんの家で家政婦をしてます」

 

響「ファナちゃんの家の家政婦さん!?」

 

名乗る玉藻のに響は驚く。

 

玉藻「ええ、そうです。ファナちゃんからいつも話を聞いていますよ響さん」

 

響「で、でもなんでその家政婦さんがクリスちゃんと!?」

 

玉藻「怪我していた彼女をうちで匿っていたんですよ」

 

驚いて聞く響に玉藻はそう返す。

 

そうなのと未来も聞き、そうだよと返される。

 

弦十郎「それでしたらありがとうございます。こちらも彼女の事を気にしていたので」

 

玉藻「いえいえ、……ところで普通の喋りで良いですよ?無理してません?」

 

そう言って礼を述べる弦十郎に玉藻はそう言う。

 

弦十郎「そうか、敬語だったのは初対面の人にはなるべく口調を気にしてるんだ。何分、上に立つ者として相手がどう言う人物か知らない時はあんまりタメ口で接するのは良くないと思ってな」

 

玉藻「そうでしたか。ところで貴方、かなりお強いみたいですが…流石に生身では危ないので」

 

最初が敬語な理由を聞いて納得してからお札を取り出してちょちょいと札の上で指を動かしてから弦十郎に張り付ける。

 

玉藻「これで少しの間、ノイズに触れても大丈夫になれました」

 

未来「……え?」

 

響「えええええ!?」

 

クリス「マジかよ…」

 

弦十郎「(佇まいから普通の人物ではないと思ってはいたが…)これはありがたい!皆!とにかくノイズ達を殲滅するんだ!今この場にいるのが最後だ!気を引き締めるんだ!」

 

告げられた事に驚く奏者たちへと弦十郎は発破をかけながら向かって来たノイズを殴り飛ばす。

 

すると自身は炭化はしなかったのでホントだなと弦十郎は驚嘆した後にだが、なるべく触れない様に…と考えながら隆起したアスファルトを殴り飛ばしてノイズを潰す。

 

それに響達も動き出してノイズを殲滅していく。

 

響「師匠、凄い!」

 

クリス「いや、あれは凄いを通り越して異常だろ;」

 

未来「私もそう思う…」

 

ミューチェ「(あの人、もはや無敵じゃない?)」

 

ノイズを倒しながらノイズを圧倒する弦十郎のに目を輝かせる響にクリスは冷や汗を掻き、未来も攻撃しながら同意し、ミューチェもノイズ対策すればマジで1人だけで十分ではないかと本気で思った。

 

しばらくしてノイズは殲滅され、さて…と弦十郎はクリスの方へと顔を向ける。

 

弦十郎「久々だなクリスくん。元気そうでなによりだ」

 

響「師匠、久々って…」

 

クリス「………」

 

そう声をかける弦十郎に響は首を傾げ、クリスは無言である。

 

弦十郎「彼女を引き取ろうとしたのは俺だったからね…会おうとして行方を眩まれてしまったんだ」

 

響「そうだったんですか!?」

 

告げられた事に響や未来が驚く中で弦十郎は玉藻へと顔を向ける。

 

弦十郎「少しお願いしても宜しいだろうか?」

 

玉藻「何でしょうか?」

 

お願いと聞いて玉藻は首を傾げる。

 

弦十郎「そちらがよろしければ良いのだが…クリスくんをそちらに住ませて貰えないだろうか?」

 

クリス「なっ!?」

 

玉藻「それは良いんですがよろしいので?」

 

まさかのに驚くクリスの後に玉藻も驚きを隠せずに問う。

 

弦十郎「ええ、現状では俺達よりもそちらに信用を持っているからクリスくんも安心できると思うからな」

 

玉藻「なるほど。それならOKですよ」

 

クリス「いやちょ、あたしのは!?」

 

話を進める2人にクリスが噛み付くが未来と響がまあまあと宥める。

 

響「落ち着いてよクリスちゃん」

 

未来「クリスも別に嫌じゃないんでしょ?」

 

クリス「そ、それは…」

 

チラチラッと響を見るクリスに未来は静かにオーラを纏う中で弦十郎は宜しく頼むと玉藻に頭を下げ、いえいえ~と玉藻も頭を下げ…

 

弦十郎「それとこれとは別に事情説明とそちらのを聞きたいので同行して欲しい」

 

玉藻「あーそれは…」

 

ミューチェ「(説明しずらいわよね…)」

 

そう聞く弦十郎に玉藻は困った顔をして、事情を知るミューチェも困った顔をする。

 

弦十郎「いやなに、クリス君がそちらにいるまでの経緯やどうして此処にいたかのを聞くだけなので深くは聞くつもりはないさ」

 

玉藻「まあそれぐらいなら大丈夫ですね」

 

ただ、安心させる様にいった弦十郎のに玉藻は安堵して承諾する。

 

クリス「ひ、響!」

 

響「ん?何クリスちゃん?」

 

声を掛けられて響は顔を向けるとクリスはモジモジする。

 

クリス「あ、その…まぁ、助けてくれてありがとよ」

 

響「クリスちゃん……こっちこそ、私が暴走した時、助けてくれてありがとう!」

 

未来「確かにクリスもいてくれたのもあったからね」

 

顔を赤くして礼を言うクリスに響も返し、未来も頷く。

 

響「ねぇ、これからは一緒に戦えるよねクリスちゃん」

 

クリス「お、おう…」

 

コクリと頷くクリスに良かったと響は笑う。

 

玉藻「(おやおや、顔真っ赤ですねクリスちゃん)」

 

ミューチェ「(響は罪な女よね)」

 

未来も近寄るのに玉藻とミューチェに弦十郎は微笑ましそうに見守った。




クリス「次回!『防人とのデート』…響とデート…♪」


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第十七話~防人とのデート~

しばしの平穏の中、装者達は街で遊びつくす。


前回から翌日の事

 

クリスの協力を得たので彼女の裏にいた存在、フィーネの屋敷に準備をしたらクリスの案内の元、乗り込むと言う事になり、それまでの間はノイズ以外では日常を謳歌したまえと言われた。

 

その際、翼も表の顔であるアイドル活動を少し控えて休憩した方が良いと言われてスケジュール調整もされたので響がある提案をした。

 

翼「デートだと?」

 

響「はい!私と未来、奏さんやクリスちゃんと一緒にどうですか?」

 

目をパチクリさせる翼に響は頷く。

 

それは良いですねとスケジュールのを話した緒川も同意する。

 

未来「皆でデートなんて良いわね」

 

奏「そうだな~翼、手を放すんじゃねえぞ。響の両手は塞がってるんだからな」

 

同意する未来の後に奏がそう言う。

 

翼「わ、分かっている!子供じゃないから大丈夫だ!」

 

緒川「(自分としても翼さんはまだ子供らしい所ありますからね)」

 

そんなからかう奏に顔を赤くする翼に緒川は心の中で苦笑しながら思った。

 

響「奏さんのために車椅子でも行ける場所を探しますので!」

 

奏「お、そりゃありがとな響」

 

そう言う響に奏は嬉しそうに言う。

 

未来「楽しみですね翼さん」

 

翼「あ、ああ…」

 

デートと言うかお出かけが初めてなのか緊張している翼に未来はくすりと笑う。

 

ちなみに…

 

玉藻「そう言えばクリスちゃん。響ちゃんがデートに来ませんかとお誘いがありましたよ」

 

クリス「デートだと!?」

 

すぐさま食いついて了承したとさ

 

 

翌日の公園にて…

 

クリス「(うずうず)」

 

翼「ふむ、そろそろか…」

 

奏「お、来たみたいだぜ」

 

おしゃれした格好で待っている3人の所に慌てた様子の響と未来にファナが来る。

 

響「お待たせしましたー!」

 

未来「すみません!響が寝坊しちゃって…!」

 

ファナ「それで手伝ったついでに参加するっす!」

 

それぞれ遅れた理由を言った後に気にすんなと奏が笑う。

 

クリス「ったく、自分で提案したのに寝坊なんかするなよな!」

 

響「ごめんごめん;」

 

そう怒ってからそうだな…と一転して笑って…

 

クリス「後で此処にいる5人に奢れよな」

 

響「ええ!?お小遣い足りるかな…?」

 

未来「私も出すから大丈夫だよ響」

 

ファナ「えっと、ゴチになるっす!」

 

出さないの!?と驚く響に奢りはなるべく奢って貰う事にしてるっすと返すファナに翼はくすりと笑う。

 

それを奏は微笑ましそうに見る。

 

響「う~、クリスちゃん許して~」

 

クリス「んじゃあ歌姫様の分で済ませてやるよ」

 

どうかお慈悲をと言う響にクリスはそう手を打つ。

 

響「翼さん!翼さんの支払いは私に任せてください!」

 

翼「あ、ああ。ありがとう立花」

 

奏「良かったな翼。あまり高い物頼んで困らすんじゃねぇぞ?」

 

ファナ「そうっすね」

 

いや頼まないぞ!?と手を振る翼に誰もが笑った後に早速出かけた。

 

ちなみに翼は伊達メガネ、奏は髪をポニーテールに纏めてグルグル巻きの伊達メガネをかけている。

 

早速良く使う大型店舗に入った響達は最初はヌイグルミ屋を見る。

 

響「うわ~、可愛い~!」

 

奏「お!このぬいぐるみ、響にそっくりだぞ」

 

ほらと犬のヌイグルミを見せて笑う奏に似てますかーとはしゃぐ。

 

未来「(あー確かに似ている)」

 

ファナ「(そっくりっすね)」

 

それに未来とファナはヌイグルミと同じ格好をした響を思い浮かべる。

 

同じ様に見ていた翼はじーーーとヌイグルミを見ているクリスに気づく。

 

翼「ほしいのか雪音」

 

クリス「!べ、別に欲しくなんて…」

 

話しかけた翼にクリスは慌ててそう返して未来達の元に向かう。

 

ふむ…と考えてから響に近づく。

 

翼「立花、このぬいぐるみを買いたいんだが」

 

響「え?あ、分かりました」

 

そう言って指し出されたのに響は首を傾げたがま、いっかとそこまで財布に響かない値段なので深く考えずに買う事を了承する。

 

響「では買ってきます!」

 

翼「ああ、頼んだぞ」

 

レジに向かう響を見送ってから翼は未来達と話してるクリスを見る。

 

響「買ってきましたー!」

 

クリス「ん?なんか買ったのか?」

 

そう言った響にクリスが来て、翼が言おうとした響の口を押さえる。

 

翼「なに、ちょっとしたものだ。気にするな」

 

ファナ「(ん~~~~?あ、そう言えばクリスさんって)」

 

そうかと歩くクリスを見てファナは彼女の好きな物を思い出して納得する。

 

響「んー!んー!」

 

翼「あ、すまない立花」

 

苦しくなったのかタップする響に翼は解放する。

 

奏「大丈夫か?」

 

響「大丈夫です~」

 

声をかけた奏に響はそう返す。

 

その後は映画を見に行って感動したり、ショッピングを楽しんだりしつつ今度はクレーンゲームで響が取ろうとチャレンジする。

 

響「よし!よし!」

 

ファナ「ガンバっす!」

 

ヌイグルミのを取れる様に祈る。

 

ポコン

 

響「よっしゃあああああああ!」

 

未来「やったね響!」

 

喜んで抱き着く2人に翼と奏は笑い、クリスは乗り遅れたと羨ましそうに見る。

 

次にメンバーはカラオケ店に行く。

 

響「奏さん!翼さん!この歌歌ってくれませんか!?」

 

ファナ「あ、これもどうっすか」

 

翼「すまない。もう歌うのは決めてるんだ」

 

勧める2人に謝ってから翼はあ、始まったとマイクを持つ。

 

その流れたのは…

 

クリス「演歌か?」

 

ミューチェ「(なんで演歌!?)」

 

翼「一度歌ってみたかったんだ」

 

奏「そ、そうなのか;」

 

ファナ「(あー、そう言えば演歌は初めて歌うんっすね)」

 

驚くくクリスのにそう返した相棒のを初めて聞いたのかほへぇとなる奏のにファナは思い出して言う。

 

翼「一度、こういうのをやってみたいものだ」

 

未来「アイドルが演歌を歌う…」

 

響「ん~~~」

 

そう言われてメンバーは歌う姿を想像する。

 

クリス「戦ってる時の雰囲気的に似合うな」

 

響「でもアイドルで活動するのはちょっと…」

 

未来「いやでも合うかもしれないし…ん~」

 

ファナ「(翼さんって口調的にも和服着ても普通に似合ってるからありだと思うんっすよね)」

 

各々に述べる中で奏を見る。

 

奏「翼なら確かに似合いそうだな」

 

翼「ありがとう奏」

 

笑って言う奏に翼は笑う。

 

奏「んじゃああたしも歌うかね」

 

ファナ「おお!奏さんの歌と言えばもしかして!」

 

ワクワクする中で奏が選択した曲が流れ始める。

 

(BGM=Just Communication)

 

ファナ「おおお!!」

 

流れ始めた音楽と奏の歌にファナはテンションを上げる。

 

と言うか前世でも知る有名なアニメの曲であった。

 

クリス「なんだこれ?」

 

翼「奏が気に入ってる歌だ。前に聞いてからたまに歌ってたりするんだ」

 

ファナ「奏さんがこの歌を歌うなんて感激っす!!」

 

首を傾げるクリスに翼が説明し、ファナは興奮する。

 

歌う奏は楽しく、そして熱く歌うその姿に響達は奏が車いすに座ってるのではなく、ステージを舞い踊って輝いているのを錯覚した。

 

そして終わると自然と拍手が巻き起こる。

 

奏「ふぅー、やっぱり歌うのは良いな!」

 

響「奏さんの歌をまた生で聞けるなんて…」

 

ファナ「もう最高っす!」

 

うひゃあ!と興奮する2人に奏はこそばゆそうに笑う。

 

 

時間が経って夕方になり、クリスと翼を引っ張る響と追いかける未来を後ろからファナが奏の車いすを押して続いていた。

 

ファナ「楽しいですね奏さん」

 

奏「ああ、そうだなファナ」

 

はしゃぐ響を苦笑しながら宥める未来やクリスにそれを微笑ましそうに見る翼に奏は嬉しそうに笑う。

 

そんな奏にファナは歌っていた彼女の姿を見て思った事を聞く。

 

ファナ「そう言えば奏さん、歌手に復帰するつもりはないんっすか?」

 

奏「そうだな…」

 

そう聞かれてんーと唸った後に奏は前を見る。

 

奏「そりゃあ翼と一緒に歌ったり、ファンの皆の笑顔を見ると心が温かくなった。けど今はこれだからな」

 

ファナ「あ、その怪我……まだ治らないんっすか?」

 

そう言って自分の足を見る奏にファナは聞く。

 

奏「どうだろうな…ホントギリギリ死にかけた位だからな…」

 

ファナ「そうなんっすか……」

 

言葉にしてないが数年経っても治らないのではと言うのを含んでいるのにファナは顔を伏せる。

 

そんな彼女のお鼻をツンとする。

 

ファナ「ふぇ!?」

 

奏「そんな顔するなよファナ。生きていればめっけもんだからな。それに今凄く充実してるしな」

 

驚くファナに奏は安心させる様に笑う。

 

ファナ「(奏さんはやっぱり凄いっすね…。あ、怪我の事義母さんにちょっと相談してみるっすかね)」

 

奏「ほら、遅れちまうぞ。早く行こうぜ」

 

改めて奏の強さにファナは感動した後に言われてはいっ!と押す。

 

しばらくして街を一望できる場所に着いた。

 

ファナ「お~!凄いっすねこれは!」

 

響「良い場所でしょ?私のお気に入りの場所なんだ!」

 

目を輝かせるファナに響は笑う。

 

クリスも感嘆し。奏は楽しそうに笑う。

 

景色を見てから翼は奏を見る。

 

前に奏が言っていた意味、それがようやく翼は分かったのだ。

 

翼「(……そうか。これが奏の見ていた世界なんだな……)」

 

奏『戦いの裏側にとか、その向こう側には、また違ったものがあるんじゃないかな?』

 

人を守り続ければ良いと考えていた自分にとって最初は奏の言っていた事の意味は分からなかった。

 

だけど、響達と出会い、こうして一緒に歩いた事で翼は奏が言った戦いの裏側とその向こう側について知り得た。

 

笑った後に翼は響と未来、ファナへと顔を向けて懐に手を入れる。

 

翼「……いい一日だった。皆にはお礼をしないといけないな。こんなものでお礼になるかはわからないが―――」

 

そう礼を述べてから3人とクリスにある物を手渡す。

 

それに響が驚きの声をあげる。

 

響「え……これって……。復帰ステージのチケットッ!?」

 

翼「ああ。アーティストフェスが10日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ。……立花達にとっても、つらい思い出のある会場だが」

 

おお!と目を輝かせた響は複雑な顔の翼の言葉に理解する。

 

する場所が2年前のコンサート会場なのだと…

 

響「ありがとうございます翼さん!でも大丈夫です!」

 

未来「どんなにつらくても過去は絶対乗り越えることができる。そうですよね翼さん」

 

ファナ「それに、嫌な事ばかりじゃないっす!こうやって皆さんと知り合えたっす!」

 

3人の力強い言葉に翼はああと頷く。

 

翼「……そうありたいと私も思っている」

 

奏「良かったじゃねえか翼。こんなにお前を、いやあたし達を思ってくれてるファンがいるんだからさ」

 

顔を伏せる翼の腕をポンとしながら奏は笑う。

 

クリス「……」

 

そんなメンバーの様子を見ながらクリスは自分の世界が小さかった事を実感した。

 

自分は両親を失い、自分が一番の被害者だとどこかで思っていた。

 

だが、響や翼など誰もが辛い思いをしていた。

 

クリス「……強いんだなお前らは…」

 

響「クリスちゃん?どうかしたの?」

 

ぼそりと呟いたクリスに響は顔を向けるがなんでもねえよと頬を突く。

 

響「?」

 

ミューチェ「(あら、なにか思う事でもあったのかしら?)」

 

突かれた部分を抑えながら首を傾げる響の上でミューチェはクリスを見ていた。

 

ちょっとした休日デート。

 

それで2人の少女は改めて世界を知ったのであった。




奏「次回!『歌姫の為に、響とクリスの戦い』に続くぜ!」


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第十八話~歌姫の為に、響とクリスの戦い~

歌姫の邪魔を刺せない様に始祖と赤き装者は頑張る


前回から数日経ち、翼が参加するアーティストフェス当日になった。

 

そんな当日に響はと言うと…遅刻しかけていた。

 

遅刻してる理由はフェスのに浮かれて授業を全く聞いていなかった分の説教を受けていたのだ。

 

ちなみに未来はファナと共にもう会場に着いてるとさっき連絡を受けた。

 

響「あーもう!早くしないとライブ始まっちゃう!!」

 

ミューチェ「楽しみだったのは分かるけど、ちゃんと授業も聞かないとね」

 

必死に走る響にミューチェは呆れてそう言う。

 

急がないと!と響は足を速めようとし…

 

ピリリリリリリリリ!

 

2課からの通信機が鳴り出す。

 

それに響は立ち止まって出る。

 

響「……はい、響です」

 

弦十郎『ノイズの出現パターンを検出したッ!翼たちにもこれから連絡を――――』

 

その言葉に響は渡してくれた時の翼の顔を思い出す。

 

だからこそ響は決めた。

 

響「師匠ッ!……現場には私一人でお願いします。今日の翼さんは、自分の戦いに臨んでほしいんですッ!あの会場で、最後まで唄いきってほしいんですッ!お願いしますッ!」

 

ミューチェ「響…」

 

頼み込む響にミューチェは止めなさいと言いたいが音楽の始祖として確かに翼には最後まで歌って欲しいと言う思いがあった。

 

そんな響のに弦十郎はやれるのか?と少し間を開けてから確認し、響は力強くはい!と答える。

 

弦十郎『……分かった。ただし、無茶はしないでくれ!』

 

響「分かりました!」

 

友里『し、司令!ノイズの出現地点にてイチイバルの反応が!クリスちゃんが先行してるみたいです!』

 

答えた後に友里の言葉に響は駆け出す。

 

響「(もしかしてクリスちゃんも…!)」

 

途中でシンフォギアを纏いながら必死に走る。

 

 

一方、目的地にてクリスが先にノイズ達を殲滅していた。

 

クリス「ブッ飛びやがれ!」

 

ズドドドォン!!

 

建物を破壊しない様に注意しながら撃ち抜きながらクリスは駆け抜ける。

 

クリス「(チッ!数が多いな……だがまあやるしかねぇか)」

 

舌打ちしながらも次々と来るノイズを撃ち抜く。

 

それをやり続けるのも自身の罪と向き合う為だ。

 

クリス「(それに今日は確か響が楽しみにしていたあいつのライブがある日だったな……だったらなおさら、こいつ等はいかせねえ!邪魔はさせねえ!!)」

 

そして翼が頑張ってる事もあってクリスは奮闘するが相手は善戦してるとはいえ多数で大して今はクリス1人だけ…

 

クリス「このっ!」

 

ズガガガガガガガガガガッ!!

 

一方に目が行ってる後ろで別のノイズがクリスを攻撃する。

 

それに対応できなかったクリスは吹き飛んで尻もちを着く。

 

クリス「(クソッ!数が多過ぎて対応しきれねぇ!)」

 

追撃が来るのにやべぇと思った時…

 

響「たあっ!!」

 

ズドォオン!

 

響が現れ、クリスを攻撃しようとしたノイズを殴り飛ばす。

 

クリス「響!?」

 

響「援軍到着!クリスちゃん、大丈夫?」

 

あ、ああ…と響の問いにクリスは頷いた後に差し伸べられた手を握って立ち上がる。

 

クリス「ってお前なんで此処に!?ライブ見に行かなくていいのかよ!?」

 

響「ライブはまあ見たかったけど仕方ないよ。それにいる理由はクリスちゃんと同じ理由だよ」

 

そう問うクリスに響は笑って帰す。

 

クリス「べ、別に私はあいつのためにやってるわけじゃ…」

 

響「え?私、一言も翼さんのためにっては言ってないよ?」

 

顔を逸らして言うクリスに響は笑って指摘するとああもう!とクリスは顔が赤いままノイズをみつえる。

 

クリス「取り敢えず今はこいつらを全部ブッ飛ばすぞ!」

 

響「うん!」

 

頷いた後に響が飛び出し、クリスは援護する様に動く。

 

響が加わったのもあってクリスは響の死角から襲い掛かろうとするノイズを撃ち抜いて行く。

 

ミューチェ「(へーなかなか良いコンビネーションね)」

 

それにミューチェは未来とはまた違う動きに感嘆する。

 

クリス「後ろに居るぞ!」

 

響「はっ!」

 

クリスの言葉に響は後ろ蹴りを放って襲い掛かろうとしたノイズを粉砕する。

 

響「ありがとクリスちゃん!」

 

クリス「さっきの借りは返したぜ」

 

お礼を言う響にクリスはそう返した後に巨人型ノイズが出現する。

 

クリス「デカいのが出やがったか!」

 

響「気合を入れようクリスちゃん!」

 

だな!とクリスは頷いた後に巨人型ノイズの攻撃を避ける。

 

クリス「食らいやがれ!」

 

ズガガガガガガッ!!

 

響「たぁああ!!」

 

我流ビートパンチ

 

ズドォオオオオオン!!

 

クリスが射撃の雨を食らわせた所に響が強烈な一撃を叩き込んで粉砕する。

 

響「やった!」

 

クリス「!響、あっちにもう一体居るぞ!」

 

倒せたと喜ぶ響だがクリスの言葉にうえ!?となる。

 

確かに言われて見ると巨人型ノイズがまだ存在していた。

 

ミューチェ「ちょっと待って、確かあっちって…」

 

クリス「あのノイズ!会場に向かってやがる!」

 

響「なんで!?」

 

驚いた後に慌てて2人は前に出る。

 

響「行かせないよ!」

 

クリス「行かせるかよ!」

 

ズガガガガガガガガガガッ!!

 

クリスが連続射撃を放ち、響も銃撃の合間を潜って巨人型ノイズにパンチを叩き込む。

 

巨人型ノイズ「!」

 

クリス「ちっ、堅いな…」

 

響「さっきの奴よりも伝わり難いね」

 

攻撃を受けているのにそのまま攻撃を仕掛ける巨人型ノイズにクリスは舌打ちし、響も手をプラプラさせながら同意しつつ避ける。

 

ミューチェ「どうするの響?あまり時間は長引くと厄介よ?」

 

響「(確かに、このままじゃあ…)」

 

そう考えて響はならばと次のに至る。

 

固いのならばそれを打ち砕く程の力をぶつけるだけと

 

響「……クリスちゃん、ちょっと時間稼いでくれない?私にいい考えがあるんだ」

 

クリス「大丈夫か?ってのは愚問か…なら嫁の頼みだ。やってやらぁ!」

 

その言葉と共にクリスは飛び出し、響は構える。

 

響「(力を一点に集中させて、散らばらない様にし、貫く様に!)」

 

ガントレットのを撃鉄を引く様に動かしてから力を収束していく。

 

収束されて行くのが分かる様にガントレットが輝く。

 

ミューチェ「(凄い力を感じる。これなら…)」

 

響「クリスちゃん!」

 

クリス「おう!」

 

その言葉と共にクリスは目隠し的なので巨人型ノイズの顔部分に弾幕を展開した後に響が突っ込む。

 

響「たぁああああああああ!!!」

 

そして収束させた力を炸裂させる。

 

ビートネイルガン!

 

巨人型ノイズの腹に命中すると共に一気に巨人型ノイズへと迸り…

 

バゴォォオオオオオン!!

 

巨人型ノイズは灰となって四散する。

 

クリス「やるじゃねぇか響!」

 

ミューチェ「(ホント、大事な物が危ない時の響の成長が凄いわね…)」

 

それにクリスは笑い、ミューチェは感嘆する中で響は着地してからピースする。

 

クリス「さっきの技、凄かったじゃねぇか」

 

響「いやぁ~お父さんが読んでた漫画に出てたのを合わせたんだ。あのノイズを倒すのに良いのに最適な技でな感じで」

 

あははと頭を掻きながら響はそう返す。

 

クリス「そうなのか。にしても復帰ステージ、残念だったな響」

 

響「うん…だけど…翼さんの歌に、そんな翼さんの歌を聞きに来た人達を守れてよかった…」

 

そう言うクリスに響は見上げて感慨深く返す。

 

ミューチェ「(ホント良い子よねこの子は…)」

 

そうか…とクリスもふっと笑ってからフェス会場のある方を見る。

 

クリス「(ライブでのアイツの歌…どんなのか聞いて見たかったな…)」

 

響「終わってると思うけど会場行く?未来たちが心配していると思うし」

 

そう提案する響にクリスはそうだな…と呟き…

 

クリス「んじゃ行くとするか。復活の歌を歌った歌姫を見に」

 

響「うん!」

 

2人はフェス会場へと足を進ませる。

 

ミューチェ「(ライブの方、どうなってるかしら)」

 

そんなミューチェの心配は憂鬱であった。

 

翼は歌を歌い終えた後に自身の我儘、"私は世界に歌を届けたい"と言うこれから1人ではなく、みんなの心を乗せて歌いたいと言うのを告白し、それを聞いたファンからの激励や応援に感動して感謝し、見ていた未来やファナも奏と共に喜び、丁度なんとか来れた響も感涙してクリスに宥められたのであった。




ファナ「次回!『新たな事実と突き出す塔』に続くっす!」


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第十九話~新たな事実と突き出す塔~

フィーネの潜伏する屋敷に踏み込む響達、その後にノイズが現れ、それぞれ別れて対処に向かう。


アーティストフェスから数日経った日、響達は弦十郎と二課のスタッフと共にとある屋敷の前にいた。

 

その屋敷はクリスがいたフィーネの屋敷なのだが…その前に二課の物ではない特殊車両が何台も止まっているのだ。

 

響「なんだろうこの車…」

 

未来「響、気をつけて」

 

弦十郎「どうやら俺達以外にもクリス君の裏にいた者を捕まえたい奴らがいるみたいだな…皆、慎重に行くぞ」

 

その言葉に奏者達はそれぞれシンフォギアを纏った後に突入する。

 

先頭を弦十郎が進み、その後ろにいつでも攻撃できるようにクリスと未来が備え、最後尾を翼、中間に響を挟んでスタッフの並びで進む。

 

弦十郎「……静か過ぎるな…皆、気を付けて進んでくれ」

 

未来「は、はい……!」

 

クリス「まさか……米国の…」

 

声をかける弦十郎に未来が返事をしてクリスが呟く中で弦十郎は大広間に足を踏み入れ…

 

弦十郎「!?子供達は入るな!!そして見るな!」

 

制止の言葉を叫ぶ。

 

それに未来とクリスはビクッとなり、ミューチェが中を見て…弦十郎の言葉を理解する。

 

見えた光景は…倒れ伏した屈強な男性の死体が、数十人ほど転がっていた。

 

テーブルや壁がボロボロで、壁や床に血がこびり付いており、その様子から弦十郎は警察官だった頃の経験を元に死後数日は過ぎてるのではないかと推測する。

 

ミューチェ「(あれ?よく見ると死んでるのってアメリカ人じゃないのこれ?)」

 

そして見ていてミューチェは倒れてるのが全員アメリカ人だと分かり、前に聞いていた事を思い出して顔を顰める。

 

ミューチェ「(そう言えばこの世界の米国って問題色々あったわね)」

 

面倒な事をしないで欲しいわね…とミューチェがぼやいてる間に弦十郎が響達が入らない様に入口の前に立ち、二課のスタッフが調べ上げて行く。

 

その内の一人が、死体の1つに何か貼られてるのに気づき、ミューチェも見るとアルファベットで『I love you SAYONARA』と書かれていた。

 

その後にその紙にから嫌な予感を感じる。

 

ミューチェ「(……やはり彼女がフィーネなのかしら)」

 

弦十郎「!いかん!」

 

思い当たる人物を浮かべた時に弦十郎の言葉の後にスタッフが貼られていたのを剥がした瞬間、周囲が爆発して屋敷が崩れる。

 

弦十郎「?これは…」

 

咄嗟に守ろうと動こうとした弦十郎は目の前で止まっている瓦礫に目を丸くする。

 

響「(と、とっさに皆を守るためにバリア張っちゃったけど……)」

 

未来「(どうしようこれ…誤魔化せるかな?)」

 

あわわと危なかったとはいえ、全員を守る為に使った事に焦る2人だがすぐさま弦十郎は離れるぞと言う言葉に誰もが安全地帯に行くと瓦礫は落ちる。

 

弦十郎「さっきのお蔭で全員無事か…しかしこれでここで手がかりを探すのは無理になったな…」

 

追究されない事に2人はホッと安堵するがミューチェは弦十郎はあえて触れない様にしてくれてるのに感謝する。

 

ミューチェ「(弦十郎さんが良い人でホント良かったわ)」

 

ただ、弦十郎の言う通り手掛かりを見つけられないと思った所で弦十郎はそうだとクリスを見る。

 

弦十郎「クリス君。何か知らないかね?君の上にいた者が何か言ってなかったかい?」

 

クリス「……カ・ディンギル」

 

響「カ・ディンギル?」

 

そう聞く弦十郎にクリスは短く答え、響は首を傾げる。

 

弦十郎「カ・ディンギル…確か古代シュメールの言葉で高みの存在。転じて、天を仰ぐほどの塔を意味する言葉だったな…別の呼ばれ方は…バベルの塔…」

 

未来「バベルの塔…」

 

響「んー、どう言うことなんだろうね」

 

チンプンカンプンなので首を傾げる響だがポンと手を叩いて少し離れる。

 

それに未来は首を傾げて付いて行くと響はスマホを取り出してどこかに連絡を取る。

 

ファナ『はい、もしもしファナっす』

 

響「あ、ファナちゃん?聞きたいことあるんだけど」

 

かけた先はファナの様で未来とミューチェはまさか…と響を見る。

 

響「ファナちゃん、カ・ディンギルって何か知ってる?」

 

ファナ『カ・ディンギルっすか?んー、知ってはいるっすけど……』

 

確かに知ってそうな人物に聞くと言うのは定番だが、流れ的なのを知ってる人物に聞くと言うのはどうかなな感じで2人は特に聞く気がなかったのだ。

 

電話相手のファナは少し勿体ぶった後に言う。

 

ファナ『流石に正体を教えることできないのでヒントだけ教えるっす』

 

響「ヒント?」

 

ファナ『響さん達がファナと再会した日、あの日に二人が見たものの中にカ・ディンギルはあるっす』

 

出て来た言葉に2人は顔を見合わせるがミューチェだけは考える。

 

ミューチェ「(二人があの日に見たもの……)」

 

思い返して塔みたいなのを探して行く内に…目を見開く。

 

ミューチェ「(ま、まさか……!)」

 

あったのだ。

 

丁度塔とも言える長さの建造物が…

 

緒川『さ、危ないから捕まっていてください』

 

響『へ、危ないって…』

 

未来『何が…』

 

それは…

 

ミューチェ「(いつも二課に行くために乗ってるエレベーター……)」

 

弦十郎「なんだと!?」

 

行きついた瞬間、弦十郎の怒声が聞こえて来る。

 

弦十郎「皆!ノイズが出現した!場所はスカイタワーで飛行型ノイズが主にいるみたいだ!」

 

響「スカイタワー!」

 

クリス「なるほどな。あのタワーがカ・ディンギルだったのかよ」

 

驚く響の後にクリスがそう言うがミューチェは違うと否定したいがそう言っても信じて貰えるか分からないので悶えていると…

 

弦十郎「クリス君、未来君。2人はスカイタワーに行ってノイズを対処してくれ。翼と響くんは俺と一緒にリディアン学園に行って欲しい」

 

響「へ?リディアンに?」

 

翼「なぜですか司令?」

 

告げられた指示に響と翼は目を丸くする。

 

弦十郎「タワーにいるのは空を飛ぶノイズばかりだ。唯一空中戦が出来る未来君に遠距離攻撃のクリス君がいれば事足りる。学園のは俺の勘もあるが…もしもタワーのが陽動だったら…」

 

響「な、なるほど。流石です師匠!」

 

翼「感心してる場合じゃないぞ立花!もし司令の言う通り陽動ならば敵の狙いはサクリストD、デュランダルだ!」

 

理由を言う弦十郎に響は感嘆するが翼の言葉にそう言えば!?と気づく。

 

弦十郎「と言う訳だ。2人はタワーのを片付けたらすぐさまリディアンに急行してくれ」

 

未来「は、はい!」

 

クリス「気をつけろよ響。こっちが終わったすぐにそっちに向かうからな!」

 

弦十郎のに未来とクリスは頷いた後に未来はクリスを抱えてタワーへと飛んで行く。

 

それを見届けた後に弦十郎は翼と響に振り返る。

 

弦十郎「良し、俺達も行くぞ!」

 

響&翼「はい!」

 

ミューチェ「(大丈夫かしらね…)」

 

乗り込む響とバイクに跨る翼を見ながらミューチェは心配するのであった。

 

 

未来「す、凄い数…」

 

クリス「しかもほとんど飛んでるしこりゃ響たちなら苦戦するよなぁ…」

 

タワーに着いた未来はその数に少しクリスはそう呟いた後に未来にタワーの上部分に降ろして貰った後にアームドギアを構え…

 

クリス「未来、ちょっと時間稼ぎしてくれないか?」

 

未来「え?分かった」

 

そう頼み込むクリスに未来は頷いて飛び上がる。

 

クリス「あたしの準備が終わるまで頼むぜ」

 

未来「う、うん」

 

言われた通り未来は自分に注意が向く様にノイズ達の相手をする。

 

クリス「(イチイバルの特性は超射程広域攻撃。ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える。行き場のなくなったエネルギーを臨海まで溜め込み―――一気に解き放ってやるッ!)」

 

その思いを込めて、クリスは撃ち落とす為のエネルギーチャージに集中する。

 

未来「(凄いエネルギーを感じる…。クリスがチャージ終わるまでクリスを守らないと!)」

 

感じ取った未来も気づいてクリスへと向かおうとしたノイズを倒しながら時間を稼ぐ。

 

未来「(っ、数が多い!だけどやり切らなきゃ)」

 

クリス「(あともう少しだ……頑張ってくれ未来)」

 

違いに集中しながら自分達の役割を果たそうとする。

 

クリス「準備できた!離れろ未来!」

 

未来「うん!」

 

その言葉と共に未来は上昇し、安全地帯に入ったのを確認すると共に…

 

クリス「くらいやがれ!!」

 

MEGA DETH QUARTET

 

スドドドドドドドドドドォンン!

 

その言葉と共にギア全体をガトリング砲と小型ミサイルに加え、大型ミサイル4基を搭載したのに変形させ、広域砲撃を行う。

 

それにより大型ノイズは一撃で倒されて行き、小型ノイズ群も殲滅されて行く。

 

未来「す、凄い…あの数のノイズたちを全滅させるなんて」

 

それに未来は驚く中でクリスの所に降りる。

 

クリス「未来、時間稼ぎしてくれてありがとな」

 

未来「ううん、大丈夫。クリス、さっきの技凄かったよ」

 

まあなと笑うクリスに未来も笑った後に学園の方を見る。

 

未来「響たち、大丈夫かな…」

 

クリス「早くリディアンに向かうぞ!」

 

うんと頷いた後に未来はクリスを抱えてリディアンへと向かう。

 

クリス「……おい、未来。そう言えばファナの奴とか大丈夫なのか?」

 

未来「え?……あ!」

 

そう言われて未来は気づく。

 

未来に響、翼はこうやって呼ばれたから来てるが平日なのでもしもノイズが現れて戦いの場になったら普通にやばい。

 

未来「少しスピード上げるよクリス!」

 

クリス「え、おいちょっとまっ……うおっ!?」

 

焦る気持ちもあり、未来はクリスが言う前にスピードを上げてリディアンへと飛ぶ。

 

しばらくしてリディアンが見えて来る。

 

そして戦う音が聞こえて来る。

 

未来「ああ!やっぱり戦場になってる!」

 

クリス「チッ!」

 

すぐさま合流しようとした時…それは現れた。

 

ドカァァァァァァァン!!!

