コール オブ ジアビス (マインドルフ)
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1話

初めての、投稿です  
テイルズオブジアビスを読み、自分でも書きたくなったので作りました。



  瞬間移動…かならず目的の場所へつくとは、かぎらない、
       この男も、誤って、この場所へ来てしまった…


      

 目が覚めると、ベットの中だった…

 ジョゼフは、頭がクラクラしながら、まわりを見まわした…

 

ジョゼフ 「ここは何処だ…みんなは…さっきまで空母に乗っていたはず、

      あの女は誰だったんだ?…俺の装備品がなくなっている…」

 

     ドアが開いて男が入ってきた。

 

 男   「ああ、気がついたのか…大丈夫か?どこか痛い所はないか?」

 

ジョゼフ 「ここは…何処だ…」

 

頭がズキッとなり、押さえた…男が駆け寄って「大丈夫か?」

 

ジョゼフ 「ここは、いったい何処なんだ…」

 

 男   「ここはファブレ侯爵の屋敷だよ…庭で倒れていたからここまで運んできたんだ」

 

ジョゼフ 「ファブレ?」(…俺は、空母にいたはず…どうやってここまで来たんだ?ここが、占領下のフランスだとしたら…ドイツ軍に見つかったら大変だ……)「なぁ、訊いていいか?」

 

 男   「ああ…」

 

ジョゼフ 「ここは、ファブレの屋敷といったが…フランスのどこら辺りなんだ?」

 

男は難しい顔をして「?そのフランスって何処だ?」

 

ジョゼフも難しい顔になり 「??じゃあここは何処だ?」

 

 男   「キムラスカ・ランバルディア王国の首都バチカルだよ」

 

ジョゼフ 「??」頭の中が混乱してきた…

 

 男   「そうだ、まだ名前を名乗っていなかったな、俺は”ガイ”ここの使用人だ…あんたは?見たことない物を身に付けていたけど」

 

ジョゼフ (ここが何処かわかるまで、身元は隠しておいた方がよさそうだな…)「俺はジョゼフだ」

 

 ガイ  「ジョゼフ…変わった名だな、ところでどうして庭に倒れていたんだ?簡単に入れないはずだが…」

 

ジョゼフ 「ああ…それは…」と、困っていると「ガイ、何処だ?」と声が聞こえてきた

 

 ガイ  「やばい!」

 

ジョゼフは状況が呑み込めないまま「何がやばいんだ?」と言ったとたん、部屋のドアが勢いよく開いて赤毛の髪の長い青年が入ってきた。

 

 ガイ  「ルーク」

 

ジョゼフ 「ルーク?」

 

ルークはジョゼフを訝しげに「ガイ、誰だよそいつ?」

 

ガイはとっさに「いや、この人は…道に迷ったらしくて…」

 

ジョゼフ(おいっ、さっきここには簡単に入れないと言ってたじゃないか)

 

ルーク  「?なんでベットにいるんだよ」

 

 ガイ  「それはだな…いきなり気分が悪くなって、仕方なくここで休ませていたんだ」

 

ジョゼフ(それで、通じるのか?)

 

ルークは、じっとジョゼフを見ていたが「父上と母上も知っているのか?」

 

 ガイ  「いや…まだ、お2人には知らせていないが…」

 

ルークは納得したのか「そうか…そいつの名前は?」

 

 ガイ  「この人は、ジョゼフって言うんだ」

 

ルークは唐突に「お前何処から来たんだ、マルクトか? 」

 

ジョゼフ(何て説明すればいいか・・・マルクトって何だ?)

 

ジョゼフが詰まっていると横からガイが「なぁルーク、もうそろそろ行かないとヴァンが待ってるんじゃないか?」

 

ルークは思い出し「そうだ…ヴァン先生が待ってる」と部屋から出て行くのを見てガイは、ほっとした

 

ガイは、ジョゼフにむかって「あいつの態度を許してくれ、いつもああなんだよ」

 

ジョゼフ 「いや…気にしてない、それより俺の装備品は何処だ?」

 

 ガイ  「ああ、あんたの装備品ならそこのクローゼットに入ってるよ…、俺は部屋の前で待ってる」とガイは部屋から出て行った

 

ジョゼフはベットから出てクローゼットを開け装備品がなくなっていないか調べた…

 

部屋から出ると、ガイがいて「じゃあ、付いて来てくれ」

 

2人は中庭へ向った…そこには1人の男がいてガイとジョフゼが近づくと「その人は?」

 

 ガイ  「この人は…」と言って、今までのことを伝えた

 

 男   「そうか…」と、納得した様子をみせた

 

 ガイ  「ところでルークは?」

 

 男   「今、自分の剣を取りに行ってる…もうすぐここへ来るだろう」

 

男はジョゼフの方を向き「名乗っておこう、私はヴァン・グランツだ」

 

ジョゼフ 「オレはジョゼフだ」

 

ヴァン  「ジョゼフ・・変わった名だな…」

 

     そんな話をしている間にルークが剣を持ってやってきた。

 

ヴァン  「さて、私はルークと稽古をする…また後で話をしよう」

 

 ガイ  「それじゃあジョゼフ、そこのベンチで 見てようぜ」

 

     2人がベンチに座ると稽古が始まった。

 

 ガイ  「ちょっと話せるか?」

 

ジョゼフ 「なんだ?」

 

 ガイ  「あんたは何処から来たんだ、俺から見ると、マルクトでも、キムラスカでもなさそうだし・・・教えてくれ」

 

     ジョゼフは少し黙り「わかった」と答え、今までの事を話すと

 

     ガイは、難しい顔をして訊いてきた

 

 ガイ 「じゃあ、あんたは別の世界から来たって事だな…」

 

ジョゼフ「そういう事になるか…、ところで倒れていたのは俺だけか?」

 

 ガイ 「ああ、あんた以外は、誰もいなかったぜ」

 

ジョゼフ「そうか、ここの近くにいると良いんだが…ガイ、頼みがあるんだが…

     ここに、しばらく居させてくれないか?」

 

 ガイ 「それは、オレじゃ決めれないが、頼んでみるよ」

 

ジョゼフ「すまないな」

 

     するとガイが突然、苦しみだした!

 

ジョゼフ「おい!大丈夫か!」

 

   稽古をしていたルークとヴァンも、同じく苦しみだした…ジョセフは驚き

 

ジョゼフ「いったい、どうしたんだ!」

 

     そうしている内に、槍を持った女が、屋根から降りてきた!

 

ジョゼフ「何だ!?」

 

     女が何か大声で叫びながら、ヴァンを刺そうとした…

 

ジョゼフ「危ない!」と言って走り出す

 

     ルークは苦しみながらも、女をすばやく止めた

 

     ジョゼフは急いで女を押さえようと肩を掴む…

     すると、3人の体が光はじめた!

 

ヴァン 「まずい!」その瞬間、ジョゼフは意識を失った…

 

                        

 

 

 

 

 

 

 



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第2話

ジョゼフがテイルズオブジアビスの世界に飛ばされる前の話です


向こうの通りから、1台の車が来てアメリカ軍の基地に入っていった。

車の中から男が下りてきた。

1人は、スーツケースを持っていて、もう1人はアメリカ軍の大将…

 

 

     建物の中に入り1人の軍人を探していると、廊下の奥から

 

     2人の男に拘束された若い男がくるのが見え、すれちがった…

 

     大将は管理事務所で

 

  大将 「この男を探しているんだが」と言って写真と履歴書を見せた

 

 事務所 「この男ならさっき、連れていかれましたよ」

 

  大将 「いつ!」

 

 事務所 「さっき、廊下で会いませんでしたか?」

 

大将と もう1人の男はあわてて事務所から出て、正面玄関にむかって行った、

そこには、護送車がいて、もう出て行く所だったが大将が強引に止めた…

 

  大将 「待て!」といって、護送車に乗り込む

 

見張りの兵「何ですか!?」

 

  大将 「彼を引き取りに来た」

 

見張りの兵「しかし、今から彼を軍の上層部に引き渡す予定なんです」

 

  大将 「なんだと!、いったい何をしたんだ?」

 

見張りの兵「自分にはわかりません、上からの命令なので…」

 

大将がスーツケースの男に話しかけると、中から1枚の紙をとり出し大将に手渡した

 

  大将 「こっちの命令書の方が優先だ」

 

     と言って見せると、見張りの兵が確認してその若い男を引き渡した。

 

 大将  「君がジョゼフだな」

 

 ジョゼフ「はい」

 

  大将 「ひとまず車に乗ってくれ」

 

     大将、スーツケースの男、ジョゼフ、の3人は車に乗りこんだ…

 

 ジョゼフ「自分をいったいどこへ連れていくんです?」

 

  大将 「君をペンタゴンへ連れていく」

 

      ジョゼフは少し驚いた様子で

 

 ジョゼフ「えー、つまり自分はワシントンDCへいくんですか」

 

  大将 「そうだ、ワシントン以外にどこにペンタゴンがある」

 

  車が動き出し、ペンタゴンへむかって行った…

 

  ペンタゴンの駐車場に着くと、3人は建物の中に入っていった、それから

 

  会議室に入ると、中には、映写機やスクリーン、そして封筒が置いてあった

 

 大将 「そこに座ってくれ」

 

     ジョゼフ、スーツケースの男が席に着くと、書類を取り出し

 

 大将 「君の記録を見せてもらったよ、その若さで軍曹とはたいしたものだ」

 

ジョゼフ「ありがとうございます。聞いてもよろしいでしょうか?」

 

 大将 「何だ」

 

ジョゼフ「どうして自分をここへ連れてきたのですか?」

 

     大将は顔を近づけ

 

 大将 「これから、その説明をする」

 

    といって、離れると電気を消し映写機を動かした

 

 大将 「今から見るものはすべて本当のことだ…」

 

 

1943年 駆逐艦で、ある実験が行なわれた、それが瞬間移動の実験だった…

駆逐艦での実験は成功したが、中にいた乗組員は、甲板に体が溶け込む、

凍りつく、半身だけ透明になったり生き残った乗組員も精神に

異常をきたしたりもしたが、鉄の防壁に守られた、機械室にいた

一部のエンジニアだけは影響を受けなかった。

  

我々はこれを、「フィラデルフィア計画」と呼んだ。

この計画はもう廃棄されたが、その後スパイに実験データなど、

すべて盗まれてしまった…そのスパイはナチスドイツの親衛隊だったのだ、

我々はすぐに取り戻そうとしたが、ナチスドイツが成功するとは

とても思えなかった。

 

いくらドイツの科学力が高くても瞬間移動が成功するとは考えられなかった。

 

その考えは甘かった…たった1年あまりで、ナチスドイツは、我々が思っているより、成果を上げた。 

まず彼らは、物資を使って実験をはじめ、イタリア戦線やロシア東部戦線へ送りその実験は成功だった。

次に 彼らは人間を使って実験をした…

それらの人は収容所から連れてこられ、最初のうちは 前に、述べたように

失敗が続き1000人以上が犠牲になった…

        

 ---実験の成功---

最終的にはもっと大きな物を瞬間移動しょうとしていた、それは、航空母艦(グラーフ・ツェッペリン)だった…

  

  大将 「今、話したことを信じてくれたか?」と ジョゼフに尋ねると

 

 ジョゼフ「正直言って、あまり信じられません…

      その情報はどこから手に入れてきたのですか?」

 

  大将 「イギリスの諜報部から手に入れたものだ」

 

 ジョゼフ「簡単に教えていいのですか」

 

  大将 「君に秘密にする理由はない」

 

 ジョゼフ「それでは自分に、これらを見せて、なにをさせたいのですか?」

 

      大将がニヤっとして

 

  大将 「君には、グラーフ・ツェッペリンに、潜入してもらい、

      瞬間移動装置の情報収集をしてもらう、そしてできたら破壊だ」

 

 ジョゼフ「自分1人で、ですか?」

 

  大将 「さすがに君1人では無理だろう」と言ってファイルを取り出し、

 

      テーブルへ並べた、ジョゼフはそのファイルを見て

 

 ジョゼフ「これは…」

 

そのうちの3人はジョゼフの顔見知りでもう1人は、ジョゼフを軍にスカウトした男だった

 

  大将 「どうだ、君に似合う仲間だと思うがな…気に入らないなら、替えようか?」

 

 ジョゼフ「いえ、これでいかせてください」

 

  大将 「そうか、それなら良かった、ところでどうして君は捕まったんだ?」

 

      ジョゼフは少しためらった様子で

 

 ジョゼフ「言っても逮捕しませんよね」

 

  大将 「話しの内容によるな」

 

 ジョゼフ「D-デイに参加したくて、イタリア戦線を抜け出してきたんです」

      *D-デイとは、ノルマンディー上陸作戦の作戦決行日を指す

 

  大将 「イタリア戦線をほっぽってきたのか?」

 

 ジョゼフ「はい…それがバレていなかったら参加できていたはず…」

 

      大将は少し考えていたが

 

  大将 「この作戦に成功したら、その罪をなかったことにしてやるし

      D-デイに参加することも認めてあげよう」

 

 ジョゼフ「いいんですか?」

 

  大将 「ああ、いいとも…君にはさっそくだが船でイギリスに向かってもらい、

      そこで作戦の準備をしてもらう」

 

      大将が席を立とうとするとジョゼフが

 

 ジョゼフ「どうしてそこまでしてくれるのですか?」と聴いてきた…

 

    大将は懐から、1枚の写真を取り出すとジョゼフに見せた、

 

    その写真には軍服を着た若い男が写っていた…

 

  大将 「右に写っているのがお前の父親、隣りが私だ」

 

 ジョゼフ「父親とは、友達だったんですか?」

 

  大将 「そうだ、私と同じ部隊だった、おまえのことを頼まれていたんだ…

      ナチスは瞬間移動装置を使って世界を変えようとしている…

      今、世界を救えるのは君と仲間達だ」

 

      時計に目をやり

 

  大将 「そろそろ時間だ行ってくれ、案内はその男がしてくれる」

 

 ジョセフ「わかりました」と立って「この任務は私がやりとげます!」

 

      2人は敬礼をして、ジョゼフは部屋から出て行った。

 

 

 ジョセフは船に乗りイギリスへむかい、ブリストルの港に着き、港からは

 車に乗りかえてプリマスへ向かった…

 しばらくしてアパートに着くと、部屋番号が書いてあるメモを取り出し

 部屋の前までくると、ノックした。  

 すぐにドアが開き、そこには顔見知りの男「よく来てくれたなジョゼフ」

 

 ジョゼフ「お久しぶりです大尉」

 

  大尉 「とりあえず中に入れ」

 

  中に入ると友達の、クルーガー,ロバート,カールがいた、

 

クルーガー「ジョゼフ、久しぶりだな」

 

 ジョゼフ「久しぶりだな、クルーガーもカールも、ロバートは相変わらずだな」

 

  ロバートはソファでワインをかかえて寝ている…

 

  大尉 「集まったところで話す!取り合えず全員着替えて装備をしてくれ」

 

      数分後、 準備が終わり

 

 ジョセフ「大尉、用意ができましたがこの恰好で町中を歩くのですか?」

 

  大尉 「大丈夫だ、もうそろそろ時間だ」

 

  全員 「?」

 

  町中に空襲警報が鳴りひびき、人々はあわてて避難した

 

 ロバート「ヤバイんじゃないか」

 

 ジョゼフ「避難したほうがいいんじゃないですか?」

 

  大尉 「いや、避難しなくてもいい…

     我々は静かになった町中を歩いて行くぞ、ちなみにこの警報は

     嘘の警報だ、この隙に我々は町を抜けて、船着場まで行き

     そこからボートでフランスへ向い、レジスタンスに会う…」

 

     

少しして、5人は町中を抜け、ボートでフランスに向かった…

 

5人はフランス側の崖っぷちに近づき、ライトを点滅させると

 

向こうからも点滅する灯りが見えて、そこに行くと上からロープがおりてきて、

 

1人づつ上陸していった…上にはフランスのレジスタンスが3人いた…

 

そのうちの1人が 

 

レジスタンス「あなた方が米軍ですね?」

 

  大尉  「そうだ」

 

レジスタンス「急いでください、もうすぐ空母が動き出します!」

 

ジョゼフ達が急いで森を抜けるとそこにはトラックがあり、箱が積んであった…

 

レジスタンス「この中に入ってください、空母の貨物室まで運びます」

 

 ジョゼフ 「ちょっと待て、中身は点検されないか?」

          

レジスタンス「大丈夫です、この箱のマークを見てください…このマークの

      付いている箱は点検されないので安心して下さい」

       

 

      全員が箱に入りトラックは出発した。

 

 

少しするとジョゼフたちが入った箱の周りが騒がしくなり、箱の小さい隙間から

外をうかがうと、フィーゼラーFi103・装甲車・88ミリ砲そして仲間の箱が次々に運ばれていくのが見えた…

 

数分後、航空母艦(グラーフ・ツェッペリン号)が動き出すのがわかった。

 

しばらくして、大尉が箱から出てまわりを窺い、相図をすると次々に箱から出てきた…

 

事前に手に入れていたグラーフ・ツェッペリンの見取り図を確認…

 

5人は装置の方へ向かい、途中見張りを見たがやりすごし目的地まで、たどり着いた。

 

なぜかそこには、1人も見張りがいなかった…

 

カールとジョゼフはすぐにその装置の写真を撮る…

 

何枚か撮っていると見張りが4名ほど入ってきたので

 

急いで隠れて様子を窺い、見張りを後からナイフで切る…

 

ウェルロッド(消音拳銃)で撃つなどして、1人ずつ片付けていった…

 

最後の1人もナイフで刺したのだが、倒れていく瞬間ロバートが胸に付けていた手榴弾の安全ピンを抜いて倒れていった…

 

クルーガーが手榴弾を素早くロバートの胸から外し投げたのだが、運悪く装置の近くに落ち爆発してしまった!

 

途端に警報装置が鳴り出し、辺りは煙と光りと音で混乱していった。

 

その中、米兵たちは出口に向かって行ったが爆発のせいで自動的に扉が閉まり開けることができなかった。

 

大尉が爆発の衝撃で倒れてしまい逃げ遅れ、そのことに気づいたジョゼフは助けに向かったが大尉は光に飲み込まれそうになっていた…

 

ジョゼフは必死で助けに向かうが光が大きくなってまぶしく白く光り気を失った。

 

 

 

目がさめて、あたりを見ると無数の緑色に光る、宝石のような物が見え、一緒に浮かんでるようだった…

 

遠くの方から何かが近づいてきたと思ったら、それは人の形をとり、髪は長く腰のあたりまでありレースを重ねたようなドレスを身につけた女の人だった…

 

ジョゼフの目の前に来ると、何かを話しているがジョゼフにはさっぱりわからなかった。

 

次に その人は、ジョゼフに手をかざす…と

 

体が黄色の光につつみこまれ、すぐに消え、ジョゼフの体が自由になった…

 

その人は、ジョゼフの後ろの方へ飛んで行き、緑色に光る 1番大きなものに吸い込まれていったかと思うとジョゼフはまた光に包み込まれて気を失ってしまった…

 

 




ここまでがジョゼフが飛ばされた経緯です
次回は1話の続きをあげたいと思います


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第3話

    気が付くと、女の顔があった…

 

ジョゼフ「あんたは・・・」

 

 女  「大丈夫? 体は何ともありませんか?」

 

ジョゼフ「あ・ああ‥大丈夫だ」

 

少し、クラクラするが、立って辺りを見まわしながら

 

ジヨゼフ「いったいここは・・・?」

 

まわりはたくさんの花が咲いているが、両側が切り立った谷になっている

 

      ジョゼフ(ここは渓谷のようだな…)

 

 女  「だいぶ遠くまで飛ばされてしまったようね」

 

     倒れているルークを見て

 

 女  「うかつだったわ、まさか彼がセブンスフォニマーだったなんて…」 

       

ジョゼフは事態がのみこめず(飛ばされた?これで3回目だぞ…どこから聞いたらいいか…)

 

 女  「私の名前はティア、あなたは?」

 

ジョゼフ「オレは…ジョゼフ」

 

ティア (変わった服装ねキムラスカの軍服でもなさそうだしマルクトの軍服でもない、それに肩にかけているものと腰につけているものは譜銃に似ている…)

 

 

  ジョゼフはルークを指差し

 

ジョゼフ「ところで、あの男は大丈夫か?」

 

ティアは急いでルークの所へ行き起こしている、その間、ジョゼフは崖の方へ歩るいて行く…

 

ジョゼフ (海だ…)  後ろでルークの声がきこえた…

 

(声が出せるんなら大丈夫だな、さて、これからどうするか…仲間を探そうにもここが何処だかわからないし、この世界がどうなっているのかすらわからない…)

 

 

後ろ振り向いて(ともかくあの2人についていくしかないか…)

 

ルークがジョゼフの方へ走ってきて海をぼーっと見ている…

 

ジョゼフ「海は、初めてなのか?」

 

ルークはジョゼフの方を向いて

 

ルーク 「お前はさっきの…」

 

ジョゼフ「お前じゃない、ジョゼフだ」

 

ティア 「あなた達、知り合い?」

 

ルーク 「知り合いに見えるのか?」

 

ティアは面倒くさそうな顔をして

 

ティア 「ともかくここから出ましょう、この渓谷を出て海岸線を通りましょう」 と言って歩き出した…

 

ルークは歩きながらティアにむかって色々聞いている

 

ルーク 「何でヴァン先生を襲ったんだよ!」

 

ルークがしつこく話しをきこうとするのを見て

 

ジョゼフ「おい、あんまりしつこいと嫌われるぞ」と言った瞬間

 

木の影から魔物がジョゼフめがけて、襲いかかってきた!

 

ジョゼフは間一髪のところでかわした…

 

ジョゼフ「なんだこいつは!?」

 

ティアがジョゼフにおそいかかる1体を切った、それを見たルークは驚いて後ずさりする…

 

ジョゼフは冷静さを取り戻し、ティアにむかって「そこをどけ!」と叫ぶと

 

ティアは、ルークのいる所まで飛んだ。

 

ジョゼフが魔物に狙いを定めてトンプソン銃を撃ちまくると、魔物は次々と倒れていった。ティアは驚いた顔で

 

ティア 「あんな大きな魔物を一瞬で倒してしまうなんて・・」

 

ルーク 「スゲェー何だあれは!?」

 

2人共、銃の威力に驚いていた…

 

ジョゼフが新しい弾倉を入れ替えようとしたとき、後ろから魔物が襲いかかってきたがルークがすばやく腰の剣を抜いて魔物の腹に突き刺した…

 

ルークが剣を抜いて立ち上がるとすぐ、また別の魔物が襲いかかった…ジョゼフがトンプソン銃で撃ち、その場に魔物は崩れ落ちる、ルークに駆寄り

      

ジョゼフ「大丈夫か?」と声をかけた

 

ルーク 「ああ大丈夫…」

 

ジョゼフは周りを見渡し、残り6体を確認して

 

ジョゼフ「残りは俺がやる!」

 

と言うと一発づつ頭をねらって、魔物を確実に仕留めていった…

      

最後の一体を仕留めようとしたとき魔物は地面に転がっていた死体をつかんで投げてきた!

 

それはジョゼフのお腹のところにぶつかり、そのはずみで倒れてしまい銃が飛ばされてしまった

 

ジョゼフ「しまった!」  

 

魔物が迫って来たジョゼフは腰に装着していた別の銃を取ろうとしたが死体が邪魔で取ることができない …

 

魔物がジョゼフに留めを刺そうとした時 ティアが横から魔物を切り倒した

 

ティアはジョゼフに駆寄り、

 

ティア 「いまこの魔物の死体をどかすわ!」

 

ジョゼフ「ああ…助かる」ティアはルークの方へ向き

 

ティア 「見てないで手を貸して!」

 

ルークは面倒くさそうな顔をしながらも死体をどかすと、ジョゼフは立ち上がり

 

ジョゼフ「2人とも大丈夫か?」

 

ティア 「あなたこそ大丈夫なの?」

 

ジョゼフ「俺なら大丈夫、助かった」

 

ジョゼフはルークの方を向き

 

ジョゼフ「さっきは助かった、ありがとう」と言うとルークは少し照れたように

 

ルーク 「オ・オレは早く家に帰りたいだけだ!早く行こうぜ」

 

とそっぽをむき歩き出した…

 

ジョゼフ「そうだな先に進むか、またあんなのと戦うのはゴメンだからな」

 

ティアの方を向き

 

ジョゼフ「ティアさん、こっちの方角でいいんですか?」

 

ティア 「ええ、こっちに行けば森を抜けられるはず…」

 

3人は、歩き出した…ジョゼフは歩るきながらティアに

 

ジョゼフ「ちょっと聞いてもいいですか?」

 

ティア 「なに?」

 

ジョゼフ「さっきの生き物は何だったんですか?」

 

ティア 「あれは魔物よ、森や海に潜んでいて、まれに村を襲うこともあるわ」

 

ジョゼフ「そんなに危険なのか?」

 

ティア 「あなたは魔物と戦うのは、初めてなの?」

 

ジョゼフ「あんなのは初めてだし見たことがない…」

 

ティアは(おかしいわね魔物を知らない人がいるなんて)と不思議そうにジョゼフを見た。

 

ジョゼフは歩きながら、辺りを見わたし(キレイな場所だな)ルークが疲れた顔をしているのが見えた

 

ジョゼフ「もう疲れたのか、背負ってやろうか?」

 

と、ちゃかすとルークはむっとして

 

ルーク 「俺は疲れてねーよ!」

 

ジョゼフは先を指さして

 

ジョゼフ「あそこで休むか、森も終りそうだ」

 

森の出口付近までくると

 

ルーク 「やっと森を出られた」

 

辺りは滝があり少し開けた感じになっている、ジョゼフとティアは滝の付近に何かの気配を感じて

 

ジョゼフ「俺が行く」

 

と言って近づいて行くと、そこには水汲みをしている男がいた…

 

ジョゼフ「おい」 と声をかけると男はびっくりして水おけを落とし

 

 男  「なんだあんたら…まさか…盗賊か?」

 

ジョゼフ「ちがう盗賊じゃない、ただ通りかかっただけだ」

 

ジョゼフが何か言いかけようとすると、

 

ティア 「私が話すわ」と言って、男に 「私たち道に迷っちゃって…」

 

 男  「本当か?」

 

ルーク 「本当だよ、俺たちが盗賊に見えるのか?」

 

ティア 「私たち首都に行きたいんだけど…」

 

業者  「何だそうか…オレは業者だから、金さえ払ってくれるなら乗せてってもいいぜ」

 

ティア 「首都まで、いくらなの?」

 

業者  「1人20,000ガルド、だから3人で60,000ガルドだね」

 

ジョゼフ(ガルドって何だ、いくらになるんだ?俺が払ってもいいがドルは使えなそうだし…)

 

ティア 「困ったわね…そんなに持ってないわ」

 

ルーク 「何だ、安いじゃん、首都に着いたら払うよ」

 

業者  「今払ってもらわないと…うちは前払いなんで」

 

ティアが、首につけていたペンダントを見せると、

 

業者  「これはいい宝石だね」と言って受け取ろうとした。

 

ジョゼフ「ちょっと待った!そのペンダントよりもっと上等なものがあるぜ」

 

業者  「これより上等なものねぇ」と、ちょっと馬鹿にしたように言った。

 

ジョゼフ「これだよ」とタバコを取り出した

 

業者  「なんだそれ?」

 

ジョゼフ「まぁ口にくわえてみろ」

 

業者が言うとおりにすると、ジョゼフはマッチを取り出しタバコに火をつけた…

 

ジョゼフ「まぁ吸ってみろ」

 

業者が言うとおりに吸うと煙にむせた…その後に頭がクラクラしたが、気に入ったようだ

 

次にウイスキーの小瓶を取り出し

 

ジョゼフ「これを飲むと疲れが一気に取れるんだ」と言って渡そうとすると

 

業者  「待て!まずお前が先に飲んでみろ」

 

ジョゼフは1口飲んでみる…

 

ジョゼフ「ほら、大丈夫だ」と手渡した。

 

業者はそれを信用して飲んでみると…体の中心がカーッと熱くなり、顔がみるみる赤くなってきた…

 

それを見ていたルークとティアは心配になった…

 

ルーク 「何だ顔が赤いぞ」

 

ティアはジョゼフに

 

ティア 「いったい何を飲ませたの?」と聞いた時

 

業者  「何だコレは、力が湧いてくるようだ」

 

ジョゼフ「どうだ、ひとまずこれで手を打って首都まで連れて行ってくれないか?」

 

業者は真っ赤な顔で少し酔っているようだった…

 

業者  「もちろん、こんないいもので払ってくれるんだから首都でもどこでも連れて行くよ!」

 

ジョゼフ「ありがとう、早速首都まで俺達3人を頼む」

 

業者 「わかった、準備がととのったら、さっそく出発だ!」と言って歩るきだした。

 

ティア 「ジョゼフ、ありがとう」

 

ジョゼフ「女性にお金を出させるなんてカッコ悪いし、それにそのペンダント、大切なものなんだろう」

 

ティア 「・・・」ティアはうれしそうに、ペンダントをさわっている…

 

ルーク 「お前、見かけより良いもん持ってるじゃねえか」

   

と言い、業者が歩いて行った方へ歩き出した…ジョゼフとティアは、あきれながらその後に続いて行った…

 

      

 

業者  「もうすぐ出発できそうだから先に乗っていてくれ」

 

ルークはティアとジョゼフに向かって

 

ルーク 「ああ言ってるんだし、早く乗ろーぜ」と言って、後ろの荷台に乗り込んだ。

 

ジョゼフ「なんだこの生き物は!これが引いていくのか?」

 

 と荷馬車を引く生き物を珍しそうに眺めていた…

 

ティア 「ジョゼフ早く乗りましょう」

 

ジョゼフ「ああ」と乗り込もうとするが、中は4人乗ったらきつい位でルークを含めてすでに3人が座っていた。

 

 ルークは疲れていたのか既に眠りについていた。

 

ティア 「困ったわ、あと1人でいっぱいね」

 

業者  「運転台なら、あと1人乗れるぜ」

 

ティア 「私が上に行くからジョゼフは中に入って…」と行こうとするのを止めて

 

ジョゼフ「俺が上に行くのでティアさんは中に入って下さい」

 

上につくと結構風もあり寒かった、隣りにいる業者は結構酒臭かった…

 

 ジョゼフ(あれからまた飲んだな…)

 

 --------出発してすぐにジョゼフは眠りについてしまった--------



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第4話

ジョゼフは1年前のイタリア戦線に参加していた時の夢を 見ていた…

 

1943年イタリア戦線

 

第二次世界大戦中、 連合軍はイタリア軍・ナチスドイツ軍と戦っていた。

 

 

 米兵 「あそこの建物から撃ってきてるぞ!」

 

ジョゼフ「敵はドイツか?イタリアか?」

 

 米兵 「わかりませんが、イタリア軍ではないでしょう」

 

ジョゼフ「そうだなイタリア軍にあんな勇気は無い…とっくに逃げているはずだ」

 

 米兵 「ジョゼフ軍曹!無線で西の方角から88ミリ砲が狙っているようです!」

 

ジョゼフ「撃ってきそうか?」

 

 米兵 「!危ない」

 

辺りに5・6発落ちてきて、爆風でジョゼフは吹き飛んだ ! 米兵が駆け寄り

 

「ジョゼフ軍曹、軍曹大丈夫ですか…ジョゼフ…ジョゼフ……ジョゼフさん」

 

業者は慌てた様子でジョセフを起こしているが、ジョゼフは業者の方を見て

 

ジョゼフ「ああ…」と、寝ぼけている…

 

業者はジョゼフにむかって大声で叫んだ!

 

 業者 「前を見ろ!」

 

ジョゼフが前を向くと巨大なものが動いていた…

 

ジョゼフ「危ない!ぶつかるぞ右に行け!」

 

業者は舵を切ってギリギリ避けた…

 

ジョゼフ「なんだあの巨大なものは?」

 

 業者 「あれは、マルクト軍の陸上装甲艦タルタロスだよ」

 

ジョゼフ「陸上装甲艦?あんな大きいのが装甲艦なのか!?」

 

ジョゼフが驚いていると、ルークがおりてきて

 

ルーク 「何でこんなところにマルクト軍がいるんだ!?」

 

ティアが業者と話しをしている…

 

ティア 「!間違えた」 ルークとジョゼフがティアの所へ行き

 

ルーク 「間違えたって何だよ?」

 

ティア 「私たちが、向かっている首都はグランコグマよ」

 

と言ったとたんに、爆音が響き今渡ってきた橋が爆破され使いものにならなくなっていた…

 

 

      

それから、しばらくして村に着くと、業者がティアにむかって

 

 業者 「ここ、エンゲープでいいのかい?」

 

ティア 「ええ、ここに用事があるからいいわ」

 

 業者 「そうか、それじゃ、元気でな」と言って別れた。

 

ジョゼフ「とにかく、まずここが何処なのかわかるか?」

 

      ティアが地図を取りだす…

 

ジョゼフ「それは地図か?」

 

ティア 「ええ」

 

地図を広げてエンゲープを指さし

 

ティア 「今、私たちがいる所はここエンゲープよ、さっき橋が壊されたから船で国境を越えるしかないわね…」

 

ジョゼフは地図をじっと見ている (何だこの地図は、ほとんど島じゃないか、これがこの世界なのか?)

 

ルーク 「しかし、ここは小さい村だな」

 

地図をしまって、3人は歩るきながら

 

ジョゼフ「作物が、けっこうあるんだな、ここは農業が主体なのか?」

 

ティア 「まぁそんな所かしら、ここは農業と牧畜で有名なの」

 

ジョゼフ「なるほどな」

 

ルークはめずらしそうに家畜を見ている、

 

ジョゼフ「そんなに顔を近づけたら、あぶないぞ」

 

ティア 「とりあえず市場の方へ行ってみましょう」と向かった。

 

市場には果物や野菜などが並んでいた

 

ルーク 「おー、すげーなぁー」 と子供のようにはしゃいでいる

 

ジョゼフ「あんまり、遠くへ行くなよ、まるで子供だな」

 

ティア 「子供ね」

 

ジョゼフ「それじゃあ、俺も見に行こうかな」

 

と言ってルークとは反対側の市場へ歩るき出した…

 

(色々似ているものがあるなぁ、おっリンゴじゃないか、こっちも形は同じなんだな)と色々見ていると後ろの方から

 

 商人 「近頃また食料倉庫が荒されたんだよ」

 

 客  「えっ、また、これで何回目だよ」

 

(物騒だな)と思っていると、 向こうの方から別の商人が、やって来て

 

 商人 「おーい、あっちで騒ぎがあって犯人を捕まえたらしいぞ」

 

 客  「本当か?」  ジョゼフ(あっさり捕まったな)

 

 客  「犯人はどんな奴だ?」

 

 商人 「若い奴で・・」 ジョゼフ(若い奴か)

 

 商人 「髪は赤く先の方が金髪で・・」 ジョゼフ(まさか…)

 

 商人 「まぁ、とにかく生意気で、金は後から払うと言ってるんだが…」

 

ジョゼフ(うーん、心配だから戻るか)ジョゼフはもと来た道を帰り、ティアのもとへ急いだ…

      

ティア 「戻ってきたのね」

 

ジョゼフ「もしかして、ルークが捕まったのか?」

 

ティア 「よく分かったわね、あたなたが行った後すぐに…」

 

 数分後、説明をきいて

 

ジョゼフ「大体話しは解ったよ、つまりルークはただ食いして、捕まったんだな」

 

 と言って、深いため息をついた…

 

ジョゼフ「仕方ない、助けに行くか」

 

ティア 「ジョゼフ…」

 

 

 

ルークはエンゲープのローズ夫人邸へ連れていかれていた。

 

ローズ夫人邸の入口付近で

 

ジョゼフ「俺は、ここにいるからルークを頼む」

 

ティア 「あなたは?助けに行くんじゃなかったの?」

 

ジョゼフ「俺が行ったらますます話しがややこしくなるだろう、それにティアさんの方が話しはうまいし」

 

ティア 「確かに、複雑になりそうね…行ってくるわ」と言ってローズ夫人邸の方へ歩るき出した…

 

 ジョゼフ(ややこしい、ことになったな…)

 

ローズ夫人邸に近づく少年

 

 少年 「何かあったんですか?」

 

ジョゼフ「ああ、ちょっとトラブルがあって…」

 

少年はジョゼフの服装やヘルメットなど珍しそうに見ている、

 

ジョゼフ「あと何かあるかい?」

 

 少年 「いえ、ありがとうございます」と頭を下げてローズ夫人邸の中へ入っていった。

 

 ジョゼフ(可愛い顔してるな)

 

しばらくすると、ティアとルークがローズ夫人邸から出てきた…

 

ジョゼフ「大丈夫だったか?」

 

ティア 「ええ…」

 

ジョゼフ「食料泥棒の件もカタがついたのか?」

 

ティア 「それも済んだわ」 と言って3人は歩き出した。

 

ジョゼフはルークに

 

ジョゼフ「ちゃんと謝ったのか?」

 

ルーク 「・・・」

 

ジョゼフ「ティアさん、ルークはちゃんと謝ったんですか?」

 

ティア 「いいえ、謝ってないわ」

 

ジョゼフはため息をついて

 

ジョゼフ「取り合えず今夜泊まる宿をさがそう、ティアさんとルークは泊まる宿で待っていてくれ」

 

ティア 「あなたはどうするの?」

 

ジョゼフ「そいつの尻拭いをしてくる」

 

ルーク 「そいつって…」

 

ティア 「あなたのことじゃないの」

 

ルークはムッとして

 

ルーク 「なんで俺がそいつ呼ばわりされるんだよ!」

 

ティアは話しが終わる前に歩き出している

 

ルーク 「おい!何処に行くんだよ…」と、ティアを追いかけて行く

 

ティア 「泊まる宿を探しに行くのよ」(でも、どうしてあんな所に同志イオンが…)

 

 

ジョゼフはさっきのリンゴ売りの所へ行き、謝っている。

 

ジョゼフ「先ほどは、つれが失礼なことをした」

 

リンゴ売り「いいよ、あんたが謝らなくても、それにお金も受け取ったし」

 

ジョゼフ「そう言ってもらえると助かるよ」

 

と言って別れた(さて、ティアとルークの所へ行くか)

 

「あのーすみません」ジョゼフが振り向くと、そこには黒髪のツインテール、後ろにぬいぐるみを背おった、女の子が立っていた。

   

ジョゼフ「何か用かい?」

 

女の子 「この辺りで、髪が緑色で、私よりちょっと背の高い男の子なんですけど、見かけませんでしたか?」

 

ジョゼフはローズ夫人邸の入口で会った少年を思い出した。

 

ジョゼフ「もしかして、その子は杖を持っているか?」

 

女の子 「はい、持っています」

 

ジョゼフ「その少年なら、ついさっきローズ夫人邸へ入っていったよ」

 

女の子 「ありがとうございます。」と言って頭をさげローズ夫人邸へ走って行った。

 

ジョゼフはルークとティアの待つ宿へ向かう…

 

ティアが宿の前で待っていてくれたので、ジョゼフはすぐに見つけることができた。

 

食事も終り部屋に戻ると

 

ジョゼフ「この宿の食事は、まぁまぁ良かったな」

 

ルークは部屋でひとり怒っていた

 

ルーク 「あー腹の虫がおさまらねぇ!」泥棒に間違われたことが気に入らない…

 

ジョゼフ「あいつ、まだ怒ってるのか?」

 

ティア 「ほっておきましょう、そのうち忘れるわ」

 

ジョゼフは自分の装備品をベットに並べて、点検し始めた。ルークは物珍しくそれらを見ている

 

ルーク 「何だよ、これ?」

 

ルークがカメラを持っていじくり回していると、思いがけずシャッターを押してしまった…

 

カメラが自分の方を向いていたのでルークはフラッシュに驚いてしまい、後ろへ倒れた。

 

あまりの眩しさに

 

ルーク 「眼が…眼がぁ…」

 

ティア 「大丈夫?」

 

ルーク 「うう…目がチカチカする」ジョゼフは心の中で大爆笑していた…

 

次にルークが目を付けた物はトンプソン銃だ

 

ルーク 「これだよな、魔物をやっつけたのは…」手に取ろうとした時

 

ジョゼフがサッと取りあげ素早く弾倉を外してから、ルークに手渡した。

 

ルーク 「思ったより重いな」まるで新しいオモチャを手にしたように、はしゃいでいる。

 

ティア 「いいのルークに触らせて?」

 

ジョゼフは弾倉を見せて「これがなければ、使い物になりません」

 

ティアが、気になったものは、M1911銃…

 

ジョゼフ「持ってみますか?」

 

ティア 「いいえ、ただ…」

 

ジョゼフ「ただ?」

 

ティア 「私の知っている人もこれと同じような物を持っていたから」

 

ジョゼフ(この世界にも銃があるのか?)

 

ティア 「ジョゼフ」

 

ジョゼフ「なんだ?」

 

ティア 「服装も持っている物も、初めて見るものばかり…あなたは何処から来たの?」

 

ルークもジョゼフに向かって

 

ルーク 「俺も気になってたんだ、何処から来たんだよ?」

 

ジョゼフ「話してもいいが、信じてもらえるかどうか…」

 

     ジョゼフは二人に説明した…

 

     数分後、2人は複雑な顔をしていた

 

ティア 「なんて言ったらいいか…それが本当だったら帰る方法は、わかるの?」

 

ジョゼフ「今の所は、わかりません…」

 

ルーク 「あーさっぱりわかんねぇ」

 

ティア 「呆れた…さっきの話ちゃんと聞いてたの?」

 

ルーク 「聞いてたけどさ 、 いきなり瞬間移動とか別の世界から来たなんて言われてもピンとこねぇよ」

 

ティア 「あなたには難し過ぎたかもしれないわね」

 

ルーク 「馬鹿にするな! ジョゼフが住んでた場所って帝国か王国か?」

 

ジョゼフ「俺が住んでいる国はアメリカ合衆国と言うんだ、帝国でも王国でもない…」

 

ティア 「アメリカ合衆国…変わった名ね 」

 

ルーク 「なぁ、もっとその国について教えてくれよ」

 

ジョゼフ「わかった…」 と言って話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第5話

  --------ジョゼフの話が終わり…--------

 

ティアは、不思議な感じで話しを聞いていた…

 

ルークは、興味津々で聞いていた…

 

ジョゼフ「大体わかってもらえたか…?」

 

ルーク 「ジョゼフの世界には色々あるんだな」

 

ティア 「あなたの住んでいた所は、こことは随分違うのね」

 

ジョゼフ「俺から見たら、この世界はとても不思議だ…」

 

ルーク 「俺は話に出てきた、車っていうのに乗ってみてぇ」

 

 ジョゼフ(お前には運転無理だな…)

 

ティア 「あなたの所にも争いはあるのね」

 

ジョゼフ「戦争は、なくなりませんよ」

 

ルーク 「そんな暗い話しやめろよ!」

 

ジョゼフ「そうだな…さてもう夜も遅いし休むとするか」

 

ティア 「そうね、もう寝ましょう明日も早いわ」

 

ルーク 「待った!その前に俺の話を聞いてくれ」

 

二人同時「なに?」

 

ルーク 「明日は森に行くぞ!」

 

ティア 「森に行ってどうするの…あなたまさか」

 

ジョゼフ「お前まさか、食料泥棒を捕まえに行くんじゃ…」

 

ルーク 「俺は何もしてないのに、泥棒と間違われたんだぜ、その森の奴をとっ捕まえて村人達に突出してやる!」

      

 ジョゼフ(りんごを勝手に食べたのが悪かったな…泥棒と勘違いされても仕方ないだろう)

 

ティア 「それは、あなたが勝手にリンゴを食べたからでしょう」

 

ルーク 「ともかく、明日は行くぞ!」

 

そう言うと、ルークはベッドに潜り込んでしまった…

 

ティア 「ルーク!」

 

ジョゼフ「放っておきましょう、どうせ言うことを聞かない」

 

ティアはため息をついて「仕方がない、一緒に行くわ…」

 

ジョゼフ「いいんですか?」

 

ティア 「ルークだけで行かせたら、何をするかわからないわ」

 

ジョゼフ「確かにそうだな…俺も行こう」

 

2人は仕方ない顔をして、それぞれ眠りについた。

 

 

 翌朝3人は準備をして、宿を離れ森へ向かった…

 

 

 3人は森を歩いている

 

ジョゼフ「この広い森の何処を探せばいいんだ?」

 

ルーク 「森の奥へ進んで行けば見つかるだろう」

 

ジョゼフ(簡単に言ってくれるな…)「まぁ確かに奥に進んで行けば何かあるかもな」

 

 ティア(そう簡単に見つかるとは思えないけど)

 

3人は森の奥へ進んで行くと、少しして

 

ジョゼフ「これじゃあ、いつまでたっても見つかりそうにないな、俺は向こうを探してくるから2人はこの辺りを探してくれ!」

 

ティア 「1人で、この森を歩くのは危険よ、それに迷ったりでもしたら…」

 

ジョゼフ「大丈夫だ、来た道なら覚えてる」

 

ルーク 「大丈夫って言ってるんだから、行かせてやれよ」

 

ティア 「あなたは人の事だと思って、無責任なことを言わないで」

 

ジョゼフ「本当に大丈夫だ」

 

ルーク 「ほら、本人だってそう言ってるし…」

 

ティアは少しムッとした顔で立っていた…

 

ジョゼフ「俺はこっちに行く、ティアはルークのこと頼んだぜ」

 

と言ってジョゼフは歩き出した……後から

 

ルーク 「なんてオレが、お荷物みたいなってるんだよ!」と、怒鳴る声が聞こえたが無視して進んで行った。

 

ジョゼフは歩きながら(ここは本当に広そうだ…ティアの言う通り、迷いそうだな…)奥へ進んで行くと緑色の何かがいた…⁇

 

ジョゼフ(何だ、アレは人か!?こんな所に…) 一応声をかけてみる

            

ジョゼフ「オイ、こんな所で何してるんだ?」

 

緑の正体は少年だった。

 

ジョゼフ「君はローズ夫人邸で会った、少年じゃないか!」

 

 少年 「あなたは、あの時の…」

 

ジョゼフ「こんな所で、1人で何してるんだ?」

 

 少年 「ボクはチーグルが、どうしてエンゲープの食料を盗んだのか、確かめに来たんです。」

 

ジョゼフ「その為に、1人で来たのか?」

 

 少年 「あなたもですか?」

 

ジョゼフ「ああ、まあ俺はその……仲間と一緒に来たんだ、この近くにいるはずなんだが…」

 

少年はジョゼフが装備しているものを見ている。

 

ジョゼフ「そういえば、まだ名前を聞いてたかったな、俺はジョゼフだ」

 

 少年 「ボクはイオンと申します」

 

ジョゼフ「それじゃあイオン、1人じゃ危ないだろう、一緒に来ないか?」

 

イオン 「そうですね、目的が同じようですし…」

 

ジョゼフとイオンは、ルークとティアのもとへ向かった。

 

ジョゼフ「この近にいるはずなんだが…」

 

イオンが少し疲れた様子なので

 

ジョゼフ「大丈夫か?」

 

イオン 「すみません、森の中を歩くのは、慣れていないので…」

 

ジョゼフ「ここで、休んでも構わないよ」

 

イオン 「いえ、行きましょう、ジョゼフさんの仲間が待っているでしょう」

 

ジョゼフ「まあそうだが、でもあまり無理するなよ、疲れた時は言ってくれ」

 

イオン 「はい、ありがとうございます。」

 

 ジョゼフ(おかしいな、もう合流してもいいんだが?)

 

足元を、サッと小さなものが横切っていった…

 

ジョゼフ「何だ!?」

   

その途端さっき小さなものが出てきた所から、ルークが飛び出して来て、ジョゼフにぶつかり2人共倒れこんだ…その後すぐにティアもそこから出てきた

 

ティア 「ジョゼフ!」

 

ジョゼフ「ティア、こんな所に居たのか…」

 

ティア 「会えて良かった」と言って、イオンを見て驚いた!

