邪神イッセーの非日常 (ミスター超合金)
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旧校舎のディアボロス
第壱話 ANGEL ATTACK


どーも、ミスター超合金です。描写スタイルを模索する為の作品です。展開は早いです




 春空の公園、冷静沈着なイッセーにしては珍しく戸惑いの顔を見せていた。原因は彼の視線の先でさ迷い歩いているゴスロリ幼女にあった。

 

 

「イッセーさん! 誰か、イッセーさんの家を知らないっスかー!!」

 

 

「……何だ、ありゃ」

 

 

 金髪の如何にも頭がクルクルパーな小ギャルが、クルクルパーな台詞を叫んで回っている。何ともシュールな光景だが問題は彼女がイッセーの名を口にしている点だ。このまま放置して警察の世話にでもなれば、間違いなく関係者として呼ばれてしまう。

 そうなれば今まで築いてきたご近所さんとの関係もパーだ。

 

 

 また厄介事が増えた、と溜め息を吐きながらベンチから立ち上がった。()()()()()が何であれ、見捨てるのも心苦しい。

 

 

「俺がお嬢ちゃんの探してたイッセーだ。何か用があるのか? 俺としては心当たりがないんだが」

 

 

 少なくともこの幼女とは初対面だし、別に何かをした記憶もない。

 一人で頷いているとゴスロリ幼女は首を横に振って否定した。改めて用を訊ねると彼女は顔を赤くして言い放った。

 

 

 

 

「……ウチと、付き合って下さいっス!!」

 

 

「はぁ?」

 

 

 幼女からの告白を受けたイッセー。羨ましい限りである。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「ほへぇ、アパートに住んでるんスねぇ。広い一軒家かと思ってたから意外っス」

 

 

「何故ついてきたし」

 

 

 自らをミッテルトと名乗る幼女は結局当たり前のように家までくっついてきた。築40年の風呂なしボロアパートを珍しそうに弄くり回している。そんなミッテルトを尻目にイッセーは冷蔵庫から麦茶を取り出し、渇いた喉を潤すと同時にこれからの事を考え始めた。

 流れで家に入れたものの、何時までも家に居させる訳にはいかない。()()も心配するだろう。下手すれば誘拐犯だ。

 

 

「で、何時になったら帰るんだ?」

 

 

「……告白を受け入れてくれるまで」

 

 

「無茶言うな」

 

 

 合意した日にはロリコン確定である。そんな称号は要らない。本日2回目の溜め息を吐くと昼下がりの空を眺めながら告げた。

 

 

「ま、夕方になったら帰りな。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の本部まで送ってやるから」

 

 

 何気無い世間話のように言うと驚いたようにミッテルトは眼を見開いた。バレていないと思っていたのだ。

 

 

「ウチの正体、知って──」

 

 

「堕天使だろ?」

 

 

 

 

 暫くの沈黙の後、バサリと黒翼が拡げられた。1対2枚の可愛らしい翼は紛れもなく堕天使の証だった。

 

 

「……騙してて、ごめんね。ウチはイッセーさんの抹殺指令を下された堕天使っス」

 

 

「襲撃なんざ馴れてるし、気にすんな」

 

 

 何ともやりきれない顔を見て何も言えなくなった。好んで任務を受けた訳ではなく、命令されたから渋々引き受けたのだろうか。

 

 

「これからどうするんだ?」

 

 

「……アジトに帰還するっス。ウチじゃ勝てそうにないっスから」

 

 

 本部ではなくアジトと言う彼女に疑問を覚えた。つまり人間界に仲間と一緒に潜伏しているという事だ。

 何かあるのか。窓に視線を戻して、再び訊いた。

 

 

「上司のレイナーレ様がこの駒王町にアジトを構えて、ある計画を進めている。末端のウチはそれしか知らない」

 

 

 

 

「──じゃあね」

 

 

 不意に軋んだ扉を開けて、ミッテルトは外の世界へ呆気なく消えた。また静かな日常に戻った彼は寝転がりながら、しかしぼんやりと床に落ちていた羽根を見つめていた。

 やがて起き上がると、おもむろに連絡術式を展開した。

 

 

 

 

『どうした、急に』

 

 

「……確認したい事がある」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 レイナーレの計画に必要なアーシア、任務をしくじったミッテルトは教会の地下室で縛られていた。これからアーシアは神器(セイクリッド・ギア)を抜き取られて死亡し、ミッテルトもお払い箱として処分されるのだ。

 

 

 十字架に張り付けられた二人は特に騒ぎもせず、訪れる死を受け入れていた。視界の端ではレイナーレと同僚の堕天使達が儀式の準備を進めている。

 

 

「……これでアザゼル様の寵愛を受けられる! 私を馬鹿にした奴等を見返す事が出来るわ!!」

 

 

「おめでとうございます。して、ミッテルトが殺害に失敗した人間は如何致しましょうか?」

 

 

「カラワーナに任せるわよ。たかが人間如き、簡単に殺せるでしょう? そこの間抜けと違ってね」

 

 

 そう言ってミッテルトに視線を映した。心底冷たい、見下した眼がレイナーレに突き刺さった。途端に顔を歪める。

 

 

「何よ、そのムカつく眼は! 何処まで私を苛つかせれば気が済むのかしら!!」

 

 

「……」

 

 

「この、使えないクズがッ!! 良いわ、同族のよしみで一思いに殺してやろうと思っていたけど、もう楽には死なせない! 神父共の慰みものにして、ジワジワと苦しませてやるわ!!」

 

 

 悪夢のような宣告も最早どうでも良かった。ツルペタストンな身体がどう扱われようと知った事ではない。だが心残りが1つだけあった。

 

 

「……ウチは最下級レベルの実力だし、標的を探して迷子になる馬鹿だし。用済みとして殺されるのも仕方ないけど」

 

 

「せめて、もう少しイッセーさんと話したかったなぁ……」

 

 

 

 

「そうか、じゃあ話すか。特に面白いネタはないけどな」

 

 

 聞き覚えのある声が隣から響いた。慌ててそちらを見ると眠そうな顔をしたイッセーが立っていた。

 

 




 The wages of sin is death.

 罪の報いは死である。


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第弐話 THE BEAST

軽く、ゆるく、シリアスに進んでいきます




「馬鹿な、どうやって侵入した!? 上には大勢の神父が……ッ!!」

 

 

「ほら、拘束を解いてやったぞ。ついでに隣のお嬢ちゃんも」

 

 

「話を聞きなさいよ!!」

 

 

 レイナーレは思わず怒号を放つ。突如現れたイッセーに十字架を根元からへし折られるどころか、拘束術式すらも簡単に解除されれば当然だ。見せつけるように展開した黒翼と光の槍は精一杯の脅しだった。

 

 

「ほーれ、高いだろー」

 

 

「ウチで遊ぶな、高い高いすんな!」

 

 

 しかし当のお二人は無視するばかりか、ナチュラルにイチャイチャしていた。それはもう状況が呑み込めずにポカーンとしているアーシアを放置して、盛大に。

 

 

 ここまで馬鹿にされては生かしてはおけない。部下であるカラワーナに殺害を命じようとしたところで漸くイッセーがレイナーレ達に視線を移した。

 

 

「……さて、ゴミ掃除を再開しますか」

 

 

「至高の堕天使を嘗めるんじゃないわよ! ドーナシーク、カラワーナ! 愚かなこいつらを血祭りにあげなさい!!」

 

 

 確かな実力を持つ側近達ならば余裕で片付けられるだろう。アーシアは捕らえて、残りは煮るなり焼くなり好きにすれば良い。彼等の末路を思い浮かべて余裕の笑みを浮かべる。

 だが部下からの返答は無かった。

 

 

 

 

「──探し物はこれかな?」

 

 

 静かな声音が目の前から投げられた。一挙手一投足も見逃すまいと眼を離さず、瞬きすらしなかったのに。何の変化も感じさせないままでイッセーはレイナーレの前に立っていた。

 その赤い両手に握られているのは、見慣れた2つの顔。

 

 

「あ、あぁ……」

 

 

「ほれ、返すぜ」

 

 

「ヒィ!?」

 

 

 ゴロゴロと投げられた頭部から少しでも離れようと後退りする。頭部のみにされたドーナシーク、カラワーナは驚いた顔で、恐らくは何が起きたのか解らないまま死んだのだろう。

 

 

 レイナーレはもう戦意を喪失して、座り込む事しか出来なかった。ひたすらに()()()()()()()()()から距離を取ろうとした。

 

 

「お前は一体、何者なのよ!?」

 

 

「確かに。イッセーさんは何者なんスか?」

 

 

「あ、やっぱり気になる?」

 

 

 ミッテルト達の問いは尤もだ。簡単に教会に侵入したばかりか、今また堕天使をあっさり殺害したのだ。ただの人間とは思えない。

 そんな視線に気付いたのか、はたまた面倒だからか。頭を掻きながらイッセーは告げた。

 

 

 

 

「俺は『E×E(エヴィー・エトゥルデ)』からやってきた邪神、メルヴァゾアだ」

 

 

「……冥土の土産に覚えておけ」

 

 

 最後に片手を翳すとレイナーレは跡形もなく消し去られた。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「邪神だったんスか!? どうりで強い筈っス!」

 

 

「今は人間の姿に化けて力も制限してるが、これでも最強の邪神なんだぞー?」

 

 

「マジパネェ」

 

 

 さらりと重要な情報を洩らしたが、阿呆なミッテルトは気にせずにはしゃいでいた。イッセーもそんな彼女が気に入ったのか、頭を撫でた。

 

