ソードアートオンラインOS (知咲)
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リンクスタート

俺はソードアートオンラインの世界にやっていた。


病院のベットに俺は座っていた。そこに一人のメガネをかけたスーツの男がやってきた。

「本当にいいのかね。情報を得るためとはいえ死んでしまうかもしれないんだよ」とその男はたずねてた。

「いいんです。俺のログインによって沢山の命を救うことができるかもしれませんし。それに例の計画の参考にもなるかもしれないんですから、菊岡さん」と俺はナーブギアを頭に被った。

「じゃあ、頼んだよ友久君。健闘を祈ってるよ」菊岡は敬礼をした。

 俺はベットに横たわり目をつぶって説明されるように全身をさわった。そして、

「リンクスタート」

 俺の意識はVRMMO<SAO>の世界に飛び込んでいった。

 

第1層始まりの街

 気がついたら俺は広場の真ん中にいた。手を握ったり、足踏みをする。現実と同じ感覚に安堵し身震いをした。

「ほんと、茅場さんはすごいゲームをつくりましたね」

(これがデスゲームじゃなかったら最高だったのに)と俺は思った。

「さて、体慣らしのついでに情報収集しよっと」

 俺は歩き出した。これは、英雄キリトのいる世界。菊岡がキリトに興味を持ったきっかけになる物語。

 

「やっぱすごいな。まるでもうひとつの現実せかいだな」

と俺は周りをキョロキョロしながら歩いていた。走って来る一人のプレイヤーに気づかずに。

ドスンッ。と体がぶつかった。 

「「痛っ」」と俺と彼は尻餅をついた。

「ごめん、前を見てなくて」

「こっちも、走ってて別のこと考えていて」と二人は謝った。

「君の名前はなんて言うの?」

「僕はタカシ。月夜の黒猫団のギルドリーダーなんだ。君は?」

「俺はシュウって言うんだ。それより、なんでギルドリーダーがこんな始まりの街にいるんた」

「実は、メンバーのみんなでお金を貯めていてついにギルドホームを買えるようになったんだ。だから、今ここに来てるんだ」

「そんなのか、よかったな」

「ああ、それじゃそろそろ行くね」立ち上がったタカシは街の方向いた。

「いつか会おうな。そのときはお前のギルドに入らせてくれよ」

「もちろん。じゃあね」と手を振りながら街の中に消えていった。

「ギルドか・・・・」

と俺は呟いた。しかし、俺はこのギルドには入れなかった。

 

「さて、一応武器は手に入ったし、草原にいってみるか」

と俺は近くの草原に向かった。

「食らえー」俺は一匹の狼にソードスキル<スラント>を発動させた。狼はポリゴンとなって消えた。

「よしっ。レベルも2上がったし宿に行って寝るか」

と俺は街に戻っていった。



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ウワサ

ログインしてから数日が経ち、次の階層に向おうとしているとき、ある噂を聞くのだった。


この2日間第1層でのレベリングに明け暮れていた。そして、酒場などに行き情報収集もしていた。

「だいぶレベルも上がったしそろそろ次の層に行くか」と決心した頃にある噂が俺の耳に届いた。

「なあ、<ベータ->についてどう思う」

「ああ、あのβテストしてていろんなこと知ってるやつ。あんな奴とは絡みたくないわぁ」と二人の客が喋っていた。

「すみません。ちょっとお聞きしたいんですが」と俺はその二人に声をかけた。

「なんだ、俺に判ることならおしえてやるぜ」

「じゃあ、そのベーターて何ですか」

「お前、ベータ-を知らないのか」と二人はびっくりしていた。

「はい、ずっとレベリングばかりしていてあんまり人と話してなかったんです」

「そうか、ベータ-ってのはベータ-テストプレイヤーとチーターをかけたもんなんだ。お前も気を付けろよ。そいつに関わるとろくなことないからな」

「そうなんですか。その人の名前はなんと言うんですか」

すると男は首を傾げた。

「すまねぇ、名前は忘れちまった。たしか、黒のコートを着てるやつなんだかぁ」

「それキリトって名前じゃないか」と一人のプレイヤーがあらわれた。声からして女だろう。

「そうそう、キリト!ありがとうな嬢ちゃん」

「気にすんな。これでも私は情報屋なんだから」

と顔を上げた。顔は少女で猫の髭みたいなペイントがされていた。そして、その少女は出ていった。

「ま、そういうわけだ。お前さんも気を付けろよ」

「はい、いろいろと教えていただきありがとうごさいました」そう言って俺は少女を追いかけた。情報屋なら面白い情報を持っていると思って。

 