 

ティア 「導師イオン!」

 

イオン 「あなたは…」

 

ジョゼフ「何だ知り合いか?」

 

ルークは立ち上がり「アイツはどこへ行きやがった…」 

 

ジョゼフ「アイツ?さっきの獣のことか?」

 

ルーク 「どうしてくれるんだよ、おまえのせいで逃げられちまったじゃねえか!」

 

ジョゼフはむっとして「それが、ぶつかった人に言う言葉か?」

 

ルーク 「そこにお前がいなければ、犯人を捕まえられんだよ!」

 

ジョゼフ「犯人?アレが?ティア、そうなのか?」

 

ティア 「ええ、あれがチーグルよ……その前に、どうしてイオン様がここに居るの?」

 

ジョゼフ「さっき、向こうで会ったんだ」

 

イオンが自己紹介と、ここに来た目的を話していると

 

ルーク 「おいアレ、チーグルじゃないか!」とルークが走り出した…

 

ジョゼフ「おい! 待て!」とルークを追いかけた

 

ティアとイオンも、慌てて後を追った。ルークが立ち止まっているのを見て

 

ジョゼフ「ルーク、どうした?」と声をかけると

 

ルーク 「見失しなっちまった…」

 

ティア 「また、逃がしたの?」

 

ルーク 「違うよ、向こうがすばしっこ過ぎるんだよ!」

 

ジョゼフ(それを逃がしたっていうんだよ…)

 

ジョゼフはイオンの様子が、おかしいのに気付き

 

ジョゼフ「大丈夫か?」と声をかける

 

イオン 「大丈夫です。」ジョゼフはイオンの手をとり脈を確かめた…

 

ジョゼフ「脈が早いな…このまま無理して進むのは良くないな…俺の背中に乗れ」

 

イオン 「いえ、ボクは大丈夫ですから」

 

ジョゼフ「無理するな、途中で倒れたらもっと大変だ」と言ってイオンを背負った…

 

イオン 「すみません、重いでしょう」

 

ジョゼフ「全然、重くないよ」

 

ティアとルークは、呆然とそれを見ている

 

 ティア(イオン様が背負われているなんて、教団の人達が見たら…)

 

ジョゼフ「なんだ、ルークお前もして欲しいのか?」

 

ルーク 「違うよ、俺はそんな子供じゃねーよ!」

 

 ジョゼフ(いや、まだ子供だろう)

 

ルークが森の奥を指さし 「あー、あの野郎あんな所に…」

 

そっちの方を見ると、チーグルが森の奥へ行くのが見えた。

 

ジョゼフ「見失う前に、後を追おう!」 4人は奥へと進んで行った。

 

しばらく歩いて行くと

 

ルーク 「ちくしょう、また見失しなっちまった!」

 

ティア 「たぶん、この近りにチーグルの棲み処があるはず…」

 

ルーク 「どうして、そんな事が分かるんだよ」

 

ジョゼフに背負われているイオンが「チーグルは、大きな木の切り株に棲んでるはずです、この近くにありませんか?」

 

みんなで、辺りを探し回ると…

 

ジョゼフ「切り株って、アレじゃないのか?」

 

ティア 「あっけなく見っけたわね…」

 

ルーク 「よし!早速中に入ろうぜ!」

 

ジョゼフ「悪いがここで、降りてもらいますね。」とイオンを降ろした。

ジョゼフは切り株の中を見る…「中は暗いな…」装備からライトを取り出し、中を照らすと それを見て

 

イオン 「明るいですね、何ですかそれは?」

 

ジョゼフ「ライトっていうものだ」

 

イオン 「ライト…ですか、そんな物は初めて見ました」

 

ティア 「それがあれば暗い所も大丈夫ね」

 

ルーク 「早く入ろうぜ」

 

中は薄暗いが、真ん中辺は太陽の光が射し込んでいた…そこまで行くと気配がして、見回すと多くのチーグルに囲まれていた…

 

ジョゼフ「何だ!いっぱいいるぞ、色とりどりのが」

 

 ティア(可愛い…)

 

ルーク 「うぉーきも!」

 

イオンが一歩前に出て「どうか通して下さい、ボクは長に会いに来たのです。」

 

ミュウ、ミュウ、ミュウとチーグル達が騒ぐ中、1匹のチーグルがイオンの前方に現れると、まわりのチーグル達が静かになった…

 

チーグルの長「ユリア・ジュエの縁者か…」

 

 ジョゼフ 「しゃべった!?」

 

 イオン  「ボクは、ローレライ教団の導師イオンと申します、あなたがチーグルの長ですね」

 

チーグルの長「いかにも」

 

 ルーク  「おい、獣、お前らだろエンゲープの食料を盗んだのは!」

 

 ジョゼフ 「ルーク、今は落ち着け」

 

 ルーク  「はぁ、何でだよ、犯人が目の前にいるんだぞ!」

 

 ジョゼフ 「お前が話すとややこしくなるから、ここはイオンにまかせよう」

 

ルークが何か言おうとした時

 

 ティア  「ジョゼフの言う通りよ、ここはイオン様にまかせましょう」

 

イオンがチーグルの長に「どうして食料を盗すんだのか、説明してもらえますか?」と聞くとチーグルの長は頷き、話しを始めた…

 

 

昔から住んでいたチーグルの森は、仲間のチーグルが森を燃やしてしまいそれと一緒にライガの住む森も、燃えてしまった…

 

そのせいでライガが腹を減らしてチーグルを襲うようになり、チーグルは仕方なく、エンゲープから食料を盗すんでライガに定期的に、渡していたという事だった。

       

 ジョゼフ 「酷いな、でも、いつまでもこんな事が続くわけがない…」

 

 ティア  「そうね、現に私たちは犯人を探してここまで来たんだし」

 

ティアはルークに向かって「どうするの?エンゲープの人達にチーグルを突き出すの?」

 

 ルーク  「そりぁ…そうだろう、こいつらが犯人なんだし」

 

 ジョゼフ 「これだけのチーグルを突き出すのか?」

 

ルークは、困った顔をした。

 

 ジョゼフ 「見てみろよ、あっちには子供のチーグルもいるんだぞ…俺だったら逆に可哀そうで、突き出す事なんてできないな…、

もっと他にいい方法があるんじゃないか?」

 

       

 ティア  「そのいい方法って?」

 

 ジョゼフ 「このチーグル達を脅かしている、ライガを倒す事だ」

 

 イオン  「待って下さい!その前にボクにライガと話しをさせて下さい」

 

 ジョゼフ 「そのライガは人の言葉を話せるのか?」

 

 イオン  「ボク達では無理ですが、チーグル族がいれば通じると思います」

 

チーグルの長「それだったら、我々の中から一人を通訳として同行させよう」

 

と言うと奥から1匹のチーグルがトコトコとやって来た…

 

 ジョゼフ 「まだ子供じゃないか…」

 

チーグルの長「この子が、森を燃やしてしまったんじゃ、だから この子を通訳として連れて行ってくれ」

 ルーク  「なんで森を燃やした奴を、通訳として連れていかなくちゃいけないんだよ」

 

チーグルの長「それはこの子が、森を燃やした責任があるからだ」

      

と言って、リングをそのチーグルに渡すと…

 

 ミュウ  「初めまして僕の名前はミュウと申しますの」と、ペコリと頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第6話

 チーグルのミュウが仲間になり、4人と1匹はライガが居る場所へ向かった。

 

ミュウ 「ここですの!」

 

ジョゼフ「ここか!よし、ライガのボスに会おう」

 

先に進むと1匹の大きなライガが居た…

 

ルーク 「あれがボス?」

 

ティア 「あれが女王よ」

 

イオン 「ミュウ、通訳をお願いします」

 

ミュウ 「はい、ですの」

 

ミュウはライガと交渉を始めたが、ライガはまったく聞く耳を持たなかった…

 

それどころかライガはミュウを見て、森を燃やされた事に腹を立て威嚇してきた。

 

ミュウは、その衝撃で飛ばされてしまったが、ジョゼフがうまくミュウを受け止めた。

 

ティア 「このままだと私たちも危険よ!」

 

ルーク 「どうする!?」

 

ティア 「残念だけど倒すしかないわ」

 

そう話している間にもライガが集まってきている…

 

ジョゼフ「こいつらどんどん集まってくるぞ!」

 

イオン 「さっきの威嚇の声で、他のライガ達が集まってきたんでしょう」

 

辺りはすごく殺気立っている…

 

ティア 「ライガの女王さえ倒してしまえば、他のライガは逃げていくはず…」

 

ルーク 「こんなに多かったら、なかなかライガの女王に近づけないぞ!」

 

ティア 「誰かが他のライガを惹き付けている間に女王を倒しましょう」

 

ルーク 「冗談じゃない!俺は嫌だぜ…」

 

一瞬、みんなの視線がジョゼフに向いた…

 

ジョゼフ「分かった俺がやる!」

 

ティア 「あなたの銃の音で惹きつけて……その間に女王の所へ回り込むわ…

 イオン様とミュウは、向こうの木の影に隠れていて下さい!」

 

ジョゼフ「俺が惹きつけている間に隠れてくれ!…」

 

と言ってジョゼフは空に向かってトンプソン銃の引き金を引いた。

 

その音が合図だったかのようにライガ達は、一斉にジョゼフに襲いかかってきた…

 

その間、イオンとミュウは避難をした。

 

そしてティアとルークもライガの女王の所へ回り込むよう、走り出す…

 

 

ジョゼフ達とライガ達の戦いが始まった。

 

真正面から四体が向かってきた…ジョゼフはトンプソン銃で応戦をした。

 

四体の頭部めがけて連射しまくり、確実に倒していく…その後すぐに後ろから2体が襲いかかってきた…

 

すんでの所でかわしたが、すぐに違う1体が襲いかかってくる…

 

ジョゼフは素早くしゃがみこみライガの腹を、トンプソン銃で撃ち抜いた。

 

他のライガが、ティアとルークの方へ走り出した。

 

ジョゼフ「まずい!」

 

ジョゼフはしゃがみ込みながら、トンプソン銃で先頭を走るライガを撃つ…当たりはしなかったが、ライガの目線はまたジョゼフに向けられた。

 

ティアとルークはライガの女王と戦っている

 

ジョゼフ(早くしてくれ…)トンプソン銃に新しい弾倉入れ替え、四方八方から襲ってくるライガを次々と倒していく…

 

ジョゼフはルークとティアに「まだ、倒せないのか!?」と大声で叫ぶ

 

ルーク 「うるせえ、いくら攻撃しても倒れないんだよ!」

 

ティア 「これじゃ 限がないわ!」

 

それを聞いてジョゼフは、ルークとティアの方へ走り出し

 

ジョゼフ「ルーク! ティア!そこから離れろ!」

 

ジョゼフは胸につけていた手榴弾の安全ピンを抜き、ライガの女王に投げた…

 

手榴弾は女王の近くに落ち爆発した、その衝撃音に他のライガ達が驚いて逃げ出して行く。

 

女王はダメージを負ったが、まだ立っている…

 

ジョゼフ「あんな近くで爆発したのに…まだ立っているのか!?」

 

女王は3人に向けて大きく吠えた!その衝撃でジョゼフとティアは後ろへ飛ばされ、ルークはその場に倒れてしまった。

 

女王はルークが近くにいるのを見つけ、襲いかかろうとしていた…

 

ルークは上半身を起こし、剣を取ろうとしたが飛ばされていた。

 

ルーク 「俺の…剣がない!?」

 

ジョゼフは腰に着けているM1911銃を取り「ルーク!これを使え!」

 

と叫んで投げるとそれはルークの斜め前に落ちた…それを手に取り

 

ルーク 「これを、どうするんだよ!」

 

女王は牙をむいて襲いかかってきた!

 

ティア 「ルーク!!」

 

ルークはとっさに構えて引き金を引く…全弾撃ち尽くし、その中の2発が心臓に命中した!

 

女王はルークの目の前に崩れ落ちた。

 

ジョゼフとティアはルークに駆け寄り

 

ジョゼフ「大丈夫か?」

 

ルーク 「オレが…倒したのか?」

 

ティア 「あなたが倒したっていうより、ジョゼフの武器のおかげね…」

 

ルーク 「やな、女」

 

ジョゼフ「まー無事でよかったじゃないか、ルークその銃を返してくれ」

 

ルークはジョゼフに銃を返した。

 

M1911銃は全弾撃ち尽くされていたので、新しい弾倉に入れ替えた。

 

ジョゼフ「あっ、イオンとミュウは?」

 

 ?  「ここに、居ますよ…」

 

聞きなれない声の方を向くとそこには、イオンとミュウそしてメガネの男が一人いた …

 

ジョゼフ「イオン、その男は誰だ?」

 

イオン 「彼は…」

 

ジェイド「私はマルクト帝国軍第3師団所属ジェイド・カーティス大佐です。」

 

ジョゼフ「大佐?」

 

ルーク 「また、あんたかよ…」

 

ティア 「どうして、ここに居るのですか?」

 

ジェイド「私はイオン様が、ここに居ると聞いて来たのですが、あなた達がライガの女王と戦っていたので……手助けしようと思ったのですがその必要はなかったようですね」

 

ルーク 「見ていたのに助けなかったのかよ!」

 

ジェイド「おや、助けて欲しかったのですか?」

 

ルーク 「お前の助けなんていらねーよ!」

 

ティア 「言ってることがメチャクチャよ」

 

ルークはムッとしたが、黙った…

 

ジェイド「さて、用事が済んだのなら森を出ましょう」

 

イオン 「その前にチーグルの長に、この事を報告しましょう」

 

ミュウ 「そうですの」

 

ティア 「それじゃ行きましょう」

 

5人と1匹はチーグルの長の所に戻った…

 

ジェイドか歩きながらジョゼフに

 

ジェイド「そういえばまだ、名前を聞いていませんでしたね?」

 

ジョゼフ「ジョゼフだ」

 

ジェイド「ジョゼフ、先ほどの戦いを見ていたのですが…変わった武器を使用していましたね、私もいろんな武器を見てきましたが、あんな武器は初めてです。」

 

ジョゼフ「これは銃といって、遠くの物まで仕留められる武器だ」

 

ルーク 「そんな奴に、教えない方がいいと思うぜ」

 

ジェイド「おや、私はジョゼフと話をしているんですがね」

 

ルーク 「あー!腹が立つ奴だな」

 

ティア 「そこまでにしときなさい、もうそろそろ着くわ…」

    

チーグル族の長に会うと、今までの出来事をミュウが説明をした…

 

チーグルの長は、お礼を言った。

 

次に、森を燃やしたのはミュウだった事、しばらくの間追放する事になった件を話し…ミュウをルーク達に任せることに決めた…     

      

ミュウ 「よろしくですのご主人様」

 

ルーク 「なんで俺がお前のご主人様にならないといけないんだよ、いらねーよ」

 

ジョゼフ「まぁ、そんなこと言うなよ…可愛いじゃないか…連れて行ったら何か役に立つかもしれないぞ」

 

ティア 「ジョゼフの言う通り、何か役に立つわよ…」(それに可愛いし)

 

イオン 「僕からも、ミュウをよろしくお願いします。」

 

ルーク 「あー!わかったよ、もし足手まといになったらその場で焼いて食うからな!!」

      

ジョゼフ(焼いても美味くないだろ…いや…でも耳の所は油があって美味いかもしれないな…)

 

ミュウを仲間にして、5人は森の外に出る事にした。

 

森の出口付近まで行くと、向こうの方から女の子が走ってきた…

 

よく見ると前に会った女の子だった…

 

ジョゼフ「君は昨日の?」

 

女の子 「また、お会いしましたね」

 

ティア 「どういうこと?」と、言った途端に剣を持った男達が現れた…

 

ジェイド「彼らを連行しなさい、それからそこにいる男は妙な武器を持っている」

 

ジョゼフは危険を察知して、トンプソン銃を手に取ろうとした時…ジェイドが後ろに回って、ジョゼフの首の後ろを叩いて気絶させた。

 

ルーク「ジョゼフ!!」

ティア「ジョゼフ!!」



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第7話

-------- ジョゼフとルーク達が出会う1週間前 --------

    

霧の中……海の真ん中で、1隻の漁船が魚を捕っていた…

      

漁船の乗組員は3人…

乗組員1「結構釣れたな」

 

乗組員2「ああ…しかし、いくら捕れても帰れなきゃ意味ないぞ、この霧の中じゃあ…」

 

乗組員1「まーな、でもいつマルクトとキムラスカが戦争を始めて、海上封鎖されるかわからない、そうなったら仕事ができなくなる…だから今の内に魚を取ってるんじゃないか」

 

乗組員2「そうだけどよう、俺が言ってるのはこの霧の中じゃ無闇に動けない…」

 

乗組員1「仕方ないだろ、こんなに霧が出るとは思わなかったんだよ、さて、網が破けていないか確かめるか…」

 

乗組員1は網を点検し始めた。

 

乗組員2は暇なのか、海の向こうをボーっとして眺めている、すると…(なんだ?…あれは?)

 

霧の中から巨大な何かが、こちらの方へ向かって来る…

 

乗組員2「し…島だ…」

 

乗組員1「島!? おいここは海の真ん中だぞ、島なんて……!?」

 

乗組員2「なんだこれは!?」

 

その途端に船が大きく揺れ、2人は投げ出されそうになったが何とか踏ん張った。

 

その巨大なものは、ゆっくりと姿を現した…

 

乗組員1「これは島じゃない…船だ!」

 

乗組員2「こんな巨大船はどこのだ、マルクトか?キムラスカか?」

 

乗組員1「俺に聞くな!こんな巨大船は見たことない」

 

漁船の下にいた乗組員3は船の揺れが激しくなったので上に出てきた…

 

乗組員3「今の揺れはなんだ…な、なんだこれは!?」

 

乗組員3は前を向くと目が点になり、思わず尻もちをついてしまった。

 

霧の中から現れた巨大船は、そのまま通り過ぎて行き霧の中に消えていった……

 

 

 

ジョゼフ「う~ん…ここはどこだ?」

 

ジョゼフは知らない部屋に来ていた、それに装備品と銃がなくなっている…

 

(俺は確か森の中で…そうだ、ジェイドに首の後ろを殴られたんだ…しかしこの部屋?見たところ牢屋に見えるが、ティアとルークは無事だろうか…)

 

前を見ると鉄格子が光っている「なんだ?この鉄格子は…」ジョゼフが触れると電流が走ったように衝撃を受け、気絶してしまった。

 

しばらくすると…

 

女の子 「ここは悪い人を入れる牢屋です。」

 

ルーク 「なんで、ジョゼフだけ牢屋に入れられてんだよ」

 

女の子 「それは大佐の命令だからですよ」

 

ルーク 「あの大佐ますます嫌な奴だな!」

 

ティア 「怒るのは後、早くジョゼフをここから出さないと…何もされていないと、いいけど…」

 

女の子 「大丈夫ですよ、何もしてませんから」

 

ジョゼフがいる牢屋の前に行くと、ジョゼフが倒れていた…

 

ルークとティア「ジョゼフ!?」

 

女の子が慌てて牢のスイッチを押すと、ドアが開き二人はジョゼフに駆け寄った。

 

ルーク 「おい!ジョゼフ!」と言ってジョゼフの体に触れると「痛!なんだよ…体がすげーピリピリしてるぞ!」

 

ティア 「ジョゼフ、しっかりして!ジョゼフ」

 

ジョゼフ「うー、ティア…ルーク」

 

ティア 「ジョゼフ!」

 

ジョゼフ「俺は…もうダメみたいだ…」

 

ルーク 「何言ってるんだよ、お前しっかりしろ!」

 

ジョゼフ「ティア…ルーク…もし俺の仲間に会ったら…後は…た…の…む」

 

ジョゼフは目を閉じ動かなくなった…

 

ルーク 「ジョゼフ…嘘だろ…ジョゼフ…おいジョゼフ目を開けろよ!ジョゼフ!ジョゼフ!」

 

ティア 「そんな…ジョゼフ…」

 

ミュウ 「ご主人様…ジョゼフさんは…」

 

ルーク 「ジョ……ジョゼフーーーー!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ?  「ジョゼフ、起きなさい」

 

ジョゼフが目を開ける 「………ここは?……」

 

辺りには無数の緑色に光る、宝石のような物が見え一緒に浮かんでるようだった…

 

ジョゼフは声のした方を向く 「あなたは、あの時の…」

 

そこには、ジョゼフが飛ばされた時、初めに会った女性がいた。

 

 女  「ジョゼフ、あなたにはまだやるべき事があります…聖なる焔の光と共に果たすのです」

 

ジョゼフ「やるべき事?なんのことだ…それに、聖なる焔の光ってなんだ?」

 

それだけ言うと、女性の後ろが光り始めその光はどんどん大きくなっていった…

 

ジョゼフ「待って!まだ質問が山ほどあるんだぞ、せめて名前だけでも聞かせてくれ!」

 

 女  「私の名前は………ユリア・ジュエ…」

 

ジョゼフ「……ユリア……ジュエ……」

 

光が大きくなり、意識を失った…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ジョゼフ「う~ん…」

 

ティア 「ジョゼフ!」

 

ミュウ 「ジョゼフさん」

 

ジョゼフ(俺はいったい…それにここは? さっきの牢屋じゃなさそうだな)

 

周りを見ると、ビンや包帯が置いてあり薬の匂いがした…

 

女の子 「ここはタルタロスの医務室ですよ」

 

ジョゼフはべットのい中にいた…

 

ジョゼフ「タルタロス?」

 

女の子 「あっ、自己紹介まだでしたね…私はアニス・タトリンと申します。前に会いましたよね」

 

ジョゼフ「あ~、以前イオンを探してたな」

 

アニス 「覚えていてくれて嬉しいです(*^▽^*)」

 

ジョゼフ「ところでルークは?」

 

ティア 「そこにいるわ…」

 

ルークは壁にもたれて、腕組みをしてる

 

ジョゼフ「なんでそんな所にいるんだ?」

 

ティア 「それは…」

 

ミュウ 「ミュウが説明するですの、ご主人様はジョゼフさんが死んでしまったと思って泣いたんですの、でも無事だとわかってホッとしたんですの、でも泣いて心配している自分が恥ずかしくなって、それで怒ってるんですの」

 

ルーク 「余計なことを言うんじゃねぇ!!!」

 

ミュウ 「ごめんなさいですの(>人<;)」

 

ジョゼフ「まぁともかく俺のことを心配してくれたんだな、ありがとう」

 

ルークはまたちょっと顔を赤くした…

 

ミュウ 「また、顔が真っ赤ですの」

 

アニス 「ホント、顔が真っ赤ですね~」

 

ルーク 「う、うるさいぞ!」

 

ジョゼフ「ところで、イオンと大佐は?」

 

ティア 「2人ならもうすぐ来ると思うわ」

 

そう話をしているとドアをノックする音が聞こえ、イオンとジェイド入って来た。

 

イオン 「ジョゼフさん、倒れたって聞いたのですが、身体は大丈夫ですか?」

 

ジョゼフ「あー大丈夫だ」

 

ジェイド「いやー本当に逝ってしまったかと思い、心配しましたよ」

 

 ジョゼフ(本当に心配したのか?)

 

アニス 「大佐、牢屋に付けていた装置が壊れていたみたいですよ」

 

ジェイド「私の部下の点検ミスでしょう、後から厳重注意しときましょう」

 

 ジョゼフ(点検ミスで済ませるつもりか…)

 

イオン 「大佐、ジョゼフは死にかけたんですよ、まずは謝ってください」

 

ジェイド「そうですね、うっかりしていました」

 

ジェイドはジョゼフの所へ行き、頭を下げ

 

ジェイド「先程はすみませんでした、ジョゼフ軍曹」

 

ジョゼフ「どうして俺の階級を知ってるんだ?」

 

ジェイド「ルークとティアさんから話は聞いています、別の世界から来たとか…」

 

ジョゼフはティアの方を向き「ティア、しゃべったのか?」

 

ティア 「ごめんなさい、黙っておこうとも思ったんだけど…」

 

ルーク 「ティアを怒るなよ、俺もしゃべったんだから…」

 

ジョゼフ「俺は怒ってない、それに後から大佐とイオンには話すつもりだったし…ところで、このタルタロスは何処に向かっているんだ?」

 

ジョゼフが聞くと、ティアは地図を出し指差して

 

ティア 「今私達が向かっている所は、ここキムラスカ王国の首都バチカルよ」

 

ジョゼフ「バチカル…」

 

ルーク 「俺達が初めて会った所だよ」

 

ジョゼフ「あ~俺が倒れていた所か……ちょっと待てどうしてマルクト軍のタルタロスがキムラスカへ向かってるんだ?」

 

イオン 「ルークさんとティアさんに説明しましたが、ジョゼフさんにはまだでしたね」

 

ジョゼフ「それで…?」

 

ジェイド「それでは私から説明しましょう」

 

キムラスカ王国とマルクト帝国の関係が悪くなってきている事

それを利用しようとしている者がいる事

イオン様は中立の立場で和平の親書を届けることなどを説明した…

 

ジョゼフ「ここでも戦争が…しかしイオンみたいな子供が中立国の最高幹部だったとはな、驚きだ…」

 

イオン 「すみません、隠すつもりはなかったのですが…」

 

ジョゼフ「いや、言わなかったのはお互い様だ」

 

ジェイド「それでどうします、私たちと一緒に行きますか?」

 

ジョゼフ「他に行く所もない…それにまだ仲間も見つかってない、一緒について行く」

 

ジョゼフ達は、イオン・ジェイド・アニスと共に行動をすることになった………

 

 



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第8話

      

ジョゼフは医務室のベットで休んでいた、その間ティアとルークとミュウはアニスに連れられて、タルタロスの中を見学しに行った。

 

イオンは外の空気を吸いに行くと言って医務室を出た。

 

今、医務室に残っているのはジェイドとジョゼフだけだった。

 

ジョゼフ(ジェイドとは2人きりになりたくなかった…何かされそうで嫌だな)

「大佐、俺の装置品は何処にあるんですか?」

 

ジェイド「あなたの装備品ならここに置いてありますよ」

 

ジェイドは隅のテーブルを指さした「荷物の中身と武器は見させてもらいましたよ…特にこの機械には興味が湧きました」 

      

するとジェイドはジョゼフに向けてカメラのシャッターを押した…

 

ジョゼフ「ルークに教えてもらったのか?」

 

ジェイド「いえ、ティアに教えてもらいました」

 

ジョゼフ(そう言えばルークに教えていた時に一緒に聞いていたな)

 

医務室のドアがノックされる音が聞こえ た。

 

ジェイド「誰だ?」

 

トニー 「トニー2等兵であります!」

 

ジェイド「入れ」

 

医務室のドアから男が入ってきた…

 

ジョゼフ「大佐、彼は?」

 

ジェイド「彼は、あなたが元気になるまでの間、身の回りの世話をさせます」

 

ジョゼフ「必要ありません」

 

ジェイド「必要あります、今のあなたはベッドから動けないでしょう…それでどうやって身の回りの事ができますか?」

 

ジョゼフは黙ってしまった…

 

ジェイド「それでは、私は用事があるのでここで失礼させて頂きます」

 

そう言って、ジェイドは医務室からさっさと出て行った。

 

ジョゼフ(確かに大佐の言葉も一理ある、今の俺は動けない…ここは彼のお世話になるしかないか)「トニー、そこに置いてある水を取ってくれ、喉が渇いた」

 

トニー 「はっ!」

 

トニーがテーブルに置いてあった水をジョゼフに渡そうとした時、首から何かジョゼフのベッドの上に落ちた…

 

ジョゼフ「これは…?」それはペンダントだった。

 

トニー 「すみません、ペンダントの紐が…」

 

ジョゼフがそれを拾うと、ペンダントの蓋が勝手に開き、可愛いらしい女性の顔が見えた。

 

トニー 「あのー…」

 

ジョゼフ「あー、すまない」と言ってペンダントをトニーに返す…

 

トニー 「それでは自分は医務室の前にいますので、用事があったら呼んで下さい」

 

ジョゼフ「あーわかった、何かあったら呼ぶ」

 

トニーは医務室から出て行った

 

ジョゼフ(あのペンダントに写っていたのは彼女だな…)

 

 

 

ジョゼフは暇なので今までのことを書き留めることにした

    * グラーフツェッペリンでの任務の事

    * ルーク達と初めて会った時の事

    * ライガ女王と戦った時の事など…

    * そして今タルタロス…  

   

ジョゼフ「こんなところか…」

 

! 突然警報が鳴り始めた「なんだ!?」 トニーが慌てて入って来た…

 

ジョゼフ「一体何が起きた!?」

 

トニー 「何かが、侵入したようです!」

 

すると、何処からか叫び声が聞こえてきた

 

ジョゼフ「今の悲鳴は?」

 

トニー 「あなたはここに居て下さい、自分が見に行ってきます。」

 

彼はそういうと医務室から走り出た…

     

 ジョゼフ(やっぱり俺も行こう、これは只事じゃない)     

 

ジョゼフは嫌な予感がして、テーブルに置いてあった装備品を身につけるとトニーの後を追って行った。

 

ジョゼフ「何処に行ったんだ?」

 

前方から悲鳴が聞こえてきた…

 

ジョゼフ「今の声は、あっちの方か!」

 

声が聞こえた方へ急いで行くと、そこにはライガが居た…ライガはトニーの首を噛んでいた!

      

ジョゼフ「トニー!」

 

ライガはジョゼフに気が付くと、トニーを離し襲いかかってきた!

      

ジョゼフ「くそ!」

 

正面から来るライガをトンプソン銃で打ち抜いた…ライガはそのまま倒れていった。

 

ジョゼフはトニーの所に駆け寄り抱き上げて、首の出血を止めようとした…

 

ジョゼフ「血が…止まらない…」

 

トニーは震える手でジョゼフにペンダントを渡し「これ……を…彼女……に…」そのまま彼は目を閉じ動かなくなった…

                      

ジョゼフ「約束はできないが、このペンダントは彼女に届ける」

 

ジョゼフは立ち上がり、ルーク達を探しに向かった。

 

ジョゼフ「この部屋でもないか…」

 

ジョゼフは部屋を片っ端から探して行った…

 

ルーク 「ジョゼフ!」後ろからルークの声が聞こえた。

 

ジョゼフ「ルーク、それにティアと大佐も無事だったか」(ミュウもいるな)

 

ティア 「ジョゼフも無事でよかったわ」

 

ルーク 「体は、もう大丈夫なのか?」

 

ジョゼフ「もう平気だ、それよりいったいこれはどういう事だ?」

 

ジェイド「手短に説明します。今このタルタロスは襲撃されています、襲撃してきたのは、イオン様を攫おうとしている大詠師派の仕業です。」

 

ジョゼフ「大詠師派?」

 

ティア 「イオン様と対立している派閥の人達よ…」

 

ジョゼフ「そいつらが、襲撃してきたのか?」

 

ジェイド「時間がありません、ブリッジへ急ぎましょう」

 

移動しながら

 

ジョゼフ「イオンとアニスは?」

 

ジェイド「アニスはイオン様を探しに行きましたがその後はわかりません…ところで、トニー2等兵は?」

 

ジョゼフ「………トニーは、ライガにやられた…」

 

ジェイド「そうですか……残念です」

 

少し移動したところで甲板に出た

 

ルーク 「この先でいいのか?」

 

ジェイド「この先を行けばブリッジです。しかしこの先には大勢の敵がいるかもしれません…なのでこの上にあるアーチ状の甲板からブリッジへ行きましょう」

      

ティア 「でも上にはグリフィンがいるわよ」

 

ジェイド「それなら大丈夫です、ジョゼフの武器があります。」

 

ジョゼフ「俺がやるのか?」

 

ジェイド「えぇ、あなたの武器…銃は遠い所にいる敵でも、当てることが出来る…それなら飛んでいる敵も倒せるのでは…?」

 

ジョゼフ「できるのはできるが腕の問題だな…」

 

4人は梯子を使い上に出た。

 

梯子を登る前にジョゼフはルークに、M1911銃を手渡した。

 

ルーク 「なんで俺に渡すんだ?」

 

ジョゼフ「お前ならできるだろう、銃でライガの女王を倒した事もある、それに銃は多い方が良い」

 

ルーク 「それもそうだな…」

 

ティア 「いいの?ルークに渡して」

 

ジョゼフ「何かあったら取り上げる」

 

 ジェイド(何かあってからでは遅いんですけどね…)

 

梯子で上がるとすぐに、5体のグリフィンが襲いかかってきた…2体はティアとジェイドの方へ行き…残りのグリフィン3体はジョゼフとルークが相手になった。

 

ジョゼフ「早速来たか!」

 

トンプソン銃を構えて撃った、1体の胸元に命中し落ちていく…しかし後ろから別のグリフィンが服を掴んできた!

 

ジョゼフ「くそ、離せ!」

 

グリフィンはそのまま、掴み上げ様としている。

 

ジョゼフは地面に膝をついて這いつくばるが、グリフィンの力が強すぎる…銃で撃つこともできない…

 

ルーク 「ジョゼフ!」

 

ルークはジョゼフの後ろにいるグリフィンの頭を二発撃った!

      

グリフィンはジョゼフのすぐそばに落ちてきた。

 

ルーク 「大丈夫か?」

 

ジョゼフ「助かった…!ルーク、後ろだ!」

 

ルークの後ろにグリフィン1体が迫って来ていた…ジョゼフとルークは2人で銃を構えて撃つと、グリフィンの胸元と翼に当たりタルタロスの下の方へ落ちていった。

 

ジョゼフ「片付いたな…」

 

ティア 「こっちも片付いたわ」

 

ジェイド「いあー、グリフィンを倒すのは大変でしたよ」

 

ルーク 「なんだよ、余裕だったくせに…」

 

4人は扉の前に着くと

 

ルーク 「この扉の向こうか?」

 

ジェイド「ええ、この先がブリッジです。私とティアで中に入ります。」

 

ティア 「2人はここの見張りをお願い…」

 

ジョゼフ「ああ、わかった」

 

ジェイドとティアが扉の向こうへ消えると 

     

ジョゼフ「ルークさっきは助かった、少し遅かったら地面に落とされるところだった…」

 

ルーク 「俺は危ないと思ったから助けただけだ」

 

!突然ミュウが「ご主人様!」

 

ルークが横を向くと、剣を持った男がルークに斬りかかろうとしていた!

 

ジョゼフ「ルーク!」

 

トンプソン銃で撃とうとしたが、ルークが邪魔になって撃つことができなかった…

 

ルーク 「く、来るなー!」

 

無我夢中で手に持っていたM1911銃の引き金を引く……辺りに銃音が響き、それと同時に男は胸から血を流し倒れた。

            

ジョゼフはルークに駆け寄り、M1911銃を取り上げてホルスターに戻し「ルーク大丈夫か!?」

 

ルーク 「お…俺が…殺したのか…俺が…」

 

 ジョゼフ(ダメだ、完全に頭が真っ白になってる…)

 

ティアとジェイドがブリッジから出てきた。

 

ティア 「ジョゼフ、一体何があったの?」

 

ジェイド「まずいですね、今の音で敵が来るかもしれません…」

 

ティアがルークの所に行き話しかけるが、ルークは何も反応しなかった…人間を撃った事がよほどショックだったらしい…

 

  ?  「人を殺すことが怖いなら武器なんて棄てちまいな、この出来損ないが!」

 

ジョゼフ「何だ今の声は!?」

 

すると突然上から氷のようなものが落ちて来て、その衝撃でジョゼフとルークとティアは気を失った…



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第9話

ジョゼフが目覚めると、手足が紐で縛られて椅子に座らされていた 。

前を向くと 男と女がいた…男の方は、髪が赤毛で長い…女の方は金髪で、後ろに束ねている…

 

2人は何か話していたが、こっちに気づくと

      

 赤毛の男「気が付いたようだな…」

 

 ジョゼフ「ルーク?…いや違う、お前は誰だ?」

 

 赤毛の男「今ここで死ぬ奴が、そんなこと聞いてどうする」

 

 金髪の女「アッシュ!さっきの話を聞いていなかったのか、彼らが来るまでは何もするなと言っただろう、それとも忘れたと言うのか?」

 

 アッシュ「忘れていない、俺はこいつに警告しただけだ」

     

ジョゼフが右を見ると、テーブルの上に銃と装置品があった…

 

金髪の女はテーブルに近づき「お前には幾つか答えてもらう…まずこの武器はどこで手に入れた?」

     

 ジョゼフ「…………」

 

 金髪の女「だんまりか……お前が着ている服、そして持ってる武器……私が思うに、お前はキムラスカ人でもなければマルクト人でもない、もっと別の人間………もし私がお前と似ている人間を知っていると言ったら…?」

       

ジョゼフは 少し驚いた様子で「……何処で見た?……」

 

 金髪の女「話してもいいが、まずお前のことを教えてもらおう」

 

 ジョゼフ(この2人に話してもたぶんわからないだろう…)

 

そう思いながらも、「アメリカ陸軍、ジョゼフ軍曹だ」

 

 金髪の女「アメリカ?」

 

 アッシュ「おい、訳の分からないこと言ってんじゃねーぞ、本当の事言えよ!」

 

 ジョゼフ「俺が今言った言葉は本当のことだ、嘘はついてない」

 

 金髪の女「…わかった、話そう」

 

 アッシュ「おいリグレットいいのか、話しても?」

 

リグレット「ただし彼が来たときに話そう、それまではここで大人しくしていてもらう」

 

 ジョゼフ「わかっていたが、嘘をついたな…」

 

リグレット「嘘はついていない、それに、彼らが来ればわかることだ」

 

 ジョゼフ「その彼らと何者だ?」

 

リグレット「話はここまでだ、それまで…」と、言いかけた時ドアが少し開くと、何かが投げ込まれてきた…

 

それはジョゼフの前まで来ると

 

 ジョゼフ「発煙手榴弾!?」 部屋の中は一瞬で煙に包まれた…

 

リグレット「何が起こっている!?」

 

辺りは真っ白でほとんど見えない…

 

ジョゼフは背後に人の気配を感じた「誰だ?」

 

  男  「静かに、今から紐を切る」

 

ジョゼフは自由になると、テーブルの上に置いてあった装備品を取った。

 

  男  「早く、こっちだ!」

 

そう言ってジョゼフの手を掴み、部屋の外に出ようとした…

 

 アッシュ「いつの間に、そんな所へ行きやがった!」

 

剣を抜いてジョゼフに迫ってきた…

 

男は急いでドアを閉めると、近くにあった箱でドアを塞いだ。

      

  男  「走るぞ!」

 

ジョゼフは男と一緒に走った…

 

  男  「あそこの部屋だ!」

 

1つだけドアが開いている部屋に入っていった。ジョゼフはドアを閉め、外の様子を窺っている…

 

  男  「やれやれ、危なかったなジョゼフ」

 

ジョゼフが振り向くと、その男の正体はガイだった。

       

 ジョゼフ「ガイ、どうしてここに居る?」

 

 ガイ  「ルークを探しに来たんだ 、 で 、たまたまここを通り掛かったらタルタロスが止まっていて…、様子がおかしかったから中を調べてたらあんたがあの部屋に連れ込まれていくのが見えたんだ」

       

 ジョゼフ「それで助けてくれたってことか…しかしどうして、発煙手榴弾を持ってたんだ?」

       

 ガイ  「それは後から話す、今は急いでルークを探しに行こう」

  

 ジョゼフ「それもそうだな、ルークを探しに行くか」

       

2人は部屋を出ると、敵に見つからないように慎重に進んでいった…ジョゼフが窓から外を見ると、下にイオンの姿が見えた。

       

 ジョゼフ「どうして、外に居るんだ?」

 

 ガイ  「わからないが、またタルタロスに乗るようだな、出口の所まで行こう」

 

ジョゼフとガイはタルタロスの出入り口に向かい、近くの曲がり角に隠れた…するとそこにはイオンと小っちゃい女の子がいた。

 

 ガイ  「あれは…」

 

 ジョゼフ「あの女の子知ってるのか?」

 

 ガイ  「確か、六神将の妖獣のアリエッタだと思う…それに周りにいるのはオラクル兵だな、何か話してるようだが…」

 

アリエッタ「イオン様には部屋に居てもらいます。」

 

 イオン 「アリエッタこんな事はやめて下さい、あの人達を解放して下さい」

 

オラクル兵「イオン様、我々が部屋まで案内します。」

 

そこでイオンはオラクル兵に連れられて、アリエッタとは別方向に別れた…

 

アリエッタ「ごめんなさい…イオン様…」

 

イオンはオラクル兵2人に連れられ、ジョゼフとガイの方に歩いて来た… 

      

 ガイ  「どうする?こっちに来たぞ」

 

 ジョゼフ「これはイオンを助けるチャンスだ、取り合えず敵兵2人をやり過ごして、後から襲う」

 

 ガイ  「わかった、タイミングはあんたに任せる」

 

そして2人は、敵兵の背後に回りジョゼフは後から首を絞め、もう1人の敵兵はガイが手刀で気絶させた。

      

 イオン 「ジョゼフさん、無事だったんですね…隣にいる彼は?」

 

 ガイ  「俺はガイだ」

 

 イオン 「僕はイオンと申します」

 

 ジョゼフ「ところでイオン、ルーク達を知らないか?」

 

 イオン 「すみません、僕も居場所がわからないのです」

 

 ガイ  「仕方ない手当たり次第探すか…」

 

 ジョゼフ「それしかないか…」

 

3人はルーク達を探しに向かった。

 

その頃ルーク・ティア・ジェイドは牢屋にいた。

 

ルークは人を殺した事から、まだ立ち直れなかった…(俺が…殺したのか…あんなに簡単に銃の引き金を引いただけで……俺は……俺は)

 

 ティア 「ルークしっかりして、ここで落ち込んでいても何も変わらないわ」

 

 ジェイド「ティアさんの言うとおりです。ここに居ても何も変わりません。今はこの牢から出る事を考えましょう」

 

ジェイドが牢の外を窺っていると、ジョゼフによく似た服装の人が見えた。

 

 ジェイド「ジョゼフ?」

 

 ルーク 「ジョゼフが来たのか?」ティアとルークが覗いているとその男は

 

  ?  「あなたがルークですか?」

 

 ルーク 「そうだが、あんたは誰だ?」

 

 カール 「自分はカールと言います。ガイに頼まれて助けに来ました」

 

 ルーク 「ガイが、ここに来ているのか?」

 

 カール 「ええ、取り合えずここから脱出しましょう」

 

 ジェイド「そこのボタンを押してください、鉄格子が開きます」

 

 カールが言われた通り押すと、鉄格子が開いた…

 

 カール 「自分について来て下さい」

 

3人はカールの後をついて行った。

 

 ティア 「あなたは、ジョゼフの仲間?」

 

 カール 「ええ、私はジョゼフと同じアメリカ軍です」

 

 ジェイド「それだったら、その服も持ってる武器も分ります」

 

 ルーク 「なぁ、ガイから頼まれて来たって…今は何処にいるんだ?」

 

 カール 「今、ジョゼフを助けに向かっているはずです」

 

 ティア 「待ち合わせ場所とかは、決まっているの?」

 

 カール 「いえ、時間がなかったので決められませんでした…」

 

進んでいくと丁字路の所で、こちらに近づいてくる足音が聞こえた。

 

 カール 「止まって…誰か来る」カールが様子を窺う

 

 カール 「止まれ!」足音の方へ銃口を向けた。

 

 ジョゼフ「カール!?」

 

 カール 「ジョゼフ!」

 

 ガイ  「ルーク…久しぶりだな」

 

 ルーク 「ガイ!来てくれたんだな!」

 

 ティア 「イオン様ケガはありませんか?」

 

 イオン 「僕なら平気です。それより3人が無事で良かったです。」

 

 ジェイド「イオン様が無事で良かったです。」

 

 ジョゼフ「久しぶりだな、カール!」

 

 カール 「久しぶりです、ジョゼフ軍曹」

 

 ジョゼフ「あとの3人はどうした?」

 

 カール 「それは後から話します、今は急いでここから出ましょう」

 

 ルーク 「どうやって出るんだよ」

 

 ガイ  「それなら心配いらない、俺とカールで考えておいた…付いて来てくれ、こっちだ」

 

6人はガイの後に付いて行った…

       

 ジョゼフ「ところでカール、ガイに発煙手榴弾を渡したか?」

 

 カール 「ええ、何か役に立つかと思いまして…それが何か?」

 

 ジョゼフ「いや、そのおかげで俺は助かった」

 

しばらく進み、タルタロスの後方部に来た。壁の所に、大きな箱が置いてあった…

 

 ジェイド「あの箱は…爆発物が入っている箱ですね」

 

 ガイ  「カール!やってくれ」

 

カールは手榴弾を取り出し、ピンを外すと箱目掛けて投げた。

 

 カール 「耳を塞いで、伏せて下さい!」と、すぐに爆発音が響き、辺りは真っ白になった…そこには、大きな穴が開いていた…

 

 ジェイド「これは、後から修理が大変そうですね…」

 

 ティア 「まずいわよ、こんな大きな音を出したらすぐにオラクル兵が来るわ」

 

 ジョゼフ「カール!この後のことは考えてあるのか?」

 

 カール 「はい!ロープで下に降り全員が揃ったら、セントビナーという町に行こうと思います。急ぎましょう!」

 

ロープを用意すると、最初にカール、ジェイドの順に降りていった…下に着くとカールとジェイドは左右を確かめ合図を送る…

 

 ジョゼフ「合図だ、下は大丈夫だ行こう」

 

イオンが下りて行き、次にルークが下りようとした時

 

オラクル兵「ここに居たぞ!」 オラクル兵が集まってきた。

 

 ティア 「ルーク、急いで!」

 

 ルーク 「俺も戦う!」

 

 ジョゼフ「無理をするな、行け!」

 

ルークが下りていき、続いてガイも急いで下りて行った…その間、ティアとジョゼフがオラクル兵を足止めしている。

 

 ティア 「ルークがまだ立ち直れていないから、先に下したのね」

 

 ジョゼフ「ルークには、まだ人は殺せない…」

 

オラクル兵が正面から切りかかってきた、ジョゼフはトンプソン銃で5人ほど、あっという間に片付けた。

 

するとジョゼフの足元に銃弾が飛んできた!それはオラクル兵の後ろから現れた

 

 ティア 「リグレット教官!」

 

リグレット「ジョゼフと言ったな、お前がおとなしくこちらに来ればティアは、逃してやる…どうする?」

 

ジョゼフは、考え込んだ…「そうだな…」

 

 ティア 「ジョゼフ…」

 

隙を見てジョゼフが、素早く発煙手榴弾を投げると、オラクル兵とリグレッドは煙りにむせた…

 

 ジョゼフ「今だ!逃げるぞ」

 

ティアが先に下りようとした時、横からオラクル兵が剣でティアの腕を斬りつけ、ティアはその場に倒れた!

