馬鹿と??と「おるたな」なガーゴイル。 (亜莉守)
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人物紹介

??になっている部分は本編でキャラが出た時点で解放します。
随時更新予定。


吉井 明久

・主人公

・『複合学師』を名乗る謎の少年。

・一年の頃は学年一のバカと呼ばれるほど成績が悪かった。しかし二年で挽回、Aクラスに行った。

・鳥屋のバイト(時々)

 

 

木下 優子

・ヒロイン

・明久と出会って裏の学問の戦いに巻き込まれていく。

・明久に惹かれている。

・メインはサポート担当、本人は気が付いていないがパソコン関係にかなり強い。

・鳥屋のバイト(時々)

 

 

木下 秀吉

・木下い…いや、弟

・性別を認識しているのは一部のみ、最近は教師すら女と認識しだしている。

・奇跡なのかAクラス入りした。

 

 

吉井 明奈

・Fクラス→Gクラス

・明久義妹

・原作明久ポジション

・恋する乙女・・・・だと良いね?

・なんか変な物を持ち歩いてる。

召喚師(サモナー)というあだ名が付く。

 

 

坂本 雄二

・Fクラス代表→Gクラス代表

錬金術師(アルケミスト)…多分最年少

・鳥屋バイトその1

 

 

吉井 明葉

・Fクラス→Gクラス

・明久義弟

・探偵物好き。

・五ヶ国語くらい(会話だけ)いける。

・変な物持ち歩いている。

 

 

島田 美波

・Fクラス→Gクラス

・ここでは暴力無しで

・明葉に片思い。

・奥手っ子

 

 

姫路 瑞希

・Fクラス→Gクラス

・ほとんど変わりないよ?……多分。

・明奈の幼馴染

 

 

土屋 ??

・Fクラス→Gクラス

寡黙な性職者(ムッツリーニ)は健在。

 

 

須川 亮

・Fクラス→Gクラス

・吉井姉弟とは昔からの仲、二人が東宮になった事情も知っている。

・別にFFF団の団長とかやってない。

・Aクラスへの殴り込みには巻き添えで向かう羽目になった。

 



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プロローグ

始まりを表すのならあの一晩を言うのだろう。

 

入学式も終わって少し学校に慣れだした。ある夜の事、あたしは何か棒のようなものを拾った。

そして、何者かに追われて命の危機に瀕した。

そんなときに目の前に現れたのが………

 

「大丈夫? 君」

 

茶色の髪にねじが外れたような雰囲気、綺麗なハニーブラウンの瞳の彼だった。

場違いな雰囲気にあっけにとられるあたしを放って目の前に居る敵を見据えた。

 

「こんなかわいい女の子を襲うなんてどうかしてるよ。姉さんが相手してたミズチじゃあるまいし……」

 

呆れて頭を振った彼が目の前の敵を睨みつける。

すると敵がちょっとひるんだように後ろへと下がった。

 

「御免ね、出張ってもらっちゃってさ。ガー助!」

『おうよ!』

 

空から注連縄を付けた黒い何かが飛んできた。一体何が?

黒い何かが口を開けてビームを発射した。見る見る間に敵が凍りついた。

 

「よし、大丈夫だね」

『つか、このじょーちゃんどうすんだよ』

 

しゃべった。大きめなカラスの人形よねどうやったらこんな技術ができるのよ。

 

「あ、そうだった。大丈夫?」

「あ、大丈夫よ。あなたは一体……」

「僕は複合学師の……名前は要らないかな。もう会わないと思うし、それ僕のなんだ返してもらえるかな?」

「あら、ごめんなさい」

 

棒のようなものを彼に渡すと彼はあたしに笑いかけた。

 

「夜も遅いし送っていくよ。家、何処かな?」

「い、いいわよ。迷惑でしょ?」

「女の子を一人で放っておくほうが拙いでしょ? 親御さん心配しているんじゃないかな」

「う……」

 

彼はあたしの手をとって歩き出した。

 

「え、あたしの家はあっちよ!」

「あ、そうなんだ。ごめんごめん、案内宜しくね?」

 

その後ぐだぐだになりながらもどうにか道案内して家に帰ることができた。

思えばこれが運命の始まりだったのかもしれない。

 

                    ☆

 

二日後、あたしがリビングで過ごしていると愚弟(ひでよし)があたしに声をかけてきた。

 

「姉上………すまぬのじゃが自室に戻ってもらえんかの、ワシの友人がひとり遊びに来るのじゃ」

「えー、そういうのは先に言いなさいよ」

「い、いだい、いだい ワシの腕を外そうとせんでくれ」

 

ピンポーン チャイムの音がした。え?うそ、もう来たの?!

 

「姉上は早く移動するのじゃ! 今、出るからのー」

 

あわててあたしは部屋への階段を上る。一体誰よ、秀吉が友だち連れてきたことなんてあったかしら?

 

「ごめんね、秀吉 今日急に来るなんて言って」

「いいのじゃ、ワシも聞きたいことがあったからのう」

 

聞き覚えのある声に階段の隙間から覗き見ると、彼だった。

これがあたしとパートナーである吉井……いや、東宮明久との出会いである。

 



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第一問

あれから一年、色々ありすぎなぐらい色々あったけどあたしたちはコンビとして裏の学問にどっぷり浸かって(とりあえず)無事に過ごした。

 

「「「遅刻(だ)(じゃ)ー」」」

 

三人そろって遅刻しかけるって何よ。時間に気が付かなかったあたしたちにも問題はあるけど!!