 

「帰る場所が無いなら俺の家に来い。面倒見てやるよ」

 

 

「んー、でもレイナーレ様とか消しちゃって大丈夫なんスか? 『神の子を見張る者(グリゴリ)』から敵視されるんじゃ……」

 

 

 敵対する悪魔の領地で独断行動していた馬鹿を組織が救うとは考えにくいが、何かしらの文句を言われる可能性もなきにしもあらず。

 珍しくまともな発言をすると、感心の拍手が舞う。

 

 

「結論から言うと別に問題ない。アザゼルに許可取ったし」

 

 

「ハァ!? あのアザゼル様!?」

 

 

「駒王町に侵入した堕天使共が鬱陶しいから組織ごと壊滅させる、と脅したらあっさりな。ミッテルトが俺の保護下に入った事も伝えてる」

 

 

「パネェ!」

 

 

 ミッテルトと、ついでにアーシアの救出にも成功したので後は帰るだけ。なのだが邪神の顔は険しい。

 

 

 

 

「……そこに隠れている悪魔共、出てこい」

 

 

 そう言いながら邪神のオーラを軽く放つと慌てて人影が飛び出してきた。まだ10代後半と思われる少年少女達だ。両手を挙げて敵対の意志が無い事をアピールしている。

 

 

「私はこの駒王町の領主、リアス・グレモリー。後ろに控えているのは眷属よ」

 

 

「好き勝手している堕天使を討伐に来ましたと。遅すぎるぞ、無能野郎。お前が動くまでに何人の住民が殺されたのか、知ってるか?」

 

 

「な……ッ!? 私を愚弄するつもり!?」

 

 

「煩いから騒ぐな。……面倒だ、付き合ってられん」

 

 

 二人とも帰るぞ。ミッテルトとアーシアの手を掴んで、イッセーは教会を出た。後に残されたリアスは侮辱された屈辱から、凄まじい形相で彼等の後ろ姿を睨んでいた。

 

 




 Darkness was upon the face of the deep.

 闇が深淵の面にあった。



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月光校庭のエクスカリバー
第参話 A transfer


『ハイスクールD×D HERO』のPVを見て言葉を失った今日この頃。前の作画が良かったと感じるのは自分だけ?




「──で、レーティングゲームに負けた事で妹の結婚が確定したのか。おめでとうさん」

 

 

『僕としてはこの結婚に反対でしたが……。眷属が揃っていれば、或いは』

 

 

「てめぇの立場なんざ気にしてるからだ。じゃあな」

 

 

 それだけ吐き捨てるように言うと術式を消した。吸っていた煙草を携帯灰皿に押し付けながら、ベランダから出る。朝早くに連絡してくるので何事かと思えば実にくだらない内容だった。

 

 

 と、寝ぼけ眼のミッテルトがリビングに入ってきた。声を抑えたつもりだが起こしてしまったらしい。

 

 

「お早うっス。誰かと話してたんスか?」

 

 

「あー、古い知り合いとな。まだ寝てて構わんぞ?」

 

 

「眼が冴えたし、『境界線上のアリア』も見たいっスから」

 

 

 そう言ってテレビの前にチョコンと座った。

 

 

「……アーシア、大丈夫っスかね」

 

 

「アザゼルに預けたんだ。奴なら心配いらん」

 

 

 救出したアーシアの身柄はアザゼルに預ける事となった。神器(セイクリッド・ギア)に詳しい彼ならば任せられるとイッセーは言う。

 

 

「ま、元気でやるだろうよ」

 

 

「だと良いっスけど。……お、始まった」

 

 

「確か今日から新章だったか」

 

 

 ピーナッツの小袋を片手にイッセーもミッテルトの隣に腰を降ろした。

 願わくば、この平穏がずっと続きますように。些細な祈りは口にしなかったが、その代わりにただ寄り添った。

 

 

「どうした、やけに積極的だな。らしくねぇぜ?」

 

 

「……何でもないっス」

 

 

「あん?」

 

 

 影に隠れていた。そう言い訳して、彼女の顔は見なかった。

 

 

 

 

「……で、昼の予定はどうする?」

 

 

 アニメを見終えた後で、朝飯を軽く頬張りながらイッセーは訊ねる。と言って学校や仕事に行く必要がない彼等に、特に用事も無いのだが。

 うーん、とミッテルトも曖昧に返す。

 

 

「ウチの日用品も買って貰ったし……。今は別にないかなぁ」

 

 

「じゃあマリカーでも……ッ!?」

 

 

「どうしたんスか?」

 

 

 いや、と頭を掻きながら彼は窓に視線を移した。先程までの陽気な雰囲気は一転、冷たいオーラとなってイッセーを包んでいた。

 レイナーレを殺した時と同じだ。彼女は背筋が震えるのを感じた。

 

 

 外を睨んでいたイッセーだが、面倒そうな溜め息を吐きながらミッテルトに向き直った。

 

 

 

 

「……今晩、出掛けるぞ。厄介な事態になった」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 深夜となり、宵色に囲まれている駒王学園。普段の静寂は消え去り、異形達が戦う舞台に変貌していた。その一人、堕天使コカビエルは退屈そうに欠伸をする。

 

 

「つまらんなぁ。戦争の幕開けとしては、あまりにも興醒めだ」

 

 

「コカ、ビエル……ッ!!」

 

 

「そうだな。サーゼクスが到着するまでの暇潰しに、女共を犯すのも悪くない」

 

 

 辺りには満身創痍のリアス達が転がっていた。自信満々に挑んでくるから試してみればこの有り様。聖書に名を刻まれた堕天使の相手には役者不足だったらしい。

 

 

 実力は兎も角として身体は悪くない、と彼は下卑た笑いを浮かべた。

 

 

「先ずはこの白い小娘からだ。勢い余って壊しても悪く思うなよ?」

 

 

「誰がお前なんかと……! 離せっ!」

 

 

 両腕を掴まれて必死に抵抗するも所詮は下級悪魔。コカビエルに敵う筈もなく楽々と持ち上げられた。

 

 

「服を引き裂いて裸に晒してやろう。餓鬼を抱くのもまた一興だ」

 

 

「止めて、下さい……! こんな、こんな形で……ッ!!」

 

 

「恨むなら愚かな悪魔にするんだな」

 

 

 そして無防備な制服に手を伸ばしたその時、第三者の声が響いた。

 

 

 

 

「おう、コカビエル」

 

 

「お久し振りっス」

 

 

 Tシャツに短パン、サンダルというラフな格好の男とゴスロリ幼女が真っ直ぐ歩いてきた。嬉しそうなコカビエル。

 

 

「……久しいな、メルヴァゾア。俺の邪魔立てに来たか」

 

 

「それと、白髪の嬢ちゃんを助けにな」

 

 

「随分と優しくなったものだ。昔のお前が見れば驚くだろうな」

 

 

 そのままチラとミッテルトを見た。アザゼルから保護者云々の話を聞かされた時には酷く驚いたものだ。かつての彼ならば間違いなく見捨てた筈だから。

 小猫を投げ捨てて、構える。

 

 

「今のお前ならば──」

 

 

 

 

「取り敢えず死ね」

 

 

 同時にコカビエルの身体が水風船のように破裂した。呆気ない幕切れだった。

 

 

「よし、この嬢ちゃんも連れて帰るぞ。精神的な傷が心配だ」

 

 

「更に同居人が増えるんスね!」

 

 




 God is our help and shield.

 神はわが助け、わが盾なり。



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第四話 Hedgehog's Dilemma

風邪をひきまして、寝込んでます。読者の皆様は体調にお気を付け下さい




 小猫は飛び起き、次に辺りを見回した。どうやらアパートの一室らしい。途端に身体が震えた。

 自分を犯そうとした男の顔が脳裏を過った。慌てて立ち上がり、脱出を試みる。一刻も早くリアス達と合流しなければ。

 

 

「気が付いたっスか?」

 

 

「……ッ!?」

 

 

「おっと、ウチは敵じゃないし。……コーンスープ、持ってきたけど飲む?」

 

 

 突然の声に振り返ってみれば、そこに居たのはコカビエルではなくゴスロリ幼女だった。スープの入った器を見て、そこで初めて腹の虫が鳴り響いた。

 引ったくるようにして受け取ると、一気に飲み干す。

 

 

「……待ってて。あんたを助けた恩人を呼んでくるっスから」

 

 

 そう言い残して玄関の方へと消えた幼女を小猫は見送るしか無かった。

 

 

「此処は……?」

 

 

 

 

「だから妹を拐ったのは解ってるにゃ! さっさと返すにゃ!!」

 

 

「いきなり押し掛けて喚くな! この痴女猫が!!」

 

 

「……あんたが異世界の神か。是非とも戦ってみたい!」

 

 

「メルヴァゾア、久しい」

 

 

 数分後、玄関から騒ぎ声が響いた。すぐに収まるだろうと思っていたそれは逆に大きくなっていく。

 揉め事でもあったのかと見に行くと間抜けな光景が広がっていた。

 

 

「ウヒャヒャヒャ! 異世界が本当にあるとはなぁ! おじちゃんは嬉しすぎて死にそうだぜ!!」

 

 

「貴方を倒せば俺は英雄になれるのか……」

 

 

「その幻想をぶち殺す!」

 

 

 

 

「……カオス」

 

 

 乳首にテープを貼り付けた幼女や銀髪の少年、果ては漢服を着込んだ青年に不幸そうな少年といった妙な集団で溢れる玄関。

 その中に実姉の姿を確認した彼女は、恐怖よりも先に呆れるしかなかった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 押し掛けてきた連中を追い払った後、部屋にはイッセー達だけが残った。麦茶を煽りながらイッセーが挨拶する。

