私の転生物語 〜海神としての生〜 (夜刀神 闇)
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prologue

初めまして。夜刀神 闇です。
小説は様々な投稿サイトでやってますが、駄文ばかりなので( ̄▽ ̄;)

こんな私にでも付き合って下さる方がいるのか分かりませんが、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。


コンコン

 

その音で、私は目を覚ました。

ベッドで寝ていた私は、部屋の扉に視線を移す。

私の部屋は壁は白く、床はフローリングだ。

そんなことはどうでもいいのだが、時計を見ると今は深夜の2時。

私は一人暮らしだ。従って、扉からノック音など聞こえる筈が無い。

 

……窓か?

いや、それは有り得ない。私の部屋があるのは3階だ。

その下はかなり高く、落ちると大怪我に繋がるだろう。そんな所にわざわざ来るなんて、普通は有り得ない。

なら、誰がこの音を鳴らした?

もう1度言うが、私は一人暮らしだ。扉は有り得ないとなると、残りは窓しか無いのだが……

私は、疑問に思いつつ窓へ向かう。

ガラガラと開けると、夜風がさぁっと部屋に吹く。

……よかった、何も無い。と安堵し、窓を閉めようとした時。

 

突如、部屋に強風が吹いた。

だが、それ以外の出来事は何も無く、窓の外に乗り出して外を見渡して見ても、何も起こらない。

なんだ、何も起こらないじゃないか。

そうため息をついて窓を閉め、振り向いてベッドまで向かおうとすると。

 

ドン

何者かにぶつかった。

この部屋に、障害物などあっただろうか?あるのは、机や椅子だけである。

そう思い、恐る恐る目を開けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄何も無かった。

 

そう、何も無かった。

じゃあ、今ぶつかったのは何なんだ?

 

 

頭を巡らせていると、突然声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汝、其方には転生の権利がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汝、答えを選べよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……転生、か。

この世界に悔いは無い。丁度、明日"命日"になる筈だったんだから。

こんな世界、要らない。

毎日毎日、同じ事ばかり繰り返して何が面白いのだろうか。本当に笑える。

 

突然のことにして、私は驚く程に落ち着いていた。馬鹿な、私は元々冷静である。

 

 

 

 

 

 

……転生の儀を始める

 

 

 

 

 

 

声が止んだかと思うと、私は自分の立っている地面が割れていくのを見つける事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汝、第2の生を精々楽しむが良い ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その声が聞こえた後、私は足元を見てみた。

 

 

「……え?地面が白くなっていくなんて、聞いてないんだが……」

 

……見てみると、フローリングだった床は瞬く間に白い光に変わっていき、遂には部屋全体が白くなるという自体になった。

 

 

「これから、どうなるんだろう……まぁ、そんなこと気にしてても仕方が無いか。」

 

 

どうせ、明日死ぬ運命だったんだ。

転生出来るならば、それでいい。どうなったって、私はいいんだ。

それにしても、転生なんてどんな世界なんだろうか。

しかも、さっき聞こえてきた声は誰のものだ?

 

そう、思った時だった。

 

 

「えっ……なに、これ。地面が割れていく……これが、転生?」

 

 

その言葉が、私の今世で発した最後の言葉であった ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 




ありがとうございました。
ハーメルンでの初投稿、どうでしたでしょうか。

皆様に気に入って頂けるか分かりませんが、これからも小説投稿頑張ります。

っとそこで、キャラ紹介です。とはいっても、名前とかだけです。





海月 ルナ


年齢 14歳

身長 165cm

体重 それを女性に聞いてはいけない……

特技 勉強、スポーツ全般、音楽、ダンス


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古代神話 〜神の治める都市〜
龍神王の従者、夜刀神 闇


どうもおはこんばんにちは、夜刀神 闇です。

前回と同じ日に投稿するなんて流石に疲れ……ないですね、作り溜めしてるんで。

でもその間にデータが消えたりして、精神的に疲れたりしました。( ;o;)


では、第1話をご堪能下さい、どうぞ!


ゆっくりと目を開けると、そこには……

 

 

 

?「やぁ、おはよう。貴方が、主様の言っていた方かしら?」

 

 

 

 

……銀髪の美少女がいた。

「えっ?」

「あらあら。目の前の私が誰か、分かっていない様ね?私は 夜刀神 闇(やとがみ やみ)。簡単に言うと、この世界を纏める者よ。」

 

……

目の前のあなたに聞きます。

突然現れて、急に自己紹介されても普段通り会話が出来ますか?

 

……ちなみに、私はYesだ。これでも"意外と"冷静だから。

「私は、海月ルナ。……明日が命日だった筈の者だよ。」

「あら、それは覚えているのね。てっきり何も覚えていないのかと……」

「それ、言い過ぎだよ。いくら私でも、記憶力あるからね。」

 

目の前の少女は、見かけに反して性格が悪そうだ。簡単に言えば、Sっ気が入ってるって言えば良いのかな?つまり、腹黒って事か。

まずは、目の前の少女闇と、話を終わらせなければ。

 

「それで?闇ちゃんは私に何の用?……さしずめ、転生の事で私に話してきた感じ?」

「闇ちゃんじゃないわ、闇よ。……そうね、簡単に言えばそんな感じかしら。後は、貴方を育てろと主様に言われたわ、自立出来るまでね。」

 

……成程。

でも、あの時……自室で私に話しかけてきたのが闇なのか?でも、あの時の声とは声が高くないか?……あぁ、闇の言う主様って人があの時の人か。あぁ、そうか。それなら納得行く。

 

「貴方、中々勘が鋭いのね?確かに、貴方の部屋で話し掛けたのは私じゃ無く、主様よ。」

 

……今、心を読んだのだろうか?

転生をさせる者であるならば、それ位出来て当然なのだろうか。

「えぇ。龍神たる者、それ位朝飯前よ。さっ、私に着いてきなさい。転生して初っ端、悪いんだけど勉強よ。これから貴方に学んで貰う事が沢山あるわ。」

 

目の前の少女闇は、私の腕をグイッと掴んだと思うと、急に空を飛び始めた。

「えっ、急に何!?話がまだ終わっt「さぁ、振り落とされ無いように私に掴まってるのよ!!」……私の発言は無視ですかぁぁあ!!?」

 

 

……どうやら、転生初日からゆっくりしてられなさそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっ。ここが貴方の住むところよ。」

闇に連れられた場所は……

 

 

「……神社?」

「そう、神社。」

何で?そう言いたい気分なんだが、色々と事情があるのだろう。

「えぇ。貴方には今日から、海神としての勉強をして貰うわ。最初は馴れない事も多いだろうけど、そこはきちんと私が貴方をサポートするから。貴方は、ただ海神として生活してくれれば良いだけの話よ。」

イキナリそんなこと言われましても。

なんか、闇に心を読まれるのもこの短時間で慣れてきた様な気がするなぁ。

 

……まぁ、あんな生活よりかはマシか。あんな、ただ同じ事を繰り返すだけのつまらない生活よりかは。刺激が欲しかった私からしたら、とんでもない御褒美だね。

「どうやら……私は、腹を括ってやるしか無さそうだね。」

「えぇ、でも急にごめんなさいね。……私がこんな事言うのもなんだけど。私も……貴方と同じような境遇だったからさ。」

 

闇に、何かあったのだろうか。

……でも、今は聞かないでおいた方が賢明な判断だな。

 ̄ ̄ ̄ ̄それじゃあ。

 

 

「 ̄ ̄ ̄それじゃあ、これからよろしくね、"闇"。」

 

 

「 ̄ ̄ ̄えぇ、よろしくね"ルナ"。」




ありがとうございました!
そしてまず、短すぎました。申し訳ございません!!

私なんか、こんな駄文しか書けませんが私に着いてきて下さる方がいることを願っております!

あと、基本的に私は1週間に2回は投稿します。
投稿しなかった場合は、多忙だとでも思ってくれて大丈夫です!……その時は、すみません。

では次回まで、アデュー!


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第1話 海神、海月ルナと月神、月読命

どうもおはこんばんにちは、夜刀神 闇です!

前投稿から結構遅くなってしまいました。
この小説を見て下さっている方がどれほどいるのか分かりませんが、感想等を書いて下さると日々の支えになります!

それでは。第1話 海神、海月ルナと月神、月読命!スタートです!


闇「それじゃあ、また明日ね」

 

 そう言葉を言い残し、空へと飛び立つ闇。

なんか、他人が空を飛ぶという光景もこの世界に来て見慣れた気がする。

私は、お茶を入れながらため息をついた。

 

 

「海神としての仕事も最近、慣れてきたけど……」

 

「それは、闇が色々とサポートしてくれてるからなんだよね」

 

 

 転生して初日は、慣れない事ばかりで戸惑う事も沢山あった。

 でも、そんな事があったのも数十年前だ。

 

「さってと……そろそろ、行くか」

 

 

ここ数年でかなり大きくなった体で、立ち上がる。

闇との身長差も、出会った当時は私の方がまだ高くてもそんなに変わりなかった身長が、今では40センチ位差がある。……成長期なのかな?

 

 

 

「まっ、そんなこと気にしてても仕方ないな。そろそろ行かなきゃ」

 

「最近、内陸の方でまだ新しい神力を見つけたからね……調査しに行きますか」

 

歩きながらそう呟き、宙に浮く私。

空を飛ぶという行為も、闇に教えられてとうの昔に覚えている。

 

 

 そう思いながら、私は神力の反応がする方へと急いでいた。

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

ツクヨミside

 

部下A「それでは、失礼致します。ツクヨミ様。」

「えぇ、ありがとうございました。」

 

 

……はぁ。

最近、悩み事が多い私です。

妖怪が最近増えてきて穢れも……っていう話やら何やらで忙しくて……

人間の様に、過労死してしまうかもしれませんね……いや、冗談ですよ?

 

まぁ、疲れているというのは本当ですが。

妖怪の件でも凄く疲れたのですが……やはり、一番はあの"力"が原因ですかね。

最近、私達の住んでいる都市の外へ出てずぅーっと先に行ったところに、"海"という広大な湖みたいなのがあるらしいんです。まぁ、私は見たことが無いので海については何も知りませんがね。

 

 

知らないとは言っても、私も神。遠くの力を感じ取る位の事はまだ小さい頃にできるようになっています。

 

それで、その"海"に強大な力を発見したんです。

まぁ、それはまだ最近の事なので詳しい事は分かっていませんが……

でも、海の付近で見つけたとてつもなく大きな力が問題なのです。

まだそれが小さなものだったら、慌てる必要はないのですがね……

 

 

龍神に匹敵する力。その身体能力は、龍神をも超える。

 

 

そんなことを、使いの部下から聞いたら黙って聞いてられませんよね。

 

私達を攻めてきたら?

 

もし機嫌を損ね、怒りを買ってしまえば?

 

……考えたくもありませんね。アレは、最強クラスの力と言っても過言では無いでしょう。

たとえ私でも、敵わない。見つけた瞬間に、そう思ってしまったんです。

何か対策方法は無いのでしょうか……

 

 

「ん?…………あ、あれは!ど、どうしよう!?あの力がこの都市に迫って来てる!」

 

緊急事態ですね。

どうしましょうか……でも、まだ騒動は起きてませんね。少し、様子見をしましょうか……

 

 

「ツクヨミ様!!」

 

 

突然、扉が開いたかと思うと、その扉を開けた張本人が荒い声で私に話しかけてきた。

 

その名は……八意永琳。

その長い三つ編みに纏めた黒髪を、左右に激しく揺らしながら部屋に入ってきた。

いつもは大人しく清楚な娘なのに、今日は何かがおかしい。……どうしたのだろうか?私の胸に不安が募る。

 

「永琳、落ち着いて話して下さい。どうしたのですか?何かあったのですか?」

永琳「も、申し訳ありませんツクヨミ様。」

 

永琳が謝ってくるが、そんな事はどうでもいい。私は、そういう事には気にしない。

それよりも、永琳がここに来た理由を話して欲しいのですが……

 

「それよりも、永琳。ここに来た理由を話して頂けますか?」

永琳「は、はい。落ち着いて聞いて下さい。南門に、ツクヨミ様にお会いしたいという怪しい者がいるのです。今は、兵でその者を止めているのですが……ツクヨミ様、御多忙でなければその者をここに連れてきても宜しいでしょうか?その者、どうしてもツクヨミ様に会いたいそうで……」

 

 

……私に、会いたい者だと?

そんな変わり者、お姉様位しか思いつかないのですが?お姉様は、少々趣味が変わっているので……でも、永琳はその者の事を知らなかった。……お姉様なら、普通に通して私に会いにこさせる筈だ。でも、それをしないということは、必然的にお姉様では無くなることになる。

 

「えぇ、いいですよ。その者を、此処に連れてきて下さいますか?」

永琳「はっ、はい!承知いたしました!」

 

バタン、と扉を閉め、駆けてこの部屋を立ち去っていく永琳。……凄く、不安だ。永琳や都市の人々に何かあったとしたら……

 

……その時は、私の力を存分に奮えば良いだけです。都市の人々がそれで助かるならば、その時は神としての力を惜しみなく使いましょう。

 

 

 

コンコン 永琳「ツクヨミ様、あの者を連れて参りました。」

 

 

 ̄ ̄来たようですね。

「えぇ、入っても構いませんよ。」

永琳「では。」

 

永琳が、扉を開けて部屋に入って来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄さぁ、ご対面。都市を脅かそうものなら、この私、月読命が御相手しますよ? ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳の、後ろにいたのは……

 

 

 

 

?「やぁ。君が、この都市の最高権力者かな?」

 

 

 

 

……美人だった。

そう、美人。綺麗な人だった。

 

青い切れ長の目に、私よりも頭1個分程高いであろう長身。

 

青空の様に、真っ青な髪をふくらはぎくらいまでのポニーテールに纏めた、とても美しい方だった。

 

「……この都市に、何の用ですか」

 

?「いや、用っていうかな?最近、新しい力が増えたっていうからその力を探しに来てね?その力の元が、ここだったってワケだ。」

「……あの、名前を教えて頂けると幸いなのですが。」

「あっ、ごめん。まだ名乗ってなかったっけ。私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海月 ルナ!海を統括することを任された、海神だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄その瞬間、固まった。

今、何と言った?……海神?

海神……

 

 

 

 

 

「う、海神?」

ルナ「あぁ!そうさ、この私が、正真正銘の海神だ!」

 

 

 

 

 

 ̄ ̄その刹那、私の体は動いていた。

「申し訳ありませんでした!!!」

 

 

 

 

……スライディング土下座をする為に。

 

永琳「つ、ツクヨミ様!?一体、どうなされたのですか!?」

 

ルナ「そっ、そうだぞ!?いきなりどうしたんだ!?」

 

「どうしたもこうしたもありません!海神という高貴な地位を持った貴方様に、おもてなしも用意出来なかった私共をどうかお許し下さい!!」

 

ルナ「いや、別に私は気にしないんだけどな……って、その前に頭あげて立ってくれ」

 

「!……はいっ!!」

 

海神様にそう言われ、すぐさま立ち上がる私。

 

 

 

 ̄ ̄まさか、あの力の正体が海神様だったなんて。全然、気が付かなかった。

……私も、まだまだってことか。

 

 

 

ルナ「そう、私がこの都市に来た理由だな。」

「あっはい、差し支えなければ教えて頂けると……」

 

私が質問して良い立場では無いのだが、これだけはどうしても知っておかないといけないのだ。

 

ルナ「新しい神力を見つけたから、ちょっと来てみたんだ。それで、それが害悪なモノだったら排除しようかと……」

 

 ̄ ̄その言葉に、私の背筋が凍った。

 

 

 

まさか、この都市を……え、まさか……ね?害悪なモノだなんて……思われて、ないと……いいんだけども……

 

 

 

ルナ「あっ、安心してくれ。君、月読命は、私や海にとって害悪なモノじゃ無かった。だから、安心したよ。排除しなくて済む。君みたいな良い娘を殺すなんて出来ないな。」

 

 

そう言うと、海神様は私の頭をその大きい手のひらで撫でた。

 

「ひゃうっ……う、海神様……」

撫でられたことにビックリした私は、思わず身をよじらせる。

 

 

海神様が長身で男性の用な格好をしているからだろうか、海神様が自然とカッコよく見えてくる。もはや、美人と言うよりイケメンだ。

 

 

 

ルナ「そうそう。最近、ここら辺から強い妖力を感じるんだが、ツクヨミ?何か知っていることがあるか?」

 

「!……はい。最近、この都市の辺りで妖怪が大量発生しているのです。そして、どうやらその中には力の強い大妖怪が数名いるとの事で……」

 

海神様に問われ、意識を取り戻す。

 

そう、最近ここらで妖怪が大量発生しているのだ。

 

その中には大妖怪もいる。……たしか、白狼妖怪が頭だったような気がする。

 

白狼妖怪、八百万 秋葉。

苗字に"八百万"と付くだけあって、本当に強い。確か、天照のお姉様と一戦交えた事があるとかなんとか。……勝敗は、知らないが。

 

白狼妖怪以外の大妖怪も、相当強い。私であっても凄く苦戦するのだ。確か、鬼子母神がいたような……

 

ルナ「……そうか、白狼妖怪……ね。成程……」

 

海神様が、何やら納得した様な顔をする。……まさか、白狼妖怪と一戦交えるなんてことは……

 

ルナ「よし決めた、ソイツを今から倒してくるよ!」

 

……当たった。

 

「何故ですか?何故、白狼妖怪などと言う厄介な者に、立ち向かうのですか?……貴方様の力は重々知らされています。ですが、貴方様の様な世界の重役の手を煩わせるような事は出来ません。」

 

永琳「ツクヨミ様……」

 

……無礼な行動なのは分かっている。

 

でも、本当に白狼妖怪は危険なのだ。

 

……私でも、敵わないかもしれない。お姉様でも、敵わないのだ。……海神様を見限った訳では無い。もし、海神様に何かあったら、の話である。

 

 

 

ルナ「う〜ん……それじゃあ、君が今から私と勝負して、君が私の力を認めたら私の勝ち。もしも私が負けた場合は、君の勝ちだ。……どうする?」

 

 

 

 ̄ ̄海神様は、どうしても行きたい様だ。

危険なのは、海神様も分かっている筈。それでも行こうとしているのは、それなりに覚悟はあるのだろう。

 

 

 

 ̄ ̄仕方ないな。

 

「……では、その条件で呑みましょう。海神様の力を私に認めさせる事が出来れば海神様の勝ち。でももし、私が勝利すれば行かせられません。……その条件で宜しいのですね?」

 

ルナ「……あぁ、良いさ。自分の実力を試せる時が来たんだ。最近、体が鈍ってると思ってたからな。手加減はしない。少し相手になってもらうぞ!!」

 

龍神のお姉様がこの状況を見ているならば「貴方、馬鹿?」などと言われるのだろう。

 

海神様の力は、私なんかより断然上な筈である。そんな方に、私は勝負を挑んだのだ。

 

……馬鹿か、私は。真っ向から負ける事が分かっている勝負をするなんて。

 

でも、海神様があんなに嬉しそうにしているのに、断るなんて事はもっと出来ない。なら、どうすればいいか?それは……

 

 

 

 

「えぇ、最初から全力で構いませんよ。私も、最初から手加減など致しませんわ!!」

 

 

 

 

 

 ̄ ̄真っ向から、ぶつかればいいだけの話だ。

 

さぁ、海神様。月の神、月読命(ツクヨミノミコト)の力を惜しみなく発揮させていただきますよ!!!




