AMAZON in FAIRY ((´鋼`))
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Alpha destiny

唐突に思い付いたクロスオーバーです。何故か天啓からネタが降りてきました。

まだ書かなきゃならんSSがあるのに←

では、本編どうぞ


 昔々、とある場所で1つの()を産み出そうと四苦八苦した若き魔導士が居ました。その若き魔導士は、ただひたすらに命を産み出そうと魔法を駆使し材料を集め文献を集め……そしてその命を()()()()ことに命を掛けていました。

 

 幾ばくかの時を経て、その若き魔導士は命を造り出すことが出来ました。その若き魔導士は喜びました。ですが、そんな幸せも束の間にその若き魔導士はこの世を去りました。

 

 

 

 

 

 

 自らの造り出した()()()によって。

 

 そんな化け物はその若き魔導士を食した後、若き魔導士が生前使用してた文献を読み漁りました。それだけでは覚えるのは難しいのですが、その化け物は食した際に様々な知識が頭に入りました。どうやらその若き魔導士の知識を受け継いだ様です。

 

 その化け物は机に置かれた1つの物に興味を示しました。まるで()()()()()()()()()()()()()の様でありました。その直ぐ側には、その物の使い方が書かれた紙がありました。

 

 彼は使い方を覚え様々な知識を覚えた後、実験に使われていた建物から姿を消しました。服を着て、靴を履き、(かばん)に物だけを入れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……不思議な夢を見る。極稀にしか見ないのに、そんな時の夢は何時も覚えている。

 

 仲間が居て、ギルドがあって、親代わりの人間が居て、自分を慕う人間が居て。そんなささやかな、そしてありふれた幸せ。

 

 俺が()()()()()を言った途端、全てが崩れ去る夢。

 

 それはどうしようもなかった。まるで自分の意思とは無関係に、夢の中では口を開いてしまう。そんなことが()()()()()()()()()?俺は逃げ出すだろう。何せ自分が人造生命体(ホムンクルス)で、人食いなんだから。

 

 

 

「…………ッアァ!」

 

 

 その夢をまた見て、飛び起きた。辺りを探れば夜の闇に包まれて何も見えない。唯一見えるのは空を見上げると見える月の光と幾万以上の星たちの光。

 

 傍らには討伐対象のモンスターの成れの果ての山、どうやら何時もの如く眠ってしまったらしい。全く……この力は未だ融通の利かない部分があるからな。

 

 

「夢……か。また…………」

 

 

 頭の中では別のことを考えていても、心は正直な様だ。またあの夢だ、最悪の目覚めだ。本当に最悪だ。とてもとても最悪だ。

 

 しかし物思いに耽るのも今は辞めておこう。俺は立ち上がり服に付いた砂利を払い除け、念のため持っていたバッグを肩に掛けて目的地まで歩いていく。

 

 勿論、延命の為に()()()()()()()()()()だが。

 

 ……少し話題を変えるか。もう一度俺についてのお復習(さらい)だ。

 

 俺はホムンクルス。とどのつまり人によって造られた化け物である。何故か人間の肉を食べた途端、一気に知識が流れ込んできた。あの時は小さいながらも知識による弊害を無くすために無表情に成りすぎていたな。

 

 お陰で周りからはノリが悪いなどと言われる始末。しかも当時1歳7ヶ月だぞ、幾ら肉体的に18前後の体に成ろうと実年齢違うからな?必死だったんだぞ。

 

 よりによって9歳のラクサス(歳上)に心配される始末。勿の論、兄を見るような目線で。オレノココロハボドボドダ!

 

 まぁ肉体的にあれだったし、そもそもの魔力も相まってギルドのS級に昇格したし一応便利な事はあるんだな。そう考えると余計に俺の考えが虚しくなるんだよなぁ。

 

 ……結構話題は逸れるものなんだな、取り敢えず覚えた。

 

 兎も角、S級になって初めてマスターマカロフに俺の話をした。人造生命体、そして人食いとして産み出された俺のこと。そして俺が持つこの魔法具、名称【(シグマ)ドライバー】。

 

 これは俺の体に存在する細胞全てを活性化させ()()姿()へと戻すことの出来る代物だ。とどのつまり、この人間の姿は偽物。確かに俺は化け物の姿で産まれてきたから、人間の姿なんて飾り物ぐらいにしか思っていない。

 

 ……だが俺が必死こいて本当のことを暴露したら、マカロフの爺さんなんて言いやがったっけ?

 

 あぁ……そうだそうだ。“知るかバカタレ、じゃあ食ってみろよ”だったな。あのジジイ、俺が人を食うことを我慢している時に何を抜かしやがったと内心焦った。

 

 けどまぁ……そんな爺さんの言葉で楽にしてもらったからな。感謝してるのは事実だ。エロ以外を除けばの話だが。

 

 さて……こんな事を考えていると港に着いた。行き先は【フィオーレ】、俺の家族が住まうギルド【フェアリーテイル】に向けて出発してくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 その航海途中に巨大烏賊(イカ)に襲われた。勿論コロコロしたが、俺は朝まで寝ることが出来なかった。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 漸くフィオーレに着いた。あー……疲れた。ったくあの烏賊をコロコロしてもどうにも収まりがつかん。眠いからイライラしてるんだろうが。

 

 あ、広場でナツ&ハッピー発見。しかもナツに至っては女複数にやられてるし。ダッサ。そして金髪の誰かさんと話をしている。

 

 

「おいナツ!ハッピー!」

 

 

 離れた所で大声で呼んでみた。名前を呼ばれたのかナツとハッピーはキョロキョロと辺りを見渡して、そのあと俺が居る後ろを見た。

 

 何か急速に走って来た。んで近くで止まった。

 

 

「ロプト!帰ってたのか!?」

 

「ん、まぁな。ただいまナツ。ハッピーもただいま」

 

「あい!お帰り兄貴!」

 

「兄貴じゃねぇんだよ。つかまたその呼び名かよ」

 

 

 ふむ……やっぱ嬉しいな。こんな帰っただけで喜んでくれるのはさ。んなこと考えてたらナツの腹からデッカイ音が鳴り響いた。どうやら飯はまだみたいだな。

 

 

「ナツ、ハッピー。稼いできたから飯でも食うか?俺も腹減ってよ」

 

「良いの!?」「良いのか!?」

 

「良いんだよ。あぁ、アッチのお嬢さんも連れてこい。ギルド勧誘するぞ」

 

「「あい!」」

 

 

 敬礼したあと走って連れてきた。この間、僅か3秒ちょい。いや早いんだけど?まぁ何時ものことと受け止めて先程名乗ったルーシィを連れて飯を食いに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 さて、レストランに着いたのは良かったが飯を食う量が多いことなんの。本当によく食うよなぁ~ナツ。食べっぷりは毎度のこと清々しいがよ。

 

 さて話を変えるがこのルーシィって女性曰く、さっきまで広場に集まっていた男『サラマンダー(偽)』の持つ指輪によって魅了されていた所ナツが乱入して洗脳を解いてくれたらしい。サラマンダーの時点でナツがイグニール探していたと考えても良いだろう。

 

 次第に話はギルドの話に。いや俺らギルドの魔導士。ナツ……は食事に夢中か。ハッピー……めんどくさそうな表情すんなコッチミンナ。

 

 俺も頼んだ骨付き肉食いながら聞いていたが……まぁギルドに入りたいのは分かった。問題は名乗ってた男だな。何か臭い。本能が告げてる。

 

 取り敢えずナツに通信用ラクリマ渡して先に金払って外に出て、んでサラマンダーと名乗ってたバカの男の情報を得ておくか。

 

 途中女性特有の甲高い声が聞こえてビビったが……何で出した?

 

 あ、俺のせいだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 んで、今港前。先にナツは()()()()()()()()()()()()が居る船に行ったそうだ。不味いな船弱点なんだけどナツ。

 

 しゃあない……俺も素早く行きますか。

 

 

「…………“龍脈操作”『浮遊』『反発』『加速』」

 

 

 両腕を広げて呟く。すると俺の体は50㎝程浮いた。んで、そのまま走ったら人間の出せる速度より遥かに上の速度で船に向かっていった。しかも先に加速効果を付けているから十数秒で着くな。

 

 とか何とか考えてたらナツの馬鹿が船を突き破って行きやがった。揺れのことも考えやがれアホ。

 

 あ、ハッピーが誰か連れ出したな。ちょうど良い。

 

 

「『壁歩』『探索』」

 

 

 浮遊状態から船体の壁を伝って走る。探索の結果、1つの部屋に数名と船内に数名。そして踏まれてる1名。そこか。

 

 

「『邪魔(貫通)』」

 

 

 勢いをつけて壁に穴を空けながら向かう。

 

 

「『退け(衝撃)』」

 

「!?へぶぉ!」

 

「だ、誰だお前!」

 

「ロプト!……ウップ」

 

 

 1名蹴り飛ばして気絶させてナツの救出をする為に“魔力を使う”。あぁ……でも普通に助けられるから別に良いか歩いて。

 

 

「し、侵入者を排除しろぉ!」

 

「だ、ダメです!体が……動きません!ボラさん!」

 

「その名で呼ぶなぁ!」

 

 

 ボラ……あぁ。あの『ボラ』か。ギルド追放されたって聞いたショボい炎のボラか。それが今こうして目の前に……成る程利益が見えた。

 

 っと不味いな、()()()()()()()()()()な。その証拠に波が……あぁ、俺がするのなぁ。

 

 

「“龍脈操作”『緩衝』」

 

 

 船の前方2㎞程度の所で緩衝材代わりの魔力壁を作る。船は通すが威力を殺して漂着するから実際の被害は無い。流石に波は少しあるが……まぁ万事オーケー。

 

 海岸に上がり揺れが消えるとナツが目の色を変えた。足は既に先程の波の揺れで退けられており、今や自由である。でもここまでキレるのは珍しいな。

 

 あ、海岸に投げ捨てた。俺も悪のりして相手落とそっと。

 

 

「ホイっと」

 

「アラァ!?」

 

 

 何か言った様けど気にしない。首根っこ掴んで投げ飛ばしたけど気にしない。同じようにしたけど気にしない。

 

 ナツも地上に降りて戦闘開始。いやー見てて気分が良いわナツの戦いっぷり。俺とギルダーツが教えたんだけどさぁ。俺はその間に倒れている人の救出をと。

 

 そうしている間に女性の1人が目を覚ました、んで俺の顔を見た。メッチャ狼狽えてるんですけど。

 

 

「な、ななな何で『永久機関(エターナルエナジー)』が此処に!?」

 

「あー……そっちの呼び名か」

 

「へっ?」

 

