半人半ゾンビは数の暴力を繰り出した!ヴィランは死ぬ! (なのはな寮長)
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第1話 明らかにゾンビはヒーロー向けじゃないよね

どうも、最後に6話を投稿したのが1年半前という現実を見て書こうとするも、7話を書くのはなんか凄い気が乗らなかったからそれを誤魔化すために黒歴史をリメイクした者です。
今回は主人公がイスを取りに行くらしいです。


 ある女性が1人、立ち尽くし絶句していた。

 まぁ無理もない。彼女の目の前に広がるのは見たことも来たことも、聞いたことも。来ようと思ったことさえない、だだっ広い花畑。

 彼女はそう、確かに少し前の時間。こんな自然豊かな場所ではなく、灰色と黒でいっぱいのコンクリートジャングルにいた。花など申し訳程度のものしか見かけなかったし、新鮮な土など久しく踏んでいない。

 女性は何が起こったのか、そして起きているのか、全くわからなかった。

 

「……っあー……待って待って待って……ん”ん”、なにこれ?なんで私こんなトコいんの……?」

 

 誰が見ているわけでもないのに女性は左手を顔に当て、右手を前に突き出しオーバーリアクションで待ったをかける。どうやら言葉は出せるようになっても、混乱状態は続いているようだった。

 

「私さっきまでほら……えーと……あれ何してたっけ……?……っそうだ!確か……」

 

 本当に少し前の時間、アスファルトの地面を踏んでいたあの時間。そこから現在に至るまでの過程を女性は振り返ってみる事にした。

 過程がスッ飛び、結果だけが残るなどありえない。そう思い続けながら目を瞑り、思考を深めていく。

 

「(あれは……そう。買い物をした帰りだ……結構行く店だったから、帰り道もいつもの固定された道だった……)」

 

 女性の頭の中には、買い物袋を持って歩き慣れた道を歩く自分が思い浮かんでいる。こんなにすっと思い付くのは、相当そこを歩いているからなのだろう。

 

「(あぁ……あそこは数日前おじさま方が工事していたところ……もう特に問題が無さそうだからそこを歩いたんだ……)」

 

 想像上の女性は躊躇わずに舗装工事されていた場所を歩き、マンホールの蓋に足をかけた。その瞬間。

 

「(……っ!!……そうだ……!!思い出したぞ……!!)……私はマンホールから落ちたんだ……!!あの時足をかけたマンホール、蓋はあったけど無かった(・・・・・・・・・・・)んだ……!!すり抜けた……!だから落ちた……!!しかもなぜか、真っ逆さまに(・・・・・・)

 

 彼女の言っていることは狂言に聞こえそうなものだが、確かにそうなのだ。彼女が踏んだマンホールの蓋はすり抜けた。まるで幻覚だったかのように。

 それに真っ逆さまというのもおかしい。成人した女性が足から落ちれば、下まで落ちる間にひっくり返る可能性はほぼない。

 というかそもそも、足を揃えて両足でぴょんとでもしない限り、全身がその狭さの穴に落ちるわけがないのだ。片足で踏み込んだのならもう片方はほぼ引っかかるはずだ。

 だが彼女は落ちた。あったはずのマンホールを片足で踏んで真っ逆さまに頭から。

 

「……って事は……頭から落ちたって事は……。私ってば──」

「あぁ、死んでいるぞ」

 

 突然、背後から自分の言おうとしていた質問に先回りして答える声がした。

 慌てて後ろを振り返り、声の主を確認しようとする。……が。

 

「……あれ?っかしーな……声が聞こえたと思ったんだが……」

 

 女性の視界にはおおよそ声を出せるような何かは見受けられなかった。正面はもちろん、右を見ても左を見ても、それらしき何かは一向に見つからない。……と、その時。

 

「……こっちだ馬鹿者!!」

「うおわっ!?……って……ん?」

「貴様っ……!我を見て見ぬ振りをしようとは……!!中々度胸があるやつだ……!!」

 

 女性の視界の下から自己主張するように大きな声が聞こえ、驚きながらそちらを見る。

 そこにいたのは、小学校低〜中学年くらいの身長の少年だった。髪の色は珍しくもない黒一色だが、顔立ちは大変整っていて、声もまあ身長にあっている幼くて可愛らしい声だ。

 ただ、その目は女性をひたすらに睨んでいるし、口調もなんだか高慢な感じがするが。

 

「……君もここで迷子なのかい?」

「〜〜〜っ!!子供扱いするなぁっ!!」

 

 女性がそんな言葉を少年にかけると、怒って顔を真っ赤にしながら抗議してくる。

 この少年は子供として見られるのが嫌いらしい。だがどう見ても言い訳のしようのないくらい子供である。

 

「う〜っ……!!舐めた態度を取ってくれるな……!我はそう……貴様らで言う神だぞ!もう少し何かあるんじゃあ無いのか!?」

「何か……?……はい、のど飴」

「いらぬわ!!我が言っておるのは、その態度のことだっ!これでは話が一向に進まぬぞ!?」

 

 女性がポケットから取り出したのど飴を手で弾き、更にきゃんきゃんと子犬のように吠え続ける神を自称する少年。

 女性はそれならとチョコレートを手に持っていたバッグから取り出そうとして……ふと、少年の言ったある単語が耳に止まった。

 

「話……?話って……この私の状況の事とか……?」

「そうだ!いいからほらっ!!そこに直れっ!!一から説明してやる!だが我は立ったまま話すぞ!我は上!貴様は下だ!!」

 

 どうやら見下されるのすら腹が立つといった様子だ。女性は頭に?を浮かべながらも、説明してもらえるのは大助かりなので、少年に言われた通りに正座して座る。

 

「こほん……まず前提を話してやろう。さっきも言ったが、貴様は死んでいる。穴に頭から落ちてな」

 

 薄々本人も気付いていたが、こうもあっさり告げられた。女性は少々へこんだが、ここで『前提』という言葉を思い出す。前提と言う事は、まだ何かあるのだろう。

 夢だったら万々歳だし、夢じゃなかったら純粋にブチ切れればいいと彼女は思い、冷静に話を聞き続ける。

 

「……じゃあ、私が死んでいて、君……いや、あなたが神だと言うなら、ここはあれですか?死後の世界とか言うやつですか?」

「貴様たちの言葉で言うならそうだ。ただし、ここはちょっと違うがな」

「……違う?違うって……何がです?」

 

 少年の何か引っかかる言い方に、急いで問い詰める。今のこの状況は何もかもが謎だらけだ。しれる事は少しでも多く知りたいと迫るのは不思議ではない。

 

「……全ての生物にはな、運命というものが決められており、決められたものは誰もがその運命に従って行動する。貴様らが選択しているつもりでも、実際は全て運命通りという事だ」

「……は、はい?いきなり何を……」

 

 脈絡のない話題の振り方に女性が困惑していると、少年は急に顔を青くしながら言葉を紡ぐ。

 

「……つ、つまり……だ。その……我が仕事で張り切りすぎて、死ぬのがまだ先だった貴様を間違えてこっち側(死後の世界)に連れてきてしまったのも……その……な、長い目で見れば運命通り……というわけ、なんだが──むぐぅっ!!」

「あ〜……ごめん……。聞き間違いかな?今君の口から間違えて殺しちゃった☆みたいな言葉が聞こえた気がするんだが……?」

 

 少年の両頬をつねりながらふつふつと怒りの感情を露わにする女性。感情が高ぶるあまり、身体が震えてすらいる。

 少年が女性の質問を肯定するようにつねられながら頷くと、その怒りは一瞬で我慢の限界を迎えた。

 

「……流石にこれは運命だなんだじゃあ納得いかねえなぁオイ!!?なぁ!!どう繋がっ、償ってくれるんだよなぁ!!とりあえず私を元の場所に返せやっ!!」

 

 少年の頬を上下左右に引っ張りながら、不平不満を男のような口調でぶつけ続ける女性。対する少年はと言うと、涙目になりながら腕を振って頰をつねられる痛みに悶えていた。

 

「ひゃ、ひゃめろひんげん!ふぁれをられらとふぉふぉろえる!!ふぁれはひらいなるふぁみらろ!!ひゃ、ひゃめろふぉいっへ──い、いふぁいいふぁいっ!!もうひゃめへぇええっ!!」

 

 その後も女性は降伏した少年の頬を4〜5分つねり続け、ある程度スッキリすると手を離した。

 

「うぅぅ……まだひりひりするよぅ……」

「何がよぅ、だ。キャラ全然違うじゃねえかお前」

「あ、あれはその……僕はこんな見た目だからせめて態度は大きくして舐められないようにと……」

「んなことのために私こんなに怒ってんじゃねえんだよ。お前とりあえず……この状況の詳しい説明しろよ……!」

 

 涙目でへたりと座り込み、すっかりしおらしくなった少年は赤くなった自分の頰を撫でている。対する女性はというと、ヤンキー座りをしながら彼の真ん前で睨みを効かせていた。性別を変えたら職質待った無しの絵面である。性別を変えずとも危ないことに変わりはないが。

 

「ひぃいっ……!!わ、わかりましたぁっ……!!だから怒らないで下さいっ……」

「おーし良い子だ。じゃあ言えっ、早くっ、ほれっ、言えっ」

「あうぅ……急かさないで下さいぃ……」

 

 一転して、なよなよした雰囲気を纏う少年にさっさとしろと急かす女性。花畑という大変ファンシーでメルヘンな場所ではあるが、この状況はそれでは誤魔化しきれなかった。

 

「えっと……さ、さっきも言った通り、僕が貴女のことをミスで殺してしまったんですが……ご質問などは……」

「……もう質問に移るのかよ」

「い、今話したことが一応全てなので……」

 

 極シンプルな説明だけしてすぐに質問に移る少年に思わず突っ込みを入れる女性。

 それに対し、少年は申し訳なさげにそう言った。

 

「……まぁいいや……。じゃあ聞くが、私は元に戻れるのか?」

「いえ……っ。それは……ちょっと……」

「なんで?」

 

 その質問に対し明らかに出来ない風な態度を取る少年に、女性はかなりの殺意を込めて再び質問をする。どうやら色々なことがかなり頭に来ているようだった。

 

「……僕も良く知りません……上が決めた事ですから……」

「じゃあ私をそのお偉いさんの所に連れてけよ。直談判するわ」

「もちろん無理ですよ……」

「……ですよねー……。……はぁ、じゃあ私はこれからどーすりゃいいの?よくある閻魔様に会って天国か地獄に連れてかれんの?」

 

 ダメ元で言った策をあっさりと断られ、頬杖をつきながらため息混じりにこれからの自分の事を聞く女性。

 それを聞いた少年は、やっとか、と言った表情を浮かべながら、再び語り始める。

 

「……いや、貴女の場合は違います」

「……?私の……場合……?どういう事……?」

「かなり最初の話になるんですけど、貴女の、ここは死後の世界ですか?という問いに、僕はここはちょっと違うと答えましたよね?」

「ん?あー……うん……そうだね……」

 

 少年のその質問に、目を泳がせながら歯切れ悪く答える女性。ここまであからさまに忘れている感を出されると、一周回って怪しく見えない。

 

「……忘れてましたね……まあいいです。あの時僕はとりあえず今の貴女の状況を教えることが先決だと思い、そちらを優先しました。……という事で今度は、この場所の正体について教えます」

「なんか話が急展開だな。長くなりそうなら三行でまとめて」

「ここは一応死後の世界ですが、

転生する運命を持つ人を、

転生させる場所です」

「……また運命か」

「また運命です。今のを普通に説明していたらもっと聞けましたよ」

 

 見事に三行でまとめた少年に対し、食べ飽きた物が食卓に出された時のような表情で呟く女性。

 少年も我慢してくれという顔で話を続ける。

 

「じゃーもう……さっさと転生させてくれ。もうこれ以上その言葉は聞きたくない」

「……分かりました。しかし対応力が高すぎて逆に不気味ですね……」

「下界では転生って言葉もわりと食傷気味なくらい聞くからさ、予習はバッチリなの」

「えぇ……ま、まあいいです。でもその前にいくつかやることがあります。まず、転生する先の世界を見て、説明しなければなりません」

「いーよそんなの説明しなくて。ノーサンキュー」

「ダメです。その世界の状況は知っておかないとダメなので説明します」

「いいです」

「ダメです」

「いいです」

「ダメです」

「いい」

「ダメ」

「……教えて」

 

 女性は結局押し切られ、しぶしぶと少年に説明を求めた。

 

「はい、では説明させて頂きます。貴女が行く世界は……まぁかなりざっくり言えば、『個性』という不思議な力を備えた人が沢山いる世界です」

「……個性……?」

 

 早速気になるワードを耳にして、それに疑問を持つ女性。少年はそれに対し、まさかと言う顔で聞き返した。

 

「……ご存知で?」

「いやさ……私は読んだことないんだけど、知り合いが私に読ませたくて最低限の基礎を必死に説明してきた漫画があってね……そん時聞いた説明が、ドンピシャでその世界の世界観と一致してんのよ。あくまで偶然だろうけど……」

「……その漫画のタイトルは?」

「え……?た、確か……『僕のヒーローアカデミア』……だった気がするけど……そんなこと聞いてどうすんの?」

 

 少年の質問に一瞬戸惑い、うろ覚えの頭からなんとかタイトルを引っ張り出した女性。それを聞いた少年は目を瞑り、額に手を当てて何かを考えるようなポーズを取る。それを30秒ほど続けると目を開けて、女性にこう伝えた。

 

「……はい、ドンピシャビンゴです。貴女の言った『僕のヒーローアカデミア』と、貴女が転生する世界は、寸分の狂いもなく合致します」

「うわぁ……マジで……?」

 

 自分が過ごす第二の人生の舞台が漫画の世界、と心の中で驚愕する女性。別の世界をオーダーしようとも考えたが、おそらくこちらに世界を決める権利は無いのだろう。どうせ運命で片付けられる、と察して提案するのをやめた。

 

「……そういえばさっき言ってましたよね。最低限の基礎を教えてもらったと……」

「んまぁ……そうだね……」

「それならここの説明飛ばしていいですね」

「飛ばすの!?」

 

 まさかの言葉に声を大にして突っ込みを入れる女性。

 

「いやだって……知ってるなら言う必要ですし、貴女も時間短縮できていい事ずくめだと思いますが……」

「……それもそうだったわ……ってか待って。僕のヒーローアカデミアの世界って確か……バリバリのバトル系だったよね……なんか……雄英?とかいう学校の生徒が主人公でしょ?キャラ自体は知らないけど……」

「えぇ、一般人を除いて結構どんぱちやる人が多いようです」

「……私どーすんのよ?個性的な自覚はあるけど個性なんてもってないぜ?もしかしてデビルの実とか幽波紋とかくれんの?」

 

 人差し指を立てて説明する少年に、不安そうな顔でそう質問する。だが、ジョークを交えれるあたり余裕もありそうだった。

 

「貴女がお望みとあらばそれでもいいでしょう。貴女が望む何かを授けられて送り出されるのも運命」

「まあ、便利な言葉ですこと……しかし何か……ねぇ……戦いに使えるもんがいいよね多分……」

 

 なんだか上品な雰囲気で皮肉を呟きながらも、顎に手を当ててその望む何かとやらについて考え始める。

 

「ええ、貴女の転生先での運命は、一般人の送る植物のような平穏な生活ではありませんので」

「やっぱりかよ、ふざけんなこの野郎運命」

「それは僕に言われても……」

 

 少年のお告げを聞いて静かにガチギレする女性に対し、困った顔で応対する少年。

 そんなふざけたやりとりを終えると、女性が閃いたように言った。

 

「……あっ、そうだ。じゃあさ。こういうのってアリ?」

「……?どういうのです?」

「ば、バイオハザードのウイルスを操って、感染させたものを使役できる……みたいな……」

「……」

「……」

 

 望む能力を要求しているうちに、なんだか中学二年生レベルの妄想を垂れ流している気分になり、少しずつ顔が赤くなっていく女性。

 その心境は、穴があったら入りたいなんてものではないだろう。次第に両者無言になっていき、女性のメンタルがそろそろ砕け散りそうになったところで少年が助け舟を出した。

 

「……出来ますよ」

「マジで!?」

 

 それを聞いた女性の顔がとても嬉しそうになると同時に、心の耐久値もギリギリのところで回復した。

 

「ええ、でもさっき言ってたような物じゃなくていいんです?もっとこう……とんでもないもの要求するものだと思ってましたが……」

「いーのいーのっ!」

 

 なぜ女性がここまでうきうきとしているのかというと……多趣味な彼女の漫画アニメゲームその他諸々の『娯楽』に分類される知識の中では、もちろん好きなもの嫌いなもの多々ある。が、その中で取分け好きな物が『バイオハザード』である。

 別にゲームについて特別詳しかったりとか、プレイが凄く上手かったりとか、敵が話すスペイン語の空耳を集めた動画を小一時間見続けたりとかをするほどのガチ勢ではなく、ただ単に彼女はバイオハザードが好きなエンジョイ勢なのだ。

 それに彼女は操作するキャラクターより、敵であるクリーチャーの方がよっぽど魅力的に映るらしい。

 好きを優先してこれからの人生でトップクラスに大事になるものを決めてもいいのか不思議でならないが、まあ彼女がいいならいいのだろう。

 

「……ですが、さっきの願いはかなり大雑把過ぎます。もう少し細かいところまで具体的に言ってもらえたら助かるんですけど……」

「……言わなきゃダメ?」

「ダメ」

「どうしても?」

「どうしてもです。まあ、不明瞭な情報で作った能力でトラブルが起こっても、僕は責任取れませんから」

「……説明させて頂きますぅ……」

 

 さっきみたいな説明でもメンタルが爆音で危険信号を発していたのに、再びあの中二妄想をより詳しく細かくぶちまけたら確実に心が弾ける自信があったので、女性は説明を全力で拒否しようとしたが、流石に自分の命が関わってきたら話は別なのだろう。不本意を固めて作ったような表情で、しぶしぶと自分の欲しい能力について説明を始めた。

 そして十分ほど経ち、女性がある程度の説明を終えると今度は少年が最終確認としてオーダーをとったファミレスの店員のように欲しい能力について繰り返した。

 

「ふぅ……これでいいです?」

「……っはいっ……ぐすっ……!いいですぅ……」

「泣かないでくださいよ……僕だってこんな長いこと喋るのしんどかったんですから……それに、細かく設定してくれたおかげで僕もイメージを掴めました。だから貴女の恥ずかしい思いは無駄じゃないですよ」

 

 自分の妄想を他人の口からリピートされ、羞恥心のあまり顔を真っ赤にして泣き始める女性。なんだかいたたまれなくなった少年は背中をぽんぽんと叩きながら慰めの言葉をかける。

 

「えぐっ……うぐっ……」

「ほら、いつまで泣いているんです。もう能力も作りましたし、後決めることは任意ですし、それ終わったら転生ですから。もうひと頑張りして下さいよ」

「……その任意の事って……?」

 

 あと少しと聞くと、女性はごしごしと手で涙を拭ってその任意の事とやらの詳細を少年に問う。黒歴史となるであろう情報を知られた者から出来るだけ早く離れたいのかもしれない。

 

「ええ、せっかく転生……新しい人生を始めるんです。見た目や名前……変えたかったりしませんか?」

「……そうねぇ……まぁ、ここまで来たら妄想ぶちまけちゃいますか。見た目はそうだな……赤髪赤目で。出来れば上の中くらいの容姿にして欲しいかな……。名前は……うーん……骸牙……骸牙菌華でお願い出来る……?」

「ええ、お安い御用ですよ。そのように手配します」

 

 その要望に少年はこくりと頷き、さらっと了承した。その程度は神からしたらお茶の子さいさいなのだろう。

 

「あ、あぁ……ありがと……」

「……まだ何か不明な点など?」

 

 が、しかし、自分の要望にお安い御用と自信に満ち溢れた答えを返されてなお、女性は不安そうな顔をしている。

 それがあまりにもわかりやすく態度に出ているものだから、見兼ねた少年はつい女性にどうかしたかと質問をした。

 

「いやさ……私ってこれからいわゆる特殊能力を持って、僕のヒーローアカデミアの世界に転生するわけでしょ……?」

「ええ、その通りです」

「……私それの使い方とかもちろん知らないんだけど……いざ使う時どうすればいいの……?使い方はご存知のはず、とか言われても分かるほどの理解力は私には備わってないんだけど……」

「そこをなんとかアドリブで頑張れません?」

「もしかして実は死神だったりする?」

 

 この先のことを考えるとかなり重要そうな悩みを女性は打ち明けるが、それに対して少年は物凄く軽く端的に死刑宣告にも等しい言葉を女性に投げかけた。

 少年から結構どんぱちやる世界と聞いていた彼女からしたら、ちょっと遠回しに死ねと言われているようなものである。よく言われる言葉だが、やはりどんなものもいくら凄いものだろうが使えなければ意味がないのだ。

 

「違いますよ。もちろん冗談です」

「本当にか……?」

「……本当です。で、ちゃんとした質問の答えがあるんですけど……」

「おい待てい。お前今答えが出るのになかなか時間かかってただろ」

「いやかかってませんけど」

「嘘こけぜってーかかってたぞ」

 

 事実、少年は本当です、と答えるのに5秒ほど何も言わなかったのだが、彼はそれを頑なに認めようとせず、別の話題に逃げようとする。神のくせにやる事がなんとも小賢しいものだ。

 しかし女性も命に関わる事なので、流石に食い下がって少年を問い詰めていく。だが少年はすっとぼけ続け、目を明後日の方向にそらしていた。

 

「まぁそんなことは置いといてですね」

「置くな、今消化しろ」

「それで能力の使い方についてなんですけど」

「スルー?ここにきてまさかのスルー?お前この野郎……」

「転生した直後から、最低限の能力の使い方を知識として貴女の頭の中に入れておきますね」

「いいじゃん。気に入ったわ」

 

 もはやこちらの意見や言い分を全く聞こうとせず、1人で喋り続ける少年に女性がそろそろその頭に拳骨を落としてやろうかと考えていると、自分がついさっき彼にした、能力を使うためにどうすればいいか、という質問の答えがとても良い物だったので、つい怒りを忘れてそちらに食いついた。

 というか、彼女は自身の安全を守るためにそう彼に質問したのであって、最終的に自分が無事に生きていく何かしらの術を持てるのなら、少年が答えるのに時間がかかったかかってないなんて下らない過程はさして問題ではないのだろう。

 

「それは何よりです」

「……でもこれ……すげーご都合主義だよね……人の知識に介入とかどうなってんの……?」

「……詳しくは言えません。ただ言えることは、能力や容姿、名前などと一緒で、出来るサポートはやれるだけやりますよ」

「……ま、こっちは助かるからいっか」

 

 自分では到底わからない事象についてこれ以上深く考えるのが面倒になった女性は、早々に自己完結してこの事について思考するのをやめた。

 そして少年はその様子を見て、ようやく転生に必要な全ての行程を終わらせたと思い、最後の仕上げに取り掛かる。

 

「……さて、ようやく転生の時間です。最後に何か聞きたいことはありますか?

