超巨大戦艦がONE PIECEの世界で大暴れ(仮) (八雲ネム)
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オリキャラ+名前が変わったキャラのプロフィール

オリキャラと名前が変わったキャラのプロフィールを書いてみました。
ロボットであるアティ達のは追々、書き足しますのでご了承下さい。


オリキャラ

名前:クラウス ♂ 年齢:18歳(この世界に来た当時)
見た目:黒髪 金目 顔の輪郭はバッカーノ!に出てくるグラハム・スペクター
服装:トレンチコート、ジーンズ、長袖のTシャツ 全て黒に統一
能力:覇気全般(覇王色、武装色、見聞色)、三胴戦艦による砲撃や対空攻撃、精密攻撃、超重力砲、ミラーリングシステム

解説:
 前世の記憶を持つ転生者で本作の主人公。
 長年、この世界で生きているため、その記憶は失われつつある。
 クラウス本体は人体だと思われがちだが、彼の人体の中になる直径5~6㎝ほどのコアと呼ばれている丸っこい鉄球みたいなのが本体である。
 人体の方はナノマテリアルで構成されているため、人体を構成している物質によく似ているが遺伝子などは構成が不可能なため、子供を作ることは出来ない。
 船体は普通の船体を3つ、横に並べてくっつけた三胴戦艦であり、生存に必要な装備は真ん中の船体に集中させている。
 武装は、80㎝主砲や15.5㎝副砲から発射できるレーザー、プラズマ、レールガンなどがある。
 また、対空火器による対空攻撃やミサイルによる対地精密攻撃なども出来る。
 超重力砲は、彼が持つ最も強力な攻撃方法。使用したのは、本拠地に上陸したビックマムに対してだけ。
 ミラーリングシステムは、クラウスVSヤマト&ムサシ戦で使用。

名前:ユキメ ♀ 年齢:18歳(クラウスに拾われた当時)
見た目:黒髪 碧眼 顔の輪郭は妖狐×僕SSに出てくる雪小路野ばら
服装:スク水 ミニスカの巫女服
能力:雪と冷気を操る

解説:
 雪女は妖怪であるため、ユキメは人間よりも暑さに弱い性質がある。
 そのため、夏島や炎やマグマの能力を持っている悪魔の実の能力者が弱点となっている。
 その反面、冷気や雪に関しては青雉やモネを超える素質があるため、打たれ弱いファイターのようなものである。

名前:アシュレイ ♀ 年齢:20歳(原作開始から25年前)
見た目:ピンク色の髪 緑色の瞳
服装:香取と似たような服装
能力:見聞色、武装色の覇気

解説:
 人間初の艦娘の艦長であり、現在は香取の艦長をしている。
 元々、普通の家庭で生まれたが人攫いの集団にあって。奴隷に落とされそうになったところを艦娘に助けられたため、この時から彼女達に乗りたいと思っていた。
 訓練兵として参加した際、高い才能を買われてとんとん拍子で昇進していった。
 服装はそのために合わせたと言ったもいいほど。

名前:キャサリン ♀ 年齢:19歳(原作開始から25年前)
見た目:水色の髪 金目
服装:鹿島に似た服装
能力:見聞色、武装色の覇気

解説:
 人間で2人目の艦娘の艦長であり、現在は鹿島の艦長をしている。
 元々、商人の次女として生まれたが親に頼らずに世界を知りたいという欲求が高まったため、1人で家を出て艦娘達の訓練兵として参加。
 測量などで、高い計算技術を生かしたのでアシュレイと同時期に艦長に就任した。
 服装は、その時にアシュレイに着せられた。

名前:ベンジャミン ♂ 年齢:53歳(原作開始から25年前)
見た目:茶髪 赤色の瞳 顔の輪郭はテラフォーマーズのシルベスター・アシモフ。
服装:白を基調としてスーツを着用。
能力:覇気全般(覇王色、武装色、見聞色)、超人(パラミシア)系ルトルトの実の平方根人間。

解説:
 初登場の時は海軍大将で、現在は全軍総帥。主人公との初戦闘で彼の能力の有能性に気が付いたため、王下七武海に推薦した1人。
 主人公が七武海になった後は、気軽に話が出来る存在となる。


名前が変わったキャラ

名前:シノ 元の名前:イ400 ♀
解説:
 蒼き鋼のアルペジオに出てくるイオナの姉妹艦。原作では、諜報活動を行っているがアニメ版だとイオナ達に撃沈された。
 その時は兵器として撃沈されたのは当たり前、と感じていたが気が付いたら主人公がいる世界に来ていた。
 主人公と出会い、人間と接触を続けていった結果、原作に近い性格になった。

名前:シノブ 元の名前:イ402 ♀
解説:
 蒼き鋼のアルペジオに出てくるイオナの姉妹艦。原作では、人類側との接触をしているがアニメ版だとイオナ達に撃沈された。
 姉と同様に、兵器として撃沈されたのは当たり前と感じていた一方、イオナの変化に気が付いていたため、主人公に興味を持ったのは彼女が先である。

名前:ダニエラ 元の名前:南方棲戦姫 ♀
解説:
 艦これに出てくる深海棲艦の1人。特定海域のボスを務めた。
 この世界に来たきっかけは、艦娘との戦闘によって撃沈したためであり、この世界に来てからは化け物などと恐れられていた。
 そのため、島で他のメンバーと休んでいた時に重巡マヤを見つけたため、乗り込んだら船から出られなくなってしまった。
 その後、加賀が率いる第4艦隊との戦闘でマヤは大破、見知らぬ攻撃に怯えているところを主人公に拾われた。
 そのことで、恩義を感じている。


用語

・鋼鉄海賊団
 クラウスが王下七武海になった時に命名された名前。それまでは無名の傭兵団だった。
 クラウスの懸賞金は元15億ベリー。他にも、懸賞金を掛けられた艦娘がいるようだが詳細は不明。
 あだ名は、100億艦隊と化け物艦隊など。

・ロボット
 クラウスが考えて作り出したアンドロイド。外見は“そら○おとしもの”のエンジェロイドから翼をなくしたもの。
 原作のパシフィスタと違って、普通の人間サイズに収まっているので服装や仕草などを完璧にこなせば、見分けがつきにくい。
 判別するには、左上腕の方に近い部分に刻まれた番号をみるしかない。
 現在、確認されているのは本拠地に10万体がいると言うことだけであり、艦娘達の船体にも乗っているようだが正確な数は不明。

・家事用ロボット
 基本的には、主人公や雇用主の身の回りを世話する家事使用人。所謂、メイドと呼ばれている存在。
 しかし、その性能は戦闘用ロボットに準じる戦闘力を有していて一体当たり、1人の海軍中将を相手取って戦えるほどの性能を持つ。
 とは言え、対外的に輸出している家事用ロボットには戦闘能力は備わっておらず、家事使用人の代わりを務めるというフレーズで売り込んでいる。

・戦闘用ロボット
 戦闘に特化したロボットであり、武装メイドとして多くの人からは頼もしがられている。
 家事は一通り、できるものの血気盛んだったり、気が短かったりして気長にやるような仕事には向いていない代わりに、海軍大将以上の戦闘能力を有している。
 しかし、ロボットの暴走を食い止めるために対外的に輸出しているロボットには、強制停止のキーコードが備わっている。

・清掃用ロボット
 家事用ロボットから派生したロボットであり、清掃に重点を置いている。
 家事もできるため、財政的に余裕がない組織では清掃用ロボットを雇って家事もさせている。
 家事と清掃ができる反面、戦闘能力は備わっていないので雇用側は、こちらを選ぶ傾向がある。

・本拠地
 主人公や艦娘達が、船体の整備や弾薬の補充などを行うしゃもじ型の島。
 夏島であるのと同時に、標高300メートルの活火山が島の南西にあるため、電力に関しては問題ない。
 また、豊富な地下資源があるため、要塞化がしやすかったのも大きい。
 本編では出ていないが、ナノマテリアルとタナトニウムが周辺海域から取れるため、浸食魚雷やナノマテリアルを使った建造が容易である。

・軍艦島
 主人公が設計して、艦娘達が停泊を始めて元奴隷達が住み着いた島。
 名前の由来は、鋼鉄海賊団の船舶が多く停泊している様子を、軍艦が停泊する島みたいだと言われることから来ている。鋼鉄海賊団と直に接触できる場所として有名。
 主人公は、攫ってきた奴隷だった奴らを保護したいが本拠地に招き入れるのは危険、と判断したので無人島を開拓して作った。

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プロローグ

「知らない甲板だ」

 俺が気が付くと、大海原に浮かんでいる巨大戦艦の甲板で寝ていた。
 俺は起き上がって、辺りを見回すとやたらと広い甲板に巨大な砲塔がいくつも載っかっていて、艦橋と思しき建物は摩天楼と見間違えるほどに高かった。
 そして、俺が寝ていた戦艦は人気がないように静まりかえっていた。
 そのため、俺は人が乗艦していないかを確かめるために歩き回った。


 1時間後。


「歩き回ったけど、誰もいなかったでござる」
 俺は広い艦内を歩き回り、回り終わった後に第一艦橋に上ってそう呟いた。
 歩き回ってわかったのは、この戦艦は三胴艦で船幅が広い上に中央の船体がとても長い。
 その結果、1時間程度で歩き回れるほどの狭さではないと判断して第一艦橋まで上ってきた。

 呆然としている中、とあることに気が付いた。

「この戦艦、蒼き鋼のアルペジオの霧の艦隊に似ているな。船体が」

 そう、俺が乗っている戦艦の船体は全体的に濃い赤紫色、甲板は薄い赤紫色だ。
 そのことに気が付いた俺は、霧の艦隊が保有しているメンタルモデルが活動を活発にしている時に出現する、サークルを出してみる。

「ほ、本当に出た。てことは…」

 俺が意識すると、俺自身を囲むように赤紫色のサークルが出てきた。
 そして、俺の正面に出てきた半透明状の画面が出てきて「Please insert your name here」と書かれていた。
 直訳すると、「ここにあなたの名前を入力して下さい」となる。
 つまり、俺は今は名無しと言うことになる。

 それだと後々、色々と問題になるので人物名を電子辞書で調べていって5分後に決めた。

 一先ずは“クラウス”と名乗っておき、必要に応じて名字とかを考えればいいだろう。
 すると、「Thank you for coming. my fog fleet ultimate-super weapon “Klaus”」と返ってきたので、この戦艦は俺のものになった。
 これを直訳すると、「ようこそ、お越し下さいました。我が霧の究極超兵器“クラウス”」となり、この戦艦のシステムは俺とつながっている。

(ん?ちょっと待て…究極超兵器って何だ?)

 俺がそう思って調べてみると、日本があった世界ではあり得ないレベルの技術力で作られた兵器の通称であり、俺の船体もその1つらしい。
 確かに、戦艦大和やアイオワ、ビスマルクなどとは外見が大幅に違っている上、船体に搭載している兵器も半端ではなかった。

 搭載されている兵器は、80㎝や15.5㎝の砲塔型3連装レールガンや対空パルスレーザー、浸食弾頭ミサイルの発射機や超重力砲など、鋼鉄の咆哮やアルペジオに出てくる兵装だった。

 完全に俺の常識から外れているなぁと思いつつ、エンジンを始動させた。
 そして、移動しながらカタパルトで艦載機を射出して、高高度から艦載機に搭載する観測ポッドなどを使って現在の位置を確認する。
 俺の戦艦に載せているのは、第二次世界大戦時の日本海軍が保有していた“晴嵐”という特殊攻撃機だ。
 この機体のエンジンを、レシプロエンジンからジェットエンジンに変えてエンジン出力を上げるのと同時に色んなものを搭載できるようにしてある。
 そんな機体で偵察をすると、島の配列などが俺の想定からさらにかけ離れた状態に置かれていることがわかった。

「俺のいた世界じゃない!?」

 そう、俺がいる海は日本があった世界の海ではなく、いくつもの島が点在してその島からの磁気によって方位が全く役に立たない、
 また、俺がいた世界では電子機器の発達によって、無線通信や衛星通信などが傍受できるはずなのだがこの世界では、微弱な無線通信らしき電波しか流れていない。
 その通信だって恐らく、海軍のもので海賊がどうこうなどの内容しか流れていない。

 そんな断片的な情報から推測するに、多分ではあるけど漫画「ONE PIECE」の世界に迷い込んだんだと思う。

(とにかく、拠点を作らないとまずいな)

 俺はそう思って、戦艦の足を進めた。

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第1章 戦力拡大と海軍 第1話 拠点作成と出航

「まぁ、この島でいいんじゃないかな」

 俺は適当に航行して、とある無人島に到着すると艦尾に収納してあった艦載機収納部屋から晴嵐とは別の無人偵察機(ドローン)を取り出して、カタパルトから射出して島を偵察させる。
 すると、島の形状が硫黄島という太平洋戦争の激戦地になった島の1つによく似ている。
 島全体は、しゃもじのような形をしていて南西部には標高300mぐらいの山があり、平たい北東部はいくつかの高くなっている土地がある。
 また、川や湖などは存在していなくて表面が冷えて固まった活火山が、冷え切らない状態で海上に表したかのように島全体が熱い。
 そのため、大抵の海賊達はこの島を拠点にすることをやめたようだ。

 しかし、現代知識と技術がある俺にとっては宝の島だ。

 豊富な地下資源や活火山だから持っている膨大な地熱、これらの現代知識を組み合わせることでこの島を俺専用の基地にしようと思う。
 幸いなことにまだ、ゴール・D・ロジャーは海賊王とは呼ばれておらず、海賊もそれほど多くないので人目を気にせずに作ることはできる。

 そんな訳で、俺は必要な物資をナノマテリアルで作成してからLCAC(エルキャック)に搭載してこの無人島に上陸、それから数年間は技術を駆使して島の要塞化を進めるのだった。


 5年後


「いや~、色々と作っていたらあっと言う間に時間が過ぎていったね」

 この5年間、島の要塞化を目指して地下を掘削して鉱物資源を採掘、掘った穴には必要な施設を建設していった。
 寝室や食堂、研究施設から運動場などの娯楽施設まで、生活に必要な全てを地下に建設した。
 そうすることで、外敵からの奇襲を受けても大丈夫なようにしてある。
 一応、地上部分にも施設を建設したが本丸が地下にあるので、生活に必要な施設は揃えてはいるけど必要最低限にしてある。
 その方が、拡張性もあって良いしね。

 一方、防衛システムの方は標高300mの山に集中させて、そこから島全体を守れるようにした。

 正確には、砲弾の太さが46㎝の巨大な砲塔や対地対艦ミサイルの発射施設、島全体を見守れるだけの管制等とレーダー施設、それらの電力やエネルギー、物資の供給に必要なシステムを組んで俺の許可がないと近寄れないように、自動的に迎撃できるプログラムを組んだ。

 こうすることによって、俺がいない時でも乗っ取られないようにすることができる。
 とは言え、このプログラムを組んでいる最中にビッグマムと名乗る女性の海賊団に、攻撃をされた時には理不尽な要求を突きつけられたので反撃を開始した。
 そして3時間の戦闘の後、ビックマムの海賊団は全滅してビックマムもこの戦いで戦死。
 この時に、「やべっ…早速、原作崩壊させちゃった」と思ったのは内緒だ。

 だってよ、毎月200トンのお菓子をみかじめ料として要求されたんだぜ?
 島内の生産ラインを稼働させれば、余裕で生産できるけどそんな理不尽な要求を引き受けるほどのバカでもないし、弱くもなかったから速攻で断ったんだ。
 そしたら、向こうから戦闘を仕掛けてきたのでレールガンやミサイルの物量攻撃によって、反撃の隙を与える時間すら与えないで壊滅させてやったのさ。

 だけど、さすがは耐久力に定評のあるビックマム。

 そんな、過剰とも言える攻撃に耐えたので超重力砲をお見舞いしてやったら髪の毛1本、残さずに消えたので目の前の脅威は去ったものの将来的な面倒を巻き起こさないかが心配だ。


 そんな事件があったのが2年前で、俺はそろそろ出航しようと思う。


 実はこの5年間、俺の身体とも言える超巨大戦艦は戦闘時には出航させたとは言え、この島の地下に建設した“地下ドック”に閉じ込めたままなのだ。
 島の基地化を進めていく内に、5年という時間があっと言う間に過ぎ去ってしまったため、そろそろ出航したくて仕方ないんだ。
 幸い、俺がいなくとも暇つぶしに使った人型のロボット達に島の警備を任せておけば、島が爆発しない限りは大丈夫なように設定してある。

 正確には3種類のロボットがいて、1つ目は清掃用のロボットで命令1つで掃除をしてくれるロボットだ。
 2つ目は、家事用のロボットで彼女達が1番、人間らしい行動や仕草をしてくれる。
 3つ目は、戦闘用ロボット。彼女らは戦闘に特化したシステムと装備を搭載しているため、空を飛べば戦闘機の様に駆け回り、地上では重戦車のように走り回り、海上ではミサイルのように敵を鏖殺する。

 これらのロボットは、基礎を構築するのに手間取ったがそれぞれの分野の第一戦で活躍できる性能を有している。
 そして、それらの試作品(プロトタイプ)であるロボットは俺の身体である戦艦に乗せようと思う。
 その数は各分野で3体ずつ、合計9体のロボットでひと目見ただけでは人間と見間違えるほど、精巧にできたと言っても過言ではない。
 その9体は、俺の趣味によって全員が女の子ではあるが(ねや)を共にするほどの劣情はなく、あくまでも俺の身の回りの世話をメイドとしてやってもらうことにしている。
 その方が、俺自身の戦闘にも集中できるというものだ。

 そんな訳で、俺は9体のロボットと共に自分の船体(からだ)に乗り込んだ。


~~~~~~~~~~~~

「注排水機能、機能開始を確認。注排水区画を満たした後にアームロックを解放し、海側の隔壁を開放して出航する」

 俺はそう言うと、家事用のロボットの内の1体が紅茶を持ってきた。
 俺はそれを受け取りつつ、港湾施設などの島内の機能が万全かを再確認してロボット達の今後について考える。
 彼女達には名前がなく、今まで番号で呼んでいたために名前で呼ぶ必要がなかった。
 だが、海に出て人々と接していく中で名前というのは重要なキーワードになる。

 そのため、注排水区画が満水になって出航した後に9体には新しい名前がつけた。

 清掃用のロボットはエレナ、カチューシャ、ローザ。
 家事用のロボットはアティ、キャサリン、エルザ。
 戦闘用のロボットはアリーナ、エリーゼ、ヒルダ。

 この9人と共に、俺は出航に向けた準備を済ませている。
 後は、隔壁を開放して出航するだけである。

「注排水区画の満水を確認、隔壁を開放せよ。アームロックも解除」

 区画一杯に海水が満たされたのを確認した後、隔壁の開放を指示してアームロックを解除する。
 いくら、巨大な三胴戦艦であろうとも船体の中を空気で満たして海中に放り込むと、浮力で海面に浮かび上がろうとしてしまう。
 その力加減を調整しながら、隔壁が完全に開くまでを待った。

「超巨大戦艦“クラウス”、出航せよ!」

 俺がそう言って、開ききった隔壁から船体が静かに出航していった。



蒼き鋼のアルペジオに出てくる硫黄島のように要塞化しています。

具体的には、以下の5つ。

最低でも数十万人が暮らしていけるほどの地下施設の建設。
地熱を利用した海水を蒸発させて作る蒸留水装置。
食料を自動生産できる施設。
島全体をカバーできる防衛システム。
島内を維持、管理する目的に人型ロボット。

現段階で主人公について行く国や人がいないため、島に寄ってくる船や人は敵として見なしている。


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第2話 配下のロボット達

「よし…艦内はオールグリーン、航行開始」

 俺は地下ドックから海に出た後、30kmほどの距離を潜行してから海上に出た。
 この方が、他の船から俺達があの島の所有者だと言うことがバレにくいし、いくらでも言い訳ができる。
 海上を航行し始めるのと同時に、俺は島の方を見た。
 すると、標高300mの山の形が見える程度で島全体は、水平線の向こうに隠れてしまっている。
 この先、最低でも数ヶ月はあの島を離れる訳だが、現段階で組める最大限の防衛システムを組んできたため、心残りはない。あるとするなら、無事に俺を迎え入れてくれよと思う。

 そして、俺はビックマムとの戦闘で得た宝物やらなんやらを売りさばくため、島が発している磁気を頼りに船を進めるのだった。


~~~~~~~~~~~~


「何!?ビックマムの海賊団が失踪しただと!?」
「はっ!1年半以上にわたって調査をしてきましたがこの期間のビックマムの活動が一切、確認されておらず、彼女の支配を受けてきた島々は開放されたムードに包まれていました!」

 部下の報告を受けたのは、時の海軍大将だった。
 部下曰く、今から約2年前まで危険人物として監視していたシャーロット・リンリンの海賊団が突如として、謎の失踪を遂げた。
 その後、世界中を飛び回ってビックマムの軍団についての情報を集めていくと、失踪する数年前に誰も近づかない島が急変したという情報を元に、配下の海賊船を偵察に向かわせた
 しかし、向かわせた海賊船は全て帰ってこなかったことに業を煮やした本人が自ら、主力の海賊船を全て集めてその島に向かったのを最後に、その後は行方知れずとなっていた。

 その島こそ、クラウスが要塞化した島なのだがこの時はまだ、誰も知らない。

「ふーむ、懸賞金が5億もする海賊が失踪する島か。とにかく、些細なことでもいいからその島の情報を全て集めろ!」
「はっ!」

 海軍大将は、報告をしてきた部下にそう言うと椅子の背もたれに深々と座り込み、こう呟いた。


「なにかが変わろうとしている…」


~~~~~~~~~~~~


「…」
「……」
「………」
「…………ねぇ」
「なんだい?」
「魚、釣れないんだけど」
「そう簡単に捕まらないよ」
「………退屈」
「だったら本でも読んでくればいい」
「あーもー!この船に積み込んだ本、全部読んじゃったからつまんないー!」
「速攻で読むからそうなる」

 島に着くまでの時間、暇つぶしに魚釣りでもしていたら戦闘ロボットの一人であるヒルダがやって来て一緒に釣りを始めたんだが、せっかちな彼女にとって釣りも退屈なジャンルらしい。
 とは言え、隣で騒がしくされているのもイヤなので俺はこう言った。

「島に近づくまでの間、飛行許可を出すから飛んでこいよ」
「オッケー!ありがとー!」

 ヒルダがそう言うと、飛行システムを展開して一気に飛んでいった。

「妹は相変わらず、騒がしいのね」
「エリーゼか、どうだい?釣りをしてみるかい?」
「クラウス様も意地悪ね、この辺りに魚はあまりいないでしょうに」
「バレていたか…いや、そうでもないぞ?」

 俺がそう言ったので、エリーゼが竿を見てみると俺のとヒルダが使っていた竿の先端が揺れている。

「すまんが手伝ってくれ、今夜は魚料理が出てきそうそうだ」
「はい、わかりました」

 彼女がそう言ったので、2人で楽しく魚を釣り上げた。


 彼女達は定義上、ロボットとしているが実際には“鉄腕ア○ム”や“タ○ミネーター”などのアンドロイドに近く、外見や性能で言えば“そら○おとしもの”のエンジェロイドに近いだろう。
 特に、エリーゼ達は戦闘を目的として圧倒的に強くしているので、一騎当千ならぬ一騎当万になるのは確実だ。
 一方のエレナ達やアティ達は、戦闘用に設定していないので総合的な戦力はエリーゼ達に劣るが、それでも億単位の賞金首相手では返り討ちにできるほどの力を持っている。
 そこまでの力を持ったのは、元になった戦艦としての俺の力をどうやって人型に収めるか、というものでそれを実現するのにかなり手間取ったがなんとか形にすることができた。

 そして、この釣りで大型の魚を同時に2匹釣り上げたところでレーダーに反応が現れた。

「ん?」
「いかがされました?」
「レーダーに感あり、大きさから言って船かな?『ヒルダ!』」
『はいよ、なんかあったかい?』

 俺がそう言うと、通信ネットワークで飛行中のヒルダが返事をしてきた。

「本艦の右20°、距離100kmに船らしき反応があった。確認のために向かって映像を撮ってきてくれないか?」
『オッケー!任せておけよ!』

 ヒルダがそう言うと、すぐに向かっていって彼女を介して映像を見ることができた。

「この映像だと海軍の船だな」
「どうします?戦いますか?」
「イヤいい、軍隊と戦っても碌なことはないよ」
『えー?戦おうよ!』
「あのなー、初出航で海軍相手に戦ってもいいことが想定できないだ」
『殲滅すればいいじゃん』
「賞金首になって追われる生活はイヤでござる」
『ブーブー!』
「ヒルダ?あまりお父様のお手数をかけるものじゃありませんよ?」
「まだ見つかっていないんだろう?だったら戦闘は回避せよ。命令だ」
『ちぇー』

 そう言って、彼女からの通信が切れた。
 彼女は、“ド○フターズ”の島津豊久のように戦闘に長けているのだが突っ走りやすいので、俺がちゃんと手綱(たづな)を持って引導してやらないと相手を殲滅するまで戦ってしまう。
 そのため、今回は海軍相手の戦闘は起こらないようにしておく。

 そして、海軍の船と航路が被らないように針路を変更して、目的地の島に到着した。


~~~~~~~~~~~~


「これが島というものですか」
「初めて他の島を見たよ」
「私達はあの島から出たことがなかったですからね」
「よーし、上陸前にいくつか注意点を言っておくぞ」

 初めて、他の島を見たエリーゼ達に対して俺はそう言った。
 注意点と言っても難しいものではなく、上陸の際には単独行動や戦闘の禁止、船には2~3人は残っておくようになどの注意ぐらいだ。

 そして、俺らは初上陸を果たすことになった。



ドーモ、皆=サン。UAが2000を超えた作者です。

いや~、投稿する直前、たった2話しか投稿していないのにお気に入り登録者が50人になってアイエエエエエエエ!?となっていました。

後の4皇になるビックマムが突如として、行方知らずになったら海軍側としては驚きですよね。

そのため、島を見つけるために船を使って捜索しています。

話の中で海軍の船が出てきたのはそういうことです。

感想や疑問がありましたら、感想を書く欄に書いて投稿してくれれば可能な範囲でお答えしますので、よろしくお願いします。


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第3話 出会い

「なんて言うか、普通な町だな」
「普通の町ですね」
「それだけ、平和なのでしょう」

 今回、初上陸したのは俺と家事用ロボットのアティ、戦闘用ロボットのエリーゼだった。
 彼女達なら、余程のことがない限りは喧嘩にならないし、キレさせたら暗殺するから問題ない。
 俺達は戦艦から直接、上陸しないで戦艦内部に入れてあった小型潜航艇に乗ってやって来た。
 戦艦自体は沖合に潜行させているので、ソナーなどがなければ見つかることはない。

 そもそも、あの巨体では中世から近世の港町に入港することすらできないので、戦艦と小型潜航艇をワームホールでつなげていつでも町に行けるようにしてある。

 普通の港町と言ってもこの辺りでは結構、大きい方な様で色んな店が並んでいる。
 その中で、俺達の1番の目的である換金をしてくれる店があった。
 俺達は迷うことなく、その店に入っていった。

 現状、最も必要なのはお金だった。


~~~~~~~~~~~~


「全部で8億か。なかなかだな」
「結構、質の高い宝物(モノ)までありましたからね」
「これで掘り出し物も安心して買えますね」

 ビックマムとの戦闘後、沈んでいく船をサルベージして使えるものを集めてみたが、甘いお菓子の他に大量の宝石やら金でできたインゴットなどがたくさん保管されていた。
 そのため、出航の時にある程度を換金して必要な家具などを購入して行こうと考えていたのだ。
 今回の換金で、8個の大金を入れるケースを持ち運ぶことになったが裏路地に入ってちょっと歩いてから、その場においてワームホールで戦艦の方に送って置いた。
 こうして置いた方が盗まれる心配はないし、必要な時は必要な金額を財布から出せば良い。

 この能力は、超重力砲を操る時のコントロールを応用したもので、緻密な計算が必要なので並大抵の人間にはできない行為だ。
 これを可能にするには俺と同等の能力を持っているか、それ以上の能力を持っている奴ぐらいだろう。
 俺はそう思いつつ、アティ達と共に町を回った。


 1時間後


「まぁ、必要なものは買えたから大収穫だな」
「必要なものとして食料は勿論、食器や食器棚、イスやテーブルなどの日用品から本棚や本などの趣味の範囲も多く買いそろえました」
「おかけで1億は消えましたよね~」
「そりゃ、不可抗力だろ~」

 俺らはそう言いつつ、立ち寄った軽食屋で軽い休憩を取っていた。
 現在、俺達がいるのは偉大なる航路(グランドライン)の後半に位置する新世界だ。
 この海では天候が変わる時は一瞬で変わり、常識ではあり得ない天候が数多にある修羅場。
 それを乗り越えられない海賊団は、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を見つけることすらできないだろう。
 実際、俺達も急激な天候の変化を感じ取る場面がいくつもあったため、そう言ったものに慣れているがそうでないと苦労の連続が続く。

 そんな世界に、俺は戦艦として生まれたのだ。


 俺達は換金した島に1週間、滞在したの後に皆が買った荷物の積み卸しを行うため、本拠地に戻る途中である違和感を感じた。


 出航してから間もない俺ではあるが、それは確かに他の船とは違った材質で作られていた。

(普通だったらゴミとして処理される情報だけど、この世界において深度500mの海中に金属製のゴミはないぜ)

 俺はそう思いつつ、潜行中の謎の艦艇に対して探信音(ピン)を打った。


~~~~~~~~~~~~


「探信音を検知、この世界の技術ではあり得ません」
400(よんまるまる)、ついで探信音でモールスを打ってきたわ」
402(よんまるに)、通常ならあり得ない行為です」

 水上艦が、モール信号で伝えてきたメッセージは次の通り。

『我は霧の究極超兵器“クラウス”である。貴艦らに対する敵意はなし。直ちに浮上されたし』

 このメッセージを2回も繰り返したため、2艦の間で猛烈な議論を瞬間的にした結果、浮上することになった。


~~~~~~~~~~~~


 浮上してきた2隻に対して、ナノマテリアルで作ったタラップを甲板に出して招き入れる。

「始めまして、お2人さん。俺は霧の究極超兵器“クラウス”です」
「始めまして、クラウスさん。私はイ400」
「私はイ402」

 俺が自己紹介すると、2人の少女が自己紹介をしてきた。
 イ400と名乗った少女は、ピンク色が混じった白髪にチャイナ服を着込んでいて、イ402は緑色が交じった白髪にゴスロリを着ていた。

「さて、立ち話もなんだ。お菓子とお茶を用意したから座りながら話を聞きたいんだが?」

 俺が右を向くと、その先にはお茶会をするための机と椅子、そしてお茶やお菓子などが並んでいた。
 実は、彼女達が浮上する前に用意して置いたのだ。

「まぁ、話をするだけでしたら…」
「問題はないでしょう。現在でもハッキング等の攻撃はありませんから」

 彼女達は、冷静に状況を判断して行動してくれた。


「さて、まずは君らの所属を聞きたい」
「私達の所属はないです」
「は?」
「私達は同型艦の401とその仲間に撃沈され、沈没。気が付いたらこっちに来ていました」
「つまり、撃沈されてこっちの世界に来てからずっと、2人で生きてきたと言うことか」
「その認識で間違いないです」

(ここら辺はアニメ版のアルペジオと同じだな。原作ではまだ生きているし)

 俺は思い出しつつ、話を進める。

「じゃあ、これからどうするのか、などは決まってないのか?」
「現在は海賊の賞金首などを生け捕りにして海軍に売り渡していたりします」
「海軍に?メンタルモデルを使ってか?」
「えぇ、魚雷は木造船に対して勿体ないですからね」
「確かにな」

 この世界の船は、帆船といって風を受けて進む木造の船が主流だ。
 ゴーイングメリー号もそうだったし、サウザンドサニー号も風来・バースト(クー・ド・バースト)があるにしてもそれは変わらない。
 そのため、俺やイ400達のように動力を風ではなく、自前で持っているのは無いに等しい。
 その結果、戦闘を行うに当たっては砲撃戦で船体にダメージを与えて乗り込むか、直接的に乗り込んで敵の乗組員を殲滅するぐらいだ。

「海軍に賞金首を渡しているんだったら海軍の下で働いているのと同じじゃないか?」
「それは違います。時折、身元不明で届けているだけですから」
「疑うのでしたら私達の経験したことを映像で送ります」

 彼女達がそう言うと、海軍関係の映像が俺にも流れてきてそれを見た。
 その映像は偽造形跡もなく、実際に経験したことなのだろう。
 彼女達が提供してきた映像を一通り、見終わった後で俺はこう言った。

「確かに海軍との接触は一切、なかった。だけど良いのか?こんな映像を俺に渡して」
「と言うと?」
「俺が君らの情報を海軍に渡す可能性はあるだろう?」
「それはあり得ません」

 俺がそう言うと、イ400がすぐにそう断言した。
 理由を聞くと、この5年間の活動を俺に気づかれずに観測していたとのことだった。
 だったら、話が早い。
 この5年間、正確にはビックマムとの戦闘を見ていたのならば、その情報を海軍に売り渡していたはずだ。
 だが、海軍の通信を傍受してもそういった話はなかったし、港町に行っても俺との接触を行うための動きも見られなかった。
 そのため、俺は2人に対して1つの提案をした。

「どこにも所属していないんだったら、俺のところに来るかい?」
「え?」
「この5年間、1人でいろいろとやってきたけどそろそろ退屈してきたんだ。島の設営もほとんど終わっていてやることもないしね」
「良いのですか?私達があなたを裏切る可能性があるのですよ」
「それだったらとっくにやっているか、潜入して島について探っているはずさ」
「…」
「それに敵対勢力が来てもある程度は迎撃可能さ」

 俺がそう言うと、イ400達はお互いに顔を見合わせて俺の下に付くことを決めた。



投稿時にUAが3000を超えていて、ほげぇぇぇぇってなっていた作者です。
お気に入り登録者数も80人を突破していて、こんな内容で良いものかと内心、考え込んでしまいました。

それはともかく。

今回のでイオナの姉妹艦であるイ400とイ402が初登場。
彼女達は、アニメ版のコンゴウとの戦う前にイオナに撃沈されてしまい、何故かこの世界に来ていたという設定です。
この2人の出会いが主人公にどう関わっていくかは今の所、わかりません。

と言うことで、次回を待っていただけると嬉しいです


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第4話 名前

「ここが地下ドックだ。俺の他に、何隻かは入れるつもりだが目処は立っていない」

 俺はイ400とイ402を連れ立って、本拠地の地下ドックに到着した。
 幸い、通常の船舶が迅速に入港できるように俺が出入りできる注排水区画とは別に、いくつか設けていてイ400達はそっちから入ってきた。
 この地下ドックには、大小合わせて30隻の船舶が停泊できるようになっている区画が3つあり、この島の大きさが硫黄島とは比較にならないほどの大きさが窺える。
 そして何より、清掃用ロボットや家事用ロボットが俺の船体をきれいにするのと同時に、買ってきたものを運び出している。

「402、ここの施設はすごいわね」
「400,私も少し興奮しています」
「…」

 うん、原作やらアニメやらで見慣れている光景とは言え、互いを互いの番号で呼び合う少女達というのは違和感しかない。
 それが名前だから仕方ないとして、本来の名前の他に愛称と呼べる名前もあった方が良い。
 イ401こと、イオナも彼女に乗っていたクルー達から愛称である“イオナ”をもらっているぐらいだし、この世界では愛称ぐらいは持たせてあげたい。
 そんな訳で、俺か彼女達にこう切り出した。

「なぁ、おい」
「なんでしょう?クラウスさん」
「なんの用件ですか?クラウスさん」
「別に重要な用件じゃねえが愛称っつーか、名前みたいなのはなかったのか?」
「ありません。私達、潜水艦は番号さえあれば霧の艦隊はわかりますので」
「それに私達同士でもその方が便利ですので」

 これに関しては、彼女達の原形でもあるの旧日本海軍の呼び方が悪いとしか言いようがない。
 旧日本海軍では、潜水艦のことを伊号潜水艦や呂号潜水艦で呼んでその後に番号を割り振っていたので、彼女達の名前も番号のままだ。
 そのため、俺はこう続ける。

「元の世界ではそれでよかったかも知れないがこの世界じゃ、名前がないと行動に支障が出るかも知れないよ」
「そうなのですか?」
「あぁ、少なくとも俺は人と出会ってそう思っている」

 俺がそう言うと、イ400達は顔を見合わせてから俺にこう返ってきた。

「わかりました、ではクラウスさんが私達の名付け親になって下さい」
「それは構わないけど、後で文句を言っても困るんだぜ?」
「私達からして、酷くなければ採用します」
「あなたが言い出したんですからどういったものが良いのか、教えて下さい」

 名付け親ねぇ…名付け親……妙に緊張してきたな。
 だって、彼女達の今後を左右するんだから緊張するのは当たり前だと思う。
 とは言え、実は何も考えていませんでしたと言ってしまえば、彼女達もがっかりするだろう。
 そんな訳で、ちょっと考えてから彼女達の名前を決めた。

「えっと、400の方はシノで402の方がシノブ、でどうだろう?」
「あなたがシノブで…」
「あなたがシノ…」
「パッと思いつくのはこのぐらいなんだが…どうかな?」
「………まぁ、いいでしょう」
「………及第点、と言ったところでしょう」
「センス向上のために努力します…」

 俺がそう言うと、彼女達は再び顔を見合わせてお互いの名前を呼び合ってしばらく考えてから、ギリギリの採点で了承してくれので俺は話を進める。

「さて、話は変わるが島での生活で君ら用の部屋を用意してある」
「部屋…ですか?」
「そうだ。島にいるのに船と島内を移動するに必要な設備は主に島の北側に位置しているからな。船体の補修や改装で船内に入れなくなった時に使えるぞ」
「なるほど、生活に必要な存在、という訳ですか」
「そういうことだ」

 やっぱり、彼女達は物わかりが良い。
 超戦艦ムサシの命令でコンゴウを見張っていたり、イオナと戦っていたりしていたがその命令がなくなった以上は只の頭の良い少女だな。
 元々、知的欲求があるにも関わらず、命令で無理矢理縛るからバッドエンドになってしまった。
 起きてしまったことは仕方ないとして、これからはそんなかつての自分から解き放ってやりたいなぁと思いつつ、俺はシノ達を釣れて島を回った。


~~~~~~~~~~~~


 初出航から1ヶ月 海軍本部

「400と402は接触に成功した、か」
「はっ…しかし、『圧倒的な戦力のため、武力行使は逆に被害が大きくなる』とも報告していますので不用意に近づくのは危険かと思います」
「当然の判断だな。何しろ、ビックマムの海賊団を一撃で全滅させるほどの力を誇っているのだからな」

 海軍本部があるマリンフォードにて、海軍大将のベンジャミンは部下の報告にそう呟いた。
 その報告書には、ビックマムの海賊団の殲滅とクラウスがいる島の位置情報、そして島の要塞化について大まかに記されていた。
 それによると例え、バスターコールが通達されても返り討ちにされるとまで書かれているため、手出しのしようが無い。

「全く、彼女達がうまくやらなかったらこのことはもっと後に知ることになっただろう」

 ベンジャミンはそう呟きながら、深いため息を吐いた。


~~~~~~~~~~~~


 クラウス達がいる島

「うまく送ったかい?」
「えぇ、私達で送ったもの。向こうは信用しきったわ」

 俺はシノに聞くと、シノは自信たっぷりに答えた。

「それにしても私達が自主的に横流ししたとは言え、こうも信用されるとはね」
「その程度のつながりだったんだろう?実際に補給なんてほとんどしてなかったしさ」

 シノブの呆れた言葉に、俺は事実を言った。
 実際、地下ドックに到着してから彼女達の船体を見ると損傷こそしてなかったが、魚雷等の攻撃手段がほとんどないことから、海軍についての全ての情報と取引で補給をした。

 すると、色んな情報が彼女達から聞き出せた。

 まず、この島の調査状況について。
 警戒対象だったビックマムが失踪したため、その原因を突き止めるために前から噂になっていた島に向かう俺の後ろをつけてきたとのことだった。
 そのことに関して、彼女達から謝罪があったが特に気にしていないと言うことで次の話に映った。

 それは、可能ならばこの島の調査をしてほしいとのことだった
 これに関しては、核心的な情報を隠して向こうに送ったため、問題にはならないだろう。

 そして、島の要塞化が進んでいたためにビックマムの海賊団は殲滅された、とも報告に載せておいた。

 こうすることで、少なくとも海軍トップの認識はビックマムよりも厄介ではあるが、自分達の組織に組み込みやすい島が出てきたと判断しただろう。

 今回の意図的な情報の流出が起こった理由は、“何故、彼女達が賞金首を海軍に引き渡すようになったんだろうか”という疑問からであり、補給する代わりに海軍についての情報を全て出せと言ったら正直に出してくれた。
 自分としては、断られるかと思ったが名前をつけて呼んでくれた俺に対しての感謝なのか、彼女達の忠誠は何もしてくれない海軍よりも俺の方に傾いていた。
 それがあったからこそ、海軍に対して欺瞞工作ができるようになった。

(そのため、この後は海軍がどう出るかを待つだけである)

 俺はそう思いつつ、彼女達と会話を進めていくのだった。



イ400とイ402に名前が付きました!

イ400=シノ

イ402=シノブ

2人はイ401のイオナ同様、クラウスから名前をもらったため、戸惑いつつも作戦に必要だと認識して感謝している。

名前をつけた理由は、少女なのに番号で呼ぶのは忍びないという主人公の勝手な判断です。深い理由はありません。

これを投稿する時点で、お気に入り登録者数が100件を超えてUAの方も5000を超えました。

本当にありがとうございます。


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第5話 戦闘

 シノ達と出会ってから半年後、彼女達を連れて本拠地と他の島を何度か往復してわかったのは、今の時代は原作が始まる――つまり、ルフィが旅に出る――40年前になる。
 同時期の出来事と言えばまだ大きなイベントはなく、平和と言えば平和で変に暴れなければ島の住人から敵対視されることはない。

 しかし、俺達の現状はそんな平和な状況とは裏腹にそれなりに緊迫した状況である。

「貴様がビッグマムの海賊団を殲滅した人物だな」
「…」

 そう、喫茶店で休んでいた俺達を取り囲むように海兵が取り囲んでいたのだ。
 とは言っても俺やアティ達、シノ達にとって実力不足な奴らなためにのんびりと、そしてくつろぎながら飲み物を飲んでいる。
 そして、この海兵達を指揮している海軍大将の階級章をつけている人物が、そんな俺達を見ても冷静に話しかける。

「400、402…君らはそっちに付いたのかね?」
「そうですよ、ベンジャミン大将殿」
「私達がどんなに頑張っても、真っ当に評価をしてくれない上に補給さえしてくれないあなた方に対して見切りをつけたまでです」
「そう言われると、こちらの立つ瀬が無いな。何しろ、我々の技術では君らの補給などできっこなかったのだから」

 俺と共に、くつろいでいるシノ達を見たベンジャミンという大将というのは、話せばわかる人物なのかも知れない。
 とは言え、相手は海軍の上級将校。
 恐らく、俺を海軍に雇用されようとする任務を帯びているはずだがそう易々と、彼らについて行く理由はない。

「話が逸れたね。改めて聞こう…君が彼女達が教えてくれた人間かね?クラウス君」
「もし、そうだと言ったら?」
「残念だ…君のような青年を私は引きずってまで海軍本部まで連れて行かないといけないんだ。私の将来のために」

 前言撤回、こいつは俺にとっての敵だな。
 だってこっちの気持ちを一切、考えていないんだもの。敵対行為として、殲滅されてもおかしくはないよな。

「ほう…どうやって連れて行くか、教えてくれないか?」
「なぁに、単純なことさ」

 ベンジャミンがそう言うと、俺の持っていたカップの中に入っていたコーヒーが温度変化もなく、あり得ないスピードで蒸発した。
 そのことに多少、驚きはしたがこの現象に思い当たる節がある。
 マグマなどの生易しいものではなく、統計学的な規則である平方根の法則だと思う。
 何故なら、蒸発する瞬間に膨大な水蒸気が一般人の害にならないように発生させたからであり、それと同時にコーヒーの匂いも周囲に拡散する。

 平方根の法則とは、ざっくりというと100個の原子で成り立っている物体がある方向に移動しようとすると、それに反発して√100の数である10個の原子が別の方向に移動しようとするもの。

 これが生物だった場合、生命活動に必要な原子の数が多ければ多いほど、反発する原子の割合が減少していくため、生物の原子の数は多いらしい。
 今回のコーヒーが蒸発したのは、蒸発しようとする原子がカップに留まろうとした原子よりも多くなったため、あっと言う間に蒸発してしまったのだろう。

(単純戦力でも相手に有利に働くため、抵抗すればこの町に甚大な被害が出るな)

 俺はそう思って、シノ達を連れて町外れまで海軍に同行した。



「さて、決断をしてくれたかね?我々に付いてくるか、敵対するか」

 会ってから今まで、高圧的というかなんていうか、いけ好かないな。
 まるで、自分がやっていることが正しくてそれ以外が間違っているという考えの元で、行動しているんじゃないかと疑ってしまう。
 実際にそう考えているんだから、こうして態度に出ているんだろうけどね。

 だから、俺はこう言ってやったよ。

「あんたみたいな糞野郎の下で働くなんてまっぴらごめんだね。それに海軍というのは、自分の正義を押し付けるような組織ではないはずだ!」

 するとベンジャミンは、それは残念だと言っていきなり攻撃してきた。

「これがあんたの戦術かい?」
「あぁ、こいつでいつも抵抗する奴らを屈服させてきた」
「…っ!」

 ベンジャミンはそう言いつつ、自身の能力を展開してきたのでシノ達に命令を出した。

「シノ!シノブ!ここから離れてろ!」
「で、でも…」
「今から戦うこの場所は危険地帯だ!」

 俺はベンジャミンに応戦しつつ、相手の出方を見ていると…

(やはり、人間としての身体を止めようと能力を展開しているな)

 と、周囲の足場が柔らかくなるのと同時に
 ベンジャミンにとって、シノやシノブについての事情はある程度は知っているだろうけど、俺自身の情報はあまり海軍に送らなかった。
 そのため、シノ達が人間ではないのでそれを逆手に平方根の法則を操れる能力によって、彼女達の身体やコアを破壊することができるので捕虜にされる可能性が高い。
 その一方、偽の情報を掴まされたベンジャミンは俺のことを人間だと勘違いさせるさせる方向に慎重に持って行った結果、見事にはまってくれた。

 おかげで、全力を出して戦える。


~~~~~~~~~~~~


 ベンジャミンside

(おかしい…おかしいぞ…何故、私の能力が効かない!)

 この時、私は彼に対して大きな誤解をしていた。
 島の要塞化は、あくまで事前に持ち込んだ機材で設営したものだと思っていた。
 そのため、彼自身の身体は生身に身体であり、巨大戦艦を1人で動かす少年としてみていた。

 その結果、ものの数分で不利な状況に追い込まれてしまった。


~~~~~~~~~~~~


 クラウスside

(あれ?手を抜いているのか?いや、表情から察するに全力を出しているというよりかは、なるべく被害を出さないようにしているのだろう。腐っても海軍という訳だな)

 今、彼がやっているのは生身の身体をどうやって戦闘から彼の有利な交渉に引きずり下ろすかであり、身体の崩壊を主軸にしていない。
 もし、これで俺の身体についての事実を知ればコア破壊などを念頭に戦っていたであろう。
 意図的とは言え、偽の情報から推測する第一印象って奴は大きいな。
 じゃなかったら今頃、俺の方が圧倒的に不利だった。
 だが彼は、そんな事実を知らないので俺有利な方向に進めることができる。

 そんな戦闘が続き、30分後にはベンジャミンがボロボロの状態で倒れ込んでいた。

「勝負あったな」
「あぁ…そうだな…俺の負けだ……」

 ベンジャミンは息絶え絶えにそう言ったので、部下達は動揺している。
 俺はいくつかの疑問を、戦闘中に思い浮かんだので聞いてみた。

「何故、全力でやらなかった?」
「そうしたら…住民に被害が出るだろ…」
「じゃあ何故、俺を試すようなことをした?」
「君の実力を試すためさ」
「実力?」

 俺がそう言うと、ベンジャミンは事情を説明してくれた。
 それによると、技術の進歩で偉大なる航路(グランドライン)を制覇する日はそう遠くないため、自ずと最初に制覇した奴に続いて多くのものが海賊になるかも知れない。
 その抑止力として、ビックマムを倒した技術を持っている俺を起用したいらしい。

 それらを聞いた俺は、一息ついてからこう断言した。

「その話、お断りします」
「な、何故だね!?」
「俺らにとって何ら利益がないし、現状ではあんたら海軍でなんとかなるだろう」
「し、しかし…!」
「俺らを組み込みたいなら何らかの手土産でも持ってくるんだな。じゃないと聞く気すら起きん」

 そう断言した俺に対して、ベンジャミンは受け止められずに呆然としたため、俺は別れの言葉を述べてその場を去った。
 てか、なんで土産を1つも持ってこないのに俺達が海軍に入ると考えたんだろうか。少し考えただけでもわかることなのに。


~~~~~~~~~~~~


「クラウス、そっちは終わったの?」
「あぁ、大丈夫さ。彼らも当分は追ってこない」
「では、私達はいつも通りに生活できるのね」
「そういうことだな」

 シノの疑問に答えた俺を見て、シノブもシノと一緒に安心した顔で俺に抱きついてきた。
 最近、シノ達のボディタッチが多くなってきているように感じる。
 半年間も一緒にいたせいか、そうなったんだろうか。

(それともあれか、キャラ崩壊なのか!?キャラ崩壊って奴なのか!?)

 そんなバカなことを考えつつ、俺達は本拠地に戻っていくのだった。



と言うことで、海軍との初戦闘です。

初戦闘ということで、海軍大将もオリキャラです。

と言うよりも、原作開始の40年前ぐらいって情報が少なすぎて適当に作るかなかったので、変なことを書いていたら指摘などをしていただけるとありがたいです。

主人公も強いですが、海軍大将もなかなかの能力者ですよね。

平方根の法則を平気で歪めてきますので、不意打ちや暗殺などじゃないとまともに戦えないかも…。

ここら辺は、チート過ぎるのでリミッターをつける方針で行こうと思っています。


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第6話 休息と修理

日間ランキングを見ていたら29位になっていました…

評価をなさって下さった方々、ありがとうございます!


「ふぅ…やっぱり、本拠地が一番落ち着くな」

 俺達は海軍との戦闘後、本拠地に戻って思い思いの場所でくつろいでいた。
 この半年間、島の地上部分の設営が進んでいて設備が充実している北側と、防衛システムが充実している南西部の間のハの字になっている部分に航空機用の滑走路を設営した。
 これはGPSなどが使えない上、木造船のためにレーダー波の反射面積が小さいので、レーダーで感知したものを偵察機で確認しないと何とも言えない。
 ここで使っているのは、RQ-4という無人偵察機を海軍仕様にしたMQ-4トライトンで、それを10機を運用している。
 そうすることで、水平線から先も観測できるようになった。

 その他にも最近、アティ達以外のロボット達も感情が豊かになってきた。
 自由に行動させているせいか、アティ達に触発されて感情というものを実装して俺の気を引こうとしたり、本を読んでその内容についての議論をしている場面を見たりしている。
 そんな変化の中、この島で唯一の浜辺であるハの字の南側に来ていた。
 この浜辺の長さは15kmに及び、幅は200mぐらいだ。

 その一角を陣取り、パラソルを開いて浜辺に刺してからビーチベッドを置けば豪遊している感じが出るが生憎、この浜辺には俺やメンタルモデルのシノ達、プロトタイプのロボットのアティ達だけがいる。
 この島は夏島で太陽の光ガもさんさんと降り注ぎ、風も穏やかなのだがロボット達には観光というものをよく理解していないので仕方ないだろう。そもそも、シノ達だってよく理解していないらしいし。
 そんな中、1つの変化が起こっていた。

 それは…

「クラウス」
「なんだい?エレナ」
「浜辺に打ち上がっていた十数名の女性、目が覚めたそうよ」
「オッケー、治療区画に向かうか」
「はい」

 数日前、嵐によって遭難したであろう荷物が浜辺に散乱していて、その中に十数名の女性がボロボロの状態で倒れていたのだ。
 そのため、治療をするために作ったが使ってない整備した治療室に連れて行くと、驚愕の事実として俺達とは違った技法で作られたロボットだった。
 その結果、治療と称しながら壊れた部品を俺達が作っている部品と交換して修復させた。
 幸いなことに、部品の種類等は違っても規格はほぼ一緒だったので修理がしやすかったのと、この世界の技術では量産が不可能なほどの部品数だったので海軍が事故を装って彼女達を派遣した訳ではないらしい。
 最も、襲ってきた海軍艦艇の3分の2も沈めれば撤退していくだろうけど。

 そんな訳で、俺達はビーチでくつろいでいた雰囲気から、仕事をする雰囲気へと変わっていった。


~~~~~~~~~~~~


「よぉ、目が覚めたんだってな」
「あっ…」

 治療区画の患者が寝泊まりする部屋の中で、案内された個室に入ると1人の女性がベッドに座っていた。
 長い茶髪と整った顔、女性としては長身な方で胸もそれなりにある。
 そんな女性は、困惑もしながら入ってきた俺達を見ていた。

「俺はクラウス、この島の管理人をしている。君の名前とどこから来たのかを教えてほしい」

 俺が部屋にあった椅子に座りながら、そう言うとその女性は静かに語り始めた。

 彼女の名前は大和、深海棲艦との大規模な戦闘でなんとか勝利したものの味方の艦隊は壊滅。
 紀伊という女性と彼女だけが残ったものの、帰投中に彼女自身も潜水艦の魚雷によって沈没してしまったという。

「あの…訪ねにくいんですけど…」
「なんだい?答えれる範囲内だったら答えるけど?」
「私以外に誰か、ここに流れ着いていませんか?」
「誰とまでは特定できないが、複数人が流れ着いてきている。だが、ちゃんと会わせるからしばらく待ってほしい」

 俺がそう言うと、大和と名乗った女性が不安そうにうなずいたので俺は部屋を後にする。


~~~~~~~~~~~~


 あの後、他の奴らにも会ってきたが恐らくは“艦娘”という奴だな。
 この世界に来て5年、来る前にはしばらくやっていなかったがそれでも熱心にやってたので、提督としてよく使っていた主力艦のことはよく覚えている。

 大和以外のメンバーは武蔵や長門に陸奥、伊勢と日向、扶桑と山城、赤城に加賀、夕立、雪風、島風がこの島に流れ着いた。

 そして、彼女達が一環として言っていたのは大規模な深海棲艦との戦闘で沈んでいたことだ。
 恐らく、同じ海戦で共に戦って沈んだのだろうけど何故、この世界のこの島に流れ着いたのかはわからない。
 多分、シノ達と同じ原理だとは思うがそれを確かめる(すべ)もない。確かめる勇気もない。
 わかっているのは、彼女達は元の世界に戻れないことだ。
 仮に、この世界で轟沈したとすれば別の世界にいけるかもしれないけど、無数にある世界の中で元の世界に戻れるとは限らない。
 寧ろ、戻れない確率の方が圧倒的に大きい。
 ならば、この島で生活させてこの世界に馴染ませた方が得策じゃないのか。

 俺がそう思っていると、ドアのチャイムが鳴ってシノ達が入ってきた。

「どうした?」
「大和達が部屋を出て互いに遭遇した」
「…それで状況は?」
「お互いの生存を喜びあっています」
「そう…早速、出会ったんだな」

 警報やらなんやらが鳴っていないということは、少なくとも今の彼女達は暴れ回る気持ちはないらしい。
 まぁ、暴れ回ってもうちのロボット達に制圧を任せるから問題はないんだけど心配なんだよなぁ、ホームシックとかが。
 彼女達が帰りたい、と言っても帰る手段がないから何にもしてやれない。
 だから、しばらくしてから彼女達に会いに行こうと思う。

「ところでクラウス」
「…なんだい?」
「彼女達のこと、知っているんでしょう?何もしないから早く答えなさいな」
「……良いだろう、面白くもなんともないけどな」

 シノ達は一向に、事情を知っているであろう俺が彼女達に何も言わないのに腹を立てて、怖い顔になっていたので正直に言った。

 大和達自身や世界、大和達の敵についてのこと。

 俺が知っている範囲内で、シノ達に説明すると納得はしてくれたが出ていく時に釘を刺された。

「1つ、言っておくけど」
「なんだい?」
「無断で彼女達に手を出したら怒るからね?」
「…はいよ」

 どうやら、シノ達は嫉妬艦になったらしいです。



艦これの大和達と遭遇、と言うか、彼女達の世界で何が起きたのか!?
次回、衝撃の事実が発覚!

