ザンザスの嫁?に認定されそうです (ネムのろ)
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第一章 ザンザスの嫁?に認定されそうです。助けてください 第一話 まったくもっていい人生!じゃなかったね!!

見事に感化されましたわ…そして爆発しましたわ…
読者の皆様を振り回したいわけではないんです。
ただ…いろんな人たちのヴァリアーほっこり話し読んでたら
アイデアがふってきたのだよぉぉおおお!!

おもにヴァリアー中心のお話になる予定です。
ザンザスxオリ主になるかもしれなくもない。
オリ主転生ものなんで苦手な方はご注意ください。

なんで、まぁ…興味があれば読んでくださいな☆


迂闊だった。

 

「あーあ…やっちゃったなー」

 

 本当に迂闊だった。

 

「お、おばさん…」

「おいコラ。おばさんってなんだ。お姉さんと呼べ」

 

 腕の中にはガタガタ震えてる男の子がいる。

 

「私はまだ二十代だっつの!」

「…っおばさ、あ…お、おねいさんの…身体…」

「あー…うん…まぁしょうがないかなー」

「血が…っ」

「参っちゃうよねー」

「わ、笑ってる場合じゃ…」

 

 私に代わって震えながら涙を流す、十二歳くらいの男の子の頭を撫でてあげた。

 

「落ち着きなって」

「お、落ち着けないよ!」

「うん。わかった。わかったから…大声出さないで…傷にしみる」

「あ…ご、ごめんなさい…」

 

 ショボンと落ち込んだ彼の頭をポンポンと軽くたたいて溜息をしてから、私はもう一度自分の身に何が起きたか、考えを巡らせた。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「あー…怠いワー」

 

 

 いつものように仕事を終わらせてから病院へと足を運んでいた。

 

「あー…病院行くのメンドイわー」

 

 正直、自分はもう通わなくてもいいとさえ思っている。だってただクスリもらうだけじゃないか。何の進展もしない。良くも悪くもならない。なら容体が変わらない限りはクスリもらってハイさいなら。でいいんじゃないか。

 

「なーんて…良い歳してるくせに何を考えてるんだか」

 

 自分でそく拒否してみる。

 自分自身を辱めて落して心を殺すには慣れてしまったなぁ。それがもはや悲しいのかもわからなくなってる。鈍くなってる? いやー…人間としてどうなのよソレ。

 

「まぁ、そんなこと誰にも言えやしないけどねー」

 

 言ったところでなんの解決にもなりゃしないと、わかりきっている。だって今までずっとそうだった。

 わかってほしくて結構色んな人に相談した。精神科の先生にも、友達にも、家族にも。まぁ結果、引くか変な目で見られるか、うつ病だ、変人だと唆され…今じゃ立派に孤立だよ。

 

 独りぼっちのボッチ体質ですがそれがなにか?

 まぁ、自業自得なんだけどね~。

 

「言いふらした自分がバカだったんだよ」

 

 他者の痛みを他者がわかるわけがねぇじゃん。

 こうやって独り言が増えていっちゃったのもしかたがないのかなぁ。いや、これは治さなくちゃいかんな。気味悪がれて仕事が減る。

 

 それは困る!

 

「持病もさぁ…空気読めよって感じ」

 

 何も昨日の会議で発作おきなくてもよかったじゃん! 私、あの時けっこう焦ったぞ!

 まぁ、クスリ切らしてたの忘れて更に飲むのも頭からすっぽ抜けてた私が悪いんだけども。

 

 そんなこんなあーだうーだと無駄な考え事をして怠い身体を引きずるように病院へと徒歩で行っていた私は見てしまったんだな。

 

「なんじゃありゃ?」

 

 十二歳くらいの男の子が、浚われそうになってた。明らかに“不審者です”と言ってるような恰好した黒ずくめの男二人が、その子供の細い腕をつっかんで無理やり引っ張ってた。

 

 もう一人は拳銃出して脅してたし。

 

「……」

 

 関わらないようにしよう。即座にそう思った。別に正義のヒーローじゃあるまいし。何もなかったと記憶を書き換えて…

 

「だ…だれか助けて…オレまだ死にたくないよ…」

「…」

 

 嫌に鮮明に聞こえた。

 

 そうか…

 

 まだ、死にたくないのか…

 

 そうかぁ…

 

「じゃあ生きろ。少年」

 

「へ?」

 

 バッと彼らの隙をついて子供を抱きつつ離れようとしました。ハイ、運動ロクにしなかった持病持ちのアフォが粋がってしまいました。

 これはもう死しか見えませんね! なーにカッコつけようとしてんだかー。バカじゃーん。マジもんのヴァカじゃーん。

 

 先回りされて挟まれました。さては相手はマジもんの何かヤヴァイプロっすね? そりゃ逃げられないだろうがよー。こっちは一般庶民じゃーい。

 

「なんだお前?!」

「邪魔するか…そのガキをこっちへ渡せ…さもなくば」

 

 ガチャリと黒くてテカテカ光る物体を向けられましたー。あ、間違ってもGさんじゃないかんね? 拳銃だかんね?

 ハイ。死亡フラグたちましたー。なーにやってんだろね私。今まで通り、無視とかスルースキル発揮してりゃこんなややこしい事態にならなかったんだよ。

 

「あーまぁ、なんでこんなガキ狙うんですかーとか聞いてみちゃったり?」

 

 頭をかきながら苦笑いで素直に聞いてみる。

 

「こいつ…こんな状況で取り乱しもせず笑いながら情報を集めようとしてますぜ兄貴!」

「ただモンじゃねーな…」

 

勘違い乙!!

 

 

 相手が隙を一瞬作ったんで身体のリミッター()外して全速力で逃げました。

 

 でもさー、もしかしたら逃げ切れるかもしれないって思った私がバカだったわー。先回りされてしまって三発食らったわー。足、腕、あんまし動けんわー。

 

「くそっすばしっこい奴だ…俺たちの追跡をことごとく簡単に抜けやがって…」

 

 いやいや。簡単に抜けてませんよー。感で、あ、やべぇなって思ったとこ回避してただけだよー。

 

「すごいね! まるでオレの好きなマンガの主人公みたい!」

「あーそう。」

 

 褒められても嬉しくない。大体、こんな変な危機察知能力がついたのも、感が鋭くなったのも…昔のトラウマや虐めやSDV(サイレント・ドメスティック・ヴァイオレンス)があったからだぜお子ちゃまさんよ。

 

 ま、人間の感覚が鋭くなるのは、それ相応の何かがあって進化した結果だろ。危ない処で育った結果がコレだよ。ま、どうでもいっかそんな細かいこと。

 

 あー、血がやべぇ。息が苦しくなってきやがったなー…発作の前触れ? それとも怪我してるからか?

 どことなく胸を触って…ギクリとした。あー…三発目はそこに入ってたのね。

 

「さっきから苦しそうだけど…大丈夫?」

 

 ガキの顔を見て、私はニッと笑ってやった。

 

「死ぬかも」

「えええええ?!」

「三発目がさー胸に当たってたんだよねー」

「ええ?! し、心臓?!」

「そうそう」

「なんで生きてるの?!」

「そこかい! いやまぁ、特殊な体質だから助かってるんだけどね」

 

 ガキを抱いてバッと公園のジムの中に隠れた。

 あいつらの悔しがるような声と、足音が近づいて…そして遠ざかっていった。

 

 そして冒頭に戻るというわけだ。

 

「ねぇ…特殊な体質って…どんな?」

「んー? なに、知りたいの??」

「…うん」

 

 気晴らしにはなんのかな。

 

「生まれたときさー。死にかけたらしいんだよね」

「お姉さんが?」

「そそ。元々、お母さんが若くてさー。デキちゃった結婚…ってわかるかな?」

「うん。赤ちゃんができたから結婚するっていうやつでしょ」

「…知ってんのかよ…この頃のガキどもは色気付けやがって」

 

 ペッと唾を地面に吐くと、血がにじんでた。

 どうりで鉄の味しかしなかったわけね~

 

「そうだなー…この際、無駄だと思うけど聞いてくれないかい?」

 

 私が…どう過ごして…どう暮らして…何を想って、苦しんで…生き続けたか

 

「うん! 聞く!! 聞きたい!!」

「物好き…だねぇ…」

 

 今まで誰にだって、そうやって興味持たされたことなんて…なかった。お前は暖かいね…

 

 私は語った。数十年飲み続けていた言葉を…年端のいかぬ子どもなんかに…

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「そ、んなことが…」

「で、さ…生きることに味気も…興味もなくなったわけよ」

「それでも命を投げ出さなかったのって…なんで?」

「はぁ? なんで私が私の命を捨てなきゃならんのだよ?」

「えー?」

「もったいないだろ。誰かのために用意された命だったらどうする? いつかの時のために取っておこうって、頑張って生きてたんだよ」

「…。」

「どうした少年。呆れて物も言えないか?」

「あの、凄いなって思った」

「はぁ? どこが」

「だって…お姉さんは…その…自分のためじゃなくって、誰かほかの人のために…優しい人なんだね…」

 

 そう言いながらガキが私の頭を撫でてくれた。ああ…前に数えるほどしか頭撫でられたことねぇからちょっと感動して涙がー…

 

「あー警察がきたみたいだねー」

「本当だ! よかった…父様もきた! あ! あの人たち捕まってる! お姉さん助かったよ俺たち!」

「うん…」

 

 私は目の前が霞んできたのに気がついて…あー、そうか。もう少しで死ぬんだなーと、他人事のように思った。

 

「お姉さん…聞こえる? ほら…救急車だよ! お姉さんの怪我の手当てして、すぐ治って…お姉さん?」

「きこえて…るって」

「…ねぇ…お姉さん…さっきの話、本当なんだよね? お姉さんの心臓は真ん中にあるって…だから普通の人だったら死んでたけど…お姉さんだったら大丈夫って本当だよね?!」

 

 うるさ…いってば…

 

「ほんと…だよ…うるさいって…」

「お姉さん! ねぇ…目を開けて…」

 

 ポタポタと、温かい雫が頬に落ちてきた…泣いてる? 私のためなんかに心痛めてくれてるんだ?

 

「ありが…とな」

「え?」

「死ぬの…怖くないんだ…」

「な…なんで…」

「だって…あんたが…傍に…いてくれる…からさ…」

 

 一人、寂しく逝くのだと思っていた。いつもいつでも私は独りだったから。

 

「安心して…いけるよ」

「そんな…オレこそ…っ助けてくれて…!」

「だってお前…生きたかったんだろ」

 

 だから助けたんだよ。ガラにもなく。

 

「生きろよ…私の分まで…できれば楽しく、幸せに…生きて…」

「お姉さん! おれ…まだお姉さんの名前知らない!!」

 

 ああ、そう言えば言うの忘れてたなぁ。

 

「明心(あけみ)だよ。苗字は聞かないで…唯一誇れるモノがコレなんだ」

 

 母さんが、願いを込めてつけてくれた名前だからさ。

 

「うん…わかった。一生忘れないよ…俺の名前は十鷺(とおる)」

「そっか…んじゃ…トオルくん…悔いなきよう生きろよ」

「…うん…ヒック…!」

「達者でな…」

 

 

 そうして、私の目の前は真っ暗になったのでした。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「で、死んだと思って目が覚めたらどうして君がいるのかねトオルくん」

「俺も死んだからだよ? 明心さん」

「はい? なに。君もしかしてあの後死んじゃったの? 助け損じゃねーか私の命返せゴラ」

「待って待って。お姉さん何か勘違いしてるでしょ」

 

 勘違い?

 

「お姉さんと別れてから、俺は精一杯いきたよ。結婚もしたし子供もできたし、孫もたっくさんだった」

「へ?」

「それでいっつも家族に聞かせてたよ。お姉さんの武勇伝」

「嫌がらせか」

「なんで? 俺にとってお姉さんはヒーローなんだ。でも不幸が続いた哀れな少女だとも言っておいた」

「いっそのこと殺して」

「もう死んでるジャン」

「そうだった!」

 

 コントみたいなノリだけども、めちゃくちゃハズか死ぬ。言わなきゃよかったと後悔中なう。

 

「どうやらお姉さんが死ぬ前に俺がお願いしたことが叶ってたみたいだね」

「?」

 

 首を傾げた私を目の前の十二歳のトオルくんはクスリと笑って、その手を頬に寄せました。

 

「どうか…僕が目いっぱい生きて…そして俺が死ぬまで…お姉さんを眠らせてくださいって。そして俺が死んだときに、また会わせてくださいって。祈っておいた」

 

 それでお願いが叶ったのかよ。すげぇなお前さん。

 

「神様に愛されてんねぇ」

「お姉さんもじゃない?」

「…さぁ?」

「ね、お姉さん」

「あ?」

 

 すすすと頬をなでられてくすぐったいと文句を言いながら睨めば、目の前の少年の姿をした、中身は老人の精神なくせに何故か紳士なガキは妖美に笑った。

 

「どうして俺が…こんなにお姉さんのことに執着すると思う?」

「さぁ? 面白いからじゃね? からかいガイあるとか?」

 

 そんな風に冷めた目で言えば、「違うよ~」とぶりっ子みたく振る舞う。いや、絵にはなってるけどお前中身おじいさんだかんね?

 

「お姉さんに一目惚れしたからだよ!」

「…ハィ?」

「人生はじめて初恋におっこちたね!」

「おいコラ止まれガキんちょ。」

「オレ、中身はおじい「黙れ私にはお前はガキなんだよ」そう? まぁいいんだけど」

 

 溜息出るよぉ…なにこいつ…無駄に長生きして変な経験値積みやがってからに。いや、まぁ長生きして人生を謳歌しろって言ったのは私だけどもさ…

 

「お前奥さん捕まえながら何を言って」

「奥さんはちゃんと受け止めてくれたけど?」

「器でかすぎだろ奥さんんんん!!」

 

 それでいいんか奥さん。ん…まてよ

 

「お前まさか…死んですぐに私のトコ来た…とか?」

「うん」

「うん。て…奥さんは」

「後の事は任せた。ていったら、任せて! あなたは気兼ねなく、明心さんとお幸せに♡って言ってくれた。」

「ナニモンだよ奥さん…てかさー…おまえさー…マジで私なんかを好きになったわけ?」

「マジだよー♪ 大好き!」

 

 そういって首にギュッて飛びついてくる…

 

「物好きが…てかさー…純情だったトオルくんの初恋が私でごめんなー」

「なんで?」

「だって私、死んじゃったし」

「…やっぱお姉さんは優しいよ…俺の事、考えて落ち込んでくれるなんて…」

 

 チュッ

 

「おいコラガキ。ほっぺチュッすんなや」

「えーなんで拭いちゃうのー?」

「お前は初恋でも私は恋に落ちてねーっつーの」

「…じゃあ、落とせばいいんだね?」

 

「……え?」

「そうすればお姉さんは…俺にメッロメロに恋してくれるんでしょ?」

「どうしてそんな思考にいたった?!」

 

 そう私があれこれトオルくんに言い聞かせていると、横からゴホン! という音が聞こえ…あれ、これってもしか、誰かが咳をしてる音…?

 

「何者だよあんた?!」

「あ、こちら神様」

「まさかのトオルくんが知ってた件?!」

「うん。お姉さんがちょっと起きる前に話してた。」

 

 全身真っ白で、いかにも神様っすよーなお髭はやしたおじいさんが、杖持ちながらフェフェフェって穏やかに笑ってた。

 

「お主らをみとったよ…明心さんには随分と辛い出来事を置いたな。じつは君は後に会社を立てて成功し、宝くじで当てたのにもかかわらず貯金をしていたおかげで持病を治す金として費やすことができるというシナリオだったんじゃなぁ」

「しかもその後、成長した18歳の俺が華麗にお姉さんを掻っ攫うまで計算してたらしいよ」

「おい待て。それなんていう無茶苦茶…はぁ…でも私、死んじゃってるんすけど」

「そうなんじゃよ~…わしとしたことが…書類の中にバグが混じっていたとは…不覚よ…せっかく幸運を溜めておいたというになぁ…」

「事故で死んだんかよ私…最悪だ…」

 

 なんつー最悪なシナリオだ…私の人生なんだった?

 

「お前さんがあまりな人生だったので、お前さんにべた惚れな十鷺(とおる)くんが死ぬまで待ってたんじゃ」

 

 そして杖を私の頭へ掲げて

 

「わしからお主へプレゼントじゃ。お主たちが生前好きだなーといっていた世界に転生してもらおうと」

「ちょい待った」

「…うん?」

「私、べつにもう生きたくないんですけど」

 

「…」

「お姉さん?」

「このまま安らかに眠らせてくださいな。それか記憶消して輪廻にながしゃいいだろうが。」

「いやいや、ちょっと待て。転生じゃぞ? 好きなように暴れてもかまわぬ平行世界じゃぞ?? しかも特殊能力+運命のフィアンセ付きじゃぞ?」

「うるせぇ爺。勝手に決めてんじゃねぇよ。」

 

 私は冷めた瞳で睨みつけていた。誰がそんなもんいるっていったよ? 余計なお世話だよ。

 

「つかれたっつってんだよ。」

 

 もう、疲れたんだ。生きることになんの喜びも感じられなくなった。だから死んで丁度良かったんだよ…

 

「そんなのワシ知らんもん。転生させるってもう書類つくっちゃったもん」

「ふざけるなよ?! なんでもうつくってんのさ?! てか、もん??」

「ちちんぷいぷいいってこ~い♪」

「どわぁあああちょっとまっ」

 

 そうして、急に現れたでっかい穴へと落ちていくのでありました。コレ、なんていう罰?

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「さて…彼女につけた能力…お主には説明したな?」

「はい」

「お主は…本当にこれでいいんだな?」

「はい…たとえ、彼女に嫌われても…俺は…」

「わかった。それに…お主はおもしろい。彼女と運命でつながっているとはいえ、彼女の方は自由にしておいた。お主がつかみ取らなければ…彼女は」

「はい。わかってます。そこは自分の手でつかみ取ります。」

 

 少年はペコリとお辞儀をする。

 

「とにかく、転生先がまさかあの世界で本当に設定できるなんて感激しました! 色々ありがとうございました! 行ってきますね」

 

 そうして少年も穴の中へと消えた。

 

「…頼んだぞ…今度こそ…彼女を幸せにしてやってくれい」

 

 神様はにこやかに笑いながら穴を閉じて…そして…死と生の狭間から姿を消した。

 




スッ…(無言の土下座)まずは先ずアイデアが降って唐突に書きたくなっちゃったから
勢いに任せて書いてしまったことを謝ります!
本編書けよなにしてんだよ私ぃぃいいい!!
アイデアどうして何で今になって来たんだぁぁあああ?!
はい。ということでね。一応このおはなしがどんな風に進めていきたいのかとか
大雑把に主人公とかの自己紹介を、次のお話の最後らへんに書いておきます。


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物事には順序ってものがあるはずなのに無い件について←

「…ふむ。」

 

 私は…今さっき思い出したいろんな出来事を整理していた。

 

「で、また女の子に転生で、しかも記憶が戻ったのが10歳って…酷すぎやしませんかい神様よ…」

 

 10歳の、本来可愛い子供が…二十代ギリの濃~い経験と変な感をもったんだ。きっとあからさまに可愛くなくなって、軽蔑されるんだろうな。

 

「難儀な人生だよねー」

 

 思わず遠い目をした私は決して悪くないと思うんだ。

 

 あ、ちなみに外見は日本人らしいっすよ。でもイタリア人との間のハーフっす。だから髪の毛真っ黒でもウェーブになってます。長い。めちゃくちゃ長くて煩わしい。

 前世はキッチリボーイッシュな髪型かボブヘアーだったしなー。よくてセミロング。髪が長くていい思い出ってねーんだわ。

 

 あー、あと目の色がさー。前世と同じってのはさすがに驚いたね。なんだよこの色! 神様の嫌がらせか?!

 どこの世界に、確実に白っぽい銀色眼球の色したヤツがいるんだよ! ギンハク眼球なんて呼ばれてウザったいったらありゃせんわ!

 

 あー、あと…自分はなぜか良い処のお嬢ちゃんらしいです。なんで? 嫌がらせだよね神様? ワタシ身分高い奴、生前憎んでいたのですが!?

 そいつらのせいであくる日髪の毛ぼっさぼさに切られたトラウマありますので!!

 前世の記憶…消しておけよ使えねぇ爺だな…

 

「はぁ…」

「どうかなさいましたかお嬢様?」

「い、いえ…何も」

「そうですか? では、お稽古の時間ですので準備を…」

 

 あー…メンドイ…名家に生まれるってめっさメンドクサイうえに、しがらみにグッルグルになるよねー。家のためにどーのこーの面倒くさくてかなわないわー。

 

 って思ってたら、マフィアがやってきて家丸焼きにされました。まる。

 

「…」

 

 みんな…いなくなってしまったなぁ。

 そんなことを考えながら燃える家をいつまでも見ていた。

 どうやら私が塾に行っている間にすべて起きたらしかった。運がいいのかないのか…でも、さぁ…結構好いてたんだけどなぁ…

 

 こっちの両親は大分私に良くしてくれた。けっこう大事だった…お手伝いさんたちも…

 

 また…独りボッチかぁ…

 

「君がリリー・ニコラ…だね?」

 

 顔をそのままに私は無機質に答えた。

 

「はい。そうですが」

 

 相手はそっと私の頭を撫でてきた。

 

「君を迎えに来た…君の両親の…友だったものだよ。」

 

 顔をあげればそこには、悲しそうに、しかし優しく微笑むおじいさんがいて。

 

「そう…ですか…」

「来てくれるかい?」

「…」

 

 どうせどこにもいくところなどない。私は…どこへ行ってもきっと孤独なのだろう。何も変わってなどいなかった。

 

「ご自分の名前を言ってませんが? 私は名のったんですから、ちゃんと言ってくれませんと」

「ああ、そうか。忘れていたよ」

 

 相手は苦笑した。

 

「私はティモッテオ。九代目と呼ばれてるよ」

「? なんの九代目ですか」

「ボンゴレさ」

「ボンゴレ?」

 

 アサリ?

 いや、待て待て。ちょっと待て。

 

「ボンゴレって?」

「…まいったね…君のご両親は何の説明もしてなかったのかい?」

 

 いや。してました。目茶苦茶してました…。ただ、私が信じられないだけで…いや、だってさ?! どこの世界に転生するのかとか聞いてなかったからしかたがないけどさ、気が付かないよ?!

 ふっつーの世界だって信じて疑わなかったもん!!

 

「君と同い年の子供がいるんだ。仲良くしてやってほしい」

「……はぁ…」

 

 なんで、よりによって

 

「さぁ、ここが今日から君の住まいになるよ」

「トテモ デカイデスネー」

「はは。中庭は好きに使っていいからね…そしてあれが…私の愛息子だ」

「…」

「どうも…リリー・ニコラです…」

「…」

「自己紹介しなさい。今日からこの子も家族だから」

「…ザンザスだ」

 

 よりによって何で転生した先がカテキョーリボーンの世界なんでしょうか神様?!