 

 ジョゼフ「ティア!!」

 

トンプソン銃でティアを斬ったオラクル兵を撃った…ジョゼフはすぐにティアを抱えて下まで降りて行った。

 

 ルーク 「ティアは、大丈夫なのか?」

 

ジェイドが傷の具合を確かめる…「命に別条はないようですが、急いでセントビナーへ運びましょう。」

 

ジョゼフはティアを背負いセントビナーへ向かった…

 



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第10話

ジョゼフはティアを背負って、セントビナーまで来た。

 

ガイは先に取っていた宿に案内した…

 

ジョゼフ 「早くティアを休ませよう」

 

宿に着くとガイは二階の部屋に案内し、そこのベッドに寝かせティアが目覚めるまで全員は下の食堂で待つことにした…

                               

 ルーク 「ティアは大丈夫なのか?」

 

ジョゼフ 「大丈夫だ血は止まっている、包帯も交換したし後は起きるのを待つだけだ…ところで…ガイとカールはいつ何処で会ったんだ?」

  

 ガイ  「ルークとジョゼフがいなくなった後、ルークを探すように言われてマルクト領土内から 探していたんだ。それで セントビナーに来たときに出会ったんだ。服と装備品を見てもしかしてと思って話を聞いたら案の定あんたの仲間だったんだよ…それから色々話をしてとりあえず彼と2人で近くを探しに行ったんだ…そしたらタルタロスが止まっていて調べていたんだが…その後はあんたが知っての通りだ」                       

                  

ジョゼフ 「じゃぁカールは最初何処に居たんだ?」

 

 カール 「自分が最初に目覚めたのは、森の中でした。初めは何が起こったのかわからなくて…近くを見ると仲間が2人倒れていたのが見えたんです」

 

ジョゼフ 「2人って誰だ?」

 

 カール 「ロバートとクルーガーです。あの2人も何が起こったのかわからなかったようで…ひとまず森を抜けようと歩いていたらこの街に着いたんです。街の人にここは何処なのか聞いても、ここはセントビナー、マルクト帝国と言うばかりで…途方に暮れていたところでガイに会ったんです。それから色々教えてもらい、ガイが人を探してると言うので2人を残して付いていく事にしたのです」

 

ジョゼフ 「そういう事だったのか…」

 

ジェイド 「ところであとの2人は、ここに居るんじゃないんですか?」

 

 ガイ  「俺とカールが出るときには、ここに居たんだけどなぁ…」

 

      宿の扉がゆっくり開くと

 

  ?  「ただいま〜〜〜(*^◯^*)」

 

 全員が声のする方を向くと…クルーガーがロバートを抱えて入って来た。

 

ジョゼフ 「クルーガーにロバート!?」

 

クルーガー「ジョゼフ軍曹!どうしてここに…?」

 

 カール 「それは自分が説明します。」

 

カールはクルーガーとロバートに今までのことを話しそれぞれが名乗った… 

 

クルーガー「俺たち2人が留守番してる間にそんなことがあったのか…俺はクルーガーだ、よろしく。このテーブルで寝てるのがロバートだ。おい!ロバート聞いてるのか?」

 

ロバート 「あー聞いてる、俺はシングルじゃなくてダブルで頼むよ…」

 

ジェイド 「全く話を聞いていませんね。」

 

ジョゼフ 「朝からこいつ完全に酔ってるな…」

 

クルーガー「目を離したら、飲んでたんですよ…」

 

 

ジェイド 「お互いの事がわかったところで、これからのことを話します。まずアニスの後を追います。」

 

ジョゼフ 「アニスは無事なのか?」

 

ジェイド 「アニスのことですから、大丈夫です。今頃マルクト軍の基地に向かっているはずです。」

 

 イオン 「アニスが親書を持っています。」

 

 カール 「親書を持ってるなら敵に狙われるんじゃないんですか?」

 

ジョゼフ 「そうだな…早くアニスと合流しよう」

 

今まで黙って話を聞いていたミュウが

 

 ミュウ 「話の途中ごめんなさいですの…聞いてほしい事があるですの…」

 

ジョゼフ 「なんだ、話っていうのは?」

 

 ミュウ 「僕が住んでた森に行きたいんですの」

 

ジョゼフ 「住んでた森って、エンゲーブの近くの?」

 

 イオン 「ミュウが言ってるのは北の森のことでしょう。」

 

 ルーク 「どうしてそんな所に行きたいんだ?お前が燃やしちまったんだろう。」

      

 ミュウ 「…………」

 

ジョゼフ 「ルーク、そんなひどいことを言うな!」

 

 ミュウ 「ミュウは……ミュウは森が燃えた時、逃げ遅れた仲間の弔いがしたいのですの…」

     

ジョゼフ 「そこは近いのか?」

 

 ミュウ 「ハイですの!」

 

 カール 「いいんですか、急いで親書を取りに行かなくて?」

 

 イオン 「僕は賛成です、チーグルを弔うのも僕の務めですから…」

 

 カール 「それなら自分も一緒に行きます。」

 

クルーガー「なんかよくわからんが、俺も付いて行く」

 

ジェイド 「アニスの後を追うのが最優先ですが、 ティアがケガをして動けない状況です。イオン様が行くのでしたら私も同行します、アニスなら大丈夫でしょうから。」

 

 ガイ  「俺はここに残る、誰かが2人の面倒を見ないとな…」

 

 ルーク 「俺もここ居る、関係ないし」

 

ジョゼフ 「じゃあ行くのは俺とカールにクルーガー・ジェイドにイオン、それとミュウだな」

    

 

5人はミュウが以前暮らしていた森に向かう…

 

ジョゼフ 「それじゃあ行ってくる、ティアとロバートを頼んだ」

 

 ガイ  「まかせてくれ」

 

ジョゼフ 「ルークは?」

 

 ガイ  「ルークなら上の部屋で寝ているよ…」

 

ジェイド 「それでは行きましょう。」

      

クルーガー「ロバートを置いていって大丈夫か?」

 

ジョゼフ 「大丈夫だろう、ガイが傍に居る」

 

 カール 「自分はガイが心配です。」

 

 イオン 「ロバートはどういう人なんですか?」

 

 カール 「どういう人っていっても、一言で言えば酒が命みたいな人ですね」

 

ジョゼフ「確かにあいつは酒が命だ…」

 

クルーガー「まぁ俺が知ってる限り、その通りだな…」

 

 イオン 「複雑な理由がありそうですね」

 

ジェイド 「イオン様はそんな人になっちゃいけませんよ」

 

 クルーガー(確かにそうだな)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃、宿に残った4人は…

 

ロバート 「う〜~ん…」

 

 ガイ  「やっと起きたか、…大丈夫か?」

 

ロバート 「水が欲しい…」

 

ガイはコップに水を入れロバートに渡した…

 

ロバート 「ありがとう、他の奴らは?」

 

 ガイ  「聞いていなかったのか、今は出掛けてるよ」

 

ロバート 「俺を置いてか?、俺も行きたかったな……ここに居るのは俺とお前だけか?」

 

 ガイ  「いや、上にルークとティアという女性が寝てるが…」

 

ロバート 「女性…」

 

少し考え、サッと立つと「ちょっと顔を見てくる。」

 

 ガイ  「おい待て!ティアは怪我をしてるんだ!」

 

ロバート 「大丈夫、ただ見るだけだ…」

 

そう言ってロバートは上に行った(どんな女か楽しみだなぁ)

 

2階に来ると、右と左どちらの部屋に入るか考えていた…(どっちの部屋にいるんだ?両方開けても面白くない…ここは俺の勘に任せるか)

 

ロバートの答えは……左の部屋のドアを開けて入って行きベッドに近づく…(あっちを向いていて顔がわからないなぁ……このさらさらの髪!赤い髪もなかなかいいなぁ、先の方は金髪なんだな…さてそろそろ顔でも見るか)

 

ロバートが覗き込もうとする

 

 ルーク 「なんだ…………!?」人の気配を感じルークが目を開けた。

      

ロバート 「すまない、驚かす…………え?、お前男?」

 

 ルーク 「はっ?男に決まってるだろ、どこ見てんだよ」

 

ドアが開いてガイが入ってきた…「ルークどうした大きな声をあげて?なんでロバートがここにいるんだ?ティアなら隣の部屋だぞ………ロバート?」

 

…男を女と勘違いした事にすごくショックを受けたロバートは固まってしまった…

       

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ジョゼフ 「まだ森には着かないのか?」

 

 ミュウ 「あともうちょっとですの…」

 

ジョゼフがイオンを見ると顔色が悪かった。

 

ジョゼフ 「イオン大丈夫か、疲れているんじゃないのか?」

 

 イオン 「僕なら大丈夫です。」

 

 カール 「あまり無理しないほうがいいですよ」

 

ジョゼフ 「カールの言う通りだ、何処かで休もう」

 

ジェイド 「ここは見通しが良すぎて、すぐに敵に見つかってしまいます。かと言って無理に歩かせる訳にもいかないでしょう…」

 

クルーガー「それなら俺が、イオンを背負って行こう。」

 

 イオン 「僕ならまだ歩けます。それにクルーガーさんの迷惑になります。」

 

クルーガー「俺ことなら気にしなくていいから背中に乗ってくれ」

 

これ以上断わる理由もなく、イオンはクルーガーの背中に乗った。

 

ジェイド 「ジョゼフ、どうしたんですかそんな顔をして?」

 

ジョゼフ 「いや、男を背負うような奴じゃないのになぁ…」

 

 カール 「それって、もしかして…」

 

 

 イオン 「すみません、背負ってもらって…」

 

クルーガー「気にすることはないよイオン、男が女性を助けるのは当然のことだ。」

 

 イオン 「?、あのー、僕は…」

 

クルーガー「まぁ背中で休んでいて下さい。俺が目的地まで連れて行きますから」

 

 

ジョゼフ 「あいつ、イオンのこと女って勘違いしている…」

 

ジェイド 「まぁ、イオン様は可愛いですからね…しかし、男です。」

 

 カール 「本当のことを、教えた方がいいんじゃないですか?」

 

ジョゼフ 「いや放って置け、その内気づくだろう…」

 

 

しばらく歩くと、チーグル族が暮らしていた森の入口に着いた。 

 

ジョゼフ 「ここが、ミュウが暮らしていた森か?」

 

 ミュウ 「そうですの、この森ですの」

 

ジェイド 「森の周りは燃えていないようです…内側から燃えたようですね」

 

 イオン 「あのー、もうそろそろ…」

 

 カール 「クルーガー、森に入る前にイオンを下ろしてください」

 

クルーガー「そうだった」 と言ってイオンを下した。

 

 イオン 「ここまで連れて来てくれて、ありがとうございます。」

 

クルーガー「疲れたら、いつでも言ってくれ…」

 

ジョゼフは苦笑いしながら「早速、行こうか…」

 

 

5人が森に入ると、内側が焼け野原になっていた…

 

 カール 「これは、随分酷いですね」

 

クルーガー「何だ、ひどい臭いがするぞ…」

 

ジェイド 「この臭いは、獣が焼けた匂いですね」

 

ミュウは悲しそうな顔で辺りを見ている…

 

ジョゼフ 「ミュウ、大丈夫か?」

 

 ミュウ 「ミュウは大丈夫ですの…」 ミュウは前を向くと「あれが前に暮らしていた木ですの」その木は、ほんの少し外見を留めていたが、殆ど炭に変わっていた… 

    

 カール 「取り合えず、お墓を造って弔いましょう。」

 

 

クルーガー「墓を造ったのはいいが、弔いの言葉はどうする?」

 

 イオン 「弔いの祈りなら、僕がします。」

 

ジョゼフ 「出来るのか?」

 

 イオン 「はい、少しでもお役に立てれば…」

 

クルーガーが後ろに下がると、何かに躓いて転んでしまった。

 

ジョゼフ 「オイ!大丈夫か?」

 

クルーガー「大丈夫だ、…何だ?」     

 

それをジェイドが拾い、じっくりと見ていたが…「何かの部品ですね…」

 

カールが辺りを調べていると、焼け焦げた木の根元付近に見慣れた物が刺さっていた。

 

 カール 「みんな来てくれ!」

 

全員がカールの所へ来ると、それを指差した。

 

クルーガー「これは…」 それは、焼け焦げたプロペラだった…

 

ジョゼフ 「ミュウ…悪いがお祈りは一時中断だ…」



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第11話

その頃、オラクルに奪われたタルタロスは野原で止まっていた…

タルタロスの入り口付近に数人のオラクル兵とリグレッド・アッシュがいた…

 

アッシュ 「あいつら遅いな、本当にここで合ってるのか?」

 

リグレッド「タルタロスを手に入れた後は、ここで合流する事になっている…もう少し待って…」

 

すると土煙りを上げて何かが向かってきた。

 

リグレッド「来たようだな」

 

近くまで来ると、それは車だった…それが3台続いて来ると、真ん中の車から1人の男が降りてきた、その男は黒い軍服にそれと同じ黒い帽子で、その帽子の真ん中にはドクロのマークがあった…

 

アッシュ 「随分遅かったじゃねぇか」

 

軍服の男 「遅くなってすまない、ここまで誰にも見つからないように来るのは簡単じゃなくてね」

 

リグレッド「タルタロスは手に入れた…中は思う存分調べてもいいが、今後も我々に協力してもらうぞ」

 

軍服の男 「もちろんだ、君らとはこれからも協力関係でいたい…さて、さっそく中を調べるか」タルタロスの入り口の階段を上って行く…

 

リグレッド「そうだ、お前に知らせる事があった、タルタロスに怪しい男が乗っていてな、その男を捕まえて何者だと聞いたら、アメリカ陸軍と…」

 

リグレッドがアメリカ陸軍と言った瞬間、入り口の階段を上っていた軍服の男が足を止めた…

 

軍服の男 「その他に何か言っていたか……」

 

リグレッド「他には名前と階級だけだ、ジョゼフ軍曹と言っていた」

 

軍服の男 「ジョゼフ軍曹………その男はまだ中にいるのか?、いるのだったら話をしたいが…」

 

アッシュ 「もうここにはいねぇよ!そいつには仲間がいて、そいつらと一緒に何処かへ行っちまった」

 

軍服の男 「仲間?何人だ、そいつらはどんな姿だった?」

 

アッシュ 「うるせー奴だな、お前に関係あることか?もう欲しいものは手に入っただろ、さっさと中に入って思う存分調べてこいよ!」

 

軍服の男はアッシュを鋭い目で見た…「確かに君の言う通りだな…我々に関係ある話しだが詳しい事は、また後で話そう」

 

そう言うと軍服の男はタルタロスの中に入っていた…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ジョゼフ達は、辺りを調べた…

 

カール  「向こうの方を調べてきます」

 

クルーガー「俺はこっちを調べる」

 

ジョゼフ 「大佐、何かありましたか?」

 

ジェイド 「いえ、イオン様と探したのですが何もありませんでした。」

 

ジョゼフ 「ミュウ、少し聞いてもいいか?」

 

ミュウ  「何ですの?」

 

ジョゼフ 「お前が森を燃やした日のことなんだが…その時の状況を話してくれないか?」

 

イオン  「ジョゼフ、それはミュウにとって、辛い話しではないですか?」

 

ジェイド 「イオン様の言う事も分かりますが、決めるのはミュウ本人です」

 

ミュウ  「ここで起こった事を話したいですの…でもあまり思い出せないですの…」

 

その時クルーガーが「みんな!あったぞー来てくれー!」

 

ジェイド 「クルーガーが何か見つけたようですね」

 

4人はクルーガーの所へ向かった

 

ジョゼフ 「これは……!?」 そこには、飛行機の残骸があった…

 

イオン  「これらを知っているんですか?」

 

ジョゼフ 「これは、飛行機だ…俺たちの世界の物だ」

 

ジェイド 「これは一体どういう物なんですか?」

 

クルーガー「分かりやすく言えば、これは飛行機と言って空を飛び、人や物質を運んだりする乗り物です。」

 

ジェイド 「それは凄いですね、空を飛ぶ技術があるなんて…これを持ち帰って調べてみたいのですが、今はそれ所じゃないですね…」と、とても残念そうだ…

 

クルーガー(こんな大きな物、どうやって持ち帰る気でいるだ…)

 

カールは地面を見て何かを拾った…

 

ジョゼフ 「何を拾ったんだ?」

 

カール  「これは…薬莢ですね、地面に幾つか落ちていました」

 

ジョゼフ 「なんの銃の薬莢がわかるか?」

 

カール  「これは、ドイツ軍が使っているKar98kと、こっちの薬莢はMP40のようですね…」

 

クルーガー「おいおい、どうしてそんな物がここに落ちてるんだ?」

 

するとミュウが「思い出したですの!」

 

イオン  「何か思い出したんですか?」

 

ミュウ  「ここでの事を思い出したのですの…聞いてくださいですの」

 

 

ミュウの回想が始まる……

 

いつものように大きな木のウロでチーグル族が寝ていた、しかし1匹だけ眠れずにいた…

 

ミュウ(やっぱり、お腹が空いて眠れないですの、何か、食べ物がないか探しに行くのですの)ミュウは木のウロから出て、木ノ実を探しに行った。

 

少しして、ライガの縄張りの近くに来た(確かこの辺に………あった!)嬉しそうに、木ノ実を食べ始めた…そして、食べなから空を見上げると星がたくさん出ていた。

 

ミュウ「今夜は星がよく見えるですの………?あの星だけ…なんかこっちに向かって来る!」

 

その星は、どんどんミュウの方へ近づいてきた!そしてそれはミュウの真上を通過して行き、ライガの縄張りに大きな音を立て落ちて行った…ミュウが見たものは、飛行機だった。

 

ミュウ(ライガさんの所に落ちたのですの!?)急いでそこへ向かいすぐに草むらに隠れた…そこには今まで見たことも無い物があった…(いったいあれは、なんですの?)

 

飛行機の中から6・7人が出てきた…彼らの手には武器らしきものが握られていて、何か喋っていたが聞き取れなかった…

 

すると、ライガ達が大勢集まってきた…自分達の縄張りを荒らされ事に物凄く怒っていたライガ達は一斉に襲いかかる!

 

彼らが、持っていた武器を使うと閃光が走り大きな音を立てながら、目の前にいたライガ達を次々倒していった。

 

彼らの中の1人が何かを投げると、それは爆発し…それを見計らった様に彼らは何処かへ消えて行ってしまった…ライガ達は後を追いかけて行った。残っていたのはライガの死体とミュウだけだった…

 

ミュウ「今のはいったい何だったですの?」墜落した飛行機は燃料が漏れて、地面に広がっていった…

 

ミュウはそれが気になって近づいてしまった(なんですの?この水は、ひどい匂いがするですの…)その時、胸から血を流しながらライガが襲いかかってきた!

 

ミュウは悲鳴をあげ、とっさにかわすと…ライガは燃料で足を滑らせ、その上に倒れてしまった。立ち上がってもう一度襲いかかろうとした時ミュウが無我夢中で火を吐いた…。

 

それはライガの体に付いた燃料に引火しその瞬間、ライガは炎に包まれ暴れ出した「今の内に、行けるのですの!!」

 

ミュウが抜けようとした時、ライガは燃えながら飛行機に体当たりをした!その途端漏れた燃料に引火して飛行機は爆発した!ミュウは爆風に飛ばされ、木に頭をぶつけ気を失ってしまった…

 

目覚めると、目の前にチーグル族長の顔があった「ここは、どこですの?」

 

チーグルの長「ここはチーグルの森じゃ…………ミュウ、直に聞くがお前が北の森を燃やしたのか?」

 

 ミュウ  「!?」

 

チーグルの長「大きな爆発音がしてみんな目覚めたが、ミュウ、お前だけがいなかった…心配して探しに行き、気を失って倒れていた所を仲間が見つけたんじゃがお前の、周りが一番酷く燃えておったそうじゃ…お前は、子供だが火が吐ける」

 

助けたチーグル達は、ミュウが火を吐けるのを知っていたので火事の原因はミュウにあると疑っていたが、ミュウ自身は木に強く頭を打ちつけてしまい記憶が飛んでいた…

 

ミュウ  「でも、これを見て思い出したですの!」

 

ジョゼフ 「そんな事があったのか…俺はてっきりミュウが燃やしたかと思っていた…すまない」

 

イオン  「僕もミュウが森を燃やしたかと思っていました、すみません」

 

ミュウ  「2人は謝らなくていいんですの、何も悪くないんですの」

 

ジェイド 「そうですよ、2人共何も悪くないんですから…」

 

 ジョゼフ(それ、あんたが言うか?)

 

カール  「それにしても、ミュウが見た人は何処に行ったんでしょうね?」

 

ジョゼフ 「ミュウ、その人達はどっちに行ったか覚えているか?」

 

ミュウ  「えーと、確か……こっちですの」と言って東を指した…

 

ジェイド 「その方角は、森の奥の方ですね…」

 

ジョゼフ 「ひとまず、痕跡をたどってみるか」全員、ジョゼフの後に続いた…

 

カールがジョゼフに近づいて「さっき、飛行機を調べたんですが…損傷が激しすぎて詳しくはわかりませんでした…落ちていた薬莢だけわかりました」

 

クルーガー「ということはミュウが見た人っていうのは、やはりドイツ軍か?」

 

イオン  「何者ですかそのドイツ軍は?あなた達の仲間ですか?」

 

クルーガー「いや、仲間じゃありませんが、同じ世界の人間ですね」

 

ジェイド 「仲間じゃない?それではあなた達の敵ですか?」

 

ジョゼフ 「大佐の言う通り我々の敵です。」

 

ジェイド 「それでは、そのドイツ軍に会ったら戦うんですか?」

 

ジョゼフ 「そうなるかもしれません………」

 

するとイオンが「待てください、戦うのはやめて下さい…その人達も知らない世界に飛ばされて、混乱してるはずです。彼らに会ったら、 まずは話し合いましょう」

 

カール  「話し合って通じる相手とは思いませんがねぇ」

 

クルーガー「俺はイオンに賛成だぜ、まずは話し合おうぜ」

 

イオン  「ジョゼフさん、お願いします。戦いだけは避けて下さい」

 

ジョゼフ 「わかった…だが、もしも戦闘になったらその時は諦めてくれ…」

 

イオンは頷いた。

 

ジェイド 「しかしあれから何日も経っていますし、彼らも遠くに移動している可能性があります」

 

ジョゼフ 「なるべく遠くへ行っていない事を祈ろう」…すると前方から、銃声が聞こえた!

 

カール  「今の音は!?」

 

ジョゼフ 「歩いてる暇はなさそうだ、ここからは走るぞ!」

 

全員は音の鳴った方角へ走りだした…着くとすぐに草むらに隠れ様子を窺った…そこにはテントが張ってあり、人間とライガの死体が転がっていた…

 

ジェイド 「どうやらライガに襲われたようですね」

 

クルーガー「どうする、助けるか?」

 

カール  「助けるって言っても、もう全滅してるんじゃ………」

 

ジェイド 「ここからだと分かりませんが、まだ生存者がいるかもしれませんね。それとライガが5体いるようですね」

 

イオン  「ジェイドの言う通りです。たとえ全滅していたとしても彼らをあのままにはできません、せめて埋めてあげましょう」

 

クルーガー「イオンの言う通りだ、死体をあのままにしておけない…俺たちの手で埋めてあげようぜ」

 

ジョゼフ 「クルーガー、お前………以前は死体があっても見向きもしなかったよな…」

 

クルーガー「∑(゚Д゚)」

 

カール  「そういえば、以前言ってましたよね…死体を運ぶような事があっても俺はやらないって…」

 

クルーガー「Σ(゚д゚lll)」

 

ジェイド 「あなたは…イオン様の前で良い男を装っているんじゃ…………」クルーガーは黙ってしまった…

 

イオン「僕は、クルーガーさんを良い男を装っているとか…、そんなこと思っていませんよ。それに僕が疲れた時は背負ってくれたり、まずは話し合いましょうと言った時も賛同してくれました…僕の中であなたは優しい人ですよ」

 

それは聞いた瞬間クルーガーの目から涙が「イ……イオン……ありがとう(´;ω;`)」

 

 

ジェイド 「話が終わったなら、最初の話に戻りますよ、まずは死体の周りにいるライガをどうにかしないと…」

 

ジョゼフ 「それならもう考えてあります。大佐と俺は横から回り込み、ライガを1体づつ片付けていく…カールは前方の奴をやってくれ、てクルーガーは……」しかしクルーガーはまだ泣いていた…

 

カール  「あれじゃぁ戦えませんね…」

 

ジョゼフ 「仕方ない、クルーガーにはイオンの護衛をしてもらおう…」

 

3人はそれぞれ配置に就き、ジョゼフの合図を待った…

 

ジョゼフ 「大佐、準備はいいか?」

 

ジェイド 「私は何時でもいいですよ」

 

2人は茂みから出て、ジョゼフが銃口を向けて撃とうとした瞬間ライガ達は体をビクッとさせ、後づさりし銃を見た。

 

ジョゼフ 「どうした、襲ってこないぞ?」

 

ジェイド 「どうやらこのライガは、銃の恐ろしさを知っているようですね」

 

ジョゼフは少し考え、ライガの足元に向けて発砲するとライガは驚き一目散に逃げていった…

 

配置に就いていたカールと、隠れていたイオン・クルーガーが出てきた。

 

イオン  「逃げて行ったようですね」

 

カール  「何で逃げて行ったんですか?」

 

ジョゼフ「多分ここを襲った時に、銃で仲間がやられる所を見たんだろう…それで生き残ったあのライガ達は、銃を見て本能的に危険を感じて逃げ出したんだろう…まぁ、ともかく戦わずに済んで良かった」

 

ジェイドは、近くに倒れている人の脈を確かめる…

 

イオン  「どうですか、大佐?」

 

ジェイド 「だめです。」

 

ジョゼフ 「他に生き残りがいないか、探すぞ!」

 

全員が生きている人がいないか探し回った…するとクルーガーの足元に(おっ、これはMP40…弾は入ってるかな?)弾倉を確かめる(なんだよ、弾限れか……そうだ)木にもたれ掛かっているドイツ兵の死体を見て(このドイツ兵、MP40の弾薬持ってるかな?)そのドイツ兵の死体を探り始めた…………すると後からジェイド「あなたは死体を探るのが趣味なんですか?」

 

クルーガー「い、いや、そうじゃないけど…」

 

ジェイド 「そんな姿を見たら、イオン様はどう思うでしょうね。」

 

イオン  「ジェイド、僕を呼びましたか?」

 

クルーガー「∑(゚Д゚)!?」

 

ジェイド 「いえいえ、別に何でもありません、ただクルーガーが…」

 

クルーガー「イ、イオン!そこの茂みで何か動いたような…」

 

イオンとクルーガーは茂みを調べ始めた…

 

 ジェイド(下手な嘘にイオン様を巻き込まないで下さい…)

 

そう願っていると、後ろの方から微かな唸り声か聞こえ…振り向くと傾いたテントがあった…、すぐにそこを調べると人が倒れていた。

 

ジェイドが脈を確かめる「彼はまだ脈があります!!」と言った途端、倒れていたライガが突如起き上がりジェイドへ襲いかかって来た「しまっっ…」するとまだ生きていた男は手に持っていたルガーP08をライガに向けて1発撃った。

 

それはライガの眉間に命中しライガはジェイドを通り越して倒れた…

 

男「後ろか………からき…………たぞ……」と言って、気を失ってしまった…

 

 

 

 

 



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第12話

奪われたタルタロスの作戦室では…

 

軍服の男 「はい、確かにアメリカ軍と言っていました。…はい、引き続き彼等の行方を捜査します。」

 

リグレッド「その無線機という物は便利な物だな…、離れた所と会話ができる」

 

軍服の男 「気に入ったのなら、六神将それぞれに渡そうか?」

 

リグレッド「そうだな、助かるがその話をする為に来たんじゃない…導師イオンと行動を共にしている奴等はカイツールに向かうはずだ、そこで待ち伏せをしようと思う」

 

軍服の男は、地図のところへ行くと「彼等がカイツールへ行くには、アクゼリュスへ続く橋を通るはずだ…しかしこの橋が無くなれば、彼等はフーブラス川を渡るしかない…リグレッド」

 

リグレット「何だ?」

 

軍服の男 「私の………」

 

 

 

 

ジョゼフ達は北の大地から、傷ついたドイツ兵をセントビナーまで連れ帰った。

 

宿の一階にはルークとカイがいた

 

ルーク 「あいつのせいで、全然眠った気がしねぇ」

 

カイ  「まぁ、ロバートだって悪気があった訳じゃないんだ」

 

ルーク 「どうしたら俺のことが女に見えるんだよ!」

 

扉が勢いよく聞くとジョゼフが入って来た。

 

 カイ 「ジョゼフおかえり、どうだったミュウの頼み事は?」

 

ジョゼフ「カイ、話は後からだ!怪我人がいるからすぐに部屋のベッドで寝かせたい」

 

ルーク 「怪我人、誰か怪我をしたのか?」

 

ジョゼフ「だからその話は後だ!」

 

ジェイドは怪我をおったドイツ兵を担いで二階に上がって行った…

 

 カイ 「今、大佐が運んだ人は誰なんだ?それに、北の大地で一体何があったんだ?」

 

ジョゼフは2人に説明をした…

 

 カイ 「北の大地でそんなことが……」

 

ジョゼフ「本当だったらミュウの仲間の弔いをするつもりが、こんな事になるとは」

 

イオン 「でも1つだけ分かった事があるじゃないですか、ミュウが森を燃やした犯人じゃないって事です。」

 

ルークがミュウに向かって「良かったな、犯人じゃなくなって」

 

ミュウ  「はいですの 」

 

クルーガー「ところでロバートは?」

 

するとガイが部屋の隅で椅子に座り、ボーっとしているロバートの方を見た…

 

ジョゼフ 「いったい何があった?」

 

ガイが話し終わると

 

クルーガー「いくら髪が長いからって男を女と間違えるなんて…」と苦笑いをした

 

ロバート 「俺だって好きで女と間違えたんじゃねーよ…」

 

 

クルーガーの後ろでは

 

カール 「いいんですか?イオンが男だって事を教えなくて?」

 

ジョゼフ「手遅れになる前に教えておくか…」

 

ジョゼフがクルーガーに話し掛けようとした時、二階からジェイドが下りてきて「皆さん、ティアが目覚めましたよ」

 

ルーク「ティアが起きたのか?」

 

全員は二階に上がって行き、最初にジョゼフが部屋に入った…

 

ティア 「ジョゼフ」

 

ジョゼフ「傷の具合は大丈夫か?」

 

ティア 「私なら大丈夫、これぐらいの傷なら自分で治せるわ」

 

ティアは傷口に手をかざすと…その手が光りだした…少しして、包帯を外すと傷口はすっかり綺麗になっていた…

 

クルーガー(!?今のは何なんだ、いきなり光ったと思ったら傷が無くなったぞ)

 

ティア  「あなたは?」

 

クルーガー「俺はクルーガーだ」

 

ロバート 「ロバートだ」

 

ティア  「私はティア、よろしく」

 

ジョゼフ 「この2人は俺と同じアメリカ軍だ」

 

ティア  「そうなの、仲間が見つかって良かったわね」

 

ミュウ  「ティアさんも元気になって良かったですの」

 

ジェイド 「ティア起きてすぐに悪いのですが、あなたの力が必要です」

 

隣の部屋へ行き、ベッドで横になっているドイツ兵の傍らに立って手をかざし、ファーストエイドを使った…

 

ティア 「しばらくしたら目覚めると思います」

 

ジェイド「ありがとうございます、ティア」

 

ルーク 「ところで、こいつ服装は違うけどジョゼフと同じアメリカ軍なのか?」

 

ジョゼフ「彼はアメリカ軍じゃない ドイツ軍だ」

 

ルーク 「ドイツ軍?何なんだ、そいつら」

 

カール 「自分が説明します、ドイツ軍とは 我々アメリカ軍の敵で科学技術が高く強大な軍事力を持っています。名前はドイツ第三帝国です……」

 

カールは分かっている限りの事を話した…全員は静かになって聞いていた…

 

ガイ  「そんなに凄い国なんだな…」

 

ティア 「私には考えられないわね…」

 

イオン 「別の世界といっても、他人事だと思えませんね」

 

ルーク 「あー!さっぱりわかんねー!」

 

ミュウ 「ミュウも難しい話は分からないですの」

 

ジェイド「ルークには、難しかったかもしれませんね」

 

ルーク 「そういう、あんたこそ理解できてんのかよ!」

 

ガイ  「ドイツ軍の事は分ったが、ここで寝ている彼はどうする…一緒に連れて行くのか?」

 

ジョゼフ「いや…、まずこいつに聞きたい事がある、何処から来たのか知りたい…もしかしたらグラーフ・ツェッペリンの事を知ってるかもしれない…」

 

ティア 「グラーフ・ツェッぺリンって、あなたが潜入した船の名前よね」

 

ジョゼフ「そうだ、起きたらすぐにグラーフ・ツェッぺリンのことを聞き出す」

 

 ?  「悪いが、私はグラーフ・ツェッペリンの事は知らないよ」

 

全員  「!?」

 

全員が声のする方を向くと、ベットで寝ていたはずのドイツ兵が起きていた。

 

ルーク 「わっっ!いつの間に起きてたんだよ」

 

ジョゼフ「グラーフ・ツェッペリンを知らないってどういう事だ?」

 

 男  「そのままの意味だ、私は知らない…それよりもここは何処なのか教えてくれないか?」

 

ジョゼフが話そうとした時、ジェイドが前に出て「ここは、マルクト帝国領土内のセントビナーという都市です」

 

 男  「マルクト帝国?……聞いた事がない国だな、それに見た事もない服装だ…君はそこに居るアメリカ軍の仲間なのか?」

 

ジェイド「いえ、私はあなた方アメリカ軍やドイツ軍とは関係ありません。私はマルクト帝国軍、ジェイド・カーティス大佐と申します、あなたの名前も教えて頂けませんか?」

 

カール(ドイツ兵がそう簡単に話すとは思いませんがね)

 

 男  「私はドイツ帝国軍、マインドルフ中佐と申します。」

 

ジェイド「早速で申し分けないのですが中佐…我々は急いでいるので出発したいのです。歩けますか?」

 

マインドルフは頷き、ベッドから出ると銃が無いのに気付いた「私のルガーP08は?」

 

クルーガー「あんたの銃は、俺が預かっておく」

 

ジョゼフ 「大佐いいんですか一緒に連れて行っても?」

 

ジェイド 「ここに置いていく訳にはいかないでしょう」

 

 

 

全員はアニスが待つカイツールへ向かった。

 

マインドルフの後ろにはカールとクルーガーが怪しい動きが無いか見張っている…そんな中、ジェイドとマインドルフは話をしていた。

 

ルーク 「あの2人何の話をしてるんだ?」

 

ガイ  「多分この世界の事を話してるんじゃないのか、俺達の事も含めて」

 

ルーク 「ジェイドの奴、俺達の事を変な風に言ってるんじゃないか?」

 

イオン 「ジェイドのことですから、おかしなことは言ってないと思います」

 

ガイ  「そんなに気になるなら、話に入れてもらったらどうだ」

 

ルーク 「いや、俺はそういう意味で言ったんじゃないんだけどな……」

 

ジョゼフとロバートは北の大地での出来事を話していた

 

ロバート「そんな事があったのか………」(それにしてもクルーガーの奴…俺の事を、散々笑ってたくせに…自分だってそこに居るイオンて奴を、女だと勘違いしてる様だが…、確かに可愛い………が!男だ、その目で現実を見させてやるよ、覚悟しやがれ!!)

 

クルーガー「ロバートの奴、何か言いたそうな目で見てた様な(・ω・)」

 

カール  「気のせいじゃないですか」

 

しばらくして全員はアクゼリュスに続く橋に着いたが…

 

ガイ  「橋が壊れている様だな」

 

ジョゼフ「他に向こうに渡る道はありませんか、大佐?」

 

ジェイド「近くにフーブラス川があります。そこには魔物がウヨウヨいますが、今はそんな事言ってる場合じゃありませんね」

 

ルーク 「そのフーブラス川に早く行こうぜ」

 

全員は川辺に向かったが、ジェイドは橋が壊れている事に疑問を感じていた…

 

マインドルフ「大佐も、気が付きましたか…あの橋の壊れた部分を…あれは壊れたのではなく、壊されたと私は思うが大佐はどう思われますか?」

 

ジェイド  「そうですね…あの橋の崩れ方は不自然でしたね、…あの橋は最近手入れされたばかり、自然に壊れたのなら焼け焦げた後があるのはおかしいです。それに橋の欠片があんなに飛び散らないはず…私が思うに爆破されたと…」

 

マインドルフ「凄いですね、私も同じ事を思っていました…大佐は意外と頭が良いんですね」

 

ジェイド  「意外と…ですか」と苦笑いした。

 

ルーク   「オイ、ジェイドの奴笑っているぞ!?」

 

ジョゼフ  「そりぁ、大佐だって笑うだろう」

 

 

 

フーブラス川辺に着くと

 

ジョゼフ  「取り合えずは渡れそうな所を探そう」

 

マインドルフ「その前に私のルガーPO8を返してくれないか?」

 

クルーガー 「だめに決まっているだろう、銃を返したら何をされるかわからない」

 

ガイ    「まぁ確かに敵に武器を持たせるのは嫌だが、この先には魔物がワンサカいる…武器を持っていない奴がいたら、真っ先にそいつが死ぬぞ」

 

ルーク   「ガイの言うことも一理ある、自分の身は自分で守ってもらおうぜ」

 

ティア   「甘いわね、敵に武器を返すなんて…下手したらあなたが殺されるかもしれないのよ」

 

ルーク   「嫌な女だな、いつからお前の敵になったんだよ」

 

ジェイド  「ティアの言うことも分かりますが、今は武器を返してここを通り越したらまた取り上げるというのはどうでしょうか?その間私が側で見張ってます。」

 

ジョゼフ  「………わかりました。大佐にお任せします…クルーガー銃を返してやれ」

 

クルーガーはマインドルフにルガー PO8を返し、マインドルフは受け取るとすぐにホルスターに収めた。

 

 

全員は浅瀬を探し、岩の上を渡っていると

 

ガイ   「おかしいなぁ……」

 

ティア  「おかしいわね……」

 

ルーク  「何がそんなにおかしいんだよ?」

 

ジェイド 「魔物の気配がしませんね」

 

ロバート 「どっかで寝てるんじゃないのか」

 

イオン  「ちょっと気味が悪いですね…」

 

クルーガー「イオンは俺の後ろに隠れといてくれ」

 

先に進むと、向こう側の川辺が見えてきた

 

全員   「!?」そこには無数の魔物の死体があった…

 

ルーク  「な、何だよあれ!?」

 

ティア  「何なの、あのおびただしい数の魔物の死体は!?」

 

ガイ   「あれは酷いな……どう見ても只事じゃない」

 

ジェイド 「なるほど、どうりで魔物が襲ってこない訳です」

 

ジョゼフは魔物の死体に近づいて調べ始めると「この傷跡は…………撃たれた跡だ…!」

 

いきなり銃声が鳴り響くとジョゼフが倒れていった…

 

ルーク  「ジョゼフ!」

 

 

 

 

 

 

 



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第13話

タルタロスの外に妖獣のアリエッタとライガがいた…するとそこに男が近づいて来た…

 

アリエッタ「…………来てくれたんですね、ハンス・ギュンシュ……」

 

ハンス・ギュンシュ「……………」

 

アリエッタ「前に…話しましたよね……チークルの森に私のママがいるで……この仕事が終わったら一緒に……ママを……紹介…しますで……でも……できなく……なた……」

 

ハンス・ギュンシュ「?」

  

 

 

 

アリエッタは泣きながら「……アリエッタの…ママ……殺された!」

 

ハンス・ギュンシュ「!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ルーク 「ジョゼフ!」駆け寄ろうとしたその時…ドドドドドドドドドッと音が鳴り響くと土煙が上がり地面に跡が付いた!

 

カール 「ルーク、危ない!」慌てて、ルークの服を掴み後に引いた…

 

ティア 「大丈夫!、ルーク」

 

ルーク 「痛たたた…、今のは何だ!?」

 

ロバート「おい!今の音はもしかして…….」

 

カール 「今の音は機関銃………グロスフスMG42機関銃だ!」

 

ルーク 「グロ……42……言いずれなぁ、何だよそれ」

 

カール 「ドイツ軍の機関銃のことです。今我々が持っている銃よりも比べ物にならない程の威力が高い銃です」

 

ティア 「ここの魔物達も、その銃でやられたのね、でもどうしてそんな物がここに……」

 

全員がマインドルフを見た…「言っておくが私は知らないぞ、MG42がこんな所にあるなんて」

 

ルーク 「ここでドイツ軍で言ったら、お前以外誰もいないんだよ!」

 

マインドルフ「坊や、人を疑う前に周りを見た方がいいぞ、そこに倒れている軍曹をどうやって助けるか…今はそれが先決じゃないのか?」

 

ジェイド「中佐の言う通りですよ、今はどうやってジョゼフを助けるか考えましょう」

 

ガイ  「助けるって言っても、あの機関銃とやらにやられてしまうぞ」

 

ジェイド「カール、機関銃はどこから狙っているか分かりますか?」

 

カールはカバンから双眼鏡を取り出し、敵に見えない程度に顔を出した「…………見えた、あそこの…」と言って小高い丘の岩を指差した。

 

クルーガー「分かったのは良いが、どうやってあそこまで近づく?」

 

ジェイド 「正面からは無理そうですね…ここに2人くらい残って後の全員は敵の後ろに回って、機関銃を叩きましょう……」

 

ティア  「私は大佐と行きます」

 

ガイ   「俺も行くぜ」

 

ルーク  「俺も行く」(俺だって…戦えるんだ)

 

ロバート 「俺も行くぜ、ここに居たって暇なだけだからな…」

 

ジェイド 「それでは後の3人はここで待っていて下さい、中佐は……」

 

クルーガー「俺が中佐を見張っておくから、行ってくれ」

 

マインドルフ「私なら大丈夫だよ、ここで良い子で待ってるよ…」

 

ルーク  「誰もあんたには聞いてない!」

 

ジェイド 「分かりました、それでは行きましょう」

 

5人は機関銃を止めに向かった…

 

前方に人の気配がして5人は岩の陰に隠れた…ガイが見つからないように窺う「何だ……あの灰色の服装の奴らは?」

 

ロバート「あれは!?…………ドイツ兵、何でここに居るんだ?」

 

ティア 「ここにドイツ兵が何故居るかは後から考えて…今はここをどうやって突破するか、それを考えましょう」

 

ガイ  「ここから見ると敵の数は6人だな…、武器はあんたが持っている銃とは形が違うな」

 

ロバート「6人中の4人はKar98kだな…残りの2人はMP40か…厄介だな」

 

ジェイド「あそこに居る、ドイツ兵が持っている銃に何か弱点はありませんか?」

 

ロバート「そうだな……あの木の棒みたいなのは1発づつしか撃つ事ができない…弾は全部で5発だ、次にあの2人が持っているのは、連射して撃てるが飛距離が短い、遠くは命中率が低い、こんなもんですかね…」

 

ロバートの話を聞いてジェイドは考え込んだ…

 

隣りでルークは敵の方を見て(敵は人って分かっていたけど………やっぱり人を殺すのは嫌だな…、持っている武器が剣じゃない銃だ……タルタロスで俺に襲いかかってきたオラクル兵を撃ったが、 俺も撃たれたらあんな風になって………死ぬ…)

ルークの体が少し震えた、するとロバートがそれに気付いて「ルーク大丈夫か?戦うのが怖いんだろう……安心しろ俺も怖い!敵を殺すのはイタリア戦線以来だ、まぁあの時も怖かったけどな…ジョゼフから聞いたがお前は銃が使えるんだってな、俺のM1911銃を使ってくれ…扱い方は分かるだろう」ロバートはルークにM1911を渡した。

 

ジェイド「いいんですか?ルークに渡して、怖がって撃てないかもしれませんよ…」

 

ルーク 「馬鹿にするな!俺だって戦える、だから一緒に来たんだろう」

 

ジェイド「分かりました。今から私が注意を惹きつけるので、その後各自で攻撃して下さい」

 

ガイ  「旦那はどうやって、注意を惹きつけるんだ?」

 

ジェイドは突然、ドイツ軍の方へ歩き始めた…

 

 

 

 

 

 

 

SSドイツ兵「何だお前は!?」

 

ジェイド 「いやぁ~ちょっと道に迷っちゃって…」と近づいて行った…

 

SSドイツ兵「そこで止まれ!」

 

ジェイド 「あや~、皆さんちょっと熱くなり過ぎじゃありませんか、私1人に対して水でも浴びて落ち着いたらどうですか…………」

 

SSドイツ兵「その怪しい男を捕まえろ!」2人で捕らえようと近づいたその時

 

ジェイド 「荒れ狂う流れよ……スプラッシュ!!」

 

突如として上空から水が出てきてSSドイツ兵に連続で水を浴びせ掛けた!

 

SSドイツ兵「うわぁああああああ!」そこに居た6人全員が地面に叩きつけられた…

 

ジェイド 「今です!!」 4人はジェイドの声と同時に飛び出してきた!

 

倒れていたSSドイツ兵は慌てて起き上がりガイに向かって撃った…しかし、地面に叩きつけられたせいで狙いが定まらずガイには当たらなかった……ガイはSSドイツ兵を斬った!

 

ティアは起き上がったSSドイツ兵の腹を槍で刺した!その前方で、SSドイツ兵が撃ってきた…しかし、ティアはすぐに身をかがめ持っていたナイフを投げると、それは首に命中し敵は息絶えた

 

ルークは持っていた銃の引き金に力を込め敵を撃った! 発射された弾は、胸を貫通し敵は倒れていった…隣りに居たもう1人の敵はKar98kでルークを狙っていたが、ロバートが後ろから羽交い締めにしてナイフで喉を掻き切る!手を離すと敵は崩れていった…

 

ロバート「危ないところだったな、撃つ前に周りを見ろよ」

 

近くで倒れていた敵が起き上がり、持っていたMP40をルークとロバートの方へ向けた時、ジェイドが「横から失礼します」と槍で脇腹にとどめを刺した…

 

ロバート「助かりました、大佐」

 

ジェイド「人に言う前に、あなたも周りを見た方が良いですよ…さて、敵を倒した事ですし機関銃を止めに行きま……!?」

 

気配がしてジェイドが後ろを振り返ると、ガイが斬ったはずの敵が上半身だけ起き上がり手を挙げていた…

 

ロバート「あれは信号拳銃!?まずい仲間を呼ばれるぞ!」

 

慌てて敵に向かって撃ったが手遅れだった…弾が当たる直前、信号拳銃が空に向け撃たれた…

 

 

 

その頃、4人は

 

カール(遅いな…まだ機関銃を止められないのか?早くしないとジョゼフ軍曹が………」

 

マインドルフはイオンの方を見ていた。

 

クルーガー(こいつ…イオンの方を見て何を考えていやがる…?……∑(゚Д゚)まさか!?そうか…こいつイオンを見て…………一目惚れしやがったな!……まぁ~無理もない…可憐過ぎて俺も初めて見た時は目を疑った程だ……それに、北の大地で俺が3人から非難されていた時かばってくれた言葉は… 【クルーガーの脳内設定】〜僕の中ではクルーガーは世界ー優しい人ですよ、だからクルーガー頑張って下さい❤️〜 それを聞いた瞬間天使が降臨して来た様に見えた……だからもし、イオンにちょっかいを出したら……指を折るだけではなく…下に付いている、玉二個を破壊して子孫繁栄できなくしてやる!!)

 

マインドルフ(この少年…背中に小っちゃな虫が付いているな…教えてあげようか……あっ、どっか行った…)

 

 

するとジョゼフが動いた「うっうう……何が…起きた?」

 

カール 「軍曹!動かないでください… MG42機関銃が狙っています。今は死んだ振りをして下さい、撃たれた所は大丈夫ですか?」

 

ジョゼフ「わからん、血は出てない事は確かだ…、痛みも無いがもしかしたら麻痺してるのかもしれない…そこにいるのはカールお前だけか?」

 

カール 「いえ、クルーガーとイオンと中佐がいます、あとの5人は機関銃を止めに行きました……!?」

 

突然、向こうの空から信号弾が見えた

 

クルーガー「んっ?あれは信号弾じゃないか……」

 

ジョゼフは信号弾が上った方を向いてしまった…それをMG42機関銃の隣りにいた敵兵が双眼鏡で見ていた!「あのアメリカ兵、まだ生きてるぞ!撃てっ 撃てっ!!」

 

ジョゼフ 「しまった!」ジョゼフは近くに倒れているでかい魔物の死体を盾に隠れた…しかし、グロスフス MG42機関銃の弾は7.92x57mmモーゼル弾、威力は凄まじい!盾にした魔物の死体はどんどん削れていく…

 

クルーガー「おい!まずいぞ…こままだと魔物の死体がなくなって、ジョゼフに当たるぞ!」

 

カール  「そんなの見れば分かる!早く何とかしないと…」

 

イオン  「クルーガー…」

 

イクルーガー「何だイオン、今ヤバイ状況なんだが……」

 

イオン  「今さっき、マインドルフが…助けに行ってくると言って何処かに行ってしまいました……」

 

クルーガー「( ゚д゚)………えっっ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ロバート「ヤバイ!今の信号弾で敵が来る!」

 

ルーク 「どうするんだよ!」

 

ガイ  「くそ…俺のミスだ…」

 

ティア 「向こうの方から、誰か来るわ!」

 

12人のSSドイツ兵近づいてくるのが見えた…

 

ジェイド「私が敵の注意を引き寄せます。その間、あなた達は機関銃を止めに行って下さい」

 

ロバート「…分かりました、ここは大佐に任せます。」

 

ガイ  「旦那…あんまり無理するなよ」

 

ルーク 「おい、良いのかよジェイド1人に任せて?」

 

ティア 「今は、大佐の言う通りにするのよ…、それに大佐なら、こういう事に慣れてるはず…」

 

ロバートは、去る前にドイツ兵が持っていたMP40を拾うと「ルーク、これを使え!」とルークに渡し、4人は別の方から、機関銃を止めに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第14話

タルタロスの中

 

軍服の男 「私の部隊がこのフーブラス川で彼等を待ち伏せしている」

 

リグレット「!?」

 

軍服の男 「アクゼリュスへ続く橋も破壊したと、無線で報告もきている」

 

リグレット「待て!…誰が手を出せといった…勝手な事をするな!」

 

軍服の男 「すまない…少しでも君らの役に立とうと思ったんだが…」

 

すると女が入って来た。

 

リグレッド「シンクかどうした、今話してる途中なんだが…」

 

シンク  「それはごめんね、でも一応教えとこうかなぁって思って」

 

軍服の男 「一体何をだ?」

 

シンク  「さっきアリエッタとハンス・ギュンシュが、どっか行っちゃったよ」

 

リグレッド「アリエッタまで勝手なことを……ハンス・ギュンシュはお前の仲間だったな」

 

軍服の男 「そうだが…ハンス・ギュンシュの奴どうしてアリエッタと一緒に?」

 

シンク  「確か…アリエッタがこんなこと言ってたよ、ママが殺された…、ママの仇を討つってね…」

 

軍服の男(……ママの仇?何の話かわからんが……驚いたなハンス・ギュンシュの奴が、上の命令以外の事を聞くなんて…)

 

 

 

 

 

 

4人は機関銃を止めに向かった…

 

ジェイド(さて、敵が何人こちらに来るか…)

 

SSドイツ兵は12人のうち7人がルーク達の方に向かい、残りはジェイドに向かった。

 

ジェイド 「たったの5人ですか……」

 

SSドイツ兵「持っている武器を捨てて手を上げろ!」

 

ジェイド 「…わかりました……でも、これだけは聞いて下さい…」

 

SSドイツ兵「?」

 

ジェイドが呪文を唱える「……狂乱せし地霊の宴よ!ロックブレイク!!」 地面を隆起させて攻撃すると、この攻撃で2人が倒れた!

