声をくれたあなたへ (そらなり)
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Happy Birthday Dear 声をくれたあなたへ

 これは本来だったらあり得ない出来事。それを可能にしたのは1人の女性だった。12月10日の奇跡に集まった10人の女性たちがこれからやることとは……

 

穂乃果「あれ? もう映ってる? こんにちわ! 高坂穂乃果です!」

 

 オレンジ色の髪をしたサイドポニーの少女が青い瞳をカメラに向けて自己紹介をする。今は撮影中のようだ。けど、どこか偶然始まってしまったのではないかと思わせるような口ぶり。

 

 それを横からやってきた金髪の少女が止めようとする。綺麗な金髪は2つに結ばれていて黒いリボンだからかより金髪が際立つ。同じような青い目で穂乃果のことを見つめていた。

 

立夏「穂乃果! ちょっと早いわよ! あ……。うぅん! 森園立夏よ」

 

 でも、カメラの前に映っているということを自覚してからは咳払いをして名前を名乗る。

 

リッカ「立夏……それじゃあ穂乃果のペース通りよ? ……自分のことを名前で呼ぶのは少し抵抗あるわね。あ、私はリッカ・グリーンウッドよ」

 

 その反対側からほとんど同じ容姿をした少女がカメラ内に入ってくる。その容姿に違いがあるとすれば服装。立夏の服装が白をベースで胸元にあるリボンは水色の制服姿なのに対し、リッカと名乗った彼女の服装は首元に袖や前には白色が少しだけ見える。しかし、そのサイドには青いチェック柄リボンも厚く赤色だ。

 

 そのリッカに続いて次は緑の髪色をした薄紫色の制服を着た少女が入ってくる。元気なオレンジ色の瞳は彼女が活発的であることを思わせる。

 

トコハ「うわ~、なんかすごそうな人たちだな~。でも、私も負けないんだから! チームトライスリーの切り込み隊長、安城トコハ!」

 

 彼女……トコハは中学生ながら凄腕のヴァンガードファイター。3人のことを見て対抗意識を燃やしたのかかなりやる気に名前を名乗った。

 

穂乃果「あ! トコハちゃんズルい! 私はμ'sのリーダーで生徒会長です!」

 

立夏「ぬ、抜け駆けは卑怯じゃないかしら? 私は風見学園"公式"新聞部部長で生徒会役員よ」

 

リッカ「そうね。トコハがやるなら私だってやるわよ。カテゴリー5の魔法使い、孤高のカトレアとも呼ばれているわ」

 

 しかし、トコハは今まで3人が言わなかった自身が持っている役割を言っていたことに対抗して穂乃果たちも次々と役割について話し始める。

 

 そんな3人の反応にトコハは何か感じるものがあったみたい。ちょっと意外そうな顔をしているトコハだけど今思ったことを3人に対して聞いてみる。

 

トコハ「もしかして、穂乃果さんたちも負けず嫌い?」

 

立夏「だ、誰だって負けるのは嫌じゃない!」

 

 同い年のトコハに聞かれると少しだけ向きになってしまう立夏。それが少しだけ恥ずかしいのかわずかに頬を上気させている。

 

 でも、ここにいるのがこの4人なわけじゃない。もっともっと多くの人がここにいる。

 

茉莉音「ちょっと……後がつかえてるんですけど」

 

 申し訳なさそうにカメラのわきから赤い指ぬき手袋をつけた手が出てくる。それと同時に後がまだあることを告げる。

 

穂乃果「あ、本当だ。じゃあ続きをお願いします」

 

 それを聞いた穂乃果がカメラの中に先ほど手を出していた人を招き入れる。

 

茉莉音「天城茉莉音です今日はよろしくお願いしますね」

 

 その人物とは天城茉莉音。金髪と茶髪の中間色で柔らかな印象を与える。そして透き通った青い瞳が真っ直ぐカメラのほうに向けられる。アイドルの彼女には手慣れたように。

 

