デート・ア・ライブver.hope! 〜東方希望録 シーズン2第1章〜 (紡ぎ手@異人)
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プロローグ
ホープス・ア・マテリアル


はい。まあ書きますよね。わかりにくいと思いますし。


夜月 白狼 (やづき しろう)

能力:ありとあらゆるものの創造と破壊を司る程度の能力

二つ名:〈幻想の希望〉、〈希望〉etc…

今作、いや、ほぼ全作の主人公。一人称は俺。

幻想郷にて異変を数多く解決へ導き、

自身の過去とも決着をつけた………

 

はずだったのだが、受け継いだ"創る,,力と、貰い受けた"壊す,,力によって解放された"世界を統べる,,力を使い、世界の記録を見た時、自分の記憶と食い違う部分を発見。

世界は嘘をつけない。

誰かが記憶を改竄したのだと判明したため、自分の生まれた世界へ旅立ったつもりだったが、なぜかたどり着いたのはデート・ア・ライブの世界。困惑するも、フランの提案により、原作に介入することにした。

 

来禅高校 二年。

アニメネタ大好きな少年の時もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランドール・スカーレット

能力:ありとあらゆるものを破壊する程度の能力

二つ名:〈悪魔の妹〉、〈希望の恋人〉←new!

白狼が主人公の時のヒロイン。

白狼が初めて経験した異変、紅霧異変の時に白狼と出会う。自分には狂った人格があることを白狼が悟り、白狼が

自分の心の中に入ってきたため、ここで真の意味で出会う。(それまでは狂った人格で会っていた。と言っても、異変中に戦った一、二度だけだが。)

白狼が狂った人格を封印。その際の会話、そして今までの白狼の行動を見ていたフランは、白狼によく絡むようになる。

そこから、春雪異変、永夜異変と、数多くの異変を解決する白狼と日常を過ごす事に、いつからか感じていた胸の高鳴りを自覚する。

その後、花映異変直前に思い切っての告白。

白狼がこぼすFGOの星5並みにレアな弱音を優しく笑って返し、白狼の気持ちを引き出し、見事恋人となる。

 

白狼の記憶のことを聞き、曰く、

「私のものは私たち(白狼と私)のもの、白狼のものも私たち(白狼と私)のものよ。」

と、白狼の旅に同行。吸血鬼初のジャイヤニスト(なお対象は恋人たる白狼限定。)の誕生の瞬間であった。

 

ちなみに、フランは吸血鬼だが、弱点を全て"壊して,,いるため、日常生活に支障は全くない。なお、身体能力とか、バフはそのままである。なにそれチート。いやまあ、白狼も必要になったら身体能力や戦闘センスとかも"創って,,いるため、大して変わらないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、白狼の生まれた世界に住む人々は白狼と対になる一族、朝日家の末裔、朝日 黒兎(あさひ くろと)によって"壊され,,、今では誰一人として生きていない。

黒兎は、その後幻想郷に白狼がいることを突き止め、先祖によって生き返り、約束を果たそうと白狼と戦い、死亡した。

 

 

 

 

 

 




はい。とまあ、東方希望録側の設定はこんな感じです。他にこれ知りたい!なんてことがありましたら、何かで教えてください!すぐに追記します!

さて、設定も書いたし、本編を始めますか!


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ここがデアラの世界か…

はい。新シリーズ(続き物)です。
白狼はデアラの世界でどうするのか…

降り立ったのは元の世界ではなくデアラの世界。
あのライダーじゃないが、救ってやるよ。
さあ、ショータイムだ!
東方希望録シーズン2、始まります。


「さて、とりあえず逃げるぞフラン!」

「え!?遊ぶんじゃないの!?」

「バーロー!こいつらASTだ!日本の自衛隊!国家権力だっつの!」

さて。この話から読んだ方には、何が何だかわけわかめだと思う。だから鼻☆塩☆塩。

俺は夜月白狼(やづき しろう)

ありとあらゆるものを"創造,,し"破壊,,する程度の能力を持つ、半人半神の男だ。身長はギリギリ170。体重は55前後?

そして、重要なことに、俺は()()()()()()()ではない。元は、幻想郷で生きていた。そして、俺の記憶を改竄したやつを見つけるために旅をしている。で、最初の世界がここ、デアラの世界だったってわけだ。

「うー…わかった!白狼の言う通りにする!」

で、この超絶可愛い大天使様が俺の恋人にして吸血鬼、フランドール・スカーレットだ。ありとあらゆるものを"破壊,,する程度の能力を持ち、一時は狂気に囚われていた。が、まあ、そっから色々あってこうなった。フランは自分の意思で俺について来た。……ほんと、俺にはもったいないぜ。

「フラン!こっちゃこいこい!」

そこかしこから飛んで来る弾丸。これらはスペルカードシステムなどで制限されているものではないため、まともに喰らえば死に至る。それはシャレにならない。

「総員、撃ち続けなさい!」

まあ、そりゃあ止まるわけがない!俺らは、精霊と間違われているし、そもそも俺たちは精霊と同じように霊力を持っている!

「クッソ!フラン、しばらく霊力に制限がかかるけど、いいか?」

「勿論。白狼の指示に従うよ。」

いくら感謝してもしたりねぇな、まったく。

「【創符 創世眼(ザ・クリエイティブ・アイズ)】!【創・時(クリエイト・タイム)】。」

俺が、いや、俺たちだけが動ける時間を"創る,,。そして、隠れられそうな建物の中に入り込み、

「【創・鍵(クリエイト・キー)】。」

霊力を封印する為の鍵を二つ"創り,,、俺とフランに使う。

すると鍵はお互いの色に染まって行く。俺のは青く、フランのは紅くなっていく。

「……ふぅいー。これで大丈夫だろ。"解除,,。」

俺は能力を全て解除し、時も進み始める。

「ななんとかやり過ごしたね…」

フランはぺたりと座り込み、俺も壁に背中を預ける。

「やれやれ。どうやらそうすんなりとは行かないらしい。」

だが、俺の口は三日月のように歪んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、おれたちと戦ったASTは。

「!?そんな!瞬間移動して《消失(ロスト)》!?何だったの!?」

消えた俺たちに驚き、対応に追われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやら、本当にデート・ア・ライブの世界のようだな。」

「でーと・あ・らいぶって、白狼が読んでた本の中にあったよね?」

俺の言葉に、フランが反応する。その手には、コンビニで買ったアイスがある。

「ああ。まあな。…さて、どうしたものか。」

俺もコンビニで買ったジャン○を一山だけ食べる。17か8くらいの山を一つづつ食べるのがマイジャスティスだ。

俺たちがベンチに座り込み思案していると、フランが何かを閃き、ニヤリと笑った。

「そういえば白狼、気に入らないとこってなかったの?誰かが死ぬとか。」

「あ?いや、特になかったけど、……ああ、そう言うこと。」

俺が察すると、フランは明るく笑い、

「そう。()()()()()()。」

「…いいよ。じゃあ介入しようか、原作に。」

差し当たっては、家を"創って,,、来禅高校に入学しなければ。

こうして、俺たちの高校生活に向けた日々が始まった。

 




はい。どうでしたでしょうか。
一応前作を読まなくてもわかるようにしたつもりですが、次回からちょくちょく解説回があると思います。わからねえよハゲェ!って時はそちらを参照されると良いかと。

来禅高校に入ることにした俺たち。しかしフランに勉強を教えるのはそんなに簡単なことではなかった!
次回、デート・ア・ライブver.hope。
フランと参考書と入試
俺は教鞭へ手を伸ばす。…マジで?


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十香デッドエンド編
フランと参考書と入試


入試。
学校に入学する際に受ける試験。
団体戦だったり個人戦だったりするこの戦いに、
正義などなく、あるのは、純粋な合格祈願(願い)だけである。
(こっからOP流すイメージです。)


……さて。原作に介入するにあたって、まずは戸籍が必要だ。その後は家をゲットし、その後フランと一緒に転入試験をクリアしなければならない。

…と、いうわけで用意出来たものがこの状況でございます。

 

 

 

 

 

 

俺たちの目の前には、大きな館。紅く、窓が少ない。

「完ッ全に紅魔館な件について。」

「あー…お互いまだ家離れ出来てなかったんだね…」

その結果がこれである。

しかしまあ、何にせよ、これで後は試験のみである。が、ここで問題が。

「フラン、勉強とかわかんないよ?」

「おっふ。こりゃあ、また俺が先生やらないといけないかな?」

と、いうわけで!

「みんなー!白狼の勉強教室、はっじまるよー!来禅合格目指して、頑張って行こー!」

「おー!」

勉強会の始まりだぜ。最初は軽く、どこまで解けるかの確認テスト。ここで、フランの知識、思考、などなどを測る。

 

 

で。結果。

「小六までの知識しかねぇっ……!?」

ということが発覚した。いやまあ、その延長にあるものはしっかりと解けているが、少々間違いもある。

「白狼、私、ダメ、かな?」

「っ!?な、なわけねぇだろぉ?しっかりと残りの3年分叩き込んでやんよ!」

そう。そうして、俺は再び教鞭をとった。と言っても、元の世界では高校受験生だった。最後の方は俺でも手探りになるが、そこはそれ。フランの為だと割り切るしかない。ゲーム(趣味)を犠牲にしてでもやる。

試験まで正直時間がない。

「フラン、ついて来られるか?」

「白狼こそ。しっかり教えてね?」

そこから、お互いにとっての戦いが始まった。

しかしまあ、家を建てるときにはやむなく"創った,,が、今度はそうはいかない。実は、家を建てた直後にASTがやってきたのだ。危うくバレるところだったが、フランにはレミリア、俺は黒兎の格好をすることで切り抜けた。が、これを何度もやってたら俺とフランの心が大変なことになってしまう。というわけで、必要最低限のものを"創る,,にとどめ、後は普通の人間のように生きることとなった。

まあ、非常時にはその限りではないが。

「さて、フラン。教材を買いに行こう。」

「ん。わかった。」

と適当な服に着替えて外に出る。門の前でフランを待つ。その時、俺は気づく。

(あれ?これデートじゃね?……いやいや。いくら恋人になったからってそんな頻繁に行くわけないよな。それにただ教材買いに行くだけだし。ピャッと行ってピャッと帰ってくるだけ。うん。)「何の問題もないな。うん。」

「何が?」

「ん?ああ。多分これフランとのデートかもしれないけどってこと………だ……けど。……」

そこまで言って、気づく。

「ふ、ふ、ふ、フラン!?」

「………」

フランがいた。もう隣にいた。

「せっかく意識しないようにしてたのに……白狼のばか。」

「うぐっ…しょ、しょうがねえだろ?今まで年齢=彼女いない歴だったんだから。」

「私もそうだよ?」

……口では勝てないことをいつも忘れる。僕の悪い癖。(相棒並感)

まあ、その後は普通に参考書を購入して帰宅した。うん。まっすぐね。え?描写?するわけないでしょ、もう1200文字超えてんのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、そこでそいつを移行すれば?」

「あ、これが答えか!」

「そうそう!やっぱフランは頭いいな!」

「えへへー。先生がいいからかもねー。しろーせーんせ?」

「この…からかいやがって。むう。じゃあこれ解いてみな。」

 

 

こうして、勉強の日々を過ごし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ついにこの日だな。」

「うん。もう大丈夫だよ。どんな問題でも、負ける気しない!」

「はっ。言うじゃん。じゃあ、アレ、やるぞ。」

「アレ、だね!」

俺たちは、来禅高校前に立ち、

「ノーコンティニューで!」

俺が左手をフランの左側に差し出し、

「クリアするわ!」

フランは左手でそれを叩く。

もう負ける気なんてしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で。

「WRYYYYYYッ!ふはははははは!俺たち紅白(フラしろ)に敗北はない!」

「勿論、合格よ!」

と、紅魔館(天宮市支部)にて、祝勝会をしていた。フランと俺は言うまでもなく合格した。

後は、主人公たる五河士道と同じクラスに入れればめでたく原作介入可能となる。いやまあ、別クラスでもできなくはないが。

「フラン、明日の準備はできたか?」

「うん。あとは寝るだけだよ。」

「よし、じゃあ、おやすみー。」

「ちょちょちょちょちょちょ。」

俺が寝室に行こうとすると、フランが肩を掴んだ。

「え?なに?もう眠いんだけど。」

「あのさぁ…」

フランは一度ため息をつき、

「……ま、それが白狼の味、か。」

「ん?なんか言ったか?」

「何でもない。眠いならさっさと寝よ!」

とベッドに押し込まれ、俺も逆らうことなく睡魔に身を委ねた。

「少しくらいときめかせてよ、ばか白狼。」

誰かの言った言葉は、俺には聞こえなかった。うん。




はい。と言うわけで次回から4月9日編後、一巻に入ります。




ついに原作開始一日前。だけどイレギュラーは起こるものらしく、天宮市に精霊でないものが襲い来る!
誰だか知らねえが、理不尽な悲劇にはさせない!
次回!デート・ア・ライブver.hope!
この世界に来た理由
俺はバトルに身を投じる。



感想、評価、お待ちしてます!ではでは!
あ、この前、11月17日に17歳になりました!


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この世界に来た理由

テスト終わったー!






4月9日。原作開始1日前。

俺はいつものように掛け布団が吹っ飛んだ(ダジャレに非ず)ベッドの上で目覚めた。

「んみゅ……朝か…」

と、ベッドの近くを手で探る。すると、手にスマホが当たる。それをつかみ、いじる。まずは時間の確認。

7:00。まあ健康的な目覚めである。

「んー、フランの飯作るか?……」

少し思案し、

「いや、ログボ取ってからにしよう。どうせ作るのは一瞬だし。」

作ると言っても"創る,,のだが。

「ふーむ、今日はどーすっかなー。」

テレビの電源をつけつつ思案する。しかし、いくらか考えてもいい案は浮かばず、俺はおとなしく飯を作ることにした。

「さて、朝はおにぎりとちょっとの肉、コーヒーと。うし、完成。」

飯も完成したため、フランを起こしに行く。

「おーいフラン?朝だぞー。」

「うーん……しろぉ?」

「何この可愛い生き物。抱きしめてぇ。」

思わず本音がこぼれた。が、すぐに心を入れ替え、

「って、んなこと言ってる場合じゃねぇ。おいフラン?寝ぼけてねぇで起きろ。朝だぞ。」

「んー…わかった…起きる。……んーっ!」

そう言うとフランは体を起こし、身体を伸ばす。そして、

「おはよ、白狼。」

「おう、おはよう、フラン。」

互いににへら、と笑い俺は食卓へ。フランは着替えに行く。

「よし、じゃあ、」

「うん。」

「「いただきます。」」

二人で並んで椅子に座り、肉とおにぎりを食べる。朝は大体こんな感じである。テレビもついでにつけて見る。

「今日もいい天気みたいだね。」

「ま、まだ春だからな。ってか、これからだし。」

「お花見とかしてないよね?」

「あー、花見な、んー…やりたいか?」

「んー、白狼はどうしたいの?」

「俺に振るなよ…」

甘めのコーヒーを口に含みつつ目を閉じる。今頃は桜が咲いている頃で、花見をするのもいいだろう。だが、忘れてはならないのが、今日は原作開始一日前、直前にもほどがあるレベルなのだ。行動には気をつけないといけない。と、そんな建前を頭の中で一通り並べ、

「はぁ、じゃあ行くか?近くのでかい公園にでもいけばどうにかなるだろ。」

「いいの!?やったあ!」

この時のフランの笑顔を、俺は写真にでも残しておきたかった。

花見をする、と言っても、ただ見るだけがそれではない。それを見ながら飯を食べたり、飲み物を飲んだりするのが風流ってものだが、今のうちの冷蔵庫には何もない。故に。

「まずは買い物だ。お菓子とか、弁当とか、その辺買って行くぞ。」

「うん!とりあえずお菓子選んでくるね!」

そう言って、フランはトテトテと走ってお菓子コーナーへと向かった。

……さて。

「出てこいよ。ソレは幾ら何でも下手すぎんぞ?」

そう言うと、商品棚の近くから、大きな魔力の塊が現れた。簡単に言おう。

「へえ。ガキのくせに俺をファントムと見抜くとはな。やるじゃねえの。」

ファントム、人間の絶望から生まれる怪物。そいつらは本来、この世界にはいないはずであった。だが、現にここにいる。……異変だ。

「表に出な。ここじゃ色々とまずい。」

「あぁ?…まあいいか。楽しませろよ。」

……どうやら、これが俺がこの世界に来た理由らしい。




お待たせしました。リアルが色々ありまして、ここまでかかってしまいました。
ここから、白狼とフランが原作へと関わっていきます!

本来いないもの。
そして始まる物語。
出会う中心。
次回、デート・ア・ライブver.hope!
四月十日、運命の日
俺はチョークへ手を伸ばす。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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四月十日、運命の日。

平ジェネファイナル観てきました。(12月17日)まじで面白かったです。

希望は降り立った。
少女達に厳しいこの世界に。
彼と、希望は、救うために。
その力を使う。


「【パワーソード】。」

「ウオオオオ!」

俺は力を表す剣を"創り,,、奴は本来の姿へ変貌する。

このまま戦うと、いろんなものを巻き込んでしまう。そうならないよう、

「【創世眼(ザ・クリエイティブ・アイズ)】。」

封印した霊力の鍵を使い、三分の一ほど解放する。

「ハッハァ!いいね、楽しませてくれよ!」

「…【創・空(クリエイト・ゾーン)】。」

霊力を使い、俺と奴だけの空間を"創る,,。

「ほお、これで逃げらんなくなったか。」

「……行くぞ。」

紅い体、その肩にかけた大剣。ファントム・フェニックス。その名の通り、倒されても復活する。さらに炎を使った攻撃もできる。性格と武器が相まって、パワータイプである。

「はっ!」

俺の右からの振り下ろし。それをフェニックスは大剣の腹で防ぎ、

「オラァッ!」

「チィッ!」

フェニックスの体から炎の翼が顕現する。俺を焼き包みにするかの如く迫ってくるのを、俺は竜の翼を使って脱出する。

「【ドラゴンウィング】!」

「空中戦か!?いいぜ、乗ってやるよ!」

俺に続いて、奴も飛翔する。無論、この空間は地面は存在するが、()()()()()()()。さらに言うなら左右にも。

「はああっ!」

「オオラァッ!」

奴の大剣、カタストロフと俺のパワーソードが火花を散らす。

「く…」

「ぬ…」

互いに弾き合い、距離を取る。

「へ…やるじゃねえか。その小せえ剣で。」

「そっちこそ。見た目通りのパワータイプで何よりだ。【クラッシュハンマー】。」

"壊す,,力を秘めた槌を呼び出し、右手に溶け込ませる。

「だが、もう時間だ。神代はとっくに慢心王が終わらせてる。」

「…ハッ。決着(ケリ)つけようってか?いいぜ。」

互いに剣を構える。そして。

「うおおおおおっ!」

「うらああああああっ!」

ガキィィィィッン!一瞬の拮抗。

「!!今!【絶壊拳】!!」

"壊す,,力を秘めた拳が、フェニックスの腹へと吸い込まれるようにヒットする。と同時に、何かが"壊れる,,音がする。

「グッ……?て、テメェ、今俺に何しやがった…?」

「…答える義理はねぇ。お前が過去に何度か通った道だ。」

俺はパワーソードを消し、

「【七夜】。」

眼は蒼く、手にはナイフ。閃くかの如き一閃は。

「ただ一つ違う点があるとすれば、それは一つ。」

「ぁ……が……?」

俺の振るった軌跡に合わせ、フェニックスの体が斬れていく。

「今度は、帰ってこられない。」

不死鳥は"壊され,,、"殺された,,。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのスペルを解除すると、もうフランはカゴに買うものを詰め終わっていた。

「あ!!白狼ったらどこいってたの!?あんまりにも遅いから全部入れ終わったよ?」

「いや、悪い悪い。ちょっと野暮用でね。」

我ながら、古典的な嘘だと思う。だけど、

「そう。じゃ、今度埋め合わせしてもらうからね?」

俺の姫様は騙されてくれるのだった。

この後、めちゃくちゃお花見した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、翌日。

「入ってきてくださーい。」

「はい!…行くぞ、フラン?」

「うん!行こ、白狼!」

四月十日。

少年が運命に出会う日。

希望と吸血鬼が、運命に会いにいった日である。




いやあ、二学期終わりましたー!
塾にも行き始め、受験生になったなー、としみじみ感じてます。それでも趣味も全開でいきますよー!
あ、アンコール7巻面白かったっす。(12月24日)(小並感)

ついに始まった原作。
ちっとばかしイレギュラーもあるが、
俺が全て救ってみせる!
次回、デート・ア・ライブver.hope!
チュートリアル・1
俺は日常に手を伸ばす。

感想、評価お待ちしてます!ではでは!


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チュートリアル 1

かなり遅くなりました!すいません!
学校とか、その他諸々で忙しくて…

俺にとっても、フランにとっても初めての高校。
っっても、それが目的ってわけじゃないんだが、まあ、楽しんでいきますか!
東方希望録、始まるぜ!


彼は、とても綺麗な銀髪をしていた。少し濁った目をしていた。その髪は夜に輝く月のようであった。

彼女の髪はとても綺麗な金髪をしていた。そして、赤い、眼。その笑みは、小悪魔的であった。

「夜月白狼です。」

「フラン。フランドール・スカーレット。気軽にフランと呼んでください。」

二人は、そう名乗った。

白狼、と名乗った方の男子は、俺を見て、ニヤリ、と笑った。…何処かで会っただろうか。

その後、質問タイムが設けられ、夜月とフランは質問攻めに遭った。

「好きなものは?」

「んー…ハンバーガー?後はパンだな。」

「お菓子!」

「どこに住んでるの?」

「こっから見えるぞ?ほら、あの紅い館。」

「「「ファッ!?」」」

その時には俺も思わず見てしまった。あの紅い館を。

「あ、あそこ私の家だよ?」

「「「ファッ!?」」」

「えっ!?」

フランの言葉に、教室が騒然とする。

「ど、どどど同居!?」

「…フラン…なんでそれ言っちゃうかなぁ…」

「え?だって後からバレても面倒なだけでしょ?」

夜月の言葉に、フランはアッサリと答える。

衝撃の真実に、我らの担任、タマちゃんこと、岡峰珠恵先生が食ってかかる。

「ど、どういうことなんですか二人共!?」

「えーと…俺とフランは恋人なんで。以上でQ.E.D.(証明終了)です。」

「「「ハァァァッ!?」」」

夜月の口からも爆弾が投下された。どうやらウチのクラスの男女の夢は一瞬にして無に帰したらしい。

「白狼も爆弾落としてるんじゃない。」

「いや、もういいかなって。」

と、ここでホームルームの終わりのチャイムが鳴り、この時間は終わりを告げた。

ーーー放課後。

俺は妹との約束のため、ファミレスに向かおうとした。

その瞬間、サイレンが鳴った。

「っ…空間震警報…!?」

皆が慣れた様子で避難する中、夜月とフランは。

「やっべ、フラン!ラノベ部屋に置きっぱだ!」

「嘘!一大事じゃん!早く戻ろう!」

そう言って走り出した。

「あ、おい夜月!」

そう言った俺の声は、届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

俺はとにかくシェルターに向かった。2人はきっと家の方のシェルターに避難するだろうと信じて。ふと、妹との約束を思い出すも、すぐにないだろうと切り捨てた。空間震が起きても、と言っていたが、まさかいるわけがない。しかし万が一ということもある。携帯のGPS機能で妹の位置を確認する。そして。

「なっ…!?」

ファミレス前を示す画面を見て、顔が青ざめていくのを感じた。気づけば俺の体はファミレスに向かって走り始めていた。

「あっおい五河!?」

「悪い、殿町!先生にはうまくつたえといてくれ!」

悪友にそう頼み、急いでファミレスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。視点が変わってお馴染みの俺、白狼だ。

紅魔館(天宮支部)の中のモノを"壊れない,,ように"創り,,、その後、30%ほど霊力制限を解き、市内で霊力濃度の高い場所を探す。

「フラン?見つかりそうか?」

「んー…まだ。少しあるのはあるけど…」

「!俺も見つけた。空間震直前だ。いくぞフラン。……原作(fate)に会いに。」




お待たせ致しましたぁ!
さあ、ここからようやくデアラの原作っす!
白狼は果たして全ての絶望を払い、この世界をハッピーエンドに出来るのか!?
お楽しみに!



力とは、この世界における一つのステータスだ。
それを使いこなすのも、それに振り回されるのも、
そいつ次第。だが。少なくとも、俺はああいう力の持ち方は認めない。人を悲しくさせる様な力だけは!
次回!東方希望録!
チュートリアル・2
俺は少女へ手を伸ばす。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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チュートリアル・2

いやぁ、バレンタインですね。皆さんは予定とか、ありますか?え?僕?…まあ、ご想像にお任せします。

精霊。隣界より現れ出る謎の少女。
その無垢なる力に、武力で抗うか、希望を指し示すのか。
今、世界の選択が試される。
東方希望録、始まります。


天宮市・ファミレスの近く。

この世界における主人公(ちゅうしん)、五河士道は此処に来ていた。で、俺は近くの物陰からその様子を伺っていた。

「琴里…どこにいるんだ…!?琴里!」

「おっす。えっと…五河だったか?奇遇だな、こんなとこで。」

普段ならしないが、自分から話しかける。すると士道は驚き、

「!?っ…や、夜月…?どうして此処に…!?」

「ん?まぁいろいろと仕分け終わったし、近くのシェルターにでも行こうかと。」

少し嘘っぽくなるが、まぁしょうがない。実際嘘だし。だが、変に詮索されても困るため、すぐに話題を変える。

「って、俺のことはいいんだよ。お前こそなんで此処に?危険なんじゃないのか?」

と俺が問うと、士道は突然血相を変え、

「っ!そ、そうだ!二人とも、俺の妹を見てないか!?」

「妹さん?見てないよ?ねぇ白狼?」

とフランが言う。士道の妹は五河琴里という。が、今俺たちが知っていることがわかると拙い。

「そもそも顔がわかんねぇよ。」

「あ、そうか、えーと、この子…ッ!?」

士道が写真を見せようとした、その瞬間。

空間が歪み、破壊の奔流が押し寄せる。

「なっ…!?」

その勢いは凄まじく、

「!フラン!解放・一割まで!」

「うん!」

俺とフランは一割だけ霊力を解放。その場に踏みとどまる。だが、士道はそうもいかない。少し吹き飛ぶ。

「のわっ!?」

「!!士道くん!」

フランが士道の手をつかみ、留まらせる。破壊の奔流、空間震はもう目の前まで迫って来ている。

「…士道、これからやることはオフレコな。」

「え、なにす…」

答えは聞かず、スペカを取り出し、使う。

「壁符【ドラゴニックウォール】ッ!」

カードを地に叩きつけ、霊力を流す。すると地面から紅き龍の鱗で出来た防壁が"創られ,,、空間震とせめぎ合う。

「ぐ…く…お、おおおおっ!」

「なっ…や、夜月…?」

程なくして、空間震は止まった。それをフランが確認すると、俺は壁を"壊した,,。

「あ…」

「ヒュウ。」

「わぁお。」

三者三様の驚き。それは目の前の大きなクレーターに対してだけではない。その、中心。紫色の鎧に夜色の髪。10人中10人が美しいと言うだろう整った顔。そんな少女が、クレーターの中心にいた。

「あ…あの子は…?」

士道は、その少女を見て呟く。

「…さぁな(すっとぼけ)」

俺なんかが知っているわけがない。もちろんフランもだ。

「…!ッ…」

向こうも俺たちに気づいたのか、

「…〈鏖殺公〉(サンダルフォン)。」

そう呟き、彼女は地を踵で踏みつける。すると彼女の背後に玉座が出現する。

「!あれは、ヤバい!」

彼女は玉座の頂に刺さっている柄を引き抜き、平たく長い刀身をこちらに向けーーー

「往ね、人間ッ!」

そう言って、少女は剣を振るう。その軌跡から剣撃が飛んでくる。

「士道!フラン!伏せろ!」

「なぁっ!?」

「士道くん!」

フランが士道の頭を押さえ、二人で剣撃を避ける。剣撃は威力を落とすことなくビルを綺麗に切断する。

ズズン…ッと倒れるビル。

「ヒュウ、あっぶね。」

軽く口笛を吹く俺に、

「なんでそんなに落ち着いていられるんだよ!?」

士道のツッコミが入り、そこに、

「貴様らも。」

「え?」

…ここに、少年達は運命と出会った。…まあ、若干2名、わざと会いに行ったのだが。

「貴様らも、私を殺しに来たのか?」

「…な…」

剣を向けられた士道は困惑しながらも、

「君…は…」

「名…か…そんなものは、ない。」

あっけらかんと言う少女に、士道は苦しげに、

「な、無いなんてことはないだろう?」

「ない。私には…」

と、士道の言葉を否定する少女。そこに。

「士道!伏せろ!」

「え?」

何者かが放ったミサイルが……バヂィンッ!止められる。

「こんなものは無駄と…なぜわからない…ッ!」

そう言う少女の顔は、ダメージなんて無いはずなのに。

とても、苦しそうだった。




さて、学年末テストです…
なので、次はその後になりそうです。


俺は皆を守りたい。そこには勿論、精霊達も、含まれていて。つまり、何が言いたいかと言うと。
次回、東方希望録、シーズン2。
この世界の本筋
俺は救う為に手を伸ばす。

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この世界の本筋

綺麗な茶色してるだろ…?バレンタインチョコなんだぜ?それ…友達から…貰ったんだぜ…6人から。前日には1人(男子)からも、貰いました。皆さんはどうですかね…?

