神原秋人はポッキーゲームがしたい (眼鏡が好きなモブ男)
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神原秋人はポッキーゲームがしたい

11月11日。

それが何を意味するか。そう、ポッキーの日だ。

さて、皆さんはポッキーと言ったら何を想像するだろうか。

細長くて…サクッとして。

二本や三本同時に食べるなんて贅沢をする人も多いのではないだろうか。

しかし、僕は少し違う。

まあ、タイトルにあるからお分かりだろうが…ポッキーゲームをしたいんだ。もちろん、栗山さんと。

しかしだ。

栗山さんに「ポッキーゲームをしよう!」と言ったところで「不愉快です」で終わりになるに決まってる。

そんな訳で、僕はあの手この手でポッキーゲームの流れにして行きたいと思う。

 

 

 

 

 

まず一つ目。

栗山さんはブログとかをやってるんだから、もちろんポッキーの日だということは分かっているだろう。

だからこそ、ここで改めて意識をさせる。(現在は放課後の部室。美月がいるから派手な事はできない)

「なあ栗山さん、今日はポッキーの日なんだってね」

「まあ…知ってますけど…」

「秋人、今日はチャンスじゃない。私をポッキーゲームに誘うという夢を叶える」

「いつから僕はそんな夢を持つようになった!それに誘うだけならいつでもできるわ!」

「あら、ヘタレが代名詞とでも言うべき秋人からそんな言葉がでるなんてね」

「酷い言われようだ…」

しかし、ポッキーゲームを話題に出したという点ではナイスと言うべきか。

ちらりと栗山さんの方を見ると、顔が赤くなっているのが分かる。ふむ、恥じらうメガネ少女も良いな。

 

ここで作戦2に移行する。

買い出しで、おもむろにポッキーを買う。

美月のファインプレー(?)で栗山さんはポッキーゲームを確実に意識した。

「さて、お菓子買いに行くつもりだけど…何か欲しいのあるか?」

「甘い物買って来て。あ、ポッキーは却下ね」

しまった封じられた!

「わ、私…先輩と一緒に行きます…」

え?

 

 

 

 

という訳で、こうして栗山さんと並んで歩いているわけだが。

(気まずい!話すことが無い!)

「せ、先輩!」

「な、何?」

「えぇ…と、その…先輩、は、ポッキーゲーム…したいんですか?」

何と言うことだ。それはつまり…

「誘ってる…の?」

「あ!いや!そのー……はい」

「…………」

「偶には…彼女らしい事したいな…って」

「嬉しいよ」

「え?」

「僕もしたかったから。…ポッキーゲーム」

「あ、つ、着きましたよ」

僕はまだ見くびっている。彼女はわけのわからない時にわけのわからない程力を出しちゃう子なのだ。

「着いたは良いんだけど…」

凄まじい存在感だ。ポッキー。

やっぱりコンビニも売りに来てるだけある。

取り敢えず無視して、美月から頼まれた甘い物を買い、飲み物を買い。

「…こんな存在感あったっけ」

「し、知りませんよ!」

暫く見ぬ間に種類が増えたものだ。

極細とか、苺味とか本当に色々。

「…どれが良い?」

「い、苺味が良いです…」

レジに行っても、何というか視線が酷かった…ように感じる。何というか顔が熱い。

部室に帰ってきてももちろん美月はいる。

「秋人、栗山さんに何かしなかったでしょうね」

「当たり前だろ!」

ポッキーと他のお菓子などは分けておき、選考作業を進めた。

時計の針が進むのが遅い。しかし、美月が帰ってからでなくては。

 

 

 

 

 

 

ようやく、美月が帰った。

「秋人、変な事をしないのよ」とこいつはどこまで分かっているんだと思う発言があった。

沈黙。

「あ、あの」

沈黙を破ったのは栗山さんだ。

「するん…ですか?ポッキーゲーム…」

「あ、ああ、そうだったね。じゃあ…開けるか…」

かつてこれ程までにポッキーで緊張しただろうか。

ピンク色のチョコにコーティングされたポッキー。

「…これを、こう咥えるんだよな…」

「こ、こうですか?」

…近い。鼻息が…。

「よ、よし、行くぞ…」

「は、はい」

サクッ。それを聞くだけで僕の鼓動は早まる。

再び、サクッ。もう心臓に悪いなこれ…

三口目。栗山さんがまだやるんですか?!と言いたげな目をしてる。

もう二口程で…唇がくっつくだろう。

しかし!僕も男だ。僕からは諦めない。きっと栗山さんもそろそろ諦めるだろう。

しかし、栗山さんはここで謎パワーを発揮した。

急に大きなひと口を頬張った栗山さん。

もう一口も無いぞ…。

僕が食べに来るのを待っているが如く、栗山さんは目を閉じた。つまりそれは、そういう事なのか?

鼓動が収まらない。

鼻息も荒いだろう。

…よし、行くぞ。食べるんだ。ポッキーを。

「あー、忘れ物しちゃったわ」

ま、待て!この声は美月!?

「!?」

栗山さんが軽く絶叫した。

ま、待て、そこで暴れたら――

「……帰るわね」

そうして、僕は…恐らく栗山さんも、ファーストキスを果たした。

…どうしてこうなったんだろう




さあ、どうだったでしょうか?
この後どうなったかはご想像にお任せします。

明日は…いい貧乳の日ですね(ゲス顔)


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