「あ、それより他の人を起こして逃げてくれ。ヤバイのが発動するから」

 

 

 その女性を離して町にある程度近付いてから、俺の魔法を発動させる。

 

 

「“龍脈操作”『龍壁』『吸収』」

 

 

 この町一帯に壁を張り被害を抑えることを優先する。その証拠に直ぐにナツの滅龍魔法が発動してボラを殴って町の方に……何てことにはならずに空中で止まったけど。序でに魔力を()()しておくか。

 

 そして再度ボラに殴るナツ。いやぁ……中々の威力だねぇ。

 

 

「おぉーい!ロプトー!」

 

「おっと解除……あ」

 

 

 しまったナツが空中に居るのに解除してしまったし。何か遠くで変な音聞こえたし……行くかぁ。

 

 

「ハッピー、ルーシィ。行くぞ」

 

「あい!」

 

「わ、私も!?」

 

 

 他にルーシィって誰が居るんだよjk。あーあー評議委員の奴等が来やがったよ面倒な。ナツの回収を手早く済ませてとっとと帰るか。

 

 

「ほらナツ」

 

「いってぇ…………」

 

「あぁルーシィ、ちょっと御免よ」

 

「えっ?……えぇ!?」

 

 

 まぁ驚くのも無理は無い、何せルーシィの体を此方に引き寄せているんだから。何か狼狽えているが無視しよう。

 

 

「“龍脈操作”『浮遊』『自動走行』」

 

 

 地面から50㎝ほど浮いて体を前に倒して速度を出して進んでいく。途中曲がり角とかある所はその通りに進んでいくんだよ。町はチェイスされる側は逃げるのにうってつけなんだよなぁ。

 

 

「さてルーシィ」

 

「はい!?」

 

「俺たちはこれからギルド【フェアリーテイル】に向かう訳だが……どうする?」

 

 

 方向転換とかしなきゃ不味いから目や表情は見えないけども、何か決意した時の声が聞こえた。つまり……

 

 

「行きます!フェアリーテイルに!」

 

「よし来た!」

 

 

 ギルド勧誘成功という訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てか……『永久機関(エターナルエナジー)』!?あのフェアリーテイル№1!?」

 

「どんだけ古い週ソラ読んでんの!?」

 

 

 何であのガセネタ知ってんだよ?どんだけ知られてるんだよあの名は!?

 

 

 

 

 

 

 




・オリ主 『ロプト・ビギンズ』
・Age 14
・能力:『龍脈操作』『解放』

・容姿:仮面ライダーアマゾンズの水澤悠
    右目は紫

・持ち物【∑ドライバー】【幾つかの本】





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Beast

「…………ウェップ」

 

「ナーツー……吐くなら吐くでスッキリしなさい」

 

「いやこの場は流石に不味いでしょ!」

 

 

 ナニイッテンダアンタ!プジャケルナ!吐くもんは吐け、悪いもんを溜めていると碌なこと起きないからさ。

 

 

「ブrrrrrrrrrrr」

 

「ぎぃやぁぁ!吐くなぁ!」

 

「そうそう吐けh…………オrrrrrr」

 

「こっちもかぁ!」

 

「あい!2人ともゲロまみれだね!」

 

 

 因にだが今ゲロゲロゲーしてるのはギルド【フェアリーテイル】の前、とどのつまり到着はしているのだがナツは俺が運んだせいでダウン。俺も釣られてしまったという訳だ。いや先ずギルドの前で何やってんだとか思うけどさ、ナツの表情見てると吐けって言いたくならない?

 

 つまりはそういうことだ。しかし悲しいかな、俺まで吐いちまったよ。幸い()()()()()()()は既に消化されていたので胃液のみを吐いただけで済んだ。ただ吐くとエネルギーの損失も激しいから危ういんだよぉ。

 

 漸く吐き終わると力無く扉を2人で開ける。だってさっき吐いたばっかだもん。勿論ゲロは避けて通ったぞ。

 

 

「「た、ただいま~……」」

 

「ただいま~!」

 

 

 出迎えてくれたのは何時ものギルドメンバー。何時も通り酒を飲み、何時も通り寛ぎ、何時も通りの生活を続ける全員。

 

 

「よぉ、ナツ!また派手に暴れたみてぇだな!」

 

「ロプトも何時もどお……何か元気無くね?ナツも」

 

「しかも何か酸っぱい臭いが……」

 

 

 やめろぉ!確かにやっちまったけど!確かに俺ら吐いたけど!ナツは元気が無く本調子じゃ無いとはいえ、よくメンバーを蹴るスタミナだけは残ってんな。そう思う俺であった。

 

 そしてルーシィはこの有り様に驚愕。しゃあない誰だってそうなる。コイツら誰かが喧嘩し始めると直ぐに雰囲気に乗ってやる時も少なからずあるからな。前はエルザとミラの2人がよく……おっと魔神様が睨んでおられたコワイコワイ。

 

 そして案の定周りを巻き込んで喧嘩へと至る。……よしルーシィを紹介しとくか(現実逃避)

 

 

「あールーシィ、こっち来てくれ。周りアレだけど気にすんなよ」

 

「は、はい……」

 

 

 兎も角ルーシィをギルドに加入させるのが先決だわな。それ以外だと来た意味は……あ、そういやマカロフに会うのもあったな。まぁ良いや先にこっtゴンッ!

 

 

「ヘアッ!?」

 

「いっつぅ…………」

 

 

 後ろから何か来た……あぁ、飛んできた板か。よしお前ら死ぬ覚悟しとけ。

 

 

「あールーシィ、先に向こう行ってろ。用事ができた」

 

「えっと……あの…………どちらに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交ざりに行く(お仕置きする)んだよ」

 

 

 ということで交ざりに行く。龍脈操作で先程の板の強度を挙げて地面に叩きつけて音を出す。勿論膨大な音だったので全員俺の方を見るが、俺の方に投げられてきた板をチラチラと見せると全員血の気が引いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

「おっとキレさせたか」

 

「あらマスター、お帰りなさい」

 

「マスター!?」

 

 

 年相応の声と小さな体、顔の(しわ)は歴史を感じさせ片手には紙の束。特徴的な白い髭。

 

 このちんちくりんの老人こそ、現フェアリーテイルのマスター『マカロフ』。この血の気の無いメンバーと黒笑を浮かべたロプトの背中を見ていた。ミラジェーンは何時も通りの対応で挨拶、ルーシィは驚いた様子で見ている。

 

 直後、メンバーから聞こえてくる悲鳴によってそちらに意識を向けることとなったが。

 

 

<ナァツゥ……カクゴシトケェ……

 

<ユ,ユルシテクダサイ!ナンデモシマスカラ!“ドムゥ!”

 

<コタエハキイテナイ。ツギ!グレイ!

 

<オレモカァ!?“ドゴォ!”

 

<ツギダレダオラァ!?

 

<モウダメダ……オシマイダァ!

 

<“リュウミャクソウサ”!『ラセン!!』

 

<エハァ!!

 

<オレガ!マンゾクスルマデ!ナグルノヲヤメナイ!

 

<リフジンノキワミ!!

 

<アーーーーーーーーー!!♂

 

<オイダレダ!?ドサクサニマギレテホッタヤツ!!

 

 

 

 

 

「うむ平和じゃ」

 

「何処をどう見れば良いんですか!?」

 

 

 マカロフ曰く、これはまだ落ち着いている方だそう。約1名の為に犠牲になっている人数が割りに合わないが。そして誰か掘られたが気にする必要は無い、だって人間色々居るもの。

 

 ミラの方はというと何時ものことと笑顔で見守っていたが微妙に脚が震えていた。そして何処と無く青ざめている。

 

 ルーシィはそんなロプトの蹂躙劇を背景に魔導士としての烙印を押す作業に入るのであった。蹂躙劇の方はマカロフがロプトに中止と告げるだけで終わったという。その時のマカロフはロプト以外からは聖人に見えたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あーすっと……する訳ねぇだろ馬鹿。まだ恨みしか募らせてねぇわボケ。

 

 まぁんなことは置いといて……あれだ。ナツとハッピーとルーシィがどっか行った。話は聞いてたんだがマカオが一向に帰ってこないことを不審に思ったロメオがマカロフに直談判したけど結局のところ断られて殴ってどっか行って、それをナツたちが追い掛けていったというシンプルなことだ。

 

 まぁナツのことは分からなくもない。ナツが小さいときに聞いたが(イグニール)が777年7月7日に突然姿を消したっていうな。確かに親の居ないナツだからこそ子が親を思う気持ちは誰よりも分かるんだろうな。

 

 というよりここ(フェアリーテイル)のメンバーは大体過去持ちなんだよなぁ……ナツ、グレイ、ミラ、エルフマン、ラクサス、エルザ、カナ、俺……あら?よく考えてみれば俺以外純正の人間ばかりじゃないか。俺……産まれから壮絶だったわ。

 

 親?その役目を持つ奴を食った。人間?いいえ化け物です。食人衝動は結構抑えられてはいるが。しかも龍脈操作で保たせているとはいえ、俺も命の方がねぇ。研究結果からは魔力無しの奴等は直ぐに消えたらしいしよぉ、俺が生きていられるのは龍脈様様ってか。

 

 さて、俺もクエスト探すか。まぁ下位層のクエストしか載ってねぇけど……

 

 

「…………」

 

 

 徐に目についたクエストを手に取る。クエストの内容を確認した瞬間、俺はこのクエストの書かれた用紙を握り潰した。

 

 

「おいおいどうした?そんな険しい表情s「悪いが今から出掛ける。退け」……えぇ」

 

「…………プヘェ!おいロプト!」

 

 

 マカロフが呼び止めるが知るか。俺は“コイツ”を受ける。受けなきゃならねぇ。だから1秒でも遅れる訳にはいかねぇ。

 

 

「ハァ……無茶はするなよ」

 

 

 安心しろマカロフ、俺は俺の役目をこなすだけだ。そもそもの心配なんぞ要らん。そして俺は何時ものバッグを持って龍脈操作を用いて素早く現場に赴く。

 

 

 

 

 

【依頼内容種:討伐】

 内容:マグノリア郊外の村に住み着いた大量モンスターの討伐。現在依頼に当たった魔導士15名が負傷。報酬42万J。依頼者■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 漸くか中々時間が掛かったな。魔導四輪とかで移動すれば良いと考える奴等に教えてやる、龍脈操作で浮遊できるんだ。上手くやれば『飛翔』することなんて容易い。とどのつまり俺は()()()()()という訳だ。

 

