転生するらしいのでチートを頼んだら自分で手に入れろと言われた件。 (ゆらぎみつめ)
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プロローグ プロローグ1NARUTOループ

 

 

 

 

 

 我輩は転生者である。前世の記憶は原作知識しかない。

 

 どうやら事故で死んだらしい俺を神様は暇潰しに転生させくれるといった。なので、チートを頼んだら自力で手に入れろとおっしゃり、NARUTOの世界に叩きこんでくれやがった。

 

 そして心折にも、もとい親切にも、力を手に入れるまで強制的に無限にやり直す。つまりループするようにし、おまけにアイテムボックスという、ループしても初期化されない無限に収納、永久に保存出来るfateの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)的なものを持たされて。

 

 ループを終わらすにはチートを手に入れる事が必要で、神様がいったチートとは即ち、NARUTO最強のチート、大筒木カグヤの力を手に入れる事だった。

 

 なんて無理ゲー。しかし手に入れなければ無限にループを繰り返すなんて言われればやるしかない。

 

 不幸中の幸いと言うべきか、原作知識という心強い代物のお陰で大筒木カグヤの力を手に入れる為に必要な道筋は分かっている。

 

 ……問題はその道筋がルナティック通り越してヘルモードな点だが。

 

 はあ。どうなることやら。

 

 

 

 

 

 最初のループでは十代の若さであっさりと逝った。

 

 うん。あっさりと。

 

 記憶にはないが現代日本で平和に暮らしていたらしい俺に人を殺す経験も、殺し合う経験もある筈がない。故に、ろくに戦えずに死に至るのは当然の帰結であった。

 

 転生した時代も問題で、原作開始百年近く前である。

 

 うちはと千手が殺し合う時代であり、未だに一国一里の形もない修羅の時代である。

 

 無理ゲーである。

 

 人を殺す度胸はないし、殺される心構えもない。

 

 そんなんで生き残れる筈もなく、子供でありながら出された初陣にて見事その幼い命を散らした。

 

 なんて事だ。最初のループでもう絶望で前が見えない。ちくしょうめ。

 

 しかし一度で死は終わらない。

 

 何度もループし、何度も死に、何度も繰り返す。

 

 ループ転生先は毎回バラバラで、ある時はとある小さな忍び一族、あるいは商人の、あるいは普通の村人として転生し、死ぬ。忍びでなくても、巻き込まれて死に、理不尽に死ぬ。

 

 ループが二十回を超え、忍び一族の子として生まれてようやく人を殺した。

 

 死に過ぎたせいか躊躇いはもうなかった。

 

 この苦しみを一刻も早く終わらせたい。

 

 それだけだった。

 

 それだけを胸に俺は覚悟を決め、忍びになった。

 

 

 

 

 

 

 …………と格好つけたはいいものの、まず最初の目標は寿命で死ぬことである。千里の道も一歩から。まずは死なないことを優先することにした。

 

 その為に死ぬ気で修行をした。

 

 NARUTO原作で行われた修行方法。

 

 木登り。水面歩き。影分身を用いた高効率修行などなど。

 

 他にも様々な修行を繰り返した。

 

 それでループについて分かった事が多々あった。

 

 まずループを繰り返す事により、前回のループで成長して得た分のステータスが次のループに持ち越される事。これによって俺はチャクラも身体能力もかなりの物になった。そのお陰で、膨大なチャクラが前提条件の多重影分身の術を用いた修行が出来るようになった。とはいえ、ナルトみたく千人とか馬鹿みたいな数は出せず、辛うじて二十人ほど出せる程度だ。それでもかなり効率は良くなったが。

 

 次に原作知識。これは思ったより完璧なものではない事。

 

 生前の俺はにわかだったのか、あまり細かい部分は覚えていないし、あまり興味のない事柄は大雑把に分かる程度。

 

 更に神様の粋な計らいか、二十回のループを経て未だに記憶は薄れることがない。ループは毎回赤ん坊からであり、生きた年数で言えば二百年は経っているにも関わらずだ。

 

 最後に、偶然かどうかは分からないが、二十回のループを経て、様々な一族の忍びなんかをしているが、ただの一度も血継限界のある一族に当たっていない事だ。血継限界は珍しいため偶然なだけかも知れないが、もしも偶然でなければ俺は最終的に外法に手を出さなくてはいけなくなる。偶然だといいのだが。

 

 

 

 

 偶然ではなかった。

 

 ループが五十を超えても血継限界の忍び一族には一度も生まれず、いずれも凡庸な一族生まれである。

 

 これはいよいよもって外法に手を出さなくてはならない。

 

 そもそも原作の輪廻眼やら、人柱力やらが外法の筆頭格だった。

 

 最初から外法に手を出すのは確定していたのだ。

 

 あまりに甘い覚悟をしていた。

 

 人の身に余るチートである。生半可な覚悟で手に入れようなどと虫が良すぎたのである。

 

 その事に気付いてからのループは、純粋な忍としての技をひたすら磨くことに腐心した。

 

 血継限界を奪うには相応の実力が必要だからだ。

 

 ループを終わらす為には大筒木カグヤの力を手に入れる必要があるが、その為には十尾と輪廻眼がいる。

 

 十尾はまず輪廻眼に目覚め、一尾から九尾までの尾獣を集めなくてはならず、輪廻眼は永遠の万華鏡写輪眼と、千手柱間の細胞、インドラとアシュラのチャクラを手に入れなければならない。

 

 この中で一番最初に取るべきは写輪眼だが、しかしうちは一族はあのマダラが率いる一族である。適当なうちはの誰かから写輪眼を奪うにも難易度は高い。幻術対策もそうだが下手につついて万華鏡を開眼する奴が現れても大変である。幸いにも、アイテムボックスがあるからゲットして即自害し、次のループにて移植するなりなんなり出来る。というかこれが一番有効な手だろう。だが難易度は高いのは変わらない。

 

 なのでまず先に柱間細胞を手に入れる事にした。

 

 千手柱間は恐らく若い時に死んでいる。穢土転生で喚ばれる時の姿は死んだ時の姿である。その事から千手柱間は木の葉設立後から何年かで死亡している事になる。ループする時は必ず柱間やマダラと同年代に生まれるので、長生きすれば死亡した柱間の遺体を墓から奪うことが出来るというわけだ。最近ではかなり長生き出来るようになっていて、目標も比較的達成しやすい。

 

 その為には木の葉所属になり、火影の墓に近付ける地位につき、遺体を奪える実力を得る。それらの条件を揃えた上で柱間細胞を手に入れる。

 

 そうして柱間細胞を手に入れたら次はうちはの写輪眼だ。

 

 写輪眼の開眼条件は感情に左右されるから早めに手に入れたい。ループを繰り返し過ぎたせいか感情の起伏が小さくなってきていて猶予がない。木遁があれば入手出来る確率も高くなるだろうから頑張らなければ。

 

 

 

 

 ふははははは!やったぞ!手に入れたぞ!柱間細胞を!

 

 ループ九十回半ば。木の葉隠れの里に所属し、千手柱間の遺体を納める墓の警備係になった。二代目火影、千手扉間が他里の影との会談に向かった隙をつき、千手柱間の遺体を奪った。この時のために本来の実力を隠し、中忍程度の実力と周囲を欺いて。既に約九百年間忍びをしているのだ。弱い筈がない。血継限界はないが五属性の忍術は全て性質変化も最高ランクの高等忍術もマスターし、陰陽遁もそこらの奴等には負けないレベルだ。体術も八門遁甲の陣まで開け、既に三度開いている。医療忍術も綱手の再生忍術、創造再生も一応再現できる程度には腕がある。幻術と仙術に関してはまだまだ心許ないが、まあ並みの忍び相手なら問題はない。特に仙術は人獣形態としかいえない有り様だが、蛙人間て誰得。

 

 まあともあれ、千手柱間の遺体を奪った俺はそのまま里抜けし、前もって用意していたアジトに向かった。

 

 そこで柱間細胞を抽出し、遺体をアイテムボックスに入れてからすぐに移植した。細胞の鮮度は医療忍術でなんとか取り戻し、安全装置として全身に呪印を刻み、この時のために調合した秘薬を服用して。

 

 既に追っ手は放たれただろう。千手扉間も急いで引き返し、俺を探し始めるだろう。猶予はない。

 

 柱間細胞移植後。痛む体を引きずりアジトを後にする。

 

 流石は柱間細胞。恐ろしい生命力だ。呪印によって柱間細胞の力を抑えているにも関わらず体がバラバラになりそうになる。

 

 細胞が馴染むのにはどれほど時間がかかるか。それとも死んで次のループに向かうのか。

 

「そこまでだ」

 

 

 

 

 次のループ。

 

 まさか千手扉間があんなに早く俺を見つけるとは思わんだ。

 

 なんとか逃げようとしたがどうにもならなかったので、呪印を解除して柱間細胞を暴走させて道連れにしようとしたが、飛雷神の術で逃げられた。俺は柱間細胞の暴走により大木と成り果ててご臨終である。ぎゃあー。

 

 そして次のループ。まさかの柱間細胞が馴染みきっており、千手柱間には劣るが木遁が自在に扱えるようになっていた。やったぜ。

 

 更になんと、なんとループ転生先が千手一族である。ひゃっほー!まさかの千手。柱間細胞のお陰だろうが、初の血継限界の一族。正確には柱間だけが木遁に目覚めただけだが、これで目標に一気に近付いた。千手一族はうちは一族と並ぶ忍び一族であるから、戦場で幾度も戦う間柄だ。この機に写輪眼も手に入れなければ。

 

 

 

 

 ヤバイわー。マジヤバイわー。

 

 うちはマダラと千手柱間ヤバイわー。

 

 何あれ。何なんあいつら。化け物過ぎるわ。

 

 尾獣同士の戦いの方がまだマシなんだけど。

 

 目的の写輪眼はあっさり手に入り、予備の写輪眼も大量に入手出来たので、調子に乗って千手柱間とうちはマダラの戦いを観戦しに行ったのが間違いだった。

 

 それは最早戦いではなかった。

 

 例えるならば災害である。山が崩れ、地が割れ、天が轟く、恐ろしい天災。

 

 俺があの二人以上の力を手に入れられる未来を想像出来ない。そう考えることが恐ろしいと思ってしまう。

 

 なるほど、土影が絶望するのも納得の光景だった。

 

 それから少しして、戦いはどちらともなく終わり、撤退していった。

 

 俺は二人が去った戦場後に向かい、ある血のついたクナイを手に入れて戦場を後にした。

 

 

 

 

 その後、手に入れたクナイについていた血とほんの少しの肉片を移植。更に写輪眼も移植し、紆余曲折あり万華鏡写輪眼開眼。調子に乗って九尾を捕らえに行き、人柱力となる。

 

 正直調子に乗り過ぎた。反省している。後悔もそれなりにしている。

 

 九尾はとてつもなく強く、流石主人公のパートナーにして最強の尾獣と畏怖するべき存在だった。それ故に素晴らしい力ではある。しかし人柱力になったはいいが、いつ食い殺されるか分からないレベルで、万華鏡写輪眼と木遁が無ければ既に食い殺されていただろう。マジヤバス。

 

 更に一族を抜け、誰も来ないような僻地にアジトをかまえ、そこで余生を力のコントロールにあてる事にした。

 

 柱間細胞を追加で移植したり、写輪眼を志村ダンゾウみたく腕に沢山移植したり、九尾の力をコントロールしようとしたり。

 

 気が付けば老衰でぽっくり逝ってしまった。なんてこったい。

 

 次のループはなんとうちは一族だった。

 

 永遠の万華鏡写輪眼フラグである。

 

 だがしかし、今はそれよりもヤバイ事が起きていて頭から飛んでいた。

 

 なんと、九尾のチャクラが丸々引き継がれているのだ。コントロールに俺の余生を食い潰した九尾のチャクラが、丸ごと。しかも九尾の人格はなく、ただ力だけが体内に存在する。力を制御支配していた九尾がいないためか、気を抜けばチャクラが暴発してしまいそうだ。これは不味い。永遠の万華鏡写輪眼どころではない。その前に周囲を焦土に変えかねない。

 

 必死で力を制御し、なんとかまともに運用できるようになったのが木の葉隠れの里が出来た頃だった。やべえ。色々吹っ飛ばしたわ。不幸中の幸いか、父親が万華鏡写輪眼を開眼したので、意識のない時にこっそり眼を交換し、然り気無く永遠の万華鏡写輪眼にしたので一応の目的は達成した事になる。

 

 その後は再び里を抜け、九尾の力のコントロールに余生を捧げた。

 

 しかしまさか、人柱力になるだけで尾獣の力を全て手に入れられるとは、凄いご都合主義もあったもんである。これならば大筒木カグヤの力を得るのも時間の問題だろう。

 

 

 

 

 ……と、なれば良かったのだが、気が付けば十ループ分九尾のチャクラコントロールに費やしていた。とんでもないわ本当に。

 

 ようやくコントロールが出来るようになったはいいが、これを後八回繰り返さなくてはならないのだから洒落にならない。通常の忍術ですらチャクラコントロールが狂い、その都度調整していく作業。九尾のである程度慣れたので、次は大分マシにはなる筈だが、あまりしたくない作業だ。

 

 他の尾獣は数字の小さい順から手に入れるとしよう。原作でも暁はそんな感じだったから、そうするとしよう。

 

 でなければいずれチャクラの制御が出来なくなり、自滅する。そうなるともうどうしようもない。

 

 

 

 

 更に百ループぐらい経ち、全ての尾獣を入手する事が出来た。

 

 戦乱の最中なお陰か、尾獣を集める機会が多々あったことも早めに手に入れられた要因の一つである。

 

 力のコントロールを並行して行い、順調に全ての尾獣の力を得た上で大体の制御を可能とし、順調そのものなのだが。未だに輪廻眼は開眼していない。うちはマダラの血肉を移植したが、あれではまだ足りなかったのだろうか。しかしだからといってうちはマダラと戦い、その血肉を奪うには俺はまだまだ弱い。万華鏡写輪眼もまだまだ全然使いこなせていないし、須佐能乎もまだ骨組み状態で一部しか発現できていない。やはり完全に力を制御出来るようになってからしか輪廻眼にはなれないのかもしれない。となると練度を上げるためにひたすら修行を行うしかないだろう。最終的にはうちはマダラから血肉を奪う為に他の血継限界も手に入れておくか。そうすれば引き出しが多くなって有利になる筈だ。いや、その前に力を完全に使いこなせなくてはならないか。

 

 

 

 

 更に百ループ経過。

 

 尾獣の力を使いこなすのはかなり難しかったが、なんとか使いこなす事は出来た。万華鏡写輪眼も完成体須佐能乎までなんとか使えるようになった。そして他の血継限界も幾つか集めた。

 

 まず一つ目。白眼。

 

 なんとか日向の宗家から奪う事が出来た逸品。両目は写輪眼なので両手の平に移植したら、次のループでは写輪眼と融合していた。両方の力を持つ眼になっていたが負担が大きすぎて同時には使えず、どちらかに切り替えて使うしかないが、それにしても破格である。

 

 二つ目。かぐや一族の血継限界。

 

 骨を自在に操る血継限界であり、白眼と同じく大筒木カグヤ由来の由緒正しい力である。

 

 そして最後に、これは血継限界にあまり関係ないが、うずまき一族の封印術と生命力である。これにより、尾獣の力もかなり安定したし、体力もかなり増した。原作主人公と同じ血かと思うと中々に感慨深い。

 

 他にも氷遁や嵐遁などの血継限界も手に入れたが、上の三つに比べたら大した価値はない。塵遁もあったが、あれは威力がありすぎて逆に使いどころがないのである程度使えるようになったらお蔵入りになった。

 

 色々な血継限界を手に入れたわけだが、この中でも俺の目覚めた万華鏡写輪眼の力は埋もれていない。

 

 右目は大国主(オオクニヌシ)。左目は八上比売(ヤカミヒメ)。形は赤地に黒い六枚の花弁の形をしている。

 

 右目が融合。左目が分離の力を宿している。要は物質融合能力であり、他者の肉体や無機物と融合したり、一つの物を二つ以上の物に分離する事も出来る。頑張れば須佐能乎にも使えたり出来る。主な使い道は血継限界の一族の肉体と融合し、血継限界を奪い切り離したり、物質と一時的に融合する事で壁や攻撃をすり抜けるなど、神威モドキの芸当も行える。言ってしまえば音の四人衆、右近と左近の力の上位互換である。これにより、血継限界を奪うのが楽になり、相手を殺さずに奪う事が可能になったし、効率良く血継限界を取り込めるようになった。柱間細胞を得るために千手柱間の遺体と融合し、オリジナル並みの力を手に入れる事も出来た。流石に一気とはいかず、少しずつ取り込んだわけだが、それでも素晴らしい事なのは確かだ。

 

 後は仙術もようやく完璧に使いこなす事が出来た。柱間細胞を完全に取り込んだ為か柱間と同じ形の仙術に収まり、一瞬で自然エネルギーを溜めることも長きにわたる鍛練により出来るようになった。天才てずるいね。

 

 うちはマダラについてだが、よくよく思い出してみれば絶好のチャンスがあった。うちはオビトがうちはマダラのいるアジトに迷い込むときである。その時、うちはマダラは死ぬ。その直後にその死体を食らう。これほどベストな瞬間はない。それには長生きしなければならないが、尾獣を全て身に宿したからか、それとも血継限界をいくつも宿したからか、俺の寿命は格段に伸びている。それは簡単に達成出来る。後は気付かれずに侵入し、うちはマダラの遺体をいただく事。うちはオビトをストーキングするだけでうちはマダラの場所は分かるから問題ない。よし、やってやるぜ。

 

 

 

 

 幾つかのループ後。ようやくうちはマダラの遺体を奪う事が出来た。黒ゼツの監視を振り切り奪うのは至難の技だった。だがその苦労のお陰で、うちはマダラの遺体と融合した瞬間、輪廻眼に目覚めた。外道魔像はないからか輪廻写輪眼には目覚めていないが、六道仙人化は出来た。完全になるには外道魔像も取り込まないとなれないが、大筒木カグヤに侵食されかねないので今はここで踏みとどまっておく。

 

 とりあえずあと一歩のところまで来れたが、せめて大筒木カグヤと正面から渡り合えるぐらいの力は欲しい。機会があるなら月に行き、転生眼も手に入れたい。俺はボス戦の前には出来るだけレベルを上げ、入念な準備をして挑むタイプだし。たまにテンションに任せて挑むときもあるがそれはそれである。仕方ないね。

 

 

 

 

 約三百回ほど経ち、ループ六百回目。

 

 月に行き、転生眼強奪。大筒木ハムラの子孫の血肉も手に入れる。

 

 尾獣を再び集め、それぞれ十匹ずつになるように揃えた。

 

 血継限界を集めるのと、戦闘経験を積む為に世界征服に乗り出した。

 

 ……まず、転生眼は欲しかったので大筒木ハムラの子孫には悪いが奪わせて貰った。お陰でチャクラ吸収能力と傀儡を操る力が異常に強化された。

 

 尾獣を再び集めたのはチャクラ量を増やすためである。大筒木カグヤは星そのものといっていい膨大なチャクラを有している。だからそれに打ち勝つために尾獣というチャクラのタンクを狙った。何故九尾だけを狙わなかったかだが、九尾だけを集めるとチャクラが不安定になったから仕方なくそれぞれ十匹ずつになるように集めた。これで少しはいい勝負が出来る筈だ。

 

 そして血継限界をかき集め、戦闘経験を積む為に世界征服に乗り出したのは、趣味と実益を兼ねた世界平和の為の行動である。

 

 いずれ里の形に落ち着き、仮初めの平和が訪れ、原作主人公の力で真の平和に辿り着くわけだが、予定を少し早めてもいいだろうと思ったからだ。まあ、要は原作に関わってみたいというミーハー根性故である。多少余裕が出来たからこういうふざけた事も考えられるようになったと、いい変化と受け止めておきたい。うん。