 

リディアンを破壊して地下から見覚えのあるのが現れ…その姿を派手な色の塔へと変貌していく。

 

クリス「なんだありゃあ!?」

 

未来「もしかしてあれがカ・ディンギル!?」

 

2人はビックリしながらも響と翼と合流する為に向かう。

 

リディアンを破壊しながら現れた塔…

 

それが何なのか、フィーネの目的とは…




緒川「次回『弦十郎VSフィーネ』…司令…」


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第二十話~弦十郎VSフィーネ~

防人と始祖の片割れが奮闘してる地下で過去の巫女を相手にOTONAが立ち向かう。


時間を巻き戻し、翼と響が到着すると悲鳴が聞こえて来る。

 

響「今の悲鳴って!?」

 

翼「あっちか!」

 

弦十郎「2人はすぐに向かってくれ!俺は二課に向かう。さっきから連絡が付かないんだ」

 

はい!と返事をして弦十郎と別れて2人は悲鳴がした方を見ると人々へと襲い掛かろうとするノイズが目に入る。

 

翼「ノイズ!」

 

響「翼さん!」

 

すぐさま2人はそれぞれ分かれると共にノイズを殲滅に入る。

 

その間にミューチェは辺りを見るがファナの姿が見当たらない。

 

ミューチェ「(おかしいわね…見つからないわ)」

 

まさかと最悪のを考えるが顔を横に振る。

 

ミューチェ「(ありえないわね。エルの義理の娘だしおそらくエルがなんかしてると思うし…)」

 

そう考えてる間に2人はノイズをあらかた倒した時…

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

響「な、なに!?」

 

翼「地震……いやこれは!?」

 

突如起こり始めた揺れに響と翼が驚く中…リディアンを破壊しながら地下から飛び出す。

 

翼「なっ……!?」

 

ミューチェ「(やっぱり……!)」

 

それは自分達が二課へ行く際のエレベーターだと翼が気づいた後に変貌していく。

 

 

時間戻り、ファナは創世、弓美、詩織と共に必死に逃げていた。

 

ファナ「皆さん!こっちっす!」

 

創世「に、逃げるのは良いけど!」

 

弓美「どこに向かってるのファナっち!」

 

詩織「エレベーターの方ですよねこっちは!」

 

必死に走るファナに創世と弓美は聞く。

 

ファナ「実はこっちに秘密通路があるんっす!」

 

弓美「え!?特撮でよくある秘密通路あるの!?」

 

創世「いや、そこに反応しないの;」

 

そう答えたファナのに弓美が真っ先に反応して創世にツッコミを入れられる。

 

しばらくするとエレベーターに乗りこんでる緒川と奏の姿があった。

 

奏「ファナ!こっちだ!」

 

ファナ「奏さん!」

 

詩織「あの方は天羽奏さん!?」

 

弓美「え、マジ!?」

 

創世「と、とにかく行こう!」

 

すぐさま全員が乗り込んだ後に緒川がエレベーターの扉を閉める。

 

弓美「た、助かった…」

 

ファナ「ありがとうございますっすお二人とも。助かったっす」

 

奏「間一髪だったな」

 

頭を下げるファナに奏はそういう。

 

緒川「奏さん。彼女は?」

 

ファナ「(あ、そう言えば初対面だったっす)」

 

奏「こいつはファナ。響と未来の親友だぜ」

 

初めて会うので聞く緒川にファナはしまったと思った後に奏がそう言う。

 

弓美「ちょちょちょ、ファナっちどういう事、なんかツヴァイウイングの奏さんと親しそうだけどさ!」

 

詩織「そうですわね」

 

ファナ「え?だって奏さんは寮の管理人っすよ?」

 

告げられた事に3人はええ!?と驚く。

 

奏「まぁ、変装してたからわかんねえよ」

 

ファナ「そうっすかね?」

 

苦笑して言う奏のにファナが首を傾げてる間に緒川は弦十郎へと通信していた。

 

緒川「リディアンの破壊は依然拡大中です。奇跡的に人的被害は0に抑えられています。これから響さん達のお友達さんをシェルターまで案内します」

 

弦十郎『分かった。これから何があるか分からん、気を付けろよ』

 

はいと答えてから緒川は続いてノイズ襲撃前に調べて欲しいと言われていた事を報告する。

 

緒川「それと司令、カ・ディンギルの正体が判明しました」

 

弦十郎『何だと?!』

 

緒川からの言葉に弦十郎が反応してそれでと促す。

 

緒川「物証はありません。ですがカ・ディンギルとは恐らく」

 

ガシャン!

 

弓美&詩織「きゃあ!」

 

ファナ「(今のはもしかして!)」

 

突然起こった音と振動に3人はしゃがむ中でファナはもしやと思った直後に何かが屋根を突き破る。

 

その何か…金色の鎧を纏った女性…フィーネに緒川は首を捕まれてエレベーターの扉に押し付けられる。

 

緒川「うっ!…うぅ!」

 

フィーネ「こうも早く悟られるとは、何が切っ掛けだ?」

 

話を聞いてたのか軽く首を絞めながら問うフィーネに緒川は苦しい顔をしながら答える。

 

緒川「塔なんて目立つものを誰にも知られること無く建造するには地下へと伸ばすしかありません。そんな事が行われているとすれば、特異災害機動部二課本部、そのエレベーターシャフトこそ“カ・ディンギル”。そしてそれを可能とするのが出来る人物は一人。櫻井理論の提唱者であり、二課の研究者である貴方、櫻井了子のみです!」

 

フィーネ「漏洩した情報を逆手に上手くいなせたと思っていたが」

 

ファナ「(やはり了子さん……!)」

 

奏「了子さん…だと!?」

 

それにファナはそう思った後に奏のにあとなる。

 

信じられない顔でフィーネを見る奏にファナはそうだった!となる。

 

ファナ「(まさか了子さんがフィーネだったなんて二課の皆さんにはこの瞬間まで知られてなかったっす!)」

 

思い出した直後にエレベーターが目的のフロアに到着したので扉が開き、それによってフィーネの手から逃れた緒川は素早く拳銃を取りだしてフィーネの心臓部に弾丸をぶちこむ。

 

が、ぶちこまれた弾丸は当たると共に潰れて落ちる。

 

緒川が銃を構えたままその鎧がなんなのか気づく。

 

緒川「ネフシュタン…!」

 

ファナ「(やはり銃では……でもそろそろ!)」

 

顔を歪めた緒川はフィーネの振るいし鞭により壁にぶつかり、その際に端末が懐から出てしまった後にそれをフィーネは拾おうとしてファナが咄嗟に駆け出してから蹴っ飛ばして壊す。

 

奏「ファナ!」

 

フィーネ「小娘が!」

 

ファナ「(っ!)」

 

それにフィーネはファナに向けて振り下ろそうとした時…

 

???「待ちな了子!」

 

フィーネ「!?」

 

声が響き渡ると共にフィーネ達のいる区画の天井が破壊されると弦十郎が降り立った。

 

フィーネ「…私をまだその名で呼ぶか?」

 

弦十郎「女に手を上げるのは気が引けるが、緒川や彼女達に手を出せばお前をぶっ倒す!」

 

警戒して構えるフィーネに弦十郎も構えて言い放つ。

 

奏「旦那…」

 

ファナ「(弦十郎さん…!よしあとはあれさえ防げば…!)」

 

それを見守る奏のにファナはこの日の為に用意していたのをいつでもその時に出せる様にする。

 

弦十郎「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内でお前の行動にはとっくに気づいていた。後は燻り出す為、敢えてシンフォギア装者全員を動かして見せたのさ」

 

フィーネ「陽動に陽動をぶつけたか、食えない男だ。だが、普通の人間である貴様がこの私を止められるとでも!」

 

そう言いながら鞭を振るうフィーネのを弦十郎は避けながらパンチを振るう。

 

弦十郎「おおとも!一汗掻いた後で話を聞かせてもらおうか!」

 

すぐさまフィーネはそれを避けようとするが肩のパーツに炸裂し、肩のパーツに皹が入る!

 

フィーネ「何?!」

 

ただのパンチで起こりし事にフィーネは驚いた後に両手の鞭で攻撃するが、弦十郎は鞭を掴んでフィーネを引き寄せるとがら空きになった腹部へアッパーの要領で拳を叩きつけ、かはっ!?と息を吐き出したフィーネは弦十郎の後ろに倒れる。

 

その後にフィーネは転がりながら距離を取った後によろめきながら立ち上がる。

 

フィーネ「完全聖遺物を退けるだと…どういうことだ……」

 

弦十郎「しらいでかッ!飯食って映画見て寝る、男の鍛錬はコイツで十分よ!」

 

奏「いや、それ出来るの旦那だけだと思うぞ!」

 

ファナ「私も奏さんに同意っす!」

 

心底驚いた様子のフィーネに返した弦十郎に奏とファナはツッコミを入れる。

 

フィーネ「ならば!」

 

時間をかけられないとソロモンの杖を取り出し、ノイズを出そうとしたが…

 

弦十郎「させるかっ!」

 

出させないと弦十郎が震脚で床を踏み砕き、その破片をぶつけることでソロモンの杖を手放させる。

 

そして決めようと弦十郎は拳を握り、決めようとした所で…フィーネは笑って口を開き…

 

ファナ「今っす!」

 

ヒュン!パクッ!

 

フィーネ「むぐっ!?」

 

フィーネが口を開いた瞬間にファナが何かを投げ入れ、それにフィーネは思わず飲み込んでしまう。

 

その後に口を押さえる。

 

フィーネ「&$‘*%$#*+!!??」

 

ファナ「今っす!弦十郎さん!」

 

弦十郎「お、おう!」

 

そういうファナに弦十郎は戸惑いながらもチャンスはチャンスと割り切って悶えるフィーネへと正拳突きを叩き込む。

 

フィーネ「ぐふ!?」

 

口に投げ込まれた奴からのに無防備だったフィーネはどてっぱらにまともに受けた後に壁にぶつかってからそのまま崩れ落ちる。

 

弦十郎「ふう…」

 

ファナ「やったっす!」

 

奏「ファナ、さっきのは一体……」

 

警戒しながらも息を吐く弦十郎を見ながら喜んだファナに詩織に車いすを押して貰って来た奏が傍に来て聞く。

 

ファナ「さっき食べさせたのはこの激辛濃縮チョコっす」

 

創世「うわぁ…」

 

詩織「それは強烈ですね…」

 

弓美「ファナっち、恐ろしい子…」

 

えへんと胸を張るファナに4人と緒川は引くが弦十郎だけは厳しい顔でファナを見ていた。

 

弦十郎「(彼女はなぜ、そんなものを用意してたんだ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…それはつまり俺が油断する様な事だったと言う事だ…彼女の母親もそうだが一体…)」

 

ファナに対して弦十郎が思案してる時…

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

突如、揺れが起こり始める。

 

誰もがいきなりの揺れに驚く中でエレベーターシャフトが動き出す。

 

ファナ「(な、なんでカ・ディンギル起動しているんっすか!?)」

 

そして起こりし状況にファナはなぜ!?と驚いていた。

 

 

 

 

アビスにて、そこにはデュランダルを前に1人の女性がいた。

 

???「いやはや、まさかフィーネがあんな手でやられてしまうとはのう」

 

参った参ったと呟いてから先ほど入力し終えた画面にさらに追加の入力をする。

 

???「さぁて、わしの計画のため、そして()()()のためにも月には割れてもらわないといけないからのう」

 

そう言って女性は笑う。

 

 

 

 

弦十郎「いかん!一旦指令室に向かう!君達も付いて来てくれ!」

 

創世&弓美&詩織「は、はい!」

 

ファナ「あの!了子さんもといフィーネはどうするっすか?」

 

それに弦十郎は慌てて言い、ファナのに見ようとし…慌てて避ける。

 

フィーネ「…ぐっ!ホント、やってくれたな…」

 

よろけながらも起き上がったフィーネはそう言った後にソロモンの杖を取ると天井を壊して自身と弦十郎達の間を封鎖する。

 

弦十郎「しまった!」

 

ファナ「(くっ!ソロモンの杖、先に回収しとけば良かったっす!)」

 

それに弦十郎は呻き、ファナも迂闊だったと後悔するがそれをしてる暇はないのでとにかく指令室へと走る。

 

 

 

 

よろけながらも来たフィーネに女性は少し驚いた顔で声をかける。

 

???「おお、来たのかフィーネ。口のなかは大丈夫なのか?」

 

フィーネ「そ、そんな事をより、やってくれたのは感謝する」

 

そう聞く女性に対してそう返した後にしかしと女性を睨む。

 

フィーネ「クリスがいない時に最初に会った時もそうだが…貴様は本当に目的はなんだ?」

 

女性「ん?わしの目的かそうじゃのう…」

 

改めて聞くフィーネに女性は少し考えてから笑って言う。

 

女性「面白いことを起こす。ただそれだけじゃ」

 

フィーネ「……それだけの理由で手を貸したと言う事か…酔狂な女だ」

 

そうかのう…とフィーネの言った事に女性はそう言い…

 

女性「お主だって昔の事で今まで生きておったではないか…まぁ、少しはそれ以外のも見つけてる様じゃがな」

 

その言葉にフィーネは鼻で笑う。

 

フィーネ「私があの方以外ので…バカバカしい」

 

女性「ふふふっ、ツンデレじゃのう」

 

そう吐き捨てたフィーネに女性は笑う。

 

フィーネ「誰がツンデレだ!」

 

女性「おっとっと。まあそのためにも死ぬんじゃないぞ?もしもの時はこれを飲め」

 

思わず振るったフィーネのを避けつつ女性はそう言って薬と思われるのを投げる。

 

フィーネ「ふん。私は地上へと行く。会う事はないかもな」

 

女性「さてどうじゃろうな。未来は分からないものじゃし」

 

そう言ってその場を去るフィーネの背に女性はそう言葉をかける。

 

フィーネが見えなくなってから女性はデュランダルを見る。

 

女性「さてと…どうするかのうこれ」

 

ふうむと女性は顎に手を当てて考える。

 

彼女の知るのではデュランダルが()()()()()()()()()()()()()だけに少し惜しいという考えがある。

 

女性「よし、こうするか」

 

そして思いついてかある工作を施して行く。

 

この女性は一体誰なのか、そして響達と対面するのはしばらくしてからである。




女性「次回『決死の行動と集まる思い』…ちなみにワシの本格的登場は2期だから名前はまだ明かせんよ♪」



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第二十一話~決死の行動と集まる思い~

集結する装者達、古代の巫女のやろうとしてる事に彼女達は…


響「あれがカ・ディンギル…!」

 

翼「まさか二課のエレベーターシャフトの正体がカ・ディンギルだったとは!」

 

自分達の目の前に現れたのに響はファナから聞いたのからすぐさま察する隣で翼は呻くと響ーと言う声と共に未来とクリスが飛んで来る。

 

翼と響の前に来るとクリスを降ろす。

 

響「未来!クリスちゃん!」

 

クリス「これがフィーネの言ってたカ・ディンギルかよ…」

 

未来「エレベーターシャフトがカ・ディンギルだったなんて……。でもこんなことできるのって……」

 

誰もが伸びるカ・ティンギルに驚く中で響は気づく。

 

響「あ、皆あれ!」

 

翼「あれは……!」

 

誰もが響の指す方を見ると残っていた崩れかけているリディアンの校舎の屋上に立つ了子の姿が目に入る。

 

翼「櫻井女史?」

 

未来「はい。そしておそらくですけど了子さんが……!」

 

クリス「フィーネ!お前の仕業か!?」

 

目をパチクリさせる翼に未来がそう言った後にクリスが叫ぶ。

 

翼「なっ!?」

 

響「フィーネ!?」

 

それに響と翼が驚く中で了子はにこやかな笑みを浮かべたまま…

 

了子「フフフハハハハハハハハハハハハ!」

 

高笑いする。

 

それにより翼と響は彼女は敵対者だと認識する。

 

ミューチェ「(やはり彼女がフィーネだったのね……)」

 

未来「了子さん……」

 

翼「そうなのか!?その笑いが答えなのか!?櫻井女史!」

 

クリス「あいつこそ、あたしが決着を付けなければならないクソッタレ!フィーネだ!」

 

その言葉と共に了子は嘲笑を浮かべたままメガネを放り投げ、アップされた髪をほどく。

 

すると青い光が了子の身体を包み込み、その姿を晒す。

 

金色のネフシュタンを纏い、髪の色もプラチナブロンドに染まった了子…いやフィーネが立っていた。

 

ミューチェ「(この気配…普通の人間じゃないわね彼女)」

 

響「そ、そんな…了子さんがフィーネ…」

 

顔を歪めるミューチェの隣で響が代表で声を漏らす。

 

フィーネ「桜井了子…その名の奴はもうこの世にはいない」

 

その言葉に誰もが驚く。

 

響「居ないって…」

 

未来「どういうこと…?」

 

誰もが出て来た言葉に戸惑う中でフィーネは語る。

 

今、響達の目の前にいるフィーネは超先史文明の巫女…つまりはるか昔の人物で、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形…聖遺物、あるいは聖遺物の欠片が、歌の力によって起動する際に発する、エネルギーの特殊な波形パターンに接触した際、その身にフィーネとしての記憶と能力が再起動する仕組みを施していたのだ。

 

昔、翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒により、実験に立ち合った櫻井了子の内に眠るフィーネの意識を目覚めさせた。

 

未来「遺伝子に自分の意識を…」

 

ミューチェ「(なるほど…ようするに彼女は櫻井了子の魂と心を糧にして蘇り、体をそのまま自分のにしてる訳ね…しかし、なんでそんな事を…)」

 

翼「なぜこの様な事を!そして目的はなんなのだ!」

 

驚く響の後にミューチェが納得してから疑問を思った後に翼が剣の切っ先を向けながら問う。

 

フィーネ「我が目的…それは今宵の月を穿つ事だ!」

 

響「月を…穿つ!?」

 

未来「ええええ!?」

 

翼「なぜそんな事をする!」

 

その言葉に誰もが驚いて翼が代表で聞く。

 

それに対しフィーネは無表情に一瞥し答える。

 

フィーネ「私はただ“あのお方”と並びたかった。その為に“あのお方”へと届く塔をシンアルの世に建てようとした。だが“あのお方”は人の身が同じ“高み”に至る事を許しはしなかった。“あのお方”の怒りを買い、雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる。果てしなき“罰”。バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ」

 

未来「バラルの呪詛…?」

 

クリス「なんだよそりゃあ…」

 

ミューチェ「(人間が自分と同じ高みに至るを嫌うなんてずいぶんと傲慢な存在ね…器はたかが知れてるわね)」

 

語ったフィーネのにミューチェは思わず呆れる。

 

フィーネ「月が何故不和の象徴と伝えられてきたか、それは月こそがバラルの呪詛の源だからだ!人類の相互理解を妨げるこの“呪い”を月を破壊する事で解いてくれる!そして再び世界を一つに束ねる!」

 

4人へと向けてフィーネが叫ぶと同時にカ・ディンギルがエネルギーをチャージし始める

 

響「いやいやいや!?月破壊したら世界一つになる前に滅びますよ了子さん!?」

 

未来「破壊した月の破片が隕石になって地球に降り注いだら確かにそうなるよね…」

 

クリス「他にも色々と災害が起きちまうだろ!束ねる以前の問題じゃねえか!?」

 

翼「ならばやる事は1つだ!立花!小日向!雪音!」

 

各々に叫んだ後に翼が呼びかける。

 

3人とも頷いた後にフィーネに向けて4人は構える。

 

フィーネ「やはり邪魔をするか!長年の願いを叶える為にも、邪魔はさせん!」

 

クリス「時間がねぇ!まずはカ・ディンギルをぶっ壊すぞ!」

 

響「それじゃあクリスちゃんと未来がカ・ディンギルを。翼さん、私と一緒に了子さんの足止めをお願いできますか?」

 

未来「分かった!」

 

翼「承った!行くぞ!」

 

咄嗟にそう言う響のに3人は賛成してそれぞれ別れる。

 

フィーネ「私の足止めをするつもりか…」

 

響「二人の邪魔はさせません!」

 

翼「参る!」

 

そう言って飛んで行く2人の方へと攻撃を仕掛けようとするがそれより前に響が攻撃を仕掛ける。

 

放たれる体術を掃いてから斬りかかろうとする翼の手から鎖で剣を弾き飛ばす。

 

すぐさま翼は逆立ちをする様に動くと…

 

逆羅刹

 

そのままカポエラの様に回りながら足に付いてる剣を展開して攻撃を仕掛け、フィーネはそれを鎖で防いで行く。

 

そんな翼の体勢を見てミューチェは場違いな事を思った。

 

ミューチェ「(スーツの奴で色々とギリギリな感じになってるわね…翼ちゃん。そこらへんのは直した方が良いんじゃないかしら…;)」

 

響「はあっ!」

 

翼「はあ!」

 

フィーネ「小賢しい!!」

 

連続攻撃を仕掛ける2人にフィーネは小型のエネルギー球弾を作り出してそれをわざと爆発させて2人もろとも自分を吹っ飛ばした後に体勢を立て直すと2人に向けてクリスがやった奴よりも大きな巨大光弾を作り出して投げ飛ばす。

 

翼「しまった!」

 

響「(クリスちゃんのと同じ技!それなら!)」

 

それに翼は焦るが響は焦らず…

 

バシュン!

 

フィーネ「何!?」

 

光弾は2人とフィーネの中間で何かに防がれる様に四散するのにフィーネは驚く。

 

翼「い、今のは?」

 

ミューチェ「(音のバリアで防いだのね)」

 

それには翼も戸惑う中でミューチェはすぐさま察した後に響が翼を呼びかけて、翼も我に返ってからフィーネに突撃する。

 

一方でクリスと未来は発射口に辿り着いていた。

 

クリス「手早くぶっ壊すぞ未来!」

 

未来「うん!」

 

応えた後に未来は回転して勢いを付けてからクリスを上へと投げ飛ばす。

 

クリス「食らいやがれ!」

 

MEGA DETH PARTY

 

上へと投げ飛ばされた後にクリスはカ・ティンギルに向けてミサイルをぶっ放す。

 

続けて未来も扇子を展開し…

 

閃光

 

必殺技の閃光を放つ。

 

未来「これなら!」

 

フィーネ「させるものかっ!」

 

攻撃させないとフィーネは鎖をなげるが…

 

ガキィン!

 

途中でまた何かに遮られる。

 

そして当たりかけた時…

 

カッ!!!

 

カ・ティンギルから光線が放たれる。

 

クリス「なにっ!?」

 

未来「ええっ!?」

 

まだ発射されないと思っていた2人にとってそれは驚きで、光線は途中で何かに当たった後…

 

バキン!

 

壊す様に突き破って来る。

 

響「(バリアが!?)」

 

ミューチェ「(うそっ!?)」

 

それに驚いている間に光線はミサイルを爆発させ、未来の閃光とぶつかり合う。

 

未来「なにあれ!?」

 

クリス「迎撃装置みたいだな…」

 

フィーネ「(あいつの仕業か。いつの間にあんなのを……まあ良い。おかげで助かった)」

 

驚く2人の後にフィーネはすぐさま察してニヤリと笑う。

 

その間も光線は閃光を押し続け、未来は力を籠める。

 

クリス「未来、大丈夫か!?」

 

未来「ぎ、ギリギリ…だけどこのままじゃあ…」

 

その言葉にクリスはどうすると考える。

 

クリス「(砲身の部分が駄目なら砲口の方からやれば良いか…)」

 

そう考えた後にクリスは未来から離れるとミサイルを作り出してそれに飛び乗って砲口へと向かう。

 

未来「クリス!?一体どこに……」

 

クリス「先に行く!このままだと本命のが発射されるだろうからな!」

 

その言葉に未来もま、待って!と音の壁を何重に展開して光線を防いでからクリスの後を追う。

 

クリス「(絶対に防いでやる!あたしの歌で…!)」

 

そのまま成層圏まで着いた所でミサイルから降りるとアームドギアを構えながら歌を紡ぐ。

 

クリス「~~~~♪~~~~♪edenal♪」

 

それはかつて奏が2年前に歌った絶唱であった。

 

続けざまに未来が辿り着いてクリスの紡いでいる歌に驚く。

 

未来「(あの歌って絶唱……!?)」

 

それにすぐさま未来は自分のするべき事を察するとクリスと並んで彼女と同じ様に負担を軽くする為にも同じ様に歌う。

 

クリス「(未来!?お前……)」

 

未来「(ゴメン響、無茶をしないでって言う私が無茶をするね)」

 

それにクリスは驚く中で未来は響に内心謝罪すると共に足のアーマーを円状に展開する。

 

クリスもリフレクターを出して集まったエネルギーを、二丁のライフルを繋げて組み上げたロングライフルに集中させる。

 

クリス「(あいつが守ろうとする世界を……)」

 

未来&クリス「(絶対に壊させない!)」

 

ROSE OF DEATH

 

流星 撃

 

思いが重なると共に絶唱を歌い終わった後、カ・ディンギルから月を破壊しようとする光が壁をぶち破って2人に迫る。

 

それと同時に、クリスと未来も絶唱により高まったのを放ち、互いのエネルギーがぶつかり合う。

 

ぶつかり合う中でクリスと未来は顔を歪める。

 

一見互角そうに見えるぶつかり合いだが…若干…そう若干とも言える僅差で…()()()()()()()()()()()()()

 

クリス「(チッ、あたしと未来の二人がかりでも防げねぇのか)」

 

未来「(でも防げはしなくても少しだけ……ほんの少しだけ軌道を変えれれば……!)」

 

ビシッ、ビシッビシッ

 

歯を食い縛って耐える2人だが2人の持つアームドギアに音と共にひび割れが起こり始める。

 

クリス「(壊すことしか出来ないと思っていた。あたしの歌は、パパやママみたいに優しい歌じゃないって、ずっと思っていた。でも、この町のみんな、響やおっさん達……そして、パパやママが教えてくれた)」

 

徐々に迫る光を見ながらクリスの脳裏に過ぎるのは、幼い頃に父と母に連れられ世界中を回っていた時と、響の強い眼差し。

 

未来「(響……あとは任せるね。大丈夫、響なら…)」

 

そして未来は自分の親友でもあり最愛の人を思い浮かべる。

 

クリス「(ああ、そうだ。あたしはずっと、パパとママのことが大好きだった。だから、二人の夢を引き継ぐんだ。パパとママの代わりに、歌で平和を掴んでみせる。壊すんじゃない、平和の、誰かの為。あたしの歌は、その為に―――)」

 

そして…2人のアームドギアが壊れた後に咄嗟に未来はクリスを抱き抱え、音の膜で包み込んだ直後…光に飲まれる。

 

 

 

 

それは地上でも見えていた。

 

軌道が逸れ、月を一部だけ破壊する光とその光の中から出て来て落ちる2人を…

 

響「未来……クリスちゃん……」

 

呆然と呟く響だが翼はカ・ティンギルが再びチャージし始めてるのに気づく。

 

なぜ?と動揺する翼だがすぐさま出来る理由に行きつく。

 

翼「まさか、デュランダルの力か!?」

 

フィーネ「そうだ、一発しか撃てぬなら兵器としては欠陥品だからな。一撃を逸らしたのは流石クリスと小日向未来と言うべきか……だが、終わりが伸びただけだ。カ・ディンギルがある限り、何度でもエネルギーは充填され、月を穿つ一撃となる!クリスも、小日向未来も、全ては来る終わりを先延ばしにしただけだ。気概は良いが、所詮は無駄な足掻きでしかない!」

 

気づいた翼にフィーネはそう返す。

 

それに翼は、剣の切っ先をフィーネに向けながら、静かに怒りを滲ませる。

 

翼「無駄だと言ったか。命を賭して大切なものを護ろうとした、雪音と小日向の行いを、お前は無駄とせせら笑ったか!」

 

フィーネ「事実であろう?雪音クリスと小日向未来は一撃こそ止めたが、それも僅かな時間稼ぎにしかならない。奴らの行いは無駄だったのだ」

 

その言葉に見上げていた響は拳を握り締める。

 

響「許さない……」

 

フィーネ「む?」

 

自分へと顔を向けるフィーネをみつえながら響は拳をさらに強く握り締める。

 

響「未来とクリスちゃんの命がけでやってくれたことを無駄なんて言うなんて……絶対に許さナイ!」

 

その言葉と共に響の体が足から黒く染まっていく。

 

その現象に翼はデュランダル輸送の際のを思い出す。

 

翼「立花、お前まさか!」

 

響「すみまセン、翼さン。私、今から暴走しマス。2人ノ決死ノ行動ヲ侮辱サレテ黙ッテラレルカァァァァァァァァ!!!」

 

その言葉と共に体が完全に黒く染まり、目が赤一色となった響はフィーネへと突撃する。

 

フィーネ「狂戦士のごとき、理性なき一撃なぞ!」

 

それに対してフィーネは受け止めようとして…想定よりも強い衝撃に吹き飛んで瓦礫にぶつかる。

 

フィーネ「ガハッ!?」

 

響「ガァアアアアアアア!!」

 

続けざまにガントレットを変形させて槍の様にしてフィーネへと叩き込む。

 

狂装咆哮(無印バージョン)

 

フィーネ「ぐぁああああ!?」

 

瓦礫を突き破って地面を転がったフィーネは自身の体を再生させながら膝を付く。

 

フィーネ「グッ…なんだこの規格外の強さは…!?」

 

彼女から見れば暴走とも言える響の姿に彼女は当初見下していたが次第にその強さに焦りが出始める。

 

翼「立花……っ、私はどうしたら…!」

 

見ていた翼はジレンマを抱いていた。

 

響と共にフィーネと戦うべきか、カ・ディンギルを破壊するべきかと…

 

こういう状況ならば後者であるべきだろうが翼は響がこのままではやばいと感じてるのもあってそれに踏み込めないのだ。

 

そんな迷う翼を押したのは…響の言葉であった。

 

響「ツバ……ササン…!」

 

翼「!立花!」

 

戦いながら声を出した響に翼は響を見る。

 

響「ココ………ハ……ワタ……シガ……引キ……受ケマス……カ・ディ……ン……ギル…ヲ…」

 

翼「……!」

 

その言葉に翼は決意を固めた後にカ・ディンギルへと駆け出しながらこれまでを思い出す。

 

翼「(私はこれまで立花達に迷惑をかけて来た。奏の事もあって彼女達の事を知らずに否定し、そして後悔した。自分の世界がどれだけ狭かったのかと…だからこそ…)」

 

カ・ディンギルに駆け出しながら翼もまた絶唱を歌う。

 

翼「(私の命に賭けてでもカ・ディンギル破壊を成し遂げてみせる!それが立花が託してくれた事に対する返しだ!)」

 

飛び上がるとアームドギアを巨大化させる。

 

フィーネ「ッ!させるもの…」

 

響「ガァアアアアアアアア!!」

 

それを妨害しようとしたフィーネを響は吹き飛ばす。

 

フィーネ「クッ!」

 

それにより出来た好機を逃さずに翼はカ・ティンギルをみつえながら叫ぶ。

 

翼「これが立花達に教えて貰った防人の一撃だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

蒼ノ一閃・極撃

 

強く輝く刃が振り下ろされ…月を破壊しようとする塔を両断した。

 

そのまま翼は着地した瞬間、塔から光が迸り……

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

大爆発を起こし、崩壊して行く。

 

フィーネ「ば、バカな……!?」

 

ミューチェ「(あの大きさの塔を両断するなんて…やるじゃないの)」

 

壊れ行くカ・ティンギルに目を見開くフィーネの隣でミューチェは息を荒げる翼へと称賛する。

 

翼「はあ…はあ…」

 

響「ヤリ……マシタネ……翼……サン……グゥゥ!」

 

近づいてそう言った響は胸を押さえて膝を付く。

 

翼「立花!」

 

フィーネ「よくも……よくもやってくれたな貴様らァアア!!」

 

慌てる翼を前に怒気を纏ったフィーネは咆哮するとその体を光らせる。

 

 

 

 

それはシェルターにて見ていたファナ達も見ていた。

 

翼がカ・ディンギルを破壊したのに喜んだのもつかの間、フィーネに起きた変化に誰もが驚く。

 

弦十郎「な、なんだ!?」

 

ファナ「(そんなバカな…!?何故()()姿()()()()()んっすか!?)」

 

それに弦十郎達も驚く中でファナはその現象にありえないと考える中で光が収まる。

 

光が収まったフィーネの纏うネフシュタンの鎧が変化していた。

 

肩アーマーの形状が変化してまるで龍の顔の様になり、その左右に羽の様なのが浮かび、胸は上部分覆っていたのが下を覆う形に変わり、下部分は……パンストの様なのが消えて大事な所がちょこんとしたので守られてるだけになっていて、腰左右にアーマーが追加されて肩の鎧から伸びていた鎖が伸び、その色はピンクから水色に変貌していて、腰の裏側に金色で裏地が赤のマントが追加されていた。

 

弓美「な、なんか特撮で良くある女幹部の大胆な恰好に変化してる!?」

 

藤尭「oh…」

 

あおい「…(げしっ)」

 

それに弓美が叫び、思わず鼻を伸ばした藤尭はあおいに足を踏まれる。

 

踏まれた足を抑えて悶える藤尭を背に弦十郎は手を握り締める。

 

弦十郎「まさか完全聖遺物が変化するとは…」

 

ファナ「(もしかしてカ・ディンギルを破壊された怒りで……?ヤバイっす。このままでは響さん達が殺されてしまうっす!)」

 

顔を歪める弦十郎の隣でファナは必死に2人の無事を祈る。

 

 

 

 

翼「完全聖遺物が…変化した!?」

 

フィーネ「これこそネフシュタンの進化した姿だ」

 

響「ウソ……」

 

驚く2人へとフィーネはそう言った後に…羽の一部を杭の様にして翼へと飛ばす。

 

咄嗟に響が動き…翼を庇い、杭が刺さる。

 

翼「立花!?」

 

響「ガッ……」

 

フィーネ「すぐには殺さぬ……徹底的に苦しめてから殺してやる!」

 

血を吐き出しながら膝を付くと共に体中の黒が剥がれ落ちる響を見ながらフィーネは睨む。

 

この!!と翼は絶唱の負担が残る体に鞭を振るってアームドギアを握り締めて突撃するが受け止められ…

 

フィーネ「フンッ!」

 

翼「がはっ!?」

 

そのまま地面にたたきつけられた後に勢いよくカ・ティンギルの残骸へと投げ飛ばされてしまう。

 

ドゴーン!!

 

響「翼さん……!」

 

フィーネ「まずは奴から殺す。カ・ディンギルを壊した大罪をその身で償って貰う」

 

そう言って向かおうとするフィーネの前に響がよろけながらも立ち塞がる。

 

フィーネ「その傷でまだ私に抗うと言うのか」

 

響「止めますよ。月を破壊したら大災害が起こりかねないんですから」

 

そう言う響にフィーネは鞭を地面に叩き付け八つ当たりしながら、苛立った様子で叫ぶ。

 

フィーネ「忌々しいッ! あともう一手で、手が届いたというに!月の破壊はバラルの呪詛を解除すると同時に、重力崩壊を引き起こし惑星規模の天変地異となる。未曾有の災害に人類は恐怖し、聖遺物の力を振るう私の元へと帰順するはずだった!痛みだけが、人の心を繋ぐ唯一つの絆。それが、数千年で見出した真実だと言うのに……ッ!」

 

ミューチェ「(痛みだけが人の心を繋ぐ唯一の絆ですって?ふざけてるの?そんなの絆な訳ないでしょ)」

 

そう叫んだフィーネのにミューチェは怒る。

 

響もまた苦悩があったとはいえ、彼女のやった事を認められない。

 

例え涙を流す姿にどれだけ長く見て来ただろうが、彼女のやろうとしてる事を認める訳にはいかない。

 

響「だめ……ですよ了子さん…そんな事では、人が人と繋がるなんて出来ませんよ…そんなのは絆じゃないです。ただ恐怖で従えてるだけなんです。なぜこんな事をしてまで月を破壊しようとするんですか…!」

 

ミューチェ「(それよね。確かに月を破壊するのに固執するのにね)」

 

そう問う響にフィーネは月を見上げながら口を開く。

 

フィーネ「遠い昔、私はあのお方、創造主に仕える巫女だった。私はいつしか創造主を愛したが、この胸の思いを届ける前にバラルの呪詛によって統一言語を奪われ、その思いを伝えることが出来なくなった。私は数千年に渡り、たった一人でバラルの呪詛を解く為に抗ってきた。いつの日か統一言語を取り戻し、あの方に胸の思いを届けるために……!」

 

その言葉にミューチェは響に体借りるわよと言って憑依し…

 

M響「なるほどね。それが貴女の願い…誰もが持っている恋心が貴方を動かしていたのね」

 

フィーネ「そうだ!それが私の願いだ!」

 

確認する様に言うM響にフィーネはそう返す。

 

M響「そう。恋心ってホント凄いわね。でも貴女は…本当に創造主に恋してるの?」

 

フィーネ「なんだと…?」

 

出て来た言葉にフィーネは顔を歪める中でM響は続ける。

 

M響「だって人間が自分と同じ高みに来るのを嫌っている奴なんでしょ?そんな奴を本当に愛せられる?さらに言うならあなたを信用してたの?」

 

フィーネ「黙れ……それ以上あの方を…!」

 

怒りで身を震わせていたフィーネだったがすぐさまハッとなってM響を見る。

 

フィーネ「待て…誰だ貴様は?立花響ではない…一体何者だ?!」

 

M響「さて、何の事やら」

 

しらばっくれるな!と叫んで鞭を振るうフィーネにすぐさま主導権を返して貰って響は避けた後に杭に手をかけ…

 

響「はぁっ!」

 

杭を引き抜いた後にフィーネへと投げ飛ばす。

 

それにフィーネは意表を突かれて肩に命中する。

 

フィーネ「グゥ!!」

 

響「はあはあ…了子さん…絶対に止めます…」

 

杭が刺さっていた所を抑えながら響は強い光を灯す瞳でフィーネを見る。

 

その瞳にフィーネはたじろく。

 

ミューチェ「(響の強い意思の光に恐れているわね)」

 

フィーネ「何故だ…何故貴様の心は折れぬ…何故諦めない…一体何なんのだ貴様は!?」

 

叫ぶフィーネに響は構える。

 

すると…声が聞こえて来る。

 

それも歌で、響にとって聞き慣れたリディアンの校歌であった。

 

響「この歌って……」

 

ミューチェ「(この力は……!)」

 

聞こえて来る歌に響とミューチェは気持ちが熱くなっていくのを感じる。

 

フィーネは流れるのに顔を歪める。

 

フィーネ「なんだこれは?何処から聞こえてくるのだこの不快な歌……歌だとっ!?」

 

響「そうですよ。了子さんが言っていたのとは違う…繋がりの歌です」

 

その言葉にフィーネは鞭を振るうが響は殴り飛ばすと共にその体を光り輝かせる。

 

フィーネ「なんだそれは……!?先ほどの不快な歌の仕業か!?なんだと言うのだ!?」

 

起こりし現象にフィーネは動揺して叫ぶ中でカ・ティンギルの頂上とリディアンから離れた森から青と赤、紫の光が響から溢れ出すのと同じように空へと伸びて行く。

 

その光景にフィーネは言い様の無い何かを感じて後退りながら再び問う。

 

フィーネ「何だ、お前達が纏っている、ソレは一体何だ、何なのだッ……!?」

 

ミューチェ「(なんだって?そんなの決まっているじゃない。彼女達が纏っているのは―――)」

 

信じられないとばかりに叫ぶフィーネと輝きを目に焼き付けるミューチェにその身に纏うのを純白のに染め、出現した翼で舞い上がった響は同じ様に光から飛び出した翼、クリス、未来を前に浮かんで答えを叫ぶ。

 

響「シンフォギアアアアアアアアアアアアッ!!!