 

SSドイツ兵「な、なんだ!地面から岩が、出てきたぞ!」

 

敵がうろたえてる隙に、ジェイドは槍で前方の敵を刺した(残りは……2人か……)

 

もう1人片付けようとしたが、その前に敵が撃ってきた…ジェイドはジャンプしてそれを避けた(危ないところだった…)地面に着地してすぐに岩の後ろに隠れた…

 

SSドイツ兵「岩の後ろに隠れたぞ!」

 

ジェイド 「銃というのは、やっかいな物ですね……」

 

ジェイドが隠れた岩の左右からSSドイツ兵が挟み込むように迫って来た…が、周りこんだ敵は誰も見なかった…2人は辺りを見た「どこに行った?」

 

すると、岩の上で「エナジーブラスト!!」 エネルギーを炸裂させて2人を一気に倒した! 

 

ジェイドは岩から降りると「何とか倒しましたが、この2人まだ生きていますね……周りに止める人もいないようですし、止めを刺しますか…」

 

槍を倒れている敵の首元にもっていこうとした瞬間、頭に何か突きつけられた!

 

ジェイド  「いい子にして待ってると言ったじゃないですか……中佐」

 

マインドルフ「すまない気が変わってね、助けに来たつもりなんだが…これはどういう事かな…大佐?」 ルガーP08を頭に突きつけた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ロバート「機関銃の音がする…誰か撃たれてるのか?」

 

ティア 「だったらまずいわ…早く止めないと」

 

ルーク 「なぁ、この道で合ってるのか?」

 

ガイ  「こっちからどんどん音が大きくなっている…音が大きくなるって事は、近くまで来てるっていう事だ!」しかしそこは行き止まりだった…

 

ルーク 「ガイ、話しが違うじゃないか!こっちの道に行けばいいんじゃないのかよ…」

 

ガイ  「す、すまない、こっちかと思ったんだが…」

 

ティア 「仕方ないわ、別の道から行きましょう」

 

ロバート「いや…その暇はなさそうだ…」

 

後ろの方から7人のSSドイツ兵が迫ってくる…その中の1人が発砲してきた!そしてそれはロバートの腕に当たってしまった…

 

ロバート「く・・・」

 

ティア 「ロバート!」

 

ガイ  「みんな!あそこの岩の後ろに行くぞ」

 

4人は辺りにたくさんある岩の1つに走った…敵はお構いなしに撃ってくる…

 

ルーク 「大丈夫か!?」

 

ロバート「だ、大丈夫だ…腕を少し削っただけだ!」と、撃たれた所を手で押さえた…

 

ティア 「手をどけて!すぐに治すわ」 傷に手をかざしファーストエイドを使った

 

ティア 「傷が深いわね…しばらく右手は使えないわ」

 

ガイ  「向こうさんが、近づいてくれたら倒せるんだが…」

 

ロバート「ルーク、さっき渡したMP40を持っているな…その銃で近づいて敵を撃て」

 

ルーク 「いや……この銃の使い方が分からないぞ!」

 

ロバート「その銃の使い方は簡単だ、まず横にあるレバーを引け…後は引き金を引くだけだ」

 

そうしている間にも敵が近くに迫って来るのがわかる…

 

ルーク 「クソッ、やってやる!」

 

ルークは岩陰から出てMP40で辺りを撃ちまくった! しかし敵には当たらなかった……が、いきなり出てきて撃ってきたのには驚き、敵は下がっていった

 

ルーク 「やったぞ!」(すげぇーー怖かったけど)

 

ガイ  「ルーク!凄いじゃないか、普通の人間にはそんな事できないぞ」

 

ティア 「ちょっとは見直したわ」

 

ルーク 「何だよ!ちょっとって…」

 

ロバート「いや本当に良くやったよ、これで敵もむやみに…!?」

 

ロバートが顔を覗かせ敵方を見ると、パンツァーファウストを持ってくるのが見えた

 

ルーク 「何だ?あの棒みたいなのは…」

 

ロバート「やばい、もっと奥に走れ!それから頭を抱えて座れ!」(クソッ、まさかパンツァーファウストを持ってくるなんて…俺たちを吹き飛ばす気か!)

 

3人はロバートの慌てた様子を見て、言う通りにした

 

SSドイツ兵「撃て!」 岩の横に当たり…音と衝撃がきた!

 

ロバート「全員無事か?」

 

ガイ  「俺は大丈夫だ」

 

ティア 「私も大丈夫、ルークは?」

 

ルーク 「大丈夫な訳ないだろ、何だよ今の!?」

 

ロバート「あれはパンツァーファウストと言って…」と説明しながら敵の様子を見てると…

 

SSドイツ兵「2発目、用意!」

 

ロバート「クソッ、また来るぞ!」

 

ルーク 「さっきのがまた来るのかよ、早くここから逃げようぜ!」

 

ティア 「逃げるとしても、敵の正面からじゃないと逃げられないわ…それに私達が逃げたら、誰が機関銃を止めるの?」

 

ルーク 「ああー、誰か何とかしてくれよ!!」

 

マインドルフ「何とかして差し上げようか?」

 

全員  「!?」

 

全員が声のした方を向くと、そこにはマインドルフがジェイドの頭にルガーP08を突きつけているのが見えた

 

ロバート「アイツ、なんでここに居る?、クルーガーが見張ってたはず…」

 

ガイ  「それよりも、旦那が捕まってるぞ」

 

ルーク 「ジェイドの奴、何やってるんだよ…」

 

ティア 「大佐の事よ、きっと何か考えがあっ…」

 

するとジェイドが「皆さん出て来て下さい、私はまだ死にたくありません!」

 

ティア 「え!?」

 

ルーク 「アイツ、軍人のプライドとかないのかよ!」

 

ガイ  「まさか…旦那があんな事を言うなんてな…」

 

ロバート「悔しいが仕方ない、大佐を見捨てる訳にはいかないだろう…」

 

4人は手を上げ、敵の方へ歩いて行った…持っていた武器は無論全て取り上げられてしまった。

 

SSドイツ兵 「中佐殿、武器は全て取りました」

 

マインドルフ「わかった、早速だが君らの隊長に会いたい、案内してくれ」

 

SSドイツ兵 「了解しました、こちらに来て下さい」

 

全員、それに続き歩き出す…

 

ルーク「おいジェイド、お前なんで捕まっちゃうんだよ…それにあんな見っとも無い命乞いしやがってよう!」

 

マインドルフ「まぁ、そう大佐を責めるな」

 

ルーク   「お前もお前だ、裏切りやがって!」

 

マインドルフ「ん?おかしいなぁ、いつ私が君らの味方になった…それに私が大佐を連れて来なかったら、今頃は焼け焦げた死体になってたよ…そう思えば私と大佐は君らの命の恩人じゃないか」

 

ジェイド  「…そうですよ」

 

ルーク   「!!あー!もうジェイドも、お前も腹が立つ、地獄に落ちろ!!」

 

SSドイツ兵 「おい!うるさいぞ!、さっさと歩け」

 

ルーク「なんだよ!お前ら、捕まえたからって調子にのるなよ!」

 

ロバート「ルーク、今は黙っているんだ…」

 

ルーク「何怖じ気付いてるんだよ、こいつらなんか全然怖く…」

 

後ろにいたSSドイツ兵が、ライフルでルークの背中を殴った 「痛っ!?」

 

SSドイツ兵「それ以上!しゃべったら、口を塞ぐぞ!」

 

ティア(可哀そうだけど、ロバートの注意を聞かなかったあなたが悪いわ…)

 

ガイ「ルーク、大丈夫か!?」

 

ロバート(言わんこっちゃない…)

 

ジェイド(やれやれ、おとなしく歩いていれば殴られずに済んだのに……まっ、ルークの事ですから無理ですね)

 

少し行くと隊長らしき人と機関銃を撃っている姿が見えてきた…ルークの近くにいた1人がそこへ行って何か報告している。

 

 

SSドイツ隊長「撃つのをやめろ!」すると辺りが静かになった。

 

ティア  「あの人が隊長のようね」

 

ロバート 「そうみたいだな…」

 

隊長は報告を聞くとすぐにマインドルフに近づき「ハイル、ヒトラー!」

 

マインドルフ「……ハイル、ヒトラー…」

 

SSドイツ隊長「私がここを指揮してる親衛隊、隊長です。」

 

マインドルフ「私はドイツ国防軍、陸軍、マインドルフ中佐!君等に2・3聞きたい事がある…なぜ彼らを襲った?どうして親衛隊がここに居るのか?司令官は誰なのか?教えてくれないか」

 

SSドイツ隊長「申し訳ありませんが、どの質問にもお答えできません。それより国防軍の中佐がここで何をしているんですか?」

 

マインドルフ「質問を質問で返すのは失礼じゃないか…私がここにいるのは…」言葉が終わる寸前、隊長を捕まえると地面に押し着けて、手に持っていたルガーP08を頭に突きつけた!

 

ジェイドは腕から槍を出すと機関銃の方へ走り、「今すぐそれから手を離して下さい…手を離さないと、分かっていますね…」

 

MG42機関銃から手を離した…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

クルーガー「どうしたんだ?いきなり撃つのを止めたぞ?」

 

カール  「わからない…弾切れになったのか、銃芯を交換してるのか…自分達がジョゼフを助けに行くのを待ってるのか…」

 

クルーガー「 これ以上待っていられない!俺が機関銃を止めに行ってくる、カール援護を頼む!」

 

カール  「!?」

 

イオン  「クルーガー辞めて下さい危険です……止めに行ったルーク達を待ちましょう!」

 

クルーガーの耳にはこう聞こえてる「クルーガー辞めて下さい…あなたを失いたくありません!僕の傍にいて下さい…」

 

クルーガー「イオン………傍にいてやりたいが俺は軍人だ、仲間を助けないと……それにイオンは戦争を止めに行かないといけない…、でも誰かがあの機関銃を止めないと先に進めない、だから俺は行くんだ、誰のためでもなくお前のために……イオンみたいな女性に出会えて本当に良かった…だからこれを受け取ってくれ…」クルーガーはイオンにドッグタグを渡した。

 

イオン  「クルーガー、これは?」

 

クルーガー「それを、俺だと思って身に付けてくれ……(やっぱりイオンは可愛い女の子だな)……じゃぁな元気でな(`_´)ゞ」 そう言って機関銃の所に走って行った!

 

地面に伏せていたジョゼフは「クルーガー、何処に行く!そっちは機関銃がある所だぞ!?」

 

クルーガーが決死の覚悟で飛び出して行くと、そこには敵はなく…前方の方に手を挙げて固まっている敵の姿があった

 

クルーガー「えっ?」

 

ロバート 「おう!なんだよクルーガー驚かせるなよ…助けに来てくれたのか?」

 

クルーガー「( ゚д゚)………き……機関銃……は?……」

 

ロバート 「機関銃なら大佐が止めたし、敵も全員降伏したぞ…?」

 

ガイ   「クルーガーか…他の3人はどうした?…………クルーガー?」

 

ジェイド 「おやおや〜もしかして、こっちに来る前に何かカッコ良いセリフを言ってきたとか…」

 

ロバート 「それだったらカッコ悪いな………」そう言ってクルーガーの顔を見る「もしかして…本当なのか?」

 

クルーガー「( ゚д゚)」

 

するとイオンとカールとジョゼフが来た

 

ジョゼフ 「全員、無事か?」

 

ティア  「ジョゼフも無事だったのね、撃たれだ所は大丈夫なの?」

 

ルーク  「そうだ大丈夫なのか?」

 

ジョゼフ 「俺なら大丈夫だ…これが胸をガードしてくれたんだ…」ジョゼフはそう言うと胸ポケットにしまっておいたぺンダントを見せた…

 

ジェイド 「それは、トニー、ニ等兵の………」

 

ジョゼフ 「これのお蔭で助かった…」(トニーすまない…大切なペンダントが凹んでしまった)

 

カール  「誰か中佐を見ませんでしたか?どこかに行ってしまったようです」

 

マインドルフ「私ならここに居るよ」

 

カール   「そちらに居たんですか…てっきり、逃亡したかと思いましたよ」

 

マインドルフ「勝手に行動してすまない…誰かが助けを呼ぶ声が聞こえてね」

 

ジェイド  「もしかして私の事を言ってるんですか?」

 

マインドルフ「いや、最初に助けたのは大佐たが、後から助けたそこの坊やの声だったのかもしれない」

 

ルーク   「おいっ、その坊やって俺のことか!?」

 

ジェイド  「あなた以外に誰がいるんですか?」

 

ルーク   「!!」

 

ジョゼフ  「ルーク本気にするな、今は落ち着け」

 

ロバート  「ところで…あそこに居る親衛隊の奴らはどうする?」

 

カールとジョゼフは驚いた!

 

カール   「どうしてここに、親衛隊がいるんだ?」

 

ロバート  「良く分からない…何がどうなっているのか…もしかしたらグラーフ・ツェッペリンに乗っていた奴らかも」

 

ジョゼフ  「かも知れないな…」と言って、敵の方を向き隊長に聞こうとすると

 

マインドルフ「無駄だ親衛隊は口を割らない…それに君等は急いでいるんじゃないのか?」

 

しかしジョゼフはどうしてもグラーフ・ツェッペリンの事が知りたかった…

 

するとガイが「知りたい気持ちは解るが今は抑えて先に進もう…それともこいつらと睨めっこしながら口を割るのを待つか?」

 

ジョゼフ 「すまない…少し意固地になってしまった…先に進もう」

 

カール  「その前にこの人達をどうしますか?ここに置いておいたらまたすぐに追って来るかもしれませんよ?」

 

ロバート 「眠ってくれたら助かるんだけどなぁ」と、冗談っぽく言うと

 

ティア  「私にいい考えがあるわ」そう言って親衛隊の前に出た…

 

ジョゼフ 「何をする気だ?」

 

するとティアは歌を歌い始めた「トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ♪…」

 

ジェイド(これは…ユリアの譜歌)

 

それを聴いていたSSドイツ兵は次々と倒れていった…全員が倒れたのを見てティアは歌うのを止めた

 

イオン 「今のは、ユリアの譜歌の第一音素譜歌…」

 

ジョゼフ「ティア、一体何をしたんだ?まさか殺したのか?」

 

ティア 「違うわ、彼等を一時的に眠らせただけよ…しばらくは起きないわ」

 

カールが近づいて確かめると「本当だ、全員寝てる…」

 

ルーク 「人を眠らせるなんて、何処で覚えたんだよ」

 

ティア 「あなたに言ったって解らないと思うけど…」

 

ルーク 「何だと!」

 

イオン「まぁ、これで先に進めます。行きましょう」

 

ロバート「おい、クルーガー行くぞ…………」

 

クルーガー「( ゚д゚)」

 

ロバート「仕方ない奴だな…」

 

ロバートはクルーガーを背負いみんなの後に付いて行った…

 

 

 

 

 

 

 




パンツァーファウストとは第2次世界大戦中、ドイツ国防軍と親衛隊が使用した携帯式 対戦車擲弾発射器の事です

MP40…ドイツで製造された短機関銃、有効射程は100m程度

MG42機関銃…ドイツで製造された機関銃、有効射程は1000ⅿ 複数の国々で使用された…その威力は凄まじく”ヒトラーの電動のこぎり”と呼ばれた


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第15話

タルタロスの艦内…

 

軍服の男 (フーブラス川にいる部隊からの報告が途切れた…無線のトラブルかそれとも…まさか……)

 

リグレット「 さっきの話の続きだが、他に何もして無いだろうな?」

 

軍服の男「フーブラス川に部隊を送った以外なにもしていない」

 

話の最中1人の男が当然の様に入ってきた…

 

博士   「いやぁ〜〜このタルタロスは凄いなぁ、特に機関室は凄いよ!」

 

軍服の男 「博士、あまり出歩かないで下さい…それと部屋に入る時はノックぐらいして下さい」

 

博士   「ごめん、ごめん…つい興奮してノックの仕方を忘れてたよ、ところで何かあったのかい?」

 

軍服の男 「ちょっとしたトラブルです、博士は自分の仕事をして下さい……」

 

博士   「何なんだ?冷たいなぁ…リグレットちゃん、ディストとシンク何処に居るか知らないかい?」

 

リグレット「ちゃん付けて呼ぶな…ディストとシンクは別行動中だ…」

 

軍服の男 「そういえばアッシュもいないな………まさかカイツールに向かったのか?」

 

リグレット「アッシュならディストとシンクと一緒にいるだろう……」

 

軍服の男 「博士はディストとシンクに何の用なんですか?」

 

博士 「別に用なんて無い2人の顔が見たかっただけだよ…いないなら仕方ない仕事に戻るよ」と、部屋を出て行ってしまった。

 

リグレット「博士は、一体何を考えているんだ?」

 

軍服の男 「博士の思考回路は分からない…それよりこれからの事を考えよう」

 

…博士は……何者か……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロバートはクルーガーを背負いながら「ところで…大佐と中佐はいつ手を組んでいたんだ?」

 

ジェイド  「それは……」

 

 

中佐を置いて機関銃を止めに向かった後……ジェイドが敵に止めを刺そうとしたら中佐が現れた…

 

マインドルフ「話は分かったが…無抵抗の敵を殺すのはあまり関心しないな…」

 

ジェイド  「それならば銃を突き付けるのは止めてもらえませんか…」

 

マインドルフ「…分かった……だがその前に、そこに倒れている2名の兵士を起こしてくれないか?」

 

ジェイド  「せっかく倒した敵を起こすと思いますか?……それより早く機関銃を止めに4人の後を追わないと…」

 

マインドルフ「やれやれ…機関銃を止めるよりも、彼らの隊長を抑えた方が早い…それに、このまま銃を頭に突き付けて行けば、親衛隊は私の事を味方だと思うんじゃないか?大佐は捕まった振りをしてくれ……私を信用して任せてくれないか?」

 

ジェイド  「……出会ったばかりの貴方にですか?……………分かりました…好きにして下さい…」

 

 

ジェイドが手を上げると、マインドルフは銃を頭に突き付け親衛隊と共に4人の後を追った。

 

 

ガイ    「頭に銃を突き付けて出てきたら、誰だって敵だと思うだろう」

 

ルーク 「そういえば『私はまだ死にたくありません』て言ってたけど、あれも演技だったのかよ?」

 

ジェイド 「えぇ勿論演技ですよ…私が命乞いしたら貴方達がどんな反応するのか見てみたかったのです。」

 

ルーク 「何だよ!それだけのために敵の前で命乞いしたのかよ!」

 

ジェイド  「そういえばルークはあの時、『誰か何とかしてくれ!』と言っていましたね…もし助けたのが私だったらどうでしたか?」

 

ルーク   「ジェイドでもマインドルフでも、来なくても何とかなってたんだよ!」

 

マインドルフ「そうか……分かった…」

 

ルーク   「な、何が分かったんだよ?」ルークは少し不安になった…

 

ジョゼフ  「中佐に聞いてもいいか?」

 

マインドルフ「何だい?」

 

ジョゼフ  「どうして親衛隊を裏切ったんだ?同じドイツ軍だろう」

 

マインドルフ「…それはだな……私を助けてくれたお返しだよ」

 

ジョゼフ  「それで裏切ったのか?」

 

マインドルフ「別に裏切った訳じゃないんだが……」

 

ジェイド 「ジョゼフ、そのくらいにしてくれませんか中佐が困ってます…それより 皆さんを中佐に紹介していませんでしたね?」

 

カール   「えっ、大佐が教えてたんじゃないんですか?色々話をしていた様なので…」

 

ジェイド  「私はこの世界の事をほんの少し教えただけです。それに名前は自分で名乗るものですよ」

 

ティア 「確かに名前は自分で名乗るものね…私はティアよ、よろしく」

 

ガイ    「俺はガイ、よろしく」

 

ルーク   「ルークだ」

 

イオン   「イオンと申します」

 

ミュウ   「ミュウですの、ヨロシクですの!」

 

ジョゼフ  「……アメリカ陸軍、ジョゼフ軍曹…」

 

カール   「自分はカールと申します」

 

ロバート  「俺はロバートだ、背中で白目で寝てるのがクルーガーだ」

 

クルーガー 「(・Д・)」

 

マインドルフ「マインドルフだよろしく」

 

全員は軽く名乗り、カイツールに向けて歩き出した。

 

ガイ   「やっとフーブラス川から、出れたな…」

 

ルーク  「はぁ〜疲れた、もうーここには来たくねぇ~」

 

ジョゼフ 「この先に、カイツールがあるのか?」

 

ジェイド 「ええ、この先真っ直ぐに行けばアニスがいるカイツールです……その前に、もうそろそろクルーガーを起こした方がいいんじゃないですか?」

 

ロバート 「それもそうだな……おいっ!クルーガー起きろっ!」

 

カール  「そうだ…ティアさんのファーストエイドを使ったら起きるんじゃないんですか?」

 

ジョゼフ 「……ティア、悪いがクルーガーにやってくれないか?」

 

ティア(無理だと思うけど…)「分かったわ………『ファーストエイド!』」

 

クルーガー「……………(°▽°)」

 

ティア  「………駄目ね、ファーストエイドは体の傷は治せても心までは治せないわ」

 

ジョゼフ 「駄目か……こうなたらミュウの炎でクルーガーを起こすか…」

 

ガイ   「そこまで、乱暴に起こさなくても……」

 

ルーク  「いや、それ以上だろう…」

 

マインドルフ「火を使うのなら、水を用意した方がいいんじゃないか…」

 

ティア  「そういう問題じゃないと思うけど…」

 

 

ジェイド 「私に良い考えがあります。イオン様ちょっと耳を…」

 

 

イオン  「クルーガー!」

 

クルーガー「(・Д・)」

 

イオン  「僕、クルーガーの事格好悪いとかそんな事思っていませんよ…仲間の為に死ぬのはとても勇敢な事です。でも…その後に取り残された仲間の気持ちも考えてもうあんな事はしないで下さい。それにクルーガーが居なくなったら寂しいです…」

 

クルーガー「…イオン…心配させてごめんな、俺もう大丈夫だ…ᕦ(ò_óˇ)ᕤ」

 

ジョゼフ 「大佐…他に何かセリフがあったんじやないのか?」

 

ジェイド 「このくらい言わないと起きないと思いまして……でもまぁ結果起きたので良かったじゃないですか」

 

イオン  「あっ、これはどうすれば…」 と、首に着けていたドッグタグを見せる

 

クルーガー「それは、良かったらイオンが持っといてくれ…」  

 

その様子を遠くの森から、誰かが双眼鏡で見ていた

 

マインドルフ「ん?」

 

ジョゼフ  「どうした?」

 

マインドルフ「いや…何でもない…」(今、誰かに見られていた様な…)

 

双眼鏡で見ていたのは……

 

アリエッタ 「あの人達がママを殺した……ママの仇……とります。でも、一緒に居る緑髪の男の子は……殺さないでください………分かりましたか?」

 

ハンス・ギュンシュ「………………」

 

 

 

何だかんだ言いながらも全員は無事マルクト国境カイツールに着いた。

 

イオン  「アニスは何処に居るんでしょか?」

 

ジェイド 「そこの兵、ここにツインテールで背中にぬいぐるみを背負った小さな女の子が来なかったか?」

 

マルクト兵「そういう感じの女の子なら、あちらの宿に居る所を何回か見ました。」

 

兵に教えてもらった宿に入ると、そこにアニスが居た。

 

アニスはジェイド達が突然現れたので、戸惑ったり嬉しかったり……「もぉ〜、大佐もイオン様も遅すぎですよ、私ずっっと待ってたんですよ!」

 

ジェイド 「いあゃ〜すみませんアニス…色々あったもので、ところで親書は無事ですか?」

 

アニス  「アニスよりも親書が大切なんですか?ちょっとショック……はい、この通り親書は無事ですよ」と、イオンに渡し「それにしても、私が居ないうちに人が増えましたねぇ」

 

イオン  「彼らは……」簡単にアニスに話しをすると「私アニス・タトリンと申します……アニスでも、アニスちゃんでも呼んでくれたら嬉しいです~よろしくね❤️」

 

全員はアニスが予約した、二階の部屋に入った…

 

ルーク  「あぁ〜、やっとベットで寝れるぜ…クタクタだ」

 

アニス  「ルーク様、お疲れなら私がマッサージしましょうか〜」

 

ルーク  「えっ?じゃあ足を揉んでもらおうかな」

 

ロバート 「ルーク、子供にそんな事させるな!まだ若いくせに…」

 

ルーク  「何だよ、ロバート…アニスは自分からマッサージをしましょうかって言ってるんだから別にいいだろう」

 

ロバート 「ダメだ!それにこれくらいの事で、クタクタになってどうする」

 

アニス  「もぉ〜、2人共私の取り合いをしないでください〜」

 

ガイ   「なんでアニスはルーク様って呼ぶんだ?」

 

ジェイド 「簡単な話です、これ(ガルト)目当てですよ」

 

ガイ   「あぁ〜そういう事か、ルークも可哀そうだな…」

 

クルーガー(じ…じゃあ俺も…イオンをマッサージしてあげようかな…(^p^)はぁはぁ)

 

アニス(んっ!?何かイオン様に危険か迫っている様な……)

 

その横でジョゼフは難しい顔をして考え込んでいた…

 

ジェイド 「どうしましたジョゼフ、何か考え事ですか?……フーブラス川で出会った親衛隊の件ですか?」

 

ジョゼフ 「…そうだ…」

 

ティア  「ジョゼフが気にしている親衛隊って何者なの?」

 

ルーク  「そうだ…あいつ等いきなり襲ってきて、いったい何者なんだ?」

 

マインドルフ「私が話そう…」今まで静かに見ていたマインドルフが口を開いた…「この中で親衛隊に詳しいのは私だからな…親衛隊は忠誠心が高く自分達の民族は偉大だと思っている…彼等の仕事は惨忍きわまりなく……

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ガイ   「やばい奴らなんだな、親衛隊は…」

 

ルーク  「まぁ何となく分かった」(全然分かんねぇけど)

 

ティア  「そんな部隊を作るなんて人として間違っているわ!」

 

マインドルフは静かに「……私も後悔してるよ……」

 

ジェイド 「ん?中佐今何か言いましたか?」

 

マインドルフ「あぁ、何でもない独り言だ」

 

ジェイド 「そうですか……」

 

アニス  「じゃあ~これからは、大詠師派とその親衛隊が敵になるって事ですよね?」

 

ジェイド 「そういう事になります……しかし、国境さえ越えれば大詠師派も親衛隊もしばらくは手出しは出来ないでしょう……」

 

ジョゼフ 「どうだろうな……大詠師派はともかく、親衛隊は追って来るだろうな」

 

ルーク  「追って来たら追って来たで、そんな奴等倒せばいいだろう!」

 

ティア  「はぁ~、あなたのその強気な態度は命取りになるわよ」

 

ルーク  「な、何だよ…」

 

ガイ   「まぁ今は、ともかくどうやって国境を越えるか考えようぜ…」

 

ティア   「 私達は旅券を持ってないわ…」

 

ロバート 「なぁ、なんとか通れないのか?金を渡すとか…」

 

ジェイド 「無理でしょう……国境の兵は何であろうと旅券が無いと通さない事になっていますから…」

 

ルーク  「ジェイドが頼んだら、どうにかしてくれるんじゃないのか?一応大佐だし…」

 

ジェイド 「そうですね…何とかなるかもしれませんが……」

 

クルーガー「じゃあイオンと一緒に頼んだらどうだ?ローレライ教団で1番偉いんだろう」

 

アニス  「あの〜前に大佐と話したと思いますが……大佐もイオン様もここには居ない事になっているんです、だからあんまり目立った行動をしたらダメなんですよ~」

 

ジョゼフ 「そうだったのか?俺は聞いていないが…」

 

ティア  「あの時ジョゼフは牢に入っていたから…聞いてないのは仕方ないわ」

 

ルーク  「あぁ~面倒臭いな、じゃあどうやって通ればいいんだよ?」

 

マインドルフは窓の外を見ていた…下には馬車が2台……

 

ジェイド 「…何を見てるんですか?」とジェイドも覗き込む…

 

マインドルフ「…通れる方法を思いついたぞ……」

 

 

 

マルクト軍カイツール国境砦に2台の馬車が近付いて行った…2台目の馬車は真っ白な布で覆われている…

 

マルクト兵「止まれ!」

 

クルーガー「何だ!我々は急いでいるんだ通してくれ!」

 

マルクト兵「すみませんが旅券を見せて下さい。」

 

クルーガー「分かった……」その辺を探していたが…「うぉぉぉー何て事だ何処にも無い!急いでたからどっかに落としてしまったんだ!全員のを持っていたのにぃー!」

 

マルクト兵「…旅券が無いとここは通れません…」

 

クルーガー「何だとー!?、頼む!ここを通してくれ早くしないと手遅れになってしまう!」

 

マルクト兵「??」

 

ロバート 「おーい!何をしてるんだ手遅れになるぞ!」

 

マルクト兵「おいっ!どういう事だ?」

 

「私が説明しましょう…」1台目の馬車から白っぽいフードを被り、奇妙なマスク(ガスマスク)をつけた男が降りてきた。

 

マルクト兵「誰だ?」

 

ジョゼフ 「私は、病気の研究をしている者です…この馬車の2台目にはある新種の病気に感染した人が居ます…彼らを急いで……」

 

マルクト兵「ちょっと待て!それが本当かどうか2台目の馬車を見せてもらうぞ」と言って、2台目の馬車に近づいて行った…

 

ジョゼフは大きな声で「待て!それ以上近づいたら危険だ、この病気は近づくだけで感染する恐れがある!」

 

マルクト兵「何?そんなに危険な病気なのか?」

 

ジョゼフ 「はい、この病気はとても感染力が強く…だから別々の馬車で運んでいるのです。」

 

マルクト兵「そんなに危険な……その病名は何て言うんだ?」

 

ジョゼフ 「えっ? び、病名ですか……えーっと結構長かった様な……」(どうする病気の名前までは考えてないぞ)

 

マインドルフが馬車から顔を出し「何をしている、なぜ先に進まない?」

 

マルクト兵「誰だ!?」

 

クルーガー「このお方を知らないのか!?貿易商元締めの…」

 

マインドルフは言葉を遮るように「後の馬車に乗っているのは…病気にかかってしまった私の娘の家族だ」

 

アニス  「何で止まってるの?早くしないと、ママとババと死んじゃうよ〜」

 

マルクト兵「その子は?」

 

マインドルフ「私の孫だ…この子だけが無事だった…病気にかかったのは、この子の両親と兄妹とペットに買ったチーグルだ……この病気を治せるのはキムラスカに居る医者だけだ…」

 

ジョゼフ 「このままでは、この子を残して家族が死んでしまう…その前に急いで、キムラスカにいる医者に診て貰わなければ!」

 

マルクト兵「しかし……旅券を見せてもらわないと……我々も…」

 

ジョゼフ 「話を聞いていたのか!一刻も争う時に見せろだと?ふざけるのもいい加減にしろ!!」

 

アニス  「うぇ〜ん、ママとババ…姉ちゃんと兄ちゃんとペットのチーグルが死んじゃうよ〜、うぇ〜〜〜ん」

 

ロバート 「おい、どうしてくれる!お嬢様が泣いてしまったじゃないか!」

 

マルクト兵も困り果て「ううっ…しかし…」

 

マインドルフ「そこの兵…顔を見せろ…それと名前もな…もし手遅れにでもなった時には、全ての事柄を私の友人……マルクト帝国軍第三師団長、ジェイド・カーティス大佐に報告させてもらう!」

 

マルクト兵「えっっ、なに!?ジェイド大佐に!?」

 

マインドルフ「そうだ、君等は知らないだろうが私と大佐は昔からの友人でね……どうする?それでもまだ引き留める気か?」

 

アニスはまだ泣いている…

 

マルクト兵は顔を見合わせて「うっ、う………わ、わかりました、どうぞ通って下さい……」

 

マインドルフ「ありがとう……ここでの事は無かった事にしよう…」

 

 

全員は何とか無事にマルクト国境カイツール砦を越えた…そして、少し行くと今度はキムラスカ王国、国境カイツール砦がある…

 

キムラスカ兵「止まれ!2台目の馬車を白い布で覆っているのは何故だ?」

 

ジョゼフ  「降りて来ていいぞ!」

 

1台目の馬車から出てきたのはルークだった。

 

ルーク   「俺はファブレ公爵家のルーク・フォン・ファブレだ。マルクトからの客人を首都までお連れする…それと俺たち旅券は持ってないからこのまま通して貰うぞ」

 

キムラスカ兵「し、しかし…旅券を持ってない者はお通し出来ないことに…」

 

ルーク   「うるせーなぁ、俺が通せって言ったら通すんだよ、それとも今お前をここでクビにしてやろうか?」

 

キムラスカ兵「そ、それだけは…分かりましたお通りくださいルーク様」

 

ルーク   「分かればいいんだよ」

 

馬車はキムラスカ王国の国境カイツールを超えて行った…

 

アニス  「いやぁ〜ん、ルーク様力尽くで通るなんてカッコイイです〜」

 

ティア(あのキムラスカ兵には気の毒ね)

 

ジョゼフ 「ルーク、あんな力尽くに言わなくてもいいだろう…」

 

ルーク  「何だよ、通れたからいいだろう」

 

ジョゼフ 「クビにすると言われた兵の気持ちも考えてみろ…」

 

ルーク  「あ〜もぅ分かったよ、これからは少しは考えるよ!」

 

ジョゼフ(絶対に分かってないなこいつ…」

 

ティア  「ジョゼフ、ルークに何を言っても無駄よ……それにしてもマルクトの国境を通れたのは中佐のおかげね」

 

ジェイド 「ええ、中佐のおかげで何とか通れましたよ」

 

マインドルフ「いや大した事じゃない、たまたま馬車を見て思い付いただけだ…」

 

ガイ   「それで思いつくなんて結構凄いと思うぜ…」

 

ルーク  「おいっ!マルクト国境を通れたのはマインドルフのおかげとしても!キムラスカ国境を通れたのは俺のおかげだからな!」

 

ジェイド 「あぁ〜あなたも頑張りましたね、偉いですよルーク」

 

マインドルフ「私にはあんな横柄な態度はとれませんよ、流石ですねルーク」

 

ルーク  「2人とも、絶対に俺を褒めてないだろう!」

 

 

マルクト国境とキムラスカ国境を無事に通りカイツール軍港に向かった…

 

クルーガー「国境は越えたがその先の事は考えてあるのか?」

 

ジェイド 「はい…このままカイツールの軍港に行きます。そこで船に乗りケセドニア港で別の船に乗り換えバチカル向かいます。」

 

ルーク  「2回も船に乗り換えるのか、面倒臭せぇな」

 

イオン  「本来ならタルタロスでバチカルに向かうはずでしたから…」

 

ジョゼフ 「まぁルーク、もう少し頑張れ」

 

カイツールの軍港近くまで行くと

 

ガイ   「港の方から煙が出てるぞ!?」

 

カール  「煙だけじゃない!銃声も聞こえる!」

 

ロバート 「まさか…親衛隊が?」

 

ルーク  「あいつ等ならフーブラス川で眠っているんじゃ…」

 

ティア  「あれからもう大分時間が経っている、起きていてもおかしくないわ」

 

ガイ   「しかし、どうやって国境を通って来たんだ?」

 

クルーガー「もしかしたら、別の部隊がいたんじゃないのか?」

 

ジェイド 「行ってみないと状況がわかりません、とにかく急ぎましょう」

 

カイツール軍港の入口辺りに2人のキムラスカ兵が倒れていた

 

クルーガー「人が倒れているぞ!?」

 

ガイは倒れている人に駆寄り「しっかりしろ!何があった?」

 

マインドルフが脈を確かめるが「ダメだ…死んでる………ん?この傷口は……撃たれたのか…」

 

ジョゼフ 「こっちも、撃たれている……港の中に入ったら、充分警戒するんだぞ!」

 

 

港の広場まで来ると、辺りは船が燃え上がり人が倒れていた…

 

マインドルフ「これは…随分やられたな………」

 

ロバート 「気を付けろ!何処に敵がいるか分からないぞ!」

 

クルーガー「イオン、俺の後ろ…」

 

アニス  「イオン様!私の後ろに居て下さい!」

 

クルーガー(えっ( ゚д゚)俺のセリフ………)

 

ジョゼフ 「おかしい……敵の気配が何処にもいないぞ…」

 

マインドルフの足元に薬莢が転がっていた「これは………モーゼルC96用の弾だ」

 

カール  「親衛隊がモーゼルC96を?」

 

ルーク  「ん?……おい!あそこに誰かいるぞ…」

 

そこには、小さな女の子が居た

 

カール  「なんで、ここに女の子が……?」

 

アニス  「あっっ!根暗ッタ?」

 

クルーガー「ん?何だ知り合いか?」

 

アリエッタ「アリエッタ……根暗ッタ…じゃないもん……」

 

ルーク  「あの女の子は誰だ?」

 

ティア  「彼女は妖獣のアリエッタよ…オラクル六神将の…」

 

イオン  「アリエッタ!ここを襲ったのは貴方なのですか……」

 

アリエッタ「イオン様……ごめんなさい……でも……そこにいる人が……悪いんです。」と、指差した先には……

 

ジョゼフ 「な、なんで、俺が悪いんだ!?」

 

アニス  「根暗ッタどういう事なの?」

 

アリエッタ「アニスには…教えないもん……」

 

マインドルフ「話がよく分からんが、ともかく彼女を捕らえた方がいいんじゃないのか?…」

 

ジェイド 「中佐の言う通りです。捕まえた後から話は幾らでも出来ます……捕まえて下さいクルーガー」

 

クルーガー「!俺が……仕方ないなぁ」

 

クルーガーはアリエッタの右手を掴んだ「嫌っっ 離してっ!ハンス!!」

 

マインドルフ「ハンス?」

 

クルーガー「おいっ大人しくしろ!乱暴はしないから…」

 

アニス(何だか…小さな女の子を誘拐しようとしている人みたい…)

 

クルーガーがアリエッタを抱えようとした時、右脇腹に樽がまともに当たりそのまま勢いよく飛ばされてしまった「グエッッ」

 

イオン  「クルーガー!」

 

ガイ   「何だあの樽は!?」

 

ジェイドが樽が飛んで来た方角を見る「どうやら彼女の他に居たみたいですね…」

 

その男の左腕には人が抱えられていた……

 

ロバート 「彼奴1人か?」

 

アニス  「…あれが親衛隊なの?」

 

ルーク  「彼奴、誰か持ってるぞ…?」

 

ガイ   「あれは、船を修理する整備士だ!」

 

クルーガーが倒れている隙にアリエッタは、ハンスの後ろへ移動していた。

 

ハンス  「……………」

 

ジョゼフ 「持っている人を離せ!」銃を構える

 

ハンスは抱えていた男を前に突き出すようにして右手でモーゼルC96銃を構えている

 

カール  「さっき落ちていた薬莢は彼奴のだったのか…」

 

ガイ   「彼奴人を盾にしているぞ!」

 

アリエッタ「ハンス!撃ったらダメです!」

 

アリエッタがハンスの前に来ると、ハンスは銃の引き金から指を外した…

 

ハンス  「……………」

 

アリエッタ「整備士…連れて行く…帰して欲しければ、ルークとイオン様がコーラル城こい……です……来なかったら……彼を殺します……あなたも絶対に来てください……」と、ジョゼフを指差した。

 

言い終わると空から魔物が降りてきてアリエッタはそれに乗り行ってしまった…その間ハンスも消えてしまっている…

 

ルーク  「もう少しで船に乗れたのに、オラクルの野郎!」

 

マインドルフ「これからどうする?」

 

ジェイド 「そうですね……船は全て壊されてしまった様ですし…船を修理する人間を探さなくては…まずは彼を助けに向かった方が良いでしょう」

 

イオン  「クルーガー大丈夫ですか!?」

 

クルーガー_:(´ཀ`」 ∠):「い、イオン…俺……たい…」

 

ティア 「ジッとして今治すわ『ファーストエイド!』」

 

アニス  「クルーガーさんは大丈夫なんですか?」

 

ジョゼフ 「クルーガーの奴なら大丈夫だ、それより整備士を助けないと…そのコーラル城は何処にあるんだ?」

 

ガイ 「コーラル城はここから東にある城だ…しかし何でアリエッタは俺達をそんな所に呼ぶんだ?」

 

ジョゼフ 「考えるのは後だ…今は急いでそのコーラル城に行こう…」

 

全員はコーラル城へ向かった……




モーゼルC96…ドイツ帝国で開発された自動拳銃

親衛隊(ナチス)略号SS……標語(忠誠こそ我が名誉)ヒトラーを護衛する党内組織

武装親衛隊………親衛隊員からなるナチスの武装部隊、ヒトラー個人の私兵(国防軍とは異なる)


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第16話

グラーフ・ツェッペリンが消える少し前……

 

艦長室のドアをノックする音がした。

 

マインドルフ「マインドルフ中佐です。入っても宜しいでしょうか?」

 

  ?   「入ってくれ」

 

扉を開け中に入ると、目の前にドイツ海軍 エーリヒ・ヨーハン・アルベルト・レーダー元帥の姿があった。

 

マインドルフ「お久しぶりです、レーダー元帥」

 

レーダー  「久しぶりだな……まさか君とここで会うとはな…」と、握手を交わした。

 

マインドルフ「しかし驚きました……海軍総司令官を辞任した筈では?」

 

レーダー  「あぁ、この作戦に急きょ私が呼ばれてね……突然だが中佐は…このツェッペリンを見てどう思う?」

 

マインドルフはレーダーの問いを考えあぐねていたが「…正直言って…中は半分も見せてもらえませんでした…親衛隊に止められてしまったので…」

 

レーダー  「…そうか…本来ならばこのツェッペリンはドイツ海軍が指揮をしている筈だ…しかしこの艦は親衛隊の管理下にあるようだ…それにまだある、これは私の知っているツェッペリンではない…」

 

マインドルフ「どういう事ですか?」

 

レーダー元帥はテーブルに2枚の設計図を広げた…

 

レーダー  「見てくれ…右側のは本来のツェッペリンの物…もう片方はこのツェッペリンだが、素人目からしても明らかに大きく造られているのが分かるだろう…」

 

マインドルフは黙って考え込んでいる…

 

レーダー  「それにまだある…本来空母には無い筈の装甲車類が積んである、他にも何故かドイツ陸軍と先の親衛隊も多数乗っている…」

 

マインドルフ「聞いた限りでは…何処かに上陸でもするかのようですね……この真ん中辺りの空洞になっている所は何ですか?」

 

レーダー  「私もそこは分からないんだ……ただ・・・何かの装置が有るらしいんだが…」

 

マインドルフ「…装置……ですか……ベルリンに戻り次第直ぐにでも探ってみます。ところで甲板にある Ju52の航空機は?」

 

レーダー  「あれは、病気や怪我で急きょベルリンに戻る兵士が乗っているが……」

 

マインドルフ「丁度いい、私もそれに乗って行くとしよう」敬礼をして部屋から出て行こうとした時に

 

レーダー  「マインドルフ……これは全て総統閣下が指示した事だろうか……」

 

マインドルフ「断言は出来ませんが、親衛隊が動いているという事は…総統が何かしらの指示を出したのかもしれませんね……」と言い残して出て行った。

 

 

マインドルフが甲板に出て、Ju52航空機に乗り込むと直ぐに飛び立った……ゆっくりとグラーフ・ツェッペリンの上空を旋回していた…真上まで来た時!ツェッペリンが真ん中あたりから光り始め、それは徐々に膨らんで辺り一面を呑み込んでいった…

「一体何が起こっているんだ!?」航空機が激しく揺れた………

 

マインドルフが気が付くと、航空機はそのまま飛んでいる…「一体何が起きたんだ?」

 

窓の外を見ると……先まで下にはツェッペリンと海があった……しかし今目に映っているのは、辺り一面緑の森だった…!?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ジョゼフ「ところでコーラル城ってどういう所なんだ?」

 

ガイ  「コーラル城は ファブレ家の別荘だった城だ…前の戦争で戦線が迫って来た為放棄されたんだ」

 

ジョゼフ「何だ?前の戦争で?」

 

ジェイド「我々はホド戦争と呼んでいます。15年前…マルクト帝国とキムラスカ・ランバルディア王国の間に起こった戦争です。きっかけは国境線での小競り合いを口実に、キムラスカ軍がホド島に攻め入ったのが始まりです。」

 

ジョゼフ「そんな戦争がこの世界であったのか、

その戦争は今はどうなったんだ?」

 

ティア  「そのあとすぐに停戦協定が結ばれたわ」

 

マインドルフ 「停戦協定でことは、まだ戦争中てことだな」

 

ジェイド「そういう事です、まだ戦争が起きない、ためにも視聴をキムラスカに取っとけなければなにません」

 

しばらく歩いて行くとコーラル城が見えてきた…城は海沿いの切り立った断崖に建っていた

 

ジョゼフ「ここがコーラル城か……」

 

ルーク 「それにしても、俺ん家でこんな別荘持ってたんだな…」

 

ガイ  「ルーク……コーラル城は7年前にお前が発見された場所だよ」

 

ジョゼフ「発見されたって…どういうことだ?」

 

ジョゼフはこの時ルークが、誘拐されていた事を初めて知った。

 

マインドルフ「これは…立派な城だな……使わないのが勿体ない…」

 

ジェイド 「中佐は城に興味があるんですか?」

 

マインドルフ「少しばかりは…」

 

ロバート 「何だかお化けが出てきそうだな…」

 

クルーガー「何だよロバート、ビビってるのか?( ^ω^ )」

 

ロバート 「べ・別にビビってない…ただ、出そうだなって言っただけだ…」

 

ジェイド 「2人共はしゃいでないで行きますよ」

 

ジョゼフ 「ルーク、入る前にこれ〔M1911拳銃〕を持っておけ」

 

ルーク  「えぇ~またこれかよ~もっと別のは無いのか?」

 

ジョゼフ 「文句言うな、持ってないよりマシだろう」

 

ジョゼフが差し出すとルークは不満気に受け取った。

 

ガイ   「ルーク!剣はどうした?」

 

ルーク(今さら聞くのかよ…)「剣ならチーグルの森で失くしちまった…バチカルに帰ったら、 新しいのを用意してもらおうっと」

 

 

 

 

コーラル城の中へ入って行く…

 

ルーク  「ここが……別荘だったのか……」

 

ティア  「中は思ったよりも綺麗ね、今でも手入れされてるのかしら?」

 

ガイ   「いや、もう手入れはされていない筈なんだが……」

 

ルーク  「……だめだ、やっぱり思い出せない」

 

ジョゼフ 「どのくらい記憶が抜けてるんだ?」

 

ルーク  「確か……俺が10歳の頃に誘拐されて…それまでの10年分の記憶が抜けてんだよなぁ……」

 

ジョゼフ 「焦ることはない…ここに来たんだ、何かのキッカケで思い出すこともあるだろう」

 

ルーク 「…それも、そうだな…」

 

すると横で話を盗み聞きしていたアニスが「ルーク様!私も記憶を取り戻すお手伝いをします!」とルークに抱き付いた。

 

ルーク  「わっ!いきなり何だよ!?」

 

ジョゼフ 「良かったな、お手伝いしてくれる仲間が出来て…」と、苦笑いする…

 

マインドルフ「水を差すようで悪いんだが、あまり騒いでいると敵に見つかるぞ」

 

ガイ   「その敵は何処にいるんだ?」

 

ジェイド 「敵が来るのを待つよりも、こっちから行った方が早いと思います」

 

ティア  「大佐の言うとうり、私達から行った方が早いわ」

 

ルーク  「それじゃあ、先ずは目の前の扉から入ろうぜ」

 

ティア  「気を付けて…何処に敵がいるか分からないわ…」

 

中入ると、そこには暖炉がありその前にはソファーがいくつか並んでいた…

 

ジェイド 「この部屋は談話室のようですね」

 

ロバートが辺りを見渡す「ここには居ないな」

 

ルーク  「ん?」横に黒い扉が「何だ?この扉は…」 真ん中には2つの丸い穴が空いている…

 

カール  「ここに何か丸い物を入れたら開くんじゃないんですか?」

 

ガイ   「何でこんな扉が別荘に?」

 

イオン  「もしかしたら、この扉の向こうに捕まった人がいるんじゃないでしょうか」

 

マインドルフ「もしそうだとしても、まずはこの扉を開けないと……穴に、合う物を探さないとな」

 

ルーク  「面倒臭いなぁ、この部屋は後にして別の所を探そうぜ」

 

 

 

二階に上がり、ちょっとした廊下を歩いている…

 

ロバートの後ろから音が聞こえた「?」気になって振り向くとそこにはでかい石像があった。(何だ石像か…………こんなのあったっけ?)

