もしもシンゴジが艦娘の存在する世界で現れたら (watazakana)
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胎動
東京湾ーーー今日も今日とて穏やかな海だ。フェリーや貨物船が行き交い、羽田空港から飛行機がどこかしらへと飛んで行く。そう、東京湾では今日もいつも通りの1日が過ぎて行くーーーーーはずだった。
『東京湾内羽田沖に漂流中と思われるプレジャーボートを発見との通報あり』
『はまなみ、了解』
海上保安庁の警備艇が羽田空港沖の船に近づいていく。漂流船なんてそうあったものではないが、あるにはあるので、海保職員はマニュアル通りに事を進めていた。日常的な風景である。
『漂流中と思われるプレジャーボートを確認、船体の損傷認めず。船名、グローリー丸。船籍番号のMJG15041。所有者の照会を願う』
職員はそう言って無線を切り、漂流船に乗りこんだ。
「すみませーん、誰かいますか?」
「フライングデッキに人はいません」
無人である。かなり静かで、不気味だ。
『船内は無人の模様。遺留物あり。海中転落の可能性あり。自殺か事故か…やはり無人だ』
再び無線で連絡。しかし、不気味である。遺留物である封筒の上には折り鶴、綺麗に揃えてある革靴…自殺だろうと言ってしまえばそれまでだが、浜辺に打ち上げられた深海棲艦を見たときと同じ、不安にも似た戦慄を感じた。ーーー瞬間、船体が大きく揺らいだ。海に目をやると、水飛沫で何も見えない状態だ。何がーーー何が起こっているのだ⁉︎そう思考する間も無く、彼らは爆発に巻き込まれたのだった。
その瞬間、周辺の海は紅く染まり、直下にあるアクアラインは紅で満たされた。東京の、日本の、全ての国民の日常が、たった今崩壊したのだった。
そして、その崩壊の余波は真っ先に内閣に伝わり、次いで横須賀鎮守府にーーー
横須賀鎮守府ーーー
「はいもしもしこちら横須賀鎮守府」
横須賀鎮守府の提督、唐澤大地は最初のコールがなり終わらぬうちに素早く受話器を取った。電話の相手は海軍大臣の海江田である。
「ーーーーはい、……はい……分かりました。すぐに向かわせます、それでは」
がちゃん、と受話器を置くと今度は電話の右隣りにある内線電話を使った。
「川内。吹雪と千歳、あと時雨を連れて来てくれ」
。
「何の用?夜戦?」
「違う。羽田空港沖で偵察だ」
「?提督、羽田空港沖ってすごく近所じゃないか。深海棲艦だって入り込めないよ。なんだってそんなところを偵察する必要が?」
「さっき海軍大臣から連絡があってな、そこで変色海域が発生したらしい」
「変色海域⁉︎」
皆絶句した。変色海域は、深海棲艦上位種が艦隊を成したときに発生する、赤く変色した海域である。生物にこれを耐えられる種はおらず、艦娘の艤装さえも侵食するその海域は、危険な深海棲艦がいるサインでもある。しかし、東京湾に現れたことは一度としてなかった。厳重な防衛線をかいくぐることなど深海棲艦にはできないからだ。
「空港のレーダーには何も映ってないし、水蒸気爆発もあった。すでに海保の船が2隻やられている。直下にはアクアラインもあり、ほっとけば更に危ない事態になる可能性も高い。深海棲艦なら、発見次第報告。ステルス性がかなり高い新型の潜水艦か、知能の高い「姫」かもしれん。その時は我が連合艦隊で殲滅する。違えば監視を続行。何か質問は?」
「はい、それだけ深海棲艦の特徴が揃っているのに、深海棲艦「なら」って、どういうことですか?」
千歳が訊いた。
「本当に深海棲艦ならばいくら強固だろうと主要都市を中心に張っている防衛線は迂回に弱い。その場合潜水艦の随伴くらいいるだろう。それならば、羽田空港は潰し、東京に対して艦砲射撃を実施する筈だが、していない。もしかすれば、深海棲艦とは別のものかもしれん。念のためだ」
唐澤はそう答えて「解散」と締めくくった。
「了解です」
「夜戦じゃないのか…まーいっか」
「川内、そんなこと言わない」
「了解、提督。行ってくるよ」
「深海棲艦…じゃねえよな…もっと別だ…なんかイヤーな予感がするぜ…」
現在
犠牲者数 0人
負傷者 27人
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活動
成田空港沖ーーー
「え…嘘…」
いつもお調子もので肝っ玉のある川内が今回ばかりは唖然としていた。それは川内に限らず、皆同じであった。
「尻尾…?尻尾だけでこれ…?吹雪…どう思う?」
「すごく…大きいです…」
と千歳と吹雪は茶番を打ったが、時雨に咎められる。
「千歳も吹雪も冗談言ってないで連絡しないとだよ!こんなの深海棲艦じゃない…もっと別の、もっと危険な生物かもしれない」
「そうだね…!こちら横須賀鎮守府第一偵察隊、巨大な尻尾を確認。詳細はつかめず。巨大不明生物の可能性大。討伐の許可を!」
横須賀鎮守府ーーー
「討伐?無理だよ!」
『どうしてですか⁉︎また何をするかわからない危険なヤツの可能性だってあるのに!』
ああ…コイツら、艦娘の持っている力がどんなもんかわかってねえ…
唐澤は深くため息をついて、
「日本国憲法第76条!『国家、またはそれに準ずるものから攻撃があった場合、武力の行使を認める。深海棲艦に関しては、先制攻撃を無条件で許可する』!巨大不明生物なら憲法適用外だ馬鹿!世界から見たお前らだって、戦略兵器級の兵士だぜ⁉︎艦娘の武器は!んな軽々しく使っていいもんじゃねぇ!下手すりゃ銃殺だぞバーカ‼︎」
と怒鳴った。流石に気圧され、千歳は『了解です…』と言うしかなかったようだ。
「とにかく、ソイツは巨大不明生物であって深海棲艦じゃないんだな?それだけでもありがたい。いつでも海軍大臣に連絡できるようにする。ソイツが何かアクションを起こしたら大淀に逐一知らせてくれ」
そう言って受話器を置こうとした時、
『提督‼︎巨大不明生物が潜行!水蒸気煙が多摩川に向かって動いてる!』
「そりゃ、生き物だからな…って、はァ⁉︎多摩川⁉︎ふっざけんなよデカブツ‼︎」
多摩川河口には首都湾岸線、多摩トンネルがあり、更に陸軍省連絡路も直下に存在している。陸軍省連絡路は滅多に使われないとはいえ、多摩トンネルと首都湾岸線はマズい。浸水事故…下手すると浸水どころではなくなる上に、このままではたくさんの死傷者が出る。
すぐさま別の電話機で海軍大臣の電話番号を押した。
ちょうど同刻、飯田総理大臣は記者会見の準備をしていた。
水生生物が上陸することはないーー
自分だってそう思う。そう思いたい。しかし、あの早口な課長補佐の「すでに自重を支えているかと」という言葉…15年前、深海棲艦が初めて人類に牙を向いた時、「生物がWW2時代の軍艦のような特徴を持つことはありえない」という常識が一瞬にして崩れた。今回も、同じことが起こるのではないか?という疑問が脳裏をよぎる。しかし、深海棲艦でさえ上陸だけはしていない。大丈夫だ、大丈夫だーーー
そう飯田は自分に言い聞かせながら記者会見室に向かった。
数分後、上陸することはないと言った直後に惨状が待ち受けていることも知らずにーーー
数分後、多摩川河口ーーー
「こちら川内‼︎提督ヤバイよ‼︎巨大不明生物が蒲田に上陸しちゃったよ!総理大臣は上陸しないって言ったよね⁉︎ともかく艤装で私達はこれ以上の監視は無理!これから艦砲射撃をしたい!発砲許可は⁉︎……はぁ⁉︎…わかった…偵察部隊総員撤退!これから横須賀に帰るよ!」