校門に向かえば補習担当の西村先生が仁王立ちしている。

そういえば明久君たちから「鉄人」って呼ばれているんだっけ? 確かトライアスロンが趣味で筋骨隆々だったからよね。

 

「木下姉妹、吉井、遅刻ぎりぎりだぞ」

「西村教諭、ワシは妹ではなく弟じゃ!」

「……すまない、木下弟。それにしても木下姉は珍しいな」

「すみません」

 

時間に気が付かなかったんです。ごめんなさい。

明久君は普段通りに来たのにあたしたちが遅れたせいで遅刻なんて悪いことしたなぁ。

 

「それではクラス分けの封筒だ」

「そういえば先生、何で封筒なんですか? 掲示板に張り出せばいいのに」

 

あ、確かにそうかも。その方が効率的よね。

 

「世間に注目されている試験校だからな」

 

なるほどね、こういうところでも世間を気にしないといけないといけないって大変だわ。まあ、そのおかげで色々やらせてもらっていますが。

封筒を開ける。なるほどね、

 

「吉井、去年一年のお前を見ていて、俺は……いや、俺たち教師は、全員がお前のことを本物のバカだと思っていた」

「まー確かにバカやらかしましたしね」

 

でも、明久は本当はバカじゃないとは思うわよ。どっちかって言うとクレイジーな感じの方の馬鹿よね。それこそ頭は良いのに不遇ポジション満載だし。

 

「しかし、その考えは見事にいい方向で裏切られた」

 

―――― 吉井明久 Aクラス。

 

「一年間頑張れ」

「はい!」

 

当然あたしもAクラス さて、秀吉はどうなのかしら?

 

「秀吉、あんたはどうなの?」

「………き、奇跡じゃ。奇跡が起きたのじゃ!」

 

―――― 木下秀吉 Aクラス。

 

本当に奇跡が起こってしまった。

 




三人称side

「遅れるぎりぎりかな?」
「大丈夫よ…後ろからこっそり入れば」
「姉上、それは優等生の考えることではないはずじゃ」

三人がAクラスへの道を歩いているとAクラスの周囲に張り付いている無数の男が居た。

「「「・・・・・・・」」」
「ねえ、秀吉先いk「嫌じゃ」
「どうしよう…手持ちのスt「それは考えんでいいのじゃ」

普通の学園生活でスタンガンのお世話になることは少ないはずだ。

「「どうしよう」」

その声に反応したのか男たちが一斉にこちらを向く。
それはまるで飢えた獣のようだ。
目がピカーンと光ってこちらに飛び掛ろうとしたその時!

「いい加減にしろ!」

何者かによって網が投げつけられた。網に絡まって男たちは抜け出せなくなる。

「あ、宮坂先生」
「大丈夫か? Fクラスが迷惑をかけたなー」

それは赤いくせっ毛に全身真っ黒なスーツ姿の若い教師だった。
彼は宮坂陽炎、こんななりでも教師である。

「AクラスはHR始まりかかっているから急げよ」
「「「はーい!」」」

気軽に話せる教師として有名だ。

「さーて………ってあれ?」

網の中は空になっていた。


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第二問


こまごまと設定解放予定。


明久たちが慌ててAクラスに向かっている頃、Fクラス。

 

「「おはよー」」

「早く座れこのうじ…おわっ」

「おはよー雄二、実にすがすがしい朝だねー」

「坂本、おはようさん。だよなー、姉ちゃん」

 

教室に入ってきたそっくりな姉弟は双子の吉井明奈と吉井明葉だ。

この二人に吉井明久も加えて、「吉井さんちの三兄弟」が出来上がる。

この二人、暴言を吐いた人物にどこで売っているのかも定かではないほど分厚い本を二冊投げた。暴言を吐いた人物にぶつかる事はなく教卓に激突したのだが教卓が崩れた。

 

「どこがすがすがしいんだよ! 朝から凶器投げやがって!」

 

暴言を吐いて二人に本を投げつけられかかったのは坂本雄二、明奈とは長い付き合いで明奈をおちょくるのが趣味である。しかし、今回の暴言はやりすぎだ。

 

「つか坂本、席は?」

「勝手に決めろだとさ」

「クラスメイトは?」

「他のクラスの見物に行った」

「あほか!全員居ないじゃねーか」

「……ウチが居るわよ」

 

若干端っこに座った赤茶の髪を黄色いリボンでポニーテールにした少女が小さく声を上げる。

 

「「あれ、美波?」」

「気が付いてなかったの?!」

「「いや、(雄二)(坂本)しか見えなかったから」」

 

まあ、暴言をはかれれば誰だってそっちに集中するだろう。

 

「でも美波の実力ならEは行ってるって思ってたのに」

 

彼女は島田美波、ドイツからの留学生だ。それなのに日本語での会話能力をめきめき途上させている。

 

「ウチ会話しかできないのよ」

「あー 明葉と一緒だね。明葉も会話しかできないんだよ」

「るっさいなー」

「そういやお前らの兄貴は?」

 

いつもなら一緒に居るはずの明久の姿が見えないので雄二が問いかけた。

 

「あー、お兄ちゃんならね。え『『『異端者には死を!!!!』』』

 

