IFもしも、ラインハルトに双子の妹がいたら。 (アラセイトウ)
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子供編
嘘でしよ〜。


子供編です。


えーと、どうしてこうなったんだろう……………。

学校から帰って来て、銀河英雄伝説とかいう大昔のSFにはまった姉の戯言を聞き流して定期テストのための勉強を始めたはずなのに……………。寝落ちでもしたのかなー。

それとも夢を見ているのかな?

だって何故かどうしてかいつの間にか赤ん坊になっているんだよ。動きにくい。

しかも、隣には妙に顔の整った赤ん坊。金髪の。

人形みたいな、アニメとかテレビとか漫画の中ぐらいでしかお目にかかれないぐらいのレベルの。

どこかで見た事があるような…………………。

あれ?この顔、えーと確か……………皇帝ラインハルト?

お姉ちゃんが酷評していた。

キャラとしては好きだけど、恋愛対象としてはない! と言っていた。

まぁ、お姉ちゃん曰く、子供過ぎだから。だと言っていたけど。

どうせ狙うなら、キルヒアイスか、ヤン・ウェンリー又は、ヤン艦隊の誰かって言ってたなー。

あれ?まさかここって、銀河英雄伝説の世界⁈⁈⁈‼︎‼︎‼︎嘘、死亡フラグ満載の世界じゃん!

しかも、この感じだと、私って、ラインハルトの姉か妹?

姉だったら寵妃一直線だし、やだなぁ。なんか、もう良いや〜。

あったかいし、とりあえず、寝よう。赤ん坊だしねー。

おやすみなさーい。

 

 

まぁ、生まれ変わってから3年が経ちましたわ。

 

ちなみに私の名前はクラウディア。クラウディア・フォン・ミューゼル。こんな美少女原作にいなかったよね!

なのに何故か私は、ラインハルトの双子の妹。

しかも、容姿は、ラインハルトと、ほぼ一緒。

アンネローゼ姉上ともかなり似ている。

これは、寵妃になってもおかしくないなというレベル。

綺麗で、美しい儚い。磨けば光る玉という感じで。

両親も姉も、一応兄もとても優しく幸せな家族の見本と言っても良い。この家族から、なんで、ラインハルトいえ兄上が皇帝になるのを止められなかったんだろうと思っている。

こんなことなら、お姉ちゃんが勧める時に見れば、良かった。

こういう転生ものって主人公が知識を使って無双するものなのに………。

それに、どうせ転生するなら、乙女ゲームが良かった‼︎SFなんて死亡フラグ満載だし!

嗚呼、それにラインハルト乱暴過ぎ。

毎日喧嘩ばっかり。

私は、平和に過ごしたいのに!

よし、アンネローゼ姉上に相談しよう。

それが一番効果があるはず。

だってアンネローゼ姉上を取り返す為に銀河統一してしまうしね。

明日からそうしよう。まだ、2歳だし、原作始まるまでに時間あるよね!

 

おやすみなさーい。



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あんたねぇ〜

 

ふざけるな‼︎(怒)ラインハルト兄上‼︎少しは、おとなしくしていろ‼︎

と言えたらどれほど良いか。せいぜい、私が言えるのは

「ラインハルト兄上、暴れないでください。わざわざ、他の人に謝りに行くのは面倒です。アンネローゼ姉上にも迷惑がかかりますよ。」

としか言えない。

私は、自分で言うのもなんだが、美少女だ。

ラインハルト兄上そっくりのおかげでラインハルト兄上が、暴れたら、私が説教される。

私、何もやっていないのに‼︎ひどい!

 

あれから、5年が経ち私と兄上は7歳になりました。

その間に母が亡くなり、父が、酒に溺れて、幸せだった家族は霞のように消えてしまいました。

ラインハルト兄上は、さらに喧嘩ばっかりで、アンネローゼ姉上は、優しいですが、すぐに消えて無くなりそうです。

もう少し、あと、少しで良いです押しの強い女性になって欲しいです‼︎

それに、ラインハルト兄上、あんたは、働け‼︎

アンネローゼ姉上は、学校に私達が通っているせいで行けないんだぞ!

それなのに感謝もせず………。

今日という今日は言います。

幸い、今は授業中。それでなかったら、今頃、ラインハルト兄上のことを叩いていたでしょうね。絶対に。

あら、チャイムが鳴りましたね。逃げられないようにすぐにラインハルト兄上に近づき、紐で、ラインハルト兄上の手と私の手をつなぎます。

ラインハルト兄上がギョッとしたように

「くっクラウディア?一体何をしようとしているのだ?」

とラインハルト兄上の言葉。

私は、にぃっこり笑って

「ふふふ。何をしましょうか?今日という今日は逃しませんよ。ラインハルト兄上。」

ラインハルト兄上は、何故か顔を歪めて行く。目も、合わせてくれない。

なんでだろう?まぁ、良いや、さて、ラインハルト兄上の手を握って、家に帰ろう。

それで、アンネローゼ姉上の手伝いを2人でして、ラインハルト兄上に家事をして貰おう。

多分、これで、かなり楽になるはず。

アンネローゼ姉上が、勉強する時間が出てくる‼︎

やっと、目標達成出来た!

あとは、ラインハルト兄上を家に連れて帰るだけ‼︎

なのに何故か私とラインハルト兄上の前には、何人かの男の子が、立ち塞がっている。

ラインハルト兄上が突然、

「何の用だ!」

と声をあげる。

私は、そこをどう通ろうか思案し、遠回りして帰ることにした。

わざわざ、喧嘩を買うとか時間の無駄だし。

なのに、ラインハルト兄上は、動かない。

イラっとし、ラインハルト兄上に声をかけようとしたら、

アンネローゼ姉上のことを馬鹿にした。

ラインハルト兄上は、殴ろうとするが私が邪魔で動けない。

「どけ!クラウディア!姉上のことを馬鹿にしたんだ!」

ええ、わかっていますよ。だけどね。

ラインハルト兄上暴力以外に方法があるんですよね。

ラインハルト兄上、あなた、単細胞過ぎです。

もう少し、ちゃんと考えて行動をしてください。

お願いですから。

これのどこが、金髪の有翼獅子(グリフォン)ですか、ただの子供いえ、シスコンじゃないですか。

「クラウディア!」

ラインハルト兄上が、うるさいですし、さっさと終わらせますか。

「ラインハルト兄上。うるさいです。それからそこのあなた、まだ、お漏らししているくせに、アンネローゼ姉上を馬鹿にしないでいただけます?

そこのあなたもです。確か……………。」

言い終わった時には、何人かの男の子は、皆、泣いていました。

大人気ない?私、子供ですから。ええ、帰るのが、遅れて、アンネローゼアンネ姉上に迷惑かけてしまう、やつあたりではありませんよ。

あの、何故、ラインハルト兄上が、顔を真っ青に染めているのですか?

「ふふふ。ラインハルト兄上。喧嘩とはこういう風にやるものですよ。さあ、帰りましょう。」

さらに、ラインハルト兄上の顔が青くなりましたが、知ったことではありません。

早く帰って、アンネローゼ姉上を楽させてあげるのです!



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父上‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

 

「父上‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎お酒は良い加減やめてください‼︎

家計に響きます‼︎

この間電気止められましたよね!

ですから、禁止です‼︎

こんなに飲んだら病気になっちゃいますよ!」

言いました。言いましたよ‼︎私。

ずっと、気になっていたんです。ええ、ずっと。

ぶっちゃけて言えば、母が亡くなった時から。

あれ?何で3人とも惚けているんです?

私、当たり前のことを言っただけなのですが?

「ふふふっ。くくくっ。はははっ。」

父上が、突然、笑い始めました!一体何故⁈

私、一体何をしてしまったんでしょう⁈

オロオロしている私を見て笑いを抑えしかし微笑みながら

「すまないな。クラウディア。クラリベルにそっくりだったものでな。

一瞬、クラリベルが、怒っているように見えてな。

そんなことあるわけないのにな。

だが、ありがとう。眼が覚めた。

これからは、ちゃんとする。

クラリベルは、お前達を残してくれたからな。

ありがとう。クラウディア。」

と愛しくて愛しくて仕方がないといったような表情で私達、アンネローゼ姉上、ラインハルト兄上、そして、私を順に見回して、そっと抱きしめました。

久しぶりの抱擁は、とても暖かったです。

アンネローゼ姉上は、ダイヤモンドのような涙をポロポロと流しラインハルト兄上は、恥ずかしがりながらぎゅーっと父上のことを抱きしめています。

私ですか?それは、秘密です。

ですが、とても幸せだったとだけ言っておきます。

大好きです‼︎父上♪

 

 

 

それから、何やかんやあって、お屋敷を売り払い、下町に引っ越しました。

父上の事業はうまくいっているらしく、ニコニコと笑いながら、私とアンネローゼ姉上、ラインハルト兄上の演奏や、合唱を聞いたりお菓子パーティに参加してくれます。

とても幸せです‼︎

そうそう、お菓子といえば、ラインハルト兄上に初のお友達が、出来ました‼︎

私ですか?もちろん、たくさんいますよ。

ラインハルト兄上のお友達は、ジークフリード・キルヒアイスです‼︎

お姉ちゃん曰く夫にしたいランキング第1位の。

ラインハルト兄上は、キルヒアイスと呼んでいますが、私とアンネローゼ姉上、父上はジークと呼んでいます。

それに7歳の時、ラインハルト兄上に嫌がらせをしていた1人である下級貴族のレオン・フォン・ツァーベルが、ミューゼル家にやって来て遊び、たまーに喧嘩しながら、2年が経ちました。

でも、その、幸せが、崩れる時が、やって来てしまったのです。

 

ある日突然に。



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姉上………。ごめんなさい。/兄上はそのままで!

この話は姉上………。ごめんなさい。/兄上はそのままで!を合わせた話になっています。


アンネローゼ姉上が、皇帝陛下の寵妃になることが、決定しました。

父上は、最大限に抵抗しました。私もたまたま、その場にいたので、最大限の努力をしました。

今から、ラインハルト兄上とジーク、レオンにその経緯を言わなければなりません。

父上には、頼れません。

私が、お願いした事を叶えて下さるために。

アンネローゼ姉上も却下ですが、話を補足して貰おうと思っています。

とても、悔しい。悔しくてたまらない。

何故、忘れていたのでしょうか?

もう、自分が嫌になりそうです。

やっと幸せな家族に戻れたというのに。

アンネローゼ姉上が勉強出来るようになり、ラインハルト兄上にジークとレオンという友達が、出来たのに。

父上の事業が、軌道に乗ったのに。

嗚呼、後悔している場合では、ありませんでしたね。

こちらを射抜くように睨んでいるラインハルト兄上に説明しなければ。

「ラインハルト兄上、ジーク、レオン。アンネローゼ姉上は、皇帝の寵妃になることが、決定しました。

これから、その経緯を説明しますね。」

そこまで、私が言った時ラインハルト兄上が

「何で、クラウディアは、そんなに落ち着いているんだ!!」

と吠えるように言われました。

私が、落ち着いている?

今の私は、泣きたい。眠りたい。すべてが、夢で、あったら良いと思っているのに?

でも、説明しなきゃ、アンネローゼ姉上と引き離される前に。二度と会えなくなる前に。

さあ、クラウディア。勇気を振り絞って、立ち向かって。

ラインハルト兄上の蒼氷色(アイスブルー)の瞳を見て

「ラインハルト兄上、私の話を聞いてください。アンネローゼ姉上の後宮入りは、半年後です。それまでにアンネローゼ姉上を貴婦人にします。ラインハルト兄上も紳士にします。ジークとレオンと一緒に。

お願いします!ラインハルト兄上、ジーク、レオン。アンネローゼ姉上と一緒に私に利用されてください‼︎

私は、もう少し二度と家族を失いたくはありません!

アンネローゼ姉上と二度と会えなくなるなんて嫌です‼︎

それに私は、誰かに利用されたくありません。絶対に。

お願いします!助けてください‼︎

ラインハルト兄上、ジーク、レオン。」

じっと3人の蒼青色(アイスブルー)の眼。灰色の眼。翡翠色の眼を見つめます。

どれほどの時間が経ったのかは、わかりません。

でも、私にとっては、とても長い時間でした。

最初に口を開いたのは、レオンでした。

「良いぜ。助けてやるよ。利用されてやる。

ラインハルトもジークもう少し良いよな?」

ジークは、にっこり笑って

「もちろん!アンネローゼ様に会えなくなるのは嫌だし、

ラインハルトやレオン、クラウディアと会えなくなるのも嫌だしね。」

ラインハルト兄上は、鼻をフンと鳴らし

「嗚呼、それで構わない。クラウディア、助けてやる。話せ。」少し、頬を赤らめて。

私は、その返事を聞いた瞬間、思わず笑顔になり3人にぎゅーっと抱きついてしまった。

でも、3人とも、抱きしめ返してくれた。

「ありがとう‼︎ラインハルト兄上!ジーク!レオン!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ゔゔ恥ずかしい。思わず3人に抱きついてしまった。(汗)

とりあえず、離れよう。

なのに、離して〜ラインハルト兄上〜。くっ苦しい。

力、強すぎる!死ぬ〜。

しかもなんか、つぶやいているし〜。

「クラウディアが俺を頼った!(嬉)」

………。

ラインハルト兄上!あなた、どんだけシスコンなんですか!

しかも、頼ったって………。

私、ラインハルト兄上を頼ったことなかったけ〜。

………。なかったなぁ。

まぁ、それは置いておいて、苦しいっ。

周りを見てくれ‼︎ジークもレオンもこっちを見ながら苦笑しているよ!

恥ずかしい!

アンネローゼ姉上も笑ってないで、止めてください!

誰か………この獅子(ライオン)止めてくれー!!!!!

 

 

あれから、30分が経ちました。

やっと、ライオン兄上いえラインハルト兄上が、離してくれました。

頬を赤く染めて。

可愛いけどね、ラインハルト兄上、男ですよね?

何で私より可愛いんですか?嫌味でしょうか?

おっと、錯乱してしまいましたね。

落ち着いて、深呼吸。

未だカオスな空気を改めるため、

手を叩きました。

「えーと、それでは、説明しますね。

多分、アンネローゼ姉上が、後宮入りしたら、イジメが起こります。

これは、決定事項ですね。

次に、皇帝陛下がアンネローゼ姉上を寵愛した場合、家族にも会わせないパターン。

ジークやレオンと会わせないパターン。

私まで、後宮入りするパターン。

アンネローゼ姉上と近づくためにラインハルト兄上や私、父上と婚姻を結ぶパターン。

これは、利用されるパターンですね。

寵愛が酷すぎて殺されるか、人として生きていけなくなるパターン。

まぁ、とりあえずこのぐらいですね。

対抗策は、ほとんど、ありません。

対処するには、アンネローゼ姉上を貴婦人にして、ラインハルト兄上、ジーク、レオンを紳士にします。

簡単に言えば、教養を身につけるということですね。

これが、一番優しい方法。

一番速い方法は、ラインハルト兄上がやろうとしている方法ですね。

アンネローゼ姉上、申し訳ありませんが、席を外して下さい。」

 

 

ラインハルト兄上は金髪の有翼獅子(グリフォン)の名にふさわしい覇気で

「俺が、ゴールデンバウム王朝を倒す。俺が皇帝になる。」

「ええ、その通りです。ですが、その方法だと死ぬ確率が高いですが良いのですか?」

「構わない。クラウディアが、父上が姉上がキルヒアイスが、レオンが死ぬのに比べたら全然マシだ。

それに、宇宙を駆けてみたかったからな。」

と、少し頬を赤らめていう。

私は、思わず、ふふっ。と笑い

「わかった。じゃあ、ラインハルト兄上はそのままで!

ジークとレオンは、私の言う通りにしてくれる?」

 



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友達は辛い時ほど支え合うものですわ!

〜アンネローゼの後宮入りが決定した後のある日〜

 

「一体、どういう事ですの!アンネローゼお姉様が、後宮入りって!

クラウディア!私(わたくし)聞いていませんわ!」

と突然、ティアナ・フォン・カナリスが、話しかけてきた。

さっきまで、唖然とした顔で聞いていたのに………。

ちなみにティアナは、私の心友である!

私が、ラインハルト兄上と比べられて泣いていた時に慰てくれて、

アンネローゼ姉上が、勉強が出来ない時にどうすれば良いか、アドバイスをくれ、

父上が、お酒ばっかり飲んでいた時に愚痴を聞いてくれた相手でもある!