「はいはいはいはい一つありまーす」

「何でしょう?」

「……お前さ、言葉遣いとかコロコロ変わってたけど、多重人格か何かなの?」

「えっ……?あ、あ〜……あれはですね……」

 

 少年は転生についての疑問か何かを聞くかと思っていたが、まさか自分の態度の事だとは予想もしていなかったので一瞬戸惑ったが、特に隠すような事でもないのですぐにその質問に答え始めた。

 

「これは言いましたけど、最初の僕は舐められないように虚勢を張ってたんです。こんな見た目ですし、態度くらいは大きく……と」

「その結果あんな一部の性癖に刺さりそうなもんが出来上がったってのか」

「言い方が良くないです……で、あのなよなよした僕は、単純に頰をつねられたり怒鳴られたりで縮こまっちゃったんです」

「いやむしろそれで済んだだけありがたく思えよ。殺されたんだよこっちは」

「それに関してはすみません。……で、今の僕が素です。こんな感じでいいですか?」

「なーるほど……ま、大体わかったわ。じゃあもう聞くことねーよ」

 

 少年の性格の変わった理由を聞いて頭の中の疑問が無くなった女性は、スッキリとした顔ではよ転生させてくれと言わんばかりの態度を取る。

 

「それは何よりです。……では、始めましょうか……」

 

 少年もその態度を見て早々にこの話題を切り上げ、真剣な表情で両手を女性の方に向ける。すると、女性の足元が緑豊かな地面から、青と紫と黒をいたずらにかき混ぜてぶちまけたようなおぞましい色の何かに変わっていく。

 彼女の足がゆっくりとそのサイケデリックな何かに沈み始めているあたり、材質は泥や沼のそれだろう。

 

「……ねぇこの……何?これ何?このいかにも口にしたら頭弾け飛んで死にますみたいな色してるドロドロ何?」

「あぁ、それは転生するためのゲートみたいなものです。全身が沈んだら転生完了です」

「いや……どうせならもっと神秘的な感じに送り出してよ……めっちゃベタベタして気持ち悪いんだけど……」

 

 女性が興味本位でゲートを掬うと、手に収まりきらない分がこぼれ落ち、粘着質な音を立てて沼に着地する。そして同時に、女性はこのゲートに触れた事を心底不快そうな顔をして後悔した。

 温度は冷たくもなければ暖かくもない、一番気持ち悪い温度。重さはそれなり。質感は噛み終わったガムと泥を足して2で割った感じ。新しい人生の始まりとしては最悪である。

 

「あ、そういえば言い忘れた事いくつかあったんで伝えておきますね」

「それこのタイミングで言う?」

「すいません。で、その言い忘れた事というのがですね……」

 

 腰辺りまで沈んだ女性に今更言い忘れた事を伝えようとする少年。女性が突っ込むも、少年は軽く流して本題へと入った。

 

「まず、貴女の能力についてなんですが、多分真っ当な人間をやってたら動物ならともかく人の死体なんて手に入らないでしょう?サービスで30人分。転生した直後から出せるようになってます」

「え……あ……ありがとう……」

 

 少年から告げられた内容が予想していたことよりも悪くなく、それどころか良いことですらあったので少し拍子抜けしてしまう女性。しかし、人生楽あれば苦もあるもので、それで終わりとはいかなかった。

 

「次に、貴女は転生した瞬間から高校一年生です。設定としては小さな頃に両親が亡くなり、親戚の人に引き取ってもらってその歳まで育ち、親戚が海外に移住するタイミングで高校生になって、親の残した遺産で一人暮らしを始めた16歳……です。ちなみに高校の名前はさっき貴女も言っていた『雄英高校』。貴女はどうしても行きたかったその学校に見事受かり、入学した……という設定……もとい運命です」

 

 もう既に肩まで浸かっている女性に、もはや言う側も聞く側も飽きたであろう言葉「運命」口に出す少年。

 というかさらりと言ったが、16年を一気に短縮され、さらに行く高校まで決められているというのはどうなのだろうか。

 

「……え?いや……え?ちょっと待ってマジで言ってるそれ?」

「マジです。ちなみに入学には成功したけども、初登校の日に運悪く体調を崩し、後日改めて行く……という運命でもあります」

「いや嘘だろお前!?この状況で言わねーだろ普通!!今私首まで浸かってんだよ!?早よ言えやそれ!!死体の話ならともかくさ!!そうなるんなら色々あるんだよこっちにも!!心の準備とかよ!!」

 

 案の定、女性は最初に死んだと告げられた時のように声を大にして怒り始めた。まぁ自分の前世と来世をここまで引っ掻き回されたとなれば、怒るのも当然であるが。

 

「……実はその……もう一つあるんですけど……言い忘れた事……」

「……何?」

 

 怒鳴り散らしている女性を前に、おずおずと挙手しながらまだあった伝え忘れた事を言おうとする少年。女性はあからさまに不機嫌になりながら、その忘れた事について問う。

 

「えー……っとぉ……その……て、転生した日が、貴女が学校に登校する初めての日なので……ち、遅刻しないように──」

「間ァ置けや!!なんで転生直後に登校しなきゃいけねぇんだよ!!せめて1日か2日前に出せよ!!マジお前ちょっ……今度会ったら──がぼっ!ごぼぼぼっ!!……ごぶっ……!!」

 

 少年がすっかり縮こまりモードで話した内容にさらに怒りの炎を燃やして叫ぶ女性だが、タイミング悪く話している途中で全身が沼に沈み、意識がどんどん薄れていく。

 

「……今度会ったら……何だろう……」

 

 女性が全身沈んだことを確認して、再び手を前に出してゲートを閉じる少年。そして青空を仰ぎ見ながら、女性の捨て台詞にも似た言葉を反芻した。

 

「……僕のせいじゃあ……ないんだけどなぁ……」

 

 少年は、今度会った時は何かされる前に説明し直さなければと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……クソッ……ぜって……許さん……。……って、どおおおぁっ!!?何ここっ……!?え……!?どこ……。……いや待て……そういえば私の部屋なわけがねぇや……ま、しかし、いきなり知らない部屋ってのはびっくりするもんだな……」

 

 何やら寝言を呟きながらゆっくりとまぶたを開くと、そこにあったのはいつもの見慣れた部屋ではなく、全く見覚えのない部屋。

 汚れてはいないが特別綺麗というわけでもない。勉強道具がびっしりと並んでいるわけじゃないが、アニメのグッズなどがたくさんあるわけでもない。普通の女子高生らしい部屋だ。

 女性……もとい菌華が驚きながら凄い勢いで起き上がり、改めて自分の今の状況を把握する。

 彼女が寝ていたのはセミダブルほどのベッドで、ご丁寧に近くにある棚の上に目覚まし時計が置いてある。菌華はベッドに座り込みながら、さらなる新しい発見を求めてもっと部屋を見渡してみた。

 

「はぇ〜……生活に必要そうなものは一通り揃ってるなぁ……ってこんなことしてる場合じゃねえ!!部屋の物色は帰ってからだ!なんたって今日は登校日だからなちくしょう!!いつまでに登校すりゃいいか分かんねえから急ぐしかねえ!!えーと……制服どこだ制服どこだ……!探すぞ〜……!!っと、あったぁ!!多分これだよな!?多分!!」

 

 そういえばと自分のやるべきことを思い出し、ベッドから秒で降りると全力で制服を探し始める菌華。あらゆる所を探し尽くし、クローゼットの中にハンガーにかけてあった制服らしき上下の衣類を引っ掴む。そして今来ているパジャマらしき衣服を全て脱ぎ捨て、クローゼットから引っ張り出したそれらを着る。

 

「……うし……!!制服は完璧……次はカバン……!!え〜……これだな!?うん!!中身もそれっぽいし!!ならこれで準備OK!!洗顔は妥協!!歯磨きは夜倍やる!!朝飯は外の空気!!っし、行くぜ!!」

 

 一周回ってなんかもう逆に楽しくなってきた菌華はハイテンションでカバンを持ち、自室を出てからまた周りを見回して、玄関を見つけるとそこに真っ先に向かっていった。

 

「オラもう私は止まらんぜ!!おはようございます!!」

「えっ……!?あ……おはよう……ございます……」

「は……?……〜〜〜っ!!?」

 

 菌華が新しい世界に向けて精一杯のおはようを告げたと思ったら、たまたまドアの前を歩いていた人と鉢合わせになり、その人に向けて言ったようになってしまった。

 おそらく初対面であろう、緑色のくせ毛とそばかすが特徴的な大人しめの男性は、かなり驚いた様子をしながらも突然の挨拶に律儀に返事を返した。

 だが一方で菌華は、あれだけ止まらないなどと豪語しておきながら、顔を真っ赤にして完全に停止している。

 男性の方もこれ以上何をどうすればいいのか分からず、止まっており、ただただ嫌な静寂が流れていく。

 

「……ってあれ?その制服……もしかして君も雄英の生徒……?」

「……え?君も……って事はあなたも……?」

「うん、僕も……ほぼほぼ運が良かったから受かったようなもんだけど……」

 

 しかし、男性の方がこの静けさを打ち砕いた。

 菌華の着ている衣類を指差して、そんなことを聞いてくる。菌華が逆に質問を返すと、男性はあははは……と苦笑いしながらそう答えた。

 

「私も……まぁそんな感じかなー……。……私は……骸牙菌華。死体の骸に、牙で骸牙。ウイルスの菌に華やかの華で菌華」

 

 そんな事を呟きながら、ここであったのも何かの縁と自己紹介を始める菌華。一瞬なんて名乗ればいいのか迷ったが、この世界での自分の名前を思い出し、指で漢字を空書きして男性に見せた。

 

「へ〜、いい名前だね。あっ、僕は緑谷出久。緑に谷で緑谷。出るに久しいの久で出久。緑谷って呼んでくれたらいいかな……えーっと……」

「菌華でいいよ、緑谷くん。今日からよろしく」

 

 同じく空書きで名前を教える緑谷。しかし、自分の呼び方は言ったとはいえ、菌華のことはどうやって呼べばいいかと迷っていると、菌華が手を差し出しながらフォローを入れた。

 

「あっ……こっ、こちらこそよろしくっ……菌華さん……」

 

 緑谷はがちがちになりながらもその手を握り、恐る恐る菌華の名前を呼んだ。

 女子を下の名前で呼んだことなど久しくないので慣れていないようだった。

 

「いや、さんは柄じゃないよ」

「えっ……じゃ、じゃあ……菌華ちゃん?」

「うん。それがいいな。ハイ、ヨロシクゥ!」

 

 すっかりテンションが元どおりになった菌華は、ちゃん付けが気に入ったのか握った手をぶんぶんと上下に振りながら再びよろしくと緑谷に伝える。

 

「えっと……自己紹介も終わったし……向かおっか?」

「あっ!そ、そっか!時間って大丈夫……!?」

「ん?全然大丈夫だよ!余裕持っていけるよ!」

「な、ならよかった……安心して行ける……!」

 

 緑谷の発言を聞いて菌華もそういえばと焦って質問するが、遅刻しないという情報を聞き、ほっと胸を撫で下ろした。

 そして緑谷の手を離すと、右手を真っ直ぐに伸ばして額に当ててまるで敬礼のような仕草をとって一言。

 

「では、道案内よろしく頼んます!」

「え……!?う、うん……いいけど……入試行ったんだったら場所知ってるんじゃないの?しかも初登校日今日じゃないし……」

「え……あ、あ〜……!それがさ……入試は行ったんだけど……実は登校すんの今日が初めてでさ……。入試受けた次の日くらいに思いっきり体調崩……いや、頭を机に強打してちょっと飛んじゃったんだよね、記憶……だから覚えてなくて……」

 

 何気なく言った発言から生じた矛盾を指摘され、慌てて少年に言われた設定を多少のアドリブ混ぜつつ説明する菌華。順応力は高い割に、転生したという自覚があまり無いようだった。

 

「(……どうだこれ……?行けるか……?いや私なら金積まれても信じないようなこのクソザコシナリオじゃあ流石に無理か……?)」

 

 菌華自身も言っておいて本当に信じてもらえるのか心配になり、少し冷や汗をかきながら緑谷の返答を待つ。確かに「忘れた」や「記憶にない」は状況によっては秒で嘘だと断定されるくらい信用性に欠ける言葉だ。

 それにこんな不信の念に拍車をかけるような怪しさ満点のシナリオでは、菌華の不安も仕方ないと言える。

 

「……なるほど……!そんな事情があったから登校日にも来れなかったんだね……!そういうことなら任せて!案内するよ!」

「(……うしっ、乗り切ったぜっ!まさかこれで信じてもらえるたぁ思ってなかったけど……まぁいい!終わり良ければ全てベネ!全くちっともノー問題!!……とか自己暗示しないと危うく緑谷くんに「もしかして壺とか買っちゃうタイプ?」って言っちゃいそうだ……)あ、ありがとー!いやー助かるわマジで!」

 

 一縷の望みにすらかけていなかったのに、すんなりと受け入れられて戸惑う菌華。

 とんでもなく失礼な本音を建前で隠しながらも一応お礼は言った。

 

「いいよお礼なんて……!ほら、行こう!」

「う、うん……!」

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……あ、着いた。ここが雄英高校だよ」

「……いや……デカくない……?マジに学校なの?ここ……」

 

 緑谷と駄弁りつつ通学路の説明をしてもらいながら、特に何のトラブルもなく無事、雄英の校門に到着した菌華。目の前にそびえ立つ余りにも巨大な学び舎に圧倒され、少しボキャブラリーが貧困になっている様だった。

 

「うん。中もかなり広くてね、初めはクラスを探すのとか大変だったよ……」

「そりゃあだろうね……って、そうだ!クラス!!私自分のクラス知らな……じゃねえ忘れたんだけど!!」

「えっ……!?そ、それは流石に……案内しきれないかな……」

 

 緑谷の話を聞いていて思い出した……というか正確には思い付いたと言うべきか。ともかく、菌華が自分のクラスを知らないと慌てて騒ぎ始めた。

 それを聞いて、そこまでは無理だと申し訳なさそうに断っておく緑谷。元々はあの少年の説明不足と菌華の確認不足が招いた事で、彼が申し訳なくなる必要はどこにも無いのだが。

 

「大丈夫私もそこまでご厄介になろうとか思ってないから!!むしろここまでありがと!!じゃ!私はこのクソほど広そうな校舎を駆けずり回って関係者の方に聞いたりしてクラス探すから!!」

「いやいや!全然大丈夫じゃないよ!やめといた方がいいよそれ!!逆に遅刻しちゃうよ!?」

 

 超早口でお礼とこれからの予定を言い、見切り発車で走り去ろうとする菌華を全力で引き止める緑谷。早速ご厄介になっている。

 そんな実に合理性の欠くやり取りを見て、口を出す者が1人いた。

 

「登校日に来れなかった生徒がいるからと校門の前で待っていれば……緑谷。なんでお前もいるんだ」

「え……!?あ……ご、ごめんなさいっ!」

「……ねね、緑谷くん……この小汚い人……誰……?ホームレスの方……?」

 

 校門の側に立っていたくたびれた感じの小汚い男が2人に話しかけてきた。まるで手入れされていないぼさぼさの黒い長髪に、剃らずに放っておいたであろう無精髭を蓄えているので、初対面なら菌華の認識も間違ってはいないと言える格好だ。

 しかし、一見とても不健康そうではいるが、よく見ると結構引き締まった体をしている。それに首の周りに布のようなものを巻いており、ただのホームレスという雰囲気はしない。

 菌華が小さな声で緑谷に質問すると、同じく小さい声で答えが返ってきた。

 

「せ、先生だよっ……!!」

「先生ぃ……!?この……なんか……あの……合理性を突き詰めて辿り着いた結果みたいなこの人が……!?」

「……聞こえてるぞ」

『うひぃっ!?』

 

 こそこそと2人で話していたところに話の種である男からの返答が来たことで、びくりと震えながら変な声を出す緑谷と菌華。

 

「……まぁいい、緑谷。とりあえずお前は話してる暇があればさっさと教室に行け。いいな」

「は、はいっ……!じゃ、じゃあまたいつかね!菌華ちゃん!」

 

 男が校舎を指差しながらそう言うと、菌華に別れの挨拶だけ残して、緑谷は男に言われた通りに校舎の方に走っていった。

 

「……さて、早速だが君はこっちだ。ああ、後これ。更衣室もこっちにあるからこれにさっさと着替えて」

「え……あ……はい……」

 

 男は菌華に体操服のようなものを手渡すと、ついてこいと言わんばかりに手招きし、歩き始めた。よくわからない展開を前にとりあえず流れに乗っておく事にした菌華は、質問などは特にせずに男についていった。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「よし、着替えたな。じゃあ一日遅れたが、君の『個性把握テスト』を行う」

「……個性把握……テスト……?」

 

 体操服に着替えて早々、聞きなれない単語に首を傾げる菌華。名前からしてどう言うことをするかとかは多少分かるのだが、なぜやるのかと言う部分で疑問を持っているようだった。

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈、中学の頃からやってるだろ?”個性”禁止の体力テスト」

「(……最後にやったのいつだっけな……4年前くらいか?個性禁止って言われてもそもそも使えなかったし……)」

「……おい聞いてるか?」

「えっ……あっ、すいません……!聞いてます……」

 

 男の説明を聞き、少し昔のことを思い出す菌華。そんな彼女の様子を見て上の空になっているとでも思ったのか、男は少し苛立った雰囲気で注意をする。

 だが考え事をしていただけで頭には入っているようで、菌華は聞いていると答えた。……が、しかし、

 

「……いいか?俺は君が1日遅れて来たから、一度で良かったことを君一人のためにわざわざ二度目を説明してるんだ。そういう立場なんだからもっと真剣な態度で聞け。あと、俺は同じことを言うのが嫌いだから、三度目を言わせるなよ」

「……はい……ホント……すいませんでした……気を付けます……」

 

 朝のテンションは何処へやら。すっかり俯いて男に謝罪の言葉を呟き続ける菌華。

 そもそも、彼女が一日遅れた理由は、ただひたすらに理不尽な運命のせいなのだが。そんなファンタジーやメルヘンにすら通用しなさそうなストーリーをただでさえ苛立っている先生に向かって言った日にはもう、怒られるを通り越してとびきり哀れみを込めた視線を送られるのは火を見るよりも明らかだ。

 つまり彼女は特に聞きたくもない説教を自分の今後の体裁を守るためにじっと我慢して聞いているのだ。二度目の人生初日で担任に狂人扱いされるリスクを考えれば、このくらいならどうって事ないのだろう。

 菌華が心から反省していると分かったのか、あるいはただ単に早く終わらせたいだけなのか、どちらかはわからないが男はやれやれと言った感じで話を次に進めた。

 

「……まぁいい、とにかくだ。今言った8種目の事を”個性”使ってやってもらう。まずは50m走からだ。時間を取った分早くやれよ。あと、君の出した成績がクラス統計で最下位だった場合、除籍処分とする。では、始め」

「ちょいちょいちょいちょいっ!!えっ!?今……えっ!?すいませんちょっと待ってください?今聞き間違いじゃなければ除籍処分とか言うおおよそ入学初日に聞くことが無いような物騒極まりないワードが私の耳に入ったんですが……?」

 

 男は事も無げにスマホの様な機械を持ちながらそう菌華に告げた。早くやれと言う部分までは彼女も納得いっていたのだが、どうしてもその後の言葉が理解出来ず、自分の耳がおかしかったと言う可能性にかけて男に聞き返した。しかし……

 

「……二度言わせるなとさっき言ったはずだ……。いいか?生徒の如何は先生の”自由”。これが雄英高校ヒーロー科だ。見込みがない者に座らせるイスは無い。ヒーローになるんだったらこの程度の逆境は覆してみせろ?"Puls Ultra"。全力で”イス”を獲りに来い」

「……〜〜〜っっ!!!……っわかりましたっ……!!」

 

 菌華自身も気付いてはいたが、やはり先ほどの言葉は聞き間違いや幻聴の類ではなく、しっかりと男が発した現実だった。

 それを改めて突きつけられ、理不尽への怒りか、あるいは焦燥感か、とにかく行き場の無い感情にただ歯噛みをするだけだった。しかし、男から自分に与えられている選択肢の中にNOやいいえは無い。

 菌華は覚悟を決め、男にイスを獲りに行くと答えた。

 

「……よし、じゃあ始める……前に一つ聞く。準備は出来ているか?」

「へ……?」

 

 自分のこれからを左右する試験が始まると身構えたが、あれだけ合理性と効率を求めていた男が自分から横道にそれるようなことを聞いてくるとは思っておらず、菌華は間抜けな声を出した。

 

「だから……準備は出来ているかと聞いたんだ。俺は君の今出せる全てを見なければならない。これは君にとっても悪い話ではないはずだ。こちらには入学前に送ってもらった個性届で君の個性は知っているが……君がもし個性を発動する上で準備を必要とするクセ(・・)なんかがあるならやってもらった方がいい。今の状態で除籍を確実に回避できる成績を出せそうか?」

「え〜……あ〜……む、無理だと思います……」

「じゃあ今すぐ取りかかれ。さっさと終わらせろよ」

「は、はいっ!」

 

 まさかの展開に驚きながらも、願ってもいなかった自身の個性を試せる時間が出来たことを菌華は素直に喜んだ。男は菌華の全力を見なければいけないから、と言うが、おそらく彼なりの優しさなのだと思う。

 菌華は彼に心の中で手を合わせて感謝すると、言われた通り早速準備に取り掛かった。

 

「(……わかる……。どうやってウイルスを出すのか……どうやってそれをクリーチャーにするのかが……本当に15年間使ってきたかのように……手に取るようにわかる……!)」

 

 転生前に少年から知識として貰った個性の使い方。それを駆使して、試しに菌華は上に向けた手のひらから黒いカビのようなものを放出した。

 

「うお……!マジで出た……!!これが『T-ウイルス』か……。私のは死体にしか感染しないとはいえ……ヤベーもんが今私の手のひらの上に乗っかってんだよな……」

 

 正直ちゃんと個性が出るのかどうか、菌華は自分の目で見るまでは半信半疑だったのだが、手のひらから何かが抜けていく感覚と同時に現れたそれを見て、ちゃんと自分も超人になっているという驚きと喜びを噛み締める。

 と、同時に。人に感染しないとはいえ恐ろしいパンデミックを起こしたウイルスが自分の意のままに扱えると思うと、かなりの恐怖と覚悟もその心に芽生えた。

 

「んで、えっと……ゾンビの出し方は……こうか……?」

 

 気を取り直して準備を再開した菌華は手順に従い、まずは大量のウイルスを前方の地面に放つ。そしてそれらを操り一点に集中させ、一つの黒いウイルス塊にした。

 次にその塊を多少歪な人型に変形させると、人型に意識を強く込める。すると、人型の足と思わしき部位が本当の人の足へと変わる。

 菌華は足から順にどんどん上の方へと塊を変化させて行き、最終的には人型の黒い部分を全て消して、代わりに少年から貰った女性の死体に置き換えた。

 

「……これは……出し方ってより作り方だな……。もう少し素早く出来れば出したように……見えるか……?。て言うかなんで服まで出てきてんだ……?そもそもこいつ今のままで動くの?」

 

 自分の分からない事が一つ、二つ、三つと瞬く間に増えて行き、参ったな、と頭を抱える菌華。しかし、背後から感じる強烈な視線が頭と手を止めるな、と訴えかけてくる。

 慌てて菌華は直立不動でいる目の前のゾンビにアプローチをかけた。

 

「……お〜い。起きろ〜?」

「……ん……あぁ……はい……?」

「あぁ……よかった。ちゃんと起きたな」

 

 まずは無難にと声をかけながら頰を軽く叩いてみると、菌華が思っていたよりも早くゾンビの意識は覚醒し、彼女に返事をした。

 その早さに少々驚きもしたが、遅くなるよりは圧倒的に良いので素直に安心し、ため息をこぼした。

 

「えっと……貴女は……」

「ごめん。説明してる時間はないんだ。諸事情あって君には今から進化して貰うけど……異論無いよね?」

 

 戸惑うゾンビの肩に手を置き、不気味なほど屈託の無い笑顔を浮かべながら既にほぼ決定している感じで話を進める菌華。聞き方からしてそもそもゾンビに選択肢を与えていない事がはっきりと分かる。

 

「え……?いきなり何を……」

「OK、オーダー通りたった3分で君を強くして差し上げよう」

「ちょ……!?私まだ何も言ってないんですけど……!!」

「えーと……?まずウイルスを液状化させる……こうか……?ああ出来た出来た」

「話聞いてます!?」

 

 ゾンビの意見どころかもはや言葉すら無視して、先ほどゾンビを出した時のように頭の中に入っている知識通りに事を進めて行く菌華。

 彼女の頭にはゾンビの使い方マニュアルはあっても、話し合いという概念はおそらく無いのだろう。

 

「次に……それを進化させたい対象に過剰摂取させる……?よし、まぁ九割方理解した」

「……一応聞くんですけど……コップとかありますか?」

「あ、飲んではくれるんだ。で、コップだっけ?」

「はい……コップ……」

「ねぇな。諦めて(じか)だ」

 

 既に自分の話を聞かないと理解したゾンビは進んで液状化ウイルスを飲む姿勢を見せ、せめて容れ物から飲みたいと要求するが、菌華はそれを無慈悲に断る。

 もちろん無いものは無いで仕方ないのだが、もう少しオブラートに包んだ言い方は出来なかったのか。

 

「……手から?」

「手から」

「……直で?」

「直で」

「……拒否権はあります?」

「ないです」

 

 そう言って菌華はゾンビを押し倒すと馬乗りになり、液状化ウイルスの滴る手を彼女の口目掛けて突き出した。

 ゾンビは間一髪でその手を受け止め、これ以上絵面がとんでもない事になるのを避けた。

 

「うわぁああぁあっ!!やめてくださいよちょっと!!」

「抵抗すんじゃねえ!!何が嫌なんだ言ってみろよほら!!」

「逆に何が嫌じゃないと思ったんですか!?そんなちょっと特殊なプレイ好きな性癖なんて持ってないですよ私!!他の人を進化させてあげればいいじゃないですか!!第一、直で飲ませる必要多分無いですよね!?」