ご静観、ありがとうございました。
どうでしたでしょうか?
途中、オリキャラが多数出てきましたね。
まずは、その紹介をしたいと思います。




天照大御神


種族 太陽神

能力 太陽を司る程度の能力

身長 178cm

体重 女性には聞いてはいけない事……

趣味 家庭菜園、妹を愛でる

特技 ロンダート、殺気を放つ事、モノマネ(特にニワトリの)



月読命


種族 月神

能力 月を司る程度の能力

身長 169cm

体重 それを女性に聞きますか?

趣味 天体観測

特技 料理、裁縫、先の天気を当てること。(百発百中)



八百万 秋葉


種族 白狼妖怪

能力 炎を司る程度の能力 と隠し能力(後々出てくる)

身長 165cm

体重 女性には……(ry

詳細 天照大御神と一戦交えた事がある。勝敗は……



夜刀神 闇


種族 龍神

能力 全てを司る程度の能力・概念を司る程度の能力

身長 147cm

体重 女性には(ry

趣味 殺し合い、妹を愛でる、動物を育てる、絵を描く事、歌を歌う事

特技 絵画、馬術、ダンス、歌


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第2話 とある白狼妖怪の話

永琳「それでは、海神様vs.ツクヨミ様の模擬戦を始めます。両者、準備は宜しいですね?」

 

永琳が、対峙している私達に向かって話しかけてくる。

……両者、どちらも手加減は無用と言いたげな目つきをしていますね。私が言えた立場ではありませんが……

 

ルナ「あぁ、私は構わないが。」

 

「えぇ、私も準備万端ですよ。」

 

 

 

 

永琳「それでは。 ̄ ̄ ̄スタートッ!!」

 

 

 

 

 

その瞬間、私の視界に入っていた海神様が消えた。……消えた?

ルナ「先行は貰った!!」

気が付くと、私の腹に拳を叩き込もうとしている海神様が見えた。

「ッ!!」

私は、それを間一髪で避ける……が、それだけで見逃してくれる程海神様は甘くないだろう。

 

ルナ「私のコレを避けるなんて、君は中々の反射神経だな!気に入ったぞ!」

今度は、私の右側頭部に強烈な蹴りを放ってきた。……私も、2度はかかりませんよ?

 

「私だって、同じ手にはかかりませんよ!!」

 

私は、咄嗟にしゃがみ、それを避ける。そして、バックステップの要領で海神様との距離を取る。

 

ルナ「避けているだけじゃつまらないぞ、ツクヨミ!!そっちからも何か、仕掛けてきたらどうなんだ!!」

「えぇ、わかっていますとも!……はッ!」

 

……さっきまで避けてばっかりで私もそろそろ仕掛けたいと思ってた所だ。海神様がそう仰って下さったので、遠慮無く攻撃が出来る。

 

「ムーンライト・アイ!」

私は、その月のような色の目を月明かりの如く光らせ、光の様に速く大量の弾幕を放つ。

 

ルナ「……ほぅ?月明かりの力を借りたか。さすが、月を司る女神だな!」

「いえ、それ程でも……ありませんよッ!!」

 

……この方は、接近戦が好きなのだろうか?さっきからやたらと体を使った攻撃をしてくる。

そして……ついに。

 

「かはっ!?」

腹に1発、食らってしまった。

流石、身体能力が龍神のお姉様並にあると言うだけ、重い一撃だった。

 

「うっ、ぐぅ……!」

海神様は、私の体へと着実に攻撃を入れていく。

この方は、本当に容赦が無い。私も、海神様も容赦は要らないと言っただけ、本気だ。

……いや、海神様は本気では無いのだろう。あの大きな体で、本気で蹴られたらと思うと……いや、想像などしたくない。

 

 

ドォン!!!

蹴り飛ばされた私の体が、壁にぶち当たる。

海神様がこちらに向かって歩いてくるのを見つけた。

 

「うっ、ぐ……ふふ、ふふふ。私は、負けました。さぁ、好きにして下さい。」

 

両手を広げて壁にもたれかかる私の姿に、海神様はその青い瞳で見つめる。

 

ルナ「……私は、君に認められたのか?」

「……えぇ。貴方様の実力は、あの白狼妖怪に挑まれるには御十分です。……でもあの時、海神様は全力を出されていなかったのでしょう?私は、全力を尽くして海神様に挑みました。それでも、私では海神様の全力には辿り着けませんでした。」

 

「全力の限りを尽くしたのにも関わらず、です。この戦いは、戦う前から決着が着いていました。私如きが、海神様に敵う筈がありません。まぁ、何はともあれ、海神様は私に勝ったのです。」

ルナ「……それじゃあ、白狼妖怪に戦いを挑んでも良いって事か?」

 

海神様が、私に問いかけてくる。……当たり前じゃないですか。貴方は、私に勝ったのですよ?

 

 

 

 

「えぇ、当たり前じゃないですか。」

 

私は、満面の笑みでその言葉に返す。

 

ルナ「そうか……ありがとな。良い戦いだった、また君に挑ませてもらうよ。」ナデナデ

「はっ、はいぃ///ひゃぁん……♪///」

 

そっ、その笑顔と頭を撫でるのは勘弁して下さいよぉ……貴方は、自覚が無いのかもしれませんが、こっちは大変になってしまうんですからね///

 

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 

ルナside

 

私は今、ツクヨミから聞いた白狼妖怪の所へと向かっている。

 

聞いた話だと、白狼妖怪はとてつもなく危険とのこと。神であるツクヨミさえも、負けてしまうんだとか。……神が妖怪に負けるってどんな状況なんだよ。滅多にないぞ、そんな時。

 

「……それにしても……白狼妖怪は、何処にいるんだ?ここら辺に出るって聞いたんだが……」

 

辺りは木、木、木。木だらけで何も無い。確かに、妖怪が好みそうな所だが……

 

 

?「あら?見ない顔ね。もしかして、新入りかしら?」

「ッ!?」

 

 

後ろから突然に聞こえてきた声に驚く。

 

?「あら、そんなに驚かなくても。私は、別に危険じゃありませんわよ?」

 

……振り向くと、そこには"人"が立っていた。人かどうか、今は分からない。

妖力を隠した妖怪かもしれないので、注意は怠らない。

 

「君は……誰だ」

?「あら、まだ名乗っていなかったわね。私は……」

 

目の前の白髪が、不気味な笑みを浮かべて、こう言った。

 

 

 

 

 

?「……白狼妖怪、八百万 秋葉よ。」ニィ

 

 

 

 

 

咄嗟に、私はバックステップの要領で後ろに逃げた。

 

秋葉「あら、これを避けるだなんて……貴方が初めてよ。中々、やるじゃない?クフフ……」

「そりゃあ、嬉しい事で!!」

 

秋葉は、私へと殴る、蹴る等を繰り返す。

私は、それを避ける。

 

秋葉「あらあらあら、避けてばかりじゃつまらないわ!それと、貴方の名前を、教えて下さる?私しか、名乗っていないでしょう?名前は、自分から名乗るものでしょう?」

「そうだな……すまない。私の名前は、海月 ルナという。海を統括する、海神だよ。どうだ?私は、人間じゃないぞ。食べたく無くなったろう?」

自分の名前を名乗ると、秋葉と名乗る白狼妖怪はあら、と言って驚いた。

秋葉「クフフフ、そんな事ないわよ?ますます貴方を食べたくなってきたわ♪海神だなんて、そんな強大な方に会えるだなんて。ルナ、貴方を食べたら、さぞ私の力は強くなるのでしょうね?だから、早く私に食べられて下さる?」

 

秋葉はそう言うと、爪を私の方へと振り下ろす。

「うぉっと!?危ないなあ、それを食らってたらひとたまりもないぞ!?」

早く食べられてくれだなんて、無理がある。人は誰だって、生きるのを優先する。……まぁ、どっちも人外の類なんだが。

 

……はぁ、こんな事を繰り返すのももう飽きたな。気絶させて、私の神社へと運ぶか。遊びに付き合うのは嫌じゃないんだが、場所が場所だ。つまり、時と場合によって変わる。

 

早く、終わらせないと。秋葉にとっても立場が悪くなってしまう……

そう思いながら、私は最高速で秋葉の懐に潜り込む。

 

秋葉「あら?どこに……かはッ!?」

秋葉の腹をちょっと弱めて"殴る。本気で殴ってしまうと、秋葉の腹から上と下がサヨナラしてしまうだろう。

 

っていうかそんな経験何度もしてるし、その度に学習はしてる。"闇以外"、本気で殴ってはならないと。

 

「よっと。……すまないな秋葉、少し我慢してくれ。」

気を失い倒れていく秋葉を抱きかかえ、空を飛び立つ。

 

ツクヨミに、一言言っておいた方が良かったかな。

……でもまぁ、いいか。また今度、いいに来ればいいか。

 

 

 

……それにしても、秋葉って結構可愛いな。口に生えてる牙や爪を除けば、美少女の類に入るだろう。

 

身長は、高い方が低い方なのか分からないな。だって、自分の身長が高すぎて最近、分からなくなってきてる気がするんだよねぇ……

 

結構整ってる顔してる……って、ここ"東方project"の世界だったわ。さっき永琳いたしね。多分、東方の世界だろう。じゃなかったら何の世界なんだよって感じだわ。

幻想郷の住民って、結構顔が整ってるんだよね。……何でだろうね?

 

 

 

とまぁ、色々考え事してる内に私の神社に着きました。

 

闇「あら……お邪魔してるわ、ルナ。……と、そちらは?」

闇が、先に上がってたみたいだ。

「あぁ……この娘はな、八百万 秋葉っていう白狼妖怪だよ。」

私が、そう言うと闇は「へぇ……」と言いたげな顔をした。

……どこかで、聞いたことがあるのだろうか?闇なら、知ってそうだ。ていうか、闇の知っている範囲内ってどこからどこまでなんだろうか?闇は、龍神。計り知れない量の知識は兼ね備えているはずである。

 

闇「あら、白狼妖怪……ね。なんか、ツクヨミが言ってたわね。「最近、妖怪の件で疲れてるんですよ!」って。」

 

はは、そう言えばなんかツクヨミに会った時に言ってたな〜苦笑

でも、秋葉がいなくなった事で確実に白狼妖怪の群れは崩れるはずである。なんたって、秋葉は白狼妖怪のリーダーだけでなく、数名いる大妖怪の中で一番強いとか言ってたな。

他にも鬼子母神がいるとか言っていたが、それでもまだマシだろう。

 

闇「それで、その娘をどうするの?」

 

……そう、私の神社に連れてきたはいいがそこからが問題なんだよな。

それならあの時、秋葉を殺せば良かったじゃないかって話になるんだが……生憎、私は現代人である。そんな事は、慣れていないのだ。

 

「そうだな……ひとまず、ここで暮らさせようと思う。ここで暮らしてけば、人を襲うことも辞めるだろう。」

 

そんな自信がどこから出てくるのよ、と闇は溜息をつき、秋葉をじっと見た。

 

 

闇「それにしてもこの娘……どこかで、見た気が……」

「何か、知っているのか?」

闇「いえ、そんな気がするだけ。貴方は、気にしなくてもいいわ。」

「……そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉「……んー」

 

「おっ、起きたか?」

闇「……あら。」

 

……どうやら、秋葉が起きたみたいだ。

 

秋葉「此処は……って、あら?貴方は……さっきの。」

秋葉が、こっちを見てその目でギロリと鋭い視線を送ってくる。……地味に、悲しくなる。

 

秋葉「私は、どうなったの?貴方に……負けたの?……悔しいわ、貴方如きに負けるだなんて。海神の力を、手に入れられる所だったのに。」

秋葉が、なんか悔しそうに目を瞑って手を握っている。……海神の力を、手に入れて何がしたいんだい?君は。

 

 

 

 

 

 

 

 

闇「それじゃあ、私はそろそろ帰るわね……って、秋葉まだ悔しがってるじゃないの」

 

秋葉「当たり前よ!こんなヤツと一緒に暮らさないといけないだなんて!死んでプライドを守った方がまだマシだわ!!」

 

……ルナさん、ちょっとガックリしてますナウなんで、その言動を辞めて頂いても……って、心の中で思ってたって意味無いや。

 

闇「……ふふっ。二人共、お幸せにね〜♪」

秋葉「アイツ、今度あったら喰らい尽くしてやるんだからぁ〜!!」

「辞めとけ」

 

秋葉、すっごい悔しそうなんでやめたげてくださいよ、闇さん。

 

そんな感じで1日を終える私達だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉side

 

なんで、あんなヤツと一緒に暮らさないといけないのよ!?

アイツの名前は、海月 ルナ。海を統括する、海神……らしい。

私は最初、ルナの事を人間だと思い、甘くみていた。

 

 

 

……その、驚異的な力を見るまでは。

その馬鹿げた神力。龍神をも超える身体能力。……そのどれもが、愛おしく思えた。

 

……その瞬間から、その力が欲しい。そう思ってしまった。

最初は、ただ喰おうとだけ思っていたのだが。

 

 

 ̄ ̄どうやら、私の判断が恐ろしく間違っていたみたいだ。

下手したら殺されていたかもしれないというのに。

 

……私は、ルナに助けられたのだ。ルナがいなかったら、私は死んでいただろうな。

 

本当は、あんな奴に感謝なんてしたくないが。……今回ばかりは、仕方ない。

 

 

 

 

 ̄ ̄どうやら、私はこれから忙しくなりそうだ ̄ ̄




ご静観ありがとうございました。

白狼妖怪、怖いですね。
神にも匹敵する身体能力、そして隠し能力……

そして、ルナの実力。

それでは、次回お楽しみに!アデュー!


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第3話 月移住計画の前触れ

チュンチュン

 

「ん……もう、朝か。闇は……帰ったみたいだな。」

 

朝、起きたら闇の布団が片付けられていた。……多分、もう帰ったのだろう。

昨日は、疲れた。色々と、ね?

秋葉の件もあるし、ツクヨミ達の件もあるし……

 

「今日は、何すっかな……」

 

 

暇潰しにピアノ弾こうかな?

