久-Hisa- 大学編 ~もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら外伝~ (神奈木直人)
しおりを挟む
第1話 大学
私、竹井久は大学生になった。私は、風越女子高校出身の福路美穂子と共に私立風越大学に入学した。風越大学は風越高校の姉妹校であるため、美穂子には知り合いが多くいたが、私には殆どいなかった。美穂子が同じ学部学科だった事が唯一の救いだ。入学式が終わり、美穂子と麻雀部の見学に行く事にした。
「はぁ、やっぱり全然知り合いいないわね。美穂子がいてくれたお陰で一人でいなくてすんだけど。」
「そんな事言って、私がいなくても久だったら普通に話せていたでしょう。」
「まぁね、なんたって昨年インターハイ優勝校のキャプテンという最強の肩書きがあるんだもんね。」
「そんなもの無くても仲良くなれますよ、久なら。」
「そうかしら?」
「そうですよ。」
美穂子と話していると、部室が見えてきた。
「す、すみません!間違えてたら悪いのですが、竹井久さんと福路美穂子さんじゃないでしょうか?」
突然後ろからそんな声が聞こえてきた。振り向くとそこには、小学生くらいの女の子がこちらを見ていた。身長は優希や天江さん、マホちゃんくらいかしら?どうしてこんな子が大学にいるのかしら・・・?
「確かに私は竹井久よ。で、こっちが福路美穂子。」
「やっぱり!インターハイ見ました!二人とも格好良かったです!」
「それは嬉しいんだけど、ここは貴女みたいな小学生が来ていい場所じゃないのよ?」
「えっ、私、小学生じゃないです・・・」
「あらごめんなさい、中学生だったかしら?」
「大学生です!正真正銘の大学生ですよ!」
・・・マジで?こんなちっちゃい大学生いるんだ。あの副会長がここにいたらヤバかったかもしれないわね。
「もう!人を見た目で判断するのは良くないですよ!」
「ごめんごめん、で、私らは何をすればいいの?」
「あっ、そうでした。お二人は今から麻雀部に入部するのですか?」
「そうよ、もしかして貴女も入部するの?」
「はい!私、ちっちゃい頃から麻雀やってたんですけど、地元に麻雀部が無くて大会にも出れてなかったんです。だから部室に入るのがちょっと怖くて・・・お二人が一緒なら怖くないかなと思いまして。」
ちっちゃい頃からって、今も十分ちっちゃいじゃない。それにしても、小さい頃からやってて大会には出られてないって、なんだか咲みたいね。もしかしてオカルトの類いを持ち合わせてたりして・・・
「成る程ね、分かったわ。そういえば貴女お名前は?」
「はい!私は七瀬風花(ななせふうか)です!気軽に風花とお呼び下さい!」
「よろしくお願いします。風花さん。」
「そんな畏まらなくていいですよ。風花と呼び捨てで大丈夫です!」
「そうですか。じゃあよろしくね、風花。」
「はい!」
「畏まらなくていいとか言ってるけど、そう言う風花も畏まってるじゃない。」
「これはお二人への敬意です!」
「そう、まぁいいわ。取り敢えず行きましょう。」
「はい!」
私達3人は部室に着き、部室のドアを開けた。
「入部希望の竹井久です。」
「同じく入部希望の福路美穂子です。」
「な、七瀬風花です!よろしくお願いします!」
「あれ、美穂子じゃん!久しぶり。」
「清水先輩、お久しぶりです!」
「えっ、美穂子、知り合いなの?」
「はい、私が高校1年の時の部長だった、清水静(しみずしずか)先輩です。」
「まぁ、今も部長だから、また部長って呼んでくれて構わないよ。」
「部長をされてたんですか。では、これからもよろしくお願いします部長。」
「よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします!」
「じゃあ、早速君達3人の今の実力を見させて貰うよ。私も丁度暇だったからね。」
「そうですか。じゃあ、よろしくお願いします。」
「部長と対局するは三年ぶりですね。」
「そうだね。美穂子がどれくらい強くなったか、見せて貰うよ。」
「はい、お願いします。」
「あ、あの!お手柔らかにお願いします!」
「風花、貴女さっきから緊張し過ぎじゃない?もうちょっとリラックスしたら?」
「竹井さんがリラックスし過ぎなんですよ!」
「竹井さんとか止めてよ、久でいいわよ。あ、久さんは駄目だからね。」
「わ、分かりました、久。」
「ねぇ、やっぱり敬語だと距離を感じるからタメで話してくれない?」
「分かりました。じゃあ早速始めよっか!」
「うん。」
「じゃあ、場決めするよ。」
~場決め結果~
七瀬風花:東
竹井久:南
清水静:西
福路美穂子:北
~東一局~ 親:七瀬風花
七瀬風花 25000
竹井久 25000
清水静 25000
福路美穂子 25000
(やった!起家になれた!よしっ、頑張るよ!)
じゃあ、部長と風花のお手並み拝見といきましょうか!
~8巡目~
「リーチです!」
風花のリーチ、結構速いわね。取り敢えず現物を処理していきましょうか。
(捨て牌的に、そこまで高いようには見えないけど、一応オリとくか。)
(狙いは多分筒子ね。ならこっちを落としていきましょうか。)
~11巡目~
「来ました!ツモです!リーチツモダブ東で4000オールです!」
あちゃー、いきなり親満かぁ、ちょっと痛いわね。
(追い付けませんでしたか。しかし風花さん、小さい頃からやっていたというのは伊達じゃないですね。)
(よしっ、次の局も和了れるように頑張ろう!)
(・・・成る程ね。)
~東一局一本場~ 親:七瀬風花
七瀬風花 37000
竹井久 21000
清水静 21000
福路美穂子 21000
~9巡目~
じゃあ取り敢えず、風花に取られた分、取り返しますか!
「リーチ。」
(久のリーチ、また地獄単騎でしょうか?)
(でも、この人の事だからまた変な事をしていそう。ここは安牌を切りましょうか。)
「ツモ。リーチ一発ツモタンヤオドラ2。3100・6100。」
(これ、平和一盃口を捨てて途中で入ってきたドラ単騎に切り替えてる。やっぱり久は悪待ちをしてきますね。去年のインターハイと同じですね!)
(やっぱり単騎。久は単騎待ち、特に地獄単騎だとやっぱり引きが良いですね。)
(悪い待ちにすると和了れる、か・・・なかなか興味深い。)
~東二局~ 親:竹井久
竹井久 33300
七瀬風花 30900
清水静 17900
福路美穂子 17900
~5巡目~
「チー。」
風花、速く和了って親で連荘したいタイプなのかしら。それとも私を警戒しているとか?
~7巡目~
「それ、ロンです。混一、2000点です!」
あら、振り込んじゃったわ。まだ大丈夫かと思ったんだけど遅かったか。それに逆転された、これが狙いだったのか。なら、仕返ししなきゃね。
~東三局~ 親:清水静
七瀬風花 32900
竹井久 31300
清水静 17900
福路美穂子 17900
~11巡目~
(聴牌出来ました。このまま突き放します!)
「リーチです!」
「通らないな~。」
(えっ!?)
「ロン。タンピン三色、7700。」
(うぅ、やられてしまいました。やっぱり久は強いですね。)
よしっ、これで逆転ね。このままトップをキープするわよ!
~東四局~ 親:福路美穂子
竹井久 39000
七瀬風花 25200
清水静 17900
福路美穂子 17900
(そろそろ危ないかしらね。)
~9巡目~
「ツモ。2600オールです。」
あらら、やられちゃったわね。結構高い手張ってたんだけど・・・
(美穂子さん、普通に打って、普通に和了られました。やっぱりこの人も強いですね!)
(うーん、1回目は様子見のつもりだったけど、このままだと私が飛んじゃうな。20%くらい本気でやろうか。)
(あれ、なんだか一瞬部長さんが怖く感じた気がしました。気のせいでしょうか・・・?)
~東四局一本場~ 親:福路美穂子
竹井久 36400
福路美穂子 25700
七瀬風花 22600
清水静 15300
~3巡目~
「リーチ。」
(ちょっ、まだ3巡目ですよ!?速すぎませんか!?)
(部長が本気を出してきました。これは多分和了られてしまいますね。)
「ツモ。リーチ一発ツモタンヤオ三暗刻。3100・6100。」
(速いし高いです!やっぱり部長さんですね、強いです。)
(これで飛ぶ事は無くなったでしょう。じゃあ、後は様子見しましょうか。)
~南一局~ 親:七瀬風花
竹井久 33300
清水静 27600
福路美穂子 19600
七瀬風花 19500
(最下位になってしまいました。でも、南場で私の親番、ここは確実に和了ります!)
~6巡目~
「ポン!」
また鳴いてきた。鳴きが多いわね、でもそれじゃあ私には届かないわよ。
~9巡目~
「ツモ!白三暗刻対々。4000オールです!」
うわっ、捲られちゃったわね。この子、親番が得意なのかしら?
~南一局一本場~ 親:七瀬風花
七瀬風花 31500
竹井久 29300
清水静 23600
福路美穂子 15600
おっ、これは、なかなか良い手になりそうね。
~7巡目~
(また聴牌しました。ここは稼いでおきたいから、リーチします!)
「リーチです!」
「通らないな。」
(またですか!?)
「ロン。清一、一通で16300。」
(なっ、倍満!?これは、やられてしまいましたね・・・)
(久は容赦が無いですね・・・)
~南二局~ 親:竹井久
竹井久 35600
清水静 23600
福路美穂子 15600
七瀬風花 15200
(また最下位になってしまいました・・・ですが、まだ諦めません!)
「それ、チーです!」
風花、やっぱり鳴きが多いわね。そういえば、字牌が多いわね。去年の臨海女子の風神みたいなもんかしら?でも東二局の時は自風の東や北じゃなくて南だったわね。という事は、単なる偶然かもしれないわね。
~8巡目~
「ポンです!」
(また鳴いてきましたね。そろそろ聴牌でしょうか。)
「ツモです!發のみ。400・700です!」
ここにきて安手?これだけの点差があるんだからもう少し高い手を狙ってもいいだろうに・・・これはもしかしたら、咲みたいな感じなのかしら?ちょっと怖いわね。
~南三局~ 親:清水静
竹井久 34900
清水静 23200
七瀬風花 16700
福路美穂子 15200
~10巡目~
「リーチです!」
なんだか調子良さそうで怖いわね。点差もあるしオリでいきましょうか。
(一発を消しておきましょう。)
「ポン。」
(一発を消されてしまいました。でも、それでも和了ってみせます!)
「ツモです!リーチツモ中。1300・2600です!」
じわじわと迫ってくるわね、でも次はオーラス、トップを維持してみせる!
~南四局~ 親:福路美穂子
竹井久 33600
七瀬風花 21900
清水静 20600
福路美穂子 13900
(オーラス、ここで逆転出来れば私の勝ちです。絶対に勝ちます!)
「ポンです!」
風花が白を鳴いてきた、やっぱりこの子、字牌が多いわね。でも、こっちも逆転されるわけにはいかないわよ!
~6巡目~
「それ、ポンです!」
今度は中をポン。これ、まさか、大三元を狙ってる!?
