暗殺教室~伝説のエース達 (武御雷参型)
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プロローグの時間

地球では無い、一つの惑星にある組織が存在する。その組織の名は“時空管理局”

数多の次元世界を管理する、言わば警察、検察、軍隊が一つに纏まった組織である。その組織の中には大まかに二つに分かれている部署がある。

一つが次元航行部隊。この組織は数多の次元世界を管理する組織であり、通称“海”と呼ばれている。

もう一つが、陸上部隊。各次元世界に配置されている組織である。

 

その中の次元航行部隊に配属されている山本俊輔が、レティ・ロウランに呼び出されていた。

 

「山本俊輔、入ります」

 

俊輔がレティの執務室に入ると、そこには先客が三人いた。

 

「来たわね。これで主要メンバーが揃った所で、話を始めるわ」

 

レティがそう言うと部屋の中の灯りが暗くなり、モニターが起動する。

 

「今回、貴方達を呼んだのは、一つの任務を行って欲しいの」

 

「それは、どう言う事ですか?」

 

「良い質問ね、はやてさん」

 

はやてと呼ばれた少女は、過去にロストロギアと呼ばれて忌み嫌われていた闇の書の管理者であり、現夜天の書の管理者をしている少女である。

 

「今回、貴方達を選んだ訳は、地球に関係してるの」

 

「どう言う事ですか? レティさん」

 

「フェイトさん。この事件を知っているかしら?」

 

フェイトと呼ばれた少女は、過去に実の母親の手によって生み出された、クローン人間である。

母親の願いを叶える為に地球へ降り立ち、ロストロギアを巡ってなのは、俊輔、ユーノと戦い、その後、母親とは死別となってしまうが、その事件の重要参考人として、管理局に身柄を拘束されていた。しかし現在の義理の兄と義理の母親の手によって無罪が確定され、現在では義理の兄と同様に執務官を務めている。

そのフェイトの質問に、レティはモニターに地球の新聞を映し出す。

 

「これって…………月が何者かによって爆破されて三日月に変えられた事件ですよね? 犯人が判ってないと聞いてますけど………」

 

「ところがね、なのはさん。犯人が自ら出て来たの」

 

なのはと呼ばれた少女は、ある事件をきっかけに魔法の事を深く学び、現在では戦技教導官を務めていた。

 

「どう言う事です? 犯人が自ら出て来たと言う事であれば、俺達が出る事は無いと思うのですが?」

 

「俊輔君の言っている事は尤もの事なのだけどね……………その犯人が要求して来たのは、ある中学校の落ち零れのクラスの担任として赴任し、そのクラスのみで暗殺してほしい」

 

「「「「は?」」」」

 

レティの言葉に四人は開いた口が閉じれなかった。

 

「ちょっと、ちょっと待って下さい‼ それってどう言う事ですか⁉ なんですか、学生に殺せと言うのですか‼」

 

「俊輔君の言っている意味の通りよ………でもね、この犯人、厄介な事に質量兵器自体が効かないの。いや、効かないと言うより、効く事が無いの」

 

レティはそう言うと、地球から採取したデータを四人に見せた。

 

「この犯人はね、マッハ20で飛ぶ怪物で、特殊なBB弾と専用のナイフでしか効かないようなの」

 

「じゃぁ、俺達を呼んだ意味も無いのでは?」

 

「そうでも無いわ。貴方達のデバイスを改良し、この弾と同様な成分を含ませる機能を持たせる事にしたわ。まぁ、前提としてこの任務を受けてくれると言うのが条件だけどね」

 

レティの話に四人は付いて行けなかった。

 

「………レティさん。お尋ねしたい事があるんですけど」

 

「何かしら、はやてさん」

 

「私達が行く意味は何ですか?」

 

「……………………驚くかも知れないけど、それでも聞くの? これは最高機密の情報よ? これを聞くと言う事は、この任務を受けてもらう必要があるわ。それでも聞くの?」

 

「「「「はい」」」」

 

レティの質問に四人は返事をする。

 

「判ったわ。任務を受けると言う事で、後戻りは出来ません。再確認です。良いのですね?」

 

「私は問題ないです。あっ、でもシグナム達はどないしよ」

 

「私も問題は無いです。でも、アルフを連れて行きたいです」

 

「私も、問題ないです」

 

「俺としては、ユニゾンデバイスの二人と使役しているモンスター達を連れて行きたいです」

 

四人の返事にレティは頷くとそれぞれの要望の答えを言って行く。

 

「はやてさん、ヴォルケンリッター達についてはこちらで何とかします。フェイトさんと俊輔君も同様ね」

 

レティの言葉に三人は安堵する。

 

「さて、話を戻します。犯人は来年の三月に地球を破壊すると言っているのです」

 

この言葉に四人は絶句する。

 

「現在、この事を知っているのは地球の各国のトップ達だけです。まぁ、当たり前よね。いきなり地球が一年後に破壊されますなんて話されたら、パニックになっちゃいますものね。それで、日本政府は怪物が条件としてだした中学校で暗殺をして欲しいと言う話になったのよ」

 

既に四人はレティが何を言っているのかさっぱりであった。しかし、レティは話を続けた。

 

「それで、怪物が日本の政府に条件を出したの。『殺されるのは御免ですが、椚ヶ丘中学3年E組の担任ならやっても良い』とね………可笑しな話よね。怪物が中学校の担任ならしても良いなんてね」

 

レティはそこで話を止め、一度四人の顔を見ると話を続けた。

 

「そこで、貴方達には怪物の行動を監視し、そこの学生と協力して怪物を排除してほしいの」

 

「ええと………話は判りましたけど………何でウチらなんですか?」

 

「だって、管理局に入ってあんまり中学校に行って無かったでしょ? だから、もう一回三年生としてですが、中学校に行ってもらおうと思います。それと、有給消化も含めてね」

 

この言葉に四人共、何も言えなくなる。四人の有給は、既に地球の社会人よりも多く持っており、一年間仕事しなくても良いぐらいなほどであった。そして、四人共に来年から高校生になる年齢であったが、管理局に所属している所為か、任務の度に中学校には行けていなかったのである。義務教育があると言っても、中学生の知識としては乏しかったのである。

 

「と言う事で、地球で休むと同時に今回の任務を受けてほしいの。あっ、今回の任務は有給消化と言う名目だけど、任務だから消化どころか増えるだけね」

 

レティはそう言うと笑うのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら送ってください。

指摘がありましたので、修正と付け足しを行いました。


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プロローグの時間二時限目

週一で更新しようと思ったのですが、早くにも書き上げてしまったので、投稿いたします。
お気に入り登録一件、ありがとうございます‼


レティは笑った後、直ぐに真面目な表情に変わる。

 

「さて、任務の内容は判ったかしら? それともう一つ。本当はこっちが本命なんだけどね」

 

レティは真剣な眼差しに変わり、モニターを展開させ、一枚の写真を映し出す。

 

「この人は?」

 

「一級次元犯罪者、ジェミニ・ハエルフ」

 

「「「「⁉」」」」

 

レティの言葉に俊輔達四人は、驚きを隠せなかった。一級次元犯罪者と言えば、管理局が総力を掛けて探している犯罪者の事である。次元犯罪者にも種類があり、三級から一級までは、殺人や誘拐等を主に示しており、その上にある広域次元犯罪者となれば殺人や誘拐、人体実験など様々な犯罪を犯した者を指している。

本命と言う言葉を受け、俊輔達四人はどういう内容なのか悟る。

 

「この次元犯罪者は、地球に潜伏してる事が判明したの」

 

「では、私達は今回の任務と並行してこの次元犯罪者の逮捕も含まれると言う事ですか?」

 

任務の内容の確認をフェイトが行う。

 

「そう言う事になるわね。もし、この次元犯罪者と遭遇した際は、惜しみなく力を発揮してほしいの」

 

「そう言う事ですか…………今回の任務の本命は、この次元犯罪者の逮捕と言う事ですね?」

 

俊輔も先生の暗殺よりこの次元犯罪者の逮捕を優先させる意味が判った。

 

「しかし、この男……何をしでかしたんですか?」

 

はやては次元犯罪者の犯した罪の内容を知らない為、レティに確認をする。

 

「この次元犯罪者、ジェミニ・ハエルフの犯した罪は、局員への過剰な殺戮と一般人の殺戮よ。それも尋常の無い数の人間をね。でも、まだ次元世界だけでしか行われてないけど………地球にいるとなれば。言わなくても判るわね?」

 

「「「「ッ⁉」」」」

 

ジェミニ・ハエルフの犯した罪の重さを知った俊輔達は、今回の任務の重要性を再確認するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俊輔達がレティに任務内容を知らされてから、数日の後。

俊輔達は管理局から自分達が住む家に戻り、今回の任務で地球で生活する事と任務の内容を全て話す。俊輔には家族と言ってもユニゾンデバイスの二人と使役しているトゥーン・ブルー・アイズがいるだけなのだが。なのは達の家族には反対したい気持ちがあったが、本人たちの意志が強い事に気付き、何も言わなかったのである。

そして、俊輔達は地球の防衛省に所属している烏間惟臣により、政府の高官が密会に使われるような料亭に呼び出されていた。

俊輔達は一度はやての家に集まり、防衛省に所属している烏間と言う男からの呼び出しの事について話し合いが行われていた。

 

「俊輔君。防衛省からの呼び出しの事について何か思いつくことあらへんか?」

 

「一つ、言える事があれば例の件の事についてだろうな」

 

はやての言葉に俊輔は、今回の第二目標である黄色いタコの様な生物を暗殺する事を指して言った。

 

「そうだろうね。それに………」

 

「うん。お父さんやお姉ちゃんが言ってたけど、私達の事を調べている感じがあるらしいの」

 

「やはりか…………」

 

フェイトとなのはの言葉に俊輔は確信を持つ。

 

「確実に俺達の事を調べられているだろうな」

 

「やっぱりか………そこら辺に関してはシグナム。なにかあらへんか?」

 

はやても俊輔と同じ気持ちになり、家に帰ってくることが多いシグナムに尋ねる。

 

「はい。我々の事を調べている連中についてですが、日本の防衛省の人間であると思われますが………」

 

「すずかちゃんやアリサちゃんの事も調べられている可能性も………」

 

シャマルの言葉にはやては低く唸ってしまう。

 

「ウチらの事だけでは無くて、交友関係も調べられていると言う事やな」

 

「はやて‼ 今度、そいつらが来たら私がぶっ飛ばして「アカンに決まってるやろ?」…うん」

 

ヴィータの言葉に重なるようにはやては止める。

 

「では、我が主。こちらとしては傍観をしているだけと言う事ですか?」

 

「そうする他無いやろ………それで、なのはちゃんとこは大丈夫なんか?」

 

「うん、お父さんもお姉ちゃんも特に何も言って無かったね」

 

盾の守護獣であるザフィーラの言葉にはやては答え、喫茶店を営んでいるなのはの家の事を心配するが、なのはからは何も言われていなかった。

 

「じゃあ、呼び出しに応じると共に、今回の俺達の本命であるジェミニ・ハエルフの逮捕の事については………」

 

「言わんほうがええやろ」

 

「その方が良いと思うよ。下手に話してしまうとお母さんたちに迷惑が掛かる可能性があるからね」

 

俊輔の言葉にはやてが進言し、フェイトもはやての言葉に賛同する。

 

「判った。では、俺達の事は何も話さない。これで良いな?」

 

「「「うん」」」

 

俊輔の言葉に全員が頷く。

 

「でも、もし俺達の事がばれた際には、椚ヶ丘中学を離れて本局に戻る。異存はない?」

 

「「「…………」」」

 

俊輔の言葉に誰も返事をしなかった。

 

「シグナム達は有事の際に動いてもらう為に、この家で待機してもらう。因みに今回の任務の指揮権って誰が持ってるの? はやてか?」

 

「何を言ってるん? 階級的には俊輔君の方が高いやろ? だったら必然的に俊輔君やろ」

 

「え? あれ、はやての階級って………」

 

「やっと二等陸佐になったばっかりや。俊輔君みたいに本局の特殊武装管理隊で勤め上げた実績で部隊長を任されてないで」

 

ここで明記しておくと、なのはは一等空尉を有しており、武装隊所属の戦技教導官でもある。フェイトも執務官としてのキャリアがあり、階級的にも二等空尉の階級を有している。

はやてに至っては、先日に行われた上級試験に合格したばかりで二等空佐の階級を有しているも、まだ実績が無かった。

一方の俊輔は、はやてを巻き込んだ闇の書事件後に正式に時空管理局に所属するのだが、その時に使われていたフォルムが質量兵器と勘違いされた所為もあって、本局と陸上本部に置かれてる特殊武装管理部隊に配属されてしまうのだが、そこで培った知識と転生者としての恩恵のお陰か質量兵器の知識が豊富で、いつの間にかはやて達よりも階級が上になり、今では特殊武装管理部隊の部隊長まで任されるほどであった。

 

「確かに俺が階級的に上なんだが………なんかな………」

 

「罪悪感があるって事?」

 

フェイトの言葉に俊輔は静かに頷く。

 

「それなら、今の特務隊(特殊武装管理部隊の事を指す)の指揮は誰が執ってるの?」

 

「今は副部隊長が指揮を執ってる。有事の際はそっちに行かないといけないのだが………まぁ、そんな事は無いだろう。でも良いのか?」

 

俊輔の言葉に全員が頷いた。

 

「はぁ~判った。では、今後の指揮は俺が執る。はやては副隊長な」

 

「任せて」

 

俊輔達はその後、一時的な部隊の事を話し合い、結果的には俊輔を部隊長とし、補佐として俊輔のユニゾンデバイスのシェリルとランカが就く事となった。

副隊長のはやてには、ヴォルケンリッターが配属される事になった。なのはとフェイトに関しては、フェイトの使い魔であるアルフを含めた小隊で話は纏まるのであった。




指摘がありましたので、修正を行いました。


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説明の時間

なんか、他の作品はスランプ気味やのに、こっちはすらすらと書けるのはなぜなんだ?


俊輔達は、防衛省所属の烏間に指定された場所へ来ていた。

 

「まさか、こんな高級料亭に来るなんてな」

 

「そうだね………にしてもここって……」

 

「アリサの会社が経営している場所だよね?」

 

俊輔達は烏間に指定された料亭の前にいるのだが、アリサの父親が経営しているバニングスグループの一部である事に気付いた。

 

「まさか、バニングスグループが絡んでるとか………」

 

「否定したいけど………どうだろ?」

 

「絶対に絡んでる気がする」

 

俊輔の言葉を反論する事が出来ないはやてとフェイトであった。

俊輔達は料亭の中に入り、烏間が待っている部屋へと通されるのであった。

 

「いきなりの呼び出しに応えてくれてありがとう」

 

「いえ、こちらとしてもいきなり防衛省の方からの呼び出しに驚いています」

 

「………そうだな(なんだ、この少年達は………俺達、大人でも出来るか判らないほどの落ち着きが見られる)」

 

烏間の言葉に俊輔が代表して答えるが、烏間は俊輔達の落ち着きぶりが大人でも出来ないほどである事を見抜いていた。

 

「私達の事を調べられていますよね?」

 

「ッ⁉(気付かれている⁉)」

 

なのはの言葉に烏間は驚きを隠せなかった。

 

「まぁ、当然の事ですよね? エスカレーター式の私立聖祥大付属を卒業した学生が、いきなり椚ヶ丘中学に再転入するなんてね?」

 

「…………」

 

俊輔の言葉に烏間は何も言えなくなる。

 

「勘違いしないでほしいんですけど、ウチらは貴方方を責めるつもりはありません。当然の事なんですから」

 

「それで、君たちはどうして椚ヶ丘中学に三年生として、E組に再転入しようと思ったんだ?」

 

「それは、防衛省の人間に話す必要がありますか? それに俺達は防衛省の方から呼び出されるような事はしてないんですけど?」

 

「君たちを呼んだのは訳があるのだが……先に我々の質問に答えてもらおうか」

 

「俺達は元々、中学校に真面目に行って無かったんです。三年生になってからね」

 

「それで、親からもう一度三年生として入れと言われ、私立聖祥大付属中学では問題児扱いだったので受け入れてもらえなかったんです。そこで親たちが勝手に椚ヶ丘中学校にお願いしをしたら、受け入れてくれたんですよ。でもE組ですけど………」

 

俊輔となのはが言っている事は本当の事である。俊輔には親がいないがユニゾンデバイスであるシェリルが母親役として、なのはの家からは父である士郎、フェイトの家からは義母であるリンディ、はやての家からはシャマルが動いていた。

流石にいきなりの再転入としてはおかしいであろうと言う親たち(一部を除き)の思惑でこうなったのである。

 

「それに関してはこちらでも確認している」

 

「じゃぁ、なんで確認したんですか?」

 

「君たちの事を書類上で知っていても意味が無いだろう? だが、書類上では君たちは学校に行っていると言う事になっているが?」

 

「まぁ、学校に行っているフリして遊んでたんですよ」

 

烏間の言葉になのはは苦笑いをしながら答える。

 

「そうか………」

 

烏間は何かを言いたそうにしていたが、敢てここは何も言わなかった。

 

「それで、今度は私達の質問に答えて頂けるんですよね?」

 

「ああ、君たちにはE組で暗殺をして欲しい。標的はコイツだ」

 

烏間はそう言うと一枚の写真を机の上に置く。そこにはレティに見せて貰った画像と同じであった。

 

「このタコの様な生物は一体何ですか?」

 

写真に写っているタコの様な生物の事を知っていた俊輔達であったが、知っていると言う風に感じられてしまうと話がややこしくなると思い、初見である事を演じた。

 

「この生物は月を七割型吹き飛ばした犯人だ。奴は世界各個の軍に殺されるのは嫌だが、椚ヶ丘中学のE組の教師として赴任して、生徒達に殺されたいと言ったんだ」

 

「「「「はぁ」」」」

 

烏間の言葉に俊輔達は、呆気にとられる。(演技であるが)

 

「そこで、防衛省が椚ヶ丘中学に事情を説明し、E組の担任として赴任する様に説得した結果、今では教師として教鞭を執っている。

 

「なにがなんだか解らない話ですね」

 

「………言わないでくれ。各国家の首脳陣が頭を悩ましている事なんだ」

 

「ですが、どうやって殺すんですか?」

 

俊輔の言葉で烏間は横に置いていたアタッシュケースを取り出し、蓋を開けるとそこにはゴム製のナイフとアサルトライフル、ハンドガンが一丁ずつ収納されていた。

 

「これらは奴に対して効果のある特殊な物質で作られたナイフとBB弾が込められたモデルガンだ」

 

烏間はそう言うとそれらを机の上に置く。

 

「君らにはこれらを使って、奴を暗殺してほしい」

 

俊輔達は机に置かれた銃やナイフを手に持つと徐に構えた。

 

「(恰好が様になっている。どこかで訓練でもしていたのか?)君たちはE組に来る事になっているので話をするが、誰にも話さないでくれよ?」

 

「「「「判りました」」」」

 

俊輔達は烏間の言葉に返事をするが、実は俊輔達は親などに話をしていたので烏間の言葉は意味が無かったのだが、それを知らない烏間であった。

 

「では、来週から来てもらう事になるがくれぐれも遅れない様に」

 

烏間はそう言うと俊輔達から銃を返してもらい、アタッシュケースに戻す。それと同時に部屋の扉が開かれ料理が運ばれて来る。

 

「ここは防衛省の経費から落ちるから食べてくれ」

 

烏間の言葉で俊輔達は運ばれてくる料理を食べるのであった。

 

後日談であるが、料金を支払う際に何割か引かれていた事に烏間は驚くのであった。




ご指摘がありましたので、一部、変更しています。


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転入の時間

ISABが配信されました。作者もやってます。てか、IS大好きな人間がこれを見逃す訳がありません‼
ラウラタンhshshs。

俊「おまわりさーん。コイツでーす」

オイ⁉止めて‼警察のご用にはなりたくないのです‼

俊「なら、憲兵さんで」

もっとダメェェェ‼ あっ、こんにちわ。憲兵さん。お疲れ様で………その手錠は何dいやぁぁぁぁ

俊「では、本編をお楽しみください」

それ、俺のセリフぅぅぅぅぅぅ‼


そして、俊輔達が椚ヶ丘中学のE組に再転入する日になった。

俊輔達は、本校舎の裏山に建てられた校舎に向かう為に山登りをしているのだが、なのはやフェイト、俊輔達は苦にならなかった。それもその筈である。高町家が月に何度か行う山での訓練に参加していた為、体力には自信があったのだが、はやてはデスクワークが多かった為か体力には自信が無く、直ぐにばててしまうのであった。

 

「なのはちゃん達は平気なんか?」

 

「私達はお父さんと一緒に山で訓練してるしね」

 

「私も時々参加してるし、管理局の訓練も合わせてるからね」

 

「俺もなのは同様に参加しているし、特務隊の訓練はこんなんじゃないからな」

 

はやては「自分も参加すれば良かった」と後悔するのであった。

そして一名を残して全員が山を登り終えるのであった。

 

「ヌルフフフ。遅刻せずに来ましたね?」

 

四人の前に一匹の黄色いタコの様な生物が立って俊輔達を出迎える。しかし、俊輔達は驚く事は無かった。

 

「貴方がここの担任ですね」

 

「ニュヤ⁉ 驚かないんですか?」

 

「当たり前です。説明を受けたんですよ? 驚く必要ってありますか?」

 

「い、いや……ふつうは驚くんですけどね?」

 

「驚いてますよ? でも、事前に話を聞いていたんで………」

 

俊輔はそう言うと言葉を切る。烏間が立っていたからである。

 

「では俺に付いて来てくれ。貴様は教室に帰れ‼」

 

「そんな⁉ 烏間先生、酷いじゃないですか‼」

 

「うるさい‼」

 

烏間はそう言うと懐に仕舞っているナイフを取り出し、殺先生に振るが避けられる。しかもご丁寧に髪の毛をセットするほどであった。

セットが終わると、殺先生は教室へと向かうのであった。

 

「では付いて来てくれ」

 

烏間はそう言って校舎へ向かう。俊輔達も校舎へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、教室内では転入生の事で持ちきりであった。

 

「ねぇ、聞いた? ここに転入生が入ってくるんだって‼」

 

「聞いた聞いた‼ 女の子かな? 男の子かな?」

 

「かっこいい男の子だったら嬉しいな‼」

 

生徒達は俊輔が転入してくる事について話し合っていた。どんな人が来るのか、また、人数までは話されていなかったので、生徒たちは男子が来るのか女子が来るのかで持ちきりであった。

 

「みなさーん。席に着いてください。出席を取ります」

 

「起立、気を付け」

 

殺先生の言葉で全員が席に戻り、日直の号令で席を立つ。ここまではごく普通の朝のあいさつである。しかし、生徒に銃が握られていなければの話である。

 

「………礼‼」

 

日直の言葉と同時に、全員で発砲が始まる。

 

「射撃したままで構いません。出席を取ります。銃声の為、返事は大きな声でお願いします」

 

先生はマッハ20の速さですべての弾丸を避けながら出席を取っていた。

そして、全員の出席が取れたと同時に射撃も終わる。

 

「全員、出席してますね‼」

 

そう言うと先生の顔は○が付けられていた。

 

「しつもーん‼」

 

「はい何ですか、茅野さん」

 

茅野カエデが手を上げる。

 

「席が四つ、空いてるんですけど………」

 

「おっと、そうでしたね。今日から四人の生徒が入って来ます」

 

「男の子ですか‼」

 

「美女ですか‼」

 

岡野ひなたと岡島大河が先生に尋ねる。

 

「男子一人に女子三人です。そろそろですかね」

 

先生の言葉が終わると同時に教室の扉が開かれ、烏間が入ってくる。

 

「今、こいつが言った様に転入生が入ってくるが、事情があって君たちとは学年的には一つ上になる。だが、年齢的には一緒になる」

 

烏間の言葉にクラスの全員が言葉を失う。

それをあえて無視して、烏間は俊輔達を呼ぶ。

 

「入って来てくれ」

 

「はい」

 

「「「はーい」」」

 

俊輔達は返事をして教室に入ってくるが、またしても全員が言葉を失う。

それもその筈である。俊輔は私立聖祥大付属学校の中でもモテていた男子であり、学校一モテる男子と呼ばれていた。

なのはやフェイト、はやてに至っては、アリサとすずかを含めた私立聖祥大付属学校の五人女神と称されていた程の美女であったからである。

 

「山本俊輔です。君たちとは学年的にも年齢的にも一個上になりますが、よろしくお願いします」

 

「高町なのはです。俊輔君と同じく皆さんとは学年、年齢と上ですが、よろしくお願いします」

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオンです。名前が言い難いと思いますので、気軽にフェイトと呼んでね」

 

「八神はやてです。なのはちゃんやフェイトちゃん、俊輔君と同じく年齢的には上ですけど、よろしく」

 

俊輔達の自己紹介に、男子はなのは達の美貌に鼻の下を伸ばしており、女子は俊輔のカッコよさに顔を赤くさせるほどであった。

 

「君たちの席はあそこだ」

 

烏間の言葉で俊輔達は席へと向かうのであった。

 

「では、これにてホームルームを終了とする」

 

烏間がそう言うと、先生と烏間は教室から出て行くのであった。そして、俊輔達に待ち受けていたのはクラス全員からの質問攻めであった。

特に多かったのは、なのは達の誰と俊輔が付き合っているのかと言う事であった。自己紹介の時になのは達は俊輔の事を呼び捨てにしていた為、誰かが俊輔と付き合っているのであろうと考えていたが、それは覆された。

俊輔は既になのは達とは違う人と恋人になっており、それについてはなのは達も知っていた。そして、なのはに至っては、魔法の師匠であったユーノ・スクライアと交際しているのであった。

因みにであるが、フェイトとはやてに関してはフリーである。

しかし、この事は俊輔達は言わなかった。言ってしまっては色んな意味で戦争が起きると感じていたからである。

 

 

 

 

 

 

 

そして、授業が終了し(決して書くのがめんどくさいと言う理由では無い)、全員が帰る為、山を下るのだが、本校舎がある校舎から帰る事になっていた。俊輔達も同じく一緒に帰っていた。

しかし、本校舎もほぼ同じ時間帯で授業が終わり、帰宅する生徒もいたのだが、殆どの男子生徒女子生徒が俊輔となのは達を見ていた。それもその筈である。

本校舎にいる生徒達には俊輔達の事を紹介されていないからである。

 

「俊輔君。私達って見られてるよね?」

 

「そうだな………(何だこの目線は? E組と言うだけでここまでに差別が出ているのか)」

 

なのは達は本校舎の生徒からの視線(願望やら嫉妬、差別)にウンザリしていた。俊輔に至っては、視線のほとんどが差別的な視線である事に勘付いていた。

 

「なのは、この後って俺達はどうするんだったか?」

 

「アリサちゃんとすずかちゃんが迎えに来てくれる事になってたはずだけど………アレかな?」

 

「…………それしかないだろ? にしても………」

 

「アレで来るとは思いもしなかったで………」

 

「でも、アリサやすずかの事だから、こうなる事は判ってたよ………」

 

なのはに帰りの事を確認すると、アリサとすずかが迎えに来てくれる手筈になっている事を俊輔に伝える。しかし、何と無く俊輔はナニで迎えに来るのか勘付いていた。

そして、校門の前に一台のリムジンが止まっているのが目に入る。そして、リムジンの傍にはセーラー服に身を包む二人の女性と一人の執事服に身を纏った男性が立っているのに気付く。

 

「やっぱりか………これからがめんどくさい事になるぞ」

 

俊輔はこの後に待ち受けている事が目に見えていたのであった。




ご指摘がありましたので、修正を行いました。


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暗殺の時間一時限目

書き上げれたので、投稿します。


俊輔達が校舎の外にリムジンが止まっている事に気付くと、二人の女性が俊輔達の名前を大声で呼ぶ。

 

「俊輔‼ なのは‼ フェイト‼ はやて‼」

 

「俊輔君‼ なのはちゃーん‼」

 

二人は俊輔の事を見付けると、手を大きく振ってこっちに来るように招きをする。

 

「まさかリムジンで来るとは………」

 

「鮫島さん。ご足労をお掛けします」

 

「いつもの事です。それにお嬢様たちをお守りするのも、私の任された仕事ですから」

 

そう言うと、鮫島はすぐにリムジンの運転席へと消えて行く。

 

「みんな、早く乗りなさい。この目線にはウンザリよ」

 

「ははは…アリサちゃんの言う通りだよ。私もそろそろこの視線は嫌なの」

 

アリサとすずかに言われ、俊輔達はリムジンへ乗り込むのであった。

だが、それを見た本校舎の生徒達は、E組へ転入した俊輔達の事を生意気な生徒と思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

車内では俊輔達が車の中に常備されているジュースを片手に話をしていた。

 

「それで? どうなのよ。学校は?」

 

「そうだよ。俊輔君達は学校を卒業しているのに……任務と言うだけで再転入されるなんてね」

 

「災難と言えばそれでお終いなんだけどな………」

 

「私達に言わせてみれば、なんか任務なのに有休を使って里帰りしちゃったって感じなんだよね」

 

アリサとすずかの質問に俊輔となのはが答える。フェイトとはやてに至っては苦笑いをしているだけであった。

 

「でも、アンタ達とこうして一緒に登下校できるなんて思っても見なかったわ」

 

「俺達も同じだ。本局で仕事している筈なんだけどな……まぁ、有給消化と言う名目での仕事だからな。上からも言われたよ。有給消化しているのに任務だから、結局のところ増える一方だって」

 

「「あははははは」」

 

俊輔の言葉にアリサとすずかは苦笑いをするだけである。

 

「明日は何時に迎えに行けば良いのかしら?」

 

「え? アリサちゃん達。学校はどうするん?」

 

「私達の事は大丈夫よ。どの道、高校に行く道のりだから。アンタ達の登下校ぐらい問題は無いわ」

 

はやての言葉にアリサは答える。アリサとすずかが通う高校は椚ヶ丘中学の前を通る道になっているので、登下校そのものに問題が生じる事は無いのである。

 

「魔法関連に関してはどうなっているの?」

 

「防衛省の人間は知っているの?」

 

「いや、知らない。俺達の任務は一級次元犯罪者を逮捕する事にあるからな。椚ヶ丘中学に行く事は第二目的と言う事になるな。それに……」

 

「私達の事をしゃべった所で信じてもらえるか……」

 

「それに、私達の年齢で階級的には自衛隊で明記したら上に相当する程だからね。あんまり口外する事は出来ないよ」

 

俊輔達の階級は、なのはとフェイトに至っては尉官であり、はやてと俊輔は佐官である。烏間自身の階級は佐官であり、俊輔と同等クラスである。

 

「でも、どうするつもりなのかしら?」

 

「どうするつもりとは?」

 

「暗殺の件よ」

 

アリサの言葉に俊輔達は何も言えなくなる。今までの任務では人を殺める事はしなかったが、今回の任務は怪物であるが、その前に教師をしている先生を殺す事になっている。

 

「そこが問題なんだよ」

 

「どう言う事、俊輔君?」

 

俊輔の呟きにすずかが尋ねる。

 

「俺は今までの任務でも、間接的に人を殺してしまっている事も多い。だけど、なのは達には……」

 

俊輔の言葉になのは達は少し表情を暗くする。

 

「武装隊に所属しているなのはは特に感じているんじゃないのか?」

 

「………うん」

 

俊輔の問いかけになのはは少しだけ間を開けて返事をする。

 

「はやてとフェイトはこういう任務に関しては初めてだが、間接的には見て来ているはずだ」

 

「「……うん」」

 

「俺自身、正直迷っている点が多くある。一級次元犯罪者の逮捕を重点的に置いた任務遂行を遂げたいんだがな………大気圏にはアースラが待機している事もあって、下手な事は出来ないんだ」

 

俊輔の言葉でアリサとすずかは何も言わなくなる。

 

「で、でも‼ それ以外だったら問題ないんじゃないかな?」

 

「どう言う事だ?」

 

すずかの言葉に俊輔は尋ねた。

 

「ほら、故郷に帰って来れたんだから、暗殺も大事だけど、子供らしく遊んでも問題は無いと思うよ」

 

「「「「…………」」」」

 

「アレ? 私って変な事言った?」

 

すずかの言葉に俊輔達は何も言えなくなるが、確かにすずかの言っている事は正しい事である。

管理局で仕事をしている時は、気を休める時間があまりないに等しいが、故郷である地球での任務で少しだけでも気を休めたらいいのではないのか?と言う言葉に、俊輔達は余裕が持てる様になっていた。

 

「確かにすずかの言う通りだな。故郷に帰って来れたんだ。ここは気を休めようぜ」

 

俊輔の言葉になのは達も同意するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俊輔達はE組にて授業を受けていた。

そして、昼休みになるとそれぞれが仲良しの友人と一緒に食事をするのだが、俊輔達もひと固まりで食事を楽しんでいた。

 

「俊輔君、次の授業って………」

 

「国語の時間だな。フェイト、大丈夫か?」

 

「ふぇ⁉ あっうん。大丈夫…………多分」

 

次の授業が国語と言う事もあって、日本語が苦手なフェイトには地獄の様な時間であった。但し、それは過去の問題である。現在では日本語も出来る様になり日常会話はお手の物であった。しかし、日本の文化まではまだ不慣れな事も多く、最も苦手な教科として社会が上がっていたが、まだ現状、不慣れな状態であった。今でも勉強は続けているのだが………

 

「ん? あれは………」

 

俊輔は一人の生徒が校舎の外へ連れ出されているのが目に入った。

 

「少しだけ離れる」

 

俊輔はそう言って、席を立つのであった。

 

 

 

 

校舎の外では潮田渚が寺坂竜馬達、通称寺坂グループに殺先生の弱点の事を聞きだされている所であった。

 

「あのタコ。機嫌によって顔の色が変わるだろ? 観察しとけって言ったやつ。出来てるんだろうな?」

 

「う、うん」

 

寺坂の言葉に渚は頷く。そして懐に仕舞っていた先生の弱点を書いているノートを取り出し、言われていた事の結果を伝える。

 

「余裕な時は顔が縞々になるのは知ってるよね? 生徒が間違えていたら暗い紫。正解だったら明るい色の朱色。あ、後。面白いのは昼休みのあt「俺が知りたいのはそう言う事じゃねぇんだよ」…」

 

渚の報告に寺坂は被せて遮る。

 

「作戦がある。あいつが最も油断をしている顔の時にお前が殺りに行け」

 

「ぼ、僕が……でも」

 

「いい子ぶってんじゃねぇよ。E組だ。進学校について行けなかった脱落組だ。通称、エンドのE組」

 

寺坂の言葉に渚は表情を暗くする。

 

「毎日、隔離校舎に通わされて、あらゆる面でカスみたいに差別されてる」

 

そう言うと寺坂は渚の肩に手を回した。

 

「俺らが100億円なんて大金、一生手に入るチャンスなんてないぞ? それこそ宝くじの10億円を百枚当てないと手に入らない代物だ。そんな事絶対ある訳が無い。だから、抜け出すんだよ。このクソみたいな状況から」

 

そう言うと寺坂はポケットからある物を取り出し渚に渡す。

 

「しくじんなよ、渚君」

 

そう言って寺坂達は渚から離れて行く。渚は手に置かれた物を見つめるだけであった。

 

 

 

 

 

 

俊輔は校舎の隅で、今のやり取りを見ていた。そして、渚の手に置かれた物について、愛機であるリリィに確認をする。

 

「リリィ、中身がなんなのか、判るか?」

 

《………あの袋の中には火薬が少量入っている手榴弾よ。でも中身のほとんどは対殺先生用のBB弾が詰め込まれてるわ》

 

「と言う事は、近づいてドカンと殺るつもり…か」

 

《そう言う事になるわね………どうするつもり?》

 

リリィの報告に俊輔は少しだけ考え、結論を出した。

 

「止めるつもりは無いが………やるだけ無駄だな」

 

《どう言う事?》

 

俊輔の言葉にリリィは尋ねた。

 