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

キャラ説明と大まかな設定

 

 

オリ主:大和田明心、日本人。

 

転生前は平凡ではないが一般庶民のふつーのフリーターだった二十代ギリの女性だった。何の興味もなく生きる執着もなく、また引っ込み思案でネカティブ思考なため友達がいないボッチ。

持病を持っていてクスリで体調を整えていた。時々あたまから大事なものがすっぽ抜けて薬を切らしてたのさえ忘れて発作が起きてしまうこともしばしばあった。

 

死への恐怖はまったくなく、むしろさっさと天命全うして死にたかった。むしろ清々しいまでにキッチリハッキリすることができるので、心を開いたらきっと友達があっという間にできてたかもしれない。

 

本人は気が付いてないがとても優しく他人を嫌うようなそぶりがあってもじつは嫌いになりきれず、心配までしてしまうお人よし。

 

本当は人生の後半で幸せいっぱいになる予定が神様の書類に入ったバグのせいで運命が変わって死んでしまった。

 

転生後: リリー・ニコラ、イタリア人と日本人のハーフ。

意識が覚醒してから天才児と呼ばれるようになり、同時に自分にセーフティをかけた。周りには敬語、愛想笑いなどしっかりと見せるがある一定の人物たちには素で接する。

それが信頼からくるものだと、リリー本人でさえ気づいてない。

 

設定:

 

ザンザスxオリ主となる予定

主にシリアルのようなシリアス、シリアスのようなシリアルになる予定。けっこうバカみたいなことを書くかも。超ノリノリで。

おもにヴァリアーとチェッカーフェイスとアルコバレーノたちと絡ませていこうと思ってます。

彼女の特殊な力に目を付けたのがチェッカーフェイス。

 




さてはて、彼女の命運はいかに? ザンザスとどうなるのか? ヴァリアー達とは? アルコたちとはどういった経緯でかかわっていくのか?
って妄想し始めたら止まらなくなって書き始めたってわけですよハイ…


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第二話 発案者の直系の末裔

ネタが集結して暴走した結果です(笑)
見た目儚く弱そうなのにじつは子ザンザスを伸すほどの力の持ち主のオリ主。
どうしても自分を認めさせたいザンザスに、彼女の特殊な家系について九代目が語る!
とうとう明かされるまさかの真実に、ザンザスは?!

あー、前半と後半で空気というかノリというか…そんなんが違います。
温度差にご注意ください(笑)


「おい、お前」

「…」

 

 みなさん、こんにちは。ごきげんいかがですかいな?

 

「待ちやがれドカス!」

「…」

 

 え? 今、私が何をしているかって? ちびの暴君に追いかけまわされてます。

 なんで? それはこっちが聞きてーわ。

 

「逃げんなカス女!」

「あのさー、暴君なんで私にかまうのさ」

 

 長い廊下を歩いていく足を止めてグルリと振り向いてやった。思ったより顔が近くて暴君が後ろへ一歩下がった。おーおーびっくらこいたか。そーかそーか。じゃあもっと驚いてくれちゃってもいいのよ?

 お前さんの驚いた顔とか焦った顔とか、珍しくって見てて新鮮ってか面白い。目茶苦茶おもしろい。

 

「聞きてーことがあるだけだ」

「なに? さっさと聞いてよ」

「…おめー名前なんつってた?」

「…」

 

 論外ですね。ええ。

 

「おいコラ! 待ちやがれ!! 何で答えねぇ?!」

「ハナから覚える気ないでしょ君―。興味ないんだったらいいよ」

 

 そういったら暴君が今度は私の肩を持ちましたー。ええいウザい!

 

「よっこいしょー」

 

 間抜けな掛け声のわりに、ドカン! という派手な音と共に暴君が地面に背負い投げされて背中を強く打ちましたー。あーいったそー(棒読み)あ、もちろん今の攻撃は私がやりました。

 

「…っ」

「あのさぁ…興味なくていいんだよ。べつに私の事、意識とか気を使ったりとかしなくていいから。つーか居ないものとして見ていいから」

 

 だから、興味がないのに…あるフリしないで。

 

「それが一番、傷つくから」

「…」

 

 まだ睨んでくる暴君をほっておいて、私はそそくさと英才教育へと足を向かうのでした。え? 暴君と一緒じゃないのかって? ええ。生理てきに受け付けないのがザンザスのようなキャラなんすよ。

 

 前世で幾度となく嫌悪してましたものー。彼らすべてを小バカにしていたフランは好きだったよ? あと声のデカイあのロン毛の人もけっこうイカスなぁって思ってた。え? 名前?? んなもん忘れたわ。

 

 だから九代目に脅し…じゃなかった。オネガイをしたんだなー。一緒はヤダって。そしたら教室分けてくれました。

 なんでそこまで嫌うのかって? え、なんとなく?

 まさか転生してから間直でザンザスの親に引き取られるなんて思ってもみなかった。しかもザンザスと妙にくっつけたがるし…あんのクソ九代目。今に見てろ。

 

「狸爺め…いつか絶対(ボンゴレ)滅する」

 

 沢田綱吉くんが決行すると思われる十年後に備えて。ていうか今から徐々に侵食していこうか? そしたら後が楽だな…うん、いいかもしんないねー。ああ、べつにあちら側とかかわるかって聞かれたら…

 

 関わらねぇよっ! こっちで精一杯だっつの!! 面倒なことには首を突っ込まない主義なんです。

 え? 前世では首突っ込んで死んだって? ええ、ええそうです。だぁからアルコたちとか、おもにリボ様とはとくに気を付けて関わらないようにしなくちゃね! ここはイターリアだから持ち前の直感を駆使してリボ様避けてやんよ!

 

 …リボ様大好きだけんども…さすがに関わったら最後だと思うから……

 

「おい! 俺はお前にまだ聞きてぇことがあるんだ!」

「なんだい。このさいもういいや。聞いちゃる。言え!」

「…偉そうだなおい「あー、もうそろそろ時間かなー行っちゃおうかなー」言うから待て」

 

 ふむ。と身構えた。裏があった時のための対処法を何個も頭の中で計算する。しょうがないっしょ? あのザンザスですぜ。たとえガキでも私は差別しませんぜ。徹底的に彼を拒絶します。

 

 イコール、教育()します。

 

 ウソウソ。しませんから。ただ、見逃せない事柄に首を突っ込みますが、他は無視するスタイルでいこうかね。

 だーかーらー、暴君とは極力こうやって遊んで(?)やって、後はしーらね♪的な。

 

「お前…他の…年上や周りには愛想良いくせして、なんで俺にはそんな態度なんだよ」

 

 ムッスとした暴君が拗ねたような顔でそう言うものだから、マジトーンが出てしまった。

 

「はぁ? アレは社交辞令だからだけど? ああしないといけないってこと。基本てきに私は興味がない人でも無視はできない場合には、ああいう態度とるだけってことで」

「じゃあ何で俺には」

 

 まだ言うかこの拗ねっ子が。なんだ、してほしいのか? お前に? 私が?? 愛想よく??? ハァ????

 

「必要なの?」

「あ?」

「暴君には必要ないっしょ。私の“偽りの姿”なんて。あんたにやったって無意味だし」

 

 不必要だろうが。そんなんお前にやってる私を想像しただけで吐き気とサブイボが立つってーの!

 そう言い放つと、こいつでも傷つくのかな~。とか考えてチラ見したら、ザンザスは嬉しそうな顔をして、若干頬が薄く赤くなって…口は真一文字だったけども、目はキッラキラに輝いてた。

 

「な…なんで嬉しそうなんだ?」

 

 ハッキし言ってキモイ…なにこの子供オーラ…私の知るザンザスじゃない。←

 

「…お前が…俺の前では偽らないといったからだ」

「必要ないからっていったよ?」

「裏を返せば、お前は俺の前だけは“素”であって“本当の自分”だということだろ」

 

 ああ…そう…なるの、か? 首をかしげていると目の前のショタザンザスはニヤリと笑って手に炎を集めた。

 

「お前をいつかカッ消すのは俺だけだ」

 

 だから───…それまで

 

「誰にも負けるんじゃねー」

「…一丁前に恰好つけちゃって、まー。」

 

 私は溜息をついて、スタスタと前を歩いていきました。

 

「そんなこと、一度でも私に勝ってから言いなさいよ」

「く…っ」

 

 あ、一応ザンザスとは毎日のようにケンカして私が勝っております。どうやら普通の人より力があり、頭の回転が速いらしくって。すぐに物事も吸収するように覚えられるし…もしかしたらこれらが神様がくれた能力かー?

 ここで発揮しても普通に褒められるだけにとどまっている…まだ境界線はこえてはいないってことかぁ。あんまり異質だと謙遜とか迫害されるかもしれないから気を付けてる。

 

 は? ザンザスには情けや手加減しないのかって?

 え、する必要あんの?←

 ザンザスに愛想よくしないのかって?? ナニソレ気持ち悪い。私が?? 何故に暴君に愛想よくしてやらにゃならんのですかいな?

 

 捻りつぶす勢いでかまってやるだけでも良しとしてくれなきゃ。

 

「お嬢様、今日はお嬢様のお好きな国のお勉強でございます」

「あ、はい」

「日本と中国になりますが、大丈夫ですか?」

「問題ありません。」

 

 あ~…将来の(楽になる)ためだからってマジ面倒なんだけどー……。でも…なぁんか避けて通れないような感じするから、一応頑張ろう…それに。

 

「まぁ! お嬢様ったら天才です! ザンザスさまよりも物覚えがよく行儀もよく我が儘もいいませんし…ザンザスさまよりも先に立っていますよ」

「そうですか? 普通じゃないんですか」

「いえいえ! 先ほどあちら側の先生と話をしてきましたが、ザンザスさまはまだこの日本語の漢字と社会に手こずっておりますの。リリーお嬢様はもうマスターしております。感服ですわ!」

「…そうですか…」

 

 ザンザスより一歩前にいるこの優越感は…正直たまんねぇ…グフフ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

決意と目標

 

 

「クソ…また認めてもらえなかった…」

 

 ザンザスは拳をギュッと握った。

 

「どうすればお前に認めてもらえる?」

 

 ザッザと不機嫌な顔して小さき暴君は、リリーとは違う英才教室へと足を運んで行った。

 

「強ければいいのか? 知識があればいいのか? 全てにおいて完璧であれば…お前は俺を認めて…俺自身を見てくれるのか?」

 

 きっとそうだ。おれがいつまでもあいつより弱いから。あいつより一歩後ろにいるから…だからあいつは俺を見ない。

 その必要性を感じないから。

 

 だったら

 

「必要と感じることができるように…やってやる」

 

 赤いその瞳はギラギラたぎっていて。

 

「そうと決まれば、やることはいっぱいありやがる」

 

 ザンザスは新たな目的を掲げて前へと突き進むのでありました。

 

「今日は日本語の漢字と社会ですが、ザンザスさま…昨日のように逃げないでくださいネ?」

「ゲッ…」

「あと、一昨日のように我が儘を言わないでいただくと、こちらも助かります…」

「……」

 

 教師は、ぐったりしながらため息。無理でも今日くらいは少しでも進ませておかなければ九代目に減給されてしまう…

 

「リリーさまはもうマスターしていますよ」

「何?!」

 

 おお。すごい食いつき様だ。と教師は思って…ピーン! ときた。

 

「それは本当なのか?! リリーはどこまでできてる?」

「ここと、ここら辺すべて完璧にマスターしてますね…」

「くっ…!」

 

 ザンザスは悔しそうに顔を歪ませ、ギリリと歯ぎしりした。相当悔しいらしい。これはもしかしたら…と、教師は内心心臓バクバクだったが試すことにした。

 

「ザンザスさまが先に習い始めたハズですが…もう追い越していきましたねぇ」

「おい、こことここの後はどこをやるんだ?」

「ここと、ここと、ここですね」

「…リリーを追い越す…! さっさと俺を教えやがれ」

 

 やる気が一気に沸いたザンザスを見て心の奥底で「リリー様ありがとうございます!」と教師は涙を流しながら感謝し、ザンザスを教え始めた。

 そんなザンザスがリリーを追い越したと思えば、リリーが今度追い越して…またザンザスが追い越し、そしてリリーが…

 

 そんな競争を英才教育で発揮し、ボンゴレ内で二人は天才児だと誉めたてられるようになる。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

そんなある日……

 

 

「おいリリー」

 

 そうザンザスがいつも通りリリーへと話しかけるが、いつものようにリリーは無視を決め込みスタスタ前へ歩いていくだけ。

 

「おい」

「…」

「おい、こっち向けリリー!」

 

 肩をガッと掴み、同時に身構えた。いつも彼女の肩を掴むと素晴らしい体術と関節技でザンザスを地面に叩き落すので、ザンザスもそっち系を習い始め、体制ができ始めた。

 

 まぁ、リリーはさらにその上を行くが。

 いつものように、いつものケンカに発端すると信じて疑わなかったザンザスは…この日、初めて

 

「?!」

「なに…ザンザス」

 

 はじめて彼女の弱さを垣間見たのだった。

 

 震える真っ赤な果実のような唇。濡れてキラキラと光るこの世に二つとないダイアのような真っ白い純粋な銀のような白い瞳。

 目元は赤く、涙を拭いた後だということは一目瞭然だった。

 フワリと揺れる長い、ウェーブかかった綺麗な真っ黒い髪は…所々乱暴に乱雑に切られていて…。

 

 さすがのザンザスも、彼女に何が起こったのか…想像がついた。ただ…ザンザスにも勝てるこの男勝りの少女が、何故…好きにさせたのかがわからない。

 ザンザスの視線で自分の身に起こった出来事に気が付いたのだろうと、目の前の彼女はハン…と笑った。

 

「同情はいらんよ」

「おまえ、髪…誰に切られた?」

「言うと思う?」

「…なんで好きにさせた?」

 

 そう強く言えば、彼女は珍しくビクッと怯えるように少し遠のこうとしたので、ザンザスは逃がすまいと、彼女の腕をとっ捕まえた。

 

「お前は俺をも簡単に伸しちまうほどの「だからだよ!!」?!」

 

 はじめて彼女の感情が露わになった瞬間だった。こんな彼女はここ二年間で見たことがなかった

 

「これ以上…特殊だと思われたら…生き辛くなるんだ」

 

 買い物するときも、パーティの場でも……九代目の計らいで最近通い始めた学校でも。

 

「…あんたは…気にしなくていい」

 

 何をこの目の前のこいつは言っているのだろうか。

 

「見なかった事に…していいから」

 

 もう涙は出ていないが…未だに彼女は泣き続けている…と不思議と感じたザンザスは…そっと手を彼女の伏せがちの頬へ寄せた。

 その彼の行動にギョッとしたリリーは思わずザンザスの顔を見上げる。

 

「な、なにさ」

 

 ああ、そうか…

 

「ザンザス…?」

 

 自分は彼女を女と見てなかったのだ。彼女は自分と対等な強い生き物だと、何も感じないようなタフで男勝りな何かと思っていた。

 

 実際は違った。

 こんなにも弱い部分があるではないか。そしてそれを他の誰でもない、ザンザスに見せている。

 少し優越感が沸いた。自分だけなのだ。彼女の強い処も弱い処も…自分だけが知っている。自分だけが独自しているのだ。

 

 それに…今更ながらに気が付いたが…彼女は美しい。本人は全くと言っていいほど気が付いてないが、今までパーティにて嫉妬の眼差しをむけられていた。それは彼女の内側と外側の両方の綺麗さからくる。

 

 周りに関心なく、どうでもいいので辺り障りなく平等に接すると、愛想よくなると彼女は言っていた。その愛想が変なものたちを引きつけているということをザンザスは良く知っていた。

 

 あの笑顔を自分だけのものにしたいと何度願ったか。だが彼女はザンザスの欲しがったものは何一つ与えてくれなかった。

 そこが歯がゆく、悔しい。

 

「てめぇは色々とずりぃ」

「は?」

 

 何も知らないようなフリして、何かを悟ったような、自分より経験を積んだ大人のような…そんな強さと弱さをあわせ持つ癖して…誰もかれも魅了してしまっているのには全く気が付いてなくって。

 

 辛いことがあっても、誰に頼ることなく独りで泣く事を選ぶようなバカのクセして。

 

 こんなにも

 

 愛おしい…?

 

「知ってたか…お前、何度か浚われそうになってんだ」

「は?! なんで?! どして?! ていうか誘拐?! ナニソレ私知らんけど?!?!」

「ハン! さすがのてめぇでも、動揺するか。」

「え、冗談…「俺様が冗談言うと思うか」…デスヨネー…」

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

大事な部分が抜けてますけど?!

 

 

 実際に彼女は、その頭脳と美貌に惚れこまれたマフィアたちから狙われたり、何度も求婚の要求がきたりしていた。ただ九代目が彼女の知らぬ間にすべて蹴って捨てている。

 しかも蹴る際の言い訳がザンザスの許嫁だと言っている。そこまで考えてザンザスは彼女がこんな目にあった心当たりが。

 

 ああ、たしか手に入らないのならば壊す主義のある危険なカスマフィアが…最近リリーに毎日のように話しかけていたなー。

 

「てめぇは」

「ん?」

 

 グイッと彼女を自分へと引き寄せた。そして優しく…フワリと…とてもザンザスらしくない形で彼女を抱き込むと、彼女の頭を優しい手つきで撫でる。

 彼女のさっぱりとして、しかし甘い香りに酔いしれながらザンザスは彼女にそっと言ってあげた。

 

「俺のだ。」

「は?」

「…」

 

 あ、ヤベェ。“ライバル”が抜けた。

 

 しかし言い直すのも面倒なのでこのままでいいかと彼女を離し、ギラリとした覚悟に燃えた瞳をしながら、リリーの瞳を見つめた。

 

「だからそのままでいやがれ」

 

 俺たちの前に立ちふさがる邪魔なモンすべて

 

「カッ消して来てやる」

 

 ポカンとした顔で固まってしまったリリーを残してザンザスが向かった先は九代目のいる書斎だった。

 すぐさま九代目に報告したザンザスは…九代目に説教をしていた。

 

「おいクソ爺」

「ザンザス、少しくらいはオブラートに包むという事を…」

「てめぇの言い訳づくりのおかげで、あいつが虐められてんだぞ」

 

 ザンザスは九代目の唯一の直系の御曹司。その息子にあの許嫁。嫉妬から彼女は迫害されているのだ。

 

「ハァ…来るとは思っとったんじゃ…しかしなぁ…本当の事だからなぁ」

「は?」

「なんじゃ、気が付かなかったのか? 彼女は友人からお前の許嫁としてもらい受ける事になっておったのじゃ。それに納得いかないマフィアが彼女の家を全焼させ、彼女を一人にさせたのじゃ…もう少し遅れていたら…彼女は」

「冗談じゃねぇ!」

 

 ガン! と炎でザンザスは壁を叩く。

 

「あいつは物じゃねぇんだ…!」

 

 なぜ彼女を取り巻く環境はこんなにも息苦しく、不幸ばかり続いて起こる?

 ザンザスはイラつき始めた。

 

「勝手に決めやがって…」

「彼女のためでもある」

 

 真剣な眼差しの九代目を見て、何か理由があるのかもしれないと、ザンザスは感じ取った。

 

「どういうことだ爺」

「ふむ…お前にはそろそろ話したほうがいいな…彼女の家系は普通ではないんじゃ」

「普通じゃねぇ?」

 

 だったら俺もだろう。そう言いながら掌に炎を灯すザンザス。それを見てニッコリ笑う九代目。

 

「たしかにお前も普通ではないように思えるが…死ぬ気の炎は我々の間では結構珍しくもない。一般にはオメルタで公表されていないが…しかし、彼女は違う」

「どう違うっつーんだ」

「彼女はボンゴレさえ崩壊出来る力を持っている…いや、下手すればマフィアすべて…かもしれない」

「なっ?!」

「その力をコントロールできるまで…彼女には話していない」

「この、ボンゴレを…崩壊させる力だと?!」

「だから彼女は狙われやすい…」

「…」

 

 にわかには信じられない。だが、これまでの彼女の周りにて起こった出来事(本人は気が付いてない)を照らし合わせてみれば…なるほど納得できてしまう。

 

「その力って…なんだよ」

「…それは……」

 

 初代ボンゴレプリーモだけが…扱えたと言われる幻の技。

 

「私たちの死ぬ気の炎を封印できてしまう力を直属に受け継いでいる。」

「死ぬ気の炎を…?!」

「プリーモの日記が見つかってしまったのだ。そこに、彼だけが編み出したとされる零地点突破・初代(ファースト)エディションの…発案者が載っていた」

「発案者…だと?」

 

 嫌な予感がした。

 

「それが…死ぬ気の炎でさえ凍らすことができる一族…ニコラ族のことが記されていたのだ」

「──…!」

 

 ニコラ。

 それは…リリーの名前にくっついているファミリーネーム。

 

「教えを乞いて、発案した一人のニコラ族の少年が付きっきりで彼と共に技を完成させたと」

「おい、まさか…その技…先祖が代々教えちまったってことは」

「いや、多分それはない…日記には、ニコラ族の事はすべて抹消し、マフィアと関わらないように静かに暮らしてくれるよう願うと書いてあった。」

「じゃあ、あいつも、そのほかの奴らも知らねえのか…」

「ああ。しかし…初代の日記が見つかり私が読み…後から抹消したが誰かが聞いていたらしくてね…言いふらした結果が一家を抹殺…一人娘を喉から手が出るくらい欲しがった結果だ」

 

 悲しい結末だよ。そう九代目は言う。だからいち早く彼女を保護したのだと。しかし…ザンザスは九代目の胸倉を引っ掴むと、その赤い瞳で睨んだ。

 

「てめーだって同じだろうがクソ爺…保護とか言いながら、あいつを俺の許嫁にしようとしてやがる。ボンゴレをぶっ壊さねぇように飼い殺す気だろうが!!」

「……ある意味、そうでもあるが…しかたがないんだザンザス。この方法しか彼女を守れ「ざけんな!!」…ザンザス…」

「あいつは物じゃねー! あいつの意志無視して勝手に事を決めてんじゃねーよクソが!」

 

 バッと九代目から離れて、ザンザスは後ろを向く。

 

「結局はてめーがあいつの力を怖がってんじゃねーのか」

 

 その彼の最後の言葉を聞いて、九代目は苦笑した。

 

「その通りだよザンザス」

 

 私は怖いよ。彼女がもたらす変化が…。

 

「でも同時に可愛い娘だとも思っている」

 

 やれやれ。と彼は溜息を零した。

 

「歳かもしれんなぁ…」

 



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第三話 最強の家庭教師がきちゃったよ☆

今回は初っ端からぶっ飛んでます♪あのカテキョーが来たり
リリーの能力が出たり、スクアーロが翻弄されたりします♪
彼女のカテキョーはきっと大変なんだろなー(遠い目)
まぁなにはともあれ最大級のフラグを回収しちゃったね☆どうしてこうなった?


それは私が14歳になった時っした。

 

「チャオッス! 俺の名はリボーン。今日からお前の家庭教師だぞ。よろしくな」

「」←白目

 

 全略。

 最強の家庭教師、アルコバレーノのリボ様が私の家庭教師としてやってきてしまいました。まる。

 

 なんで?! どして?! ホワイ?!? ワタシ ナニカ シマシタカ?! フラグ立てましたか?!?!

 立ててないよね!? なのに何ですべての法則と掟が効かないこの最強の赤ん坊が私のトコへ家庭教師しにくるのですか?! イレギュラーすぎる! 頭追いつかない!!

 教えて神様!! コレ一体何の嫌がらせ?!?!

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

と内心混乱しつつポーカーフェイス()を決め込んでニッコリ笑いながらリボ様と視線を合わせるために屈みました。

 

「わぁ! 本物だぁあ!」

 

 ギュム!

 

「…」

 

 やっべマジもんのリボ様だよ! 我慢できなかったよ! だって前世ではお気に入りキャラの一つだったんだ! 結構グッズとか買ってたよ。

 え? 最初の困惑と物語の中心人物たちと関わらないようにするというあの決意はどこへいったって?

