Fate will be spring (孤独の旅人)
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第一話
守れなかった,何も...
信じ続けた理想
愛する後輩
親しい親友
あぁ,自分に対して憎悪感しかない...
それでも,俺は唯一の大切な人をようやく守った。
「勝ったぞ,切嗣」
美遊をこの残酷な世界から解放した。美遊はこれから幸せで生きることができるはずだ。
本当に...良かった...
「あぁぁぁ.......」
自分の結末はとうの昔から知っている。それでもここまで進んでいた,故に,後悔はない。
でも,もし良かったら,美遊と共に....
「お兄ちゃん...幸せに生きて...」
美遊の声がした,あぁ...死ぬ前の幻か,もはやその幻に声をかける力もない。乖離剣の衝撃を受けて即死ではなかったのは幸運だったか,それでも,体はもう限界だ。
「大好きだよ...お兄ちゃん!」
その言葉と共に,意識が海に沈むように落ちていた。
目を開いたら,そこには赤い地獄であった。
「え!」
バカな!生きているだと!ありえない!即にこの体は死んだ身だ。
しかし,現実は考える時間をくれなかった...目の前は火の海,焼かれた都市の残骸,そして無数の死体...
焼かれた死体の匂いは焦げた料理みたいだ,
「誰か...助けて...」
助けてを求める声が聞こえた,助けるつもりはあったが,
「お願い,この子だけでも!」
「やだ!死にたくない」
「あなた!あなた!」
「クッソ!いやだいやだ!」
........
この様に,余りにもの数で,救世主でもない俺にとって無理だ。
「トレース オン」
それでも,助けられる人なら助けたい。それは俺の信条だ,馴染みのある呪文を口にするか,
「な..何にも起こらない!」
いや,そもそもこの体に魔術回路など通ってない。そして気づいた,この体はまた少年である事を,
「---------すまない」
俺にはその言葉しかかけなかった。
当然だろう,何も守れなかった俺にとって,助ける人はごく一部ではない。全てを救うなんで,今の俺ができないし,もうしようと思わない。
助けを求める声を後にして,俺は歩き始めた。
「あ...が...ああああ!」
早くこの地獄か出たいか,少年の体はもう保たない。
「ああ....ああ...ああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
それでも,意識を飛ばないため,俺は叫びながら歩いている。この地獄に勝つ意欲,いや,単に生きたいの感情が俺を押している。
だか,俺が俺の意識に勝ても,体の疲労には勝てない。
「ああ...ああ...あ.....」
なんだ,倒れたかと軽かる思っていた。目を上げると,丸い円の中から何かが溢れている。なんだろうと思うが,今はそれではない,早く立たないと,
「ああ...ああ...ああ...」
無理だ。と体は訴っている,
「そうか,死ぬのか」
本当に酷い話よ,目が覚めたら訳わからない地獄のど真ん中にいて,なんの説明も無しで死ぬとか。
「まぁ,これも報いか...」
守る物がない俺にとって,この命はもうどうでもいい
その死を受け取って,ゆっくりと目を閉じた。
「生きている,生きている!」
何時間経っただろう,一分?一時間?それでもこれも幻?
「ありがとう!本当にありがとう!」
懐かしい声を聞こえた,この声は
「ありがとう!本当にありがとう!」
目を開くと,その男はまるで俺ではなく彼の方が助かった様な笑顔をしながらこの言葉を呟いた。
きっと彼はこの奇跡に感謝しているだろう。そして,何でそんなに幸せそうな顔をしているか?
キリツグ......
そして,意識がまた落ちた。
目が覚めた時,目の前には白い天井とライトがあった。正確は上だけど。消毒液の匂いが空に漂う,真っ白な部屋の中,隣には数人の子供もいる。
「病院か...」
それはそうだろう,あの時あの様に助けられて,病院に運ばないとどこに運ぶ?墓地に?
「それでも,この体は酷いな...」
改めてこの体を見直すと,ほぼ若返りの感じがする。まるで数年前に戻ったの様な感じ。
だか体が若返ったとしても,この心はすでに冷厳になっていた。
「いや,無駄話はやめよ」
問題はここからだ,俺は何で生きている,何だあの紅い地獄,そして...
