魔王様の日記帳 (Nale)
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Re:魔王様の日記帳
折角なので新しい機能も試してみたり
云番煎じのRPGネタ
こんな魔王様がいてもいいんじゃないかなという思いで書きました。
結構設定がガバガバだったり、色々と飛ばし飛ばしで話が進んでいますが、余り細かく書くのは私の技量ではちょっと無理でした。
それと、ラストが日記形式じゃなくなっていますのでご注意を。
□月△日
ある程度落ち着ける時間が出来てきたので、今日から日記を付けようかなと思う。この日記については、自分がいたところからある程度外を回っていると落ちていたから拾ったものなのだが、その場所は人の手が入っていない、完全に自然な山の中だった。どうしてこんなところに落ちているのか不思議だったのだが、とりあえずもらっておくことにした。
しかし、つい数時間前は痴態を晒してしまった。周りに人がいないからよかったけど。いや、気が付いたら何やら暗い洞窟の中に居たから色々と困惑してしまっていたんだよね。いやほんと、思い返すと一人で阿鼻叫喚の嵐を起こしてたから凄く恥ずかしい。穴があったら入りたかったくらい。いや、既に穴の中に入ってたか。
で、一つ落ち着いたところで自分の容姿を確認していたら、小麦色というのだろうか、褐色気味の肌をしていた。生憎、近くに水場がないようなので顔とかは確認できなかったのだが、とりあえず頭部をぺたぺたと触ってみたところ、頭の方に何やら角みたいなものが付いているようだった。角を触ってみると、どうやら捻じ曲がった感じになっているらしい。目で見ることができないのが残念だなあ。
その後、一通り自分の状態を確認し終わった後で洞窟から出て、とりあえずどこか人の気配がしそうなところを探して歩いてみることにした。
□月◯日
あの後、何回か日を跨ぎながらも色々と歩き回っていると、どこから来たのか、オークとかミノタウロスとかハーピーだとか、モンスターと呼ばれるもの達が自分の後ろをついてきていた。更には、ちらほらとエルフやデビルのような姿も見受けられた。
えっ?何で君達付いて来てんの?と、近くにいた子に聴いてみると、「貴方様から、凄く強大な力を感じるからです」とのこと。力ってなんぞやとも思ったが、どうやら今の自分には、彼等のようなモンスターを強く惹きつけ、従えることができるような力があるようだ。
一通り彼等から話しを聴き終わった後、現在自分に起きている現象についてようやく理解することができた。どうやら自分は、いつの間にか転生していたらしい。一体どうして転生したのか、そもそも前世の自分はどうやって死んだのか、それすらもわからなかった。
とりあえず自分が転生していたということは置いておいて、自分の力に引き寄せられて付いてきてた彼ら彼女らをどうするべきかと考えたが、今の状況ではどうすることもできなかったので、とりあえず彼等も一緒に付いてくるということになった。
□月☆日
あれからしばらく、人の気配がしそうな場所を探して歩き回っていたのだが、その道中で人が住んでいたと思われる町を見付けた。町と言っても、もはや都市と言っていい程の広大さをしていたので、更に増えたモンスター達の住処としてはちょうどいいかなと思い、皆で此処に居を構えることにした。建物は風化していたので使い物にならなかったが、中央にあった王城のような建物だけは形を保っていたので、一先ずはそこに入ってみることにした。
城の中は思っていたよりも綺麗で、今居るモンスター達が全員入っても問題ないくらいには広かった。ただ、流石に人が離れてからかなり時間が経っていたようで、ところどころで崩れている箇所があった。色々と中を歩いていると、最奥には何やら玉座らしきものがあった。一緒に付いてきていた子に、座ってみてほしいと言われたので玉座に向かって歩いていき座ってみると、何故かみんなが一斉に片膝をつき始めた。
えっ?えっ?っと、急な出来事に理解が及ばないままでいると、一番手前に居たエルフの子が顔を上げて此方を見ていた。いきなりみんなどうしたのかと問いかけてみると「出会ったときから感じていたのですが、やはり貴方様こそ私達の王たる方だと実感しましたので、こうして貴方様に
いや、王だとか頭首だとか、そういうことを考えたことがなかったから一瞬言ってる意味がわからなかったが、よくよく考えてみれば、昔から何かと王様とかご主人様だとか言われていたような気がする。モンスターとしての種別毎に、王様だったりリーダーだったり親分だったりバラバラだったし、その時は"みんな冗談で言ってるんだろうな"と気にしなかったけど、まさかこういうことだとは思わなかった。