「ちょっとまって」と俺はその少女を呼び止めた。

「なんだい、私に用があるのか」と少女はこっちを向いていった。

「あの、情報をほしいんだけど」

「そうか、なんの情報なんだ」

「第2層についてなんだけどいいかな」

「まあ、金をくれるならいいぜ」

と俺は情報代を払って第2層の情報を教えてもらった。

「ありがとうございます。えっとぉー」

「バルゴでいいよ」

「はい、ありがとうございます。バルゴさん」

「こっちこそ金をもらったんだ。ありがとうなシュウ」

「いえ、こちらこそ」そして、俺は口ごもった

「あの、アルゴさんはキリトのことどう思ってるんですか。情報屋なら色々な噂きいてるはずなので」

「キリ坊は優しすぎるだけだよ。あいつはただみんなを守るために汚名をかぶった。チーターならとっくにこのゲームからでていってるよ」と笑っていた。

「知り合いだったんですね」

「いや、ただのお客だよ今日だけ特別にただにしてやるよ。他に知りたいことないのか」

「じゃあ、月夜の黒猫団ってギルド知りませんか」と俺は尋ねたい。するとバルゴは顔を伏せた。

「そのギルドはなくなったんたよ」

「え、なんでですか」

「迷宮区でトラップにかかって一人を残して死んでしまったんだよ」

その情報は俺を大いに驚かせたものだった。



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過ち

あの噂を聞いた俺は無茶なレベリングを続けて死に場所を探していた。そんな中あの階層にたどりつく。


「おい、あいつボロボロじゃないか」一人の客が仲間にたずねた。

「ああいうやつは関わらないほうがいいんだよ」と仲間は答えた。

 そして、俺はその酒場をあとにした。迷宮区を目指して歩き始めた。

 あの日噂を聞いた俺は全てがどうでもよくなっていた。しかし、あくまでここに来た目的は菊岡さんのある目的のためなので死ぬ訳もいかずそれでも、HPゲージが赤く染まるまで自分のレベルには危険な階層で戦っていた。

 そんな中、俺は27層にきた。そこは月夜の黒猫団の最後を迎えた階層だった。

そこでも俺は無茶な戦闘ばかりしていた。

そんな姿を心配そうに見ている一人の少女がいた。

 

「おいおい、そこの兄ちゃん」酒屋で飯を食べていたら一人の客が話しかけてきた。

「なんですか」

「お前さん、無茶なレベリングしてるんだろ」とその客は心配そうにいった。

「いいじゃないですか。誰も損してないんでしょ」と俺は飯を食いながらいった。

「そうだけど、命は大切にしろよ。なにせ、この階層はあの子達が死んでしまった所だからね」と寂しそうにそう言った。

 そうここにはクリスタル無効エリアのトラップがあるのだ。 

そして、俺はバカな事をするのだった。

 

 夜になると見張りはいなくなる。昼はこの階層にいる人がここに来た人がこのトラップにかからないように見張っている。しかし、夜は別だ。

 俺はその部屋に向かっていた。

 その部屋には一つの宝箱が置いてある。あれを開けばトラップが発動するのだろう。俺はその部屋に入ってそして宝箱を開いた。この時一人の少女が中に入ってきたのを気づいていなかった。

 急に部屋が赤く染まり入り口がしまった。そして、壁が開き中からゴブリンやゴーレムがでてきた。

 俺は剣を構えた。その時、頭をおもいっきり叩かれた。

「!?」驚いて後ろを向くと一人の赤髪の少女がいた。

「あんた、なにバカな事をやってんの」彼女は怒っていた。

「お前こそなんでここにいるんだよ」俺は言った。

「あんたがバカな事をしそうで心配だったのよ」と彼女は剣を構える。

「残りの説教はこれが終わってからよ」

「まるでこのトラップから俺を救うつもりだが、このモンスターの量だぜ」俺はこの部屋に入ったときから死ぬ覚悟をしていた。

「そうね。普通なら無理ね」

彼女はそう言った。すると、彼女の周りに剣が現れた。

「!?」

そして、その剣は次々にモンスターに向かっていき、モンスターを倒していく。

「な、なんよこれ」俺は驚くことしかできなかった。

「これが私のユニークスキル『多刀流』よ」そういながら次々にモンスターを倒していき。ついに全てを倒した。

「・・・」あまりの驚きになんも言えなかった。

「バチン」と俺はおもいっきりビンタを喰らっていた。

「なんでこんなことをしたの」その目は怒っていた。

「いいじゃないか、俺の命なんだから勝手にしていいだろ」

「ええ、自分の命なんだから勝手にしてもいわ。でも」彼女は俺を見つめながらいった。

「それは、生きたいと思って死んでいった人達を冒涜しての」

俺はその時自分の過ちに気づいた。

「分かった?これからはもうこんなことしない」

「はい」俺は彼女を見てそう言った。その時、彼女のカーソルがオレンジになっているのが見えた。

「あ、あのとき俺をビンタしたから」

「あーね、別に気にしてくていいわよ」となにげなくそう言う。

「でも」

「いいの、いいの。さあ、帰ろ」二人は圏内へと戻っていった。

 

「あら、レインちゃん。またやったの」と一人の客がたずねた。その人はこの前話かけてきたひとだった。

「ええ、この子がねバカみたいなことしたからね、バチ~ンとやっちゃったわ」

 するとみんなが大笑いし始めた。

「さあ、みんなで飲みましょ?ま、お酒は無理だけとね」と俺は無理やり宴会に参加させられ、一夜をあかした。

以外にもたのしかった。



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パーティー

俺はある日一人の男を助けた。そして、その男からとんでもない誘いをうけるのだった。


「『旋車』」

と男はモンスターの集団に突っ込むやソードスキルを発動させた。モンスターは巻き込まれてポリゴンとなり消えていく。しかし、

「やめてくださいよ。それ使ったら隙だらけになるじゃないですか」

と後ろにいた仲間たちが隙だらけの男を援護するように周りの残ったモンスターを倒していく。

「いやぁ、すまねぇなぁ」

と笑いながら持っていた刀を肩にのせる。

「少しは反省してくださいよベル隊長」

と副隊長のショウタは呆れながら言う。

この隊は血盟騎手団に所属している。

そして、俺もこの隊のメンバーだ。

なぜ、こんな攻略組の団に入っているのかというと半年前に遡る

 