明奈が説明しようとしたときに覆面をかぶった謎の集団が教室へと入ってきた。

彼らはFFF団、モテない男の嫉妬の権化と言っても良いかもしれない。つまりは学年の厄介者なのだ。

彼らは『拷問の方法』などという物騒な本を読み、普通こんな平和なはずの学校社会ではありえないような道具を準備し始めた。

 

「兄ちゃんはAクラスにに行ったんだよ」

「え? 明久がAなの?」

「うん、愛は馬鹿を変えるだね」

 

明奈がうれしそうに笑った。明奈としてはかなり嬉しいことなのだろう。

 

「で、何であいつらあそこまでキレるんだ?」

 

雄二からしてみれば訳が分からない。別に明久がAクラスにいったっていいじゃないか。

 

「大方、馬鹿な兄ちゃんがAクラスに行ったってことで女子比率の多いとこにいったって言うのが気に食わないだけだろ?」

「バカだよね。お兄ちゃんは自分で努力したからAクラスまで行ったのに、努力をしないバカは真症のバカだよ」

 

冷めた目で集団を眺める一同であった。





ドス黒オーラが広がる中、先生と一人の女子生徒が入ってきた。

「はい、皆さん席についてください」
「…………」

女子生徒の方はピンクのふんわりした髪にウサギのヘアピンをつけている。

「あれ?みっちゃん」
「なーちゃん! よかったです。知らない人だけかと……」

彼女は姫路瑞希、明奈の古い友人で幼馴染だ。小学の頃に知り合い、中学は別々の学校だったのだが高校で再会、仲の良さは学年でも有名なのだ。

「姫路、何でこのクラスなんだ?」
「実はテスト中に熱を出して………」

後ろの方では何か見苦しい言い訳が聞こえるが彼らはそんなこと気にしない。そしてもう一つの疑問を口にした。

「そういえばだけどさ、秀吉は?」

いつもつるんでいる友人の不在を疑問に思う姫路以外の面々、しかし姫路の説明で納得できた。

「木下君ならAクラスで見ましたよ」
「え?秀吉がA?!」
「どうしよう。そっちの方がよっぽどありえないって思ってたよ」
「どうしてですか?」
「秀吉ってね。それこそ寝食も勉強も忘れて演劇に打ち込む演劇バカなんだよ」
「はぁ」
「だからな、あいつが勉強するっていうのは奇跡に近いんだよ。それこそAクラスに入れるって言うのは本当に奇跡なんだ」
「そうなんですね」

本気で奇跡呼ばわりされてるよ、秀吉。


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第三問


ここからだんだんオリジナル展開(予定)。
タグをもう少ししたら増やします。


その頃、Aクラス

正直間に合わないかなぁなんて思ってたけど、どうにか間に合った。

僕がAクラスにはいると驚きの目線を送られる。しょうがないとは思ってたけどさー

苗字順って訳でもないらしく適当な席に座ることになった。

三人してなるべく脱走しやすい位置に陣取ったのはもう、完璧な癖なんだよね。

僕らの前に座っていた明るい黄緑色のボーイッシュな女の子がこちらを向いた。

 

「こんにちは、ボクの名前は工藤愛子。よろしくね」

「よろしく、工藤さん」

「君は? 何か皆が注目してるけど………」

 

あれ? 僕のこと知らない?

 

「もしかして、可愛い双子はべらしてるからかなぁ?」

 

それ違うよ。

 

「工藤よ、ワシは男じゃ!」

「ええっ?! ごめんね、てっきり女の子かと思ったよ。じゃあそっちの子も男の子?」

「あたしは女よ。失礼ね」

「あれ? ごめんね」

「これからHRを始めます」

 

あ、先生が入ってきた。Aクラスは高橋先生かー。高橋先生はメガネをかけた知的な感じで人気の先生だ。先生の号令とともに自己紹介が始まるふぁー……ねむい…寝るか。

 

                      ☆

 

自己紹介があたしたちの方に来た。ふと横を見れば明久君がすやすやと眠っていた。

………いつもながらお気楽よねぇ、じゃないわよ。

 

「明久君、起きて、起きて!」

「んぅ?」

 

う、可愛い。じゃない、もうすぐそこなのに!

 

「木下優子さん」

「は、はい! 木下優子です。一つ隣に居るのは(.)の秀吉です。もう一度言いますが弟です。よろしくお願いします。」

 

ちらりと横を見れば明久君はまだ起きていなかった。

もう、知らない!

 

「吉井さん」

「………ふぁい……吉井…明久です。よろしくお願いします」

 

本当にそれだけ言うとまた眠った。こういう時はいつも眠そうにしてるわね。

 

「吉井さんは本人の努力でここまで上り詰めました。皆さんも努力を怠らないようにしましょう」

 

高橋先生が補足を入れてくれて、みんなの目が反れた。よかった、みんなの目が痛くてしょうがないのよ。

 

「木下秀吉さん」

「ワシは木下秀吉、演劇部に所属しておる。こう見えてワシは男じゃ」

 

男子の制服を着た可愛い女子にしか見えない(友人談)の弟がそう言うと教室中が騒がしくなった。

諦めようかしら。一年間であたしよりラブレターの枚数が多いって…………。

 

そんなこんなで自己紹介は終了した。

そこに嵐が舞い込んだ。

 



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第四問


ここから若干、アンチ要素入ってきます。




「吉井を血祭りじゃあああああああ」

「「「「おおおおおぅっ!」」」」

 

何かバカらしいことやってるけど放っておこう。

ぼく以下常識人は固まって話し出す。

 

「それだとぼくも血祭りの対象かな?」

「俺もだよなー」

 

吉井ってこの学年に三人居るのに。

 

「あいつら馬鹿だから絶対に気が付いてないぞ」

「どうにかならないのかしらこの状況」

「そうですね。自己紹介もままなりませんし」

「別に戦争起こすわけじゃねーからいいんじゃねーか? なあ、坂本」

「だな。クラスメイトの顔自体分からんし」

 

うん、覆面姿だから本当にわけわかんないよ。

 

「先生、どうするんですか」

「………もう、かまいませんよ」

 

先生諦めるの早っ?!