 さて……目的の場所だが、居るな。15?バカを言え、増えてやがる。20……30……35か、この辺りだな。恐らく生殖行為を行って……いやバカな考えは辞めておこう。彼奴(アイツ)らは人工生命体だ。つまり人工的に増やさなければならない。

 

 こんな依頼は前々からあった。そして俺が人工的に造られたことは知っている。

 

 つまり()()()()()()()()()()()()が居るという訳だ。全くもって情けない、あの時あの家屋を燃やしておけば良かったか。過去に色々愚痴っても仕方ねぇけどよ。

 

 気が付けば考えながら()()を取り出していた。バッグから取り出した俺が化け物になる為の道具。

 

 そいつを腰に巻き付けて左のハンドルに手を掛けながら、村の中心へと赴いた。奴さんは俺に注目しているが、同種だと気付いているのか警戒して姿さえも現さない。

 

 暗闇の中、俺は自分の腰に巻き付けられたドライバーのグリップを回した。

 

 

 

【∑[SIGMA]】

 

 

 

 

 

「…………スゥ、アマゾン!」

 

 

 俺を中心に高温の水蒸気が発生し、俺の体は紫の炎に包み込まれ俺は本来の姿へと変貌する。

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 ロプトは本来の姿へと変貌を遂げる。赤いつり目、紫の体に銅色の胸プレート、両腕と両脚にはそれぞれアームカッターとフットカッターが装備されており体に沿われた青いラインが特徴の化け物。

 

 簡単に言えばアマゾンΩタイプのΣver、またの名を【AMAZON-protoΣ】。アマゾン体に戻ったロプトは頭のレーダーを使い居場所の特定をしていく。

 

 居場所を確認し終えると、ロプトはゆっくりと体勢を低くさせ左腕を前に出し右腕を引っ込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして何処からか、木が折れた音が響いた。

 

 

「ガアアアアアアアアア!!」

 

 

 ロプトは……Σは吠えた。それに集まるかの様に他のアマゾンがΣを倒すため姿を現して向かっていく。

 

 

「「「「「■■■■■■■■!」」」」」

 

「ウア゛ァ!」

 

 

 先にΣは前方から来るアマゾンに向かって走り、ある程度接近するとその場でパルクールを使用。そしてアマゾンの上を通ると頭を両手で掴み、体勢を戻す勢いを利用して頭をもぎ取る。

 

 頭をもぎ取られたアマゾンは仰向けに倒れ死んだ。頭を見ると触覚の様なものが見えた。

 

 

「蟻か……!面倒なのを!」

 

 

 Σは立ち上がり攻撃を仕掛けてくるアリアマゾンの攻撃を払うと左手で手首を抑えてアリアマゾンの首に右のアームカッターを当て、それを引く。

 

 

「ア゛ァ゛!」

 

「■■■……■■…………」

 

 

 首からは血の代わりに体液の様なものがぶち蒔かれ少々腕に付いたが、Σは戦闘を続ける。

 

 先に左、次に右から来るアリアマゾンに対しΣは左のアリアマゾンの飛び付きを後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。狙っていたのか右のアリアマゾンにぶつかり2体は体勢を崩した。それを狙ってジャンプし、上に居るアリアマゾンの心臓を目掛けてアームカッターで貫く。

 

 引き抜くと今度は後ろから羽交い締めされるが、その場でジャンプし体勢を地面と水平にさせドロップキックを放つ。それによりアリアマゾンの体は貫かれ後ろに倒れたことで拘束を解いた。

 

 拘束を解いたΣに5体のアリアマゾンが迫る。Σは先に来ている前のアリアマゾンに接近し、腕を掴んでそれを軸に回転し頭を蹴り飛ばす。

 

 着地と同時に左前からアリアマゾンが攻撃しようとするが、しゃがんだ体勢からジャンプして攻撃を避け回転の勢いを利用して右足で反撃。かなりのダメージを負わせ、後退させる。

 

 他に後ろから来るアリアマゾンはローリングソバットで迎撃し、前から来る攻撃を体を回転させて避け右拳で叩き付ける。ジャンプをして来ているアリアマゾンの頭を左のアームカッターで叩きつける。

 

 他にも来ているが、Σは右のグリップを引き抜くと鞭の様な武器に変形させる。それをΣは自分を中心に全方位へと凪ぎ払った。これで倒した数は計16体。

 

 

「……漸くお出ましかぁ」

 

 

 Σの見た先には一際大きく羽もあり、頭部が肥大化されたアリアマゾン。とどのつまり【女王アリアマゾン】である。

 

 女王アリアマゾンということは、この()の長という訳だ。つまりコイツを倒せば他のアリアマゾンも消滅となる。

 

 Σはゆっくりと腰を落としつつ左腕を前に、右腕を引っ込めて戦闘態勢を取る。足で地面を蹴って土煙を上げさせつつ気を緩めずに構える。

 

 

「■■■■■■■!」

 

「ヴア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛!」

 

 

 女王アリアマゾンが突っ込んでくる。それと同時にΣも女王アリアマゾンに突っ込んで行き、御互いにラリアットを当てる。

 

 

「ヴガァ!」

 

「■■■ッ!」

 

 

 両者とも後ろに後退するが、直ぐに立ち向かう。Σがその場で軽く飛び蹴りを与えるが、手で払うことで対処する女王アリアマゾン。着地と同時に女王アリアマゾンが素早く右、左、下、上とラッシュを与える。

 

 最初は対応していたが最後の上が防ぎきれず、女王アリアマゾンのキックによって飛ばされる。

 

 

「ガアッ!」

 

 

 地面に背中を付けながら飛ばされていったΣ。ある程度の所で止まるが追い討ちを掛ける様に女王アリアマゾンはΣに向けて殴る。Σは右に転がって避けた後、左足のフットカッターで蹴りつける。女王アリアマゾンは体液を出しつつ少し転がりながらΣから離れる。

 

 腕力だけで立ち上がったΣは左のグリップを回転させて右腕を構える。

 

 

【VIOLENT PUNISH】

 

 

「オ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

 

 跳躍し、女王アリアマゾンの近くに着地する寸前で右腕とアームカッターが女王アリアマゾンの心臓を貫いた。

 

 

「■■…………■……」

 

 

 女王アリアマゾンは心臓を潰されたことで黒のドロドロとした液体に変貌した。それに同調するかの様に他のアリアマゾンも同じ様に液体へと変貌した。

 

 Σはドライバーを外すと空気と共に人間態へと戻る。辺りの惨状を見たロプトはそのまま依頼主の元に出向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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Cacodemon

 仮面ライダーアマゾンズ‼遂に映画化‼ヒィヤッホォゥイ‼テンション上がるぅ⤴来春が待ち遠しいィヒッヒィ‼

 本編どうぞ


 □□□□□□□□□ □□□□□□□□□

 

 あれから2日経ちました。ん?俺はどうしてたのかって?まぁ先ずはギルドに帰ってマカロフにクエストクリアの報告だして、んであの時の戦闘で少しばかり採取したアマゾンの体液を少し拝借。ギルドからかなり離れた距離の()()()家に戻り研究をしている。

 

 なぜに研究かって?思い出してみ、俺を造った奴は生命体を造るために幾つもの研究資料の調達もしていた。しかも独学でオリジナルの理論までレポートしてあったんだ。

 

 中でも俺が目を付けたのはΣドライバーのさらに高性能のドライバー。既に名は決めてあるらしく【ネオΣドライバー】というらしいが……完全に鳥の目みたいというか、何というか。しかも姿を変えるのに特殊な液体を組み込まなければ発動しないというのだ。代わりに得られる力はΣドライバー状態を越えるという。

 

 さらには魔導二輪を改造し少量のエネルギー注入だけでかなりの距離を走れる【自動魔導二輪】というのも開発の視野に入れていたらしい。それも俺のせいで叶わぬ夢となってしまったがな。

 

 んで、俺の持つ幾つかの本。これはその魔導士が生前書き上げたレポートを纏めたもので、その中には先程のネオΣドライバーや自動魔導二輪の製作方法も含まれている。

 

 

「ッあぁ゛~。ざい゛り゛ょぉ゛~」

 

 

 そして俺の家のとある一室。誰にも邪魔されず何の影響も無い様に龍脈操作で隠したこの一室で、この魔導士がしていた研究を俺が引き継いでいるという形となっている。

 

 しかしだ!如何せん材料が足りんのだ!この魔導士が書いたレポートの中には殆ど希望的観測の結果が主だが、この理論に信憑性はあり理論上は製作でき稼働もできる。だが求められる材料がかなりのレアだ。

 

 中には100年クエストの対象となるモンスターの体液だったり肉だったりと体の一部が多い上に、秘境の地でしか採れない薬草や鉱石などが求められ製作は難航しているのだ。

 

 腰かけている椅子にもたれ、首をダランと後ろに倒して椅子を足の動きでユラユラと動かす。どんだけ無理難題を出してんだよその魔導士!俺でさえ100年クエストをボロボロに負傷して満身創痍でやっと成功したのに!

 

 あい?100年クエストのクリア方法?そりゃ簡単だよ、傷ついたら相手から肉片をちょちょいと貰ってそれを食って体力回復させたし、アマゾンの力も借りた。流石にアマゾンの力は一時的に楽になったのも束の間、相手がさらに硬質化だったり攻撃力上昇だったりとしてきたので大変だったことこの上ない。

 

 だが今はそれより遥か上の無理難題に出くわしている。自動魔導二輪の方は残り3割で完成する。材料的に大分揃ってエネルギーの方は用意できたが、その自動魔導二輪の設計に1つだけ足りないものがあった。とあるモンスターの角だが、俺はそれが微量だけ欲しい。

 

 一応培養技術は龍脈操作を応用すれば材料揃えて可能だからな、流石に鉱石は無理だが。

 

 ……外出ようかな、気分転換でギルド行こ。彼処なら少しは考えも楽になれそうだしな。という訳で家の鍵を持ってギルドへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

 ……えっと今の状況整理ね。外に出てギルドに向かっていたら偶然エルザとバッタリ会って……いや、何か俺の家の近くに来てたからどうなのだろうか?杞憂であってほしいと思う。んで挨拶交わして話して、どうせだからギルドに一緒に行くかと誘われて隣同士で沈黙状態。

 

 ど う し て こ う な っ た ?

 

 いや、まだ隣同士で沈黙きめてる辺りは良いんだ。それはまだ良い。だがエルザよ、君は角を持ち歩いていたのにも関わらず何故それを川に捨てた?しかもその角、研究資料にあった奴と同じヤツなんだけど?

 

 その材料はつい先程俺が保護しました。これネオΣドライバーの材料にも含まれてるから、ちょうど欲しかった所なんだよ。しかも培養の手間を省けられるから一石二鳥!いやはやエルザ様流石!