「また別のやつ呼ぶ時間が勿体ねぇ!!あと直は素早そうだろ!?生ハムだってそう言ってる!!だからお前が嫌でもこっちにゃやる理由があるんだよ!!お前が進化するんだよ!!」

「やだぁああぁっ!!いきなり名前も知らない人に手から何かを飲まされるなんてやだぁあぁっ!……あっ、そうだ」

 

 まるで暴漢とそれに襲われている少女の様なやり取りをしていると、唐突にゾンビの方が何かを思いついた。

 

「んむっ!ん〜!!」

「何……!?小癪な……!!」

 

 ゾンビは唇を硬く閉ざし、加えて両手で口元を隠した。その行動に菌華は、心の底からではないが鬱陶(うっとう)しそうな表情を浮かべる。

 子供が苦手な物を親に無理やり食べさせられそうになっている時によくやる奴なのだが、中々どうして効いているようである。

 菌華のその表情を見て、ゾンビは勝ったとばかりに余裕そうな顔をした。

 

「……なんちゃってなぁ……!」

「むぐ!?」

「さっき私はさぁ……過剰『摂取』って言ったんだぜ……!飲ませようとしたのは進化するのが一番速い方法……。要は体内に大量のウイルスを取り込めれば良いんだよ……!」

 

 形勢逆転とばかりに今度は菌華の方が余裕のある顔をしながら、ウイルスまみれの手を構える。

 そして……。

 

「口が嫌なら皮膚からだオラアアァァッ!!」

「ん”〜〜〜っっ!!?」

 

 口を塞いだままのゾンビに顔面に手のひらに貯まったウイルスをぶちまけた。それらは彼女の顔とぶつかると弾けて、墨汁のような真っ黒な飛沫が辺りに飛び散るが。ゾンビの顔に付着したウイルスは不思議な事に、その死人にふさわしい不健康な肌に染み込んでいった。

 

「あ〜これじゃ足りんだろうな……って事で追加〜」

「ん”むぐぅううぅっ!!」

 

 だばだばと壊れた蛇口のようにウイルスを垂れ流し続ける手のひらをゾンビの顔の上に配置し、もはや水攻めと呼べるくらいの行為をする菌華。

 一方水攻めをされている側であるゾンビの肌はどんどんウイルスを吸収し、それに伴って彼女の腕や脚は長く太く筋肉質に。女性の象徴でもある膨らんだ胸は硬く平らに。少しずつであるが変形して行く。

 

「ほれ、おそらくもう少しだから辛抱しろ〜?」

「むぐうッ……!!グッ……ゴ……っ!!」

「おっと、結構キてるな。大丈夫か?」

 

 ゾンビの声が驚きなどの感情を表すものから、明らかに進化による負荷に悶える声に変わってもなお、ウイルスの投与をやめない菌華。

 だが少しでも心配する辺り、菌華も人としての情を完全に失った訳では無さそうだ。

 まぁやってる事は半ば拷問みたいなものなのだが。

 

「……さて……出来た……かな……?」

 

 先ほどウイルスを投与する際に馬乗りになっていた菌華だったが、進化した姿をちゃんと確認するために降りて、ただのゾンビ……だった者を見下ろす。

 今やあの女性らしい華奢な四肢は見る影もなく、代わりにあるのは真っ赤な血管の浮き出た丸太のような四肢。並の人間なら本気で殴れば一撃で()れそうだ。

 そして、元ゾンビにはまだ他にも特徴的な部分がある。

まず、頭髪は全て抜け落ちており、見事なスキンヘッドが出来上がっている。しかも、その頭を支える首もまた四肢同様極めて太い。

 もちろん、体格もその四肢や首に恥じないものであり、一見しても3メートルに迫る巨体である。

 更に右胸からは心臓が露出していて。それがまるでなんでもないかのように外に飛び出したままどくどくと脈を打っていた。

 だが極め付けはなんと言っても左腕だ。右腕と違い、拳や指は見受けられず、代わりに馬上槍のような鋭く長い爪が5、6本生えている。どう見ても武器だ。

 以上の点を踏まえた、ゾンビよりも遥かに人間らしからぬ化け物が今、菌華の手によって誕生してしまった。

 

「……すみません……私は一体どうなって……」

「こっちもごめんなんだが、さっきと同じように説明してる時間はないんだ。後でじっくり説明するから今は戻っておいてくれ。『タイラント』」

「ちょっと!またですかぁアァァぁあ……」

 

 菌華はまた質問をしようとしたタイラントと呼ばれた元ゾンビを無情にも話を聞かずにウイルスに戻すと、慌てて男の方に全力で戻る。

 

「すいません……えっと……あ、先生!やっと終わりました!!」

「……やっとか……遅い。8分47秒だ。次からは5分以内に終わらせるように。さて、準備も整った事だ。今度こそ始めるぞ。さっきも言ったが50m走だ」

「(測ってたのか……)りょ、了解です!」

 

 菌華が準備が終わった事を伝えると、男はポケットからストップウォッチを取り出し、かちりとスイッチを押して進んでいた数字を止めた。そこに出た時間を菌華に見せると、来いとばかり手招きしながら50m走をする場に案内した。

 

「さぁ、準備に時間をかけた分手早く行こう。今このタイムを計るロボを起動するから、それまでに準備体操くらいはしとけよ」

「(じゃあそのストップウォッチは何の意味が……)わ、わかりました……!えっと……準備体操……。って、待て待て……?この50m走は確か……個性使っていいんだよな……」

 

 心の中でそう突っ込みながらも、スターティングブロックの前で言われた通りに体操を始めようとする菌華。しかし、これは普通の50m走ではない事を思い出した。

 

「なら、私の脚を……タイラントの物に……!!」

 

 これもゾンビを出した時と同じように頭の中のマニュアルに従い、今度は内部から自身の脚にウイルスを集める。すると、菌華の脚がみるみるうちに膨らんで行き、先ほどの筋骨隆々なタイラントの脚に瓜二つ。というかタイラントの脚そのものに変化した。

 

「イチニツイテ……ヨーイ……」

「(先生に言われた通り……本気で行く……!!)」

 

 男が起動したロボがスタートの合図をすると、菌華もそれにつられて脚に力を入れていく。そして、パァン!と、小気味の良い音が鳴ると同時に一気に駆け出し、合図をしたロボの前を通り過ぎる。

 すると、ゴールした時のタイムをロボが計っていてくれた様で、機械音声でそれを伝えてくれた。

 

「3秒87!」

「さんびょ……!?や、やっぱ個性使うと凄いんだな……!!」

「驚いてる暇はない。次は握力だ」

「(あら……この世界じゃ……あんまり珍しくないのかな。この数字は……)」

 

 その結果を聞き、菌華自身もかなり驚いているのだが。男は間髪入れず、次の種目をやるために隣にある体育館に歩いていく。

 菌華はそんな事を考えながらも男の後ろに着いていった。そうして体育館に到着すると。

 

「これを使って握力を測るんだ」

「……これは……握力計……ですか……?」

「お前のいた中学では握力を測る時にそれ以外の物を渡すのか?」

「いや……そんな事はないんですけど……。あまりにも見慣れない形なもので……」

 

 着いて早々に男から手渡されたのは、なんだかごついデザインの握力計。少し前まで個性などない普通の世界で生きてきた菌華からしたらそれを見慣れないのも仕方ない。菌華は珍しいものを見る様に360度からその握力計をただひたすら見た。

 

「……おい、さっさとやれ」

「あっ……はいっ!ごめんなさい!!」

 

 その行動に男は再び苛立ちながら彼女を急かした。菌華は注意をされると慌てながら、今度は右腕にウイルスを集め、その身体に身体に不釣り合いな大きく太いタイラントの腕に変形させた。

 

「(本気……でっ!!)」

 

 菌華はその腕で握力計を持つと、50m走同様に男の言葉を思い出しながら本気で握力計のグリップの部分を握りしめた。

 すると、バギン!という何かが破損するような音が菌華の右手の辺りから聞こえた。嫌な予感がして、そっと握力計を見てみると……。

 

「……ごめんなさい先生……握力計、壊れちゃいました……」

 

 菌華の握ったグリップの部分が無残に砕けていた。彼女自身もまさか壊れるとは思っていなかったのか、とても混乱した様子で握力計を男に見せる。

 正直弁償云々より、この人に何を言われるかというのが一番菌華が怯えているところだった。

 

「……仕方ない……それはそこに置いとけ。ロボットに掃除させておく。それより次だ」

「えぇっ……!?そのっ……大丈夫何ですか……!?」

「いいから来い」

 

 また何か言われるのかと少し身構えていたのだが、何事も無くてつい拍子抜けする菌華。

 本当に良いのか……と思いながらも、早々に次の種目に移ろうとしている男に言われるがまま、壊れた握力計をその場に置いてまた彼の後ろに着いていった。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……よし、次はボール投げだ」

「はぁ……はぁ……はいっ……!!」

 

 握力を終えた後、菌華は第3種目の立ち幅跳びと第4種目の反復横跳びでそこそこな記録を出し、第5種目のボール投げに取り掛かろうとしていた。

 

「これをそこからあっちに向かって投げろ」

「わっ!……とと……!」

 

 男が投げ渡してきた不思議なボールを疲れからか、受け取り損ねそうになるも、地面に落ちる前になんとか両手でキャッチした。

 知識があるとはいえ慣れない事をしたせいか、菌華の表情にはかなり疲れが出ている。先程ボールを取り損ねかけたのも良い証拠だ。

 

「よォし……!!それじゃあ……!!」

 

 しかし身体は疲れていてもやる気はあるようで、男の指差した位置に着くと再び右腕を変形させ、投球フォームに入った。

 

「1、2の……フッ飛べぇ!!!」

 

 そして、1、2の3で投げる……と思いきや、3と言う代わりにおおよそ女子高生の出してはいけなさそうなドスの効いたかけ声をあげて手に持っていたボールを彼方へと投げ飛ばした。

 少しすると男の持っている機器がピピッと鳴る。どうやら今のボール投げの結果が出たようだった。男はそれを見ると、何故かため息をついてから菌華に結果を見せた。

 

「……はぁ……705.2m」

「あれ……もう少し……行くと思ったんだけどな……。使い慣れてないし疲れも出てんのか……」

 

 菌華はもはやこのくらいの記録には動じず、この世界では一般的な数字なんだろうな、と思う程度でしかなかった。だが、男から見るとこの数字は菌華とはまた違って見えていた。

 

「(……投げる時のバカみたいなかけ声もそうだが……この数値。偶然なのか、それとも……。彼女はあいつと仲は良くなるか悪くなるかは会わせて見なきゃ分からんが、どっちに転んでも面倒な事に変わりはない……)」

 

 男は先日、自分の担任するクラスに入ったある男子生徒の事を思い出していた。とてもインパクトの強い奴だったから印象に残っている。

 今男が頭を悩ませている理由は、まさに菌華と彼の相性についてだ。2人は全てにおいてとは言えないにしろ、共通点が結構ある。人によって違うだろうが、そういう奴らの大抵はとても仲が良くなるか、その逆かだ。

 共通の趣味があればそこから話が広がって親しくなる。これは割とある。だが同族嫌悪という言葉があるように、似ている者を激しく嫌う者もいる。

 男としてはトラブルは全力で避けたいので2人の気が合うことを切に願っているのだが、それが実現するのはとても低確率という事も認めたくはないが理解していた。

 なぜならその生徒の性格上、共通点のあるなしに関係無く菌華を滅茶苦茶に煽り倒して喧嘩に発展するまであるからだ。男は入学試験と個性把握テストでしか彼を見ていないが、彼の人となりはあらかた分かっていた。

 他人と仲良くする事からかけ離れた粗暴な者。男は雄英に入った事で変わっては行くだろうと思ってはいるが、現状の彼の評価はこれに尽きる。

 まぁ要約すれば、この2人の仲が良くなるなんてぶっちゃけありえないという事だ。良くなり過ぎても色々と不都合が出そうではあるが、悪いよりよっぽどマシである。

 男はこんな者達ばかりクラスに来る自分の不安を呪うと、もうこの事について考えるのはやめた。

 

「え〜っと……これで5種目だから……あと3つか……」

「……残りもちゃっちゃとやるぞ」

 

 これからこの2人を会わせなければいけないと思うと男は憂鬱な気分になるが、だからといって終わらせないわけにもいかないので嫌々ながらもテストを進行させた。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……終わっ……たぁああぁっ……!!」

 

 上体起こし、長座体前屈、持久走も立ち幅跳びや反復横跳びと同様にそこそこの結果で終わり、ようやく8種目のテスト全てをやりきると、菌華は地面だろうと構わず寝転がって思いっきり腕を伸ばした。

 

「まだ結果発表が残ってる。気を抜くな」

「あ、す、すみません……!(そっか……!これでもし良くない成績だったら……除籍……なんだよな……!!)」

「んじゃ、パパッと結果だけ言うぞ。昨日測ったクラスの結果やその順位は見る必要は無いと判断したので省かせてもらう」

 

 男に言われて起き上がると、このテストで今後の自分の生活が決まると言う事を思い出して心の中で覚悟を決める菌華。

 男が口を開き、何かを言おうとするのを見ると彼女の心拍数が途端に上がった。しかし自分は自分なりにベストを尽くしたと思い、じっと彼の口から結果を伝えられるのを待つ。

 

「君は最下位じゃなかった。したがって除籍もナシだ」

「……本当ですか?ウソとかじゃあ……」

「俺はつく理由の無いウソはつかん」

「……やっ……やっ──」

「まぁ、除籍するとかはウソだがな」

「たぁあああぁあっ!!?」

 

 予想以上にあっさりと伝えられて菌華は思わず男に真偽を確かめたが、本当に自分が除籍されずに済んだとわかると、大声で喜びを表そうとする。

 が、それを言い切る前に男から衝撃の事実もセットで伝えられ、歓喜の叫びが驚きに変わってしまった。

 

「君の全力を引き出すための……合理的虚偽」

「え……?ちょ……?それも本当……?」

「本当だ。さっ、そんな事より早く制服に着替えろ。クラスに行くぞ」

「えっ……?えぇっ……?……えぇ〜〜〜?」

 

 物凄い喜ぶタイミングを逃した事と、物凄い嘘をつかれていた事で、物凄く釈然としないまま菌華は男に急かされてまた更衣室に行き、制服に着替えた。

 

「よし、じゃあ着いてこい」

「……はい」

 

 不服、と言う感情を全力で表に出した表情で返事をしながら、菌華は男と校舎の方へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「……さて……後よろしくお願いしますね。”オールマイト”さん」

「……えっ!?せ、先生……!?」

 

 丁度昼休みの終わりの時間帯。菌華は男にまず職員室に連れて来られると、今度は目の前で座っているオールマイトと呼ばれた人にいきなり案内役をしてもらえる流れになっていた。

 突然の出来事に彼女が戸惑っていると、どうやら菌華を任されたらしいオールマイトという男が椅子から立ち上がり、男と菌華と向き合う。

 対面するとまず分かるのはその身長の高さだった。流石に人外であるタイラントと比べるとあれだが、それでも菌華の目にはこちらも十分人外レベルで大きく見えていた。

 しかし菌華は先ほどタイラントを見てしまっていたせいで、やはりどうしても身長や手足の太さにはそこまで驚かない。

 一番驚いているのは……顔だ。そう、顔。顔がふざけてんのかと言いたくなるレベルでアメリカンなのだ。ふと、菌華は横の男の顔を見てみる。そしてもう1回目のメリケン男の顔を見る。

 どう見ても違う。目鼻の位置とかそういうレベルではない。外国産のクソ厚いヒーロー物のコミックから飛び出てきました、と言われても肯定しか返ってこない顔だ。

 菌華はテストの疲れからか、不幸にもアメリカンコミックヒーローの幻覚が見えてしまっているのかと思い、一旦、目を擦ってからもう一度再確認してみる。

 元コマンドー以上に筋肉ムキムキマッチョマンのメリケン男がいる。もはやこれは現実だと認めざるを得なくなり、彼女は静かに観念した。

 すると、オールマイトとやらが口を開いた。

 

「……なぜいきなり私なんだい……相澤くん?」

「(こっちも今知ったのかよ!!)」

 

 どうやら菌華の案内役変更の件はオールマイト自体もたった今聞いたようだった。てっきり知ってる上でそう言ったのかと思っていた菌華は心の中で盛大に突っ込む。

 しかし、その突っ込みとは対照的に男……もとい相澤は静かに返答した。

 

「午後からうちのクラスで授業でしょう?俺がわざわざ連れて行くよりも合理的です」

「だからっていきなり言わないでよ……まぁいいけどさぁ……」

「(なんだよその仕草!!その身体でその仕草はどうなんだよ!!)」

 

 オールマイトは相澤の言葉を聞き、自分の人差し指同士をつつき合いながらそれを了承した。

 その良いガタイからは想像もつかない行動に、またまた菌華は心の中で叫ぶ。

 

「じゃあ俺は少し休憩を取りますが、最後に1つ言っておきます」

「ん、何々?」

「絶対爆豪と何かしらあると思うので、そっちの対処も任せましたよ」

「ちょっ……!相澤くんもしかしてそれがやりたくないから……!!」

「では」

 

 それだけ言い残すと、相澤はオールマイトの引き止める声も振り切って足早に去って行ってしまう。

 2人はそれをただ呆然と見送るしかなかった。

 

「行っちまったよ……ま、引き受けた以上はやるけどもね。む、授業までまだ少し時間があるな……ここらでお互い自己紹介でもしておこうか!君の名前はなんていうんだい?」

「え……あっ、む、骸牙菌華です!」

「OK、骸牙少女。ここにいるってことは相澤くんのテストを乗り越えたんだね。おめでとう!」

「あ、ありがとうございます……!せ、先生のお名前は……?えっと……おーるまいと……先生でいいんですか?もしかして外国の人……?」

 

 オールマイトは職員室の壁に掛けてある時計を見てまだ少し猶予があると思い、菌華と自己紹介を始めた。

 彼女が相澤のテストをクリアしたとわかると、オールマイトはそれを即座に褒める。フレンドリーでとても親しみやすいタイプの人間だ。

 その言葉に菌華は照れながらお礼を言うと、今度は彼女の方からオールマイトに名前を聞いた。

 

「えっ!?」

「っ!?」

「何……!?」

「えっ……?えっ……?」

 

 すると、周りにいた教師達が一斉に菌華をあり得ないものを見るような目で見た。

 その視線に当の本人は戸惑いながら何かまずい事でも聞いたのかと思い、焦る。

 

「あ、あ〜……!も、もしかして先生って結構な有名人だったり……するんですか……?」

「えぇっ!?」

「っっ!?」

「何ィ……!?」

「う、うぇえぇ〜……?」

 

 もしかしたらと思った菌華はそう聞いてみると、さっき以上に周りから奇異の目で見られ、もうどうしていいか分からなくなってしまった。

 

「……あ〜……なんていうかな……ってあれっ!?もうこんな時間じゃないか!!骸牙少女!そこらへんの説明はまた後でする!!とりあえず行こう!」

「あっ……は、はい……!」

 

 オールマイトがその質問の答えに困って不意にちらりと時計を見ると、もう午後の授業が始まる10分前だった。それに気付くと彼は慌てて菌華を連れ、すぐさま職員室を後にする。

 

「あ、骸牙少女。途中、クラスに行く前に少し寄りたいところがあるのだが……」

「私は全然問題ないです。でも授業が……」

「それならノープロブレム!なぜならこの用事のために私は授業開始の10分前に職員室を出たのだから!!……っと、ここだ。じゃあ少し待っていてくれたまえ」

 

 そうして2人で菌華のクラスに向かっていると、その途中でオールマイトが用事があると言い出した。

 菌華自身は特に今すぐクラスに行きたいという事は無いのでそれを了承すると、話しているうちにオールマイトの用事があるらしい保健室に到着していた。彼は菌華にドアの前で待っているように言うと、1人で中に入っていく。

 そして3分ほど経つと、ドアを開けて用事を済ませたオールマイトが出てきた。

 

「……なんです……それ……?」

 

 菌華は思わずそんな言葉を漏らす。そう、オールマイトには明らかに保健室に入る前と後で大きく違う点が1つあった。これを点や1つなどで評していいのかは微妙なラインではあるが、ともかく違う所がある。

 そう、それは服だった。先ほどのスーツ姿が嘘みたいな奇抜な格好である。服と言うよりかはヒーローの着る戦闘服と言った感じのデザインだが。

 まぁ似合ってるか似合ってないかと聞かれれば彼の姿にはとても合っている服である。正直格好いいとさえ思った。だが、それと疑問に思うか思わないかはまるっきり別だ。

 何故今から授業というこのタイミングでそんなマントまで付いているものを着るのか、そもそも今じゃなくてもあまり着なさそうな服ではないのか、菌華の頭の中にあらゆる疑問が出てくるがそれらを統計し、極シンプルに、それでいて一番聞きたい回答が聞ける質問の仕方をした。

 すると、それに返ってきたオールマイトの答えもまた、とてもシンプルだった。

 

「これかい?私の銀時代のコスチュームだ」

「……そう……ですか……」

 

 菌華は彼の言っていることの意味が全くわからなかった。シンプル過ぎてとかじゃなく、単純に言ってる意味がわからない。

 求めていたものとは遥かに違う答えに、菌華はもはやもう一度質問する気力すら失せ、仕方なくオールマイトのコスチュームを受け入れた。

 

「……っと、こんな話をしている場合ではない!生徒たちが待っているのだった!ハリーアップ骸牙少女!!」

「……はい……」

 

 素早く手招きして急かすオールマイトに、菌華は身体的ではなく精神的な疲れを感じた。

 クラスに着いてもいないのにこの調子だと先が思いやられると自分でも思いながら、せめてクラスメイトくらいは自分と同じ価値観を持つ人がいてくれと願って彼の後に着いて行くのだった。

 

 




イス取りゲームで昔痛い目を見て以来、少なくとも材質の硬いイスではやりたくない。

そんな事よりも、次回 2対2?いやいや32対2だよ もいつかリメイクするのでその時は見てくれたら嬉しいです。
ちなみにリメイクしていない今は2話と1話の繋がりがとても不自然なので1話だけ見る事をとても強く推奨します。
というか2話見ないで。


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第2話 2対2?いやいや32対2だよ

なんでUAこんな増えてるんですか、まだ1話ですよ?


朝5時、菌華の家近所の公園にて

菌華「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”‼︎結局ヒーロースーツのデザイン思いつかなかったぁぁぁぁ!

なんですか今日までに提出しとけって!

こっちは社畜じゃ無いんですよピチピチの女子高生なんですよ!」

タイラント「し、司令官、一応朝5時なので、

もう少し声のトーンを落とした方が良いかと、

その、近所迷惑と言う奴になるのでは。」

菌華「ハァ、ハァ、そうだな、ゲホッゲホ!ハァ、もふもふの猫が撫でたい。」

タイラント「現実から目を背けないで下さい。」

菌華「1人、1人で良いから誰かぶちのめしたら思いつくと思う、多分。」

タイラント「そんな不安定な要素を信じて人をぶちのめさないで下さい。」

菌華「はー、どっかに居ねえかな、ある程度ぶちのめしても良いって大義名分がある奴。」

タイラント「居ないでしょそんな人。」

菌華「だよなぁ。」

???「おい黒霧、あの作戦、準備出来たんだろうな。」

 

声に反応して振り返って見ると、

そこには全身手だらけの男が電話をしていた

 

菌華「見ろよあの電話してる奴、

お前やゾンビよりよっぽどクリーチャーっぽいぜ。」

タイラント「こら、人に後ろ指刺すもんじゃ無いですよ。」

菌華「いやー、でもよ、普通あんなファッションしねえだろ、

そこらへんに居るか?あんな奴。」

タイラント「まあ多少個性的ではありますが・・・。」

菌華「アレを多少個性的で済ますのかお前・・・でもさ、本当に居ないよな、あんな奴、普通じゃない。」

タイラント「確かにそうですね、一般的に居ない。」

菌華「『おい黒霧、あの作戦、準備出来たんだろうな。』あの作戦、フフフ、おいタイラント、もしかしたらあいつはぶちのめしても良い大義名分があるかもしれんぞ。」

タイラント「でも司令官、たとえそれだったとしても市街地での個性発動は禁止なんじゃ?」

菌華「バカお前、私はあなたと正体に気付いてますよって

雰囲気で行って相手が個性で攻撃して来たらこっちの攻撃は

ある程度正当防衛だろ。」

タイラント「・・・やり過ぎないで下さいね、あくまで正当防衛が大義名分なんですから。」

菌華「分かってるよ、一発だけな、じゃ話しかけてくるわ。」

???「分かった、じゃあ今から帰る(ピッ)」

菌華「ヘイそこのお兄さん。」

???「あ?」

菌華「あんた不思議な格好してるねぇ、

人の目とか気にしないの?」

???「チッ、ガキは帰って寝てn

菌華「いや、人の目を気にしないんじゃない、

まず人に見られいんじゃないのかな?」

???「・・・はぁー、勇敢なこって。」

菌華「そりゃどうも。」

???「褒めてねえんだよ!(グアッ)」

 

男は突如叫ぶと私の腕の肘のちょっと下辺りを掴んできた、

えっ何?セクハラ?と、思ったら掴まれた部分が崩れて来た

 

菌華「ん?へえ、腕が崩れて行く、

あんたの個性か、まあ効かないんだけどね。」

???「何?」

菌華「(ぞるぞるぞるぞる!)」

 

崩れた腕の断面からウイルスを触手の様に伸ばし

崩れ落ちた手首の断面にくっ付けた、

そして手首を引き寄せ腕にくっ付けた、

足りない部分はウイルスで補強した、一見もう腕は再生した

 

菌華「今日の昼飯はカロリー高いもん食わないとな、

また崩れて来ちゃうし。」

???「⁉︎何だと⁉︎」

菌華「良いねその驚いてる感じ。」

???「なんて個性だ⁉︎」

菌華「とっさに出て来る言葉がそれって、

教えるわけないだろ『ヴィラン』お前敵に塩送んのか?」

???「チッ見逃してやる、さっさと行きな。」

菌華「は?何言ってんだお前?