ティアナは、本来なら、公爵令嬢であるが、もう嫌だー‼︎

とある日爆発して、街を彷徨った所を私が保護し、今に至る。

ティアナの両親は、ティアナに興味がないらしく、何をしようが無関心。

何とか、気を引こうとした結果に出来たのが、心友である私だ。

ティアナのお願いなら、ティアナの両親は、何でもいや、会う以外の事は聞いてくれるので、

星を何個か、貸して貰おうと思い、彼女に相談した。

その結果が、最初の通りである。

「ティアナに言っていなかったけ……。」

と首を傾げながら言うと

ティアナは、噛み付くように

「言っていませんわ!それに………お願いなら、何でも聞きますわ。

だから、私(わたくし)から、離れて行かないで。

お願いですわ……………。私(わたくし)には、クラウディアしか、

お友達もいませんし、クラウディアは、

ずっと、私(わたくし)とお友達でいてくださると約束して下さったではないですか……………。」

と最後は、泣きそうになりながら言った。

私は、ふんわりと笑いハンカチを取り出しティアナの涙を拭き

「ティアナ、それでは駄目よ。それは、友達じゃないよ。

臣下とか、対等ではない関係になってしまうよ。

だからね、ティアナ?」

突然、私の手を握りティアナは、泣き笑いで

「わかっていますわ!お友達とは、辛い時ほど支え合うものですわ!

何度もクラウディアに言われましたもの!

クラウディア、私は、星を5個程持っております。

領地経営なども私(わたくし)に任されております。

私(わたくし)、嬉しく思いますわ!

クラウディアは、私の夢とクラウディアの夢、

そしてラインハルトお兄様の夢を同時に叶えるためですわよね。

クラウディアが、夢を諦めなくて良かったですわ。

ですから、クラウディアの夢の端っこで良いので入れてくださいね。」

と言って少し、哀しそうにわらう。

私は、そんなティアナを見てぎゅーっと抱きしめて

「ティアナは、私の夢の真ん中にいるよ。私の隣で笑っているの。

ティアナ、あのね、私の家に遊びに来ない?

今なら、アンネローゼ姉上のお菓子付きだよ。」

「もちろん、伺いますわ。ありがとう存じますわ。

クラウディア。大好きですわ。」

「私もティアナの事、大好きですよ。」

ティアナと私はそう言い、また会う事を決めた。

ティアナは、私にとって癒しであり、大切な心友だ。

ラインハルト兄上や、ジーク、レオンが、どういう反応をするか、とても楽しみです!

その日、私は幸せな気持ちで、眠りについたのであった。

 

 

 

ちなみにティアナは、公爵令嬢であり、皇帝陛下の孫でもあることは、ラインハルト兄上とアンネローゼ姉上、ジーク、レオンに言わない方が良いだろ〜な〜と思いながら。

 



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兄上は、、、無理ですよね〜

 

「えーと、言う通りって?」

とジークが、不思議そうに聞きます。

私は、顔を改めてこれまで考えてきた事を3人に話します。

「私の指示に従って下さい。例えば、諜報。ラインハルト兄上を抑える事。

これは、絶対ラインハルト兄上は、、、無理ですよね〜。

ラインハルト兄上が、目立つほどこちらはやりやすくなりますしね。

2人とも、素材は良いので女性の噂話をさりげなく聞いて下さい。

女性の噂は、だいたい、信憑性がありますので。

ラインハルト兄上は絶対、こういう事に向いていませんしね。

ラインハルト兄上に頼むのは、出来るだけ、恩を売っておく事。

門閥貴族だろうが、平民だろうが、奴隷だろうがですね。

その中で、優秀な人材は眼をかけておいてください。

それと、まぁ、無理でしょうが、喧嘩はなさらないようにしてくださいよ。

あと、ラインハルト兄上は、私が何をやろうと口を出さないでくださいね。」

そう私が言うと、ラインハルト兄上は

「俺に出来ることは、口を出すなってクラウディアはひどいぞ。」

と不満そうに言い、ジークは、

「了解。」

とにっこり笑って言う。レオンは

「素材が、良いって何だよ。」

とブツブツつぶやく。

三者三様な反応に私は、ふふっと笑い、

「だって、本当の事でしょう?

3人とも、まだ、10歳なんですから。

しばらくは、父上が協力してくれるので。

色々と調べなければならない事が、沢山ありますしね。

少しずつ、焦らずやっていきましょう。

私達は皇帝陛下より、40歳以上若いのですからね。

時間は、待ってはくれませんし。私達にたくさん残っていますしね。

若い、私達に

さあ、戦いを始めますよ。

ラインハルト兄上とジークとレオンには、教養を身につけるために美術館や、オペラハウスなど色々な所にアンネローゼ姉上と一緒に行ってもらいます。

将来、もし会えなくなっても、偶然会ったなら、咎められないでしょう?

ダンスや貴族の基礎知識、マナーも、学んで頂きますね。

将来の、皇帝と重臣が恥ずかしい思いしたら、大変ですしね。

それに、一応領地を持つ事になりますので、お忘れなく。

これは、アンネローゼ姉上と父上も把握済みですから。

ラインハルト兄上が、何を言おうと無駄ですよ。

精一杯、みんなの事を利用させて頂きますね。」

私は、にっこりと笑って、3人に言った。

 

どうやれば、みんなが幸せに笑顔になれるかずっと考えている。

夢物語でも小説のようでも想像とか、妄想とか言われても私は抗い続ける。

私から大事な人達を奪う奴らから。

いつか、いつか、アンネローゼ姉上が。ラインハルト兄上が。父上が。ティアナが。ジークとレオンが。

みんなそろって向こうの世界の言葉で言うならハッピーエンドになるように。

 

私の夢は………。



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俺の双子の妹は。

今回は、ラインハルトから、見たクラウディアです。
読まなくても、本編に特に支障はありません。
この話は俺の双子の妹は。〜1、2、3〜を合わせた話になっています。


 

俺の名前は、ラインハルト・フォン・ミューゼル。

下級貴族である父、セバスティアン・フォン・ミューゼルとクラリベル・フォン・ミューゼルの間に生まれた。

5歳年上の俺の姉である、アンネローゼ・フォン・ミューゼルと双子の妹である、クラウディア・フォン・ミューゼルが、家族だ。

母は、俺が幼い時に亡くなっており、あまり覚えておらず、父は最近まで、アルコール中毒だった。

俺にとって、日常は、近所の奴に喧嘩を売られ、買い、勝つ。父は、よくわからない事を言い、姉上は、優しい。妹は、俺が暴れると止めてくるが、基本的には、あまり近づいて来ない。電気や、水道が使えないのは、当たり前。

そんな、家庭で育った。

少しずつ、変わり始めたのは、クラウディアが、俺に姉上の手伝いをしろと言い始めた頃からだ。

その時、始めて知った。姉上が、学校に行けてない事を。

クラウディアは、「私は、アンネローゼ姉上に幸せになって欲しいからですよ。」と言い俺に手伝いを教えてくれた。

はっきり言って、とても、悔しかった。だから、クラウディアよりも先に手伝うようになり、クラウディアと喧嘩をした。

姉上が、笑う事が、クラウディアが笑う事が増えた。

その日のスープの味は、忘れられないものとなった。少し、塩を入れ過ぎたみたいで。

 

次に変わったのは、クラウディアが、父上に要約して「お酒を飲むのを止めてください。」と言い放った時だった。

あの時は、とても幸せで、恥ずかしかった。でも嬉しかった。

 

8歳の時に下町に引っ越して始めての友達が、出来た。

ジークフリード・キルヒアイスだ。

俺は、キルヒアイスの方が良いと言ったのに、クラウディアは、ジークの方が良いと言い、喧嘩し始めた俺たちをキルヒアイスが、止めてくれた。

クラウディアには、勉強、運動、力の強さで勝っているのに口では勝てない。

俺に頼ってきた事も一度もない。

はっきり言うと、怒った時のクラウディアは本当に怖い。

情けないがな。

其れは置いといて、2人目の友達は、国民学校で、何かと喧嘩を売ってきたレオン・フォン・ツァーベルだ。

レオンは、俺と喧嘩しては負け、クラウディアと言い争っては負け、其れでも喧嘩を売ってくる奴だった。

クラウディアが、完封無きまでに叩きのめしてからは、誰も喧嘩をクラウディアに売って来なくなり、逆に俺に喧嘩を売ってくる事が増え、クラウディアが、喧嘩しないでいただけますか?ラインハルト兄上と言い、そんな、悪い日課は今すぐ、捨ててください。と言われた事が今でも記憶に残っている。

現在進行形で言われていると言っても過言ではない。

まあ、こんな感じで幸せに過ごしていたのに嵐が訪れてきやがったみたいだった。

ある日の事だった。キルヒアイスとレオンと遊び、喧嘩を売られ買い、勝った。

そんな、いつもの日の事だった。2人と一緒におやつを食べようと家に帰った時の事。

その日は、何故か家の前に黒塗りの車が、止まっており、立派な服を着た男が乗り込む所だった。

男が小さく呟いた。「生意気な奴らめ。」と聞こえた。

2人と顔を見合わせすぐに家に駆け込むと父上が、蒼白な顔をし、家を出る直前だった。

父上は、まるで、俺たちの事に気付かないように家を出て行った。

嫌な予感がし、慌ててリビングに駆け込むと、姉上が、哀しそうに顔を伏せ、クラウディアは、何かに耐えるようにこちらを見つめる。どういう事だ?と視線に思いを込めてクラウディアを見た。

感情の籠らない淡々とした声で

「ラインハルト兄上、ジーク、レオン。

アンネローゼ姉上は皇帝陛下の寵妃になることが決定しました。

こらから、その経緯を説明しますね。」

俺は、クラウディアは何も悪くないのにカッとなって

「何で、クラウディアは、そんなに落ち着いているんだ!」

と吠えるように言ってしまった。此処は、兄として落ち着いて聞くところなのにな。

本当に、俺は情けない。

クラウディアは、目に涙を溜めて

俺の瞳をじっと見つめ

「ラインハルト兄上。私の話を聞いてください。

アンネローゼ姉上の後宮入りは、半年後です。

それまでにアンネローゼ姉上を貴婦人にします。

ラインハルト兄上を紳士にします。

ジークとレオンと一緒に。

お願いします‼︎ラインハルト兄上。ジーク。レオン。

アンネローゼ姉上と一緒に私に利用されてください!

私は、もう2度家族を失いたくありません‼︎

アンネローゼ姉上と2度会えなくなる何て嫌です‼︎

それに、私も、ラインハルト兄上もジークもレオンも父上も利用されるなんてごめんです‼︎

お願いします‼︎助けてください‼︎

ラインハルト兄上。ジーク。レオン。」

そう、クラウディアが言った時俺の胸には、言いようがないほどの嬉しさ、幸せさが、浮かんできた。

気づいたら、クラウディアが、俺たちの瞳をじっと見つめていた。

ニッとレオンが、俺の方を向いて笑い、

「いいぜ。助けてやるよ。

利用もされてやる。ラインハルトもジークもそれで良いよな?」

と言い、キルヒアイスもにっこり笑って

「もちろん!アンネローゼ様に会えなくなるのも嫌だし、

ラインハルトやレオン、クラウディア、セバスティアン様と会えなくなるのも嫌だしね。」

俺は、最後に鼻をフンッと鳴らし

「嗚呼、それで構わない。助けてやる。話せ。」

クラウディアは、満面の笑顔の花を咲かせ俺たちに抱きついてきたのであつた。

 

クラウディアが、抱きついてきた。

俺は、嬉しくなってクラウディアをずっと抱きしめた。

嬉しくって嬉しくって、つい、心の中で「クラウディアが俺を頼った!」と言いさらにぎゅっと抱きしめた。

心の中がふわふわして、楽しくって嬉しくって、幸せで、父上に抱きしめられた時と同じくらい。

姉上が、いなくなってしまうという事を忘れてしまうぐらい。

俺は、クラウディアの兄なんだ。という事が、胸にストンッと落ちた。

幸せさが、胸に広がっていく。

それから、ずっと、クラウディアの事を抱きしめていたらしい。

気付いたら、30分の時が、経過していた。

ふと、クラウディアを見ると、息苦しそうにしていて、慌てて、離した。

クラウディアは、慌てて、俺から、離れていき何というか、ネコのように見えたのであった。

少し、恥ずかしくなって、周りを見ると、3人とも、微笑ましいというか、何というか、ニヤニヤ?といったような顔で笑っていた。

クラウディアは、そんな俺を恨めしそうに見つめていた。

不思議に思ってクラウディアを見つめていると、深呼吸をして、手を叩いた。

背中に冷たい氷を入れられたように、空気が刷新し、冬の朝のような空気になった。

俺は、何故か、、、いや、わからないでも、、

クラウディアが、話を始めた。

それは、とても、驚くほどの、すごいとしか思えない、考えだった。

俺には、絶対に思いつかないほどの。

クラウディアは、天才だ。

俺なんかよりも。

クラウディアは、俺に聞いてきた。

「ラインハルト兄上がやろうとしている方法」だと。

クラウディア。お前は、どこまで見抜いている?

お前の策に乗るのも悪くはない。

むしろ、大歓迎だ。

宇宙を手に入れるのは、この俺だ。

キルヒアイスとレオンが、俺の隣に立って、クラウディアは、俺の後ろから支える。

クラウディア。お前は、昔、姉上に幸せになって欲しいと言った。

お前は? いや、今はそんな事考えても仕方ない。

双子の妹のために頑張るとするか。

俺たちは、まだ子供なんだから。

クラウディアに何もするなと言われたのは、かなり悲しかったが。

兎に角、クラウディアの言うとうりに動くとしよう。

いつか、越えてやる。絶対に。

 

 

 

でも、一番の目標は、ラインハルト兄上、大好き‼︎と言われることだが。

かっこいいでも良いし、もちろん、頼りになるでも。

2人に言ったら、呆れた顔をされたがな。

後悔は、していない。



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お茶会を始めましょう♪/もちろんですわ!/喧嘩するほど仲が良い

この話はお茶会を始めましょう♪/もちろんですわ!/喧嘩するほど仲が良い を合わせた話になっています。


 

 

「それでは、お茶会を始めましょう♪」

 

 

 

 

 

「初めまして。アンネローゼ様。ラインハルト様。キルヒアイス様。ツァーベル様。セバスティアン様。

私(わたくし)は、ティアナと申しますわ。

クラウディアの心友をですわ。

性急ですがアンネローゼお姉様とお呼びしてもよろしいでしょうか?

私(わたくし)の事は、ティアナで構いませんわ。」

ティッ、ティアナ、緊張していてとても可愛い。

頬っぺたが真っ赤。

少し、震えている。大丈夫かな?

そんなに緊張しなくても良いのに。

抱きしめて愛でたい。

ゔゔ、多分、私顔がものすごい、ニヤけている、、、。

うん。

ティアナが、可愛すぎるのがいけない。

……………何でアンネローゼ姉上はそんなにニコニコしているの!

「ええ、構わないですよ。ティアナ。クラウディアの姉のアンネローゼと申します。

クラウディアといつも仲良くしてくれてありがとう。

クラウディアがこんなに笑っているのは、ほとんどないの。

ありがとう。ティアナ。」

と女神のように微笑む。

ティアナは、顔を真っ赤にしながら

「いっ、いえ、そんな。

私(わたくし)は、、、、。」

と口籠る。

「今日のお茶会楽しみにしていたの!

クラウディアの普段の様子を教えてくれると嬉しいわ。」

と珍しくはしゃいだ様子。

………。普段の様子。

やばい。辞めて〜!言わないで、ティアナ〜〜!

ここは、アンネローゼ姉上に

「アンネローゼ姉上!おっお茶会の準備をしましょう!」

噛んじゃったー、、、。

恥ずかしい‼︎‼︎‼︎‼︎

あれ?何故か、ラインハルト兄上が、顔を険しくさせて

「フロライン・ティアナ。クラウディアの心友と言うのは本当か?

クラウディアを脅して言わせているのではないか?

傷つけているのでは?もし、そうなら許さないが。」

とラインハルト兄上が、顔を険しくさせて聞く。

「ラインハルト様。私(わたくし)が、クラウディアの事を脅すですって、傷つけるですって。

そんな事、あるわけないでしょう!!

クラウディアを傷つけているのは、あなたの方でしょう!!

クラウディアは、あなたを含め、みんなで幸せになれる方法を探しているというのに!!

クラウディアの忠告をいつも無視して、

あなたの所為でクラウディアがどれだけ傷ついたと思っているのよ!」

 

「俺が、クラウディアを傷つけることなんてあるわけないだろう!!