 

「せんせー、自力で教室改造するのはありですかー」

「良いですよ」

 

よし、ぼくと雄二、明葉の三人はにやりと笑った。全力で改装するか。

 

「ではHRを終了しますね」

「「「「ヒャッハ―――――ッ!!」」」」

 

クラスの大半は出て行った。

………まさか

 

「……お兄ちゃん襲撃に行ったのかなぁ?」

「だな。いい加減にしろよ」

 

どす黒いオーラを出す明葉、うーん。

 

「明葉、大丈夫だよ。Aクラスだもん、それにお兄ちゃんなら逃げれるよ」

「ん、了解」

 

よかった。これで下手に暴れたらまずいし

とは言えなぁ。しょうがないか

 

「…………《デスサイズ》」

 

                   ☆

 

「「「「吉井は居るかぁぁぁぁ」」」」

 

…………一体何かしら。覆面の怪しげな宗教集団が入ってきたわ。

 

「…………」(こっそり

 

あたしも逃げよう。そんなわけであたしたちは逃げ出した。

 

                   ☆

 

そんなことを知らずに血眼になって明久を探す黒覆面の面々、痺れを切らしたAクラスの面々が出て行けと訴えだした。

 

「………いい加減にして」

 

クラス代表の霧島が満を持して前へ出る。ふだんなら止まるであろう彼らではあったが怒り狂っていて正常な判断ができなくなっていた。

 

「「「んだとるっせ…ひぃっ」」」

 

霧島に食って掛かろうとしたFFF団の首に死神の鎌がかかる。

鎌の刃には『Aクラスに手を出したらコロス☆』と赤い何かで書かれていた。

真っ青になったFFF団の目の前に筋骨隆々の男が現れた。明奈たちから連絡を受けた西村教諭だ。

 

「貴様ら、今の今まで耐えてきたがここまでやるとは見損なったぞ」

 

ゴゴゴゴとオーラを放つ西村教諭、FFF団は全員連れて行かれた。

それと入れ違いのように明久たちが戻ってくる。明久は教壇の上に立つと深々と頭を下げた。

 

「ごめんなさい、僕のせいでこんなことになって」

『吉井君は気にしなくて良いよ』

『そうだよ。あの人たちが逆恨みしただけでしょ』

『吉井君は悪くない!』

 

明久が謝るとAクラスの面々が気にしなくて良いとフォローした。

 

 

 

 



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第五問

新クラス誕生、これでよかったのかなぁ? アンチFFF団開始です。


担任の先生(福原先生と言うらしい)は内線の電話を受けてこちらへ向き直る。

 

「えーっと、職員会議で決まったことなのですが、ここにいらっしゃるFクラスの皆さんと後数名をGクラスという新たなクラスにすることになりました」

 

いきなり何?!

 

「あの覆面集団はあまりにも酷いということで西村先生直属のクラスにすることになりまして……」

「ここに居るお前らは俺がクラス担当することになった」

 

あ、陽炎先生。陽炎先生は昔から交流がある先生でウチの部活の顧問担当、つかみっちゃんを除けばほぼ部活メンバーじゃんここ。

福原先生は出て行き、ぼくらだけが教室に残る。

 

「宮坂先生なら安心だな」

「教室の設備はどうするんですかー」

「ん? 面倒からここのままだぜ?」

「広くないですか?」

「良いんじゃねーか?特別措置だろうし」

「お前ら全員の成績面を鑑みての措置だ。島田は数学がB、姫路は学年次席、明奈は国語は学年一、明葉は英語と国語はAクラス上位、坂本は理数系学年一後の二人も同じような成績を保有するからな」

「先生、従来通り掃除は?」

「かまわねーぜ。つか、生活環境のためにもやれ」

「「「りょうかーい」」」

 

ぼくらは立ち上がって教室を片すためにちゃぶ台を持ち上げた。

 

「あ、あの わたしも!」

「ウチも手伝うわよ」

「いいの、女の子は座布団やって」

「姉ちゃん、その論理だと姉ちゃんもだぞ」

 

明葉にちゃぶ台を取られた。あ

 

「ぼくはいいの、慣れてるし」

「いいから」

「はーい」

 

ぼくもみっちゃんと美波に混ざって座布団を片付ける。

男二人なんだし手伝った方が……と思ったが見れば明葉が召喚獣を出して一気に六台片付けていた。なるほど

 

「あれ?召喚獣って物を持てましたっけ?」

「明葉とぼくとお兄ちゃんは別だよ。ちょっと特殊なんだ」

 

馬鹿の代名詞こと「観察処分者」 名前のせいでそんな風に呼ばれるようになったけど本来は別の理由がある。ぼくら全員の腕輪や召喚獣自体がちょっと特殊なのだ。特に顕著なのはお兄ちゃんなのだがぼくの召喚獣の説明をしよう。点数消費もせずに様々なものを呼び出す能力「召喚(サモン)」それがぼくの召喚獣の能力だ。点数消費もせずに何体も呼び出せると言うのは軽いチートに近い、そんなわけで特別ルールをしくよりも簡単な方法として召喚したものが受けたダメージがぼくにも跳ね返ってくるシステム、「フィードバックシステム」がぼくらの召喚獣には施されているのだ。