元々のこの世界には、赤い館はおろか、俺もフランも存在しない。それに。本筋というものは、俺達がいないからこそ、成り立つものだ。だから…
東方希望録シーズン2、始まります。


目の前で、原作のあのシーンが再現…いや、展開されている。原作(ラノベ)ファンな俺ではもうそれだけで大興奮モノなのだが、それを表に出すわけにはいかない。それは間違いなく、これを壊してしまうからだ。

「だがまあ、そうもいってられないな。」

「来たよ!白狼!」

AST。Anti Spirit Team(アンチ スピリット チーム)の略で、精霊達を武力にて殲滅しようと動いている組織。日本の陸上自衛隊の隊員達で構成されているらしいが…

「うおっと!」

今の俺とフラン、少女は霊力が開放されている。つまり…今の俺たちは奴らにとって討伐対象ということ。

「チィ…とりあえず逃げるぞフラン!」

「遊ばないの?」

フランはやる気のようだが、ここでASTと争っても得がない。

「ここでやる意味が無い!希望【ウィザード】!」

俺はフランの手を取り、テレポートの魔法を使って離脱する。

(テレポート、プリーズ)

「撃てーッ!」

硝煙の匂いのする戦場から、俺とフランは撤退した。

 

 

 

 

 

その後、俺とフランは霊力に鍵をかけた。

所変わってさっきの戦場。

そこでは。

「っ!」

「やああっ!」

二人の少女が剣を手に舞い踊るかのように戦っていた。士道は、そんな二人に釘付けにされていた。…しかし。

「くっ…はっ!」

「はああっ!」

だんだんと強くなる風圧にそろそろ士道の体は耐えられなくなり、

「っ!?うわああああっ!?」

踏ん張り虚しく吹き飛ばされ、軽くものに当たって意識を失った。その後、俺達が霊力に鍵をかけている頃、士道は天宮市の遥か上空へ迎えられた。

 

 

 

 

 

 

所は戻り、紅魔館(天宮支部)。

「いやー、やっぱ原作のあのシーンは生で見ると違うな!」

「うん!白狼の言ってたことがわかったよ!ほんとに楽しい!」

俺たちははしゃいでいた。

「でもま、こっからが本番だぞ?原作よりもハッピーな物語にするんだ。」

「うん…でも異変…というか、白狼のことも重要だからね?」

言われて、そうだったと思い出す。

「…ああ、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

「…ハッ!?」

士道にとってはどこか分からない空間。そこで、士道は目覚めた。その後、士道は妹のもう一つの顔を見ることになる。…ついでに俺とフランのも。

 

 

「今回現れた精霊は1体。よく分からないのが2体ね…」

「!夜月とフランのことか!?」

「あら、名前をGETしてたの?士道にしてはやるじゃない。」

「そりゃまあ、今日転校してきた威力バツグンのクラスメイトだからな…」

と、士道が言うと、

「……ハァッ!?」

琴里は目をむいた。

「いや、ほんとに。」

「精霊が普通の学校に転校…?笑えないジョークだわ。」

士道の言葉に琴里は言う。

「…まぁいいわ。本題に入りましょう。」

「…え?」

地獄の訓練の始まりだった。

 

 

 

 

 

その頃、俺たちは…

「…フラン、行けるよな?」

「もちろん。行くよ、白狼!【レーヴァテイン】!」

ザンッ!

「おうよ。【パワーソード】!」

フランの炎剣がグールを焼き切る。

俺の剣がグールを切り裂く。あっという間にグール達は殲滅されたのだった。

「…ふぅいー。【解除】。」

スペカを解き、息をつく。

「お疲れ様、白狼。」

「おう。フランもな。…さて、今日もハズレだったし、帰るか。」

「うん!」

物語は静かに、軋んでいく。




テストの間の土日に書いてます。

俺とフラン、そして異形たちが介入することで歪んでいく物語。士道たちは今、俺たちとの接触を試みようとしていた。
次回、東方希望録シーズン2。
身バレ
俺は光に暴かれる

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身バレ

ローグ強すぎません?
どう対処するのやら…


俺はバッドエンドが嫌いだ。
報われない終わりが嫌いだ。
誰かが死んで終わるのが嫌いだ。
だから、バレたとしても、俺は…
東方希望録、始まります。


翌日。俺とフランは学校を終え、放課後を迎える。すると士道が、

「夜月!フラン!」

「ん?どうした五河?」

「どうしたの?」

あの場では士道、と呼び捨てにしていたが、ここではまだそんなに関わりがない。故に名字で呼んだ。

「あ、えっと…妹が見つかったって、無事だったってことを伝えときたくてな…」

と、頭を掻きつつ言う士道。

「あ、見つかった?よかった。」

「ああ。二人とも無事でよかった。」

「まあな。」

…ということは、士道はもう〈ラタトスク〉に接触したと見て良さそうだと、適当に受け答えしつつ考える。まぁ、むしろそうでないと困るのだが。

「…で、なんだがな。妹の琴里が、会いたいっつってんだが…会ってくれるか?」

「「!?」」

士道の頼みに、俺たちは少なからず衝撃を受ける。そういえば、〈ラタトスク〉は、あの精霊の出現と同時に士道を使うことを決定していた。つまり、その為に士道の位置、状況をモニタリングしていた。つまり…俺の()()も見られている。

「…わかった。」

「…白狼?いいの?」

「…ああ。どうせいつかは面と向かって話さなきゃならないんだ。早いに越したことはない。」

というわけで、会うことにした。

日時を決め、五河家へお邪魔する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どうも。夜月白狼だ。」

「フラン。フランドール・スカーレットよ。」

「私は五河琴里よ。〈フラクシナス〉の司令官をやっているわ。」

剣呑な雰囲気で始まったこの会話。はてさて、どうしたものか…

「…で?要件はなんだ?俺達これでも割と忙しいんだが?」

「そうね。こっちも士道の訓練があるから手短に。」

言うと琴里は一旦息をつき、

「貴方達は何者なの?男の精霊なんて例がないわ。」

「…そうだな。…ここは大丈夫そうだな。」

「安心して。〈ラタトスク〉の中でも、〈フラクシナス〉のクルーしか聞いていないわ。」

「なら、安心だな。」

俺は眼鏡の位置を直し、言う。

「まずは一つ。俺とフランは精霊じゃない。」

「…?じゃあ士道の前で見せたアレは何?」

「俺とフランの能力だよ。俺が"創って,,、フランが"壊す,,。」

「…でも、貴方達に霊力があるのは?」

「最初に言っておくと、俺たちに〈霊結晶(セフィラ)〉は無い。ただ、別の世界において霊力が使える人間と吸血鬼ってだけだ。」

と、俺が言うと、

「「吸血鬼!?」」

兄妹が驚いた。

「ん?そうだよ?私は吸血鬼。今は弱点を"壊して,,いるから、人間と同じように見えるだけ。」

「…クラスの奴らが知ったらどうなるか…」

士道の懸念は置いといて。

「…なぜ学校に?」

「?異なことを。この世界での異変…まぁ、空間震より出てくる精霊達を救う。それ以上の理由はない。」

さも当然といったように返す俺に、琴里は段々とその態度を緩め、

「じゃあ、協力してくれるの?」

「まあ、そうだな。」

「…信用していいの?貴方達を。」

俺の言葉が少し、嘘っぽく聞こえたのだろう、琴里は半眼で問う。

「…なら、一つ協力してくれ。この世界は()()から外れている。本来の道筋から離れようとしているんだ。」

「本来の、道筋…?」

俺の言葉に、士道が困惑する。

「その原因を取り除くのが、俺のこの世界における役目だ。精霊でもない()()が現れたら教えてくれ。倒しに行く。」

俺の言葉に、琴里は、

「…わかったわ。ギブアンドテイクでいきましょう。」

「…りょーかいだ。」

…これで少しは楽ができそうだ。




さて、白狼が介入できる準備は整えた。あとは…



訓練に挑む士道。
何故か俺もやることになってんだが、まあいいや。
ちょ、待てフラン!それはまず…
次回!東方希望録、シーズン2!
運命、再び。
俺はあの子に手を伸ばす。

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運命、再び

連続投稿!



始まりは、小さな応援したいという思いだった。
でも、軽くクリアしていく君と、現実の君を見ると、だんだん…
東方希望録、始まるよ!


翌日から、士道の〈ラタトスク〉による訓練が行われていた。士道が日に日にげっそりしていくのを見るのはとても愉え…いや、忍びなかったが、ここを乗り切れば楽しい生活が待っているのだから耐えてほしい。…俺?俺はね…

「…ま、軽くクリアするよな。」

「そうね。でもそれ、女の子が喜ぶ行動をし続けるゲームでしょ?なんでそんな簡単にクリア出来るの?ねぇ、白狼?」

それはそれは、大層な修羅場となっていた。

「や、その、ゲームで出来ても現実では難しい事だって、あると言いますか…」

「あの子達には愛を囁いて、私にはしてくれないんだー!へぇー!」

「申し訳ありませんでしたァ!」

即刻土下座した。なんだこれ。めっさ怖い。バックシマスとか脊髄ぶっこ抜きとかそんなんよりダントツで、怖ぇ。

「ふぅん?で?白狼はいつまでそうしているつもり?」

と、フランは声はいつも通りだが、目がヤバイ状態のまま、俺に近づいてくる。

「(この状態からスキンシップやら言葉やらを紡げと!?)」

心の中で叫ぶも、声に出すわけにはいかなかった。

「…そう。白狼ができないなら…」

そうして、フランは俺の耳をーーー

「…はむっ。」

甘噛みしてきやがった。

「ーーーッ!?」

俺はくすぐったさやら恥ずかしいやらで声にならない叫びをあげ、逃れようとする。が、俺は人間、フランは吸血鬼。地力に大きな差があり、どうすることも出来ない。そうして、俺はベッドに押し倒されーーー

「!?フラン、それはまずいって!それ以上はここじゃ描写できな…」

「ッ!」

い、まで言わせてもらえなかった。理由は単純。フランに唇を塞がれていたからだ。

「んー!?」

「ん…ちゅ…」

脳が、とろける。何も、考え、られなくなって…力が抜けて…と、だんだん思考がヤバくなってきたところで。

サイレンが鳴った。

「「ッ!」」

そこからは、早かった。

「…行くぞ、フラン。」

「うん…ごめん、白狼。」

「気にすんな。心臓が飛び出かけただけだ。」

「それ結構ヤバイやつだよね!?」

「とにかく、行くぞ。」

騒ぐフランの手を取り、〈フラクシナス〉へ行くため、

「【ウィザード】。」

(テレポート・プリーズ)

テレポートで向かった。士道も既に来ていたようだ。

「あら。二人揃ってのご搭乗とはね。」

「ああ。恋人だからな。当然だ。」

「へぇ…え!?」

俺の言葉に琴里は泡を食う。 まあ、いい思いが出来たからいいのだが。

「俺のことはいい。状況は?」

「…精霊は士道の教室の中よ。ASTも入っていってはいないわ。」

「へぇ…好都合だな。」

まぁ知ってるけど、と心の中で付け足し。

「…どうして?」

フランが質問する。まあフランは読んで無いしな。

「ASTのCR-ユニットはああいう場所に向いてない。ただそれだけさ。」

と、俺が軽く答え、

「さて、士道。あの子を助けられる絶好のチャンスだ。どうする?」

「もちろん、行く!」

「…だそうだ。琴里。俺も念の為に行く。露払いは任せろ。」

「私も。少し遊びたいし。」

「…頼んだわよ。」

というわけで、精霊〈プリンセス〉攻略作戦が始まったのだが俺は少しばかり、きな臭さを感じていた。

「…静かすぎる…」

イレギュラー。それの介入が少なすぎる。もう少し、原作に介入してくるかと思ったが、思ったよりも少ない。まぁ心配するに越したことはない。最悪、5割解放すれば大抵の奴は倒せる。…とにかく、今は目の前のやつだ。

「士道、準備はいいか?」

「…ああ。」

フランがドアをガラリと開け、士道が入る。俺は殿だ。

「ッ!」

少女は、丁度、士道の席に腰掛けていたが、すぐこちらに気づくと、光弾を放ってきた。

「!させるかよっ!守符【ドラゴンシールド】!」

俺はすぐに士道と少女の間に割って入り、光弾を防ぐ。

「落ち着けよ。俺たちはお前を殺しに来たんじゃない。」

「ッ…見え透いた嘘を…!だったら何が目的だ!?」

少女の警戒心はMAX。まずはここから落とす必要があるな。

「それはコイツに聞けよ。俺もフランも、外の奴らの露払いでここにいる。」

俺は士道を指さし、少女と士道の目が合う。

「…ま、あとは二人でごゆっくり。俺とフランは遊んでくるから。…行くぞ。」

「はーい。じゃあ士道君、頑張ってね?」

俺達は士道のすがりつくような視線を他所に、外へ飛び出した。

「…フラン、解放。1割。」

「はーい。さぁ、遊びましょう?」

ASTが寄ってくる。

「〈ホープ〉と〈ヴァンパイア〉!?いきなり現界するなんて…!」

「…とうとう識別名までついたか。ま、そうなるだろうとは思ったけど。」

…とにかく、イレギュラーが出たら排除しなければ。




さて、白狼とフランの戦闘シーン、がんばらないとなぁ…



俺とフランなら、どんな困難でも乗り越えてみせる。
何!?アレは!なんであれがASTに!?
次回!東方希望録、シーズン2!
顕現装置(リアライザ)地球の記憶(ガイアメモリ)が合わさり強くなる。
さぁ、お前らの罪を数えろ!
これで決まりだ!




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顕現装置(リアライザ)地球の記憶(ガイアメモリ)が合わさり強くなる。

連続投稿ラスト。こっからまたストックしてから投稿するので日が開くかもです。


地球の記憶(ガイアメモリ)。地球に存在する概念、物質、生物などの能力を秘めた、USBメモリ型のアイテム。
それを用いることで、人間に大きな異能力を持たせることが出来る。ただし、肉体への負担は大きい。
東方希望録、始まります。


「力剣符【パワーソード】!」

「禁忌【レーヴァテイン】!」

俺とフランはスペカを使い、ASTに対抗する。向こうには顕現装置(リアライザ)やら随意領域(テリトリー)やらがあるためいつもの異変以上に面倒だったりするのだが…

「はっ!」

「やあっ!」

「くっ…総員!()()()を使うわよ!」

「…?メモリ?」

はて、原作にそんなシーンは無かったが…と思っていると、ASTが取り出したのは。

(マスカレイド!アームズ!)

「な…」

「アレって…」

見間違うはずがない。

「ガイア…メモリ…?なんで!?」

俺達の驚きを他所にAST達はメモリを装備に挿し込む。そして、発砲。

「ッ!」

俺はパワーソードで何とかガードするも、ピシリ、と嫌な音がした。

「白狼!」

「構うな!」

すぐに霊力を流し、パワーソードを修復する。なるほど、メモリを挿すことで自分達の攻撃を強化しているのか、と思いつつ、

「だけど、お前らに使わせるわけにはいかないんだよ…」

「っ!?メモリのことを知っている…!?」

「フラン、やるぞ!」

「!うん!」

1度距離を取り、

「記憶【ダブル】!」

スペカを起動。俺の手にダブルドライバーとジョーカーメモリ。フランの手にサイクロンメモリが"創られる,,。

ドライバーを腰に巻き付けると、フランの方にもドライバーが現れる。

(サイクロン!ジョーカー!)

メモリのボタンを押し、フランが先にドライバーの右側に挿す。するとメモリがスゥ…と消え、俺の方に現れる。それを入れこみ、自分のメモリを挿す。そして、ドライバーが"W,,の字になるように開く。

(サイクロン!ジョーカー!)

あたりに風が吹き荒れ、俺の体を包み込む。フランの体はエクストリームメモリが回収しているため、どうにかなった。風が収まると、そこに佇んでいたのは、緑と黒の、2色のライダー。

「「…さぁ、お前らの罪を数えろ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道はというと。

「え…と、十香!俺とデートしないか!?」

「む?デェトとはなんだ?」

絶賛作戦行動中であった。〈フラクシナス〉のサポートを受けつつではあるが、精霊〈プリンセス〉の信頼…とまではいかなくとも、信用を着々と得ていた。それこそ、デートの約束を取り付けるくらいには。

「えと、仲のいい男女が色んな場所に遊びに行く…ってことだな。」

「なるほど…」

とまぁこんな感じに、〈ブリンセス〉こと、十香とのデートの約束を取り付けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!…行くぞフラン。」

「うん!決めよう、白狼!」

その頃俺たちは、ASTを圧倒していた。ドライバーからジョーカーメモリを抜き、マキシマムスロットに挿す。

(ジョーカー!マキシマムドライブ!)

再び風が巻き起こり、俺の体が浮上する。スロットのボタンを押す。

「「ジョーカーエクストリーム!」」

空中で一回転、その後二分した体でキック。

「く…ああっ!」

何人かで随意領域(テリトリー)で防ごうとするも、あえなく撃沈。俺達の勝利となった。

「…ふぅいー。」

ドライバーを閉じ、変身を解く。スペカも解除。

「…あんたらは精霊には勝てない。たとえ()()()()()に手を出したとしても。」

「っな…なんなのよ…アンタ達…」

どうやら、皆気絶したようだ。

「もうお休み?意外と脆いのね。」

「そう言うなって。彼女達だって頑張ってんだから。」

そういう俺の顔は少し、苦しげだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、またな十香!」

「うむ!また、だ。シドー!」

…どうやら向こうも終わったらしい。次はデート、というわけだ。

「フラン。」

「何?」

「今度、出かけないか?」

「!デート!?行く!」

……察しのいいこって。




ってなわけでフランと合体(変身)してダブルになりました。
やったぜ。



初のデート。…つっても、俺とフランが一緒にでかけりゃ、もうその時点でデートなんだが。でもま、楽しみつつ、頑張りますかね。
次回、東方希望録シーズン2!
暗い、食らい、Cry。
士道は十香へ手を伸ばす。

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暗い、喰らい、Cry

3月ですね…来年の僕が、どうなっているのか、少々不安でもあります。ですが、白狼とフランの歩む道、そして訪れる世界はどんなに拙い文になろうとも、ハッピーエンドにして行きます。

AST。アンチ・スピリット・チームの略称。
精霊を武力によって殲滅しようとする組織。
個々人の実力は低いものの、中には精霊を容易く殺められる兵器もあるという。


士道が十香とデートの約束をした翌日。

「……ま、どうにかするけどさ。」

「……ほんとにすまん。」

「お前がヤヅキというやつか!?……ぬ?前にどこかであったか…?」

なぜか、家に士道と十香が来ていた。

士道と十香は制服に身を包んでいた。まあ、十香の方は制服から微弱な霊力が感じられるため、恐らく来禅高校の誰かの制服を霊力で形作ったのだろう。おおよそ原作通り、ということらしい。

「いいや?流石に初対面だよ。」

と、言って俺は苦笑する。まあ嘘だが。

「それにしても、よく会ったね、士道君。」

フランが士道に近づき、耳打ちする。

「ああ…俺も驚いてる。だから、少し手が借りたい。」

「!なるほど。わかった、手伝うよ。」

「…すまん、恩に着る。」

と、2人が意思疎通している間、俺は十香と話をしていた。

「夜月白狼と言うのか…私は十香だ。よろしく頼む。」

「おう。ま、困ったことがあったらうちに来てな。可能な限り力になるよ。」

「うむ!ありがとうだ!」

…何か霊力封印前から封印後のような明るさだ。まあでも、その分攻略難易度は下がっているのだろうか。俺がいることで難易度が上がってる、なんてことにならなきゃいいが…

「んで?こっからどうすんだ?士道?」

「とりあえず外に出よう。十香とデートするしな。」

ならなぜ来た。と言いたくなったが、恐らく2人だときついのだろう。まあ、言われなくても別行動を取りつつ見守るつもりだったからいいんだけど。

「あいよ。じゃあ今すぐ準備するから外でてろ。」

「少し待っててね?」

俺とフランは士道と十香を外へ押しやり、準備を整えることにした。

10分で整え、外に出る。

「悪い、待たせた。」

「いや、大丈夫。」

俺とフラン、士道と十香のダブルデートの始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きなこパン…美味しかった…!」

それから約2時間の後、十香はこの世の食欲すべてを背負ったかのように、多くの食べ物を食べ尽くしていた。

「す、すごいね…」

「あ、ああ。1度原作で見たことがあるとはいえ…これは、すごいな…」

「白狼!フラン、シドー!次はあっちだ!」

十香は俺たちの手を引き、どんどん奥へと進んでいった。少女の目には、この世の光が見えていた。

しかし。

「………あれが精霊…」

歪みもまた、こちらを覗いていた。

「…(ま、何もなければいいが…)」

「白狼?」

俺が怖い顔でもしていたのだろう、フランが心配そうな目を向けてくる。俺はすぐに笑顔を取り繕って、

「大丈夫。全部守り抜くから。」

「…うん…(白狼…違うよ…私が聞きたいのは…)」

フランの心の声は、やはり俺には聞こえなかった。

 

 

 

 

デートはそれでも、流れるように進んでいった。そうして、夕暮れ時。俺たちは高台に来ていた。電車の見える高台。…忘れるわけがない。ここで、五河士道は1度目の死を迎える。…といっても、すぐに復活するのだが。

原作通りならば、どこかで鳶一折紙が十香スナイパーライフル、C.C.C(クライ・クライ・クライ)で狙っていることになる。しかし、今はイレギュラーもありうる状況。

「さて、奴さんたちがどう動くか、だが…」

「シドー、あれは変形するのか?」

「うーん、しない!」

「…この雰囲気を壊す訳にはいかないよな…」

今、士道と十香はとてもいいムードである。まぁこれも原作通りなのだが。

「…さて、どうなるかな…」

「白狼、この後、知ってるの?」

「Of corce.(もちろん。)だが、イレギュラーもありうる。だから警戒、緩めんなよ。」

「うん…」

フランは俺を見て、心配そうに頷く。

「…!だーいじょうぶ。いつも通りにすれば、俺ら紅白(フラしろ)に負けはない。」

その心配そうな顔を見た俺はにへらと笑ってそう言う。けれど。

「……うん。そう、だね…」

フランの目は、俺の言っている事を心配しているのではなく、俺を心配していることに、俺は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…折紙、射撃許可が出たわ。…ミスらないでよ。」

「…了解。」

そういう狙撃者(スナイパー)の手には、相変わらずガイアメモリが握られていた。




遅くなりましたァ!忙しかったもので…
ビルドかっこいいっすね。ハエーイ!ツエーイ!

少年は、少女を救うために。
少女は、少女を殺すために。
そして少年は、物語をより良く進めるために。
その力を使う。
不思議な力、地球の記憶、受け継いだ力を。
次回、東方希望録シーズン2。
地球の記憶、最後の剣。
私が、白狼の支えになってみせる。

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地球の記憶(ガイアメモリ)最後の剣(ハルヴァンへレヴ)

最近ライダーがかっこよすぎてヤバいです。
タンクタンクかっこいいっすね。ヤベーイ!ツエーイ!

精霊、十香。
異世界より現れ出る謎の少女。
その無垢なる暴力に、
力で抗うか、愛を持って語りかけるのか。
今、世界の選択が試される。
東方希望録シーズン2、始まります。


「握れ!今は、それだけでいい!」

「っ…」

俺の目の前で、十香編のクライマックスが流れている訳だが、原作通りなら、折紙の撃った弾丸は、寸分違わず十香を撃ち抜く…その直前に士道が十香をかばい、自分の腹にアリアよろしく風穴ァ!を開ける訳だが…

「…フラン、行くぞ。」

「うん。」

そう簡単に行くはずがない。故に、準備しておく。

「記憶【ダブル】。」

前回同様、フランの手にサイクロンメモリ、俺の手にジョーカーメモリが"創られ,,る。そして。

「「変身!」」

空からエクストリームメモリが現れ、フランの体を取り込んだ後、ダブルドライバーに挿さり、開く。

(EXTREME!)

辺りに緑の風が舞い、俺の身体を変えていく。変身が終わると同時にダッシュ。

「「プリズムビッカー!」」

剣と盾、両方備わったプリズムビッカーを呼び出し、十香と士道の前に立つ。

 

 

 

 

 

 

「!あれは…」

「【ホープ】と【ヴァンパイア】の…なんであの二人の前に!」

「関係ない。出てきたなら好都合。まとめて撃ち抜く。」

(UNICORN!UNICORN!MAXICIMAM DRIVE!)

一角獣の力で貫通力の増した銃弾が、折紙の持つライフルから放たれる。

 

 

 

 

 

 

「っ!?何者!」

「!白狼、フラン!?」

「てめぇらは伏せてろ!」

既に守れる位置には来ている。ならば、もう簡単だ。

俺達はプリズムビッカーに5本のメモリを挿す。

(PRISM!MAXICIMAM DRIVE!

CYCLONE!MAXICIMAM DRIVE!

HEAT!MAXICIMAM DRIVE!

LUNA!MAXICIMAM DRIVE!

METAL! MAXICIMAM DRIVE!)

4つの光がビッカーから現れ、大きな盾を作り出す。

「「ビッカー、ファイナリュージョン!」」

盾は、放たれた銃弾と拮抗する。バチバチと貫こうとする力、守ろうとする力が反発する。

「「ぐ…あ、あああっ!」」

何とか力を込め、弾道を逸らし、外させることが出来た。

「待て、十香!」

「シドーの命を狙ったのは誰だ!」

…のだが。俺達が守った範囲から、十香が駆け出そうとした。もちろん、頭が出る形で。そこを、あの狙撃者(スナイパー)が見逃すはずもなく、二発目が、放たれた。

「っ!しまっ…」

ダスッ…と、銃弾が誰かを撃ち抜く音がした。先程までの威力はないものの、元々対精霊用のスナイパーライフルである。霊装を纏っていない十香など、容易く殺すことが出来る。だが。

「「……っ!?」」

恐る恐る振り返った俺達は、驚くことになる。そこに倒れているのは、士道だったからである。原作通り、腹にアリアよろしく風穴ァ!を開けて。

十香は、ビターン!とコケていた。恐らく、士道に足首でも握られたのだろう。十香の眉間を貫くはずの弾丸は、十香の髪をかすり、士道の腹に穴を開けたのだ。原作通りに!