「切嗣...」
俺の父であり,恩師であり......憧れた人だった。
世界を救うため,何でも切り捨てることができる英雄だった。
鉄製のドアが開け重い音を出す
来ている人は,エミヤキリツグだ。
俺も含め,この部屋にいる子供達の視線は彼に集中した。
黒いスーツ,雑な髪,大きいな箱を持っている。
一番知っている人だけど,その顔は俺の知ってる切嗣ではない。何といえばいいのか,彼はもう...
「こんにちは,あなたが士郎君だよね。」
その顔,その優しさ,彼は正義の味方に対して......
絶望した......
俺の知ってる切嗣は,確か諦めたか,絶望まではしなかった。この切嗣は何かあったか知らないか,彼は,恐らく全てを失っただろう。
彼は英雄エミヤキリツグではなく,ただの衛宮切嗣だ。
その顔は不器用の笑顔をしながら,俺に,
「率直に聞こう,このまま孤児院に預かるか?それでも僕の家に来るか?」
そう言った瞬間,俺に子供達の憎む視線が殺到した。まぁ当然だろう,失った人にとって,また手に入れる俺は悪魔だろう。気持ちも分からなくもないが,俺には,どうすることもできない。
当然,俺は切嗣を選んだ。
切嗣が俺の選択を見た時,彼のほっとした顔が見えた。
「そうだね,うちに来るのは色々準備しないといけないね,」
持ち物の箱を地面に置いて開けようと,
「そうそう,先に言えないといけないことがある。」
そう言って,その不器用の顔は神秘的な笑顔をして,
「俺は,魔法使いだ。」
正確は魔術だろう。以前この様に切嗣を魔法使いと付けると,いつもクールにこれは魔術だなんかを言い出した。
その言葉の重み,俺は知っている。世界の為,正義の味方となり,魔術を使って,悪を滅びる。
例え,彼自身が悪魔になっでも......
知っているこそ,俺は
「すごいな!おじいさん!魔法何で!」
俺は,この切嗣が幸せになって欲しい......
いつか,彼自身に春が来る様に......
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第二話
衛宮家にいることは,楽しかった。
いや,家は同じでも,住む人が違えば,ここまで違うとか,正直,驚いた。
「士郎〜ご飯また?」
「未だだよ藤姉,て言うか,未だ五時半だぞ!」
「ふん〜だ,姉がお腹が空いたとか言っても士郎はご飯くれないの?お姉ちゃん,ショック!」
「だから早いよこのタイカ!」
「ああ!あだ名を読んだな!士郎に痛みを付けないと〜」
「まぁまぁタイカちゃん今日大会だし,お腹が空くのが早いのは当然だろう,今日は早く飯をしようぜ士郎」
藤村大河,あだ名冬木の虎、タイカ、
うちの家の朝食と夕食にいつも来るこの虎,食料は半端ない。隣の藤村組の令嬢とか何とか,俺と切嗣にとって家族その一人。
余談だが,藤姉の剣道は強いか,いつも俺が勝つ。以前の様な身体能力はないが,隙だらけのタイカには手抜いても勝てる。
俺は他の世界から来た衛宮士郎は病院で目が覚めた時で分かった。その時自分の顔が見えなくとも,自分の声で判断がついた。最初は驚いたけどぴっくりまではしなかった。
並行世界,美遊をエインズワースから逃れる為,彼女を並行世界に飛ばした。
頑張っているかな......美遊.......
いや,今の俺には何もできない......
その十分後,俺たちは食事を始めた。そうしないと藤姉が暴れ出すことになる。
「それでね,その英語の先生が沢山の宿題を出したの!」
「自業自得だろう藤姉,大学の授業で寝て......」
「ふん〜だ,どうせ士郎もやっているでしょ〜」
「いや,ちゃんと授業聞いています,何処かの野生動物ではなく......」
「酷い!酷いよ士郎!お姉ちゃん,泣く,切嗣さん,なんか言ってやれ!」
「まあまあ二人共,喧嘩はするな,喧嘩は良くない,さあ食べましょ,ご飯を」
切嗣はいつもこんな感じ,家では威厳が感じない,俺たちの喧嘩をいつも仲介している。
正直,少し安心した。俺の世界の切嗣は無情だった。世界の為なら何でも切り捨てる男,そして彼の最後はもう何も残っていない。
しかし,この切嗣にはそう感じない。確かに彼は大切な物が失っていただろう,しかし俺たちが彼の心の穴を塞げている。
あの災難から五年,いつもの様の穏やかな食卓だ。
「うわーご馳走様でした。」
「ご馳走様」
「お粗末よ,二人共。」
[いや!相変わらずの美味でしたね。」
そう言って,床に倒れた.......流石野生......