 

 但し俺がこれを持った途端に背中に寒気が走った様な気がした。そしてエルザが何となく不機嫌になったが、理由を聞いても“怒ってない”の一点張りで答えてくれない。何故だ?

 

 まぁ兎にも角にも、材料は揃ったから家に一旦帰って角置いたあとギルドに出発。

 

 だが何故手を繋ぐ必要があった?エルザよ。あの頃と本当に変わってしまったね、良い意味と悪い意味両方で。

 

 聞いてよぉ。昔のエルザは強くなりたいが為に態々此方の方の家をマカロフから聞いて訪ねて来たんだよ?そん時の俺はさぁ、まだ色々と冷たい時期……というよりグレイの強化で忙しかった訳さ。でも流石にここまでされちゃあな、ってな訳でエルザも鍛えさせることにした。

 

 だが今はどうだ?エルザがS級魔導士になった日の深夜、何故か俺の家の扉を叩いて一緒に寝る羽目になったんだぜ?しかも夜中の2時。その時ちょっと眠りかけてたのに……。

 

 そして甘え癖というのだろうか。幼少期に何があったのかは知らないが甘えというのをあまり受けずに育ったのだろうか?今でも家に入った途端、両腕を腹に回して背中に密着するのだ。ヤメテクダサイ、リセイガモチマセン。

 

 だってさぁ……俺も生物よ?人工生命体とは言え、実質人間と変わり無いし生物なんだよ?本能刺激されると堪ったもんじゃない。襲われても知らんぞと内心思ったよ?しかもそれ言ったよ。なのに密着を強めるってどういうこと?

 

 それをマカロフに伝えたら“知識で覚えとけタラシ”って言われた。はっ?(怒)

 

 んで今の状況、手を繋いで向かっています。

 

 ど う し て こ う((ry

 

 

 

 

 

 

 

 そしてギルドに着いた途端、ギルドメンバー全員は何時もの如く緊張した雰囲気となった。お前らどんだけ苦手なんだよ、相手してるの普通の女の子だぞオイ。あとエルザよ、先に向かうと行って手を離した瞬間また握ろうとするんじゃあない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆらり ゆらり 揺れてい~る 男心ピ~ンチ」

 

「何かケツに違和感しか起きねぇからストップ」

 

 

 おいおい、この歌詞を歌わせろよグレイ。止めるんじゃねぇぞ……。

 

 さて何でこの歌かと言いますと、今普通に汽車の中でユラユラと揺れてるからな。目の前にグロッキーと化して横になったナツが居るけど。そのナツは左手をケツを隠す様にした。

 

 そして何時もの如くエルザが此方に視線を向けているがどうした?見なくても分かるんだけど、ただ研究書物読んでるだけなんですけど?

 

 

<チョットチョット、アノフタリドウイウカンケイナノヨ?

 

<シラネェヨ。トイウヨリ、エルザガコウナルノアイツダケナンダヨ

 

<……マジデスカ?

 

 

「「聞こえてるぞ!/~」」

 

「「なぬっ!?」」

 

 

 なぬっ!?じゃねぇよ何時聞こえてねぇと思ってやがったお前ら。つーか心外だな、何故にクールビューティーの人気S級魔導士のエルザがこんな薄汚いS級魔導士と師弟関係なのか俺が知りたいわ」

 

 

「兄貴、心の声漏れてる」

 

「あ、マジ?」

 

「んでエルザの顔がまtt“メギャア”」

 

 

 ハッピーの顔になまくらの剣が衝突した。龍脈操作でハッピーの後ろに壁を作り飛ばされる勢いを殺して読書の続き……と思ったが何故か視線を感じたので見てみるとルーシィが見てる。何?俺の言った師弟関係が気になんの?

 

 つーかハッピー、さっき出しちゃいけない音だしてたよね?下手したら修復させなきゃ不味いよね?これ。

 

 

 

 

 

 さて、話題を本質に戻そう。何故俺たちが汽車の中に居るのか。この話はかなり昔の因縁に遡……らないの?あっそ。

 

 冗談はさておき、俺たちが赴く理由は【鉄の森(アイゼンヴァルド)】という闇ギルドに深く関与している。呪歌(ララバイ)というのを知っているだろうか?字面通りに呪いの歌……というより音色だな。俺も笛の方は文献で読んだ程度だがゼレフ書の悪魔が()()らしい。

 

 そして鉄の森。闇ギルドの1つなのだがエルザの話にはエリゴールと呼ばれる暗殺系の依頼ばかりを受注する輩が居るらしい。ついた通り名が『死神』、大鎌持って殺してんならそう言えるわな。

 

 ……で?それがどうした?

 

 

「…………くふっ」

 

「どうしたロプト?何故吹き出した?」

 

「くははっ。いや悪い悪い、その鉄の森どもの死神(エース)様が不憫でならないってな」

 

「……ほぉ?」

 

「「???」」

 

 

 死神?馬鹿を言え。こちとら生きる為に殺したモン食ってんだ。暗殺術?捩じ伏せる。奇襲?無駄だ。現に……今近くに居る。アマゾン嘗めんなよ、魔力反応っていうのは感情で左右されやすいからよ。

 

 あ、ちょうど着いたな。ってかナツぅ、お前まだ酔ってんのかよぉ。つーかまだケツ穴隠してんのかい。ってか駄目だわ寝てるし。何にも考えずに寝ろと言ったのは俺だけども。

 

 

「ロプト、早くしろ」

 

「悪い、先行っててくれ。ナツ放って置くのも不味いし」

 

「そ……そうか。では私も此処で「よっと」ふあぁッ!?」

 

 

 あーもう面倒だな。つい強行手段に走ったじゃないかどうしてくれんだよ?えっ何やってるのかって?所謂“お姫様抱っこ”だわ。した途端に変な声を挙げて驚いたエルザを無視しながら出入り口の所にゆっくりと下ろす。

 

 そしてちょうどエルザの荷物が外に出されたあと、俺とエルザの間の扉が閉まる。軽く手を振るが、汽車は既に駅から離れていた。

 

 ナツを起こすため席に戻るが、どうやら先に起きていたらしく辛そうにしていた。ってか乗り物酔い辛いよね、俺も本読んでるとたま~になるのよ。いやホントたま~にだよ?

 

 ……ふぅ。さて、茶番はここまでにしとくか。今は目の前に居る標的にご挨拶する(喧嘩売る)か。

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◆

 

 

 

 

 

「やぁやぁ君、こんな所で奇遇だねぇ」

 

「ッ!……これはこれは、かの有名な永久機関(エターナルエナジー)では御座いませんか」

 

「はぁ……その呼び名は記者が勝手に名付けた通り名だ。ロプト、ロプト・ビギンズさ。以後お見知りおきを鉄の森(アイゼンヴァルド)メンバーさん」

 

「これはどうも御丁寧に。そして……」

 

「お前が居る理由は知ってるし、そもそも居たよな?()()()()

 

「ッ!…………そこまで知ってましたか」

 

 

 最悪……と見て良いな。相手が相手だ。

 

 今俺の目の前に居る魔導士、それもS級魔導士だ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の魔導士と鉢合わせ……いや頃合いを見計らって俺の前に出てきたんだ、そうじゃなきゃ()()()()()()なんて言葉使わない。

 

 ロプト・ビギンズ。S級魔導士でありながら使用魔法の種類は不明……というよりどちらに別れるのか判断しかねる種類だと聞いた。風の噂で聞いた話には“人数と位置が分かっているかの様に的確に潰した”の他、“身体能力強化の魔法”であったり“遠距離操作型の所有系”が挙げられ何の魔法なのか特定できない。

 

 極めつけは“相手をすると“魔力が無くなる”なんて言われている噂。正確性に欠けるが実際に被害にあった人物は居る。奇跡やら俺の悪運が良くなければやられることは間違いなさそうだ。

 

 

「ふおッ!?」

 

「なっ!?」

 

「おぉう」

 

 

 突然の急ブレーキによってバランスが崩れた。そのせいで俺は前方向に倒れ、呪歌(ララバイ)の笛が転がり落ちた。

 

 

「“龍脈操作”『殴突』」

 

「なっ!?」

 

 

 相手の拳が空を殴ると同時に俺の体に衝撃と痛みが走った。可笑しい、影で守った筈だ!何故痛みが走った!?そして距離が離れたことによって、笛を取られた。

 

 

「がふッ……!お、お前……!それを!」

 

「さてっと……おいナツ!」

 

「ん……おぉ!?ロプトどうしたよ!?」

 

「話は後!天井突き破っちゃって良いから列車から降りろ!」

 

 

 ちょうどその時、列車が再度発車するアナウンスが流れ慌てて魔導士の1人が炎を纏った拳で天井を突き破った。それを見届けている最中、俺は影を使用して相手の持つ笛を取り返そうとした。

 

 無意味となってしまったが。何故か手を(かざ)しただけで俺の影が動かなくなったのだ。にこやかとしたうざったい顔をしながら相手は口を開いた。

 

 

「影……か、でもこれ魔法なんだよなぁ。元を辿れば操るのに魔力は必須、とどのつまり()()()()()()()()君の影は元の影となる」

 

 

 次第に俺の元に影が集まり人の形をとった。そして頭の中で相手が言ったことが反復される。

 

 ()()()()()()()!?ふざけるなとしか言いようが無い。魔道具による遮断方法や妨害魔法ならまだしも、話の中で聞いたものでは無いのだ。しかも相手は手を翳しただけでだ、詠唱も無しに発動するのは困難を極めるのだ。詠唱があって初めて魔法は真価を発揮するのだ。それは普通だ!

 

 なのにコイツは平然としている!表情1つ崩さず、笛を手で回し遊びながら片手の詠唱無しでやってのけた!これが……S級魔導士なのか!?

 

 

「まぁお遊びはここまで、だね。もう発車してるけど……」

 

 

 相手は何も言わずに浮遊をやってのけた。そして笛を見せ付けながらこう言いやがった。

 

 

「この笛は預かった、返して欲しかったら俺を追いかけることだね。お仲間さん達にも伝えておいてよ~」

 

 

 相手は先ほどの炎の魔導士が殴って開けた穴を飛翔して通り列車から離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Destroy Enemy

・オリキャラのタグを追加しました。というより追加しないと後々のことに支障が出るので……例えばeゲフンゲフン平kパァン

・他作品ネタとありますが作者の好みとなりますので、あしからず。


 □□□□□□□□□

 

「おいエルザ!飛ばしすぎだ!幾らエルザでも魔力の消耗が!」

 

「知るか馬鹿者!それに貴様は私たちを育てた師を無下無下と放っておけるのか!?」

 

「ロプトを師だと思うなら何も急がなくて良いだろ!アイツの実力は妖精の尻尾(フェアリーテイル)全員が知ってんだから!」

 

 

 外からかなりの声量で話しているのが聞こえてくる。魔導四輪の屋根上にグレイがしがみつき、S級魔導士であるエルザが運転しているんだけど…………!