と言うネタで、あまり深く考えていません。
あくまで「A-150戦艦で深海棲艦に殴り込み!」のクロスオーバーですので、変に突っ込んだ人はガタイのいい男達に裏路地に連れて行かれてアッー!されます。

冗談はさておき、次回からはリアルの不定期投稿になります。
事情は私生活で色々、やらないといけないことがありますので投稿ペースが遅くなります。
そのことをご了承下さい。


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第7話 戦力増強

 大和達が目を覚ましてから1週間後。

「さて、諸君らがこの世界に来たきっかけが同じだと言うことはわかった。君らが敵と戦うために作られたと言うことも」

 大和達が、お互いの再会を喜びあって落ち着いたところで彼女達をブリーティング室に集めて俺がそう言った。
 彼女達はこれからのことを考えて、不安げな顔をしているが俺から言うことは1つだけだ。

「だが俺は君らが戦うことを強制しないし、君達の命と自由を奪うこともしない。現時点でこの島にいる限りは俺らが君らを守ろう」

 俺はそう区切ると、彼女達はある程度の安心感が出たがそれをスルーしつつ、言葉を続けた。

「しかし、もしも君らの中にある使命や守りたい何かのために再び、己の牙を持って戦う意思があるのなら3日後までに俺に言いに来てくれ。君達にとって不可欠なものを送ろう」

 俺の発言に、彼女達は驚いてざわついているが俺は壇上から降りて部屋を出た。
 彼女達とじっくりと話してからわかったのだが、この世界についてに関しては驚きの一言であり、元の世界とは別の世界に来たと言うことを改めて実感したらしい。
 そのため、事前に現在の事情を説明して元の世界に戻れる可能性は限りなく、低いことを伝えた上での今回の話だ。
 彼女達の目の前に突然、2つの道を示されたためにかなり動揺しているようだがこういったことは早めに伝えておかないとまずい。

 もし、原作通りにゴール・D・ロジャーが海賊王になったら必然的に大海賊時代の幕開けになってしまう。
 そうなると、海軍からの接触も多くなるだろうし、そうなると四皇や七武海、最悪の場合は海軍に組み込まれる可能性が高くなる。
 そうなる前に、ある程度の力はつけておかないと俺にとっても彼女達にとっても、バッドエンド級のまずい結果になってしまう。
 そうなる前に、彼女達をこっちの陣営に引き込んで艦隊を組もうと思う。ゲームとは言え、艦隊運用には経験があるしね。
 俺はそう思って今回、彼女達にこの提案をした。

 後は、彼女達がどうするかだ。


~~~~~~~~~~~~


 大和side

「―――――しかし、もしも君らの中にある使命や守りたい何かのために再び、己の牙を持って戦う意思があるのなら3日後までに俺に言いに来てくれ。君達にとって不可欠なものを送ろう」

 彼がそう言った時、私の心の中で何かが動いた気がして、彼は私達のことを理解していると感じてしまった。

 私達の提督であった元の世界の人物は、本土からトラック泊地に移った後からその本性を現し始めました。
 彼の姉が豊満な女性に欲情したように、彼自身も駆逐艦達に欲情し始めたのです。
 さすがに、私達は艦娘に対して欲情しないようにと注意したり、諫めたりしたものの夕立や雪風達に対する性的暴行は収まりませんでした。
 挙げ句の果てには、私達が出撃している間に性的暴行を受けたりもしたため、何人かの駆逐艦達は男性に対するトラウマを起こしてしまいました。
 紀伊さんなんかは、提督を本気で怒って止めようとしたけれど提督は人間に対する安全装置を盾に紀伊さんの言葉を聞き入れず、さらなる暴行に怯える少女達をなだめることしかできませんでした。

 しかし、そんな状況に転機が訪れました。

 深海棲艦のトラック泊地への大規模な攻勢でした。
 戦いは1ヶ月以上も続き、私達は次々に撃沈していって最後に残ったのは私達の戦艦群や紀伊さんやみらいさん、あしがらさんと言った現代艦でした。
 それでも皆は中破以上になっていて、改二になって圧倒的な火力と装甲を持っている紀伊さんですら撃沈寸前のぼろぼろになっていました。
 そして、残る敵は―――――。

『ははっ、泊地水鬼とか…洒落になんねぇ』
『しかし、この状況で見逃せば次は私達だけでは止めきれないぞ』
『100人以上いた艦娘の全員がケッコンカッコカリができる状態だったのに』
『それでも…やるしかないな…』
『皆、覚悟はできてる?』
『じゃあ、行きましょう!』

 泊地水鬼との戦いで、私と紀伊さん以外は轟沈してしまい、帰投途中で私も魚雷で沈んでしまいました。
 妹の武蔵や長門さん達がこの世界に来ているのなら、他の皆も来ているのでしょうか。

(そうだったら皆に会いたい!皆と再会して笑い合いたい!)

 私はそう思い、皆と相談し合ってクラウスと名乗った彼の元に向かいました。


~~~~~~~~~~~~


 クラウスside

「それで、皆で来たと」
「はい、この世界で私達を知っているのはあなた達しかいません。ですからこの世界について、色んなことを知りたいんです」

 戦力増強目的でさっき、味方になるならそれ相応の力を与えようと言ったところ、1時間もしないうちに全員で来て味方になりたいと言ってきた。
 理由としては、皆と共に戦いで失ったかつての仲間の捜索と、この世界での再出発をこの島で行いたいとのことだった。

 そのため、俺は2つの言葉で了承して彼女達を地下ドックに連れて行った。


 地下ドック

「こ、これは!?」
「私達の知っている軍艦とは違う…!」

 俺が地下ドックに連れて行き、俺の船体(からだ)とも言える軍艦を見せた。
 すると、大和達は驚きの声と共に言葉を失って唖然となっていた。
 そのため、俺は彼女達に聞こえるようにこう言った。

「これが俺の身体だ。この身体と共にこの島を要塞化した上、君達が海に出ても無事に帰還できるような設備も設置してある。必要となればここで修理も行えるぞ?」
「な、なぁ…クラウス」
「どうした?長門」
「それは君…いや、あなたの船体のような軍艦を作ってもらえるのか?」

 あぁ、なるほど。
 彼女達は、シノ達のようにそれぞれの船体を持っている訳ではなく、彼女達に会わせた艤装を身に付けているだけだった。
 そのため、俺の船体のようなものに憧れているのだろう。
 そう思った俺は、はっきりとした口調でこう言った。

「君達の身体を元に船体を作り出すから、俺のようにはならないけどそれぞれが1隻ずつ、戦闘艦を持てるぞ」

 俺がそう言うと、彼女達は歓喜の声に包まれた。



 それから8年、大和達の仲間が次々にこの島に打ち上げられては新しい船体を作っていったため、この島は要塞島から数多の戦闘艦が住み着く軍艦島に成り上がっていた。



まさかの提督ロリコン説が発覚!これによって艦娘の全員からの株がだだ下がり!

と言うネタはさておき、どうやって艦娘がこの世界に来たかと考えた時に、実は提督がロリコンだったということに落ち着きました。
その上、深海棲艦の大攻勢によって紀伊達の艦隊は紀伊を除いて全滅。
それによってこの世界にやって来たという設定に結びつきました。

まぁ、紛いなりにも自分の作品ですのでこうやって好き勝手できる訳ですがもし、他の作者さんの作品を悪く書くと酷い目に遭いそうですのでやれませんね。

それはともかく

UAが1万回を突破しました!
お気に入り登録者数も200件を超えて、評価をしてくれる人も8名になりました。

嬉しすぎて、携帯のマナーモードのバイブ機能みたいに震えています。


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第8話 七武海

「―――――以上を持って鋼鉄海賊団の船長クラウスを七武海に任命する!」

 海軍と初めて戦ってから8年。

 俺達は最初の5年で、全ての艦娘を集めきって全ての艦娘にそれぞれの船体を建造したところ、単純戦力ではビッグマムを超える大規模な海賊団になっていた。
 そのため、いくつかの艦隊を編成して近場の島を調査したり、懸賞金が掛かっている海賊団を見つけては賞金首以外を殲滅して海軍に送り届けたりしていた。
 それと同時に、島の地上部分を開発して海上に複数の港を建設。1つの港に最大で60隻の艦艇が停泊できるようにした。
 何せ、200体ほどの艦娘がいる訳で地下ドックだと出航するのに時間が掛かりすぎるし、かと言って改修を行うのに浜辺に常に抑留するのも色々とまずい、と言うことでそうなった。

 そんな訳で、忙しくも楽しい時間を過ごしていって一段落した今年になって、懸賞金が15億ベリーの賞金首が掛けられる予定と同時に七武海の座を1席、渡すことが海軍の方から通知された。

 理由としては、たった1隻でビックマムの海賊団が壊滅させたことで、強力な艦隊戦力を持っている俺を指名したらしい。
 その際の海軍の船を1隻、こっちによこすから海軍本部まで来てほしいとのことだった。

 この時にはさすがに、俺の一存では決めれなかったので後で連絡すると言って、主要な艦娘達と概念伝達空間で会議をした。

 コンゴウ達は、白い空間に古代ギリシャ風の支柱と天井らしきものがあったが、俺の場合は夜の軍港を見下ろせる一室をかたどったものに、参加する人数に会わせて色んなものを配置している。
 この時にかたどったのは、ブリーティング室でそこには本拠地にはいないメンバーもいたが、彼女達の治療(かいぞう)によってメンタルモデルを飛ばして参加できるようになった。
 その時に話し合われたのは、拡大をし続ける艦隊と彼女達を歓迎しているいくつかの島を守ると言うことで、それが世界の守り手である海軍から七武海の座が来たのなら乗るべきだ、と言うことで話が纏まった。

 俺自身も海軍との関係を持っていた方が良いし、本拠地以外の仮拠点となる島を5~6個ほど持っているので、海軍公認の縄張として登録されていた方が便利だ。
 偉大なる航路(グランドライン)前半の航路にも1つ、仮拠点である島があるし。

 と言うことで翌日、海軍に了承と了解の旨を伝えて来てもらうことになった。
 それに伴って、当日に海軍本部があるマリンフォード周辺を航行していたり、航行する予定の艦娘に伝達をして俺がマリンフォード周辺に来たら、その周辺に潜行して待機するように伝えた。
 今の彼女達は、海を何ヶ月も航行できる能力を持つ戦闘艦を各自が1隻ずつ持っているので、船同士の戦いでは負け知らずだとも思っている。
 しかし、俺やシノ達と違っているのは艦娘自身の戦闘能力は海軍の佐官クラスしかないので、中将以上の戦闘力を持つ量産型の戦闘ロボットや家事ロボットを一定数、それぞれに配備して彼女達の警護を行っている。

 理由としては、覇気に似た技を出しにくいからだ。

 元々、艦娘というのは艤装を身に付けて深海棲艦と戦うことを想定していたので、自分の肉体を使って戦うことは想定していない。
 アニメ版では、実際に使っていたような気がするが13年以上も昔のため、よくは覚えていない。


 それはともかく


 今、俺がいるのは海軍本部相談室という部屋でクロコダイル脱退の件で、バーソロミュー・くまとドフラミンゴとミホークが話し合っていた部屋だ。
 その大きな部屋には、海軍元帥になったベンジャミンの姿と映画で有名になった黒腕にゼファー大将の他に、2人の大将が座っている。

「しかしまぁ、いつぞやのあんちゃんも偉くなったもので」
「あんたもあんたで元気そうで何よりだ」

 俺とベンジャミンがそう言い合ってから笑うと、事情をあまり把握していないゼファーが不思議そうに聞いてきた。

「ベンジャミン元帥、こいつとの間で何があったんですか?」
「あぁ、こいつとは昔に殴り合った時があってな。あの時は本当に参ったよ」
「いやぁ、おめぇさんの能力が全開だったらこっちだって無事じゃ、すまされなかったんだぜ?」
「ほぅ…」

 俺達が軽い雰囲気で雑談をしていると、ゼファーは興味深そうにその会話を聞いていてこう言ってきた。

「では、凄腕の海賊という訳だ。最初から懸賞金が15億ベリーだからな」
「まぁ、トータルでその額だから個人単位ではそれほど強くないと思うよ」
「だと良いがな」

 ゼファーがそう言いながらも、俺は七武海を引き受ける上で条件を出した。
 それは仲間であるシノやシノブ、艦娘達は絶対に売り渡さないと言うこと。
 彼女達にとって、俺は世界と彼女達をつなぐ存在であり、彼女達の心の支えでもあるらしい。
 それに、俺にとっても彼女達は欠かせない存在であるので守っていきたい。

 その旨を伝えると、ベンジャミン達は了承してくれたのでお開きとなった。


~~~~~~~~~~~~


(ん?海軍とは違う反応が出ているな…これは一般人を取り囲んでいるように見える)

 海軍本部相談室を出た俺は、マリンフォードを軽く見て回ろうとレーダーを展開すると海兵には到底、考えにくい行動に目が留まった。
 俺は妙な胸騒ぎを感じつつ、その現場に向かってみると海兵の格好をした海賊が数人で、ここに住んでいるであろう住人を取り囲んでいた。
 しかも、その住人である女性と子供は恐怖で顔を青くしていた。

 それを見た瞬間、俺の身体はすぐに動いて武装色の覇気と似た力を手足に纏わせて、瞬時にそいつらの動きを止めた。

「ご婦人、怪我はないですか?」
「は、はい…」
「こいつらは海賊です。早く海兵のいる場所に逃げ込んだ方が良い」
「はい!」

 その女性は戸惑いつつも、俺の指示に従ってその場から逃げ出した。
 そして俺は、海賊と思わしき連中のリーダーみたいな奴の胸ぐらを掴んで持ち上げると、俺は質問した。

「お前ら、海兵じゃあねえな」
「へへっ、何を言っているんですか、兄さん」
「てめぇらの身振りもそうだが、ここの海兵は一般人に手を出すような連中が来る場所じゃあねぇんだよ」
「はっ、俺達はたださっきの奴と知り合いになりたかっただけさ」
「それにしちゃあ、あり得ないほどの怯え方だったな」
「そいつはどーも!…ってあれ?」

 俺が尋問していると、リーダー格のそいつがポケットから煙玉を出したので、起爆する前にそいつの腕を切り落としておいた。
 そいつが痛みで騒いでいる間に、海兵の格好した奴らをありもので縛り上げて放置しておいた。
 女性の報告で、ゼファーを含めた海兵がすぐそこまで来ているしね。てか、そうなるとあの女性と子供はゼファーの家族か。
 女性の報告だけで、海軍大将がすぐに動くことはないだろうしな。

 そうなると、俺がいる所が見つかると色々と面倒なのでその場から立ち去った。



艦娘との会話は!?と思った人、後でちゃんと書きますのでご安心を。

出会いに関しては、大和達が流れ着いた浜辺に続々と流れ着いたので、彼女達を拾っては治療(改造)をして戦う意思を持っている艦娘に関しては専用の船体を建造しています。

持っていないか、戦う自信がなくなった艦娘に関しては島内に関しては自由に行動できるようにしています。

次回から、新しい章に移りますのでご了承下さい。


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第2章 それぞれの若き頃 第9話 それぞれの決意

 ―――夜 居酒屋「鳳翔」

「しっかし、まさか七武海の座を取るとはね」
「私達の力を認めたと見て良いのだろうか」
「恐らく、海軍は俺達が敵になっての脅威となる可能性を取り除きたかったんだろう」

 海軍本部から帰ってきた俺は、本拠地に作った居酒屋に通っている艦娘達と話し合っていた。
 ここは、“再会の浜辺”と呼ばれるようになった島の南側にある浜辺で拾われた彼女達にとって、憩いの場であるのと同時に仕事をしている彼女達の休息所にもなっている。
 ここに来る艦娘は、戦艦であろうとも駆逐艦であろうとも来てもいい場所ではあるが、大人の雰囲気に押されて来るのは軽巡から上の奴らだ。
 そんな居酒屋を管理して、料理を出しているのは軽空母の鳳翔だ。
 彼女は、この世界に来るきっかけである先の海戦にて多くの艦娘が傷つき、心身共に疲れ切った彼女達をいやしたいと進言してきた。
 その上で彼女は、自らの船を作らずに後方支援に専念したい、との願いも決意を持った顔で言ってきたのだから断る理由はない。

 そこで、俺は1つの提案を出した。居酒屋を経営してみないか、と。

 経営と一口に言っても、艦娘専用の居酒屋な上に本拠地に設置するので彼女と数人の家事ロボットでなんとかなる程度の小ささだ。
 とは言え、仕事帰りで疲れた艦娘を癒やすのは確かな味と適切な価格設定、そして彼女達を包み込む優しさと温もりだ。
 このうちの後者2つは、既に習得しているようなので後は料理の腕と経営に関する知識だ。
 これに関しては、海に出て海賊がりと共に買ってきた必要な本から学び取って行ったため、開店直後から艦娘達には大好評だ。俺も時折、お世話になっているしな。

 とは言え、ここで問題になるのは居酒屋で必要な品々だ。
 陸地で作れるものは設備で作れるし、魚介類に関しては艦娘達の演習がてらで捕れた魚や、定置網などで釣れる魚で充分に賄っている。
 その中で、この島にはない嗜好品などに関しては貿易をしてくれる国が配下に加わったので、彼らから送られてくる品々で充分だ。
 一定数の税金を納めて、俺達の縄張であることを示す旗を掲げていればそれ以上は関与しない上に守ってやる、というスタンスで行っているのでかなり歓迎されている。
 今、注目しているのは億単位の賞金首がついている海賊達の動きだ。

 そして今、隼鷹や那智と俺が話しているのは七武海になった件だ。

 原作ではいつから、と言及されていなかったから特に驚きもしなかったが、海賊狩りの謎の艦艇群のトップがその地位にいきなり躍り出ると色々と噂が立つ。
 特に、四皇になる奴らでも屈指の性格の悪さから言って、どういう風にいちゃもんをつけられるかわからないからな。用心に越したことはない。
 そのため、海賊狩りの時には充分に警戒するように全ての艦娘達に通達している。

「それにしても、一気にここまで偉くなったんだから多少は戸惑っているんだろ~?」
「まぁな、でもいつかは海軍から呼び出しを食らうと思っていたから問題はない。一般人に危害を加えない範囲で自由にして良い、というお達しも来ている訳だし」
「ずいぶんと良い評価をもらったんだな…これも私達が行った行動とは言え、その基礎を作ったクラウスのおかげだな」
「君らには本当に感謝している。これからもよろしく頼むよ」
「はいよー」
「任せておけ」

 ガララ…

「鳳翔、すまんが酒を2つ頼む。それに合うつまみも」
「わかりました、長門さん、陸奥さん」

 俺が会話をしていると、任務帰りの長門と陸奥が入ってきた。
 彼女達には、貿易をしている国の国賓相手に交渉をするという任務を与えていたため、かなり疲れているようだった。

「そっちはかなり大変だったようだな」
「クラウスか、本来だったらお前がやることだったんだぞ?」
「海軍に呼び出されたからな、こう言うのを頼めるのは大和姉妹か長門達ぐらいだったんだよ」
「それはいいけど、その分の給料はちゃんと出してよね?成功させてきたんだし」
「はいよ、任せておけ」

 どうやら、話し合いはうまくいったらしい。報告も上がっていたが、直に話を聞ける方が色んな情報が聞けるからそっちの方が良い。
 1人では、できることがそれほど多くはないが頼れる仲間が多くいれば、できることは圧倒的に多くなる。
 居酒屋「鳳翔」しかり、国賓との交渉もしかり。
 戦うことをやめた艦娘達は、鳳翔以外にも数人がいるがその分、他の分野で第一線の働きをしているから他の艦娘達の力を最大限、発揮することができる。

 俺は、そんな彼女達が笑っていられるような国や世界を作っていきたい。


~~~~~~~~~~~~


「んで、どうしてこうなった」
「それは当然…」
「最近、私達に構ってくれないからです」

 俺がいるのは、自分の部屋でシノとシノブによって両手足をベットに拘束された状態で寝ているのが現在の状況だ。
 彼女達曰く、最近は彼女達に構っていなかったのでその不満が爆発したようだ。

(確かに構っていなかったのは認めるが、だからって拘束する必要はないと思うがね。これじゃ、まるで同人誌みたいな光景だ)

 俺はそう思いつつ、こう言った。

「確かに構えなかったのは悪かったが、だからってこの拘束の仕方は変な方向に発展しそうな感じなんだが?」
「えぇ、妹と話し合ってその変な方向に発展させようとしているんです」
「変な噂を流されたくなかったら大人しくしているのです」
「えぇー、それは困るなぁ…」

 俺は戸惑いながらも、彼女達に本気でやるのかを聞いてみた。
 すると彼女達は、俺が色んなことを教えてくれた上に様々な出会いに逢わせてくれたし、優しくしてくれたので最後までついて行きたいためにその証拠となるものがほしいらしい。


 そのため、その日の俺達は夜明けまでヤリまくった。



オッパイプルーンプルン

と言うことで、第2章の始まりですよー

いやー、嬉しいですね。評価をしてくれる人が17人に増えた上、お気に入り登録者数が300人を超えたんですから。

そんなこんなで、今回は艦娘達の決意でした。

後、シノとシノブは主人公に夜戦を仕掛けて朝までヤりまくったそうですよ?

ではまた次回。


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第10話 艦娘改造計画①

「うーむ…やっぱり、足りんなぁ」
「何が足りないんですか?」
「軽巡の火力だよ。阿賀野姉妹や大淀なんかはともかく、それ以外の軽巡の火力が少ない」

 俺の呟きに、そばにいたアティが聞いてきたので俺はけだるげに答えた。
 執務室にいる俺は、艦娘が艦隊を組んで出航してから送られてくる様々な報告書を見ていると、共通して上がってくるのが軽巡の火力不足だ。
 駆逐艦なんかは、小口径で連装砲だから火力を弾数で補っているので良いとしても、軽巡だと単装砲がメインだから弾数でも弾の太さでも不足している面がある。
 そのため、弾の無駄撃ちが多くなってしまうようで攻撃の際は慎重にならざるを得ないらしい。

(この世界の船って基本的に木造船だから弾が太かったり、早すぎや硬すぎたりすると貫通するだけなんだよねぇ)

 俺はそう思いつつ、改造の計画プランを組み立てていく。
 原作が開始する32年前とは言え、大海賊時代が始まるのが8年後だから今からやっておかないと、後悔してしまう可能性がある。
 理由は、大規模な改造を行う時には何段階かを経てからじゃないと、艦娘の精神が持たない可能性が非常に高い。
 改装自体は比較的、簡単にできるのだが大幅に変わった船体に彼女達の演算能力や精神力が追いついていけず、精神的な面で壊れてしまうのだ。
 これは艦娘の性能の限界であり、彼女達がアンドロイドよりも人間らしい証拠でもある。

 もし、精神崩壊をさせずに改造をしていくとするならばそれ相応の時間が必要になる。
 駆逐艦では、改装の開始から身体に馴染むのに1~2年ほどの時間で済むが、戦艦や大型空母では早くでも3年で長ければ5年は必要である。
 恐らく、今すぐにやらないと艦娘の半数が今までの性能で大航海時代を迎えることになるから、できうる限り早めにで艦娘達を納得させる必要がある。

 今まで何をしていたのかって?

 艦娘用の船体の建造と微調整、それに本拠地に住む彼女達の住まいや娯楽施設の設定などで忘れていただけだ。
 そのため、“船体の改造計画”というタイトルで艦娘達にデータを送り、必要に応じて改装を行っていくと伝えると、ほとんどの艦娘から「すぐに改装してくれ」とのメッセージが数分後に来た。

 その結果、継続的な戦力を落とさずに拡充していく計画を立てて改装していくことにした。


~~~~~~~~~~~~


 扶桑姉妹の場合

「やっぱり、速力と防御力を上げたいです」
「さすがにこのままだと皆の迷惑になるだけなんだからね!」
「そんな2人にこの計画案はどうだろうか」

 休暇中の2人に出した計画図には、速度を上げた上で46センチ3連装砲2基とVLS(垂直発射システム)を搭載した予想図を載せてある。
 既に2人は改二になっているため、主砲の弾を太くした上で2基に減らして対地対艦ミサイルを搭載する、と言うものだ。
 主砲を減らすとその分、軽量化が捗るので防御力に割り振れるし、スペース的にも空きができるのでエンジンを載せることができる。

 そんな計画図を見せると、2人の反応はそれぞれ違った。

「これは…ずいぶんと大がかりな改造ですね」
「こんなの…私にできるのかしら…」
「VLSなんかは最後に取り付けるから、主砲の換装と共に変化する船体や強化したレーダー関係に馴染んでいこう。まずはそこからだ」
「あら、そう言うことでしたら…」
「何とかできなくもないです」

 俺がそう言うと、不安げにしていた不幸し…扶桑姉妹は多少、活気づいた。
 元々、分散した弾薬庫の弱点をなくしてやりたかったので、船体の大型化と共に主砲からVLSへの変更にした。その方が、防御力も上げやすいしね。

 そんな訳で早速、2人の船体の改造に移った。


~~~~~~~~~~~~


 赤城、加賀の場合

「これが改造案?まぁ、いいけれど…」
「電磁カタパルトとアングルド・デッキですか…大型化は免れませんね」
「その分、攻撃力の強化と大型化した機体の発着艦が可能だ。どうだろうか」

 赤城と加賀に見せたのは、現代の空母に見られるようなアングルド・デッキの設置と、電磁カタパルトによる艦載機の発着艦を可能にした予想図だ。
 モデルとしては、最終的にミニッツ級規模の空母に仕上がるはずだが、そこに至るまでには何度も改造をしないといけないので時間は掛かる。
 しかし、その分の総合的な能力が上がるため、問題はないはずだ。

 後は、彼女達が了承してくれるだけで充分だ。

「赤城さん、どうします?全部の改装が終わるのに5年ほど掛かりますけど…」
「私としては、それでクラウスさんの役に立てるならいいわよ?」
「わかったわ…クラウスさん」
「はいよ」
「この話、引き受けました」
「んじゃ、早速だが改装に入ろう。タイムイズマネーだよ」

 俺はそう言って、彼女達の船体を改造ドックに持って行く作業に移った。


~~~~~~~~~~~~


 天龍姉妹の場合

「ずいぶんと手が加えられてんな」
「ここまで大きくなったら身体にも影響が出そうだわ~」

 赤城達の後に来たのは、天龍と龍田だ。
 この2人は、旧日本海軍が初めて建造した近代的な軽巡であるため、改造の余地は充分にある。
 そのため、主砲の大型化や魚雷装置の拡充、ソナーやレーダー、対空火器の充実などを念頭に置いた結果、元の船体から倍以上の大きさにまで大きくなってしまった。
 その結果を見た2人が、最初に言った言葉がさっきの言葉である。

「この改装で、戦闘に必要な装備は概ね満たしているはずだがどうかな?」
「いや、これだけあれば充分に戦えるよ」
「私達のことを考えてくれてありがとね~」

 天龍は男勝りな性格で龍田はお姉さんキャラのため、すぐに納得してくれた。
 彼女達なりに、日頃から俺に対する感謝の気持ちを表しているのだろう。
 そのため、俺は彼女達の船体を改造ドックに持って行き、段階的に改造していくのだった。


~~~~~~~~~~~~


 補給艦などの場合

「それぞれの用途について大幅に強化してみたけどどうだ?」
「ずいぶんと強化されていますね」
「まるで別の船みたいね」
「こんなに大きくなって大丈夫かな」

 俺は間宮や明石、神威や速吸、あきつ丸と言った直接、戦闘に参加しない艦娘を集めてそれぞれの改造した予想図を出してみた。
 すると、それぞれの意見が分かれて色々と相談し合っている。
 特に、揚陸艦であるあきつ丸に関しては輸送能力だけではなく、強襲揚陸艦であるワスプ級やアメリカ級のようにヘリコプターやLCAC(エルキャック)を使った戦闘形態になるため、大幅な設計変更が行った。
 その結果、元の船体から大幅に変わったが、輸送能力も失われていないのでそっちでも充分に活躍できるはずだ。
 彼女以外の間宮達は、元の能力を引き上げただけのために外見はさほど変わらず、大型化する艦娘達に対応するために船体をいじって他の艦娘達に補給しやすくしている。

 こうすることで、作業の効率化を目指したのだ。

 その結果、なんやかんやあったが最終的にはあきつ丸も納得してくれたので、改造ドックに彼女達の船体を連れて行った。



作者 「先を見越して大規模改装!とにかく、いじりたかったんです!許して下さい!何でも―――――」
シノ 「ん?今…」
シノブ「何で持って言ったよね?」
作者 「いや、冗談です。だからゆる…」
シノ 「問答無用!」
シノブ「あなたには消えてもらいます!」
作者 「ひどすぐる!WRYYYYYYYY!」


という冗談はさておき、艦娘達の大規模改装ですよ~。

いやぁ、艦娘に戦隊があったら色々とイメージがしやすいなぁと思ったのはつかの間、だったらいじって原形から大幅に変えてしまえばいいじゃん、と言う発想に至りました。

とは言え、艦娘の数も最初の頃から大幅に増えましたので全員を出す訳にもいかず、かと言ってたった1話だけと言うのもつまらないので、しばらく続けさせてもらいます。

終わりが近づいたら、その時にはお知らせをしますのでおつきあいをお願いします。


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第11話 艦娘改造計画②

 工廠の音が鳴り響く中、俺は次の計画の準備を進めていた。
 大型艦の作業は時間が掛かってしまうため、戦力の低下を避ける目的で今度は、小型艦である駆逐艦や潜水艦を改造していこう。彼女達は比較的、簡単に改造できるし。

 俺はそう思いつつ、最初に改造をする艦娘達を呼び出した。


~~~~~~~~~~~~


 神風型の場合

「こ、これが…」
「私達の改造案!?」
「す、すごいわ…」

 俺が提案した改造案は、12.7センチ3連装砲4基と61センチ5連装魚雷発射管4基に、40ミリ連装機銃4基や小規模ながらVLSを搭載するというもので、それをソナーとレーダーと連動させて動かす。
 これによって、従来の船体には収まらなくなってしまったため、船体自体も大型化して原形の5倍ぐらいの大きさになる。
 その計画を見た彼女達は、驚きと戸惑いを隠せずにいた。

(自分の船体が5倍になるって言うのは、運動したら体重が5倍になりますと言われるようなものだから俺もいきなり、こう言われると困ってしまうな)
 そう思いつつ、彼女達の返事を待っていると神風達は意を決してこう言ってきた。

「クラウスさん」
「はいよ」
「私達がこの改造をしたら、もっと役に立てる?」
「勿論、そのための改造案なんだからな」
「だったら私達、この計画を引き受けます!」
「良いのかい?この改造はかなり大変だと思うけど?」
「それでクラウスさんの役に立てるなら、乗り越えることができます!」
「わかった。早速、改造に移ろう」

 俺はそう言って、彼女達の船体を改造ドックに連れて行く。
 改造ドック自体は、シノ達の要望に応えられるように予め作ってはいたが、大和を初めとする艦娘の数が増えていく状況を踏まえて、50隻の船舶がいっぺんに改造できるように拡張しておいた。
 船体の改造は2~3日程度で終わるので、改造した艦娘のバージョンアップも同時並行で行う。
 こうすることで、新しい機能に対応していけるようにしている。

(後は待つだけだな)

 俺はそう思いつつ、最初の改造の手順を踏んで改造を始めた。





 3日後


 扶桑姉妹や赤城達も含めた全員で、1回目の改造を終えてみると彼女達の船体が大きく変わったことが手に取るようにわかる。
 特に、赤城や加賀の船体はアングルド・デッキや蒸気カタパルトの設置によって大幅に変わっていて、原形よりも大きくなった感じを受ける。
 扶桑姉妹は主砲の変化によって、特徴的だった艦橋がすっきりとした感じだ。
 神風姉妹やあきつ丸も、原形よりも大きくなって強くなった印象を受ける。
 その一方で、補給艦や工作艦などの外見はあまり変わってはおらず、機能の拡張をした程度だ。

 改造を受けた艦娘達はというと…

「どうだい?調子の方は」
「悪くはないですね」
「気持ち的に軽くなった気がします」
「アングルド・デッキ…なかなかのものですね」
「おかげで良い調子よ」
「うぅ、自分が強襲揚陸艦で良いのかな」

 と、嬉しそうにしていたり、緊張していたりしている。
 そんな中、俺は彼女達にこう言った。

「よし、一先ずはその状態で慣熟訓練をしてくれ。その中で何かしらの不具合が出た場合、俺の方でも対処するから逐一、報告してくれ」
「「「「「はーい!」」」」」

 彼女達の元気な返事と共に、その場はお開きとなった。
 今後、新しくなった彼女達は艦娘達の間で新たな力を生み出すだろう。
 俺はそのことに期待しつつ、執政室に戻った。


~~~~~~~~~~~~


 潜水艦の場合

「イク達も改造してほしいのね!」
「そうでち!皆が強くなるのにゴーヤ達だけ、置いてけぼりはダメでち」
「私もシノ姉達と一緒に泳ぎたい!」

 初めての改造を行った翌日、偶然にも休暇が揃った潜水艦達が執政室に押しかけてきた。
 その内容は、シノとシノブが強すぎるのと大和達のような水上艦と比べて速度が遅いから、もっと速度がほしいと言うことだった。

「だったらこんなのはどうだろう?」
「どれどれ~」
「船体がほとんど変わっていないでちね」
「本当に強くなっているの~?」

 改造案を見た彼女達が、異口同音で心配するのも無理はない。
 何故なら、外見自体がそれほど変わってはいないからだ。
 俺が彼女達に施した改造は、従来の性能を存分に発揮させるように改造しただけで、木造船であろうとも本来の目的である水中からの奇襲を行えるようにした。
 とは言っても、その存在を知られたくないのでその任務は当面の間は先送りになってしまうがその分、細かい点まで微調整ができるから問題ないだろう。

「まぁ、君らの場合は乗組員のことに関してはあまり気にしなくて済むからその分の速度性能は確実に上がっているぞ?」
「本当!?なら早速やってほしいのね!」
「イクの独り占めはよくないのでち!でちにもやるのでち!」
「イムヤにもやってほしいな~」

 とまぁ、こんな感じで潜水艦達も改造に興味津々のため、彼女達の船体をいじくり回すために改造ドックに連れて行った。


~~~~~~~~~~~~


 潜水艦達の改造も一段落してから、俺は目的地に向かうために自分の船体を地下ドックから海上に出して、巡航速度で向かっていた。お供は金剛とアイオワだ。

「くぁ~、やっぱり羽を伸ばすの気持ちいいぜ」
「クラウスもたまには外に出るのネー?」
連合艦隊旗艦(Union fleet flagship)ドック(dock)でヒッキーになってたらダメなのネ」
「アイオワよ、変な言葉を覚えてねぇか?」
引き籠もり(stay indoors)をジャパニーズにするとヒッキーってシノ達が言ってタヨ?」
「あんにゃろめ、変な言葉に教えやがって…」

 俺が潜水艦達の指導をしているシノ達に毒づくと、金剛がとあることを聞いてきた。
「そんなことより、クラウスー?そろそろ、無人島(desert island)基地(base)になっているんじゃなイ?」
「base!?my homeみたいになっているノ!?」
地下ドック(Underground dock)は建設していないが、それでも艦娘(Fleet girls)専用のbaseにしようと思っている」
「Oh!very goodなideaよ、Klaus!」

 アイオワがそう言いつつ、俺に抱きつこうと彼女の船体が俺の船体に接近してきたので、フィールドを展開してそれを阻止した。
 すると、彼女が怒ったような口調でこう言ってきた。

「Oh shit!このフィールド(field)がジャマ~!」
「Hay Iowa!クラウスにくっつくんじゃないネ~!」
「くっついてない、くっついてないでござるよ」

 俺とアイオワのやり取りに、嫉妬した金剛が反対側から船体を寄せてきたのでそっちのフィールドも展開したが、おかげでサンドイッチみたいに挟まれる羽目になった。
 そんな感じになってから5分、興奮した2人が冷静になった時に1つの通信が俺達を一気に仕事モードにさせた。



『第六駆逐隊からの緊急報告、賞金首20億ベリーの海賊「鋼のカウベル」が同盟国を強襲中。至急、応援を求ム』



オリキャラの海賊が来ました。

原作キャラだけだと、話のネタがすぐに尽きてしまうので時折、こうさせてください。

それにしても、英語が難しすぐる…

中高の時、英語のテストは赤点ギリギリの点数だったので単語を調べてルビにして…という作業の繰り返しでした。

おかげで5時間ぐらい、ストレスで寿命が縮みました。(縮んだのか、微妙だけど)

次回、その海賊との戦闘になりますが改装計画はまだまだ続きますのでご容赦をば。


ではまた次回。


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第12話 初被害

「くっ、ダメ!全然、効かない!」
「暁ちゃん!速く逃げるのです!」
「クラウスさんが作ってくれた戦闘ロボットも半分にまで減らされちゃったよ!」
「早く港に行かないと!」

 第六駆逐隊―――雷、電、暁、響―――の4人は、完全に追い詰められていた。
 相手は「鋼のカウベル」で、テツテツの実の鋼鉄人間に加えて武装色の覇気の達人でもある。
 そのため、身体の強度は2つの能力が合わさって全開であればビックマムに匹敵する堅さを有することになり、通常の攻撃ではまともにダメージになりにくくなっている。
 一方、クラウスが作った戦闘ロボットは武装色の覇気に対応しているとは言え、カウベルの能力にまでは対応していない。
 その結果、武装色の覇気を纏っている戦闘ロボット達は一方的に蹂躙されることになり、第六駆逐隊は追い詰められる羽目になった。

「はぁ、はぁ―――あう!」
「電!早く立って!」
「見つけたぞぉ!クソガキ共!」

 電が転けて倒れたのを、雷が立ち上がらせようとしたところでカウベルが、建物を粉砕しながら追いついてしまった。
 彼の顔には狂気の表情が出ていて、その右手には身体を真っ二つにされて機能停止した戦闘ロボットが握られていて、彼女達にとってはまさに恐怖の存在だった。

「は、はわわわ…!」
「う、うぅ…!」

 その恐怖のあまり、2人の股間から液体が出始めたのをみてカウベルは下品な笑いと共に、2人を性的な目でこう言った。

「ガハハハハ!怖くてちびっちまうクソガキが俺に刃向かうからこうなるんだ。こうなったら俺達の性処理用として飼ってやるか!」
「はぅ…うえ…うええええ~」
「うぅぅ~」
「へっへっ、かわいく泣くじゃねぇか。こいつは上玉だぜ…ぐぉ!?」

 自分達の将来のことを考えて、泣き出してしまう2人に歩み寄って手を伸ばすカウベルに、3発の砲撃が当たった。

「そこまでだ、鋼のカウベル。うちの娘に手ぇ出すとは良い度胸だな」
「てめぇ、何モンだ!?」
「語るほどの名前はない…と言いたいところだが、鋼鉄の海賊団のクラウスと言えばわかるんじゃねぇか?」
「何だとぉ?てめぇがかぁ?」

 カウベルの脳裏にはつい最近、七武海になった海賊団の名前が挙がっていたのを、ニュース・クーで確認したのを思い出していた。
 その時は、何かの間違いだと思ってすぐに忘れていたが後日、手配書の中に相対している奴の顔があって15億ベリーの懸賞金が掛けられていたのは覚えている。

「はん、元15億のひょろひょろ男に七武海がつとまるかよ!?えぇ、おい!」
「生憎、金額と外見だけで判断するのはよくないと思うぞ?」
「うるせぇ!痛い目に遭いたくなければすぐに立ち去れ!」
「はぁ、仕方ないねぇ…金剛、アイオワ…息を合わせろ。電達を逃がすぞ」
「オッケー、任せてヨ!」
さぁ、行くわよ(Here we go)!」

 俺達はそう言うと金剛とアイオワは電達の元に行き、俺はカウベルの気を引くために武装色の覇気を使ってそいつの顔面を強く殴った。
 そして金剛達が離れるまでの間、俺は畳み掛けるのだが彼にとっては強めのマッサージにしか感じなかったようだ。

「ん~?思った以上に強くねぇな~?本当に七武海かよ~」
「ふっ、そう思っているんだったらこれでも食らいな」
「ん?ぐお!?」

 俺がそう言って距離を取ると、ワームホールで空間を歪ませたところから太さが80センチほどのビームが出てきた。
 これはカウベルを中心に、ビームをワームホールを介して発射させて島に被害が出ないように、撃った方向にワームホールを作って海に放射する。
 こうすることで、余計な被害を出さないようにしている。
 とは言え、威力が強すぎて消し炭にならないように調整はしているが如何せん、耐久力がビックマム並に強いからほとんど加減しないで撃っている。
 途中から、無駄だとわかっていながらも殴り続けていたのは金剛達が離れる時間稼ぎと共に、どのぐらいの耐久力があるのかを確認するためだ。
 そして一定時間、撃ち続けていたらカウベルからの抵抗がなくなったので撃つのをやめたら、丸焦げになったカウベルが力なく倒れた。

 今回、俺が勝利条件としたのは電達の救出とカウベルの捕獲、彼が率いている海賊団の武装解除だった。
 彼の横暴は前々から海軍の方から聞いていたし、電達にも手を出そうとしていたので彼の捕獲は必須だと考えていた。
 もっとも、自分の能力と才能を過信していた彼の捕獲はビックマムの撃退に比べればたやすいもので、こんなものかと肩すかしを食らった。
 ビックマムは、超重力砲を使わないと倒せなかったんだけどな。あっでも、彼女の幹部とかはビームなんかで倒せたから彼以上にビックマムが強かっただけか。

(それはそうと、海軍本部に連絡して引き取ってもらおう)

 俺はそう思い、海軍の方のでんでん虫に連絡する。
 この世界では、でんでん虫を通信機代わりに使用しているが俺らの場合は概念伝達があるし、俺らとでんでん虫との間では固定電話とiPhoneやスマホで電話する感覚で連絡ができる。
 そのため、両方の番号がわかっていれば簡単に連絡ができる。

『ベンジャミンだ、どうした?』
「懸賞金20億ベリーのカウベルとその海賊団の中で賞金首になっている者の身柄を確保しました。海軍本部に引き取ってもらいたいんですが大丈夫ですか?」
『さすがの腕だな。引き取りに関してはいつでもオッケーだから問題はない。そんで引き渡しはいつになる?』
「今すぐにでも行けますが大丈夫で?」
『今すぐか!?相変わらず、とち狂ってんな。でもまぁ、大丈夫だ。準備しておこう』
「じゃあ、すぐに行きま~す」

 俺はそう言って、ベンジャミン元帥との通信を切った。


~~~~~~~~~~~~


「そっちはどうだい?金剛」
「彼女達のおかげでずいぶんと助かったネー」
「でも、力不足を痛感したわ」

 俺がカウベルをロープで縛ってから、引きずって金剛達の所まで行くと彼女らの他にも負傷した艦娘がいてどうやら、彼女達もこいつにやられたらしい。
 金剛とアイオワ、第六駆逐隊のメンバー以外がどこかしらに傷を負っていた。
 その一方で、戦闘ロボット達に倒された海賊団がいたが賞金首以外の海賊は全員、ロボットの一突きで絶命していた。

(やれやれ、彼女達の身体の強化も計画に入れておくか)

 今回の件で、俺は新世界を甘く見ていたことがわかった。
 俺と戦った奴がそう多くいるとは思えないが、それでもカイドウや白ひげなどの強い奴が一定数いるのが新世界という海だ。
 となれば、彼女達自身の強化も今後の戦略において必要不可欠な課題だろう。
 何故なら、彼女達は四皇兼七武海である俺の艦隊の象徴であり、配下に下って貿易をしてくれる国にとって安全保障の要とも言える存在だからだ。
 ここで躊躇するなら、先行きは長くないだろう。

 俺は自分の未熟さを痛感しながら、大幅な計画変更をしていくのだった。



主人公に瞬殺された鋼のカウベルは結構、強い設定だったんですよ。現場にいた艦娘を結構、倒しましたしね。
それでもクラウスの相手ではなかった上に、艦娘の強化をする上での噛ませ犬でした。

そんなのも含めて、次回かその次で艦娘改造計画は終了します。

オタッシャデー!


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第13話 艦娘改造計画③

「………うーん」
「どうしたの?そんな顔をして」
「ずいぶんと考え込んでいるわね」

 俺はカウベルとの戦闘で得た情報を元に、元の世界の知識と合わせて艦娘達の強化をどうすれば効果的に得られるかを考えていた。
 元の世界の記憶は大分、忘れてしまったが白ひげなんかは島を動かすほど強かったし、赤犬と青雉の戦いでは島全体が極寒と灼熱の相反する島にしてしまうほどだったはずだ。
 となれば、彼女達をそのレベルにまで持って行くのがベストなのだが、そのアイディアは完全に行き詰まっていた。

 そのことをシノ達に伝えると、

「だったら、どうしても外せないものを軸にして考えれば良いと思うわ」
「主軸を決めて考えろってことか」
「そうね、クラウスも含めて私達は悪魔の実を食べても意味がないもの」

 と、言われた。

 実際、世界を回っている艦娘から悪魔の実をいくつか、入手して持ってきてもらっている。
 その身を解析したところ、どうやら生身の人間ではない俺達が食べても能力を得られない上、まずいのを我慢して食べてもいつの間にか、新たに出現しているのだから悪魔の実の能力者は諦めている。
 その一方で、武装色や見聞色の覇気は俺や俺が作ったロボット達も扱えたので、ロボットと似た構造の艦娘達にも扱えるのではないかと思っていたところだ。
 となれば、そういった力を彼女達に組み込むためには大規模な改修が必要だ。

 とはいえ、部品自体はロボットたちのを流用すればいいから後は体に合わせるだけだな。
 身体に合わせるといっても、彼女たちの身体検査はすでに終了しているし、身体の特徴も把握済みだ。最初に出会って、治療した時に検査したから問題はない。
 そのことで、恥ずかしがっているメンバーもいるようだが俺からすれば、男性の医者が女性の患者を診察している感覚に近い。
 そのため、身体の強化は船体の改造も含めて同時並行でやっていきたい。

 俺はそう思ってシノ達と意見を交わしつつ、どうやったら効果的に出るかを検討していった。

 それとカウベルの件は、海軍本部がある場所までワームホールを使って賞金首達と引き渡した。
 その時に、赤犬であるサカズキや黄猿であるボルサリーノ、センゴクなどとも出会った。
 原作の初登場時には、それなりに年を取っていたがこの時はまだ若かったな。
 俺が救った家族はやっぱり、ゼファーの家族であったようで当の本人から感謝された。
 そんな海軍と軽く、話し合った後はそれぞれのやるべきことをするためにお開きになった。



 5年後

「これで一先ず、全ての艦娘に対しての改造が完了したな」
「そうね。全員からは今の所、異常はないそうよ」
「これで最終的な微調整も済ませて、後は彼女達に任せるだけね」

 この5年間、本拠地とは別の島の開発をとっとと終わらせてから、住民を呼んで艦娘と普通の人間が共に暮らせる島へと発展させた。
 発展させるに当たって、多くの人に手伝ってもらったがそれはともかく、艦娘達の強化がどの程度まで向上したかを確認する。

 まず、大和を初めとする戦艦群。
 改造の結果、イージスシステムに該当するシステムを搭載するために全ての装備を一新して、主砲の速射性とミサイルによる能動的な防御を行えるようにした。
 また、速度性能で30kt以下の戦艦は30kt以上に速度を上げるために、船体を細長くして電気推進式の足回りにしている。この方が、機動力の面でも色々と便利だしね。
 一方、武装面では全ての戦艦で51センチ主砲を搭載させたため、全長が300メートル以上になってしまったがそれぞれの面影は彼女達の意向でそのままだ。
 それに、小型船舶に対して小口径の副砲が有効と言うことで、装甲自体は強化したがそのままにしておいた。
 このおかげで、近距離では副砲を使って中距離では主砲を、遠距離ではミサイルで攻撃するように役割分担が成されている。

 次に、赤城や加賀達の空母群。
 艦載機の数こそ、増減があるが全ての空母にはアングルド・デッキと電磁カタパルトを装備させたことで、機体に装備できる武装を最大限に搭載できるようにした。
 しかし、アングルド・デッキと電磁カタパルトを搭載したのと同時に、機体自体の大型化によって少なくとも2倍から5倍ぐらいにまで船体の大型化が進んだ。
 その分、足回りは艦娘全般に言えることだがそれぞれの大型化に合わせて強化しているので特に問題はないし、防御面でも高性能なレーダーや戦闘システムを搭載しているので問題はない。
 あるとするならば、能力者が空を飛べる能力があって、船体にダメージを与えられるほどの攻撃力を有していることぐらいだな。黄猿とか。
 まぁ、それに関しては普段からお供に駆逐艦や軽巡を連れて行けば問題をカバーできるだろう。

 次に、高尾や天龍達の巡洋艦。
 そもそも、重巡と軽巡の基準が生まれたのが第二次世界大戦前の軍縮条約で砲弾の太さの違いによって定義されたので、高性能な戦闘システムを搭載した彼女達にはこの定義はあってないようなものだ。
 とは言え、彼女達自身が軍縮条約の設定を刷り込まれていたので、主砲はそれぞれの最大限の太さに換装。
 重巡である高雄達には太さが20.3センチの砲弾を、軽巡である天龍達には15.5センチの砲弾を撃てるようにしておいた。
 勿論、それぞれの主砲を3連装砲にしてそれぞれの船体に4~6基、搭載して魚雷発射管を2基にして空いたスペースにミサイル発射管を搭載した。
 これらを載せるために、多少の大型化が進んで最大で4倍ぐらいの大きさになった。

 ただし、重雷装巡洋艦である北上と大井、木曾に関しては魚雷発射管を4割に減らす代わりに、ミサイルを大量に載せたのでミサイル発射型巡洋艦となっている。
 彼女達がこの世界で沈む時と言えば能力者に攻撃された時か、超大型海王類に襲われた時ぐらいとは言え、もしもの場合に備えて他の艦艇と共に行動するように伝えている。
 それだけ、多くのミサイルを積んでいるのだ。

 また、練習巡洋艦である香取と鹿島は俺達に乗せる乗員の育成のために必要な装備を一式、戦闘システムから武装、エンジンに至るまで練習用に搭載している。
 乗員の育成を受ける人数こそ、少ないものの今はいくつかの駆逐艦に乗艦するために慣熟訓練を行っている。
 ゆくゆくは、俺も操ってほしいものだがここまでしているのは、人間に俺達のことを知ってもらおうという目的でやっている。
 この世界の人達は、俺達のことをどこか遠い存在だとして感じているようなので、その価値観を変えていきたい。
 そんな訳で、香取と鹿島には頑張ってほしいところだ。

 次に駆逐艦だ。
 武装に関しては、巡洋艦の縮小版といった感じだが高い機動性で相手を圧倒できる。
 その分、1発あたりの攻撃力と装甲はイマイチなので、集団で行動するように心がけるようにして、自分より強敵に出会ったらすぐに逃げるように徹底している。
 これはカウベルの時の教訓で、彼のような心なき強敵は容赦なく襲ってくる。
 この時、大人対子供のようにパワーやリーチで劣っているので、戦闘自体は基本的にロボット達に任せるようにしている。
 ロボット達、特に戦闘用に使っているロボットは彼との戦いの後で大幅に強化され、1機あたりの戦闘能力は海軍大将レベルにまで引き上げた。

 その反面、反乱などを起こされたら面倒なので自我は大幅に制限するプログラムを開発した。
 理由は、この世界でリアルタ○ミネーターになったら、大海賊時代に突入したレベルの話ではなくなるからだ。
 そうなったら、海賊王とか海軍とか四皇の話ではなくなって世界はひっくり返り、人々はロボットという未知の存在に怯えながら生活することになる予想が立ってしまう。
 そのため、俺に忠誠を誓っているプロトタイプのアティ達や俺の直属で働いているメンバー、島や基地を守るために活動をしている奴ら以外はそのプログラミングを組み込んでいる。
 と言っても、本拠地で生産されたロボット達は俺のことを自分の主人であり、全員が忠誠を誓っているので今の所は問題ない。

 次に潜水艦だが、彼女達はシノとシノブを頂点とした諜報活動をしている。
 それに際し、スク水だった彼女達の衣服はその上から着れる服装に変更して、陸に上がっても違和感がないようにしている。
 え?何でスク水のままじゃないのかだって?それをしたら、完全に痴女扱いで逮捕されるわ。
 海パン一丁で許されるのは、メカになったフランキーだけで充分です。
 彼女達の任務は、人間社会に紛れ込んで敵対勢力やその他の勢力の思惑について、調べることだから戦闘自体はあまりしない方なので装備自体もそれほど変えていない。

 とは言え、彼女達が単独で行動するのも忍びないのでロボットも数体、同行させている。
 そして、諜報活動をする時は潜水艦独自の通信ネットワークを使ってやり取りをして、報告があれば艦隊共有のネットワークに上げる。
 それが本来の潜水艦任務であり、俺の艦隊では艦隊決戦での前衛を務めさせるようなことはしないし、そんな余裕があれば新しく船体を建造している。

 それをしなかったと言うことは、新たな艦娘やそれに該当する存在が再会の浜やネットワークに報告として上がっていないからだ。


 それはともかく


 最後は直接、戦闘に参加しない艦娘達だ。
 彼女達は、戦闘には参加しないが戦闘などがあって消耗した艦娘に対して、補給物資やロボット達を輸送する任務があるため、配下の国々や基地や本拠地を行き来してすぐに対応できるようにしている。
 この5年間で配下に加わった島はいくつかあって、本拠地も含めて合計10個もの島を管轄する四皇になった訳だ。
 そうなると比例して忙しくなるのは必然で、基本的に基地で待機して必要となればその島に出張っていくことになった。
 その方が管理もしやすいし、戦闘能力が皆無な彼女達を守りやすくなる。



(配下に加わって増えたのは良いけど、そうなれば新しい戦力も必要だなぁ)

 俺はそう思いつつ、艦隊から送られてきた報告書に目を通すのだった。



艦娘改造計画、終わりましたよー!

