思い付いたけど続きそうにない話 (菊池 徳野)
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コスプレして烈火の剣に行く話

思い付いたから書いちゃったけど何にも考えてないので更新はないと思います。
むしろ誰か書いて欲しいくらい。
取り合えず続き書くなら別視点かなぁ。


コスプレ、というものをご存知だろうか?

昨今のジャパニメーションへの微量の寛容化やSNSの存在によって知っている人は大勢いる、と思う。

コスプレとは「成りたい存在に形から入ってみる」ことである。

髪型を変え、キャラの衣装を纏い、体型を整える。更には所作を限りなく偶像へと近づけ、せりふ回しを暗記し模倣する。

愛、キャラクターにあるいは求める偶像に対する愛があって成り立つ、コスプレとは自己満足とキャラへの献身的な愛によって行われる崇高な行為なのだ!

 

と、以上が現在俺を着せ替え人形にして遊んでいる友人の説得の文句である。

 

元々高校で演劇をやっていたのでコスプレに対して寛容な気持ちはあったのだが、まさか自分がやることになるとは思っていなかった。

「殺陣ができる」と口を滑らせたのが運の尽き。そのままあれよあれよと模造刀を握らされて実演後、30分後には着せ替え人形の仲間入りしていた。

 

黒い鉄塊のような大剣を扱う男に、燕を落とす農民、片眼の見えない桜な護衛、終いには半人半霊の少女のコスプレまでさせられた(流石にスカートは勘弁して貰ったが)。

 

オタク趣味にどっぷりな奴だとは知っていたが、まさかコスプレ衣装まで持っているとは思っておらず流石にドン引きだったのだが、やっていると案外楽しくのせられるままに色々とおれ自身楽しんでしまった。

その中でも俺のお気に入りだったのが「死神代行、黒崎一期」である。口調もさほど意識せずに話すことができ

る上、何より自分もよく知ったキャラクターであったからだ。

彼が主役の漫画『BREACH』はジャンプ連載の長編漫画で、言い回しがカッコいい所謂「オサレ」な台詞が多く、「ポエム集」なんて悪口を言う人も居たけれど個人的には概ね楽しんでいた。

どのくらい楽しんでいたかというと、未だに鬼道の詠唱もいくつかは覚えているし、斬魄刀の口上は一通り言える自信があるくらい、と言えばその度合いが分かっていただけるだろうか。

浅く広くとはいわないが「それなり」程度には好きな話だった。

 

刀に霊に悪の集団、さらにバトル物とくれば男の子はテンション爆上がりで大嵌まり、場合によっては闇の道に踏み入る者達も現れる始末である。

かく言う俺も…。まぁ、その辺はいいじゃないか、大事な事じゃない。

 

そんなこんなでコスプレというものを経験してころころと着せ替え人形にされて、その日は色々と疲れていたんだと思う。いや、疲れていた。

 

そうでもないとこんな変な夢なんて見ないだろう?

 

「あなた、不思議な姿をしているのね」

 

何処までも吹き抜けるように広がる草原に遊牧民が使っているようなゲルが建っている。

そして黒い艶のある…いや、緑の髪をした少女が話しかけてくる。

 

「何処から来たの?この辺では見ない格好だけれど旅の人かしら?」

 

そう言われて自分の服装を確認すると、黒い死に装束に背中に大きな荷物を背負っている。

あぁ、これは夢なんだと理解するのに時間はかからなかった。

 

そうと分かると違和感しか感じなくなる。

空は墨を塗ったような黒色で、遠目に見えるゲルからは人の生活臭がしない。馬のような家畜の類も見えないし、何より俺の住んでいる国に地平線がある草原なんて早々ない。

 

「・・・死神代行、黒崎一護」

「えっ・・・?」

 

ならばと悪乗りするのも悪くない。

明晰夢なんて普段見ることないのだから、思い通りになるなら少し遊びたくなるのが人間と言うものだ。

 

「死神って…」

「別にあんたの魂をもらいに来たとか物騒な理由でここにいる訳じゃねぇよ。たまたま夢に紛れ込んだだけだ」

 

俺が「夢」と言うと、少女も周囲を見渡して何やら思案しているようだ。その姿がどうも人間くさくて面白い。

変なところでリアルな夢だ。よくよく見ればかなりの美少女だし少し話をする位いいだろう。

それにしたって我が事ながらたくましい想像力だよな。もしかすると深層心理の理想が形になったのかもしれない。

 