闇がくれた古いピアノが、自室にあるし。

 

「そうだ、ピアノ弾いてみよう……そう言えば、闇が、持ってきてくれてから1回も弾いてないな……前世でもやってたし……でも、弾けるかな?」

 

私が、前世でよくやっていたのが"弾き語り"というものである。

弾き語りというのは、ピアノ等を弾きながら歌を歌う事である。

弾き語りは、特別難しいと言うわけではないが、練習をしないと出来ないものだ。何でもそうだが、根気が必要なものである。

 

 

「何を弾こうかな……そうだ、私が前世で好きだった曲……」

 

 

〜〜♪♪

 

 

……

 

 

「 ̄ ̄。懐かしいな……また、"あの時"に戻りたい……って、お?」

 

 

私が、弾き語りをしている時に秋葉が起きてきたようだ。

 

秋葉「貴方……歌、上手いのね。しかも……楽器を使いながらなんて」

「ありがとう……でも、闇の方が上手いよ。私なんて全然だしな。」

秋葉「そう?……貴方の歌声は、私の胸に強く響いてきたわ。歌詞も、心を惹かれる感じの……」

 

ちなみに、私が歌ったのは失恋ソングである。

前世で"失恋ソングの女王"とも謳われた、私の尊敬する女性シンガーソングライターの人が歌っていた曲である。

その人はとても美人であり美声、高温ボイスで、心惹かれるような曲を沢山出している。

作っている曲は殆どが失恋ソング。2011年3月11日に起きた、東日本大震災復興に向けて歌われた曲が、特に私の胸に強く残っている。

 

君の笑顔が僕の明日を作ると言うような意味の曲であり、未来へ繋ぐ架け橋のような曲だ。

 

 

「そうだ……秋葉、君はこれからどうしたい?残念だが、妖怪の群れにはもう帰れない。ツクヨミには、もう君を退治したと言ってあるんだ。」

秋葉「何勝手な事言ってんのよ?……まぁいいわ。でもね私、ツクヨミや都市の人間如きに負ける程弱くはないわ。なんなら都市の人間総勢力でかかってきても、負けないわ。……貴方なら、別かもしれないけれど。貴方の力は格が違うものねぇ……」

 

秋葉が、何やら納得したようにうんうんと1人で頷いている。

……何なんだろう、この気持ち。っていうか、秋葉昨日メッチャ悔しそうにしてたのに、もう大丈夫なのかな?……ま、いっか。それよりも、秋葉の今後について知りたい。

 

「それで?秋葉、君はこれからどうするんだ?」

秋葉「そうねぇ……とりあえず、暫くはここで暮らさせて貰うわ。その間に、自分の強さを磨こうかしら。それと……闇だったかしら?に復讐する為にね。」

 

あっ、やっぱ復讐したいんじゃん。まぁ、無理だろうけど。闇は龍神、妖怪とは格が違うのよ。

 

「頑張れ(笑)……そうだ、朝御飯まだだったな?食べるか?」

秋葉「私は……そうね、食べようかしら。って、貴方料理出来るの?」

「あぁ、一応出来るよ。でも、作るのは私じゃない。」

秋葉「えっ?じゃあ、誰が……」

 

言ってなかったが、私の神社にはれっきとした巫女がいるのだ。

通称"海巫女"と皆に呼ばれている。

 

「あっ、秋葉には言ってなかったっけ?じゃ、今から呼ぶわ。……桜花〜!!」

桜花「は〜い!何ですか〜?」

 

神社の置くから、ドタドタと走り声が聞こえてくる。……急ぐのはいいけど、コケないようにね?

 

桜花「海神様、何ですか?……って、妖怪ッ!?」

桜花が、懐から御札を取り出して秋葉に向けようとするが、私が阻止する。

「桜花、辞めな。こいつは、秋葉っていう私の友人だ。……秋葉、自己紹介。」

秋葉「はぁ、分かったわよ。……私は、八百万 秋葉。白狼の妖獣よ。これからここで過ごさせてもらうわ、よろしく。」

 

「桜花、君も自己紹介しな。」

桜花「あっ、はい!私は、"綾波 桜花"と申します。海神様に仕える、海巫女です!秋葉様、よろしくお願いします!」

 

はい、よくできました!

これからも仲良くしてやってね!……って言いたい所だけど、秋葉。桜花を食べるんじゃないぞ?御飯なら、私か桜花が作るから。

 

「そうだ、桜花。朝御飯を作ってくれないか?」

桜花「あっ、はい。分かりました、今すぐ作ってきますね!」

 

桜花が、また神社の奥へと走っていく。……何度も言うけど、コケるなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?side

 

私の名前は、鬼神 結花。

鬼を纏める、鬼子母神だ。

悩み事など無い嘘の大嫌いな鬼である。

 

 

唯一の最近の悩み事と言ったら、私の所属する妖怪の集まりの所のリーダーが突然、いなくなった事だろうか。

……いなくなってしまっては、色々と困るのだ。例えば、私達大妖怪の仕事がかなーり増えるとか。

大妖怪も大妖怪とて、部下の妖怪達を従えているが故、仕事が楽そうに思えるが、決してそうではない。

後日行う人間達を襲う計画も立てなくちゃならないとだし、知能が低い妖怪達ではこの仕事はハッキリ言って難しい。

 

「はぁ。秋葉、どこに行ったんだろうねぇ……いい加減戻って来てくれないと、アタシが、過労死しちゃうよ〜」

 

なんて、一人冗談を呟いてみる。

……いつもなら秋葉がツッコミを入れてくれるんだけど。今は、そんなヤツもいないからなぁ……

 

ちなみに、後日行う人間を襲う計画と言うのは、部下の妖怪から聞いたことなんだが、どうやら近いうちに人間たちが"月"に移住するらしい。

それがどうしたんだ、って言うヤツもいるだろう。

でも、アタシら妖怪にとってそれは危機的状況なのだ。何故なら、今人間が住んでいる場所が分かっているのは、ここだけだから。

食糧の人間が急にいなくなると、非常に困るのだ。人間を主食にしていた妖怪達は、間も無く死に絶えるだろう。そんな事は、絶対に避けたい。

 

?「ユウ。まだあの事で悩んでるの?秋葉がいなくなったのは仕方ない事じゃない。これからは、私達だけで上手くやっていきましょ、ね?」

 

大妖怪の内の1人が話しかけてくる。

コイツの名前は、ルーミア。秋葉には及ばないが、鬼のリーダーである鬼子母神の私と同等の強大な力を持つ闇の妖怪だ。

 

ルーミア「秋葉の事は、部下の妖怪達に探させるわ。あの娘がいなくなったら、色々と困るしね。探さないワケにもいかないわよね……」

「あぁ、そうだね……」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ツクヨミside

 

永琳「ツクヨミ様、お茶です。余り、無理なさらないで下さいね?……月移住計画の事ですが、当日妖怪がこの都市に攻めてくるかもしれません。」

「えぇ……そうですね。そんな時、ルナ様がいてくれたら百万馬力なのに……」

 

そんな頼み事、出来ない。と言い、私は溜息をついた。

正直、都市の兵士だけでは力量不足だ。このままでは、妖怪に都市が攻め込まれてしまう……

外部から助けを借りるという手も考えましたが、お姉様達に頼むのは流石に失礼かと。

ルナ様も考えたのですが、あの方が今どこにいるのか分からない……私は都市の外に出られないが故、いつ会えるかも分からないのに、そんな頼み事は出来ませんよね。

だったら、どうすればいいのでしょうか……

 

永琳「ロケットなのですが、私が開発したロケットは四台です。ツクヨミ様と私は一番ロケットに乗る予定なので知っておいて下さいね。まぁ、当日また言いますが。……兵士達、心配ですね。もし、妖怪が攻めてきたらと考えると……」

「そうですね。でも、あの兵士達も中々優秀なのが多いです。兵士達にかけましょう!あの兵士達なら、きっとやってくれるはずですよ!」

永琳「そうですね!」

 

力量不足と言ったが、実際分からない。妖怪が攻めて来る数も分からないんですし。

兵士達も、優秀なのが多い。だから、可能性はまだまだあるのだ。可能性に、かけるしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ロケット発射まで、あと一ヶ月。




ありがとうございました。

どうでしたでしょうか?
今回、久し振りに原作キャラが出てきましたね!
最近、オリキャラばっかでつまんないと思っていた方もいらっしゃったかと思いますので、一回出してみた感じです……

ちなみに、失恋ソングの女王で、シンガーソングライターって誰か知ってる方いますか?
私が、一番尊敬する方なんですけどね。
まさか、ルナがピアノひけるだなんて思ってなかった!?

では、次回までアデュー!


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第4話 大妖怪ルーミア

希望に溢れる世界。

 

しかし、世界と言うものは残酷だ……

 

幸せには、必ず終止符が打たれるとでも言うように ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄タイムリミットまで、あと一ヶ月。

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

闇side

 

「ふ〜……今日も、良い天気ね〜気持ちが良いわ♪……あら。貴方は、そうでもないのかな?」

 

私は、気まぐれで野生の動物のお世話をしている時がある。

その途中で、色々と話しかけてみる。今日は、本当にいい天気だ。

 

 

「それから……もうすぐね、月移住計画。その時、確実に都市に妖怪が攻めて来るわ……私も、多忙じゃなけりゃ行くのに……」

 

最近、私の仕事が増えてきている気がする。気の所為なのだろうか?

 

ツクヨミが計画している月移住計画。

約一ヶ月後に計画を実行するらしいのだ。

その時に、数え切れない位の妖怪が攻めて来る……らしい。

そうなれば、都市は全滅の危機に陥るだろう……しかし、都市の兵士も伊達に訓練はしていない。だから、まだ可能性はあるはずだ。

 

「あのツクヨミが言ってる兵士だもの……さぞ、優秀なのでしょうね?」

 

「……ま、私も暇が出来たら行こうかしら?ルナも誘って…………」

 

 

……近くに、そこそこ強い力を感じる。まぁ主様や私、ルナ程でもないけど。

 

 

?「そこの者、止まりなさい。」

「……」

 

 

振り向くと、金髪ロングの少女が黒い剣を構えて立っていた。

 

「あらあら……そんな剣なんて持って、物騒ねぇ。黒いオーラを発しているから……さしずめ、闇の妖怪かしら?」

?「あら、良く分かったわね。私は闇の妖怪、ルーミアよ。貴方は?」

「私は夜刀神 闇。龍神王の従者よ。」

 

私が自己紹介を終えると、ルーミアが口に手を当て、驚いた様な顔をしていた。

 

ルーミア「あら……龍神王の従者だなんて、御立派な事でねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄刹那、私の身体は横に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

口の中が血の味で満たされる。

「貴方……何を、したの?」

ルーミア「何をしたなんて……貴方の腹をこの剣で斬っただけだけど?それよりも、真っ二つにされなかっただけ感謝しなさいな?……まぁ、真っ二つにしたとしても貴方なら再生するのでしょうけど」

「よく、分かってるじゃない」

口を抑え、立ち上がる。

ルーミア「あら……まだ立ち上がれるのね。見直したわ?」

 

そう言いながらもルーミアは、私の首目掛けて剣を振るう。

私は、それを"あえて"受ける。

 

ルーミア「あら、もう終わり?龍神王の従者って言う位だから、それなりの力を想像していたのに……残念ねぇ。」

 

ルーミアが何か、言っている。

……残念だと?貴方、私が誰か分かって言っているのでしょうね?

 

「残念だなんて……貴方、私が誰だか分かってるの?」

私は、切れてしまったその首を元通りに治す。

 

ルーミア「……やっぱり。貴方なら、そうだと思ったわ。……私を楽しませてくれるってね!!!」

ルーミアがその黒い大剣を横薙ぎに振るってくる。

 

「ふふっ……そうねぇ。貴方は、見る限り大妖怪。貴方に敵う者は、そうそういないでしょう?」

私は、避けながらルーミアにそう言う。

ルーミア「……良く分かったわね。その通りよ、私に敵う妖怪なんてそうそういないわ。」

ルーミア「貴方を見つけられたのは……貴方から放出される力を嗅ぎ付けて来たってワケよ。」

 

 

……成程。

ルーミア、結構な大妖怪みたいなんだな。ちょっと、見くびっていたみたいだ。

妖力等を嗅ぎ取るのは、かなりの集中力がいる。まっ、私なら能力であっという間にできるようになるけれど。

 

それよりも、目の前のルーミアをなんとかしなくてはならない。

原作キャラの中でも一面ボスの位だが、EXとなると違ってくる。

ボブカットだった髪は伸び、頭に付いていたリボンは消えて頭の上に浮かぶ。

黒いベストとロングスカートがそのままのデザインだったので、すぐにルーミアだと分かった。

 

ルーミア「あらあら、戦闘中に考え中?私も、舐められたものねぇ!!」

ルーミアが大剣を何度も振り回し、殴る、蹴るなどの繰り返し。……いい加減、飽きてきた。

 

「いい加減終わらせるわよ ̄ ̄ホーリーネット!!」

 

私が技名を叫んだ瞬間、ルーミアの立っていた地面から白い光の柱が現れた。

その光は次第に網に変わり、ルーミアを包んで離さなくなる。

ルーミア「ちょっ、なによっ、コレッ!!」

 

ふふっ……動揺してる。今が、チャンス!!

 

「 ̄ ̄ホーリーブレイク!!」

 

 

 

大妖怪ルーミアとの勝負。勝者 ̄ ̄夜刀神 闇。

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄海月 ルナ。それは、現代から転生した人間。

刺激を願い、夢を見た少女 ̄ ̄。

少女は自殺を試みるが ̄ ̄

 

 

 ̄ ̄とある夏の夜更け。彼女は、窓からの来訪客に目を覚ます事になる ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

タイムリミットまで後 ̄ ̄一ヶ月。




はい、どうでしたでしょうか?
今回は、少し短くなってしまいました……でも、そのかわりネタはとっておくので!1週間2回投稿は守りますので!

タイムリミットってなんだ?と思った方がいるとおもいます。
でも、それは後のお楽しみにしておいて下さい!



海神として生きるルナに訪れるコトとは。それは、それは残酷な話……


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第5話 生命の証

突然じゃなく、その日はやってくる。

それは、それは ̄ ̄唐突に。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ルナside

 

私は、神社の縁側で寝転がって一人感慨にふけっていた。

 

 ̄ ̄月移住計画の事。

 ̄ ̄秋葉の事。

 ̄ ̄都市に妖怪が攻めて来た時の事。

 

どれも、どう対処するのか分からない。

私も私とて、万能じゃないのである。

 

秋葉「ねぇ、ルナ。何か、手伝う事無い?」

 

 ̄ ̄秋葉か。最近、なんかずっとこんな感じなのである。

共に住んでばかりの頃は、私を嫌っているような感じだったんだが……どういう風の吹き回しだ?

 

「そう……だな。別に、今はないかな……あっ、そうだ。桜花の手伝いをしてきてやってくれ。桜花、最近忙しそうだからな……多分、境内にいると思うぞ?」

秋葉「そう……分かったわ、行ってみるわね。」

 

秋葉は、縁側からそのまま、境内に向かって走っていった。……本当に、なんだったのだろうか。

最近の秋葉は、本当にどこかおかしいのだ。何か、あったのだろうか?……まぁ、いいや。また今度聞くとしよう。

 

 

「誰にも分からない、迷いなど消えない、ゲームの世界ではない……いい歌詞だな、本当に……」

 

私は、前世で好きだった曲を口ずさんでいた。

 

楔、迷路……良い曲ばかりだ。

 

 

 

 

 ̄ ̄この時の私は、後に自分の身に起こる悲劇など知る由も無かった ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

とある森の中。

とある大きな影が一つの小さな影を見つめていた。

 

「……」

 

大きな狐。それは、それは大きな狐……尻尾は九本、ひと目でその狐が何か分かる様な姿形をしていた。

 

 ̄ ̄九尾の狐。

一度は、聞いた事のある名前であろう。

如何なる妖怪よりも強大な妖力を持ち、金の穂よりも美しい黄金色の体毛、九本の尾を持つ妖獣……

 

その妖獣が、一人の少女を見つめていた。

 

「ほう……我が真の姿を見ても逃げんとは。通常の人間であれば、命乞いをして皆逃げていったぞよ?」

「うん……今も、すこしだけこわいかな。でも、あなたいい狐さんでしょ?わたしが手当てしてる時、私を食べなかったもんね!」

 

そうか……と九尾は言い、少女に話しかけた。

 

「じゃが、其方は人間。其方の様な人間が何故、此の森に?森には、危険な妖怪がいると母上に教わらなかったのか?」

「……わたしね」

 

九尾が問うと、少女が口を開いた。

 

「……お母さんとお父さん、いないんだ。わたしを産んですぐ、死んじゃったんだって。そう村の人たちが言ってたのを聞いちゃったんだ……」

 

「だから、わたしには仲間もいない。忌み子……っていうものらしいんだって。きっと、わたしは村の人たちに捨てられちゃったんだね。だから、わたしは逃げてきたんだ」

「……」

 

 

……九尾は、この話を淡々と話す少女を見つめながら聞いていた。

それはそれはまるで、子を見つめる母親のように……

 

「……なんと、壮絶な話じゃ……物心付く前から、両親がいないとは。さぞ、辛かったじゃろうに。」

 

「人の子よ。其方の名は何と言う?」

「わたしの、名前?そんなものないよ。村の人たちがね、わたしのことずっと忌み子って言ってたから……自分の名前、分からない。」

 

暫くの静寂。九尾は少女を見つめ、考えた。

 

 

 

「そうじゃな……むぅ…………そうじゃ!其方の名は、白狐。」

「……え?」

「じゃから、今日から其方は白狐じゃ!じゃから、其方も今日から白狐と名乗るが良い。白く美しい狐の様になれ。わらわが、其方を家族に迎え入れてやろう!」

 

少女は、あまりにも驚く発言に戸惑っていた。

なんせ、九尾の狐に突然名を与えられたのだから。しかも、家族になるなんて……

でも、少女……白狐は、驚きもあるがそれよりも嬉しさの方が勝っていた。

 