 んなもん今さっきぶっ飛んでいったわ。マッハ5だったわ。

 

「最初、赤ん坊が本当に喋るのかなとか、本当に歩いているのかなとか考えてたけど」

「本当だぞ」

「うんうん!」

 

 ルンルン気分でリボ様と握手する。

 

「私、リリー・ニコラ。これからよろしくお願いします」

 

 ペコリとお辞儀。

 

「噂通りの完璧な礼儀作法だな。そして絶世の美「社交辞令はいいから!」…」

 

 うーあーウキウキが納まんない!! どうしようマジなリボ様可愛いんですが!! あ、そう言えば気安く触っちゃダメなんだよね…抱っこもだめか…いや、でも抱っこくらい時々許して欲しいナ…(´・ω・`)

 

「今日はなんの授業をするんですかせんせ」

「ウゼェ」

 

 

 後ろから聞こえてきた、聞きなれ過ぎた、不機嫌なトーン。

 振り向くとそこにはやっぱりいつもの睨みがますます凄くなってきてる暴君が。君、年々その顔怖くなってるよ。あの可愛い暴君が日に日にひねくれ者になってきてるよ。おねいさんは心配だぞー(棒読み)

 

「なに暴君。なんのよう?」

「てめー。アルコバレーノと俺との扱いの温度差はなんだ」

「え? 好感度の違い??」

「ドカスが…っ」

 

 言いながら肩を掴んで足を引っかけて転ばせようとしてきた。

 

「あらよっとー」

 

 見え見えですぜ暴君~。四年間で君の動きは見切ったのさ…っ!

 すぐさま私は立て直してクルリと彼の背後を取り、腕をそのまま背中へ締め上げ転ばせて、そのまま床の上に転がった彼の上に、ドッカリと座った。

 

「くっ…てめぇ…また腕上げやがったな…」

「お褒めにあずかり光栄でもなんでもないけど一応あんがと~。」

「…ちっ…どうでもよく返事しやがって……」

「実際どうでもいいしー」

「カス女が…っ」

「『カスでけっこーニワトリこけこっこー♪』」←無駄に綺麗なイントネーションの日本語

「てめー…俺が砕けた日本語苦手っつーのを逆手にとりやがって…」

「なになにー? 暴君ともあろう者がこーんな幼稚な悪口もわからないんでちゅかー?」

「いつかぜってーカッ消す!!」

「はいはい。楽しみにしてるよー」

 

 そして悔しがる暴君を解放してあげると、傍で見ていたリボ様が関心したようにニヤリと笑った。

 

「やるじゃねーか」

「えへへー♪」

「…ちっ!」

 

 約一名、物凄い睨みをきかせてます。なになにその視線は? もしかして態度が違うから嫉妬ってやつ?? ←

 おいおいー。たしかにリボ様をペタペタ触ってるけどもそんなんで嫉妬しなくたって。子供の特権ってやつでリボ様触ってくりゃいいのに…もったいない。

 

「こーらザンザス! お前はもー。赤ん坊に、なに凄みある睨みきかせてんの? それ続けてたら老けるよすぐに」

「なっ?! ほ、本当かそれ…?」

「さぁ?」

「…くっ」

 

あー……

 

楽しー♪

 

 最近、暴君を弄るのがクセになってます。何故か私と一緒の時はめちゃ素直なんだよな…なんだかキモイな…後々、因果応報が来る…とか?

 あ、もしかして…だからリボ様きちゃった系?

 

「違うぞ。俺が呼ばれたのはお前を徹底的に鍛え上げるためだぞ」

「へ?」

 

 まさかと思った。やべっ。すっかり忘れて舞い上がっちゃったけどたしかリボ様って心読めt…

 

「なんだ。わかってんじゃねーか」

「うきゃぁぁああ!」

 

 

 思わず両手で顔を覆っちゃった私を誰が責められようか! 大好きなリボ様に? 心を読まれたんだぜ? なにこの喜び。今私シアワセで死んでも後悔しないくらい幸せ。

 

「おめぇ、おもしれーな」

「そ、そうですか? えへへ…お褒めにあずかり光栄です!」

「…」←全然面白くないという顔のザンザス

「それに、どうやら結構つえーらしいな」

「ええ? 全然ですよー。私なんて序の口です」

「そうか? ザンザス相手に簡単に床に叩きつけられる奴は、今までみたことがねーぞ」

「いやだなー先生たら! アルコバレーノたち相手じゃ誰も歯が立ちませんって!」

「…そうか」

「そうですよ!」

 

 そんなことを言いながらリボ様を抱っこして、彼が指摘した中庭までやってきました。

 

「んじゃまずは」

 

 彼を地面におろして、ワクワクしながら待っていると…

 

「戦闘力をたしかめてーから、今からくる相手を伸せ」

「え?」

 

 戦闘力をたしかめる…? 疑問に思っていると…どこかから私へと殺気が…ゾクって悪寒がして、思わずその場から後ろへ数センチ離れる。すると私のいた場所にナイフが突き刺さった。

 

「…」

 

 あー…なるほどねー…

 思わず遠い目をした私を誰が責められようか。

 あれだよ…リボ様は私が隠してきた“隠れ虐めモブキャラ”略してKIM(キム)を引っ張りだして、私の中に未だに息づくトラウマを呼び起こし…

 私がソレを乗り越えられるか…暴走しないか…自分の目で確かめてから、教育方針を決めるつもりなのか…

 

 らしいなぁリボ様…きっと彼を雇ったのは狸爺(きゅうだいめ)だと思うけど…なんで私に世界最強の家庭教師さまをつけた?

 それだけがまだわかんないんだよねー…なにか裏があるのは丸わかりだけんどもさ。ふつう考えたらオカシイっしょ?

 あのリボ様をどうして私なんかにつけた??

 

「ぐへへへ…リリーちゅぁん…今日こそ僕の愛を受け入れてよ~」

 

 ぼよぼよした体系の、たらこ唇やろーが、気持ち悪く涎をたらしながらナイフを持ち、近寄ってくる。

 あー…さっきまでの楽しい気持ちが台無しだよー。私今、絶対零度の眼差しで相手を見てるよ。

 

「あ~ん♡その冷たい眼差し…たまんないよぉ! (*´Д`)ハァハァ」

 

 マゾ変態か。

 

「リボ様」

 

 私はスッと手を挙げてリボ様を見つめた

 

「気分が悪くなってきたので吐いてもいいですか」

「我慢しろ」

 

 ですよねーそう言いますよねリボ様は。

 

「じゃあ殺る許可を」

「却下だぞ」

「えー…」

「お前はもう気づいてるだろうが、そいつを倒すことが目的だ。おめぇの中のトラウマを克服するためにな」

 

 ギクリ。

 

 ああ。わかってはいたんだ。リボ様が生徒となる相手の情報を調べないわけがない。知ってた。わかってたハズだろう?

 でも…いざ…自分へ殺気を…嫌な目線放つ相手を目の前にするとどーも気持ち悪くなって身体が硬直するんだよねー…

 

「荒治療っつーわけだぞ」

「荒治療ねー…」

 

 そんなんじゃないだろリボーンさんよ。治療は“まぁそうなったらプラスだよね♪”みたいなノリだろ?

 あんたらは私の中の“なにか”が見たいだけなんだろ? 傍にザンザスと九代目の姿を確認したんだぞ。リボ様にただ夢中だったわけじゃない。ちゃんと周囲を注意深く見てたんだ。

 

 見せもんじゃねーんだぞ。

 

 なんで

 

 いつも

 

 いつも

 

 私の周りは──…

 

「ハァ…」

 

 あーあ。残念だなぁ……ザンザスや九代目、リボ様は…“私自身”に興味を持ってくれているのかと思ってたけど…

 実際は違ったんだな…

 

 私の居場所はハナからなかったわけか…

 

 まぁ、べっつに今更悲しいとか寂しいとかねーからいーさ。力に興味を持ってるんならそれも別にいい。もうどうでもいい。面倒くさいから考えを放置しまーす。

 

「リリーちゅぁあん♡」

「ウザ…っキモッ!」

 

 バッと飛びかかってきたボヨボヨのこいつを見た。

 そして…不思議な事に彼の動き…というか周りの動きがスローモーションみたくなった。

 

 心が冷え切った感覚がする。どんどん冷えていく……。

 

 ああ、またなっちゃったかー。私の中のスイッチが入ると…時々こんな感じになるときがある。

 

 心が…身体が冷え切った感覚はあまり好きじゃない。

 まるで触るものすべて氷漬けてしまうような…そんな感じがする。直感的にどこに攻撃を入れれば相手が動かなくなるかがわかる。その部分が光って見える感じだ。

 

 私は、今まで面倒くさくて相手にしなかったボヨボヨを見た。

 

(なんの感情もわかねーな)

 

 ビバ無関心。薄情? んなもん知るか。

 

(まぁ、今まで虐めてきた報いだとでも思ってくれや)

 

 その光る部分へ指二つ構えて、身を屈めてバッと飛び出し…相手の攻撃をよけつつ二、三発攻撃を与えた。

 

 後から聞こえたピキッというわずかな音に我に返って振り返る。地面には気絶しているあの図体がでかいやつがいた。気のせい…かな?

 

「フン…口ほどにもない」

 

 そう言いながらリボ様へと歩く。

 

「もういい?」

「…ああ。疲れたか?」

「別に」

「…」

 

 そうしたら、リボ様は私の頭の上へジャンプして…

 

「目を覚ましやがれ!」

「へぶぅう?!」

 

 踵落しをお見舞いされました!!

 

「いったーぁ…」

「リリー、俺が誰だかわかるか」

 

 リボ様が真剣につぶらな黒い瞳でそう言ってくる。むむ? なんでそんなに苦な顔してんだろ?

 

「え? リボ先生…じゃないの?」

「じゃああっちで腰を抜かしちまってるダメ爺は?」

「九代目?」

「その隣で目を見開いて驚いてるやつは?」

「クソ生意気な暴君(低い声)」

「てめぇ…俺だけケナしてんじゃねぇぞカス女」

 

 んまー。レディ(笑)に向かってしっつれいだことー(棒読み)

 

「お前を褒める要素も必要性も皆無!」

「カッ消す!」

 

「やれるもんならやってみろー♪」

 

 そして勃発したザンザスとの戦闘を見ながら、リボ様と九代目が深刻な怖い顔をしていたなんて…その時の私は知る由もなかった。

 

「…こいつの服の一部が…凍ってやがる…」

「しかもこの凍り方は……」

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

はっきり言おう。

 

 

 今度の生徒は骨が折れるかもしれねぇ。そう思った。

 こいつと接触する前に色々調べた。あらかじめ九代目からは重大な情報をもらってたからな。あとはリリーの周りを徹底的に調べた。

 

 結果、あいつは興味のねぇ奴らには笑顔の完璧な仮面をはっつけるのが判明した。無関心通り越してるからできる芸当だな。

 一家丸々消されたショックからかはわかんねーが、こいつ…誰も信用してねー。だから広くもなく浅くもない人付き合いをこなしてやがる。

 

 頭脳明晰に加えてとんでもねー美貌を持ち合わせてやがるし。本人はイタリアだから皆そう言うだけだとまったく信じちゃいねーが…

 

 おもしれーのは、ザンザスだけには…自分の素を見せる事だ。しかもケンカ強い。それなのに苛めを甘んじて受けるのは…目立ちたくねーからか? それともただ単に面倒だからか…。

 

 とにかく、自分の目で確かめなくちゃ始まらねぇ。だからこいつを虐めていた相手をワザと選んで招き入れて手合わせさせた。

 苦戦はするだろうが、こいつの中の何かが目覚めて、面白いモンがみれるかもしれねーと、内心ワクワクしながら見てたんだが…

 

 リリー・ニコラは、俺の予想をはるかに超えた子供だった。

 

 相手を見て、数秒のあとあいつは気が付いた。すげぇ早い思考にやっと追いついてあいつの考えを読んでみたが…ありゃ天才の域をはるかに超えてやがる。

 俺たちの意図した作戦を見抜き、それを悲観し、すぐ興味をなくし、目が死んで『どーでもいいや』という考えが頭をいっぱいにしたその直後。

 

あいつの心、感情が凍った感覚がした。

 

 そしてはじまったあいつの超次元思考が早すぎて俺の読心術を弾き飛ばした瞬間、あいつは目にもの止まらないスピードで、恐らくあいつの生まれ持った力で…瞬時に相手を地面へノックダウンさせやがった。

 しかも倒れる寸前、何かが凍ったような音。

 リリーを見てみると、これがさっきの笑顔だった子供の顔か? と、正直肝が冷えた感覚がした。

 

 そいつは…とても冷めた瞳をしていて。心まで凍ったかのような、感情のない瞳と顔をしていたんだぞ。

 話しかけても先ほどのように感情を出すことはしなかった。ああ、面倒だな。そう思って少し俺のポリシーに反するが…頭をしたたかに蹴り飛ばしてやったら、正気に戻った。

 

俺の生徒になった奴は、たとえ女だろうと容赦しねぇゾ☆

 

 

「リボーン…この氷はやはり…」

「ああ。間違いねぇ」

 

 倒れたカスほどのモブの服からなんとか捥ぎ取った氷の欠片たちを見つめる。

 

「これは初代の…プリーモの死ぬ気の炎を凍らせる氷だぞ」

「やはりリリーは…」

「ニコラ族の血を色濃く受け継いでやがる。しかも天才肌だ」

「リボーン…私が君に彼女を頼んだ意図…彼女だったらいつ気が付くと思う?」

「あいつが望めば…一瞬だな」

「望めば…?」

「ああ…」

 

 あいつの思考の中、わかった事がある。

 リリーはどこか生きることに興味をなくした大人顔負けの子供で、それでも誰かの役に立つかもしれないと生きる意味を今でも探している、哀れなガキだぞ。

 

 全てに飢えているのに、自分に与えられるハズがないと諦めて誰にも何も求めない。誰もを魅了する癖にそれに気が付いてねぇ。色々と残念なガキ。

 しかも自分ではわかっちゃいねぇが、リリーには力がある。すべての秩序を崩壊させかねねぇような、でっけー恐ろしい力がな…。

 

 その力はある一定の状況に陥った時に発動するものみてぇだ。

 ただ単に今はリリーが自分の力を自覚してねーだけだからとは思うがな…

 

「あいつの心が冷えた瞬間、力が表に出てこようとする…でもそれはあいつが望んで出てきた結果じゃねぇ。ありゃ一種の暴走だ…」

「暴走…」

「静かな暴走…サイレント・ラーゼン(SR)一瞬俺も騙されちまったが…すぐにわかったんだぞ」

「そうか…」

「だから、もしあいつが自分の力を自覚してコントロールできるようになったら…もしかしたら最強になるかもな。極めつけに、あいつの脳は一瞬で色々考えることができる。可能性は無限大だ」

「そう…か」

 

 どんよりした空気を背負った九代目を、俺は睨みつけた。

 

「あいつを飼い殺そうとすんのはよせ九代目。手に余る。あいつは自由だからこそ輝くんだぞ」

「…心では理解できているんだ…だが…頭が拒絶するんだよ…」

「…そうか。」

 

 スタスタと、俺はリリーの元に歩いていく。ただでさえ珍しく危険な能力だ。誰に狙われるかわかんねぇ。俺が隣にいてやらなきゃな。

 

「あんまし無茶すんじゃねーぞ。もう若くねぇーんだ」

「ははは…そうだね…頭に入れておくよ」

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

さて、時は過ぎて…私とザンザスが16歳になったころ…ザンザスは奇妙な連中を従え始めました。

 

「おい」

「はい?」

 

 リボ様の授業へと行く途中、声をかけられて振り向けばそこには

 

「お前、いつもザンザスと一緒に居やがるが…あいつの女か?」

「ちょっと目の前から跡形もなく消えてくれる? サメ♡」

 

「ヴぉおおおい! かわいーく脅すな! 首絞めるなぁああ!!」

 

 目の前にはスクアーロがいたのであります。しかもあのロン毛ではなくキッチリショートッす。スク、ハッキリ言ってあんた、ショートのほうがよくね? つーか、初対面でいきなりザンザスの女か? なんて聞かれたの初めてだよ。

 

「しっつれーな人だ。よくも私を一瞬にして屈辱のどん底に落としてくれたね? 覚悟はいいかい?」

「は? ちょっ…ちょっと待て…! お前、噂されてる人物像とあまりにもちが…」

「いっぺん死んでこい」←リボーン風味

「ぎゃぁぁあああああ!!」

 

 これがスクとの出会いでした…。この後、彼はザンザスの強さ(笑)に惚れこむのですが、何故か私を見るたびに

 

「レジーナ・テラ…」

「ああ゛ん?」

 

 恐怖の女王なんて呼ぶんですのよ奥さん?

 

「誰が恐怖の女王だってサメ?」

 

 彼の胸倉引っ掴んでグラグラ揺らす。

 

「二国語に分けて言ったのになんでわかっちまうんだぁあ!」

「私は結構アタマ良いぞ?」

 

 英才教育ナメんな。

 

「サメも遠まわしすぎる悪口言うねー。イタリアと英語を使うなんてさ」

「…結局お前を出し抜けずじまいだぁ…お前弱点ないんじゃねぇかぁ?」

「…」

「リリー?」

 

 急に黙ってしまった私の顔を覗き込むスク。なにその顔? 心配してんの? 私を? ハッ。若造が。お前の目の前にいるのが誰なのかわかってないらしいな。

 

「おい、リリー!」

「あるよ」

「あ?」

「弱点くらい…いくらでもあるよ…」

 

 風が吹く。長いうっとおしい髪が揺れる…揺れるたびに、こっちの世界でお世話になった両親や、弟や、妹……お手伝いさんたちの事を思い出す。

 だから中々、切れない。いつも褒めて、そして…髪を優しく梳くってくれてたから…家族の思い出が…大切だった人たちの思い出があるから…

 

 だから、中々…切れない。

 うっとおしいハズなのに……髪をのばしてたって、嫌な事しかないのに…

 

「私なんて…弱点ばっかの中で…足掻いてるんだよ…ただ…見せないだけで…」

「リリー?」

「あ…っ」

 

 しまった。ついスクに私のどうでもいいつまんない情報を渡してしまった!

 

「気にしないでスクアーロ。どうでもいい私の情報なんか忘れて」

「どうでも、いい?」

 

 ん? スクが怒った顔してますよ? ゆらりと立ち上がりましたよ?? ガって私の肩を思いっきり壁に叩きつけてきましたよ? そのまま大きく息を吸って…

 

「んなワケあるかぁぁあああ!!」

 

 キーン…って耳鳴りがしたよ…ワ―、耳鳴りって本当にキーンってナルンデスネー

 あまりの急展開に追いつけないでポカンって顔を、たぶん私いましてる。

 

「お前の情報はプラスでもマイナスでも重要だぁあ! 少なくとも俺にとってはな! いつかお前を出し抜いて、この剣でお前と戦って勝ってやるんだぁ! それなのに、はじめからお前がお前自身に負けた気でいるのが気に食わねぇえ!」

「は? え、あ、はぁ…」

「それになぁあ! 人間誰だって弱みを見せなきゃ前に進めない時くらいあるだろぉがぁあ!」

「!」

 

 私は…今まで

 

 今までずっと、それでいいと思っていた。

 

 しょうがないと、諦めていた。

 

 それが、自分の道だから。自分の用意された未来だと…素直に受け入れていた。だって、そうしないとあまりにも…あまりにも

 

 苦しかったから。

 

「わ、たし…」

 

 ああ、スク…なんであんたなんかに…

 

「泣いてもいいんだぞぉ…」

「なんで…あんたなんかに泣き顔とか、弱いとこ見せなきゃいけないのよ」

「…」

「ふふふ。なぁにその顔? 泣くとでも思った? ざーんねーんでした♪」

 

 そりゃあ、もし私が16歳だったら…泣いてただろうさ。そして優しい()男の腕の中で温もりを感じて、これは本当のやさしさだーとか、騙されてたさ。そして絆されてもれなく惚れてただろうさ…

 でもね、スク…残念なことに私は一度…その年を超えてしまっているんだ。

 

 だから簡単な事じゃあ騙されないかんね( -`д-´)キリッ

 

「お前、食えない女だぁあ」

「今更気がついたのー? ぷぷぷー」

「くっ…仕草がムカつくぞぉぉおおお!!」

 

 そうして始まる私とスクの剣技による決闘。まぁ、私が勝つんですけどね。

 

「なんで女のお前に勝てないんだぁあ?!」

「男女差別はいかんよスクー? 世の中には私より強い奴なんて腐るほどいるから」

「それもそうだなぁ…いつまでも留まってちゃあ、強くなれねーなぁ」

 

 その日から、彼が各地を回って剣豪にケンカを売る事になるとは…さすがの私も思いませんでした。

 

 解せぬ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「泣くかと…思った……」

 

 スクアーロはまだドキドキとなる胸を押さえていた。

 

「あんな顔…するくせに…泣かねぇ…いや、泣けねぇのか…不便な奴だなぁ」

 

 初めて会った時から、奇妙な女だとは思っていた。

 噂や、実際会った奴らや話しかけたやつらは、彼女を姫だ、癒しだ、笑顔の女神だなんだとずいぶん褒めたたえていた。

 そして、良い部分でも悪い部分でも、あいつの評判はここ一帯を占領していた。

 褒めたたえる奴がいる一方で、貶す奴、妬むやつもそれなりにいた。

 

「なによ。美人だからってきっと中身はブスよ」

「ザンザスさまの許嫁だからって、きっと毎日贅沢な日々を送っているのよ」

「調子のってんじゃねー? マジムカつく。」

「一度痛い目見ればいいのよ」

「あの髪、短く切ってやったら泣くかしら」

「笑顔しかみたことねーから無性に泣かしてみたくなるよなー」

「あいつの歪んだ顔、想像するだけでゾクゾクするぜっ!」

 

 そんな事を、一人クラスに残って他の国の言葉を勉強していたスクアーロは聞いていた。聞きたくて聞いたわけじゃない。嫌でも耳に入ってしまうのだ。

 

 一緒のクラスメイトたちに散々言われたあげく、傷つくのかと思った。リリーの気配…悪口を言い始める前からドアに寄りかかっているとスクアーロは気が付いていたが何もしなかった。

 だが、次の瞬間…彼は驚いた。

 彼女が悪口を散々言われた後に、とても綺麗な笑顔でクラスに入り、何をするでもなく悪口を言っていた当の本人たちへあいさつをしにいったからだ。しかも手作りのクッキーと紅茶をわけて食べ始めた…

 

(バカなのかこの女?)

 

 スクアーロはそう思いつつ、そっと彼女の行動を見守っていた。

 

(この学校はマフィアのガキ共が通う学校だ…裏表の顔を上手く使わなきゃ生き残れねぇこともあるが…こいつのは)

 

 こいつの顔は…少し違った。ウソや偽りでもなく、ましてや真実でもない。

 

(呆れ…?)