「簡単な話だ。マッハ20で動ける奴に簡単に手榴弾で殺せると思うか?」

 

《………ムリね》

 

「そう言う事だ。戻るぞ」

 

そう言って俊輔は校舎へと戻るのであった。




週一更新ってなんだっけ?と思っている自分がいる

修正を行いました。
今後は投稿する前に確認をして、問題が無ければ投稿します。
夜中のテンションって怖いですね。


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暗殺の時間二時限目

仕事が休みの日は……執筆が出来る‼ イヤッホー、サイコーだぜ‼
すみません、パンツァー・ハイになりました。(戦車要素は何処だ?)
今回も二話続けて投稿出来ると思います。

もう少しでガルパン最終章ですね。
うちの近所にある映画館では上映しないので、少し離れた劇場へ行かなくてはならないです。
悲しきかな…………しかも、上映日は明日からでしたよね。仕事だよ‼ 
日勤だよ‼ 19時まで仕事だよ‼ 金がねぇよ‼ ボーナス貰ったら速攻で行くもん‼

と言う、作者の愚痴は置いておいて…………本編へどうぞ‼








見に行きたい「うるさい」すみません。


渚はまだ手に置かれた物を見つめていた。そして、過去にE組に落とされると知った時、他の生徒が聞こえる様に渚に言っている声を思い出していた。

 

〈アイツ、E組に転入だってよ〉

 

〈うわ、終わったな。アイツ〉

 

〈俺、アイツのアドレス消すわ〉

 

〈俺も。アイツと同類と思われたくないし〉

 

渚は寺坂同様に、このE組から抜ける為には、こうするしか無いと思っていた。

その時、先生がどこからか戻って来たのである。手にはミサイルを持っていたが……

 

「ただいま帰りました」

 

「お、お帰り先生………どこに行ってたの? それに……手に持っているミサイルはどうしたんですか?」

 

渚の質問に先生は、ミサイルの入手経緯を話し出す。

 

「お土産です。日本海で自衛隊に待ち伏せに遭いました」

 

「大変ですね……ターゲットだと………」

 

「いえいえ、皆から狙われるのは力を持つ象徴ですから」

 

先生の言葉に渚は、少しだけ羨ましいと思ってしまう。

 

「さ、五時間目を始めますよ」

 

そう言って先生は校舎の方へ歩いて行く。その時、渚の表情は暗くなる。

 

「先生には判らないよね……みんなから狙われると言う事は、裏を返せばみんなから力を認められていると言う事だ。判らないよね、そんな怪物に………期待も警戒もされなくなり、ましてや認識さえもされなくなった人間の気持ちも……先生には判らないよね」

 

渚は先生に聞こえない程度で呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、それでは。お題に沿って短歌を作ってみましょう」

 

『は?』

 

先生の言葉に誰もが変な声を出す。

 

「最後の七文字を“触手なりけり”で締めて下さい」

 

『は?』

 

また同じ声が出てしまう。

 

「先生、“触手なりけり”ですか?」

 

神崎有希子が手を上げて再確認をする。

 

「はい、“触手なりけり”です。では、例文です」

 

そう言うと先生は例文を読みあげる。

 

「花さそふ、嵐の庭の雪ならで、はえゆくものは、触手なりけり」

 

解説として、鮮やかに映え、力強く生きていく生命とは、庭の桜を散らす花吹雪などではなく、触手だったんだなぁと言う意味である。

書いている身としては、意味が不明である。

 

「手だと思ってたけど………触手だったんだな」

 

磯貝悠馬は手が触手であった事に呆れていた。

 

「では、書けた者は先生の所に持ってきなさい。チェックするのは文法の正しさと触手を如何に美しく表現出来たかの二点です。出来た者から帰って良し‼」

 

『ええぇぇ』

 

先生の言葉に全員が反論する様な声を出す。

 

「ほうらほら。ぬるぬると素晴らしい句が浮かび上がりませんか?」

 

そう言うと先生の触手がぬるぬると蠢く。と、同時に先生も「ぬるぬる」と言い始め、終いには生徒から苦情を受けるのであった。

その後、先生は顔を桃色に染まらせる。

 

「せんせーい。質問」

 

「…はい、何でしょうか? 茅野さん」

 

カエデの声に一瞬だけ反応が鈍くなる。

 

「今更なんだけどさぁ、先生の名前ってなんていうの? 他の先生と区別する時、不便だよー」

 

「ニュヤ? 名乗るほどの名前はありませんね。皆さんで付けて下さい。でも、今は課題に集中してくださいね」

 

「はーい」

 

先生の言葉にカエデは大人しく従う。

 

「では、先生はその間に一休みします」

 

そう言ってまた、先生の顔は桃色に染まる。

渚は先生が桃色に染まった顔をみて、作戦を実行しようと席を立ちあがる。

 

「おお、もう出来上がりましたか。渚君」

 

そう言う先生は、黄色では無く桃色のまま渚に視線を合わせる。

渚も俳句を書く紙を持って先生の元へ近づいて行くが、紙には何も書かれていなかった。だが、紙に隠す様に対先生用ナイフを隠していた。

 

「へへっ」

 

「ん?」

 

「………(リリィ、直ぐに結界が張れる準備だけしておけ)」

 

《(了解)》

 

寺坂は渚が実行する様子を見て薄ら笑みを浮かべ、カエデは渚が紙に隠す様にナイフを仕舞っている事に気付く。そして、俊輔は対応出来る様にリリィに指示を送っていた。

 

「(昼食の後に僕らが眠くなる頃。先生の顔はピンク色に染まる。茅野の質問にもやや遅れて答えていた。先生も一番、油断する時間なんだ)」

 

渚はそう思いながら先生の近くまで普通に歩いて行き、徐にナイフを突き立てようとするが、先生にとっては予想の範疇であった。

 

「言ったでしょう。もっと工夫を」

 

「(認めさせなきゃ)」

 

渚はそのままノーモーションで先生に向かってダイブする。殺先生は渚の制服にうまく隠されていた手榴弾を見付ける。

 

「ニュヤッ⁉ 手榴弾‼」

 

寺坂は渚が先生に抱き着いたのを見図った所で爆弾のスイッチを躊躇いも無く、押し込む。

すると、渚と先生の間で小さいながらも爆発が起きるのであった。爆発の影響で、対先生用BB弾がクラス中に撒き散らされるが、寺坂たちにとってはどうでも良い話であった。

俊輔やリリィも寺坂から渡された物が火薬が入ったものである事には気付いていたが、手榴弾を投げて暗殺する物だと思っていた為、まさかの自爆テロ紛いの行動に、何も出来なかったのであった。

寺坂達は先生を殺す事が出来れば、賞金100億が手に入るのである。もし、渚が火傷なり怪我を負ったとしても、その賞金で治療費に当てるつもりであった。

 

「オイ、潮田に何を持たせた‼」

 

「あぁ? おもちゃの手榴弾だよ。火薬を入れて威力を高めてるがな‼」

 

俊輔は寺坂に問い詰めたが、寺坂達にとってはどうでも良い話であった。これで、暗殺が出来たかと思うと何とも思ってもいなかったのである。

寺坂は渚の方へ視線を向けると、なにかの薄い膜に覆われた渚が無傷で寝込んでいたのが目に飛び込む。

 

「なんだこれ?」

 

「実は先生、月に一度だけ脱皮をします」

 

先生の声がしないのに先生の声が聞こえ始め、全員が先生の姿を探すが、どこにもいなかった。

 

「脱いだ皮を渚君に被せて護りました」

 

「オイ、天井だ‼」

 

俊輔の言葉で全員が天井の方へ視線を送ると、そこには天井に張り付いている先生が目を光らせ、表情を真っ黒に変えて行く様を見てしまう。

 

「月一で使える、先生の奥の手です」

 

先生の言葉はだんだんと冷え冷えとした声に変わり、教室の室温も低くなって行く事を全員が感じていた。

 

「寺坂、吉田、村松、首謀者は君ら、三人だな?」

 

「い、いや。渚が勝手に………」

 

寺坂の言い訳をした瞬間、先生の姿が消える。

そして数秒で帰って来たかと思ったら、床には各々の家の表札が散らばる。しかし、俊輔達の家の表札は無かった。

 

「君たち生徒には危害を加えない契約になっていますが、もし同じ手口で暗殺をしたら君たち以外の人間になにをするか判りませんよ。家族や友人否、君たち以外地球を吹き飛ばす事になりますよ」

 

先生の表情に全員の顔が強張る。今までに見た事も無い表情であったからである。

 

「なんなんだよ、テメェ‼ 迷惑な奴に迷惑なやり方で暗殺をしたら行けないって言うのかよ‼」

 

寺坂は先生に向けて指さしながら言い放つ。が、先生の表情はすぐに顔が赤い朱色に変わる。

 

「迷惑? とんでもない。君達のアイデアはとても素晴らしい‼」

 

そう言うと先生は渚の頭に触手一本を置いた。

 

「特に渚君、君の自然な体運びは100点です。先生は見事に隙をつかれました」

 

そう言うと今度は寺坂達に触手を向ける。

 

「ただし‼ 君たち三人は渚君を、渚君は自分の命を粗末にしようとした。そんな者に暗殺をする資格はありません‼」

 

先生の表情は暗い紫色に変わる。

 

「人に胸を張れる暗殺をしましょう。君たちはそれが出来る有能なアサシンだ。先生から君たちへ送るアドバイスです」

 

先生は生徒全員に言う。生徒一人一人、先生の言葉を胸の中へと仕舞って行く。

 

「そこで皆さんに質問です。先生は殺されるつもりは一切ありません。皆さんと楽しんで、来年の三月に地球を爆破するつもりです。それがいやなら、皆さんはどうしますか?」

 

その言葉に全員の気持ちは一致する。

 

『地球を爆破される前に先生を、殺します』

 

「ヌルフフフ。良い殺意ですね。なら、今ここで殺してみなさい」

 

『そんなの出来るか‼』

 

先生はその声を聞いて席に着くと、表札を一枚一枚丁寧に吹き始めた。

 

「今殺っても表札と一緒に手入れされるのが目に見えてる……」

 

「帰れねぇ」

 

生徒達は絶望に打ちひしがれていた。

 

「殺せない先生かぁ………殺せない………殺…先生……殺先生ってどうかな?」

 

「にゅや? では今後は先生の事は“殺先生”と呼んでもらいましょうか」

 

こうして先生は殺先生と呼ばれる事になるのであった。

 

「ところでさ、殺先生」

 

「なんですか?」

 

「なんで山本さん達の表札が無いんですか?」

 

「……………」

 

茅野の質問に殺先生は何も言えなくなる。

 

「まさかと思いますけど………隣街へ行く時間を惜しんだんじゃないんですか?」

 

「ニュヤ⁉」

 

俊輔の言葉に殺先生は図星を付かれ、オドオドし始める。

 

「そういや、俺達の家の事を言ってなかったな。俺達四人は海鳴市に住んでいて」

 

「友達がこの先にある高校に通ってるの」

 

「だから、通り道だからって事で」

 

「送ってもらっとるんよ」

 

俊輔、なのは、フェイト、はやての順番で、自分達の通学路の事を説明するのであった。




指摘がありましたので、修正を行いました。


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事件の時間一時限目

あの人が本格的に参入する事になりました。時系列とかムチャクチャかもしれませんが………ご都合主義と言う事で黙認してください。

ガルパン見に行きてぇ‼「まだ言ってるのかよ」


本校舎にある理事長室で烏間とその部下が、理事長である浅野學真に報告を行っていた。

 

「防衛省から通達済みと思われますが、明日より私も体育教師、副担任といて赴任する事になりました。教員免許も持っていますので、奴の監視と共に生徒達のメンタル面でのサポートを行いたいと思っております」

 

「………そうですか。生徒達の安全第一を……では、明日よりお願いします。烏間先生」

 

「はい」

 

烏間は理事長の言葉の後、部屋を退出する。

 

「しかし、烏間さん。物分かりの言い理事長ですね」

 

「フン……政府が見返りとして大金を積んでいるからな。あの理事長も公に下手な行動は出来ないと感じているのだろう………しかし、あの理事長」

 

烏間は報告をしている最中、一切烏間の方を向かなかった事になにか嫌な予感を感じ取っていた。

 

「何も無ければいいのだが………」

 

しかし、烏間の予想は当たっていた。浅野學真は合理性を求めて教師となり、今の地位を築いて来た人物である。

浅野學真は、今後のE組の対応によっては、いかなることもしようと考えていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

烏間はE組の校舎へ向かっていると、校舎の入り口から茅野が物干し竿を持って何か急いでいる様に出て来たのであった。

 

「あっ、烏間さん。こんにちは‼」

 

「ああ、こんにちは………何をしているのだ?」

 

茅野はその場駆け足をしていたが、烏間は明日から自分も教員として赴任する事を伝えると、「じゃぁ、明日から烏間先生になるんですね」と茅野は言う。

 

「それにしても、何を急いでいるんだ?」

 

烏間は茅野が手にしている物干し竿の事を尋ねる。

 

「殺先生が、花壇に咲いていた花を千切ったの。その見返りとして……アレ」

 

「ん? なっ⁉」

 

茅野が指差した方を見ると、一本の木の枝にロープで体を巻かれて吊るされている殺先生の姿があった。そして、その下では生徒達が各々の武器で殺先生を殺しに掛かっていたが、マッハ20で動ける怪物と言う事もあって、動くスピードは早かったのである。

 

「あれはあれで、暗殺と呼べるのか………ん?」

 

烏間は殺先生と生徒の殺し合い(一方的であるが)を見ていたが、その後ろで俊輔達が何かをしている様に思え、そちらへ行く事にした。

 

「君たちは、行かなくて良いのか?」

 

「ん? ああ、烏間さんか………あの先生を殺そうとしたところで無駄ですよ。だって、俺達はそこまでは早く動けませんしね………それに」

 

俊輔はそう言うと地面に置いていた銃を取ると、殺先生に向けて構え始める。構え方としては片膝を地面に付ける構え方である。

 

「俊輔君、距離50m。風力は微々。修正+2」

 

「OK。狙い撃つぜ‼」

 

俊輔が構えている銃はL96スナイパーライフルで、先端にはサイレンサーが取り付けてあった。

 

「そんな武器どこで手に入れたんだ………」

 

「友人に頼んで買って来て貰いました。初弾、5度のずれ。チッ、動きが速過ぎて狙いが定まらねぇ」

 

「私がやろうか?」

 

「頼む」

 

俊輔はなのはにL96を手渡すと、なのはは俯せになってL96の足をセットする。

 

「スポッター、お願いできる?」

 

「任せて」

 

なのははフェイトに頼むと、自慢の目を活かして距離等を測る。

 

「距離は変わらず。風力も微々。修正はいる?」

 

「いや、要らない」

 

フェイトの問いかけになのはは静かに断りを入れる。

 

「全力全開、(疑似)ディバイン・バスター」(ボソッ)

 

なのはが引き金を引くと弾は殺先生の足の先端を捕らえ、撃ち抜く事が出来た。

 

「ヒュゥ~、流石。なのはだな」

 

「なのはちゃん。今度、スナイパーにでも転属したらどないや?」

 

「いやぁ、それはムリかな?」

 

はやてと俊輔の言葉になのはは否定する。

 

「なのはにはスナイパーに向いてないよ」

 

「うんうん。私は運動音痴だしね」

 

この言葉を聞き殺先生や生徒、烏間の心は一致する。

 

(どこかだ‼ と言うかスナイパーに運動神経とかいるのか?)

 

「さて、と………烏間さん。申し訳無いんだけど」

 

「ウチら。ちょっと出なあかん様になりまして」

 

「早退します」

 

「明日は必ず来ますので」

 

「ちょっと待て‼」

 

そう言って俊輔達は烏間の言葉を無視して、荷物を手に取り山を下りるのであった。

 

 

 

 

俊輔達が早退する理由は一つしか無い。魔法関連の事である。

それは数分前の事にさかのぼる。

 

『君たちに出撃を依頼したい』

 

「どう言う事だ、クロノ?」

 

クロノから出撃の願いが出たからである。

 

『先ほど、ジェミニ以外の次元犯罪者が地球に密航した事が判明した。しかも広域次元犯罪者だ』

 

「は?」

 

『そこで緊急事態と言う事で、君たちに出撃を願いたいのだ』

 

「まぁ、それに関しては構わねぇが………資料を見せてくれ」

 

俊輔の言葉でクロノは、資料をリリィに転送する。

 

《………データを確認。俊輔。出すわよ》

 

リリィの言葉でモニターが展開されると、そこに並ぶ文字を見て俊輔達の表情が強張る。

 

「オイオイ、こりゃヤベェ事になるじゃねぇか」

 

「ジェミニ以上の犯罪者とか………」

 

「これは緊急時案になるのは間違いないね」

 

「…………」

 

俊輔達が目にした資料には広域次元犯罪者“ジェイル・スカリエッティ”と言う男の写真と過去に犯した罪が載せられていた。

 

「こんな広域次元犯罪者が何のために地球に来たんだ?」

 

『君たちが追っている怪物の事だと思う。奴も怪物の力を手に入れるつもりなのだろう』

 

「「「「…………」」」」

 

クロノの言葉で俊輔達は何をしなければいけないのかを悟る。

 

「クロノ。最優先事項の変更……と言う認識で良いんだな?」

 

『……ああ。申し訳無いが頼むぞ』

 

そう言ってクロノは通信を切るのであった。

そしてそこに烏間が来た為、早退と言う嘘を言い、学校から出るのであった。




指摘がありましたので修正を行いました。


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事件の時間二時限目

二話更新と言ったな………あれはウソだ。

「ナンダッテー」(棒読み

と言う事で、今回は三話目の更新です。

ガr「喧しぃ‼ くどいわ‼」ぐぎゃぁぁぁぁ(チーン)

「喧しい奴も消えた事だし………本編へどうぞ‼」

いつから消えたと思っていた?

「なん……だと………」


俊輔達が学校を早退する事になったが、クラスでは普通に授業が行われ、下校時間になり全員が校門を出ようとした時、黒塗りの車が現れ茅野と神崎の二名が連れ去られてしまう。

目の前で行われた誘拐に、誰もが反応する事が出来ず、それを見ているだけであった。そして、いち早く渚が携帯を取り出し、烏間へ一報を入れた。

 

「烏間先生‼ 神崎さんと茅野が誘拐されました‼」

 

『なにぃ⁉ それで車の車種、ナンバーは判るか?』

 

「いえ、急停車して神崎さん達を誘拐した瞬間、ものすごいスピードで走り去ってしまって、皆が見れなかったんです………ゴメンなさい。でも、黒塗りの車でした」

 

『他に誰か連れ去られてはいないのだな?』

 

「はい」

 

渚の報告を受け、烏間は予断を許さない状況とこのタイミングで行われた誘拐について考えたが、答えが得られず全員でもう一度教室へ戻る様に指示を出した。

 

『渚君。皆を連れてもう一度校舎に戻って来てくれ』

 

「判りました‼」

 

烏間の指示を受け、皆に伝えると大人しく校舎へと戻って行く。しかし、本校舎の生徒の姿が一つも無い事に気付く事の無いまま…………

 

 

 

 

その頃、俊輔達はと言うと、ジェイル・スカリエッティが潜伏しているであろう廃れた倉庫街に来ていた。

 

「ここが広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティがいると思われる場所なんだよね?」

 

「………ああ、クロノからの情報だとそうなっている筈なのだが………」

 

なのはの言葉に俊輔も辺りを見渡すが、人っ子一人いない状況であった。

 

「魔法の感知はされてへん……にしても………」

 

「人がいない事、魔法が感知されない事を含めて考えてみても、おかしい」

 

「ああ、どう言う訳か………あの時のロボット擬きもいるようだしな‼」

 

俊輔はそう言うと、自身の後ろから迫って来た機械をガンソードで胴体を貫き破壊する。

 

「囲まれてるな………どうする?」

 

「ここは強行突破あるのみ‼」

 

「うん‼」

 

「行くで‼」

 

俊輔の問いかけに三人はやる気満々であった。

 

「じゃあ、いっちょやりますか‼」

 

俊輔はそう言うとリリィを取り出し、バリアジャケットを展開する。なのは達も同じくバリアジャケットを展開し、臨戦状態へ気持ちを切り替える。

 

「全員、各個撃破‼ 散開‼」

 

「「「了解‼」」」

 

俊輔の言葉で三人はそれぞれ、動き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

その頃、神崎と茅野は車から降ろされ、一人の男の目の前に連れて来させられていた。

 

「やぁ、初めまして………私の名はジェイル・スカリエッティ。君には人質になってもらうよ」

 

「どうして……誘拐をしたんですか?」

 

「これは、冷静だね………君達に興味が湧いたよ」

 

ジェイルの言葉に神崎は冷静に尋ねたが、ジェイルは神崎と茅野は冷静さを欠けていない事に興味が湧く。

 

「君の質問に答えるとすれば、私の野望の為……とだけでも言っておこうかな?」

 

「野望?」

 

野望の為に君を誘拐したと言われても、神崎達にとっては意味が判らない事であった。

 

「君達には知らなくて良い事だよ………だが、これだけは言っておこうかな…………私はね、君たちの担任をしている教師に興味があるのだよ」

 

「「ッ⁉」」

 

ジェイルの言葉に神崎と茅野は驚く。国家機密である殺先生を知っていると言う事は、国家から依頼された暗殺者の一人と思っていたからである。

 

「おや? 君達はなにか勘違いをしているようだが………私はあの怪物を殺すために雇われた人間では無い。逆にあの怪物の事を知ろうとしているのだよ。独自でね」

 

しかし、神崎達の考えていた事はジェイルにはお見通しであった。

 

「私は、あの怪物の中に秘められている力を使って、世界に復讐をするつもりなんだ………おっと。私とした事が………内容まで話してしまった。だが、君たちの担任であるあの怪物は、私達が居るところまで辿り着く事は出来ないだろうね」

 

ジェイルはそう言って高笑いをしながら、神崎達から離れて行く。それと入れ替えに体に密着する程の服に身を纏っている女性が、神崎達に薬品を拭き掛け眠らせ、神崎達は目の前が真っ暗になるのであった。

 

「助けて………渚………」

 

茅野は気を失う前に渚の名前を呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

神崎の誘拐の一報を受けた烏間、殺先生は手分けして神崎の事を捜索し始める。

烏間は防衛省に頼み、捜査員たちを派遣して神崎と茅野の行方を探していた。

一方の殺先生は上空からの捜索に打って出た。

しかし、二人の教師が探しても、手掛かり一つ見つかる事は無かった。

だがその時、殺先生はある所に目を付けた。そこは俊輔達がいる廃れた倉庫街であった。

 

「あの光は………爆発の光か‼」

 

殺先生は爆発が起きている倉庫街へと急いで向かう。

そして、そこで目にする光景に度肝を抜かれるのであった。

 

「なっ⁉ あれは高町さんにハラオウンさん、八神さんに山本君。君たちは何者なのですか………それになんですか、あの剣を持った女性やハンマーを持った幼女は………私は夢を見ているのか?」

 

殺先生は目の前の光景に驚き、その場で停空してしまう。その時、殺先生は嫌な感じがしてそこから動くと、そこには一機のロボットが刃を突き立て、先程まで殺先生がいた所を刺していた。

 

「危なかった……もしあの場で止まっていたらあの刃で突き刺さっている所でした………消えた⁉ どこに………」

 

殺先生を刺そうとしたロボットは、姿をくらました。殺先生はロボットの事を探すが、相手は人間では無くロボットである。殺意など微塵も感じられなかった。

 

「そこにいるのは誰ですか‼」

 

「ニュヤ⁉ 人が………空を飛んでいる?」

 

殺先生に声を掛けたのは、薄い金髪に翠を主体とした服に持を包んだ女性であった。だが、殺先生がいるのは上空。女性も上空に立っていた。

 

「貴女こそなんですか? 人が空を飛んでいる訳がありません‼」

 

「…………」

 

殺先生の問いかけに女性は何も答えなかった。

 

「答えなさい‼ 答えなければ……「どうなるって言うのですか? 殺先生?」……山本君。君も空を飛んでいる。どう言う事なのか説明をして下さい」

 

殺先生の言葉に被る様に俊輔が尋ねると、殺先生は俊輔が飛んでいる事に疑問を持ち始める。

 

「…………隠す事も出来そうにないですね………めんどくさい事になった」

 

「めんどくさいとは何ですか‼ 君たちは何者なんですか‼」

 

俊輔の呟きに殺先生は怒り始める。

 

「判った、判りました。ですが、先に誘拐された神崎さん達の捜索が最優先ですよね?」

 

「ッ⁉ なぜ君たちがそれを知っているのですか? 君たちは今回の誘拐に関与しているとでも言うのですか?」

 

「…………」

 

殺先生の問いかけに俊輔は答えられない。確かに今回の誘拐に関しては、ある意味で俊輔達が関与されていると疑われても致し方が無い事であった。

なので、俊輔は曖昧な答え方をするのであった。

 

「確かに俺達は、今回の誘拐にある意味で関与していると言っても過言ではありません「では‼」ですが‼ 俺達は神崎さん達を助ける方の人間です。後で詳しい説明をしますので、今は神崎さん達の捜索を最優先してください。俺達は逃げませんから」

 

俊輔の言葉と目力に嘘は無いと感じた殺先生は、俊輔の事を信用するのであった。

 

「………良いでしょう。ですが、神崎さん達を助けた後で、君たちの事を説明してもらいますよ」

 

殺先生の言葉に俊輔は静かに頷くのであった。




指摘がありましたので、修正を行いました。


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事件の時間三時限目

皆さん、お気づきですか? まだアニメ一話だけしか進んでないんですよ………
どうしてこうなったし………
今年も残り僅か(半月以上あるぞ)ですね。今年に出来た事はありますか? 自分は無いです。
まぁ、そんな話は横に流して………
来年で自分も25になります。四捨五入した30です。orz
もうおっさんって呼ばれる年になるんですね………憂鬱だわ………

まぁ、そんなこんなで色々とありましたが、今年もまだまだあるので、更新は続けて行きますので、よろしくお願いします‼


時は俊輔達が廃れた倉庫街で、過去になのはを傷つけたロボットと戦闘になる頃までさかのぼる。

 

「クソッ‼ 数だけは多いな‼」

 

「ぼやく暇があったら、破壊して‼」

 

「してるんだよ‼」

 

俊輔のぼやきにフェイトが注意するが、俊輔の手は止まっておらず、ロボットを破壊していた。しかし、数が不明瞭の為、破壊しても限が無かった。

 

「詠唱魔法でも使うか?」

 

「それは流石に……」

 

俊輔の言葉になのはは止めるが、俊輔自身も自身の詠唱魔法の威力を知っているので、使う事は出来ずにいた。

 

「主‼」

 

すると、シグナム達が合流したと同時に結界が張られ、外と一切の通信を遮断されてしまう。

 

「いきなりやな………私達を誘い込むために、態と結界を張らんかったんか?」

 

「………それは言えているな」

 

はやての言葉に俊輔も同意する。だが、俊輔は気を切り替え、それぞれに指示を出していく。

 

「はやて、なのは、フェイトは俺と一緒にロボットの破壊を続ける。航空機タイプも確認されているから、上空にはシグナム、シャマル、ヴィータが行ってくれ。ザフィーラとシェリル、ランカは取り残された人がいないか、捜索を行ってくれ。各自、散開‼」

 

『了解‼』

 

俊輔の指示でそれぞれが動き出した。外との通信を一切、遮断していたが、モニターが展開されクロノが映し出された。

 

『俊輔‼ 無事か‼』

 

「無事と言えば無事だよ‼ ロボットに襲われてなければな‼ てか、なんで魔力を使った通信は出来るんだよ‼」

 

クロノからの通信であったが、俊輔は外との通信を遮断されているにもかかわらず、通信が出来る事に驚いていた。

 

『先ほど、こちらで確認したのだが………魔力関連のものであれば、通信が可能な事が判った。それと、君たちのクラスメイトの一人が何者かによって誘拐された』

 

「なに⁉ おっと‼ あぶねぇ」

 

クロノの言葉に俊輔はロボットからの攻撃を受ける所であったが、何とか回避して破壊するのであった。

 

「どう言う事だ‼ 誰に誘拐された‼」

 

『確認された人物は………広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティの一味だ』

 

「………」

 

クロノからの言葉に俊輔は落ち着いてロボットを破壊していくが、内心は焦っていた。

 

「誘拐された場所は?」

 

『………相手も僕達が今回の暗殺の件に加担しているとは思ってなかったらしく、最初から結界を張ってくれている。だが君たちがそこに来た瞬間の話だが……』

 

「なら、早くこの場を斬り抜けないとな‼」

 

俊輔はそう言うとなのは達に念話を送る。

 

「(こちら俊輔だ。今からどでかいのを放つ。各自、回避に専念しろ。巻き込まれても知らねぇぞ‼)」

 

『(了解‼)』

 

俊輔の念話でなのは達はその場を逃げ出した。そして、俊輔は詠唱魔法を出す為、意識を集中させる。その時、シェリルとランカがタイミングよく戻り、ロボットからの攻撃を俊輔に当てない様に護り始める。

 

「………我、堕天使より加護を受けし者。我が身の力は、堕天使より頂いた物。我が声に応えよ。我の命に従え………シューティング・ランサー・ボルテックス‼」

 

俊輔の足元にはミッドチルダ式の術式が展開され、俊輔のいる場所から半径2㎞が焦土と化した。

その結果、結界が破られロボットの残骸が至る所に転がっていたのであった。

 

「やっぱり、俊輔君を敵に回さんようにしな………」

 

「「うんうん」」」

 

はやての言葉になのは達は強く頷く。

そして、時は殺先生との会話に戻るのであった。それと同時に結界もいつの間にか無くなっていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

俊輔達とロボットとの戦闘が始まった頃、烏間の携帯が鳴り響き始め、懐に仕舞っていた携帯を取り出し開くと、そこには知らない番号から掛かって来ていた。

烏間は訝しみながらも、誘拐犯からの電話だと感じ取った為、通話を取る事にした。

 

「誰だ?」

 

『誰でも良い。簡潔に言う。貴様らが大切にしている生徒を二人、預からせてもらった。返して欲しければ、怪物を指定した場所に連れて来い。もし、この通話の内容を誰かに漏らした場合、生徒の命がどうなるかは判らないぞ』

 

受話器から聞こえる女性は、その言葉を最後に電話を一方的に切られる。

 

「おい、オイ‼ ………切られたか」

 

烏間はどうするべきなのか悩む。既に政府に連絡をしてしまっているが、この通話の内容を漏らすと言う事は、神崎と茅野を見殺しにしてしまう可能性が高かった。幾分か考えた結果、烏間は一つの答えを導き出した。

 

「聞こえるか? 聞こえたら返事をしろ」

 

『………聞こえていますよ。烏間先生』

 

烏間は殺先生に連絡を取り、措定された場所へ向かわせると言う選択を取った。だが、烏間はこの時、知らなかった。殺先生の近くには俊輔達がいた事に………

 

「先ほど、神崎さんを誘拐したと思われる犯人から電話があった」

 

『何と言っていましたか?』

 

「貴様を一人で指定された場所へ向かわせろ。もし、第三者に漏らした場合は神崎さんの命は無いぞ。との事だ」

 

『………困りましたね』

 

殺先生の言葉は、本当に困ったような声をしていた。

 

『判りました。私ひとりが向かいましょう』

 

「………俺も近くで待機させてもらう」

 

『判りました………ですが、第三者に漏らしたと言う時の場合ですよね? 烏間先生?』

 

「ああ、そうだが………どう言う事だ?」

 

烏間は殺先生の言葉に疑問を抱いて尋ねるが、殺先生は、はぐらかすだけであった。

 

『いえ、何もありません。ですが………烏間先生。貴方自身も身の安全を第一に動いてください』

 

「良いだろう」

 

烏間の言葉に殺先生は「では」と言って通話を切った。

 

「あいつの言葉は、近くに誰かがいたような感じだった………誰が近くにいるのだ?」

 

烏間は独り言を呟くが、答えが帰ってくる事は無かった。そして、烏間も知る事になる。俊輔達の事を………

そして、後にE組を巻き込む事件へ発展する事を、この時、誰もが思いもしなかったのであった。



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事件の時間四時間目

やっと、やっと俊輔の階級が出せます。
皆さんも気付きましたか? 俊輔の階級が出ていない事に。
まぁ、俊輔の階級に関しては、今後の転生者の夢の方で書いて行く予定にしていますので…
まだ、そこまで行って無いけど………(気にしたら負けと言う事で)

では、本編へどうぞ‼


今後は不定期更新になります。プロットが亡くなりました。


殺先生と烏間の会話は、俊輔達にも聞こえていた。

 

「殺先生。俺達も行きます」

 

「ですが、君たちには関係の無い事では無いのですか?」

 

俊輔の言葉にその真意を確かめようと殺先生は尋ねたが、答えたのはなのはであった。

 

「殺先生。私達の上司から、今回の犯人の事について知らされました」

 

「どう言う事ですか、高町さん?」

 

「今回の神崎さん達を誘拐したのは、私達が任務の中で優先的に解決をしなければならない犯人です」

 

なのはの言葉に、殺先生は俊輔達の存在が判らなくなった。

 

「先程、先生は尋ねましたよね? 君たちは今回の誘拐に関与しているとでも言うのですか? と?」

 

フェイトの言葉に殺先生は頷く。

 

「私達の事を簡潔にお伝えするのであれば、警察、検察、軍隊が一つになった組織に属していると言う事です。ですが、この世界では無いです。次元の海に存在する世界で、私達は働いています」

 

「では、なぜ? 私を暗殺するのですか? 君たちは違う世界の住人のはずだ」

 

なのはの言葉に殺先生は疑問を抱く。

 

「確かに普通であれば、私達が介入する必要性はないです。ですが、私達はこの地球の生まれで、海鳴市で生まれた者達です」

 

「そう言う事ですか………」

 

はやての言葉に殺先生は納得をした。

 

「行きましょう。時間だけが過ぎて行くのは、神崎さん達を苦しめるだけです」

 

俊輔の言葉で、全員が頷き動き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、指定された場所に近づくと、俊輔達は一度、地上へ降り立ちバリアジャケットを解除する。

 

「服装が変わった? それも君たちの力に関係している物なのですか?」

 

「ええ、私達は身を護る為に服装を変えてるのです。その事についても後程、お教えいたします」

 

殺先生は俊輔達の服装が変わった事に驚き尋ねるが、後で答えると言う事で納得する他無かった。

 

「なぜ、君たちがいるんだ‼」

 

すると、烏間の声がし、そちらへ意識を向ける。

 

「おや、速かったですね。烏間先生」

 

「そんな事はどうでも良い‼ なぜ、山本君達が居るのか説明してもらうぞ‼ それとそこにいる女性達の事もだ‼」

 

烏間は殺先生に問い詰めるが、どう説明するべきなのか迷っていると、俊輔が助け船を出した。

 

「烏間先生。申し訳ありませんが、その事については殺先生に説明を行います。今は、神崎さん達を助ける事を優先しましょう」

 

「………すべてを話してもらうぞ」

 

烏間の言葉に俊輔は静かに頷いた。そして、烏間と殺先生以外に指示を出していく。

 

「それと、これから俺が指示を出します。良いですね?」

 

「なぜだ」

 

俊輔の言葉に烏間が問う。

 

「この中で階級的には俺が高いからです」

 

「俺は一等陸佐の階級を所持している。君たちには軍属では無いのだから、俺の指示に従ってもらうぞ」

 

「そうですか……残念ですが、俺は陸上自衛隊に属している訳ではありません。ですが、違う意味ではそれに近い組織に属しており、階級では烏間先生。貴方より一つ上の階級を所持しています」

 

「なっ⁉」

 

俊輔の言葉に烏間は言葉を失う。烏間の階級は一等陸佐。それの一つ上となれば三等将クラスであると言う事である。

 

「俺の階級と組織だけを言っておくと、時空管理局本局所属、特殊武装管理部隊部隊長。山本俊輔三等空将です」

 