戯言言うな!」

 

 

「何が戯言よ!どれだけ、クラウディアが、苦しんだと思うのよ!

クラウディアが、あなたの事で何回私(わたくし)に相談してきたと思うのよ!

あなたは、子供過ぎるのよ!

あなたさえいなければ、私は、クラウディアともっと色々なお話をできたというのに!

本当に、無知って怖いわね。

あなたさえいなければ、クラウディアが泣く事はなかったはずよ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

クラウディアはアンネローゼとお茶を用意しようと席を立った。

2人の言い争いを聞きたくないかのように。

 

 

 

「うそ、だろう。」

 

 

「残念ながら本当ですわ!」

 

ラインハルトは呆然とつぶやくように言う。

ティアナは今まで溜まったうっぷんを晴らすかのように。

 

「俺は、俺は一体、どうしたら、良かったんだ?」

 

「知りませんわ。これから、気をつければ良いのではないですの?」

 

ラインハルトは手で顔を覆った。 何かにあやまるかのように頭をさげる。

ティアナの言葉を聞いてラインハルトは

 

「クラウディアは許してくれるだろうか?」

 

と不安げにつぶやく。

ティアナはそんなラインハルトの様子を見て言いすぎたと思ったのか慌てて

 

「ゆ、許すも何も、クラウディアはそんなところもラインハルト兄上だから、仕方がないと言って笑っていましたわ。貴方の所為で理不尽に怒られても。虐められても。クラウディアは優しすぎる人ですもの。きっと、許してくださるはずですわ。

家族だから、迷惑かけられて当たり前。って言うと思いますわ。私の時もそうでしたわ。友達だから、助け合うのは当たり前。って言っていましたもの。だから………きっと……………大丈夫ですわ……………多分ですが。」

 

噛みながら早口で最後の方は尻すぼみになりながら。

今更、自分が言った事を理解したのか顔が真っ赤に染まる。

 

「そうか。ならば良いのだが。」

 

ラインハルトは少しだが安心したように溜息を吐く。

ティアナは話題を変えるかのように手をパチンと鳴らし

 

「ラインハルト様。とりあえず、この話はここまでにしましょう。

クラウディアの事が大好きな人にせっかく会ったんです。

どうせならクラウディアの可愛いところや良いところを心ゆくまで話したいですわ。

私の事は、ティアナで構いませんわ。」

 

とニコニコ笑いながら提案する。

ラインハルトも目を輝かせながら

 

「ああ、ではティアナと呼ばせていただく。

俺の事は、ラインハルトで構わない。

では、早速、クラウディアの可愛さについて話し合う事にしようではないか!」

 

「もちろんですわ!クラウディアに対する愛は誰にも負けるつもりはありませんわ!

いくら、双子の兄であろうともですわ!」

 

「ふん!望むところだ!返り討ちにしてやる!」

 

こうして2人はクラウディアを愛でる会を作っていくので有った。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

これは、一体、どういう事なでしょうか………。

2人が私の事を心配してくれて言っているのは、わかります。

あの時点で、嫌な予感がして逃げた報いなのでしょうか?

 

「でーすーかーらークラウディアははにかんだ顔が、一番可愛いですわ!

確かに、満面の笑みも可愛いですわね。もちろん、恥ずかしがる顔も。」

 

「ああ、その通りだ。だが、満面の笑みで、俺に抱きついてきた時の顔が一番可愛い。

ティアナのいう事は、間違ってはいないがな。それよりも、はにかんだ顔だって?

ティアナだけずるいぞ!」

 

「ふふん、良いでしょう♪

それから、ラインハルト。私(わたくし)の方が、クラウディアに抱きつかれた回数は、多いですわよ!

あなたが抱きつかれたのは、たったの一回。

どう見ても私(わたくし)の方が多いですわよね。」

 

「何だと!ずるいぞ!ティアナ!

そう言うティアナは、何回だ?

まさか、二回とかでは無いよな?」

 

「もちろん、百回は、越えていますわ!

ティアナとは、会う時と帰る時・最低二回ずつは。

勝ったわね。あなたの負けですわ。

ラインハルト。」

 

「ふんっ。ならば、ティアナ、クラウディアの寝顔は見た事は無いだろう?」

 

「ずっ、ずるいですわ!ラインハルト!

私(わたくし)にも見せなさい!!」

 

 

と、まあこんな風に喧嘩?をしていた。

アンネローゼ姉上と父上はニヤニヤしながら、見世物でも見るかのように見て、

ジークとレオンはそれを呆れた顔で見ている。

レオンに止めてとアイコンタクト送ったら、

「喧嘩するほど仲が良い、それに今、あの2人を止めるのが、めんどくさい。いや、俺が死ぬ。俺は、まだまだ、生きたい。」

と返された。つい、ジトーっとした眼で見たのは悪く無いと思う。

ジークは、と見たら、

アンネローゼ姉上の事をじーっと見つめている。

綺麗なのは、わかる。好きな人の事をずっと見ていたいんだよね。

わかるよ。でも、助けて。

こんなの恥ずかし過ぎる。

二人とも止めて。

私は、叱られたく無い。

はあ、何て面倒な。

「お二人とも、そこまでです。」

と言い、続けられるようにもう一度口を開こうとしたら

「クラウディア、俺の方が良いよな?」

 

「いいえ、クラウディア。私(わたくし)の方が良いですわよね?」

と詰められた。

「ええっと?何の事?」

と首を傾げて聞いた。

二人とも、何故か、悶えて

『ああ、クラウディアが可愛い。』

と異口同音に言ったのであった。

「ラインハルト。撤回します。

この顔が一番可愛いですわ!

この顔で世界が滅ぼせますわ!」

 

「同感だ。ティアナ。

可愛すぎてもはや凶器だ。」

 

二人とも、大丈夫でしょうか?というか、

 

「ラインハルト兄上もティアナも人を突然凶器扱いしないでください!!!!!!!!!!!!」

 

『クラウディアが、可愛い過ぎるのがいけない』

と言われ、

「嫌みですかーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

と言ってしまった私は、悪く無いと思う。

二人とも、絶世の美少女と美少年なんだから。

 

 

私は、こうも思った。

二人とも、私への愛?が深すぎませんかね〜。と。

喧嘩しているのでは無かったのか?と。

 



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姉上。

「アンネローゼ姉上。

いってらっしゃいませ。」

私は、涙と嗚咽をこらえるのに必死で笑うことができない。

とうとう、この日が、きてしまった。

アンネローゼ姉上を貴婦人に仕立て上げることは、成功した。

でも、もしも私という異端児イレギュラーがいる事によって、歴史が、変わったら?

ラインハルト兄上やジーク、レオンが、死んでしまったら?

駄目だ。こんな事ばっかり考えては。

 

これから、私たちは、別々の道を歩いて行く。

 

アンネローゼ姉上は、後宮へ。

 

ラインハルト兄上とジーク、レオンは、幼年学校へ。

 

父上は、フェザーンへ。

 

私は、ティアナのいる、カナリス公爵領へ。

 

家族が、全員バラバラになってしまう。

 

悲しくて辛い。

 

でも、大丈夫。

 

原作とは、多分、違うはず、。

 

ラインハルトの周りには、ジークとアンネローゼ姉上だけしかいないわけでは、無くなっている。

 

だって、レオンが、いる。

 

父上がいる。

 

ティアナが、いる。

 

一応、私も。

 

だから、あんな悲しい終わり方にしない。

 

お姉ちゃんは、最後まで読んだ時泣いていた。

 

もう、転生?して10年が、たった。

 

あまり、内容とかも覚えていない。

 

前の家族でさえ朧げになってきている。

 

私の前世は、ただの平凡な女子高生。

 

お父さんとお母さん、そしてお姉ちゃんがいた。

 

お姉ちゃんは、天才だった。

 

私が、泣くまでは。

 

今世では、誰かの才能を殺させたくない。

 

だから、私はラインハルト兄上とジーク、レオン、アンネローゼ姉上、父上、

そしてティアナを完璧にサポートしよう。

 

 

この世界を変えてみよう。

 

 

 

かつて、ラインハルト・フォン・ローエングラムがやったように。

 

 

 

人が人として生きれる世界を作ろう。

 

 

私の夢は…………………………………………………。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ああ、ついにこの日が来てしまった。

私(わたくし)が後宮に行くこの日が。

私(わたくし)は今、地上車(ランド・カー)に乗って向かっている。

ああ、何故私(わたくし)なの?と何度問いかけただろう。

いずれ嫁ぐ身だとはわかっていた。

でも、まさか皇帝陛下なんて。

畏れ多い気持ちともう、父上ややんちゃな弟(ラインハルト)賢い妹(クラウディア)優しい弟と妹の友人達にあまり会えなくなってしまうという寂寥感が混ざり合っている。

あの子達が私の手作りケーキを食べているところが好きだった。

掃除していたり料理していたり洗濯していると

 

「手伝いますね姉上。」

 

と声をかけてくるクラウディアと

 

「お手伝いさせてくださいませ!」

 

と同じように声をかけてくるティアナ。

 

議論を交わしたり喧嘩したり商談について話す父上とラインハルト、レオンとジーク。

 

そんな何気ない日常が好きだった。

時よ止まってしまえと何度思ったことだろう。

 

ずっと、あの時間が続けば良いのに。

 

 

 

 



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私(わたくし)の領地にようこそ!/nevergiveup

この話は私(わたくし)の領地にようこそ!/nevergiveupを合わせた話になっています。


 

 

 

 

誰かの声が聞こえる。誰だろう?

まるで、小鳥のような可愛い声。

もう少し寝かせて欲しい。

アンネローゼ姉上の声でも、お姉ちゃんの声でも、ラインハルト兄上の声でも無い。

「ク…………ディア!………ラウ………!

クラウデ………!クラウディア!

良い加減起きてください!!」

そうだ。ティアナの声だ。

でも、何で、家にティアナが?

あれ?此処って家だっけ?

でも、暖かくて気持ちが良いから、もう少し寝かせて欲しい。

「クラウディア!着きましたわ!良い加減起きてください!」

………。着いた?どこに?

あっ、……………。

やばい。すぐ起きなければ。

勢いよく、眼を開け体を起こすと目の前にはティアナ。

案の定、頭と頭が、ぶつかった。

いっ痛い。

でも、ティアナは、涙目。

「ごっごめん!ティアナ!大丈夫?

寝過ごした!ティアナ、頭大丈夫?

冷やした方が良いよね?

お付きの人に頼んで、氷貰ってくるね!」

私は、慌てて、お付きの人を呼ぼうとすると、

ティアナが、クスクスと笑い、

「大丈夫ですわ。クラウディアこそ大丈夫ですか?

ごめんなさい。気持ち良く眠っているところを起こしてしまって。

私(わたくし)の惑星(ほし)

に着いたので、つい、嬉しくなってしまって…………………。

クラウディアにも、早く見せてあげたくて……………。

あの……………嫌いにならないでくれますわよね?」

私の事心配して、喜ばせるために起こしてくれて、泣きそうになっている

ティアナを見て嫌いに何てなれるわけ無いじゃありませんか。

本当に可愛い。

「もちろん!ティアナ♪ありがとう!!!!!!!!!!!!」

ティアナの手を握ってにっこり笑って言う。

ティアナは、ひまわりの花が咲いたようにぱあっと顔を輝かせて

「気にって頂けて何よりですわ!ですが、まだまだですわ!

たくさん、良いところがあるのです!

そういえば、クラウディア。

私(わたくし)の領地にようこそ!ですわ♪

ゆっくりしていってくださいね?」

 

 

「うん!楽しみにしているね?」

 

コンコン

 

 

ノックの音が聞こえる。

下船の合図かな?ティアナと顔を見合わせ

ニコッと笑い

「どうぞ、開いておりますわ。」

「失礼します。ティアナお嬢様。クラウディア様。下船の用意が出来ましたが、どうなさいますか?」

燕尾服を着て登場したティアナの執事さん。

四十代くらいの渋カッコ良いおじさんだ。

バスの低音の声がかなーり好み。

これぞ、執事という感じで。

今日から、ティアナの領地で働くことになっている。

 

私は、ティアナと顔を見合わせ、ティアナの手をぎゅーっと握りあの日のように前を向き、出口に向かって歩き始めた。

クラウディア。大丈夫。前を向いて。一人じゃ無い。

人が人として生きれる世界を作ろう。アンネローゼ姉上のような人がでない世界を。

悪い事をした人がちゃんと裁かれる世界を。

ラインハルト兄上は、武力を使って。

父上は、財力で。

アンネローゼ姉上は、美貌で。

(伝えていないけどね。)

私は、知力で。

もう、ティアナみたいに、 人が、物として見られない世界を。

正義の反対は、別の正義。

お姉ちゃんが、言っていた言葉。

私の夢は、、、、。

必ず、叶える。

私は、クラウディア・フォン・ミューゼルなんだから。

ラインハルト兄上の双子の妹なんだから。 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「此処が、役所ですか、、、。」

大きい。何というか、無駄に大きい。

こんな大きさいるの?というぐらい。

今日から、前世で言うなら、市役所のような場所でティアナと皇帝陛下に許可を貰って働く事になりました。

本を読んで、父上に話を聞いて、いろいろな人に秘訣を教えて貰って。

此処まで、来ました。

初めは、自棄でした。

もう、どうにでもなーれという感じで。

寵妃の妹だし、ラインハルト兄上が、偉くなるまで、お見合いとかが来たら、面倒だし。

目立ってなんぼだろ〜と思い、此処まで、来ました。

どうせ、後悔するなら、やる事やって後悔した方がマシですし。

ティアナが、出来ないと言って泣いていたのを慰めたいわけでは無いのですよ?

あ、く、ま、で。

私自身の意思なのですから!

 

まあ、それは、置いておいて。

此処は、役所の中。

しかも、壇上の上。

ものすご〜く目立ちます。

視線が突き刺さっていたいですが、

皆さんに挨拶をしなければいけませんよね?

こんな小娘が、来てしまったわけですし。

年長の方にとっては、面白く無いでしょうし。

この顔を精一杯利用してしまいましょう。

このぐらいにしか役に立つ気がしませんしね。

「初めまして。私は、クラウディア・フォン・ミューゼルと申します。

とりあえず、此処の長官になりました。

至らない点の方が多いと思いますが、支えてくださると嬉しいです。

どうぞ、よろしくお願いします。」

と言い頭を下げる。

 

まあ、ね、こうなる事は、分かっていたけどね。

ものすご〜く視線が痛いよ。

小娘が!という無言の声なき声が。

とりあえず、ルンヒェン・ベネディクトに話しかける。

彼は、私付きの従者でもある。

だいたい年は40歳ぐらい。

「申し訳ございません、ヘル・ベネディクト。

資料室から、此処、数年分の財務の資料をとってきてもらえますか?」

「分かりました。(ヤー)プロライン。」

ちなみにいうとかなり無口だ。

それまでに、机の上に積まれている資料を読み込んでおいた方がいいよね?

いくら、古い時代に帰ろうと言っても、コンピュータさえ、使っていない何てありえない。

ティアナが、誕生日ごとに惑星のさみだれを貰っていたらしい。

そのうちの一つの星の長官となったは、いいけれど、今、私が見ている資料の中に、書きかけや、計算間違え、は、まだ良い。

堂々と汚職している後や、期限が切れているもの、今日までのもの。

一体、この役所は、どうなっている?というぐらいにひどい。

しかも、さっきから叫び声や、人を拷問する声。

堂々と私を殺そうと相談している声まで。

何というか、一周回っておかしくなってきた。

とりあえず、今日までの書類、完璧なものにだけサインをして、昨日までのものは、部署ごとに分けて突っ返し不備のものは付箋にアドバイスを貼り、同じように分ける。

………。事務の仕事、お姉ちゃんの仕事手伝っていて良かった。

ホント真面目に。まさか、10歳でやるなんて考えもしなかったけれど。

これじゃ、改革よりも、先に洗い流した方が早いや………。

後で、ティアナに手回しを頼んで、ヘル・ベネディクトにいろいろと資料を集めてもらわなきゃ。

私、まだ10歳なのに………。



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少女編
 何故か、お見合に…………………。/ ………。悪魔。


この話は 何故か、お見合に…………………。/ ………。悪魔。を合わせた話になっています。


えーと、クラウディアです!

あれから、4年が経ちました!

ただいま、14歳ですね。

汚職している職員達と闘い、勝利。

何とか、健全化できました。

今は、復興中ですね。

フェザーンから、識者を招いたり、

ラインハルト兄上の愚痴の手紙に返事を書いたりなど。

アンネローゼ姉上は、皇帝陛下の寵妃(グリューネワルト伯爵夫人)です!