 

 そう。彼女は呆れていたのだ。そのうえで、相手へ飛び切りの笑顔で接してきた。そして丁寧に親切に、相手を喜ばそうとする…

 当の本人たちが気まずくならないワケがない。モヤモヤが心の中で生まれて消化しきれず溜まっていく。そしてジワジワと精神を蝕んでいく傾向がある。

 

(くくく。なぁるほどなぁ…結構やるじゃねぇかぁ…)

 

 頭ん中が幼稚なやつらに、ある意味一番効果的な“嫌がらせ”をしたわけか

 

(それにしても奇妙な女だ…興味深いが…この年でそんな策略を…)

 

 スクアーロはそんな事に気が付く自分を棚に上げている。

 

 そんなこんなで、彼はある日…彼女が一人になったところを狙って単刀直入に聞いた。本当の彼女を見るためには、回りくどいやりかたではダメだと気づいたから。

 案の定、彼女は真の姿を披露してくれた。そしてじつは彼女が相当強いという事もその時痛いほどわかった。

 コテンパンにされたしな。女なのになんつースピードと剣さばき。

 だから…強いやつだと認めた。それなのに…さきほどの泣いているような顔で笑う彼女の表情はスクアーロの心臓をキュウぅぅ…とさせた。

 

 切なくなったのだ。彼自身も自分が感じてしまったソレに対して一瞬憎悪したが…

 

「それに…前々から不思議に思ってたんだぁ」

 

スクアーロは顔を深刻なものに変えた。

 

「あの時初めて会ったハズなのに…なんで俺のあだ名…“サメ”ってわかったんだぁ?」



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第四話 ボンゴレ式の七夕に巻き込まれました(白目)

リリー目線で面白おかしく語られるが、後半の空気に呑まれましたね!
あの!リリーが!!呑まれてどうしようもなく流されるしかなかった!!
そして言っておきます!けっしてこんな展開にする気はこれっぽっちもなかった!!
でもキャラが生き生き動いてるのでまぁいっか!!←おいw


ターゲットは…目の前にはいない…だとしたら…

 

「そこだぁああ!」

「うぎゃぁぁああ!!」

 

 

 息をひそめていたディーノくんの背後に回って抱き着きましたー。驚いたのはわかるけど何も涙目になることはないでしょー? もう可愛いなー♪

 

「ディーノくんめーっけ♡」

「あちゃー…見つかっちまった…」

 

 てへへ。て笑ってるよこの大空兄貴。てへへて。可愛いなおい。

 

 前略。

 

 ボンゴレ内で招待された客たちと七夕をやることになりました。

 もち、リボ様の有り難いお告げによりボンゴレ方式に化けてやってきてしまったのでした。

 案の定、フラグがたってしまってディーノくんもここにいるというわけっす。あ、彼と出会った経緯は虐められてた同志でした。

 

私が軽い暴力に耐えてると、助けてくれようとして思いっきりコケて逆に一緒にいじめにあったという…後から知ったけど、彼も同じように虐められてたらしい…で、私が暴力にあっているのを見て身体が勝手に動いたそう…

 

 うん。なんかゴメンよディーノくん。実は受け身であんまし怪我しないようにしてたんだよ。それなのに何も知らん君が首つっこんでくれちゃったおかげで、君だけが大怪我しちゃったね。

 自業自得だけど、ちょいと罪悪感。だって彼、とても晴れやかな笑顔で包んでくれる、他人思いの優しい子って知ってるし。

 

でも何も言わないけどね←

 

 まぁ、そんなこんなで彼に謝って、お礼を言って城に帰ったわけなんだけども。道中またイビラレて髪を引っ張られるわ、服は少し破かれるわ…素肌のところはナイフやらタバコの火で火傷させられるわ…あーもう幼稚だなー…

 

 それ以上時間を費やすと、九代目が護衛やらなんやら煩くなるので軽く彼らの間を掻い潜って逃げましたね。

 まぁ、時間ギリで急いだので、いつもの治療(化粧品使ってごまかす)ができずに帰ったら見事に九代目にみつかり。怒涛の如く叱られました。

 

 くっ…今までの誤魔化しやっぱ全部バレてたか…さすが超直感んんん…(# ゚Д゚)

 

 もっとも、なぜかその後スクとか暴君がそんな叱られ中の私を見て、アザだらけの傷だらけのボロボロな私を見て笑うかもとか思ってたら

 

「ちょっとそこまでカスを剣の錆にしてくるぞぉおお!」

「ちょっとそこまでクズをカッ消してくる」

「待って待って!? 『ちょっとコンビニいってくる』みたいなノリで二人物騒な事しようとしないで?!」

「「何故とめる?」」

「スク、とりあえずその剣しまおうか。そして暴君はその憤怒の炎を消しなさい!」

「ヴぉおおおい! てめぇが動きたくねぇんなら俺が殺ってきてやる!」

 

 とスクは殺気立ち、剣を構えて邪魔するなと言い、暴君はコォォオオオと右手に憤怒の炎をさらに出しました。

 

「ハン! 俺様がてめぇなんぞのいう事聞くとでも」

「私に勝てない君らが言う?」←コキコキ

「「……ちっ!」」

 

 

 報復しようとするので必死に止めたけども。なーんで関係ないあんたらが首つっこもうとすんのよ。

 というより、あんたらが動くと面倒なことが起きるからやめて。おもに行方不明者がでるからやめて。

 

 ハァ…まったくもう。しょうのない少年たちめ………

 

 そして、虐めはエスカレートしていくのですが…まぁ、気にしないから。見た目と違ってあんまし痛くないように受け身とってるしさ。

 

「なんで…てめぇはそんな平気な面して、弱ぇやつらなんかにいいようにされるんだ」

「おう? 珍しく暴君がわかりやすく聞いてきた!」

 

 そうやって少しカラカラ笑ったら、胸倉つかまれた。うえ? もしかして…本気で怒って…る?

 

「だから、あんまし痛くないように受け身とってっからだいじょう…「俺は…っ!」…暴君?」

「良いようにイビラレてるお前自身にも…あのクソの役にもたたねぇクズどもにも腹がたってるんだ!! 強ぇお前を…陰でうすら笑いやがって…なんも知らねぇクセに…」

「…」

 

 悔しそうな顔の…暴君を見てやっとわかった。ああ、そうか……

 

「お前は…私のために怒ってくれたんだな」

「だから、さっきからそう言って…………?!」

 

 暴君が、私を見て硬直しました。うん…ガラにもなく私は笑ってるんだろう。愛想笑いとかじゃなくって…本物の…

 

「あんがとね…」

 

 言いながら彼の頭を撫でる。昔、幾度か撫でた時と同じように。

 

「ザンザスのおかげで元気出たよ」

「……っ」

 

 あり? 顔が少し赤いような…? 熱? 風邪かな…? 

 

「だから、てめぇ…反則だっつーんだよっ」

「あいだっ?! なんだよーもう。こっちの肩はまだケガしてるっつーのに肩パンすんなや!」

「…お前なら平気だろ」

「ああん? それは私を人(女)とみなしてないと取っていいんですかい暴君よ?(#^ω^)」

「…」

「顔をそっとそらすなよ!」

 

図星なのかよっ!

 

 そうして、お詫びにと尋ねたディーノくんを巻き込んで、リボ様がボンゴレ式の七夕を開催したというわけです。

 

 え? ザンザスはどこだって?

 

 もち、鬼となった私がすでに捕まえて鬼にしましたが?

 え? 話が見えないって? だーかーらーぁ、ボンゴレ式だって言ったじゃないですか。

 

 これはボンゴレ式。

 誰が鬼から最後まで逃げきれるか。優勝したらボンゴレから直々にお願い事をかなえてくれるのだとか。普通の鬼ごっことはまた違い、お願いをかなえる短冊は三枚だけ。それの奪い合いとも言えますでしょうよ。

 

 まぁ、最初は私も暴君もスクも、参加するなんて毛ほども思っちゃいませんでしたよ。

 なんせ暴君は“欲しいもんはすべて己の手で手に入れる”で、スクは“自分で叶えるから面白い”を掲げる奴らですもの。

 

 え、私? 聞いて何になるんスか。いらない情報ッスよ。まぁ、興味がない、オア面倒。その一言に限りますけどね。

 

 ですが…それはじゃんけんに負けて私が鬼役となった瞬間に崩れ去りました。

 

「優勝した奴らにはリリーがほっぺチュ―してくれるおまけ付きだぞ☆」

「「「なんだって?!」」」

 

「リボ先生?! 私したくないんすけど?!」

「鬼役は一つ特権つきですべての人間を捕まえたら、すべてのオマケを帳消しにできるが、一人だけ選んでパーティ会場のど真ん中で着飾って踊らなくちゃいけねぇ。」

 

 ニヤリと笑ったリボ様に、私はゾクゾクゾクッとした。

 さっすが先生!! 嫌だ惚れ直しちゃう!! その顔と行動力と相手を落とす姑息な技にしびれるね!!!

 

 踊るだけならチューより断然マシだわ!!

 

「よっしゃ。てめーらかかってこい」

「リリーに火が付いたな。よし、じゃあはじめるぞ」

 

 そしてよーいどんで、真っ先に捕まえに行ったのが

 

「待て暴君んんんん!!」

「なんで俺がまっさきにてめぇに狙われる?!」

「あんたが一番面倒だからに決まってるでしょおおおおお!!」

「クッソ! こういう時だけ全力かよドカスがっ! まじでいつかカッ消してやる!!」

「楽し、みにしてるよっ!」

 

 まぁ、ものの数分で捕まえて、今は捕まえる側になったんですがね。彼。リボ様と何か話して暴れ始めたから焦って止めようとしたら、まさかのリボ様の了承ありってね! どうやってそれ捥ぎ取ったよ暴君よ?

 

「俺が捕まったんだ。てめぇら簡単に短冊で願いを手にできると思うなよ…っ!!」

 

 と、妙に本気だったのが謎だったけど。逃げ回ってた人々が「リリー様にかなえてもらうハズだったのにぃぃ」とか言ってるけど…え? 私じゃないよ? ボンゴレだよ?

 

で、スクがどうなったかっていうと…

 

「俺は捕まえる側が性にあってる!」

 

 とか何とか言っていきなり人を切り刻む勢いで捕まえに行くもんだから、もうなにがなんだかわけがわからなくなった。おいおい…進んで鬼役になるとか何考えてんのよ。

 

 こんなのリボ様が見逃すわけがないってそう思いながら何故か私の肩にいるリボ様見たら、ニヤリと笑いながら(・ω・)bグッ! って嫌に満足げだったよ。

 

リボ様が満足なんだったら、もうどうでもいいや☆彡

 

 

「…マジであんたら何やってんの」

 

 人を捕まえるために、そこかしこを破壊しまくった二人の首根っこをひっ捕まえて正座させようとか思ったけどそれは彼らの男のプライド(笑)がへし折られると思ったんで、二人を地面にしたたかに殴り倒しました

 

 え、そっちのほうが酷い? そんなの知らないね♪

 

 全員捕まえてしまい、仁王立ちで二人の前に現れれば案の定、二人はいつものすました顔で、拗ねたように視線を逸らした。

 

「いい運動にはなったなぁ」

 

 スク? いつから君は健康第一の青少年になったのかい? 言い訳にもほどがあるだろ?

 

「まったくもぉ…せっかくのパーティ台無しじゃん」

 

 周りはもうそりゃ酷いありさまよ?

 

「てめぇはこういう派手な式は苦手だろうが」

「暴君…きみ、私が日本の文化とかをこよなく愛しているって知ってて言ってるんだったら跡形もなく消してあげるよ?」

「なぁぁあにぃぃいい?! リリーてめぇ! 日本の文化が好きなのかぁああ!」

 

 何故かそこにスクが食いついてきた。サメのごとく(笑)

 

「おーおー好きさ。好きで何が悪い?」

 

 そして今はこいつらの破壊のおかげの綺麗な夜空を見わたして

 

「こんな夜は…七夕の夜の…彦星とかの話ってすっごく切ないじゃん? 悲しいともいうかな。でもさ、そう言う話って…ただ願いをかなえるためとか、そのためにある気がしないんだよね。」

「どういうことだぁああ?」

 

 夜空に響き渡る、スクの声はなんでか気に障らなかった。

 

「忘れてる何かを…思い出させてくれそうな気がしないかい?」

「忘れてる…なにかだとぉおお?」

「そう…たとえばそれは、とても小さなこと。でも、ないととても困るもの」

 

 スゥ…と息を吸い込む。ここいらの夜の空気は澄んでいて心地いい…私が住んでいたあの場所とは違うけど…

 

「夜空の星とか、風とか…」

「まぁ、たしかにあの話は星を思い出させるがよぉおお」

「忘れちゃいけないよ」

「リリー?」

「夜空は…星は…小さくてもちっぽけでも…光り輝いて…私たちへシグナルを送ってるんだ」

 

 ここに、いるよ。

 

 気づいて。

 

 私は…ここにいるよ……

 

「そんな、シグナルが何光年もたって地球に送られてきたっていうんだから、凄いよねぇ…」

 

 淡く光る月も、好き。太陽のように自分の力で輝けたらいいけれど、そうできない人たちは…どうする?

 

「月のように、太陽の光からおすそ分けして…そして、他を淡く照らすんだ…優しく、そっとそっと…誰も傷つかないように…ひっそり一人──…」

「だから、なんだ」

 

 その、静寂を切り裂くようなザンザスの声があまりに冷たく聞こえて。振り向く勇気が出なかった。

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

「そんなもん、星と手を合わしゃ少しはましになったんじゃねぇのか」

「…え?」

 

 驚いて振り返ると…いつの間にかとても近くにいた。

 真っ赤な深紅のような瞳は…ギラギラではなく、暖かな光を帯びているようで。先ほどの私が話していた話の真意を…その中に隠した私の真意を…読み取ったかのような気配がしてドキリと胸が高鳴った。

 

 おいおい。そんなわけないでしょーもー。暴れて破壊するだけの暴君が…私なんかの隠れた気持ちに…星と月に隠した過去を…読み取れるわけが──…

 

「きゃっ!」

 

 するとフワリとお姫様抱っこされて、中庭の広場みたいな広すぎる中央へ連れられて。ストンとおろされた。そしてスッと跪いて手の甲にキスをそっと落としてから、私を下から見上げた。

 

「今宵、邪魔するもんはいなくなった」

 

 周りを見れば人っ子一人いない。スクもいつの間にか姿を消していて…

 

「お付き合い願おうか…? 夜空の姫」

 

 月明かりの下、星々の輝く夜空のカーテンを眺めながら。私とザンザスだけがいる夜空の舞台。そこで彼は私を踊りに誘った。

 静寂な夜なのに、どこからかバイオリンの細々とした音。そのリズムに乗ってゆっくりと彼は私をリードした。

 

「…恥ずかしいんだけど……」

「誰もいねぇんだから、いいだろうが」

「そうだけど…」

「それにピッタシだろうが」

「なにが…?」

「お前の着てるワンピース。月夜にうっすら透けてまるで月から来た天使かなにかだな」

「…はぁ?」

 

 やばい。何今の。

 

「ザンザス、今のは……くさい。クサすぎるわよ…笑いたかったけど笑えないほどだった」

「…」

 

 拗ねるか? 怒るか? と思ってたら…ザンザスの奴…首を傾げた。

 

「思ったことを言ったまでだが」

「はぁ?!」

 

 素かよ?! じゃあ、今のは本音? 私が? 天使??

 

「冗談止めなよ…天使だなんて…そんな大そうなモンじゃないよ私は」

 

 そう。そんな良いモノじゃないんだ。

 

「だがまぁ、そんなお前でも…そのワンピースは着こなしてやがるな」

「……」

 

 ザンザスが私の服を褒めた? こいつ…何か企んでやがんのか?

 

「胸元フリルのノースリーブシフォンワンピースだろ。」

「…あれ。なんでそんな詳し「俺様が選んで送ったやつだ。似合わねぇわけがねぇ」…これ、あんたが送ったの?!」

 

 やっべぇ! 知らんかった!! あのクソ狸爺!!! だからか?! だからあんなにニヨニヨした奇妙なデレデレの笑顔だったんか?!

 

「爺にしてはいい仕事してくれた」

「くっそ…いつか跡形もなく消し飛ばしてやる」

「クッハハハハ! 楽しみに待ってる」

 

 どうせ丁度いいタイミングで流れてきたバイオリンの音も仕込まれてるんだろうよ。

 

「絶対どっかで見てるよあいつら…」

「だろうな…でもあんまし見えないようにしておいた」

「ん?」

 

 クイっと顎を引き寄せられて…顔が近くなった。逃げようにも手は彼の肩に置いてあるし、腰は彼のもう片方の手でグイッと引きつけられてるし。

 

「てめぇは俺んだ」

「…っ」

 

 先ほどとは打って変わった強い眼光を放つ深紅の瞳に、吸い込まれそうになる。

 

「俺の選んだ、ワンピースを着こなしやがったんだ…そこらへんの男どもに見せてやるのはもったいねぇ。だから…照明、カメラ、壁…全部壊した。」

 

 おでこコツンとされて。私は…まだ動けなくて。

 

「俺だけお前のその姿を見れればいい」

 

 なんていう独占欲の塊なのだろう。そう思うけど、一向に目は逸らせなかった。なんでだろう…この瞳から目が逸らせない。

 

「いいのか」

「え…」

「月の姫は…キスをされたら帰っちまうんだろ?」

「…はい?」

「願いを叶えてくれたら…お前も俺たちの前から消えちまうのか?」

 

 だからお前が話す“夜空と月と星”の話は…いつも悲しい気持ちであふれてるのか?

 そのザンザスの言葉を聞いて、心臓がバクン! と脈打った。

 ああ、なんということだろう…この少年は…私の隠してきた、しかし諦めきれずにそっと出していた私の“シグナル”に…

 

「気づいて…くれたの…?」

「当たり前だ」

 

 そう言いつつザンザスは私を両手で引っ掴んで、まるで幼い子供にするように、高い高いをするように高く上げた。そしてピタリと止めて、またジッと私の瞳の奥を見つめる。

 

「てめぇの瞳…ダイアだとなんだと言われちゃいるが…俺にとっては」

 

ただの“リリーの目”だ

 

その彼の言葉が…なんでか心に響いて。

 

 涙が…こぼれた。ああ、私を真っ直ぐ見てくるこの瞳は…真っ直ぐ“私自身”をみているのだと感じて……。

 

「フン…月明かりの下、泣く天使か…綺麗なもんだな」

 

 フワリとおろされて、彼は今度は流れるように私のほっぺへキスを落とし…チュク…と音がしてハッとして振り返った。あ、あんた今っ……!!

 

「しょっぺぇ」

「あ…あたりまえでしょ?!」

 

 なんてことしてんのよあんたは?!

 

 そのまま下を向きながらザンザスと一緒に部屋に戻ったのは言うまでもなかった。あ、別室だからね? 一緒の部屋じゃないからね?!

 

それにしてもなー…あんなことされるとは思ってなかったよ…

 

 触られた部分が熱を持ってる。熱い…

 

「ハァ…まったく…わんぱく小僧めが…」

 

 どうか、からかわないでほしい…遊ばないでほしい……

 

「だって、もう…捨てられるのはウンザリなんだよ……」

 

 だから、オネガイ…本気じゃないなら。

 私にかまわないで。一人にして…ほうっておいて…

 

「傷つくのは痛いんだ…」

 

 そして、私は怖いんだ

 私を取り巻く状況すべてが。だから私の心を暴かないで。

 

「優しくなんてしないで」

 

 ギュッと体育座りをして、腕をつかむ。

 

「心を許してしまったら…私はまたきっと傷つく」

 

 そして、捨てられる。“私”を知ったらきっと幻滅するから。

 

「人の心は…誰も知りえない…気持ちなんてもっての外だ」

 

 私は怖いんだ。だから興味も持たずに毎日を過ごしていたのに。

 

「お前に惚れたら…私はどうすりゃいい?」

 

 怖いよザンザス…

 

『好き』になるのが怖い………

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

「…」

「ヴぉおおいザンザス! お前結構いくじがねぇ奴だったんだなぁ!」

「うるせぇカス」

 

 自分でも惨めだと思った。

 チャンスだった。心を少しでも見せてるあいつは…本心を見せてる。だからそこに自分の気持ちをぶつけりゃ…あいつは嘘だなんだとからかわずに…向き合ってくれる。

 

 そんなめったにないチャンスだった。

 もちろん、俺がつくった。あいつが日本の祭りごとが好きなのは百も承知。だからプレゼントであいつに似合いそうなワンピースを特注でつくらせた。サイズ? んなもん見たらわかる。

 

 アルコバレーノと爺に今回は“しかたなく”無理言ってこの場をもうけさせてもらった。そして場を破壊し、それを合図にみんなは去る。俺とあいつだけにして…あいつを落とそうとしたが…

 

 あいつの目を見たら…こんな姑息な、他人の力を借りてる自分に腹がたった。

 

「なんとでも言えカス鮫…考えが変わったんだ」

「どんな風にだぁ?」

「自分の欲しいモンは自分の手で手に入れる」

 

 

 己の手に憤怒の炎を灯しながらそう言えば、カス鮫はニヤリと笑って。

 

「それでこそ俺が惚れた漢だぁあ! どこまでもついていくぞおおお!!」

「フン。好きにしろ」

 

 だから覚悟しておけリリー・ニコラ。

 お前が嫌だと言っても、どこに隠れようとも…かならず探し出して俺のものにしてみせる。

 

「俺と出会っちまったのがてめーの運の尽きだ」

 

 月は静かに暗い夜を照らしていた。あいつの心も…てらしてくれりゃいい。毎晩うなされるような夢は今日だけは見るな。

 

 変わりに俺の夢を見やがれ。




テ「写真は撮ったか?!」
部下「ハイ九代目! バッチシとりました!」
テ「動画は?!」
部「バッチシです!!」
テ「よしよし…さっそく二人のアルバムに…」
リボーン「…先が思いやられるぞ☆」


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第二章 ザンザスの嫁?から月の姫へ 第五話 月の姫

今回はかなーり詰め込みました。すぎて文字数化けた(白目)
一応ギリギリだけど大丈夫だと判断してるのでR指定しない。
もし必要だと思ったら読者のみなさん一言声をかけてくださいな。


「…あれ、君なにしてるの」

「あんたこそ、なんでこんな夜遅く出歩いてるんだ?」

 

 やっほー。私だよリリーだよ☆

 ただ今、いつものように虐められて時間通りに家へ帰っていこうとしている途中で、金髪の子供に出会ったよ♪

 

「ていうか、なんで服そんなにボロボロ…」

 

 そう言いながら、ペロリと服が破れて出てしまった太ももとか、腕とか、鎖骨辺りをその子供が凝視して。あ、やべぇと思う頃にはその子供、気配もなく私の目の前にきて、怪我した部分を手でそっと撫でた。

 

「おいコラガキ…てめぇ人さまの太もも撫でてんじゃねーぞ」

「うわこえー。てかさっきとオーラとか雰囲気が別人じゃん。」

 

 見上げるその子供は、前髪がとても長くて目が見えない。

 

「てかさ、どうしてそんな良い服着たガキが、こんな夜更けにこんなところに寝転がってたんだよ?」

「いや、その言葉そっくりあんたに返す。そんなお姫様みたいに良い服着てるのに、破けてるし怪我してる。おまけにこんな夜にこんな危ない道に一人で歩いてる。おかしいよ、あんた」

 

 へぇ…ガキのクセして鋭く的を射た問いかけだ。拍手を送ろう。

 

「あんた、見込みのあるガキじゃない」

 

 そう言って笑うと、そのガキも笑った。

 

「しししっ。当たり前。だってオレ王子だもん」

 

 その、どっかで聞いたことある口癖のような言葉に、一瞬フリーズしかけて。いや。まさかそんな馬鹿な。(ヾノ・∀・`)ナイナイ。

 

「ふ、ふーん…そうなんだ。」

「で? あんたは?」

「えー? 名乗るの?? めーんどくさーい」

「王子が名乗ったんだからちゃんと言えよな」

 

 頭グリグリかき回してやった。え? なんで? ムカついたからに決まってる。

 

「あのね、えらそーなのが気に食わない。人にものを頼むときは礼儀をもって頼め。」

「た、頼むもなにも、名乗るのは礼儀…」

「うっさい。こちとら年上。お前年下。うやまえ!」

 

「ちょー理不尽なんだけど…」

 

 グリグリしたおかげで彼のサラサラ金髪がぐっしゃぐしゃ(笑)

 あーそれよか痛そうに頭抱えて拗ねてるよ。かーわいいなー。ベルフェゴールも、子供の時はこんな可愛かったんだね。

 え? 認めるのかって? いいんだよ。可愛いは正義だから。

 

「お、俺の名前はベルフェゴール…お姉さんのお名前も、教えてください…」

 

 おー! よく言えたね。私だったら無視してたんだけども。

 

「偉い偉い」

 

 言いながら、彼の髪を整えるように、いいこいいこしてあげたら、顔を跳ねるがごとく上げて見つめてきた。

 あ、目みえたぞ。可愛い顔でこの綺麗な瞳かよおい!さすが生粋の王子様…

 

「私の名前はリリー。リリー・ニコラ」

 

 そしてスッと流れるように彼の腕をとって引っ張っていきます。

 

「ちょっ…お前、なにして……っ!」

「行くとこないんでしょベル? だったら私んちに、おいで?」

「!!」

 

 そう言いながら微笑みかけたら、彼の頬が一気に赤くなった。むむぅ? 風邪なのだろうか…ちょい心配ですな…

 帰ったら私の部屋にある風呂つきシャワーを貸して…服…暴君の子供の頃のをかっさらってくるか。←

 あとは…んーお腹すいてるよなー…適当に屋敷の冷蔵庫から拝借すっか。

 

「な、なまえ」

「ん?」

「あと、おいでって…」

「どうした少年」

 

 すっごく可愛い仕草でモジモジしながらうつ伏せ気味にチラチラこっちを見て、ベルはポツリポツリ話した。

 

「は、はじめて…悪意も殺気もなく普通に名前よばれたから…あと、『おいで』って言われたことなかったから…」

「マジか」

「う、うれしい…」

「…っ」

 

 心臓を鷲掴みされたかのような衝撃が私を襲いました。あとバックには雷みたいな衝撃ね。

 

 ヤダ何今のベルスマイル…か、かわええ…破壊力ありまくりだった…っ! 危うく心の臓が持ってかれるトコだったぜ…

 

「そうか。それは良かった。」

 

 と、まぁその後はベルを計画通り私の部屋にて一泊させまして。

 次の朝から朝食の食卓にてふっつーにベルを座らせてご飯を食べさせてたら、いきなり暴君がビックリして叫ぶわ、私が黙れ! って言いながらフォークとナイフを投げるわ…ちょっとした騒動が起きたけど…

 

 九代目が私と暴君の足を凍らせて大人しくさせてから、説明を私とベルにさせました。ていうかさ、九代目さんよ…その技はたしか都市伝説級の幻の技ですよね? そんなに日常に使いまくっていいんでしょうか?