 

 さて、実際の内容だが、一度目はうちはと千手の一族が手を組み、更に様々な一族が一丸となって俺を倒した。

 

 六道仙人モードからの尾獣化。威装・須佐能乎の上に転生眼によるチャクラ無差別吸収、輪廻眼による無差別広範囲攻撃と何その無理ゲーな感じだったんだが、まさか倒されるとは。俺の散り際、黒ゼツが何か介入しようとしたが当然その対策はしており、このループで手に入れた万華鏡写輪眼に神威を仕込んでいたので最期は月にエスケープしてご臨終。

 

 そしてそれを後に三度行い、最後は勝って世界を統一。百年に及ぶ大帝国を築き上げた。

 

 黒ゼツは不意をうって地爆天星で封印し、宇宙に飛ばしたので安心して過ごせた。

 

 百年もの間国を治めたが、君臨すれども統治せずで、基本は各里のやり方に任せ、俺自身は力を磨く事に専念した。

 

 大筒木モモシキと大筒木キンシキとかいう奴らが来たりしたが、融合して食らいつくし、輪廻眼を頂戴した。お陰で忍術を吸収し倍にして放つという能力を得た。最期は外道魔像を取り込み、太陽に生身で突っ込んで消滅した。因みに輪廻写輪眼が額に開眼したが、無限月読なんぞする気はないのでラッキー程度に思って次のループに向かった。

 

 そして次のループは外道魔像を取り込んだ事により、大筒木カグヤにもっとも近い存在になった。後は無限月読を使えば大筒木カグヤが復活するぐらいには。だが俺の中には大筒木カグヤの意思はない。尾獣と同じで力だけ残して精神は消滅しているようだ。

 

 大筒木カグヤの力。正しくは神樹の力を制御するのでそのループは終わった。まさか不老不死とは思わず、気が付いたら千年以上修行していたのは驚愕ものだった。原作なんてとうの昔に終わっているので前回と同じように次のループに向かった。

 

 その次のループでは原作を見守りながら、欲しかった物を隙を見ては奪い、最後は六道仙人化し、輪廻写輪眼に目覚めたうちはマダラをそれ欲しさに丸ごと融合し食らい尽くした。幾ら最強の忍びとはいえ、六道仙人の年季はこちらが上である。呆気なく食い尽くせた。あの時の原作の登場人物の顔は見物だった。黒ゼツも面白いくらいに驚いていたので行き掛けの駄賃代わりに地爆天星して宇宙に飛ばし、更にうちはサスケの輪廻写輪眼と万華鏡写輪眼、六道仙人から託された陰遁の力を奪い、うずまきナルトからは六道仙人としての力と託された陽遁の力を奪って無限月読を発動。大筒木カグヤを介さず、同じ神樹の力を持つ俺自身に世界中のチャクラをかき集め、完全に覚醒を果たした。

 

 その後は正直この世界はどうでも良かったが、流石に空気読めていなかったと反省し、このループの十尾を体から切り離して九つにばらし、同じくこのループの外道魔像も切り離して月に返還。更に外道・輪廻天生の術によりこの大戦で命を落とした者達を全員生き返らせ、うちはサスケとうずまきナルトも傷を癒し、陰陽遁の力を切り離して返した。後はうずまきナルトとうちはサスケを起こし、原作通りになるかは分からないが似たような展開になるようにし、前回、前々回と同じように次のループに向かった。

 

 そして次のループ。

 

 それが最後のループになった。

 

 

 

 

 

 前回のループで完全に覚醒した事により、俺は大筒木カグヤと同じになった。一度得た力は消費しても欠損しても次のループで元通りになる。前回は切り離したり消費したりしたが、一度俺の力になった物は必ず元通りになるため、今の俺は大筒木カグヤと同じ存在となった。尾獣がそれぞれ十匹分余分ではあるが。

 

 つまり、いよいよこのループも終わる時が来たというわけだ。

 

 おそらく最後の仕上げに、この力を大筒木カグヤレベルに扱うことが出来るようになれば、俺はこのループから解放される。

 

 長かった。永かった。本当に。気のトオクナルヨウナ時間を過ごした。

 

 あらゆる痛みを。あらゆる苦痛を。あらゆる死を経験した。

 

 発狂しそうになった。もしかしたら発狂したかもしれないが、しても次のループになれば元通り。

 

 さすが神様。

 

 昨今の転生ものの神様とは違ってスパルタだぜい。

 

 だがまあ、そんな文句も今はどうでもいい。早くこのループを終わらせよう。この無限に永久に終わらない世界を。

 

 

 

 

 

 

 

 



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プロローグ2ドラゴンボールループ

 

 

 

 

 

 俺はループから解放された。

 

 ……のだが、それは最初のループであり、まだ後四つあるとの事。そういえば転生特典て複数だったりしますよねー。神様太っ腹ー。ふざけんなくそが。

 

 そして次のループはドラゴンボールの世界。やべえ。大筒木カグヤの力で勝てる気しねぇ。

 

 そこでのループ終了条件は全王の力を手に入れる事。

 

 うん。無理ゲー。

 

 ドラゴンボール最強にして絶対の存在の力とか。まず無理である。

 

 正直NARUTOの世界とドラゴンボールの世界とでは強さのレベルが違う。パワーインフレの金字塔である。序盤で月は壊れるわ星は砕かれるわの世界だ。精々星一つを統べる大筒木カグヤの力ではどうしようもない。

 

 まあ、もっとも、神様の意向でNARUTOの世界で得た大筒木カグヤの力はループの間は没収するらしく、再びゼロからのスタートになるのだが。ご丁寧にアイテムボックスの中身も空にされていて夢も希望もない。

 

 そんなこんなで心機一転、ドラゴンボールの世界でのループは始まった。

 

 

 

 

 一ループ目。

 

 なんの変哲もない一般家庭の子として生まれる。

 

 この始まりは本当に懐かしい。

 

 どれくらい懐かしいかというと二度と体験したくないぐらいには。

 

 さて、気を取り直してどれほど動けるかの確認を始める。

 

 まあ、力は全て没収されたので大体はNARUTO世界の技術がどれくらい使えるかの確認であるが。

 

 その結果、ある程度は使えることが分かった。

 

 まず忍術。

 

 精神エネルギーと身体エネルギーを掛け合わせてチャクラとするのが忍術である。ドラゴンボール世界の気は色々な呼び方があったりするとんでもエネルギーなためかある程度のコツを掴めば出来た。血継限界である氷遁や木遁も出来たため、ドラゴンボール世界ではNARUTO世界のルールがあまり適応されないらしい事が分かった。

 

 瞳術。

 

 使えない。平凡な一般家庭だしね。そりゃ使えないわ。

 

 六道仙術。

 

 上に同じ。仙術はなんとか出来たのでまあ満足。

 

 戦闘技術。

 

 体を鍛えれば普通に使えた。まあ、記憶だからね。使えるわな。

 

 そんな感じで、現時点での戦闘力を理解した俺は、どうせだからと趣味に走った。

 

 NARUTO世界でのループは地獄から始まり、最後まで気を張り詰めた感じだったが、二度目だからかドラゴンボール世界ではもう少し気を緩めてループを生きる事にした。

 

 その手始めとして、漫画の技を再現してみた。

 

 まずドラゴンボールのかめはめ波。舞空術、瞬間移動、界王拳。

 

 ワンピースから、六式や覇気。刀語から虚刀流。Fateシリーズから燕返し、無明三段突き、圏境。他にも様々な二次元の技の数々。ドラゴンボールの世界という混沌とした世界に来たのだ。いずれ来る終わりの時まで楽しむのも悪くないだろう。何より、強くなるのは確かなのだから。

 

 

 

 

 二百ループ目。

 

 全ての技を再現。習得する事が出来た。流石ドラゴンボールの世界。無茶が効きすぎる。

 

 技の再現をするために、まずはこの世界の武術や技術から学んだ。ある程度の心得はあるが、本格的なものはあまり学んでこなかったからだ。

 

 それで大体五十ループは費やし、一流レベルの腕を得た。俺が目指すのはそれで初めてスタート地点に立てるようなものばかりなのでようやくといったところである。

 

 その過程でドラゴンボールを集め、願いを叶えたりした。写輪眼の再現を頼み、なんとか万華鏡写輪眼までは再現する事が出来た。須佐能乎は無理だったが、大国主と八上比売の力は取り戻せた。これでループ終了に向けての布石は打てたので満足である。

 

 武術や技術を学ぶ過程で仙人となり、長寿の力を得た。亀仙人と同年代なので原作開始まで数百年は時間があるが、今は技の再現が重要なのでそこら辺は今は気にしない。

 

 もう五十ループをかけて技の再現を全て再現するに至る。次にそれらを原作よりも使いこなし、上回るように磨きをかけるためにもう百ループ消費した。

 

 そして、全ての再現、及び昇華を達成した俺はようやくループの終了に向けて動き始めた。

 

 

 

 

 次のループにて。

 

 一旦強くなるための修行をほどほどにし、ドラゴンボール世界の科学技術を学ぶ事にした。ドラゴンボール世界の科学技術は色々役に立つものが多いからな。学んでおいて損はないだろう。

 

 カプセルコーポレーションに入社したいが、原作数百年前だから存在しないのでそれまでは別の場所で技術を学ぶしかない。いや、いっそのこと超能力とか魔法も学んでみるか?幸い、時間は無限にあるのだから。

 

 それから更に百ループ。粗方の技術を吸収する事に成功する。

 

 ドクターゲロの技術やブルマの技術を盗めたのは幸運だった。ヤムチャとベジータマジごめん。

 

 ついでに隙を突いてセルの幼体を得て融合。更に人造人間も全て吸収し、完全体セルと同等の力を手に入れた。無差別に人間を捕食するのは止めておいた。今更そういう罪悪感はないが、それよりも効率のいい方法があるからである。

 

 自爆である。

 

 セル編において、主人公が犠牲になり、その直後に核が残っていたが為にパワーアップして復活。完全体セルからパーフェクトセルになったあの絶望を読者は忘れない。

 

 なので自爆をする事にしたが、折角なのでパーフェクトセルも欲しいから人造人間を全て吐き出し、主人公達から遠く離れた場所で結界を張って気と自爆の被害を外に出さないようにして更に核にも自爆で壊れないよう結界を張って、自爆。

 

 結果。

 

 自爆からのパワーアップは成功した。第一形態にまで弱体化していたが、パワーアップ後はパーフェクトセルになっていた。一度は完全体まで至っていたからか無事にパワーアップ出来たようだ。これを俺は何度も繰り返した。いつかのループで手に入れ、大量生産を可能にした仙豆をアイテムボックスから取り出し、回復。そして自爆。回復。自爆。回復と何度も繰り返す。パーフェクトセルが生まれるまで何度でも。

 

 そしてパーフェクトセルが生まれ、主人公達に敗れるその瞬間に密かに介入。核を確保して吸収し、再びレベル上げの作業に戻る。次に魔人ブウが復活した際には、正直虫けら同士の戦いを見ているような気分になるぐらい強くなっていた。サイヤ人式レベル上げマジヤバイ。魔人ブウをサクッと吸収し、ついでにバビディとダーブラも吸収。サッと消える。そしてレベル上げ。魔人ブウを吸収したお陰で再生能力とスタミナがカンストした。なんだこのチート。なので折角大量生産出来た仙豆がいらなくなってしまった。核も要らず、肉片からでも再生が可能なのでレベル上げが捗る捗る。

 

 そんな感じで日々を過ごしていると、ある日空から一人用のポッドが降ってきた。

 

 何事かと見てみるとなんと、中には瀕死のブロリーが!

 

 しめしめと吸収させてもらい、更にチート化。再びレベル上げに勤しむ。が、自爆し過ぎたせいか、一度の自爆では瀕死にならなくなり、それでも続けたら自爆しても瀕死どころか傷一つつかない訳の分からない再生能力か防御力を手に入れていた。なので自爆に代わるレベル上げとして太陽へのダイブを考えた。強敵との戦いもいいが、その場合破壊神ビルスが来ても困るからあまり気は進まない。かなり強くなった筈なのだが未だに勝てる気がしないからな。その点太陽はいい。様々な悪役が最期を迎えた無慈悲な処刑台。そこならば今の俺でも瀕死になれるだろう。

 

 そして、俺は太陽に身投げした。

 

 何重にもバリアを張り、気で肉体を強化してのダイブである。しかし流石は太陽である。あっという間にバリアは砕け、気で強化された肉体は瞬時に燃え尽きる。これだ。これでまたレベル上げが出来る。痛覚などの感覚は鈍くしているので然程苦痛ではないが、一瞬でも気を抜けばその瞬間には跡形もなく燃え尽きる環境だ。気力が尽きるのが先か。肉体が燃え尽きるのが先か。精々破壊神ビルスに一撃与えられるくらいには強くなりたいと思いながらレベル上げに意識を傾けた。

 

 

 

 

 気が付いたら太陽を泳いでいた。

 

 まさかの太陽克服である。

 

 始めてから何年経ったかは分からないが、気が付いたら太陽でバタフライである。驚きである。

 

 太陽をぬくい、としか感じない時点でもはやレベル上げには使えないのは理解したが、まさか太陽を克服出来るとは夢にも思わなんだ。

 

 これ以上ここでレベル上げは不可能。次はどこにいけばいいのだろう。……ブラックホールかな。重力の渦。流石にあそこに行けば瀕死になれるだろう。勢いあまって死んでしまってもまた次のループで挑戦すればいい。太陽から飛び上がり、ブラックホールを探しに宇宙を舞う。もはや呼吸も食事も必要としないし、寿命も仙人化諸々の影響で問題ない。気長に探すとしようか。

 

 

 

 

 ブラックホールを克服した。やったぜ。

 

 どれほどの時間が経ったか分からないが、気が付いたらまた克服していた。高重力下での戦闘はかなり良さげだったんだがなあ。まあ、最近は自分でも重力を重ねて強化していたからとっくに克服していたとも言えるが……。ふむ。太陽もブラックホールも克服してしまったわけだが、どうするか。やはり強敵との戦いしか選択肢はないのか。どうなのか。

 

 

 

 

 

 

「破壊」

 

 

 

 

 

 

 次のループ。

 

 なんだろう。こんな展開前にもあったような。

 

 まあいい。

 

 まさかの破壊神ビルスと遭遇。即破壊である。驚きである。というか何故に問答無用で破壊だったのか。虫の居所が悪かったのか、それとも危険とみなされるほどに俺が強くなっているのか。どっちか。ま。答えは分かっているがな。

 

 なんせ、前回のループでビルスの右腕を奪ったのだから。どちらかなんて尋ねるまでもない。

 

 あの時、破壊神ビルスの破壊により、俺は破壊された。しかし、運良く肉片が残った。極小さな、目に見えないレベルの細胞片。そして、久しく忘れていた瀕死からの再生が始まり、力を得て復活した。そして隙を晒した破壊神の右腕を瞳の力で奪い吸収した。次の瞬間、本気の破壊により、今度こそ破壊された。

 

 そして次のループ。今回のループにて俺は右腕分だけ破壊神ビルスである。つまりその分だけ破壊の力を手に入れたというわけだ。これで破壊の力に対抗する術も、そして逆にその力を使う事も可能だろう。これで次は破壊神ビルス全てを食らいつくせるだろう。

 

 が、まずは、この力に慣れる事からだな。流石に神の力か。大筒木カグヤの力とはまた違った扱いづらさだ。だけど使いこなすには一ループで充分だな。

 

 

 

 

 

 五百ループ後。

 

 破壊神ビルスの力は予想通り一ループで使いこなす事が出来た。

 

 そしてビルスとウィスに勝利し、吸収出来たのは比較的早めのループだったか。

 

 しかし、全王は遠かった。

 

 破壊神だろうが天使だろうが、大神官であっても遠かった。

 

 全王の消滅の力は格が違った。まず食らえば防御も再生も不可能。回避も出来ない。ザマスとかいう奴やヒット、他世界の破壊神や天使も吸収したがどうしようもない。神龍を吸収したり、願ったりしても見たが、何の効果もなかった。

 

 だからと何度も全王に挑んでいても、全く進展はない。

 

 あまりにもどうしようもない事態に、俺は真正面から挑む事を止め、搦め手で行くことを決意した。

 

 

 

 

 次のループ。

 

 あっさりと全王の一部を奪うことに成功した。

 

 方法は簡単。料理やお菓子を献上し、彼の細胞片が食器などに付着するのを待つ。それを細胞片が手に入るまで行った。それだけである。簡単過ぎて涙が出てきた。

 

 手に入れた細胞片はクローン技術でクローンの生成に使用し、出来たそれを吸収した。

 

 これで俺は全王の力を手に入れる事が出来た。

 

 後はこれをオリジナルより使いこなせるように修行すればいいだけ。今回のループは比較的簡単だったな。

 

 

 

 

 

 

 千ループ後。

 

 ……なわけがなかった。

 

 全王の力を手に入れたのはいい。だがいざ力の修行に入ろうとすれば全王の邪魔が入った。

 

 どうやら力を使ったら全王に気付かれるらしかった。

 

 しかしそれでもと繰り返し繰り返しループを重ね、ようやく力を使いこなせるようになったのが千ループ目。全王ともなんとか互角になり、戦いになるようになってきたのもその頃。宇宙ごと消滅されたりなんだったりされながらも全王と戦い、相討ったのが千ループ目。全王を討つ事が出来るようになったのは大きな一歩である。この調子でループを重ね、全王の力を超える。その為にはなんだってやってみせよう。

 

 

 

 

 

 二千ループ後。

 

 

 

 

 

 オリジナルの全王を丸ごと吸収した。

 

 これにてループは終わり。

 

 まさかこんなにも苦戦するとは。NARUTO世界でのループより長い時間かかったかもしれない。

 

 だがまあいい。

 

 これでループは終わったのだ。次のループはあるが、少しばかり休憩しても悪くないだろう。

 

 

 

 

 

 



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プロローグ3BLEACHループ

 

 

 

 

 

 無事三つめのループに入った。

 

 ループ先はなんとあのBLEACHの世界である。

 

 なん……だと?