言うとしてもそれは私のセリフだ。」

???「んだと?」

菌華「良いか?今私は人を無性にぶちのめしたいんだ、

理由は言わんがな。」

???「ッ⁉︎頭イかれてんのか!」

菌華「失礼な、私からしたらヴィランの方が頭イかれてると思うわ、じゃ、私の為に死んでくれ♡(めきめきめきめき)」

???「何⁉︎」

菌華「じゃ、さよなら、(ブォン!)」

???「マズい!(サッ、ドッゴシャア!)何てパワーだよ、

コンクリートがビスケットみたいに割れたぞ・・・マズイな、

(ピッポッパッ、プルルルル、プルルルル、ピッ)」

黒霧「もしもし?死柄木弔?どうかしましたk

死柄木「ワープで俺を助けてくれ!

今追われてる!」

菌華「ワープ?厄介な、まあ良いわ、

もう一発打っちゃったし、じゃあの、死柄木弔さん。」

死柄木「・・・・・崩した腕が再生したり腕が巨大化したり、

個性が分からない、あいつ、本気で俺を殺しに来てた、出来れば二度と会いたくないな。」

 

一方その頃菌華サイド

 

タイラント「お疲れ様です司令官。」

菌華「ああただいま、ぶちのめさなかったけど

ヒーロースーツのデザイン思い付いたわ。」

タイラント「良かったですね、でも今から提出して

間に合うんですかね?」

菌華「最悪八百万さんに頼むわ。」

タイラント「全くもう。」

菌華「それにしてもさっきの奴なんだったんだろ?」

タイラント「予備知識があるんじゃないんですか?」

菌華「実はヒーローを目指すってところしか知らなかったんだよね。」

タイラント「それを予備知識が無いと言うんですよ?」

菌華「趣旨知ってんだったら充分だろ多分、

よし書き終わった、じゃ、家入ろうぜ、

いつまでも公園に居たら冷える。」

タイラント「はい。」

菌華「そうだな、唐突なんだけどさ。」

タイラント「?はい。」

菌華「お前の姿もうちょい縮めて良い?」

タイラント「具体的にどのくらいですか?」

菌華「いやーウイルスの大元の私ならお前の姿くらい

簡単に操れるんじゃないかなって思ってさ、

私としてもいつも横に大男だと目立つしさ。」

タイラント「大男と言っても性別なんて無いんですけどね。」

菌華「あと見た目って大事だと思うんよ、

お前言葉遣いも丁寧だしさ、だからお前の姿変えていい?」

タイラント「ダメって言ってもやるでしょう?」

菌華「じゃ、変えるぜ(みしみしみし)」

タイラント「割と痛い(みしみしみし、ボシュウ)」

菌華「ほいおっけー、じゃ、今日の授業でお前に手伝ってもらうつもりだったしみんなを驚かしてやろう。」

タイラント「随分と華奢な体になりましたね。」

菌華「能力とかはいつも通りだよ。」

タイラント「それより準備しなくて良いんですか?」

菌華「へ?ファッ⁉︎もうこんな時間⁉︎ヤベ!さっさと準備してパンくわえてダッシュだ!」

タイラント「こんな性格の人に恋愛フラグなんて立たないでしょうよ。」

菌華「本当に急いでんだよ!お前もうウイルスに戻っとけ。」

タイラント「ぁぁぁぁ溶ける〜。」

菌華「急げぇぇぇぇぇぇ!」

移動中

菌華「ギリギリセーフ⁉︎(ガラガラガラ!)」

八百万「あらおはようございます骸牙さn

菌華「ごめん八百万さん!この紙に書いてあるデザインの服

作っといてくんない⁉︎耐久とかは気にしなくて良いから!」

八百万「えっ、はい分かりました。」

菌華「さんきゅ!こんどなんか奢るわ!」

相澤「はいおはよう席につけ〜、今日は2対2の戦闘訓練と言う事で、骸牙、ちゃんとヒーロースーツのデザイン提出したか?」

菌華「昨日の内に出来なかったんで八百万さんに耐久性をガン無視した物を作って貰う事にしました。」

一同「それ1番無視されちゃいけない所!」

相澤「次からは間に合う様にしろよ。」

菌華「あいあいさー。」

八百万「骸牙さん、出来ましたわ。」

菌華「速いな君。」

八百万「では約束通りこんどガリガリ君と言う物を奢って下さい。」

菌華「さてはお主お嬢様だな?」

相澤「じゃあお前ら各自ヒーロースーツに着替えたらバスに乗れ。」

一同「はーい。」

 

女子更衣室

 

菌華「・・・なんか胸が縮んだ気がする、病気かな?」

麗日「それ女として1番きつい病やね。」

菌華「まあウイルスで取れた腕くっ付けたりとか出来るから

脂肪を胸に集めるくらい朝飯前なんだけどね。」

耳郎「それ他人にも出来る?」

麗日「食い付きが凄い。」

菌華「出来るけどゾンビになる可能性極めて高いよ?」

耳郎「・・・やめとく。」

菌華「賢明だ。」

蛙吹「と言うか菌華ちゃん、その服絶対男の人が着る服よね、ケロケロ。」

八百万「私もリクエストを貰った時にはびっくりしましたわ。」

 

今の私の服

「背中に赤文字でBIOHAZARDの刺繍が入った

黒い革ジャンとその下に赤いTシャツ」

「黒いGパン」

「黒の指無し革手袋」

見事に黒と赤だけで形成されていた。

 

菌華「あとはこれを先生に届けて伸縮性抜群のやつ

作って貰うだけやな。」

 

一方男子更衣室

 

峰田「おい見ろよみんな!ここに穴があるぜ!」

上鳴「何⁉︎それはまさか!」

峰田「そうよ!覗きあn

菌華「おっ!この穴なんか嫌な予感がするから

カレンダー掛けとこうぜ!」

峰田「ちくしょぉぉぉぉぉ!」

相澤「お前らー、女子は着替え終わったぞー。」

飯田「ほら行こう峰田くん。」

峰田「くそぉ、くそぉ。」

 

その後も峰田くんがゴネて動かなかったので

仕方なく相澤先生が引きずって来た。

 

相澤「全員乗車したな?発車するぞ。」

菌華「(ガタッガタガタガタッ!)ひゃーめっちゃ揺れる楽しー!(ガックンガックン)あははははは!(ガックンガックン)」

相澤「そこ、黙れ。」

菌華「・・・・・。」

相澤「何も全てに絶望しろとは言ってないぞ。」

菌華「私テンション高い時はそれに見合った

行動をしないと死ぬんです。」

相澤「マグロか?」

菌華「カツオです。」

相澤「どっちでも良い。」

菌華「私カツオの方が好きなんです、

先生魚なら何が好きですか?」

相澤「・・・俺はホタテかな。」

菌華「たった今魚って言ったんですけどね。」

相澤「生き物と言うくくりでは一緒だろ。」

菌華「範囲広すぎやしませんかね。」

相澤「じゃあ海の生き物。」

菌華「それでも広いですよ。」

相澤「・・・ウナギが好きだ。」

一同「押し負けた!」

菌華「てか相澤先生、揺れるバスの中で

ガックンガックンする以外の楽しみ方なんて有るんですか?」

相澤「そうだな、しりとり。」

菌華「この大人数で?」

相澤「景色を楽しむ。」

菌華「大量の訓練場しか目に映って来ないです。」

相澤「・・・周りに迷惑掛けない程度にやれよ。」

一同「また押し負けた!」

菌華「(ガックンガックン)ヒヤッフー!ヤッフー!(ガックンガックン)あっ、そうだ相澤先生。」

相澤「なんだ?」

菌華「ヴィランに遭遇した場合どうすれば良いですか?」

相澤「基本的に逃げろ、それでも襲って来たら応戦しな。」

菌華「ありがとうございます。」

相澤「なんかあったのか?」

菌華「いや、今日の朝たまたま外を散歩してたら

怪しい人を見つけたんで話しかけたらヴィランだったんですよ。」

一同「なっ⁉︎」

菌華「で、襲って来たんで一回だけ攻撃して帰ってもらったんですけど。」

相澤「怪我は⁉︎」

菌華「腕をもぎもぎされました。」

相澤「・・・見た所両方とも無事の様だが?」

菌華「ウイルスで補強してるんですよ、でもカロリー高いもん食べないといつか取れますけどね、あっ、血は出ませんからご心配無く。」

相澤「お前に弱点は無いのか。」

菌華「頭が弱点ですね、吹っ飛ばされたら終わり、

それに再生っつーか新陳代謝の異常促進による回復もかなり労力使うんすよ、自身の強化もね、それにゾンビの戦闘力は量と質に左右されますしね。」

相澤「弱点が無いわけではない、と。」

菌華「絶対に勝つ勝負とかつまんないですよ。」

相澤「そういえばお前が襲われたヴィランの情報あるか?名前だけでも良いんだ。」

菌華「死柄木弔、個性は崩壊、恐らく手が触れた物を徐々に崩壊させていく個性です、発動条件は分かりません、本人の意思関係無く発動するのか触れている面積なのか触れている時間なのか、それと全身に手を付けています。」

相澤「手を付けている?」

菌華「まあ一目見りゃ分かりますよ、

悪趣味なアクセサリーみたいなもんでしょう、

それと電話で思わぬボロを漏らしました。」

相澤「ボロ?」

菌華「奴は何か良からぬ計画を立てている事と

奴の仲間にワープの個性を持つ人物が居る事。」

相澤「計画、だと?それにワープの個性。」

菌華「まあ計画って言うくらいだしデカイ事考えてんでしょう・・・例えばオールマイトの抹殺とか。」

相澤「まさかな。」

菌華「ですよねー。」

相菌「はっはっはー。」

緑谷「えっとつまり菌華ちゃんがヴィランと戦って追い払ったって事?」

菌華「そゆこと、いやー良かったね対峙したのが私で〜、私以外の人だったら腕が使えなくなってたもんね〜、

いやー良かった良かった。」

相澤「着いたぞ、ここが今回の演習場だ。」

上鳴「でっけえー!」

切島「おい!あれ!」

一同「オールマイト⁉︎」

オールマイト「始めようか有精卵共‼︎戦闘訓練のお時間だ‼︎」

飯田「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか⁉︎」

オールマイト「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!」

飯田「勝敗のシステムはどうなりますか?」

爆豪「ブッ飛ばしてもいいんスか」

芦戸「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」

八百万「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

青山「このマントヤバくない?」

オールマイト「んんん〜聖徳太子ィィ‼︎」

骸牙「ルール説明しなくて良いんですか?」

オールマイト「そうだな骸牙、少年?」

骸牙「そうですよ、あと少女ですけどね。」

オールマイト「それは悪かった!それでルール説明だが状況設定は

ヴィランがアジトに核兵器を隠していてヒーローは

それを処理しようとしている!ヒーローは制限時間内に

ヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。

ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。」

オールマイト「コンビ及び対戦相手はくじだ!」

飯田「適当なのですか!?」

緑谷「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いしそういう事じゃないかな。」

飯田「そうか!先を見据えた計らい失礼しました!」

オールマイト「じゃあ早速くじを引いてくれ!」

 

 

 

コンビ A 緑谷、麗日

 

コンビ B 砂糖、口田

 

コンビ C 障子、峰田

 

コンビ D 爆豪、飯田

 

コンビ E 骸牙、八百万

 

コンビ F 上鳴、耳郎

 

コンビ G 芦戸、蛙吹

 

コンビ H 葉隠、尾白、青山

 

コンビ I 切島、瀬呂

 

コンビ J 轟、常闇

 

八百万「よろしくお願いしますね骸牙さん。」

菌華「おうよろしく、八百万さんと組めたら良いなって思ってたんだよ。」

八百万「・・・何か策が?」

菌華「ああ、それはな、ごにょごにょ。」

八百万「そんな事可能でしょうか。」

菌華「大丈夫だ、ごにょごにょ。」

八百万「ではそれで行きましょう、始まり次第取り掛かるのでその間敵をお願いします。」

菌華「任せな。」

オールマイト「最初の対戦は・・・こいつらだ!

Aコンビがヒーロー!Dコンビがヴィランだ!

ヴィランチームは先に入ってセッティングを!

5分後にヒーローチームが潜入スタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」

 

その後も対戦は続き私たちは最後となった

 

オールマイト「最後の対戦はこいつらだ!Jコンビがヒーロー!Eコンビがヴィランだ!」

骸牙「よし、じゃあいつでも出来るようにお願いな。」

八百万「いつでも準備オーケーです!」

オールマイト「では!屋内戦闘訓練 開始!」

骸牙「じゃ、相手してくる!」

八百万「お願いします!」

 

轟、常闇サイド

 

常闇「どっちが来ると思う?」

轟「骸牙一択だr

骸牙「呼んだかな⁉︎」

常闇「なっ⁉︎」

轟「やっぱりか!(バキバキバキバキ)」

骸牙「氷か!冷えるのは嫌いなんだよね!よっと!(パッキィン!)」

轟「叩き割った⁉︎」

骸牙「やっぱり良いなあ、人が驚いてる表情、

ついでにもう一つ驚かせちゃおうか、タイラント!」

轟「(タイラントってあのデカイ奴か!)」

 

体から出たウイルスが徐々に集まり人型を形成していく

 

タイラント「お呼びでしょうか?司令官。」

一同「なっ!何ィィィィ⁉︎」

 

みんなが驚くのも無理はない、昨日見たタイラントの風貌とは

もう人型と言う所くらいしか共通点が無いのだ、

それもそのはず今のタイラントの見た目は

10人中10人が見惚れるであろう整った顔立ちに赤い目をした銀髪ロングの女性なのだ、歳は20歳〜22歳くらいになる様に設定したが見た目から予想するにその通りになった様だ、全身を秘書服で包んでいるがタイラントの皮膚の性質と見た目を服に変えただけである、触ったら違和感バリバリだけど、後で本物買ってあげよう。

 

轟「骸牙!昨日のタイラントはどうした!」

菌華「ん?だからそいつだよ?

いつまでもあの見た目だと目立つしね、

それと、能力は変わってないから気を付けてね。」

常闇「何?」

骸牙「じゃ、タイラント、私は別の用があるから

どっちか1人抑えててね、

あっ、痛めつけちゃダメだよ?殺ってもダメ、じゃよろしくー。」

タイラント「分かりました・・・では、司令官の命により

あなた方どちらかと手合わせ致します、

轟様ですか?常闇様ですか?いつでもどうぞ。」

 

タイラントは丁寧な口調で淡々と話す

 

常闇「轟!先に行け!」

轟「ッ⁉︎分かった!」

タイラント「常闇様ですか、ではよろしくお願いいたします。」

常闇「行け黒影!」

黒影「負ケルカァー!」

タイラント「ふっ!(ブォッ!)」

黒影「(ドゴッ!)グッ、ヌァァァァァァ!」

 

タイラントが黒影の横っ面に後ろ回し蹴りを見舞う、黒影はそのまま吹っ飛んでいった

 

常闇「な、に?」

タイラント「ふむ、面白い個性ですね。」

常闇「黒影!大丈夫か⁉︎」

 

菌華サイド

 

菌華「ただいまー!八百万さん!アレ出来てる⁉︎」

八百万「お帰りなさい!出来てますよって轟さん付いて来てます!」

菌華「分かってるよ!よし!出て来なアンデッド!(ぞるぞるぞるぞる!)」

ゾンビA「お呼びですか?」

菌華「もう叫んだりしないんだ。」

ゾンビA「アレは皆さんのゾンビのイメージを

崩さない為にちょっと。」

菌華「まあ良いや!お前らそこに転がってる棒掴んでそこのオブジェ守れ!」

ゾンビ達「イエッサー!」

轟「こんな事も・・・。」

八百万「(これが、骸牙さんの作戦。)」

 

菌華『ああ、それはな、まず私が2人に牽制しに行くから

その間に八百万さんは棒みたいな物を29本作っといてくれ、

で、ある程度牽制したら帰って来るんだが

その時にあの2人を分断させる。』

八百万『そんな事可能でしょうか。』

菌華『大丈夫だ、タイラントを置いてきて

どっちかを抑えててもらう、あっちからしたら

タイラントを抑える為に1人残すんだろうが、

まあ多分常闇君がタイラントと戦って轟君が追ってくると思う、

それでこっちは私が出せる残り29体のゾンビを

八百万さんが作ってくれた棒を持たせて核を守る、

まあ作戦とも呼べねえ様なお粗末なもんだけどね。』

八百万『ではそれで行きましょう、

始まり次第取り掛かるのでその間敵をお願いします。』

菌華『任せな。』

 

八百万「(まさかここまで予想通りに事が運ぶとは。)」

轟「凍れ!(パキパキパキパキ!)」

ゾンビA「わっ、冷たっ!」

ゾンビB「足が凍ってる!」

ゾンビC「ひゃー。」

菌華「焦るなもげるぞ!オイそこの!

こいつらの足の氷を砕いてやれ!」

ゾンビD「はい!」

菌華「そこの5人!投擲!」

ゾンビ達「はい!(ブンッ!)」

轟「チッ!(ガキィン!)」

菌華「氷で防いだか・・・ん?ヒビが出来てる?

あの程度の攻撃で?・・・、そこの3人!核の右固めろ!そこの2人は上に注意!」

ゾンビ達「はい!」

八百万「(なぜ天井に注意を?)」

ゾンビE「上からつららが!防御しろ!(ガギンガギン!)」

轟「・・・なぜ分かった。」

菌華「ゾンビの投擲程度で氷にヒビが入ったのに違和感を感じてね、どっか別の場所に力を入れてたとか無い限りそんな事ある訳ないと思ってさ、その柱から凍らせてたんでしょ?さっきからそこ中心に動いてたもんね。」

轟「・・・なるほど、その的確な指示、司令官の名に相応しいな。」

菌華「イケメンに褒められると嬉しいな、そこの6人!左固めて!」

轟「・・・読み勝ったぞ。」

菌華「何⁉︎」

 

ちょっと待って左に来ると思ってたのに右から氷迫ってきたんだけど!

 

菌華「あああああ!冷たいぃぃぃ!」

八百万「骸牙さん!」

菌華「まだまだぁ!(クルッ、スタッ。)」

 

間一髪空中で回って助かった、めっちゃ冷たい

 

轟「やるな。」

菌華「どうも!」

 

一方その頃常闇サイド

 

タイラント「やっ!(ブォッ!)」

常闇「ぬっ!(サッ)黒影!」

黒影「ヌン!(グオッ!)」

タイラント「(ドゴッ!)くっ!(ザザザザザ)」

常闇「(・・・どうだ?)」

タイラント「今のはかなり良いのを貰ってしまいましたね。」

常闇「(どういう事だ?先ほどまでなら

避けられていたはずだが・・・。)」

タイラント「恐らく司令官が残りの29体全てのゾンビを上階で出しているんでしょうね、その影響で私は力が落ちていると考えられます。」

常闇「そういえば骸牙がバスで言っていたような。」

オールマイト「ヴィランチームWIN!」

常闇「・・・終わったか、そして負けた。」

タイラント「・・・私は楽しかったですよ、常闇様。」

常闇「!今なんt

タイラント「(ダッ!)」

常闇「・・・明らかに相手の方が強かった、楽しかった、か。」

 

轟サイド

 

轟「負けたか。」

菌華「ふぁー!疲れたー!」

八百万「私もです。」

菌華「轟君強過ぎんよー!」

ゾンビ達「じゃ、我々はこれで。」

菌華「ああ、助かったよ。」

ゾンビ達「では(トプン、ぞるぞる)」

八百万「そうやって戻るんですね。」

菌華「触らないようにね、ウイルスの塊だから。

さて、もうすぐタイラントも戻って来るやろ。」

タイラント「(スタッ)お疲れ様です司令官。」

菌華「おお来たか、じゃ、行こうか。」

 

移動中

 

オールマイト「お疲れ様諸君!では今戦のベストを発表する!今戦のベストは、骸牙君だ!」

菌華「私ィ?」

オールマイト「そうだ、仲間への優秀な指揮、相手の作戦を瞬時に見破る洞察力、轟君の言う通り司令官の名に相応しい働きだった!」

菌華「ありがとうございます・・・・・ところでオールマイト。」

オールマイト「ん?何かな?」

菌華「そろそろ何か食べないと腕がもぎもぎしそうなので学食食べに行っても良いですか?」

一同「えええええええ⁉︎」

菌華「じゃ、そーゆう訳で(ダッ)」

オールマイト「あっ、行っちゃったか・・・、誰かもげる理由知らないか?」

相澤「ヴィランにやられたらしいですよ。」

オールマイト「なっ!詳しく話したまえ!」

相澤「それは職員室でゆっくり、とりあえずこいつらをあっちに連れて行きましょう。」

オールマイト「・・・そうだな、では諸君!戦闘訓練の授業はこれで終わりだ!バスに乗れ!」

一同「はーい。」

 

第2話 2対2?いやいや32対2だよ 終わり

 

次回 根に持つタイプにケンカを売るな

 




ここまで読んで下さりありがとうございます。

轟戦の時にゾンビが冷たって言いましたがゾンビ達に痛覚は有りません、触覚があるだけです。ですがタイラントとかボス達には一応痛覚がありますがちょっと鈍くなっています、菌華のもちょっと鈍くなってます。


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第3話 根に持つタイプにケンカを売るな

朝7時30分、周りに民家が無いので思いっきり特撮のOPを熱唱しました、30分間ぶっ通しで。


 

朝5時半

飯田天哉は日課のランニングをしていた、この後もいつも通り家に帰り朝食を済ませ学校に行くのだろう、そう思っていた。

 

菌華「おいゴルァ!そんなもんでヘタれてたら幹部になるなんて夢のまた夢だぞオッラーン⁉︎てかまずヘタれんな!」

ゾンビ「い、イエッサー!」

 

公園でクラスメイトが部下と思しきゾンビにスパルタ指導をしていた

 

飯田「骸牙君⁉︎」

菌華「お、飯田君じゃないか、おはよう、ランニング?」

飯田「あ、ああそうだが、君は何をしてるんだ?」

菌華「こいつが幹部になりたいっつーから最高司令官直々にトレーニングしてる。」

飯田「幹部?階級制があるのか?」

菌華「と言っても私〉〉進化体の奴ら〉〉ただのゾンビ、もしくは虫とかカラスとかって感じなんやけどね。」

飯田「進化体、タイラントさんみたいな物か?」

菌華「そうそう、今新型ウイルスの作成もしててさ。」

飯田「新型ウイルス?」

菌華「そう、とりあえず横文字の液体と私の作ったウイルスを混ぜてるだけなんだけど。」

飯田「そうなのか・・・。」

菌華「そろそろ新しい死体が欲しいよ。」

飯田「死体なんてそうそう手に入るものじゃないからな。」

菌華「そうなんだよ〜、私も合わせて兵力31じゃゾンビの持ち味数の暴力が発揮出来ないからなぁ。」

飯田「その為に一般兵を一騎当千の進化体にするって事だな。」

菌華「そゆこと。」

飯田「おっと、邪魔をして済まない、じゃ、また後で。」

菌華「はいよ。」

ゾンビ「・・・司令官、自分の進化体は何になると思われますか?」

菌華「うーんそうだな、このままもうちょい基礎鍛錬してから今あるウイルスを大量に投与すれば私が決めれるんだが、新型ウイルスの場合何になるか分からんのよな〜。」

ゾンビ「・・・自分は出来れば新型が良いです。」

菌華「アホウ、その前に私が飲んで量産出来るようにするわ。」

ゾンビ「そうでしたね。」

タイラント「し〜れ〜い〜か〜ん〜!」

菌華「ゲッ、タイラント⁉︎私なんかやった⁉︎」

タイラント「なんかやった⁉︎じゃないですよ!あなたまた私のクローゼットに可愛いワンピース類入れましたね!」

菌華「良いじゃんよ!いつも秘書服とか堅っ苦しいじゃん!それにお前が女性と認めなくても見た目は可愛い女性なんだからさあ!せめて買い物の時だけでも着て行きなよ!超絶フリフリってわけじゃないんだから普段着として着てても違和感無いよ!性別不明なら見た目からして女の子っぽくしたら良いじゃん!」