 

また歩き出すと…後ろから音が…ロバートは眉をひそめながら後ろを振り向く…石像が……(付いて来てる?…………いやいや、石像が動くわけない…)

また歩き出すと…後ろから音が…ロバートは恐る恐る後ろを振り向く……そこには……石像が近くに…ロバートの顔は真っ青になった。

 

近くに居たジェイドに声をかけた「…大佐…」

 

ジェイド 「どうかしましたか?」大佐が見る「…ロバート…危ない!」

 

ロバート 「えっ?」後ろを見ると、石像が腕を振り上げてロバートを潰そうとしていた!

 

ジェイドがロバートの襟首を掴んで引っ張っると、石像は腕を地面に叩きつけた。

 

前にいたルークが後ろの異変に気付いて「何だっ!?」

 

ジェイドが槍を石像の足元に向かって攻撃すると、石像はバランスを崩して倒れたがすぐに起き上がった

 

ジョゼフとクルーガーは銃で石像を撃つが「ダメだ!硬すぎて銃が効かない!」

 

するとマインドルフが「そこをどけ!」隠し持っていたM24型柄付手榴弾を石像の足元に投げた! 石像は爆音と共に粉々に砕けた。

 

ジョゼフ 「今のは何だ?この石像…」

 

ジェイド 「これは…侵入者撃退用の譜術人形のようですね…」

 

ガイ   「ロバート、大丈夫か?」

 

ロバート 「大丈夫な分けないだろ!あんな石像がいきなり後ろに来て攻撃してきたんだぞ!」(本当に死ぬかと思った…)

 

ジェイド 「それにしても、中佐のお蔭で助かりました」

 

マインドルフ「なに、たまたまポケットに手榴弾があった…それだけだ」

 

ジョゼフ(それじゃぁ、今までポケットに手榴弾入れていたのか?)

 

ティア  「でも、今の爆破音で私達がここに来たのがバレたわ…」

 

イオン  「アリエッタは耳が良いですから、今の音が聞こえた筈です」と、不安そうに呟いた。

 

クルーガー「イオン安心しろ、何があろうと俺が守る」

 

アニス  「あの〜張り切ってるところ悪いんですが、 イオン様を守るのはフォンマスターガーディアンである私の仕事ですから!」

 

ルーク  「フ、フォン、マスター……何だ?」

 

ティア 「フォンマスターガーディアンていうのは、ローレライ教団の導師イオン様を守る親衛隊の事よ」

 

ルーク 「そんなのがあるなら、クルーガーがイオンを守らなくていいじゃん」

 

クルーガー「∑(゚Д゚)」

 

ジェイド 「まぁ、元々はアニスがイオン様を守る役目でしたからね」

 

アニス  「そういう事で〜す。だからクルーガー、これからはアニスちゃんがイオン様をお守りしま~す。【ニコッ】

 

ロバート(おいおい、そんな事言ったらクルーガーが発狂するぞ)

 

クルーガー「じゃぁ俺もそのフォンマスターガーディアンになる!」

 

ティア 「えっ!?クルーガー」

 

ガイ (本気で言ってるのか!?)

 

アニス 「残念〜フォンマスターガーディアンは女の人じゃぁないとなれないんですよ~」

 

クルーガー「な、何だと!?クソッそんな…残酷な事で……(T-T)」

 

ロバート 「いや、泣くなよ……おい……」

 

アニス 「あっ!でもクルーガーは私が居ない間イオン様を守ってくれましたし、特別に入れる方法を教えてあげようかなー」

 

クルーガー「Σ('◉⌓◉’)!?は、入れる方法が……あるのか!?」

 

アニス 「あるのはあるけど…教えるのには、ガルドが必要ねぇ」

 

しかしクルーガーはガルドを待っていない…でもクルーガー「いいだろう、それなりの金は持ってる!」(毎日毎日イオンの傍に居られるなら、(*´Д`*)ふふっふふふっふふ…)

 

ロバート 「クルーガーお前……軍の仕事はどうするんだよ?」

 

クルーガー「………本日をもって辞めます…」

 

ジェイド 「アニス、それ位にしときなさい…クルーガーの目は本気です」

 

ジョゼフ(これは早いとこイオンが男だと言わないとな…)

 

 

 

少し歩くと階段が見えた…

 

ルーク  「上と下…どっちに行けばいいんだ?」

 

ティアが何かに気付く「これは靴の跡だわ……この上に行ったのね」

 

アニス  「きっとアリエッタよ!」

 

ルーク  「上にいるのか…なら行こうぜ!」

 

ティア  「待って!まだ上にいるとは限ら…」目の前にハンスが現れモーゼルC96をルークに向けて撃ったが、ルークの後ろの壁に当たっただけだった…

 

ハンスは階段を上に向かって走っていた。

 

ルーク  「待ちやがれ!」

 

アニス  「あっルーク様、先に行かないで下さい!」

 

イオン  「待ってください、僕も行きます!」

 

クルーガー「あっイオン…!?俺も行く〜ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3」 次々に階段を駆け上がっていく…

 

ジョゼフ 「おいっ待て!行くな!」

 

マインドルフ「やれやれ、行ってしまったな…罠かもしれないのに…」(あの男…わざと外したな…)

 

ジョゼフ達もルーク達を追って階段を上がりコーラル城の屋上に出た

 

ルークはまだハンスを探している「彼奴何処に行った……んっ…?」

 

日陰になったかと思うと上空から、魔物がルークに掴み掛かって来た!

 

ルーク  「わぁぁぁぁっ!」魔物はルークを捕まえると持ち上げ旋回すると、次にイオンの方へ向かい空いているもう一方の足で捕まえにかかった…

 

アニスはそれを見てイオンの前へ飛び出そうと身を乗り出す「イ…イオッ…」横でクルーガーが素早く立ちふさがり「イオン!危ない!」 イオンの代わりにクルーガーが捕まった…

 

ルーク  「何でお前まで捕まってるんだよ!」

 

クルーガー「すまない…」(でもアニスよりも早くイオンを守れたから…良し!(^ω^))

 

しかし魔物はすぐにクルーガーを離し、クルーガーは落ちて行く 「あぁぁああああ!((((;゚Д゚)))))))」そのまま地面に「うっ…くっっ…」

 

魔物に捕まったままルークはジョゼフに渡されたM1911拳銃を使い、腹にニ発打ち込んだ!すぐにルークを離したが地面に強く叩きつけられてしまった。

 

ルーク  「痛っ…てててっ…」

 

ガイ   「大丈夫か!ルーク」

    

ルーク  「ああぁ、何とか…」

 

ジョゼフ 「クルーガーは?」

 

クルーガー「_:(´ཀ`」 ∠):」うぅぅ~」

 

イオン  「すみませんクルーガー、僕のせいで……」

 

ティアは急いでクルーガーへファーストエイドを使った(貴方これで3回目よ!)

 

アニス(も〜、イオン様を守るのが私の役目なに……)

 

前方を見るといつの間にかそこにはアリエッタの姿が…斜め後ろにハンス・ギュンシュもいる

 

ジョゼフ・カール・クルーガーは銃を構えた!

 

ルーク  「そこのでかいの、お前は何者だ!」

 

ハンス  「……………」

 

アリエッタ「無駄です……ハンスはしゃべりません……特に………アリエッタのママを殺した人達には!………」

 

ルーク  「何っ!?」

 

マインドルフ「ママを殺した?そんな事をしたのか君らは?」

 

ジョゼフ 「!俺達は、お前のママを殺していない!」

 

アリエッタ「嘘つき!ママの心臓から…これが…出てきたもん!」アリエッタは薬莢を投げつけた。

 

それをカールが拾い…「これは……M1911銃の薬莢だ…」

 

アリエッタ「ママは…家を燃やされて…チーグルの森に住み着いた……ママは……ママはアリエッタの弟と…妹と一緒…暮らしていただけなのに!」

 

ティア  「まさか……ライガの女王の事?」

 

イオン  「アリエッタは赤ん坊の頃、ホド戦争で親を亡くして、それからライガの女王に拾われたんです。」

 

ジョゼフ 「あの時…イオン…その場にいたのにどうして…言わなかった?」

 

イオン  「まさかあの時は…戦闘になるとは思わなかったのです…でも僕にも責任があります。」

 

アリエッタ「イオン様……」

 

マインドルフ「話しは変わるか…その男は?」

 

アリエッタ「ハンスは…」

 

アニス 「どーせ、アリエッタの新しいペットでしょ!」

 

アリエッタ「違うもん!ハンスは………ハンスはアリエッタ…友達だもん!」

 

アニス 「と、友達!?」

 

マインドルフ「友達……分かりやすい嘘だ」

 

アリエッタ「酷い…!何でそんなこと…」……アリエッタが泣きそうになっている

 

追い打ちをかけるようにルークが「俺だったらそんなでかぶつと友達になりたくねぇな!」

 

アリエッタはぬいぐるみに顔を埋めてしまった…

 

ティアはルークに向かって「貴方、女の子を泣かすなんて最低ね!」

 

ルーク  「何でだよ…マインドルフだって言っ…」突然、ルークの目の前にハンスが現れ

 

ルーク  「なっ!?」

 

ハンスは目が怒っている様だった「…………」腹を殴った!! 

 

ルークは「くぅぅ~」と唸り気絶してしまった。

 

ハンスはルークを抱えたまま、屋根伝いに下の方へ移動して行き、隣りの塔の窓を蹴破り消えて行った…その間にアリエッタは魔物に摑まり、隣りの塔へ移動していた…

 

アニス  「待ちなさい、アリエッタ!」

 

ジョゼフ 「後を追うぞ!」

 

 

 

 

ルークは青白く光っている装置の台に寝かされていた…その周りにはモニターの様な物が幾つか映し出されていた

 

ルーク  「ん、ん〜」

 

ディスト 「…な~るほど。 音素振動数まで同じとはねぇ、これは完ぺきな存在ですよ。」

 

シンク  「そんな事はどうでもいい…奴らがここに来る前に 情報を消さなきゃならないんだ…」

 

ディスト 「そんなにその情報が大事なら、 アッシュに装置を使わせなきゃ良かったんです」

 

シンク  「あのバカが、勝手に使ったんだ…ほら、こっちのバカも…!?」ルークの方を見る……とルークは持っていた拳銃を上に向けって三発撃った!!すると機械に命中し…ルークの周りにあった光が消えていった…

 

ディストは驚いて「わ、私はこれで失礼させてもらいます。後は任せましたよ!」そう言い残して外へ逃げていった

 

ルークはシンクに狙いを構えながら起き上がり「お、お前…俺に何をした…」

 

シンクは少しも驚かずに「あ〜あ、まだ途中だったのに… 」

 

ルーク  「おい、質問に答えろ……!?」

 

シンクは腰の所に黒のホルスターを着けていた……素早くホルスターに手を伸ばすとワルサーPPを手に取り、ルークの顔の横に1発撃った…ルークは驚き息をのんだ!

ルーク  「銃!?何で持ってるんだ!」

 

シンク  「答える義理はないね…」 突然、爆破音が辺りに鳴り響いた…

 

ジョゼフ 「ルーク!」

 

ルーク  「ジョゼフ!?」

 

シンク  「チッ!」舌打ちしジョゼフ目がけて2発撃った!

 

ルーク  「止めろ!!」立ち上がりシンクに向かって体当たりした……が、シンクはぶつかる寸前に後ろに退いた!

 

シンクは銃をホルスターに収めながら「お前を殺したいところだが、今は止めといてあげるよ」そう言い残して走り去って行った…

 

ジョゼフがルークへ駆け寄り「ルーク大丈夫か?怪我はないか?」

 

ルーク  「俺は大丈夫……どうやってここが…場所が分かったんだ?」

 

ジョゼフ 「最初に入った部屋に開かない扉が在ったろう…そこに戻った時に扉の向こうから銃声が聞こえて……どうしても開かなかったから 持っていた手榴弾を使って破壊したんだ…少し乱暴だったが」

 

ジェイドはルークが横になっていた機械を見て…「これは…」

 

マインドルフ「どうしましたか?大佐…」

 

ジェイド 「いえ……何でもありません…」

 

ガイ   「ルークが無事な事も分かったし、アリエッタと人質を探しに行こう」

 

 

みんなが部屋を出て行き始めると、ジェイドは装置から音譜盤を取り出した…

 

 

 

 




M1911拳銃……アメリカのコルト・ファイヤーアームズ(コルト)社が開発した軍用自動拳銃・100年間ちかく使われている

ワルサーPP……ドイツのカール・ワルサー社が1929年に開発・PPとは警察用自動拳銃を意味する

M24型柄付手榴弾……第一次世界大戦中にドイツで開発された柄付き手榴弾・イギリス軍将兵からポテトマッシャーという俗称がつけられた


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第17話

-------ジョゼフ・ルーク・ティアが出会ったばかりの頃、アリエッタとハンス・ギュンシュは-------

 

 

アリエッタ「ハンス……何か食べたい物…ありますか?」

 

ハンス  「……………」

 

アリエッタ「……ごめん…なさい………その料理は分かりません……」

 

ハンス  「………………」

 

アリエッタ「えっ………じゃあアリエッタの好きな料理でいいよ……ですか…………じゃあアリエッタの得意な料理………作ります」

 

アリエッタはキッチンに行くと料理を作り始めた……しかし作るのはいいが、アリエッタの身長を考えると遠くの物を取るのは難しい……

 

アリエッタ(あっ、もうすぐ鍋が沸騰する…あっ、オーブンから肉を出さないと黒焦げになっちゃう……)アリエッタが料理を作るのは実に2年ぶりである……

 

アリエッタ「は、早く、鍋の火を消さないと……」

 

ハンス  「……………」カチっと火を消してくれた

 

アリエッタ「ハンス……アリエッタが料理を作りますから…向こうで座って待って……てください…」

 

ハンス  「……………………」

 

アリエッタ「えっ、座ってるだけでは暇だから…アリエッタの手伝い…したい………ですか……それと後ろのオーブン中の、早くとらないと…黒焦げになるよ……!?」

 

アリエッタは急いでオーブンを開け、中を確認した……肉は丁度いい焼き加減になっていた

 

アリエッタ「教えてくれて……ありがとう…ございます………その………そこにある……じゃがいも………むいてくれませんか………」

 

ハンス・ギュンシュとアリエッタは2人で料理を作ることにした

 

デーブルの上には、作った料理が並べてあった……二人は椅子に座った

 

アリエッタ「ハンス……うまい………ですか」

 

ハンス  「…………」

 

アリエッタ「!……………そうですか………作ってよかったです」

 

 

博士   「ん〜〜なんだろ〜〜あの熱々のゆで卵2匹は〜〜次は私が料理を振る舞ってあげよう(^ω^)」

 

軍服の男 「…博士、やめてください」

 

シンク  「それより…何でアリエッタはハンスの言っていることが解るの?」

 

 

 

 

 

 

階段を行く……屋上と地下に繋がっている…

 

ジョゼフ 「ここからは二手に分かれよう、俺とカール・ロバート・クルーガー・マインドルフは下に行く」

 

クルーガー「えっ!?俺も行くのか!?」

 

ジョゼフ 「当たり前だろう、お前まさかイオンといるつもりか?」

 

するとアニスが嬉しそうに「クルーガー、イオン様は私がお守りしますから安心して行って下さい❤️」

 

クルーガー(この女…(◞≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽))

 

ティア  「ジョゼフ、気を付けて……」

 

ルーク  「気を付けろよ…」

 

ジョゼフ 「お前達も…」

 

マインドルフ(羨ましいな、あんな事を言ってくれる人がいて…)

 

ジェイド 「足元と頭に気を付けて下さいね、中佐」

 

マインドルフ「大佐も後ろには気を付けて下さい」

 

5人と6人に分かれルーク達は上へジョゼフ達は下に行く事になった

 

下りるにつれ段々と薄暗くなっていく……下に着くと暗くて道の先はあまり見えない…

 

ロバート 「暗いな…」

 

カール  「地下室ですからね…」

 

ジョゼフ 「分かってると思うが離れるなよ」

 

クルーガー「早く終わらせてイオンのところに戻ろうぜ」

 

ロバート(いい加減イオンから離れろよ…)

 

マインドルフは天井と壁を見た「…………これはマズイな」

 

カール   「何が…マズイですか?」

 

マインドルフ「上の方は、手入れされていたが、ここ地下は全然手入れされていない…今でも崩れそうな感じだ…」

 

ロバート  「おいおい、今から行くっていうのに嫌なこと言うなよ中佐…」

 

マインドルフ「とにかく、銃はあまり使わない方がいい…それと爆弾は絶対ダメだ」

 

ジョゼフ  「分かりました、中佐の言う通りにします」

 

少し歩いて行くと…横に扉が見えてきた

 

ロバート 「中に入るか?」

 

ジョゼフ 「俺から入る、後からカール・ロバートが入れ」

 

ジョゼフは銃を構えながら入っていく…後ろからカールが続く

 

カール 「この部屋は教会の作りに似ていますね……」

 

ローレライ教団のシンボルマークもあった…

 

歩き回っているとジョゼフは何かを踏んだ「ん?何だ…」下を見るとそれは、ワイヤだった…それを辿ってみると扉の上に爆弾があった!

 

ジョゼフ「ロバート!戻れ!」

 

ロバート「えっ?」 カチャッと音が聞こえ同時に爆発した!

 

ジョゼフとカールは爆風で倒れこんだ

 

ジョゼフ「うぅぅ…カール…大丈夫か………!?」

 

カール 「…自分は…何とか……」

 

扉は瓦礫に埋もれてしまった

 

ジョゼフ「ダメだ塞がれている!」

 

カール 「軍曹!後ろ!!」

 

ジョゼフが後ろを見ると柱の陰からハンスが出てきた…ジョゼフは銃を構えようとしたが、手に銃はなかった(俺のトンプソンがない……今の爆風で飛ばされたか!?)

 

ハンスの手には起爆装置があった…が、もう必要無いと判断したのか起爆装置をしまいながらジョゼフに向かって走って来た!

 

ジョゼフはその速さに驚いた!カールはジョゼフに向かって走るハンスの足元を狙って撃った…

 

カール「軍曹!自分が彼奴を止めます、 その間に銃を……早く!」

 

ジョゼフは急いで銃を探した(何処だ!?)

 

カールはハンスを撃つが、かすりもしない…「クソッ!速すぎる」

 

ハンスは大きな石を拾うとカール目掛けて投げつけた!

 

カールはギリギリで避けた(何で銃を使わないんだ!?)そう考えているうちマガジンが空になった…急いで新しいマガジンを入れ替え様とした時、ハンスが真っ正面に現れ一直線に走ってきた!

 

カール(こいつ…俺がマガジンを入れ替えるのを待っていたのか!?)

 

ハンスはカールの首を掴むと、後ろの壁に叩き付けた!

 

ジョゼフ「カール!」

 

ハンスが首から手を離すとカールは地面に崩れ落ちた……動かない……『次はお前だ』と言わんばかりにジョゼフを見た………ジョゼフはその眼つきの鋭さに思わず後ずさりをする…と、何かを踏みつけた…無くしたトンプソンだ!

 

気を取り直してジョゼフは素早くトンプソンを手に取りハンスを狙う…が、それよりも早くハンスはジョゼフの腕を掴み上げ、腹を殴りにかかった!トンプソンの弾はむなしく天井に当たった…「ぐぼっっ!」次にジョゼフの背中を殴り……首根っこを掴み持ち上げると顔を5発ほど殴った「うぅう……」そしてジョゼフの首を絞めつける「くっうぅ…」苦しい…少しずつ意識が遠のいていくのが、自分でもわかった………

 

    …「ジョゼフ」…

 

ジョゼフ 「……」

 

ユリア  「……ジョゼフ…あなたはまだ死んではなりません…」

 

ジョゼフ 「…貴方は…」

 

ユリア  「私は貴方に力を与えました、この世界に来る前……」

 

ジョゼフ 「来る…前に……」ジョゼフは無意識に腕を伸ばす

 

ハンス  「……………」

 

すると突然、ジョゼフの体が光り始めた!

 

ハンス  「!?」

 

ジョゼフの手の先から光が出てハンスは後に飛ばされ、壁にめり込んだ…

 

ジョゼフ 「ゲホッ、ゲホッッ…」(い、今のは?………いや、考えるのは後だ…今はこいつを何とかしないと……)

 

ハンスは立ち上がり、凄まじい形相でジョゼフの方に歩いてくる…ジョゼフは何か武器になりそうな物はないか辺りを探し見る(アレは!) 部屋の隅にトンプソンがあった…ハンスはすぐ後ろまで来ている…ジョゼフは 走りこんで銃を取り無我夢中で撃った! マガジンの中に弾は1発しか入っていなかった…が、それが命中しハンスは倒れこんだ

 

ジョゼフ(殺ったか…)ホッとした……が、ハンスは何事も無かったかのように立ち上がった!

 

ジョゼフは驚いた!「なにっ!?」

 

ハンスはジョゼフに近づくと……腰にあるモーゼルC96を取りジョゼフの頭に向けた

 

ハンス  「……………」

 

ジョゼフ(ここまでか……わるい、ルーク・ティア…ただの怪我じゃ済まない様だ……)と思いながら、目を瞑った……ドーン、と音が聞えた(俺は死んだのか…)ジョゼフが目を開けるとハンスは止まり、血が流れていた…横には、ルガーP08を構えたマインドルフが居た……ハンスに銃を向けながら「倒れないって事は…まだ足りないようだ…」そう言うとハンスに向けて更に4発撃った……ハンスはゆっくりと横に倒れていった…

 

ロバート 「ジョゼフ、大丈夫だったか?」

 

ジョゼフ 「どうやってこの部屋に入って来たんだ?扉は塞がれていたはず…」

 

ロバート 「この部屋の隣にもう1つの部屋があって、辺りを調べてたらこの部屋に繋がる道があったんだ……ところでカールは?」

 

ジョゼフ達は周りを見回して、倒れてるカールを探し出した

 

クルーガー「大丈夫か!カール、一体何が起きたんだ!?」

 

ジョゼフ 「説明は後からする……今はルーク達の所に行こう…」

 

ロバートがカールを背負うと同時に部屋が揺れ始めた!

 

マインドルフ「さっきの爆発のせいでここは…崩れるぞ!」

 

ジョゼフ 「入り口に走れ!」 出ると直ぐに地下室の入り口は塞がれた

 

ロバート 「危なかった、もう少しで生き埋めになるところだったぜ」

 

ジョゼフ 「早くティアに頼んで、カールを治してもらわないと…」

 

クルーガー「ところでジョゼフ、お前怪我は無いのか?」

 

クルーガーの言葉で気が付き確かめてみると、ハンスに殴られた痕が綺麗に無くなっていた(あれだけ殴られたのに…どこも怪我をしていない?)

 

マインドルフ「怪我をしてるなら早く治した方がいいんじゃないのか…」

 

 

 

5人が上に行くと

 

ジョゼフ「ルーク、ティア…」

 

ティアとルーク「ジョゼフ!」

 

ルーク 「大丈夫だったのか?」

 

ジョゼフ「俺は大丈夫だ、それよりティア急いでカールを治してくれ!」

 

ティア 「分かった……ここに寝かせて…」

 

カールを地面に寝かせるとティアはカールにファーストエイドをかけた

 

ガイ  「地下室で何があったんだ?」

 

ジョゼフ「地下室に整備士は居なかった…代わりに居たのはあのハンスだ…待ち伏せされ…何とか倒したがカールが怪我を負ってしまった」

ルーク 「ハンスはどうしたんだよ?」

 

ジョゼフ「その後地下室は崩れ今頃は埋まってる……しまった!地下の他の部屋はまだ確かめていない…!」

 

ティア 「それなら大丈夫よ、整備士ならあそこにいるわ」指差す所で整備士が横たわっている…気を失っている様だった…

 

ジョゼフ「良かった…」

 

マインドルフ「下にはあのハンスが……ってことは…上にはアリエッタがいたのか?」

 

アニス 「中佐当たってますよ、ここでアリエッタが私達を待ち伏せしていたんですよ」

 

ルーク 「まぁ、手強い相手だったけど何とか倒したぜ」とアリエッタの方を見る……アリエッタは気絶していた……ジェイドはかがみこみ持っていた槍をアリエッタの首に向けた

 

イオン 「止めてくださいジェイド!アリエッタを殺さないで下さい」

 

イオンがジェイドを止めているとマインドルフが「無抵抗な女性を殺すのは感心しないな、大佐…」

 

ジェイド「…分かりました…アリエッタの事はイオン様にお任せします。」

 

ジェイドがアリエッタから離れようと身を起こすと、突如ハンスが現れジェイドを殴った! ジェイドは咄嗟に槍でガードし、後ろに下がるしかなかった…

 

ジョゼフ「彼奴、撃たれた筈なのにまだ動けるのか!?」

 

ハンスは血を流している……アリエッタを抱えた……

 

アリエッタはぼんやりと眼を開け「……ハンス…」

 

ハンス  「……………」

 

ハンスはそのまま隅まで後ろに下がって行った…

 

ガイ   「彼奴一体何をするつもりだ?」

 

ティア  「!?まさか、飛び降りる気じゃ!」

 

アニス  「えっ!この高さから!?」

 

ハンスはアリエッタを抱えたまま更に下がっていった……

 

イオン  「アリエッタ!!」

 

イオンは走って行き下を見た…とても遠くに海面が見えたが岸壁に叩きつけられる白波で良くは見えなかった…

 

クルーガー 「イオン!そんなに身を乗り出したら落ちるぞ!」

 

ルーク   「…なぁ……死んだのか?」

 

ジョゼフ  「分からない…この高さから飛び降りたら…」

 

マインドルフ「大佐…本気であの娘を殺すつもりだったのですか?」

 

ジェイド  「私がそんな人間に見えますか?」

 

マインドルフ「正直言って……少しね…」

 

ジェイド  「…そうですか…まぁそう見えても仕方ないですね」

 

後ろの方から大勢の足音が聞こえ、鎧を着た兵士達が現れた…

 

ジョゼフ  「何だ敵か!?」

 

ガイ    「違う、キムラスカ兵だ」

 

キムラスカ兵「大将!こっちにカイツール軍港を襲ったと思われる者達がいます!」

 

ルーク   「襲った者達って…俺達のことか!?」

 

ジョゼフ  「ちょ、ちょっと待て!俺達は違う!」

 

キムラスカ兵の中から男が出てきた…

 

  ?   「カイツール軍港を襲った者達に告ぐ、 直ちに武器を捨てて投降しろ!」

 

ガイ    「あなたは、アルマンダイン大将!」

 

アルマンダイン「お前は…ファブレ公爵家の使用人…なぜここに?」

 

ルーク    「おいっ!今すぐ武器を下ろせ!俺はルーク・フォン・ファブレだ!」

 

アルマンダイン「ルーク様!?」

 

 

ガイはここでの事を説明した…

 

アルマンダイン「そういう事でしたか……ルーク様が国境を通ったとの報告を受けましたが……まさか本当に……」

 

ルーク    「俺達は船でバチカルに向かうから、使えそうな船を修理しくれ」

 

アルマンダイン「…分かりました。カイツール軍港に着いたらすぐに使える船を修理させます。それと整備士を助けて頂き有難うございます……」

 

 

 

キムラスカ兵が乗ってきた馬車でカイツール軍港まで行くと、整備士はすぐに船の修理に取り掛かった…幸い損害の少ない船が一隻あった

 

ジョゼフ  「これに乗って行くのか…」

 

マインドルフ「横にプロペラがついているが…これは飛ぶのか?」

 

ジェイド  「中佐これは飛びませんよ、それとも空を飛ぶ船があるのですか?」

 

マインドルフ「大佐…私は冗談で言ったんです」

 

ジェイド  「私としたことが、1本取られましたね〜」

 

ルーク(…爺ぃの会話だな…)

 

ロバート「…先に中に入って、カールを休ませようぜ…」

 

 

 

数時間後、ルーク達が乗る船は修理されケセドニアへ向かった…一部始終をキムラスカ兵になりすましていた親衛隊が無線で報告していた

 

…奪われたタルタロス内では…

 

軍服の男 「さっきカイツール軍港に私の部下が潜入し聞いたところでは…彼等は既にケセドニアに向かったようだ」

 

リグレット「そうか…思ったより早かったな…」そう言いながら軍服の男の前に立ち顔を近づけると「ディートリヒお前はまた、私に黙ってカイツール軍港に自分の部下を送ったのか……」

 

シンクは壁に寄りかかり腕組みをしたまま「こんな時に2人で何やってるのさ?」

 

ディートリヒは占めたとばかりに「シンク戻っていたのか、ハンスはどうした?」

 

シンク   「アイツなら、アリエッタにべったりくっついてるよ」

 

ディートリヒ「そうか、それは役に立ったか?」…ワルサーPP

 

シンク   「まぁまぁだね…」

 

ノックがした…SSドイツ隊長「遅れて申し訳けありません」

 

ディートリヒ「言い訳はいい、それよりフーブラス川で一体何があった?」

 

SSドイツ隊長「……眠らされました……」

 

ディートリヒ「眠らされた?どういう事だ?」

 

SSドイツ隊長「はい、奇襲をかけて捕虜にしたまでは良かったのですが……敵の1人が歌をうたい始めると突然眠気に襲われて…」自分が敵に捕らえられた事は伏せておいた

 

リグレット(ティアの譜歌か…)

 

ディートリヒ「彼らの中にアメリカ兵は居たか?」

 

SSドイツ隊長「はい、4人ほど……それと、1人裏切り者が…」

 

ディートリヒ「裏切り者……何者だ?」

 

SSドイツ隊長「ドイツ国防軍の人間です。階級は中佐、名前はマインドルフと名乗っていました」

 

ディートリヒはマインドルフの名前を聞いた時、一瞬こわばった……

 

リグレットはそれを見逃さなかった「どうした…知り合いか?」

 

ディートリヒ「いや………知らない………お前達もシンクと共に行け……フーブラス川での失態を繰り返すな!」

 

SSドイツ隊長「はっ!」

 

シンク   「要らないよ、僕は1人で行く」

 

ディートリヒ「そういう訳にはいかない、相手は大勢いるんだ」

 

シンク   「それでも必要ないよ、それに邪魔だ」

 

ディートリヒ「それでも連れて行け」

 

シンク 「僕に命令しているの?」

 

ディートリヒ「命令じゃない…心配なだけだ」

 

リグレット 「それより、どうやって追い着くつもりだ?」

 

ディートリヒ「その事なら大丈夫だ…そろそろ来る…」

 

リグレット 「何が来るんだ?」

 

遠くの方から聞きなれない音が聞こえてきたかと思うと、それはあっという間に大きくなりリグレットが窓の外を見てみると…それはドイツ空軍のフォッケ・アハゲリス Fa 223だった……

 

ディートリヒ「これに乗っていけば彼らよりも早く着くだろう」

 

リグレット 「いいのか、空の上だと目立つんじゃなかったのか」

 

ディートリヒ「その心配は無用だ…海上なら大丈夫だ、それに上からの許可も取っている」

 

リグレット 「我々の許可はどうした?」

 

ディートリヒは珍しく神妙な顔で「…すまない…許可を得たい…」

 

リグレット「……いいだろう…」

 

シンク(1人の方が楽なのに……)「僕の気が変わる前に行くぞ!」

 

ディートリヒ「ケセドニアに着いたらシンクの言う事に従え…さっきの裏切り者は生きたまま捕らえろ、いいな」

 

SSドイツ隊長「承知致しました!」

 

ディートリヒ「さて……私は裏切り者の事を報告しなければ……」

 

シンクはSSドイツ兵と共にケセドニアに向かった……

 

 

 




ルガーP08……ドイツで開発された自動拳銃(ルガーの開発した9mmパラベラムはその他にワルサーP38がある)

Fa 223 (航空機)……第2次世界大戦時にドイツのフォッケ・アハゲリスで開発されたヘリコプター・生産開始:1942年・生産数:11機


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第18話

ジェイドは一人、船内の一室にいた…後ろの扉が開く音がした…

 

マインドルフは扉を開けながら「すまない、驚かすつもりはなかった……何をしているんだ?」

 

ジェイド  「いえ、ちょっと調べ物がありまして…」

 

マインドルフ「そうだったんですか」(大佐が持っているのは何だ…?少しレコード盤に似ているが…)

 

ジェイド  「別に近くで見ても構いませんよ、中佐」

 

マインドルフはジェイドの傍に行くと「…ところで、その手に持っているのは何だい?」

 

ジェイド  「これは音譜盤と言って、さまざまなデータが記録された情報円盤です。」

 

マインドルフ「それは凄いな…で、いったいその音譜盤には何が記録されているんだ?」

 

ジェイド  「それを今から見るつもりです」言い終わると情報円盤を解析機にかける…するとスクリーンに幾つもの文字や数字が次々と映し出されていった

 

マインドルフは驚いた「これは……いったい何なんだ?」

 

ジェイドは難しい顔をして「ルークがこれを知ったら…私を…殺したいほど恨むかもしれません……」

 

マインドルフ「?大佐……」

 

 

 

 

マインドルフとジェイド以外は全員部屋にいた

 

アニス  「あれっ?大佐と中佐は何処にいったの?」

 

ガイ   「旦那は奥の部屋で、手に入れた情報円盤の中身を調べているよ…マインドルフは知らないなぁ」

 

ジョゼフ・クルーガー・ロバート達は持ち物の点検をしていた

 

ルーク  「何をしてるんだジョゼフ?」

 

ジョゼフ 「俺達が所持している弾薬を確認しているんだ…」

 

ロバート 「ジョゼフ、お前のトンプソンの弾は大丈夫なのか?」

 

ジョゼフ 「トンプソンはあっちこちで使ったからなぁ、そろそろキツい」

 

クルーガー「俺はあまり使って無いからな…弾薬はまだまだ大丈夫だぜ」

 

ロバート 「それはお前が戦ってないからだろう…」

 

ガイ   「弾は作れないのか?」

 

ジョゼフ 「作るとしても、材料と機械が無いと無理だ……ルーク、コーラル城で渡した銃を見せてくれ」

 

ルークがM1911をジョゼフに返すと、マガジンは空になっていた……M1911のマガジンは残り新品の一個しかない

 

ティア  「あなた、もうちょっと節約して撃てないの?」

 

ルーク  「そんな事言っても…撃ってるうちに無くなってしまうんだよ!」

 

ティア  「それはジョゼフの物なのよ、弾が無くなって困るのはジョゼフなんだから…」

 

アニス  「何か…ティアってジョゼフの代わりにルークを叱っているよね」

 

ジョゼフ 「ティア、俺なら気にしてない…弾が無くなる事は分かっていた事だ」(トンプソンより早くM1911の弾が無くなるとはな)

 

クルーガー「無くなったら俺のを使えよ…まだあるからよ」

 

 

カールが目を覚ました「…ここは?」とベットから出ようとするのをティアが「まだ寝てないとダメよ」と制止した

 

カール  「…自分は…何があったんですか?」

 

ジョゼフ 「お前はハンスに首を掴まれ、壁に叩き付けつけられて気絶したんだ…」

 

ティアは袋から回復薬のアップルグミを取り出し、カールに渡した「これを食べて、元気になるわ」

 

カール  「すみません軍曹…自分が油断していたばっかりに…」

 

ジョゼフ 「気にするな…それよりも、お前には感謝している…あの時ハンスの注意を引いてくれなかったら、やられていた…」

 

扉が開いて、マインドルフとジェイドが入ってきた

 

ガイ   「二人一緒だったのか…何をしていたんだ?」

 

ジェイド 「コーラル城で見つけた音譜盤を見ていました、中佐と一緒にね」

 

ルーク(うわぁ~オッサン2人で暗い部屋で見てたのかよ)

 

イオン  「何が記録されていたんですか?」

 

ジェイド 「いえ、それが……音譜盤は一部破損していて解りませんでした。 おそらくデータを入れていた途中で装置を壊したせいでしょう」

 

全員がルークを見た

 

ルーク  「な、何だよ、俺のせいって言いたいのかよ!」

 

ガイ   「いやぁ…そういう訳じゃないんだが…」

 

ルーク  「じゃあ…何で見たんだよ!」

 

ジェイド 「ともかく、音譜盤の中の記録では、同位体の研究をしていたみたいです。それとローレライの音素振動数【フォニム振動数】も記録されていました」

 

ジョゼフ 「何だ、そのフォニムっていうのは?」ルークに尋ねた

 

ルーク  「俺に聞くなよ、俺もさっぱり分からねぇよ!」

 

マインドルフ「私は横で見ていましたがさっぱり分かりませんでした、大佐説明してもらえませんか?」

 

ジェイド 「いいですよ…フォニム振動数とは全ての物質が発している振動パターンのことで指紋のように同じものはないとされています。同位体はフォニム振動数が全く同じ二つの個体のことで、人為的に作らないと存在しません。それと…」

 

ルーク  「あぁ~もう!難しい話しは止めろよー」

 

ジェイド 「そうですね。ルークにはちょっと難しかったですね。」

 

ロバート・クルーガー(俺にもさっぱりわからん)

 

マインドルフ(なるほどな…)

 

アニス  「でも、昔研究されたっていうフォミクリーって技術なら同位体が作れるんですよね?」

 

マインドルフ「フォミクリーとは?」

 

ジェイド 「フォミクリーとは複写機みたいなもので、見た目はそっくりですがフォニム振動数は変わってしまい同位体はできませんよ……そう、例えばあなたが持っている銃や弾や、あらゆるものがフォミクリーで作れます。」

 

マインドルフ「それは、人間もかい?」

 

ジェイド 「……はい、生き物でも何でも作れます……しかし生物フォミクリーは禁忌とされています。誰であろうと許されません」

 

ロバート 「へぇーそんな事ができるなら、弾でも銃でも幾らでも作れるって事か…」

 

マインドルフ(スターリンやヒトラーが欲しがりそうだな…)

 

クルーガー(そんなのがあるんなら………イオンも!?大量生産ができる……俺って天才か!?∑(゚Д゚))

 

ジェイド 「まぁ話はこんなところです。お腹も空いてきましたしそろそろ夕食にでもしましょうか…」

 

全員が晩御飯を食べると各自部屋に戻り眠りについた…後…ルークは静かに部屋を出て行った…

 

ジョゼフ (…ん?こんな時間に何処へ行くんだ…)

 

クルーガーの寝言「う〜ん…イオンの大量生産ん〜」

 

ジョゼフ「大量生産って何だ?……いや、それよりもルークを追おう」

 

ルークを探していると、外で海を眺めていた…月明かりで光っていた

 

ジョゼフ 「どうした眠れないのか?」

 

ルーク  「あぁ…ジョゼフか…まぁな…あと少しで家に帰れるっていうのに何だか落ち着かなねぇ……色々あったからなぁ」

 

ジョゼフはルークの隣りに立つと「ルーク、家に帰ったら何をする?」

 

ルーク  「えっ?そうだなぁ…まずは代わりの剣を…その前に母上に顔を出して…いやその前に父上を、伯父上、ん〜あぁっー!」

 

ジョゼフ 「ルーク、まずは親書が先だろう…」

 

ティア  「こんな時間に二人で何を話してるのかしら?」

 

ルーク  「何だよ、お前も眠れないのか?」

 

ティア  「私は月明かりで海がきれいだと思って…」

 

ルーク  「へぇ~お前でもそんな事に興味があるんだ…」

 

ジョゼフ 「ルーク失礼だぞ!」

 

ティア  「いいわよ私は全然気にしてないから、それよりジョゼフはバチカルに着いたらどうするの?」

 

ジョゼフ 「そうだなぁ俺は…家に帰る準備でもするか」

 

ルーク  「えっ!帰る方法が分かったのか?」

 

ジョゼフ 「いや…冗談だよ…」

 

ルーク  「何だ冗談かよ…びっくりさせるなよ!」

 

ティアがクスッと笑うとルークが「何がおかしいんだよ」

 

ティア  「ジョゼフも冗談を言うのね…初めて聞いたから……結局のところ2人とも考えて無いって事ね」

 

ルーク  「なぁぁ!?どこら辺から聞いてたんだよ」

 

ジョゼフ 「あぁはっはっはぁ…」

 

ルーク  「何だよ…」

 

 

 

 

 

ジョゼフ達は無事ケセドニアに着いた…船を降りるといきなり憲兵隊に止められた「すみませんが武器をこちらに預けてください」

 

ルーク  「は?武器を取りあげんのかよ」

 

ジョゼフ 「俺達は狙われているんだ、武器を取りあげられては困る」

 

憲兵隊  「この街では憲兵隊以外は武器を持ってはいけない決まりになっております。」

 

クルーガー「大佐何とかできませんか、彼奴らマルクト軍でしょう」

 

ジェイド 「前に話した事を忘れたんですか?私達はここにいない事になっているんです。強引に通ったらここにいる事がばれてしまうじゃないですか…」

 

クルーガー「そうだった…忘れていた…」

  

マインドルフ「決まりなら仕方ない…武器を渡そう」

 

憲兵隊  「そこの譜銃もこちらに渡して下さい」

 

ジョゼフ 「譜銃?」

 

ロバート 「俺たちが持っている銃の事を言ってるんじゃないのか」

 

クルーガー「くそっ…持っていけると思ったのに」

 

アメリカ兵4人は持っていた銃を渡した…

 

憲兵隊  「武器はこのケセドニアを出る時、お返しします。」と言って離れて行った

 

マインドルフ「あの憲兵隊、ボディチェックをしないとは…なっていないな」 腰にルガーを隠し持っていた。

 

 

 

 

全員が街の中に入った

 

ジェイド 「この先に乗船手続きをする所があるので、そこでバチカル行の許可をもらう必要があります…」

 

ジョゼフ 「このまま港に行って船に乗る事は出来ないのか?」

 

ジェイド 「まずは、許可を取らないといけません…その為にはアスターという人に会う必要があります。」

 

ルーク  「アスター?誰だよそいつは?」

 

アニス  「アスター様はここケセドニア貿易商の顔役なんですよ」

 

イオン  「僕の知人でもあります。」

 

カール  「それではその人に頼めば大丈夫なんですね」

 

イオン  「はい、大丈夫です。彼は自分の屋敷にいるはずです。」

 

ロバート 「その屋敷に行く前に何か食べて行かないか?」

 

ルーク  「俺ロバートに賛成…何か食いながら行こうぜ」

 

ロバート 「良し!そうと決まれば美味しい店を探そう」

 

ガイ   「おいおい!2人で勝手に決めるなよ」

 

ティア  「そうよ…今、寄り道している暇はないわ」

 

ルーク  「チェッ…ケチ女…」

 

ロバート 「まったくだぜ」

 

ティア  「何か言ったかしら」

 

ルーク・ロバート「いいえー何もー」

 

マインドルフ(ここはまるで……アフリカの街にそっくりだ)「……ここは暑いなぁ」

 

イオン  「ここは赤道近くの街なんです、なのでいつも暑いんですよ」

 

クルーガー「イオン無理するなよ…疲れた時は『俺に』言ってくれよ」

 

アニス  「イオン様を心配してくれるのは嬉しいですが、それは私の役目なので…クルーガーは1番後ろでイオン様を見守って下さいね〜」

 

クルーガー「おいおい、そんなこと言ってイオンが倒れたらどうするつもりだ?」

 

アニス  「その時は私がおんぶしますから!!」

 

クルーガー「へぇ~その腕で?ここは俺に任せて、アニスちゃんは1番後ろに行ったほうがいいんじゃないか〜(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎」

 

アニス  「その言葉そのままお返ししまぁ〜〜す」

 

2人は睨み合っている…

 

ジョゼフ 「おい、クルーガー…大人気無いぞ」

 

ジェイド 「こらこら2人共、今は喧嘩しないで下さい」

 

ティア  「そうよ、イオン様が困ってるじゃないの」

 

イオン  「僕は2人が喧嘩してるのは見たくありません、だから2人共仲良くなってくれたら嬉しいのですが…」

 

クルーガー「イオンが言うなら俺は仲良くしてもいいぜ( *`ω´)」

 

アニス  「私も『イオン様が言うなら』仲良くしてもいいですよ」

 

イオン  「それでは決まりですね」

 

ティア  「仲良くなったのかしら?」

 

ルーク  「ってか、全然仲良くなった感じがしねえんだけど……」

 

そんな事を話しながら歩いていると、突然建物の上から黒いものが降りて来て、ガイの右腕を傷付けた…

 

ガイ   「うぅっ!」

 

アニス  「シンク!」

 

ジョゼフ 「どうやってここまで来た…!?」

 

シンク  「動くな!」ワルサーPPをガイの頭に突きつける

 

ルーク  「ガイを離せ!」

 

シンク  「お前たちが持っている情報円盤をこっちに渡してもらおうか…さも無いとこいつの頭に穴が空くよ…」

 

ガイ   「ダメだ…六神将に…情報円盤を渡すな…」

 

シンクはガイの首を締め付けた「お前は余計な事を言うな、殺すよ…」

 

ジェイドが情報円盤を渡そうと前に出ようとする「待て、そこで止まれ!」シンクはジェイドを警戒していた

 

マインドルフは横から、ジェイドが持っていた情報円盤を素早く取り上げ「これが欲しいのか…受け取れ!」シンクに投げた

 

情報円盤はシンクの腕に当たり、持っていたワルサーPPは地面に落ちた

 

マインドルフ「今だ!逃げろ!」ガイはシンクを突き飛ばした

 

シンク  「クッ!」

 

ジョゼフ 「逃げろ!」

 

シンク  「こいつ等を捕えろ!」

 

大きな布を巻いた男達がクルーガーに掴みかかろうとした…クルーガーは咄嗟に布をつかむと、思いきり引っ張った!引っ張られた方は受け身も取れずに派手に倒れて行った…布がはだけるとそこに見えたのは「クソッ、親衛隊もいたのか!」

 

ジョゼフ 「全員!バラバラになって逃げろ!」

 

シンク  「逃すな!追えっ!」

 

親衛隊もバラバラになって後を追い駆けて行った!

 

アニス  「あーもう!またイオン様と離れちゃったよ〜」

 

ロバート 「おいっガイ、大丈夫か?」

 

カールがガイの体を支えている「あ、あぁ大丈夫だ、ただのかすり傷だ…ルークは!?」

 

カール  「分かりません、とにかくここから離れましょう」

     

 

その頃クルーガーとイオンは建物の裏側の道を走って行った……クルーガーはイオンの手を引きながら「しまった!みんなとはぐれた……イオン、俺から離れるな!」

 

イオン  「は、はい」

 

SSドイツ兵「居たぞ!」

 

クルーガー「クソッ!先回りされた!」

 

クルーガーは隠れる場所がないか辺りを見回した「イオン、ここに入ろう」と一番近い扉に入って行くと、中にはベールで顔を覆い派手な衣装を着た踊り子達がいた「キャアッ!ちょっと客なら正面の扉から入っておくれよ!」

 

クルーガー「あぁ、いや違う客じゃなくて、今追われているんだ!ちょっとだけ匿ってくれ…」

 

踊り子  「追われているって…あんた何かしたのかい?」

 

踊り子はイオンを見ると驚き「これは、導師イオン様じゃぁないですか!?」

 

イオン  「勝手に入って申し訳ありません」

 

クルーガー「悪いんだが、話しは後からにしてくれないかなぁ(´・ω・`)」

 

SSドイツ兵は扉の前「何処へ行った!?」

 

クルーガー(クソ!ここにいても見つかるのは時間の問題だ…どうする………ん?)

 

見回すとイオンと同じくらいの背格好の女性がいた…「あんた、身長いくつだ!?」

 

  女  「えっ!?」

 

クルーガーは閃いた「イオン、悪いんだが服を脱いでくれ!出来るだけ早く」

 

イオン  「えっ?いったい何を…わ、分かりました」

 

クルーガー「アンタも着替えてくれ!」

 

  女  「どうしてさ!」

 

イオン  「お願いします…ここは彼の言う通りにして下さい」

 

踊り子  「導師イオン様の頼みなら仕方ないわね、ほら早く着替えて!あんたはあっちを向いといておくれ!」

 

クルーガー「わ、分かった…」

 

SSドイツ兵「ここら辺にいるはず…何処に行った…」

 

いきなり扉が開いたかと思ったら踊り子がパウダーを振りまいた…SSドイツ兵がむせっていると、クルーガーとイオンが勢い良く飛び出して行った!

 

SSドイツ兵「いたぞ!」急いで後を追いかけて行く!