白狐「……いいの?」

「ん、何がじゃ?」

白狐「わたしを、家族に迎えてくれるの?村の人たちに捨てられた、わたしを。」

「……あぁ、その事か。……はぁ、決まってるじゃろ?」

 

九尾は、満面の笑みでこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「良いに決まってるじゃろ?白狐よ。今日から、わらわの娘と名乗るがいい。」

 

 

 

 

 

 

 

……あまりの発言に、白狐は涙を止めどなく流していた。

白狐「ありがとう、ありがとう……!こんなわたしを、受け入れてくれて……!」

「ハァ、礼を受け取る程の事でもなかろう。」

 

自身の体が、少女の涙等で汚れるも、九尾は何も言わなかった。

自身の体に、白狐が泣きついてくるのをじっと見守っていた。

そんな事等よりも、心の中が人間への怒りの感情で満たされていた。

 

「(何故、人間共はこの様な事が出来るのじゃろうか?こんな可愛う娘を捨てるなど……それにしても、忌み子とは……許せぬな、人間。)」

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄この九尾が、後のスキマ妖怪の式の先祖になるなど、この時は誰ひとりとして知る者はいなかった ̄ ̄。

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄海の神。一度は聞いた事のある言葉だろう。

海の神。その名の通り、海を統括、司る神の事だ。通称海神と呼ばれる。

 

海神は、初代から次代へと受け継がれ、そして我等人間が生きる平成の時へと受継がれるのだ。

 

海神は、普通の神と違って寿命は短い。長くても百年程度しか、生きられないのだ。

しかし、魂の寿命は長い。よって、歴代の海神が遠い年月を掛けて次代の海神へと転生する場合もありうるのだ。

 

……まぁ、転生の仕事を担っているのが龍神王か龍神なので、その場合は殆どこの者達の仕業である。

海神は、比較的高貴な神であるとされている。

身体能力も他の神より比較的高く、というより初代の身体能力が龍神より上回っているという常識外れな身体能力の為、次代に受け継がれていった海神達の身体能力が他の神よりも、比較的高いという結果になっているのである。

 

……しかし、そんな夢の様な話ばかりではない。

古代の都市にて起こった人妖大戦。初代海神も参加していたと言われるが……それは、真か否か。

古代の時から生きる者しか知らない。だが、その者達は口を揃えてこう言う。「あの惨劇を忘れる者はいない……」と。

古代の時に何か、あったのだろうか。皆はそう思う事しか出来ないが、初代海神の身に何か起こった事は確かであろう。

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ルナside

 

秋葉「はいルナ、お茶よ」

「あぁ……ありがとう。」

 

秋葉がお茶を運んできた。……もはや、妖獣では無くここの巫女かと思ってしまう位、よく働いている。いや、もう巫女に転職したら?って思ってしまう位にね。

 

そんな事は置いといて……私は今、技作りに励んでいる。

「よし……こんなもんでいいかな?いや、もうちょい弾幕の密度を高めた方がいいかな……ま、こんなもんでいいかな。よし、この技の名前を考えなきゃ」

……基、後にスペルカードと呼ばれるものである。

スペルカード自体は、闇が既に作っているのだが……私も、真似てみた結果である。

 

「海符 泡沫の生命」

 

これは、水面に浮かぶ泡の様に消えてゆく生命を模したものである。

儚く消えてゆく生命を思い浮かべれば想像は容易いだろう。

 

「今日は、こんなものでいいかな……」

 

私は、縁側に寝転がった。

今はまだ、お昼時である。

……神社内に吹く風が気持ちいい。

こんな時が、いつまで続くのかな……ずっと、ずっと永遠に続けばいいのにな……

 

そう思っても、非情にも時は流れていく。

戦争も起こるだろう。大きな災害等が起こり、多くの人が亡くなるだろう。

……でも、それも自然の摂理。生命は、それに抗う事は出来ない。そんな事が出来るのは、龍神王と龍神だけ。……私は、ただの海神。海を司るだけの、海の神だ。人によっては、"ただの"とは付かないかもしれないが……

 

しかし、な……私の海神としての生はいつまで続くのかな……

闇が言ってた……海神の寿命は短いと。だから、私もその内寿命で死ぬのだろうなぁ……と思うことしか出来ない。

寿命を延ばす事も出来ない。自分を死なない体躯にするなど……

 

だがしかし……自然は美しい……そして残酷。

人間、妖怪、妖精、神仏、天人、仙人、閻魔……種族など、数え切れない程あるのだ。

人間が妖の類を恐れ、妖怪は人の意を喰らい、閻魔は人の道を選び……

自然に生きる者全てが、自分の仕事を持つ。

 

 

私は、自分に、人の為に何が出来るのだろうか……?

 

 

「っとと、考え事してたら結構時間経っちゃってるな。ったく……私ってどんだけ考え事が好きなんだろうな……」

闇からくれた時計を見てみると、数十分も経っている事に気が付いた。

 

つくづく思う事なのだが、私は考え事が好きだ。これは前世でもそうだったのだが、つい考え事が長くなって時には一時間程経過してた時もある。それが、私の考え事最高時間である。

 

「とまぁ、そんな事言ったって私にはまだ時間があるんだ……その時間を、ゆっくりのんびり過ごそうじゃないか!ん〜、いい天気だ!」

私は、立ち上がり背伸びをする。

今日は、本当にいい天気だ……洗濯物が良く乾きそうだな。

 

そういえば、月移住計画はどうなったんだろうか?妖怪が攻めて来るとかなんとか言ってたが……まぁ、それは都市の人間だけで充分だと思うけど。ヤバくなったら、助けに行くぐらいはしようかな?

 

 

約一ヶ月後に実行される月移住計画。月読命が計画しトップに立ち、八意永琳がロケットを開発。

月に移住。それは至難の業であり、リスクも大きい。それを成し遂げようとする都市の人間は、とても勇気のある者達だ。

 

しかし、その当日に妖怪が攻めて来ると予想されている中……

都市の兵士達は、どの様にして妖怪達を防ぐのだろうか……

月読命は、どの様にして人々を導くのだろうか……

 

その事を、知る者はいない。

だが、人妖大戦で犠牲者を出すとしたら……

 

 

 

……それは、✕✕✕✕✕であろう。

 

 

 

 

 

 

sideout

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 ̄ ̄タイムリミットまで、後一ヶ月。




どうでしたでしょうか……
今回は、少し重いというかシリアスな話でしたね。

時々、ギャグかなんかを入れようと頑張っているんですが…… 
でも、どうしてもどう頑張ってもシリアスな展開になっちゃうんですよね〜。

駄菓子菓子!シリアスな展開の後には、必ずギャグが来る!
ご安心下さい。この月移住計画が終われば結構(多分)ギャグが来ると思います……?


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第6話 私という者がいるからには

どうもこんにちは!

期末テストまであともうちょっとなので、少し投稿出来ない日があるかもしれませんが……
その時は、ゴメンナサイ!!

それでは、そろそろ本編です!


ルナside

 

「今日も平和だな〜……」

秋葉「そうね〜……」

 

月読命が計画する月移住計画まで、あと3日となった今日この頃。

私と秋葉は、縁側でくつろいでいた。

 

私達がくつろいでいるこの時にも、闇は今頃世界中を飛び回って次元を超えて、転生者を探しているのだろうな。まぁ、あと少ししたら転生者が激減していくんだとか。……まぁ、それは私の専門外なので対応しかねるが。

 

そう思っていると、神社の中から桜花の声がした。

桜花「海神様ー、少し来ていただけますか?」

「ん、今行くぞー!」

私は桜花に返事をし、立ち上がる。

……なんだろうな?と思いながらも、桜花のいる居間へと向かった。

 

 

〜居間〜

 

桜花「海神様、秋葉様、こちらまで来て頂きありがとうございます。」

「いや、別に良いんだ。」

秋葉「良いのよ。」

桜花「それで、お呼びした理由なのですが……」

 

桜花が自分の横にいた少女の方に目を見やる。

 

少女「……」

桜花の横にいた少女は、ずっと口をつぐんだまま。髪色は私と同じ青色。長さは、セミロング位だろうか?

 

桜花「実は、この娘……捨てられていたんです。」

桜花が、そう言った。……捨てられて、いただと?

 

「桜花……それはどういう事だ?」

桜花「はい……」

 

桜花は、少女を見つけた経緯、どういった所で見つけたのかを話してくれた。

桜花の話によると、どうやら少女は森にいた所を桜花に運良く見つけられたらしい。しかし、桜花が見つけた時は何故か周りに結界が貼ってあったんだとか。だが、結界といっても微弱な結界。桜花程の実力となれば、あの程度の結界など触れるだけで簡単に崩れ去ったのだとか。……しかし、触れるだけで破壊できる結界なんてどれだけ弱いのだろうか?それとも、桜花の実力よりも結界を貼った者の実力の方が断然弱かった?……まぁ、今はそんな事言ったってどうにもならない。話を続けよう。

 

「……はぁ。自分の子供を森に捨てるとなったか……妖怪に襲われてたらどうするんだ?」

秋葉「ホント、そうよねぇ。私は、妖怪だから人間の気持ちが良く分からないけど、こればっかりは許せないわね。自分の子が捨ててしまう程邪魔だったんなら最初から子なんか作るなって思うわ。……しかし、なぜ結界なんて貼られていたのかしら?」

 

……確かに、今考えてみると不自然だ。親が最後の情を与えて妖怪に襲われぬよう結界を貼った?いや、これは無いだろう。

ならば、少女が逃げ出さないよう、結界を貼って逃げられなくした?……これは、有り得るな。

 

桜花「……多分、中からこの娘が逃げられないように結界が貼られてあったんだと思います。」

「それ、言えてる。でもなぁ……一生そこから出られないんだぞ?妖怪が来て、何度も何度もそこで暴れてるんだぞ?少女からしたら恐怖だろうに。」

そうですよねぇ、と顎に手を当て桜花は頷く。

 

桜花「それよりも、この娘名前が無いみたいなんです。」

「……何?」

……名前が、無いだと?

「この娘は、名前すらも与えられず育ってきたのかッ!?」

桜花「海神様、落ち着いt「落ち着けるかッ!!」ヒィッ」

 

私は、怒りに任せてつい声を荒らげてしまう。……後で、桜花に謝らないとな。

 

「名前すらも与えられず、親からも愛情を貰えず……なんて家庭なんだ。桜花がいなかったら妖怪に喰われていたかもしれない……巫山戯るにも程があるだろう!!全く!!」

少女「……!」

秋葉「ちょ、ルナ……この娘、怖がっているじゃない!」

秋葉が、泣いている少女を守るように私の事を睨みつけてくる。

 

……少し、言い過ぎたかな。

「……すまない、怖がらせてしまって。」

少女「……」ふるふる

 

どうやら、少女は私の事を許してくれるようだ。

「秋葉も、すまない。」

秋葉「えっ?あっ、いや……私は、この娘が許すなら別にいいのよ。」

「そうか……」

 

今度から、怒りを抑える練習をしないといけないかもな……

秋葉「それよりも、早くこの娘の名前を考えてあげましょう?その方が、この娘の為にも良いわ。」

秋葉が、ニッコリと笑って言う。

「そうだな……じゃあ、何が良いだろうか……」

 

私は、少女の顔をじっと見据え、名前を考えた。

中々思い付かず、ぅーんと唸る。

はてさて、どんな名前が良いだろうか……悩むなぁ。

 

秋葉「ねぇ……皆。」

全「「ん?」」

秋葉が、唐突に皆に話しかけた。

 

 

暫くの静寂。

 

 

 ̄ ̄そして、静かに口を開く。

 

秋葉「紀沙……なんてどうかしら」

全「……」

 

 

 

全「「それだ!!」」

 

 

そして、少女の名は決まった。……海月 紀沙と。

 

その後は、大騒ぎだった。少女が捨てられたが故に全然喋らずで口も聞いてくれなかったので、私が粘った所、ようやく口を開いたのだ。

そして今では、少しずつではあるが皆と差し支え無く会話出来る様になった。……私の、いや皆のお陰で紀沙は私達に心を開いてくれたんだ。……めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

私は、妖怪であり ̄ ̄人間は食料だ。

 

私は、妖怪であり ̄ ̄人間は仲間だ。

 

 

 

 

 

 

これからも、この妖獣のお話は続く……

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

?side

 

……とある昔。

天界を含む神界等全ての世界を司る神様がおったそうな。

その神様は、『神』という力では収まらず、全てを司る力……概念をも司る力を持ち合わせ、世界の最高神と呼ばれた。

その名は『龍神』。

名前からして分かる者もいるかもしれないが、上には上がいるのだ。その名を『龍神王』という。

しかし、何故か『龍神王』の名を知る者は少ない。知っている者と言えば、『太陽神』『月神』『建御名方神』、そして『龍神王』の従者である『龍神』位であろう。

『龍神王』と『龍神』は強い主従関係で結ばれている。

どれ程のものなのか……知る者は本人達以外、知らないであろう。

龍神王の名は夜刀神 神琉。龍神の名を、夜刀神 闇というそうな。

二人の龍の姿を見た者は少ない。だが……僅かに、天界に住む者に偶に紛れていると言われる……

天を突く様な枝分かれした角……空を覆い尽くすかの様にうねる蛇の様に長く銀に光り輝く胴体……

 

この二人……天界に生きる私達天人にもその血は流れているという……

 

 

 

終わり

 

パタン

「ふう……私達天人の御先祖様は、こんな姿をしていたのか。」

 

「……会ってみたいなぁ」

いや……無理だろう。私等の力程度では、叶わないのだ。願いを叶える力でも無い限りは……

 

私の名前は、アリシア・カミーユ。次元を司る程度の能力を持つ天人だ。

 

 

 

これは、昔の私に起きた出来事。

能力をまだ持っていなかった時の話だ。

 

 

 

私は、私の中には力が眠っているらしい。

……かなり、強大な力だそうだ。もしかすると、龍神様の一歩手前までいけるかもしれないのだとか。またまた言うと、天界最強になれるのだとか。

そんな事を、両親から言われたのだ。嬉しくて仕方が無い。

 

 

だが、私の力は眠っているだけで、かなーり努力しないといけない。

ので、私は言われたその日から修行を始めた。

教官……基父親の蹴りや拳を避ければ良いだけなのだが。

母親の方はというと、私に弾幕を放つだけ。……幾ら何でも多すぎないか?と思うくらいの弾幕。

辛い日々もあった……

 

 

 

……でも、此処まで頑張ったから今の私があるんだ。そのお陰で、眠っていた能力を開花させる事ができた。身体能力も上がった。これも、応援してくれた皆や修行に付き合ってくれた母親や父親のお陰なのだ。だから、私は一生返しても返しきれない恩がある。

 

 

 

……そして、父親と母親が亡くなった今。

私は、晴れて天界の支配者、天界最強になる事が出来た。

 

……そして。

 

『龍神』に出逢う事が出来たのだ!!