タイラント「じゃあせめて私に言ってからにして下さいよ!」

菌華「それは悪かったよ!」

ゾンビ「お二人共、近所迷惑極まりないです。」

菌タイ「ごめんなさい。」

タイラント「それより司令官、お風呂湧きましたから入って下さい。」

菌華「はーい、じゃ、今日の訓練はここまで、また明日な。」

ゾンビ「ありがとうございました!(トプン、ぞるぞる)」

菌華「よし、はよ帰って風呂風呂っと。」

 

風呂場にて

 

菌華「とりあえず、身体洗ってと(カチッ、シャァァァァァ)アイエエエエ!シャワー⁉︎シャワーナンデ⁉︎しかも熱湯だしあっついし!(つるっ)おおっとっとっと、(バッシャァァァァン!)あ”あ”あ”あ”あ”風呂も熱湯じゃねえか!おいゴラタイラントォ!なんでこんなやり返し方⁉︎おまっ!55度とか!風呂じゃなくてお前の頭が沸いてんじゃねえのか⁉︎極度の寒がりでもこんな温度設定しねえよふざけんな!てかなんで55度まで上げれんだよここの風呂!」

タイラント「お呼びですか?」

菌華「お呼びですかじゃねえよ!そりゃ勝手にクローゼットにワンピース入れたのは悪かったよ!だけどな!熱湯風呂ってなんだ!私はダチョウ倶楽部じゃねえんだぞ⁉︎押すなよとも言ってねえしよ!」

タイラント「そんな事より学校行かないと行かないのでは?」

菌華「・・・まあ良い、これでおあいこな。」

タイラント「分かりました、ではここに制服と鞄を置いておきますね。」

菌華「出来ればこのお嬢様みたいな扱いも止めて貰いたいんだがな、じゃ、行ってきまーす!」

タイラント「行ってらっしゃいませ。」

菌華「(ガチャ)おっ、出久君おはよー。」

緑谷「あっ、菌華ちゃんおはよう、なんかさっき盛大な悲鳴が聞こえたけど。」

菌華「朝イチに55度の熱湯に飛び込みゃ誰でも悲鳴を上げるだろ。」

緑谷「そりゃ上げるね。」

 

移動中

 

菌華「(ガラガラガラガラ)おはようございまぁぁぁす!」

爆豪「朝からうるっせえな!黙れや!」

菌華「昨日言ったじゃん!その時のテンションに合わせて行動しないと死ぬって!」

一同「あれマジだったんだ!」

爆豪「じゃあ死ね!」

菌華「死にたくないから今テンション高いんだよ私は!」

爆豪「死ねっつってんだろ!」

菌華「嫌だって言っとろうが!」

爆菌「アァン⁉︎」

爆菌「ハモらせてんじゃねえよ!」

相澤「はいはいストップストップー、さっさと席につけー。」

爆豪「チッ、覚えてろよゾンビ女。」

菌華「こっちのセリフじゃBOMヘッド。」

爆菌「てめえ今何つった⁉︎」

相澤「さっさと席つけ(低音)・・・で、今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった。」

瀬呂「ハーイ!何するんですか⁉︎」

相澤「災害水難なんでもござれ『人命救助レスキュー訓練だ!」

上鳴「レスキュー・・・今回も大変そうだな。」

切島「バカおめー!これこそヒーローの本分だぜ!鳴るぜ!腕が!」

蛙吹「水難なら私の独壇場ケロケロ。」

相澤「今回のコスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。」

 

私のは伸縮性だけを重視したから限定はしないな、その点では便利

 

相澤「訓練場は少し離れた場所にあるから今回もバスに乗っていく。以上、準備開始。」

 

その後準備が完了しバスに乗り、特に何のトラブルも無く訓練場に着いた。その訓練場は、炎で包まれている小さな町や、巨大なウォータースライダーのようなものがある場所など、まるでテーマパークみたいな感じだった。

 

13号「水難事故、土砂災害、火事、エトセトラあらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名も、ウソの災害や事故ルーム!略してUSJ!」

 

デフォルメされたような宇宙服を纏ったスペースヒーロー13号がそう言った。てかUSJってそのネーミング大丈夫か?大丈夫か?(再確認)

 

13号「えー始まる前にもお小言を一つ二つ、三つ、四つ。」

 

増えてんぞ

 

13号「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます、その個性で僕はどんな災害からでも人を救い上げてきました、しかし、簡単に人を殺せる力でもあります、皆の中にもそういう個性がいるでしょう、超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているように見えます、しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せるいきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください、この授業では、人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう、君たちの力は人を傷つける為にあるのではない、救ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。以上!ご静聴ありがとうございました。」

 

13号先生の演説は素晴らしいかった、だが次の瞬間すぐに忘れてしまった。

 

相澤「塊になって動くな!」

 

相澤先生が声を張り上げた

 

相澤「13号!生徒を守れ!」

切島「何だありゃ?また入試ん時みたいなもう始まってるぞパターン?」

相澤「動くな、あれはヴィランだ。おい骸牙、あいつお前が言ってたやつじゃねえk

菌華「し、」

一同「し?」

菌華「死柄木弔!」

死柄木「何だ?⁉︎あいつはこの前の!」

菌華「・・・、相澤先生、戦闘許可を。」

相澤「・・・良いだろう。」

13号「おいイレイザーヘッド⁉︎彼女は生徒だぞ⁉︎」

相澤「とは言っても行っちまったぞ。」

13号「なっ!戻って来なさい!」

死柄木「おい、こっち向かって来てねえか?」

黒霧「向かって来てますね、確実に。」

菌華「しぃぃぃがぁぁぁらぁぁぁきぃぃぃ!(ズダン!)」

 

階段を駆け下りた私は死柄木の目の前に飛び降りた、と同時に

 

菌華「とりあえずこれ腕の借りな!(ブォッ!)」

死柄木「(みしみし!)ぐぁっ!(ドォォォン!)」

 

蹴り飛ばした

 

黒霧「死柄木弔!」

菌華「さて、どうする?先制攻撃は貰ったぞ?秘策でも無い限りゲームオーバーじゃないか?まあ秘策があるからオールマイトの居るここに来たんだろうがな、早く出せよ。」

黒霧「・・・良いでしょう、お望み通り!(バサッ!)」

 

なんか黒いカビみたいな奴がカビを広げる、するとそこから脳丸出しの紫ムキムキマッチョメンが出て来た、バイオに居てもおかしくねえなこいつ

 

黒霧「行きなさい、脳無。」

菌華「タイラント、そいつ任せたわ(ぞるぞるぞるぞる)」

タイラント「了解しました。」

菌華「出来るだけ綺麗にな。」

タイラント「承知しております。」

黒霧「おやおや、まさか貴女1人で戦うつもりですか?」

タイラント「・・・それが何か?」

黒霧「いえ、未知の敵に1人で立ち向かうとは余りにも無謀だと思いまして。」

タイラント「・・・(ブォッ!)」

脳無「(ドゴッ!)・・・・・・」

 

タイラントの蹴りが脳無とやらの顔面に不気味なくらい完璧にクリーンヒットした、だが反応を見せない、と、次の瞬間

 

脳無「(ゴウッ!)」

タイラント「(みしみしみしみし!ドッ!ガッ!ゴシャア!)」

 

タイラントが殴り飛ばされみんなの居る所のちょっと下の階段にめり込んだ

 

死柄木「脳無は対平和の象徴の怪人だ、あの女は死んだ、てめえ1人でやれんのか?」

菌華「・・・・・くっ、ふふふっ、あははははは!対平和の象徴の怪人⁉︎その程度の肩書きなのかよあのマッチョメン!あははははははは!」

死柄木「チッ、やっぱり気味が悪りぃな。」

菌華「あはははは!お前に言われたかねえよ!良いか⁉︎タイラントはな!」

タイラント「(ドウッ!ベギィ!)」

菌華「戦争で大活躍するはずだった生物兵器だよ。」

脳無「(グラァ、ドシャ。)」

黒霧「なっ⁉︎あの距離から一瞬で⁉︎しかも脳無が、一撃でやられた⁉︎」

菌華「全く、黒カビさんよぉ、さっき未知の敵に1人で立ち向かうとは余りにも無謀、とか言ってたよな、現状地面に伏せてんのはどっちだ?多分脳無って奴じゃオールマイトは殺せないぜ、かなり高確率でな。」

死柄木「バカな!ショック吸収の上限をたった一撃で壊しただと⁉︎」

菌華「いやー、流石に私もここまでやるとは思わんかったわ、クリーチャー操作用のウイルス全部あいつに回したらどうなるかとか実験したかったから丁度良かった、それにあんな良い実験材料も寄付してくれるなんてな、君らもしかしてボランティア団体さんか何か?」

タイラント「司令官、残りはどうしますか?」

菌華「じゃああそこのカビとこの手男だけ残してそれ以外気絶させてあそこの入口に集めといて、投げても良いから。」

タイラント「了解しました。」

菌華「・・・じゃ、死柄木クン、君の好きなゲームの始まりだ。」

 

一方タイラントサイド

 

タイラント「(ぽいぽーい)フルパワー出したのは初めてだけど爽快だったな。」

相澤「・・・手伝いましょうか?」

タイラント「いえ、このくらいお手を煩わせるほどでは。」

相澤「そうですか。」

タイラント「・・・では入口に投げたヴィランを捕縛しといてくれますか?」

相澤「分かりました。」

タイラント「・・・・・良い人達だなー(ぽいぽーい)」

 

一方死柄木サイド

 

死柄木「なんだよこれ!オールマイトを殺してちゃちゃっと帰るつもりがオールマイトが出てくる事すら無い!なんなんだ!」

菌華「まあまあ死柄木クン、そんな怒らないで、カルシウム足りてないんじゃないの?ほらにぼし。あっ、そうだ、タイラントー!13号先生連れて来てー!てか担いで来てー!」

タイラント「(シュタッ)お待たせしました。」

菌華「うん、全く待ってないけどな、で、13号先生、あそこに黒いカビみたいなの居るじゃないですか、あれ物理攻撃無効なんで私たちだと手も足も出ないんです、吸い取ってくれません?出来ればそこの死柄木も行動不能にしたいんですが。」

13号「おまかせあれ(シュゴォォォォォ!)」

死柄木「ぬうう!」

黒霧「死柄木弔!今回は引きましょう!」

死柄木「チッ!それしか無いか・・・・おいガキ、次はもっと手強いと思え。」

菌華「それはこっちのセリフだわさ。」

死柄木「(シュゥゥゥン)」

菌華「行ったか。」

13号「骸牙君、だったか。」

菌華「はい。」

13号「(ビシィ!)」

菌華「ぎゃうん!」

13号「良くやってくれた、だが、もう二度と1人でやる事の無いように。」

菌華「分かりました。」

13号「・・・分かったなら良し!お腹空いたろう?学食奢るよ。」

菌華「本当ですか⁉︎めっちゃ空いてたんですよー!」

13号「食事の時に君の個性の事詳しく教えてくれないか?」

菌華「全然良いですよ!早く行きましょ!」

芦戸「菌華ちゃーん!」

八百万「骸牙さん!」

轟「骸牙。」

菌華「めっちゃ来た!」

芦戸「すごいねー!あのヴィランの大群を2人だけで撃退するなんて(もにもに)」

菌華「うん、褒めてくれるのは嬉しいんだけどほっぺをもにもにするのは止めようか。」

八百万「タイラントさんもすごいですね!一回ここに飛んで来た時は心配しましたがまさか一撃で倒しちゃうなんて!(さらさら)」

タイラント「司令官が私1人に力を回してくれたから出来た事です・・・・・ところで八百万様、なぜ私の髪をくしで解くのですか?」

轟「骸牙、その死体、どうするんだ?(パキパキ)」

菌華「ん?こいつは気絶してるだけよ、こいつの身体良い素材になりそうだったから貰おうと思ってさ、ところで轟君、なんで私の足を凍らせるのかな。」

一同「たった2人だけで立ち向かったからだよ!」

菌華「うぇー勝てたからいーじゃーん。」

芦戸「・・・・・。(むにー。)」

菌華「いだいいだい!ごめん!悪かったから無言でほっぺ伸ばすのやめよ⁉︎ね⁉︎いだだだだ!」

八百万「・・・・・。(ギュッギュッ。)」

タイラント「八百万様、なぜヘアゴムで髪を縛るのですか。」

轟「・・・・・。(バキバキバキバキ)」

菌華「轟君、無言で氷像を作ろうとするのは止めよ?」

相澤「てかその怪人はこっちで預かるからお前には渡せないぞ?」

菌華「せ、せめて腕一本だけでも!」

相澤「肘から下までなら良し。」

菌華「丸々一本下さいよ〜。」

相澤「貰えるだけでもありがたいと思え。」

菌華「は〜い。」

相澤「・・・・・そういえばお前ら。」

一同「ん?」

相澤「1週間後体育祭だ。」

一同「・・・・・はぁぁぁぁ⁉︎」

 

第3話 根に持つタイプにケンカを売るな 終わり

 

次回 何とかして新型ウイルスを作り出そう!

 




ここまで読んで下さりありがとうございます。

根に持つタイプとはタイラントの事ではありません、菌華の事です。


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第4話 何とかして新型ウイルスを作り出そう!

先に言います、オリキャラ回です。


 

夜0時山奥

 

菌華「今日は寄生虫をとにかく集めるぞ!」

タイラント「司令官、意味が分かりません、説明を求めます。」

菌華「ウイルスと寄生虫をまぜまぜして出来た虫を誰かに寄生させたらなんか起こる気がしたから即行動に移した。」

タイラント「・・・それは分かりました、でも夜に小さな虫を捕まえるのは困難ではありませんか?」

菌華「気合。」

タイラント「脳筋も大概にして下さい。」

菌華「じゃあ虫の死骸を集めてくれ、出来ればカマキリを多めに。」

タイラント「何に使うのですか?」

菌華「帰宅後の実験見りゃ分かる。」

タイラント「・・・了解しました、ですが寄生虫集めは司令官一人でやって下さいね?」

菌華「わーかってるよ、じゃ、1時間後ここに集合な。」

タイラント「分かりました、ではこれより、虫の死骸集めを開始します、A隊は私と共に、B隊はそっち、C隊はあっちをお願いします。」

ゾンビ達「イエッサー!」

 

菌華サイド

 

菌華「ほーら猫ちゃんこっちおいで〜、猫じゃらし!猫じゃらしあるよ〜、よ〜し良い子だ・・・今だ!(サッサッサッ)よし、予想通りノミがいっぱい取れた、もうこれだけで充分だな、猫ちゃんありがとね〜。よし、私も死骸集めするか。」

 

タイラント&ゾンビA隊サイド

 

タイラント「セミ、セミ、カブトムシ、カブトムシ、カナブン、セミ、サソリ、セミ、セミ、スズメバチ、セミ、カマキリ、セミ、セミ、カマキリ、アゲハ、セミ、・・・セミが圧倒的に多い。」

ゾンビA「隊長!ムカデって虫でしたっけ⁉︎」

ゾンビB「バカお前ムカデは爬虫類だよ。」

タイラント「どちらも違います、正確には両生類です。」

ゾンビA「ありがとうございます!」

タイラント「・・・カマキリ、セミ、サソリ、バッタ、カマキリ、スズメバチ、アゲハ、セミ、カマキリ、サソリ、セミ。」

 

ゾンビB隊サイド

 

ゾンビD「おい、お前マムシって種族なにか分かるか?」

ゾンビE「ムシって付いてんだから昆虫だろ。」

ゾンビF「聞いた話だとマムシは爬虫類らしいぞ。」

ゾンビD「でも爬虫類の虫ってムシだろ?なら良いんじゃね?」

ゾンビE「それもそうだな。」

ゾンビF「虫って付いてんだから。」

 

ゾンビC隊サイド

 

ゾンビG「そっちあるか?」

ゾンビH「ムカデなら。」

ゾンビI「さっきすれ違ったA隊の情報だとムカデは両生類だそうだ。」

ゾンビH「両生類ってあれだろ?ゴリラとかだろ?」

ゾンビI「いや、ゴリラは空を飛ぶ事から鳥類だと思う。」

ゾンビG「マジか⁉︎どうやって飛ぶんだよ!」

ゾンビI「それはほら助走つけてジャンプ。」

ゾンビG「それは飛ぶじゃなくて跳ぶだよ。」

ゾンビI「一緒じゃねえか。」

ゾンビH「で、このムカデどうする?」

ゾンビG「虫っぽいし入れとけば?」

ゾンビH「そうだな、入れとくか。」

 

1時間後

 

菌華「終わったか〜?」

タイラント「終わりました。」

菌華「じゃ、帰るぞ。」

一同「イエッサー!」

 

無事下山

 

菌華「(ガチャ)ただいま〜って中に誰も居ないか。」

タイラント「虫の死骸ここに置いときますね。」

菌華「おうありがとな。よし、じゃ始めるか、とりあえずウイルスに猫ちゃんから採取した大量のノミを漬け込む。さて、後はひたすら新型の寄生生物が出来るのを祈るだけか。」

 

30分後

 

菌華「タイラントお前ロ◯ッタ使いだったのか。」

タイラント「ええ、上手く使えると2対1になりますからね。」

菌華「私ル◯ナから離れられないんだけど。」

タイラント「とか言いつつファ◯コも使ってるじゃないですか。」

菌華「速いキャラ好きなんだy(ボォン!)ファッ⁉︎何だ⁉︎」

ゾンビ「司令官!漬け込んでた奴が爆発しました!」

菌華「よっしゃ!多分成功や!じゃお前そこのデカイ水槽に入れ!」

ゾンビ「え⁉︎あたしですか⁉︎」

菌華「そうだよはよしろ!」

ゾンビ「わ、分かりました!」

菌華「じゃ、この虫の死骸砕くの手伝ってくれタイラント!」

タイラント「分かりました。」

菌タイ「(ドシャ!グシャ!ベキ!ペキペキ!メシャメシャ!)」

菌華「なんでサソリが居るのか不思議だけどとりあえずよし!次はこの砕いた奴にさっき出来上がった虫を3匹ほど入れて私のウイルスと混ぜる!」

タイラント「はい。」

菌タイ「(ドバドバドバドバ、ぐーるぐーる)」

菌華「じゃあ最後にこの謎の液体を水槽に投入!」

タイラント「はい。」

菌タイ「(ダバー)」

菌華「後は1時間放置。」

タイラント「次はどう時間を潰しますか?」

菌華「マ◯カ8しようぜ。」

タイラント「世界対戦でお願いします。」

 

1時間後

 

???「(ザバッ!)ぶはぁっ!」

 

起き上がった者は先ほどまでの姿の原形を留めてはいなかった、細長い三本の指には鋭利な爪が付き全身に黒い甲殻を纏っている、いかにも硬そうだ、身長もかなり高くなっている、と言うより足が長い、そして1番特徴的なのはサソリの様な尻尾、先には針なんてちゃちな者じゃなく剣の様な物が付いている、子供にも分かる様に言えばそう、昆虫人間だ。

 

???「あ、おはようございます。」

菌華「おう、起きたばっかで悪いがちょっと姿変えさせてもらうぜ、そのままでもカッコいいんだがな、私は美少女の方が好きなんだ。(みしみしみし)」

???「痛い痛い!司令官!痛いです!」

菌華「(みしみし、ボシュウ)出来たぞ、風呂貯めてあるから全身の液体流してきな、服も用意してあるから。」

???「は、あ、ありがとうございます。」

 

姿を2回連続で変えられたら戸惑いもするだろう、1回目は昆虫人間に、2回目は少女に、見た目は黒い短髪に白い肌、そして真っ平らな胸、服を着ないとその位しか語る事が出来ない

 

菌華「そうギクシャクするなって、お前さん今日から幹部だぜ幹部。」

???「じゃあ行ってきます。」

菌華「おう、行ってらっしゃい。」

タイラント「・・・私、あの様なクリーチャーは見た事が無いんですが。」

菌華「あいつとお前は感染してるウイルスが違うからな、てかあいつはウイルスじゃなくてプラーガって言う寄生生物だし。」

タイラント「名前は何と言うのですか?」

菌華「『ヴェルデューゴ』濁点が多いのが特徴だ。」

タイラント「能力とかは?」

菌華「少女に変える前に尻尾やら爪やらトゲトゲしたもん付いてたろ?あれを体の大体の所から出せるっつー能力にしといた、しかも体めっちゃ硬い。」

タイラント「弱点は無いのですか?」

 

液体窒素 氷結 ダメージ3倍 ロケラン ウッ頭が!

 

菌華「・・・氷結かな。」

タイラント「氷結、轟様とかでしょうか。」

菌華「正確には凍らせて高威力の攻撃入れるのが効果的やな。」

タイラント「なるほど。」

菌華「んなもん知ってどーすんだ?」

タイラント「私が氷に耐性を付ければカバー出来るかなと。」

菌華「・・・新人思いの良い上司だな。」

タイラント「司令官の事もちゃんと考えてますよ。」

菌華「ありがとな。」

ヴェルデューゴ「いや〜良いお湯でした〜。」

菌華「そりゃ良かった、服もちゃんと着れたみたいだな。」

ヴェルデューゴ「はい!これカッコいいですね!」

 

ヴェルデューゴの服

黒いローブ

迷彩服上下

黒のショートブーツ

潜入する気満々!