 

 

「すっごい剣幕ねぇ、エルザ」

 

「あい。エルザはロプトの兄貴のことになると判断能力が鈍るのです、まぁ兄貴が殺られるなんて考えもしないけど」

 

 

 ……先ほどの汽車の時もそうなんだけど、もしやエルザはロプトに恋心を抱いているんだろうか。というより、あれで目立たないアプローチしてるつもりなのだろうか。そう考えるとエルザも同じ()()()なんだと改めて理解できて、何だか微笑ましい感じがする。

 

 さて、もう1つ気になったことがあるのよねぇ。汽車の時もそうだし、今も話に出てたんだけど……気になるのよねぇ。

 

 

「ねぇハッピー、エルザたちを育てたって……?」

 

「あい。ロプトの兄貴はグレイやエルザ、ナツとかミラを修行させたことで有名なのです。妖精の尻尾の中では」

 

 

 ちょっと待って。さっき何て言ったのかしら?グレイやエルザ、ナツとか()()って言った?あの週ソラのグラビア特集で必ず出てくるミラジェーンが!?(昔の話だけど!)

 

 

「何でそこでミラさんが出てくるのよ!?」

 

「ミラだって元S級魔導士ですし、何よりロプトの兄貴の仕込みあってのミラなのです。あい」

 

「あの常識人そうなロプトさんが……よもやナツたちの師匠って」

 

「因みにロプトの兄貴は今でもこのメンバー相手でも勝てるのです。あい」

 

「もう突っ込まないわよ……」

 

 

 確か港の時は見た限り町を守る役に徹してたのよねぇ。それが妖精の尻尾主力メンバーの師匠で、『永久機関(エターナルエナジー)』っていう妖精の尻尾№1魔導士って何このギャップ。

 

 でも、そんな考えが中断される様な音が私たちの耳に入った。ハッピーもエルザも、バテているナツもその音を聞いて何やら勘づいたらしい。魔導四輪のスピードが上がってまたナツがバテたけど。

 

 

「今の音……【魔導兵器】か!」

 

「しかもこの音、ロプトが持ってたヤツにあった気が……!」

 

「えっ?えっ?何の話?」

 

「【魔導兵器】。ロプトの兄貴が()()()()魔法を用いた武器のことなのです」

 

「ちょっと待って開発!?ロプトって開発もできるの!?」

 

「あい!しかも少ない魔力で高い攻撃力のヤツを幾つも作っているのです!」

 

 

 んな無茶苦茶な。それを作れるということは、かなりの技術者ということになる。何よそれ!もうロプトがどんな人なのか分からないわよ!

 

 その音を聞いてから数十秒後、私たちはクヌギ駅を見下ろせる場所に一旦停まったが既に汽車は無く線路に続く様にエルザは魔導四輪を走らせた。そしてナツはまた吐きそうになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほらほらぁ!どうしたよぉ!?当てる気あんのかなぁ!?」

 

「ちょこまかとぉ……!」

 

 

 ただいま絶賛飛翔中の俺、そして列車と並列に並んで相手をおちょくっている。俺の両手には先程まで()()()に無かった狙撃銃を持っている。これはレポートにある換装の理論に基づいているので、実際離れた場所からでも呼び寄せることはできる。

 

 そしてこれは俺を造り出した魔導士がレポートに書き留めていた物の内の1つであり、『№0495【魔導狙撃銃】』という安直な名前だが性能はかなり御墨付きだ。そもそもあの魔導士が書いたレポートの発明品は全て“少ない魔力”で“高性能”というコンセプトで纏められている。良い例で【魔導二輪】なんかそうだ。

 

 そしてこの狙撃銃。コイツは銃本体に術式を付与させ、それに対応した効果を通常の弾丸に付与させるという代物である。ここでは魔力が多いことと、そもそも人間に対しては非殺傷をしなければならないので魔導弾にした。それでも当たれば肉を抉られる様な痛みは襲ってくる。

 

 術式の効果は置いといて、今は横の奴等を相手し……しまった駅が見えてきたな。いや待て、ここは逆に一掃するチャンスなのでは?よっしゃラッキー!

 

 というわけで飛行速度を上昇させ先にオシバナ駅に向かう。さっきの加速でソニックブームが出たけど気にする必要は無いか。

 

 まぁかなりの速さで着いちゃった訳だけども……おろ評議院の奴等じゃまいか。

 

 

「誰だお前は!?」

 

「地獄からの使者!……スパイダァチガウ!」

 

 

 しまった何故かネタに走ってしまった。まぁ良いや。右腕の間接近く、右胸の俺の紋章を見せる。色は深緑の俺だけの妖精の尻尾の紋章。

 

 

「妖精の尻尾!コレイヤダケド『永久機関』のロプト・ビギンズだ!」

 

「妖精の尻尾!?しかもS級魔導士の『永久機関』だと!?」

 

 

 かなり俺の来訪に驚いている様子だな。というより評議院の奴等は喜びを浮かべている奴等が多いな、何故なのだろうか……というのは辞めておこう。俺が妖精の尻尾の1つの常識人、尚且つ“俺が手掛けた魔導兵器”の量産型を作ったのは俺だ。かなりの技術提供を評議院にしているのだ。かなりのコネクションだな。

 

 そしてS級魔導士という肩書き。その実績もあるため評議院の者の間では御世話になっている人物であり信頼におけるから。というのが挙げられる。

 

 そして、このコネクションを利用する手だては無い。

 

 

「ここに居る評議院の者たちに伝えておく!もうすぐ鉄の森(アイゼンヴァルド)がこの駅に訪れて来る!俺1人で対処するから、貴殿方は外に出て民衆の保護をお願いします!」

 

「!?何を無茶なことを!」

 

 

 1人が声を出すが、それよりもお前らは実力差も考えてくれ!そして俺が邪魔に感じるから!でも口では言わない、これお約束。

 

 

「貴殿方には確かに闇ギルドの捕獲という命令があるでしょうが、俺の魔法だと敵味方問わずに被害が出てしまう恐れもあります!故に貴殿方は、()殿()()()()()()()民衆の保護に当たってほしいのです!」

 

 

 決まった!これは十八番、弱弱組織から弱組織まで兵装を揃えさせて強化させたが所詮雑魚。つまりはこんな言葉1つでも掛ければさっさと退散してもらえるんだよ。無様だなぁ評議院!

 

 案の定効いた様で、この駅のホーム内に居た評議院は全員外に出てもらった。そしてちょうど列車も到着し、ゾロゾロとお仲間さんたちが出てくる出てくる。ただ俺にやられた奴等は痛みの回復なのか出てきてすらいない。

 

 先頭には大鎌を持った死神()()やら何やらが此方を睨んでくる。何故かって?俺の持つ笛を狙ってるからだよ。挑発として笛を上に投げてキャッチしてみるが、案の定イラついている様子だな。

 

 

「ハッハッハッ!やぁ君たち、そんな苛々してると寿命縮むぜ!ミルフィーユ食うかい?」

 

「……妖精の尻尾『永久機関』、お前それが何なのか分かってるのか?」

 

「おや俺の問いに答えてくれない?困ったなぁ、かなりの力作なんだけど」

 

「テメェ!おちょくってんのか!?」

 

 

 うっわぁ……スッゲェ苛々してる。人間こわひなぁ、戸締まりすとこ。っていうか折角の御挨拶なのにピリピリしないでよぉ、しかも隙を態と与えているのに。

 

 

「心外だなぁ。結構本気なんだけど、7割くらい」

 

「いやミルフィーユ食うのか聞くのに7割本気ってどういう意味?」

 

「まぁ良いや。お前らの狙いはこの笛だろ?何で欲しがるのか聞かせてくれないか?敵だけど」

 

「敵っつう自覚はあるのかよ……」

 

 

 そりゃ敵対してるから敵なんだし。その辺りは見失ってないからね、俺。という訳で戦闘態勢として空中に浮遊しまぁす。風魔法じゃないからねぇ、誰だって驚くわな。

 

 相手の死神様も空中に佇んで戦闘態勢を取った。因みにこの笛は見せておきます。挑発の為です。

 

 

「……フゥ、で?この笛、一体どうするつもりだったのかな?」

 

「お前は知らなくて良いことだ。さっさとそれを返してもらおうか?」

 

「俺の()()と対等に戦えるなら返すさ」

 

 

 未だに挑発は続けさせてもらう。そしたら死神は悠々と高みの見物なのか、近くの電灯の上に座り込んだ。あーらら、お前は最後の切り札ってか?ま、大丈夫か。

 

 ちょっとばかし首を横に倒してポキポキと鳴らした後、軽く呼吸をして口角を上げて口を開く。

 

 

「さて、諸君らは…………()()退()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駅内には慌ただしく駆ける4名と翔ぶ1匹の姿が居た。ナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、そしてハッピー。その4名は音が響く方向へと向かっていた。特にエルザとナツの必死加減には頭を悩ませるだろう。ナツは戦闘、エルザは……色恋関係なのだろう。

 

 しかし駅の内部に到着したと思えば、見えた光景は見慣れている様で見慣れていない光景であった。

 

 

「はいっと!」

 

「ぐぶぅ!」

 

「よっ!」

 

「ねぶらぁ!」

 

 

 ロプトが相手の1人に飛び膝蹴りを与えた直後、その者を壁代わりとし飛び蹴りを与える。しかも的確に顔面ばかり。

 

 ロプトを止めようと大多数の魔導士が魔法を放つが、手で払うだけで軌道が逸れて当たりも掠りもしなかった。代わりにロプトは右手に持つ狙撃銃を右手だけで持ち、銃本体に術式を纏わせて放った。すると魔導弾は途中で幾つかに分かれ多数の魔導士に当たる。

 

 後ろから物理的に斧や剣持ちの者が奇襲を掛けるが、まるで気付いているかの様に後ろに振り向く要領で左足での回転蹴りを御見舞いする。

 

 ロプトの左斜め後ろから魔法を放とうとする者が居たが、その者を見ずに魔導弾を頭に当てる。完全無双状態の出来上がりである。

 

 

「ロプトォォオ!!」

 

「ん?……あ、ナツ「『火竜の咆哮』!」あっぶねぇ!」

 

 

 間一髪の所でナツの放った咆哮を避けたロプトだが、避けたことによって他の鉄の森のメンバーから焼けた臭いが漂っている。

 

