数字落ちの優等生 (キィチャ)
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入学編 入学編 第1話

前作を読んでくださった皆様、お久しぶりです。初めましての方は初めまして。キィチャと申します。以前投稿していた「魔法科高校の欠陥生」ですが、諸事情によりリメイクを検討しております。リメイク完了後は削除し、無かったことにしたいと思っております。まあ、とりあえずこの作品は全く別の作品ではありますが。
改めて、これから宜しくお願い致します。


――始まりは、時を戻すこと10年前。

「本日を以て、四堂家を二十八家から永久追放とする。以後、四堂家は紫藤家へ改名し、現当主 四堂青道を国外追放処分とする。」

この言葉を最期に、父の姿を見ることは無くなった。それと同時に、それまで優しかった母の姿を見ることも、無くなった。


それから十年の月日が、経過した。









―――2095年 4月東京都にて

「はあ…。やっぱり早過ぎたよなぁ」

今日は待ちに待った魔法大学附属第1高校への入学。憧れの一科生の制服を着て、期待に胸を膨らませて来たはいいものの早過ぎた。まだまだ時間に余裕があり過ぎる。仕方ない、少し見て回ろうかと思った時であった。何やら声が聞こえる。




「納得できません!」
「まだいってるのか」
「どうしてお兄様が補欠なのですか!」


なんとまぁ大きい声を。とはいえ、あれに介入する程の度胸を持ち合わせている訳でもない俺は、気にせず通り過ぎていった。

これから先に起こる悲劇の事など、何も考えずに。



少しばかり歩くと、ベンチがあるではないか。そんな覇気のない考えを持った俺は、遠慮なくベンチを利用する。すると、日差しが気持ちいいのだ。これは…寝てしまう………。







「………て……い。おき………。」
「起きて下さい!!」

「うわぁ!……びっくりした…。て、えっと、どちら様で?」
どうやら寝てしまっていたようだ。起こしてくれた子はとても先輩には見えない。同級生だろうか。
「あ、えっと、いきなり大声でごめんなさい。もうすぐ式が始まるので、起こそうと思っていたんです。それから、私は生徒会会計の中条梓っていいます。」
「……先輩でしたか。わざわざすみません。えっと、自分の名前は紫藤銀次と申します。本当にありがとうございました。中条先輩。」
「いえいえ、これも先輩の務めですから。」
そう言って、中条先輩は胸に拳を当ててご機嫌になる。……この人ちょろいな。と、中条先輩が続けて話す。

「でも、君が例の紫藤銀次君かぁ…。思っていたより優しそうで良かったなぁ…。」
「例の?一体、どんな話か聞いても?」
「はい。実技試験は文句なしで1位!どの部門も過去最高得点で、首席の子も最高得点だったのにそれすら上回る点数で、教員と生徒会で話題になってました。ただ…入試結果が理論を除いて、全教科70点だったのもあって、残念ながら入試結果は次席だったのも、これまた話題になってまして……。」

「そんな事に…。成程です。って、そろそろ時間ですね。色々とありがとうございました。中条先輩」
「いえいえ!また何かあれば、是非!」
そう言って別れた俺は、講堂へと急ぐ。

さあ、いよいよ魔法科高校での生活が始まる。
どんな形であれ、これからの将来がこの3年で決まる。それは学内においても、学外においても。そして何より、目的を果たす為の3年でもある。だからかな。この学校がどれ程のレベルなのか、非常に楽しみでならない。




最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


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入学編 第2話

講堂に着き、中へ入る。待ち受けていた光景はというと。

「これが差別意識ってやつの実態か…」

前列には一科生。半分より後ろは二科生と綺麗に分かれた光景。まるで、私達を差別してくださいと言わんばかりに。

だがしかし「郷に入れば豪郷に従え」という言葉があるくらいだ。ここで問題を起こすのも良くない。そう思った俺は前の席に座った。

すると定刻通りだったのか、

「只今より、魔法大学附属第1高等学校の入学式を開始します」
と司会らしき人が話し出す。

さあ、いよいよ始まる。



―――――――――――――――――――――


まあ、魔法科高校の入学式だからといって、何か変わるのか。という訳でもなく、ごく普通の入学式であった。気になったといえば、総代の言葉くらい。その総代がなんと、先ほど男と口論になっていた女の子で、「皆等しく」だとか「皆仲良く」だとか、聞いていてヒヤヒヤする演説だった。流石に、首席と次席だ。同じクラスになる事は無いとは思うが、クラス割り当てを確認する。するとどうやら、俺は。

「A組ね…。何も無いといいけど。」

胸騒ぎがするが、これで今日のやるべき事は終わった。さあ帰ろ「ぎーん!!!」よし、帰「ぎーん!!!!」……………。

「銀!!私を置いていくとは何事ですか!今朝は一緒に行くt「煩い声デカイ」……ごめんなさい。」
「まったく…何時になったらお前は落ち着きのある人間になるんだ。そもそもな、寝坊したのはお前だろうが…優奈。」
「えへへ…。それほどでも「褒めてない」ごめんなさい。」