 

 

「俺がイッセー。隣に座ってるのがミッテルトだ。宜しく頼む」

 

 

「……塔城小猫です。あの、助けて頂いてありがとうございます」

 

 

「気にするな。落ち着くまでゆっくりしていけば良いさ」

 

 

 そう言ってポンポンと頭を叩かれた瞬間、小猫は泣いた。コカビエルに犯されかけた恐怖を思い出したのだ。身体を震わせて、彼にすがりついて泣き喚いた。

 

 

「安心して泣け。俺が守ってやるから」

 

 

「……なんか複雑っス」

 

 

「ミッテルトも膨れっ面するなよ。可愛い顔が台無しだぞ?」

 

 

「か、可愛い……ッ!? まあ、ウチは大人のレディだし? 後で頭を撫でてくれるなら……」

 

 

 チョロいな、と思いつつ小猫の頭を撫でていたイッセー。だが不意に彼女をミッテルトに任せて、自らはベランダに出た。

 煙草を取り出していると、隣に座る人影が呟く。

 

 

「……白音を、頼むにゃ」

 

 

「確か、黒歌だったな」

 

 

 黒歌はゆっくり頷いた。

 

 

「私の身体を好きにしてくれて構わない。命を差し出しても良い。──だから、白音を保護して欲しい」

 

 

「それ程までにあの嬢ちゃんが大切か。どうして、そこまでするんだ?」

 

 

「……私は姉として何も出来なかった。悪魔の追手から守れなかった。手を離してしまった。だから……ッ!」

 

 

 イッセーは煙を吐き出した。そして静かに告げた。

 

 

 

 

「聞いたか? ──嬢ちゃん」

 

 

 直後、網戸が開けられた。黒歌が驚いて振り向くと涙目の白音が立っている。

 避ける間もなく彼女は妹に抱きつかれた。

 

 

「姉様!!」

 

 

「ちょ……ッ! 全部聞かれてたの!?」

 

 

「まどろっこしい真似はするもんじゃないぜ。嬢ちゃん達が再会して、一緒に暮らすのが最良の選択だ」

 

 

「でも私はお尋ね者だし、白音も悪魔陣営だから……」

 

 

 任せとけ。それだけ言うとイッセーは誰かに連絡を始めた。どうやら家に呼び出しているらしいが、詳しい事は解らない。合計で三人との連絡を終えるとミッテルトに言う。

 

 

「茶と、菓子の準備をしてくれ」

 

 

「誰か来るんスか?」

 

 

「ちょっとな……。お、来たぜ」

 

 

 畳に突如として転移魔法陣が描かれると、其処から三人の男が現れた。

 

 

 

 

「よう、メルヴァゾア」

 

 

「この度の失態などについて話し合いに参りました」

 

 

「お久し振りです、メルヴァゾア殿」

 

 

 来客はサーゼクスを筆頭とした三大勢力の首脳陣だった。

 

 




Who can utter the mighty acts of the Lord?

主の力強い御業を言葉に表せる者があろうか?



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停止教室のヴァンパイア
第伍話 心のむこうに


漸く復活しました。また再開していきます




「さて、何か言い訳はあるか?」

 

 

「……今回の一件は全て、我々の監督不行届きが招いた事態です。誠に申し訳ございませんでした」

 

 

 出てきた瞬間、土下座をする三大勢力の首脳陣。シュールな光景だが本人達は真面目である。何せ、よりにもよってイッセーの暮らす町でやらかしたのだ。

 下手をすれば種族もろとも皆殺しにされてしまう。

 

 

「今後については考えてあるんだろうな?」

 

 

「首脳会談を行います。そこで和平を行う予定です」

 

 

「やっと和平を結ぶのか。遅かったな」

 

 

 それから一時間、会談について話し合い解散となった。お開きになるや否や、首脳陣は我先に転移していった。

 

 

 

 

「……逃げたくなる気持ち、解るっス」

 

 

「あれは脅迫ですよね」

 

 

「えげつないにゃ」

 

 

「おーい、聞こえてるぞー」

 

 

 溜め息を吐きつつイッセーはこれからについて説明していく。彼曰く、駒王学園で三大勢力首脳陣による和平会談を行うらしい。

 

 

「それで事件解決の立役者として、俺も出席する事になった。謝罪と、賠償金を支払うんだとよ」

 

 

 

 

「──俺は悪魔側へ黒歌と白音が俺の保護下に加わる旨を伝える。無論、黒歌の手配解除を要請した上でな」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

「誰がそんな事で嘘を言うんだよ。まあ、これから宜しくな」

 

 

 それから何日かが経過して、会談当日。イッセー達は会場となる駒王学園に訪れていた。複雑な表情のリアスを無視してイッセーは用意された椅子に座る。

 

 

「来たぞ、サーゼクス」

 

 

「ええ。参加して頂き、誠にありがとうございます」

 

 

「ちょっと! お兄様に向かって──」

 

 

「黙りなさい、リアス!」

 

 

 割と真剣に怒られて凹むリアスを余所に会談は始まった。そしてなんやかんや話し合いを終えて、終盤。

 

 

「俺達はテロリスト組織、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報を掴んだ。組織には神滅具(ロンギヌス)の所有者も確認している」

 

 

「首謀者の名は、オーフィス。神も恐れた最強のドラゴンだ」

 

 

 

 

「──その通りです、アザゼル」

 

 

 アザゼルがカッコつけて告げた途端に褐色の痴女が現れた。突然の乱入者にサーゼクスが訊ねる。

 

 

「旧魔王の血族、カテレア・レヴィアタン。何故、この場に?」

 

 

「我々は『禍の団(カオス・ブリゲード)』への協力を決めました。私が来たのは挨拶を兼ねた襲撃の為です」

 

 

「そんな、カテレアちゃん! 今からでも遅くないわ! 考え直して!!」

 

 

「黙りなさい! 私から王位を奪った癖に! 貴様を殺して私が魔王を名乗るわ!!」

 

 

 同時に転移してくる魔法使いの束。どうやら事前に計画されての蜂起らしい。さらっとミッテルトを背中に庇いつつ、冷ややかな眼でイッセーは睨んだ。

 やがて大きく溜め息を吐くとカテレアの前に瞬間移動する。

 

 

「……ふぇ?」

 

 

 瞬きすらしていないのに、気付けば目の前に立っていた。形容しがたい現実に思わず呆然とするカテレア。そして思い出す。

 目の前の男がかつて自分を半殺しにした異世界の邪神だと。

 

 

 不味い。彼が出席していると聞かされていなかった彼女は大量に冷や汗を流した。視界の端では厳かに合掌しているサーゼクス達が見えた。ついでに三途の川も見えた。

 

 

「あわわわわ」

 

 

「すごいパーンチ」

 

 

「ぐへッ!!」

 

 

 蛙の潰れたような音と共にカテレアは盛大に爆発した。返り血を浴びたイッセーはそのまま振り返り、絶対零度の視線を魔王にぶつけた。

 

 

 

 

「……で、これは悪魔側からの宣戦布告って事で良いよなぁ?」

 

 

「お待ち下さい! この件は旧魔王派の独断専行であり、現政府はなんら関与しておりません!!」

 

 

「後で賠償について話そうか?」

 

 

 かくして後の世に駒王会談と伝えられる話し合いは幕を閉じ、後には胃痛を堪える魔王のみが残った。因みに流石の白龍皇もビビってしまい、喧嘩を売るような真似はしなかった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「──という訳で楽しい首脳会談を終えた訳だが」

 

 

「楽しかったのはイッセーさんだけっスよ」

 

 

 翌日の昼下がり。良い笑顔で締めくくるイッセーに呆れた顔でミッテルトがツッコミを入れた。確かに黒歌の手配も解除され、賠償金名目で大量のマネーが送られてきたのだが。

 マリカーで遊ぶ猫姉妹を横目に彼は笑う。

 

 

「とある生き別れの姉妹を助けたんだ。今回は大団円と言っても過言では無いだろ」

 

 

「そうっスけど」

 

 

 黒歌と白音から『悪魔の駒』を摘出するわ、姉妹揃っての保護を宣言するわ。ここまで好き勝手に行動する邪神は恐らくイッセーだけなのではないか。

 

 

「あ、忘れてた。全員集合!」

 

 

「もう8時かにゃー?」

 

 

「年齢がバレますよ」

 

 

 思い出したかのように手を叩くイッセー。全員が集まるとこれまた笑顔で、ミッテルトの頭を撫でながら言った。

 

 

 

 

「夏休みは冥界を旅行するから、準備しといてくれ」

 

 




YOU ARE (NOT) ALONE.