(これは、危ないですね。)
~11巡目~
「ツモです。大三元。8000・16000です!」
本当に大三元を決められちゃったわね・・・
(私がトビ終了してしまうなんて・・・)
「ふぅ、なかなか楽しかったよ。お疲れさん。」
「お疲れ様です!」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
~試合結果~
七瀬風花 53900
竹井久 25600
清水静 12600
福路美穂子 -2100
「さてと、教えてもらおうじゃない風花、貴女のオカルトを。」
「オカルトって言い方酷くない?まぁ、いいけどさ。えっとね、私の能力?って言っていいのか分からないけど、私は東一局では東、東二局では南、東三局では西、東四局では北、南一局では白、南二局では發、南三局では中が配牌に3枚入ってるんだよ。」
「やっぱり風神みたいな感じなのね、それで、オーラスのあれは?」
「えっとね、その字牌を3枚抱えたままその局を和了ると、オーラスの配牌でその字牌が2枚来るようになるんだよ。」
「えっ、って事は、東一局から南三局まで全部風花が和了ってたらどうなってた訳?」
「それは、東南西北白發中の七対子が配牌で完成していたね。」
「えっ、じゃあ、地和だったって事?」
「まぁ、そうだね。」
「ま、マジか・・・」
やっぱり、思った通りだった。この子、風神とハーベストタイムを融合させたようなチート能力を持ってるわ・・・
「でもこれ、あんまり使い勝手が良くないんですよね。」
「えっ、どうして?」
「だって、今回は5回和了れたから大三元出来たけど、普段は5回も和了れないし、東南西北は東家か西家でスタートじゃないと風牌じゃないから荷物になるし、東家や西家でも半分は風牌じゃないから使いづらいんだよね・・・」
「成る程、確かに言われて見ればそうかもね。」
「雀明華さんや渋谷さんの劣化版を2つくっつけたみたいな感じだものね。」
「はい、部長さんの言うとおりです。あっ、そういえば部長さん、もしかしてさっきの試合、手加減していませんでしたか?」
「おぉ!よく気付いたね。」
「やっぱり手加減してましたか・・・」
「まぁまぁ、様子見だよ様子見。手加減してたわけじゃないさ。」
「それじゃあ、部長さんの本気、見てみたいです!」
「・・・本気で言ってる?きっと後悔するわよ?」
「だ、大丈夫です。多分・・・」
「ふぅん、じゃ、2回戦始めましょうか。」
「はい!」
部長の本気、どれだけ強いのかしら、ちょっと怖いけど、楽しみね。
次は本気の部長が見られます。久と美穂子と風花は部長に勝てるのか、ご期待下さい。感想お待ちしています。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第2話 部長
「さぁて、始めようか。2回戦を!」
部長から感じられる威圧で私達3人に戦慄が走る。部長が場決め牌を引いた。それに続いて私達も牌を引いた。
~場決め結果~
竹井久:東
福路美穂子:南
七瀬風花:西
清水静:北
~東一局~ 親:竹井久
竹井久 25000
福路美穂子 25000
七瀬風花 25000
清水静 25000
(あれ、どうして・・・)
(さぁ、始めようか。)
~4巡目~
「リーチ。」
4巡目にリーチ、やっぱり速いわね。この仕上がりの速さはまるで優希みたいね。
(ですが、片岡さんと違うところは、絶対的な安定感。部長なら多分次に和了られる・・・)
「ツモ。リーチ一発ツモタンピンドラ1。3000・6000。」
(やっぱり部長さん、速いです。それにこの状況、部長さん、一体何者なのでしょうか・・・?)
~東二局~ 親:福路美穂子
清水静 37000
福路美穂子 22000
七瀬風花 22000
竹井久 19000
~5巡目~
よしっ、聴牌出来た。さっきは親被りで多く失点しちゃったからここで巻き返すわよ!
「リーチ。」
(久のリーチ、何が通るでしょうか?右目を使いましょうか。・・・あれ?何も見えない。どうして・・・?)
~10巡目~
あれ、単騎待ちにしているのに全然和了れない、一体どうしちゃったのよ・・・
「ツモ。混一ツモ一通ドラ2。4000・8000。」
先に部長に和了られた!でも、いつもならもっと来てくれるはずなのにどうしちゃったのよ・・・
(二人とも、調子悪そうです。やっぱり二人も、私みたいになっちゃってるんでしょうか・・・?)
~東三局~ 親:七瀬風花
清水静 54000
七瀬風花 18000
竹井久 14000
福路美穂子 14000
~8巡目~
「リーチ。」
(うぅ、速すぎですよぉ!誰か止められないのですか・・・?)
(これは、またやられてしまうのでしょうか・・・)
・・・だめ、それじゃあ鳴けない。あぁ、またやられちゃうわ。
「ツモ。リーチ一発ツモタンピン三色ドラドラ。4000・8000。」
(うわっ、また倍満ツモ、この人、強すぎます・・・)
(部長を誰も止められない、普段の久ならもう少し太刀打ち出来るはずですし、風花さんなら鳴いていけるはず。という事は私以外の二人も、調子が悪いんですね。)
これは流石にこの部長の仕業でしょ。でもなんだか変なのよね。配牌が悪いとも言い切れないし、ツモは確かに悪くなってるけど天江さんとした時みたいに聴牌が出来ない訳じゃない。それなのに和了れないし、止められない。一体どうなってるの・・・?
~東四局~ 親:清水静
清水静 70000
竹井久 10000
福路美穂子 10000
七瀬風花 10000
うわっ、この点数、完全に遊ばれてるわね。本当にこの部長、何者?私と美穂子が全力でやってんのに一度も止められないとか・・・
(部長さんの親番、気を付けないとまたやられてしまいます。集中です!)
~7巡目~
「ツモ。タンヤオ一盃口。2000オール。」
(部長に連荘させてしまいました!これは嫌な予感しかしません。どうすれば良いのでしょう・・・)
これはもう、どうしようもないわね。もう諦めて負けるしか無いのかもしれない。
(部長、戦い方は高校とあまり変わらないはずなのに全く太刀打ち出来ません。それに、全然相手の手が分からない。どうしてでしょうか・・・?)
(さてと、次で終わらせましょうか。)
~東四局一本場~ 親:清水静
清水静 76000
竹井久 8000
福路美穂子 8000
七瀬風花 8000
~6巡目~
「ツモ。清一ドラドラ。8100オール。これで3人飛んだからおしまいだね!
「・・・お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
「お、お疲れ様、でした・・・」
~試合結果~
清水静 100300
竹井久 -100
福路美穂子 -100
七瀬風花 -100
「さて、じゃあ一人ずつ本気の私と打ってみてどうだったか聞いてみようか。まず美穂子から。」
「はい、いつもならもっと相手の手牌が読めてたのですが、今回は全く分からなかったです。」
「じゃあ竹井さんは?」
「さっきリーチした時、いつもみたいに単騎待ちしてたのに来てくれませんでした・・・」
「ふぅん、じゃあ七瀬さんは?」
「あの、字牌が一個も来なかったです!」
「えっ、本当に?」
「はい、まったくもって来なかったです。」
「という事は、3人とも、いつもなら出来ていた事が出来なかったって事よね。これってやっぱり・・・」
「そう、私の能力のせいだよ。能力という言い方は好きじゃないけれど。」
もう大体どんな能力なのかは予想は付いてるけど一応聞いてみましょうか。
「それはどんな物なんですか?」
「私のこの力は、対局相手を凡人にする能力、と言った感じだろうか。対局相手の普通ではない能力を消し、更に普通ではない運の良さをも減らす力。こんなところかな。」
「凄いですね、それでいてあの実力の高さなら、勝てる人なんているのかしら・・・」
「今のところはいないよ。」
「えっ?」
「だって私、インカレの個人戦で2連覇してるし。」
「へぇ、インカレ2連覇ですか・・・2連覇!?」
「本当ですか!?」
「えぇそうよ。」
「それってあれですよね、大学生の中で一番強いって事ですよね?」
「そうだけど。」
「わぁ!部長さん凄いです!」
「ここ数年で一番びっくりしたわね。」
「私は知ってましたけど。」
「えっ、美穂子知ってたの?」
「はい、インターカレッジに先輩が出場していると聞いたので見ていました。」
「知ってたなら言ってよ・・・」
「いや、聞かれなかったので・・・」
「まぁ、美穂子さんは悪くないです!たとえ知っていたとしても負けてましたから。」
「それに、全員きれいに-100で終わらすなんて舐めプもされてしまったしね・・・」
「そうなんですか!?わぁ!本当です!凄いです!」
「えっ、今頃気付いたの!?」
「えっ!?お二人は気付いてたんですか!?」
「逆に気付いてなかった事に驚きです。」
「えぇ!気付いてなかったのは私だけですか!」
「逆によく気付かずに対局してたわね。」
「試合中は自分の点数と部長さんの点数しか見ていなかったので・・・」
「確かにさっきの試合は、部長の点数に目が行って他が見えなくなってもおかしくは無いですね。」
「そうです!おかしいのは皆さんの方ですよ!」
「いやいや、全体の点数はちゃんと確認するべきでしょ。」
「そうだな、七瀬さんはもっと周りをよくみた方が良い。」
「そんなぁ・・・」
「そんなんでは、大会で活躍出来ない。」
「大会・・・そういえば部長、インカレの選手はどのように選出されるのですか?」
「そうだね、団体戦についてだけど、団体戦では残念だけど1年生は出れない。」
「えっ!?どうしてですか?」
「それはね、1年生は1年生大会に出て貰うからだよ。」
「1年生大会?それはどんな大会なんですか?」
「1年生大会は文字通り1年生だけの大会で、1チームに先鋒と中堅と大将の3人で団体戦を行う大会だよ。丁度あんたら3人なんだから出てみたらどうだ?」
「えっ、でもでも、大会って事は風越大学代表って事ですよね?お二人は強いですけど、私よりももっと適任な人がいると思います。」
「あぁそれは大丈夫だよ。この大会は大学で3チームまでだったら出しても大丈夫だから。それに、1チームだったとしてもあんたらなら代表になれると思うしね。」
「そうでしょうか?」
「七瀬さん、貴女は自分に自信を持つべきよ。だって貴女、最初の対局で断トツ1位だったじゃない。」
「それはたまたまです。それに、2回戦では部長さんにめちゃくちゃにやられてしまいましたし・・・」
「美穂子はたまたまで飛ぶような奴じゃないよ。それに、部内成績2位の奴だって私が本気出せばさっきみたいに負けてたよ。」
「そうなんですか。」
「そうそう、自信を持ちなさい、貴女は十分強いんだから。」
「分かりました。私、頑張ります!」
1週間後、大学でチーム戦が行われ、見事久達3人は1位になり、Aチームとなった。そして、十日後に行われた県予選でも1位になり、全国大会出場になった。
「いやぁ、トントン拍子のように勝っていったわね。」
「私達の活躍が3行くらいでまとめられた気がします!」
「よく分からないけど、二人ともそういう発言はあまりしない方がいいかも・・・」
「・・・それより、各都道府県の出場大学は見た?」
「はい。私は見ました。」
「私も見ました。」
「私は見てないです!」
「正直でよろしい!さてと、まず、この1年生大会の優勝候補と言われている大学が4つある。」
「永水大学と千里山大学と姫松大学、白糸台大学ですね。」
「そう、永水大は去年活躍した石戸霞と薄墨初美、そして狩宿巴の3人が出てくる。千里山は園城寺怜、江口セーラ、清水谷竜華と強いメンバーが揃っている。姫松も去年インハイで活躍した3人が出てる。そして、問題の白糸台大学だ。」
「白糸台だけは別格ですよね・・・」
「あぁ、宮永照がいるだけで優勝候補になりうるのに更に弘瀬菫がいて、臨海女子の辻垣内智葉が出ている。ここに勝つのは厳しいだろうな。」
「でも、福岡の新道寺大学も、リザベーションこそ無いものの、白水哩の実力はかなり高いですから侮れませんね。」
「それに、岩手の宮守大学も小瀬川白望、臼沢塞、姉帯豊音の3人ですからかなりレベルが高いですね。」
「わぁ、凄い人がいっぱいいて目がぐるぐるしてきました・・・」
「まぁ、相手が誰だろうとあんたら3人が全力でやれば、せめてベスト8には入れると思うよ。」
「善処します・・・」
「が、頑張ります!」
「努力します。」
軽いミーティングが終わり、練習に戻った。因みに、個人戦は3人とも出たが、私は8位、美穂子が9位、風花は11位で終わった。高校と大学ではレベルが全然違っていた。高校ではかなり強いと自負していた私が県予選で8位だったんだからかなりレベルが高い。しかし、その中で長野1位は勿論静部長だった。部長は2位とダブるスコアを取って優勝した。更に、風越大学は長野の1位2位3位を独占した。風越大学強すぎでしょ・・・まぁ、部長みたいな強い人がいれば自ずと他のメンバーも強くなるか。まぁ、そんなこんなでインカレの県予選と1年生大会の県予選が終わった。
大学名は考えたくないので作中の高校名をそのまま使わせていただきます。そしてこれ以上オリキャラは作れそうに無いので1年生大会は3人の団体戦とさせていただきます。1年生大会のルールは次回詳しく書きます。感想と評価お待ちしてます。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第3話 刺客
一年生大会の県予選が終わり、高校の県予選がそろそろ始まるらしく合宿をするから来て欲しいとまこに言われた為、私は清澄高校の合宿場に日帰りで過ごす事になった。まぁ、今流行り?の日帰り温泉みたいな物ね。そして、清澄のみんなと合宿をした。日帰り温泉とはいえ何かお土産でも用意しようかと思い、私はとある事を思い付いた。
「咲、マホちゃん、ちょっといい?」
「何ですか?竹井先輩。」
「何でしょうか?」
「この合宿が終わってから、貴女達の都合の付く日で良いから、私が通ってる風越大学に来て欲しいんだけど。」
「えっ、大学ですか!?ちょっと怖いです・・・」
「私がいるんだから大丈夫よ。それに、貴女と気が合いそうな人がいるから安心して。」
「そうですか・・・じゃあマホ、行きます。」
「でも、大学って勝手に入れないですよね?どうやって入るんですか?」
「も、もしかしてこっそり入らないといけないんですか!?」
こっそりって、そんな訳無いじゃない。でも、この子面白いからちょっと嘘付いてみようかしら。
「そうね、そうして貰う事になるでしょうね。因みに風越大学のセキュリティはかなり高いから頑張ってね。」
「えっ!?そんな、マホにそんな事出来るでしょうか・・・?」
「竹井先輩、マホちゃんで遊ばないであげて下さい・・・」
咲が呆れたような顔で私に言った。やっぱり咲にはバレてたみたいね。
「ふふっ、だってこの子、何を言っても信じてくれるんだもん、楽しくなっちゃうじゃない。」
「えっ!?今の、嘘だったんですか!?」
本当に嘘だって気付いてなかったの!?ヤバい、やっぱりマホちゃん面白過ぎるわ!