「同じく、時空管理局本局、武装隊並びに戦技教導隊所属。高町なのは一等空尉です。肩書としてエース・オブ・エースと言う名を頂いています」

 

「同じく、時空管理局本局、次元航行部隊所属。執務官のフェイト・テスタロッサ・ハラオンです。階級的には二等空尉です」

 

「同じく、時空管理局地上本部、特別捜査官。八神はやて二等陸佐です」

 

俊輔を始めはのはやはやて、フェイトの年齢に合わない階級に驚くのであった。

 

「まぁ、その事についても後程に説明しますが、先に今回の事件を解決する為に作戦が一つ、あります」

 

俊輔は烏間の驚きを無視して、話を進めて行く。

作戦の内容としては、殺先生を指定された場所へ行ってもらい、その後方にて俊輔達が待機し犯人が出て来た所を確保すると言う、殺先生を囮に使った作戦であった。

しかし、それを容易に認可する事は出来なかった烏間は、作戦内容の変更を申し出た。

 

「だが、犯人が君たちの事を知った時、どう出るか判らないのだぞ?」

 

「その事についても織り込み済みです。ここにいる全員が全線で戦う猛将達です。安心して下さい。まぁ、言葉だけでは何とでも言える言葉なんですけど………そこは行動を見て判断と言う事で。そして、今回の誘拐の犯人についてですが、俺達が追っている広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティと言う事です」

 

俊輔の説明に烏間と殺先生は、犯人の名前だけ言われてもどう言う犯罪を犯したのか判らなかった。

 

「俊輔君。ジェイル・スカリエッティの説明をしないと………」

 

「そうだった。忘れてたわ。まだまだだな、俺も………さて、ジェイル・スカリエッティの事を簡潔に説明をすると、人の命を弄ぶマッドサイエンティストと言えば判ると思います」

 

俊輔の簡潔な説明に何と無くだが、二人は想像する事が出来た。だが、人の命を弄ぶと言う言葉の意味が今一、理解がしきれていない烏間は、俊輔に質問を出す。

 

「何をしたのか、具体的に教えてくれないか?」

 

「………判りました。ジェイル・スカリエッティは人機一体の人間を作り出した人間です。また、クローン技術も高く………ここからは後で説明します。すみませんが、時間が勿体無いので事件が解決した後に纏めて説明をします」

 

俊輔は有無を言わせないほどの覇気を纏った言葉を言う。それにより、烏間は何も言えなくなる。

 

「さて、作戦内容に関しては先程、お伝えしたように動きます。配置についてですが、殺先生は単独で動いて頂きます。守護騎士たちは、上空にて待機。はやても同じく、上空にて待機してくれ。俺とシェリル、ランカはユニゾンを行い待機。なのは、フェイトはすぐに動けれる態勢で待機してくれ。質問はあるか?」

 

俊輔の配置の指示に烏間以外は異論が無い様であった。

 

「烏間先生は、すみません。今回は見て頂くだけになります」

 

俊輔の言葉に烏間は反論しようとするが、階級的には俊輔が上であった為、何も言えなくなる。

 

「では、作戦開始だ‼」

 

俊輔の言葉で神崎の救出とジェイル・スカリエッティの逮捕作戦が執り行われるのであった。



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事件の時間五時限目

アカン。まだアニメ一話分しかやってない‼ しかもこの後、説明の事もあるから………やばい早く原作の方に戻らなくちゃ‼


殺先生は、地上から飛び上がり指定された場所へ向かっていた。その後方では、はやてやシグナム達守護騎士が着いて来ており、いつでも上空へ行く事が出来る様に準備を行っていた。

俊輔もその下で、シェリルとランカのツイン・ユニゾンをし、使役しているモンスターを出す準備を整えていた。

なのはとフェイトは烏間の要望と俊輔の許可で、烏間を護衛しながらいつでも攻撃が出来る準備を整えていたのであった。

 

「作戦開始まで間も無く。各自、油断はするなよ」

 

『了解』

 

俊輔の言葉に全員が返事をした。

 

「殺先生、いつでも行って下さっていいですよ」

 

「判りました。くれぐれもムリだけはしないで下さいね」

 

「了解です」

 

殺先生と俊輔の会話が終わると同時に、殺先生はスピードを上げるのであった。

 

「やはりマッハ20となると、速い物ですね」

 

「せやな………俊輔君。今回の作戦、無事に終わると思うか?」

 

「…………正直、五分五分と言った所だな」

 

はやての言葉に俊輔は、今回の作戦が成功する確率が半分ほどでしか無い事を正直に話した。

 

「さて、無駄話もこれ位だ………各自、散開‼」

 

俊輔の指示で、はやてと守護騎士たちは上空へ上がり、俊輔も向こうのレーダーに引っ掛からない距離を保って停止する。

 

《俊輔、さっきの成功率の事だけど………》

 

「向こうは広域次元犯罪者だ。何をしてくるか判らない状況で、確実に作戦が成功するとは言えない。特に神崎さんの救出が出来たとしても、ジェイル・スカリエッティを逃がす結果になるかも知れない。逆にジェイル・スカリエッティを逮捕する事が出来たとしても、神崎さんを助ける事が出来ない可能性もある。そう言う事も含めた確率の話だ」

 

《やはり、俊輔も考えてたのね?》

 

「ああ。シェリル、広域レーダーを展開。何が起きても対処できる準備を整えてくれ。ランカは、使役モンスターを出すにも膨大な魔力を消費する。そこを補ってくれ」

 

()()

 

俊輔はユニゾンをしているシェリルとランカに指示を出していく。

 

「リリィ、モードチェンジだ」

 

《何にするつもり?》

 

「ドライを使う」

 

《判ったわ。Dreiモード起動》

 

リリィに指示を送ると、ガンソードが一振りのバスターソードに変形する。

 

「さぁ、いつでも掛かって来い。ジェイル・スカリエッティ‼」

 

俊輔は気持ちを一層、強く持つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺先生は、指定された場所へ着くと地上へ降り立つ。

 

「さぁ、誘拐犯よ。私は来ましたよ」

 

殺先生が誰もいない所に向かって叫ぶと、後ろから殺気がした為、動くとそこにはナイフを持った女性がどこからともなく現れ、殺先生を殺そうとしていた。だが、向こうが使っているのは質量兵器に近い物であった為、簡単に避ける事が出来た。

 

「貴女が誘拐犯ですね?」

 

「正確には違う。我らの父が貴様に興味を持ち、一部でも良いから持って帰って来いと命じられて来ただけだ」

 

「そうですか………神崎さんは無事なんですね?」

 

「ああ。だが、良いのか? 自分の事を心配しなくても」

 

女性は殺先生の事を心配する様に声を掛けるが、殺先生には関係の無い話であった。

 

「ご心配には及びません。貴女方に殺られるほど軟では無いので………それで、私の細胞の一部を提供すれば、神崎さんは解放してくれるんですよね?」

 

「ああ。約束しよう」

 

殺先生の言葉に女性は肯定で答えた。そして、その女性とは別の女性が現れ、抱える様に神崎を持っていた。

 

「良いでしょう。私の細胞を差し上げます。ですが、先に神崎さんをこちらに渡してもらえませんか?」

 

「…………」

 

二人の女性は一度、顔を見合わせ頷くと、神崎を殺先生の所へ持って行き、神崎を手渡すとその場で止まった。

 

「約束は約束です。どうぞ」

 

殺先生は、触手の一部を女性に向けて差し出した。そして、女性が普通のナイフで切ろうとした瞬間、俊輔達が動き出した。

女性二人にバインドで体を拘束し、動けなくさせた。それと同時に殺先生はマッハ20の速度を持って、後方で待機しているなのはとフェイト、烏間が居るところまで戻るのであった。

 

「動くな‼ 時空管理局の者だ‼ 貴様らには中学生の誘拐をした罪、その他諸々で逮捕する‼」

 

「貴女方には弁論する権利があるんや。大人しく掴まっとき‼」

 

俊輔とはやてが女性に向かってデバイスを向けて、逮捕する事を伝えると、女性二人はなんと笑い始めた。

俊輔達はなにがおかしいのか問い詰める。

 

「なにが可笑しい? そんなに逮捕される事に喜びでも感じているのか?」

 

「………ちゃうと思うで」

 

俊輔の言葉にはやてが静かにツッコミを入れる。

 

「お前たち管理局は、いつもワンパターンな行動しか出来ないんですか?」

 

「なに? どう言う事だ‼ ッ⁉ なぜだ、なぜそこに神崎さん達がいるんだ‼ ……まさか‼」

 

「その通りだ。あの神崎と茅野とか言った少女達はダミーだ。お前たちはドクターに騙されたんだよ‼」

 

すると、新たに女性が地面から出て来ると、二人の女性を抱えて逃げ出した。

 

「待て‼」

 

俊輔はすぐに神崎達に結界を展開して、彼女達の身を保護して三人の女性を追いかける。しかし、いつの間にか三人は姿をくらましていたのであった。

 

「チッ、取り逃がした………仕方がねぇ。やるぞ‼」

 

俊輔がそう言うと、ミッド式の術式が足元で展開し輝き始める。

 

「我が身と契約されし白き龍よ、今ここに現れよ‼ 蒼眼の白龍‼」

 

俊輔の使役モンスターを呼ぶための稔昌を唱えると、ミッド式の魔術から某カードゲームに登場する白い龍が現れる。

 

「行け、ブルーアイズ‼ 滅びのバーストストリーム‼」

 

俊輔の指示でブルーアイズは口を開き、そこに魔力の塊を作り出すと、一気に放出して地上を焦土に変貌させた。

だが、ジェイル・スカリエッティとその一味はいなくなり、神崎と俊輔の姿しかそこには無かったのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等あればどしどし送ってください‼


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事件後の時間

週一更新ってなんでしたっけ?


神崎達の誘拐事件が解決したと同時に、俊輔達の事を烏間と殺先生に自分達の事を説明しなければならないと言う、問題が突き付けられていた。

 

「………神崎さん達は無事にそれぞれの家に戻された。さて、今度は君たちの事を説明してもらうぞ」

 

「…黙秘権「あると思うか?」ですよね~」

 

俊輔の言葉に烏間は逃げ道を消した。

 

「判りました。ですが、説明するのは貴方方、教師だけです。外部に漏れた場合、俺達はすぐにE組を抜けます」

 

「それは、脅しか?」

 

「いえ、違います。俺達の事は外部に知られても、誰も信じてもらえませんし、俺達自身、地球では生活するつもりは無いんでね」

 

俊輔の言葉は真剣さがにじみ出ていた。

 

「良いだろう。君たちの事は絶対に外部に漏らさない事を約束しよう」

 

「ありがとうございます。それと、録音等もしないのでほしいんです」

 

「それは、外部に漏れない為か?」

 

烏間の言葉に俊輔は頷いて答えた。

 

「………本来であれば、録音をしなければならないが、先程約束したばかりだ。君たちの要求を呑もう」

 

烏間の言葉に俊輔は「ありがとうございます」と言って頭を下げた。

 

「では、説明をしますが…………場所を変更しませんか?」

 

「………では、政府の「いえ、俺達が最も信頼を置いている場所で行いますが良いですよね?」………特別だぞ?」

 

俊輔の要求に烏間は仕方が無く呑むしか無かった。

 

「では、一気に行きますので………なのは‼」

 

「なに? 俊輔君」

 

俊輔は遠くに離れていたなのはを呼び戻した。

 

「アリサに連絡をしてくれ。家を貸してくれと」

 

「………話すしかないんだね? でも、レティさんとかに連絡しなくていいの?」

 

「それに関しては、こっちで済ます。なのははアリサに連絡をしてくれ」

 

俊輔の指示になのはは頷いて、携帯を取り出してアリサへ連絡をするのであった。

そして、俊輔はモニターを展開してレティに今回の件についてを説明する事になった。

 

「こちら、時空管理局本局、特殊武装管理部隊隊長の山本俊輔です」

 

『レティよ。どうかしたの? 俊輔君』

 

「俺達の事が防衛省の人間とターゲットにばれました」

 

『………えっ?』

 

俊輔の報告にレティは開いた口が塞がらなかった。

 

『どう言う事なのか、説明をしてくれますよね?』

 

「はい」

 

俊輔は事の顛末をレティに報告を行った。そして、レティはじっと俊輔の報告を聞いていた。

 

「と言う事で、俺達の存在がばれてしまった訳です」

 

『………判りました。貴方達の説明に関してはいつするつもりなの?』

 

「今日と言う事です」

 

『判りました。クロノ提督を派遣します。彼も含めて説明を行ってください』

 

「判りました」

 

レティの言葉に俊輔は返事をして、場所の説明を行う。その後、現地合流と言う事でクロノもアリサの家へ向かう事になるのであった。

 

 

 

 

 

レティへの報告が終わると同時に、なのはの連絡も終わり、俊輔へ報告を入れる。

 

「俊輔君、アリサちゃんがすずかちゃんも一緒に来るって言ってるんだけど…………どうする?」

 

「烏間先生に確認する他無いな」

 

なのはの言葉に俊輔は頭を抱える。そして、烏間にアリサの家へ行く事と、もう二人ほど追加になる事を伝えた。

 

「奴の事を知られたくは無いのだが………」

 

「俺達の友人は口が堅いので誰にも言いませんよ」

 

「そこは君たちの友人を見て判断する事にしよう」

 

烏間はそう言って懐に仕舞っている携帯を取り出して車を出させるように指示を出そうとしたが、それを俊輔が止めた。

 

「烏間先生。申し訳無いのですが車の手配は止めてもらえませんか?」

 

「どうしてだ? その方が速いだろう?」

 

「確かにそうですが、友人に迷惑をこれ以上掛けたくないんです。なので、飛んでいきます」

 

「は?」

 

俊輔の言葉に烏間は驚いて口を開けてしまう。

 

「ですから、飛んでいきます」

 

「二回も言わなくても判るのだが………君たちは飛べるのか?」

 

「さっきも見たじゃないですか。俺達は飛ぶ事も可能です。まぁ、魔力強化で大人一人ぐらい簡単に運ぶ事も可能です」

 

「………良いだろう」

 

俊輔は烏間の言葉を受け、後ろへ回ると烏間の脇に手を入れ抱える様に空にゆっくりと飛び上がる。

 

「なのは、クロノに連絡を入れてくれ。今から向かうとな。はやて、アリサに連絡してくれ。内容は同じだ。フェイトはリンディさんに連絡を。内容は同じ事だ。リンディさんにもレティさんから連絡が行っている筈だ。なら、あの人にも説明をして貰わなければならないから」

 

「「「了解」」」

 

俊輔の指示で三人は、それぞれに連絡を入れて行くのであった。

因みに殺先生は単独での飛行が可能なのだが、俊輔達とスピードを合わせて遅く飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間も無く着きます。殺先生はゆっくりとお願いしますね」

 

「判りました………ですが、大きいですね」

 

「そりゃ、あそこはバニングス社の社長とその家族が住んでいる家なんですから」

 

俊輔達はアリサの家が目視できるほど近づいており、殺先生はアリサの家が大きい事に驚いていた。ところが、烏間はバニングス社と聞いて、なにか引っ掛かる気分であった。

 

「どうかしたんですか? 烏間先生」

 

「いや、バニングス社と聞いてな………なにか引っ掛かってるんだ………」

 

「さて、烏間先生。着陸しますので、先に降りて下さい」

 

「………判った」

 

俊輔は敷地内へ降りると、烏間を地面へゆっくりと降ろし、その後自身も降り立つ。その後方からはやて達が降り立った。

 

「なのは‼ はやて‼ フェイト‼」

 

「俊輔くーん‼」

 

「すずか‼」

 

俊輔はすずかの姿を見た瞬間、そちらへ走りすずかも俊輔に向かって走って行く。

そして、中央で二人は抱き合った。

 

「お待たせ。そう言えば、ずっと向こうにいたからちゃんと抱きしめてなかったな」

 

「うん」

 

すずかと俊輔はそこで熱い口づけをしようとしたが、そこに待ったを掛けた者が居た。

 

「はいはい、お二人さん。お熱いのは結構ですけど………周りの事も確認してよね?」

 

待ったを掛けたのはアリサであった。アリサの言葉で俊輔とすずかは見渡すと、烏間は無表情で殺先生は「ニュヤァァ」と言いながら目の部分を隠さずに俊輔とすずかのキスシーンを見ようとしていた。

一方のなのは達は苦笑いをしていたのである。

 

「あっ」

 

「………」

 

俊輔は時と場合を間違えた事に後悔し、すずかは顔を真っ赤にさせるのであった。



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事件後の時間二時限目

連続投稿ずら‼ 頑張ルビィ‼ ヨハネの時間よ‼

イミワカンナイ‼


すずかと俊輔の熱い口づけをお預けになってしまった二人だったが、烏間や殺先生に自分達の事を説明する為、ここへ来ていた事を思い出し、説明後にキスをする事を約束するのであった。

 

「では、アリサ」

 

「判ってるわ。それと、クロノさんとリンディさんも来てるわ」

 

「あれ? レティさんはクロノしか派遣しないと言っていたのに……」

 

「なんでも、大人が説明した方が良いでしょ? とか言ってたわ」

 

アリサの言葉に俊輔達は納得する。

 

「そう言う事なら仕方が無いな………じゃぁ、頼む」

 

「付いて来て」

 

アリサが先頭に立ち、大広間へと向かって行く。

 

「ところでだ、君たちの友人は何者なんだ?」

 

「先頭に立って歩いているのが、バニングス社の一人娘のアリ狭サ・バニングスちゃん。そして俊輔君の腕にくっついて歩いているのが、俊輔君の恋人であり私達の幼馴染の月村すずかちゃん。二人とも私立聖祥大付属の初等部、中等部と一緒に過ごしていた友人です。それに、私達の事を知っている極僅かな理解者でもあります」

 

烏間の質問になのはが答えていく。

 

「それは良いのだが……バニングス社と言ったな?」

 

「はい。それがどうしたんですか?」

 

「いや、なにか引っかかっているんだ」

 

烏間の頭の中で何かがくっつきそうな感覚を覚えていた。だが、それが何を示しているのかは判らず仕舞いであったが………

 

「そう言えばアリサ、この前言ってなかった?」

 

「ああ、そう言えばなにか言ってた気がするなぁ………なんやったか忘れてもうたけど………」

 

フェイトもはやても同じく、先日にアリサが言った言葉を思い出そうとするが、すっかり頭から抜け落ちてしまっていた為、思い出せずにいた。

 

「聞こえてるわよ、二人とも」

 

先頭に立って歩いていたアリサが振り向き、はやて達を見ながら烏間たちの言葉が聞こえていた事を言う。

 

「アンタ達に言ったのは、防衛省からバニングス社にある物の製造をお願いされた、と言う事だけよ」

 

「ッ⁉ 思い出したぞ‼ バニングス社と言えば、こいつが全世界の首脳陣にBB弾や特製ナイフの作り方を言った時に、防衛省が密かに一つの会社に製造をお願いしたと言っていた。その名前がバニングス社だ‼」

 

「あら、漸く思い出せたのね? そうよ。私のパパが防衛省からお願いされて弾やナイフを会社で製造したわ」

 

すると、アリサは徐に立ち止まる。目の前には立派なつくりをしている木製の扉があったからである。

 

「ここよ。既にクロノさんやリンディさんも待ってくれてるわ」

 

アリサはそう言うと、扉を開けるのであった。

 

 

 

 

 

広間に通された俊輔達は、ソファーに座っているクロノ達を見て敬礼をすると、二人も返礼で返してくる。

 

「始めまして。私は時空管理局地球支部、支部長を務めています。リンディ・ハラオンです」

 

「初めまして。時空管理局本局、次元航行部隊所属L級次元航行船8番艦、アースラ艦長のクロノ・ハラオンです」

 

二人は烏間たちの姿を見て、ソファーから立ち上がり、敬礼をしながら自身が所属している部署を烏間たちに伝えた。

 

「初めまして、防衛省臨時特務隊所属烏間惟臣一等陸佐です」

 

「初めまして、椚ヶ丘中学E組担任の殺せんせ―です」

 

リンディ達の挨拶で烏間たちも挨拶をした。

 

「では、アリサさん。ここからは私達が進めても構いませんか?」

 

「お願いします」

 

リンディの言葉にアリサはお願いをした。

 

「では、ここからは私達が進行を行います。皆さん、こちらへどうぞ」

 

リンディの言葉で烏間たちはソファーに座り、リンディ達と対峙する。俊輔達はリンディとクロノが座るソファーの後ろに立つ。

アリサとすずかは、上座の方にあるソファーに座り、今回の事件の事の説明の事の進みを見る事となった。

 

「では、始めます。まず初めに、山本俊輔特殊武装管理部隊長。あなたからの報告をお願いします」

 

「判りました。アリサ。電気を消してくれ」

 

「判ったわ」

 

アリサはリモコンを操作して広間の電気を一部消し、暗くする。

 

「今回の事の始まりは、レティ・ロウラン人事事務長から一級次元犯罪者、ジェミニ・ハエルフの逮捕と目の前にいる殺先生の暗殺の依頼を受け、地球へ来ましたが、本日、ジェミニ・ハエルフよりも上の犯罪者、広域次元犯罪者に指定されているジェイル・スカリエッティ一味が地球に密航したと言う報告を受け、倉庫街に行きましたが、四年前に高町なのは一等空尉を襲ったと思われるロボットが現れ、戦闘となりました」

 

俊輔はそう言うとリリィを取り出し、モニターを展開して戦闘の様子を映し出した。

 

「その戦闘中に同じくクロノ・ハラオン提督から神崎有希子さんと茅野カエデさんが誘拐された事を知り、戦闘終了と共に殺先生に自分達の事がばれてしまいました。その後、神崎さんと茅野さんが捕らわれているであろう場所へ行くと、烏間さんに同じく自分達の事がばれてしまいました」

 

俊輔の解説と共に戦闘の様子や殺先生と烏間と会った時の映像も流れていた。

 

「ここまで間違いはありませんか? クロノ・ハラオン提督」

 

「いえ、間違いありません」

 

リンディの質問に、俊輔の説明が合っている事をクロノが肯定した。

 

「判りました。その後の事に関しては報告書にまとめて、後で提出をお願いします」

 

「判りました」

 

リンディの言葉に俊輔は頷く。

 

「さて。本題に移りましょうか」

 

リンディはそう言うとリモコンを操作して広間に灯りをともし出す。

 

「お二人は私達の事を知りたいと言う事でしたね?」

 

「はい。あなた方はどう言う存在ですか?」

 

「そうですね………簡潔に言えば魔法が技術として存在する世界の住人…と言えばいいのかしら?」

 

「はい、合ってます。母さん」

 

殺先生の言葉にリンディが朧気な言葉を言う。

 

「そもそも、時空管理局とは何ですか?」

 

「そこからですね。私達、時空管理局は日本で例えるのであれば自衛隊と検察、警察が合わさった組織です。自衛隊同様に階級も存在しています。この場で階級では俊輔さんが一番高いですね?」

 

「はい。現在は空将の階級を持っているので………それなりに無茶もした結果ですけど………」

 

「そうね、どれだけすずかさんが心配したか………今は落ち着いたけどね?」

 

「ウッ」

 

リンディの言葉に俊輔は心臓を貫かれた感覚を感じた。

 

「それは置いといて。私達の世界は基本的に管理世界を持っていますが、地球は別になってします」

 

「と言いますと?」

 

「地球は第97管理外世界と呼ばれており、管理局が管理する必要が無いと言う考えで何も関与して来ませんでしたが、ある二つの事件がきっかけで地球にも支部が開設されました」

 

リンディはそう言うと俊輔達の方へ振り向いた。その眼は過去の事を話しても良いのかどうかを確認するものであった。

俊輔達は一つ頷き、過去の事を話す事になるのであった。




今日の更新はこれでお終いです。

次回はどうなるのか未定です。


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クリスマスの時間~俊輔&すずか

クリスマスと言う事もあって、番外編を出します‼

恋人か………ついこの間まで彼女がいたけど、別れたんだよな…………
リア充は爆発しろ‼ 彼女が欲しいよぉぉぉぉぉぉぉぉ‼

「フッ、負け犬の遠吠え」

コロス‼


12月。この月のイベントと言えば、クリスマス。恋人が厚い一日を過ごす日とも言われているが、正確にはキリストが生まれた日でもある。

まぁ、それはさておき………俊輔とすずかは海鳴の街を歩いていた。

 

「久々に二人っきりで出掛けるね?」

 

「ああ、そうだな………さて、どこに行きますか?」

 

「そうだなぁ………あっそうだ‼ この前、アリサちゃんが教えてくれたホテルがあるんだ」

 

「おっ? ならそこに行きますか」

 

「うん‼」

 

二人は恋人繋ぎで、アリサに教えてもらったホテルへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほえぇ……大きいホテルだね………」

 

「なぁ、すずか」

 

「なに?」

 

「まさかと思うが、アリサに何か言われてないか?」

 

「…………言われちゃった」

 

俊輔の質問にすずかはチロっと舌を出した。

 

「はぁ~、やっぱりかよ………仕方がねぇ。腹括って行くか」

 

「うん‼」

 

俊輔はここで悟った。すずかの一連の流れはアリサに仕組まれたものであると。

 

「まさか、アリサまでもが関わってたなんてな………」

 

「驚いた?」

 

「驚くに決まってるだろ。まぁ、アリサには感謝だな」

 

俊輔はすずかとデートをする経緯を思い出していた。

 

 

 

 

それはクリスマスイブの三日前の事であった。

俊輔は防衛省から支給されているハンドガンを、特注でデザート・イーグルに変更させてもらっていた。その為、家ではデザート・イーグルの調整や整備を行っているのである。

だが、それをしている最中に、すずかから電話が掛かって来たのである。

 

『俊輔君、今大丈夫?』

 

「大丈夫だけど……どうかしたのか?」

 

『うん……三日後にイブだよね?』

 

「……そう言えばそうだったな。よし出掛けるか?」

 

『えっ? 良いの?』

 

「その為の電話だったんだろ?」

 

『うん………ゴメンね?』

 

「すずかが謝る必要は無いよ。ならデートプランでも考えようかな?」

 

俊輔はすずかと最高の思い出にする為にデートプランを練ろうとしていたが、それをすずかが待ったを掛けた。

 

『俊輔君。そのデートプラン。私が考えても良いかな?』

 

「すずかが? まぁ、良いけど…………変な事はしないでくれよ?」

 

『しないよ‼ 全く………じゃぁ、イブの日の朝10時に翠屋で集合ね?』

 

「判った。待ってるよ」

 

俊輔はそう言うと電話を切る。

 

「なんだろ……まったくもって安心できない気がする………特にあいつら…………」

 

俊輔が考えていたのは椚ヶ丘中学のE組の生徒の一部と教師二人の事であった。

 

「絶対、あいつら嗅ぎ付けてくる可能性が………何も無い事を願うか」

 

俊輔はE組の一部の生徒と教師二人が来ない事を願うのであった。

だが、それは無情にもかなう事は無かったのである。

 

 

 

 

 

 

 

俊輔とすずかがホテルに入る所を見ていたのはE組の全員であった。そして変装をしているのかしていないのか判らない格好をした殺せんせーとイリーナの姿があった。

 

「まさか、高級ホテルに入るなんて………あの二人は何者よ‼」

 

「ビッチ先生は知らなかったの? あの二人の友達にバニングス社のお嬢様が付いている事に」

 

「なんですってー‼ 本当なの⁉」

 

「うん、この前に見た事があるよ。でもなのはちゃん達の友達でもあるって言ってた」

 

カエデの非情な報告にイリーナはハンカチを取り出しては端と口に咥えて引っ張っていた。

 

「キィィィィ‼ 生意気よ‼」

 

≪いや、アンタは早く烏間先生に告白しろよ≫

 

イリーナの叫びにE組全員が内心で突っ込む。

 

「オイ、ついて行くぞ」

 

寺坂の言葉で全員がホテルに入ろうとしたが、警備員に入る事を止められてしまう。

 

「ここからはパスが無いと入れません。パスを持っているのですか?」

 

警備員の言葉に全員が返す言葉も無く、立ち止まってしまう。

 

「あれ? アンタ達は………E組の生徒達?」

 

「ん? お姉さん誰?」

 

「あぁぁぁぁ‼ なのはちゃん達と一緒にいたお姉さんだ‼」

 

業の後ろから一人の女性がした為、全員がそちらを向くと金髪に赤いドレスに身を包むアリサが立っていた。

 

「なのは達の事を知っているのね? どうしてここに来たのかしら?」

 

アリサの質問に代表として磯貝が答えた。

そして、磯貝の説明を聞き、アリサは悪戯を思いついたと言う顔をした。

 

「事情は分かったわ。でも、その格好だと不審だから。私に付いてきなさい」

 

アリサはそう言うと警備員に全員が知り合いと言う事を告げ、ホテルの中へと入って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

アリサに連れられて来たのは衣装室であった。だが、衣装室の中にはドレスやスーツなどが各種揃っていた。

 

「この中から選びなさい。それなら怪しまれる事は無いから」

 

アリサはそう言うと衣装室を後にする。

そしてE組の面々とイリーナ、殺せんせーは衣装に身を包む事になった。因みにだが、俊輔達が向かった先についてはアリサは教えていなかったのである。

 

「良し、行くか‼」

 

磯貝の言葉で全員が一致団結して向かおうとした。

 

「でも待って‼ 俊輔君達の居場所知らないよ?」

 

【あっ】

 

カエデの言葉に全員が思い出したかのように声を上げた。

 

「どうする? ここまで来て帰る訳にも行かないし………」

 

「かといって無闇に探したところで怪しまれるだけだし………」

 

全員が悩み始めた。するとそこの救世主が現れる。

 

「あれ? どうしてみんなここにいるの?」

 

「本当だ。ここって会員制だったよね? なのは」

 

「うん……アリサちゃんが入れたのかな?」

 

救世主として現れたのはなのはとその恋人であるユーノであった。

 

「なのはちゃん? それに隣の男性は……」

 

「みんなは会った事が無かったっけ? 私の恋人のユーノ君だよ」

 

【ノォォォォォォォォォォォォォッ‼】

 

なのはに恋人がいる事を知らなかった男子生徒一部はorz状態に陥った。

 

「アハハハ、愉快だね?」

 

「楽しいよ。それで、皆はどうしてここにいるの?」

 

ユーノは男子全員が倒れている風景を苦笑いをしながら見ていたが、なのははどうしてこうなったのか知らなかったが、それは横に流してカエデに質問をした。

 

「あっ、えーっと………」

 

カエデは一連の事を説明した。なのはは納得したのか頷くだけであった。

 

「アリサちゃんも悪戯が過ぎる所があるけど……まぁ来ちゃったものは仕方が無いもんね………レイジング・ハート」

 

〈Yes My Master〉

 

レイジングハートに指示を出したなのははサーチャーを展開して俊輔とすずかの居場所を探し出した。

 

「うーん……本当はもっと出したいんだけど、俊輔君。魔力感知に飛びぬけて強いからなぁ………いた‼」

 

なのはは三階フロアに俊輔とすずかが食事をしている所を見付けたが、俊輔の顔がサーチャーに向けられた事に気が付き、サーチャーを消した。

 

「でも、ごめんね。ばれちゃった………私達は俊輔君達と合流するけど、見るんだったらばれないようにね?」

 

なのははそう言うとユーノの手を引いて、E組の面々と先生たちを後にするのであった。



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過去の説明の時間一時限目P・T事件編

今年最後の更新です!
皆さん、良いお年を! そして、ありがとうございました!
来年に会いましょう!