 

菌華「えーと、今3時半だから、めっちゃ急げば登校前にもう一人幹部が増えるな、よし!海行くぞお前ら!」

タイラント「了解しました。」

ヴェルデューゴ「イエッサー!」

菌華「テンション高えなヴェルデューゴ、進化すると性格変わるんか?」

ヴェルデューゴ「ん?ヴェルデューゴって誰ですか?」

菌華「え?お前だぞ?」

ヴェルデューゴ「ああ、幹部になると新しい名前が貰えるんでしたね!」

菌華「え?そうなの?」

ヴェルデューゴ「え?違うんですか?」

菌華「・・・さっさと行くぞ。」

 

移動中

 

タイラント「ところで何をするんですか?」

菌華「深海魚獲るぞ。」

タイラント「・・・もしかして。」

菌華「そう素潜り。」

タイラント「じゃあ私達はあそこの防波堤で朝ごはんのおかず釣ってますね。」

菌華「嘘嘘!地上!地上からだから!」

タイラント「でもどうやって獲るんですか?」

菌華「まあ見ててみ(ぞるぞるぞる、ギャリリリリ)」

ヴェルデューゴ「あっ、それってあたしの尻尾じゃないですか?」

菌華「そうそう、これを限界まで伸ばして刺して獲る!ヴェルデューゴも能力に慣れたら出来るだろ。」

タイラント「それ魚がどこに居るかとか分かるんですか?」

菌華「・・・・・感?」

タイラント「あっちで釣ってますね。」

菌華「美味しいの釣ってよね。」

タイラント「お任せ下さい。」

ヴェルデューゴ「あたしも司令官のそれ出来ないかな〜。」

菌華「てかタイラントなんで釣竿持ってきてんの?」

タイラント「食費を浮かす為です。」

菌華「秘書が優秀過ぎる。」

 

タイラントサイド

 

ヴェルデューゴ「タイラント先輩!出来ましたよ司令官がやってたやつ!」

タイラント「それ元々あなたの能力ですよ?」

ヴェルデューゴ「まだ慣れて無いんです〜。」

タイラント「まあ良いです、じゃあお魚獲っちゃって下さい、あ、生態系破壊レベルで獲っちゃダメですよ?」

ヴェルデューゴ「分かってますよ〜。」

タイラント「(キリキリキリキリ)おっと引いてますね、よいしょ!(ザパァ)・・・これはイカですね。」

ヴェルデューゴ「なんか、あたし達の仲間にこんなの居ませんでした?」

タイラント「居るでしょうねぇ、1人くらい。」

 

菌華サイド

 

菌華「1匹でも釣れたらオッケーなんだけどなぁ、そう簡単に釣れないよn(ガブ!)いってえ!なんかに咬まれた⁉︎(ギャリリリリリリ!ザパァ!)ホオジロザメ⁉︎そりゃ痛いわ!鮫って食べれるっけ⁉︎てか釣り上げられたんだからいい加減離せや!しつこいわ!いだだだだだ!このっ!(ブンッ!ヒュウウウウ、ザッパァン!)・・・よし、死んではねえな、食わねえのに殺すのは気分悪いし良かった、てか尻尾どうなってる?・・・うえー歯が刺さっとるわ〜、ん?鮫?鮫・・・鮫・・・。」

 

タイラントサイド

 

ヴェルデューゴ「先輩!またイカ獲れましたよ!」

タイラント「お刺身で頂きましょうか。」

ヴェルデューゴ「良いですね!」

タイラント「それにしてもイカが良く獲れますね。」

ヴェルデューゴ「美味しいんでしょ?なら良いじゃないですか。」

タイラント「私は食べた事無いんですよね、イカゲーならやった事あるんですけど。」

 

菌華サイド

 

菌華「ん?なんか触った様な・・・(ザク!)おっしゃ!ビンゴ!(ギャリリリリリ!ザパァ!)・・・あの宇宙人みたいなデザイン、多分深海魚だよな、うん、アレさえ採れれば正直深海魚じゃなくても良い、てかこいつ食えるかな。」

ヴェルデューゴ「しれいかーん!こっちは終わりましたよー!」

菌華「タイミング良いなオイ、何釣れた?」

タイラント「美味しいのが。」

菌華「なら良し、帰るぞ。」

 

帰宅

 

菌華「じゃあ私は幹部もう1人作ってるから君らはご飯作っといて。」

タイラント「了解しました。」

ヴェルデューゴ「あたし料理とか出来ないんですけど。」

菌華「なら私の隣で実験の様子でも見てなさい。」

ヴェルデューゴ「はーい。」

 

タイラントサイド

 

タイラント「(スパッ、スパスパッ)これはバター焼き、これはお刺身、これはイカ飯、他は冷凍で良いかな、あれ?バターってまだ残ってたっけ?」

ゾンビ「マーガリンなら。」

タイラント「うおう⁉︎・・・居たんですか。」

ゾンビ「タイラントさんも驚くんですね。」

タイラント「私を何だと思ってたんですか。」

ゾンビ「冷静沈着家事大得意いつも真顔で笑顔を見たら幸せになれると噂の司令官秘書。」

タイラント「そんな噂が・・・。」

 

菌華サイド

 

ヴェルデューゴ「司令官、それ何ですか?」

菌華「深海魚から運良く採れたジ・アビスってウイルスの遺伝子だよ、これをt-ウイルスと混ぜてt-アビスって新型のウイルスを作れたら良いなぁって思ってる。」

ヴェルデューゴ「作れる保証無いんですか⁉︎」

菌華「とりあえずそれっぽい物を混ぜときゃ出来るだろ、現にお前だって適当に混ぜた物で進化したんだぞ。」

ヴェルデューゴ「それはそうですけど〜。」

菌華「それよりそこの鮫の歯取ってくれ。」

ヴェルデューゴ「はい。」

菌華「さんきゅ。」

ヴェルデューゴ「鮫ベースですか?」

菌華「そうそう、こいつとお前とタイラント3人だけで結構な戦力になると思う。」

ヴェルデューゴ「誰に使うんですか?」

菌華「昨日からめっちゃ進化したがってたあいつだよ。」

ヴェルデューゴ「ああ新型のウイルスに感染したがってた。」

菌華「さて、下準備は終わったし待つだけだ、その間何する?」

ヴェルデューゴ「ス◯ラ◯ゥーンやりましょう!」

菌華「交互にやるか。」

 

第4話 何とかして新型ウイルスを作り出そう!終わり

 

次回 特訓に喰われる休日

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。
ヴェルデューゴってかっこいいですよね。
ん?戦闘シーン?新キャラ考えるので
いっぱいいっぱいなんですご容赦下さい。


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第5話 特訓に喰われる休日

今回アホみたいに長いです、それと前回からの続きです、見てない方はそちらから先にご覧下さい。あと幹部の名前があまりにも長いので改名します、ただし5文字以下の奴らはそのままです。


ヴェルデューゴ「先輩!せんぱーい!」

タイラント「何ですか騒がしい。」

ヴェルデューゴ「良いから来てください!司令官が大変なんです!」

タイラント「なっ!それを早く言いなさい!何があったのですか!」

ヴェルデューゴ「見れば分かります!」

タイラント「司令官⁉︎ご無事で、すか。」

菌華「イヒーーー!ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョ〜!└(՞ةڼ◔)」」

ヴェルデューゴ「スプ◯でダ◯ニーガチャ限界まで回したのに良いギアが1個も揃わなくて現実逃避なのかヌベスコで暴れ出したんです!」

タイラント「なんでダ◯ニーガチャで良いの出ない→ヌベスコで暴れるになるんですか!」

ヴェルデューゴ「あたしが分かるわけないじゃないですか!」

ヌベスコ菌華「イヒーーーー!ヌベベベベ!ヌベ!└(՞ةڼ◔)」」

タイラント「とりあえずその頭おかしいのを気絶させて下さい!」

ヴェルデューゴ「気絶ってどうすれば良いんですか⁉︎首切り落とせば良いですか⁉︎」

タイラント「もう!私がやります!コホン、司令官?」

ヌベスコ菌華「ヌベ?」

タイラント「どりゃ!(ドムッ)」

ヌベスコ菌華「ガハッ(ドサッ)」

ヴェルデューゴ「・・・あわ、あわわわわ!タイラント先輩が司令官に腹パンを・・・。」

タイラント「司令官、お許し下さい。」

ヴェルデューゴ「って先輩!あれ!司令官が作ってたウイルスがありえない色の光を放ってます!」

タイラント「今このタイミングで⁉︎司令官!起きて下さい!(ペチペチ)新型出来ましたよ多分!」

菌華「ん?おお出来たか!」

タイラント「多分です。」

菌華「出来たか!」

ヴェルデューゴ「多分です!」

菌華「被験者を召喚。」

ゾンビA「やっと出番ですか!」

菌華「オラとっととその水槽入れや。」

ゾンビA「入りました。」

菌華「(BGM キュー◯ー3分クッキング)さて、とりあえず被験者にt-アビスを大量に掛けます(ドバドバドバドバ)そしたら鮫の歯を5本、適当に被験者の体に突き刺します、そして脳無の肉片を水槽に2〜3個浮かせます、終わり!」

一同「ええええええ⁉︎」

 

1時間後

 

???「(ザパッ)マジで進化出来たんだけど。」

 

起き上がった元ゾンビは一言で言うとゴツい、体色は黒と濃い紫で構成され右手が槍、左手が盾の様な形をしている、いかにも近接要員やで、と言う感じだ、こんなのに夜かち合ったら死を覚悟する、

 

菌華「疑ってたのかテメエ。まあ良いや、毎回恒例美少女になあれのコーナー!(みしみしみし)」

???「いだっ!いだだ!テメッ!もうちょい優しく出来ねえのか⁉︎」

菌華「んん?口が悪いなぁ、こりゃ性格悪い方に傾いたかな?脳無の肉片使ったのが悪かったんかな〜?(みしみしみしみしみし!)」

???「あだだだだ!悪かった悪かった!」

菌華「(ボシュウ)よろしい、じゃあ風呂入ってこい。」

???「何でだよ。」

菌華「お前全身ベッタベタだろうが、そんなんで歩き回られても困るんだよ。」

???「嫌だね。」

菌華「強制連行するぞ?」

???「ハッ、出来るもんならしてみろよ。」

菌華「言ったな?よし、タイラント、ヴェルデューゴ、手伝ってくれ。」

タイラント「了解しました。」

ヴェルデューゴ「あいさー。」

???「ちょっ!待て!」

菌華「ついでにヴェルデューゴ、一緒に入って体洗ってやれ。」

ヴェルデューゴ「おまかせあれ〜。」

???「やめろっ!離せ!離せよ!」

菌華「いっせーのっせー(ポーイ、バッシャアアアアン!)」

???「ああああああ!」

 

あまりにも暴れるので浴槽に投げ込んだ

 

ヴェルデューゴ「さぁ隅々まで洗ってやる!えーと?」

菌華「『スカルミリオーネ』だ。」

ヴェルデューゴ「長いからカルミでいっか!じゃ、カルミ、あったかいのとつめたいのどっちが良い?」

スカルミリオーネ「やめろぉぉぉぉぉ!(バタン)」

タイラント「・・・。」

菌華「能力とか諸々説明した方が良い?」

タイラント「お願いします。」

菌華「えっと名前はさっきも言ったけどスカルミリオーネ、能力はアホみたいにデカい槍と盾を召喚する能力。」

タイラント「それだけですか?」

菌華「あとは上半身か下半身どっちかが弾け飛んでも生きていられる異常な生命力かな。」

タイラント「下半身だけ残っても意味無いんじゃ。」

菌華「ダチョウみたいに走りながら電撃で攻撃してくんだよ。」

タイラント「自己修復は出来るんですか?」

菌華「出来ないなぁ、でも私のウイルスを大量に摂取したら復活するよ。」

タイラント「なるほど。」

菌華「あ、これ関係無いんだけどさ、お前らの名前短くして良い?」

タイラント「5文字以内なら短縮しなくても良いのでは?」

菌華「・・・つまり改名すんな殺すぞって事?」

タイラント「まあそうですね。」

菌華「そこは否定して欲しかったな〜。」

タイラント「で、改名するんですよね?」

菌華「とりあえずヴェルデューゴはヴェルかな。」

タイラント「あの新人は?」

菌華「カルミで良いだろ。」

タイラント「全員ラ行が入りますね。」

菌華「不思議だな。」

カルミ「(ガチャ!)オイクソコマンダー!何だよこの服の色!」

菌華「クソコマンダー⁉︎」

ヴェル「あーカルミ〜、逃げちゃダメだよ〜。」

カルミ「テメエもテメエでカルミカルミうっせえな!」

菌華「何だろう、こんな感じの人がクラスメートに居た気がする。」

タイラント「居ましたねえ、こんな感じの人。」

カルミ「話を聞け!」

 

今更だけどカルミの特徴的な見た目

濃い紫髪

青目

 

渡した服

タイラントが着てる秘書服の紫バージョン

 

菌華「何だよ、かっこいいじゃねえか。」

カルミ「いや服のデザインに文句は無えよ⁉︎」

菌華「無えのかよ。」

カルミ「だけどよ!普通黒だろ紫って何だよ!」

タイラント「司令官、そろそろ支度をした方がよろしいのでは?」

菌華「そうだな。」

カルミ「てか俺の服の話はまだ

菌華「それか全裸かどっちが良い?」

カルミ「・・・・・これで良い。」

菌華「良い子だ。じゃ、いってきまーす(ガチャ)」

緑谷「あ、おはよう菌華ちゃん。」

菌華「おはよう緑谷君。」

緑谷「・・・・・今日は学校休みだよ?」

菌華「私服だからまさかとは思ったけど聞きたくなかったなーその言葉。」

緑谷「ま、まあ丁度良いや、相澤先生が体育祭の事言うの忘れてたお詫びに学校のトレーニングルーム使わせてくれるんだって、一緒に行かない?」

菌華「太っ腹やね相澤センセ。でも丁度新しい幹部に能力の使い方を教えようと思ってたし。」

緑谷「どんな人達?」

菌華「平べったく言うと昆虫人間と鮫人間かな。」

緑谷「・・・見た方が早そう。」

菌華「コノヤロウ。」

緑谷「じゃあ先に行ってるね。」

菌華「ん、ちゃちゃっと着替えてすぐ行く。」

 

ちゃちゃっと着替えて雄英に到着

 

菌華「・・・忘れてた、雄英ってクソ広いんだった。」

 

どこだよトレーニングルーム

 

相澤「おーい、骸牙。」

菌華「相澤先生。」

相澤「脳無の腕、役に立ったか?」

菌華「今の所性格が爆豪君に似ただけでした。」

相澤「何に使ったんだ・・・。」

菌華「新しい幹部に。」

相澤「・・・まあ良い、こっちだ。」

 

トレーニングルーム

 

切島「おっ、骸牙、お前も来たのか。」

菌華「鋭児郎ちゃんか。」

切島「鋭児郎ちゃんやめろ!」

 

何でそんなに嫌がるんですかね

 

上鳴「まあまあ。ところで骸牙は筋トレか?それとも個性のコントロールか?」

菌華「新幹部の特訓。」

切島「お!また増えたのか!見せてくれよ!」

 

かなり興味ありげだ、まあ断る理由も無いしウイルスを操作して人型を形成する

 

ヴェル「(ぞるぞるぞる)司令官、あたしおやつの途中だったんですが?」

カルミ「くだらん用ならぶっ飛ばすからなクソコマンダー。」

菌華「君ら一応私の部下だからね?」

 

泣きたくなってきた

 

上鳴「おお〜!可愛い!」

 

可愛い顔してるだろ?ラスボスの2.5倍の体力なんだぜ、そいつ、もう1人は滅多刺しにしてくるし

 

ヴェル「ん?司令官、友達?」

菌華「そうだ、濃いメンツだろ?」

カルミ「テメエが言えた事じゃねえだろ。」

切島「・・・なんだろう、爆豪みたいな娘が・・・。」

 

気にしないで切島君

 

菌華「ほら自己紹介。」

ヴェル「初めまして、あたしはヴェルデューゴ。」

カルミ「・・・スカルミリオーネだ。」

菌華「ああ、名前の事なんだけど君達2人の名前長いから改名させて貰うね、答えは聞かないけど。」

カルミ「はぁ⁉︎」

ヴェル「あたしは賛成〜。」

菌華「じゃあよろしくなヴェルとカルミ。」

カルミ「カルミ止めろ!」

上鳴「えーと、ヴェルちゃんとカルミちゃんで良いんだよね?」

菌華「うん。」

カルミ「良くねえ!」

菌華「じゃあカルミで良い人挙手、はい。」

上鳴「はい。」

切島「はい。」

ヴェル「はい。」

菌華「賛成多数でカルミに決定。」

カルミ「ちくしょぉぉぉ!」

ヴェル「で、司令官はなんであたし達を呼んだの?」

菌華「君らの能力をもっと使いこなせる様にアドバイスするのと戦闘能力の向上の為。」

ヴェル「なるほど。」

カルミ「めんどい。」

菌華「まあ強制的に連れて行くんだけど。ねえ上鳴君、広い所無いかな?」

上鳴「ん、ああ、あっちを右に曲がってまっすぐ行けば実戦訓練用の広場があるぜ。」

菌華「さんきゅ。よしヴェル、カルミの両足持ってくれ、私は両手持つから。」

ヴェル「了解しました〜。」

カルミ「離せ!クソ!なんでいつも捕まるんだよ俺は!」

菌華「はいはい黙って運ばれててね〜。」

 

実戦訓練用の広場

 

ヴェル「司令官!トレーニング内容はどうなっているのですか!」

 

広場に着いた瞬間ヴェルが叫んだ、こいつほんとうるせえな、もうちょい声のトーン落とせや、あれか?材料に使った虫の死骸にセミが多かったからか?

 

菌華「帰るまでひたすら私と手合わせだ。」

ヴェル「アッーお腹が痛くなって来たなぁ、これは今日食べたパンがカビてたのかなぁ、帰りたいなぁ(棒)」

菌華「はっはっは、あれは昨日買ったばかりだぞ、それにウイルスで作られた生物兵器が食べ物で腹壊すとかあってたまるか。」

ヴェル「クソッ!翻訳機が壊れた!」

菌華「斬新な聞こえないフリやめろ。」

ヴェル「能力の使い方を教える訓練で能力を使わないと勝てなさそうな人と戦うとかおかしいじゃないですか、ねえおかしいじゃないですか(ガチトーン)」

菌華「ヴェルお前さ、釣りに行った時尻尾使えたろ?それと同じ要領で他の場所から他のトゲトゲを出しゃ良いんだよ、つか手加減もするし。」

ヴェル「おっしゃやったろやないかい!」

菌華「うるせえ。」

カルミ「言っとくけど俺はやらないz

菌華「体育祭で無事活躍してくれたら私が出来る範囲なら何でも言う事聞いてやる、何でも。」

 

ん?今何でもするって言ったよね、と言われるのは嫌なので強調しといた、どちらかと言うと言う方が好き

 

カルミ「・・・分かった、やってやる。」

菌華「よしじゃあ行くぞ!」

ヴェル「待って!司令官は1人だよね、誰か居た方がフェアじゃない?」

 

訓練にフェアも何も無えよ。でもまあ1人でやるより楽だから良いか

 

菌華「んーとじゃあ、切島君!きーりーしーまーくーん!」

切島「おう!なんだ⁉︎」

菌華「今からヴェル達と戦うんだけど2対1はフェアじゃないって言うから良ければ手伝って頂きたい!」

切島「いいぜ!今行く!」

 

移動するのがめんどいから大声で会話した

 

菌華「悪いね、練習相手にさせちゃって。」

切島「別に良いぜ、よしやるか!」

菌華「じゃあ今度こそ!」

ヴェル「行きますよ〜、えい!(ギャリリリリリ!)」

 

ヴェルが私の脳天めがけて尻尾を伸ばして来た、ご丁寧に先っぽには刃も付けて、主人殺す気か?

 

菌華「おっと(サッ)」

ヴェル「にゃっ⁉︎」

 

避けられてびっくりしたのは分かる、割と馬鹿に出来ない速さで伸ばして来たからな、でもな、にゃっ⁉︎は無いだろう

 

菌華「ヴェル、お前は不意打ち特化したり速さ重視の方が良いと思うぞ、それか隠れたりな。」

 

隠れると言えば前世でバイオやってた時どこにも入り口が見当たらない天井や排水路から攻撃して来た時は通り抜けフープでも持ってるんじゃないかと思った、結構身体が柔軟らしいけど入り口無いなら入るも何も無いと思う

 

ヴェル「隠れる場所が無いんですが?」

菌華「とりあえず出来そうな事をやるんだよ、体から出せる刃を枝分かれさせるとか。」

ヴェル「なるほど!」

菌華「じゃ、切島君、性格が爆豪君のカルミは私がやるからヴェル任せて良い?」

切島「おう!小細工は苦手だけど俺も少しはアドバイスしてやれると思うぜ!」

 

やだ良い人

 

菌華「おっと始める前に一つ、ヴェル、私が許可するまで殺してしまう可能性がある攻撃は絶対禁止だ、今この瞬間から禁止、許可が出るまで使うな、お前が出す刃も先をあまり尖らせず切れ味も落とせ、尻尾の先の刃もだ、私が本気で来いと言っても殺さないレベル内での本気だ、良いな?」

 

これは本当に大事、クラスメートを間接的にも殺しちゃったとか悔やんでも悔やみきれないレベル、せっかく転生したのに☆処刑END☆とかシャレになんねえ、とりあえず死柄木君の息の根止めるまで死にたくない

 

ヴェル「分かりました!」

切島「よし!注意も終わったし、ヴェルちゃん!」

ヴェル「ヴェルで良いよ〜。」

切島「じゃあヴェル!俺の事は師匠と呼べ!」

ヴェル「はい師匠!」

切島「良い返事だ!」

 

うるさいのと暑苦sげふんげふん、熱血漢は気が合うみたいで良かった

 

切島「じゃあかかって来い!」

 

待って切島君じゃあの意味が分からない

 

ヴェル「はい師匠!(ダッ!)」

 

ヴェルが切島君に向かって走り出した、開戦でござんす

 

切島「近接で来るか!良いだろう!来い!(ガチガチガチガチ)」

 

切島君が個性『硬化』を使って両腕をコーティングした、一方ヴェルは丸腰で突撃している

 

切島「(能力は黒い刃?を身体から出せるとかか?だけど何も出してこねえな、体術だけで乗り切れる自信があるのか?でも戦闘に関してはまだ素人の様だし、ってもう目の前か!)」

ヴェル「ふっ!(フォッ!)」

 

ヴェルがかかと落としを切島君に入れようとするが切島君は硬化した腕でガードした

 

ガキィン!

 

金属がぶつかる様な音が鳴った

 

切島「ッ!そうだよな!いきなり出す事くらい出来るよな!」

ヴェル「司令官に不意打ち特化しろと言われたので!」

 

どうやらヴェルは当てる寸前で刃を出した様だ、切島君はこう来ると思ってなかったのか硬化を少し緩めてた様で割とダメージをもらったみたいだ、一方ヴェルは宙返りをして切島君から少し離れる

 

切島「今度はこっちから行くぞ!(グオッ!)」

 

切島君が硬化した腕でヴェルに殴りかかった

 

ヴェル「むっ!(バキバキバキバキ)」

 

これは私も予想外、ヴェルデューゴ本来の黒い甲殻を腕に纏った、まだ教えてないのに

 

切島「何⁉︎(タッ、ザザザザ)」

 

地面を蹴って瞬時に距離を取る切島君

 

切島「・・・お前、弱点無いのか?」

ヴェル「本能的に冷たい物は避けてしまいます!」

切島「どうしようもねぇ!」

 

実を言うと昆虫の甲殻だから切島君の硬化の方が硬いんだよね

 

切島「・・・いや!考えるのはやめた!俺の得意技はゴリ押しだ!(ダッ!)」

 

そう言うと切島君はヴェルにタックルを仕掛けた

 

ヴェル「(ドゴッ!)ぎゃっ!」

切島「まだまだぁ!(ザザザザザザ!)」

 

タックルを当ててもなお、牛の様に突き進む切島君、ゴリ押しを象徴するかの様な攻撃方法ですな、切島君マジ切島君

 

ヴェル「のおおおおお!ストーップ!(ギャリリリリ!ヒュッ!)」

切島「(バシィ!)がっ!(ゴロゴロゴロゴロ)」

 

尻尾で切島君を弾き飛ばすヴェル

 

切島「(むくり)まだだ!(ダッ!)」

ヴェル「ですよね!(ジャッ!)」

 

ヴェルが手の甲、肘、膝、かかとから刃を出し走ってくる切島君を迎撃しようとする

 

切島「フン!(グオッ!)」

ヴェル「りゃあ!(ガギィン!)」

 

硬化した拳と手の甲の刃がぶつかる

 

切島「(ギギギギギ)はっ!(ガッ!)」

ヴェル「なっ⁉︎」

 

ヴェルの刃を腕ごと払いのけた切島君がまたタックルの体制に入る、なんか某鎧の巨人を思い出すよ

 

切島「オラオラオラオラァ!(ドドドドドドド‼︎)」

 

切島君が某星の白銀先輩の様な掛け声と共に2回目のタックルを繰り出した

 

ヴェル「ぎゃーー!師匠怖ええええ‼︎(ドドドドドドド‼︎)」

 

ヴェルはもちろん逃げる

 

ヴェル「(ガッ)あっ(ゴッ!ガッ!ドッ!ゴロゴロゴロ!)ああああああ!」

 

ベタに足を引っ掛け多少リズムを刻みながら転がり回るヴェル、なんかもうお悔やみ申し上げますとしか言えない

 

切島「お、おーい、大丈夫か?」

 

流石に心配する切島君イケメン、はっきりわかんだね

 

ヴェル「司令官!あたしもう帰ってタイラント先輩が作ってくれたフレンチトースト食べてイカやって寝たいです!本気は明日から出します!」

菌華「ニート思考止めろ!これ終わったらおやつ買ってやるから!」

ヴェル「今本気出します!」

 

随分と即物的だな

 

菌華「どうでも良いけどうつ伏せのまま叫ぶのシュールだからやめてくんね⁉︎」

ヴェル「(むくり)良し!行きますよ師匠!」

切島「おお!来い!」

ヴェル「(ジャッ!)やっ!(ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!)」

 

ヴェルが切島君の周りを高速で旋回する、どうやら走っているのではなく地面を思いっきり蹴って水平にジャンプしてる様だ、かっけえ(語彙力の消失)

 

ヴェル「はっ!(ドッ!ギャキィン!)」

 

一際強く地面を蹴ると手の甲に生えた刃で切島君を斬りつけた

 

切島「やるな!」

ヴェル「どうも!(ドッ!キィン!キキキキキキィン!)」

 

ヴェルが少しピッチを上げ切島君を連続で攻撃する、まっくのうち!まっくのうち!