「ねぇイチゴ、それなら少し話し相手になってもらえないかしら」

 

それにご都合主義なのも夢らしい話だ。

 

それから少女――リンは色々と話をしてくれた。

今は亡き両親の事、サカの部族の話、天馬騎士を目指す友達の事、狩りの為に弓術を練習している事など。まるで堰を切るように話し始めた。

それに対して相槌を打ちながら時折振られた話に応えていくが、どうにもこの世界観はファンタジーのようだ。

夢ならそういうこともあるかと思うが、スケールが大きすぎてそれだけで小説一つくらいなら書けそうなほどである。これも中二病を患った後遺症なのだろうか…。

などと内心愕然としているのを隠して…としていると不意に空が白み始める。

 

「悪いなリン。そろそろお別れだ」

 

目が覚める予兆、なのだろう。何となくそう理解して別れを告げる。

その頃にはこれが夢だとかリンが実在の人間じゃないとかはあまり気にならなくなっていた。

 

「今度会う事があれば、あなたの話も聞かせてね」

 

その言葉に軽くてを振って応えると、突然視界が開けた。

目を覚ますとそこは自分の部屋で、よく知るベッドで、あまり好きじゃない現実だった。

 

「・・・あー、死にてぇ」

 

ふとそんな言葉が漏れるがなんて事はない。

夢をまだまだ見ていたかっただけの事である。

 

「また会いてぇなー」

 

もし次リンに会えるなら、なんて思ってしまう位には魅力的な夢だったのだ。

 

 

 

 

あれから数日、日常には特別変わったこともなく仕事に家事にと惰性で生きる日々が続いている。

件の友人がコスプレしてイベントに出てみないかと誘ってきた事が唯一の出来事だろうか。

当然本格的にはまるつもりは無いので断っておいたが、特に気にした風でも無かったのであいつも本気で言った訳ではなかったらしい。

 

ただ、疲れていたのか何なのかあの日以来夢らしい夢を見ていない。元々夢をよく見る方でもなかったのだが、あんなことがあったのだから少し気になってしまう。

 

あの日と同じ様にすればまた夢が見られるかなー、なんて考えて寝たのがいけなかったのか。はたまた、実は友人がひっそりと傷ついていて、イベントに行かなかった俺を呪っていたからか。いくら考えても真実は分からないが、兎に角俺は夢を見ていた。

 

 

青々とした緑が美しい森に少し開けた草原。場所が山合なのか手狭な感じはするものの、明らかに見覚えのない場所である。

天高く上った太陽の温かさが心地よい。

 

「ちょっと!あんた何ボーッとしてるのよ、危ないわよ!」

 

光合成、とか思いながらボーッとしていると声をかけられた。

いや、かけられたと言うか怒られたに近いかもしれない。なんにせよ白いシスター服のような格好をした女性から声をかけられたようだ。

どうやら、また俺はファンタジーな夢を見ているらしい。

 

「山賊が暴れてるんだから逃げるか隠れるかしないと…それともあんた戦える人?」

 

さて、今は緊急時らしいが…それにしても山賊とはまたベタな展開だ。

 

王道としてはこのシスター(仮)を手助けして一緒に戦うべきだろう。そしてめくるめく冒険の世界へ、なんて面白そうだ。

どうせ夢ならやりたいようにやるべきだろう。

背中に背負った残月を確認してから戦闘に参加する旨と名前を伝える。

 

「変わった格好だけど、武器からして力はありそうね。折角だしこのセーラ様のために頑張りなさい!」

 

と、なんと言うか変わった応援だったが、取り合えず参戦することにはなったらしい。

そのまま大まかな山賊の位置を教えてもらい、軽く周囲に敵が居ないか見て、シスター――セーラを置いて先攻する。

最悪斬れなくても残月なら平たい部分で殴ればいいか。なんて考えながら走るのだった。




烈火はリン編から始めてなんぼかな?と思った結果、軍師殿と被らないようにセーラ登場回に合わせることに。
このあとはニニアン救出やニルスと戯れたりしてさくっとリン編を終わらせてエリウッド編へ…。

いや、やっぱりヘクトル編かな。若様に訝しがられるけどマシューに取り成してもらって仲間になってセーラに振り回される…とか?
封印プレイヤーとしては未来で死ぬ予定の誰かと結ばれて死を回避したいとか思ってたり思ってなかったり。