 

光を放つ純白を纏いし装者は巫女へと視線を向ける。

 

今、最終決戦が始まる。




響「次回!『エクスドライブ!』だよ!了子さん。止めて見せます!」


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第二十二話~エクスドライブ!~

純白の翼を羽ばたかせた少女達は古代の巫女へと虹の一撃を叩き込む。


集結した4人にシェルターで校歌を歌っていたファナ達や見守っていた弦十郎達は目を離せなかった。

 

弦十郎「おお…あれが…」

 

ファナ「(ギアの限定解除……エクスドライブ!)」

 

誰もがその輝きに声を漏らす中でファナも心の中で呟く。

 

 

 

 

響「凄い……力がみなぎるっ!」

 

未来「うん。体の奥底から溢れて来るよ」

 

クリス「ああ、心地いい奴だぜ」

 

翼「奏達の思いは確かに響いた。温かい歌…」

 

各々に力を感じているとフィーネが同じ高さまで飛んで来る。

 

フィーネ「高レベルのフォニックゲインによる限定解除…二年前の意趣返しか」

 

クリス「んなこたぁどーでもいいんだよ!」

 

翼「世界に尽きぬノイズの災禍も、お前の仕業なのか!?」

 

4人を見て呟いたフィーネにクリスはそう返し、翼が響より一歩前に出て問いかける。

 

フィーネ「ノイズとは、先史文明時代の人類が、同じ人類のみを殺戮するために開発した自立型の兵器だ」

 

響「人類が人類を凝らすために作った……」

 

未来「自立型の兵器…!?」

 

ミューチェ「(厄介な物を作ったものね…)」

 

告げられた事に誰もが驚き、ミューチェは呆れる。

 

そんな響達へとフィーネは続ける。

 

フィーネ「バビロニアの宝物庫は開けっ放しでなぁ?私は十年に一度の偶然を、このソロモンの杖にて手繰り寄せているだけに過ぎない」

 

響「えっと……つまりどういうこと?」

 

未来「了子さんの言い方からしてノイズはとある場所に沢山いて、ホントはごく時たまなのをソロモンの杖で召喚してる感じみたい」

 

頭が追い付いてないので聞く響に未来が分かり易く教える。

 

フィーネ「普通に理解は出来ぬだろうな、特にお前の様な補習されそうなのがな」

 

響「うっ……」

 

未来&ミューチェ「(ああ、確かに……)」

 

呆れる様に言ったフィーネのに響は呻き、未来とミューチェは思わず同意した。

 

その後にフィーネはソロモンの杖を空へ向けると光りが四方八方へと散らばり、ノイズが街中を埋め尽くした。

 

響「ノイズが街中に!」

 

クリス「ち、めんどくせぇ事をしやがるぜ!」

 

翼「各個撃破するぞ!」

 

未来「はい!」

 

それに響は驚き、クリスがぼやいた後に翼がフィーネは後回しにして指示するとノイズ殲滅の為に4人は分かれる。

 

(BGM:FIRST LOVE SONG)

 

クリス「いい加減芸が乏しいんだよッ!!!」

 

先手必勝とクリスはレーザーをばら撒いてノイズを殲滅して行き、未来も援護する様に光線を放って空中の飛行型ノイズを撃ち落として行く。

 

翼は地上に降り立つと共にそ某戦極ゲーの如く、ノイズを大群を片っ端から両断して行く。

 

響「はああああああっ!」

 

響も負けずと向かって来るノイズを片っ端から拳法で粉砕して行くと共に勢い良く右腕を突き出すと拳圧と音の衝撃でノイズを吹き飛ばして行く。

 

クリス「ゥオラアアアアアァッ!!」

 

上空でクリスが雄叫びと共に引き金を引けば、大空にレーザーが迸り…

 

クリス「やっさいもっさい!!」

 

レーザーは光の豪雨がとなって上空のノイズへと降り注いで殲滅して行く。

 

響『やっさいもっさいって可愛いねクリスちゃん!』

 

クリス『う、うるせえ!そっちも手を動かせ!』

 

念話でそう言う響にクリスは顔を赤らめながらそう返す。

 

そんじゃあと言われた響はクリスを見習って…

 

響『超スーパーウルトラハイパー奥義!』

 

その言葉の後にガントレットのジャッキが勢い良く伸びて行く。

 

クリス「おいおいおいおいおい…」

 

未来「長すぎない響!?」

 

ミューチェ「どんだけ伸びるのよそれ!?」

 

しかもその長さは3人が驚いている通り、ジャッキがとんでもなく伸びて行き、伸び終ると共に響は襲い掛かって来た1匹に両腕を突き出し…

 

我流・特大撃槍!!

 

ジャッキが勢いよく戻ると共に衝撃が拳をぶつけたのから突き抜けて後ろにいた大量のノイズ達を粉砕して行く。

 

響「どうクリスちゃん!私のも凄いでしょ!」

 

未来「凄いと言うか……」

 

ミューチェ「ぶっ飛び過ぎでしょ…」

 

衝撃によりめくれたコンクリートなどを見て誰もが唖然とする。

 

見ていたファナ達も唖然としていて弦十郎はなかなかやるなと感心していた。

 

翼「…3人とも、茶番はそこまでのようだぞ」

 

未来「え?」

 

しばらく倒し終えた後での翼の言葉に3人とミューチェは翼の見ている方へと顔を向ける。

 

カ・ディンギルの残骸の麓に、フィーネがいたのだ。

 

響「了子さん!」

 

未来「あそこで何を…」

 

危機感を感じて4人は突撃するがその前に飛んで来た杭で足止めされる。

 

フィーネ「ふん!」

 

ずぶっ!

 

次の瞬間、フィーネは自身の腹にソロモンの杖を突きさす。

 

響「えええっ!?」

 

クリス「んなっ!?」

 

未来「うそっ!?」

 

謎の行動に誰もが目を見開いた次の瞬間、空に幾つもの穴が開き、現れたノイズがフィーネに纏わり付いていく。

 

さらに翡翠の光と共に、生き残ったノイズ達も向かっていく。

 

響「ノイズに取り込まれて…」

 

クリス「いや違う、これは!」

 

ミューチェ「フィーネがノイズを取り込んでいる!?」

 

響の呟きをクリスと共に否定しながら、ミューチェは何が起こるのと警戒する。

 

フィーネ「―――――来たれ、デュランダル!

 

赤いドロドロとなったノイズ集合群の中からフィーネの声が響き渡ったと思ったら集合軍から黄金の光が迸る。

 

翼「あの光は…デュランダル!?」

 

未来「一体何が…」

 

誰もが驚く中で土煙が起こる。

 

そして…土煙を突き破って巨大な存在が現れる。

 

その姿を見て響は呟く。

 

響「り、龍……?」

 

全身が鮮やかなワインレッドの竜に響達は驚く中で龍は口部分にエネルギーを収束し……発射した。

 

少しの静寂の後に轟音と共に火柱が昇った。

 

慌てて4人が振り向けば、火の海と化した街並みが目に映る。

 

翼「街が……!」

 

クリス「ヤバすぎだろあれ……!」

 

未来「うん。連発されたら街が無くなっちゃう」

 

響「それは阻止ししないとね」

 

誰もがそれに驚いた後に龍を見る。

 

フィーネ「逆さ鱗に触れたのだ。相応の覚悟は出来ておろうな?」

 

そんな龍からフィーネの声がした後に4人は突撃する。

 

クリス「喰らいな!」

 

ズドドドドドォン!!

 

未来「ええい!」

 

先手必勝とクリスと未来が龍の顔へと銃弾とレーザーを放ち、顔に風穴を開ける。

 

だが、瞬く間に修復される。

 

ミューチェ「(凄い再生力ね……。三つの完全聖遺物が集まるとこうも厄介なるとは……)」

 

翼「くっ、一体どうすれば…」

 

響「確かにすぐに回復させられるとなると…」

 

フィーネ「ふん、所詮は欠片から作られた玩具!()()()()()()()()()()()()くれるな!」

 

呻く4人へと竜の胸元、扉のような殻が開いてそこから見えた深い赤のドレスに身を包んだフィーネがデュランダルを見せながら勝ち誇った顔をする。

 

その言葉を聞いて響以外の3人とミューチェはすぐさま活路を見出した後に響を見る。

 

響「え?なんで皆、私を見るの?」

 

いきなり見られたので戸惑う響だが3人は顔を見合わせて頷く。

 

翼「方法はこれしかないみたいだな」

 

クリス「ああ。だがその作戦だと……」

 

未来「響に頑張って貰わないとね」

 

響「え?え?」

 

会話する3人のに付いて行けてない響が戸惑う中で翼はアームドギアに力を込めて刀身を巨大化させた。

 

翼「はあぁッ!!」

 

蒼ノ一閃・滅波

 

放たれた強化斬撃がフィーネのいる竜の胸元を大きく負傷させて穴が出来上がる。

 

その出来た穴が修復される前に未来とクリスが攻撃を潜り抜けて飛び込ぶと共に周辺へと乱れ撃つ。

 

フィーネ「この!」

 

蒼ノ一閃

 

追い出そうと扉を開けた所でその扉から翼が飛び込んでフィーネへと直接叩き込む。

 

それにより爆風が起こり…爆風の中からフィーネの手から離れたデュランダルが飛び出す。

 

(BGM:Synchrogazer(戦姫絶唱シンフォギア第一期OP))

 

響「!」

 

ミューチェ「響!あれが切り札よ!」

 

翼「勝機を零すな!掴みとれ!」

 

その言葉と共に響はデュランダルへと向かう。

 

バキュン、バキュン

 

そのまま飛距離を伸ばそうとクリスの狙撃で跳ね上がる。

 

跳ね上がったのを響はつかみ取り……あの時の様に黒い浸食が腕を通して来る。

 

響「ぐっ……負けるかぁぁぁぁぁぁ!」

 

フィーネ「デュランダルを!?」

 

自分を侵食しようとするデュランダルのに耐える響にフィーネは攻撃しようとするがクリスと未来が守る。

 

翼「屈するな立花、胸に抱えた覚悟。私に見せてくれ!」

 

クリス「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前が自分信じなくてどうすんだよッ!」

 

未来「響!」

 

3人が寄り添い声をかけると地上から響さんと言う声がして見るとファナ達がいた。

 

ファナ「響さん!此処が正念場っす!頑張ってくださいっす!」

 

弦十郎「彼女の言う通りだ!気合を入れろ響くん!!」

 

緒川「強く自分を意識してください!」

 

藤尭「昨日までの自分を!」

 

あおい「これからなりたい自分を!」

 

詩織「あなたのお節介を!」

 

弓美「あんたの人助けを!」

 

創世「今回は、わたし達が!」

 

奏「やってやる!だから気合を入れろ響!!」

 

全員が響を応援する。

 

その言葉に響は強くデュランダルを握り締める。

 

ミューチェ「頑張りなさい響!」

 

響「(皆、ありがとう。そうだ、今の私は私だけの力じゃない!この衝動に呑まれてなるものかぁぁぁぁぁ!!)」

 

全員の応援を受け、響は思いを迸らせると響の体を侵食していた黒いのが引いて行き、最後に翼が大きく広がり、デュランダルも黄金の輝きから虹色の輝きを放つ。

 

そんな響を支える様にクリスと未来、翼が手を添える。

 

フィーネ「その力!何を束ねた!?」

 

その輝きにフィーネは驚愕する中で響はデュランダルを振り上げ……

 

響「響合う皆の歌声がくれたシンフォギアだああああああああ!!!

 

Synchrogazer

 

光り輝く斬撃を龍へと叩き込む。

 

斬撃を受けた龍は再生することなくその体を崩壊させて行く。

 

フィーネ「完全聖遺物同士の対消滅……」

 

ズドォン!ズドズドォオオン!

 

それにフィーネは茫然と呟く中で龍は爆発を起こして行く。

 

フィーネ「どうしたネフシュタン!再生だ!この身、砕けてなるものかぁぁぁぁぁ!!

 

ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

認められない、信じられないと言うフィーネの絶叫の後に龍は爆発四散する。

 

創世&弓美&詩織「やったあああああああ!」

 

ファナ「大勝利っす!!」

 

それにファナ達は喜び、緒川と藤尭はよっし!と手を取り合い、あおいもホッとする。

 

弦十郎は少し悲しそうに見ていたのをオンブして貰っていた奏しか知らなかった。

 

未来「やったね!響!!」

 

クリス「そうだな!流石だな」

 

翼「ああ、良くやった立花」

 

響「………」

 

それぞれが声をかけるが響は無言で龍のいた場所を見ていた。

 

未来「……響?」

 

響「ごめん、ちょっと行ってくる!」

 

誰もが怪訝となる中でそう言って響は飛んで行く。

 

3人は戸惑ったがフィーネを助けに行くのかと考えて後に続く。

 

 

 

 

フィーネ「(ふっ、この身体もここまでか……そう言えば奴から貰った薬、飲んでいなかったな……)」

 

倒れ伏した状態でフィーネは自嘲の笑みを浮かばせた後になんとか腕を動かして目的の物を取り出す。

 

フィーネ「(どうせ最期だ……使ってみるとするか)」

 

渡した人物の顔を思い浮かべながらその薬を飲みほした後に時が来るのを待とうとした。

 

響「了子さん!」

 

そこに自分を止めた少女が来るまでは…

 

響「見つけました。さ、一緒に帰りましょう」

 

フィーネ「(どうしてだ。なぜ敵である私に手を差し伸べられるんだお前は…)」

 

心底安堵した顔でそう言う響にフィーネは戸惑いの顔で見る。

 

 

 

 

待っててと言われ、周辺にノイズがいないかを確認してからぶつかり合いので奇跡的に残って転がっていたソロモンの杖を回収した未来達は弦十郎達と共に待っていた。

 

未来「響、了子さん見つけられたかな……?」

 

ファナ「ですね(一応見つけられるっすけど……)」

 

心配する未来にファナは同意する中で別ので不安になる。

 

ファナ「(月がもう迫り始めてるんっすよね…)」

 

不安そうにファナは見上げる。

 

彼女の知る限りではしばらく先で分かる事であるが知ってるだけに不安が強かった。

 

そして知ってるだけに自身の知るのとは違う事もあって不安がさらに強まる。

 

ファナ「(変なことにならなきゃいいんっすが…)」

 

創世「あ、ビッキーが来たよ!」

 

祈る中で創世の言葉に見る。

 

そこには達成感を溢れさせる顔でフィーネを運ぶ響の姿が目に入り、彼女の背に抱えられているフィーネは呆れた顔でなすがままに運ばれている。

 

奏「了子さん……!」

 

未来「見つけれたんだね響!」

 

運ばれてきたフィーネに奏は何とも言えない顔で見る中で未来が響に駆け寄り、響はうんと頷く。

 

ミューチェ「(まったく、ホントお人好しなんだからこの子は…)」

 

手頃な瓦礫に座らされた後にフィーネは響を見る。

 

フィーネ「……何を、考えている」

 

響「へ?」

 

未来「(戦った相手なのになんで助けたかを聞いてるんだよ)」

 

突然聞かれた事に目をパチクリさせる響に未来が察して小声で教える。

 

響「そんなの関係ありませんよ。それに私は了子さんがそこまで悪い人には見えないんですよ。そりゃあ色んな人を悲しませてしまったのは事実ですけど…」

 

フィーネ「……」

 

出て来た言葉にフィーネは唖然とする。

 

彼女の言った事が彼女にとっては予想外であったからだ。

 

響「可笑しいって思われるかもしれないけど、私は了子さんにも優しさがあるのを信じたいんです」

 

心の底から言ってるのを純粋な目が証明してるのにフィーネは驚かずにはいられなかった。

 

フィーネ「……変わっているなお前は」

 

響「あははは、よく皆から言われます」

 

呆れる様に呟くフィーネに響は苦笑する。

 

その後にフィーネはよろつきながらも立ち上がると背を向けて見上げる。

 

フィーネ「………『統一言語』が失った我々は手を繋ぐよりも相手を殺す事を求めた…それによりノイズが誕生した」

 

響「相手を殺すことを……」

 

ミューチェ「(………『統一言語』を失ってね………もしも失ってなくても彼女の言うあの方と同じ感じならいずれ殺し合いは起きてたかもしれないわね)」

 

おもむろに語ったフィーネのに響は悲しそうに呟く中でミューチェはそう思う。

 

悲しいが人と言うのは言葉が分かっていてもロジック(論理)が異なってしまえば話しにならない時がある。

 

自分の価値観と考え、相手の価値観と考えが極めて近くなければ同族であろうと、異種族であろうと手を取り合うのは難しい。

 

ミューチェ「(ホントこれは何処の世界でも同じなのよね……。この世界は統一言語があったからまだ良かったけど失ったらノイズを作るって困ったものね…)」

 

ふう…とミューチェは愚痴る。

 

刹那…振り向いたフィーネは、一度目を閉じ、すぐさま勢いよく見開いて…

 

フィーネ「はああッ!!」

 

鋭く、鞭を伸ばした。

 

響は横に避けると共に懐に潜り込んで拳を突き出すが他のメンバーは鎖の行く先に驚き、ファナが叫ぶ。

 

ファナ「マズいっす!このままでは月の欠片が…!」

 

響は顔だけを向けると鎖は未来とクリスの活躍で逸れたカ・ティンギルの光線で砕けた月の欠片に向けて伸びていた

 

フィーネ「私の勝ちだァッ!!!でええええええッ!!!!!」

 

突き刺さった手応えを感じてからからすぐさま鎖を掴むと足元を巻き込んでの一本背負いをする。

 

その後に鎖が戻って来るがフィーネは笑う。

 

フィーネ「ここに月の欠片を落とす!後々の禍根はここで潰すッ!!」

 

クリス「お、おい、なんてデタラメだ……ッ!月を……引っ張りやがったのかッ!」

 

誰もがフィーネのやった事に驚く中でフィーネは笑い続ける。

 

フィーネ「この身は此処で果てようと、魂までは絶えやしないのだからなッ!聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇るッ!どこかの場所ッ!いつかの時代ッ!今度こそッ!世界を束ねるためにぃッ、ハッハハッ!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなのだぁッ!アッハハ――――」

 

ここで終わらないとばかりに喋り続けた後にフィーネは再び笑う。

 

トン……

 

フィーネ「……あ」

 

だが、その笑いは響の軽い攻撃…否、託すかの様な当て方により止まる。

 

響「……うん、そうですよね。どこかの場所、いつかの時代、蘇る度に何度でも皆に伝えてあげてください。世界をひとつにするのに、力なんて必要ないってこと。世界を超えて、私達はひとつになれるってこと。私達は、未来にきっと手を繋げられるということッ!……()()()()()()()()()()頑張りましょう了子さん。絶対に!」

 

ミューチェ「(響……あんたって子は……)」

 

フィーネ「一緒にか……。変な力を使うと思っていたがそうか……お前は……あなたは私と違って()()()()()()()()()()()()()になったのね」

 

笑顔で言う響にミューチェはやれやれと頭を振る中でフィーネは毒気が抜けた様にその瞳を桜井了子の時と同じ優しい瞳に変えて言う。

 

弦十郎「やはり、そうだったのか…」

 

クリス「死なないって……」

 

翼「どういう事だ立花!?」

 

響「あーそれはまた今度説明させてくれませんか;今はあの月の欠片を破壊しないと!」

 

そんなフィーネの言葉に弦十郎は納得した顔で呟く中で衝撃の事実に驚いていた面々の中でクリスと翼が代表で問いかけるが響はそう言って月の欠片を見て、その後に飛び立つ。

 

あ、待てよ!と飛び去った響にクリスと未来、翼も続く。

 

創世「ビッキー……」

 

弓美「お、驚きの言葉を聞いちゃった」

 

詩織「ですね」

 

ファナ「(あ~もう響さんったら……これはそろそろ自分も明かした方が良いっすかね?)」

 

驚いた顔で言う3人を見ながらファナは抱えたい衝動を抑えながら4人を見送る。

 

その後にバタン!と言う音に何事と振り返る。

 

そこには倒れたフィーネの姿があった。

 

弦十郎「了子!」

 

すぐさま弦十郎が駆け寄って抱き上げる中でファナは戸惑う。

 

ファナ「(な、なんで()()()ないんっすか了子さん!?)」

 

いきなりの事もありファナは戸惑ってしまう。

 

 

 

 

離れた場所、そこでフィーネと話していた女性が弦十郎達を見ていた。

 

女性「どうやら儂が渡した薬を飲んだようじゃな」

 

よかよかと女性は頷く。

 

女性「お、そろそろかのう」

 

その後に月の欠片の方へと顔を向ける。

 

 

 

 

一方で成層圏を飛び出した響達は月の欠片へと迫っていた。

 

響「うわー、かなり大きいね……」

 

未来「それでも壊さないと」

 

クリス「盛大に歌うにゃちょうどいいんじゃねぇの?」

 

翼「そうだな……立花達と出会ってこんな大舞台で歌う事になるとは想像もしなかったな」

 

間近に来た事で改めて欠片の大きさにそう漏らす響に3人は述べた後に手を取り合い、歌う。

 

(BGM:FIRST LOVE SONG)

 

クリス「(みんながみんな夢を叶えられないのは分かっている。だけど、夢を叶えるための未来はみんなに等しくなきゃいけないんだ!)」

 

翼「(命は尽きて終わりじゃない。尽きた命が『遺したもの』を受け取り、次代に託していくことこそが人の営み。だからこそ、剣が守る意味がある!)」

 

未来「(例えその未来に大きな困難があったとしてもみんなが繋がりあえば、困難にも立ち向かえる!)」

 

響「(例え声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない!夜明けが告げる鐘の音奏で鳴り響き渡れッ!)」

 

それぞれが今までの記憶と思い出を思い返した後にさらに強く輝いて月の欠片へと接近し…

 

響「―――これが私達の―――

 

翼は剣を最大まで巨大化させて振り下ろし、クリスはありったけのミサイルを生成して放ち、未来はリフレクターを円状に3重に展開して光線を発射する。

 

響「絶唱だああああああああっ!!!

 

そして響は腕と脚のジャッキを限界ギリギリまで伸ばし、音を収束させて解き放つ。

 

4人の限界まで貯めた攻撃を受けた隕石は…爆発四散する。

 

 

 

 

女性「おー、これはなかなか綺麗じゃのう」

 

戻って女性の方で月の欠片が破壊される様子を見て女性は感嘆する。

 

破壊された月の欠片は小さな粒となり、流れ星になっていた。

 

無論その中に4つの光も流れ落ちて、ファナ達の所に向かっている姿も……

 

女性「さて、音楽の始祖たちよ……よくぞフィーネを止めれたのう。じゃが次……三ヶ月後には()()()()()()()()()()。かなり難易度あがるから覚悟するんじゃよ」

 

くっくっくっと笑いながら女性は語り部の様にファナ達と抱き合う響達を見て呟くと懐から音が聞こえて来たので音を出してるスマホを取り出して出る。

 

???『も~Sちゃん何してるんですか!!もうおやつの時間通り越して夕方デスよ!Sちゃんと食べようと思ってたのあったのに■と食べちゃったデス!』

 

女性「おー、すまぬすまぬ■ちゃん。待たせたお詫びに有名なケーキ屋のケーキを沢山買って帰るから許してくれるかのう」

 

出て開口一番にぷんすかと怒る電話相手に女性は申し訳ない顔をして謝ってからお詫びのを持って行くと言う。

 

???『ホントデスか!?絶対デスよ!忘れない欲しいデス!』

 

女性「ああ、分かっとる分かっとる。んじゃ今から買って帰るから待っていておくんじゃよ」

 

怒っていたのから一転、嬉しそうに念押しする電話相手に女性は苦笑しながらそういう。

 

すると向こう側から■~Sちゃんがケーキを沢山買って来るデス~と言う声が聞こえてきた後に電話を切る。

 

困った様に、だが嬉しそうに笑う。

 

女性「ホント、■ちゃんと話すと面白いのう」

 

そう呟きながら女性はご機嫌に電話相手への約束の為にケーキを買いに行く。

 

こうして、ひとまずの戦いは終わった。

 

だが、響達の戦いはまだ終わらない。

 

ただ、次なる戦いまでのひとまずの休息はなされるだろう。




エル「次回!『始祖ばらし』よ。ホント大変よね」


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第二十三話~始祖ばらし~

しばらく身を隠す事になった響達。
その一日目で自分達の秘密を明かす。


前回から翌日

 

響達は二課の仮説本部にいた。

 

少し心苦しいが響達には1ヵ月の間は死亡していると言う情報を流すとの事だ。

 

これは響達が狙われない様にする為の処置と弦十郎は言ってたが、本人は乗り気ではないのが普通に表情に出ていたのを響達は知る。

 

なお、創世や弓美、詩織にファナは外部協力者と言う事になった。

 

ちなみにファナはそう言えば創世さん達、響さんの事を知るの遅かったっすと今更ながら思い出していたのは些細である。

 

そして今は…エルや玉藻も一緒に響と未来は弦十郎達に囲まれていた。

 

ちなみにエルと玉藻がいるのは弦十郎の判断で来て貰い、事情を話していた。

 

弦十郎「…と言う訳で、我々も彼女達が普通ではない事を知りまして、それで貴方方にも話を聞こうと思い呼んだんだ」

 

エル「あーなるほどね」

 

玉藻「それなら呼ばれたのも納得ですね。まぁ、私が見せちゃってますからね…」

 

ふうと息を吐いた後にクリスが真っ先に聞く。

 

クリス「んでどういうことなんだよ二人とも。死なないって」

 

響「えっーとね……」

 

未来「それについては…」

 

どう説明しようかと悩む2人にしょうがないわね…とエルが前に出て手をパンパンさせて視線を集める。

 

エル「説明なら二人じゃなくて彼女がしてくれるわ。そうでしょミューチェ」

 

M響「いやまぁ、説明はするけど、あなたも手伝いなさいよ」

 

出て来た言葉に響に憑依しながらミューチェは呆れる。

 

誰もが響の変化に驚くが弦十郎だけは納得した様に頷いている。

 

弦十郎「成程、あの時了子君と話していたのは君なのだな」

 

M響「ええ、そうよ。はじめまして私は元音楽の始祖、ミューチェよ。よろしく」

 

弓美「え、何この時を駆ける列車を使う仮面の戦士みたいな感じ」

 

創世「言う所違う気と思うよ弓美;」

 

詩織「それより元…とは?」

 

自己紹介するM響に弓美がそう言って創世にツッコミを入れられてる間に詩織が聞く。

 

M響「始祖としての力は三年前に響と未来に渡したからね」

 

翼「三年前……まさか!?」

 

答えた事に翼はすぐさま驚きの顔でM響を見て、弦十郎も察したのか険しい顔をする。

 

弦十郎「もしや響くん達の誘拐で2人を助けたと言う女性が…」

 

M響「ええ、私よ」

 

エル「あの事件が始まりだったのよね」

 

ふうと息を吐くエルだがクリスが慌てた様子で待ったをかける。

 

クリス「ちょ、ちょっと待て!あの事件、殺されかけたって聞いてたけど…まさか本当に死にかけたのか!?」

 

弓美「んで、響に憑依してるって事は幽霊だったの!?」

 

驚いて聞くクリスだったが弓美の言葉にビクッとなるがすぐさまどうなんだよと聞く。

 

M響「正確に言うならあの日、人としての二人は死んだって事になるわ」

 

玉藻「だからこの人は自身の力を2人に与えて生き永らえさせたんですよ」

 

翼「そうだったのか…」

 

告げられた事に翼が驚くが奏とファナが驚いてないのに気づく。

 

翼「って二人とも何で驚いていないんだ?」

 

奏「あー実は私、教えてもらったんだよな。二人が始祖って言う事」

 

ファナ「私もっす」

 

弓美「ええ!?」

 

創世「あ、だから結構ビッキー達と一緒にいたんだ」

 

たははと笑って言う奏とファナのに弓美は驚き、創世は納得する。

 

弦十郎「話さなかったのは…それだけ話したらまずい問題…いや問題と言う言葉では済まされないとんでもない事…で宜しいのか?」

 

エル「ええ。それで合ってるわ」

 

M響「悪用なんてされたら簡単に世界が崩壊するわ。カ・ティンギルなんかよりもね」

 

藤尭「カ・ティンギルよりも!?」

 

あおい「それだけ始祖と言うのは凄いの!?」

 

その言葉に誰もが息を飲む。

 

M響「もちろん凄いわ。昔、ある始祖が幾つもの世界を滅ぼしたこともあるし」

 

弦十郎「成程、下手な制御出来ない完全聖遺物より質が悪いな…始祖ではなく利用しようとする者に対してな」

 

奏「だから秘密にしてたんだな……でも、そのお蔭で響達が生きているんだ…ありがとうなミューチェさん。あんたが2人を助けてくれたからあたし達はこうやって出会えたんだ」

 

顔を顰める弦十郎の後に奏がそう言って頭を下げる。

 

M響「お礼はいいわ。それに私が油断さえしなければ…」

 

クリス「なあ、そもそも二人を誘拐したのは一体何者なんだよ?」

 

翼「確かに、不明との事だったからな…」

 

そう言われるとM響と未来は複雑な顔をする。

 

弦十郎「あまり詮索しない方が良いかもしれないが…もし宜しければ教えてくれないだろうか?」

 

M響「良いわ。奴……いえ奴らの名は『蛇の残党』」

 

ファナ「蛇の残党……?」

 

弦十郎の言葉に答えたM響のにファナやクリス達は騒めく。

 

エル「かつて蛇の始祖って言う始祖がいて、その始祖のクローン達で構成された組織なの…所々で再起を図ろうと暗躍してる訳」

 

こっちにとってはいい迷惑よとエルはため息を吐いて言う。

 

奏「蛇の始祖?」

 

M響「文字通り始まりの蛇で…始祖の中で一番質の悪い奴でさっき言った始祖の世界崩壊にも関わってるのよ…ホント、顔を見たくないわ」

 

エル「始祖の中でも最悪の始祖とでも言っても良いわ」

 

クリス「マジかよ…」

 

告げられた事に誰もが絶句する。

 

弓美「えっと、ミューチェさんで良いんだよね?始祖ってそれぞれ特有の能力を持ってるの?」

 

M響「ええ持っているわ」

 

気になったので恐る恐る手を上げて質問する弓美にM響は肯定する。

 

弦十郎「ちなみに共通項はあるのだろうか?」

 

エル「共通なのは…不老不死みたいなのと、始祖は始祖を殺せるとかかしら」

 

創世「それじゃあビッキーとヒナは同じ存在でなければ死なないって事?」

 

クリス「寿命とかそう言うのねえって事かよ」

 

エル「まあ死ぬって言っても始まりの世界で長い間魂だけの状態になるってだけよ」

 

例外を除いてねとエルは肩を竦めて付け加える。

 

弦十郎「これはまた…報告してはいけない事が増えたな……(特にあの男にはしてはならないな……)」

 

そんな面々を見ながら弦十郎は内心、ある人物を思い浮かべて険しい顔をする。

 

玉藻「さて次は私達の事を話しますか」

 

エル「そうね。私の名はエル・レジェンドラ、この世界ではエル・アインツベルンで通してるわ。ファナの義母で女神の始祖よ」

 

詩織「女神様…ですか!?」

 

奏「義母って……」

 

告げられた事に誰もが驚く中で奏が聞く。

 

ジェル「文字通りでお嬢はエル様の義理の娘で色々とやんごとなきしょうもなくめんどくさいミスで迷惑をかけたので養子にしたんですよ」

 

ファナ「まあだいたいはあってるっすね」

 

エル「と言うかジェル!?いつの間に!?」

 

そんなエルに変わって何時の間にかいたジェルが変わって答え、誰もがいきなり現れたジェルに驚く。

 

ジェル「え、そりゃあ自分の醜態を話すのに抵抗あるだろう上司に変わって颯爽と来て簡略に答えたんですけど何か?」

 

エル「ヒドッ!?」

 

クリス「えっと、アンタは……?」

 

心底めんどくさそうな顔で答えるジェルにクリスは聞く。

 

ジェル「そこにいるおバカでサボりが多くなってる女神の始祖の部下してます天使の始祖のジェル・カンターレです。あー、そんじゃあ仕事があるんでこれで」

 

エル「もうジェルは……」

 

翼「な、なんと言うべきか…」

 

弓美「性格が凄くめんどくさがり屋でギャップがありますな」

 

未来「ギャップって;」

 

ささっと出て行くジェルに弓美のずれた感想に未来は冷や汗を掻く。

 

エル「それじゃ話を戻すけどファナちゃんはこの世界の人間じゃないのよ」

 

M響「ちょ、エル!あなた!」

 

その後にエルの言葉にM響は声をあげる。

 

翼「この世界の人間ではない…?」

 

エル「魂と言う意味でね。彼女は前世を持ってるのよ」

 

首を傾げる翼にエルにはそう言う。

 

弓美「え、何そのアニメとか特撮であるような感じ!」

 

創世「弓美、黙っとこうね;」

 

クリス「んでどういうことなんだ?」

 

ジェル「ホントなら死ぬ筈じゃなかったけど、バカな神が転生させる奴のに巻き込んで、んで先ほど言ったエル様の色々とやんごとなきしょうもなくめんどくさいミスで転生しちゃった子なんですよ。それもあって娘として見てあげてると言う事です」

 

思わず反応する弓美を宥める創世を横目で見つつ聞いたクリスに対してにょろんと先ほど退出した筈のジェルが天井から顔を出してそう言って引っ込む。

 

緒川「…彼も忍者なんでしょうか?」

 

エル「一応忍者じゃないわよ……たぶん」

 

その様子に思わず聞く緒川にエルは自信なさげに返す。

 

玉藻「彼って結構、めんどくさがりな所ありますけど仕事はちゃんとやる人なんですよね…最近は神出鬼没ですけど;」

 

奏「そ、そうなのか;」

 

未来「し、始祖になったけど本当に分からない事多いですね;」

 

補足する玉藻のに奏は冷や汗を掻き、未来はそう言う。

 

エル「…………なんかの時にパーティな感じで呼ぶ?」

 

M響「それがいいかもしれないわね…」

 

弦十郎「…話を戻すがもしやファナくんはこれから先の事も知ってたりするだろうか?」

 

そう言うエルのにM響が賛同した所で弦十郎が咳払いして確認する。

 

ファナ「ま、一応そうっす…」

 

翼「何だと…!?」

 

それを肯定したファナに翼や他のメンバーは驚く。

 

弦十郎「そうか…だが、深くは聞かない」

 

藤尭「え、良いんですか司令!?」

 

ファナ「私もその方が助かるっす。色々と流れが変わったら困りますし……」

 

そう言った弦十郎のに藤尭は驚く中でファナはそう述べる。

 

弦十郎「藤尭、確かに先を知ると言うのは良い事だ。だがな、それが返って状況判断を鈍らせる枷になってしまう恐れがある。知らないからこそ出来る事だってあるんだ。それに…先を知ってアニメや映画を見るよりも、知らないで見た方がハラハラドキドキするだろう?」

 

奏「旦那…;」

 

M響「面白い考え方するわね貴方…」

 

ファナ「(まあそれが弦十郎さんっすよね……)」

 

最後に二っと笑う弦十郎のに奏や二課の面々は苦笑し、M響は呆れ交じりに感嘆する中でファナはそれでこそOTONAっすとうんうんと頷く。

 

緒川「あ、けど僕的に気になる事が1つあるので聞いても宜しいでしょうか?」

 

ファナ「気になる事っすか?」

 

エル「一応聞くけど大丈夫なら答えられると思うわよね」

 

ええ…と緒川は神妙な顔で2人を見て…

 

緒川「………翼さんの女子力はこの先上がりますか?」

 

エル&ファナ「…………ノーコメントで」

 

翼「なっ……!?」

 

質問された事に2人は異口同音で顔を逸らすのに翼は驚く。

 

知る面々はあーとなる。

 

奏「翼…流石にこう言われるとお前、誰かに嫁になって貰わないと無理だな」

 

翼「よ、嫁!?」

 

未来「確かに翼さんはお嫁さんより旦那さんって感じが似合いそうですよね。響と同じように」

 

響「未来!?」

 

ポンと肩を優しく叩いて言う奏に翼は驚き、賛同した未来のに響はミューチェの憑依を退かして驚く。

 

クリスは嫁が合うと思うけどなとさりげなく響に抱き着きつつ思った。

 

緒川「そうですか……悲しい運命(さだめ)なんですね」

 

翼「ちょ、緒川さんなんでそこまで悲しそうにしてるんですか!?」

 

ファナ「(まあ良いお嫁さんになる人は数ヶ月すれば会えるっすね)」

 

凄く悲しげに顔を伏せる緒川にガビーンとなる翼を見ながらファナはそう心の中で呟く。

 

詩織「そんなに翼さんは女子力が低いんですか?」

 

弓美「あーけど分かるかも、翼さんってクールとか男前が先に出そうだし」

 

クリス「まあそれも少しはあるがほとんどは……」

 

翼「ほとんどとはなんだ雪音!た、確かに掃除は苦手だが絵は可愛いのを描ける…って叔父様に奏、なぜ目を逸らすんだ!?」

 

弦十郎「あーすまん。そこはフォローできん」

 

奏「私もだ。わりぃな翼」

 

ファナ「(まあこれに関してはクリスさんも同じなんっすよね…)」

 

反論しようとして身内と相方の反応にガビーンとなる翼に本当に仕方ないとファナとエルはうんうん頷く。

 

翼「うう…2人とも意地悪だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!(ダッ)」

 

それに耐え切れなくなったのか翼は涙目で飛び出す。

 

奏「あ、翼!」

 

響「行っちゃいましたね…」

 

詩織「こうしてみると女の子らしい所ありますわね」

 

創世「その認識の仕方はどうよと思うな;」

 

あらーと誰もがなる中で詩織のに創世はツッコミを入れる。

 

エル「さて、他には何か聞きたいことある?」

 

確認してないのを見てからそれじゃあ帰りましょうかとファナの背をポンとする。

 

ファナ「あ、はいっす!」

 

玉藻「それじゃあ皆さん、失礼します」

 

そう言って3人は出て行く。

 

創世「それじゃあ私達も帰ろうか」

 

弓美「ビッキー、ヒナ、またね」

 

詩織「お暇だったら電話してくださいね」

 

響「うん!皆、今日はありがとう!」

 

未来「またね」

 

同じ様に立つ創世たちに響と未来もそう返し、3人は緒川に案内されて出て行く。

 

藤尭「そう言えば…さっきのミューチェさんだっけ…響ちゃんや未来ちゃんには見えてるんだよね?」

 

響「あ、はい」

 

未来「私達以外には始祖の皆さんには見えているみたいです」

 

見送ってからふとそう聞く藤尭に響と未来は答える。

 

あおい「そういう言い方をされると本当に幽霊みたいね」

 

クリス「ゆ、幽霊……!?」

 

ミューチェ「ふふふ、うらめしや~」

 

響「あ、今クリスちゃんの後ろに……」

 

そう感想を述べるあおいのにクリスはビクッとなった後に響の言葉にうひっ!?と響の後ろに隠れる。

 

ミューチェ「ふふっ、可愛いわねこの子」

 

未来「クリス、お化けが苦手なんだね」

 

クリス「べべべ別にこわかねえし」

 

面白そうに笑うミューチェに苦笑しながらそう言う未来にクリスは響に抱き着きながらそういう。

 

響「強がってるクリスちゃん、可愛いね」

 

クリス「か、可愛い言うんじゃねえ」

 

そんなクリスに響はそう言うと言われた本人は顔を真っ赤にする。

 

奏「(凄く赤いな…)」

 

響をポカポカするクリスを見ながら奏は苦笑しながら感慨深くなる。

 

昔では考えられない程楽しい日常。

 

二課に来た時はあれだけノイズを憎んで他はいらないと思っていたのが嘘の様だ。

 

奏「(こんなのが続けばいいな…)」

 

そう心に願うのだった。




玉藻「次回『まさかのバトル、エル VS OTONA』…いやーOTONAはホント凄いですね…」


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第二十四話~まさかのバトル、エル VS OTONA~

OTONAが始祖に修行目的で模擬戦を申し込む
果たして勝つのは…!?