ティアナとの仲も深まり、

嗚呼、そういえば、ヒルダ、フロライン、ヒルデガルト・フォン・マリーンドルフです!

政治、経済の話が出来てとても楽しいですね。

ティアナとヒルダは、私の心友です!

ヒルダは、男の子のような格好ばかり好みますが、ティアナが試しにドレスを着せたところ、とっても、可愛かったです!

写真にいつまでも残して置きたいと思えるほど。

もちろん、写真にも残して、私とヒルダとティアナが、写っている写真を、ラインハルト兄上達に"私は、心友がもう一人出来ましたが、ラインハルト兄上達は、友だちができましたか?"という感じで!

アンネローゼ姉上には、もう一人、心友が出来ました!!という感じで送り、良かったわとビデオメッセージで返してもらえました!

ラインハルト兄上は、かなりヒルダの事を警戒して、私の言葉にかなり傷ついていたらしいですが、とりあえずスルーします。

どちらかというと筆まめなのは、アンネローゼ姉上、レオン、ジーク、ラインハルト兄上の順番でしょうか?

ラインハルト兄上は、本当に何かあった時ぐらいしか書いてきませんしね。

同じ、姉弟なのに此処まで似ていないって………。

逆にすごいですねー。

 

 

………。うん。4年間の事、回想終わったよ。

現実を直視したくないし、夢だと思いたい。

悪夢から早く目が覚めて欲しい。

私、結婚しないと思っていたのに。

今、現在、父上に騙され、何故か、お見合いに……………。

しかも、相手は、約9歳年上、士官学校を卒業し、只今、降格され中尉なんだそうで。

原因は、女性関係のトラブル。

それに焦った彼の父親の利害と父上の利害が一致し、現在、後は、お若い者同士で。

と定番のセリフを吐かれ現在に至る。

 

 

 

何でこうなった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

私は、まだ、14歳なのに!!!

何を話せと?

私の理想は、誠実で、私のする事を邪魔しない人。

まあ、後者は、まだ諦められる。

でも、せめて誠実な人が良かった。

諦めるしか方法は、なさそうだな。

せめて、私のやる事を邪魔しなければ良いや。

貴族って本当に面倒くさい。 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

………。アニメで見た通りにカッコ良い人だなぁ。

これで、性格が、彼の親友であるウォルフガンク・ミッターマイヤーだったら、良かったのに。

そういえば、お見合い相手の名前を言ってませんでしたね。

彼は、オスカー・フォン・ロイエンタール。

とりあえず、暫定、私の婚約者だそうです。

ちなみに、ヘル・ロイエンタールの過去は、父上に聞きいえ、聞かされ、メンタルがゴリゴリ削られましたね。

おかげで何から、話せば良いのやら。

とりあえず、もう、浮気とか、不倫とかは、好きにして構いません。と私のやる事を邪魔しなければいいです。

という事を言っておきましょう。

仮面夫婦万歳。白い結婚万歳。

私、まだ14歳ですし。

断るの面倒だし。

よし、決まったら、話しかけよう。

ちなみに、向かい合って紅茶を飲んでいる状況です。

私は、カップをお皿に置き、

「ヘル・ロイエンタール。提案が有るのですが、まだお時間は、有りますか?」

 

「提案とは?フロイライン・ミューゼル。」

 

とっても、美声ですね。

ラインハルト兄上と同じくらい。

 

「はい。私は、まだ14歳ですし結婚は、まだ早いと思います。

まだまだ、やらなければならない事がたくさん残っているのです。

見たところ、貴方も私のような小娘と結婚するなんて嫌でしょうし、

お互い断ったら、またたくさんの、お見合いを持ってくるでしょうね。

とりあえず、私的にははっきり言ってしまうと貴方と婚約だけして、煩わしい事に巻き込まれたくないのです。

私が、貴方に望むのは、婚約者としての外面と私のやる事に邪魔をしないという事だけです。

もちろん、女の人と遊んで構いません。

私は、お見合いの度にオーディンに呼び寄せられる何てごめんなので。

いかがでしょうか?ヘル・ロイエンタール。」

 

彼は、口の端をほんの少し上げ面白いものを見たという表情で

「ほう。了解した。つまり、仮面夫婦のようなものだな。」

 

私は、にっこり笑いながら

「ええ。それで構いませんわ。」

と言い狸達相手にやりあった時の笑顔を見せ答えた。

 

「クラウディアと呼んでも?俺のことはオスカーで良い。」

 

「ええ。構いませんわ。オスカー様。

それでは、私は、これで失礼します。」

なんか、地味に獲物を見る視線で怖い。

こういう時は、撤退し、逃げるのがちょうど良い。

さあて、帰ろう。

帰って、ティアナに慰めて貰おう。

 

「待て。クラウディア。仮面夫婦となるのだ。

お互いの事を把握しておいたほうが良いのでは無いか?」

………。悪魔。何故か、そんな言葉が浮かんでしまった。

 

 

私が、彼の屋敷を出れたのは、約二時間後で、父上と彼の父が、妙に意気投合していて少し引いたとだけ伝えておこう。

何ていうか、捕まっては、いけない人に捕まった気がする。

でも、すぐに飽きるよね。

こんな小娘何て。というか、何で来週も会う約束になっているの?

金銀妖瞳(ヘテロクロミア)怖い。 



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 桃の花と私(わたくし)の心友は。

 

 

 

 

 

私(わたくし)の心友はクラウディア・フォン・ミューゼル。

6歳の頃からの8年間の付き合いですわね。

私(わたくし)の心友は天才ですわ!

狸ジジイ共をバタッタバタッと斬り倒していくほど、元気でカッコ良いですわね。

同時に甘えん坊であり、頼れるお姉さんでも有りますわ。

彼女の家族は、父のセバスティアン・フォン・ミューゼル。亡母のクラリベル・フォン・ミューゼル。

姉のアンネローゼ・フォン・グリューネワルト。双子の兄のラインハルト・フォン・ミューゼル。ですわ。

あら、私(わたくし)の名前を言っていませんでしたわね。

私(わたくし)は、ティアナ・フォン・カタリナ。

カタリナ公爵家公爵令嬢ですわ。

私(わたくし)の領地は、4年間でとても豊かな銀河帝国一素晴らしい領地と言われるようになりましたの♪

ねっ♪クラウディアは、凄いでしょう!

彼女の父のセバスティアン様は、フェザーンでやり手の商人。

姉は、皇帝陛下の寵妃。

兄は、幼年学校の首席。

これだけ見ると超人というか完璧というか。

まあ、とにかく凄いでしょう!

でも、彼女の父は、家族思いの優しいお父さん。

姉は、お菓子作りとピアノの得意な綺麗なお姉さん。

兄は、喧嘩好きだけど、心を許した人には、とても優しいお兄さん。

ラインハルトは、私(わたくし)の友達の一人であり、クラウディアを愛でる会を一緒に設立した同志でも有りますの。

ほんと、ミューゼル家は、年々美しくなっていっている気がしますわ。

悔しいぐらいに。

そういえば、ラインハルトから、誕生日に花が贈られましたわ。

ちなみに贈って来た花は、桃の花。

クラウディアに言ったら、無言でラインハルトに電話をかけ小一時間ほど問い詰めてそのあと、何故か、私(わたくし)は、クラウディアに頭を撫でられましたわ。

後で、ジークから、聞いたところ、花屋で三時間程迷ってラインハルトが買った花だそうです。

もちろん、ラインハルトには、ありがとうございます。とお礼を申し上げましたわ。

とっても、嬉しかったですしね。何故?そんなに迷ったのかは分かりませんが。

あと、デビューの時にパートナーを務めて良いか?とも聞かれクラウディアに相談したら、何故か、ラインハルト兄上グッジョブです!とつぶやいていましたわ。

どうしてでしょうか?

もちろん、他の貴族(話が通じない馬鹿)より良いので

いえ、比べるまでもなくラインハルトの方が良いですね。

まあ、こんな感じで毎日楽しく過ごしていますわ♪

来週は、後宮で久しぶりに全員集まって、お茶会だそうです!

クラウディアの、婚約者も来るみたいでとても楽しみです♪

どんな方なのかちゃんと査定しなければいけませんしね。 

 

 

 




桃の花の花言葉

あなたに夢中
あなたのとりこです
気立ての良さ
愛の幸福


花言葉ラボから 


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大袈裟すぎますわ……………。/ 「私(わたくし)は、愛されない。」/  ラインハルト兄上って本当にめんどくさい!!!!!!!!!!!!/ 伝えたいのに。

この話は大袈裟すぎますわ……………。/ 「私(わたくし)は、愛されない。」/  ラインハルト兄上って本当にめんどくさい!!!!!!!!!!!!/ 伝えたいのに。
を合わせた話になっています。


 

 

「ふふっ今日は待ちに待ったお茶会日♪楽しみね。」

 

 

今日は待ちに待ったお茶会日!オスカー様と一緒に後宮へ向かいます!

こういう時、寵妃の妹という称号、超便利!

何も言わなくても通してくれるよ。

楽器も持ったしお菓子も持った。

さあて。レッツゴーです!

 

ああもう、久しぶりに姉上に会えるかと思うとドキドキする!

ラインハルト兄上もジークもレオンもみんなカッコ良くなっているし、

ティアナとヒルダは可愛い。もちろん、アンネローゼ姉上も!

最近、ラインハルト兄上とティアナの様子が初々しくて可愛い。

オスカー様と何回か後宮に来てお茶会は、何回もしているから手慣れたものです。

そう言えば、原作のオスカー様、こんな優しかったけ…………………。

いつも、冷笑を浮かべていたような気がするのだけど。

気のせいかなぁ?

 

 

「それでは、みんな揃ったことだし、お茶会を始めるぞ。」

レオンはテノールの声を響かせる。

「クラウディア!ねっねっ、あの後、どうでしたか?

喜んでいただけましたか?」

とティアナは、顔を赤く染め上げる。

これでラインハルト兄上の想いに気づいていないのって案外凄い。

アンネローゼ姉上とヒルダは、ニヤニヤしながら会話に加わってくる

「ティアナは、ほんとうに彼の事が好きなのねー。」

 

「えっいや、そんな、あ〜〜うー」

 

「ティアナほんと、可愛すぎ!渡したくないよ〜。

勿体無い。」

 

「えっ!私

わたくし

よりもティアナや、アンネローゼお姉様、ヒルダの方が可愛いですわ……………。」

 

「そういう所が可愛いよ!ティアナは。

流石、私の心友!!!!!!!!!!!!」

 

「大袈裟すぎますわ…………………。」

 

「そう言えば、クラウディア。あの事、本気でするの?」

 

「もちろん♪さあ、アンネローゼ姉上、ティアナ、ヒルダ。

準備しましょう?どうせなら、驚かしてあげましょう!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

ーーーーー

 

「今回は、一体、何をやるつもりなんだ?あいつらは。」

何かを諦めたように呆れた声でレオンは、ため息を吐いた。

 

俺は、

「いつもの事だろう。」

と、

少しだけ微笑を浮かべ言う。

内心では、やな予感がしてならない。

クラウディアとティアナが、悪戯を仕掛けて掛からなかった試しは、無いぐらいに。

というか、クラウディアにやられたら何とか、怒ることは、理性を総動員すれば何とかなると思うかが、

ティアナは、無理だ。

理性が吹き飛ぶ自信がある。

ティアナには、ばれていないが他の奴らには、ばれている。

だから、堂々と言おう。

 

俺は……………ティアナの事が好きだ。

いつから、いつから好きだったかは、覚えていない。

だが、はっきり意識したのは、13歳の時だった。

幼年学校の休暇中、ティアナの領地に遊びに行った時。

何処かの貴族がティアナの事を奪おうとした時だった。

その時は、何故こんなにもティアナの事が、気になるのか分からなかったがな。

気付いたのは、オーディンに戻り、クラウディアに何故か、ティアナの事を考えると夜も眠れないと相談した。

クラウディアは、大きくため息を吐きこう言った。

 

「では、ラインハルト兄上。ティアナが、他の男とキスをしているところを想像してください。」

 

想像した途端何故か、そいつの事を殺してやりたくなった。

クラウディアにその事を伝えると

 

「それが、恋ですよ。ラインハルト兄上は、ティアナに恋をしているのですよ。」

 

俺が、ティアナに恋をしている………。

何故か、すとん、と心に落ち着いた。

俺は、ティアナの事が好きなんだ。

気付いてもどうすればいいのか分からなかった。

なので、困った時だったのクラウディアだ。

クラウディアは、頭を痛そうに抑えながら

 

「ラインハルト兄上がされて嬉しい事や、ティアナが、好きなものを送ったら、どうですか?

ベタに花や、アクセサリーなどがありますね。

後、ティアナのパーティーのパートナーが決まってい無かったはずなので立候補してみたらいかがですか?

理由は、まぁ、心配だから。とか、ティアナが好きだから譲りたく無い。とか、いつも、私がお世話になっているから。とか。

まぁ、いろいろとありますし、ね。」

 

と最後の方は、ニヤニヤしながら言う。

俺は、最後以外、言ったら、気持ちが思いっきりバレると思い、一番最後にしようと心に決める。

クラウディアは、ふふっと笑い

 

「応援していますよ。ラインハルト兄上。

ティアナが、家族になるのは、大歓迎です。

頑張ってくださいね。」

 

と応援された。

まぁ、それから、桃の花を贈り、反応を見たが気づかれた様子は、無い。

どちらかと言うとティアナは鈍感だ。

でも、必ず、振り向かしてやる。

まずは、ティアナにクラウディアの様子が知りたいからと一週間に一度連絡を取るようにしていたのを、2日に一回にした。

今では、クラウディアの様子よりもティアナの小鳥のような声が楽しげにさえずりガーネットのようなその紅い髪が楽しげに揺れ、エメラルドのような緑色の目が、煌めくのを見るのが好きになった。

次に、姉上や、クラウディア、他の友達に頼み今日のお茶会を計画して貰った。

皇帝になるのは、最初は、姉上を取り戻すためだった。

でも、ティアナを見ていたら、ティアナを手に入れる為にも皇帝に成らなくては、いけないと思った。

ティアナは、公爵令嬢。俺は、帝国騎士の息子、寵妃の弟。

並び立つ為には、努力しなければ。

こんな、身分差は、いらない。

好きなのに想いを伝えられない何て嫌だ。

子供なのが悔しい。

クラウディアは、子供だからこそ時間がたくさんあると言った。

でも、それでは遅い。

俺は、ティアナが欲しい。

だから、出来る限り努力する。

ティアナは、

「私

わたくし

は、愛されない。」

と前に悲しそうに言った。

その後、用事が入りうやむやになっていたけれど、俺は、ティアナを幸せにしたい。

そんな事、思い出させないぐらい愛したい。

だから、銀河を手に入れる。

でも、今は、このお茶会を楽しもう。

いろいろと聞きたい事もあるしな。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「それで、クラウディア。何で婚約することになったんだ?」

 

お茶会が始まって、和やかな雰囲気の中、ふと、思い出したようにラインハルト兄上が不思議そうに聞いた。

私は、やっぱり聞くよなーと思いながら、あらかじめ用意していた言い訳を言う。

 

「 私が、オスカー様に一目惚れをしまして、父上にお願いして婚約者になっていただいたんですの。」

 

にっこり、と笑い語尾にハートマークがつきそうな甘ったるい声で言う。

ちなみに真相はラインハルト兄上以外全員知っているので、突っ込まれる事はない。

だが、くそ、恥ずい。

何というか。こちらを見て面白がっている雰囲気しかない。

ラインハルト兄上は、目をまん丸にして思考を停止しているようだけど。

ラインハルト兄上がもう少し理性的だったらみんなみたいに話せたものを話せたのに。

お姉ちゃん曰く確か、義眼の人だっけ、ナンバー2不要論を唱えたのは。

確かに当たっている。

でも、ラインハルト兄上は、そんなに強く無い。

人の心は弱くて壊れやすい。

もしも、私が死んでもティアナやみんながいるから立ち直る事が出来るだろう。

ラインハルト兄上に言わなければ、もしも、私を切り捨てなければいけなくなったらすぐに斬り捨てろってね。

酷だろうけど、これが一番合理的。

はあ、ラインハルト兄上はめんどくさい。

あっ戻ってきたみたい。なんか、無理やり納得したという感じだなぁ。

 

「クラウディアが幸せならそれでいいが。

クラウディアって男を好きになる事が信じられないな。」

 

………。すっ鋭い。さすが、主人公。

恋愛に関しては、やっぱり鈍感で天然で良かったかも。

ある意味、ティアナとラインハルト兄上は似ているわ〜。

怖いぐらいに。

もう、考えるの放棄しようかな。

だめだ。オスカー様に迷惑かけられない。

ラインハルト兄上って本当にめんどくさい!!!!!!!!!!!!