君は一人だ(一人ではない)。



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冥界合宿のヘルキャット
第六話 決戦


冥界旅行編の始まりです




 8月1日。世間は夏休みシーズンだが、浮かれているのはイッセー達も同じだった。何せ今日から1ヶ月、彼等は冥界を旅行するのだ。

 無論、資金源は冥界政府である。賠償金パワーは凄いのだ。

 

 

「お前ら、準備は整ったな」

 

 

「バッチリにゃー!」

 

 

「なら出発だ。頼むぜ、グレイフィア」

 

 

「お任せ下さい。快適な旅をお約束します」

 

 

 駒王駅の地下に集まった一同。此処からグレモリー専用の列車で冥界に行くのだ。因みに列車を動かす費用も冥界政府の国庫から支出されている。

 全員が乗り込むと列車は勢い良く進み始めた。

 

 

「しっかし、宿泊費や交通費。その他諸々も負担してくれるなんて。賠償金ってのは凄いんスねぇ」

 

 

「言ってる事は外道ですけどね」

 

 

「細かい事は気にするな。この1ヶ月、遊びまくるぞ!」

 

 

 騒ぐイッセー達とは裏腹に案内人を務めるグレイフィアは胃を痛めていた。今回の旅行に掛かる資金は全て冥界政府が負担しなければならない点もだが、何よりイッセーが恐ろしかった。

 少しでも機嫌を損ねれば滅ぼされる。

 

 

 何気に冥界の未来は彼女の両肩に託されていた。

 

 

「胃が、痛む……」

 

 

 そんなグレイフィアの心労は露知らず、馬鹿騒ぎするイッセー達であった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 一流ホテルのスイートルームにやって来た一同。すると土産を見に行っていた猫姉妹が面白そうな話を聞きつけてきた。

 

 

「明後日さ、若手悪魔のパーティーがあるらしいにゃー。個人的には見に行きたいんだけど」

 

 

「……まあ、元部長に挨拶したいですね」

 

 

「揉め事にしかならん気がするが……。行ってみるか」

 

 

 四大魔王の署名がなされた許可証を眺めながらイッセーは頷く。危険エリア等以外は無条件で好きなだけ入れる上に代金は政府持ちという夢のようなカードだ。

 グレイフィアから渡された際に、パーティーに顔を出すなとは言われていない事を思い出した彼等は悪い顔をしていた。

 

 

 そして当日。

 

 

「おい、あいつらは誰だ?」

 

 

「解りませんが、魔王様の許可証をぶら下げていますね。客人でしょうか?」

 

 

 異質なオーラを放つ男に元指名手配犯、真っ白ロリにゴスロリ堕天使は当然ながら目立った。若手達は遠巻きにヒソヒソ話し合っているも手出しはしない。

 その時、果敢にも話し掛ける勇者が居た。

 

 

「小猫!」

 

 

「あ、リアス元部長」

 

 

「……久し振りね。元気にしてた?」

 

 

「ええ、とても」

 

 

 何とも気まずそうな二人。白音は結果的に主人から離反してしまったと顔も合わせられず、リアスはイッセーにビビって話せず。

 結局、見かねた木場達が介入するまでまともな会話は出来なかった。

 

 

「白音……」

 

 

「積もる話もあるだろう。今は──」

 

 

 イッセーがそう言いかけた途端、爆発音が響いた。テーブルやらが飛んでくるも余裕でガードする。暇潰しに見に行くと、阿呆そうなヤンキーとクールな女性が睨み合っていた。

 ヤンキーが下卑た笑いを浮かべた。

 

 

「だから俺が貫通式をやってやるよ! 処女のシーグヴァイラよぉ!」

 

 

「ゼファードル、貴方は死にたいのかしら? 私との実力差も解らないの?」

 

 

「此処で戦うか? 上等だ!」

 

 

 

 

「──そこまでにしとけ、餓鬼共」

 

 

 だが一触即発と思われたその時、ステーキを頬張りながらイッセーが割って入った。無謀にも彼を睨むゼファードル。

 

 

「誰だ、お前は? 人間風情がこんな場所に来るんじゃねぇよ」

 

 

「止めなさい、その方は魔王様の客人よ! 許可証が見えないの!?」

 

 

「大丈夫だ、嬢ちゃん。俺は負けない」

 

 

「カッコつけるのもそこまでだぜ、おっさん!!」

 

 

 ガン、と思い切り顔面を殴る。少なくとも人間が耐えられる威力では無いとヤンキーが勝ち誇った笑いを漏らした。シーグヴァイラも顔を覆った。

 しかし何時まで経っても倒れるような音がしない。

 

 

「……あれぇ?」

 

 

「取り敢えず、お前は半殺しな?」

 

 

「あの、ちょ」

 

 

 

 

「めり込みパーンチ!」

 

 

 ゼファードルが星になって飛んでいく一部始終を、シーグヴァイラは合掌しながら眺めていた。

 

 




Now let your hands be strengthened and be ye valiant.

力を奮い起し勇敢な者となってください。



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第七話 A HUMAN WORK

各巻毎のイベントは変わりませんが、少し時系列が違います




「──という訳で、今回は将来有望な若手の諸君に集まって貰った次第だ」

 

 

 上層部のおっさんが厳かに進めていく。その視線の先にあるのは5人の若手悪魔だ。本来はもう1人居たのだが、現在捜索中である。

 そして若手同士のレーティング・ゲームの開催やらが長々と説明され、パーティーは終盤に差し掛かった。魔王サーゼクスが将来の目標を発表するように言うが、イッセー達には関係無い。

 

 

 そこら辺から持ってきた高級料理を食いながら、ミッテルトの肩を優しく叩いた。

 

 

「ミッテルト、もう起きとけよ」

 

 

「ごめん、寝てたっス。難しい話は苦手で……」

 

 

「苦手、ねぇ」

 

 

 何気に膝の上に乗せている辺り、彼の性癖が伺える。周囲の悪魔や猫姉妹がドン引きしている事にも気付かないイッセー。

 

 

「白音は私が守るにゃ! ロリコンには触らせない!」

 

 

「……身の危険を感じました」

 

 

「俺の扱いが酷くない!?」

 

 

 全く魔力が使えないマッチョが魔王への憧れを告げたり、眼鏡クール貧乳が馬鹿にされたりもしていたが、イッセー達は聞いていなかった。

 こうして、なんだかんだでパーティーは終わった。

 

 

「で、ホテルに戻ってきた訳だが。今後の予定はどうする?」

 

 

「美食巡りとか?」

 

 

「レーティング・ゲームの観戦に行くっスよ! 『皇帝(エンペラー)』ベリアルを生で見たいっス!!」

 

 

「じゃあ順番に行くか」

 

 

 パーティーが思ったよりも長く、お開きになった際には既に夜も遅かった。疲れたのか直ぐに眠ってしまった幼女組を置いて、イッセーと黒歌はワインを飲む。

 やがて酔いも回った頃に黒歌が訊ねた。

 

 

「ねぇ、ミッテルトちゃんが好きなんでしょう? 告白とかしないの?」

 

 

「随分とストレートな質問だな。……まあ、正直に言うと解らないんだ」

 

 

「どういう事にゃ?」

 

 

 彼の脳裏にはかつて暴虐の限りを尽くした己があった。最強の邪神として、恐怖と残酷の代名詞であり続けた過去だ。自嘲気味に薄く笑う。

 

 

「忘れられがちだが、俺は『E×E(エヴィー・エトゥルデ)』から飛ばされた邪神だ。破壊と悪を司る機械生命体だ」

 

 

 

 

「故に、誰かを愛した事が無いんだよ」

 

 

「そんな……」

 

 

「永劫に近い時間の中で、ただの一度もな」

 

 

 グラスを傾けて赤ワインに自分を映した。嘗ての姿からは想像もつかない穏やかな顔をしていた。部下が見れば驚くだろう。

 だが気さくでお人好しな言動とは裏腹に、本質的にはなんら変わらない。

 

 

 イッセーは邪神なのだ。

 

 

「悪いな、折角の酒を不味くしちまった。今日はもう寝ようか」

 

 

「う、うん……」

 

 

 何も言い返せないまま酒盛りは終わった。寝室に消えた彼を見送りながら呟く。

 一部始終を影から見ていた、とある堕天使幼女に向けて。

 

 

「前途多難にゃ」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 翌日以降も美食巡りやゲーム観戦、各領地の特産品等を見に行った一同だが何となく空気が悪化していた。

 その原因はイッセーとミッテルトのすれ違いにあった。

 

 

「お姉様、二人がギクシャクしてますけど」

 

 

「こればかりは私達にどうする事も出来ないにゃ」

 

 

 そう言って遠くを眺めているイッセーを見た。普段なら馬鹿みたいにくっついているのに、最近は別行動している。彼女を意図的に遠ざけているようにも白音は思えた。

 

 

「……寂しいですね。前は笑顔に溢れていたのに」

 

 

「また皆で笑える日が来るにゃ」

 

 

 

 

 その頃、ミッテルトは土産物を見ていた。どうにも居づらくなり一人で行動しているのだ。恋愛成就のお守りを片手にただ溜め息を吐く。

 

 

「ウチは、どうしたら……」

 

 

 グッズを見るのに夢中だった彼女は自分を狙う悪意に気付かなかった。

 

 




穢れた神々



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体育館裏のホーリー
第八話 STRIKES


もし甲虫王者ムシキングの小説を投稿したとして、どれぐらいの需要があるか考えているミスター超合金です


今回は原作六巻に当たります。つまりはシャルバさんの見せ場ですな




 夜が明けて朝になろうとも、ミッテルトは帰らなかった。イッセー達は彼女が何らかの事件に巻き込まれたのだと悟った。

 

 

「どうするにゃ?」

 

 

「……俺が探す。二人は留守番を頼む」

 

 

 それだけ言うとイッセーは早足に部屋を飛び出した。彼の後ろ姿を見送りながら黒歌はなんとなくテレビに視線を移す。若手悪魔同士のレーティング・ゲームだ。

 電源が入ったままになっていたか、とリモコンに手を延ばした彼女は固まった。隣に座っていた白音も言葉を失う。

 

 

「お姉様、今のはッ!」

 

 

「間違いないにゃ……」

 

 

