生き残った双子 (かえるぽこぽこ)
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誕生日が終わるまで

 お腹すいたから、夜中にベーコンをくすねて焼いて食べた。それだけなのに朝飯抜きで物置に閉じ込められるんだよ? おかしくない? 最初っから腹いっぱい食わせろって話だよね。

 そういうわけで、シャウトしながら物置のドアをバンバン叩くのを続けて1時間くらい。バーノンが諦めてドアの前から去ったあたりで、うるさい子豚が騒ぎ始めた。ついでにハリーも。話を聞いてると、ハリーと私に手紙が来たらしい。

 

「手紙!? 私のもんでしょそれよーこーせーよーこーせーよーこーせ!!!」

「うるさいぞジニア!! 今日の飯を全部抜いてやる! ダドリーとハリーも部屋へ戻れ!!」

「ふざけんな豚!! 飯食わせなきゃ夜中に悲鳴あげまくってやる!!」

 

 残念ながら飯を与えられてしまったので、夜中にはうめき声をダドリーの部屋の前で出すにとどめた。

 私宛の手紙は早々に燃やされてしまったらしい。手紙くるとか初めてだったんだけど。どうしてくれんのあの豚。

 

 と思ってたらそれから毎日手紙が来た。ストーカーかと思ったけど未だに手紙を読めてないので真偽はわからない。

 そんだけ送られてくれば奪えるかと思ったけど、手紙の時間帯にはくそバーノンに物置へ閉じ込められるようになったので無理だった。頼みの綱のハリーは全く手紙を手に入れられないらしい。クソの役にも立たねえな。

 

 そんなわけで送られてくる手紙のストレスでついにハゲそうになった豚に連れられ、車にのって遠くへ行くことになった。正直手紙とかもうどうでもいいからもっとバーノンを怒らせて欲しい。手紙の送り主よくやった。

 後部座席でダドリーと蹴り合いを続けて走ること数時間。何度かホテルに泊まったりもしたけど最終的に着いたのはどっかの海の上の小屋だった。馬鹿じゃねえのあの豚。お前がストレスでハゲる前に波で小屋ごと流されて死ぬわ。

 ベッドはくそ夫婦に取られ、ソファは取っ組み合いの末に子豚に取られたから暖炉の前を陣取る。7月のくせに寒い上、毛布は私とハリーで薄いのが1枚だけ。仕方ないから二人で同じ毛布にくるまった。10歳にもなってこれはねーよ。

 と思ってたら11歳になった。イェー!

 ハリーが床の砂に描いた下手なケーキの板チョコに、私がHappy Birthdayと書いたら字が下手だと言われたので頭突き合い。ぐっすり寝てるダドリーが起きない程度に盛大に騒いでいたら、轟音と共に扉が吹っ飛んだ。はあ?

 

 突然現れた巨人ハグリッドの言うことには、私とハリーは魔法使いらしい。ダドリーに尻尾が生えたあたりで信じた私は、少し子豚にかじられたケーキを頬張った。ケーキとか初めて食ったわ超美味い。ハリーの口にも無理矢理押し込んだらまた喧嘩になった。美味いだろ食えよ馬鹿って叫んだら、大人しく口を動かしたけど。それを聞いたハグリッドはにこにこしてソーセージまで焼いてくれた。ハグリッド最高。

 

「ダイアゴン横丁?」

「ああ、ダイアゴン横丁だ。ここに来りゃあなんだって揃うぞ」

 

 へー、と言って人混みの中に駆け出そうとしたら、すぐに襟首をつかまれた。ここに来るまでの間で性格を把握されたらしい私は、ハグリッドの肩に乗せられて移動することになった。まあこれはこれで楽しい。

 グリンゴッツでゴブリンを見てジェットコースターに乗って着いた金庫は、パパとママのものだったらしい。金貨とかが山ほどあってびっくりした。無駄遣いしたらぶっ殺すぞとハリーと言い合って、ハグリッドに言われるがままに金貨を鞄に詰めて部屋を出る。その後変な金庫に寄ったりしたけど他は特に何事もなくグリンゴッツを出た。と思ったらハグリッドは気分が悪くなったらしく、酒を飲みに行ってしまった。まじかー。