 

切島「(このまま行けば先に倒れるのは俺、どうする⁉︎・・・・・いや、違う、俺の得意技はゴリ押しのはずだろ!考えるな。)」

ヴェル「(?何もして来ない?まあ良い、このまま体力を削り切って終わり!)やっ!(ドッ!)」

切島「そこだ!(ガシィ!)」

ヴェル「ファッ⁉︎」

 

切島君が飛んで来たヴェルに飛び掛かり捕まえた、うそだろ鋭児郎!オイオイオイ、死ぬわアイツ(ヴェル)

 

切島「(ゴロゴロゴロ)マウントポジション取ったぞ、降参するか?(ガチガチガチガチ)」

ヴェル「・・・降参で。」

切島「よっしゃあ!あー、キツかったー。なあ骸牙、こいつ本当に戦い初めてなのか?」

菌華「正真正銘初陣ですが?」

切島「なんでこんな強いんだよ。」

菌華「うーん、種族自体が戦闘民族だから?」

切島「何だよそれ・・・。」

 

実はカルミも召喚してるから100%じゃないんだよなぁ

 

ヴェル「結局刃の枝分かれやらなかったな〜、甲殻の防御もまだ使いこなせてないし・・・。」

切島「俺の個性と少し似てるしコツとか教えてやろうか?」

ヴェル「お願いします!」

切島「てか骸牙、お前ら俺らの戦い見てて戦ってねえだろ。」

菌華「・・・バレた?」

切島「2対2とは何だったのか。」

菌華「今からやるから許して。」

カルミ「はぁーめんど。」

菌華「ほらやるぞ。」

カルミ「何やりゃいんだよ。」

菌華「とりあえず、お前自分の能力分かってるか?」

カルミ「・・・・・。」

菌華「能力のもっと上手く使える様にする為のトレーニングなのに自分の能力を分かってないとか本末転倒なんだが?」

カルミ「今日の朝進化したんだから知ってるわけ無いし、それに元々俺はやるとは言ってないんだが?」

菌華「フカヒレスープにすんぞ鮫。」

カルミ「悪かったよ、で?どんな能力何だよ。」

菌華「アホみたいにデカい槍と盾を召喚出来るのと上半身か下半身どちらか弾け飛んでも生きてられる生命力かな。」

カルミ「お前本当説明大雑把な。」

菌華「I want to kill you。」

カルミ「そんなに怒るとは思ってなかったよ。」

菌華「そんな事よりお前槍か盾出せるか?」

カルミ「具体的にどうすりゃ良いんだよ。」

菌華「槍出るってイメージしろ。」

カルミ「チェーンソーとか出ねえかな。」

菌華「それはお前の武器ちゃう。」

カルミ「じゃあ誰の武器なんだよ。」

菌華「チェーンソーマジニ先輩の。」

カルミ「マジニ?」

菌華「お前の部隊じゃねえから知らなくても問題無いぞ。」

カルミ「待て部隊って何だ。」

菌華「T-ウイルス隊、プラーガ隊、T-アビス隊、マジニ隊、ウロボロス隊、C-ウイルス隊、統一しといた方が色々と楽だと思ってさ。」

カルミ「ちなみに俺はどこ所属なんだ?」

菌華「T-アビス隊副隊長。」

カルミ「隊長は?」

菌華「スキャグデッドさん。」

カルミ「今どこに?」

菌華「今はT-アビス隊お前以外居ないぞ。」

カルミ「今の所どの隊を強化するつもりなんだ?」

菌華「プラーガ隊かなぁ、アルマデューラかっこいいし簡単に作れそうだし。」

カルミ「そんな事より訓練の続きはよ。」

菌華「お前がこの話振って来たから始まってすらいねえんだよ。」

カルミ「反応したお前が悪い。」

菌華「一回本当に殺したろかなコイツ。」

カルミ「やってみろや。」

菌華「時間勿体無いから訓練始めるぞカス。」

カルミ「カスって言った⁉︎何この人⁉︎」

菌華「じゃあ右手に思いっきり力入れろ。」

カルミ「イメージじゃなかったのかよ。」

菌華「あんなんデマに決まっとろうが。」

カルミ「何でデマ教えた?」

菌華「まあそんな事より力入れろ。」

カルミ「ハッ!(みしみしみしみし)ッ!これ結構キツイな・・・。」

菌華「もうちょいもうちょい!カ〜ルミの!ちょっと良いとこ見てみたい!フゥーーー↑↑(パァンパァン!)」

 

煽ってる雰囲気を出しながら手を叩く私

 

カルミ「やめてめっちゃ集中出来ない(みしみしみし)」

菌華「でもほらもうすぐもうすぐ!」

カルミ「(バシュウン!)・・・出来たけど、これが俺の武器か?」

菌華「そうだ、身の丈に合ってないだろ?」

 

その槍はUSJで遭遇した脳無がやっと持てそうな大きさで、もはや槍と言うより大剣の側面に棘を生やしただけにしか見えない、その上これと同じくらいの大きさの盾と同時に使うなどとてもじゃないが目の前の女性が出来るとは誰も思えないだろう

 

カルミ「ああそだ、盾盾(みしみしみしみし、バシュウン!)うわ、これまた禍々しいのが。」

菌華「最悪それで殴打すりゃ良いもんな。」

カルミ「じゃ、行くで(ドッ!)」

菌華「は?え?ちょ待っ(ベギ!)」

 

結論から言う、カルミがいきなり近寄って来て盾で思いっきり殴られて吹っ飛んでる、凄い痛い、よぼよぼのおじいさんのパンチ1000発分くらい痛い、マジかよこれ主人の顔丸潰れだよ。いや、私は司令官だから、戦闘はしないから

 

菌華「もうあいつ訓練しなくて良いな、まず私がやりたくない、このまま体育祭出しても大丈夫やろ。てかまだ飛んでんのか、あいつどんだけ力込めて殴ったんだよ、私なんか恨まれる様な事したっけ?(ヒュウウウウ)」

 

第5話 特訓に喰われる休日 終わり

 

次回 体育祭ナウ!荒らすぜ〜!止めてみな!

 



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第6話 体育祭ナウ!荒らすぜ〜!止めてみな!

まず最初に、1ヶ月も放ったらかしにした上に完全非公開にしてごめんなさい、この度は事態を重く受け止め、再発防止に務めさせて頂きます、本当に申し訳ございませんでした、二度とこんな事が無いように精一杯頑張らせて頂きます。今回は時間を掛けたくせに短くていつもより駄文です、ごめんなさい。
5000UAとお気に入り登録60人、皆様本当にありがとうございます、これからもよろしくお願いいたします。それとツイッターを始めました、更新したらそこで連絡させて頂きます。
それと、このクリーチャーを出して欲しい!と言う要望があれば遠慮無くどうぞ


 

 

 

 

 

雄英高校 1ーA組教室

視点 菌華

 

少し長めの休日(全て特訓だけに使った)が終わり、いよいよ体育祭が明日に控えた。お日様も気持ち良いしもういっそこのまま寝てしまおうかと思ってうとうとしていたら

 

麗日「菌華ちゃん!ちょっと起きて!」

 

麗日ちゃんが驚いた様な声で起こしてきた。何ですか急に、私は今テンション低いんですよ。私がいつもあんな頭のおかしなテンションだと思わないで下さい

 

菌華「どうかしました〜?麗日ちゃ〜ん。」

麗日「菌華ちゃん!いやコレ・・・。」

 

私が目をこすりながら見た教室のドアの外には

 

他のクラスの人A「あの子だ!たった1人でヴィランを追っ払ったって子!」

他のクラスの人B「本当だ、・・・しかし眠そうだな・・・。」

 

凄い数の人が居る、心なしか私に視線が集中してる気もする

 

菌華「・・・えー、あー、寝ていい?」

麗日「えっ!待って待って!ちょっとで良いからヴィランと戦った時の話を聞かせてって言ってるの!あのままだとうちら教室から出られんし‼︎」

菌華「・・・眠い。」

他のクラスの人A「お願い!ちょっとで良いから!」

 

いつのまにか目の前に居た人も、両手を合わせて頼んでくる

 

菌華「・・・えーとじゃあ、何が聞きたい?」

他のクラスの人B「怖くなかったの?」

菌華「全く。」

 

でも、あのファッションが人前で出来る死柄木のメンタルは割と怖かった

 

他のクラスの人B「何で?」

菌華「とりあえずこいつ蹴り倒すって思考しか無かった。」

 

今でも許してない、あいつが捕まるまで許さない

 

他のクラスの人A「そのヴィランになんか恨みでもあったの?」

菌華「・・・USJの数日前、右腕もがれた。」

一同「・・・・・はぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

驚かれた。えっ?腕もがれたなら普通恨まない?

 

他のクラスの人A「えっ、でも、あるじゃん、腕。」

 

1人が私の右腕を指差す

 

菌華「治したからね。」

他のクラスの人B「へぇ〜、どーゆう個性なの?」

菌華「体育祭明日なんだから情報漏洩はしませんよ。」

他のクラスの人達「チッ。」

 

そんな露骨な舌打ちじゃ私はビクともしないよ諸君!そんなので怯んでたら私バイオなんて出来ないし!

 

???「なるほど、流石に教えてはくれないか。」

 

人の波をすり抜けてきた男の子が、私の言葉に相槌をうった

 

菌華「確か・・・心操人使君だよね。」

心操「へえ、普通科の俺を覚えてくれてるのか。」

菌華「ハハハハハ、いや人の名前を覚えるのに普通科も何も無いでしょ君。」

心操「・・・大方1人でヴィランを追っ払って調子乗ってると思ってたんだがな。」

 

失礼な!私はあんなので調子乗るほどバカじゃないわ!・・・・・多分

 

菌華「いや心操君が単純に強そうだから警戒してただけなんだけどね。」

心操「それは世辞か?なら止めてくれ、気分が悪い。」

 

このボーイマジで失礼だなオイマジで!まあ、気にしないけどね!

 

菌華「お世辞じゃ無いよ、直感で何となく。」

心操「・・・分かった、悪かったな。」

 

ここで素直に謝る所を見ると、良い人かな?普通科とかヒーロー科とか言うワード出して来る辺り、多分ヒーロー科に入りたかったんやろなぁ。思えば私、神様がお膳立てしてくれたから入れたんだよな。・・・うーむ、少なからず罪悪感が・・・

 

菌華「別に良いよ気にしてないし、そもそもそんくらいの言葉でダメージ受けるほど私のメンタルは豆腐製じゃない。」

心操「具体的に何をされたら傷付くんだ?」

菌華「野良猫に威嚇されたら砕け散る。」

心操「・・・・・フッ。」

菌華「(ガタッ!)今笑ったなお主!」

 

思わず席を立つ

 

心操「気の所為だ。」

菌華「いや笑ったろ!」

心操「・・・・・猫に触る時は姿勢を低く下から手で触る良い。」

 

何気にアドバイスをくれる心操君、やはり良い人

 

菌華「私いつもそれなんだけど⁉︎」

心操「それはおかしくないか?」

 

私もそう思う

 

菌華「うーん、やっぱり人外は動物に嫌われるんかな〜。」

心操「人外?」

 

おっと口が滑った、話題を変えよう

 

菌華「そんな事より心操君。」

心操「何だ?」

菌華「君、猫好きだよね?」

心操「・・・・・。」

 

だんまり

 

菌華「いや猫好きだよね?」

心操「・・・・・。」

 

だんまり

 

菌華「猫、好きだよね?」

心操「・・・・・。」

菌華「だんまり!」

 

口に出てしもうた

 

心操「黙秘権と言う物があってだな。」

菌華「言いたくないわけね。」

 

絶対猫好き、絶対、言い切れる、心操君は絶対に確実に100%是が非でも猫好き

 

心操「そう言う事だ。邪魔したな。」

菌華「また明日ね〜(ふりふり)」

 

心操君に手を振って、自分も帰る準備を始めた

 

他のクラスの人A「あっ!待って!もうちょい!」

菌華「えー、さっきもちょっとって言ってたじゃん、私は帰ってペットの世話をしてご飯食べて明日に備えて寝たいんだよ〜、じゃ、また明日。」

 

そう言って私は開けっ放しのドアから教室を後にした

 

麗日「菌華ちゃんのペット。何飼ってるんだろ?ムカデとかかな?」

 

菌華サイド

 

菌華「ただいま〜。」

タイラント「お帰りなs

ヴェル「お帰り司令官!」

カルミ「はよ飯食ってスマ◯ラやるぞ。」

 

三者三様の出迎え方だ。最後のは出迎えと呼んで良いのか微妙だが

 

菌華「明日体育祭だから遅くまでは無理な。」

タイラント「そういえば司令官、体育祭にらあの子達も連れて行きますか?」

菌華「もちろん、負けたくないし」

 

よーしお姉さん頑張っちゃうぞー!

 

タイラント「全く、血気盛んですね。まぁ私も最近家事ばかりだったので運動不足解消に丁度良いですが。」

ヴェル「あたしも戦いたいよ司令官!その為の訓練でしょ?」

カルミ「俺もヴェルに賛成だ、まあ俺はほぼ訓練してないがな。」

 

どうやらかなり戦いに飢えてる様だ。だが待てタイラント、多分お前はちょっと運動しないくらいじゃ戦闘力は落ちへんぞ

 

菌華「まあ、士気とやる気は充分みたいだな。じゃあ明日の体育祭!どんな競技でも勝ち抜いてやるぞ!」

一同「おーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 雄英高校 体育祭会場 1ーA組 控え室

 

視点 菌華→緑谷

 

今日は待ちに待った体育祭、僕たちの戦いが全国に放送されるとなるとかなり緊張する。・・・でもそんな僕の心境とは裏腹に、全く緊張していない人が1人

 

菌華「体育祭だぁぁぁぁ‼︎」

切島「おおおおおおおお‼︎」

上鳴「ワァァァァァァァ‼︎」

 

菌華ちゃん、君はもう少し緊張感と言う言葉を覚えた方が良いよ・・・、あとうるさい

 

蛙吹「テンション高いわね、ケロケロ。」

菌華「ほらほらだから前にも2回言ったけどテンションに合わせた言動を取らないと死ぬんだよ私ってば(シャン!シャン!)」

 

どこから出したのか、タンバリンを狂った様に叩く菌華ちゃん

 

蛙吹「そんな簡単に死ぬのだったらゾンビの回復能力の意味を感じないわ。」

菌華「ヒュー!言葉のナイフが突き刺さるねぇ‼︎こいつぁ痛い!」

 

どこかのボイスヒーローの様な口調で「たっはー」と顔を抑える菌華ちゃん

 

芦戸「・・・・・菌華ちゃんって、なんて言うか、プレゼントマイクに似てるよね。テンションといい喋り方と声量といい。」

 

声量がマイクに似てたら僕たちは死んでいるのでは・・・

 

蛙吹「確かに似てるわね、ケロ。」

麗日「それに男子と女子の間みたいな喋り方だよね。」

上鳴「一人称は私だけど俺とか切島とかと普通に話すし爆豪と言い争いしてるし・・・お前本当に女子か?」

 

確かにかっちゃんと口喧嘩出来るのは凄いと思う、それも女子が。

 

菌華「なんなら証拠品としてブラを提出しようか?」

峰田「その胸でブラ着けれんのか?」

菌華「おっしゃ峰田クンちょっとおはなししようよ☆(ガッ)」

峰田「ヤメロォォォォォ‼︎(みしみしみし)ギャアアアアアアア!」

 

峰田君がアイアンクローで持ち上げられ、彼と彼の顔の皮膚が悲鳴を上げる。今のは自業自得としか言えない

 

轟「そろそろ選手入場だぞ。」

菌華「あ、はい。」

 

轟君の鶴の一声で菌華ちゃんが大人しくなった

 

 

 

雄英高校 体育祭スタジアム

 

マイク「雄英体育祭‼︎ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル‼︎どうせてめーらアレだろこいつらだろ⁉︎ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星‼︎ヒーロー科‼︎1年‼︎A組だろぉぉ⁉︎」

観客「ワァァァァァ‼︎」

緑谷「わあああ・・・人がすんごい・・・・。」

 

僕たちに視線が集中している。実質ヴィランを追っ払ったの菌華ちゃん1人なんだけどね・・・、あとタイラントさん

 

飯田「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか・・・、これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな。」

菌華「ああそーゆう。」

 

菌華ちゃんはまだ緊張してない様だ、声でもう分かる、

 

ミッドナイト「選手宣誓‼︎(ピシャン!)」

 

18禁ヒーローミッドナイトが鞭を鳴らしながら言う

 

観客A「おお!今年の主審は18禁ヒーローミッドナイトか!」

観客B「校長は?」

観客A「校長は例年3年ステージだよ。」

常闇「18禁なのに高校に居ても良いものか。」

菌華「高校の先生にしてはバカみたいに際どいよね。」

峰田「良い。」

 

本当に良いのだろうか・・・

 

ミッドナイト「静かにしなさい‼︎選手代表‼︎1ーA爆豪勝己!」

 

なっ⁉︎

 

緑谷「えー!かっちゃんなの⁉︎」

切島「アイツ多分他のクラス敵に回す様な事言うぞ。なあ骸牙。」

菌華「それはそれで面白い事になりそうじゃない?」

緑谷「面白い事で済んだら良いけどね・・・。」

 

そんな事を話してる間にかっちゃんが壇上に上がっていた、そして深呼吸し、一言

 

爆豪「せんせー。」

一同「ゴクリ・・・。」

爆豪「俺が1位になる。」

切島「絶対やると思った‼︎」

 

はぁ、予想通りだ。流石かっちゃん、褒めてないけど

 

他のクラスの方A「調子のんなよA組オラァ!」

飯田「何故品位を貶めるような事をするんだ!」

他のクラスの方B「ヘドロヤロー‼︎」

 

他のクラスの人達からのブーイングもハンパないけど飯田君からも若干それっぽい物を受けている

 

爆豪「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ。」

 

指で死ねのポーズをした後、かっちゃんは壇上から下りた、良くやるなぁ・・・

 

他のクラスの方C「どんだけ自信過剰だよ!俺が潰したるわ‼︎」

 

・・・自信、違う・・・以前のかっちゃんならああいうのは笑って言う・・・自分を追い込んでるんだ。ぼくらを巻き込んでるのがかっちゃんっぽいけど・・・

 

菌華「ほれ見ろ切島君、面白い事になったやろ、流石我らの爆豪君。」

 

アレを面白い事で済ませる菌華ちゃんが恐ろしくなって来た、つくづくどんな神経してるんだろうと思う

 

ミッドナイト「さーて、それじゃあ早速第一種目、行きましょう!」

麗日「雄英ってなんでも早速だね。」

菌華「せっかちさんなんだろ。」

 

ほんっと緊張感無い!

 

ミッドナイト「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!さて運命の第一種目種目!今年は・・・・・。」

 

みんな(菌華ちゃん除く)の緊張が高まる、そしてホログラムの画面に映し出された文字は・・・

 

ミッドナイト「コレ!」

 

障害物競走

 

緑谷「障害物競走・・・。」

ミッドナイト「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4㎞‼︎我が校は自由さが売り文句!ウフフフ・・・コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」

 

ミッドナイトがルール説明を終えたのかスタートゲートを指差し

 

ミッドナイト「さあさあ位置につきまくりなさい。」

 

ミッドナイトがそう言うとスタートゲートの上に付いているランプが1つ点いた

 

観客の人達が早く早くと急かす様に見てくる、そして2つ目のランプが点いた、あと1つでスタートだ・・・

 

轟「クソ親父、見ていやがれ、俺はここでお前を完全に否定する)」

爆豪「(デクも半分野郎もクソゾンビも、全部俺が叩き潰して完膚なきまでの1位を手に入れる!)」

菌華「(・・・お腹空いた)」

 

それぞれの思いが混ざり合い、最後のランプが点いた

 

ミッドナイト「スターーーート‼︎」

 

始まった‼︎

 

 

 

第6話 体育祭ナウ!荒らすぜ〜!止めてみな!終わり

 

次回 私ってば障害物競走に向いてないと心底思う

 

 




なんで1ヶ月も放置したのか……自分でも分からないです。
カメムシになりたい……


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第7話 私ってば障害物競走に向いてないと心底思う

ただいまです。


 

「スタ──────ト!!」

 

 開いたゲートの上部に点灯していた緑色のランプが全て消えると同時に、ミッドナイトが合図を出した事で11クラスの全員が狭いゲートへと突入した。

 

「さて、やってやる──ぞぉおおぉおおぉッ!!?ちょっ……待ておいっ!!始まったばっかなのに人の波に流されボボボボボッ!!!」

 

 しかしゲートはその11クラス全員がお世辞にもスムーズに通れるような広さは無く、そうして出来上がるのは数秒前まであくびをしそうなほど呑気な顔で「……お腹空いた」などと考えていた阿保すら二重の意味で目が醒める激しい人の濁流だった。

 

「ぷっはっ!!いや待って足が地面に付いてる感覚無いんだけどっ!?凄い浮遊感あるっ!!」

 

 菌華はバタバタと半パニック状態で手足を動かすも踏み慣れている確かな大地の感触は無く、空を蹴ることに終始。しかし周りがほぼ浮いている彼女を挟みながら前に進むので自身の足で進む手間は省けている様だった。

 

 そうして波に流されていると、前方から菌華の耳に「何だ凍った!!」や「寒みー!!」など、4月には聞きそうにない季節外れな言葉が聞こえてきた。

 それに対して首を傾げていると、急に肌寒くなってきて菌華も思わず肩を抱える。更にはゲートの出口から周辺、そして少しゲート内の壁まで氷がへばり付いているのを目撃して彼女は叫んだ。

 

「寒ぅっ!!?本当に凍ってるし!?いっ、今4月だよね!?まさかこれが障害物……ってあ、さてはあの赤白イケメンの仕業だな?」

 

 ひらけた場所に出た事で挟んでいた人達がいなくなり、やっと地を踏めると思っていたのに、凍結しているおかげでバランスとりながらおっかなびっくり前へ滑るのが精一杯な状況になっていた。

 転ばないように細心の注意を払いながらつるつると進んでいると、足が地面ごと凍って見事に立ち止まっている人達を発見し、通りすがりに御愁傷様ですと心の中で合掌しながらあの氷について菌華は推理を始める。

 

 まずはこの競争の目玉である障害物の線も考えたがゲートから出て即罠は流石に違うと思い、可能性から外す。その流石も雄英なら平気でやりかねないが話せば切りがなくなるのでやめておいた。

 そして二つ目にして最後の可能性はクラスメイトである轟焦凍の個性によるもの。というか今のところそれしか彼女の思考の中に無いので、菌華はこれを轟の仕業と思うことにした。

 

「いやぁ……人の波で溺れたお陰で私は後ろに留まってたから氷結に足を取られなかったってわけか……。てか何してもいいとは言ってもこんな事するかなふつー。この世界のイケメンは容赦が無いのか……」

 

 もみくちゃにされてようやく目が覚めたかと思えば、この期に及んでまだふざけた事を呟きながら滑っている菌華。

 そんな彼女に同じように滑りながら話しかける者がいた。

 

「わっ、ととっ!あっ……き、菌華ちゃんっ!」

「うわっと……!おっ、緑谷くんっ。1人?」

「あ、いや──」

「よォ骸牙!オイラもいるぜ!」

「……峰田くんもか……」

 

 菌華に話しかけたのは、地味な雰囲気なのに緑髪とかいうトンデモない色のヘアーをしているけど超が10個付くほど良い人、と菌華に勝手に評価されている緑谷出久。そして彼と共にいたのが、なぜこいつが除籍にならないのかと何度も菌華を悩ませたセクハラグレープこと峰田実だった。

 緑谷の時は仲のいい知り合いを見つけてぱっ、と笑顔になったのだが、峰田を視認した瞬間にテンションが露骨に下がっている。

 

「あっ骸牙今スッゲーテンション下がったな!!」

「ウン……まぁ……」

「チクショー否定しねぇしよォ!!緑谷っ!!何でお前だけっ!!!」

「えっ……えぇ〜……!!それは僕に言われても困るよ峰田くん……!!!」

 

 日頃の行いで既に差が付いている事実を気付いてないのか認めたくないのか、自分の登場をあからさまに良く思っていない菌華を見て半狂乱と呼ぶに相応しい様子で叫びながら緑谷に八つ当たりする峰田。それに対して緑谷はなんともやりづらそうに返事をする。

 とうとう峰田は自身の個性である毛髪をもぎ取り、両手に持つとこう叫んだ。

 

「もういい!!オイラはあの先頭のイケメン追い越して一位になってやるんだからなぁ〜ッ!!!」

 