 偶然映っていたリアスとディオドラの戦い。ディオドラが高笑いしながら『禍の団(カオス・ブリゲード)』との繋がりを叫んでいるが問題は彼自身ではなく、その横に立つ男達にあった。

 

 

「テロリストに捕まってるなんて……」

 

 

 彼等の内、長髪の偉そうな男がミッテルトの首根っこを掴んでいたのだ。まるで見せつけるかのように。つまりは人質なのだろう。

 

 

 最強の邪神を駒として操る材料という訳だ。

 

 

「……どうしますか?」

 

 

「言われた通りにするしかないにゃ。勝手に動いて私達まで捕まったら笑えないし」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 時間はリアス達のレーティング・ゲーム開始まで遡る。案の定ディオドラが『禍の団(カオス・ブリゲード)』への寝返りを暴露し、更に旧魔王派代表のシャルバとクルゼレイまで加勢に現れた。

 正直に言えば予め離反を察知していたアザゼル達の想定通りだった。

 

 

 シャルバがミッテルトを捕まえていた点を除いての話だが。

 

 

「私に胃薬を! 胃薬をくれぇぇぇぇぇえッッ!!!」

 

 

 腹を抑えて転げ回るサーゼクス。何処ぞの魔王なり損ないがよりにもよって邪神のお気に入りを拉致したものだから、彼の胃は致命傷を負ってしまった。

 協力者が出てくるまでディオドラを泳がせておこう、などと自信満々に笑っていたアザゼルに至っては魂が抜け出ている。

 

 

「……シェムハザ、後は任せた」

 

 

 

 

 アザゼルが蒼白な顔で遺書を準備し始めた頃、ゲームフィールドもまた大変な事態に陥っていた。

 要するに邪悪なオーラを全身から溢れさせたイッセーが降り立ったのだ。

 

 

「久しいな、メルヴァゾア。最後に会ったのは三大勢力戦争に乱入してきた時か」

 

 

「ミッテルト、少しの間だけ眼を瞑ってくれ」

 

 

「……? 解った」

 

 

 何時もの陽気さを消し去った彼の言葉にミッテルトは首を傾げながらも頷く。眼を閉じた事を確認してから魔力を放出するイッセー。

 

 

「こっちには人質があるんだ! それ以上に妙な真似をすればどうなるか、解ってるんだろうな!!」

 

 

 

 

「──その人質とやらは何処に居る?」

 

 

「なッ!? 馬鹿な、何時の間に!」

 

 

 気付けば捕らえていた筈だったミッテルトはイッセーの腕に抱かれていた。人質ありきで立てた作戦が故に、肝心の人質を奪還されては話にならない。

 つまりは詰みである。

 

 

 滝汗を流す馬鹿三人組を前にイッセーはゆっくりとその姿を、形容しがたい純粋な闇へと変えていく。数千数万からなる歯車が身体を構築し、剥き出しの部品群を覆うは無数の蟲。

 人の形を成さないそれは彼の本来の姿。

 

 

 

 

 即ち、本気を出した『邪神メルヴァゾア』が此処に降臨したのである。

 

 

『…………フム、長ク変身シテイタ影響デ鈍ッテイルナ』

 

 

「あわわわわ」

 

 

 圧倒的な体躯の差は、そのまま実力差を明確に表していると言って良い。広大なフィールドに半身を横たわらせる程の規格外の全長。中央の恐らく顔に当たる部分に巨大な一つ眼と、近くにバリアで護られたミッテルトが浮かんでいた。

 

 

 嬉しそうに眼を細めると、一転して今度はシャルバ達を睨んだ。

 

 

『……滅ビヨ、一片残ラズナ』

 

 

 そしてあっさりと連中を消滅させた。溜め息を吐きながら再び人間の姿へと戻った。

 

 

「終わったぞ、ミッテルト」

 

 

「……助けてくれて、ありがとうっス。その、ウチが弱いせいで」

 

 

「気にするな。これから先、何度でもお前を護ってやる。だから俺の隣に居てくれ」

 

 

 

 

「──永遠にな」

 

 

「うん! イッセーさんもずっとウチの隣っスよ!!」

 

 

 こうして彼等は猫姉妹の元に戻り、帰還祝いのパーティーを行い、更に悪魔政府にまたしても賠償を求め……。

 プロポーズ紛いの発言をしてしまったと互いに気付くのは寝る直前だった。

 

 




逃げちゃ駄目だ。



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放課後のラグナロク
第九話 瞬間、心、重ねて


まあ、反動でこうなります




 旅行から帰ってきたイッセー達は、また元の生活に戻った。だが完全に今まで通りでは無かった。例えば住居の変更だ。

 

 

「このマンションが私達の引っ越し先ですか」

 

 

「そうらしいにゃ。新築の高層マンション、それも最上階。悪魔政府からの賠償だってさ」

 

 

「……ま、ボロアパートよりも遥かに良いですけど」

 

 

 そう言って白音は目の前に聳え立つ真新しいマンションを見上げた。成る程、確かに以前の家とは比べ物にならない。

 

 

「広いユニットバスに最新のシステムキッチン! しかも光熱費やらは全部悪魔が負担! 最高だにゃー!!」

 

 

「ミッテルトさんと同じ事を言ってる……。あれ、そう言えば姿が見えませんね。イッセーさんも」

 

 

「二人で引っ越し祝いの寿司を買いに行くから、先に向かってろとさ。合鍵も貰ってるわよ」

 

 

 ああ、と納得した。どうやら買い物デートらしい。通称『邪神の裁き』と呼ばれるあの一件以来、彼等の距離は大幅に縮まった。ナチュラルにイチャイチャする程に。

 

 

「極端と言うか……」

 

 

「別に良いんじゃない? 見てる方が楽しいにゃ」

 

 

 欠伸をしながら姉妹は仲良くマンションへと歩を進めた。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「いらっしゃいあせー。店内でお召し上がりですかー?」

 

 

 駅前の某回転寿司店で働いて1ヶ月。バイトの山田は珍しい客を見た。シャツにサンダルのラフなスタイルの青年とゴスロリ外人幼女の二人組だ。

 ラフスタイルは暑い夏の季節ともなれば見慣れているが、生で後者を見るのは初めてだったらしく、そのまま口をあんぐり開けていた。

 

 

 だが山田や他の客達の視線にも気付かないまま、バカップルはメニューを片手に注文を始めた。

 

 

「いや、持ち帰りで頼むよ。特上詰め合わせを3つで。ミッテルトもそれで良いか?」

 

 

「それで充分っス! 帰りにコンビニでお菓子も買うっスよ!」

 

 

「へいへい」

 

 

 犯罪臭がする組み合わせである。美人局か、今話題の援助交際か。どちらにしても幼女まで平然と手を染めるとは物騒な世の中だ。

 などと考えながら出来上がった詰め合わせを丁寧に袋に入れていき、手渡す。特上詰め合わせが3つだがイッセーにとっては安い買い物だ。

 

 

「あざっしたー。またお越しくらさいませー」

 

 

「ミッテルト、行くぞ。コンビニに寄るんだろ?」

 

 

「うん!」

 

 

 何にせよ妙な客だった。山田は平常心を保ちつつ、何とか次の仕事に移った。決して羨ましい訳では無い。

 

 

「……抱き着かれると歩きにくいんだが」

 

 

「こんな美少女を侍らせるなんて自慢になるっスよー。必殺、ツルペタおっぱいサンド!」

 

 

「サンドになってないぞ」

 

 

 後ろからの妬みの視線を無視してイッセー達は店を出た。辺りはすっかり暗くなっている。

 繋がった手に自然と力を込めた。

 

 

「さっさと買って帰ろう。あいつらも待ってる」

 

 

 

 

 彼は自分にとってミッテルトが大切な存在なのだと気付いた。彼女を救出した際にはとても安堵したのだから。

 故にもしミッテルトを傷付けるような輩があれば。二人の時間を邪魔すると言うならば。

 

 

 一片の容赦もせずに消滅させなければならない。

 

 

「はっじめまして、邪神メルヴァゾア! 我こそは、ロキだ!! 別世界の神話体系である貴様を排除し──」

 

 

「くたばれ、雑魚」

 

 

 突如現れたロキを一瞬で灰塵にすると何事も無かったかのようにイッセー達は再び歩き始めた。

 

 




今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ。



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修学旅行はパンデモニウム
第拾話 DIVER


イッセーさんは暇潰しで戦争や内戦に乱入しまくった過去があるので、各勢力のお偉いさんと顔見知りです。主にATM扱いしてます(特に魔王)




「オーディンと会談をおこなっただと?」

 

 

『テロリストについて意見交換をしたんだ。過激派のロキが襲撃してくるかもしれないと危惧していたが……、杞憂に終わって何よりだ』

 

 

「あ、襲ってきたから消滅させといた。オーディンに伝えといてくれ」

 

 

『マジかよ……』

 

 

 アザゼルのか細い声が聞こえた。また面倒事を押し付けられたと頭を抱えているのだろう。尤もイッセーにとっては知った事では無いのだが。

 後は宜しく、とだけ告げて術式を一方的に消した。

 

 

「さて、今日はどうするよ。久々に良い天気だが」

 

 

「マリカーや桃鉄も飽きたっス」

 

 

「何処かに遊びに行きたいですね」

 

 

 確かに最近は雨が続いてずっとゲーム三昧の日々だった。流石に身体を動かさないと鈍ってしまう。

 

 

「どうすっかな……。今は秋だし、紅葉でも見に行きたいところだが」

 

 

「それなら京都はどうかにゃー?」

 