 

 まさかのネタ漫……いや、あのヨン様のいる世界とは。

 

 しかもループ終了条件は霊王の力の入手。

 

 なんでや。別に崩玉でも良かったじゃん。崩玉強いよ。マジ強いよ。だから別に崩玉でも良くね?ダメ?そですか。

 

 しかし霊王って確か最終的に陛下に取り込まれた筈だけど、まさか霊王手に入れるには陛下も手に入れないといけないとか?うわあ無理ゲー。未来改竄能力とかどう勝てと。未覚醒状態で狩らないと駄目かな。一護みたくやれないしなあ。はあ。

 

 やはり力とアイテムボックスの中身は没収されていて、再び零からの出発である。ちくしょうめ。

 

 しかもループの開始地点は虚圏(ウェコムンド)。まさかの(ホロウ)スタートである。なんでさ。そこは死神だろJK。いやまあ、確か死神は才能ないとなれなかったけどさあ。そこら辺はサービスして欲しかった。

 

 まあ、仕方ない。さっさとこのループを終えるためにも頑張るとしますか。

 

 

 

 

 百ループ後。

 

 虚圏舐めてた。普通に修羅の国だったわ。

 

 只の虚には地獄だった。何故虚が現世に行くのか分からなかったがあんな修羅の国なら納得だわ。マジで。

 

 アレなら現世の方がまだマシだ。死神がいるけどまだ虚圏よりは優しい。でもレベル上げが捗るのも虚圏なんだよなあ。難易度馬鹿みたいに高いけど、それ相応のフィードバックがあるから挫けずにやれる。お陰で今の俺は下級大虚(ギリアン)である。能力は擬態。他の虚の能力もそいつを喰らえば扱えるようになる擬態能力である。喰虚(グロトネリア)に近いが、同時発動は出来ないので下位互換みたいな力だ。となるとアーロニーロを捕食したいがどこにいるか分からないのでどうにもならない。ヨン様に勧誘されるまで機会はお預けだな。

 

 後少しで中級大虚(アジューカス)になれそうだが、そう上手くいくかどうか。

 

 

 

 

 二百ループ後。

 

 祝。中級大虚進化。

 

 目指せ最上級大虚(ヴァストローデ)

 

 中級大虚になったお陰で能力も大幅に強化され、同時に複数の能力を使えるようになった。益々アーロニーロが捕食したくなったがそれはさておき。一度現世に降りてみたが、どうやら原作千年以上前らしかった。これは良いことを知ったと上機嫌になれたが、何ループ前からかヨン様に勧誘されるようになった。破面にはなりたいが出来れば最上級大虚になってからが好ましいので会った瞬間自爆する変な大虚(メノス)化している。正直最上級大虚じゃないとこの先やってられないからなあ。すまんが狐につままれたような感じをこれからも味わってくれたまえ。

 

 

 

 

 更に二百ループ後。

 

 ようやく最上級大虚になる事が出来た。

 

 能力も強化され、アーロニーロみたいな事も出来るようになった。しかもアーロニーロは日の下で力が使えないのにたいして、俺にはそんな制限がない。完全に喰虚を超えたのだ。でもアーロニーロは食うがな。同じような力を食らえば更に俺の力も強化されるだろうし。仕方がないと諦めるがいい。

 

 ヨン様の勧誘だがまだ断っている。ウルキオラやスタークのように、ヨン様に勧誘される前から破面(アランカル)化している奴等がいる上、ウルキオラに至っては刀剣解放(レスレクシオン)第二階層(セグンダ・エターパ)なんて格好いいものがあるのだ。俺もアレはやってみたいのでまだ破面にはならない。破面化したら出来なくなるかもしれないし、どんな条件が必要なのかも分からないのだ。だから出来るだけ今のままで頑張りたいと思っている。だから自爆する変な大虚でゴメンね!

 

 

 

 

 

 五百ループ後。

 

 破面になった。

 

 気が付いたら仮面が砕けていて、体も人間みたくなっていた。超速再生能力は消えず、逆に全能力は強化されている。刀は無いが、破面化している影響で鋼皮(イエロ)があり、探査回路(ペスキス)響転(ソニード)も使えた。斬魄刀を手に入れるにはやはり崩玉を使わなければならないか。

 

 後、俺の能力だがどうやら喰虚とは実際はかなり違うらしい事が分かった。

 

 きっかけは幸運にもアーロニーロを見つけ、捕食出来た時である。

 

 俺の能力は擬態能力だと思っていたのだが、実際は再現する能力だったのだ。NARUTO世界の写輪眼のようなもので、素質や力があるならば再現出来るものは虚に限らず、死神や滅却師の力でも可能というある意味反則のような代物。わざわざ喰わなくてはいけないのは再現に必要な素質や力を得る為である。

 

 これによって俺はよりループ達成に近付いたといっても過言ではない。なんせ、これまでのループ世界で手に入れた力すら再現出来るのだから。それほどの力だ。正直ヨン様の手下になる必要もなくなった。ただ崩玉は欲しい。どうするか。崩玉を手に入れるにはヨン様か浦原喜助から奪うしかない。が、ヨン様から奪うのは不可能に近いのでなし。浦原喜助から奪うのは朽木ルキアの義骸から奪えばいいので簡単である。更に崩玉は未完成だからヨン様と浦原喜助の物を融合させなければならないが、浦原喜助のを二つ合わせたら完成するかもしれない。可能性の話だが。ヨン様のは死神の力を集めた物らしき描写があったから似たような事をすればいいのかもしれない。かもしれないばかりで不安になるが、とりあえず手に入れてから考えればいいだろう。

 

 

 

 

 

 百ループ後。

 

 なんとか崩玉を複数手に入れ、融合して完成させた。

 

 そして、これで完全な破面となり、目当ての刀剣解放・第二階層も可能となった。

 

 更に崩玉と融合し、虚も死神も超越した存在に進化した。

 

 これで不死身の存在になった訳だが、しかしこれだけで霊王に至れるわけではないので、今度は死神の力も手に入れる事にした。

 

 やり方は簡単。死神の力を宿した魂魄を崩玉の力も借りて再現・創造する。俺の意思と記憶を与えた分身のような者達を生み出し、それらを尸魂界(ソウルソサエティー)に送り出して死神にする。それを定期的に行い、死神としての力と技術を磨き、あわよくば霊王に近付こう作戦である。滅却師(クインシー)の方は千年後。原作の時に手に入れるのもいいし、ループの時期的に陛下が封印される時を狙うのもいい。つまり、最早このループは終わったも同然。ふはは。

 

 

 

 

 五百ループ後。

 

 陛下を取り込むのは簡単だった。なんせ一番弱っている時を狙えばいいのだから赤子の手を捻るより簡単だった。

 

 陛下の力である与える力は分け与えた相手が死した時、その相手が持つ知識、才能、能力を得て無限に強くなる力だが、魂を取り込み続けなければ三重苦に戻るというデメリットがあった。が、崩玉と融合したからか、元々三重苦を持たないからか、そのデメリットを俺は持たなかった。ラッキーである。これにより、俺は尸魂界に送る死神から確実に得たものを徴収出来るようになった。

 

 その一方で、霊王の力は依然として遠かった。まず自力ではどうやっても霊王宮に辿り着けない。なので、原作の時に侵入する事に決め、その為に相応の力を身に付けようと痣城剣八の融合能力とロカ・パラミアの反膜(ネガシオン)の糸を吸収。更に月島さんのブック・オブ・ジ・エンドや他の 完現術(フルプリング)のも取り込み、護廷十三隊や十刃(エスパーダ)仮面の軍勢(ヴァイザード)星十字騎士団(シュテルンリッター)すらも取り込んだ。ユーハバッハの未来改竄の力と山爺の流刃若火もかなり苦労したが取り込めた。弱体化している状態では得られなかったのでユーハバッハは覚醒直前を狙い捕食。お陰で零番隊も軽く捻り、喰らうことが出来た。

 

 ちなみに主人公である黒崎一護や井上織姫の事象の拒絶や茶渡泰虎の力も手に入れて霊王以外の全ての力を手に入れたわけだが、あまりに上手く行きすぎて不安になりそうになったのは秘密である。

 

 霊王以外の全ての主要な力を有した者達を食らった世界のループにて、更に念を押して虚圏と尸魂界、地獄と融合した。やがて目ぼしいものがなくなったことで、ようやく見切りをつけて霊王を取り込む事にした。

 

 ループ終了である。

 

 が、あまりにも簡単に終わったので少しばかり遊んだりした。

 

 例えば崩玉を大量生産したり、今まで手に入れてきた力を全て同時に発動したり、これまでのループで得た力を再現したりと。

 

 世界を創造したり破壊したりしたところで我に帰り、次のループに向かった。

 

 そして、次のループで霊王の力を完全に物にし、今回のループは実に呆気なく終わりを迎えたのだった。

 

 

 

 

 



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プロローグ4Fate/stay nightループ

 

 

 

 

 

 四つめのループに入った。

 

 今回の世界はfate/stay nightの世界。

 

 更に、俺氏衛宮士郎に転生。しかもループ転生先も衛宮士郎固定。なんでさ。

 

 最終目標は無限の剣製(アンリミテッド ブレイド ワークス)王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を手に入れること。

 

 なんでさ。どうせならギルガメッシュに転生させてくれよ神様。

 

 ……まあ、神様のスパルタは今更だから今回はまだ優しいループである。

 

 始めから何らかの力を持っているなんて今までからしたら恵まれたものだ。

 

 無限の剣製を手に入れる目処が最初からあるのだから。

 

 ……王の財宝をどうやって手に入れるか全く見当もつかないけどな!

 

 とりあえず、手始めに無限の剣製を手に入れるために頑張るとしようか。

 

 

 

 

 

 月下の誓いを経て、第五次聖杯戦争に向けて準備を始めた。

 

 魔術回路を毎日作る鍛練は原作と同じように行う。そうでなければ宝具の投影に耐えうる魔術回路は手に入らない。原作士郎よりも切嗣から魔術に関しては多く学んでいるので簡易的な結界や暗示、治癒や修復等の魔術も使えるが、五十歩百歩だ。あまりあてには出来ない。

 

 投影の魔術は、投影出来る刀剣類を増やすために度々旅行に出た。博物館や展示会等を巡って古刀や神秘に満ちた物を見聞きし、投影出来るように鍛練した。

 

 肉体の鍛練も並行して行う。記憶と経験はあるため、それを活用出来るように肉体を仕上げていく。折角ドラゴンボール世界で燕返しや圏境を修得したのだ。原作の世界で使えないのは勿体ない。

 

 間桐桜、間桐慎二とは切嗣が存命の頃から知り合っていて、既に友好関係である。原作通りに間桐桜は衛宮邸に通うようになったが、スルーでいいだろう。今の俺にはどうにもならない。桜ルートは今の俺には難易度が高過ぎる。

 

 そうして、色々と備えて過ごしていたらあっという間に時は過ぎ、聖杯戦争が始まった。

 

 

 

 

 

 高校二年生に上がり、そろそろ聖杯戦争が始まるかという頃。

 

 夢を見た。

 

 聖剣を手にした少女の夢を。

 

 俺は頃合いだと判断し、夜の学校でランサーに殺されるへまをせず、自宅で余裕を持ってサーヴァント召喚を行った。

 

 召喚されたのはやはり、セイバーである騎士王アルトリア・ペンドラゴン。

 

 魔力のパスはしっかり繋がっており、宝具は頻繁に使用出来ないが通常の戦闘に問題はなさそうだ。原作と同じく霊体化出来ないらしいので藤村大河や間桐桜には切嗣関係でホームステイに来た子として紹介するしかないだろう。

 

 原作士郎程ではないが料理は出来るのでセイバーに料理を振る舞いながら聖杯戦争について話し合う。流石にエロゲ主人公並のコミュ力はないが、一時的に協力し合うぐらいにはコミュニケーションは取れる。結局、その日はある程度の方針を決めて眠りについた。

 

 尚、寝室は同じである。アサシンを警戒したセイバーに圧され、仕方なく同じ部屋で就寝である。いくら原作より多少は魔術が出来るとはいえ、キャスターに狙われたらどうしようもないので認めざるを得なかった。

 

 

 

 

 次の日、藤村大河と間桐桜に一週間学校を休むことを伝えた。ホームステイしてきた設定のセイバーの世話を焼くことを強引に納得させたはいいが、後が怖い。

 

 仕方ないと諦め、朝食を食べた後セイバーと一緒に買い物に出掛けた。

 

 数日分の着替えを用意するためである。

 

 いくら本人が女を捨てたとかいってもまごう事なき美少女だ。霊体化出来るならともかく、出来ないなら常に鎧を着させておくのも良くない。間桐桜はいいが藤村大河に不審に思われるのは不味い。無駄に野生のカンが働くから厄介なんだ。

 

 途中、ゲーセンに寄ったり、ぬいぐるみをプレゼントしたりとしながらも買い物を終え、家に帰ろうとすると目の前に雪の妖精がーー。

 

 

 

 

 ループである。

 

 まさかのイリヤ遭遇で死亡である。

 

 原作より強いからって油断した。

 

 バーサーカーにぺしゃんこにされてデッドエンド。次のループへゴーである。ちくしょうめ。

 

 そしてループした先は月下の誓い直後だった。

 

 まさかのここからループとか。

 

 いやまあ、都合がいいからいいんだけどさ。今回のループはやっぱり何かが違うようだ。

 

 とりあえず現状を確認しよう。

 

 魔術回路を確認。二十七本。本数に変化無し。やはり増やすなら他から持ってくるしかないようだ。これは原作を終えてから考えるとしよう。肉体を確認。子供の姿に戻っているが前回のループ分身体能力は上がっている。アイテムボックスの中に投影品や様々な物品がちゃんと残っているか確認。確認したら体から感じる違和感を調べる。すると、俺の体が全て遠き理想郷(アヴァロン)と同じような代物になってしまっているようだった。なんでさ。まさか前回のループで体に埋め込まれたままだった全て遠き理想郷をいつものループみたいに取り込んで転生してしまったのか。体の中にもう一つの全て遠き理想郷は確認できるが、だからといって全て遠き理想郷と融合したらどんなデメリットがあるか見当もつかない。まさかのニループめからこんなぶっとんだ展開になるとは。

 

 しかし色々と確認していくうちに、メリットが幾つかあるのを確認出来た。

 

 まず、全て遠き理想郷の投影が可能になった事。セイバーとの繋がりがない状態でも投影出来るようになった。投影した劣化品とはいえ全て遠き理想郷を投影出来るようになったのは素晴らしい利点だ。

 

 次に投影にかかる負担が軽くなっている事。これも多分全て遠き理想郷と融合したお陰だろう。未だ固有結界に手は届かないが、切り札の負担が軽くなるのはいい。

 

 最後に治癒力がかなり上がっている事だ。全て遠き理想郷のお陰か、軽い怪我なら数秒で完治してしまうレベルだ。また体も遥かに頑丈になっており、サーヴァントの攻撃でも数回は耐えられそうだ。

 

 これなら今回のループはかなりいいところまでいけるだろう。

 

 先ずは聖杯戦争を生き残る事。それが大切なのだから。

 

 

 

 

 やったぜ。さんるーぷめだぜい。

 

 再びイリヤエンドとか。俺は成長しないのだろうか。馬鹿野郎。

 

 バーサーカーは鬼門。せめてエミヤならまだなんとかなりそうなのに。ちくしょうめ。

 

 投影のレパートリーとしてヘラクレスの斧剣と勝利すべき黄金の剣が増えたのはいいが、ヘラクレスのは筋力が足りないので使えない。エミヤの腕を移植すればいいのだろうが、桜ルートはまだ早いし、まず原作通りに腕を移植出来るか分からないので期待出来ない。勝利すべき黄金の剣(カリバーン)はヘラクレスを一度に七度殺せる聖剣なので投影出来るようになって本当に嬉しい。うん。

 

 でも身体能力はもう最低限、燕返しや圏境が使える程度に馴染んで来ているわけで、少し早いがもう一つの目標を手に入れにいくか。

 

 目指すはエミヤの腕。無限の剣製だ。

 

 

 

 

 五ループ目。

 

 エミヤの腕入手成功!

 

 三ループ目では勢い余ってエミヤを瞬殺してしまい、手に入らず、バーサーカーと殺り合って相討ち。干将・莫耶を投影出来るようになったのはいいが、それ以外の収穫はなく。

 

 四ループ目にて、エミヤの腕を切り落とし、その後俺自身の腕を切り落としてエミヤの腕を移植。侵食が始まるが、望むところとわざと暴走させて昇天。

 

 そして現在に至る。

 

 ループを越えたため、エミヤの腕は完全に取り込まれ、無限の剣製を手に入れた。

 

 エミヤの記憶と経験。投影魔術にサーヴァントとしての霊的強度も少しだけ手に入り、とても素晴らしい成果である。

 

 これでサーヴァント相手にもかなり立ち向かえるようになった。

 

 これで後は王の財宝のみだが、手に入れる目処が立たないのでまずは原作を生き残る事を目指す事にした。

 

 

 

 

 七十ループ後。

 

 ようやく原作を生き残ることが出来た。

 

 まさか原作通りにしたら簡単に行けるとは思わなかった。

 

 あまりにどうしようもなかったから原作通りにしてみれば、あっさりと原作を生き残ることが出来た。俺の努力は一体……。

 

 まあいい。

 

 大事なのは原作を生き残り、王の財宝を手に入れる事。それだけだ。

 

 原作通り時計塔に来たが、さてどうするか……。

 

 

 

 

 百ループ経ち、現在百七十五ループ目。

 

 原作の衛宮士郎のように世界を回ったり、正義の味方して処刑されたり、間桐桜を助けるために奔走したり、遠坂凛と結ばれたり、執行者になったり。

 

 様々な衛宮士郎の可能性というか、未来というか。とにかく様々な結末を迎えたわけだが、王の財宝を手に入れる術は未だ見当もつかない。

 

 なので、聖杯に願うことにした。

 

 聖杯であれば、無茶な願いも叶うだろう。余程の馬鹿げた願いでもない限り。

 

 その為に俺は、聖杯を創造する。

 

 ーーなので、まず手始めに、魔術回路を増やすことにした。

 

 稀代の人形師である青崎橙子に五桁に及ぶ魔術回路を持つ義手を造ってもらい、移植した。一本増やすだけでも大変な魔術回路を無数に持つ義手だ。移植すればまともに魔術を扱えなくなる代物らしいが、どうせループを利用するつもりだったので遠慮なく着けさせてもらった。ついでにエミヤの赤原礼装を内蔵した義手も造ってもらい、移植した。

 

 次に、間桐の魔術の修得。

 

 間桐桜を救うついでにマキリの魔術を手に入れ、令呪のシステムを解明した。

 

 その次はアインツベルンを襲撃し、聖杯の製造法を手に入れた。ついでにイリヤを助け出し普通の暮らしが出来るようにした。この時イリヤの聖杯としての理論をすっ飛ばして結果を現出させる魔術特性を再現したものを青崎橙子に加工してもらい、体に移植する。最後に遠坂凛から遠坂の魔術を学んだ。

 

 その後、アインツベルンの魔術を元に新しい大聖杯の創造に入り、平行して外付けの魔術回路を青崎橙子に造ってもらい、ループの度に移植を繰り返した。

 

 そうして揃ったのは、数百のループを越えてようやく完成させた大聖杯と小聖杯に、数百のループの間増やし続けた七騎のサーヴァントに匹敵する魔力を生み出す魔術回路。七騎もサーヴァントはいらない。聖杯を発動出来るだけの魔力さえあれば。

 

 小聖杯に魔力を注ぎ、願望機として完成させる。その願望機を持って大聖杯を俺の魔術回路に融合。これにより、俺そのものが聖杯と成った。

 

 さて、これで王の財宝を手に入れる事が出来る。

 

 英霊の座にアクセスし、ギルガメッシュを読み取り俺自身にインストールする。

 

 プリズマ☆イリヤにて、エインズワース家が置換魔術により造り上げた英霊の力を人の身で扱えるようにした魔術礼装。それを聖杯の力で再現する。

 

 だが問題点として、かの英雄王をインストールする事は、あの自我の塊を己の内に入れるという事で、無事ではすまないという事。

 

 だが俺にはループがある。ギルガメッシュをインストールしたと同時に、聖杯の力でもって自害する。

 

 それで次のループにはギルガメッシュの力を手に入れた俺だけが残る。

 

 それで今回のループは終わる。

 

 六百ループ近く費やしたんだ。

 

 成功しなければ困る。

 

 さあ、やろうか。

 

 

 

 

 

 ……次のループ。

 

 ギルガメッシュの力を得るのは見事成功した。

 

 王の財宝も、エアも、全てを我が物とする事が出来た。

 

 お陰で今回のループが最後になるだろう。

 

 ……うん。

 

 だけど、何故に俺はギルガメッシュとして転生しているのだろうか。

 

 今回のループは本当におかしい事ばかりだ。

 

 が、神様の考えなんて読める筈もない。

 

 俺に出来るのはループをいかに早く終わらせるか。それだけである。

 

 よし、この世界のループが終われば次が最後だ。頑張るぞう。

 

 

 

 

 

 



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プロローグ5鋼の錬金術師ループ

 

 

 

 

 

 最後のループに入った。

 

 最後の世界は鋼の錬金術師の世界。

 

 最終目標は神を手に入れる事。

 

 ……うん。ふざけんな。

 

 お父様とか国土錬成陣とか色々難易度が高いわアホウ。

 

 まあ、いつもの事だが。

 

 仕方ない。さっさとこのループも終わらせよう。それで全てが終わるのだから。

 