 

「俺も交ぜろぉぉ!」

 

「あーもう交ざって良いから敵倒すよ!」

 

「ナツとロプトだけに良い格好させてたまるか!」

 

「だぁーもう無茶苦茶だよ!」

 

 

 ナツ()グレイ()の何時もの犬猿の仲(仲良しコンビ)ロプト(ホムンクルス)の戦闘に乱入を仕掛ける。グレイの造形魔法、ナツの滅竜魔法、ロプトの……魔法が辺りを鮮やかに仕立てる。主に相手の絶叫やら何やらによって。

 

 ロプトの持つ狙撃銃から幾つもの魔導弾が発射され、ナツの一撃必殺級の魔法付与の拳が炸裂し、グレイの造形魔法によって閉じ込められる。または吹き飛ばされる鉄の森のメンバー。

 

 だが未だに死神は降りてこない。それどころか何処かへと向かってしまった。

 

 

「ナツ!グレイ!コイツら任せるわ!」

 

「何処行くんだよロプト!」

 

「あの死神んとこだわ!あぁそれとエルザ!さっき1人影になって消えた奴居るから捜しといて!」

 

「……!わ、分かった!」

 

「んじゃ早速……!」

 

 

 ロプトは飛翔して死神(エリゴール)を捜しに翔ぶ。といっても笛はロプトが所持している為、流石に遠くに逃げたかと考えている最中……誰かが脚を掴んだ。

 

 

「ウップ……」

 

「……ナツ、お前色々駄目だろ」

 

 

 ナツであった。何故脚を掴んでいるのか聞くとエリゴール倒すと小さく呟いた。強者を相手にしたい気持ちは分からんでも無いが、流石に酔いと戦ってほしいと願うロプトであった。

 

 仕方なくロプトはナツの体を抱えてゆっくと下ろす。ナツは地面に足が着いた途端に回復し何時もの本調子に戻った。ロプトは飛翔した場合の先程のナツの行動を考慮し、今度は加速と反発の効果を発動させ走る。

 

 

「ふ~む……上か。でもなぁ」

 

 

 懸念しているのはナツの純粋な執着心。戦う、守る、倒すなどの1個体に対する戦闘への執着心である。今回のナツの狙いはエリゴールであり、そいつが対象となっている。が、上空に居るとなるとロプトも飛翔しなければならないが索敵能力の高いロプトが対象を見つけ尚且つ近くにナツが居るという場合。これほど面倒なことは無い。

 

 しかし懸念しては相手に辿り着けない。況してやロプトが笛を所持しているのにも関わらず奪い返そうともしない。考える中では罠を仕掛けている可能性もあったが、そもそも倒せば良い話でもある。

 

 なのでロプトは浮遊すると逆さまになり天井に足を向けて突撃する。

 

 

「“龍脈操作”『羅貫』」

 

 

 かなりの速度で天井へと向かって行ったが1人が通れる穴だけを空けて外に出た。

 

 そしてその直後、駅が風の障壁に包まれた。とどのつまり隔離された訳である。

 

 

「よぉ永久機関様、お仲間さんとはぐれちまったなぁ」

 

 

 飛翔しながらそう口を開いたのはエリゴール。大鎌の柄を肩に置いてロプトを挑発している。

 

 

「……………………可笑しい」

 

「はっ?」

 

 

 しかし予想の斜め上を行った回答でエリゴールは逆に呆れた。しかもロプトはまだ独り言をしている。

 

 

ここベストだよな?だったら他に……あぁ、そっちなのか

 

「何をブツブツと……!」

 

 

 エリゴールの視界から消え去ったと思いきや、後ろを見るとロプトがかなりの速度で線路に沿って飛翔していた。追いかけようと考えたが、エリゴールの魔力も先程の風の障壁で少ない。ある程度飛翔し、回復したら行こうと考えたエリゴールであった。

 

 そもそもの狙いの方に笛は運ばれたからだ。

 

 

 

 

 

 

 



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Fairly wizard

 クローバーの町、定例会会場内にて意気消沈している者が1名存在していた。妖精の尻尾(フェアリーテイル)マスター『マカロフ・ドレアー』その人である。この様になってしまったのは2つの理由からであった。

 

 1つはナツ、グレイ、エルザの3人がチームを組んだこと。このメンバーはヤバイ。特にナツがヤバイ、そして始末書の量が何時もより半端無いと予想しても良いくらいである。しかしこの問題はロプトの存在で一部緩和された。

 

 早い話、破壊行動を無闇矢鱈と行わず他のメンバーの破壊行動から町やら何やらを幾度となく守ってきた実績が大きい。何だかんだで師であるロプトの言うことも聞くので、そこは問題視しようにもしきれなかった。……本当の問題は直ぐそこに()()

 

 

 

 

 

 

「ハグッ モシャモシャ ガツガツ ゴックン」

 

 

 何故か呪歌(ララバイ)の笛を定例会に持ってきた、マカロフの直ぐ近くで肉を貪り食っている()()()が居たのだ。あのメンバーの唯一の抑止力となるロプト御本人が、何故か闇ギルドの所持されていた笛を持ってきていたのだ。

 

 マカロフはロプトの姿が見えた途端、とてつもなく青ざめて仰向けになって倒れた。机の上で倒れていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……あ゛ぁ~、食った食った。ちょうど腹減っててキツかったとこだったんだよ。もう少しで食人衝動が表に出て襲う恐れがあったんだわ。

 

 と、いうよりも……実は定例会に出席しているギルドマスターが知ってるんだよな。俺が人造生命体(ホムンクルス)ってよ。流石にアマゾンのことは言わない……と思いきや普通に言いやがったよ畜生。

 

 切っ掛け?……本当に些細なものさ。昔マカロフが急に俺を連れて定例会を訪れたと思いきや、俺の正体をバラしやがった。殴りたくなったわ。だがマカロフにも理由はあったんだわ。

 

 先ず始めに何故俺が定例会に連れてこられたかというと、その定例会から数ヵ月前にアマゾン共の反応が相次いでいたんだ。そしてそれらがクエストに受注された。案の定、割の良い仕事と踏み切った者は残骸を残して一部を食われていた。

 

 そのことも相まって俺を紹介させる方が良いとマカロフの中で決まった。そもそもアマゾンは人間よりも身体能力や戦闘能力が高く、並みの魔導士では食われるのがオチ。人間を食って生きる為、時折食人衝動のままに村に襲撃して人を食う……なんてのは結構あった。

 

 そしてアマゾンに対抗できるのは基本アマゾンのみ。だからこそ俺を紹介し、アマゾンと確認されたクエストは妖精の尻尾に回す様にギルドマスター内で話が決まった。勿論、最初は異を唱えた者も居たが俺のアマゾンとしての姿と身体能力を披露すると黙ってしまった。

 

 それらの事柄もあって妖精の尻尾のクエストカウンターに特別なスペースも用意された。そんなこともあったが、現在はそこまでアマゾンの確認も少なくなっている。

 

 というより食人事件あったのに、それをクエストとして出す輩はどうにかしてるぜ。でも俺の反応もそこまで大それた物じゃないからな、離れすぎていると反応すら感じなくなる。皮肉ながらクエストによってアマゾンの存在も俺は知ることが出来ているというね。前に評議院の奴等がそのクエスト関係のことでギルドに来たが、俺が技術提供を辞めると言い出した途端狼狽していたな。これで直ぐに帰ってもらったが。

 

 まぁそれは置いといてだ。俺、先に鉄の森の奴等潰せば良かったかな?それだと後々楽にな……いや、ナツとかが許しそうに無いな。ムキになって帰ったあとギルドで宣戦布告されそうだな。怖いお。

 

 そして時間だけが過ぎていった。暗い夜の闇の中、他のマスターたちと一緒にバレない様に隠れています。おいマスターボブ来んな、辞めろ肉の塊を押し付けるな。ガチで食いそうになるから洒落にならねぇ。

 

 あ、因みに笛の方はマカロフに預けてる。相手がガチの屑だったら俺たちが一斉に囲んで吹く暇さえ与えずに倒してお縄に、まだ改心の余地があるならば俺たちは何もせずに評議院に差し出すという魂胆である。

 

 …………おっと、そうこうしている内に来たな。鉄の森の……あぁ、最初に出会った奴か。っておいマカロフ、エロ本読んでんじゃねぇ。きっしょいわぁ、雑誌にキスするのってきっしょいわぁ。

 

 さて、マカロフもどうやら本題に移ったな。笛を取り出して見せたということは、ここからがアイツの運命の別れ道。決してウンメイノーでは無い。

 

 アイツはマカロフが石の上に置いた笛を取った。だが妙に抵抗感がある様に感じられる。つまりは改心の余地はあるということ。

 

 あ、アイツら来たか。ナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、ハッピー……うん全員だ。そしてマスターボブ、お前は冗談でも(同性)の前でそれをするな寒気しか起きねぇよ。

 

 まぁそんな事もありつつ、俺も出ていくとしますか。後ろからコソーリと近付いて、指先に魔力を凝縮させて光らせ下から照らしながら…………

 

 

「マヨネーズが足りないんですけどぉ!」

 

「うぎゃああぁぁ!」

 

「あ、兄貴だ」

 

 

 ルーシィは驚いてくれたね。だがハッピー、お前は驚きもしないだと?よし、ならば戦争(拷問)だ。恐怖させて……あ、でも逆に恐怖を与え過ぎると慣れるのか。辞めよ。

 

「ロプト!?」

 

「おまっ!先に行きやがって!」

 

「あー2人とも、君たちならやれると信じていたよ(棒)」

 

「「巫山戯(ふざけ)んなぁ!」」

 

 

 わちゃわちゃと暴れているがマスターボブのホールドによって結局の所動けていない。ざまぁ無いねぇ2人とも。んぁ?コイツらの師匠なのに口悪くして良いのかって?安心しろ修行の時もこんな感じだった。

 

 さてエルザの方だが……魔力回復中か。しっかし回復速度が早いこと早いこと。

 

 こんな話はさておいてと、俺の役割も果たそうか。どうやら相手方は笛を捨てて降参したみたいだな。これなら()()()か。

 

 大体の奴等が感傷に浸る中、俺だけは()()()()()()()を吸収していく。そもそもの素体関係もあるが、魔力……いや、エネルギーっていう言い方が正しいか?どっちでも良いがな。

 

 漸く本性現しやがったか、あの笛。魔法陣が空中に展開されて紫の雷が辺りを轟かせながら出現する巨大な木の集まり、形を作る。俺の役割は取り敢えず被害を最小限にさせながら目の前の奴を倒す(殺す)だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 □□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

「さぁて、どいつの魂から頂こ…………むぅ?」

 

 

 今目の前のゼレフ書の悪魔が空中に視線を向けたのぉ。ロプトよ、何時もすまんのぉ。

 

 

「全く……こんなの只の木だろ。単に()()()()()木そのものだろ?一々無生物が喋ってんじゃねぇよバーカ」

 

「ろ、ロプト!?」

 

「おい……まさか仕留めようなんて考えてんじゃあ」

 

「その通りじゃよ」

 

 

 エルザ、グレイ、ナツ……とルーシィちゃんじゃったかのぉ。勿論ハッピーお前も含めて、儂を見る。まぁ、誰だってそんな反応はするか。特にアイツに惚れとる者は。

 

 

「あやつは……普通に仕留める気まんまんじゃよ」

 

「じっちゃん!俺にも行かせろ!」

 

「はい残念」

 

 

 ボブの手によってナツとグレイがホールドされおった。まぁた青ざめとるか、仕方ないかもしれんがのぉ。

 

 

「ですがマスター!我々が力を合わせれば!」

 

「まぁ確かに簡単じゃろうが……今回ばかりは見てやってくれんかのぉ?それに、ようやっと()()()()をあやつが使うんじゃ。多目に見てやってくれ」

 

「「「「!?」」」」

 

「えっ、何々?何でこんな反応なの?」

 

 

 そこは儂らの出番じゃな。すまんなハッピー、解説の仕事儂らが貰うぞ?

