蒼の彼方での青春ラブコメはまちがっている。 (不十分)
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ぼっちも飛びます。1
初投稿なんでイマイチ良く分かってないんで、誤字だったり脱字だったり文法とか色々変なとこあると思いますが生暖かい目で冷やか且つゴミ駄目を見るような目で見守ってください。
お目汚しかと思いますがよろしくお願い致します。
今から数年前、ある所に2人の少年がいた。
2人はお互いに空に魅了され夢中になる。
2人はとあるスカイスポーツの存在を知った。
2人はとある少女達と出会い少女から指導を受けた。
2人はお互い、別々の師の元切磋琢磨して空を翔ける事に更に夢中になっていた。
2人はとある名のある大会に出場し、初出場にして1人は優勝、1人は準優勝という成績を収めた。
2人はそれからも技術を磨き、同年代には先ず敵なしの実力を持つ様になったのだ。
だがある時、少年の1人がとある1人の人物に敗北した。
もう1人の少年はある事故が元で自身の心…翼をもがれる。
それから2人は空を飛ぶことから逃げ出した。
そうしてから数年が経ち、1人はまたとある理由で空を翔ける。もう1人は別の道で空に関わるのであった。
今から15年前、重力に反発する粒子「アンチグラビトン」が発見され、それを利用した反重力発生装置を搭載した「アンチグラビトンシューズ」通称『グラシュ』が発明される。
グラシュ、それは多くの人々が長年求め、追い続けてたであろう夢、自分自身で空を飛ぶことを可能にしたものである。
グラシュの発明以降、日本国内のいくつかの地域でグラシュの利用が実験的に解禁されたのだ。
また、グラシュを用いた新しいスカイスポーツなども発明され、より多くの人々を魅了して行ったのだ。
スカイスポーツの中でも一際有名なのが『フライングサーカス』だろう。このフライングサーカス、通称『FC』と呼ばれるスポーツは老若男女問わず多くのファンがいるほどのものだ。
ここ、四島列島もグラシュの利用実験の実地地区であり、FCが盛んな地域である。
四島列島…日本の南洋にあり、福留島(ふくるじま)・久奈島(くなしま)・笠松島(かさまつじま)・上通島(かみどおりじま)の大きな4つの島と、周囲の小島など合わせて30余りの島々で構成される地域で、FCのプレイやら観戦やら地域観光などで盛んな所である。
春。心地よい暖かさで睡魔との格闘の末やっとの思いでここ、福留島にある『高藤学園福留島分校』に到着。
新学期という事もありクラス分け表を見て、自分の名前と新クラスを確認し教室へ向かい、座席表に書かれた窓際の1番後ろの自分の席へついて早15分。
俺、比企谷八幡の前に1人の女生徒が腕を組み睨みをきかせてる。
止めて!これ以上防御力下がらないから……。
「比企谷八幡!今日という今日は我が高藤学園福留島分校FC部へ入って頂きますわよ!」
「………ああ、むり。」
「わかりました。では早速この入部届けに…って何故無理なのですかっ!!」
「いや…アレがそれでアレだから…。つかこのやり取り何回目だよ佐藤?」
「佐藤・院ですわ!」
「……はぁ。」
1つ溜息をつき、俺は両耳にイヤホンをして机に突っ伏し、寝たふりをする。
「ちょっ、まだ話は終わってませんわよ、比企谷八幡っ!」
「……………。」
無視だ無視。つかどっか行ってくんないかな?周りの目線がグサグサ刺さってるんですけど…比企ヶ谷?誰それ?とか聞こえちゃってるし…ただでさえもう限りなく俺の防御力ゼロなんだか…このままじゃライフもゼロになっちゃう…。
「ちょっと、聞こえてるんでしょ比企谷八幡!!」
「…………………。」
「〜〜〜〜ッ!人が話かけているのだからきちんと聞きなさいっ!」
耳からイヤホンを取られ、耳元で大声を出される。
「んだよ、佐と「佐藤院ですわ」佐藤院…。」
こいつ、佐藤「佐藤院!」佐藤院は同じ2年の女生徒で去年の秋からしつこく俺をFCに勧誘してくる。
「だから先程から今年こそ、FC部へ入って頂きますわと先程から申してるではありませんか!あなた、目だけではなく耳も腐敗しているのではなくって?」
「だから無理だって言ってんだろ?つか腐敗してねぇし目に関してはデフォだデフォ。それに俺は集団で何かするってのは無理なんだよ、ぼっちだし…。むしろ俺が入る事で周りの奴らが辞めるまであるな。」
「…そこまで言うなら、わかりましたわ。」
やっと諦めてくれたか、これでもう平穏な学園生活が…
「ならこのわたくし佐藤院麗子と勝負なさい!」
は?何でそうなんの?アホなの?ねぇ、この子アホな子だったの?
「わたくしが勝ったらあなたはFC部へ入って頂きますわ!」
「いや、無理だから…。つか佐藤…院、前に俺に負けてんじゃん…。」
1年の冬休み前にこれと同じようなやり取りがあり佐藤院とFCの試合をした事があった。んで結果は22対0。因みに俺が22得点。
「確かにわたくしは一度あなたに負けました。ですがわたくしはアレから血の滲む努力を致しましたので、以前の様な無様な真似は致しませんことよ?」
「そうか、だが無理だ。んじゃな。」
そう言い、もう一度机に突っ伏…バンッ!うわっ、びっくりした⁈
佐藤院が机を叩き、グッと自身の顔を近づけてくる。近いからいい匂…じゃなかった近いから…
しつこいしいい加減ガツンと言ってやるか…
「今日の放課後必ず来なさい!いいですわね?」
さっきの3倍のにらみつけ…。
「き、今日ア…そ、そうアレだ…アレだからちょっ「いいですわね!」ひゃい…。」
「ではまた放課後、FC部の練習場で合間見えましょう。それまで精々首を洗って待ってなさい。オーホッホッホ。」
そう言い佐藤院は教室から出て行く。ごめんなさい。ガツンと言えませんでした…。
はぁ〜と長めの溜息をつきHRが始まるまで寝たふりをしようとすると学校ならではのチャイムが鳴った。それと同時に先程出て行った佐藤院が頬を赤く染め上げ教室に入ってくる。そして俺の斜め右前の席へと座る。
……あ、こいつこの教室だったのね。つか、さ行なのに何で斜め前なの?いや、それ以前に、は行の俺が何で窓際の1番後ろなの?まぁこの席好きだから良いけど…。
そんな事を考えていると、教室のドアが開き担任教師らしき人が入ってくる…ってやっぱ今年もあの人か。
「やぁ、諸君!おはよう。初めての物もいるかも知れないから自己紹介をしよう。私は君たち2年F組の担任、平塚静だ。担当科目は国語で生活指導も担当している。」
平塚静…この人は俺にとって1年からの担任であり、恩人であり、FCの師でもある人だ。
「では、先ずこのHRは軽く自己紹介をして貰おうか。うん、そうだな。出席番号順に名前を呼ぶから各自、名前と部活…入部してないも者はいい、そうだな後は趣味なんかを言いたまえ。では、出席番号1番…」
そう言い、自己紹介タイムが始まるのであった。つか部活あたりから俺の事見ながら言いましたよね?