 

「凄いですね」

「凄くなんかないよ。みっちゃんの方が凄いじゃん、学年次席でしょ。昔から努力派だもんねー」

「そ、そんなことないですよ」

 

そこに誰かが入ってくる音がした。

見ればそこには顔馴染みの魔剣士と犯罪ギリギリの趣味を持つ友人だった。

 

「よー、須川、土屋」

「亮君、ムッツリーニ、久しぶり」

「よ、久しぶり」

「……久しぶり」

 

ここに前代未聞の少人数クラスGクラスが誕生した。



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第六問

ここはAクラス、そこに元Fクラス、現Gクラスの吉井姉弟が顔を出していた。

弁当を広げて全員で食べている。工藤が途中から合流する予定だ。

 

「へぇーGクラス?」

「そうなんだー。とりあえず掃除したら酷い状況でさー」

「それにしても何故にこちらで食事なのじゃ?」

「良いだろ? こっちの方が設備良いんだし」

「それについては認めるけど元Fクラスってどんな状況なのよ」

 

優子のひと言に明奈と明葉が顔を見合わせて少し考える。

 

「「……廃墟」」

 

今度は明久たちが黙った。

恐る恐る明久が聞く。

 

「どれくらい?」

「少なくともおじさんがしばらく放置してたお姉ちゃんの家より悲惨だよ」

「「ああ、なるほど」」

 

クモの巣とかはなかったものの、地下室には巨大きのこが生えていた。

その現状を知らない秀吉が聞く。

 

「具体的にはどうなのじゃ?」

「とりあえず「勉強をする」という第一目標は消失しているね」

「畳が腐ってる、ちゃぶ台には穴が開く、座布団はほぼ布、教卓が崩れ落ちる。人間の住む環境じゃないな」

 

三人がイメージしてみるとかなり酷いものが出来上がる。

 

「うわー、それでいいのかな学校として」

「どうだろ? 明らかに人為的にぼろぼろにされていた部分もないわけではないから…陰謀でも絡んでるかな?」

「そんな近くで陰謀なんて起きないよ」

 

とはいうものの明久は陰謀に良く巻き込まれる。例えばミズチ、例えばレイジなどなどいろいろあった。

 

「ありうるけどねー」

「調べたほうが良いかしら?」

「あ、優子ちゃんお願いできる?」

「良いわよ」

 

その直後、工藤が加わって明葉がセクハラ受けたりするのだが、それはまた別の話。

 

                      ☆

 

午後、教卓をどうにか調達してきた宮坂が教卓をバンと叩く。

 

「んなわけで今日の授業は無しだ」

「それで良いんですか?」

「しょうがねーだろ。時間割も決まってねーし、明日はこいつらの申請で教室改装に時間を割く、そんなわけで解散!」

 

解散となったGクラスを出た明奈と雄二はそのまま電車に乗ってどこかへ向かった。

明葉と美波はそのまま学園内の部室に向かう。そんな彼らをつける影があった。




明奈と雄二の二人は田舎町のビルの目の前に立っていた。

「バイトのときじゃないのに行って大丈夫かなぁ?」
「大丈夫だろ。あいつはいつも暇してるし」

花屋から声がかかった。

「明奈さん!雄二君!」
「よ、千秋」
「千秋ちゃん! 元気してた? お父さんは?」

長い黒髪の可愛らしい少女は板垣千秋、この花屋の主人の娘だ。小学校高学年の頃から足の神経が麻痺していく病気にかかり、中学生になってしばらくするまで足が不自由なままだった。今では色々あったものの自由に動けるほどに回復していた。

「今、お花の買い付けだよ」
「そっかぁ。あ、彦左衛門も元気?」

明奈は千秋の肩に乗るミドリガメに声をかける。彼は彦左衛門、古科学という特殊な学問で強化された合成獣(キメラ)の一種だった過去を持つ。今は千秋に懐き、ペット兼護衛のような立ち居地に居る。人間の言葉を理解するほど知能が高く、明奈の挨拶にも首を縦に振って返事をした。

「あれ? あなたたち」
「「あ、ひか(おね)―――――」」

後ろから声がしたので振り向いてみると、全身ズタボロの若い女性が立っていた。

「「何やってんじゃぁぁぁ―――――!!」」


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第七問

清水さんファンの皆様、ごめんなさい。


「さーて、部会始めるかー」

「と言っても二人しか居ないじゃない」

 

ここは文芸部部室。文芸部は人気が無い、人気が無いことをいいことに明葉たちは友人だけで集まる空間にしている。

それを屋根裏から虎視眈々と見つめる少女が居た。

 

「(全く、憎たらしくてしょうがない。お姉さまと一緒に部活なんて言語道断、お姉さま、この美春が参りますわぁぁぁぁぁ)」

 

彼女は清水美春、オレンジの髪をツインドリルにしたそこそこ可愛らしい少女だ。超水面下では人気があるのだが、実は同姓(島田美波)が好きということもあり全く相手にしていない。そして、その行動力は逸脱していた。盗撮、盗聴など当たり前、挙句の果てには美波に気がある男を片っ端から始末するなど色々やらかしている。一年の終わりに告白するも玉砕、さらにストーカー度を上げているのだ。