リンディは最初に遭った事件の事を話し始めた。

 

「まず初めに、なのはさん、俊輔君、フェイトさんの話をしましょう。フェイトさんはその頃、実の母親。プレシア・テスタロッサは元は時空管理局の技術班で主任をしていました。ですが、当時の管理局は艦船用の魔導エンジンを早急に開発をしなければならなかったのです。その時の主任が、フェイトさんの母親でした」

 

リンディはそう言うとモニターを展開し、当時の映像が流れだした。

 

「管理局の上層部は、まだ安全性に疑問視があった魔導エンジンの稼働実験を強行的に行い、事故が発生しその時の娘であったアリシア・テスタロッサが事故の余波を受け、亡くなってしまいました」

 

リンディがそう言うと、モニターでは息をしなくなったアリシアを抱きしめるプレシアの姿が映し出された。

 

「そして、プレシアはアリシアさんともう一度暮らしたいと言う思いを持ってある計画に参加しました。それが、プロジェクトF・A・T・E。このプロジェクトは、クローン人間を作り出す事でした。そして、アリシアさんの記憶を持って生まれたのが………」

 

「私、フェイト・テスタロッサです」

 

フェイトの告白に烏間と殺先生は驚きの表情をした。クローンと言えば、長く生きる事が出来ず短命になってしまうはずである。だが、目の前にいる少女は、それを一切覗う事が出来なかった。

 

「私は確かにアリシア姉さんと同じ記憶を持って生まれました。ですが、性格、利き手、魔力などが違って生まれた事により、失敗作として母さんからの愛情を受ける事無く育ち、母さんはある物に目を付けて、私を地球に送りました」

 

「それが、なのはさんと俊輔君との出会いになります。当時、ある部族が遺跡で発掘した遺産。私達の世界ではそれをロストロギアと呼んでいますが、その中の一つである、ジュエルシードにプレシアが目をつけ、輸送船を襲いました。そして、それが地球の島国である日本の海鳴市に落ちました」

 

リンディがそう言うと、モニターでは一人の少年が怪物を追っている風景が映し出される。

 

「当時、なのはさんはまだ9歳で魔法の存在も知りませんでした。俊輔さんも同じで二人はアリサさんとすずかさんと幼馴染でした。そして、なのはさんと俊輔君は先程の少年が怪物と闘う夢を見ていました。そして、学校の帰り道、湖の近くにフェレットに近い動物が倒れているのを発見しました」

 

リンディの言葉と同時に映像も移り、幼少期のなのは達がフェレットのような動物を抱えて動物病院へ行く様子が映し出されていた。

 

「その日の夜。そのフェレットの様な動物は広範囲で念話と呼んでいる通信をして誰かが助けてくれることを願うかのように語り掛けました。それに反応したのが…」

 

「俺となのはです。俺はフェレット。まぁ、本来の姿は人間なのですが、魔力消費が激しく一時的に動物へと変身したのですが、それはさておき。俺はその念話を受け動物病院へ行きました。すると……」

 

俊輔がそう言うと映像は怪物に襲われている動物病院の姿が映し出された。

 

「俺は咄嗟の判断で、フェレットの事を探すと、既になのはが到着していてその腕の中にはフェレットが抱きしめられていました」

 

フェレットを抱くなのはが怪物に襲われているシーンが映し出されてた。

 

「俺の母親と父親は魔導士だったんです。その時、母親から誕生日の日にある物が渡されました」

 

〈それが私よ〉

 

俊輔の言葉に繋げる様にリリィが話し出す。

 

「どこからの声だ?」

 

烏間はどこからか聞こえる声に驚き、俊輔は胸元に仕舞っていたペンダントを取り出した。

 

〈私がマスターの愛機であるリリィ・ホーネンスよ〉

 

日本語で答えるリリィに烏間たちはどう反応すれば良いのか、言葉に詰まる。

 

「俺はなのはを助けたいと言う気持ちで、まだ封印されていたリリィを起こし魔導士として戦う事になりました」

 

そう言うとモニターでは、俊輔の手には刀が握られており怪物と闘うシーンが映し出されていた。

 

「魔法と言う存在を知らなかった俺は、怪物との戦いに四苦八苦していました。でも、その時でした。なのはも同じ様に魔導士として目覚めたのです」

 

映像が切り替わり、手に杖を持ち白服に身を包むなのはの姿が映し出された。

 

「なのはは中距離射撃型の魔導士で、愛機レイジング・ハートを手に取り怪物と闘う事になりましたが、なのはも魔法と言う技術に触れたのがこれが初めてでした。レイジング・ハートに教わりながら、戦闘し最終的にジュエルシードを三つ。封印する事が出来たのですが………」

 

映像はなのはが遠距離射撃を行い、封印する風景が映し出されていた。そして、すべてが終わった時、周りの風景がガラッと変わっている事に気付いていた。

そして、二人と一匹はその場を後にしたのであった。

 

「この事件の事は俺も把握している。何者かによって行われた無差別事件として処理されていたが………まさかこう言う形で起きていたとはな………」

 

烏間の言葉になのはと俊輔は謝る他無かった。

 

「その後、順調に俺となのはで手分けして、ジュエルシードを封印していきました。そして」

 

「ある事がきっかけでフェイトちゃんと出会いました」

 

映像は一気に飛び、子猫が二匹、豹の様な動物に襲われそうになっている所にフェイトがシールドを張って護っている映像が流れる。

フェイトの手には三角の形をしたデバイスが握られており、バリアジャケットを展開する。そして、手には斧の様な物が握られていた。

 

「私もジュエルシードが発動した余波を感じ、その場所へ向かうとフェイトちゃんとジュエルシードを取りこんだ子猫が戦っていました。そして、最終的にはフェイトちゃんが封印しましたが、私はまだ他の魔導士を俊輔君以外に見た事が無かったのです。そこで、話しかけようとしましたが……」

 

「私は母さんの喜ぶ笑顔が見たくてジュエルシードを集めていました。そして、なのはと出会いましたが、当時は敵と言う認識でしか無く、闘うと言う選択肢しか持っていませんでした」

 

フェイトがそう言うと、映像ではなのはとフェイトが戦うシーンが映し出されるのであった。



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過去の説明の時間二時限目P・T事件編

もう三月に入りましたね……本当はもっと早くに出すつもりだったのですが私情で忙しく、他の作品と並行して書く時間がありませんでした。
これからもこういう事が続いてしまいますが……これからもよろしくお願いします‼


海上で設置された結界の中で戦うなのはとフェイトであったが、前回の戦いよりもなのはが同等の力を発揮し、フェイトと対等に戦っていた。

 

「俺はこの時、ユーノとアルフと一緒に離れた場所で観戦していましたが、なのはの魔法を扱う技術が高くなっている事に驚いていました。それほどまでの力を得る為に、どれだけ努力したのかは、見ていないので何も言えませんが、並大抵の努力では賄う事が出来なかったはずです」

 

俊輔の説明になのはは頬を少し赤く染める。

人から褒められる事に嬉しくならない人間はいない。それはなのはもフェイトもはやても同じ事である。

 

「そして、お互いが疲労困憊になった時、フェイトはなのはをバインドで動きを封じました」

 

映像にはフェイトの周りに何千もの球体が現れ、なのはが回避しようとした時にバインドで両腕を封じ込められてしまう。

なのははフェイトに対して何かを仕掛けようとレイジングハートを握る手に力を籠める。すると、レイジングハートのコアが光りフェイトの足元に何かを設置した。

 

「フェイトが一番、詳しいから説明してくれ。俺にはあれの説明はムリだ」

 

「うん。判った。私の周りにある球体はファランクスと呼ばれている物で、一つ一つが魔力で構成されています。質量兵器で言う、銃身ですね。私はなのはに向けてファランクスを放ちました」

 

フェイトの説明で、ファランクスから幾つもの砲撃がなのはに向けて放たれている様子が覗えた。そして、なのはに直撃し大爆発を起こした。

 

「私はこれでなのはに勝てたとは思っていませんでした。だから、最終的にスパークエンドをなのはに向けて放ちました」

 

映像にはフェイトのスパークエンドがなのはに直撃し爆煙が立ち込める。だが、煙が晴れるとそこには所々に焦げが付いてしまったバリアジャケットに身を包むなのはが立っていた。

 

「私に掛けられたバインドは、フェイトちゃんの魔力の消費により消滅しました。そして、私も私が持てる力を最大限に発揮しようと、一回目は普通に攻撃を行い、最後に編み出した収束砲を使ってフェイトちゃんと対峙しました」

 

なのはの言う様に、映像ではディバインバスターを一回、使いフェイトの魔力を消費させた。そして、ディバインバスターを放った後、なのはは上空へ飛び散布した魔力をかき集めだした。

 

「この収束砲の威力は椚ヶ丘中学全体を更地に変える事が出来る程の威力を持っています。デバイスには非殺傷能力と言う物が搭載されているので、攻撃を受けても死にはしませんが崩壊した建物によって下敷きになってしまっては元も功もありませんが………」

 

俊輔は冷や汗を流しながら説明をしている。映像のなのはのスターライト・ブレイカーの威力を知っている者からすれば、冷や汗ものであるのは確かな事である。

そして、映像の方ではフェイトはなのはによって撃墜され海に落ちてしまうが、なのはが潜りフェイトを助け出した。しかし、フェイトはなのはにお礼の一つも言わずに飛び、ひとりでに海を眺めていた。

だが、それを許す者はいなかった。

 

「フェイトはなのはに撃墜されて事でショックを受け、一人で海の上で眺めていましたが、フェイトの実の母親であるプレシアはそんなフェイトに対して攻撃をしました」

 

映像では海の上に暗雲が立ち込め、雷の音が響き渡っていた。そして、魔法陣が展開されるとフェイトに対して雷が落ちようとしていた。

なのはは、フェイトを助けようとしたが間に合わず雷に撃たれてしまいまた、海へと落ちてしまうのであった。

 

「フェイトが攻撃されたと同時にアースラでは、武装隊を雷を落とした張本人であるプレシアが居る拠点へと送りましたが、敢無く撃墜されてしまい、フェイトもアースラに収容される事になりました」

 

フェイトは事件の参考人として魔力封じの手錠を填められていた。そして映像は続いて行き、アースラの武装隊が一つの部屋に入った所を見て初見で見る者達は驚いていた。

 

「眠っている少女は……まさか‼」

 

「はい。私の素体であるアリシア・テスタロッサです。死んでしまった状態を維持していた為、幼く見えてしまっていますが、本当であれば私の二つ上でした………」

 

殺先生の言葉にフェイトが答えるが、声は少し震えていた。

すると、今まで映像だけであったが音声も流れる様になった。

 

『もう良いわ。フェイト。あなたの様な人形はもう要らないわ………どこへなり行きなさい………』

 

プレシアの声にフェイトは手が震えていた。否、全員の手が震え怒りを露わにしていた。

 

『ああ、そうだわ。良い事教えてあげる………私はね……貴女を作り出してからずっとね……大っ嫌いなのよ』

 

この声で映像ではフェイトの目に光が失われ倒れる。

ユーノとなのはが名前を呼んでも返事が無かった。それだけ、母親からの一言がショックであった。

 

「私はすぐにアースラの救護室へ運ばれました。ですが、クロノが私にも戦況が判る様に映像で流してくれました。それにより、私は仲間の大切な事を知りました」

 

映像ではベッドに横たわるフェイトの横に使い魔であるアルフが声を掛け、そのまま離れるとなのはの元へと向かって行った。

救護室の扉が閉まると同時にフェイトの目に光が戻る。そして、フェイトは何かを考えるかのように戦況が流れている映像に目を向けていた。




誤字脱字、感想、指摘、質問等あればどしどし送ってください‼


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過去の説明の時間三時限目P・T事件編

プロットを作りましたので更新します。


映像にはフェイトはベッドから起き上がると、何かを決意したかのように愛機である“バルディッシュ”を手に取った。

主人に声を掛けられたバルディッシュは皹が入っているにも拘らず、モードをチェンジさせる。

 

『うまくできるか判らないけど………一緒に頑張ろう』

 

フェイトはそう言うと魔力を手に集中させた。すると、バルディッシュ全体を光で覆われ、皹が入っていたバルディッシュは新品同様の輝きを取り戻す。

 

『私達はまだ何も始まっていないんだ………だから、今から始める‼』

 

フェイトの決意と共に、マントが現れフェイトに装着させるとバリアジャケットも展開する。そして、そのまま時空転移したのであった。

 

映像が切り替わり、プレシアの拠点に乗り込んだなのは達は、プレシアが作り出した防衛プログラムのロボットと対峙していた。

 

「私達はプレシアさんを止める為に乗り込みましたが、数が多く足止めを受けました。そして………」

 

なのはが説明していると、ユーノのチェーンバインドを振り切った一体のロボットの攻撃がなのはへ当たろうとした時、上空からの攻撃でロボットの腕が壊れ、なのはに迫っていた脅威は去った。

 

「フェイトちゃんのおかげで私は助かりました。でもまだ脅威は残っていたんです」

 

なのはがそう説明すると、映像では壁から大型のロボットが現れ背中に背負っている砲門を二人に向けていた。それと同時に音声も流れだす。

 

『大型だ、バリアが強い………でも二人なら』

 

『うん‼ うん‼ うん‼』

 

フェイトの言葉になのはは強く頷いた。なのはにとってその言葉だけでも嬉しかった。そして、二人の同時攻撃により大型ロボットは破壊され、余波で地面そのものを貫通したのである。

 

「どれだけ強い攻撃だったんですか………」

 

殺せんせーは二人の攻撃の強さに驚いていた。

そして映像は進み、フェイトに抱き着くアルフにフェイトは静かに語り始める。

 

『アルフ、心配かけてごめんね………ちゃんと自分で終わらせて始めるよ。本当の私を』

 

この言葉に全員が涙を流していた。烏間までもが目尻に涙をうっすらと浮かべていた。

そして映像は最終局面に移り変わった。

アリシアの亡骸を入れた容器の前にプレシアは立っていた。その時、後方にある壁が砲撃で破壊されそこには若かりしき頃のクロノが右の額から血を流しながら入って来た。

 

『いつだって世界は“こんなはずじゃない”事だらけだ‼ 昔から誰もがそうなんだ‼』

 

クロノの言葉に全員がそうだと思っていた。殺せんせーも烏間もなのはも俊輔も全員が同じ思いになっていた。

映像にはフェイトとアルフが地に足を付けた頃であった。プレシアは、フェイトの姿を一目見たがすぐに咳込み、血を吐いてしまう。フェイトは母親の事が心配になり、近寄ろうとした。しかし、プレシアはそれを許さなかった。

 

『何しに来たの……消えなさい。あなたにはもう用が無いわ』

 

プレシアの拒絶する言葉にフェイトは屈しずにプレシアに自分の想いをぶつけた。

 

『私はあなたに言いたい事があって来ました………私は……私はアリシア・テスタロッサじゃありません。貴女が作ったただの人形なのかも知れません………だけど、私。フェイト・テスタロッサは貴女に生み出してもらって、貴女に育てて貰った貴方の娘です』

 

フェイトの言葉にプレシアは忌々しそうにフェイトを見つめる。だが、フェイトは屈しなかった。

 

『私は世界中の誰からもどんな出来事でも貴女を護る。私が貴女の娘だからじゃない。貴女が私の母さんだから』

 

フェイトはそう言うと、プレシアに手を差し伸ばした。この手を取ると言う事は、フェイトを娘として思っているかどうかの確認であった。しかし、プレシアはその手を握る事は無かった。自分の想いをフェイトにぶつける為に。

 

『私は……アリシアの夢を叶えたかった。妹が欲しいと願ったアリシアはもういない………貴女を作り出した時、娘として迎えようとした………でも出来なかった‼ アリシアの写し変わりとして生み出した貴女を娘として迎える事は、アリシアの存在を否定してしまうと思ったから‼ だから、貴女に強く当たってしまった………もう私は母親失格よ……だから、貴女の人生は自由に生きなさい、フェイト』

 

そう言うとアリシアの亡骸の入った容器に強く抱きしめた。それと同時に床が崩れ始め、プレシアは次元の狭間に墜ちようとしていた。

 

『フェイト………私を母と最後まで思ってくれてありがとう………私にはもう十分よ。だから、強く生きないさい‼』

 

プレシアはそう言って次元の狭間に消えようとしていた。だが、それを良しとする者がいなかった。俊輔である。俊輔は危険を顧みずに次元の狭間に飛び込んだ。

 

「なっ⁉ あの狭間に入ってしまっては魔法が使えないのでは‼」

 

「ええ、使えませんよ………でも俺には最強の使役するモンスターがいますから」

 

そう言うと映像にはプレシアに近づく俊輔が映し出されてた。

 

『何しに来たの……戻りなさい。君はここに来るべき人間じゃないわ』

 

『ああ、知っている。だがな‼ 死ぬまで娘を見守り続けるのが母親の仕事だろうが‼』

 

俊輔の言葉にプレシアは目を見開いた。だが、直ぐに諦めた表情に変わる。

 

『もう遅いわ。私は母親失格よ。だから、君だけが戻りなさい。私達を見捨てて』

 

『だが、断る‼ フゥー…………白銀の世界に君臨する龍よ。我の誓いの元。現れよ‼ 蒼眼の銀龍‼』

 

俊輔の召喚魔法により現れたのは白銀の体をした龍であった。



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過去の説明の時間四時限目P・T事件終結そして闇の書事件

次元の狭間に飛び込んだ俊輔は、召喚魔法で蒼眼の銀龍を呼び出した。

 

「待って下さい。魔法が使えない空間でどうやって魔法を出したのですか? それからあの龍は何ですか?」

 

「一つ一つ説明すると、次元の狭間で使えない魔法はミッド式と古代ベルカ式の二つだけです。俺が使った魔法は二つに属していない魔法。俺なりの呼び方になりますが、スピリット式と呼んでいます」

 

「直訳すると妖精………なるほど。龍は伝説であり空想上の生き物。だから、精霊なのですね?」

 

「ああ、その通りです」

 

俊輔の説明に殺せんせーは自分の見解を述べた。すると、俊輔が思っていた事と同じであった為、俊輔は頷いた。

 

「俺が使役しているモンスターは主にドラゴン系統が多いです。だから、妖精を英語にして呼んだのがスピリット式と言う事です…………話を戻します。銀龍によって俺を始めプレシアとアリシアをアースラへ持ち帰りました」

 

俊輔がそう言うと、映像にはアースラに戻る三人の姿が映し出されていた。

 

『プレシア……貴女に問います。フェイトを娘として扱いますか?』

 

『こんな私で良いのであれば、娘として接していくわ』

 

『判った。クロノ‼』

 

『(聞こえている。君は自分が危険な所に行った事を判っているのか‼)』

 

俊輔に呼ばれたクロノは説教を始めようとしたが、俊輔は聞く耳を持っていなかった。逆にクロノに怒鳴り付けるほどであった。

 

『喧しい‼ アリシアの意識を戻すんだ。後で説教ぐらい聞いてやる‼ 今は二人の治療が必要なんだ‼ 黙って俺の言う通りにしろ、このKYが‼』

 

『(なっ⁉ ………良いだろう。だが、後で覚えておけよ‼)』

 

クロノの捨て台詞に俊輔は肩で返事をすると、アリシアの元に向かって行った。

 

『何をするつもりなの?』

 

『アリシアを生き返らさせる。プレシア、容器からアリシアを出してくれ』

 

俊輔の言葉に半信半疑になりながらもアリシアを容器から出し、横たわらせる。

 

『さてと、ランカ、シェリル』

 

『『行くよ‼/わよ‼』』

 

『『『ツイン・ユニゾン‼』』』

 

俊輔とランカ、シェリルの三人によるツイン・ユニゾンにより、俊輔の容姿が変わる。元々黒髪だった髪は金髪に変わり、服装も神官服の様な格好に変わった。

 

「ツイン・ユニゾンとは何ですか?」

 

「それについては後で説明します。後で同じような事がありますので………」

 

殺せんせーの質問に俊輔は言葉を濁す。

 

『我が名において命じる。死者を甦れし………死者蘇生‼』

 

俊輔の呪文に応える様に背後から十字架が現れる。十字架は召喚されると輝きだし一筋の光の道を作るとアリシアの亡骸に当てた。光りに当てられたアリシアは、光に包まれ輝きが失うと、アリシアの胸はリズムよく上下していた。

 

『これで安心だ………プレシア。あなたの治療に移ります』

 

『私の事は良いわ………この命が尽きるまで時間は残されていないけど、フェイトとアリシアと一緒に暮らせれるのであれば、それだけで十分よ』

 

『………本当にそれで良いのか?』

 

『ええ……私はこれで良いのよ』

 

プレシアの言葉に俊輔は何も言わずにツイン・ユニゾンを解いた。

 

「それで、フェイトさんのお母さんはどうなったのですか?」

 

烏間がフェイトにプレシアの生死について尋ねると、フェイトは涙ながらに語り出した。

 

「母さんはそれから半年後に亡くなりました。私とアリシア姉さん。そして俊輔やみんなに看取られ、最後には笑顔でこの世を去りました………俊輔、ありがとう」

 

「いや………本当は無断でプレシアの体を治すつもりだった………だけど、プレシアはそれを望まなかった。やろうと思えば出来たんだが………いつも逃げられてたんだ」

 

俊輔の言葉にフェイトは静かに頷いた。

 

「さて、話を戻します。その後の事ですが、フェイトとアリシア、プレシアは管理局に行き、事情聴取が行われる事になりました。そして、それから二か月後の事でした」

 

俊輔の説明が行われると、映像が切り替わりなのはとヴィータが戦っている所であった。

 

「ここからの説明はウチがさせてもらいます。ウチの足は不治の病とされていました」

 

「されていた。過去形とはどう言う事ですか?」

 

はやての説明に殺せんせーが質問をすると、シグナムが答える。

 

「主の足は“闇の書”と呼ばれる魔導書の所為で使う事が出来なかったのです。そして闇の書は主の体を蝕み最終的には主の命を奪うものでした」

 

「私達はそれを阻止する為、はやてちゃんに無断で魔導士に必要不可欠であるリンカーコアの摘出する為、襲い奪っていました」

 

シグナムの言葉に続きシャマルも続けて語る。そして、映像ではなのはの胸から手が突然出て来てリンカーコアを抜き取るシーンであった。

 

「私のデバイス“クラールヴィント”でなのはちゃんのリンカーコアを吸収しました。そして………」

 

次の映像にはシグナムとフェイトの戦闘シーンであった。しかし、歴戦の戦士であるシグナムに太刀打ちできず、フェイトもまたリンカーコアを抜き取られてしまうのであった。

 

「その後、俺も現場に来ましたがシグナム達は撤退され早急にフェイトたちをアースラに転送しました。その時にはなのはとフェイトのデバイスであるレイジング・ハートとバルディッシュは破損。すぐに技術部に送られ修理する事になりましたが………二機共にある指示を技術部に出しました」

 

俊輔がそう言うと映像にはなにかの設計図のような物が映し出される。

 

「これは?」

 

「この設計図はまだ安全性が確証されていないベルカ式のカートリッジシステムです。簡単に説明すると実銃は弾丸を発射する時薬莢に火薬を詰めますよね? その原理と同じです。魔力を込めた薬莢を詰め爆発的な魔力を得る物です。人間が弾丸の代わりと言えばいいでしょう。このシステムを二機は望み、なのはとフェイトを守ろうとしたのです」

 

俊輔はそう説明するのであった。



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過去の説明の時間五時限目闇の書事件編

俊輔の説明は判りやすかった。故に烏間や殺せんせーは内容を理解する事が出来たのである。

 

「だが、まだ続きがあるのだろう?」

 

「ええ、あります。この事件が始まったのが六月ごろです。そしてそれから半年間、闇の書の防衛プログラムが改変されている事に気付いたアースラスタッフはシグナム達を止めようと説得を試みましたが、失敗に終わり………時間は12月ごろに移ります」

 

俊輔が説明すると、映像には病院の屋上で俊輔となのは、フェイトがシグナムとシャマルと対峙しているシーンであった。

 

『はやてちゃんが闇の書の主………』

 

『悲願はあと僅かで叶う……』

 

『邪魔をするなら、たとえはやてちゃんのお友達でも』

 

『ちょっと、待ってくれ‼ 俺達は管理局に組みしているが、伝えるつもりは無い‼ こちらの話を聞いてくれ‼』

 

俊輔達はシグナムに自分達の調べた結果を伝えようとした。しかし、シグナム達は聞く耳を持たなかった。そして、ヴィータがなのはに攻撃を仕掛け、フェイトがなのはの方へ振り向くとシグナムが愛機レヴァンティンで攻撃を仕掛ける。俊輔はシャマルのバインドで動けなくなってしまった。

 

「この頃の私達は管理局の言葉など聞く気はなかった」

 

「私達の願いははやてちゃんが無事で元気な体を取り戻すこれだけの為に動いてきました………でも結果は違いました」

 

シグナムとシャマルの説明が終わると映像にはヴィータの攻撃でバリアジャケットを身に纏ったなのはが炎の中から出てくる頃であった。

 

『悪魔め‼』

 

『………悪魔で良いよ……判ってもらえるなら悪魔でも何でもいい‼』

 

なのはの言葉でヴィータとなのはの戦闘が始まった。

 

『シャマル。お前はあの者を捕らえておくのと通信妨害に専念しておけ』

 

『判ったわ……気を付けてね』

 

『誰に言っている』

 

シグナムの言葉でシャマルはバリアジャケットを身に纏うと一層の力で俊輔に掛けているバインドの威力を上げる。

 

『闇の書は何者かによって悪意ある改変をされました……今の状態で完成させたらはやては』

 

『お前たちがあれをどう決めつけようと聞く耳は持てん』

 

フェイトの言葉にシグナムは拒絶した。しかし、フェイトはそれでも説得を続けた。

 

『そうじゃない。そうないんd『聞く耳は無いと言った』…』

 

それでもシグナムはフェイトの言葉を遮って拒絶しバリアジャケットを身に纏った。

 

『それでも邪魔をするのであれば、切り捨てるだけだ‼』

 

シグナムがレヴァンティンを手に取るのを見てフェイトは覚悟しバリアジャケットを身に纏った。

しかし、その格好は装甲を薄くしスピードに特化した物であった。

 

『装甲を薄くしたか………緩い攻撃が当たれば死ぬぞ』

 

『あなたに勝つためです』

 

シグナムの言葉にフェイトは覚悟の籠った瞳で答えた。

 

『こんな出会いでなければ、お前とは良き友になれたのにな………』

 

『まだやり直せます‼』

 

シグナムの言葉にフェイトはやり直しが聞く事を伝えたが、シグナムは涙ながらに拒絶する。

 

『止まれんのだ……我ら守護騎士一同は、主の笑顔の為なら騎士の誇りさえ捨てると決めた………この身に変えても救うと決めた‼ こんな所では止まれんのだ‼』

 

『止めます。私とバルディッシュで‼』

 

シグナムとフェイトの戦闘が始まり出した。

 

『聞け‼ シャマル‼ お前たちは間違っている事に気付け‼』

 

『私達はもう止まれないのよ‼』

 

『この分からず屋が‼』

 

俊輔はありったけの魔力でバインドを砕きバリアジャケットを身に纏うと両手にリリィを展開させ銃型にすると引き金を引いた。しかし、シャマルに当たる前にバリアによって防がれてしまった。

 

「これは…………」

 

「闇の書の防衛プログラム“ナハトヴァール”。守護騎士プログラムを吸収し闇の書を完成させる為、最後の手段を使ったのです」

 

俊輔はそう説明すると、闇の書から蛇が現れ闇の書を呑み込んだ。

 

『ナハトヴァール⁉ なぜ‼』

 

『(自動防衛運用システム〈ナハトヴァール〉起動します)』

 

『待て‼ 我らはまだ戦える‼』

 

ナハトヴァールが起動システムを作動させるとシグナムが停止を掛ける様に言うが、ナハトヴァールは聞く耳は持たなかった。

 

『(守護騎士プログラムを破棄。闇の書の完成を最優先。守護騎士システムは消去)』

 

ナハトヴァールの言葉にヴィータは怒りで攻撃を行うが、防がれてしまう。そしてなのはが助けようとした時であった。

 

『(敵対勢力を排除。蒐集対象よりコアを蒐集)』

 

ナハトヴァールはシグナム、シャマル、ヴィータそして俊輔達を強力なバインドで固定させるとコアを蒐集し始めた。

それによりシグナム達は消失し俊輔もコアを抜かれた事により魔力を維持する事が出来ずにバリアジャケットが解かれてしまう。それと同時に病院の屋上にはやてが召喚され、シグナム達がナハトヴァールから出された蔓によって絡められているのを見てしまう。

 

『(守護騎士システムよりコアを還元。頁蒐集完了)』

 

ナハトヴァールから闇の書が出されると最後のページだけが空欄になっていた。

 

『なんやそれ……アンタ、誰………』

 

『(完成の時です我が主)』

 

ナハトヴァールの言葉にはやてには意味が判らなかった。だが、これだけは理解する事が出来た。シグナム達を捕まえているのは闇の書が原因だと言う事に。

 

『そんなのはええねん‼ シグナム達に何したん‼ みんなを降ろして‼』

 

『(………了解………守護騎士システムを完全抹消。コアモードで主に還元します)』

 

はやての言葉とは違う意味で捉えた闇の書は守護騎士システムを抹消する事にした。しかし、はやてはそれを止めようとした。しかし、遅かった。ナハトヴァールはシグナム達を消し去ったのである。

 

『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼』

 

はやては絶望に打ちひしがれて叫んだ。



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過去の説明の時間六時限目闇の書事件編

「………」

 

はやての絶望の声に誰もが声を出さなかった。しかし、疑問に思う事もあった。

 

「………八神さんにお尋ねする。シグナムさんはこの時消えた筈。では後ろにいるのはどう言う事なのですか?」

 

「それについてはまだ続きがあります。ウチは闇の書に取りこまれてしまい、一人孤独に闇の中にいました。ですが、なのはちゃんやフェイトちゃん、俊輔君のお陰で取り戻す事が出来たんです」

 

烏間の質問にはやては答えると映像が切り替わった。そこには闇の書の官制プログラムがなのはの最大魔法である“スターライト・ブレイカー”を放とうとしていた所であった。

俊輔はリリィを始め精霊たちによって魔力が戻され、なのは達と合流していた。

 

『なぁ、あれってもしかして…………』

 

『うん、なのはのスターライト・ブレイカーだ………』

 

『だったら‼ 逃げるだけだ‼』

 

『えぇぇぇぇぇぇッ⁉』

 

俊輔はなのはの手を取り逃げ出した。そしてフェイトも同じ様に逃げ出した。

 

「どうして逃げるのですか?」

 

「なのはの最大魔法、スターライト・ブレイカーは俺でも負けてしまう程の威力を持っています。だったら距離を取って攻撃する他無いんです。判ってるよな? 本局の悪魔さん?」

 

「俊輔君…………OHANASHIする?」

 

「……………すみません」

 

俊輔の言葉になのははハイライトの無い瞳で俊輔に尋ねると、俊輔は冷や汗を流しながら謝る。

 

「君たちはふざけているのか?」

 

「「滅相もございません。KYさん」」

 

「後で話をしよう」

 

「「だが、断る‼」」

 

なのはと俊輔はクロノの言葉にふざけながら息ピッタリに断わった。

 

「話を戻します。良いわね? 三人とも」

 

「「は~い」」

 

「僕は悪くないのに………」

 

「クロノ?」

 

「はい‼」

 

リンディの言葉になのはと俊輔は返事をするがとばっちりを受けたクロノは愚痴ると、リンディの凄みのある顔で名前を呼ばれ冷や汗を流しながら返事をした。

これを見ていた烏間と殺せんせーは苦笑いをする。

 

「話を戻します………スターライト・ブレイカーの脅威から逃げていた俺達でしたが、民間人が紛れ込んでいる事を知りました」

 

俊輔の説明で映像ではすずかとアリサを護る三人がいた。

 

「私達は買い物で出ていた時に事件に巻き込まれました。そして俊輔君達が魔導士だと言う事をこの時、初めて知りました」

 

すずかの説明で映像にはスターライト・ブレイカーを防いだ三人がすずかとアリサに振り向いたが、直ぐに転送魔法で安全圏に飛ばされた。

それと同時に、闇の書の暴走が始まり地面は割れ地表からは炎が巻き上がった。

 

『速いな……もう崩壊が始まったか………』

 

闇の書の融合機がそう呟く。

 

『私も時期に意識を失う……そうすればすぐにナハトヴァールが暴走を始める。意識があるうちに主と騎士達の願いを叶える‼ 眠れ‼』

 

融合機はなのは達に攻撃を仕掛けた。しかし、俊輔は違った。一気に融合機に攻撃を行う為、一人単機で動き出した。

 

『この駄々っ子が‼』

 

『お前も夢の中に眠れ』

 

『なっ⁉』

 

俊輔の攻撃は当たらずに闇の書に取りこまれてしまった。

 

「俺は闇の書に取りこまれ、自分が望む夢を見させられました………親父とお袋がまだ生きていて家族で暮していたかった夢を………」

 

俊輔がそう言うと映像にはリビングで寛ぐ男性と料理を作っている女性がいた。

 

『お袋………親父………』

 

『なにそこでぼーっとしているんだ? 早くご飯を食べろ。もう少しですずかちゃんが迎えに来るぞ』

 

『えっ?』

 

『今日はデートの日でしょ?』

 

『………あ、ああ。そうだったな。忘れかけてたよ』

 

父親と母親の言葉で俊輔はこれからの予定を思い出した。そして、すずかとデートをし家に帰ると、俊輔は決意の籠った瞳で両親と向き合った。

 

『なぁ親父にお袋………夢なんだよな?』

 

『ああ、夢だ………だが、お前が望んだ事だ。ここにいれば俺達と一緒に暮らせれるんだ』

 

『それでいいじゃないの? 私達はあなたと一緒に暮らしたいの…………』

 

俊輔の質問に両親はこの夢の世界で一緒に暮らそうと言いだした。しかし、俊輔は首を横に振った。

 

『いや、夢なら覚めないといけないんだ………夢は所詮、夢なんだから………だから俺は行くよ。元の居場所に‼』

 

『『……………』』

 

俊輔の言葉に両親は何も言わなかった。だが、席を立つと俊輔を抱き寄せた。

 

『大きくなったな………本当ならこうして現実でも抱きしめてやりたかった』

 

『俊輔……現実に戻っても負けないで先に進みなさい。あなたを待っている人がいるんだから』

 

『…………判った。俺も一生、この夢の事を忘れない。だから、親父、お袋………いつまでも俺の事を見守っていてくれ‼』

 

『ああ、大切な人を護れよ………これは俺からだ』

 

『これ………デバイス?』

 

『父さんが昔使っていたデバイスだ。お前の力になるだろう』

 

『ありがとう。親父』

 

父親から渡されたのは生前に使っていたデバイスであった。そして今度は母親が俊輔に渡した。

 

『これは母さんからよ………大事に使いなさい?』

 

『これは………首飾り?』

 

『母さんが大切にしていた物よ………あなたが本当に大切な人に渡しなさい』

 

『………判った。ありがとう。お袋』

 

「この首飾りって………」

 

「ああ、すずかが今している物だ。お袋から言われた通り、大切な人に渡した」

 

「………ありがとう」

 

すずかは今している首飾りの意味を知り、俊輔を傍で支えようと言う気持ちが強くなったのであった。

 

「話を戻します。俺はその後、両親に見送られて夢の世界から脱出しました」

 

映像にはランカとシェリルの二人とツイン・ユニゾンをし夢の世界から脱出した所であった。

また映像が切り替わり、俊輔がまだ夢の中に取り込まれている頃、フェイトとなのはが闇の書の官制プログラムと戦闘を行っていた。

 

『一つ覚えの技が通ると思ってるのか?』

 

『通す‼』

 

『そう‼ 俊輔を助ける為…はやてを助ける為に‼』

 

『(ACA standby)』

 

『(Sonicmode)』

 

レイジングハートとバルディッシュはそれぞれのモードに切り替わると同時にカートリッジも交換する。

 

『レイジングハートが力をくれる‼』

 

『バルディッシュも力をくれる‼』

 

『『泣いている子を助けてあげてって‼』』

 

二人はデバイスを構えた。

 

『F&N中距離殲滅コンビネーション』

 

『ブラストカラミティ―』

 

『『ファイヤァァァァァ‼』』

 

二人の同時攻撃により官制プログラムは攻撃を受けたが、それでも微々たるものであった。

 

『これだけか………消えろぉぉぉぉ‼』

 

官制プログラムは二人をバインドで絡み取ると上空から大きい槍で突き刺そうとした。しかし、それを許さない者が居た。俊輔である。

 

『我が名において命じる‼ 来い‼ ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン‼ そして殲滅せよ‼ 混沌のマキシマム・バースト‼』

 

俊輔が召喚したブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンの攻撃により槍は破壊され消滅するのであった。



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過去の説明の時間七時限目~闇の書事件編

俊輔が召喚したブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンの攻撃により、闇の書の官制プログラムが放った槍を一瞬で消滅させた。

 

『遅くなった。すまない』

 

『ううん、お帰り。俊輔君』

 

『ただいま………さぁ、続きだ‼』

 

俊輔の言葉で三人はデバイスを構えた。

映像は切り替わり、闇の中で一人居たはやてだったが、官制プログラムがはやてのことを見守っていた。

 

『思い出した……全部思い出した‼ 何があったか、なんでこうなったのか‼』

 

『我が主、お休みください‼』

 

はやてはどうして自分がここにいるのかを思い出した。しかし、官制プログラムは涙を流しながらはやてを眠らそうとした。だが、はやてはそれを拒んだ。

 

『優しい気持ちありがとう……そやけど、それはあかん。私らようみんな似てる……ずっと寂しい、悲しい思いして……一人で出来ひんくって』

 

はやての言葉に官制プログラムが涙を流し始める。

 

『そやけど、忘れたらあかん』

 

『えっ』

 

はやての言葉に官制プログラムは顔を上げる。

 

『貴女のマスターは今は私で、貴女は私の大事な子や』

 

『ですが‼ ナハトがもう止まりません‼ 暴走も‼』

 

官制プログラムの言葉にはやては意識を集中させ、外にいる官制プログラムの動きを止めた。そして外で戦っている者へ念話を行った。

 

『外で戦っている方、協力してください‼』

 

『はやて⁉』

 

『意識があるの‼』

 

はやてから送られた念話に三人は驚いた。

 

『この子に取りついている黒い塊を‼』

 

はやてがそう言った瞬間、官制プログラムが叫び出し、三人は耳を塞いだ。だが、それが終わる頃には官制プログラムは上へと上がっていた。

すると、なのはの前にモニターが展開されユーノとアルフの声が聞こえた。

 

『なのは、聞こえる‼ 融合状態で主が意識を保っている。今なら防衛システムから融合機を切り離せるかも知れない‼』

 

『でも、どうやってやるんだ?』

 

ユーノの言葉に俊輔が尋ねた。すると、ユーノは三人にとって単純明快な言葉を言った。

 

『三人の純粋の魔力砲で黒い塊をぶっ飛ばして‼ 全力全開、手加減無しで‼』

 

『単純だな……』

 

『判りやすいね』

 

『そうだね』

 

俊輔はデバイスを銃型からカノン型に変更させた。そしてなのはとフェイトもデバイスを構えた。

 

その頃、闇の中ではやては名も無い融合機に名前を渡そうとしていた。

 

『名前を上げる……闇の書とか呪われた魔導書なんて呼ばせへん。私が言わせへん。ずっとな、考えてた名前や。強く支える者。幸運の追い風、祝福のエール“リインフォース”』

 

その瞬間、闇が払われ光に満ちた。

 

外では暴走する官制プログラムに俊輔達三人が純粋魔力砲を放とうとしていた。

 

『N・F・H中距離殲滅コンビネーション‼』

 

『ブラストカラミティ・ツヴァイ‼』

 

『放つぞ‼』

 

『『『ファイヤァァァァァ‼』』』

 

三人の同時攻撃は闇の書の官制プログラムに当たり、融合機と防衛プログラムが切り離された。

すると、ベルカ式の魔法陣が現れると、周りに四人の姿が現れた。そしてベルカ式の魔法陣の上にははやてが騎士甲冑を身に纏って立っていた。

 