 

 

 

 一ループ目。錬金術を習う。

 

 そして人体錬成を行う。

 

 真理の扉を開き、全身を対価に真理を得た。

 

 

 

 

 ニループ目。

 

 錬成陣無しの錬成が可能になる。

 

 なので賢者の石の製造を試みる。

 

 材料はなるべく悪人から集め、試行錯誤を繰り返す。

 

 老いで死ぬ間際にようやく賢者の石を完成させる。

 

 出来立ての賢者の石を体内に取り込み、拒絶反応で死亡。

 

 

 

 

 三ループ目。

 

 賢者の石を造り、体内に取り込むが問題なく取り込めた。恐らくは前回のループで取り込んだ賢者の石の分、魂が強くなったからだろう。そうと分かれば賢者の石を手当たり次第製造し、取り込んでいく。

 

 目標はホムンクルスを取り込めるほどの魂の強度を得る事である。

 

 しかし殺り過ぎたのか十年も経つとホムンクルスの影がちらつき始めたので、真理の扉を開いて全てを対価にして死亡した。

 

 

 

 

 四ループ目。

 

 今回のループは原作十年前から百年前ぐらいの間をランダムにループ転生しているようだ。

 

 原作には今のところ関わる気は毛頭ないため、ある程度賢者の石を造って取り込んだら、シンに向かい、錬丹術を学ぶか。

 

 そしてある程度力をつけたら、その時は一気にループを終わらせに行く。

 

 これで最後なんだ。モチベーションが上がるというものだ。

 

 

 

 

 百ループ後。

 

 錬丹術をマスターした。

 

 ついでに気の流れを読む技術も覚えた。これはこれまでのループで既に覚えていたから、この世界の技術として学び直したというのが正しいか。

 

 錬丹術を修得したから、次からは当初の予定通りループを終わらせに行こうと思う。

 

 ホムンクルス狩りだ。

 

 まず手始めに、所在のはっきりしている強欲のホムンクルス。グリードを狙う。

 

 最強の盾以外は特に問題ない相手で、注意するのも取り込む時の内在闘争ぐらい。後は他のホムンクルスの邪魔が入らないかどうかだ。

 

 

 

 

 三百ループ後。

 

 全てのホムンクルスを取り込む事に成功。

 

 しかし、お父様の取り込みには失敗。直接取り込むには実力も魂のストックも足りない。

 

 ……仕方ない。

 

 搦め手で攻めるか。

 

 お誂え向きに、国土錬成陣なんて代物があるんだ。

 

 利用しないのは勿体無いよな。

 

 

 

 

 

 千ループ後。

 

 国土錬成陣を利用し、逆に俺が全ての魂を得られるように、お父様を喰らえるようにする新たな国土錬成陣を描き、発動させる。新たな国土錬成陣の理論構築に百ループ。新たな国土錬成陣を大地に刻むのに三百ループ。発動させるのに六百ループかかった。

 

 苦労したかいあり、これを発動した時のお父様の顔は筆舌にし難いぐらいに見物だった。

 

 これにより、アメストリス人五千万人分の賢者の石とお父様そのものを取り込んだ。タイミングが悪く、神は手に入らなかったがそれでも十ニ分にすぎる成果だ。

 

 その後すぐに真理の扉を開き、全てを対価にし死亡。

 

 これにより、俺はお父様と同じ力を持つに至った。

 

 力が同じならば、勝敗を決めるのはいかに相手の手を読み、己を有利にするかどうかだ。

 

 ループをする俺ならばどちらも可能である。

 

 そして最早俺の有利は揺らがない。

 

 故に、今度は神をも横取りする国土錬成陣の理論を構築し、実行に移した。発動までに五百ループも費やしたが、その間国土錬成陣を利用しての賢者の石横取りを繰り返していた。高々五千万人分の賢者の石を手に入れたお父様よりも賢者の石には遥かに余裕がある。神の力を振るうのもお父様より断然使いこなせるだろう。なんせ二百五十億人分の賢者の石だ。桁が違う。

 

 そして神を手に入れた俺は、次のループ。最後のループに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、久しぶりだね」

 

「神か」

 

「おめでとう。これで君は転生特典を全て手に入れ、無事転生する事が出来る」

 

「正直もう転生はお腹一杯なんだが?」

 

「おいおい、まだ転生特典を手に入れたばかりじゃないか。まだまだ満足してもらっちゃ困るよ」

 

「と言われてもな」

 

「なに、これから転生する世界は君を退屈させはしないよ」

 

「どうだか。神の力を手に入れ、世界の創造も破壊も可能な俺を満足させられるものがあるのか?」

 

「あるさ。なんせ、君の同類がうじゃうじゃいる世界なんだから」

 

「転生者か!」

 

「いぐざくとりー。まあ、君みたいな方法で力を手に入れた奴はいないだろうけどね。しかし転生者の力は君を殺しうる可能性を秘めている。素晴らしいと思わないかい?」

 

「悪くはないな。ループしない、正真正銘最後の世界だ。それくらいが丁度いい」

 

「よし。じゃあ早速転生させるね!」

 

「ああ」

 

「ちなみに転生先の世界は魔法少女リリカルなのはだから」

 

「ああ。ん?魔法少女?」

 

「そ。魔法少女」

 

「魔法少女かー」

 

「うん。それと君にもう一つ転生特典をあげよう。というよりこれも君が手に入れた転生特典だから、返すというのが正しいかな」

 

「うん?」

 

「君が今までのループで築いてきた絆。それを特典としよう。君専用の英霊の座みたいなものだね」

 

「え?」

 

「つまり君が絆を結んだ相手をサーヴァントのように召喚したり会話出来るようにするわけだよ。良かったね。普通のサーヴァントと同じく再召喚も出来るから、永遠に一緒にいられるよ」

 

「な」

 

「いやあ、リアル修羅場なんて中々拝めないから今から楽しみで仕方ない」

 

「ま、待て!」

 

「それじゃ、またね。転生者君。次に会う時を楽しみに待っているよ」

 

「うわあああああああああ!」

 

 

 

 

 

 



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原作前 プロローグ

 

 

 

 

 

 転生先は魔法少女リリカルなのはの世界。

 

 転生する時期は原作開始五年前。

 

 転生する際にされた神様の注意によると、この世界は原作の世界。二次元の世界ではなく、あくまでも無限に存在する並行世界の中から一番原作に酷似した世界として選ばれた世界であり、二次元と勘違いしてはいけないと説明された。

 

 ちなみに俺がループさせられていた世界もそうらしく、俺は身に染みて理解していたので特に動揺はしなかった。

 

 さて、身一つで転生させられたので住む場所も何もないホームレススタート。更に体も原作開始に合わせたのかかなり幼い。具体的に言うならば四才ぐらいの幼児。

 

 まあ、適当に幻術で戸籍作らせて宝石や貴金属を売れば衣食住は問題ない。

 

 問題は俺以外の転生者だが、ふむ、手っ取り早く未来視で探してみるか。

 

 

 

 

 ーー二十一の青い光を放つ石を身に纏った金色の魔女が世界を焼き尽くす。

 

 

 

 

 ーーこの世界にあり得ざる力を喰らい尽くし、神をも喰らわんと猛る怪物の姿。

 

 

 

 

 ーーこの身を貫く十字槍を握る女。

 

 

 

 

 

 ……ふむ。これは酷い。

 

 これがこの世界の辿りうる未来の可能性か。

 

 この世界にいる転生者はざっと一万人以上。その内原作とか関係なく平和に過ごしているのが一割。原作介入を狙う転生者が九割。その内、他の転生者を排除するために過激な行動を取るのが七割。そして原作とか関係なく暴れる転生者が少なくない数いる。

 

 なにより俺が一番酷いと思うのは、このまま放っておけば世界が滅ぶという事。ではない。未来が一つ残らず全て滅んでしまっている事だ。ハッピーエンドなんてない。希望なんてない。例外なく滅びしか待っていない。原因は転生者。神から与えられた力を我が物顔で振り回し、世界を壊す愚か者共のせい。かといって転生者を根絶やしにしても世界は滅ぶ。本当に酷い話だ。

 

 許せない。ああ、許せる筈がない。何より簡単に力を貰っているからとかではない。決して。ええ。本当に。

 

 ……。

 

 仕方ない。折角転生した世界。転生者のくだらないいざこざで滅ぼすのは惜しい。

 

 故に、我が全身全霊を持って転生者を律するとしようか。

 

 まず手始めに、BLEACHからロカ・パラミアの反膜の糸を使い、この第九十七管理外世界地球に存在する全ての転生者に繋げ、情報を得る。情報を得たらそれを元に戦術を構築。そして準備を終えたら、ユーハバッハの力により、海鳴市の影の中に世界を創造。そこに転生者を全員瞬間移動させた。そして、俺はユーハバッハの姿を借り、創造されたばかりで何もない世界に飛ばされて動揺している転生者達の前に姿を現した。

 

 

 

 

 

 それは突然だった。

 

 気が付いたら、地平線まで床が広がる白い世界に連れてこられていた。

 

 前世で神様のミスとやらで死に、お詫びとして魔法少女リリカルなのはの世界に転生させてもらって四年弱。そこまで強力な特典を選ばなかった私は原作には極力関わり合いたくない気持ちで大人しく生きてきた。

 

 なのになんだこれは。

 

 いきなりだ。

 

 家で原作のストーリーを思い出し、ノートに書き記していた時に、いきなり私はこの場所に連れてこられていた。

 

 少し落ち着いてくると、ここには私以外にも連れてこられた者がいるらしく、あちこちから怒号や悲鳴、雑音が溢れていた。

 

 連れてこられた者達を見てみると、ある共通点があった。

 

 銀髪オッドアイ。金髪赤眼。アルビノカラー。またはアニメや漫画にいたような顔。総じて不自然なほどにイケメンで、喋る内容も似たり寄ったり。

 

 転生者だ。

 

 ここにいるのは転生者ばかりなんだ。

 

 そうと気付いた瞬間、私は一気に血の気が引き、心臓が一際大きく鼓動を打った。

 

 不味い。

 

 予感が背筋を走る。

 

 集められた転生者。

 

 神様は転生させた者達には不干渉だと言っていた。それは他の神々との協議の結果定められたルールであり、絶対だと。もし破れば、他の神々によって消滅させられるのだと。

 

 ならばこの状況は転生者によるものだ。

 

 それもとてつもなく強大な特典を持った転生者だ。でなければこんなにも大勢の転生者を一度に、一方的に拉致する事は出来ない。

 

 集めた理由は?

 

 私達転生者を一方的に集めた理由は?

 

 転生者狩り。

 

 転生者の中には同じ転生者を狩る者がいると知り合いの転生者から聞いた覚えがある。

 

 その目的はハーレム建設のための障害を排除するために、転生者の持つ特典を奪うために、または好き勝手自由に生きるのに邪魔だから。様々だ。

 

 ではこれを起こした転生者は何が目的か。

 

 分からない。怖い。私はただ平穏に暮らせればいいのに。それだけなのに。なんで。どうして。

 

 私はーー。

 

「初めまして。転生者諸君。私の名はユーハバッハ。君達転生者を管理する者だ」

 

 現れたのはある程度歳を経た男。

 

 その姿を私は知っている。

 

 BLEACHに出てくる最後の敵にして、滅却師の父。

 

 ユーハバッハ。

 

 その男の姿をした転生者がそこにはいた。

 

 突然現れた元凶らしき男に、一部の転生者達が怒号を上げ、神様から授かったのだろう力を振るう。

 

 が、しかし、それらは一瞬で蹴散らされた。

 

 男が軽く手をはらっただけで、大量の武器も、光の柱も、その意味を失った。

 

「今日この瞬間、この場所に君達転生者を拉致したのは私だ」

 

 男は何もなかったかのように言葉を紡ぐ。

 

 その足元には数十人の転生者が倒れているが、気にも止めていない。いや、そもそも認識しているかどうかすら怪しい。それだけの力の差が存在していた。

 

「何故こんな事をしたのか。理由を今から説明しよう」

 

 倒れていた転生者の一人が、男が背を向けたのをチャンスと見たのか武器を手に襲いかかった。

 

「未来を見たのだ。この世界がこれから辿る滅びの結末を」

 

 転生者は見えない何かに弾かれたかのように空に打ち上げられ、鈍い音をたてて地面に墜落した。

 

「転生者達によるいざこざにより、この世界は遠くない未来、滅ぶ」

 

 未来を見た。

 

 それはつまり、あの男は原作のユーハバッハと同じように未来視の力を有するという事。

 

 未来視という事は、その先の未来改変能力もあるかもしれない。そんな相手をどう倒す。不可能だ。原作の一護は、多くの仲間のお陰で倒すことが出来た。

 

 しかし今この場にいる転生者で、協力してあの男を倒せるのか。

 

 不可能だ。

 

 ここにいるのは、皆この男の術中に嵌まった者ばかり。それはつまり、この場にいる転生者の力では男に勝てないという事だ。一ヶ所に転生者を集め、その目の前に姿を現したのは自信の現れに他ならない。

 

 そして私は戦闘系の特典ではない。そもそも戦えず、あの男が首を刎ねるのを待つのみ。

 

「故に私は、転生者を管理する。世界を滅ぼさないために、無意味な争いを起こさないために」

 

 男はそういい、邪悪に微笑んだ。

 

「さあ、平和の為の礎となれ」

 

 そこから先は語るのも憚れる。

 

 それでも尚、ただ一つ。語るとするなら、あの男に逆らう事の愚かさを、私達はその魂に刻まれたのだ。

 

 

 

 

 

 いやあ、激戦だったぜ。

 

 一万人を超える転生者達との戦いをダイジェストで終わらせ、後処理の時間である。

 

 先ず原作介入組の内、危険思想を持つ七割から原作知識と転生特典、前世の記憶を奪い、元いた場所に返却する。その際、周囲の記憶改竄と被害の対処を忘れずに行う。その他原作介入関係なく暴れる転生者も同様の処理を行う。

 

 転生者の特典を奪う方法だが、意外に簡単だった。

 

 神様の特典というから奪えるか分からなかったが、なんの事はない。魂に雑に貼りつけてあるだけで、魂に干渉する技術があれば簡単に剥がせるし奪えた。神様よ。もう少しちゃんとしようぜ。転生者が可哀想だ。

 

 残りの転生者で戦う力を持たない者は、保護か、自衛の為にある程度の訓練を、戦う力を持つ者は他の転生者に徒に危害を加えないように監視をつけた。そして全ての転生者に幾つか最低限の決まりを作り、守らせる。そして影の中に造り上げた世界を見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)とし、転生者達の交流場所兼監視塔としてそこに城を築いた。

 

 よし。これで地球の滅びは一先ず回避出来た。次は別の次元世界の転生者も確認するか。

 

 転生者のせいで世界滅亡とか冗談じゃないし。

 

 

 

 

 

 いい人でした。

 

 というか、ユーハバッハの外見に騙されたけど、無秩序で混沌とした転生者達に最低限の決まりを作り、それを守らせることで規律を敷く。これによって、戦えない転生者は守られ、戦える転生者は自重し、転生者同士の衝突も目に見えて少なくなった。

 

 やってる事は転生者専用の警察みたいで、とても助かっている。

 

 一万人近くいた転生者も今は二千人に満たない数しか残ってないけど、殺したわけじゃないし、中には殺されてもいいぐらいの事をやらかしている奴でもちゃんと生かして返している。記憶と特典は取ってるけど。

 

 最低限の決まりにしてもあってないようなもので、

 

 一つ、転生者同士の殺し合い禁止。

 

 一つ、精神干渉系能力の悪用禁止。

 

 一つ、原作介入は自己責任。

 

 一つ、転生者関連の事物の取り扱いは慎重に。

 

 一つ、その他モラルに反しない事を心がけること。

 

 以上、五つの決まりを守れば自由にしていいらしく、普通に過ごす分には何の問題もない。原作介入を禁止しているわけでもないから、原作介入組の転生者達も不満はないようだ。

 

 今のところユーハバッハと名乗る転生者、姿から陛下と呼ばれている彼が行っている転生者の監視と保護は十全どころか過保護なくらいである。

 

 彼が影の中に造った世界、見えざる帝国は転生者ならば何時でも影から出入りする事が出来、そこに築かれた巨大な城にある施設の利用や転生者同士の交流が出来るようになっている。

 

 例えば、城の中には転生者が寝泊まりするための部屋が用意されており、朝昼晩の食事におやつも合わせて宿泊費無料で提供されている。家がない転生者やそれ以外の人にも重宝されていたり。

 

 戦えない転生者の為に修練場などの施設もある。指導役の先生が常に常駐していて、その面子に私が一番驚いた施設でもある。なんせ、指導する先生はNARUTO、ドラゴンボール、BLEACH、fate/stay night、鋼の錬金術師から選ばれており、うちはマダラと千手柱間がいたり、孫悟空とベジータ、ブロリーがいたり、ヨン様がいたり、エミヤやアルトリアがいたり、お父様がいたりと色々凄い事になっていた。うん。かおす。しかも転生者というより、まるで本人みたいで生きた心地がしなかった。特にブロリーとヨン様。エミヤは食堂と掛け持ちらしく、あまりいないけれど。いる時はかなり人気である。無限の剣製の熟練度が本物クラスというか本編以上なので学ぶことは多いようだ。

 

 転生者由来のアイテムを保管する宝物庫もあって、そこには黄金の玉座があり、英雄王ギルガメッシュがいる。性格は原作よりマイルドだがAUOなので会話には注意が必要である。現に調子に乗った転生者が血祭りに上げられた。ヤムチャしやがって。

 

 転生者由来の生物を飼育する自然公園もある。ポケモンだったりアラガミだったりが住まうカオスその二である。ここの担当はエルキドゥで、たまにギルガメッシュのところにいて不在だったりする。私の特典である霊視で下級大虚が見えたので極力近付かないようにしている。

 

 転生者に教える学校のような場所もある。そこで教えるのは学校で習う事から、魔術や魔法まで幅広い。担当は衛宮士郎とそのハーレムである。衛宮士郎、遠坂凛、間桐桜、イリヤ、バゼット、カレン、ルヴィアのメンバーは、主に前世と現世合わせても低年齢の転生者に勉強を教えている。人気ヒロインなのでそれ目当てに来る転生者もいるけど、どう見ても衛宮士郎のお手つきだから希望はない。強引な手段を取ろうとする転生者はハーレム直々に袋叩きにされるので素直に諦めるのが吉。

 

 他にも転生者達の知識を集めた図書館、担当はライダー・メデューサ。エミヤや衛宮士郎がいる食堂。涅マユリ率いる技術開発局などがある。

 

 正直これらを用意出来る時点で陛下は転生者の中でも別格である。原作みたく敵の首領でなくて本当に良かったと思うよ。マジで。

 

 まあ、それでも転生者の中には不満を持つ奴もいるみたいだけど、表立って反発する転生者がいないのは良いことなのか悪いことなのか。

 

 

 

 

 

 ループの途中、ふと魔が差す事が何回かあった。

 

 原作のヒロインといい感じになりたい。

 

 そんな、誰でも思う事を実行に移したのは一度や二度じゃない。ループの度にヒロインを取っ替え引っ替えは当たり前。中にはハーレムを築いたループもあった。ぶっちゃけ女に刺されたのも一度や二度じゃない。

 

 そんな俺が、神様に貰ったのはそんないい感じになった相手専用の英霊の座。もう会えないと思っていた愛していた相手とまた会える。とても嬉しかったのは覚えている。けれど同時に、血の気が引いたのも覚えている。

 

 正直俺が愛した相手は一人二人じゃない。桁でいうなら三桁はいる。関係を持った相手はそれ以上である。とても不味い。開けてはならない気がする。パンドラの箱もここまで禍々しくは感じないだろう。

 

 だが使わないのは勿体ないし、再会したい相手が大勢いるから使わない選択肢はない。……腹を括るか。

 