あの事件があった後俺は無理なレベリングは止めた。そして、彼女のようにみんなを守りたいという思いをもっていた。

そして、危ない目にあっているプレイヤーを助けながら、いつか攻略組になりたかった。もちろん菊岡さんの事は忘れていない。

そして、ある転機がおとずれる。

今日もレベリングをしながら上の階層を目指し今は6層にいた。

「ギギギィィィ」とモンスターの声が聞こえた。そちらに向かうと、

「やばいこっちにくんな」と一人の男が襲われていた。

やばいと思って俺は男のほうに向かう。

ソードスキルを発動させ男の周りのモンスターを倒す。

硬直が治った男は立ち上がった。

「すまねぇ、助かったぜ。えっとぉ名前は」

「名乗るほどではないですよ」

と俺はその場を去ろうとしたら足音が聞こえてきた。

新手とおもったらプレイヤーだった。

「いた、隊長勝手に一人でいかないで・・・・」

と言い終わる前に彼と目があう。すると仲間たちが武器を構える。

「おいおい、落ち着けこいつは俺が殺されようとしたのを助けてかれたんだぞ」

と隊長は間に入って止めた。

「そうですかすみません。無作法なことをしてしまって」

と武器をおろした。と彼は隊長の方を向いた。

「なにやってんですか。一人で『300匹』のモンスターと戦うなんて。迷惑をかけたじゃないですか」

その時俺は驚いた。俺が倒したのは10匹程度つまり残りは彼が倒したのだ。

「ところでお名前をお聞きしていいですか」と隊長への説教が終わってたずねてきた。

「名乗るほどではないですよ」と言った。

「なるほど、貴方でしたか『ナナシ』と呼ばれる男がピンチを救ってくれると聞いたことがあります」

「おお、お前だったのか丁度良かった」と男は豪快に笑った。そして、

「なあ、血盟騎手団に入らないか」ととんでもない誘いをうけたのだ。

そこからはトントン拍子だった。というか無理やりだった。拒否する俺の意見を聞かず、引きずりながらギルドホールに連れてこられ、そしてこの団に入団したのだった。

 

「今日もお疲れぇ」と俺たちは行きつけの酒場でお疲れさん会をしていた。

 酒もまわってみんなが元気になってきた時、いきなり隊長は立ち上がった。

「俺がこの団の最強だ!!団長だって1回は絶対たおせるぜ。はっはっはっ」

 とまるで酔っ払ったオヤジのように大声で言った。

「隊長、一回しか倒せないってどんな理屈なんですか」

と笑いながら周りの酒も進む。

「うるせぇい!俺は一騎当万のベル隊長だぞ!」

とみんなの反論をはねのけそう語るのだった。とにかくこの隊はとても面白いところだった。

 

 夜風にあたりながら酔いを冷ましている俺の隣にベル隊長が座ってきた。

「何ですか隊長」

「いやぁ、こんな時ぐらいしか聞けないから聞きたいんだか、なぜお前さんはあんなことをしてたんだ」

そのあんなことは多分ピンチの冒険者を助けていたことだ。

「俺は隊長達と会う前。あるダンジョンで自殺にほぼ近いことをしたんですよ」

彼の目にはトラップのドアと大量のモンスターが出現した情景が目に浮かんだ。そしてその大量のモンスターを次々に倒していく少女の姿も。

「そんな時、一人の女性プレイヤーが助けてくれたんです。そんな彼女に憧れたんですよ」

「なるほどそんな理由だったとわな」

と言って隊長はその場に立った。

「そういえば俺をどうしてこのパーティーに入れたんですか」

そう、別に俺じゃなくてももっと高レベルのプレイヤーはいたはずなのだ。

 すると男は頭をかきはじめた。ばつが悪そうにしている。

「なに、ただお前を一目見た瞬間こいつだっておもっただけだ」と隊長はその場を去っていった。

 



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知らせ

 ベルが率いる隊に入って数ヶ月が経ちだいぶ慣れ始めた時に1つの知らせが入ってくる。


 今日は特に用事もなく俺は部屋でゆっくりしていた。ここ最近様々な高難易度ダンジョンに行って疲れきっていた。

「それにしても、ベル隊長は強すぎんだろ」

俺は呟いた。なんせ、大体のダンジョンおおまかなところは彼一人で攻略してるのだ。俺たちはただ倒しそびれたも敵を倒しているのだ。

「まあ、こんな日ぐらいゆっくりしよっと」

二度寝の準備をしようとした時、ドアをノックする音がきこえた。

「こんなときに誰や」

ぶつぶつ文句を言いながらドアを開けると

「よう、シュウ」

「・・・・・・・」

俺は絶句した。そこにいたのは隊長(災悪)だった。

 

「それで、メンバー全員集めてなんだ」

やや呆れながら副隊長のショウタはたずねた。

「お前達にいいお知らせがあってな」

「また、ダンジョンとかいうだろ」

「・・・・まあ、半分な」

「はぁー」隊長を除くみんなが溜め息をついた。

「そう落ち込むな。これを見てみろ」

ベルはウィンドを開きひとつの文をメンバーに送った。

俺はその文を見て驚いて話す前に

「ベル隊長、やっと階層ボスの討伐に参加できるんですね」

「ああ、今回ヒースクリフさんがやっと認めてくれたんだ」

「よっしゃぁ!初討伐だぜ!」とメンバーは喜んだ。

「皆さん初めてなんですか?とても強いのに」

「ああ、確かに攻略組とはレベルも変わらないし、どっかのバカ隊長のお陰で死線はたくさんくぐり抜けていた」

 メンバーは頭を縦に振りながベルを睨んだ。

 ベルは目をそらしていた。

「でも、2つの理由から参加することにできなかったんだ」

「2つ?」

「1つ目はパーティーが足りなかったんだ。普通、6人で1パーティーなのに俺たちは5人しかいなかった。まあ、たった1人の奴もいたが」

「で、でも、足りないんなら誰かに助けてもらったらいいじゃないですか」

「ああ、そうだ。誰かもう一人増やせばいいんだでも・・

・・・」

ショウタはベルを指差した。

「このバカの脳筋プレイに誰もついてこれねぇんだよ!」

「あはは、すまねぇな」

それは深刻な問題だなぁと俺は思った。

「まぁ、いいじゃないか、行けるんだし」

と犯人は反省することはなかった。

「まあ、今回はシュウが入ったことにより6人になったからいいが、もし、討伐の時にバカなことしたら二度と参加することができないからな」

ショウタはベルを睨んだ。

「分かったよ」

ベルは少ししょげた。

 