本に描かれていた龍神様は、銀の蛇の如く長い胴体をして、黄金の目をし、天を突く様な枝分かれしている角の生えた姿であった。

……しかし、現実は違った。

……いや、銀であるのは違い無いのだが。私の前に現れた龍神様は、予想を大きく上回る、いや予想を遥かにもっともっと大きく超えた姿であった。

その姿は……

 

 

……少女であった。

私よりも30cm以上身長が低く、龍神様が私を常時見上げる形になっていた。

 

……しかし、見た目は少女であっても中身は龍神。銀に光り輝く肩までに切りそろえられた髪はその神々しさを物語っている。

 

「貴方様は……"夜刀神 闇様"で宜しいでしょうか」

 

私の声が、館のロビーの中に響き渡る。

 

……龍神様は、こちらに顔を向け、ゆっくりと口を開いた。

 

闇「……えぇ。」

……その口から出た言葉は、肯定を意味する言葉であった。

龍神様……基夜刀神 闇様から常時放たれている神力に、私は身震いした。……これが、龍神様の力か。

 

闇「……如何にも。私は、龍神であり龍神王様に仕える従者、全世界の創造主……夜刀神 闇ですわ。」

龍神様は、そう言うと脹脛まであるロングスカートの裾を持ち、私に礼をした。

 

……何とも、まぁ。華麗な礼であろう。

そのお姿は、道行く人々を振り向かせ、魅了させる程の力を持っている様だ。

「……今日は、どの様な御用事でございますか?」

私は、龍神様に問う。龍神にお会いできたのは飛び上がる程嬉しいものだ。

 

……だが、龍神様が今になって天界に来る理由が分からないのだ。

龍神様にとって、天界等世界の一欠片でしかないというのに……

 

……だが、龍神様はこの問いに答えて下さった。

闇「そうねぇ……最終的には、式を探しに来た。かしらね。」

「式……ですか?」

闇「そう。式を探しに来たのよ。」

 

……式を探しに来た、か。私としては、是非とも龍神様の式になりたいものなのだが……そんな夢の様な事、叶うだろうか……私では、龍神様の式としては到底及ばないのだろうか……

 

「私では……使い物にならないでしょうか」

 

ダメ元で、龍神様に聞いてみる。……すると。

 

闇「あら、あらあら。まさか、自分から式になりたいだなんて……そんな者が現れるだなんて、思ってもみなかったわ。そうねぇ……」

龍神様が、私の方へとゆっくりと歩みを進める。

 

龍神様の目が、私をしっかりと見据える。

射抜く様な視線に、私は一瞬心の中で飛び上がったが、冷静を取り戻した。

 

 

 ̄ ̄暫くの静寂。

 

 

 ̄ ̄それを破ったのは……

 

 

 

 

闇「……貴方を、私の式、従者として迎え入れて差し上げるわ。」

 

 

 

 

 ̄ ̄龍神様……基御先祖様であった。

 

 ̄ ̄その日は、私ことアリシア・カミーユが無事龍神様の従者としての仕事に就いた日であった。

 

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

秋葉side

 

月移住計画まで後一日となった日……私は、ルナの神社にてお茶を飲んでいた。

 

「はぁ……月移住計画まで、あと一日になったわねぇ。妖怪達が、都市に攻め込むつもりみたいだけど……」

 

私は、私や鬼子母神、ルーミア等の大妖怪達が計画し、実行しようとしているコトを思い出した。

 

「……まぁ、無理でしょうね。」

 

……と同時に、ルナや桜花、そして紀沙。自分が襲って来た都市の兵士達の事を思い浮かべる。

 

「ルナは私に勝利しているし……桜花もただの人間ではないわ。紀沙も、私程ではないけれどルナと闇の力によってこの二日間で異常な程に力を持ったし……都市の兵士達も、私には負けているけれど、神である月読命が鍛えた兵士達だからねぇ……可能性が無いワケではないわね。」

 

都市を襲うには、あの二人や大妖怪程度の力では到底無理ね。

だって、襲うのだって万が一成功したとしても、闇やルナが黙っていないでしょうし。

 

「……ま、襲うか襲わないかはあの娘達次第。はてさて。結果はどうなるのでしょうね……?」

 

クスクスと私は笑う。ルナが傍にいれば、不気味な奴だと思われるであろう。

 

「ま、どちらにしろ私はルナ達の味方に着くわね。……今まで世話になった恩を返さなきゃだしねぇ。」

私は、この一ヶ月間でかなり変わった。

私自身でも、変われた事は良かったと思っているし……それに、なにより。

 

「人間を食べたい、という気持ちが無くなったわね。コレが、一番大きな事だわ……」

 

この、人間を喰うという気持ちが無くなった事で、人間とも仲良くなることができた……これも、ルナのお陰ね。

 

 

「……月移住計画まで、後一日。私は、ルナ達に加勢する裏切り者となりましょうかね……」

 

 

 

……私は、次の日に実行される月移住計画について、思いを馳せていた。

 

 

 

後ろで、怪しく目を光らせている者がいるとも知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ルーミアside

 

私は、いなくなった大妖怪『白狼妖怪』の事を調べていた。

……すると、驚くべき真実を発見した。

 

「ユウ。」

結花「なんだい……ルーミア。」

 

私は、鬼子母神……基鬼神 結花に話しかけていた。

「ユウ……秋葉の居場所が分かったわ。」

結花「……何だと?」

 

ユウは、目を細めて私を見る。

ユウ「それで、見つかったって……何で、連れてこなかったんだい?」

「それが……」

 

 

今の秋葉の現状について、私は見た事全てを話した。

 

 

ユウ「何だと……秋葉が、私達妖怪を裏切って神や人間達の味方になった……!?」

「……えぇ。だから、明日にね……?…………よ。」

ユウ「……ッは、そりゃあ良い考えだな!秋葉を、まさか○○でこうも簡単にこっちに付かせる事が出来るだなんてな!!」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ユウ「……という事だ。」

ユウが話し終えると、妖怪達がざわつき始める。

 

ユウ「だが、何も心配する事は無い!何故なら、私達が秋葉を…………からだ!!」

「だから、貴方達は黙って私達に着いて来れば良いだけの話よ!明日、月に移住する人間達に、妖怪の恐ろしさってモノを知らしめてやりましょう!!!」

 

一同「オーーッ!!!」

 

……私達妖怪の恐ろしさ。

今一度、人間達に知らしめる時……

 

明日、行われる人間達を喰らい尽くす計画の為、私達大妖怪はどこから襲うなど、頭の回転を急いでいた……

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

秋葉side

 

「……いよいよ、明日ね」

ルナ「あぁ……月移住計画は、成功するだろうか?」

桜花「……成功する事を祈ります。妖怪達に都市が襲われてしまえば、元も子も無いですし……」

 

月移住計画の前日の夜。私達は、居間で全員で机を取り囲み、計画を練っていた。

「私が認める大妖怪の中に、闇の妖怪と鬼子母神がいるわ。……ソイツら、中々強いわ。正直、都市の兵士達だけでは物足りない位に……」

 

都市の兵士達が充分強い事は、自分でも分かっている。だが、それ以上にルーミア達大妖怪は強いのだ。……だが、私やルナ達が人間側につけば別の話。

 

ルナ「……秋葉は、こっち側につくのか?」

「勿論よ」

当たり前じゃない、と私はルナに言う。

私は、もう人間を食べない。私は、ここに来てから変わったのだ。

 

ルナ「そうだ……桜花、君は神社の中で秋葉と共に待機していてくれ。」

桜花「えぇ、分かりました」

「分かったわ」

ルナ「後は、紀沙だな。紀沙は……私と行動。いつだって、離れるな」

紀沙「分かりました!」

 

……大分、皆自らの持ち場は固まったわね。

ルナって本当に、皆を纏めるのが得意ねぇ……なんというか、リーダーシップがある?ルナは、海神だからだろうか……それとも……

 

……それよりも、大事な事を考えないと。

「私は……無いと思うけど、ルーミア達がここに攻めて来た時の事を考えて置くわ。」

ルナ「……あぁ。無いと思うけどな。」

 

それでも、可能性はあるにはあるのだ。万が一の時があったら大変だからね……

 

ルナ「よしっ、皆明日の計画は纏まった。明日に向けて、皆準備をして置くんだぞ。それでは、解散!」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。」

私は、皆が寝静まった後、縁側で月を見上げながら一人酒を楽しんでいた。通称、月見酒と言われるものである。

 

 

 

「……いるんでしょ?」

?「……あらあら、見つかっちゃったかしら?」

 

上を見上げると、隙間の様なものが開いた。

そして、そこから……闇が出てきた。

 

「こんな所に、貴方がいるなんて珍しいじゃない。……しかも、自分の姿全開放でなんて。」

闇「そうねぇ……今日は満月だから、私の力が最も輝く日なのよ。だから、日々溜まっていった力を、今日解放しているのよ。……今夜はこの状態でいないと」

「……そう」

 

ちなみに、今の闇の姿はいつも通りではない。

頭から天を突くような枝分かれした角が生え、獣耳が生え、額の辺りから生えている細い紐のようなものがある。……正に、龍神としての姿を今此処で晒しているのだ。

 

闇「……月移住計画、明日ね」

「……えぇ、そうね」

突然闇から発せられた言葉に、多少なりとも驚くがすぐに言葉を返す。

 

闇「……貴方、随分と変わったじゃない」

「そうね、大分変わったわよ」

闇「まさか、貴方が人間側につくとは思わなかったわ。秋葉、貴方なら……あの大妖怪の群れに戻るのかと思っていたのよ?」

 

闇「それに……貴方は、良い方向に向かっている」

 

闇「だけど……それは本当に長く続くのかしら?」

 

……正直、私の頭の中は混乱している。

でも、"本当に長く続くのかしら?"という所が何を示しているのか、分からないのだ。

つくづく思う事だが、闇の思考は本当に読めない。……覚でさえ、頭を悩ませるのではないかと思う位ね。

 

闇「……まぁ、その時になってみないと分からないわ。精々、良い方向に皆の運命が向くように頑張る事ね。……それが、貴方の仕事。忘れちゃダメよ?……ふふ」

「?……ちょ、何が言いた ̄ ̄」

 

 ̄ ̄前を見ると、既に闇の姿は消えていた。横も、後ろも確認したが闇はいなかった。

 

「……ハァ。本当に、何が言いたいのよ……もう、訳が分からなくなってくるじゃない」

 

「って、ん?あれは何かしら……」

 

私が、庭の方へ目を見やると、何か落ちていた。……紙だ。よく見ると、何か書かれてある。

 

「本当、闇は何が言いたいのかしら……なになに?」

 

それには……

 

 

 

 

 

 

 

"皆を、笑顔になる形で終わらせる事が貴方の仕事よ"

 

 

"だから、何者にも負けない心を持ちなさい"

 

 

 

 

 

 

 

「……当たり前じゃない。私を何だと思ってるのよ」

 

それに書かれてあった言葉に、闇が何を言いたいのかを多少なりとも理解した。

私の仕事は、皆を笑顔になる形で終わらせること。

 

私達がいる限り、BADENDは受け付けない……待つのは……

 

 

 

 

 

 

 

……"HAPPYEND"のみである。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄タイムリミットまで、後一日。




……どうでしたでしょうか

私という者がいるからにはというタイトルから分かる方もいるかもしれませんが、次話は秋葉が強く関わってきます!……ネタバレになりませんよね?

そして、次話は悲しい展開になります。
ハンカチの用意をお忘れなく。……あと、幼霊夢の最終話辺りと似たところが……いえ、コレについては次話の前書きか後書きで話したいと思います!

それでは……アデュー!


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第7話 私の、親友

今回は、とても重く悲しい話になります


 ̄ ̄突然の別れ。

 

 ̄ ̄それは、それは残酷なお話……

 

 

 

 

 

 

タイムリミットまで……後、0日。

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ルナside

 

「……いよいよ、今日か」

私は、部屋に入ってくる朝日で目を覚ました。

 

今日は、月読命率いる、都市の人間達が月へ移住する日。基月移住計画が実行される日である。

 

……この日の為に計画を練って来たんだ。それに協力してくれた仲間を裏切るわけにはいかない。私は、何を言われようと都市へ行き、妖怪達を食い止めるつもりである。……誰が何を言おうと、ね?

 

「良い天気だ……と言いたいのだがなぁ。そんな事言ってる暇なんて無い……な。早く、都市へ向かわないと」

 

私は、立ち上がると就寝着を脱ぎ、何時も通りの白い軍服な様な仕事着に着替えた。

 

「さて、と……私は、そろそろ行きますかな」

 

?「ルナさん……置いていかないで下さいよ」

 

襖に手を掛け、部屋を出ようとすると後ろから声がした。

……忘れていた。置いて行ってはいけない、一番大事な人を。

 

紀沙「私、紀沙はもう準備は出来ています。後継ぎを置いて行ってはいけないじゃないですか」

 

振り返ると、もう準備が出来ている紀沙がいた。

……全く、自分の後継ぎを置いて行ってどうなるんだ。これから、海神としての仕事を学ばせるというのになぁ。

 

「ったく……私は、おっちょこちょいだなぁ。君を、忘れるなんてな」

私は、紀沙に手を差し伸べる。

 

「さぁ……行こうか」

 

紀沙「……はい!」

 

紀沙は、私の手をとると元気良く返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄さぁ、私達の戦いが今、始まる ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「良いか?実践で戦う時は……こうやるんだッ!!」

私は、そう叫ぶと、刀を抜いて目の前にいる妖怪に斬りかかった。

「グギャアァァァアアーーッ!!?」

 

……それだけで、目の前の妖怪は絶命した。どうやら、知能の無い小妖怪だったようだ。

そして、「どうだった?」と紀沙に声を掛け、目をやる。

 

「……紀沙?って、そうか。ごめんごめん、血は慣れていなかったか?」

紀沙「……はっ。い、いやそんな事は……ぜっ全然大丈夫ですよぅ……」

 

……嘘付け、顔を青くしながら身体中ガッタガタに震えてる奴に言われたくないわ。

「慣れていないなら無理するな。本当に、大丈夫なのか?」

紀沙「はぅ……大丈夫です、まだ頑張れます!」

「そうか、限界だったら言うんだぞ?」

 

そう言って私達は、都市の方へと向かった。

 

紀沙「そういえば……闇さんは、何処へいるんでしょうか。最近、全く会っていない気がするのですが……」

「ぁー。アイツなら、今頃世界を飛び回ってるよ。ちょっと訳ありなんだ……まぁ、この月移住計画が終わったら話してやるさ」

紀沙「……はぁ、分かりました」

 

紀沙が納得してくれたのを確認すると、空を飛び立った。紀沙も、それに慌てて着いてくる。

 

 

数分後

紀沙「あの……」

「ん?」

紀沙「ツクヨミさんって、どんな方なんですかね?」

「んー……」

 

どんな方、って言われてもなぁ。月を司る神、としか言い様がないけども……

「まぁ、一言で言えば優しいかな。私と初めて会った時も怖がられたけど、都市の人々は私が守る!って感じだったなぁ」

紀沙「へっ、へぇー……」

 

……紀沙、君絶対心の中でこう思ってるな?

 

"怖がられるのも当たり前だ!"って。

……まぁ、怖がられる特徴としては自覚があるんだけども。

まず、見た目だろうな。私は、背がとても高く切れ長の目だ。良く言われる言葉が、"何でも射抜きそうな目"だってよ。……地味に酷くね?

何でも射抜きそうな目って何だ。目からビーム出した事なんか一度だってないぞ。

……まぁ、見た目はアレだが中身は違う!そう、違う!

 

つ、疲れた。何も重いものなんて持ってないのに、な。ドッと来る様な精神的重みが心に染みるわ。

 

 

と、言っている間に都市に着きました。と、言いたい所なんだが……

 

 

?「こんにちは」

 

 

……何者かに、邪魔されている。いや、何者って言う以前にもう正体が誰か分かっているんだが……

 

金髪のロングヘアーに紅い瞳。黒いベストとロングスカートに赤いネクタイ。そして、黒い大剣を持って闇を纏っていると来た。……もう、皆なら誰か分かるよね?……そう。

 

 

「君が……大妖怪、ルーミアか?」

ルーミア「えぇ。私も、有名になったものねぇ。そう、私が大妖怪こと闇を支配する妖怪、ルーミア」

 

 

ルーミアだ。

闇を操るといった強大な力を持ち、しかも妖力が大妖怪どころの話では無いと来た。……これは、少しばかり力を入れないといけないかもな。

 

両者の間に、何とも言えぬ切迫感が流れる。

……ふと紀沙の方を見やると、紀沙も戦いの準備は出来ている様だ。

 

ルーミア「……それで、この先の都市に何の用かしら?」

ルーミアは、あえて笑って私達に対応しているのか、常時不気味な笑いを浮かべている。

 

「……此処を、通らせては貰えないだろうか」

ルーミア「ふふ、それは無理な相談ね」

「……強行突破すると言ったら?」

ルーミア「……それなら、そっちの要望に応えて差し上げるわ?」

 

瞬間、ルーミアが闇に溶けた。

私は一瞬、何が起こったのか分からなかった。……私の首に当てられた闇で染まった大剣を見るまでは。

 

「なっ……ぁ……」

ルーミア「ふふふふふ、これでは流石の貴方も避ける事すら不可能でしょう?ふふ……秋葉も、貴方に苦戦……いや、一瞬で負けていたらしいわねぇ?その貴方を、今から私が殺せるだなんて……ふふふふふ、ねぇ。ルナ、だったかしら?今から殺される気持ち。どんな感じかしら?ふふ、ふふふふふ……!!」

 

……こりゃあ、このルーミア狂ってる。早く、何とかしないと……!!

 

……はっ、その手があったか!私とした事が、自分の持つ能力の事を忘れてただなんて……!こりゃ、闇や秋葉にしれたら馬鹿にされるなwwww

 

「……はぁ、ルーミア」

ルーミア「ふふ……!……何かしら」

「やられるのは……君だ」

 

……前に使ったのは、だいぶ前だったか。まぁ、今はそんなことはどうでも良い。

私は、自分の能力を発動する。

そして、私が劣勢だと言う事を……覆す。

 

 

 

「どうだ……?さっきまで優勢に立っていた自分が、今度は殺されるかもしれないという恐怖に陥るのは……」

ルーミア「……ッ!!!……分かったわよ、降参よ……」

 

何も攻撃しないと言いたげにルーミアは自分の両手を上げる。

そうだ、それで良いんだよ。最初っから通してくれてれば、こんな事せずに済んだのに……

 

「じゃ、行くぞ……紀沙。……紀沙?」

 

紀沙が……いない?……まさか。

「紀沙は……どうした」

ルーミア「どうしたもこうしたも……私達が戦っている時に、いなくなったわよ?私は、知らないわ」

「……そうか」

 

私は、ルーミアの方と反対、つまり都市の方角へと急いでいた。

紀沙が、私とルーミアが戦っている……?最中にいなくなっただと……?まさか、他の妖怪達に喰われていないだろうな……?