『夜天の光に祝福を‼ リインフォース…ユニゾンイン‼』

 

はやてがリインフォースとユニゾンし、魔導士として誕生した。

 

『はやて‼』

 

『主……申し訳ありません』

 

『あのう、はやてちゃん………』

 

シグナム達は今までの事を謝ろうとしたが、はやてはそれをさせなかった。

 

『ええよ、みんな。リインフォースが教えてくれた……ま、細かい事は後や…とりあえず、お帰りみんな』

 

この言葉でシグナム達は一層、はやてについて行くと決めた。そして俊輔達もはやての元へと降り立った。

それに遅れる形でクロノとユーノ、アルフが到着した。

 

『すまない。水を差す様で悪いが時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。時間が無いので簡潔に事態を確認したい』

 

クロノはそう言うと海の上で蠢く物体を差しながらはやてに尋ねる。

 

『あそこの黒い淀み…あれは闇の書の防衛プログラムであと数分で暴走を開始する。間違いないか?』

 

『うん、自動防衛システム“ナハトヴァール”』

 

『暴走は周辺の物質を侵食しナハトの一部にしていく。臨界点が訪れなければこの星一つ呑み込んでしまう力がある』

 

はやての肩に小さくなったリインフォースが説明した。

 

『停止するプランは用意してある。後はこちらで何とかする………と言いたいところだが協力者は多い方が良い』

 

クロノはそう言うとデバイス“デュランダル”を展開させる。

 

『守護騎士やはやては闇の書の呪いを終わらせる為、俊輔達はこの町、世界を護る為。協力してもらえるか?』

 

クロノの要請に全員が頷いた。

 

『その前に良いか?』

 

『なんだ、俊輔?』

 

俊輔の言葉に全員が俊輔の方に向いた。

 

『そろそろ俺も本気を出そうと思ってな……』

 

俊輔の言葉に全員が驚いた。

 

『アレで本気ではないと言うのか‼』

 

『ああ、俺の本気を出す時は決めてるんでね………プレシアの時は完成してなかったけど、やっと完成したんだ。俺の全力をな』

 

そう言うと俊輔は、ランカとシェリルのツイン・ユニゾンを解いた。

 

『ランカ、シェリル。本機を出すぞ‼』

 

『うん‼』

 

『ええ‼ 見せてあげましょう。銀河の歌姫たちの力を‼』

 

俊輔の言葉にランカとシェリルは頷いた。そしてランカはオレンジを主体としたドレス服に身を包み、シェリルは紅を主体としたドレス服に身を包んだ。

そして俊輔は黒のバリアジャケットからもっと深みを増した漆黒のバリアジャケットに身を包んだ。

 

『リリィ‼ フォルムチェンジ、ドライ‼』

 

『了解‼ フォルムドライ、起動‼』

 

俊輔のデバイスがカノン型からガンソードへ変形する。

 

『さぁ、行くぞ‼』

 

『おお‼』

 

『それ、僕のセリフなんだが………まぁ良いか‼』

 

俊輔達は闇の書の呪いを終わらせる最後の戦いに臨むのであった。



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過去の説明の時間八時限目~闇の書事件編

今日は四話、連続投稿です‼


俊輔達はそれぞれのポジションに着くと、ナハトヴァールの暴走が始まった。

 

『夜天の書を呪われた魔導書と呼ばせたプログラム、ナハトヴァール浸食暴走体……闇の書の闇‼』

 

はやての言葉が終わると黒く淀んだ場所から一体のモンスターが現れる。

ユーノ、アルフ、ザフィーラの三人によるバインド攻撃が始まった。

 

『ケージング・サークル‼』

 

『チェーン・バインド‼』

 

『囲え‼ 鋼の軛‼』

 

しかし、三人のバインドは効果を成さなかった。だが、それで良かったのである。他のメンバーを動かす時間を作る事が目的で、ナハトヴァールを一時的に動かさない事が目的だったからである。

 

『先陣突破だ‼ なのは、ヴィータ‼ シクジンナよ‼』

 

『ああ‼ 合わせろよ……高町なのは』

 

『うん‼』

 

俊輔の言葉にヴィータは返事をして、初めてなのはの名前を呼び、なのはも喜んで返事をした。

 

『やるぞ、アイゼン‼』

 

ヴィータの愛機“グラーフアイゼン”はカートリッジを二発消費してギガントフォルムに切り替わる。ヴィータはそのままナハトヴァールの元へと向かって行く。しかし、ナハトヴァールもただでは通すつもりは無かった。すぐに攻撃をヴィータに集中させようとしたが、なのはのアクセルシューターパニシングシフトによって妨害されてしまう。

なのはの援護によりヴィータはナハトヴァールの上へと立ち、術式を展開させる。

 

『轟天爆砕‼ ギガント・シュラーク‼』

 

ヴィータの体よりも大きくなったアイゼンはそのままナハトヴァールへ振り落とされバリアの一枚を破壊する。しかし、威力が強かったのか、その巨体も押し込まれてしまう。

 

『次‼ シグナム、フェイト‼』

 

俊輔は次に待っていたシグナムとフェイトに指示を出した。

 

『行くぞ、テスタロッサ』

 

『はい、シグナム』

 

二人は名前を呼ぶだけであったが、それだけで十分であった。

フェイトはバルディッシュを振りナハトヴァールのバリアにダメージを与える。しかし、それだけではバリアを突破する事は出来ないが、シグナムとフェイトの同時攻撃によってバリアは撃ち抜かれ崩壊する。

 

『駆けよ、ハヤブサ‼』

 

『貫け、雷神‼』

 

二人の攻撃はナハトヴァール本体にもダメージを与えた。だが、それだけでは終わらなかった。すぐにナハトヴァールは反撃を開始、バリアを再展開させた。

 

『デラァァァァ‼』

 

ザフィーラの拳による攻撃によってバリアは破壊され本体にもダメージを負ってしまった。

 

『はやて‼』

 

俊輔は上空で待機しているはやてに声を掛けた。はやては一つ頷くとシュベルトクロイツを構える。

 

『彼方より来たりて宿り木の枝』

 

『臨月の槍となって撃ち貫け』

 

『『石化の槍、ミストルティン‼

 

はやてとリインフォースの呪文によって撃たれた槍はナハトヴァールの体に当たり石化し始めた。

だが、直ぐに再生し始めた。

 

『クロノ、俺にやらせてくれ』

 

『……良いだろう。しくじるなよ。俊輔』

 

『わーってるよ‼ ランカ、シェリル‼ 頼む‼』

 

『うん‼』

 

『ええ‼』

 

俊輔の言葉にランカとシェリルは歌を歌い始めた。

 

『星を回せ、世界の真ん中で』

 

『やるぞ、リリィ………カートリッジ四発ロード』

 

『カートリッジロード‼』

 

ガンソードの持って部分の上にあるシリンダーが回り四発の薬莢が撃たれる。

 

『さぁ、呪われし闇の書の闇よ‼ これで眠れ‼ ファントム・ブレイク・インパルス‼』

 

ガンソードの持ち手にある引き金を引いた俊輔。ガンソードの先端から魔力が充填され砲撃としてナハトヴァールを撃ち貫いた。しかし、それでもナハトヴァールは再生を止めなかった。

 

『さぁ、僕の出番だ‼ 凍てつけ‼ エターナル・コフィン‼』

 

クロノの攻撃によりナハトヴァールは氷漬けにされてしまう。

 

『なのは、はやて、フェイト、俊輔‼ 行け‼』

 

クロノは四人にそう言うと、上空で待機していた四人が魔力を充填し始める。

 

『全力全開‼ スターライト…』

 

『雷光一閃‼ プラズマザンバー』

 

『全ての闇を晴らせ‼ スターダスト・スパークル…』

 

『ごめんな…お休みな………響け終焉の笛‼ ラグナロク…』

 

『『『『ブレイカァァァァァァァァァッ‼』』』』

 

四面から放たれたブレイカーは瞬く間にナハトヴァールの体を崩壊させた。そしてコアを露出させるとシャマルがそれをキャッチした。

 

『捕まえ……たっ‼』

 

『長距離転送‼』

 

『軌道上、アースラ‼』

 

『『『転送‼』』』

 

三人は合わせてナハトヴァールのコアをアースラ前へ転送した。しかし、転送する中でもナハトヴァールは再生を始めていた。

そして、アースラの艦船魔導砲“アルカンシェル”によって消滅し闇の書事件に幕を閉じたのであった。

 

「「………」」

 

この映像をみた烏間と殺せんせーは驚きの余り言葉が無かった。

 

「その後の事を説明します。ナハトヴァールと切り離されたリインフォースでしたが、自身の中に眠っている防衛プログラムを消し去る為、自らを消滅させる事にしました。しかし、その事をはやては知りませんでした」

 

俊輔がそう説明すると、ベッド上に横たわるはやてを見つめるリインホースや守護騎士たちが映し出された。

 

『私の……夜天の書の破損は深刻だ……ナハトは停止したが、歪められた基礎構造は変わらない。私は…夜天の書本体は新たなナハトを精製し暴走を始めるだろう』

 

『主はやては大丈夫なのか?』

 

リインフォースの言葉にシグナムははやての体に異常を来さないか確認をしたが、リインフォースはそれは無いと断言した。

 

『何も問題は無い。浸食から護られ、リンカーコアも生成されている。不自由だった足も時を置けば治る。目覚めてから大義を成された故、お疲れなのだろう。時期に目が覚める』

 

『そう……なら万事OKと言う事ね』

 

『ああ、心残りは無いな』

 

リインホースの言葉にシャマルもシグナムも安心する。自分達が消えてもはやてが助かる。それだけで十分であった。

 

『ナハトが止まっている今。夜天の書を破壊するのは簡単だ……魔導書本体を破壊すれば暴走する事も無い。代わりに私達も消滅するけど………』

 

『ヴィータ…』

 

『ヴィータちゃん………』

 

ヴィータの言葉にシグナムとシャマルは悲しそうな表情になる。だが、リインフォースがそれを許さなかった。

 

『いや、消滅するのは私だけだ……お前たちは残る。守護騎士プログラムは独立させたからな』

 

そう言うとリインフォースは微笑んだ。




誤字を発見したので、修正を行いました。


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過去の説明の時間九時限目~闇の書事件編終結

映像は切り替わり、丘の上でリインフォースとシグナムが立っていた。

 

『こうして話すのは初めてだな。烈火の将』

 

『…………すまない。言葉が見つからない』

 

『謝るな。胸を張ってくれ……我らが主をよろしく頼む』

 

『………ああ』

 

リインフォースの言葉にシグナムは強く頷いた。

すると丘の上になのは、フェイト、俊輔が現れる。

 

『来てくれたか……小さい勇者たちよ』

 

『リイン…フォースさん………』

 

『そう呼んでくれるのだな…』

 

『うん……』

 

なのははリインフォースの名前を呼んだ。

 

『本当に俺達がリインフォースを空に還す手伝いをしないといけないのか?』

 

『お前たちだからこそ、頼みたいんだ』

 

俊輔の質問にリインフォースは一人一人を見つめながら俊輔達だからこそ頼みたいと申し出たのであった。

 

『はやてに……お別れの挨拶をしなくちゃいけないんじゃないの?』

 

『主はやてを悲しませたくないんだ………』

 

『でもそんなの……悲しいよ』

 

リインフォースの言葉になのはが涙を流す。

 

『お前たちにも時期に判る……海より深く愛しその幸福を護りたい思える者と出会えればな……』

 

リインフォースはそう言った。その表情には後悔をしていない様子であった。そして遅れて来たヴィータ、シャマル、ザフィーラが集合すると、リインフォースを空へと還す儀式が行われようとした。

 

『さぁ、始めよう。夜天の書の終焉をな』

 

なのは、フェイト、俊輔はリインフォースを囲む形で三角形の角に当たる位置に着く。そしてデバイスを展開させ、儀式を執り行い始めた。

 

『短い間だったがお前たちには世話になった』

 

『気にせずに』

 

『良い旅を……』

 

『来世があれば、良き人生を……』

 

デバイスたちに声を掛けるリインフォース。レイジングハートやバルディッシュ、リリィ・ホーネンスも励ましの言葉をリインホースに贈った。

 

『ああ、ありがとう』

 

そう言うと魔法陣が輝き始め、最後の工程に移った。だが、そこにはやてが車椅子に乗って現れた。

 

『リインフォース‼ みんな‼』

 

この声に全員がハッとした表情になりはやての方に視線を向けた。

 

『はやて‼』

 

ヴィータが動き出そうとした瞬間、リインフォースが待ったを掛けた。

 

『動くな‼ 動かないでくれ………儀式が止まる』

 

そう言われて誰もが動けなかった。

 

『止めて、リインフォース‼ 破壊なんてせえへんで良い‼ 私がちゃんと抑える‼ だから‼』

 

『良いのですよ。主はやて……長い間、旅を続けて来ましたが最後の最後で貴女に綺麗な名前と心を頂きました。ほんの僅かな間でしたが、あなたと共に空を駆け、あなたの力になる事が出来ました。騎士達も貴女の傍に置く事が出来ました。心残りはありません』

 

リインフォースの言葉にはやてはそうじゃないと呟く。

 

『そうやない……心残りなかちゃう……』

 

『だから、私は笑って逝けます』

 

『アカン‼ 私がなんとかしたる‼ 暴走なんてさせへんって約束したやんか‼』

 

はやてはリインフォースを説得した。しかし、それでもリインフォースの意志は変わらなかった。

 

『その約束は……もう立派に果たされました。主の危険を払い、主を護るのが魔導の器の務め。最も貴女を護る手段を択ばせてください』

 

『やっと……やっと幸せになれたやんか‼ それやのに………』

 

『私の意志は、魔導と共に騎士たちに繋がれます。貴女の心の中に生きます。私はいつまでも貴女の傍にいます』

 

リインフォースの言葉にはやては首を強く横に振った。

 

『そんなんちゃう‼ そんなんちゃうやろ‼』

 

そう言うとはやては車椅子を操作してリインホースの元へ行こうとした。だが、途中で石に躓き車椅子から投げ出されてしまう。

 

『これから始まるのに……これからうんと幸せにしてあげなあかんのに………』

 

はやては涙を流しながらリインフォースに言葉を言う。

するとリインフォースは結界から出ない範囲ではやてに近づいた。

 

『私はもう世界で一番の幸福の魔導書ですから………我が主、一つお願いがあります』

 

『……なんや………』

 

リインフォースのお願いにはやては答えようとした。

 

『私は消え、小さく無力なカケラに変わります。もし宜しければ……そのカケラでは無く、貴女がいずれ手にするであろう新たな魔導の器に贈って頂けますか?』

 

そう言うとはやての顔に手を置いた。

 

『祝福の風リインフォース。私の願いはきっとその子に繋がれます……』

 

『リインフォース………』

 

『はい、我が主』

 

はやてに名前を呼ばれたリインフォースは返事をすると立ち上がり儀式に戻ろうとした。だが、一度握りこぶしを作り決意を込めて戻った。

 

『リインフォース。最終確認だ………本当にこれで良かったのか?』

 

『ああ、これで良いのだ………』

 

俊輔の問いにリインフォースは答えた。だが、俊輔が聞きたかった答えはそうでは無かった。

 

『俺が聞きたいのはそう言う答えなんかじゃない‼ お前はデバイスとしてではなく、一個人としての答えを聞きたいのだ‼ どうなんだリインフォース‼』

 

『………生きたいに決まっているじゃないか‼ どうして主と別れなくちゃいけないのだ‼ こんな改変を受けなければ、主はやてと一緒に過ごしたいに決まっているだろう‼』

 

俊輔の問いにリインフォースは心の中に秘めていた本音を吐き出した。

すると、俊輔はそれを聞けて満足したのか魔法陣から出た。

 

『な⁉ 何をするつもりだ‼』

 

『今からお前を夜天の書から完全に切り離す。だが、これをすると言う事は、お前ははやてとユニゾンができなくなる……だが‼ はやてと一緒に暮らしたいと思っているお前の為だ‼ もう一度問う、リインフォース‼ お前が望む事を願え‼』

 

『………我が主はやてと一緒に暮らしたい‼』

 

『その答えを待ってました‼ 全員離れろ‼』

 

俊輔の言葉で全員が魔法陣から離れた。すると展開されてた魔法陣が消えてしまう。

 

『さて、丁度今日はクリスマスイヴだ………はやて。これは俺からのクリスマスプレゼントだ‼』

 

俊輔はそう言うとバリアジャケットを身に纏った。そして、リリィは一枚の緑色のカードを排出する。

 

『少し痛みを感じるかも知れない……我慢してくれ』

 

『……良いだろう。やってくれ』

 

リインフォースの言葉を受け、俊輔は頷くと一回、深呼吸をする。

 

『スーハァー………魔導封印‼ 対象、リインフォース‼』

 

『グッ……ガァァァァァァァァッ‼』

 

俊輔が緑のカードをリインフォースに向けると、カードが光り輝きリインフォースを包み込んだ。リインフォースはかつてない程の強い痛みに負け声を上げてしまうが、俊輔はそれでも止めなかった。そして、光が無くなるとリインホースの姿が無くなっていた。

 

『俊輔君⁉ リインフォースをどないしたんや‼』

 

『待ってな、構成しているから…………出来た‼ 発動‼ 召喚魔法‼ 祝福のエール、リインフォース‼』

 

俊輔がそう言うと緑のカードが消え、その代わりにリインホースが元の姿になって現れる。

 

『リイン………フォース?』

 

『…………ただいま戻りました。我が主』

 

『リインフォース‼』

 

はやては堪らずリインフォースに這って近づき、リインフォースもはやての元へ行き抱きしめた。

そこで映像は終わった。

 

「………」

 

全員、映像が終わる頃には涙を流していた。

 

「これが俊輔君達が遭って来た事件の真相です………リインフォースさんはこの場には居ませんが、はやてさんの力になるべく傍にいつもいます。そして、リインフォースさんの遺志を受け継いで生まれたのが………」

 

「私、リインフォースⅡです。はやてちゃん、私はお姉ちゃんの意志をこれからも受け継いでいきます‼」

 

「うん、よろしゅうな‼ リイン‼」

 

「はいなのです‼」

 

リインホースⅡはリインフォース・アインスの意志をこれからも繋げて行くと心から思うのであった。




長かった………ここまで書くつもりは無かった。
だけど、書いている内にこんなにも長く書く羽目になってしまった。
次回からは原作に戻ろうと思います。(戻れるかどうかは不明)

リインホースと表記しておりましたが、正しくはリインフォースでした。
間違って書いてしまい、誠に申し訳ありません。


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ジェミニ・ハエルフの時間

今回は犯罪者、ジェミニの説明を行います。
早く本編へ行きてぇ~

あと、今回はグロ要素あります。今回だけで済めば良いんだけどな………


「………君たちの過去は判った。だが、一つ疑問に思う事があるんだが良いかな?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

烏間は重い口を開き、俊輔達に質問をする。

 

「君たちはなぜコイツを暗殺する為に椚ヶ丘中学に再転入したのだ? 君たちの力であれば簡単に出来る筈ではないのか?」

 

「「「「……………」」」」

 

烏間の質問に俊輔達は答えなかった。しかし、その質問に答えたのはリンディであった。

 

「彼らに殺せんせ―を暗殺する様に命じたのは我々、時空管理局です」

 

「どうしてそう言う命令を出したのですか? こう言っては何ですが、彼らには関係の無い話では無いのですか?」

 

リンディの答えに烏間はもっと深く意味を問質す質問をする。

 

「………時空管理局の上層部は殺せんせ―の事を危惧しているのです」

 

「どう言う意味ですか?」

 

「判りませんか? もし仮にも時空管理局が管理する世界に彼が現れた時、対処する事が出来ないのです。と言うのは表の話です」

 

「表……裏の話もあると言う事ですね?」

 

烏間の言葉にリンディは頷いた。そして俊輔の方に目を向けた。

 

「俊輔君。彼らに今回の任務の内容を説明してあげて」

 

「良いのですか?」

 

「特殊管理外世界“地球”東京支部局長である私が許します。私にはそれだけの権利が与えられています」

 

「判りました」

 

俊輔はリンディの指示に従い、一枚のモニターを展開する。

 

「ご説明します。今、モニターに写っている二人の人物は、時空管理局で捜査している一級次元犯罪者ジェミニ・ハエルフと広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティの二人です」

 

「どういう人物なのですか?」

 

「では先にジェミニの説明をします。奴は管理局員の殺害と一般人の殺戮を犯した犯罪者です。管理局が握った情報では、現在の潜伏先として地球であると言う事が判明しました」

 

「では、そいつの逮捕は我々が「それは不可能です」どう言う事だ?」

 

「奴が使うのは魔法だけではありません。質量兵器…地球で言う銃や大砲など魔力を使わない兵器を使用します。普通の質量兵器だけならば、地球の警察や自衛隊でも対処可能でしょうが………奴が持っている質量兵器は普通では無いのです」

 

烏間の言葉を遮って俊輔は言葉を放つ。

 

「どう言う事だ? 可能と言いながら不可能と言うのは矛盾していないか? それに普通と言う事は、奴が使っている質量兵器と言うのは、普通ではないと言う事か?」

 

「確かに矛盾していますね……そうですね。銃とかなら自衛隊や警察でも対処可能でしょう」

 

「では、ジェミニと言う奴が使う武装は普通では無いと?」

 

「………ええ。奴が使う質量兵器の多くが核に近い物です」

 

「「なっ⁉」」

 

ジェミニが使う質量兵器が核に近い物と聞いて烏間と殺せんせーは驚きを露わにする。

 

「今までの戦闘データを入手しましたが、どれも核に近い威力を持った兵器が使われている事が判っています。仮に核ミサイルなどであれば、自衛隊では対処が可能であると言えますが……」

 

俊輔はそう言うともう一枚のモニターを展開させ戦闘後のデータを呼び寄せた。そこには文化があったのであろう。所々に建物の残骸が転がっていた。しかし、どの画像にも死体が映し出されていなかった。

 

「死体が無い………蒸発したのか?」

 

「いえ、死体に関してはありますが………」

 

俊輔はそう言うとアリサとすずかに目を向ける、彼女たちに死体など見せるべきではないと思ていたからである。

 

「俊輔。私達は少し席を外すわ。終わったら呼んで頂戴」

 

「俊輔君………」

 

「判った………すずか、待っていてくれ」

 

「………うん」

 

アリサとすずかは席を立ち部屋から出て行く。

 

「さて、本当に見るのですね?」

 

「ああ、見せてくれ」

 

「我々にも見るべきであると思っているので………もしかしたら、対処できる方法が見つかるかも知れないので」

 

俊輔の確認に烏間と殺せんせーは頷いた。

 

「………判りました。因に言うとなのは達はこの画像を見た事がありません。お前たちにはそれを見る覚悟があるのか?」

 

「私達も管理局員として入局したからには見ないといけないから」

 

はやてが代表して俊輔に覚悟の意志を伝えると、俊輔は頷き画像を切り替えた。

 

≪⁉≫

 

画像に映し出されたのは、人であった物であった。顔はドロドロに溶け、目があった所はくり貫かれた様に無くなり四肢に至っては原型を留めていなかった。否、身体自体が原型を留めていないのである。

この画像を見てなのは、フェイト、はやては口元を抑えてしまう。クロノに至っては目を背けてしまう。画像を見て目を背けていないのは俊輔、リンディ、烏間、殺せんせーだけであった。

 

「………これは‼ この威力は、広島や長崎に落とされた原子爆弾より以上ではないか‼」

 

「……はい。俺達、特殊武装管理部隊がこの世界に赴き、調査した結果、放射能は確認されませんでしたが、威力は第二次世界大戦末期にアメリカが実験と称し、広島と長崎に落とした原子爆弾より威力が高いと言う結果が出ました。そして、爆発した時に爆心地の近くにいた人々は蒸発し、約50㎞以上離れていた人間にもこれだけの威力を発揮したと言う事です」

 

「無事な人間はいたのか?」

 

「…………いませんでした。俺達が赴いた時には手遅れで、その世界にいた人々はこういう状態でした。奴はこの世界を飛び回り爆弾を設置し、違う世界に逃げました。そして、爆発の威力でその世界には人類が住むことが出来ない不毛の地となってしまったのです」

 

「待って下さい。放射能が検出されていなかったのであれば、人が住めるのでは?」

 

「確かにそうですが………この世界はそうはいきませんでした。爆発の影響でこの世界は壊滅的な被害を受け、建造物を作るにしてもそれを支える地盤が無くなっていたのです」

 

「まさか………」

 

「判りましたか?」

 

俊輔の説明に烏間は納得したかのような表情をする。

 

「世界の地盤は、爆発によって消滅したと言う事では無いのか?」

 

「正解です。この世界の地盤を調査した結果、この世界の地盤が歪められ、人間が住む環境では無いと言う結果に至りました」

 

俊輔の説明にもし、ジェミニが地球でも同じような事をした時に地球はどうなってしまうのか想像が出来なかったのであった。



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ジェイル・スカリエッティの時間

ジェイルの説明になります。

さてさて、そろそろ本格的に魔法を使うシーンをどこで出すか考えねぇとな………

それと今回の説明には、気分を悪くしてしまう方がいると思われますが、表現させるにはこうせざるを得ないと言う事をご了承下さい。


「では、ジェイル・スカリエッティの説明はどうなんだ?」

 

「広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティが犯した罪はジェミニ程の凶悪な事をした訳ではありません。ですが、奴は戦闘機人と言う兵器を作り出しました」

 

「戦闘機人………戦争をする為の人と言う事か?」

 

「はい、その通りです」

 

烏間の言葉に俊輔は頷いた。

 

「だが、広域次元犯罪者とは呼べないのではないんですか?」

 

「確かにそう言う意味では広域次元犯罪者とは呼べません。ですが、奴が作り出した戦闘機人達は人の心を持っています。そこが厄介なのです」

 

「どう言う意味だ?」

 

俊輔の意味に烏間は良く分からないでいた。

 

「人の心を持った兵器。簡単に言えばAI……人工知能を持った兵器と思ってくださっても良いです。現在、管理局が把握している戦闘機人の数は六人。一人は情報処理などを担当する“ウーノ”二人目は潜入や調査をしている“ドゥーエ”三人目は前線で指揮を執る“トーレ”四人目は情報操作を行う“クアットロ”五人目は潜入行動を担当にしている“チンク”そして六人目が潜航能力にて隠密や潜入を担当にしている“セイン”です」

 

「イタリア数字で一から六までの番号と言う事か………」

 

「ええ、スカリエッティは名前に関して拘りが無く、番号で呼んでいたようです」

 

俊輔の説明に烏間は納得する。

 

「だが、判らんな……なぜそれだけの容疑でジェミニより重い罪状になっているのだ?」

 

「それを説明します。唯単に戦闘機人開発だけとなれば、罪状的にも緩い筈ですが、こいつはロストロギアを複数所持している容疑があるのです」

 

「そのロストロギアとはなんだ?」

 

「そう言えば、そこの説明をしていませんでしたね………ロストロギアと呼ばれる物ですが、過去の遺跡から発掘された物を呼びます。本来は時空管理局の古代遺産管理部と言う部署が存在し、そこで危険かどうかの査定を行った後に、管理すると言う流れになります」

 

烏間の質問に俊輔は答えて行くが、烏間には新たな部署の名前が出て来たので、そこも質問していく。

 

「では、危険度が無い物と判断された物に関してはどう言う流れになるのだ?」

 

「危険度が無い物、あるいは低い物に関してはロストロギア管理許可書を所持しているコレクター等にオークション等で渡される事になります。因みにですが、地球にもロストロギアが存在します」

 

「なに?」

 

俊輔の言葉に烏間は頭をフル回転させるが、今までの説明で当たる物は無かった。しかし、身近な物で存在していたのである。

 

「身近にある物です。世界のほとんどが使っている物ですよ……まぁ、身近にあり過ぎて判らないのも仕方が無いですね………原子力です」

 

「原子力だと?」

 

「はい。原子力の元となるのは核ですが、もっと深くまで掘り下げるとプルトニウムがそうです。あれ一つで人間が死に至らしめる事が可能です。もし、地球に人類がいなくなり、核兵器製造工場や原子力発電所などの中から発見されてしまえば、それだけでロストロギアに当たってしまうのです。まぁ、今の所は安全と言えますが………過去にありましたよね? 原子力建屋の水蒸気爆発が」

 

「………東北の事か?」

 

「そうです。まさしくアレがそうと言えます。幸いにも人体への影響が無いだけ良かったですが、周辺住民の方々は避難を余儀なくされてしまいましたよね?」

 

俊輔は自分が思い出せる日本国内での原子力発電所の事故を思い出し、烏間に問いかけた。

 

「………ああ、そうだ。確かに津波や地震の影響で原子力建屋が破壊され爆発し避難がなされた………そう言われて見れば納得のいく話だな…………」

 

烏間の頭の中にもあの事故の事は忘れられない物であった。否、この場にいる全員が忘れられない出来事であった。

 

「さて、話を戻します。ジェイル・スカリエッティはそのロストロギアを複数、所持している容疑が掛かっています。その為、我々としては一刻も早くスカリエッティの逮捕をしなければならないのです」

 

「そう言う事か………我々、防衛省として手伝える事はあるのか?」

 

「………そこの所に関しては、リンディさん。お願いできますか?」

 

手伝いの出来る範囲は限られて来る。そこで俊輔はリンディにお願いし今後の対応を話し合ってもらおうとした。

 

「判りました。我々としても手伝って欲しいのは山々です。しかし、あなた方は魔法を持たない方々。我々の手伝いが出来るとは言えませんが………バックアップとして手伝ってもらえるのであれば幸いな事です」

 

「判りました。私はこの暗殺に関して全権を貰っています。もし、ジェイル・スカリエッティやジェミニ・ハエルフと遭遇した場合、そちらで対処して頂き、我々は全力でバックアップする事をお約束します」

 

「ありがとうございます」

 

リンディと烏間の話し合いも終わり、その日は解散となった。

烏間と殺せんせーはアリサの屋敷から家へと戻って行き、俊輔達はアリサの家で泊まって行く事になったのであった。




次回から、アニメ原作に戻ります………多分


それと、ストックが無くなりましたので………不定期更新になります…………多分。


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カルマの時間一時限目

昨日に更新するつもりでしたが、私情で出来ませんでした。
申し訳ありません。また、ストックを作る事が出来ない状況に陥ってしまったので、不定期更新になる事をご了承下さい。


翌日、晴れた日にE組の生徒達はグラウンドで体育の授業を受けていた。しかし、それが普通であれば良かったであろう。生徒達の手には対先生用ナイフが握られ、一通りの型を烏間から習っていたのである。

俊輔達も同じで、生徒に混じってナイフを振っていた。否、ナイフでは無い。なのははレイジングハート・エクセリオンにあるACSモードに近い槍型を突いていたり振りフェイトは、バルディッシュ・アサルトのザンバーモードに近い大剣型を振っていた。

はやてに至っては、シュベルトクロイツ型に近い槍(?)を突いており、俊輔は特注で作ってもらったガンソードを使用していた。

 

「八方向から、ナイフを振れる様に……高町さん達は自分達の持てる力で振れる様に」

 

烏間は生徒達の授業を請け負っていた。烏間が請け負うのは体育の時間が主である。その為、こういう体育の時間では、烏間が主導で行っているのであった。

 

「体育の時間は俺の時間だ……」

 

「ちょっと寂しいですね」

 

烏間の横にいる殺せんせーは寂しそうにしょんぼりとする。

 

「この時間はどっかに行ってろと言った筈だろ………後ろの砂場で遊んでろ」

 

烏間の言葉で、殺せんせーはシクシク泣きながら砂場で遊び始めた。しかし、殺せんせーが砂場で砂を弄るだけの遊びでは物足りなかったのであろう。マッハの速度を使い何かを作り始めた。

 

 

 

 

「でも烏間先生……こんな授業、意味あるんっすか?」

 

前原がそう言って烏間に質問をする。

 

「勉強も暗殺も同じ事だ。基礎を身に着ける事が重要になって来る」

 

そう言って烏間は磯貝と前原を前に立たせ、烏間対磯貝、前原ペアになって戦う事になった。

 

「そのナイフを俺に当ててみろ」

 

「「えっ?」」

 

烏間の言葉に二人は驚く。

 

「そのナイフだったら俺達、人間には危害は無い。掠りでもすれば、今日の授業はこれで終わりだ」

 

烏間の言葉に二人は顔を見合わせる。

それを見ていた俊輔達はどっちが勝つか話し合っていたが、ダントツで烏間が勝つと予想していた。

 

「それじゃぁ」

 

磯貝が先に仕掛けたが、烏間は半歩だけ移動して回避する。そして前原も攻撃するが、受け流し磯貝が再度、仕掛けるがその攻撃も受け流すだけで烏間の体に当たる事は無かった。

 

「多少の心得があるだけで素人のナイフは簡単に避ける事が容易い」

 

この言葉に磯貝と前原は二人同時で烏間に仕掛けたが、呆気無く二人は地面へ叩きつけられてしまった。

 

「俺にナイフを当てられないようでは、マッハ20で動く奴に当たる確率は皆無だろう……見ろ‼ 奴は攻防している間に砂場に大阪城を築いて着替えまで済まして茶を呑気に飲んでいる」

 

そう言って生徒達が砂場の方に目を向けると、そこには見事な大阪城が砂で築かれ、殺せんせーは呑気に茶をたてて飲んでいた。

 

≪腹立つ≫

 

生徒の心は一つになって苛立った。

 

「クラス全員が俺にナイフを当てられる様になれば、暗殺の成功率は格段と上がるであろう………だが、一部例外がいる。山本君。来てくれ」

 

「得物はこれで良いですか?」

 

烏間に呼ばれた俊輔は手に持つ特注のガンソードを見せる。

 

「ああ、それで良い。但し、弾は撃つなよ? 痛いんだから」

 

「判りました」

 

磯貝と前原は後ろに戻り、それと入れ替えに俊輔が烏間の前に立った。

 

「いつでも良いぞ」

 

「……………行きます」

 

俊輔はそう言うとガンソードの数を二つにし、烏間へ仕掛ける。しかし、烏間も簡単に当たる訳も無く受け流すが、俊輔の得物は二つあり、一つが受け流されるとすぐにもう一つのガンソードで仕掛けた。

しかし、烏間はそれを予想していたのか、腕を受け止め寸での所で当たらなかった。

 

「先生……体術は?」

 

「使っても良いぞ」

 

「フッ」

 

俊輔の質問に烏間は答えると、足を使って烏間からの束縛を逃れようとした。しかし、それさえも止められてしまうが、俊輔は予想済みであった。地面に着いている足を回転させそれの反動で体を回すと烏間からの束縛を解除する。そして、一気に体勢を引くくして烏間の足に向かってガンソードを振った。

 

「速いな……だが、本気ではないだろ?」

 

烏間は俊輔の背中に手を置き後ろへ下がると俊輔の足を蹴り転ばせた。

 

「山本君は瞬発力は高い。だが、柔軟性が物足りないな………これからも訓練に励む様に」

 

「………はい」

 

俊輔は自身の攻撃がこうも簡単に躱されてしまうのかと思うと、どれだけリリィに頼って来たのか痛感させられた。

 

「ナイフや狙撃、暗殺に必要な数々。体育の時間で俺が教えられるだけの事をさせてもらう」

 

烏間はそう言うと上着を羽織り、校舎へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俊輔君、惜しかったね」

 

「ああ、まだまだだと言う事に気付かされたよ。リリィ、戦闘データは取れたか?」

 

《うん、採れたよ。家に帰ったから練習でもするつもりかしら?》

 

「ああ、復習する事に意義があるからな」

 

なのはの言葉に俊輔は悔しそうにしていたが、愛機であるリリィ・ホーネンスにデータが採れたか確認をし、家に帰ってからそれを基に復習しようとしていた。

 

「ん? あれは………」

 

「誰か立ってるね……誰だろう?」

 

俊輔達の目線は校舎前に立つ一人の生徒に向けられていた。

 

「よう、渚君…………久し振り」

 