やつあたりみたいだけどやつあたりして何が悪い。

とりあえず、開き直った方が良いかな?

 

「ラインハルト兄上、酷い。

私だって、まだ14歳。恋ぐらいする。

ラインハルト兄上だってしているくせに何で私はしちゃいけないの。」

 

一応、頬を膨らませ、すっと視線を下げる。

実はこの言葉、諸刃の刃。

地味に心が痛い。私だって恋したい。

でも、この世界じゃ無理。

だから、ティアナとの恋愛を後押ししているのに。

少しぐらい慌てたって良いと思うよ。

この、鈍感、朴念仁、妙に鋭いラインハルト兄上は。

 

「クラウディア!!!!!!!!!!!!

いや、違うんだ、ティアナ。いや違わないか?いや、あの……………。

クラウディア!何とかしろ!

酷すぎるぞコレは!」

 

慌てて焦って、いい気味かも。

でも、あまりいじめすぎるのは、よく無いよね。

でも、面白いし、少しぐらいからかっても良いよね。

 

「ラインハルト?どうかした?

ねっそれより、好きな人って誰?

わたくし

応援いたしますわ!

クラウディアは何か、ご存知?」

 

………。ティアナ。ごめん。ラインハルト兄上。

玉砕してくださいね。まあ、多分、そんな事には、ならないと思いますが。

アンネローゼ姉上。ヒルダ。キラキラとした目で見ないでください。

確かに、恋愛小説みたいですが。

ジークもレオンも笑いを必死に堪えているし。

オスカー様は、優雅の紅茶飲んでいるし。

何なのさ、このカオス!!!!!!!!!!!!

あっラインハルト兄上がティアナの手を取った。

そして………。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 伝えたいのに。

 

 

 

 

 

ラインハルト兄上は、覚悟を決めたように、

ティアナの手の甲にそっと口づけた。ティアナの手を持ったまま、目線だけ上に動かし

顔を上げ固まっているティアナをとても、愛しそうにティアナを見つめ

 

「ティアナ。俺は、お前が好きだ。」

 

とストレートに告げた。

ティアナは目をまん丸に開き、口を何度も開け閉めする。

ティアナのエメラルドのような緑色の瞳には迷い、期待、困惑の色が浮かび、

思わずと言ったように

 

 

「うっ嘘ですわよね?」

 

と噛み慌てて手を引っ込めようとする。

だが、ラインハルト兄上はそうはさせないとティアナの手を引っ張り

反対の手を腰にダンスをする時のように密着させる。

もちろん、 ティアナの手の甲に口づけたまま。

 

「嘘では無い。もちろん、いたずらでも無い。俺は、ティアナが好きだ。

異性としてだ。俺は、ティアナが欲しい。

だから、あと、5年待っていてくれないか?

俺が、ティアナの事を守れるようになるまで。

今でも、ティアナの事を守りたい。

でも、俺は子供だ。ティアナの隣に立つのに相応しい男になろう。

だから、無理には言わない。だが、俺の気持ちは覚えておいてくれるとうれしい。」

 

ティアナの顔は真っ赤に染まっていた。

ラインハルト兄上の告白を聞いている時からじわじわと。

今では首まで真っ赤に染まっている。

ラインハルト兄上は、耳が紅い以外は特に変化は起きていない。

まさか、こんな情熱的な告白をするなんて……………。

私が、驚いて固まっている中、オスカー様は、まるでこうなる事が当然のように私の髪を優しく撫でていて、文句を言おうとしたけれど、アンネローゼ姉上とヒルダが、目をキラキラさせて、私とオスカー様。ラインハルト兄上とティアナを見ていた。

ジークはニコニコとニヤニヤの中間点のような顔で笑い。

レオンは、もう見てらんねーという風に手で顔を覆っている。

そんな、カオスな雰囲気でも心地良い空気の中、何故か私は、嫌な予感を感じた。

カタリナ公爵領にいた時何度も感じた殺気。

それが、ラインハルト兄上とティアナに向けられていると感じた瞬間思わず

 

「ラインハルト兄上!ティアナ!危ない!」

 

そう、叫び2人の事を突き飛ばした。

嫌な予感は、私は良く当たる。

良かった。と思った瞬間、私の胸は光の矢に貫かれた。

私は、キョトンと自分の胸を見た。

穴が開いていた。

そう認識した瞬間想像を絶する痛みが襲ってきた。

頭も撃たれた見たいで、右目に血が入ってきている

私が、最後に認識したのは私の身体を支えるオスカー様の姿と呆然自失するラインハルト兄上とティアナ。

慌てて駆け出すジークとレオン。悲鳴をあげるアンネローゼ姉上とヒルダ。

誰かの声が聞こえる。

 

「死ぬな!クラウディア!逝くな!」

 

焦ったような声。私の中から温かいものがどんどん流れていく。

もう、身体が重くて動かせない。私は、身体を支えてくれている人の手の掴み

 

「ごめんなさい。ラインハルト兄上とティアナを………。」

 

声が出ない。出したいのに。伝えたいのに。

 

「………。オ……………スカー……………さ…ま。……………。」

 

私は、闇の中へ引っ張られていく。

まだ、伝えていないのに。

死ねわけにはいかないのに。

私の意識は、闇に沈んで行った。

私を呼ぶ誰かの声を聞きながら。

 

 

 



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番外編
七夕


 

 

 

 

 

日が沈み、東から昇った星が中天に輝くある日の事。

彼女は空を見上げていた。

その様子がとても綺麗でまるで豊穣の女神フラのように見えた。しばらくその様子を見つけていたが頬を撫でる風に気づき静かに

 

 

 

「クラウディア。良い加減寝ないと明日が辛いぞ。」

 

彼女は、ハッと気付いたように

 

「ありがとうございます。オスカー様。

でも、大丈夫です。」

 

そう言うと彼女は、また、空に視線を戻した。

 

何故か、消えて無くなりそうな気がした。

まるで、空に溶けてしまいそうで、彼女の身体を自分の身体で包み込み抱き締めた。どこにもいかないように。

彼女は、急に俺が、抱きしめた事にびっくりしながら、顔だけこちらに向けてふんわりと口もとに微笑を浮かべて

 

「どうかしましたか?オスカー様。」

 

と少し頬を赤らめながら聞かれる。

俺は、彼女の頭を撫でながら

何故か、本音が漏れた。

 

「クラウディアが、何処かへ行ってしまいそうに見えてしまった。

まるで、この星の海に消えて無くなりそうな気がした。」

 

そう言い、また彼女の身体を強く抱き締める

彼女が痛いと思わないが逃げられない強さで。

 

「私は、何処かへ行きませんし、消えて無くなりませんよ。

夢を叶えていないのに死んでたまりますか!

そうだ!オスカー様。今日は一年に一度だけ織姫と彦星が会える日なんですよね。」

 

と頬を染めてきらきらと眼を輝かしながら、言った。

そう言えば、士官学校で航路を勉強する時に習ったなと思いながら

 

「ああ、そう言えばそうだったな。この惑星から、では少し見にくいが。

先程から、星を見ていたのは、それが理由か?」

 

「ええ。織姫と彦星が逢えたら良いなと思いまして。

それに、とても綺麗ですから。

つい、ずっと見てしまうんですよね。

私なんて、ちっぽけな存在だと認識してついリラックスするのです。

そう言えば、オスカー様。

よく、知っていましたね。

結構、マイナーだと思っていたのですが。」

 

「クラウディアに喜んでもらう為に色々と調べてみた。

星が好きなら、今度、星間旅行にでも行くか?」

 

彼女は、慌てたように

 

「そんな、ご迷惑をかけたくないです。

それに、私は、こうやって二人で居られるなら

どこでも良いですよ?」

 

と恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。

 

俺は、赤くなった頬を見られないようにわざと

声を耳にかかるように。

 

「ああ。努力する。」

 

 

七夕の夜の出来事。

ありそうでない日常。

クラウディアは、頬をさらに赤く染め

 

「楽しみです。」

 

と言い彼に………。

 



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ある日の夏の午後

 

 

俺が、彼女と出会ったのは、父親が商売を広げるために相手の父親と提携を結んだからだった。

士官学校を卒業し、色々とあり、降格された。女性関係のトラブルが原因だった。

降格されたことに父親が気づかなければ彼女とは婚約していなかっただろう。

会うことは有っただろう。だが、こんな風に彼女と出かける事は、無かったと思う。

彼女は、時々14歳とは思えない考察力を発揮する。彼女の双子の兄も友達もだ。

彼女は異質だ。彼女は例えるなら、何百年に一度かの流星。散々、引っ掻き回し消えて行く。傷だけを残して。

時に、恒星ですら霞ませる輝きを残して。

彼女の双子の兄は例えるなら、恒星だ。目の離せないそんな存在。

今や、閣下は俺の上司であり仕えるべき主君だ。いずれ、皇帝となりうる、な。

彼女も閣下も眩しい程の輝きを放つ。

 

俺は、彼女にとって良い婚約者では無かった。

それに、彼女みたいな女性は見た事が無い。

真正面から、堂々と、火遊びをして良い。内心ではあまりの事に驚愕していた、がな。

あまり、動揺をせずに済んで良かったと取るべきか悪かったと取るべきか。

貴族の女性らしくなく、カタリナ公爵領で辣腕をふるっていると聞いた時、本当に14歳の少女か?と言いたくなったりしたが。

彼女曰く今更、猫被ったってしょうがないし男性の意見も聞いた方が良いから、と言っていた。

寵妃の妹っていう事でただでさえちょっかいだしてくる人がいるから、最初から傍若無人に振る舞った方が合理的だとも、言っていた。

アンネローゼ姉上ももっと威張っていても良いのにとも。

彼女とはたくさん話しあったが一番多いのは彼女の家族の話だった。

友達の話しもたくさんあった。

その次に多いのが政治経済などの少女が好まなそうな話し。

俺にとっては有意義な時間でもあった。

ある日の夏の午後の事だった。

 

彼女に俺の事情を知っているかと聞いた事がある。

彼女は、

 

「ええ。」

 

と頷き目を三角にし怒り始めた。

幸いにそこは俺の自室であったため、父親に聞かれずに済んだ。

俺は、怒った時の彼女が忘れられない。彼女は

 

「最低な親ですよ。オスカー様には悪いですがあの人たちは親になってはいけない人達だったんですよ。

それに、子供に罪なんて無いのにわざわざ、言うなんて馬鹿みたいですよ。ほっとけば良いのに。

一応、貴族の子女なら貞淑にするのは当たり前ではないですか?

勝手に浮気して、子供が出来たら殺すなんて、馬鹿のする事ですよ。

にこにこ微笑んで、嬉しそうにして隙を狙って夫を殺して子供に継承させて、

あっ、引き取って一緒にどっかの星の別荘に引きこもって浮気相手を婿に迎えて暮らせば良かったのに。

もちろん、遺言書には、妻にすべてを譲るって書かせてから殺した方が良いでしょうね。

商売も、フェザーン人や信頼できる人に任せて座っていれば、お金が入る状態にしてですが。

それからでも、子供を殺すのは遅くないような気がしますよ。

7つまでの子供は神の子でしたっけ?いつ死んでもおかしく無いですしね。

そうしたら、オスカー様も傷つかずに済んだのに。

もったいない。でも、オスカー様が生きていてくださって本当に良かったですよ。

おかげで色々な事が出来ます。

だから、生きていて下さってありがとうございます。」

 

と言い微笑む。

その顔はとても綺麗で美しかった。

言葉は、とても怖かったが。

まあ、あの言葉を聞けただけでも有意義であったと思うべきだろう。

 

彼女が俺の前から姿を消して6年が過ぎた。閣下はローエングラム伯となった。

その事を彼女が知ったらどう思うだろう。その反応を俺は見てみたいと思う。

夏の日の午後に必ず思い出す出来事。 

 

 



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暖かい春の陽射し

 

 

私の名前はルンヒェン・ベネディクト。

代々、カタリナ公爵家に仕えている従者だ。

このような暖かい春の陽射しが降り注ぐこの執務室に来るといつも思い出す。

眉間に皺(しわ)を寄せながら資料を作成し読み、判子を押していた少女の事を。机の上に置いてある少女の家族と友達の写真が飾ってある写真立てと小ぶりの花瓶に一輪だけ飾られていたストックの花。

今では、扉と窓を除く全ての壁が本棚で埋まって、窓を背にし、扉に向かって置いてある執務机が、ぽつんと置いてあるだけだが、本来なら周りには簡易机が沢山並び、資料を整理する棚が並んでいた。

無論、今は机の上には何も置いていない。

 

何故か、たまに少女が仕事をしている気配がする。

5年間ずっと少女といた所為だろう。

私は、もともとカタリナ公爵令嬢ティアナお嬢様に仕えていた。

ある日の事だった。ティアナお嬢様が家出をした。

なんでも理由を聞くとお父様とお母様に構って欲しかったからだそうだ。

かなり簡略化&割愛させていただいた、がな。根本的な理由はそれだから間違ってはいないだろう。

まったく、お嬢様も何を言っているのだか。

お二人以上にティアナお嬢様を溺愛している方なんていないだろうに。

何故、気づかないのだろう。

まったく、ティアナお嬢様は鈍感過ぎる。

もちろん恋愛に関しても。

 

閑話休題。

 

ティアナお嬢様は家出して、心友と呼ばれる少女とまた、会おうと約束をされた。

少女とクラウディア様と会ったのはそれが最初だ。

お世辞だと思ったのに暇があればティアナお嬢様の所へ来たりティアナお嬢様がクラウディア様の所へ訪れたりした。

ティアナお嬢様はクラウディア様の所へ訪れる度に綺麗に美しく優しくなっていった。

どうやら、クラウディア様に説得されたらしい。

これまで、いやいややっていた淑女教育は、クラウディア様が教えて欲しいと言われた事からさらに磨きをかけ政治経済などの勉強もクラウディア様が話題に出すとの事で積極的に勉強する姿が目についた。

はっきり言ってしまえばティアナお嬢様はクラウディア様と出会った時から少しずつ変わった。

 

閑話休題(はなしはかわるが)

 

 

クラウディア様は何故、この国にこの時代に生まれてしまったのだろう。

せめて、自由惑星同盟に生まれていたら。

男女平等の時代に生まれていたら。

クラウディア様の才能は遺憾なく発揮できただろう。

もったいない。

彼女のような天才は本来なら国のために尽くすべきなのに、一領土のためだけに尽くしている。

カタリナ領が発展するのは当たり前だ。

彼女は、まず毒を洗い流し次に福利厚生を充実させ経済を活性化させた。

次に彼女は教育に目をつけ11年経った今では、彼女が目をつけた子供たちがカタリナ公爵家を支えている。

ちなみに奴隷を含めた識字率は60%に及ぶ。

15歳から25歳までの識字率は90%以上となっている。

今や、カタリナ公爵領は帝国一発展している星系とまで呼ばれるようになった。

優秀な人には奨学金を出し、上の学校に行けるようにし、科学者や技術者には予算を組み研究資金として渡す。

クラウディア様がカタリナ公爵領からいなくなった後も続いている。

彼女は、流れ星。

皆の願い事を叶え去っていく。

 

クラウディア様を思い出すと同時にこの歌も思い出す。

彼女がよく口ずさんでいたあの歌を。

 

 

きらきらひかる おそらのほしよ

まばたきしては みんながみてる

きらきらひかる おそらのほしよ

 




ストック

愛の絆

豊かな愛

永遠の恋

見つめる未来

平和

思いやり

花言葉ラポより 


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待っているから早く目を覚ませよ。

 

 

 

俺の名前は、レオン。レオン・フォン・ツァーベルだ。

下級貴族の両親から生まれた。

ちなみに俺は5人兄弟の真ん中。三男だ。

 

俺が、ラインハルトとクラウディアと出会ったのは学校だった。

初めは何もかも持っている不満は無いと言ったような顔がイラついて取り巻きを使って虐めた。

なのに、ラインハルトはあっさりと撃退。

次に、クラウディアを虐めた。何も反応が無くてイラつきさらに酷くしたのに顔は能面のように動かない。

これは俺が虐める前からで調べて見たら女子からさらに酷い虐めを受けていた。

そこから俺は、ラインハルトだけをいじめる事にした。あの人を見下すような視線が嫌いだったから。

だが、ある日の事俺はクラウディアに完膚なきまでにやられた。

理由は………。誰にも知られていないと思っていた秘密をバラされたから。

まさか!と思った。

一晩考えて、こいつは敵に回したらヤバイ奴だと結論に至った。

クラウディアに翌朝、聞いてみたらさらにヤバイ秘密を知られていて、白旗を揚げることにした。

それから、ラインハルトとクラウディアをもっと観察して見たら、どうしようもなく惹かれた。

見下していると思っていた顔は泣くのを我慢している様に見え始め、

能面のようだと思った顔は時折、小さな笑顔を見せるのを。

磁石のN極がS極に惹かれるようにあいつらの下町の家を訪ねた。

学校に来なくなって俺の趣味を奪うなという半ば逆ギレに近い様な心情だった。

お気に入りのおもちゃを取られた様なそんな感じ。

ラインハルトやクラウディアと行くたびにいろんな意見を交わし始めた。

最初はただのきまぐれだった。たまーに行く親戚の家の様な感じで。

なのに、時を重ねるごとに行く回数が増えていった。

それからの13年間はあっという間だった。

いろいろと事件もあったし、お前、そんな性格だったか?と問いたくなる事や聞いているだけで恥ずかしくなる恋愛沙汰。

たくさんの友が出来た。

 

クラウディアは、俺とジークに頼んだ。

俺たちにラインハルトの枷になれと鎖になってくれと。

気を抜いてしまったらすぐに飛んで行ってしまうからと言っていた。

あいつは言っていた。

皆が幸せになれる世界を作りたい。と

始めは馬鹿かこいつと思っていた。

だが、カタリナ公爵領がどんどん立派になっていくのを見て、ラインハルトとクラウディアを観察し始めた頃の感情が倍になって溢れ出てきた。

こいつらはどこまで行くのだろう?