ヤバい…想定はしていたが俺にはやはりハードルが高い…いざ俺の番になって噛んじゃったりしたらグラシュですぐさま逃げ出すまである…今履いてないけど…。
「……がや……ひ…やは……」
ああ、どうしようとりあえず落ち着け俺!そうクールだ。クールになれ八幡!俺なら出来「比企谷っ!」おーい読んでるぞ比企ヶ谷って
俺か?
「おい、比企谷!」
「ひゃいっ!」
「はち…ンンッ…比企谷、君の番だ。」
あんた今、名前で呼ぼうとしたよね?入学した時に公私混同しないって言ってたじゃん? つかビックリして変な返事しちゃったじゃん!一斉に視線集めちゃったじゃん!つかじゃんじゃんってどこのアンチスキルだよ…。
「立って名前と部活…は入部してなかったな…趣味をいい「お待ちください、平塚先生」ん?なんだ佐藤?」
「彼、比企谷八幡は今日から我がFC部へ入部する事が決まってます!それと先生、わたくしは佐藤院ですは?」
「ん?聞いてはいないが、佐藤の言ってる事は本当か八幡?」
ちょっとまて、んな事言った覚えねぇーし、ましてや入部もしてねぇよ……。
「ですから佐藤院、ですわ。」
「………それで、八幡。入部するのか?」
「あ、いえ…しません。佐藤が「院ですわ!」勝手に言ってるだけで…」
そう言うと、平塚先生は少し残念そうな顔をして、そうかと口にする。その顔を見て、胸を締め付けるような痛みが俺を襲う…。
「では、比企ヶ谷…自己紹介の続きを頼む。後がつかえているからな、早々に頼む。」
「はい…では、比企谷八幡です。部活はやってません。趣味は読書と空をと…「お待ちなさい、比企谷八幡!」以上です。」
横槍が入ったが無視だ。
「佐藤…後がつかえているから座りなさい。比企谷も座っていいぞ。では次…。」
…………
………
……。
そうして自己紹介も終わりHRが終了する。今日から新学期という事もあり、学年ごとの集会やらクラスごとの連絡事項やなども終わり、今日の学校は半日で終了となる。
後は家に帰りゴロゴロして1日が終わる流れなのだが、担任である平塚先生に呼び出され、今俺は生活指導室にいる。
「それで、八幡。君は本当にFC部には入らないんだな?」
「…はい、すみませんが俺はもう…FCはやらないっすよ。」
「だが、以前に佐藤とひと勝負したじゃないか?確か八幡、君が勝ったんだったよな?」
「…はい。そーですね。つか公私混同しないんじゃないんですか?」
「まぁ今ここには君と私しか居ない。だから気にするな。…いいかね?」
先生がタバコの箱を取り出す。それを見てコクっと頷いて答える。
「すまないね。さて、君がFCをやって居た事を知ってるのは私と佐藤以外は…真藤が知ってるくらいか?」
「そうっすね。つか真藤先輩が知ってるのって静さんの所為ですよね?」
「ふっ、さて何のことだか私は知らないぞ?」
ふーっとタバコの煙を吐く先生。この際この含み笑いと言動は流すとして、相変わらず立ち振る舞いが男…いや、漢らしい。だから未だに独し…
「おい小僧?今何か失礼な事を考えただろ?」
「い、いえ…にゃにも……。」
「そうか…何故だか今無性にこの拳を打ち抜きたくなったのだが?」
「き、気のせいじゃないっすか?」
「まあいい。この後確かまた佐藤と試合するらしいな?」
「今日はやたらと質問が多いっすね?まあやりたくないんで帰るつもりですけどね。妹…小町も待ってますし。」
「今はご両親は海外だったか?小町くんと2人で大丈夫か?何か困った事があったら直ぐに言いたまえ。」
うちの両親は共働きで、今はイギリスだかに去年の夏から長期出張している。
本当は妹である小町も連れて行くつもり(俺は置いて行く気満々だったって言ってたな)だったらしいが、小町が
「お兄ちゃんを1人にしたら何するか分からないし、心配だから小町も残る!あ、今の小町的にポイント高い!!」
とか言い出し、現在比企谷家は兄である俺と、妹であり天使でもある小町との2人暮らしだ。天使と同居とかマジ癒ししかないわ。あ、そう言えば飼い猫が1匹居たわ…。
たまに昔からの付き合いで両親とも顔馴染の静さんがうちに来て何かと気遣ってくれているので、正直助かっている。小町は小町で静さんに懐いていて本当の姉のようにしたっている。
「今の所大丈夫ですよ。あぁ、でも最近静さんが来ないから小町が文句言ってましたよ?」
「それはすまないな。ただ、やはり私も教師の立場上、生徒の家に個人的な用ではなかなか、な。だか、近々家庭訪問という事で顔を出すようにしよう。」
「わかりました。小町にも言っときますよ。」
「うむ、頼んだ。さて、そろそろ君は行きたまえ。佐藤が待っているのだろ?」
「いや、だから勝負なんてしませんよ。第一俺に何もメリットなんてないじゃないっすか?」
「そう言うな。もう一度やってやれば良いじゃないか。共に同じ競技をし汗を流し切磋琢磨する。正に学生らいし青春じゃないか?」
青春…ね。
「いや、青春とか俺になんか向いてないっすよ。それに…」
やめてくれ、俺にそんな顔見せないでください…。
「君がFCを辞めたくなった理由は確かにわかる。だがな、八幡?」
あなたのそんな顔見たくない…。
「話は終わりっすよね?すみませんが俺はこれで失礼します。ではまた明日。平塚先生…。」
あなたにそんな顔をさせる俺の姿を見せたく…ない……。
「……ああ、また明日、比企谷……。八幡…私は………。」
指導室を出る際に、静さんが何かを言ってたが、俺はそれを聞かない…いや、聞こえないふりをした。
あれだね。別にオリキャラで良くね?とか思うよね?