 

「良いですね」

 

 

「賛成!」

 

 

 観光雑誌をパラパラと捲りながら呟いた黒歌の意見に満場一致で賛成の声が挙がった。京都なら観光スポットも多いし、良いかもしれない。

 

 

「よっしゃ、京都で決まりだ! 準備しろ!」

 

 

「あいあいさー!」

 

 

 かくしてイッセー達は京都を旅行する事となった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「さあ、京都の美味しいものを食べまくるっスよ!」

 

 

「やっぱり賑わってるにゃー!」

 

 

「そう急ぐな。現地に詳しい奴に心当たりがある。先ずはそいつを訪ねるぞ」

 

 

「メルヴァゾア様!」

 

 

 振り替えると焦った様子の男性が立っていた。首を傾げるイッセー。

 

 

「烏天狗か。そんなに慌ててどうした?」

 

 

「その理由も含めてご説明致します! 先ずは城へ……!!」

 

 

「またイベントか。退屈しねぇな、どうも」

 

 

 彼の説明によると先日、八坂が何者かに誘拐されてしまったらしい。案内された一室にて茶を飲みながら、彼は問う。

 

 

「で、俺達が来たんで八坂を助けて貰おうって算段か?」

 

 

「無論、ご希望の金額をお支払い致します。八坂様を救出して頂けないでしょうか?」

 

 

 イッセーは茶を飲み干すと瞑目した。京妖怪の総大将である八坂とは、彼女が子供の頃からの知り合いだ。このまま見捨てるのも後味が悪い。

 軽く首を鳴らすと立ち上がった。

 

 

「……取り敢えず、宿の手配を頼むわ」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「狐ババアなんざ浚って、何の役に立つんだよ!」

 

 

 次元の狭間に建てられた『禍の団(カオス・ブリゲード)』のアジト。その一角でヘラクレスが苛立ちの声を響かせた。

 ジークフリートが呆れたように諌める。

 

 

「曹操が説明していただろ? 京都にグレートレッドを呼び寄せるからその材料にするって」

 

 

「ちゃんと聞きなさいよ」

 

 

「うるせぇ! 難しい話は苦手なんだよ!!」

 

 

 不機嫌そうに椅子に座るヘラクレスを眺めながら溜め息を吐くジャンヌ。曹操が猿でも解りやすく作戦を説明していたのに、筋肉馬鹿は何も聞いていなかったようだ。

 

 

「頼むから殺さないでよね。お目付け役の私達が怒られるんだから」

 

 

「……それにしても曹操の帰りが遅いね。ゲオルクと一緒に京都の下見に行くだけなのにさ」

 

 

 愚痴を溢すジークフリートにジャンヌも同意した。二人が出掛けてから半日は既に経過している。幾ら何でも遅すぎだ。

 或いは予期せぬ事態に陥ったか、と不安が過った直後。床に転移術式が展開された。

 

 

「おい、帰ってきたぜ」

 

 

「遅いじゃないか、二人共──」

 

 

 だが現れたのは自称英雄では無く、頭にたんこぶをこさえた二人を投げ捨てながら、どす黒い笑みを浮かべている邪神様だったそうな。

 

 

「おいっす、愚かな人間共」

 

 

 

 

「──楽に死ねると思うなよ?」

 

 




Wrth of God.

神の怒り。



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第拾壱話 静止した闇の中で

次回、恒例の原作殴り込み! デュエルスタンバイ!


日間ランキング42位にランクインしました! 応援ありがとうございます!!




 高笑いしながらアジトを次々に破壊していくイッセー。まさに邪神である。

 迎え撃ったジークフリート達はみじん切りにされ、構成員も片っ端から殺された。

 

 

「おい、死にたくなければ八坂の居場所を言え」

 

 

「奥の牢屋に閉じ込められてます! い、命だけは……」

 

 

「解った、死ね」

 

 

 構成員を消滅させ、イッセーは奥へ進んでいく。やがて先程吐かせた通りに牢屋が見えた。モンスターや果ては人間までが収容されたそれらを通り過ぎて八坂を探した。

 一番奥に辿り着いたところで目的の人物が姿を現した。

 

 

「よお、八坂。こんな雑魚に捕まるとはな」

 

 

「メルヴァゾア殿……」

 

 

「京都に戻るぞ」

 

 

 そう言って彼女を担ぐと京都に転移していった。因みにこの日以降、最大勢力の一角だった英雄派は落ちぶれたらしい。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「ただいまー。八坂を救ってきたぞー」

 

 

「お帰りっス!」

 

 

「総大将! よくぞご無事で! メルヴァゾア様には何とお礼を言えば……」

 

 

「礼よりも宿の手配は完了したんだろうな? 俺達は旅行に訪れたのであって、救出はそのついでという事を忘れるな」

 

 

 烏天狗を黙らせると続いて八坂に視線を移す。

 

 

「つー訳で、お前には案内を頼みたい。引き受けてくれるか?」

 

 

「ええ、私で良ければ喜んで。ただ娘の九重を連れていっても構いませんか? 甘味処に関しては私よりも詳しいですよ」

 

 

「別に良いぞ」

 

 

 こうして狐親子の案内も得てイッセー達は一泊二日の京都旅行を満喫した。清水寺や二条城、金閣寺に銀閣寺といったメジャーな観光スポットを巡り、みたらし団子やそばぼうろ等の京都グルメも堪能。

 満足した様子でミッテルトが笑った。

 

 

「ウチはこれ以上食べれないっスよ!」

 

 

「食べ過ぎました……」

 

 

「調子に乗って注文しまくるからだ。悪いな、八坂」

 

 

「良いんですよ。助けて頂いたお礼に奢らせて下さい」

 

 

 呆れたように呟くも彼女は首を横に振った。今回の件の謝礼らしく、寧ろ足りない程だと申し訳なさそうに頭を下げる。

 

 

「流石の俺もお前から金を取ろうとは思わねぇよ。また観光に来るかもしれんから、その時は頼むわ」

 

 

「お待ちしています」

 

 

 八坂と九重は転移していくイッセー達を、深々とお辞儀して見送った。やがて完全に姿が消えると九重が頭を上げた。そこで何かに気付いたのか首を傾げる。

 

 

「……母上。何故、顔が赤いのじゃ?」

 

 

 夕日のせいよ。クスクスと恥ずかしそうに笑う八坂に、やはり意味が解らず頭に疑問符を浮かべる九重だった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「楽しかったにゃー!」

 

 

「お土産も沢山頂きましたね」

 

 

「来年もまた行きたいっス!」

 

 

 帰るなりソファに寝転がる三人娘。ちゃんと風呂に入れよ、とだけ注意してからイッセーは再び出掛ける準備をする。

 

 

「あれ? また何処かに行くんですか?」

 

 

「テロリスト対策の話し合いだ。留守番しててくれ」

 

 

 夜空の下、人気のない公園にまで移動するとそこで術式を拡げ、曹操とゲオルクを放り出した。両者共に拘束されており逃げ出す事は出来ない。

 何故、殺さなかった。睨みながら問う曹操を無視してもう一つの術式を組み立てる。ゲオルクの顔色が変わった。

 

 

「貴様、まさか俺達の神滅具(ロンギヌス)を抜くつもりかッ!?」

 

 

「襲ってきた代償という訳だ。英雄なら誰かの役に立たないとなぁ?」

 

 

「待ってくれ! それを抜かれたら死んでしまう!!」

 

 

「助けて欲しいのか?」

 

 

 英雄の末裔は揃って首を上下させまくる。こんな志半ばで死んでたまるか、と。

 対して某ミリオネアの司会者の如き笑顔となるイッセー。

 

 

「ああ! 生かしてくれるなら部下になっても良い! 俺達には利用価値があると思うが、どうだ!?」

 

 

「……いい台詞だ。感動的だな」

 

 

 

 

「だが無意味だ」

 

 

「え、ちょ」

 

 

 満面の笑みでポチッとな。その瞬間、曹操達の胸から光り輝く神滅具(ロンギヌス)が取り出されると同時に彼等は泡を吹いて死んだ。

 残された神をも殺すというそれらを片方は収納し、もう片方は嬉しそうに自らの胸に押し当てた。

 

 

「『絶霧(ディメンション・ロスト)』は俺が貰い、『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』はミッテルトにプレゼントする……。最高の京都土産だね」

 

 




人は他人を完全に理解することは出来ない。



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邪神のおしごと
第拾弐話 奇跡の価値は


仕事続きで更新できず、申し訳ありませんでした。原作世界からスタートです





「イッセー、その機械の中に入れ! 実験材料が無くて困ってたんだ!!」

 

 

「あんたは自分の教え子を殺す気ですか!?」

 

 

 明らかに怪しい大型洗濯機の前でアザゼルとイッセーが騒ぐ。最初こそリアス達は様子を見守っていたが、流石に制止した。

 

 

「もう止めなさいよ、アザゼル。その機械をどうにかして頂戴。部室が潰れてしまうわ」

 

 

「そりゃ残念だ。こいつは一種のシミュレーションマシンで、入った者が想定される未来の姿になって出てくるんだ。成長して格好良くなったイッセーを見たくないか?」

 

 

「イッセー、入りなさい。部長命令よ」

 

 

 言うなり洗濯機の中に彼を放り投げると、即座にスイッチをポチッ。謎の大爆発が巻き起こったのはその直後だった。

 煤だらけとなった部室。衝撃で吹っ飛ばされたアザゼルが呟く。

 

 

「ゲホッ、やっぱり失敗したか……」

 

 