川内の声に「ありえない」と言いたげな時雨が
「そんな…!まだ発砲許可が降りないのかい⁉︎こんなになってるのに‼︎」
と詰め寄った。
不明生物がもうもうと上げている煙は、今なお進撃している証であり、今この時も人に危害を加えている証だ。それを見て黙っていられる人間などどこにいようか。
「その気持ちは私達も一緒だよ。でも時雨ちゃん、今はそんなこと言ってる場合じゃない。今は撤退しなきゃ…」
時雨達は煮えたぎるような憤りをやっとの思いで飲み込み、撤退を了解した。
巨大不明生物、蒲田上陸。進撃開始ーーー
死者 827人
負傷者 約2200人
次回あたり、艦娘が陸で活動するかもです
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進撃・進攻・進化
東京都大田区 蒲田ーーー
整列したまま捨てられた自動車は無慈悲に薙ぎ払われる。民衆の悲鳴も足音も、自動車の轟音と巨大不明生物の這いずる音、エラのような器官から漏れ出る赤い体液の落ちる音で掻き消されていった。
阿鼻叫喚の様相を呈する蒲田周辺では避難指示が交錯し、より一層の混乱を極めていった。
東京都品川区 北品川ーーー
「陸型艦娘即応隊都心第一部隊!全員配置につけぇ!」
陸型艦娘ーー艦娘という洋上戦略兵器を陸上でも運用可能にした試作型艤装を装備した艦娘ーー、その重巡級が北品川に配置していた。まだ直接の被害を受けていない品川は避難指示が通りやすく、予想より早く避難が完了した。
「今作戦は、今こちらに進撃している巨大不明生物の駆逐だ!隊長は私、那智が務める!火器は最低限の使用に留められるが、木更津からも「鶴翼」が出るので確実に仕留められるが、用心してかかれ!」
「「「了解っ!」」」
高雄と愛宕は弾の装填を終え、位置についた。
「巨大不明生物ねぇ…なんかいい呼び名ないのかしら?呼びづらいわ」
「愛宕、私語は謹んで。ほら、来るわよ」
不明生物は780mほど前方から猛然と這いずって来ていた。他の重巡級も装填を済ませ、後は観測員の合図を待つだけだが…
「…⁉︎止まった…だと⁉︎不明生物の動きが止まった!観測員!」
巨大不明生物の進撃が急に止まったのだ。
『ちょっと待って、巨大不明生物の様子がおかしい!』
巨大不明生物の異変は終わらない。ググ…と力を溜めるような動作をした後、おぼつかない様子ではあったが、確実に立ち上がった。ヒレは腕に、エラも消え、まるで両生類が爬虫類に変貌をとげるように。しかもありえない速度で。
「立った…⁉︎」
「もはや水生生物じゃないわ…」
「進化だ…」
皆が呆然と立ち尽くす中、那智はいち早く司令部に報告する。
「コマンドコントロール!コマンドコントロールッ!目標の形状が変わった!射撃の可否を問う!」
『こちらコマンドコントロール。射撃は待て。彼の動向を監視せよ』
ヤツが幾多の命をどれだけ奪ったと思っている‼︎那智は舌を打ち、巨大不明生物の方を見やった。
永遠と錯覚してしまう沈黙の数秒間、巨大不明生物は微動だにしない。
『こちらコマンドコントロール。陸型艦娘即応隊の射撃を許可する』
この一言だけで一触即発の修羅場は戦場へと変わっていく。
「全砲門、開けぇええええええ!!」
一声に数多の砲門が一斉に反応した。
「目標‼︎巨大不明生物ッ!火器の使用は最低限と言われていたが!陸型艦娘即応隊その第一部隊の全火力を以って殺すぞ!!」
「「「了解っ!」」」
砲門は慎重に、確実に彼を殺す準備を進めていた。やがてその準備が終わり…
「よォーい…!」
火をあげ轟音を轟かせ、彼の命を奪うその引き金を那智は合図と共に…
『待って!巨大不明生物のそばに住民がいる!待機!たーいき!コマンドコントロール!射撃の可否を問う!』
あと少しのところで引けなかった。
「んなッ…⁉︎」
『こちら観測員!住民に砲門を向けるわけにはいかないから射撃待機‼︎』
その言葉で、那智の憤りは頂点に達した。
「そんなバカな話があるか‼︎今しかないかもしれないんだぞ‼︎これからウン千人死ぬかもしれないんだ‼︎それだけじゃない、東京が!首都が‼︎このまま一人二人の住民のせいで滅茶苦茶に蹂躙されてもいいと言うのかッ‼︎貴様も見ただろう‼︎アイツの進化を!今すぐ射撃の許可を乞う‼︎」
と憤慨し怒鳴る那智に摩耶が「それ以上言ったらマズイぞ!」と制止した。
「あたしだって撃ちたいさ!討ちたいさ!この主砲で!皆の仇を!皆にあった明日の予定を、来週の予定を、全部何もかもぶち壊しにしやがったあのバケモンを!だがこれでぶっ殺せたとして、その住民が巻き込まれたら!隊長もその住民もその家族も破滅するんだぞ!」
息巻く那智、それを必死に制止する摩耶。そんな彼女らを尻目に巨大不明生物はまた倒れ、先程のように這いずりながら去って行った。
「これが上の決断だ。私達じゃどうしようもねぇんだよ」
那智は言い切れぬ悔しさと自責の念を涙ににじませ、その場に崩れ落ちた。
彼は2時間という短時間で蒲田周辺を壊滅させた後、何事もなかったように海へ帰っていった。
巨大不明生物、二足歩行な形態に移行。直後、以前のように這いずり海に去る。
現在
死者 約5300名
負傷者 約12000名
陸型艦娘即応隊ーーー洋上戦略兵器である艦娘の艤装を陸上でも運用できるように改造した艤装を背負う「陸型艦娘」を、いざという時に陸上でも瞬時に対応できるよう編成された即応隊。出番は概ね無いに等しい。第一部隊は切り込みに長けた重巡艤装「陸II型」を標準装備としている。
コマンドコントロールーーー司令部のこと。コマンドポストと迷ったが、結局これにした。
観測員ーーー利根の水偵に搭乗する妖精さん。那智の怒号で泣きそうになった。
鶴翼ーーー陸型艦娘の瑞鶴・翔鶴のみが扱える専用機。形状はB-35に酷似している。集中爆撃に特化しているが、そのかわり機動力に致命的な欠陥を残している
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束の間
相模湾沖 大島付近ーーー
「両舷、全速前進!」
横須賀鎮守府は先日の一件以来、巨大不明生物の捜索に当たっていた。
「パッシブソナーの感なし、アクティブソナーに切り替える」
「了解。アクティブソナー起動」
「アクティブソナー起動」
横須賀鎮守府、工廠棟ーーーー
「あれから二日、旧時代のディッピングソナーと対潜ヘリを全国から掻き集めて、交代制で探しても成果なし、か…手強いですね…」
明石はソナーを難しい顔でいじりながら五十鈴と話していた。
「これだけ探しても見つからないなんて…対潜女王の名が泣くわ…」
海に潜る敵はいの一番に叩きのめすーーーそれが五十鈴の当たり前であり、自負であった。だが標的も大きく、直ぐに見つけられると踏んでいたあの巨大不明生物には、対潜装備も自分の能力も、まるで歯が立たなかった。
「東京湾底…下手したら相模湾深部にいるかもですね。そうなるとこれはもう技術的に難しいです。五十鈴さんのせいじゃないですよ」
明石はどう励ましたら良いのか分からず、技術者としての言葉しか送れなかった。
「あはは、そう言われると頑張るしかないじゃない。さてと、そろそろ時間か…それじゃ、行ってくるわね。その装備の改修お願いね?」
五十鈴は笑っている。力ない微笑みでも、笑っている。ーーーこんなので挫けてはいけない。みんな全力で探している。だったら私も、全力で頑張るしかない!