 

 ベルはといえば、大人しく静かに食べて、終わってからはそこにチョコンと座りながらお行儀よくしてた。ビックリだなぁ。だってあのベルですぜ? てっきり行儀悪いのかと思ってたから。

 ちゃんと王子だったんだなぁって、思いました。まる。

 

 とまぁ、これがベルを拾った時の出来事なんだけどもさ。あの後ベルったらヴァリアーに入ってたよ。

 何で入ったか問い詰めましたともさ。ええ。だってまだ子供だもの。悪い影響に…いや、まぁ…ベルは最初からああだから、いいのかもしんねーけどもさ…

 

 とまぁ、色々言ったのですよ。ベルにも暴君にも。そうしたら、ベルが私のトコまで来て、クイクイと服引っ張るんで、しゃがんだら。

 

「お姫さまがいるんだから、お姫様を守るのは王子の役目じゃん?」

 

 と、とっても素敵スマイルしながらチューされましたよ。

 鼻にされた後、手のひらにチュッと。

 

 おいおい。

 おいおいおい!

 なんだねこの急展開は?!

 

「しししっ! 今に強くなってみせっから、待っててよ。」

 

 …ねー神様。私をなんだと思ってるんですかいな?

 完全ショタっすよ? あと十年待ってもよくて18よ??

 絶対ないから。

 

「この、マセガキめが…私を囲おうなんぞ100億光年早いってーの」

「だから俺がリリーより強くなりゃあいいんだろ?」

「甘い!! そういって今まだ暴君もサメもまったく私にかなわんのだから!! 君の道は長くけわしい道のりだぞいいのか!」

「しししっ! 望むとこ」

 

 ああ…このショタベルめが…ショタのくせしてイケメンってか? ああ? こっちは子供に弱いんじゃバッキャロー!! でもロリではないんで。

 

 ちなみに、ベルがキスした場所にはちゃっかり意味があると私は記憶してます…

 鼻が「見ていても飽きない、可愛い、守ってあげたい」と思っているという意思表示。

 手のひらが「お願いだから愛して」とか「こっちを向いて」とか、はたには「結婚してほしい」の意味合いだ。

 

 なんで知ってるのかって? 私の家庭教師さまがあのリボ様ってこと、お忘れですか? え? なんで照れないのかって? 

 まぁ多少は照れるけども…相手ガキでっせ? こちとら前世含めたら相当な精神年齢いってるんだよ? 照れろってーのが無理なお話よ。

 

「まぁ、せいぜいがんばるこった」

 

 立ち上がって手をひらひらさせる。

 

「ぜってー振り向かしてやっから!! 王子にはお姫様が必要だから!! 王子の姫はリリーだけだかんな!!」

 

 その言葉を聞いて私はほー? と少しばかり関心しましたわ。よくもまぁ、こんな性悪女を捕まえて…言いたい放題…だったら少し挑発してやんよ。そして見定めてやる。あんたがどこまでできんのか。

 

「やれるもんならやってみろガキ」

「やってやるよ! しししっ!」

 

期待はまったくしないけどね

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

 あー…もう今日は本当に疲れた…精神的に。そして体力てきにベルの遊び相手(修行相手)としてもつっかれたー。いくらリボ様の「やってこい」って言われたからってベルはやばいでしょリリー…

 

「おい、どこにいくつもりだ」

 

 珍しく今まで大人しくしていた暴君がとうとう突っかかって来た。んー…あの月の晩からめっちゃ避けてたけど、大人げないんでもうやめるか…

 

「あー? 街だけど」

「…俺様も行く」

「はぁ? 嫌だよ」

「なんでだ」

「なんで顔怖の暴君と一緒に歩かなきゃいけないんだよ。」

「普通の女どもはキャーキャー言って一緒にホイホイついてくるが?」

「あーそうだねー普通だったらホテルでも何でもホイホイだっただろーねー」

「…てめぇはいつもそうだ」

 

 あれ? 急に暴君の声のトーンが低くなった…振り返ったら…ええ?! ど、どうしたん? 暴君?! 顔が…憂いを帯びててちょっとイケメン風味出してっけど?!

 

「どした。らしくないぞー」

「なんで…俺を見ない?」

「え?」

 

 グイッと腕を掴まれて、彼の傍に寄せられて…腰に手を回されて。もう片方の手で私の波たった髪を束に手で取ってスゥ…と引き寄せて…髪にキスを落とした。そのまま私の方をじっと見つめてくる。

 

「なかった事にしてんじゃねー」

 

 赤い瞳がジッと…睨むようで、それでいて哀しそうに…寂しそうに見つめてくる。

 ドクン! と心臓が高鳴った。ダメだ…あの時の事を思い出しては

 

「お前は俺のだと言ったハズだぜ」

 

 ダメだ。

 

 ダメだ

 

 ヤメテ

 

 ヤメテ……っ!!

 

「ダメだザンザス…」

「(名前呼び…)なにがだ」

「お前は何も知らないから…そんなこというけど…私は……お前が思っているような人間じゃない」

「…」

「ダメなんだザンザス…あんたには、もっと素敵な女性と結婚してほしいんだ。まともな奥さん囲って、子供作って幸せな家庭つくったほうがいい。私なんかのために無駄な時間をすごすな。」

「は?」

 

 スッとザンザスが手を私の頬へと持ってくる。完全に顔を逸らした私の顔を無理に彼へと引き戻せられた。

 

「ヒデェ顔だな」

「うるさいな…」

「だが、そそる顔でもある」

「は?」

「お前が弱ってる顔みせんのは、俺だけにしろ」

「ざ、んざす…?」

 

 真っ赤な瞳が今度は炎を灯したかのような覚悟のある瞳に変化して…不覚にも。そう、不可抗力にも…私はほんのちょっぴり。

 

 トクン…と胸が少しだけ高鳴ってしまったのでした。こいつのこの瞳って…いつからこんな綺麗だなって思えるようになったっけ?

 

 いつから…こいつに迫られるのが…苦にならなくなったっけ……?

 

 そういえば…ザンザスだけかも、しれ、な…い……

 

 私がつっぱぬけても、ぶっ倒してもケンカしても怒鳴っても…涙を流しても…文句を言っても罵倒しても…怒っても伸しても…

 

 私の…傍から…離れなかった……

 

 ああ…顔に熱が集まる

 

「ざん、ざす…あの……」

「…」

「わ、たし…」

 

 ああ、心臓の音がうるさい…

 お願いだから…ザンザスに聞こえていませんよーに…

 

 息を吸って…ちゃんと、目を……見ないと…ううっ…良い歳こいて…なんてザマだよぉ…でも胸が痛くてでも…なんか…嫌じゃない痛みというか…苦しいけど…なんていうか愛おしいようなそんな感じで

 

「あー今すぐにでも押し倒し」

「ふざけんな獣め」

「?!」

 

 ハイ、乙女心全開の私を全力でぶん殴りたくなりました~。ちなみにザンザスの野郎は背負い投げして地面に叩きつけたのでしたー。

あと腹を足蹴りしました。ええ。

 

 あのザンザスにトキメクなんて、きっと錯覚だったに違いないね。

 

「くっそ…」

「金輪際わたしに近づかないでボスザル」

「?! ちょっとま「近づくな」リリー!」

 

 さっさとお出かけしよう。そうしよう

 

 ザンザスのあの行為になんの意図もないと、私は自分に言い聞かせた。

 

 髪にキスするのは「愛おしくて仕方がない」という意味がある

 

 だ、なんて………

 

 絶対…

 

 ない。

 

 自分を愛おしいだなんて、思ってくれる人など

 

「いないんだ…」

 

 だから。

 

「ぬか喜びなんて、しない」

 

 もう、ウソの…“愛”なんて、いらない。信じない。

 

 遊ばれるのは…

 

「ウンザリだ…」

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「こっちなんか、君にあってるワンピースだと思うよ」

「そお? じゃあこっちのワンピはマーモンに似合うよ」

「…フードがないじゃないか」

「それが? なに…顔隠したいの?」

「…」

「恥ずかしがりやさんめー君は何度かわいいから顔隠すなとー恥ずかしがるなよー」

「なっ…ち、ちが」

「じゃあコレね。あとこれとこれ」

「くっ…」

 

 この状況はなんだって?

 

 いつの間にか入隊してたマーモンと仲良くショッピングしてまする。

 廊下でウロウロしてたマーモンをとっ捕まえて私の部屋でレモンティ―用意してあげたらお気に召されたようで。

 

 しょっちゅうせがまれて…かわりに最近外に出してくれなくなった九代目の狸爺をあざむいて外に出てお買い物につきあっていただいてます。

 まったくもう。

 

たかが数えきれないくらい強盗、人浚い、強姦にあいそうになったからって過保護すぎるって…。

 

 え? 苛め? まだ続いてるけど。あれはもうしょうがないって理解してんので。というか最近、黒笑みが狸爺の顔に張り付いてて取れないんですよ。

 

 サラッと「リリーに手を出したやつを探してきなさい。ちょっとO・HA・NA・SHIがあるから…」っていうんですのよ奥さん!

 

 あからさまに脅すか最悪、消そうとするんだもん。やめろって説得するのに数か月かかった…まったく…何度首突っ込む気かねあの狸…。

 

「ところでリリー。君、強いんだろう?」

「んー? そうでもないと思うよ」

「…ボスとスクアーロ束になっても勝てないのが君なのに、そうでもないってどういう事さ」

「そのまんま。あいつらまだまだ弱いだけ」

 

 体力てきにも精神的にもね。

 

「そういう君が僕は恐ろしいけど、僕のお気にいりな部分でもあるよ」

「おやや。もしかして褒められた? あんがとマーモン」

 

 その後、私たちはアイス食べたり、遊園地いったりしました。帰ってお金払おうとしたら無料でいいって。あのマーモンが? 無料でって……。

 

「え? でもマーモンたしか…」

「いいんだ。君のお願いは無料にしてあげるよ。かわりに君には美味しいレモンティと楽しい散歩につきあってもらうよ」

「…ありがとう!」

 

 まぁ、上の通りですわ。

 

「ふふふ。マーモンと一緒にいると思い出すなぁ…リラとラウル…」

「…君の…実の妹弟かい?」

「うん……」

 

 私が習い事から帰ってきた時には…もう手遅れだった。燃え盛る家の中がどうなってああなったのかはわからないし、妹と弟がどうやって殺されたのかもわからなかった。ただ…

 

「苦しんで殺されてしまったんだろうな…ってのはわかった」

「どうやってわかったんだい?」

「…わかるよ」

「リリー?」

 

 家の庭に妹が大好きだった私があげたクマのぬいぐるみが…無残にもナイフで切り刻まれてた。それを毎日抱えて手放すはずがないあの子がどうなったかなんて…軽く想像できる。

 

 その傍の窓ガラスには血がべっとりついてて、割れたその部分には弟が手放さなかった私が刺繍したハンカチがあった。

 

 血でべっとり汚れてしまっていた。だから…絶望したんだ。あの愛しい二人はもう…この世にはいない。きっと燃えてしまったのだろうけど…あの二人はとても苦しんで死んでしまったことだけは痛いほどわかった。

 

 なにも……できなかった。

 

「あの日…あそこに私がいたら。何かが変わっていたのかもしれない。なーんて…私らしくもなく悩んじゃったりした時もあったな。」

「リリー…それは「でも! もう…ふっきれたから」…そう」

 

 あちゃー。マーモンの顔、あからさまに『そうは見えないけど黙っておいてあげるよ』って顔だー…。

 

「マーモンが気にすることじゃないよ」

「…そう」

 

 さて…いいこいいこしながら、私は窓の外を見た。空は…もうすぐ夜が来ることを知らせるように真っ暗になり始めていた。

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

「暗い顔ね~リリーちゃん」

「ルッス―リア…あーやっぱオネイにはごまかしきれないかぁ」

 

 目の前にいるのは、じつはすでにヴァリアー入隊していたルッス。もう三年にもなるなぁ。ルッスはすぐ私が調子が悪い時、思い悩んでいる時などなど、とっても敏感で…隠しきれない。

 

「だって私、乙女心持ってるから、悩める乙女の心には敏感なのよ~」

「マジすかルッス姉…あんた持ってんすか」

 

「あら、なぁに? そのとっても意外そうな綺麗なお顔」

「…いや、なんでもないデス」

「それで、なにに思い悩んでいたの?」

 

 こうやって私のお得意技、話し切り替えがこの人には通用しません。

 

「なんでもなくはないんだけどさ…こればっかりは…誰にも止められないし…止めたら…きっと」

「リリーちゃん…」

「私には…選ぶ権利なんて…もう一択しかないってわかってる。けど…怖いの。とっても…今が幸せ過ぎて…それを手放さなきゃ、私の大好きな人たちの幸せが…壊れるなんて…さ…」

「ねぇ、いい加減…私にくらい、全部はなしてくれても」

「ダメ。それはできない」

「貴女がなにに怯えて、何に思い悩んで…何と戦ってるのか…知りたいの。だって私たち…こんなだけど…家族(ファミリー)…じゃない?」

 

 ああ、本当だよ。君たちは非道で残虐な殺しのスペシャリストたちのハズ。なのにこんなにも…暖かい……。

 それはきっと…君たちがいつも命の取り合いをしているから。命の重みも失う悲しみも、怖さも知っているからなのだろう。

 だけど、そんな彼らだからこそ、この私の悩みは打ち明けてはいけないんだ。

 

「ありがとうルッス。でもね、やっぱ喋れんよ」

「どうして?」

「だってさ…家族でしょ? 家族を守ろうとするのは…普通じゃない? あなたたちだからこそ、私は言うわけにはいかないんだ」

 

これは、私の戦いだから

 

「じゃあ、せめて私のつくったティラミスでも食べなさい!」

「うわ! わ、わかったから…ルッスの腕筋肉モリモリだから…っちょ…引っ張んないで首とれるとれちゃう…!」

 

 やっぱルッスって気が利くなぁ…ティラミスって…イタリア語で…

『私を元気付けて』じゃないか…

 つまりは転じて、私を元気づけようとしてるんだなぁ

 

 暖かいよ…ここ(ヴァリアー)は……

 私のような捻くれた女をも包んでしまう。そして…覆い包んで癒そうとする暴君が君たちの大空。

 

 お似合いだね。

 

 私は、君たちと出会えたことがとても誇らしいよ。

 

 たとえ…運命が、法が…いつか

 

 私をあなたたちと引き裂いても。

 

 私は忘れないんだろう。この暖かい気持ちと…思い出を。

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

「リリー、ボスがかんかんに怒っていらっしゃったがもしかしたらおま」

「うるっせぇええ! くたばれエロおやじぃぃいい!!」

「ぎゃぁああああ?!」

 

 察しの通り、ザンザスと口論しました。だってあいつ私のプリン盗むんだもん。代わりにチョコムース食べたらあいつってば炎出して来やがったんだ。

 もちろん、関節技で伸したけど。

 

あ?ああ、あそこで私の八つ当たり食らったのがレヴィです。

いいサンドバッグでした。

 私に話しかけてボスザルのことを聞いた彼が悪いんです。

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

~リリー・ニコラ18歳 ザンザス18歳~

 

 

 ああ…今日はいじめが凄く酷い。逃げられませんねぇ…

 

「ちっ! こいつ…平気そうな顔しやがって!」

「なんで怖がらないのよ!!」

「登校拒否すればいいのに!!」

 

 んなことできるわけがねぇだろ。ええ? ガキども。こちとら私に変化があったらすぐ行動に移す暴君と、勘の鋭い何故か細かいことまでお世話してくるお節介のサメがいるんだ。

 

 そのボスザルが君臨するヴァリアーもあるんだ。どうしてだかあいつらも私の様子が酷い時は簡単にマフィアの御曹司とか消しに行こうとするし!

 しかも超直感持ちの狸爺もいるし!

 

 それになにより、私がてめぇらクソガキ共に屈服するわけがない。

 する必要もない。ああでも殴られた腹が痛い。腕が変な方曲がってね? 今回は…ヤバいかな…受け身とれなかった…

 

 身体、だるい…クスリ盛られた……あんまし動けない…

 あ、髪の毛引っ張られて顔持ち上げられた。頭からは血がドロリだ。あー気持ちが悪いな…髪の毛にくっついた血ってあんましとれな

 

「こいつの髪、長くてうっとおしいよな」

「そうね…こんな長くて綺麗な髪…切ってしまいましょう!」

「短くしてあげたら? アハハハハ!!」

 

 え

 

 ちょっとま…

 

『あなたの髪、素敵よリリー』

『曾祖母さまによく似てらっしゃる…』

『お姉さま、髪の毛触らせて!』

『ずるい! わたしも!! 波立っててとってもフワフワで気持ちがいい!!』

 

「や、いや…いや!!」

「おい、初めて嫌がったぞ!」

「うふふ! やっぱり髪の毛が弱点だったのね!」

 

 目の前にカッターが出てくる。喉笛にスッとおかれた。でもそんなのどうでもいい。それよりも

 

「髪の毛…切るな!!」

 

 唯一、私が…持つことを許された、こっちの家族との暖かい思い出が詰まった…

 

「やめ…」

「ナイフも持ち出せ」

 

 目の前に、三人ナイフもった奴らが、鷲つかんだ髪の毛を次々に──…

 

 ザクッ

 

 ザクリッ

 

 バサバサ……

 

「や…いや…」

 

 まるで、記憶がこぼれていくようで

 

『お姉さま!』

『リリー』

 

「やめてぇ!」

「やっと泣き出したぜこいつ! あははは!!」

「遅いのよ!」

「もっと切ったら? うふふ。いい気味」

「泣き顔、そそるなぁ」

 

 ザクザク

 

 ザクリ

 

 ああ

 

 あああ

 

 誰か

 

 誰か…

 

「たす…けて…」

「ああ? 誰も助けちゃくれねーよ」

「そうだなーこれからたっぷりと楽しませてもらおうかー」

 

 クイと短くなってしまった髪を…ザンバラに切られた髪をぐいと引っ張られた。

 涙は止まってくれない。

 

「良い声で啼けよ? へへっ」

 

 服に手をかけて脱がしてきた。

 

 ねぇ、髪の毛だけはやめてって言ったよね?私の……大切な思い出だったのに。そりゃまた伸ばせばいいんだろうけど…でも

 

 あの日から

 

 ずっと

 

 同じ髪だったのに

 

 家族を失ったあの日から同じ髪だったのに…その髪は今…無残に道の道路に散らばってる……

 

「た、すけ…て……ザンザス……っ!」

 

 来るはずもない、なぜか頭に一番に現れた彼の名を呼んでいた

 

「だから、こねぇっつてるだろうが…さぁてと…つぎは下着をはぎと「カッ消えろ」グハッ?!」

 

 え?

 

 押さえつけられていた男が吹き飛ばされて、遠くで何かが爆発するような音がした。

 

 続けて私が涙目ながらに見たのは…半月が輝く夜に、羽織ったコートを風になびかせながら、漆黒の髪の毛をゆらし、真っ赤なルビーみたいな瞳は…私を真っ直ぐ射抜いた。

 

 そして…すぐ近くに降り立つと、コートをかぶせてお姫様抱っこされました。

 

「ざ、んざす…」

「…すまねぇ…遅れた。俺様のミスだ」

 

 そんな。ザンザスには何の非もない。

 

「わ、たしが…かってにぬけだしたから……」

 

 彼はちらりと私を見つめた。悲しそうな、でも怒ったような…。

 

「ベル、ルッス―リア、レヴィ、マーモン、スクアーロ」

「「「ここに!ボス!!」」」

 

 あんたらもきたの?と言えずに…ポロポロ流れる涙。喉が引くついてなかなかしゃべれない…

 

「そいつらに…それ相応の報復を」

「「「御意!!」」」

 

 ああ、もうあのいじめっ子たちを…守れない…こいつらの殺気は本気だ…しかも

 

「わ、たしなんか、の…ヒック…ために…暗殺部隊幹部…総動員…するとか…ふ…ばか…じゃない、の…ううっ」

「ああ。バカで結構だ」

 

 彼は、怒ったような顔で、しかし優しい瞳で見つめて

 

「お前を守れるんだったら…バカでいい……」

「うううっ!」

 

 そんな、優しい言葉を…くれるから。優しく包み込んでくれるから。

 

 今だけ素直になってみようか…

 

「怖かった…よ…」

「…」

「苦しかったよ…」

「そうか」

「ずっと、助けてほしかった……」

「そうか…」

「…家族との、許された思い出が……あいつらに…切られた…」

「…」

「ううう…」

 

 ザンザスは、ボンゴレアジトにつくと颯爽と彼の部屋に私をそのまま抱きかかえて、扉を閉めて…そして、コートをとった。

 ジッと私を見つめて…そっと頬に触れて

 

「お前に…触れたい」

 

 そう、苦しそうに言うから

 

「うん…」

 

 慰めでもいいと、私は彼に身をゆだねた。

 

 だって…もうボロボロだ…抗う力…ない…

 

 彼は最初、腫れた右目にそっとキスを落とした。次に血が出ている頭をおしぼりで拭いて…傷の部分を見付けて消毒して包帯を巻いた。

 

 そして彼は…私に触れた。

 恐ろしい外見とは裏腹に、とても臆病に、とても大切に触れてきた。

 こんなに優しく腕を引かれたのも、抱きしめられたのも…きっとはじめてだ。

 

 彼は次に耳に、そして首筋にキスを落としていく。鎖骨にそっと唇でふれて…やぶかれ、下着がみえてしまってる私の身体をもう一回抱きしめた。

 

「細ぇ…」

 

 彼はうわごとのように

 

「こんなに細かったのか…」

 

 なんども優しくそっと触れて、キスを落としては

 

「折れちまいそうだ……」

 

 優しく、抱きしめてくれた……

 

 そんなこともあって、私はトラウマにもならずにすんだ。あの後は…クスリを盛られた私が気絶して…。

 

 ザンザスが医務室まで運んだのだと。九代目はもちろん、お手伝いさんや側近、九代目の守護者たちまで騒いでしまったのだと。

 

 みんな…過保護…だなぁ…でもなんか、嬉しい……くすぐったい…ふふっ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「どうだ。傷」

「ああ…うん。もうこのとおりさ! 身体はナマってるから運動したい」

「…」

 

 ザンザスが、急に黙り込んだ。そして、私の腕を引っ張った。ああ、うん。抱きしめたいのね。わかったよ。

 背負い投げしないでおいてあげる。命の恩人だしなー。

 

 そうして、彼の腕の中で…けっこう…うん、なんか…安心する…って思ってたら、髪になにか飾られました。

 

月の…髪飾り?