清水が明葉を襲撃しようとしたその時、部室のドアが叩かれた。

 

「はい、どうぞ」

「し、失礼します!」

 

中に入ってきたのは黒髪をボブショートにした可愛らしい少女だった。目の色はハッとするほどのグリーンで色は日本人離れしているほどに白い、緊張した面持ちで入ってきた。

 

「あ、あの!ここは文芸部ですか!」

「そうだけど。入部希望?」

「は、はい!!」

「緊張しなくても良いわよ。ここ趣味人の集まりみたいなものだし」

 

美波が笑顔で少女に笑いかける。

 

「あの、『翡翠の少女の恋』を書いた方はここにおられますか?」

「「………」」

 

ピシリと二人が固まる。それを書いたのは美波なのだ。正確に言うと美波と明葉だが。

美波が考え、明葉が文章にするというスタンスを取っているのだ。

 

「い、いるわよ」

「本当ですか!私、大ファンなんです。あ、私の姉が去年までここの学生で毎月の部誌読んでました!」

 

本気でうわぁと思っている二人、そこに救世主が現れた。

 

「明葉、島田、少し頼みたいことがあるのじゃが……どうしたのじゃ?」

「秀吉、何か用か?」

 

ものすごくいい顔で明葉が言った。

 

「いや、台本書いてほしいのじゃが」

「いいぜ。じゃあ、えっと?」

「あ、名乗り忘れました! 私、飯野絵里奈って言います」

「じゃあ、飯野さん。これから俺たち文芸部の基本活動を開始します!」

「はい!」

 



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第八問

ようやく「おるたな」キャラ本格登場です。


一方、逸色ビルの万屋鳥屋。

 

「うーん、分かったわ」

「あ、本当?!お姉ちゃん」

「話してみるものだな」

 

包帯をぐるぐる巻きにされた茶色の天然パーマの女性がうなりながらも一応賛成する。

彼女はここの女主人、東宮ひかる。かの有名なトーグーエレクトロニクスの会長の娘、現社長の姪だ。

包帯でぐるぐる巻きなのは知り合いの家でVS(バーサス)ダチョウをやってきてズタズタのボロボロになったのだ。

 

『つか、何でそんなもん必要なんだよ』

 

奥の鳥かごから声がする。籠の中には紅白の注連縄をつけたカラスの人形が入っていた。

この鴉人形はガーゴイル、普段はガー助の愛称で呼ばれる錬金術で作られた自動人形だ。

 

「ウチの教室、それはそれは廃墟みたいになってるからさー」

「それでこんな特殊なもの欲しがったのね」

「ああ、本気でどうしようかと思ったぜ」

「可愛い妹の頼みよ。応えないわけないじゃない」

「ちなみにお兄ちゃんが来たら?」

「もっと無理難題でもやるわよ」

 

ひかるはずいぶんと弟に甘いらしい。

 

「明久の方がどうにかできそうだがな」

「なによ?」

「明久の方が学問の使い手としては上、と言いたいんだ」

「………悔しいけど認めざるを得ないわ」

 

ちょっと悔しそうな顔をするひかる。そう、明久はひかるの実の弟なのだ。姉がやっていた錬金術に興味を示し、めきめきと上達、しかも偶然知った古科学や魔術も齧っており、独自の理論を作り上げている。天才と言うのはこういうものかもしれない。

ちなみに名前は母方の親戚筋であった明奈や明葉の二人にあやかってつけられた。吉井家に色々な事情ができ、明奈と明葉は東宮家に引き取られ。戸籍上は「東宮」の苗字になっているのだが、昔、明久が誘拐されたことを教訓に学校では「吉井」を名乗ることになっているのだ。

 

『にしてもよー。おかしくねーか? 去年見たときはそこまでボロボロじゃないんだろ?』

「なんだよねー。ガー助、今度来てくれる?」

「だな。俺は見えざる水銀は見えないし」

 

錬金術師の端くれのはずの雄二だが、見えざる水銀を視覚するのがどうにも不得手らしい。ひかるの理論を借りた眼鏡(ゴーグル)をかければどうにか見えるのだが、それでも扱えるようになるだけ。古い痕跡を見つけるのは無理なのだ。

 

「それにしてもあるのかしら? 部屋をボロボロにする機械なんて」

 

そんなもの役に立つはずがない。

 

「あったら凄いよね。とりあえずありがとうね、お姉ちゃん」

 

明奈が掃除機のようなものを持って立ち上がろうとするが、雄二がそれをひったくって代わりに持ち出て行った。

 

「あー」

「いいんじゃないの? あれ、結構重いんだしあいつに持たせておけば」

「そんなわけにはいかないよ。提案者ぼくだし。じゃあね!」

 

ばたばたと出て行った明奈を見送りつつひかるがぼそり。

 

「あれじゃあ、気が付いてないわね」



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第九問

だらだらいきます。別に大事も起きず。


次の日、元Fクラス、現Gクラスの教室に約一名を除き生徒が集まる。

 

「えーじゃあ、教室の整備するぞー」

「「おーう!」」

 

宮坂の号令で畳をひっぺがそうとする。

 

「あ、ちょっと待って」

「明奈遅いじゃな……って何それ?」

 

遅刻した明奈が昨日、ひかるから借りてきた掃除機らしきものを持ってきた。

 