「はぁー、もう少し説教は押さえてくれよ」

「無理なお願いだな。お前は昔からこれぐらいしないとこれないからな」

とベルとショウタが二人っきりで部屋にいた。

「この団に入って初めてのボス討伐だな」

「ああ、入団してだいぶ経ったな」

「入団した頃はあの人にお世話になってばっかだったよな」

苦笑しながら持っていたカップに入ったコーヒーを飲んで上を見た。

「このパーティーもだいぶ騒がしくなったな」

「お前がいるからもとから変わらない」

「そうだな」

二人は昔お世話になった人を思い出した。

「あの人が残したこの力。今度は誰に渡すか」

「何をいってんだ。お前がまだもっておくんだろ」

「いや、今度のボス討伐嫌な予感がするんだ」

「ならなんで参加するんだよ」

「俺はあっちの世界に興味はない。誰かのために死ねるなら本望だ」

ニコッと笑いその場を後にする。

「あのバカが」

怒りを抑えるようにカップを手に取りコーヒーを流し込んだ。

「お前に生きてほしいって思う奴もいるんだぞ」

 

「それでは今から第70層の攻略会議を始めます」

血盟騎士団の副団長のアスナが会議を始めた。

「たくさんいるんだなぁ」

と俺は驚いていると

「当たり前ですよ。それだけ難しいってことです」

とショウタは教えてくれた。

 話は順調に進んでいった。

「そういえばいくつかのギルドが参加するんですね」

「ああ」

ショウタは辺りを見て赤いバンダナを頭につけた男を指差す。

「あの人は風林火山のリーダーのクラインだ。彼らのギルドは6人で攻略組のメンバーなんだよ」

「ろ、6人!?」とあまりの人数の少なさに驚いて大声が出てしまった。

「そこの君静かに」

 アスナに怒られてしまった。

「まあ、攻略の鬼って言われてるだけあるな」

仲間達から笑われた。

(他人事に言いやがって)

「ちょっといいか」

一人の男が手を挙げた。

「何か問題でもあるの?」

アスナは少し怒っていた。

「誰なんだあの男。アスナに意見を言っる奴」

「ああ、あれがキリトって言う奴だよ」

「キリト?なにか有名なのか」

「はぁ?お前ビーターって聞いたことないのか」

「え、ビーターなら聞いたことはあるがそんなにすごいのか?」

「あいつは攻略組で唯一人ソロで挑んでるんだよ」

「ソロなんて危険だろ」

「確かに危険だ。でも、あいつがいたギルドは昔キリト以外のメンバーが死んだっていう噂があるんだ。お前も気を付けとけ」

本当にそうなのかと俺は思った。あんな目をしている奴がそんなことするはずないと思った。

 

「以上で本日の攻略会議を終了します」

アスナの挨拶も終わり解散していた。

「じゃあ、私達ももどりましょう」

俺たちもギルドホールに戻ろうとしたとき、

「お前達、初めて見る顔だなぁ」

とさっきショウタが説明していたクラインという男が声をかけた。

「はい、私達は今回初めて参加しますので」

「そうか、そうか。俺はクライン。風林火山のリーダーだなにかわからないことがあったら何でも聞いてくれ」

「副隊長のショウタです。よろしくお願いします」

二人はかたい握手をした。

「え、副隊長なのか、てっきりお前さんが隊長だとおもってたわ」

と手を腰に当て笑うクライン。

「なら、隊長は?」

「あのバカは寝坊ですよ」ショウタの顔は怒っていた。

「へ?」意外な答えに変な声が出たクラインだった。

 



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伝える者

 ついに始まったボス攻略。しかし、俺達はあるトラップにかかる。その時、ベルの本当の力が発動する。


「今日の討伐組が全員集まったので今から70階層のボス攻略を始めます。迷宮区内では6人一組で行動してください」

「はい」

 アスナの指示を受け攻略組は迷宮区に入っていった。

「腕がなるぅ」

 と腕をグルグル振り回しながらベルは迷宮区に向かう。

「今日は少しは大人しくしとかないと次から参加できないんだぞ」

 そういってショウタはベルの後ろを追いかけた。

「んじゃ俺たちも行きましょうか」

と俺は残りのメンバーに言って二人を追いかけていった。

 