3回に分けて投稿するんじゃなかった。しかも、途中で別の話が入っていたし。
もう、途中から書くのがしんどくなって書いている途中から投げ出したくなりましたよ。
しばらくは分割投稿はしないで、投稿していこうと思います。

そのため、今後ともよろしくお願いします。


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第14話 執政

 5年間で一通りの改造を終えた頃、俺と艦娘達との間で1つの変化が起こっていた。

 それは、彼女達から恋人として付き合ってほしいというものだった。

 彼女達の提督だった奴は彼女達曰く、最低な奴だったらしいが俺としてはシノ達のこともあるからすぐには答えることはできないと伝えた。
 すると彼女達は、俺の正妻である彼女達から許可を取っていると言ってきたため、通信ネットワークで任務に就いているシノ達に聞くと前日までに許可を上げたそうだ。
 そんなのは聞いてない、と文句を言ってみたが『ちゃんと愛してあげろよ』と言われて通信が一方的に切れた。
 その時に思ったのは、(あぁ、彼女達に尻で敷かれているんだな。総旗艦なのに)と呆然となりながら、彼女達と付き合い始めた。

 付き合うと言っても、本拠地から基地化した無人島だった島に移転させた執政室とその周辺のシステムで仕事を一緒に行って、たまに基地周辺にできた街に繰り出して買い物をする程度である。
 シノ達とは、夜戦というベッドで夜のバトルをたまにやっているが、彼女達とはそういった関係にまで発展していないのでまだやっていない。
 まぁ、度胸がないだけなんだがどうやったらそういった関係に発展するのかなぁと考えていると、今日の秘書艦である艦娘が複数人や入ってきた。

「球磨だクマー」
「面倒くさいけど仕方ないにゃ」
「北上さんと一緒なら問題はないです」
「大井っちとクラっちと一緒なら最強だね」
「木曾だ、入るぜー」
「おう、よろしくよろしくー」

 今日は、球磨型軽巡の全員とで執政を行う。
 艦娘が200人もいる以上、1回で1人の秘書艦で執政をすると他のメンバーから不満が出るし、元の世界と違うのでそこまでの制限を掛ける理由もない。
 そのため、最大で6人までとした上で予約制にした結果、2ヶ月先まである予約枠が開始してから瞬時に埋まってしまった。
 どんだけ、俺と付き合いたがっているんだと心の中でツッコミながら開始したのが、今から半年前のことだ。
 それ以来、代わる代わる艦娘達が執政室に来て秘書をしてくれるのだが、人数が多すぎて色々と把握しきれていない。

「あっ、茶葉が切れてるクマ」
「持って来るにゃ」
「多摩が取りに行ってる間はこのジュースでも飲めば良いと思うよー」
「北上さんが私に飲ませてください」
「クラウス、こっちの仕事は終わったぜ」

 しっかり者の長女と末妹、猫科の次女、呑気な三女に百合全開の四女。うん、執政室は完全にカオスな状態だとは言え、一貫性があって良いな。余所余所しいのもあるけど。
 如何せん、告白大会の中で俺と本気で付き合おうとしているのは全体の25%ぐらいで、気分で付き合おうかなぁと思っているのが半分、残りは周りに合わせて付き合っているに過ぎない。
 そのため、本気で付き合おうとしているメンバー以外は俺もあまり本気にはせず、彼女達が付き合うのをやめたと言えばそこまでの話だ。
 十人十色という四字熟語があるように、200人もいる艦娘全員と付き合うのは余程の女たらしじゃないとできない芸当だ。
 少なくとも、俺にはできないからそこら辺は彼女達の判断に任せておこう。

 “組織として必要な成果を上げていて、長期的な損害を与えないなら必要以上は干渉しない”

 それが、俺が作った艦隊に組み込んでいる俺を含めた全員が共有している大原則だ。
 そのため、彼女達はかなりフリーダムに行動する。
 そして俺は、そんな彼女達に振り回されながらも楽しくやっている。


 それはともかく


 現在、行っている作業は配下に置いている島々からの報告書が上がって来ていて、その内容がそれぞれの島の現状に即しているかの確認だ。
 配下に加えたと言っても、それぞれの島を収めている人達の体制はそのままにしているため、国の運用経験の少ない俺達にとっても参考になるし、任せておいた方が楽だしね。
 その一方で基地化した島にほとんどの艦娘が来て、本拠地には補給と修理に入渠している艦娘と島全体を管理しているロボット達がいるだけだ。
 そのため、外からの攻撃には島の防衛システムと10万体はいる戦闘ロボット達によって、対応するのでそう簡単には陥落しない自信はある。

 ロボットなどに対するハッキングも、元の世界の大航海時代によく似たこの世界では、余程の科学技術の発達がない限りはまず無理だ。
 また、艦娘やロボットの内部構造を公開していない以上は世界最大の頭脳を持つ男であるベガバンクでさえ、ハッキングができるとすら思わないだろう。
 この世界の技術力では、パシフィスタの製造が限度のようだし。
 それでも、人工的な悪魔の実の製造や遺伝子改造もやったりしていたと思うから、ハッキングの原理さえ知ってしまえば向こうの土俵だろう。
 具体的な素性がわかっていない以上、警戒しておくに越したことはない。

「そう言えばさー、クラっちー」
「なんだい、北上」
「基地の前の大通りに有名なお菓子屋さんができたっぽいよー」
「有名なお菓子屋か、そいつは興味あるねぇ」
「だから皆で行ってみようかー」
「…皆が良いんだったら行ってもいいぜ?球磨達はどうする?」

 北上の提案に俺は皆に話を振ると、

「行くクマー、けどこの書類を終わらせるクマー」
「行ってみたいにゃ」
「北上さんが行くなら私も行きます」
「それは良いが、この書類の確認をしてくれ」

 とまぁ、行く気満々なので仕事をすぐに終わらせて昼前に出発した。
 この世界ではインターネットはおろか、通信機器もでんでん虫が見せてくれる生中継やそれを介した通信がある程度なので、紙を使った報告書がそれぞれの島のロボット達がいる建物からデータ通信で送られてくる。
 そのため、こっちに来たデータとロボット達の報告とで照らし合わせて、誤差がないかを確認していくだけなのだがこれも重要な仕事だ。
 理由は、実は内通していて俺達のことを裏切ろうとしているのではないかや、国としてちゃんと運用しているのか、などの疑惑を拭い去るためだ。

 それらを照らし合わせてから、グラフ化してわかりやすい形にまとめてネットワーク内の最重要データベースに保存。
 そのデータベースに関する全てのアクセス権は、俺が管理して必要に応じて必要なデータだけのアクセス許可を出すプログラムを作った。
 元々、そういったプログラムは組み立ててシノ達や大和達との通信に役立ててきたが、こういったものは今までに作ったことがなかった。
 そのため、3段階のデータベースを作った。

 まず、俺自身が全てのアクセス権の管理をしている最重要データベース。
 これはさっきも言ったように、全てのアクセス権は俺が管理する必要がある艦隊の極秘情報の全てを収めているデータベースだ。
 俺の許可が下りるためには、合言葉や各艦が保有している固有番号、その他諸々を正解して初めて許可が下りる。
 1回でもミスれば初めからやり直しだし、5回連続でミスをしたら確認のための検査が入る。
 これで異常が見つかれば、その艦娘は本拠地に戻って精密検査を受けなければいけない。
 幸い、彼女達1人1人がそれぞれのパソコンのようになっているため、検査自体は割と簡単だ。

 次に、それぞれの艦隊旗艦がアクセス権を保有している超重要データベース。
 これは大和を旗艦にした第1艦隊、伊勢を旗艦にした第2艦隊、金剛を旗艦とした第3艦隊、加賀を旗艦とした空母艦隊である第4艦隊、アイオワを旗艦とした海外組の第5艦隊、そしてシノを旗艦にした潜水艦隊。
 この6つに分けた艦隊の、旗艦として存在している大和、伊勢、金剛、加賀、アイオワ、シノはそれぞれの艦隊が保有している重要な情報の管理を任せている。
 金剛やアイオワあたりは、口が軽そうに見えるが彼女達は意外にもしっかりしているので、問題はないだろう。
 このデータベースには、向こう5年のやるべき作戦行動などが入っていて、作戦を行う時に必要な戦力を抽出することになる。

 最後に、同型艦を2~4隻まとめた戦隊の旗艦がアクセス権を保有している重要データベース。
 これに関しては、戦術的な作戦に必要な情報などが入っていて、作戦に参加する各戦隊に1つずつ配布しているため、重要性としては低い方だが作戦を成功させるためには必要不可欠なのでこのランクにした。
 とは言え、戦隊を組もうにも組めない海外組の場合は混成させて組ませるので、そのことを視野に入れて活動させる必要がある。

 それらは、ちゃんとした基本的な作戦と柔軟な現場の判断に任せるとして、今は目の前の仕事を処理して有名なお菓子屋に向かおう。

 俺はそう考えて、てきぱきと仕事をこなしていった。

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第15話 海賊王との邂逅

「お前が七武海のクラウスか?」
「ん?」

 海賊狩りを行いつつも、平和な日常を送っている俺達にとある男が声を掛けてきた。
 場所は、俺達が行きつけのカフェテリアの外にあるカフェテラスで、いつもの飲み物を飲んでいると冒頭のようにひげが生やした男が、部下とおぼしき数人の仲間を連れてのんびりしている俺に声を掛けてきた。

「…もし、そうならどうする?」
「軽く話をしたい。座っても良いか?」

 彼がそう言うと、俺を護衛していたロボットが身構えたが俺はそれを制して座るように促した。
 少なくとも、俺が配下に加えている島々は一般的な海賊にとって敵対しなければちゃんと補給できる上、他の海域に比べて容易に航行できることから人気が高い。
 しかも、治安がいいせいでたまに荒くれ共が入港してくるが、変に暴れ回って通報があった時は戦闘ロボットが制圧して賞金首だったらそのまま、海軍に連行。
 それ以外のメンバーは、頭を冷やした後に放り出している。いくら、海の上では自由と言っても陸に上がってしまえばその地域の風習に合わせるのが常識というものだ。
 それをしないで暴れ回るとか、大航海時代のヨーロッパの冒険家や商人みたいだな。いや、実際には同じようなものか。

 だって、価値観が違いすぎるんだもの。

 21世紀に生きた俺や大和達にとって、15~16世紀の大航海時代の略奪行為は非人道的すぎて目も当てられないが、当時の人達からすればそれが当たり前で俺達に向かって何故、それをしないと言ってくるかもしれない。
 そのため、自分の理想を叶えるためにはそれ相応の力と名声とコネを持って、俺の配下についている島々を治めていくしかない。
 これで満足するしかねぇと、どこぞやの満足同盟みたいに考えながら俺の前の席に座ったそいつと注意深く見ていた。

「ずいぶんと注意深く見ているじゃねぇか」
「この国で俺に気安く声を掛けてくる奴なんて多くはねぇからな」
「ちげぇねぇ」

 俺としては、こう言ったくつろぐ時間は余り邪魔はされたくはないから、1人で充分だと言ってるんだがアティ達はそれを良しとしていないので仕方なく、護衛を2人引き連れている。
 それが原因で、休憩時間に俺に声を掛けてくる奴は少ない。
 今日、引き連れているロボットはアリーナとキャサリンで、2人とも物静かな奴らだ。

「それで?話とはなんだい?」
「あぁ、一緒に世界をひっくり返さねぇか?」
「世界を?ははは、ずいぶんと突拍子のないことを言う奴がいたものだ」



 シノside

「ゴール・D・ロジャーがクラウスに接触したわ」
「クラウスと話を始めたけどその切り出しが「世界をひっくり返す」とは、ずいぶんと大それたことを言うものね」
「けど、言っている本人はあながち冗談でもなさそうよ?」
「確かに、あの目は本気の目だわ」

 シノ達は先日、ロジャーと金獅子との間で始まったエッド・ウォーの海戦において、辛くも痛み分けとしたロジャー達に警戒心を持っていた。
 この戦いは海軍から予め、この2人が出会う時には気をつけておくようにと注意喚起されていた人物でその人物が直接、クラウスに話しかけると言うことはその警戒心を余計に高めることになった。

「少なくとも話を聞いている範囲では問題はなさそうね」
「自由を掲げている以上はクラウスと似ていますが、彼がロジャーに巻き込まれるような状況になったら私達で止める必要があると思うの」
「確かに、精神的な面でやや頼りない部分がありますからこう言った場面では、私達で舵を握ってあげないといけませんね」
「そう言うことで、監視は続行します」

 シノ達はそう喋りつつ、クラウスとロジャーの会話を聞くことにした。



 クラウスside

「おめぇさんは笑っているが、俺は本気だぜ?」
「あぁ、確かにな…それで?俺に何をしろと?」
「なぁに、そう難しい話じゃねぇ。つい最近、知り合いの海賊団と激しく戦ってな。船体に大きなダメージを受けてしまったのさ」
「それでこの島の修理ドッグを使わせてほしいと」
「理解が早くて助かるぜ」

(なるほどな…木造船同士と言っても戦闘をすれば船体は傷つくし、傷の程度によっては島に着く前に沈んでしまうことはよくある話だ。これは俺や大和達がいた世界でも同じ、か…)

 俺はそう思いつつ、修理ドッグの現状を確認して使えるドッグの確認をするとそれなりに空いているため、彼にこう言った。

「ここから西に少し行ったところに修理ドッグの基地がある。そこで働いている人に船を見せてみたら、どのぐらいの時間が掛かるかがわかるだろう」
「わかった。ところでよ…」
「なんだ?」
「俺の仲間にならねぇか?」
「ハァ?」

 そいつの突然の誘いに、俺は戸惑ったがすぐに彼の意図を感じ取った。
 恐らく、最後の島であるラフテルに向かおうとしているのではないだろうか。
 俺自身も、その島がどうなっているのかは気になっているがそれよりも俺が収めている島の方が重要なので、当面の間は見に行けないだろう。
 そのため、俺は少し考えるふりをしてからこう言った。

「生憎、俺らにとってメリットがねぇ。それ相応のメリットがないと仲間にはなれねぇぜ?」
「ははは、確かにな!だが、これだけは覚えておいてほしい」

 そいつが1回、区切ってからこう言った。

「俺達は世界をひっくり返してやるぞ」
「ふっ…なら、名乗るぐらいはしたらどうだ?そしたら覚えておくよ」
「俺はロジャーって言うんだ」

 ロジャーと名乗った男は、彼の仲間を引き連れてカフェテリアから去って行った。

「彼が後の海賊王か…なかなかの人物だった。だが、本当に目的の島に行けるのかが疑問だな」

 俺はそう呟きつつ、冷めてしまったコーヒーを飲み干して仕事に戻るのであった。


~~~~~~~~~~~~


「クラウス、彼と話してどう思いました?」
「本気で行動しようとしているし、彼の仲間も大層な物好きだな」
「では、彼が目標としているのは不可能だと?」
「いや、どうなるかはわからねぇよ?少なくとも彼にはそうする覚悟と気合いがあったし、彼の仲間達にもやる気はあった。となると、取り返しもつかないことをやるかもしれない」

 俺の言葉に、シノ達は半信半疑だったがこう言ってきた。

「―――例え、世界が崩壊しようとも私達はあなたの味方よ」
「だから、あなたは自分の好きなようにすれば良いと思うわ」
「ありがとう、2人とも。大好きだよ」

 俺がそう言うと、2人は顔を赤らめたのでお互いに微笑み合った。



今回は、ゴール・D・ロジャーとの出会いでした。
時期としては、金獅子との戦いであるエッド・ウォーの海戦の直後です。

この時期、ロジャーが新世界にいるかは不明ですがこの小説では、新世界に来ているという設定で行こうと思います。

そのため、疑問だったり、ご指摘だったリがある方は感想にて、教えてもらえればありがたいです。

それでは、また次回。


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第16話 シャンクスとバギー

2日も空いてすまねぇ…
私生活の方で忙しかったんだ…

そんな訳で、始まりますよ~


 ロジャー達の船であるオーロ・ジャクソン号の修理は、1週間ほどの時間が必要なため、その間に彼らはこの島での観光を楽しんだ。
 元々、この世界の技術力では木を切り倒して船に必要な部分に加工して組み合わせるのが基本だと思うが、それらの作業は基本的に手作業で行う。
 勿論、台車やら何やらの作業道具は使うにしてもそれらを使うのは職人の手によって行われる。
 そのため、手作業で今回の修理に望むと最低でも、1ヶ月以上もの時間が掛かってしまう。

 しかも、オーロ・ジャクソン号の船体には宝樹アダムが使われているため、並大抵の木材では役不足な上に強度不足なので出来れば同じ木材のアダムを使いたいがそれ自体、超希少だからそう簡単には手に入らない。
 そうなると、木材よりも強度に勝る鋼鉄を使うのが良いのだが戦闘の傷跡は左右非対称なため、重い鋼鉄を使うと船体がどちらかに傾いてしまう。
 重要ではない部分は強度に富んだ上質な木材を使うとして、重要な部分はナノマテリアルで修復しますかね。修理しないで沈まれたら、目覚めが悪いし。
 それに、基地化したこの島には船体を修理するための乾ドックと、木造船の修理や製作を手がける造船会社があるのでそこを使わせてもらおう。

 そうすることで余計な争いなどには発展しにくいし、何よりも作業工程を大幅に減らせる機材などの搬入が簡単だからだ。
 荒くれ者の海賊相手は造船会社の方も対応に慣れているし、手に負えない奴らでも俺達で片付けてくれるから安心して仕事に励んでくれている。
 ロジャー達の場合、騒ぎは起こしそうだが話が出来るので問題にはならなそうだ。

 そんな訳で、ロジャー海賊団は島で休暇を取っていたのだが、ロジャーのところの新入りが血気盛んなようなので訓練場で艦娘と戦っているらしい。
 その噂を聞きつけた俺は、訓練場に行ってみると天龍と龍田がいた。



「ふふふ、この程度かしら?」
「武装色の覇気で自衛も出来ないとは、何のために悪魔の実の能力者になったんだ?」
「いや、あんたらが強すぎるからだろ!」
「も、もう立てねぇ…」
「おぉい、あんまりいじめんなよ~?」

 俺が2人に声を掛けると、天龍達は好戦的な笑みから無邪気な笑顔になって俺を出迎えてくれた。

「よぉ、お疲れ~」
「よぅ、どうだい?調子は」
「改造してもらってからも調子は良いわ~」
「つーか、そいつらはまだ若造だろ?そいつをいぢめて楽しいかい?」

 俺がそう言うと、龍田が余裕の笑みでこう言ってきた。

「あら~、でも彼らから喧嘩をふっかけてきたのよ?それに対して大人の対応を見せたまでよ~」
「そうなのか?天龍」
「あぁ、でもって返り討ちにしたまでさ」
「はぁ~、よりによって懸賞金が元4億の2人に喧嘩を振るとは自業自得ですねぇ」
「「よ、4億!?」」

 俺が呆れたように言うと、赤髪の男と赤鼻の男は驚いたようにハモった。
 そのため、俺は彼女達について説明した。

「クラウスが率いる鋼鉄海賊団についてどのぐらい、知っている?」
「王下七武海に入った猛者で多くの船を保有しているんだろ?」
「新世界に入ってからイヤと言うほど、聞いてきたがまさか彼女達がそうだって言うのか!?」
「こいつらはまだ優しい方さ。主要幹部クラスになれば、こいつらよりも遙かに上を行くぞ?」
「マジかよ…」
「鋼鉄海賊団ってすげぇんだな」

 赤鼻の男はやれやれといった感じで呟き、赤髪の男は興奮した感じでそう言ってきた。
 艦娘達は、この数年間の改造によって彼女達自体もかなり強化してきたため、並大抵の奴らに負けることはない。
 その中でも、海軍からの懸賞金が付いているのはごく一部の脚光を浴びた艦娘だけだ。
 俺が七武海になったため、過去の話になったが彼女達についた懸賞金が同じランクの艦娘達の一種の指標になっている。
 駆逐艦だったら1億前後、軽巡だったら4億前後、重巡だったら6~7億前後、空母だったら9億前後、戦艦だったら10億超えがぞろぞろいる。
 そのため、巷では“海軍の犬”と言われている一方で、艦娘全体の懸賞金がトータルで100億ベリー以上に膨れあがったため、“100億艦隊”や“化け物艦隊”だとも言われている。

「なぁ!俺もあんたらみたいに強くなりてぇんだ!何か、方法あるかな!?」
「強くなる方法ぅ~!?おめぇ、そんなこと言ってると海軍に捕まるぞ!」
「捕まらないほど、強くなりてぇんだ!」

 赤髪と赤鼻がそう言い合っていると、彼らの副船長である男が入ってきた。
 名前は確か、レイリーと言ったか。
 落ち着きのある男性だが、なかなかの実力者の雰囲気を感じる。

「シャンクスにバギー、言い争うなら余所でやりなさい。彼女達に無理を言って付き合ってもらっているんだ。あまり迷惑を掛けるものじゃない」
「だってよぉ…」
「それに、その男は彼女達のリーダーでもあるクラウス本人だ」
「え、えええええええええ!!」

 レイリーがそう言うと、シャンクスとバギーが驚愕の表情で叫んだ。
 それも当然で、七武海の1人が護衛もなしに彼らの前に来たのだから。
 と言っても、基地化したこの島ではロボットが人に紛れて行動しているので俺に何かあればすぐに駆けつけるし、今は天龍達がそばにいる。
 となれば、彼らにとって失礼なことを言ったら即斬首が出来る存在に見えただろう。副船長のレイリーは、そう思ってはいないようだが。

「レイリーだっけ?船の方は終わったのか?」
「あぁ、そろそろ出航することが決まったぞ」
「となれば、最終目的地に向かうんだな?」
「それが船長であるロジャーの意思だからな」

 俺が目的地に向かうことを聞くと、レイリーは微笑みながらそう言ったので船の状況を見ると、確かに出航の準備をしていた。

「オッケー、俺達は海賊よりも海軍寄りだから直接、手助けできないけど幸運を祈っている」
「船の修復だけでも、充分助かっているんだ。これ以上は望めないさ」
「という訳だ。おめぇらも座ってねぇでとっとと出港準備をした方が良いんじゃねぇか?仲間になるって言うんなら歓迎だけどな」
「あぁ!こうはしちゃいられねぇ!」
「テンリュウ!タツタ!相手をしてくれてありがとな!また、どっかで逢おう!クラウスも!」
「はいよ、期待してはないが待っておるぞ~」

 俺がそう言うと、シャンクスとバギーは気が付いたようにそう言って、走っていった。

「相変わらず、騒がしい奴らだ」
「良い若造達じゃねぇか。夢に向かって走る姿はいつ見ても飽きないものさ」
「そうか…じゃあ、私も行く。仲間を任せているんでね」
「はいよ、お前さんも気をつけてな」

 俺らがそう言い合うと、ロジャー海賊団は出航していった。



ロジャー海賊団にいた頃のシャンクス達の回でした。

シャンクスとバギー、レイリーは原作でも重要な位置にいますね。
そんな彼らの若い頃に主人公が接触したらどうなるかと考えて書きました。

と言うことで、また次回。


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第17話 悪魔の実と人材の確保

「それは…本当かい?」
『はい、どうやら私達は偽の悪魔の実を掴まされていたようです』
「そうか、それがわかっただけでも儲けものだな。気付かれないように持ってきてくれ」
『畏まりました』

 海賊王と呼ばれる前のロジャーと出会ってから1週間後、利根に乗っていたロボット達から気になる情報を得た。
 それは、今までの俺達が入手した悪魔の実とは違う雰囲気の悪魔の実が、とある島の洞窟で発見されたらしい。
 そのため、現場で行える簡易測定器などを使って調べたところ、成分的にそれまでのものとは大幅に違っている上に既存の果実とも違っているらしい。
 その結果、任務を早急に終わらせて持って帰ってくるように指示した。

(前回の実験の後、銃を動物(ゾオン)系の悪魔に実で犬したことから俺達でも能力者になれると思い出したのだがまさか、偽物を食べていたとはね。どうりで能力者になれないはずだ)

 俺がそう思いつつ、背もたれに寄りかかると2人の女性が入ってきた。

「クラウスー、いるよなー」
「失礼します」

 ノックをしないで入ってきたのは、第1艦隊の旗艦である大和とその姉妹艦の武蔵だった。

「どうしたんだい?2人揃ってノックもしないで」
「クラウスが言いたいのはわかるが聞いてくれよ」
「艦隊から出している定期便でのことなのですが…」
「…」

 2人がネットワーク通信を使わずに、直に会いに来てこの報告すると言うことは余程のことなのだろう。
 そのため、気を引き締める上で椅子に座り直して彼女達の報告を促した。

「定期便に出た夕雲以下4隻が、霧に包まれた戦闘艦らしき船舶を見たらしい」
「霧の包まれた船舶…気象条件としてはそう言ったのは出なかったんだろ?」
「えぇ、しかもレーダ-と目視で確認した艦影は高雄型の摩耶に似ていたそうです」
「霧…摩耶に似た艦影…その海域に摩耶はいなかったんだろ?」
「あぁ、摩耶本人は第3艦隊所属で別の海域で演習を行っていた」
「…」

 単なる霧だったら、気象条件でそうなる場合もあるから普通は報告しない。しかし、大和達の情報が正しければ恐らく、蒼き鋼のアルペジオに出てくる霧の艦隊の可能性がある。
 しかも、あっちの摩耶は黒髪で服装がロリータという奴を着ている。
 アニメ版の摩耶を見ていたせいで、トラウマが軽く発症しかけそうだがそれを表情に見せずに考えを巡らせていく。

「………まずは情報収集だな。もし、霧が発生したらその謎の船舶が出てきているかもしれないから、可能な限りの情報収集をしてくれ。潜水艦隊には俺から伝えておく」
「わかりました。潜水艦を除く、全ての艦娘に私達から伝えておきます。あなたの命令と言うことで」
「おう、そうしてくれ。その方が捗る」
「クラウスも出港時には気をつけろよ?いつ、現れてもおかしくないからな」
「ははは、気をつけておくよ」

 俺と大和、そして武蔵との間でジョークを言い合ってからその場はお開きになった。


~~~~~~~~~~~~


 その日の夜

「確かに霧が発生している…当時の気象条件では発生ない穏やかな海域と気候…横を向いた艦影からは不鮮明ではあるが摩耶とよく似ている…」
『さすがの総旗艦サマも考え事か?』
「……シノ、にシノブか」

 俺が考え事をしていると、シノ達が概念伝達で俺と接触してきた。
 概念伝達とネットワーク通信との違いは、ざっくりというなら量子通信とインターネットの違いだと思ってくれれば良い。
 送信者が受信者に送りたい情報の量が、大幅に違うとのことだ。
 そのため、俺は概念伝達内の俺が持っている空間に意識を集中した。

「あぁ、そうだな。もしかすると、シノ達の知り合いかもな」
「だけど、私達が知っているマヤとは違うマヤかもしれない」
「私達が知っているのはあくまで、人形として扱っていたマヤですから」

 俺の空間は、大人数が集まった時のような大きな部屋ではなく、執政室においてある俺専用の机の他にお茶会が出来るテーブルなどが置いてある。
 そこに、シノとシノブが座っていてかなりくつろいでいた。

「そうはいってもこの世界では君らが一番、そいつのことを知っているんだろう?」
「それはそうですが…」
「だったらたまには手伝え、最悪の場合はコアだけを残した状態でもいいから」
「でしたら、ある程度の戦力をこちらに回してもらえませんか?潜水艦隊だけでは少々、不安です」
「わかった…現在、本島には第1、第2、第4艦隊が停泊しているから、その中から必要な戦力を抽出すると良い」
「「ありがとうございます、総旗艦」」

 2人が同時に言うと、概念伝達による通信を切ったので2人の姿は消えた。

「さて…霧の艦隊がこの時期に艦娘と遭遇するのはどうかと思うが、出来るなら良い方向に動いてほしいものだな」

 俺はそう呟きつつ、行動を起こした。


~~~~~~~~~~~~


「そう…それで私達のところに来たのね」
「別段、問題はないと思うけどね」
「クラウスさんの好きになさったらいいのではないでしょうか」

 俺が来たのは、本島に入港した艦娘達が寝泊まりする宿舎だった。
 ここには、全ての艦娘の部屋が完備していて遠征帰りの艦娘達にとって、こっちが我が家になりそうだ。
 全ての艦隊は、基地化したこの軍艦島――艦娘以外の住人達がそう呼んだため――を母港としていて、ここから他の島に遠征に行っている。
 遠征と言っても、全ての艦隊が遠征に行っているのではなく、2~3個艦隊が交代で遠征に行っているので、常に3個艦隊が軍艦島に滞在している。
 数にすれば大体、60~70人ぐらいの艦娘がこの島にいる。

 そのため、何人かから今後の方針について意見を聞こうと思ってほっつき回っているとちょうど、雲龍姉妹が買い物から帰ってきたようなので彼女達から話を聞いてみた。
 すると、さっきのような答えが返ってきたのだ。

「好きにしろと言われても、圧倒的に人材不足なんだよなぁ…」
「確かに、クラウスがこの島にいなくても執政が出来る人間がいないから困るわね」
「じゃあ、即戦力となる人材の確保をすればいいじゃないですか」
「人材確保って、そんな簡単に言わないでよ」
「いや、即戦力に限定すれば効率良く見て回れる場所があるぞ」

 俺と雲龍が頭を悩ませていると、天城がとってつけたようなことを言って葛城がそれを窘めると、俺は思い出したようにそう言った。

「?クラウスは何か、知っているの?」
「答えは簡単で、人身売買をしている店であるヒューマンショップさ」
「人身売買って…あんまりじゃないですか?」
「そうか?人権なんて無いに等しいこの世界じゃ、攫われても誰も助けてくれないのは事実さ。無論、この島と配下の島では禁止しているがな」

 原作でもあったように、ヒューマンショップやヒューマンオークションは海軍も職業安定所として、事実上の黙認をしているので個々人が配下にしている島で、禁止令みたいな法律を出して取り締まらないといけない。
 しかし、ヒューマンショップなどをやっていると収益のうちの一部を国に収めてくれるので、人情を取るか、お金を取るかの痛し痒しな部分がある。
 俺は、個人的に人身売買されるのを見て見ぬふりを出来るほど、強くないので速攻で禁止したが世界的に見ればまだまだ少数だろう。

 だから、他の島に行って良い人材が見つければその店で働いている人達に対して、見つからない程度にちょろまかす。
 理由は、買う必要性が皆無な上に金銭的なやり取りがあると事実上、俺自身が人身売買を認めたようなものだから買う理由がない。
 また、人間以外にも人種を問わずに売っていたり、悪魔の実などを売っている可能性もあるのでその視察だな。

 そのため、雲龍達は人身売買についてあまり良い感情を持っていないが、人材確保の面で俺が向かうことを了承してくれたので早速、連れて行くロボットを決めていく。



と言うことで、今回は人材確保に向かう話でした。

艦隊を率いているだけでしたら、艦娘だけでもよかったのですが国を持つとそうも行かなくなります。
理由は、圧倒的な強者の庇護を求めて配下に加わるならまだしも、クラウスが艦娘と人をつなげる島を求めた結果、こうなりました。

そのため、次回はヒューマンショップに行く話です。

という訳で、ではまた次回。


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第18話 新キャラ

「はい、島に到着っと」

 俺はワームホールを使って、目的地の島にある1番大きい町の裏路地に到着すると、なかなかの活気が表通りから聞こえてきた。
 そのため、見聞色の覇気を発動すると今まで見てきた町の中で比較的、大きめな町と人口なのでヒューマンショップがあるのも頷ける
 それを確認した俺は、俺の後ろにいる2人に声を掛けた。

「それにしてもまさか、2人がついてくるとはな…妙高に日向」
「これも社会見学ですから」
「あぁ、人権が皆無なのを聞いた時には驚いたがクラウスがその店に行くと聞いたからには、居ても立ってもいられなかったからだ」

 声を掛けた2人は、妙高と日向だった。
 2人は何となく、話のペースが合うので恋人として付き合うことになった。
 と言っても、特に大きな変化を求めている訳ではなく、一緒にお酒を飲んだり、仕事をしたりと平凡な日常を送っている。
 その2人がついてきたと言うことは、興味があるのと同時にいざという時は冷静に対処する心構えが出来ている証拠だ。
 何故なら、これから見に行くところは決して気分の良いところではないからな。

 そんな訳で、俺は2人に作戦概要を伝える。

「今回の目標は、良い人材や悪魔の実があるからそれらをかっさらう。だから戦闘はなしだ」
「わかった…それで、見当はついているのか?」
「今回、店で売られているのは悪魔の実が2つと奴隷が3人だ」
「悪魔の実はともかく、奴隷がいることに関しては気分が良いものではないですね」
「まぁな、だから奴隷を運んでいる船は片っ端から沈めているじゃん」

 現在、軍艦島とは以下の島をつなぐ航路とその周囲に奴隷を運ぶ船がいれば、その船に乗っている人達を問答無用で抹殺して奴隷達を軍艦島に連れ込んだ。
 そのため、基地化して数年で町に住人がそれなりに集まっていた。
 とは言え、救出した奴隷達の中にめぼしい人材がなかったため、ヒューマンショップがありそうな島にロボット達を派遣して調査をしてもらっている。
 そして、その中のいくつかに良さそうな人材が奴隷としている店がいくつかあったため、こうして俺が自分から行動している。

「それで、奴隷の特徴を言ってくれないか?」
「1人目は黒髪で赤茶色の瞳を持っている。それでもって、容姿や品位が完璧らしい」
「それって…普通、すぐに買われたりしませんか?」
「あぁ、だが買った側からすると完璧すぎる能力と毒舌すぎる性格のせいで逆に忌み嫌われているとのことだ」
「完璧すぎるのも困りものと言うことか」

 日向が言った完璧すぎる能力や特徴から、俺にとって思い当たるのはセバスチャン・ミカエリスと言う黒執事に出てくるキャラだ。
 俺自身、詳しくは知らないがすごいらしい。

「それで2人目はどういった特徴を?」
「2人目は青緑色のツインテールで、歌姫らしい」
「歌姫、か。那珂あたりが対抗心を燃やしそうだな」
「あぁ、だがアイドルユニットが1組だけというのも厳しいからこいつも攫おうと思う」

 これに関してはあれだな。この特徴で歌姫と言えば1人しか思い当たらねぇ。

「別に構いませんが最後の1人は?」
「うーん、なんて言うか…雪そのものを具現化させた女性らしい」
「要領を得ないな」
「特徴は黒髪ロングで碧眼の女性らしい」

 雪を具現化させた女性というと、俺には雪女ぐらいしか思いつかないが原作だとユキユキの実を食べたモネがいたはずだ。
 しかし、この時期はまだ子供だったはずだし、髪の色や目なんかも違っていたはずだ。
 これに関しては、実際に行ってみないとわからないな。

 という訳で、俺達はヒューマンショップに向かった。


~~~~~~~~~~~~


「なるほど…それで私達を解放してくれた、と」
「あぁ、うちのところは万年人材不足でね。君らには是非、来てほしい」
「私なんかは他に頼るところがないし、ついていくよ」
「私もですね~。私の能力が他の人に恐れられたり、変な目で見られたりして大変でした~」

 俺がその3人を解放して、事情を説明すると女性陣は俺についていく旨を伝えてきた。
 理由としては、他に頼るところがないからだ。
 幸い、軍艦島は奴隷などの身寄りのない者達が集まって出来た町であり、特殊な能力を持つ人が住人になったとしても人々は深くは突っ込まないだろう。
 そして、俺はその町のトップにいるため、彼女達を養える能力を持っている。

「1つ、聞いても良いですか?クラウスさん」
「答えれる範囲だったら答えるぜ?」
「あなたや日向さん達は、単独でこの世界の海の覇者となれるだけの力を持っている。それなのに何故、私達のような奴隷を欲しているのかが聞きたいのです」

 この世界のことをよく知らない女性陣はともかく、雇用主に何度も嫌われているセバスチャンにとっては俺も彼らのようにセバスチャンの能力を過小評価するように見えたのだろう。
 そのため、俺はその誤解を解くためにこう言った。

「その理由は単純で、俺は心から頼れる“仲間や家族”と言った存在がほしかったからだ。」
「仲間や家族…ですか」
「あぁ、そうだ。俺1人では出来ないことも、そういった仲間達と一緒になってやれば大抵のことは解決できると思っている。だからお前さんにも来てほしいんだ」

 これ以外のも俺は、危惧していることが1つだけある。
 それは、最悪の世代の1人でもあるユースタス・キッドのように磁気を操る存在が現れたら、ナノマテリアルで構成されている俺やシノ達は材質を変えられるからともかく、金属の塊である艦娘達やロボット達にとっては大きな弱点になる。
 となれば、磁気を無視できる上にある程度の実力がある存在がほしい。
 そのため、俺はセバスチャンにも声を掛けて解放した。

 俺はそう話すと、セバスチャンは笑みを浮かべてこう言ってきた。

「なるほど…ならば多少、あなた達に興味が湧いてきましたね」
「ほう?」
「人ならざる存在が人に恐れるが、それでも人と繋がろうとする。その結果がどうなるか、私は見てみたい」
「と言うことは…」
「えぇ、あなたの配下に加わりましょう」

 日向達はホッと息をつき、2人の女性奴隷は喜びの声を上げ、俺はこれからよろしくと言って、3人の新たな仲間を加えた。


 あらゆる面で完璧な執事――――――セバスチャン・ミカエリス

 電子の歌姫から実際の歌姫になった――――――初音ミク

 妖怪・雪女が萌え化した――――――ユキメ


 この3人が、新たな仲間に加わった。



間を開けて投稿するのをまたやっちゃった…
でも、不定期更新のタグをつけているから問題ないですよね(震え声)

それはともかく

陸上戦力の増強のために、他の作品から2名、オリキャラを1名、持ってきました。
理由は、海上戦力では主人公やら艦娘やらのロングレンジ攻撃で圧勝なんですが、近距離や中距離での戦いは敵に想定外の強さがあると後れを取ってしまうからです。

何か、気になった点がありましたら感想などで投稿してくれると助かります。

ではまた次回


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閑話 とあるロボットの観察

お気に入り登録者数が500人を突破しました!
本当にありがとうございます!


 どうも皆さん、ロボット筆頭で家事用ロボットのアティです。

 え?いつ、筆頭になったのか、ですって?

 我が(あるじ)であるクラウス様が、苦労の末に作り出されたロボットの第1号が私だったためにそのまま、ロボット筆頭になったのです。
 クラウス様曰く、想定し得る場面で余裕を持って行動できると言われていますが、完璧とは言えないらしいので常に性能のアップデートがなされています。
 現在、私達が生まれ育った本拠地には10万体に及ぶ各種の量産型ロボットがいて、島の防衛に当たっています。
 何故、ここまで多いのかというと私達の技術の根幹である研究施設がその島に設置してあり、物資の輸送に使われる船舶や航空機の基地があるからです。
 また、艦娘である大和さん達が保有している船体の修理や補給なども本拠地でしか出来ません。
 言わば、本拠地には国家戦略の根幹でもある訳でそこが奪われることになれば、多大な犠牲を払ってまでして奪い返さなければなりません。

 そのため、警備を厳重にして日夜、警備に当たっています。

 もしも、少しでも異変があればクラウス様に報告が行き、クラウス様自身が判断されます。
 と言っても、基本的には島内で対処できる案件に関しては島内で対処してもらうようにしているため、滅多にクラウス様に報告が行きません。
 報告に上がるのは、島内で対処できない案件が浮上した場合と、定期的に上がってくる島内の経過報告のみです。
 それ以外は、島内を管理している家事用ロボットに任せていますので問題はないでしょう。

 その一方で、私が何をしているかというとクラウス様の身の回りのお世話です。
 彼は結構、気ままに生活をする方ですので私やキャサリン、エルザといった家事用ロボットが彼の身の回りのお世話をします。
 内容は、大まかにですがその日に必要なデータの管理や予定などを確認してフォローします。
 昨日、執事として雇用されたセバスチャンという美青年をヒューマンショップから攫ってきたと言っていましたが、彼にはクラウス様のことをよく知ってもらわないといけません。
 何よりも、軍艦島の執政代行をしてもらわねばなりませんからすぐに取って代わられることはないでしょう。

 それに、私としては彼をそう簡単に信用できる訳がありませんから、しばらくの間は警戒するに越したことはありません。
 理由は、簡単に人を信用してしまうクラウス様を身近でストップを言えるようにするため、クラウス様が直々にそういう風に設計してくださったからです。
 ならば、私はそれに従って自分の基準でクラウス様を止められるように行動していきます。


 それはともかく


 家事用ロボットの朝は早いです。
 クラウス様よりも早く、起床して朝食の準備をします。
 クラウス様や大和さん達は、6時半に起床しますからその1時間前に私達は起動して、身支度を整えてから行動に移します。
 そして、一通りの準備が終わりましたら大和さん達が寝泊まりしている宿舎の館内放送で、起床の合図を送ります。
 そうすることで、朝食の準備が出来たことを伝えることにもなります。

 その一方で、クラウス様は朝に弱いので私達が直接、起こしに行くようにしています。
 何故か、その方がクラウス様が喜ばれるからです。

 コンコン

「クラウス様、起きていらっしゃいますか?」

 私はクラウス様の私室の前で、ドアをノックしますがいつものように返事がありませんので、音を立てないようにドアを開けて部屋に入ります。
 私としては、クラウス様の無防備な寝顔を拝見するだけで満足なのですが、最近ではその先に行ってみたい気持ちもあります。おでこにキスとか。
 そんなことをしてしまうと、クラウス様はすぐに起きてしまうので5分程度、じっくり眺めた後にそうすることにしました。
 すると、

「ん、んー?」
「おはようございます、クラウス様」
「んー」

 と、クラウス様は起きました。
 しかし、目つきが悪く、完全にジト目になっていますが寝ぼけているだけなので怒っている訳ではありません。
 そんなクラウス様が起き上がると、サラサラと流れる髪の毛が耳に掛かり、金色の瞳はぼんやりとしているのか、焦点が合っていません。
 私はそんな彼をかわいく思いつつ、着替えの準備をしているとクラウス様の意識がはっきりしてきたのか、こんなことを聞かれました。

「なぁ、起きる直前にキスをしなかったか?」
「ふふっ、気のせいでしょう」
「おっかしなー」

 クラウス様は首をかしげながら、着替えて身支度を整えると朝食を摂るために大和さん達が使っている食堂に向かいます。
 本来でしたら、私達が作った食事を取ってもらいたいのですが、本人の意向によって皆さんで食事をすることになりました。
 クラウス様一行が住んでいらっしゃるのは、軍隊で言うところの駐屯地や基地と言った、軍隊が活動する上で必要な施設が集まる場所です。
 その中でも、彼らが寝泊まりする宿舎に食堂はあります。

 そこにクラウス様が入ると、

「おはようございます!クラウスさん!」
「おはよー」
「おはようございます」
「おぅ、おはよう」

 遠征に向かっていない艦娘達から、挨拶があってクラウス様も挨拶をします。
 クラウス様がトップなので、挨拶をしなくても良いと思っていたのですが「挨拶は大事、古事記にも書いてある」と、クラウス様の謎めいた発言に妙に納得したのは記憶に新しいです。
 そのため、私はそんな彼のアシストをするために適度に挨拶をしつつ、彼の後ろを一定の距離を保って移動します。
 そして、クラウス様が座る席の椅子を引いて彼が座りやすくします。

 クラウス様が座ると、朝食の準備が整って軍艦島にいる艦娘達と朝食を食べます。
 その際、その日の秘書艦となる艦娘が彼を囲むように座って話し合います。
 その様子を窺うと、今日は阿賀野姉妹のようです。
 クラウス様はその日、行われる行事ややらなくてはいけないことを阿賀野姉妹と共に確認して、執政室に向かいます。

 一方、家事用ロボットの私はメイドとしての仕事に入ります。
 仕事と言っても、クラウス様達がすんでいる基地はかなりの大きさを誇っていますので、その内容は多岐にわたっています。
 内容は、各分野で働いているロボットメイド達への指示やお客様の取り次ぎ、クラウス様の部屋の片付けなどメイド長兼クラウス様の専属メイドとしての実力を発揮します。
 あぁ、それと新入りとセバスチャンの教育ですね。
 彼の才能はかなり有能で、長らく使用人としての活動も加えるとあまり教えることはなく、教えてもらうことが多々ありますがそれでも警戒しておくことに越したことはありません。
 なんて言うか、腹の内がわからない人は苦手ですのでつい警戒してしまいます。

 しかし、これも全てはクラウス様が快適に過ごされるようにするためです。

 ロボット筆頭として、私情を抑えて行動しないといけないため、1日があっという間に過ぎていって夕方になりました。
 クラウス様は日中、余程のことがなければ私達を呼びません。
 理由はある程度、公私を分けて活動したいという考えだからです。
 とは言え、仕事が終わって部屋に戻れば仕事が出来る人から普通の人に早変わりします。丸で、人間のようにグータラします。
 そして、夕食も朝食時のように艦娘達と食事を取って、その後は自由時間です。
 今日は、早めに仕事が終わったようですので夕食のサポートをしましたが、仕事が夕食後まで続くとその間が暇になってしまうので今後の予定などを確認します。

 クラウス様に何かがあった場合、そのサポートを行えるのは今の所、私ぐらいしかいませんので誇りを持って仕事に当たっています。

 ゆったりとした自由時間の中で駆逐艦の艦娘が彼と話しに来たり、定期的に上がってくる経過報告の確認などをして過ごします。
 そして、消灯時間になるとクラウス様は睡眠を取るために自室にあるベッドに向かいます。
 本来でしたら、シノ様やシノブ様のようにシステムメンテナンス以外の睡眠を取る必要がないようなのですが、無意識のうちに眠気が出てくるようなので今日の仕事はここまでです。

「お休み、アティ」
「お休みなさいませ、クラウス様」

 私達はお互いにそう言うと、私は部屋の電気を消してクラウス様は睡眠を取るためにベッドに入って眠り始めました。



と言うことで、今回はアティ視点でした。
本来でしたら、主人公視点でやっていくのが妥当なんでしょうが、たまには他の人からの視点で書いてみたいなぁと言うことで投稿しました。

反応の善し悪しに関わらず、これからもこういったことを書いていきたいのでよろしくお願いします。

ではまた次回。


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第19話 悪魔の実

「これが君らが拾ったという悪魔の実かい?」
超人(パラミシア)系の悪魔の実だと言うことはわかったんじゃが、それ以上のことは吾輩らの機材ではわからなかったぞ」
「いや、それだけもわかれば儲けものというものだ」
「ふふっ、では今度は私達の買い物に付き合って下さいね?」
「はいよ、そのぐらいだったらお安いものさ」

 遠征中だった金剛が率いる第3艦隊と、アイオワが率いる第5艦隊が帰還したために停泊中だった伊勢が率いる第2艦隊と、加賀が率いる第4艦隊が遠征に向けて出航した。
 大和が率いる第1艦隊は、次回の遠征まで待機しているので問題はないし、潜水艦隊は不定期的に帰還と遠征を繰り返しているのでその全容を把握しているのは俺とシノ達だけだ。

 そして、帰還した第3艦隊所属の利根と筑摩が悪魔の実を持ってきてくれたので、その確認をしていると海外組も執務室に入ってきた。

「アドミラール、こっちでも悪魔の実を取ってきました」
「私達に掛かればこんなもの、容易いものだ」
「あぁ、ビスマルクにガンクート。それにみんなまで」

 ビスマルク達が持ってきたのは、2つの悪魔の実だった。
 これで、俺達が持っている悪魔の実は5つになった。
 利根達の方は洞窟内で、偶然にも見つけたようだがビスマルク達の方は結構、大変だったようで懸賞金が掛かっている上に配下の島で略奪をしようとした海賊団を、次々に撃退していったら見つけたらしい。
 無論、賞金首の海賊は生け捕りにしないで一般的な海賊と共に(ミナゴロシ)にして、首だけを海軍基地に持って行ったらしい。
 さすがに、その様子を駆逐艦達に見せる訳にもいかないので戦闘ロボットに任せっきりだったようだが、それでも悪魔の実の回収という充分な活躍をしてきてくれた。

「提督~、ポーラも頑張ったからご褒美がほしい~」
「ポーラさん、先に来たのは利根さん達ですよ。少しは先に譲るという気持ちぐらい…」
「あれ~?プリンツはご褒美がほしくないんですか~?」
「そ、そう言う訳ではありませんが…」
「それだったら私達にもほしいですね」
「姉さん、そう言う問題じゃないと思う」
「……全員に褒美はちゃんと出すから、喧嘩はしない方向で頼むぞ?」
「「「「「は~い」」」」」

 海外組は目的がはっきりしていると、驚異的な団結力を発揮するけどそうじゃない時はバラバラな意見を出しまくって収拾がつかなくなってしまう。
 そのため、俺がそう釘を刺すと利根達も含めて良い返事が返ってきた。


~~~~~~~~~~~~


 数日後

 入手した悪魔の実が、どういった能力を持っているのかというのがわかったため、本拠地の研究施設に俺は足を運んだ。
 報告では5つの悪魔の実のうち、2つが超人(パラミシア)系でもう2つが自然(ロギア)系、残る1つが動物(ゾオン)系だとのことだった。

「それで?どういった能力なんだ?」
「えぇ、能力は次の5つです」

・ウォクウォクの実:あらゆるもの、物体に限らずに流体や気体を地面と同じように歩ける能力
・アマアマの実  :身体全体に(アーマー)を作り出すことが出来る能力
・キリキリの実  :あらゆる属性の霧を発生することが出来る能力
・ヤミヤミの実  :闇の飲み込んだり、能力者を引き寄せる能力
・ドラドラの実  :モデル・エンシェントダークドラゴン

 この5つだったのだが、俺にとって思わぬ結果を導いたことになる。
 それがヤミヤミの実で、原作では白ひげ海賊団の4番隊隊長のサッチが入手した悪魔の実を、黒髭ティーチが奪い取って食べたことでサッチやエースが死ぬ結果になってしまった。
 そのため、これを今のうちに入手できたのは原作キャラの死亡回避に大きな楔を打てたし、艦娘の誰かに食べさせることで能力者になって戦力アップも狙える。
 その反面、能力者になった艦娘を死なせないようにする必要があるが、艦娘自体も性能のアップデートによって最低でも海軍中将レベルにまで強くなっている。
 それと同時並行で、ロボット達も強くなっているのである意味でヌルゲーになっている。

 その一方で、艦娘の大規模な反乱も気になっている点として浮上している。

 俺の艦隊は、200隻以上という大所帯になっている上に様々な文化に触れているので、考え方の変化が起きやすくなっている。
 組織だって行動している以上、考え方の差によって多数派と少数派に分かれてしまうのは、人間社会の当然の摂理だ。
 幸い、現在はそういった動きはないが将来のことを見据えると、反乱分子を抑制できる組織は必要だなぁと思いつつ、悪魔の実についてどうするかを考える。

「なぁ、良いアイディアはないかなぁ」

 俺はそう言いながら、振り返って大和達に話を振る。

「悪魔の実ってまがまがしいですね」
「それに悪魔の実の味はまずいらしい」
「となれば、誰に貧乏くじを引かせるか…」
「あらあら」

 話には聞いていたが、現物を初めて見た大和達の反応はそれぞれなので彼女達の間で話していたが、俺が咳払いをするとこう言ってきた。

「まぁ、しばらくはここに保管しておいた方が良いんじゃないですか?」
「私もそれに賛成だ。必要に応じて、悪魔の実を食べさせるメンバーを決めれば良い」
「とは言え、ある程度の経験者も必要だろう?」
「私としてはその役はクラウスがやれば良いと思うな」
「俺がトップバッターかよ」

 俺が呆れたように言ったが、悪魔の実の詳細を知っているのが俺なので結局は俺が管理することになった。その方が便利だしね。


~~~~~~~~~~~~


 悪魔の実について、大和達と話し合ってからさらに数日後。

「ク、クラウス様!」
「どうした?そんなに急いで」
「配下の島から急報です!」
「…読み上げてくれ」

 俺はその日、初風、雪風、天津風、時津風の4人とで仕事に当たっていたが、ロボットの1人がドアをノックせずに入ってきた。
 そのため、初風達は怪訝な顔でロボットを見ていたがあまりの切迫した表情に、俺はイヤな顔をせずに報告を読み上げるように促した。
 すると、次のような内容が帰ってきた。

「白ひげ海賊団がクラウス様に面会を求めています!」

 その言葉に、俺達は一気にほのぼのとした雰囲気から緊迫した雰囲気になった。



ヤミヤミの実が偶然にもクラウスの元に来ちゃったー、どうしよー(棒)

そんなのは脇に置いておいて、エースやサッチの死はこの小説を書いている時からどうしても避けたいなぁと思っていたので、こうさせて下さい。なんでも(ry

次回、白ひげとの対面です。
話し合いなのか、殴り合いになるのかはわかりませんが対面します。

なので、次回まで待ってくれるとありがたいです。


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第20話 白ひげとの会合

UAが5万回を超えました!
いや、本当にありがとうございます!