しかし、王様かあ。前世の記憶は朧気だが、王様とかリーダーとかそういった感じの呼ばれ方はされていなかったと思う。まあ、これだけ大所帯になってしまったうえに、種族問わずモンスター達が集まってきているし、それを率いている自分が彼らの王或いはリーダーになるのは当然だったのだろう。相も変わらず、自分が持っている力がどういうものかというのがわかっていないが、モンスター達を強く惹きつけているということだけは確かだ。
急な出来事に驚きはしたが、自分に付いてきてくれた彼等のその行為に、不思議と嫌な感じはしなかったので、つい「わかった」と言ってしまった。その一言だけで、それまで片膝をついていた彼等から、轟音でも鳴ったかのように歓声が湧きあがっていた。雰囲気に流されたような、いつの間にか顔を上げていた彼等の必死の剣幕に気圧されたのかはわからなかったが、隣にいた別種の子達とも抱き合っていた彼らを見て、まあいいかと思い、これからの事を考えると先が思いやられるなあと考えていた。
◯月×日
私が彼らを率いる王としての存在と立場を認めた日からはや
それはさておき、先程魔王と言っていたが、そうなのだ。私、魔王になったのだ。みんなの前で王であることを認めてから、呼び方を統一しようということでどのような呼び名がいいかと彼等だけで話し合いがあったようで、「モンスター達を率いる王様だから、魔王様でいいんじゃね?」ってことで魔王様ってことになったらしい。
どことなくRPG風な世界してるなあとは思っていたけど、まさか私が魔王様になるだなんて思いもしなかった。しかし、RPGみたいな世界をしてる割には魔王の話しを聴かなかったから「今は勇者に倒された時期なのかな」とかと考えていたのはしょうがないと思う。何でRPGとかいうのを知っていたのかは知らないが、多分前世の記憶にそういったのがあったのだろう。
魔王、という肩書を持った以上は身の振る舞いを少しはしっかりとしないとと思い、一人称も"私"に変えることにしたのだ。それと部下の中に
それと、魔王という名前と立場に就いてから、私の配下となるモンスター達の間で誰が私の側近になるのかでちょっとした争いが起きていた。流石に城内でやられたら堪らないので、付近の岩山でやってもらった。”いや、そんなことで騒ぎを起こすなよ”と、思わず口にしてしまったが、どうやら聴こえていたらしく、当人達からすれば死活問題のような感じで、物凄いガチな表情で論されたので、「お、おう……」としか返せなかった。え?ヘタレ?ばっかお前、2000mくらいある岩山が頂上から勢いよく削れて、1時間後には周囲の平地と同じくらいになるまで剣戟とか拳撃とか斬撃とか魔法とかビームとか怒号とか悲鳴とかが飛び交う場所に誰が飛び込めるんだよ。
結局、私の側近を決めるための戦いは半日で決着がついたが、その間に起きていた周囲の惨状に思わず頭痛がして頭を抑えてしまった。
それで、私の側近として就くようになったのは、やっぱりというかなんというか、私があの洞窟を出てから最初に私の元にやってきたエルフの女性、カノーリアだった。エルフ特有の長い耳はもちろん、長く綺麗な金色の髪をしている。しかも髪の毛がぴょこんと犬の耳のようにはねており、どういうわけかぴょこぴょことよく動いている。犬の耳のような髪をしているせいか、私に対する忠誠心というものが限界突破しており、私に敵対するものは容赦なく首を跳ねるくらいには忠誠心で溢れている。
そんな性格をしているが、彼女はかなり扇状的なスタイルをしている。何せエルフでありながら胸が大きい。服から溢れ出ると言う程ではないが、中々に大きくいい形をしている。そんな彼女が私の側近となったのだから、ある意味当然と思っていたのもあるが、他の子達には少し申し訳ないとも思った。
都市の方も、当初の面影を残すことなく、真新しい都市として賑わうようになって、モンスター達が往来する場所となっていた。そうなると、もちろん色んなところから色々な種族のモンスターや魔族達などが訪れるようになる。その道中で都市に住み着くようになる人もいれば、別のところへ行って此処の話が広まるようになり、そしてまた訪れる人が増える。正のサイクルがうまく回っているようで何よりだ。
×月☆日
あれから更に数百年が過ぎた。神都には更に住民が増え、その都市の広さもまた大きくなっていた。もちろん、私の配下達の数も年々増え続けている。いくら神都が広いとは言えど、流石に限界もある。そうした中で、神都の外へ住み着くようになる者達が出るのは当然のことだったのだろう。神都のある大陸は、人間達が住み着けない地帯らしく、モンスターや魔族達だけが住み着いているが、それでも増え続ける彼等を住まわせるには、些か狭かったようだ。
最近では、別の大陸のところにも配下の者達が住み付いているらしい。神都から遠く離れた場所でも定住できる場所があるというのは、それだけでも充分嬉しいことだ。確かに、一か所に集まって一緒に暮らすというのも悪くはないが、やはり種族に適した場所で住めるのならそこで住んでもらいたいというのはある。