ええ、思いますよ。ただね?オリキャラって難しいんすよ?
やったんですよ必死にそれなのに……
因みに俺ガイル勢は他の人出すか迷ってます。
でも個人的に競技スーツを着たガハマさんとゆきのんを横並びにして見たいってゲスな考えを持ったりしたり…
あ、読んでいただき誠にありがとうございます。
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ぼっちも飛びます。 2
けどこれで良いのかな?
私、不十分のノリと勢いで書いたものが少ないですが、大変貴重なご感想や評価されたことに心から感謝します。
では、今回もお目汚しかと思いますが、どうぞご覧いただき下さいませ。
あるところに、2人の少年がいた。
少年達はFCへどんどんのめり込み、力をつけた。
2人のうち1人は飛翔姫の懐刀、ジュニアチャンプ、などと呼ばれる。
もう1人はその見た目から、黒ずくめ、鴉と呼ばれるようになった。
現在地、高藤学園分校FC部練習場……なぜ?なぜ俺はここにいるんだろう?
遡る事2時間前…。生徒指導室を後にした俺は、佐藤との試合をバックレる前提で教室に戻り荷物をまとめ帰ろうとした時、ある人物に出会ったのだ。
「やあ、比企谷くん。これから帰りかい?」
そう話しかけて来たイケメン。1年上、高藤学園3年の真藤一成。現在、ここ四島列島のFCで頂点に立つ高藤学園FC部部長である。
この人だけは色んな意味で近づいちゃ駄目だと俺のセンサー(頭のアホ毛)が逆立つ勢いで反応する。 実際にどこかの物語の語り手じゃないから動かないけど…。
「はい、妹待たせてるんで…じゃあまた。」
そういい、俺は早々に距離を開け退散しようとしたら…
「ああ、小町くんならさっき佐藤くんと部室へ行ったよ?」
あ?今なんつった?
「今日、比企谷くんと佐藤くんが試合をするって話を小町くんから聞いたけど、違ったのかな?」
「いや、一方的にあいつがそう言ってるだけで…てかなんで小町が知ってんだよ?つか先輩、いつから小町と知り合ってんすか?」
「以前、中等部と合同練習をした時にちょっとね。彼女、やっぱり良いセンス持ってるじゃないか?」
俺の妹、小町はFCを初めて早3年。中等部の部長と言うわけではないが兄の俺から見ても、贔屓目を抜きにして間違いなく中等部エースとも言える実力を持っている。ただ、波が激しいので大会はベスト4あたりが平均ってとこだが…。
「はぁ、そうですか。最強にそこまで言われるんならあいつも喜びますよ。」
「いや、僕なんかよりも君から言ってあげた方が良いんじゃないかな?鴉くん?」
「か、からす?にゃんのことでしゅか?」
「なにって、君のジュニア時代の通り名じゃないか?あれ?鴉くん、目がさっきより濁って来てるけど大丈夫かい?」
「ひ、人、違いじゃないですか?」
「しかし、僕たちの憧れのうちの1人である『鴉の王』がまさかこの高藤にいたなんてね。以前、佐藤くんとの試合を見た時は流石に驚いたよ。」
やめてっ!その名前で呼ばないで!自分から名乗った訳じゃないし!それに王って言っても優勝経験ないですから!本当恥ずかしいっ!お願い、お願いだから土下座でも何でもしますから、その名前だけは呼ばないでぇぇぇぇぇ!!
「さてと、ではそろそろ行こうか?僕も君と1度FCをしたいって思っていたしね。」
「いや、しませんから…俺は帰りますから。」
早々に撤退を再開し始めたのだが、通話機能付き目覚まし時計(スマホ)が震えた。
真藤先輩は笑顔でどうぞ、と言った顔してる。クソ、イケメンは何しても映えるから嫌いだ。
未だ震える通話機能付き…長い、スマホを見るとラブリーエンジェル小町からの電話だった。何故、電話に出てしまったのかその時の自分に問いただしたい。A、相手が小町だからに決まってんだろ!
「どしたー小町?」
『お兄ちゃん今どこにいるの?早く来てよ佐藤院さん待ってるよぉ〜』
「ねぇ小町ちゃん?何で佐藤と一緒にいるの?バカなの?」
『…良いから早く来てね!出ないと今日ウチに入れてあげないから!』
「何でだよ…いや、お兄ちゃんこれからお腹痛くなるらしいからちょっと無理だわ。」
『……鴉。』
「ようし、お兄ちゃん小町のために頑張っちゃうぞぉ」
『ゴミぃちゃん…んじゃ早く来てね〜小町も今日練習に来てるんだから久々にお兄ちゃんと一緒に空飛びたいなぁ。あ、今の小町的にポイント高い〜』
何時も通りおー高い高いって言うつもりだったのに、電話切られた…。あ、つかFC用のグラシュ無いけど。
「じゃあ行こうか、比企谷くん。」
「あんた、まだいたんすか…。」
電話中、先に行ったと思ってたのに真藤先輩はまだそこにいた…。
で、現在に戻って来たわけだが…。何このギャラリー?あ、きっと部員の方々ですよね?でもフライングスーツ着てないのはなんで?
佐藤が着てるのはわかるけど、真藤さんも準備万端にしてんの?あ、きっとあれだ。部活だからか。そうだよね?決して試合相手が真藤さんなわけない。
「比企谷八幡!やっと来たかと思えば何ですかその顔は?目がいつも以上腐っ…濁ってますわよ?」
「おい、今腐ってるって言おうとしただろ?つかそれより何だよこれ?何かのイベント?」
「さあ?知りませんことよ。差し詰め、わたくしの優雅で可憐な勝利を見に来たのではなくって?」
そう言い切った佐藤は、口元に手を持って来てオホホって笑ってる。つか今日日こんな笑い方するやついるのかよ…いたわ、佐藤はこういう奴だったわ。
「ゴミぃちゃんやっと来たの?はいコレ、お兄ちゃんの競技用グラシュ。」
「小町ちゃん?何で俺のグラシュ持ってるの?しかも小町までフライングスーツ着ちゃってるの?」
佐藤の横からひょこっと現れた小町は水色を基調としたフライングスーツを着ていたのだ。
……なんか、佐藤と隣同士で立つとウチの妹は可哀想なくらい、何処がとはあえて言わないが凹凸が少ない気がする。だ、大丈夫だ小町。お兄ちゃんは小さくても小町が1番だからな!