「了解しました!」
明石は笑顔で了解してみせた。
同鎮守府 執務室ーーー
「ゴジラ?」
「
米国から来た特使、パタースンはゴジラの資料を唐澤に渡した。
「ゴジラ、か…だいぶ言いやすい名だ。これは、内閣にも渡したのか?」
「ええ、それと頼みごとも少々」
ううむ、と唐澤は唸る。
「古代生物が放射性物質の放つ放射線に耐え、さらにそれを餌に昇華、進化。今に至るわけだ」
「yes」
「陸軍省の陸型艦娘即応隊の話を聞く限り、ヤツの進化は「バージョンアップ」、「更新」に近い。水生生物から陸上生物への進化も然り、二足歩行も然り。アメリカもこうなることは予想できていたのか?」
「できてたらこんな事にはなってないわ。こんなの、DOEの予測を完全に超えてる。残念だけど、私達が教えられるのはここまで。あとは、“Personal Service!”」
はっきり言ってこの解析や分析は内閣の仕事であり、依然として海軍にとって有益な情報は少ないままだ。ややシニカルに言うところも若干憎いが、それでも情報を提供してくれたのは事実。一応の礼を唐澤はした。
パタースン退室後ーー
「長門」
「なんだ?」
「索敵は対潜ヘリに任せる。艦娘は東京湾に集中配備、旧式も使う。旧式は相模湾だ。恐らくゴジラは見つからない。だが、我々は東京に、関東に住まう国民を守らなければならない。次出て来たときに即ぶちのめせる準備をしろ」
「了解した、失礼する」
三日後ーー
どこまでも深く暗い深海の底で、蒲田を壊滅させた巨大生物、ゴジラは目覚める。破壊神の目は、今開いた。
現在
死者 約5300人
負傷者 約12000人
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覚醒・進撃・蹂躙
予備知識
旧式の艦娘:船体召喚型の艦娘。対深海棲艦性能は絶望的。しかし、軍艦を一人で制御出来る技術はここで確立した。物理障壁は搭載されていない。今の艦娘より火力が高く、持久戦に長ける。
神奈川県 鎌倉 稲村ガ崎
「横須賀鎮守府!横須賀鎮守府!こちら鎌倉班!たった今沖の方で大規模な水蒸気爆発の発生を視認!ゴジラの可能性大!」
水蒸気爆発。それは、彼が現れた証。彼とは、深海棲艦ではない。むしろ深海棲艦であればどれだけ良かったことか。彼の名はゴジラ。神の名を持つ、地球上で最も進化した生物。
天高く上がった水しぶきの煙幕はだんだんと晴れ、あの巨体が徐々に現れていく。
「水蒸気爆発の発生はゴジラによるものと確定!けど…この前と全然違う…!」
黒い。以前は黄土色で気持ち悪い見た目だったが、今のゴジラは黒く、恐れを具現化したような化け物だ。それ以前にデカイ。以前の倍くらいに巨大化している。
『こちら横須賀鎮守府。そちらには今金剛たち高速戦艦部隊が向かっている。発砲許可は彼女らが鎌倉に着いた時には降り、火器の制限もなくなるだろう。東京の、日本の興廃はこの一戦にある。皆、なんとしてでもゴジラを止めるぞ』
神奈川県 多摩川土手ーーー
「長門さん、司令部の設営完了しました」
「分かった。総員集合!」
長門率いる陸型艦娘第一決戦部隊、通称「陸一戦」は、多摩川を死守するため、ここに配置された。陸軍省はゴジラを海軍が止められなかったときの保険と言っていたが、多摩川に全力配備をしているあたり、海軍なんかにゴジラは倒せないと決め込んでいるようだ。
「陸一戦!たった今、鎌倉でゴジラの討伐命令が出た!発砲あり火器の使用は無制限のなんでもありだ。既に三沢基地、木更津基地、立川基地から鶴翼や旧時代の戦闘ヘリなどがこちらに向かっている。もし海軍がやられても、絶対にここで倒すぞッ!」
「「「了解ッ!」」」
再び、神奈川県 鎌倉市 稲村ガ崎ーーー
「…そんな…嘘…仮にも艦娘ヨ?こんなコトって…」
高速戦艦部隊が到着したときには、もう終わった後だった。
ある艦娘はその船体が真っ二つに割られ、ある艦娘は艦橋が吹き飛び、大炎上を起こしている。ゴジラは既に上陸しており、陽炎型の駆逐艦が狂ったようにゴジラに向けて発砲しているが、牽制にすらならず、ゴジラは悠々と進撃していく。
「……っ!ゴジラァアアッ!高速戦艦部隊ッ!全砲門全開、full fireで行くッ!目標、ゴジラッ!」
金剛の号令は海に響き、比叡、霧島、榛名は気圧されたように従った。
「撃ぇえええええぇええええッ!!」
そう叫んで放たれた砲弾はまっすぐにゴジラの元へ飛んでいき、命中した。戦艦の砲撃の命中率は5%を割るくらいには低いのだが、ゴジラには全弾が命中。爆炎がゴジラの脚、胴、頭にまとわりつく。しかし…
「目立った外傷、なし…足を止めず、進撃を続行…」
洋上の戦艦の砲撃が通じない。これ以上のショックはそうあるものではなかった。
金剛の頭は急速に冷めていく。戦艦の砲撃がまるで通用しないあの化け物に、勝てるわけがない。そんな絶望が金剛たちを取り巻いていった。
「もう一回!次は絶対に仕留める!」
そう言って3回、ついに仕留めることはおろか、足止めすらできずに、射程外に行ってしまった。金剛は膝から崩れ落ち、比叡は手を潰そうと言わんばかりに拳を握りしめ、霧島は呆然と立ち尽くし、榛名は祈るように手を組んだ。それしかできなかった。ゴジラは食い止めなければならない。それでも、金剛たちはただ「逃げて」と思うしかなかった。
損害
睦月、三笠、島風、山城(いずれも旧式)
轟沈
投稿ペースがこれから落ちるかもです。すみません…
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無駄・絶望・焦燥
東京都大田区 多摩川丸子橋緑地
「稲村ガ崎沿岸より沿岸部隊、上陸阻止失敗!繰り返す、上陸阻止失敗!!」
「そんなことはわかっている!旧式で固めるからだ!洋上の従来型ほど強いものはないのに…ッ!」
長門は奥歯を噛みながら艤装に当たる。しかし、そんなことをしてもゴジラが来る事実は変わらない。既に彼の姿は見えている。
「長門さん!