「…………カルマ……君?」

 

渚の名前を呼んだと言う事は、渚の友人である事には間違いが無かった。

 

「カルマ………思いだした」

 

俊輔は生徒欄の中に一人の生徒が足りない事を思い出し、それが今、校舎前に立っている生徒だと言う事に気付いた。

 

「だれなの?」

 

「赤羽カルマ。元A組の生徒でケンカ早く、先生でも手を付けられなかったが、成績は優秀だった……」

 

「だった……と言う事はなんかあったんか?」

 

俊輔の説明にはやてが質問する。

 

「ああ。E組の生徒を護った所為でA組の担任は切れて、二年だった赤羽を謹慎させ三年からE組へ転組させたんだ」

 

「なにそれ………やっぱりこの学校……」

 

「やめとけ………俺達の力ではどうしようもねぇよ………だが、いつの日か判るだろうよ………自分の教育方針が間違っていたとな」

 

俊輔はそう言うと、校舎の方へと向かって行きなのは達もそれに続いて校舎へと戻って行くのであった。



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カルマの時間二時限目

長らくお待たせ致しました。
書き足掻える事が出来たので、投稿いたします。

大変、長くお待たせしまい、誠に申し訳ありません。


校舎前に立っていた赤羽カルマは殺せんせーを見付けると、驚いた様子で殺せんせーの方へ向かう。

 

「へぇ~、本当にタコみたいだ」

 

普通であれば、タコ等と言われたら怒るのが当たり前だが、殺せんせーは違った。普通に接していた。

 

「赤羽カルマ君ですね。今日から停学明けと聞いていましたが…………初日から遅刻ですか? いけませんね」

 

そう言うと殺せんせーの顔は紫色になり✖印が表情に現れる。それに対してカルマは苦笑いで謝る。

 

「生活のリズムがね、中々抜けなくてね………気安く下の名前で呼んでよ。殺せんせー」

 

そう言うとカルマは握手をしようと手を差しだした。

 

「はい、よろしくお願いします」

 

そう言って殺せんせーも手を握った瞬間、触手が爆発して溶け堕ちた。

 

「ッ⁉」

 

殺せんせーはカルマから音速の速さで離れた。

 

「ホントに速いし、ホントに効くんだこのナイフ」

 

そう言ったカルマの右手の掌には、対先生用ナイフが細かく切られ、貼り付けられていた。

 

「でもさー……単純な手に引っ掛かるとか有り得ないっしょ…それにそんなに離れるとかホント、有り得ないよね」

 

そう言うとカルマは殺せんせーに近づいて行く。

その現場を見ていた渚は驚いていた。触手を傷つけられたのが二人目だと言う事に。

 

「殺せないから殺せんせーと聞いてたけど……先生ってもしかしてチョロイ人?」

 

そう言われて殺せんせーの表情は怒りで顔が真っ赤に染まっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

校舎では俊輔達が教室に入って次の小テストの準備に取り掛かっていた。

 

「そうだ、俊輔君」

 

「ん? なんだなのは?」

 

「赤羽カルマ君ってどんな人なの?」

 

準備を終えたなのはが俊輔にカルマの情報を聞こうとしていた。

 

「赤羽カルマ。中等部に入ってからと言うもの、ケンカ早く、不良共に喧嘩を売っていた。だが、成績は優秀で先生からも認められていた。だが、さっきも話した通りの事だ」

 

「E組の生徒を助けた事で、謹慎で今日から復帰と言う事だったよね?」

 

「ああ、そうだ………だが、なんだこの気持ちは悪さは………」

 

俊輔の中にはカルマの中に眠る何かを感じ取っていた。

 

「まぁ、一つ言えるとすれば、このクラスの中では優等生に入るだろうな」

 

「それは、どっちの意味で?」

 

俊輔の言葉になのはが尋ねた。

 

「学力も、暗殺もな」

 

俊輔の目には何かを感じ取らせる瞳をしているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六時限目は、小テストが行われていたが、殺せんせーはカルマに不意打ちを突かれた事にショックを受け、壁パンをしていたが、触手が柔らかすぎて壁にダメージを与えられず、プニョン、プニョンと気の抜ける音が教室内を響かせていた。

 

「プニョン、プニョンうるさい‼」

 

「ニュヤ⁉ すみません………」

 

岡野が殺せんせーに苦情を出した。

 

「よう、カルマ。大丈夫だったか? あのバケモンを怒らしてよ」

 

「どうなっても知らねぇぞ」

 

「またお家で籠ってた方が良いんじゃないの?」

 

寺坂、吉田、松村の順番にカルマをおちょくるが、当のカルマはそんな事は気にしていなかった。

 

「殺されかけたら怒るのは当たり前じゃん。寺坂……しくじってチビッた誰かさんと違ってさ」

 

「んだとゴラァ‼」

 

「あれぇ~? 誰も寺坂って名指しで呼んだ訳じゃ無いのに……マジでチビッちゃったの?」

 

「もう一回、言ってみやがれ‼」

 

カルマは寺坂をおちょくり返すと、寺坂は怒り机を叩いた。

 

「そこ‼ テスト中に大きな音を出さない‼」

 

殺せんせーが寺坂達を怒るが、全員の心の中では「アンタが言うな」と一致していた。

 

「ごめんごめん、殺せんせー。もう俺、終わったからさジェラート食べて静かに待ってるわ」

 

「ダメに決まってるでしょう‼ 授業中にそんなもの………ん?」

 

殺せんせーがカルマを注意するが、カルマの手に握られているジェラートを見てある事に気付く。

 

「そ、それは‼ せんせーがイタリア行って買って来たやつ⁉」

 

《アンタのかよ》

 

殺せんせーの叫びに全員が心の中でツッコミを入れる。

 

「あっゴメーン。職員室の冷凍庫にあったからさ」

 

「ゴメンではすみませんよ‼ 溶けない様に成層圏を飛んで来たのに‼」

 

《どこまで欲しかったんだよ》

 

ここでも全員がツッコム。

 

「へぇーそうなんだー………で、どうするの? 殴る?」

 

「殴りません‼ 残りを先生が舐めるだけです」

 

《だから、どんだけ欲しかったんだよ》

 

カルマと殺せんせーとのやり取りに全員が心の中でツッコミを入れて行く。そして、殺せんせーはカルマの方へ近づいた瞬間、足の触手が爆発した。

 

「なっ⁉ 対先生用BB弾…⁉」

 

殺せんせーが驚くとカルマはハンドガンを取り出し発砲したが、避けられてしまう。だが、カルマにはそれだけで十分であった。

 

「まーた引っ掛かった………何度でもこういう手を使うよ」

 

そう言ってカルマはハンドガンを殺せんせーに向けながら近づく。

 

「授業の邪魔なんか関係ないし……それが嫌なら、誰でもいい殺せばいいじゃん………そうしたらアンタは誰からも先生と見てくれなくなるけどね………」

 

カルマは殺せんせーの服にジェラートを押し付ける。

 

「誰かを殺した瞬間、アンタは人殺しのモンスターになる……アンタと言う先生は俺に殺されたと言う事になる」

 

そう言うとカルマは殺せんせーの横を過ぎ去る。その際に、テストを手渡した。

 

「じゃ、先生。また明日も遊ぼうね………」

 

そう言ってカルマは教室から出て行くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、送ってください。


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カルマの時間三時限目

皆様、お久しぶりです。漸く書けたので、投稿します‼


その日の放課後、俊輔達はアリサ達が急用で迎えに来れなくなってしまった為、電車で帰る事になった。その時、渚と一緒になり、ホームまでの間、話し合う事になった。

 

「あれ? 俊輔君達……今日は迎えはないの?」

 

「ああ、アリサ達がな…高校で残る事になったんだ。久々に電車に乗る事になった」

 

「そうなんだー」

 

俊輔達は駅の方へ向かっていると、A組と思われる二人組と遭遇した。

 

「オイ、見ろよ。渚だぜ…それに年上なのにE組に再転入したって言う四人組も同じだぞ」

 

「E組に馴染んでるな……美人が勿体無いぜ」

 

この言葉に俊輔と渚を除く三人の額には血管が浮き出ていた。そして二人組に聞こえる様になのは達は煽り始めた。

 

「なのはちゃん…本校舎の生徒達で気になる人出来た?」

 

「何言っているの? はやてちゃん。出来るわけないの………だってみんなブサメンばっかりやのに」

 

「そう言ったらかわいそうだよ……本当の事だけど」

 

三人の言葉に俊輔と渚は苦笑いをする。そして、案の定、二人組は突っかかりに来た。だが、この時、二人組は知らなかった。怒らせてはけない三人を怒らせたことに………

 

「何言ってるんだよ? あぁ?」

 

「あれ? 聞こえてたん? それはすまんなぁ………近づかんといてくれる? 君たちの顔を見ていると………潰したくなるんよね?」

 

「それに……私達は君達より年上なんだよ? 年上には敬語を使わないといけないって教えられて無いの?」

 

「はやてちゃん、フェイトちゃん…言っても無駄だよ……この二人と言うか、本校舎の生徒は勉強熱心だから……頭の中は勉強だけなんだよ。だから、年上だろうと年下だろうと自分達よりも下と思った人間には上から目線なの……社会人になった時、苦労するだろうしね」

 

「そうやったな……ごめんなぁ、そないな事に気付かんと」

 

「悪気は……無いんだよ? でもね?」

 

「「「年上舐めとったら痛い目、見るぞ?」」」

 

三人の凄みに二人組は小さく悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「これやからイチビッた奴は嫌いやねん」

 

「まぁまぁ、はやて抑えて抑えて」

 

「フェイトちゃんの言う通りなの。あの二人組は高校に進学した時に判るはずだよ……きっと……多分」

 

二人組が消えたとしてもなのは達は、嫌な顔をしながらどうでも良いと言った感じに話していた。

 

「あれぇ? 俺の出番は無かったのか」

 

「あっ、カルマ君」

 

その時、カルマが現れ自分の出番が無かったことに嘆いていたが、本心ではつまんなさそうにしていた。

 

「赤羽君か……どないしたん?」

 

「カルマで良いよ……いや、本当だったら高校に入学している筈なのにE組に来てる年上の人達を見付けたからね…でも凄いね」

 

「なにがや?」

 

カルマの言葉にはやてが尋ねる。

 

「アンタらの言葉には…なんだかそれを潜り抜けて来たような感じがあってさ」

 

「なんや? アンタもウチらをバカにでもしに来たんか?」

 

はやての言葉になのはとフェイトは臨戦状態に入る。

 

「おう、怖い……違うよ。ただ、普通に話をしに来ただけだよ」

 

「そないやったら、憎たらしい言葉使いやめぇな」

 

はやては苦虫を潰した様な表情でカルマに言う。

 

「ハハハ、ゴメンゴメン………でも、俺の他にあのタコにダメージを与えられた人がいるって聞いてね……興味を持ったんだ。誰なの?」

 

カルマの言葉になのはを除く全員が、なのはを指さした。

 

「ふぇっ⁉ ちょっとみんなして指ささないでよ‼」

 

「だって本当の事だろ?」

 

「そうやん」

 

「なのは、諦めよう?」

 

「あははは……なんかごめんなさい」

 

なのはが俊輔達に苦言を言うが全員が現場を見ていたので、何とも言えなかった。

 

「ははは‼ 面白いね……どうやってあのタコにダメージを与えたの?」

 

「スナイパーライフルで動きを予測して撃っただけだよ?」

 

「それが全員出来たら、あのタコは死んでるよ……へぇ、そうなんだ………」

 

カルマの表情を見て俊輔は何かを考えていた。

 

「ん? どうかしたの? 俊輔君」

 

「……いや、赤羽って今度何をして殺先生にダメージを与えられるのかなって考えてただけだよ」

 

「そうなんだ………」

 

俊輔の言葉に渚は苦笑いをしながら答えた。

 

「さて、みんな帰るぞ」

 

「でも電車が……」

 

「お迎えだ」

 

俊輔はそう言うと後ろに指をさした。全員がそちらに目を向けると一台のリムジンが停車しており、中からアリサとすずかが出て来た所であった。

 

「と言う事だから、俺達は電車じゃなくて車で帰るわ。行くぞ~」

 

「待ってよ、俊輔君‼」

 

俊輔はそう言うとアリサ達の方へ向かって行き、なのは達もそれに続く形で俊輔を追うのであった。

 

「ねぇ、渚君」

 

「なに? カルマ君」

 

俊輔達がリムジンに乗り込む前にすずかに抱きしめられている俊輔を見ながら、カルマは渚の名前を呟く。

 

「あの人達って何者?」

 

「さぁ、僕達も詳しい事は聞かされてないんだ……でも元々私立聖祥大付属の学校に通ってたと言う事しか聞いてないんだ」

 

「ふ~ん…そうなんだ………」

 

渚の説明にカルマは俊輔達が何かを隠している様に見えていた。

 

「あの人達、何か隠してるね……」

 

「えっ? そうなの‼」

 

「気付かなかったの? 絶対、何か隠してるはずだよ……それも俺達にバレない様にしないといけないなにかを」

 

カルマの目にはもう一つのオモチャが出来た事に喜びを得た子供の様な目をしていたのであった。



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管理局の時間

三ヶ月間、放置してしまい誠に申し訳ありません‼ 諸事情にて十月から更新が出来ません。詳しくは私の活動報告をご覧ください。


翌日、朝から俊輔達は時空管理局本局に赴いていた。

 

「なにやらレティさんから呼び出さられたけど………俊輔君、何かやらかした?」

 

「なんでそこで俺に振るのか教えてくれないかな? はやて」

 

本局の廊下を歩きながら、呼び出された事について俊輔ははやてに尋ねられた。だが、俊輔には身の覚えの無い事で、はやてに振られた事に苛立ちながら聞き返していた。

 

「い、いや……こん中やったら俊輔君が階級は上やん……だからかなーって…アハハハハ」

 

「ほう? はやてさんは俺が何かした。とでも思っていると言う事だな?」

 

「ちゃうねん‼ そうやない‼ 俊輔君やったら知ってるとおもってやな「本音は?」………弄りたかっただけです」

 

俊輔の凄みのある顔に、はやては正直に話した。

 

「はやて…………後で覚えとけ」

 

「ヒッ⁉」

 

俊輔の一言にはやては小さく悲鳴を上げるのであった。

 

 

 

 

「レティさん。山本俊輔特殊武装管理部隊隊長並びに高町なのは戦技教導官、フェイト・テスタロッサ・ハラオン執務官、八神はやて調査官、参りました」

 

『入って来て頂戴』

 

俊輔はレティの部屋の前でなのは達を連れて来た事を告げると、中からレティが入るよう促したため、入室する。

 

「失礼します。何かありましたかって………そう言う事ですか」

 

俊輔達がレティの部屋に入るとそこには一人の男が座っていた。

 

「それで? 俺達を呼んだ理由をお聞かせ願えますか? レジアス中将?」

 

本来であれば本局を嫌っているレジアス・ゲイズ中将が座っていたからである。

 

「フン、久々じゃないのか? 山本俊輔少将?」

 

俊輔の言葉にレジアスが嫌味たっぷりに答えた。その状況をレティは苦笑いしながら見守り、なのは達はハラハラした気分で見守っていた。

 

「さて、こんな話をしに来たんじゃねぇだろ? レジアス」

 

「ああ、お前たち…特に俊輔。お前に用があって来たんだ」

 

いきなりファーストネームで呼び出した二人になのは達は目が点になる。それもその筈である。俊輔とレジアスの接点が今まで判らなかったからである。

 

「ちょい待ち‼ なんや、二人は知り合いかなんかか?」

 

「あれ? 言って無かったか?」

 

「知らへんわ‼ 説明しぃや‼」

 

はやての言葉に俊輔は過去に説明していた気がしていたが、もう一度説明する事にした。

 

「俺の所属していると言うか、率いてる部隊は特殊武装管理部隊。これは判るよな? じゃぁ展開している場所は?」

 

「………あれ? 聞いた事が無い」

 

俊輔の質問に誰もが今更になって疑問になった。俊輔の部隊“特殊武装管理部隊”は謎が多い部隊からである。その本隊舎がある場所も知らされておらず、応援要請等があった時に動くスタイルであったと言う事もある為である。

 

「俺達“特殊武装管理部隊”は地上部隊と連携して動いてるんだ。本局でも動いているが、実質、地上本部に本隊舎がある」

 

「でも、レジアス中将と仲が良いのとどう言う関係があるんや?」

 

「さっきも説明したように、地上本部に本隊舎があるから地上部隊とは連携を取る為にもレジアスとは連絡を密に取ってるんだよ」

 

「………なんや、俊輔君が神出鬼没な存在に見えて来たわ」

 

「酷い言い草だな、オイ」

 

はやての言葉に俊輔はゲンナリとしながら言った。

 

「さて、話を戻しても良いか? 儂も時間が惜しいんでな」

 

「あっはい‼ 申し訳ありません」

 

レジアスの言葉にはやては謝るが、レジアスは気にしている様子では無かった。

 

「さて、俊輔よ………お前んとこの戦車部隊、何隊か貸してくれぬか?」

 

「どう言う事だ? 説明の次第では貸せるが………」

 

レジアスの言葉に俊輔は説明を求める。

 

「地上部隊からの報告では、最近になって質量兵器の使用する犯罪者が多くなって来ているらしいのだ」

 

「………待て、レジアス。その場合は俺達特殊武装管理部隊の管轄だろう? なぜ戦車部隊を貸してくれと?」

 

「…………上の奴らだ」

 

「そう言う事ね」

 

レジアスの言葉に俊輔は納得した。

 

「俊輔君、説明してくれないかな?」

 

「判った。良いか? レジアス」

 

「お前は教えていないのか? 部隊が使用している兵器について」

 

なのはの質問に俊輔はレジアスに尋ねると、レジアスからは俊輔をジト目で見つめた。

 

「説明はしているが規模までは説明していない………なんせ特殊武装管理部隊は秘匿されてなくちゃいけないからな」

 

「どう言う事なの? 俊輔」

 

「フェイト、時空管理局では使用を認め居ていない兵器について答えられるよな?」

 

「う、うん……魔力を持たず質量だけで動かす兵器の事だよね?」

 

「では、具体的な内容は?」

 

「えーっと……銃とか大砲とかだよね?」

 

俊輔の質問にフェイトは答えたが、俊輔はまだ足りていない部分があった。

 

「確かに銃とか大砲とかも含まれるが、地球で自衛隊や軍隊が使用している兵器がそれだ。お前、執務官だろ。もっと具体的な内容を知っておかないと、後々、面倒になるぞ?」

 

「ごめんなさい」

 

俊輔の言葉にフェイトは謝る。

 

「まぁ、良いわ。そうだ、フェイトが答えたように銃とか大砲もそうだが、戦闘機、戦車なんかも入る。それで、俺達特殊武装管理部隊は、主にそれを扱った舞台になっている」

 

「それって管理局の掲げる方針と違えてへんか?」

 

俊輔の言葉にはやてがツッコミを入れる。確かにその通りである。時空管理局では魔力を主に重点を置いているので、質量兵器の使用が禁止されている。だが、地上部隊はそうでは無かった。

一般人が巻き込まれる事件の中には、質量兵器を使用する犯罪が横行しているのだ。その為、苦肉の策として本局に隊舎があった特殊武装管理部隊を地上本部に設置する事で、緩和させようとしていたのである。だが、地上本部の上層部はそれを覆そうとしていたのである。

 

「戦車部隊までは要らんだろ? 機動部隊だけで十分じゃないのか?」

 

「これを見てみろ」

 

レジアスはそう言うと一枚のレポートを俊輔に渡した。

 

「………そう言う事かよ‼」

 

俊輔はレポートを見た瞬間、レポートを机に叩き付けた。

 

「見せてや………なにゃコレ?」

 

「……ロボット?」

 

「カニみたいなロボットだね」

 

はやて達は俊輔が叩き付けたレポートを見て感想を述べた。レポートには写真も張られており、写真には四本足のロボットが写されていた。

 

「そいつの名前は、ガジェットドローンtypeRだ」

 

「ガジェットドローンって最近、ロストロギアが発掘された場所に現れるとか言うロボットやろ? なんでそれが地上部隊と関係あるんや?」

 

「コイツは、内部に機械と共に人間の脳が使われているんだ」

 

「なんやて‼」

 

俊輔の説明にはやては驚きの余り大声を出してしまうのであった。



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管理局の時間二時限目

俊輔が机に叩き付けたレポートに載せられていた写真に映し出されている四本脚のロボットの内部構造に、はやて達は驚く。

 

「どう言う事や? ジェイル・スカリエッティはそないな事せんでも、ガジェットドローンを開発してたやろ?」

 

「ああ、そうだが………どうも、このガジェットドローンtypeRの製作者は他にいると考えている。技術をスカリエッティが売り捌き、それを買い取った奴がそう言う風に改造を施した。そうとしか考えられない」

 

俊輔はそう言うと顎に手を置き考え出した。

 

「………判った。レジアス。俺の部隊の戦車部隊二個中隊を貸し出す。但し、これだけは守ってくれ」

 

「なんだ?」

 

俊輔が言いたい事を、レジアスは判っていたが一応の為、聞く事にした。

 

「戦車部隊の使用する戦車の整備に関しては、全て我々特殊武装管理部隊が行う。また、費用に関してもこちらで出す。最後に、質量兵器の所持に関しては、一般の魔導士には渡さない。これを守ってくれると言うのであれば、貸し出そう」

 

「…………クッククク……そう言うと思っとた……良いだろう。儂とて、一中将だ。お前との関係を壊してまでも手に入れたいとは思っておらん。儂はな」

 

レジアスの含みのある言葉に俊輔は、レジアスが何を言いたいのか判ってしまう。

 

「レジアスがそう言うのであれば、安心だ………だが、俺達の任務は質量兵器の所持や使用を取り締まる事だ。上層部だろうとなんだろうと、俺達は全てを潰す。それだけは忘れないでくれよ?」

 

「判った。上層部には伝えておこう」

 

レジアスはそう言うと、レティの部屋から出ようとしていた。だが、不意に立ち止まりそのままで俊輔に忠告をした。

 

「そう言えばだ……お前ら、ジェミニとスカリエッティを追っているんだったな………一つ、忠告をしといてやる。上層部…特に陸の上層部には気を付けろ。儂から言えるのはそれだけだ。邪魔したな」

 

そう言ってレジアスは出て行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の中に取り残された俊輔達は、今後の方針について話し合う事になった。だが、レジアスの言葉が頭の中から離れないなのは達は、俊輔にどうするべきなのか尋ねた。

 

「ね、ねぇ、俊輔君。レジアス中将の言ってた言葉って………」

 

「……忠告と言ってたな…………一つ、考えられる事なのだが…もしかしたら陸の上層部はジェミニ・ハエルフとジェイル・スカリエッティの密航に関与している可能性が高いと、俺は読んでいる」

 

「どう言う事や?」

 

俊輔の言葉にはやてが尋ねる。

 

「簡単な事だ………二人の密航は単独で行うには不可能に近い………なら、管理局の者が手引きさえしてしまえば、簡単に密航ぐらいできるだろう?」

 

「………信じられへんわ」

 

「まぁ、しゃーない。いきなりこんな話されて、信用してくださいなんて言って信用なんて出来る筈が無いからな」

 

だが、俊輔には陸の上層部が関与しているとしか考えられなかった。

 

「(なにが目的で地球に密航なんてさせたんだ………ジェミニに関してもそうだが…ジェイル・スカリエッティの方に何の関係性が…………まさか⁉)」

 

俊輔が思い出したのは神崎たちが誘拐された事件の事である。あの時、殺せんせーの触手を手に入れようとしていた。と言う事は、陸の上層部はそれを手に入れる為にジェイル・スカリエッティを地球へ密航させた。と思い立ったのである。

 

「これは呑気に構えてられるほど、猶予は無いという事かよ………」

 

俊輔はそう呟くとレティにある願いを出した。

 

「レティさん。お願いがあります。我々、特殊武装管理部隊に今回の事件に関わりを持たせてほしいのです」

 

「どう言う事かしら? 説明してくれる?」

 

「はい」

 

俊輔は自分が考えられる上層部の思惑とそれに組みするジェイル・スカリエッティの事を説明した。

 

「………そう言う事ならば、致し方ないわね。判りました。山本少将が抱える特殊武装管理部隊の展開を「すみません。展開はさせません」はい? どう言う事かしら?」

 

「特殊武装管理部隊は、地球の成層圏にて戦艦一隻を浮遊させておくだけです」

 

「ですが、有事の際はどうするつもりなの?」

 

「大丈夫ですよ。特殊武装管理部隊が所有する強襲機動揚陸特装戦闘艦“タケミカズチ”があれば問題ないですから」

 

俊輔の説明にレティは納得した。

 

「判りました。では、装備品などのリストを提出してください」

 

「判りました」

 

レティの言葉に俊輔は、後日、装備品のリストを提出させるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでさ、俊輔君」

 

「なんだ?」

 

地球へ帰る際前に、デバイスの調整の為、技術室へ向かっていた時、なのはが俊輔の名前を呼んだ。

 

「強襲起動揚陸特装戦闘艦“タケミカズチ”ってどんな船なの?」

 

「船と言うか艦と言った方が良いか」

 

「船と艦の違いってなんなん?」

 

ここで説明しておくと、特殊武装管理部隊は質量兵器の使用、所持を取りしまる部署である。その移動には、特殊武装管理部隊が保有する戦艦で行われているのだが、それ自体が機密事項として、一般の局員には知らされていないのである。

 

「そう言えば、知らなかったな。L級を前までは借りてたんだがな。時代的にも後れを取っている船なんだよ。現在、稼働しているL級はアースラとアセラムの二隻だけなんだが、どうしても速度的な問題があって、速力を持った船を探してたんだがな………見つからなくてな。そこで目を付けたのが、管理世界の中で航空艦を製造している惑星があったんだ。そこの企業に説明して造船して貰ったんだ」

 

「そうなんだ………あれ? でもタケミカズチが無くなったら、他の任務で使う時はどないするん?」

 

「ああ、タケミカズチの他に数隻、俺の部隊は所有しているんだ。数までは機密事項で言えないけど……まぁ、ザックりで言えば二桁は超えるな」

 

「「「そんなに⁉」」」

 

俊輔の説明になのは達は驚くのであった。



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管理局の時間三時限目

連続投稿です‼ 三話続けて投稿していますので、お間違いの無い様にお願いします‼


その日の四時限目から俊輔達は授業に参加する前に職員室へ来ていた。ただし、俊輔だけである。

 

「遅くなりました」

 

「……事前に聞いていたが、管理局に呼ばれたようだな」

 

「ええ、それとご報告が………」

 

俊輔は烏間に管理局での会話を説明した。

 

「それでは何か? 君たちの一言で、この世界は戦争に巻き込まれる…とでも言いたいのか?」

 

「そこはご心配なく。我々とて、戦争がしたいが為に戦力を持って来ている訳では無いです。ジェミニ・ハエルフ並びにジェイル・スカリエッティの逮捕の為には。これ位の戦力が必要と言う事です。と言っても、納得はされないでしょう?」

 

「当たり前だ‼ 何が嬉しくて、生徒を危険に巻き込まなければならないのだ‼」

 

「烏間先生ならそう言うと思っていました………俺達は管理局員であり地球出身です。無闇に戦力を晒したりはしませんよ。それと、烏間先生………俺達の戦力を知る為には、見せた方が早いので………今週中にでも特殊武装管理部隊所属艦、強襲機動揚陸特装戦闘艦“タケミカズチ”をお見せしようと思いますが………記録等はしないで下さい」

 

「それは、戦争回避のためか?」

 

「当たり前です。何が好きで戦争をしないといけないんですか? 俺の部隊は質量兵器の取り締まりです。武器の携帯は許可しますが、それ以外の記録某体は持ち込まないで下さい」

 

「………良いだろう。奴は来るのか?」

 

「暗殺対象に見せると思いますか?」

 

「フッ。愚問だったな」

 

俊輔の言葉に烏間は笑う。

 

「判った、明後日なら行けると思う」

 

「承知しました。では」

 

俊輔はそう言って職員室から出て行く。

 

「彼らは小学生の頃からあの様な事をしてきた………親は何を考えているのだ?」

 

烏間は俊輔達の親を見たいと思ってしまうのだが、それがある意味で間違いだと言う事は、この時、烏間は知らなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俊輔がE組に入ると、授業が始まる一歩手前であった。

 

「遅かったですね? その様子じゃ、烏間先生にこっ酷く怒られたんですね?」

 

「ええ、殺先生。怒られましたよ………遅刻した事にね?」

 

俊輔と殺せんせーの会話はなのは達にとっては、事前に説明していたので怒られる事は無かったが、事の説明をしていたので、こんなにも遅れてしまったのである。

 

「さて、家庭科の授業です。山本君達は高町さん達と一緒にお願いします」

 

「判りました」

 

俊輔は殺せんせーに言われた通り、なのは達と一緒に料理を作る事になったのだが、生徒達は知らなかった。なのは達の実力に………

 

「どうですか? 高町……さん達………はい?」

 

殺せんせーがなのは達の班の所に来ると、そこには色々とツッコミどころ満載な状況になっていた。

 

「これは何ですか?」

 

「味噌汁です」

 

「え?」

 

「味噌汁です」

 

「二回も言わなくても判ります‼ なんですか、この数の多さは‼」

 

なのは達が作っていたのは味噌汁なのだが、量が可笑しかった。なんせ、四人前で十分なのに、クラス全員分を作っていたからである。しかも、極家庭で作られている様な物では無く、料亭などで作られている様な味噌汁であった。

 

「あれ? 言ってませんでしたか? なのはちゃんの実家は喫茶店を営んでるんですよ。そこでランチを出してるんですけど、そのランチで出している味噌汁を作っただけですけど?」

 

「……………」

 

はやての説明に殺せんせーは言葉を失うのであった。

 

「さて、次の物を作るか………はやて、発揮する場所やぞ?」

 

「はいな‼」

 

俊輔の言葉にはやてはお母ん力を発揮した。俊輔達ははやてのサポートに入り、手早く料理を作り出すのであった。

 

そして、家庭科では誰も勝てなかった。と言う事を表記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五時限目は国語なのだが、俊輔達は退屈であった。それもその筈である。彼らは既に中学を卒業している身。復習するにしても当たり前な事なので、なのは達は俊輔が遅れて来た事について質問していた。

 

「(俊輔君。烏間先生と何を話してたの?)」

 

「(ん? ああ、レティさんやレジアスとの話を説明していたんだ)」

 

なのはの質問に俊輔は念話で答える。この念話は、なのは達、魔導士たちだけにしか聞こえていない。

 

「(そうなんだ……それで、タケミカズチだっけ? もう展開してるの?)」

 

「(いや、到着は明日になる。兵器を積み込んだり人員を配置させたりしているからな………速くても明日の昼前には到着してるだろう………だが)」

 

「(なんや? 問題でもあるんか?)」

 

俊輔の懸念にはやてが聞き出そうとしていた。

 

「(ああ、どうも嫌な感じがするんだ)」

 

「(どういうこっちゃ?)」

 

「(確信は持てないんだが………明後日、何か起きそうな感じがするんだ………)」

 

俊輔の言葉になのは達は黙ってしまう。

 

「(まっ、起きない事を願う他無いな)」

 

俊輔の言葉になのは達は殺せんせーや生徒達にばれない様に小さく頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、カルマは崖に這えている木に座っていた。

 

「クッ………」

 

「カルマ君……焦らないで皆と一緒に殺って行こうよ」

 

カルマの後ろでは渚がカルマを説得していた。

 

「普通の先生とは違うんだから……あの先生は」

 

「先生……ね………」

 

渚の言葉にカルマはある事を思い出していた。

A組にいた頃の担任はカルマの事を応援していた。だが、ある時。E組の生徒をイジメていたA組の生徒にケンカを吹っ掛け、ボコボコにした。

だが、次の日……カルマは職員室に呼び出されていた。それは、今までカルマの事を応援していた担任が、この時、カルマの事を否定してしまったのである。

 

「カルマ君」

 

すると、後ろから殺せんせーがカルマの名前を呼んだ。

 

「今日は沢山、先生に手入れをされてきましたね……まだまだ殺しに来ていいのですよ?」

 

殺せんせーは舐めた表情で、カルマをおちょくりに来た。

 

「もっと手入れをしてあげますから」

 

「ねぇ、せんせー………確認したいんだけど殺せんせーって先生だよね?」

 

カルマの質問に殺せんせーは頷く。

 

「先生ってさぁ……命がけで助けてくれる人?」

 

「もちろん、先生ですから」

 

この言葉にカルマは安心したかのような表情をする。

 

「そっか……良かった。なら殺せるよ」

 

そう言うとカルマはハンドガンを掲げながら、崖へ落ちて行く。

だが、殺せんせーは体を蜘蛛の巣上にすると、カルマをキャッチした。

 

「カルマ君…自らを使った計算づくの暗殺お見事です」

 

「えっ?」

 

殺せんせーも言葉にカルマは驚く。

 

「音速ではカルマ君の体にダメージを与えてしまいます。かといってゆっくり動いてしまったら、撃たれてしまいます。なので、先生はちょっとネバネバしてみました」

 

そう言うと殺せんせーは「ニュフフ」と嗤うが、真剣な声になった。

 

「それと、先生は見捨てると言う選択肢は持っていません。いつでも信じて飛び降りて下さい」

 

「あっ」

 

この言葉でカルマの中の先生と言う存在が変わった時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

これを俊輔達は遠くから見ていたが、殺せんせーが助けると判っていたので手を出さなかった。

 

「なんやカルマって子は……無茶しよるな」

 

「まぁ、そう言った暗殺もある意味で効果的だと言う事だ……ま、殺先生には意味ないけどな………さ、帰るぞ」

 

俊輔達はそう言って、帰るのであったが………この時、ある男がこれを見ていた。

 

「ほう…あれが噂の殺せない先生ね………楽しそうだ」

 

男はそう言うと懐に仕舞っているある物を取り出した。

 

「これで奴の生徒に取りつけたら………さぞ面白い事が出来るだろうな……」

 

男の手には箱の様な物が握られていた。

 

「さて、作戦でも練るか………どうやって楽しんで殺そうかな」

 

男はそう言って姿を眩ますのであった。

 

 

俊輔達が魔導士だと言う事が、生徒にバレるきっかけになる男が現れるのだが………この時、誰も知る由も無かったのであった。



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新たな教師の時間1時限目

皆さま、お久しぶりです‼ 待っていてくれたかどうかはさておき(正直、待っていてくれる読者がいればうれしい)今年初の投稿です‼

短いですけど(いつもの事)楽しんでください‼


朝早くから、とあるコンビニに殺せんせーは人間に変装して駄菓子を買いにきていた。

 

「おっ‼ でかいせんせー、久しぶりだねぇ」

 

「ええ、やっと給料が入りましたので……こうして駄菓子を買いに来たのですよ。しかし、日本の駄菓子のクオリティーの高さには驚きますね」

 

「だよなー‼ 日本の駄菓子は世界一‼ と言っても過言じゃないからね……はい、3580円ね」

 

コンビニの店員はレジを打ちながら殺せんせーと世間話をする。

 

「はい、4000円で」

 

「お釣りは420円ね。まいどあり‼」

 

殺せんせーはレジ袋を持ってコンビニの外へと出る。

 

「さて、学校に戻りましょうかね……おや?」

 

殺せんせーは、学校に戻ろうとしたが大通りで一人の女性を五人の男達が無理やり車に乗せようとしていた。

 

「止めて下さい‼」

 

「良いから来いよ……楽しい事を俺達としようぜ」

 

「わ、私…これから赴任先の学校に行かないと………」

 

「アンタ、先生なんだぁ~」

 

「俺ら、頭ワリィからよ……勉強を教えてくれy「では、車ナンパの正しい手順を補修しましょう‼」えっ?」

 

金髪の男が女性の肩に手を置いた瞬間、殺せんせーが男達を釣り上げ、車に詰め込んだ。

 

「補修その1、車は美しく着飾るべし‼ ヌルフフフフ‼」

 

殺せんせ―は車をピンクのリボン紐で美しく飾りつけをした。

 

「補修その2なんてものはありません」

 

殺せんせーは車をそのままにして、女性の元へと音速で向かう。

 

「お怪我はありませんか?」

 

「ありがとうございました‼」

 

女性は殺せんせーに抱き着く。

 

「素敵な方……この御恩は忘れませんわ…………所で、椚ヶ丘中学への道はどう行けばよいのでしょうか?」

 

この女性の赴任先は椚ヶ丘中学であった。

 

「私も椚ヶ丘中学で教鞭を執っている教師なので、一緒に行きましょう‼」

 

殺せんせ―は女性を連れて椚ヶ丘中学へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の朝礼、殺せんせーに抱き着く先程の女性がE組に赴任して来たのである。

 

「あー、外国から来た英語の教師の……」

 

「イリーナ・イェラヴィッチです。皆さん、よろしく~」

 

殺せんせーに抱き着くイリーナ・イェラヴィッチ先生はハートマークを撒き散らしながらE組の生徒達に挨拶をする。

 

「本格的な外国語に触れさせたいと言う学校からの意向により、英語の半分は彼女の担当となる……良いな?」

 

「仕方が無いですねぇ~」

 

烏間は椚ヶ丘中学の意向に従う様に殺せんせーに言うと、殺せんせーは上からの命令には逆らう事が出来ない様子で、従う事となったのだが………超生物が学校に従うとはこれ如何に?