「ゴミぃちゃん気持ち悪い顔しないでよ…あ、いつもか。」
「おい。」
「比企谷さん?そろそろ準備の方を。」
佐藤が小町にそう声をかけ、一歩前に踏み出す。
「では比企谷八幡。わたくしとの試合を始めますわよ?」
「え?本当にやるの?」
「あなた!何の為にここまで来たのですか!」
「小町に呼ばれたからだが?」
「その前にわたくしが呼び出ししたじゃありませんか!」
怒り出した佐藤にやれやれと言った態度で、なんとかこの状況を回避しようと思ったが、そう上手くいかないのが世の常なんだろう…。
「はぁー本当、ゴミぃちゃん。あのね?小町、お兄ちゃんがFCやってるとこ見たいなぁ〜ねぇ小町の為に佐藤院さんと試合して?」
「よし、佐藤今すぐやるぞ!早く準備しろ!」
「準備ならとっくに出来ています。それと佐藤院ですわ!あなたこそアップしたりしなくて良いのですか?」
確かにスーツは着てないしグラシュも履き替えてない。つかグラシュあるけどスーツは無いからなぁ……。体操着…は今日持ってないし…このままでいいか。
「アップはいい。スーツは無いんでこのまま行かせてもらうわ。」
「そうですか。部長?申し訳ありませんが審判をお願いしてもよろしいですか?」
「僕で良いなら引き受けるよ、佐藤くん。」
そう言えばこの人いたよな…と思い俺は小町が持ってきた競技用グラシュへと履き替える。しかし、久々に履くな…。
「部長、ありがとうございます。それと部長?佐藤院ですわ。」
「では比企谷くんが準備でき次第始めよう。佐藤くんは先に上で待ってるといい。」
「わかりましたわ。それと佐藤院です。比企谷八幡。ではお先に…我が翼に、蒼の祝福を!」
ええー!何その掛け声かっこい…じゃなくて、こいつ実は厨二?でもまあ、俺も人の事言えないよな…。
さて、グラシュも履き替えた事だし小町の為に行ってくるか。
「翔けろ、ヨハンナ。」
俺のグラシュ、ヨハンナは銀色、シルバーが主体で青いラインの入ったグラシュである。親からFCを始めた際に無理を言って実験段階のこのグラシュを実地試験という名目で貰ったものだ。因みにヨハンナとは9世紀半ばあたりの女教皇で、ヨーロッパでは女性の名でよく使われているってのを後から知ったのは敢えて置いておこう。
「待たせたな。」
「いえ、それほどでもありません。それより、あなたのグラシュ…この度初めて見ましたが、どちらのモデルですの?」
「これか?これはウチの両親が勤めてる会社の実験機だ。まあ、だいぶ古いタイプだからか現行モデルが無い。知らんのも無理ないわな。」
ウチの両親はイギリスにあるグラシュ製造会社の日本支部にいたのだが、今は本社へ出張している。始めた当初から今までに何回かサイズ変更のため色々とイジって貰ったので、履き心地はまずまずだ。
「そうでしたか。あなた、確かわたくしと同じオールラウンダーでしたわね?」
FCにはプレイスタイルが3つある。1つはスピーダー。もう1つがファイター。そして佐藤が言ったオールラウンダーである。
「ああ、前んときそうだったな。」
「?それはどう言う「2人ともそろそろいいかい?」…はい、わたくしはよろしいですわ。」
「うっす。」
真藤さんが俺と佐藤の返答に頷き返す。そして…
「セット。」
さて、とりあえずヨハンナを履くのは久々だからか先ずは慣らすか。
開始の合図が鳴り、佐藤との試合を始めたのである。
中途半端で申し訳ありません。
これが私の実力です。
文才だったの3ぐらいしかありません。
次回作では、あおかなを知らない方に分かるようにFCの説明を入れつつ佐藤院さん戦を終わらせられるようにします。
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ぼっちも飛びます。 3
知らぬ間に評価が…。
ありがたいのですが、本当に?マジ?こんなんが?ってぐらいビックリしてます。
本当にこの作品を応援して頂けて感謝仕切れない…。何とか皆様のご期待に添えるような作品を作っていきたいと思います。
フライングサーカス。グラシュを用いて空中で行う、1対1の鬼ごっこのようなスカイスポーツである。300メートル四方の空域の四隅に設置された4つのブイ。その周辺を競技フィールドとし、スタート後に時計回りにブイにタッチしていく。因みに、試合の際は男女混合。俺には正直かなり厳しい…。
4つのブイには名称があり、スタート位置にあるブイをファーストブイ、次にセカンド、サード、フォースと続く。
プレイ時間は10分間で相手より先にブイをタッチ出来れば1得点。この説明だけでは飛ぶスピードの速い者が有利かと思われるが、得点方法がブイタッチ以外にもある。それは相手の背中にタッチする事だ。
そう、相手にタッチ…男性ならともかく、女性相手となるとセクハラ問題が生じる。とか思うだろうけど、そこは触れられたくない女性の方々、安心して下さい。 グラシュにはそもそも重力の力場を作る機能があり、飛ぶ際に使用者の周りにメンブレンと呼ばれる膜を発生させる事ができる。
このメンブレンとメンブレン同士が触れると反発し合うため、直接触る事が出来ないのである。但しいくつかの例外はあるようだ。
つまりは競技中、相手に直接タッチするのではなく、相手の背中にあるメンブレンに触れる事で得点を獲得できると言ったわけだ。だから、俺でも別にセクハラだ犯罪だって言われることはない……はずだ。 なのに中学の時………。
話が逸れたが、続きを。で、何処まで話したっけ?ああ、得点の獲得方法ね。得点方法はこの2つのみだ。あ、制限時間について補足なんだが、仮に制限時間を過ぎて、得点が同点の際には5分の延長戦をするんだが、この5分でも決着が付かず同点の場合は更に先に得点を取った方の勝ちなわけ。
後は、セコンドだな。セコンドはボクシングなんかにもいるだろ?まぁFCの場合はヘッドセットを用いて、地上で選手に指示を出すんだをや。FCが始まった頃相手の姿を見失い、一方的な試合となってしまう事態が多発したため、導入された制度だな。
セコンドは同じ学校の選手やコーチが務めることが多いんだが、学生の大会においては、競技人口が少なかった頃の名残で、プレイヤーの了解さえあれば他校の選手が務めることも認められている。俺の時?静さんがやってくれたよ。小町は俺が絶対にセコンド…え?良い?むしろやったら辞める?え?ひどくない?