 

「……これで、ちったぁマシに見えるだろ」

「…」

 

 私が、こんな首元までバッサリしたショートになっちゃったから、それを気にすると思って?

 

「お前の髪についてる髪飾りに目を奪われるだろ」

「ふふっ」

 

 思わず…笑みがこぼれてしまった。だって発想が幼稚すぎて…でも

 

「嫌いじゃないよ。あんたのそういう子供っぽいとこ!」

 

 そう言いながら、お礼にほっぺにチュってして。

 

「あんがとなザンザス!」

 

 そう言いながら、笑って学校へいけた。

 

 あー、あのあとね…過保護な九代目が、このままじゃ可哀そうじゃ!! とかでクスリつくらせて…飲まされました。

 

 約一年後、元通りもとの髪の毛の長さになったのにはさすがに引いた。何年もかけてあの長さにしたのに……おい爺、こんなことに時間費やすんだったらボンゴレ解体しやがれ。

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

~リリー・ニコラ19歳 ザンザス19歳~

 

 

 ああ、もうこんな月日が経ってしまった。いつも夢のような充実した日々…それこそ本物の月夜の夢だったのだろう。

 

 私は…決意した。とうとう決意できた。

 

 今日は…ザンザスが…九代目に逆らう日。暴動を起こす日……

 

 封印される日……

 

 この日に私も、あの“夜空と月と星”の話に出てくる夜空の姫のように…

 

 月の姫のように……

 

 消えよう………

 

 リリー・ニコラという存在を。

 

 跡形もなく消そう…

 

「さて…約束の歳まできたが…君の返事は?」

 

 目の前の白い服を着た男を真剣に見つめる

 

「私の返事は…もう決まってる」

「ほう。では…答えてもらおうか」

 

 彼はポッケからあるものを取り出した

 

「“すべてをささえ、すべてを守護する月の姫”になるか。それとも…世界が崩壊するのを直で見つめ絶望するか…」

 

 まっすぐ、私はそいつを見つめる

 

「私はそんな大そうなモンじゃない。でも、私が受けもつことで…守れるなら」

 

 もう決心はついた。心は揺るがない

 

「なりましょう。あなたがいう“月の姫”に」

「…ありがとう」

「お礼ですか? 以外…」

「君は…すでに色々おこったハズなのに…それでも希望を見失わない。だが決して表舞台には立とうとはしない…まるで“月”そのものだ」

「いいかげんにしてチェッカーフェイス」

「すまない。どうも私は…君が気に入ってしまったようでね。こんな形でコレが目覚めようとは思わなかった…」

 

 彼は…手のひらに光続ける一つの銀色のおしゃぶりを見つめた。そして私に渡すと…その光はおさまり、なかにうっすらと月の模様が見えた。

 

「やはり…この大役は君にしかできないようだ」

「今更後悔?」

「ああ…私は、君に少し同情しててね…だが、いさぎよく受け入れてくれた君にプレゼントを残しておいた。月一回だけだがね」

「…そうですか。ありがとうございます」

 

 そうして、彼は姿を消した。

 

 私が…リリーを捨てるまで…きっと時間はそうそうない。

 

「せめてザンザスの暴走…食い止めようか」




ここで少し説明します。
XANXUSがクーデターを起こすのは『16歳』なんですよね。
しかし、リリーのおかげで話が大幅に改変されています!
もともとリリーはザンザスにまっっったく興味持ってませんでしたので
原作のザンザスの話部分すべて記憶が曖昧です。
なので、ある事をおこなって、ザンザスが19歳のときに
暴動をおこそうとしている事を知り、止めにいこうとしているわけです。


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第六話 夜空に託した願い

書き足りなかった部分を書きました!おもにヴァリアーたちの心情を!
そして少しだけチェッカーフェイスとリリーのいつからの知り合いかを書きました!あの後、ヴァリアー達がとった行動とか…
R指定はしませんが、微妙だと思ったらお知らせください。

女の髪は命の次に大切なもの。しかもそれが家族との思い出ときたもんだ。
リリーにすっげぇ甘い奴らが本気と書いてマジでブチ切れたらどうなるか…
:;(∩´﹏`∩);:震えが止まらないね!(^ω^)


ヴァリアー入って一か月くらいしたとき、ああ、俺たちのボスで俺の王は…リリーに心を寄せてるって理解した。

 そして、リリーはそれに気づいてて、それでも壁を作ってたけど…オレ知ってるんだ。リリーが夜な夜な、ボスの部屋へ侵入して悪戯という名の寝顔を覗きに行くこと。くししって楽しそうに笑ってたし。

 

 つーかリリーってボスにもれなく恋しかけてるじゃん。壁をつくってるって事は恋するのが怖い=好きになりかけてるってこと。

 バレバレ。でも俺は諦めるつもりはねーけど♪

 

 ……まぁ、報われないってのも…わかってるけど。わかってても諦めないのが王子だし。

 

 そんなことよりも、もっと面白いのがマーモンとかサメとか…全員がボスを慕ってるんだけどリリーが現れたらボスもただのガキに戻っちまうみたいで、本気でリリーと口喧嘩してあっさり伸されて…

 そこから勃発するヴァリアー内での戦闘…二人が引き金かよ。そりゃ九代目も凍らせたくなるワケだ。

 

 え? オレ?

 もちろん参加してっけど、それがなに?←

 

 

 

 そんな日々に。リリーの帰りが凄く遅いときがあった。俺はすぐ、リリーのカバンに忍ばせてる(本人気づいてない)発信機の場所を探った。

 

 ある場所…人目のつかない場所で止まってて。怪しいって思ってボスに報告した。

 ボスは血相を変えて。焦ったような、困ったような、そんでもって泣きそうな苦しそうな顔をした。

 

 こんな顔のボス、はじめてみた…

 相変わらず、リリーのことになると…ホントただの子供に戻っちまうんだな。

 

「しししっ! ボス…命令してくれよ! 俺たちはあんたについていくだけだ。どこまでも。」

 

 俺がそう答えると、ヴァリアーの幹部たちも口をそろえて言った。

 

 だから、俺たちの大空で俺の王は…普段以上の威圧感を出して。

 

「ヴァリアーのドカス幹部共につぐ」

 

 その眼を鋭いものにして、ボスの顔でこういった

 

「リリーを助けにいくぞ。ついてきやがれカス共!」

 

「「「御意!!」」」

 

 しししっ! やっぱボスはボスだ!

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

そこで、彼らが遠目に、目にしたショッキングな場面

 

 

 

………。

 

 リリーが何かを隠して、ひたすら苛めに耐えてたのは知っていた。知っていても頑固なあいつは…考えや行動を改めねーし、口ごたえや行動を起こしてもあいつは怒り悲しむことはあっても喜びはしねぇからだ。

 

 でもよ…だからってこりゃねーだろうがよぉおお!

 

「ヴぉおおおい! 俺はあっちのナイフ持ったガキをヤル。」

 

 リリーが今日まで中々切れなかった髪の理由くれー、ヴァリアー内じゃ有名だ。本人が自覚ねぇだけで。

 簡単に想像できる。今まで幸せに暮らしてきた家族を失った時から伸ばし続けてりゃ、そりゃ憶測でもなんでもなくなるだろうがよぉお!

 

「今回ばかりは、相手に情けは無用だぁあ!」

 

 たっぷり虐めて少しづつ切り刻んで、ゆっくり死を迎えさせてやらぁあ!

 

「すぐ楽に死ねると思うなよクズ共がぁああ!!」

 

 泣いて許しを請う相手、間違ってるだろうがよぉおお!

 

「八年間もあいつを苦しめやがって…」

 

 さて…なんの拷問にかけてやろうか? 拷問のバリエーションは尽きねぇから心配する必要性はねぇ!!

 

「溜まりに溜まった不満や怒り…発散させてもらうぞぉおおおお!!」

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

彼女のあんな顔、初めて見た…

 

あんな顔…もう二度としてほしくない。

だから、ゆるさないよ…僕たちの姫に手を出した罪は重い……

 

………。

 

「僕は君をヤル」

 

 相手は、どうしてこんなことが起きると想定しなかったんだろう? 僕たちの大切な宝、リリーを散々苦しめてきて。

 何も起こらないと、どうして思ったのだろうか。彼女の傍にはいつだってスクアーロやボスがいたハズなのに。

 そして…彼らを止めていたのは、お前たちが蔑み、謙遜し、忌み嫌ったリリー本人だったなんて、ちょっと考えれば気づけてたハズだったのに。

 

「本当のバカはどっちなんだろうね。もう僕にはわからない」

 

 でも、わからなくっていいのかもしれないね。どうでもいい。だって…君たちは

 

「触れてはならない境界線に触れてしまったのだから」

 

 容易く幻覚から逃れられると思わないでね。その精神が焼き尽くされて心が壊れて脳がイカれるまで…たっぷり可愛がってあげる。

 

 リリー? 君の敵は僕たちの敵。

 だからさ、リリー……どうかボスの気持ちを、ボスの言葉を…今回だけでも素直に受け取って。そして…その傷が酷く爛れて取り返しのつかなくなる前に…

 

 ボスを見てあげて。

 

「さぁ、まだまだ宴は始まったばかりだ…」

 

 

 存分に苦しみなよ。

 

 ゆっくり、ゆっくりと……

 

 死ぬまでね。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

………。

 

 あーあ。

 せっかくリリーちゃんが一生懸命あなたたちを延命させてあげていたのに。

 恩を仇で返すってこういう結末になるのねぇ…肝に銘じておきましょうっと♪

 

「さてとー? どの子から可愛がってあげようかしらー?」

 

 うふふ。じつは私も結構…頭に来てたの。でもリリーちゃんが可哀そうでも…あの子が嫌がる事は絶対したくなかったから。

 だから私は…今まで見て見ぬふりで、願掛けだけしてたのね。

 

『滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ滅べ』

 

 ってね☆

 

 でも、今はもうそんな願掛けだけで我慢しなくってもいいのよね。だって…女の命の次に大切な髪を…それも、思い出のをあんなふうに切り刻むなんて。

 

「あなたたち~? 万死に値するわよ~?」

 

 なにより…リリーちゃんを泣かせたこと…

 

「ゆっくり……た~っぷりと……後悔させてから地獄を見せて、ア・ゲ・ル☆彡」

 

 男はその下についてる汚ねぇモン潰してから痛めつけてやるぁ(巻き舌)←低い声

 

「なんせ、あなたたちったら…彼女を強姦する気まんまんだったんでしょう?」

 

 悲鳴あげても泣き叫んでも無~駄よ~ん☆彡 人払いはバッチシだし~

 ボンゴレ九代目がよこした任務ってことでヴァリアー動いてるから(^^♪

 え? 九代目がそんな命令するわけがない? なにを馬鹿なことをいっちゃってるのかしらこの子たち?

 

「あの子は九代目の養子よん? その子がお願いしてたから今まであなたたちは生かされてたの。でもね~? 調子にのっちゃったわね? だって…九代目の愛娘にこんな…ね?」

 

 あらあら~? 正気を保っていられなくなっちゃった? 玉を潰して目玉を引っこ抜いただけよ?

 まだまだまだまだ……あなたたちには……

 

「苦しんでもらわないと…ねぇ?」

 

 うふふふ……さーてと…こんどはこっちのお嬢様よ~?

 あらヤダ。な~に? その汚いものを見るような、それでいて蔑む目。汚らしいのはアナタたちでしょう?リリーちゃんの美しさに嫉妬して妬んで、虐めて…あらヤダ。タバコ…

 

 あらー? あららららー?? これってもしかしてdroga(ドローガ)?

 やだ。この子たちって…この子たちのファミリー…もしかして。

 

 まったく…リリーちゃんのほうがよっぽど大人で強くていい女よ。こんなになっても、この子たちを恨みもしてなかった。あの子の目は…これから消えゆく命を想って悲しんでいた…

 

 まぁ、いいわ。これで正式に表にもニュースで流せるじゃないの。

 九代目に報告ね♪

 じゃあ、もうこの子たちは…いいえ。やっぱりたっぷり可愛がってあげましょう。

 

「さぁ、いらっしゃい? ドブネズミの可愛がり方、私けっこう上手なのよ♡」

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

…………。

 

 ボスが言っていた役目を果たし、ルッス―リアが言っていた情報をもとに死体を偽装、ドローガの使い過ぎで仲間割れ。そして相打ち…警察にも根回しし、ヴァリアーの幹部共と合流した。

 

「さて。仕事は終わった…」

 

 俺たちは少し時間を潰して帰る事にした。すぐにでもボスの元へ帰りたいとは思ったが……今は…ボスにはリリーが、リリーにはボスが必要だとわかっている。

 

 俺としては存分にイチャコラしてもかまわんのだが、まぁあの二人が急にそんな進展ないとはわかりきってはいるが。

 だが、ボスにはぜひ…今回を機にリリーのあの白くきめ細かいおそらくすべすべだろうあの肌に吸い付き赤い花を散らしてほしいものd

 

「ぎゃー?! な、ナイフが頭にぃぃいいい?!」

 

「おいてめーエロおやじ。いま俺の姫と俺の王とでイヤラシイ事そーぞーしやがっただろ」

「き、きききさまベル!! なんということを!」

「へぇ? 違うの?」

「違わなくは、ない」

「あらー。じゃあ一回死しんで?」

「ルッス―リア貴様までか?!」

「だって…清い関係のあの二人を捕まえてそんな汚らしい想像するなんて汚らわしいわー」

「むむ。レヴィ、君……死の警告がでてるよ」

「なに?! それは本当かマーモン?!」

「うん。もっとも僕がこの手ですることだけどね」

「貴様もかー!」

 

 まったく。こいつらは…あの二人の事になると変貌するから困る。

 まぁ…それは俺もなのだが。

 

 我らのボスにふさわしいのは…リリーしかいない。あいつしか、ボスの心を癒せない。反対も然りだ。

 

「いつからだったか…ボスがあの作戦を引き延ばしたのは」

「16歳のときからだよ」

「思えば…ずいぶんとボスってば頑張ったわよねー」

「リリーのためだけに…アレをやめたぐれぇだからなぁああ!」

「「「スクアーロ煩い」」」

「ヴぉおおおおい! うっせぇっていうお前らがうっせぇ! いいからそろそろ帰るぞぉおおお!」

 

 こうして、我々はヴァリアーアジトへと帰っていった。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

………。

 

 それは、俺様が16になった時だった。爺の日記を見つけ、暴動を起こそうとした…

 俺様の目の前は、怒りで真っ赤に染まった。そして憎しみが吹き荒れ…どうしようもない疎外感が襲う。

 

 だが…

 

「なんだよ暴君。そのひっでぇ顔!」

「…」

 

 まったく…どんなタイミングでお前は現れてくれやがった。人の気も知らないくせして笑いやがって。

 ああ、だがその笑顔…俺はその笑顔がたまらなく見たかったのかもしれねぇ。

 

「えっ…ちょ…?! ざ、ザンザス?!」

 

 無意識に膝から落ちかけて、リリーが慌てて支えてくれて。

 

「え、ええ? な、ちょ…なんであんた泣いてんの?」

 

 気づけば俺の目からは涙があふれ出てて。

 

「ないてねぇ…」

「いや、ウソつくなよ…ほーら。言ってみ? どうした?」

 

 あまりに優しい手つきで。柔らかい声で。暖かい目線で見つめてくるから。

 

「お前は今まで俺を見ようとしなかった」

「ん?」

「それは俺が“本物”じゃなかったからなのか」

「んー?」

 

 身体に力が入らねぇ。今までのすべてが……偽りだと、愛も、金も、今いる場所もすべてが俺に用意された偽りだったのか?

 

 だからこいつは俺を見なかったのか? 意識してくれねーのか?? だから爺は俺をあんまし見なかったのか? あんまし話したり遊んだり頭をなでたりしてくれなかったのか??

 

 ああ、すべての色がなくなっていくようだ。すべてがくすんだ色に…ヴァリアーの信頼も爺が俺にそそぐ愛も全部全部…偽りで嘘で…!!

 

「ザンザス、あんたが何に怯えて怒って混乱して悲しんでいるのかわかんないけど」

 

 リリーは俺の頭を撫でた。昔、してくれたみてーに、とても優しく…とても暖かく……色が…徐々に戻っていった気がした。

 

「ザンザスの強い処も弱い処も、私は差別したりしないし、いきなりあんたから遠ざかったりしないよ。むしろ傍にいてぶん殴っていたいね!」

「はぁ?」

「だってさ…私」

 

 あいつが…珍しく…フワリと花が咲いたみてぇに…笑った……

 

「ザンザスたちといるのがすっごく楽しいんだ!」

「…!」

「寂しい気持ち、悲しい気持ちってさ……分け合ってこそ、支えあってこそ……人って強くなっていくんじゃないかな?」

「……」

「あー、だから…つまりさ……紛らわしてくれるんだよ。そして楽しんでいるうちにさ、負った心の傷…癒えていくんだ」

「俺も…いつか…赦せると思うか?…赦してもらえると思うか?」

 

 爺を赦せると思うか? 爺に…俺が赦してもらえると思うかリリー?

 

「うん。きっと赦される日はくるよ…だからその日までもう少し頑張ってみようよ?」

「…ああ」

 

 そこでおれはギュッとリリーを抱きしめた。

 甘く、さっぱりした匂い…香水じゃなく、きっとコロンだ。キツくねぇこの匂いが好きだ。

 

 リリーの背中は…こんなに小せぇのに……でけぇなぁ…

 

………。

 

「決めた。止める」

「はぁあ?!」

「ちょっとそれマジでいってる?」

「本気かいボス?」

「ボス…」

「あらー? 一体どうしたのかしらー?」

 

 後日、幹部どもに作戦を無しにすると言った。

 

「俺はリリーがこの世の何よりも大切だ。リリーがこのままでいる事が幸せだっていうんだ。だったら俺はあいつを、あいつの幸せを守るためだけに…あいつの傍にいてやりてぇ」

「ボス……」

「そこまで…」

「…」

「だから、お前らはどうだかは知らねぇ…俺は爺のガキじゃねぇし…お前たちが付いてくる意味も「冗談よしなよボス」…マーモンか」

「僕らは別に“九代目の息子”についてきてたワケじゃないんだ」

「しししっ! そうだぜボス! 俺らボスの人柄、野望、強さにあこがれたんだ。」

「極力、ほかのは装飾品にすぎません。我らがボス」

「そうよー? ボスはボスのやりたいことをやってしたいことをして? それで必要な時は私たちを使ってくれればいいのよ~」

「ヴぉおおおい! 今更へんな誤解つくってんじゃねーぞザンザス! 俺たちの在り方は今に始まったモンじゃねぇえ! お前が今、やりてぇこと言えばいいんだぁあ!」

 

 カスザメがえらそうに…ちっ…そうかよ。

 

「これから俺たちが行うのは、個人の強さを強化。ヴァリアーとボンゴレの守備の強化だ。爺が俺に座を譲る譲らねぇのはもうどうでもいい。だが、リリーの幸せのために俺たちはこれから強くならなきゃいけねぇ」

「そうね! お姫様を守ってあげなきゃね」

「そうですねボス! この命に代えても!「全然わかってねー!」ギャブ?!」

 

 思いっきり左ストレートをレヴィに食らわせてやった。ふん。ドカスが…

 

「俺たちが一人でもかけたら、あいつの幸せは崩れるだろうが」

「「「あ…」」」

「忘れるんじゃねー。あいつは一度…すべてを失ってやがる」

 

 だから。俺の心を守ったように…これからは

 

「俺たちであいつのすべてを守るぞ」

「「「御意! われらがボス!!」」」

 

 だが…残念だ。

 ボンゴレは穴だらけ。おまけに…あいつにあんな嫌な思いを…

 

 泣くな。

 

 なんていわねぇ。

 

 泣け。

 

 お前は…溜めすぎなんだよドカスが……っ!

 

 思わず唇にまでキスしようとする身体を理性で押さえつける。今のこいつだったら赦してくれるだろうが、弱みに付け込む男なんぞ男じゃねぇ。チキン野郎だ。

 俺は俺のやり方でこいつを守ると誓った。そして願った。こいつの幸せを。

 

 だから…全身全霊でこいつを守る

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

………。

 

 いくらこいつでも、切られた髪を少しは気にするだろう。

 そして周りの奴らの視線が痛く感じるだろう。

 

 なら、その視線からこいつをどうやったら守れる?

 どうやったらそいつらの視線から、こいつの気を逸らせる?

 そう考えて、考えて…そして考え付いた。

 

 俺が何かをプレゼントしてやろう。

 髪に何かを飾る方がいい。そうすれば…視線は髪飾りにいく。

 

そして、少しだけでも俺を思い出せばいい

 

 

 くくくっ…

 

 

 こいつのこんな顔を見るのも、悪くねぇ。

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

………。

 

 と、思って満足してたんだがなぁ…あまりにもリリーが酷い目にあう。リリーだけは自分を見てくれねー…

 そろそろ溜まってたフラストレーションが、爆発寸前だ。

 

「…今日の夜だ…ぬかりはねぇな?」

「「「…」」」

「どうした。俺についてくる気がねぇなら俺の前から姿を消せ。簡単だろうが」

「「「我らが大空の、思いのままに!!」」」

「ふん。カス共が…いくぞ」

「「「御意!」」」

 

 俺様だってこんなこと避けたかった。だが…ボンゴレ内で腐ったあいつらが、このまま居たんじゃあ、ボンゴレにもあいつが安心して過ごせる場所がなくなる。

 

 それだけは…おこしちゃなんねぇ。

なら、いっそのこと俺が壊せばいい。

 

「各自…俺の言った通りに」

「「「御意!!」」」

 

 さて…俺も……爺の処へ行くか。どうせあいつは俺たちの考えや行動を先読みしてやがるだろうが…

 

「どうせ、地下の隠し通路の部屋に待ってやがるんだろ」

 

 何か重大な話があればそこに来いと、言われていた。

 

「やっぱ狸爺だ」

 

 俺様は地下へと誘われるように入っていった。

 

 まさか、リリーが俺たちを止めにくるなんて微塵も思ってなかった。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

~時を少し遡る~

 

 

 

 ザンザスの暴動がおきたのっていつだったかわからなかった。だって暴君に興味なかったしさ。そこの部分原作うろ覚えだから、夜な夜なザンザスの部屋に忍び込んで、あいつの日記をこっそり読んでた。

 

 あいつって字、綺麗なんだよ知ってたみんな? さっすが英才教育うけただけはあるよねー

 

 ああ、あいつってば必要以上の事は書かないから非常に無機質な、まるで書類読んでるような気分だったよ…なんだよあの日記…前世を思い出したよ……(遠い目)

 

 まぁ、それで彼が“19になっても変わらなかったら、俺が変える”って珍しくも自分の言葉で、自分の心で書いてたから。

 ああ、じゃあ19歳の時に暴れるんだなって思った。だから…

 

「チェッカーフェイス…またきたの」

「ああ。二年ぶりだなリリー。あの要件の返事を聞かせてもらおうか?」

「…私が、19になるまで待ってて」

「…なぜだ?」

「ある出来事を…阻止…するまではいかないけど…和らげたいから」

「守るため…か。いいだろう…しかし19はギリギリだ…なんらかの負担が多くかかるかもしれん」

「覚悟はできてる」

「そうか…ならばその条件を飲もう」

 

 そう言って、チェッカーフェイスは私の目の前から消えた。

 ちょくちょく現れる真っ白いおじさんは、本当だったらめったに現れないのに

 

「はぁ~世界の命運を私が背負う…なんてなぁ…しかも今の生活手放さなきゃ…それほどに呪いは強力…かぁ…」

 

 どうか、夜空に…私のお願いを託すことを赦して。

 

「誰もが幸せになりますよーに!」

 

 たとえその中に…私の幸せがなくってもいいから。

 




次回、“リリー”としてヴァリアー内の最後の“あがき”
彼女の覚悟のさらに向こうとは…?
自己犠牲心高すぎな彼女を止める事は可能なのか?
また、チェッカーフェイスとの約束とは?