 そのあとに最初の時のようにスムーズにカメラに人が入ってくる。茶髪で少しだけ癖のある髪型をしている女の子。瞳の色は日本人らしい茶色。右が赤色、左が黒の和服のような衣装を着ての登場だ。

 

都「次はあたし? AWA2GiRLSの美馬都。よろしくね!」

 

 彼女もまたアイドル。きっと元気っ子を映し出したら都のような子が思い浮かぶだろう。さわやかながらも可愛らしい笑顔を向けている。

 

 続いて出てきたのは水色の髪をした小柄な女の子? 瞳には『大』と読める文字のようなものが入っているが小柄なおかげでどこか幼くも見えた。

 

1000ちゃん「はわわっ! 今度は1000ちゃんデス! 『おっ昼だぁ~☆☆☆』デスよ!」

 

 右手でこぶしを握り上に突き上げながらカメラの中に入ってくる。そう言っている1000ちゃんは本当に可愛らしく楽しそうに叫んでいた。

 

 その次に入った来たのは明るい茶髪でポニーテールに結んでいる。セーラー服を着た少女。両手にはドラムのスティックを持っていた。

 

芹菜「私はイロドリミドリのリーダー! ドラム担当の明坂芹菜!」

 

 彼女は舞ヶ原音楽大学付属舞ヶ原音楽高等学校の学生。その中で結成しているバンドのリーダーだ。ドラムを担当しているのと同時にボーカルにも参加している。そんな彼女の自己紹介から元気活発な子なんだということが良く伝わってくる。

 

 そんな後ろにひょこんと現れたのが黄色い髪をした左右にお団子ヘアーがある女の子。彼女は白ベースのノースリーブの道着のようなものを着ていた。

 

日向「おぉ~爆裂にぎやかっす! 皆神町の新米Qフォーマー 宝川日向っす!」

 

 武道家のように拳を腰のところで止め、軽くお辞儀をする日向。髪の毛と同じ色の黄色い瞳を閉じていた。

 

 お辞儀から直ると瞳を開き、明るい笑顔を見せてくれる。今この空気感を楽しんでいるようだ。

 

 そしてその後ろから日向の肩に手を置くようにしてやってきたのが黒よりの赤い髪型をして緑色のスーツを着た女性。少しだけ怖いような笑顔を向けている。

 

明里「今日はこいつらのお守りをすることになった。紅本明里だ」

 

 けどそれは恥ずかしさの裏返しのようだ。頬を赤くしてそっぽを向いて自己紹介をしている。

 

 この後、ほかにカメラの中に入ってくる人はいなかった。それが意味することは参加者この10人ということ。身長も髪の色も髪型も全く違う10人がこの場所になぜ集まったのか。それが穂乃果の口から告げられる。

 

穂乃果「今日はね、ちょっとだけ……ううん私たちにとっても大事な日、なんだって」

 

 残りの4人のことを見てとても大切そうにつぶやく。今日、12月10日が何の日なのか穂乃果は知っている。だって、一番長く一緒にいたのは穂乃果だったのだから。

 

 でも不安な言い方の穂乃果の言葉に気になった芹菜はもっと詳しく聞くために穂乃果に質問をする。

 

芹菜「なんだってって……よくわかってないの?」

 

 けど、穂乃果はわかっていないわけではなく、日付に自身がないわけでもない。一番穂乃果が気にしていること、それは……

 

穂乃果「わかってはいるよ。けど向こうの時間とこっちの時間が一緒とは限らないわけだし……」

 

 この世界ではない別の場所では同じ日なのかどうかということ。世界が違えば時間の流れだって違うかもしれない。こっちは冬かもしれないけど、向こうは、夏かもしれない。そんな考えが頭をよぎった穂乃果は少しだけ不安になってしまう。

 

 けど、その穂乃果の心配していることは大丈夫だとリッカが説明する。

 