弦十郎「準備は良いですかな?」

 

エル「え、ええ…(なんでこうなったのかしら…)」

 

距離を取って向かい合いながら確認する弦十郎にエルは返事をしながら内心頭を抱えていた。

 

少し時間を遡る。

 

前回から1週間経って久々にファナと共にお土産を持って来たエルは響達と会話してる中でふとファナが切っ掛けを言ったのだ。

 

ファナ「そう言えば義母さんってどれくらい強いんっすか?」

 

エル「え?」

 

いきなり言われてエルは戸惑ったがすぐさま胸を張る。

 

エル「も、もちろん、かなり強いわよ!」

 

M響「あら?確か貴女って……」

 

言おうとしたM響のにシーシーとエルは指を立てる。

 

クリス「へー、そんなに強いのか?」

 

エル「と、当然!女神の始祖は伊達じゃないのよ!」

 

未来「(強がりだ……)」

 

M響「(見栄を張っちゃったわね)」

 

見栄張ってるのがバレバレなエルにやれやれとM響は肩を竦める。

 

弦十郎「なら丁度良かった俺と模擬戦をしてくれないかな?」

 

エル「え?」

 

ファナ「模擬戦っすか?」

 

突然言われて呆気に取られるエルに変わってファナが聞く。

 

弦十郎「ああ、俺としてまだまだ未熟な部分があるからな。だから長く生きている彼女に鍛えて貰う形で模擬戦を申し込んだんだ」

 

翼「(未熟っておじ様……)」

 

クリス「(アンタまだこれ以上強くなるつもりかよ…)」

 

奏「(旦那、一体何処まで強くなるつもりなんだ…)」

 

未来「(弦十郎さんはそれ以上強くならなくても良いんじゃ…)」

 

響「(師匠、凄いチャレンジ精神です!)」

 

ミューチェ「(この人、もう十分強いと思うんだけど……)」

 

理由に思わず奏者+αは心の中で述べて、緒川達はそれはないと手を振る。

 

エル「え、ええ!勿論良いわよ!」

 

ファナ「(ちょ、大丈夫なんっすかエルさん?!)」

 

玉藻「(弦十郎さんは貴女にとってはかなり苦手な戦い方しますよ?)」

 

申し出を受けたエルにファナと玉藻がこそこそと声をかける。

 

エル「(だ、大丈夫……たぶん)」

 

自信なさげなエルのに大丈夫かな…と2人は思う。

 

 

 

 

しばらくしてエルがやっても大丈夫な無尽世界に弦十郎ともども転移し、玉藻の術で観戦する響達は応援していた。

 

響「ししょーう!頑張ってくださーい!」

 

未来「無茶はしないでくださいね」

 

玉藻「エルちゃーん、怪我しないようにしてくださいねー」

 

応援のにおう!と弦十郎は答え、エルも勿論よと返す。

 

緒川「あの、つかぬ事聞きますがエルさんってどういう感じに戦うんですか?」

 

玉藻「んー、様々な出来事を起こして攻撃する感じですね」

 

ファナ「様々な出来事を?」

 

ファナも初めて聞いたのでどういう感じか掴めてない面々に玉藻は例えを言う。

 

玉藻「例えば隕石を落としたり、何もないところから水を出したりできる。簡単に想像しやすいのならこれですね」

 

クリス「マジかよ。すげぇな」

 

藤尭「本当に神様が成せる技だな」

 

ファナ「でも弦十郎さんにそれが通じるっすかね……」

 

誰もがファナのにあーと唸る中で弦十郎は構える。

 

弦十郎「何時でも良いぞ」

 

エル「それじゃあ行くわよ!」

 

その言葉と共に早速エルは右手をバッと上げると岩が大量に出現してそれが弦十郎へと降り注ぐ。

 

あおい「いきなり決めにかかろうとしてる!?」

 

玉藻「え?あれは普通の攻撃ですよ?」

 

ファナ「普通……まあ確かにそう言えるっすね」

 

思わずそう言ったあおいのにあっけらかんに返した玉藻にファナはそう呟く。

 

弦十郎「おおおおおおおおおお!!」

 

それに対して弦十郎は…普通では見えない速度で腕を振るって降り注ぐ岩を打ち砕いて行く。

 

クリス「全部ぶち壊してる!?」

 

響「流石です師匠!」

 

未来「響!感心するのは良いけどこれはツッコミを入れた方が良いと思うの!!」

 

うえぇぇ!と叫ぶクリスの隣で感嘆する響に未来はツッコミを入れてる間に弦十郎は全て打ち砕く。

 

弦十郎「面白い感じので次は何が来るかな?」

 

エル「(やっぱり防ぐわよね……でもこれなら!)」

 

次に手を地面につけると水が噴き出し、激流の様に弦十郎へと襲い掛かる。

 

弦十郎「ぬぉぉぉぉ!?」

 

エル「これなら壊せないでしょ!」

 

飲み込まれる弦十郎にエルは笑ったが…次のに目を見開く。

 

弦十郎「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

なんと弦十郎は…激流を逆らって泳いでた…しかもクロールで

 

ファナ「えええええええええ!?」

 

クリス「マジかよっ!?」

 

翼「叔父様…あなたはどこを目指してるんですか」

 

またも予想外のに叫ぶ面々に身内な翼は思わずそう漏らす。

 

弦十郎「ふう、良い運動になるな」

 

エル「貴方本当に人間?どっかで人外になってない?」

 

泳ぎぎった弦十郎にエルは思わず聞く。

 

弦十郎「生粋の人間さ俺は」

 

翼「すいません叔父様、身内でも人外じみてるので否定出来ません」

 

M響「人外である私でも人外と思うわよホントに……」

 

ファナ「あ、やっぱりそうなんっすね;」

 

自信満々に返す弦十郎のに翼はなんとも言えない顔をして言い、M響のにファナは冷や汗を掻く。

 

緒川「ちなみにつかぬ事を聞きますがもしも他の始祖さん達も司令を見たら同じ返事をしそうですか?;」

 

M響&玉藻「すると思うわ(ますね)絶対」

 

試しに聞く緒川に2人は異口同音で返す。

 

弦十郎「今度はこちらの番だ!ふん!」

 

そう言って弦十郎は地面を殴ると弦十郎を中心に岩が飛び出した後に…

 

弦十郎「おりゃあ!」

 

突き出た岩をエルへと殴り飛ばす。

 

エル「ぼ、防御!」

 

飛んで来る岩にエルは結界を展開して防ぐ。

 

それに対して弦十郎は接近すると結界に向けて連続パンチを叩き込む。

 

弦十郎「おおおおおおおおおお!!!」

 

エル「くっ、でもこの距離なら避けられないでしょ!」

 

そう言って咄嗟に上から雷を落とそうとすると…

 

弦十郎「ふん!」

 

強く殴ってわざと吹き飛んで雷を避けた。

 

弦十郎「ふう、遅ければやられてたな」

 

クリス「遅ければって……」

 

玉藻「普通咄嗟に動けるなど出来ませんよね;」

 

息を吐く弦十郎のにクリスと玉藻は頬をピクピクさせる。

 

エル「(これ、勝てるの私?)」

 

エル自身も冷や汗を流しながら弦十郎と距離を取る。

 

弦十郎「面白くていい訓練になるな!」

 

エル「(面白いって……この人、美鈴と同じタイプね)」

 

ふっと笑う弦十郎にエルはそう考えるがあっちよりかはまだマシかと思い直した後にどうするか考える。

 

エル「雷と水、岩がダメなら炎ならどう!」

 

そう言って火炎放射を放つ。

 

響「火炎放射!?」

 

ファナ「ちょ!?」

 

玉藻「一応人間にそれはあかんでしょ!」

 

それに誰もが驚く中で弦十郎は冷静に地面を叩いて岩を突き出させて壁にする。

 

エル「火力を上げれば岩なんて……!」

 

それにエルは強くして岩を溶かしきると弦十郎の姿がない事に気づき、後ろから気配がして振り返ると…デコピンする様に構えた弦十郎の姿があり…

 

弦十郎「チェックメイト」

 

ピシっ!!

 

エル「あだっ!?」

 

おでこに強烈な一撃を叩き込まれる。

 

それによりエルは倒れ、むきゅーと目を回す。

 

 

 

 

弦十郎「いやー危なかった。咄嗟にジャンプしてなければマルコゲになっていた」

 

響「凄いです師匠!あの攻撃を避けるなんて!」

 

未来「いやもうそれ凄すぎでしょ!?」

 

クリス「おっさん、言われても仕方ねえと思うぞ;」

 

ファナ「もう人外認定して良いんじゃないっすか?」

 

散々な言われようだが普通に勝ててるので大人組は苦笑いするしかなかった。

 

弦十郎「いやー、ホント感謝する」

 

エル「え、ええ……」

 

握手を求める弦十郎にエルはオデコを摩り、顔を引き攣らせながら握る。

 

エル「(…これからは毎日特訓するようにしとこう)」

 

ホント大事だわと固く決意しながらエルはうんうんと頷く。

 

藤尭「…ノイズ以外なら司令だけで良いんじゃないかな?;」

 

奏「だよなー;」

 

翼「うむ…」

 

クリス「おっさん。マジでその時の要員で良くね;」

 

他の面々も戦力的な意味でそう述べてるのであった。




クリス「次回『墓参りと守護霊』っておい、後者のなんだ!?」

ミューチェ「次回で分かると思うわよ~」


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第二十五話~墓参りと守護霊~

両親のお参りをするクリス。しかしそこである事を知る事になる!


チーン

 

クリスは目の前に置かれてるのに手を合わせて黙祷する。

 

その後ろでは響や未来も同じようにしていた。

 

しばらくしてクリスは顔を上げ、目の前のもの…仏壇に置かれた自分の両親の写真を見る。

 

1ヵ月経ち、落ち着いたのを機にクリスは両親のお参りをしていたのだ。

 

クリスの両親の遺骨を弦十郎が預かっていて、住む場所が決まってから仏壇などを計らって貰ったのだ。

 

先ほど墓を参ってから住んでる家で再び黙祷してたのだ。

 

響と未来は付き添いだ。

 

クリス「父さん、母さん。墓参りするの遅くなっちまって悪いな」

 

響「クリスちゃんは元気に過ごしてます」

 

未来「クリスの事を見守ってあげてくださいね」

 

声をかけるクリスの後に響と未来が言う。

 

クリス「ありがとな二人とも。母さんたちの墓参りに付き合ってくれて」

 

振り返ってお礼を言うクリスに未来はどういたしましてと返し、響もうんうんと頷く。

 

響「それにしてもさっき見に行った時のクリスちゃんのお父さんとお母さんのお墓は立派な御墓だったね」

 

未来「ホントだね。弦十郎さんが手入れしていたのかも」

 

お墓を思い出して言う響にそう言った未来のにクリスも教えて貰った時の言葉を思い出す。

 

弦十郎『しっかり手入れされてるから安心して報告するんだぞ』

 

クリス「(手入れありがとなおっさん)」

 

笑って見送ってくれた弦十郎にクリスは心から感謝する。

 

微笑ましく見ていたミューチェは一度ん?となる。

 

なんだか仏壇の上に何かぼんやり見えるのだ。

 

ミューチェ「(何かしら……え?)」

 

ちょっと集中して見ると…驚愕した。

 

なぜなら見えたのは…クリスの両親だったからだ。

 

ミューチェ「えええええええええええええ!?」

 

思わず絶叫してしまったので響と未来はギョッとなり、そんな2人の反応にクリスはビクッとなる。

 

クリス「な、なんだよ二人とも」

 

響「ど、どうかしたんですかミューチェさん?」

 

未来「そ、そうですよ。例え他の人に聞こえないだろうけど仏壇前で叫ぶのはダメですよ」

 

ミューチェ「あれあれ!」

 

恐る恐る話しかけるクリスを後目に響は戸惑いながら話しかけ、未来が注意するがミューチェはそれを気にせず指さす。

 

それに2人は振り返ってミューチェの見ている所をじ~~~~と見る。

 

すると見えて来たので驚く2人にクリスの両親?は頭をペコリと下げる。

 

響&未来「ええええええええええええええええええ!?!?」

 

クリス「!?」

 

思わず2人も絶叫してしまい、クリスはホントなんなんだよ~と涙目になるのであった。

 

 

 

 

弦十郎「あー…うん。その…」

 

翌日、3人を出迎えた弦十郎は状況に戸惑いを見せる。

 

何とも言えない顔をした未来の後ろでクリスが響に抱き着いてうーうーと泣いていて、抱き着かれてる響はよしよしと慰めていた。

 

弦十郎「どう聞こうか悩んだが…昨日、墓参りに向かった時に何があったのかね未来くん;」

 

未来「それが幽霊に出会ってしまったんです……その、クリスの両親の……」

 

奏「え、ものほんの幽霊にか;」

 

戸惑った顔で聞く弦十郎に未来はそう返し、奏は冷や汗を掻く。

 

ホント驚いたわーと様子が変わってそう漏らした未来にミューチェが憑依したと弦十郎は判断して質問する。

 

弦十郎「質問だがミューチェさん。クリスくんのご両親は今もいるのかね?」

 

M未来「うん、居るわよ」

 

成程と納得して…

 

弦十郎「さらに聞くと…なぜクリスくんは泣いてるんだい;」

 

M未来「えっとね…幽霊と聞いて驚いてから自分の両親に驚いた事から自己嫌悪しちゃってああなったの」

 

それには藤尭やあおい達はあー…となる。

 

藤尭「確かにそれは;」

 

奏「仕方ないね…」

 

弦十郎「確かに親御さんに驚いたとなれば仕方がない反応か;」

 

誰もが困った顔をする中でM未来もホントにねと同意するとさっきまで泣いているクリスの頭を撫でていたソネットが近くに来てるのに気づく。

 

M未来「あ、ソネットがこっちに……」

 

弦十郎「ううむ。こうも見えないとは不便だな」

 

藤尭「いや司令、見えてたら見えてたで怖いと思いますよ;」

 

翼「まあ居るのは分かるのに見えない話せないのは確かに不便だな…」

 

奏「んで、なんで来たんだ?」

 

呻く弦十郎に藤尭がツッコミを入れて、弦十郎のに同意してる翼の隣で奏が聞く。

 

するとM未来から見てソネットは口をパクパクさせ、それにM未来は動きからふむふむと頷き…

 

M未来「えっと……『クリスがお世話になっている事に凄く感謝してます。これからもあの子の事を宜しくお願いします』ですって」

 

弦十郎「…………私達こそクリスくんに助けられてる所がありますからお互い様です。責任をもってクリスくんを見守ります」

 

告げられた事に弦十郎はソネットがいる方を向いて頭を下げる。

 

M未来「(愛されてるわね…ホントクリスや響達は果報者ね)」

 

それにM未来はしみじみとなった後にただ…とチラリとある人物を見る。

 

その人物は翼で、家族の話になった時に複雑な顔を見せていた。

 

M未来「(あら?どうしたのかしら翼?)」

 

未来「(翼さん…?)」

 

なぜあんな顔をしたのかその時のミューチェと未来は分からなかった。

 

2人が彼女がそんな顔をした理由を知る事になるのはしばらく先の事である。

 

ちなみに…

 

M未来「えっとそろそろ泣き止んだら?クリスちゃん」

 

クリス「(ぐすぐす)」

 

まだ泣き止まずのクリスを元通りにするのに苦労したのであった。

 

翌日の放課後

 

特訓を終えたクリスに響が話しかける。

 

響「クリスちゃーん!」

 

クリス「おう、お疲れさん」

 

うんとクリスの言葉に響は頷いた後に少し上を見る。

 

それにクリスはげんなりとした顔をする。

 

クリス「やっぱり居るのか母さんたち…」

 

響「あー、うん。さっきもお母さんはクリスちゃんが歌ってるのを褒めてる感じだったし、お父さんはお父さんで複雑な感じで見てたり…」

 

うわぁ…と顔を抑えるクリスにあははははと響は苦笑いするしなかった。

 

ほとんど授業参観の様な感じになっているのだから恥ずかしくて仕方がないのだ。

 

だが心配させていたと未来経由でミューチェから聞いているのであっち行けなどと強く言えないのだ。

 

クリス「はぁ……どうすればいいんだアタシは…」

 

響「あはははは;」

 

ため息を吐くクリスに響は困った感じに頬を掻く。

 

何分、親が過保護的な意味では響もクリスの気持ちは分かるからだ。

 

響も落ち着いてからしばらくは父親である洸の大丈夫だったコールが多かったので本当に宥めるのが大変であった。

 

ちなみに遊びに来た際にファナが洸のを聞いて驚いた反応を見せていたのに響は不思議そうだったが前世関連のかなと思って不覚は聞かなかった。

 

ちなみにその際のファナの心境は…

 

ファナ「(この世界の洸はまともで良かったっす……)」

 

心底安堵していた。

 

流石に親友の親を呼び捨てはどうかと思うがそれだけ彼女の知るのだと許せない行為を行っているからだ。

 

安堵されてるのを知らない響はクリスの肩をポンポン叩いて励ます。

 

響「まあまあ、それだけ愛されてるって事だよ。ホント良かったねクリスちゃん」

 

クリス「響……」

 

微笑む響にクリスはジーンとなる。

 

ただ、そんな響だがクリスの今の内心を知らない。

 

確かに両親に見守られてると言うのは嬉しい事だが…甘える事が出来ているが響にキスとかそう言うのが出来ないのでフラストレーションが溜まっていた。

 

クリス「(あークソッ!響にキスしたい。唇を嘗め回してえけど、2人がいると全然出来ない~~~~~全然出来てないから凄くキスしてぇぇぇぇ)」

 

うーうーと唸るクリスに響はん?と首を傾げるが未来だけは分かり、うんうんと頷いていた。

 

未来「(分かる。凄く分かるよクリス…)」

 

ミューチェ「(この2人…ホント響の事になると気が合うわね…絶対にANからの治療以外の薬は貰っては駄目と言わないとね)」

 

子供欲しいならそう言うのが出来そうなANを思い浮かんでからそう決意するのであった。

 

とにもかくにも、クリスは親の愛を再び感じ取れるようになったのに響は嬉しく思うのであった。

 




翼「次回『Gの前日』…どういう意味だ奏?」

奏「さあ?」



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第二十六話~Gの前日~

告げられし任務、それは新たな戦いの始まりを告げる汽笛だった。


フィーネとの闘いから3ヵ月になる前日、響達は弦十郎からある任務を話されていた。

 

響「ソロモンの杖の護送任務ですか?」

 

クリス「それをあたしとこいつで?」

 

弦十郎「ああ、岩国にある米軍の基地まで盗まれない様に護衛を頼む」

 

そう言った弦十郎に未来が手を上げる。

 

未来「あの、このソロモンの杖を取りに来る科学者ってのは…?」

 

弦十郎「ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士。生化学の専門家であり、その知識を応用して聖遺物と生体を繋げる研究にて才を発揮している人物だ。彼もまた基地まで同行するのでしっかりと守って欲しい。後、あちら側からの追加詳細によるとちょっとした趣味を持ってはいるが悪い人ではない…との事だ」

 

質問に対して弦十郎は藤尭が出した顔写真を見ながら説明して最後にそう言う。

 

その後に編成ので気になったのがあるのか響がはいと手を上げる。

 

響「なんで未来が居ないんですか?」

 

クリス「響……お前、未来のシンフォギアの特性忘れたのか」

 

連れて行けば結構応用できるのではと思ったが呆れたクリスの言葉にあっとなる。

 

神獣鏡は聖遺物に対して無類の強さを誇る……が、逆に言えば壊れそうもない完全聖遺物も壊せてしまう可能性があるので誤ってソロモンの杖を消滅させたら元も子もない。

 

だから護送任務に入れられなかったのだろうとクリスは聞いた時に察したのだ。

 

弦十郎「クリスくんの言う事もあるが…未来くんには明日の翼のコラボレーションライブの警備員として参加して貰おうと思ってな、まぁ、表向きは一般客として見て貰うので何もなければそのまま楽しんで欲しい」

 

響「そっか。護送任務が終わったらすぐそっちに行くから待っててね未来」

 

未来「うん。待ってるからね響」

 

そう言って頷きあう2人を見ながら弦十郎はうんうんと頷いた後に思い出した様に言う。

 

弦十郎「ああ、それとミーチェさんには響くんに付いて行って貰えないだろうか?あなたならば何かあった際の指示を頼みたい」

 

M未来「ええ。分かったわ」

 

響「頑張ろうねクリスちゃん」

 

クリス「おう、んで母さんたちは付いてこないよな?」

 

頷く中でそう聞くクリスに未来に憑いたM未来は大丈夫よと返す。

 

M未来「流石に任務の邪魔になるからついていかないって」

 

クリス「良かった…」

 

ホッとした後にクリスは内心喜んでいた。

 

なぜなら、親の目がないからだ。

 

クリス「(よっしゃあああ!これで響に色々とできるぜぇ!!)」

 

未来「(クリス、何か企んでいそう…)」

 

M未来「(んーーーー、フラストレーション溜まってたからキスしまくりそうね…)」

 

内心ガッツポーズしてるクリスに未来はむむむとなり、M未来はしみじみと思いながら憑依を解除する。

 

弦十郎「まぁ、とにかく2人とも、よろしく頼むぞ」

 

響&クリス「はい!/おう!」

 

それぞれ返事をした後に響とクリスはそのままソロモンの杖と共に一緒に向かうウェルの元へと向かい、未来は帰宅した。

 

 

 

 

ファナ「へー、だから響さんたちは居ないんっすか」

 

未来「そうなの、少し心配なんだよね…」

 

遊びに来た創世達と一緒に来て話を聞いたファナは納得してるのに未来はそう返す。

 

詩織「今日は一緒に寝れないのが残念でしたね未来さん」

 

未来「大丈夫!任務終わったら響すぐこっちに来るから」

 

弓美「おおう、色々と疑わない笑顔ですな」

 

創世「けど、確かにクリス先輩ってビッキーの事、凄く好きだからいない間イチャイチャするんじゃないかな?」

 

笑顔で言った未来は創世の言葉にそうなんだよね…と机に突っ伏す。

 

未来「クリス、響に変なことしなきゃいいけど……」

 

ファナ「あははははは;」

 

大丈夫と素直に言えないのでファナは笑うしかなかった。

 

詩織「ですが明日は楽しみですわね」

 

弓美「だよね~明日はあの有名なマリア・カデンツァヴナ・イヴとのコラボレーションライブだもんね~」

 

ファナ「(……いよいよ明日っすか)」

 

ワイワイと話すメンバーを見ながらファナはギュっと手を握り締める。

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ…彼女こそ新たな戦いの切っ掛けになる女性であるのをファナは知っている。

 

だからこそファナは緊張する。

 

ファナ「(変なことにならなきゃいいっすけど…)」

 

自分もいるからのと未来がもう奏者である事もあるからファナはそう祈りたくなった。

 

 

 

 

とある場所

 

そこではルナアタックの際に見ていた女性が歩いていた。

 

???「Sちゃ~ん」

 

呼ばれて振り返ると金髪のショートカットの少女が走って来て、女性に抱き着く。

 

女性「お、どうしたんじゃ?〇ちゃん」

 

???「えへへ、抱き着きたかっただけデス♪」

 

可愛い奴めと頭をワシワシ撫でる女性にされてる少女はふにゃりとなる。

 

それに後から来た黒髪ツインテールの少女は金髪の少女に話しかける。

 

少女2「〇ちゃん、そろそろ特訓の時間だよ」

 

少女「えー、もうそんな時間なんデスか」

 

ぶーたれる少女に女性は苦笑してもう1回頭を撫でる。

 

女性「特訓終わったらお菓子あげるから頑張りなさい」

 

少女「ホントデスか!なら頑張るデス!」

 

顔をパァと輝かせて駆け出す少女に女性は苦笑してるとツインテールの少女が睨んでるのに気づく。

 

少女2「むぅ……」

 

不満そうに睨むツインテールの少女に女性は困った感じに笑って頬をポリポリ掻く。

 

女性「わしに嫉妬してるのか?」

 

少女2「しない方がおかしい」

 

問われた事に短く返してツインテールの少女は金髪の少女を追いかける。

 

そんなツインテールの少女の言葉に女性はまたも苦笑する。

 

女性「やはり可愛いのうあの二人は」

 

???「ミセスS」

 

そう呟いた所、後ろからの声に振り返るとピンク髪の女性がいた。

 

女性「おや、○○○。明日の準備は良いのか?」

 

女性2「ええ、もう出来てるわ。後は明日に彼がアレを持ってくれば始まるわ」

 

成程のうと頷いた後に内心ミセスSと呼ばれた女性はしみじみとなる。

 

女性「(あの優しい彼女があれをやろうとするとは……やっぱりあやつのもそうじゃが変化があるのう)」

 

自分が入らなければならない人物を思い出しながら女性は思った後にピンク髪の女性を見る。

 

女性「まああまり無茶はするんじゃないぞ?相手はなにせ…」

 

女性2「言われなくても分かってるわ。誰であろうと成さなければならないわ」

 

言葉を遮り、ピンク髪の女性は手に持っていたのを握り締めて女性の隣を横切って歩いて行く。

 

女性「ホント変わったのう…」

 

そう呟いた後にさあて、自分も頑張らんとな…と呟きながら歩いて行く。

 

新たな戦いはもう近くまで来ていた…

 

別世界にて……

 

AN「マズい…これは非常にマズいですよ……!」

 

ANは焦っていた。

 

久々に響と未来の身体状況がどうなっているかを確認して重大な事が判明したのだ。

 

会った当初は発覚しなかったが確認した事で判明してしまった事だ。

 

慌ててシオニーの襟首を掴んで2人の世界へと飛んで行く。

 

AN「このままでは……()()()()()()()()()()()…!」

 

シオニー「ちょ、早いですよANさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

 

シオニーの悲鳴を無視してANは焦る。

 

ANの言葉の意味は…




AN「次回『始まりの護衛任務』!限界を越えますよ!」

シオニー「超えちゃ駄目ですぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


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フロンティア事変編
第二十七話~始まりの護衛任務~


奏がマリアと出会う中、響とクリスはウェルと出会う。その出会いが齎したのは……


ルナアタックと呼ばれる様になった日から三ヵ月たった中

 

コラボレーションライブが開催される事になった。

 

そんな会場の出演者とスタッフ用に用意されたケータリングに特別スタッフの形で奏は来ていた。

 

奏「おー、こりゃ凄いな」

 

その規模に奏は感嘆した後に翼の相手を務めるマリアの詳細を思い返した。

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ

 

2ヵ月前にデビューし、デビューからわずか二ヶ月で全米ヒットチャートの頂点に登り詰めた気鋭の歌姫。

 

ミステリアスにして力強い歌声は国境を越え、世界中に熱狂的なファンを多数獲得している。

 

奏「(えっとどいつだっけ……あ、あれかってえ?)」

 

参加してるかどうかを見渡して…目に入ったのに目を点にする。

 

料理が並べられたテーブル…そこで……ピンク髪の女性がせっせとタッパーに料理を詰め込んでいた。

 

そのピンク髪の人物こそ翼と共に歌うマリア・カデンツァヴナ・イヴ本人である。

 

奏「(なんかイメージと全然違うな…;)」

 

ミステリアスと聞いていたからもっとクールな感じかと思っていた奏にとって目の前のマリアがやってる行動から思い浮かんだ印象は…

 

奏「まるでお母さんみたいだな…」

 

マリア「!」

 

心の中で呟いたつもりがボソリと口から漏れ出てしまい、あ、やばと慌てて口を押さえるがマリアの耳に届いていたらしく、ビクッと体を震わせた後に恐る恐る振り返る様に奏の方に顔を向ける。

 

奏「(あ、やべ。聞こえちまったか…)」

 

マリア「………」

 

冷や汗を流す奏にマリアは無言で近づいて来て、顔を近づける。

 

マリア「見てたのね」

 

奏「え、あ、はい」

 

嘘は付かせないとばかりに真剣な目で問うマリアに奏は正直に頷く。

 

それを聞いたマリアはしばらく無言だったが…段々と顔を赤くしていき…

 

マリア「この事は内密でお願い。いやホントお願いします」

 

奏「へ?」

 

頭を下げて心底お願いするマリアに奏は呆気に取られる。

 

てっきり怒られると思っていただけに奏は安堵しながら笑い返す。

 

奏「別にいいぜ。それにしてもたくさん詰めているんだな」

 

マリア「あ、ありがとう。うちにはこういうのを食べた事のない子たちがいるから…」

 

そうだったのか…と恥ずかしそうに理由を言うマリアに奏は納得した後にふむ…と考える。

 

あんまり見られたくない所を見ちゃったのだからやはりこちらもそれ相応のを相方の面白げふん、恥ずかしいのを教えるべきかと考えた後に…丁度良い翼の画像が自分のスマホに入ってるのを思い出す。

 

奏「そう言えばうちの相棒と今日のライブで歌うんだよな」

 

マリア「相棒?…!そう言えば貴女、ツヴァイウイングの天羽奏…重傷になった事でしばらく顔を見せてなかったそうだけど…」

 

気づいて驚くマリアに奏は苦笑しながらスマホを取り出す。

 

奏「今は怪我でちょっと休業してるんだ。これ、うちの相棒の翼だ」

 

マリア「これが風鳴翼(あの有名な防人…)」

 

そう言って見せたのにマリアは驚きの顔を見せる。

 

ちなみに奏が見せたのは…とある時に参加したバラエティ番組のパイ投げ合戦ので体中にパイを受けてボロ負けた翼の写真であった。

 

ちなみに涙目である。

 

奏「な、可愛いだろ?」

 

マリア「え、ええ…そうね(なんかイメージと違う…でもなんだろう…凄く可愛すぎる)」

 

笑って言う奏にマリアは頷きながら頬を赤らめる。

 

奏「ん?どうしたんだ?頬赤くなってるぞ?」

 

マリア「い、いえ、なんでもないわ」

 

気づいて指摘する奏にマリアは慌てて返す。

 

それに奏は首を傾げるがまっ、良いかと思う。

 

奏「んでこれから翼のところ行くんだけど一緒にどうだ?」

 

マリア「あ、良いけどちょっと待って」

 

ちょっと待っての言葉に奏はタッパーのかなと思った後…

 

マリア「あむ……ん!これだわ!」

 

料理の中でローストビーフを一切れ食べてからむふんと目を輝かせるマリアに気合入れのかな?と奏は相棒を見る感じで微笑ましく見ていた。

 

マリア「さあ、行くわよ!」

 

奏「お、おう…」

 

あ、押してあげるわとマリアは奏の車いすを押す。

 

そんなマリアの扱い方に奏はほうとなる。

 

奏「(優しいんだな…しかも車いすの扱い方も慣れてる感じがするし、そう言う人と長くいたみたいだな)」

 

その感じに奏はふっと笑う。

 

マリア「ん?どうかしたの?」

 

奏「なんでもないさ、お前さん良いアイドルになれるって思ってさ」

 

そう返した奏のにマリアはそう…と呟く。

 

一瞬、ほんの一瞬だが、奏はマリアが自分の言葉に悲しそうな表情になりかけたのを見た。

 

奏「(ん?今一瞬…)」

 

今見えたのはなんだったのか疑問を感じる奏にマリアは怪訝とした顔で見る。

 

マリア「さあ着いたわよ。此処よね?」

 

奏「お、おう」

 

確認するマリアに奏は慌てて返す。

 

ホントにマリアの表情の変化はなんだったのか…奏はその時は分からなかった。

 

しばらくしてその意味に気づく事になるのを奏は知る事になる。

 

ただまぁ、今、奏が思っているのは…

 

翼「彼女はこう、散らかった部屋を片付けられずにべそを掻いている様な…手がかかるけど可愛いタイプに違いない」

 

奏「(翼と似たもの同士って事か)」

 

相棒のマリアの第一印象に苦笑していた。

 

 

 

 

時間を巻き戻し、ソロモンの杖の護衛任務でクリスは目の前のやり取りに何とも言えない顔をしていた。

 

???「確かに風鳴翼は良いアイドルです。ですがマリア・カデンツァヴナ・イヴが一番のアイドルだと僕は押しますね」

 

響「えー!翼さんの方が良いですよ!」

 

1人の男性と響が自分の押しアイドルについて語り合っていた。

 

その男性こそがもう1人の護衛対象であるウェル博士であったが…

 

ウェル「初めまして、私はジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。押しアイドルはマリア・カデンツァヴナ・イヴです」

 

と言う自己紹介をしたので響も乗った結果、アイドル談義が始まったのだ。

 

クリス「(まさかこの博士がアイドルのファンだったとはな…)」

 

ミューチェ「(人は見かけにはよらないわね…)」

 

そんな2人のをクリスとミューチェは呆れた感じに見ていた。

 

ウェル「流石です響さん。あなたは良いファンですね」

 

響「ウェルさんこそ凄く良いファンですね!」

 

そして意気投合したのかガッチリと握手しあい互いを褒めていた。

 

ウェル「機会があれば長く語り合いたいものですね」

 

響「はい!そう言えば明日、マリアさんと翼さんがライブするんですよね」

 

そう言ったウェルに響は思い出して言う。

 

ウェル「そうなんですよね……私としてもこの任務がなければすっ飛んで見に行きたかったですよ…ホント残念です。ソロモンの杖のとかやらなければならないのが多くて…」

 

響「お互い大変ですよね」

 

友里「えっと…2人とも、そろそろ出発をしたいんですけど…」

 

ですねとお互いに頷いている所で友里が恐る恐る声をかける。

 

ウェル「おっと、これは失礼、良く知り合いからアイドルの事になると夢中になり過ぎて他をおろそかにする僕の悪い癖と言われたりするので」

 

響「すみません友里さん……」

 

クリス「たくっ、ハシャギ過ぎだろうが」

 

謝罪する2人にクリスは呆れた感じに言う。

 

ミューチェ「(やれやれ…全く響ったら)」

 

それにミューチェは苦笑したがでもまぁ、しょうがないかと思う。

 

ここの所、響の周りにはそう言うアイドルのファンが未来を除いていなかった。

 

だからこそウェルと言う同じ趣味の持ち主と出会えたのだからはしゃいでしまったのは仕方がない。

 

クリス「それにしても科学者がアイドルのファンなんて珍しいな」

 

響「でも、良い人で良かったね!」

 

まあなと呟いてからクリスはウェルを見る。

 

クリス「んじゃ出発するか響」

 

響「うん!」

 

頷いてから2人は歩き出す。

 

ミューチェ「(無事に終わると良いんだけど心配ね)」

 

無事に終わる事を祈るミューチェだがその後ろでウェルが悲痛な顔で2人を見ていた事を知らなかった。

 

ウェル「(すいません響さん、クリスさん……)」

 

 

 

 

装甲列車に乗り、響とクリスは同室の部屋で待機していた。

 

出発してから数時間経ってもう夜で大雨であった。

 

響「凄い大雨…」

 

クリス「ホントうんざりするな…」

 

うわぁ…と呟く響にグイグイ引っ付きながらクリスはそう呟く。

 

響「こんな時に敵出てこなければ良いんだけど…」

 

クリス「そうはいかないよな…」

 