「わかった、砲撃はもう少し待て!」
タバ作戦、フェイズ1ーーー対戦ヘリに搭載されている機関砲を全弾発射。のちに誘導弾で頭もしくは脚を狙うーーー
「全弾発射ぁ!」
一言無線で合図があったのち、ヘリは鈍重な雄叫びをあげて機関砲を撃ち続けた。旧時代兵器の生き残りは久々に出撃できたことに恍惚を覚えているようだった。そして撃つ弾がなくなると、誘導弾を惜しみなく使う。全弾が命中。爆煙がゴジラを取り巻いた。しかし、ゴジラは怯む気配すらなく、悠々と進撃していく。
「全弾命中、しかし効果認めず!」
「旧時代の、艦娘にも劣らない最新鋭機の機関砲16000発に誘導弾だぞ⁉︎なんて外皮硬度だ!」
「C01より打電!『タバ作戦フェイズ1失敗、フェイズ2に移行セヨ』!」
「よし、陸一戦!何としてでもここで食い止めるぞ!作戦開始、この長門に続けぇ!」
タバ作戦 フェイズ2ーーー陸一戦による火力の総攻撃ーーーー
「全主砲、斉射!撃ェエエエエエエエエエエエッ!」
長門の41cm砲による砲撃を合図に、戦艦重巡の主砲が轟音とともに火を吹いた。
脚と頭に集中して爆煙が広がり、ゴジラの進行スピードは
僅かに落ちる。
「ゴジラっておっそーい!陸一戦駆逐艦島風、五連装対地ミサイル、標準設定完了しました!行っちゃってー!」
火力の総攻撃と揶揄されるだけあって、流石の音と爆発がゴジラを襲う。
『8、7、6、5、4、3、弾着、今!』
瞬間、対地ミサイルは全弾が命中。さらに速度は落ちた。
「もうそろそろで基地航空隊と鶴翼が来るぞ!一旦退避!」
タバ作戦 フェイズ3ーーー基地航空隊と鶴翼の集中爆撃ーーー
『基地航空隊到着!爆撃開始!』
『Cleared attack.』
『Cleared attack. Fire. Ready...now. Bombs away. Laser on.』
『Lasing.』
『Completed!』
爆発。圧倒的な火力。他に形容のしようがない火力は、ゴジラに一切の容赦をしなかった。第二波、第三波も第一波と同様に続いた。
ーーーさすがにこれにはゴジラといえど耐えられまいーーー
その場にいる皆と状況を見ていた内閣、横須賀鎮守府はそう思っていた。確信していた。しかしーーー
長門の顔がさっと青ざめた。
「な……ッ⁉︎総員退避、退避!何が何でも逃げろ!」
長門達が見たもの、それは宙に放り投げられ、今まさにこちらへ落ちてくる橋だった。
ドスンともドガンともつかない轟音で倒れ込んだ橋は、陸一戦の士気を完全に削ぐには十分すぎるものだった。
「…嘘だ…」
悲鳴と怒号が交錯する。当のゴジラは知らん顔で悠々と進撃を再開した。それも無傷で。
「我が国の最新鋭最精鋭の兵器群が…戦略的兵士である艦娘が…負けた?……」
「長門さん…陸一戦の残弾ゼロ、戦艦大破4、中破以下3、重巡大破5、中破以下2…ゴジラは多摩川を超え、東京に侵入しました…これ以上の戦闘行動は無意味であると具申します…タバ作戦は……っ!失敗です…!」
横須賀鎮守府ーーー
「タバ作戦は失敗した。洋上の艦娘は横須賀鎮守府に帰投せよ。繰り返す。タバ作戦は失敗。洋上の艦娘は横須賀鎮守府に帰投せよ」
唐澤はそう言って無線を切り、大きなため息ひとつ。
「大淀、これから俺は海軍省に行く。ここのことしばらく頼むぞ」
「また軍法会議ですか?銃殺刑にならないといいですね」
「ばーか、なるわけねーだろ。今回は海軍省のお偉方に助力と言う名の挽回をしに行くんだよ。まだ退職金も貰ってねぇのに、死ねるかってんだ」
その台詞を聞いた時、大淀は微笑んで「いつも通りの提督で良かったです。安心しました。ゴジラに気をつけてくださいね」と言った。
「それはフラグだっつの…まあいいや。行ってくる」
唐澤はヘリに乗り込む。手に『米国による大使館防衛を目的とした爆撃作戦の概要とその爆撃範囲』という書類を握り締めて。
ゴジラは健在。なおも進撃中ーーー
死者 約12000人
負傷者 約53000人
損害 旧式艦娘 戦艦2隻 駆逐艦2隻 轟沈
陸型艦娘 戦艦3人 重巡洋艦4人 死亡 戦艦10人 重巡洋艦8人 重軽傷
陸型艦娘は兵士と同じ扱いです。なので数え方は「人」です。
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荒ぶる神の光
『米国による大使館防衛を目的とした爆撃作戦の概要とその爆撃範囲』ーーーグアムの米軍基地からB-2ステルス爆撃機の小隊が出発、バンカーバスターで始末するーーー
「有効かは知らねぇが、爆撃範囲がこうも広いと都民の避難とか絶対考えてねえだろ…」
唐澤は海軍省に着くと、直ぐに海軍大臣の元へ向かった。
東京都 霞ヶ関 海軍本省50階 海軍大臣執務室ーーー
「B-2の爆撃範囲は霞ヶ関も入っている。巨災対も立川に場所を移すようだ。内閣も全てそっちに持っていくと、飯田総理からのお達しだ」
海江田海軍大臣は必要最低限の書類とノートPCを秘書に持たせ、先に行くよう指示した。
「君も立川へ行け。タバ作戦には失敗したといえど、ゴジラについて、まだ君の意見を聞きたい」
もちろん責任はとってもらうがね、と海江田は静かに言った。
「米国が最強の火薬爆弾を投下するのに私の意見を、ですか?」
「…予想外の展開はこういう時にこそ起こるものだ。ICBMで焼き払えた深海棲艦の、重巡級以降が物理障壁を持つようになったように、深海棲艦に陸上種が現れたように、予想外の展開はこういう時こそ起こる。念のためというものだ。私は総理や大臣たちと一緒にヘリで立川に向かう。君は八雲官房副長官と共に行きたまえ」
そう言って海江田は唐澤に八雲との合流場所を伝え、執務室を出た。
もう、日は沈んでいた。
東京都港区 赤坂 外堀通りーーー
「アレが、ゴジラか…」
先程の停電によって暗闇に放り込こまれた都民たちがパニックになって我先にと地下へ駆け下りていく中、八雲はほの赤く光り進むゴジラを睨んだ。アレが、ゴジラ。荒ぶる神の名を冠した、地球上で最も進化した生物ーー
「おーい、八雲副長官!」
八雲が視線を移すと、そこには唐澤が。
「唐澤中将、ですね」
「そうだ。だがそんな挨拶やってる場合じゃねえ。アイツら、想定より早く着く。もうすぐで米軍機が来るぞ!」
B-2ーーー来たる戦争のために、ステルス性と航続距離を両立せしめた戦略爆撃機。誰にも気付かれずに核爆弾を敵国首都に落とし、壊滅的な打撃を与えることを目的に造られた全翼機。そんな爆撃機が積んでいるのは地中貫通型爆弾、MOPⅡである。爆弾はB-2の手から離れ、ゴジラの背中へと飛び込んでいった。
「ゴジラ損傷!出血を確認!」
「さすが米軍だ。旧時代の兵器も侮れん」
流石のゴジラも呻き声を上げる。「これで、これでやっと倒せる」、そう誰もが思っていた。しかしーーー
「何の…光だ?」
紫の、美しい光が東京を照らす。ほんのりからまばゆく、強烈に。
海軍本省屋上ーーー
「ゴジラの背部放熱器官が発光中!詳細不明!」
「やはり「予想外」は起きるか…」
「ゴジラ…何をする気だ?」
紫電の如く眩く光る背びれの先から、熱線が上空に放たれた。それは、何かを迎撃しているかのように。
東京都福生市 国道16号 駐日米国大使公用車群ーーー
”There’s an emergency call from Yokota Airbase. B-2, Number 1 seems to have been downed!“(横田基地から緊急連絡、B-2の一番機が撃墜されました!)