 転生者の管理に人手が足りないので分身を創造し、一度喰らった事のあるインパクトの強い奴の姿と能力を再現し、各施設の担当に配置した。後は俺の英霊の座から適当な奴を呼び出せば終わりだ。うん。……やっぱり全部分身にしちゃ駄目?あ。駄目。ですよね。ちょ、待って。天の鎖(エルキドゥ)は反則ーー。

 

 

 

 

 



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原作崩壊のプロローグ

 

 

 

 

 

 諸々の問題を終わらせ、なんとか海鳴市に帰還。……よく生きて帰れたなあ。うん。

 

 神様は本当に何を考えているのだか。

 

 まあいい。そんな事より表向きの拠点が欲しいな。原作に関わるかどうかはまだ未定だが、あって困るものじゃあない。都合がいい場所がないか歩きながら探していく。力を使えば簡単だが、今は歩きたい気分だ。尚、面倒だからユーハバッハの姿ではなく、転生した時の幼い姿に戻っている。別人として振る舞うためにユーハバッハの姿をさせた分身を見えざる帝国の城の玉座に待機させているのでアリバイはばっちりだ。……まあ、転生者にはアリバイなんてあまり意味のない話だが。やらないよりはましだろう。

 

 さて、どこかに都合がいい場所はないものか。途中、ツインテールの女の子が変質者に襲われていたので助けたりしたが(変質者は暗示で警察に自首させた)、都合がいい場所は中々見当たらない。

 

 一応転生者全員にちゃんと戸籍が用意されているらしく、確認出来た。でも四歳の幼児が天涯孤独なのは違和感しか感じない。そこらへんもどうにかして欲しかった。面倒だからバレないように注意しておこう。

 

 そうしてぶらぶら歩いていると、何やら揉めている連中がいるので近付いてみた。

 

 中心には車椅子の少女がいて、周りには転生者が三人。

 

 どうやら原作ヒロインに関わろうとして、同じ考えの転生者達と鉢合わせ、口論になったのだろう。踏み台とかオリ主とか、未だに妄想と現実に区別のつかない馬鹿な会話をしている。

 

 囲まれているのは原作ヒロインの三人の魔法少女の一人、八神はやてか。ふむ。酷く狼狽しているな。当たり前だが。いきなり知らない人が話しかけてきて自分の名前を知っていたり、そんな奴が三人自分を囲んで喧嘩だ。泣いてもいい。

 

 仕方ない。あまり転生者に苦手意識を持たれても不都合だ。助けよう。

 

 物陰で影分身を使い四人になり、変化の術で猫に変身。

 

 未だ奪ったばかりで完全に使いこなせない魔法による念話を実行。

 

『ファミチキください』

 

『こいつ、直接脳内に!って、なんやこれ?本当に脳内に』

 

『隙を作るからその間に逃げて』

 

『え、え?』

 

 思わずネタに走ってしまったが、ちゃんと通じたことに安心しつつ、直ぐ様分身猫三匹を言い争う転生者達に差し向けた。

 

 顔面に綺麗に張り付き暴れる猫に転生者達は見苦しい悲鳴を上げて騒ぎ立てる。

 

 八神はやては驚きつつも、逃げられると分かると車椅子で出せるスピードか疑わしい急加速で転生者達の包囲を突破。無事彼女は脱出する事が出来たのだった。……転生者達はしばらく猫の餌食になっていてもらおうか。なに、ちょっとした嫌がらせだ。うむ。

 

 

 

 

 

『やあ、こんにちわ』

 

「猫が、喋っとる!?」

 

 転生者達から逃げきれてほっとしていた八神はやての前に姿を現す。本当ならそのまま見送るだけのつもりだったが、少しばかり気になることがあったのでわざわざ目の前に姿を現した。ちなみに猫の姿なのは変化を解き忘れているだけで深い意味はない。

 

『正確には念話といって、魔法で話しかけているだけだけどね』

 

「あ、そうなん?なんだ魔法かー……。魔法てなんやねん!」

 

『まあ、細かい事は置いといてさ』

 

「置いとくなや!魔法とかツッコミどころしかないわ!」

 

『まあまあ、落ち着いて。ほら、さっきそこで拾った猫じゃらしを上げるからさ』

 

「あ。これはどうも。て、アホかー!遊べってか!催促か!?やってやろうやないか、うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃ!」

 

 この後滅茶苦茶にゃんにゃんした。尚全年齢版。

 

 閑話休題。

 

「……で、結局なんなん?」

 

 しばらく戯れた後、落ち着いたはやてがそう切り出した。

 

 年齢に見合わぬ落ち着きぶりだが、まあそんなのは今更だ。ついついギャグを入れたくなるのは彼女の雰囲気(ノリ)のせいか今の姿のせいか。それは後で考えるとして、そろそろ本題に入るか。

 

『そうだね。なら単刀直入に言うとさ』

 

 俺は姿勢を正し、八神はやてを見上げて言った。

 

『僕と契約して、魔法少女になってよ!』

 

「え、嫌やけど」

 

 …………。

 

『そこをなんとか』

 

「嫌やわ。あれやろ?私の大事なもんをこねてあれして取り返しのつかなくするあれやろ?」

 

『うん。その言い方は誤解を招くね』

 

「絶望させて魔女にするよりはましやろ」

 

『う、うーん?そう、なのかな?』

 

 なんでだろう。別にインキュベーターでもないのに理解できないや。

 

 ま。冗談はここまでにしとこうか。流石にこれ以上はぐだぐだになる。この世界に魔法少女まどか☆マギカがあるのは驚きだが別に重要な事でもない。

 

 それよりも大事な事があるのだから。

 

『とまあ、冗談はさておき、本題はさ。住むところがないから居候させてよ』

 

「ええよー。ていうか、飼い主を自ら探す野良猫とか新しすぎるわ!」

 

『え、どっち?いいの、駄目なの?』

 

「ええよええよ。猫一匹といわず百匹でもええよー」

 

『ありがとう』

 

「礼をいうなら私や。さっき助けてくれたのは君やろ。ありがとうな」

 

『どういたしまして』

 

「ほな、私の家にいこか」

 

 本当にありがとう。これで監視(・・)が出来るよ。

 

『うん。あ。その前に変化を解かないとね』

 

「え」

 

 猫の変化を解く。そして現れるのは今生のマイボディ。白髪に赤い瞳のアルビノ擬きの姿に、美幼女といってもいいぐらい整った顔をしていながら実は男という外見詐欺。今生の俺である。

 

「さあ、いこうか」

 

「……」

 

「うん?あれ?八神はやて?……気絶してる」

 

 どうやらお子様には刺激が強すぎたようだ。

 

 

 

 

 

 ーー時を同じくして、転生者を追うために生み出した分身で地球以外の世界を探していたところ、それらしき反応を見つけたので急いで向かえばあらびっくり。時の庭園でした。原作崩壊の予感……!

 

 とりあえず目の前で見たことある女性を殺そうとしている転生者を蹴り飛ばした。

 

「ぐはあっ!」

 

「大丈夫か」

 

「あ、あなたは……?」

 

「あれを追う者だ」

 

 女性はやや警戒しながらも、すぐに注意を蹴り飛ばされた転生者に向けた。まあ、警戒するのも仕方ない。今の俺はうちはオビトの変装、トビの格好をしているからな。怪しくて当然である。

 

「ぐ、くそ!俺様を蹴り飛ばすだと?幻想殺し(イマジンブレイカー)か?まあいい。どうせ同類だろう!殺してやる!オリ主たる俺様の邪魔をしたんだ!楽に死ねると思うなよおおおおおおおお!!」

 

 見た目は白髪に赤い瞳のアルビノ。能力は一方通行(アクセラレータ)のベクトル変換。他の特典は魔力SSS、チョーカー型のストレージデバイス。転生者達から奪った特典の中には転生者の特典を暴く特典があり、それを使って特典を調べた。ちなみに特典を奪う特典もあったが、どちらも俺には効かなかった。こいつにはどちらも有効だろうな。

 

 両手を伸ばして襲いかかってきた転生者の腕を無造作に弾く。

 

 まさに原作通りの無様を晒す転生者。

 

「は?」

 

 体の勢いが空中で完全に死に、呆けた声を上げる彼に、俺は仮面で分からないだろうが満面の笑みを浮かべて拳を握った。

 

 せめてもの手向けだ。原作通りに破ってやろう。

 

「木原神拳!」

 

 奪った特典の中には幻想殺しもあるがわざわざ使う意味もない。ならばいつかのループで会得して使い道のなかったこの技を使おう。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァァッ!!!」

 

「ぶげぴぁーー!?」

 

「釣りはいらない。存分に味わえ」

 

 名も知らぬ転生者。再起不能(リタイア)

 

 豪快に吹き飛び、地に伏した転生者にいつも通りの処理をし、元いた場所に返却する。

 

 ……さて、後はこの女性を治療して終わりだ。転生者に浅くはない怪我を負わされているみたいだから早急に手当てしなければ。

 

「倒した、のね……。あなたは、一体……」

 

「通りすがりの忍だ。治療をする。安静にしていろ」

 

 医療忍術で怪我を治し、更に迷惑料として患っていた病気も完治させておく。……しかしプレシア・テスタロッサか。無印のラスボスだが、こうして見ると華奢な女性である。ループ時代の俺ならつい手を出してたかもしれないな。うん。

 

 しかしこれは原作にかなり影響しただろうな。力を使えば無かった事には出来るが、わざわざ治療した彼女を再び病気にするのはやりたくない。ま。困るのは他の転生者だからどうでもいいか。問題は……。

 

「どうした」

 

『あ。やっぱり私が見えるんだお兄さん』

 

「……そうだな」

 

 悪霊(アランカル)で死神で霊王ですし。

 

 まあ、見えるよね。ていうか、まだ成仏していなかったのか。

 

 アリシア・テスタロッサ(霊)がそこにいた。

 

「成仏したいのか」

 

『うーん。まだ見守っていたいからいいかな』

 

「そうか」

 

 まさか彼女に出会うとはな。……だがこれも縁か。

 

「迷惑料だ。ついでに生き返らせてやる」

 

『え?』

 

「お誂え向きの力もつけてな」

 

 助けた女性がやがて狂気に落ち、死に至るのを知っていながら見過ごすのはあまり気分が良くない。原作が完全に崩壊するがどうでもいい。だから生き返らせる。幾らでも手段はあるのだから。問題は転生者対策だが、丁度アイテムボックスのこやしがある。それを使おう。

 

「ゴロゴロの実。自然(ロギア)系悪魔の実の一つで、雷の力を得られる代物だ。オリジナルは食えば海を泳げなくなるが、これは特典(レプリカ)だからそんな弱点はない。無敵ではないがそれに近しい力を持つ。使い方も含めて一緒に与える」

 

『お兄さん。私生き返れるの?』

 

「ああ。迷惑だったか」

 

『ううん。嬉しいよ。でも私は何も返せないよ』

 

「かまわん。子供はただ素直に喜んでいればいい」

 

 転生者の特典は、転生者の脆弱な魂を壊さないように何重ものプロテクトをかけてある。それが簡単に奪える理由だろう。だが俺は、それを解除出来る。そのまま与えれば彼女の魂が持たないが、俺の霊力を流し込み、特典を受け止められるように調整する事で他の転生者より何倍も使いこなせるだろう。ついでに原作知識からオリジナルの情報や雷系の能力者の情報も与えて終了だ。

 

「ではな。俺は地球に、……元いた場所に帰るとする」

 

『ありがとうお兄さん!また会えるかな?』

 

「ああ。きっとな」

 

 ……原作ブレイクしたから分からんけどな!

 

『……うん。きっと会いに行くから』

 

 帰り際にアリシア・テスタロッサを蘇生し、速やかに時の庭園から姿を消した。

 

 

 

 

 

 ループを繰り返すうちに、俺はその時の肉体に合わせて演技する癖を作った。それはどのループでも例外ではなく、その時々で最適な言動をするように、人格すらも模倣してきた。それは最早姿を変えているだけの時でも無意識に行っているほど当たり前のように。例えば衛宮士郎の時は正義の味方を目指す少年。英雄王の時は傲慢なる王。と。本物のギルガメッシュには道化だと言われ、女の皮を被れば愛でるのも悪くない。と謎の評価を頂いた。これはどんな評価なのか未だに判断しかねるが、まあいい。今現在直面している問題の現実逃避なので何らかの答えを出すつもりはない。それよりもここから逃げる方法を考えなければ。

 

「どこに行くのじゃ?ん?」

 

「私どころか夜一様からも逃げようとするとは、覚悟は出来ているのだろうな?」

 

 ダレカタスケテ。

 

 

 

 

 



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それぞれのプロローグ

 

 

 

 

 

 

 因果応報とはこういう事を言うのだろうか。

 

 俺は神様から貰った特典である英霊の座に入った。

 

 と、思ったら鎖に絡め捕られて椅子に座らされ拘束。

 

 目の前には久しぶりに再会した、もう会うことはないと思っていた愛しい相手。

 

 ×三桁。

 

 あ。死んだ。

 

 これからどうなるのかと戦々恐々としていたら、何やら内輪揉めというか戦争が勃発。

 

 第一次正妻戦争開始!みたいな状況に。

 

 戦える力を持つものは力で戦い、持たぬものは舌戦を繰り広げ、特に拘るつもりのない者は俺の側でヤジを飛ばして観戦したりと、正直どんなカオスと言いたい。だが言えない。言ったら刺されそう。

 

 

 

 

 

「ということがあったんだ」

 

「……まあ、自業自得だな。というか何故オレのところに来た、カエデ」

 

「いや、うん。お前ならという安心感があってな」

 

 第一次正妻戦争から少し経ち、別の座にて。

 

 この英霊の座は個室みたいな個人の領域と、大広間みたいな座にいる者達で交流出来る場所に分かれている。

 

 ここはその個人の領域であり、主に合わせてか庭付きの木造の屋敷が存在するだけの世界。

 

「なあ、扉間」

 

「相変わらずだな。お前は」

 

 千手扉間。それが主の名である。

 

 ちなみに今の俺の姿はとあるループにて、政略結婚で千手扉間に嫁いだうちはマダラの妹。うちはカエデその姿である。容姿は白髪に赤い瞳とアレだが、顔はいいから美人の範疇には入るだろう。うむ。

 

「神とやらからある程度の説明と、他のループでの記録も一部貰っているから、浮気とも少し違うのは分かる。別ループ。いわば来世まで縛るつもりもないからな。まあ、女共は知らんが」

 

「あはは」

 

「お前は女なら一途なのに、何故男になったらなったでだらしないんだ。……気持ちは分からんでもないが」

 

「だよね!」

 

「嬉しそうにするなこの阿呆が!」

 

「ひゃー」

 

 

 

 

 

 座にいる彼ら彼女らの記憶は、他のループの記憶もあったりそのループの記憶しかなく、記録でしか分からなかったりとバラバラである。恐らくは一線を越えたループの記憶だけがあり、それ以外の記憶は記録という形でアニメや漫画みたいに閲覧出来る情報でしかないのだろう。

 

 ちなみに第一次正妻戦争の結果だが、結局独占は駄目という結論が出され、ぶっちゃけ影分身やら何やらで全員を一度に相手出来る(意味深)という事から一応は収まった。が、一部が外に出たがったので問題がなければ召喚して見えざる帝国に、海鳴市には影分身同伴ならと条件をつけて。うん。疲れたよ。

 

 

 

 

 

 私はその日、運命に出会った。

 

 私が気味の悪い三人の男の子達に囲まれて困っていた時、助けてくれた猫。もとい男の娘に出会ったのが始まりだった。

 

 その男の子は魔法が使えたり猫に変身したり魔法少女に勧誘したりと訳が分からないし、家が無いから居候させてと言ってきたり、とにかく意味不明だった。

 

 けれど、私はそれ以来一人ぼっちじゃなくなった。

 

 親を早くに失って、父の友人が後見人になってくれたけれど遠くにいて一度も会ったこともなく、付き合いのある大人といったら病院の担当医である石田先生ぐらい。足のせいで学校にも行けず、一人で過ごす日々。

 

 そんな日々も彼が来てからは変わった。

 

 というか変わり果てた。

 

 気が付いたら庭に妙にふてぶてしい黒猫がいたり、屋根裏からおかっぱ頭の忍者みたいなお姉さんが現れたり、白い仮面を被った黒いのがいたり、クローゼットの中から出所不明の大金が雪崩れてきたり。

 

 ……うん。

 

 極めつけに、私の足は家に前からあった本の呪いだとかで魔法であっさり治してしまい、四年経った今では足のリハビリもとっくに終わり、復学して普通に学校に通い、今では皆勤賞更新中である。

 

 なんだろう。なんか違う。なんかこう、な?例えるなら魔法少女の第二期の薄幸のヒロイン枠でその健気さでファンのハートをがっちりキャッチする感じだったのに台無しにされた感じがするんよ。

 

 なんやろな、これ。

 

 まあええわ。とりあえずそろそろ学校だからあの子呼びに行こか。

 

 庭にある物置小屋があの子の工房。魔術師的にはかなり重要な場所らしいけど、あの子にとっては鍛練に使えればどこでもいいらしく、選んだ理由も適当だった。

 

 物置小屋の扉を開け、中を覗くとそこには美少女に見えるが実際は男の子な私の同居人にして命の恩人。そして……。

 

「カエデ」

 

「ん。もう時間か」

 

「いつも熱心に鍛練して偉いなー」

 

「必要な事だからね。欠かせないよ」

 

 薄手のシャツが汗で肌に張りついて色っぽいというか、……エロいなあ。これほんまに私と同い年の小学生なんやろか。

 

 うちはカエデ。

 

 不思議な居候。そして私の大切な家族。

 

「シャワー浴びてくるから待ってて」

 

「うん。待っとくなー」

 

 今日も私の一日は始まる。

 

 願わくば、こんな日々がずっと続きますように。

 

 

 

 

 

 あの日以来、何もかもが上手くいかない。

 

 あの男。ユーハバッハと名乗る転生者に出会ってからだ。

 

 一度目は初めてあの男と邂逅した時。

 

 神から与えられた力、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を全力で振るい、戦った。

 

 だが届かなかった。

 

 無造作に振るわれた腕に全ての財を弾かれ、反応すら出来ずに地に沈められた。

 

 二度目はこの力のオリジナルである男、英雄王ギルガメッシュと戦った時。

 

 啖呵を切り、力を振るって襲いかかったが、気が付いたら無数の財と共に地面にひれ伏していた。

 

「その力は誰のものか、よもや忘れたとはいうまい。貴様は強くなったのではない。力に溺れ、己を見失っただけの雑種に過ぎん」

 

 俺はその言葉に何も返すことが出来なかった。

 

 強くなったのではない。そうだ。俺は王の財宝を手に入れた。魔力もSSSランク。デバイスだって。

 

 だがそれは後付けの力だ。それを取ったら俺には何が残る。

 

 同じ王の財宝を持つ英雄王には手も足もでず、魔力SSSランクなんて転生者にはざらにいる。デバイスも同じだ。ならばそれ以外に、他よりも秀でたところがあるかと聞かれて俺は、答える事が出来るのか。

 

「己の欲するものすら忘れたか。哀れなものよ。目障りだ。疾く去れ」

 

 俺は……。

 

 

 

 

 

 魔法少女リリカルなのはの世界に転生して早八年。

 

 色々あったが今日まで無事に過ごすことが出来た。

 

 原作がもうすぐ始まるが、どうやらこの世界は既に原作崩壊しているようだ。

 

 俺も原作キャラ達と同じ私立聖祥大附属小学校に通っているからよく分かる。

 

 高町なのはは原作では運動神経が切れているとすら言われていたのに、この世界の高町なのはは違う。月村すずかとドッヂボールでキリングゾーンを作り出し、かけっこでは常に一位。何より暴漢すら一瞬で制圧出来る。戦闘民族高町家として覚醒していてもう笑うしかない。OHANASHIすれば分かってくれるって、ええ?