……最後に、FCにはプレイスタイルが3つ、それに伴いグラシュもそのプレイスタイルに合わせたものを選ぶ。始める際にはその人その人にあったやつを決めるんだが…先ず1つはスピーダー。
先ず、スピーダーは高速飛行でブイタッチによる得点を狙う事ができる。一般的にスピーダー用のグラシュは、初速を抑え、加速を上げることで最高速をあげている。これがスピーダーのメリットだ。んでデメリットはタッチされるなどで一度体勢を崩されてしまうと立ち直りが遅いという弱点がある。
次にファイターだけど、ドッグファイトによって相手の背中にタッチすることで得点することを狙うのが主だ。ファイター用のグラシュは、加速を抑え、最高速を犠牲にする代わりに初速を上げている。先にデメリットだが、最高速に達したスピーダーに追い付くことは困難だ。けど、最高速に達する前にタッチして体勢を崩すことが出来れば、初速が速いファイターの方が立ち直りが早いから優位に立つことができる…これがファイターのメリットだな。
んで最後が、オールラウンダー。 名前の通りスピーダー対してはファイターの様に、ドッグファイトでの得点を狙い、ファイターに対してはスピーダーの様に、スピード勝負でブイタッチを狙うといった事が出来て、相手によって柔軟にプレイスタイルを変化させるスタイルだ。だからオールラウンダーのFCプレイヤーは結構多いんだよな。
小町はどちらかと言えば、なんでも卒なくこなせるからオールラウンダーの方が良いと思うぞ?え?スピーダー?俺と一緒って…ああ、そうだな、ポイント高い高い。まぁいいんじゃねぇの?試して合わなきゃ変更すりゃ良いんだし。
なんて事を思い出してたら、開始の合図が鳴り、佐藤に少し差をつけられたが俺は空を翔ける。先ずは久々に履いたこのグラシュ。ヨハンナを慣らす事に集中だな……。
今回、俺のセコンドには小町。佐藤にはFC部の奴がついている。
「お先に取らせて頂きますわよ!」
佐藤がスピードを上げ、セカンドブイに迫る。
「お好きにどうぞ…。」
そう言い、俺はセカンドブイではなくサードブイへとショートカットする。
ルール上。セカンドブイをタッチ出来ない選手、またはショートカットした選手は先にブイに到達したものを追い抜くか、交差するかをしないと次のブイを狙う事は出来ない。
キュインと音が聞こえ、佐藤がセカンドブイをタッチした事を確認。
先ずは0対1。
俺は現在、セカンドブイとサードブイの中間程にて佐藤を待ち構えている。そしてすぐさま佐藤が中間地点に到着して両者睨み合いの状態へとなった。
「行きますわよ、比企谷八幡!」
佐藤は真っ直ぐ此方へと突っ込んでくる。先ずは小手調べと言わんばかりにフェイントを入れ俺の真横を通り過ぎる。そのまま、俺は佐藤を置いかけるのではなく、フォースブイへとむかう。
「…ッ!」
佐藤が俺を一瞬睨むように見てきた。差し詰め張り合わないのか、とかやる気あるのか、って思ってんだろうな…。
佐藤がサードブイにタッチして速度を上げ、先程と同じ様に俺を抜いていく。
「あなた真面目にやりなさい!」
去り際にそんな事を言われた。が気にしな『お兄ちゃん?』気にします。はい、お兄ちゃん頑張ります。
どうやらインカム越しに聞かれたらしく、小町に注意された。
「んじゃまぁちょっくら働いてくるわ。働きたくないけど…。」
『バカ、アホ、八幡!最初から真面目にやってよ、小町の為に頑張ってくれるんでしょ?』
「小町ちゃん?八幡は悪口じゃないよ?」
『良いから早くショートカット!でないと今日の夕飯トマトだけにするよ?』
「あいよ。」
そんなやり取りをしながらファーストブイに再度ショートカットする。
「またなのですか?」
今度は両者止まっての睨み合い。
「ああ、だが今回は抜かせねぇよ。」
「…いえ、抜かせて頂きますわよ?」
佐藤はそう言い、フェイントをいくつかつけ俺を抜こうと横から来る。 バレバレだ。
「きゃっ!」
抜かれる寸前のとこで佐藤に触れる…いや、変な意味じゃないよ?
「先ずは一点。」
態勢を崩した佐藤の背後に周りのすぐさま背中にタッチ。反動で佐藤はすっ飛ぶ。
「ほい、追加点。」
「ッ!」
追撃。これで2対3。もう一回って思ったが、佐藤に追撃を入れた反動で俺はそのままファーストブイへと向かう。
それをみて佐藤は態勢を立て直し降下。おそらくローヨーヨーだ。
下降して重力によって加速。その後に上昇する事で一直線で進むより早く移動が可能になる基礎の1つ。
だが佐藤。それでは俺には追いつかない…。
「はい、同点。」
佐藤が下降した際にはもうすでにブイをタッチした俺はすぐ様セカンドブイへと向かう。
ローヨーヨーで速度を上げた佐藤はショートカットを試みたのだろうが間に合わず、俺と横並びになる様に飛ぶ。
「お待ちなさいっ!」
「……無理だな。」
「このっ!」
佐藤は俺に触れようと手を伸ばすがそれは叶わない。
「くっ…」
佐藤の悔しがる声。その後何やらセコンドと会話したのちすぐ様サードブイへのショートカット。 何か対抗策があるのか?いや、ヨハンナを履いた俺に勝てんのはあの3人以外いないだろ?悪いが諦めろ、佐藤…。
それから数分。試合終了のサイレンが鳴る。結果は23対3。俺の勝ちだ。
「……………。」
「お疲れさん。」
佐藤は俯きながら降りてきて、とりあえず俺そう言うことしか言えなかった。
「……く………すわ…。」
「は?」
「くや……です…。」
佐藤がなんか言ってる…。
「だ、大丈夫か?」
俺はつい気になって声をかけていた。
「悔しいです!悔しいですわ!」
「うわっびっくりした。」
ウガーッと叫んだ佐藤。地団駄を踏み、悔しい悔しいと繰り返し叫ぶ。さ、佐藤が壊れた…。お嬢様キャラはどうした?