 

 ハリーと二人で走ってマダムマルキンの店とか言うヤツに行く。途中で鞄がどっかの看板に引っかかった私は競争に負けた。嘲笑ってくるハリーの髪を引っ張ればまた喧嘩。だが喧嘩に気づいた店の人に店内に引っ張りこまれたのですぐ終わってしまった。クソが。

 言われるがままに台の上に乗ると、動く巻尺が勝手に計ってきた。周りを見る。ハリー以外にももう1人男の子がいた。金髪をオールバックにした嫌味ったらしいニヤケ顔のやつ。

 

「双子かい? 君たち」

「似てるとか言わないでよ? 目と髪の毛は一緒でも私の方が美人だ」

「僕たち新入生なんだ。君も?」

「まあね」

 

 そっからの自慢話はハリーに丸投げした。ハグリッドが言うには、私達のくしゃくしゃ頭はパパので、綺麗な緑の目はママのらしい。んでハリーは目以外パパと瓜二つで、私は髪以外ママとそっくり。ママは燃えるような赤髪だったらしい。かっこいー。

 ぼーっとしてたらハグリッドが店の外に見えた。アイスを持ってて、さすがハグリッドと思ってたら男の子がハグリッドを馬鹿にし始めた。はあ?

 

「お前ふざけんなよデコ禿げ!! ハグリッド馬鹿にしやがって死ね!!」

「はぁ!? 僕はハゲてない!! ふざけるな!」

 

 そっからは取っ組み合いだったが男の子はとても弱かった。一方的にぼこぼこだ。おいハリーてめぇ野次飛ばすな。いいぞもっとやれとか言ってんじゃねえお前もやれよ。そんな一方的な喧嘩は店員に強制終了させられ、あっという間にできた制服と共に店の外へ放り出された。ちぇっ。喧嘩の様子を見ていたらしいハグリッドにも怒られたけど無視してアイスを食べる。めっちゃ美味い。

 その後は杖を買いに行った。ハリーはめっちゃ時間がかかった。なんか例のあの人と兄弟杖らしい。なんだっけ、あれ、そう、ヴォルデモート。ハグリッドが教えてくれたパパとママの仇な。マジふざけんなそいつ死ね。あれ、もう死んでるんだっけ?

 そんなことより私の杖だ、と喜んでオリバンダーの前に立ったら、最初の一本目で決まりやがった。ひょうしぬけだ。しかも決まった杖がこれまたデカい。黒檀にドラゴンの角、52センチ。ふざけてんの? ってぐらいでかい。ハリーのより24センチも長いんだけど。片手で振れるわけねえだろ馬鹿か。

 なんかオリバンダーがごちゃごちゃ言ってたけどデカすぎてそれどころじゃなかった。でもゲーッて言いながら素振りしてたらハグリッドが誕生日プレゼンに杖ホルダーを買ってくれた。ハグリッドすごくいいヤツ。

 そんなこんなで他のも買って、ついでにふくろうも買ってもらって帰路に着く。ハリーが9と4分の3番線がなんたら言ってたけど、そんなんどうにかなるだろ馬鹿って言ったらまた喧嘩になった。チケットが破れそうになったので止めた。ちぇ。

 

「あーあ、早く帰ろう。お腹減った」

「うん。あ、ねえ、ちょっと待ってよ」

「なに? 早くしてよ」

「はい、誕生日プレゼント。ダイアゴン横丁で買った」

「はぁ!? やめろよそういうのサムいんだけど!」

 

 でも私も買ってた。死ね。ホルダー買った時に誕生日プレゼントを買ったのだが、ハリーもこそこそ同じことをしていたらしい。くそ。誕生日プレゼントをお互い投げつけて渡して、叩き合いながら帰った。帰って開けてみたら緑の石が着いたピアスだった。ふざけんなよ穴あいてねーわ馬鹿。ちなみに私は小さなロケットをあげた。まあ入れる写真もないだろうけど。

 



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