まぁ、そんな感じの妄想しかないスカスカの内容でしたとさ。


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イレイザーヘッドの後輩が雄英高校に就職する話

突発性ネタ出し症候群の発作第二段。
主人公の個性とかまったく考えてない。

冒頭のヒロアカ世界の説明は勝手に作り上げただけなので公式とかではないです。
でも、あの世界ってかなり停滞した文明だよね。


この世界に『個性』というものが浸透してから、人間の社会は大きく変わった。

所謂ヒーロー社会と呼ばれる現代は、『個性』に依ってより優れた文明を獲得した。天才というのは曖昧な表現ではなく機械で確実に測定できる『個性』となり、人類の進化にこれまで以上の多様性を『個性』はもたらした。

人々は自分の才能を目に見える形で理解することで人生の目標を明確なものとし、世間には安寧の象徴とも言えるヒーローが日常として溢れる。より明るく輝かしい未来を歩む事を選択する活力有る人々が大多数を占めるようになった。

 

しかし、それと同時に社会の闇はより根深く、汚泥を煮込んだかのように陰湿で、まるで花を毟るように呆気なく命のやり取りがなされる、ぐずついた物になった。

その筆頭として、敵(ヴィラン)と呼ばれる悪党が存在する事が当然となり、創作物の世界のように正義 対 悪の構図が明確なおぞましい社会になった。

 

『個性』が世界にもたらしたものについて、多くの学者は口をつぐむ。

それは彼らが無理矢理飲み込んだものが今の平和な社会を否定するものであるからだ。危険な事から目を逸らし、輝かしいものを称賛する、そんな群衆を相手取ることを恐れたからだ。

 

ある学者はこう言った。

「『個性』のみを称賛するこのままの社会を続けていては、我々はやがてその報いを受けることになるだろう。法の整備や教育改革、それこそが今の我々が早急に行うべき事である」と。

 

それは『個性』がほぼほぼ社会に浸透した、ヒーロー社会の初期に世界に発信されたメッセージであった。そしてその彼の言葉の通り、その少し後から犯罪は凶悪化の一途を辿り敵(ヴィラン)が現れた。

現在彼は思想犯保護観察の名目で半服役状態と公にはされている。

 

世界は笑顔と光に溢れている。それが何を意味しているのか理解している人間は多くない。

誰もが平和の象徴を信じ、ヒーローが世界の平和を守る社会にどれ程の安定があるだろうか。

 

…あぁ、まったく住みにくい世の中になったものだ。

 

 

 

 

常森かぐやはプロヒーローである。

大きくはないが自分の事務所を持ち、基本的に常駐のサイドキックは雇わず事務方を三人雇っている。政府からの要請や担当区域の敵(ヴィラン)鎮圧以外で単独ヒーロー活動を行うことはない。どちらかと言えば他所のヒーローの一時的なサイドキックとして雇われる事が多い。

 

己の実力に胡座を掛いていられるほど常森の『個性』は強くない。現にビルボードチャートJPで上位に食い込んだ事はなく、精々が二桁を維持し続ける程度で、そのためあまり社会的に有名なヒーローではない。

 

そんな彼女が一時的に事務所を畳む事になったのは一通の手紙が原因だった。

大判の封筒が重く感じる程度に詰まった資料と、『雄英高校教員募集案内』と書かれた身に覚えの無い小冊子。そしてそっと添えられるように入っていた『ヒーロー協会からの指令書』。

曰く、常森かぐやは雄英高校の教員として職務を全うせよとのことである。

何故自分が、という気持ちはあったが更に詳しく読めば自分のサイドキックとしての支援能力の高さと安定した実績、担当区域の治安の良さ、何より教員免許の所持を理由に選出されたのだという事らしい。

 

なるほど理解した。ならば渋る道理も無いだろうと、思うが早いか先方に了承の手紙を送り、事務員達に一時的に担当区域にやって来るヒーローの説明とヒーローには政府からの連絡の仲介人である一人を除いた事務方二人の口利きをして、顔を合わせた次の日には荷物をまとめ雄英高校へと足を向かわせた。

 

 

 

「君が担当する科目は化学、勿論ヒーローとしての指導も行ってもらうが君には教師としての役割も期待しているよ」

 