「聞き捨てならない言葉が!?」

 

 

「成功の母って言うだろ? 大丈夫か、お前ら」

 

 

 ゲホゲホと咳き込みながらも文句を言うイッセー。当然無視されたが。他の面々も文句を言いながら立ち上がった。どうやら無事なようだ。

 一先ず安堵したところで、四散した洗濯機の上に立つ影を見つけた。途端に寒気が彼等を襲う。

 

 

「リアス部長!」

 

 

 咄嗟に庇うイッセー。様子を見ていたリアス達も戦闘体勢に入った。得体の知れないナニカが砂煙の向こうに居るのだ。

 先程まで笑っていたアザゼルも真剣な表情だ。

 

 

「この魔力は主神クラスを越えてるな。……もっと上だ」

 

 

「……責任問題ですよ、アザゼル先生」

 

 

 軽口を叩く二人。構えてはいるものの冷や汗が止まらない。そして煙が晴れて、遂に魔力の主が姿を現した。

 

 

 

 

「強制転移っスかね?」

 

 

「デートの邪魔をするとは、命が惜しくないようだな」

 

 

 呑気な会話を交わす、妙に見覚えのあるゴスロリ幼女と茶髪の青年。一同は思わず驚愕の声を洩らした。

 

 

『イッセーがもう一人!?』

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「要するにそこの機械の故障で偶然、俺を呼び出したと……」

 

 

 元凶を睨みながらもう一人のイッセー(メルヴァゾア)は結論を下した。問題の洗濯機を一瞥しただけで原因を把握する辺り、頭の出来はかなりの差があるらしい。

 残念な方をチラリと見て、アザゼルも頷く。

 

 

「そうだ。申し訳無い事をした」

 

 

「下手に出るなら構わんさ。修理にどれだけの時間が必要だ?」

 

 

 頭を下げるも、意外にもあっさり謝罪を受け入れた事に胸を撫で下ろした。

 

 

「全力で取り掛かって三日だ。無論、その間の生活は俺が面倒を見る」

 

 

 ひたすら様子を伺うアザゼル。騒動の原因という点もだが、純粋に目の前の男が恐ろしかった。仮に機嫌を損ねれば、この場に居る全員で戦っても殺されるのがオチだと悟っていたからだ。

 

 

「胃が……」

 

 

 どの世界でも苦労人のようだ。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「つー訳でこれから世話になる邪神イッセーだ。宜しく頼む」

 

 

「妻のミッテルトっス! 宜しく!」

 

 

「まだ結婚してねぇだろ」

 

 

 二人はなんやかんやで原作イッセーの家に宿泊する事となった。異世界交流を兼ねての事らしい。彼等が自己紹介するとリアスが驚いた顔で訊ねた。

 

 

「もしかして付き合っているのかしら?」

 

 

「籍は入れてないがね」

 

 

「そう……」

 

 

 複雑そうな顔のリアス。恋人と同じ顔をした男が幼女と連れ添っているのだから当然だ。

 今度はイッセーが邪神に問う。

 

 

「いや、待ってくれよ。それよりも邪神って何だ?」

 

 

「説明してなかったな」

 

 

 

 

「俺は元々、『E×E(エヴィー・エトゥルデ)』という異世界からやってきた邪神、メルヴァゾアだ」

 

 

 予想外の言葉に渇いた笑いを浮かべるしか無い原作組であった。

 

 




続、そして終。


非、そして反。



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第拾参話 侵入

取り敢えず、原作世界編は終わりです




 異世界から呼び寄せてしまったイッセーが実は邪神でした。その事実を聞かされた原作組の脳裏にある疑問が過った。

 彼はどれ程に強いのか。一旦考えてしまうと確かめたくなるのが脳筋グレモリー眷属の性である。

 

 

 欠伸を隠さないメルヴァゾアと鎧を装着したイッセーが対峙しているのも当然の結果だろう。

 

 

「模擬戦に付き合って頂き、ありがとうございます」

 

 

「気にすんな。良い暇潰しになる」

 

 

 向き合う二人は鏡写しのようにそっくりで、だが根本的に中身が違う。転生悪魔と最強の邪神。力の差は比べるまでもない。

 それでも邪神の実力を見たくて、こうして模擬戦を頼み込んだ訳だ。意外にもメルヴァゾアもすんなり了承して今に至る。

 

 

「イッセーさん、がんばれっスー!」

 

 

 チアリーダー姿で応援するミッテルトに笑顔で手を振るメルヴァゾア。その様子を見ていたリアスは何だかモヤモヤしていた。異世界の邪神がロリコンだろうと知った事では無いが……。

 どうにも愛する人と同じ顔をした男が、違う女と連れ添っている点に落ち着かないようだ。他の女性陣も複雑な表情をしている。

 

 

 微妙な空気の中でメルヴァゾアは宣言した。

 

 

「五分間、俺はこの場所から一歩も動かないでやろう。退かせたらお前の勝利で構わない」

 

 

「……後悔しても知りませんよ?」

 

 

 流石にカチンときたのか冷たく言い返した。嘗められるにも限度がある。

 

 

『最初から全力でいくぞ、相棒! ドラゴンの力を見せてやれ!!』

 

 

「おう!!」

 

 

 

 

 結論から言うと彼は一ミリも動かせなかった。倍加しまくっての打撃ラッシュを避けられ、蹴りは平然と受け止められた。挙げ句に至近距離から放った特大の魔力砲は素手で握り潰される始末。

 戦いにもならなかった。肩で息をしながら言う。

 

 

「……参りました。完敗です」

 

 

 続けて頭を下げて終わろうとするも、そうはさせねぇとばかりに腕を掴まれた。振り返ればニコニコしているメルヴァゾアが立っていた。滝汗が流れるイッセー。

 

 

「おいおーい、どこに行くんだぁ?」

 

 

「き、木場と一緒に訓練する準備を……」

 

 

「巻き込まないでよ、イッセーくん!?」

 

 

 

 

「すごいパーンチ」

 

 

「あべし!?」

 

 

 物凄い勢いでイッセーは壁に叩きつけられた。ついでに木場きゅんも投げ飛ばされたとさ。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 なんやかんやで機械の修理も終わり、帰還の日がやって来た。

 

 

「世話になった。元はと言えばアザゼルのせいだが」

 

 

「あっという間っスね!」

 

 

「いえ、私達も貴重な体験が出来ました。ありがとうございました」

 

 

 かくして邪神達の異世界旅行は終わった。見送ったリアス達は姿が消え去った途端に安堵の息を吐いたとか。

 

 




またすぐに会えるよ。



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学園祭のライオンハート
第拾四話 WEAVING A STORY


先ずは原作10巻まで描き終わりました




「レーティング・ゲームが始まるにゃ!」

 

 

「次の試合はリアス元部長とサイラオーグさんの対決ですか」

 

 

「サイラオーグに三万」

 

 

 一行はゲームの見物がてら、冥界のゲームスタジアムに訪れていた。無論VIP待遇。他勢力のトップ連中と混ざっての観戦である。

 邪神様に遠慮してか、はたまた恐れているのか。誰も喋らない微妙な空気のまま試合だけが進んでいく。

 

 

「ズルいっスよ! ウチもサイラオーグに賭けるっス!!」

 

 

「あ、じゃあ私も一口乗るにゃー」

 

 

「賭けになりませんよ」

 

 

 挙げ句に博打まで始める始末。しかも一番人気がサイラオーグという有り様だ。文句をぶちまけたいが、やってしまえば試合終了なので何も言えないサーゼクス。頭髪が薄くなったと噂の彼を尻目に博打の波は広がる。

 オーディンや帝釈天は笑いながらサイラオーグを選び、普段は興味を示さないであろうハーデスすら彼の名を言う。

 

 

 最早、誰もリアスを選ばないのか。実兄たるサーゼクスが頭を抱えようとした瞬間、一人の男が手を挙げた。

 

 

「……そんなら、俺はリアス達に賭けようじゃねぇか」

 

 

「アザゼルにしては意外だな。安全牌を選ぶかと思ったが」

 

 

「教え子を信じるのが教師だからよ」

 

 

「……君が親友で良かったよ、アザゼル」

 

 

 下馬評でも勝利確率は皆無と貶されたリアス。そんな彼女の可能性に賭けたのはアザゼル、一人だけだった。金よりも友情を選択した親友に思わず涙が溢れた。

 

 

 

 

「大穴当てて溜まったツケを払いたいんだろ?」

 

 

「……ギクッ」

 

 

 そして秒速で涙を拭った。

 

 

 

 因みに案の定リアスはフルボッコにされてしまい、後に残ったのは多額の負債を抱えてシェムハザにぶん殴られる総督の姿だった。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 満面の笑みで自宅に帰ってきたイッセー達。総督から毟り取った金で酒とご馳走を買い込む辺り、今夜は盛大に飲むらしい。

 幼女組はシャンパンを、イッセーと黒歌はウイスキーを手に乾杯する。

 

 

「他人の金で飲む酒は美味い!」

 

 

「最低な発言だにゃー!!」

 

 

 笑いながら言う黒歌だが、光熱費や家賃その他諸々を悪魔勢力が支払っている事を解っているのだろうか。早くもベロンベロンの姉に呆れながら寿司を食い荒らす白音。何時もの光景だ。

 

 

 馬鹿騒ぎする家族に苦笑しながら、ミッテルトはシャンパンをグラスに注ぐ。すると顔を赤に染めたイッセーが歩み寄った。少し酔っているようだが、その眼差しは真剣だ。

 そのまま何気無く彼女の腰に手を回しながら、告げる。

 