道の先を見てみたい。

そう、願ってしまうほど。

こいつらならやれると思った。

 

なのに、どっかのバカがクラウディアを植物状態にしやがった。

ラインハルトの事を見ているのも面白い。

だが、2人が揃って、ジークやティアナ、ヒルダが一緒にいる時の方がもっと面白い。

まあ、わからない感情が最近いや、いつものメンバーでいると溢れ出す。

いつもは感情をコントロール出来るのに。

ジークとラインハルトといる時も素の自分をさらけ出している様に感じる。

6人で茶会を開いた時の写真が今でも残っている。

クラウディアが真ん中に座って、ティアナとヒルダがお前の隣に座って、俺がヒルダの背後にジークがティアナの背後にラインハルトがクラウディアの背後に。

みんな、満面の笑みで笑って。

 

胸のロケットペンダントにクラウディアが眠ってしまった時からずっと。

あの時の様な思いはしたく無い。

もう、誰かを喪いたくない。

だから、ラインハルトを皇帝にする。

そうしたら、多分だが、失わなくて済むはずだ。

あいつが、皇帝になるのは確定事項だしな。

あとは、クラウディアが起きれば完璧なんだ。

 

だからさ、

待っているから早く目を覚ませよ。

クラウディア。

 

もう、ヒルダが、ラインハルトがジークがティアナが泣いているのは見たく無いんだ。

お前が目覚めたら久しぶりにロイエンタール提督とアンネローゼ姉さんを入れて茶会を開くのだから。

ヒルダが久しぶりにお前と政治や経済の話をしたいと望んでいるのだから。

もちろん、ラインハルトやティアナ、ジーク、俺もな。

 



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  会いたいな

 

 

 

「ハア」

 

私はそっとバレないように小さくため息を吐いた。

学校作るのがこんなに大変だとは思っていなかった。

ラインハルト兄上に優秀な官僚もいた方が良いよね!と思い作ろうと思った。

ついでに私も楽できたら良いな。とも思っていたりするけどね。

前世だったら、教師を募集して面接したらオーケーなのに、、、

なんで!

貴族の役に立ちそうに無い人達ばっかり来るの!

良い人そうだけど人に教えるのに向いていなさそうな人とかもいたけどね。

私が作りたいのは平民が通える学校なのに。

此処が自由惑星同盟だったら、良かったのに。

私、そもそも前世、学生だったから学校の作り方なんて知らないよ!

しかも、よくわからない法律とかもあるし、無理、出来ない!

私、ラインハルト兄上と違って天才じゃあないし!

努力はしているけど。

どこから資金調達しよう?

害虫駆除も忙しいし。

まあ、そんなこんなで暗礁に乗り上げてしまった。

他の書類とかも片手間に出来ないしね。

今の所は放って置くしか無さそうかな。

私、一応12歳なのに。

前世と合わせたら四捨五入したら30になるけど。

コレ前世だったら、ブラック企業とでも言われるんだろうな。

それを言ったら、銀河帝国という国自体ブラックかな?

あー駄目だ休もう。

思考が変な方向に飛んでいく。

お姉ちゃん、助けて。

本気で。

 

閑話休題

それはさておき

 

 

ティアナの両親が訪ねて来ました!

ティアナに似てとっても美男美女。

まあ、ラインハルト兄上とアンネローゼ姉上には負けますが。

2人が皇帝(覇王)と姫(妖精)である事は私の中でイコールになっていますので!

家族自慢になってしまっていましたね。

お二人とも開口一番

 

「ティアナと仲良くしてくれてありがとう‼︎」

 

「ティアナと仲良くしてくれて感謝する。」

 

だそうです。2人とも言葉は違えど言っている意味は同じです。

ティアナ、愛されていないと聞いていましたが嘘に思えるぐらい。

これは、溺愛というのでしょうか?

先程からずっと笑顔でにこにこされながら私の話を聞いてくれます。

なんというか、ティアナの話を聞いている時の顔が目が、身体がいえ、はっきり言いましょう。

全身から愛しくて愛しくて仕方ないオーラのようなものを出しているんですよ!

もっと、聞かせてくれオーラも。

 

それから5時間程でしょうか?

やっと満足して頂けたようです。

帰りには

 

「ティアナの事よろしく頼む。」

 

「ティアナの心友だというなら私達の娘でもありますわ。

いつでも頼ってくださいね。」

 

とお言葉を頂きました。

お二人とも、優しそうな方でした。

お二人に何故、ティアナに会わないか聞いたところ、

 

「愛しすぎてしまうから。」

 

とのご返事を頂きました。

これはヤンデレというものなのでしょうか?

それでも、

ティアナには幸せになって欲しいです。

なので、ティアナが日頃どんなにお二人に会いたがっているかを懇切泥濘に説明を一時間程かけてお話しさせて頂きました。

 

後日、ティアナからはお礼のメールとコデマリの花を頂きました。

 

ティアナのご両親からは学校に関するすべての事に融通を利かせて頂けるとの事とアマの花を頂きました。

 

親子だなぁと思い羨ましく思いながらご両親にアズマギクを。

ティアナにマリーゴールドを送らせて頂きました。

 

少し、嬉しく、羨ましく、悲しくなりました。

母上が此処にいたら良かったのにと思い、アンネローゼ姉上やラインハルト兄上、父上と会いたいなと思う今日この頃でした。 

 

 

 

 

 




コデマリ


伸びゆく姿

努力

優雅

品位

友情


アマ


感謝

責任感

親切なあなた


アズマギク

また会う日まで

しばしの別れ

しばしの憩い

しばしの慰め


マリーゴールド


生きる

友情

可憐な愛情

花言葉ラボ


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原作編
子供から大人へ


 

 

あの日から、クラウディアが俺とティアナを庇って撃たれてから6年が経った。

俺たちは子供から大人へとなった。

その間に父親が死んだ。宇宙船の事故。に見せかけた殺人。

ただ、寵妃の父親というだけで殺された。

俺が子供だから。

嗚呼、何故、喪う。

もう、たくさんだ。母が上位貴族の所為で死に、姉を皇帝に奪われ、双子の妹を怨みを募らせた貴族に殺されかけ一生かけても目覚める可能性が無い状態に植物状態にされ死んだも同然になった。父を事故に見せかけた殺人で奪われた。

姉上が奪われた時は隣に父が、クラウディアがキルヒアイスとレオン、ティアナがいた。

クラウディアが奪われた時には父とクラウディアを除く、姉上と親友2人

キルヒアイスとレオン

、婚約者

ティアナ

と友達

ヒルダ

とクラウディアの婚約者(オスカー殿)がいた。

父上の時は、、父上を除く先程の者たちが。

家族を喪うのはもう嫌だ。本当に。

だが、まだ、俺には、姉上がいる。

ティアナがいる。キルヒアイスとレオン。

ヒルダやオスカー殿がいる。

だから、なんとか立ち上がれた。

ずっと、耐えた。時

チャンス

が来るのを待っている。

ティアナとはローエングラム伯になった事でなんとか婚約できた。

かなり、渋られたが。

 

この6年間で皇帝とは何か、貴族とは何かとずっと考え続けた。

クラウディアが望んでいた世界とは?と。

クラウディアはノブレスオブリージュ。

高貴さは義務を強制する。と言っていた。

「義務とは?」

と聞くと、クラウディアは、

「義務とは財産、社会的地位、権力の保持には責任が伴う事。」

と言っていた。

では、今の貴族は一体なんだ?

こんな言葉など忘れ果てているに違いない。

両親を殺したのは貴族。姉上を奪ったのは皇帝。

双子の妹を植物状態にしたのは貴族。

俺が、子供だった所為で犯人は見つからない。

最初は、姉上を取り戻すため。

次は、ティアナと結婚するため。

現在は、上二つと合わせて家族を殺したのは奴らに復讐するため。

クラウディアがいた頃は年齢を重ねるにつれ守りたいものが、大切にしたい人が増えていった。

最初は家族だけだったのに。いつの間にか、キルヒアイスが隣にレオンがキルヒアイスの隣にいてティアナが強引にクラウディアと俺の間に陣取って、ヒルダがにっこりと笑いながらクラウディアの隣に座り、オスカー殿が最後にするりとクラウディアの後ろにいる。姉上と父上は俺の後ろに立っている。

クラウディアが眠る一ヶ月前の写真。

皆、幸せそうに笑っている。

クラウディアが眠ってから、大切な人が減っていく。

まず、クラウディアがティアナとヒルダの隣から居なくなり、父上が去った。

ヒルダとティアナはフェザーンの大学に通うためフェザーンへと行った。

オスカー殿は軍に戻り、今は上司と部下の関係に。

変わらずいてくれるのはキルヒアイスとレオンだけ。

この、乾きはクラウディアが起きるまでずっと続くだろう。

次こそはクラウディアを守る。

もう、これ以上、大切な人を喪うのはごめんだ。

だから、今回の戦場で俺の実力を示してやろう。

5人の老ぼれたちに。俺たちがどれほど強いのかを。

 



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  コーヒーとチョコレートだ。食って飲め。

 

 

 

 

無数の光点で散りばめられたその景色に一瞬目を奪われた。

次にその景色を彼女に見せられたらと思い、慌てて意識します戻す。

こんな事を考えている訳にはいけないと。

俺は、あのクズ(貴族ども)に復讐するために此処にいるのだとそう考えを変える。

 

俺は、ジークが歩き出した事に気付き悟られないように歩く。

此処では、感情を表に出してはいけない。

ただでさえ、俺は下級貴族。

世を渡るにはコツがいる。

ラインハルトもジークも気にせずにやっているから少し、羨ましい。

胃薬が、欲しい。本当

マジ

で!

下級貴族だからと驕っていた頃が恥ずかしい。

クラウディアに出会えて本当に良かった。

自分を偽る事も出来るからありがたい。

2人といたら命が持たんしな。

下士官が話しかけてくる。

どうやら、5人の老いぼれの事らしい。

まあ、老いぼれと呼ぶには歳が若いが。俺的には合っていると思っているのでそう心の中でだけ呼んでいる。

この情報はさっき受け取ったので、申し訳ないと眉をひそめながら丁寧に少し微笑みながら

 

「ありがとうございます。ですが、その情報は先程伺っております。わざわざ、小官の為にありがとうございます。

頼りにしています。」

 

クラウディア、ありがとうおかげで俺は死ななくて済む。

お前が俺に命じた事は正しかった。

俺が、下士官に対応している間にジークはいつの間にかラインハルトの元に去って行ってしまっている。

お前は忠犬か!と言いたいのを必死に我慢し、ラインハルトとジークの側に立つ。

2人に近づくとちょうど背を比べていたみたいでラインハルトに

 

「レオンも伸びすぎだと思うのだが、ずるいぞ。」

 

「お前が、低いのが悪い。」と軽口を帰す、そう、これが俺たちの日常。

 

「ところで何か用件があるのか?」

 

「はい、反乱軍の布陣です。………。」

 

此処から先は聞いていたのでスルーする。

ジークとラインハルトのテンポの良い会話を聞きながら今まで手に入れた情報の整理をしている。

もちろん、一応ラインハルトの侍従なのでコーヒーを準備しながら。

全く、ラインハルトは戦いに夢中で食べないだろうからチョコレートも添えて。

準備出来たので、ラインハルトに

 

「コーヒーとチョコレートだ。食って飲め。」

 

と手渡す。

ラインハルトは嬉しそうに笑い

 

「ああ、ありがとう」

 

と受け取った。こいつって本当、美形だよなとどうでもいい事を考えてながら。

 

それから、数分後、5人の老いぼれ達が来た。

ラインハルトの飲んだコーヒーカップと皿を片付けながら話を聞いているとラインハルトが言い負かし部屋から強制退去していた。

すっきりしたが、なんだろうな、うん。

………。なあ、ラインハルト、あまり問題起こすなよ………。

心の中でそう考えているとラインハルトが少しいじけたような口調で

 

「レオン。ジークが閣下呼ばわりしてくるんだ。」

 

なんて、どうでもいい。

 

「そりゃ、ジークが正しい。此処は宇宙。

少しは場所考えろ。」

 

とめんどくさくなったのでなげた。

時と場所と場合を考えろよ。

俺たちの事を殺す気か。

とりあえず、ラインハルト(こいつ)はジークに任せて情報収集(スパイ?)してこよう。

一応、警戒しておいた方が良いだろうからな。

 

 

 

 

 

 

 




ちなみにレオンはあまり話を聞いていません。
ラインハルトとジークの話限定ですが。 


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狸寝入り

 

 

 

俺とジークは他の左官級の軍人たちとともに「紫水晶

アメジスト

の間に控えている。

はっきり言ってとても眠い。

というわけで椅子に座って眼を閉じている。

ヤン・ウェンリーについて少し調べすぎた。

おかげで眠くて仕方がない。

うつらうつらしながら、ラインハルトを待っているとジークが誰かに話しかけられたらしく話している。

目だけは閉じながら聴覚を澄ませる。

声だけ聞くと静かなとても落ち着いている声だ。どこか、不安定に聞こえる。

 

「パウル・フォン・オーベルシュタイン大佐です。お初にお目にかかる。」

 

と挨拶している

なのになぜかジークが驚いた気配がする。

不思議に思いながら聴いていると義眼がどーたら劣悪遺伝子排除法がなんたら、ラインハルトの事をよい上官と言う。

よく、いままで死ななかったな。

不敬罪ものだぞ、コレ。

だが、味方に引き入れるのは良いかもな。

ジークはさりげなく、大佐にどこの部隊に所属しているか聞いた。

流石、ジーク!