「お兄ちゃん…流石にやり過ぎだよ。」
もしかしなくても俺の所為でしたね…。そりゃ流石に2回も20点差で負けりゃそうなるよな……。
「この屈辱、必ず晴らして差し上げますわよ!」
「お、おう。」
まだやるつもりなのね…つか試合は俺の勝ちだから部に入るって話はなくなった訳だし帰っていいよね?
いそいそと帰り支度を始めると、小町が何かに気がついたらしく…
「およ?静お姉ちゃんだ!おーい、お姉ちゃーん!」
「やあ、小町くん。久しぶりだな。」
どうやら野生の独神とエンカウントを見つけたらしく、声をかけた。んでこっち来ちゃったよ…。
「八幡…。歯を食いしばれ。」
「すみませごめんなさい死にたくないです!」
「全く君という奴は…で、真藤、どうだった?」
「やはり、素晴らしいですね。流石は僕の憧れていた選手です。」
そう言い真藤さんはニッコリと微笑み、こちらに近寄ってくる。
ああ、そう言えばまだいたんだった…この人。
「私としてはまだまだ、ヒヨッコも当然なのだが…まぁ君がそう思うなら良いだろう。」
静さん、さっきの試合見てたのね?
「はい。さて比企谷くん。先ずはお疲れ様、と言っておこうか。」
「うっす。んじゃ、もう帰っていいっすか?先輩も練習あるでしょうし。」
そう告げ、先程の帰り支度を再開しはじめる俺。部外者はさっさと帰りますよ。
「いや、まだ帰らせないよ?」
「は?」
「あんな試合を見せられたんじゃ、僕も疼いてね…。どうかな?」
「……。いや、意味わからないんすけど…。」
「一プレイヤーとして、君と試合したいんだけど、受けて貰えないかな?」
真藤さんの雰囲気が先程とは変わった気がした…。まるで、そう言い換えるなら狩をする肉食獣の様な。
「すみませんが、俺この後予定が…。」
「そう言わず…ね?やらないかい?」
この人…今日は何が何でも引かない気か…。
「じゃあこうしよう…。この一回限り。で僕が負けたらもう君に一切関わらない。」
「…先輩が勝ったら?」
「僕が万が一君に勝てたら…そうだね。入部して貰えないかな?」
「だが断る。」
場の空気が一気に凍る。 小町は呆れ顔して頭を抱え、真藤さんは鳩が豆鉄砲を食らった様な顔。静寂がこの場を包む。
ただ1人、静さんだけは腹を抱え大爆笑している。
FCのルールは大体こんな感じです。
原作やサイト、wikiなんかでも載ってるのでもっと詳しく知りたいのならそちらを見た方がいいですね。
FCの開始音と終了音は明日香みたいにふぉぉぉぉぉーって書こうとしましたがやめました。
あれは明日香がやるから良いのであって文章にしてはいけない。
因みに不十分は佐藤さんルートがあるとひたすら信じてましたが…ないんですね。
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ぼっちも飛びます。4
すっかり自分で投稿していたのを忘れておりました。
書きだめもいつの間にか削除していたようで…また最初からやり直し。やる気も気力もなくうだうだしていて読み専になってたらこんなにも空いていたなんて…
まっことなさけのーございまする!
失礼。ほんと申し訳ない。
作風や文章表現が異なるかと思われますがまたゆっくりと書いていくつもりなんで見捨てないで下さい。
「だが断る。」
この一言でこの場の空気を一気に凍らせてから数秒。
「ひ、比企谷八幡!あなた部長になんて事を!」
静寂を崩したのは佐藤であった。あ、静さんの所為で静寂してなかったわ…。
「部長に今すぐ謝りなさい!」
「お兄ちゃん、今のは小町的にポイント低いよ?」
「は、八幡…くくっ、本当に君というやつは…。」
あれ?小町にも受けると思ったんだけど、ダメだった?俺と静さんの影響で、ジョ◯ョネタ解ると思ってたんだけど…。
「比企谷くん、よかったら何故ダメなのか理由を聞いても?」
真藤さんの雰囲気が少し棘がある様な言い方で聞いてくるのだが、どう答えればいい?ただ一度は使って見たいセリフを吐いただけだし…
ぶっちゃけもう疲れたし帰りたいしってぐらいしか思いつかない。あ、理由コレだわ。
「あの…それはです「きっと部長に恐れをなしているのですわ!」です。」
あの、佐藤さん?セリフ被せないでね?とりあえず疲れたし帰りたいって言いましたけどコレじゃ全く持って伝わらないじゃん…。
「…帰りたいから、ね。」
あ、しっかり聞こえてたのね…。
「はい。流石に久々にFCやりましたし、佐藤との試合で充分やりましたから、体力面でもう1試合と言うのはちょっとアレがアレでして。」
「そうかい?僕には物足りないように飛んでいたと見えたんだけど?」
そんな事言わないでください!1人負けず嫌いで煩わしい人いるんだからさ?
「物足りない、ですって⁈それはどう言う意味ですか部長!それに比企谷八幡!」
ほら、やっぱ絡んで来ちゃったじゃん…。
「まぁまぁ、2人共落ち着きたまえ。真藤、君ははち…比企谷と試合がしたいのだろ?良いだろう。私が許可する。」
いや、何言ってんのこの年増「くたばれ!」うおっあぶね!なんか頬を掠めたぞ!
「八幡、君は私を深く傷つけた。よって君にはペナルティーとして真藤と試合することを命じる。」
「いや、そんな傷つけたなんて…」
「良いからやりたまえ。異論反論は受け付けん。それに私はまだ若いんだからな!」
シクシクと泣き真似をしている静さんに小町が「大丈夫まだ若い!お姉ちゃんは若いし美人だから!」って慰めの言葉を掛けているが、逆効果だよ小町ちゃん?