 

「俊輔君……この時期に赴任すると言う事は………」

 

「ああ、間違いなく殺し屋だろう………しかもそれなりの力を持った者だ」

 

はやてと俊輔はイリーナを見てすぐに暗殺者だと見破ったのである。

 

「だけど…殺先生は特にこれと言って変化は見られないね………」

 

「いや……よく見てみろ…………デレデレしているぞ‼」

 

「「「………」」」

 

俊輔の言葉で三人が見ると、そこには顔をピンク色の染める殺せんせーの姿があった。

 

「普通は正露丸みたいな目を好む女なんていませんから」

 

「騙されたあかんで‼」

 

「やっぱり殺先生は変態さんなの」

 

「それにしてもでけぇな~」

 

俊輔は俊輔でイリーナの果実を見て鼻を伸ばしていた。

 

―パシャ―

 

「ゑ?」

 

「俊輔君、すずかちゃんにメール送っといたで」

 

「なん…だと……( ゚д゚)ハッ!」

 

俊輔の懐に仕舞っている携帯が静かにメール受信を知らせる。俊輔は恐る恐ると携帯を開き、メールの相手を確認した。

そこには、すずかと書かれており俊輔はメールを開く。

 

『俊輔君………今夜を楽しみにしています♪ それと………浮気しちゃうと…………どうなるか解ってるよね?』

 

この一言だけで、俊輔は察した。

 

「なぁ、はやて」

 

「なんや?」

 

「俺……生きて帰れたら士郎さんとこに逝って来るわ」

 

「色々と突っ込ませぇい‼ なんや、死亡フラグか⁉ 死亡フラグを建てんなや‼ それと、士郎さんとこに逝っても同じ事やで‼ てか、うちまで誤字ってるし‼」※誤字ではありません

 

「まぁ、冗談はここまでにして………俺達も俺達で気を付けるぞ」

 

「「「了解」」」

 

俊輔の言葉に三人は頷くのであった。

 

「……………」

 

この四人の姿をイリーナは静かに見つめたのであった。

 

 

 

 

体育の時間では、生徒と殺せんせーによるサッカーを使った暗殺が行われていた。

 

「まさか、色仕掛けが通じるなんて思わなかったわ」

 

イリーナ・イェラ・ヴィッチは一本の煙草を口に咥える。

この女性は本職は殺し屋として活動しており、主な暗殺の方法は色仕掛けによる暗殺である。その方法は、自身がもつ美貌で相手を魅了し、ガードの硬い標的も意図も容易く暗殺すると言う方法である。

 

「だが、ただの殺し屋を学校で雇うのは問題が多い。表向きの為、教師の仕事も熟してもらうぞ」

 

「フッ……私はプロよ? 授業もする暇も無く暗殺するわ」

 

そう言ってイリーナ・イェラ・ヴィッチは職員室へと入る。

 

「あいつがどういう相手なのか解っていないからこそである言葉だな………あいつが今まで殺してきた相手では無いと知るのはいつになる事やら………」

 

烏間はイリーナの言動に、殺せんせーによる手入れが入ると確信を持っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、政府に一人の男が訪れていた。

 

「初めまして、私はジェミニ・ハエルフ。しがない暗殺者です………私に超生物の暗殺に加わる事を許してくれませんか?」

 

「……ですが、実績が…………」

 

「私の暗殺方法は表に出せない暗殺方法でしてね…………速やかに相手を殺すだけをモットーに活動しているのです。それを出す訳には行きません」

 

「………判りました。良いでしょう。ですが、生徒達に危険が及ばない様にしてくださいね」

 

「ええ、判っていますとも………不慮の事故は致し方が無いとしてね」

 

ジェミニは最後の言葉を小声でつぶやいた。そして、それと同時に、体育の時間に新たな教師て赴任する男と一緒に椚ヶ丘中学に赴任する事になるのだが、俊輔達は知る由も無かったのであった。

 

「クックックック………今度はどんな風に殺ろうかな………」

 

ジェミニは四枚の写真を手にしていた。写真に写されていたのは、俊輔、なのは、フェイト、はやてであった。




次回の更新は未定です


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新たな教師の時間二時限目

皆様、こんにちは。武御雷参型です。

皆様にアンケートを実施しております。詳しくは、自分の活動報告をご覧くださいませ。

よろしお願い申し上げます。


グラウンドでは、殺せんせーと生徒達がサッカーを通じて暗殺の訓練をしていた。

 

「ヘイパースッ‼」

 

「へい、暗殺‼」

 

殺せんせーからサッカーボールをパスされたカルマは、ボールを返すのと同時にエアガンで射撃を行う。だが、簡単に避けられてしまうが、岡野にボールが回されると、ボールを返すのと同時にナイフで斬り付けようとするが、それも簡単に回避されてしまう。

 

「ヘイパースッ‼」

 

「へい、パスッ‼」

 

俊輔に回されたボールは、なのはへと回される。

 

「ヘイパース‼」

 

なのはからはやてに回され、はやても暗殺をせずにパスを回した。

 

「フェイトちゃん、決めてや‼」

 

「うん‼ へい、暗殺‼」

 

はやてからボールが回されたフェイトは、鎌を振り回して殺せんせーへと肉弾する。

 

「高速戦闘を得意とするテスタロッサさん……これは少し本機を出しますかね」

 

殺せんせーは通常の速度より速い速度で、フェイトの攻撃を回避する。

 

「テスタロッサさん、高町さん、八神さん、山本君。君たちの連係プレーは素晴らしいです………ですが、時によってはそれが仇となります。君たちの持つ個々の能力は素晴らしい物です。ですが、連携する事も必要ですが、個人による攻撃も行いましょう」

 

「「「「はーい」」」」

 

殺せんせーのアドバイスに俊輔達は気の無い返事をする。

 

「次に回りまs「殺せんせー‼」にゅや?」

 

殺せんせーがボールを次の生徒に回そうとした時、校舎からイリーナが殺せんせーの名前を呼びながら近づいて来る。

 

「烏間先生から聞きましたわ………すごく足が速いのですね‼」

 

「いやぁ~それほどでもないですよ」

 

「一度、本場のベトナムのコーヒーを飲んでみたいの………私が英語を教えている間に、買って来て下さいませんか?」

 

「良いですよ~ベトナムの良い店を知っているので………買って来ます‼」

 

そう言うと、殺せんせーはマッハの力でベトナムへと飛び立つのであった。

 

「行ったね」

 

「行ったな」

 

「行ったの」

 

「行きやがった」

 

フェイト、はやて、なのは、俊輔の順番で殺せんせ―が飛び去った方を向く。

 

「イリーナ先生? 授業が始まるし………教室に戻りませんか?」

 

磯貝がイリーナにそう言うが、一方のイリーナはと言うと懐に仕舞っていたタバコを取り出し、火を付けた。

 

「授業? ああ、各自適当に自習でもしてなさい」

 

『え?』

 

イリーナの先程までと違った声色に生徒達は驚く。

 

「それと……ファーストネームで気安く呼んでくれるの止めてくれる? あのタコの前で先生を演じるつもりも無いし、イエラヴィッチお姉さまと呼びなさい‼」

 

「で、どうすんの……ビッチ姉さん」

 

「略すな‼」

 

カルマがイリーナの名前を略して呼ぶと、イリーナは指さして怒鳴る。だが、それで屈する生徒達では無かった。

 

「アンタ殺し屋なんでしょ? クラス総掛かりで殺せないもなスターをビッチ姉さん一人で出来んの?」

 

「ガキが…舐めた口を利くんじゃないよ。大人にはね、大人のやり方があるのよ」

 

すると、イリーナは後ろにいた渚に目を付けた。

 

「潮田渚ってアンタよね?」

 

そう言うと、イリーナは徐に渚の唇を奪った。Hit数30回‼ なぎさは だいダメージを うけた。

 

「アンタの知り得るあのタコの弱点を後で教員室に持ってきなさい……その他の生徒もあのタコの情報があれば私に寄こしなさい」

 

すると、グラウンドの端から三人の男達がイリーナに近づいて来る。

 

「俊輔君……あれって………」

 

「ああ、間違いなく質量兵器だ………学校をなんだと思っていやがるんだ、あのビッチは」

 

「そこ‼ 聞こえてるわよ‼ ………そう言えば、このクラスに五人だけあのタコにダメージを食らわせたって生徒がいたわね………確か赤羽カルマ、山本俊輔、高町なのは、八神はやて、フェイト・テスタロッサ・ハラオンって最後の奴の名前、呼びにくいのよ‼」

 

『しらねぇー』

 

フェイトのフルネームの言い難さにイリーナは叫ぶ。

 

「まぁ、良いわ………後で五人は教員室に来なさい」

 

「「「「「いやだ/なの」」」」」

 

「なんでよ‼」

 

イリーナの命令にカルマたちは拒否した。

 

「決まってるじゃん、面倒なんだもん」

 

「赤羽の言う通りだ。俺達は俺達の殺り方がある。アンタの命令に一々聞いてられるか」

 

「そうや、ウチらはウチらの殺り方で殺らせてもらうわ」

 

「それと、私の名前が呼びにくくてすみません」

 

「いや、フェイトちゃん。それは今言うべきじゃないの」

 

若干一名が可笑しいが、そこは置いとくとして………五人はクラスの殺り方をするときっぱりとイリーナに言った。

 

「そう……良いわ。でもね………私の邪魔をしたら殺すわよ」

 

「ふ~ん、まっ、ビッチさんだったら俺達を簡単に殺せるかもね~」

 

カルマは舐めた表情でイリーナを見る。

 

「だから、略すなって言ってるでしょうが‼」

 

「あっ、それと………俺達は兎も角として………なのはに手ぇ出してみな………アンタ死ぬよ」

 

「はぁ? どう言う意味よ」

 

「イリーナ先生は私のお父さんの名前を知ったら度肝を抜くよ」

 

「………高町って名前聞いた事無いわよ」

 

「私の父の名前は高町士郎……旧姓不破士郎です」

 

「不破ですって⁉」

 

なのはの父の旧姓を知るや否や、イリーナは体を振るわせる。

 

「わ、解ったわ……絶対にアンタに手は出さないわ」

 

「私だけじゃなくて………はやてちゃん、フェイトちゃん、俊輔君の事も知っていますよ? と言う事は必然的に………後は言わなくともイリーナ先生には私が言いたい事が判りますよね?」

 

「……………」

 

なのはの言葉を聞き、イリーナは絶対にこの四人に手を出しちゃいけないと心に刻むのであった。



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新たな教師の時間~三時限目 

はい、書き上げたので投稿いたします。

アンケートを自分の活動報告にて実施しております。
皆様のご協力、よろしく願いします。


昼休憩を挟み、五時限目が始まる。五時限目の教科は英語。新たに赴任して来たイリーナ・イエラヴィッチ先生は、黒板の前に座り、タブレットと旧校舎の図面と睨めっこしているだけで、一向に授業をしようとしなかった。

 

「なぁ、ビッチ姉さん。授業しようぜ」

 

「そうだよ、ビッチ姉さん」

 

「一応、ここでは教師なんだろう? ビッチ姉さん」

 

前原、中村、菅谷の順でイリーナの名前を省略して呼び、授業をするように勧めた。だが、イリーナは徐に立ち上がり怒声をあげる。

 

「ウガァァッ‼ ビッチ、ビッチ、うるさいわね‼」

 

すると、イリーナは黒板に正式な読み方を書き始めた。

 

「まず、正確な発音が違う‼ VとBを間違えない‼ アンタら日本人はVとBの区別がつかないのね‼ 正しいVの発音の仕方を教えて上げるわ‼」

 

イリーナは生徒にVとBの発音の仕方を教える。因みにだが、はやて達は完璧に出来ている。理由は、守護騎士達の中にヴィータがいる。ヴィータの発音がヴィッチと同じ読み方である為、問題ないのである。

 

「まず、下唇に歯を当てなさい……」

 

イリーナの指示で、生徒ははやて達を除く全員がイリーナの指示に従った。

 

「そうそう、そのまま一時間、静かにしてなさい」

 

『なんだ、この授業………』

 

「アンタらは何でしないのかしら?」

 

イリーナははやて達がしようとしない事を指摘した。

 

「私達には必要ありませんから……イエラヴィッチ先生」

 

「まぁ、俺達の友人(?)にVのつく名前がいるんでな」

 

「私達には必要ないの」

 

「あっ、それと……私達の事を調べても意味ないですよ」

 

はやて、俊輔、なのは、フェイトの順番でイリーナに言う。

 

「へぇ、そう………でも、ハラオン。なんでアンタ達を調べても意味ないのかしら?」

 

イリーナは少し興味を持った様子で尋ねた。

 

「私達は………そうですね。隠された者とでも言いましょうか」

 

イリーナの質問に答えたのは俊輔であった。

 

「そう………なら、私独自でアンタ達を調べさせてもらうわ」

 

イリーナはそう言って、今度調べようと考えたのだが、後に後悔する羽目になるとは、イリーナは全く知らなかったのであった。

 

「あっ、それと。お父さんから伝言です」

 

「はぁ? なんでアンタのお父さんの伝言を聞かなきゃらならないのよ………」

 

「聞いた方が、身のためだと思いますけど」

 

「まぁ、良いわ。聞くわ」

 

イリーナはなのはの父である士郎の伝言を聞いた。

 

「うちの娘やその友人に手を出してみろ………お前を必ず殺す。だそうです」

 

『高町さんとこの親、こえぇぇぇぇ⁉』

 

士郎からの伝言を聞いた生徒達は震える。だが、イリーナは挑戦的であった。

 

「良いじゃない。やってみなさいよ‼」

 

イリーナは強きになって言うが、俊輔は見逃さなかった。

 

「イリーナ先生。足………震えてますよ」

 

「うっさいわねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」

 

イリーナの叫びで授業は終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

授業と授業の間の休憩時間、烏間は、イリーナを校舎裏へと呼んでいた。

 

「怪しげな三人組を招き入れたそうだな………そんな計画は聞いていないぞ」

 

「…ああ。腕利きのプロたちよ。口は堅いし、私に惚れて無償で手足になってくれる。仕込みは完了。今日、殺るわ」

 

イリーナがそう言うと、イリーナに頼まれ事をされていた殺せんせ―が戻って来たのである。

 

「イリーナ先生。ご所望していたインドのチャイです」

 

「まぁ、ありがとう、殺せんせ―‼ 午後のティータイムに欲しかったの」

 

イリーナは猫撫で声を出しながら殺せんせ―に近寄る。

 

「それでね、殺せんせー。お話があるの。六時限目、倉庫に来てくれない?」

 

「お話? O★HA★NA★SHIではなくて?」

 

殺せんせ―は顔をピンクに染め、照れた表情をした。

 

「六時限目ですね。いやぁー、楽しみですねぇー」

 

殺せんせ―とイリーナを見つめる烏間。だが、烏間にはある事がはっきりと手に取るように分かっていた。

 

「(イリーナ・イエラヴィッチ。貴様の計画は既に見破られてるぞ)」

 

烏間はイリーナに内心、呟きながらその場を後にするのであった。

 

 

六時限目は、烏間による体育の時間で射撃訓練が始まっていた。

すると、三村が何かを見付けた。

 

「おいおい、二人して倉庫にしけこんで行くぜ。マジかよ……」

 

三村の声で、全員が倉庫の方へ目を向けると、イリーナと顔をピンクに染めた殺せんせーが中に入って行く様子を見てしまったのである。

 

「なーんかがっかりだよな。殺せんせー、あんな見え見えな女に引っ掛かって………」

 

「烏間先生」

 

「ん? なんだ、片岡さん」

 

片岡は倉庫を見ながら烏間の名前を呼んだ。

 

「私達、あの人の事、好きになれません」

 

「すまないが、国の指示でプロの彼女に一任しろと達しがあってな……俺では、どうにもできないのだ………だが、彼女はプロであるから目の前には一つの道しか見えていない」

 

「烏間先生、どう言う事ですか?」

 

烏間の言葉に渚は引っ掛かりを覚えた。

 

「奴には実弾は効かない。それは、君たちも知っているであろう。もちろん、彼女も知っている。だが……」

 

「本気でその事を信じていない。と言う事ですね?」

 

烏間の言葉に続く形で俊輔が口を開いた。

 

「……その通りだ。だから……始まるぞ」

 

烏間がそう言った瞬間、倉庫から銃声が鳴り響いた。

 

「この銃声は……M16とM134、M249のマシンガンだな………」

 

「やっぱり、特殊武装管理隊隊長は詳しいな」

 

「どれも同じ銃の音としか思えないの」

 

「ほえぇ~」

 

「フェイト、お前。そんなキャラじゃないだろう。まぁ、部隊配備品の中に入ってるからな………終わったな」

 

銃声は1分間であったが、それが鳴り止んだ後、倉庫がニュルニュルと揺れ始め、イリーナの叫び声が聞こえた。

 

「殺先生のお手入れが始まったな………」

 

「卑猥なの」

 

「卑猥やな」

 

「//////」

 

はやてとなのははどうと感じる様子も無かったが、フェイトに至っては顔を赤くしていたのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、よろしくお願いします‼


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新たな教師の時間~四時限目

書き上げたので、投稿いたします。


校舎裏の倉庫が揺れ初めてから、数分後。辺りは静かとなった。

 

「行ってみようぜ‼」

 

前原がそう言うと、E組全員が倉庫へと向かった。

倉庫の扉が開くと、中から殺せんせーが顔をピンク色に染めて出てきた。

 

「いやぁ~。もう少し楽しみたかったのですが、皆さんとの授業の方が楽しいですから」

 

「な、中で何があったんですか……ん?」

 

渚が何かに気付いた様子で、倉庫の入り口を見ると中から出てきたのはイリーナであった。だが、その姿は真っ白なレディーススーツではなく、健康的なレトロな格好にされ、顔をトロけさせて出てきたのである。

 

「まさか……僅か1分であんなことされるなんて………肩と腰の凝りを解されて……オイルと小顔のマッサージをされて………早着替えさせられて…………その上、まさか触手とヌルヌルであんな事を………」

 

イリーナはそう言うと前のめりになって倒れたのであった。そして、生徒全員が思った。

 

『何をしたんだ⁉』

 

「殺せんせー………なにしたの?」

 

渚はイリーナを指さして尋ねるが、殺せんせーは顔を真っ白にさせ言い訳を言う。

 

「さぁね、大人には大人の手入れがありますから」

 

『悪い大人の顔だぁぁぁ⁉』

 

殺せんせーの言葉に生徒の気持ちは一つになった。

 

「さ、教室に戻りますよ‼」

 

殺せんせーはそのまま教室へと戻り、授業を開始するのであった。だが、俊輔達、魔導士組はその場に残っていた。

 

「さて、今回は実弾だったが…………これが魔導士による攻撃だったら、なのは、フェイト、はやて……どう見る?」

 

俊輔の質問になのは達は考えたが、一つの結果しか見えてこなかった。

 

「ダメなの。私達なら問題ないけど……Aランク魔導士だったら、一瞬で手入れされてしまうの」

 

「そうだね……私たちの攻撃でも通用するかどうか分からない相手に、太刀打ちできずに手入れされるだけ」

 

「うちらもどうにかせなあかんねんけど………こればっかしはどうしようもあらへんわ」

 

三人の考えは、誰も殺せんせーに対して攻撃する事が出来ないと結論付けたのである。

 

「やっぱり、なのは達でもそう考えているか………」

 

俊輔自身も、結果は見えていたことという事もあり、驚くこともしていない。

 

「さて、俺たちも教室に戻るぞ」

 

俊輔達も教室へと戻っていく。

そして、残されたのは綾鷹……じゃなくて、イリーナは恨みを籠らせた瞳で殺せんせーを見つめていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、イリーナが受け持つ授業であったが、この日も昨日同様、自習をさせていた。

イリーナは次なる手を打つ為、タブレットを操作し工作員を探していた。

 

「必死だね、ビッチ姉さん……あんなことされちゃ、プライドがズタズタだろうね」

 

カルマの一言にイリーナは、カルマを睨みつける。

 

すると、磯貝が口を開いた。

 

「先生、授業やらないんだったら殺せんせーと後退してもらえませんか? 俺たち、今年受験なんで……」

 

「フン‼ あんな凶悪生物に教わりたいの? 地球の危機と受験を比べられるなんて……」

 

イリーナは立ち上がり、E組生徒全員を見下したように顔を上げる。

 

「ガキは平和でいいわねぇ……それに聞けば、アンタたちE組はこの学校の落ち零れらしいじゃないの」

 

この言葉には全員がㇺッとなる。だが、イリーナはお構いなしに言葉を放っていく。

 

「勉強なんて今更したって意味ないでしょう? そうだ‼ こうしましょう。私が暗殺に成功すれば、一人500万円分けてあげる。無駄な勉強するより、ずっと有益でしょう? だから、黙ってわたs――――」

 

イリーナが最後まで言う前に、誰かが消しゴムを投げ、黒板にあてた。

 

「出てけよ……」

 

誰かがそういった瞬間、全員が立ち上がり各々の持つ物をイリーナに投げつけていく。学級崩壊が始まったのである。

イリーナの授業態度が悪いという事は生徒から烏間に伝わっていた為、心配となって扉から覗いていたが……授業するどころか、自分の事だけに専念し、生徒を放置にしていたのである。

その結果が、現在に至る学級崩壊となってしまったのである。

烏間は頭を抱える。そして、烏間は行動に移した。イリーナを教室から遠ざけると言う形で―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのよ、あの子達は‼ こんな良い女と同じ空間にいられるのよ‼ ありがたいと思わない訳⁉」

 

イリーナは烏間に連れられて教員室へと連行され、自分の席に座らせられた。だが、イリーナは納得していない。プロであるが為のプライドが許さないのである。

 

「ありがたくないから、学級崩壊したんだろうが……」

 

烏間はパソコンを操作しながら、イリーナの言葉に反論する。そして、作業を一時、中断させイリーナの顔を見る。

 

「彼らにちゃんと謝って来い。このまま、ここで暗殺を続けたいのであればな」

 

烏間の言葉にイリーナは激怒する。

 

「なんで⁉ 私は先生なんて経験、無いのよ‼ 暗殺だけに集中させてよ‼」

 

イリーナの言葉はご尤もである。彼女はプロの暗殺者として、E組に来ているのである。彼女自身、彼らに対して教科を教えるつもりは端から無かったのである。だが、蓋を開けてみれば、教師をやりながら暗殺をしろと言う命令である。彼女が納得する事は無いのであろう。

 

「はぁ~、仕方が無い……付いて来い」

 

烏間は席を立つと、イリーナを連れてある場所へと向かった。

 

 

向かった先には、殺せんせーが何かを作っている様子であった。二人は木影に隠れて、その様子を見ていたのである。

 

「何しているのよ、アイツ」

 

「テスト問題を作っている……どうやら、水曜の六時限目の恒例らしい」

 

イリーナの質問に烏間は答える。だが、イリーナは殺せんせーの速さがそこまで早いと感じられなかった。

 

なんだか、やけに時間が掛かっているわね……マッハ20なんだから、問題用紙ぐらい簡単に出来るでしょう」

 

「いや、奴が作っているのは各個人に合ったテスト問題だ」

 

烏間の言葉にイリーナは驚く。

 

「各個人の苦手教科や得意教科に合わせて、クラス全員のテストを作っている。高度なスピードと知能を持ち、地球を滅ぼす危険生物……そんな奴の教師としての仕事は、完璧に近い」

 

イリーナはまさか、あの生物がそこまでするとは思っても見なかった。

 

「次に行くぞ」

 

烏間は次の場所へと向かう。向かった先には、校庭であり、校庭ではバトミントンが行われていた。だが、普通のバトミントンでは無い。ラケットがナイフの形をしているからである。そして、ボールは殺せんせーが描かれたボールを使用していた。

 

「遊んでいる様にしか見えないけど………」

 

「動く目標に正確にナイフを当てる為の特訓で、俺が教えた暗殺バトミントンだ」

 

「はぁ?」

 

烏間の言葉に今一理解が追い付かないイリーナ。だが、次の烏間の言葉に納得が行った。

 

「暗殺者と目標……教師と生徒。あの怪物の所為で生まれた奇妙な教室では、誰もが二つを両立させている。あと、高町さん達だが………彼らは別だ。彼らの力は強大だ………俺が敵うかどうか判らない」

 

「そんなに強い訳?」

 

イリーナの言葉に烏間は頷く。そして、二人はある場所へと向かった。

向かった先には、なのは達が独自で訓練していた。

 

「なのはちゃん、いくでー‼」

 

「どんと来いなの‼」

 

はやてが放ったボールは魔力が込められている。その為、自由自在にはやてが操る事が出来ている。だから、ボールは奇妙な機動を描いてなのはに迫る。

 

「そこ‼」

 

なのはは、視切った様で、槍を振りかぶる。すると、ボールは地面に叩き付けられる。

 

「あっちゃー、まだまだやね。リインがいたら、もっとうまく制御できるんやけどなぁ………次は俊輔君の番やで」

 

「あいよ……行くぞ、フェイト」

 

「………うん‼」

 

俊輔は背中に差している模造刀二振りを取り出すと、フェイトに迫る。一方のフェイトは薙刀型の模造刀を持っており、俊輔と対峙していた。

 

「彼らの動きは、別の次元だ……イリーナ。もし、彼らが敵対した場合、お前は勝てると思うか?」

 

「………ムリね。だって、彼らの動きは軍隊。しかもワンアーミーと言っても過言じゃないわ」

 

「確かにな。特に山本俊輔は他の誰よりも腕を持っている。高町さんは遠距離狙撃タイプ。フェイト・テスタロッサ・ハラオンさんは近接タイプ。八神はやてさんは後方支援タイプ。そして、山本俊輔君は………どのスタイルでも行えるタイプ………彼らが組めばどこの国の部隊でも対処できるであろう………そして、何よりも………いや。これは彼らとの約束だ。違える事は出来ない:

 

烏間は最後に何か言おうとしたが、俊輔達との約束を思い出して口に出さなかったのである。

 

「彼らなりに頑張っている。俺達教師は、彼らを導く仕事だと俺は思っている」

 

「導く……仕事………」

 

イリーナは自分に何が足りないのか、まだわからない様子であった。だが、烏間の言葉に漸く自分が成すべき事を見付けたのである。

 

「お前はプロである事を強調するが……もし暗殺者と教師を両立出来ないのなら………ここではプロとして最も劣ると言う事だ」

 

「………」

 

イリーナは何も言えなくなった。それは、なのは達の動きや生徒達の動きを思い出し何かを考えている様子であった。

 

「ここに止まって、奴を狙うつもりなら、見下した目で生徒達を見るな」

 

烏間はそう言って校舎へと戻って行った。




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新たな教師~五時限目からの呼び出し

翌日の一時限目は英語である。だが、E組の生徒達はイリーナが来るはずがないと思っていた。

だが、予想は外れた。教室にイリーナが入って来たからである。

そして、イリーナは徐に黒板の前に立つと、チョークを手に取りある文章を書く。

 

“You are incredible in bed”

 

「リピート」

 

だが、生徒達はなにが何やらで判らなかったが、授業が始まったと思い席に着く。

 

「ほら、早く」

 

イリーナの催促で生徒達が読み上げた。

 

「アメリカでとあるVIPを暗殺する時、まず、そいつのボディーガードに色仕掛けで接近したわ。その時に、彼が私にこう言ったのよ。意味は“ベッドでの君は凄い”と」

 

『中学生になんてモン、読ませんだ⁉』

 

クラス全員の気持ちが一つになった。

 

「外国語を短期間で覚えるには、その国の恋人を作れば手っ取り速いと言われているわ。確かにその通りよ。相手の気持ちをよく知りたいから……必死で言葉を理解しようと考えるのよね。私は仕事上、世界各国に彼氏を持っているわ。だから、色々な言語をしゃべれるわ。私の授業では、外国人の口説き方を教えてあげるわ……プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身に着ければ、実戦で役に立つわ」

 

イリーナの言葉を受け、何人かの生徒は有名ハリウッドスターを思い浮かべていた。

 

「受験に必要な事は、あのタコに聞きなさい。私が教えてあげられるのは、あくまでも実践的な会話術だけ……もし、それでもアンタ達が私を先生と思えなかったときは、暗殺を諦めてここから出て行くわ………そ、それなら文句はないでしょ? それと……悪かったわよ……色々」

 

イリーナの急な態度の変化に生徒達は付いて行けなかった。だが、彼らはイリーナが心を入れ直して自分達と向き合おうとしている事が伝わっているのは感じ取っていた。

だが、彼らはなにかが可笑しくなって笑い始めた。

 

「なに、ビクビクしてんのさ……昨日まで殺すとか言ってたくせに」

 

「なっ⁉」

 

カルマの言葉にイリーナはイラッとする。

 

「なんか、普通の先生になったな……」

 

「そうね……」

 

俊輔達もイリーナの変化に驚くも、いい方向で変化している事に受け入れていた。

 

「もうビッチ姉さんなんて呼べないね」

 

イリーナは自分が生徒達に受け入れられたと判り、涙を流す。

 

「呼び方変えないとだね」

 

「じゃぁ、ビッチ先生で」

 

「ガっ⁉」

 

姉さんから先生に変わっただけで、読み方は変えられなかった。

 

「えっと……せっかくだからビッチから離れてみない? 気安くファーストネームで呼んでくれても構わないのよ?」

 

「でもなぁ、ビッチで固定さてちゃってるし」

 

「うん、イリーナ先生よりもビッチ先生の方が良い」

 

「ッ⁉」

 

イリーナは段々と額に怒りマークが浮き上がって行く。

 

「と言う事で、よろしくね。ビッチ先生」

 

「授業始めようぜ、ビッチ先生」

 

「キィィィィィィィィィィィッ‼ やっぱ嫌いよ、アンタ達‼」

 

イリーナの叫びは校舎を揺るがすほどであった。

 

 

 

 

 

翌日………本校舎に向かうE組の生徒達。今日は、本校舎で行われる全校集会に参加する為に、ほぼ全員が山下りをしていた。

 

「しっかし……生徒達は大変だねぇ~」

 

「私達は訓練を受けているから問題ないけど………はやて、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫や………うちも訓練を大人しく受けとけばよかった………」

 

「後の祭りなの」

 

「辛辣やね、なのはちゃん」

 

俊輔達ははやてを除き、問題なく本校舎へとたどり着く。しかし、他の生徒達は死屍累々であった。

 

「ほらみんな‼ 急いで整列しようぜ‼」

 

E組の生徒達は、本校舎の生徒達が並ぶよりも先に整列し終わっていた。

 

「俊君。これって私達晒し者扱いだよね?」

 

「ああ、E組の生徒は他の生徒に悪影響を与えない為に、先に並ばなくちゃいけないらしい………めんどくさいったらありゃしない」

 

俊輔となのははヒソヒソと話す。そして、本校舎の生徒達がゾロゾロと体育館へと入って行き並んでいくのだが、殆どの生徒達がE組の生徒に指をさして嘲笑うかのような視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

「要するに皆さんは全国から選りすぐられたエリートなのです………この校長が保証します………ですが、油断してるとどうしようもない誰かさん達みたいになっちゃいますよ」

 

校長の締めの言葉では、E組を差別するような言葉を言って、笑いを誘ったのである。

 

「こらぁ、笑い過ぎですよ、皆さん‼ 本当の事ですから仕方が無いですけど」

 

校長の言葉で体育館では爆笑の声で響き渡るのであった。

 

「ヤな感じね………」

 

「だが、本校舎の生徒達はこう言う事ぐらいでしか俺達を見下せないんだろうよ」

 

「でも、本当に嫌になっちゃうの………ディバインバスター撃とうかな?」

 

「「「アカン、絶対あかんぞ‼」」」

 

なのはの言葉に俊輔、フェイト、はやての三人がツッコミを入れるのであった。

その時であった。俊輔の懐に仕舞っている通信機が通信を知らせる音が鳴った。

 

「ん? ッ⁉ 烏間先生………少しいいですか?」

 

「なんだ?」

 

俊輔は通信機を片手に烏間の所へ向かい、一言二言言うと、烏間は頷いた。

 

「なのは、フェイト、はやて。任務だ」

 

「どう言う事?」

 

「何かあったんかいな?」

 

「ああ、リンディさんから緊急通信だ。ここでは聞けないから旧校舎に向かう。はやてはシグナム達を呼んでくれ」

 

「了解や」

 

俊輔達はすぐに行動に移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俊輔達は旧校舎に着くと同時にシグナム達も到着したのである。

 

「俊輔、何があった」

 

「説明する。緊急任務だ。リンディさんからの報告では、危険の大きいロストロギアがこの地球に運ばれた。危険度はジュエルシードの一つ上のランクに値する」

 

「どういう効果を持ったロストロギアなの?」

 

「ロストロギアの名称は、夢喰いだそうだ」

 

「夢喰い………メリー?」

 

「懐かしいアニメのタイトル出すな………だが、ある意味でそう言う意味も込められている。速やかにこれを回収し封印する。俺達の任務はそれだ」

 

「任務内容は判った……だが、全員が出撃する意味があるのか?」

 

「ある。これは不確定情報なのだが、ロストロギアを所持しているのはジェミニ・ハエルフだ」

 

『ッ⁉』

 

この言葉で全員が納得したのだ。

 

「全員、バリアジャケットを装着‼ 任務に掛かるぞ‼」

 

『了解‼』

 

俊輔の指示で全員が動きだしたのであった。だが、これを一人の生徒が見ていた事に俊輔達は気付けなかった。

 

「ふ~ん……そう言う事だったんだ………面白くなりそうだ」




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新たな任務の時間

お久しぶりです。スランプに陥り、また、職場を新たにしたこともあり、時間を作ることが出来ずにいました。
漸く書き上げたので、投稿致します。

それと、皆様にお知らせです。
私、武御雷参型は車の運転免許を取得することが出来ました‼ 現在は練習ということで、弟の所有するクラウンを使って練習しています。

では、本編へどうぞ‼


俊輔達は転送魔法を使い、管理局へと向かった。

 

「特殊武装隊、隊長山本俊輔。並びに高町なのは以下三名をお連れしました」

 

『入りなさい』

 

リンディの執務室に入室した俊輔達は、状況を確認する。

 

「それで、奴の動きは………」

 

「現在、追跡中よ………でも、妙な事が起きているの」

 

「妙な事?」

 

リンディの言葉に俊輔が復唱した。

 

「ええ…これを見て頂戴」

 

リンディはモニターに情報を映し出した。

 

「ジェミニ・ハエルフが所持しているであろうロストロギア“夢喰い”は現在、稼働停止中なの」

 