不安そうに言う響にクリスも胸をむにゅと押し付けながら頷く。

 

響「クリスちゃん、胸当たっているんだけど…;」

 

クリス「良いだろ別に」

 

そう言って抱き着き始めるクリスにあ、これ爆発しかけてると響は冷や汗を流す。

 

何分、今日まで親が見ていたのもあっておとなしかったが今はいないので響へとくっ付けていなかった。

 

クリス「なあ響、久しぶりにイチャイチャしようぜ…」

 

響「待って待ってクリスちゃん。クリスちゃんには見えてないけどミューチェさんが見てるん…っていない!?」

 

息を荒げ、野獣的な笑みを浮かばせるクリスに響は慌てて止めようとするがミューチェはいないのに気づく。

 

ちなみにミューチェがいないのは爆発しそうだし、発散させとくかなーと言うミューチェの優しい慈悲(と言う名の逃亡)である。

 

クリス「えへへ響~♪」

 

響「く、クリスちゃんまっ…」

 

慌てて止めようとする響だったがクリスは顔を近づけて行き……

 

ミューチェ「(響、南無……!)」

 

一方で列車の上で手を合わせていたミューチェは見上げて目を見開く。

 

大量の飛行型ノイズが向かって来るのだ。

 

ミューチェ「(来たわね…!)」

 

すぐさまミューチェは響に呼びかける。

 

ミューチェ「(響、ノイズが来たわよ!)」

 

響「(ノイズですか!?分かりました!)」

 

すぐさま返って来たのを聞きながらミューチェは合流の為に急いで向かう。

 

連絡を聞いた響とクリスはすぐさま部屋を飛び出した後に前方車両へと避難しようとしてる友里とウェルと合流する。

 

響「友里さん!ウェル博士!立花響行ってきます!」

 

友里「気を付けて!」

 

ウェル「それと、しばらくしたらトンネルが見えて来ますから、屋根で乗って戦う時はぶつからない様に車両内に戻ってください!」

 

分かりました!と言いながら響はシンフォギアを纏うと天井をぶち破って屋根に出て、その後にクリスも続いて出る。

 

クリス「チッ!いいところで出やがってノイズが!」

 

響「やろうクリスちゃん!」

 

舌打ちしてボウガンを構えるクリスに響はそう言って飛行型ノイズをみつえる。

 

クリス「全部撃ち落としてやる!」

 

響「たあっ!」

 

ボウガンで撃ち抜いたクリスの隣で響はラッシュしながら音の衝撃波を飛ばしてクリスの攻撃を避けた飛行型ノイズを粉砕して行く。

 

クリス「ぶっ飛びやがれ!」

 

響「この!!」

 

まだまだ来る飛行型ノイズに2人は必死に堕とす中で一気に決めると考えたのかクリスのボウガンが一際大きくなり、更に大きめのサイズと化した矢をノイズに放つ。

 

GIGA ZEPPELIN

 

放たれた弓は複数のノイズを貫通して飛び、更には空中で矢が小型の矢へと無数に分裂して行き、雨の様に一気に落ちてさらに複数のノイズを貫いて行く。

 

響「凄いよクリスちゃん!」

 

クリス「まだまだ来るぞ!油断するなよ響!」

 

BILLION MAIDEN

 

褒める響にクリスはガトリングガンに変えながらそう返す。

 

確かに減らした筈がまだノイズは残っている。

 

その中で響は1体だけ素早い動きをしてる大型ノイズを見つける。

 

響「あのノイズだけ素早い!」

 

クリス「クッ!」

 

リーダー格と判断してクリスは攻撃を続けるが上手く避けられてしまう。

 

クリス「クソっ!素早すぎて当たらねェ!」

 

響「それならバリアで囲めば…!」

 

顔を歪めるクリスに響はそう言って音のバリアで囲もうとするが直感を働かせてかリーダー格のノイズは素早く動いて阻むのをさせない。

 

響「は、早すぎて囲めない!?」

 

このままじゃあと響とクリスが焦った時…

 

後ろを見ていたミューチェが響に慌てて言う。

 

ミューチェ「二人共!後ろトンネル!」

 

響「トンネル…!そうだ!」

 

トンネルと聞いて響は思いついたとすぐさま屋根をぶち破って中にクリスともども入ってトンネルにぶつかるのを避けた後に響はクリスに向き直る。

 

響「クリスちゃん!前に師匠の映画で見たあれやるよ!」

 

クリス「あれって、まさかあれか!?」

 

確認するクリスに響は頷く。

 

響「うん!だからクリスちゃん、列車の連結を破壊して!そしたら後は私がするから!」

 

クリス「たく、大胆な事を考えやがって…だがそれが良いかもな!」

 

そう言って2人は準備する。

 

響「それじゃあやるよクリスちゃん!」

 

クリス「おう!」

 

合図と共にクリスは連結部分を破壊し、破壊された連結部から先の車両が入って来たノイズへと向かって行く。

 

それと共に響も右腕のガントレットを変形させ…

 

響「たぁああああああ!!!」

 

通り抜けようとしていた巨大飛行型ノイズへと一撃を叩き込んで後ろにいた飛行型ノイズともども粉砕して行く。

 

ミューチェ「(お~凄いわね)」

 

それにミューチェは感嘆する。

 

相手の視界を封じてから裏側から障害物ごと敵を吹っ飛ばすと言う作戦だ。

 

クリス「流石だな響」

 

褒めるクリスに上って来た太陽に照らされながら響はへへっと笑う。

 

クリス「それにしても最近お前のギアの形、なんかパワーアップしたよな」

 

響「そういうクリスちゃんも頭のヘッドギアの黒い所が赤くなってて、ソックスも白くなってるよ」

 

そう言うクリスに響も見て返す。

 

ルナアタックの後、響達のギアは色や形を変化させたのだ。

 

後から聞いたが弦十郎曰く、シンフォギアシステムには総数301,655,722種類のロックが施されており、装者の技量やバトルスタイルに応じて系統的、段階的に限定解除されるんだそうだ。

 

ギアの変化も響達の成長の表れだろうとの事だ

 

ミューチェ「(この短い間に成長したのね二人とも)」

 

そんな2人をミューチェは感慨深く見る。

 

ノイズの襲撃がもうない事を確認し、2人はウェルと友里と合流する。

 

ウェル「流石はルナアタックを食い止めた人達だ。本当に感謝します」

 

響「いえいえ!お二人共大丈夫ですか?」

 

クリス「まぁ、ノイズに触れられたら一発OUTだから大丈夫なのは確実だろ」

 

礼を述べるウェルに響はそう聞き、クリスが言う。

 

ウェル「そうですね。さて、基地へはもうすぐですね。最後まで気を抜かずに行きましょう」

 

響「はい!」

 

クリス「だな」

 

そういうウェルのに響とクリスも同意する。

 

ミューチェ「(なんとか無事に終わりそうね…)」

 

そう思うミューチェだがなぜか不安が拭えない。

 

見上げて蒼く広がる空を見ながらミューチェはなんだろうかと考える。

 

ミューチェ「(気のせいだと良いんだけど…)」

 

だが、そのミューチェの不安は後に当たる事になる。




ファナ「次回!『起こる事件!新たな装者!』っす!」


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第二十八話~起こる事件!新たな装者!~

無事に送り届けた矢先に起こる事件、そして第2の物語は本格的に幕を開ける。

※今回の話から聖詠の記載を変更します


ノイズの襲撃があったが無事に基地に辿り着いた響達。

 

友里「これで任務は完了ですね」

 

ウェル「はい。ここまで、ありがとうございました。改めてルナアタックを止めた貴方方の実力を知れましたよ」

 

そう言う友里にそう返してからウェルは響とクリスに礼を述べる。

 

響「いえいえ~」

 

ミューチェ「(なんとか無事に運び終えることができたわね…)」

 

ウェル「お2人が守ってくれたソロモンの杖は……出来る限り、誰かに悪用されない様に死守して見せます。アイドルファン仲間の響さんの為にも」

 

最後は余計じゃねと思いながらクリスはウェルを見る。

 

クリス「んじゃそろそろ帰るぞ響。じゃねえとライブに間に合わないぞ」

 

響「うんっ!この時間なら翼さんのステージにも間に合いそうだね!」

 

友里「そうね。2人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるそうよ」

 

元気よく言う響に友里がくすりと笑いながら先ほど来た連絡の内容を言う。

 

クリス「お、助かるぜおっさん」

 

響「やったー♪」

 

帰りが楽になるなと笑うクリスの後に響が両手を上げて喜んだ……

 

ドカーーーーン!!!

 

瞬間、突如基地の一角が爆発する。

 

それに響達は驚愕するとノイズ警報が鳴り響き、ノイズや巨大ノイズが見え始める。

 

響「ノイズ!?」

 

クリス「どういうことだよ!?」

 

驚いてはいたがすぐさま気持ちを切り替え、2人は聖詠を歌ってギアを纏った後に駆け出す。

 

クリス「クソっ!待ち伏せでもされていたのか!?」

 

響「ウェル博士、大丈夫かな?!」

 

舌打ちしながらノイズを撃ち抜いて行くクリスの隣で殴り粉砕した響は心配する。

 

クリス「どけぇ!」

 

響「たぁあああああ!!」

 

そのまま倒して行ってる中でミューチェは違和感を持つ。

 

なぜ違和感を持ったか考えた後に気づく。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

響やクリスに倒されていたので分かり難いがほんの数秒、観察していた事で分かった。

 

ミューチェ「(でもなんで?)」

 

ノイズの謎の行動にミューチェは戸惑うがすぐさまある物に行き当たる。

 

もしもノイズが操られてるとしたら…

 

ミューチェ「(ソロモンの杖!まさかあの博士……!)」

 

すぐさま行き着いて顔を歪めた後に響とクリスは最後の巨大ノイズを撃破する。

 

響「倒した!」

 

クリス「おい!大丈夫か!?」

 

声をかけるクリスに警備員はあ、ああ…と頷く。

 

その後、手分けして捜索した所、爆発や大量のノイズがいたのにノイズの攻撃などで起きた損害で怪我した者達がいたが死亡者は驚きの0、ただ…

 

友里「はい、既に事態は収拾。ですが、ウェル博士だけが行方が知れず…そして、ソロモンの杖もまた……」

 

クリス「くっ!」

 

響「そんな…」

 

発見されたソロモンの杖が入っていた筈のケースなのだが、中身はカラで、肝心のソロモンの杖が紛失していたのだ。

 

ミューチェ「やられたわね…」

 

響「一体どこに…」

 

アイドル語りをした仲でもあったので心配そうな響にクリスとミューチェは困った顔をする。

 

クリス「(困ったな…あの博士が犯人かもしれない可能性があるんだが…)」

 

ミューチェ「(響にとっては未来以外で初めてアイドルで語れる知り合いだったから、伝えづらいわ…)」

 

友里「とにかく、今は司令の所へ向かいましょう。後始末はここの人達に任せてね」

 

悩む2人(ミューチェは見えてないのでクリスだけになるが)を見ながら友里がそう言う。

 

響「でも…」

 

クリス「響、心配なのはわかるがそう言うのはここの奴らやおっさん達の得意分野だ。あたし等は報告を待とうぜ」

 

渋る響をクリスが諭してなっと目を見る。

 

ミューチェ「クリスの言う通りよ響。ここは彼らに任せましょ」

 

響「…はい」

 

同じ様に説得するミューチェに響はまだ後ろ髪を引かれているが了承してヘリに乗って飛び立ち、基地を後にする。

 

響「ウェル博士、無事だと良いんだけど…」

 

クリス「そうだな…」

 

首謀者なら絶対にな…と言うのを飲み込んでクリスは響へとそう返す。

 

その後は無言のまま時間は経ち、外はいつもまにか暗くなって夜になる。

 

気分を変えようと友里が提案する。

 

友里「もうコラボレーションライブが始まってるだろうし、テレビで見ましょうか、生じゃないか楽しさ半分だろうけど良いと思うわよ。それにウェル博士が無事だった時に話す話題になるでしょうし」

 

響「は、はい!そうですね!」

 

クリス「ま、確かに丁度良いな」

 

早速テレビをつけ…流れた映像と音声に響達は目を見開く。

 

???『私は、私達はフィーネ!そう…“終わり”の名を持つ者だ!』

 

クリス「はぁ!?」

 

響「えぇ!?」

 

ミューチェ「なっ!?」

 

出て来た名前に誰もが驚く。

 

響「フィーネって…」

 

クリス「おい、どうなってんだよこれ!?」

 

出て来た事も驚きだが、それを言った人物の纏っていたのにも驚きであった。

 

なぜならそれは…奏や響が纏う…

 

ミューチェ「ガングニールですって!?」

 

 

 

 

時間遡り、合同ライブが始まる数分前、未来達は特別に用意されたゲストルームにいた。

 

創世「ビッキー遅いね…ヒナ、連絡あった?」

 

未来「ううん…」

 

弓美「なんかあったのかな?」

 

詩織「もし何かあればしてくると思うのですが…折角、風鳴さんが招待してくれたのに、今夜限りの特別ユニットを見逃すなんて……」

 

ファナ「それは大丈夫!録画したのを後で見せるっす!」

 

時間を確認して聞く創世に未来は首を振るのを見て弓美はそう言い、詩織が頬に手を当てて言う中でファナが手に持っているビデオカメラを見せて、勿論許可も取ってるっす!と付け加える。

 

弓美「なあなあ、ファナさんや…触りなんだけど…まさかライブ中にやばーい事が起こるなんて事は…ないよね?」

 

ファナ「えーとそれは………」

 

未来「え、もしかして…」

 

ふと、何か思ったのかそう質問した弓美に対し、目を逸らしたファナに未来はまさか…となる。

 

弓美「良し、吐こうファナさん。弦十郎さんはああ言ったけど、凄く不安になるのはあかんから楽になろうぜ」

 

創世「いや、どこの刑事もんなノリで聞いてるの弓美;」

 

ファナ「えっとっすね…その…ノイズが…」

 

そう言って詰め寄る弓美に創世はツッコミを入れるとファナが恐る恐る言う。

 

創世「ヒナ、任せた」

 

詩織「頑張ってください未来さん」

 

弓美「マジ出た時宜しく!」

 

未来「う、うん!」

 

すぐさま未来にそう言う3人に言われた未来は気圧されながら頷く。

 

ファナ「(それだけじゃないんっすよね…)」

 

そんなメンバーを見ながらファナはそう心の中で呟く。

 

 

 

 

一方で舞台袖で翼は深呼吸していた。

 

奏「行けるか翼」

 

翼「奏…ああ、やはりこの瞬間は緊張するな」

 

声をかけた奏に翼はそう返す。

 

奏「でも翼なら大丈夫だろ?」

 

翼「ありがとう奏…頑張る」

 

頷いた翼はそろそろ時間なので歩き出す。

 

奏「行ってこい翼!」

 

声援を受けて翼は振り向かずにサムズアップで返した後にステージに踏み出す。

 

同じ様に現れたマリアは翼を一瞥する。

 

マリア「見せてもらうわよ。戦場にさく抜き身の貴女を」

 

翼「こちらこそ、豪華絢爛に舞う貴女を」

 

そう言葉を交わした後に背景に流れてる音楽に合わせた炎の映像が舞い、マリアと翼の凛々しい声と共に場を熱くさせる。

 

剣舞いも入れ、観客達による歌詞への合いの手などで場が盛り上がる。

 

そして歌が終わり、大歓声が巻き起こる。

 

翼「ありがとう!皆!私はいつも皆からたくさんの勇気を分けてもらっている。だから今日は私の歌を聞いてくれる人たちに少しでも勇気を分けてあげられたらと思っている!」

 

マリア「私の歌を全部、世界中にくれてあげる!振り返らない!全力疾走だ!ついてこれる奴だけついてこい!」

 

2人のお礼の言葉にマリアの最後のに観客たちはテンションを上げて行く。

 

弓美「くぅぅぅぅぅ!良いね良いね!さっきの!」

 

未来「翼さんとマリアさんのコラボ、凄い!凄すぎる…!」

 

ファナ「自分、これを生で見れて感動っす!」

 

それは未来達も同じで楽しげに会話する。

 

マリア「今日のライブに参加できたことを感謝している。そしてこの大舞台に日本のトップアーティスト、風鳴翼とユニットを組み、歌えたことを」

 

翼「私も素晴らしいアーティストと巡り合えたことを光栄に思う」

 

マリア「私達が世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるって事を――」

 

翼「それは世界を変えていける力だ」

 

マリア「そして…もう一つ」

 

その時、翼は告げたマリアの雰囲気が変わった気配を感じた直後…

 

マリアがドレスを翻した瞬間、ステージと観客席の通路から光が溢れ出し、そこから無数のノイズが大量に出現した。

 

弓美「いい!?」

 

創世「ノイズ!?」

 

未来「ファナちゃんの言ったとおりに…!」

 

ファナ「(ああ、始まってしまったっすね…)」

 

聞いていたとはいえ起こりし光景に誰もが息を飲む中でファナはギュッと自身の胸を握り締める。

 

出現したノイズに大歓声に溢れていたのが一転、恐怖による悲鳴が響き渡り、自分達の近くにノイズもいる事で観客たちがパニックになりかけた時…

 

マリア「うろたえるなっ!!!」

 

マイクを使い、マリアが大声で一喝する。

 

それにより観客たちは圧倒されて静かになる。

 

マリア「怖い子ね。この状況であっても私に飛びかかる機をうかがっているなんて。でも早らないの。オーディエンス達がノイズからの攻撃を防げると思って?」

 

翼「っ!」

 

自分を睨む翼に対してそう言ったマリアに翼は顔を歪める。

 

確かに自分では防げないがこの場にもう1人、防げる人物がいる。

 

だが…

 

マリア「それにライブの模様は全世界に中継されているのよ?日本政府はシンフォギアについての概要は公開してもその装者については秘匿したままじゃなかったかしら?」

 

ねえ?風鳴翼さん?と目で問うマリアに翼は唇をかみしめる。

 

そう、シンフォギアの事は公開されたが響達装者については個人情報とも言えるのでそこだけは隠されてるのだ。

 

もしも翼はならなくても未来が素顔を曝したらそれは彼女の周りを脅かすかもしれないのだ。

 

負い目もあって翼は強く出れないが強く睨み付ける。

 

翼「甘く見ないでもらいたい。そうとでも言えば私が鞘走ることを躊躇うとでも思ったか?」

 

マリア「貴女のそういう所、嫌いじゃないわ。貴女の様に誰もが誰かを護るために戦えたのなら世界はもう少しまともだったのかもしれないわね」

 

力強く言った翼にマリアは少し寂し気にそう返す。

 

翼「なん…だと?マリア・カデンツァヴナ・イヴ、貴様は一体?」

 

出て来た言葉に翼が戸惑う中でマリアはフッと笑う。

 

マリア「そうね。そろそろ頃合いかしら」

 

そう前置きしてからマリアはサーベル型のマイクを振り回して強く目を見開いて言う。

 

マリア「私達はノイズを操る力を持ってして!この星の国家全てに要求する!」

 

翼「世界を敵に回しての口上!?これはまるで―――」

 

宣言された事に翼や奏、未来達は驚く。

 

弓美「ちょ、これじゃあ宣戦布告じゃん!?」

 

未来「ノイズの力を利用しての宣戦布告…」

 

ファナ「ノイズだけじゃないっす。マリアさんは…」

 

そんなメンバーへとファナが言う前にマリアはサーベル型マイクを頭上に放り投げ…

 

マリア「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

 

創世「これって、ヒナ達がシンフォギア纏う時のじゃ!?」

 

詩織「それに歌っていた奴の一部が……」

 

未来「響と同じガングニール!?」

 

それに誰もが驚いている間にマリアの纏っていたのが、奏のに似てるが黒く染まったのに黒いマントを靡かせ、その手に黒い槍を握り締め、落ちて来たマイクをキャッチして言う。

 

(推奨BGM:烈槍・ガングニール )

 

マリア「私は…私達はフィーネ。そう…終わりの名を持つ者だ!」

 

そう力強く名乗り上げる。

 

未来「フィーネって…!」

 

ファナ「(本格的に始まったっす…第二期が…)」

 

驚く未来の隣でファナはごくりと息を飲む。

 

マリア「私達は各国政府に対して要求する。そうだな…差し当っては国土の割譲を求めようか!」

 

翼「馬鹿な…!?」

 

告げられた要求に翼もそうだが奏もそんな事が通る訳がないと内心否定する。

 

マリア「もしも24時間以内にこちらの要求が果たせない場合は各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう」

 

続けざまに出て来た言葉にホントにどこまで本気なんだと驚愕する。

 

怯えた観客たちに翼はシンフォギアを握り締める。

 

翼「何を意図しての騙りか知らぬが…」

 

マリア「私が騙りだと?」

 

そう言った翼にマリアは眉を顰める。

 

翼「そうだ!ガングニールのシンフォギアは貴様のような輩に纏えるようなものではないと覚えろ!」

 

奏『待て!翼』

 

そう言って聖詠を歌おうとする翼に奏が通信機で待ったをかける。

 

奏『今、ギアを纏ったら翼がシンフォギア装者だと全世界に知られちまう!』

 

翼「でもこの状況で――」

 

奏『あたしだって同じだよ!だけど、お前の歌はこれだけじゃねんだよ!』

 

緒川『奏さんの言う通りです!風鳴翼の歌は!“戦いの歌”ばかりではありません。傷ついた人を癒し、“勇気づける歌”です!しばらく待っててください!』

 

止めに入る奏と緒川の言葉に翼は歌うのを止める。

 

マリア「確かめたらどう?私が言ったことが騙りなのかどうかを」

 

翼「………」

 

しばらくの睨み合いが続き、マリアは翼が変身する気がないのを感じ取ってか意外な事を言う。

 

マリア「…なら。会場のオーディエンス諸君を解放する!」

 

未来「え?」

 

奏「は?」

 

まさかの解放宣言に誰もが呆気にとられる。

 

???『何が狙いですか?こちらの優位を放棄するなど筋書きには無かった筈です。説明してもらえますか?』

 

マリア「このステージの主役は私。人質なんて私の趣味ではないわ」

 

そんなマリアの通信機に老年の女性の声が渋い口調で聞き、マリアはその声に聞こえない声で返す。

 

???『血に穢れることを恐れないで…!』

 

???2『まあまあ、良いじゃろう教授。実にマリアらしいではないか』

 

諭す様に言葉に人質解放を撤回する様に言う老年の女性に対し、別の女性の声が老年の女性を宥める様に割り込んでくる。

 

???2『犠牲をできるだけ少なくしようとするマリアの優しさ。それを汲んでやることも上の者の役目じゃよ。それに血に穢れるのを恐れるなと言うが今回ばかりはそれは不必要じゃと思うぞい』

 

???『……調と切歌を向かわせています。今回は目を瞑ります。作戦目的を履き違えない範囲でおやりなさい』

 

渋々と言った感じで老年の女性は解放を許可する。

 

マリア「ありがとうマム…さあ、ノイズ達は下手な行動をしなければ襲わない。早くこの場から去りなさい!」

 

小さく礼を述べた後に観客たちに向けてそう言うとノイズ達は道を空け、観客達はノイズにぶつからない様に会場から逃げる。

 

見ていた未来も創世たちへと顔を向ける。

 

未来「皆、先に行っていて」

 

ファナ「未来さん、行くんっすか?」

 

弓美「ちょ、流石に今出て行ったら…」

 

告げられた事に弓美が慌てるが…

 

未来「大丈夫。カメラに映らないように攻撃するしもしできたらカメラを全部破壊すればいいし」

 

緒川「カメラについては僕に任せてください」

 

そう返した未来の後に扉を開けて緒川がそう言う。

 

詩織「緒川さん」

 

緒川「未来さんはカメラに映らない範囲で観客にノイズが近づかない様に音の壁を張って貰ってもよろしいでしょうか?万が一を考えてあちら側も予想してないトラブルが起きないとは限りませんし」

 

未来「確かに…分かりました」

 

頼まれた事に未来は納得し、すぐさまファナ達と分かれ、途中で緒川と分かれて向かう。

 

ファナ「(未来さん、気を付けて…)

 

そんな未来へとファナは心の中で祈る。

 

しばらくして観客はいなくなり、会場にはマリアと翼とノイズだけが残る。

 

マリア「帰るところがあるというのは羨ましいものだな…」

 

翼「マリア…貴様は一体」

 

またも寂し気に言うマリアに翼は戸惑いを隠せずに問うがマリアはそれを無視して翼へと向き直る。

 

マリア「観客は皆、退去した。もう被害者は出ることはない。それでも私と戦えないというであればそれは貴女の保身の…」

 

刹那、マリアが言いかけている所に光が会場へと迸り、出現していたノイズたちを薙ぎ払って行く。

 

それにマリアが驚いていると攻撃はマリアにも向かって行く。

 

マリア「っ!」

 

すぐさま避けた後にどこから飛んで来たかを確かめようとするが追撃のが縦横無尽に飛んで来るのでマリアは必死に動く。

 

翼「この攻撃はもしや…!」

 

マリア「この攻撃、神獣鏡の装者のね…!一体どこに…!」

 

探そうとするが光は様々な角度から飛んで来てどこにいるかを予測させない。

 

マリア「(っ、光が何処から飛んでくるのか予測できない…!)なんとしてでも彼女を捕獲しないと…!」

 

翼「!?」

 

告げられた言葉に翼は顔を青くする。

 

ちなみに顔を青くしたのはクリスと初めて会い、戦った時の2人の姿を思い出してガタガタしてるのだ。

 

なお、響は嫌な予感を察したクリスと友里により耳栓されていたので聞こえていない。

 

そう……()()()……

 

ドドドドドドドドドドン!!

 

故に、未来にはハッキリと聞こえたので攻撃が激しくなった。

 

マリア「(な、なに!?いきなり攻撃が激しくなった!?)」

 

激しさが増したのにマリアは驚きを隠せない中でその光景に思わず翼は静かに十字を切っていた。

 

すると世界中に中継されていた筈のモニターがNO SIGNALと表示され、そのモニターには何も映っていなかった。

 

マリア「中継が遮断された!?」

 

それにマリアは驚くがすぐさま飛んで来たのを避ける。

 

緒川『シンフォギア奏者だと、世界中に知られて、アーティスト活動ができなくなってしまうなんて、風鳴翼のマネージャーとして、許せる筈がありませんからね!翼さん、今です!』

 

翼「ありがとうございます緒川さん!マリア、聴くが良い!防人の歌を!」

 

驚いていた翼の耳に息を切らせた緒川の連絡が入り、礼を述べた後にマリアに向けて翼はそう言った後に聖詠を紡ぎ、ギアを纏う。

 

マリア「やっと変身したのね。さあ戦い…」

 

翼「マリア、戦場で言うのもなんだが…今すぐ降参するか逃げろ…!」

 

マリア「は?」

 

それにマリアは避けながら不敵に笑おうとして翼からの降伏か撤退しろの言葉に呆気に取られたがすぐさま光線のに慌てて避ける。

 

普通ならば捕まえるのを優先するべきだろうがバーサーカーとも言える感じになってる未来の事を考えて、死に一歩手前か重傷になる前に言った方が良いと共に歌った者のよしみで翼は言ったのだ。

 

マリア「ご忠告ありがとう。でも私のガングニールは何物を貫き通す無双の一振り!例え二人相手でも平気よ」

 

翼「無双出来てないぞ!」

 

必死に避けながらそう返すマリアに翼は叫ぶ。

 

???2『あーマリア。もうすぐそっちに二人が来ると思うんじゃが。二人が来たら援軍来る前に一緒に撤退した方が良いぞ』

 

そこに老年の女性を諭した女性の声がマリアに撤退を言う。

 

マリア「何言ってるの!?まだ100%に達していないんでしょ!』

 

???2『確かにまだ30%ぐらいじゃが…』

 

返された事にマリアは顔を顰める。

 

マリア「(まだ70%も足りない…!?)それならまだ続けるわ」

 

???2『マリア、伝え忘れてたが実は……』

 

続行を求むマリアに女性は言おうとし…

 

翼「戦いの最中に会話とは、油断しすぎだ!」

 

マリア「!しまっ…」

 

風輪火斬

 

そこに翼が炎を纏った剣を回しながら突撃して来る。

 

それと共に光も止んでいるのに気づき、翼が突撃したのを見て攻撃を止めたみたいだ。

 

しまったと気づいた直後には翼の斬撃が直撃してステージ床に倒れる。

 

マリア「っあ!」

 

翼「話はベットの上で聞かせてもらう!」

 

呻くマリアに翼はアームドギアを突き付けながら言う。

 

マリア「(くっ、まだやられるわけには…)」

 

と思った直後、翼は後ろからの気配に振り返ると無数の桃色の円盤ノコギリが襲い掛かる

 

翼「何ッ!?」

 

すぐさま翼はマリアから距離を取るとツインブレードを回転させて円盤ノコギリを防ぐ。

 

そんな前方の攻撃を防ぐ為にがら空きになった左右の側面から三枚の刃がブーメランのように滑空して翼に襲い掛かる

 

翼「っああ!」

 

ノコギリによりガラ空きとなった側面から来た刃を防ぐことが出来ず、翼は吹き飛ばされてしまう。

 

起き上がったマリアの前に2人の少女が降り立つ。

 

1人はピンク色のをメインカラーとしたのを纏った黒髪ツインテールの少女、もう1人は緑色のをメインとしたのを纏った金髪ショートカットの少女であった。

 

???「危機一髪…」

 

???2「まさに間一髪だったデスよ!」

 

そう言った2人に見ていた緒川は驚く。

 

中継室に向かう前、今、翼の前に現れた少女2人と出会ってるからだ。

 

マリア「ありがとう切歌、調。助かったわ」

 

2人に礼を述べた後にマリアは翼を見る。

 

そんなマリアだが忘れている事がある。

 

翼が攻撃するまで、自分は誰に攻撃されていたかを…

 

???2『三人共!すぐそこから移動するんじゃ!』

 

その言葉に3人はその場を離れると光が炸裂する。

 

切歌と呼ばれた金髪の少女と調と呼ばれた少女は驚く。

 

マリア「この光は神獣鏡の…!」

 

???2→切歌「それってギアを分解しちゃう聖遺物のギアデスよね!?」

 

???→調「当たったらヤバイね」

 

すぐさま3人は避けながら会場の天井へと向かう。

 

そのまま翼の方を見ると翼は不敵に笑う。

 

翼「貴様みたいのはそうやって見降ろしてばかりだから勝機を見落とす!」

 

マリア「!上か!」

 

クリス「土砂降りな!10億連発!!」

 

BILLION MAIDEN

 

降り立ったマリアへと向けてそう言った翼の言葉にマリアは上を見るとヘリから飛び降りて構えたクリスが見えると共にガトリング砲が火を噴く。

 

すぐさまマリアはマントを傘のようにして弾幕を防ぐ

 

響「たぁああああ!!」

 

そこに響も続いて拳を振るい、マリアは避けた後にマントを振るって攻撃しようとして響は距離を取る。

 

響「すみません翼さん!遅くなりました!」

 

クリス「ただ、丁度いい感じだったみたいだな」

 

謝罪する響の隣でクリスは野獣的な笑みを浮かばせてマリア達を見る。

 

切歌「あれがSちゃんが言っていた立花響デスか…」

 

調「………」

 

対峙する中で響を見る2人に見られてる響は困った顔をする。

 

響「う~ん…どうしようかな」

 

クリス「悩む必要があるか?捕まえるのが一番だろ。ライブをめちゃくちゃにしたんだしよ」

 

そんな響にクリスはそう言って銃口をマリア達に向ける。

 

マリア「あら、やる気ね」

 

調「もう1人は迷ってるようだけど」

 

その言葉は響にとって図星であった。

 

これまでの経験から、響は話し合う事で分かり合うか、戦って分かり合うかで悩んでいた。

 

どうしてこんな事をしたかも気になるがそれを知る方法でどっちが良いのか悩むのだ。

 

響「(どうしようかな…?できたら話し合って分かり合いたいけどそれは相手を怒らせちゃうかもしれないし、戦う事で分かる事もあるだろうけどあんまり怪我をさせたくないって言ったら怒られそうだし…)」

 

うーんと悩む響だが、調がぼそりと呟く。

 

調「…偽善者」

 

響「え?」

 

言われた事に響は戸惑う中で調は続ける。

 

調「貴女は綺麗ごとで戦う人って聞いた。痛みを知らない貴女に、誰かの為になんて言って欲しくない!」

 

ドゴーン!!

 

その直後、調の足元を光がぶち破って出た後…調は飛び出した人物の一撃に吹き飛ぶ。

 

調「っ!?」

 

切歌「調!?」

 

助けに行こうとした切歌だが、ねえと言う後ろからの声にゾッとする。

 

それを発したのは飛び出した人物…未来であった。

 

未来「今…なんて言ったの…」

 

ハイライトのない目で静かに未来は調に問う。

 

その後ろで合流した翼は震え、クリスは静かに黙祷し、響はあわあわしている。

 

調「う…あ…」

 

未来「偽善者?響のことを偽善者呼ばわり?」

 

ハイライトのない目と威圧感にたじろいて尻餅を付いてしまう調に未来はアームドギアをブンブン振りながらゆっくりと近づく。

 

切歌「調から離れるデス!」

 

ドゴーン!

 

それに切歌が止めようとして横からの衝撃で吹き飛んで、およよー!?と絶叫しながらぴゅぅぅぅぅぅぅ…と落ちていく。

 

未来「邪魔しないで」

 

調「ああ…」

 

恐怖で動けない調に未来は近づこうとして……ノイズが2人を分断する。

 

すぐさまマリアは調を抱えるとその場から飛び降りて闇夜に消える。

 

直後に現れたノイズは未来により全て粉砕される。

 

クリス「おーい、未来。落ち着け―」

 

響「未来-、私は気にしてないから大丈夫だよー」

 

その後に2人は宥めに入る。

 

それにより未来はハッと正気に戻る。

 

未来「あれ?マリアさんたちは…」

 

ミューチェ「撤退したわよ。あなたの猛攻な攻めで」

 

猛攻な攻めと言われて未来はえっと…と思い出す。

 

未来「そう言えば私、マリアさんのを聞いてから記憶が…)」

 

翼「(ほとんど覚えてないのか…)」

 

んーと唸る未来に翼はその方が良いかと考え、クリスもあの時か…と顔を抑える。

 

と、その時…

 

ズボボボボン!!

 

ステージ中央から緑色の巨大ノイズが現れる。

 

響「んなあ!?何あのデッカイイボイボ!?」

 

未来「何か分からないけど、早く倒さないと!」

 

閃光!

 

それに響は驚く中で未来は速く倒そうと閃光を放つ。

 

閃光に当たった巨大ノイズは弾け飛ぶ。

 

何時もの様に消えない?とミューチェが思った直後、弾け跳んだ巨大ノイズの欠片が膨れ上がってノイズになった他、残っていた大きいのも膨れだす。

 

響「ノイズが!?」

 

ミューチェ「増殖している…!?」

 

それに驚いてる間に膨れ上がり、翼は近くにいた分裂したノイズへと向けて斬撃を叩き込むが逆に増える。

 

翼「こいつの特性は増殖・分裂……!?」

 

クリス「放って置いたら再現ないって訳か」

 

未来「このままじゃその内此処から溢れ出ちゃう…!」

 

緒川『皆さん、聞こえますか!』

 

呻く4人の通信機に緒川から連絡が来る。

 

緒川『会場のすぐ外には避難したばかりの観客達がいます!そのノイズを外に出すわけには!』

 

響「観客!?皆が…!」

 

翼「迂闊な攻撃では悪戯に増殖と分裂を促進させるだけ…」

 

クリス「どうすりゃいいんだよ…!」

 

どうすれば…と響は考えてハッとなる。

 

響「……絶唱」

 

出て来た言葉に3人は響を見る。

 

響「絶唱です!」

 

未来「でも響、あの技は…」

 

クリス「まだ未完成なんだぞ?!」

 

それでもやる気かと見るクリスに響はこくりと頷く。

 

翼「増殖力を上回る破壊力で一気殲滅…立花らしいが理にはかなっている」

 

クリス「おいおい、本気かよ!?」

 

未来「けど他に考えてる時間がないみたい…」

 

分裂し始めてる巨大ノイズを見て4人は頷いた後にクリスと翼は響の手を握り、未来は響の後ろに回って肩を掴む。

 

響「行きますッ!S2CA・クワトロバースト!」

 

四人「「「「Gatrandis babel ziggurat edenal」」」」

 

響の宣言の後、4人は目を瞑り、同時に絶唱を歌う。

 

増殖型が増え続ける中で響達は絶唱を歌い続ける。

 

そして最後の歌を歌い終えると共に…眩い輝きを発し、光に当たったノイズを消滅させる。

 

翼「スパープソング!」

 

クリス「コンビネーションアーツ!」

 

未来&響「セット!ハーモニクス!」

 

咆哮と共に4人から放たれる光が混ざり合って虹色となって吹き飛ばして行く。

 

響「ぅぅぅぅ…!」

 

未来「くぅぅぅ…!」

 

翼「耐えろ立花、小日向!」

 

クリス「もう少しだ!」

 

呻く2人に翼とクリスは声をかける。

 

緒川「S2CA・クワトロバースト…装者4人の絶唱を響さんと未来さんが調律し、1つのハーモニーと化す…それは手をつなぎ合う事をアームドギアの特性とする響さんと響さんと同じ音楽の始祖である未来さんにしか出来ない…だが、その負荷は響さんと未来さんに集中する…!」

 

その光景に見ていた緒川はやってる事とそれにより起きている現象について呟く。

 

響&未来「っあああぁぁぁぁぁ!」

 

力の限り叫んで放出して行く事で増殖型ノイズは最初に現れたのを除いて消滅し、増殖型ノイズは本体と思われるのが露出する。

 

翼「今だ!!」

 

響「レディ…ッ!!」

 

好機と叫ぶ翼に響も決めるとギアの各部を展開、左腕のガントレットを右腕のと合体させて変形させた後、放出していた絶唱のエネルギーを収束させ、ガントレットのタービンが高速回転する。

 

クリス 「ぶちかませ!」

 

響「これが私たちのぉぉ!」

 

再び緑色の纏おうとする増殖型ノイズへ向けて背中に展開したバーニアを噴出して突進する。

 

響「絶唱だぁああああああ!!