再び赤坂ーーー
「んだよアレ…まさか、対空火器とでもいいてえのか⁉︎まさか…!」
ゴジラが飛行するものを撃墜する能力を得た…しかし、ゴジラに知性はない。もしかすると、爆撃機と鳥の区別すらついていない…すなわちーーー
「飛行する物”全てを“撃墜する…⁉︎海江田ァ!」
僅か0.3秒の間に電話帳から海江田の名をタップする。しかしーーー
一閃、この世に存在するとは思えない輝く紫電のような熱線が東京に走った。東京都心を火の海にしてーーー
数回コールの後、電話に出る音がした。
「海江田さん!おいだいじょ…」
『おかけになった電話をお呼び出しいたしましたが、おつなぎできません…』
不通。この揺るぎない事実は唐澤の頭にゆっくりと浸透していった。
「唐澤中将…もう大丈夫そうです…出ましょう…」
海江田海軍大臣、彼は防衛省時代からずっとトップでいた。深海棲艦による東京都への艦砲射撃の時、防衛省が更地になっても生き残っていた。唐澤は憧れていた。彼のしぶとさに、したたかさに、その強さにーーー
「おい…海江田さん…!アンタ深海棲艦にも殺されなかっただろうが!しぶとく生き残ってきただろうが!!あんなデカブツにあっけなく殺されんのかよッ!繋がれ!このポンコツ!繋がれ!」
「唐澤中将ッ!」
「っ…!」
八雲の声だ。
「今は立川に向かうことが先決です!行きましょう!」
「……あぁ……」
日は、もう登り始めていた。
現在、ゴジラは都心を焼き、活動を停止。唐澤と八雲は立川へと向かう。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 不明
内閣総辞職ビームってすごいネーミングですね
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再起
ゴジラの光から数時間しか経っていないと言うのに、数日ほど過ぎたような感覚に唐澤たちは襲われていた。
『高い放射線量が予想されます、都民の皆さんは…』「ゴジラは一体どれだけの…」「政府はアテにならん、今ここで…」「空間線量がでかすぎる!ヨウ素安定剤を…」「そっちにホットスポットが…」
立川の災害対策本部予備施設は話し声で満ち満ちていた。
「八雲副長官!」
その声のする方を見ると、なにやら見慣れない顔ぶれが。小太りの男は唐澤たちに歩み寄る。
「おう八雲、お前が無事で何よりだ。俺は金帰火来でなんとか助かったよ。お前も地元は、大事にしとけよ?…っと、そっちは横須賀鎮守府の提督…確か唐澤中将だったな、先の戦争での功労者の…ああ、俺は保守第一党で政調副会長をやってる未来の総裁、和泉だ」
「日本国海軍中将、横須賀鎮守府提督の唐澤だ。こんな時にも野心を持てるとは、特別に野心家であり、政治家であることの現れなのだろうな」
「褒め言葉として受け取っておこう」
両者が簡単に挨拶をすませると、早速本部室へと向かった。
「とにかく情報が欲しい、あるだけ全部だ。ゴジラは今どうなってる?」
「依然として活動停止中、停止理由は目下まるで不明」
「放射線は?」
「原子力規制庁が被害を免れてたからそっちで対応。向こうは都内のサーベイでてんてこ舞い中。ゴジラの口から微量の放射性物質が放出されているが、特に問題なしだと」
「ゴジラプルームはこの季節だ、房総沖に出るだろうが範囲は広いだろうな」
「直撃を受けた都内3区は帰還困難区域となる恐れがある。除染の問題も大きくなるだろう…くそッ」
「つまり事態は危急存亡っつーか、超深刻ってことか…」
「そういうことだな。だがこれに対応するには人も物資も法律も足りない」
そこへ八雲と一緒にいた野村もため息混じりに
「仕方ないですよ…飯田総理も阿形官房長官も、海江田海軍大臣も、もういませんから…」
と愚痴ると、机を思い切り叩く音。
「失っちまったモンをアテにすんじゃねェ!やれることを残ったモンでやるだけだろうが!」
「唐澤中将っ」
野村の胸ぐらをつかもうと向かう唐澤の間に和泉がわって入り、水を差し出した。
「まずは、君が落ち着け」
「……すまん…」
これにはさすがに唐澤も引き下がるしかなかった。
「そういえば和泉、総理臨時代理はどうなった?」
三時間前
横須賀鎮守府 3F 執務室ーーー
今日の鎮守府の朝は黒電話が早朝にけたたましく鳴る。
「はい、こちら横須賀鎮守府です…提督!良かった…生きていらっしゃったのですね!てっきりゴジラに焼き払われたのかと…ええ、はい、…わかりました」
大淀は受話器を置くと、伊良湖食堂へ向かった。
同 伊良湖食堂ーーー
「提督の生存、確認しました!」
その一言で、皆一斉に安堵の表情を浮かべ、静かに「良かった…」と言い合った。
「それと、船体召喚型の不知火、あなたは立川に向かってください。提督が来てほしいとのことです」
「あっはい、ではどうやって行きましょうか」
「自動車運転は?」
「無理です」
「自転車」
「遠すぎます」
「海上ルートで迂回」
「疲れます」
「じゃあ海上ルートでお願いします」
「⁉︎」
結局、長門が車で送ることになった。
現在
災害対策本部予備施設ーーー
「先の悲劇から生き残り、チームの半数以上の者たちがここにいる事を、感謝する。残念ながらここに来ることができなかった者たちの想いと共に、諸君には頑張ってほしい。欠員は随時、補填していく。家族や友人、同僚を失った悲しみが消えることはない。だがそれを乗り越えることはできる。今は国民の為、対策と凍結プランの完遂に力を注いでほしい。頼む」
巨災対ーー巨大不明生物に関する災害対策室ーーが揃ったところで、八雲たちの仕事は本格的に始まる。もちろん、唐澤も。
「駆逐艦不知火、到着しました。どんな御用で旧式の私をお呼びに?」
「あぁ、それはな、旧式…いや、船体召喚型の不知火でしか出来ないことがあるからだ」
横須賀鎮守府 港エリアーーー
“Welcome to Yokosuka marine base.I’m Ohyodo.Nice to meet you ”
“I’m Iowa,nice to meet you too”
米国の精鋭即応隊、高速艦隊“AIGIS”の旗艦、アイオワと、横須賀鎮守府提督代理、大淀は自己紹介を手短かに済ませる。
握手はしているものの、お互い目が笑っていない。双方とも忙しいのだ。
同 応接室ーーー