「それで、話は纏まった様だし僕とやろうか?」
あんたがやろうかって言うと別の意味に聞こえるのは俺だけかな?
周りの女子部員がキャーキャーとかキマシタワーとか言ってるが気のせいだよね?
「あの、流石に先輩と試合するのに制服ってのは申し訳ないんで、後日改めてって事でいいっすか?」
最後の苦し紛れに、俺は言葉を繋ぐ。何のために?逃げるために決まってんだろ。
「最強相手に準備不足と言いますか、ある程度慣らしとかないと試合にならないと言いますかほら、アレですよどうせ試合するならお互い万全な状態で気持ちよく楽しく切磋琢磨し、良い試合をした方がいいかと思います。うん、それがいいそうしましょう。」
「………。」
言い切った俺の言葉を少し考えるかのようにし、ニコリと笑顔をしている真藤さん。うん、いい笑顔です。
「そのまま無しにする。なんて思ってないかな?」
ば、バレてらー。やっぱこの人には通じないのかぁー。
「ま、ままままさかそんな事思ってにゃいでしゅよ?」
「そうかい?あれ?鴉くん?汗が凄いけど大丈夫かい?」
「お兄ちゃん…それやったら小町的にポイント低いなぁー。」
とりあえず、あの場は後日改めてと言う事で落ち着いた。
静さんが何とか復活し事の次第を理解し、その場を納めたのだ。
そして、静さんは残りの仕事を終わらせるとの事で練習場を後にし校舎へと向かって行った。
その際「私は若手だからまだまだ任される仕事が多くてな。若手だから!」と言っていたが、敢えて触れないでおこう。触らぬ独神に祟りなし。
さて、今現在の俺はというと、練習を頑張った小町へのご褒美と言う事で旧市街地にある『ましろうどん』へ来ている。
たまに両親が不在の際ここで良く食事をしていた俺と小町。たまに静さんを加えて通っていた。
静さん曰くラーメン以外で麺類を食べるのは此処しかないらしい。
「あら?いらっしゃい2人共久しぶりね。」
そう声を掛けてくれたのはここましろうどんの美人女将。有坂牡丹さんである。まだ20代前半、いや下手したらもっと若く見える牡丹さんは俺と1つ下の娘さんがいるのだ。
「お久しぶりです牡丹さん!今日は真白さんいないんですか?」
真白。牡丹さんとここの店主さんとの娘、有坂真白。確か久那浜学院に入ったんだっけか。ゲーム大好き、みさき?先輩loveな小動物系娘。
「ましろはまだ帰って来てないわよ?何かあの子によう?」
「いえいえ、久々にお会い出来ると思ったので。あ、いつものやつお願いしまーす。」
「そうなの?ごめんなさいね。八幡くんも同じのでいいかしら?」
「うっす。あ、今日は大盛りでお願いします。」
今日は久々に身体動かしたし腹減ってるからいけるだろ。
「はーい。じゃあ少し待っててね。」
そう言い、牡丹さんは厨房へと向かっていく。うん、可愛すぎる。小町が天使ならあの人は女神様。
あんな母親なら毎日、最速で最短でまっすぐ一直線に家へ帰るだろうに…うちの母ちゃんと言ったら…はぁ。
「お兄ちゃん、顔気持ち悪いよ?」
「小町ちゃん?お兄ちゃん流石に泣いちゃうよ?」
「いや、流石に泣かれたら小町でも通報しちゃうから、それはやめてね?」
おう…妹にまで通報されちゃうレベルの泣きって…。
「それにしても久しぶりにお兄ちゃんのFCみたけど、やっぱ速すぎるよ。小町、まだまだ追い付ける自信ないなぁー。」
「アレはグラシュの性能がスピード特化ってだけだし、ましてやアレはFC用ってよりレーサーが履くようなタイプだからな。」
「それを平気で履いてるお兄ちゃんが凄いって言いたいの!あ、今の小町的にポイント高い!」
「あーはいはい。高い高い。」
そんな会話をしていると牡丹さんがやって来た。
「はい、お待たせしました。ましろうどん特性あごだしうどんです。こっちが八幡くんのね。」
うん、いつも通り透き通った綺麗な出汁に少し細めな麺。それを邪魔しない具材。相変わらず美味そうだ。
「ありがとうございます!じゃ食べよっかお兄ちゃん。」
「ああ、んじゃ頂きますっと。」
先ず麺をひと口。う、美味すぎる!そして汁をひと口。最高だ!
その後もガツガツとズルズルと食す。
ふと店の入り口が空き誰かが入ってくる。
「んあ、まひりゃしゃんだぁー」
「小町ちゃん何言ってるかわからないよ?それと食べながら喋らない。お兄ちゃんそんな子に育てた覚えないわよ?」
「んっく、育てられたらおぼえないけどねー。」
確かに育てたのは両親と静さんだわ。
「ただいまーお母さんお腹空いたよぉ〜。」
「おかえりなさいましろ。小町ちゃん来てるわよ?」
「小町が?久しぶりね。」
そう牡丹さんと話している小動物。有坂真白が帰宅したらしい。
彼女、有坂真白と比企谷兄妹の関係や出会いの話はまた今度としておこう。
「真白さん、お久しぶりです!」
「小町いらっしゃい、久しぶり。元気だった?」
「はい!そりゃもう元気でしたよ!」
2人の会話を聞きながら天使と小動物の馴れ合い。アリですね。なんて思ってると…
「今日小町1人できたの?先輩は?」
あれ?俺ここにいるの見えてないの?
あ、牡丹さんも小町が来てるしか言ってなかったわぁー。
「兄ならそこに。」
「うわっ!せ、せせせ先輩っ!いつからそこに⁈」
「いや、最初からいましたけど?むしろなんで小町の対面に座ってるの気がつかないの?入り口から俺の後ろ姿見えるよね?」
何だろうか…目から汗が出てきそう…あれかな汁が目に入ったのかな?
「あの、すみません。別に先輩の影が薄いとか直視したく無いとかって訳じゃないんですよ?」
「いや、言い方。直視したく無いとか酷くない?」
ほんと今日は色々と悲しい出来事が多すぎやしないかな?