こうご期待あれ!


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第七話 終わりと…始まり

グァぁアア!アイデアに殺されるぅぅうう!圧迫死するしちゃうよぉおお!!
どうもこんにちは!今回の話はリリーがどれくらい強いか具体的にわかります。
そしてどうしてこうなったんだろうと今でも不思議に思うことが起こった。
うーん…リリーの突飛な行動は今に始まったことじゃないけど…
私までも振り回さないでおくれよ(笑)


使い捨てにされることなんて、前世からずっとだった。

 

 だから気にしない。

 

 今回もきっとそうだって、心のどこかでずっとわかってた事だから。

 

 私にとってどれだけ大切でも

 

 その人にとっては別にそんなんじゃない事なんて

 

 幾らでもあった。

 

 だから、今回の事で『選ばれた』なんて言って

 

 本当は便利な人柱なんだろう?

 ほらね? また…

 

 使い捨てだ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

「慣れてるんだ…私」

 

 そう言いながら現れたリリーを、驚いた顔で見つめるヴァリアー幹部一同。

 

「リリー、君いったいどこから…」

「慣れてるんだよ…生まれる前から」

 

 とてもとても悲しそうな、顔。その顔を見て、マーモンは黙ってしまった。

 

「使われて物のように捨てられる、見放されるなんてのは、本当によく起こった。」

「一体何の話を……」

 

 レヴィがそう言うと、彼女は目にもの止まらぬ速さで彼の目の前に。

 

「…?!」

「レヴィ」

 

 一発。たった、一発のパンチを腹に食らわせただけなのに、彼は床に落ち、そのまま動けなくなった。かろうじて意識はあるものの…もう、立てない。

 

「君はよく…ザンザスや私のサンドバックになってくれたね。なんかゴメン。君こそストレスの発散のはけ口になった人はいなかった。でもだからこそ、ありがとう…」

 

 スッと今度はその場にいた九代目の直々の部隊を目にもの止まらぬ速さで伸した。そのまま流れるような動きで、向かってきたスクアーロをパッと手で剣を横へと流しながら彼の後ろをとり、手動で首筋狙って打った。

 

「グア…」

 

 気絶こそしなかったが、やはり体は動かなくなっていて。

 

「リリー…てめぇ……なんのつもり…」

 

 そう聞くが、彼女は悲しそうに笑うだけで。

 

「スクアーロ」

 

 彼女がスッと通り過ぎながらしゃべる。

 

「本当、君にはお世話かけっぱだったね。私と暴君がアジト内で好きに暴れられたのも、君が影であれやこれや修理とか掃除とかフォローしてくれたからだよ…ありがとね。あんま…背負いこむなよ?」

 

 そして今度は、向かってくるヴァリアーの下っ端たちを手加減だとわかる程度に伸して。彼女がたどり着いた先はルッス―リアで。

 

「ルッス姉…」

「リリーちゃん…」

 

 リリーはスッと歩を進めた。その瞳は悲しみの色一色で。そんな彼女の目を見て、一瞬ルッスが怖気づくが、意を決して口を開いた。

 

「どうしてこんなこと…私たちはあなたのために…」

「誰のためでも、私は止めなきゃいけないんだ」

「そんな顔してまでやる必要性、あるの?」

「…うん。だってさ、もう私には時間がないから」

「え?」

 

 気が付くと、彼女は前にはいなくて。ルッスが探すが見つからず。わずかな気配にハッとして後ろを振り向けば

 

「私は、大好きなあなたたちとはいられないから…せめて罪が重くならないように」

 

 止めなきゃいけない。

 

 そんな言葉が聞こえて、またパッといなくなって、気が付くと彼女の指がルッスの胸辺りにトン…と届いて。

 瞬間、ルッスの身体が動かなくなり、やはり床へと倒れた。

 

「姉のいなかった私にとって、ルッスは姉みたいな存在だった…女心凄くよくわかってくれて、色々相談にのるって言ってくれた時うれしかった。ただ素直になれなかった事だけ、後悔してるよ…いい姉でいてくれてありがとう…これからも、あの暴れん坊たちをよろしくね…」

 

 今度はマーモンが立ちふさがる。

 

「マーモン」

「…っ食らえ!」

 

 幻術を巧みに使い、リリーを気絶、もしくは捕獲しようとしたが…

 

「お金にがめつい強欲なアルコだってみんな言ってるけど…私はそれもあなたの個性だって思ったよ。」

 

 彼女はするりと幻術を無効化した。その手は銀色の炎が宿っていて。

 

「自分の欲や夢に忠実で真っ直ぐで、素直な君がちょっぴり羨ましかった…」

「リリー! 僕は…!!」

 

 トン……そんな音が聞こえて、気づけばマーモンも身体が動かない。リリーはマーモンを腕に抱えて地面との衝突を避けた。

 

「私には…できない生き方だったからさ…でもだからこそ、私はマーモンのそんな部分に惹かれたんだ。」

 

 そっと壁側にマーモンを置く。

 

「いっしょのショッピング…楽しかったよ。九代目を無料で欺いて連れ出してくれてありがとう…マーモンの事、勝手に妹か弟って思ってたんだよ。知ってたかな…? 勝手でゴメンね…でも、楽しかった…本当にありがとう」

 

 そして、彼女が見据える先にはベル。ナイフを宙に浮かせている。

 

「ボスの処へはいかせねぇ」

「…ベル」

 

 飛んでくるナイフを、彼女は踊るように避けていく。彼女の戦闘力はリボーンも舌を巻くほど。ヴァリアーのだれも…敵わないのか? ベルがそう思いながら戦う。と、突然…ナイフが返ってこなくなった。

 

「なっ?!」

 

 よく見てみれば、リリーの手にナイフが。バカな…あれは鋼製のかろうじて見えない程度の糸でつないでるはず…

 

「まっすぐな君は、非道なハズなのに心は正直で。時々ガキだって忘れるくらい頑張ってくれて。突き進んでいくから…とても輝いてた。そこ、ひん曲げちゃダメだからね?」

 

 スッと彼女が横切っただけなのに、何をされたのかもわからずベルも床に転がった。

 

「好いてくれて、ありがとう…キミのお姫様にはなれないけど……キミなら素敵な人がすぐ見つかるから」

 

バイバイみんな。今までありがとう……

 

 

 リリーはそのままザンザスがいるであろう地下へと歩いていった。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

ザンザスは九代目と一騎打ちしていた。

 

「ちぃ! やはりボンゴレのドンだけはあるな! なかなか倒れちゃくれねぇか!!」

「ザンザス…お前の気持ちはよくわかった…だが、リリー一人だけのためにここまでするお前を…許すわけにはいかないんじゃ」

「うるせぇよカス爺…」

 

 憤怒の炎を放ち、同時に拳銃の弾を放つ。九代目は死ぬ気の炎で強化した杖で炎を弾くと、弾をよけるために死ぬ気のバリアーを体にはった。

 その瞬時に九代目の後ろへ周りこみ、背中を蹴って飛ばすザンザス。地面に転げた九代目だったがすぐに立て直した。

 

「あいつが幸せじゃねぇ場所なんて、存在する価値もねぇ」

 

「変えればいい…そう一時期思い直してくれたんじゃなかったのか?!」

「思った!! 思って色々やった! だがな!!」

 

 両手に炎を灯らせ、それを合体。そのまま柱を巻き込み柱を九代目へとぶつける瞬時に膨れ上がった炎も九代目へと。

 

「ラチがなかった!! 腐りきってやがるこんな場所…俺が…っ!」

「そうか…」

 

 九代目は一層悲しい顔をした。そして…杖をかざし、不適正な炎の輝きをしはじめ…

 

「ならば、せめてその時がくるまで“眠って”いてくれ…」

「?!」

 

 パキパキ…そんな音が聞こえた。何度も見たことがあった九代目の零地点突破。しかし、今回は本気のようで、足が凍っただけなのに心までも凍ったような感覚がして。このままだとヤバい。そう思った直後。

 

「親子ゲンカはそのくらいにしようなー」

 

 

 間の抜けたかのような、やる気のない声が響いた。

 

「お前は?!」

「何故…きみがここに…?」

 

 漆黒の波たつ長い髪をなびかせて。ニコリ笑いながら…しかしどことなく儚く感じる雰囲気を纏って現れたのは…リリーだった。

 

「まったくもー。二人とも不器用すぎでしょ」

「なにしにきやがった?!」

「ちょっとね…」

 

 スッと九代目に視線を向けて、邪魔はしないようにお願いした。

 

「リリー…その覚悟は一体……」

「おじさま、話はあとで…」

 

 そしてスッとザンザスへ笑顔を向けた。

 

「ザンザス…キミといた時間こそ惨めでバカらしくてアホくさかった事はなかった」

「…」

 

 スッと彼女はザンザスを抱きしめた。

 

「?!」

「五万と選べる女の中で、一体どうして私に好意を寄せたのか未だに謎だし、正直あんたといて良い事なんてほとんどなかった」

「リリー?!」

 

 ピキピキ…と彼女の力で凍らせられていくザンザス。

 

「暴君だし、いじっぱりだし独占欲強いし口悪いし手もすぐ出すし頑固だし顔怖いし怒りっぽいし我が儘だしすぐ炎だしてくるし」

「てめぇ…! なんでこんな!!」

「でも時々」

「?!」

 

 寂しそうな、微笑する彼女の顔。悲しそうな、今にも泣きだしてしまうような顔。

 

「私が女だって思い出させてくれた。弱い一人の人間なんだって思い出させてくれた…だから思い上がったりしなかった…」

 

 興味がなかったのに、だんだん惹かれていった。それと同時に怖くなって…こんなに幸福でいいのか。いつか壊れた時、私も壊れるんじゃないかってずっと怖かった。それでも傍にいてくれた。

 

 だから私は“私”でいられた。

 

「バカが…壊れたら直しゃいーだけだろうが…」

「そうだね…そう、できればいいね……」

 

 彼女の瞳には涙が浮かんでいて。顔がすぐそばにある。彼女がすぐ近くにいるのに…何故かとても遠い。

 

「生きる事に興味を失くした私を蘇らせたのは、ザンザスと…ヴァリアーのみんなだった」

 

 

 ずりぃ。ザンザスはポツリと呟いた。

 

「なん、で…こんな時しかてめぇは…本音を言わねぇんだ…」

「ごめんね…弱虫で臆病で…そんな私をあんたたちが包んで受け入れてくれたからこそ、私は全部をしょって呪いを受ける覚悟ができた」

「…なんの、はなし…」

 

 クスリ。そう静かにリリーは笑って。

 

「そうだな…お前とケンカしたり、いがみ合いしたり、競争したりするのは結構楽しかったよ」

 

 ザンザスを凍らせながらリリーは言う。

 

「本気の殴り合いや、本気の意見をぶつけられたのは、あんただけだったからさ。」

 

 彼女は世間を渡るのがとても上手だった。愛想よくもできた。しかし…ヴァリアーのみんなにはそんな感じは微塵もしなかった。とくにザンザスには容赦なかった。と、いうことは…

 

「だから…今日が私の本当の気持ちを伝える最後の日だ」

「何を言って…」

 

 そっとザンザスの頭を撫でる

 

 酷く…優しかった。

 

「ココの皆と一緒にいる時間は結構楽しかったよ…そして、ザンザス…私はおまえのこと、結構」

 

 スッと彼の耳元へ唇を寄せた。

 

「嫌いじゃなかったよ」

「待て! どこへ行くつもりだお前?!」

「少なくとも…あんたらの前には二度と姿を現さないつもりではいる」

「待て! ちくしょうが!! 爺に何か言われたのか?!」

 

 凍らされていて身動きが取れない。もうすぐ、身体全体が凍って、ザンザスは眠りにつく。そんな彼をそっと見つめて笑うリリー

 

「九代目は…何も知らない」

 

 達者でな。

 

「どこへいくつもりなんだてめぇ! 赦さねぇぞ! 俺から離れるなんぞぜってぇ…っ!!」

「私は…消えるんだ」

「「?!」」

 

 夜空に浮かぶ月のように…

 

「いつか言っただろ? 願いがかなった月の姫は……夜空に溶けて消えるんだ」

 

 カキン!

 完全にザンザスが凍った。

 

「なにも、君の力を使わずとも……」

「ダメだよおじさま。あんたの氷はザンザスの身体に大きな傷をつくっちゃう。私のは生粋のだから、ダメージ少ないんだ」

「…ザンザスを愛する者に…こんなことをさせたくなかった…こんな無力な私を…赦してくれ…」

 

 膝から崩れ落ちる九代目へ歩み寄り、リリーは背中をバシッと叩く

 

「あいだ?!」

「しっかりしてよね狸爺!」

「た、たぬき…」

「これから、色々おこるんだ…そりゃあもう、色々。その色々が起きる前からあんたがこんなんでどうすんの! それでもボンゴレのドンですか?!」

 

 まったくもう…言いながらリリーは溜息。九代目は苦笑し、そうだね…と言った。

 

「ところで、君はどうして今世の別れのようにあんな…」

「本当にそうなるかもしれないから」

「…」

「九代目、今までお世話になりました…あなたたちからもらった暖かい思い出とともに、リリーは…生きていきます…」

 

 お辞儀をしたとき、九代目の手が彼女の頭を撫でた。

 

「いつでも、帰ってきていいからね。待っているよ」

 

 どんな姿になっていようとも、何者になろうとも。

 

「私たちは家族なのだから」

「…っ!」

 

 ポロリ。

 

 リリーの瞳から一筋涙がこぼれた。彼女はサッと吹いて…そしてニッコリ笑った。

 

「ありがとうおじさま…」

 

 そして立ち上がった。

 

「バイバイ…」

 

 ニッコリと笑った。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

彼女のポッケには…すでに光り輝き始めたおしゃぶりがあった。

 

 だから

 

 彼女は銀色の炎を出して…そこからテレポートした……

 

「いってしまったか……」

 

 一人残された九代目は、凍らされたザンザスを見て、そっと氷に手を置きながら。

 

「だが、私は感じるんだザンザス」

 

 彼女と、お前が再び出会える日はそんなに遠くはない…と。

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

「…う…くぅうう…」

 

 身体、痛い……まるで作り替えられていくようで…

 

 怖い

 

「ううっ」

 

 怖いよ…

 

「…おしゃぶりを、身に着ければ…儀式はお終いだ」

 

 目の前にはチェッカーフェイスが…

 

「あまりに…痛くて…ああう…手が上手く…うごいてくれな」

「そうか」

 

 チェッカーフェイスはそう言って、私のポッケからおしゃぶりを取り出して、そして首にかけた。途端に光は増幅して…

 

 急に、フッと体が軽くなった。痛みもなくなった。ああ、視界が低い…そうか私はもう……

 

「今日から、お前はアルコバレーノたちとは少し異なる存在…ルーナと呼ばれる赤ん坊となった…詳細は…後から少しづつ説明しよう」

 

 たてるか? と聞かれて。立てる立てると言えば彼は溜息をついた。

 

「今のお前はアルコバレーノと対する存在のルーナだ。もとの名前を隠したほうが、お前や、お前を慕うもの達のためになる」

「ああ、それなら大丈夫…前世で置いてきた名前…あれを使うから」

「……前世か…やはりお前は…どうりで魂がソレに耐えられるほどの頑丈さなわけか…」

 

 さて。これから私はどこへいこうか…そう思って、ふっと考え付いたことがある

 

「ねぇ、チェッカーフェイス」

「なんだ」

「あなたには他のアルコたちがどこにいるのか分かっているんでしょう?」

「ああ」

「じゃあ、しばらくそのうちの一人に匿ってもらうから…場所を教えて」

 

 彼は苦笑した

 

「お前からすべてを奪ってしまったんだ…それくらい、お安い御用さ」

 

 で? 誰のところへいきたい? そう聞かれて私は少し考えた。

 

 今まで私の事を知らなさそうで、お節介焼きで、見捨てなさそうで優しそうで、それでいて私に過去を聞かなさそうで、日本からもイタリアからも遠く離れてそうな場所にいるアルコといったらあの人しかいないって!

「嵐のアルコバレーノの居場所を教えて」

 




更新が遅れがちで申し訳ないです(´・ω・`)
今月と来月、色々イベントあって、あんまし書ける時間が見つからないっす 
書けたら即、投稿しますんで!


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第八話 目覚めが悪いんだよね

六か月の時を経て、帰ってまいりました『ザン嫁』!!今回はリリーがなんと熱を出して?!川平おじさんお父さんポジ獲得か?!そしてとうとう凍らされた“あいつ”が…?
前途多難な予感しかしねぇ…(´∀`*)ウフフ

これから先の話が…アイデアがふってくるぅ~ふってくるぅ~♪
これからも、温かい目で見守ってくだせぇw


それは…唐突に起きたのです。気が付いたらその人は私の住む山奥の小屋のような家のドアを叩いていました。

 

随分と前から気配はしてたのですが…中々ノックはしてくれないし、かといって殺気もしないので敵でもないとわかってました。しかし見知らぬ誰かにやすやすと扉を開くほど不用心でもないので、結局ドアをたたいてくれるまで待っていました。

 

それでやっと叩く音がして、ドアを開いてどんなお客かなと、思いながら見てみたんです。そうしたら、そこには白い髪をした、丸いメガネをかけた男の人が…私たちくらいの赤ん坊を両手に抱き、焦った様子で助けを求めてきたのでした。

 

「お願いだ…っ! この子を助けてくれ…っ!」

 

見れば、赤ん坊は女子で。熱が酷く脱水症状をおこしかけていました。

 

「お入りになってください」

 

色々と聞きたいことはあったのですが…その前にこの状況を…この子を救わなければと様子を見て、少しの漢方知識もあるので、早速薬を作り始めました。

 

様子からして高熱、怠さ、吐き気もあり、しかし心拍数はかなり弱く息は荒い。ならばあれだと、手を止めず作業を続けました。

 

作業を続ける中、疑問に思ったことを聞くことにして、そのままジッとしている彼へ疑問を投げかけました。

 

「この子、アルコバレーノ…ですか?」

「…」

「首にかけているのは銀色ですが、私たちと同等かあるいは…それ以上の力を秘めたおしゃぶりですよね?」

「…」

 

それでも一向になにも話さない彼を、手を止めて真っ直ぐ見つめる。

 

「…あまり、人の事情や過去を聞く主義はないのですが…これはキチンと聞くべきだと判断しました。」

 

だから…もしこのままなにも話さない気なのなら…家を追い出す覚悟で彼をジッと見つめ続けます。

 

すると、観念したとでもいうように、彼が溜息がてら苦笑いをしました。

 

「やれやれ…“なにも聞かなさそう”か…あてが外れたようだぞ?」

 

リリー。そう言って彼は苦笑しながら愛おしそうに、汗ばんだ彼女のおでこを撫でた。

 

「…そうだな、何から話そうか」

「まず、あなたがどうして同席…いえ、なぜその子と行動しているのか聞かせてもらいたいのです」

「なぜ、私のほうに興味を?」

「それはそうでしょう。私たちをこんな姿にした張本人なのですから」

「「?!」」

 

そっと、出来上がった漢方薬をお茶に混ぜて彼女の元へ。

 

「クスリをお茶に溶かして飲みやすくしました。冷めるまで待っててくださいね」

「……は…ぃ…」

 

彼女は苦し気に、しかしなんとか声を振り絞ってこたえてくださいました。

 

「お前…何者だ?」

 

怪訝な顔をしながら、目の前の眼鏡をかけたかたが警戒を強めて、様子を伺うようにそう尋ねてきました。

 

私は彼の方へ振り向き、それと同時に薬を入れた少し冷めたお茶を彼女へ飲ませようとカップを彼女の小さな手へ握らせました。

 

「私は正真正銘のアルコバレーノ、風です。」

「だが…」

「“逆行した”…が頭につきますが」

 

 

「がほぉおっ!! ゲホゴホ!」

 

 

いきなりチェッカーフェイスではなく彼女が勢いよくせき込んだので、慌てて背中をさすりました。

 

「どうかしましたか?お茶、苦すぎたでしょうか。それとも」

「いえ、あの…む、咽ただけ…」

「そうなんですか?でも、大丈夫ですか?焦らずゆっくり飲んでくださいね?」

「は…はい…」

 

どこか困ったような苦笑をしながら、彼女は少しづつお茶を飲んでいきます。その間、黙っていたチェッカーフェイスが、フム…と一言呟きました。

 

「…そうか。それがお前と会った時に感じた違和感の正体か……」

 

やはり、すでに何か感じていたんですね。だから警戒して、病人がいるのにノックをするのを躊躇った。

 

「さぁ、答えてくださいチェッカーフェイス。この世界には存在しえないハズの、この可憐なお嬢さんは…? この銀の、月の模様が入ったおしゃぶりはなんなんですか?前の世界には存在しなかったハズです」

 

彼の目を見つめ、彼もまたジッと静かに見つめ返し、共に動けずに相手の出方を伺っていました。なにせ相手はあのチェッカーフェイス…私が敵うはずのない相手。しかし相手もまた、めったな動きをしない。するハズがない。

 

何故なら、私が“転生”したから。唯一、彼の知らない“未来の情報”を私は知っているのだから。彼ほどの男ならそれくらい感じ取ることは造作ないハズです。

 

だから動けずにいる。

 

さて。これからどうしたものかと考えを巡らせていると、リリーと先ほど呼ばれた彼女がお茶を飲み終えて、まだ熱っぽい頭でフラフラしながら、しかし呆れたように溜息をしました。

 

「あんたら二人、何時までそうやってるつもり?」

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

やぁやぁみんな。私だよ。リリーだぜ☆

 

 

いやー、びっくりしたね。したついでに、お茶を咽るという事をこの二人の前でやっちまったね!盛大に吹いたあと、咽たね!!

くっそー…まさかこの風が逆行してたなんて誰が予想するってーんだよええ??まったくどこまで私を驚かせやがるんだ神様(jijii)の野郎ぉ(巻き舌)

 

 

「まず、自己紹介。私は…あー…明心って呼んでください風さん。理不尽なこの真っ白いおっさんに巻き込まれて、月の姫だかなんだか言う、アルコたちの対の存在…ルーナと呼ばれるものになってしまったっていうのが、そこのアホのおっさんが言ってましたそこのアホのおっさんが」

「おいリリー。アホのおっさんを強調するな。そして二度も言わないでくれ」

 

だからあんたは何で私の実名隠す気ないワケ?

しかたがなかったのだから、そう責め立ててくれるな。って、言いますけどねチェッカー、実際あんたがしたことはただの不幸ばら撒く行為だからね?

 

「私は明心ですーリリーなんて知りませんー」

 

そう言って不貞腐れていたら

 

「フフッ」

「風さん笑わないでくださいます?」

「すみません。つい」

 

つい。て。

 

くすくす笑いながら私と川さんを見て、コホンと軽く咳をしながら、さて、と言いつつ話を戻す風さん。

 

「それで、どうして私の所へ?」

「はい、それなんですがね風さん。じつはカクカクしかじかってわけなんですよ」

 

え?そんなフザケタ古風なネタで説明しなくてもいいだろって?

 

何を言いますか。古風だからこそ面しrゲフン。古いのにまだ使われてるってことはそれだけ良いって事じゃん?だからまだ皆に使われてるってことじゃんじゃん??