 さすがに迷宮区内は攻略組ということもあり苦戦することなく安全にボス部屋の近くまで向かっていた。

「あーあ、全く刺激がたりないなぁ」

愚痴をこぼしながら退屈そうにベルは言った。

「そういえば隊長、今日は今までになくおとなしいですね」

 後ろを歩いていた仲間ベルは言われた。

「当たりまえだ。今日ぐらいは大人しくしてもらわないと困る」

とさらに後ろからショウタの声が聞こえた。

「でも、暴れない隊長も珍しくて面白いですよ。これからもそうしてくれたらたすかりますしね」

「嫌だぞ。今日だけだからな」

 ハハハハ。と6人は大笑いした。

「賑やかなパーティーだなぁ」

 と後ろからクラインがやってきた。

「お、お前さんがあの寝坊のリーダーか」

「ね、寝坊の!?まさか、ショウタ」

「真実を伝えただけです」

怒っているベルをよそにショウタは当然のように言った。

「本当に面白い奴だぜ。よろしくな俺はクラインだ」

 クラインは右手を差し出した。

「俺はベルだこちらこそよろしくな」

 差し出されたクラインの右手をつかんで握手をした。 

「だか、もうすぐボス攻略だ。緊張感は必要だからな」

「分かった。気をつけてるぜ」

 とみんなの目の前に大きな扉が見えた。

「あれがボス部屋の扉か」

 確かに何か異様なムードが出ている。みんなも静かになる。

「では、今からボス攻略の最後の確認の時間を15分とります。その間に準備をしておいてください」

「俺たちも準備をするぞ」

ショウタが言ってみんなが準備をしようとすると。

「なあ、あの道なんなんだ」

 ベルは一本の道を指差した。

「そういや、マップにはかかれてないな」

 ショウタは事前に配布されたマップを確認したがなにも書かれていなかった。

「面白そうじゃん。行こうぜ」

「何言ってるんだ。そんなの団長やほかのパーティーが許すはずないだろ」

「ならOKもらえば言っていいんだな」

「え?」

「ちょっとまっとけ」

そういってベルは団長の方に向かっていった。

 そして、

「10分だけならいいって」

「「はぁー」」

 ベルを除いた残りの五人は絶句した。

「一応冒険者のことを考えたら調べといたほうがいいから頼むって」

「お前なぁ」

呆れながらショウタは溜め息をついた。

「別に俺だけでもいいんだか」

「アホがお前一人だったら誰が動けないお前を助けるんだ。俺も行く。だから残りの奴は残って」

「なに、俺たち抜きで面白そうな事しようとするんだ。俺たちもついていくよ」

 俺はそう言った。

そうして、6人でその道をすすんでいった。

「なんで、あの道だけ情報が出てなかったのかしら」

 少ししてアスナが不思議そうに言った。

「そういえば、珍しく今回の調査隊の内何人かが迷宮区から出てきてないっていってたな」

 ある部隊のプレイヤーがそう呟いた。

「まさか、あの先に罠があるのかも」

 アスナは焦った。自分が行きたいところだが攻略のトップとしてここを動くことができない。そのとき、

「俺たちが行くぜ」

 後ろからクラインとその仲間達がいた。

「クラインさんお願いします。見つけたらすぐに危険を知らせて戻ってくるよう伝えてください」

 アスナは頭を下げた。

「分かった。行くぞ」

 その掛け声と共に風林火山のメンバーは走っていった。

「あの人たち大丈夫かなぁ」

「きっと大丈夫だよ」

 アスナの横にヒースクリフがたった。

「あのパーティーの隊長は強い。一回は私に勝つと言ってた位の実力者だよ」

「それならいいんですが」

 その言葉を聞いてもまだアスナは心配だった。

この時、一人の男がいないのに気づいている人はいなかった。

 

「なんだよ。特に何もないのかよ」

 ため息をこぼしながらベルは落ち込んで戻ろうとした。その時、

「なぁ隊長、こっちに部屋があるぜ」

 一人のメンバーが脇の部屋を見つけた。

「おい、よく見たら宝箱もあるじゃないか」

 そう言ってみんなはその部屋に入って行った。

 その光景は見たことあった気がした。部屋があってその中に宝箱が・・・・。

 その瞬間ある光景を思い出した。

「団長ダメ宝箱に触るな」 

しかし、一瞬遅かった。団長はもう宝箱を開けてしまっていた。

「ブーブーブー」とアラーム音が響き渡った。

「な、なにが起きた」

いつも落ち着いているショウタもこの時は動揺していた。

「やばい、早くこの部屋から逃げ・・・」

 しかし、さっきまであった入り口はなくなっていた。

「何が起きてんだ。シュウ」

 さすがにいつも命がけの戦いに慣れているみんなはもう落ち着いていた。

「トラップに引っかかっりました」

 俺は小さい声で言った。

「なに、転移結晶を使えばいいじゃないか」

 と言って転移結晶を取り出して

「転移」

 しかし、結晶は反応しなかった。

「て、転移」 

 しかし、それでも反応しなかった。

「どうなってんだ。どうして反応しないんだよ」

 彼は怒って結晶を投げた。

「まさか、ここは

結晶無効化エリアなのか」

 ショウタは真っ青な顔になっていた。

「多分、俺も一回このトラップに引っかかったんで」

 その言葉を聞いてみんなは暗い顔になった。

「何みんなあきらめてんだよ」

 珍しくベルは怒っていた。

「これがトラップだったとして死ぬとは決まったわけじゃないだろ。現にシュウも今も生きてる」

 そう言って今度はニヤッと笑った。

「今まで死にかけたことはあったが死んでねぇ。だから諦めんなよ。それに俺もいるんだからよ」

 そのリーダーの鶴の一声にみんなの顔は明るくなった。

「そうだよなぁ、俺達は何回も死線潜り抜けて来たんだ。だったらやってやろうぜ」

 すると、壁が上がっていって中のモンスターがやってきた。

「おい、ベル。あの数字なんだと思う」

 ショウタは指をさしていた。そこには9854と書かれていた。

「さあ、知らねぇな。それよりさっさとあいつら倒してかえるぞ」

「「はい」」

そうして、パーティーはモンスターの群れに突っ込んでいった。

 