 

「なあ、ミッテルト」

 

 

「急にどうしたんスか?」

 

 

「異世界での自己紹介でお前は言ったな。『妻の』ミッテルトだと」

 

 

「あ、あれは……ッ!! その、何と言うか……」

 

 

 

 

「──嬉しかった」

 

 

「へ?」

 

 

 唐突な告白に思ってポカンとなるミッテルト。そんな彼女が愛しくて、強く抱き締めながら更に紡ぐ。

 

 

「お前が妻だと宣言してくれた時、俺は『いいな』と思った。子供が居て、家庭があって。暖かい未来ってのが頭を過ったんだ」

 

 

「だから、『まだ』結婚してないと言った」

 

 

「イッセーさん……」

 

 

 片膝をついて。お伽噺の王子のように、白く細い左手を取る。

 

 

 

 

「俺と、結婚してくれないか」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 昔、あるところに一人の天使が居た。彼女は生まれつき最下級の力しかなく、故に重大な任務からは弾かれ、毎日を雑用係として過ごした。他の天使達からは見下され続け、そんな連中を逆に見下そうと努力を重ねた。

 天使は何れだけ努力しても、生まれ持った能力が上昇する事は無い。その事実を知り失意のままに堕天するまでは。

 

 

 流れ着いた堕天使組織でも、また雑用の日々があるだけだった。鉄砲玉として扱われる事も珍しくなかった。

 自分は死ぬまでこんな生活を繰り返して、誰にも知られずに呆気なく死ぬのだろう。そう思うようにしていた。

 

 

「……だから、イッセーさんが助けてくれた時。ウチは嬉しかった」

 

 

「ミッテルト……」

 

 

 きっと涙でクシャクシャの顔、誰かに見られたくない顔をしているのに。

 

 

 何故、こんなにも胸元が暖かいのだろう。

 

 

「弱いし、馬鹿だし。ツルペタで、女子力の欠片もないチンチクリンっスけど。こんなウチでも幸せになって良いんスか?」

 

 

「安心しろ。これでも俺は最強の邪神だぜ? ……必ず幸せにする」

 

 

「マジパネェ……」

 

 

 微笑みながら二人は唇を交わした。

 

 

 

 

「遂に結婚だにゃー!」

 

 

「おめでとうございます!」

 

 

「お前ら、雰囲気をぶち壊すなよ!?」

 

 

 何処で用意したのか、クラッカーとカメラを片手に現れる猫姉妹。珍しく照れるイッセー。騒がしい日常の中で彼女は笑う。

 

 

「……これからも宜しくっス。あなた」

 

 




She is a Longinus.

彼女は神を殺す槍である。



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第拾五話 嘘と沈黙

最終回。十年後の話となります




 少年は昼頃に漸く眼を覚ました。両親は出掛けてしまったのか、とても静かだ。

 着替えていると玄関のチャイムが響く。出迎えれば見慣れた二人の女性が立っていた。

 

 

「こんにちは、黒歌お姉さん。それに白音お姉さんも」

 

 

「やっはろー! 元気してたかにゃー?」

 

 

「姉様ったら……。こんにちは、セイマくん」

 

 

 黒髪で変なしゃべり方の黒歌と、白髪でしっかり者の白音だ。なんでも父親に助けられた事があるらしく、今でもこうして遊びに来る仲らしい。

 

 

「イッセーに様子を見るよう頼まれたにゃ。今日はお姉さん達と遊ぼう! ほら、酒も持ってきたし!」

 

 

「……未成年に飲ませないで下さい」

 

 

 言うなり懐から酒瓶を取り出す姉に呆れながら、棚に飾ってある写真に視線を移した。純白の衣装に身を包んだ二人が幸せそうに笑っている。あれからもう十年。早いものだと白音は苦笑した。

 ……そしてハッと気付いた。姉から眼を離した事に。慌てて振り返るも既に遅く。

 

 

 

 

「僕はお姉ちゃん達と結婚するー!」

 

 

「あははは、私もお嫁さんになるにゃー!」

 

 

 セイマは黒歌と一緒に酔っぱらっていた。テーブルを空瓶の山で埋もれさせ、それでも足りないとばかりに新しい酒をがぶ飲みしている。挙げ句に何を狂ったのやら、結婚すると言い出す始末。

 取り敢えずは二人を引き離さなければ。行き遅れを押し付ける訳にもいかない。

 

 

「姉様、いい加減にして下さい。セイマくんも、お酒はまだ早いですよ」

 

 

「やー! 黒歌お姉ちゃんが好きだもん!!」

 

 

「かっこいいー! 惚れ直したから、おっぱいサンドしてあげるにゃ!!」

 

 

「光源氏でも目指すつもりですか!?」

 

 

 必死に止めようとするも彼女の言動は更にエスカレートして、顔を自分の胸に埋もれさせて興奮する有り様だ。いや、今はまだ酒の席での戯れで言い訳出来るが、ニャンニャンした日には確実に殺される。

 顔を真っ青に染めて白音は兎に角離そうとした。だが黒歌も負けじと腕に力を込めた。

 

 

「大酒呑みの姉様を貰ってもセイマくんが苦労するだけです! お嫁さんには私がなります!!」

 

 

「ちょ、喧嘩売ってんの!?」

 

 

「セイマくんは、お姉ちゃん達と言ってくれましたから!」

 

 

 自分達より二回りも下の少年をおっぱいに挟んだまま、言い争う猫姉妹。似た者同士な彼女達の舌戦はヒートアップするばかり。

 そして結局……。

 

 

 

 

「こうなったらセイマくんに決めて貰おうか」

 

 

「上等です。どちらが魅力的か、白黒ハッキリさせましょう」

 

 

「待って、それはズボン──」

 

 

 このあと滅茶苦茶ニャンニャンした。因みに帰ってきたイッセーとミッテルトにぶん殴られたのは言うまでもない。

 

 




Those women longed for the touch of others' lips, and thus invited their kisses.



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第拾六話 Splitting of the Breast

キャラクター紹介となります。今まで応援ありがとうございました。




▼メインキャラクターファイル

 

 

 

 

 名前 メルヴァゾア(イッセー)

 

 

 種族 邪神

 

 

 性別 男

 

 

 好物 和食

 

 

 宝物 家族

 

 

 神器 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)

 

 

 備考 異世界『E×E(エヴィー・エトゥルデ)』からやって来た最強の邪神。様々な戦争に介入しまくった過去を持つはた迷惑な御仁。この世界で幼女の素晴らしさに目覚めたのか、ミッテルトに徐々に牽かれていった。

 

 

 一言 クールなイッセーです。ロリコンです。

 

 

 

 

 名前 ミッテルト

 

 

 種族 堕天使

 

 

 性別 女

 

 

 好物 美味しければ何でも

 

 

 宝物 指輪

 

 

 神器 絶霧(ディメンション・ロスト)

 

 

 備考 クルクルパーなロリ。ゴスロリでギャルという貴重な属性を駆使して、邪神様にANGEL ATTACKした。結ばれた。

 

 

 一言 間違いなく原作から変化したキャラクター。彼女をぬっ殺した無能姫は許さん。

 

 

 

 

 名前 黒歌

 

 

 種族 転生悪魔(元猫又)

 

 

 性別 女

 

 

 好物 酒

 

 

 宝物 家族

 

 

 武器 妖術、仙術、魔法

 

 

 備考 白音が居ると聞き付けて邪神の家に押し掛けた猫。中々に進展しない二人をからかったりしているが、本心では保護してくれた事に感謝していたり。実はショタコン。

 

 

 一言 うん、変わっていないですね。

 

 

 

 

 名前 白音

 

 

 種族 転生悪魔(元猫又)

 

 

 性別 女

 

 

 好物 美味しいもの

 

 

 宝物 家族

 

 

 武器 妖術、仙術

 

 

 備考 コカビエルに犯されかけてたところを助けられ、姉と一緒に転がり込んだ。これまたショタコン。

 

 

 一言 幸せそうで何よりです。

 

 

 

 

 

名前 セイマ

 

 

種族 邪神と堕天使のハーフ

 

 

性別 男

 

 

好物 お母さんの手料理

 

 

宝物 家族

 

 

武器 父親ゆずりの莫大な魔力、母親ゆずりの黒翼と光力

 

 

備考 お二人の息子。今年で十歳なショタ。後に猫又の姉妹を嫁にしたとか。逆光源氏(ry。

 

 

一言 幸せそうで何よりです(うらやまゲフンゲフン)。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 

 

▼後書き

 

 

どーも、ミスター超合金であります。読者様の応援のお陰で無事に完結を迎える事が出来ました。本当にありがとうございました。

 

 

 凄まじいラスボス感が漂う邪神さん、メルヴァゾアがイッセーを名乗るというストーリーの拙作。完全な思い付きで息抜きも兼ねて描いていたのですが好評価を頂き、こうして続いた訳であります。

 ヒロインにはロリ枠で有名なミッテルトちゃん。同居人に猫姉妹。作者の趣味丸出しな人選でした。途中まではアーシアをサブヒロインにしようかとも考えていましたが結局ボツに……。アーシアちゃんは幸せに暮らしております。

 

 

 で、最後にちょこっと登場したセイマくん。アホ毛のショタです。酔っぱらって行き遅れの猫さんに結婚宣言かまして、姉妹に襲われ、後に本当に嫁さんにしちゃった物凄い人。

 

 

 それでは皆さん、ありがとうございました。

 

 




かくして非日常シリーズの『この物語』は幕を閉じた。



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