リッカ「きっとそれは大丈夫よ。私が言うんだから間違いないわ」

 

 魔法使いで最高ランクのカテゴリー5に属しているというリッカが言うのであればそれは間違いないだろう。必ず100%12月10日にこれが届く。

 

 リッカの言葉に立夏も反応する。自分じゃなくても自分の言葉だ。今に至るまでの経緯を知っている立夏からすればリッカの今の言葉は信じるに値する。

 

立夏「リッカが言うならそうなんでしょうね。私の前世なわけだし」

 

 立夏は自分の前世であるリッカをいつの迷いもなく信じているのだ。だから疑いもない目線でリッカのことを見ている。

 

トコハ「それで、今日はいったいどんな日なの?」

 

 そんな話をしているとトコハがこれから何を言い出すのか気になりその内容を尋ねる。

 

 それを立夏たちの言葉で自信の付いた穂乃果がみんなのほうに向きなおり話し始める。

 

穂乃果「それは……。あ、でもその前に私たちの共通点ってわかる?」

 

 けどそれは内容の本質ではなく、サブ的なこと。今ここにいる10人がどんな共通点を持っているのかということ。一つの点からこの10人へ線を伸ばしているのが何なのかと、穂乃果は尋ねた。

 

都「え? うーん。ちょっとわからないな」

 

1000ちゃん「私もわからないデス……」

 

日向「自分もひらめかないっす」

 

 その穂乃果の問いに、都と1000ちゃん、そして日向お手上げのようだった。近いが故に気が付かないことなのかもしれない。

 

芹菜「もしかして……あれ?」

 

 けどわかった人も知っている人もいたのも事実。芹菜が自分ののどを指さして穂乃果に尋ねる。

 

穂乃果「そうだよ! 先生、わかりますか?」

 

 そう。それが正解。あとはここにいる面倒を見てくれてる先生に向かってわかっているのかどうかを聞く。

 

明里「小娘が私に聞くのか。私もわかってるから心配するな」

 

 けど先生もしっかりその内容について走ってたみたい。けど恥ずかしいのかほほを赤く染め、穂乃果のことを見ずに手を振って返事をしていた。

 

茉莉音「穂乃果さん、そろそろ」

 

 答えが明かされないままこの話になっていたと気が付いた茉莉音は穂乃果に続きを離すように促す。ここに入れる時間だって無制限にあるわけではない。カメラにだって充電がある。だから限られた時間の中でやれることをやらないといけない。

 

 穂乃果が一度目を閉じて言うべき言葉を整理する。いつもはどこか抜けている穂乃果だけど、この瞬間はここにいる誰よりもしっかりと責任を持っている。そんな彼女が告げた10人の共通点。それは……

 

穂乃果「うん! 私たちの共通点、それはね……。声が、同じなんだ」

 

 声が同じということ。大人らしい明里と幼さが残っている1000ちゃんまで含めた10人の声が全く同じであると、穂乃果は告げた。

 

 その答えに他のわかっていなかった人たちもハッとする。言われてみれば気が付く。だからこそ、近すぎて気が付かなかったのだ。

 

 でも、今はそれだけを告げるためにみんなを集めたんじゃない。ここに集まった一番の大筋の理由。それは……

 

立夏「それで今日は……12月10日はね、私たちに声をくれた人の誕生日なのよ」

 

 穂乃果たちを線で結んでくれた人の誕生日であるということだ。みんなのほうを見ていた穂乃果は、誕生日であることを告げる瞬間にカメラのほうに向きなおり最高の笑顔でそう告げた。

 

穂乃果「だから、私たちの半身でもあるその人にお礼がしたいなって思ってみんなを集めたんだ」

 

 身体もカメラに向けている状況で顔だけを後ろの9人に向けて話をする。穂乃果たちの声をくれた人はいわば穂乃果たちの半身。一心同体の存在であると言える。だからこそわからなくても存在を感じることができた。