 

 更に八神はやてが普通に二本の足で通学しており、原作キャラ達と普通に友達グループを形成している。まさかの二期終了である。恐らく原因は八神はやての横にいる白髪赤目の美少女……みたいな男子。うちはカエデ。名前的にどう考えても転生者であり、八神はやてが今現在元気に学校に通えるのはこいつのお陰だろう。いくら原作介入は自己責任とはいえ、思いきった事をする。そして八神はやてと同棲してる確率が非常に高い。というかほぼ確定だろう人物。当然、そんな存在を目障りに思う転生者は大勢いるが、直接的に危害を加えるのは決まりに抵触しかねないから出来ず、話し合いにしても、それではいそうですかと頷く相手ではない。決闘と称して見えざる帝国の修練場でちゃんとしたルールを決めて正面から立ち向かった奴もいたが、開幕表蓮華で犬神家状態になってやられていた。ヤムチャしやがって。

 

 とまあ、既に原作崩壊済みで先が見えなくなってしまったが、人生そんなもんだ。とりあえず原作の時にフェイト・テスタロッサがトラウマを作らないよう祈っておくとしよう。

 

 

 

 

 

 転生して早四年。

 

 今までのループで手に入れてきた力は、大分今生の体に馴染んできた。

 

 転生当初はまだ制御の甘いところがあったが、今ではほぼ完全に制御出来る。転生者達から奪った特典も、使えるものは取り込み、己の血肉に還元してきた。今なら片手間で世界創造出来るやも知れん。やる意味ないからやらないけど。

 

 転生者といえば八神はやての事だ。普通に闇の書を夜天の書に修復してしまい、完全に原作が壊れてしまった。居候しておきながら見て見ぬふりは出来ず、ちょちょいと次の日には修復しちゃったわけで。色々あったが、原作介入を禁止しているわけではなく、責任を取るつもりがあるならよほどモラルに抵触しない限りは黙認。というのが見えざる帝国に住まうユーハバッハの判決である。酷い自作自演を見た。それに居候の身でありながら見逃すというのはモラルに反しないかとも訴えたからだろうがな。しかしそれでも納得しない奴はいるわけで、脅されたり決闘を申し込まれたり、色々面倒だった。

 

 面倒といえば八神はやての後見人であるギル・グレアムだ。正確にはその使い魔であるリーゼロッテとリーゼアリアだが。はやての家に居候を始めて少し経った頃、一人で外出した際に警告と襲撃を同時にかましてくれた猫共である。力を使うまでもなく、あっさりと撃退したが、その後もしつこかった。仕方なく闇の書は修復した事を伝えるも、一切信じず。まあ、当然か。はやての足が治り、普通に学校に通うようになっても、何故か俺ばかりを狙ってきた。あまりにしつこいのでシュールストレミングを顔面に叩き込んだら、ぴったりと襲撃は止んだ。……代わりに遠くから光のない目で見つめてくるようになったが。

 

 そういえば、地球の転生者達はとりあえず管理下に置いたが、他次元の世界にはまた別の管理組織が存在するみたいで手を伸ばしきれていない。規模も地球のより大きく、転生者の数も倍以上存在しているみたいだが、ミッドチルダにある時空管理局と裏で繋がっているらしい。……原作の管理局の暗部を知る限り、ろくな事にはなっていないだろうが。

 

 何らかの特典か、ミッドチルダ方面の未来を見通せないのも余計に不安を煽る。だがまあ、来るなら丁重に迎えるだけだ。転生者か原作キャラ。どちらに転ぶにせよ。

 

 

 

 

 

 



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原作壊始! 人物紹介 ※ネタバレあり

 

 

 

 

 

 主人公

 

 神様に転生させてもらえると聞いて特典を頼んだら自力で手に入れろと言われた転生者。

 

 良くも悪くも凡人の一般人だったが、ループを越えるうちに異常なメンタルと力を得た。

 

 神様から与えられたのは原作知識とアイテムボックス、ループの最中に築いた絆の相手専用の英霊の座らしきもの。

 

 前世の記憶はなく、死因は事故死。詳細は不明。

 

 ループ転生を繰り返したためか、英雄王が感心するほどの演技力を身に付けており、それを利用して色々な相手を骨抜きにした前科がある。

 

 目的のためにはどんな手段も非道も行うが、そうでなければ基本無害である。

 

 他者を素材的な意味で見たりするが、基本無害である。

 

 魔法少女リリカルなのはの世界に転生して一番の悩みは全力を出せないこと。大体は身体能力と技術でどうにかなるので余計に。

 

 願望機として非常に優れている。ドラゴンボール世界でドラゴンボールと神龍を、fate/stay nightの世界で聖杯を取り込み、他世界で神を何柱も取り込んだため、その力の及ぶ範囲は過去現在未来、果ては異世界から並行世界まで。死者蘇生から今ある世界を破壊し、全く別の法則が支配する世界の創造が可能。

 

 素の身体能力がドラゴンボール世界で最上位クラス。且つ無数のループを乗り越えたがゆえの技巧、経験を持つ為油断も慢心もない。

 

 隠し属性としてヒロイン属性アリ。

 

 尚、うちはカエデ(♀)として転生した場合、ヒロインルートとラスボスルートがあり、ヒロインとして攻略出来なければ自動的にラスボスとなって全ての転生者を記憶消去、特典略奪する。

 

 攻略難易度。

 

 イージー   非転生者

 

 ぶっゃけチョロイン。ただし非転生者に攻略された場合転生者はもれなく■■される。

 

 

 ノーマル   転生者(特典なし、又は望まぬ特典持ち)

 

 諦めずにアタックすればいずれ叶う。ただし他転生者はもれなく■■される。

 

 

 ルナティック 転生者(特典あり)

 

 諦めましょう。攻略するには、ザビーズ並のメンタル。兵藤一誠並の熱意。黒崎一護並の主人公補正。上条当麻並の女難。等のどれか一つが必要。失敗したら裏ルート「終末を待つ獣」が解禁されます。

 

 

 

 

 

 神様

 

 全ての元凶。

 

 常ににこやかだが、何を考えているか分からない。主人公に自力で特典を手に入れさせた犯人だが、真意は不明。

 

 転生者という存在に何やら思うことがあるらしく、通常の方法で転生させなかった。

 

 

 

 

 

 転生者1

 

 特典は霊視、マルチタスク、完全記憶能力。

 

 原作傍観派。霊視は好奇心から望んだが、今のところいい事はない。マルチタスクと完全記憶能力は将来どんな職にも使えるだろうという現実的な理由から。

 

 容姿は小さな岸波白野(女)。

 

 英雄王時の主人公に目をつけられている。愉悦的な意味で。

 

 

 

 

 

 転生者2

 

 特典は一方通行(アクセラレータ)のベクトル変換、魔力SSS、チョーカー型のストレージデバイス。

 

 原作介入派。

 

 ベクトル変換の反射により、少しの間主人公から逃れた転生者。

 

 時の庭園に侵入し、フェイト・テスタロッサを手中に納めようとしたが、プレシア・テスタロッサの予想外なしぶとさに手間取り、主人公に見つかり再起不能にされる。

 

 言動がどうみても最低系の踏み台であり、主人公に特典を使うのが勿体ないと思われ、素手でノックアウトされた。

 

 容姿は一方通行(アクセラレータ)

 

 

 

 

 

 転生者3

 

 特典は王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)、魔力SSS、ストレージデバイス。

 

 原作介入派→?

 

 典型的な踏み台転生者。

 

 ユーハバッハ、ギルガメッシュ時の主人公に二度負け、心折れた。

 

 今後出番があるかは神のみぞ知る。

 

 容姿はFate/stay nightのギルガメッシュ(小)

 

 

 

 

 

 転生者4

 

 特典は転生者感知、魔力Aランク、魔法関係の両親。

 

 原作傍観派。

 

 傍観系転生者。転生者感知の特典は転生者から逃走用。

 

 原作を知っているが危なくなった時以外は傍観のスタイル。

 

 容姿は涼宮ハルヒの憂鬱のキョン。

 

 

 

 

 

 転生者5

 

 特典はマルチタスク、完全記憶能力、学習能力向上。

 

 原作知識なし。サブカルチャーは話を合わせる程度。

 

 委員長気質の転生者。

 

 特典は全て将来に備えたもの。

 

 主人公と転生者の戦いを見たことで主人公を崇拝するように。

 

 自主的な秘書の真似事をしている。

 

 容姿はFateシリーズから、ジャンヌ・ダルク。

 

 

 

 

 

 転生者6

 

 特典は転生者感知、特典略奪、進化。

 

 原作知識なし。

 

 ミッドチルダの方面からきた転生者。

 

 最低系転生者であり、大勢の転生者から特典を奪い、手をつけられなくなった現時点でもっとも主人公に近い強さを持つ転生者。

 

 大量の特典を持つがゆえに万能であり、あらゆる攻撃に耐性を持つ。

 

 戦いなれており、実力もかなりのものだった。

 

 が、その万能性が仇になり、主人公の底を直視し、発狂。自爆特攻まがいの攻撃と共に散った。尚通常の処理は施された模様。

 

 容姿は新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジ。

 

 

 

 

 

 転生者7

 

 特典は王の財宝、ニコポ、ナデポ。

 

 原作介入派。

 

 典型的な踏み台転生者。田中。

 

 主人公が精神干渉系の悪用を禁じたため、代わりに魔力Aランクとストレージデバイスに交換してもらった。

 

 アリサの救出イベントがあったが、主人公に突っかかっていたために気付くのが遅れ、王の財宝も魔法もそこまで使いこなせていないために探すことも出来ず、介入失敗。もし介入出来れば好感度がプラマイゼロになり、アリサルートが解禁された。

 

 尚、プロローグで八神はやてを囲んでいた転生者の一人。

 

 容姿はギルガメッシュ(小)。

 

 

 

 

 転生者8

 

 特典は魔力SSS、ストレージデバイス、ニコポ。

 

 原作介入派。

 

 典型的な踏み台転生者→踏み台擬き。山田。

 

 主人公が精神干渉系の悪用を禁じたため、代わりに身体能力強化に交換してもらった。

 

 田中とは同じ目的を持つためか仲は悪いが、主人公相手には素晴らしい連携が出来る。

 

 最近は諦めつつあり、むしろ踏み台を演じている節がある。

 

 隣のクラスの文系少女(非原作キャラ)といい感じに青春しているらしい。

 

 尚、プロローグで八神はやてを囲んでいた転生者の一人。

 

 容姿は銀髪オッドアイ。

 

 

 

 

 転生者9

 

 特典はヘルシングのアーカード、化物語のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、ジョジョの奇妙な冒険のDIOの全能力。

 

 原作傍観派。

 

 憑依系TS転生者。転生先は月村すずか。

 

 元男だが今は立派な女の子?な転生者。

 

 主人公が転生してくるまでに襲いかかる転生者達を応戦した結果覚醒した転生者。

 

 結果、人間性の希薄化、吸血衝動、吸血鬼の弱点というデメリットを負ったが特に日常生活には問題ないようである。

 

 が、精神が人外に片寄っているので人間の倫理観はあまり通じない。

 

 転生者仲間では蘇芳似の転生者とリップヴァーン・ウィンクル似の転生者とよく話している。それ以外の転生者にはあまり関わっていない為正体がバレていなかったりする。

 

 主人公を食料的な意味で狙っている。

 

 容姿は魔法少女リリカルなのはの月村すずか(無印)。

 

 

 

 

 転生者10

 

 特典はヘルシングのリップヴァーン・ウィンクルの全能力、銃器の投影、直感。

 

 原作知識なし。

 

 特典はランダム。

 

 色々あって殺しも慣れた転生者。覚醒者。

 

 月村すずかには初対面から何かを感じて一々突っかかっているが、そこまで仲は悪くない。休日に蘇芳似の転生者と月村すずかの三人で買い物に行くぐらいには。

 

 覚醒してはいるが特にデメリットはないため、平和になった日常を謳歌している。

 

 が、トリガーハッピーなのでたまに銃を撃たないと我慢ならない。

 

 容姿はヘルシングのリップヴァーン・ウィンクル(小)。

 

 

 

 

 転生者11

 

 特典は黒の契約者の蘇芳・パヴリチェンコの全能力、起源弾、気配遮断。

 

 原作知識なし。

 

 他の転生者に狙われた結果覚醒した転生者。

 

 デメリットにより感情が薄くなり合理的な思考に片寄ってしまったが、主人公にそれを補う物を与えられた。

 

 その恩返しのために作戦に参加するぐらいには律儀。

 

 月村すずかとリップヴァーン・ウィンクル似の転生者ぐらいしか関わり合いたくないため転生者関係の知り合いは少ない。三人の中のマスコット枠でもある。

 

 容姿は黒の契約者の蘇芳・パヴリチェンコ。

 

 

 

 

 

 

 以下サーヴァント風ステータス

 

 

 

 

 クラス キャスター

 

 真名  無銘

 

 地域  異世界

 

 属性  混沌・悪・星

 

 性別  どちらでも可

 

 イメージカラー 白

 

 特技  不意討ち 暗殺 工作

 

 好きなもの ハッピーエンド 少年漫画

 

 苦手なもの バッドエンド ループ 無理ゲー

 

 天敵  のはらリン ブルマ 雛森桃

 

 ステータス

 

 筋力  A

 

 耐久  C

 

 敏捷  D

 

 魔力  EX

 

 幸運  E

 

 クラス別スキル

 

 固有結界 EX

 

 その心象風景は世界の写し身。贋作のみが満たす世界に最早真贋は意味を成さず。陣地作成スキルと道具作成スキルの代わりにスキルとして昇華したスキル。

 

 神性   EX

 

 異界の神の集合体。神霊そのものであるために得たスキル。

 

 保有スキル

 

 異界の権能 EX

 

 NARUTO、ドラゴンボール、BLEACH、Fate/stay night、鋼の錬金術師の世界のスキルの集大成。

 

 歴史改竄  EX

 

 過去と現在、未来を見通し、思うがままに改竄するスキル。

 

 全能なる願望器 EX

 

 異世界で得た力から願望器としての機能を抽出したスキル。

 

 宝具

 

 輪廻は集束する(ループ・エッジ)

 

 ランク  EX

 

 種別   対人宝具

 

 レンジ  1

 

 最大捕捉 1

 

 五つのループを乗り越え、得てきた力の結晶。この宝具は常に彼の力となる。

 

 

 輪廻は蓄積する(ループ・キューブ)

 

 ランク  EX

 

 種別   対人宝具

 

 レンジ  1

 

 最大捕捉 1

 

 数多のループの間、集めてきたものを納めている宝具。無限に収納し、入れた物を永久に朽ちさせぬ蔵。王の財宝とは違い、射出は出来ないし、自動で収集する機能はない。

 

 

 輪廻は絆を絡めとる(ループ・エンゲージリング)

 

 ランク  EX

 

 種別   契約宝具

 

 レンジ  1

 

 最大捕捉 無限大

 

 数多のループにて絆を育んだ者の魂を刻んだ世界。要は英霊の座のようなもので、何時でも召喚したり、座に入り対話することが可能な宝具。尚普段は封印している為、使用するには令呪が必要。

 

 人物

 

 数多のループを経て強大な力を得た超越者。サーヴァントのクラス全てに適正を持つが、得た力により神霊へと至っているので召喚出来ない。このサーヴァントを召喚するには弱体化し、サーヴァントの枠に落とすしかない。が、大体の願いは自力で叶えられるのでそこまでして召喚される理由がない。召喚するためにはよほど気に入られるか、人理崩壊の危機ぐらいだろう。

 

 スキルにより、マスターからの魔力供給がなくとも現界し、全力戦闘が可能。一方的に契約を破棄し、マスターすらも必要としない。サーヴァントとしては外れもいいところであり、運用には注意が必要。たとえ通常の聖杯戦争に呼べたとして、聖杯よりも優れた願望機であるためその時点で願いが叶い、聖杯戦争そのものが意味を失う。

 

 

 

 

 

「問おう。俺のような外れサーヴァントを召喚した間抜けは誰だ?」

 

 

 

 

 



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プロローグ

 

 

 

 

 

 空から降り注ぐ二十一の光の滴。運ぶのは災厄の種か、それとも……。

 

 とまあ、そんな感じにジュエルシードが海鳴市に降っているのを傍観しているわけだが。

 

 個人的な事情だが、これ以上の原作崩壊は流石に反感を喰らうのでしばらくは自重するというのがうちはカエデのスタンスである。既に手遅れだがポーズだけでも必要だろうという考えだ。

 

 見えざる帝国のユーハバッハとして、ジュエルシードが海鳴市に落ちてきて原作が開始した事を転生者達に伝え、注意を呼び掛けた。これからどうなるかは転生者次第。転生者達は水を得た魚のように原作介入を狙うのだろうが、既に原作は崩壊している。どうなることやら。どちらにせよ。保険はかけてある。深刻な事態にはならないだろう。

 

 それよりも、この地球に黒いもやに包まれた影が近付いてきている事のほうが気になる。未来視が阻害されるせいで何が来るかは分からないが、十中八九転生者に関連する何かだろう事は分かっている。これはいよいよ俺も本気を出さねばならない事態になるかもしれない。……というか、本気を出したい。転生してからずっと鍛えてきたわけだが、本気を出す機会など一度もなかった。一年ほど前に外の世界からやってきた転生者がいい具合に熟成してて楽しめたが、本気にはほど遠かった。せめてあれぐらいには楽しめる奴がいるといいのだが。

 

 

 

 

 

 その戦いを私は忘れない。

 

 一年前の事だ。

 

 見えざる帝国にて、陛下に相談があって会いに行った時の話。

 

 いきなり城全域に警報が鳴り響き、避難誘導が行われる中、動揺して避難に遅れた私は見たのだ。

 

 まるで長年探し求めていた好敵手を、ようやく見つけることが出来たかのような笑みを浮かべた陛下を。

 

 それからすぐに轟音と共に玉座の間が破壊され、陛下の眼前に黒い影のようなもやを纏った男が降り立った。その男から感じる、恐ろしい、今すぐにでもひれ伏したくなるような威圧感。アレは存在してはいけない。アレは理解してはならない。そういう類いの化け物だと理解した。いくら陛下でも勝てる筈がないと、私はそう思ってしまった。

 

「よお、お前が陛下って呼ばれてる親玉かあ?」

 

「そうだ。私がこの城の主、ユーハバッハである」

 

「へえ。ならよう、てめぇを殺せば俺がここの頂点てわけだよなあ!」

 

 瞬間、男の姿が消え、轟音。陛下がいた場所が後ろの城ごと消し飛んだ。

 

「はっ!どうしたあ!俺はまだ一割しか力を解放してねえぜ!ああ!?もうおっ()んだかあ!!」

 

 城の外。外の天候を再現した見えざる帝国の空の下、平時なら地平線まで自然が広がり、自然公園となっている一角が、何か巨大なものでも通過したかのように抉れ、大地に大きな傷跡を残している。

 

 男は宙に立ち、傷跡の先を確認した後、耳障りな声でげらげらと嗤う。

 

 ああ。終わりだ。全て終わる。こんな男がこの星を統べるなんて。どうしたら……。

 

 

 

 

 

 カチリ。

 

 

 

 

 

「あ?」

 

「へ?」

 

 いきなりだった。いきなり、全ては元通りになっていた。男は玉座に座る陛下の前に立ち、陛下は愉快げに男を見ている。

 

「どうした。何を呆けている」

 

「て、てめぇ!何をしやがった!?」

 

 現実に頭がついていかない。確かに陛下はあの男に。ならこれは?一体何がどうなって?