「逆に今のを本当だと思っている事に驚きなのだけど。」
「酷いです!マホ、忍者の本を買って勉強しないとって思ってたのに!」
「に、忍者の本?ぷふっ、もうダメ!あははははっ、貴女最っ高ね!」
「えっ、マホ、何か変な事言ったでしょうか?」
「あはは、何も、ふふ、変な事は、んふふ、言ってないわよ。」
「竹井先輩、それくらいにしないとマホちゃんが可哀想ですよ・・・」
「ごめんごめん、もう嘘は付かないから。」
「それで、結局私達はどうすれば良いんですか?」
「あぁ、そういえば貴女達を風越に誘ったんだったわね。ふふっ、に、忍者のせいで・・・ぷっ、あはは!やっぱり駄目!どうしても笑っちゃう!」
「も、もう!竹井先輩!マホの事笑わないで下さい!」
「分かったよ、忍者のせいで忘れてたわ。うん、忍者のせいで・・・んふふ。」
「もう!笑わないで下さいって言ったじゃないですか!!」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら私の肩をぽかぽか叩いてくる。本当に面白くて可愛いわね。ペットにしてみたいわ。
「分かった分かった、じゃあ、都合がつく日と到着予定時刻を指定してくれたら校門近くで待ってるから。気兼ねなく来て頂戴。」
「分かりました。」
「分かりましたです!」
「あっ、でも私、ケータイとか持ってないんですけど・・・」
「マホちゃんは持ってる?」
「はい、持ってます。」
「じゃあ連絡先を交換しましょう。」
「はい。」
マホちゃんと連絡先を交換した。
「あぁ、それとマホちゃん。」
「何でしょうか?」
「忍者の格好はしないでね?隣で歩くの恥ずかしいから。」
「なっ!?も、もう!忍者の事はもう忘れて下さい!!!!」
「あははははっ!」
マホちゃんの叫びは私の笑いしか誘わず、私は次の日に腹筋が筋肉痛になる程笑った。
久が清澄高校の合宿に行っている頃、私、福路美穂子は後輩の池田華菜に招待されて風越高校に来ていた。
「来てくださってありがとうございます!福路先輩!」
「こちらこそありがとう。こっちも練習になるし、みんなの顔も久しぶりに見たかったしね。」
「福路先輩、早速対局して下さい!」
「良いわよ。他に誰か入ってくれないかしら?」
「じゃあ、私が入ります。」
この子、見ない顔ね。1年生かしら?でも、なんだか見た事があるような・・・あっ!もしかして・・・
「間違っていたら悪いんだけど、貴女冬室焦華さんの妹さんかしら?」
「姉を知っているのですか?」
やっぱり、冬室焦華さんの妹さんだったのね。
「貴女のお姉さんとは高校1年生の時に個人戦で対局した事があるの。まぁ、完敗しちゃったんだけどね。」
「高校1年生の時?もしかして、福路美穂子さんですか?」
「あら、知ってらしたんですね。」
「はい、姉が高一の時に言っていました。福路美穂子さんは強くて負けそうだったけど、何とか火力でねじ伏せたと。」
「確かにあの対局は、力ずくでやられたわね。」
「そうですか、あの、そろそろ始めませんか?」
「そうですね。」
~場決め結果~
池田華菜
吉留未春
冬室氷華
福路美穂子
~南一局~ 親:池田華菜
福路美穂子 37200
池田華菜 27000
吉留未春 20200
冬室氷華 15600
(華菜から冬室氷華さんは強いから最初から本気でお願いしますって言われたけど、親番に安手を3連荘したってくらいであんまり稼げてないわね。調子が悪いのかそれとも・・・)
「ツモ、清一。3000・6000です。」
(7巡目に清一の跳満ツモ。やっぱりこの子、南場に強いみたいね。)
~南二局~ 親:吉留未春
福路美穂子 34200
冬室氷華 27600
池田華菜 21000
吉留未春 17200
(南場に強いならこの点差で安心は出来ないわね。かといってツモ和了りすると2人が飛ばされかねないし、出来れば直撃したいわね。)
~8巡目~
「ロンです。5200。」
(この人、南場の私に直撃をするとは、流石は去年の部長ですね。)
(福路先輩流石です!これなら、氷華を倒す事もできるかも・・・)
(でも、次の局は多分、ダブリーしてくるよね・・・)
~南三局~ 親:冬室氷華
福路美穂子 39400
冬室氷華 22400
池田華菜 21000
吉留未春 17200
「リーチ。」
(えっ、ダブルリーチ!?)
(やっぱり、ダブリーしてきた・・・)
「ツモ。ダブリー一発ツモタンヤオ。4000オール。」
(ダブルリーチの上に一発ツモ!?この人、普通じゃない何かを持っているのかしら・・・?)
~南三局一本場~ 親:冬室氷華
福路美穂子 35400
冬室氷華 34400
池田華菜 17000
吉留未春 13200
「リーチ。」
(またダブルリーチ!?もしかして、また一発で和了られちゃう・・・?)
「ツモ。ダブリー一発ツモタンピン。6100オール。」
(これ、もしかしたら打点が上がってる!?もし次もダブルリーチしてきたとしたら、吉留さんがトビ終了しちゃう。)
~南三局二本場~ 親:冬室氷華
冬室氷華 52700
福路美穂子 29300
池田華菜 10900
吉留未春 7100
「リーチ。」
(あっ、鳴ける。)
「ポンです!」
(これなら、ズレるから氷華は和了れないはず!流石福路先輩!)
「ツモ。ダブリーツモ清一。8200オール。これで終わりですね。」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
~試合結果~
冬室氷華 77300
福路美穂子 21100
池田華菜 2700
吉留未春 -1100
(福路さんを飛ばす事は出来ないとは思っていましたが、まさか2万以上残してしまうとは・・・ちょっと本気を出さないといけませんね。)
この後、冬室氷華さんと2回対局して2回とも飛ばされてしまった。1回目で2万以上残ったから本気を出したのかもしれない。ただ、トビ終了した経験があまり無かった私は、この結果がただただ悲しかった。華菜には相性が悪かっただけだと励まされたけど、相性では埋められない程の実力差がそこにはあった。だから私は、この悔しさを糧に更に強くなって1年生大会で優勝しようと思った。
咲とマホちゃんと約束した日になった。
「ねぇ久、そろそろ教えてよ。私達に会わせたい人って一体誰なの?」
「そろそろ来るわよ。」
ピコン
タイミングを見計らったかのようにマホちゃんから連絡が入った。
「あら、来たみたいね。ちょっと行ってくるわ。」
「はぁい。気を付けてね。」
私が部室を出て校門の方に向かった。そこには既にマホちゃんと咲の姿があった。
「よく迷わず来たわね二人とも。」
「はい!昨日ぐーぐるあーすというものでここまでの道を覚えて来たので迷わず来れました!」
「そう、偉いわね。じゃあ、行きましょう。」
「はい。」
「はいです!」
私が咲とマホちゃんを連れて部室に入った。
「連れてきたわよ。清澄高校2年の宮永咲と、1年の夢乃マホちゃんの二人よ。」
「えっ!?宮永咲さんですか!?本物ですか!?」
「逆に偽物の咲を見てみたいわよ・・・」
「うわぁ!生宮永咲さんです!感動です!あのあの!サインとか貰えませんか?」
「えっ!?えっと、その、書く物が何も無いんですが、ど、どうすれば・・・」
「私、持ってます!どうぞ!」
風花、手際良いわね。それにしても、後輩からサイン貰う先輩ってどうなの?まぁ、見た目的には咲が先輩にしか見えないけど。
「ありがとうございます!宝物にします!」
「風花、サインが欲しくなる気持ちは少し分かるけど、この子達は風花と美穂子に対局して貰う為に呼んだのよ?」
「えっ!?宮永咲さんと対局させて頂けるの!?」
「素よりそのつもりよ。」
「やったぁ!嶺上開花が見れる!」
「はいはい、分かったから、始めるわよ。」
~場決め結果~
福路美穂子:東
宮永咲:南
七瀬風花:西
夢乃マホ:北
~東一局~ 親:福路美穂子
福路美穂子 25000
宮永咲 25000
七瀬風花 25000
夢乃マホ 25000
~3巡目~
「リーチです!」
やっぱり風花は聴牌するのが速いわね。
(東一局だから風花は東を3枚持っているはず。この子の理牌と捨て牌的に考えて手牌は索子の染め手。ちょっと高そうですね。)
(七瀬さんのリーチ、少し高そうだよ。ここは無理にでも和了りにいこう。)
「カン。」
(まさか、早速嶺上開花ですか!?)
「ツモ。嶺上開花ツモ南。2000・4000です。」
「嶺上開花で3翻満貫!?宮永咲さん凄過ぎです!」
「あはは・・・」
咲は愛想笑いをしたと思ったら突然背筋を伸ばして喫驚したような表情をして後ろを向いた。
(今の感覚、お姉ちゃんの照魔境、でもどうして・・・?)
咲とほぼ同じタイミングで風花も後方に頭を翻した。
(何でしょうか、今、何かを見られていた気がします・・・)
(成る程、七瀬先輩は字牌の能力なんですか・・・)
~東二局~ 親:宮永咲
宮永咲 33000
七瀬風花 23000
夢乃マホ 23000
福路美穂子 21000
(七瀬先輩の能力も分かりましたし、宮永先輩にやられる前にマホが稼ぎます!)
~4巡目~
「リーチ!」
(宮永咲さんの隣にいた人、やっぱり久が連れてきただけあって凄いですね。)
(マホちゃんのリーチ、高そうで怖いな・・・)
(宮永さんは戦った事こそ無いものの打ち方は知っている。けれどこの子は打ち方も何もかも未知数。ちょっと様子見かしらね。)
~7巡目~
「ツモ!リーチツモ清一平和一通。6000・12000です!」
(なっ、三倍満!?凄過ぎです!警戒すべきは宮永咲さんだけだと思っていましたがこの人もですか。)
(これは、危ないですね・・・)
マホちゃんったら、相変わらずめちゃくちゃやるわね・・・今のは絶一門かしら?
~東三局~ 親:七瀬風花
夢乃マホ 47000
宮永咲 21000
七瀬風花 17000
福路美穂子 15000
(親番、風牌は無いですけど何とか和了ってオーラスで少しでも良い配牌になるようにしなければ・・・)
「ロン。」
(えっ!?まだ5巡目・・・)
「リーチ一発七対子ドラドラ。12000です。」
(リーチ!?いつの間に!?)