 

?「其処のお人、止まれよ」

どこからか声がした……と同時に、目の前に人が現れる。

いや、人では無い……鬼だ。頭に生えた二本の角がそれを物語っている。

?「アタシは鬼神 結花。妖怪達を纏める、大妖怪の中の鬼子母神だよ。アンタは?」

 

「……海月 ルナ。海を統括する神の、海神だ」

一応、答えないと攻撃されそうなので返事をしておく。海神と言って、警戒されないかどうか……

結花「へぇ!海神だなんて、こりゃあたまげたよ!ルーミアから、聞いていたがこんなヤツだったんだな〜。背がとっても高いって、こんなに高かったんだな!」

 

い、言わないでよ……なんか悲しくなってきちゃった。

本当、よく言われる言葉が、「背が高い」だからね。

話しかけたら、二言目に必ず来るのがソレだからなぁ。マジで、それしか言われた事ないわ。

 

 

結花「それで……この先になんの用だい?」

……やっぱ、そう来るよね。

「……月に移住する都市の人達を襲おうとする妖怪達を滅しに来た」

結花「……ッ!!」

……結花のこめかみがピクリと動く。……どうやら、当たりみたいだな。

結花「……何で、それを知っているんだい?」

結花が、殺気と妖力をバンバン出しながら私に問うてくる。……流石、鬼子母神と言われるだけあって妖力が半端なく多い。質も、かなり固まってるなぁ。こりゃあルーミアの時よりも激戦になるかも……

 

「何でって……この先の都市に御座す神、月読命と知り合いだからさ」

結花「そうか……なら、此処で命だけ置いて行きな!!!」

……い、命だけ置いていけってどうやるの?しかも、結花がツクヨミの事知ってるなんて意外だな。

 

てか、いきなり襲ってくるのは無しでしょ。

「うおっ」

結花「へぇ……鬼子母神であるアタシの拳を避けるだなんて。アンタ、結構やるじゃん?やっぱり、海神と名乗るだけの力はあるみたいだなぁ!!」

「ん」

ありがとう、と心の中で思って置く。声に出せる程の余裕が無いからね……

本気で殴ってはいけない。と心では思っているけれど、時々マジで殴りそうになるから怖いんだよなぁ。最近、勝負と言えるような戦いをしてないからなー……私の周りには私と互角に戦える奴が闇以外いないんだよな。

 

結花「ふんっ」

「ほいっと」

私は、結花から繰り出される拳や蹴りをただ避ける。ただ、淡々と避ける。

結花「アンタ……やっぱり、化け物並の身体能力だな。鬼子母神である私の本気の攻撃を、ただただいなすだけでなんて……そんなヤツ、私の仲間であるルーミアでさえ出来なかったというのに」

「そうか、そりゃあ褒め言葉だ……」

結花から放たれた怒涛の連続攻撃を避けながら、私は結花に礼を言う。

でも、今はそんな事思ってる暇なんて無いのだ。一瞬でも余所見をすれば、結花の強烈な蹴りが体を襲うだろう。一歩でも、油断してはいけない。それが、妖怪……敵と戦う時の基本中の基本である。

 

結花「はぁ、はぁ……うぅ……ッく」

ふと結花を見れば、肩で息をしている状態。もうこれ以上戦いを続ける事は、不可能に近いであろうな……でも、鬼子母神……鬼である結花がこれ位で諦めるだろうか?出来れば、ここで降参して貰えれば有難いのだが……

「なぁ、もう降参したらどうだい?これ以上、戦いを続ける事は危険じゃなかろうか?」

結花「大丈夫……さ!アタシの……次の、攻撃で……決めるよッ!」

「……はぁ」

結花が、なにやらまだ余力があるとか何とかで決め技らしきものを使うらしい。……多分、鬼子母神って言う位だからあの技を出してくるんだろう。でも、あの四天王達が使ってるスペカ……基技が今の時代にあるのか?

 

結花「それじゃあ、行くよ……!奥義 ̄ ̄」

 

 

 

 

「三歩必殺!!!!!」

 

 

 

 

「 ̄ ̄やはりか」

 

結花「 ̄ ̄一歩」

 

結花が、私に近付いてくる。

 

結花「 ̄ ̄二歩」

 

またさらに近づき、もうあと一歩で終わるだろう。

 

そして……

 

結花「 ̄ ̄三歩!おらぁぁああああああああ!!!!」

 

結花が、私の躯に渾身の一撃を食らわせんとばかりの表情で拳を繰り出す。

 

中々、良い戦いだったよ。結花……でも、私を倒すんじゃこんな攻撃じゃ無理だ。

 

 

 

 

 ̄ ̄もっと、鍛えてきた方が身の為だよ?

 

 

 

 

「ふっ……!」

私は、結花にカウンターをしかける。それは、いとも簡単に結花の腹に沈んでいった。

結花「うぐっ……が、かはッ」

結花は、さぞ苦しそうに顔を歪め、私の懐へとばたりと倒れた。

私は、結花を大事に抱え、木の根元へ寝かせる。

 

 ̄ ̄これで、都市への安全は確保されたな。

 

……って、

「紀沙は!!?」

忘れてた。すっかり、紀沙の事を忘れていた……!!私とした事が、何と言う事だ……!!

「紀沙ーーーッ!!おーい、紀沙ぁあーーーッ!!」

私は、力の限り叫ぶ。それは、森の中を木霊する様に響き渡った。

 

紀沙「ルナさん……此処ですよ、此処」

何処からか、声が聞こえた。……それは、私の頭の上の方だった。

「紀沙っ!!大丈夫だったか!?何処か、怪我とかしていないか!?」

紀沙「大丈夫ですよ……それよりも、さっきの戦い凄かったですね。ルナさんの力をよく知る私ですら、驚きましたよ……」

「それなら、良かった……」

紀沙の無事を確認し、ホッと胸を撫で下ろした私は、気の上から飛び降りて来た紀沙の手を取る。

「それじゃあ、行くぞ。そろそろ、行かないと時間が厳しい。ツクヨミとも色々話さないとだしな……」

紀沙「はい、分かりました!」

 

ツクヨミと話す時間、戦う用意をする準備も含めると……間に合うか?

まぁ、急げば充分か。

 

「よし、行くか!」

紀沙「……えぇ!」

私達は、都市へ向かって真っ直ぐに飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

都市の大きな門の前にいた門番二人に軽く挨拶し、都市の中へ案内して貰った私達は、ツクヨミのいる大きなビルの中へと案内されていた。

 

「はぁ……変わらないな、この内装」

紀沙「以前にも、訪れた事があるんですか?」

「ん?……あ、あぁ。丁度一ヶ月前か位にな、ツクヨミに会いに行ったんだよ。その時は、なんか凄い怖がられたんだよなぁ……」

紀沙「……は、はぁ」

 

……うわぁ。や、やっぱり引かれたよ(´;ω;`)

でっ、でもアレは私の容姿についてじゃなかったし。別に、ツクヨミに女なのにイケメンって言われた事になんて気にして無いし!

紀沙「やっぱり、気にしてるんですね(笑)」

「なっ……!///」

うぐっ、そこを突かれちゃあどうしようもないぃ……!!私は、恥ずかしくてどうしようもなくて、顔を真っ赤にして顔を隠す。

 

紀沙「ふふふ。……でも私、ルナさんって凄くお綺麗だと思いますがねぇ」

「うぅ……って、へっ!?」

紀沙「ルナさんは、その事を気にし過ぎなんです。誰だって自然体が一番なんですよ?」

 

て、天使がこの世に降臨した……!

紀沙「ルナさんは、今のままが一番素敵です。余り気にしちゃダメですよ!」

紀沙が、私にニッコリと笑いかける。

……その女神の様な暖かい笑顔に、私は少しでも救われた気がした。

 

 

「あぁ……そうだな、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

兵士A「海神様方、こちらです」

 

どうやら、私達が色々と話している内にツクヨミの部屋へと着いたようだ。

「ありがとう」

紀沙「ありがとうございます」

兵士A「それでは。コンコン ……ツクヨミ様、お客様です」

ツクヨミ「入れて下さい」

兵士A「では」

 

ガチャ 私は、扉を開けて部屋の中へと入った。

ツクヨミ「お久しぶりですね……ルナ様」

「あぁ……久しぶりだなツクヨミ」

 

ツクヨミは、あれから私への呼び名を変えた。

海神様、と呼ばれるのもなんだかむず痒い。だから、普通にルナと呼べと言ったのだが……なして、最後に様を付ける?なんだかむず痒いぞ。

ツクヨミ「ルナ様……今日は、月移住計画があります。それに御協力頂けるのですね?」

「あぁ。別に、構わんよ。忙しいわけでもなかったし……私の後継ぎの海神……基紀沙を勉強させられる良い機会だしな」

ツクヨミ「……そうですか、ありがとうございます」

 

ツクヨミは、そう言うと私の横にいる紀沙に近づいてきた。

ツクヨミ「紀沙様……ですね?」

紀沙「えっ?……は、はい!」

ツクヨミ「今日は、都市の人々を守る為にありがとうございます」

ツクヨミは、紀沙の手を持ち、言った。

ツクヨミ「紀沙様は、戦いに慣れておられないと伺いました。本日の戦いは、くれぐれもお気を付けて下さいね。ルナ様がいる限り、安全だと思いますが……」

ツクヨミ「私は、戦いに参加する事は出来ません。……ですが、ロケットから貴方がたの勇姿、見守らせて頂きます!」

ツクヨミは、私と紀沙を交互に見ながらそう言った。

あぁ……ツクヨミ。君は、やっぱり良いやつだよ。

「ありがとうな、ツクヨミ。君や永琳含む都市の人間達を乗せたロケットは、私達が兵士達と一緒に必ずや最後まで守り抜いてみせるよ!」

 

ツクヨミ「……はいっ!」

 

ツクヨミは、満面の笑みを浮かべて、元気良く返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

秋葉side

 

私は、桜花の作ってくれた朝御飯を食べていた。

 

ちなみに、起きたのは巳の刻になる頃だった。でもまぁ、この時期日が出始めた頃だから大丈夫だろう。

起きたら、ルナ達がいなかった。……もう行ったのだろうな。

「はぁーあ……うん、やっぱり桜花の作る御飯は美味しいわね。絶品だわ〜」

桜花「いえいえ、そんな事ないですよ。これでも、海神様には敵いませんから」

 

……そうかしら?っていうか、私ルナの作った料理食べた事無いじゃない。

桜花の作る料理も最高だけど、ルナの料理はどうなのかしらね?ルナは、得意だと言っていたが……ま、いいか。

 

私は、朝御飯を食べ終わると食器を台所へと直しに行った。

桜花「あっ、秋葉様。私が直しますよ?」

「いえ、これ位良いのよ」

桜花「そうですか、すみません……」

「いえいえ」

 

……といった様な会話を続け、互いに笑い合う私達。早く、ルナ達も帰ってきて欲しいものねぇ……紀沙もいなかったけど、ルナが連れていったのかしら?と言うより、紀沙はもう連れてって大丈夫かしらね?

ま、大丈夫でしょ。ルナがいるしね……

 

「……ふぁーあ、やっぱり朝は慣れないわねぇ。妖怪にとって、日の光は苦手だと言うのに……はぁ、だるいわ……」

そう、妖怪にとって日の光は苦手なのだ。私も、その枠に外れずキチンと入っている。……嫌な所で、妖怪としての特徴が残ってしまったわね。まぁ、苦手と言っても嫌いってだけで体に被害は出ないけれど。

 

そんな事を言いながらも、私は縁側へと向かう。

……ふぅ、と私は息を吐く。

都市の人間達は、月移住計画を無事に終わらせる事が出来るかしら……ルナ達や都市の兵士達がいるから、大丈夫だとは思うけど。

私は、昨日闇に言われた言葉を思い出す。

 

「やっぱり、闇の事は慣れないわね……まぁ、あの娘は見た目はアレだけどアレでも龍神だからね。胡散臭い感じもするけど……本当は尊敬するべき神様なのかしら……」

 

 

 ̄ ̄あら、貴方が誰かを尊敬するだなんて、珍しいわね?

 

 

「ッ!?」

急に声がしたので、振り返る。……そこには……

 

 

 

「ふふふ♪こんにちは、妖怪の裏切り者?」

 

 

 

……ルーミアがいた。

「……ルーミア、貴方なんで此処に」

ルーミア「あら、そんなに驚く事でも無いでしょう?」

 

体の横で拳を構え、何時でも戦闘が出来る様になっている、既に戦闘準備万端な私に向かってルーミアがそう言った。

それにしても、何でルーミアが此処に?いや、それ以前に……

 

「貴方……何故此処が分かったの?」

 

……何で、此処が分かったかだ。

ルーミア「何でって……別に、そんな大層な事はしていないわ。……貴方の妖力を辿って、私が貴方の事を見つけたのよ」

「まさか……貴方が、ねぇ」

 

 

ルーミア「……それで、此処に私が来た意味、分かるかしら?」

「……」

 

 

部屋に沈黙が訪れる。

 

 

ルーミア「貴方、分からないの?……仕方ないわね、私が教えて上げるわ。私が此処に来た理由はね……」

 

 

 

 

ルーミア「貴方に海神を"殺させる"為よ」

 

 

 

 

「なっ……」

 

なん……ですって?

ルナを……私に殺させる……ですって?

「そんな事、私がするわけないでしょ……まずルナを倒すこと自体無理なのよ。私でさえ倒せなかったのだから」

ルーミア「……ハァ。素直に私の言う事を聞いていればいいものを……さもないと、痛い目に会うわよ?」

「それは、脅しととっていいのかしら?」

 

ルーミアが私に嘲る様に笑う。

……こいつ、馬鹿にしているのか?大妖怪の中でも、No.1の実力を持っていた私に勝負を仕掛けるなんて……

しかも、ルーミアはとても余裕そうに見える。

「貴方、随分と余裕そうじゃない。何か、私に勝つ策でもあるのかしら?」

ルーミア「えぇ。……ふふふ。貴方は、今に気付く事になるわ。……自分が、闇に捕らわれているという事に」

 

……何ですって?

自分の体を確認してみると、もう時既に遅し。私の体は、闇で動かなくなっていた。体を縛る、鎖のように。

ルーミア「ふふ……どうかしら?動けないでしょう?だから、警告したじゃない?……ふふふ。精々、洗脳される恐怖をじっくりと味わえ!!!」

あーっはっはっはとルーミアが高笑いを上げる。

……どうして、私がこんな奴に。私は、誰にも負けないはず……

闇の鎖が、どんどんと私の体を黒く蝕んでいく。縛っていく。体は、殆ど私の言う事を聞かなくなっていた。

……もう、タイムリミットなの?ルナが、私に殺される事なんてあってはいけない……!

……あぁ、もう意識まで薄れてきた。私はこれから、ルナを殺しに行くのか。そんなの、そんなの嫌だ……!!!

 

 

 

 

ルナ、逃げて……!!!

 

 

 

 

私の意識は、そこでブツンと切れた。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

ルナside

 

都市の上空で、妖怪が攻めて来る時を待っていたら、何故だか嫌な予感がした。

……このままでは、取り返しのつかない事態になる。そう、私の勘が告げていた。

「まさか……秋葉達に、何かあったんじゃなかろうか」

紀沙「どうかなさったんですか?」

紀沙が、私に心配そうに顔色を伺ってくる。

「い、いや……大丈夫だ」

私は、それにあどけなく答えるが、正直とても心配してるんだよな……

そうですか、と紀沙が前に向き直る。

 

ルーミアと結花は倒したが……倒す大妖怪はそれだけで良かったのか?ルーミア達が、何か企んでいたりして……

紀沙「ルナさん、来ました!!」

紀沙の言葉で、はっと我に帰った私。

森の方に目をやると、妖怪の群れが此処に向かっているのが見える。

「……来たか」

私は、目を瞑り妖力の質と量を調べる。

「数は……ざっと見ただけで百万はいるな。こりゃあ、都市の兵士達だけじゃ相手にならんだろう。私達が、来ててよかった」

紀沙「そうですね……私達がいなかったら、どうなってたか」

私は刀を構え、紀沙は御札と歪な形の先の尖った杖の様なものを取り出す。……どちらも、何時でも戦闘が出来る様に準備万端だ。

「戦闘……」

 

 

 

 

「かぁぁああぁぁあいしぃぃいぃぃいいぃ!!!!!」

 

 

 

 

月読命が計画する月移住計画を成功させる為の人妖対戦……戦いの火蓋を切ったのは、私だった。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「よし、この辺は充分倒したな!紀沙、そっちは?」

紀沙「はい、こちらも大丈夫です!!」

……よし、紀沙の方は大丈夫みたいだな。紀沙が戦いに苦戦していたら加勢するつもりだったが……その必要は無さそうだ。紀沙が怪我する事も無かったしね。

「兵士達は……うん、大丈夫そうだな。そろそろ、撤退命令が来る頃じゃないか?」

最初、私が見た時は百万程いた妖怪の群れが、今ではかなり減っている。これなら、安全に月までロケットが飛び立てるんじゃないか?よし、私達はこれで……

 

「帰るぞ……ッ!?」

紀沙「ど、どうなされたんですか??」

「まずい、私達の神社の方角で妖力が膨大に、しかも急激に感じられたんだ!!きっと、神社の方で何かがあったんだ。早く、行かないと大変な事になる!!」

紀沙「あっ、ちょ……」

?「貴方は、こっちよ」

紀沙「きゃっ!?」

 