 

「時間停止か!?いや、催眠!?てめぇは確かに俺が殺したはずだ!?」

 

「時間停止と催眠か。お前はそれらに対する耐性を持っているだろう」

 

「な、まさか心を」

 

「精神防壁もあるだろう。私はお前の心を読んでいない」

 

「な、ならなんなんだ!」

 

「……ふむ。そうだな。こういう時説明するのは負けフラグらしいが、それも一興か」

 

 陛下が玉座から立ち上がる。

 

 それだけで男は後ずさる。

 

 未だにあの男からは威圧的なものを感じるのに、陛下からは何も感じない。感じないわけがないのに(・・・・・・・・・・・・・)

 

 そんな男に構わず、陛下は懐から一本の刀を取り出した。

 

「とある世界で手に入れた刀でな。斬魄刀というものだ。聞いたことはないか?」

 

 その刀は本当になんの変哲もない刀で、私の細腕でもぎりぎり持てそうな、普通の刀に見えた。

 

 だが、男にはまた別のものに見えたのか、一気に顔から血の気が引いた。

 

「その顔を見るに何らかの特典で理解したようだな。なら答え合わせのつもりで聞いてもらおう」

 

 刀を地面に突き立て、その手を離す。

 

「この斬魄刀の名は結姫(ユイヒメ)。解号は繋げ。その能力は」

 

 そして世界は無数に広がった。

 

「並行世界及び次元世界の接続だ」

 

 陛下の背後に万華鏡の如く色彩の変わる穴が無数に現れる。それはとても幻想的で、だからこそその力は恐ろしかった。

 

「元は物質同士を繋げるだけでここまで出鱈目な力を持ってはいなかった。だが、偶然並行世界や異世界に繋がる力を手に入れて進化した。宝石剣ゼルレッチ、カレイドステッキが今更役に立つとはな。人生とは分からぬものだ」

 

「な、何を言ってやがる」

 

「ああ。すまない。話が脱線したな。続けよう。この力は繋げるだけだ。繋げる事しか出来ない。それ以外に何の力も持たない」

 

「な、ならどうやってこんな事が出来た!言えぇっ!!」

 

「単純な話だ。この刀は繋げる事しか出来ないが、繋げる事に関しては他の追随を許さない。だからこの結姫で繋ぎ、私が力を振るっただけに過ぎない。ああ。どうやったかだが、簡単だ。適当に並行世界から情報をコピーし、この世界にペーストしたに過ぎない。ああ。ついでに、お前がこの星に来てから殺して回った転生者達もすでに蘇生済みだ。その証拠に、お前がここに来たときに出来た大穴も綺麗なものだろう」

 

 確かに、城は綺麗なままだった。傷一つない。言葉が出ない。陛下の力は底なしか。私でも目の前に今も男がいなければ、まるで何もなかったと勘違いしそうなほどにあらゆる痕跡が消えていた。

 

「あ、ああ……」

 

「どうした。まだ一撃を放っただけだろう。未来視も未來改竄も、世界破壊も世界創造も使っていないぞ!」

 

「あああああああああああああああああああああ」

 

「さあ、私の本気を引き出して見せろ!転生者!」

 

「あああああああああああああああ!!!!」

 

 その先を語るつもりはない。

 

 思い上がった愚者が、太陽に焼かれて地に落ちた。それだけの話だ。

 

「陛下」

 

「ーーお前か。どうした」

 

「はい。転生者達の間で……」

 

 そして私も、陛下(タイヨウ)に焼かれた愚者である。

 

 ああ、陛下。私は、貴方に全てを捧げます。永久に。

 

 

 

 

 

 

 とあるビルの屋上。海鳴市を見下ろす影が三つ。

 

「海鳴市。数日前にロストロギアらしきものが落ちた町。ここにあの人が……」

 

「姉さん」

 

「うん。分かってる。私達があの人を探す目的は……」

 

「アリシア……」

 

「大丈夫。全てお姉ちゃんに任せて!そしたらまた皆で暮らせるんだから。家族皆でまた……」

 

 かくして運命は収束する。

 

 迎える先は破滅か。それとも希望か。

 

 転生者達が集う町。海鳴市。

 

 全てはここから始まる。

 

 

 

 

 



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テスタロッサファミリー保護しました。

 

 

 

 

 

 屋上にて、なんか覚悟を決めた感じに立っていたテスタロッサ姉妹とそのペットを発見。転生者関連の厄介事と判断し、過去視を用いて問題の把握。速やかに解決し、彼女達を連れて見えざる帝国の部屋の一つに招いた。ちなみに初対面時の姿であるトビの姿だ。

 

「また助けてもらったわね……」

 

「気にするな。たまたま目についただけだ」

 

「それでもよ。本当にありがとう。この恩は必ず、一生をかけてでも返すわ」

 

「使い魔である私も、出来る事ならなんでもしますから」

 

「あ、あの、私も」

 

「姉さん……。私も、なんでもします」

 

「フェイトが言うならあたしだって」

 

 ん?今なんでもするって言ったよね。

 

 そうネタに走りたくなるような事を言うテスタロッサファミリー。まあ、流石に空気を読んで飲み込んでおくとして。

 

「しかし、管理局か……」

 

 予想より数倍ヤバい勢いで原作が崩壊しているな。まさか、管理局が(・・・・)ジュエルシードをこの地球にばら蒔いたとはな。転生者は管理局を完全に掌握してしまったのだろうか。原作遵守にしても、やり過ぎだこれは。この分だと最低限のルールすらない無秩序な世紀末なのかもしれん。ミッドチルダにいる原作キャラ達は無事だろうか。

 

 まあ、それについて今考えても仕方ない。考えるべきはテスタロッサファミリーについてだ。俺が転生者から助けた後、彼女達は辺境の世界で家族皆、仲睦まじく暮らしていたらしい。そこに管理局を名乗る奴等が現れ、彼女らを拘束。ジュエルシードを集めながら地球の転生者。特に何らかの組織に所属しているであろう俺を探し出し、組織について情報を得てこいと命令。この地球に連れてきた。プレシア・テスタロッサとリニスは人質として管理局の牢に繋がれていただけで、特に手を出されていなかったのは不幸中の幸いである。

 

「それもこうして助け出して、家族皆無事に再会したわけだが。これからどうする?俺達の組織で保護する事も可能だ。好きに選ぶといい」

 

 そう。既に終わった事だ。

 

 事情を知ってすぐにプレシアとリニスを助け出し、そのまま彼女達を連れてきた。プレシアとリニスの代わりに本物と寸分違わぬホムンクルスを置いてきたから、管理局にすぐさまバレることもないだろう。バレたとして、俺が守る以上あちらは最早手を出すことは叶わない。

 

 プレシア・テスタロッサが口を開く。

 

「……一つ、聞きたいことがあるわ」

 

「なんだ」

 

転生者(・・・)とは、何かしら」

 

「……転生者が何か、か」

 

 あらら。管理局側の転生者がバラしたか。それともあの時に聞いちゃってたか。ふむ。どうするか。記憶を消すか。それとも全部暴露するか。記憶を消せば余計な事を知らずに、これまでのように暮らすことが出来る。だが転生者は彼女達を放ってはおかない。いずれまた、転生者が彼女達の前に現れる。どんな手段を使っても。たとえ俺が守っても、それは変わらないだろう。その時にまた記憶を消すのは、彼女達にとってどうなのか。しかし転生者について暴露するのも、あまり気の進まない話なのだが。

 

「話してもいい。だがあまり気分のいい話じゃない。転生者について忘れ、俺達の組織に保護下で普通に過ごす道もある。改めて考えて、答えを出してくれ」

 

 うーん。原作崩壊だな!まあ、とっくの昔に壊れているようなもんだから仕方ないか。他の転生者にも事後報告で知らせればいいだろう。反感を買うだろうが、悪いのは俺じゃない。管理局側の転生者だ。決して責任転嫁ではない。

 

 テスタロッサファミリーは互いに目を合わせて一言二言言葉を交わすと、腹を決めたのか背筋を伸ばして聞く体勢になった。

 

「……答えは出たようだな」

 

「ええ。話して頂戴」

 

「転生者とは、一度死を迎えた人間が、神の手によって転生させてもらった人間の事だ」

 

「神……。いきなりオカルトね」

 

「だが事実だ。転生者は神に転生させてもらう際、三つの願いを叶えてもらえる。それは膨大な魔力であったり、容姿であったり、物であったり。それらを持って転生者はこの世に転生する」

 

 俺の特典はそんな生易しいものじゃないけどね!

 

「随分と都合のいい神様ね」

 

「神にもそれぞれの理由があるからな。退屈しのぎに転生させ、その姿を見て楽しむもの。間違いで死なせてしまい、そのお詫びに転生させるもの。前世に同情し、情けで転生させるもの。とかな」

 

「では原作(・・)とは何かしら」

 

「それも知っているのか。ふむ。お前達は物語の中に入りたいと思ったことはあるか?」

 

「私はあるよー」

 

「わ、私も」

 

「子供の頃はあったかもしれないわね。……まさか。そういう事なの?」

 

「ああ。そのまさかだ」

 

「馬鹿げてるわ。この世界が物語の世界なんて、信じられるわけないわ」

 

「そうだな。そしてそれは正しい。この世界は現実だ。物語の世界では決してない」

 

 なんでか転生者は勘違いしてるけどな。神様の説明をちゃんと聞いていないのだろうか。

 

「この世界はあくまでも、物語に酷似しただけの世界だ。酷似した登場人物、酷似した世界観、酷似した歴史。ただそれだけの、現実だ」

 

「じゃあ転生者達が原作と呼ぶものは、これからこの世界が辿る未来。少なくともそれに近い物。そういう事ね」

 

「ああ。だが最早それもあまり意味を成さないがな」

 

「それはまたどうして?」

 

「既に原作は始まる前から転生者達によって崩壊している。アリシア・テスタロッサの蘇生。闇の書の修復。そして管理局の変貌。原作のシナリオの根幹を成すそれらが何らかの形で既に改変されているからな」

 

「……アリシアの蘇生」

 

「闇の書?」

 

「管理局……」

 

 尚内二つは俺が下手人である。酷い話だ。

 

「今回のジュエルシードも原作のストーリーの通りだ。このロストロギアをフェイト・テスタロッサともう一人の魔法少女が奪い合うのが原作の第一部の物語だ」

 

「だから私達はジュエルシードを集めるよう命令されたんだ……」

 

「転生者は大まかに三つに分類出来る。原作に介入し、より良い未来、又は利益を得ようと行動する原作介入派、原作を傍観、又は関わりたくない原作傍観派、そして、原作を原作通りに進行するよう監視し、管理する遵守派。お前達を狙ったのはこれだろう」

 

 いや、アリシア・テスタロッサが見逃されているという事は原作介入派も噛んでいる?……管理局は転生者をどう管理しているのだか。

 

 ーーだがまあ、お陰で全て理解した(・・・・・・)。もう警戒するのも馬鹿らしい。これなら一年前の転生者の方が余程見所があった。

 

「……それで、どうする。プレシア・テスタロッサ」

 

「そうね。もう一ついいかしら」

 

「どうぞ」

 

「貴方も転生者ね。そして貴方が所属する組織も転生者の組織」

 

「ああ。そうだ。俺は転生者で、俺が所属する組織も転生者の組織だ」

 

「どういう組織か、説明してもらえる?」

 

 ……どういう組織かって?実質一人で運営しているボランティア団体です。と言ったらどんな顔をするだろうか。いや、流石に言わないが。

 

「始まりは一人の転生者だ。未来を見通す力を持っていた彼は、いずれこの世界が滅ぶことを知った。転生者達の手によって。原作どころじゃない。全てが台無しになる未来。それを知った彼は、その力をもってこの世界の転生者全てを選別し、管理する組織を作った。そして一万人はいた転生者を二千人ほどにまで減らし、世界に平和を取り戻した」

 

「随分と過激ね。その」

 

「その転生者は今陛下と呼ばれている。彼がそう名乗ったわけではないがな。実態は力を奪い、記憶を奪い、この世界に生きる普通の人間に戻す。それがたとえ、どんな外道であっても。これほど慈悲に満ちた対応はない」

 

「……そうね。その陛下は、どちらかしら?介入か傍観か、それとも」

 

「基本は傍観だな。介入しなければならない事態が起きればそうするが、そうでない場合は傍観だ」

 

 尚原作ヒロイン二人に接触してる転生者の主張である。

 

「そう。なら私達家族皆の保護をお願いします」

 

「よろしいのですか。プレシア」

 

「他に方法はないし、彼は信用出来るわ。私達家族を助けてくれた恩人だもの」

 

「……そうか。なら今日はもう遅い。明日また改めて細かい事を話し合おう。この部屋はこのまま使ってくれてかまわない。食事も直接運んで貰えるようにしておくから、好きなときに頼んでくれ」

 

「あ、あの!」

 

「ん?どうした。アリシア・テスタロッサ」

 

「貴方のお名前を聞いてもよろしいですか!」

 

「俺の名前か」

 

「はい!あ、でも駄目なら駄目で、大丈夫です」

 

「……ふむ。そうだな」

 

 そういえば名乗っていなかったな。見た目にちなんでうちはオビトかトビって名乗るか。信じるといった相手にアレだが、うちはカエデと名乗るのも不味い。うむむ。流石に八神はやてに続いてテスタロッサファミリーと関わってると思われると、なあ?それにうちはオビトの姿は対転生者の時に使う戦装束みたいなもんだし。仕方ない。

 

「うちはオビト。またはトビと呼んでくれ。本名ではない偽名ですまないが」

 

「偽名、ですか……」

 

「ああ。すまない。俺の名前は知られると問題になるからな。本当にすまない」

 

 俯くアリシア・テスタロッサの頭を撫で、俺は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

「ほう。何やら新しい女の匂いがするのう。それも複数」

 

「そこに直れ。その首切り落としてくれる」

 

「まってまってちがうんです。はい」

 

 

 

 

 

 



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斯くて物語は開演せり、杖を手にした少女は何を望む。

 

 

 

 

 

 私はその日、運命に出会った。

 

 お父さんが事故で入院し、大変になった家族に迷惑をかけないよう一人ぼっちでいた私は、いつものように一人で公園にいたら、知らないおじさんに襲われた。

 

 私がいい子じゃなかったからこうなったのかな。

 

 そう、諦めながら思った瞬間、横から凄い助走をつけて跳び蹴りをおじさんに当てた女の子が現れた。

 

 その女の子は白く綺麗な髪に、まるで宝石のような赤い瞳をしていた。

 

 その女の子は倒れたおじさんに馬乗りになると、一言二言何かを話しかけた後、あっさりと解放した。

 

 また襲いかかってこないかと心配したけど、女の子はお話ししたからもう大丈夫って言ったの。

 

 大体の奴は一発かましてお話すれば聞いてくれると女の子は締めくくり、その通りに起き上がったおじさんは私に謝った後警察に行きました。

 

 その時私の頭の中に閃いた事は決していい子の考える事じゃなかったと今になっては思うけど、その時の私はそれしかないと思い込んでいて、女の子の名前すら聞かずに家に帰ったの。

 

 そして、出迎えたお兄ちゃんに走った勢いのまま突っ込んで、何もないところで躓いて、そのまま頭からお兄ちゃんにぶつかってしまいました。

 

「かっはッ!」

 

「恭ちゃんの恭ちゃんが!?」

 

「なのは!?」

 

 お母さんとお姉ちゃんが何だか焦った声を上げたけど、私は気にも止めずに叫んだ。

 

「お兄ちゃん!私を鍛えて!」

 

 

 

 

 それから五年。

 

 私は、運動音痴を克服し、並みの大人なら素手で制圧出来るようになっていた。

 

 周りからは聖祥の白い悪魔とか魔王とか呼ばれているけれど、私はただお話をしているだけ。ちゃんと話せば皆分かってくれるから、私はなんと言われようとかまわない。

 

 だから、

 

「お話ししようか、アリサちゃん?」

 

「ま、待ってなのは!」

 

 アリサちゃん。小学校に入ったばかりの頃、周囲に馴染めず、同じようなすずかちゃんにちょっかいをかけて困らせていたところをお話しした女の子。以来親しいお友達の一人だ。

 

 そんなお友達と私はお話がしたい。

 

 うん。お話。お話だよ。別に怖いことはないよ。だってお話だもの。だからお話しようよアリサちゃん。

 

「まずは話を聞こうよ、なのはちゃん。それからでも遅くはないよ」

 

 そう言って、アリサちゃんをかばうように立つのはすずかちゃん。アリサちゃんにお話して以来、仲がいいアリサちゃんと同じ親友。

 

「すずかちゃん」

 

「すずかあ……」

 

「私もお話ししたいもの」

 

「すずかっ!?」

 

 裏切られたとばかりに大袈裟に反応するアリサちゃんだけど、裏切られたのは私の方かなって思ったり。

 

 ……どうして私がアリサちゃんにお話をしたいのか、その理由を語る前に一人の同級生についてお話ししようと思うの。

 

 うちはカエデ。

 

 綺麗な白髪に、赤い宝石のような瞳の美少女。みたいな姿をした男の子。

 

 私の親友の一人、はやてちゃんと同じ家に住む不思議な男の子で、私をあの日助けてくれた人。

 

 最初はあの日のお礼を言おうと思い、再会してすぐに話しかけようとしたけれど、初対面の時から何故か私の名前を知ってて嫁だのなんだの言ってくる山田くんと田中くんに邪魔されて話せず断念。はやてちゃんとは親友になれたけど、カエデくんに話しかけようとすると山田くんと田中くんが邪魔して上手くいかない。はやてちゃんにお願いしてカエデくんと話せる機会を作ってもらったりしたけど、どこで知ったのか山田くんと田中くんが現れてカエデくんを連れていき失敗。幸い、カエデくんは無事だったけど結局話せず、それがもう一年近く続いている。アリサちゃんとすずかちゃんにも相談したり協力してもらったりしたけど、やはり上手くいかず。最近ではアリサちゃんとすずかちゃんも山田くんと田中くんの邪魔でカエデくんとまともに話せなくなったと聞き、もはやお話しかないと考えた日の次の日の朝の事である。

 

 いつもははやてちゃんと登校してくる筈のカエデくんが、同じくいつもは私達と一緒に登校するアリサちゃんと二人一緒に登校してきたの。

 

 カエデくんはいつものややぼんやりとした感じだったけれど、アリサちゃんは違う。カエデくんの袖をちょんと摘まんでしおらしくしていたかと思えば、カエデくんの顔を見ると頬を赤く染めて俯く。そんな事を延々繰り返していた。

 

 うん。何かあったね。

 

 まさに火を見るより明らかだった。

 

 一体何があったのか。

 

 昨日、放課後に別れるまではこんなじゃなかった。つまり別れてから何かがあった。

 

 知りたい。

 

 それと同時に、胸の奥から溢れそうになるこの焼き焦がさんばかりの熱が思考を鈍らせる。

 

 この感情は何なのか。

 

 分からない。カエデくんと話せばこの熱の正体も分かるのだろうか。分からない。

 

 だけどまずは、アリサちゃんとお話しようと思うの。

 

 

 

 

 ……アリサちゃんの話をまとめると、昨日私達と別れた後、カエデくんと校門前で偶然会い、鮫島さんが少し遅れているのもあってしばらく楽しく会話していたら、そこに田中くんが来て、いつものように色々訳の分からない事を言ってカエデくんに突っかかってきたらしい。それをアリサちゃんは止めようとしたけど、いきなり後ろに引っ張られたと思ったら、知らない車に乗せられて連れ去られた。そして見知らぬ廃墟に連れてこられ、誘拐犯に変なことをされそうになった時にカエデくんが現れて助けてくれた。というのが昨日の話。

 

 その後はカエデくんが鮫島さんに連絡してアリサちゃんは無事家に帰れて、ついでにカエデくんもアリサちゃんに頼まれてその日はアリサちゃんと一緒にいてあげたらしい。

 

 カエデくんはやっぱり凄いなとかアリサちゃん大丈夫なのとか、色々言いたいことはあるけれど、とりあえず私はこう言いたい。

 