「えぇ~、いくら何でも戦争だけは避けたいなぁ」
「そんなに強いんですか?」
「うーん、程度によるけど俺と白ひげ海賊団のトップとの戦闘になったら、最低でも島が丸ごと更地になるレベルだからなぁ」

 この時代、原作の27年前と言ってもロジャー海賊団もそれなりに暴れ回っているし、白ひげ海賊団もかなりの勢力を誇っている。
 そんな白ひげと全面戦争になれば、こっちが海上での戦局を握ることができると言っても、陸上ではどうなるかわからない。
 それだけ、白ひげ自身やその仲間達の実力が未知数なのだ。
 となれば可能な限り、戦闘は回避するのが得策だろうな。多分、白ひげも無闇矢鱈の戦闘を避けるはずだ。
 そのため、不安がる雪風達をなだめながら面会に応じる旨を伝えた。

 そしたら、1ヶ月後に特指定した海域に単艦で来いとのことだったので、完全に会合じゃないですかと思ってしまった。
 と言っても、単艦で白ひげ海賊団を見るとなるとこっちも自分の目で、彼らが敵か味方かを見定めることができる。
 彼らは、艦娘達の噂を聞いたり、実際に見たりしていると思うが実際に俺自身の船体が、軍艦島から動くのは滅多にない。
 出る必要がない、と言ってしまえばそれまでだが彼らもまた、俺を見定めようとしているのではないかと思う。

 だから俺は、シノ達の進言を退けて単艦で彼らに会うことにした。


~~~~~~~~~~~~


 白ひげ海賊団side

「しっかし、本当に単艦で来るとはな」
「だけど親父ィ、本当に良かったのか?」
「あぁ、なにがだ?」
「相手はなにを考えているか、わかんねぇ奴だぜ?それに、この世のものと思えねぇような船を持っているじゃねぇか」
「グララララ、問題ねぇよ。女を前線に出しておきながら損害らしい損害を出してねぇじゃねぇか」
「それはそうだけどよぉ」

 仲間の心配は余所に、白ひげの異名を持つエドワード・ニューゲートは酒をグビグビと飲む。
 その様子はまるで、品定めをするような態度である。
 彼らが乗っているモビー・ディック号には、主要幹部と船員の中でも上位に入るメンバーが甲板に集まって、クラウスがくるのを待っていた。
 そして、マストに上がっていた船員がこう叫んだ。

「1時の方向に未確認艦を1隻、発見!鋼鉄海賊団リーダーのクラウス自身の船だと思われます!」
「間違いないか!」
「はい!あの独特なマストは彼らの中でも一際、目立っていたので良く覚えています!」
「グララララ、本気で1人で来るとは思っていなかった」
「だけど、これであいつが本腰を入れていることがわかりましたね」
「どうだかなぁ」

 そんなやり取りをしている間に、船員達に緊張が広まっていく。
 そして、モビー・ディック号とクラウスの船体は接舷する距離まで接近して、クラウスの船体は停止した。


 クラウスside

 まさか、本当に単独で会合に来るとはね。
 俺はてっきり、多数の艦隊を周囲に配置して罠でも張っているのではないかと思っていたぜ。
 まぁ、彼がそんな面倒くさいことをしない性格とは言え、単独で来ているのだから不意打ちやら奇襲やらができる状況だ。
 とは言え、会合に参加しないと話が進まないので俺は彼の船に乗船するとしよう。

 俺は覇王色の覇気を展開しつつ、軍艦島で生産して今まで冷やしていたビールを持って彼の船に乗船した。



「すげぇ覇気だ」
「こりゃ、若い衆が気を失っているな」
「見た目は普通なんだな」

 白ひげ海賊団のクルー達からは、そんな囁き声が聞こえるが無視するとして、船体の中心側である上座に座っているのが白ひげだろう。
 漫画などで知ってはいたが、実際に会ってみるとかなりでかい。
 5メートル以上の身長はあるなぁと思いつつ、俺はこう言った。

「すまんが覇気を出させてもらった。あんたらを信用した訳じゃないしね」
「だからって覇気をむき出しにするんじゃねぇよ、バカヤロウ…グララララ!」
「とは言え、こっちは全面的な戦闘に移る気はない。あんたらの話を聞きたい」
「…親父、俺達はぁ…」
「あぁ、戦争するつもりはないらしい。2人にしてくれ」

 白ひげがそう言うと、クルー達は船内へと入っていった。
 それを見た俺は、手元にあった大きい樽から大きいジョッキにビールを入れた。
 泡立つ飲み物を見た白ひげは、興味津々にこう聞いて来た。

「そいつはなんだ?」
「ビールと言ってな、地元でとれる泡立つ酒なんだ」
「面白ぇものを考えたものだな、グララララ」

 ジョッキに充分な量のビールを注ぐと、大きい樽に入っているビールの方は白ひげに投げ渡すと、彼はそれを受け取ってがぶ飲みした。

「どうだい?」
「あぁ、悪くねぇ…」

 彼がひとしきり、ビールを飲み終えるのを見た俺が聞くと彼がそう言って、こう切り出した。
 彼曰く、この10年余りで急激に勢力を伸ばしている俺達がロジャー海賊団と接触したが、特に戦闘らしい戦闘もせずに終わったことに疑問を持ったため、俺との接触を持とうとしたらしい。

「それに、おめぇんとこは女ばかりじゃねぇか」
「力なき物を集めたら現在のようになった」
「後悔はねぇのか?」
「何もしない後悔よりも、何かをしてからの後悔の方が幾分、マシなのでね」
「ちげぇねぇ…」
「それで本題は?」
「てめぇの実力を確かめに来た」
「船体ではなく、俺個人の力か」
「そう言うことだ」

 彼はそう言って、飲みきった大きい樽を俺に返すと俺も泡が少なくなったビールを飲み干して、ジョッキを後ろに置いた。
 武人は、互いの刃をぶつけ合った一撃で相手の全てがわかると言うが、俺にとって艦娘やシノ達を守るというのは詭弁だ。
 俺が持っていて、彼女達が必要な物を全て渡したがそれを持って、彼女達に裏切られたら立ち直れる自信がない。
 それだけ、物質的な力を持っていてもその精神は、根っこの部分である心はまだまだ弱い。
 例え、10年余りという歳月が経ってもそれは変わることはない。
 しかし、彼女達を導く必要があるのならその震える心を見せずに、毅然として前に進みたいと思う。

 俺がそう思って、腰にぶら下げた剣を抜くと白ひげは傍らにあった薙刀を持ち、お互いの刃をぶつけ合った。



「クラウス様」
「…なんだい?アティ」

 白ひげとの会合から数時間後、軍艦島に針路を取っていた俺は第一艦橋で1人になっていた。
 何で1人になっていたかというと、俺の決断はこれで良かったのだろうか?という些細な話だ。
 今までは、「折角、転生したのだから気ままに生きよう」と考えて重要なことも、余り深く考えずに生きてきた。
 しかし、ここまで来たんだったらちゃんと向き合わないと行けないなぁと思って、思考の海に1人で浸かっていた。
 そんな俺に、アティが話しかけてきたのだ。

「私達、ロボットは艦娘達や国の住人達と違ってどこまでもあなたの味方です」
「………」
「例え、彼女達が裏切ろうとも、世界が敵になろうとも、私達を作ってくれたあなたに忠義を抱いているのです」
「……俺が艦娘じゃなくて良かったな。じゃないとお前さんはバラバラに粉砕されていたぞ?」
「………」
「だがその忠義、確かに受け取った」

 アティは独り言のように、自分の気持ちを告白したが長門のように、俺に感謝をして忠誠を誓っている艦娘がこの場にいたら大喧嘩になっているところだ。
 しかし、彼女達はここにいない。
 そのため、静かに彼女の告白を聞いた俺は、気持ちが軽くなった気がした。



と言うことで、白ひげとの会合と主人公の悩みでした。

いや~、書いていてなんか、ヘビーな話になっちゃうよとか思いながら書きました。

それでも、一般人だった主人公が急に200隻以上の大艦隊を率いて七武海になったら、多少は悩むと思うんですよ。
ですので、ヘビーな話を投稿したからと言って低評価は堪忍してつかぁさい。

ではまた次回。


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第21話 魚人島

「海賊対策で海軍本部に来てくれって?」
「えぇ、どうやら重要案件らしいわ」
「指名手配書でも回してくれたらこっちで対処するのにねぇ」
「そうも行かないから召集を掛けているんでしょ?」

 白ひげとの会合後、軍艦島に戻ってきた俺は何事もなかったように執政をしていると、海軍から召集が掛かった。
 こっちとしては、海軍と話し合っても意味が無いのだが七武海として自由にやっている以上、召集命令が来たら出向かないのいけない。
 しかも、新世界と偉大なる航路(グランドライン)を繋ぐ航路は深海1万メートルの魚人島を経由するしかなく、そこまで潜るのが面倒臭かったので俺自身は、軍艦としてそっちに進出したことがなかった。
 幸いなことに、海軍本部は魚人島からかなり近いマリンフォードにあるから、日数的にそれほど多く掛かることはないだろう。


 そのため、俺は海軍本部のあるマリンフォードに行こうとすると、今日の秘書艦であるイタリア勢がこう言ってきた。

「なら、私達も行こうかしら」
「前回は仕方なく、クラウスさんを1人で行かせてしまったし」
「私達が行けば大丈夫ですー、はい」
「グランドラインのお酒を飲みたいです~」
「ポーラ、あなたの飲み癖は変わらないよね」
「クラウスさん、私も行っていいかな?」
「あーはいはい、あんまり騒ぎ立てなきゃ別に大丈夫だ(多分)」

 そんな訳で、マリンフォードに行くことは決まったんだがその道中、同行する艦娘の選定で揉めに揉めた。
 何しろ、急な召集のために次の日以降の秘書艦達からブーイングが続発。
 折角、楽しみにしていたのにという悲痛の叫びを聞こえてきたので、20隻限定で応募を募ることにしてそれとは別にこういうことにした。
 秘書艦の日程表は、出発前日までは予定通りに進めるが出発当日から凍結して、俺が帰ってきた日の次の日から再開することにした。
 遠征で入れ替わったり、日程的にどうしても不可能だった場合はその後で埋め合わせをする、と言うことで一先ずは落ち着いた。

 今回、連れて行くのは海外組の18人と練習巡洋艦の香取と鹿島で合計20人。
 香取と鹿島にはそれぞれ、20人ほどの乗組員が乗り込んでいて海軍本部がどういう所なのかを、見せてやりたいと言うことで俺が認可した。
 潜水艦のろーちゃんと伊504であるルイージ・トレッリは、シノ達が編成している潜水艦隊の一員として行動しているので一緒には行けないが、魚人島までは一緒に行動してもいいということでついてきている。

 さて、魚人島に向かうには1つの重大な問題が常に発生している。
 それは、どうやって深海1万メートルにまで潜るか、というものだ。
 原作の海賊達は、船体に弾けにくい泡のコーティングを施して潜っていた。
 しかし、俺達が外注でそれをするとかなりの時間が掛かるので、自前で展開できるように改造計画の中で搭載することが出来た。
 正確には、俺はクラインフィールドで水圧を減らして航行、艦娘は自前でコーティングができるようにしたのだ。

 これがいつか、グランドライン前半に進出しなくてはいけないと考えてどうやったら、彼女達を連れてこれるかを考えていた。
 そのため、通常の帆船の場合は船体を覆うようにコーティングするが艦娘の場合、そうすると推進力を捕らえにくいので甲板上にある艦橋や主砲などを覆うようにコーティング出来るようにした。
 その技術開発はかなり大変だったが、色んな要素を試して艦娘専用になんとか作り上げることができた。
 その技術開発をしたのは、もう10年ぐらい前の話だったので前回、海軍本部で七武海になった時も艦娘達を配置することが出来た。

 その装備を、海外組も実装しているから艦娘達と一緒に赤い土の大陸(レッドライン)の先に向かうことが出来る。

「じゃあ、みんな。ちゃんと帰ってきてね?」
「お土産買ってこないとダメなんだから!」
「おぅ、楽しみにしていてくれ」

 俺はそう言って、潜行を始めると艦娘達も潜行を開始した。
 言い忘れていたが、艦娘達は深海1万メートルの水圧に耐えられる設計を施していない。
 そこまで、強度を上げると機動力が下がるので簡易ながらクラインフィールドを、船体自体に展開できるようにした。
 クラインフィールドを展開できるんだったら、コーティングする必要は無いのではないかという意見も出たが、技術的に不可能だ。

 理由は、装備面で船体を大型化したと言ってもあくまで大型化した武装と新しく装備した武装で、搭載可能な量の殆どを占めているので装備したとしても、ある程度の強さまでしか展開できない。
 その強さは、深海6000メートルまでの水圧までしか耐えられない。
 基準としている装備を減らせば、俺達と同等の強さを展開できるがそれだと総合的な戦闘力が減るため、俺としてはあまり変えたくないし、彼女達も他の奴らの足手纏いになりたくないらしい。
 そのため、コーティング技術とクラインフィールドの技術を併用することで、深海1万メートルまで潜行できるようになった。
 俺やシノ達は、独力でそこまで潜れるので問題ない。

 そんな訳で深海の旅を楽しみつつ、俺達は魚人島に到着した。

 この時期、ロジャーは海賊王にはなっていないので海賊達の姿はあまり見かけないので比較的、治安は安定している。
 そして、そこに住んでいる人魚達もかなり美女揃いだったが、艦娘達の方が気心が知れているのであまりそそられなかった。その分、充分に観光したけど。
 そして、魚人島に1日滞在することを同行してきた艦娘達に伝えて、俺は1人で別行動を取った。
 島内だったら、緊急事態でもすぐに増援を呼ぶなどの対応できる上に、俺が仲間を同行させているとなれば敵対組織はそう簡単に手出しできない。
 言わば、仲間の同伴は現時点での敵に対しての矛でもあり、盾でもある。

 そう思いつつ、人気(ひとけ)が無い場所まで歩くと静かではあるが周囲に聞こえる大きさで、俺はこう言った。

「こそこそ隠れてないで、出て来いよ!」
「………」

 俺がそう言うと、木の陰から1人の魚人が出てきた。

「すまねぇな、つけ回すことしちまって」
「別に良いさ、慣れっこだから」
「そうか、俺はフィッシャー・タイガーって言うんだ」
「俺はクラウス、鋼鉄海賊団を率いている」

 互いに自己紹介をして、フィッシャーはこう切り出した。

「なぁ、お前は魚人を恐れているか?」
「恐れ?何故?」
「俺は人間を憎んでいるんだが、外の世界であんたの話を聞いて疑問に思っていたんだ」
「そうか、なら答えよう。俺個人として、恐れてはいるが蔑むレベルじゃないと思う」

 俺はそう言って、蔑まない理由を言った。
 理由はと言っても、至極単純でその必要がないからだ。
 配下の島、特に軍艦島は奴隷船から救い出されたり、他の島のヒューマンショップから連れて来られた奴らがほとんどだ。
 そんな奴らと話していると、大半は奴隷の取引で儲けている奴らに無理矢理連れて来られてたり、どうしようもないほどの不器用な奴らばかりだった。
 その経験から、全てをわかり合うことは不可能でもある程度ならわかり合えることがわかった。
 そのため、魚人ともわかり合えると思っている。

「なるほどな…つまり、わからなければ恐怖しか感じないという訳か」
「そうだな、何事に対しても理解する気が無い奴は狭い世界でしか生きられないと俺は思う」
「……そう…だな、あんたと話せて良かったよ。ありがとう」
「礼を言われるほど、高尚なことは言っていないが受け取っておこう」

 俺達はそう言って、その場を後にした。
 フィッシャーは、俺の発言を受けて自分の考えをぶつけたいと言ってきたため、俺はそれに付き合うためだ。

 その日、俺達は夜が更けるまで話し合った。



珍しく、海軍本部に呼び出された主人公。
技術開発によって、コーティングとクラインフィールドを併用できる技術を作り出して、改造計画の中で組み込んで艦娘達と一緒に海軍本部に向かう途中、魚人島に立ち寄った。
そこで出会ったのは、後にある事件を起こすフィッシャー・タイガーという魚人だった。

と言うのが、今回の内容になります。
行った先で何が起きるのかは、楽しみにしてくれると嬉しーなー。


ではまた次回。


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第22話 乗組員達

今回は少々、短めです。


「うへぇ、完全に二日酔いだ」
「人間ではないあなたが二日酔いになれるのか、疑問なんですが」

 フィッシャーとの熱い議論の末、夜明けと共にお開きになって解放された俺は、艦娘と乗組員が待つホテルでグロッキー状態となった。
 そんな俺を介抱してくれているのは、香取と鹿島に乗っているロボットではない方の乗組員達だった。
 その乗組員達は何故か、全員が女性だ。
 最初にこれを聞いた時、俺はかなり驚いて聞き返したらこんな理由が返ってきた。

『え?鋼鉄海賊団は女性しか入れないのではないんですか?』

 うん、この時はさすがにやらかしちゃったと思った。
 だって、艦娘は全員が女性として存在している上、ロボット達も女性体だけを生産していたので、それによって女性限定の海賊団になるとは海賊団と名乗った時から微塵も思っていなかった。
 まぁ、こうなってしまったのは仕方ないとして、問題なのは乗組員の技術だ。
 彼女達は、香取達の指導によって着実に操艦技術は着実に上がってきているのだが、それでも個人での戦闘能力は新世界において皆無に等しい。
 船同士での戦いなら艦娘達に任せれば良いし、接近戦でも戦闘ロボット達に頼ればほとんどの場合は切り抜けることは出来るのだが、ロボット達の支援が得られない場合でも自力で生き残れる技術はほしいところだ。
 じゃないと、悪魔の実の能力者と戦うことになったら一方的にやられるだけになってしまう。
 そうでなくとも、人質に取られて痛手を負うことだってあるんだから銃ぐらいは使えるようにしたいな、と香取達に言うと、

「あら?もう、使えるようにしてあるわよ?」
「この世界は危険で一杯ですからね、覇気もある程度なら使えますよ」

 という返事が返ってきた。
 どうやら、この世界の危険性を十分に理解した香取達と体力面でも強くなりたい女性乗組員達の間で、意見が一致したようなのですぐにやり始めたようだ。
 とは言え、ロボットのように部品を変えればすぐに使えるようになる訳ではないので、今は覇気を使う練習をしているようだ。
 その様子を見ていると、どこぞやの戦車道や女性だけの教育艦みたいになったなと思っていると、香取達の艦長がこう言ってきた。

「あの、お願いがあるんですが…」
「もう2,3日。この島で滞在しても良いですか?」
「理由を聞いても良いか?」

 俺がそう聞くと折角、魚人島に来たのだからもう少し楽しんでから行きたいとのことだった。
 まぁ、召集を受けたと言っても急いで行く理由もないし、あと2日間ほどの滞在を認めると彼女達は嬉しそうにはしゃいでいた。
 俺自身も渡りに船で、グロッキー状態のままで海軍本部には行きたくなかった。
 そのため、その日は二日酔いから覚めるまで部屋でグータラして、残った時間で彼女達と付き合うことにした。
 何だかんだ言って、人間である彼女達とあまり話してこなかったからな。これを機に、彼女達のことを知っていこうと思う。



 2日後


「―――と思っていた時期がありました」
「全く、だからってやり過ぎよ」
「まぁまぁ、ローマ。彼だって発散したい時があるのよ」
「いつも忙しそうにしていましたからね~」
「いいざまね、楽しかったけど」

 女性乗組員達と色々と楽しんでいたが、合計で40人の乗組員を楽しませるのはかなり骨が折れて、出港時には財布がかなり軽くなっていた。
 財布と言っても予め、艦内に持ち込んでいた金額がそれなりにあったのだが、それでも数%が彼女達の買い物で消えたのだから女性の買い物は恐ろしい。
 その一方で、彼女達の考えや最終的な目標も聞き出せた。

 彼女達の目標は、総旗艦である俺に乗艦して俺を操作することだった。
 そのため、色んな苦労をしながらもお互いを高め合いつつもいずれは、俺の船体を操作する許可をもらおうとしている。
 そうするには、操艦技術やその他諸々の他に戦闘の技術も磨かないといけない。
 ここ最近、鋼鉄海賊団の傘下に加わろうとする海賊達が、徐々にではあるが出始めている。
 となれば、そんな海賊達を納得できるだけの実力がほしいところである。
 セバスチャン達は、既にそれ相応の実力を発揮していて海賊達も“彼らなら納得だ”と、言わしめるほどであるからそこら辺は乗組員達に期待だな。

 そんな訳で、魚人島を出航した俺達は海流に乗りながら浮上していくと、深海に比べて海面付近である水深200メートルぐらいから幻想的な光景が見えてきた。
 それは、光と海とマングローブの根が織りなす光景に俺を初めとする面々は、船をコントロールしながらも目を奪われていた。

 しかし、そんな光景を堪能すると急速浮上して、マングローブで出来た島であるシャボンディ島に接岸した。
 そこでも、2,3日の間は人攫いに気をつけながら上陸して楽しんだ。

 その間、俺はお供のロボットと共にヒューマンショップに行くと、偶然にも売ろうとしていた悪魔の実や使えそうな人材を集めては軍艦島に転送していった。



そう言えば、艦娘に乗艦している乗組員達にスポットを当ててないなと思ったため、彼女達の話にしました。
彼女達の紹介と言うことで、名前などは決まっていません。
使ってほしい名前なんかがありましたら、感想欄などに書いてくれるとありがたいです。


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第23話 海軍本部

「来いと言われて来てみれば、海軍元帥殿が変わっているじゃねぇか」
「こんな俺でも、世界政府直属の全軍総帥になれという爺達の押し付けさ」
「はん、軍隊って奴はいつも無茶ぶりを押し付けられて大変だな」
「違いないが、正義のためならしょうがねえだろ?」
「…ちげぇねぇ」

 俺が、気軽に話している相手は全軍総帥に昇格したベンジャミンだった。
 俺達、鋼鉄海賊団が人身売買以外での興業を順調に進めている間に彼が昇格して、その代わりに直接的には会っているない奴らが海軍元帥と対象になっていた。
 多分、後の総帥となるゴング元帥と海軍元帥になるセンゴク大将だ。
 彼らからすると、自分達の上官であるベンジャミンとため口で話していることに、包み隠さずに嫌悪感を表している。
 その一方で、訓練兵と言っても紛いなりにも艦長を務めているアシュレイとキャサリンは、圧倒的な存在感を放っている彼らに対してガチガチに緊張している。

 何故、彼女達を連れてきたかというと俺をコントロールするという目的を持っている以上、鋼鉄海賊団のトップの重責の他に世界政府の呼びかけに応じて参加して、彼らと対話をすると言うことを認識する必要があるからだ。
 これに関しては、俺が対応しても良いのだがそうすると王下七武海であるということを、十分に理解しないままでトップになる危険性がある。
 そうなると、色々と面倒になるので今のうちから教育の一環として連れてきた。
 本来だったら、俺1人に呼びかけられたが将来の艦長ですと言うことで無理矢理連れてきた。
 その方が、海軍の狗であっても自由に行動する海賊だと言うことを、海軍に知らしめることに繋がると思っている。
 と言っても、海軍との全面戦争はしたくないのであくまで、現時点では艦長の助手と言うことにしてある。


 それはともかく。


 俺が何故、海軍本部に呼ばれたのかが疑問に思ったので、そのことを質問するとこう返ってきた。

「実は五老星は危惧していることがある」
「…ほぅ?」
「世界の探求者達によって、歴史の本文(ポーネグリフ)の内容が明るみに出るのでないかと」
「…?内容だけだったら良いんじゃねぇの?」

 ポーネグリフというは、キューブ状の石碑のことで決して砕けない上に割れないし、解かすことも出来ない硬石で出来ているらしい。
 いつ、誰が作ったのかがわからず、存在自体はある程度まで知られているが、全てを解読できた人物は存在しないとされる。
 そのため、俺は素朴な疑問を投げかけるとベンジャミンは、厳しい表情でこう言ってきた。

「それが問題なのだ…内容を知ったら世界を転覆しかねない人物が現れるかもしれん」
「…なるほどねぇ、つまりはあんたらにとって不都合なことがあると?」
「そう言うことだ」

 現在の世界は、世界政府が統轄している状態でそれを覆されることを嫌っている。
 俺が知っている範囲では、空白の100年の間に存在していた王国のことを、知られるのを嫌っているんじゃなかったかな。
 となれば、俺達が総力を挙げて捜索すれば明らかになるのではないか、と考えてしまう。
 とは言え、彼らの態度から察するに無関係な住民まで巻き込んでしまうので、ここは地道に探していくことにした。時間的な余裕はまだあるし。

 そう思った俺は、頭を切り換えて話の本題に移った。

「んで?俺がここに来た理由は海賊対策について、だろ?」
「あぁ、そうだったな。では始めるとしよう」

 俺とベンジャミンは、そう言い合って本題に入っていった。


~~~~~~~~~~~~


「対策と言っても今まで通り、配下に加えている島々の治安維持と凶悪な海賊の取り締まり程度の内容でしたね」
「海軍本部に行く、と聞いた時にはかなり驚いたけど思っていたよりも細かい話でしたね」
「まぁ、そう感じてもおかしくはないな」

 話し合いは1時間程度で終了したので、帰り際にアシュレイとキャサリンが、そんなことを言ってきたので俺は適当に返しておく。
 海軍としては、無関係な女性に悟れたくないから、そういった演技をしただけだ。
 恐らく、ポーネグリフの解読をしている不特定多数の人間達を可能な限り、排除してほしいという依頼とそれと同時並行で、海賊達の動向の監視も依頼された。

 だが、本当の依頼はポーネグリフの解読阻止である。

 これに関しては、気が向いたらとのことだったが海軍としては、なんとしてでも阻止したいだろうと予測できる。
 今の海軍は、ベストではないがベターといった感じであるため、可能な限りの不確定要素は減らしたいと考えているはずだ。
 しかし、あくまで海軍がそう考えているだけで俺達にとってはどうでも良いことだ。
 王下七武海になったのは、そうなった方が利益が多く見込めるからであり、見込みなしと判断すればいつでも返上できる。
 それに、数年後にはオハラがバスターコールで消えるはずだ。


 ………………

 ……………

 …………

 ………ん?


 オハラと言えば、ニコ・ロビンの生まれた島でこの時期になると既に、ロビンの母親であるオルビアが仲間達と一緒にポーネグリフの解読をするため、海に出て行っているはずだ。
 となればロビンは既に生まれているし、俺が何もせずに放置していればオルビアさんや、その他大勢の人達が命を落とすことになる訳だ。

 俺としてはこの流れ、出来れば変えたいな。

 幸いなことに、七武海でありながらお金さえ払えば依頼を完遂すると評判だし、略奪行為もしない海賊として有名だ。
 今からその島に、俺が行っても手遅れにはならないはずだ。
 そう思いながら、自分達の船に戻ろうとしていると俺がよく知る人物が姿を現した。

「よぉ、元気そうにやっているな」
「ゼファーか、そっちも元気そうで何よりだ」

 その人物は、海軍の鬼教官であるゼファーだった。
 相変わらずの巨体さと、厳つい顔が良く映える。

「近々、お前さんが来ると聞いていたからな。久しぶりに会いたかったぜ」
「俺もだ、そっちはどうだい?家族は元気か?」
「あぁ、妻の元気にやっているし、息子も海軍に入ると言って大暴れさ」
「ははは、その光景が目に見えるぜ」

 俺とゼファーが、軽い口調でそう言い合っているとアシュレイ達は軽く固まっていた。

「それで?そいつらはどういった奴なんだ?」
「こいつらは未来の艦長サマさ。教官から何か言ってやってくれよ」
「海賊から教官扱いされるのは不思議な感覚だがまぁ、そうだな…」

 俺がそう言うと、ゼファーは少し考えてからこう言った。

「こいつを扱いたかったらこいつよりも強くないといけねぇ」
「と、言いますと?」
「肉体を使った近接戦闘に置いて、こいつを打ち負かさないと誰も納得しないと言うことだ。それだけのインパクトはあったし、君らを遙かに上回る能力をこいつは持っている」
「えぇー、クラウスさんを超えないといけないとか、ゴールが果てしなく遠いんですが…」
「私達に出来るんでしょうか…」

 アシュレイとキャサリンは、呆然としながらそうぼやくとゼファーは、盛大に笑ってその場は解散した。



と言うことで、乗組員の艦長2人と海軍の回でした。
ここでようやく、ゴングさんとセンゴクさんが出てきました。

次回、主人公はロビンが生まれた島に行く予定です。


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第24話 オハラと研究者

「はい、到ちゃ~く」

 俺が気の抜けた声でそう言ったのは、ロビンが生まれた島である西の海(ウエストブルー)にあるオハラという島だ。
 この時期、ロビンはまだ3歳ぐらいの幼女だったはずだ。
 いくら、女性が好きだからと言って大和のような大人な女性から雷や電の様な幼女まで、俺の海賊団では揃っているので、特にこれと言って興奮しない。
 なんて言うか、美人ばっかりを見てきたせいで並みの女性に反応しなくなってきているのが、男の悲しい性だなぁと思いながら島内を散策する。

 美女は3日で飽きる、とはよく言ったものだと思っていると、巨大な樹木の全容がわかる草原に出た。
 確か、俺が全知の樹と呼ばれている世界最大の図書館が入っている樹木だったか。
 こうして、直に見てみるとかなりの大きいことがわかる。
 ドアや窓が樹木に対して、かなり小さいことから遠近感を失ってしまう。

「そこで立ち止まるんじゃ、若造」

 そんな樹木に、特に構えないで近づいていくと1人の男性に呼び止められた。
 見聞色の覇気を使うと、その男性は銃を構えているように感じ取れた。

「…あなたがクローバー博士ですね?」
「そうじゃが何の様だね?お主のような若造が来ても面白くない本ばかりじゃぞ?」
「私は警告しに来たのです、この島とあなた達の未来に関しての」
「未来、じゃと?」
「…えぇ」

 銃を突きつけられても、全く動揺しない俺に対してクローバー博士は疑惑の念が払拭できず、寧ろ助長させていた。
 そのため、俺はそのままの状態でこう言った。

「あなた達が高名な考古学者の集団だと言うことは存じています。その上で聞いていただきたい」
「………聞こう」
「占いの類いではあるんですが、最低でも今から10年以内にある島が地図上から消されます」
「………どこの島じゃ」
「…この島です」
「!!」

 慎重に言葉を選ぶ俺に、博士は興味を持っていたが10年以内にオハラが消されるという情報を耳にした時、引き金に力が入るのがわかった。
 そのため、俺はこう続けた。

「今からでも遅くないので、あなた達が研究している対象のものをやめて全てを消すんだったら、世界政府も島ごとは消さないでしょう」
「お主…どこでその情報を知った!」
「…私の捜査網を見誤らない方が良いですよ?クローバー博士」

 博士が怒鳴り散らすと、俺はゆっくりとした動きで彼のいる方向に顔を向けた。
 すると、クローバー博士は怒りと驚愕が混じった顔をしていて、銃を持っている手はプルプルと震えていた。
 そのため、俺はさらに言葉を続ける。

「現状、あなた方と世界政府がどんな関係になっているか、俺にとってはどうでも良いんだが放置した結果、無駄な血が流れるのが許容できないんですよ」
「…っ!」
「それでも、あなたは研究者としてのプライドを取りますか?」

 俺が冷淡な表情で、そう言うとクローバー博士は銃を下ろしてからこう言った。

「ついてきてくれ。そして皆に伝えてほしい」
「わかりました、ついて行きましょう」

 俺がそう言うと、クローバー博士が先を歩いて案内してくれた。
 そして、全知の樹の内部に入ってからそこに滞在していた研究者達の前で、俺は詳細なオハラが地図上から消える原因を話した。
 勿論、研究者達の中からそんなのはでっち上げだという声もあったが、1年前に派遣した調査団のことを話すと研究者達は押し黙ってしまった。
 何故なら、自信を持って送り出した彼らの仲間達が海軍の手によって、1人の女性を残して全滅したからだ。

「ところで、その女性は誰なんじゃ?」
「…ニコ・オルビア」
「なんと…」
「まさが、あいつが…」
「オルビアさんに限って裏切る訳でもなさそうだしな…」

 研究者達が押し黙っている中、クローバー博士がそう聞いてきたので俺が素直に答えると、研究者達がざわつき始めた。
 正直なところ、こんな話をしてもマトモに信じてもらえないのが関の山で、最悪の場合は俺の気が狂ったなんて噂まで流布される可能性がある。
 まぁ、理知的な彼らはそんなことはしないだろうがそれでも、俺の言うことは耳を貸さなくなるだろう。
 個人的に、そういった状況だけは避けたい。

 俺がそう思っていると、研究者達の間で相談が終わったようでクローバー博士と何かを話している。
 聞こえた範囲では、ポーネグリフの研究についてだった。
 そいて、10分ぐらいの議論の末、彼らは決断を下した。

「わかった、ポーネグリフの研究はやめにしよう」
「では…」
「それに関する資料の一切を破棄し、世界政府からの言及も知らぬ存ぜぬを貫こう」
「ありがとうございます。これで無駄な争いは避けれました」

 俺がそう言うと、クローバー博士はこう付け加えた。

「しかし!10年経っても世界政府が言及してこなかったら再開するが、それでよろしいかな?」
「…えぇ、今はそれで充分です」

 俺は彼の目を見ると、紳士に受け取ったようで真剣な目と表情をしていた。
 そのため、俺は用事が済んだので立ち去ろうとすると―――

「おい!あんた、言いたいことだけ言って帰るのか「よさんか」…え?」
「彼は鋼鉄海賊団の船長じゃ」
「なっ!?あの海賊団の…!?」

 若い研究者が、俺を引き留めようとしたところでクローバー博士がそう言うと、研究者達の間で衝撃が走った。
 何故なら、七武海の1人が護衛もつけずに単身で乗り込んできた上に、こんなふざけたことを真面目な顔で言ってのけたからだ。
 そのため、彼らは渋々ではあるがポーネグリフの研究と解析を、一時的に中断することにした。
 研究というのは、命あっての物種だからな。

 そうして、彼らが研究してきたポーネグリフの資料は全て、消されることになった。

(後はオルビアさんの生存ルートのために行動するかな)

 俺はそう思いつつ、ワームホールを使って軍艦島に帰っていった。



 クラウスが帰った後のオハラ


「彼は行ったかね?」
「はい、不思議な穴へ吸い込まれるように消えてからその穴も消えました」
「…そうか」

 クローバー博士は、他の研究員の報告で一息ついてから肩の力を抜いた。
 仮にも、王下七武海である彼の機嫌を損ねれば自分を含めた、この場にいる研究者達の命がなくなっていた可能性があった。
 そのため、彼の主張するオハラ消滅に耳を傾けずにはいられなかった。
 そして、その主張はかなりの真実味がある話であり、実際に見てきたかのように熱く語っていた。

 その結果、ポーネグリフの研究をやめざるを得ない気持ちになっていた。
 何故なら、今年で3歳になるオルビアの娘であるロビンに、7900万ベリーの賞金首がつけられるのは見るに堪えられないからだった。

 彼らは、1人の少女のために今までに積み上げて来た研究を全て、放棄することにしたのだった。
 彼らの行動は、考古学の分野での研究者達から非難されたが、それが正しかったことが後に証明されることになる。



と言うことで、ロビンのトラウマであるバスターコールは、オハラに降りかかることはなくなりました。

しかし、そうするとロビンが海賊になる理由の殆どが消えてしまうため、何らかの理由をつけて海賊にさせようと思います。

と言うことで、次回も楽しみしてくれるとありがたいです。


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閑話 潜水艦隊旗艦の考え事

 私の総旗艦は変わった奴だ。

 私達がいた世界と比べて、この世界の技術力は中世から近世までの技術力が大半で、偶に近未来的な技術が世の中に出回る程度。

 そんな世界に放り込まれたら、誰だって初めは戸惑うはずなのに彼はそういった行動が一切、見られないのだ。

 だから、私は興味を持った。

 彼がどんな人間なのかを。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 私、イ400であるシノの1日は次のパターンが殆どだ。

 朝6時に起床、その後は食堂に向かうために準備をしてから食堂に向かう。
 今日の朝食は、焼き魚をメインに据えたご飯に納豆、卵に味噌汁、そして漬け物というシンプルなものだ。
 この世界の人達は、欧米の習慣が殆どであり、日本の和食のような料理は珍しい。
 総旗艦クラウスは、艦娘達のことをよく理解しているようでパンよりも、白米などの方が好みだと言うことを知っているようだ。
 と言っても、ビスマルクやアイオワのような海外艦にとってすれば、和食よりも洋食の方が好きという場合もあるので毎日、お米が出るという訳ではない。
 今日は珍しく、軍艦島に帰ってきている私のために艦娘恒例の秘書艦任務は、私と何人かの潜水艦娘達で引き受けることになった。

 今日の秘書艦は、私の他に伊19と伊58、そして伊401。

 艦娘の方の伊401は私の実の妹ではなく、あくまで妹と同型艦と言う認識で人類的には親戚の妹といった感じだと思う。
 断定しなかったのは、人間というのは複雑怪奇でまだまだ理解できていない部分があるためだ。
 そのため、海軍よりも彼の下で働くことにしたが、それで理解に及ばないところもある。
 以前、そのことで伊勢達に話したらそれは当然だと言われた。

 “他人のことを知りたかったら、イヤと言うほどに相手を理解しないといけない”

 第2艦隊の旗艦を務めている伊勢の言葉だ。
 彼女は、無口な妹である日向とよく一緒にいるが、それは妹のことをよく知っているからであり、気が合うからだ。
 そして、彼女の下で働く艦娘達のことも気に掛けている。
 何故なら、遠征中の艦娘の管理を任されている上、海賊との戦いでは共同で戦うことが多いからだ。
 そのため、個性的な艦娘達をまとめ上げる必要があるし、戦闘を潤滑に進めることで生存率も底上げできると聞いた。
 しかし、その一方で彼女自身の仕事も多いから休み時間があまり取れてないと思って、彼女にそのことを聞いてみると軍艦島に帰ってきてから目一杯、クラウスに甘えることで取り戻しているそうだ。

 それを聞いて、心がざわついた。

 この世界に来るまで、アドミラリティ・コードの勅命を受けていたムサシの命令を、機械的に受領していた時にはなかった感覚だ。
 その感覚を知るため、色々と考えてみた結果、この感覚が“嫉妬”だと言うことに気が付いた。
 多分、人間と長く接してきたのでそういった面でも影響を受け始めているのだろう。

 元の世界では、超戦艦ムサシの命令に従おうとしてイ401―――確か、イオナだったか?―――に撃沈させられてしまった。
 彼女が元の世界で、上手くやっているのかはわからないがこれで少しは私も人間に近づいた反面、それと同時に不安になった。
 このまま、人間達と付き合っていれば私も人間らしくなるのだろうが、自分自身が潜水艦のメンタルモデルだと言うことを忘れてしまいそうだからだ。
 そんな不安を打ち消すため、夜になって402と一緒にクラウスの寝込みを襲ってみたが最終的には妹共々、彼にあやされるという形になった。

 朝食を終えると、そんな彼と執政が始まる。

 伊19達―――イク達―――は本来、スク水を着用していたが各自の船体を持つことになったので、スク水の色を基調とした服に着替えてある。
 これは、変な人に絡まれないようにする一方で潜水艦だと言うことを示すためのデザインが施されていて、艦娘達の中でも潜水艦娘の衣装は大幅に変わっただろう。
 そのため、彼にとっても安心の衣装である。

「はーい!イク、イクの!」
「仕事をとっとと終わらせて甘えるでち」
「今日はクラウスさんとデートするんだ!」
「はいはい…あなた達、気合いを入れるのは良いけどクラウスの邪魔だけはしないでよね」

 私は普段通りにそう言うと、イク達がこう言ってきた。

「そういうシノさんが1番、クラウスの邪魔になっていると思うの」
「ぴったりとくっついているでち」
「さすがはクラウスさんの正妻!私達が出来ないことを平然とやってのける!そこにしびれる、憧れるぅ!」
「別に紙面を使ってのやり取りは殆どないから困らないんだがな」

 同僚の言葉に、クラウスはまんざらでもない様子で返事をしたが、私はそれに指摘されて周りを見渡してみると、彼とくっつきそうなぐらいに近づいていた。
 そのため、少し離れると同僚であるイク達がさらにからかってきた。

「シノさんが顔を赤らめているのね」
「やっぱり、恥ずかしいんでちか?」
「シノさんってむっつりさんだったんですね!?」
「違うわよ、室内がちょっと暑いだけよ」

 私がそう言ってもイク達はからかうのをやめず、クラウスもその様子を楽しそうに見ていた。
 そして、そんなやり取りがあった仕事が午前中で終わったので昼食は、どこかの店に行って食べることになった。
 本来ならば、私やクラウスは食べる必要がないのだが艦娘との交流と称して、彼女達と一緒に食べに行くことになっている。
 とは言え、無理強いはしてないようで艦娘側が無理だと言えば、彼も1人で食べることになる。
 しかし、そんな彼を他の艦娘達が見逃す訳もなく、基本的には誰かと一緒に昼食を食べることになっているので、1人になるのは休日ぐらいだろう。

 私がそう思っていると、今日の昼食は定食屋で済ませるらしい。
 この軍艦島は、当初の未開拓の島から人口が十数万人の一大拠点となっていて、多くの船舶がここで補給をするためにやって来る。
 そこに、商売の匂いを感じ取った商人達が拠点を構え始めてさらに人が集まるという、良い方向での循環が起きていてしばらくの間、人口増加は続くだろう。

 この定食屋だって、数週間前にはなかった店だ。
 とは言え、本店となる店はその島ではかなり有名らしく、味に関しても確かなようだ。
 そのため、私達5人はその店で昼食を摂るのだった。


「なかなかに美味しかったな」
「こういった店がどんどん、増えてきているの」
「それだけ、この島が安定しているでち」
「それだけ、守りたくなるね!」

 私達は、昼食を終えて店の外に出ると、ラウスを初めとしてイク達が次々にそう言ったので、私は目を細めて考えてしまう。
 ここまで、この島の急成長を遂げたのならそれを強奪する輩が増えるのではないか、と。
 そうさせないように日夜、活動をしているが世界中が大きく荒れるようなことが起これば、この平和を維持することが困難になる。

 クラウスはそれを予想しているのだろうか。

「―――?―――い、おーい、シノ」
「ん?あぁすまん、考え事をしていた」
「考え事とは珍しいな、それでどうだった?」
「なにがだ?」
「この店の定食についてだよ」
「………」

 ふっ、そんなことはその時になってから考えれば良いか。じゃないと、楽しめるところで楽しめなくなってしまう。
 そう思った私は、こう言った。

「まずまずだったな」
「まずまずかよ!」

 私の発言に、クラウスが突っ込むとイク達から笑い声が出た。
 クラウスもそうだが、私も彼女達が笑っている方が好きだ。

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第25話 カーニバルだよ!! 前編

 オハラでクローバー博士との話し合いが終わった後、平和な時間を過ごしているとある報告が艦隊ネットワークを使って俺宛へと上がってきた。
 その報告は、戦闘の経緯と戦闘で出た成果と損害についてだった。
 文章は以下の通りである。


【謎の艦艇との戦闘に関しての定時報告】

発:第4艦隊旗艦 正規空母 加賀
宛:総旗艦 クラウス

対象:霧を纏った謎の艦艇について

かねてより、捜索を指示していた艦艇について報告を致します。
まず、新世界と呼ばれているこの海域においても通常の天候ではあり得ない状態で霧が発生していることを、潜水艦である伊168が確認したことから始まります。
そのため、近くの海域を航行していた我が艦隊に呼び出しが掛かったため、現場海域に急行。
対象の艦艇の対話と誘導に移るため、艦隊から数隻の駆逐艦を派遣したものの、その動きを見せると突如として対象の艦艇からの攻撃がありました。
そのため、なし崩し的に戦闘に引きずり込まれて艦隊に一定数のダメージが残るほどの苛烈な戦闘になりましたが、何とか戦闘不能にして本拠地に回航する予定です。
それと同時に、先の戦闘において損害が出た味方艦艇の修理と対象の艦艇を研究するため、ドックの使用の許可をお願いします。
損害の出た味方艦艇の表は、別の報告書にまとめておきましたのでそちらもご覧ください。


 とまぁ、加賀らしいまとめ方ではあるが成果もそこそこに損害の方もかなり大きい。
 今回の戦闘で大破3、中破6、小破7で合計16隻に損害が出ている。
 なし崩しで戦闘に持って行かれた結果、艦隊の約半分がやられたことになるのだが、幸いなことに艦娘自体にダメージはないようなので良しとしよう。
 そもそも、船体自体は壊れることを前提としているので重要な部分以外は普通の金属を使っているし、エンジンや推進器はナノマテリアルで構成しているのですぐに修理が出来る。
 しかし、摩耶と同じ船体をしている艦艇は俺達と同等の戦力を有しているため、作業をするならシノ達の参加も必要だとも報告している。

 そのため、地下ドックの入港を許可した俺はシノとシノブに緊急召集を掛けて、俺自身も本拠地で待機することにした。
 何故なら、第4艦隊は既に近くまで来ているからだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 本拠地 地下ドック

「クラウス、損害を出してしまってごめんなさい」
「構わねぇよ、全員で帰還できたんだからな」

 たった1隻の重巡相手に、艦隊の半分以上にダメージを受けさせたことを謝る加賀に対して、俺は気楽にそう言うと艦隊のメンバーに声を掛けた。

「皆もお疲れー、良く無事で帰ってきてくれたことを祝いたいよ」
「祝うんだったらご飯が食べたいですね」
「昼食1階分のおごりでどうだ?」
「良いですね、調整をお願いします」
「それよりも新しい衣装が出たんだ!それを買ってよ、クラウス」
「その服ってかなり高いよねぇ~、クラウスに買えるかしら」
「なんだなんだ?飛龍に蒼龍、俺が散財しまくっているとでも思っているのか?」
「じゃあ、私と翔鶴姉にも買ってよ!気になる服があったからさ」
「お言葉に甘えて良いのかしら?」
「ある程度の加減はしてくれよ?無尽蔵にあるって訳じゃないんだし」
「じゃあ、クラウスに甘えるというのはどうだろう?」
「それ良いね!今度、がっちりと密着しちゃおう!」
「良いね良いね!」
「そしたら、他のメンバーから後ろ弾を食らっちまうよ」

 俺はそう言いつつ、駆逐艦達にも声を掛けた。

「怪我はしてないか?痛いところはあるか?」
「だ、大丈夫…私、怖かったけど逃げなかったよ?」
「あぁ、よく頑張ったな」
「クラウス~、聞いてよ。山風ったら戦闘になった途端に先陣を切ったんだよ?」
「あの時の山風は勇敢だったね~」
「そうだったのか」
「あぅ…」

 こんな感じで、第4艦隊に所属しているメンバー達を労った後は、戦闘にきっかけになった艦艇の調査だった。
 謎の艦艇は、入港時にスキャンしたら実際の重巡摩耶と同じ船体だったので内部構造を把握するため、戦闘ロボットを40体ほどを船内に送り込んで探索してもらっている。
 何故、俺自身が入らないのかというと探索隊の陣頭指揮を取らないといけないし、何かが起きた場合でも船体を俯瞰できる位置にいた方が対処しやすい。
 そのため、探索隊の同港をチェックしているとシノ達が来た。

「クラウス、重巡マヤの船体を確保したんですね」
「と言っても、第4艦隊のメンバーがやってくれたんだがな」
「上部の主砲や対空兵器のほどんどが壊れているようですが?」
「加賀達には、撃沈レベルでの攻撃を行って良いという命令を出していたからな。実際に後1発の爆弾でももらえば沈むだろう」

 俺がそう言いつつ、重巡マヤに目をやるとかなりの傷跡が残っていた。
 4基の主砲は、何かの残骸かと聞きたくなるほどの有様だし、船体や艦橋も傷がない部分を探すのが大変なほどに大きな穴やヘコんでいる箇所が目立つ。
 そのため、乾ドックまで曳航してから水を抜いて探索をしている。

 1時間の探索でわかったのは、船体の殆どを武器の弾薬である砲弾や魚雷で埋め尽くされていて、人が通れる通路や居住空間は最低限度しかないと言うことだ。
 そして、その居住空間には傷ついた深海棲艦が十数名が、怯えるように隅で固まっていた。
 数名と言っても、雑魚ではなく鬼や姫といった高い実力を持っている深海棲艦達であり、しばらくの間は保護することにした。
 保護した深海棲艦は以下の通り。

 離島棲姫、北方棲姫、防空棲姫、飛行棲姫、泊地棲姫、南方棲姫、中枢棲姫、装甲空母姫、空母棲姫、戦艦棲姫、湾港棲姫、集積地棲姫、重巡棲姫、軽巡棲姫

 うん、特定海域のラスボス的な存在の深海棲艦がほぼ全てが重巡マヤの限られた空間に、いるんじゃないかと思ってしまった。
 しかも、彼女達の怯えようから第4艦隊との戦闘時には既に乗っていた可能性が高い。
 そのため、怖がらせないように俺達が質問すると彼女達は次々に、「気が付いたらこの海域にいた」や「人間達から怖がられている」などの発言があったので、無闇矢鱈に暴れ回っていなかったようである。

 さらに、彼女達から詳しく話を聞くと元の世界では頭に直接、命令をテレパシーのようなもので送られてきたので疑いもせずに従っていたが、この世界に来てからそういったものは届かなくなっていたので困っていたそうだ。
 どうすれば良いのか、迷っている内にとある島で彼女達が乗っていた艦艇と出会った。
 休憩も兼ねて、その艦艇に乗り込んだものの休んでいる間に突如として出航してしまい、急いで脱出しようにも船内の隔壁が閉じてしまって逃げようがなかったとのことだった。
 そんなうまい話があるかなぁと考えたが、彼女達の体躯が思っていた以上にやせ細っていたので嘘ではないのは確かだ。

 そのため、彼女達を保護して検査と敵意の有無に関して調べていくことにした。

 一方、重巡マヤに関してはシノ達に任せておき、何かが起きれば俺も対応に回ることにした。



と言うことで、蒼き鋼のアルペジオに出てくる重巡マヤが登場。
彼女に意思があるのかは、現時点では言えません。

ですので、次回も待ってくれるとありがたいです。


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第26話 カーニバルだよ!! 後編

「いくら、クラウスの頼みでも艦隊には組み込めないわ」
「だよねぇ…」

 戦闘の結果、船体の修理に負われている地下ドックとは別の部屋で、加賀との相談で出た言葉に俺はため息を吐きながらそう言った。
 相談内容は、“深海棲艦を艦娘の艦隊に組み込めるか”と言うもので、艦隊旗艦である加賀からはすぐに否定の言葉が出た。
 理由は単純で、元の世界での大きな戦闘でで深海棲艦に対しての恐怖心や猜疑心(さいぎしん)が拭えない以上、彼女達と深海棲艦がタッグを組むことはないだろう。
 幸い、本拠地に設置してある治療施設は使えるので深海棲艦の治療と研究を同時並行で行いながら、艦娘と深海棲艦の共存を模索していくしかない。
 しかし、その一方で恐れていることもある。


 それは、艦娘と深海棲艦が同じ施設で生産されているのではないか、と言うことだ。


 艦娘の改造計画を進めている最中、彼女達の記憶を一時的に別の記憶媒体に保管して体の改造を行ったが、その時に見ちゃったんだよね。

 施設の中で、艦娘を製造しているすぐ横で深海棲艦が製造されているところを。

 俺も、かつては提督をやっていたから見たくもない情報だったがその反面、彼女達が製造している施設や期間だけかもしれないという淡い願望を持っていた。
 だけど、多くの艦娘と共にいる中でボロボロの深海棲艦を見過ごせない俺が、彼女達を説得できる材料が深海棲艦の研究をするぐらいだった。
 そのため、出来ることなら艦娘が製造されている施設とは別の要因で発生してくれ、と願いながら俺と加賀との相談を終えて、謎の艦艇を解析しているシノ達の場所に向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「どうだい?調子は」
「やっぱり、コアに対してのプロテクトが硬すぎて私達だけでは解除するのに時間が掛かるわ」
「そもそも、超戦艦ムサシの演算処理能力を借りたプロテクトを、重巡の演算処理で守っていますから時間が掛かりすぎます」

 どうやら、巡航潜水艦の2人だけでは重巡の演算処理を何とかかいくぐって、プロテクトを解除しているらしい。
 しかも、超戦艦となれば演算処理能力が化け物じみたほどの高さらしいので、順調にいったとしてもプロテクトの解除は一定数の日数はかかるとのことだった。

「じゃあ、俺も手伝うかな」
「えぇ、お願いします。その方が断然、早い」
「クラウスの演算処理能力は超戦艦の上を行きますからね」

 シノとシノブはそう言って、俺を褒めてくれたがどうってことはない。
 電子的なプロテクトに関しては、壁を溶かすイメージでハッキングをして解除しているだけだ。
 そして、その演算処理がシノ達や彼女達が言う超戦艦を上回っているだけで、それ以上もそれ以下でもない。
 とは言え、厳重なプロテクトを難なく解除したところで、重巡マヤのコアにあるプログラムをチェックをする。
 すると、次のことがわかった。

「ふむ、どうやら本来の性格やらが封じられているだけだったようだね」
「そうですか、超戦艦ムサシも人が悪いですね」
「マヤを自分なりに改造したと言っていましたが、結局は根本的なところを弄れずにいましたか」

 シノ達は、俺の発言を聞いてホッと息を吐いた。
 結論から言うなら、霧の艦隊の1隻である重巡マヤのコアに異常は見られず、厳重なプロテクトを吹っ掛けられた状態でシノ達に渡されたと言うことだろう。
 そして、シノ達はそれを疑いもせずに操り人形として大戦艦コンゴウの見張りとして、コントロールしていたのだろう。
 結局、ムサシは人間を憎み切れていなかったのだろう。千早翔像という人物を殺されてもなお、人間を信じていたかったのだと思う。

 それはともかく、これは1つの朗報だな。

 元々、霧の艦隊は1隻ずつに1つの人格があるような存在なので艦娘達と相性が良いし、互いに艦艇としての船体も持っているので一緒に行動もしやすいはずだ。
 しばらくの間、軍艦島で人間相手に活動を続けさせれば問題はないだろう。
 全く、カーニバルダヨ!という言葉と共に軽いトラウマは何だったんだとぼやきたくなるが、木偶人形のままよりかは遙かにマシだと思って行動しよう。

「まぁ、マヤに関しては修理をしてから対話が出来るようになったらコンタクトを取ってみよう。彼女の身柄について考えるのはその後だな」
「わかったわ」
「了解……ところでクラウス」
「なんだ?」
「深海棲艦についてはどうします?」
「あぁ…」

 シノ達に深海棲艦について言うか、少し迷ったが俺は言うことにした。
 深海棲艦について、初期段階ではあるがわかったことがある。
 それは、深海棲艦も艦娘同様に人工的に作られた存在だと言うことだ。
 基本構造は、人間の構造とは全く違っていてこの世界にいる艦娘とほぼ同じだった。
 肌の色や装備によって、それぞれが違っている部分もあったがそれでもほどんど同じなんだから、ある仮説が正しければ胸糞悪い話だ。

 それは、ある組織の利益のために艦娘と深海棲艦が生産されて、延々と戦わせると言うことだ。
 戦争は良くも悪くも、武器が必要になるから軍需産業が儲けになる。
 平和な時ほど、武器は売れないから緊張感や危機感を煽って武器を輸出する方法は、俺がいた世界でも良く行われていた話だ。
 だから、深海棲艦という脅威に対して艦娘という武器を輸出するのは、企業利益を出すという面で理にかなっているが、意図的にこの構造を作り出したとするならばこの内容は酷すぎる。

 シノ達やマヤのように、アドミラリティ・コードの遂行のために作り出された存在ならともかく、人間と同じように生きていたという記憶と軍艦だったという記憶を植え付けられた事実が、彼女達に広まれば精神のゲシュタルト崩壊は免れないだろう。
 全く、イヤなものを見せつけてくれた企業を恨むぜ。

「とは言え、だからといって深海棲艦に罪はないからしばらくの間は検査をして、敵対感情がなければ俺の麾下に加えようと思う」
「あぁ、クラウスについている艦隊と言えば今のところ、有志による臨時編成で作られる奴だけだからな」
「海防艦なんかも軍艦島を守るという名目でその周辺の島しか、行けてないですし」
「うん、自分専用艦隊を持ってみたかったからね。それに相互理解という面でも、最終的には彼女達とわかり合えたら良いかなと思っている」

 艦娘がいた世界だと、「深海棲艦は殺すべし、慈悲はない」といった流れが多いが、この世界では彼女達が所属していた軍隊は存在しないから独自の艦隊を編成している。
 つまり、元の世界での深海棲艦に対する認識は形骸化いるので後は、彼女達が深海棲艦達と共存できるかに掛かっている。
 彼女達が、かつてのトラウマと呼べる大規模な戦闘の記憶を克服できた時、新たな一歩として艦娘と深海棲艦が共に成長するだろう。

(その時までに、深海棲艦がどこから来て何の目的で作られたのかもはっきりさせないとな)

 俺はそう思いつつ、しばらくは研究目的で軍艦島と本拠地で行き来することになりそうだ。



 セバスチャンside

『―――――と言うことで、しばらくは本拠地と行き来することになるが大丈夫か?』
「えぇ、お構いなく。艦娘達には私から伝えておきます」
『あぁ、よろしく頼む』

 クラウス様はそう言って、専用の無線であるでんでん虫を切った。
 彼曰く、新しい艦艇が増えるのと同時に問題も発生したため、本拠地と行き来することになったそうです。
 クラウス様とシノ達、そして艦娘の最後の砦である本拠地はアティさん達を除けば誰も行くことが許されておらず、私としても嫉妬の嵐に飲まれそうになりました。
 しかし、彼の心配もある意味では的中しているのも確かです。

 海軍は表面上、クラウス様と仲良くしていますが一部の海兵からは疑問視する声も上がっていて、過激派にもなれば彼を速攻で逮捕すべきという声まであります。
 しかも、世界政府直属の諜報機関であるCP(サイファーポール)という組織もこの軍艦島に諜報員を派遣して、艦娘達の情報を知ろうと躍起になっています。
 そのため、クラウス様本人からロボット達に普段から見かけない人物がいたら、良く注意して観察するように言われていますし、私がその役割を背負っているロボット達を統括する役目も背負っています。

 普段はクラウス様のサポートに徹していて、長期出張の時は島を統括する総長代行を務めます。
 その時の艦隊は、基本的に大和さん達に任せているので問題はないでしょう。
 そして、今回のような本拠地と軍艦島の間を行き来する場合には、本拠地にクラウス様がいる時は彼が執政を行い、いない時には私が代行することが決まっています。

 そのため、艦娘の皆さんからは不評ですが長期出張ほどではないので、私が我慢する方ですね。
 悪魔とは言え、奴隷から拾い上げてもらったこともありますしね。

 そう思いつつ、私は彼が使っている執政室に向かいました。



カーニバルダヨ!!(超重力砲+ミサイルカーニバル)
ヤメロォ!!