けっして文字数増やすのが面倒だったからじゃないぜ。けっして。

 

「…リボーンよりも信頼されてるというのは流石にウソでしょう?」

「あー…いや、信頼してますぜ?ただ」

「ただ?」

 

私はサッと地面に頭をこすりつけるように土下座に近い恰好でスッと両手の三本指を前に出し、そして丁寧にお辞儀しながら言った

 

「風さん、どうか私を貴方の弟子にしてください」

「…」

「…」

「あれ。どうして二人とも固まっちゃってんの?」

 

どうも空気が固まってんなーって思いながら頭を上げたら、チェッカーフェイスってか川平のおじさんと風さんが固まってた。え、なんで?

 

「い、今の状況わかっててやってるんだったらタチ悪いよ…?」

「え?川さん何言ってんの?」

「川さんて…というより、わかってなかったか…」

 

え、なんでため息つかれるのかわからんけど?てかなんで風さんも頭を抱えながら溜息つくの?

 

「いえ、あの…そのですね…今のやり方だと、ちょっと日本式の“お嫁さんにしてください”って求婚されてるようなものでしたので、少し固まってしまったんですが」

「え?そんなつもりはまったくこれっぽっちもありませんよ?」

「で、ですよねー…」

「ただ、動揺させようとはしましたが」

「作戦の内?!」

「ウソウソ☆そんなつもりはまったくなかったんですって~」

 

アハハと笑えば、風さんが頬を染めた。あらヤダ可愛い

 

「と、年上をからかわないでください…」

 

いや~そんな感じでそう言われたらますます意地悪したくなるじゃないですか~ウフフ。

意外と風さんって可愛いなおい(真顔)

 

そこで、チェッカーってか川さんが、溜息をつきながら説明を詳しくしてくれることになりました。そして今は、それも終わってお茶を飲んでいる最中です。

 

「しかし、りr…ではなく、明心がアルコの一人のお前の所へ行きたいと言ってくれて本当に助かったよ。」

 

おいコラ今リリーって言いそうにならなかったか川さんよ

 

「え、なんで?」

 

つーかまたいきなり、この人はこんなことを言う。言われたら聞きたくなるのが人間のサガだってアンタ知っててやってんね?んん?

 

「ルナ―は月だからね。アルコ達から離れて生活できないんだ。あまり離れてしまうと、徐々に体が弱っていく。君がここに来るまでに倒れてしまったのもそのためだ」

「はぁ?!それ聞いてないんですが?!」

「あれ。言ってなかったっけ?」

 

まったくこれっぽっちも聞いてませんよ?!聞いてたらこんな辺鄙なトコまで誰が来たがるかコノヤロウ!!

 

「なるほど…アルコバレーノ達をサポート、守るルナ―は、我々から離れられない…と」

「ああ。月が太陽の光で輝くのと同じで、ルナ―はお前たちの反射する力とでも言えばいいのか…そんなので体力、炎…モロモロを補うんだ。今までは相性のいい晴れのアルコバレーノと一緒に居たおかげで、ルナ―になった数日間、アルコの元を離れても平気だったが…」

「リボーンですね。なるほど。彼の元を離れなければいけなかった“何か”が起こって、私の元にきたと」

 

風さんはニッコリ笑って、頭を撫でてきました。やっば。彼は彼でめちゃくちゃハート射抜かれそうだヤバいッ!

 

「弟子はどうかと思います。あなたはもう、リボーンの生徒でしたし」

「でも、私は…ッ!」

 

これから起きる色々に立ち向かうためには、もっと強くならなくちゃ…!

慌てるような私を見抜いてか、風さんは優しく笑いかけて

 

「ですが、あなたには守らなければならない“何か”があるようですね」

 

スッと、未だ床に正座していた私を紳士的に立ち上がらせて、瞳の奥を見つめて、ニッコリと素敵な感じに微笑んでくれた

 

「いいでしょう。あなたを弟子と認めましょう」

 

(仮)がつきますが、いいですね?と言われて、yes!と私は答えましたよ。え?なんでだって?どうやら風さんにはバレてたみたいなんだよね。

 

私が、強くはなりたいけど“師弟関係”という掟やしがらみに、束縛されたくないという思考にさ。

 

さすがは、師匠だね!!

という事で、風さんが師匠になりました!!

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

それは───

 

 

“ピキッ”

 

なにがキッカケだったのだろうか───

 

 

“パキキッ”

 

奇跡とも、不自然とも、事故ともとれる不可解な出来事が

 

 

“パキーーーン!!”

 

起こっていた───

 

 

「……」

 

 

閉ざされた瞼が、ゆっくりと開かれていく。

 

その下に隠されていたのは、真っ赤な、燃えるルビーのような鮮やかな赤色──

 

周りに飛び散ったのは、“彼”を封じ込めていた“死ぬ気の氷”

 

「……」

 

ふいに、彼はフラリと立ち上がった。しかし、しばらく凍っていたためなのか、身体を急に動かしたために、彼はバランスを崩して地面にまた倒れてしまった。そんな彼を優しく支えてくれる“存在”がふと、残像のように彼の脳裏に浮かぶ。

 

 

───まったく、暴君は

 

 

そんな優しそうな、飽きれたような声が聞こえてきそうだった。

 

 

───しょうがないなぁ。

 

 

そう言いつつも、その存在は彼を暖かく支えて、背中を前へ押す。いつもそうだった。彼が曲がりそうになった時にいつも、優しくはなかったが強引にグイッと腕を引っ張って、道しるべをしてくれていた

 

 

───あんたは盲目にでもなったんじゃねぇし、見えるだろうが

 

 

そう言いながら拳骨一発頭にぶちかまし、ほらみろ。あっちだ。そう強くきつく、しかし優しく笑う

 

 

そんな“存在”の、残像を見た気が、感じた気がした───

 

 

「…ッ」

 

 

唇や舌さえ凍っていたために上手く言葉が出てこない。

 

寒さで震える両手でなんとかその場に片膝をつけて少しだけ地面から起き上がれた。

 

吐く息は白く、その手や頬はまるで血が通っていないように冷たい。身体が動かしにくいらしい男はイラ立ちを隠しもせずにその場に暴発させた。

 

 

口を無理にこじ開けて舌を無理やり動かしながら、右手に溜めた眩く力強い炎を、何のためらいもなく地面へとぶつける。

 

 

「クソがぁぁぁああああああ!!!!!!」

 

 

その凄まじい爆発音で、ボンゴレ内で緊張感と警戒が高まる。ドタドタとあっちへこっちへ部下たちが走り回り、事態は危険度S級。

 

 

「やれやれ…」

 

 

皆が慌てて問題を解決しようと追及する中、九代目だけが落ち着いていて。溜息を吐きながら苦笑した。

 

 

「もう少し静かに起きれんのかアイツは…」

 

 

そして、静かに机の中に隠してあったボタンを押す。

 

“とある合図”がヴァリアーへとコッソリ送られていった。

 

 

「さて、と」

 

 

コレから来るであろう色んな頭が痛くなるような出来事に、それを知らせる超直感によって、起きる前から頭が痛い九代目は、溜息を吐くしかできなかった。

 

 

「この勘が外れたことは今までにあまりないが」

 

 

どうか今回ばかりは外れてくれ…

 

 

惜しくも、その願いは脆く崩れ去る事になるが。

 

 

一方、そのころヴァリアーでは、数年前に決められたヴァリアーと九代目だけの秘密の“合図”をもらい受けた彼らが、ものの数秒で支度をし、ある秘密通路を通って、誰よりも先に目的地へとたどり着いた頃。

 

 

何者かの手によって衝撃を加えられたために、ひん曲がってしまった鉄製の扉をぶっ壊し、中へと入る。そこでメンバーが目にしたものは

 

 

「ぼ、す…?」

 

 

あの頃とまったく変わらない姿で

 

 

「ボス…!」

 

 

前よりも怒りに燃えるような、しかし信念は見失ってない真っ直ぐな赤い目をした男が

 

 

「ボスぅ!」

 

 

顔に少しだけのアザのようなものを、惜しみもせず晒しながら

 

 

「カスボスがぁ…!」

 

 

背筋を伸ばし、辛いであろう状況下の中、吐く息は白いが震えもせずに

 

 

「起きるのに何年かかってやがんだぁあああ!!」

 

 

ワッと抱き着く勢いで襲い掛かってきた部下たちを殴り倒し

 

赤い瞳でギロリ睨む男が

 

 

「ぎゃぁぎゃぁとウルセェ」

 

 

そこに居た。

 

 

「俺の勝手だ。カス共が」



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第九話 動き出すモノたち

皆様お久です。元気にしていますか?
今回のお話は前半怪しい奴ら、リリーと川さんの視点。そして後半はツナくんとあの人が出てきます☆
いやぁ…まいったね。最近は全くと言っていいほどツナ逆行が書けなくなってしまってまいりました(;´∀`)
なので、こっちを書き進めていたら完成ってね☆




風が吹いている。まるで春の知らせのように。

しかし、ここに居る人物たちは、そんな春とは程遠い者たちばかりだ。

荒野を見つめながら窓を開けはなし、フゥと溜息をつく者一人。

その一人を物静かに見つめ返すもう一人。

 

「なるほどねぇ…」

 

そこに佇むのは、一人の女性と男性。薄暗い場所で、少しの明かりだけが頼り。

 

「どうする…?このままでは計画に支障をきたすぞ」

「そうねぇ…」

 

彼らはお互いに知りうる情報を交換していた。

 

「そもそも、どうしてザンザスが16歳の時にクーデター起こさなかったのかが、引っかかってるのよ」

 

コバルトブルーの瞳を持つ、ピンクの長い髪を風に好きにさせながら、邪悪に笑う彼女が情報を得て溜息をつきながら困った顔をしている。一方のほうで男性は溜息を吐きながら面倒くさそうにつぶやく

 

「ああ…煽ったついでに九代目の日記をワザと見つけやすいようにしたのにな」

 

男性の髪は灰色で、少し長い髪の先っぽは黒色がまばらにちりばめられている。目が怖いくらい綺麗な黒で、その色はまるで黒曜石だ。

 

「何か…原作と違う何かが邪魔をしているわ。原作の知識を生かして事を良い方へと導こうとしている何者かが居る」

 

彼女は嫌な顔をした

 

「やっかいだな…そいつはザンザスをも止められる力の持ち主だという事になる。それなりの“原作の知識”も持ち合わせている事もありえるが、それだけではなく、何か別の“加護”が付いているか、それか…何者かに成り代わっているかもしれない」

 

そうね…でなければここまで都合よく辻褄合うわけがないわ。と彼女が難しい顔をしながら困ったように呟く。

 

「このままじゃ、私たちの“ユートピア計画”が台無しになる」

「それだけは阻止しなければいけないな」

 

まぁ、どちらにせよ

 

「ザンザスとその一行、そして九代目とその守護者たちは…消さねばな」

「その前に、成すべき事を為さなければいけないわね?」

 

真っ黒い瞳が怪しげに光った。その眼を見ながらフフフと怪しげに嗤う彼女も又、そのコバルトブルーの瞳を怪しげに光らせて

 

「すべては“私たち”の“ユートピア”のために」

 

くるりと足を返し、その後ろに控えている五万以上あるのではないかと思われる人達を見て

 

「さぁ、始動しましょうか!」

 

バッと両手を上げて声高らかに彼女は宣戦布告する。スポットライトなどこの場には、いらない。彼女と彼がいるだけで、その場の人達は釘付けになる。

 

「私たちの“復讐劇”を開幕するときが来た!」

 

ひと声で一斉にその場はウオォォオオオ!という、怒涛の幾つもの声が遠吠えのように響く。それを女の隣にいた男が手を挙げて制してから、今度は彼が声高らかに言葉を発した。

 

「俺たちのかつての夢や希望を奪ったあいつらに、降伏と復讐を!痛みと悲しみを!!絶対服従を!!!」

 

またも場は、熱気あふれる声が響く

 

「我々の“理想郷(ユートピア)”を今度こそ作り出し」

「ボンゴレおよび、世界を我らが物に!!」

 

その言葉で締めくくされた会議は幕を閉じたらしく、勢いのまま計画を遂行するために、アジトを出てすぐ彼らは計画を実行し始めた。

各自その瞳に怒りや復讐の念をランランと滾らせて、各々武器を手にその場を去っていく

 

「まったく…黙して変化を見逃さずにしておいて正解だったわね…」

 

彼らを見送りながら、その二人は呆れにも似た微笑をしていた

 

「ああ…かなり序盤で狂わされたが…おかげで十分な武力と勢力、資金も溜める事が出来たのだから、これも良しとしようか」

 

そうして、コバルトブルーの瞳の彼女はあくどく笑うのだ

 

「さぁ…どう出るのかしらね、世界の改変者(ヒーロー)さん?」

「見ものだな…」

 

その隣に佇む、悪の相棒と共に。

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

「ベェッキシ!!」

「コラコラ。なんて言うクシャミをしているんだ。一応リリーはレディだろう?」

「うっさい川さん。私に“普通の女の子”を求めるんじゃねぇ。あと本名!」

「あはは。すまんねすまんね~」

「わざとらしい…」

 

ズズズと鼻水を拭き、修行でボロボロになったリリーは仰向けになりながら空を見ていた。ああーいい天気だなぁ…などと呑気にあくびをしていたら、クシャミをしてしまったのだった。

 

しかし寒気もなければ熱もない。風邪にしては妙だなと思い立って、リリーはよいしょっと。と声を上げながら立ち上がった。

 

「川さん、たしか他のアルコ達に何か異変が起こったら、ルナーである私って」

「感じ取れるようになっているよ。普通ではない、有ってはいけなかった事柄があるたびに君になんらかの予兆が現れる」

 

それを聞いてリリーは再び溜息を零した。そして次の瞬間

 

「ていっ」

「グフゥ?!」

 

おもっくそheavyな拳を川さんの腹部へ食らわせたのだった。

 

「何を…して…」

「うん。昨日説明されて腹立ってたけど再度確認したらまた腹が立ったので攻撃しました」

「あのねぇ…全部必要な能力なのよ?」

「あーハイハイ。」

「世界の均衡を守るための能力を私が君に授けたというに」

 

リリーは更に力なく返事を返した

 

「アーハイハイ(棒)」

「なんなのよ、そのやる気ない生返事?」

「違うよ川さん。これは『どーでもいい』っていう返事だよ☆」(・∀<)⌒☆バチコーン

「なるほど無駄に良い笑顔なのがムカつくね!」

 

実際、リリーにとって“世界”なんていうものはどうでも良かった。理由はしごく簡単。他のなにより面倒くさいからだ。

 

「別に“世界”なんてデカイ規模の話はさぁ…ホントどうでもいいんだよね私。」

 

そんな不確かなもののためにルナーになったわけではない。

 

「私を私として“受け入れてくれた家族”を守るために、ルナーになったんだ」

 

それ以上もそれ以下もない。ただただ“それだけ”だ

 

「だけど、もし私の“ファミリー”に危険が近づいているんだったら」

 

パシン!と拳を自分の掌に放ちつつ、ニヤリと笑う

 

「敵味方(ソイツ)ぶっ飛ばぁす!」

「敵味方関係なし?!」

「ミーの大切なものを脅かすんっスよ?万死に値するじゃあないですか」

「極端!極端だよ君!」

「いやぁ、それほどでもぉ」

「照れないで?!褒めてないからね?!」

 

そんなリリーの独特な空気に流されつつも、川さんは溜息一つをし、真剣に真っ直ぐとリリーを見つめる

 

「君は何かを感じ取ったんだね?」

「…」

 

リリーの嫌そうな顔を見て、図星かと少し苦笑する川さん

 

「場所は日本辺りかな?」

「まぁ、そんな感じではあるね…なんか、こう…大変なことが起こっているような気がするんだよ」

「さしずめボンゴレリングの継承式で何かが起こっているんだろうねぇ」

「川さんってさ、そこまでわかるチートな癖して黙認してたんだね」

「まぁね♪」

「いい性格しとるわーこのおっさん」

「まぁn…って、最後のおっさんが余計だぞ~」

 

以外にノリノリで答える川さんにリリーはすかさずチョップを繰り出した

 

「楽しそうにしない」

「アイテっ!」

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

 

こんにちは皆さん。いかがお過ごしですか?沢田綱吉です。

 

只今オレは絶賛迷子中です。

 

「ここ、どこ…?」

 

それもなにも、家庭教師のリボーンが急にオレとオレの知り合いを集めてキャンプをしようと集まった並盛山の中、急に開催された鬼ごっこで何故かリボーンが混じって参加しちゃって、次々鬼役が増えていったから。

 

俺はどことなくコッチかな?あっちかなって勘が当たってなんとか免れたんだけど、鬼になった他の皆が一斉に迫ってくる気迫が怖くってしかたなくって、一心不乱に森の中を駆け巡ってたら、いつの間にか迷子になってたって言う…

 

わかってる!走り回ったオレが悪いってわかってる!でも70%くらいはリボーンのせいだから!それにさ…怖かったんだからしょうがないだろぉもうやだぁ!辺りはすっかり日が落ちて真っ暗で…

 

「リボーン…山本…ごくでらくん…」

 

まだこの山の中で、俺を探してくれてるかな…もしかしたらもう、帰っちゃってるかもしれない。そんな事を考えながらそれでも皆の名前を呼ぶ。

 

「み、みんなー!オレはここだよー!!」

 

もう、リボーンがネッチョリお仕置きしてもいい。いっそのこと捕まってしまえばいいんだ。こんな森の中、一人でいるよりは何倍もマシだ!

 

「リボーン!山本―!獄寺くーん!」

 

でもやっぱり誰の返事もない。それにさっきから何かザワザワ語りかけてくるような感覚がする。なんだろう。嫌な感じじゃないんだけど、なんか嫌だなぁ。

 

ちょくちょくオレの勘は当たっちゃうからなぁ…

 

でもこんな森の中一人、当てもなく彷徨うよりはマシだから、オレの直感を頼りに足を動かす。

 

「…あれ、あれって人?」

 

数分歩くと、前に川が見えてきて。焚火があったし、その傍に焼き魚もあった。だとすれば近くに人がいるハズなんだけどって探したらいた。

 

(ヒィ~~!なにあの怖い顔の人?!顔に傷あるし…もしかしてヤクザ?!)

 

まさに『自分は悪です』とでもいうかのような顔をする人が、ドッカリと丸太で作られた何故だか上品な豪華なイスに座っていた。

 

(銀髪のロン毛の人もいる…ていうか声すっご…ここまで聞こえてくるよ…)

 

獄寺くんと似たような銀髪を持つ、でも長髪な男の人もなんだか怖い人っぽそうで。

 

(ほかにも人、いるのかな…?)

 

いそうだけど、どうしよう…あんな怖そうな人たちに近寄れないし…なんだか苦手そうなタイプの人たちだし…それに怖いし。

 

(立ち去ったほうがいいよね…?)

 

そっと、後退していったオレの背中にトン…と何かがぶつかった感触がして。慌てて振り返ったら人っぽくって。でもなんか、なんか…

 

「あらぁ~?坊やこんな時間にこんな場所でなにをしてるのかしらぁ?」

「ヒィ!」

 

なんかもっとヤバいのが出てきたぁあ!!

 

「あ、ちょっと!逃げないでよ!」

「ヒィィィィ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

とりあえず謝っておく。怖い怖い怖すぎるよ!月のわずかな光と森の暗さが妙に目の前の男の人…?おかまの人…??の顔とミスマッチして見事に恐怖を煽る演出してる!サングラスが!!とくに!!

とにかくオレはそこから一目散に逃げだそ…うとしたんだけど

 

「あらよっと。あれ?お前…」

「うわぁああ!!」

 

逃げ出そうとしたオレの真横から誰か金髪のサラサラな人がヒョッコリ現れた!

 

「なんかどっかで見た事ある顔だなぁ…なぁ、俺とお前ってどっかで会った…てきな何かだったりする?」

「い、いえ…初対面…だと、思います……」

 

ジロジロみられていい気分はしないけど、声は震えずに出てくれただけでもいい。早く、早くここから離れなくっちゃ!

そう思ってても、オレの運はどっか遠くへいってしまったらしい。

 

「ボス!机を作るのに必要な丸太を持ってきました!」

「遅いぞカス」

「ヴォオオオオオオイ!!お前は一体どこまで行ってやがったんだレヴィ?!」

 

なんで次から次へと、まるで俺を逃がさないようにしてるみたいに周りに寄ってくるの?!?!

 

「「ん?なんだこのガキ…」」

 

そして今気づかれたぁぁああああ!!

 

「あ、あの…お、おれ…」

 

道に迷ったなんて言えない。どこをどうやったらこんな場所で迷う事になるんだとか聞かれそうだよ…!ううっどうしよおおおおお!!

って、俺がプルプル震えてたら、何か暖かいものが俺の頭の上に置かれた。

 

「へ…?」

 

顔を少し上げたら、それはさっきドッカリと椅子に座ってた、顔がとてつもなく怖い人だった。

ゆったりと彼がオレの頭を撫でていて。それがあまりにも優しくて。あったかくって…

 

「ううっ…!」

 

思わず、涙がこぼれて。

 

「うううう…ッ」

 

そのまま、何もしないまま涙は止まらずに、俺の頬を伝って地面へとこぼれ続けた。

 

ずっと怖かった。目まぐるしく変わっていくオレの日常が。

 

ずっと怯えてた。俺が俺じゃなくなってしまうんじゃって。

 

そしていつか、誰かを傷つけても平気になってしまうんじゃないかって。

 

それが、その不安と怯えが心のどこかで、どんどん積みあがっていった。

俺はどうしようもなくって。ただ、積みあがっていくその“黒いナニカ”を見上げながら、それらにいつか押しつぶされないか、恐怖するしかなかったのに。

 

この目の前の人は、それを全部庇って、崩れそうになるソレをぶっ壊してどっかへ飛ばしてくれそうな力があるって、感じた。

 

だから、俺はリボーンや、山本や、獄寺くんよりも…

 

この目の前の、まったく知らない人に安堵してしまった。

 

それに、この人…およそ顔や性格に似あわない行動をしてるんだと思う。

周りにいた人たちが焦ったり、熱がないか?!とか言っておでこを触ろうとしてぶん殴られてたりしたから。

 

「フフフっ。」

 

俺が笑って、その人が手を止めながら、その真っ赤な瞳で睨むようにジッと見つめて。

 

「もう平気か」

 

と聞くものだから。ああそうか。この人は

 

「はいっ…ありがとうございました…おかげでスッキリしました!」

 

オレの背負わなきゃいけないナニカを、知ってるんだ。そう何故か直感的に思った。

 

「あいつも…」

 

ただ怖いくらいの眼つきだったその人が、ふと月を見上げながら呟き始めて

 

「あいつも…こんくらい素直だったら」

 

あいつって誰なのか見当つかないけど。その人にとって掛け替えのない、とっても大切な人だってことはわかった。

その人の目には月が写っているだけなのに、違うモノを見ている気がしてならない。何がそんな風にさせるかはわからないけど、彼の瞳は

 

憂いさが、赤い瞳を支配していた。

 

そして、くるりと背中を見せるようにして川まで歩いたその人は、また月を見上げた。ジッと動かずにそのまま、ずっと。

 

その姿はまるで──

 

月に何かを願っているような…何かを欲しているような…

 

そう。

 

まるで

 

「テメーは一体どこに居やがる…?リリー……」

 

誰かを待ち望んでいるようだった。

 

 

心の、底から──




最近ホント何故かイメージできなくて…うーん…どうしたものか。
思考しようとしても、なんも思い浮かばない。
いや、その先のお話しは容易く想像できてるんですがね?
メモにも書いてあるし…でもね?『今』の出来事がどうにもこうにも何も浮かんで来やせんのじゃぁ~~~…

これからどうするか…さてと。色々ネットサーフィンでもやって
ボケ~ってアホ顔しながらプロットでも作りに行ってきます(^^♪
みなさん、健康と安全にはお気をつけて過ごされてくださいね☆


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