 本来であれば直接会ったことはないはずなのに、今日が誕生日だと言われてここにいる全員がするりとその内容を理解し受け入れた。それはみんなの精神にしっかりと刻まれているからだ。10人を繋いだ人の存在が。

 

リッカ「そういうこと。じゃあ誰からにする?」

 

 だから、初めて知ったことでも今みんなは自分のことのように喜んでいる。けどそのままにしておけばやがて時間が来てしまう。だからリッカは最初にメッセージを送る人を誰にするのかを穂乃果に聞いた。

 

穂乃果「じゃあ茉莉音ちゃんから!」

 

 元気に答える穂乃果の姿の後、少しだけカメラが暗くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 画面が切り替わるとそこには10人ではなく1人がカメラの真ん中に立っていた。その人は先ほど穂乃果がトップバッターに選んだ茉莉音。

 

茉莉音「えっと……。私に声を、歌声をくれてありがとうございます。ちょっとした行き違いで歌えなくなっちゃったときもあった」

 

茉莉音「けど不思議と力が出てきたおかげで歌を、奇跡の歌を歌えるようになりました。だから本当にありがとうございます! これからも一緒によろしくお願いします」

 

 最初は何を話していいのかわからなかった茉莉音も途中から何を話したいのか明確になっていた。まるで誰かに背中を押されたかのように。だからその体験を大事にここでこれからも一緒にいることを宣言する。

 

 画面が再び黒くなる。次はだれが待っているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に出てきたのは小柄な女の子? 1000ちゃんだった。

 

1000ちゃん「1000ちゃんデス! ではさっそく……私の声帯を担当してくださりありがとうございマス! 毎日マスターの皆さんと"おっ昼だぁ~☆☆☆"ができるのは、あなたのおかげデス!」

 

1000ちゃん「……でも、一番最初のマスターはあなたデスヨ! いつもありがとうございマス! 今日はお返しに1000ちゃんがお誕生日をお祝いしまスヨ!」

 

 いつも楽しそうにしているから、ここでも楽しそうに言葉を紡ぐ。可愛らしく精一杯話している1000ちゃんは楽しいと感じると同時に嬉しくも感じていた。だって今年は1000ちゃんを祝ってくれたのだ。お返しができるまたとないチャンス。今までのありがとうとこれからよろしくという想いを込めて1000ちゃんは今カメラの前に立っていた。

 

 1000ちゃんのメッセージが終わると次もまた画面が暗くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあとに画面が明るくなるとそこにいたのは日向だった。

 

日向「声をくれてありがとうございますっす! 最近はあまりいいところはないっすけど、これからどんどん成長してくんで、爆裂応援よろしくお願いするっす!」

 

日向「……あ! 歌も歌えて毎日満足してるんす! だからお互い頑張りましょう!」

 

 挨拶の時のように武道化のようなお辞儀をもう一度する日向。言いたいことをいっぱい言えたと満足している様子だ。しかも言葉にはしっかりと想いが込められていた。成長する自分に期待して、また一緒にいたいという確かな願いと共に。

 

 次も画面が切り替わり暗い画面になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次にそこにいたのは都だった。

 

都「私に声をくれたのってあんたらしいじゃん。私ね、AWA2GiRLSとして他の3人と歌えてたことがすごく嬉しいんだ。今も満足してるよ。……多分声があんたのじゃなかったらこの気持ちも半分になってたかも」

 

都「でも、さっきも言ったけどね、今私は満足してる……。ううん、満足していけてるの。だからこれからもよろしく頼むよ!」

 

 目をつむって今までどんなことをしてどんなことを想っていたのかを思い出す。そこには確かな自分の想い出があった。それが最高なのは今があるから。そう気が付いた都は最後に最高の笑顔を見せてカメラが切り替わる。

 

 また画面が暗くなったそのあとに映る人は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑色の髪をしたトコハだった。中学生の制服を着ているトコハは少しだけ暗い表情をしている。