「あ、これ? カビだけを焼く機械」

「「「はい?」」」

 

一応、説明しておくとこれは「古民家の畳をひっくり返したらカビだらけだったときに使う機械」とのこと。本来はひかるの持ち物ではなく、とある町にある一軒の怪しい骨董屋で作られた品物だ。まあ、使う機会は少なそうだが今回は偶然役に立っている。

 

「お、持ってきたか」

「ごめんごめん、うっかり忘れてさー」

「んなでかいのをうっかり忘れるわけないだろ!」

 

明葉、ナイスツッコミ。

 

「んじゃあ、頼んだぜ」

「はーい、みんな教室から出て!」

 

ぞろぞろとGクラスの面々は出て行った。

 

                      ☆

 

廊下で作業終了を待って居るのだが、やはり突拍子もない話は信じられないわけで……

 

「それにしても本当なのでしょうか?」

「あれはマジだと思うぜ?」

「明葉、あんた知ってるの?」

「俺のおじさんちにあった」

「じゃあ、マジだな」

「………それでも不思議」

 

                      ☆

 

一方教室内、明奈と心配して残った雄二の二人だけが居る。

 

「よし、はじめます!」

「えーっと、熱エネルギーはどうするんだ?」

「あ、それは大丈夫だよ。充填済み」

 

掃除機の要領で機械を動かしていく明奈、すると少し焦げ臭いような臭いがし始めた。しかし、そこまで心配しなくてもいいような臭いだ。少し、健康的なぐらいの。

時間をかけながらじっくりと進めていき、二十分後に作業は終了した。

 

「おわったー!」

「おつかれさん」

「雄二、何やってるの?」

 

見れば雄二は端の方でちゃぶ台を直していた。もう、見た目は新品のちゃぶ台に生まれ変わっている。

 

「同時平行で動いたほうがいいだろ?」

「うん、そうだけど……」

「あ、姉ちゃん終わった?」

 

声がかかった廊下を見ればさらに驚きの光景が広がっていた。残った全員で座布団を縫っていたのだ。

 

「うん、何やってたの?」

「座布団縫ってた」

「うん、それは分かるけど…そんなに暇だった?」

「うん!」

 

笑顔で言われたことに明奈はもう少し早く作業したほうが良かったかなぁと思ったのだった。

 



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第十問

「ここを代入することによって――――――」

 

ども、吉井明久です。絶賛授業中、眠くはあるけど起きないとね。録音録画はせどもとりあえず聞かないとねぇ。数学はそこそこできるけど頑張らないと。

横を見れば秀吉が眠っていた。だめだこりゃ。

 

「吉井君、この数式は?」

 

げ、僕か。あれなら分かる。

 

「はい。答えだけでいいですか?」

「いえ、解法までお願いします。手元のモニターに書き込めば前に出ますので」

「分かりました」

 

黒板まで出て行くのは疲れるよねー。ここ、ありえないくらい広いし。

よし、書くか。

 

―――――出来た!

 

ってあれ?みんな口を開けてどうしたんだろ?

 

「吉井君、このやり方何処で……」

「え? 普通にやりません?」

 

変だったかなぁ?

 

「「「………………」」」

 

???

 

                    ☆

 

やっぱり明久君、考えてなかったのね。いつもながら普通、高校生が知らないような解法を使っているわね。

本人は全く気が付いてないみたいだけど。無自覚な天才って凄いわよね。

あ、チャイムが鳴ったわ。先生も出て行ったしこいつ(ひでよし)を起こさないと。

 

「秀吉、起きなさい」

「んぅ?」

「あんたね、そんなのだから女っぽいとか言われるのよ」

 

こいつが女っぽいとか言われる理由がよぉぉぉぉく分かったわ。

 

「はよー秀吉、これノート」

 

明久君は秀吉に甘いわよね。もう少し厳しくしたほうがいいわよ。

 

「すまんの」

「いいよ。それに最近文化系の部活も赤点取ったら活動休止なんでしょ?」

「うっ、痛いところを突いてくるの」

 

こいつは部活にうつつをぬかし勉強をやってこなかった。やりだすようになったのは最近の事、明久君がAクラス入りを目指したからだ。

 

「頑張りなさいよ。あたし、手伝わないから」

「あ、姉上 酷いのじゃ……」

「明久君のノート見れるだけでも幸運なんだから」

 

彼のノートは本当に分かりやすい。それこそ今まで勉強していなかった人間がAクラスには入れるようになるくらいの代物だ。

 

「やっほー。ねえ、吉井君のノート見せてよ。できれば古典お願いできる?」

「あら、愛子古典苦手なの?」

「ちょっとね、いいよねー優子は吉井君のノートいつでも見れるんだから。彼女特権ってやつ?」

「か、彼女じゃないわよ!」

「………それは違う。優子が自覚してないだけ」

「きゃっ、代表…脅かさないでよ!」

 

いつも突拍子もなく表れるんだから。

 

「優子ちゃん。お弁当、持ってきたけど」

「食べるわ!当然じゃない」

 

明久君のお弁当はおいしいんだから!そこ!やっぱりそうじゃんって目で見ない!