?「(紀沙は私が預かって置くわ……早く、神社の方へ)」

「あぁ、感謝するぞ闇!!」

急に聞こえて来た闇の声に少したじろぐが、すぐに持ち直した。

……神社の方で、何があったのだろうか。物凄く、嫌な予感がする……今では感じた事が無い位の不安である。

 

「どうか……どうか、無事でいてくれよっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄私のその言葉は、とある白狼の姿によって裏切られる事となる。

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

私が神社に着くと、境内は何時もと変わらない様子だった。 ̄ ̄境内に倒れている桜花を除いては。

「おっ、桜花!?しっかりしろ!!」

幸い、息はある様だ。無かったら、私は一生後悔していただろう。

「とりあえず、神社の中に運ばないと……」

私は、桜花を優しく、傷付けない様に抱き上げる。血で所々汚れたセーラー服の様な巫女服を見て、私は眉間に皺を寄せる。

「誰が、こんな事を……桜花は、ただの人間ではないし、私が見る限りかなり強かった筈だがな……」

相当な強さ、経験を持つ者なのだろうかと頭の中で思考する。

そう思っている内に、私はある事に気付く。

「そう言えば、秋葉は……」

 

そう、秋葉がいないのだ。秋葉は、桜花と共にこの神社で私達の帰りを待っている筈なんだが……

 

「そんな、まさか……秋葉が、桜花をこんなにする訳無いよな?秋葉だって、改心して人間を喰わないと私達と誓ったし……」

そんな訳無い、と私の頭の中で自分に言い聞かせる。

 

桜花を神社の寝室に寝かせると、私は境内に出た。

「倒れている桜花、いない秋葉……真相は、どうなのだろうか」

「何も、大事件か何かが起きなければ良いけど……」

そう思いながら、神社に結界を貼ると、私は飛び立った。

「秋葉を、探しに行くか……神社に結界も貼ったし、桜花は大丈夫だろう」

「秋葉に会ったら、桜花に何があったのか聞かないとな……」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄とある草原の上。

 ̄ ̄私は、とある白い狼を発見する……

 

「あれは……何だろう」

白い……狼?いや、狼にしては大き過ぎる気がする……

「まさか、秋葉か?」

そう言いながら、警戒しながらだがその白い狼の傍に降り立つ。

……降り立つと、その白い狼は段々と人形に変わっていった。

「やっぱり……か。こんな所で、何をやっているんだ?桜花だって、きっと君の事を心配しているぞ?」

その人形の後ろ姿は、秋葉とそっくりであった。

……いや、そっくりではなくそれは紛れも無い秋葉であった。

秋葉「……」

「……秋葉?」

……何だか、様子がおかしい。

私が、不思議に思って手を伸ばそうとした ̄ ̄その時。

 

秋葉から、妖力が詰め込まれた黒い闇の様なものが放出された。

私は、咄嗟に横へ飛び、回避出来た。もし、あのまま黒い塊に当たっていたらと思うと……背筋がゾッとする。

 

「おい、秋葉!一体、何をするんだ!!」

秋葉「……」

秋葉は、私が叫んだのにも関わらず、今も尚妖力弾を放ちながらその鋭い爪を私に振りかざして来る。

 

「おいおい……爪なんて使うなよ」

何時もより、格段に上がった秋葉の身体能力。おびただしい量の弾幕。その弾幕に込められた、濃い妖力。

それらが、今の私が打ち破っていくべき困難であった。

「こんなの……どうやって」

……当たれば、死ぬ。

そう、私の勘が告げていた。

 

「はは、こりゃあした事が無い位の激戦になるよなぁ……この戦い」

 

 

 

 

 

 

 

「……っ」

遂に、一発食らってしまった。

何時もより身体能力が上がっているからだろうか……秋葉の繰り出す技が、私の体に悲鳴を上げさせてくる。……それでも、私は笑う。つくづく思うが、何故このような時でも笑っていられるのだろうか。

「……はは、ははは」

「秋葉……君が、何故急に私に攻撃したのかも、君が何故私に応えてくれないのかは未だに分からない……それは、私がまだ未熟だからだろうか?」

 

私は、息を多く吸い込み、深呼吸をする。

「君は、昔から自分を押さえ込みすぎてた……私が、君にあった時もそうだった」

秋葉「……」

 

「……君がいた所は、空虚で満ちてた……多分、私はそんな君に惹かれたのかもしれないな?だが……」

 

「秋葉は……ッ、私をどう思ってた……??」

 

「私は、秋葉の事……好きだぞ、信じてる……ッ!」

 

……私は、耐えきれなくなってむせび泣く。私の言葉は、何色にも染まらず。鬼が嘘を付かない様に、私もその発言に汚れは無い。

「君が、どう思ってるなんて事は関係無い……私は、君を助けられればそれで充分なんだから」

「私は……私は……」

 

私は、先程の様に力の限り叫ぶ。

 

「私は、秋葉(親友)の事を助けられてよかった」

 

 

 

……そう、私の叫んだ言葉。

それは、秋葉には届いただろうか……

 

この戦いは、私達が生きる現世でも語り継がれている事をこの時の私は知らない……

 

 

この戦いで、私は命を落とす。それを知らない。

 

私が死ななければ、秋葉は戻っては来ないなんて事は無かったのだろう。

 

その気になれば、私になら秋葉を戻す事は出来たのだろう。

 

……だが、私はその方法を認めない。秋葉を傷つける方法だけは、認めない。

 

私が、前世で願った事。それは愛だ。

 

 

 

 

 

……ザクッ

 

秋葉「え……」

 

周囲の草原が、紅く染まる。それは……私の血だ。

何故なら、秋葉の鋭い爪が私の体を貫いたから。

でも、これで秋葉は戻った……今の私には、それだけで充分だった。

 

 

秋葉「え……ぇ?」

 

言葉が、続かない。

「わたしは……な、君が、もどって……くる、ことを、信じて……いた、んだ、ぞ……」

秋葉「あ……あぁ……あ」

 

口の中が、血の味で一杯だ。

「きみが、苦しんで、いること……は、知って、いたんだぞ……」

秋葉「ぅ……あ」

 

段々、視界が霞んでゆく。

「だから……」

 

私は、自分の長い髪を括っている紅白の髪留めを、秋葉の両サイドに付けてやる。

 

「これで、きみ、は……すくわれ、るはず……」

 

……良し、私の髪留めは上手く封印術と化しているな。……はは、もうこの世に思い残すことなど……無い。

 

秋葉「ぁ……そん、な……」

 

「じゃあ、な……」

 

フッと、体の制御が無くなり、秋葉の肩にもたれ掛かる形となる。

秋葉「うぁ……あ……あぁぁああぁぁぁあぁあっ!!!!!」

 

……は、泣くなよ……秋葉。

別に、二度と会えない訳じゃない。

だから、泣くなよ……また君に会えるその時を夢見る……

 

 

 

 

あぁ、もう、限界か……

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

……私は、泣いていた。

 

……唯一の親友を、亡くした。

 

紀沙「ルナさん……死んで……」

隣にいる紀沙を見れば、顔を青くして必死に涙を堪えている姿が確認できる。

 

親友を、亡くすって、事は……こんなにも悲しい事なのね。

 

……私の頬を流れる涙は、未だに勢いを絶やす事は無い。

これからも、この時流れた涙を忘れる事はないだろう……

 

 

 

 

 

 

 

end




……はい、どうでしたでしょうか。

遂に、ルナが死んでしまいましたね。
作者も、作ってる最中に泣きそうになりました。いや、泣きました。

……という事で、ルナが死んでしまったという事で終わりと思ってる方もいるかもしれませんが……

実は、この小説。まだ続きます!というよりかは、続きに書く章の方が、確実に長くなります!

という事で、これからも私の転生物語 〜海神としての生〜を何卒よろしくお願い致します!!


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昭和時代 〜第二次世界大戦〜
第8話 生まれ変わり


はい、どうもこんにちは!
前回の投稿からかなり遅れてしまいました……期末テストの勉強で忙しかったんだよ!!

ということで、8話始まります、どうぞ。……短いな((ボソッ


 ̄ ̄暗い、暗い、世界。

 

 ̄ ̄争いが、絶えない世界。

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄戦争は、何時まで続くのだろう

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

闇side

 

……あの娘がこの世を去ってから、数分。

スキマから覗く草原は、血で紅く染まっていた。

 

既に息絶えたルナと……ルナの亡骸を抱き、号泣する秋葉。

 

……ルナを殺したのは秋葉だ。

……しかし、全て秋葉の原因ではない。寧ろ、秋葉は被害者側である。

原因は、闇の妖怪ルーミア。……あの大妖怪が、秋葉を狂わせた。秋葉を、ルナを苦しめた。

……だが、私はルーミアを殺す事は出来ない……何故なら。

「主様は……何を、考えてらっしゃるのかしら」

 

私の主、夜刀神 神琉様に命令されたからである。

……主の命令は絶対故に、ルーミアを殺害する事が出来ぬままなのだ。もし、命令に背くとどうなるか。……まぁ、予想は出来ている。

 

「……あら」

私の視界が、ふっと白くなる。……これは、主様が私を呼び寄せたサインだ。何か、あったのだろうか?

 

神琉「……」

……主様の部屋だ。目の前に、主様が立っている。

 

「主様……どうされましたか」

私は、その場に跪き言う。主様に呼び出されると、先ず最初にやる恒例の行動である。

神琉「闇……ルナが死んだ事は、知っているな?」

「はっ、先程伺って参りましたわ」

神琉「そうか、それならば話は早いな……まぁ、此方に来い」

「……はい」

 

主様は、私に向き直るとこう言った。

神琉「まず、言わせて貰うが……ルナは、転生した」

「……はい?」

 

……転生?ルナが、二回目の?

主様は、どういうおつもりなのだろうか……

神琉「俺の勝手な判断で悪かったな……既に亡くなってしまったルナの魂は、この世に長くいられん。だから、俺がすぐさま、ルナを転生させたんだ。……勿論、記憶は消して」

「……そうですか」

 

……ルナが、今も尚元気でやってるならば私からはもう何も言うまい。

神琉「……ルナが死んでしまったのは仕方無い。だから、お前も早く立ち直れると良いな。……もう、行って良いぞ」

「……失礼致します」

 

私はすぐさま能力を行使し、先程の場所まで戻って来た。

未だ、紀沙は先程のままで硬直している。秋葉は……

 

「封印術……成功したみたいね、ルナ……最後にやるじゃない」

今は亡き親友に、語りかける。

「ルナ……貴方が残したものは、ちゃんと残っているわ。貴方が最期、秋葉に付けた封印術の組み込まれたリボンは……成功したみたいよ?紀沙は私に任せなさい。立派な二代目海神に育ててあげるわ……それと、貴方に伝えてなかった事があったわね……もう聞こえていないでしょうけど、言うわ」

 

 

 

 

 

 

「今まで、私の親友でいてくれてありがとう ̄ ̄絶対に、何時までも忘れないわ」

 

 

 

 

 

 

 

sideout

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

?side

 

……私は、生まれてからずっと一人だった。

友達もいない、兄弟や姉妹もいない、父親もいるらしいが会った事は無い……だが、ただ私の傍にいてくれたのは母親だった。

小さい頃から女手一つで私を育て、愛してくれた。

その名を、海月 愛海(うづき まな)という。

そんなお母さんから与えられたものは、たった一つの愛。でも、私はそれだけで充分だった。

お母さんは私を産み、名前を付けた。……海月 美海(うづき みう)という素敵な名前を。

因みに、名前の由来は美しい海の様になって欲しいとの事。私も、その願いに応えるべく頑張っている。

 

時は十五歳。

そして、私にとって最高の御褒美の報告が入った。

……私に弟か妹が出来たのだ。それも、数ヶ月前の事。お母さんのお腹は今ポッコリと膨らんでいる。

 

愛海「美海、触ってご覧なさい?」

「う、うん……わぁ、凄い。音がする……私の弟か妹が、お母さんの中にいるのね」

私は、この喜びをどう表現していいのか分からない。それ位興奮を抑えられないのだ。

 

愛海「ねぇ美海……私達とお腹の子だけで、上手くやっていきましょうね」

「……うん」

分かる人もいるとおもうが、今は昭和の時代。日本からは昭和天皇の命令で兵が戦争に駆り出されている時代だ。

愛海「何があっても……お腹の子には辛い思いなんかさせないわ。美海も……そんな事にはならないでね?」

お母さんはそう言い、自分のお腹に私を寄せて、一緒に撫でてくる。

お母さんの匂いは、何だか安心する。お腹の子は、どんな子なんだろう。

女の子かな、男の子かな。どっちでも良い、幸せに育ってくれれば良いんだ。

 

 ̄ ̄そう思いながら、私は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

……どの位の時間が経ったのだろうか。私は、どうやら寝ていたようで、布団に寝かされていた。

 

……そろそろ、晩御飯の時間だ。私は、襖を開けて外に出た。

愛海「あら美海、起きたのね。晩御飯はもう出来ているわよ」

「はぁーい」

 

私は、お母さんの向かい側に座る。

愛海「それじゃあ、頂きます」

「頂きます」

何時も、お母さんの作る料理は絶品だ。お母さん以外に、これ程料理が上手い者がいるのだろうか、という位に。

愛海「美味しい?」

「うん、美味しいよ」

愛海「ありがとう、とても嬉しいわ」

私達は、雑談をしながら晩御飯を食べていった。

もうすぐ産まれる赤ちゃんの為に、お母さんは栄養を付けなければならない。

だから、動ける私がお母さんを色々と手伝わなければならないのだ。まぁ、私はお姉ちゃんになれるのが嬉しくてしょうがないから、その為に頑張っちゃうんだけどね。

 

 

そうして、私達の一日は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

あれから、数年が経った。

今では、私達が住んでいる神社には、三人の海神家族が住んでいる。

……私の、妹が産まれたのだ!名前は、飛洋(ひよう)。

見た目、とっても可愛いのに口調が少し残念なんだよねぇ。だって……

 

飛洋「あねき、おれと母さんは買いものにでかけるけど……母さんが、あねきも来るか、だってさ!」

 

……飛洋よ、何時からそんな言葉使いを覚えた?飛洋、貴方を俺っ娘に育てた覚えは無いわよ。

飛洋に、言葉使いを変えなさい……と言ったって無駄。だって、帰ってくる言葉が毎回同じ。

「おれの気に入ったことばなんだ!」だって。

……はぁ、一度お母さんと一緒に話し合った方がいいのかしら?

 

「うん……行こうかな?お母さんの手伝いしたいしね」

飛洋「そうだな!ほら、あねき。はやく行こうぜ!」

「わわっ……ちょっと引っ張らないで」

飛洋は、私の手を掴み、引っ張ってくる。地味に痛いから、辞めてもらえるかな?まぁ、飛洋が可愛いから何でも許せるんだけどね……あー、シスコンにならないよう気をつけないとねぇ。ま、無いだろうけど。……タブンネ。

 

 

 

愛海「あ、美海。来たのね」

「うん!私も、お母さんのお手伝いしたいし……飛洋に、引っぱられて来たってのもあるんだけどね^^;」

愛海「あらそう、飛洋ってばお姉ちゃんの事が大好きなのね、流石姉妹ね(笑)」

飛洋「そうだ!おれは、あねきの事大好きなんだぞ!」

「あらら、嬉しい事言ってくれるじゃない笑」

あー、飛洋の愛くるしさに悶えそうデスー……私の事を上目遣いで見てくるのは反則デスワー。

愛海「それじゃ、行きましょうか」

「そうだね!」

飛洋「そうだな!」

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

買い物の帰り道。

三人で仲良く話していると、一人の青年が目に入った。歳は十代半ばなのか、お母さんと同じ位かそれより下かの身長に見える。

……何だか、その青年が気になって立ち止まって見ていた。何か、あの青年から惹かれるものがあったんだよな……

 

愛海「ふふ……?美海、どうかしたの?あの兵服姿の子が気になるの?」

「うん……何か、気になるな」

愛海「あらあら……貴方も、そんな歳になってきたのかしら?他の男の人が、かっこよく見えたりするんだ」

「そそそそそ、そんな訳ないッ!!さ、行こ!!」

愛海「あらあら、図星じゃないの(笑)」

 

私は、図星を突かれ物凄く動揺してしまった。

あの青年が、ガタイが良くて顔を整っていて……もう!兎に角、私はあの青年に恋をしたって訳じゃないんだからね!!