ということで、作者です。
いや~、何とか年を跨いでの投稿にならずに済みました。

アルペジオのマヤちゃんを回収したとは言え、主人公sideも不穏な空気になって参りました。
一体、いつになったら大海賊時代に突入するのか、作者も全くわかりませんがなるべく早めに突入させたいと考えていますので、それまで待って頂けるとありがたいです。

ではまた次回。


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第27話 報告と反応

 深海棲艦達の保護をしてから数週間後、俺は1つの定時報告を行った。

 それは、深海棲艦と艦娘は同じ施設で製造されて延々と戦わせていたという報告だ。

 この報告を行うに当たって、俺はかなり悩みに悩んで皆から後ろ弾をもらう覚悟で報告をしたのだが、意外にも荒波が立つような反応がなくて寧ろ、やっと報告してきたかといった反応が多かった。
 そのため、彼女達に『元とは言え、同じ施設で作り出されたんだぞ?恐ろしかったり、作った奴らが憎かったりしないか?』という質問を投げかけると、彼女達からこう返ってきた。

「もう終わったことですし」
「確かに驚いたが、これで一層の未練がなくなったな」
前世(あっち)今世(こっち)では世界が違いますし御寿司」
「てことは私達、姉妹ってことになるのかしら?」
「だったら、良いですね。楽しくやれそう」
「ということでクラウス、彼女達の船体も作ってやってくれ」
「結局、そうなるんだよなぁ…」

 俺はそうぼやきつつも、心配が杞憂に終わったので深いため息をついた。

 俺が心配していたのは、この事実の大きさに彼女達が受け入れきれずに反乱や大暴れしまくるのではないか、と考えていたので躊躇っていた。
 しかし、艦娘と深海棲艦が同じ施設で製造されていたなんてことを抜きにしても、俺達の本拠地で改造を受けた時点で人間じゃないのは確かだったし、彼女達がこの世界に来てから10年以上が経つ。
 そうならば、自然と故郷の記憶が薄れていくだろうし、故郷に戻りたくても撃沈してきているから元の世界での役割も終えているはずだ。
 彼女達も、やりきったといった感じでその時の状況を教えてくれたから、後悔自体もそんなにはしてないはずだ。

 紛いなりにも、彼女達は人間でありながら兵器として戦ってきたため、そういった面ではあっさりとしている部分がある。
 シノ達も、自分達は兵器だと言うことを割り切っているので人間としての精神の比率が多いのは、現時点では俺や訓練兵ぐらいだ。
 また、彼女達がそう言ってくれたので今後は暴発する不安要素を取り除いて行動が出来る。

 これでまた、鋼鉄海賊団はより一層の団結力が結ばれたことになる。


 そのため、余裕が出てきた俺はこの世界について学んでいる深海棲艦達の元に向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そうか、私達も艦娘達と一緒に作られていたのか」
「となると、私達が艦娘になる理由に辻褄が合う」
「体の基本構造が同じと言うことなら納得だな」

 本拠地にいる深海棲艦達に、事情を説明すると彼女達もそれぞれがそう言いながら納得した顔で頷いていた。
 どうやら、彼女達も己の体やシステムについて疑問には思っていたようだ。
 ただし、元の世界では膨大な利益を得ていた企業の兵器として行動するように、プログラムが組まれていたので行動に移せなかったようだ。
 とは言え、彼女達の修復する最中にそういったプログラムは排除したし、発音機能も艦娘と同じものを搭載しているので流暢に喋れるようになった。
 ここまで来ると、本当に艦娘と深海棲艦は殆どが同じだと言うことが実証されたし、目立った相違点としては肌や目の色が違っているだけだな。

 また、深海棲艦達の要望で彼女達にも船体を持たせるために相談しながら船体の構造を決めていくことにした。
 艦娘の時もそうだったが、この世界は島が点在するだけで大陸がない上にあるとしても赤い土の大陸(レッドライン)しかないので、彼女達を元の状態で航海させる訳にはいかない。
 そのため、深海棲艦達が乗り回す船体の設計と建設に取りかかるのだが艦娘の体に似ているため、改造の余地があるのでそこを部品交換して船体を動かす機能を取り付けた。
 こう言ったメンテナンスのしやすさで、製造元に感謝するしかないが彼女達をこき使ったので許す気はない。

 そんな訳で、深海棲艦達と船体の設計をしているとシノ達から報告があった。


「マヤのメンタルモデルを起動することに成功しました」
「おぉ、そうか。それでどうだった?」
「長い間、ロックがなされていたので殆どのことを忘れているようです」
「殆ど?どのぐらい忘れているんだ?」
「アドミラリティ・コードもです。自分が霧の艦隊だというのは朧気ながらも覚えているようですが」
「そのレベルになると重傷だよなぁ…」

 アドミラリティ・コードとは、シノ達やマヤが所属していた霧の艦隊の最上位指令系統であり、「失われし勅命」として霧の艦隊がそれぞれの派閥に分かれて探していた。
 俺がこの世界に来る前は、それがどういったものかはは断片的にしかわかっていなかったはずだ。
 シノ達がいた世界では、超戦艦であるヤマトとムサシがそれぞれの解釈を照らし合わせて、活動していたが結局は具体的なことはわからなかった。
 だが、問題点はそこではない。

 問題なのは、自分がどういった存在で普通の人間とはどう違うのかが殆どわからないという点だ。

 そのため、俺からのプログラムで船体に搭載してある兵器は使えなくしたし、船体自体も俺の許可がないと動かせないようにロックした。
 その期間は、マヤ自身がこの世界を知って自分の頭で考えることをして、自分なりの結論を出せるようになるまでだな。
 知性があり、自分で考えることが出来る以上は人に頼らずに自分で行動することが大事だと思っているし、それを持っていても放棄している状態だと兵器やパソコンなどと殆ど変わらない。
 俺からすればシノ達は勿論、マヤにもそうなってほしくなくてロックしているからマヤ自身が、そのことに気が付いてほしいなと思っている。

「これで、マヤが自分で考えるようになってほしいが…」
「そううまくは行かないでしょう」
「ですので、ロボット達の支援要請をしたいです」
「わかった。もし、暴れるようなことがあれば戦闘用のロボット達に取り押さえるようにしてもらう」
「「協力に感謝します」」

 俺はそう言うと、シノ達が感謝の言葉を述べたので何人かのロボット達にマヤの監視を依頼した。
 依頼と言っても、ロボット達は俺の配下であるので支援要請の方がしっくり来るがね。

 そんな訳で、緊張と拍子抜けした結果が出た出来事だった。



皆さん、あけましておめでとうございます。八雲ネムです。
今年もよろしくお願いします。

という訳で、艦娘と深海棲艦が同じ施設で作られたことが明白になりました。
え?撤回しないのか、だって?
する訳、無いじゃないですか。話の流れに影響してきますし。
それに、艦娘が純粋な人間じゃない方が作者としてもやりやすいんです!色んな意味で。

という訳で、あまり長引かせずに原作開始まで話を進めていくつもりですので、それまで待って頂けるとありがたいです。


ではまた次回。


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第28話 海賊王

UAが8万回を突破しました!
本当にありがとうございます!


 艦娘と深海棲艦との関係が発覚してから2年、俺がこの世界に来てから20年が経った。

 この2年間で、2つの出来事が起きた。
 まず、ポーネグリフの研究を中止するという知らせを、ニュース・クーで知ることになったニコ・オルビアが乗る調査船がオハラへと引き返した、という情報をクローバー博士本人からの便せんで受け取った。
 これで、クローバー博士もニコ・オルビアも死ぬことはなくなったし、ロビンも懸賞金を掛けられることがなくなった。

 しかし、もう1つの知らせとしてポーネグリフの研究がどの程度まで進んでいたかの進捗状況を、世界政府に報告する義務が発生したクローバー博士がエニエス・ロビーに呼び出された。
 これに関しては、重要参考人である俺の立ち会いの下で行われたため、彼が罪に問われることがない代わりに厳重注意としばらく政府の監視の下で研究を行われることになった。
 また、全知の樹の奥深くにポーネグリフが存在していたがそれに関する研究書などがなかったため、彼を含めた研究員に罪を被せることもなかった。
 この結果に、スパンダインなどの役人は不服のようだったが罪を実証するだけの証拠がない以上、彼らにとってはどうしようもないので結果的にクローバー博士は無罪放免となった。

 その後、帰る途中でクローバー博士が話してくれた話ではあの時の判断に不服だった者達が有志でポーネグリフの研究を開始した、という話があったがこれに関しては一切の無視を決め込もうと思う。
 あの時、俺が止めたのはロビンを残して博士達が死なないようにするためであり、研究者として研究を続けるのなら止める気はないと伝えた。
 すると、博士はこう聞いてきた。

『なら、どうしてそんなことをしたんじゃ?』

 その質問に、俺は真面目な顔で『海賊の気まぐれって奴だ』と答えると、驚いていた博士は大きな笑い声を上げて納得した様子だった。
 本来、海賊というのは自分の生きたいように生きる人間達のことだと、俺は思っている。
 それに、俺の場合は前世の記憶持ちであるため、そういう風にしておいた方が何かと便利なんだ。
 そんな訳で、オハラに対してのバスターコールはなくなったが、有志でやり続けている研究者がいる島に対してのバスターコールは起こりえる。
 そして、俺はそれを止めるつもりはない。

 バスターコール、という出来事を引き起こしたのはそれを百も承知でやった研究者達であり、俺が彼らを止める術はない。
 寧ろ、俺が行ったところでマトモに話すら出来ないと思う。
 自分のプライドや、大事にしているものを穢されると怒るのが人間というものだ。
 やってみないとわからない、という声も出るだろうが彼らは意地でもやめないだろう。
 となれば、俺からの干渉する気力が薄れるし、干渉することは全くしないつもりだ。

 島に帰還した俺が、そう思いながら秘書艦達と仕事をしていると、家事用ロボットの1人であるキャサリンがノックしてから入ってきたこう言った。

「ゴール・D・ロジャーが偉大なる航路(グランドライン)を制覇しました!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あいつ、ついにやったのか!」

 俺がそう言うと、高雄達がこう聞いてきた。

「そこまですごいんですか?」
「私達からするとあまり実感が湧かないわ~」
「ニュース・クーなんかだと大々的に取り上げているぜ?」
「市井なんかだとかなりの騒ぎになっているわ」
「まぁ、簡単に言えば世界一周を初めてやったようなもんだからなぁ」

 俺達がいた世界だと、動力を持った船舶で移動するのが当たり前だったし、この世界においても同じように行動しているからあまり実感が湧かない。
 しかし、帆船が主流のこの世界において異常気象や船を容易く破壊できる怪物が、うようよといる海を渡りきるのは至難の業で俺だって帆船で偉大なる航路(グランドライン)を渡れと言われたら無理だと答えるね。

 そんな世界で、初めて制覇したとなれば超有名になる。

 まぁ、最終的な目的地であるラフテルまでの方角か書かれている4つのポーネグリフを解析して、ラフテルがあるとされている海域に向かわないと行けないからそれも相まって、初めて辿り着けたのがロジャー海賊団だったという訳だ。
 無論、索敵機もレーダーもない世界だから辿り着くだけでも至難の業だ。
 とは言え、俺達の場合はそれらを使っての力業が出来るし、何よりもポーネグリフの写しは既にしてある。
 これはイク達、潜水艦の艦娘達にロボット達を島の近くにまで輸送させてから、闇夜に紛れて潜入させたので潜入自体は比較的に簡単だった。
 次に、周囲に気付かれない程度に活動してそれらしいポーネグリフがあればバレないように、録画機能で録画するように指示を出した。
 その後は、怪しまれない程度に脱出するように指示を出して潜水艦達に拾わせた。

 俺達は、この世界でちんたらと過ごしているだけではなく、こう言った人目につかない部分で準備をするのが俺のやり方で、潜水艦を独自に編成したのもこれを目的としたからだ。
 その結果、ラフテルを指し示すポーネグリフの写しと、クローバー博士から譲り受けた研究資料によって正確な地点が判明したため、誰かがそこに行くまで待っていたのだ。

 実際には、俺や艦娘達の存在によってこの世界は俺が知っている世界とは、別の世界になっているのではないかと思っていたがそうではないことが証明された。
 オハラのバスターコールは、俺が介入してなくしたが歴史の修正力によって大差がない状態になった訳だが、これからは大きく変わるかもしれない。
 何せ、俺達の活動は活発になるだろうし、ビックマムがいない以上は俺が四皇となる可能性が高い。
 それだけの強さを誇っているし、俺の配下に存在している島々に関して言えば、荒くれ者の海賊達は存在していない。
 理由は、艦娘とロボットによる海賊船の撃滅と賞金首の回収であり、今となっては「海賊狩りの海賊」や「終わりの始まり」なんて言うあだ名までつけられたのだからこっちとしてはたまったもんじゃないがな。

 そんなことを高雄達に説明すると、やや納得した顔になったので今は静観するに限る。
 変にアクションを取って、揚げ足を取られたくはないからだがだからと言って、何もしないのは愚の骨頂として何が起きても大丈夫なように準備だけはしておく。
 備えあれば憂いなし、と言う諺もあるようにしておく。


 それはともかく


 俺は前々から、疑問に思っていることを高雄達に聞いてみた。

「そう言えばさ」
「なぁに?」
「皆は何で俺のことが好きになったんだろうなぁと疑問に思っていたんだ」

 俺がそう言うと、高雄達はキョトンとした顔になって互いの顔を見合わせた。
 彼女達と出会って、既に10年以上が経っていて何人かとは事実婚のような関係にまで発展していたが、この関係に疑問を持って高雄達以外のメンバーにも聞いてみたがはぐらかされてしまった。
 そのため、その時から疑問を持ち続けていたが未だにわからず仕舞いだったので彼女達に聞いてみた。
 すると、こんなことを言われた。

「全く、お前って奴はとことん恋愛についてはダメなんだなぁ」
「ちょっと残念ですね」
「クラウスが鈍すぎてお姉さん、泣けてきちゃったわ~」
「クラウスさん、殴って良いですか?」
「あっ、地雷発言だったんだ」

 摩耶がヤレヤレといった感じでため息を吐き、鳥海が本当に残念そうな顔でそう言って愛宕が泣き顔になったので高雄がマジギレ寸前だ。
 そのため、愛宕をなだめつつも高雄から1発殴られて事情を聞いた。
 すると、俺の兵装の多さと強さに惹かれてその次に俺自身の性格に惚れたという。
 まぁ、赤の他人からこうも長く親密に接していると好感度が上がるのも、当然と言えば当然か。
 しかも、彼女達と似たような価値観で行動しているから、より一層の上昇を促した要因だろう。
 となると、今ここで俺が轟沈なんかすれば何人かは悲しみの中で、自沈と同時にくたばってしてしまうと予想できる。

 そのぐらい、俺のことが好きな艦娘はいる上に彼女達の指導者としての立場もあるので、くたばろうにもくたばれない存在になってしまった。
 リスクを考えずに、軽はずみな行為をした結果だが俺自身は後悔していないし、彼女達を救ってよかったとすら思っている。
 理由は、この世界に来る前から彼女達を知っていてゲームにハマった過去があるので、嫌いになろうにもなれない自分がいる。


 だから、どんな時代になっても俺は彼女達と共に生きていきたいと思うのだった。



と言うことで、主人公と艦娘の関係がハーレム状態な理由が判明しました。

途中の過程をかなりすっ飛ばしていますが、殆どの艦娘は右も左もわからない状態で主人公に手取り足取り教えてもらったことに感謝していて、そこから好感度が上がっていきます。
それを小説にすると、20~30話ほど作れてしまうため、そういったものを読みたい人は他の艦これの小説を見て頂けると幸いです。
この小説は、あくまで原作であるONE PIECEに艦これなどのクロスオーバーさせたものなので、物語の方を重視させて下さい。


ではまた次回。


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第29話 クラウス、ラフテルに向かう

「しっかしまぁ、よくもラフテルに辿り着いたな」
「ポーネグリフさえ、解読できれば問題なく行けるさ」

 ロジャー率いる海賊団が、軍艦島を訪れたのはラフテルに辿り着いたというニュースから数ヶ月後のことだった。
 そして、俺とロジャーが最初に会った時のようにカフェテリアで飲んでいるとロジャーから話しかけてきて、人が来ない場所で酒を飲むことになった。
 その時に、俺が個人的に所有している酒蔵からワインや酒、ビールなどを取り出して一緒に飲んでいる中で、ロジャーがこんなことを言ってきた。

「ところでよぉ、お前さんの出生について知りたくないか?」
「俺の出生ぇ?何でそんな話が出てくる」
「実はな、俺ぁ世界中のポーネグリフからある仮説を生み出したんだ」
「仮説か…随分とまぁ、突拍子もないことを言うな」
「その仮説、お前さんは聞きたくないか?」
「話半分で聞いても良いんだったらいいぜ?」

 俺がそう言うと、彼は真剣な顔で自分の仮説を語り始めた。
 そしてそれは、空白の100年についてとそれに由来している3つの古代兵器、そして俺に関しての記述についてだった。
 そのことが、徐々に明からになると俺は驚きつつもどこか、納得できるものがあって茫然自失にはならなかった。
 元々、どうして近世ぐらいの科学技術が主流であるこの世界で、近未来的な技術で作られた艦艇のメンタルモデルの役割をしているのかが疑問だった。
 前世において、日本で生まれて交通事故によってくたばった俺はその理由を知りたかったが、どこかで恐れていた感情もあったがロジャーが説明してくれたおかげで、恐れていた結果でないことがわかった。

 しかし、それはあくまでロジャー達が出した仮説であり、実際には違っているかもしれないが仮説が出ただけでも充分な結果だった。

「なるほどな…だから俺達の所に来たという訳か」
「あぁ、じゃなかったらこうやって人気のないところに来ないだろ」
「確かにな」

 俺らはそう言いつつ、他愛ない話をして盛り上がった。
 それぞれのクルーのこと、名前がゴール・D・ロジャーからゴールド・ロジャーに変えられていること、ラフテルへの行き方、不治の病に罹っていることも聞いた。
 そして、彼は自首して若い世代に引き継いでもらうことまでを聞いて、俺は疑問を彼にぶつけた。

「なぁ、ロジャーよ」
「何だ?クラウス」
「それらの話を元に、俺がお前を海軍に引き渡すようなことを考えないのか?」
「それはねぇな」
「何故?」
「そうする様子が見えないからだ」

 彼から詳しく話を聞くと、見聞色の覇気で周囲を確認しても捕縛する動きはないし、そもそもそういった性格ではないことは今までの会話や噂で聞いているとのことだった。
 そのため、自分達が知っていることを俺に話しておき、後は好きにしろと言うことだという。
 全く、これだから海賊は自由奔放で困る。
 まぁ、海賊なのに傭兵のような行動を取っている俺達の方が珍しいのだろう。
 そう思いつつ、ロジャーとの会話を充分に楽しんでから彼との飲み会はお開きになった。


 数日後、ロジャー達が軍艦島を離れて故郷に戻る道についた後で、俺かセバスにしばらくの間は席を外すから何とかやってくれと伝えて自分の船体と共に出航した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ラフテルから10㎞の沖合


「なるほど…こいつは確かに通常の航海では不可能だな」

 俺がそう呟きながら、レーダーやソナー、艦載機による観測を行った結果、島の周囲には海岸線から1~6㎞にわたって強力な海流の流れとその内側、海岸線から500メートルまでが分厚い気流によってここに来た者達を拒んでいた。
 ロジャー達は、この島に来て初めて宝樹アダムで作った船であろうとも上陸するのは不可能だろうと気が付いて引き返した、と本人から聞いた。

 彼らの判断は正解で、海流を正確に読み取って気流のところまで接近したとしても、暴風雨よりも強力な気流によって船が転覆するのが確実だからだ。
 サウザンドサニー号ですら、あの気流を突破するのは困難だと感じさせられる。
 海上が分厚い気流で阻まれているならば、海中はどうかというと強力な海流が水深約1000メートルの海中まで島を覆うように流れていて、こっちからも進入するのは不可能に近い。
 まさに、この世界の技術では不可能で難攻不落な気象条件が島への進出を拒んでいる。
 ラフテルの意味は浮き木だ、という話があったがこの気象条件では島自体が、荒波に揉まれている浮き木のようなものだと感じた。

 しかし、この世界の技術よりも遙かに進んだ技術を持っている俺達にとっては、大したことのない気象条件だ。

 荒波に対しては、1000メートル以上を潜行して潜り抜ければ良いだけだし、気流に関してもあの程度の暴風雨では大した問題ではないため、俺は変な小細工はせずに堂々と島に近づいた。
 すると、それまで荒れ狂っていた海流は嘘のように穏やかになり、気流も暴風雨からそよ風へと穏やかになった。
 まるで、その島の住人を迎え入れるように静まりかえったので、俺はロジャーから聞いた仮説を思い出した。

 彼曰く、Dの名を持つ人物と古代兵器という2つの要素が合わさって初めて、人類が到達できると仮定したが例外として古代兵器に魂が宿って島に辿り着いた時に、厳しい気象条件がなくなるのではないかと言っていた。
 もしも、その仮定が正しければウラヌスやポセイドンと言った古代兵器は何だったのかという疑問が湧くが、あの島に上陸して調べていけばわかるのだろうか。

 俺は、そう思って船体をラフテルに近づけた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 海軍本部 総帥がいる部屋


「軍艦島からの諜報員の報告です!」
「何事だ!」

 部屋を慌ただしく、ノックした副官に対して冷静に入るように伝えたベンジャミンは、普段から冷静な副官の慌てた表情からただ事ではないことを悟った。
 そして、副官の報告にベンジャミンはこう叫んだ。

「ついにあの島に向かったのか!?」
「えぇ、諜報員の報告ではラフテルに到達したロジャーと接触したクラウスは、その数日後に人知れず出航して追跡不能とのことです」
「ぬかった………クソが!!!」

 ベンジャミンは、普段は見せない怒りの感情を露わにして机を叩いたがその後、冷静に考えて今の海軍では対抗するのは不可能だと言うことに気が付いた。

 そもそも、技術的にクラウスの方が圧倒的に勝っている上に彼の下にいる女性達の存在によって、彼を取り押さえることも手を出すことも出来ない。
 海軍の艦隊を差し向けると、艦艇を持っている女性達によって阻まれるし、工作員を派遣してクラウスをコントロール下におこうとしてもその途中で艦艇を持たない女性達に暗殺される。
 実際に何度か、工作員やCP9(シーピーナイン)を派遣してコントロールしようとしたが、その結果は残念なことになった。
 しかも、潜入するまでは順調なのだがクラウスのことになるとすぐに、通信途絶を起こして帰還もしないのだ。
 そこから考えられるのは、クラウスに対して危害を加えようとする組織は誰であれ、容赦なく始末すると言うことだ。
 そして、クラウスが闇夜に紛れて出航する理由はただ1つ。

 己の出生についてだった。

 そのことに気が付いたベンジャミンは、怒りを露わにしながらも手出しが出来ない現状に歯がゆい感じを受けていた。



深夜のテンションで書いたため、色々とごっちゃになっていますが結局はクラウスがラフテルに向かったという話です。
ラフテルに関しては、原作において色々と不明な点が多かったため、本作では作者の勝手な想像で書きました。
そのため、ここが違うんじゃないかなどの意見や感想などがあれば書いてくれると助かります。


次回、主人公の出生が明らかになります。


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第30話 生まれた理由

 概念伝達内 大和の空間


「クラウスからの連絡はまだなんですか?」
「えぇ、私にも連絡が来ていないわ」
「彼って時折、1人で行動することがあるのよね~」
「1人で行動するのは別に良いとして、どうして連絡を1本も入れないのかしら?」
「確かに、どんな状況でも定時連絡はちゃんとしていたもんね」

 クラウスが出航してから2週間、大和達はセバスからの報告で最初はすぐに帰ってくると予想していたが、さすがに定時連絡を行わないで2週間も経てば心配もする。
 そのため、概念伝達内でそれぞれの艦隊旗艦と主要幹部による会議をしている最中である。
 幸い、本人から発している電波の方角がラフテルの方角から来ているのと出航する数日前に、時の人となったロジャーと個人的に話していることからラフテルにいることはわかっている。
 しかし、彼女達からすると理由もなしにラフテルに向かうほど、クラウスが身勝手なことをするとは思えなかった。
 そう思っていたからこそ、彼女達の間で議論が白熱している時にシノ達が現れて、クラウスからの報告を聞いた時に衝撃が走った。

「それは……本当ですか?」
「あぁ、たった今来たばかりだからな」
「クラウス自身が古代兵器の対抗兵器だった?」
「私達も衝撃を受けていますが、対抗兵器だとすれば今までの疑問が解決します」
「しかし、だからといってここまで長くに渡って定時連絡を切らすものなのか?」
「私達からすればわからないが………」
「クラウス本人からすると、衝撃的だったようです」

 シノとシノブの発言をまとめると、空白の100年の間に製造された“プルトン”“ウラヌス”“ポセイドン”のという古代兵器に対抗するため、作られた存在であるとクラウス本人から報告があった。
 報告の中には、他にも色んなことが書かれていたが彼女達の間で共通の思いがあった。


 本人に会って直接、話を聞きたい、と。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ラフテル 最奥部


「ははは、そう言うことかよ」

 大和達が心配する1週間以上前、ラフテルに到着した俺はラフテル内部を探索していた。
 その過程で、俺が持っている位置情報を伝える電波以外のあらゆる通信手段を断って活動していたが、その中で知った情報をまとめると以下の通りだ。

 まず、3つの古代兵器の概要だが巨大な砲塔を備えていた戦艦であるプルトン、海王類を支配することが出来るポセイドン、そして都市であるのと同時に天空の兵器であるウラヌス。

 これら3つの兵器のうち、2つが敵の手に渡った際に発動される兵器こそ、俺が持っている船体であり、3つの古代兵器を凌駕するために建造されたらしい。
 元々、俺達のポーネグリフの研究はビックマムを倒してから彼女が支配していた島を、探索していた時にラフテルの方角を示すポーネグリフを発見したことから始まる。
 この時から、ポーネグリフの探索をロボット達に命じていたがその内容の解析となると、遅々として進まなかった。
 それが、クローバー博士達が研究していた資料の一部を貰い受けて世界中のポーネグリフの写しを研究していくと、空白の100年についての歴史がかなりの範囲でわかった。
 しかも、海賊王になったロジャーの仮説によって前々から疑問として持ち続けていた事柄について、99%の確信に変わった。
 このことから、俺自身がラフテルに向かうことを決意した訳だが、疑問として持っていたのはこの世界に来た当初から自分がどういう風に生まれたのか、と言うものだ。

 しかし、疑問を持つ当初から俺にとっては少なくない恐怖もあった。

 自分が本当に、兵器として建造されて血も涙もない状態で罪もない多くの人間を殺していたのなら、その時に俺はどうなってしまうのだろうか、と。
 その事実を、受け止められずに発狂して暴走してしまうのではないかと心配していたが、幸いにもよく使われていたのはウラヌス達の方で俺を使う機会はなかったようだった。
 そのことを、ポーネグリフに刻まれた歴史を解読した俺は冒頭で言ったようなことを言って、深いため息を吐いてから辺りを探索していった。

 如何せん、ラフテルに残されていたポーネグリフは膨大で、全てを解析するのに1週間は必要だったのだ。
 その間、とても通信するような気持ちじゃなかったし、したところでマトモに会話が出来るほどの冷静さじゃなかった。
 そのため、このことを定時連絡で報告すると艦娘達はかなり動揺していることがわかったので、早めに帰るとするがその前に1つだけ、見つけたものを拾って帰りたい。


 それは、冷凍保存されていた2体の女性と思われる人間のような存在だ。


 数百年前に、冷凍保存できるような技術があったかどうかは甚だ疑問だが、放置しておけばいずれは誰かが彼女達を見つけてしまうため、俺が回収することにした。
 そして、冷凍保存用の円柱型のボックスから彼女達を取り出して簡易的な検査を行うと、どうやら艦娘と同じような存在らしい。
 となれば、新型の艦娘なのだろうか。
 艦これが、システムを開始してから4年目にしてこの世界に飛ばされているから、その後に登場した艦娘はよく知らない。

 実際に、本拠地に流れ着いた艦娘の中には俺の知らない艦娘が多数いたので、特に驚きはしないが2人は全裸であったので服を着せてあげた。じゃないと目に毒だし。
 そんな訳で、ワームホールを使って彼女達を俺の船体にある居住スペースのベッドに寝かせると、俺は歩いてラフテルを出ることにした。

 え?ワームホールを使えばすぐに出航できるじゃん、だって?

 わかってないな。
 こう言うのは、すぐに帰ると味気ないから風景を楽しみながら歩くのが良いじゃん。
 どうせ、どの相手と戦っても殆どの場合は俺の勝ち確なんだし、艦娘に至っては殆どの海賊相手に負けない程度に強くなった。
 となれば、俺の血が滾るような戦いというのはそう多くないはずだ。
 あるとしても、めっぽう強い奴が新しく誕生して俺達に牙を向ける時や、俺達と同じレベルの艦艇が現れて戦う時ぐらいだろう。
 偶然とは言え、戦闘能力に関してはこの世界において最強になってしまった以上、戦闘以外での強さを求めていくしかない。

 政治や軍隊の運用、部下に対しての指示や人間関係なんかは上手くやれているだけで、最高のものとは言えないことはわかっているし、恋愛となれば未だに上手くやれていないのが現状だ。
 そのため、そういった面で伸びしろは大いにあるだろうし、やり方によっては短所から長所のように見せることも出来る。
 となれば、後はそっち方面でいろいろとやっていこうと思う。

 俺がそう思いながら、ラフテル内部を散策していると観測機から発しているレーダーに、反応する影が見えた。
 反応する影は木造船のそれではなく、明らかに鋼鉄で出来た艦船だった。
 そのため、俺はのんびりと歩くペースから全速力で走るペースに移って、船体がある海岸線に走っていった。
 それと同時に、エンジンを始動させて船体を海岸線から離してすぐに戦える準備を整える。
 これは、俺の体は人間の体よりも大幅に上回っていてある程度、海岸線と船体が離れていても飛び越えることが出来る。

 その結果、観測機が対空砲火で破壊されて船体に搭載されているレーダーでも、艦影を確認できた時に俺は海岸線に到着して船体に飛び乗った。



という訳で、主人公がどうして存在するようになったかという話でした。
主人公の自意識は、転生したことによって彼の船体に憑依することになりますが、彼の船体がどうしてその世界にあるのかをはっきりさせたかったので書きました。

と言うことで次回、クラウス死す!デュ○ルスタンバイ!


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第31話 戦いへの欲求

「艦影は2……大和型に似ているが敵味方識別信号が出てないから味方艦じゃないな」

 俺は、艦橋の一番上にある防空指揮所のさらに上に置かれている射撃指揮所の天井部分に立って、観測データをまとめた画面を出した。
 初めての艦隊戦で何をするべきなのか、多少の迷いがあったがまずは観測機から得られたデータと俺の基本スペックを見比べてみる。


《艦名:クラウス》《艦種:三胴戦艦》
《武装》
 50口径長80㎝3連装砲8基24門 60口径長15.5㎝3連装砲8基24門
 65口径長12.7㎝3連装両用砲16基48門 60口径長40㎜3連装対空機関砲50基150門
 VLS(垂直発射装置)多数 浸食弾頭ミサイル多数 超重力砲1基
機関(エンジン)
 重力子エンジンS型 約500基
《最高速度》
 水上:90kt以上/水中:45kt以上
《排水量》
 基準排水量:40万トン以上
《装甲》
 強制波動装甲+80センチ砲対応の装甲


 基本スペックはこんな感じで、副砲とVLSは両側の船体に配置していて主砲と対空火器、超重力砲は中心の船体に納められている。
 対空機関砲も、中央の船体に多くつけられているが両方の船体にもつけられているため、初めて見る人には針鼠のように見える。
 しかし、戦艦大和や武蔵も対空火器で針鼠のように見えるから問題はない。そもそも、より多くの武装を搭載するために三胴戦艦になった訳だし。
 一方、敵なのか味方なのかが判別できない大和型戦艦はそれぞれが最終的な兵装の様に見えるが、船の色合いと対空砲からビームが出ていたことから蒼き鋼のアルペジオに出てくるヤマトに近い。
 となれば、速力なんかも余裕で30kt以上が出せる訳で心して取りかからないといけない。
 ついでに、蒼き鋼のアルペジオに出てくる基本スペックは以下の通りである。


《艦名:ヤマト》《艦種:大和型戦艦1番艦》
《武装》
 45口径長46㎝3連装砲3基9門 60口径長15.5㎝3連装砲2基6門
 45口径長12.7㎝連装高角砲12基24門 25㎜3連装機銃52基156挺
 25㎜機銃6挺 13㎜連装機銃2基4挺
 VLS(垂直発射装置)多数 浸食弾頭ミサイル多数 超重力砲32基
機関(エンジン)
 ?
《最高速度》
 水上:?/水中:?
《排水量》
 基準排水量:6万4千トン
《装甲》
 強制波動装甲

《艦名:ムサシ》《艦種:大和型戦艦2番艦》
《武装》
 45口径長46㎝3連装砲3基9門 60口径長15.5㎝3連装砲2基6門
 45口径長12.7㎝連装高角砲6基12門 25㎜3連装機銃35基105門
 25㎜機銃26基26挺 13㎜連装機銃4基8挺 13㎜28連装噴進砲2基
 VLS(垂直発射装置)多数 浸食弾頭ミサイル多数 超重力砲16基
機関(エンジン)
 ?
《最高速度》
 水上:?/水中:?
《排水量》
 基準排水量:6万4千トン
《装甲》
 強制波動装甲


 送られてきた画像を、すぐに解析して調べるのと同時に前もって持っている情報を比べてみた。
 装備自体は、改造前の大和達の装備と同じだが速力は全く違うし、観測機の機銃で性能を確かめてみると強制波動装甲を装備していることがわかった。
 先に仕掛けたのがこっちのため、相手から反撃をもらうとしてもマヤの件があるから対話が出来る相手なのかが疑問だ。
 この世界に来た時に、何らかの異常をきたして俺に対して攻撃するだけの存在だったら撃沈する覚悟で無力化するのがベストだろう。
 俺が生まれたきっかけがわかった以上、むざむざと殺されに行くような真似はしたくないし、何よりも彼女達のこともある。
 シノ達や艦娘達は、この世界で生きていけるだけの力を持っているとは言っても、心の拠り所が俺以外に見当たらないから彼女達が独り立ちするまでは生きていたい。

 そう思っていると、相対している艦影に変化があった。

「相対している艦から白煙……対空目標は合計で300以上か………針路がこっちと言うことは戦闘態勢に入ったんだな」

 面白い、と俺は純粋にそう思った。
 今までは艦隊を運用したり、能力者と言っても普通の人間に超重力砲やビームをぶっ放したり、覇気を使っての殴り合いしかなかったがこうやって純粋に戦うのは初めてかもしれない。
 それまでは、島の防衛や艦娘達を守るためと言う目的のために戦っていたがどこか、自分と同レベルの奴と全力で戦ってみたいと思っていた。
 この要求を満たすのは、大和などの戦艦群だが彼女達は遠慮して全力で戦うことがなかった。
 シノ達は、同じようなシステムを抱えているが火力という面で、大きく違っているので話にならない。

 だから、見知らぬ相手と遠慮なしに戦うと言うことに期待が膨らむ。

「さあ、見せてくれ………同じシステムを持った君達の力を………俺の欲求を満たしてくれ!」

 俺はそう言いつつ、浸食弾頭ミサイルを大量に射出して相手に向けて放ったのと同時に、俺に向かってくるミサイル群を迎撃態勢に入った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 軍艦島


「!クラウスが戦闘態勢に入った!」
「敵影は…霧の艦隊の超戦艦ヤマトとムサシですか」

 クラウスがラフテルに行ってから2週間が経ち、多少の混乱が起きつつも全ての艦隊がいざという時に素早く動けるように軍艦島に集まっていた。
 ここで艦娘達が、一斉にラフテルに行けば海軍は私達のことを犯罪者として追い続けるだろう。
 それは、海賊王になったロジャーに掛けられた懸賞金から推測できた。
 そのため、すぐに出航できる状態で待機していたらクラウスが、普段は使わない戦術ネットワークに接続して戦闘に入ったことを伝えてきた。
 それと並行して、彼が観測してまとめたデータが1分ごとに、その海域の戦闘を示した地図に示されたのだ。

「シノブさん、その超戦艦というのは何ですか?」
「………」

 大和の疑問に、執政室にいたメンバーは疑問の目を向ける。
 そのことに気が付いたシノブは、艦娘達を戦艦や重巡と区別することはあっても超戦艦や大戦艦などと呼称することはなかった。
 そのため、シノブは霧の艦隊についての概要を伝えた。
 21世紀に入ってから、10年以上が経過すると地球温暖化によって海面が上昇、それに呼応するかのように霧を纏った幽霊船が出現。
 シノブ達がいた世界の、人類に圧力をかけ始めた時に人類との戦いである大海戦によって、全ての海洋から人類を叩きだした。
 その幽霊船を、人類は霧の艦隊と呼んだがその中でも最上位の艦艇を超戦艦と呼んでいることを、簡潔ではあるが大和達に伝えた。

 すると、彼女達の反応をそれぞれだった。

「私達と同じような世界があったんですね」
「いや、海洋封鎖を受けたから私達以上の苦労があるだろう」
「日本には資源がないからな」
「イギリスも同じようなものだしねぇ」
「世界の秩序がなくなった一例だと思うよ」

 大和達は、冗談を言いつつも戦闘画面に集中していたがいても立ってもいられなくなり、全員でラフテルに向かうことにした。
 そして、彼女達のこの行動が海軍との摩擦を生む結果になるとは誰も思っていなかったのである。

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第32話 疑問と影

「ふん!」

 俺は対空火器を空中に浮かせると、俺に向かってくるミサイル群への迎撃に当たらせた。
 俺の世界では、誘導装置が大きく発展したので対艦ミサイルへの対処は、シースパローなどの対空ミサイルとCIWSに代表される機銃による能動的な防御が基本だった。
 それに加えて、チャフやフレアなどで防御陣を構築していたが今の兵装では、弾数に限りがあるミサイルは対艦用だけであり、ミサイルへの対処は対空火器から出るビームなどによる迎撃だけだ。
 これは、ミサイルが着弾するまでに時間が掛かるのと命中率が100%ではないこと、そして弾幕を展開できるか否かの問題だ。

 ミサイルは、着弾するまでにある程度の誘導が必要でビームなどよりも弾速が遅い上、弾幕が張れないのがネックである。
 特に、300発以上のミサイルを一斉に迎撃するには弾幕を展開して、1発でも多くのミサイルを撃ち落とす方が良い。
 そのため、俺に向かってきたミサイルの殆どが撃ち落とせたが、わずかに撃ち漏らしたミサイルが船体に接近してきたので、強制波動装甲(クラインフィールド)を展開して直撃を防いだ。

 しかし、俺が発射した400発のミサイルもヤマト達に到着する前に弾幕と強制波動装甲によって、防がれたのでおあいこと言うことになる。
 そうなると今度は、互いの砲火によって殴り合うことになるので全速力で相手に接近した。
 すると、それに呼応するかのように個人的に敵艦と暫定的に認識した2艦も速度を上げて接近してきたので、一定の距離に近づくと互いの主砲や副砲などの応酬を行った。
 色とりどりのビームや実弾が発射されて、それに応じた強制波動装甲が展開するという光景が互いにすれ違ってある程度の距離を取った後でヤマト達に変化があった。

 それは、それぞれの船体が上下に分かれて超重力砲を展開してきた。
 展開するのと同時に、俺達の周囲にあった海水が押しのけられて俺の船体も宙に浮かぶことになった。
 そして、上下に分かれた船体の間から円盤状のものが起き上がってエネルギーをチャージし始めたので、俺も両脇の船体を上下に分けさせてから円盤状のものを展開した。
 恐らく、彼女達がやろうとしているのは超重力砲の複数発射であり、それをまともに食らえばいくら耐久力が高い俺でも撃沈してしまうだろう。

 そのため、俺は次元空間曲率変異(ミラーリング)システムを使うことにした。

 これは、意図的にワームホールを作り出して超重砲のエネルギーを、別次元に転移させるというものだ。
 普段から、俺が行っているワームホールを対超重砲防御兵装として、ランクアップしたものなのだがそれが消滅する時に、周囲に破壊的な衝撃波をまき散らすのでカウンターとしても使うことができる。
 本来だったら、最上位個体である超戦艦級以上の艦艇が装備されていたが俺の場合、超戦艦以上の究極超兵器であるから使うことには問題ない。
 今までは、これを使うことは滅多にないだろうと予測して使わなかったが、ここで本領発揮となると嬉しくなるね。

 そう思っていると、ヤマト達の超重力砲のチャージが終了したようだが俺の方も、ミラーリングシステムの展開が終了した。
 そのため、合計16発の超重力砲が発射されたが直前に展開していたミラーリングシステムによって、超重力砲のビームは俺に当たらずに別の次元に吸収されていった。
 今だからわかるが、超重力砲をぶっ放すのとミラーリングシステムを展開するのとでは、演算処理が随分と違っている。
 超重力砲は、程度にもよるが演算処理にかなりの負荷が掛かるため、普通だったら1発撃つだけでも隙だらけになる。
 そんな超重力砲をそれぞれ、8発同時に発射できると言うことはかなりの演算処理能力だが俺には及ばないな。


 何故なら、ミラーリングシステムを展開しながら超重力砲をぶっ放すことができるのだから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 艦娘side


「…っ!強い衝撃波を感知した!!」
「ラフテルまでまだ距離があるというのに!」
「どれだけの戦闘が起こっているの!?」
「………」

 ラフテルにおいて、クラウスとヤマト達の戦闘が行われている中で数名の艦娘が、ラフテルに向かって全力航行をしていた。
 当初、艦娘達は全員で向かうことが決まりかけていたがその流れをシノが止めた。
 焦る艦娘達に、シノは静かな声でこう聞いた。

『クラウスの苦労を無駄にする気か?』

 その言葉で、艦娘達は気が付いたのだ。
 今まで、当たり前のように使っていたから気が付かなかったが、艦娘達や深海棲艦達が精神的な余裕を持って活動できたのは彼がその基盤を作っていたからだ。
 本拠地を整備して、艦娘達の補給と修理を行える地下ドックを建設したのはクラウスだし、軍艦島を未開の島から人が住む島に変えたのもクラウスだ。
 海軍との交渉や国家経営を中心的に行っていること、艦隊運用や世界政府から睨まれないようにしているのもクラウスだ。

 つまり、艦娘達は彼の苦労によって不安や恐怖に怯えることもなく、生活していることになる。

 もし、艦娘全員でラフテルに向かえば海賊王になったロジャーが率いる海賊団のように、世界政府に追われる立場になって王下七武海の役職は解除され、国家方針も大幅に変えなければいけなくなる。
 口では気にしないと言うだろうが、クラウスの心の中では艦娘達に対する怒りが渦巻くだろう。
 艦娘としては、それだけはなんとしても避けたい。
 勝手に好きになっておいて、彼の作戦を平気な顔で踏みにじるようなことをすると、今までに倒してきたクズ野郎と同じになってしまう。
 それだけは、彼女達のプライドが許さなかった。

 そのため、なんとしてでも行きたいという気持ちを抑えてラフテルに向かうメンバーを抽出、そのメンバーを持ってクラウスの支援に回ることにした。

 そして現在、クラウスが戦っている相手についてシノ達から聞きながら、現場海域に向かっている最中である。

(あり得ないだろうけど沈まないで!!)

 艦娘達は、言葉にしなかったが全員がそう思った。
 何故なら、その海域周辺で不穏な影が渦巻いていたのだから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 クラウスside


「ふぅ、これでもまだ沈まないか」

 俺はそう言いながら、船体を元の形に戻したが俺とヤマト達がいる海域は、次元構造が入り乱れている海域となっていた。
 これは、超重力砲の乱発とそれに伴うミラーリングシステムの展開によって、引き起こされた現象で当面の間は異なる次元がまだら状に存在することになるだろう。
 と言っても、数ヶ月程度で収まるはずだから問題はないはずだ。

 しかし、俺が注目しているのはそこではなく、ヤマト達の方だ。

 いくら威力が落ちているとは言え、超重力砲の1発でもかすったら甚大な影響が出るはずなのだが、彼女達に対する影響は見られない。
 正常な思考を持っている人間や存在だったら、これ以上の戦闘を避けようとするか、交渉の段階に入ると思うがそういった動きも見られない。
 暴走したムサシならともかく、平和的な考えを持っているヤマトがそこまで戦闘狂になるのは考えにくい。

(ここまで、手の内を開ければ自分達も無傷ではいられないと考えるはずなんだがな)

 俺はそう思いつつ、考えられることを絞っていって、最終的に1つの仮説に辿り着いた。





 それは、彼女達が何者かにコントロールされていることだった。

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第33話 新たな兵器

「さて……どうしたものか………」

 俺がそう言いつつ、ヤマト達を睨んでいた。

 超重力砲の無力化と主砲による殴り合いが、延々と続いているのでお互いに手の出しようがないのが現状だ。
 まぁ、こっちの火力が相手を上回っているからクラインフィールドを飽和させるまで、戦い続ければなんとかなるがそれよりも、俺のレーダーに妙な影が映っていた。
 それは、船体を持った艦娘や目の前のヤマト達ではなく、この世界の海賊船や海軍が保有している軍艦でもない。
 恐らく、別の世界から流れ着いた艦艇なのだろうがこの距離では、敵味方の判別がつけられずにどういった存在なのかがわからない状態だ。
 こういった膠着状態は、ある程度の慣れているがそれでもなるべくは急ぎたいものだ。

 何故なら、未だに機能停止している艦娘と思われる女性が2人、俺の居住空間にいるからだ。

 個人的には、急ぎたいのだが俺が攻撃をやめた途端にヤマト達も攻撃をやめたため、俺の足止めをしてその間に軍艦島などの島々をなんとかする算段だろう。
 俺がいなければバスターコールのやり放題だし、いくらでも罪を吹っ掛けて世界政府にしょっ引くこともできる。
 罪状なんてものは、俺達は気にしないがそれによって海賊だけではなく、海軍まで本腰を入れて調査してくるだろうから面倒になる。
 となれば、とっととこの状況を打破するのが1番良いのだが敵の戦力が未知数な状態では、下手に動くと速攻で撃沈が確定だ。

 俺はそこまで考えて、頭を捻らせていると1つの報告があった。

『クラウス、数名の艦娘を連れてきた』
『本来だったら、あなたが単独で帰ってくるのがベストなのでしょう。しかし、状況から察するにそうも言ってられないでしょう?』
「あぁ、助かる。この状況をなんとかしたかったからな」

 俺がそう言うと、シノ達と艦娘に指示を出した。

 内容は、レーダーの隅で移動しない2隻の不明艦を動かすというものだ。
 正直な話、この2隻を動かさない限りはどうしようもないし、俺から動いてもある程度の代償を払うことになる。
 できるなら、そういったリスクを避けながら行動したいのでシノ達の報告はありがたかった。
 そのため、この海域に到着するまでに少しの時間があるので、作戦をある程度まで詰めてから行動を開始することにした。





 ヤマトside


 私は、霧の艦隊の1隻である超戦艦ヤマト。

 いえ、正確には“であった”という方が正しいですね。
 何しろ、私は妹のムサシに撃沈されてイ401に思いを託した後は、彼女の一部となって世界を見守って最終的に(ムサシ)と分かり合えたのだから。
 けれど、思いを成し遂げた私達を待っていたのは見知らぬ世界で、理不尽な命令をプログラミングされてそれを抵抗できないままに実行するという過酷なものだった。
 幸い、ムサシも一緒だったが自意識を制限されていなかったため、私達は泣きながらそれを実行する兵器と成り果てていた。
 しかも、それをやり始めてから20年にもなるのでムサシの精神はボロボロになり、私も心が壊れかけていた。

(お願い……!誰か………私達を止めて!!)

 私達はそう思いながら、海賊船を沈める作業を行っていましたがそんなある日、私達のレーダーに飛行機の反応が出ました。

 初めは、何かの誤作動だろうと思っていましたが何度も再起動しても、システムのチェックをしてもその反応が消えなかったので私達と同じような艦艇があると確信しました。
 しかも、その飛行機は音速に近い速度を維持して近づいてきたので私達は、嬉しい気持ちを持ちましたがその艦艇を沈めなければいけない、という暗い気持ちも持ちました。
 ムサシは、

『どうせ、この世界には私達に勝てる船なんて存在しないわよ』

 と、口調が変わるほどのやさぐれた感じを醸し出していましたがその飛行機の攻撃を受けた時、私達は驚愕しました。
 何故なら、その飛行機から出た機関銃の弾はレールガンによるものだったからです。
 元の世界では、数種類のレールガンの試作モデルが開発されていましたが、発射する火薬などの改良とレールガン特有の膨大な電力消費によって見送られてきた経緯があります。
 しかし、あの飛行機はそれを難なくやってのけたとするならば、僅かですが救いの道があるかもしれません。

 そのため、誰かさんの飛行機は撃墜してしまいましたが糸としては極端に細く、少しでも力を込めてしまえば千切れてしまうほどの希望の糸を辿って足を進めました。

 そして、私達は自分達以上の艦艇と遭遇することになるのでした。





 クラウスside


 この海域に、シノ達が登場して到着したことによって状況は大幅に変わった。

 まず、俺のレーダーに移っていたのは霧の艦隊でも艦娘でもない艦艇で昔、俺が遊んでいたゲームである「鋼鉄の咆哮」に出てきた超兵器にそっくりだった。
 予測ではあるが、俺達が登場して活躍する一方でそれを好ましくない組織によって、建造された可能性がある。
 最初に、この世界に流れ着いたヤマト達が徹底的に解析されて、そのデータを元にして膨大な予算を持って建造してこの島を守っていた。
 この世界では、超兵器と超戦艦という過剰なまでに重装備ならば通常の海賊船ではまず、近づくことはできない上にあの気象条件では突破するのはほぼ不可能だろう。
 1万もの木造船を使って、ラフテルに突入させたとしてもその内の数隻が、ラフテルに辿り着けば良い方だ。

 そこまでして、空白の100年についての内容を世の中に知らせたくないのだろうが生憎、その超兵器に負ける様な改造を艦娘達に施してはいない。
 それに、超兵器というのはちゃんとした科学技術が発展した島で建造して、補給や整備などもその島で行わないといけないのでそれができる島は限られてくる。
 となれば、更なる超兵器が出撃する前にその島を特定して、戦闘ロボット達に施設を襲撃させるのもありだ。

(恨むんだったら、この世界に俺達を投入した存在に恨むんだな)

 俺はそう思いつつ、艦娘達の強襲によって大慌てで方向転換した超兵器を、レーダーで確認しながらヤマト達と対話するために行動を開始する。
 俺の勘では、彼女達は強制的に動かされている。
 何せ、彼女達にしては戦闘中の行動がぎこちなかったからであり、彼女達のコアにハッキングをすればなんとかなりそうな気がする。


 クラウスとヤマト達の戦いは、最終局面を迎えつつあった。





 シノside


「全く、私達を対超兵器に使うのは良いのだが“元”総旗艦に何かあったら只じゃ、おかないぞ?」
『同感です。総旗艦達はある意味、不幸な方達ですから上手い具合に救い出してほしいです』

 私が、ヤマト達と相対しているクラウスに対しての愚痴を言うと、シノブもそれに同意してこう続けた。

『ですが、この世界に来たばかりの艦娘達と打ち解けた彼なら、ヤマト達とも打ち解けると思います』
「何故?」
『あなたが理由を聞きますか?私達の中で1番、クラウスに近い存在だというのに?』
「……そうですね」

 妹のシノブに諭された私は、少し考えてからそう返事をした。
 クラウスは、私達が出会ってきた中で最強の軍艦であることは確かですが、その割には妙に人間くさい考えをしたり、私達からすれば変なところで悩んだりしていた。
 しかし、10年以上にわたってこの世界で彼と共に歩んできた私達にとって、人間がどう考えているかという指標になっていたし、艦娘達からすると親しみが持てる男性だという感じだった。

 そんな彼だからこそ、絶望の中で壊れつつあるヤマト達に救いの手を差し伸べることができる存在だと、私達は確信している。
 そんな不確定要素に頼るのは、兵器だった頃の私達からするとあり得ない話だったが今だったら、クラウスだからという感想で賭けることができる。



 私達はそう思いながら、超兵器の撃沈に集中するのだった。



やぁ諸君、私はスーパEDEN大統領だ。

という冗談はさておき、ついに鋼鉄の咆哮シリーズの兵器達が出てきましたよー!
いや~、タグに「鋼鉄の咆哮」って乗せているんだからこのぐらいはしないといけないよねぇと思ったため、こうなりました。
と言うことで、もう少しこの章は続くんです、ハイ。

そのため、次の章に行くまではこの戦闘に付き合って頂けるとありがたいです。


ではまた次回。


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第34話 変化と戸惑い

「ぐぬぅ…超戦艦2隻を同時にやるとかなり大変だな……」

 俺が今、やっているのはヤマト達に対するハッキングであり、電子的な面で激しいやり取りを俺と彼女達の間で行っていた。
 その一方で、俺は両方の船体を上下に分けて彼女達の船体を挟み込んでいた。
 これは、超重力砲を使わせないための強引な手段ではあるが、これによって主砲などの殴り合いになっていた。
 普通だったら、1隻を囮にしてもう1隻の超重力砲でぶん殴れば良いのだがプログラムによって、雁字搦めになっている様でそういった動きが見られなかった。
 超重力砲の時も、戦列を縦陣にして俺に船体の横を見せて放っていたし、プログラムを書き込んだ奴は艦隊戦をよく理解できていないんじゃないかと疑いたくなるレベルだ。

 そのため、挟み込むのに苦労はしなかったがその次の段階であるハッキングに関しては、一進一退の攻防が続いている。
 超戦艦2隻を相手取って、ハッキング行為をしつつも同時に砲撃による殴り合いもできるのだから、かなりの演算処理能力だがそれでもプログラムを解除できない。
 恐らく、プログラムが抵抗を続けていると思われるため、片方ずつから終わらせるとするか。

 俺はそこまで考えてから、ムサシに目をつけた。

 彼女は、彼女の父親的存在であった千早翔像が乗組員に殺されたため、暴走して姉のヤマトを沈めてしまった。
 そのため、姉とのつながりが戻ったと言っても人間不審な部分は解消された、とは思えないのでまずは彼女の暴走を止めることから始めよう。

「ちょっと痛いかもしれないが、我慢してくれよ?」

 俺はそう独りごちると、姉妹に対して均等に使っていた演算処理をムサシに重点を置いた。
 すると、彼女の演算処理を大きく上回る能力で植え付けられたプログラムを、反撃できないスピードで破壊していって彼女の行動を自由にした。
 すると、ムサシの行動に変化が現れてそれまでの攻撃的な行動が止まった。
 反撃するのをやめたムサシを、確認した俺は余ったヤマトに対しても高い演算処理で、彼女にも植え付けられたプログラムを破壊し尽くした。

「俺は究極超兵器のクラウスだ。君らに対しての戦闘は終了した認識しているので、可能ならば通信に応じてほしい」

 その結果、彼女達の攻撃は全て止まったので俺は慎重に彼女達を解放してから通信を入れたが数分間の沈黙があった。
 それも当然で、戦闘で勝っているにも関わらずに通信をしてきたからどんな要求を飲まされるのか、不安で仕方ないのだろう。
 しかし、結局は2つの画面が出てきてその中に1人ずつ、女性が写っていた。
 片方は、黒髪ロングでウェディングドレスの様な服装をしていて、もう片方は白髪閉眼の幼女だった。

 しかし、どちらも緊張した表情をしていてその中には恐怖の感情も読み取れたので、軽く笑いかけながら話を進めた。

「さて、俺達の戦闘は終了したのだがまだ味方の戦闘が終わっていないのでね。君らの立場をはっきりさせたいんだ」
『つまり、交渉はその後、と言うことですか?』
「そうなるな」
『言っておくけど、私達にできないことはどんなに頼まれてもやらないんだからね!!』
「勿論だとも。そのためにこうやって交渉を持ちかけているんだから」

 今後のことを、心配している黒髪ロングの女性と警戒心を隠そうとしない白髪の幼女。
 そんな彼女達を安心させるため、俺は穏やかな声でゆったりと喋った。
 そして、いくつかの会話を経た後でこんなことを言うと、ヤマト達は驚きの表情を表した。

「あぁ、そう言えば…」
『何ですか?』
「君ら以外で、霧の艦隊に所属していた艦艇が3隻も来ているぞ?」
『なっ………!』
『それは本当ですか!?クラウスさん!!』
「あぁ、現にここから西南に200㎞ほどのところで戦っている潜水艦なんかがそうだしな」

 俺がそう言うと、彼女達もその方向に観測機器を集中させると艦娘達が戦っているのがわかったのだろう。
 驚きの表情がさらに大きくなったが、超戦艦と名乗るだけのこともあってすぐに立ち直ると俺に疑問をぶつけてきた。

『クラウスさん、もしもの話なんですが…』
「なんだい?ヤマト」
『その艦艇と対話はできますか?』
「戦闘中だから今すぐ、という訳にはいかないから戦闘が終わってからだな」
『……わかりました。信用できないうちは戦うことはできませんが、敵意はありません。対話をさせて下さい』
「はいよ。じゃあ、ついてきてくれ」

 俺がそう言うと、艦娘達が戦闘している海域に向けて船体を移動させると彼女達もついてきた。
 多分、戦闘の様子を観察するつもりだろうけど艦娘と超兵器との戦いは、終盤に差し掛かっている様なので到着した時には終了しているだろう。