“I can speak Japanese. I don’t care talking in Japanese “(私は日本語が話せるわ、日本語で話しても構わない)
「それでは、今回米国に受注した兵装はどこに?」
「それなら御心配なく、Sara!」
現在
あの悲劇から何日も経ったと思える一瞬に、皆立ち上がる。「まだ足搔けるぞ」と、皆動き出す。あれだけの絶望を見せつけられたが「それでも」と、走り出す。
ゴジラ、依然として停止中。
人間、彼を止めるために再び立ち上がる。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 不明
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何度だって
「唐澤中将、それと八雲、ちょっと外で話そう」
「赤坂官房長官代理…」
立川広域防災基地 立川防災合同庁舎 新館屋上ーーー
「この先は国連の名の下に米国が巨大不明生物の処置を管轄する。戦後日本は常にかの国の属国だ」
諦めたように赤坂は淡々と話す。
「つまり、赤坂長官代理が言いたいことってのは…熱核兵器を都心で使う、そういうことか?」
「そういうことだ」
「戦後は続くよどこまでも…だから諦めるんですか?」
「熱核兵器の直撃、数百万度の熱量に耐えられる生物は物理障壁をもつ深海棲艦以外にいない。確実に駆逐するなら核攻撃は正しい選択だ」
「しかし、凍結手段もメドが立ちつつある状況です。再考を願えませんか」
赤坂はため息をついた。
「お前のプランにはまだ不確定要素が残ってる。それに巨大不明生物の核攻撃を容認すれば、復興時の全面的支援を世界各国から約束される。巨大不明生物を確実に処理できなければ、日本は世界の信用を失う。多国籍軍の核攻撃に頼るしかない。巨大不明生物生物を消した後の、日本の事までを考えるのが私の仕事だ」
「やっぱ軍人と政治家ではソリが合わねえな」
「今なら東京3区の被害で済みます。まだ東京の復興は可能です、核を使えばそれも難しくなります!」
「八雲、既に東京の経済機能はないに等しい。円も国債も株価も暴落し続ける現状では復興どころかデフォルトの危機にさらされている。日本には、国際社会からの同情と融資が必要だ。これだけ言ってもまだわからんか、夢ではなく、現実をみろ八雲」
「行こうぜ八雲。これ以上言い合ったって平行線だ」
そう唐澤は八雲を諌め、施設内に入っていった。
横須賀鎮守府 応接室ーーー
「これから私たちは、
大淀は呆然。無理もない。突然そう言われても戸惑うだろう。
「さっき私たちAIGISに即時退去命令が出た。我が国と言う名の多国籍軍が都心に熱核兵器を落とすことを国連が正式に決議したワ」
「っ…そんな…!選択肢としてはありですが…そんなの…!」
「でも、特別大使の友人から日本は起死回生の策を講じて、ゴジラを凍結させるという話を聞いた」
アイオワは勝利を信じているような笑みを浮かべ、言った。
「私達は、ゴジラ凍結計画に協力する。貴方達も、ゴジラを倒すためにこの兵装を買ったんデショ?」
机に置かれた十数本の矢とボウガンのマガジンを指差して。
「まぁ、そうですね」
大淀も、やっと笑みを浮かべた。
「これからAIGISは横須賀鎮守府の指揮下に入るケド、何か命令はナイノ?」
「そうですか、ではやることいっぱいです。さ、手伝ってください!」
十日後ーーー
巨大不明生物対策仮設本部 事務室(1)ーーー
「もしもし、大淀か。そっちはどうだ、ゴジラに焼き払われてもまだあまりあるくらいにはできたか?……よっしゃ、明石と夕張にはゴジラ凍結後にヤツの解析が待ってるからな、今のうちにゆっくり休んどけと伝えてくれ……ああ、ありがとう。じゃあな」
電話を切ると、今度は不知火が。
「船体召喚型、駆逐艦不知火、準備完了しました」
「わかった。よし、日本国海軍、出撃準備完了!八雲に知らせるか!」
同 事務室(3)ーーー
「もしもし、八雲です…そうですか、こっちはまだ…大丈夫です、絶対に核は落とさせません」
二日後ーーー
「牧名元教授は、この事態を予測していた気がします。はい」
「お、あざっす。牧名…って、例の特使が言ってた教授様か?」
休憩時間、八雲と唐澤は共に汁粉を飲む。
「ああ、絶対的な荒ぶる神の力を解き放ったとき、人類はどんな行動にでるか、核攻撃も含めて、「好きにしろ」と」
「ヘェ〜、…じゃあ牧名は何を好きにしたんだろうな?」
翌日ーーー
「“巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要項”…長いですね」
「軍とはいえど役所だしな」
「陸海軍民間共同作戦…しくじらないでくださいね」
「わぁーってらぁ。それで?カッコいい作戦名とかねぇの?」
「『ゴジラ凍結作戦』は子供っぽいですから、『ヤシオリ作戦』なんてどうでしょう」
「っははは!そりゃあいい!あのバケモンに、身も凍る酒飲ませてやろうぜ!」
当日ーーー
特科隊に挨拶をする前に、唐澤は八雲に絡む。
「よお八雲!実は秘密裏に米国の精鋭即応隊兼護衛艦隊、AIGISが協力したいと申し出があってな、もちのロンで兵装も貸し出すんだと。作戦の成功率も跳ね上がる。承諾するよな?」
「もちろん。ただし、貸し出したからには無傷で帰ってこないと思えと伝えてください」
「そういや大淀、消耗分は全部日本で負担して貰うっていってたぜ」
「全部日本で負担」というワードで、心なしか八雲の顔が少し蒼くなった気がする。
「大丈夫か?」
「⁉︎…いや、大丈夫。大丈夫です…」
立川広域防災基地 陸軍 立川駐屯地 本部ヘリポート
憎らしいほどの快晴の元、八雲は朝礼台に立つ。
メンバーは皆、決意の表情をしていた。誰も死なないというのはありえない。誰か死ぬのだ。もしかしたらここにいる全員が死ぬということもあり得る。だが、それを全く恐れていないような、そんな表情をしていた。
八雲はひとつ息を吸い、演説を始めた。
「今回のヤシオリ作戦遂行に際し…」
そして、ゴジラも目覚める。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 推定640万人
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反撃・凍結・
科学技術館屋上 ヤシオリ戦闘団前方指揮所ーーー