「っ…神威霊装・十番(アドナイ・メレク)!」

直後、俺達の後ろで、空間が軋んだ。

「「っ…!?」」

「シドーの敵を…とる。…〈鏖殺公(サンダルフォン)〉!」

十香がその名を呼ぶと、大きな玉座が現れ、そこから剣を引き抜き、玉座を一刀両断する。切られた玉座はは数多の破片となり、〈鏖殺公(サンダルフォン)〉にくっついていく。そして、元よりさらに大きくなった剣を掲げ、十香は叫ぶ。

鏖殺公(サンダルフォン)…【最後の剣(ハルヴァンへレヴ)】!」

十香は剣を一閃させる。その軌跡は剣撃となり、大地を削った。

「…そこの仮面男。」

「っ…悪い。守りきれなかった。」

「…いや。お前の作った壁から出た私が悪いのだ。…シドーを頼む。この辺にいては…巻き込んでしまうからな。」

悲しげな笑みを浮かべ、十香は折紙の元へ向かう。このままでは、十香は間違いなく折紙を殺すだろう。士道が止めるとはいえ、何があるか分からない。…動けなかった。

「早く目覚めろよ…士道。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、一、二分、だろうか。士道の体に炎が灯る。それは風穴を燃やし、元通りに治していく。

「ん…?あちゃちゃちゃちゃ!?」

「おう。起きたか、寝坊助。」

「!白狼!十香は!?」

ガバリと起き上がった士道はあたりを見回し、絶句する。

「っな…」

「十香ならあそこだ。琴里達の指示でも受けて、とっとと霊力封印しろ。」

「お願い士道くん。十香ちゃんを今助けられるのは、君だけなの。」

「!…ああ。任せろ!」

言って、士道は〈フラクシナス〉に一旦回収される。

「…さて。フラン、一旦スペカ解くぞ。」

「…うん。」

変身を解き、スペカも解く。

「….さて、あと俺たちに出来るのは…封印後まで暇だな。」

「……そう、だね。」

「…ま、異変が起こらないとも限らないし、警戒は緩めらんねぇ。」

俺の目は暴れる十香を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

程なくして、十香の攻撃から身を守っていた折紙と隊長こと日下部燎子。しかしそこは精霊の全力。数分と持たずに随意領域(テリトリー)を壊される。今にも殺されそう、という、その瞬間。

「うわあああああああ!?」

空からあまりにもあんまりな叫びをあげ落ちてくる騎士(ナイト)の姿が。

「…!?シドー!?」

十香は飛び上がり、士道の元へ飛んでいく。

「っ!十香ああああああああ!」

士道も気づいたようで、十香を呼ぶ。

2人の体は空の下、いつしか重なった。そして、しばらくすると、光が溢れ、十香の身を守る霊装が消えていく。

「…さて。『創符【創世眼(ザ・クリエイティブ・アイズ)】』。」

それを確認した俺は、十香に服を"創り,,、着せる。

「!白狼!フラン!どこにいたのだ?」

「うん?ああ、えーと…その…」

フランが十香の純粋な目に押され、答えに窮する。まあ罪悪感しかないよな。ってか、俺らが仮面の男だって、なんでわかんないのか、それがわからないが。

「ちょっとシェルターにあ、まあ、何もなくてよかったよ。」

「!夜月…!」

士道が何か言いたそうだったため、耳元に顔を近づけて言う。

「余計なことは言うなよ?」

「…っ…」

士道には悪いが、あまり広められても困る。

「なぁ、シドー。」

「ん、なんだ?十香。」

「また、デェトに連れていってくれるか…?」

少女の、その問いに。少年は。

「ああ。そんなもん。何度だって、いつだって行ってやる!」

元気にそう返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、白狼宅にて。

「…ふぅいー。お疲れ様、フラン。今回もありがとな。」

「ううん。白狼こそお疲れ様。常に考えっぱなしだったでしょ?だから、はい。」

俺達は休んでいた。フランが腕を広げ、何かを待つ。

「…どうしろと?」

「…もう。わざとやってるでしょ?ほら、疲れてるんだから、頭をここに置いて?」

「…」

フランの目は本気だった。有無を言わせないような、目。それに逆らえるはずもなく。

「…はい。」

顔を赤くしながら、俺はフランの膝枕を借りることになったのだった。

「……ぁ。(やばい、意識が…)」

余程疲れていたのか、俺はすんなりと眠ってしまった。

「…!あら、眠っちゃった。……おやすみ白狼。また明日、私にカッコいいところを見せて、希望を見せてね?でも、時には支えさせて?その重みを、体温を、鼓動を。少しでも感じていたいから。」

そう言って、フランは俺の頭を撫で、そのうち自分も眠っていく。俺の髪は、撫でられた白い髪に紛れ、少しだけ、()()滲んでいた。




…はい!というわけで十香デッドエンド編、無事完結です!
白狼「随分とかかったなおい。」
ごめんなさい。もう高3になるんで勘弁してください…
白狼「…ま、張るもんちゃんと張ったようだし別にいいけど。今度はまた不定期。んで、合格したらまた頻繁(笑)に更新だな。」
…ほんとにごめんなさい…





雨。俺は生憎好きじゃねぇが、まあしょうがないよな、自然なんだから。
次回、東方希望録シーズン2。
霊力を帯びた雨
俺は兎へ手を伸ばす。

感想、評価、お待ちしております!ではでは!


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四糸乃パペット編
霊力を帯びた雨


春ですねぇ…桜も咲いて、そろそろ散り始める頃です。皆さんは花見とか行きましたか?

雨は、嫌いだ。
誰かが泣いているようだから。濡れるから。
…あの日も、雨の中、俺は…
東方希望録シーズン2、始まります。


十香が来禅高校に転入してきてからというもの、士道の周りには、常に2人の女子がいた。1人は言わずもがな、十香こと、夜刀神十香である。天真爛漫、という言葉が良く似合う彼女は、持ち前の元気さで士道と日常を謳歌している。もう1人は。

「夜月白狼。夜刀神十香はどうしてここにいるの?」

「あのですね鳶一さん。それ俺に聞かれても困るんだけど…?」

クールさでいえばこの学校一の美少女、鳶一折紙である。成績優秀、容姿端麗、運動も大得意という完璧超人。ネタバレになるから言わないが、士道と深く関わりがあるが、()()士道は知らない。鳶一は()()経験しているが、()()士道は経験していない。まぁ、ヒントはこのくらいで。

「そもそも、あなたは何者…?」

「なにって、来禅高校2年の夜月白狼ですが?それ以外に何があると?」

「…貴方は四月九日、十日と、私たちの前に現れた。霊力を持って。貴方は精霊では無いの?」

「へぇ…そこまで言っていいんですか?…いいのか?」

敬語をやめる。まぁそこまで行き着いているなら今更隠しても意味などないだろう。

「白狼、いいの?」

「ああ。ま、別にバレても問題ないしな。後で別に精霊来るし。」

小声でフランとやり取りする。鳶一は続けて、

「構わない。貴方が精霊なら、殺すだけ。」

「…俺が精霊なら、ね。」

今の俺は、大層悪い顔をしているだろう。だが、俺が尻尾を出さない以上、鳶一は俺に、フランにも手出しはできない。

「…チャイムもなる頃だ。座ったら?」

「…絶対に、逃がさない。」

「…期待しとくよ。」

そう言った瞬間にチャイムが鳴る。予想ピッタリは初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

天気の予想は大ハズレで、朝は晴れていたにも関わらず、帰りは雨だった。普通の人ならば、大ハズレした天気予報士を恨むだろうが、今回に関しては天気予報士に全く非は無い。

「白狼、この雨…」

「ああ。霊力を帯びてる。つまり、精霊の力で引き起こされてるってことだ。…さーて、また仕事の時間だな。」

そういう俺の顔は笑っていた。

 

 

まあ、学校も出ずに何言ってんだってことでとりあえず校門を出て、神社に向かった。士道も神社で雨宿りをしていた。

「!おっす士道。」

「!夜月!お互い不運だな。」

「市単位で不運だろ。」

「そうだね。だって雨だし。」

3人で談笑する。まあ、これから起こることへの時間稼ぎだが。

「そういえば、十香は?」

「ああ、十香なら先に帰ったよ。多分琴里と一緒にいるんじゃないかな?」

「ふーん…ねぇ、士道君は十香ちゃんとどこまで行ったの?」

フランのイタズラ100パーセントな質問に、士道は面食らって

「ぶっ!?ふ、フラン!?何言ってるんだ!?」

「何って、2人の進捗を聞いてるだけじゃない。」

とまぁ、こんな風に。賑やかな談笑には、勿論終わりがあって。

ぱしゃん、と、水が跳ねる音がした。俺達は気になって、音のした方を向いた。そこには、緑色のレインコートのような物を身に纏った青髪の少女が、水たまりのうえで跳ねていた。楽しそうだ、と思った、次の瞬間。コケた。それも盛大に。俺らまでコケそうだった。

「って、こけかけてる場合じゃねぇ!フラン!あの子を頼む!」

「うん!」

フランに少女を任せ、俺はコケた際にスポン、と抜けたうさぎのパペットを拾いに行く。やはりというか、泥で汚れてしまっていた。

「…霊力解放、一分。」

一分、つまり1%だけ霊力を解放し、ついた泥を、

「『壊右【壊す右手(クラッシュ・ライト)】』。」

触れて"壊す,,。そしてすぐに霊力を封印する。

「白狼、この子に怪我はなさそうだよ。」

「大丈夫か?」

どうやら少女は無事のようだ。まぁ、霊装を纏っているから、そう簡単に怪我なんてしないんだが。

「っ…!」

少女は、フランと士道、そして俺に囲まれているため、怯えていた。…忘れていた。この子はとても臆病なのだった。

「士道、フラン、その子から離れてくれ。」

「え?夜月…?」

「どうして…?」

「よく見ろって、怯えてんだろ?」

俺に言われて、二人は少女を見る。

「「…あ。ご、ごめん!」」

気づいた二人は慌てて離れる。少女は二人の声に驚くも目は俺を見ていた。正確には、俺の手にあるもの、だが。

「…ん?ああ。悪い。返すよ。」

言いつつ俺はベンチにそのパペットを置き、そっと離れる。

「……」

少女はタタタッとベンチに駆け、パペットを左手に装着する。すると。

「やっはー!たーすかったよ皆!」

少女が左手のパペットを巧みに動かし、腹話術で話してきた。

これが、優しすぎる少女と、俺たちの出会いだった。




ルパパトのオープニングかっこいいっすね。皆さんはどっち派ですかね?僕は個人的にルパンレンジャー派です!

さて、そろそろ今回の事をフランに話すか。
見え隠れする俺の世界のいざこざ。
すがたを現す歪み。お前は、俺が断ち切る!
次回、東方希望録シーズン2!
〈ハーミット〉?え?パープルは?


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〈ハーミット〉?え?パープルは?

待たせてしまいましたね…
いやぁ、3年って忙しい!

とりあえずどぞー!

ハーミット。隠者のカード。
思慮深い、思いやり、慎重という意味を持つ反面、
消極的、閉鎖性といった意味を持つ。


俺達は少女と出会った。左手にパペットをつけた謎の少女と。

「やっはー!たーすかったよー!」

少女はパペットを巧みに動かし、軽快な声で話しかけてくる。正確には、少女の口は動いていない。腹話術…であると推測できる。しかし、その推測は間違いである。

「それにしても、そこの2人はー、どさくさに紛れて四糸乃の柔らかボディを触っちゃってたけど、どうなん?正直どうなん?」

こんなふうにとてもフランクなパペット。これは、彼女、四糸乃の人格である。しかし、本来の人格とは異なる。つまり、二重人格なのだ。まぁ、俺がそれを言っても仕方ないため、黙っているが。

「え、あ…えーと…」

士道はパペットの問いを真に受け固まっていた。が、いつまでもそうしているわけにも行かない。

「怪我はなかったか?」

「おや、よしのんを助けてくれたお兄さん!怪我はないよー!それも君のおかげさ!」

パペット…よしのんはそう言う。まぁ、傷なんてつくはずがない。彼女は精霊。〈ハーミット〉と呼ばれる、比較的穏やかな精霊だ。自分から害をなす訳ではなく、ASTに襲われても反撃をせずに逃げ回る精霊だ。しかし、そんな彼女も精霊である以上、霊装もあれば天使もある。霊装とは精霊を守る鎧であり、城だ。雨に濡れた地面に滑って転んだからといって、かすり傷にもならない。

「そっか、それなら良かった。」

しかしまぁ、それを知っているのも可笑しな話。話すことが出来ない。やれやれだ。

「とにかく、ありがとねー!」

よしのんはコミカルな動きで四糸乃と共に去っていった。

彼女が去って暫くして、雨は止んだ。

「あ…雨、やんだね。」

「ああ…さっきの雨が嘘みたいに晴れ晴れとしてる空だ…」

「ま、そりゃな。あの雨、精霊のせいだし。」

「へー…え!?」

俺の一言に驚く士道。

「でもお前、そんなこと一言も!」

「当然だ。精霊本人がいるのに目の前で色々言って警戒させる理由はない。あの女の子が雨を降らせてたんだしな。」

「あの子が…?」

目を丸くする士道。俺は神社の鳥居をくぐり、敷地から出て、

「帰りながら話そうぜ?士道には家族がいるんだからさ。」

「「…あ。」」

…2人して下校途中だということを忘れていたらしい。まぁ、そこも二人の味っちゃあ味だが…

「まず一つ。あの子が霊力を持ってる。その時点で精霊確定だ。」

「そうなのか?ASTという可能性は?」

士道の疑問を笑って否定する。

「ないよ。ASTが使ってるのは魔力。精霊が使ってるのは霊力だ。つまり、使ってる力が違う。そもそも、この世界において、霊力は霊結晶(セフィラ)からしか生まれない。俺やフランは大気中の霊力を自分のモノに変換できるがな。」

「そうなのか…あれ?でも2人にその霊結晶(セフィラ)っていうのは無いんだよな?」

「ああ。持ってないよ。ま、その辺はおいおいな。」

神社から離れ、帰路につく。

「あ、俺らこっちだから。」

「あ、そっか。じゃあ、また明日だな。」

「うん。じゃあまた明日ね、士道君!」

俺とフランは軽く手を振って士道と別れる。その後、士道は自宅にて訓練という名の十香との生活を始めるわけだ。

「…ま、そこまで面倒見てやれねえがな。」

「…?何の話?」

呟く俺に、フランが反応する。キョトン、とした顔も愛らしいと思う。

「何でもないよ。士道は帰ったら十香と楽しい生活が始まるだけで。」

「あー…それって、〈ラタトスク〉の訓練、だよね?」

「察しがいいな。だが士道は今回のあの子のことを琴里に報告するだろうな。あいつはまだ精霊をデレさせる経験が少ない。指示を仰ぐ為にも、琴里に聞くはずだ。」

「そこが、これからの展開と違うところ?」

「そうだ。気をつけろよフラン。こっからは俺達にも予想はつかない。ま、ある程度の予測はつくがな…」

遠い目をしつつ、未来を思う。士道はこれから、多くの精霊や、悪意と向き合う。その手助けをしつつ、俺は俺の記憶にケリをつけなければならない。

「ま、とりあえずそれは置いとこ?家に着いたんだから。」

フランは笑って自宅を指差す。気づけばもう帰り着いていたらしい。俺は苦笑して、

「…そうだな。また明日もあるし、ゆっくりしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の髪に、一本の黒髪があることに、俺は気づいていなかった。勿論、フランでさえも。




遅くなりましたァ!
3年生って忙しいっすね!前書きにも書きましたけど!
組体操辛いっす…
猫を愛でつつ、目標に向かって努力しつつと、同時並行のものが多くありますが、勿論東方希望録のことも忘れていませんので!きちんと書いていきます!…不定期ですが。

いつも通りの朝に、いつも通りの日常。いつもと違ったのは、そこに…
「時崎狂三と申しますわ。よろしくお願いしますね?士道さん、白狼さん?」
2人の精霊を同時に相手取らなくてはならなくなったこと。
次回、東方希望録シーズン2。
二人に勝てるわけないだろ!
俺は購買へ足を運ぶ。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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二人に勝てるわけないだろ!

体育大会疲れました…



俺は、1人ずつ来るのだと思っていた。それこそ原作通りに。だけど、甘かった。俺や異変というイレギュラーが入り込んだ以上、原作通りなんて、あるはずがなかったのに。
東方希望録、始まります。


「やれやれ…」

俺達が初めて〈ハーミット〉…四糸乃と出会った翌日。

俺たちは変わらず高校へと登校する。…のだが…

 

「はーい、今日は新しく来た転入生を紹介します!入ってきてくださーい!」

岡峰珠恵先生が生徒を一人、教室へ招き入れた。その生徒は、長い黒髪。その髪に隠された左目。きちんと着こなした真新しい制服。…間違いない。

「(時崎…狂三…!?なんでこの時期に…!?)」

「時崎狂三と申しますわ。よろしくお願いしますね?」

内心狼狽している俺、そして少しだけ見とれていた士道、物珍しそうに見ていたフランを一瞥して、とんでもない爆弾を落とした。

「わたくし、精霊ですのよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そこだけは原作通りなようで安心した。…なわけない。

「(なんでこの時期に…!?時崎狂三がやってくるのは少なくとも四糸乃を士道がデレさせて、霊力を封印してからの筈…!まさか、俺たちの存在で原作が…!?)」

顔には出さないものの、俺の内心は荒れに荒れまくっていた。そして、主人公たる五河士道もまた、狼狽えていた。それは、原作を知っている俺とは違う理由で、だが。しかし時間とは無常で無情なもの。止まることなく流れゆく。気づけば昼休みだ。

「し、白狼!」

「なんだ士道?バナナの皮で転んだりしたか?」

「んなベタなことはしねぇ!って、そうじゃなくて!時崎の事だ!」

周りにも聞こえそうな大きな声で言う。

「士道君。声が大きいよ。」

「あ…その、時崎の事だ…」

フランの指摘に周りを見渡した士道は声を抑えつつ言う。

「ああ、精霊だってんだろ?」

「そうだけど…何でそんなに冷静なんだ…?」

「あ?そんなこと簡単だろ。」

士道の問いに、軽く笑って答える。

「どんな精霊だろうが、デートしてデレさせて、霊力を封印するのがお前のやるべき事だからに決まってんだろ?」

「……!」

士道はハッとして、笑った。

「…そうだな。そうだった。」

「…ま、先にあの子だと思うがな。」

「あの子…あっ…よしのん、か。」

士道は緑衣の少女に思い当たる。そう。本来なら、まだ士道は時崎狂三とは出会わない。たった数日、数週間の違いかもしれないが、意外とそういうのがでかくなったりするものである。

「…ああ。まずはそっちが先決。時崎狂三の方もまだこちらにアプローチを仕掛ける様子は無いようだし…」

と、俺がここまで言うと、

「あ、夜月くん。時崎さんの案内をお願いしてもいいですか?」

「っ!?」

心臓が跳ね上がった。まさかの原作どおりのイベントを士道ではなく俺がこなすことになるとは。

「え、ええ。やります。やらせていただきます。」

「あら、夜月さんが案内をしてくださるのですか?」

「ま、先生の頼み事だしな。…つっても、あんまたいしたもんはないと思うぞ?ただ新しい方ってだけで。」

とにかく、教室を出ることにした俺は、こちらを心配そうに見るフランに大丈夫だという旨をハンドサイン的な何かで伝え、時崎狂三を連れて、学校を案内することとなった。

 

 

 

 

 

 

ーーーー希望案内中...ーーーー

 

 

 

 

 

「…ま、だいたいこんな感じだ。分かった?」

「ええ。説明がわかりやすかったので、バッチリですわ。」

相変わらずの妖しげな笑みだと思う。原作の挿絵や表紙、扉絵などで時崎狂三の笑顔はよく見るものの、やはりそのどれもがほかの精霊達にはない妖しさというか、女の魅力が出ていると思う。まあ、俺はフラン一筋なのだが。

「それにしても、白狼さんは物知りですのね。」

「ん?なんで?」

「いろんな場所の説明に加えて、雑学を披露してくださいましたでしょう?」

「……ああ。」

言われて、思い当たる節がある。だが、雑学、というものでもない。

「あんなの、クイズ番組とかネットかじってりゃ分かるだろ。」

「…もしや、それは謙遜ですの?」

「いや、そういう訳じゃないけど…ただ、俺が知ってるのは知ってることだけ。知らないことは知らないのさ。」

「…どこの委員長ですの貴方は…」

あ、分かるのか、このネタ。まあ、流石に物語シリーズは有名だしな。と、顔では笑いつつ心の中で感心する。

「とにかく、今日はありがとうございました。明日からの生活がとても楽しみになりましたわ。」

「…そうかい。()()()()()が、手に入ればいいがな。」

と、ポロリとこぼしてみる。すると時崎狂三は一瞬目を見開き、

「…ええ、そうですわね。」

そう言って、俺に背を向け、帰っていった。

 

 

 

 

 

「…白狼さんはわたくしの欲しいものが何か、知っている…?でも、初対面のはず…」

帰り道、時崎狂三は悩んでいた。まあ、当然だ。彼女は俺の情報を知っているものの、会ったことは無い。故に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は知らなかった。勿論、夜月白狼の自宅も知っている。だが、何故か入れない。夜月白狼の影に忍びこむことも、夜月白狼と恋人というフランの影にも、入ることが出来なかった。

「…士道さんよりも警戒すべきは、白狼さんとフランさん、ですわね…」

そう言った彼女の言葉は夕日とともに闇夜に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「白狼。"異変,,だよ。」

「みたいだな。」

自宅にて感じた異形の気配。あまりにもわかりやすい"異変,,だと思ったが、放っておく訳にも行かないと、倒しに行く。場所は路地裏。やはりグールや屑ヤミーといった雑魚達。本命は無し。

「やれやれ。いつになったら会えるのやら!行くぞフラン!」

「うん!」

「『力剣符【パワーソード】』!」

「『禁忌【レーヴァテイン】』!」

直後に、業火が路地裏を覆った。




いやー。本当に組体操って怖い…人の上に人乗っけて歩くとかね!ほんと怖いっすよ!?しかも上だし!


時崎狂三。時の天使、刻々帝(ザフキエル)を持つ少女。
四糸乃。氷の天使、氷結傀儡(ザドキエル)を持つ少女。
俺たちは、このふたりの精霊を同時にデレさせなければならない。
次回、東方希望録 シーズン2。
白兎と白狼
俺はパペットのために手を伸ばす。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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白兎と白狼

テスト前だけど投稿するぜ!

突然だけど問題です。
四糸乃とよしのん。
白狼とフラン。
この二つのバディの共通点は何でしょう。


それは、あまりにも突然。

「ねぇ、白狼さん。今日、少しお付き合い願えませんこと?」

「あ?俺?」

「……」

俺達が"異変,,を倒した翌日の昼下がり。いつものように時を刻む左目を長い髪で隠した時崎狂三は、俺を誘っていた。…隣にフランもいるのに。

「……」

そのフランの表情は、無、そのものだった。怒るでもイイ笑顔を浮かべるでもなく。

「(フラン…怒ってんなぁ…)」

「やだ、夜月君モテモテ!?」

「フランちゃんという可愛い恋人がいるのに!?」

「まじひくわー。」

「(そしていつも通りだな亜衣麻衣美衣!)」

思わず拳を握ってしまう。殴り飛ばしたくなってしまったのだ。それを抑え、

「あー…俺じゃなくてもさ、五河とか、いるだろ?」

「それはそうなのですけれど…わたくしは白狼さんがいいと思ったのですけれど…ダメですか?」

目をうるうるさせて胸の前で手を組み詰め寄ってくる。

「ちょーっと時崎さん?白狼困ってるよ?」

「あら、フランさん。いたんですの?」

「いたよ!ずっと隣で見てたよ!」

フランが耐えられずに突っかかるも軽くあしらわれる。まあ、フランはこういうの苦手だもんなぁ…俺には軽く勝つけど。

「とにかく!白狼は私の恋人なの!時崎さんの頼みは聞けない!」

「あら、それは白狼さんが決めることでしょう?」

フランがぐるると威嚇し、時崎狂三は妖しく笑う。そして、俺に向き直り、

「「さぁ!白狼(さん)!?」」

バン!と机を叩き、俺に詰め寄る。が。

「あら?」

「あれ?」

そこに俺の姿はない。

「白狼は!?」

「どうやら、逃げたようですわね。」

「だって、ねぇ?」

「二人とも、すごい雰囲気だったし…」

「まじひくわー。」

亜衣麻衣美衣の言葉を二人の少女は無視し、

「…絶対、白狼は渡さないから。」

「うふふ、それはどうでしょう、割と簡単に落ちるかも知れませんわよ?白狼さんは、純情なのでしょう?」

「っ!負けない…!」

二人は、つかつかと教室を出ていき、学校中を探すことになる。

「…はぁ。ほんと、めんどい。なんで俺なんだよ…」

「あれ?夜月君?」

「どうしてここに?」

「まじひくわー。」

「んぁ?ああ、取り敢えず飯食い終わったから図書室でラノベ借りてたんだよ。で、今戻ってきた。」

と、学ランのポケットからラノベを取り出し見せる。

「恋人ほっといて図書室!?」

「それってどうなの?」

「お前まじぶっ飛ばす。」

と、三人娘は俺に詰め寄る。ていうか美衣。それは乳部・タイラーさんだから。あなたじゃないよね?っ!?急に寒気が…まさか!ごめんなさい!MTKSさんは大きいです!平らなんかじゃないですよね!……ふぅいー。

「いやだってなんか仲良さげだったし。」

「あれが?」

「そうかなー?」

「まじひくわー。」

「いやほら、よく言うじゃん。喧嘩するほどなんとやらって。」

「「「あー。」」」

俺の言葉に、教室にいた皆がほう、と息をつく。…ってか、皆見てたのな。

とにかく、その昼休みには、俺は平穏を得られたのだった。だが。いつまでも逃げられるわけもなく。

「さぁ、白狼、どうするの?」

学校も終わり、放課後の体育館裏。夕日が差し込み、壁などが橙に染まっていた。俺はため息をついて、

「…はぁ。分かった。そんなに言うなら、フランも付いてくるか?」

「…うん。」

「時崎さん。フランの言った通り、俺たちは恋人なんだ。だから、もし案内して欲しいなら、ふらんもついて来ることになる。…それでもいいか?」

俺の言葉に、時崎狂三は少し思案して、

「…構いませんわ。別に、二人の仲を引き裂きたい訳ではありませんもの。」

と、やはり、妖しく笑って答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?白狼。時崎狂三は何が目的なの?」

自宅。風呂も飯も食べ終わり、残りは寝るのみとなった2人の部屋。そこで、俺達はここしばらくの現状整理と、これからの指針を決めていた。

「時崎狂三の目的?簡単に言えば、始原の精霊の殺害だよ。」

「え…?待って、時崎狂三は精霊…なんだよね?」

俺の言葉に、フランは一旦待ったをかける。

「ああ。それは間違いない。」

軽く肯定する。

「それなのに、始原の精霊を殺すの?」

「ま、別に精霊同士がみんながみんな仲良いわけじゃないし、始原の精霊が他の精霊の親とも言ってないしな。」

「あ、そっか…でも、始原の精霊って、ユーラシア大空災以来現界してないんだよね?現界してないのに、殺せるの?」

フランの指摘は最もだ。しかし、

「ああ。ユーラシア大空災以降、始原の精霊が現界したという情報はない。しかし、消失(ロスト)したという情報もない。」

「っ!?じゃあ…」

俺の訂正に、フランは目を丸くして、その事実に行き当たる。

「始原の精霊は、まだ現界してるままだっていうの…!?待って、それは大丈夫なの?だって、ユーラシア大空災って三十年前だよ?三十年も現界す続けるなんて、霊力が持つわけないよ!」

そう。当然だ。

「だがフラン。忘れてないか?消失(ロスト)するにも、霊力がいる。だから、霊力を封印された十香は消失(ロスト)していない。」

「あ…じゃあ、他の精霊達って…」

フランの考えたことは、大体想像がつく。だが、別に今の段階でばらすことでもない。

「どうだろうな。ま、それはこれから分かることさ。」

肯定も否定もせずに俺はベッドに入る。

「明日も割と早い。今日は寝よう、フラン。」

「…うん…ねぇ白狼。」

「なんだ?」

フランはもそもそと俺のベッドの中に入り、壁側を向く俺の背にぴたりと抱きつき、

「…私を、私だけを見ててね…精霊のみんなを助けるのも、世界を救うのだって構わない。でも、私だけを愛して欲しい…」

そう、口にした。

「分かってる。勿論だ。俺の恋人は、後にも先にも、フラン以外には考えられないからな。」

「…!うん!」

こういうときは、大体、お互いの顔なんて、見なくても分かる。お互い、見せられないくらいへにょへにょな笑みを浮かべているに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー翌日ーーー

その日。四糸乃と出会って最初の空間震が起きた。

「「!」」

「白狼!」

「分かってる。フラン、行くぞ。」

「うん!」

二人して大急ぎで学校をあとにする。士道は〈フラクシナス〉に回収されていた。

警報が鳴り、既に十分が経過している。住民の避難も終わった所だろう。

「飛ぶぞ、フラン。」

「ん。今日は何割までいいの?」

「そうだな…三割?」

「割と少なめだね。」

「多すぎてもめんどいだろ…」

と、お互い軽口を言いつつ鍵で霊力を解放する。

「『翼符"ドラゴンウィング,,』!」

文字通り飛び上がり、俺達はASTと、精霊、四糸乃が戦っている場所へ向かった。

 

そこは、やはりというか、銃弾飛び交う戦場だった。

飛び回り、逃げ回る緑衣の少女を追うAST。

「さーて。とっとと行きますか。」

「やっと遊べるのね。待ちわびたわ。」

「…ま、軽くな?向こうは弾幕ある程度無効化出来るとはいえ、まだ成長途中なんだから。」

「分かってるよ。『禁忌"レーヴァテイン,,』!」

フランは犬歯をチラ見せしながら笑って炎剣を出す。

俺は苦笑して、

「ほんとに分かってるのかなぁ…まあ、いっか。『力剣符"パワーソード,,』!」

お互い剣を取り、準備は万端。

「「さぁ、ショータイムだ(よ)!」」

「!!〈ホープ〉に〈ヴァンパイア〉!?なんで!?」

「よくわからんが、くらえ!」

「おいなんでディアボロ混ざってんだよ。」

近づいてきた俺たちに、ASTは狼狽えながらも応戦してくる。その中に、銀髪の少女はいない。

「白狼、私にこの子達は遊ばせて?」

「あ?まあいいけど。…じゃあ任せた。」

「ん、ありがと!そっちもしっかりね!」

「あいよー。」

そこをフランに任せ、俺は四糸乃と、恐らくいるであろう鳶一折紙の所へ向かった。

鳶一折紙たちASTは、四糸乃を追い詰めていた。

「〈ハーミット〉を逃がさないで!」

「…」

隊長こと日下部燎子、そして、鳶一折紙。あと少しの精鋭だろう。彼女達は、順調に四糸乃、〈ハーミット〉を追い詰めていたのだ。

「ま、俺が来るまでの間だけの、ボーナスステージなんだけどな?」

「!」

真上からの声に、鳶一折紙は上をすぐさま確認した。

「なんとびっくり、大正解。褒美だ。『銃符"ニードルリボルバー,,』。」

一瞬、目が合う。そして。互いの指で、引き金が引かれた。ガガガガッ!