 どんな兵器なのか、期待に胸を膨らませつつも俺達は急ぎ足で戦闘海域に向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「んで、戦っている最中に気分が乗りすぎてこうなった、と」
「ホント、ゴメンな―。久しぶりに私達と同じような戦闘艦と戦ったからさ」
「私も最初は躊躇しましたが、ノリノリで戦っていました」
「細かいことを気にしているとはげるヨー、クラウス?」
「全く、前もって艦隊旗艦に連絡してくれれば問題なかったものを」

 俺がその海域に到着した時には、既に超兵器はボロボロの状態で沈んでないことが奇跡と思えるほどの鉄屑になっていた。
 しかも艦娘達は全力で戦えたからか、妙にすっきりとした表情で俺に愚痴を言ってきた。

「勝手に出ていったのは謝るが、後になって面倒にならない様にするためだったんだぜ?……で、何がほしい?」
「さっすが!話がわかって嬉しいぞ、クラウス」
「帰ってからの言います」
「久しぶりに運動したからお腹が空いたわ」
「へいへい」

 俺が、艦娘達とでそんなやり取りをしているとシノ達が浮上してきた。
 そして、水圧に対応しているハッチが開くとそれぞれの船から、シノとシノブが出てきてこう言ってきた。

『お久し振りですね、超戦艦ヤマトとムサシ』
『こちらの世界だと始めまして、ですかね』
400(よんまるまる)402(よんまるに)……』
『キーコードが書き換わっている…クラウスさんに何かされたんですか?』
『この世界に来るのと同時に書き換わっているのに気付いたのでな、今は彼とは別の艦隊の旗艦を務めている』
『何でしたら、私達がこの世界に来てから今までのことを映像で伝えましょうか?』

 そう言いつつ、シノ達がヤマト達に対して通信画面越しに微笑んでみた。
 対してヤマト達、特にムサシは兵器として人間としての感情が希薄だった彼女達の変わり様に、かなり驚いた様子だった。
 俺も、出会った当初と今との変化にそれなりに驚いてはいるが俺以外にも、多くの艦娘達との触れあいによって変化するのを見ていたから表情には出さなかった。

『じ、じゃあ…今は彼の元で動いているの?』
『そうなるな』
『霧の艦隊は3隻いる、とクラウスさんから聞いたんですが残りの1隻はどちらに?』
『私達が行動の基点にしている島で、人とのコミュニケーションを図っています』
『うーん、情報がそれだけだとどの艦なのかがわからないなぁ』

 ヤマトとムサシは驚きつつも、通信を静観していた俺に視線を送ってからこう言ってきた。

『私はこの世界について詳しく知りたいです。ついて行ってもよろしいでしょうか?』
『お姉ちゃんも行くんだったら私もついて行きたい』
「わかった、軍艦島の座標を送っておくから到着したらセバスチャンという男性と会ってくれ。俺から話を通しておくから」
『『わかりました』』
「武蔵!」
『なんだ?』
「鉄屑になった超兵器を曳航する。護衛を頼んで良いか?」
『わかった、任せておけよ』

 ヤマト達に指示を出した俺は、その流れで武蔵達にも指示を出してその場はお開きになった。
 応援に駆けつけた艦娘達と一緒に、俺は本拠地に向けて超兵器を曳航するがシノ達はヤマト達と似た存在であるため、彼女達に同行させることになった。



 こうして、俺達の旅は一段落したのだった。



一先ず、ラフテル周辺で起こった戦闘は終了しました。
駆けつけた艦娘は以下の9名。

大和、武蔵、伊勢、日向、赤城、加賀、妙高、足柄、明石

火力と航空戦力、魚雷と修理するための能力を掛け合わせた艦隊編成を行ったらこうなりました。
出てきた超兵器は次回、判明しますのでそれまで待って頂けるとありがたいです。


ではまた次回。


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第35話 事実

 本拠地


「てことは何だ?俺のレーダーに写っていたのは単なるポンコツってことになるのか?」
「まぁ、そうなるな」
「えぇ、ヤマトさん達のログと照らし合わせて確認した結果、そうなります」
「っかー、ったく!心配して損したぜ!」

 本拠地に曳航した超兵器は、コア以外の部分である船体がこの時代の技術に合わせた状態だったので、シノ達や艦娘の様に洗練された装備ではなかった。
 しかも、あの海域に停止していたのはただ単に燃料不足によってであり、俺との戦闘で勝利したヤマト達によって建造された島に帰るつもりだったらしい、
 その結果、ヤマト達は俺に降参してこの島に連れて来られたのだが幸いなことに、その島の人間達は乗っていなくて代わりにそれぞれの船体を動かしていたコアが搭載されていた。
 そのため、コアとの会話を開始した。

「さて、君らに聞きたいことがあるんだが…大丈夫かね?」
『大丈夫な訳ないでしょ』
『あーあ、この世界に来てから不幸続きだよ!』
「そいつは残念だったな……だが、聞かれたことを正直に話せば不幸な状況から抜け出せるかもしれないぞ?」
『どゆこと?』
「幸いなことに、当施設では君ら専用の船体を建造できるからな」
『確かに…あそこまで整備できるのはかなり限られる…いや、この世界じゃ不可能だな』

 その後、俺達の技術力を素直に認めてくれた彼女達はそれぞれ、自分の名前を言ってくれた。
 彼女達の名前は、ヴォルケンクラッツァーとリヴァイアサンと言って、鋼鉄の咆哮シリーズの終盤に出てくる超兵器群だった。
 鉄屑と化した船体は、彼女達との相談によってこっちで解体して、建築物の素材や艦娘達の船体に使われることになった。
 彼女達が入港した時点で、船体やコアをスキャンして敵対組織にプログラミングされていないと判断したとは言え、実力は未知数のために身体を動かせるだけのナノマテリアルを渡してメンタルモデルを再現してもらった。

 すると、ヴォルケンクラッツァーは金髪ツインテールのドイツ系女性の容姿になった一方で、リヴァイアサンの方は群青色のラテン系アメリカ人女性となった。
 2人とも美人でよかったと思った反面、彼女達がどうしてこの世界に入ってきたかを知る必要があるとも考えた。
 俺と敵対する様に、送られてきたのなら問題しかないので場所を変えてじっくりと、彼女達の話を聞いた。

 彼女達曰く、元の世界にて巨大な組織で超兵器として生産されて戦っていたが、戦争の最終局面で相手の軍艦に撃沈されたそうだ。
 彼女達は、兵器として生涯を終えるつもりでいたが何故か、コアだけの状態でこの世界に生まれ直したらしい。
 そして、その状態の彼女達を拾った人間が彼女達のコアから情報を取り出して建造、運用が開始されたが欠陥だらけの戦闘艦だったらしい。

 その結果、ラフテルの方角に舵を切った状態で船を進められてあの海域に姿を現した。
 そして、そこで朽ち果てるまで存在する様に設定された燃料が切れそうだったので、俺がレーダーで感知した場所で待機したらしい。
 その後、俺が現れたことによって状況は一変して現在に至る、と言うことだった。

「こう言っちゃあ、なんだが俺達と出会えて幸運だったな」
「そうだな…今だからこそ、そう言えるな」
「受けた恩は決して忘れないよ」

 俺がそう言うと、ヴォルケンクラッツァー達が礼を言ってきたのであまり気にしない様に伝えた。
 彼女達の立場は、俺の艦隊のオブサーバーでしばらくの間は俺の元でこの世界について学んでいき、ゆくゆくは彼女達自身の船体を持てる様にしてやりたい。
 いつまでも、身体を動かせるだけだと窮屈だろうしな。


 そんな訳で、ヴォルケンクラッツァー達に体を与える条件でこの島では暴れないことを、確約してから未知の艦娘のところに赴いた。
 俺が知らなくても、深海棲艦と戦い続けた彼女達なら知っているのではないかと判断したが、その判断は正しかったようで彼女達は驚きの報告をしてきた。

 どうやら、俺がラフテルから拾ってきた艦娘は“紀伊”と“みらい”と言うらしい。

 それを聞いた当初は、超大和型戦艦と何かの輸送艦かな?と思ったがどうやら、イージス戦艦とイージス艦らしい。
 紀伊の方は、超大和型戦艦にイージスシステムを搭載して現代化改装を行った戦艦で、みらいの方はこんごう型護衛艦をベースにしているとのことだ。
 とは言え、長い眠りについているせいで戦闘中はおろか、検査でも起きなかった。
 恐らく、何らかのきっかけで起きるようになっているはずだがそのきっかけが分からない以上、時間を掛けて検査をちゃんとやった方が良い。

 その判断を下すと、大和達が今回の戦闘について聞いてきた。

「そう言えば、あっちのヤマトさん達との戦闘はどうだったの?」
「そう言えばそうね、どうだったの?結構、接戦だったようだけど」
「確かに聞いてみたいな」

 曳航する護衛で、本拠地までやって来た艦娘達にせがまれて俺は思ったことを伝えた。

「感想は、彼女達はかなり強い。単純な火力や防御力で言うなら艦娘の大和達よりも強いだろう」
「ほぉ……」
「ただ、戦ったからわかるんだが彼女達自身はこれ以上の無益な戦いを望んでいないだろう」
「………理由を聞いて良いか?」

 俺が最初に言ったことについて、艦娘達は驚きつつも感心したように聞いていたがその次に言った言葉について、疑問に思ったようなので日向がそう聞いてきた。
 そのため、俺は一息ついて彼女達が経験してきたことを内容をまとめて話した。

「彼女達は……いや、シノ達も含めた霧の艦隊はこの世界に来る前に、とある命令を受けていた」
「とある命令?」
「『起動した後は海洋を占有し、人類を海洋から駆逐して分断せよ』」
「「「「!?」」」」

 俺がそう言うと、その場にいた艦娘達は驚きの表情をした。
 何故なら、あの優しそうな姉妹と今では艦隊の重要なポジションにいるシノ達が、艦娘のいた世界の深海棲艦と同等の役割を果たしていたからだ。
 しかも、改造されたとは言ってもそれ以上の戦力を有しているヤマト達に対して、そのような命令が下されたとなれば人類はどれだけの犠牲を強いたのだろうか。
 只でさえ、ヤマトだけを撃沈させるためにどれだけの犠牲が出るかがわからない以上、それが艦隊を成して世界規模で出現したら?

 深海棲艦という存在が現れてもなお、海上交通路(シーレーン)が確保されていた艦娘の世界よりも酷い状態だと理解できる。
 そして、その被害を受けた人類はヤマト達のような優しい心を持って交渉を持ちかけても、人類はそれを信用せずに疑惑の目を向けて反乱を起こすだろう。
 人類は、感情を抜きにして生きていけるような存在じゃないため、対抗できる手段がない限りは交渉の場に出ることはしない。
 それを考えると、俺らも最初からあらゆる島を破壊して回っていたら今のように、平穏な暮らしはできなかっただろう。

 

「彼女達はそれを兵器として受領して実行した。そして、それに不満を持った人間達が本格的な戦いを挑もうとして、世界中の軍艦を召集していた海域に霧の艦隊が強襲した」
「………結果はどうなったんですか?」
「結果は人類側の惨敗。海戦は2日にわたって行われ、集結した艦艇の約70%が損失して死傷者は60万人とも言われている」
「そんなに………」
「そして海上封鎖が行われたのか」
「あぁ……」

 艦娘達は、その事実の重さに衝撃を受けつつもどうするかを考え始めている。
 ここで呆然としないのは、艦隊旗艦や重要ポジションとして行動している艦娘としての経験があるからで、それがなかったら呆然としているだけだっただろう。
 そして、各々が考えたことを艦娘達の間で共有して答えを俺に示してきた。

「……クラウス」
「何だ?」
「そんな過去があったとしても、私達は気にしないよ」
「それにクラウスのことだから、向こうのヤマト達や超兵器が暴走した時のことも考えているんだろう?」
「だったら話は早いよね」
「他の奴らにもこのことはちゃんと伝えておく。その上で敵意がない限りは問題ないと言うことも」
「それでも一波乱ありそうですけどねぇ」
「赤城さん、その時は全力で暴走しそうになった子達を止めに行くわよ?」
「私達としては問題ありません。寧ろ、ちゃんとした対抗手段を検討してほしいぐらいです」
「霧の艦隊との合同訓練なんかにも期待が膨らむわ!」
「未知の技術を解析して艦娘の技術向上………夢が広がるわ」
「………」

 なんて言うか、さっきまでのシリアスなムードが嘘のように明るくなったので、俺はため息を吐いて今後の方針について軽く語った。

「今後は、霧の艦隊や超兵器との共存も含めた艦隊運用になると思う。だから、各艦隊はそれを視野に入れた長期プランを検討しておくように情報伝達をしてくれ。詳しい指示は追って出す」
「「「「了解!」」」」

 こうして、今後の方針は大まかに決まった。
 問題があるとすれば、眠っている紀伊達をどうやって起動させるか、だ。

(どうやったら起動するんだろうな)

 慌ただしくなった艦娘達を傍目に、俺は呑気にそう思ったのだった。



艦娘や霧の艦隊の強さについて一応、書いておきますね。
あくまで、単体での強さですので兵装や戦術によって強さが変化します。


クラウス>霧の艦隊≧艦娘≧深海棲艦>船体がない超兵器>>>(越えられない壁)>>>原作の艦娘≧原作の深海棲艦


原作の艦娘って、人の形に兵装を乗せたようなものだと認識していますのでこの小説ではこうなりました。
そもそも、人間サイズの艦娘が巨大な船体を持つ超兵器に勝てるのか、と聞かれれば作者は不可能だと思っています。レーザーや電磁防壁なんて持っていませんし。
以前、コラボでアニメ版のアルペジオ組が艦これで出てきた時も、原作の方が好きな作者は解せぬと思ってやっていました。

と言うことで、色々と言いたい人もいるでしょうがこういう設定で行きますので、よろしくお願いします。


ではまた次回。


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第36話 それぞれの思惑

「そう…ですか」
「……」
「とは言え、あの時の私達は許されない罪を犯したと思っている」
「兵器として受領したとは言え、何も考えずに行動したことは撃沈しても許されるとは思えません」

 ヤマト達を引き連れているシノ達は、軍艦島に到着するまでの間にこの世界についての概要を、ざっと説明したところで彼女達の会話は途切れた。
 この世界に来て、20年ぐらいになるシノ達にとって元の世界についてのことは散々、考えてきた。
 そして、自分達がしでかしたことについて例え、自意識がなかったとしても取り返しのつかないことだと認識している。
 だからこそ、この世界ではクラウスが目標としている力なきものの盾となって平和を守る、という活動に参加している。
 彼がどう考え、どう動くのかはわからないが私達はこの考えに賛同している。

 そのことを伝えると、ヤマト達は押し黙ったがすぐにこう言ってきた。

「なら、彼の元でその活動を始めれば少しは贖罪になるのでしょうか?」
「わかりません。死んでいった者達はもう生き返らないのですから」
「むぅ~」
「ムサシ、いくらむくれてもそういうものです」

 そんなやり取りをしつつ、航行していると航空機の反応が出てきた。

「シノさん、あの航空機は何でしょうか?」
「あれは本拠地から飛び立っている味方の航空機さ。私達が軍艦島に近づいてきたからその様子見さ」
「機動力はそこまで高くないように思えるんだけど?」
「早期警戒機だからです。本来でしたら戦闘機を上げるのですが、警戒させたくないからでしょう」

 ヤマトとムサシの疑問に、シノ達が答えていると早期警戒機を経由して、彼女達を入港させる場所の指示が来た。
 場所は、他の船舶が出入りしている港から離れた場所にある港で、その日の秘書艦以外の艦娘が停泊している港だった。
 そこだった場合、ヤマト達が反抗して暴走したとしてもすぐに対応できるためだった。

 そして、その港に入港したヤマト達はシノ達に連れられて、執政代行を行っているセバスチャンの元へと向かうのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「では、以上の内容でお願いしますね」
「はい」
「…(こくり」

 セバスチャンとの会談によって、以下のような内容が決まった。


 1つ目:ヤマトを総旗艦とした霧の艦隊は鋼鉄海賊団と同盟を結ぶ
 2つ目:同盟を結ぶ上で、鋼鉄海賊団は武器などの必要な物資の補給を霧の艦隊に行い、霧の艦隊はその戦力を鋼鉄海賊団に可能な範囲で提供する。
 3つ目:同盟を結ぶに当たって鋼鉄海賊団は、霧の艦隊に対して衣食住を提供する。


 これは一見すると、鋼鉄海賊団の方が立場が上のように見えるが霧の艦隊は、戦艦2隻に重巡1隻という小規模な艦隊だからだ。
 重巡マヤは、ある程度の自己を確立しているがそれでも不十分だと判断されているし、シノ達は鋼鉄海賊団の一員だからだ。
 これから、霧の艦隊の規模が大きくなれば鋼鉄海賊団から独立して、独自の領土を拡大するなり何なりを出来るようにしてある。

 そして、その会談が成立してからすぐにクラウスが軍艦島に到着したことを伝える知らせが、その場にいた全員に届いた。



 クラウスside


「あー、完全に通夜って感じのムードだな」
「それは当然、クラウスが失踪したと思っている人が多いからよ」
「なら、一通りの整理が終わったら町を歩きますか~」

 俺達が暮らしている基地は、俺達専用の港と隣接しているので住人は俺が帰港したことを知ることはできても、無事なのかどうかまでは把握することはできない。
 そのため、自分から町に出向いて顔を出さないといけないがそんなことよりも、まずは不安にさせた艦娘達に顔でも出しに行くか。それで殴られに行く。
 勝手に出ていって、艦娘達の間で混乱させた原因が俺なんだがらそのぐらいはするつもりだ。
 1発や2発ぐらい、本気で殴られても大丈夫だし、そこまでパワーもないだろうと思っていた。

 うん、思っていたんだよ。

 ノコノコと艦娘の前で姿を現した結果、俺の体は第3次世界大戦レベルで大変な目に遭っていた。
 まず、長門と霧島から鉄拳制裁で顔面にパンチをもらったし、比叡のまずい飯を金剛と榛名が強制的に食べさせるし、天龍と龍田から切り刻まれるし、駆逐艦達からはミサイルを大量にもらうし、踏んだり蹴ったりだった。

「し、死ぬかと思った……」
「自業自得ですね」
「あの程度で済んだんですから私達に感謝してくださいね」

 大波乱の後、俺が顔面蒼白で感想を言うとシノ達がすました顔でそう言ってきたので、ヤマト達が心配そうに声を掛けてきた。

「あの…大丈夫ですか?」
「かなりの攻撃を受けていたよね」
「大丈夫だ、問題ない」

 ヤレヤレとため息を吐いて、ヤマト達にキリッと答えてから思考を切り替えた。
 元々、身勝手な行動でこうなったとは言っても俺がいなくてもある程度は大丈夫なように、システムを構築していたから表面上は問題ないように思える。
 しかし、実際に問題が起きていれば俺自身の手で対処するしかない。

「それで、俺がいなかった2週間はどうだった?」
「対外的には問題ない。けど、海軍から召集が掛かっているわ」
「内容は?」
「ラフテルに到達したことに関してですよ?クラウス」

 そう思って、シノ達に聞いてみると特に問題は起こっていなかったようだが、海軍からの召集となると気が重い。
 俺の発言1つで、未来が決まるんだから行きたくないのが本音だ。
 とは言え、海軍側としても未知の超兵器変なことを言って機嫌を損ねたら、本部崩壊なんてのもあり得るから強気では出れないのが現状だ。
 そのため、適当に日時を合わせて出頭することにした。今更、断るのも面倒だしね。


「あ”~、この椅子が1番落ち着くんじゃ~」
「発言が完全におっさんになっているわよ?クラウス」
「あわわ、顔もだらけきっているの…」
「ご主人様はこういう時に限ってだらしないわね」
「寧ろ、長門さん達にボコボコにされたからじゃない?」

 そう言いながら、執政の手伝いである秘書艦は第七駆逐隊のメンバーだ。
 長門達に酷いことをされてから、この椅子に座ると何故か落ち着くようになった。
 原因が俺だから文句は言えないけど、それでも第七駆逐隊のように癒やし要素がある奴がそばにいると妙に落ち着く。
 俗に言う「あぁ~、心がぴょんぴょんするんじゃ~」って奴。
 その一方で、俺がいない間の執政はセバスがちゃんとやっていてくれたようで、俺の判断がないと決まらない奴以外はほとんどない。セバスチャン、マジ優秀。

 そんな訳で、残っていた仕事をさっさと終わらせた俺らは町に出向いた。

 そうすると、町の住人達が俺の存在に気が付いて色々と話しかけてきた。
 俺の安否を心配した声、これからこの島はどうなるのかという不安の声、帰ってきたことに安堵する声、仲間が増えたことを歓迎する声。
 色んな声が聞こえたが、その中でも気になったのは今後の世界について心配する声が、住人達の間でちらほらと出ていたことだ。

 このまま、俺達が主だった活動をしない限りは大海賊時代に入るはずだ。

 となれば、やることは決まっている。
 ヴォルケンクラッツァー達とは、別の超兵器を探し出して敵か味方かを判断したい。
 実は、オブサーバーにしたものの彼女達のことは信用していないからだ。
 鋼鉄の咆哮シリーズでは、出てくる超兵器は基本的に主人公たちとは対立した組織で活躍していたので、俺達が信用できる要素が一つもない。
 それでも、そういった役職に就かせたのは俺の目が行き届きやすいようにするためであり、それと同時に艦娘達を守る手段でもあると感じたからだ。

 そのため、しばらくは様子見をしつつもいつも通りの日常を送っていこうと思っている。

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第37話 五老星

UAが10万回を突破しました!本当にありがとうございます!!
それと、お気に入り登録者数が700人を超えているのには驚きました。


「さて…住人の生活も落ち着いたことだし、苗字でもつけますか」

 量子通信内の、電脳空間に設けられた俺の空間で艦娘や深海棲艦、霧の艦隊が集まっている時にそう言ったら彼女達から賛成の声が上がった。
 元々、マヤが俺達の所に来てから苗字の案件は浮上していて、そこにヤマト達が加わったとなれば早急に決めないといけない案件となった。

 大和とヤマト、武蔵とムサシ、摩耶とマヤ。

 文字にすれば、一発でわかるが日常会話の中ではどっちなのかがわかりにくいため、苗字をつけることになったのだがここでも問題が発生した。
 何せ、艦娘は200人以上もいるので一朝一夕には決めれない。
 特に駆逐艦は、十人以上の姉妹艦が多数いるので家族だの親戚だのでまとめるのも良いが、折角なのでそれぞれの駆逐隊ごとの苗字をつけることにした。姉妹艦は多少の変化はあっても姉妹艦なんだし。

 一方、駆逐艦以外の艦娘達に関しては姉妹艦としての苗字をつけるし、深海棲艦は1人ずつしかいないので問題にはならない。
 ヤマト達に関しては、苗字を“キリノ”とつけることで解決した。
 単純かもしれないが、名前や苗字はついていることが大切だ。
 そのため、俺が海軍本部から帰ってくるまでに考えておくように伝えた。



 マリンフォード 海軍本部


「それで?召集が掛かったんで来ましたが?」

 俺がそう言う部屋は、元帥がいる部屋でそう言うとゴングがこう返した。

「あぁ、これからセンゴクと共にマリージョアに行ってもらう」
「マリージョア?天竜人には会いたくないんですが?」
「そうじゃない。五老星に会ってもらうつもりだ」

 五老星。確か、原作でも名前が出ていなかった5人の老人だったか。
 作中の大きなイベントで、特に活躍していなかったからよく覚えてないや。
 まぁ、そんな連中でも世界をまとめて仕切っている奴らだから、顔合わせでもしておくか。
 そう思いつつ、俺は自分の船体に乗らないで海軍の船に乗ることにした。
 だって、40万トン以上の巨大な船体を上空1万メートルまで浮上するのは不可能に近いし。

「ですが、天竜人には会いたくないです」
「安心してくれ。バレないように馬車で移動するからな。天竜人に目をつけられても仕方ないし」
「それは助かります。彼らを見るだけで精神力がごりごりと減らされていきますから」
「私もだ」
「「はぁ~…」」

 互いにため息を吐いてから、俺はセンゴク大将と共にマリージョアに向けて移動を開始した。



 マリージョア


 真っ白な大理石でできた廊下を、音を鳴らしながら二人の男が歩いている。
 センゴク大将は、海軍の吹くに正義と書かれたコートを羽織っていて、俺はいつも通りの黒の服に黒いトレンチコートを着ていた。
 世界の最高権力と言われているが、会ったこともない相手に緊張しろと言われても困るのだが海軍所属のセンゴクは、目上の存在との対面と言うことでかなり緊張しているようだ。
 そのため、話すに話せない状態で目的の部屋までやって来た。

「ここだ」
「おう」

 センゴクがそう言って大きな扉の前で立ち止まり、扉の前に立つ護衛にその旨を伝えると扉の向こうから「入れ」と声がしたので、センゴクは意を決して扉を開けた。
 先客として、部屋にいたのは5人の老人。それぞれが鋭い眼光でセンゴクと俺に視線を注いでいた。

「鋼鉄海賊団、総長のクラウスだ。本日はどのような用件で召集をなさったのですか?」
(大抵の場合、この5人を前にして冷や汗をひとつぐらい掻くのだが彼の場合はそれがない。かなり、肝が座っているな)

 隣で、堂々と自己紹介をした上に質問までしているクラウスを横目に、センゴクはそう思って感心していたが俺からするとどこで感心したのかがわからなかった。
 俺とセンゴクが互いにそう思っていると、五老星のうちの1人が声を掛けた。

「2人とも楽にしてくれ。クラウス総長、今日呼び出したのは海賊としてではなく、君が『古代兵器』としてラフテルに到着したと聞いて話がしたいと思ったからだ」
「まぁ、自分の出生を知りたくなったからな」

 楽にしろと、言われたので俺がタメ口でセンゴクは青ざめていたが、五老星達は特に気にしない雰囲気だった。

「それで本題に移りたい」
「はい、どうぞー」

 センゴクはさらに青ざめたが、五老星は咳払いをしてから本題に移った。

「自己紹介が遅れたな、我々は世界政府の最高責任者。『五老星』と呼ばれている」
「これはこれはご丁寧に。俺の名はクラウス、究極超兵器で軍艦島を初めとする島々を治めている変わり者だ」

 センゴクの顔が、青から土気色に変化いるがそれを無視して話を進めていく。

「それで?世界政府の最高責任者達が俺に何の用ですかね?自己紹介する為だけにこんな場所に呼び出した訳ではなかろうに」
「ああ、早速だが本題に入ろう。まどろっこしいのはなしにして単刀直入に聞くが超兵器クラウス、君は…」



“世界を滅ぼす気はあるのかね?”



 その質問と共に、五老星の間を静寂が支配したが俺はその疑問に対して、あまりにも的外れすぎて少しの間、頭の中が真っ白になった。
 そして、それに対して俺はこう思った。

(何を言っているんだか、この老人方は。急に呼び出して世界を滅ぼすのか?と聞くとか、運動しなさすぎて耄碌したんじゃなかろうか。いや寧ろ、そのぐらいの力を有しているのにそれでいて、島をいくつも支配しているとなるとそう考えるのも当然。ならば、ここでやるべきことは…)

 俺はそう考えて、ワームホールを展開して浸食弾頭ミサイルを1発、ワームホールを経由してこの部屋に召喚した。
 すると案の定、この場にいる俺を除いた全員が「おぉ!?」とか驚きの声を上げてざわめいた。
 言わば、ドッキリが成功した訳だがここは俺から言わないと話が進まない。

「こいつは浸食弾頭ミサイルって言ってな…目標とする物体に対して空中を飛翔し、追尾して当たったら着弾点を基準に強力な力場を発生させ、その空間を侵食し、周囲の物質の活動を停止・崩壊させる強力な兵器だ」
「………」
「言わば、当たったら周囲をぶっ壊すことができる武器だな。そしてこれを数百発、俺の船体に保有している」
「………」
「そして、これの他にも光学兵器を有していてレーザーなどを好きなだけ、撃てるからこの情報を聞いたあんたらには俺の姿はどう映る?」

 呆気に取られていた老人達は、俺の言葉に気を取り直して考え込んでいるようだった。
 そのため、俺はこう付け足した。

「確かに、俺らの技術はこの世界にないレベルだ。こいつもビームも人類を…いや、世界を崩壊させるには充分なほどにな。だが、仮に貴様らを本気で滅ぼすつもりならわざわざ、国を構築して王下七武海として海賊達を狩り続けるような手間は必要では無いだろう?」
「むぅ、しかし…」

 俺がそう言うと、老人達はそう言ったのでそう簡単には信じてもらえないと言うことは雰囲気でわかった。
 何故なら、彼らには俺達の力に対抗できる技術力も海軍の練度もない。
 しかも、俺達の技術が世界中に出回れば悪魔の実や個人の技術頼りの戦闘形態は終わって直接、目に見えない相手と戦うことができる品物だ。
 そしてそれが、敵対する組織の手に渡ったら?
 この世界は第二次世界大戦レベルか、それ以上の犠牲者を出すことになるだろう。
 となれば、そう簡単に信じられないのは当たり前だった。

 そこまで考えて、俺はさらに言葉を紡ぐ。

「あんたらがラフテルに行った俺や配下の彼女達をどう受け止めるかはそっちに任せる。だが、俺達の目的は仲間を守って力無きものの盾となることだ。初めからそれに尽きる」
「………承知した。現に君が王下七武海に所属して、働いてくれている事でこの疑問の答えとしよう。我々も君と敵対するのは本意ではない」
「ありがとうございます」

 五老星が、俺達の行動を理解してくれて何よりだ。
 時折、無能な海賊が俺達のことを“人を殺しまくる狂気の殺人集団”だと、喧伝するからその対処が面倒だったんだ。
 その分、彼らの理解力に感謝すべきだな。

「さて、そっちの質問が終わったところでこっちから質問したいんだが、いいか?」
「我々が答えられる事ならば」
「それでは遠慮なく……天竜人」
「!!」

 その言葉に五老星の空気が凍ったので、地雷を踏んだのだろうと認識したが話を続ける。

「空白の100年に存在したと言われ、俺を建造した王国を滅ぼしたとされている奴らを何度か見かけた。だが、あの屑共を見る度に大それた称号を与えて挙げ句の果てには“世界の創造主”と持て囃すのか、俺には理解に苦しむ」
「………申し訳ない。それについて、我々から話せる事は何も無いがあなたにとって、不快な存在を見せてしまったことは謝罪する。確かに、彼等の行いは余りにも軽率で愚かしい上にこの数年で一層、それが酷くなってしまった。それを止められなかったのは我々の責任だ。だが、アレでも彼等は今の社会に不可欠な存在故、どうか御容赦を」

 不可欠ねぇ。
 まぁ、俺がいた世界の近世でも奴隷は人手として必要だったようだし、社会の歯車としてこの世界に溶け込んでいるのだろう。
 この世界の人権なんて、用を足した後の紙にすらならないほどに酷い状態だし、仮初めとは言っても天竜人のような権力者も必要なのだろう。

 そのため、俺は納得したように答えると五老星は安心したようにため息を吐いたので、他に質問はないかと聞くと無言で返された。
 恐らく、人間に危害を加えないと納得したから安心してるんだろう。

「では、用がないので俺は帰るぞ?行きましょうか、センゴク大将」
「お、おい…」
「いやいい、明確な敵ではないと確認が取れただけでも良好だ。2人はそれぞれの組織に戻って通常の職務を全うしてくれ」
「ハッ!」 「了解した」

 センゴク大将はキビキビと、俺はゆるーく敬礼して思い出したかのようにこう言った。

「あぁ、それと…」
「?」
「数年後に世界は荒れる。だから上手く廻せよ?五老星」
「………わかった」

 その返事を聞くと、俺達は部屋を出て行った。



大海賊時代前の五老星って、作中に出てないので妄想で書きました。

後、2~3話で次の章に行こうと思います。


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第38話 総合火力演習 前編

 五老星との会談は一定の成果が出た。

 海軍を通じて会談を行って直接、彼らと話し合ったことで敵意がないことを伝えたので、世界政府から変な言いがかりをつけられることはないだろう。
 懸念材料は、俺達を快く思っていない組織や人物がいると言うだけであり、原作ではスパンダイン、この世界では超兵器を生産して保有している組織ぐらいである。
 スパンダインの場合、オハラに罪を吹っ掛けることができなかったので、俺が独自に持っている筋からの話では敵視しているらしい。
 恐らく、機会があれば罪を吹っ掛ける算段でもしているんじゃなかろうか。

 一方、組織として不穏な動きがあるのはヴォルケンクラッツァー達を建造したであろう国だ。
 その国はとにかく、スパイなどに対しての対策がかなり進んでいるようで潜入しているロボットの内、約3割が行方不明とされている。
 元々、体が修復不可能になるほどの損害を受ければ自動的に、本拠地にあるサーバーにそれまでのデータが転送されるようになっている。
 また、体に乗せてあるメモリーにあるデータは全消去の上で、それ自体が壊れるように高電圧が掛かるようになっている。
 そのため、こっちの情報が相手に漏れると言うことはないだろうが、ここまでやられるのは今までは無かったことだから警戒が必要だ。
 配下の島の住人だけではなく、対外的にもバレないように準備だけはしておくつもりだ。


 それはともかく


 軍艦島に戻った俺は現在、艦娘達との合同演習をしている最中だ。
 俺が、ラフテルから連れて帰ってきたヤマト達と対面した艦娘達が、帰ってきてから数日後に自分達よりも強いと聞いたので戦いを挑んだ。
 その結果、戦艦をメインに据えた艦隊同士ではほぼ互角の戦いとなって、戦術によっては艦娘の方が優勢で試合が終わった。
 また、航空機に頼っている空母を中心とした艦隊では飛行機を飛ばして接近させる、という作業が入るので不利な状況ではあったがそれでも何とか勝てた。
 演習結果から察するに、艦娘達が艦隊と戦術をしっかりと組めば霧の艦隊と張り合えると言うことがわかった。

 単艦同士では、どうしても霧の艦隊に軍配が上がるがそれでも充分な成果になるのだが、今度は俺と演習がしたいと言ってきた。
 その時は、海軍本部に顔を出さないといけなかったから今日まで待たせていたし、その時は戦闘データが取れれば良いかと思って了承したのだ。
 そうしたら、全ての艦隊から演習に参加したいという要請が出た上、船体を受領した深海棲艦達からもそういった要請が出た。
 多分、肩慣らしという意味合いがあると思うが艦隊の中では最強を誇る俺と戦うことで、自分達の実力がどのぐらいなのかを確かめたいのだろう。

 そのため、この演習は「総合火力演習」と銘打って行うことにした。

 本来だったら、“観艦式”の方が妥当なんだが見せる人がいないのでそう言う名前にした。
 その後、様々な作業を行って俺とそれぞれの艦隊との演習が始まることになった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 加賀side


「全機、発艦して下さい」
『加賀さん?全ての航空機を上げる気ですか?』
「えぇ、そうよ。総旗艦であるクラウスが、キリノさん達を同時に打ち破ったとすれば艦娘全員が保有している航空機を全て、上げても物足りないほどだと思うわ」
『確かにそうですが……わかりました。艦隊に伝達するわ』
「ありがとう」

 加賀がそう言うと、赤城が反論するように返したが実際のクラウスの戦力を長い間、そばで見ている赤城にとっても彼の強さは桁違いに強いとわかる。
 とは言え、大量の航空機による攻撃に対しては強いのかは疑問だった。
 実際、航空機による攻撃によって撃沈した軍艦は多数いるし、加賀や赤城達もそれで痛い目を見ている。
 第4艦隊に所属している艦娘は、日本の正規空母であった赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、雲龍、天城、葛城、大鳳の10名とその護衛につく20名の巡洋艦と駆逐艦だ。
 合計30名と、他の艦隊よりも多いが核兵器というものがない世界では、空母の集中運用が得策だという方針を取った。
 この方が運用しやすいし、そもそも空母自身もある程度の自衛できるように武装を積んでいる。
 また、戦闘ロボットも他の船舶よりも大目に乗っているので大概のことは、艦隊内で対処できるので問題ない。

 問題なのは、その過剰なまでの航空戦力だ。

 烈風や流星の名前は使っているのだが、その航空機はレシプロエンジンからジェットエンジンへとエンジンの換装をしているのでもはや、別の航空機と言っても差し支えがない。
 これは加賀達からの強い要請で、音速を超えるジェット戦闘機よりも元の機体のジェット機へと改造したものを乗せている。
 原作の蒼き鋼のアルペジオに出てくるセイランが良い例だ。
 エンジンを換装するに当たって、空気取り入れ口などの変更点は機体全体にまで出たが搭載できる武装は、大幅に底上げできたので良しとしよう。
 必要に応じて、本物のジェット機に変えれば良いだけの話だしな。

 そして、何よりも変わっているのは搭載できる艦載機の数だ。

 ミニッツ級空母の場合、排水量が10万トンという巨大な船体をモデルにしているため、排水量3万トンクラスだった赤城や加賀よりも多くの艦載機が積んである。
 その数、およそ100機。搭載できる武装は、最大で2トン。
 この規模で空襲を受ければ、防空システムを有していない町は大打撃を受けるし、複数の空母から波状攻撃を受ければヤマト達ですら只では済まないだろう。



 一方、クラウスsideだと…


「航空機の発艦を確認、これは…全機発艦かな?」

 俺は演習開始の合図と共に、自分のレーダーで確認すると多数の航空機が同時に発艦していることがわかった。
 しかも、全ての空母から全力で発艦させているから短期決戦を挑んでくる可能性が高い。

「やれやれ、お高く見られたものだ」

 俺がそう呟きながら、様子を見ていると1,000機もの航空機が編隊を組んでこっちに来ているため、まずは攻撃を受けてみようと思う。
 彼女達が、防御を殴り捨てて攻撃に走ったのだからその攻撃を受ける方が彼女達にとっても、俺からしてもすっきりする。
 そのため、特にこれと言って反撃もせずに接近を許して、約2,000トンものミサイルの攻撃を巡航速度のままで受けた。

「ぐぬぬ、かなりきついぞ?加賀さんよぉ……」

 俺はそうぼやきつつ、クラインフィールドを展開して堪え忍んだ。



 加賀side


「全機、攻撃を完了。特に反撃はなし…」
『レーダーをオフにしていたんですかねぇ?』
『クラウスさんに限ってそれはないでしょう』
『寧ろ、攻撃されるように行動していたとか?』
「………」

 いらぬ気遣いだ、と加賀は思った。
 確かに防御を捨てての攻撃だったが、だからといって反撃をしないのは演習としてつまらないものになったし、そもそもそんな演習は個人的には望んでいなかった。
 とは言え、母艦に着艦するまでが攻撃だとすれば如何にして、彼の反撃を潜り抜けるかが問題になるだろう。
 そのため、加賀は他のメンバ-にこう言った。

「気を引き締めなさい?帰ってくるまでが攻撃ですよ?」
『…確かに、クラウスが増速して反撃に出ているわ』
『じゃあ、護衛のメンバーには支援させるように伝えておくね!』
「よろしくお願いね、飛龍」

 加賀はそう言いながら、クラウスの動きに注目していた。



私生活の方で少し忙しくなってきたので、次回投稿は少し遅くなるかもしれません。
なるべく、早めに投稿するようにしますが長ければ1週間ほど、遅くなります。

ご了承下さい


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第39話 総合火力演習 後編

「あの動き…随伴艦のミサイルか!上手く動かすなぁ」

 俺はそう言いつつ、俺がいる海域の上空で動き回っている航空機とミサイルの白煙を見て、改造を施したのは間違いではなかったことに感動を覚えていた。
 正直に言って、第二次世界大戦レベルの艦娘に現代化改装を施しても慣れるには、それなりの時間が掛かるのでは?と思っていたが問題はなさそうだ。
 そのため、対空ミサイルに対空ミサイルをぶつけるという高等テクニックを、披露してくれたおかげで母艦に帰還できる航空機がそれなりに多くなった。
 レーダーで確認した範囲では、ざっと6割である600機ほどがそれぞれの母艦に着艦していった。

 航空機による攻撃から30分、最大船速で彼女達の艦隊である第4艦隊に接近しているため、俺は演習で使う模擬弾を装填して発射した。
 レーザ-やプラズマ砲も、彼女達は使えるが俺は演習用の模擬弾だ。
 これは正規空母はともかく、随伴艦の駆逐艦達が持っているクラインフィールドを一気に飽和させて撃沈させてしまうからだ。
 それだけ、俺の主砲と彼女達の主砲の威力が違いすぎるのだが先程のミサイルカーニバルでも、彼女達が発射したのは浸食弾頭ミサイルで俺のは演習用の着色料が装填されているミサイルだ。

 言わば、俺がサンドバックになって彼女達の全力を見たいと言うことである。

 攻撃力も防御力も桁違いな俺だからこそ、全力で戦えると彼女達は言っていたが改造した艦娘全員で袋叩きにされたら、さすがの俺でも撃沈してしまう。
 そのレベルまで強化したが、幸いなことに今回はそれぞれの艦隊ごとに演習をする予定なので、安心して演習ができる。
 それに、俺も楽しめる戦いというのがこういった演習だけだからせいぜい、充分に楽しまないと満足できない。
 そのため、誤差を修正しつつも砲撃を開始していった。



 加賀side


「きゃあ!」
「くぅ!」

 航空機が母艦に着艦してから少しして、加賀達の上空に巨大な砲弾が降ってきて榴弾として炸裂した。
 クラウスがミサイルでの応酬から、砲弾での砲雷撃戦へと移行したことを如実に表しているのが、艦隊にいるメンバー全員に伝わった瞬間である。
 彼が最大船速で、第4艦隊に接近していることはレーダーでわかっていたが砲撃が始まったのは彼と艦隊の距離がおよそ40㎞と、史実の大和型戦艦の最大射程と同等の距離から撃ってきたのだ。
 しかも鋼鉄の塊である徹甲弾ではなく、訓練用に用意していた模擬榴弾なのだが、爆発してその被害を受ける範囲が広い。
 砲弾の直径は80㎝と、この世界の大和型よりも太いので爆発して飛び散るペイントの量と範囲が、思っていた以上に広かったので艦隊のメンバーは驚いている。

『このままではなぶり殺しよ!』
『加賀さん、どうします!?』

 加賀はクラウスの砲火の元で、必死の回避運動をしながら対策を練っていた。

(このままだったら、さらに彼を接近させるから命中率と威力が上がる!それを避けるには航空機を発艦させたいけど彼はそれをさせないために砲撃をしてきている。だとすると、艦隊を二分してまで彼の注意をそらすしかない。けど、それを彼女達が了承するか…。いいえ、このままやられるよりかはマシでしょう)

 加賀は少し迷ったが、普通のやり方ではクラウスには勝てないと思って指示を出した。

「艦隊旗艦命令!艦隊は二分して随伴艦は――――――」



 数時間後、クラウスside


「いや~、なかなかに手強かったよ」
「余裕な表情で対応していた人に言われたくないわ」

 演習が終わって、それぞれの艦隊が消耗した機体と弾薬の補充をするため、本拠地に入港してから加賀達と雑談していた。
 結果は上々で、各艦隊はそれぞれのアイディアで確実に俺を追い詰めて来ていた。
 中には、大接戦でギリギリのところまで勝敗がわからない演習もあった。

「クラウスは強かったな」
「今度は負けないように工夫しよう」
「そうだねぇ」
「………」

 そして、それぞれの艦隊には深海棲艦だけで編成された艦隊もあって演習を振り返って、更なる技術を身に付けようと努力する様子が見えた。
 そして、そんな様子を見ていた加賀がこう言ってきた。

「ねぇ、クラウス」
「なんだい?加賀」
「彼女達…あの深海棲艦達を艦隊として置いておくの?」
「勿論だとも。そういう風に伝えてあるしね」
「……理由を聞いても良いかしら?」

 俺がそうするのを、理解できないという表情で聞いてきたので自分なりの考えを伝えた。

「彼女達は単純な兵器として、生産されてそして加賀達と戦わされた。だから兵器としてではなく、人間として生きてほしいと思って生かしておいた。それだけさ」
「本当にそれだけかしらね?」
「加賀は俺のことを何だと思っているんだい」
「色情魔の不埒者でむっつりスケベの変態野郎」
「ひでぇ言われようだ…否定できないけど」

 酷い言われように少ししょげていると、汚物を見るかのようなきつい目つきだった加賀が顔を緩めてこう言った。

「それでも深海棲艦達とのわだかまりを取り除いたことは認めるわ」
「確かに、何人かは彼女達との喧嘩にまで勃発したっけな」
「それを止めに入ったクラウスが1番、殴られていたのが滑稽でした」
「滑稽って…最近、毒舌気味になってません?」
「さあ?何のことだがわからないわ?」
「コノヤロー」

 深海棲艦を艦隊として編成する時、駆逐艦から重巡に至る十数人が深海棲艦と衝突する事態が発生した。
 その情報が入ったのは、喧嘩が始まってからすぐだったので途中参加した俺は艦娘側から「勝手に編成するんじゃない」と盛大に殴られ、深海棲艦側からは「俺のせいで気分が害された。責任を取って切腹しろ」と言われて殴られた。
 俺はその理不尽さに、「あァァァんまりだァァアァ」と叫びつつも応戦していたら俺がボコボコにされている最中に仲良くなっていた。
 どうやら、わだかまりを持っていたのはお互い様という認識を持ったらしく、途中から意気投合していたようだった。
 完全に骨折り損ではあったが、大きな出来事の前にそれを取り除けたのだからボコボコにされた甲斐があったというものだ。

「それはともかく、しばらくの懸案事項は超兵器を保有している国だな」
「えぇ、ヴォルケンクラッツァーさん達がちゃんと整備されていたのなら、クラウスにも手伝ってもらわないといけませんでした」
「だな…全快時で世界を崩壊させるほどの力があるんだから、量産されたら俺でも対抗できるかわからんレベルの強さだ」

 俺も人のことを言えないが、ヴォルケンクラッツァーも原作では2隻もあれば世界を崩壊させることができる、と言われいたのでかなりの強さだとわかる。
 実際に建造しないとなんとも言えないが、恐らくは改造した艦娘達が総出で戦って何とか1隻を撃沈できるのではないか、と思っている。
 だが、ヴォルケンクラッツァー級との連戦となれば勝ち目は極端に少なくなると思っているため、艦娘や深海棲艦、霧の艦隊以外での艦隊を充実させようと思っている。
 幸い、人材の育成は捗っているので後は船体を建造して規約を設ければなんとかなると思うが、その一方である懸念があって拡充計画に踏み切れないでいた。

 それは、人材の暴走だ。

 人というものは、強大な力を持つとそれを試したくなると感じているし、この世界においても自分の欲望を律することができるのはそう多くない。
 海軍との協調路線を行く俺からすると、俺とのそりが合わずに反旗を翻すと俺達の実力がわかってしまう可能性が高い。
 特に、超兵器を保有している国がある以上は船舶の数に限りがあっても、艦娘達がコントロールできない船舶は作りたくない。
 艦娘達と同等の力が、敵に渡って艦娘を失ったら俺はショックでしばらく寝込みたくなるね。



 そのため、しばらくは静観することにした。時期が時期だしね。



と言うことで、新しい章に移ろうと思います。
もうちょっと粘っても良いんですが、原作が開始するまでに話のネタがなくなってしまうので堪忍してつかぁさい。
大海賊時代に入る前に30話以上も書いておいてなに言ってんだよ、と言うツッコミはなしでオナシャス。


ではまた次回。


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第3章 大海賊時代の元で 第40話 始まり

「俺の財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろ!この世の全てをそこに置いてきた」

 その男はそう言い残すと、処刑台で斬首されたがその場にいた観衆達は大きな熱狂に包まれた。
 財宝がある、という場所である世界の果てがどうなっているかを知らずに。
 そして、その場には俺とそれぞれの艦隊旗艦がひと目に隠れるように見守っていたが、その顛末を見て俺は涙を流した。

 処刑された男は、ゴール・D・ロジャー。

 世間一般では、ゴールド・ロジャーとして認知されているがその一方で、俺達がラフテルに到達したことは徹底的に伏せられた。
 世界の果てに到着した存在が、2人もいるとなると大きな混乱が走って世界政府の手に負えなくなるからであり、俺達も配下の島には旅行で席を外れていたと伝えていた。

 俺達がロジャーの処刑を知ったのは、ロジャー海賊団が解散して数ヶ月後のことだった。



 数ヶ月前


「ロジャーが……自首した………?」
「はい。確かな情報筋によると不治の病を治すこともできずに弱っていくよりも、自分の意思を世界に伝える方が良いと判断したらしいです」
「そうか、あいつはそれを望んだか……」

 俺は金剛姉妹とウォースパイト、アークロイヤル達とお茶会をしている最中にその知らせを受けて、ショックと動揺を隠せなかった。
 彼は不治の病を患っていたが、俺達が持っている技術を駆使すればなんとかなったかもしれない。
 いや、完治したとしても体に負荷が掛かって病気に罹る前よりも、力が出ないこともあり得るからなんとも言えない。
 だからこそ、治したとしても以前の自分とは思えないほど弱って生き延びるよりも、残り少ない命の灯火を使って世界が燃え上がる業火に変えるのだろう。

 そのため、彼の死に際を見に行こうとしたがどうやったら良いのかが思いつかない。
 自分で言うのもなんだが、彼が自首して処刑されることにかなり動揺しているようだ。
 俺が何かを言いかねて、口を開閉していると金剛達が手を握ったり、肩を叩いたりしてこう言ってきた。

「ヘーイ、クラウス?動揺するのは良いけど、少しは頭を冷やそうよ」
「お手製のスコーンもありますし…」
「紅茶もありますのでどうぞ」
「あ、あぁ…そうだな」

 俺は彼女達の気遣いで、頭を冷やすとこれからをどうするかと言うことに考えを集中させた。
 彼が自首したと言うことは、処刑されるのは当然の流れであるのと同時に第三者である俺にとって、抗えない大きな流れでもある。
 彼は世界をひっくり返すために自首したし、世界政府も自分の力を誇示するために処刑を強行するだろう。
 俺達の力を使えば、処刑ごときを中止させることはできるがそうすると、無関係な人命が失われることになる。
 そのことを、艦娘達やヤマト達は良しとしないだろう。

 となれば、彼に直に会って最後の会話ぐらいはしたいものだ。

 俺はその結論に至り、金剛達に指示を出した。

「世界政府は力を誇示するために彼を処刑するだろう。だが、紛いなりにも海賊王になった男に常識は通用しない。そのため、世界は大きく荒れるだろうから処刑前後は特に警戒に当たるように全ての艦娘に厳命してくれ」
「クラウスはどうします?」
「五老星と交渉してロジャーと会えるように交渉する」
「わかった、皆には冷静に務めるように伝えてくれ」
「あぁ、よろしく頼む」

 ウォースパイトとアークロイヤルが平然と聞いてきたので、俺はそう返すと金剛姉妹を含めた彼女達は迅速に動いていった。
 それから1ヶ月後、でんでん虫で五老星に交渉したら渋々ではあったが、インペルダウンに投獄されたロジャーと会えるようにしてもらった。
 会う条件として、俺は単独で海軍の船に乗って彼と会うことになった。



 1ヶ月後 インペルダウン


「よぉ、見舞いに来てくれたのか?」
「……何で自首したんだ」
「なんだ、そのことか。お前らしくない」

 俺がそう言うと、ロジャーは不敵な笑みを浮かべてそう言った。
 その笑みに、俺は見覚えがあった。
 そう、最初に会った時に「世界をひっくり返す」と言った時に同じ笑みだったからだ。

「お前のことだからあの後、ラフテルに向かったんだろう?そして、お前は自分のことについて全てを知った」
「………」
「俺はそれで充分だ。例え、病を治せる薬があったとしてもお前がラフテルに関係している、とわかっただけでも充分に儲けもンだ」
「………」
「だが1つだけ、心残りがある。それをお前に頼みたい」

 何で、そう楽しそうに笑っていられるんだよ、ロジャー。
 死にゆく運命だというのに、それでいて笑っているとなると狂信者か、それに該当する存在になったと言うことか?
 いや、“世界をひっくり返す”と平然と言いのけることから彼はいたって平然としている。
 となれば、俺がやれることはただ1つ。
 それは………

「俺を使いっ走りにするとは良い度胸だな。処刑する日を待たずに今ここで始末してやろうか?」
「それを聞いて安心した。実はな――――――」

 彼の頼み事を聞くことだった。
 そして、ロジャーが頼んできたのは俺達がいつもやっていることの範疇だった。
 とは言え、海軍の人間や刑務所の看守がいる中での頼み事だったので、俺達は暗号を使ってやり取りをして会話を終えた。

「――――――了解した。守り切れるとは思えんが、できうる範囲でやってみるよ」
「よろしく頼むぜ、相棒」
「相棒じゃなくて共犯者だろう?」

 俺がそう言うと、ロジャーは笑ったので俺も悪い笑みを浮かべてから別れた。
 これで、彼と会って会話をすることは2度とない。
 会えるとしても、処刑台を見ることができる最前列で彼と目を合わせることだけだ。
 そんな訳で、俺はインペルダウンを出て仲間と通信を取って彼の遺言とも言える頼み事を、実行するために準備をし始めた。



 そして現在、ローグタウンにいた俺達は海賊王のロジャーの最期を見届けて、涙を流してからは粛々と実行に移した。


 彼が頼んできたのは、後のエースとなる赤子とは別の子供の保護らしい。
 俺もシノ達を初めとして、複数の女性と肉体関係を結んでいるから人のことをとやかく言えないが、どんだけ子供を残しておきたかったんだよと言いたい。
 しかも、原作には出て来なかった鬼族の女性と肉体関係を持ったと言うんだから、リゼロに出てくる双子のメイドの予感がびんびんだ。
 しかも、その子達を世界政府の手に及ばないところで保護して欲しいというのだから、面倒なことを押し付けてきたと思わざるを得ない。

 と言っても、あくまで彼の頼み事だからスルーを決め込んで様子を見ていても良いんだが、後味が悪いので大和達には回収を急がせる予定だ。
 もしも、双子だったらメイドとして生活させたいなぁと思っているし、そうでなくても子供には罪はないと思っている。
 しかし、Dの名を持つ人物が神として君臨している天竜人の天敵、と認識している世界政府はそうは思わないだろう。
 特に、世界をひっくり返したロジャーと関係を持つ存在は血眼になって、徹底的に探し出して抹殺しようとするだろう。

 となれば、ロジャーに託された子供を守るのもある種の使命なんだろう、と考えて艦娘達と相談して決めた。



 俺達は水面下での操作を行った結果、ロジャーが処刑されてから1ヶ月後に新たな命を宿した女性を発見して保護したのだった。

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第41話 守るために何が必要か

「それにしても世界は大きく波打ってるねぇ」
「彼の一言で多くの人を沸き立たせたからな」

 ロジャーの死後、世界は大きく荒れていたが軍艦島内ではいつものように平和だった。
 人々はまだ見ぬ財宝に思いを馳せ、海賊になったものが数多くいるがその中でも無法者は徹底的に撃破して、賞金首がいたら海軍に引き渡すようにしているからだ。
 そのため、配下の島々では荒くれ者の海賊は大人しくしているのが無難だ、とわかっているようで行動しているらしい。
 まぁ、鋼鉄海賊団のリーダーである俺の船体が町の港に停泊している姿を見て、ビビっていると言うことらしいから一定の抑止力にはなっているだろう。

 そんな報告を受けつつ、いつものように昼食を取っている俺の近くには伊勢姉妹と扶桑姉妹がいた。
 大海賊時代が始まってから、海賊に対する活動で艦娘達は休む暇がなかったし、俺も関係を持っている国との交渉でこの数週間は余裕がなかったからな。
 こうやって、伊勢達と会話をするのは久しぶりだ。

「それにしても、クラウスと昼食を摂るのは久しぶりね~」
「最近、忙しくて会える時間がありませんでしたから」
「確かになぁ」

 俺達は、大きく揺れ動く世界の中でも呑気に喋っていた。
 寧ろ、こんな時代だから平和でリラックスできる時間が必要なのだろう。
 そう思いつつ、昼食を終えて基地に向かう途中で急に扶桑が垂れ掛かってきた。

「どうしたんだい?扶桑」
「最近、ちゃんと甘えることができませんでしたから」
「あぁ、なる………」
「あー!扶桑姉様だけずるい!山城も甘えたい!」
「ちょっ、おまっ」