根津校長の言葉を聞きながら私は何時になく緊張していた。故郷に錦を飾るとは言うが、まさか自分が母校で教師をやる日が来るとは。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫サ!君の他にも教員は居るし、彼等のサポートもついてるからね。指導教員はまだ本決まりでは無いけれど来週には通達が行くようにするからね」

 

そう言う根津校長に返事をして、応接室を後にする。

 

「あ、拙い。今になって実感出てきた」

 

やばいやばいと無意識に口から漏れる言葉を聞きながら今更ながら選択を早まったかと、暴れる心臓を押さえつけるように深呼吸を一度、二度…。

 

「何やってんだ常森」

 

三度息を吐く前に唐突に後ろから声を掛けられて肩が跳ねる。バッと後ろを振り返れば携帯栄養補給ゼリー飲料を啜るキューピーのたらこの着ぐるみがいた。

 

「誰がたらこだ、誰が。それで、廊下でラジオ体操なんて始めて何してんだ?」

「…お久しぶりです、相澤先輩」

 

この歩く寝袋の名前は相澤消太。「抹消ヒーローイレイザーヘッド」の名で活躍するプロのヒーローであり、私の同業者である。

私同様世間での認知度は低く、しかしヒーロー業界では名が知られているという、私との共通点が多いヒーロー。とはいえその実力は私よりも圧倒的に高く、認知度が低い理由も、単に目立たない私とは違って「仕事に差し支える」という理由で本人がメディアの露出を嫌っているからというカッコいい理由だったりする。

 

「そういや会うのは仕事以外じゃ卒業以来か。懐かしの母校の空気でも堪能してたのか?」

「いや、まぁ…少し緊張を解そうかなと。あと、私が事務所を立ち上げた時にお祝いに来てくれたじゃないですか」

 

また、彼も私同様雄英高校の卒業生であり、私の一つ上の先輩でもある。学生時代、私は山田先輩と睡先輩、もといプレゼント・マイクとミッドナイトを合わせた三人に色々と可愛がられた高校生活を送っていたのである。

 

「今になって緊張してたのか…本当に昔から変にずれてるな、お前」

「聖職者の肩書きの重さを噛み締めているんですから放っておいてくださいよ」

 

珍妙な見た目の先輩に珍妙な生き物を見る目を向けられるのは非情に腹立たしいが、ここはぐっと我慢である。

 

「お前の指導教員だが、マイクか俺のどちらかになりそうだ」

「あー、何となくそうなんだろうなとは思ってましたが推薦したの先輩方なんですね」

「まぁな」

 

まるで悪怯れる事の無いその姿はいっそ清々しさすら感じる。元々断る気は無かったとはいえ一言ぐらい連絡を寄越してくれても良かっただろうに。

まぁ、ヒーロー協会が書いてあるとはいえ教員免許有りを理由に雄英に私を寄越す筈が無いので予想はできたのだが。

だって私弱いし、弱いし!

 

「オール・マイトが来ることもあって有事に対応できるヒーローを増やすべきと話が出てな。お前に白羽の矢が立った」

「弓引いてた人が何言ってんですか。でも、正直先輩方に覚えて貰えていて嬉しかったですよ」

 

割りと仲良くしていたとはいえ社会人になると切れる繋りというのは少からず存在する。連絡しないままに連絡先だけ残ったアドレスの何と多いことか。

そんな現実を知っているからこそ、ついついこんな昔と変わらないやり取りに嬉しくなってしまう。子供っぽいかもしれないがこれは仕方ない。

そんな私を相澤先輩がじっと見つめてくるが、どうしたのだろう。というかドライアイなのに大丈夫なのかそれ。

 

「…よし、マイク誘って今晩は飯でも行くか。少し早いが歓迎会してやるから後で連絡寄越せよ」

「へ?あ…やったぜ」

「ありがとうございます、だ」

「ありがとうございます先輩!」

 

先輩の思考がどう帰結したのか分からないがただ飯にありつける事が決定した。

やったぜ。




期末試験で根津校長の代わりに主人公が上鳴と葦戸の相手をする。
以外に大きな活躍の場を思い浮かべられないので没。
添えものになるなら原作読んでりゃいいよねってなるから仕方ない。

日常ものなら書けなくもないけど、ヒロアカの世界では無理だよなってことでこっちも没。
でもこんな設定の主人公がいてもいいと思うんだよ。


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