それと、ある種族が住んでいる大陸に人間達も住んでいたらしい。幸い、彼等に気付かれることはなかったようだが、少し心配だ。様子を見に行きたいが、そう易々とここを離れることができないうえ、カノーリアが常に傍にいるから抜け出そうとしてもすぐに連れ戻されてしまう。今はまだ襲撃されたという報告もないし大丈夫だろうとは思うが、どうにも不安だ。それに、何だか嫌な予感がする。
♪月!?日
最近、何やら配下の者達が騒がしい。話を聴くと、どうやら遠くの大陸に住んでいる魔族の者達が勇者を名乗る人間とその仲間にやられたらしい。勇者、その言葉を聴いたときに、ふと以前感じていた予感の正体はこれだったのかと納得した反面、恐らく私を倒しに来るのだろうと、もはや確信めいた予感をしていた。
切欠は何であったか、そのような報告は委細わからないが、配下の者達が倒されている以上、動かないわけにはいかない。そこまで考えたとき、自身の将来がどうなるのか、今となってはもはや断片的に残っているだけの記憶から引っ張りだした情報に照らし合わせると、その結末が変わることはないだろうと理解したのと同時に、死にたくないという思いが溢れていた。しかし、魔王は勇者に倒されるというのは、もはや定石として変わることのない事象なのだろう。
しかし、その結末を受け入れることはあっても、それに納得するかどうかは別なのだ。ならば、魔族やモンスター達を率いる魔王として、かの勇者を排除するために動きださなければ。
!?月%日
遂に勇者が此処に来る。恐らく、私の命運も今日までだろう。あれから勇者一行は、私が差し向けた配下達を次々と打ち倒し、この神都にまで辿り着くほどに強くなっている。今も、神都の中から戦闘音が聴こえており、私がこうしている間にも、勇者達は刻一刻と私の下へ近付いている。配下の者達が次々と倒されていく光景を見ていないということに罪悪感を感じるが、最後くらいは私の我儘を押し通したいものだ。例え死することが決まっているのだとしても、私がこうして存在していたということを残しておきたいのだ。
始まりこそ何が何だかわからないでいたが、今となっては魔王として仲間達やカノーリアと過ごした時間は、実に楽しいものであった。
魔王としての肩書きも強さも、これまでの私に対する正当な評価なのであろう。ならば、今までの私自身の生き様に対する誇りのため、そして私に付いてきてくれた仲間達のためにも、この日記を書き終えてやることが私の最後の仕事だろう。さて、どうやら勇者達が下の階層まで来たようだ。長い間私の傍で仕え、私を支えてくれたカノーリアでも、彼等には適わなかったらしい。やはり、と思う反面できれば死なないで欲しかったと思う。
しかし、私は魔王だ。魔王は、勇者に
重く巨大な扉を開け、魔王城の最奥の部屋へと入り込む。部屋にしては広く、魔王の気が充満していながらもどこか神聖さを感じさせるその部屋の更に奥、部屋の中に何故かある階段の最上段。金の装飾で彩られた玉座に座り込む存在。身に着けている衣服は彼のものを魔王足らしめるほどに禍々しく、神々しかった。褐色の肌には赤い文様がいくつも浮かび、頭部から生えた角は捻じ曲がった形をしているが、それが更に彼の存在感を引き立たせていた。
階段までの道のりへ足を進めると、彼が玉座から腰を上げて立ち上がり、顔を上げ此方を見下ろした。瞬間、浴びせられる瘴気と
「よく来た、勇者達よ。私こそ、お前達が打倒せんとするものである。我が名は
ーー魔神王……なんだそれは、魔王ではなかったのか。身体を支えながら、彼の名を聴いた勇者達は、みな一様にそのようなことを考えていた。まさか、魔王が神の力を取り込んだのか。それとも、
「私はお前達のような存在を待っていた。いずれ、私を打倒すものが現れるのだろうと。そして今、私の目の前には私を倒し得る力を持つ者達がいる。なんと光栄なことよ」
魔神王は両手をあげ、あたかも歓迎するかのように喜んでいた。今から倒されるのだというのに、その顔は晴れやかで、己の死を受け入れているように見える。
「私はお前達に打倒されるであろう。わかっていたことだ、いずれ私を倒し得る者に倒されるのだろうと。それは甘んじて受け入れよう。だが、それで納得するわけではない。お前達は私の配下達を倒し、此処までやってきた。私は、配下を……仲間達を倒したお前達が許せない!!例えこの身が滅びゆく運命だとしても、お前達を一人でも多く死地に送り込まなければ、散っていった彼等に顔向けできん!!」
魔神王から溢れる瘴気と神気が増した。その強大過ぎる力からは、どうしてか怒りも哀しみも感じられた。だが、だからと言って退くわけにはいかない。彼奴を倒せば、この戦いは終わるのだから。
《shake:○》 「さあ、覚悟はいいか勇者達よ!!我が魔神王たる力、受けてみるがいい!!」《/shake》
ーー魔神王と勇者達による最初で最後の戦いが、始まりを告げた。
此処まで読んでいただきありがとうございました。
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