 扶桑の妹である山城も、俺の腕に体に密着させてきたので両手に花の状態だった。
 そんな状態を、伊勢達がはやし立ててきた。

「クラウスー?両手に花で幸せ者だねー!」
「うるせぇよぉ!恥ずかしいじゃん!」
「その割には手をしっかりと握ってるんだな」
「うるせえ!」

 口調は荒くなったが、まんざらでもないでそのままでいたが少し恥ずかしかった。
 それでも、たまにはこんな状況も悪くはないと思った。
 扶桑姉妹も、顔を赤らめながら喜んでいるようだし、俺はこの顔を守るために必要な力を保持する必要があると改めてそう感じた。

 そんなこんなで、基地に戻っていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 夜 クラウスの私室


「え?船体が欲しい?」
「はい。他の皆から話を聞いていると忙しそうだったので…」
「基本的にはこの島に移した居酒屋『鳳翔』で働きますが、いざという時に戦えるようにしたいのです」

 そう言ってきたのは、長らく戦線から離れていた鳳翔と大鷹だった。
 彼女達は、元の世界で傷ついた艦娘達を癒やすためにこの世界では、戦うことをやめて居酒屋を経営していた。
 そんな彼女達が再び、戦う決意を示したのは嬉しくも予想外な結果だった。
 しかし、そんな彼女達に「はい、そうですか」と言って易々と建造する訳には行かない。
 そのため、俺は1つの質問をした。

「……戦う動機を聞いても良いか?」
「それは、私達だけが安全な場所でのうのうと生きて行くなんてことはできません」
「私も他の軽空母達と対等な立場に立ちたいからです」

 俺が質問したら、2人は覚悟を決めて決意した表情をしていたので反対するつもりはない。
 そのため、建造する方向で話を進める。

「………了解した。早速、建造を始めるが2人が船体を持つことに関しては概念伝達で艦隊の皆に伝えておくぞ?」
「えぇ、お願いします」
「私達の船体はどのぐらいの規模になりますか?」
「約7万トン級の空母になる予定だ」

 俺が具体的な数字を示すと、2人は驚いた様子だった。
 何せ、元々の船体が大鷹で約4倍、鳳翔に至っては10倍ほどの大きさで史実の大和型戦艦レベルの空母、と言えばわかりやすいはずだ。
 小ささで言えば、現代と言われていた俺の世界の中で1番小さい空母が1万トン級であり、本当の軽空母は2万~4万トンぐらいだ。
 それって軽空母なのか、と言う疑問が出てくると思うがそもそもこの世界で、俺達以外の空母と呼べる艦艇が確認されていないので名称は曖昧だ。

 そのため、軽空母として呼称しているが正規空母が10万トン級なので妥当と言えば妥当だ。
 それに、何が起こるかがわからないこの世界ではこのぐらいの大きさに、必要な物資やロボット達を多めに配置している。
 しかも、戦線に参加しないと言っても体のアップデートは怠ってなかったし、船体を運用する上で必要なデータは習得済みだ。
 後は、建造してその情報を受領シークエンスを実行するだけだ。

 俺はそう伝えて、鳳翔と大鷹が船体を保有する情報を全ての艦隊ネットワークに上げた。
 すると、艦娘からは驚きの声が上がったが殆どが歓迎する声が上がっていてそれだけ、皆から慕われていたことがわかる。
 そのため、居酒屋の仕事もあるので総旗艦直属の艦隊に所属してもらった。
 その方が艦隊編成もしやすいし、彼女達が守りたいものために力を身に付ける努力をしようとしている以上は、俺はそれを遮るつもりはない。

 そんな訳で、その場はお開きになった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 数日後 とある島の過疎村


「よぉ、元気そうだな」
「……クラウスさん」

 その村に存在している唯一の診療所に、彼女はいた。
 そのお腹には、新たな命が芽生えていて順調にいけば後3~4ヶ月で出産する。
 しかし、世界政府は海軍を使って大海賊時代を招いたロジャーと関係を結んで生まれたか、生まれる子供を徹底的に探して回っている。
 そのため、少しでも騒ぎになれば彼女の命も消えてしまうので、ここに来るまでは変装してワームホールを使って来ている。
 そして、診療所に着いてからは本来の姿に戻って彼女に会っている。

 彼女の名前は、マクレーン・D・エリザベス。

 彼女のお腹で眠っているのは、双子の可能性が高いと言うことだった。
 しかし、性別まではわからないので双子の可能性が高いとだけ、伝えて様子を見ている。
 そんな俺を見て、彼女は話し始めた。

「クラウスさん、この度はありがとうございます」
「ロジャーに頼まれたからな。同じ海賊王としてのよしみだ」
「それでも、彼の頼み事をちゃんと叶えている時点で感謝の言葉しかありません」
「………そうだな、今や海軍はロジャーと血縁を持っている人物を徹底的に探しているからな。放置しておくには後味が悪すぎる」

 俺はそう言いつつ、窓から外を見て彼女にこう言った。

「双子を抱えた状態で海軍の目を眩ますには、通常よりも数倍以上の期間を出産直前の状態で過ごさないといけない。あんたはそれができるのかね」
「ふふっ、海賊さんは優しいのですね。私のようなか弱い女性を気にしてくれるんですから」
「………」
「やって見せますわ。あの人が残した思いを守るのが母親の務めですから」


 彼女は穏やかな笑顔のまま、我が子を守ろうとする母親の顔で俺にそう言った。
 そのため、俺はその覚悟を尊重して頷きながらこう言った。

「………わかった、お子さんについては任せます。何か、違和感があったら配下の人に言ってください。すぐに駆けつけますので」
「えぇ、ありがとうございます」

 彼女の返事を聞いて、俺は変装した姿に戻ってから診療所を去った。
 今回のは、あくまで様子見をして彼女がどんなことを考えて行動するのかを、この目で推し量るために来ただけだ。
 そのため、俺はいざという時に備えて戦闘ロボットや医療系の知識を蓄えたロボット達に、彼女の護衛を任せている。
 この世界での俺は、良くも悪くも有名になりすぎたからな。こう言った作業には向いていない。

 そう思いつつ、俺は軍艦島に戻っていった。



原作が開始する前って、おおざっぱに触れられるだけですからどういった内容にするかで迷うんですよねぇ。
そんな訳で、前回でロジャーに頼まれていたことについて書きました。
ついでに、戦線から離れていた鳳翔と書いてはいなかったけど同じく大鷹が戦線復帰します。
扶桑姉妹とのやり取りは、何となくで書きました。後悔していない。


と言うことで、ではまた次回。


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第42話 諜報合戦

 五老星side


「ポーネグリフの研究を阻止するのは不可能、と言うことか」
「えぇ、そのようです」

 その場にいた五老星が呆れたようにため息を吐くと、ポーネグリフを研究している学者達をどうするか、という検討をし始めた。
 そもそも、ポーネグリフ自体は五老星や世界政府からすると不都合な事実が記載されているため、速やかに抹消したいのが本音なのだがポーネグリフの石碑を破壊する手段が見つからない。
 クラウスの手を借りれば、簡単に破壊することができるかもしれないが政府としては、いつ裏切るかもわからない海賊の手を借りるのは承認できない。

 そのため、五老星はCP9の派遣を承認してその長官であるスパンダインに、現地に赴いて確認してもらうことにした。
 そして、バスターコールに対していつでも動けるように必要な人員や軍艦を待機させる。
 ここまで用意周到にできたのは、諜報機関であるCP(サイファーポール)の優れた諜報能力であり、彼らなしでは原作のバスターコールが成立しなかったと言っても過言ではない。
 しかし、その優れた能力でさえも欺く防諜機関があった。

 何故なら、その島はクラウスが目をつけていた島であり、本来であれば如何に優秀なCP職員であっても消されていた可能性が高い。
 そうならなかったのは、クラウスが有り余るロボットを行った人海戦術による情報収集で、人手が足りなかったのが大きな要因だった。

 そんなことを知らずに、五老星はバスターコール後の報道変更をどうするかを考えていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ???side


「くそっ!今月に入って下旬になるのに3体しか捕まってないぞ!」
「敵はんはようやっとりますなぁ」

 ここはクラウスが超兵器があると睨んでいる島であり、世界政府はポーネグリフの研究をしている学者の巣窟だと考えている島だ。
 そして、その島の執政室にはその島の長をしている黒服の男と、そのサポートをしている和服姿の女性がいた。

「忌々しい鋼鉄海賊団め!一体、何人の諜報員を送ってくれば気が済むんだ!」
「相手は黒光りする虫のように湧いてきよりますなぁ」
「おまけに世界政府にまで送り込んで来ているではないか!」
「あんさんが色々と入れ込みすぎたの悪いんちゃう~?」

 男はかなり苛立っているが、女性の方は関西弁混じりの口調で悠然としていた。
 そんな女性を見て、男は怒りを露わにするのにも理由があった。
 それは、クラウスがこの島に送り込んでくる諜報員が全てロボットである上、こちらの捜査網に引っかかる人数が減りつつあるのが現状だ。
 諜報員が入り始めた当初は、10~20体ぐらいが捜査網に引っかかっていたが現在は、月に2桁を超す方が珍しくなっていた。

 それだけ、諜報活動に磨きが掛かってきたのと同時に、機密情報の核心にまで迫る勢いで送り込んで来ている。
 このままでは、いつかは全ての情報が筒抜けになる未来しか見えてこない。
 そのため、こちらからも諜報員を送ってはいるのだがその殆どが連絡を絶っている。
 恐らく、諜報に関しての知識を持った人物がいてそいつの助言で実行しているのだろう、と予測している。

「まぁ、そう気にしても仕方なかどすえ。気長にやっていきましょうや」
「………確かにお前の言う通りだな、荒覇吐(アラハバキ)

 男がそう言うと、関西弁の女性が妖艶に微笑んだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 クラウスside


「―――――以上が諜報によって得られた情報です」
「了解した。世界政府が動いている以上は様子見に徹しよう。変に横槍を入れると面倒になる」
「ハッ」

 俺はセバスチャンからの報告を受けて、そう言うと彼は優雅にお辞儀をして部屋から出て行こうとしたので、そんな彼を俺は呼び止めた。

「そう言えばよぉ、セバス」
「何でしょうか?」
「おめぇさんは市井などの状態をどう感じている?」
「どう……と言われましても色々と感じることが多いので、なんとも言えませんが悪くはないと思いますよ」
「そう、ならいいんだ」

 悪魔である彼は、中途半端に知識がある学生だった俺よりも圧倒的な知識を有していて、この島において有能で欠かせない存在だ。
 そんな彼は艦娘や霧の艦隊、島の住民やロボット達とは違った視点から物事を見て、俺に進言してくるのでかなり参考になる。
 時には優しく、時には厳しく進言してくるので精神的にダメージを受ける時もあるが、それは彼なりの信念を持って進言してくるので大いに助かっている。

 だからこそ、俺は偶に心配になるんだ。

 ただ単純に、戦闘能力だけが異常に高い俺が島のトップに立って良いのか、と。
 白ひげとの会合の時よりも、大きく成長しているがそれでも心配にはなるし、これで正解なのかと考え込んでしまう時もある。
 そんな時には、同性なのかはわからないが男としての思考を持っている彼と1対1で、俺の個人的な悩みからくだらないことまでを聞いてもらっている。

 俺としては、セバスチャンとの主従関係から親友関係に格上げしたいところだが彼は、『あくまでも主従関係の範囲です』と言ってかたくなに断っているのだ。
 まぁ、上下関係から対等に発言してくれるだけでもありがたいから、今のままでも良いんだがいつかは腹を割って話し合いたいところだ。
 彼、妙に完璧主義な部分があるからそこに行き着くまでの道のりがわからないんだけどな。

「他に何か用件は?」
「いや、大丈夫だ。呼び止めてすまなかった」
「いいえ、お気遣いなく」

 彼はそう言って、部屋を出たので俺は座っていた椅子の背もたれに寄りかかってこう言った。

「聞いていた通りだ。対象の島には、超兵器がいくつも建造されて慣熟訓練も終えているそうだ」
「思っていたよりも手強い相手になりそうだな」
「クラウスとヴォルケンさんから聞いた時は驚きましたが、この程度でしたら想定内です」
「寧ろ、対等に戦える存在がいなくて暇にしていたわ」
「どこの世界でも争いは避けられないんですね」
「本当にすまない、キリノヤマト」

 俺がそう言うとシノや大和、加賀が平然とした表情を下がヤマトはやや寂しそうに言ったため、ヴォルケンクラッツァーが謝った。
 “ヴォルケン”というのは、ヴォルケンクラッツァーの愛称であり、長ったらしい名前をいちいち言うのも面倒だと言うことでこうなった。
 他にもリヴァイアサンはそのまま、リヴァイになったので本人は嫌がっていたが島の住人には、その名前で定着してしまったので諦めているようだ。

 同席した彼女達が談笑している中、俺は原作の超兵器のことを思い出していた。

 確か、原作での超兵器の数はシリーズ合計で60個ほどの種類だったはずだ。
 しかも、この世界に同型艦などが存在していれば100前後の超兵器が存在していることになり、かなりハードな戦いになるだろう。
 できれば、全種類が揃っていないことを祈るばかりだが艦娘にも、俺なりの改造に次ぐ改造を施しているので絶望的な戦力差と魔考えずに良いと思う。
 とは言え、楽観視しすぎて旧日本軍の希望的観測や机上の空論、こうあってほしいという発想と言うものにこだわりすぎてはよくないことも知っている。

(どうしたものか………)

 俺がそう思っていると、大和達が話しかけてきた。

「クラウス?」
「何だ?大和」
「例え、強大な力を持った存在であろうとも私達の使命は変わりません」
「力無きものを守る盾となれ。クラウスが口癖として言っていることよ?」
「二度と兵器だからと言って、人々の悲しみや苦しみを無視して命令を実行するつもりもありませんし、そのような兵器がいたら戦って止めたいです」
「あぁ、私達も無駄な戦闘によって人々が傷つくのは見たくない。だから―――」


「「「「私達に命令を」」」」


 彼女達の言葉に、俺が驚いているとシノがこう言ってきた。

「クラウスが考えたり、悩んでいる間に彼女達も色々と考えているんだ。だから、ちゃんと彼女達の気持ちに応えてやりな」
「………わかったよ、わかった。俺からの命令はただ1つ」



―――――我々の目的達成のために起こり得る、全ての障害をただ進み、押しつぶし、粉砕せよ



次回投稿は、6日以降になります(唐突)

と言うのも、実は旅行で香港に行くつもりでしてその期間が、3日から5日までなのでその間はどうしても小説が書けなくなります。
そのため、6日以降10日までには投稿する予定です。
ですので、それまで待ってもらえると助かります。


ではまた次回。


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閑話 超戦艦は考える

 ヤマトside


 兵器として生まれ、妹のムサシと共にこの世界でクラウスさんに助けてもらってから、多くの出会いがありました。

 この島は、奴隷として売られようとした人や何らかの理由で、元の島では生きられなくなってやって来た人が多く暮らしています。
 そのため、私達が自分の船体を持ってこの島に来てもそれについて根掘り葉掘り、聞かれるということはありませんでしたし、嫌悪する人もいませんでした。
 寧ろ、クラウスさんが美女を3人も連れてきたとして普段通りだという反応と、艦娘達が収められている写真集の題材が増えるといった反応が半分ずつでした。

 それだけ、クラウスさんを始めとする多くのメンバーが努力して作られてきた島、と言うことがわかります。

 そして、島の住民達が口を揃えて言うのが彼と彼女達があってのこの島と言うことであり、クラウスさん達が口を揃えて言うのが力無きものを守るためにこの島を作ったと言っています。
 つまり、クラウスさん達と住民との間で信頼関係ができているのです。
 そんな住民達と、会話をしていると自分がどれだけ、元の世界で無知だったかを痛感しました。
 シノさん達も、最初は戸惑っていたと話していましたがその理由が今では痛いほどわかります。

 自分達は、撃沈されてと償えないほどの罪を犯してきたと言うことを。

 クラウスさんに、そのことを言うと『罪の意識を感じているんだったらそれを償える方法を模索した方が良い』と言って、どういったことをすれば良いのかという具体的なことを教えてくれませんでした。
 そのため、同型艦だった大和さんに聞いてみると『人間って迷ったり考えたりする生き物だから、その中で自分なりの考えや信条、正解を見つける必要だって言いたかったんじゃない?』と言う言葉が私の心に深く突き刺さりました。
 そして、自分は兵器だからと言って言われるがままに行動するのではなく、自分に合う考えや行動を模索し続けることが人生の醍醐味だ、と解釈しました。

 そこから考えると、私は人類と共に生きて人々の営みを知ることを当面の目標とすることで、心の中で何かがストンと落ち着きました。
 自己分析をしてみたら、私は目的や目標がないと落ち着かない性分なのでしょう。
 どこかしらで、焦っていたように思えますし、不安だったとわかりました。
 そこからの行動は、かなりアクティブになりました。

 まず、人々の営みがわかる場所と言えば居酒屋なんかが上げられます。
 そこでは、仕事帰りの人々やそこでお酒などを飲みたい人が集まる場所で、夜になれば色んな会話が飛び交います。
 私はそこで、色んな人と話しました。そして彼らも、色んなことを話してくれました。


 仕事や世界、彼らの過去、この島について、そして家族について―――――。


「家族について?」
「えぇ、私には妹しかいませんのでどう言ったものなのかが分からなくて……」

 翔像さんから、家族についての話を聞いていましたが実際にどう言ったものなのかが、よく分からないままでこの世界に来てしまいました。
 群像さんが乗っていたイ401のコアからも、見ていましたが彼と共に行動していたのは信頼できる仲間なので、実際の家族は見ていません。
 そのため、私は彼らに聞いてみたところ、彼らは恥ずかしそうにこう言ってきました。

「守りたいという存在であるのと同時に……帰る場所かな?」
「帰る場所、ですか?」
「あぁ、帰る場所があると人間ってのはどんな境遇でも生きていけるもんさ。例え、1人になってもな」
「………」

 彼らはそう言って、しんみりとした雰囲気からいつもの活気のある雰囲気に戻っていきましたが、帰る場所という言葉が深く印象に残りました。
 その後、居酒屋から出た私は考えをまとめるために1人で散策を始めました。
 私が出た時には、島はすっかりと夜に浸かっていて多くの人が眠りについていました。
 灯りがある場所は、さっきの居酒屋のような場所やクラウスさん達がいる基地などで、普段は賑やかな町は静かになっています。
 こういう時こそ、泥棒などが蔓延って危ないのですが程度に街灯があって、警邏のロボットが巡回しているので問題はないでしょう。

 そんな中、本拠地と同じように夏島であるこの島の夜は、風が心地よく感じられていい島です。

 その島で私は、自分が1番好きな場所にやって来ました。
 その場所は、海を見渡せる崖の上の草原です。
 この場所に夜になってから来る人はいませんし、来たとしても艦娘達だけでしょう。
 そのため、私はそこに足を運ぶと先客がいたようです。

「おや?超戦艦サマがこんな所に来てどうしたんだい?」
「あなたは……確か、南方棲戦姫さんでしたか」
「さん付けはいらねぇ。それにダニエラだ」
「すみません、ダニエラさん」

 私はそう言いつつ、前から設置してあった屋根のついた休憩所の椅子に腰を下ろしました。
 それから、私は彼女と話をしてみたら彼女も似たような悩みがあったため、そこから色んな話で盛り上がりました。




 ムサシside


 私は超戦艦ムサシ。

 元の世界では、父親と認識した翔像が艦長として乗っていた潜水艦の乗組員達の手によって、志半ばで殺されたことで暴走した。
 その瞬間、心を支配したのは悲しみと怒り、そして憎しみ。そういった負の感情だった。
 そして私は、それらに駆られて翔像が乗ってきた潜水艦を撃沈して、実のお姉ちゃんであるヤマトにまで手をかけてを撃沈した。
 あの時、世界の全てから私という存在を否定された感覚だった。

 結果的に、イ401のおかげでその解釈は誤解だと言うことが分かって、お姉ちゃんと和解して消えるつもりだった。

 だけど、私の自意識は消えずにこの世界で強制的な指示に無理矢理、やらされたからお姉ちゃんが隣にいても心が苦しかった。
 私達がやって来た(カルマ)だと思えば、気持ちが少しは落ち着いたけどそれでも延々と続く作業に嫌気が差して誰かが助けてくれないかと思う日々だった。
 そんな中、後でその海賊団の傘下に入るきっかけを作った本人が私達の束縛を解いてくれた。

 究極超兵器というジャンルで存在しているクラウス。

 彼が私達の束縛を解いてくれて、私の世界観は大きく広がったと言ってもおかしくはない。
 初めて見る人々の生活、仕事、やり取りなど、多くのことを学べてこれほどまでに楽しいと感じたことはなかった。
 そして今、私は雪風ちゃん達がいる第16駆逐隊と行動を共にしている。

「―――――だけど、こうして話してみると超戦艦だとは思えないです!」
「確かに。駆逐艦と話しているように感じるわ」
「駆逐艦レベルでムサシを作った存在ってどう言った風の吹き回しで作ったのかしら?」
「クラウスは『貧乳はステータスだ!希少価値だ!』と言って興奮していたよね」
「その後で瑞鶴さんと大鵬さん、葛城さんに殴られていたけどね」

 確かに、私は金髪で白い肌を持っているのですが同型艦だった武蔵さんは。私とは対照的に白髪の褐色肌で胸が大きかった。
 そのため、最初に会った時はいきなり胸を鷲掴みにしてしまった。
 その触感からあの胸は本物であり、その時は少なくない嫉妬を覚えました。
 同じ姉妹艦である、あっちの大和型は2人とも大きいのに私だけが小さいのは屈辱ものだ。
 と言っても、多少の演算能力を使えば体を自由に変えられるからそ、んなに気にしなくてもいいんだけど気になってしまう。

「だけど、駆逐艦と言っても大きい子もいるよね?」
「あぁ、浜風ちゃんとか潮ちゃんとか」
「ああいうのにちょっとは憧れるよねぇ」
「改装時に多少、大きくしたと言っていたけど体に負担にならない程度だったからね」
「どうせだったらもう少し大きくしても良かったのに」

 何ですって!?
 まさか、クラウスは大人の女性だけでは飽き足らず、子供である雪風達にも手を出しているって言うの!?
 マトモな人だ、と思っていたのに許せません!成敗します!

「あっ、ムサシ!どこに行くの!?」
「クラウスさんにところに行きます!」
「ちょっちょっと!理由を聞いても良い!?」
「そんな暇はありません!成敗しに行くだけです!」
「勘違い!多分、勘違いだから!!」
「止めないでください!幼女に手を出す不埒者をたたき直さないといけないんですから!!」
「大丈夫だから!変なこと、されてないから!」

 その後、5分ぐらいは第16駆逐隊と口論になってクラウスに直接、聞いてみることになった。
 執務室で執政をしていたくクラウスに、改装時にいやらしいことを駆逐艦にしていたかを聞いてみたら本人は盛大に吹き出し、秘書艦役のメンバーも苦笑いをしていた。
 結果的に、本人からの説明と秘書艦からのデータを受け取って本当だと確認したため、私はため息を吐いて一安心した。

 これで、変な情報を町に垂れ流す必要は無くなったけど、今後は要注意が必要ね。駆逐艦達を私が守るんだから!




 クラウスside


「しっかし、ムサシがあんなことを聞いてくるとは思っていなかった」
「そういった点でまだまだ子供なのかもしれませんね」
「やけど、あそこまで怒りを露わにするのも珍しいなぁ」

 俺がそう言うと、長良や龍驤達がにやりと笑って返してきたので俺はこう聞いた。

「結局、俺はどういう風に見られているんだ?」
「変態」
「スケベ」
「不埒者」
「ケダモノ」
「性欲のカタマリ」
「………泣けるぜ」

 そんな返事が返ってきたので、俺は冷めたお茶を飲みながらそういった。



待たせたな!(スネークボイス)

と言うことで、久しぶりの投稿です。
香港は楽しかったけど疲れたー。それに脂っこい中国料理を現地で食べたから腹に来た。
そんな訳で、久しぶりに投稿しました。

ではまた次回。


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第43話 戦闘準備

 大海賊時代が始まってから1年、世界は大きく震撼させる出来事が起きた。

 それは、「バスターコール失敗!?」という新聞の一面を飾っていて、人々は不安な気持ちで新聞などの情報に注目することになった。
 それと同時に、海軍中将が5名とも人質として捕まったことも載っていて、海軍史上最悪の結果と言われるようになった。
 しかし、それに対して世界政府と海軍は真っ向から否定していて、そんな事実はないと強い口調で証言した。

 とは言え、実際に海軍中将が5人もいなくなっている状況から、何かしらのトラブルに見舞われた可能性が高いと俺達は見ている。

 結局、海賊になりたがっている奴らからすると海軍が弱体化している今こそが旗揚げの時だ、と言って多くの人が海に出ることから多くの人が余計に不安がる状況になった。
 まぁ、軍艦島や配下に加わっている島々にとってすればそんな情勢とは無縁な雰囲気であり、いざとなれば鋼鉄の海賊団がなんとかしてくれると言っている。
 俺や大和達からすると、少なくとも危機感ぐらいは持ってほしいものだと思っている。

 そんな中、諜報活動の一環として大量のロボットを投入している例の島からの情報が、俺達のネットワークに上がってきた。


「………そう。中将が5人とも捕まっているんだね」
『はっ。首脳部としては世界政府との交渉材料にしたいそうです』
「彼らが望んでいるのはなんだか分かるか?」
『どうやら、七武海の参加が目的のようです』
「となれば、この世界の人からすれば2つの超兵器群を持つ組織が出てくると言うことですか」
「しかし、そんなことをすれば冷戦で対立した米ソのようにこの世界でも、無限に続く軍拡を続けないといけなくなるぞ?」
「そこから始まるのは巨大な力に怯える世界になってしまうわ」

 俺達は、自分達が持っている強大な力を見せびらかすことはせず、見せたとしても戦闘時においてその一端を見せるぐらいだった。
 理由は、あくまで人間達との共生を目指していたことであり、そのための軍艦島だったし、力無きものを守るためという目的を作った。
 しかし、ヴォルケンクラッツァーのような超兵器群を有していてそれが明るみに出れば、人々は大きく混乱することになる。

 その強大な力を持った組織に、クローバー博士と決別した研究者達が目をつけて隠れ蓑にしたのが、今回の事件の真相だろう。

 幸い、その島の最重要機密の分野まで入り込めたのでほぼ全ての情報が、俺達の手元に入るようになった。
 そこに至るまでに、千を超えるロボットを送り込んでその内の200体以上が、破壊しないといけない状況に追い込まれたからそれなりの損失になった。
 これがもし、実際の人間だったらかなり危なかったな。こっちの情報が、それなりに流れていた可能性が高い。
 実際に、CP9の職員とその長官が捕まって即刻、殺されたという情報まであるぐらいだ。

 だから俺は、ある決断を下す。

「奴らはその強大な戦力を持って、世界政府を脅迫して七武海になるだろう。そうなれば、世界は海賊王以上の混乱が起きる。だが、それだけは絶対に避けなければならない」

「総員、戦闘準備!超兵器との戦闘に備えよ!」
『はっ!!』

 俺が1回、言葉を区切ってからそう言うとその場にいた全員がそう言って慌ただしく動き始めた。
 そんな中、ヴォルケンクラッツァーとリヴァイアサンは最後まで残っていたから、俺は彼女達の近くまで行って話しかけた。

「近々、君らの仲間と戦うことになる予定だ」
「だろうな」
「今ならまだ、君らがいた島に戻れるぞ?」
「………」
「仲間にどう思われるかは知らんが、俺達の情報を持って帰ったと言うことで相手から一定の評価が得られると思うのだが?」
「それでも私は戻らない」
「………理由を聞いても良いか?」

 俺がそう言うと、ヴォルケンクラッツァーはぽつりぽつりとバスターコールが発生してから、今までの経緯を説明してくれた。
 それによると、俺達が注目している例の島にいる超兵器群と通信ができたのだが俺達に対して、大した抵抗も見せずに従っていることを逆手に拒絶されたらしい。
 まぁ、敵対するかもしれないという考えから船体を作っていないが、彼女達の演算能力を使えば駆逐艦程度なら難なく支配できるため、そう見られてもおかしくはないな。
 そして、駆逐艦と言っても俺が基本設計を練って作り上げたから、1隻でもその島に曳航できれば充分な情報が得られる。
 それをしないで、通信をしてきたのだから裏切り者だと言われてもおかしくはないな。

 そのため、彼女はこう打ち明けた。

「最初は兵器として、戦うのは当たり前だったけど今は違う。この島の人達と出会って少しは守りたいと思っている」
「………」
「クラウスが私達のことを、いつかは裏切るんじゃないかと思っているのは分かっている。けど今はこの島の人達も守るため、そして兵器としての活動を強要されている彼女達を止めたいと思っている」
「………」
「私のこの考えは間違っているのかな?」
(まさか、ここまで変わるとはね)

 俺はそう思いつつ、多少の驚きと喜びを感じていた。
 ゲームでのヴォルケンクラッツァー達は、本当に兵器として活動しているだけだったけど、この島に来て人間のことを多く学んだのだろう。
 そして、それを踏まえた上で自分の考えなりに行動しようとしている。
 それを見て、改めてこの島を作って正解だったと俺は思う。
 本拠地、という閉鎖された空間ではここまで成長しなかっただろうしな。

 そのため、それを聞いた俺はこう答えた。

「気持ちは分かった。しかし、だからといってそう簡単に戦えるようにはできない。理由はヴォルケンも分かっているように信用し切れてないからな」
「………」
「だが安心してくれ。君達が戦えるように推し進めていくからな」
「ありがとうございます」

 俺がそう言うと、ヴォルケンクラッツァーは嬉しそうにそう言って部屋から出て行った。
 それを確認した俺は、会議室から執政室に移動してから現在の彼我の戦力を確認する資料に目を通した。
 それによると、相手の島は以下の通りである。


【対象となる島に関しての中間報告】
発:潜入調査ロボット 9-63-2847号
宛:総旗艦 クラウス

対象:冬島『ミッドガル』

冬島である「ミッドガル」に関しての報告を致します。
まず、この島の人口は20万人ほどであり、その内の3/4に当たる15万人ほどが貧困層に属しています。
残りの5万人の内、知識層と呼ばれる研究者や学者などは200人程度であり、その中にはクローバー博士と決別した学者も20人ほどが含まれているようです。
そして、残りの180人の殆どが軍事関係に関わっている研究者であります。
経済の殆どが軍事だよりであるため、これと言って輸出できる要素がないので偶然にも発見した超兵器群をコントロールできるように、約50年の歳月をかけて慎重に建造していったようです。
その期間で、建造できた艦艇の数は15隻であり、殆どが戦って人が大量に死ぬことに抵抗がないようです。
そのため、戦闘をする場合は海域や天候などを慎重に選んだ方が良いでしょう。
現在、名前が判明している14隻の超兵器を載せておきますので、詳細な性能はもう1つの報告書をご確認ください。

①超高速戦艦『インテゲルタイラント』
②超巨大ドリル戦艦『超荒覇吐』
③超巨大双胴戦艦『超播磨』
④超巨大航空戦艦『ムスペルヘイム』
⑤超巨大戦艦『ルフトシュピーゲルング』
⑥超巨大高速空母『超アルウス』
⑦超巨大氷山空母『ハボクック』
⑧超巨大強襲揚陸艦『デュアルクレイター』
⑨超巨大ホバー戦艦『アルティメイトストーム』
⑩究極超兵器『フィンブルヴィンテル』
⑪超巨大高速潜水艦『アームドウィング』
⑫超巨大高速潜水艦『ノーチラス』
⑬超巨大潜水空母『ドレッドノート』
⑭超巨大攻撃機『フォーゲルシュメーラ』


 思っていた以上に、厄介な超兵器がいくつかあるな。
 巨大な攻撃機もそうだが、何よりもヴォルケンクラッツァーの姉妹艦であるルフトシュピーゲルングは、波動砲の代わりに重力砲を搭載しているから面倒なだ。
 多分、俺とこいつが対峙して戦うことになったら他の戦闘に気が回らない可能性がある。
 そのため、戦闘は慎重にやらないといけないので演算をフル稼働して、作戦を練っていった。

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第44話 暴力とは

 本拠地


「調子はどうだい?」
「何とか、全てのプロテクトは解除できましたが起動するシークエンスがまだです。と言うよりも、それらしいものがなくて行き詰まっていますねぇ」
「彼女達を見つけてから1年以上、ずっと眠り姫の状態か」
「何かしらのきっかけがあれば起動すると思うですが、まだ何も」
「そうか……しばらく様子を見ていてくれ」
「了解」

 ミッドガルとの戦闘前に、急に本拠地を見て回りたくなった。
 そのため、執政の方はセバスに任せて艦娘達には本拠地に向かうと伝えてから、俺は単独で本拠地に足を運んだ。
 今も、眠り続けている紀伊達の状況を聞いた後で俺は、本拠地に地下に設置してある施設を見て回っていた。
 この世界に来てから約20年、実年齢は40手前のおっさんとなっているが見た目は、この世界に来た当初から変わっていない。
 それを言うなら、大和の様な大型艦はほぼほぼ変わっていないし、駆逐艦である雷なんかも胸を少し大きくした程度で身長は変わっていない。

 そのため、少し前になんで身長を大きくしないのかと聞いてみたら、『この方が何かとやりやすいのです』と言っていたのでそれ以上は聞かなかった。
 まぁ、同じ幼女であるムサシと一緒に遊べなくなるのはつらいだろうし、意表を突くと言う意味でも丁度良いかと思っている。身長を変えたくなったら、彼女達から言ってくるだろうしな。
 そして、この施設群も部品交換やシステムの改装によって最初の頃とは違って見える。
 と言っても、よく見ないと分からない程度だがな。

 なんやかんやでここまで来たことを誇らしく思いつつ、歩いていると急に元の世界に残してきた家族のことが気になった。
 この世界に来る前の家族は、日本にいる一般的な両親で日本人だった。
 他には兄貴が1人で妹が2人の4兄妹で、俺が事故に遭わなければ彼らは普通に社会に出て家庭を作っていたと思う。
 俺が死んだことで、それなりのショックは受けただろうがそれでも前に進むだろう。兄妹は意外とタフだし。
 今となってしまえば、名前は勿論だが顔すらも思い出せなくなっているから、そっちで頑張ってくれとしか言いようがない。

 俺がそう思っていると、通路の反対側からシノ達がやって来た。

「シノとシノブか、どうした?」
「ヴォルケン達についてです」
「クラウスのことだからただでは船体を渡さないんでしょうが、その意図に関して聞きたい」

 シノ達が真剣な顔でそう聞いてきたので、俺は壁に寄っかかりながらこう言った。

「ヴォルケン達は、ミッドガルにいる超兵器と秘匿通信で連絡を取っていたのは知っているな?」
「えぇ、潜水艦隊の艦隊旗艦を任されてから通信に関しての情報収集を主にやって来たから」
「そしてあなたはこう思った。ただ単に話し合うなら秘匿通信は使わないだろう、と」

 そう。単純に、話し合って説得するんだったら普通の通信を使っても問題はないはずだ。
 寧ろ、そうした方が公然性が出て現実味があふれるし、言い訳をしないようにそうしても良いのだが、ヴォルケンクラッツァーが行ったのは暗号化された通信だ。
 そうなると、こっち側に協力してもらうという説得が怪しくなるし、彼女達を微塵も信用できる要素がなくなる。

「それを踏まえた上で、ナノマテリアルで作ったエンジンと主要なエネルギーの経路を船体に組み込むつもりだ」
「そうすれば、いざという時に不活性化すればただの鋼鉄の塊になると言うことですか」
「現時点で彼女達に撃てる最大の攻撃であり、防御でもある……結構、えげつないですね」
「現状、これが被害を最小限に抑えることができる方法だからな」

 俺の説明を、冷静に分析したシノ達がそう言ったので俺がそう返すと、彼女達は息を吐いて一安心したようだ。伊達に、十数年も国を引っ張っていないからな。
 表面では、相づちを打ちなから心の中では疑って掛かることが癖になっている。

 そんな訳で、ヴォルケンクラッツァーとリヴァイアサンの船体について、シノ達と共に詳細を詰めていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 本拠地海域


「上手く動かしているようだな」
「えぇ、本格的なジェット機の導入によってどうなることかと思いましたがなんとかなりました」
「演算でも特に異常なし。実戦でも問題なく稼働できるな」
「全ては守りたいもののために、というのが私達の間での暗黙の了解ですから」
「その中に俺も入っているのかねぇ?」
「あなたが?まさか。寧ろ、暴漢から守って下さい」
「デスヨネー、知ってた知ってた」

 俺と加賀とで、そんなことを言い合いながら彼女の艦隊の演習をレーダーで捕捉していた。
 彼女達に搭載したのは、F/A18スーパーホーネットのような形をした純粋なジェット戦闘機であり、それまでの烈風や流星のようなとってつけたような戦闘機ではない。
 理由は、高出力のジェットエンジンに対応できる機体を設計にしたからであり、それをメインに生産を開始している。
 その機体の名前は、蒼雷(そうらい)と言うのだが某艦隊に出てくる奴ではない。
 そもそも向こうのは漢字が「蒼莱」だし、震電の生まれ変わりだし、機銃が57㎜とかちょっとした速射砲や戦車砲レベルの太さだ。

 対して、こっちのは各種ミサイルや爆弾などを合計で8トンまで搭載可能だし、アフターバーナーを使えば音速の2倍の速度が出せるし、弾の太さが30㎜で7砲身のガトリング砲を1基しか搭載していない。
 ここで注意なのだが、多砲身で回転式の連装砲をまとめてバルカン砲と呼ぶ傾向があったが、正式にバルカン砲と呼ばれていたのはM61という弾の太さが20㎜の6砲身のガトリング砲だけだ。
 それ以外は基本的に、ガトリング砲と呼ぶのが正しい。
 と言っても、この世界ではそう言ったことは些細なことではあるんだがね。

 そんな訳で、戦闘前に艦娘達の最終調整を全ての箇所を精密に行った。

 こう言うのは、遠足の前日になかなか眠れずに荷物の準備をこれでもか、と言うぐらいに行う子供のような感じだ。
 実は、俺もその1人でこう言うのは気になって仕方ないのだ。
 だからこそ、慎重に作業をしているのだが一通りの作業を終えても、全ての艦娘と深海棲艦達にエラーというエラーが出なかったので問題はないだろう。

 これらの検査を、数日をかけてじっくりとしてから艦娘達と軍艦島に戻ってきた訳だが、帰ってからすぐにセバスチャンから報告があった。



「報告します。ミッドガルが鋼鉄海賊団に対して宣戦布告を致しました」
「……ついに来たんだね?」
「はい。五老星からも自分の地位を守りたければ戦うようにとの通知が来ました」
「……………」

 本音を言ってしまえば、血が流れて人が死ぬような争いは嫌いだ。この世から消えてなくなれ、とすら思っている。
 だが、元の世界でも主義主張が違っているが故に死人が出る争いは起きているし、喧嘩なんてものは日常茶飯事だ。
 それは、この世界でも変わらない。
 いや、もはや人間の本質が暴力とは切っても切れない関係なのかもしれない。

 意外かもしれないが、暴力自体に善悪はない。

 そもそも、平和的かつ冷静に対話するには自分自身を守るためにも、相手と同等かそれ以上の力を持っていなければならない。
 その関係は、行使する側と行使される側とで判断がされるからであり、ある国では英雄として崇められたとしても別の国では犯罪者として扱われるかもしれないからだ。
 そして、暴力は自分自身の欲望のためや時には他者を守りたいために発生するのであって、自分自身を含めた何かを肯定するためのものだ。
 それ自体は、どうしようもなくわがままで身勝手なものだが、個人的には戦争が起きた場合は大いに助かっている。

 何故なら、俺のことを慕ってくれている奴らを守れるからだ。

 その上で、俺はセバスチャンに指示を出した。

「艦隊に属している全ての奴らを集めてくれ」
「生身の人間も、ですか?」
「勿論だ」

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第45話 演説

 軍艦島 講堂


 本来ならば、俺がここは新年の挨拶などのイベントぐらいでしか使わないのだが、今はそんな悠長なことを言っている暇はない。
 何しろ、ミッドガルからの宣戦布告と五老星からの勧告によって戦わないと、七武海の地位を失って世界は混沌とした状況になってしまう。
 恐らく、五老星からして見たら俺達と彼らの軍事力はどちらも超兵器ではなく、自分達の手には追えないから自分達で潰し合って貰えると万々歳と言ったところだ。
 そのため、戦うに当たって五老星にある要求をした。

 それは、この戦いに勝ったら独立国として世界政府から認めてもらい、その上で世界政府の傘下には入らないというものだ。

 そんなのは認められない、と言われたが要求を呑まなければマリージョアを更地にした上で、天竜人を皆殺しにすると言うと渋々ながら認めてくれた。
 そこから、彼らは俺達の実力を再認識した。
 今の俺達は、七武海と言う称号をもらって世界政府の指揮下に入っているが、その気になれば反逆出来ると暗に伝えたのだ。
 その結果、自分達や天竜人が死んで世界が混乱するよりもまだ、自分達の指揮下に居てくれた方が安心と思ったはずだ。
 まあ、脅迫とも取れる今回のやり取りは俺達に対抗できる力を持たない彼らにとって、飲まざるを得ない要求だった。

 それに、もしも俺達が勝った場合なので負けた場合は、要求をスルーできる余裕があると言うことを示唆している。
 いくらなんでも、余裕がない要求は突っぱねられる可能性が高いので、そこまでは鬼畜の要求ではないはずだ。
 俺がそう思っていると、大和から全員が集まったと言う報告があったので皆の視線が、俺に集まる中で戦闘前の演説をすることになった。

(えーっと、こう言う場合はどうするんだっけ?普段はしっかりとした内容なのだが、全面戦争の時の演説って初めてだからよくわからん。はっきりとしているのは……)


「諸君、俺は……戦闘が好きだ」
『!?』


 あっ、ヤベェ。言い方をミスった。
 普段から、こんなことを言わないから好きだった演説を言ってしまった。だが、もう後戻りできないから言いたいことを全部、言ってやる。
 それに、今の俺には彼女達の指揮向上ぐらいのことしか言えないから、冷静に言葉を紡ぐ。


「諸君、俺は戦闘が好きだ。諸君!俺は戦闘が大好きだ」

「駆逐艦が好きだ、軽巡洋艦が好きだ、重巡洋艦が好きだ、戦艦が好きだ、軽空母が好きだ、正規空母が好きだ、潜水艦が好きだ、重武装の巡洋艦が好きだ!
 本拠地海域で、軍艦島海域で、海軍が保有している島の海域で、中立を保っている島の海域で、敵対している島の海域で。この海上で行われるありとあらゆる戦闘行動が大好きだ」

 俺がそう言うと、何人かの乗組員が失神して倒れた。
 しかし、俺は演説をやめる気は毛頭にないし、何人かの艦娘も嬉しそうに頷いている。

「戦列を並べた戦艦の一斉発射が、轟音と共に敵艦を吹き飛ばすのも好きだ。
 空中高く噴き上がる水柱と共に、敵艦が味方の砲撃でバラバラになった時など心が踊る!」

 そこで一旦、言葉を区切ると静かに嬉しそうな口調で続ける。

「水雷戦隊の操る魚雷の一斉発射が、敵艦隊を撃破するのが好きだ。
 爆発音を立てて燃え盛り、船体が沈む運命から必死に逃れようとする敵艦を、太さが61センチの魚雷でなぎ倒した時などは胸がすくような気持ちだった。
 舳先を揃えた駆逐艦の横隊が、敵の戦列を蹂躙するのが好きだ。
 恐慌状態の駆逐艦が、効くはずもない戦艦相手に何度も何度もミサイルを撃っている様などは感動すら覚える」

 そして、今度は楽しい感情をやや表に出したように口調を変えた。

「敗北主義に染まって逃げようとする敵艦を、潜水艦の魚雷で海底に引きずり込んでいく様などはもうたまらない。
 わずかに残った敵艦が、俺が出した追撃の指示と共に容赦ない砲雷撃でばたばたと沈められるのも最高だ。
 哀れな敵の小艦隊が、雑多な武装で健気にも立ち上がってきたのを空母の攻撃隊が敵旗艦ごと、木端微塵に粉砕した時などは絶頂すら覚える!」

 それまでの口調から、打って変わって気持ちが沈んだ口調でこう言った。

「敵の超兵器群に滅茶苦茶にされるのが好きだ。
 超兵器を沈めるはずだった攻撃隊が墜とされ、逆にこちらが攻撃を受けて撃破される様はとてもとても悲しいものだ………。
 敵の物量に押し潰されて、疲弊するのが好きだ。
 沈めるはずの敵に追いまわされ、ぼろ雑巾の様に大破させられるのは屈辱の極みだ」

 その口調から反転して、やる気のある口調で続ける。

「諸君!俺は戦闘を、地獄のような戦闘を望んでいる。
 諸君、俺に付き従う全ての戦友諸君。君達は一体、何を望んでいる?
 ボロボロになりながらも、輝かしく勝利する戦闘を望むか?それとも情け容赦ない砲火によって、犬の糞の様な敗北をする戦闘を望むか?
 鉄風雷火の限りを尽くし、守る者のために互いに傷つけ合って沈め合う嵐のような闘争を望むか?」

 俺がそう言うと、彼女達はこう言った。

『勝利を!私達に勝利を!あなたに勝利を!』
「よろしい、ならば戦闘だ」

 彼女達のテンションに、やや引きながらもそれを表に出さず、握り拳を作って演説を続けた。

「我々は満身の力を込めて、今まさに振り下ろさんとする握り拳だ。
 だがこの世界で20年近くもの間、世界政府の良いなりをして耐え続けてきた俺には、ただの戦闘ではもはや足りない!!」

 そして両方の握り拳の内、左手を開いて斜め下に振り下ろしながらこう言った。

「大規模な戦闘を!!一心不乱の大戦闘を俺は望む!!」

 そう言い切ってから、真剣な表情で演説を続ける。

「しかし、我らはわずかに200隻強の艦隊に過ぎない。
 だが諸君らは、一騎当千の古強者だと私は信仰している。
 ならば我らは、諸君と俺とで総兵力二十数万と1隻の大規模な艦隊となる」

「我々を都合の良い化け物とその乗組員だと思い、眠りこけている連中を叩き起こそう。
 髪の毛を掴んで引きずり降ろし、眼を開けさせて思い知らせよう。
 連中に恐怖の味を叩き込んでやる。連中に、我々の波を切るの音を思い知らせてやる」

 そして、今度は熱にうなされているように言葉を紡ぐ。

「天と海の狭間には、彼らの哲学では思いもよらないことがあることを思い知らせてやる。
 200隻強もの艦隊で彼らの理論を燃やし尽くしてやる」

 そこで再び、言葉を区切ってから今度は待ち望んでいたものが来たかのように艦娘達に言った。

「そうだ、これから起こる戦闘は我々が待ちに望んだ本来の戦闘だ。
 俺は君らを連れ戻してきたぞ?あの懐かしの戦場へ、あの懐かしの戦闘へ」

『クラウス殿!クラウス!総旗艦!総旗艦殿!連合艦隊総旗艦殿!』
「艦隊を構成している各員に伝達、総旗艦命令である」



「さぁ諸君、大切なものを守るぞ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「クラウスさん」
「あぁ、ヤマト達か。すまんな、変な演説をして」
「それは良いんだけど………あんなことをして大丈夫?」
「うーん、それがわかんない」
「「えっ?」」

 俺がそう言うと、ヤマトとムサシはびっくりしたかのようにそう言って俺を見てきた。
 正直、戦意向上のためにあんな演説をしたが戦闘終了後に、どうなるかが分からないんだ。
 まぁ、悪いようにはなっていないから問題ないと思うが、彼女達が暴走したら面倒になることは間違いない。
 そこで俺は、彼女達に頼み事をした。

「最悪の事態は避けたいが、彼女達が暴走したら手伝ってもらっていいか?無理だったら他のメンバーに頼むけど」
「………理由を聞いてもいいですか?」
「私も知りたい」

 ヤマト達が、そう聞いて来たので俺はこう言った。

「今回の戦闘は今までの情報によれば総力戦になるから数的に足りない場面があるかもしれない。だから比較的、自由に行動できて艦娘ではない君らの協力が必要だ」
「……………」
「こんな理由じゃダメかな?」

 俺がそう言うと、ヤマト達は2人だけで話し合ってから俺に答えてくれた。

「その話、引き受けさせてもらいます」
「うん、冷静に考えて戦える人はいくら居ても問題ないしね」
「ありがとう、2人とも」

 こうして、戦闘の準備が着々と進んでいってミッドガルとの戦闘が始まろうとしていた。



 HELLSINGに出てくる少佐の演説を、主人公達が置かれている状況に合わせて言わせました。
 途中から、主人公のキャラがコレジャナイとかなり感じましたが、少佐の演説を1回でもいいから入れたいなぁと思って書きました。

 次回はまた、今まで通りにやっていこうと思いますのでそれまで待って頂けるとありがたいです。


 ではまた次回。


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第46話 初めて人間を乗せる

投稿遅れてすみませんでしたァ!
体調が悪くてなかなか、筆が進まなかったんです!
許して下さい、なn(ry

コホン、それはともかく

実際に、ノロウイルスに掛かったので下痢が酷すぎたんです。
そのおかげで、SAN値がゴリゴリ削られていったので書く気になれなかったのが、遅れた最大の要因です。
最初は、インフルエンザを疑ったんですが下痢が止まらなかったので、ノロウイルスだと断定しました。
今でも止まらないから、本当につらい………


では、始まりますよ~


『両弦、前進原速!』
『艦隊は輪形陣を取れ』
『各艦隊との通信は良好』
『冬島「ミッドガル」を最終目的地と設定せよ』
『敵超兵器との会敵予想時刻は―――――』

「艦長、全ての艦隊が出航したようです」
「分かった。艦内のシステムを確認してから出発するぞ」
「了解しました。対空、対水上警戒を行いつつ、予定航路を進行します」
「レーダー、ソナー、共に問題なし」
「火器管制、異常なし」
「エンジン出力は安定しています」
「艦内システム、オールグリーン」
「了解………究極超戦艦「クラウス」、出航!」

 俺がそう言うと、軍艦島の軍港に設置して船を固定しておく埠頭の第1バースから出航した。
 それと同時に、俺が戦闘態勢で出航するのをひと目見ようと大勢の住民が、音楽と共に声援を送って見送りに来ていた。
 特に、こちらから何かを言った訳ではないが奴隷となった奴らの中には特定の分野のプロがいて、同じ分野のメンバーが結束してそれぞれの専門学校を申請してきた時にはまさか、独自の文化にまで発展するとは思っていなかった。
 とは言え、国家運営なんてものはそれぞれの分野で専門を極めたメンバーが、集まって来ているのだがその中心は俺達が握ったままだ。

 いずれは、人間主導の国家運営を目標としているがそれは当面、先の話だ。

 何故なら、人間からすれば俺達が王様な訳で彼らの中に独立したい、という気持ちがない限りはいくら独立させたとしても無意味になるからだ。
 こう言うのは、気長に待つのが1番良いと思っている。


 それはともかく


 ミッドガルにいる超兵器との戦闘前に、前々から行っている乗組員の育成が一段落したので各艦隊に乗せて経験を積ませようと思っている。
 何故なら、彼女達が乗組員になってからの数年間、互角に戦う艦隊戦を演習だけでやっていた。
 そのため、彼女達は実戦というものを知らない。
 知っていたとしても、あくまで海賊船を蹂躙しているのを映像越しで見ているだけだ。
 だからこそ、彼女達に実戦の怖さを知ってもらう必要がある。
 自分達だけが、安全な場所で戦っているんじゃなくて攻撃が当たれば血が出て、反対に受ければそれ相応の傷みがあるのを知ってもらいたい。

 それを作戦会議で言うと、艦娘達から猛反対を食らった。
 そもそも、人間と艦娘や深海棲艦、ヤマト達とは圧倒的な力の差や肉体の脆弱性があるため、決戦前に人間を乗せることなんてもっての外だった。
 艦娘達がいた世界の、提督だった人間も艦娘からすれば虫けら同然だが反乱をしなかったのは、人間に対してセーフティが働くからだ。
 無論、この世界では何が起こるかが分からないのでセーフティは取り外して好きな時だけ、各自がコントロールできるようにしてある。

 そんな彼女達にとって、今の乗組員の練度は中の下からよくて上ぐらいだ。
 そのため、練度の低い乗組員を決戦に連れて行くなんて考えられないのが彼女達の考えだが、そんな彼女達にこう言い返してやった。

『乗組員は自身の安全を顧みないことを決めている。ならば彼女達は保護の対象ではなく、俺達と一緒に戦う同志だ。そんな同志を信用できないのかい?』

 俺がそう言うと、艦娘達は反対意見は大分収まったがそれでもまだあったのでさらに続けて言った。

『今回の戦闘に連れて行かないと、いざという時に何が何でも守ってくれるという勘違いをされかねない。乗組員達がそう思い始めたらもう止められない。緩い空気が蔓延するだろうな。俺はそんな状態で航海をしたくないから全員を強制的に降ろすけどな』

 俺がそう言い切ると、艦娘達からの反対意見がなくなったので無理矢理ではあるが、乗組員をそれぞれの艦隊に乗せることができた。
 俺の艦隊には、ヴォルケンクラッツァーとリヴァイアサンがいるのだが鳳翔と大鷹は、補給艦兼空母と言うことで補給艦の神威や速吸、給糧艦の間宮や伊良湖、工作艦の明石などと編成された補給艦隊を臨時編成して後方援護に回ってもらった。
 互いの戦力が互角だった場合、補給部隊が最も攻撃対象になりやすいので想定し得る戦闘に対しての装備を鳳翔達に搭載してあるから、神威達よりも補給物資は少ないがそれでも貴重な戦力だ。

 その艦隊には、乗組員達は乗っていないがそれは補給を円滑にするためであり、戦闘においても一番安定するだろう。

 そんな俺に乗っている乗組員は11名で、その内訳は艦長補佐の他に副長兼船務長を始めとする船務科が3名、砲雷科に2名、機関科に3名、フロート付きの航空機も扱っているので航空科に2名だ。
 艦長補佐なら副長がいる、と言う意見は最もだが彼女達もいつかは自分の意思で船を動かすことを目的にしているので、艦長と言うのはどういったものかを知ってもらいたくてそう言った役職を与えた。
 そのため、第一艦橋には機関長以外の人員が集まっている。
 これはいざという時に、迅速に動けるようにするのと戦闘時にどうなっているかを直に体験してもらう、という目的がある。
 その結果、機関室には三等身ほどの小さい俺の分身体を複数体、配備して機関長の手助けをしてもらっている。この方が、彼女もやりやすいだろうしな。

 その結果、初めて生身の人間を入れているのだがそのスタートダッシュはうまくいったようで、これと言った異常は見られずに夕食になった。



「えーっと、明日から戦闘に突入するんだが今から気張っても仕方ないので今夜はしっかりと休んで、明日から頑張りましょう。では、いただきまーす」
「「「「「いただきまーす」」」」」

 俺がそう言ってから、夕食にありつくと乗組員達も夕食を食べ始めた。
 乗組員との顔合わせは、出発する前に済ませていて互いの挨拶もし終わっているので、こう言った挨拶でも問題ない。
 そもそも、彼女達は訓練兵の中でもトップレベルの成績を残していて、演習でも仮想海域での戦闘訓練も他のチームに比べてかなりの差をつけて勝っている。
 後は、実戦を経てどう思うか、だ。
 正直に言えば、この戦闘で俺達に嫌気がさして去ってしまうケースが演算の結果として、ある程度の結果が出ているのでどこまで彼女達を引き留めておけるかが課題だ。

 とは言え、理想と現実の差を知って離れていく乗組員達を止められる術を俺は持っていないので、離れていくのは仕方ないと思って割り切るしかない。
 艦娘達の反対を押し切って、乗組員を危険な戦場に連れて行くと言い出したのは俺な訳だし、それで悪く言われることも清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)つもりでやっていかないと先が続かないだろう。
 イヤなことは可能な限り、やりたくはない上に避けたいのだがここまで来たら腹を括って物事に当たるしかないと思いつつ、話をしていく。

