たとえ住む世界が違っても、俺達は奉仕部だ (皐月 遊)
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1話 「奉仕部がない総武高校」

はじめまして! 久々にハーメルンに投稿します!

東京喰種と、やはり俺の青春ラブコメは間違っている。のクロスオーバーです!


ピリピリピリ!

 

いつもどおりの時間に目覚ましがなり、俺…比企谷八幡は目を覚ました。

 

そしていつもどおりに制服に着替え、リビングに降りると、我が愛しの妹小町が朝ご飯を作ってくれていた。

 

「おっはよーお兄ちゃん! 今日も腐ってるね!」

 

「…おう。 まったくいい気分にならないぞ」

 

「ご飯出来てるから、早く食べよー!」

 

「…無視かよ…いただきます」

 

朝ご飯は目玉焼きだ。 普通だが、小町が作るとどんなものでも高級料理のような味になる。 流石小町だな。

 

朝食を食べ終え、いつもどおりの時間に家を出た。

……そう言えば、今日は奉仕部で生徒会の手伝いをする約束があったな。 …めんどくさい。

 

だが一色の奴断っても断っても奉仕部に来るからな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

総武高校に着き、自分の教室に入る。 うん、誰も俺を見ない。 流石ステルスヒッキー、今日も絶好調だな。

 

……あれ? 由比ヶ浜が見当たらないな。 いつもはこの時間には教室にいるはずなんだが…風邪でも引いたのか?

まぁ、俺に確認する手段なんてないけどな。 三浦に聞くのは怖いし。

 

そのまま何事もなく放課後になり、俺はすぐに教室をでて、奉仕部へ向かった。

奉仕部の前に立ち、扉を開けようとするが…

 

「…あれ、開かない…雪ノ下まだ来てないのか?」

 

いつもは1番に部室にいるはずなのに、珍しいな。

 

仕方なく廊下で待っていたが、5分待っても、10分待っても雪ノ下は来なかった。

……あれ? もしかして雪ノ下も休み?

 

来ないって事はそうなんだろう。 雪ノ下は別のクラスだし、部活の時以外は基本会わないしな。

 

「仕方ない、俺1人で生徒会手伝うか」

 

そう決めて、生徒会室へ歩いていると、途中で平塚先生に会った。

 

「おぉ比企谷、君がこの時間に学校にいるとは珍しいな」

 

「…はい? 何言ってんですか平塚先生。 あ、そうだ、今日雪ノ下と由比ヶ浜は休みなんですか?」

 

そう質問すると、平塚先生の顔色が変わった。

…なんだ? 何か違和感が…

 

「すまない比企谷。 その雪ノ下と由比ヶ浜という生徒は1年生か?」

 

「…は? 何言ってるんですか平塚先生。 2人とも2年生ですよ。 雪ノ下雪乃と、由比ヶ浜結衣。 奉仕部の」

 

奉仕部。 という名前を出すと、平塚先生は目を閉じて何かを考え出した。

…なんだ…? 平塚先生は冗談でもこんな事をする先生じゃないはずだ。

 

「比企谷。 この総武高校に、雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣なんて生徒はいない。 奉仕部なんて部活もないぞ」

 

俺は、言葉を失った。 …何を…言ってるんだ? そ、そうだ! 証拠を見せればいい。

俺のスマホには由比ヶ浜が勝手に登録した由比ヶ浜のアドレスが入っている。

それを平塚先生に見せれば……!

 

「…な、ない…?」

 

俺のアドレス帳に登録されている人数は少ない。 だから見落とすはずがないんだ。 だが、俺のアドレス帳には、由比ヶ浜結衣のアドレスも雪ノ下雪乃のアドレスも入ってはいなかった。

 

「比企谷? ちょっと疲れてるんじゃないか? 家に帰って休んだほうがいい」

 

「…はい…そうします」

 

生徒会の仕事を手伝う気にはなれず、俺はまっすぐ家に帰った。

…こんなに早く家に帰るのは、久しぶりだな…。

 

家に帰ってから、ずっとリビングでボーッとしていると、小町が帰って来た。

 

「たっだいまーってお兄ちゃん!? どうしたのその顔、なんかあったの?」

 

…小町。 小町なら…なにか知ってるかもしれない。

……頼む、小町…

 

「…なぁ小町、由比ヶ浜が今日学校休んだんだ、珍しいよな」

 

小町は、キョトンと首を傾げ…

 

「由比ヶ浜…? 誰? 」

 

小町がそう言った瞬間。 頭の中が真っ白になった。

…なんなんだ。 夢なら早くさめろ、気味が悪い。

なぜ皆由比ヶ浜と雪ノ下を覚えてないんだ?

 

………俺がおかしいのか? 雪ノ下と由比ヶ浜なんて、最初からいなかった…? 全て俺の妄想だったのか…?