できる奴‼︎

欲しい情報がよく分かっている。

 

「いままでは統師本部の情報処理課にいましたが、今度、イゼルローン要塞駐留艦隊の幕僚を拝命しました」

 

大佐はそう言うと薄く笑ったらしく

 

「用心しておられるようだ、貴官は」

 

………。なんか人を馬鹿にするように聞こえたのは気のせいなのか。

前言撤回。辞めよう。

こいつとはジークが合わねえ。

多分、ティアナとも。

ジークも一瞬、鼻白んだみたいだな。

呼吸が乱れたしな。

 

空気が変わった。

どうやら、我らが主が入って来たらしい。

さすがは、未来の皇帝。

 

「キルヒアイス、レオン、明日………」

 

うん。まあ、そうなるよな。

大佐は、敬礼して名乗り、型通りの短い祝辞を述べると、去ったらしく、少しだが、ラインハルトとジークの緊張が弱まった。

そして、

 

「レオン。いつまで狸寝入りしているつもりですか?」

 

とジークが俺の肩を揺すりながら少し詰るように言う。

俺は眼を開け

 

「悪いな、ジーク。任せちまって。それで、ラインハルト、明日の続きは?」

 

俺はそう聞くと椅子から立ち上がりジークの肩に置かれた手を払いながら聞く。

 

「ああ、それは歩きながら話す。」

 

部屋を出て15分くらいたち夜空の下にでるとラインハルトは少し声を潜め

 

「キルヒアイス、レオン。

明日姉上に会うお前たちもついて来るか?」

 

「私が同行してもよろしいのですか?」

 

「ん。りょーかい。急だな。」

 

「キルヒアイス………。何をいまさら、遠慮する。俺たちは家族だぞ。なあ、レオン。」

 

「ああ、その通りだな。本当にいまさら、すぎるんじゃないか?」

 

ハア、ジークの奴………。

ラインハルトは少年のような笑顔でニッと笑い、それを引っ込めやや声を低め

 

「ところで先刻の男は何者だ?多少、気になるな」

 

「ジーク、説明任せた。」

 

「レオン………。」

 

ジークは簡単に事象をラインハルトに説明し

 

「どうも得体の知れない人です。」

 

と感想を言い、俺もそれに乗って

 

「俺たちと同類かもな。だが、ジークとティアナには徹底的に合わないぞ。」

 

「そうか。同類か。得体の知れない男。用心した方が良いな。もっとも、こう敵が多いと、用心もなかなか難しいか」

 

3人は同時に笑った。

 

「俺は大佐のことを調べとくな。それまであまり近づくなよ。ラインハルト。面白そうだと言って。ジークも困っているからという理由で近づくなよ。ただでさえ、お前、お人好しなんだからな。」 

 



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  落ち着きなさい

 

 

………。頭が痛い。クソ、久しぶりに盛大な馬鹿をした。

情報収集に夢中になって、睡眠時間が一時間切っている。

しかも、二徹しているから余計眠い。

あーやべー意識が飛ぶ。

ちなみにここは新無憂宮(ノイエ・サンスーシ)今日はこれからアンネローゼ姉さんいや、グリューネワルト伯爵夫人の館を訪れる予定で、今は、派手に飾られた地上車(ランド・カー)の中だ。

ラインハルトもジークもそわそわしていて落ち着きがない。

おかげで仮眠が取れそうに無いな。

そうこうしているうちに菩提樹(リンデンバウム)の茂る池の畔にある、ここに暮らす女主人にふさわしい清楚な館。

完全に止まる前にラインハルトはこちらからは見えないが、アンネローゼ姉さんを見つけたようでジークの手を引っ張り降りて駆けて行った。

地上車(ランド・カー)が完全に止まった事を確認し、あくびをかみ殺しながら降りる。

ラインハルトが

 

「姉上!」

 

と言うのを聞きながら。

 

アンネローゼ姉さんが春の陽ざしのような笑顔で、俺たちを迎えた。

 

「ラインハルト、よく来てくれましたね。それにジーク、レオンも………レオン。あなた、また無茶していませんか?」

 

アンネローゼ姉さんは、俺の顔色を見てそう言う。

別にこのくらい死にそうだけど、あの時の三徹に比べたらなんとも無いのに。

本当、クラウディアが言っていた通り良い人だよなぁ。

 

「このくらい大丈夫ですよ。お久しぶりです。アンネローゼ姉さん。」

 

「………アンネローゼ様もお元気そうで何よりです。」

 

「ありがとう。さあ、三人ともお入りなさい。あなたたちが来るのを何日も前から待っていたのよ。」

 

本当に変わらないな。アンネローゼ姉さんは。

皇帝なんかには本当にもったい無い。

あいつやティアナ、クラウディアも同じように皇帝と比べたらジークの方が良い!とか何それ!萌えるんだけど!とか言っていたよな。

俺には萌える?とか理解不能だったが。

っと、いけない。

寝不足で思考が変な方向に行っていた。

気付いたら居間にいた。

目の間にはコーヒーとケーキ。

アンネローゼ姉さんの手作りの。

ああ、幸せだな。

こういう時間が好きだ。

出来ることなら、ヒルダやティアナ、クラウディア、そしてオスカー殿がいたらもっと幸せで幸福なのに。

手作りのケーキ。この、5年間でどれほど食べただろう。

多分、クラウディアがずるいと言う程食べただろう。

クラウディアが眠ってから、オスカー殿とは病院と軍以外では会わなくなった。

ヒルダとティアナはフェザーンの大学へ行って、アンネローゼ姉さんが悲しそうに微笑むのを見た。

ラインハルトは更に暴走するし、ジークも一応、止めるが押し切られるようになった。

本当、あの女

クラウディア

いつまで、寝てる気だ!

倍返しにして良いよな?

ハッと耳にある言葉が流れ込んできた。

 

「ラインハルトがわがままばかり言ってさぞ迷惑かけているでしょうね、ジーク、レオン。」

 

本当にそっくりだな。さすが姉妹。

 

「いえ、そのような…」

 

「本当ですよ。アンネローゼ姉さん。俺たちがどれほど苦労していることか。」

 

「うるさいぞ、レオン!そんなに迷惑かけていないだろう?」

 

どの口が言ってんだ。この馬鹿は。

ああ、くそ!寝不足で策を考えらんねぇ。

 

「なんだと!こっちがどれほど苦労して印象操作してると思ってんだ!」

 

「落ち着きなさいラインハルト、レオン。

そうそう、シャフハウゼン子爵夫人からいただいたおいしい桃色葡萄酒(ヴァン・ローゼ)があるの。地下室にあるから取って来てくれないかしら?帝国元帥閣下に雑用を頼んで悪いけど」

 

「………。わかりました。姉上。取って来ます。」

 

ラインハルトはショボンと肩を落としながら飼い主に捨てられた犬のように歩いて行った。

それにしても助かった。

クラウディアの毒の使い方はこの人から学んだのでは無いかと思うほど、ラインハルトの急所を貫いて行った。

なんというか。あとでラインハルトに謝り、何かおいしいものを奢ろうと思うぐらいには。

俺はコーヒーを一気に喉に流し込むと、アンネローゼ姉さんの顔を見つめ

 

「ありがとうございます。助かりました。」

 

と礼をいう。  




レオンは下級貴族のため私生活では守銭奴です。 


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ナンバー2!

 

 

元師府を開設した。

長かった。

疲れた。

まあ、オスカー殿が元師府に入ってくれただけまだ良いと思うか。

俺とジークだけでは、抑えきれないところも出てくるだろうしな。

それでは、僭越ながら、元師府の提督達を紹介しよう。

 

速さに定評があり、オスカー殿の友人である

 

"ウォルフガング・ミッターマイヤー"

 

クラウディアの婚約者であり、智勇に優れた

 

"オスカー・フォン・ロイエンタール"

 

公明正大で鋼鉄の撃墜王

 

"カール・グスタフ・ケンプ"

 

 

攻撃力と破壊力に定評のある

 

"フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト"

 

などの少壮気鋭の士官達だ。

ほぼ、皆、下級貴族であり、平民出身だ。

俺たちに配慮したのか、貴族に才能がある奴らが居なかったのか。

 

まあ、それはともかく、

元師府には若々しい活力と覇気が満ちているに違いないだろう。

 

最近、ラインハルトは俺とジークに武勲をたてさせようとしている。

ジークはまだ、良いとして俺はあまり歓迎してはいない。

まだまだ、ラインハルトの隣に立つにはふさわしくないと思うからだ。

こうして、控えているだけでも、気力を使うのに。

 

そして、カタストロプ動乱が起こった。

ジークは勅命を受け、帝国軍人として箔がついたことを意味している。

こうして、ジークは公的にはナンバー2の位置についたが、形式的なことに過ぎない。

どうやら、武勲をたてる必要があるらしい。

なんて面倒な!

ラインハルト曰く

 

「レオンにもたてて貰うぞ。」

 

と言われた。

なんで、俺が………。

 

それから、ジークは、カタストロプ動乱をたった10日でおさめた。

さすが!

元師府の提督達は頷き、ラインハルトは俺と二人きりの時は鼻歌まで歌って、門閥貴族共は驚愕した。

まあ、勝利するのは当然だよな。

クラウディアのスパルタに比べたら。

マシというか、ものすごく、やりやすいもんな。

そして、ジークは中将に昇進し、〜双頭鷲武勲章〜(ツァイトウイング・イーグル)を授与された。

これでジークはどちらにしろ、ナンバー2!

 

これで一件落着。

と思ったのにラインハルトの奴………。

俺も、やらなければ、いけないらしいが面倒だ。

元師府の奴らは、俺の実力はどうのこうの言っているらしいが、示す気はない。

俺は、あくまで、ラインハルトの鎖。ラインハルトの親友なのだから。

というか、俺の本分は、情報収集なんだよな。

覚えているのか?彼奴ら。

という訳で今のところ、武勲をたてる気は無い。

ラインハルトは不満そうだが、今のところ、准将で充分、准将ですらめんどくさい。

ラインハルトのそばにいるために地位が必要とはわかってはいるのだが。

どちらかというと武勲をたてるより裏から操る方が楽しいんだよな。

 

 



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胃薬が欲しい。/決め台詞(セリフ)

この話は胃薬が欲しい。/と決め台詞(セリフ)を合わせた話になっています。


 

 

ジークが双頭鷲武勲章(ツァイトウィング・イーグル)を授与されてしばらく経った日の事。

 

ある男がラインハルトを訪ねて来た。

ラインハルト曰く、あまり好ましい人物ではない。

あのジークも生理的に合わないと不快感をあらわしていた。

 

うん。まあ、その気持ちはわかる。

別に俺的にはどちらかというと好ましい人物なのだが。

油断したら足元すくわれるが。

さて、この男には俺がどのような者に見えているのか。

聞くのが楽しみだ。

俺は無表情で彼を迎えた。

内心ではニヤリと笑いながら。

 

 

 

閑話休題

 

 

ラインハルトは不快感をあらわさないようにしながら彼に

 

「オーベルシュタイン大佐だったな。私にどんな用件があるのだ?」

 

「まず、人払いをお願いします。」

 

と尊大に言った。

やはり、何というか、釣りで獲物がそれも大物が掛かった気分だ!

 

ラインハルトは、眉をひそめながら

 

「ここには四人しかいない。」

 

「そう、ここにはキルヒアイス中将とツァーベル准将がおられる。

ですからお人払いをと願っており

ます。」

 

 

 

ジークは黙然とラインハルトは鋭い眼光で、俺はクラウディア曰く獲物を見つけた時の獣いや、肉食獣のような瞳をしているのだろう。

 

「キルヒアイス中将とツァーベル准将は私自身も同様だ。

それを卿(けい)は知らないのか」

 

「存じております。」

 

「あえて彼らに聞かせたくない話があるというのだな。だが、後で私が彼らに話せば、結局は同じことだぞ」

 

「それはむろん、閣下のご自由に。ですが閣下、覇業を成就されるには、さまざまな異なるタイプの人材が必要でしょう。A(アー)にはAに向いた話、B(ベー)にはBにふさわしい任務、というものがあると思いますが………」

 

ジークは俺を見て頼みます。というふうに眼を伏せる。俺は了解!といった風に眼を伏せるとジークはホッとしたようにラインハルトを見やって遠慮がちに言った。

 

「元師閣下、わたくしは隣室に控えていた方がよろしいかと……」

 

「そうか。」

 

とラインハルトは何かを考える表情で頷き、頼んだ。という風におれと目線を合わた。

 

ジークが去ると彼は俺に

 

「なぜ、ツァーベル准将は隣室に向かわないのですか?

閣下、ツァーベル准将はよろしいのですか?

ツァーベル准将も早く、隣室に向かったほうが宜しいのでは?」

 

と聞いてきた。

その瞬間、ラインハルトは怒りに身を任せて彼に暴力を振るいそうだったので慌てて

 

「その話はわたくしに向いていると思ったので。」

 

と慇懃無礼に返してやった。

彼の意図丸無視して。

このぐらいの仕返し構わないよな?

というか、このぐらい言わなければ後が怖い。

さすが、双子怒る時の理由も似ているなー。

というか、そのぐらいで怒らないでくれ。

まだ、マシだぞ。

軽すぎるくらいだぞ。

現実逃避している場合では無いよな。

ははっ。

胃が痛い。胃薬が欲しい。

なあ、だからさ、ラインハルト、後、少しで良いから抑えてくれー‼︎‼︎‼︎

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

とにかく、話を進めなければもう、泣きたい。

内心で溜息を押し殺しながらほんの少し笑みを浮かべ

 

「オーベルシュタイン大佐、何か話があるのでは?

お話し頂けないでしょうか?」

 

 

まあ、だいたい見当はつくけど、一応、うん。一応聞いておかないとな。

彼は俺を義眼でチラリと見るとようやく本題に入った。

 

「じつは閣下、私は………。」

 

何というか、後は予想どおり。

やはり、彼は使える。

俺たちと同じだ。

細かな部分は違うが。

嗚呼、なんて面白い。

さて、どうやってラインハルトを説得しよう?

俺が策を講じている間にも話は進みついに

 

 

「銀河帝国、いや、ゴールデンバウム王朝は滅びるべきです。可能であれば私自身の手で滅ぼしてやりたい。ですが、私にはその力量がありません。私にできることは新たな覇者の登場に協力すること、ただそれだけです。つまりあなたです、帝国元師、ローエングラム伯ラインハルト閣下」

 

………決め台詞(セリフ)みたいだな。さて、ラインハルトはどう出る?

 

「レオン!キルヒアイス!」

 

ラインハルトは椅子から立ち上がりながら俺たちを呼んだ。

 

「キルヒアイス、レオン、オーベルシュタイン大佐を逮捕しろ。帝国に対し不逞な反逆の言辞があった。帝国軍人として看過できぬ」

 

ジークは神速の技で右手にブラスターを抜き取って狙いを定めていた。

俺は故意に反応せず、ラインハルトの後ろに立っている。

 

「しょせん、あなたもこの程度の人が………」

 

と、失望と自嘲を滲ませて呟いた。

 

「けっこう、キルヒアイス中将とツァーベル准将をたったふたりの腹心と頼んであなたの狭い道をお征きなさい」

 

 

………。はあ、ここは、俺がまとめるしかないんだよな?

というか、狭い道ってふたりって

他にもいるからな!

オスカー殿とか、ティアナとか、ヒルダとか!後、クラウディアも!勝手に決めつけてんじゃねーよ!

 

 

「キルヒアイス中将………」

 

ああ、もう、話進めんな!

 

「光には影が従う………」

 

その、ポジションは俺のものだ!

勝手にないものにするな!

面倒くさすぎる。

残業代?が欲しい!

ああ、もうとにかく

 

「キルヒアイス中将。とりあえず、それ(ブラスター)しまって頂けますよね。ローエングラム閣下、貴方とキルヒアイス中将は座ってください。そして、落ち着いて頂けますか。

今、お茶を淹れなおしましょう。

オーベルシュタイン大佐も座ってください。」

 

「だが、レオン。」

 

ラインハルトが反論したそうにしているが知ったことでは無い。

お茶を淹れなおし、三人分用意し

クラウディア仕込みのニッコリ笑顔で笑う。

 

 

「少し、静かにして頂けますか。

そして、キルヒアイス中将と座ってお茶を飲んでいてくださいますよね。

ローエングラム閣下?

キルヒアイス中将もそれで宜しいですよね。」

 

 

『ハイ!』

 

 

うん。良い返事だ。

さあ、始めよう!

 

「オーベルシュタイン大佐。

あなたは、ローエングラム閣下を使って帝国を滅ぼしたい。

それで良いのですね?

それ以外の望みはありますか?」

 

彼は少し面喰らっていたがすぐに立ち直し

 

「ああ、それで構わない。」

 

「でしたら、その後の事はこちらに従って頂けますか?」

 

「無論。」

 

 

予想どおり。ここまで上手くいくとはな。

逆に不安になりそうだ。

少し、外野が煩いな。注意しておくか。

 

「ローエングラム閣下キルヒアイス中将。お茶を飲んでいてください。」

 

さて、手駒を手に入れるか。

 

「ありがとうございます。ローエングラム閣下。オーベルシュタイン大佐を貴族どもから買うべきです。」

 

うん。三人揃って眼を瞠った。

そんなに驚かなくても。

少し調べればわかることじゃ無いか。

オーベルシュタイン大佐とゼークト提督の不仲。彼の義眼。

そして性格。

後は、言質も取れた。

買う。決定だろ!

さっさと頷けラインハルト。

 

「わかった。卿を貴族どもから買おう!

レオンの判断なら間違っていないだろうしな。」

 

………少し、釘を刺しておくか。

 

「小官の判断を丸呑みにしないで

きちんと彼の性格、経歴、望みを確認しておいてくださいね。

くれぐれも振り回されないように。」

 

「わかっている。」

 

本当か?