 

右こぶしを叩き込むと同時にガントレットが展開し、ジャイロの様になった後に高速回転してからバンカーを叩き込み、収束したエネルギーを竜巻として放出してノイズを粉砕する。

 

エネルギー竜巻はそのまま上空の雲を吹き飛ばし、宇宙まで飛んで行く。

 

収まった後、響はふうと息を吐く。

 

響「やったぁ…」

 

未来「お疲れさま、響」

 

労いの言葉をかける未来に響はうんと頷く。

 

 

 

 

一方、マリア達はとあるトレーラーに乗り込み、息を整えていた。

 

???2「間一髪じゃったのう」

 

???「ホントに、彼女の過去による影響は想定以上でしたね」

 

そんなマリア達を見て声をかける女性の後に車いすに乗った女性がそういう。

 

マリア「マム、ミセスS。ごめんなさい、相手の実力を誤っていたわ…それにフォニックゲインも…」

 

???2「良いんじゃよ。それにアレの起動は成功しているんじゃよ」

 

ミセスSと呼んだ人物から告げられた事に顔を伏せていたマリア達は顔をあげる。

 

切歌「そうなんデスか!?」

 

???「ええ。立花響と小日向未来、二人が揃った途端にフォニックゲインが急上昇したの」

 

ミセスS「それにさっきのでさらに高まってアレの稼働に成功したんじゃよ」

 

その言葉に3人は座り込むと共にギアが解けて、それぞれドレスや私服に戻る。

 

調「なんとかミッションクリアできてたんだね…」

 

切歌「デスね…にしても何デスかあの化物のような恐ろしさは…」

 

息を吐く調の後に顔を青くして言う切歌へとこれが原因じゃよとミセスSは機類を操作してある物を出す。

 

それは響達の誘拐の記事であった。

 

調「これって…誘拐の記事?」

 

マリア「しかも誘拐された者達は立花響に小日向未来…って先ほどの子達じゃない!?」

 

???「ええ…マリア、調…あなた達は彼女達、特に小日向未来を刺激する事をしてしまったのです。確かに神獣鏡の確保は任命してましたが…ですが、口に出した事で手痛い事を食らってしまった」

 

驚く3人、特に調とマリアにマムと呼ばれた老年の女性は静かに言う。

 

切歌「うぅ…」

 

ミセスS「ちなみにもしあれを響ちゃんが聞いておったら…三人とも死んでいたんじゃろうな」

 

死と言う言葉にマリアは息を飲み、切歌と調は青ざめて抱き合う。

 

???「あえて情報を秘匿していたのが裏目に出ましたね」

 

ミセスS「そうじゃな。3人とも優しい所があるから力を十分に発揮できん可能性があったからな…いやはや…ホントこっちの配慮不足のせいじゃな」

 

ふうと息を吐いた後に画面を変えてある物を映す。

 

ミセスS「それにしてもまさか二人が揃うだけでここまで数値が上がるとは…」

 

???「ですがこれでネフェリムの起動はできました。これで残るのはあと一つ」

 

あと1つと言う言葉に3人は頷き、ミセスSもうむと画面を展開する。

 

ミセスS「そのためにも神獣鏡の確保をしないといけないのう…」

 

マリア「出来るのかしら…」

 

ふうとため息を吐くミセスSにマリアは弱弱しく呟く。

 

ミセスS「(やはりまだ新しいとはいえ始祖は強いのう…未来ちゃんもそうじゃが…響ちゃんも普通に戦えばマリア達の勝率は低い…かぁ~~~ホントは介入する気なかったんじゃけど、()()()()()()()()()がああでは本来の流れなんて無理と判断したから介入した分、頑張らんといけんなホント)」

 

前途多難と感じながらミセスSは手をパンパンさせる。

 

ミセスS「はいはい。神獣鏡の確保はまた後で考えれば良いじゃろ。今は英気を養う事に専念するべきじゃな」

 

切歌「英気をデスか?」

 

うむとミセスSは頷く。

 

ミセスS「ご馳走を用意しているから、次の任務に備えておいて欲しいのじゃ」

 

調「………分かった」

 

3人が頷いた後にそれぞれ休憩に向かう。

 

???「ありがとうございますミセスS。あなたがいなければこう上手くは行かなかったでしょう」

 

ミセスS「いやいや。こっちこそナスタージャ教授、わしの様な正体もわからないから怪しい者を良く迎え入れてくれたものじゃよ」

 

頭を下げる老年の女性にミセスSは名前と思われるのを言ってそう返す。

 

???→ナスタージャ「でもあなたを迎え入れたおかげでこのアジトも前の時より数段と使いやすくもあり、バレ難くなりました」

 

ミセスS「まあこれぐらい儂なら朝飯前じゃよ」

 

ホッホッホっと笑いながらミセスSは笑った後に真剣な顔をする。

 

ミセスS「じゃが油断はできぬ」

 

ナスタージャ「ええ、そうですね。こうしている間にも徐々に地球に接近していますからね」

 

同じ様に頷いてから映し出された月をナスタージャは鋭く睨む。

 

ナスタージャ「なんとしてでも私達は接近している月を止め…」

 

ミセスS「世界を救わないといけないのう」

 

そうお互いに言葉を交わすのであった。

 

 

 

 

しばらく待機していた響達は目に入った光に誰もが見ると朝日が昇っていた。

 

響「あ、もう朝だ…」

 

未来「もう朝になっちゃったんだ…」

 

登って来てる朝日に響達は新たな戦いの始まりを感じるのであった。




翼「次回、『学際の準備と新型ノイズとネフェリム』……わ、私のこれはそうなのか……」


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第二十九話~学際の準備と新型ノイズとネフェリム~

各々の日常を送る中、学園行事の準備の中で翼にある変化が起き始める。


前回から1週間、ライブ会場での宣戦布告から音沙汰もなく、響達はひとまずの日常を送っていた。

 

今はお昼休みで弁当を食べていた。

 

響「んー!美味しい!」

 

未来「美味しいね響」

 

未来特製弁当に舌鼓を打つ響に未来もうふふと笑う。

 

弓美「それにしてもあれから音沙汰ないね」

 

響「そうだねー…」

 

ファナ「マリアさん達、何処に居るっすかねー」

 

そう呟いた弓美のに響も困った顔をし、ファナもうーんと唸る。

 

詩織「そう言えば親しくなったウェル博士と言う方の安否もまだ分かってないんですよね?」

 

響「うん、心配だよね…」

 

ファナ「(ウェル博士っすか……まさかアイドルオタクの方だとは思わなかったっす)」

 

次にウェルについて言う詩織に響も沈痛な顔で心配している中でファナは唸った後にあれ?となる。

 

ファナ「(待ってくださいっすよ…神獣鏡が既に未来さんの物になっているって事はつまりマリアさん達は神獣鏡を持っていないってことっすから…)」

 

あ、やばい……これ普通にあかん状態になってるっす……とファナは顔を青くする。

 

創世「?どうしたのファナ?」

 

響「なんか顔真っ青だよ?」

 

ファナ「な、なんでもないっす…(マズいっす……このままではフロンティアを起動できない…フロンティア起動できなかったら月の遺跡再起動できない。それはつまり世界の終わりっす……!!)」

 

気付いた創世と響が心配して声をかけるがファナは慌てて手を振ってから考えた後にちょっとお花摘みに行くっすと言い訳して響達から離れてトイレに駆け込み、座った後に高ぶる鼓動を抑えようと深呼吸する。

 

その後に自分の持つ神獣鏡を見る。

 

ファナ「(もしもの時は自分が…)」

 

ギュっと握り締めてファナは決意する。

 

例え響達と敵対する形になっても、あの2人は恩人でもある。

 

ファナ「でもまだどうなるか分かってないっす。だからある程度進んでから行動を起こさないと…」

 

そう呟いてファナは今後のを決めてから神獣鏡を仕舞って立ち上がる。

 

ファナ「(あ、そう言えば浸食の方は大丈夫っすかね…?)」

 

その後に原作でもあった事を思い出す。

 

今の所はないだろうが後に苦しむのを見てしまうのが心苦しくなる。

 

ファナ「(でも確か始祖って不死だから死ぬ事はないっすよね…)」

 

そう考えるファナだが後になってそれが甘い考えだと言うのを突き付けられる。

 

2人に起きる異変が自分が想像してるよりも深刻だと言う事を…

 

 

 

 

時間が飛んで放課後、翼は1人、新生リディアンの廊下を歩いていた。

 

翼「(ふむ、もうすぐ学祭か……)」

 

歩きながら翼は迫っている学祭に思いながらどんな感じになるのやらと口元を緩めた後にマリアを思い出す。

 

翼「(マリア……もう一振りのガングニールを纏う者。何故だろうか……こうにも彼女の事が気になる)」

 

ギュっと胸の所を掴んで翼は目を閉じる。

 

どうも彼女の事を考えると鼓動が高まる。

 

なんなのだろうかと考えていると…

 

ドン!

 

???「わッ!?」

 

翼「なッ!?」

 

目を瞑っていたので避けるのが遅れてぶつかり、翼はよろけるが踏ん張って倒れるのを避ける。

 

翼「脇見しつつ廊下を駆けるとは、あまり関心できないな」

 

そう言ってぶつかった相手を見るとクリスであった。

 

クリス「…痛ッてえ~」

 

翼「雪音?何をそんなに慌てて……」

 

ぶつかった相手がクリスだと分かって声をかけると本人は慌てた様子で周りを見る。

 

クリス「やつらが……やつらに追われてるんだ。もう、すぐそこにまで……ッ!」

 

翼「なに?」

 

クリスが走って来た方へと行き、辺りを見渡すが人影はない。

 

翼「とくに不審な輩などは見当たらないようだが……」

 

クリス「そうか、うまく撒けたみたいだな。ふぅ」

 

緊張してたのか息を大きく吐いて安堵する様子に翼は首を傾げる。

 

翼「奴らとは、一体……?」

 

クリス「ああ、なんやかんやと理由をつけて、あたしを学校行事に巻き込もうと一生懸命なクラスの連中だ」

 

困った様にぼやくクリスだが少し楽しげなのに翼は口元を緩ませる。

 

幼少期、理不尽な事で親を失い、傷ついていたクリスが楽しげにだが暮らせているのが嬉しいのだ。

 

翼「……ふふ。そうか」

 

それなら…と翼はクリスの手を掴んで自分の教室へと歩き出す。

 

翼「代わりに私を手伝って貰おうかな?」

 

クリス「なんでだよッ!?」

 

いいではないかと言いながら翼はクリスを引っ張って教室に行くと複数の生徒がいて、同じクラスの高坂歩と大木杏胡と佐部瞳子が代表で声をかける。

 

歩「あ、翼さんいたいた」

 

杏胡「材料を取りに行ったまま戻ってこないから皆で探してたんだよ」

 

瞳子「でも、可愛い下級生を連れてる所を見ると心配して損したかな」

 

翼「皆、先に帰ったとばかり……」

 

クリス「案外人気者じゃねぇか」

 

声をかけて来る3人やクラスメイト達に驚く翼にクリスは茶々を入れる。

 

瞳子「言いたい事は分かるかな。昔は少しギスギスしてて近寄り難かったし」

 

歩「そうそう。奏さんが大怪我で出れなくなったのもあってね。でもね」

 

杏胡「思い切って話しかけてみたら私達と同じなんだって良く分かったもんね」

 

そんなクリスに瞳子はそう言い、歩も続いた後に杏胡が笑って言い、特に最近はそう思うよねと歩が付け加える。

 

翼「みんな……」

 

クリス「ちぇ……うまくやってらあ」

 

歩「あ、後は凄く最近だとあれかな?」

 

あれ?と歩から出て来た言葉に翼とクリスは首を傾げる中で翼のクラスメイト達は誰もがああと納得するようなそぶりをした後に…

 

瞳子&杏胡「恋煩いね」

 

翼「ぶっ……!?」

 

クリス「恋煩いだァ……!?」

 

まさかの言葉に翼は噴き出し、クリスは目を見開く。

 

歩「そうそう、ここ1週間、なんだかアンニュイな感じになってたんだよね~」

 

瞳子「奏さんの事かなと思ったけど違うどことなく恋する乙女的な感じに見えてね」

 

杏胡「しかもお相手は遠くにいる感じっぽいよね~」

 

わいやわいやと盛り上がるクラスメイト達の言葉に翼は混乱しながら胸に手を当てる。

 

翼「(わ、私が恋煩い……!?まさかマリアの事を考えると最近顔が熱くなったり、ドキドキするのはそういう事なのか!?)」

 

戸惑いを隠せない翼にクラスメイト達は応援する。

 

 

 

 

響「つ、翼さん?大丈夫ですか?」

 

翼「あ、ああ……大丈夫だ」

 

時間が経ち、夜でとある廃病院を前にあれから悩み続けて顔が赤い翼に響は問い、翼はそう返す。

 

弦十郎『翼、体調が悪いのなら無理をしなくても良いんだぞ』

 

翼「大丈夫です司令。体調に問題はありません」

 

同じ様に気遣う弦十郎に翼はそう返す。

 

その後に顔をパチンと叩いて意識を変える。

 

翼「(いかんいかん、今は戦場。マリアの事は捕まえてから……だからいかん!渇!!)」

 

弦十郎『皆、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!』

 

緒川『明日も学校があるのに夜勤の出動を強いてしまい、すいません』

 

必死に意識を変えてる翼を含めて弦十郎はそう言い、緒川が謝罪する。

 

翼「気にしないでください。これが私達防人の務めです」

 

響「街のすぐ外れに、あの子たちが潜んでいたなんて…」

 

未来「でもほんとに此処にマリアさん達が?」

 

緒川『調べた所、ちょうどこの前の事件から此処に少しずつ物資が搬入されているみたいなんです。現段階ではこれ以上の情報が得られず致し痒しではあるのですが、何者かが潜んでいるのは間違いないと思われます』

 

そう報告する緒川のを聞いてミューチェはんー?となる。

 

ミューチェ「(おかしいわね……?隠しているのに物資を搬入してるのを分からない様にしてないのかしら?普通ならば隠し通す筈なのに…もしかして罠?)」

 

クリス「尻尾が出てないのなら、こちらから引き出してやるまでだッ!」

 

手を左手に右こぶしをぶつけてから行こうとするクリスを翼が遮る。

 

思わずクリスは睨むが翼の表情からそれを止めて入口をみつえて構える。

 

翼「……いや、案外早い出迎えだぞ」

 

響「ノイズ!」

 

その言葉と共にノイズが現れるが、今まで現れたノイズと違っていた。

 

まず表面がまるで鉱石の様な感じなのだ。

 

初めて見るタイプに響達は戸惑う。

 

未来「何、あのノイズ……!?」

 

クリス「初めて見るぞ…!?」

 

現れたノイズは戸惑う響達のそんな事を気にせずに向かって来る。

 

翼「来るぞ!皆、気をつけろ!」

 

響「はいッ!」

 

その言葉と共に4人はそれぞれ動く。

 

クリス「ぶっ飛びやがれ!」

 

ズガガガガッ!!

 

未来「はあぁぁッ!」

 

先手必勝!とクリスが銃撃し、未来も光線を放つが…

 

ガキガキガキィン!

 

クリス「なっ!?弾いた!?」

 

表面に当たると弾かれたのに驚く。

 

響「たあッ!」

 

翼「はあッ!」

 

ガキィィィィィン!

 

続けて響と翼が攻撃を仕掛けるが殴った瞬間に響は目を見開き、翼は弾かれる。

 

響「いったァァァ!?」

 

翼「なかなか硬いな……ッ!」

 

振るった右拳を勢いよく振ってからフーフーする響の隣で痺れた手を振りながら翼は顔を顰める。

 

クリス「なら大技でブッ飛ばしてやるッ!」

 

未来「私も……!」

 

それにまだ入ってないのもあってクリスと未来は廃病院に当たらない様に移動した後にギアやアームドギアを変形させる。

 

未来「今度こそ……ッ!!」

 

流星

 

クリス「ブッ飛びやがれッ!!」

 

MEGA DETH PARTY

 

同時に放たれた極太の光線とミサイルがノイズ達へと向かって行き…

 

ドカーーーーン!!!

 

着弾により起こりし爆風に飲み込まれる。

 

治まるとノイズの姿がなかった。

 

響「やったね!二人ともすごーい!」

 

翼「む?これは…」

 

それに響が喜んだ後、翼はノイズがいた地点に何かが落ちているのに気づいて近づき、それを拾う。

 

あったのは…ダイヤであった。

 

翼「だ、ダイヤモンドだと…ッ!?」

 

響「ええッ!?」

 

驚いて叫んだ翼のに3人も近寄ってマジマジと翼の手にあるのを見る。

 

クリス「ウソだろッ!?本物のダイヤだぜこれ!?」

 

未来「あ、皆こっちにもあるよッ!?」

 

響「こっちにもッ!」

 

ミューチェ「ま、まさかこのダイヤ、さっきのノイズ!?」

 

ダイヤを見てクリスは見た事あるのか断言して驚き、未来が他にもダイヤを見つけ、響も同じように見つける中でミューチェは思わず驚いて言う。

 

弦十郎『炭化せずダイヤモンドを残すノイズか…このノイズたちをダイヤノイズと呼称しよう。未来君。すまないが拾える分のダイヤを回収してくれないだろうか?クリスくんが本物と言ってるが一応こちらでも分析して調べたい』

 

未来「わ、分かりました」

 

クリス「にしてもノイズがダイヤになるとはな…」

 

ミューチェ「そう言えばダイヤって元々炭素で出来ているから炭化する時少し仕組みを変えればダイヤモンドにする位…って言う位じゃあ簡単そうに見えるけどそう言う風に弄れる技術がないと無理よね…」

 

弦十郎の指示に未来は了承して拾える分を拾うのを見ながらクリスが呟く隣でミューチェはうーんと唸る。

 

響「こんな特殊なノイズが居るなんて……」

 

翼「やはり此処には誰かがいるのは間違いないみたいだな…気を付けて進もう」

 

そう注意する翼に響とクリスは頷いた後、未来が回収し終えてから中に入った。

 

響「なんだか少し怖いね…」

 

クリス「あ、ああ、そう……だな」

 

未来「(クリス、ホントにホラー系が苦手なんだね)」

 

両手で抱き締めて言う響に少し怯えながらクリスが同意するのを見て未来は大丈夫かな…と心配する。

 

翼「む、あれは……!」

 

未来「ノイズとそれに紛れてダイヤノイズ……!」

 

その直後に通常のノイズに加えてダイヤノイズが現れる。

 

さっきと違い、建物内なので爆風などのは使えない。

 

クリス「クソッ!屋内じゃさっきのように倒せねぇ…」

 

響「なら私と翼さんがダイヤノイズを、クリスちゃんと未来はノイズを相手にするのはどうかな?」

 

呻くクリスに響が提案する。

 

翼「ふむ、その方が良いな」

 

未来「良い考えだね響」

 

それに3人も同意してそれぞれのノイズの相手をする。

 

翼「はっ!」

 

響「たぁああ!!」

 

攻撃を仕掛ける2人だがさっきの様にガキィンとされる。

 

流石にどうしようかと思っていると弦十郎から連絡が入る。

 

弦十郎『2人とも!藤尭が調べた結果、ダイヤノイズが宝石と同じならば石の割れやすい場所である石目を狙ってみたらどうだとの事だ!』

 

ミューチェ「なるほど、それなら…」

 

響「せ、石目って何処にあるんですか?」

 

翼「立花!音を使って確かめることは出来ないのか?」

 

戸惑う響に翼がそう聞く。

 

響「や、やってみます…!」

 

言われて神経を集中させて音を当てて探る。

 

響「………見つけた!あの首部分に当たる所が他と違います!」

 

翼「分かった!はあ!!」

 

指示された場所を翼は振るうと先ほどと違ってあっさりと両断され、ダイヤとなる。

 

そのまま残りのダイヤノイズも両断していく。

 

クリス「おりゃりゃりゃ!」

 

未来「はぁああッ!!」

 

その後にクリスと未来も倒し終える。

 

響「ふぅ、なんとか倒せましたね」

 

翼「ああ、だが、先程のノイズたちの動きで分かった。奴らは制御されている」

 

息を吐く響に翼は真剣な顔で言う。

 

未来「それじゃあやっぱり……!」

 

クリス「ソロモンの杖が使われているのかッ!」

 

行き着いたのにクリスは顔を歪めて手を握り締める。

 

響「クリスちゃん……」

 

翼「……とにかく知る為にも進むしかない」

 

誰もが頷いた後にさらに進む。

 

出て来るノイズを倒して行く中で異変は起こる。

 

先程と違って通常攻撃だけでノイズを倒し難くなっているのだ。

 

クリス「何で……こんなに手間取るんだッ!?」

 

翼「ギアの出力が落ちている……ッ!!」

 

倒せなくなっているのに呻くクリスの後に翼も顔を歪めてダイヤノイズの攻撃を避ける。

 

響「未来、大丈夫?」

 

未来「はぁ……はぁ……うん、なんとか」

 

同じ様に肩を上下させながら聞く響に未来も疲れた様子で返す。

 

ミューチェ「(一体どうしたのかしら皆……)」

 

どうしたのだと思った後に……ミューチェは気づく。

 

うっすらとうっすらとだが空気と共に何かが舞っているのが見える。

 

弦十郎『皆!なぜか分からないがギアの適合係数が落ちている!このままでは危険だ!』

 

ミューチェ「(もしかしてこの舞っている奴のせいで…!?)」

 

そこに弦十郎の通信が入り、それを聞いたミューチェは先程のが原因かと考える。

 

未来「適合係数が…!」

 

響「だからこんなにも辛いんだ…!」

 

いつもより疲れるのもそれが原因と理解した直後、響は直感的に未来を抱き抱えてその場を離れる。

 

すると響がいた場所を何かが攻撃する。

 

それは前足が大きい四足歩行で目が見当たらない巨大な生物であった。

 

翼「まだいたのかッ!」

 

クリス「ったくしつけぇなッ!」

 

自分達を見る巨大生物に4人は構える。

 

その後に巨大生物は大きい前足を振り下ろす。

 

翼「こいつも新種のノイズか…ッ!?」

 

響「はぁッ!!」

 

誰もが避けた後に響が先手必勝と殴りかかる。

 

巨大生物「!!」

 

響「ってあれ!?炭化しない!?」

 

勢いよく殴り付けたのに粉砕されないのに響は驚いた後に弾き飛ばされる。

 

慌てて未来とクリスが受け止める。

 

翼「大丈夫か立花!?」

 

クリス「どういう事だよ……アームドギアで攻撃したんだぞッ!?」

 

未来「もしかして……ノイズじゃないの?」

 

驚く翼とクリスの後に未来が呟く。

 

その直後…

 

???「こらこらネフェリム。大人しくゲージに戻るんじゃよ」

 

突如巨大生物の後ろから女性の声がした後に巨大生物は響達に背を向けるとそこにあったケージに素直に入る。

 

翼「怪物が自分からゲージに……!?」

 

未来「あ、あそこに誰か居ます!」

 

誰もが身構える中で足音を立てて現れたのは…響達にとって知らないがミセスSであった。

 

ミセスS「こんな夜分遅くご苦労様じゃのう」

 

響「ど、どうも…」

 

未来「あ、あなたは……?」

 

挨拶してどうすると響の頭を軽くこづくクリスの隣で未来は問う。

 

ミセスS「わしか?わしの名はミセスS。科学者じゃよ」

 

科学者と言う事に翼はまさかと問う。

 

翼「あのダイヤノイズを作ったのは貴様なのか…!?」

 

ミセスS「うむ。わしじゃよ。資金源にするために作ったのじゃ」

 

響「し、資金源?」

 

肯定したミセスSの言葉に響は目をパチクリさせる。

 

クリス「ってかテメェなんでソレを……ソロモンの杖を持っているんだよッ!」

 

その後にクリスがミセスSが手に持っているのを指す。

 

確かにそれはソロモンの杖で響も驚く。

 

ミセスS「ん?ああ。これは貰ったんじゃよ」

 

未来「も、貰った?」

 

貰ったと言う言葉に誰もが愕然とする。

 

それも響はまさか…となる。

 

響「ウェル博士に…?」

 

ミセスS「うむ、正解じゃよ」

 

肯定した事に響以外はやはりとなる。

 

ミセスS「仕組みは簡単じゃ。あの時既にウェル博士はソロモンの杖をコートの内側に隠し持っていたんじゃよ」

 

翼「ソロモンの杖を奪うため、自分で制御し、自分に襲わせる芝居を打ったのか」

 

説明するミセスSに翼は顔を歪める。

 

ミセスS「その通りじゃ。じゃが彼はどうやらこれ以上この杖を使いたくないようなのでわしに渡したのじゃよ。アイドル仲間であるお主に嘘を付いてしまった罪悪感もあると言ってな」

 

その言葉に響は博士…と呟く。

 

クリス「あの博士、ホント良い奴なんだな…」

 

ミセスS「ホントにのう…(原作と変わり過ぎじゃろ…)」

 

疑っていたのもあってクリスは複雑な顔で漏らし、それにミセスSは同意してるが内心は頭を抱えていた。

 

その頭を抱えるのが彼女がこの事件に関わる切っ掛けなのだから…

 

とにかく気を取り直してミセスSはソロモンの杖を使い、ノイズを召喚し、咄嗟にクリスはミサイルを放つ。

 

クリス「――ッ!!」

 

ミセスS「いいのかのう?そんなに派手な技を使って」

 

その言葉と共にクリスは体中に激痛が迸る。

 

クリス「ぐ、ギアが……うわあぁぁッ!」

 

未来「クリス!」

 

崩れるクリスを未来は慌てて支える。

 

クリス「くそッ……なんでこっちがズタボロなんだよッ!」

 

顔を歪め呻くクリスを見て響はさっきの弦十郎の言葉を思い出す。

 

響「適合係数の低下で、ギアのバックファイアが……ッ!」

 

翼「(この状況で出力の大きな技を使えば、最悪の場合、身に纏ったシンフォギアに殺されかねない……)」

 

それを見通してのかと翼はミセスSを睨む。

 

ホントならば拘束したいが…彼女から得体のしれない気配を感じて近づけないのだ。

 

未来「! 響、あれッ!」

 

その後に未来が何かに気づき、3人とも未来の指す方を見る。

 

先程のネフェリムと呼ばれていた生物が入ったケージを気球の様なノイズが運んでいた。

 

響「あれはッ!?……空飛ぶノイズがさっきのゲージをッ!」

 

クリス「あん中には化物が入ってるんじゃねぇのかッ!くッ、海の方へ向かってやがる……ッ!」

 

ミセスS「さて、身軽になった事じゃし、もう少しデータを取ろうかのう」

 

驚く2人にミセスSはそう言ってソロモンの杖を構える。

 

翼「……立花ッ!その女の確保と、雪音を頼むッ!小日向は立花の援護をッ!」

 

響「はいッ!」

 

未来「分かりました!」

 

すぐさま指示を出す翼に響と未来は頷く。

 

翼「私はあのノイズを追うッ!(天羽々斬の機動性なら――)」

 

そのまま駆け出して行くが途中で道がないのに気づく。

 

弦十郎『そのまま、飛べッ!翼ッ!!』

 

翼「飛ぶ……ッ!?」

 

緒川『海に向かって飛んでくださいッ!どんな時でもあなたは――ッ!』

 

奏『お前なら飛べる!行け翼!!』

 

弦十郎からの通信に驚く翼に緒川と奏が叫ぶ。

 

翼「(……よしッ!)はッ!」

 

その言葉に押され、翼は飛び上がる。

 

そのまま距離が縮まるが…

 

翼「(僅かに、届かな―――……ッ!)」

 

ノイズに僅かに届かず、ここまでか…と顔を歪めた時…

 

弦十郎『仮説本部、急浮上!!』

 

その言葉と共に二課の仮説本部である潜水艦が海から飛び出す。

 

翼「(これで―――ッ!)」

 

響「やったッ!翼さんッ!」

 

クリス「あとはそのゲージを回収すりゃ――」

 

潜水艦を足場に再びジャンプして迫り、ノイズを両断した翼に行けると誰もが喜んだ時…

 

ミセスS「さて、それはどうかのう」

 

未来「え?」

 

ミセスSの言葉に未来は戸惑った直後…

 

???「はッ!」

 

翼「!?がはっ!?」

 

着地しようとした翼を現れた人物が潜水艦へと叩き落とす。

 

響「――翼さんッ!」

 

クリス「あいつは……ッ!」

 

それに響は叫び、クリスは翼を叩き落とした人物を見る。

 

叩き落としたのは…マリアであった。

 

ミセスS「タイミングばっちりじゃよ。()()()()

 

出て来た言葉に誰もが目を見開く。

 

ついに響達の前に現れたミセスS。

 

そして彼女の言葉の真意は…




響「次回!『謎の発言と翼の変化!』!って翼さん!?」


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第三十話~謎の発言と翼の変化!~

突如ミセスSの言った事に戸惑う響達、そしてこの日から歌姫は恋に溺れる。



ミセスSの口から出て来た言葉に驚く響達

 

だが、すぐさま響が我に返って呟く

 

響「え?フィーネ…了子さん死んでませんよ?」

 

マリア&ウェル「「え?」」

 

まさかの言葉にマリアと見ていたウェルは呆気に取られる。

 

そう、それはありえないのだ。

 

だからこそ翼とクリスも驚いて言う。

 

翼「バカな…あり得ぬ…!フィーネは…まだ眠っているのだぞ…!?」

 

クリス「そうだ!ありえねえよ!だって、あたしらの知るフィーネはまだ…生きてるんだ!」

 

マリア「……は?」

 

出て来た言葉にマリアは唖然とする。

 

だがすぐさま我に返って馬鹿な!と叫ぶ。

 

マリア「フィーネはあの時の戦いで死んだのではなかったの!?」

 

翼「違う!深い眠りに付いてて意識不明だがまだ死んではいない!」

 

叫び返された事にマリアは戸惑ってミセスSへと叫ぶ。

 

マリア「どういう事よミセスS!」

 

ミセスS「分からん!わしも初めて聞いたのじゃ!(ホントは知っとるけどね)」

 

その問いに対してミセスSは内心そう思いながらマリアへと返す。

 

バカなとマリアは信じられない顔を伏せる。

 

マリア「(ど、どういう事よ!?フィーネが死んでないって…これじゃあ私が新たなフィーネと言った意味がないじゃない!?)」

 

翼「(なぜマリアはフィーネを名乗らねばならないのだ?そうしないと成せない事があるのか?)」

 

戸惑いを隠せないマリアを見ながら翼は考える中でふと、同級生に言われた事を思い出すと自分を偽るマリア…いや、フィーネに対して苛立ちが出はじめる。

 

翼「(何故、自分を偽ろうとする。私は歌姫であったお前に凄いと思ってるんだぞ。なのになぜフィーネであろうとする。なぜフィーネの方へと意識を向けるんだ)」

 

同級生に言われてた事でマリアを意識していただけに段々と自身の中に湧き上がるのを抑えられずに翼はマリアに駆け出す。

 

それにマリアは慌てて迎撃に出て槍と剣がぶつかり合う。

 

ガキン!

 

翼「何故だ。何故フィーネの名を騙ろうとするのだマリア!」

 

マリア「騙ってなどない!私はフィーネの魂の器!私はそうでなければならないのよ!」

 

強く叫ぶ翼にマリアはそう返しながらお互いに距離を取る。

 

一方で響達はミセスSと対峙しながら先ほどのマリアの言葉に対して問い詰める。

 

クリス「おい、どういう事だよ。魂の器ってのは…!」

 

ミセスS「文字通りじゃよ。死んだとしても別の自らの遺伝子を持つ子孫がアウフヴァッヘン波形に触れる事で代々のフィーネの記憶を引き継いだ人格が現れ、そして元あった人格を塗り潰すのじゃ」

 

響「そ、そんな…」

 

その言葉に3人は愕然とする。

 

ミューチェ「(そう言えばフィーネもそう言っていたわね…でマリアもその一人ってことなのね)」

 

未来「あ、でもそれって了子さん…今のフィーネが死なない限り新しいフィーネは生まれないって事ですか?」

 

ミセスS「うむ。フィーネは一時代に一人しかおらぬからのう。彼女がいなくならない限りなりえないと言う事じゃ」

 

思い出すミューチェの後に未来の問いにミセスSは肯定する。

 

そんな彼女の後半の言い方にクリスは引っかかった。

 

クリス「おい待て。あんた、今のフィーネの事を知ってるのか?さっきの言い方じゃあ出会ってるって感じたぜ?」

 

ミセスS「ん?」

 

クリスの指摘にあ……と響と未来も先ほどのミセスSの言葉に声を漏らす。

 

確かに先ほどの言葉は知り合っていなければ知りえない事だ。

 

ミセスS「そりゃまああの事件の時会っていたからのう」

 

その言葉にやっぱりかよとクリスは思った後に問う。

 

クリス「んじゃまさか、フィーネが起きねえのはあんたの仕業か?」

 

ミセスS「さて、どうじゃろうなぁ…」

 

はぐらかすミセスSにクリスは答えろよ!と銃を突きつけようと構えようとして…飛んで来た鎌や丸ノコを避ける。

 

切歌「Sちゃん!助けに来たデスよ!」

 

調「この場から逃げよう」

 

むふんと気合を入れて言う切歌と未来を見て震えながら言う調に頷きながらミセスSは響達へと顔を向け…

 

ミセスS「じゃ今日はこの辺で失礼するのじゃ」

 

ボフン!

 

その言葉の後に地面に何かを投げつけると煙が溢れ出す。

 

クリス「うおっ!?」

 

響「煙幕!?」

 

それに3人はせき込んだ後に響がパンチを放ってそのインパクトで煙を掃うと3人の姿はなく、どこに行ったと探しているとジェット機な音が耳に入って見るとジェットパックの様なのを背負ったミセスSと抱き着いた切歌と調が目に入り、飛んで行く先を見ると突然飛行艇が現れ、開いた所から翼と戦っていたマリアが入り込むと同時に飛び去って行く。

 

クリス「逃がすかよっ!撃ち落としてやるっ!」

 

未来「クリスっ!?」

 

響「ってあれ!?翼さんいないよ!?」

 

そう言って構えたクリスと慌てた未来は響の言葉にえ?となって見ると確かに翼がいないのに気づき、どこに…と見渡し…

 

翼「逃がすと思っているのか…!」

 

空高く飛び上がり、巨大になったアームドギアを飛行艇に振り下ろそうとしていた。

 

響「ちょっ、翼さん!?」

 

未来「それは流石にやりすぎですよ!?」

 

クリス「死ぬ死ぬ!!?確保だから止めろよ!!」

 

それに3人は慌てて叫ぶが翼は止まらずアームドギアは振り下ろされ…

 

ガシッ!!

 

飛び出したミセスSが片手で受け止める。

 

もう片方の手にはマリアが掴まれていた。

 

翼「なっ…!」

 

まさか自分の剣を受け止められた事に翼は驚く。

 

響達もただの人と思っていただけに止められた事に驚いていた。

 

ミセスS「やれやれ、いきなり危ないじゃろうが」

 

なんで自分掴まれてるの?と戸惑うマリアを掴みながらミセスSは呆れる様に呟いた後にちょいと失礼とマリアをそのまま翼に向けて突き出し……2人の唇が重なった。

 

マリア&翼「!?」

 

ミューチェ「(ちょ!?キスさせた!?)」

 

未来「ええええ!?」

 

いきなりの展開に誰もが驚く中でミセスSは思わずアームドギアを手放した翼を掴んで響達の方へと投げつけ、そのまま顔が真っ赤で口を押さえたマリアを連れて戻る。

 

ドゴーン!

 

響き渡る音に我に返った響達は翼さん!と慌てて翼が落ちた場所へと向かう。

 

そこでは地面に倒れた翼がおり、3人は駆け寄る。

 

翼自身は目を開けた状態で大の字で横たわっていた。

 

響「翼さん、大丈夫ですかッ!?」

 

翼「ああ…………」

 

声をかけた響にそう返した後に体を起こした翼は口を撫でた後にマリア達が乗った飛空艇の飛んで行った方を見る。

 

その後にふふふふと笑いだす。

 

クリス「お、おい…?」

 

未来「つ、翼さん…?」

 

突然狂った様に笑い出した翼に3人が引く中で翼はゆらりと立ち上がった後に落ちていたアームドギアを掴んで飛空艇が飛び去った方へと付き出し…笑みを浮かばせて叫ぶ。

 

翼「決めたぞ。絶対に…絶対にフィーネだと言う己から歌姫であるお前に戻し…そして、奪ってくれた私の心と共にお前を得る!