……まぁ、正直に言うとちょっとかっこよかったと思うよ??///

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

?side

 

「……あの娘ね、主様が言っていた少女ってのは」

私は、とある少女……海月 美海を、監視していた。

古代の昔に、海神として活躍した海月 ルナから継がれてきた海月の名を持つ少女だ。……いや、幼女と言ってもいいのだろうか?如何せん、身長が130cmほどしか無いものだから……

 

私は、主様……龍神王からの命令で、夢源郷の外、昭和……基、戦争真っ只中、1900年代の外の世界に、私は美海を見つけてこいと言われた訳だ。

 

……美海を見つけたので、私は外の世界に用が無くなり本来は夢源郷へと帰る所なのだが……

まぁ、主様からは好きな様に遊んでいいと言われたのですこしぶらぶらするつもりである。

美海との関係も結ぶつもりである。……また、親友になれたらいいな。

「はぁ、まぁ……いいか。……ふふ。あの娘は、どこまで頑張れるのかしらね?」

 

 

 

 

 

 

 

「悲しみと憎しみ……そして恨み。そんなものが溢れているこの世界で……海月 美海に幸福の天声があらんことを……」

 

 

 

 

 

 

 




……はい、ご静観ありがとうございました。どうでしたでしょうか。

前回でルナが死んで、生まれ変わりましたね。
しかし、何故だか知らないけど、生まれ変わった姿……美海の身長が以上に低いと。15歳の時点で、130cm以下という低身長ね。

と、とりあえず美海の説明(服装とかなんとかだけ)だけしておきますね。

海月 美海

白い半袖カッターシャツを着て、上から青いデニムのジャケット(長袖)を羽織っている。下は黒いショートパンツ。靴下は黒のハイソックスで、靴は膝までの編みブーツ(焦げ茶)
髪の毛は、肩にかかるかかからないかの長さのボブカット。母親や妹のショートカットと違い少しふわっとしてて、髪の毛の先がウェーブがかっている。
髪色は、青が主。頭のてっぺんは群青色をしており、髪の毛の先にかけてどんどんと水色になっていくグラデーション。
身長は、比較的?低く、130cm(以下)。チb……ゲフンゲフン
目は、髪色と同じ。


妹は、もっと重役になってから紹介します。(結構先になるかも)


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第9話 私の想い人

これからは、主人公が美海sideになります。

どうぞ!


❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

美海side

 

あれから十年……私は、二十五歳になった。……お母さんは、既に亡くなっている。

 

もう、人間で言えば立派な大人だ。もう、立派な大人。そう、立派な大人、な……はずなんだが……

 

「あれから身長あんま変わってないってどういう事ぉーーーー!!?」

 

しかも、妹の飛洋に身長を抜かされる始末だ。

姉の方が身長低いってどういう事なの?いや、飛洋が高すぎるだけの事なのか?

飛洋は、十五歳。私より十歳年下。……はぁ。

 

「もう!何で、飛洋はそんなに身長が高いの!?」

飛洋「いや、俺にそんな事聞かれてもなぁ」

 

飛洋……その身長を分けて!

と思っても無理な訳で。……現実は非情だ。只今130cm台から抜け出せずにいます。悲しいなぁ……

でも、小さい仲間なら他にもいる。

 

 

"闇"

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ある日。

 

私は、早まる息を整えある場所に向かっていた。

それは……

 

 

?「やぁ、遅かったな!美海」

「えぇ、待たせてごめんね……空矢」

 

 

何年か前会った、あの青年の元に。

ちなみに、この青年の名前は雨宮 空矢。

お母さんは、この人の事を知っている。故に、私の……彼氏?的な感じだ。

何で今日会えたかというと、何年か前私が直接探しに行ったの。そしたらね、偶然ばったり会ったんだよね!もう、その瞬間から胸が高鳴ってドキドキしたよ!

思い切って話し掛けてみたら、普通に温厚な人で優しかったんだ。ガタイ良いし、背高いしで最初は少し怖かったんだ。

それでね……思い切って告白してみたの。「貴方の彼女にして下さい」ってね。そしたら、頭撫でられてね、こう言われたの。

「随分小さい彼女さんだなぁ^^*」って……

 

ちょっと、ドキッとしたけど。まぁ、結局はOKしてもらえたって訳。

もう、その時は本ッ当に嬉しかったな!大好きな人にイキナリ頭撫でられて……もう、キャー♪もんだよ!

 

そして、それから数年が経った今。

私達は、もうかなり親密した関係となっていた。

 

色々な所へも行ったし、空矢の家にもお邪魔させて貰ったし。

空矢のお母さん、凄く綺麗な人だったな……空矢の妹も。

 

 

今日は、空矢を私の家……基私の神社まで連れてくるのだ。

空矢は、今日軍の訓練がお休みなんだとか。だから、何処かへ行かないかって話になって……

考えついたのが、私の家。そういえば私の家にまで来たこと無かったな……って二人で話してたんだ。

 

空矢「美海の家って海辺にあるんだっけ?俺が来る事美海の母さんに言ったか?」

「うん、大丈夫だよ。お母さんには言ってあるから!それじゃ、行こっか!」

……ちなみに、ここで言うお母さんとは、亡くなったお母さんだ。私に神……家主の権限があると言っても、私は自信が無い。

 

私は、空矢の手を取り歩き出す。

本当なら、空を飛んで行った方が早い。だが、生憎空矢は人間。飛べないのだ。

 

空矢「楽しみだな、美海の家へ行くの。お母さんは、どんな人なんだろうな……」

正しくは神様だけどね、と心の中で訂正しておく。

 

ちなみに、空矢は私が神である事も家が神社であることも知らない。私達神から発せられる神力については、常人には分からない程度にまで弱めてある。これは、お母さんから教わったものだ。

 

どうこうしていると、どうやら神社に着いたようだ。

……ふふ、空矢、戸惑ってるみたいね?

空矢「えぇっと、そのぉ……ここ神社だけど?」

「それがどうしたの?ここが私ん家だよ?」

空矢が、えっと驚いたような顔になる。

そりゃそうだよね。今まで付き合ってた人の家が神社だったんだから。

 

空矢「そうか……って、ちょっと待てよ!わわ、引っ張るな!」

「い〜じゃん、い〜じゃん!」

私は、はやく行こうよと空矢を急かす。

神社の中に入る前に、空矢が待てと言う。……何だろう?はやく中に入りたいのに。

 

空矢「……」パンパン

あっ、それがしたかったのね。あらま、賽銭まで入れて律儀な事で。

 

「……終わった?」

空矢「いや、美海もしろよ」

「私はしないよ」

空矢「……」

 

空矢が不思議そうな顔で、私に着いてくる。多分、空矢は私の事を巫女の家系か何かだと思ってんのかな?ふふふ、残念違うよ。

 

「ただいま!」

飛洋「おかえり」

家に入ると、飛洋が返事をしてくれた。

飛洋「姉貴、隣にいるのは……?」

飛洋が、空矢の存在に気付いた様だ。

 

「そうそう、紹介するね。こっちが、前々から言ってた私の彼氏だよ!」

空矢「あっ、自分雨宮 空矢って言います」

飛洋「そうか。それじゃあ、よろしく」

空矢「宜しくお願いします」

 

よしよし、飛洋との関わりも上手くいった様だ。飛洋かお母さんが反対したらどうしようって思ってたし……

でもまぁ、飛洋が良い対応してくれたし……良い感じだね。

 

それから、写真に飾られてあるお母さんにも挨拶は忘れずにね。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでで、大丈夫?」

空矢「大丈夫だ、またな!」

ばいばーい、と私は手を振る。

 

あの後、空矢と一緒に遊んだりしてたんだよね。空矢が知らない、私達の遊びとか……

それから、凄く楽しかった。とても、とても……

 

 

 

 

 ̄ ̄こんな幸せな時間が続けば良いのにな

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、ありがとうございました。

……やっと、やっと期末テスト終わったぜいやっほーぅ!!!
皆さんは、どんな教科が得意でしたか?
ちなみに主は、国語と理科と社会と英語が今回のテストでは自信のある教科なんですよね〜。いや、殆ど……数学は、死にましたね。(^ω^;);););)後は、技術家庭とか?w

それでは、次回までSee you later!


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第10話 私の過去

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

美海side

 

 

私は、夢を見ていた。

 

遠い、遠い昔の夢を……

 

私が、誰だったのか何をしていたのか思い出せない。

 

そうして、いつものようにやって来た。

 

 

「あ……また、ここかぁ」

知らない部屋、知らないベッド。そこに私は寝ているのだ。

体は動かすことは出来るが……自分が誰だか分からないし、何故か夢での私は半透明の様に透けているのだ。

 

周りの目には私の姿は見えていないよう。

最早歩くのではなく飛んでいる感覚だ。簡単に言うと、浮遊してる感覚に近いかな。

 

……そして、夢の中の私は痣だらけ。一応包帯は巻いてはいるらしいが。

 

私は、いつものように部屋を出た。

しかし、私のことを見えるものはいない。……いや、見ようともしていないのが正解か。

"見えていない"ではなく"見ようともしない"……

 

私は、そんな周囲を気にもせず当たり前の様に朝御飯を食べ終え、自室に戻る。

どうやら、今回の夢で初めて気がついた事なのだが、この体の主は"学校"に通っているようで、私が生きている時代とは異なった、時代を超えた技術力があるらしい。体の主が持っている通学鞄というものも、私の頭の中に入ってきた。

ちなみに、夢を見ている間はこの体の記憶がどんどん入ってくるのだ。夢から覚めたら、消える。……不思議なものだ。

 

私は、当たり前の様に教科書ノートを取り出し、興味を持って、一冊のノートを手に取って中を見て……

 

 

 

 

 

 

 

……絶句した。

 

そして、手に持っていたノートを放心状態で落としてしまった。

 

震える手で落ちたノートを拾い、恐る恐る開く。

 

……だが、さっきと内容が変わることは無かった。

私が見たノートには、

 

"死ね"

 

"消えろ"

 

 

 

……などの残酷な言葉が書かれており、体の震えが止まらなかった。

 

 ̄ ̄誰が?こんな事を?何の目的で?

 

私の思考は、グルグルと目まぐるしく回っているだけだった。

私が見たノートは、所々が破れており、切り裂かれた後も見受けられた。

他の教科書やノートも、使い物にならなくなっているものもあり、私の中で混乱していた。

 

……そんなことをしていると、部屋の中に誰かが入ってきた。

 

……何故か、見覚えのある顔。銀髪の……少女。

 

『ねぇ……』

 

目の前の少女が、話しかけてきた。返そうか迷っていると……

 

『今の生活……楽しい?"ルナ"』

 

私は、戸惑っていた。聞き覚えの無い名前で呼ばれ、混乱する。

 

『……へぇ、楽しいんだ。……こんなに教科書やノート破かれてるのにねぇ』

 

少女は、机の上に置いてあったノートを手に取り、パラパラと捲りながら呟く。

……一瞬、少女の目が細められたのを、見た気がする。

 

『今の生活……楽しんでる所悪いんだけどねぇ』

 

少女は、持っていたノートを机に置き、一呼吸置いて、言った。

 

『このままだと、貴方……○○でしょう』

 

『……だから、貴方が未来を変えるのよ。運命を、自分の思い通りに捩じ伏せてしまいなさい』

 

銀髪の少女が手を挙げたかと思ったのもつかの間、私の目の前が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

……どの位の時間が経っただろう。

私が目を覚ますと、もう昼過ぎだった。

 

 

 

「……そろそろ、起きないとな」

 

銀髪の少女が言っていた事がよく分からないまま、私は居間へ向かっていった……。



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逸話 とある海神少女の物語

◇◇◇◇

 

 

とある日の昼下がり。

 

小さな少女が、母親の言いつけを破り、神社の外で遊んでいました。

この時代は戦争真っ只中の昭和。小さな少女が、安全な神社の外で遊ぶなど以ての外です。

 

その時、少女がいない事に気づいた姉が、少女を見つけました。

姉は、少女の元に駆け寄ります。

「お母さんに言われたでしょ」と姉は、少女に言い聞かせます。

 

その瞬間、少女の姉は木の影に誰かが隠れているのを見つけます。

それは、銃を持った人間達でした。

姉は、少女の手を引いて神社に逃げようとしますが、小さな少女と毎日鍛えている軍の男とでは、身体能力に差があります。

少女とその姉は、簡単に捕まえられてしまいます。

 

姉は、少女を庇って人間達に暴力を受けます。

ふわふわの青い髪を引っ張られ、泣き叫びます。その間にも、人間達の暴力を受けます。

少女は普段強い姉が、人間達にいとも簡単に襲われているのに、驚愕し、そこから1歩も動けません。

 

神社の中にいて娘達の異変に気づいた母親が、駆け寄ります。

そして、娘達の手を引いて神社の中に逃げようとします。

ですが、急に一方の男に足を掴まれ、転んでしまいます。

その瞬間、母親は一方の男が自分に向かって銃を振りかぶっているのを見てしまいます。

 

母親の頭の中に、ある考えが思い浮かびます。それは自分の能力……幻術で人間達を石に変えてしまおうと。

母親の青い目は光り、幻術は発動され、計画は成功します。

 

ですが、母親のその石に変える能力はとても反動の大きいもので、危険そのものでした。

その反動により、母親は娘達の目の前で命を落としてしまいます。

自分の前で、母親が死んでしまうということは、娘達にとっては物凄くトラウマとなって遺ります。

そのトラウマは、自分の心に深く深く突き刺さります。

 

姉も、残念な事に、その枠に外れませんでした。

姉は、母親が死んだと悟った瞬間、その目からは大粒の涙が流れ始めます。

泣き叫びます。自分がとても非力な存在なのだ、と知ってしまいます。

 

少女は、目の前で起きたことを全く理解しようとしませんでした。いや、出来なかったのです。

何故なら、能力の熱気に充てられて気を失ってしまったから。

 

少女は幸せです。母親の残酷な死に際を見なくて済んだのだから。

 

少女は不幸せです。母親の事を忘れてしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「おかーさん、私達はずっと一緒だよね!」

 

 

 

「おかーさん、おとーさんは?」

 

 

 

「お母さん、私の妹が生まれたわ!」

 

 

 

「お母さん、大変……飛洋が、風邪みたい!」

 

 

 

「……」

 

 

 

「お母さん……」

 

 

 

 

 

 

 

「お、かぁ……さん……やだ、逝かないで、逝かないでよぉ……死んじゃやだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

〜とある海神少女の逸話〜



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第11話

前の投稿から随分と遅くなってしまい、申し訳ございません。
期末テストの勉強と、龍神編の方の投稿で忙しく……
投稿が遅いのが嫌だという方は、龍神編の方を閲覧して頂けると幸いです。
これから投稿しない期間が続くと思いますが、何卒ご理解ご協力の方をお願い致します。


……お母さん

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

美海side

 

「会いたい……会いたいよ、空也……」

 

私は、最近軍の訓練や家族のこととかで忙しい彼のことを想いに馳せていた。

最近……数週間は会えていないだろうか?流石の私も、飛洋がいるとはいえ心にくるものがあるのだが……

 

飛洋「はぁ……またアイツのこと考えてんのか、姉貴は?」

「飛洋は恋愛に関しては本当に乏しいもんねぇ……私にとって空也のことはとても大切な存在なのっ」

飛洋「そうか」

 

縁側に来てお茶を飲んでいる妹に反論する。

妹、飛洋は男勝りな性格で、自分のことを俺と言う。いわゆる、かっこつけ。それは長年付き添ってきた私にしかわからないことだ。

 

「……そういえば、最近海の調子見に行けてないけど……そこんとこ、どうなの?」

飛洋「そうだな、別に変わった様子は無いし……一つだけあるとするならば」

 

飛洋「俺が空を飛んでいる時に、海面が異常に黒いところがあったんだが……」

「黒い……ところ?」

 

あぁ、と飛洋は続ける。

飛洋「しかも、それに俺が近づくと妙な耳鳴りがして……気分が悪くなりそうだったから、そのまま帰ってきちまった」

「……」

 

私は、手を顎に当てて考えた。

飛洋が産まれてくる前、つまり先代海神であるお母さんの時。お母さんが海を統括していた時期に、そんな場所と疑われるところは無かったか。

最近、海に変化は無いか。

 

「そう……考えてみたけど、少なくとも、先代が海を統括していた頃には、そんなところは無かったはずよ。飛洋が近づくと耳鳴りがする……う〜ん」

 

私は本棚を探り、それらしきことが書かれている本を探す。

「う〜ん……ん?何だろ、これ……」

 

私は、とある一冊の本を取り出す。

「"地上最強の妖怪"?……何これ」

 

地上最強の妖怪、牛鬼。あらゆるものを真似し、操る能力を持った最強であり最凶の妖怪。

その性格は鬼そのものであり、龍神に匹敵する力を持っていると言われている。

遥か昔、この地を滅ぼしたことがあり、その戦いでは多くの命を奪い、その中には龍神も含まれていた……と言われている。

 

「龍神……闇のこと?」

飛洋「なんだ?何かあったのか?」

「いや……別に」

 

この牛鬼という妖怪が、あの黒いところと関係があるのか……正直わかりそうもない。

「それにしても……もうこんな時間か。お昼すぎなのね……飛洋、どっか行く?」

飛洋「そうだな……」

 

 

 

 

「飛洋、支度できた?」

飛洋「あぁ」

とりあえず、私たちはぶらぶらと歩くことにした。

こうやって、姉妹で人間たちの街を歩くことは本当に久しぶりだ。

「じゃ、行こっか」

 

私は、地面を蹴って飛び立つ。

ちなみに、今の服装はあの白い軍服ではない。私の愛用している青いデニムのジャケットに、黒いショートパンツ。それにニーハイソックス、編みブーツだ。これが私の定番、お気に入りの服!

 

飛洋「おぉ、前行った時よりも栄えてるな」

「そうだね~……あっ!あのお店、良くない?行ってみよーよ!」

飛洋「あっ姉貴……あまりはしゃぎすぎるなよ~」

 

私は、飛洋の手を取って走り出すのであった。



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