俺が女子校『君咲学院』に転校した話 (麝香猫果)
しおりを挟む

プロローグ 転校

※お断り※
 これはHappy Elements株式会社のコンテンツ利用ガイドラインに基づいた、「あんさんぶるガールズ」の二次創作であり、原作設定と異なるものがありますこと、予めご了承ください。
 あと作者が初めて書く二次創作小説であることをご理解ください。


 俺は男子校、夢ノ咲学院の普通科二年の男子高校生――だった、昨日までは。今は訳あって君咲学院――この付近のいわゆる「お嬢様学校」というやつだ――に向かっている。

 君咲学院は、お嬢様学校というだけあって、もちろん女子校だ。しかし最近、男女共学化を考えているらしい。そういう事情もあり、君咲学院に通うことになった。

「え、お前明日から君咲学院に行くの?」

「いいよなぁ〜。あの君咲学院に通えるなんて。羨ましいよ。」

 と、クラスメイトが口々に言っていたのを思い出す。しかしこちらにも事情というのがある。君咲学院で生活していくからには、その「事情」について話さなければならない日が来るかもしれない。

 

 ふわり、と桜の花びらが俺の頭の上に乗る。先日、入学式が行われていたというが、早くも桜が散りはじめている。桜並木の続く、この坂道を登った先に君咲学院がある。

「――『君』が『咲く』学院、か。」

 俺はふと、これから通うことになる高校の名をつぶやく。昔から人と接するのが苦手な俺にとって、男子ならともかく、女子となるとなおさら話せなくなってしまう。そんな中で、俺は「君咲く」ことができるだろうか。そんな不安とともに、これから始まる新たな高校生活への期待も抱きつつ、俺は坂道を登っていく。

 

     *****

 

「こら〜〜! スカートの丈が短い! あんた、短くして何になるわけ!?」

 風紀委員だろうか。校門の横に立っている女子生徒が怒鳴っているのが聞こえる。制服が緑なのを見ると、三年生だろうか。

「ちょっと! なんであんたは男子の制服を着てるの!?」

 校門を通ろうとしたその直後、その風紀委員らしき生徒に呼び止められる。が、

「――あれ? 本当に男子じゃないの。もしかして、あんたが噂の転校生? 本当に男子が来るのね……。あたしは三年B組の瀬川かえで。風紀委員長よ。校則違反は、いくら男子だからって容赦しないわよ!」

 登校初日から厄介そうな人に目をつけられたな、と思いつつも校門をくぐる。

 ――本当に女子しかいないんだな。

 俺は当たり前なことを思う。果たして本当に、女子が苦手なこの俺がこの君咲学院でうまくやっていけるのだろうか……。

 

 俺はまず職員室へ向かい、転入の手続きを済ませたあと、担任に言われたクラスの教室へと向かう。俺の新しいクラスは二年A組だ。「2―A」という札のかかっている教室のドアの前に立つ。

 ――よし。

 俺は覚悟を決め、緊張しつつもドアを開ける。

「やっほ。元気してた?」

 教室に入るといきなり、声をかけてきたこの少女は確か、幼なじみ……だったような。名前は、確か――

「三波なつみ、だよ。覚えてるかな?」

 そう、三波なつみだ。隣の家に住んでいたから、小学生の頃はよく一緒に登下校したり遊んだりしていた――「あの日」までは。「あの日」以来、しばらく家を空けていた俺は、今日まで一度もなつみと会うことはなかった。

「あら三波、そいつと知り合いなわけ?」

 さっきからなつみの横に立っていた、真面目そうな女の子が口を開いた。

「そうだよ、彼とは幼なじみなんだ」

 と、なつみは言う。

「あたしは堀田さあや。クラス委員長をやってるわ。うちのクラスには変なやつも多いんだけど。まあ、よろしく。」

 と言って手を差し出したので、俺も思わず手を伸ばそうとする。

 「あっいや、べ、別にそういうつもりじゃなくてその……」

 彼女――堀田さんがあわてふためいていると――

「あー! いいんちょ、先に転校生と話してずるーい! あたしも混ぜて〜〜っ!」

 教室の端にいた女の子が、大声を上げながらこちらに駆けてくる。

「あー、早速来ちゃったよ。変なやつが。」

 と堀田さんが言うと、

「も〜っ。いいんちょ、変なやつって言わないでくださいよ〜っ!」

 と彼女は返した。

「ほら春風、自己紹介。」

 と堀田さんに促されて、

「あたしは春風なな。チアリーディング部なんですよーっ! よろしくお願いしますっ! ふれーっ! ふれーっ!」

 と彼女、春風さんが自己紹介する。

「ちょっと、よろしくのあとに応援ってなによ。」

 と堀田さんが少し笑いながらツッコミを入れる。

「あははっ♪ 三人合わせて『仲良し三人組』なんですよーっ! 転校生くんとも仲良くなりたいですっ!」

 と春風さんが言うと、

「あ、そうだ転校生、生徒会長が呼んでたわよ。えっと、三波はあんたと仲が良いみたいだから、放課後、校内の案内ついでに生徒会室まで連れていってあげたらいいんじゃない?」

 と思い出したように堀田さんが言う。するとなつみは、さすがだね、という表情を浮かべて、俺の方に向きなおって言う。

「それじゃあ放課後、約束だよ?」

 頷く俺を見て、なつみは続けて言う。

「これからたくさん、楽しい思い出ができるといいね*」

 そう、これからこの君咲学院で、新たな高校生活が始まろうとしている。しかし、まさかあんなことになろうとは、この時の俺はまだ、考えもしなかった――。




 ということでふと、あんガル二次創作が書きたくなったので書いてみました。
 この続きはいつ更新するかはわかりませんが、思いついたときに少しずつ書いて、ある程度話がまとまったら投稿しようかな、という感じです。あんガルの最推しのゆきちゃんはもちろん、できれば71人全員登場させてみたいですね。たとえあんガルのアプリが終わっても、私の中のあんガルは終わりません。
 そろそろ長くなってきたのでこの辺りで終わります。では、またお会い出来るのを楽しみにしています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。