 

響「つ、翼さん…!」

 

未来「目が獲物を狙う狼の様に!」

 

クリス「(やっと自覚したんだな…全く、困った先輩だぜ)」

 

戸惑う2人の隣でクリスはあの時からの翼の様子からうすうす感じていたので肩を竦める。

 

捕縛は失敗したが彼女達がステルス機能を持つ飛空艇を持っている事、ミセスSの存在が分かったのが行幸だろうと弦十郎の諫めの言葉を聞いてからそれぞれ帰宅した。

 

なお、翼はこの日を境に映像のから取り出したマリアの写真を前に黒い笑みを浮かべながら薄気味悪い笑い声を漏らして素振りをすると言うのをし始め、その様子にこええよと後輩に言われ、これヤンデレになったか?と相方に言われるのであった。

 

 

 

 

ファナ「翼さんがヤンデレにっすか…;」

 

響&未来「なんかなっちゃった様で;」

 

帰りを待っていたファナは一部始終を聞いて冷や汗を流す。

 

ちなみにミューチェが未来も同じよね…と思いながら言わないでおいた。

 

ファナ「それは大変なことになったっすね;特にマリアさんが」

 

未来「うん、しかもキスをしてるものね…」

 

うわーとなるファナに未来も困った感じに呟く。

 

ファナ「(そこまでやったんっすかー;)」

 

響「それにしてもミセスSって言う人凄いよね…」

 

またもうわおーとなっていたファナは響の口から出た名前に首を傾げる。

 

ファナ「ミセスS?誰っすかそれは?」

 

未来「マリアさん達の協力者である女性の人で、普通じゃなかったね」

 

聞いたファナに答えた未来のにだよねと響も頷いて続ける。

 

響「ファナちゃんなら何か知っているのかなって思っていたんだけどその様子じゃ知らないんだね」

 

ファナ「は、はいっす!と言うか原作…私の知る歴史でそんな人、出てきてないっすよ!?」

 

手を振るファナにそっかーと2人は納得する。

 

ファナ「(一体何者っすかそのミセスSってのは…まさか私と同じ転生者っすか?)」

 

響「後、翼さんの大きくした剣を素手で受け止めていたね」

 

あれには驚いたよねーと言う響のにファナはうえ!?となる。

 

ファナ「翼さんの攻撃を素手で!?」

 

未来「ホント、驚いたよね…」

 

響「しかも片手でだよね。マリアさんも片手で余裕そうに持ち上げてたし…」

 

片手!?とまたも驚く中でファナはうむむと唸る。

 

ミューチェ「(まあ彼女ならそれぐらい普通に出来るわね…)」

 

一方でミューチェは会った際の異様な気配から片手で普通に出来そうだと思っていた。

 

ファナ「(これは義母さんたちに言った方が良いっすかね…)」

 

それを聞いて知ってるかどうかを聞く事にして別の話題にする事にした。

 

ファナ「と、ところで身体の方は大丈夫っすか?」

 

響「体の?」

 

未来「特に問題はないけど…」

 

そう聞いたファナのに2人は顔を見合わせる。

 

ファナ「(どうやらまだ大丈夫なようっすね…良かったっす)」

 

本当に…とファナは自身の知る記憶のから安堵する。

 

ならば今する事は後日ある学校の祭りを楽しむ為の事をするだけだ。

 

ファナ「そう言えばもうすぐっすね、学祭。響さん達のクラスは何するんっすか?」

 

響「私達のは…何だったけ未来?」

 

未来「もう…響ったら…」

 

ワイワイ話し合う2人にファナはくすくす笑う。

 

しばらくしてお休みとあいさつした後にファナはベッドに寝転がってふうと息を吐いた後に自分の神獣鏡のギアを見る。

 

ファナ「ホント、どうするっすかね…」

 

ミセスSと言う自分が知らない存在がいる事でファナは自分に何か出来ないかを考えていた。

 

最近は見守り続けるのが良いと思っていたので条件が揃えば戦う術を持っているだけにじれったくなる。

 

ファナ「…とりあえず義母さんたちに報告するっすか」

 

夜で遅いが早めにしといた方が良いかなと思い、電話をかける。

 

何回かコール音がした後に繋がり、玉藻の声が聞こえだす。

 

玉藻『もしもし、アインツベルンですが?』

 

ファナ「あ、玉藻さんっすか。実は母さんたちに報告したいことがあって…」

 

出て来た玉藻にファナは報告するとあちゃあ…な声の後に少しお待ちを…と言ってエルを呼ぶ声がした後に少ししてエルが変わって出る。

 

エル『もしもし、変わったわよファナちゃん。報告したいことってなに?』

 

ファナ「実は転生者かもしれない人を見つけたんっす。ミセスSって言う人なんっすが…」

 

そう言った瞬間、エルははぁーーーーーーーと長い溜息を吐いたのが聞こえた後にあいつかーとめんどくさそうに呟いたのが聞こえた後に返事が来る。

 

エル『大丈夫よ。彼女は転生者ではないわ』

 

ファナ「え、違うんっすか!?」

 

驚くファナにええと答えてからエルは続ける。

 

エル『詳しくは言えないけど彼女は転生者ではないことは確かよ。答えられるのは長く生きてる女ね』

 

ファナ「そうなんっすか…」

 

詳しく言えないと言うのにファナは少し物足りないがありがとうっすとお礼を述べる。

 

エル『それでファナちゃん、学校生活の方は大丈夫?』

 

ファナ「はいっす!近々始まる文化祭も楽しく満喫するっす!」

 

確認するエルにファナは嬉しそうに言う。

 

エル『あら良いわね文化祭。私たちも行けたら行こうかしら』

 

ファナ「あ、それなら楽しみにしてるっす!」

 

そう言ったエルにファナはそう言った後に時間を確認してそろそろ寝た方が良いかなと考える。

 

ファナ「それじゃあ義母さん。自分そろそろ寝るのでここいらで切るっすね」

 

エル『あら、もうそんな時間なのね。おやすみなさいファナ』

 

おやすみなさいっす!と返した後に通話を終えてファナはシャワーを浴びてから寝ようと寝間着を持って向かう。

 

 

 

 

一方で通話を終えたエルははぁー…と再びため息を吐いてソファーに横たわる。

 

玉藻「どうかしたんですかエルさん?」

 

エル「面倒なことになったわ…」

 

面倒と言うのに先ほどのミセスSのだと察して玉藻もああ…とエル同様めんどくさそうな顔になる。

 

エル「まさか彼女が介入してくるとは思ってもいなかったわ…」

 

玉藻「それにしてもなんで介入したんでしょうかね?」

 

愚問よ…とエルは玉藻の疑問に対してどこからともなくウェルの顔写真を取り出して翳す。

 

エル「この世界のウェル博士が善人すぎてしまったからでしょうね」

 

玉藻「…は?」

 

出て来た言葉に呆気に取られる玉藻へエルは続ける。

 

エル「実はね。ミセスSがやっていることはほとんどが原作でウェル博士がやっていることなのよ。ソロモンの杖強奪とかは博士じゃないと無理だから彼に持ち出せる様にしてね…と言うかこの世界のウェル博士ってとある平行世界でアイドルのマネージャーをやりたい性格のに近いし、普通に善人だから諸々首を突っ込まないといけなくなった訳」

 

玉藻「え?つまりその博士さんが善人過ぎて悪だくみが出来なさそうだから急遽悪役を買って出たと?」

 

そういう事と唖然とする玉藻にエルは頷いてから仰向けからうつ伏せになって頬杖を付く。

 

エル「あとは神獣鏡が未来ちゃんの手に既にあるのも理由の一つかしらね」

 

玉藻「あー…そう言えば…今の時期だと重要な1つなんですよね;」

 

これはまた…と呟く玉藻にそこもなのよねー…とエルは心底疲れた顔をする。

 

玉藻「まさか誰も思いませんよねー夜空に浮かんでる月が落ちて来るなんて……」

 

エル「そうね……ミセスSなら月を戻すなんて1人だけで簡単に戻しそうだけど…あの性格だからな…」

 

見える月を見て呟く玉藻にエルは頷いてから困った様に頭を抱える。

 

エル「絶対なるべく原作の方の歴史にしつつ、面倒な方へと変えていくんでしょうね……」

 

玉藻「ですよねー…」

 

はぁ…とため息を吐く。

 

2人が不安がる中、文化祭の始まりは近い…




奏「次回、『始まりの文化祭』……いやぁ、ホント、翼ぇ……」


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第三十一話~始まりの文化祭~

文化祭、スタート!果たして皆々どう過ごすのか…


前回から時間が経ち、響は未来とファナと共に学園祭を回っていた。

 

未来「皆、盛り上がっているね」

 

響「ホントだね!」

 

ファナ「さっきのクラスは凄く凝ってたっす。次はどこに行くっす?」

 

ワイワイ話しててファナのに響はんーと唸る。

 

響「次はこの屋台とかどうかな?なんか美味しそうだよ!」

 

未来「あ、あのたこ焼の屋台ね。表面がカリっとして、凄く美味しいって聞いたよ」

 

そう言って指さした響のに未来がそう返す。

 

響「そうなんだ!なら食べに行こ!」

 

ファナ「はいっす!」

 

早速向かう事にした3人はたこ焼の屋台へと歩を進める。

 

未来「それじゃあ飲み物も欲しいよね。確か搾りたてのフルーツジュースがあるけど……たこ焼に合わないかな?」

 

響「搾りたてのフルーツジュース…!」

 

ファナ「それも美味しそうっすね!」

 

ミューチェ「(流石にフルーツジュースとたこ焼は別々の方が良いと思うわよ;)」

 

おおと目を輝かせる2人にミューチェは内心ツッコミを入れる。

 

響「どの屋台の料理も美味しそうだね!」

 

未来「確かにこれは悩んじゃうけど早めに決めとかないと板場さん達のステージを見そびれちゃうよ」

 

他にも並んでいた屋台を見て呟く響に未来はそう言う。

 

ファナ「おお、そうだったっす!」

 

言われて思い出した2人はうーんうーんと唸り…

 

響「それじゃあ速攻で食べて速攻でステージを見に行こうッ!」

 

ファナ「はいっす!」

 

わーと駆け出す2人に未来はもうと困った様に笑った後に少し不安そうになる。

 

歩いてる最中ファナはしきりに響を心配そうに見ていたのだ。

 

聞いても誤魔化されるのでもしかしたら彼女の知識関連で響に何か悪い事が起きるのではないかと未来は不安であった。

 

未来「(何も起きなきゃいいんだけど…)」

 

選んでいる2人を見ながら未来はそう願った。

 

 

一方…

 

切歌「ん~!美味しいデース!」

 

ミセスS「おー、これはなかなかいけるのう」

 

切歌とミセスSはジャガバターを食べていた。

 

そんな2人を伊達メガネをかけた調はジト目で見ていた。

 

調「二人とも。私たちが此処に何しに来たのか分かってる?」

 

切歌「も、もちろん分かっているデスよ!」

 

ミセスS「では、切ちゃん、今回は何しに来たか説明してみよう」

 

そう振られて切歌は頑張るデスとふんすと気合を入れて調に言う。

 

切歌「二課の装者たちからシンフォギアのペンダントを奪いに来たデス!」

 

調「うん、その通り」

 

胸を張って言う切歌にえらいえらいと調は褒める。

 

ミセスS「じゃから肝心の装者たちをこうやって探しておるんじゃよな」

 

切歌「そうデス!食べてますけど調べてるんデスよ」

 

ほんわかな2人に調は大丈夫かな……と不安になるのであった。

 

調「それにしても二課の装者たちは何処に居るんだろう…」

 

切歌「デース。学園祭があるからここにはいると思うんですが…広すぎデス;」

 

ううーんと唸っているとミセスSが歩いている翼に気づく。

 

ミセスS「む?あれは翼ちゃんではないか?」

 

切歌「おお、これは嬉しい発見デス!」

 

ならば早速追跡を開始する。

 

ちなみにミセスSはいってらっしゃーいと少し離れてみている。

 

調「(何処に行くんだろう…)」

 

切歌「(何か持ってるみたいデスけど、何デスかね?)」

 

そろりそろりと接近してみようとして…ピタっと止まるのに2人は慌てて隠れるのと同じタイミングで翼は振り向く。

 

翼「誰だ?そこに隠れているのは」

 

声をかけるが返事がないので気のせいかと考える。

 

その後に手に持っていたもの、マリアの写真をうっとりと見る。

 

翼「ああまた早く会いたいものだな……お前を私の傍に置いときたいぞ、マリア」

 

黒い笑みを浮かべてくすくす笑いながら翼は歩く。

 

少し離れたのを確認して、顔を出した2人はガタガタ震えながら青ざめた顔で見合わせる。

 

切歌「お、恐ろしい相手に目を付けられたんデスねマリア…」

 

調「あれがヤンデレって奴なのかな…?」

 

と言うかあれで盗れる?と目で聞く調に切歌は顔をブンブン横に振る。

 

あんな触らず神に祟りなしを体現してる翼に仕掛けようもんならマリアはどこだと鬼気迫る顔で迫って来るに違いないからだ。

 

そんな事を思われてるのを知らず、翼はマリアの写真を見ているのに夢中になり過ぎて……

 

ドン!

 

前から走って来たクリスに気づかずにぶつかる。

 

クリス「うおっ!?」

 

翼「ぬあ……!?」

 

それによりクリスは尻もちを付き、翼は後ずさるがそこは防人、踏ん張って尻もちを付かない様に耐える。

 

翼「む?雪音じゃないか。もしかしてまた逃げていたのか?」

 

クリス「そうなんだよ!さっきから連中の包囲網が少しずつ狭められて……」

 

問いに返し言おうとしてクリスはハッとなって周りを見る。

 

翼「観念して参加してみたらどうだ?」

 

クリス「いや、そう言われてもな……」

 

なぜ嫌がると呆れ顔で問う翼にクリスは渋っていると足音が聞こえて来る。

 

クリス「ゲッ?!もうきやがった!?」

 

それにクリスは逃げようとする前に彼女の同級生である綾野小路、五代由貴、鏑木乙女が来て、クリスに迫る。

 

小路「見つけた雪音さん!!」

 

由貴「お願い!登壇まで時間がないの!」

 

必死な3人の様子にふざけなどと言うのはないので翼は乙女に話しかける。

 

翼「登壇と言うと雪音は何かにエントリーしているのか?」

 

乙女「いえ、実はステージ予定してた子が急に都合が付かなくなったから、雪音さんに代わりに唄ってほしくって…」

 

理由を聞いて成程……と翼は納得した後に渋る理由がなんとなくわかった。

 

翼「(雪音にとって歌は立花以外の人に聞かせるのはまだ恥ずかしいと聞いたからな……)」

 

クリス「だからって、なんであたしがッ!あたしは歌なんて―――」

 

小路「だって雪音さん、音楽の授業の時、凄く楽しそうに唄ってたからッ!」

 

断ろうとするクリスのを遮った小路のにクリスは呻く。

 

由貴「だから、代役は雪音さんしかなくって…お願い!」

 

頭を下げてまでお願いする3人にクリスは困った様に唸る。

 

その様子を見て恥ずかしさ克服と考えて翼も3人に味方しようと決める。

 

翼「雪音は歌が嫌いなのか?」

 

クリス「――あ、あたしは歌なんて……その…………嫌いじゃない、けど」

 

恥かしそうに答えるクリスにならばと翼はさらに続ける。

 

翼「……出てやったらどうだ?」

 

クリス「……くそッ」

 

めんどくさそうだが分かったよと了承するクリスに3人は喜ぶ。

 

翼「では早く行かないと間に合わなくなってしまうぞ」

 

小路「はい!」

 

一緒に歩きながらまだ不満げなクリスに翼は耳元で言う。

 

翼「(もし立花がいればきっと聞きたいと言ってその後に褒めまくってくれるぞ)」

 

クリス「(よし、全力で唄ってやるぜ!)」

 

ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!とやる気の炎を出すクリスに翼はうんうん頷きながら続く。

 

ミセスS「燃えているのう……」

 

切歌「あ、Sちゃん!」

 

調「むぐむぐ、何やら唄いに行くみたいだけど……行く?」

 

ほへーと切歌と合流しながら呟くミセスSの後に調が何時の間にか買っていたたこ焼を食べながら聞く。

 

切歌「そうデスね。行って隙を見つけてペンダントGETするデス!」

 

ふんすと気合を入れる切歌だが調が食べているのに今更気づく。

 

さっき自分とミセスSが食べたのはもうないから……

 

切歌「調、何時の間に買ったんデスか!?」

 

調「さっき、はい切ちゃん、あーん」

 

驚く切歌に調はたこ焼を差し出す。

 

それに切歌は早速あーんと頬張る。

 

切歌「ん~!美味しいデース!」

 

ミセスS「切ちゃんや、早くせんと見失うぞい」

 

モグモグする切歌にミセスSはそう言う。

 

切歌「おお、そうだったデス!」

 

調「行こう切ちゃん」

 

すぐさま3人は後を追う。

 

 

一方、響達はステージの観客席におり、先ほどまで出ていたが惜しくも負けた弓美達の事について話していた。

 

ちなみに弓達はコスプレをしてアニソンを歌っていた。

 

未来「さっきのは色々な意味で驚いたね…」

 

響「そうだね。良い感じだったのにね」

 

そうワイワイ話しているとファナが言う。

 

ファナ「あ、次はクリスさんみたいっすよ!」

 

未来「クリスが…!?」

 

改めてステージを見るとクリスが立っており、響に気づいたのか笑って返す。

 

頑張れと応援する由貴達に頷いた後にクリスはマイクを手に持つ。

 

クリス「(――最初は学校なんてまっぴらだと思ってた。制服を着るのも面倒で、苦痛で、何であたしが――って。学院なんてどいつもこいつも平和ボケしてて、そんなところにあたしみたいなのが馴染めるわけ無いって――あたしの居場所じゃないって、そんな風に思ってたのに……)」

 

心の中で思い返すは響がいるから仕方なくと言う感じで了承した時……

 

登校初日、自分が馴染めるわけがないと決めつけていた。

 

響達と話していれば良いとも思っていた。

 

クリス「(でも、実際に通い始めたら、本当に、凄く楽しくて……いろんなやつがあたしを気にかけてくれて……少しずつ、ここにいたいと思い始めて――制服に袖を通すのが当たり前に思える頃には、この場所も周りのやつらも、全部大事に思うようになってた)」

 

話しかけて来たクラスメイト達、教室の場所や今やっている授業の内容を教えてくれた優しさ

 

楽しくないと思っていた事が楽しくなっていき、自分の世界がさらに広がった。

 

クリス「(……こうやっていろんなやつの前でステージに立って唄うのは、少し恥ずかしいけど――響に聞いて欲しいのもあるが、あたしが唄う事が、少しでもこの場所やあいつらへの恩返しになるなら、もっと、唄いたい。聞いてほしい……この学院で過ごす時間が大切だって、一番楽しいんだって、精一杯の気持ちを込めて唄うから――)」

 

(BGM:教室モノクローム)

 

そしてクリスは唄う。

 

自分を受け入れてくれた人達への感謝の思いを込めた歌を歌う。

 

響「綺麗な歌だね…!」

 

未来「うん。それにクリス、楽しく歌ってる」

 

それに響や未来は感嘆し、ミューチェは近くに浮かんでいたクリスの両親たちも嬉しそうに泣いていた。

 

ミューチェ「(良い歌、唄えているわねクリス…)」

 

ファナ「(クリスさんの歌声、最高っす!)」

 

それに誰もが聞きほれ、クリスが唄い終わった後には大喝采が起こる。

 

拍手していた響達の隣に翼が来る。

 

翼「立花たちも雪音の歌を聞いていたのか」

 

響「はいッ!クリスちゃんの歌、凄く良かったですね!」

 

ああと翼は頷く。

 

その後に新たにクリスがチャンピオン認定され、司会が次なる挑戦者がいるか呼びかけ、さらに飛び入りも大歓迎と付け加えた時…

 

切歌「はいデス!」

 

調「…チャンピオンに挑戦…!」

 

名乗り上げたのが切歌と調だったのに響達は驚く。

 

学園祭にて響達の前に出る切歌と調

 

彼女達の思惑は…




切歌「次回!『乱入の歌』デース!調との歌を聴かせてやるデス!」


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第三十二話~乱入の歌~

クリスの前にシンフォギアを狙って現れた切歌と調、そんな彼女達が行動を起こしている頃、マリア達の方で


前回、クリスが歌い終えた後に名乗り上げて現れた切歌と調。

 

まさかの2人組に響と未来は驚く。

 

未来「響、あの二人って…!」

 

響「うん。マリアさんと一緒にいた!」

 

翼さん!と振り返って、顔を青ざめる。

 

そこにいたのは…SAKIMORIであった。

 

翼「ふ、ふふ…いるのだな。あの2人がいると言う事はマリアが…!」

 

ファナ「つ、翼さん、落ち着いてくださいっす!」

 

響「そそそ、そうですよ!落ち着きましょう!」

 

黒い笑みを浮かべる翼に3人は慌てて止めに入る。

 

司会「ここで飛び入り挑戦者の登場です!!ささ、こちらに!」

 

そんな事を知らずに司会の呼びかけに調と切歌はステージに上がる。

 

クリス「テメェら、なんで此処に…!」

 

身構えるクリスにべぇ~と舌を出して挑発する切歌に調が小声で話しかける。

 

調「切ちゃん、私たちの目的は?」

 

切歌「聖遺物の欠片から作られたペンダントを奪い取る事…デェス」

 

確認する調に切歌はそう返す。

 

調「だったらこんなやり方しなくても…」

 

切歌「やるなら面白くやる…Sちゃんがアタシに教えてくれたことデス。それに聞けばこのステージを勝ち抜けると望みを一つ叶えてくれるとか。このチャンス、逃すわけには…」

 

難色を示す調に切歌は観客席にいるミセスSを見てふんすとやる気を出す。

 

それに調は少しぷくーとなる。

 

クリス「面白れぇ!やりあうってんならこちとら準備はできている!」

 

それに対してクリスもまた受けて立つと返す。

 

調「特別に付き合ってあげる。でも忘れないでこれは――」

 

切歌「分かってるデス。首尾よく果たしてみせるデス!」

 

司会「さあ、お二人が優勝した暁に望む物は何ですか!!」

 

ふんす!と気合を入れる切歌や調へ司会は聞く。

 

切歌「それは歌い終わった後にこの元チャンピオンから直接頂くことにしますデスッ!」

 

直接と言う言葉に未来と翼はもしやと顔を見合わせる。

 

未来「クリスのギアペンダントを狙っている…?」

 

翼「ああ…どうやら戦える者を減らす為だろうな…」

 

厳しい顔で呟いた翼のに響はクリスを心配そうに見る。

 

クリス「はッ、もしあたしに勝てたなら何だってくれてやらぁッ!」

 

ミューチェ「(いや軽々しく受けちゃ駄目でしょクリス!?)」

 

それに上等と返すクリスにミューチェがツッコミを入れるが会場は盛り上がっている。

 

司会「おおっと!これは盛り上がる展開です!それでは唄っていただきましょう!えーと…」

 

言おうとして名前をまだ聞いていなかったので司会は名前を聞く。

 

調「月読調」

 

切歌「暁切歌デェス!」

 

自信満々に名乗り上げる2人にOK!と司会は元気よく言う。

 

司会「2人が歌うのはORBITAL BEAT!!勿論誰もが知ってるツヴァイウイングのナンバーだ!!」

 

その言葉と共に誰もが盛り上がり、曲が流れる。

 

響「この曲って…」

 

未来「翼さんと奏さんの曲…!」

 

ファナ「自身があるからこその選曲っすね」

 

驚く中で2人は歌い始める。

 

 

 

 

一方、マリア達の方では…

 

ウェル「大変です!こちらに向かって来る者達がいます!」

 

マリア「なんですって!?もう此処を嗅ぎ付けられたの!?」

 

慌てた様子で報告するウェルのにマリアは驚いた後に迎撃しようと飛び出そうとする。

 

ウェル「待ってください!相手がどれ位いるか分からない以上、あなた1人だけでは危険です!」

 

マリア「それでも今戦えるのは私しか居ないッ!マムを危険な目に遭わすわけにはいかない!」

 

呼び止めるウェルにマリアは怒鳴る。

 

ウェル「冷静になってください!今後の計画の為に、調くんや切歌くんもですが、あなたも無事ではなければいけないんです!それに、彼女ならこの状況になった時のを用意してる筈です!」

 

マリア「…!」

 

その言葉にマリアはグッと呻くがすぐさま気づく。

 

近くに子供達がいるのだ。

 

どうやら興味本位で来た様だ。

 

マリア「なんで子供がこんなところに!?」

 

そんなマリアのを聞いてすぐさまウェルは他の所を見ると黒服の男たちが映る。

 

ウェル「あのいで立ち…米軍ですね…」

 

マリア「本国の奴ら…どうやって此処を!」

 

くっと顔を歪めた後に気づく。

 

彼らの近くには子供がいる。

 

マリア「なんとかしないと…!?」

 

ウェル「!ありました!これを使えば!」

 

呻くマリアの後に操作していたウェルが叫ぶ。

 

その直後にダイヤノイズが現れて米軍へと襲い掛かる。

 

驚く米軍達へと張り付くと…米軍をダイヤに変えてしまう。

 

マリア「ダイヤ化……!?」

 

慌ててウェルは画面を見ると自動防衛システム発動と書かれていた。

 

マム「これは…ミセスSが念のために用意していたものですね」

 

ウェル「これで…!?いけません!」

 

安堵しかけた直後、ウェルはダイヤノイズが子供達へと迫っているのに気づく。

 

マリア「ドクター!早くシステムの停止を!」

 

ウェル「待ってください!!」

 

停止を呼びかけるマリアにウェルも必死で探す。

 

その間、ダイヤノイズは子供達へと迫って行く。

 

マリア「…!このままでは子供達が…!早く止めないと!」

 

分かってますと返してウェルは起動停止のを見つける。

 

早く止めねばと押し…

 

ーパスワードを入力してくださいー

 

そう音声が鳴り響く。

 

マリア「パスワード…!?」

 

ウェル「侵入した敵に止められない様にでしょうががこんな時に!」

 

その間に刻々とダイヤノイズと子供の距離が縮まって行く。

 

必死にマリアはパスワードを考える。

 

マリア「…!もしかして!」

 

すぐさまマリアはウェルを押しのけて考えたパスワードを入力する。

 

マリア「S・C・I・E・N・C・E!」

 

入力し終えるとダイヤノイズは四散し、続け様に消火剤が振り撒かれる。

 

ウェル「消火システム…」

 

マム「…なるほど。そう言う事ですか」

 

出たのにウェルが呟く隣でマムはミセスSの考えを察する。

 

マム「とにかく、知られてる以上ここにいるのは得策ではありません。3人を呼び戻します」

 

マリア「分かったわマム」

 

頷いた後にマリアは映像を見る。

 

そこには少年たちが慌てて逃げる姿があった。

 

マリア「…良かった…」

 

ホッと安堵しながら発進するのを待った。

 

 

 

 

一方、調と切歌は唄い終えてる所であった。

 

司会「チャンピオンとてうかうかしてられない、素晴らしい歌声でした!これは得点が気になる所です!」

 

クリス「2人がかりとはやってくれる!」

 

ファナ「(やっぱり良い歌声だったっすねー。んでこの後は…)」

 

それにクリスは呻き、ファナは賞賛した後…

 

ピーピー!

 

切歌「(え、通信――?)」

 

入って来た音にすいませんと断って2人は舞台裏に移動してから通信に出る。

 

ナスターシャ『アジトが特定されました。襲撃者は退ける事が出来ましたが、場所を知られた以上、長居は出来ません。私達も移動しますので、ミセスSへ送ったポイントで落ち合いましょう』

 

切歌「そんなッ!あと少しでペンダントが手に入るかもしれないのデスよッ!?」

 

だからもう少し時間を!と頼む切歌だが…

 

ナスターシャ『緊急事態です。命令に従いなさい』

 

切歌「……ッ!」

 

有無を言わせない言葉に切歌は悔しそうに顔を顰める。

 

司会「さあ、採点結果が出た模様ですッ!」

 

結果は…と司会が言おうとして…

 

調「すいません。急用で抜けさせて貰います」

 

そう言って切歌と調は会場を飛び出す。

 

司会「え、ちょっと!?」

 

クリス「お、おい!ケツをまくんのか!!」

 

挑発しておいてその場を去る2人にクリスは叫ぶがミセスSと合流した2人はそのまま走る。

 

切歌「調!」

 

調「マリアが居るから大丈夫だと思う。でも、心配だから…!」

 

ミセスS「安心しなさい。自動防衛のが働いておるだろうし大丈夫じゃろ(あ、そう言えば解除する為のパスワード教えとくの忘れ取った…ま、大丈夫じゃろ)」

 

そう話しながら走る3人に翼がすぐさま走り出す。

 

翼「追うぞ立花、小日向」

 

未来「はい」

 

響「分かりました!」

 

声をかけられて2人も慌てて続き、クリスも戸惑う司会を置いて追いかける。

 

クリス「あいつら、どっちに行った!?」

 

響「えっと…」

 

見渡すクリスに響は集中して音で探し…見つける。

 

響「あっちから三人の声が聞こえる!」

 

クリス「あっちだな!」

 

その言葉に誰もが駆ける。

 

 

 

 

切歌「調、こっちデス!」

 

調「ちゃんとわかってる切ちゃん?」

 

森の中を先頭で走りながら呼びかける切歌に調は聞く。

 

切歌「森を突っ切って出れば、あいつらに出会わずに……」

 

調「……ダメだったみたい」

 

ほえ?と調のに振り返る。

 

クリス「おい待てよッ!」

 

響「切歌ちゃんと、調ちゃん……だよね?」

 

そこには追い付いた響達の姿があり、あー音で調べたかとミセスSは察する。

 

切歌「う……」

 

調「こうなったら――ッ!」

 

翼「来るか」

 

身構える2人に4人もギアを纏おうとし…

 

ミセスS「おおっと、ちょっと待つのじゃ」

 

いきなりミセスSが待ったをかけて、思わず6人はつんのめる。

 

切歌「なんで止めるんデスかSちゃん!」

 

クリス「ここは戦う感じだろ!」

 

思わず文句を言う2人のをスルーしながらミセスSは切歌と調へ言う。

 

ミセスS「忘れているのか二人とも。今ワシらは急いでいる。ならこやつらと戦うよりもここは退却するのを優先じゃ」

 

調「それは分かってる…」

 

切歌「でもどうやってこいつらが邪魔して……」

 

不安そうに聞く2人にミセスSは自信満々に笑う。

 

ミセスS「なぁに簡単じゃ。相手にどいてもらえば良いんじゃよ」

 

そう言ってどこからともなく取り出したソロモンの杖をチラ見せする。

 

どこから取り出したかツッコミたいが彼女の行動にクリスは顔を顰める。

 

クリス「こいつ…!」

 

未来「こんな所でノイズが出現したら…」

 

まあ待てと4人に前置きしてからミセスSは言う。

 

ミセスS「だから此処は見逃して後日別の場所で戦うのはどうかのう」

 

まさかの約束に響と未来は戸惑い、クリスは警戒する様に目を細める中で翼が問う。

 

翼「ようするに決闘と言うことか?」

 

ミセスS「まあそうじゃのう。場所はそうじゃな…カ・ティンギルがある場所でどうじゃ」

 

カ・ティンギルのある場所…つまり旧リディアンと聞いて響は驚く。

 

響「あそこで決闘…ですか!?」

 

ミセスS「フィーネと戦った場所で決闘。面白そうじゃろ?」

 

面白いと言う言葉に顔を顰めるクリスだが、勝てば良いと指さす。

 

クリス「良いぜ。その決闘受けてやる!」

 

切歌「負けないのデス!」

 

ふんす!と鼻息を荒くする切歌にうむと頷いた後にミセスSは球を取り出す。

 

ミセスS「では日時は後で知らせるのでこれにて失礼するのじゃ!」

 

ボフン!!

 

そう言い残して地面に球を叩きつけると全体が煙に包まれ、ケホケホとせき込んでる間に煙が無くなると3人の姿がなかった。

 

翼「煙幕とは…」

 

響「行っちゃったね」

 

口元を抑えながら呟く翼の隣で響は呟く。

 

その隣ではクリスは不完全燃焼でくそぉ…と地面を八つ当たり気味に蹴る。

 

そんな中で未来は気づく。

 

未来「あの…日時は後で知らせると言いますけど…どうやって知らせるんですか?」

 

そう言われて3人はあ…となる。

 

クリス「そうだった…どうやって知らせるつもりなんだあいつら!?」

 

翼「確かに、詳しく聞くべきだったか…」

 

呻く翼に響も困った顔をする。

 

未来「取りあえず本部に戻って司令さんに相談してみる?」

 

その方が良いかなと未来のに響は首を傾げる。

 

翼「ん?どうした立花」

 

クリス「なんか気になるのか?」

 

そんな響の様子に2人は話しかける。

 

響「えっとね。どうしてマリアさん達があんな事をしたのか気になって…」

 

そう言われてみれば……と改めて言われて誰もがあっとなる。

 

クリス「今まで全然考えたことなかったな…」

 

未来「マリアさん達、何がしたいんだろう…」

 

誰もが悩みながらリディアンへと戻る。

 

 

 

 

切歌「Sちゃん、つい流してしまったデスけどマムに無断で決闘なんかして大丈夫なんデスか!?」

 

ミセスS「ん~、まあ大丈夫じゃろ。あっちの戦力を減らせるなら彼女も了承してくれるじゃろう」

 

ランデブーポイントに向かいながら聞く切歌にミセスSは軽く返す。

 

調「そう言えばコンテストの結果どうだったんだろう…」

 

思い出して呟く調に切歌も残念そうに頷く。

 

切歌「優勝してたらペンダントGETできたのに…惜しいことをしたデス!」

 

ミセスS「まあまあ、相手は音楽家の娘。結果に関してはどっちにころんでもおかしくなかったからこっちとしても助かったと思うぞ」

 

負けてたら逆に連れていかれてた可能性もあるからのうと呟くミセスSに確かにと切歌は今更ながら気づく。

 

切歌「もしそうなってたらマムとマリアに怒られてたデス…!」

 

調「いや、それ以前の問題だと思う…」

 

顔を青ざめる切歌に調は呟く。

 

ミセスS「(それにしても解析したあの二人の浸食…ちょっと厄介なことになっているみたいじゃのう)」

 

そんな2人のに苦笑しながらミセスSは去り際に分析した結果に内心穏やかではなかった。

 

ミセスS「(もしこのまま侵食が進めば……()()()()()()()()()()()()()()()())」

 

まーた面倒事が増えたとミセスSは愚痴るのであった。




切歌「次回!『決闘?カティンギル跡地での戦い』に続くデース!」


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第三十三話~決闘?カティンギル跡地での戦い~

決闘を告げられた響達、その日、響と未来に異変が……



前回からしばらく日数が経ち、指令所でクリスは指をトントンしていた。

 

クリス「連絡、来ねぇな…」

 

響「そうだね……」

 

ぼやくクリスに響も不安そうに呟く。

 

未来「響、お茶持ってきたよ」

 

そこに未来がお盆にお茶を乗せて持って来て、ありがとうと響は受け取る。

 

未来「それにしてもホントにどうやってこっちに連絡するんだろう…」

 

クリス「だよな……こっちの連絡先を相手知ってねえもんな……」

 

何気なく未来が呟いた事にクリスも同意する中でアラームが鳴り響き、翼が来る。

 

弦十郎「何事だ!?」

 

藤尭「が、外部からのハッキングです!なんて速さなんだよ!?」

 

響「は、ハッキング!?」

 

クリス「おい、まさか…!?」

 

告げられた事に誰もが驚く中でメインモニターの映像が乱れた後……

 

???『ワシじゃよ新一』

 

ふくよかな老人が出て来る。

 

クリス「誰だよ!?」

 

全然知らない人物が映ったので真っ先にツッコミを入れるクリスに老人はほっほっほと笑った後にミセスSに変わる。

 

ミセスS『クリスちゃん、ナイスツッコミじゃな』

 

翼「ミセスS!まさか本部のシステムをハッキングするとは…!」

 

褒めるミセスSを睨む翼の隣で無駄なのやらしてんじゃねえよとクリスは呆れる。

 

響「それで決闘の日時が決まったんですかッ!?」

 

ミセスS『うむ、日時は明日の夜8時に。場所はあの時言った通りカ・ディンギルのある場所じゃ』

 

聞く響にミセスSは日時を告げる。

 

翼「明日か。相手が相手だ。気を引き締めるぞ3人とも」

 

そう言う翼に3人は頷く。

 

翼「と言う訳で私は(マリアの写真を見ながら)素振りして精神を統一して来る」

 

クリス「んじゃあたしは射撃訓練でもするか」

 

未来「私達はどうする?」

 

そう言って出て行く翼とクリスを見送ってから聞く未来に響はんーと考え……

 

響「能力の練習でもする?」

 

ミューチェ「確かに、それで良いかもね」

 

提案する響のにミューチェも同意する。

 

決まったのでんじゃあ行こうかと歩き出す。

 

響「(明日の決闘に備えて頑張らないと!)」

 

未来「(何事もなければ良いんだけど……)」

 

各々に思いながら時間が経つ。

 

 

 

 

 

 

カティンギル址地

 

翼「そろそろ時間か…」

 

クリス「やっこさんはどこから来るんだ?」

 

シンフォギアを纏い、それぞれ辺りを見渡す。

 

未来「………見当たらないね」

 

響「もしかして遅刻かな?」

 

お前じゃねえんだからちげぇだろと呟いた響のにクリスは呆れてツッコミを入れる。

 

響「酷いよクリスちゃん……」

 

ミセスS「待っておったぞ四人共」

 

それに響が落ち込んだ直後、ミセスSの声が響いた後に目の前にミセスSとウェルが現れる。

 

ミセスSと共に現れたウェルにクリスは睨み……

 

ウェル「すいませんでした!!!!!」

 

頭を勢いよく下げて謝罪された事に呆気に取られる。

 

ウェル「作戦とはいえ、貴方方を騙した事、すいませんでした!!」

 

響「え、ええっと…」

 

まさか邂逅直後に謝罪されるなど思いもしなかったので響達は戸惑う。

 

ウェル「そして彼女達が来れない事に関してもすいません!!」

 

未来「え?どういう事ですか?」

 

出て来た言葉に何かあったのかと思うとミセスSが苦笑する。

 

ミセスS「実はあの後上司に怒られてしまってのう。独断で決闘を決めた罰として謹慎処分、ワシは彼と一緒に迎え撃てと言われて来たんじゃよ」

 

ウェル「そう言う事です」

 

クリス「それで二人しかいなかったって訳か」

 

翼「ならば、貴様らが私達の相手か」

 

理由を聞いて納得するクリスの隣で翼が剣を向けながら問う。

 

ミセスS「うむ、まあわし達と言うか…わしが作ったロボットじゃな」

 

響「へ?」

 

未来「ロボット…?」

 

どんなの?と誰もが首を傾げる中でミセスSはニッと笑い……

 

ミセスS「カモン!FISロボ!」

 

指をパチンと鳴らすと空からゴゴゴゴゴ!と言う音と共に何かが地面に降り立つ。

 

それは巨大なロボであった。

 

クリス「で、デケェ!?」

 

響「これが2人の代わりの相手ですか!?」

 

驚く響達にミセスSはふふんと自慢げに胸を張る。

 

ミセスS「これぞカ・ディンギルの残骸を使って作ったFISロボじゃ!」

 

凄いじゃろうと笑うミセスSに翼は警戒しながら指示を出す。

 

翼「三人共、どんな攻撃か来るか分からない。気をつけて対処を…」

 

するんだと言い切る前に翼へとFISロボが襲い掛かる。

 

翼「くっ!」

 

すぐさま避けた後にFISロボは手から光弾を放つ。

 

クリス「このやろ!」

 

ズガガガガガッ!