まあ、その時は俺が止めるから良いか。

 

 

 

_______________

 

 

 

「なあ、キルヒアイス。」

 

 

「何でしょうか、ラインハルト様。」

 

「俺、一応、レオンの上司なんだか。」

 

「あの笑顔の時のクラウディアは怖いですから。」

 

俺もキルヒアイスもレオンも、

トラウマになっていたりする。

なのに、何故!レオンは使いこなしているんだ!

 

 

「答えになっていないぞ。キルヒアイス」

 

レオンのこと止めてくれないかな?

 

「オーベルシュタイン大佐の用件はレオンの管轄下なので関わる気はありません。」

 

「………。そうか。」

 

やっぱり、無理か……。

 

「ローエングラム閣下キルヒアイス中将。お茶を飲んでいてください。」

 

『ハイ。』

 

 

………。何であんなにクラウディア並みに怖いんだ?

 




あと、何話か投稿したら不定期更新になります。


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時間/忘れてはいけない

この話は時間/忘れてはいけないを合わせた話になっています。
とりあえず、毎日更新はこれで終わりです。
これからは不定期更新になります。


 

 

 

……………月日は巡り、新たに元師府では、オーベルシュタイン、ルッツ、ワーレンを迎えた。

 

はあ、胃が痛い。

ジークの奴、オーベルシュタイン(あいつ)が嫌いだからと言って全てこっちに投げやがって………。

おかげで三徹してしまった。

それにどうやら同盟の叛徒達が攻めてくるらしい。

種まいてからの時間が少なすぎる………。

きちんと成功すれば良いが………。

不安だな。

一応、将校に仕込んでは置いたが。

 

まあ、それは置いといて同盟の叛徒達が引っかかってくれると1番良いのだが。

特にヤン・ウェンリーには。

まあ、無理だろうけど。

ラインハルトやクラウディアのような奴(主人公)みたいな奴は殺しても死ななそうだしな。

それにしても………クラウディアの残した資料と同盟の資料はどこか似ているな。

面白いことに。

民主主義とやらは。

 

俺的には、こっちをずっと調べていたい。

将官達の相手は本当に疲れる。

特にオーベルシュタイン対ロイエンタール(オスカー殿)の争いというか諍いは。

嗚呼、めんどくさい。

 

ジーク、本当に少しで良いから手伝ってくれ。

ラインハルトに頼むと余計ややこしくなるからラインハルトは最終手段なんだよな。

でも、ジークは被占領地の民衆を餓えさしたことに怒っているだろうし、でも、これが1番犠牲が少ないんだよな。

さて、いろいろとまた、仕込むか。

時間が無いが。

貴族達が煩くなってきたしな。

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

光が、………。

暖かい。ふわふわする。

誰かの声が聞こえる。

誰の声?

わからない。

やらなければいけない事があったはずなのに思い出せない。

やらなければいけない事とは何だろう?

わからない。頭が痛い。

でも、これだけは決して忘れてはいけない思い出さなければいけない人達の事。

好きな人の事。18になったら告白しようと思った。

いつも、ニヒルに笑っているけど、本当は優しい人の事。

心友の事。

優雅で綺麗な誇り高くてだけど、ちょっぴりさみしやがりな彼女の事。

双子の兄の事。

喧嘩ばかりだけど、ここぞという時にはとてもかっこいい兄の事。

大切な友人三人の事。

挑戦的に笑って勝負を仕掛けてくる癖に優しいあの子の事。

腹黒に見せかけてとても面倒見の良いあいつの事。

良い人過ぎて時々心配になる彼の事。

姉の事。

優しくて美人でいつも、私たちの事を優先してしまう姉の事。

父の事。

お酒に溺れてしまっていたけど、もうすっかり更生して、かっこいい父の事。

あれ、また、だ。

意識が………。

一体、何の事?

思い出せない。

ああ、また、だ。

引き込まれる。

深く暗き深淵に。

嫌なのに。

………私は一体………誰なの?……

 

誰か、助けて。お願い。

 

 



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朗報と悲報

更新が遅くなってすみませんm(_ _)m
これからも不定期更新ですがどうぞよろしくお願いいたします。


………………ねっ、眠い………。

 

やっぱり三徹はきつい……。

 

ラインハルトの奴はうん。

両眼が燃えてるなー。

 

それにしても一応情報通りで良かったー。

 

「敵をより奥深く誘いこむべきだ」

 

ラインハルトの決め台詞みたいだな。

その言葉。

クラウディアが聞いたらなんていうだろうか?

あーそれにしても眠い。

ラインハルトの声は美声だからなぁ。

 

??誰が俺の肩を揺すっている。

 

誰だろうと振り向くとにぃっこり笑ったジークでジークは俺の耳に顔を寄せると

 

「レオン。眠いなら寝てください。

それとラインハルト様が怒っていましたよ。」

 

と恐ろしいことを言いやがった。

 

俺は席を立つと

 

「申し訳ありませんが体調が優れないため失礼いたします。」

 

と言い部屋を出ていった。

去り際にオーベルシュタインが冷徹な瞳で見つめて来たのが妙に印象に残った。

 

 

この後アムリッツァ星域会戦 と呼ばれる戦争が起こった。

 

この戦いは帝国軍の勝利で幕を閉じたのだった。

 

そして、朗報と悲報が1つずつ彼らに届けられた。

 

朗報は皇帝が死んだというもの。

 

悲報は未だに眠り続けるクラウディアが誰かに誘拐されたというもの。

 

それを知らされたレオンはどう伝えるか悩みそのまま伝えることにした。

 

レオンはラインハルトの艦の居室にラインハルトとジーク(キルヒアイス)とオスカー殿(ロイエンタール)を呼び沈痛な顔でこう伝えた。

 

「ラインハルト、ジーク、オスカー殿。朗報と悲報が1つずつあります。

どちらから聞きたいですか?」

 

と。

 

一方、拐われて現在進行形で行方不明のクラウディアは何故か目覚めていて

 

「ん〜ん?

………………ここ何処?

病院?いえ、違うわね、というかこんな病院あってたまるか!

ラインハルト兄上とティアナは‼︎‼︎⁉︎

あの後一体どうなったの!」

 

と一人頭を悩ませていた。

ここが何処かもわからずに何年経ったかもわからない。

多分、何年も過ぎているという事は分かった。

あまりにも髪の長さがおかしかったから。

 

覚えているのは最後にラインハルトとティアナを庇い大怪我を負ってオスカー殿がなにかを言っている声だけ。

あの後どうなったか知りたいのに何もわからない。

 

身体を動かそうにも筋力が落ちているためか動かず

病院ぽく無いなんというか、俗っぽい豪華な部屋の天蓋付きのベッドで頭を悩ませるだけだった。

ついでに日頃信じていないオーディン神とか、日本の神とか、仏様とか、挙げ句の果てに外国のかつて地球時代に欧米を中心に栄えていた宗教にまでラインハルト兄上やアンネローゼ姉上、ティアナにヒルダ、オスカー殿、ジークとレオンの無事を祈りまくっていたので混乱は相当なものであった事が伺える。

 

 



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うわさ

感想とお気に入りありがとうございます!
アドバイスをいただいたので空白を減らして見ました。


「なっ、嘘だろ!嘘だといってくれ!レオン!」

とラインハルトが金色の髪を揺らしながらレオンに迫る。

レオンはそれをいつか見たライオンみたいだなと思いながら口を歪めて

「残念ながら嘘じゃあねえよ。」

と口調を元に戻す。

ハァ、と疲れたように溜息を吐きながら

「アンネローゼ姉さんから聞いたからな。

ティアナとヒルダはカンカンに怒って頭から湯気が出そうだったよ。」

と肩をすくめる。

ロイエンタールは形の良い唇を歪めながら

「クラウディア………」

と言い椅子に崩れ落ち頭を抱える。

ラインハルトは床に座り込み、片手て顔を覆いだが、片目だけ指の隙間から目を覗かせ虚空を睨みつける。

目をゲームで言えば悪役(魔王)またはラスボスかと言えるくらい眼光を険しく目に全てを燃やし尽くす地獄の炎をその目に宿らせていた。

'俺の妹を、クラウディアを奪い取った奴は何処の誰だ!死より辛い苦しみを与えてやろう。'

という心の声が聞こえる。

というか、視線だけで人を殺せるんじゃ無いか?

こいつ。

キルヒアイスはかろうじて座り込むことも椅子に崩れ落ちることも避けられたが

手を強く握りしめていてその拳からは血が滴り落ちていた。

レオンはそれを横目で見ながら現実逃避するように

'俺だって椅子に崩れ落ちたいし、憎みたいけどな理性がそうはさせてくれないんだよなー。

一回経験しているしな。

それに女達の方が怖い。

アンネローゼ姉さんがあの双子(ラインハルトとクラウディア)の姉って事自体信じられなかったが、この事でやっぱりミューゼル家怖い。

何か憑いているんじゃねーのか。

戦の神とか美の女神とかまあ、その他色々。

大神オーディン本当にクラウディアが無事でありますようにお願いいたします。

じゃ無いと彼女達やこいつらが宇宙中を滅ぼしてしまいます。

というか、もしも神がいたらできたら神達も止めてください。

いくらなんでも愛されすぎですよね!

天才は神に愛されていると言いますけど!'

と普段信じていない神に祈りを捧げやつありをしていた。

……………………現在逃避気味に。

 

後日、レオンが情報を集めているとある部屋から異様な雰囲気が漏れていたらしく近づくだけで倒れたものが何十人も医務室送りになっていたという。

 

何日か経つとうわさはどんどん広まっていて怪談の一つになっていた。

それを下士官や兵士から聞いたレオンは遠くを見つめ呆れ果てた眼をしていたという。

ちなみにそれを聞いたラインハルト達は

「当然だろう。クラウディアが、俺の愛する妹がさらわれたのだぞ!

犯人を八つ裂きにしてそれから………………(自主規制用語)やりたいくらいには怒っている!」

とラインハルトは言い、ジーク(キルヒアイス)もオスカー殿(ロイエンタール)も似たような事を言ってレオンの胃に多大な影響を与えていた。

 

 

 



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ダレカ

お久しぶりです!
今回はクラウディアsideとなっています。


………本当に此処どこなんだろう?

 

目覚めてからはなんというか、真綿に包まれる生活?という感じでものすご〜く、暇!

いくら一年くらい寝ていたからと言ってそんなに大事にする事ないのに。

知りたいのに何も知れない。

お世話してくれる人達は全く喋らないし、身なりも良い。

何処かの貴族の屋敷かな?

この部屋広さだけで地球で言うと縦横二十五メートルぐらい寝室だけで。

綺麗なお庭も見えるし、うん。

これは完全に貴族の屋敷ですよね!

庭眺めるくらいしかやる事が無い!

でも、唯一分かったのは憶測かもしれない多分、フェザーンが手を引いていると言う事。

本当になんとなくだけど。

でも、それだと前提が間違ってしまう。

私が寝ていたのは1年どころではなくおそらく10年単位。

ラインハルト兄上が皇帝とか、上の地位に上り詰めている事。

そうでなければ、私に価値は無い。

私に(クラウディア)にあったのは寵妃の妹と言う立場。

公爵令嬢(ティアナ)の親友であった事。

オスカー殿(ロイエンタール)の婚約者であった事。

それぐらいしか価値は無い。

そこから導き出せるのは、3人にとって価値があるから敵対者に監禁されているという事。

私の(クラウディア)の味方の誰かに保護されているという事。

私が知ってはいけないという情報を知っていたから監禁したという事。

上から確信が持てる理由。

でも、わからない。

ちなみになぜフェザーンが関わっているか分かったのは貴族の屋敷にしては妙にフェザーン製の物とか同盟製の物とかが多かったから。

確か、父上が貿易していて品物を何回か見せてもらったから良く覚えている。

最悪な予想が頭をよぎる。

だから、

………………会いたいなぁー。

わがままかもしれない。

でも、ね、

私の体感時間では、もう一ヶ月近く経っているし、誰とも話せない。

一応、お礼とか言っているけれど全く反応が返って来ないまるで機械を相手にしているように。

だから、あの日から会う回数は減ったけどやっぱり会いたい。

ラインハルト兄上に会いたい。

アンネローゼ姉上に会いたい。

ティアナに会いたい。

父上に会いたい。

ヒルダに会いたい。

オスカー殿に逢いたい。

ジークに会いたい。

レオンに会いたい。

役所のみんな会いたい。

やっぱり、1人は嫌だよ。

寂しいよ。

私は、夢を叶えたいのに。

こんなところにいる場合じゃあないのに。

此処から逃げ出さなきゃ、情報を集めなきゃと思うのに脚が震えて動かない。

ただ涙だけが溢れてくる。

誰か、だれか、ダレカ、助けて。

1人は嫌だよぅ。



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言葉

とてつもなくおひさしぶりです!
感想、お気に入り、評価ありがとうございます!
これからも応援よろしくお願い致します。
追記
感想でご指摘頂きありがとうございます!
少し手直しさせて頂きました。


sideラインハルト

 

帝国歴487年アムリッアァ会戦で大勝を得て帰還したラインハルトはすぐにクラウディアを探そうとしようとしたが艦隊が見つけたのは帝国の首都オーディンの地表を埋め尽くす弔旗の群。

………皇帝が死んだ。

少し、無力感が襲いそれと同時に妹の言葉を思い出した

「私達は皇帝陛下より、40歳以上若いのですからね。

時間は、待ってはくれませんし。私達にたくさん残っていますしね。

若い、私達に」

と言った言葉を。

若いというのはそういう意味だったのかと。

時間というのは、年の差というのはこういうことを指していたのかとやっぱり俺の妹はすごいと思った。

こんな先の未来のことまで見通していたのかと。

だからこそ、守れなかった自分が忌々しい。

アムリッツァでヤン・ウェンリーにしてやられたことも悔しかったが悔しい。

俺はクラウディアの兄なのに。

なにより嫌なのはたった1人の妹を探しに行くこともできないということだった。

 

ーーーーーーーーー

sideレオン

 

ラインハルトが物思いに沈んでいる。

多分こいつぐちゃぐちゃ考えて答えが出ていないんだろうと。

ジークとラインハルトは目を合わせてわかり合ったような目をしていた。

俺も混ぜろよと思いながら見つめているとオーベルシュタインの冷徹すぎる声が聞こえた。

その瞬間ラインハルトは夢から覚めたように首を振るとオーベルシュタインを見つめた

「閣下、皇帝は後継者を定めぬまま死にました」

と言うと俺たち3人以外は皆息を飲んだ。

こいつらなにを驚いているんだ?

頭がはてなマークでいっぱいになりそうな瞬間オーベルシュタインが再び口を開いて

「なにを驚く?私が忠誠を誓うのは、ローエングラム帝国元師閣下に対してのみだ。たとえ皇帝であろうと敬語など用いるに値せぬ。」

オーベルシュタインが言っている言葉にひどく共感する

ああ、そうだよな。皇帝になるのはラインハルトなんだから。

だってさ、ラインハルト以上に皇帝に相応しい奴なんていないんだから、な。

少し感極まっていたら話し合いが始まっていて彼の言葉に耳を傾けた。

「ではせいぜい高くうりつけてやるか」

俺はすっと真顔になってやっぱりクラウディアとラインハルトは双子なんだなーと思った。

クラウディアが言っていた

「私の指示に従って下さい。例えば、諜報。ラインハルト兄上を抑える事。

これは、絶対ラインハルト兄上は、、、無理ですよね~。

ラインハルト兄上が、目立つほどこちらはやりやすくなりますしね。

2人とも、素材は良いので女性の噂話をさりげなく聞いて下さい。

女性の噂は、だいたい、信憑性がありますので。

ラインハルト兄上は絶対、こういう事に向いていませんしね。

ラインハルト兄上に頼むのは、出来るだけ、恩を売っておく事。

門閥貴族だろうが、平民だろうが、奴隷だろうがですね。

その中で、優秀な人材は眼をかけておいてください。

それと、まぁ、無理でしょうが、喧嘩はなさらないようにしてくださいよ。

あと、ラインハルト兄上は、私が何をやろうと口を出さないでくださいね。」

 

この言葉がずっと頭にこびりついて離れないくらい残っているのだろうなと思った。

まあ、2人とも今すぐにでもクラウディアを見つけてアンネローゼ姉さんとティアナとヒルダとオスカー殿と一緒にあの頃のように笑い合いたいんだろうなとも思った。

だって、じゃなきゃあんなに手を握りしめていないから。



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