「はぁはぁはぁ」

 俺は息を荒げながらモンスターを切っていた。ふと、上を見ると数字は9435となっていた。

「みんな、あの数字はモンスターの数です」

 つまり、あと、9000匹以上もモンスターを倒さないといけないのだ。もう、みんなSPも切れかかっていてHPも黄色ゲージまで来ている。

「しっかりしろ、ヤマト」

 パーティーもいつしか小さな円を作りお互いの背中を守っていた。しかし、完全に押されている。

「ヤバイな。このままじゃ全滅じゃねぇか」

「・・・・」ベルは黙っていた。

「おい、どうしたベル」

「シュウ」 

 いきなりベルは俺の名前を呼んだ。

「なんですか、こんなときに」

「お前が次の隊長だ」

「え!?」

 唐突な事にみんなわけがわからなかった。ショウタを除いて。

「おい、あれを使うのか。まて、まだ使うべきじゃ」

「ダメだ。ここでお前たちを失うのは避けないといけねぇ。なら使うしかないんだ。だからよぉ」

 ベルは笑った。

「お前は支えてやれこのパーティーを」

「何をいってるんですか隊長」

 まだ理解できてない俺たちは尋ねた。

「ここでお別れだ」

 そういってベルは突っ込んでいった。

「どこ行くんですか隊長」

 隊長の後を追おうする俺をショウタは止めた。

「やめろ。お前が行ったらあいつが今からする行動が無駄になるだろうが」

 そう言うショウタは泣いていた。

「さあ、ここから始まるは伝説の始まりだその目でしかと見届けろ。オリジナルソードスキル『無双乱舞』」

 ベルのゲージには見たことのないレベルのバフがついていた。たった一つのデバフを除いて。

「なんなんだよあのスキルは」

 みんなは唖然としてモンスターの群れを薙ぎ払っていく。

「あれは5分間だけ使うことができる無双スキルだ」

「そんなのなんで今まで使わなかったんだ」

「使用者は5分後に死ぬからだ」

「な」今度こそ俺たちは絶句した。

 その間にもベルはモンスターを倒していく。数はもう5000を切っていた。

「うぉりぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 その姿は最強の剣士だった。

「リーダー。俺たちのために」

 みんなも泣いていた。

「俺たちは絶対に生きてかえるんだ。リーダーの為にも」

「ああ」

 みんなはうなずいた。

 

 目の前のモンスターを切った瞬間ベルは倒れた。

「リーダー」

 そういってみんなは近づいた。

「へへ、すまねぇ。たった9000匹しか倒せなかったわ」

 弱々しい声で俺たちに謝った。

「何言ってるんですか。すごすぎですよ」

「お前に託すぜ。このパーティーとそいつを」

 そういって時間が0になりベルは死んでしまった。最後までベルは笑っていた。

「あと、少しだ。生きてかえるぞ」

「おう」

そういってみんなはモンスターに突っ込んでいった。

 みんなの目にはもう涙はなかった。

 

「くそっ。あと少しなのに」

 悪態をつきながら俺は倒して続ける。

「ぐはぁ」

 後ろからショウタの呻き声が聞こえた。

「しっかりしろ。あと少しなんだから」

 みんなで固まってモンスターを倒していく。だか

「ダメだ。このままじゃ」

(俺にもベルのような力があれば)

 俺の脳裏には沢山のモンスターを倒していくベルの姿が見えた。

(彼女のような力があれば)

 俺の脳裏には今度はあの日会った少女の姿が見えた。

「俺達は生きなきゃいけないんだ。ベルの為にも、あの日助けてくれた彼女の為にも!!」

 そう俺は吠えた。その時、

「シャキン」剣の音が聞こえた。

「な、なんだ?」周りの仲間は気づいたが自分では気づいていなかった。

「死んでたまるかっ!!」

 俺の周りに透明な剣が現れて飛んでいきモンスターを倒していく。

 そして、俺は疲れはて倒れてしまった。

「しっかりしろシュウ」

 みんなは俺に駆け寄った。その時、誰かが二本の剣を持って残りのモンスターを倒したのはだれも気づかなかった。

 結局俺達はボス攻略は辞退したのだった。



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リーダー

 ベルがいなくなくったことにより、俺がリーダーとなった。パーティーの皆は元気そうに見えてどこか辛そうだった。そんなとき、あるクエストを受けるのだった。


 あの事件があった後、俺はこのパーティーのリーダーとなった。最初は皆落ち込んでいたがそれも一時の事であり今ではいつものよな態度をとっていた。そして俺はというと・・・・・

「これで今日のギルド会議を終了します」

 そう言うと座っていたそれぞれのパーティーのリーダーは立ち上がり会議場を出ていった。

「さあ、俺たちも戻ろうシュウ」

「わかりましたショウタ」

 俺は最近リーダーとなったばかりでなにも知らないので翔大がついてきていた。いつもは翔大だけが出ていたらしい。

「あいつ、あのパーティーのリーダーじゃない」

「ああ、トラップに、かかって死んだ問題児がいたパーティーだろ。笑えるな」

 こそこそと俺たちを見ながら笑うやつがいた。俺は怒ってそっちにいこうとしたとき、翔大に肩を掴まれた。

「やめろシュウ。バカな真似するな」

「止めないでください翔大。あいつ達いつもこっちを見てはバカにしてんた。許せるわけないじゃないですか」

 しかし、翔大の肩を掴む力がさらに強くなる。

「あいつらはただほんとの事を知らないだけだ。言わせておけばいいんだよ」

 俺は怒る気持ちを押さえつけ俺は会場を後にした。

 