 

丁字路に差し掛かるとクルーガーは右の道、イオンは左の道へ……

 

SSドイツ兵「2手に分かれたぞ!」

 

SSドイツ兵「あっちのアメリカ兵は、ほっておけ!」イオンを追いかけて行った

 

イオンのペースが落ちてきてSSドイツ兵に腕を掴まれた「捕まえたぞ!」

 

 

イオンは両脇を抱えられシンクの所へ連れてこられた……シンクはガイに突き飛ばされてイライラしていた。

 

SSドイツ兵「捕まえてきました!」

 

シンク  「導師イオン…やっと捕まえたか…!?」いきなりイオンの肩を掴み、顔を近付けた……

 

SSドイツ兵「何をっ?」

 

シンク  「こいつはイオンじゃない、ニセモノだ!」

 

SSドイツ兵「えっ!?しかし」

 

シンク  「言い訳は聞きたくない!早く本物を捕まえてこい!」

 

 

 

酒場の中…

 

 男   「おっ!新しい子かい?その子に酒を注いで貰おうかなぁ」

 

踊り子  「あ〜ごめんねお客さん…もうこの子は先約があってね、別の子にしておくれ…」と言って2人で店を出た

 

店の前でキョロキョロして待っていると通りの向こうから男が走ってきた

 

踊り子  「あんた、逃げ切ったのかい?」

 

クルーガーは息を切らせながら「…はぁはぁ…イオ、いや、ここで待たせた女の子は?…」

 

踊り子 「ここにいるよ…」

 

後ろから顔をベールで覆い踊り子の衣装をまとったイオンが出て来た…その姿を見た途端電流が走った!

 

踊り子 「約束通りこの子を守ったよ………あんた!聞こえているかい?」

 

クルーガー((^p^)もう…俺ここで死んでもいい……)

 

イオンは踊り子に「すみませんが…僕と彼をアスターの屋敷へ案内してくれませんか…」

 

踊り子 「イオン様のお役に立てるなら喜んで…」

 

 

同じ頃バラバラに分かれたロバート達は市場に逃げこんでいた…

 

市場に並んでいる果物や野菜など、手当たり次第SSドイツ兵目がけて投げつける!

 

ロバートはレモンをSSドイツ兵の目にかけた「くらいやがれ!」

 

SSドイツ兵「あぁ〜!目が〜!」

 

ガイ  「ロバート、やるじゃないか」

 

ロバート「まぁな!」

 

するとSSドイツ兵はガイの肩を掴んだ!ガイは下がろうとしたが、後ろに女人がいることに気づくと「うわぁあああああ!」慌てたガイは目の前のSSドイツ兵に突っ込んで行った!

 

SSドイツ兵は突然のことで面喰ってしまい身動きが取れなかった…

 

ロバート達はガイを追いかけながら「大丈夫か、ガイ?先の怪我が痛むのか?」

 

ガイは青い顔をして「あ、あぁ…」(俺…女性恐怖症なんだよなぁ…)

 

アニス 「これ以上、人混みの中で逃げるのは危険だよ!」

 

ガイ  「裏路地へ行こう!」

 

行ったはいいが…ガイ達にとって初めての町だ…闇雲に走って行くしかない

 

カール 「行き止まり!?」

 

SSドイツ兵もしつこく追ってきた「追い詰めたぞ!」

 

ロバート達は4人、対して親衛隊は8人…

 

アニスは先頭にいたSSドイツ兵に体当たりした!「オラー!どけーっ!!」

 

SSドイツ兵「邪魔だ!」軽くいなすとアニスはそのまま地面に手をついた「キャッ!」

 

SSドイツ兵「この女を傷付けたくなければ、今すぐおとなしくしろ!」とナイフを突きつけた

 

アニスは手を押さえながら「…野郎…」声色が変わった…

 

SSドイツ兵「…何だ?」

 

アニス  「………野郎ー!ぶっ殺す!」 アニスが背負っていた奇妙な人形が徐々に大きくなっていった…

 

SSドイツ兵「な、何だ!?」

 

アニスの人形は次々と親衛隊をなぎ倒して行く……ロバート達もびっくりだ!!

 

SSドイツ兵「うわあぁっー!」「うぐっ!」ボコボコに殴られたり叩きつけられたりして、気絶していった…

 

ロバート 「すげーじゃん、どんな仕組みで動いているんだ?その人形は?」

 

アニス  「それは乙女の秘密なので言えません❤️」

 

ガイはぞっとして(乙女の秘密って…)

 

カールはちっちゃな声で「…女って怒ると怖いなぁ…」

 

 

 



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第19話

 

 

 

ハンスとアリエッタはコーラル城から飛び降り、近くの浜辺に流れ着いた…

 

アリエッタ(ん〜…ここは?…)

 

傍でハンスが血を流し倒れている

 

アリエッタ「ハンス!しっかりしてください!」

 

ハンスを揺さぶるが反応しない…「えーと、えーと…どうしよう…皆んなは? 」友達の魔物の姿はなかった…

 

ハンスの腰のあたりに革製の小さなベルトポーチが見えた…前に救急キッドがそこにある事を教えてくれた事を思い出し、急いで開けると包帯が見えた

 

アリエッタは焦りながら「えーと、まずは…服を脱がさないと……」

 

初めて男性の体を見た顔が赤くなった…が、体のあちこちから血が出ているのを見て一瞬にして青ざめた(早く、怪我をしてる所に包帯を巻かないと…)

 

アリエッタがあたふたとしているのを、砂丘の方から3人の男達が見ていた……盗賊である

 

盗賊2「2人のようだなぁ」

 

盗賊3「どうする?襲うか」

 

盗賊1 「待て!あれは確か…妖獣のアリエッタじゃないのか!?」

 

盗賊2 「はぁ?なんでこんな所にいるんだ?六神将が…本物か?」

 

盗賊1 「間違いない…盗賊になる前はローレライ教団のナイトをやっていたんだ…」(ちょっとミスしたくらいで首だ!思い出しても腹が立つ…)

 

盗賊2「本当か?…ここから見たところ他の六神将はいないようだな…」

 

盗賊3「…今夜襲うか…?」

 

 

 

 

ハンスは砂浜に寝かせている…傷口の血は止まっていた

 

アリエッタ「火が…消えそう…薪を…取りに行かないと…」

 

一応何か武器になりそうな物を持っていく事にした(これを…)それはモーゼルC96銃だった…(えーと、確か…ハンスここの引き金を引いてたよね……ハンス……ちょっとだけ……借ります…)

 

モーゼルC96をお気に入りのぬいぐるみの中に入れ、ハンスをそのままにして森の中に入っていった……薪を集めていると茂みから音が聞こえた…

 

アリエッタ「だ、誰?」

 

木影から出て来たのは盗賊だ「こんな所で1人なんて危ないぜ…なんせ、ここは俺たちのテリトリーだからなぁ」

 

いつの間にかアリエッタは囲まれていた「あっ、あっちに行ってください!」

 

盗賊3 「冷たい事を言ってくれるなぁ、おいっ!!」

 

盗賊2 「たっぷり可愛がって俺たちの言う事しか聞けないようにしてやる!」

 

盗賊1 「逃げようなんて、思うなよ…!?」

 

盗賊3がじりじりと近づく…と、アリエッタはモーゼルC96銃を取りだし構えた

 

盗賊3 「あ~?何だそれは?」

 

アリエッタの力で狙いを定めるのは無理だった…が、思いきり引き金を引いた!!アリエッタはその反動で後ろへ倒れてしまった

 

盗賊3 「なっ!何だ今のは!?」弾は顔をかすめて行った…盗賊がひるんでいる隙にアリエッタは思いっ切り走り出す

 

盗賊1 「おいっ、逃げるぞ追え!」

 

アリエッタ(怪我をしているハンスの所には行けない…撒かないと!)

 

咄嗟に目の前にあった大きな岩の上に逃げようとした…が、足首を掴まれてしまった

 

盗賊2 「つ、掴んだぞ!」

 

盗賊1 「よしっ!そのまま引っ張れ!」

 

引っ張り降ろされるときアリエッタは銃を落としてしまった…それを盗賊1が拾い「こんな物見たことないな、これは俺が貰うぞ」

 

アリエッタ「は、離して!」

 

盗賊3 「魔物使いって言うほどだ、魔物の様にあえぎ声が出るんだろうな!」

 

アリエッタ「ハ、ハンス!」

 

盗賊3 「あぁ?誰の名前を呼んでるのかなぁ~誰も助けにこねぇよ!!」

 

盗賊2 「おっ!こいつが着けてるパンツ、めちゃ…!?」

 

どこからかナイフが飛んできてアリエッタの足を掴んでいた腕に深く突き刺さった

 

盗賊2は手を離した 「ひっ、ひぃー、腕が〜俺の腕が〜!」

 

盗賊3 「どこから、ナイフが!?」

 

辺りを見回してると盗賊3の右目に小石がめり込んだ!「あっあああー!!」

 

盗賊1 「な、何だ!?お前!」

 

ハンス 「……………」

 

盗賊3 「よ、よくも俺の目をー!!死ねー!」

 

ナイフを構え大声をあげながらハンス目がけて走って来た!ハンスは軽くナイフを奪い取ると、左目に突き刺した!盗賊3はのたうち回る…

 

盗賊1がハンスに銃を向けた「この野郎!」

 

アリエッタ「やめてー!」盗賊の腕にしがみつく!

 

盗賊1 「な!?邪魔だ!」

 

腕を振り払いアリエッタを地面に叩きつけた!「キャッ!」

 

盗賊1が前を向くと、ハンスは既に目の前で…銃を持っていた方の手を掴むと握り潰した…ボキボキッと嫌な音が響き結果的にハンスに銃を渡す事になった…ハンスが横に手を振ると盗賊1は岩の方へ飛ばされ気を失ってしまった

 

それを見ていた盗賊2は「ひぃー た、助けてくれー!」叫びながら逃げるが、茂みからライガが勢い良く飛び出してきて首筋を咬んだ……即死だ

 

アリエッタは起き上がり「み…みんな…迎えに来てくれたの…」

 

ライガはアリエッタの顔を舐めた…

 

アリエッタ「もう…動いて……大丈夫ですか?…」

 

ハンスは静かにうなづいた「……………」

 

アリエッタはライガの背中に乗ると「…みんなの所に……帰ろ……」

 

2人はライガの背中に乗って、仲間がいる所に向かった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

別方向に逃げたマインドルフとジェイド…SSドイツ兵は三人で追っていた

 

ジェイド  「敵は3人で追って来た様ですね」

 

マインドルフ「私が1人片付けるので大佐は残り2人を頼みます。」

 

ジェイド  「いやぁ〜ここはあなたに1人譲って、2人お願いします。私が1人片付けますので。」

 

マインドルフ「いやいや、ここは若い大佐が…」と譲り合っている…

 

ジェイドは少し苛立っている様子で 「殺って、くださいよ…」

 

マインドルフは面倒臭そうに「嫌、ですよ…」

 

SSドイツ兵(何だ、この2人は!?)「マインドルフ中佐!こちらに来て下さい。あなたを拘束しろと命令が出ています。大人しく来て頂ければ何もしません」

 

マインドルフ「誰が、私を拘束しろと命令した?」

 

SSドイツ兵 「それは……私の口では言えません」

 

ジェイド  「どうしますか中佐、行きますか?」

 

マインドルフはSSに向かって「私が君の言う通りについて行ったら、後の彼奴らはどうなる?」

 

SSドイツ兵 「……我々はあなた方全員を拘束しろと命令が出てますので…」

 

ジェイド  「都合が良い話ですね、ルークやイオン様をオラクルに渡して後に残った中佐やジョゼフを殺すのでは?」

 

マインドルフ「大佐の言う通りだな…アメリカ兵や裏切り者の士官を生かすとは思えんな…君らの指揮官に伝えてくれ……断ると…ね」

 

SSドイツ兵は銃を構えた「仕方ありませんね、こうなったら無理矢理でも連れて行きます。」

 

ジェイド  「やれやれ…本当に強引ですね」

 

マインドルフ「大佐、お願いします…」

 

ジェイドは槍を取り出し構え「…仕方ありませんね……【天雷槍】」

 

するとSSドイツ兵達は雷に打たれ倒れこんだ!

 

ジェイド  「手加減したので死んではいません…が、しばらくは体の痺れが取れないでしょうね」

 

マインドルフ「私と大佐をすぐに捕まえればよかったのにな…」

 

ジェイド  「さて…追っ手は倒しましたし、皆さんの所へ行きましょう」

 

2人は何事も無かったかの様に歩き出した

 

 

 

 

ルーク達3人は……

 

ルーク  「おいっ!イオンやガイと離れちまってどうするんだよ!」

 

ティア  「今は逃げながら考えるしかないわ!」

 

SS兵はドンドン近づいて来ている…

 

ルーク  「やべ!追いつかれる!」

 

ジョゼフ 「ここは3人で倒そう!」

 

ルーク  「何言ってるんだよ俺たち武器を持ってないんだぞ!どうやって敵を倒せばいいんだよ!?」

 

ジョゼフ 「手があるだろう!」

 

ルーク  「手っ!?お前本気で言ってんのか!」

 

ティア  「ジョゼフ…ルークは無理よ…私が奴らを食い止めるからジョゼフはルークを連れて逃げて!」

 

ジョゼフ 「しかし…」

 

ティア  「早く行って!」

 

ルーク  「ど、どうする…」

 

ジョゼフ 「クソッ!行くぞ!」

 

 

ジョゼフはルークを連れ町の中心に建つ時計塔の中に入った

 

 

ジョゼフ 「ともかく、この上に隠れよう…」

 

ルーク  「ここは大丈夫なのか?」

 

ジョゼフ 「ここの安全よりもティアのことを心配しろ!」

 

ルーク  「何を怒ってるんだよ、聞いたくらいで…」

 

ジョゼフ 「俺はこの上を見てくる、お前はここにいろ」

 

上に行くとあちこちで、歯車が動いている…あたりはギーギー・ガチャッカチッと大きな機械音で他の音がほとんど聞こえない・・・

 

ルーク  「何なんだ、ここはカチャカチャうるさいな!」

 

ジョゼフ 「ルーク待ってろと言ったじゃないか」

 

ルーク  「そんな事言っても……!?ジョゼフ!」

 

ジョゼフが振り向くと、SS隊長が銃を向けていた…「動くな」

 

 

 

ジョゼフとルークが時計塔に逃げ込む1分前…SS隊長は煙草をふかしながら見晴らしの良い時計塔で街を眺めていた

 

SSドイツ隊長「どうして隊長である私があんな小僧の言うことを聞かねばならない……デートリッヒ大尉殿は何を考えているのか……?」下の階から物音がした(誰か中に入って来たか?)下を窺うとアメリカ兵の姿が見えた…それと赤髪の少年も…(なぜここに…)隅にあった箱の陰に身を潜めた

 

 

 

 

ルーク  「クソッ…こんな所にもいるのかよ!」

 

ジョゼフ 「俺たちがここへ来るのを知っていたのか?」

 

SSドイツ隊長「お前たちの動きは読めている…だからあえてここで待っていた」

 

ルーク  「じゃあなんでお前1人なんだよ」

 

SSドイツ隊長「は、話す必要はない…歩け!」

 

ジョゼフ・ルークを先に歩かせ銃を構えながら続く…階段を昇って最上階まで行くと「そこで動くな!」

 

SS隊長は時計塔の最上階に隠していた無線機のカバーを外す……

 

ルークは小声で「なぁ、何だよあれ?」

 

ジョゼフも小声で「無線機といって遠くの人と話せる機械だ…」

 

 

その頃シンクはイオンと親書が手に入らなくてイライラしていた(やっぱり僕1人で行けばよかった…)

 

SSドイツ兵はシンクの所へ来ると「今、無線で報告があり2人を捕まえたようです…」

 

シンク  「2人…誰だ?」

 

SSドイツ兵「1人はアメリカ兵、もう1人は赤髪の少年です。」

 

シンク  「そいつ等は今どこにいる…」

 

SSドイツ兵「時計塔の上にいるようです。」

 

シンク  「分かった…すぐに行くと伝えろ」

 

 

 

ルーク  「おいっ!いつまで待てばいいんだよ!」と体を乗り出す

 

SSドイツ隊長はすかさず銃を向け「次に動いたら、2人とも撃つぞ!」

 

ジョゼフ 「俺とルークを殺してもいいのか?」

 

SSドイツ隊長「アメリカ兵とそこにいる赤髪の小僧を殺してはダメと言う命令は出ていない!」

 

ルークの胸元が動いた…それを見たSSドイツ隊長は「懐に何を隠してる!?」

 

ルーク  「あ~!自分から確かめに来いよ!」

 

一歩踏み出したが「自分から出せ」

 

ルークは嫌そうに懐からミュウを出した「ほらっ これだよ…」

 

SSドイツ隊長「なんだ、その生き物は?」と、もう一歩近づく

 

ジョゼフは馬鹿にしたように「なんだ見たことないのか…」

 

SSドイツ隊長は大声で「お前は黙ってろ!」

 

その声でミュウは目を覚まし「みゅう…誰ですの…」

 

SSドイツ隊長「なっ…しゃ、喋った…」

 

ルーク「今だー!火を吐けー!」

 

突然の事だったが…ミュウはルークの言う通り、火を吐いた!

 

SSドイツ隊長「うぅわわぁ!?」慌てて後ろに下がった所でジョゼフが銃を持っている手を押さえた…

 

ミュウ  「一体何が起こったんですの~」

 

ルーク  「今お前に説明してる暇はないんだよ…急いでみんなを呼んでこい!」

 

ミュウ  「わかったですの~みゅうは鼻が利くので直ぐに見つけるですの~」と、飛び出していった…

 

その間にもジョゼフとSSドイツ隊長は揉めている…隊長が左手にナイフを握りしめた…ルークがすかさず左手を押さえた「離せっ!」

 

ジョゼフは思いきり隊長を壁に叩きつけると、そのままゆっくりと横に倒れていった…

 

ジョゼフ「はぁはぁ…助かった、ルーク」

 

ルークは恐る恐る近づく「死んだのか?」

 

ジョゼフ 「止めろ、むやみに近づくな!」

 

SSドイツ隊長は素早く起き上がるとルークを思いきり蹴飛ばした…不意を突かれてルークはジョゼフにぶつかり2人は文字盤の所から外へ押し出されてしまった…

 

SSドイツ隊長「バカな小僧だ…さて、下に落ちたところをじっくりと見るとするか…な!?」

 

ジョゼフは辛うじて縁に摑まりルークはジョゼフの腰にしがみつく格好になった

 

ルーク  「ク…クソ…」

 

ジョゼフ 「ルーク、絶対に離すな!」

 

 

 

 

ティアはSSドイツ兵を食い止めていた

 

SSドイツ兵「おとなしく降伏すれば何もしない…抵抗するなら女性だからといって容赦しないぞ!」

 

ティア(全員、私に付いて来たようね…武器を持ってない分こっちが不利 【譜歌】を使って眠らせましょう)歌い始める…とドイツ兵の1人が飛ばされていった!

 

SSドイツ兵「なな!何だ!?」

 

後ろから、巨大なぬいぐるみが親衛隊を薙ぎ払った!

 

ティア  「何が…起きたの!?」

 

アニス  「ティア大丈夫?」

 

ティアは驚いてアニスを見た「アニス!?……この…大きいのは?」

 

アニスが説明に困っているとロバートの声が聞こえて「ティアじゃないか!」

 

ティア  「ロバート、それにガイにカールも…無事だったのね、どうしてここに…?」

 

ロバート 「あっちで変な人に追われている女性がいるって聞いてここまで来たんだ…」

 

ガイ   「ところでティア…ルークとジョゼフは何処だ?」

 

ティア  「それが…離れてしまって…」

 

みんなは顔を合わせてため息をついた……「み~なあさ~ん〜!」

 

ティア  「ミュウ!?」

 

ミュウはティアの腕の中に飛び込んだ

 

ティア  「ミュウ、ルークとジョゼフは?」

 

ミュウ  「ご主人様とジョゼフさん、ピンチですの〜!」

 

幸いにもここから遠くない…全員はミュウの案内で時計塔へ急いだ

 

 

ティア  「どうして!そんな所に…!?」

 

ロバート 「このままじゃ落ちるぞ!」

 

ジェイド 「これは大変なことになりましたね…」

 

ガイ   「うわぁあ!いつの間に、そこにいたんだ!?」

 

マインドルフ「近くまで来たら『時計盤に人がぶら下がっている』と聞いてきたんだが…まさか2人だったとはな…」

 

アニス  「早く助けないと、2人とも落ちちゃうよ〜!」

 

ガイ   「裏口があるはずだ、そこから入ろう!」

 

マインドルフ「ダメだ間に合わん…それよりも何かクッションになる物を…」

 

ジェイドは周りを見回して「あれは?」と、荷馬車を指した…

 

 

SSドイツ隊長はジョゼフの手を踏みつけて落とそうとしている

 

ガイ  「彼奴、ジョゼフを蹴り飛ばして落とすつもりか!」

 

ロバート「銃があったら撃てるのに!」

 

ジェイド「それなら中佐が持っていましたね」

 

マインドルフ「見られていたか…」と言ってルガーを構えるが、なかなか撃つことができない…「ダメだ狙えない…この距離では難しい…」

 

横にいたカールが「自分に貸して下さい!」

 

マインドルフは少しためらったがカールに渡した

 

SSドイツ隊長はジョゼフがしぶといので銃を構え「しぶとい、アメリカ兵め!」

 

2人は目を瞑った…

 

ドーンと銃声が響くと弾は頭の真ん中に当たり…SSドイツ隊長は倒れた…

 

マインドルフ「この距離から当てるとは……」

 

カール  「風が無くて良かったです…」その声はとても冷静だった

 

ガイ   「ルーク!ジョゼフ!もうちょっと待ってろ!」

 

しかしジョゼフとルークの腕はもう限界だ!

 

ルーク  「もぉ……ダメだ…腕が…」

 

ジョゼフは賭けに出た!「ルーク!掴まってろ!」

 

ルーク  「えっ!?おいっ待て!」

 

ジョゼフは手を離し、時計塔から落ちていった…

 

ティア  「ジョゼフ!」

 

ガイ   「ルーク!」

 

 

2人は下に用意された荷馬車の上に落ちて行った…そこには小麦の束が積んであった

 

ルーク  「痛ててて…どうなったんだ?ジョゼフ……大丈夫か?…」

 

ジョゼフ 「あぁ…俺は大丈夫だ…誰が用意してくれたんだ…?」

 

ジェイド 「いや~間に合って良かったです。少しでも遅れていたらどうなっていたか はっははは…」

 

ロバート(こいつ、俺とガイが慌てて荷馬車を移動してたのを横で見ていただけのくせに…)

 

ティア  「ジョゼフ・ルーク大丈夫…」

 

ジョゼフは立ち上がって「もう大丈夫だ」

 

ティア  「2人共!こんな高さから飛ぶなんて死ぬ気なの!?」

 

ルーク  「俺の意思じゃあねえよ!ジョゼフが勝手に…」

 

ジョゼフ 「すまない…もう限界だったんだ…」

 

ティア  「分かったから手を見せて頂戴…」

 

ジョゼフの手を取るとファーストエイドを唱えた

 

ジェイド 「飛び下りるとは、勇気ありますね」

 

マインドルフ「あぁ…しかしあれだけ蹴られてよく我慢したな」

 

人混みの中から憲兵隊が出て来た「退いた退いた!ここで何があった!?」

 

ガイ「やばいなぁ、今はここから離れようぜ」

 

 

 

 

 

シンクは人混みの後から見ていた「…行くぞ…」

SSドイツ兵「しかし、隊長が…」

 

シンク  「アイツならもう死んでるよ」

 

親衛隊とシンクは退却した…

 

 

 

 

アスターの屋敷前

 

ジョゼフ  「ここがアスターの屋敷か…」

 

マインドルフ「どの世界でも金持ちの家は豪華なものだな」

 

ロバート  「入る前に、イオンを探さないといけないんじゃないのか?」(あとクルーガーもな)

 

アニス   「イオン様のことですから もうここに来てるはずです」

 

呼び鈴を鳴らすと使用人が出迎えに来た「お待ちしておりました。導師イオン様とクルーガー様がお待ちです。」

 

ティア  「2人共もうここに来てるらしいわね…」

 

アニス  「良かったぁ~イオン様が御無事で」

 

ロバート 「クルーガー様って……なんか似合わないなぁ…」

 

ジョゼフ 「確かに…」

 

カール  「自分もそう思います…」

 

応接室に案内され「こちらの部屋でお2人がお待ちです。アスター様はもうすぐ来られます。」

 

応接室に入ると衝撃的なものが目に入った!!

 

アニス  「イ、イオン様!?」

 

ルーク  「…イオン…!?その格好はいったい!?」

 

ガイ   「俺達が逃げてる間に何があった?」

 

ティア  「イオン様!?」(か、可愛い~!!)

 

ロバート 「イオンの性別でどっちだっけ?…」

 

ジェイド 「いや〜イオン様お似合いですよ、見惚れてしまいます」

 

マインドルフ「確かに」

 

カール  「女の子…かな?…」

 

クルーガー(ふっふっふふふ…みんなイオンの美しさに、驚いてるぜ(*^ω^*))

 

イオン  「この服は気にしないでください…」

 

ガイ   「そんな事言われても……」

 

アニス  「ちょっと!クルーガー!どういうつもりイオン様にこんな美しい……じゃなくて…こんな格好させるなんて!」

 

クルーガー「こんな格好とは何だ!イオンを守るため仕方なく…それにこの服しかなかったし…」

 

応接室の扉が開きアスターが入ってきた「私も最初は驚きましたよ」やせ細った髭に特徴がある男だった

 

ルーク  「誰だ?」

 

イオン  「彼が、ここケセドニア貿易商のアスターさんです。」

 

アスター 「イオン様から皆さんのことは聞いております。しかしながら時計塔の件は…めちゃくちゃですね…死人もでたようで……市場では、商品を投げて騒ぎを起こしたとか……」

 

イオン  「ケセドニアの人々に迷惑をかけました…本当にすみません。」

 

ジョゼフ 「時計塔の件はイオンとは関係ない…俺とルークのせいで…」

 

ロバート 「市場の事は悪かった…」

 

アスター 「…そうですか…何か訳あってのことでしょう……しかし次からは気を付けて下さい」

 

 

 

使用人が包みを持って入ってきた「これを…『イオン様に渡してください』と女性の方が置いて行ったのですが…」それはイオンの服だった

 

アニス  「良かったイオン様~元の服に着替えてください」

 

クルーガーが横から「えー!このままでいいじゃん Σ(゚д゚ノ」

 

アニス  「いいわけないでしょう!」

 

クルーガー「めっちゃ似合ってるじゃん」

 

アニス  「イオン様の服はローレライ教団を象徴する服なの!尊い服なんだから!」

 

ロバート 「自分が何言ってるのか分かってるのか」

 

ティア  「イオン様の立場も考えて頂戴」(このままいて欲しい気もするけど…)

 

ルーク  「大体こんな服、男が…」ジョゼフが急いで口を塞ぎ、耳元で囁く「しぃー…今ここで倒れられたら困る」

 

クルーガー「やだやだやだ!このままでいるんだ。゚(゚´ω`゚)゚。!!!」

 

イオンはクルーガーの隣に行き「じゃあ、その内機会があったらこの服を着ますから…それまでは皆さんの言うことを聞いてください」

 

アニス  「えっっ!イオン様本気で言ってるんですか!?」

 

ティア  「イオン様他に方法が…」(やったー!)

 

イオン  「いえ、僕なら大丈夫です…皆さんの役に立てるのなら…」

 

ジェイド 「まさかこんな展開になるとは…」

 

クルーガー「(^ω^)」満面の笑み

 

ガイ   「イオンも大変だなぁ…」

 

 

 

そこへ使用人がアスターの元へきて何か伝える「ふむ…通してあげなさい……」

 

アスターはルーク達をみて「あなた方にお客人が来ておりますよ」

 

ジョゼフ 「客人?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第20話

 
 遅くなって申し訳ありません。


SSドイツ兵はケセドニア町外れに待機しているヘリコプター(フォッケ・アハゲリス Fa 223)の所に向かって歩いた…

 

 

ディスト 「おや、シンク…手ぶらで戻るなんて、あなたらしくないですね〜」

 

シンクは無表情で「ん?…あぁ…なんだ死神ディストか…」

 

ディスト 「なんだとは何ですか…それと私のどこが死神なんですか!?」

 

ドイツ兵パイロットが来た「いつだって飛び立てます。」

 

シンク  「今すぐ出発する」

 

ディスト 「コラッ!無視するな!」

 

シンクは面倒くさそうに「ん…何だまだいたの?用があるなら早く言ってよね」

 

ディスト(ムカつく)「ここにいる何人かの兵士を連れて行きますよ…よろしいですね」

 

シンク  「御勝手に…」相変わらず無表情だった

 

ディストは親衛隊を10名ほど連れて出ていった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…師匠…

 

扉から出てきたのは…ルークの師匠であるヴァンだ

 

ルークは驚いたが嬉しい再会でもあった「ヴァン先生!」と駆け寄る

 

ティアはテーブルに置いてあったフォークを手にするとヴァンに向けた「ヴァン!」

 

ジョゼフ 「ティア!?」予想外のティアの行動だった…

 

ルーク は慌てて「お前!先生に何をする気だ!?」

 

ヴァンは静かな声で「ティア…それを下ろしなさい。私はお前達を探しに来たんだ…それにお前は誤解をしている…」

 

アスターは強い口調で「ここで騒ぎを起こすんでしたら、客人でも容赦しませんぞ!」その声とともにアスターの護衛が数人入ってくると剣をティアに向けた

 

ジョゼフ 「ティア…落ち着くんだ…」

 

ティアはしぶしぶナイフをテーブルに戻すがまだヴァンを睨みつけていた…

 

ヴァン  「ここでは落ち着いて話ができそうにない…今バチカル行きの船を私が手配している、それに乗ってから話をしよう。船まではキムラスカ軍の護衛が付く」

 

ルーク  「でも、どうして俺達がここにいるって分かったんだ?」

 

ヴァン  「時計塔に人だかりができていたから見に行ってみたら、お前達がぶら下がっていたんで驚いた… お前たちの所へ行こうにも人が多すぎてな……」

 

ルークは嬉しそうに「俺、先生に話すことがいっぱいあるんだよ…」

 

ヴァンは優しく「話は船でゆっくりと聞かせてもらおうかな…」と答えた

 

 

 

屋敷の前で「気を付けてお帰りください。それとまたここに来て騒ぎを起こさないようにして下さいね」とアスターに念を押された

 

全員はキムラスカ兵に護衛され港に向かって行った…それでも(ルーク以外)周りを警戒しながら船に乗り込んだ

 

船の中…会議室に全員が集まるとキムラスカ兵がワゴンを押して入ってきた

 

ヴァン   「お前達が預けていた武器だ、引き取っておいた」

 

ルーク   「おっ、ありがとうございます!先生」

 

ロバートは銃を手に取り「これで落ち着けるぜ」

 

クルーガー 「これがないと…まともに戦えないからな」とチェックしている

 

マインドルフ(アメリカ人は銃頼りだな)

 

みんなはそれぞれ武器を取って身につけた

 

ヴァン   「さて…落ち着いたところで今の状況を話してくれないか…何故イオン様がここに?」

 

イオン   「すみません。僕の独断でダアトの教会から黙って姿を消してしまって…」

 

ジェイドがすかさず「イオン様は悪くありません…私が連れ出したのです。」

 

ジェイドはモースが戦争を始めようとしている事、イオンがマルクトの親書を持ち和平の使者としてキムラスカへ向かったがモースに軟禁された事、そしてそれを知って救出した事などを話した

 

ヴァン   「なるほど……そんなことが…しかし六神将まで動いているとは…」

 

ティアは立ち上がり「兄さんが六神将に命じてイオン様を襲わせたのでしょう!」

 

ジョゼフ  「!兄さん?兄妹なのか?」

 

ルークも驚いて「ちょっと待てよ、先生の妹だったのか!?」

 

ヴァンは苦笑いして「お前にはまだ話していなかったが…ティアは実の妹なんだ」

 

ガイ    「ヴァンに妹がいるとは知っていたが…ティアだったのか…」

 

マインドルフ(妹にしては、全然似てないな…)

 

ジョゼフは気を取り直して「妹ならどうしてさっき襲ったんだ?」

 

ティア   「それは…」と黙ってしまった

 

横からマインドルフが「一つ訪ねてもいいかな?…貴方は親衛隊の事はご存じですか?」

 

ヴァン   「…親衛隊…それはどこの?」

 

アニスが怒った声で「その親衛隊とシンクが一緒にイオン様と私達を襲ってきたんですよ!」

 

ヴァンは驚いた「何?シンクが」

 

ガイ    「他にも妖獣のアリエッタと一緒に俺達を襲った奴等も親衛隊だ」

 

ヴァン   「話がみえない、最初から話してもらえないか…」

 

これまでのことをヴァンに話した

 

ヴァンが理解するには少し時間がかかった…「なるほど話は分かった…しかし…なぜ六神将がそんな奴等と動いているのだ?」

 

ジョゼフ  「それは俺たちが知りたい…あなたは六神将の上司なんだろう…何か知らないか?」

 

ヴァン   「本来ならば六神将は私の部下だ…だが彼等は大詠師派でもある…」

 

ルーク   「先生を疑っているのか!」

 

ヴァン   「いいんだルーク…恥ずかしながらここ最近六神将の動きが分からないのだ…もしかしたら、大詠師モースの命令で動いているのかもしれない…」

     

ジョゼフ  「そのモースって奴は今何処に?」

 

ヴァン   「今はキムラスカの首都バチカルにいるはずだが…」

 

マインドルフ「本当に親衛隊の事は知らなかったのか?」

  

ルークは声を荒らげ「しつこいぞ!先生は知らないって言ってるだろう!」

 

ヴァンはルークの肩に手を置き「ともかくバチカルに着けば、六神将もその親衛隊も手出しはできないだろう…私は報告書を書かなければいけないので少し失礼する」と言って出て行った

 

 

 

 

ヴァン以外は食堂に場所を移動した     

     

ルークは自慢げに「ヴァン先生のおかげで、船に乗れたな」

 

横でロバートが「先生と言うが、何の先生なんだ?」

 

ガイ    「ルークに剣を教えてるんだ」

 

ジョゼフは思い出し「そういえば、最初に会った時も剣の稽古をしていたな…」

 

今度はアニスが自慢げに「主席総長の剣の腕前は超一流だからね~」

 

ジョゼフ  「ところで、このままバチカルに行くのか?」

 

ガイ    「ああ、このまま寄り道せずに行くぜ」

 

ほっとした様子でルークが「あぁ~やっとかぁ、もうトラブルは御免だ」

 

ティア   「安心するのはまだ早いわよ、海の上でも襲われる可能性があるわ…」

 

アニス   「そうだよねー、ケセドニアも安全だと思っていたのに襲われたしねー」

 

ジェイドは眼鏡をふきながら「まぁ警戒は怠らないことですね…もし敵が来てもすぐに戦えるようにしといた方がいいですね」

 

クルーガー 「敵が来たら、イオンは俺に任せろ!」

 

アニスがすかさず「その時は私が守りますから…クルーガーは思う存分戦ってくださいね~」

 

イオンは苦笑いし2人が睨み合っていると、大きな音が響いた!

 

ロバート  「何だ今のは!?」

 

キムラスカ兵が慌てて入ってきた!「大変です!船が襲撃されました!船内に多数の侵入者が!」

 

すぐ後ろから2名のオラクル兵が現れキムラスカ兵は反撃する間もなく斬られていった

 

オラクル兵 「全員武器を捨てろ!」

 

背後から近づくティアとカールに気付く前にオラクル兵は倒れた

 

カールは倒れたキムラスカ兵に近づき脈を確認したが無駄だった…ロバートとクルーガーとマインドルフはオラクル兵を見るのは初めてだ

 

クルーガーは覗き込み「何だこいつ等は?」

 

マインドルフ「こいつ等が身に着けてるものは、中世ヨーロッパの騎士の鎧に似てるな…」

 

ジョゼフは面倒くさそうに「今は説明している暇はない、敵が来たようだ」

 

また爆発音が響き船が大きく揺れた

 

ガイは踏ん張りながら「この船を沈める気か!?」

 

ジョゼフも手摺につかまり「それならもうとっくに沈めている筈だ…こいつらの目的はイオンと親書だろう!」

 

ロバート  「ケセドニアで襲われたばかりなのにまたかよ…」

 

ルークはウンザリしながら「船に乗れば襲ってこないんじゃなかったのかよ!」

 

ジェイド  「それほど、向こうも必死なんですよ」

 

ルーク   「敵が来てること、ヴァン先生に知らせないと!」と走り出した

 

ジョゼフが後ろから「ルーク待て!こんなに大騒ぎになっているんだ、ヴァンも気づいているさ…それにオラクル兵だけとは限らない!」

 

その途端SSドイツ兵が入ってきた「どうだ、全員確保したか?」

 

するとそこにはオラクル兵が倒れていた…慌てて目の前にいるジョゼフとルークに銃口を向ける…横からガイが現れて、撃つ前に壁に叩きつけられそのまま倒れていった

 

マインドルフは相変わらず落ち着いた声で「どうやら、親衛隊もいるようだな」

 

アニス   「あーもう!!オラクルも親衛隊もしつこい!!」

 

船内放送が流れてきた…慌てた声で「こちらブリッジ!誰でもいいから来てくれ!!」

 

ジェイド  「ブリッジが襲われているようですね」

 

ジョゼフ  「奪われる前に急ごう!」

 

行く前にルークは倒れたSSドイツ兵が持っていたMP40を拾った「おっ…これってフーブラス川で使ったやつじゃん」

 

ジョゼフ  「使ったことあるのか?」

 

ルーク   「あぁ…前にな…」

 

ジョゼフは以前ルークが使ったことを知らなかった

 

 

船内を通ってブリッジへ繋がる階段の所まで行くと、そこではオラクル兵と親衛隊が中に入ろうと騒いでいた 

 

ジョゼフ達は身を隠しながら「扉の前に何人いる?」

 

ガイがチラッと覗き見て「オラクル兵が4人と親衛隊が3人だ、六神将はいないなぁ…」

 

ジョゼフ  「まずは銃を持っている奴から殺るか…」

 

扉の前ではオラクル兵が叫んでいる「ここを開けろ!」

 

すると親衛隊が「時間の無駄だ!扉を破壊するぞ!」

 

1人が扉の前に座り込み手榴弾を取りだしはじめた…

 

それを見てロバートが「まずいな…彼奴ら手榴弾で扉を吹き飛ばす気だ」

 

ジョゼフはぱっと考え「俺とカール・ロバートが先に出て手榴弾を何とかする…残りは頼んだぞ!」

 

3人が飛び出して行き、まずカールが手榴弾を持っている奴の右腕をめがけて撃つと「ぐっうっ!?」と持っていた手榴弾を落とした

 

オラクル兵「敵だ!」

 

ロバートとジョゼフは残りの親衛隊2人の体に撃ち込み、カールが落ちた手榴弾に手を伸ばすと撃たれた奴が左手でナイフを握りしめて襲ってきた…

 

カールはナイフをかわしその左手を押さえると、装備していたサバイバルナイフで喉元を掻っ切った

 

ガイがオラクル兵に走ると1人が振り向きざまに剣を振るってきた、ガイは跪きそれをやり過ごすと剣を敵の胸元めがけて突き刺した

 

その後ろでもう1人のオラクル兵が剣を振りかぶる……とティアが横から思いきり斬りつけた

 

ロバート 「武器を捨てろ!」大声で叫ぶ

 

オラクル兵は無視して「うぉおおおお!」叫びながら突進してきた

 

ロバートは1人を殺ったが「くそっ…こんな時に弾切れか…」オラクル兵はロバートを押し倒し顔に剣を向けた「やばい!」

 

その間ジェイドがオラクル兵の後ろに回り込み背中を刺した「うっっ…!」

 

ジェイドは小声で「接近戦の訓練はちゃんと受けたほうがいいですよ」

 

ロバート  「…助かった…ありがとうな」

 

ジェイド  「礼にはおよびませんよ」

 

クルーガーがロバートの銃を拾い「ほら、おまえの銃」

 

ロバート  「お前は何をしていた?」

 

クルーガー 「イオンを守ってたけど…?(・∀・)?」

 

ロバートはクルーガーをジッと見て「もういい、何でもない…」

 

 

ジョゼフは周りを確認し(敵はいないな…)扉の前まで行き「開けてくれ、俺たちは敵じゃない」

 

船長は怖々した声で「敵じゃない…証拠は?」

 

ルークが前へ出ると「おいっ、俺はルーク・フォン・ファブレだ!この扉を開けろ!」

 

船長   「ルーク様?」

 

船長は扉へ行き覗き窓から確認し「これは失礼しました、今開けます。」と中に入れた…

 

ホッとした様子で「あなた達のおかげで助かりました…いきなり大きな音がしたと思ったら、悲鳴が聞こえてきて……急いで扉をロックしたら今度は無理やり開けようと…」

 

ジョゼフ 「安心するのはまだ早い、他にも敵がいるはずだ…外の様子を見に行くぞ」

 

 

ジョゼフを先頭に警戒しながら甲板ヘ向かった……「酷いな…これは…」途中、見張りをしていたキムラスカ兵が倒れていた…

 

ガイは眉間にしわを寄せ「この辺のキムラスカ兵は全員やられたようだな…」

 

クルーガー「変だな…中には敵がいたのにここにはいない…?」

 

ロバートは辺りを見まわし「諦めて逃げたのか?」

 

ティア  「まさか…そんな…」

 

  ?  「ほっほっほほほほっほ!」甲高い笑い声が響いてきた

 

クルーガー「何だ!?」

 

ガイ   「おいっ!上を見ろ……」全員が指さす方向を見た

 

カールは瞬きをして「……空飛ぶ…椅子か!?」

 

そこには黒服・丸眼鏡・神経質そうな眼つきをした男がソファーに座ってジェイド達を見下ろしていた…

 

  ?  「椅子とは失礼ですね……野蛮な猿ども、とくと聞くがいい…美しき我が名を!我こそはオラクル六神将、薔薇の…」

 

ジェイド 「鼻垂れディストじゃないですか」

 

ディストはむっとして「薔薇!薔~薇!!薔薇のディスト様です。」

 

マインドルフが横から「大佐、彼とは知り合いで?」

 

ジェイド  「さぁ知りませんね」

 

ディストはマインドルフを指さし「そこのお前!ジェイドと馴れ馴れしく話すって良くありません!!」

 

マインドルフはディストをチラッと見たが無視し「……で、彼とは知り合いで?」

 

ジェイドは横に首を振り「本当に知りませんね」

 

ディストは怒って「無視するなっ!」と大声をあげた

 

 

カールは小声で「軍曹……撃ち落としますか?」

 

ジョゼフは少し考えてから「いや、もう少し様子を見よう…」

 

横からルークが「だんだん馬鹿らしくなってきたぜ…」と呆れ果てて言った

 

 

ディスト  「私をバカにして…」

 

マインドルフ「誰も君をバカにしてないだろう」

 

ディスト  「だまらっしゃい!もう容赦はしません!出でよ!カイザーディストRよ!!!」

 

ディストが叫ぶと今まで何処にいたのか…空から大きな鉄の塊が甲板に降りて来て、二足歩行に変わったかと思うと腕らしき物と頭まで出てきた!

 

ジェイド  「やれやれ…また変な物を作って…懲りませんね」

 

マインドルフ「すごい…二足歩行のロボットか……しかし見た目が…それにカイザーはいいがディストRは……カイザーと呼ぶか…」

 

ジョゼフ  「そんな呑気なことを言っている場合じゃないぞ」

 

 

アニスとイオンそしてクルーガーは甲板に置いてあった荷箱の陰から様子をうかがっていた…

 

アニスは小声で「イオン様はここに…」

 

クルーガー 「わかった!じゃぁ俺もここに(`_´)ゞ」

 

アニスが鋭い視線で「あなたは戦うの!」

 

クルーガー 「( ;´Д`)ええぇ」

 

クルーガーはしぶしぶイオンをその場に残し戦闘に加わって行った…

 

ルークは前に出てMP40を構え「これでも喰らいやがれ!」と撃ちまくったが、カイザーのボディーに傷一つ付ける事もなくことごとく弾き飛ばされてしまった!

 

カイザーはいきなりジャンプをすると、ルークの前へ降りた…そのはずみで船が揺れルークがバランスを崩したところへ、カイザーディストRがルークを踏みつぶそうと足を上げた…

 

横からジョゼフがルークをタックルしてかわし、そのままトンプソン銃で撃ったがこれもまた全て弾き飛ばされた!

 

ダメだ…全く歯がたたない

 

ディスト  「ほう、ほう、ほう…バカな猿共がそんな豆鉄砲で倒せるようにはできていないのですよ!ほっほほっほほほほ!」

 

下からマインドルフがルガーでディストのソフアーを撃った

 

ディストは青ざめて「うわぁあ!ちょっと…何をするんですか!危ないでしょうが!?」

 

マインドルフ「お前を殺せばこの鉄の塊も動かなくなるだろう、死にたくなかったら言うことを聞くんだ」

 

ディストは気を取り直して「フンッ!それで勝ったつもりですか…考えが甘いんですよ!」と言うと素早くカイザーディストRに近づいた、すると頭部が開きそこへスッと入り込んだ…

 

カイザーディストRから「ほっほほ…ほ、このおバカさんたちが…この中にいれば私は無敵です」

 

アニスが前に出てぬいぐるみを大きくすると「このまま海に落としちゃえ~」

 

ぬいぐるみはカイザーディストRと向き合って押し合う形をとった…「いいぞ!その鉄の塊を海に叩き込め」

 

最初は押していたが「ほうっ…力比べですか…」とディストが右側のレバーを前に倒す…とさっきまで押されていたが今度は押し戻しぬいぐるみを突き飛ばした

 

ぬいぐるみの背中に乗っていたアニスも一緒に飛ばされ危うく大けがをするところだったが、クルーガーが受け止めた…はずみで後ろの壁にしたたかに背中を打ち付けた「痛っっ…」

 

箱の陰から見ていたイオンが飛び出して「アニス!」と駆け寄り…ティアも駆けつける「気を失っているだけ…怪我はないようね…」

 

その間にもガイは剣でジョゼフはトンプソンで攻撃をしている…

 

クルーガーは体勢を立て直し「俺があの鉄くずを倒す(`・ω・´)」

 

イオン   「クルーガー…」

 

クルーガーは前に出て胸に手を入れた…

 

ロバート  「彼奴…まさか…」

 

カール   「投げるようですね」

 

ガイ    「何をだ?」

 

クルーガーは手榴弾を取り出し投げた!「これで終わりだ!」

 

手榴弾はカイザーディストRの足元で爆発し、辺りが黒煙に包まれた……煙が晴れるとそこにはポッカリと穴ができていたがカイザーディストRは無傷だった

 

クルーガー 「( ゚д゚)えっ?」

 

カイザーディストRはジャンプをしてクルーガーの所へ行くと横殴りにしてクルーガーを吹き飛ばした

 

クルーガーは荷箱に強くぶつかり気を失ってしまった…

 

近くにいたティアが素早く駆け寄り何も言わずファーストエイドをかける

 

ジョゼフ  「あいつ…何をしたかったんだ?…」

 

ルーク   「俺に聞くなよ…」

 

 

マインドルフ(手榴弾でも無理か…)「…ん?」

 

カイザーの足に電気が走ったように見えた…マインドルフは見逃さなかった「軍曹!足が弱点だ」

 

ジョゼフは大声で「足が弱点だ、みんな狙って撃て!!」

 

ロバート、カール、ジョゼフ、ルークはカイザーの足を狙って撃ちまくった!