「あ、そんな事より先輩!この間レアなアイテムゲットしたんで後で自慢して良いですか?」
「ねぇそんな事って…まあいいや。期待しないで待っとくわ。」
それからは何故か有坂を加えて3人でうどんを食べ、小町と有坂のきゃっきゃうふふな話やゲームの話などをして、会計を済ませ家路へと向かうのであった。
お疲れ様です。
誤字脱字ありましたらよろしくお願いします。
次回も遅くなると思いますが頑張るぞい!
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ぼっちも飛びます。5
色々ありましてまた、忘れておりました。
あの佐藤との試合から、早6日。
あれから何故だか毎日FCの練習に参加している。
何故だ?働いたら負けな俺がなぜ?Why?いや、理由はちゃんとあるんだけど…。
それには佐藤との試合の翌々日までに戻る事になる。
その日もいつも通りに起き、いつもの様にのんびりと俺は通学路を飛んでいた。
「今日もいい蒼さだなぁー。」
なんて言いながらゆっくりと学校へ向かってたんだ。
「ど……だ……ぃ」
は?なんか聞こえた?いや、気のせいだろ。
「ど…て……い」
どうてい?今童貞って言った?ど、どうていちゃうわ!!上から声が聞こえたと思い身体を仰向けにし、声の方へ振り向く。
「いや、んなわけあるかつかなんだ「ど、どいて下さ〜い!」んなっ⁈」
視界に広かったのは水色に近い白のパン…ぐはっ!
仰向けになった俺の腹に激痛が走り、そのまま声の主であるパンツと一緒に海へと真っ逆さま…になる前に誰かに助けられた。
「倉科さん大丈夫?と、それとそっちの人も…。」
「日向さん、私は大丈夫です。ご心配お掛けしました。」
「そっか、なら良かった。」
そんなやり取りを、俺は腹部を抑えながら聞いている。どうやら空から落ちてきたのパン…女の子が倉科というらしい。そして、助けてくれたやつは…日向、ね。
「あ、あの…すみません、私まだ空飛んだの二度目でして…」
ぺこぺこと謝る倉科。そんな彼女に
「いや、気にするな。んじゃ。」
そい言って立ち去ろうとする俺。パンツを見てしまった恥ずかしさと腹部の痛みに耐えつつにな。
「もしかして比企谷か?」
ちっ、気付いたか…。
「おう、久しぶりだな日向。」
「やっぱりか。あの時以来、だな。」
「ああ…。そうだな。」
こいつ、日向昌也。過去に何度もFCの決勝で競い、何度も俺を負かし、何度も優勝したジュニアチャンプ。現在久奈浜学院の2年。つまり同い年な訳だ。 ちなみにあの時っていうのは今は話さなくて良いだろう。
「あの、日向さんのお知り合いですか?」
倉科がそんなことを聞いてきたのですかさず
「違う。」
「そうだよ。」
「え?」
「へ?」
上から、俺、日向、俺、日向の順。
「ほぉ〜息がピッタリな程のお知り合いなんですね。」
「いや、違うから、こいつとは全くの他人だ。」
「そうなんですか?」
首を傾げて日向の方へ向く倉科。
「…そうだな。比企谷の言うとおりだ。俺たちはもう、全くの他人だ…。」
空気が変わる。そう、俺とこいつは最早何の関連、関係性がない。ただあるとしたら元FC選手。挫折した者同士と言うことだ。
「えっと…あの…あっ!その制服高藤学園ですよね?」
「え?あ、そうだけど…。」
そんな沈黙した空気を破ったのは倉科だった。
「あ、私倉科明日香っていいます!昨日、高藤学園の佐藤院さんとFCしたんですよぉ」
「は?佐藤と?」
「はいっ!」
あいつ、何やってんだよ…。
「そうか。んでなに佐藤に負けた腹いせでタイヴして来たの?」
「ち、違いますよぉ〜」
あわてふためく倉科。こいつさっきから、ころころと顔の表情が変わるなぁー。
「えっと、比企谷。倉科さんが勝ったんだよ。」
「は?」
聞き間違いか?佐藤がまけた?
「はい、って言っても1ポイント取れただけですけど…えへへ」
「1対0ってことか?」
まさか、佐藤が0ポイントかよ…あいつ割りかし強う方だよな?
「いえ、1対9ですよ?」
「……は?」
「あのな、比企谷それには事情があってだな…」
日向の説明によると、佐藤と久奈浜のFC部(あったんだ)の部長との試合の途中で倉科が参戦。初心者でましてや競技用のグラシュを履いてないとの事で、ブイをファーストとセカンドブイのみで倉科が佐藤から1ポイント取れたら勝ちと言う流れだったらしい。
「ちなみに、なんで佐藤のやつそっちの部長と試合する事になったんだ?」
「………だよ…」
「は?」
「いや、だから…「久奈浜学院の『院』をかけて佐藤院さんと試合しました!」らしいよ。」
は?久奈浜学院の院?佐藤ってやっぱりバカなの?バカだよね?
「なんて言うか…あいつダメな子なんでごめんなさい…」
ってなんで俺が謝ってんだ?
「あ、いや…その…変わった人もいるもんだな。」
「まあ、そうだな…。」
俺と日向の微妙な空気を更に微妙にした佐藤と倉科の試合。倉科は倉科であの時こうでああで、こんなだったとか言ってるがあえて流しておこう。
「あ、日向コーチ!時間が!」
「はっ!もうこんな時間⁈急ごう倉科さん!」
そう言い、彼らはその場を去る。
つか俺もそろそろ時間やばいんじゃないかな?うん、やばいね。しかし
「佐藤がなぁ〜」
なるべく急ぐようにして俺のその場から動き出す。でも、初心者の倉科がどうやってあいつに勝ったのかを聞かなかったな…。
佐藤に聞くか?いや、俺があいつに話しかけるとか無理だわ。つか話しかける以前にどーせあいつから絡んでくるしそん時にでも聞くか。
ちなみに、学校には遅刻ギリギリについだのだが、我が愛しの?担任からもっと早く来いと小言を言われたのは割愛しよう。
最近、なろうの方ばっか見ておりまして…
だって、なろう面白いんだもん。
アニメ化、書籍化した作品はもちろん、それ以外もめっちゃいい作品あって…
わかってもらえませんかね?本当なろう、面白いんだもん!
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