風花、リーチしていた事に驚いてるわね。マホちゃん、ステルスを使ったのね。
「言っておくけど、マホちゃんはちゃんとリーチ宣言してたわよ。」
「本当に!?あれ、どうして気付かなかったのでしょう・・・」
~東四局~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 59000
宮永咲 21000
福路美穂子 15000
七瀬風花 5000
~6巡目~
「カン!」
(えっ!?カン!?)
(マホちゃん、もしかして・・・)
「ツモ。嶺上開花ツモ清一。8000オールです。」
「うわぁぁぁ!こっちも嶺上開花!?それに、私が飛んじゃいました!」
「お疲れ様です!」
「ありがとうございました。」
「お疲れ様です。」
~試合結果~
夢乃マホ 83000
宮永咲 13000
福路美穂子 7000
七瀬風花 -3000
「いやぁ、終わってみればマホちゃんの圧勝ね。」
「久!こ、この人は何者なの!?」
「夢乃マホちゃんよ。今年の清澄高校の中堅に入る子よ。」
「そうだったんだ。そういうのは先に言ってよ!」
「先に言ったら面白くないじゃない。」
「あっ、そうです。竹井先輩!」
マホちゃんが話し掛けてきたわね、何かしら・・・?
「どうしたの?」
「次は竹井先輩が入って下さい!マホ、この前の合宿以来竹井先輩とずっと対局したいと思っていたんですよ!」
満面の笑みでマホちゃんが言ってきたけれど、私はこの発言の真意に気付いてしまった。この前の合宿、つまりマホちゃんを弄り倒したあの日以来という事だろう。つまりマホちゃんは弄られた分麻雀で返すつもりなのだろう。
「あっ、私は、いいわよ・・・ほら、合宿の時に結構対局したし?大丈夫よ。」
「そんな事言わずに~!マホ、とぉぉぉっても竹井先輩と対局したいんですよ~!」
「いや、遠慮しとくわ・・・」
その場を離れようとした刹那、咲に腕を捕まれた。
「先輩、マホちゃん、凄い怒ってましたよ。ここは素直にやられた方が得策ですよ。」
えっ、私、逃げ場無いんですけど・・・というかやられる前提なの!?まぁ、今のマホちゃんには勝てる気がしないけれど・・・
「分かったわよ、やれば良いんでしょ・・・」
「わーい!楽しく麻雀、しましょうね?」
これほど笑顔が怖いと思ったのは初めてだろう・・・
対局の結果は当然ながらマホ様の圧勝だった。というか、私を7連続くらいで直撃してじっくりと飛ばして終わらせた。正直ここまで恨まれていたとは思わなかった。対局が終わり、かなり上機嫌になられていたマホ様と咲が帰った。そして、咲はともかくマホちゃんを呼ぶ事はもうしないと固く誓った。
~1年生大会概要~
・先鋒中堅大将の三人の団体戦
・点数は10万点引き継ぎ(5人の時と同じ)
・オーダー変更は不可
・全国大会に出場する高校は47都道府県+東京都大阪府北海道の50校
基本的には原作と同じです。不明な点があればコメントでお願いします。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第4話 合宿
マホちゃんと咲が来てから、風花と美穂子が実力の差を見せ付けられた為か士気が上がっていた。
「夢乃マホさんと宮永咲さん、次に対局する事になった時は絶対に倒します!」
「えぇ、頑張りましょう。」
「はい!」
「まぁ、あの二人を倒せるのとか、部長くらいだと思うけどね。」
「む?呼んだ?」
「いや、部長じゃないとマホちゃんと咲には勝てないんじゃないかって話していたんですよ。」
「あぁ、成る程ね。でもさ、あの夢乃マホって子が、もし私の能力をコピーしたらそれは能力を消す私か、それとも人の能力を上回るコピーが出来るあの子か、どっちの能力が勝つと思う?」
「そうですね、マホちゃんは部長よりも強く消して来ると思うので部長の方が負けるような気がします。」
「ですが、夢乃さんのあのコピーを能力と考えると部長が消した時点でコピー出来ないですし、上回る事は出来ないんじゃないでしょうか?」
「うーん、どっちの意見もおかしくないんだよね~。この前来た時に私も対局して貰えば良かった。あのさ久、お願いがあるんだけど。」
「マホちゃんなら呼びませんよ?」
「そこをなんとか!」
「嫌ですよ。もうマホちゃんと対局するのは。」
「うーん、じゃあ分かった。今度の合宿で呼んで?」
「だから嫌ですって!」
「大丈夫、あんたらにはマホちゃんじゃなくて、面白い奴を付けてあげるから。」
「えっ、誰ですか?それ。」
「まっ、それは合宿をしてみてのお楽しみって事で、それじゃあ久、マホちゃんの事よろしく~。」
「はぁ、分かりましたよ、連れてくればいいんですね・・・」
「うん!」
その後、マホちゃんに連絡を取ると、二つ返事で了解してくれた。そして、風越大学の合宿が始まった。
「はい、じゃあ今日から4日間の合宿で、自分の改善すべき点を探しそこを強化して、更に自力も上げる事。そして今回はゲストとして清澄高校1年の夢乃マホさん、そして2年の宮永咲さんを呼んでいる。」
「「よろしくお願いします。」」
「彼女らは高校生だからといって侮っていたら直ぐに飛ばされてしまう程強い。折角呼んだんだから皆もこの二人と積極的に対局して自力の強化に努めるように。いいね?」
「「「「はい!」」」」
「それじゃあ、合宿を開始します!」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
合宿が始まると、部長が私と風花と美穂子の所に来た。
「3人とももう集まってるね。今日は皆が打って貰う相手の紹介をするね。と言っても、もう知ってるだろうけど、副部長で個人戦2位だった3年の藤堂若菜(とうどうわかな)だ。」
「皆さんこんにちは~。藤堂若菜で~す。今日はよろしくね~。」
「藤堂先輩!?」
風花が驚きの表情を浮かべた。
「風花、どうかしたの?」
「藤堂先輩はめちゃくちゃ強いんだよ。個人戦で対局したから。だから私達じゃ多分勝てないと思う・・・」
「そりゃあそうだ。私と若菜はうちのエースなんだからな。だから勝てなんて言わない。若菜と対局して、1回でも和了してみな。その代わり、1回和了するまでは昼食は無しだ。」
「えっ、1回でも和了すれば良いんですよね?」
「あぁ、そうだな。」
「私達、かなり下に見られてるわね。やってやりますよ。直ぐに昼食の権利を頂きますから!」
「意気込みは十分みたいだね。じゃあ後は若菜に任せるから。」
「は~い!任せて~。」
藤堂先輩が返事をすると部長は他の所に行った。一人一人アドバイスや練習方法などを教えたりしているらしい。
「静って凄いわよね~。」
「部長ですか?」
「うん、強いし皆の事凄く大切にしているし、アドバイスも教え方も何もかも的確で、私もそのお陰で強くなれた訳なんだよ~。やっぱり部長に相応しいわよね~。」
「そうですね。」
「だからさ~、そんな静に『3人に和了をさせないように全力で潰して。』って言われたから~、やるしかないよね!」
「よろしくお願いします。」
「うん!頑張るよ~。」
1回も和了させないなんてそう簡単に出来る訳無い。それに、部長がこの前、『部内成績2位の奴だって私が本気出せば負ける。』みたいな事言ってたし、さっさと和了って、あわよくばこの人に勝って、部長の見込みが甘かったって事を証明してみせるわ!
~場決め結果~
竹井久:東
福路美穂子:南
七瀬風花:西
藤堂若菜:北
~東一局~ 親:竹井久
竹井久 25000
福路美穂子 25000
七瀬風花 25000
藤堂若菜 25000
(さてと、静が言うには美穂子さんは守りが堅くて相手の手を読みながら和了るタイプだったわよね~。そして、風花さんは字牌で和了るとオーラスの配牌に2枚ずつ返ってくるんだったわよね~。後は久さんね~。彼女は単騎待ち、それも地獄単騎をすると和了り易くなるんだったわよね~。この3人を和了させないようにするのか~、頑張らないとね~。)
藤堂先輩、ここのナンバー2だったわよね。それに、個人戦でも2位だったし、とりあえず和了りましょうか。)
「それ、ロンです。3900です~。」
(3巡目!?速すぎじゃない!)
(何も出来ないまま和了られてしまいました。この感じ、個人戦の時と同じです・・・)
(部長が『私達はエース』って言ってました。という事は、副部長さんも部長までとは言わないものの、強いという事ですね。)
~東二局~ 親:福路美穂子
藤堂若菜 28900
福路美穂子 25000
七瀬風花 25000
竹井久 21100
~3巡目~
「ポンです。」
今度は鳴いてきた。一体何をする気なの?
(この人の特徴がまだ掴めないですね・・・)
~5巡目~
「ツモです。三暗刻対々。2000・4000です~。」
(またやられた・・・)
これは、ヤバいかもしれないわね・・・
(この調子なら大丈夫そうですね~。)
~東三局~ 親:七瀬風花
藤堂若菜 36900
七瀬風花 23000
福路美穂子 21000
竹井久 19100
(これくらいならもう少し火力を上げても大丈夫そうだね~。)
(おっ、これなら、いけそうです!)
~5巡目~
「リーチです。」
藤堂先輩がリーチを掛けてきた。これは、潰しにきてる・・・)
「ポンです!」
(ですが、今の風花さんのポンのお陰で一発は消されましたね。)
(うわぁ、一発消されただけならまだ良かったですけど、これは当たりそうですね~。)
「それ、ロンです!混一対々。12000です!」
(はぁ、やられてしまいましたね・・・まさか1回目でやられてしまうとは思いませんでした。)
「いやぁ、個人戦で対局した時とは全然違いますね~。おめでとうございます。風花さん、合格です~!」
「やったじゃない風花!」
「おめでとうございます。」
「やった!やりました!私、やりましたよー!」
「ちょっと何?もう合格者出ちゃったの!?」
「静、ごめんなさい。調子に乗って高い手を和了ろうと思ったらやられてしまいました~!」
「あらあら、しかも12000も直撃されて、負けないでしょうね?」
「安心して下さい。それはあり得ませんよ~。」
「えっ、今、あり得ないって・・・」
「それだけ、自信があるという事でしょうね。」
「私も負けません!」
~東三局一本場~ 親:七瀬風花
七瀬風花 35000
藤堂若菜 24900
福路美穂子 21000
竹井久 19100
(このまま負ける訳にはいかないね~。それに、このまま調子に乗らせておく訳にもいかないしね~。ここは心を鬼にして倒しに行くよ~!)
~7巡目~
「ツモです。四暗刻。8100・16100です~。」
「うわぁ!役満、和了られてしまいました!」
「ごめんね~、負けちゃうかな~って思ったから~。」
この人、怖いわね。12000和了られたら16000の親被りで返してくるなんて・・・
(これが、藤堂先輩の実力・・・)
~東四局~ 親:藤堂若菜
藤堂若菜 56900
七瀬風花 19000
福路美穂子 13000
竹井久 11100
「リーチだよ~。」
なっ、ダブリー!?おかしいでしょ!
(これが、本物ですか・・・)
(これで、1回目は終了だよ~。)
「ツモ。ダブリー一発ツモ清一一通で12000オールだよ~。」
(うわっ!ダブリーの上に三倍満!?)
私が飛んで終わっちゃったじゃない!
「これで1回目は終わりだね~。」
「はぁ、全っ然和了れなかったわね。」
「じゃあ、2回戦始めましょうか。」
「はい・・・」
それから地獄の対局が始まった。何回対局しても全然和了れず、昼食の時間になった。美穂子は4回目でやっと和了する事が出来た。風花は4回中2回和了っていた。しかし、私だけは1度も和了れていなかった。藤堂先輩、この人、何か能力があるって訳でも無いのに全然和了れない。どうしてなの・・・
「あれ、まだ終わってなかったの?」
「静~、私、頑張ってますよ~!」
「それは良いんだけど、そろそろ昼食の時間だから終わらせて欲しいんだけど・・・」
「駄目です。まだ和了っていないので昼食は食べません!」
「そう、なら仕方ないね。」
部長が藤堂先輩の後ろに回った。
「じゃあ、終わるまで見ててあげるよ。」
(あっ、この感じ、静に私の力が消されてしまいました~!でも、私も負けませんよ~!)