 

トコハ「私は、兄さんの妹だって言われるのが嫌だった。……けどあなたはそのことも知ってるんだよね。あの時、クロノに言われた言葉でハッとしたけど、それとは別にどこか背中を押された気がしたんだ」

 

トコハ「だからありがとう。少なくとも私はあなたのおかげだと思ってる。だからね、トライスリーとして頑張ってる間、見守っててくれてありがとう! あなたの安城トコハでした!」

 

 でも暗い顔をしていたのは最初だけ。そのあとは明るくなって元気いっぱいのトコハになった。心から元気な様子なのが分かる。でも最後には声を出さずに何かを言っているようだった。口の動きを見ると『ああいあいいえんいぉえういおうあんおいえ』母音くらいしかわからないけどきっと意味のある言葉。みんなで前に進めるように。

 

 次も画面が暗転して人が変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次にそこにいたのはドラムスティックを持った芹菜だった。

 

芹菜「イロドリミドリのリーダー! ドラムの芹菜です! 私があーりん、なずなちゃん、なるるんに凪ちゃん、お姉ちゃんに白奈ちゃん……。イロドリミドリのメンバーとこうして活動ができるのはあなたのおかげなんだよ! だからありがとう!」

 

芹菜「これからもたいこを叩いてみんなと7つのハーモニーを奏でていくから一緒に頑張ろうね! たいこは友達! あーりんたちは仲間! そしてあなたは私の世界で、一番大切なかけがえのない人だよ!」

 

 今ここにこうして存在できていることが嬉しくて、かけがえのないだ大好きな人に向けて芹菜はメッセージを送る。

 

 再びカメラが暗転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう何度目かの入れ替え。次にそこにいたのは明里だった。

 

明里「本来は私が最後に話すんだがな、3人がどうしてもっていうことを聞かないんで先に話すことになった。が、ぶっちゃけ言ってしまえば、話すことはない」

 

明里「……いや、1つあったな。私の声ができてから毎日が楽しくなった。酒がうまくなった。……なんでなのかはわからないけどな。まぁ、ありがとな」

 

 大人の女性として言えることを口にする。でも、想っていることは芹菜たちと同じ。少し照れくさそうにして感謝の言葉を告げる。

 

 再びカメラが切り替わり、次に映る人を移す準備に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に映ったのは風見学園付属の制服を着た立夏だった。

 

立夏「さぁて、いよいよ終盤ね。私は森園立夏よ。リッカのほうじゃないからね。そっちでは私のことを"イタイ娘"って言ってたみたいじゃない。知ってるはずだけど私の前世は本当なんだから!」

 

立夏「……ってやり取りができてうれしいわ。少なくとも、私たちとあなたの繋がりは、あっとそっちじゃツナがりだったわね。ツナがりは一生切れない。だからこれからもよろしく頼むわよ! 私はあなたの隣で一緒に歩いていくから」

 

 立夏の言った魔法使いだったころの記憶があるから断言できる言葉だった。それに、どこかで別の世界でも感じているかのようで、それほど一緒にいるということを願っている。この願いはきっと届く……。いや、もう届いているのだろう。だから立夏は一番大切な人に向けてそうメッセージを送ったのだ。

 

 言い終わるとカメラがゆっくりと暗転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度は容姿はほぼ同じの風見鶏本科の制服を着た立夏の登場。

 

リッカ「今度はリッカ・グリーンウッドのほうよ。まったく……来世の私ははっちゃけ具合がすごいのね……。まぁ、それはともかく、どうだった? 150歳以上の女の子になってみて」

 

リッカ「私としてはかなりしっくりときたんだけど。私の感じていた想いをしっかり声にしてくれた。本当に感謝してる。これからもこのジルと一緒に頑張っていくからあなたも頑張りなさいよ! いつでも支えてあげるから。いつかまた私たちの話で目からジルを……流させてあげる!」