「ッ!?〈ホープ〉!?今日は厄日!?総員、目標を〈ホープ〉に変更!ここできっちり倒すわよ!」

タゲをとることが出来た。別にゲオル先生みたいなスキルはないんだけどなぁ…と、軽く笑いつつも、俺の目はASTではなく、四糸乃に向いていた。

「!今!」

それを好機と見た鳶一折紙はすぐさま武装をレーザーブレード〈ノーペイン〉に切り替え、CR-ユニットで飛翔、こちらに向かって飛んでくる。

「ん?お。」

「っ!」

正確に、首元をはね飛ばそうという気合いのこもった一閃。だが、

「だからこそ、もらってやる訳にはいかんのよなぁ…」

パワーソードで軽く受け止め、

「んじゃ、お疲れさん、鳶一さん。」

「?どういう意味?」

「簡単なことさ。『雷符"ライトニングストライク,,』。」

剣から電流が流れ、競っているところから折紙の体に流れ込む。ズヴァチィ!と大きな音がなり、折紙の意識を刈り取った。そのまま折紙の体は地へと落ちていく。それを、日下部燎子はしっかりと受け止めた。

「…お前らは俺には勝てない。」

「…言ってくれるじゃない。あんた、絶対に殺してやるわ。」

「…やってみな。ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているかもしれないけどな?」

ニヤリと笑って、俺は四糸乃が逃げたであろう方向へ向かう。

「…やはりバケモノね…あの力…危うく意識飛びかけたわ…」

 

 

「…さて。」

四糸乃は、結局のところ消失(ロスト)してしまっていた。そこに、よしのんを残して。

「…原作通り、落としていくのか。やれやれ。なら、見なかったことにしないとな。」

これは本来、鳶一折紙が拾うもの。次に四糸乃が現界した時が勝負だ。

「白狼!」

「お、フラン。終わったか。」

「うん。意外と持った方だけど、やっぱりダメだね。」

「ま、今のASTじゃな。」

お互い苦笑する。

「…帰るか。」

「うん!…あれ?白狼、それ何?」

「んぁ?何が?」

「髪。一本黒いのがあるよ?」

「はぁ…?黒髪?俺にはそんなの無いはずだけど…」

「抜いていい?」

「禿げるからやめろ!」

フランが抜きそうなのを髪を抑えて辞めさせる。

「でも、不思議だね。白狼の場合逆なのかな?」

「老化で髪が黒くなるって?まさか。それこそねぇよ。」

霊力を封印し、二人で歩きながら帰る。無論、手は繋いで。

「……やはり、お二人の霊力はあれ以上の様子。それならば、足りるかも、知れませんわね。」

影は、暗躍していた。




いやー、長くなりましたね!
(白兎要素はほぼ)ないです。
そろそろ四糸乃編終わらせたいなぁ…

俺には、後悔した過去がある。
わたくしには、後悔した過去がある。
俺には、取り戻したい友がいる。
わたくしには、取り戻したい友がいる。
俺には、俺には、俺には。
わたくしには、わたくしには、わたくしには。
(わたくし)には、守りたい世界がある(殺したい精霊がいる)
次回、東方希望録、シーズン2。
願いと時と創造者
俺はパスへ手を伸ばす。


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願いと時と創造者


少女には、叶えたい願いがある。
少年には、するべきことがある。
やりたい事と、やるべき事。
二人のする事が交差する時、物語は加速する。
東方希望録シーズン2、始まります。


翌日。

「白狼さん。」

教室に入って荷物を置いたのを見計らってか、時崎狂三は話しかけてきた。…後ろでフランがジト目でこちらを見るが、そもそもまだ何も話してない。

「何かな?」

「ほら、案内の件ですわ。」

「ああ。それか。それが?」

「今日の放課後とかはどうでしょう?」

時崎狂三がそう言うと、フランの目がぎらりと光る。ったく、抑えろっての。

「…ああ。いいよ。ただし。」

「フランさんもご一緒…でしたわね。心得ておりますわ。」

時崎狂三は苦笑しつつ言う。俺は少し頭を掻き、

「にしても、驚いたな。週末かと思ったら今日とは。」

「ええ。わたくしも早くこの天宮市に馴染みたいんですの。ですから、少々強引かとは思いますが…」

「ああ、いいよ気にしなくて。」

にへら、と笑ってひらひらと手を振る。

「なぁ白狼、大丈夫なのか?」

横から士道が耳打ちしてくる。俺は表情を崩さずに、

「大丈夫だ、問題ない。」

「それ大丈夫じゃないやつー!」

士道が頭を抱える。

「どうかしましたの?」

時崎狂三は俺たちの様子を見て不思議そうに問う。俺はクスリと笑って、

「いや、何でもないよ。じゃあ、放課後に。」

「ええ。楽しみにしておりますわ。」

と、話しがひと段落した所で、ホームルームのチャイムがなり、この場はお流れとなった。

 

 

 

…放課後。

「では、行きましょうか、白狼さん。」

「ああ。フラン?」

「ん、分かってる。」

右隣にフラン、左に時崎狂三と、両手に花の状態で学校を出る。

「うふふ、両手に花、ですわね?」

「言うなよ…意識したくなかったのに。」

「あら、分かってはいたんですのね?」

「そりゃな…本での知識だけは多いし。」

「そうですの…」

と、会話をしながら歩くと、右手に痛みが走る。

「っ…フラン。」

「…別に。」

「まだ何も言ってないだろう…」

拗ねて俺の腕を抓っていた。しかも吸血鬼の中での弱い力といっても、人間からしたらかなり痛い。

「だって白狼私に構ってくれないんだもん。」

「…悪かったよ。気をつける。」

ぷい、とそっぽを向くフランを宥めるように、俺は言う。

「……ったら。」

「うん?」

「帰ったら、きちんと構ってよ?」

「………」

あーもう。なんでこんなにも可愛いんだ、この子は。

「……コーヒーが欲しくなりますわね…ブラックで。」

「!!げふんげふん、さ、さーて、どこに行こうか、何処か知っておきたいとことかあるか?」

時崎狂三の呟きでリアルに引き戻される。あのままだったらここでキスのひとつでもしてたかもしれない。

「そうですわね…カフェなど、どうでしょう?」

「カフェな、りょーかい。」

行きつけ、という程でもないが、結構な確率で使用するカフェを紹介するとしよう。

 

 

 

…希望案内中…

 

 

 

 

その後、本屋やレストラン、服屋などを回った。と言っても、カフェで食事した手前、レストランは場所を伝えるのみとなったが。

「…時間もアレだし、ここまでかな。」

「ありがとうございますわ。とても参考になりましたわ。」

「そうかい。なら良かった。」

「じゃあ、終わりだね。帰ろう、白狼。」

フランが俺の腕を乱暴に引っ掴み、家まで引きずり帰ろうとする。が、突然、体が重くなった。

「「…ッ!?」」

やばいと思った俺とフランは即座に霊力を解放。その場から飛び退くが、足元の影は正確に俺たちの影を捉えようとする。間違いない…

「〈時喰みの城〉…!フラン!取り敢えず"壊せ,,!」

迫ってくる〈城〉を躱し、フランに指示を出す。フランは〈城〉を凝視する。

「あらあら。させると思いまして?〈神威霊装・三番(エロヒム)〉。」

フランの背後から聞こえる声。そして告げられるその霊装の名。

「!?フラン!飛べ!」

「っ!?」

「一手、遅かったですわね!〈刻々帝(ザフキエル)〉!」

「ち─────」

「これでまず、一人、ですわ!」

少女は無残にも。ダンッ!と撃たれ、地に堕ちていく。

「時崎……狂三ィィィィ!」

俺はすぐ様パワーソードをスペルカード無しで"創り,,、時崎狂三に切りかかる。もちろん防がれる。が、それも織り込み済み。

「きひひ…恋人が殺られましたのに、随分と悠長な攻撃ですわねぇ?白狼さん?」

明らかにこちらを挑発している言い方。だが、それは無意味だ。何故ならば、フランは別に死んだ訳では無い。

「なぁ、時崎。」

「なんですの?」

俺の落ち着いた声色から、時崎狂三は少々驚きを隠せずに問う。

「フォーカードって知ってるか?ポーカーの役なんだけどさ。」

「それがなんですの?」

時崎狂三の声色には苛立ちが見え隠れしている。それに構わず俺はって続ける。

「いやさぁ、今お前が殺したと思ってんのは、そのうちの一枚でしかないんだよなぁ、ってこと。」

「───ッ!?」

俺の言葉に、時崎狂三はまさか、といったように振り返る。するとそこには──────

「やっと。」

「やっと尻尾を出してくれた。」

「ずっと待ってたんだよ?」

一人倒れているフランを取り囲む3()()のフラン。手を繋ぎ、足で歩きながら周りを歩く姿は、まるでかごめかごめをやっているようにも見える。

「でももうかくれんぼもおしまい。」

「でもまだ遊びましょう?」

「だって、まだ遊び足りないんですもの。」

3人のフランはそれぞれけたけたと笑い、やがて手を離し、1列になる。そして、先程まで〈刻々帝(ザフキエル)

の短銃で撃たれ、倒れたフランが下からまるで時が戻るように立ち上がり、言った。

「サァ、アソビマショウ?」

 

 

 

 

その眼は、血よりも紅く。




はい。ってな理由で時崎狂三戦、開始です。

と言っても、実はこの裏では士道君が頑張って四糸乃と一緒によしのん探しをしていたりするのですが、原作通りにも程があるため、流石にカットです。

時をかける少女。
物を壊す少女。
人ならざるもの同士が歩むその先に。
次回、東方希望録シーズン2。
白狼の霊力は。
私は白狼に手を伸ばす。


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白狼の霊力は。

聲の形をNetflixで見ました。冒頭は見ててほんときつかったゾ…でも後半はほんと名作ゾ。あ、でも別に冒頭部分も名作ゾ。リアルに描きすぎィ!(褒め言葉)ってだけで…

さあ、始まった弾幕ごっこ。
食らうは甘いか酸いか?
はたまた辛く苦しいものか?
結果の先は、光溢れる希望か、闇に飲まれた絶望か。
東方希望録シーズン2、始まります。


「…やるぞ、フラン。この場を切り抜ける。」

「何言ってるの白狼。仕掛けてきたのは向こうだよ?なら最後まで遊んであげなきゃ…」

俺がため息混じりに構える隣にいつもの歪な形の武器を手にして降り立つフラン。

「失礼ってものでしょう?」

「…はぁ。」

俺はだるそうに眼前の精霊を見る。周りでは空間震警報が鳴り、多くの人が避難を始めている。だがまだ出来ていない。

「仲違い…ですの?」

「なわけないでしょう?私と白狼に限ってそれはない。私はあなたと遊ぶ。最後まで。白狼はそうしたくない。それだけだよ。」

時崎狂三は精霊だ。それも、かなり凶悪な。目的の為に多くの人間、その命を糧としてきた。それには、()()()()()も含まれる。

「お優しいんですのね。白狼さん?」

「…その優しさに免じて、此処は退いてくれないか?」

正直ことを荒立てたくないのが本音だ。異変のこともあるし。

「お断りしますわ。聞きたいこともありますし。」

「…それは?」

「あなたが何故、わたくしのことを知っていたか、ですわ。」

「……」

まぁ、妥当な疑問である。俺は何度も、時崎狂三に警告していた。"欲しいものが,,云々とか、まぁ色々だ。だが、この世界において、時崎狂三と俺は初対面。時崎狂三が転入してきたあの日が、お互いにとってのファーストコンタクト。だというのに、俺が時崎狂三の目的を知っているような態度を見せれば、疑われるのも無理はない。

「わたくし、慎重な性格でして。憂いの芽は早く潰すことにしてますわ。だから、教えてくださいまし。貴方は、何者ですの?」

短銃の銃口をこちらに向け、問う。どうやら、誤魔化しは効かないらしい。…だが。

「…時間と場所がありゃあ、長々と語れるんだがなぁ…」

俺は言いつつ、左手に剣を持ち直し、右手で、

「どうやらここで、ボーナスステージらしい。『銃符"ニードルリボルバー,,』!」

銃を"創り,,、時崎狂三の背後…に迫っていたオルフェノクに銃弾を放つ。

「!?なんですの!?」

時崎狂三は突然のことに少々狼狽えつつもこちらに寄ってくる。正しい判断だ。

「奴らはオルフェノク。一度死んで蘇った人類の進化系だ。」

「誰もBボタンを押さなかったんですの!?」

「キャンセルできたら苦労しないんだよなぁ…」

悲鳴にも似た時崎狂三のツッコミを軽く返しつつも、オルフェノク…オックスオルフェノクにさらに銃弾をお見舞する。

「さて、邪魔したのはそっちだから…遊んでくれるんだよね?『禁忌"レーヴァテイン,,』!」

フランは炎剣を手にオルフェノクに突進する。

「フランさんは炎の精霊なんですの…?」

「いいや?精霊じゃない。吸血鬼だ。」

フランがオルフェノクと交戦している間、俺たちはいつの間にか周りを囲んでいたライオトルーパーズ達と向かい合う。

「お互いどれだけ狩ればいいのやら…ま、できるだけ多くやるって事で。」

「ああもうっ!後でしっかりお話を聞かせてもらいますわよ!」

ケラケラ笑いながらライオ達を蹴散らす俺に、ようやくスイッチの入った時崎狂三が両銃を手に応戦する。

「はっ!でりゃあ!"絶力斬,,!」

「きひっ!そこですわ!」

「あははっ!ほらほら、もっと踊ってよ!ほら、ワン、トゥー、スリー!」

斬撃、銃撃、炎撃。三者三様入り乱れての共同戦線。

即席のパーティーではあるものの、それなりに動きを合わせ、敵を殲滅していく。

「く…希望…!貴様!」

「来いよ。潰してやるぜ、異変!」

オルフェノクが武器を手に向かってくる。

「『禁忌"カゴメカゴメ,,』!」

フランが弾幕を展開する。それがオルフェノクの動きを阻害する。

「きひっ!スキありですわよ!」

動きの鈍った的に時崎狂三は銃弾をお見舞する。

「がっ!?ぐわあああ!」

一度避けるのが瓦解してしまえば、あとは早いものだ。連鎖的に弾幕がヒットしていく。

「…フィナーレだ。"絶力ッ!剛炎斬,,!」

剣に炎を灯し、オルフェノクの体を真上から一刀両断する。

「ぐわあああああああ!」

オルフェノクはそのまま灰となり、消えた。

「…ふぅいー。」

俺は少しあたりを警戒し、もう終わったことを確認すると霊力を収め、剣も消す。

「終わりましたの…?」

「うん。みたいだね。」

フランも霊力を収め、スペルを解く。

「…さて。どうするよ、時崎狂三。いや…〈ナイトメア〉、と言った方がいいかな?」

「そろそろ狂三、とは呼んでくださいませんの?」

「距離感近スギィ!」

「唐突なネタだね…でも、そうだね。白狼には難しいと思うよ?白狼これでもヘタレだから。」

俺の拒否にフランがどっちの味方なのかわからないことを言う。

「それは…見れば分かりますけれど。」

「おいこら。」

「でしょう?」

この2人は…

「そうですわね…流石に飛躍しすぎましたわね…時崎さん、でよろしいですわ。」

「学校ではそう呼んでるだろ?」

「それ、それ以外ではフルネームで呼んでいるのを自白しているようなものですわよ?」

「……揚げ足とんな。」

「白狼……」

フランがジト目でこちらを見る。

「と、とにかく。用はなんだ?」

空気を改めるため、強引に話を先に進める。時崎狂三は面白そうにくすりと笑ってから、

「先ほども申しましたように、どうして貴方がたがわたくしのことを知っていたか、ですわ。」

「あー…ま、いっか。フラン、霊力は封印。」

「ん、分かった。」

俺の言葉にフランはイヤと言うことなく霊力を収める。

「……いいんですの?」

「話がしたいんだろう?それなのにお互い武器持ってどうすんだよ。」

俺がそう言った後も、時崎狂三は懐疑的な目を俺たちに向けたものの、数秒と経たずに霊装はいつもの制服に変わり、時計の瞳も髪で隠れてしまった。

「…場所を移しましょう。ここでは目立ちますわ。」

「…ま、暫くは誰もいないんだがな?」

空間震警報が鳴ったにもかかわらず、ASTが来なかったのが少々気になるが、まぁ今は時崎狂三のことが優先である。そう決め、

「…うちに来るか?」

「白狼?」

「いいんですの?」

時崎狂三の言葉の続きは分かる。わたくしが行ってもいいのか?だ。まぁ、正直入れたくはない。だが、このままお開き、という訳にも行かない。そうなれば、【七の弾(ザイン)】を使ってでも殺されかねない。こんなに早くから士道と時崎狂三を全面戦争に持っていっては、原作以上のハッピーエンドなど絶対に無理だ。だったら、ここである程度正体を明かした方が良い。

「ま、言いたいことはわかるよ。正直、入れないようにしてたのは事実だしね。」

「それはやはり、その家の中に知られたくないことがあるからなのでは?」

「そりゃそうだけど。でもそれだけじゃ納得しないだろ?」

にへら、と笑いつつ言う俺。

「まぁ、そちらがいいのでしたらいいのですけれど。」

と、不承不承といった感じでついてくる時崎狂三。まぁ、原作をすぐに"壊せば,,いいだけの話。それくらい、フランのフォーオブアカインドでどうにかなる。

「ではただ歩くだけというのもなんですし。」

「あ、着いたぞー。」

「え?」

話をするのは家の中でと決めていた。だからさっき戦ってた場所と自宅の距離を一度"壊した,,のだ。

「じゃ、どぞー。」

「え…え?」

「たっだいまー!」

戸惑いつつもフランに背を押され入る時崎狂三。

…さて、どこから話したものか、それが問題である。




はい。忙しいので1週間も開けちゃいました…ごめんなさい。
気づけば早いもので、1年の半分の月に入ろうとしてます。びっくりですね。今年は受験もあるので、しっかり志望校に行けるようにしていきたいです。

人間誰しも望みを持っている。何かを得たい、したい。はたまた、何かを失わせたい、といった。
なら問題。
目の前にチラついたゴールを見た走り続けた人間はどうするか?
次回、東方希望録シーズン2。
時を超える列車
俺はパスへ手を伸ばす。

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時を超える列車

総文が終わりました。
もうあとは受験だけです…やだよぅ…

時の列車、デンライナー。
次の駅は、過去か、未来か…
東方希望録シーズン2、始まります。


「さて、どこから話したものか…」

「では、こちらから質問させてもらいますわ。」

俺達が居間に向かい、それぞれ椅子に座り、向かい合う。

「単刀直入に問いますわ。あなた方は何者ですの?」

「夜月白狼、人間さ。…っと。やっぱそれで納得はしてもらえないよな。」

俺がコナンよろしくそんなふうに言うと唐突に時崎狂三の目がきつくなる。

「当たり前ですわ。精霊でも無いのに霊力を持っていたり、あの異形達と戦っていたり…不可解な点が多すぎますもの。それでただの人間、というのは通じませんわ。」

だよなぁ…と、心の中で思い、

「…信じられないかもしれない話になるが、いいか?」

「今更ですわ。」

決意は固いようだった。ならばまぁ、話してもいいだろう。ただし、巻き込まないように、というのが前提になるが。

「第一に、俺とフランは異世界から来た。」

「…隣界ですの?」

「ううん。また別の世界だよ。多分この世界の人は誰も知らない。」

「…証拠はありますの?」

「証拠ねぇ…」

言われて、何がその証拠になるのかを考える。するとひとつのものに考えが行き着く。

「あ。あった。ちょっと待ってろ。」

俺が異世界の住人であることを示す、唯一の本。この世界で起こったこと。これから起こることが事細やかに記された十数冊。

「…デート・ア・ライブ…」

「…白狼…いいの?それ…見せても。」

フランも俺の考えを見抜いていたようで、付いてきていた。

「…他に思いつかないんだ。霊力にしたって、精霊達は持ってるし、仮面ライダーの力も、天使と言われりゃそこまでだ。」

「それは…そうだけど…」

「少なくとも、未来のものは見せるつもりは無い。原作は3巻までしか読ませない。そこからは見せたら原作とは大きく異なる未来を歩む可能性が大きくなる。それがハッピーエンドに近づくならいいが、悪くなるのは避けたい。」

「…そうだね。」

言いつつ、俺達は居間に戻る。そして。

「これが証拠になるかと思う。」

「これは…本、ですの?」

テーブルに広げた3巻までの原作を手に取る時崎狂三。そして、パラリ、パラリと読み進める。それと同時に、その目は大きく驚きに包まれていく。

「これは…まさか…」

「…ああ。異世界で書かれた本だ。厳密には、俺が生まれた世界で書かれた、本だ。……この世界の書店を見たわけじゃないからわからないが、多分、俺の元の世界の本もこの世界にある…と思う。」

俺の説明の最中にも、時崎狂三は読み進める。その速度は目を見張るほどで、あっという間に読み終わる。

「…本当のよう、ですわね。」

「…」

ほう、とひとつ息をつき、時崎狂三は佇まいを正し、

「これで全てですの?」

「…ああ。俺の記憶にあるのは、な。」

「この本には、少し先のことも書かれていましたわ。わたくしが士道さんに学校を案内され、デートして、正体をバラし、学校で士道さんを()()()()()とする…そこに〈イフリート〉である琴里さんがやってくる…と書かれていますわね。しかし…」

時崎狂三は不思議そうに言う。

「そこに、白狼さんやフランさんの名前や描写は一切ありませんでしたわ。それはつまり。貴方達はこの世界にすら登場しない…異世界から来たというのも頷けますわ。」

…どうやら信じてもらえたようである。

「ですが、謎もありますわ。」

「んぁ?それって、どんな?」

「その目的、ですわ。」

まぁ、気になるだろうな、と思う。

「…まぁ気になるよな。」

はぁ、とため息をつき、頭を掻きつつ答える。

「目的は後で付いたものでな。本当は偶然なんだ。」

と、正直に答える。すると時崎狂三はきょとん、として

「偶然…?」

「白狼は本当はこの世界に来るつもりはなかったんだよ。本当は白狼の生まれた世界に帰るつもりだったんだけど…」

「何かの手違いでこちらの世界に来た、と?」

「まぁ、そういうことだな…」

「…なら、もう一度世界を越える、ということは出来ませんの?」

「それが出来ればすぐにでもやってる。」

「ですわよねー…」

まぁ、あまりその辺を言ってもしょうがない。

「それに、もうほっとけないよ。この世界のこと。」

「え?」

「俺はお人好しの希望でね。目の前の悲劇を放っておけるほど人間出来ちゃいない。精霊のゴタゴタも、お前の目的も、全部ハッピーエンドに変えるまで、この世界を出るつもりは無い。」

俺の言葉に、時崎狂三は意外そうな、しかしどこか得心のいったような顔をする。

「…本当に、お人好しですわね。わたくしのことをどうして知っていたのか、なんてことは聞きませんわ。」

「そっか…」

まさか、そこまでの信頼を得られるなんて思ってなかったが。…ならば、サービスせねばなるまい。

「…時崎狂三…いや、時崎さん。」

「…!なんですの?」

「同盟を組まないか?」

「…同盟?」

「ああ。俺たちと一緒に行動すれば、時崎さんの目的を大量の霊力消費なしで果たせる。」

そういった瞬間、時崎狂三の目がカッと開き、

「どういうことですの!?」

「おおう、落ち着けよ。」

どうどう、と時崎狂三をなだめ、俺はひとつのスペルカードを取り出す。

「…『時符【電王】』。」

手にはベルトとパスポートが"創られる,,。

「白狼、サービスしすぎ…」

フランは苦笑しつつも止めない。分かってくれているのだ。止めようと聞かないことを。

「時崎さん。ちょっと外に出よう。」

「…え?」

「さ。」

言って、ほぼ強引に時崎狂三の腕を引っ張り外に出る。玄関を出ると、そこには列車、デンライナーが。

「…あれ?ここ、駅でしたかしら?」

「なわけないじゃん。でも、乗れるからな。行くぞ。」

フラン、時崎狂三、俺の順で乗る。

「…ま、とりあえずあの日でいいか。」

五年前。つまり、五河琴里が精霊になった日。南甲町の火災の日である。デンライナーは空を駆け、時を超える。

「…まさか、こんなものが…」

「これなら、〈十二の弾(ユッド・ベート)〉を使わなくても過去に飛べるな?」

くすりと笑って、言う。しかし、

「…やはり、続きを持っているのですね。」

「…あ。」

「…いいのです。未来を知るのは、誰しもが望むことですわ。ですが、知ってしまったら、変えようとするもの。より良い方向に。…そうなるとは限りませんから…」

そう言いつつ窓から外を見る時崎狂三の顔は、優しげだった。

火災の光景を上空から見下ろす俺たち。

「…本当に、時を超えていますわね…」

「ああ。電王の乗るデンライナーは、そういう列車だからな。」

その後、普通に元の時代に戻った俺達は、時崎狂三に告げられる。

「協力のご提案、しっかりとわたくしたちで協議させていただきますわ。前向きに。」

「おう。今すぐじゃなくてもいいからな。」

……そう言って、時崎狂三は去っていった。

 