 

それにクリスはお返しとばかりにアームドギアをガトリングガンに変えて銃弾を浴びせる。

 

ガキガキガキィン!

 

だが、銃弾は全て弾かれてしまった事に目を見開く。

 

クリス「き、効いてねぇ!?」

 

ミセスS「FISロボはその程度の攻撃、平気なのじゃよ」

 

マジかよ!?と声を漏らすクリスは飛んで来た光弾に慌てて避ける。

 

響「たああッ!」

 

ならばと響が格闘戦を仕掛ける。

 

結果は……

 

響「! ヒビが入った…!」

 

ピシピシと言う音と共にヒビが入った事にこれならと響が思った直後に目を見開く。

 

先程入れたヒビが逆再生されるかの様に消えて、いや戻って行くのだ。

 

響「な、なにこれ!?」

 

ミセスS「わしお手製の再生機能じゃ。驚いてると危ないぞ?」

 

未来「響!上!」

 

上と言う声に慌てて響は飛び退る。

 

ドシーン!!

 

翼「はあッ!」

 

蒼ノ一閃

 

響を攻撃しようと打ち降ろされたロボットの拳に翼はお返しとばかりに斬撃を放つ。

 

放たれた斬撃に対して拳は受け止めるが抑えきれずに両断……されたがすぐさま修復される。

 

翼「なっ…!?」

 

ミセスS「くくく、そやつは簡単には斬れんぞい」

 

驚愕する翼にミセスSは愉快そうに笑う。

 

クリス「厄介すぎるだろこのロボット!」

 

未来「一体どうすれば…!」

 

攻撃しながら呻くクリスと未来に翼も考える。

 

ミセスS「次はこれじゃ。ミサイル、発射!」

 

その言葉と共に背中からミサイルが複数放たれる。

 

響「ミサイル!?」

 

未来「はあっ!」

 

それに対して未来が音のバリアを張ってミサイルの着弾を防ぐ。

 

それを見て響も我流ビートパンチを叩き込もうと駆け出す。

 

ミセスS「おっと、それを待っておった」

 

ミセスSのセリフにえ?と響が思った瞬間、響が叩き込もうとした箇所が開き、勢いに乗っていたので響はそのまま中に入ってしまい、出る前に閉じてしまう。

 

未来「響!?」

 

クリス「おい!?響の奴、ロボットの中に閉じ込められちまったぞ!?」

 

3人が驚く中でミセスSはくくくと笑う。

 

ミセスS「響ちゃんの戦いかたからこうすれば簡単に引っかかると思ったが成功したのう」

 

ウェル「ホント、あなたの作るロボットはどういう構造してるんですかねぇ;」

 

愉快に笑うミセスSにウェルは冷や汗を描く。

 

翼「立花を助けるぞ!」

 

未来「はいッ!」

 

ミセスS「くくっ、簡単に助けられるか…」

 

な……と慌てる3人にミセスSは言おうとして……

 

ズドォオオオン!!

 

突如ロボットの腰後ろ部分が大爆発を起こす。

 

響「とりゃあああああああああ!」

 

何事!?とミセスSが驚いていると爆発した所から響が飛び出して来る。

 

ウェル「ま、まさか内側から突き破って!?」

 

ミセスS「なんと、予想以上のパワーを出せるとは…!?」

 

それに2人は驚きの声をあげる。

 

響「ふぅ、何とかなって良かった!」

 

クリス「良かった…じゃねえだろこのバカ!」

 

ドガっ!

 

響「あいた!?」

 

息を吐いて笑う響の頭を近寄ったクリスがはたく

 

ミセスS「(まさかあれ程のパワーを出すとは…もしや聖遺物と始祖の力が影響し合ってあのパワーを…)」

 

はたかれた頭を摩る響を見てミセスSは先ほどのを思い出しながら拍手する。

 

ミセスS「いやはや、わしのロボットを破壊するとは流石じゃのう。じゃがまだ終わっておらぬぞ」

 

翼「! 立花、後ろだ!」

 

響「へ?」

 

その言葉に響は振り返ると下半身がなくても腕を使って向かって来るロボットが目に入る。

 

ミューチェ「しぶといロボットね」

 

響「あ、下半身の方も動いているよ!?」

 

それにミューチェは顔を顰めていると響が同じ様に動いている下半身に気づく。

 

翼「上下に別れても動くとは…」

 

クリス「チッ、厄介過ぎだろ」

 

踏みつけ攻撃をして来る下半身のを避けながら攻撃を仕掛けるが攻撃した直後にまた修復してしまう。

 

ミセスS「無駄じゃよ。木っ端微塵にでもしない限りそれは何度でも再生するぞ」

 

木っ端微塵にという事にそこまでやらなきゃ倒せねえのかよ!?とクリスは叫ぶ。

 

響「…あ、そうだ!」

 

すると響が妙案が思いついたとばかりに声をあげる。

 

響「翼さん!頭を壊したらもしかしたらいけるんじゃないですか?」

 

翼「頭を?だが壊すと言ってもまた再生されるぞ?」

 

出てきた提案に翼は戸惑いながら返す。

 

響「でも再生機能を操作しているコンピューターを壊したらもしかするんじゃないですか?」

 

弦十郎『一理あるな、確かに響くんの言う通り、頭の方に再生を司るコンピューターが想定し、そのコンピューターを壊せば再生機能が失われるか逆に崩壊させる事が出来るかもしれん。皆、下半身は無視してロボットの上半身にある頭を狙うんだ!』

 

それに弦十郎も賛成して指示する。

 

クリス「ならまずは動きを止めるために両腕をハデに壊さないとな!」

 

未来「言った響が決めてね」

 

OK!と返された後にそれぞれ狙いを定める。

 

クリス「全弾食らいやがれ!」

 

未来「ええい!」

 

両腕を未来とクリスが閃光や銃弾で両腕による防御を阻む。

 

翼「行くぞ立花!」

 

響「はいッ!」

 

その間に翼と響が接近する。

 

ミセスS「む、これはもしや…!」

 

いかんと思ったが響はすでにロボの頭の上におり……

 

響「はぁあああッ!!」

 

ドガガガガガガガガガガガッ!!

 

連続で殴りまくる。

 

殴りまくられる事に火花や爆発が起こりだす。

 

ミセスS「ま、マズい…!」

 

それにミセスSは本当に焦り、止めようと動こうとしてクリスの銃弾に阻まれる

 

響「たああッ!」

 

バキンッ!

 

最後の一撃で頭が吹き飛び、それにより上半身と下半身は火花を散らしながらめちゃくちゃに動き回った後に衝突し……

 

ドカァァァァァァン!!

 

爆発四散する。

 

ミセスS「まさかFISロボが負けるとは…」

 

未来「こちらの勝ちですね」

 

呟いたミセスSに未来がそう言い、翼も剣を突き付ける。

 

翼「おとなしく投降してもらおうか」

 

ミセスS「さてそちらの勝ちかどうかはまだわからぬぞ?」

 

その言葉に翼はすぐさま飛び退る。

 

直後、翼がいた所にネフェリムが攻撃を仕掛ける。

 

クリス「こいつってあん時の!」

 

響「けど、あの時と違って鎧を付けてない?」

 

呻くクリスは響に言われて気づく。

 

あの時と違って体全体を覆う様な鎧を身に纏っていた。

 

ミセスS「これぞわし特製の変形鎧を装備したネフェリム、その名もアーマードネフェリムなのじゃ!」

 

驚いている響達へとミセスSは高らかに言う。

 

 

 

 

マリア「何やっているのよミセスSは!?」

 

一方でウェルに付けていたカメラで見ていたマリアはアーマードネフェリムに対して叫ぶ。

 

隣では切歌は目を輝かせて調は何とも言えない顔をしていた。

 

切歌「アーマードネフェリム、カッコいいデス!」

 

調「いや切ちゃん。あれ、一応私達の嫌な記憶の奴でもあるからね」

 

純粋にミセスSの技術とセンスに喜んでる切歌に調はそうツッコミを入れるのであった。

 

 

 

 

ミセスS「さあ行け!アーマードネフェリム!その力を見せるのじゃ!」

 

Aネフェリム「■■■■■!!」

 

翼「来るぞッ!」

 

咆哮と共に向かって来るAネフェリムの攻撃を4人は散開して避ける。

 

クリス「食らいやがれ!」

 

未来「ええい!」

 

閃光!

 

先程ロボットにやった様に同時に攻撃するがアーマーによって防がれてしまう。

 

ミセスS「装者捕獲ワイヤー発射じゃ!」

 

命令にAネフェリムは背中からワイヤーを飛ばす。

 

響「クリスちゃん!」

 

クリス「このっ!」

 

迫るワイヤーを撃ち落とそうとするがワイヤーの表面に火花を散らしただけでそのままクリスに向かって行く。

 

ミセスS「まずは一人じゃな」

 

避けようとするクリスだがワイヤーにからめとられてしまう。

 

クリス「ぐっ……ほどけねぇ……!」

 

ミセスS「さて次は誰かのう」

 

拘束されたクリスから3人を見ると翼が飛び出す。

 

翼「雪音!今助けるぞ!」

 

助ける為にも翼はAネフェリムを攻撃にすると同時にクリスを助け出そうとアームドギアを大剣に変える。

 

翼「はあッ!」

 

天の逆鱗

 

クリスを救うと共にAネフェリムを貫くと言う魂胆にミセスSは成程のう……と呟いた後……

 

ミセスS「ではネフェリム、喰らえ」

 

その言葉と共にAネフェリムは顔を前に出し…

 

ガブッ!!

 

アームドギアの先端にかぶりつく。

 

翼「なっ!?アームドギアに」

 

未来「かぶりついた!?」

 

驚いている間もAネフェリムはアームドギアをまるでせんべいを齧る様にバリバリと齧っていく。

 

響「ど、どういうこと!?」

 

ミセスS「そう言えば言っていなかったがこのネフェリムは生きている完全聖遺物なのじゃよ。他の聖遺物を喰らって成長するな」

 

翼「完全聖遺物だとっ…!?」

 

告げられた事に誰もが驚く。

 

まさか生物型の完全聖遺物が存在するなど思いもしなかったのだ。

 

ミューチェ「他の聖遺物を食べて成長する…だからアームドギアを食べたのね。……あれ?そうなるとこっちマズくない?」

 

そんなミューチェの呟きが聞ける響と未来はあっとなる。

 

響を除いて3人ともアームドギアを主体としている。

 

Aネフェリムに近接で挑む事になるのが響だけとなる。

 

このままだとやばいと感じて小さくアームドギアを完全に食べられるのを阻止した翼だがボロボロに近いのに顔を顰める。

 

翼「それでも、やらずには!!」

 

ミセスS「ほぅ、頑張るのう。だがこれを受けたらどうじゃろうなあ」

 

その言葉と共にAネフェリムが両腕の指を翼に向けて構えると鎧の所から何かが飛び出す。

 

それは注射器であった。

 

翼「くっ!」

 

ガキガキガキィン!

 

なんとかアームドギアで防いでいくが1本だけ防ぎきれずに肩に突き刺さる。

 

その後に液体が注入され、翼は注射器を抜いた後に体から力が抜けていく。

 

翼「これ…は…!?」

 

ミセスS「LiNKERという薬を知っているじゃろ?お主の相棒も使っていた適合係数を上げる薬じゃ。この薬はその正反対の性質を持っておって適合係数を下げる薬なんじゃよ」

 

地面に崩れ落ちる翼にそう言ってからAnti_LiNKER(アンチリンカー)と言えばええかのうと締め括る。

 

弦十郎『成程、初めて彼女と対面した時の異常はAnti_LiNKERと言う奴のせいか!』

 

響「翼さん!」

 

未来「このままじゃ…ええい、当たって!」

 

閃光!

 

翼を助けようと未来はAネフェリムへと向けて閃光を放つ。

 

それに翼に目が行っていたAネフェリムの体左側に命中する。

 

Aネフェリム「!!!!!!?」

 

未来「あ、あれ…?」

 

すると悲鳴を上げるAネフェリムに未来は戸惑う。

 

弦十郎『!そうか!奴は生き物みたいだが完全聖遺物!聖遺物を分解する神獣鏡にとっては特攻となる相手!』

 

未来「そ、そっか!」

 

響「なら私がクリスちゃんを助けるついでに隙を作るから未来はそこを狙って!」

 

戸惑っていたが弦十郎のにそう言えばと思い出し、そう言って響がAネフェリムへと駆け出す。

 

ミセスS「おー、頑張るのう。じゃが忘れたのか?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その言葉にえ?となったが時すでに遅し、響は左腕を突き出していて……

 

パックン!!

 

その左腕をAネフェリムは口の中に入ってしまう。

 

響「あ……!?」

 

呆気に取られたが直後に激しい激痛が響に襲い掛かると共に気づく。

 

()()()()()()()()と言うのが……

 

響「あ、あああああああああああああああああ!?」

 

未来「ひ、響ぃぃぃぃ!?」

 

翼「立花ぁあああああ!?」

 

食われた左腕の部分を抑えて絶叫する響に未来は悲鳴をあげ、翼が目を見開く中でミセスSの隣でウェルは口を押さえ、顔を青ざめながらも見ている。

 

ちなみにマリア達が見ているカメラは響が腕を食われる寸前に壊す勢いで止めているのであちら側には突然切れた様になっている。

 

これは切歌や調への配慮であった。

 

ミセスS「迂闊じゃったのう。自分が聖遺物と融合してると言う事は聖遺物と変わんない事を認識せんと」

 

ミューチェ「(そうだった…!私としたことがこんな事を忘れていたなんて……!始祖でもこれは……!)」

 

やばいと思った直後、ミューチェは響の様子がおかしい事に気づく。

 

血が流れ、崩れ落ちた響は悶えていたがそれが突然止まったのだ。

 

誰もがその違和感に気づいた直後、響の胸部分から光が溢れ出す。

 

ミセスS「おやおや、始まってしまったか」

 

それを見て知ってるミセスSは呟いた後、その後ろを見てん?となる。

 

響に異変が起こると共に未来が胸を抑えて苦しみだしたのだ。

 

未来「く、苦しい…」

 

ミューチェ「未来?どうしたのしっかりして!?」

 

崩れ落ちる未来にミューチェが慌てて近寄る中で響が雄叫びの様な咆哮をあげた瞬間、光は黒く染まり、響の全身をむしばんでいく。

 

翼「ま、まさかこれは…暴走!?」

 

クリス「おい、嘘だろ…ッ!?」

 

それに2人は目を見開く中で再び響が咆哮すると共に左腕の部分から黒いのが噴出する。

 

やがてそれは左腕へとなる。

 

翼「ギアのエネルギーを腕の形に固定。まるでアームドギアを形成するかのように……!?」

 

ミューチェ「暴走状態だからこその速い再生速度……けどやばいわね」

 

誰もが驚いている間に響は上空へと向けて咆哮した後にAネフェリムへと向けて突撃する。

 

ミセスS「ネフェリム、防御じゃ!」

 

すぐさま指示された事にAネフェリムは両腕で響のパンチをガードするが……

 

ドドドドドン!!

 

その後に防いだ両腕で響のパンチを受けた右腕に複数の衝撃が襲い掛かって右腕が吹っ飛ぶ。

 

ミセスS「今のは…!」

 

ウェル「な、何が起きたんですか?」

 

目を見開くミセスSの隣でウェルは戸惑う中で響はそのままAネフェリムへと攻撃をし続け、一方的に追い込んで行く。

 

ミセスS「このままでは少しマズいのう…ネフェリム!ワイヤーで奴を固定するのじゃ!」

 

指示にAネフェリムはクリスを捕まえているワイヤー以外を飛ばして響を捕縛にかかる。

 

響「ガァアアアアアアア!!]

 

だが、ワイヤーが巻き付いた瞬間、強引に力で引き千切る。

 

そのまま腕を振るうとまるで切り裂かれたの様にAネフェリムの体に切り傷が出来、ついでにクリスを縛っていたワイヤーを切り裂く。

 

クリス「す、スゲェ…」

 

翼「苦戦していた相手を簡単に……」

 

体を鞭打って落ちて来たクリスを受け止めながら翼はAネフェリムを圧倒する響に戦慄する。

 

ミセスS「(ううむ、やはりこのパワー。原作より強くなっておる…これはまずいのう)」

 

想定していたパワーよりも上なのにミセスSは内心焦る。

 

ミセスS「……しょうがない。わしも参戦する……」

 

かのうと言いかけた所でウェルの襟首をつかんで後ろに飛ぶ。

 

ドゴーン!!

 

次の瞬間、ミセスSとウェルのいた所に上空から何がが落ちる。

 

その後にAネフェリムも上空から落ちて来るのに攻撃される。

 

何が起きてるか瞬時に分析するミセスSは最初に響が上空に向けて咆哮した時のを思い出してから暇潰しに読んでいた漫画で似た様なのを思い出す。

 

ミセスS「(これはもしかしてトリコに出てきたサンダーノイズと同じ原理の技か)」

 

なんともピッタリじゃなとミセスSはぼやく。

 

ゼブラのバトルスタイルはまさに音楽の始祖となった響にとってピッタリな程しっくり来る。

 

彼の戦い方は声や音を使っての以外に腕力も合わせた豪快な物だ。

 

響は我流な戦いに音を使っている。

 

ミセスS「(っと、今はそれどころじゃなかった)」

 

すぐさまAネフェリムの加勢に向かおうとするミセスSだが、暴走した響は野生の勘でだろうかミセスSを近づけさせない様に上空からの攻撃で分断している。

 

一方でクリスと翼は今だ苦しんでいる未来の方へ駆け寄っていた。

 

未来「う、ううう…」

 

クリス「おい、どうなってんだよこれ!?」

 

尋常ではない苦しみように翼もどうなっているんだと思っていると……

 

ドゴーン!!!

 

強い振動に2人は慌ててみるとAネフェリムを響が地面に叩き付けている光景であった。

 

直後に響はAネフェリムの胸へと腕を突きさす。

 

ミセスS「ほう、心臓を見つけたか」

 

ウェル「いやいや、あれヤバいのではないですか!?」

 

感心するミセスSにウェルは慌てた様子で声をかけるが心配せんでええと返し……

 

ミセスS「アーマー分離、拘束変形じゃ!」

 

その言葉と共にネフェリムが付けていたアーマーがパージされ、直後に響にまとわりつく。

 

翼「ネフェリムの鎧が…!?」

 

クリス「あいつに纏わり付きやがった!?」

 

驚く2人にミセスSは笑う。

 

ミセスS「その鎧が変形した拘束具の耐久力は並大抵のものではない。シンフォギアの力でも破壊するのは難しいのじゃ」

 

ふふふと笑って言うミセスSのにマジかよとクリスと翼が驚いた時

 

響「がぁあああああああああああああああ!!」

 

バギィン!!

 

咆哮と共に拘束具を粉砕し、それにはミセスSはうそぉんと素で漏らしてしまう。

 

ウェル「全然拘束具の役目果たしてませんよ!!?」

 

ミセスS「ん~ここまでパワーが上がっているとは想定外じゃのう…」

 

思わず肩を掴んで揺らすウェルに揺すられながらミセスSはあっけらかんに呟く。

 

ぶちっ!

 

再び突き刺した後にネフェリムから何かを引き抜いた後に飛び上がり、右腕のギアを槍へと変化させる。

 

響「アアアアアアアアアア!!」

 

狂装咆哮!!

 

咆哮と共に槍をネフェリムへと突き刺すとネフェリムの体はボコボコと膨れ上がり……

 

ドカァァァァァァァァァン!!!

 

爆発四散する。

 

爆風で吹っ飛ばされない様にしてるウェルとは別にミセスSはやっぱりこうなったかと内心呟く。

 

ミセスS「(まあ心臓は無事じゃから良いとして、響ちゃんのあの状態はやっぱりマズいのう)」

 

この後はどうなるかを確認して……目を見開く。

 

抜き取った心臓を落とすと未来の様に、だが彼女よりも激しく苦しみ悶え始めたのだ。

 

響「ぐがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

のたうち回る響にウェルは思わず駆け寄ろうとして何時の間にかネフェリムの心臓を回収していたミセスSに捕まれて止まる。

 

ウェル「ミセスS!」

 

ミセスS「近づかない方が良い。一つ間違えば即死ぬぞ」

 

で、ですが……と心配するウェルにホントこの世界のは優しいのうと何とも言えない顔をしてると通信機に連絡が来てるに気づく。

 

ミセスS「なんじゃ?」

 

切歌『Sちゃん大変デス!マムが…マムが!』

 

切羽詰まった切歌の声にミセスSはすぐに戻ると言い、ウェルを抱えてその場を去る。

 

そんなミセスS達を追わず、クリスと翼は響に駆け寄る。

 

クリス「おい、しっかりしろ!」

 

翼「大丈夫か立花!?」

 

声をかけながら響の両腕をそれぞれ抱き抱える。

 

それでも響は狂った様に拘束を解こうと暴れる。

 

翼「よせ立花!もういいんだ!」

 

クリス「お前、黒いの似合わないんだよッ!」

 

抑え込もうとするが力強さに抑えきれないと思った所で……

 

響「あああああああああああ!?」

 

咆哮と共に響から光が迸る。

 

それと共に衝撃が襲い掛かるが2人は吹き飛ばされない様に踏ん張る。

 

そして光と衝撃が収まった後にはギアも消えて元に戻った響が目に入る。

 

翼「立花ァ!」

 

気を失っている響に声をかけた後に左腕があるのに気づく。

 

始祖は体を再生させる事は出来るとは聞いたが早すぎると翼は思った。

 

クリスは未来の方を見ると響の暴走が収まったからか同じ様に元の服に戻って意識を失っていた。

 

近寄って大丈夫なのにふうと安堵の息を吐いてる所で響を抱き抱えた翼が来る。

 

翼「雪音、小日向の方は大丈夫か?」

 

クリス「ああ、こっちも落ち着いてる。だけどなんで苦しんでたんだ?」

 

出て来た言葉にこっちが聞きたいと翼は口に出さずに思っていると……2人の前に2人の女性がいきなり現れる。

 

変わった格好の女性とそんな女性の腰にしがみ付いてるメイド服の女性はミューチェにとって見慣れた人物、ANとシオニーであった。

 

ミューチェ「AN!シオニーも!」

 

AN「すみません、ミューチェさん!響さんと未来さんにとんでもない問題が発見されました!このままだと……今の二人が消滅します!」

 

突然現れた人物に驚いていた翼とクリスだったがANの口から出た衝撃の言葉に聞いていた弦十郎達も驚愕する。

 

弦十郎『翼!クリス君!聞きたい事はあるが、先ずは響くんと未来くんを連れて戻ってくれ!詳しい話はその時にだ!』

 

翼「わ、分かりましたおじ様!」

 

AN「(ここまで進行してるとは……)」

 

くっと顔を歪めながらANは手伝いますと未来を抱き抱えて響を抱えた翼とクリスと共に向かう。

 

2人に起きた異変、そしてANの言う消滅するとは一体……




AN「次回、『迫る危機』」


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第三十四話~迫る危機~

検査で判明した事実。そして…


前回から少しして、二課の本部である潜水艦にて、響と未来、シオニーを除いた全員がいた。

 

弦十郎「特異災害対策機動部二課の責任者の風鳴弦十郎だ。2人を運ぶのを手伝ってくださり感謝する」

 

AN「いえいえ。こちらこそ突然すみませんね」

 

挨拶と礼を述べる弦十郎にANはそう返す。

 

弦十郎「それで本題の前にあなたの名前を伺っても宜しいだろうか?」

 

AN「良いですよ。私はAN。ロボットの始祖です」

 

クリス「ロボットぉ!?」

 

告げられた事に誰もが驚く。

 

見た目は人間と変わらないから驚くのは当然である。

 

翼「ロボットには全然見えないが…」

 

AN「んじゃあこれなら分かります?」

 

ホントだろうかと疑っている翼へとそう返した後にANの右腕が大砲の様なのに変形する。

 

奏「変形した…!?」

 

クリス「マジでロボなのかよ!?」

 

驚く面々のに少し笑ってから真剣な顔になる。

 

AN「それで話を戻しますがまずはこちらを見てください」

 

その言葉と共に近くのコンピューターにUSBメモリを差し込むとモニターに何かの全身図のが映し出される。

 

弦十郎「これは……まさか響君と未来君の体のスキャン図か?だがこれは……」

 

映し出されたのに弦十郎は呟いた後に赤く映し出されているのに見覚えがあるのと見比べて厳しい顔をする。

 

AN「酷い侵食でしょ?これ、聖遺物なんですよ」

 

厳しい顔をしている弦十郎にANは彼の思っている事を肯定する。

 

告げられた事に翼達は驚く。

 

クリス「嘘だろ…ッ?!」

 

奏「これが……響と未来の体の中に出来ているのかよ…」

 

映し出された心臓部から伝って広がっている聖遺物の浸食のに迂闊でしたとANは手を握り締める。

 

AN「しかも浸食すればするほど力も上がり、これが始祖の力とも影響し合っているんですよ」

 

弦十郎「それもあって身に纏うシンフォギアとしてエネルギー化と再構成を繰り返して行った結果、体内の浸食深度が進んだという事か……」

 

さらにこれだ……と弦十郎が取り出したのは円形の容器で、その中に綿の上に黄色い鉱石が付いた黒い物体であった。

 

弦十郎「先ほどのメディカルチェックの際に採取された響くんの体組織の一部だ……おそらく未来君も……」

 

ミューチェ「酷いことになってるわね…でもそれだと消滅はしないんじゃ?」

 

AN「それがそうでもないんですよ。始祖の力と聖遺物の力が影響し合い、それが魂にまでも影響し始めているんです」

 

代表で手に取った翼の手にある物を見ながら聞くミューチェにANは答えつつ、ミューチェのに答えましたとボードに彼女が質問したのを出しながら補足する。

 

翼「魂にだと……!?」

 

AN「はい。このままだと二人の魂が変質し、人格が変わってしまう…そうしたら今の立花響と小日向未来は消滅すると同じ事になるんです」

 

人格が変わると言うのに翼は顔を伏せ、クリスと奏も悔しそうだったがすぐさまハッとなる。

 

聖遺物が関わってるならそれを消せるのでやればよいのではと……

 

クリス「な、なら未来の神獣鏡を使えばいいじゃねぇか!」

 

奏「ああ、それなら二人の身体の中にある聖遺物を消すことができる……」

 

AN「それが……できないんですよ」

 

希望があると思っていた2人はANが首を横に振って返した事に驚く。

 

翼「な、何故だ!?」

 

AN「未来さんの神獣鏡は始祖の力の影響して始祖も消してしまう恐ろしい光になっているんです」

 

不死である始祖も消すという言葉に誰もが言葉を出せなかった。

 

その中でクリスは唇をかみしめた後に指令室を飛び出す。

 

雪音!と追いかけようとした翼を弦十郎は肩を掴んで止める。

 

弦十郎「他に聖遺物を消す事が出来る聖遺物があれば良いが……高望みに近い」

 

AN「そうなんですよねぇ…せめて神獣鏡がもう一つあれば」

 

呟いた弦十郎のにANも心底同意する。

 

その呟きに弦十郎は本当に高望みであるなと心の中で呟く。

 

AN「(とりあえず何かいい方法を探さないと。響さんもですが未来さんのには私が埋め込んだ本来ならば未来さんがちゃんとした方法でギアにされる筈だった神獣鏡、もしも……)」

 

ドゴーン!!

 

突如、爆発と共に揺れが起こり、誰もが驚いていると通信が入る。

 

相手がクリスだと分かってすぐさま出る。

 

弦十郎「どうしたクリスくん!』

 

クリス『ぐっ、落ち着け未来…ぐああああ!?』

 

クリスくん!と弦十郎は呼びかけるが応答が来ず、すぐさまANと翼へと向ける。

 

弦十郎「翼!すぐにメディカルルームに!ANさんもすいませんが手伝ってくれないか?」

 

翼「はい!」

 

AN「了解です!」

 

指示とお願いに2人は頷いた後にすぐさま向かう。

 

あそこには未来以外に響と見ていたシオニーがいるのだ。

 

辿り着くと煙が出ているのに気づいてすぐさま入る。

 

すると床にギアを纏ったクリスが倒れていた。

 

翼「雪音!」

 

AN「一体これは何があったんですか!?」

 

慌てて駆け寄る翼の後にANは状況確認の為に周りを見る。

 

すると意識のない響を抱えたシオニーの姿を見つけ、ホッとした後、とある戦いの後に付けた自分の危険探知の知らせにすぐさま防御壁を張ると、防御壁に何かがぶつかる。

 

衝撃に耐えた後にそれが何なのか調べて音だと気づいた後にまさかとすぐさまセンサーを活用して、それを放った人物を見て思わず乾いた笑いが出る。

 

AN「今度はこっちですか…」

 

未来「響に近づくやつは……ユルサナイ」

 

そこには響と違い、目を真っ赤にし、ハイライトを無くした未来が浮かんでいた。

 

しかもエクスドライブ状態と言ういきなりラスボス状態って鬼ですかとANは愚痴りながら弦十郎へと繋げる。

 

繋げた理由?こういうラスボスにはOTONAが一番だからだ。

 

AN「弦十郎さん。こちらAN。現在未来さんが暴走しています。それで…」

 

言いかけてる途中で飛んで来たのを避けつつ、必死に叫ぶ。

 

AN「現在、未来さんと戦闘中なので弦十郎さんの出動を要請します!」

 

弦十郎『了解した。こちらが向かうまで持ちこたえてくれ!酷かもしれないがトレーニングルームまで誘導して欲しい』

 

ホント酷ですねとANはぼやいた後に攻撃を避ける。

 

AN「まあ私がやってしまった結果でもありますし仕方ないですね!」

 

未来「ハアッ!!」

 

続けてのを避けた後に挑発のエネルギー弾を放ち、自分へ執拗に狙う様に攻撃しながらクリスも見ていたシオニーへと向けて叫ぶ。

 

AN「シオニーさん!クリスさんを安全な所に避難させてください!」

 

シオニー「は、はい!」

 

響とクリスを抱えて逃げるのを確認し、ANはトレーニングルームへと飛ぶ。

 

後ろから飛んで来るのをセンサー頼りで避けたり防いでいく。

 

AN「よし、そのままこっちに…ってあれ!?」

 

かかったと思って振り返ったANはすっとんきょんな声をあげり。

 

追い駆けて来ると思ってた未来が、シオニーの方へと向かっているのだ。

 

なんで!?と思ったがすぐさま気づいた。

 

だって、シオニーはクリスの他に()()()()()()()()()()から……

 

しまったぁぁぁぁぁぁ!!!とANが頭を抱える中でシオニーはひぃぃぃぃぃ!と必死に逃げる。

 

未来「響ヲ返シテ!!」

 

シオニー「た、助けてくださぁああい!」

 

涙でまくりで逃げるシオニーは色々と走馬灯が過った時……

 

緒川「響さんをこちらへ!!」

 

シオニー「へ!?」

 

横を見て何時の間にか緒川がいた事にヒッ!?と悲鳴をあげるが早く!と言う催促に慌てて響を渡すと緒川は未来の攻撃を素早くかわしてANの元へと向かい、彼女と共に向かう。

 

AN「流石忍者。凄いですね」

 

緒川「いえいえ……司令も待ってますので急ぎましょう」

 

ええと頷いてトレーニングルームへと急ぐ。

 

そして中に入ると腕を組んで佇む弦十郎がおり、未来も入ると周りの風景が沢山のビル群のある場所へと変わる。

 

弦十郎「さて、ANさんは援護に回ってくれ。下手に当たればヤバいのだろ?」

 

AN「ええ。ではそうさせてもらいます」

 

構える弦十郎のに後ろに来たANは緒川から響を預かりつつそう返す。

 

未来「響ヲ返セ!」

 

弦十郎「悪いが今の君に返せないぞ未来君!」

 

その言葉を合図に緒川と共に飛び出し、未来の放った光線がANへと行かない様に避けながら駆け抜ける。

 

弦十郎「でやッ!!!」

 

未来「ッ!」

 

拳を振るう弦十郎に未来は音の壁を張るが衝撃で吹き飛ぶ。

 

未来「ハアッ!」

 

閃光

 

体勢を立て直した所に未来は閃光を放つ。

 

弦十郎「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

それに弦十郎は地面を殴って作り出した壁で防いでからその場を離れる。

 

AN「(す、凄い…!あの人本当に人なんですか…!?)」

 

上手く立ち回る弦十郎にANは知ってるのと始祖になった未来を翻弄するのに驚愕する。

 

時たま緒川からの援護があるとはいえ、流石はOTONAと感嘆する。

 

緒川「はっ!」

 

未来「ッ!邪魔シナイデ!」

 

弦十郎の後ろから飛び出した緒川の投げたクナイを未来はうっとおしそうにアームドギアで弾き飛ばした後に空中に浮かぼうとして動けない事に気づく。

 

影縫い!

 

緒川「動きを封じさせて貰いました」

 

AN「(さっきのクナイはこれをするために…!)」

 

未来「グッ……!!」

 

未来の影に刺さっているクナイにこちらも流石とANは舌を巻く。

 

一気に決めると弦十郎は接近しようとし……未来の影に刺さっていたクナイが勝手に吹き飛ぶ。

 

弦十郎「!藤尭!すぐに海上に浮上させろ!!」

 

閃光!!

 

それに弦十郎は第六感からすぐさま藤尭に命令した直後、未来は天井へと向けて先ほどよりも強力な閃光を放つ。

 

ドカーーーーーーン!!!

 

基地である潜水艦が海上に浮上すると共に、一部分が吹き飛ぶ。

 

弦十郎「あ、危なかった……遅ければ水没していたぞ……」

 

AN「ま、まさか状況を打開するためだけに潜水艦を破壊するとは…!」

 

緒川「み、未来さんは何処に…!?」

 

3人は見渡し、ANはセンサーで位置を確認する。

 

AN「……!下です!」

 

その言葉に弦十郎は下を見上げると攻撃を放とうとしてる未来の姿があり、咄嗟に緒川がクナイを投げる事で攻撃が中断される。

 

弦十郎「派手な演出は下への攻撃を逸らす為のでもあったか……」

 

未来「邪魔シナイデ…響ヲ返シテ…響ハ私ノ何ダカラ…!」

 

距離を取る弦十郎へと未来はそう言う。

 

弦十郎「(いかんな……このまま戦い続けていたらANくんの言う通り、今の未来くんが消滅してしまう……)」

 

どうすれば……と弦十郎が考えていた時、声が響く。

 

響「やめてよ…未来。未来らしくないよ、そんな事言うなんて」

 

AN「!響さん、目を覚ましたんですか!?」

 

よろよろと立ち上がる響をANは慌てて支える。

 

弦十郎「響くん!無理をするな!まだダメージが消えてない状態では危険だ!」

 

響「これぐらい平気へっちゃらです…!それに未来を助けてあげないと…!」

 

叫ぶ弦十郎に響はそう言ってANから離れて聖詠を歌ってギアを纏う。

 

顔を歪める弦十郎だが今の未来を止められるとしたら響しかおらず、それに下手をすれば死に至る光線や光弾を連発はしないだろうが長引かせては2人の身が危険と言うジレンマに弦十郎は……

 

弦十郎「……………分かった。だが、無茶をするんじゃないぞ!」

 

響「はいッ!」

 

早い安全の確保から折れて響の参戦を許可し、注意してから同時に飛び出す。

 

未来「……響」

 

響「未来、私は未来だけのじゃないよ。それに未来がそう言う事を言わないのは分かってるから……絶対に戻してあげる」

 

そう言いながら未来が放って来た音の衝撃弾を防ぎながら格闘戦を仕掛けていく。

 

ミューチェ「遠距離攻撃ができない以上、未来は苦手な近接戦闘をしなきゃいけなくなる」

 

AN「それに、響さんを大事に思っている以上、死ぬような攻撃を放てない」

 

ミューチェとANが見守る中で空中に飛び上がった未来に対し、音の壁で作り上げた足場で響とその後を弦十郎が続く。

 

響「はあぁぁぁぁぁッ!」

 

未来「っ…!」

 

向かって来る響の拳をアームドギアで防ごうとするが響は音の衝撃を乗せて怯ませ……

 

弦十郎「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

響を飛び越えた弦十郎の飛び蹴りが炸裂する。

 

未来「ッ、アァァァァァ!?」

 

ズドォォォオン!!

 

跳び蹴りをまともに受けた未来はそのまま近くの地面に激突する。

 

弦十郎「……あれで止められると思うのは浅はかだろうか、AN君、響くん」

 

響「はい。おそらく未来ならまだやると思う」

 

AN「私も。あの愛が強いタイプはしぶといですからねぇ」

 

確認する弦十郎に響とANはそう返す。

 

弦十郎「やれやれ、あんまり力を使わないでほしいが……今までの相手より難敵と言えてしまうのは君達と同じだからか……」

 

響「あはははは…;」

 

AN「そこを言われると返答に困りますね;」

 

ぼやいた弦十郎のに響はから笑いし、ANはそう返す中で未来が姿を現す。

 

未来「ッ…響…!」

 

まだ戦うつもりなのかと弦十郎とANが焦る中、フラッとしてから倒れ掛かり、響が未来!と慌てて駆け寄って抱き抱えるとギアは消える。

 

未来「………」

 

響「気を失ってる…!」

 

弦十郎「危なかった。あのまま続けていたらこっちもそうだが未来くんもやばかったな……」

 

AN「本部もかなりボロボロになっちゃいましたね…私が責任もって修理しときます」

 

ふうと安堵の息を吐く弦十郎にANは潜水艦を見ながらそう返す。

 

何時沈んでも分からない程の大破にホントに助かると弦十郎は頭を下げる。

 

弦十郎「しかし、これからが大変であるな……」

 

AN「そうですねー。早く解決策を考えないと…」

 

同じ様にギアを解いた響を見ながら弦十郎のにANは頷く。

 

響は未来を抱えながらふと、自分の胸元に黒いのが付いてるのに気づいて触れたらポロリと黒いのは簡単に剥がれ落ちる。

 

響「(え?かさぶた…?)」

 

響は自分の体に何が起きてるのだろうかと戸惑う。

 

ミューチェ「(…この変身でまた浸食が進んだのかしら…)」

 

これからどうなるの……とミューチェは不安げな顔で空に浮かぶ月を見て心配する。




ファナ「次回、『転生者と科学者の邂逅』っす!……2人を助けるには……」


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