「対策副本部長、こちらはいつでも行けます」
陸軍省特科隊隊長、難波 伝助大佐は準備の完了を告げた。
「しかし、都庁から避難完了の報告がまだです」
「いえ。この機は逃せません。決行します。自治体に屋内待機を徹底して下さい。難波大佐、お願いします」
「分かりました。関東地区の各自治体に連絡。以降、50時間の一切の外出自粛と全住民の屋内待機を要請」
『了解。新橋より連絡。無人車両全車切り離し完了。ゼロポイントを通過』
「では、ヤシオリ作戦を開始する。第一段階、陽動始め!」
『ほいさっさ!』
ヤシオリ作戦第一段階ーーー爆薬を詰められるまで詰めた大容量新幹線、「ゆうなぎ(9両編成無人運転)」をゴジラへ4本突っ込ませるーーー
タバ作戦も異常な火力であったが、今回はさらにその上をいく。この時点で、使用爆薬・弾薬の量はタバ作戦時の総使用量を超えていた。
ゆうなぎはゴジラの足に衝突することで大爆発を起こし、彼に呻き声を上げさせることに成功した。
「陽動作戦成功!効果アリ!」
「作戦第二段階!航空部隊、攻撃開始!」
「あーいよ!大淀!」
横須賀鎮守府ーーー
「わかりました!みなさん出番です!艦上無人攻撃機第一中隊!発艦始め!」
東京湾、東京都沿岸ーーー
「「「了解!」」」
ヤシオリ作戦第二段階ーーー日本海軍 横須賀鎮守府 第一、第二、第五航空戦隊、第一、第二遊撃航空戦隊、AIGIS所属航空母艦 Saratogaの同時発艦による物量攻撃ーーー
再び科学技術館屋上 ヤシオリ戦闘団前方指揮所ーーー
無人機が見えてくるや否や、ゴジラはいつぞやの熱線を背びれから撃ち出した。空中にいる全ての物体を墜とさんと迎撃する。
「予想通りだ、空飛ぶモノを「全て」墜としてます!」
「第一波全滅!難波大佐!」
「構わん、消耗戦だ!第二波!第三波!攻撃開始!」
「あーいよ!大淀!第四波、第五波準備!」
「奴が熱焔を吐けなくなるまで吐かせつづけろ!」
「第二波全滅、第三波、来ます!」
ゴジラは変わらず熱線を吐き続け、衰えを感じさせない。
『目標、キルポイント1へ移動中』
「よーしよしよし、いいぞ〜このままかかってくれ…!」
「第3波、全滅!」
「新たな汚染区域が拡大しています」
「副本部長、積線量が予定値を超えます。このままでは…」
すでに放射線計は警報を鳴らしている。
「今止めたら、全てが無駄になります。このまま攻撃を続行してください」
「それでこそだ八雲!」
そうこうしているうちに第四波は壊滅、それと同時に背びれからの熱線は途絶えた。そのかわり、無人機からのミサイルがゴジラの全身に降り注ぐ。
「第5波、攻撃を開始」
「目標、背部放射線流の放出を停止。第5波、攻撃を続行ちゅ…‼︎なんだ…尾が…光って…⁉︎」
ゴジラの進化は止まらない。今度は尾が発光し、熱線を吐き出した。口からも発射している。
「第五波、壊滅!」
「ゴジラプルーム、予想値の2倍を超えます!」
「ひるむな!耐えるしかない!海軍に恥を晒すくらいなら俺はここで死ぬ。第6波、攻撃を開始!」
「放射線流の絶対量が低下しています」
ゴジラの熱線はだんだんと赤くなっていき、ついに…
「も、目標の熱焔放射停止を確認!」
熱線が止まった。
「キルポイント1に誘導完了!」
「よし、第三段階、定置爆破開始!」
ヤシオリ作戦第三段階ーーーゴジラ周囲にあるビル群をひとつだけのぞき爆破、ゴジラを抑えつけるーーー
「定置爆弾!ポチッとなあああ!」
間髪入れず、ビル群は爆発。ゴジラに瓦礫や破片が降りかかる。ゴジラは苦しみの雄叫びを上げるが、それでも倒れない。
「第四段階、艦砲射撃開始!」
ヤシオリ作戦第四段階ーーーAIGISのアイオワと大和、武蔵、長門、陸奥、伊勢から成る第一艦隊の全主砲一斉射(コンピューター制御による命中補正)ーーー
東京都沿岸ーーー
『第一艦隊、始めてください!』
「その言葉、待っていました!全主砲!薙ぎ払えッ‼︎」
大和の号令で、戦艦6隻による主砲での総攻撃が始まった。
科学技術館屋上 ヤシオリ戦闘団前方指揮所ーーー
轟音が響いた。爆煙は晴れ、ゴジラの転倒を視覚に告げる。この好機を、日本が見逃すはずがなかった。
「全弾命中!ゴジラ転倒!」
「キルポイントにバッチリ入ったぜ!難波大佐!」
「作戦は最終段階に入る!アメノハバキリ、特科第一小隊、行動開始!」
『特科01各車、アメノハバキリ01、各車ブーム進展開始。12から14はBP2侵入後、単縦陣より散開、戦闘陣に移行せよ』
「アメノハバキリ01、特科11、BP1にて展開区域確保完了。送れ」
『特科11、アメノハバキリ01、了解。防御円陣にて待機警戒せよ。特科各車、アウトリガー 展開、BP1に侵入。爾後じご各車注入開始せよ』
「特科12、BP2にて展開完了!」
「アメノハバキリ01、特科15、15各車、展開完了。接続作業に入る、送れ」
「特科15、アメノハバキリ01、了解。作業可能レンジに留意せよ」
「各機、注入を開始!」
「凝固剤、注入開始!」
幾多ものストローのような管がゴジラの口内に突っ込まれ、構図としては少しシュールである。が、これでも東京、ひいては日本の命運を懸けているのだ。
「全車、ポンプ作動!リモコン操作、問題なし!」
「よし!回転上げろ!出力最大!出来るだけ奴の中に流し込め!」
「投与量、予定の20%を突破…投与量、予定の30%を突破…」
「頼む、このまま…!」
そう願う巨災対のメンバーの思いとは逆に、ゴジラの背はまた発光していく。
「特科第一小隊!一時退避!たいーーー」
難波の声はすでに遅きに失していた。ゴジラはまた熱線を吐き、特科第一小隊を焼き払った。
「ーーーッ‼︎」
難波の顔が苦虫を噛み潰したようになる。だが、絶対に止まるわけには行かないのだ。
「投与の効果あり!動きが鈍っています!」
「作戦は予備段階に移行、無人在来線爆弾全車投入!」
「不知火、出番だ!」
ヤシオリ作戦予備段階ーーー爆破されていないビルに配備された不知火がゴジラの直上に爆薬を満載した船体『不知火』を顕現、その後爆薬を詰めた無人在来線爆弾(15両編成四本)で爆破。二度と立てないようにするーーー
東京都 千代田区 丸の内 高層ビル屋上ーーーー
「了解しました。船体召喚型艦娘、陽炎型駆逐艦、二番艦、不知火!顕現ッ!」
途端、ゴジラの頭上に駆逐艦が現れ、ゴジラに降りかかり、彼を再度抑えつけた。間髪入れずに列車がゴジラに突っ込み、大爆発を起こす。