(よしっ、聴牌出来た。3面張だけど、やっぱり私は単騎待ちにする!)
「リーチ!」
(静が私の力だけ消すから先越されちゃったじゃん!)
(これで終わるでしょ。)
「ツモ。リーチ一発ツモタンヤオ・・・裏2。3200・6200。」
「よしっ、これで全員合格ね。じゃあ、お昼にしましょうか。」
今和了れたのは部長が藤堂先輩を止めてくれていたお陰。それが分からない程私は鈍くないわ。・・・悔しい!次に藤堂先輩と対局する時は絶対に勝つわ!
部のメンバー全員が昼食を食べた。食事が終わり、食器を片付けると、午後の練習の準備がされた。
「じゃあ、午後の練習を始めましょうか。」
「「「「はい!」」」」
「ね~ね~3人とも~。」
「はい、何でしょうか?」
「午後は他の皆と一緒になって練習してね~。」
「分かりました。」
「若菜、ちょっとこっち来て、午後は貴女の為の練習するよ。」
「は~い、分かりました~!」
「じゃあ、行きましょうか。」
「はい~!」
私、清水静は若菜を呼んで、とある部屋へ移動した。
「静~、誰と何をするんですか~?」
「誰とかは今から行けば分かるけど、何をするかはそりゃあ麻雀でしょう。」
「言われてみればそうですね~。」
「全く、若菜はいっつも何処か抜けてるよね。」
「えへへ~、そんな事無いですよ~。」
「ほらほら、着いたよ。」
「は~い!」
私が部屋を開けると、そこに待機させていた夢乃マホちゃんと宮永咲ちゃんがいた。
「あ~!宮永咲さんと夢乃マホさんだ~!」
「若菜、今からこの二人と私が若菜の相手するから。」
「そういう事ですか~!頑張ります~!」
「あぁ、安心して、私は何も干渉しないから。」
「あっ、そうですか。分かりました~!」
「それじゃあ、始めましょうか。」
「よろしくお願いします。」
「お願いしますです!」
「よろしくね~。」
宮永咲ちゃんと夢乃マホちゃん、私はなんとか勝つ事が出来たけど、若菜はどうだろうね。夢乃マホちゃんも宮永咲ちゃんも強いからね。これは楽しみだね。
(静は何も干渉しないって言ってましたから、相手は夢乃マホさんと宮永咲さんの二人ですね~。静に見直して貰うためにも、頑張っちゃいますよ~!)
さぁて、始めましょうか!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第5話 藤堂若菜
私は若菜を連れて夢乃マホちゃんと宮永咲ちゃんがいる部屋へ入った。
「あぁ、二人には言っていたけど、この対局は激しい点数移動がされると思うから一人10万点持ちでやるから。」
「そうなんですか~。分かりました~。」
私は場決めをして若菜と夢乃マホちゃんと宮永咲ちゃんの3人を座らせた。
~場決め結果~
夢乃マホ:東
清水静:南
宮永咲:西
藤堂若菜:北
「さぁ、始めましょうか!」
「は~い!」
「よろしくお願いします。」
「お願いしますです!」
~東一局~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 100000
清水静 100000
宮永咲 100000
藤堂若菜 100000
~2巡目~
「リーチです!」
(夢乃マホさん、はや~い!凄いな~。私も頑張らなきゃ。)
夢乃マホちゃん、最初は、確か清澄の先鋒の片岡さんね。
「ツモ!リーチ一発ツモ混一。6000オールです!」
あっちゃー、初っぱなからそんな高い手和了っちゃって!これじゃあ若菜が・・・
(これは、久々に楽しい試合になりそうですね~。)
(っ!?今、藤堂先輩から嫌な感じがしたです!これは、次は照魔鏡を使いましょう。)
(マホちゃんも怖いけど、藤堂さんがなんだか凄く怖かったよ・・・次の局、仕掛けようかな・・・)
~東一局一本場~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 118000
清水静 94000
宮永咲 94000
藤堂若菜 94000
~2巡目~
「カン。」
(えっ、宮永咲さん!?もしかして・・・)
「ツモ。嶺上開花ツモ・・・ドラ8。4100・8100です。」
これが、宮永咲ちゃんの実力・・・さっきは私が封じてて涙目だったのに、封じないだけでこんなに強いんだ・・・
(これは、凄い試合になりそうだよ~!)
(・・・藤堂先輩のこの能力は、ヤバいです!早く止めなくては!)
~東二局~ 親:清水静
宮永咲 110300
夢乃マホ 109900
清水静 89900
藤堂若菜 89900
「リーチ。」
(やっぱり、藤堂先輩がダブリーしてきました!ここを止めなくては!)
「ポン!」
夢乃マホちゃんが切羽詰まったような顔してる。もしかして、若菜の能力を見たのかな?
~4巡目~
「チー。」
(変ですね~、夢乃マホさんに鳴かれてからなかなか来ません。どうしてですか~?あっ、来ました~!)
「ツモ。ダブリーツモ一通に清一で~、6000・12000で~す!」
(うぅ、やられてしまいました・・・)
(藤堂さん、突然ダブリーして三倍満和了ってきたよ。なんでだろう・・・?)
~東三局~ 親:宮永咲
藤堂若菜 113900
宮永咲 104300
夢乃マホ 103900
清水静 77900
(井上純さんの能力を使ったはずなのに当然のように和了られてしまいました!なら、絶対安全圏です!)
「リーチ!」
(あら、ダブリーされてしまいましたか~。これは厳しそうですね~。やっぱり静が私の練習相手と言っただけありますね~。レベルがかなり高いです。でも、私だって静に認められた風越大のナンバー2なんです!絶対、勝ちますよ!)
~3巡目~
「それ、ロンです。ダブリー平和で3900です。」
(あら、そんな安手を・・・)
やっぱり夢乃マホちゃん、若菜の能力を見抜いちゃってるね。若菜は相手に和了されると、それ以降手牌が和了られた打点以上の打点になる能力。さっきの対局でも若菜が跳満を和了られてから役満と三倍満を和了っていたしね。でも、いくら高い手を和了られても、その後直ぐに安手を和了られたらその安手以上の手牌にランクダウンしてしまい高い手を和了るのは難しくなってくる。夢乃マホちゃんは高い手と安い手を交互に和了って若菜を攻略しようとしてるのかな?
~東四局~ 親:藤堂若菜
藤堂若菜 110000
夢乃マホ 107800
宮永咲 104300
清水静 77900
~7巡目~
「カン。」
(大明カン!?まさか・・・)
「ツモ。嶺上開花ドラ4。8000です。」
(大明カンからの嶺上開花で責任払い、これはやられてしまいましたね・・・)
(宮永先輩に逆転されてしまいましたか。でも、マホも負けません!)
大明カンで直撃する事も出来るんだ。凄いなこの子。去年インターハイ個人戦2位は伊達じゃないね。
~南一局~ 親:夢乃マホ
宮永咲 112300
夢乃マホ 107800
藤堂若菜 102000
清水静 77900
(マホの親番、ここは藤堂先輩を倒しておきたいので、麻雀牌さんの力を使います!)
ん!?なんだ今の悪寒は?もしかして夢乃マホちゃんの仕業なのか?
(マホちゃん、あれを使ったのかな・・・?)
(嫌な予感がするよ~。)
~5巡目~
「ロンです。国士無双。48000です。」
「はい。」
(これは厳しいね~。でも、役満を連発出来るようになったから、こっちも強いよ~!)
今の一撃だけで私よりも点数下になっちゃってんじゃん。この子、ヤバいね。是非とも風越大に来て欲しいね!
~南一局一本場~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 155800
宮永咲 112300
清水静 77900
藤堂若菜 54000
「リーチだよ~!」
(藤堂さんがダブリー!?この人、マホちゃんが凄いのを和了ると負けじと凄い事してくる。負けず嫌いなのかな?)
「通らば~、追っかけリーチします~!」
(マホちゃんが追っかけリーチ!?しかもその言い方・・・)
これは、夢乃マホちゃん、本当にヤバいね・・・
「ロンです。リーチ一発清一。24300です。」
(もうマホちゃんのペースになっちゃった。こうなると全然マホちゃんを止められないんだよね。どうしよう・・・)
「二本場です!」
~南一局二本場~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 180100
宮永咲 112300
清水静 77900
藤堂若菜 29700
~5巡目~
(よしっ、聴牌出来たよ~。)
「リーチだよ~。」
「ロン。メンタンピン一発。12600です。」
(また夢乃マホさんですか~!?しかも、リーチなんていつの間に!?)
「あの~、リーチってした?」
「ちゃんとしましたよ。声もしっかりと!そうですよね、清水先輩!」
「え、えぇ、ちゃんと言っていたわ。」
まさか、今のが消えるって奴なのか・・・?
(やっぱりマホちゃんの姉帯さんと東横さんの二連続和了は止められないよね・・・)
「三本場です。」
~南一局三本場~ 親:夢乃マホ
夢乃マホ 192700
宮永咲 112300
清水静 77900
藤堂若菜 17100
(・・・)
~7巡目~
(あれ?なんだかツモが悪いです。まるでさっきの清水先輩と対局した時みたいな感覚です。でもどうして・・・?)
「夢乃マホちゃん、それロンだよ。12900。」
「えっ!?清水先輩!?干渉はしないって・・・」
「いやぁ、何だか夢乃マホちゃんと宮永咲ちゃん対若菜みたいになってたからさ、2対1は可哀想だったから加勢してあげたんだよ。」
「そんなつもりじゃ・・・」
「まぁ、夢乃マホちゃん的には宮永咲ちゃんから直撃したら怖いからって思ってたのかもしれないけど、流石に若菜の事をやり過ぎなんじゃないかな?」
「それは、でも、約束が違います!」
「だって、つまらないじゃん。ただただ負けてるのに見る事しか出来ないなんて。だからさぁ、そろそろ混ぜてよ。」
「・・・分かりました。」
「ありがと。さぁ、続きをしようか。」
~南二局~ 親:清水静
夢乃マホ 179800
宮永咲 112300
清水静 90800
藤堂若菜 17100
~8巡目~
(やっぱり全く駄目です。清水先輩が干渉すると全然です。)
(いらないのしか来ないよ・・・)
~10巡目~
(やっと聴牌出来ました。)
「リーチ!」
「それ、ロン。十三么九。48000。」
「しーさんやおちゅー?これって国士無双じゃないんですか?」
「あぁ、十三么九っていうのは国士無双の昔の呼び方だよ。私にはこっちの方がしっくりくるからこっちで呼んでるんだ。」
「そうなんですか・・・って!国士無双!?」
「役満手だからちょっと時間掛かったけど上手く和了出来たよ。これで一気に逆転だね。」
(この人、異常過ぎる・・・)
~南二局一本場~ 親:清水静
清水静 138800
夢乃マホ 131800
宮永咲 112300
藤堂若菜 17100
~5巡目~
「リーチ。」
(早いです・・・)
(カンも出来ないし嶺上牌も分からないし、こんなの勝てる訳無いよ・・・)
(やっぱり静は凄いですね~。ますます惚れ直しましたよ~!)
「ツモ。四暗刻。16100オール。」
(また役満!?この人、本当に人間ですか!?)
~南二局二本場~ 親:清水静
清水静 187100
夢乃マホ 115700
宮永咲 96200
藤堂若菜 1000
「リーチ。」
(今度はダブリーですか!?)
(こっちは能力が消されているのに、清水先輩は全然衰えてない。むしろ強くなってる気さえする。こんなの、勝ち目が無いよ・・・)
(何を出せば良いかも分からないです・・・これでしょうか?)
「ロン。ダブリー一発混一、18600。」
(うぅ、もう、辞めたいです・・・もう藤堂先輩は1000点なんですから一思いにやって貰いたいのですが・・・)
さてと、次で終わらせようか!