 その髪を凍り付いた前方の地面に投げつけると、峰田はそれらをトランポリンがわりに跳ねながら轟に立ち向かっていった。

 

「………何だっけああいうの。無謀って奴だっけ?冷凍グレープ出来上がってない事祈っとこうよ」

「祈らなくても大丈夫だよ!!……多分」

 

 緑谷にすら多分と言われるほどの轟と峰田の力の差。同じクラスという事もあってそれを知っている彼らからすれば無謀と言われても仕方ない。

 そんなことを話していると噂をすればと言えばいいのか2人の背中が見えてくる。

 

「くらえ、オイラの必殺……GRAPE──」

 

 それは丁度峰田が跳びながら轟に向かって毛髪を投げようとしている時だった。しっかり構え、技の名前を叫ばんと腕を振りかぶろうとしたその時。

 WHAM!!そんな擬音と共に鋼鉄の腕が空中で回避行動に移れない峰田にクリーンヒットした。

 側転の様に回りながら勢いを付けて面白いくらい転がっていく峰田。女子の日頃の恨みが放たれたのかもしれない。

 

「峰田くん!!」

『ターゲット……大量!』

「入試の仮装(ヴィラン)……!!?」

 

 雄英を受ける際に相対したロボット。通称仮装(ヴィラン)による赤いレンズを光らせての登場に少なからず驚く緑谷。

 そんな緑谷以外にも訳がわからないと言った様子の生徒達は多く、彼らのために実況であるプレゼント・マイクから解説が入ってきた。

 

『ッさぁ、いきなり障害物だ!!まずは手始め……第一関門!ロボ・インフェルノォ!!』

 

 これこそ雄英のお得意である受難や壁という物なのだろうが、今実際に壁の様に並べられているどでかいロボット共を最初の関門に配置するのは流石にどうなのだろうか。クリアチェックのされていないorした奴が上手すぎるパターンである。

 当然こんなの前にすれば口からとりあえずPuls ultraの前に愚痴だって漏れる。

 

「入試ん時の0P(ヴィラン)じゃねえか!!!」

「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」

「多すぎて通れねえ!!」

「いッやいやいやナイナイナイ……こんなん障害物でも手始めでも第一関門でもないよ!!ただのロボインフェルノだよ!!!」

 

 この状況、ヒーロー科もそれ以外の科もパニックにならないのはむしろ少数だ。逃げる気なんて全員誰にもさらさらないがその上慌てるなというのは少し酷である。

 そして少数の中でも更に頭がクールで手段も持っている者は当然、パニクる他を置いて行く。

 

 それを実践する様に今もなお先頭にいる轟がしゃがみ込んでヒタリと地面に触れると、彼の周りを強力な冷気が渦巻いて立っている地面すら氷結させていった。

 そんなあからさまに何かをする前の構え(・・)を取ってる轟にもプログラムが残念なのか、巨大な鉄塊は躊躇など微塵も感じられない様子で襲い掛かっていく。

 

「おいおいあれ大丈夫……!?潰されたりしな………い……よね……」

 

 それに対して構えたまま大きなアクションを起こさない轟に菌華は少なからず不安を覚えると、少し慌てた様子で彼の元へ向かおうとする。

 が、しかし。菌華が口にしていた言葉を言い切る前に轟が手を振り上げ、荒ぶるロボットを一瞬で凍結させた。

 

「……は、え……?」

 

 脅威がそのまま動き出したかのようなあれを即冷凍し、余裕で突破していく轟に菌華は開いた口が塞がらない。

 そんな後続を置いて轟は凍らせたロボの隙間から先へ進んでいった。

 

「あいつが止めたぞ!!あの隙間だ!通れる!」

 

 そんな時1人の生徒が凍結したロボの隙間を指差して叫んだ。その言葉に皆も隙間を注目し、中でも勢いのある男子生徒2名は後先考えずにそこへ向けて走り出していた。

 

「やめとけ、不安定な体勢ん時に凍らしたから………倒れるぞ」

「うッ……おおぉおおおぉっ……!!!?」

 

 確かになんでもありとは聞いた。妨害だってなんだって、普通の体育祭じゃないことは菌華も重々承知していた。

 ……だがこれは無いだろう。おかしいだろう。あんなのが重力に従って倒れて来たら人なんて簡単に死ぬだろう。そんな考えが頭の中を駆け巡り、まともなコメントの一つも出ない。

 実況が何か言っているのが聞こえなくも無いが、驚きとロボが倒れた際の轟音で聞き取れなかった。

 

「お、おい!誰か下敷きになったぞ!!」

「死んだんじゃねえか!?死ぬのかこの体育祭!!?」

 

 そうだ。そういえば生徒が2人、隙間に猛進して行って見事にロボと地面に挟まれてたんだった。しかもそのうちの1人はおそらく顔見知りだ、と菌華は正気に戻り、冷静に考え無くともやばい事態にどう反応して何をすればいいのかと頭を悩ませる。

 すると、暫定で2人の血を吸ってると思われるロボットの残骸の一部が盛り上がり……。

 

「死ぬかぁーっ!!!」

『1ーA切島潰されてたァーッ!!!」

 

 そこから菌華の顔見知りの方、ツンツン赤髪の不良っぽい感じとは裏腹に緑谷に比肩する良い漢の切島鋭児郎が咆哮と共に飛び出して来た。彼の個性、硬化なら確かに死ぬ心配は無いだろう。

 五体満足な切島を見て菌華はほっ、と一安心する。しかし実況がウキウキしている理由がわからない。

 

「轟のヤロウ!ワザと倒れるタイミングで!!俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

「……A組のヤロウは本当嫌な奴ばかりだな……!!」

 

 彼から突っ込んだ事もあり多少は自業自得とはいえ、ここで罵倒の一つも出ないあたりが彼の人間性を明らかにしている。

 と、そんな聖人切島の隣から声が聞こえると、ベゴバコッ……とその装甲が彼の時と同じ様に盛り上がってくる。

 

「俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

「B組の奴!!」

『B組鉄哲も潰されてたー!!ウケる!!』

 

 今度飛び出して来たのは、両親が5徹し酒入れた状態で考えたんじゃ無いかと思うほどのキラキラならぬテツテツネームなB組の生徒、鉄哲徹鐵だった。

 名前の通り個性は全身が鋼鉄と同様の性質を持つ、と言ったものだ。これならば切島の様に潰されても大丈夫である。

 しかし切島は個性が地味な事を気にしている上に隣のクラスの生徒と個性が被っているという事実に涙目になりながら走り出す。

 それとやはり実況が不謹慎な気がする菌華であった。

 

「とりあえず俺らは一時協力して道拓くぞ!!」

「……っ!!ふんぬっ!!!」

 

 硬化男子2人に呆気を取られ、再びぼぅっとしていた菌華だったが他クラスの生徒の言葉に自分も両頬を掛け声とともに勢い良く叩いて気合いを入れ直し、目つきを改めて目の前の中型ロボットを睨め付ける。

 

「……ッし、気合い十分っ!!オラ、鉄屑にしてやるから来なよっ……!!」

 

 バチバチの闘志が宿った瞳を向けつつ、菌華は右手からウイルスを放出し、その纏まりのない黒いモヤを操ってスカルミリオーネ……略称カルミの刺々しい黒槍を形成する。

 そして柄をしっかり握り締め、持ち上げて槍を肩にかけながら菌華はロボットを挑発した。

 

『コノッ……クソ人類ッ……!!!ブッ殺──』

「せねェよ!!!」

 感情を持ってるのではないかと思うほど良く喋るこのロボット達には挑発も効いたのか、怒っている様な機械音声を発しながら菌華を殴り飛ばさんと鉄の腕を振り上げるがその前に槍が振り下ろされ、硬そうな見た目をしている癖に抵抗も無くばっさりと袈裟(けさ)斬りにされた。

 

『ギ……ガ……!!』

「なんだよ脆いな。これならそんなに警戒しなくても良さそう……ねッ!!!」

 

 勢いよく振りかぶり過ぎて少し地面に埋まった槍を抜くと、次は前方にいるロボットに向けて再度勢い付けて振り下ろした。

 

『テメェの方こそスクラップにしてヤン──グゴッ!!ギッ……!!!』

 

 今度は人で言う頭部らしき部位をそれが身体にめり込むほど強烈にブッ叩く。すると、ベゴンッ!!という勢い通りの鈍い衝撃音や鉄の軋む音、火花が散る音など見なくても良くない事が起こっているのを容易に想像出来る不協和音ばかりが奏でられる。

 

「あ〜……良く聞こえなかったなぁ。もう一度言えやスクラップ──」

「菌華ちゃんそれヒーローとしても女子としてもアウトぉ!!!」

 

 不協和音と共にバグった音声を吐きながら地面に倒れたロボをガッ、と踏み付け、不良以外がしない様な勝利宣言を堂々と行う菌華の背後から、誰かと違って模範的女子らしき声をかけられた。

 

「ん、麗日ちゃん。梅雨ちゃんと芦戸ちゃんも。どしたの」

「菌華ちゃんの方がどうしたん!?」

「ロボ相手とはいえダーティー過ぎるわ」

「元ヤンか!元ヤンなのか!!」

 

 どうしたはこちらのセリフだと方言交じりで言うのが麗日お茶子。相手が人ではないといえ流石にヒーロー的ではなさ過ぎるんじゃないかと言うのが蛙吹梅雨。全力で元ヤンを疑ってくるのが芦戸三奈だ。

 三人共菌華と同じ1年A組の生徒である。それぞれ言う内容は違えど道を踏み外した者を正す様な目で菌華を見つめていた。

 

「いやどうしたって……男子女子関係なくテンションとアドレナリンぶち上がったらみんなこうなる──」

「爆豪ちゃんみたいだったわ」

「これからは八百万さんみたいに生きようと思うよ」

 

 即堕ちだった。

 別段、ヤンキー的な態度を気に入ってたり意志があったりするわけじゃない上に、自分の大ッッキライなタイプである爆豪と似ているなんて言われたら彼女的にはたまったものではなかった。

 

「(流石梅雨ちゃん……!!)」

「(一瞬で骸牙なだめちゃった……!!)」

 

 菌華が折れるのが速かったと言うのもあるが、蛙吹が両親の都合で弟妹の面倒を見ていたからそこら辺の扱いには長けていたというのもこの即堕ちの理由だろう。

 ちなみに、菌華が肉体的には蛙吹と同年代で精神年齢に至っては上であるはずなのに小学生と同じ扱いを受けたという事には誰も触れてはいけない。

 

「さて、落ち着いたところで行きましょうか。道も拓けているわ」

「そ〜ねっ……道中そいつら倒しつつ行こうか」

 

 丁度前の方で八百万がチョロいと言いながら0Pを大砲で倒しているのを見て蛙吹は前へ進む事を提案するが、タイミングを合わせたかの様に前方から様々なタイプのロボットが向かって来ていた。それを見て4人ともしっかりと構える。

 

『ターゲット……4人!!』

「そりゃまだいるよねっ……!」

「菌華ちゃん、進みつつ蹴散らす様にお願いね」

「わ〜かってるってばもうっ……!!」

「そんな拗ねないでよ骸牙ーっ!競争してるとはいえ私ら一緒に行きたいんだってっ!」

 

 女子トークをしながらも、浮かす、強靭な舌で打ち付ける、溶かす、槍で斬り潰すなど、1人を除いて自分の得意とする攻撃を繰り出し、向かって来たロボを行動不能にしつつ先へと進む4人。

 菌華も言われた通りに振り返る火の粉を払うだけで自ら火に飛び込む様な真似はしていない。蛙吹の説得がしっかり効いているようだ。

 

「それなら、うん……そ〜ね……」

 

 しかし不意打ち気味に一緒に行きたい、だなんて言われると菌華も少し照れたのか、走りながら真横に目を逸らす。自分としてもせっかくなら知らないクラスの生徒よりも友達と一緒の方が楽しいし、先ほど3人の方から来てくれて素直に嬉しいとすら思う。

 が、いざそれを言葉にして本人達に伝えようとすると気恥ずかしさから、スムーズに3人に伝える事が出来なかった。

 

「……照れたな〜っ」

「はっ!!?!?照れてないよ!?何言ってんの芦戸ちゃんったら!!!本当に!!本当だから!!!」

 

 そんな芦戸の軽いノリで放った4文字にすら過剰に反応し、否定する菌華。必死に否定する様のせいで逆に怪しく……というかほぼもう自白してるようなものだった。

 

「菌華ちゃん、嘘付くの苦手なんやね……」

「良いことだと思うわ。ケロ」

 

 からかう芦戸、自ら死に向かう菌華、それをめちゃくちゃ温かい目で見守る麗日と蛙吹。よくもまぁ走りながらあんな茶番が出来るなとある種尊敬する後続の生徒達。なんとも混沌とした状況が出来上がっていた。

 

「別にっ!?さっき話しかけてくれて嬉しかったな〜とか!!競争中であれだけどおしゃべり楽しいな〜とか思ってないから本当もうマジマジのマジ!!!」

「ゾンビが墓穴掘っとる!!」

 

 ロボ地帯を抜け、神社にありそうなかなり長めの階段を登りながらも茶番は未だ続いていた。

 最早聞いてすらいない情報を率先して喋る菌華に麗日が思わず吹き出してしまう。それを見た菌華は顔を赤くしながら更に拗ねてしまい、3人から顔を完全に背けてしまった。

 

「あっ、そっぽ向いちゃった……」

「悪かったよ骸牙〜っ!ちょっとこう……からかいたくなったというか……それにバカ正直なとこはからかってるんじゃなくて褒めてんだよっ?」

「……〜〜っ!!!」

 

 麗日と蛙吹はともかく、反省の意図が感じられない芦戸の言葉には耳を貸さずにひたすら背を向け続ける菌華。

 

「ほ、ほら確かに本当に隠したい事がある時はすぐバレたりするだろうけどさっ……!!」

「三奈ちゃん。それは追い討ちよ」

「……あっ、頂上っ!」

 

 フォローに見せかけて更に滅多打ちにする芦戸を流石にやめてあげてと蛙吹が制していると、麗日がいつのまにかすぐそこにあった頂上を指差した。

 

「はっ……はぁっ……いやぁきつかったぁ……!!」

「これ自体が障害物みたい……!!」

「あ、骸牙。もう話してくれんのっ?」

「流石にからかわれただけでいつまでも拗ねてるほど子供じゃないからね!大人ですから!!」

 

 上まで登ると息を切らしながら菌華がやっと口を開いた。芦戸的にはもう少し口をきいてくれないものだと思っていたので意外そうに質問するが、自分を大人と称する菌華は流石にあの様な理由で拗ね続けるほど子供じゃないと返した。大人ならそもそも拗ねすらしないのだが。

 そんなやりとりの途中でまたマイクからの実況が入ってきた。

 

『オイオイ第一関門チョロいってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォ────ル!!!』

 

 そう、今菌華達が立っている地面の先には広さも深さも想像付かない大穴が空いているのだ。と言ってもただ向こう岸とこちらで断絶されているわけではなく、大小無数の柱の様な足場が大穴から無数に生えており、それらが頑丈そうなロープで繋がれている。要はこのロープを掴んで進むなり立って渡るなり飛び越えて行くなりしろと言うことだ。

 

 しかし、底が見えないほどデカい大穴をクッションがあるかどうかも定かでは無いのに渡らせようとするのは、つくづく雄英の狂気の片鱗を見ているような気がしてならない。落ちれば(命が)アウトという事だろうか?と菌華は首を傾げた。

 

「大げさな綱渡りね」

 

 4人の中で最初に飛び出したのは蛙吹だった。個性も綱渡りには適しているものだし、彼女の胆力を考えればこの中で一番に行くのも頷ける。

 

「じゃあ私も行くかなっと………いやこっわ……!!」

 

 続いて菌華もロープの前でしゃがみ込んで掴んでぶら下がるが、まだ進んでもないのに一気に血の気が引いていくのがわかった。下が見えない体勢な分恐怖心はそこまで煽られないものの、それでも怖いし本能的に命の危機を感じる。

 

「くそ……こんなもん用意しやがって……!!考えたやつ絶対馬鹿だろ……!!!」

 

 それでも進むしかない。近道どころか遠回りだってない。この道しかないのだ。

 腹をくくって設計者の意図通りにロープを這いずって菌華は進んでいった。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁ〜っ……!!!ざ、ざまぁみろ……!!渡りきってやったわ……!!!」

 

 結局あの後落ちたりトラブルがあったり、なんて事はなく安全堅実にロープを渡り続け、なんとか向こう岸に辿り着いた。

 

「実況によると確かこの先に……!!」

 

 三人娘達とも離れ、今現在自分の順位がどのくらいなのかも分からないまま走る菌華。

 しかし、先頭が最終関門に突入した事でその内容を大まかにだが聞いている。その内容とは……。

 

「おっ、見えて来た──」

「うぉおおおぉッ!!?」

「ぎゃああぁああぁッ!!」

「いやぁあぁあああッ!!!」

 

 地雷原だった。威力はもちろん抑えてあり、ピンク色の爆風も相まってちょっとしたジョークグッズの様な印象を受けるが、こと「競争」においては侮れない障害物に変わる。

 

 ここまでで蓄積された疲労、上位何名が通過するか不明なことから来る焦燥感、それらが注視すれば分かるような地雷をも踏ませる要因となる。

 加えて踏めばそこから体勢を崩し、別の地雷を踏んでもみくちゃにされるというケースも十分にありえるのだ。したがって皆速度よりも慎重に進む事に重きを置く関門と言えるだろう。

 

 ちなみに今までの障害物の中で地雷原という一番危険なフレーズを持っているにも関わらず、今までで一番安全と言うのはやはりおかしいと思う菌華だった。

 

「阿鼻叫喚だなおい……!!いやしかし、冷静と慎重の申し子と呼ばれたこの私にかかれば地雷原など恐るるに足らん……!!!」

 

 言うまでもないと思うが呼ばれたというか自分で呼んでいるだけである。だが実際に菌華はゾーンに入っていると言っても過言ではないほど集中していた。それこそこんな地雷原程度なら物ともしないほどに。

 何か妨害などをされなければこのまま20位以内は固いだろう。そう、妨害などされなければ……。

 

「さぁやってや──」

 

 先ほどとはまた違う、落ち着いた気合いを十分入れなおし、いざ行かんと右足を前に出した瞬間……見てしまった。

 隣で大きめの鉄板……見た目からしてロボ・インフェルノにいた巨大なロボの装甲を持ちながら地面に向かって飛び込もうとする緑谷出久を。

 何を……と菌華は考えた。あの目は何か策略がある目だ。ちら、と落下地点に視線を落とす。

 

「(野郎……)」

 

 そこにはある物が大量に置かれていた。それを見て菌華は心の中であれだけ信頼していた緑谷を野郎呼ばわりしてしまう。

 この流れからしておわかり頂けただろうが、そのある物とは地雷だ。緑谷の意図は分かる。それらを鉄板で一気に作動させて推進力にして飛ぶつもりだろう。向きや角度も彼の学力なら容易だ。しかし待て。ちょっとと言わずかなり待て。緑谷が飛ぶのはいい、大いに構わない。しかしだ。

 

 隣にいる私はどうなるんだ(・・・・・・・・・・・・)

 

「こッッの(ねじ)れ緑髪────」

 

 その思考が完了すると同時に一瞬を限界まで引き延ばされたシンキングタイムが終了する。

 それの同時に腕を交差させて防御を固めながらせめてもの罵倒を繰り出すが……。

 次の瞬間、言葉を発するために開けていた口が一瞬で乾くほどの爆風と耳を塞ぎたくなる轟音が菌華や周辺の人間を襲った。

 

「かっ……はっ……!!!」

 

 音などに対する覚悟は決めていた。しかし、所詮山積みにしてもジョークグッズと彼女は心のどこかで舐めていたのだ。そこを圧倒的な衝撃に付け込まれた。

 音や爆風などの衝撃は直接的なダメージではなくとも強烈であれば人の意識を刈り取る。菌華はまさにその状況に追い込まれようとしていた。

 他の生徒は偶然緑谷から離れていたおかげでそこまでのショックは無かったが、菌華もまた偶然緑谷の真隣にいたのだ。

 頭がくらくらし、耳の奥でキーン……と音が鳴り続けている。このままでは本当にまずい。

 

「(くそっ……やるな緑谷くん……!!!妨害あり……だもんな。今回は君の勝ちだわ……抜かれんなよ…………)」

 

 そんな状態で考えていたのは、他でもない緑谷の事だった。彼には菌華を巻き込もうと言う意思が無かったのはわかっている。自分が前に進む事だけ考えていた。

 純粋な勝ちへの思い。それを持った者になら抜かされ、例え予選を通過出来なくとも良い……。

 

 

 

 

「(なんて言うわけねェだろッッ!!!!)」

 

 

 

 

 わけがない!!!

 理由がなんであれ。菌華の中で偶然故意わざとうっかりなぞどうでも良い。自分をこうした結果は変わらない。

 絶対この借りを返させると言う確固たる意志により、持ち直した菌華は冷静も慎重もかなぐり捨てて地雷を踏むの前提で走り出す。

 

「くッそ……!!頭くらくらしてる間に大分抜かれたなぁ……!!!ほんッとやってんなマジ……!!!」

 

 先ほど近くにいた生徒たちも気付けば遠くを走っている。それが更に彼女の怒りを煮えたぎらせ、地面も地雷も砕く勢いで走る。いくら踏んでもよろけなければ関係無い。そんな気概でひたすら走る。緑谷が一位でゴールしたと実況から聞けば、それも怒りに変え、怒りを力に変えて走りまくった。

 

「(今近くにいるのは……青山くん!!前に人の話聞かなそうなおっぱいでかい機械まみれの人、漫画の吹き出しみたいな顔してる人……人かあれ!!?とにかくこれ以上ッ……抜かれてたまるかぁあぁああぁッ!!!!)」

 

 体力は正直ここで使い切ってもいい。それを第一に考えて走っていた。

 この種目ではそこまで個性を使用していない。ロボットの時にカルミの槍。後は綱渡りの時に身体能力をタイラントと同じにして攻略したのみで、かなり節約出来ている。ここから先では体力じゃなく個性で勝負。その考えのおかげで気持ちも身体も軽くなり、安心して鬼気迫る勢いで進む事が出来ている。

 

「あとッ……少しィ!!!!」

「行かせ……ないよっ☆」

「はぁッ!?青山くんッ!!?」

 

 地雷原を抜け、もう一踏ん張りでスタジアム……そんな時に後ろからへそから出るネビルレーザーの勢いで空を飛ぶ青山に並ばれ、そして抜かされた。

 

「うぉおおおおぉッ!!?くッそ負けるかぁああぁあッ……!!!!」

「グッバイ☆……うッ……!!!」

 

 レーザーと単純な足。そろそろ限界が近づいて来た菌華の足と違って、基本は勢いが一定のレーザー。どちらに軍配があがるかなんて言うまでもない。

 ただしそれはずっと一定だったら、の話。あと数メートルで青山がゲートをくぐる。そんな時、ネビルレーザーの射出限界がやって来た。

 腹を抑えながら地面に落下する青山を置いて……抜いた。

 

「いィいぃいいぃよしッ!!これで私のッ……勝ちぃいいいいぃいぃッ!!!!」

 

 それを見た菌華はガッツポーズは心の中で済ませたが、その喜びを声にしっかりと出す。そして、勢い良くゲートに向かって飛び込んだ。

 

「いよっしゃあぁあぁぼぼごごぼべぼっ!!!」

 

 テンションは雲をつくほど上がり、アドレナリンはノンストップで出続けているせいか、正常な判断がつかない菌華はプールに飛び込むようにゴールをした。しかし当然下は水ではなく地面。

 勢いもめちゃくちゃに付いていた事もあって、顔面から地面と接触後、全力で転がり回っていった。

 

「さて……ようやく終了ね。それじゃあ結果をご覧なさい!」

 

 女子どころか男子でもしないようなとんでもないゴールを決めたゾンビを無視し、ミッドナイトが進行をする。

 

 張り出された順位には

 

 1位 A組 緑谷出久

 2位 A組 轟 焦凍

 3位 A組 爆豪勝己

 …………………

 …………………

 …………………

 42位 A組 骸牙菌華

 

 最後の最後で怒りと根性によって最下位に滑り込んだのだ。

 

 

 




小さい文字とか多機能フォームで打ちたいけど調べてもわからないので誰か教えて下さいませんか……?
あ、それと1〜6話を修正しています。若気の至りで書いた物なので見られると恥ずかしくて私が死にます。間違っても見ないでください。お互いのために。


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