「そう言えば、俺の船体に乗ってみてどう感じた?」
「どう、と言うと?」
「乗り心地はどうだとか、システムはどうだとか、色々と思ったことを忌憚のない感想で教えてくれたら良いな」
「………この船はとにかく、大きいですから移動時間をなるべく少なくしたいですね」
「確かに。わざわざ、第一艦橋まで上るよりも司令室みたいな場所に移動できたら良いなぁ」
「飛行科からは半自動でセッティングが出来るようにしてもらいたいね」
「機関科としては―――――」

 とまぁ、乗組員がやりやすいように艦内のシステムを弄っていくために、意見交換をしていった。
 その結果、夕食の後にも意見交換が続いていって最終的には艦娘達との恋愛関係や、肉体関係についての恥ずかしいやり取りが消灯前まで行われた。

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第47話 超兵器との戦闘

「まもなく、超兵器がいるとされている海域に突入します」
「総員、警戒レベルを3にして待機しててくれ」
「了解。総員、警戒レベル3を維持するように伝えます」

 超兵器は、動作している時に多大なノイズを発生するのでレーダーやソナーに引っかかりやすい欠点がある。
 しかし、それを補って余りある戦闘力があるから超兵器と呼ばれるのであって、決して海軍の中将クラスが弱いわけではない。
 特に、この時期は後の大将となるサカズキやクザンが中将としてやっているので、単独の戦闘力では億単位の懸賞金がかけられている海賊達を、1人で捕まえることができるのだからかなりの腕っぷしなんだがそんな彼らよりも超兵器の方が強かったと言うことか。
 そのため、かなり激しい艦隊戦となるので俺に乗せている艦載機に偵察として飛ばしている。

「艦載機の調子はどうだ?」
「今の所、異常は見られません。このまま、順調に行けば後3時間は飛ばせます」
MAD(磁気探知機)にも引っかかってないのか?」
「特に変化は………っ!」
「でかい反応があり、だな。方角まで絞り込めるか?」

 艦載機に、搭載した磁気探知機に反応があったのでソナー手の娘にそう聞くとこう返ってきた。

「11時の方向、距離は30キロです」
「敵に変化はあるかい?」
「いえ、本艦のソナーと照らし合わせてみると依然として無音潜行中だと思われます」
「そのようだな。よし、戦闘配置を発令!総員、配置についてくれ!」

 俺がそう言うと、第一艦橋に設置してある数少ない照明は赤色灯に切り替わって、戦闘準備を知らせる音が館内に鳴り渡った。
 それと同時に、使っていない区画の隔壁が自動で閉まって移動に必要な通路以外の被害の拡大を最小限にした。
さらに、第一艦橋にいないメンバーは前部艦橋の下の方にある司令塔に集まって、状況を逐次わかるようにしてもらっている。
 ついでに、戦闘が長引く場合は2時間毎に交代してもらうことになっているため、人数的に余裕があると特定の部署が空くことがないようにできるから有難いな。

 そんな訳で、戦闘配置が完了すると艦長補佐がこう聞いてきた。

「クラウスさん、これからどうするんですか?」
「そうだな、まずは叩き起こそう」
「叩き起こすって……どうするんです?」
「浸食魚雷を使うのさ。目覚めの1発には丁度良い」

 俺がそう言うと、艦長補佐が何かを言いたげにしていたので艦の装備を確認する。

「全艦の状況報告」
「主砲徹甲弾800発、主砲榴弾1600発、通常弾頭ミサイル1000、通常弾頭魚雷500、浸食弾頭ミサイル2000、浸食魚雷1000、アクティブデコイ50、音響魚雷50、チャフ130、フレア100、その他の火力は100%を維持しています」
「とまぁ、これだけの火力がある以上は寝起きの1発をやっても問題はない。他の艦隊も、交戦海域に到着している以上は戦いの狼煙を上げるのも悪くはない」
「ですが………」
「それともあれかい?ここは素通りして戦力温存と能力を分からなくさせるのかい?」
「………分かりました。艦長の好きにしたら良いでしょう」
「話が早くて助かるよ」

 俺が艦長代理にそう聞くと、彼女はしどろもどろになった末に俺のやり方に賛同してくれたので戦闘開始のゴングをこちら側で叩くことにした。
 その結果、右側の船体から一筋の白い煙と共に赤紫色に塗られたミサイルが飛んでいき、潜水している敵艦の近くに着水してそいつの土手っ腹に直撃した。
 すると、力場が発生してそいつの右舷は大きくえぐれたようなので急速浮上した。

「艦種判明!超巨大潜水空母『ドレッドノート』!」
「潜水艦か……良いカモだな」
「となると、レーザーによる攻撃でやるんですか?」
「当然だな。敵がどのレベルまで超兵器群を建造しているのかが興味ある。副長、指示を頼む」
「総員、対水上戦闘を行う!準備せよ!」
「では諸君、掛かるぞ!」

 俺がそう言うと、第一艦橋にいたメンバーと司令塔にいたメンバーとで役割分担を行いつつ、ドレットノートを撃破していった。
 ドレットノートは、潜水艦というよりは戦闘艦のように砲撃や魚雷、ミサイルで応戦しようとしたが魚雷の場合は速度が遅い上、ミサイルは1発ごとの威力が低いのでクラインフィールドを飽和させるほどではなかった。
 対艦ミサイルは、対空ミサイルよりも炸薬の量が多いと言ってもあくまで火薬の類いを爆発させているだけなので、浸食弾頭ミサイルと比べると威力はかなり低い。
 砲弾に至っても、太さが50.8㎝と言っても俺達のように高い科学技術や工業力が内容なので、俺達からすると粗悪な砲弾が飛んできているように見えた(それでも充分に威力はあるが)。

 その結果、戦艦同士での殴り合いやミサイルで駆逐艦などを撃沈させたりしているのは、工業力が同等な組織同士での争いや装甲をなくして機動力を上げている現代艦に対してのみ、有効なのでクラインフィールドという鉄壁の防御がある俺達には通用しない。
 そのため、俺達の攻撃によってドレットノートの船体には無数の貫通した穴が開いてそこから大量の海水が浸入、エンジン部分にも被害が及んだようで最終的には盛大に爆発することになった。

 と言っても、爆発する前に救命ボートが出たのを確認しているので、そいつを回収してから次の海域に向かうことにした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「それで?圧倒的な差をつけられたから降伏すると?」
「えぇ、そうよ」

 俺が拾い上げたのは、イギリスの戦艦であるドレットノートから来ているようで、イギリスでの女性使用人のような格好をしている。
 メイドの制服は、国によって変わってくるのだが一般的なイメージは18世紀のイギリスで当時、働いていた女性使用人が着ていた服から発展して来ていることが多い。
 当時は、鉄道がイギリスの国中に張り巡らされるほどの産業革命だったから、7つの海を支配した大英帝国なんて言われることもある。
 俺が転生する時は、欧州連合からの離脱だのなんだのでゴタゴタ揉めていた気がするが、そんなイギリスにも栄光の時代はありました。


 それはともかく


 メイド服を着たドレットノートを尋問して、ミッドガルや彼女以外の超兵器に関しての情報を聞き出している最中だ。
 彼女曰く、国としての工業力は彼女達を満足できるほどではなく、本来の出力の80%しか出せない上に国民も飢えているとのことだった。
 そのため、今回の戦闘で七武海になった時点で周辺の島を襲撃して、食糧の確保に移ろうとしていたらしい。
 しかし、その計画も俺達がいては邪魔になると言うことでバスターコールを利用したが、あり得ないぐらいに高い工業力を持っている俺達と戦っても勝ち目はない、と彼女達は分かっていたらしい。

 どうやら、捕獲した諜報活動をしていた俺達のロボットの内部構造を見て、まともに戦っても勝ち目がないから彼らの傘下に入ろうと進言しても全く聞き入れられなかったらしい。
 そうは言っても、今までの戦闘や組織間での関係があまりよろしくなかったのでそう簡単には、信じられないからしばらくは捕虜を収容するための部屋に入ってもらうことにした。
 必要に応じて、彼女や他の超兵器に乗っていたメンタルモデルを交渉材料にできる。

 何故なら、他の艦隊でも超兵器と接触して無事にそのメンタルモデルなどを確保した、との報告があったので第一関門は突破したことになる。
 となれば、幸先の良いスタートとなったのでこのまま、ミッドガルに向けて進むだけである。



主人公が持っている弾薬数は結構、適当で書きました(唐突)

まぁ、あくまで架空戦艦なのと乗り込んでいる人数がそれほど多くないことからこうしました。
大和型の数倍の大きさを誇る戦艦とか、どこの氷山空母だよとツッコミたくなります(日本も排水量50万トンの戦艦を計画していたようですが)。
とは言え、巨大戦艦にはロマンを感じるのは作者だけではないと思います。

そんな中、あっさりと負けてしまったドレットノートェ………
どこぞやの即堕ちシリーズみたく、アルペ組と同等な技術力には勝てなかったよって感じです。


そんなこんなで、ではまた次回。


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第48話 順調に作戦を消化中

 概念伝達空間

 ミッドガルとの戦闘で、それぞれの艦隊で起こったことを報告し合うために艦隊旗艦が勢揃いして話し合っていた。
 とは言え、超兵器との戦闘は初日を終えただけなので消費した弾薬はそれほど多くなく、この日に戦いが起こったのは俺の他に2つだけだった。
 そのため、自然な流れで捕虜とした超兵器達のメンタルモデルへと話が変わっていった。

「俺のところはメイド服を着たイギリス娘だったが、皆はどうだった?」
「こっちはホバー戦艦?だったんだが、どこにでもいるアメリカ娘だったな」
「私達のところは高速戦艦だったから久々の艦隊戦になったわ。ラテン系の女性だったけど」

 俺が質問すると、第1艦隊の旗艦である大和と第2艦隊の伊勢がそう言いながら、俺にデータを概念伝達で渡してきた。
 すると、伊勢の方はアメリカ人っぽい感じで“アルティメイトストーム”という名前だった。
 ホバー戦艦なだけあって、ビキニ姿だったがアイオワほどのスタイルではないな。彼女は本当に、バランスのとれたアメリカ人女性だなと改めて感じさせられた。

 一方、大和達が戦っていたのは“インテゲルタイラント”という名前で第一印象は、女性版アーカードの旦那みたいな感じだ。
 まぁ、向こうは吸血鬼の上に圧倒的なライフポイントと馬鹿力なため、吸血鬼の中ではチートだと思うが彼女の場合はそこまでの体力はなかったようだ。
 あんなのがゴロゴロいたら、この世界はマジで崩壊するかもしれん。本人は、戦闘と認識する以外での無駄な殺生はしない主義だが。

 そんな訳で、初戦から完全勝利する形で終わったがそれはあくまで、こっちの技術力が艦娘達をちゃんとフォローできるレベルだった、と言うことを俺が注意しながらゆったりとした空間になった。
 本来であれば、戦闘終了の度に集合して皆で話し合うのだが今回の場合、同時並行で航行して敵に反撃の隙を与えないようにしているので集合ができない。
 そのため、本来の艦隊同士の距離は100キロ以上は離れているのでおいそれといって、合流することはできない(頑張れば何とかできるけど)。

 今回の戦闘結果で、名前が判明している超兵器の14個の内、3つが捕虜として捕まえたので残りは11個になるが名前が未だに分からない超兵器があるのでちょっと不安だ。
 最悪、弾薬を消費しきった後での究極なまもの兵器だったら爆笑しながら、艦隊運用をする必要が出てくる。
 何故なら、設定ではリヴァイアサンの数倍の強さがあるらしいので小型艦である雷達では、太刀打ちできないかもしれないからだ。
 いくら、元の性能よりも圧倒的に強化したとしても駆逐艦は駆逐艦だ。
 装甲なんて無いに等しいし、ミサイルは使い切った後だと仮定すると主砲では威力不足だ。
 となれば、単なる鋼鉄の船を盾にするよりかはとっとと片付けた方が良い。

 そう思いつつ、彼女達と会話しながら消灯時間になるまで一緒にいた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ミッドガルとの戦闘 2日目


 この日は、金剛が率いる第3艦隊と加賀が率いる第4艦隊、そしてアイオワ達が率いる第5艦隊が超兵器と戦うことになった。
 相手は、高速戦艦や高速潜水艦だったのだが加賀達と戦うことになった超兵器が1番、印象的だった。

 何故なら、相手は氷山空母であるハボクックなのだから。

 氷山と聞けば、温かい場所ではそんなに長い日にちを置かずに溶けてしまうというイメージがあるし、いくら特殊な液体で作られたハボクックでも冬島近海じゃないとキツイだろうと思っていたが史実のハボクックからさらに発展したらしい。
 元々は、パイクリートと呼ばれるパルプを一定の割合で水と混ぜ合わせてから冷やすと、それなりの強度が出るのだが欠点として熱に弱かった。
 いくら融点が高くても、15度以上の海水温ではパイクリートが溶け出す上に船内も15度以下にしないといけないから、高温になるボイラーでの航行はもっての外。
 そのため、寒さによって居住性も最悪な上に巨大な船体を建造するのも、それに乗せる装備にもコストが掛かりすぎるのだ。

 比較対象として、史実での戦艦大和の建造費は当時のレートでおよそ1億4000万円となっていて、俺がいた頃の日本のレートでは3000~4000億円ほどに膨れ上がる。
 これは、イージスシステム搭載の軍艦2隻分の建造費になるのだがハボクックの場合、実際の建造費はこれ以上になった可能性が非常に高い。
 結果的に量産型の護衛空母が、大量に建造されてことによって実験的に造られたぐらいで計画中止となったし、鋼鉄の咆哮でも確か北極などの極地で航行していたはずだ。

 そんなハボクックは、この世界で更なる変化を遂げて海水温が30度までなら航行できるようになったらしい。
 しかも、海水と混ぜ合わせた液体を損傷部分にぶっかけるだけで直っていく性能は、この世界でも健在だったので遊撃隊として航行していた潜水艦隊や鳳翔達の支援でようやく撃沈した。
 だってさぁ、大量の航空戦力に加えて3連装56㎝砲5基やガトリング砲、誘導荷電粒子砲などを搭載しているからそう簡単に撃沈できない訳さ。
 そのため、俺が直接的にワームホールを使って航空機を大量に消耗した彼女達に対して消耗した分のナノマテリアルを供給したため、2日目にして本拠地にあったナノマテリアルの在庫はそれなりに減ったのは誤算だった。

 とは言え、ハボクックを損害なしで撃破できたのはかなり大きいのでかなり疲れた様子だった彼女達を、次の日は前線から少し下げて休ませることにした。
 理由は現在、ミッドガルに対してのルートは3つに分かれて進んでいるのだが、戦闘による損耗率などを考えて交代しながら超兵器を攻略して行っている。
 これは、超兵器がカバーする海域が広いのも関係している上に彼女達が管轄する海域を、すり抜けるようにして島に接近したら超兵器群に挟み撃ちにされる可能性が高まるし、乱戦の結果で撃沈された艦娘が捕虜として捕まって殺される可能性もあるからあまりやりたくはない。

 それを考えれば、あまりにも無理な作戦計画を立てずに艦隊を運用して撃破していく方が良い。
 俺は超兵器としての力を得たが、三国志なんかに出てくる天才的な軍師としての能力までは持ち得ないのでこのぐらいが限度だ。
 そう思いつつ、2日目の報告を聞いた後で疲れた艦娘を軽く癒やすために、第4艦隊のメンバーを呼んで消灯時間まで戯れた。



艦娘と超兵器の戦闘も書くべきかで悩んでいる最中。
作者的には、超兵器との戦闘を早めに終わらせて話を進めたいんですけどねぇ。

要望などがありましたら、感想欄に書いて頂けると幸いです。


ではまた次回。


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第49話 裏切りと報復

 ミッドガルとの戦闘 3日目

 ミッドガルに向けて、順調に航路を消化していると超兵器群は配置を変えたようだ。
 事前に獲得した配置図と、偵察機や観測機器のデータに食い違いが発生して最新の情報には遊撃艦隊と補給艦隊以外の艦隊に、1隻以上の超兵器が存在していることになる。
 速度を変えないで進んでいくと、ほぼ同時に俺を含めた艦隊にそれぞれの超兵器がぶつかることになるのでマトモな救援は望めないだろう。

 そうなれば、俺としても久し振りに緊迫した実戦で胸が躍る。

 以前は、俺とヤマト&ムサシ戦で超重力砲やミラーリングシステムなどを使って殴り合ったが、それ以来は軍艦島に引き籠もってそんなに動かなかったから楽しみで仕方ない。
 しかも、観測機器の誤作動がなければ俺の航路に2隻の超兵器がたむろしているらしいので、どのぐらいの強さなのかが楽しみで仕方ない。
 今まで、人間として色々と悩んではいるが結局は兵器としての自分に、段々と影響されてきているのかもしれない。
 以前だったら、死傷者が出る戦いに多少なりとも躊躇したりはしていたが今では殺戮の指示を出したり、主砲などの引き金を引くことを躊躇しなくなった。
 覚悟ができたというか、いつかは人を殺すことに慣れてしまったせいでどこかで自分の主張を押し通すことを正当化するため、無闇矢鱈に人殺しをしてしまいそうで困る。

 まぁ、そうならないように厳しい意見なんかも取り入れているし、演習なんかを通して艦隊運用などの意見交換もしている。
 なんて言うか、兵器として血も涙もない存在にはなりたくないんだよな。
 戦うことこそが、兵器としての役目ではあるがそれに囚われすぎるのもよくないと考えている。
 そんなことになれば、アニメ版のアルペジオに出てきたコンゴウのように心に蓋をして、他人の意見を取り入れることができなくなってしまうからだ。
 少なくとも、今はそうなりたくはないと考えている上にそうなった場合は、自沈処分を半自動で行う方法も考えている。
 そんなことをすれば、シノ達や艦娘達から反対されるだろうが彼女達のように精神面でそれほど、強くはないからそうせざるを得ない。


 それはともかく


 俺と戦う予定の超兵器は、究極超兵器『フィンブルヴィンテル』と超巨大戦艦『ルフトシュピーゲルング』の外見によく似ている。
 フィンブルヴィンテルは、超兵器の原点にして最強の強さを誇っている上に当たれば即死級の兵装である反物質砲(黒い雷球)を持っているため、できれば接近戦には持って行きたくはない。
 一方、ルフトシュピーゲルングはヴォルケンクラッツァーの姉妹艦なのだが、ゲームでは条件が揃えば2隻同時に相手をしないといけないという事態が発生する。

 そのため、ないとは思うがこの海域に連れてきているヴォルケンクラッツァーとリヴォイアサンが、俺を裏切って彼女達と共闘したらこの世界において死を覚悟しないといけないかもしれない。
 ラスボス的な超兵器4隻を、同時に相手するのはいくら俺でも無理ゲーすぎるし、最悪の場合はこの世界が崩壊する可能性がある。
 できればそんな場合は可能な限り、避けたいと思っている上に今までの努力と苦労が水の泡になるのはヤダな。

 そのため、艦内システムのチェックとヴォルケン達のシステムも確認してから、俺が戦う海域へと向かったのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 戦闘海域


「………!敵艦より、入電です!」
「内容は?」
「艦長に通信を求めています」
「了解した。繋いでくれ」

 俺がそう言うと、艦橋の天井近くに設置してあったレーダーチャートに女性の顔が現れたので、俺はその女性に話しかける。

「総旗艦のクラウスだ。そんな俺に何の用だい?」
『あんたが総旗艦かい?………はん、随分とぬるい相手に敗れたもんだな。ヴォルケンよ』
『なっ!?あの時はただのガラクタを私に押し付けただけじゃないか!』
『そんなんだから、あいつに嫌われたんだよ』
『………くっ!』

 俺とそいつが通信を始めると、ヴォルケンクラッツァーが横入りしてきて急に喧嘩を始めたので仲間はずれにされた感じがした。
 乗組員達も、そんな喧嘩を見て唖然としているようだったので俺は、急に口喧嘩をし始めた彼女達に割って入った。

「おーい、俺と話がしたかったんじゃないか?さっさとしないとお前らをグルと見なして戦いをおっ始めるぞ?」
『おっと失礼、ヴォルケンが昔と変わらなかったのでつい、な』
『なにを!?』
「ヴォルケン、お前は黙ってろ。話が進まん」

 俺がそう言うと、ヴォルケンクラッツァーは押し黙ったので彼女から話を聞き出した。
 彼女はフィンブルヴィンテルと言って、ミッドガルの最終防衛ラインの防御を任されたので俺達の動きからこの海域を選んだらしい。
 向こうも向こうで情報収集を怠っていなかったんだな、と感心していたらどうやらヴォルケンクラッツァーが情報を横流しにしていたらしい。
 理由は、そうすればちゃんとした船体を造ってやると言う口約束だけでやったようで、フィンブルヴィンテル達は最初からそのつもりはなかったようだ。

 結果的に、ヴォルケンは彼女の仲間だった奴らを失いたくなくて俺達を裏切ったのだ。

 リヴァイアサンの方は、島流し的な要素があったようでそう言ったやり取りはしていなかったが俺達と接していく内に、生きる世界は1つだけではないことに気が付いたようだった。
 そのため、フィンブルヴィンテルの誘いを断っていて情報を横流ししなかったらしい。
 そんな情報が、今となって出てきたので乗組員達のヴォルケンに対しての印象は、最悪な状態にまで下がってしまった。

 俺達のような海賊(アウトロー)は、その信用を一度でも失うと取り戻すのは至難の業であり、金銭面での信用は特に気をつけないといけない。
 例えば、そいつが属している海賊の仲間を殺してしまったら『またやるかも?』と言う疑念が生まれて、他の仲間は信用できなくなる。
 金銭面での信用を失うのは、そいつにとって致命的で疑った後で満額の金銭が戻ってきたら、さらに怪しく見える上に重要な仕事は任せられない。

 そんなことをすれば、略式起訴すら無しで簡単に死刑になる点が一般的な組織とアウトローとの違いである。

 そして、原作でそれをしでかした黒ひげであるマーシャル・D・ティーチが頂上決戦において、生き延びることができたのは奴の策略と強運がそうさせたとしか言いようがない。
 この世界において、俺はティーチを生かすつもりはない上にヴォルケンがやった行為を許すつもりはないし、少なくとも向こう50年は船体を建造や修復をさせるつもりはない。
 それだけ、大量の情報の横流しを彼女はやってしまったのだ。

 そのため、俺はあるコマンドを唱えた。

『え?……え?嘘………私の命令を受け付けない!?エンジンとエネルギーの経路が銀砂になり始めている!?』
「ヴォルケン、お前はそれだけのことをしでかしたんだ。そこで、鋼鉄の塊と共に俺達の戦いを観戦していると良い」
『ま、まって!私はこんなk(ブツン』

 俺は強制的に、ヴォルケンとの通信を切断するとフィンブルヴィンテルは面白そうに喋った。

『信用できなくなると、すぐに関係を断ち切るんですなぁ?』
「安心しろ、すぐにお前の余裕を消してやるよ」
『じゃあ、後は殴り合うだけですな?』

 その言葉に俺が頷くと、通信が終了したので俺はこう言った。

「総員、戦闘配置!総力戦だ!気合いを入れ直して取りかかれ!」
「「「了解!」」」

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第50話 勝利

投稿が遅れで申し訳ありません。m(--)m
他の二次創作で手一杯でした。

また、この4月から社会人になったので投稿頻度が低下します。


「敵ミサイル、数100!」
「弾幕を張りつつ、ミサイルで反撃を開始!」
「通常弾頭ミサイルを混ぜつつ、反撃を開始します!」
「反物質砲、来ます!」
「急速回頭しつつ、主砲で応戦せよ!」

 フィンブルヴィンテルとの戦いは、激しさを増していって乗員達が慌ただしく作業をしている。
 彼女からの攻撃は、1位2位を争うほどに強い方で黒い雷球の他にレールガンやレーザー砲も、この世界の軍艦では対処不可能だ。
 いや、元の世界での軍艦でも大きな犠牲を払ってでも撃沈することは無理なのでは?と、思うほどに強い。
 少なくとも、この世界ではオーバースペック過ぎるのでこっちも全力で戦わざるを得ない。
 とは言え、乗員事も考えないといけないから普段よりもちんたらと行動しないといけないから、敵に攻撃がよく当たる。
 そのため、艦長代理からこんな発言が出た。

「艦長、私達ではあの超兵器を倒しきれるか分かりません」
「……」
「なのでここはあなたに任せたいと思います」
「皆はそれでいいのかい?」

 俺がそう言うと、その場にいる全員が頷いて司令塔にいるメンバーも了解したので指揮権を、艦長代理から俺へと移行して舵を切るのと同時に敵の攻撃を迎撃した。
 すると、彼女も待っていたといった感じで攻撃を強めたので俺は第一艦橋から、防空指揮所に移動してそこで指揮を執った。
 移動した理由は、第一艦橋だと見える範囲が狭まる上に大気の変化を感じ取りにくいからだ。
 人間からしてみれば、自分の範囲外の攻防なので艦橋にいても問題はないが俺達からしてみれば、素手喧嘩(ステゴロ)での殴り合いみたいなものだ。
 そのため、乗組員達の目が回るスピードでの攻防が始まった。
 幸い、ルフトシュピーゲルングの方はリヴァイアサンが戦ってくれているので彼女に専念できる。

 大量のミサイルを発射して、主砲でビームをぶっ放し、相手の攻撃を回避してまた攻撃。

 消耗戦の結果、ついに相対しているフィンブルヴィンテルの方がボロボロになって、稼働率が下がったのを見計らって俺は超重力砲を展開して照準を定めた。
 そして、それに気が付いた彼女は海面が割れてその場に固定されているエネルギーから、逃げようともがくがエンジンの出力が下がっている状態では脱出は困難だった。
 その結果、俺が放った超重力砲は彼女の中心をぶち抜いて戦闘不能にした。
 しかし、それと同時に彼女を中心に強力な力場が発生したので急いで距離を取ると、彼女の船体は大爆発を起こした。

「観測機器の反応はどうだ?」
『この海域に発生していた強力なノイズは消失しました』
『リヴァイアサンの方でも勝利しました』
『各艦隊、それぞれの超兵器に勝利したとの報告です』

 乗組員達に、状況を確認させるとそれぞれの艦隊はそれなりの損害を出しながらも、撃沈された艦娘達はいなかった。
 しかし、軽巡や駆逐艦の中には中破や大破した奴もいたので本拠地に向けて帰還する艦隊と、ミッドガルに向けて航行する艦隊に分けた。
 ロボット達の諜報活動で、得られた情報では億超えの賞金首はいない上に超兵器も確認されていないが、実力を隠している能力者や陸上型の超兵器が存在しているかもしれない。
 そのため、撃沈した超兵器群のコアはシノ達を筆頭とした遊撃艦隊である潜水艦達に任せて、俺達は合流しながら目的地であるミッドガルに向けて足を進める。
 ヴォルケンは、リヴァイアサンに曳航されながら来ているのだが艦娘達に事業を知られた為、肩身の狭い状態で艦隊の中にいた。

 とは言え、今回の戦闘はなかなかの接戦だったようで軽巡の7割と駆逐艦の8割が、本拠地へと帰還する羽目になった。
 恐らく、これほどの損害はしばらくの間は出ないだろうし、余程のことがない限りはここまでやれる組織もいなさそうだ。
 ただ、原作からそれなりに外れている以上は何が起きるかが分からないので、更なる強敵が現れるかもしれない。
 原作だと、カイドウやミホークなんかもなかなかの実力があるようだし、シャンクスも片腕がなくなるとしてもサカズキの一撃を止めている。
 こうして見れば、原作キャラの何人かはこれから侮れない存在になっていくのだろう。
 そうなれば、これからは艦隊運用の他にも個人の武力も育成していかないといけない訳だ。

 国家運営は大変だなぁ、と思っていると合流した大和から報告が上がった。

『クラウスさん、もうすぐでミッドガルが見えるはずです』
「了解した。陸上からの反撃もあり得るから前衛を戦艦群で固めて中衛に空母を、後衛にはそれ以外の艦艇を配置してくれ」
『良いのですか? そうなれば総旗艦であるあなたが狙われますよ? 中衛に本陣を構えてはどうかしら?』
「構わん。ここで誰かが撃沈されるよりかは遙かにマシさ」

 大和の報告にそう答えると、今度は加賀が進言してきたのでそれを却下した。
 ここまで来ると、それぞれの艦隊に所属していた艦娘や乗組員にも疲れが見えてきたので、想定外なことが起きて混乱してしまうかもしれない。
 そうなれば、損害が大きくなりかねないので俺が先陣を切ることで、彼女達に一定の安心感を与える目的がある。
 そのため、俺を先頭に傘型陣形と呼ばれる逆V字に戦艦群を配置してその内側に空母を配置して、その後ろに重巡から損害の少ない軽巡や駆逐艦が控えているというものだ。

 この世界において、潜水艦の知識はあっても作れる技術はないだろうけど、ミッドガルからの攻撃に堪えられる防御力を確保するにはこれしかなかった。
 それぞれ、分散させれば撃沈されるリスクは減るがどうしても当たり外れがある上に、立て続いた戦闘によって艦隊を構成するメンバーが少なくなったからだ。
 結局、ミッドガルからの反撃は無かったものの島が見えてから到着するまでの間は、俺も含めて艦隊の全員が戦々恐々だった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ミッドガル


「城も含めて島の主要な町は制圧しろ!」
「抵抗するなら可能な範囲で無力化して!」
「この島を支配している奴らと海軍関係者を中心に捜索を開始!」

 ミッドガルに上陸後、俺達は島の制圧を行う為にそれぞれの艦船に乗艦させておいたロボット達を上陸させて、制圧と治安維持に当たらせた。
 しかし、島ごと制圧するのに乗艦させた奴らだけでは足りなかったのでワームホールを作り出して、本拠地から応援を寄越した。
 前もって、情報が上がってきていたがこの島の奴らの殆どが飢えてやせ細っていたので、食料を分け与えるのと同時に海軍本部に連絡を取っていた。

「えぇ、住民によるとしばらく前に海軍の奴らを捕虜にしていることが分かっている」
『本当か! すぐに応援を寄越す!』
「頼む。それと、この島の統治を世界政府に一任したい」
『……君らはそれでいいのか?』
「俺らはあくまで世界政府から要請を受けただけで、統治までしようとは思ってねぇよ」

 現在、でんでん虫で応対しているのはゴング元帥であって、ベンジャミン総帥の引き継ぎをしているらしい。
 そのため、艦娘達が指示を出している傍らででんでん虫を使って会話が出来ているのはそれだけ、この島の兵士達が弱いからだ。
 他の国々では、ここまで弱くはないので考えられるのは一般兵士までもが、食料に事欠く台所事情だと考えられる。
 それ程までに、この島には俺達からしてみればうまみと呼べるものがないので、他の組織に任せるに限る。
 そんな背景から、海軍との交渉で島の統治の引き継ぎは海軍に任せることにした。
 どこぞやの人間よりも、世界的に有名な海軍に任せた方がこの島の住民も安心するだろうからな。
 そう思っていると、長門から報告が上がった。

「クラウス! この島の統治者の身柄を確保したそうだ」
「…! 了解した。俺達も向かうぞ」

 その報告に、俺が反応すると艦隊の主要メンバーと共にこの島の中心部に、位置している城へと向かった。



そう言えば、皆様のおかげで無事に50話目を迎えることが出来ました。
50話も書いていて、未だに大海賊時代が始まったばかりとなるといつになったら、原作入りするのか、と言う不安がある方はご安心を。
超兵器との戦闘が、終結してからは時計の針を一気に進めますのでそれほど長くはかからならないと思います。

現段階では後30~40話ぐらい、話を入れたら原作入りを果たそうと思っています。
場合によっては、それよりも短くはなるでしょうが長くなると言うことはしません。
そうすると、話のネタがなくなるのでエタる可能性が大きくなりますので。

ですからもう少しだけ、お付き合い頂ければ幸いです。


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第51話 もう1人の……

 ミッドガル 城内


 俺達が、ロボット達の案内で統治者がいる王座の間に行くとそいつは、抵抗した時に出来たであろう肩の傷を押さえていた。
 上等な服は、出血と埃などでボロボロになっているがそれを無視して話し始める。

「お前がこの島の統治者だな?」
「なんで大和達がいる!」
「……なるほどな、お前も転生者か」
「質問に答えろ! なんで彼女達がいるんだ!」

 統治者である国王だったやつの発言に、1人で納得しているとそいつは苛立ったように急かしたのでロボット達は警戒の色を強め、大和達は困惑していた。
 なんせ、自分達が知らない奴が自分達を知っているとなるとストーカーを連想するからだ。
 そのため、俺は軽く説明した。

「彼女達は偶然、俺の所に来た。ただ、それだけだ」
「ふざけるなぁ! ただ来ただけでそこまで強くなるかぁ!」
「だが事実は事実。さて……お前さんは現状ではただの捕虜だ。洗いざらい吐いてもらうぞ?」

 そいつは、大和達のことでとやかく言っていたがロボットが1発、お見舞いすると静かになって色々と吐いてもらった。
 そいつ曰く、元々は転生者でこの世界について知っていたので色々とやっていたが随分と前に、超兵器群とヤマト達のコアを拾ったので自分の領土を広げたかったそうだ。
 しかし、ビッグマムの代わりに俺がいたので目障りと思ってオハラの考古学者を集めたり、海軍に喧嘩を売って世界政府に鎌をかけたりしたがここまで強かったとは予想していなかったようだ。
 その結果、頼みの綱であったヤマト達は早々に俺達に拿捕される上に超兵器群も、この島を守る戦力になり得なかった。

「こんなことならあいつらに力を入れるんじゃなかった! こんなことならとっとと天竜人を殺すべきだった! こんなことなら……ぐぇ!!」
「こんなことなら? だったら私達がどうなってもよかったんだな?」
「リヴァイアサン……」
「クラウス、私は私の信念を持ってこの島の為に戦ってきた。だが、こんな奴に私の信念は踏みにじられていたようだ。それがとても悔しい」
「………」

 そいつが話している途中で、やって来たリヴァイアサンの腹パンによってそいつの叫びは中断されて醜く地面に這い付く虫のような格好になった。
 それを見ながら、彼女は冷たい声で俺に言ってきた。

「だけどこいつは殺さないでくれ。憎き敵の元で処刑されるのがお似合いだ」
「……了解した。海軍と交渉してみるよ」
「それとこの島の住人に罪はない。彼らの助命も頼む」
「やってみるよ」

 俺がそう言うと、リヴァイアサンは王座の間から出て行ったのでそいつは同じく、この空間にいたヤマト達にすがりつくように近づいた。

「なぁ、ヤマトにムサシ。今まで色んな事があったけどまたやり直せる。だからこっちに……」
「生憎ですが、私達には新たな主君が出来ました。守りたいものが出来ました。ですのでお断りさせてもらいます」
「右に同じくー!」

 そいつの言葉を遮って、ヤマトはそう断言した上にムサシも俺の腕を取って見せつけるかのように言った。
 そのため、そいつはなんとも言えない表情になったがそれと同時にアティから報告が来た。

「マスター、バスターコール時に指揮を執っていた海軍中将と海兵達を発見しました」
「わかった、海軍中将達をこの場に寄越してくれ。それとそいつらと海兵達が腹を空かしていたらメシも食わせてやれ」
「分かりました。ところでそいつはどうします?」
「牢獄にでもぶち込んでおけ。今は必要ない」

 俺がそう言うと、アティは配下のロボット達に指示を出してそいつを連れて行き、代わりに海軍中将達がやって来た。

「あらら……結構、若いじゃないの」
「王下七武海に救われること自体が腹立たしいのぉ」

 中将達がやって来て、最初に口を開いたのが後に青雉となるクザンと赤犬になるサカズキだった。
 そのため、彼らの嫌みをスルーしながら交渉に入る。

「流石にあんたら、海軍にもメンツはあるだろうからここは共同でバスターコールを行った、と言うことでどうだろうか」
「簡単に言うけどねぇ、そんなことが可能なのかい?」
「そんなこと、不可能に決まっておる!」
「まぁ、話は聞けって」

 クザンはヤレヤレといった感じで、サカズキは強い口調でそう言ったので説明だけでもさせてもらった。
 内容はバスターコールに使う軍艦が、向かう途中で不慮の事故によって砲塔にダメージを負ったのでやむを得ず、俺達に救援要請を行ったので見返りに独立を保ったままで国として世界政府に承認してもらう、という内容だ。
 当然、海軍側は猛反対した訳だが自分達を動かしている存在に逆らえるがないので、渋々ではあるがそう言うことで引き下がってもらった。
 そんな訳で、海軍側の生存者の確認を済ませると近場の海軍基地から救援を来させて、俺達は帰ることにした。
 何しろ、この島は冬島だから艦娘達が寒がっている上に食料も1ヶ月分はワームホールを使って、この島に持ってきたので当面は問題ないだろう。
 サカズキ達は何か、言いたそうだったがこういうのは気にしたら負けだと思っているので一通りの引き継ぎを終えてから艦隊を編成して帰投した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ふぃ~、とーっても疲れたよ~」
「大遠征でしたからね」
「よくまぁ、全員が無事に帰れたものです」
「だよな~」

 軍艦島に向かっている途中、俺とシノ達は概念伝達内で会話をしていた。
 その空間には、いつものような物々しさはない代わりにちゃぶ台と人数分の座布団があって、俺達3人はグダグダとしていた。
 俺ははしたなく、ちゃぶ台の上に顎を置いて気の抜けた顔をしているとシノブが、湯飲みにお茶を入れてシノはせんべいを頬張り始めた。
 そこにはいつものような上下関係はなく、長年連れ添った夫婦のような雰囲気が漂っている。
 まぁ、実際に10年以上の付き合いな上に戦う前に結婚指輪を彼女達に渡したばかりだ。
 そのため、彼女達はやっとかという顔で指輪を見つめていたが俺達が、海軍とやり取りをしている裏では超兵器のコアを全て回収するほどに張り切っていた。

 これは、一種の戦場における死亡フラグなんじゃないかと思われるかもしれないが、戦場に行く前にやったのでギリギリでセーフだと思う。……そう思いたい。
 あっ、でも結婚直後に出撃すると死亡するというフラグが立っているから少なくとも、帰還するまでは気が抜けないな。
 その先はまぁ、運がなかったと考えよう。じゃないとやっていけないし。
 とは言え、特にこれと言って大した山場もなかったので無事に帰投できた。



 数日後 軍艦島


「クラウスさん、今回の戦闘はどうでしたか?」
「苦労した部分はあったな。特に超兵器群」
「やはり、状況によっては拮抗して損害が出る場合があるんですね」
「それでも今回の戦闘で得るものは大きかったんですね、クラウス様」

 ユキメやミク、セバスなんかが執務室にやって来て俺から事情を聞いていた。
 今回の戦闘で、艦艇がそれなりに傷ついていた上に乗員達も疲れて帰ってきたので俺から直接、話を聞くことになった。
 ミッドガルに行った結果、確かに多くの艦艇は損傷して乗員達も疲れて帰ってきた。
 それでも、この戦闘は国家の維持を考えた上で必要な戦闘だったので後で、彼女達を労ってやろうと思うと伝えるとセバス達も賛成した。
 艦娘や深海棲艦、霧の艦隊は国家というものを無視しても運命を共にする同志だと思っているので、役目を果たしたのならそのご褒美をもらうのは当然だ。

 そのため、俺はセバス達と会話をしながら彼女達をどう労ろうかと考えを巡らせていった。



仕事をやり始めたから平日はつらいでござる。
初めてのことばかりで、目が回るのと緊張で疲れます。
それでも、二次創作を作っているから丁度良い息抜きにはなっています。
今のところの癒やしです(笑)


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第52話 1年間の出来事

 ミッドガルとの戦闘から約1年。

 この1年間はとにかく、色々とあって何から話せばいいのかが分かんないから時系列で話させてもらう。
 まず、超兵器群との戦闘によって紀伊とみらいが目を覚ました。
 彼女達を、観察していたロボット達によると艦娘達と共に戦ったためにその余波で、意識を取り戻したらしいとのことだった。
 そのため、現場にいた軽巡や駆逐艦達が意識を取り戻した彼女達に抱きついたと言う一悶着があったが、俺達がワームホールで来たらそれを見た大和達が泣き出して凄いことになっていた。
 とは言え、彼女達が落ち着いたのを見計らって俺が話を進めると紀伊達は驚きつつもこの世界の全てを聞いた。
 そして、この世界が“ONE PIECE”の世界であることを知るとすぐに大和達と一緒に居たいと進言して来た。
 理由を聞くと、紀伊達はONE PIECEを知っているようなのでこの世界を見て回って、原作死亡キャラを救いたいとのことだった。
 その言葉を聞いた艦娘達は、俺に彼女達に新たな船体を作ってくれと進言して来たので、俺はあることを聞いた。

 艦娘達と一緒にいて世界を見て回りたいなら、俺の傘下に入った方が色々と融通できるがどうする、と。

 彼女達は、互いに顔を見合わせてからこう聞いて来た。
 そうしたら、無理に戦わされませんか?と聞かれたのでその質問に「俺はすぐにそんなことはしない。なんなら、後でここにいるメンバーに聞いてもらって構わない」と言うとしばらく考えたいとのことだったのでその場はお開きになった。
 そして、次の日に答えを聞くからまとめておいてくれ、と言って俺は軍艦島に戻った。
 いかんせん、戦後の事務処理がいくつもあったからで彼女達に構える時間が少なかったからだ。
 そして、翌日に本拠地に行くと紀伊達は大和達から自分達の全てを聞いたようなので、その表情は覚悟を決めたように引き締まっていたため、俺は肉体の改造と新しい船体の大まかな設計を打ち合わせた。
 その結果、紀伊は大和達に近い船体になってみらいも強力なエンジンを背景に装甲を強化した。

 これによって、紀伊達も最初に計画されたり、元々の戦闘艦とは見る影もない形になる。

 それが、ミッドガルの戦闘から1週間以内に起こったことでそれから1ヶ月半後には世界政府から、正式に国としての承認を得たので俺自身が国王になった。
 戦闘艦のメンタルモデルが、国王になるのには違和感があるが国自体を作ったのは俺なので満場一致で国王になった。
 それでもって、セバスチャンを国王代理に就任させて実質的には彼が率いてもらうが対外的には、俺が出張って色んな組織と交渉することになった。船体を持っていけば、インパクトも大きいしね。
 そのため、それから3ヶ月ぐらいはめまぐるしく移動して各国との話し合いに応じたが、俺達が世界政府に組みしないと分かった時点で交渉する気はないようだった。
 何しろ、訳の分からん奴が国王なんて大抵の場合は嫌われるしな。

 とは言え、その中でも興味を示してくれたのはアラバスタ王国のネフェルタリ・コブラと、ドレスローザのリク王だけだった。
 彼らは比較的、冷静な性格をしているので変に気構えたりはしないで俺の話に耳を傾けてくれた。
 そのため、俺の国は世界政府に加盟はしていないがある程度の交流を始めることを、承認してくれたのはかなり嬉しかったな。今まで、傘下に入るか敵対かという二択だけだったし。
 それからは、交流は年に1回として遠洋航海の一環として派遣艦隊を組んでこちらから出向くことにした。
 紛いなりにも、彼らは世界政府に正式に加わっているからな。立場的には向こうの方が上だ。

 気がつけば、それらの話し合いが終わったのがミッドガルの戦闘から半年が経っていたのだが、その頃になると秘密裏に交流する国が出始めた。
 何しろ、アラバスタとドレスローザの二国と交流を始めたのだから、うまい汁を頂こうとするのは当たり前だと思う。
 何がうまいかと言うと、圧倒的な軍事力で守ってもらいことや量産型のロボット達を安い値段でもらうことだったりだ。
 とは言え、それらの国々は極端なことを言えばどうでもいいからセバスに丸投げして、俺達に利益になるように交渉しておいてと伝えた。
 こういうのは、交渉のプロフェッショナルに任せるに限る。

 それはそうと、俺の噂を聞きつけて後の鷹の目と呼ばれることになるミホークがやって来たな。
 どうやら、力比べがしたかったようなので近場にあった無人島にワープしてそこで力比べをした。
 とは言え、原作開始以降に登場したように強くなかったので彼が満足するまでやり合ったぐらいだ。
 そして、どうやったら強くなれるのかと聞かれたから覇気を自分の手足の様に使いこなすことと、心の壁を乗り越えることだと告げた。
 今まで、暇つぶしに覇気を使える様に人間の手には負えない猛獣達が、うようよといる島に入って殴り合ったからな。いつの間にか、使いこなせるようになっていた。
 それと、心の壁とは精神的な部分なのでどの様にすればいいのかは、俺にはわからない。
 ただし、心の壁を乗り越えたら大幅に強くなれると思うと言ったら、ミホークは満足したようなので軍艦島まで帰るとワインをそれなりに買って去っていった。
 大和達は、そんな彼を不思議がっていたがミホークは本物の剣士なので、とやかく言われるのは好きではない上に何かしらの答えを見つけたようだった。

 それと、海軍から訓練教官として来ないかと言うものもあった。
 どうやら、俺やミッドガルとの戦闘に対して傍観者としてしか、出来なかったのがかなり悔しいようだったが、政務ややらないといけないことなどがあるからすぐにはいけないと伝えた。
 さらに元々は、俺達は海賊よりは傭兵として活動していたのにそれを海軍側は海賊と勝手に呼称したので、何も利益がない状態ではあまり行く気にはなれないからだ。
 そのため、今回の戦闘で俺達の知名度は一気に跳ね上がったが、多少の戦力アップと超兵器群の解析をしている以外は平和だった。
 しかし、その一方で救えなかった命もある。

 それはーーー


「おい! しっかりしろ!」
「駄目です!脈が弱くなってます!」
「死ぬな!あんたにはやらないといけないことがまだあるだろ!」

 双子の赤ん坊を産んだエリザベスの命が、今まさに消えようとしていることだ。
 この2年間、出産直前の状態で我慢した彼女の体力は消耗しきっていて、今回の出産で残っていた体力を使い果たしたため、どんなに蘇生作業をしても彼女の息が吹き返すことはなかった。
 出産前に、産気づいたので急いで向かうと出産直前でその時に彼女に言われたことがある。

『これから生まれてくる娘達をよろしくお願いしますね?』

 彼女は、そう言うと出産が始まったのでその手伝いをしていたが、それが終わると脈が弱くなっていってあちら側に行ってしまった。
 そのことが、分かると俺達は蘇生するのをやめて彼女が亡くなった時刻を、淡々とデータベースに記録して残した。その顔には、悲しみの表情を浮かべて。
 自分の守りたいものを、守るために時には敵を殲滅してきた俺は紛いなりにも、身近な存在である人の死に少なくないショックを受けた。
 何しろ、彼女の死で改めて生身で圧倒的な力を持っていない人間が弱いことを実感したからな。元人間である俺には衝撃が大きすぎる。
 それは、大和達も同じで俺ほどではないがある程度の悲しみを感じていた。
 とは言え、いつまでも悲しんでいる訳にもいかないから彼女の忘れ形見である双子の赤ん坊を育てることにした。
 それがロジャーの頼みであり、エリザベスの最後の願いである。
 この1年、可能な範囲で彼女に会いに行って色々と相談したのだがもしも双子が女の子なら姉がラム、妹がレムにした。
 そして、俺が名付け親になって男の子なら兄がジャックで弟ならレオと言うことになって、兄と妹や姉と弟として産まれたらそれぞれの名前をつけることになっていた。

 しかし、2人とも女の子だったのでマクレーン・D・ラムとマクレーン・D・レムになった。

 こうして、ゴール・D・ロジャーの血はエースの他に彼女達にも受け継がれたのだった。



・ちょっとした補足

ミッドガルの統治者であった奴は既に処刑されています。
理由は、オハラの研究者を匿っていた罪と海軍に楯突いて海兵を死傷させた罪によって、です。
本編の方で出そうと思っていましたが、話の流れの中で出すタイミングがなかったのでこういった形で出させてもらいます。

すみませんでした


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第53話 覇気の強化

『ミッドガル、バスターコールにより 消滅!?』

 その見出しが、新聞に出たのは彼の国が海軍によって改めて更地にされた後に、俺が超重力砲で海底に沈めた後にしばらくしてからだった。
 幸い、元オハラの研究者やそのメンバーと深く関わっていた住人は海軍によって処理した後だったし、転生者であろう統治者も処刑された後だったから精神的には楽な仕事だった。
 もしも、その島の住民も殲滅しろとの命令だったら王下七武海の権限で断っていたところだ。
 そんな新聞が世の中に出回った夜、久し振りに余裕のある日常に戻ってきたので居酒屋「鳳翔」の暖簾を分けてお酒でも飲むことにした。
 この1年はとにかく、忙しかったので気分転換にお世話になることにした。

「邪魔するよ」
「いらっしゃいませ、珍しいお客さんが来ましたね」
「気晴らしできただけさ。いつものを頼む」

 俺がカウンター席に座りながら、そう言うと鳳翔は慣れた手つきで料理を作っていって伊良湖が料理に合ったお酒を提供してくれた。
 この世界では、日本酒やワインはあってもビールがなかったので隼鷹やポーラなどからビールを造ってくれ、と要望があったので十数年前に作り始めた。
 ビールはその好評さから、対外的にも販売しているがそれは喧騒がある店で飲まれるものであり、この居酒屋でも出してはいるが日本酒なんかをよく呑む。
 そのため、出された日本酒をちびちびと飲んでいると声を掛けてきた艦娘がいた。

「失礼するぞ、クラウス」
「……ミレイか。構わんよ」

 俺がそう言うと、彼女は俺の左側に座ってワインとチーズのつまみを頼んだ。
 彼女は、集積地棲姫で先の大規模な戦闘時には深海棲艦組の補給艦的な立ち位置で、消耗した弾薬類の補給を行うために動いてもらっていた。
 その手腕は、紛いなりにも集積地の管理を任されていた時よりも確実に上がっていた。
 まぁ、こっちに来てから荷物の積み込みなどを任されているから上達するのは当たり前なんだが、それでも他の奴らに比べても上手くやっているよ。
 そんな彼女が、俺の隣に座るのは珍しいので相談事でもあるのかなぁ、と思っていると意外なものが話に出てきた。

「え? 俺と夜を過ごしたい?」
「あぁ、なんだかんだでそれなりに長い時間を過ごしてきたからな。……今夜とか、どうだろう?」

 ミレイの言葉に、その場にいる全員が固まって全員でこう言ってきた。

「「「「だったら私達も入れなさいよ!!」」」」
「……ファ?」

 彼女達から話を聞くと、俺と一緒にいい夜を過ごしたいというのが共通の意見らしい。
 普段は、あまり意見を言わない鳳翔ですらそう言うのだからかなり積極的だな。いや、この場合は俺が臆病すぎるだけか。
 如何せん、彼女達が自由に恋愛を出来るようにするためにこちらからは手出ししなかったが、この島や配下の島では艦娘を俺のものでそのために軍艦島を造った、と言われるぐらいに神聖視している島もあるぐらいだ。
 別に、そういう風に教育をした訳ではないがそういう見方があるのでその存在である彼女達を、穢すような行為は恐れ多いと言うことだ。
 それは別に敬語を使えとかではなく、ただ単純に俺を含めた全ての戦闘艦はこの世界では人知を超えたナニカであってそれ以上でもそれ以下でもない。
 言うなれば、タメ口でも良いから敬意を持って接するように言われているのだ。
 しかも、彼女達もなかなかのもので俺みたいな奴が他にいないと言うのだから、彼女達にプロポーズした男性諸君が可哀想に思えてきた。

 何はともあれ、恋愛には臆病な俺を慕ってくれているのは充分にありがたいし、好いてくれているのも嬉しいのだが全員でやると戦争になるのでルールを決めることにした。
 それは1人か、最大3人までのグループを作って日程を組んでやることにした。
 しかも、それは秘書艦のように予定が予め決まっているのではなくて艦隊内で1番、成績がよかった奴らが帰還時の最初に俺と一緒にいるというものだった。
 幸いにも、複数の艦隊が常に出入りしているので月初めに評価をすることにして、月をまたいでナニカをする場合は終了した月の結果を見て評価するというもの。
 これを元に、評価がよかったメンバーから順番に5日連続でやって2日間を俺が休むことにした。
 こうしないと、精神的につらくなる上にシノ達とも遊べなくなるので丁度良いと思う。

 そんなことが、1週間ほど経った日に告知されるとかなりの高評価で俺はかなりの奥手だったのだ、と実感させれらた。



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 レムとラムが生まれてから1ヶ月、彼女達は彼女達の母親が命を賭して産んだおかげで、産後は順調に経過していて元気に過ごしている。
 この間に、金獅子のシキが大監獄インペルダウンから脱獄したことが新聞によって大々的に、報じられたのと同時にオハラ消滅が回避された。
 これによって、ロビンは世界政府から逃げ回るような生活を送る必要はなくなったし、オハラの住人が全滅するようなこともなくなった。
 その上、ミッドガルの住民はある程度の死人は出したが概ねは海軍の支援の元で、自立した島になっていくことだろう。

 それとは別に、今度はシャンクスが俺を尋ねてやってきたため、応接室で話を聞くことにした。



「まさか、あの時に若造が俺を訪ねてくるとはね」
「あんたは相変わらずで何よりだ。これ、俺が生まれた西の海(ウェストブルー)の酒なんだ。よかったら呑んでみてくれ」

 シャンクスはそう言って、お酒が入った大きめのビンを出してきたので俺は(さかずき)を2人分、取り出してから酒をそれに注いだ。
 お酒自体は、透明な液体で匂いもそれほど悪いものではないので杯に入れたお酒を飲み干すと、なかなかの味だったために悪くはないと思う。
 この体になってから、アルコール類に対しての耐性が強くなったのでそのおいしさが、分かるようになったのだが積極的に呑まないのでどういった感想を言えばいいのかが分からん。
 そのため、俺は率直に感想を言いながら話を続ける。

「悪くねぇな、このお酒。……それで? お酒まで持ってきて何の用だい?」
「先日、ミホークと出会ってやりやった」
「ほぅ……」

 その言葉に、俺は感心しながらシャンクスを伺うと彼は真剣な顔だったので俺も真面目に聞く。

「そしたらかなり、強くなっていた。しかも、話を聞けばあんたに教えてもらったそうじゃねぇか」
「少し前に彼と戦ったからねぇ。まぁ、その時に少しアドバイスしただけさ」
「そんなあんたにお願いがある」
「ん?」

 シャンクスはそう言うと、用意された椅子から降りて両手両膝を地面についてこう言ってきた。

「頼む! 俺も強くなれてぇ! だけど他に強い奴で頼れる奴がいない! レイリーさんのところにも行ったがこっちの方が強くなれると聞いた!」
「……」
「圧倒的な力を持っているあんたに教えを請いたい!」

 その真剣な表情に若干、俺は押され気味だったが俺はそれを表には出さずに淡々と質問をする。

「教えるにしろ、なんにせよ、覇気を習得するのと使いこなすのとでは大きく違うのは分かるな?」
「あぁ、それに関しては問題ない。既に武装色も見聞色も使えている」
「なら話は早い。1から始めるの時間が掛かるが使えるんだったらテクニックを教えればなんとかなるしな」
「…! じゃあ」
「俺なんかでよければ教えるよ」

 俺がそう言うと、シャンクスは頭を上げて嬉しそうにした。
 まぁ、覇気というものは今まで使ってこなかった感覚を使うようなものだからどうしても、それを体感するのに時間が掛かってしまう。
 しかも、覇気をどれだけ使いこなせるかはそいつの素質次第だから覇気を使って、圧倒的な戦闘力を誇る奴もいればその反対もいる。
 さらに覇王色に関してはそれこそ、数百万人に1人という確率なのでコントロールできても鍛え上げることは出来ない。
 原作でのシャンクスは、覇王色の覇気を習得していたからこの世界でも持ってはいるだろうが使いこなせるかは疑問だ。

 まぁ、開花させてコントロールさせる方向で行こうとは思うが今の段階ではあくまで、武装色と見聞色の覇気を強化すると言うことで決まった。

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