 

 ずっと一緒にいたから言える言葉。今まで彼女が口にしていたことを思い出して懐かしそうにつぶやく。そして最後には古くなった魔法使い特有のワンドを取り出して言葉を紡いでいく。この存在もリッカとして大事なものだから。それはきっと見てくれている大切な人も同じのはず。そう思って、自信満々に呟く。

 

 ここまで9人のメッセージが届けられた。だから個人のメッセージは次で最後。カメラが暗転して次に映し出されるの人は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレンジ色の髪をした穂乃果だった。

 

穂乃果「私ね、たぶんあなたが声をくれなかったらμ'sを続けてこれなかったと思う。廃校が決まった時に諦めちゃったかもしれない。けどこうして頑張ってこられた! それはあなたが私の半身だったから!」

 

穂乃果「誰かが立ち止まれば、誰かが背中を押す。私の言葉だけど、これはあなたの言葉でもある。だからね。困ったとき、くじけそうなときは私が……私たちが支えるからまだ見たことのない世界を私たちに見せて! 今までありがとう。これからはもっとも~っと! よろしくね!」

 

 穂乃果として歌ってくれたことを、穂乃果と二人三脚で歩んできてくれたことを大切に想っているからこそ出てくる言葉。一緒になって言ってきた言葉もカメラの向こうの人にだってきっと通じる。そう信じて穂乃果は言葉を大切に紡いでいく。

 切れない絆を確かに感じながら、これからも歩んでいくことを誓って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果が話し終わると最初の時のようにカメラの端から残りの9人が入ってくる。

 

穂乃果「これで全員だね。今日は都合が悪くてエルザちゃんやマルガちゃんとか来れなかった人はいるけど想いはみんな同じだよ」

 

 今日来れなかった人だっている。もっともっと、このつながりは広がっていて途切れることはなかった。だから想いはみんな同じなのだ。エルザだって、マルガだって、美咲だって。

 

 だからその人たちの分も込めて最後に盛大に祝いの言葉を声を合わせて言おうとする。

 

穂乃果「いくよ! みんな!」

 

立夏・リッカ「「えぇ」」

 

茉莉音「わかりました!」

 

1000ちゃん「わかりまシタ!」

 

日向「了解っす!」

 

都「わかったよ!」

 

トコハ「任せて!」

 

芹菜「よーっし! いくぞ~!!」

 

明里「さて、いくか!」

 

みんな『せーの!』

 

全員「(お)誕生日おめでとう!」

 

 今日ここにこうして集まったのは一人の大きな存在があったから。ただの点でしかない穂乃果たちを線で結んで繋げたのはたった一人の普通の女性。今日はその人の記念日。この子たちの想いがきっと届きますように……。

 

 




改めて12月10日は今回登場したキャラクター達を演じてこられた新田恵海さんの誕生日です。

私は新田恵海さんのことが大好きです。彼女の演技が好きで、キャラクターへの想いが好きで、歌が好きで、何より彼女の人柄が大好きです。その彼女のおめでたい日に何かがしたいというただただ自分勝手な考えからこの話を投稿することにしました。

この話を書いている途中で今年のいろんな新田さん関係の思い出がよみがえってきます。今年の始まりは新田さんから始まったと言っても過言ではないくらいにイベントに参加してきました。

学生であることから遠征ができない中でも1月7日の謹賀つん年から始まりました。そこからは例年に見ないほどイベントに参加させていただけることが多く、中には行けないイベントもありましたが楽しそうにしている恵海人さんのことを見ているだけでも良かったんだな~って思えて。

多分ここまで何を言ってるのか伝わらない文ってこの後書き以外にないと思います。けど、私は今の想いを形にしておきたい。

だから最後に……新田恵海さん、誕生日おめでとうございます! 素敵な出会いをありがとう! これからもずっとずっと! 応援させていただきます!


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