 

『比企谷君』

 

『ヒッキー! やっはろー!』

 

いや、違う! 雪ノ下と由比ヶ浜は確かに存在してる。 俺の妄想なんかじゃない。 …なら、これはイタズラか? いや、それも違うな。 第1、メリットがない。

こんなイタズラのために学校を休むなど、平塚先生が許すわけないし、そもそも雪ノ下が却下するはずだ。

 

……なら、一体何が起こったんだ…?

 

そこで、小町がテレビをつけると、あるニュースが流れた。

 

『昨晩、東京20区で、喰種によるものと思われる遺体が発見されました。 喰種による被害は日々増加しており……』

 

「うーわ、また喰種だってよお兄ちゃん! 怖いねぇ」

 

…喰種…? …おいおい、なんで喰種のニュースが流れるんだ?

喰種って…「東京喰種」…だよな? 漫画やアニメを少し見た事がある。 そんな喰種のニュースを、なぜ現実でやってるんだ…?

 

「喰種って…漫画だろ? 」

 

「はぁ? 何言ってんのお兄ちゃん。 喰種は存在するって学校で散々言われたでしょ?」

 

…嘘だ。 学校でそんな事を言われた覚えはない。 だが、小町は嘘をついているようには見えない。

 

……まさか…この世界は…俺のいた世界とは違う世界なのか…?

 

…いや、ありえない。 ありえないが、それなら辻褄があう。 全ての事に納得がいく。

雪ノ下と由比ヶ浜の事を誰も覚えていないのも…喰種という架空の存在がいる事も…

 

ここがもし「東京喰種」の世界で、雪ノ下と由比ヶ浜が総武高校にいないという事は、もしかしたらあの2人は東京にいるのかもしれない。

確定は出来ないが…

 

だったら…

 

「小町、ちょっと俺、東京行ってくるわ」

 

この目で確かめてやる。 俺には少しだが「東京喰種」の知識がある。 それを頼りにして、絶対に2人を見つけ出す。

 

「えぇ!? お兄ちゃん、急にどうしたの!?」

 

「ちょっと人探しにな。 今日は金曜日だし、ちょうどいいだろ。 親父達には適当に説明しといてくれ」

 

「さっきまで落ち込んでたのに、急にどうしちゃったの…」

 

驚いている小町をリビングに残し、俺は大きなカバンに着替え、財布、スマホ、充電器、その他必要な物を詰め、家を出た。

 

……まずは…「あんていく」に行ってみるか。




ちょっと急展開すぎるかなぁ…

これからよろしくお願いします!


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2話 「再開」

千葉から電車で東京まで来たが、やはり東京は人が多い。 今はもう夜の6時過ぎだというのに、東京駅の周りには人混みが出来ていた。

 

「……あんていくはどこだ」

 

あんていくが20区内にあるのは知っている。 だが、20区のどこにあるのかは分からない。 流石にこの東京をしらみつぶしに探すのは無理だ。

…つまり……

 

「…人に聞くしかない…よなぁ…」

 

人に道を尋ねる。 これは余程のコミュ力がなければ出来ない技だ。

俺は、とりあえず駅員に20区の行き方を教えてもらい、なんとか20区に着くことに成功した。

 

「今は7時過ぎ…か。 結構暗いな」

 

東京とはいえ、夜は暗い。 しかも俺は東京で寝る場所を確保していない。

まぁ寝る場所なんてネカフェでいいけどな。

 

「あんていく…あんていく…」

 

周りを見渡しながら歩くが、当然見つからない。 東京駅で駅員に聞いたところ、20区への行き方は教えられるが、あんていくという喫茶店はしらない。 と言われた。 確かにそうだ。

逆に駅員が東京のすべての店を把握してたら怖い。

 

考えながら歩いていたからか、知らないうちに人気のない場所に来ていた。

東京で迷子なんて洒落にならんぞ…

 

「えーと…地図は…」

 

だが俺にはスマホがある。 スマホの地図があれば迷う事はない。 …多分。

そうして、スマホに夢中になっていると、頭上から声をかけられた。

 

「こんな場所に1人で来るなんて、自殺願望でもあるのかしら?」

 

「可哀想だけど、運が悪かったね」

 

その2つの声が聞こえた瞬間、俺は即座に反応した。

”似ている”。 あの2人の声に…

 

辺りを見渡すと、見つけた。 声の主は、高い壁の上に立っていた。 まっすぐ俺を見つめている。

2人とも仮面をしているので、顔は見えない。

 

黒猫の仮面と犬の仮面だ。

 

「あら、死んだ魚のような眼をしてるわね。 ……喰べても美味しくなさそう」

 

「ダメだよゆき…黒猫。 好き嫌いせずにちゃんと喰べないと!」

 

そう言って仮面の2人は壁から降り、俺の前に着地する。

やはり似ている。 声も、やり取りも、背丈も、……胸も。

 