 

 

「良かったの?確かに異変には巻き込んてないけど…」

「いいんだ。俺の記憶のことも、異変のこともこの世界の住人には関わらせたくない。」

「…」

「ダメなんだよ。俺なんかが他の世界を振り回して、俺の記憶や、俺の戦いに巻き込むのは…」

俺は自室へのドアを開け、言う。

「これは、俺が背負うもんだからな。」

「……」

バタン、とそのままドアを閉める。

「…白狼が巻き込みたくないと思う様に、士道君や琴里ちゃん、私たちだって、白狼の助けになりたいんだよ…?」

フランの言葉は、虚空に消えていった。




お互いがお互いを思う。これ程美しいものはないと思います。(隙自語)

少女は叫ぶ。痛いのは嫌だと。
兎は囁く。僕が守ると。
少女は叫ぶ。怖いのは嫌だと。
兎は囁く。僕が遠ざけると。
少年は叫ぶ。俺がヒーローになる、と。
次回、東方希望録シーズン2。
凍てつき、照らされる大地。
俺達は少女に手を伸ばす。

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凍てつき、照らされる大地

6月マークやっぱりムズいぃ…


優しさ。
一言で言っても、それには多様な意味がある。
しかし、そのどれもに共通するのは、純粋に他人を想う気持ちがあることである。


それは、突如として現れた。

「……誰も傷つけない為の結界…か。」

目の前に作られた雪嵐吹き荒れるドーム。それを形作ったのはもちろん、あの優しい少女。

「四糸乃ちゃん…白狼、アレ、どうするの?っていうか、どうしたらいいの?」

「俺が事態を収めようとするなら、まずハイパームテキを使って中に入るっていう方法がある。で、クウガで何か必殺技を食らわせて霊力を封印する。もしくは鍵を"創るか,,のどちらかだ。」

と、俺は指を立てつつ説明する。だが、そのどちらも、あまり得策とは言えない。前者は言うまでもなく、後者では七巻でのDEM戦で大変なことになりかねないからだ。

「…じゃあ、士道君は?」

「士道?今頃よしのん探しでもしてるんじゃないか?」

「よしのんを?どうして?」

フランはこてん、と首をかしげて問う。そうした仕草も可愛いなぁと思いつつ、軽く笑って答える。

「もう話してもいいかな。四糸乃はね、二重人格なんだよ。」

「…え?でも、だってよしのんが喋ってたんじゃ…」

「あのパペットにスピーカーがついてるわけでもなし、違うよ。あれはあの子の腹話術。まぁ、イマジナリーフレンド的なもんだよ。普通の二重人格と違うのは、お互いに話が出来るところだね。ほぼタイムラグなしで。」

「でも、明らかに性別違うように見えるんだけど…」

「それは普通にあるようだけどね。でも、四糸乃にとって、よしのんはヒーローらしい。でも、傍から見ればそれは依存だ。」

バッサリ切り捨てることになるが、こればかりはしょうがない。実際、二巻よりあとの四糸乃は自力で他人と話せるようになっている。それでも、士道と出会った当初はよしのん頼りだったのだ。

「…だから、士道君はよしのんを探してるわけか。」

「ああ。そして、四糸乃は閉じこもっている。」

「…誰からも傷つけられないために…ね。」

「…やっぱ、そう見えるよな…」

フランが言った言葉に苦笑して呟く。フランはキョトンとして、

「え?違うの?あんなにわかりやすい防壁は無いと思うけど?」

「まぁ、そうだね。その意味が無いとは言えないと思う。けど、違うんだよ。」

「…どういうこと?」

フランは少し口を尖らせて聞いてくる。

「簡単なことさ。フランはさ、明らかに殺されると分かってる結界に近づくか?」

「ううん。余程のドMじゃない限り近づかないよ。私は違うし。」

「だろ?つまり、あの子のやっていることはそういうことなんだよ。」

「…近づいたら傷つける結界…やっぱり自分の為の結界じゃない。」

「それだけじゃないんだよ。そう思わせたりすることで、互いが傷付くことを無くしてる。」

「え?…あ。」

未だに吹き荒れ続ける吹雪を見つつ言う。

「あの子がよしのんを必要としてる理由はそこだよ。フラン、人間というものはね、恐怖に弱い。簡単に屈する。そいつが優しければ優しいだけ。さらに、人は恐怖を感じると普通は逃げる。でも、逃げ場がなくなった時、人は暴走する。じゃあ、もし。もしそこに、天使という人智を超えた力があったら?」

「あ…」

やはり、うちのフランも負けないくらい察しが良くて、優しいと思う。簡単に結論に行き着くのだから。

「そう。あの子は自分が傷つけられるのも怖いけど、自分のせいで誰かが傷つくのが怖いんだ。だから、ああして閉じこもってる。」

「…同じだ…」

俺たちがそうやって話していると、ちょうど隣のビルに衝撃が走る。

「「!!」」

二人してそちらの方を見る。するとそこには、鳶一折紙と、夜刀神十香がいた。

「!白狼!フラン!シドーを手伝ってやってくれ!私はこのメカメカ団の足止めをする!」

「…白狼、行って。」

「…フラン?」

俺が問うと、フランは笑って、

「…あの子は絶対助けて。私の時と同じように。白狼の言葉で、行動で。…お願い。」

「──────おう。言われるまでもねぇよ!」

言って、俺は霊力を解放する。

「『翼符"ドラゴンウィング,,』!」

バサリと翼をはためかせ、空を駆ける。そして、ドームの元へ。

「……さぁ、私にも遊ばせてよ、ASTの皆さん?」

フランも、霊力を解放して、レーヴァテインを構える。

「フラン…無理はするなよ。」

「十香ちゃんこそ。」

凍てつく街に、炎が奔った。

 

 

 

 

 

「っはぁ、はぁ…」

ドームの目の前。五河士道は、約束のものを手に、飛んできていた。先程、十香の協力を得て、このドームの元へやってきたのだった。

「この中に、四糸乃が…」

適度に息を整え、その中へ入ろうとする。

『まさか、中に入るつもり?中は雪の弾丸が舞いまくってるのよ!?しかも、霊力のあるところに寄ってきて、集中的に浴びせてくる!散弾銃喰らいながら進むようなものよ!?止まって!』

士道を琴里が止めようとする。だが、今の士道は止まらない。それどころか、

「霊力、か…この復活の力は、精霊の力なんだな…」

『─ッ…』

余計な情報を与えるだけとなってしまった。

「…よう。そんなに急いでどこへ行くんだ?若者よ。」

「!白狼!」

そこに、翼で飛んできた俺がやってくる。

「そのまま入っても、死ぬだけだぞ。琴里も言っていただろう?散弾銃喰らいながら進むようなものだって。」

「それでも、行かなきゃならない。俺は、四糸乃のヒーローになってやるって、決めたんだから!」

士道の言葉に、思わず笑みがこぼれる。

「っはは…ああ、わかってる。お前がこんな事実で止まるやつじゃないってことくらい。だから、できるだけ死なないようにしてやる。」

「!そんな方法があるのか!?」

「阿呆。俺を誰だと思ってる。俺は"創る,,者だぜ?」

ああ、こういう時は、自信というか、やれると思える。まぁ、何年も続けた手順だからというのもあるだろう。だけど、こればかりは止められない。

「…『命符 "エグゼイド,,』。」

スペルカードを使い、ゲーマドライバーとガシャットを"創る,,。

「…士道。これつけろ。」

ゲーマドライバーを投げる。士道はなんとかキャッチして、

「これは?」

「とりあえずつけろって。」

言って、強引にゲーマドライバーを士道の腰に巻き付ける。

「で、これ使え。」

プロトマイティアクションXを手渡す。もちろん、ゲーム病にかかる、なんてことは無い。バグスターウイルスに感染することもない。とにかく誰でも変身できるように設定してあるのだ。

「あ、ああ。」

士道は恐る恐る、と言ったふうにガシャットのボタンを押す。

〈マイティアクションX!〉

「で、ドライバーにさせ。」

「おう…へ、変身!」

〈ガッシャット!let's game! metcha game! muchia game! what's your name!? I'm a kamen rider!〉

音声と共に、士道の体が変わっていく。光が収まると、士道は仮面ライダーゲンムになっていた。

「…!か、変わった!」

「次はこれだ。ただし、これは10秒間しか持たない。これを使ってドームの中心に行け。俺もあとから追う。」

「あ、ああ…」

言って、俺はハイパームテキを士道に手渡す。

「そのゲーム…ハイパームテキは、あらゆる攻撃を無効にする主人公最強の無双ゲーム。ただし、本来の使い方では無いから、10秒間しか持たない。これ使ったら、止まるな。ただ進め。それだけでいい。」

「…わかった。」

士道も腹を括ったのか、しっかりとガシャットを握る。そして、そのボタンを押す。

〈ハイパームテキ!〉

そして、ドライバーに挿し、レバーを引くと同時に、士道は駆け出した。

〈ムテキガッシャット!ムテキレベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マーイティアクショーン…X!〉

金の光を撒き散らし、士道はひた走った。10秒間という短い時間。しかし、それに手を打たない俺ではない。

「行け、士道!手助けはしてやる!」

手元にある一枚のメダルを投げる。そのメダルは寸分違わず士道の体に吸い込まれる。

〈高速化!〉

瞬間、士道の体が加速した。

「!行ける!」

仮面の中で、士道は笑った。体が軽い。すぐに、ドームの中心にたどり着く。それと同時に、ムテキも解ける。

〈タイムアーップ!ガッシューン…〉

そして、変身も解ける。役目を終えたからか、ドライバーもガシャットも消える。

「…四糸乃…!」

士道は無傷の体で、吹雪の無い中心を探し始めた。

 

 

 

 

 

「…ぅ…ぅぁ……ぅぇぇえ…」

ドームの中心のさらに中心。そこで、少女は泣いていた。もう何度も泣いていた。左手にいつものパペットはない。つまり、今少女を励ます存在はいない。

しかし、呼ばずにはいられない。

「よ…し…のんっ!」

その声に、答えるものはいない。いない、はずなのに。

「は、あ、い!」

「!!!」

少女はバッと顔を上げ、〈氷結傀儡(ザドキエル)〉から降りる。

「し…どう…さん!」

「よう、四糸乃。お届け人だ。…っと、その前に、やることがあるんだった。」

士道は四糸乃に目線を合わせて言おうとする、が、内容が内容なので、言葉に窮する。一度…いや、()()経験済みとはいえ、彼はジゴロでも、プレイボーイでもないのである。そう軽くキスしよう、なんて言えるわけがなかった。

「まず、四糸乃を救わなくちゃいけない。」

「…?」

何のことか分からない、というような顔をする四糸乃。士道は説明する。

「えっとだな、俺がヒーローになるって、言ったろ?その方法が…その、この前の…」

士道が途中からしどろもどろになるが、その言葉から何をすればいいのか、この優しい少女は察する。

「んっ…」

「…っ!?」

おもむろなキス。士道の唇に柔らかい感覚が一瞬だけ走る。そして、四糸乃の霊装、天使が粒子に溶け消える。すべて消える頃には、雪のドームも消え、晴れ渡る空が見えていた。

「きれ、い─────」

青い空を写す、同じく青い目は、すぐに目の前のヒーローに向けられ、にへら、と柔らかな笑みを見せたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…で。

「やれやれ…やっと二巻分が終わりか…」

「長いね…でも、楽しい。」

ソファでくつろぐ俺たち。フランは俺の隣で俺の肩に頭を預けている。俺は書店で買ったナンプレをしているのだが。

「あの後、なんとか撒けたから良かったけど、もう少し遅かったらまずかったね…」

「ほんとだよ…気をつけろよ?」

あの後、ASTと交戦していた十香、フランを、俺はクロノスの力で別の場所へ運び、封印させた。まあ、十香の場合、限定霊装の為、封印の必要もなかったのだが。

「次は狂三ちゃんだね…」

「ああ…ま、次で封印出来るかは分からんが、な。」

俺達がまた未来の事に展望を述べようとした矢先、家のインターホンがなる。

「おろ?」

「誰だろ…」

「…俺が行こう。」

ドアを開ける。すると、視界の下に麦わら帽子が見えた。

「お、おはよう、ございます…!白狼さん…!フランさん…!」

「やっはー!おはよう!元気してた?」

「四糸乃ちゃん!よしのん!」

「おう、四糸乃。一人か?」

「は、はいっ!」

玄関で話すのもなんなので、家に入ってもらうことにした。まあ、これからは家が精霊達の住まいになることを、このときの俺たち二人は想像もしていなかったのだが。




長かったです…忙しくて更新できませんでした!でも空き時間に少しずつ書いてるんでお兄さん許して!

ジーニアスめっさええやん!
映画気になりますねぇ!
だが勉強、テメーはダメだ。
俺のそばに、近寄るなあああああ!(今日のボス)

魔法…そう聞いて皆が思い浮かべるのは何かな?
魔砲?それともさすおに?はたまた、ソウルジェム?あとは…カードキャプターとか、プリティでキュアキュアなアレ?白狼の一押しは指輪みたいだけど、あの子にとっては、天使こそ、魔法みたいだね。
次回!東方希望録シーズン2!
相手にされない魔女
白狼はやっぱり手を伸ばす…

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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魔女と時間と人間
相手にされない魔女


大阪の皆さん、1日でも早い復興を願っています。
僕達も二年程前に経験しました。1人じゃありません。…って、大阪の方が読んでくださっているかもわからないんですけどね!


少女は、一人だった。けれど相手にされたくて、声をかけようとして。けれど誰も、少女を見ようとはしなかった。そんな存在を、彼が見逃すだろうか、いやしない。(反語)


それは俺が見回りのために街へ繰り出していた時。目の前で爆発が起きた。

「っ!?なんだ!?」

賑わっていた客が一斉に悲鳴をあげ、こちらに走ってくる。

「チッ!」

その一人ひとりをギリギリで躱しつつ、前に向かって走っていく。その途中。

「なによ…結局誰も私を見てくれない…ホントの私を…」

陰鬱な、ネガティブな声。その声のした方を見ると、ボサボサの髪をした小柄な魔女っ子がいた。

「っ!?あれは…七罪…?」

そういえば、過去にも現界していた、というような描写があった気がした。七罪。〈ウィッチ〉と呼ばれる精霊で、物凄いネガティブな思考を持つ少女。

「だけど、今は見てる余裕ねぇだろうな…俺を除いて。」

恐らく、これをやれば、原作は崩れるだろう。まぁ、四糸乃攻略中に時崎狂三が来る時点で今更だが、大きく乱れることに変わりはない。だが。

「目の前で泣かれるのだけは、許容出来ないんでね…」

もう周りに人はいない。しかし建物の間にいる少女に、俺は声をかけることにした。

「…どうしたんだ?ここに居ると、危ないぞ。」

「!」

俺が声をかけると、少女はビクリと体を震わせた。

「あ、あんた誰よ…」

その声は震えていて、他人を怖がっているのが丸わかりだった。

「俺は夜月白狼。夜の月に、白い狼と書く。君は?」

怖がらせないように、出来るだけ声を柔らかくする。

「………七罪……」

下を向き、目を合わせようとしない七罪。だがまぁ、こうして本当の姿で話してくれる分、まだマシである。まだ捻くれていないのだから。

「七罪か。いい名前だな。さ、ここは危ない。とっとと逃げよう。」

「え…?逃げるって、どこに?」

「…安全なとこ。」

言っても埒が明かない。俺は七罪の手を取り、強引に走り出した。

「え、ちょ、ちょっと!」

「悪いな、こっちも急いでんだ!」

来た道を急いで戻る。そして、我が家へ。

「おかえりー……誰その子。」

「…えっと、精霊…」

「あ、七罪…です。」

「……分かった。じゃあ私が預かっとくから、白狼は行って。」

「……すまん。」

俺は七罪をフランに任せ、また来た道を戻り、先程の場所に戻る。するとやはり、"異変,,がその辺を覆っていた。

「ったく…やらせるかっての!」

霊力を解放して、"創った,,パワーソードで近場のやつから切りつける。時折、

「喰らえ!"絶力斬,,!」

霊力を込めた斬撃で数体を吹き飛ばしたり、切り飛ばしたりして倒していく。

「"ビルド,,!」

ある程度倒したところで、ビルドを使う。ドライバーを巻き、ボトルを振る。

「さぁ、実験を始めようか。」

ボトルをドライバーに挿す。

(ラビット!タンク!ベストマッチ!)

レバーを回し、ポーズを決める。

(Are you ready!?)

「変身!」

ボトルの成分から形作られたビルドのボディが俺の体に合わさり、形成される。

(鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イエーイ!)

「…勝利の法則は、決まった!」

お決まりのセリフを言い、呼び出したドリルクラッシャーを手に駆け出し、"異変,,を駆逐する。

「はっ!ふっ!」

数だけが多く、キリがない。切っても切っても、"異変,,は湧いて出てくる。

「チィッ!」

埒が明かないと、レバーを再び回し、大きく跳ぶ。

(Ready go! ボルテック・フィニッシュ!イエーイ!)

「はあああっ!」

斜方投射のグラフが"異変,,達を捕らえ、エネルギーのこもった必殺キックが炸裂した。必殺技で倒すと、"異変,,はさっきまでのゾンビっぷりが嘘のように消え去った。

「…何だったんだ…」

俺は変身とスペルを解き、家に戻った。

「ただいまー…」

「おかえり、白狼。」

帰ると、いつも通りの(原作の)服を着たフランと、

「………」

はやくもカタツムリのようになった七罪の姿があった。

「えぇ…(困惑)どういう状況?」

「白狼が連れてきたから、出来るだけよくしようと思ったら…」

「…何よ。」

「いや、満喫してるな、と。」

「……そう見える?」

俺がなんとか言葉を紡ぐも、七罪は皮肉気な眼差しを俺に向ける。恐らく、彼女の思考では俺の言葉はなんでもネガティブな言葉にすり替えられているのだろう。

「……」

その証拠に、彼女の目に、俺への信頼どころか、信用すらも感じられない。まぁ、それはつまり依存する心配がない、ということだから、かえって都合がいいのだが。

「だがまあ、なんであそこに?」

「な、なによ、いちゃいけなかったって言うの?」

「いいや。皆逃げてたのに、どうして逃げてなかったのかってこと。」

「…気づかなかったのよ…あんな奴らが来てたなんて…」

「気づかなかったんだ……」

七罪の言葉に、フランが苦笑する。まあ、そうなる。俺も苦笑しつつ、

「なるほど。でも良かった。助けられて。目の前で死なれるのは絶対に嫌だったからな。」

と、俺がにへらと笑って言うと、七罪の頭の中では言葉がぐるぐると回って

「悪かったわね!どーせ私の血は目に毒ですよー!」

と、ひとしきり叫んで布団にくるまってしまった。

「えぇ…(困惑)もしかして、曲解してるのかもしれないけど、俺は七罪だから助けたんじゃないぞ?」

「っ!」

俺が言うと、ビクリと布団が跳ねる。

「俺はあの"異変,,を倒さなきゃならない。でも、誰も巻き込むわけにはいかない。もちろん、死なせたり、傷つけるのだってさせない。だから助けたんだ。」

「何よそれ…じゃあ、あんたは誰がそこに倒れてようが助けるってわけ!?そいつがどうしようもないちんちくりんで髪がボサボサで、超毒舌でどうしようもないやつでも!?」

特徴によって個人が特定簡単なところは置いておいて、俺は真っ直ぐ、七罪と目を合わせて言った。

「ああ。もちろん。俺はその為に力を持ってる。」

「──ッ!……あんた、絶対裏切られるわ…手痛いしっぺ返しを食らうわよ…」

「構いやしないさ…それでそいつが笑えるなら、ね。」

俺がにへら、といつものように笑うと、七罪は心底付き合えない、といったように、

「っ!帰る!」

「どこに!?」

七罪はカタツムリから布団を放り出し家を出て行った。…まあ、盗まれなくて良かったなぁ、とは思ったが…

「…さて、運良く士道とかに会えればいいけど…たぶん無理だろうなぁ…」

恐らく、今士道が七罪と遭遇しても手に負えないだろう。士道は次の精霊、つまり時崎狂三に集中しなければならない。その後は妹の琴里だ。つまりあいだに挟める時間が無い。

「どうするの?白狼。」

「……もしかすると、俺がしばらく面倒見なきゃかもな。…ま、いいけど。」

それでも、俺の笑みが崩れることは無かった。こんなの、あの時に比べればどうってこと無かったからだ。世界中の欲望を、物欲を消化していた、あの時に比べれば。




さぁ、本格的に崩れてまいりました…つっても、黒幕をいつ出せばいいのか迷ってもいます。まぁ、凛祢ユートピアやってる辺りで名前は出そうかな、と。まぁ、その為に七罪出したようなもんです。

皆は、幼い頃の記憶って持ってるか?おねしょしたり、訳分からんことで喧嘩したり親に駄々こねたり…まぁ、あんまし誇れるものは少ないと思う。けど、俺は思い出さなきゃならなかった。狂華と俺、そして、もう1人の親友を思い出す為に。
次回、東方希望録シーズン2。
悪戯好きな魔女
俺は過去に手を伸ばす。

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悪戯好きな魔女

(特に)ないです。


子供の頃の記憶。
辛くもあり、苦くもあり、甘くもある。
しかしそれは、きちんとした記憶ならばの話であり、"使われ,,、嘘に塗れた記憶ならば、どういう味なのだろうか。


俺は、子供の頃、親友がいた。夜月家の対を成す朝日家、その末裔。名を朝日狂華。

「……あー……」

朝、目を覚ます。ベッドの上のどこかにあるスマホを探り当て、時間を確認。今日は休みということで、まぁ体も休んでいたのだろう、いつもより少し遅い時間に起きた。

俺はいつものように、ベッドから起きると、一歩を歩きだそうとして、

「…のわっ!?」

どてっ!と転んだ。どうやらズボンの裾に引っかかったらしい。しかしおかしい。服をいちいち買い換えるのが面倒なため、小さくなって"創り,,直すことはあっても、大きすぎる、ということは無いはずなのだが…それに、この家にも()()()()()()()()

「うぅ…何処だろうここ…」

先程使えた()()()()も、よく分からないが、恐らく携帯なのだろう。それに、なんだか記憶が掻き乱される。脳裏に浮かぶのは、黒髪で赤い目をした少女、そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……あ、狂華と灰人だ。」

何故か、忘れていたような気がする。二人は()の唯一の親友なのだから、忘れるはずないのに。

「……とにかく、外に出よう。」

そうして、自室から出ると、いい匂いがした。お母さんが朝ごはんでも作っているのだろう。それならば降りなければ。と、一旦服を脱ぐ……のだが、大きすぎて苦労する。というか、なんだこれ!?

「高校生くらいの大きさ…!?」

「白狼?起きたの?」

誰かわからない声。それが階段を上がってくる。その、少女は。狂華のように赤い目。そして輝く金髪。

「─────」

思わず見とれてしまった。とても、あまりにも綺麗だったから。少女が僕の名を呼んでいたことなど、気にもならなかった。

「って、子供……?でも、その服は昨夜白狼が着てたものだから…」

「あ、あの!」

状況が飲み込めないので、とりあえず目の前の()()()()に聞くことにした。

「ここはどこで…貴女は、誰ですか…?」

「嘘……」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、フランさんは僕の恋人で……ここは、あのデート・ア・ライブの世界……なんですね?」

「うん…それで、昨日七罪ちゃんっていう精霊を白狼が連れてきて…」

「あー………なるほど、そういうことですか。」

七罪、というワードが出ることで理解する。

「どうして小さくなったか、分かるの?」

「…はい。彼女の天使…〈贋造魔女(ハニエル)〉の力で、僕は高校生くらいの年齢から小学一年生くらいまでにされたようです…」

「やっぱり、あの子の仕業だったんだ…」

僕の説明に、フランさんはほう、と息をつく。

「でも…」

そして、フランさんは僕の体をひとしきり見て、

「白狼が小さい頃って、こんな感じだったんだ…」

「っ…」

まじまじと僕を見つめるフランさんを、僕は見返すことが出来ない。恋人だ、と言われてもそんな急には飲み込めない。

「……どうやったら戻るんだろう……」

「えっと、原作では…ああ、七罪にダメージを与えるか、霊力を切らせばなんとか…」

見つけた原作を手に取り、読み進めて理解する。と言っても、この頃の体の僕は、ラノベなんて読んでいない。この頃の僕はもっぱら仮面ライダーやポケモンに首ったけだったのだ。…どうやら、混濁しているのだろう。

「…じゃあ、どうするの?」

「うーん…えっと、フランさんはDEMって、本来の僕から聞きました?」

「でぃー、いー、えむ?聞いたことないけど…」

「話してないんですね…えっと、じゃあASTは?」

「それとは何度か遊んでるよ。でもまだ楽しめないかな。弱くて。」

アレでも人間の中ではかなり強い部類に入るのだが、フランさんからすればまだまだ、らしい。一体何者なんだろうか。

「えっと、DEMは、ASTに〈顕現装置(リアライザ)〉を提供したり、隊員を派遣したりしている会社なんですけど、その目的は精霊の〈霊結晶(セフィラ)〉なんです。」

「じゃあ…」

「はい。DEMはAST以上に精霊の命を狙います。そして、DEMには、最強の〈魔術師(ウィザード)〉がいます。」

最強、というワードにフランさんは反応する。

「へぇ…最強?それって、折紙ちゃんよりも?」

「…現時点では。全力の十香よりも。」

「…遊びたいね。その人と。」

「七罪を追いかけていれば出会えます。きっと。DEMも、狂三編から暗躍し始めていますから…」

とにかく、情報が足りない。フランさんの話では、狂三と士道の戦い。つまり、原作3巻はまだ終わっていない。だから士道は琴里が精霊だとまだ知らないし、真那とも出会っていないのだ。

「…外に出ます。」

「待って。その服じゃ…」

「…何か?」

そういう頃には、僕は今の服を"創り,,変えている。取り敢えず靴も駄目だろうから、靴も"創って,,履いて外に出た。瞬間。銃声が聞こえた。それも、ひとつではない。

「!"ドラゴンウィング,,!」

即座に飛び上がり、銃声のする方へ。フランさんも何故か飛べるようで、ギュンッ!とついてきた。

「ちょっと白狼!飛ばしすぎ!」

「戦いが起きているんです…助けないと…!」

飛んで行った先は、来禅高校だった。銃声は、屋上から。

「狂三編のラストか!」

もうそろそろ琴里が現れることを理解し、屋上へ飛ぶ。既に時崎狂三の〈時喰みの城〉が展開されているため、多少時間を食われるが、そんなことはどうでもいい。

「"パワーソード,,っ…」

屋上が見え、全体が明らかになる。数多くいる時崎狂三。その何体かに囚われている士道。銃口を向けられ、動けない十香、折紙。この場をどうにか出来るのは、俺しかいない!