「おい、シュウ。最近お前面白い二つ名がついてるぜ」

 部屋に戻るなり仲間から尋ねられた。

「二つ名?マジかよどんなんだ」

「簡単だよ。いつもたどたどしくて頼りないやつに見えるから『無頼のシュウ』だとよ」

 それを言って皆は笑い始めた。

「なんなんだよ『無頼のシュウ』ってカッコ悪いじゃねえか」

 と前と変わらず部屋の中は賑やかだった。

 

「おい、シュウなに夜空を見ながらたそがれねんだ」

 ショウタは夜空を見ているシュウの横に座った。

「俺ってホントにリーダーむいてんですかね」

 俺は深刻そうに言った。俺は最近ずっとこの事に考えていた。

「俺よりやっぱり翔大さんのほうがむいてると思うんだ」

「そんなわけないだろ。ベルはお前をリーダーにすると言ったんだ。それにその力をもつものがリーダーになると決まってたんだ。

「そういや。この力はなんなんですか」

「前も言ったけど。お前のその力はOS(オリジナルソードスキル)っていうんだ。初代は俺達の師匠の力だった。師匠は俺とベルを救うために使った。このスキルは普通じゃない。使用者の思い描く自分の姿が具現化するんだ」

「自分が思い描く姿」

「お前は強い。その力はお前をさらに強くする。でも、気を付けろ。身を滅ぼす可能性もあるからな。そして、もう、俺に仲間が死んでいく姿を見せないでくれ」

 そう言ってショウタはどこかに行った。彼はもう目の前で二人も失ったんだ。

「俺はあんたの前では絶対に死にませんよ」

 その声が聞こえたのかショウタは手を振った。

「元気そうでなりよいだ」

どこからか声が聞こえた。目を凝らして見ると黒のローブを、はおった一人の男だった。

「たしか、キリトだったか」

「ああ、そうだが」

「一体弱小パーティーのリーダーになにかよくがあるのか」

「別に大丈夫なのか見に来ただけだ」

 そう言ってキリトは後ろを向いて歩き始めた。

「残った者はいなくなった者の分まで生きていかなくちゃいけないんだ」

「それくらいわかってるよ」

「ならよかった」

キリトは笑った。

 

 あれからさらに数日が経った。そんなある日。

「おい、リーダーこれ見てくれ」

一人のメンバーが一つのクエストを持ってきた。

「なんだ?報酬はむっちゃいいな」

「ああ、だから肩慣らしに皆で行こうぜ」

「別に今暇だし全然かまわないぜ」

と皆の了解もあり皆でクエストに向かった。

 

「なんなんだよこのクエスト楽勝じゃないかよ」

「そうだな。なんか物足りないなぁ~」

なんとなく不完全燃焼な皆だった。 

 それを見ている10つの目には気づかなかった。

「なんかもっと面白い事起きないかなぁ」

つまんなそうにおれば言った。

「なら俺と遊ぼうぜ」  

真後ろから声がした。聞き覚えのない声に驚き前に跳んだ。

「おいおい、初対面でその対応は悲しいぜ」

 そいつは笑いながらそういった。

「お前は一体だれ!!」

 そいつは腕をこちらに見せた。その腕には笑う棺が描かれてあった。

「シュウあいつラフコフのメンバーだ」

「ああ、分かってる」

 俺は冷や汗をかいた。ラフコフは殺人ギルドだ。モンスターよりも厄介なのだ。

「おい。お前達はここから離れて助けを呼んで来てくれ」

「何をいってんだ。俺たちも一緒に」

「隊長命令だ。いくぞ」

ショウタがそう言った。

「でも・・・・」

「あいつは強い。きっと大丈夫だ」

 皆は少し黙った。そして、迷宮区の出口に向かって走り始めた。

「死ぬなよ」

「当たり前だ」

 ショウタは笑うと先に行った仲間達の後を追った。

「ヒュー。格好いいねえ隊長さん」

「そりゃどうも」

「まあ、一人でどれだけ足止めできるかなぁ」 

「別にお前を倒しすつもりだぜ」

「このPOHをかい?」

「もちろんだ」

そうして、俺の死闘の幕があがった。

 

「シュウのやつ本当に大丈夫なのか」

「心配するな、あいつならきっと大丈夫だ」

「そうだお前たち。今は助けを呼ぶのが最優先だ」

「わかりましたショウタさん」

そうして、4人は助けを求めて走る。背後から忍び寄る魔の手に気づくことなく。

 

 

 



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無刀流

 シュウ達はピンチを迎えていた。仲間の首に構えられたナイフ。それが牙をむくとき、シュウのスキルが発現する。


 ショウタ達は助けを呼ぶために迷宮区の出口に向かっていた。それを狙う4人のプレイヤーがいた。

四人の内の一番後ろの仲間が四人に捕まった。

「動くなよ。こいつを殺されたくなければな」

男は捕まえた仲間の首元にナイフを構えていた。

ショウタは歯軋りをした。

「すまない、シュウ」

 