「なんつう威力だ…」
戦艦であれば確実に都心を更地にしてしまっていたであろう。
一方、ゴジラは倒れたままだ。チャンス再来、次はない。
爆煙が晴れ、視界が開けてきた途端に特科隊が再びゴジラに血液凝固剤を経口投与し始めた。
『…投与量、75%突破、ゴジラに投与すべき最低限度の量を超えました』
だが皆の表情は硬い。なぜって、ゴジラが凍るまで、予想外の展開は起こり得るのだから。丸の内にいる全ての人間が固唾を呑んで見守っていた。
『…投与量、100%…!臨界点を超えました…!』
「目標、表皮に凍結が見られます」
「頼む計算通りにいってくれ…!」
ゴジラに動き出す気配はない。
「やったか…?」
しかし、ゴジラは動き出す。その鈍重な黒の身体を起こし、まだやれるぞと言わんばかりに、立ち上がった。アメノハバキリを巻き込んで。
「目標、活動再開!総員退避、総員退避!」
「各車装備を捨てて、ホールディングエリアに集合せよ」
蜘蛛の子を散らすように撤退する特科隊の予想とは逆に、ゴジラは全く動かない。
「ゴジラ…反応なし、胸部中枢の温度、-196℃に低下…!」
難波はホッとため息をつき、「これにて、ヤシオリ作戦を終了する」と、静かに言った。
周囲はやっとの思いでゴジラを倒した嬉しさと、何百万という犠牲者に対する追悼の意と、核兵器を落とされずに済んだという安堵の気持ちがない交ぜになって、「あぁ、やっと終わった…」や「お疲れ様でした」など、まるで徹夜で進めていた仕事が終わった人のような挨拶で満ちていた。疲労こそ滲んでいたが、その場には確実に、言葉にならない嬉しい叫びが満ち溢れていた。
横須賀鎮守府ーーーー
『これにて、ヤシオリ作戦を終了する』
艦娘達も同様に、静かに喜び合っていた。
「…ふぅ、第一艦隊のみなさん、お疲れ様でした。ヤシオリ作戦、成功です。…はい、お疲れ様でした。…さてと、明石さんと夕張さんに連絡しましょう。あの人達はこれからが忙しいですし」
大淀は第一艦隊に作戦成功を伝えると、どこか軽い足取りで工廠に向かった。
現在
ゴジラ 凍結・沈黙
日本 ヤシオリ作戦成功。核兵器の発射まで、あと一時間を切っていた。
死者 行方不明者 推定360万人
負傷者 推定640万人
あと1話あります!
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終息(エピローグ)
あの日から10日が経った。
横須賀鎮守府ーーー
「はぁーっ、こっからでも見えるんか、ゴジラさんは」
東京のビル群はゴジラの熱線や定置爆破、戦艦組の砲撃の余波、それと無人在来線爆弾に不知火落としの衝撃でほぼ瓦礫の山と化しているので、遮るものが一掃された東京都心は横須賀鎮守府からもよく見えている。
ゴジラーーーあの生物は一体どこから現れたのか、どうやってあのような異常な進化スピードを得たのか…考えれば考えるほどわからなくなってくる。まあ世界中の研究機関の話題はゴジラで持ちきりなので、いずれ分かることなのだろうが。
旧式…いや、船体召喚型の艤装は維持費がかかるため、全て解体処分だそうだ。(もちろん彼女たちが路頭に迷わないようにプランを立ててある)
不知火は艦落としをしたので、船体は喪失してしまった。もう艦娘としての仕事はできない。よって彼女は元の名前を名乗ることになり、今度は提督になるため勉強をしている。
八雲はこの国が復興するまで今の役職を責任持ってやり通すそうだ。和泉と共に。
東京は、この国は、ゴジラによって大きく変わってしまった。あの玉の音が日本全土で、戦場で放送された日から今日まで積み上げたものが、一ヶ月もない間にただの瓦礫になってしまった。さらに今度は米国ではなくゴジラと付き合っていかなければならない。だが、だからといってうだっている暇はない。幸い日本には艦娘技術と知恵がある。
「何かありゃあ、何度だって立ち上がれるんだよなぁ…」
ゴジラを見つめて、ひとり物思いにふける唐澤。しかし、横須賀鎮守府ではそんなサンチマンタリズムは一瞬でかき消されてしまう。明石の執務室突撃によって。
「提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督ぅううううううううううううううう!」
と明石は青ざめた顔で押しかけてきた。
「ぅおわっ⁉︎明石か!びっくりした!ど、どうした⁉︎」
「すみません!ゴジラの体液やら細胞やらいじってたら…!」
「えっ…」
足音…というより何かが這いずる音。嫌な予感。来る、来る、絶対来る…!そんな嫌な予感とともに姿を見せた者とは、ラブカのような巨大不明生物ーーーではなく、ちっこい不明生物だった。
「……えっ?」
「おそらくゴジラ…です。ゴジラから直接採取したものですから放射能は問題ないのですが、ストレスを加えるとあのゴジラになる可能性があり、どうにかしてください…」
「簡潔に言うと?」
「面倒みてください」
「素直でよろしい」
ダメだけど。えぇ…これどうすんの?核兵器をここに降らせるリスクと毎日付き合うとか禿げるわ!と思案しても仕方ない。殺せるはずもなく、かといって機関や政府に差し出したくない。血液凝固剤も克服しているはずだ。ならば取るべき行動はただ一つ。
「しゃあねえ、わかったよ。これは横須賀鎮守府で内密に飼う!んじゃ、明石、施設内のヤツ全員に説明よろ」
「え⁉︎ちょっと待ってくださいよ!「ばーかお前が作ったんだろ?責任持って説明しろー」そんなあ‼︎ちょっと、ほんっとまだ解析終わってませんので!黄昏てる中将とは違いますので!!」
「んなっにをう⁉︎あーもう上官命令だ!絶対説明してもらうもんねー!絶対説明しろよ!全員に!」
横須賀鎮守府は、これからも波乱万丈に楽しく運営されていくだろう。
東京都 丸の内 東京駅跡ーーー
憎らしいほどの晴天、ゴジラの尾には幾「人」もの修羅にも似た何かが…
現在
横須賀鎮守府に新たなペットが加わった!
おしまい!
さて、ここまでやりました!やりきりました!
さて、ここまで見てくださりありがとうございました。一応この作品の本編はこれにておしまいです。番外編とかやるかもです。
その時は何卒宜しくお願いします^ ^
感想とかもよろしくお願いします!
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