 

 

「ロプトはのぉ……滅多に攻撃魔法を使わないんじゃよ」

 

「私たちが見てる中でも、やっぱりロプトちゃんは肉弾戦ばっかり。魔法を使うとしても、補助系が多いのよねぇ」

 

「そんな奴が久々にガチの攻撃魔法をぶっ放すんだ。アイツの実力を踏まえた行動だと思って多目に見てくれよ」

 

 

 ゼレフ書の悪魔の方はゲラゲラと下品な笑いをしながらロプトを侮っている。実力を知らん奴は確実に身を滅ぼすことを知らんのか?って、悪魔じゃから人間を下等生物と見下すのは基本か。

 

 そんな罵言雑言を浴びせられながらも、ロプトは両腕を前に出して構えた。その腕の間から電気が走る様な魔力が(ほとばし)っており、手の平からは球体に収縮された魔力反応が確認できるのぉ。

 

 

「ゼレフ書の悪魔つったか?」

 

「それがどうした?人間」

 

「賭けだ、賭け。どっちにしろ、つまらねぇから賭けをさせてもらうぜ。あ、俺はお前を倒せなかったら魂やるよ」

 

「ほぉ?……」

 

「んなっ……!し、正気!?幾らNo.1魔導師でも、無茶振りよ!」

 

 

 ルーシィよ、心配せんでも良い。あやつはそんじょそこらの輩とは生まれから成長まで何から何まで違うからの。

 

 

「ガッハッハッ!良いだろう!その賭け、乗った!」

 

「承諾したぁ!?」

 

「んじゃ…………そろそろ始めようか」

 

 

 ロプトの両腕に溜まっておる魔力が何時の間にか膨大な量まで凝縮されておる。さてそろそろか。溜められておるのは()の魔力、あやつの技術の結晶の1つじゃ。

 

 

「ロプトの魔力は()()()()()()。あやつが使うは()()()()なり、ロプトが明確な魔力の属性が定まっておらんのはその為である。が、属性魔法が使えないかと言えばそうではない。あやつは溜め込んだ魔力の属性を体内で変換させ属性を()()()()決められる。つまり……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超電磁砲(グラン・レールガン)

 

 

 手の平から放出され蓄積された魔力の塊は、両腕に溜められた魔力によって発射されゼレフ書の悪魔の頭を穿つ。綺麗に破裂し、木の破片がパラパラと落ちていく。

 

 突然の出来事に何が起こったのか、数瞬の時間を経て漸く理解する5名。時折焼け焦げた木片が垣間見えることから、膨大な電力を有していたことが明らかとなっている。

 

 

「あらゆる属性魔法を使用できる訳じゃな。まぁ制限はあるがの」

 

「スゲェ……」

 

「やっぱり兄貴は兄貴でした。あい」

 

「これが……妖精の尻尾No.1魔導師の、実力」

 

「ロプトぉ!俺と戦えぇ!」

 

 

 何時もの如くナツがはしゃぎおるのぉ……しっかし、たまげた。頭吹き飛ばして尚も直立不動って意味が分からんわい。

 

 おっとそんなことより残骸処理……は何時もの如くロプトがやってくれるじゃろ。ほれ、その証拠にロプトが両拳を合わせて魔法陣を発動させおった。その後ロプトの頬が大きく膨らんで両手で筒を作り、それを介して咆哮(ブレス)を放ちおった。

 

 

「あれって……ナツの滅竜魔法!?」

 

「魔導師が魔法を使う際の魔法陣を記録しておるだけじゃわい。かなり熱心に研究しておっての、ラクリマ使ってあらゆる方角から魔法陣を撮ったりと……」

 

「おいこらマカロフ、テメェ好き勝手言いやがったな?」

 

 

 焼却し終えたロプトが降りて来おった。チッ!タイミングの悪い奴じゃのぉ。

 

 

「タイミングは悪くて調度良いんだよ。特にそのベラベラと開くお喋りな口にはな」

 

「さり気なく人の心を読心魔法で読むな」

 

 

 そんなんじゃ何時まで経ってもモテわせんぞ。お前さんぐらいの見た目とかなら直ぐにでも身を固めてほしいものじゃが?って、エルザが居ったか。師と弟子とはいえ、ガキの真意ぐらい汲み取ってやらねば何が親か。

 

 

「身を固めるとかはどうでも良いんだよ。少なくとも今は研究やら開発やらで忙しいんだよ」

 

「お前という奴は…………ハァ」

 

「終わったなら帰るわ。まだ自動魔導二輪の制作が終わってねぇんだ」

 

 

 そう言って空中に飛んで帰っていきおった。全くあの朴念人めが。見ろエルザの表情を、哀愁漂っておるじゃろ?これで飯が何杯でもいける……なわけねぇだろォイ!

 

 

 

 

 

 

 




ロプト・ビギンズについて

使用魔法(?)【龍脈操作】
ロプトの使用する魔法に該当する力。本人はこれで能力付与を使用し、肉弾戦や銃撃戦などを行うため攻撃手段としてはあまり使わず。その為か知らないが、ロプトが攻撃魔法を使用すると何かしら不穏な噂が流れる。

地中などからエネルギー基魔力を吸収するため、配分を考えつつ吸収しながら戦うため“尽きない魔力”から2つ名として永久機関と呼ばれる様になる。





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Gabies

はい、皆様遅れて申し訳ありません。鬼の半妖です。

色々ありまして……で終わらせる自分は屑の鑑。

兎も角、本編をどうぞ。

ネタがマシマシだ。前とは違いますよ。






「ぶぅフェっはっはっハッハッハァ!遂に、遂に完成したぞぉ!」

 

 

 やぁ、ただいまハイテンション中のロプトだよ。漸くあのレポートの内の1つ、そして俺の課題点であった物が完成したのさぁ!脳からの周波数を感知させ、此方に来る機関!少ないエネルギーで超距離走行可能に!極めつけは強度!アマゾン共を轢き殺す用に軽く強度な鉱石をふんだんに使用した最高傑作ゥ!

 

 やはりこのレポートを実現させる私は……神の才能を持っていると断言しても良いなぁ!そして完成した【自動魔導二輪】、コイツの名は……!

 

 

「【ジャングレイダー】!さぁ私に動く様を見せt「ロプトォォォオオ!」」

 

 

 燃料である培養液を注入しようとしたら、急にナツの声が聞こえた。…………よし、ここは無視を決め込もう。俺は今からコイツの試運転をしなきゃならんのだ、邪魔をするんじゃない!

 

 

「やっぱ何か作ってたか!ハッピー!」

 

「あいさー!」

 

 

 俺が培養液をジャングレイダーに入れ終えた途端、ハッピーに作業服の襟を掴まれて連れて行かれてしまう。おいハッピー離せ、兄貴命令だぞ。えっ妖精の尻尾に連れて行く?何でだよォ!?

 

 くそぅ!こうなればせめてもの抵抗をしてやる!

 

 

「歯名背!葉那妹!派無瀬!刃鳴畝!覇奈競!」

 

「おぉぅ!おぅわぁ!暴れないで〜!」

 

「あ、そうか。ハッピーの魔力を吸いとりゃ良いのか」

 

「ヒッ!」

 

 

 よし効果的面!俺の龍脈操作は応用として他者の魔力をも操れるからな、つっても魔力を吸い取る又は魔力を与える位しかできねぇけどよ。それでもこのアドバンテージで何とか危機回避できる!序に脳波でジャングレイダーを真下に呼び寄せて……よし乗車完了!

 

 

「あ〜ばよ〜!とっつぁ〜ん!」

 

「誰がとっつぁんだー!ばかもーん!」

 

「ナツ、ロプトに毒されてる」

 

 

 アクセルを回してそのままサイナラ〜。うっしゃ!このままどっか行くか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 助けて(唐突)。

 

 いやなに、ちょーっと悪ふざけで土人形(ゴーレム)作って近くに居たモブ盗賊フルボッコにしてたら後ろに巨大な※※※持ったあべしッ!さんが

 

 

「所でコイツを見てくれ、どう思う?」

 

 

 つったけど嫌な予感がして龍脈操作とジャングレイダーで逃げてるんだけど、追いかけてきてるゥ!しかも何か速い!ジャングレイダーと龍脈操作での速度補助も無意味!徐々に近付いてくるゥゥゥウ!あぁ!来るゥ!

 

 と、展開的には後ろのあべしッ!の奴と前の木にぶつかってGAME OVERになってたと思うんだ。おいそこ、期待すんな。ホモ認定するぞ。

 

 途中で刀を持った子が、その男を斬って消滅させた。いやマジで助かった!あれに捕まったらジャングレイダー壊れないと思うけど、俺のケツ穴が壊れてた!うん!というわけで土下座だ!