「そうだね,士郎の作る料理でいつも美味しいよね,あ,タイカちゃん,今日はどうする?」
「今日は早めに帰ります,色々ありますので,あ送らなくでもいいですよ。」
「ダメだよタイカちゃん,道で不審な人と会ったら,」
「大丈夫だよ爺さん,未だ明るいし,そして,なんかあったら藤姉がきっとバババで倒すことになるし,」
「そうだね,ハハハ〜」
否定ができないの切嗣を見て,藤姉の機嫌が一気に下がった。
藤姉の機嫌を直して,彼女がそのまま家に帰った。
機嫌を直す為相当苦労した......
「士郎,風呂が沸いたから先に入って,あぁ今日あれの鍛錬しなくていいから庭に来て」
「......うん,分かった。」
当然あれは魔術のことだ。
この体は元々魔術回路が通ってない。故に簡単な投影すら出来ない。勝手に回路を通すなど切嗣に感じられるから,切嗣に魔術を教えてもらった。
当然,簡単には教えてもらってない。切嗣は魔術の危険性を良く知っている。知っているこそ俺を巻き込みたくないだろう。
でも,知っているこそ俺はやらなくでらならない。この世界の切嗣を見て,やはりあれはあるはずだ。
聖杯戦争
魔術に関しては半人前だ,アンジェリカと戦闘する時の力はないが,以前のこの時期に比べて結構強くなった気がする。
いや,戻っているの方が正しい。
切嗣には投影した物が消えないことを隠している。もちろん,俺が並行世界の住人と言う事実も隠している。まぁ話すとしようかなと時々考えているけど。
正直,話したくない,そっちから聞かない場合
お風呂から上がって,俺は庭に出た。
切嗣は縁側に座って,上の月を見ている。
......今日は.......満月か......
「あ,士郎,こっちに座って〜」
俺に気づいて,手を振って俺を呼んだ。
その声を聞いて,俺も切嗣にいる縁側の方に座った。
「士郎はさあ,どんな大人になりたいの?」
「え?」
どんな大人になりたいので聞かれた,
「......俺は.......ただ守りたい物の為に......」
「違う,そうじゃなくて,どんな大人かで聞いているよ。」
「俺は......」
どんな人になりたいとか,どんな理想を持っているか,今の俺はそんな事,一度も考えていない。正義の味方のくせに,守れない人が多過ぎだ。
「僕はね,正義の味方になりたかった。
「......そうか......」
意外はない,あるのは,悲しみだけ。
その言葉を言って,少し息を嘆いた。
「士郎には,僕の魔術刻印を継承させたいと思う。」
「え!」
「当然今からは危険だし,士郎は元々衛宮の血が流れていないから,失敗したら死ぬし,受けるか受けないは士郎の勝手だ。あ,継承する術は人を頼んでいるから心配しないで〜」
そう軽軽く言った。死ぬのよ,普通に,然も受けたら激痛が毎日襲ってくるになるはずだ。
まぁ......痛みは慣れた
「ちょっ......ちょっと待て?!いきなりは!」
「士郎,頼む,僕の話しを最後まで聞いてくれないか?」
真面目な顔だった。そのような顔を出すと,こっちも何も聞けなくなった。
「昔はね,正義の味方になりたかった。世界の為,人間の為に体を貼った。然し今になってようやく気づいた,僕の過ち,大切な人を切り捨てる過ち......」
「......」
何も言えない,イヤ,言える立場ではない。
「だから士郎.......後悔するな,幸せになって欲しい。......後......イリヤは頼んだ。」
まるで遺言を言うような感じ。いや,遺言だ。
故に,
「......大丈夫だよ爺さん,俺は必ず後悔しないし,幸せになって見せる。それにイリヤとか何とかも守って見せる,其れに,」
少し笑顔を作って,
「爺さんは俺の中の正義の味方だよ,例え他の人が何言っても,爺さんは俺にとって正義の味方だよ!だから......心配すんな......」
そう言って,切嗣は笑った。
「......そうか......ありがとう.......士郎」
そして,切嗣は目を瞑った......
切嗣は行った......でも!
彼の最後は幸せになって行ったはずだ!
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