~南二局三本場~ 親:清水静
清水静 205700
夢乃マホ 97100
宮永咲 96200
藤堂若菜 1000
~6巡目~
「ツモのみ。800オールの三本場は1100オール。」
「あっ、これって・・・」
「私がトビで終わりだね~。」
「ありがとうございました。」
「ありがとうございましたです!」
「おう、お疲れさん。」
~対局結果~
清水静 209000
夢乃マホ 96000
宮永咲 95100
藤堂若菜 -100
対局が終わり、宮永咲ちゃんと夢乃マホちゃんはさっき私が対局した時みたいに泣きそうになっていた。
「清水先輩が、干渉はしないって言ってたから勝負したのに、どうして・・・」
「ごめんね、夢乃マホちゃん。貴女の事が嫌いでやった訳じゃ無いの。」
「分かってます。2対1みたいになっていたからですよね。」
「そうは言ってたけどそうでも無いんだよ。」
「じゃあ、どうしてですか?」
「それは、うちのナンバー2が簡単に負けて欲しく無かったからだよ。」
「でも、結局藤堂先輩飛んじゃったじゃないですか。」
「まぁ、本当は宮永咲ちゃんか夢乃マホちゃんを飛ばそうと思ってたけど、時間的に止めとくべきかなって思って。」
「読者にも同じような和了りばかりでうんざりされそうですしね~。」
「ドクシャ???なんですかそれ?」
「若菜、そういう発言はあまりしない方が良いよ・・・あと、あんたの特別練習はこれで終了。後は部員達と打ってきて。」
「分かりました~!」
若菜が部屋から去り、見えなくなった事を確認した。
「あのさ、ごめんね、今のも半分嘘なんだ・・・」
「えっ、どういう事ですか?」
「昔の話なんだけどさ、私は昔から麻雀が強かったんだよ。若菜が勝てるはずもないくらいには。」
「昔から強かったんですか。」
「うん、それで、若菜はそこまで強くは無かった。でも、麻雀は大好きだった。いくら私に負けても、もっと強くなろうと努めていた。そして、高校は別々の所に入って、若菜は麻雀部がない学校に入って、麻雀辞めたのかな?とか思ってたけど辞めてなかった。それどころか、私の次に強い存在まで上り詰めていた。若菜はずっと敵わなかった私の背中を地道に追いかけて、遂に風越大学のナンバー2にまで上り詰めていたんだ。そんな若菜が、いつも頑張っている若菜が、貴女達にただひたすら削られ、無様に負ける様子を、見てられなくなったんだよ・・・」
「そうだったんですか・・・」
「つまり清水先輩は、藤堂先輩の事が大好きだから負けてる姿を見たくなかったって事ですね?」
「いやいや!べ、別に大好きとかそんなんじゃないから!若菜は心配したくなるというか、守ってあげたくなるというか、とにかく!断じて好きではないから!」
「そこまで否定しなくても・・・」
「いや、そりゃあ親友としては大好きだよ。でも、その、そういう意味では、無いから・・・」
「えっ?親友としては大好きだけど好きでは無いんですか?どういう事ですか?そういう意味ではってなんですか?マホ、よく分からないです。」
「えっと、その、れ、恋愛とかの好きでは無いから!」
「あっ、成る程!そういう事でしたか!」
この子、もしかして今のわざとじゃない?分からないふりして、恐ろしい子だこと。
「まぁ、つまりそういう事だから、ごめんね。」
「清水先輩が謝る必要はありません!どんな理由で、どんな感情でどんな打ち方をされても勝てるようにならなくてはならないのです。だから、マホは清水先輩を倒すまで誰にも負けません!」
「それは、宮永咲ちゃんも倒さなきゃいけないよ?」
「はい!宮永先輩も超えてみせます!」
「そう、なら、大学の大会で直接勝負ってのは無理だから・・・そうだね。私は大学終わったらプロになるよ。だから、その時までには夢乃マホちゃんは私を倒せるくらい強くなってよ。期待して待ってるから。」
「はい!頑張ります!」
夢乃マホちゃんと話を終えて、二人は帰っていった。そして、4日間の合宿が終わった。
次回からは清水部長視点ではなく久視点に戻し、1年生大会を始めたいと思います
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第6話 開幕
合宿が終わり、遂に1年生大会の全国大会が始まった。私達3人は開会式を終えて一回戦を行った。一回戦は先鋒の美穂子と中堅の私が他校と差を広げて、大将の風花が他校を飛ばして終局になった。
「なんだか、また私達の活躍が短くまとめられた気がします!」
「まぁ、そんなに言う事も無いしキャラ的な問題もあるしね。」
「だから二人とも、そういう発言は控えた方が・・・」
「あれ、福路さんに久じゃないか。」
後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。私はその声が聞こえた方を向いた。するとそこには、高校三年の時に戦った加治木ゆみの姿があった。
「久しぶりじゃない。県予選に出てこないからもしかしたらって思ったけど、他県の学校に行ってたの?」
「あぁ、埼玉大学に通っているんだ。」
「へぇ、埼玉に行ったんだ。」
「あぁ、それにしても、やはり久達は全国まで来たか。」
「そちらこそ、やるじゃない。」
「いや、私の場合は仲間に恵まれただけで私は全然だ。」
「仲間って、そこの隣にいる二人かしら?」
「あぁ、冬室焦華と水蓮寺響(すいれんじひびき)の二人だ。」
「竹井久ちゃんと福路美穂子ちゃんはこの間高校の県大会であったからもう一人の子、はじめまして~。」
「はじめまして!七瀬風花と申します!」
「冬室焦華だよ~。」
「・・・・・・水蓮寺響。」
「よろしくです!」
「・・・」
「えっと、ねぇ久、私、この人怒らせちゃったのかな?」
「いや、違うんです七瀬さん、水蓮寺は凄い口下手で、喋るのが苦手なんです。別に怒ってる訳ではないんですよ。」
「まるで野依プロみたいね。」
「多分野依プロよりも口下手だと思うぞ、水蓮寺は。」
「えっ、そんなに!?」
「まぁでも、根はとっても優しいんだよ。」
「水蓮寺はとっても繊細な女の子だからね~。私の妹も似たような感じだからよく分かるよ~。」
「・・・」
「そんな調子で対局中は大丈夫なの?」
「そこは問題ない。そういう機械的な事ははっきりと言えるから。」
「へぇ、そうなんだ。」
「それどころか、水蓮寺はめちゃくちゃ強いんだよ~。」
「そうなんだ。」
「地区大会の風越大学の対局を見たけれど、七瀬さんでは水蓮寺には勝てないと思う。」
「えっ、どうしてですか?」
「実力、運、得点率、和了率、全てにおいて七瀬さんの方が劣っています。」
「そんな、やってみないと分からないじゃないですか!」
「まぁ、そうですね。でも、私達と対局する事になるであろう準決勝で分かると思いますよ。水蓮寺には絶対に勝てない事に。」
「それに~、風越大学が勝つのも多分無理だよ~。あの程度のレベルじゃ私達には到底敵わないはずだし~、準決勝で、いやもしかしたら二回戦で敗退って可能性もあるかもだね~。」
「随分と自信がおありのようで・・・」
「だって私達強いもん。君達みたいな仲良し3人組みたいな三流チームには負ける気がしないよ~。」
「そういう事だ。久、福路さん、私は去年までは二人と同じ土俵の上にいたかもしれない。けれど今は冬室と水蓮寺に出会ってかなり強くなった、二人では到底敵わないレベルまで。」
「いや、でもさっき、私は全然だって・・・」
「それは冬室と水蓮寺に比べたらという話だ。そもそも見ている世界が違ったって事だよ。」
「そう・・・」
「貴女、性格変わったわね・・・」
「まぁ、自信が付いたからな。さて、ここで話している時間は無いから行かせてもらうよ。」
「じゃあ、準決勝で会える事、期待してるね~。」
ゆみ達3人が去っていった。私達は何も言い返す事が出来ず、ただ呆然と立ち尽くすしか出来なかった。
「加治木さん、随分と変わってしまったわね。」
「ゆみ、どうしちゃったのよ・・・」
「えっと、二人とも!とりあえず今は私達も移動しましょう!考えるなら歩きながらでもできますし!」
風花が少しでも場を明るくしようと努めている。
「そうね、ホテルに移動しましょうか。」
「ええ、そうね。」
私達はホテルへと向かった。
~加治木ゆみside~
「ね~ね~加治木、どうしてあの二人に突然酷く接したの?友達だったんでしょ~?」
「あぁ、私はあの二人に負の感情は抱いていないよ。」
「じゃあなんで酷い事言ったの~?」
「それは、本気の二人と戦いたいからだよ。」
「本気?」
「あぁ、今会った時、二人は私に少しでも仲間意識を持っていた。その状態で準決勝に臨まれたら、その僅かな仲間意識が枷になって本気の対局が出来なくなる。だから、あからさまに敵対する事でそのリミッターを外してあげたのさ。」
「成る程~、だからあんな事言ってたんだ~。」
「えっ、冬室も言っていたから分かっているのかと思っていたのだが。」
「・・・冬室は素。」
「あっ、バレてた?」
「えっ、あれが素だったのか!?」
「だって私、頑張ってる人とか自信満々な人とか見てると色々と潰したくなっちゃう性格だから~。」
「なんて性格だ、そんな事してたらそのうち酷い目に逢うぞ・・・」
「何が来ようと麻雀でねじ伏せるから大丈夫だよ~。」
「まったく、自信満々はお前じゃないか。」
「・・・同族嫌悪。」
「そんなんじゃないよ~。私、自分の事は大好きだもん!」
「まぁ、そうだろうな。」
「・・・ナルシスト。」
「も~、そんな事より早く移動しようよ~!」
「そうだな。」
私達3人はホテルに着いた。そして、気になったので埼玉大学の対局を見る事にした。
「これ、凄いわね・・・」
「まさか、こんなに強いとは・・・」
彼女ら3人の埼玉大学は、先鋒の冬室焦華さんが開始時の10万点から212300まで稼いだ。そしてゆみは251500、大将の水蓮寺響さんは314900でそれぞれ終わらせた。その結果に私達は戦慄を覚えた。
「やっぱり冬室焦華さん、レベルが違う・・・」
「ゆみも4万くらい稼いでるわね。」
「水蓮寺さんもとっても強いですね。これは私達に勝てないと言っていた気持ちが分かりますね。」
「しかもこれ、優勝候補の白糸台大学は一回戦で294100で終わらせてるらしいわね。」
「じゃあ、白糸台よりも強いって事ですか!?」
「いや、対局相手が違っていたしどっちが強いかは分からないけど埼玉大学が強い事は確かだね。」
「それに比べて私達は17万ちょっとだったわね。」
「私、かなり大勝だと思っていましたけど、上には上がいますね・・・」
「まぁ、今は準決勝よりも二回戦を突破する事を考えましょう。」
「二回戦の相手はどこなんですか?」
「ええっと、新道寺大学と宮守大学と永水大学ね。」
「二回戦で永水大学と当たるんですか・・・」
「どの大学も去年のインハイで出てきた人達ばかりだけど、インハイと違うのは穴の無さね。」
「穴?」
「元々5人で1チームだったから他の人と比べて劣っている人がインハイには1人や2人いた。けど、この1年生大会は3人1チームで行われる。それに去年かなり活躍した人達ばかりがこの大会に出ている。だからまるで濃縮でもしたかのような感じね。」
「確かにそうね。新道寺はあの二人のコンボこそ無いものの、かなり強かった3人が出ているわね。」
「大将の白水さんは言わずもがなだけど先鋒の安河内さんも中堅の江崎さんもレベルが高いわね。」
「宮守は先鋒は小瀬川さんで中堅は臼沢さん、そして大将は姉帯さんね。」
「宮守もインハイで活躍した3人をビックアップして出場してるのね。とっても強そうね。」
「そして、問題の永水ね。先鋒の安定した打ち筋が持ち味の狩宿さん。中堅は北家になると四喜和を和了る薄墨さん。そして大将は絶一門状態にする事が出来る石戸さんの3人ね。」
「このチームはかなり手強いわね。特に石戸霞さんが危ないわね。」
「えっ、私は薄墨さんの方が怖い気がします。だって役満ですよ?」