「時崎狂三!」

「!白狼さん…?小さくなってません?」

「とある事情がありまして。」

ふわりと屋上に降り立つ。

「フランさんから聞きました。同盟を組もうとしていたと。アレはどうなったんですか?」

「え…白狼!?同盟って…どういうことだよ!?」

僕の口から出た新情報に士道は食ってかかるが、いちいち説明なんてしてられないし、してはいけない。

「あれですの。前向きに検討する、とは言いましたけれど…」

「確かに、やるとは言ってませんね。じゃあ決裂でいいですか?」

剣を向け、警戒する。

「ええ!ええ!待ち望んでいましたわ!貴方がその気になるのを!でェもォ、万全でない状態で、私に勝てるとお思いですか?」

「確かに、僕は小さくなって、万全じゃない。でも、僕は1人じゃない。」

「『禁忌"レーヴァテイン,,』!」

業火の剣が狂三の元へ放たれる。

「っ!」

狂三は即座にその場を退き、躱す。

「フランさん…」

さて、役者は揃った。

「白狼…」

「アレが…〈ホープ〉と〈ヴァンパイア〉…」

「やぁ、崇宮真那さん。悪いけど、話してる余裕はないんです。出来れば、そのままで。」

「言われなくても…動けねーですよ…」

真那さんの体からは、血が流れていた。

「…少しだけ、我慢しててください。この場は、僕とフランさんが受け持ちます。」

この体は、あの悪戯好きな魔女のせいでこうなったけど、それでも、

「弱体化じゃないってことをみせてあげます。」

さぁ、ショータイムです!




さて、見切り発車しまくりのこの展開、どう畳んだものか…


ついに始まる激戦。絶対に乗り越えて、元の体を取り戻します!次回、東方希望録シーズン2!兎と戦車、魔女と時計。
僕はボトルに手を伸ばす。

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兎と戦車、魔女と時計。

夏は暑いっすね…皆さんは熱中症や夏バテなどに気をつけてくださいね。


もう色々とぐちゃぐちゃしてるけど、出来ることからやっていこう。いつもよりも出来ないんだから、確実に出来ることだけをやろう。とりあえず、
さぁ、実験を始めようか!
東方希望録、始まります。


「白狼、行ける?」

僕の隣に立って、フランさんは僕に問う。ここでダメかも、なんて言ったら一人でやるのだろう。

「勿論です。このくらい、すぐにでも。」

「大きく出ましたわね?白狼さんにできますかしら!」

言ってから、狂三は短銃から銃弾を放つ。

「!『盾符"ドラゴンシールド,,』!」

すぐさま盾を"創り,,、弾を防ぐ。

「やってみせるさ。」

「やはり…貴方が〈ホープ〉…」

僕が防いだ後ろで、折紙が呟く。

「…ええ。まぁ、そうです。それでも僕達は精霊じゃないと、言う他ないんですけど。」

「えっと、〈霊結晶(セフィラ)〉?っていうのを体に埋め込んだり埋め込まれた記憶もないしね。そもそも生まれた世界が違うし。」

「…?どういうこと?」

あまり余計な情報は与えたくない。

「それは後!まずは…!」

小さくなった体で駆ける。僕の意識は小さい頃のままだから違和感がなくて助かった。近場の狂三から切り捨て、本体へ肉薄する。

「猛々しいですわね?」

「パワーソードにはそういう効果もあるんですよ。力を表す剣ですからね。」

剣を振り回し、攻撃を仕掛ける。

「きひっ!本当に猛々しいですわ!ではこちらも少し、乱暴にやらせてもらいますわ!〈七の弾(ザイン)〉。」

狂三の背後に狂三の天使、〈刻々帝(ザフキエル)〉のⅦの文字盤から影の塊が短銃に入り、こちらに向けられる。

「白狼!気をつけろ!あれは当たったらガードしても時間が止められる!」

「はい。」

知ってますけどね、と心の中で言ってスペルカードを取り出す。

「…『銃符 "ニードルリボルバー,,』…」

手元に銃を"創り,,、警戒する。そして、狂三の短銃から弾が放たれる。

「っ!」

上手く照準を合わせ、()()()()()銃弾を放つ。こちらが放った弾は寸分違わず狂三の弾とかち合い、弾が空中に止まる。

「へ…」

「な…」

僕がやったことに、崇宮さんや士道を含めた皆が驚く。

「じ、銃弾に銃弾を…」

「え?〈鏡撃ち(ミラー)〉ですけど…緋弾のアリ〇読んでたら分かりますよね?」

「」

皆絶句していた。

「じ、冗談じゃありませんわ!なんで出来るんですの!?」

「いや、なんとなく…ニードルリボルバーの弾に霊力流し込んで、狂三さんの弾に飛ぶように弾道を操作しただけで…」

「す、すごい…」

僕の説明に、士道が驚く。でもとにかく、ここを切り抜けないと!

「とにかくケリつける!『双造"ビルド,,』!」

この隙にビルドドライバーとフルボトルを"創り,,、ドライバーを巻く。

「さぁ、実験を始めようか。」

ボトルを両手に持ち、振る。すると僕の後方からいくつもの数式が流れる。フタを正面に合わせ、ドライバーにセット。

(Rabbit!Tank!BestMatch!)

「いくぜ。」

レバーを回す。ボトルの成分がドライバー内を駆け巡り、ビルドとしての体を作り出す。

(Are you ready!?)

「変身!」

ポーズを決め、ビルドの体が合わさりひとつになる。

(鋼のムーンサルト!RabbitTank!イエーイ!)

赤と青の戦士、仮面ライダービルド、ラビットタンクフォームに変身する。僕はタンクの砲塔を模した触角をなぞり、

「勝利の法則は、決まった!」

ドリルクラッシャーを呼び出し、左足のラビットの力で一気に距離を詰める。

「っ!?な…」

「はっ!」

その勢いのまま、剣を振り下ろす。が、狂三は間一髪で躱し、銃をこちらに向ける。

「甘いですわ!」

「どうかな!」

撃たれる前にボトルをドリルクラッシャーに挿す。

(Ready GO!Voltec Break!)

挿したのはゴリラフルボトル。この効果によって、ドリルクラッシャーはゴリラの腕を模したエネルギーを纏い、

「はっ!」

僕はそれを思い切り突き出し、ゴリラの拳でもって狂三を殴り飛ばす。

「きゃ!?」

「まだまだ!」

さらに僕はもう二本のボトルを振り、ドライバーにセット。

(Panda!Rocket!BestMatch!)

レバーを回し、フォームチェンジ。

(Are you ready!?)

「ビルドアップ!」

今度は水色と白黒のボディにチェンジされる。

(ぶっ飛びモノトーン!RocketPanda!イエーイ!)

俺はフォームチェンジが終わると同時に駆け出し、左手のロケットの部分を狂三の腹に押し当て、右手のパンダの手でレバーを回す。

(Ready.GO!Voltec Finish!イエーイ!)

「…とりあえず、帰ってください!行っけぇぇえええ!」

左手のロケットが発射され、そのまま狂三ごと飛んでいく。

「え…」

士道は呆気にとられている。それはもちろん他の狂三の分身体も同じ事で、しばらくして復帰すると

「わ、わたくしー!?」

と、影に溶け込み本体の元へ帰って行った。

「…す、すごい…」

「…ま、ざっとこんなもんです。」

スペルを解き、にへら、と笑ってみせる。

ともかく、ここのみんなは守れたのだから、良しとしよう。

「白狼!怪我しなかった!?」

「ああ、フランさん。もちろん怪我なんてわぷ。」

してない、まで言わせてはもらえない。ガバッと抱きしめられているからだ。僕に嫌悪感も抱かずにこんなことが出来るのは狂華くらいなもので、それができるということは、フランさんが未来の僕の恋人であることもまぁ納得できる。

「…でも。とりあえず落ち着きたいんですが…帰りませんか?」

この続きは、どこかで休みながらしたい、と思った。




ビルドも佳境ですね…映画楽しみだなぁ…

彼女は、どうして僕を小さくしたのだろうか。
彼女に、何かしたのだろうか。だとしたら謝らなければならない。
そうでないにしろ、とりあえず、会わなくては。
次回、東方希望録シーズン2。
戻る記憶と身体。
僕は彼女に手を伸ばす。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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戻る記憶と身体

一学期が終わって、夏休みです。ここから今まで以上に投稿が遅くなると思いますが、どうかご容赦ください…夢に向かって邁進しているので…




僕はどうしようもない人間だ。
誰よりも劣っていて、
誰よりも弱くて、
誰よりも役に立たない。
だから、誰よりも自分を殺さなきゃならない。助けなきゃいけない。たとえその対価が、自分の命だとしても。
さぁ、燃やせ。その命を。
東方希望録、始まります。


士道、十香さん、折紙さん、フランさん、真那さんを自宅に招き、話をすることにした僕は、とりあえず着替えてから話すことにした。

「えっと…何から話しましょうか…」

「ならば、こちらから質問させてもらう。いい?」

僕が困っていると、折紙さんが進めてくれるとのこと。

「あ、はい。お願いします。」

「では遠慮なく。その姿は?」

まぁ、最初に突っ込まれるだろうと思っていた。

「えっと、それは…」

「精霊の仕業ですよ。」

「それは〈ナイトメア〉?」

「いいえ。識別名は…〈ウィッチ〉。物質、人間を変化させる天使、〈贋造魔女(ハニエル)〉を所持しています。」

「〈ウィッチ〉…」

僕の言葉に、士道は反応する。

「まぁ、未来の僕が何を言ったか知りませんけど、彼女の機嫌を損ねてしまったようですね。…正直、何かある前に保護したいんですけど。」

「…?どういうこと?」

僕のつぶやきを聞き逃すことなく、折紙さんは耳ざとく聞いてくる。僕は慌てて

「あ!いや…その、出来ればこの姿じゃなくて、普通に戻して欲しいんですけど…あとは…」

僕は真那さんをちらりと見て、

「DEMがいつ動くか分かりませんから。」

「…それはどういう意味です?」

今まで沈黙を保っていた真那さんが口を開く。

「〈ホープ〉はウチの組織が怖い、と?」

「いえ。ただ、人に言えないような黒い事を平気でやってるとだけ言っときます。」

「っ…」

僕の言葉に、士道は反応する。恐らく魔力処理のことでも思い浮かべているのだろう。実際、真那はそれによって記憶を失っている上に、寿命も大きく減らされている。全てはDEMのせいだ。

「むぅ…白狼がどうしてその姿なのかは分かったが…その、ういっちとやらは押さえられないのか?」

難しい顔をして十香さんが問う。僕は苦笑して、

「出来たら苦労しませんね…正直、彼女の動向をつかむのはかなり難しいと思います。でも、DEMに見つかる前に見つけて戻してもらえたらいいんですけど…」

「だから、貴方はDEMにどんな恨みがあるんですか!?」

「いずれ分かりますよ。いずれ、ね。」

僕は真那さんの問いをぼかして答える。

「では次の質問。貴方は精霊ではない、と自分を言った。それに偽りはない?」

「…ええ。もちろんです。そも、精霊とは何なのか。貴女達は知らない。」

「「「っ!?」」」

僕の一言に、みんなが驚く。

「精霊…隣界からこちらに現れる特殊災害指定生命体。ええ。そうでしょうね。でも、それは僕達現人間から見た視点です。本当の視点ではない。」

「何を馬鹿なことを?精霊は敵。殺すべき存在でごぜーますよ?」

「それはあくまで人間の都合です。ノアの方舟の話がわかれば、人間の都合だけでこの世界が回ってないことくらい分かるでしょう。」

「つまり、貴方は精霊に対して殺す以外の選択肢がある、と?」

「ええ。既に貴方も見ているはずですよ。この五河士道が、精霊の霊力を封印する所を。」

「っ…」

こう言われると納得するしかないのか、折紙さんは押し黙る。

「彼女たち、精霊の正体は─────」

それを口にしようとした、その瞬間、悲鳴が聞こえた。しかし、家の中ではない。街でだ。

「っ!」

僕は急いで外へ駆けた。

「白狼!」

フランさんが後から声を上げる。

「フランさんは皆さんを頼みます!僕は…」

僕は、街の方を見据えて、今の自分の全力を持って走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

「…アイツ……」

空の上。僕が気づかなかっただけで、彼女はすぐ近くにいたのだ。

「…ふ、ふん。あんなふうな事言って、どうせ逃げるに決まってるわ。だって、今のアイツに元のような力は無い。敵が強かったらすぐにでも逃げるでしょ…」

しかし、少女の中では、一抹の不安が消えなかった。

「でも、もし───もし、どんなに傷ついてもアイツが逃げなかったら……」

敵の武器や攻撃で、心臓を貫かれでもしたら────

そこまで考えて、彼女は頭を大きく降って浮かんだビジョンをかき消す。

どちらにせよ、見届けなくてはならない。そう思った彼女は、再び魔法の箒で空を飛び、僕の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街は、混乱に包まれていた。目に見える破壊、見えない破壊。それらが街を、人を襲っていた。

「っ…これは…」

目に見える破壊は、スマッシュ…仮面ライダービルドに登場する敵が、見えない方は恐らく眼魔だろう。なら、やることはひとつ。

「皆を守る!"ゴースト,,!」

しかし、ゴーストドライバーで一人でやっていてはキリがない。アイコンドライバーGをつける。

ドライバーのレバーを一度引く。

(グレイトフル!ガッチリミーナー!コッチニキナー!)

「変身!」

(ゼンカイガン!剣豪発見巨匠に王様サムライ坊主にスナイパー!大変化!)

ドライバーのボタンを押すと、光とともに僕の体は黒い鎧に覆われ、辺りを舞うパーカーゴーストが鎧に宿り、ゴースト、グレイトフル魂を形作っていく。

「さあ、命、燃やすぜ!」

ガンガンセイバーと、サングラスラッシャーを手に駆け出す。相も変わらず数だけは多い"異変,,を片っ端から切り捨てていく。

「人手が欲しい!」

レバーを操作し、偉人を呼び出す。

(ムサシ!ラッシャイ!エジソン!)

レバーを操作してはボタンを押すという作業をサンゾウが呼べるまで続け、十六人で戦う。

「はっ!でぇい!」

そして、あらかた倒し終わってから、ASTが飛んでくる。

「!あれは!?」

ASTはスマッシュなんて見たことは無い。さらに、彼女達の目には、目に見えない何かに建物が破壊されているように見えるのだ。戸惑うのも無理はない。

「まぁ、構ってなんて上げられませんけどね!」

偉人達に敵を一箇所に集めてもらい、僕はドライバーのボタンを押す。

(全!大開眼!グレイトフル!オメガドライブ!)

「魂は…永遠に不滅だ!」

僕は地を蹴り、空中でバク転。足に光のエネルギーをまとわせ、敵にライダーキックをかます。

"異変,,は必殺技で爆散し、事なきを得た。

「……ふぅ。」

(カイサーン!)

変身を解き、スペルも解き、一息つく。今日はこれまでだろうと、家に戻ろうとした時。

「なるほど。素晴らしい力です。アイクが欲しがるのもわかります。ですが、私には及びませんね。」

「っ!」

背後で、女性の声がした。振り返ると、そこにはCR-ユニットを身につけた女性がいた。

「……どなたですか?」

声のトーンを落とし、警戒する。

「申し遅れました。私はエレン・ミラ・メイザースと言います。夜月白狼。私たちの所へ来てくださいませんか?」

「……DEM……」

名前を聞けばわかった。この人はDEMの、最強の〈魔術師(ウィザード)〉。フランさんにはああ言ったけど、僕の記憶だって混濁している。エレンの存在は知っていても、何故か顔が浮かばなかった。でも、こうして前に立たれれば嫌でもわかる。あたりを覆う、この魔力。わからない方がおかしい。

「おや、知っていましたか。真那から聞いたのでしょうか。…まぁいいでしょう。それで、お答え頂けますか?」

全盛期の僕の体ならまだしも、今の小学生くらいの体では勝ち目はない。如何に戦闘センスや才能を"創った,,としても、圧倒的に経験が足りない。…でも。

「人生初のお誘いですけど、お断りします。帰ってゲームしたいんで。」

密やかにビルドを発動。ビルドドライバーを巻き、フルボトルを振る。

「そうですか。残念ですね。」

淡々と言った彼女は一瞬、姿が掻き消え、

「っ!?」

ドッ!と僕の体を衝撃が襲った。小学生くらいの体にそんな耐久力はない。あっけなく吹っ飛ばされる僕。

「ぐぁ!がっ!?」

ゴロゴロと地面を転がる。

「…まさか、別の精霊が釣れるとは思いませんでしたよ。」

「え……」

なんとか立ち上がり、エレンの方を見る。そこには───

 

 

 

 

 

 

「…まったく…ほんとにワケわかんない…どうしてさっさと逃げないのよ!」

そこには、小さな体で箒を手に立ちはだかる七罪の姿があった。

「七罪…さん…?」

「ほんとにお人好し。バッカみたい。だからこうして死にかけるのよ!」

どうやら、どこからか見ていたらしい。

「あはは…ごめんなさい。でも、これが僕ですから。誰の役にも立たない僕は、困ってる人を助けないと。街が壊されそうなら、守らないと。」

「っ……あんたは……」

僕が言うと、七罪の天使が光り、僕の体も光る。

「!?」

光が収まると、僕の、いや、俺の体は元に戻っていた。

「…ありがとな、戻してくれて。」

「…別に。気まぐれよ。」

「…なるほど、本当の姿はそちらでしたか。」

「……危ないから下がってろ。アイツはヤバい。」

「……うん。」

俺の雰囲気を感じたのか、七罪は物陰に隠れる。それを確認してから俺は霊力を解放する。エレンの魔力を塗りつぶすくらい、大量に。

「っ!?こんな濃密な霊力をどこから……」

「さぁな。でも、七罪やフランに手出しはさせない。」

「私も、退けませんので。」

エレンが剣を構える。俺は再びビルドドライバーを起動し、フルボトルを二本手に持ち、振る。

「さぁ、実験を始めようか。」

フルボトルのフタを正面に合わせ、ドライバーにセット。

(Taka! Gatling! Best Match!)

レバーを回し、ボトルの成分でライダーの体をビルドする。

(Are You Ready!?)

「変身!」

ファイティングポーズを取り、ビルドされたライダーの体を纏う。

(天空の暴れん坊!Hawk Gatling! yeah!)

空を舞い、敵を撃ち抜く戦士、ビルド、ホークガトリングに変身する。ホークガトリンガーを手に、空へ飛翔。

「はぁっ!」

エレンに向けて発砲。

「……豆鉄砲ですね。」

しかし、エレンには通じない。〈随意領域(テリトリー)〉があるからだ。チュンチュンと当たりはするものの、エレンには届かない。

「…やはりダメか。」

俺はすぐにガトリンガーを下ろし、急降下しながらエレンに突撃する。

「来ますか。」

エレンはレイザーブレイドを構え、迎え撃つ。

「はあああぁっ!」

ホークガトリングのガトリング側の手は格闘能力の上昇能力がある。うち負けたりはしない。

「ふっ!」

エレンが剣を一閃。俺はなんとか体を逸らし、躱すも反撃ができない。

「ちっ…」

「どうしました?その程度、ですか?」

「うるせぇ。」

だが、何度もこうなっては埒が明かない。

「……スパークリングを使うか。」

一度地面に降り立ち、ボトルを抜く。そして、缶ジュースほどの大きさのボトルを振る。するとそのボトルからは炭酸のような音がする。それのプルタブを開けると端子が現れる。それをドライバーにセット。

(Rabbit Tank Spercring!)

…さぁ、更なる実験を始めようか。




エレン戦がここまでになるとは…驚きです。


激闘。スパークリングだけじゃ勝てないなら…
その先を使うしかない。
危険な引き金を。
でも、その時は、七罪を逃がさないとな。
次回、東方希望録シーズン2!
速きこと獣の如く、強きこと戦車の如く。
俺は赤い引き金に手を伸ばす。

次回もお楽しみに!ではでは!


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速きこと兎の如く、強きこと戦車の如く。そして、ヤバきこと、危険の如く。

感想欲しいっすね…まぁ、どこを突っ込んでも大丈夫ですよ!きちんと答えます!

たとえ、自我を失おうとも、
守るべき人がいる。
さぁ、実験を始めようか。
東方希望録シーズン2、始まります。


(Rabbit Tank Spercring!)

ドライバーにセットされたボトルから音声が流れる。レバーを回し、ボトルの成分でライダーの体をビルドする。

(Are you ready!?)

「…ビルドアップ。」

(シュワっと弾ける!Rabbit Tank Spercring!!イェイイェーイ!)

「…行くぞ!」

再びドリルクラッシャーを手に、駆け出す。

「姿が多少変わった程度で…」

「それはCu(銅)かな?」

「何…?」

俺は左足に力を込める。すると炭酸のような音が左足から聞こえ、赤い泡が弾ける。そして、

「っけぇ!」

その力を、解き放つ。瞬間、俺の体はエレンに肉薄する。

「っ!?な…」

「はっ!」

ドリルクラッシャーを振り下ろし、攻撃する。

しかしエレンもそこは人類最強の〈魔術師(ウィザード)〉。剣でしっかりとガードしてくる。

「早いですね…」

「ラビットボトルの強化版だからな。」

「しかし、慣れてしまえばこちらのもの。早いだけなど、罠にかければどうとでもなりますが。」

「…ビルドはこれだけじゃない。」

正直、()()()()は使いたくない。使えば確実にエレンを退かせることは出来るだろうが、その先が続かない。それどころか終わる。次の段階は、最悪暴走して、七罪に危害が及びかねない。

だから、スパークリングでカタをつけなければ…!

(Ready GO! Voltecx Break!)

ゴリラフルボトルをドリルクラッシャーに指し、ゴリラの腕を模したエネルギーでエレンに切りかかる。

「くっ…!」

流石に躱しきれないと思ったのか、〈随意領域(テリトリー)〉で防ごうとする。

「そんなの…吹き飛ばすっ!」

ダンッ!とタンク側の足を強く踏み出し、ドリルクラッシャーを回転させ、突き出す。必殺技のエネルギーもあって、最強の〈随意領域(テリトリー)〉も歪んだ。

「くうっ…!?」

「おおおっ!」

さらに力をいれ、エレンを吹き飛ばす。

「ぐぅっ…!」

エレンが、体に土をつける。

「やってくれますね…!」

心底屈辱そうに言って立ち上がるエレン。心做しか先程よりも纏う魔力が濃ゆくなっている気がする。

「…これで退いてくれたりは?」

「ご冗談を。」

「…ですよねー…」

だけど、正直来て欲しくはない。しかし、エレンはこちらの事情など関係ない。

「ここからは本気です。…殺す気です。…覚悟は、いいですか?」

「…ああ。来るなら来いよ。実験はきちんとしなきゃな。」

「…」

エレンの目が一瞬鋭くなり、距離を一瞬にして詰められる。まるで、さっき俺がやったように。

「っ!?くっ!」

振るわれる剣をドリルクラッシャーで防ごうとする。が、防げない。火花が散り、ゴロゴロと転がる。

「ぐあああ!」

だが、すぐに立ち上がる。そして、ドリルクラッシャーを持つ手とは逆の手に、4コマ忍法刀を呼び出し、駆け出す。

「はああああっ!」

再びラビットの力で今度はこちらから仕掛ける。

「っ!」

二刀流ともなれば、エレンの対処も変わってくる。そう、近づけさせないこと。遠距離主体になるのも仕方の無いことだった。

しかし、それで捕まるほどビルドは甘くない。躱しつつも接近、離れられ、また詰める。いたちごっこが何度か続く。埒が明かない為、今度はドリルクラッシャーをガンモードにして、ホークガトリンガーを呼び出す。

魔力弾とエネルギー弾の飛び交う戦場に早変わりだ。

「ちょ…きゃっ!」

物陰の七罪が当たりかけ、悲鳴をあげる。

「!七罪!」

攻撃を当てるわけにはいかない。どうにか戦場を移そうとするも、エレンは好機とばかりに銃を七罪に向ける。

「これで────」

「っ!させるかぁ!」

一気に駆ける。弾が七罪向かって飛ぶ。七罪はエレンの眼光に先に射すくめられ、動けない。

「あああああああっ!」

弾と七罪の間に立ち、弾を防ぐ。──────身を以て。

「ぐあああああ!」

「っ!あんた!」

崩れ落ちる俺の体に、七罪は必死に寄り添う。だが、危険は去ってはいない。エレンは少しずつ歩いて距離を詰めてくる。

「ぐ……に、逃げろ、七罪…」

「逃げなきゃいけないのはどっちよ!そんなにボロボロになって!」

「逃がすと思いますか?」

「ってことだ。だが、七罪ならなんてことないだろ。さ、行け。」

腕を振り、七罪を逃がそうとする。だが、一向に離れてくれない。

「嫌!あんたを殺させたくない!だってあんたは、唯一私を見てくれた!私に声をかけてくれた!こんな、私に───!」

「!」

そうか。そうだった。七罪という少女は、誰にも見られない、ということが嫌で、〈贋造魔女(ハニエル)〉を使って、おおよその男性が振り向くような体を作り出していた。だが、今回それをしていない。理由はただ一つ。俺があの時、声をかけたからだ。そりゃあ…並々ならぬ思いがあっても不思議じゃない。それほどまでに、衝撃だったのだろう。────だが。それで七罪自身の命を散らす訳には行かない。だから、俺は─────

「逃げろっつってんだ!この()()()()()が!」

「──ッ!」

七罪を傷つけた。

「仲間割れですか。」

エレンが足を止め、嘲笑う。

「仲間?笑わせんな。〈七罪(コイツ)〉はただの壁だ。だがその壁にもならねぇ。だから退いてもらうんだよ。」

出来るだけ声を低く。威圧するように。この場から、七罪が一刻も早く離れたくなるように。

「フランに比べりゃ全然だよ。お前。気が散ってしょうがねぇ。死にたくなけりゃ、とっとと逃げろ。」

「…っ!」

七罪の目に涙が浮かぶ。あともう一押しだろうか。…いや、もういらない。

「あんたなんか…あんたなんか、もう知らない!そいつにやられて死ねばいい!」

そう言って、軽くスネを蹴り、逆に痛かったのかつま先を抱えてぴょんこぴょんこと脱兎の如く逃げ出した。

───よし。悪いな、七罪。お前がデレるべきは俺じゃなくて、もっとしっかりとした奴だ。それに。死なせるわけにはいかなかった。

「…ふぅいー。ようやく使える。」

憂いは消えた。もし俺がどうにかなっても、エレンが退けば、フランがどうにかしてくれるだろう。

「…逃がすための演技にしては、迫真でしたよ。」

「はっ…褒めてるならそう言えっての。」

俺は赤いアイテムを取り出す。

「…更なる強化アイテムですか。…それを使っても、私には及びません。」

「…いいや。お前はこれには勝てない。」

「…ならば早くなることです。」

「言われなくても!」

手にあるアイテム、ハザードトリガーのボタンを押す。

(Hazard.ON!)

トリガーをドライバーにセット。スパークリングを外し、再びラビット、タンクフルボトルをセットする。

(Rabbit! Tank! Super Best Match!ドンテンカン!ドーンテンカン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!)

レバーを回し、ハザードトリガーの成分を回し、

(Are you ready!?)

「…ビルドアップ…」

黒い体が、ビルドされる。

(Uncontrol Switch!Black Hazard!ヤベーイ!)

黒く、引き締まったフォルム。ラビットタンクハザードフォーム。これで決めなければ、少々まずい。

これには明確な時間制限がある。使いすぎれば、暴走する。それを七罪の前で、もしくは味方の誰かの前で、やらかす訳にはいかなかった。

「…」

一気に距離を詰め、殴り掛かる。

「っ!さらに早────」

「はぁっ!」

空いている腹に掌底。体をくの字にしてエレンが吹き飛ぶ。

「ぐぅっ!?」

「おおおおおおおおっ!」

全力で追撃。駆け出しつつ、レバーを回す。

(ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready GO! Hazard Attack!)

足に黒いエネルギーが集約され、飛び蹴りをかます。壁へ激突するエレン。

「───ッ!」

声にならない叫びをあげるエレン。しかし、すぐに立ち直り、

「っ獣め…!貫け、ロンゴミアント!」

唇を噛み、光の奔流をぶつけてくるエレン。しかし、それを真正面から受けるわけには行かない。それを受ければ、如何にハザードでも変身解除は免れない。

「っ!」

持ち前の機動力で躱す。そして、反撃に移ろうとした時。

「っ!?」

クラリとした。何者かが脳へ伝って来ている感覚。

「やば…暴走、するっ!」

ダラりと、腕が落ちる。意識が消える。やがて、ゆっくりとハザードトリガーに手を伸ばし、ボタンを押す。

(Max Hazard ON!)