「田中くん、山田くん。少し、お話ししようか」

 

 

 

 

 放課後。結局カエデくんとは話せなかった。山田くんと田中くんにお話するのに忙しくて気が付けば放課後だった。カエデくんははやてちゃんの機嫌を直しに忙しく、気が付いたら二人して先に帰っていた。

 

 結局、いつも通りアリサちゃんとすずかちゃんと一緒に帰ることになったのだけれど、帰り道で傷ついたフェレットを見つけたので近くの動物病院に連れていって診てもらった。幸い、大した怪我じゃなくて、すぐに良くなると言っていたので安心したけど、あの子は野良なのかな。あんなところで傷ついて倒れているなんて、飼い主がいるならお話ししないといけない。

 

 そう、思っていた私はその日、運命を変えるような事件に巻き込まれるなんて思いもしなかった。

 

 

 

 

 夜。

 

 そろそろ明日に備えて眠ろうとしていた私に頭の中に声が聞こえてきた。

 

『……誰か……聞こえていますか……』

 

「誰?」

 

『……助けて……僕は……』

 

 声が途絶える。

 

 何かが起きた。誰かが私に助けを求めている。

 

 考えるよりも先に体が動き、私は家を飛び出していた。

 

 何処にいるかは分からない。でも、なんとなくここにいるんじゃないかと走り続けていると、昼間フェレットを預けた動物病院に辿り着いた。

 

「ここは……」

 

「伏せて!」

 

 考えるよりも先に体を伏せる。

 

 すると頭上を黒い何かが通り過ぎ、轟音と共にブロック塀が砕かれる。

 

 背筋に冷たいものが走り、声が聞こえてきたほうを振り向いた。

 

「君は昼間の!大丈夫だったかい!?」

 

 そこにいたのは、なんと昼間に助けたフェレット。そのフェレットが言葉を発し、私に駆け寄ってきた。私は急いでその子を抱き上げると、すぐにその場から離れた。

 

「何が起きてるの!?ていうかフェレットが喋ってる!?」

 

「ジュエルシードの暴走体が暴れているんだ!何とか封印したいけど今の僕じゃ出来なくて。だから助けを呼んだんだけど、君は魔導師かい?」

 

「魔導師?何それ。そんなの知らないよ!」

 

「そんな!だけど念話が聞こえたのなら素質がある筈だ。僕に協力して、あの暴走体を封印してほしい!」

 

「どうやって!?」

 

「僕の首にかかっているデバイスを手にとって、僕がいう言葉を復唱して!」

 

 フェレットの首には赤い宝石のペンダントがあった。

 

 私はそれを手に取り、足を止めて暴走体と呼ばれているものに向かい合った。

 

「いくよ!」

 

「うん!」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約のもと、その力を解き放て」

 

「契約のもと、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に」

 

「風は空に、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に」

 

「この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」

 

「この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」

 

『stand by ready, set up.』

 

 瞬間、桃色の光が私を包み込んだ。

 

 そして、気が付くと、私は白い衣装を着て、機械的な杖を手に持っていた。

 

「これは一体?」

 

「その身に纏っているのがバリアジャケット。その手に持っているのが魔導師の杖。デバイスだよ。それよりも、早く封印を!」

 

「どうやって?」

 

「レイジングハートが教えてくれるよ!」

 

「え?レイジングハート?」

 

『yes.my master. Sealing mode, setup.』

 

「これで封印出来るの?」

 

『stand by ready.』

 

「うん。いくよ!」

 

 ジュエルシードの暴走体という、黒くて丸い塊に向けてレイジングハートを向ける。

 

 そして、桃色の光が杖から放たれて暴走体を撃ち抜いた。

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」

 

『sealing. receipt number XXI.』

 

 暴走体が消え、残ったのは青いひし形の宝石。

 

 それがレイジングハートの赤い宝石部分に吸い込まれるようにして消えた。

 

「これで、終わり?」

 

「うん。そうだよ。これでようやく二つ目だ」

 

「そう。よかった……」

 

 そう、安心して息をついていると、遠くからサイレンの音が近付いてきた。

 

 慌てて周囲を見渡すと、ジュエルシードの暴走体が暴れたせいでボロボロになってしまった動物病院とその周辺。

 

 これはまずい。

 

 私はフェレットをやや乱暴に掴み上げて、全速力で逃げた。

 

 今なら神速が使える気がする!

 

「ごめんなさいーー!」

 

 

 

 

 

「……大体は原作通りになったか。まあ、邪魔者(転生者)がいないんだ。そうなるわな」

 

 夜空を貫く桃色の光の柱を遠目に眺めがら、俺は誰に聞かせるでもなく呟いた。

 

 足下には二人の転生者。山田と田中が倒れている。毎回毎回突っかかってくる少々、いや結構うざったいクラスメイトである。

 

 原作キャラに近付くと一々妨害してきて、地味にイラッとくる。いやそれはいいんだが、学校のちゃんとした用事ですらも妨害するからなあ。うん。気持ちはよく分かるが。なんだかんだと原作キャラと何かしら関わっているし。テスタロッサファミリーに八神はやて。……月村すずかも。警戒するのは仕方ない。お陰で入学から今まで、高町なのはとは一度も会話出来ていない。単なる好奇心だからあまり気にしてないが。少しくらいは会話してもいいと思うんだよ。うん。あいつら暇だよなあ。……いや、確か山田は隣のクラスの文系少女と最近青春していたな。ふむ。何かイベントでもあてがって仲を深めさせてみようかな。中々面白い事になりそうだ。

 

 ーーそれに引き換え、田中はないな。あいつの癇癪に付き合っていたせいでアリサ・バニングスの救出が遅れた。「アリサを助けるのは俺だ。お前は手を出すな」とか言って結局見つけ出せずに諦めているし。自分の発言には責任を持とうぜ。他の転生者に連絡して協力を仰ぐ事も出来ただろうに。本当に何を考えているんだろう。……まあ、俺もそれに気が付いたのはアリサを助けた後だったのだが。なんてこったい。田中の事を悪く言えないわ。お陰ではやてに怒られたし。図らずもこれで転生者人気上位の原作キャラ、高町なのは以外とは何かしら関係を持ってしまった。高町なのはとも関わればコンプリートだ。

 

 ……ま。今はそんな事どうでもいい。

 

 それよりもこの阿呆二人が倒れている理由だ。こいつらは別に俺が天誅したわけじゃあない。見つけた時には既に倒れていたのだ。管理局の転生者達に負け、連れていかれそうになっていたのを助け出した。連れて帰って情報でも吐かせるのか、それとも力を奪うのか。どちらにせよ、管理局の転生者がこの世界にやって来ているのは火を見るより明らかだ。そしてやっている事は原作遵守。介入しようとする転生者を阻止したり、周辺にサーチャーを大量にばら蒔いている。そこまで派手にやったら嫌でも気が付く。お陰で敵の転生者は見つけやすかった。山田と田中の倒れている場所から少し離れた場所にはそんな転生者が十数人は倒れている。

 

 管理局の転生者。やはり管理局の奴等は転生者について理解し、手下に加えているらしい。だがあまりに弱すぎる。俺の足元に倒れている阿呆二人以外ならばまずやられはしないだろう練度の低さ。それがほとんどだった。管理とは名ばかりの杜撰さだ。こんな有象無象が我が物顔でこの世界に干渉するのは、控えめにいって不愉快極まりない。

 

 だがそんな不愉快も今だけの話。既に手は打ってある。

 

「原作は最早壊れ尽くし、オリ主は未だ現れず。あるのは変わり果てた世界と転生者のみ」

 

 テスタロッサファミリーは見えざる帝国で保護。

 

 闇の書は夜天の魔導書に修復された。

 

 最早原作(シナリオ)はない。完全アドリブの群像劇。

 

 最後に待っているのは悲劇か、それとも喜劇か。

 

 ……未来視で視た未来は気になるが、少なくともそれに辿り着く要素は全て排除した。八神はやては変わらず元気にいるし。

 

 ……とりあえず、足元の奴等をどうにかするか。いつも通りの処置はするとして、正直すぐに黒幕含めて処理してもいいが、崩壊した原作の代わりに転生者に宛がう方がずっと面白そうだ。期待外れとはいえ、イベントとしては十二分に機能する。他の転生者にもいい刺激になるだろう。これで俺に近付く転生者が現れてくれれば更に良しだ。ある程度のイベントがないと介入派の不満が爆発しそうだしね。傍観派の転生者には悪いが、これも転生者の宿命だと諦めて世界と向き合ってくれ。

 

「斯くて物語は開演せり、杖を手にした少女は何を望む」

 

 ……。

 

 流石に気障か。

 

 ……しかしなんであんな脳筋になったんだろうな、あの(魔王)

 

 

 

 

 



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とある喪失者の日常

 
 前話からかなり感覚を開けてしまって本当にすみません。

 最新話までのページを微修正していたりしました。

 大きな変更点もあるので暇な人は最初から読み直してください。

 そんな暇はねぇ!って人は、

 主人公はテスタロッサファミリーに正体を明かさなかった。

 未来視で不吉なものを見た。

 とだけ覚えてくだされば結構です!

 詳しくはプロローグを見てください。

 では!
 







 

 

 

 

 

 我輩は転生者である。

 

 特典はヘルシングのアーカード、化物語のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、ジョジョの奇妙な冒険のDIOの全能力。

 

 今世は魔法少女リリカルなのはに似た世界と聞き、折角の特典が過剰な力だったと思っていたのだが、蓋を開けてみれば俺以外にも転生者がいて好き勝手暴れていて、世界崩壊一歩手前の世紀末。過剰?とんでもない。なければとっくの昔に第二の生は終わっていただろう。昔の俺ナイス。

 

 更に、前世とは違って女性になってしまった身の上故に頻繁に狙われること津波の如く。

 

 転生者を殺し、その血を啜り、特典を奪って力をつけ、また殺す。

 

 気が付けば俺は私になり、友人曰く安全装置である特典の枷を自力で解き放ち、本物の化け物、吸血鬼となってしまっていた。

 

 

 

 

 ーーそんな時だ。彼に出会ったのは。

 

 ユーハバッハを名乗る転生者。

 

 全ての転生者を集め、選別を行った最強の転生者。

 

 桁が違った。

 

 これまで私が相手してきた凡百の転生者とは比べ物にならない。

 

 吸血鬼という種の本能が目の前の極上の餌を喰らえといい、今すぐ逃げろと矛盾した声を上げた。

 

 結局どちらも不可能だったわけだが、今を平穏無事に生きていられるのだから結果オーライだ。そう。平穏無事にだ。襲いかかってくる傍迷惑な転生者はほぼいなくなり、以前とは比べ物にならないぐらい静かで平和な生活が送れるようになった。感謝しかない。

 

 それでも不満を挙げろというならば、それはうちはカエデについてである。

 

 より正確に言うなら、うちはカエデを名乗るユーハバッハに、である。

 

 恐らくはうちはカエデの姿の方が真実なのだろう。それで同じ学校の同じクラスにいるのだろう。基本転生者は原作キャラと同じ年齢で転生させられるし、そこは疑ってはいない。

 

 だが近くにいるのが問題だった。

 

 この世に二つとないご馳走が目の前にいる。なのに何も出来ない。指を咥えて見ているしか出来ない。

 

 ひどい生殺しである。

 

 何度物陰で襲いかかろうと思った事か。

 

 思いきって本人におねだりしてみたが、毒性が強過ぎて無理と断られた。恐らくそういう特典を持っているのだろう。

 

 それでも諦めきれず、なんとかならないかと交渉した結果ーー。

 

 

 

 

「ば、化け物!」

 

 ざくり。

 

 と、喧しい獲物の首に爪を突き立てて絶命させる。

 

 これで三十人目。

 

 私は簡単なバイトをしていた。

 

 内容は敵対勢力の転生者の排除。

 

 正直陛下がやれよと思ったが、というか言ったが、なんでも用事があるらしく、私達のような腕の立つ転生者にお願いしたとのこと。期間は大体一ヶ月。報酬は望んだ特典を一つ。私は血液だけど。チート一つに釣り合う価値はあると思うから文句はない。というかやっと彼の血を貰えるのだから今から楽しみでしょうがない。苦節四年。長かった……。

 

 ぶすり。

 

「ぎゃあっ!」

 

 三十一人目。

 

 さっきから容赦なく殺しているが問題はない。

 

 殺した転生者はこの地に敷かれた特殊な術式にその魂を回収され、後でまとめて蘇生するとのこと。人を殺したことがない転生者には蘇生するとはいえ大変難易度の高いものなのだろうが、私のような転生者にとっては作業レベルのつまらない仕事だ。

 

 ああ、つまらない。こんなのが後一月かあ……。

 

 そうだ。明日アリサちゃんから血を貰おう。ある事件で正体がバレてからは時々血を貰っているのである。彼には到底及ばないが、それでも他の人間(エサ)とは比べ物にならない逸品だ。他にはなのはちゃんやはやてちゃんのもいい。流石原作ヒロインだ。まあ、二人のは飲んだことはないが。味は匂いで大体想像出来るから分かるのだ。だから転生者の血は駄目だと分かる。魂が関係しているのか誰であれ下水を混ぜたようで糞不味い。枷を外した者はまだ飲めるが、それ以外は本当に。昔は強くなるために無理矢理口にしたが、今はしない。たとえ力が手に入らずとも昔とは状況は違うのだ。必要がない。

 

 そういえばアリサちゃんが彼に好意を抱いたかもしれないんだった。

 

 それ自体は別にかまわないが、彼女も厄介な相手に好意を抱いたものだ。あの男は恐らくかなり手慣れている。気が付いたらペロリとされてもおかしくはない。流石に小学生には手を出さないだろうが……。まあ、いくら親友だからといってそこまで口出しはすまい。食われようが自己責任である。傷心のアリサちゃんを慰めて私のものにするのも悪くないしーー。

 

 ーーキィン!

 

 意識の隙間を穿つように放たれた銃弾を弾く。

 

「ちゃんと狙いなよ、ノーコン」

 

 思考を現実に引き戻し、私は後ろにいるだろう下手人に体ごと振り向いた。

 

 そこにいたのは私と同い年ーー小学三年生くらいの少女。

 

 丸眼鏡にそばかす。地に着きそうなほど長い黒髪。その手には背丈の倍以上はあるマスケット銃。

 

「あら、ごめんなさい。あまりにアレな顔をしていたから、勘違いしちゃったわ」

 

「あはは。それってこんな顔の事かな?」

 

「そうそう。思わず引き金引きたくなるわ」

 

「あはは」

 

「ふふふ」

 

 ……。

 

「死ね。トリガーハッピー」

 

「死になさい。吸血鬼」

 

 互いに殺意を乗せ、己の得物を構える。

 

 彼女の特典はヘルシングのリップヴァーン・ウィンクルの全能力、銃器の投影、直感だったか。

 

 ならば問題なく殺れる。

 

 ……が、やはり邪魔が入るか。

 

「何をしているの」

 

 私とあの彼女の間に赤毛の少女が入り込む。

 

「あら、蘇芳ちゃんじゃない。どうしたの?」

 

 あちらが構えを解いたので私も構えを解いた。

 

「戦闘区域の変更通知が来た筈。移動してないのは貴女達だけ」

 

「え、嘘」

 

「うわ、本当だ。殺すのに夢中で気付かなかった」

 

 携帯を見ると既に十分は過ぎている。

 

 これは不味い。せめて報酬分は働かないと血を貰えないかもしれない。

 

「蘇芳ちゃんは真面目ねぇ」

 

「当然。報酬は既に貰っているから。その分は働かないと」

 

「そう言えば蘇芳ちゃんはデメリットがあったわねぇ」

 

 そうだ。蘇芳にはそれがあった。彼女の特典はDARKER THAN BLACK -流星の双子-の蘇芳・パヴリチェンコの全能力、起源弾、気配遮断。その内の蘇芳・パヴリチェンコの全能力が問題だった。正しくは問題になってしまった、か。蘇芳も私と同じように枷を外した転生者だ。枷を外せば安全装置のないオリジナルそのものの力を使えるようになるが、同時にオリジナルと同じデメリットが現れてしまう。私で言うなら人間性の希薄化と吸血衝動、吸血鬼の弱点が生じたが、まあ、オリジナルがオリジナルだけに吸血鬼としての弱点はあってないようなものだし、元から月村の一族は夜の一族と言われている吸血鬼に似た種族だから多少吸血衝動が強まったぐらいであまり問題はない。人間性の希薄化はまあ、今のところ大した問題はない。ないともさ。

 

 蘇芳は違った。オリジナルのデメリットにより、感情が薄くなり、合理的な思考に偏ってしまった。オリジナルがオリジナルだから、完全な契約者になっていないのが救いなのかどうか。

 

 そんな彼女は予め陛下から報酬を貰っていた。

 

 失った感情を補い、契約者としてのデメリットを緩和する為に何らかの特典を与えられたらしい。

 

 それが何かは知らないが、まあ、悪いものではないだろう。

 

 そして、その恩返しのために彼女は自発的にこのイベントに参加している。

 

 私と同じような理由で殺しに慣れているから躊躇しなかったんだろうけど、律儀というかなんというか。

 

 まあいい。それは彼女の自由だ。それよりも、今はここから一刻も速く移動するとしようか。

 

「彼の血が手に入らなくなったら困るしね」

 

 

 

 

 

 

「転生者の駆逐は九割がた完了。任務を終えた者から即時帰投してください」

 

 見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)。玉座にて。

 

 玉座の間を照らす海鳴市を描いた立体映像の前に立つ少女、レティシアは眉一つ動かすことなく冷静に事態の進行を把握していく。

 

「今回の殲滅戦で覚醒者が十六名誕生しました。初めての試みとしてはこれが最良かと」

 

「ふむ。超越者には至らぬか」

 

 続いてのレティシアの言葉に、玉座に座す男、ユーハバッハは少しばかり残念そうに呟いた。

 

「お言葉ですが陛下。未だ覚醒者に至る者はほんの一握り。その中で一番超越者に成りうる可能性を持つ吸血姫ですらまだまだ足りません。経験も、時間も」

 

「それを超えてこそ超越者だ。可能性はある」

 

「未だ覚醒者に至らぬ身ではありますが、陛下の要求する水準はあまりに高いと愚考します」

 

「……そうか?」

 

「はい」

 

 そこで一度言葉は途切れ、レティシアは立体映像を操る作業に戻りながら言葉を紡ぐ。

 

「特典にかけられた保護(プロテクト)を自力で外し、十全に扱えるようになったのが覚醒者ならば、特典(オリジナル)以上の力を発現させる者を超越者と定義する」

 

「そうだ。そしてそれに至る可能性は転生者ならば誰でも有している」

 

「そして陛下に至る可能性も、ですか?」

 

 男は笑みを浮かべるだけだった。

 

 レティシアは呆れたように頭を振ると、立体映像を操る作業を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

「陛下。第97管理外世界まで後一週間を切りました」

 

 どこか。玉座の鎮座する部屋にて。

 

「それと先行させた第一から第三部隊の全滅を確認。現地勢力の転生者は中々手強いようですね」

 

「所詮は有象無象の寄せ集めだ。この程度で潰れたら面白くない」

 

「はい。陛下の仰る通りです」

 

「そうだ。結局私の力の前には全てが等しく塵だ。ならば過程を楽しまねばな」

 

「はい。陛下の仰る通りです」

 

「次は貴様が出るがいい。クロノよ」

 

「はい。陛下の仰る通りです」

 

「……壊れたか。まあいい。代わりはいくらでもいる。次は誰を使うか」

 

「はい。陛下の仰る通りです」

 

 壊れた人形を前に、男は次の犠牲者(おもちゃ)を探す。

 

 

 

 

 男は軍を率いて地球を目指す。

 

 転生者であるがゆえに、始まりの地であるがゆえに。

 

 ただその(おもちゃ)を振るいたいが為に。

 

 

 

 

 

 



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