これだけ似ている奴はそうそういない。 …試してみるか。

 

「あ、パンさんだ」

 

「えっ、どこ?」

 

……俺の指差した方向をジッと見つめる黒猫の仮面。

ふむ…これで黒猫の方はほぼ確定か。 次は犬の方だ。

 

俺は犬の仮面をジッと見つめ…

 

「お前…ビッチっぽいな」

 

「なっ…! ビッチいうなし! 私はまだ…! 」

 

はい。 これで犬の方もほぼ確定。 んじゃ、王手だ。

 

「やっはろー」

 

「やっはろー! って、えぇ!?」

 

犬の方がノリノリで挨拶したあとにびっくりする。 そりゃびっくりするよな。 見ず知らずの相手がこんな挨拶を知ってるわけがないもんな。

 

…こんな早く会えるとは思ってなかった。

 

「…あなた、一体何者?」

 

「私達の事を知ってるの?」

 

「あぁ。 知ってるさ。 雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣」

 

俺がその言葉を口にした瞬間。 俺の右足に痛みが走った。

 

「ぐっ…!?」

 

右足を見ると、刃物のようなものが刺さっていた。 その刃物は、まっすぐ黒猫の肩に続いていた。

 

……確か…赫子だったか…?

それよりも…ヤバイ…出血が止まらない…!

 

「何故あなたが私達の名前を知ってるのか分からないけれど、生かしてはおけないわ」

 

「ま、待ってくれ雪ノ下…! 俺は…!」

 

「黙りなさい。 今楽に殺してあげ…!?」

 

「うおおおおっっ!!」

 

黒猫が赫子を俺に突き刺そうとした瞬間、急に現れたガタイのいい男が振り回した武器によって、黒猫は遠くへ飛んで行った。

 

「君、大丈夫ですか!?」

 

そう言ってきたのは、コートを着た黒髪の男だ。 …この人も漫画で見た事がある。 名前は確か…亜門鋼太郎。

 

亜門は、丸太のような武器を構え、黒猫達を睨む。

 

「Sレート喰種。 ”黒猫”と”白犬”だな。 貴様らと会うのは2度目か」

 

「あら、白鳩とは沢山会ったから、いちいち顔なんて覚えてないわ」

 

「ふっ、そうか。 貴様らは喰種、俺は喰種捜査官。 貴様らを駆逐させてもらう!!」

 

「やれるものなら、やってみなさい!」

 

亜門の武器…確か、クインケか。 クインケと、黒猫の剣のような赫子がぶつかり合う。

両者とも実力は互角らしく、一歩も動かない。

 

そこに、尻尾のような物を腰から生やした白犬が、黒猫の後ろから現れた。

 

「くっ…!」

 

白犬は尻尾のような赫子で亜門を刺そうとしたが、亜門は後ろに飛んで回避した。

 

俺はただ、唖然としていた。 目の前でこんな光景を見せられたんだ、当たり前か。

昨日まで同じ部室で、一緒に話していた雪ノ下と由比ヶ浜が、今目の前で戦っている。

 

こんな光景を、俺は信じる事が出来なかった。

 

「あら、今のよく避けたわね」

 

「…ねぇ黒猫、もうすぐ時間だよ」

 

「そう…でも、あの眼の腐った男は殺さないと」

 

「うん、そうだね」

 

2人の喰種の視線が、俺に向いた。 …なるほど、俺はあいつらの名前を知っている。 それを捜査官に知られるとまずいから、俺を殺したいわけか。

………あれ? やばくね?

 

そんな事を考えてると、目の前に黒猫が現れた。

 

「死になさいっ!!」

 

「うおおっ!?」

 

黒猫が剣の赫子を薙ぎ払うが、俺は運が良かったらしく、尻餅をついて回避した。

だが、もう黒猫は俺を突き刺す動作をしている。

 

…流石に避けられない。

 

「させるかあああっ!!」

 

目の前の黒猫が消え、代わりに亜門が現れた。

どうやら亜門が黒猫を突き飛ばしたらしい。

 

「…邪魔ね…!」

 

どうやら亜門はかなり強いらしい。 俺という足手まといを庇いながら雪ノ下達と互角に戦っている。

 

そして、黒猫と白犬が飛び上がり、電柱のうえに乗った。

 

「…もう、時間ね…」

 

「うん…あの人を殺せなかったのは辛いけど、もう行かなきゃ」

 

「えぇ…そうね」

 

そう言って、2人は暗闇に消えていった。 そのあと、俺は亜門の手を借りて立ち上がった。

 

「良かった。 俺が帰宅途中に気づかなければ、君は死んでいました。 これからは、こんな時間に人気のない場所には立ち入らないようにして下さい」

 

「…はい」

 

その後、亜門と共に人が多い場所へ行き、亜門とは別れた。

俺はその日、ネットカフェで一夜を明かした。



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