「さすがは隊長さんだな。歯ごたえがあるねぇ」

そういいながらもPOHの攻撃は止まらなかった。なかなか一発を当てることが出来ない。

「余裕そうだな」

「そんなことないぜ。ただ面白いだけだ」

そういって二人の攻防は続いた。

「『無頼のシュウ』とは面白い名前だよな。頼りにならないから、その名前がついたんだろ」

「ああ、俺は頼りにならない隊長だ。でも、今回は違う。あいつらだけでも逃がしたんだからな」

「本当に逃げ切れたと思っているのか」

「何を言ってるんだ」

その時、後ろから足音がした。

「おお、遅かったな。で、捕まえたか」

POHの一言に俺は嫌な予感がした。振り替えって見るとそこにはオレンジプレイヤーに捕まったショウタ達がいた。

「くそがぁー」

俺は怒りをあらわにした。

「いいのか俺を攻撃してお仲間さんがどうなっても」

俺は柄をおもいっきり握って動きをとめた。

「そうだ、いい子だな。お仲間さんを助けたいなら剣を捨てろ」

「やめろシュウ。俺達はいいからそいつを」

「うるせぇぞお前!!」

ショウタは顔を地面に叩きつけられた。

俺は剣を捨てた。

「ほら、剣を捨てた。あいつらは逃がしてくれ」

「大層、優しい隊長さんなんだなぁ。俺達の前で武器を持ってないのなんて殺してくださいってことだぜ」

「それでもいい、彼らを守れるなら」

「そうか分かったよ」

POHは笑った。

「大丈夫だ。寂しくないようにまずはお仲間さんに死んでもらおうか」

「な、やめろ」

「遅いぜ隊長。イッツ・ショーウ・タァーイム」

それを合図にショウタ達を捕まえていた奴らがショウタ達の首に向かっていたダガーを切りつけようとした。

「やめろぉー」

次の瞬間、ポリゴン破片になって消えていく4人の姿が目にうかんだ。

 

「やっぱり最高だぜぇ。はははははははははっ」

ポリゴン状になった体が砕け散る音を聞きながらPOHは笑っていた。

「どうたいお仲間が死んでいった感想は」

そういって前を見た。そして、目を疑った。

「どういうことだ。なにが起きやがった」

 そこにいたのは訳の分からない様子のショウタ達と立っているシュウたけだった。POHに協力していたプレイヤーがいなくなっていた。

 

 あの瞬間、シュウは怒りのあまり無意識にあのスキルを発動したのだ。シュウが作り出した見えない剣は仲間を傷つけることなく拘束していたプレイヤーの首を切ったのだった。

 シュウは解毒結晶とポーションを渡すとPOHの方を向いた。

「面白い奴だよ。一体どんなタネが・・」

言い終わる前にPOHの頬に傷が入った。シュウから距離を取った。

「シュウお前」

「いいから」

そう言って俺は転移結晶を発動させ4人を逃がした。そして、シュウはPOHの方を向いた。

「お前は絶対に許さない」

「そんな顔するなよ。武器を持ってない奴がなにするっていうんだ」

 POHは笑っていた。

「ああ、確かに武器が無い。いや、必要なかったんだよ」

 そう言って俺はOSSを発動させた。

 シュウの周りに揺らぐ何か無数に現れた。それがPOHめがけて飛んでいった。それが当たるとダメージが発生いした。

「なんだ、それは」

「なんだ、それはか。そうだな、俺の二つ名にちなんで、剣に頼らないスキル『無刀流』とでもしようなか」

俺は苦笑しながら言った。

「成程、タネが分かれば簡単だ。それに一つ弱点見つけたぜ」

 そう言うとけんを刀を構えた。そうして、飛んでくる剣を打ち落とした。

「軽いぜ?こんな剣」

 そう、このスキルは数が多い代わりに一撃が弱いのだ。

だから、もうひとつの使い方がある!

 俺は想像した。自分の知る最強の武器を。そして、創造した、自分の知るなかの最強の武器を。

「おいおいおい、いくらなんでもその力おかしいだろ」

 POHも想定外過ぎて笑っていた。

「この力は一度見た剣を創造が可能だ。つまり、これも作れるんだ」

 自分のMPをほぼ使い切って俺は神聖剣を作った。

「さあ、続きを始めようか」

 その時、POHの後ろから投げナイフが飛んできた。俺は盾でそれを防ぎつつ、後ろに飛んだ。

「そこまでにしてくれよPOH。寄り道はしないんじゃなかったのか」

「ちっ、邪魔をするな今いい所なんだぞ」

「あんたがいなきゃ次の作戦が始められないんだよ。それより、残りの4人はどうした」

「あいつに殺られた」

 乱入した男はシュウを見た。

「ほおKoBか、面白そうな奴だな。だが、いまは作戦が優先だ行くぞ」

「まあいい、このような続きはいつがだ。それまで、首洗って待っとけ」

 そう言って二人は俺に背を向けた。

「お、おい逃げんな」

「逃げるんじゃねぇよ、楽しみはとッておくだけた」

 POHは俺を睨んだ。あまりの殺気に体が固まる。

「お前は絶対に逃がさないからな」

そう言い残すと二人は消えた。

 

「そうか、それは大変だったな」

「はい、まさかPOH達がいるなんて思いもよりませんでした」

「なるほどね、少し警戒もしたほうがいいかもね。それで、まだ言いたいことがあるんでしょ」

「・・・・やっぱり分かっちゃいますか」

俺は大きく深呼吸をした。

「俺、退団させてもらいます」

「どうしてだい?一応、君は隊長なんだからそれなりの理由があるんだよね」

「今、俺はPOHに命を狙われいます。そんな奴がいたら、周りにも被害があります。それに、仲間を助けるとはいえ、四人のいのちを奪いました。だから、私はここにはいれません」

「そうか、わかった。君の退団を受理する。だか、一つだけ条件をあげる」

「条件ですか?」

「もし、私たちがピンチの時には助けに来てくれもらいたい。君の力が必要だからね」

「分かりました」

 そう言って俺はギルドホールを出て行った。あいつらに会うことなく。会ってしまったら決心が揺らぐと思ったから。

 そうして、俺はまた一人になった。

 



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