レバーを回し、再びエレンに駆け出す。

(ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready GO! Over Flow!…ヤベーイ!)

全身に黒いオーラを纏い、エレンに向かって突進する。

「これでも、まだっ…!」

「……」

ハザードの共通点として、暴走がある。使いすぎれば、暴走する。暴走状態はただの戦闘機械。しかし、酷く合理的なのだ。敵を効率よく排除する動きに特化する。

「!動きが、全然違う!」

驚くべきスピードでエレンに肉薄し、近接戦を仕掛ける。エレンが剣を振るえば的確にガードし、反撃に移る。エレンも躱したり〈随意領域(テリトリー)〉で防いだりして凌ぐものの、着実に傷が増えていく。

「はぁ…はぁ…!」

「…!」

疲れきったところへのスマッシュキック。これには反応出来なかったエレンが吹き飛ばされる。

「くぅ…っ!」

「……」

無感動に、無情に、俺はレバーを回す。

(ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready GO! Hazard Finish!)

先程よりも多いエネルギーを集約した飛び蹴り。エレンは〈随意領域(テリトリー)〉で防ごうとするも、ハザードの俺は動じない。もう一度ハザードトリガーのボタンを押す。

(Max Hazard ON!)

レバーを回す。

(ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready GO!Over Flow!…ヤベーイ!)

ハザードトリガーから足へまたエネルギーが送り込まれ、エレンの〈随意領域(テリトリー)〉を侵していく。

「なっ…!?」

やがて、罅が入り、割れる。その勢いのまま、俺の飛び蹴りはエレンにヒットする。

「ぐううううあああああ!」

崩れ落ちるエレン。しかし、ハザードは止まらない。首をつかみ、拳を握る。

「……こんな…獣如きに…!」

目だけで殺せそうなくらい、睨んでくる。しかし、何も出来ない。

拳を振りかぶる俺。その拳は、寸分たがわずエレンの頭を砕く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…随分と楽しそうじゃない。白狼?」

パリン、と何かが"壊れる音がした。




…あれ?琴里の精霊編が始まらない…
それに白狼としての本編も進まない…?


問い詰められる俺。
向けられる視線。
燃え盛る火炎。
俺は────
次回、東方希望録シーズン2。
どうにもならない発言
俺は仮面に手を伸ばす。


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どうにもならない発言

Be The Oneめっさ面白かったっす。
クローズビルド出したいなぁ…あとはジオウも…



俺の戦いは、誰かの為のもの。
元々は、誰かの役に立つことで、何もされないようにする、自衛的な目的だったけど。
今は…
東方希望録シーズン2、始まります。


ハザードトリガーが"壊され,,、ラビットタンクフォームに戻る。遠距離からこんなことが出来るのは、一人しかいない…

「やっぱり、来るよな……」

仮面の下で苦笑する。俺の視線の先には、溢れんばかりの霊力を見にまとい、こっちに向かって歩いてくるフランの姿があった。

「た…助かった…いえ、助けられましたか…」

"壊された,,勢いで離されたエレンは少し咳き込みつつも離脱する。

「……白狼、何やってるの?」

「……」

ドライバーからボトルを抜き、変身を解く。そして、スペルも解く。

「少し、厄介事に絡まれてな。」

頭を掻き、軽く笑って答える俺。少し、なんてレベルじゃないが、心配させるわけにはいかない。

「嘘。さっきの人、〈魔術師(ウィザード)〉だったよね?それも、多分白狼が言ってた…」

「…確かに。さっきのは人類最強の〈魔術師(ウィザード)〉こと、エレン・ミラ・メイザースだ。でも、なんてことない。見てたろ?」

「まぁ。正直黒くなってからしか見てないからアレだけど、見てられなかったのも事実だけどね。」

ぐさり、とフランの言葉が心に刺さる。

「アレ、完全に暴走してたよね?明らかに機械的な動きだったし。どういうことか、説明してくれる?」

言葉の上では、拒否権があるように聞こえるが、目と声のトーンからして拒否権はない。

「……あれはハザードトリガー。ビルドの強化アイテムのひとつだ。通常の使い方をすれば、一定時間の使用で自我を失い、戦闘マシーンへと変貌する。」

「……違う使い方があるんだね?」

「…ああ。」

俺は能力を使い、フルフルラビットタンクボトルを"創る,,。

「ハザードトリガーをマックス状態にして、このフルフルラビットタンクボトルを使う事で、暴走なしに戦うことが出来る。」

「じゃあなんでそれを使わなかったの?それはあの黒いのより強いんだよね?」

「……一概には言えない。暴走せずに戦うこと。それはつまり、感情に左右されることが有りうるってことだ。エレン相手に、それは避けたかったんだ。まぁ、スパークリングで退いてくれたら良かったんだが…」

「……はぁ。」

目を逸らして答える俺に、フランは溜息をつき、

「もういいよ。とりあえず帰ろう?士道君たちが家で待ってるんだから。」

「……ああ。そうだな。」

笑って差し出される手を取って、隣を歩いて家に帰る。

来る時にあった騒ぎのせいか、人通りはない。俺とフランだけが歩く道は、夕日に照らされ、俺達の背後に影を作り出す。やがて、家に辿り着く。ドアを開ければ、真っ先に見えたのは────────

「このバカァァァァァ!」

「なんでここにぶっ!?」

箒だった。っていうか〈贋造魔女(ハニエル)〉だった。

「白狼が逃がしてくれたって、私のところまで来たんだよ。」

「…じゃあ…」

「…ふん。あんたの大根役者っぷりで、騙せると思ってたの?」

どうやら、ただノってくれただけらしい。

「…悪かったな。あんなこと言って。もちろん本心じゃない。ただ、あの先を見せたくなかったんだ。それに…死なせるわけにはいかなかったから。」

「…別にいいわよ。気にしてないし。実際、あの場ではただの足手まといだったし…ほんとに死んだ方がマシでしたねごめんなさい…」

「いや!それは違う!」

七罪のネガティブ発言を強く否定すると、七罪の肩がビクッと跳ねる。

「っ…ごめん。でも、ほんとに思ってないから…」

顔を伏せ、目を逸らす。

「それはいいけど、早く入らない?」

後ろで、フランが指摘する。それもそうだと、俺達は居間へ移動する。そこには、やはり出ていく前のメンバーが揃っていた。

「!白狼!戻ったのか!」

「身長まで戻っている。」

「…ぬ?その少女は誰なのだ?」

「まさか…」

「誘拐じゃねえぞ?こいつは精霊だ。」

「は!?」

居間に入るだけでこの騒ぎだ。正直話がまとまらない。

「とりあえず、全部説明するから、落ち着いて聞いてくれ。」

さて、ここで家にいるメンバーを確認しよう。

物語の中心、五河士道。

最初の精霊、夜刀神十香。

(今は)AST隊員、鳶一折紙。

士道の実妹、崇宮真那。

精霊〈ウィッチ〉、七罪。

希望の恋人、フラン。

そして俺。

なかなかに大所帯になったものだと思う。まぁ、士道は今でもインカム付けてるだろうから、実質〈フラクシナス〉のクルーや琴里もいるようなものだが。

「さて、とりあえず"異変,,も一段落したし、どこから続けたものか…」

「あなたそればっかりでごぜーますね…」

だって正直色々抱えすぎてほんとにどこから話していいかわからんのやもん。

「…では、また私から質問させてもらう。まず、そこの精霊から。」

折紙が七罪に視線を向けると、ビクッと七罪の肩が跳ねる。本来、七罪と折紙、真那は敵同士。気になるのも当然と言えた。

「えっと、そっちの精霊は七罪。前に説明したけど、俺を一時的に小さくした張本人でもある。」

「じゃあ、彼女が…〈ウィッチ〉…」

「ああ。士道が霊力を封印しなきゃいけない相手だ。」

折紙の目が鋭くなる。まぁ、当然だ。

「な、何よ…」

「…別に。」

剣呑な雰囲気だ。…と、その時、ぐぅーっと、誰かのお腹がなった。そして、テーブルに突っ伏す十香。

「お、お腹空いたぁ…」

「……なんか作るよ。」

苦笑してキッチンに向かう。

「あ、おい!話は…」

「料理しながらでもできるっての。んで?他に気になることは?」

「…あなたが言う、"異変,,とは何?精霊の引き起こす空間震とは何が違うの?」

「"異変,,とは、別世界より現れる悪だ。つっても、精霊や、隣界とはなんの関わりもない。ASTで使用された、ガイアメモリも、一種の"異変,,と呼べる。」

「ガイアメモリ…?」

初めて聞く単語に、士道と真那が首を傾げる。フランはおもむろに立ち上がり、テレビをつけ、DVDレコーダーにDVDを入れ、再生する。

『行くぜ?相棒。』(Joker!)

『ああ、行こう翔太郎。』(Cyclone!)

『『変身!』』

画面の中では、二人の男がベルトにガイアメモリを挿入し、変身する。

「仮面ライダーWに登場するアイテムだ。その名の通り、地球の現象、生物、概念を記録してある。例えば今画面の中で使われたサイクロンメモリ。あれは疾風の記憶。ジョーカーメモリは切り札の記憶。他にも、ナスカの地上絵のナスカメモリ、泥人形のクレイドールメモリなどがある。」

「こんな力が…でも、俺はこんなの見たこと…」

士道は目を丸くしている。

「当然だよ。士道君。だって、ガイアメモリは本来、この世界には無いものなんだから。」

「…?地球の記憶、なんですよね?私たちが生きてるのも地球のはずですが。」

フランの言葉に、真那が疑問をぶつける。

「ガイアメモリはこの世界において、概念すら無いはずなんだよ。たとえあったとしても、空想だと切り捨てられなきゃいけないくらい。」

「だって、このテレビのやつ、どう見たって特撮じゃない。」

フランの言葉に、七罪が続く。

「特撮ってのは主に子供向け。もちろん大人も楽しめるようなものになってるけど、こういうヒーローもので使われてるってことはそういうことでしょ。」

「七罪の言う通りだ。なあ真那。世界を救う力が子供騙しみたいな特撮の力でしたー、なんて言われたら信じるか?」

「それは…」

俺は料理を作る手を止めずに問う。真那は視線を彷徨わせるも、なかなか答えが出ない。

「それが普通の反応だ。だが、この世界で使われた。そうなれば、この世界のどこかにそういう異世界からやってきた奴がいて、ガイアメモリをASTやDEMに渡してると考えるのが自然だ。」

「……でも、それの何がいけないの?精霊を殺す力が手に入るなら、私たちとしてはなんだっていい。」

「その力のせいで、精霊以上に厄介な状況を招き寄せるとしても、か?」

折紙の言葉に、俺はトーンを落とす。部屋の緊張感が増す。

「ど、どういうことだ…?」

「簡単だよ。士道。今、お前達の世界っていう題名の絵があったとする。その絵の中では和風の建物が立ち並び、その絵の中で生きる人達も着物を着て、明らかに文明開化前だとわかる。じゃあ、そこに。そこに描かれてる人達の手に、携帯電話が握られてたら、どうだ?」

「「「!」」」

そう。"異変,,というのはそういうものなのだ。元々整っているのに、余計な物。もしくはどこかおかしいものが紛れ込んでいる状態。それが"異変,,。

「"異変,,を放置して、もしくは受け入れていけば、建物の中にエッフェル塔が混じったり、宇宙人のグレイが混じったり…もはや原型を留めることは無いだろう。」

「……」

折紙は絶句していた。無理もない。まぁ、次回からガイアメモリの使用をなくしてくれれば、気にしなくてもいいのだが…

「これが、"異変,,を倒す理由だ。これからはASTや真那にも、協力してほしいくらいだ。」

「……私だけの一存では決められない。」

「…私もですね。」

と、俺の提案を二人は蹴る。まぁ予想の範囲内だ。

「ま、だろうな。だから無理強いはしない。」

と、俺はここで話を切る。

「じゃあ、他に聞きたいことは?」

「……あ、白狼やフランは"異変,,が他の世界から来たって言ってたけど、それは二人も…なんだよな?」

「ああ。そうだ。」

「…その理由はなんなんだ?まぁ!"異変,,を終わらせるためだってのは理解出来るけど…それなら、俺たちの手伝いとかはしなくても…」

まぁ、士道の言いたいことはわかる。自分のことを優先すべきなのに、どうしてそうしないのか、ということだ。

「それは…まぁ、フランだよ。フランが、お前に協力したいって言ったんだ。それに、俺も放っておけなかったからな。」

「……そこよ。」

「え?」

俺の説明に、七罪がポツリと呟く。

「あんたには、優先すべきことがあるはずなのよ。自分のことを優先していいのに、全く関係の無い世界のことに首を突っ込んでる。それはどうして?」

「…?」

俺には、七罪の問いが分からなかった。意味がわからなかったのでは無い。()()()()()()()()をどうして聞くのか、分からなかったのだ。

「目の前で普通じゃないことが起きてて、それで苦しむ人や世界があるなら、助けるのなんて、当たり前だろ?」

「っ…だから、それが異常だって言ってんのよ!」

「……」

俺の答えを聞き、真那は少し顔を強ばらせた。士道は、異質なものを見る目になった。折紙の目はさらに鋭くなった。

「あんたにはあんたのやるべき事がある!なのになんで、こっちを優先するのよ!」

「…それが、希望として、俺のやるべき事だからだ。俺は何も出来ない。いい所なんてない。俺よりも、価値のある人間なんざいくらでもいる。それにさ。」

俺はひと呼吸おいて答えを続ける。

「助けて欲しいってのが、皆の希望なんだ。それを叶えるのが、夜月たる俺の役目だ。」

「し、ろう……?」

「もういい。貴方の異常性はよくわかった。」

士道の困惑を、混乱を他所に、折紙は切って捨てる。

「とにかく、"異変,,がどれだけまずいものかも理解出来た。上司には、私から伝えておく。でも、保証はできない。」

「分かってる。お前が使わないだけでも救いだよ。」

これで、多少は"異変,,の馴染みも無くなるだろう。

「あんたはそれでいいの?他人の為に全部使って!」

「ああ。御先祖からは、自由に生きろと言われた。だから、()()()()()()()。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからは、よく覚えていない。最後には、俺とフランだけが、この場に残った。

「まぁ、これがいいんだよな。一番。」




あんまりにも時間かけすぎてよか分からない回になったかもしれない…

あ、Twitterアカウント作り直しました。

原作3巻も終わり、次は四巻。あれ?士道は琴里が精霊って知らない気がするけど、どうしようか。
次回、東方希望録シーズン2!
ずれていく歯車。
俺達は次なる扉を開く。

感想、評価、お待ちしてます!ではでは!


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ズレていく歯車

夏が終わる……





人間関係は止まることを知らない。川の流れのように。あるいは雲の流れのように。はたまた、木から取れた林檎のように。落ちる所まで落ちていくのか。それとも───
東方希望録シーズン2、始まります。


…結局、あの後、俺達と士道たちの距離は少し開いただけに留まった。声をかければ答えてくれるし、一緒に飯を食うことも出来る。ただ、少しだけよそよそしい。

 

 

 

「"パワーソード,,!」

「"レーヴァテイン,,!」

剣が敵を切り裂き、炎剣が焼く。異変はとめどなく現れるものの、弱い。簡単になぎ払える。

「…ふぅいー。」

「おつかれ、白狼。」

「………ああ。」

「…白狼?」

「……」

俺はフランに声をかけられても答えられなかった。

「…はぁ。白狼。」

袖を思いっきり引っ張られることでやっと気づいた。

「のわっ!?あ、ああ…どうかしたか?」

「どうかしたか、じゃないよ……この前からずっとじゃない?立て続けに異変と戦ったり、士道くん達と話せなかったり…」

「……」

やはり、フランには筒抜けらしい。

「それが今の白狼の原因なんでしょ?」

「……」

肯定するか、否定するか…でも、筒抜けならば、正直隠しても意味は無い。

「…そうだよ。あいつらに少し距離取られてんのが…気になってる。」

「やっぱり。おかしいと思ったもん。でも巻き込みたくないって思ってるならちょうど良かったはずだけど?異変に関わらせたくないって、思ってたんでしょ?」

そう。俺はこの世界の人達に異変に関わって欲しくはない。元々、俺もフランも違う世界の住人だ。恐らく異変は灰人が何かを"使って,,呼び寄せたのだろう。そして、そのトリガーは、俺達が世界を渡った瞬間だ。つまり、俺達が異変を呼び寄せているようなものなのだ。だから、巻き込みたくないと思った。これは俺達が来たせいで起こったことだから。

「でも、学校でまで距離を取られるとは思ってなかった?」

それこそ嘘だ。あんな事を、自分のことを話せば、距離が生まれることは分かりきっていた。………ただ。

「予測はしてても、きついものはきついんだよ…」

俺達と士道達。その間の距離は、思った以上に広がったように思う。

俺達はそのまま、家まで帰る。幻想郷離れの出来ていない、紅魔館そっくりの家に。その、途中。

「白狼!」

声が、聞こえた。真っ直ぐ、こう決めたら貫くような、真っ直ぐな声が。振り返れば、

「し、どう………なんで…」

息を切らし、俺の元にたどり着くと膝に手を置き、肩で息をする士道。

「そ、れは…はぁ…お前に…謝らなきゃ……いけないから…」

「え……」

思考が止まった。謝る?apologies?なんで?

「謝ることなんて…」

「あるんだよ!お前が守ってくれてたのに、俺達は突き放した!お前の考えに、価値観に、異常性に触れて!怖いって思っちまった!」

胸に手を当て、必死に言う士道。

「そりゃ思うに決まってる。じゃなきゃ、俺は…」

「っ…確かに、おかしいって思うよ。自分のことを優先しなくて、他人のことばっかり。人助けのことしか頭にないのかって、心配だってした。」

そう。それが俺のやるべき事。希望として。俺自身がやりたいこととして。

「でも!違ったんだ!本当にやらなきゃいけないのは、協力することなんだ!」

「!?そ、れは…」

士道の言葉に、俺は目を丸くする。

「まて、おかしいだろそれ!なんで士道達が異変を攻略しようとするんだよ!だって、だってあれは…!」

「お前達が来たから発生した…か?」

「っ……」

「それこそ関係ない。確かに、白狼達は異世界から来た。でも、だから奴らが来たっていうのは分からないだろ?それに。」

士道はそこでひと呼吸置いて、真っ直ぐ、澄んだ目で俺を見据え、

「お前が俺達を助けてくれるように、俺達もお前やフランの力になりたいんだよ!」

「…それは…」

「俺達の問題だからって、壁を貼らせたりしない!だって、だったら、お前が俺達の問題に関わるのだっておかしなことになる!俺達はお前に感謝してる!助かったって、これからも一緒に頑張っていきたいって!だから、俺達にも()()()()()()を手伝わせてくれ!」

必死に、決死に、そう言った士道。

「………危険だぞ。下手したら精霊以上に。」

「分かってる。琴里たち〈ラタトスク〉の方で映像は見てる。」

「精霊はまだ心があるが、奴らにはない。容赦も、恩赦も、気まぐれもない。負ければ、ただ殺される。」

「そんな危険なものとの戦いを、白狼達だけに頼るわけにはいかない。」

決意は揺らがない。当然だ。だって俺は知っているのだ。物語の中心、主人公とは、得てしてそういうやつなのだと。どんなに警告したって、巻き込みたくないと言ったって、こういう主人公という存在は、構わず入り込み、

「なら──────頼む。」

心を、開かせてしまうのだから。

もう、後戻りはできない。俺達が入り込み、何者かによってずらされた歯車は、普通とは違う舞台を演出する。

少なくとも、それがあまりいいことではないのは、俺もフランも分かっていた。




ビルドが終わりましたね………
いやぁかっこよかった!ほんと好き!

赤き炎。
五年前を再現するかのように燃え盛る。
主人公(士道)は、果たして。
次回、東方希望録シーズン2。
"使われた,,想い
俺は彼と()()()する。

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"使われる,,炎
"使われた,,想い


お待たせしました…

使う。
英訳するとuse。
道具や物事を用いること。そして、何かを成すこと。しかし、人を使うとなれば、それは命令、使役を意味する。
それを、彼の妹は体験する。
東方希望録シーズン2、始まります。


事態は突然に、そしてとんでもないことになってやってきた。

「ちょ…琴里!ここ高校だぞ!?」

「そんなの関係ないのだ!私はおにーちゃんを愛しているのだからな!」

「……ええと。これ、どゆこと?」

いきなりのカオス。排水溝に紙の船を浮かべたくなるレベルである。あ、ペニーワイズはジョージになんかオススメしてて。

「!白狼!琴里を引き剥がすの手伝ってくれ!」

「いや……うん。いいと思うぞ?士道と琴里は義兄弟だからな。結婚だってできるし…」

「いやお前何言ってんの!?」

「だって白狼だと馬に蹴られるからね…」

「じゃあフラン!」

「いやよ。私だって蹴られたくないもの。」

味方のいない士道だが、フランの次の言葉には従わざるを得なくなる。

「まぁでも、いつまでも言うことを聞かない義妹っていうのが、いつまでも兄に嫌われないとも限らないけどね。」

この言葉には流石に琴里も効いたらしく、渋々といったように離れる。

「ふぅ…琴里、お前も学校だろう?さ、行くんだ。」

「……うん。」

琴里の様子は明らかにおかしい。誰かにでも操られているのだろうか。それに、如何に白いリボンの琴里とはいえ、人前であんなにデレるだろうか。……おかしい。俺はこの状況に、酷く懐疑的になっていた。

「……白狼?」

「……あ、いや、なんでもない。さ、遅れないように早く行こう。」

 

 

 

 

 

 

放課後。

士道に呼ばれた俺は、五河家に向かった。

「よく来たな、白狼。」

「いや。俺も琴里の状態に関しては気になるところがあったからな。」

挨拶もそこそこに切り上げ、居間に入る。すると琴里はぱっと顔を明るくして兄に突撃してきた。

「おにーちゃーん!」

「けふっ!?」

「あっはは!けふだって!古典かな?」

腹に頭突きをくらった士道はよろけつつも耐える。俺はその脇をすり抜け琴里の頭にそっと触れる。

「…?白狼?」

「少し失礼。」

霊力を解放し、琴里の体に霊力が無いか調べる。いや、元々琴里には霊力があるものなのだが、今俺が調べているのは外部的な介入の跡がないかだ。調べると、案の定、あった。

「琴里、士道、とりあえず座って聞いてくれ。」

「あ、ああ…」

「うん。」

あ、ちなみに、フランは先に帰っている。……で、座ってもらったところで説明を始める。

「結論から言うと、すまん、今の琴里の状態は俺の親友の所為だ。」

「…?白狼の…?」

「ああ。俺は親友の一人から"壊す,,力を受け継いでる。で、一族秘伝の力として、"創る,,力を受け継いでる。今回琴里に使われたのは、その間に位置するもの。名は────"使う程度の能力,,。奴は、琴里の思いに触れ、その思いを"使って,,、ブースト。今の状態を作り出した。」

「"使う,,…能力…」

まぁ、どう考えても昼地灰人の能力なのだが、士道達を巻き込むつもりも無いし、巻き込まれたくないだろう。………いや、もう既に巻き込んでしまっているのだけれど。

「悪いな。すぐにそれを"壊す,,から。」

「……やだ。」

「え?」

突然、琴里が走り出した。

「な…」

「ちょ、琴里!?」

琴里は答えることなく外へ飛び出した。

「……どうしたんだ…」

「…わからん。だが、追わなきゃいけないのは確かだな。」

俺たちはすぐに琴里を追いかけた。




だいぶ開けてしまいました……


琴里が"使われた,,まま。この状況は非常にまずい。どうにか、奴の能力の干渉を"壊さない,,と…
次回、東方希望録シーズン2。
灼爛殲鬼(カマエル)、"使用(ユーズ),,
俺は"壊す,,為に手を伸ばす。

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灼爛殲鬼(カマエル)〉、"使用,,(ユーズ)

さて、ここからは普通のデート・ア・ライブとは思わないでいただきたい!…と言いたいけど、時折原作通りになるからなぁ…



昼地灰人を止める為。
五河琴里を助ける為。
目的は多くて、手段は一つしかなくて。
東方希望録シーズン2、始まります。


五河琴里は士道が好きだ。それは間違いない。間違いないのだが、彼女はそんなにそれを表に出したりはしない。それも人前で。白いリボンを付けた時は少し表に出るものの、人前で出すことはやはり少ない。黒いリボンで出すなどありえない。それなのに。

「士道、来なさい。」

「琴里…」

「………」

目にハイライトがない。"使われている,,証拠だ。

「どうするの?白狼…」

壊す右手(クラッシュ・ライト)で琴里に触れられれば大丈夫だが、警戒されているからな…灰人に。」

「………」

ちらりと、俺と琴里…いや、灰人の視線が交差する。つまらない、といった顔だった。お前はそんなんじゃないだろうと、言われているような…

「…フラン。貴女もよ。」

「…私も?」

琴里(灰人)はフランも連れて外へ出る。放っておくことも出来ないため、付いていく。

 

 

 

 

 

近くの公園まで歩き、琴里(灰人)が止まる。

「…五河士道。」

「…え?」

琴里(灰人)がフルネームで士道の名を呼んだ。まるで別人にでもなったかのような、そんな呼び方。

「ど、どうしたんだよ…琴里…?」

「っふふ。鈍いですねぇ。そんなのだから五河琴里から何度も蹴られたりするのですよ。」

瞬間、目の前が爆ぜた。

「っ!?」

士道が一瞬目を覆う。そして、光が収まると同時、次に熱さが襲った。

「っ熱……」

「ふむ…なかなかいい力ですね。〈灼爛殲鬼(カマエル)〉と言うのですか。」

「っお前…琴里じゃないな…!」

士道が琴里が誰かに操られているのを理解すると同時に、空間震警報が鳴り響く。琴里(灰人)の霊力に反応したのだろう。

「さて、五河士道。貴方を殺すのは後です。その前に…」

琴里(灰人)はこちらを、フランを睨み、

「フランドール・スカーレット。貴女です。」

底冷えするような声で、そう言った。

「フランを…?」

「ええ。夜月白狼。貴方を堕とした張本人を、跡形もなく燃やし尽くします。」

そう言うと、琴里(灰人)は手を掲げ、その名を呼ぶ。

神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)。」

瞬間、琴里(灰人)の身体に炎がまとわりつき、その身を霊装へと変えていく。

「っ!?琴里!」

「待て士道!アレは…!」

「ふふ…これが完全なる精霊の力…」

「…白狼、どうする?応戦はできるけど。」

灼爛殲鬼(カマエル)〉を手で弄ぶ琴里(灰人)を睨み、フランは言う。

「ま…待ってくれ!アレは身体は琴里なんだろ!?フランが能力を使ったら!」

「使わないよ。それは絶対にしないから。安心して。でも、このままでもいけないでしょ。」

「作戦は決まりましたか?では…行きますよ!」

大きな戦斧を手にフランに襲いかかる琴里(灰人)

「!禁忌"レーヴァテイン,,!」

それを察知すると同時にフランも霊力を解放。炎剣を呼び出し、振り下ろされる戦斧を受け止める。

「ほう…やはり悪魔の妹と呼ばれるだけはありますね。天使の一撃を受け止めますか。」

「あまり私を見くびらない方がいいわよ?世界の先にいるあなたまで焼き尽くすかもしれないから。」

フランがそう言うと同時に、四人に分身する。

「フランが四人に…!?」

「禁忌"フォーオブアカインド,,。フランのスペルのひとつだ。あれがある限り、フランの人数的優位は揺るがない。」

しかし、琴里(灰人)の余裕が消える様子はない。

「ふふ…人数が増えれば勝てるとでも…?」

「…どういう事かしら?」

「すぐにお見せしますよ、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉!」

琴里(灰人)の声に呼応し、戦斧から炎が吹き出し、勢いが増す。

「っ!」

「フラン!」

霊力を一気に解放。間に入ろうとするも、

「来ないで!」

「っ…でも!」

「私は大丈夫だから!とりあえず琴里ちゃんを抑える!」

フランは言って、レーヴァテインにさらに霊力を送り、負けじと勢いを増す。

「む…やりますね。しかし…」

「させないよ。禁忌”カゴメカゴメ,,。」

琴里(灰人)が何か仕掛けようとするものを、フランは弾幕を張ることで封じる。

「チッ…厄介な!」

「ふふ…もっともっと楽しませてね?」

「……」

はたから見ればフランが有利に見えるこの状況。しかし俺は、不安をぬぐえずにいた。

「…だめだフラン…灰人相手にいろいろだしたら…」

「遅いですよ。夜月白狼。忠告は戦う前でなければ。…”凶化使用(バーサクユーズ),,。」

琴里(灰人)が手を掲げる。すると、辺りの風が強くなる。

「っ!?」

「自分の弾幕を食らうと良いです。」

風によって運ばれた弾幕は、本体のフランに殺到する―――

「きゃあああああ!」

弾幕が炸裂し、煙でなにも見えなくなる。しかし、すぐに煙は晴れる。

「全く…せっかくのスペルがブレイクしちゃったじゃない。」

そこに立っていたのは、無傷のフラン。どうやら他の分身体が盾となったようだ。

「フラン!」

「士道君。止めないでね?私今、すごく楽しいんだから。」

フランの目は何時もよりも紅く、妖しげに揺らめいていた。

「”壊す右手(クラッシュ・ライト),,。」

密かに灰人の”使用(ユーズ),,を”壊す,,為に、スペルを使いつつ、フランを見守る。

「なぁ、白狼…」

「なんだよ。」

「…大丈夫だよな?」

「おいおい。俺の恋人が信じられないってのか?フランも精霊と同レベルで人間やめてんだぞ?吸血鬼だし。」

「でも!あの力は…!」

士道の不安を俺は笑って、

「安心しろよ。すぐに取り返してやる。」

俺は右手を握りしめ、笑った。




11月が待ち遠しい…

灰人。お前が何を思ってこんなことをしたのかは知らない。でも、すぐに辞めさせる。この右手で!次回、東方希望録シーズン2!
お前の、その能力(げんそう)をぶち壊す!
俺は琴里へ手を伸ばす。

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お前の、その能力(げんそう)をぶち壊す!