 

カイザー  「何度やっても無駄ですよ」

 

次第に右脚の付け根から火花が飛び始めるとそこが爆発し、その反動で吹き飛び倒れた…「何!?…しかしこれくらいでこのカイザーが…」器用に左脚だけで立ち上がった

 

ジェイド  「それならこれはどうです……『荒れ狂う流れよ…スプラッシュ!』」

 

空中から水柱が現れカイザーは動けなくなった…気を取り戻したアニスが反撃に出る、縫いぐるみを大きくするとカイザーにタックルをした…カイザーが応じたが片足では力が出ないばかりか他の電気系統にも負荷がかかり、不利な戦いになった…

 

しばらく組み合っていたが今度は左脚の付け根付近から ”ボンッ” という音とともに白煙が上がると足が外れて丸くなたカイザーはコロコロと勢い良く転がり……あっけなくそのまま海に落ちて行ってしまった…

 

沈む瞬間ディストは脱出し「助けて〜ジェ、ジェイド!」

 

マインドルフ「大佐の名前を呼んでいるようだが、助けなくてもいいのか?」

 

ジェイドは耳をほじくりながら「あ〜すみません、最近耳が悪いようで聞こえませんね〜」

 

ディスト  「そんな〜~」ボコッボコッとそのまま海の中に消えていった…

 

ジョゼフ  「大丈夫なのか?」

 

ジェイド  「大丈夫ですよ。ゴキブリ以上の生命力ですから…」

 

次の瞬間…海中でカイザーが爆発し船が大きく傾いた……「うっっ!」さっきクルーガーがあけた穴にマインドルフがバランスを崩し滑り落ちて行った…

 

ジョゼフ・ジェイド「中佐!!」

 

 

 

 

 

 

 



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21話

 遅くなり すみませんでした。


ルーク達の乗った船から少し離れた海中にUボートがいた…

 

 

 通信士 「親衛隊から連絡あり…オラクル兵は全員、乗船しました」

 

 艦長  「分かった…これよりオラクル兵を指定の場所に降ろしたら帰還する」

 

潜望鏡を覗いている乗組員が「今なら魚雷で撃沈できますが…どうしますか?」と訪ねてきた

 

チラッと横目で見て「親衛隊とオラクル兵を無事に連れ帰る事が指令だ…」

 

すると乗組員が慌てた様子で「艦長…あれを見てください」

 

艦長が急いで潜望鏡を覗き込むと死にかけのディストがプカプカと浮かんでいた…「……あの船が離れたら……助けてやれ…」

 

 

 

 

デートリッヒは無線機でUボートの艦長と話していた「分かった……」振り返りリグレットに「この事は知っていたのか?」

 

リグレット 「いいや…ディストが勝手にやった事だ」

 

「騒がしいね、どうしたの?」そこへシンクが音もなく入ってきた

 

デートリッヒは厳しい口調で「丁度いいところに来たなシンク君…私の部下を勝手にディストに渡したそうだが…」

 

シンクは悪びれた風もなく「ああ~その話をしてたの…ディストと早く別れたかったからだよ、それに彼奴を見ると嫌な気分になるしね」

 

デートリッヒは「それだけの理由で勝手な真似を…」と呆れ顔をし「…これだから子供は……」

 

「………何?……」シンクの声が変わった

 

通信士が慌てた様子で入ってくると早口で「ハイル・ヒトラー!デートリッヒ大尉、直ちにグラーフ・ツェッペリンへの出頭命令がでています」

 

デートリッヒ「ん、私に…誰からだ?」

 

 通信士  「レーダー元帥からです」

 

デートリッヒは眉をひそめて「…レーダー元帥……分かったすぐに出頭する」

 

リグレット 「待て、お前が行ったらここに居るお前の部下はどうする?」

 

デートリッヒは少し考え「私が戻るまでここで待機してもらう……それまではカールセン中尉に任せる」と言ってシンクを見た

 

 シンク  「………」

 

デートリッヒ「シンク君…話しの続きはまたにしよう…」と部屋から出て行き

 

シンクは壁にもたれかかったまま「今度会う時までに忘れているといいね…」と後ろ姿に微笑んだ

 

 

 

 

 

マインドルフはカイザーが作った穴に滑り落ちてしまった…幸い下には積み荷の豆の袋が有り大怪我はしなかったが、したたかに腰を打ち付けて気を失った

 

  …マインドルフは夢を見ていた…

 

 

目を開けると空が見えた「…………」

 

  ?   「大丈夫か?」

 

マインドルフ「ケスラー……………ここは?」

 

 ケスラー 「塹壕の中だ…」

 

砲弾が降ってきたので慌てて塹壕に逃げ込もうとした時、泥水に足を取られそのまま後ろ向きに倒れこんでしまったのだ

 

塹壕の上から仲間のドイツ兵が「大丈夫か?」と声をかけてきた

 

 ケスラー 「大丈夫です…行こうぜマインドルフ」

 

 

 

2人は前線から退き後方の村へ戻った…そこはヨーロッパ風の建物が立ち、村の広場には所狭しと軍のテントがたっている…

 

兵士たちが装備を整え騒がしく動き回っていた

 

マインドルフ「何かあったのか?」

 

 ケスラー 「さっき聞いたんだが…突撃命令が出たらしい…それと偵察隊の報告で、フランス軍の第152歩兵連隊が動いているらしいぜ…」

 

マインドルフはため息をつき「…そうなのか…ところで今回の俺達の仕事は何だ?」と聞いた

 

 ケスラー 「丘にあるフランス軍の大砲の破壊だ」

 

マインドルフ「大砲?さっきのヤツか…」

 

ケスラーは意気揚々と「そうだ…俺達二人で大砲を破壊して後方から支援し仲間に知らせる…」

 

マインドルフ「それなら俺たちじゃなくて他の奴でもいいんじゃないのか?」

 

 ケスラー 「それが…ご指名らしい」と答えた

 

マインドルフは黙ってうなずいた…

 

 

 

後日2人は車で丘の近くまで来た…そこから森が見えた

 

 ケスラー 「車はここまでだ…ここからは歩くぞ」

 

荷を下ろし車を隠す

 

マインドルフ「「それで行くのか、重くないのか?」

 

ケスラーはMG08/15を抱え移動していた「……今はもう慣れたよ…それに連射出来るのはこれしか無いんだ」

 

森の中の急斜面を登って行く…目の前にフランス兵が見えはじめ、二人は見つからないように木の陰に隠れた

 

 

フランス兵 「喉が渇いたな…さっきのコニャックはまだ残ってるか?」

 

フランス兵 「今はまずいだろう…隊長に知られたら…」

 

フランス兵 「大丈夫だ、バレはしないよ」

 

「ちょっとだけにしとけよ」とカバンからコニャックを出そうとかがんだところを…マインドルフが後ろからそっと近づき薬(クロロホルム)で眠らせた

 

ケスラーも残りの1人を眠らせると…2人を木に寄りかからせた

 

マインドルフ「これで少しは時間が稼げるだろう」

 

次に2人は丘の上へ移動していった…そこで見えたのは多数のフランス兵が大砲の用意をしてるところだ…大砲は5門見えた

 

マインドルフ達は茂みに隠れながら双眼鏡で確認する「M1897 75mm野砲…あれが今回の目標か…」

 

 ケスラー 「そうだ…あれを破壊しないと突撃歩兵の邪魔になる……んっ、誰か来るぞ」

 

馬に乗ったフランス兵が慌てた様子で「ドイツ軍が塹壕に向かっている!あそこの塹壕を奪われるわけにはいかない…最低限の兵を残して他はついて来い!」と大声で叫んでいる

 

70人位いた兵士が30人を残してドイツ軍をくい止めに向かって行った

 

それを見ていたケスラー「今なら、楽に片付けられそうだな」と意気込む

 

マインドルフ「待て、このタイミングでここの兵をもっていくのはおかしいだろう…罠かも知れないしもう少し様子を…」

 

「大砲に砲弾を込めろ!」その声でフランス兵が動き出した…

 

マインドルフ「……さっきのは取り消しだ……やろう…」と言って大砲に近づいて行く

 

弾を込めようと兵士たちが動いている「装填完了!」

 

 隊長   「かまえー!……撃…!」マインドルフのGew98が隊長にあたりその勢いで後ろへ倒れていった

 

フランス兵 「!!隊長…」

 

マインドルフは土のうに隠れながら近くにいる敵を撃っていく…

 

いきなりのことでフランス兵2・3人が身動きが取れず倒れていく…それに気づいた仲間がライフルでマインドルフに向けて撃ちまくってきた

 

「今だー!」と言ってマインドルフの方へむかっていくのを見て、ケスラーは土のうの上にMG08/15銃を置き近づいてきた敵を狙い撃ちしていく…敵はあっという間に減っていった

 

それを見ていた残りの兵士達は脇目もふらずに逃げていく

 

 

 ケスラー 「片付いたな…早速く爆薬を仕掛けよう」と辺りを確認し「あれだけ撃ったのに砲弾に当たらなかったのは奇跡だな…まぁこちらとしては、爆発してくれた方が良かったんだが…」

 

マインドルフも頷き「…確かに…」

 

2人は手際よく大砲と砲弾に爆薬をくくり付けていく

 

足元に双眼鏡が落ちていた…ケスラーはそれを拾い覗き込む(ついでだ…ここからフランス軍の塹壕線を見てみるか………!やばいな…あれはホッチキス Mle1914重機関銃だ…)

 

ケスラーのちょっとした表情を読み「どうした?」と尋ねた

 

 ケスラー 「フランス軍の方で動きがある…重機関銃で狙い撃ちするつもりだ……塹壕線にいる味方がこれに気付いているか見てくれ」

 

マインドルフは塹壕にいる仲間の兵を見た「気が付いて無いな…ライフルに銃剣をつけている…今すぐにでも突撃するぞ、あれは…」

 

ケスラーは唇をかみしめ「突撃すれば全滅だ……早く知らせないと…」

 

マインドルフ「無線機は無い…知らせに行くとしても遠すぎる…」そう言いながらM1897 75mm野砲に視線を走らせた「これを使って敵の重機関銃が配置されている所を撃とう」

 

 ケスラー 「お前、フランス軍の大砲撃てるのか?」

 

マインドルフ「あぁ…前にやり方を見た事がある…それに無傷で取ったんだ、使わなければもったいない」以前見た事を思い出しながら素早く操作していく

 

ケスラーも重機関銃の配置場所を確認して「……分かった…俺が目になるから撃て…」

 

マインドルフ「ああ」

 

ケスラーは正確に位置情報を伝えて、腕を大きく振り落としながら『撃てっ!!』と叫んだ

 

 

 

重機関銃が吹っ飛っとび、命中したことが分かった

 

突然の爆音に状況が呑み込めず騒ぎ出した「な、何だ!機関銃が!?」

 

各々が「バカな!?あそこの丘は味方が押さえているはず!」「敵が攻めてきた!」「暴発したぞ!」とパニック状態になっていった…

 

 

ドイツ兵もそれを双眼鏡で見ていた…「敵の塹壕で爆発が……火薬でも暴発したのか?」

 

 ドイツ兵  「隊長これは絶好の機会です…今突撃すれば勝てます!」

 

ドイツ兵隊長 「よし!、この気を逃すな!全部隊突撃ーー!!」

 

『ウォーーーーー!!!』という声とともにドイツ軍が次々に突撃していった

 

フランス兵隊長は「は、は、早く他の機関銃を立て直せ!」と近くにいる兵たちに指示を出すが爆風で使い物にならなくなっていた

 

フランス兵  「ダメです!動きません!」

 

フランス隊長は周りを見回し「クソッ!各自装備しているライフルで反撃しろ!」とげきを飛ばす

 

フランス兵たちも徐々に落ち着きを取り戻し…戦闘が始まった

 

 

 

丘の上ではケスラーが双眼鏡を覗き込んでいる「命中だ…」

 

マインドルフもそれを確認して「急いで退くぞ!敵が来る」

 

作戦とは違う遅れた大砲の音と銃声を聞いて近くにいたフランス兵が丘に集まって来た…

 

そこにはいるはずのないドイツ兵が居た…フランス兵は ”あっっ…” という顔をして次に「敵だー!」と撃ってきた

 

ケスラーは撃ちながら逃げるも、銃が弾詰まりを起こしてしまった!「こんな時に…」銃を捨て急いで走った!

 

マインドルフ「飛べっ!」

 

2人は急斜面を滑り落ちる…その間にも上からフランス兵が撃ってくる…下まで降りていき素早く木の陰に隠れたがフランス兵の銃撃がやむことはなかった

 

フランス兵の1人が導火線に気付きたどると砲弾が見えた…

 

息を切らせながら「起爆スイッチは?」とケスラーが聞いた

 

マインドルフは頷き…起爆スイッチのハンドルを思いっ切り回す……カチッと音がして丘の上で爆破音が響いた!

 

2人の上に小石や土が降って来た…

 

ケスラーは訝しげに「何故すぐに爆破させなかった?」とマインドルフを睨んだ

 

マインドルフ 「…被害は大きい方がいいだろう…それに後を付けられたら面倒だし…」

 

 

 

2人は隠してあった車で無事基地に帰還できた

 

ドイツ隊長  「良くやってくれた!今回あの大砲を破壊してくれたお陰で我々の被害は少なくできた」

 

マインドルフ 「……」

 

 ケスラー  「作戦は上手くいったようですね」

 

ドイツ隊長  「ああ…それなんだが、敵の塹壕で爆発があってな…そのお陰で敵の重機関銃の弾をくらわずに済んだ」

 

ケスラーはマインドルフをチラッと見て「その事なんですが…あれは…」と言いかけた時ノックする音がした

 

全員が扉の方を向いた「これは、ファルケンハイン大将」

 

ファルケンハイン「今回はご苦労だったな」グレーのコートを羽織った年配の男だ

 

エーリッヒ・フォン・ファルケンハインは西部戦線の司令官の1人である

 

ファルケンハイン「知っていると思うがこの西部戦線はパリを占領する重要な拠点だ、失うわけにはいかない……今回君らがやった事はドイツ帝国の勝利に繋がるだろう……」

 

マインドルフ  「……」

 

ファルケンハイン「何か言うことはあるか?」

 

 ケスラー   「最善を尽くします。」緊張しているのが分かった

 

マインドルフ  「ここでの戦いも2年になります…しかしながらいっこうに進んでいません…もう少し工作員を増やしてほしいのですが…」

 

ファルケンハインはまじまじと顔を見て「考えておこう…しかし期待はするな…私は戻る、君らは次の戦いに備えて休みたまえ…」と出て行った

 

ケスラーはため息交じりに「また明日からにらみ合いが続きそうだな…」と呟いた

 

 

 

2人は外に出て歩きながら

 

マインドルフ 「まさか、ファルケンハイン大将に会うとはな」

 

ケスラーは真面目な顔で「ああ……何故俺達が大砲で撃った事を言わなかった?」と聞いた

 

マインドルフはサラッと「必要がないからだ」と答えた

 

 ケスラー  「勲章もいらない、階級も断る…そんな兵士はお前だけだぞマインドルフ……ん?」

 

マインドルフ 「どうした?」

 

服が赤くにじんでいるのを見つけ「何だ……撃たれたのか!」

 

マインドルフが服をめくり確かめると、脇腹から出血していた「大したことはない…ただのかすり傷だ………」

 

 ケスラー 「そんなに血が出ているのに大丈夫なわけないだろ!近くに野戦病院があるからそこで見てもらえ!」

 

 

 

 

 医者   「ここに横になってください」

 

 ケスラー 「どうですか?」

 

 医者   「…もう少しずれていたら危険でした…取りあえず傷口を縫っておきましょう」

 

マインドルフ「針は嫌いだ……」

 

 ケスラー 「俺もだ…」話していると、ふいに肩を叩かれ振り向き驚いた「………何で…お前がここに?ベルリンにいるんじゃなかったか?」

 

肩を叩いたのは……博士だった「2人共元気にしてるかなぁと思って見に来たんだよ」ニコッとしてマインドルフを見る「いやぁ、マインドルフ久しぶり…」

 

    

 

次に目が覚めるとうす暗い倉庫の中だった…博士が現れマインドルフの顔についている豆をつまんだ

 

マインドルフ 「気持ち悪いからやめてもらえないか…」

 

博士はニコッと「あぁ~ごめん・ごめん、顔に付いていたから取ってあげようかなって…もう綺麗になったよ」

 

マインドルフは辺りを見まわした…

 

  博士   「大丈夫だよここには誰もいないよ、全員撤退したからね」

 

マインドルフ 「………博士……どうしてここにいる?」

 

博士はマインドルフの顔を覗き込み静かな声で「もっと他に聞きたい事があるんじゃないの?」と促す

 

マインドルフは神妙な顔で「………親衛隊はここで……この世界で何をしている?グラーフ・ツェッペリン はどうなっている?」

 

  博士   「グラーフ・ツェッペリンは無事だよ…あそこが今のところ私たちの『家』だからね」

 

マインドルフ 「それじゃ親衛隊の指揮をしているのは…まさかレーダー元帥か?」

 

博士は上を向き「あ〜ん…教えたいんだけど、それを教えたら後が面白くないんだよね〜 そ・れ・に・私は今を楽しむ人間だからね、マインドルフ君も『今を楽しまなきゃいけないよ』ね」

 

マインドルフ 「これ以上話しても無駄だな…」博士の性格をよく知っている

 

遠くから足音がし「マインドルフ!無事か?」と声が聞こえてきた

 

慌てた様子もなく博士が「おっっ仲間か……いや君には仲間と呼べる者はいなかったね~」と余裕を見せた

 

マインドルフはルガーを博士の眉間にあて「さっさと消えろ」と無表情で返す

 

博士はニコニコしながら「じゃ~また会おうね…」と言って奥へ消えて行った…

 

すぐに扉の開閉音がすると足音が近づいてきて「怪我はありませんか?中佐」とティアの声がした

 

マインドルフ 「…大丈夫だ…」

 

ルークはマインドルフをまじまじとみて「あんな高いところから落ちてよく怪我しなかったな」と感心していた

 

マインドルフ 「積み荷があって助かった…」

 

 ジェイド  「話し声が聞こえたようですが…誰かと一緒でしたか?」

 

ティアは辺りを見まわし「ここには誰もいないようですが…」

 

マインドルフは立ち上がりながら「……まさか、私だけですよ」

 

ジェイドは口元に手を当てて「おかしいですね…確かに声が聞こえたのですが…」と用心深くあたりを見まわした

 

ルークはそわそわと「マインドルフが無事なのが分かったんだから早くヴァン先生の所へ行こうぜ!」と急かす

 

ティアが「もう少し心配したらどう」ときつい口調で言うと「フンッ」と言い返して出ていった

 

みんなが倉庫から出ていく中マインドルフは扉の所で立ち止まり後ろを振り返った(久しぶりに昔の夢を見たな……)

 

 




 ケスラーが持っていた MG08/15・・・第一次世界大戦中 MG08の軽量化型で戦場での利便性を大幅に向上させた
 大砲 M1897 75mm野砲・・・これ以前は実質的な連射速度は1分当たり2発が限界だったが➞1分当たり15発まで上昇
 マインドルフが持っていた Gew98・・・ドイツ帝国で制式採用されたボルトアクション方式の小銃(1898-1935年)
 ホッチキスMle1914重機関銃・・・フランス軍の標準的な重機関銃(ガス圧作動方式)


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第22話

倉庫から出て船長室に向かう途中でヴァンと船長が話しているのが見えた

 

ルークが駆け寄ると「ルーク無事だったか…それにお前も…」とティアを見たがティアは素知らぬふりをしている…

 

ジョゼフはちょっと気まずそうに「あんなに騒がしかったのに、今まで何処に居たんだ?」と声を掛けた

 

 ヴァン  「船がいきなり揺れて…壁に頭をぶつけてそのまま気を失ったらしい……」

 

ルークは驚いて「先生でもそんなことがあるんだ…」

 

ジョゼフ  「怪我はなかったか?」

 

 ヴァン  「ああぁ…この通りもう大丈夫だ、それよりジョゼフお前の仲間のクルーガーといったか…見に行ったほうがいいんじゃないのか?」

 

ジョゼフは、はっとしてカールを見た

 

 

 

その頃…医務室

 

クルーガーが目を覚ますとロバートが居た「…あぁ…ここは?」

 

ロバート  「目が覚めたか?ここば船の医務室だ、俺とガイとでここまで運んできたんだ…感謝しろよな」

 

 ガイ   「どうしてあんな事をやったんだ?…クルーガー」

 

クルーガーは思い出し酷く落ち込んだ…(ああー!イオンにあんな格好悪い姿を見られた!もう顔も見せられない)

 

ガイはロバートを見た「俺、まずいこと言ったか?」

 

勢いよく扉が開きルーク達が入って来た                        

 

ジェイド  「目が覚めましたか…気分はどうです?」

 

クルーガーは言葉にならない「う〜 (´;ω;`)」

 

ルークがガイの耳元で囁く「こいつ大丈夫かよ」

 

反対側から「大丈夫ですかクルーガー?」と聞きなれた声が…クルーガーが声の方へ振り向く…「イオン!?いつからそこに…」

 

 イオン  「さっきからずっとここにいましたよ…あの…体の方は…」

 

クルーガーは慌てて「ああ…俺はこの通り大丈夫だぜ!」とベッドから出てスクワットをして見せた…

 

全員が呆気にとられた…

 

 ルーク(うわ~~何だよこいつ!)

 

イオンはニコッと笑って「あまり無理をしないで下さい…それとさっきは体を張って僕とアニスを守ってくれてありがとうございます。」

 

クルーガーは眩しそうにイオンを見ると「礼なんて…当然の事をしたまで〜 (*≧∀≦*) 」

 

 イオン  「は、はい…」

 

アニスはチラッとクルーガーを見て「チョット褒められたくらいで…あんなに嬉しい顔して…」

 

ジェイド  「おや…やきもちですか?アニス」

 

アニスはツーンと「別に……そんなんじゃないよ、大佐…」(むむむ!本当はアニスちゃんが褒められるのに…何であんな奴が?最後に倒したのは、アニスちゃんなのに!)

 

ジェイド  「しかしあのポンコツカイザーの弱点を作ってくれたのはお手柄だったですね」

 

 アニス  「大佐…ディストを倒したから機嫌がいいんですね…」

 

ジョゼフ(ジェイドとディストはどういう関係なんだ?)

 

 

 

ティアは医務室の入り口の壁にもたれていた…

 

ジョゼフは気になり「どうした、そんな顔をして?」と聞くと

 

ティアは低い声で「あの兄が…船が揺れたくらいで頭を打って気絶だなんてありえないわ」

 

ジョゼフ  「嘘を付いてると?」

 

 ティア  「……ええぇ、兄は人を騙すのが得意だから…それに気絶するくらいだったら怪我もしているはず…」

 

ジョゼフ  「…ヴァンもファーストエイドを使えるのか?」

 

 ティア  「兄はセブンスフォニマーだから使えるはずだけど…」

 

二人が話している所へカールが静かに近づいて来た「…軍曹」

 

ジョゼフ  「どうだった?」

 

 カール  「はい…目撃者の話によると、海の中から突然船が現れてオラクル兵や親衛隊が乗り込んできたとの事…」

 

ジョゼフは驚き「海の中から…潜水艦か?」

 

 カール  「そうだと思います…それと樽の中に隠れていた船員の目撃によると、死体を潜水艦に運んで行ったようです」

 

 ティア  「オラクル兵と親衛隊ね…」

 

ジョゼフ  「自分らの存在を知られたくないからだろう」

 

 カール  「しかし、大胆に襲撃している時点でもう死体を隠すのは無駄じゃ…」

 

ジョゼフ  「確かに…」 

 

横からルークが「おいっ…!何コソコソ話しているんだ?」

 

 ティア  「貴方には関係ない話よ」

 

ジョゼフ  「ルークにはつまらない話だ」

 

ルークはムッとしながらも「何だよ……まぁいい、俺疲れたから部屋に行くぜ」と出ていった

 

ジョゼフ  「とにかく親衛隊とオラクルがどんな関係でも、もう少し調べる必要があるな…」

 

 

 

 

 

夕食も終わりベッドに入ったがなかなか寝付けずにジョゼフが甲板に出ると、ルークが居た「また海を眺めているのか?」

 

ルークは船のへりに寄りかかりながら「別に良いだろ…そっちこそ眠れないのか?」

 

ジョゼフ  「まぁな…そういえばルーク、銃の扱いは慣れたか?」

 

ルークは傍に掛けてあったMP40を手に取って「おぅ…最初は分かんなかったけど、今は剣よりもこっちの方がいいぜ」

 

ジョゼフ  「だがルーク…銃の扱いはまだまだだな…時間があったら教えてやる」

 

 ルーク  「別にいいよ面倒くせ~」と話をしているとルークの体がぼんやりと光りだした!

 

苦しそうに崩れ落ちる「ううぅ…うぅ…」ジョゼフが慌てて支えようと手を伸ばす…「ルーク!」

 

近くにいたヴァンが声を聞きつけ駆けつけて来た…すぐにルークの身体を抑える「い、いかん!ルーク落ち着け!」

 

するとジョゼフの体も光り始めた「くぅぅ!何だこれは!?」

 

ヴァンはジョゼフを見て驚いた「こ、これは!どういうことだ!………まさかお前も!?」

 

 「ううぅ…ぐうぅ…」ジョゼフは意識を失っていった…

 

 ヴァン  「ジョゼフしっかりしろ!」

 

 

 

 

遠くの方から声が聞こえる……

 

ヴァンが必死に呼び掛けていた「二人共私の声が聞こえるか!しっかりしろ」

 

ルークが先に目を覚ました「ううぅ…」まだ苦しそうだ……「…何が…起きたんだ?」事態を呑み込めずにいた

 

 ヴァン  「目覚めたか…」

 

ジョゼフも「ん〜ぅ…」と少しずつ意識が戻ってきたようだ… 

 

 ルーク  「確か………!…体がいきなり光って!?」 動揺して言葉が続かなかった

 

ヴァンはルークの目をじっと見ながら「ルーク落ち着け…」と声を掛ける

 

ジョゼフは2人を見ながら「一体何が起きたんだ…?」

 

しばらくするとルークもジョゼフも意識がはっきりしてきた

 

ヴァンは不思議なものを見るようにジョゼフを見た「私は単独で超振動を起こせるのはルークだけだと思っていたが…もう1人いるとは…」

 

ジョゼフ  「超振動?何言ってるんだ…」 

 

 ルーク  「ちょっと待て…超振動って何だよ?」

 

 ヴァン  「簡単に言えば音素が干渉しあって起こる現象で、ありとあらゆるものを分解し再構築する事だ……ルーク、小さい時に誘拐されその後軟禁されていた事を覚えているか?」

 

ジョゼフ  「誘拐された事は聞いたが……軟禁もされていたのか…何故だ?」

 

 ルーク  「俺がまた誘拐されないように父上と母上が心配して…」

 

 ヴァン  「表向きはそうだが…違う…ルークは世界でただ一人、単独で超振動を起こせる人間だ…それをキムラスカは兵器として利用しようとした、それは国王もファブレ公爵家も知っている」

 

 ルーク  「じゃあ…俺が軟禁されてたのは、兵器として……」

 

ジョゼフ  「兵器だと…」

 

 ヴァン  「…ルーク自体が兵器だ…それは島丸ごと消滅出来るほどの威力を持つ…その為外部からの接触を断ちたかったキムラスカに軟禁されていたのだ…どうしてお前にこの力が宿ったのかは分からんが…」

 

ジョゼフは呆気にとられた顔で「俺にもその力があるというのか…」

 

 ヴァン  「…さっき見たかぎりルークと同じ力があるみたいだが……以前にもこんな事はなかったか?」

 

ジョゼフは思い出しながら「……前に…コーラル城の地下で腕が光った事があった……他にも声が…」

 

 ルーク  「声?」

 

 ヴァン  「…そうか…その声も気になるが、地下であった事を誰かに話したか?」

 

ジョゼフは考えながら「いや、誰にも…」

 

ヴァンは静かな声で「そうか……この件はまた後で話そう、しかしこれだけは覚えておいてくれジョゼフ…お前は普通の人間じゃない…危険な力を手にしている事を…」

 

ジョゼフ(俺が…危険?…)

 

 ヴァン  「ともかく二人共この話は誰にも言ってはならん……私もこれからの事を考えてみる…」そう言って部屋に戻っていった

 

ルークは戸惑った様子で「ジョゼフ…ヴァン先生が言ってた事ってどういう意味だよ?」

 

ジョゼフ  「俺にもよく分からない……」

 

 ルーク  「声の事だけど…俺もはっきりじゃねえけど、たまに聞こえるんだ」

 

ジョゼフ  「それは女性の声だったか?」

 

 ルーク  「…いや…違う」

 

2人は神妙な面持ちで部屋に戻って行った

 

(あの女に会ってから…俺の体に何が…訳が分からない!俺はただの兵士だぞ……夢でも会えたら訳を聴きたいぜ……)

 

しかしジョゼフの期待を裏切り夢は何も見なかった……

 

 

 

 

翌日バチカルの軍港に着くと、キムラスカ兵が整列しているのが見えた…

 

 ヴァン   「私はやることがあるからもう少し船に残る、先に行ってくれ…分かっていると思うが昨日の事は誰にも話すなよ…」

 

 ルーク   「…分かりました、先生」

 

ヴァンを残してルーク達が下りていくと1人の体格のいい男が前に出てきて「お待ちしておりました、私はキムラスカ・ランバルディア王国軍第一師団長、バチカル守護隊ゴールドバーグ将軍であります」

 

その後ろからもう1人華奢な女性が「ジョゼット・セシル少将であります。」と名乗った

 

ロバート   「おっ 綺麗な女性じゃないか…同じ軍人には見えないぜ」

 

クルーガー(ふん、イオンと比べれば…絶対イオンだ)

 

ゴールドバーグはジョゼフ達を見て「あそこの人達は?見なれぬ格好をしていますが…」

 

 ルーク   「ああ…俺の連れだ…これから彼らを王宮に連れて行く」

 

ゴールドバーグ「分かりました。では…王宮までお供いたします」

 

ルークは面倒くさそうに「護衛なんていらねえよ、俺が王宮まで連れて行くから…いいな!」

 

ゴールドバーグ「わ、分かりました…では、我々はこれで失礼します。」と下がっていった

 

ジョゼフ   「ルークの奴、ここに来て急に偉そうになったなぁ」

 

 アニス   「ふわ〜、将軍に命令するルーク様、カッコいいです〜」

 

 ガイ    「まぁ、ルークはこう見えて偉いからなぁ」

 

ルークはガイに顔を近づけ「ガイ、どういう意味だよ」

 

 

ジョゼフはマインドルフがいない事に気付き辺りを見回した

 

マインドルフはキムラスカの戦艦を見ていた「これが駆逐艦…あれが戦艦か…」

 

ジョゼフ  「分かるんですか?」

 

マインドルフ「ああ、形や大砲の配置…この世界の船は独特な形をしているが…」

 

ジェイド  「マインドルフが言っていることは当たってますよ、この船はキムラスカ海軍の駆逐艦ですが…マルクト海軍と比べると古いですね」

 

マインドルフ「マルクト海軍の船も見てみたいですね」と言いながらジョゼフを見ると様子がいつもと違うのが分かった「どうした具合でも悪いのか?」

 

『誰にも話すな…』と言っていたヴァンの言葉が頭を横切り「何でもありません…ただ夢見が悪かっただけです」と答えた

 

マインドルフ「…そうか…」それ以上は聞かなかった

 

アニスが走ってきて「お~い!行くよ~」と声を掛けてきた

 

 

用意された馬車に乗りこむと街へ入って行き高い建物の前で止まった

 

マインドルフ「ここはまるでバベルの塔のようだな…」

 

 ルーク  「なんだそのバベルって?」

 

マインドルフ「私のいた世界で神話に出てくる塔だよ、それに似ている…」

 

ジョゼフ  「しかし…どうやって上に行くんだ…階段で登るのか?」

 

ガイが指さす「あれに乗っていくんだ」

 

指差した先には20人ほど乗れるロープウェイの様な物があった…しかも木製だ

 

ロバート  「おいっ、まさか…あれで行くのか?…」

 

 ガイ   「あぁ…これで上まで行くんだ…どうした?」

 

ロバートは顔が真っ青になった「………あー、悪いけど俺は乗らないぞ……」

 

 ティア  「えっ…急にどうしたの?」

 

ジョゼフ  「…ロバートは……高所恐怖症なんだ…」

 

 ルーク  「ええっっ…?そうなのか」

 

ロバートは怖がって乗ろうとしない

 

 アニス  「大丈夫だよ…下を見なかったら怖くないよ」

 

ロバート  「いやいや…エレベーターは無いのか!?」

 

 ルーク  「エレベーターって何だよ?」

 

ジョゼフ  「あるわけ無いだろう、諦めて乗れロバート」

 

ロバートが乗るのをためらっていると、後ろからアニスが背中を押して「ほらっ、ほらっ、早く乗ってくださ~い」

 

クルーガー(女性に背中を押してもらって…………俺もイオンに背中を押してもらいたい…(^ω^))

 

チラッとイオンを確認し…わざとためらっていると後ろから押された((*≧∀≦*)来たーー!!)後ろを振り向く

 

ジェイドが笑顔で「ほらっ、ほらっ、クルーガーも乗ってください…」

 

この時から、クルーガーはジェイドに殺意を抱いた…

 

 ティア  「少しの時間だけだから我慢しなさい!」と活を入れるがロバートは乗らない

 

 ミュウ  「ロバートさん!僕が一緒に乗ってあげますから、乗るです!」

 

ロバートは観念して両手でミゥウを抱きかかえ乗り込んだ

 

羨ましそうなティア(いいなぁ、あのモフモフ私も両手で抱きしめたい…)

 

 

 

ロバートの顔は真っ青だ「大丈夫、大丈夫だ…このカゴは絶対に落ちない…あぁあ大丈夫だぞ!ロバート」

 

 ジョゼフ  「まだか?ロバートの精神が限界だ」

 

カールは知らん顔で外を眺めている(いい眺めだなぁ…)

 

ミゥウはロバートにギュッと抱きしめられて身動きが取れない「くっ…く、苦しいですの〜!」

 

それを見ているティアも力が入る「ミゥウも限界だわ…」

 

到着し真っ先に降りる「はぁぁ…はぁ、死ぬかと思った!」ロバートは汗でびっしょりだ

 

 ルーク  「なんだよ、そんなに怖かったのか?」

 

ミュウもクタクタになっていた「みゅう〜死ぬかと思ったんですの〜」

 

ティアはホッとして「ミゥウも、頑張ったわね」と褒めた

 

カールは周りを見渡し「ここには何人位住んでいるんですか?」

 

 ガイ   「この首都バチカルには、50万人が暮らしているぜ」

 

ジョゼフ  「50万人?首都としては少ない方だな」

 

 ガイ   「まぁ色々な事が…度重なる戦争で人口も国も減って、国はマルクトとキムラスカだが世界中にいる人たちを合わせても、400万人いるかいないか…」

 

ジョゼフ  「そんなに少ないのか?」

 

ガイは浮かない顔で「あぁ…また戦争が始まれば減るだろうな…」

 

そんな話をしていると見晴らしのいい高台に着いた

 

ジョゼフは下の街並みを見ながら「ここは街ってよりも要塞だな」

 

 カール  「あちらこちらに大砲がありますね」

 

 ガイ   「戦争になったら、要塞にもなるようになっているんだ」

 

マインドルフ「なるほど…ここを陥落させるには骨が折れそうだな…」

 

ジェイド  「マルクトの将軍達もあなたと同じ事を言っていましたね」

 

 ルーク  「それでも攻める気満々じゃねぇか…」

 

ジェイド  「戦争が起きればの話ですよ」

 

高台から少し歩くとバチカル城に着いた

 

マインドルフ「ドイツにも大きい城はあるが、こんな城は初めてだな…」

 

キムラスカ兵はマインドルフやジョゼフ達をジロジロ見ていたがルークに気付き「お待ちしておりました」と慌てて門を開けた

 

バチカル城の中に入り迷路のような通路をルークは間違うことなく進んで行った

 

王の間の扉の前に二人の兵士がいるのが見えた

 

キムラスカ兵はすぐにルークを見つけ「今は大詠師モース様が謁見中です、少々お待ちください」と言いながらチラッとジョゼフ達に目をやった

 

 イオン  「モースが…」 

 

 ルーク  「早く行こうぜ…モースが変な事を吹き込む前に」

 

ジェイド  「お待ちなさいルーク…アメリカ兵の人達と中佐はここに居てもらいます」

 

 ルーク  「はっ…?何でだよ」

 

 ティア  「見るからにジョゼフ達ば怪しいでしょう……話しがややこしくなるわ」

 

ガイはジョゼフを見て「ここまで来る間にもジロジロ見られていたしな…」

 

ロバートは服装を確認し「そんなに変か…身だしなみには気を使っているんだがなぁ」

 

 ガイ   「そういう問題じゃないんだが…」

 

ジョゼフ  「変に誤解を受けても困るしな…俺達はここで待ってた方がよさそうだ」

 

ルークも納得して「分かったよ、それじゃあ行こうぜ」

 

クルーガーもイオンの後ろについて行くが、ジョゼフに「お前は行くな…」と首根っこを掴まれた

 

クルーガー 「(´;ω;`)」

 

 

 

 

ロバート  「王様ってどうなんだろうなぁ…やっぱり王冠をかぶって赤いマントを着てるのか?」

 

マインドルフ「気になるなら、扉から少し覗いてみたらどうだ?」

 

ロバート  「…それもそうだな…よし!少し覗いて見るか」と行こうとするのをカールが肩を掴み止めた「やめて下さい。そんな事をしたら犯罪ですよ」

 

ロバートは「じゃあクルーガーならいいのかよ!」と扉を指さした

 

 カール  「いつの間に…」と呆気にとられた

 

クルーガーは扉に向かって(この扉の向こうにイオンを狙った奴が居るのか……許せぬ…イオンの邪魔をする者は……殺…)

 

横に居るキムラスカ兵に「おいっ…あまり扉に近づくな」と言われクルーガーが殺気を向けた (◞≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽) 「何?」

 

キムラスカ兵は一歩引いた(何だこの殺気は!?)

 

しばらくすると扉からルーク達が出てきた、どうやら親書の返事には時間がかかるようでその間ジョゼフ達はルークの屋敷に滞在する事となった

 

 

 

 

 

 ルーク  「ここが俺ん家だ」

 

 アニス  「うわぁ〜凄い豪華なお屋敷じゃないですか〜」と目をキラキラさせている

 

クルーガー(俺もいつかイオンとこんな屋敷に住んでみたい(^ω^) )

 

アニスはクルーガーがニヤついているのを見て(けぇぇ!クルーガーの奴また変なこと考えてるなぁ)

 

 ルーク  「中に入れよ」

 

ロバート  「相当広そうだなぁ」

 

扉を開けるとメイド達がいた…来るのか分かっていたかの様に出迎えた「おかえりなさいませ、ルーク様」 

 

 ルーク  「父上はどうした?」

 

 メイド  「クリムゾン様はお出掛けしております…」

 

 ルーク  「そうか……じゃ俺は母上に会ってくる」と階段の方へ行きかけると「待って…私も会わせて…」とティアが呼び止めた

 

ルークは振り向き「お前が、来たら母上が驚くだろう」

 

ティアは申し訳なさそうに「謝りたいの…今回の騒ぎは私が原因だから…」

 

 ルーク  「分かった…それじゃあみんなを客間に案内しとけ」

 

 メイド  「はい…しかし客間にはナタリア姫がおりますが…」

 

ルーク(はぁ ナタリアが来てんのかよ…まぁ一緒でもいいか)「別にいい」

 

 メイド  「よろしいので…」

 

 ルーク  「しつこいな…俺がいいって言ったらいいんだよ」

 

 メイド  「かしこまりました」

 

ジョゼフ(…ナタリア?)  

 

ルーク・ガイ・ティアの3人は母親がいる部屋へ向かい…ジョゼフ達は客間へ通され、そこで初めてナタリアと会った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第23話

今、ジョゼフ達が居る首都バチカルの北…

遠く離れたフェレス島廃墟群…

人気の無い港にひっそりと空母グラーフ・ツェッペリンが停泊していた

 

そこへフォッケ・アハゲリス Fa 223 一機が甲板に着陸し中からデートリッヒ大尉が降りてきた

 

国防軍少尉 「親衛隊デートリッヒ大尉でありますね?」

 

デートリッヒ「そうだ…」

 

国防軍少尉 「レーダー提督が艦長室で待っています…その前に腰に付けている銃をこちらに渡して下さい…」と左手を出す

 

デートリッヒは素直に腰に付けているホルスターごと外して渡した

 

 

艦長室…レーダー元帥は少々疲れた様子で椅子に座っていた

 

 副艦長 「レーダー元帥、親衛隊デートリッヒ大尉が 到着したようです」

 

レーダー 「すぐに連れてきてくれ」

 

 副艦長 「了解しました」

 

すぐにノックの音がして MP40を持った兵士3人に囲まれデートリッヒが入って来た

 

デートリッヒ「ハイルヒトラー!親衛隊デートリッヒであります。」手を挙げて挨拶をした

 

レーダーは一瞥し「…挨拶はいい…君がやった事は目に 余るものだ」と静かに話し始めた

 

デートリッヒ「………」

 

レーダー  「親衛隊に死人が出たそうじゃないか…隊長が犠牲になったと聞いた…それだけじゃない 、Uーボート1隻と陸に配備していた【フォッケ・アハゲリス Fa 223】2機も勝手に出撃させたそうじゃないか…これはどういう事だ?いつ親衛隊はドイツ海軍と空軍までを指揮するようになった……説明してくれ大尉…」

 

デートリッヒは動じることもなく「レーダー元帥は何か誤解をしています」

 

レーダー  「誤解とはどういう事かね?詳しく 聞かせてもらおうか…」

 

デートリッヒ「彼らは勝手に銃を持ち出し…魔物狩りをしたのです」

 

レーダーは眉をひそめ「魔物狩り?」

 

デートリッヒ 「ストレス発散の為にやったんでしょう…しかし、装甲車なみの魔物が現れた様で…死人は出ませんでしたがその小隊長は責任を取るのが怖くなり逃走しました…急いで捜索する為に フォッケ・アハゲリスを使わせてもらいました…その後キムラスカ王国に逃げ込んだという情報が入り、バチカルの首都近くにUーボートで待ち伏せしていたのですが…残念ながら時計塔で自分の頭を撃ち死にました…」

 

話し終えるのを待って「なるほど……今作った話としては上手く出来てるじゃないか」とレーダーが冷ややかに言う

 

デートリッヒは真顔で「全て事実です」と答えた

 

レーダー 「そうか、分かった…その話が本当なのかは 君の部隊員に…」

 

コンコン…ノックの音が響いた「誰だ?今取り込み中だ」

 

ケスラー 「親衛隊指揮官のケスラー大将です」

 

レーダーは眉間に皺を寄せ「……入れ」デートリッヒもケスラーを見る

 

レーダー 「ケスラー大将、君を呼んでいませんが… まさか、これは親衛隊の問題だと言うんじゃないでしょうね…」

 

ケスラー 「部下の失態は私の責任でもありますで…」と軽く頭を下げた

 

レーダー  「確かに親衛隊の指揮官は君だ…どうやって 責任を取るつもりだ」

 

ケスラーは考えるふりをしてから「しばらくの間、陸にいる親衛隊に国防軍の1部隊を見張りに付かせるのはどうでしょうか?」

 

レーダーは強い口調で「……いいだろう…ただし見張り役はこちらで決める…処遇が決定するまでデートリッヒ大尉を部屋に監禁する、連れていけ」

 

ケスラー 「その前に…私の部屋で少しだけ大尉と話をさせて下さい」

 

レーダーは渋々「……少しだけだ…」

 

ケスラーはデートリッヒに目配せし2人は出ていった

 

 

ケスラーの部屋へ入ると「申し訳ありません大将……自分のせいで…」とデートリッヒが頭を下げた

 

ケスラー  「別に構わないさ、レーダー元帥に気付かれるのは時間の問題だったからな…」

 

2人が話していると少将が入ってきた「私に用かケスラー…つまらん話だったらやめてくれ」

 

デートリッヒ「大将に向かってなんだその態度は!」

 

 少将   「国防軍なら敬語を使うが、親衛隊は別でな…敬語は使わん事にしているんだ」

 

ケスラーは間に入り「デートリッヒ大尉…私は気にしていない、それよりも少将あなたを呼んだのは他でも無い……監視役をやってくれないか?」

 

 少将   「何…監視役…どういう事だ?」

 

ケスラー  「毎日毎日暇だろう…プロパガンダ用に作った映画を何回も見て楽しいですかな?我々に協力してくれれば、その暇も消えますよ」

 

 少将   「…どういう事か話を聞かせてもらおう…」

 

 

 

 

 

 

 メイド  「こちらが客間になります」

    

客間には誰も居なかった

 

メイドが「少々お待ちください」と出て行くとすぐに別のメイドが来て飲み物とお菓子を置いていった

 

それに気付いてロバートが「おっ!いいねぇ気が利く…」

 

クルーガーも嬉しそうに「ああ、クッキーとお茶なんて…お茶はともかくクッキーは久しぶりだな」

 

 カール  「軍ではなかなか手に入らないからな」

 

ロバートは次々とクッキーを口に入れる…

 

アニスは呆気にとられた顔で「ちょっとロバート、そんなに食べたらイオン様の分がなくなっちゃうじゃん!」

 

 イオン  「アニス、別にいいですよ」

 

 アニス  「えぇ、でもイオン様もクッキー好きでしょう」

 

イオンは少し照れたように「今はそんなに欲しくありませんから…」

 

クルーガーが低い声で「ロバート、もうそれくらいにしとけよ」と言いながら視線を送る

 

ロバートは違和感を感じ「何?……」

 

クルーガー(◞≼◉ื≽◟゜;益;◞≼◉ื≽◟)

 

ロバート  「お、おう、そういえばお腹いっぱいだぜ……」

 

マインドルフ「これは……イギリスの紅茶と同じ味だ」

 

ジョゼフ  「イギリスの紅茶ですか?」

 

マインドルフ「ああ、バリの占領地区にある茶店で飲んだ事がある…店員が良い人でね、紅茶を注文すると『紅茶に合うクッキーです』とよく持って来たものだ……」

 

ジョゼフ  「紅茶にクッキーですか……」と紅茶を飲む

 

しばらく色々と話をしていたがジョゼフが席を立った

 

ジェイド  「ジョゼフ、どちらに?」

 

ジョゼフ  「お手洗いに行きたいんだが…」

 

メイドに案内され行くと驚いた「ここのトイレの機能は凄いなぁ……」

 

どんなだったか…

 

 

ジョゼフが客間に戻る途中ルークとガイに会った

 

ジョゼフ  「母親に会って来たのか?」

 

 ルーク  「あぁ…お前らはナタリアに会ったか?」

 

ジョゼフ  「いや…客間には誰もいなかったぞ」

 

 ルーク  「はぁ~いない?」

 

ガイは近くのメイドに距離をおきながら「なぁ、ナタリア姫は?」

 

 メイド   「姫様なら中庭でルーク様をお待ちです」と言いその場を離れて行った

 

 ガイ    「…で、行くのか?」

 

 ルーク  「はぁ~やだよ、そのうち向こうから来るだろう」

 

ジョゼフ  「行った方がいいんじゃないか」

 

 ティア  「きっと待ってるわよ」

 

ルークは面倒くさそうに「…わー、分かったよ行けば良いんだろ!」(ナタリアの性格を知らないくせに…)

 

中庭に行き「ナタリアの奴…何処にいるんだ」と探していると

 

 ティア  「あの人じゃない?」と指差した先に、寂しそうな顔をして花を見ている人影が見えた

 

ジョゼフ  「あれがナタリア姫か?」

 

 ルーク  「ああ…それにしても冴えねぇ顔してんなぁ…」

 

 ガイ   「ナタリア姫はお前が心配で…また誘拐されたと思っていたんだぞ」

 

ティアがルークを促す「早く、行ったら?」 

 

ルークはその場で「おいっ!そんな所で、何してるんだよ!」と大きな声で話しかけた

 

ナタリアはハッとして「………ルーク………ルーク!無事に帰って来たのですね!」とルークの元へ走って来た「良かった…またあなたが誘拐されたと思って…」

 

ルークは少しドキドキしながら「わ、悪かったよ心配かけて…でも戻って来たんだから良いだろう」

 

ナタリア  「まぁ!心配してたのに何その言い方はもう!…まぁ貴方らしいですけども…」

 

後ろにいるジョゼフを見て「…そちらの2人は?」

 

 ルーク  「ここに来るまで色々と助けてくれたんだ」

 

ナタリア  「ルークを助けていただき、お礼を言います…貴方は…?」

 

ジョゼフ  「ジョゼフ軍曹です」

 

ナタリア  「軍曹……見たこともない軍服ですわね……」

 

横からルークが「ジョゼフは……お前は信じるかな?」

 

ナタリア  「まぁ、それはどういう意味ですのルーク?」

 

 ティア  「…彼は別の世界から来たんです…」と知っていることを説明した

 

ナタリアは半信半疑で「別の世界から!?それは本の中の話じゃ…?」

 

 ルーク  「…ほら、信じないと思ったよ」

 

ナタリア  「信じてないとは言ってませんわ…別の世界から……他にも何人かいると言いましたわね?」

 

 ティア  「はい…他に4人です」

 

ナタリア  「その方々にも会って話を聞きたいですわ、何処にいらっしゃるのですか?」

 

 ティア  「客間に居ます」

 

話をしている間ガイはルークの後ろに隠れるようにしていたが…

 

 ルーク  「ガイ、ナタリアに何をしたんだよ?」

 

 ガイ   「いや…ここを出る時、ナタリア姫に何も言わずに行ったんだ…」

 

ナタリア  「ガイ!ルークの後ろに隠れていないで出て来なさい…私は怒っていませんわよ」

 

ガイは愛想笑いを浮かべながらそーっと出てきた

 

ナタリア  「無事に帰って来たのですから、皆さんで食事でもいかがですか…」

 

 

 

 

ナタリアと別れて客間に戻ると待ちくたびれた様子でロバートが「軍曹、いつまで待たせるんですか?」

 

 カール  「クッキーだけじゃお腹はいっぱいになりませんよ」

 

クルーガーとイオンは仲良くクッキーを食べている…それをアニスが横目で見ている

 

シェイドはからかうように「嫉妬しているんですかアニス?」と声を掛けてきた

 

アニスは大佐を見るとニコッとして「そう見えますか大佐」と歯を食いしばりながら答えた

 

 

 

 

夕食の時刻になり全員が揃うとナタリアがさっと席を立ち「自己紹介がまだでしたわね、私はナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアと申します。お見知りおきを」と挨拶をした

 

次にジョゼフが「アメリカ陸軍、ジョゼフ軍曹です。」

 

 カール  「カールであります!階級は特技兵であります!」

 

ロバート  「同じくロバート、階級は伍長」

 

クルーガー 「同じくクルーガー、階級は伍長…フォンマスターガーディアンでもあります…」

 

ナタリア  「えっ?」と クルーガーを2度見してしまった 

 

アニス(クルーガーの奴…フォンマスターガーディアンなんてどういうつもり!?)