 



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第十一問

 

元Fクラス、現Gクラスの教室で作業が完了したぼくらは一斉に伸びをした。結構頑張ったよねー。

 

「はーすっきりした」

「おう、これだけやれば大丈夫だろ」

 

目の前に広がるのは健康そうな畳に新品同然のちゃぶ台、座布団は綿も入ってふかふかだ。黒板はちょっとばかしおじさんと相談して入れてもらった高性能黒板だ。

ようはモニターなんかと原理は一緒だがそこはトーグー、お兄ちゃんが提案した予習能力で事前に黒板を書いておけば指定したコードによって瞬時に書いておいたものを表示できるようになっている。お兄ちゃんとしてはノートの取り逃がしを防ぎたかったんだろうなー。

 

「それにしても凄いわね。あの黒板いいの?」

 

美波が聞いてきた。まあ、心配にもなるよね。(とりあえず)一般の学校にこんな高性能な黒板を入れるとか、普通はあり得ないし。それにこれトーグーの試作品だしね。

 

「いいって、いいって おじさんに頼んだらタダでいいって言われたし」

 

まさかタダでくれるとは思わなかったよ。そう? と言って美波はそれ以上何も言わなかった。それから美波がちょっと席を外す。すると須川君が近寄ってきた。

 

「つかさ、お前たちが東宮だってばらしているようなものじゃないか?」

 

須川君にツッコミを入れられる。須川君はぼくらの家庭内事情を知っている数少ない友人だ。ぼくらが東宮の人間だってことで事件に巻き込まれたのも知ってるから慎重になるのかもしれない。でも、明葉がすぐに返す。

 

「いーや、もしかしたらおじさんって言うのはトーグーの開発チームのメンバーかもしれないぜ?」

「屁理屈だろそれ」

「屁理屈上等」

 

明葉と須川君が言い合いしているのを見ていると、さっきちょっと席を外したみっちゃんがこちらへ来た。

 

「あの……なっちゃん」

「みっちゃん、どうしたのー?」

 

ちょっと深刻そうな顔してるけど一体どうしたんだろう?

 

「さっき、Eクラスの人が来たんですけど」

「ん? 何で?」

 

ウチの学校って、他のクラスと交流持つ方が珍しいんだよね。一体何の用だろう?

 

「それが試験召喚戦争を申し込みに来たと」

「はい?」

 

急に何?! あれか、設備がいいから奪いたいとかいうやつか。その話を聞いた(実は居た)雄二が呆れたように言う。

 

「しょうがねえな。戦争、受けるか」

 

あ、ちなみに代表は雄二なんだよね。他のみんなが遠慮した結果こうなったわけだけど、まあ適任かな? さくっと受けるとか言ってるけど……。

 

「ちょっと待って、ウチのクラスってEクラスより上位なの?」

 

そこが問題だよね。一応上位クラスは下位クラスの挑戦を受けないということができないけど逆は違う。一つか二つ上だったかそこらへんくらい前の学年が上位クラスの優位性を示すために下位クラスを狩ったことが原因で、下位クラスは上位クラスのの挑戦を受けないという選択肢が選べるはず。

 

「あ、その辺確認するか。明葉、宮坂先生呼んで来い」

「えーまあ、いいけど」

 

陽炎先生出て行っちゃったしなぁ。明葉、お疲れ様。明葉と入れ違いで美波が入ってきた。ちょっと難しそうな顔をしている。どうかしたのかな?

 

「明奈、さっきDクラスから使者が来たわよ。試召戦争申し込みに来たらしいわ」

「うげ、そっちまで?」

 

EだけじゃなくってDもか、どんだけクラス設備が酷いんだろう?

 

「明奈、そっちって?」

「実はねー」

 

とりあえず先ほどの話を話す。

 

「嘘でしょ?! Eクラスまで?!」

「でしょー。どうしろってんだぁ!!」

 

僕が叫ぶと同時に教室の扉が開いた。

 

「話は聞かせてもらった」

「「「先生!」」」

 

陽炎先生が入ってきた。手には何かパンフレットみたいなものを抱えている。何だろう、あれ。首を傾げていると先生が教卓をバンと叩いた。あ、崩れないんだ。

 

「俺たちのクラスは学年の中でも最下位ということになっている。まあ、人数の少なさから言えばこれが普通だな」

「じゃないとやってられないぞ」

 

雄二が言った。そうだよね。そうでもなくっちゃこのクラスはすぐに下の方のクラスの餌食になりそうだし。

 

「そして、このクラスに挑む場合には特別ルールが施行される」

「特別ルールですか?」

 

みっちゃんが陽炎先生に尋ねた。陽炎先生がよくぞ聞いてくれたという感じでにやっと笑って言った。

 

「ああ、代表者同士による一対一の一騎打ちだ」

「おお、こっちに無駄に有利だな」

 

明葉がボソっと呟いた。でもまあそうだよね。そうでもないと勝てるわけがない。

 

「ただし、デメリットもある。例えば五回戦やるとしたら二回しかこちらは教科を選択できないんだ」

「なるほど、ハンデってわけか」

 

向こうに勝ち目を与えるためのハンデなんだろうなぁこれ。でもどうにかできる要素は増えてきたね。

 

「それで、EクラスとDクラスどっち受けるの?」

「「「あ」」」

 

そうだった。二クラスから戦争の申し込みが来てるんだった。

 

「とりあえずどちらがいいか多数決でも取るか」

「ウチはDは遠慮したいのよね。なんか嫌な感じするから」

「俺も同じく、なんか呪われてる気がする」

 

美波と明葉にはなんか嫌な予感がするらしい、他のみんなは特に希望は無いとのことで、Eクラスと一対一の一騎打ちをすることになった。

 





読み返してみて何でこんなに雑だったんだろうとか絶望した。


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