使う。
それは、何かを手に取り、何かをそれと共に成すこと。
しかし、その何かは、使っていくごとに摩耗し、消耗し、最後には壊れる。
東方希望録シーズン2、始まります。


目の前で、炎が炎を焼く音がする。

「ふっ!」

「やあっ!」

振るわれる戦斧と炎剣。何度もぶつかっては火花を散らし、決定打を与えることは出来ない。

「…フラン…琴里…!」

士道はどうすることも出来ずに拳を握りしめ、歯をくいしばる。この状況をひっくり返せるのは、もちろん、

「…俺、だけだな…」

右手を見つつ、呟く。もう"壊す右手(クラッシュ・ライト),,は起動した。あとは、隙を見つけて琴里に触れ、灰人の"使用(ユーズ),,を"壊す,,だけだ。

「…」

しっかりと、瞬きすらしないようにして、戦闘を見る。

「全く…しつこいですね!」

「そっちこそ!琴里ちゃんの体…返してもらう!」

もう何度目かの衝突。その時、琴里の体が大きく弾き飛ばされた。

「っ!?しまっ!」

「!今だ!」

瞬間、俺は走り出した。間に合うかどうかは分からなかった。けれど、ここしかない、と思った。

「うおおおおおっ!」

右手を伸ばし、琴里の額に手を伸ばし─────

「ぶっ壊れろォ!」

パリン、と能力を"壊した,,。

「っ!?く…やってくれましたね…夜月白狼。」

戦斧を落とし、頭を抱える琴里。

「……すぐにお前のとこに行ってやるよ。だから待ってろ、灰人。」

「…その"壊す,,力、"創る,,力…二つとも、いただきます…絶対に、ね…」

最後にそう言い残し、灰人は琴里の体から出て行った。力を失い、その場に崩れ落ちていく琴里を、今度は士道が走って受け止める。

「琴里!おい琴里!」

士道が琴里の体を軽く揺らすと、琴里はゆっくりと目を開ける。

「う……私…どうして…」

「灰人ってやつに"使われた,,んだ…そうだよな、白狼?」

「ああ。フランや俺、士道でどうにか助けられたよ…」

にへら、と苦笑する俺。

「俺は何も出来てないだろ…でも、元に戻ってよかった…」

士道がほっと胸をなでおろした、その瞬間、声が響いた。

「そこの民間人!何してるの、早く逃げなさい!」

空から聞こえる女性の声。

「!AST!?なんで…」

「士道、忘れたか?灰人が霊装や天使を使う時、霊力が現れる。そりゃあ警報鳴って、AST来るだろ。」

ちなみに、俺やフランも解放しているため、もちろんここでは精霊扱いだ。

「炎の精霊……〈イフリート〉!」

そして、ASTの中でも、十香に匹敵する戦闘力を持つ折紙。早くも〈イフリート〉の情報を得ているようで、琴里に対して憎悪の目を向けている。

「ち…士道、琴里とフラン連れて逃げろ。」

「!?白狼!?」

「…私には遊ばせてくれないの?」

「お前と琴里が消耗してるだろ?とりあえず、俺の事はいいからさっさと退け。」

さらに霊力を解放し、ASTと琴里の間に立つ。

「よぉ、探してんのは俺だろ?相手してやるよ。」

「精霊って…喋れるのね…」

「は。お前らが知らなすぎんだよ。精霊っつったって、元は…いや、よそう。」

ネタバレは良くない。そう思いなおし、拳を向け、

「来いよ。殺したきゃ、撃たなきゃ殺せねえぞ?」

不敵に笑って、言い放った。




とりあえず琴里は開放した。あとは、どうやってここを乗り切るかな…
次回!東方希望録シーズン2!
魔女に連れられ
俺は魔女に手を伸ばす。

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魔女の想い、俺の返事。

お久しぶりです……



魔女。
魔法を使い、悪をなしたり、善を成したりする。
しかし、魔女という、普通の人間とは違う存在は、セイレムのように、迫害される。それは、精霊という、元は●●であったものでも、変わらないようだ…
東方希望録シーズン2、始まります…


「"パワーソード,,!」

力の剣を手に、ASTに向かって突撃する。

「総員散開!近くに寄ると死ぬわよ!」

しかし、向こうも戦闘の経験はそれなりにある。近距離武器への対処法をよく心得ている。散り散りになり、マシンガンやら光弾やらが飛び交う。

「だが、離れとけば絶対に安全だと思ってるあたり、甘いぜ。"スピードダガー,,in my leg!」

俺は一本の短剣を足に溶け込ませ、地を蹴る。すると直ぐにASTとの距離が縮まる。

「っ!?な…」

「速さが足りないな?」

「くっ…」

「そら、殺しはしないから地面に落ちな!」

顕現装置(リアライザ)目掛けて剣を振り下ろす俺。しかし、横から入ったレイザーブレイドにそれを止められる。

「〈ホープ〉…貴方の好きにはさせない。」

「鳶一折紙…だったか。俺の剣を止めたのは褒めてやる。だがな、この剣に、鍔迫り合いは無謀だぜ!」

クンッ!と少し力を入れただけで折紙のレイザーブレイドは飛んでいく。

「なっ!?く…」

「パワーソードってのは力を司る。人間の力で鍔迫り合いなんて出来ねぇよ。」

そのまま剣をふり抜く。しかし、折紙は上体を逸らし、髪の毛先を少し散らす程度に被害を留める。そしてそのままバク転。俺の足元から折紙の踵が飛んでくる。

「っと。ぶねぇな。」

俺はそれをバックステップすることで躱す。そして、躱した先に銃弾の雨が降り注ぐ。

「!"ドラゴンシールド,,!」

盾を創り、銃弾を防ぐ。しかし、止まっているため、折紙に隙を見せることになってしまう。

「!今!」

「ち…!"創世眼(ザ・クリエイティブ・アイズ),,!」

まぁ、それも突くことの出来ない隙ならば意味は無いのだが。迫り来るレイザーブレイド。正確に首元を狙っているその斬撃が───────ピタリと、止まった。

「─────」

折紙は気づいていない。気づけない。

「"創・時(クリエイト・タイム),,。今この時間は、俺だけが動け、認識できるというルールを帯びた時間。それを俺は創造した。…まぁ、消費霊力が馬鹿にならないってのが弱点だがな。」

一人で語ってみても、認識できる者はいない。

「おっと。まぁわかりやすく言うなら────世界(ザ・ワールド)!俺だけの時間だぜ。って感じか。」

苦笑しつつ、俺はその場を離れる。そうして、十分離れた所で、

「そして時は通り過ぎる。」

瞬間、世界に色が戻った。

「っ!?」

折紙は目の前から俺が消えた事に驚き、

「馬鹿な…消失(ロスト)…!?」

ASTの隊員達も、突然の事に混乱する。俺はその時には霊力を収める。…

「なんでアンタがここに居るのよ。」

なぜか、隣には七罪がいるのだが。

「それはこっちのセリフだぜ…」

ため息混じりに俺は答える。七罪の姿は人前に現れる時のあのお姉さんスタイルではなく、真の姿である、小柄な少女スタイルであった。

「…ASTにでも追われてたの?」

「ま、そんなとこだよ。ゴタゴタしててな。霊力を解放してたから追われちまった。」

「はぁ…でも、私も霊力出しっぱなしよ?」

と、七罪は気になることを言った。

「…あれ、なんでだろ…」

「私に聞かれても困るわよ……」

七罪は呆れ気味に言った。

「で、どうするの?これから。」

「あー…とりあえず帰らねぇとな。フランもいるし。」

「ふぅん…やっぱり私なんかと一緒じゃつまんないわよね。そうよね!」

と、七罪は言い出した。

「いや、そういうつもりで言ったんじゃねぇよ!フランだって霊力持ちなんだ、ASTに追われてる可能性だってあるんだよ。」

「そりゃあ…そうだけど…」

「…どこか連れていきたいとこでもあるのか?」

帽子のつばを押さえる七罪の顔を覗き込もうとするが、

「べ、別に!どこでも行けばいいじゃない!」

「えぇ…(困惑)」

と、このように顔ごと逸らされてしまうのだった。

「あ、いた!白狼!」

「!フラン!」

建物の陰から走ってきたフランを見つけ、合流する。話を聞くに、一応琴里の案件は終わったようだった。

「それにしても、また七罪ちゃんと会うとはね。」

「ああ。ま、良かったよ。元気そうで。」

「な、なによ…こんな私を気にかけてなんになるって言うのよ…」

相変わらずのネガティブさだった。だがまぁ、それを解消するのは士道の役目であって、俺の役目ではない。

「いや、無関係だったならまだしも、もう関わりあっちまったからな。さすがに何かあったら見捨てらんねぇよ。」

にへら、と笑う俺。フランは呆れ顔で、

「そんなこと言って、いつも誰彼構わず助けるくせに。」

「それは希望としての性だからな。仕方ない。」

「ちゃんと自分のことも気にかけてよ?」

「分かってるよ。」

と、こんな風に打てば響くような会話をしていると、七罪はむくれた顔をしていた。

「…七罪?」

「むうう…」

「な、なんだよ…」

俺は訳が分からず、困惑したままだった。

「白狼のバカ!SNSで炎上すればいいのに!」

「精霊なのに妙に現代慣れしてんなおい!」

七罪の叫びにツッコミを入れる。

「あー…白狼鈍感だからなぁ…悪意とかには敏感な癖にね…」

フランが何かをつぶやくも、俺には聞こえていなかった。三人で話しながらではあるものの、それなりに長い時間歩いた為、家に着いてしまった。

「あ、俺ん家着いちまったな。」

「…相変わらずでかいわね。」

七罪は紅く窓の少ない洋館を見上げる。

「いつまでも故郷離れが出来ないんだよなぁ…」

苦笑しつつ、俺は自宅へと入る。リビングへ一直線し、ソファに腰かける。

「…ふぅ、お疲れ様、二人とも。」

ふにゃりと俺達に笑いかけるフラン。

「おう。お疲れ。」

「お、お疲れ…」

フランは直ぐに冷蔵庫へと駆けていく。

「…元気ね。フランは。」

「そりゃ、取り柄のひとつだからな。」

「…士道たちとの話を聞いていたけど、恋人、なんでしょ?」

「ああ。行き着くまで長かったけどな。」

俺はラノベを読みつつ、こちらをじっと見続ける七罪の質問に答えていく。

「…私、嬉しかったの。」

「…」

「あの日、白狼の言う"異変,,が街を襲ったあの日、今まで誰も私を見てくれなかった。あの日も、そうなんだって思ってた。でも、違った。」

七罪は立ち上がると、俺からラノベをすっと奪い、ご丁寧に栞を挟み、俺の手を握って言った。

「貴方は私を見てくれた。贋造魔女(ハニエル)を使っていない、本物の私を。」

じっと。頬を紅く染めて俺に語りかける七罪。

「あの日が偶然お前が贋造魔女(ハニエル)使ってなかっただけだろ?」

少しからかうような口ぶりで俺は逃げる。

「そうかもね。確かに、一日前後にズレただけで、私はきっとここにいない。それか、未だに偽りの私を晒していたわ。でも、あの日に出会ったのよ。他でもない、本当の私が出ている時に。」

ああ、この流れはまずい。段々と察していく。きっとこれは、流れというものを大きく揺らがせてしまう。だから、そうさせないために、俺は口を開く。

「七罪。その先を言っても意味が無いことくらい、お前はわかっているはずだ。」

七罪が俺の目を見て言うように、俺も七罪の目を見て話す。

「っ…」

「俺にはフランがいる。大切な人として。傷つけたくない人として。それは七罪。お前もなんだよ。その先を言えばきっと、俺達はかなり大きな傷を負うことになる。」

「っじゃあ!この気持ちはどうしたらいいって言うのよ!私を見てくれるのはあなたしか居ないの!あの銀の短髪は射殺すような目をするし、あの青髪だって、心の中じゃ私をどう思ってるかわかんない!白狼しかいないの!私が心から信頼できるのは!」

その双眸から、大粒の涙を溢れさせて。七罪はそう叫んだ。きっと、フランにも聞こえているのだろう。あとから説教確定か、と思いつつ、俺は七罪になんと答えるか考えていた。手を出したのは俺だ。あの日、七罪を助けずに"異変,,を倒していれば、こうなってはいない。きっとそのうち士道と出会い、心を開いていただろう。だが、確証はない。"異変,,によって殺されていたかもしれない。何にせよ、助けたことに後悔はない。だが、流れを大きく変えた影響がこうやってやってきたならば、いけないとわかっていても考えてしまう。

『この子がこうなったのは俺が助けたからではないか?』と。

実際そうなのだろう。ならば、責任はとらねばなるまい。

「七罪。俺とフランは別の世界から来た。それは前にも言ったよな?」

「…うん。」

「つまり、俺達はいずれこの世界を去る。そういう運命だ。」

「…ついてく。」

「本気か?」

「本気よ。」

「知らない奴らばっかりだぞ?」

「この世界でだって変わらないわ。」

「この世界以上に危険な世界だってあるかもしれないぞ?」

まどマギとか。

「白狼が何とかしてくれるんでしょう?」

「俺任せかよ!まぁやるが…」

「…嫌なら嫌って、ちゃんと言いなさいよ…」

「…悪い。けど、流れってやつを大きく壊すことになるから…」

「…」

ああ、俺はきっと、最低なことをやろうとしている。

「…"壊す右手,,(クラッシュ・ライト)。」

俺は狂華達にやられたことを、今度は七罪にやろうとしている。

「…嫌。嫌よ…私は、この記憶を"壊され,,たくない!失いたくない!絶対に…!」

七罪は直ぐに察知したのか、家から出ていく。

「………俺、は……」

「全く。バカ白狼。()()は流石に無いよ。」

フランは俺の右手を見て言う。

「…まぁ、私を第一に考えてくれるのは嬉しかったけどね。」

…一体、何が正解だったのだろうか。月のように白い髪に混じる黒い髪を撫でつつ、俺は天井を見上げた。

「…あ。テスト終わったから次は修学旅行だね。」

…悩み事は増えることはあっても、減ることは無いらしい。




大変待たせましたぁ!
なり垢やリアルが忙しく、色々書けませんでした…
だんだんと何がしたかったのか忘れていくのほんと怖い…


七罪との件は有耶無耶なまま、俺達は修学旅行へと向かう。
そこでまた、俺達は精霊に出会う。
次回、東方希望録、シーズン2!
白狼の髪ってそんな美竹さんみたいだったっけ?
俺はようやく気づかれる。


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白狼の髪ってそんなに美竹さんみたいだったっけ?

ジオウトリニティカッコイイな…まぁ最近ウォズのせいでネタフォーム感あるけど。

修学旅行。
学生達からすれば学校での大きな思い出のひとつになる。
それは、行き先に偶然通りかかった2つの嵐にとっても、変わらないのかもしれない。
東方希望録、始まります。


「楽しみだね、白狼。」

「まぁ、そうだな…」

飛行機前。俺とフランはそんな話をしていた。四糸乃や七罪はどうしているかは分からないが、多分元気にしているだろう。

「白狼!フラン!おはようだ!」

「ちゃろー。」

「ちゃろー?とはなんだ?新しい挨拶か?」

「白狼、十香ちゃんに変なネタ仕込まないでね?」

ゆずソフトはいいぞ。(唐突な布教)

「全く……?白狼、その黒メッシュみたいなのは何?ついに不良にでもなったのかしら?」

「は…?いや、髪染めには興味はないが…」

「む?確かに、白狼、1部分の髪だけ黒いぞ?」

と、十香が手鏡を手渡してくる。受け取って確認すると、確かに一部分だけ白い髪が()()()()()()()()()黒く染まっていた。

「…なんで…」

「いや、私に聞かれても…心当たりはないの?」

「あるわけねぇよ…」

しかし、見覚えのある黒髪だった。心のどこかできっと()()()のものだろうと見切りをつけ、

「まぁそれはともかく、早く点呼受けて乗ろうぜ?」

「……分かった。」

フランはしぶしぶ、と言ったように頷いた。その後、士道とも合流し、皆で点呼を受け、飛行機へと搭乗する。

「…久しぶりですね。〈ホープ〉。」

その、扉の前。スーツにカメラを携えたエレン・M・メイザースが立っていた。そう。彼女はこの修学旅行にて、カメラマンとして来禅高校に潜入してくるのだ。

「まさかの潜入だなおい…」

「何か?」

「ヴェ!マリモ!」

エレンの鋭い目から視線を逸らし、そそくさと飛行機に乗る。エレンも目立つようなことはしたくないらしく、飛行機での移動中、仕掛けてくるようなことは無かった。

或美島に着陸し、外へ出る。士道、十香、フラン、そして俺。四人は旅館へ向かう最中、突風に見舞われる。

「ち…なんて風だよ…!」

「ほんとだよ…かなり強いな…!」

真っ直ぐ歩くのもきついほどの風圧。ふと、ゴミ箱が宙を舞い、十香の頭にヒットする。

「むぐっ!?」

「ちょ、十香ちゃん!?」

フランが倒れそうになる十香を支える。

「士道!十香がやばい!背負ってやれ!」

「あ、おう!」

士道はすぐさま十香を背負い歩く。しかし、風は一向に止む気配がは無い。当然だ。

「…!?あれは…!?」

士道の見る先。風邪が大きく吹き荒ぶその中心。そこには

「はああああっ!」

「突進。ていやー。」

瓜二つの姉妹が槍とペンデュラムを手に争っていた。

「な…精霊…!?」

「だな。霊力を感じるぜ。しっかしまぁ…かなり瓜二つだな…」

「姉妹なのかな?」

士道は戸惑うが、俺やフランは平然と戦いを見る。どちらも互角。まぁ、事情を知っている俺からすれば当然だと思うが。

「ぐ……く…!」

必死に足を踏みとどまらせている士道だが、このままでは吹き飛んでしまいそうだった。

「仕方ない。雷符【ライトニングストライク】。」

指先から電撃を二人の間に飛ばす。バヂィッ!と青い光が二人の間を駆ける。

「「っ!?」」

2人はその瞬間、手を止めた。それと同時に、風も止んだ。

「…何者だ?神聖なる八舞の決闘を邪魔したのは!場合によってはタダでは済まさんぞ!」

「憤慨。一体何のつもりですか。」

と、瓜二つの姉妹はこちらを睨みつける。下手なことを言うと襲われそうだった。

「いやな、ここで戦われると迷惑なんだよ。主に俺らの修学旅行的な意味で。」

と、サラリと言う俺に士道は泡を食ったように

「お、おいそんな言い方!」

「だが事実だ。」

「ふん。矮小なる人間どもの小さな催しなど、八舞には関係ないわ!」

と、耶倶矢が鼻を鳴らす。その言葉は、少しばかり我慢がならなかった。

「ほう…?」

「っ…!?白狼!?」

ドウッ!と霊力を解放する。

「確かに、精霊の持つ力は絶大だ。人間の営みなんて簡単に破壊できてしまう。だが、だからといって軽く見ていい理由にはならねぇぞ?どうしてもこのままやるって言うなら……」

俺はできるだけ威圧するように耶倶矢を睨み、

「俺が二人とも切り伏せる。」

「っ…ほう?それは我ら八舞への挑戦ととってもよいのか?」

「警告。怪我では済まない可能性がありますよ?」

「知るか。ここで修学旅行潰される方が嫌だわ。」

一触即発。そんな空気の中、一人の声が響く。

「五河くーん!夜刀神さーん!夜月くーん!フランさーん!どーこですかー!?」

間延びした、ほんわかするような声。

「え、まさか…タマちゃん先生!?」

「うそ、なんで外出てるの!?」

「ぬ…?」

「困惑。一体何なのですか…」

「…はぁ。とりあえず、そこの姉妹2人もついてこい。戦おうとしたらぶちのめす。」

「し、白狼も挑発するなよ!早く行くぞ!」

士道は焦ったように声を上げ、旅館の前の先生の元へ走る。

「…はぁ。ごめんね、うちの白狼が。悪い人じゃないから、ついてきてくれないかな?」

フランの一言で、この空気はお流れになり、姉妹と俺らは旅館へと向かったのだった。




久しぶりに書けた…なり垢位でしか白狼のやつ書かないからなぁ…

俺とフランが入るとやっぱりどこかが歪む。異変があることも関わりはあるだろうが、俺ら自身も歪みを作っているのだと思う。けれど、その歪みを乗り越えて、より良い終わりを迎えられるようにする。それが、俺の目標…とりあえず、今はあの姉妹だ!
次回、東方希望録シーズン2!
デレさせたほうの、勝ち!
俺は空へ手を伸ばす。


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デレさせたほうの、勝ち!

お久しぶりです…忘れてたわけじゃないんですが、どうしても続きを紡ぐことが難しく、何とかひねり出しました。

囁告篇帙のせいでやばい事になるんじゃないかと思う今日この頃。

兄弟、姉妹。血を分けた親よりも歳の近い家族の関係。
時に支え合い、時に罵りあい、時に傷つけ合う。
けれど根底にある家族愛、兄弟愛は、滅多なことでは揺らがない。
東方希望録 シーズン2、始まります。


「くっくっく…貴様、見ているなっ!」

ビシィ!と虚空に指を指し、逆の手を顔を覆うようにポーズを決める耶倶矢。

「な、何をしてるんだ…?」

「説明。耶倶矢のいつもの発作です、お気になさらないでください。」

その様子を見て困惑する士道に、夕弦は説明する。しかし耶倶矢はそれに食ってかかる。

「発作言うなー!」

「で、実際何に指さしたの?」

「うええっ!?あ、いや、それはその………ふん!貴様には見えなんだか、紅き少女よ!」

フランの指摘に耶倶矢はタジタジになるも、何とか乗り切る。

なんとも騒がしい行軍になったが、なんとか旅館が見えて来た頃。

「あ、そうだ。おい士道。」

「うん?どうしたんだ白狼?」

十香を背負ったままキョトンとする士道。

「お前、この後どうするつもりだ?旅館に入れるのは良いが、この2人霊装のままだし。学校だって把握してないだろ。」

「…あ、やべぇ…」

どうやらノープランだったらしい。

「仕方ない。〈フラクシナス〉に連絡して、指示を仰ぐのがいいんじゃねぇか?」

「そ、そうだな!悪い、ちょっと行ってくる!」

士道は慌ててインカムを使い〈フラクシナス〉に連絡を取り始めた。

「で、耶倶矢と夕弦は霊装じゃなくてうちの制服を真似てくれ。」

「む?何故だ?」

「うちの学校の学生として行動してもらった方が、やりやすいんだよ。」

「ふむ…そうか。ならば…っ!」

「了承。承りました。」

2人は俺の言葉に頷くと高校の制服に姿を変えた。セーラー姿ではなく、カーディガンを着ているあたり、アレンジがされている。

「あ、夜月くん!良かった、無事に来れたんですね!」

「岡峰先生、ご心配をおかけしました。五河とフラン、夜刀神さんも連れて来れてます。」

「それは良かったです!…と、こちらは…?」

「あー…えっと…」

岡峰先生がタイミングよく…いや、悪くやって来てしまった。何とか八舞姉妹の説明をしようと試みるも、うまい言葉が出てこない。

「すまない、岡峰先生。彼女たちは今日からやってくることになった転入生でね。」

と、ここで助け舟が来た。眠そうな声で話すのは村雨令音さんだ。

「村雨先生!そうだったんですか?初耳なんですけど…」

「突然決まってしまったことでね。連絡が遅れてしまい済まない。顔なじみということもあり、夜月くん達に同行をお願いしていたんだ。」

「そういうことだったんですね!分かりました!ではえーと…」

「ふふん!我は颶風の御子、八舞耶倶矢なり!」

「自称。八舞夕弦と申します。」

2人は先生が相手だと分かると自己流ではあるものの挨拶をしてくれた。これならばやりやすい。

「2人は姉妹さんなんですね!お部屋、大丈夫でしょうか…」

「ああ、心配いらないさ。用意は済ませている。説明をするから、八舞姉妹はこちらへ来てくれるかな。」

玲音先生は2人を呼び、別室へと入っていった。

「やれやれ…まぁとりあえず、これで1段階めは終わりか…」

「それで、ここからは?」

俺のつぶやきにフランが反応する。

「多分、八舞の争いに巻き込まれるだろうな。勝ったり負けたりを繰り返して百戦錬磨だからな、文字通り。」

「え、そんなに戦ってるの?」

「とは言っても、俺らで言う弾幕ごっこ一辺倒じゃない。麻雀もやったろうし、カードにレース…内容は様々さ。」

「なんていうか…仲良い?」

「ふふ、さてな。」

この世界にあれほど息の合う、互いを思いあっている姉妹はいるのだろうかと思いつつも、やはり話の後に士道を審判としたデレさせ勝負の開始を聞くのだった。




はい、4年間で色々変わりましたね…特撮で言えばギーツも終わりましたし、リアルなことで言えば就職をしました…

ずっとなり垢で活動していたことで、書かなくてもいいんじゃないかと思うようになり、筆が止まっていました。しかし、4年もたった今日、続きを待っているとの声をいただき、それならばとまた筆を取り、この話を最後まで書ききれました。感想の力ってすげー…と。

様々な勝負をしながらも、決して相手を傷つけようとせず、互いが互いを生かすための殺し合い。そんな悲しい争いは忘れるに限る。
俺か?俺の名は…………その言葉を、お前は信じるか?
次回 デート・ア・ライブver.hope!
八舞:Ⅱ 願いを言え
俺は力に手を伸ばす。


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