 

シェイド  「ははは…面白い事を言いますねぇ」

 

ティア(全然面白く無いわよ…)

 

マインドルフが丁寧に挨拶をする「私はドイツ国防軍、マインドルフ中佐と申します、姫様」

 

一通り自己紹介が終わるとナタリアが「良かったら、そちらの世界の事を色々聞きたいのですが…よろしいでしょうか?」

 

マインドルフ「姫さまの頼みなら断れませんね…どんな事が聞きたいのですか?」

 

 

あれこれと話しをしているとあっという間に夜が更けていった…

 

ルークの元にメイドが来て「客人の部屋の用意が整いました」と報告があり解散となった

 

ナタリアは聞きたい事がまだ沢山あったが「それでは…また明日」と渋々城に戻って行ったのだ

 

 

 

ジョゼフ達と中佐は別々の部屋に通された…

 

部屋に入ってからジョゼフは黙り込んで何かを考えているようだった

 

ロバート  「軍曹、これからの事を考えているんですか?」

 

ジョゼフ  「…あぁ…」

 

ロバート  「俺たちの目的は、その…何だった?…」

 

カールがすかさず「瞬間移動装置の破壊」と答えた

 

ロバートはハッとして「そうだ!瞬間移動装置の破壊が目的だった…何で…何かが狂って…別にここが嫌いとかそういうんじゃないんだが……」

 

ジョゼフ  「ドイツ軍の動きが分からない今、下手に動いては…」

 

カールは思い出しながら「気になる事があるんですが…忘れていませんか?大尉の事…あの時近くに居たのは軍曹でしたよね…」

 

大尉も一緒に光に飲み込まれたはず…

 

ジョゼフ  「…確かに大尉を助けようと側に行った時、光に飲み込まれ…気が付いた時にはここの庭に倒れていた…が、近くには誰も居なかった…だがきっとこの世界の何処かにいる筈だ…当初の計画は瞬間移動装置の破壊だったが、そもそもグラーフ・ツェッペリンが何処にあるのかも分からない…しかしあれだけ大きい空母だ見つかるのも時間の問題だ」      

 

ロバート  「それもそうだな」

 

 カール  「商船や軍艦が目撃しているかもしれませんし…あちこちに当たってみましょう」

 

ジョゼフ  「ところでクルーガーの奴は何処だ?」

 

ロバートが辺りを見まわしながら「さぁ、トイレにでも行ったんじゃないのか」

 

カール(こんな大事な話の時に…)

 

 

その頃大佐と中佐の部屋では…

 

マインドルフは部屋に置いてあった本を見ながら「言葉の壁は無い……だが…文字だけは違うらしいな、全然理解できない」

 

ジェイド  「それは奇妙ですね…私はてっきり、言葉も文字も同じだと思っていました」

 

マインドルフはコートから小型の本を取り出した

 

ジェイド  「それは?」

 

マインドルフ「私の国の本だ」とジェイドに渡す

 

ジェイドはパラパラとめくりながら「ほぉ~…これは…初めて見る文字ですね」と興味深げだ

 

マインドルフはそれをチラッと見て「本の内容を知りたくないかね?」

 

ジェイド  「……なるほど、教える代わりにこちらも教えろと言う事ですね、中佐?」

 

マインドルフ「……さすがです大佐」

 

ジェイド  「何が知りたいのですか?」

 

マインドルフが真面目な顔で「……私も魔法を使えるようになりたいんだが…」

 

意外な提案にジェイドは「私が使ったのは魔法ではなく術技形態なのですが…なぜ使えるようになりたいのですか?」

 

マインドルフ「いや、ただ興味本意なのだが…」

 

ジェイドは額に手を当てて「ん〜そうですね〜あなたに使える…と言いましても私は人に教えたことがないんですよね…そもそも貴方にできるかどうか…」

 

マインドルフ「結構自信はあるんですがねぇ…」とやる気満々だった

 

 

 

 

クルーガーは地面を匍匐前進して鼻をクンクンしながら「匂う、匂うぞ!……この辺だ」

 

クルーガー(イオンを守れるのは俺だけだ!(^ω^) )

 

ニコニコしながらドアをそっと開けるとアニスの人形が殴る構えをしていた「……えっっ?(・Д・)」

 

 

イオンは本を読みながら「アニスどうかしましたか?」

 

 アニス  「なんでもありません、ちょっと虫が居ただけです…もう追い払いました」

 

 イオン  「………」

 

クルーガーが白目をむいて倒れているとロバートが通りかかり「ここのトイレって凄いなぁ……ん?何でこんな所で寝てるんだよ、部屋に戻るぞ」とクルーガーをおんぶして運んで行った

 

 

翌朝メイドが起こしに来てくれた

 

ロバートはブーツの紐を結びながら「女性に起こしてもらえるなんて…母親以来だぜ」とご機嫌だ

 

カールがクルーガーを見るとまだ白目で寝ている事に気付いた「うわぁ~何で白目?」

 

ジョゼフ  「クルーガーを起こしといてくれ、俺はルークの部屋に行ってくる」と行ってしまった

 

ロバートはクルーガーをチラッと見て「嫌な仕事を押し付けたなぁ…」と言いながら次にカールを見た

 

カールは窓の外を眺めながら「本当ですよねぇ…」と他人事のように答えた

 

クルーガー 「イ・イオン…イオン」

 

 

 

 

ルークが着替えているとジョゼフが入ってきた「さっきメイドと何を話していたんだ?」

 

 ルーク  「あぁ、叔父上が俺達に話があるから来いって」

 

ジョゼフ  「和平の話が決まったのかもしれないな」

 

 ルーク  「それでも何で俺達まで呼ぶんだよ?」

 

ジョゼフ  「…さぁな…」

 

 

ジョゼフ達全員が城へ呼び出され王の間へ通された

 

すぐにキムラスカ王国のインゴベルト6世陛下が正面の扉から現れ…隣にはナタリアが居た

 

陛下が中央の玉座に座るとナタリアはその右側に腰を下ろした

 

ロバートが小声で「赤いマントも王冠も着けていないぜ…」

 

ジョゼフが(今は静かにしていろ)と目配せをする

 

インゴベルトはジョゼフを見て「ナタリアが言っていたのはお前達か…」

 

ジョゼフ達は敬礼をした

 

インゴベルト「ふむ…ところで親書だが…検討した結果、マルクト帝国と和平交渉をする事になった…だがある条件を満たせばの話となる」と続けた…

 

マルクトの条件とは『帝国領土の鉱山アクゼリュスで大規模な障気が発生…その救援要請だ』

 

その救援隊の責任者にルークが親善大使として任命されたというものだった

 

ルークは嫌そうな顔で「なんで俺なんだよ…もう外に出るのはまっぴらだ!」

 

インゴベルト 「そう言う訳には行かん、お前じゃないといけない理由がある…譜石を持って来い」

 

すると巨大な石が運ばれてきた…黄色・緑色…光の加減で次々と色が変化していく、そこには白い文字らしきものが刻まれていた 

 

ロバートは目を白黒させ「何だエメラルドか?」

 

クルーガーも不思議そうに「…なぁイオンあれは何だ?」

 

イオンは小声で「あれは譜石です、スコアとも呼ばれています」と答えた

 

インゴベルト6世はティアを呼びスコアを読むように言った

 

ティアはスコアを見て『”ND2000”ローレライの力を継ぐ者キムラスカに誕生する 王族に使える赤い髪の男子なり 名を聖なる焔の光と申す』

          

ジョゼフは頭の中で、いつか夢の中に出てきた女の言葉が横ぎっていった…「聖なる焔と共に」

 

 ルーク  「何だよ…さっぱり分かんねえよ…」

 

インゴベルト「これはお前の事だ…ルークという名は古代イスパニア語で聖なる焔という意味だ…」

 

ジョゼフ(聖なる焔の光…ルークの事だったのか!)

 

 ティア  『”ND2018”ローレライの力を継ぐ若者 人々を引き連れ鉱山の町へ向かう…』と続けた

 

 

 

話が一通り終わり…明日の朝早く出発する事に決定した

 

ロバートはアニスに「なぁ…さっき見た、あの巨大なエメラルドは何だよ?」

 

 アニス 「あれは譜石ですよ」

 

ティアは神妙な面持ちで「星の始まりから終わりまでが記録されているの…」

 

 アニス 「譜石を読めば未来の事が分かるのです」

 

ロバート 「そんな物があるから取り合いになって、戦争になるんじゃないか?」

 

 アニス 「譜石を管理し守るのが、我々ローレライ教団の任務です…ちなみに譜石は普通の人には読めないんです」

 

ジェイド 「譜石の取り合い……15年前の戦争もそれが原因でした」と苦々しく答えた

 

 アニス 「そっちの世界には譜石に似た様なものはないの?」

 

ロバート 「ノストラダムスの予言かなぁ」

 

 アニス 「……何それ?」

 

ヴァンがジョゼフの肩に手を置き小声で「少し話せるか」と言ってきたので、ヴァン・ジョゼフ・ルークの3人はバルコニーへ出て行った

 

ジョゼフ 「ルークもいるって事は、超振動の件か?」

 

 ヴァン 「それもあるが……2人ともアクゼリュスの件が片付いたら一緒にタアトに行かないか? お前たちの力は物凄い威力だ……それが2人も…きっと軟禁されてしまうだろ」

 

突然の提案にジョゼフとルークは戸惑ってしまった

 

 ヴァン 「それにタアトに行けば沢山の書物がある…元の世界に戻る方法が分かるかもしれないし行って損は無い」

 

ジョゼフ 「確かに貴方の側にいれば、元の世界に戻れる方法が見つかるかもしれない…しかし、アクゼリュスまで考えさせてくれ」

 

 ヴァン 「分かった…」

 

ヴァンが口ごもるのを見てジョゼフが「どうした?」と聞くと

 

ヴァンは真剣な眼差しでルークを見て「やはり、あの事も……」と話し始めた「実は…7年前、ルークを誘拐した犯人は…私だ」

 

ジョゼフとルークは凄く驚いた「ええっっ!先生がぁ?」

 

 ヴァン 「記憶を失う前に…お前は超振動実験を受けていた… 苦しかったのかまだ子供だったお前は私に助けを求めて… あの時はタアトに逃げるのを失敗したが…今度はしくじったりはしない…ルークお前が必要だ、ジョゼフもだ」

 

 ルーク 「俺が必要……分かったよ俺先生と一緒について行くよ!」と意気揚々と答えた

 

ジョゼフ 「……」

 

 

ルーク達を探していたカールとナタリア姫は偶然にも耳にしてしまった

 

ナタリア 「聞きました?」

 

 カール 「は、はい」

 

 



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第24話

イオンはクルーガーと2人で街を一望できる所へ行くと街を見下ろしながら「いい朝ですね」と深呼吸をした

 

クルーガーも目を閉じて深呼吸をする「あぁ、いい朝だ…」(風のおかげでここまでイオンの匂いがする!!(^p^)) 感動していると後ろで気配がした

 

見ると男が2人…各々剣と杖のような物を手にしている

 

クルーガー「何だお前ら……うっ…」頭に痛みが走りその方を見た

 

男に気を取られている隙に隠れていた女が素早く吹き矢をクルーガーに命中させると、頭を押さえながらクルーガーはゆっくりと崩れていった…

 

イオンが駆け寄り「クルーガーさん!」と声をかけるが反応がない

 

クルーガー  「(-_-)zzz」

 

ノワール   「安心しな、眠っているだけよ…私達と一緒に来てもらおうか…さもないと…」

 

クルーガーの首に剣を突きつける「この男を永遠に眠らせるわよ」

 

 イオン   「…………」

 

 

 

 

その頃アッシュがバチカルの郊外で3人組を待っていると、そこへSSドイツ兵がやって来た

 

アッシュ  「何だ、お前ら?」

 

SSドイツ分隊長「我々はアメリカ兵を待ち伏せしろとの命令を受け来ました」

 

アッシュ  「首都から出る道はもう俺達がみんな封鎖したぞ」

 

SSドイツ分隊長「それでは我々も合流します」

 

アッシュ  「じゃ……」邪魔だと言おうと思ったが、ある事が頭をよぎり「…向こうに地下への入り口があるのを忘れていた、そこをあいつらが通るかもしれないな…」

 

地図を広げて教えてやると8名ほどのSSドイツ兵がバチカルの地下に向かって行った

 

アッシュ  「悪く思うなよ…」

 

 

 

 

 

ジョゼフ達が出発する直前知らせが来た…どうやらアクゼリュスへの航路は、オラクルの船に見張られている

 

ジェイド  「オラクルの船が巡回しているようです」

 

そこで囮の船を出しオラクルの視線をそらす事となりヴァンが囮の船に乗る事に……

 

ヴァンはジョゼフの側に行き「ジョゼフ、ルークとティアを頼んだぞ…」と小声で言いジョゼフは頷いた

 

そして用意をするとすぐに囮の船に向かって行った

 

ルークが気落ちしているのを見て「そんなに落ち込むな…アクゼリュスに行けばまた会えるんだ…」 

 

ルークは照れ隠しで「言われなくても分かってるよ!」と少し怒ったように返した

 

 

 

ジョゼフ達が出発の準備をしているとアニスが慌てて「大変〜!」と走ってきた

 

ロバート  「おいおい、そんなに慌ててどうしたんだよ?」

 

アニスは息を整えながら「イオン様が…イオン様が居なくなっっちゃったんですよ〜!」

 

ティアは顔色を変え「イオン様が!?」

 

 アニス  「街中探したんですけど居ないんですよ」

 

ロバート  「もしかして…さらわれたのか……」

 

ジェイド  「あり得ますね…」

 

ジョゼフ  「アニス、最後に見たのは何時だ?」

 

アニスは両手をこめかみに当てながら「え〜と、確か昨日の夜寝る時に…その時はいたんですよ、で朝起きたら居なかったんです」

 

ロバート  「そういえば、クルーガーの奴も居ないぜ、何処に行ったんだ?」

 

ざわめきがして「向こうの方で男が異様ななりで走り回ってるぞ!」と声が聞こえた…みんなが顔を見合わせ急いで行くと、クルーガーが走りながら大声で叫んでいる!

 

クルーガー 「(´༎ຶ۝༎ຶ) ぅおおおぉおおぉおおおおイ・オ・ンがーーーーきぃーえーーたぁーー!!!」

 

ルークは「うわぁ、うるさっ!」と耳をふさいだ

 

ジョゼフはかまわず「クルーガー!今まで何処にいた?」と声をかけたがクルーガーは我を忘れ叫んでいる…

 

ティアは後ずさりしながら「ちょ…ちょっと!」(怖!)

 

ジョゼフ  「これ以上騒ぎが大きくならないうちに、クルーガーを押さえろ!」

 

ガイとロバートとカールの3人がかりでクルーガーを押さえた

 

ガイは後ろから羽交い絞めにし「取りあえず押さえたが…何だこの力は!」

 

ロバートも驚いた「コイツにこんな力あったか!?」

 

カールも足元を押さえ「ありませんでしたよ!前までは!」

 

アニスは思わず引いてしまった「うわぁ~こんな奴がイオン様の側にいたんだ…」

 

ジェイド   「発狂ぶりがやばいですね」

 

マインドルフ 「精神崩壊してるな…あれは…」と冷静だ

 

ロバートは2人を睨み「そんな呑気な事言ってないで、こいつを押さえるのを手伝ってくれよ!」

 

クルーガー  「おーーーっーっ!!!!!」

 

 ルーク   「あぁ~もう!イオンがどうしたんだよ!?」

 

ティアも加勢する「落ち着きなさい!!」 しかし全く落ち着く様子がないので…「仕方ないわね……『ピコハン』!」

 

突然クルーガーの上からピコハンが落ちて来た!

 

クルーガー  「(゚∀。) アヒャ!」と倒れ静かになった…

 

 ティア   「これで少しは静かになるわね」

 

ロバート(どっから出てきたんだよ…)落ちているピコハンを見る

 

ジョゼフはクルーガーの体を揺さぶり「クルーガー起きろ!イオンはどうした?知ってるなら答えろ!」

 

クルーガーは涙目になり「う〜~イオンは…イオンは、俺が側に居たのに!さらわれたーー(;´༎ຶД༎ຶ`)」

 

ジョゼフ  「なにっ!?」

 

ロバート  「首都に居れば安全な筈じゃなかったのか!?」

 

ジョゼフ  「クルーガー!誰がイオンをさらった?」

 

 ルーク  「聞くまでもねぇ!犯人は六神将だろう」

 

そんな中カールが異変に気付き辺りを見回すと城壁の門の所にオラクル兵の姿が見えた「みんな…下の門を見てください」

 

ジョゼフが目をやる「あれはオラクル兵…」

 

 ルーク  「何で彼奴らがここに?」

 

ジェイド  「おそらく、六神将の指示でしょう」

 

ジョゼフは少し考えて「手分けして街から出る道が無いか探すか?」

 

ジェイドが首を横に振り「軍曹それは時間の無駄です、もう全ての入り口はオラクル兵に見張られているでしょう」

 

 ルーク  「あー面倒臭!あんな奴ら倒せばいいだろ!」

 

クルーガー 「そうだそうだ!皆殺しだ!」目が血走っている

 

ロバートが「お前は落ち着け」とクルーガーを押さえつける

 

ティアは呆れて「バカね…事を大きくしたら囮の意味が無くなるわ」

 

ジョゼフ   「ティアの言う通りだ、何とかしてこの街から出る方法を考えよう」

 

クルーガー  「よし、オラクル兵を何人倒せばいいんだ?」

 

ジェイド   「話を聞いていませんね」

 

カールは城壁を見ながら「しかし、どうやって敵に気付かれずにこの街を出て行くんですか?門は通れませんよ」

 

ジェイドは眉間に手を当てながら「…こういうのはどうですか、まずクルーガーを第二陣の囮にして、私たちはその隙に街から出ましょう、人間とは思えないほど発狂をしてるんですからオラクル兵の注意を引きますよ」

 

ジョゼフ   「大佐こんな時に冗談は…」

 

すると横からマインドルフがすかさず「それはいい考えだと思いますよ大佐…しかしそれだと囮とすぐにばれてしまう、いっそ爆弾を体に巻いて突撃させれば別の意味で注意を引くでしょう」

 

ジェイド   「私としたことが、その発想はありませんでした…」

 

アニスはイライラして「もう!大佐も中佐もこんな時にふざけるのはやめてくださいよ、イオン様がさらわれたって言うのに!」

 

マインドルフ 「すまない…つい……しかし本人はやる気だぞ…」とクルーガーを見ると「イオンのためなら死ねる!」と手榴弾を体に巻き始めた…

 

ロバートもあきれてしまった「なにバカな事やってんだよ…まったく…」

 

 ティア   「はぁ…これこそ時間の無駄よぉ……」とため息をつく

 

それまで黙っていたガイが「俺に、いい考えがあるぜ」と言い出した

 

全員がガイを見……そして案内され着いた所は……

 

 

 

ロバートは周りを見回し「何だここは?」

 

辺りは薄暗く、あちこちに太いパイプが通っているが 所どころ錆びている…

 

ジョゼフ達は地下の工場跡に来ていた

 

ジョゼフ  「ここは近代的だなぁ」と感心していた

 

 ガイ   「兵器工場だったがもう使われてないんだ」

 

ロバートもキョロキョロしながら「街の下にこんな大きな工場があったとはなぁ…」

 

地下の兵器工場跡

 

ジョゼフ  「行くのはいいが、迷ったりしないのか?」

 

ガイはカバンの中をゴソゴソすると「心配ない…ここに地図があるんだ、これで迷う心配はない」

 

ルークは楽天的だ「よし、行こうぜ」

 

 

少し進んだところで人影が見え 全員が身構えた

 

覚えのある声が…「お待ちしておりましたわ」と聞こえてきた

 

ジョゼフ    「…姫様!?」

 

ルークも驚き「何でお前がここにいるんだよ!?」

 

ナタリアは腰に手を置き「私を置いて行くなんて…私だって皆さんのお役に立てますわ」

 

マインドルフ 「お気持ちは有り難いですが姫様、外は危険ですよ」

 

ナタリア   「それならご安心を…私だって、三年前にケセドニア北部の戦で慰問に行った事がありますもの」と自信満々だ

 

ロバートは苦笑いで「でもね姫様、戦闘と慰問じゃ違うんですよ」

 

ナタリアは背を向けて「それは分かっています…しかし何を言われましても私も行きますわよ」と強気だ

 

マインドルフ 「姫様がそこまで覚悟しているなら仕方ないですね」

 

ルークはむっとして「なんでお前が決めるんだよ…親善大使である俺が決めるんだろうが!」

 

マインドルフは「それは失礼しました」と薄ら笑いをしている

 

ルークがむかついてるのもお構いなしにナタリアが「さあ行きましょう」とサッサと歩き出した

 

 

カールはジョゼフに近付くと「軍曹…」と小声で話し始めた

 

ジョゼフ  「何だ?」

 

 カール  「実はバルコニーでの話を……自分もナタリア姫と一緒に聞いていたんです」

 

ジョゼフ  「…そうか…」

 

 カール  「もし軍曹が行くなら、自分も含めクルーガー伍長とロバート伍長も行きます」

 

ジョゼフ  「まだ決まった事じゃない…誰にも話すな」

 

 カール  「…分かりました」と離れていった

 

 

ジョゼフはナタリアの方を見ながら「カール、姫様を見ていてくれ」

 

 カール  「分かりました」と頷く

 

それを聞いてティアも「私も見てるわ…」

 

ナタリアはジョゼフを見返して「ご心配なく、自分の身は自分で守れますわ」

 

アニスは辺りを見回し気付いた「あっ!クルーガーがいない!?」

 

 ルーク  「あいつ勝手に行きやがったな!」

 

急いで全員が後を追った…

 

 

 

ロバートはしみじみと周りを見回し「それにしても、こんなにでかい工場を作るなんて凄いな」と感心している

 

マインドルフ 「マルクトにもここと同じ物が?」

 

ジェイド   「えぇありますよ…何を造っているのかは、お教えできませんが」

 

ルークは憎たらしそうに「どうせ、あのタルタロスを造ってんだろう」

 

するとアニスが「あっ!あれってクルーガーじゃない?」と指差した

 

ティアもその方を見て「あんな先に…」

 

ガイが呼び掛ける「おい、クルーガーそんなに前に出るな、ここには魔物がいるかも知れないんだぞ」

 

クルーガーには何も聞こえない「イオン…イオン…イオン…」

 

全員   (だめだ彼奴…早く何とかしないと…)

 

ティアも大きな声で「クルーガー!聞こえないの?そんなに前の方を歩いたら、戦闘になった時に真っ先にやられるわよ!」

 

 アニス   「ティア、もう何を言っても無駄だよ〜」

 

ティアはため息をつく「もう、彼にファーストエイドを使うのは疲れたのよ…」

 

アニスは納得顔で「あぁ、そういう事ね…」

 

 

そんな事を続けているうちに、広い所へ出た

 

ジョゼフ   「ここは?」と辺りを見回し

 

ガイは地図を見る「う〜ん、ここは倉庫だな」

 

突然ジョゼフが叫んだ「クルーガー!上だ!?」

 

クルーガーはその声にハッとして「イオン…えっ…上…(・_・?)」

 

全員が身構え注意深く見回す…

 

クルーガーの頭上を一瞬巨大な蜘蛛が横切っていった

 

ルークはゾゾッとしながら「何だよあれ!?」

 

 

ジョゼフが叫ぶ「クルーガー!避けろ!」

 

しかしクルーガーはあっという間に糸に包まれてしまった…周りには同じ繭の様な物が幾つか見える…

 

ジョゼフは危険を感じナタリアを見た「ナタリア姫!」

 

ナタリアは勇敢にも弓で巨大蜘蛛に狙いを定めていた…カッキーン!と音を立てただけで傷一つ付かなかった…

 

巨大蜘蛛は次にナタリアに狙いをつけ糸をかけてきた…

 

マインドルフが寸での所でナタリアを助けた

 

ジョゼフ   「中佐!」

 

マインドルフ 「大丈夫だ!敵に集中しろ!」

 

ロバートも銃を撃つが全く効かない…

 

その隙にティアがクルーガーに近寄って行く「これは…?」グルグル巻きにされている繭の中にSSドイツ兵が居た

 

 カール   「何でドイツ兵が?」

 

ジョゼフは落ち着いた声で「こいつらの装備で使えそうな物が無いか探せ!」とナイフで糸を切っていく

 

それを聞いてマインドルフがSSドイツ兵の体をまさぐり「この手榴弾を集めてくれ」と指示する

 

 アニス   「分かった!」

 

その間もロバート・ジェイド・ガイ・ナタリアが応戦している…

 

ジョゼフが探していると親衛隊の手にパンツァーファウストが握られていた「これを使えば倒せる!…ん?」

 

もう一つStG44を見つけた…「ルーク!こっちに来い!」

 

ルークが慌てて走ってきた「何だよ!」

 

ジョゼフ   「お前が持っているMP40をカールに渡してお前はこれを使え!」

 

そう言ってルークにStG44を手渡し巨大蜘蛛めがけてすぐにパンツァーファウストを撃った!…当たったが上に跳ね上がってしまった…

 

 アニス   「ちょっと!あれ、上に行っちゃったよ〜」

 

 ガイ    「いや…落ちるぞ!」

 

そのまま蜘蛛の真上に落ち…蜘蛛が倒れ込んだ

 

その隙を逃さずマインドルフはたった今作ったばかりのM24型柄付手榴弾の束を蜘蛛の口の中に入れた……結果は明確だ

 

 

ジョゼフ   「いったい何だこの蜘蛛は?」

 

ジェイド   「ここの主といったところでしょう…こういう地下によく巣を作るんですよ」

 

繭にされているSSドイツ兵を降ろしてナイフで糸を切っていく

 

 カール   「少なくとも…8人は居ますよ」

 

ジョゼフ   「生きてい奴はるか?」

 

マインドルフが確かめる「いや…糸が口や鼻を塞いでいる…窒息死だな…」

 

 ティア   「彼らがどうしてここに?」

 

ロバート   「分からんなぁ…まぁともかくこいつらが居なかったら、俺たちの方があの蜘蛛にやられてたぜ…」

 

マインドルフ 「おいっ…早くクルーガーを助けないと彼らと同じになるぞ…」

 

ロバートが急いでナイフで糸を切る…がクルーガーはぐったりしている

 

 ルーク   「死んだのか?」と覗き込む

 

クルーガーは顔を歪めて苦しそうだ「うぅ〜う……」

 

アニスは大げさに「うわぁ~~まだ生きてる!」と驚いて見せると

 

その声に反応したのか「…フッハー!死ぬかと思った…」と復活した

 

ジョゼフ   「勝手に行動するからそうなるんだ!」

 

 ティア   「集団行動しないからこうなるのよ!」

 

クルーガー  「ご、ごめん… (´・ω・`) 」 今度ばかりは反省したようだ

 

SSドイツ兵を見るナタリア「後から人をよこしてこの者たちを葬って差し上げましょう」

 

マインドルフ(優しい女性だが…良い人は長生き出来ない…)

 

 

クルーガーはイオンが心配で落ち着かない様子だ

 

ジョゼフ   「クルーガー落ち着け…今焦っても仕方ない」

 

ナタリアはそれを見て気の毒そうに「導師イオンが心配なのですね…」

 

ロバートが冷たく「姫様…同情なんてしない方がいいですよ」と言う

 

それを聞いてジョゼフが話を変える「それにしても…出口はまだか?」

 

地図を見ながらガイが「確かここら辺に出口が…」

 

ロバートは辺りを見回しながら「どこにも扉なんてないぜ」

 

「これじゃないのか」とマインドルフが真っ黒な鉄製の扉を手でコンコンと叩くとそれはあっさりと開いた…

 

ジェゼフは「やっとここから出られそうだ」と苦笑いをした

 

 

外は雨が降っていた…タルタロスが遠くの方に見え全員が驚いた

 

 ティア   「あれは、教団が所有しているタルタロス!」

 

それよりも近くにオラクル兵とアッシュが居た

 

ルークはそれを見るといきなり走り出した!

 

ジョゼフは少し遅れて「ルーク!行くな!」と後を追う

 

ティアが「ルーク!ジョゼフ!」と叫んだが既に遅かった

 

ルークは剣を抜き、アッシュ目掛けて振り下ろした!だがアッシュも素早く剣を抜きそれを受け止めた!

 

ルークがアッシュにもう一度飛び掛かろうとした時ジョゼフが後ろから「ルークやめるんだ!」と肩を掴みアッシュを見て驚いた…アッシュとルークはそっくりなのだ…思わず二人を見比べてしまった

 

クルーガーが横からいきなり出てきて「イオンを誘拐したのはお前らか!ここから生きて帰れると思うなよ!そこの鶏!!おとなしくイオンを返せ!!さもないとお前の顔をメチャクチャにして母親が見ても判らないようにしてやる!! (ʘдʘ╬)」

 

クルーガー発狂していると、タルタロスの砲弾が近くに飛んできて吹き飛ばされた「あっ〜うぅう…」

 

ガイが駆け寄ろうとするとマインドルフが「動くんじゃない!」とガイの腕を掴む…タルタロスの大砲がこっちを向いてる

 

スピーカーから声がして「行くよアッシュ、こいつらに構っている暇はない」シンクの声だった

 

アッシュ   「あぁ…今行く」と言ってタルタロスの方へ向き直ると

 

ルークが「待て!」と装備していたStG44をアッシュに向けた

       

アッシュは横目で見て「テメエはそんな物を使わないと勝てないのか!剣はどうした!!」と言い放つ…

 

シンクがまたスピーカーから「アッシュ!」と呼ぶと…アッシュはルークを無視してタルタロスに走っていき飛び乗りそのまま大きな音を立てて走り去って行った…

 

ルークは歯ぎしりをして「今の奴…」とタルタロスが走り去った方を見ている

 

するとジェイドが「六神将の1人鮮血のアッシュですね…」とチラッとルークを見た

 

 ルーク   「あれが…鮮血のアッシュ…俺と同じ顔」と動揺してしていると

 

ジョゼフ   「あぁ…そっくりだったな…お前の親戚か何かか?」

 

 ルーク   「…知らねえよ!」

 

ロバート   「それよりどうするんだよ…敵に俺たちの事がバレちまったぞ…」

 

ジェイド   「騒いでも、後の祭りですよ…」

 

ナタリア   「これからどうしましょう…導師イオンを助けに行くのかそれとも…」

 

 全員    「……」

 

ジェイドが「親善大使である貴方が決めてください」とルークを見た

 

ジョゼフが「イオンを助けに行こう…」とルークの肩を強く掴む…

 

ルークは少し考えていたが大きく頷き「イオンを助けに行く!」と言い切った

 

ナタリアも頷き「そうと決まれば、急いで行きましょう」と…するとマインドルフが、ナタリアの首の後ろを打った…ナタリアは気を失って崩れていく…

 

ルークは驚いて「お前…!ナタリアに何をするんだ!?」

 

マインドルフ 「姫様には、しばらくの間ここで眠っていてもらう…この先どうも嫌な予感がする…」

 

カールも呆気に取られて「だからといって一国の姫を殴るなんて…」

 

ジェイドは相変わらず冷静に「私も中佐と同じ意見です」

 

マインドルフ 「帰ってくれと言って、言う事をきくと思うか?目が覚めたら諦めて城に帰るさ…」

 

ガイは首を横に振って「ナタリア姫のことを全く分かっていないようだな…そう簡単に諦めるとは思わないけどなぁ…」

 

 ルーク   「絶対俺達に付いて来るぜ…」とため息をついた

 

倒れていたはずのクルーガーが後ろから「おーい!俺を置いて行くなよ~」と叫んでいる

 

ジョゼフ   「…お前…大丈夫なのか?」

 

クルーガーは胸を叩き「おぅっ… 俺は大丈夫だぜ…それよりも早くイオンを助けに行こうぜ」と張り切っている

 

 アニス   「ちょっと…さっきまで発狂してたのに正気に戻ってるよ~何で?」

 

ジェイドはクルーガーを見て「おそらくさっきの爆風で頭に強い衝撃を受けて、正気に戻ったのでしょう」(しかし、もう少しだけ発狂してるところを見ていたかった…面白かったのに………)と残念に思っていた

 





StG44・・・第2次世界大戦中、ナチスドイツにより量産された軽量自動小銃

      現代的なアサルトライフルの原型とみなされている


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第25話 どちらを選ぶ

歩きながらさっきの出来事の話をしていた

 

ジョゼフ「生き別れの兄弟とか?」

 

 ガイ「いやそれはない、ファブレ家の子供はルークだけだ」

 

ジョゼフ「隠し子?」

 

 ガイ 「まさか…それもない」

 

マインドルフ「あるいは夫妻どちらかが浮気をしてできた子供とか?」

 

ルークはマインドルフに詰め寄り「おい!父親も母親もそんなことをするような人じゃねーよ!次言ったらぶっ飛ばすぞ!」と物凄い剣幕だ

 

マインドルフは後ずさり「…………すまない、私は君の父上と母上の人柄を知らなかった…」

 

ルークはマインドルフを睨みながら機嫌悪く離れて行った

はぁーっと短く息を吐き「嫌われてしまったなぁ…」とルークの方を見た。ティアはマインドルフの方を向き「あんな言い方をされたら、誰だって嫌な気持ちになるわ…」と小さく溜息をついた

 

ロバートはあらぬ方向を見ながら顔を叩いた(危ねぇ、俺ももう少しで言いそうになった…)

 

ジェイドはそれを見逃さず「おや、その顔はもしや…中佐と同じ事を思ったんじゃ~」

 

ロバートはドキドキしながら「そ、そんな事ねぇし…」(なんで分かったんだ…)と平静を装った

 

 

 

ケセドニアまではまだ遠く、物資の面からも近くの村に泊まることにした

 

ジェイドが「ここからだとケセドニアまでは砂漠を越えるしかありません、ここの酒場で水を手に入れてから行きましょう」と提案するが、ルークはまだ機嫌が悪く

「面倒くさいなぁ、俺は先に宿に行ってるから後は頼むぜ」と、さっさと自分だけ宿に向かって行ってしまった

 

ジョゼフは気を利かせ「ティアとアニスも先に宿で休んだらどうだ?水は俺達が用意しておくから…」

 

アニスはすぐに反応して「じゃ〜お言葉に甘えてそうしま~す」と言ってルークの後に続いた

 

ティアは動かず「私は大丈夫だから、あなた達と行くわ」とジョゼフ達を見た

 

ジョゼフは宿がある方を見ていて「いや…ルークの様子が気になる、見といてくれ…」

 

ティアもそれは気になっていたらしく「…そうね…」と、今度は素直に宿に向かった

 

 

ジェイドはチラッとマインドルフを見て「ちょっと中佐と用事があるので先に行って下さい」と言い2人は森の方へ歩いて行く

 

ジョゼフはそれを見送りながら(2人で何を…)

 

ロバートとクルーガーに食料調達を任せ、ジョゼフとガイ、カールの3人が酒場へ行く事になった

 

 

 

ガイは酒場の人にボトルを渡し、水を入れてもらっている間周りに目を配っている

 

カールはテーブルの横に立ち「姫様帰りましたかね?」ジョゼフは席について「中佐の言う通り帰ったんじゃないのか…オラクルの狙いは俺たちだ、姫じゃない」と話しながらも周りに注意を払っていた

 

横からガイが「2人とも、ナタリアの性格を分かってないなぁ…ナタリアの場合先回りして待ち伏せしている可能性があるぜ」

 

ジョゼフ「まるで忍者だな…」

 

 「嘘だろ!」テーブルに座っている三人組の話が聞こえてきた

 

 「本当だよ、森の川辺に生えている薬草を採ってたらナタリア姫を見かけたんだよ」

 

 「でもよ、何であの森に姫様がいるんだよ、あそこには盗賊のアジトがあるって話だぜ…」

 

 「まさかナタリア姫様みずから盗賊のアジトに乗り込んだ…とか?」

 

ジョゼフ「ちょっといいか?」

 

    「なんだ、あんたら?」

 

ジョゼフ「その森での話を俺達にも聞かせてくれないか…」

 

 

 

数時間前、ナタリアは森の中を歩いていた

 

辺りを見回しながら「私を気絶させるなんて…でもそれは私の身を思ってやった事だと分かってますわ…でも、私を置いていったことは後悔しますわよ」

 

道を進んでいると川沿いに出た「ここで休憩ですわ…近くに魔物もいなさそうですし」と座りこんでいると…後ろの方から物音がした

 

ナタリアは魔物かも知れないと思い素早く草むらに隠れ様子を伺うと、現れたのは魔物ではなく右手にバケツを持った灰色の服を着た男の人で、川から水を汲み始めた

 

ナタリア(あの灰色の服は…………マインドルフですわ!こんなところにいたんですね…ということは、他の皆さんも近くにいるはず)

ナタリアはホッとして草むらから出ると男の背中を押し「マインドルフ、あなたこんなところに……」

 

男はびっくりして振り向く……それはマインドルフではなかった「誰だ?」と男が立ち上がる

ナタリアも驚き急いで逃げた「待て!」と男が追いかけて来る

茂みをかき分けながら逃げていると、前方から同じ灰色の服を着た男が…手にはGew43が握られている

 

ナタリアの後方から「その女を捕まえろ!」という声が聞こえ前方の男は「動くな!その弓を捨てろ!」と叫びながらGew43をナタリアに向けた

 

後ろを振り向くと先の男が追いついて来ていた…

 

前と後ろを挟まれてしまったナタリアが左の方に走り出した時 もう1人男が出て来てナタリア姫を地面に押さえ付けた!「暴れるな!」と大声で言い「お前ら2人とも見ていないで、手伝え!」と……ナタリアはあっという間に連行されてしまった

 

森の奥に砦が建っていた…辺りにはオートバイとトラックがそれぞれ2台、キューベルワーゲン1台が止まっていた

 

砦の中では2人の男が話しあっている

 

バトラーは椅子に座り「それでは…待ち伏せに行かせた8名の分隊とは連絡が取られないのか中尉?」

 

カールセンは机を挟んで立っていた「はい、バチカルの地下に入るまでは連絡出来たのですが…それ以後出来ないのです…」

 

バトラー 「逆にやられた…それとも道に迷ったのか…アーミー達は目的地に向かっている、8名の分隊は全滅だろう…」

 

カールセン「もし、そうだとしたら死体は回収しますか?」

 

バトラー 「そうだな、まだバチカルを包囲しているオラクル兵に回収させよう」

 

ノックの音が聞こえて「ハイルヒトラー!少しよろしいでしょうか上級大佐殿」

 

バトラーは書類に目を通し「何かあったのか?」

 

SSドイツ兵「はっ!先ほど水を汲みに行っていた際に女性に会いまして…」

 

バトラー 「女性?なぜこんな所に…向こうから接近してきたのか?」

 

SSドイツ兵「はい、後ろから「マインドルフ」と声をかけられて」

 

バトラーはSSドイツ兵を見た「マインドルフ?…その女性は今どこにいる?」

 

SSドイツ兵「曹長が審問をしております」

 

 

 

部屋では女が椅子に座り…その斜め前に男が立っていた

 

SS 曹長はナタリアをじっと見て「…名前を教えてもらえませんか?」目つきは悪いが口調は丁寧だ

 

ナタリアは黙って前を向いたままだ

 

SS 曹長が「黙っていては終わらんぞ…」と警棒らしき物を見せた時、バトラーとカールセンが入ってきた

 

バトラーが曹長の手元に目をやると、曹長は慌てて手に持っていた警棒を隠した…が遅かった「私が審問する、君は出て行ってくれないか」と言われてSS 曹長はばつが悪そうに敬礼をして部屋から出て行った

 

バトラーはナタリアの前に座ると「初めましてお嬢さん、いきなり連れて来て申し訳ありませんでしたね…」と話しかけたがナタリアは相変わらず黙って前を向いたままだ

「部下が手荒な真似などしませんでしたか?…私はバトラーと申します…貴方は?」

 

ナタリア「………」

 

バトラー「私が言うのもなんだが…怖がらないで欲しい…答えて欲しいのは二つだけです、森の中で何をしていたのですか?」

 

ナタリアはやっと口を開いた「……狩りを…していましたのよ…」

 

バトラー「狩り…ですか、何の動物を?」

 

ナタリア「……」

 

バトラー「…しかし、か弱い女性が一人で森の中を歩くのは危険ですし…しばらく私達と一緒の方がいいでしょう」

 

ナタリア「あら、わけも分からない人達と一緒に居る方がよっぽど危険ですわ」

 

バトラー「ははは、確かにそうですね…もう一つの質問なのですが、あなたは「マインドルフ」と声をかけたそうですが…我々と同じ服を着た人を知っているのですか?」

 

ナタリア「いいえ、知りません…それと私がマインドルフと声を掛けたのは知人によく似ていたからですわ」

 

バトラー「そうですか……ところでこれは個人的にですが…今晩食事でもいかがでしょうか?」

 

ナタリア「えっ?私と…食事ですか?」

 

バトラー「そうです、こんなに美しい女性と食事が出来るなんて嬉しい事です、それにお互いの事も少しはわかるでしょう」

 

カールセンは眉をひそめバトラーを見た「上級大佐殿?」

 

バトラーはわざとらしく「あーすまない、つい…話はここまでにしときましょう…続きはまた明日にでも…」

 

ナタリアは戸惑いながら「ちょっと待って下さい、私はただ狩りをしていただけなのですよ…それなのにいきなり連れてこられて尋問までされて明日ですって、ふざけるのもいい加減にしてほしいですわ!」

 

カールセンが「貴様その口の利き方は何だ!」と身を乗り出してきたので、バトラーは手を挙げカールセンを制止し「明日尋問が終わったら解放することを約束します…しかし正直に話をしてくれたらですが…」と言って立ち上がり2人はナタリアを残し出ていった

 

元の部屋に戻りバトラーが椅子に座り、カールセンが横に立つと「彼女をどうしますか上級大佐殿?もしアーミーの仲間だったら…我々を見られた以上…開放するのは危険です、食事をする際に青酸を混ぜましょうか?死体は燃やすか埋めるかして…」

 

バトラーは目をつぶったまま「それは、ちょっとやり過ぎじゃないかね?」

 

カールセン「自分はなるべく彼女が苦しまずにと思いまして…では上級大佐殿はあの女性をどうなさるつもりですか?」

 

バトラー 「ひとまず地下の部屋に入れておこう…後の事は考えておく…」

 

カールセン「分かりました…それでは…私は後かたずけが残っているのでそちらに向かいます、ハイルヒトラー!」とナチ敬礼をし部屋から出て行った

 

バトラー 「…カールセン中尉…確か彼はアインザッツグルッペンに居たな…いや、それよりも裏切り者がマインドルフだったとはなぁ…」

 

SSドイツ兵2人がナタリアを地下の部屋に連れて行った

 

ナタリアは考えていた(ルーク達を見つける筈がこんな事になるなんて…それにしてもあの服装は、バチカルの地下で倒れていた人達と同じ…襟章には雷のようなマーク…だとしたら彼らはマインドルフと同じ世界から来た…マズいですわね…)

 

この時ナタリアは自分が最悪な状況に置かれている事に気が付いた

 

 

カールセンが手袋をはめ砦の後ろ側に出ると9名ほどの盗賊が穴を掘っていてその周りに13名位の親衛隊が見張っていた

 

盗賊の1人が穴を掘りながら「何だこいつら…いきなり攻めてきやがって…ボスも殺されちまったし」側にいたもう1人が「あんな武器見た事ねぇ…俺らも、もう少しで危なかったぜ」

 

カールセンは穴を眺め「大体は掘れたか?」親衛隊から「はい」と返事が来た時、SS曹長がちょうど来た

 

カールセンがあらかじめ用意していたMP40をSS曹長に渡し自分も手に取ると2人は黙って穴に向かい躊躇することなく打ち込んだ…辺りが静かになりカールセンはSS曹長に「あとはいつも通りにやれ」と言って立ち去った

 

SS曹長はホルスターからルガーP08を手に取ると穴の中に横たわる死体の頭に向かってさらに1発づつ打ち込んでいった

 

 

 

 

その頃ジョゼフ達はナタリアが捕まった事を村人の話から知らされどうするか話し合っていた

 

ロバート「姫様は帰ったんじゃなかったのかよ」

 

 ガイ 「まさかナタリアがここまで付いて来るなんて思わなかったんだ」

 

 ティア「本当にナタリア姫なの?」

 

 アニス「そうそう人違いってこともあるし」

 

ジョゼフ「村人の話によると身なりからしてナタリアに間違いなさそうだが」

 

ルークが騒ぎを聞いて「うるせーなあ…何事だよ」と2階から下りてきた。ティアは「お気楽ね」と横目でチラッと見て言った

 

ルークはむっとして「なんだよ!いきなり」それをガイがなだめるように「ナタリアがここまでついて来たようなんだ…」と答えた

ルークは一気に目が覚め「はぁ~ナタリアが…それで今どこに居るんだよ?」

 

ジョゼフが今までの事を話し「…大佐と中佐が戻るまで待て」と言ったが、ルークは落ち着かない様子で「待っていられるかよ!いつ帰ってくるか分からないくせに!」と大声で叫んだ

 

険悪な雰囲気になりかけた時にジェイドとマインドルフが入ってきて「おや、何ですか大きな声が外まで聞こえてましたよ」

 

ルークは「こんな時にお前ら!どこ行ってたんだよ!」と2人をにらんだ

 

マインドルフ「ちょっと森で散歩をね…」

 

ルークはイライラしながら「はぁ~おっさん2人で?気持ち悪いなぁ…」と嫌味を言うと、ジェイドは見た目はにこやかに「ははは、褒め言葉として聞いておきましょう、それより何かあったのですか?」

 

ジョゼフはさっきルークに話したことを2人にも話した

 

ジェイドはルークを見て「…なるほど、ナタリア姫か…で貴方はどうしたいのですか?」

 

ルークは悩んでいた…だがゆっくりと考えている時間は無い…

 

マインドルフ「2人の命も大切だが、アクゼリュスの人々を助けたほうがいいんじゃないのか?1万の人命が奪われてしまう前に…」

 

 アニス「中佐、ルーク様に対してひどいこと言ってません?」

 

マインドルフ「そういう、アニスはどうだい?イオンか姫か…アクゼリュスか?」

 

アニスはルークに視線を向けたがすぐに下を向き「私…イオン様を助けに行きたいです……」

クルーガーも小さな声で「俺も…イオンかなぁ…(´・ω・`)」

アニスはクルーガーを真っ直ぐ見ながら「あんたはには聞いてないんだけど…」と強い口調で言い切った

 

ルークは黙って聞いていたが「俺はナタリアを助けに行くぞ!」とスッと立ち上がった

 

それを聞いてジェイドはすかさず「それでは、まずはナタリア姫を助けに行く者、イオン様を助ける者とここは二手に分かれて行きましょう」

 

ジョゼフ「それで行こう」

 

ジェイド「そうと決まれば早めに助けに行かなければ…アクゼリュスもあるのですから…」

 

 アニス 「私はイオン様を!」

 

クルーガー「俺も!イオンを助けに行く!」

 

ジェイド 「まぁ、あの2人はイオン救出組として…」

 

 ティア 「私はナタリア姫の方に行くわ、もしかしたら怪我をしているかも知れないし…」

 

ジョゼフ 「俺もナタリア姫の方へ…なるべく早くナタリア姫を見つけ出してすぐに後を追う、それと手間をかけて悪いが、クルーガーがバカな事をしないか見張っておいてくれカール」

 

 カール 「分かりました、軍曹も気をつけてください」

 

ジョゼフ 「ロバートは俺と一緒に来い」

 

ロバート 「了解」

 

マインドルフ「私はナタリア姫を助けに行くよ…私の責任でもあるからな」

 

ジェイド 「それでは皆さん合流地点はケセドニアの港で」

 

 

ジョゼフが「早々にお前の婚約者を助けに行くか」とルークの背中をたたくと、ルークは照れくさそうに「バ、バカ!別にそんなんで助けに行くんじゃねーよ、昔からの友達として助けるんだよ…」と背中を向けた

 

 

各々準備を済ませると二手に分かれ救出に向かって行った

 



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