 

 

「尊厳を守ってくれて感謝しています」

 

「いや……あの…………えっと…………あ、頭を上げて……くれませんか……?」

 

「無理です。男のアレがあれになる所を態々助けて貰ったのに頭上げろだなんてトンデモない。というか何かお礼させて下さいお願いします!」

 

「ねぇお願いですから!土下座の状態で地面に自分の頭を埋めないで下さい!」

 

 

 えっ……?うわっ、マジだ。埋もれてたし、土ついてるし。あ、そういやゴーレム解除してねぇわ。ってあちょ、貴様なぜ俺の頭を押さえつける!?あぁ!何かケツ触ってきやがった!コイツホモかよぉ!(驚愕)

 

 

「わわっ!不味い!」

 

「えっ?ピィ!?」

 

 

 ゴーレムの上半身を砕いて貰ったあと、頭を地面から出してもらって俺は普段の癖である“頭高速左右振り”で土を落とす。

 

 

「ふぃー、あんがとさん。おかげで助かった」

 

「そ、それよりも早く!あのゴーレム解除して下さい!」

 

「なんで?」

 

「さっきの男は女性だけでしか倒せなくて、倒したとしても何かに取り憑いて……あぅ()

 

 

 あ、顔を赤くして俯いた。んでもって顔隠した。ってことはつまり……やべぇ!解除しなきゃ掘られる!即刻ゴーレムを遠隔操作で解除して単なる土塊に戻して、万事解決!

 

 

「あぁ、うん。もうゴーレムなら消したから、ね?だから顔上げて、ね?」

 

「……はい」

 

 

 くっそ、こんなん端から見ればただのドS野郎じゃねぇか。いたいけな女の子を弄んで快楽を得てる危ねー奴じゃねぇか。何処ぞの○田さんじゃないからな俺は!

 

 しかし、こんな考えをしている時点で俺は地雷をとっくの昔に踏んでいたのかもしれない。なぜかって?足音に気付いたのが、その足音を出した本人との距離6mとの地点で気づいたのだから。

 

 

「なっ……何してんのよ、アンタ…………」

 

「……え〜っと、お知り合い?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何カグラに近づいとんのじゃぁあ!この変態ィイイ!」

 

「誤解だクソッタレぇええええええ!」

 

 

 (ケツ)論:後ろはキチンと守りましょう。

        ケツだけに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「本っ当に申し訳ありませんでした!」」

 

「ハハハハ……はぁ」

 

 

 私たちは今、この付近の休憩所で少し休んでいる。というのも私が昔受注したクエストに、あの阿○鬼と呼ばれる霊の類が男を片端から……これ以上は言えない。あの時、あんな行為もあって良いのかという畏れと、男の……あぁ駄目だ!ここから先は破廉恥すぎて言えない!

 

 と、とにかく!そのクエストの時に習性や弱点は覚えたので、今回は被害者を出させずに済んだ。

 

 まさか被害者が『永久機関(エターナルエナジー)』だとは思わなかったけども!あのフェアリーテイル№1魔導士の!魔導士なのに物理でクエスト終わらせてる人だよ!

 

 まずはリズリーと共に謝罪。ビギンズさんは何もしていないし、先に危害を加えたのはこちらだ。

 

 だがビギンズさんから出た言葉は

 

 

「謝んなくて良いから。あん時だと不審者に見えるのは仕方ねぇし」

 

 

 と、それだけ。けど付け加えて

 

 

「でもさっきの蹴り無茶苦茶痛てぇな。マジで“重力魔法”使うなし……」

 

 

 と。いやどっちなんですか?許してるのか許してないのかハッキリしてくれませんか?そんな事を思ったとしても、ビギンズさんのペースは未だに続いている。

 

 

「しゃぁしまぁ、2人とも『人魚の踵(マーメイドヒール)』のか。マスターのばっちゃん元気にしてっか?

 

 いつも定例会の時に茶菓子くれるけど、どっか危なっかしいからよ。

 

 この前なんて何もねぇ所で転けそうになってたし、ギルドにバリアフリー取り付けたら良いんじゃねつったら「あたしを年寄り扱いするんじゃないよ!」とか何とか言ってな」

 

「「ぶふっ」」

 

 

 しまった……!声真似が似すぎて思わず……!リズリーも一緒だ。あれは反則じゃないか?

 

 ……いや待て、そもそもビギンズさんは何て言った?マスターの()()()()()?定例会の時?というか定例会行ったことあるのか……ふぁっ!?

 

 というよりそもそも、ギルド内でマスターに年齢関係のことを話すのは禁句なのにこの人何をしてるんだ!?というか敬語すら使ってないぞ!

 

 そのことをリズリーも気付いたらしく、そのことを尋ねたら

 

 

「あぁ平気平気、もう何回も行き過ぎて他のマスターに敬語使うのメンドイし。何よりこっちも疲れるから止めろって言われたし」

 

 

 マスターこの人とどういう関係なんだ!?と、急に話題を変えて話し始めた。

 

 

「あ、それよかさ。ちょいと手伝って」

 

 

 その言葉を遮るようにピリリリッという音が休憩所に響きわたる。その音で顔をしかめたビギンズさんであったが、渋々ラクリマを取り出して会話し始めた。

 

 

「はいはいもしもし、ビギンズだを」

 

〔ビギンズ様、評議院の者です〕

 

「今度はなに?また【魔導兵器】?それとも量産計画?若しくは何か真新しい材料でも見つけたか?」

 

〔いえ。今回は魔力供給の件でして……〕

 

「はっ?(威圧)」

 

〔ヒィ!……で、ですから魔力供給の件でして〕

 

「オイコラ。そっちに譲渡用のラクリマあんだろ、それ使えよ」

 

〔そ、そのラクリマでは貴方の魔力とは……〕

 

「俺の魔力なんて()()()()()()()()()だわ。そのラクリマに詰め込まれた魔力と俺の魔力は同じな訳だ、つーわけで切るぞ」

 

〔そ、そんな無茶くt〕

 

 

 そのまま有無を言わさず通信用ラクリマを切る。というより相手評議院なのに恐る素振りを全く見せてないし!下手すればギルドが危うくなるのに何故!?

 

 そのビギンズは、険しい顔から一変して優しげな表情になった所で話した。

 

 

「いんやぁ悪いね。評議院の連中には借りが幾つもあってな、面倒なことに関わりそうな時は何時も使う手口なんだよ」

 

 

 いや物凄く怠惰だ!面倒の時点で察したけれども!会話の途中で怒気が含まれていたから分かったけれども!

 

 そうこうしていると、また休憩所に響きわたる音。面倒ながらラクリマを取り出して話し始める。

 

 

「はいはいビギンズだを!」

 

〔やぁ、ロプト・ビギンズ〕

 

「……やぁ糞まみれのジークさん、如何お過ごしで?その糞尿の詰まった血肉袋の調子は?良ければ腹かっ捌いて臓器の様子でも見ようか?」

 

〔相変わらずスラスラと出ますねぇ、兵器開発者様〕

 

 

 皮肉……というよりも、完全に毛嫌いしているのを隠そうともしない言いように少し引いている自分が居る。というよりも人に対してあそこまで言うのか普通?

 

 ビギンズさんは席を外すと言って少しの間だけ外に出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちっとばかし断りを入れてから席を立って、外で通信する俺と糞ジーク。あ?名前知りたいだと?普通に『糞まみれのジーク』だわ文句あっか?

 

 というのは置いといてこの『ジークレイン』という男、俺はコイツは好きじゃない。というより()()()()()()。いや人間なのだろうが、それは()()()()の方だろうが。

 

 コイツは幻覚。人としての生き様というより、エーテルナノの反応が妙に薄い。故にコイツは偽物というよりも、成りすました幻覚だ。俺もアイツを知り、アイツも俺が知っている事を知っているから言い合える。

 

 ジークレインの正体を見破る方法なんて無数に存在するが、見破ったら見破ったで計画が進みそうなのは確かだ。俺にも戦力強化が欲しいし、何より馬鹿どもが1枚噛みそうなのだ。

 

 さて、俺は考えごとを他所にして話し合うか。

 

 

「んで?用件はなんだ?」

 

〔おやおや、てっきり嫌われているから話しかけないものだと〕

 

「んなモンこっちから願い下げだわ。だがお前が絡んでるとなると、面倒な事が()()起きかねないんだよ。それ防止の為だわ」

 

〔そうか……なら用件だけ。魔力供給の為に評議院まで来てくれ、ロプト・ビギンズ〕

 

「んじゃあ見返りを貰おうか。追々決めとくから後でな 」

 

 

 強制的にラクリマを切って、さっきの休憩所に居る2人の所まで戻る。ただし座らない、だって行かなきゃならんのだもの仕方ない。

 

 2人に別れの挨拶をしたあとにジャングレイダーで駆け抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふむ、意外に早く到着したな。丁度良い、さっさと済ませr「ドケェエエエエエ!」…………あんのクソばかがぁ!俺の胃を殺す気かボケェ!

 

 

「俺が鎧の女まど「ナツ!」」

 

 

 瞬間、ナツの体がビクリと震えてこちらを見る。何だその格好、そんなんで偽物だと思うのは主に馬鹿だけなんだよオイ。それよかナツ。

 

 

「正座」

 

「ろ……ロプトぉ…………これは、深いわけが……」

 

 

 

座れ」「はい!」

 

 

 お行儀よく座ってくれて僕は嬉しいよ、ナツ。だがね、俺の胃を破壊するような真似はさせんぞ?そうなったら久々にお前に攻撃魔法を叩き込みたくなるからな!

 

 

「ナツ、正直に話せ。んでこんな事やった?」

 

「そ、その〜……エルザが捕まったって聞いてよ」

 

「………………あぁ、先日のか。けどそれだと俺が該当……あぁそうだわ、俺は俺で評議院もまずくなるかウン」

 

 

 よくよく考えてみれば、魔導兵器の開発に加えて量産の目処を立たせたのは俺であって戦力を揃えたのも俺。つまりは俺を捕まえたとしても亀裂を生みかねないからと。

 

 

 他はあれだ。ナツやグレイはある意味論外。グレイならまだ何とかいけそうだが、肝心な所で思考してないから不味い。ナツは性格面で論外。

 

 

 ルーシィは……存在があれだったのか?よく分からん。ハッピーは人じゃねぇから、消去法でエルザだけか。

 

 

「はぁ…………ナツ、お前は帰れ。帰ったら帰ったで罰は軽くしてやる」

 

「なっ!?ロプトお前!」

 

「今ここで暴れたら無理矢理にでも返すぞ。序に罰は最も重いヤツにしてやる」

 

「うぐっ……!」

 

「なに、心配すんな。明日にでも帰れるから大人しくしてろ、良いな?」

 

「…………ロプトが言うなら仕方ねぇな」

 

「はい、いい子だ。エルザが戻ったらバトルでも何でもするからよ」

 

「ホントかぁ!?」

 

「ホントホント」

 

「うっしゃあー!帰るぞー!」

 

 

 こうしてギルド1の面倒は帰って行った。さて、俺もやりますかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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