「稼働中止中………ロストロギアに至ってはそんな事はあり得ない筈ですが……」

 

「ええ、そうなのよ。封印魔法を使わない限り、そう言う事態になる事は無いのだけど………どうも引っ掛かるのよね」

 

「確かに言われてみればそうですね。ジェミニ・ハエルフと言えば、質量兵器を使用しての殺人鬼です。それが、なぜロストロギアなんかを使うのか………」

 

俊輔達も頭を悩ませるが、一向に答えを導く事は出来ずにいた。

 

「ま、仕方が無いわ。と言う事で、皆さんには現状維持と言う形で地球に帰還してもらいます。それと、山本俊輔隊長?」

 

「はい?」

 

リンディに呼ばれた俊輔は、なぜ呼ばれたのか見当がつかなかった。

 

「現在、特務隊から出せる艦は準備出来ているのかしら?」

 

「ああ、そうでしたね。ええ、既に地球の大気圏外にて停空中です。また、物資も満載出来ていますので、滅多な事では補給に戻ると言う事態は避けられると思います」

 

「解りました。では、皆さん。気を付けてらっしゃい」

 

『ハッ‼』

 

リンディの言葉に俊輔達は力強く返事をしたのであった。

 

俊輔たちは管理局を出ると、転送ポートへと向かった。

 

「俊輔君。今からどこへ向かうつもりなの?」

 

「あっ、そういえば言っていなかったな………今から強襲揚陸戦闘航空母艦タケミカズチに向かう」

 

『え?』

 

いきなりの言葉に、なのはたちは言葉を失う。

 

「さすがに何も解らないまま、タケミカズチを見せられても意味ないだろう? だから、今日は一度、タケミカズチを紹介しようと思ってな」

 

「それって大丈夫なんか? ほら、特装隊っていえば極秘にされている部隊やろ? うちらが行っても問題ないんか?」

 

「大丈夫だぞ、はやて。特装隊は極秘にされていると言っても、そこまで極秘にされていないんだ」

 

「でもこの前、私が特装隊の事を調べようとしたら、検閲不可って表示されたけど…………」

 

フェイトは執務官の権限を使い、特捜隊の事を調べようとしたが、モニターには検閲不可とされ、調べることが出来なかったのである。

 

「執務官権限を使って調べようとしたのかよ…………確かに、執務官レベルの権限では調べられないな……」

 

俊輔の所属する特装隊を調べるにはそれ相当の権限を有していないと調べられない事になっていたのを俊輔は失念していた。

 

「すまん、言っていなかった俺も悪かった。俺の部隊を調べるには、左官レベルの権限がないと調べられないことになっているんだ。だから、この中で部隊の事を調べることが出来るのは、はやてだけということだ」

 

はやては二等陸佐の階級を所持していることもあり、俊輔の特装隊の事を調べられるのである。

 

「ほな、調べさせてもらうで」

 

はやては、そういうと自身の持つ端末を使い、特装隊の事を調べ出した。

 

「なになに……特殊武装管理部隊、通称特装隊は時空管理局内で初となるリンカーコアを使用しない攻撃力を持つ、質量兵器を主に使用する部隊である。現在、特装隊が所有する兵器の多くは第97管理外世界地球に存在する兵器が主になっている。また、海に出ることもあり、造船能力を高く保有する第45管理世界エレガンベルトにて、全艦艇の建造を依頼している。現行、特装隊が保有する艦艇の数は、47隻となっている………ってなんやぁ‼ この数の多さは‼」

 

はやては特装隊の事を調べるにつれ、顔色が真っ青を通り越し、真っ白になりかけていた。

 

「特装隊は有事の際はすぐに駆け付ける必要があるからな………あっ、そうだ。はやて」

 

「なんや? うちはもうこれ以上調べたら燃え尽きてしまいそうやで」

 

俊輔に名前を呼ばれたはやてであったが、その顔色は優れなかった。

 

「大丈夫だって。次に項目に所有艦艇の一覧ってあるだろ? 開いてみ」

 

「………嫌な予感がするで」

 

「大丈夫だって……多分」

 

「多分って言ったな⁉ なんや、俊輔君はうちの事が嫌いなんか⁉」

 

「え?」

 

「え?」(困惑)

 

はやては、まさか自分が俊輔に嫌われていると思い込んでしまう。

 

「嘘だ嘘。はやての事は嫌っていないぞ。なのはたちもな」

 

俊輔の言葉に、はやてはホッと溜息を吐いた。

 

「ほら、はやて。開いてみろよぉ~」

 

俊輔は悪魔的な囁きを使い、はやてを誘惑する。

 

「なんやろう、この開いたら死んでしまいそうな気がするで」

 

「だ、大丈夫だよ、はやて‼ …………多分」

 

「大丈夫なの、はやてちゃん。骨は拾ってあげるから」

 

「死ぬこと前提かいな、なのはちゃん‼ それからフェイトちゃんは多分って言ったな。自分らは調べなくて済むからええけど、うちはもうお腹一杯なんやで‼」

 

「「調べられなくて良かった」」

 

なのはとフェイトは、自分たちに権限がなくてよかったと、この時初めてそう思うのであった。

 

「さ、はやて」

 

「……………ええい、ままよ‼」

 

はやてはそう叫ぶと、次の項目を開いた。

 

 

 

 

 

 

その日、管理局内部に一人の少女の叫び声が響き渡るという、管理局内七不思議となったことは、この時、誰も知る由もなかったのである。



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俊輔の説明の時間

皆様、お久しぶりです、元々執筆して、放置していた物を改修して投稿することができました。
長いことお待たせして申し訳ありません。
今後も、不定期更新となってしまいますが、長い目で見守っていただけたら嬉しいです。


俊輔たちは、特殊武装管理部隊に与えられている転送ポートへと来ていた。

 

「さて、ここからが俺たち、特殊武装管理部隊と通じている転送ポートだ。ここを進めば、隊舎に行くのだけど…………はやて、大丈夫か?」

 

俊輔たちの足元には真っ白になったはやてが倒れていた。

 

「大丈夫な訳あるかぁぁぁぁ‼ なんや、俊輔君はうちに恨みでも持っているんかいな⁉」

 

「何を言っているんだ、はやて? 恨みなんて……………」

 

「オイ」

 

俊輔は冗談で目を逸らす。はやても冗談であると言う事は分かっていながらも、ジト目で俊輔の事を見る。

 

「さて、冗談はここまでだ。何があっても、外部に情報を漏らさないでくれよ? 漏らされたら色々と面倒なんだから」

 

俊輔がここまで言う理由は、管理局自体が質量兵器の運用に対して、良い様には思っていないことがある。この事から、一部の上層部では躍起になり俊輔率いる特殊武装管理部隊の事を粗を探そうとする輩がいるのである。

 

「さて、行くか」

 

俊輔の言葉ではやてたちは転送ポートに乗り込み、特殊武装管理部隊の隊舎へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

特殊武装管理部隊、通称“特装隊”は地上本部と連携し、陸の治安に貢献している部隊である。しかし、その部隊の隊舎については極秘扱いとなっており、隊舎の存在を知っているのは、一部の上層部のみとなっている。

その隊舎にはやてたちが降り立つのだが…………はやてたちの目の前に広がる光景は、今まで見た来た光景とは打って変わり、戦車や戦闘機、戦闘ヘリなどが至る所に鎮座していたのである。

 

「俊輔君、うちの目が可笑しくなったんかいな? この光景は地球に行ってもそんなに目にすることはあらへんで………」

 

「「…………」」

 

はやてはまだマシだが、なのはとフェイトに至っては、驚きの余り、思考が停止していた。

 

「まぁ、確かに地球でもこんな兵器を目にすることは無いだろうな………おーい、そろそろ帰ってこい。なのは、フェイト」

 

「「ハッ⁉ なんなの、この兵器たちは⁉」」

 

「今更かよ………」

 

俊輔の声に思考が戻ろなのはとフェイトであったが、すぐさまに俊輔に詰め寄る。

 

「だから、俺の率いる部隊はこういう兵器を主に扱っているって言ってるだろうが………」

 

俊輔は前に説明していたことを忘れているなのはとフェイトに呆れていた。

 

「部隊長、お帰りなさい」

 

すると、一人の男性が俊輔たちの元へと近づく。

 

「おっ、ティーダじゃないか。そっちは大丈夫そうだな?」

 

「俊輔、その人は?」

 

俊輔たちに近づいてきたのは、特装隊の実質№2のティーダ・ランスターであった。

 

「ああ、この人はこの特装隊を部隊長代理として任せているティーダ・ランスターだ。元々は地上本部に配属されていたが、とある事件がきっかけで俺の部隊に配属になったんだ」

 

「ティーダ・ランスターだ、よろしく。本局のエースたち」

 

「そういう、ティーダこそ地上本部ではエースとして名を轟かせていたくせに」

 

「その話はまた今度………今日は?」

 

「ああ、タケミカズチに向かおうとしてな……少し隊舎の事が気になったから寄ったんだが………この状況じゃ問題はなさそうだな」

 

俊輔が隊舎を見渡す限り、問題が出ていない様子が伺えた。

 

「特にこれと言って問題はないけど………でも厄介なことが起きていることは確かだよ」

 

「………詳しくはあそこに送っておいてくれ」

 

「判った」

 

俊輔は瞬時に何が起きているのかを理解したのか、ティーダに指示を出す。

 

「さて、そろそろタケミカズチに向かうか………あっ、そうだ。ティーダ」

 

「もう、君の機体はタケミカズチに搬入しているよ」

 

「話が早くて助かる。さて、行くぞ」

 

俊輔たちは漸くタケミカズチへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

地球の軌道上に七隻による一個艦隊が停留していた。

この艦隊こそが、特殊武装管理部隊の部隊長専属艦隊である。

旗艦はタケミカズチ級強襲機動揚陸特装戦闘艦“タケミカズチ”

僚艦には、ハツハル型補給艦一番艦“ハツハル”同型艦の“ネノヒ”“ワカバ”“ハツシモ”そして、兵器の製造が出来るアリアケ級製造工場艦一番艦“アリアケ”同型二番艦“ユウグレ”が配備されている。

この艦隊は、地球の軌道上にて待機しており、部隊長である俊輔の指示があった際に出撃できるように配備されていた。

 

「着いたぞ」

 

そんなタケミカズチの艦内にある転送ポートに俊輔たちが降り立った。

 

「ここがタケミカズチの内部…………」

 

「ほえぇ~」

 

「…………」

 

はやてはタケミカズチの内部を物珍しさからか、辺りを見渡していた。

なのはは、驚きのあまり呆けていたが、一番、呆けていたのがフェイトであった。

フェイトは驚きのあまり何もしゃべらなかうなった。

 

「さて、時間もそこまで許されていない。ブリッジに行くぞ」

 

そんな三人を置いて先に進む俊輔であったが、何かを思い出したのかその場に止まる。

 

「おっと、そうだ。俺の専用機を見に行かないと」

 

俊輔はそういうと、未だに呆けている三人を見つめると、バインドを使い三人を一纏めにするとそのままタケミカズチの格納庫へと向かう。

 

「いつまで呆けているつもりだ?」

 

格納庫の前に着いた俊輔は、未だ呆けいている三人に声をかける。

 

「そういえば、ここはどこや?」

 

「ここは、タケミカズチの格納庫だ」

 

「まさか、まだまだトンデモナイ兵器を隠しているんか⁉」

 

俊輔の言葉にはやてが噛みつく。

 

「まぁ、確かに隠しているといえば、隠しているが………ここからは一つだけ約束してほしい」

 

「「「⁉」」」

 

俊輔の纏うオーラが変わったのを感じた三人は、これ以上のない真剣さで俊輔の言葉に耳を傾けた。

 

「まず初めに、タケミカズチの格納庫に入っているのは、さっき隊舎で見た兵器たちが多く収容されている。だが、一機だけ俺だけの専用機が収容されている。この機体に関しては、誰にも知らせないでほしい」

 

「それほど危険なものなの?」

 

「………ああ。この兵器が地球をはじめミッドに普及し始めたら………世界の均衡は壊れる。ましてや、ミッドは一番に崩れる可能性がある」

 

まさか、そんな兵器がこのタケミカズチに収容されているとは知らなかった三人は驚きを隠せずにいた。

 

「だから、この格納庫に入る際は、デバイスの録画、録音を禁止する」

 

「判った、ええな? 二人とも」

 

はやての言葉になのはとフェイトは頷いた。

 

「ありがとう………じゃぁ、見せるぞ」

 

俊輔はそういうとタケミカズチの格納庫を開く。

格納庫の内部は電気が電気が付いていない為、暗く先に何があるのかが判らなかった。

 

「リリィ、電気を」

 

『了解しました、マスター』

 

俊輔はリリィに指示を出すと、格納庫内に電気が灯った。すると、四人の前に一機のパワード・スーツが鎮座していた。

 

「しゅんすけくん。この機体は……」

 

目の前にあるパワード・スーツに困惑するなのはは、俊輔に尋ねる。

 

「この機体は、特殊武装隊に配備される予定になっている機体の初期型機の一つで、現在、特殊武装隊に配備されている機体はこの機体を含めて5機が搬入されている」

 

「5機も………なんでそんなに戦力を拡大しようとしているの?」

 

パワード・スーツ一機だけでも過剰戦力になりかねない状況で、一つの部隊に5機も導入している時点で一歩間違えれば、管理局に対しての反逆罪として冤罪を掛けられてしまう危険性を危惧したフェイト。しかし、俊輔もそれを見越しての策略は練っているのである。

 

「俺たち特殊武装隊は元々は地上本部との連携を考えて設立された部隊だ。だが、地上では質量兵器を使った事件が勃発している。これ以上の被害を食止めるためには、それ相応の兵器を用意しなければならない。特に海も同じことが言える」

 

俊輔の言葉になのはは黙ってしまう。過去にAMFによる魔法が使えない状況に陥った時のことを思い出しているのだ。

 

「そういうことがあるから俺たちは質量兵器を導入している」

 

「でも、評議会が黙っていないんじゃ………」

 

「それについてなんだが、既に確約は得ている状況なんだ…というか、評議会からの支援も得ている。それだけ質量兵器に対しての危惧を鑑みているんだろう」

 

俊輔の言う通り、特殊武装隊を設立するにあたり、時空管理局最高評議会からの支持を得ており、尚且つ、支援さえも受けている状況なのである。

 

「なら、なんで本局には質量兵器が導入されへんの?」

 

「導入する予定はあった。だが、本局の一部の人間が断固拒否した所為で、導入が見送られているんだ。その中にはクロノの名前も記載されているんだが……実はそれを指示したのは俺なんだ」

 

まさかの本局に質量兵器が導入されない原因は俊輔にあったのである。これには三人は驚いていた。

 

「なんでクロノ君にそんなこと言っちゃうの⁉︎」

 

なのはの言葉は尤もである。だが、俊輔にも考えがあってのことである。

 

「なのは達は本局がどういう形で他の管理外世界と接触しているのか理解しているのか?」

 

「「「…………………………………」」」

 

俊輔の問いに三人は答えられない。三人とも管理局がどういう形で管理外世界に接触しているのかを見ていないからである。

 

「だろうな、答えられないも無理はないか……………。答えは簡単だ。攻め込むからだよ」

 

「「「なっ⁉︎」」」

 

まさかの回答に三人は驚く。正義の組織として君臨している管理局が管理外世界に対して攻め込むと聞けば、そりゃ驚くであろう。

 

「それを知った俺は、クロノに頼んで質量兵器を導入することに対して反対してもらっているんだ。因みにだが、導入に賛成しているのは過激派に所属している提督たちだ」

 

この説明に漸く三人は納得したのである。もし、本局にも質量兵器が導入されれば、罪なき血が流れないで済むからである。

 

「ということもあって、本局には質量兵器を導入させないことにしているんだ。理解したか?」

 

俊輔の問いに三人はうなずいて答えた。

 

「さて、俺の機体も確認できたし、今度こそタケミカヅチの艦橋にいくか」

 

そういうと、俊輔は三人を連れて格納庫を後にするのであった。




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修学旅行の時間~一時間目

早く夏休み編をやりたい


俊輔ははやて達を連れて、タケミカズチの艦橋へと来ていた。

 

「ほえぇ~」

 

「アースラさえも凌駕してるで、こりゃ」

 

「凄い……」

 

はやて達はタケミカズチの艦橋に足を踏み入れると、そこにはアースラの艦橋をも超える設備が施されており、近未来的な艦橋であることに驚いていた。

 

「そりゃ、タケミカズチは全ての艦艇の指揮を司る司令塔を役立てるために建造された艦だからな。他の艦艇よりもすごい事になっているのは確かだぞ」

 

俊輔はそう言うと、艦長席に腰を落とした。

 

「では、これより管理外世界“地球”の軌道上に待機しているアースラと合流、並びに今後の作戦の為に向かう。機関始動、総員は速やかに持ち場に就け」

 

俊輔はアームレスト横に設置されている受話器を取り出すと、艦内放送で指示を出した。

 

「はやてたちも座ってくれ」

 

俊輔がそう言うと、床下から椅子が三脚せり上がってくる。

 

「艦長、総員配置に就きました」

 

「判った。では、これより出航する。両舷微速、管制空域を離脱後、時空間移動にて地球へ向かう」

 

『了解‼』

 

「出航‼」

 

こうして、時空管理局特殊部装隊旗艦である強襲揚陸戦闘航空母艦“タケミカズチ”が出航した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、タケミカズチはアースラ横に停泊する。俊輔たちはタケミカズチの転送ポートを使い、アースラへと向かった。

 

「あれが、君の所の旗艦か……」

 

「ああ、そうだぜ。最新鋭の艦だ」

 

アースラの艦橋に到着した俊輔たちは、クロノからモニターに見えるタケミカズチが話題に上がった。

 

「そういえば、あの艦も質量兵器を搭載しているのか?」

 

「ああ、これが設計書だ」

 

俊輔はそう言うと、一枚の用紙をクロノに提出する。

 

「…………この一隻だけで簡単に管理外世界どころか管理局を相手にすることも可能だぞ」

 

クロノは呆れた様子で用紙を俊輔に戻した。

 

「まぁ、確かにそれは言えている。でも、俺は管理局に対して謀反を起こす気はないし、そもそも、本局の連中がこちらに攻め込まなければ、無駄な血を流さずに済むって話だよ」

 

「………その言い草。まさか、本局の一部が攻め込んだのか?」

 

クロノは俊輔の含みのある言い方に、少し凄みを掛けて言う。

 

「ところがどっこい。攻め込む前に三提督が介入して、事無きを得たよ」

 

俊輔は肩を竦めて言う。一度、本局の一部の過激派の提督が特殊武装隊に対して査察と命し、乗り込んでくる計画があったようだが、実行される前に本局の三提督によりメスが入り、計画していた提督たちは左遷もしくは、除隊処分を受けたのである。

 

「だから、一度に多くの提督が辞職していったのか………よかった。お前が関与していなくって」

 

「おいおい、酷い言い草だな」

 

俊輔とクロノは笑いあった。だが、傍から聞いているなのは達にとっては心休まるときではなかった。

 

「そういえば、任務については良いのか?」

 

クロノが言っている任務と言うのは、椚ヶ丘中学でのことである。

 

「ん? ああ、俺たちは一応、義務教育は済んでいるし中間テストを受ける必要がないって理事長ご自身から言われていてな。だから、こうしてタケミカズチを持って来る事が出来たんだけどな」

 

そう、俊輔たちは任務の途中で烏間から連絡があり、中間テストを受けなくてよいというご達しを受けていたのである。

 

「なら、問題はなさそうだな。それで、君たちはこれからどうするんだ?」

 

「俺たちはこのまま地上に戻って、任務を続行する予定にしている。まだジェミニの行方もスカリエッティの行方も掴めていないしな」

 

俊輔たちの任務はこのまま続行されることとなっている。暗殺目的が主ではなく、ジェミニとジェイル・スカリエッティの逮捕が、本来の任務なのである。

 

「だからと言って、戦闘艦を持ってくるなんて過剰戦力と言っても過言ではないぞ」

 

「まぁ、それだけの相手をしているとなれば、過剰戦力になってもおかしくはないさ。特にジェミニに関してはな」

 

俊輔が危惧しているのは、ジェイルよりもジェミニの方にあった。彼は、質量兵器の他にロストロギアも所有している。既にいくつかの管理外世界が生物の住めない環境に変貌してしまっていることを考えれば、管理外世界である地球も無関係とはいかないのである。

 

「まぁ、気をつけてな。俺たちもこのままジェミニ・ハエルフとジェイル・スカリエッティの捜索を進める」

 

クロノはそう言うと敬礼をすると、俊輔たちも返礼をして返す。

 

そして、俊輔たちは椚ヶ丘中学に戻っていった。中間テストも終わり、修学旅行の時期に突入していたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俊輔たちは椚ヶ丘中学旧校舎に向けて登校していた。変わらず、アリサとすずかも一緒である。

 

「そういえば、アンタたち修学旅行の時期よね?」

 

「俊輔君たちはどこに行く予定になっているの?」

 

アリサは思い出したかのように俊輔に尋ねる。すずかに至っては、一緒の所が良いなと考えていた。

 

「俺たちは京都に行くことになっている」

 

「そうなんだ~」

 

因みにだが、アリサとすずかが通っている高校は、名門校であるが、修学旅行や卒業旅行などに関しては一般の学校と同じく、国内で済ましているのである。

 

「私たちも京都に行くことになっているんだけど、自由時間にでも一緒に回らない?」

 

「いや、そうしたいのは山々なんだが、一応は修学旅行中も暗殺をしないといけないんでな。お前たちを巻き込むことはしたくないんだ」

 

俊輔はそう言って断ろうとした、だが、そう問屋が簡単に卸す筈もない。

 

「烏間先生に聞いてみたら、もしかしたら許可してくれるかもよ」

 

「………暗殺と両立して自由行動ね」

 

「楽しそうだし、やろうや」

 

なのはたちである。なのは達も京都に行くのは何気に初めてなのである。だから、楽しみにしていたのである。そして、アリサやすずかと言った幼馴染と一緒に回るという学生の頃に出来なかった事をしたいという思いが強く出たのである。

 

「はぁ~仕方がないな。でも、暗殺の事も考えてやらんと行けないからな」

 

俊輔は何を言っても無駄だと感じ、考えるのを諦めるのであった。




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修学旅行の時間~二時間目

俊輔たちはアリサと別れて、旧校舎へと向かっていた。何日も通っている道なので、いつしか体力もついた様子で特に最初の頃は息切れをしていたはやてもすんなりと旧校舎に向けて歩けるようになっていたのである。

 

「いつのまにかうちも体力がついたようやな」

 

「最初の頃はへばってたのにな」

 

「言うか⁉」

 

事実である為、はやても言い返せずにいた。

 

「みんな、おはよう‼」

 

俊輔たちが久々の登校と言う事もあって、クラスの殆どが俊輔たちの方へと駆け寄ってくる。

 

「山本君たち、家庭の事情で休んでたようだけど、大丈夫なの?」

 

最初に声をかけてきたのは渚であった。

 

「ああ、もう終わってるし問題無いよ」

 

「そうなんだ、良かった」

 

渚は胸を撫で下ろした。

 

「心配してくれて、ありがとう」

 

俊輔はそう言って笑うと、数人の女子たちの顔が赤く染まった。

 

「また始まったよ、俊輔のスマイル堕ち」

 

「うちらも最初の頃は、何度も堕とされかけたからな~」

 

「そうなんだ~」

 

フェイトとはやては一度、俊輔のスマイルに負けてしまった事があったのだが、その頃には既に俊輔はすずかと出来ていた為、入る余地がないと解っていながらも、俊輔に好意を寄せていたのである。ただし、現在は友人としての好意だけだが。

 

「そういえば、来週の修学旅行だけど高町さんたちは班決めはどうなるの?」

 

カエデがなのは達の班がどうなるのか気になっている様子であった。それもその筈。俊輔たち四人は他の生徒たちよりも一つ、歳が上なのだから一緒の班になれるのか気になっていたのである。

 

「それに関しては、烏間先生に判断を委ねているから、俺たちでは決められないんだ。ごめんね」

 

「そ、そうなんだ~あ、あはははは」

 

俊輔の顔にカエデも堕とされたご様子。どんだけ堕とせば気が済むのだろうか………おっと、作者の心の声が漏れてしまった。失敬。

 

「全く‼ 三年生が始まったばかりのこの時期に、修学旅行とは先生、あんまり気乗りしません」

 

殺せんせーが教室に入ってくるが、その姿はいつもの姿ではなく、舞妓さんの格好をしていたのである。

 

『ウキウキじゃねぇか‼ しかも舞妓……似合ってるし』

 

クラスの心は一致いていた。

 

「バレましたか」

 

殺せんせーはほっぺを赤く染め顔を掻いて恥ずかしそうにしていた。

 

「正直、君たちとの旅行が楽しみで仕方がないんです」

 

その言葉に、全員が苦笑いをする。

 

 

 

 

その日の体育の時間の終わりの時に、烏間先生は生徒たちをグラウンドに座って説明をしていた。

 

「知っての通りだが、来週から二泊三日の京都での修学旅行が始まる。君たちの楽しみを極力、邪魔をしたくはないのだがこれも任務だ」

 

「と言う事は、あっちでも暗殺ですか?」

 

「その通りだ。京都の町は学校とは段違いに広く、複雑。しかも君たちは回るコースを班ごとに決め、奴は一緒に付き合う予定になっている。その為、表立った暗殺は出来ない。なので、国が用意した凄腕の狙撃手を用意している。成功した場合、貢献度に応じた報奨金を支払う事となっている。暗殺向けのコース選びを頼む」

 

『はい‼』

 

「先生、しつもーん」

 

「なんだ、茅野さん」

 

すると、カエデが手を挙げた。

 

「高町さんたちはどうなるんですか?」

 

こういう時だからこそ、聞けるタイミングを見計らって聞いたのであろう。

 

「ああ、その事なのだが山本君たち四人には、君たちだけで班になってもらう。その上でコース選びを頼みたい」

 

「判りました」

 

烏間先生の言葉に俊輔は返事をする。

 

「では、本日の体育の時間を終了する」

 

『ありがとうございました‼』

 

 

 

 

 

 

授業が全て終わり、生徒たちは班決めに奔走していた。それを静かに見守っていたイリーナは見下したようにしゃべりだす。

 

「フン、ガキね~世界中を飛び回った私には、旅行なんて今更だわ~」

 

イリーナは地面気に話すが、生徒たちは目をやろうとはしなかった。

 

「じゃぁ、留守番しててよビッチ先生」

 

「え?」

 

「花壇に水やっといて」

 

「は?」

 

ここまでくれば、イリーナの目は点となる。そして、自分が無下に扱われていると知ったイリーナは段々、怒りが込み上げてきた。

 

「何よ‼ 私抜きで楽しそうな話をしてんじゃないよ‼」

 

イリーナの手にはコンパクト銃が握られていた。

 

「だぁ‼ 行きたいのか行きたくないのか、はっきりしろよな‼」

 

すると、教室の扉が開き殺せんせーが入ってくる。

 

「一人一冊ずつです」

 

殺せんせーの手(?)には六法辞書並みの厚さのある本があった。

 

「なんですか、それ?」

 

「修学旅行のしおりです」

 

磯貝の質問に答えた殺せんせーはマッハ20を使って、一人ずつにしおりを手渡した。

 

「重ッ⁉」

 

「辞書だろ、これ‼」

 

生徒の声に先生は恥ずかしそうにしながら説明をする。

 

「イラスト付き観光スポット、お土産人気トップ100、旅のしおり入門から応用までを網羅したものを徹夜して作りました‼ 初回特典はペーパークラフトの金閣寺です‼」

 

「どんだけ、テンション上がってるんだよ‼」

 

暗殺と教育を兼ね備えたE組はそれでも、皆が楽しそうに計画を立てるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

修学旅行当日、東京駅から出発する新幹線に乗り込む生徒たち。椚ヶ丘中学は名門と言う事もあって、五両の新幹線を貸し切りにしていた。因みにだが、他の車両については他校のクラスが使っている。中にはガラの悪い生徒の姿もあった。

 

「うわぁ、A組からD組までグリーン車だぜ」

 

「うちらだけ普通車。いつもの感じだね」

 

菅谷と中村がそう言うと、D組の担任であろう教師が耳に入ったのだろう、車両に乗る前にE組対して見下した感じで説明をする。

 

「うちの学校はそういう校則だからな。入学時に説明したろ」

 

すると、二人の生徒が戻って乗降口から顔を覗かせた。

 

「学費の用途は成績優秀者に優先されます」

 

「おやおあや、君たちからは貧乏の香りがしてくるね~」

 

二人はそう言うと笑い始める。

すると、一人の女性の声がし、行く全ての人々の視線を釘付けにした。

 

「ごめんあそばせ~」

 

教師も二人も声のする方に顔を向けると、そこにはセレブのような恰好をしたイリーナの姿があった。

 

「御機嫌よう、生徒諸君」

 

「ビッチ先生、なんだよそのハリウッドセレブのような恰好はよ」

 

「ウフフ、女を屈しる暗殺者としては当然の心得。いい女は旅格好にも気を遣うのよ」

 

イリーナは自慢げに話すが、その後ろには烏間先生の姿があった。

 

「目立ち過ぎだ、着替えろ。どう見ても引率の先生の格好に見えない」

 

「固いこと言わないでよ、烏間~ガキどもに大人の女の「脱げ、着替えろ」………」

 

烏間の凄みに負けたイリーナは渋々、着替える羽目になったのであった。

 

「誰が引率なんだか………」

 

「金持ちばかりを暗殺してきたから庶民の感覚がズレていたんだろう………」

 

磯貝と片岡がそんなイリーナを見て、呆れるのであった。




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修学旅行の時間~三時間目

今回は一気に三和連続投稿になっております。お気を付けください。

今後の予定に関して、後書きに記しております。


各々が京都まで行く時間を楽しんでいる頃、俊輔たちは念話を使ってクロノと通信をしていた。

 

「(これから俺たちは修学旅行の為に京都に向かう。お土産も買う予定にしているから、楽しみにしていろよ)」

 

「(あ、ああ。君の選ぶ物はどれも奇抜過ぎて僕の手に余るものばかりだが……そう言う事の為に念話をしてきたのか?)」

 

クロノは俊輔が用事もない、他愛もない会話の為に念話を使っているように感じていた。

 

「(いや、本題だ。もしかしたら、ジェミニが京都に現れる可能性がある)」

 

俊輔はジェミニが京都に現れるかもしれないと告げたのである。根拠もない言葉にクロノも半信半疑である。

 

「(それは、確信があっての事か?)」

 

「(いや、正直な話、確信はないだが、根拠はある)」

 

「(………どういう事なのか、説明してくれるよな?)」

 

「(ああ)」

 

俊輔はクロノに自分が考えている事を全て話した。

 

「(そう言う事か………確かに理屈はあっている。だが、奴が現れるという保証はないんだぞ?)」

 

「(そこら辺も織り込み済みだ。後の問題としてもしかしたら………)」

 

「(ジェイル・スカリエッティ……だな?)」

 

俊輔とクロノの懸念している事は、ジェミニよりもジェイルの事である。

 

「(どういう訳なのか判らないが、最近は大人しくしている傾向にある。このまま、何事もなく終わってほしいのは山々なんだが、そう簡単に問屋が卸す訳ないしな)」

 

「(だな。それについては、こちらでも探りを入れてみる。何か進展があれば、また知らせる)」

 

「(よろしく頼む)」

 

俊輔はクロノとの念話を終わらせる。

 

「クロノ君はなんやって?」

 

「俺の考えを言ったら、向こうも理解してくれたよ。だけど、スカリエッティがどう動くのかが懸念の種だなと言う事で、一致した」

 

はやてはクロノとの念話の内容を俊輔に尋ねる。

 

「だけど、本当にスカリエッティが動くのかな?」

 

「そうだよ、俊輔君。もしかしたら……」

 

フェイトとなのはは疑心暗鬼になっていた。

 

「いや、E組の茅野と神崎さんが誘拐された時のことを覚えているだろ? その目的はなんだった?」

 

「「うっ」」

 

俊輔の言葉になのはとフェイトは胸を押さえた。過去に一度、茅野と神崎がスカリエッティによって誘拐された事件があった。その時の目的は殺せんせーの細胞の一部を採取する事であった。もしかしたら、今回の京都での修学旅行中に同じ手を使われる危険性があると、俊輔は睨んでいたのである。

 

「まぁ、そういう事が無いようにサーチャーを京都に着いたら撒かないとな」

 

俊輔の言葉にはやてたちは頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

E組は烏間の引率で京都の旅館に来ていた。一方のA組からD組までは高級ホテルで宿泊である。流石の理事長もそこら辺はちゃんと考えてくれているのである。

旅館に到着するや否や、殺せんせーはソファーの上でぐったりとしていた。

 

「新幹線とバスに乗って、グロッキーとは………」

 

「大丈夫?」

 

岡野はそう言うと、対先生用ナイフで殺せんせーを刺そうとするが、簡単に避けられてしまう。すると、横にいた片岡も同じようにナイフで刺そうとするが、同じように避けられてしまう。磯貝も同じように参加するが、避けられてしまう。

 

「いえ、ご心配なく。先生、一度東京に戻ります。枕を忘れてしまいまして」

 

「案だけ荷物があって、忘れもんかよ⁉」

 

三村が殺せんせーの荷物を見てツッコミを入れる。殺せんせーの荷物は人一人が入れるんじゃないかと思われる程の大きさを誇るリュックであった。

 

 

 

 

 

翌日、班ごとに自由行動をとっていた。俊輔たちは事前にすずかたちと連絡を取っており、集合場所も決めていたのである。

 

「俊輔くーん‼」

 

すると、アリサとすずかが走って俊輔たちの許に駆け寄ってくる。

 

「走ると危ないぞー」

 

俊輔はすずかとアリサにそう忠告をするが、二人は聞く耳を持たなかった。案の定、すずかは小さな石にでも足を引っかけてしまったのだろう。転びそうになってしまう。

 

「危ない‼」

 

地面に体を打つ前に俊輔が寸での所で、すずかの身体を支え転倒するのを防いだのである。

 

「だから言ったじゃないか」

 

「ご、ごめんね」

 

すずかは顔を少し赤く染め、恥ずかしそうにするのであった。

 

「ところで、何処を回る予定にしているのかしら?」

 

アリサは二人の初心な光景をニコニコと見つめながら、予定を尋ねる。

 

「このルートで回ろうって話をしていたんだ」

 

直ぐになのはが反応して、ルートが書かれた用紙をアリサに見せる。

 

「ふーん。良いじゃない。じゃぁ、このルートで行きましょ。ほら、そこ二人‼ いつまでもイチャイチャしない‼」

 

ルートが決まったことでいざ出発と言う時に、未だにすずかと俊輔は人の事なんてお構いなしにイチャイチャしていたのをアリサは中断させ、出発するのであった。

因みにだが、他の生徒たちと鉢合わせに為らない様に、ルートを決めていたのである。その為、回っている最中、他の生徒と鉢合わせに為ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

昼下がり、殺せんせーが合流すると烏間からの連絡があった。

 

「やっべ、殺せんせーの事を忘れてた………」

 

「ほんまや⁉ ど、どないする⁉」

 

この連絡を経て、俊輔たちは修学旅行中に暗殺の手伝いをしなくてはいけない事を思い出したのである。それで大丈夫なのか? 特装隊の隊長…………




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今後の予定に関して、お知らせいたします。
また、後日に活動報告にて記す予定にしておりますが、先行してのお知らせになります。

現在、休みが殆どない状況で執筆をしております。時間を見つけては執筆活動を行ってはいますが、中々、時間に余裕が無いのが現状です。
その為、執筆については自分の気分次第で投稿が早くなるし、遅くなるという不安定な状態になっていますが、なるべく続けられるようには努力していきます。

今後も、皆様が楽しめれる作品を作っていきますので、末永くよろしくお願い申し上げます。


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