「確かに役満は怖いけど、多分宮守の臼沢塞さんが彼女を止めてくれるからそこまで問題ないわ。」
「そうなんだ。」
「それに比べて石戸霞さんは風花がいるから危険度が上がっているのよ。」
「えっ、私ですか?」
「ええ、石戸さんの手牌は一種類の数牌と字牌で出来ているわ。そんな中、貴女が字牌を3枚持ったらどうなると思う?」
「あっ、数牌の数が増える!」
「そういう事、つまり石戸さんの手から不要な字牌が減って、手が完成するのが速くなる上に、清一が出来やすくなるって訳。」
「これはかなり厳しいわね・・・」
「どのチームもとっても強い。これ、もしかしたら冬室さんが言ってた事があながち間違いじゃなくなっちゃう可能性も・・・」
「えぇ、あるわね。二回戦、思っていた以上に厳しい試合になりそうね。」
私達は不安を残したまま、二回戦当日をむかえた。二回戦が始まる。
次は二回戦の先鋒戦です。因みにこの1年生大会もインターハイと同じく半荘二回ずつ行います。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第7話 先鋒前半戦
私達3人は二回戦が行われる会場に着き、控え室に移動して、先鋒の美穂子が準備を始めていた。
「じゃあ、行ってくるわね。」
「今回の相手は美穂子だったら圧勝するだろうけど、気を抜かずにね。」
「はい。頑張ります。」
「頑張って下さい!」
「はい。じゃあ行ってきます。」
『さて、インターカレッジ1年生大会。その二回戦の先鋒戦が今始まろうとしています。実況は私、針生えり。そして解説は三尋木咏プロでお送りします。』
『いやぁ、今回の1年生はかなりレベルが高いねぇ、知らんけど。』
『そうですね。今回注目すべきは名門永水大学でしょうね。』
『いや、それはどうかね~。他の大学もかなり面白そうだけどねぇ。』
『えっ、というと、特にどの大学ですか?』
『わっかんねぇ~。』
『ちょっ!はぐらかさないでください!』
『えぇ、だって、特にとか言われても、知らんし。』
『はぁ、分かりましたよ。では選手の紹介をします。まずは永水大学の先鋒、狩宿巴選手。去年のインターハイでは、二回戦で敗退してしまった為、目立った戦績はあまり残せていませんが非常に安定した打ち手です。続いて新道寺大学の先鋒、安河内美子選手。去年のインターハイでは二回戦まで高い手を和了っていましたが、準決勝では安手を何度も和了して点を稼ぎ、チームをピンチから救っていました。続いて風越大学の先鋒、福路美穂子選手。去年のインターハイは個人戦では2年前のインターミドル王者の原村和選手と去年の個人戦2位の宮永咲選手を押し退け県1位でした。全国大会でもベスト16には入っていましたからかなり強い打ち手だと思います。最後に宮守大学の先鋒、小瀬川白望選手。去年のインターハイでは何度か高い手を和了してチームに貢献していました。』
『ははは、アナウンサー、実況と解説両方しちゃってるねぇ。』
『貴女に聞いても分かんねぇしか言わないからですよ!』
『まぁ、確かに聞かれてもそう言うつもりだったけどねぇ。』
『ほら!やっぱりそうじゃないですか!というか、それだったらとやかく言わないで下さい!』
『はいはい。』
『はぁ、さて、選手が対局室に揃いましたので、二回戦の先鋒前半戦を開始致します!』
~場決め結果~
狩宿巴:東
福路美穂子:南
安河内美子:西
小瀬川白望:北
~東一局~ 親:狩宿巴
永水 100000
風越 100000
新道寺 100000
宮守 100000
(さて、まずはこの先鋒戦で他校を引き離さないといけませんね。永水も新道寺も、大将が怖いですから。)
~8巡目~
「リーチです。」
(風越大学の福路美穂子さん、去年のインターハイ団体戦で優勝した清澄の中堅だった竹井久さんがいるチーム。注意しないと。)
(はぁ、だる・・・)
「ツモです。リーチ一発ツモドラ1。2000・3900です。」
(一発で和了られちゃうか・・・辛いな。)
(このまま次の親番も和了ります。)
『二回戦最初の和了りは風越大学の福路美穂子選手となりました。』
『そうだね~。』
『・・・解説とか無いんですか?』
『いやぁ、あの形での2000・3900に言う事なんて無いでしょ。』
『そうでしょうか、まぁ、いいでしょう。さて、続いてはたった今和了った福路選手の親番です。』
『次の局で連荘出来るか出来ないかでどうなるかが決まってくるかもね~、知らんけど。』
『ちゃんと解説してるじゃないですか。いつもそういう風にして下さいよ。』
『そうだねぇ。』
(はぁ、この人はどうしていっつもいっつも・・・)
~東二局~ 親:福路美穂子
風越 107900
新道寺 98000
宮守 98000
永水 96100
~8巡目~
(聴牌した。親番だし、久や風花さんの為にも和了ります!)
「リーチです。」
(はぁ、あまり連荘されると長引くから嫌だな・・・)
『福路選手またもやリーチです。』
『高校ではあんまりリーチしてなかったけどねぇ、大学に入ってからスタイルが変わったんかな?』
『そうだったんですか。』
『なんだ、そんな事も知らなかったのかアナウンサーは。』
『・・・すいません。では福路選手は攻撃型になったって事でしょうか?』
『わっかんねぇ~。』
(はぁ、やっぱりこの人嫌い・・・)
~10巡目~
「ツモのみ。300・500です。」
(えっ、風越じゃなくて新道寺!?)
(安河内さん、今回も安手を連発するつもりですね。)
~東三局~ 親:安河内美子
風越 106400
新道寺 100100
宮守 97700
永水 95800
(安河内さんの親番。安手とは言っても、親番だと少し大きくなるし積み棒で点数も上がっていくから連荘させないようにしなくちゃね。)
(はぁ、そろそろ和了らないと不味いかな・・・)
「ちょいタンマ。」
(宮守の小瀬川さん、久が言ってた。長考をするとどんどん有効牌が来て、しかも手も良くなるとか。これは注意しなくちゃね。)
(この3人相手にするの、結構キツいかもな・・・これははっちゃんと霞さんになんとかしてもらう事になりそうかな。)
~8巡目~
「ツモ。3000・6000。」
(やっぱり小瀬川さんに和了られた。それに捲られた。)
(タンピン三色一盃口で跳満・・・)
(それに、次の局は小瀬川さんの親番だから気を付けないと。)
~東四局~ 親:小瀬川白望
宮守 109700
風越 103400
新道寺 94100
永水 92800
~6巡目~
(はぁ、親番とかさっさと流れて欲しいけど、稼がないと塞に怒られそうだしな。いくか・・・)
「リーチ。」
(6巡目!?速い・・・)
(これは危ないかもしれませんね・・・)
~8巡目~
「ツモ。8000オール。」
(リーヅモ純チャン三色一盃口で親倍ツモ。これは厳しいですね・・・)
~宮守大学控え室~
「おっ、白がちゃんと連荘して和了ってるね。」
「白ならもっと稼いでくれそうだね~。」
「ここからどうなるかだな。」
「風越大学の福路美穂子さんがちょっと危険かなー。」
「うん、白も気付いてると思うけど、あの人には注意が必要だね。」
~東四局一本場~ 親:小瀬川白望
宮守 133700
風越 95400
新道寺 86100
永水 84800
(小瀬川さんにかなりリードを許してしまいました。この連荘は早く終わらせなければいけませんね。)
~8巡目~
「リーチ。」
「それ、ロンです。タンピン三色。7700の一本場で8000です。」
「・・・はい。」
(風越大学に止められてしまった。やっぱここか、今回の関門は・・・)
~南一局~ 親:狩宿巴
宮守 125700
風越 103400
新道寺 86100
永水 84800
(小瀬川さんに直撃出来た事は良いですけど、まだ点差がありますね。じゃあ、ここは攻めます!)
~7巡目~
「リーチです。」
(やっぱり速い・・・これは宮守と風越の一騎討ちみたいになりそうだな・・・)
(これも多分、やられちゃうんだろうな・・・だる。)
「ツモです。リーチ一発ツモタンピン三色。3000・6000です。」
(どんどん点差が広がっていく。どうにかしないと、今回もはっちゃんの相手に臼沢さんがいるからはっちゃんが稼げないかもしれないから。霞さんにばっかり負担が掛かっちゃう・・・)
~南二局~ 親:福路美穂子
宮守 122700
風越 115400
新道寺83100
永水 78800
(まだ小瀬川さんには届いてない。けど、手の届く範囲には捉えました。ならここは、確実に捲ります。)
~8巡目~
(聴牌・・・リーチ掛けたいけど、風越が怖いからここは黙聴で・・・)
(小瀬川さん、聴牌しましたね。多分理牌の癖と捨て牌的に147索待ち。もしかしたらチャンタで1索は高目。1索を切りたかったけれど、これは使う事にしましょう。)
~10巡目~
(2枚目の1索・・・なら、一盃口を付けてみましょうか。)
~13巡目~
「ツモです。三色平和一盃口。4000オールです。」
(捲られた。それにしても、1索を切ってたらタンヤオも付いて6000オールの手になっていたはずなのになんでそうしなかったんだ?・・・もしかして私の待ちがバレてた?もしそうだとしたら、この人の認識を改めないといけないな。しかも連荘された、めんどくさいのは苦手なんだけどな・・・)
~南二局一本場~ 親:福路美穂子
風越 127400
宮守 118700
新道寺 79100
永水 74800
(これ以上連荘されたら困るな、ここは和了りに行くか・・・)
~7巡目~
(聴牌・・・今回は稼ぎたいし、この3ピンは風越の安牌だし、リーチ掛けるか。)
「リーチ。」
「ロン。3900の一本場で4200です。」
(新道寺?うわ、新道寺の捨て牌、無筋ど真ん中だ。風越ばっかり見てたせいでこんな初歩的なミスをしちゃうなんて・・・)
(親番が終わってしまいましたね。でも小瀬川さんとの点差が広がってますね。ですが、ここで甘んじずに、後々の為にも貪欲に和了ります。)
~南三局~ 親:安河内美子
風越 127400
宮守 114500
新道寺 83300
永水 74800
~6巡目~
「リーチです!」
(この人、過去の戦績データから見ると、リーチ率はあまり高くなかったはずだけど、今回はもう4回もリーチしてるな。スタイルを変えたのかな?それとも誰かに感化されたりでもしたのかな・・・?)
~風越大学控え室~
「なんだか美穂子さん、これまでよりもリーチ率が高くない?」
「あぁ、それは、最近美穂子がマホちゃんとか風花とかに負けてたから、取れそうな時は積極的に取るようになったのよ。まぁでも、これまでみたいに上手く打ち回したりもしてるけどね。」
「へぇー、じゃあ、美穂子さんに火力も加わったって感じなの?」
「まぁ、そんな感じになるわね。」
「凄いね!それなら美穂子さん、とっても強いじゃん!」
「そうね。あっ、そろそろ和了るかもしれないわよ。」
「本当!?どれどれ?って、誰も美穂子さんの和了り牌持ってないじゃん。どこが和了るかもしれないの?」
「なんか、ツモ和了りするような気がしたのよ。」
「なんか久ってたまに変な事言うよね。」
「そこは気にしないで。というか普通に美穂子を見ましょう。」
「うん、分かった。」
~11巡目~
「ツモです。リーチツモタンピン三色。3000・6000です。」
(更に点差を広げられた。はぁ、だるいな・・・だるいから連荘したくないから、跳満直撃か倍満ツモじゃないと逆転出来ない。まぁ、別に前半戦だし、私が逆転しなきゃ負ける訳でも無いし、別にいいかな・・・)
~南四局~ 親:小瀬川白望
風越 139400
宮守 111500
新道寺 77300
永水 71800
(小瀬川さんの親番、連荘するかどうかは分からないけど逆転される可能性があるわね。親跳直撃か親倍ツモで逆転される。とりあえず小瀬川さんに和了らせないようにしなくては。)
~7巡目~
「リーチ。」
(リーチを掛けてきた・・・なら!)
「ポンです。」
(風越に一発を消された。それに、風越はどうせ出してくれないだろうな。ツモって裏ドラが乗ってる事を祈るしかないな。)
~8巡目~
「ツモ。リーチツモタンピン三色・・・裏無し。6000オール。」
(裏ドラ、乗らなかった・・・)
「めんどいからこれで和了り止めにします。」
「お疲れ様でした。」
「ありがとうございました。」
「お疲れ様です。」
~先鋒前半戦結果~
風越 133400
宮守 129500
新道寺 71300
永水 65800
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第8話 先鋒後半戦
10分間の休憩が終わり、対局室に選手が戻ってきた。
~場決め結果~
福路美穂子:東
狩宿巴:南
安河内美子:西
小瀬川白望:北
『場決めが終わりました。先鋒後半戦開始です!』
~東一局~ 親:福路美穂子
風越 133400
宮守 129500
新道寺 71300
永水 65800
(後半戦、この点を減らさないようにして宮守との点差も広げたいですね。後半戦はこの人の和了りを阻止する事に専念する事にしましょうか。)
(風越の人にマークされてるな。だるいな・・・)
~7巡目~
「ツモ。300・500です。」
(早っ・・・新道寺の人、また安手で和了ってる。)
(そう簡単に連荘はさせてくれませんね・・・)
『新道寺の安河内選手、また安手を和了っていますね。』
『そだねー。』
『この点差ならもっと高い手を狙った方が良かったのでは無いですかね?せめてリーチだけでもするべきだったんじゃないでしょうか。』
『高い手和了ろうとしたら先に和了られちゃうんじゃないの~?それにリーチ掛けちゃったら一発消しされたりで今みたいにツモれてたかも分かんないしね。知らんけど。』
『だとしてもこれでは点差を詰める事が出来ないじゃないですか。』
『でも和了れなかったらもっとマイナスになっちゃうかもしれないからねぇ、それよりかは安手でも和了る意味はあるんじゃないの~?知らんけど。』
『まぁ、そうかもしれませんね。それより、ちゃんと解説してくれるなら最後に知らんけどとか言わなくて良いですよ。キャラを維持するのに必死な人みたいですよ。』
『なっ、酷い事言うな~。まぁ、別にキャラとかどうでもいいけどねぇ。』
~東二局~ 親:狩宿巴
風越 132900
宮守 129200
新道寺 72400
永水 65500
(この点のままだと、はっちゃんと霞さんでも何とか出来ないかも。どうにか挽回しないと!)
「ポン。」
(親番だし、とにかく和了らなきゃ。)
(永水の人、連荘しようとしていますね。)
(後々の事を考えると、永水は4万くらいまで削っておきたいんだけどな・・・)
~7巡目~
「ツモ。タンヤオ三色ドラ2。4000オール。」
(永水に連荘されてしまいましたね。)
(連荘されるとダルいから止めて欲しいんだけどな・・・)
『永水大学の狩宿選手が親満ツモ。この和了りで永水は3位に浮上します。』
『ふーん、なかなかやるじゃん。』
『そして永水大学の連荘です。』
~東二局一本場~ 親:狩宿巴
風越 128900
宮守 125200
永水 77500
新道寺 68400
(連荘されるのはダルいな・・・攻めるか。)
~9巡目~
(聴牌・・・)
「リーチ。」
「ロン。4200です。」
(新道寺から直撃された。ダルいな・・・)
(新道寺との点差が離れた上に連荘も流せました。後は私が和了するか宮守の方に和了させないようにするかのどちらかですね。)
~東三局~ 親:安河内美子
風越 128900
宮守 121000
永水 77500
新道寺 72600
(新道寺の安河内さんの安手は結構厄介ですね。特に親番だと早い段階で和了られてしまいますからね。)
(連荘されるのはダルいな・・・)
「ポン。」
(うん?風越が鳴いてきた。早和了りするつもりなのかな?)
(これで聴牌、まだいける!)
「ロンです。1000点です。」
(風越が新道寺を狙い撃ち、やっぱり凄いなこの人・・・)
『またもや新道寺が和了しました。しかしやはりもう少し高く出来たのでは無いでしょうか?なんだか勿体無いように感じます。』
『いや、知らんし。』
~東四局~ 親:小瀬川白望
風越 129900
宮守 121000
永水 77500
新道寺 71600
(宮守の親番、ここで連荘されると逆転されてしまいますね。)
(連荘はしたくないけど、風越には負けたくない。出来るだけ頑張るか・・・)
~8巡目~
「ツモです。平和三色で1300・2600です。」
(風越に和了られた。しかも親被り、めんどくさいな・・・)
(3人とも早くて追い付けない・・・)
~南一局~ 親:福路美穂子
風越 135100
宮守 118400
永水 76200
新道寺 70300
(この親番は大切にしないといけませんね。)
~6巡目~
(さっき和了したからか調子が良いですね。)
「リーチ。」
(風越がリーチ掛けた、連荘しないで欲しいな・・・って思ったら聴牌した。豊音じゃないけど追っかけリーチしてみるか。)
「リーチ。」
「ロンです。メンタンピン一発三色、18000です。」
(やっぱり、慣れない事をするべきじゃないな・・・)
『宮守大学の小瀬川選手、ここで風越からの18000の直撃はかなり痛い。ここからどう挽回するのでしょうか。』
『すげー、風越圧倒的だねぇ。守りも堅い上にあんな感じに重めの和了りも出来るし、これはもしプロに行ったら結構活躍出来ちゃうかもね~、知らんけど。』
『貴女にそこまで言わしめるとはかなりレベルの高い選手という事ですね。』
『そうかもね~。』
『かもって、そんな曖昧な言い方しないで下さいよ・・・って、いつもの事か。』
『そうそう、いつもの事だから仕方ないねぇ~。』
『なんでこっちが悪口に近い事を言ったのにちょっと誇らしげなんですか・・・』
~南一局一本場~ 親:福路美穂子
風越 153100
宮守 100400
永水 76200
新道寺 70300
(目標点数として自分で決めていた15万には到達しましたけど、親被りとかで点数が引かれるって考えると、もう少し欲しいですね。)
(このまま連荘されるのはダルい上にうちが勝ち残れなそうで嫌だな。だけど今は風越というよりも新道寺の方が和了りそうな気がする・・・)
「ツモ。400・600。」
(やっぱり・・・)
(また安河内さんに流されてしまいましたか・・・)
~南二局~ 親:狩宿巴
風越 152500
宮守 100000
永水 75800
新道寺 71700
(うちの点数が丁度原点に戻された。それより問題は風越だな。5万点差はちょっと厳しいな。塞と豊音はどちらかというと点数を維持するタイプだから大きい点差を戻すのは難しいだろうな。2位狙いをすると永水と新道寺の大将が怖い。ここは永水と新道寺の点数を削りつつ風越との点差を詰めるべきかな。今のこの状況で連荘がダルいとか言ってられないな。とにかく和了らないと・・・)
~8巡目~
「ツモ。2000・4000。」
(やっぱり宮守の小瀬川さんは和了ってきますよね。ですがまだ15万はキープしています。この後の宮守の親番で和了らせないようにしないといけませんね。)
~南三局~ 親:安河内美子
風越 150500
宮守 108000
永水 71800
新道寺 69700
(このままだと宮守に流れを持っていかれてしまいますね。無理にでも和了りに行きましょうか。)
「ポン。」
(風越が鳴いてきた。何かするつもりなのかな・・・?これ以上取られると困るんだけどな・・・)
~4巡目~
「ロンです。タンヤオドラ1。2600です。」
『風越大学の福路選手、永水大学の狩宿選手に2600の直撃です。』
『いやぁ、やっぱりあの子なかなかやるね~。ちょっと戦ってみたいかも。』
『三尋木プロ大絶賛ですね。これは優勝も狙えるのでは無いでしょうか。』
『いや、それは厳しいかもね。』
『えっ、どうしてですか?』
『確かにレベルは高いし強い。けどそれはこの中での話だよ。白糸台の宮永照とか、ダークホースの埼玉大学の冬室焦華とかが相手だと、流石に勝つのは難しいんじゃないかな~。』
『冬室焦華選手と言いますと、確か去年のインターミドルで優勝した冬室氷華選手のお姉さんでしたよね?』
『いや、知らんし。』
『はぁ、またそれですか・・・それにしても、埼玉大学はそこまで強いのでしょうか?』
『埼玉大学が白糸台と同じくらいのレベルにいると思うよ~、知らんけど。』
『そんなに凄いんですか!?』
『というか、今は埼玉大学よりも風越とかの話をすべきじゃないかねぇ。』
『貴女にだけは言われたくなかったですね、その言葉。まぁ、確かに言っている事は間違っていないし、今回悪いのは私ですけど・・・じゃあ、現在のこの状況についてどう思いますか?』
『わっかんねぇ~。』
『はぁ・・・』
~南四局~ 親:小瀬川白望
風越 153100
宮守 108000
新道寺 69700
永水 69200
(はぁ、結局何も出来ないまま風越に和了られてしまった・・・)
(風越の人に追い付けない。しかもこの人多分15万を維持しようとしてる。なんとかしてはっちゃんと霞さんを少しでも楽にしないといけないのに・・・)
(宮守は多分連荘しないでしょうけど、高い手を和了られたら目標の15万点に届かないわね。まぁ、ちょっとくらいなら別に良いですけどね。多分久が頑張ってくれるでしょうし。)
~10巡目~
(聴牌・・・)
(小瀬川さん、聴牌したみたいですね。高い手じゃなければ良いんですけど。)
「深い所にいたなぁ・・・」
(やられちゃったみたいね・・・)
「ツモ。6000オール。」
(あらあら、目標点に達する事は出来なかったわね。)
『宮守の小瀬川選手、純チャン三色ツモで親跳和了です。』
『そうだね~。また連荘しないでこれで終わらせんのかな~』
『どうなんでしょうね。』
~対局室~
(これは終わりですかね・・・)
「お疲れ様で」
「続けます。」
「えっ!?」
「駄目ですか?」
「あっ、いえ、そういう訳では無いです。先程そうなさらなかったので少し驚いただけです。」
「はあ、じゃあ、一本場です。」
(まさか小瀬川さんが連荘してくるとは、疲れるのは嫌だけど負けるのはもっと嫌って事かしら?)
『連荘、続行です!先程の前半戦では和了り止めしていた小瀬川選手でしたが、今回は連荘するようです。』
『この連荘が吉と出るか凶と出るか、どうなるかね~。』
『さぁ、連荘するので次は南四局の一本場です。』
~南四局一本場~ 親:小瀬川白望
風越 147100
宮守 126000
新道寺 63700
永水 63200
(連荘した方が良い気がしたから連荘したけど、もしこれで和了られたりしたら無駄な点数消費になっちゃうな。やっぱり連荘とかしなきゃ良かったかな・・・)
「ポン。」
(こういう時に限って風越が鳴いてきた・・・折角連荘したんだからこっちも速攻で攻めないとな。)
~8巡目~
(風越もだけど宮守にもこれ以上離される訳にはいかないよね。ならこっちから攻めようか!)
「リーチ。」
「ロンです。対々。2600の一本場は2900です。」
(うわっ、やられた・・・)
(やっぱり、慣れない事はするべきじゃない。連荘しなければ良かったな・・・)
(本当はツモ和了で三暗刻も付けたかったけど、偶然だけど丁度15万点で終われたから良しとします。それに、ここでツモるのを待ってたら、また宮守に和了られる気がしましたからね・・・)
『先鋒後半戦終了!先鋒戦をトップで駆け抜けたのは風越大学の福路美穂子選手、そして福路選手を追うのは2位の宮永大学の小瀬川白望選手、そして3位の新道寺大学の安河内美子選手、4位は永水大学の狩宿巴選手という結果になりました。』
『こっからも見逃せないね~。』
『では、10分間の休憩の後、中堅戦を行います。』
~先鋒後半戦結果~
風越 150000
宮永 126000
新道寺 63700
永水 60300
次は久が登場します。更に、はっちゃん対塞さんの因縁の対局です。出来るだけ早く投稿するように善処しますが、多分また2週間くらい空けるかもしれません・・・すみません。
目次 感想へのリンク しおりを挟む