さっきから騒がしいこの女は、俺の側近。名前は浅井優奈。代々紫藤家の側近を務めてきた血筋らしく、小さい頃から俺に纒わり付いた、言わば……

「イソギンチャク」
「い、いそ、イソギンチャク!?!?」

そう、イソギンチャクみたいに俺の元を離れないのが特徴。とはいえ、魔法師としての才能は確かで、クラスは「B組でした」とのこと。難なく一科生になっているようだ。いやいや、本当に幸いだ。

「そうか。そうかそうか。そいつぁ良かったな優奈ぁ」
「へ?何がですか?」
「いやぁ、良かった良かった。これでお前は、俺から離れるということを漸く学ぶ機会が作れたじゃないか。」
「へっ?……まさか…!!」
「あぁ。俺はA組だ。良かったなぁ優奈ぁ」
「ウソだっ!!!!」
「事実だ。諦めろ。」
「今から校長に抗議を「やめろバカ」バカ!?なんですとぉ!?」
「はぁ……。もういいから。」
「いいから!?」
「少しは落ち着け。ほら、帰るぞ。」
「うぅ〜……」

さて、こんな茶番はともかく、今日の予定はこれにて終了。あとは帰宅するのみだ。さっきから「嘘だ……あんまりだぁ……」とブツブツ嘆いているこのイソギンチャクを引きずって、今日は帰宅するとしよう。明日からまた、張り切っていこう。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、本作品は1話あたりの文字数を少なめに作成しております。理由は追々、ということで。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第3話

今回ちょっと多めです。


翌日。普段と同じように起床し、優奈と朝食を摂る。なるべく手短に支度を済ませ、これまでと同じように家を出る。印象としては武家屋敷で、普通の一軒家と比べたらかなり広い。家の中は普通の家庭と変わらないのだがこの家には、優奈と俺の2人暮らしだ。それが原因で、使っていない部屋も数多くある。

さて、通学中も特に面白いことは無かったので、省かせてもらう。ということで、HRまで到着してしまった。といっても、今更緊張する事なんて何も無い。普通に中に入ったその時だった。何やら中が騒がしいのだ。すると、なんて事だ。総代の女の子と同クラスではないか。


「わーお。」


思わず口に出てしまった。それもそのはず。何せ彼女の周りは…

「これからよろしくね!」
「司波さん!これからよろしく!」
「仲良くしようね!」

なんて。どれだけ点数稼ぎたいんだよ…と思いながらも席につこうと思った。が、着けないのだ。何故なら、「紫藤」に「司波」だ。仕方ない。

(これは、様子見でもしようかな。)

そうして、俺の傍観劇は幕を開けた。と、思っていたその時だった。

「ねえ、席に座らないの?」
あれま、いきなり声掛けられちゃった。しかも女の子に。という初心気取りをするつもりは無いので、早速答える。

「えーっと。実はさ、俺の苗字が『紫藤(しどう)』っていうんだ。それで見てよ、あれ。自分で言うことじゃないけど、そこまで肝が座ってる訳じゃないからさ。どうにもあそこに近寄る気にはなれないって訳。あ、俺の名前は紫藤銀次っていいます。これからよろしくね。」

と、ちょっと丁寧に答えてみた。うん、我ながら気持ち悪い。
すると今度は向こうが口を開いてくれた。

「そうなんだ。なら私と同じ。えっと、北山雫です。雫って呼んで。こちらこそよろしく。」

と。なんか、似た様な境遇の子にいきなり出会えるとは…。と、感心していたその時。

「ちょっと待ってて。もうひとり連れてくる。」
と、雫がいきなり言い出した。そして来たのは………








「え………………ウソ……。ぎん、君……?」












これは俺自身予想していなかった。同じ魔法師であったから、もしかしたらとは思っていた。がしかし、それが雫の知り合いで、まして一校に来るとは思っていなかった。およそ、10年ぶりの再開になる。俺の印象は変わっている筈だが、向こうは相変わらずのようだ。未だにツインテールにしてるとは思ってなかった。

「えっと……ほのか、だよな。あはは……。」

10年前。つまり小学生の頃、最初に通った学校で知り合った俺の数少ない知り合い。それが目の前にいる彼女、光井ほのかである。

「ひ、久しぶり…だね…。ぎん、君…。」
「そ、そうだな。俺が一方的に引っ越しちまったからな。あ、あはは…。」
ぎこちない。というか気不味い。それもそのはず、10年ぶりなのだ。何から話せばいいか分からない。というか、何を話すべきかが分からない。と、そこへ手を差し伸べてくれたのは…
「ほのか、知り合いだったの?」
雫さんでした…。ナイス…。
「うん。雫と知り合う前の、ね…。」

奇跡って、あるんですね。うん。

―――――――――――――――――

その後、ほのかと話をしようと思ったのだが、担任によるオリエンテーションの説明が始まってしまった。……空気読めや。

そんな事はともかく、俺はその後の授業見学を一人で周った。そして、漸く昼休みになったが、ここで問題が起きた。あとから考えれば、これが全ての始まりだったのかもしれない。


―――――――――――――――――

「おい優奈。何処をさ迷ってたんだよ。」
「ごめーん!まだ校舎の造りを把握出来てなくて…」
「まあいいか。早くメシにしようぜ。」
「うん!そーだね。」

と、こんな会話をしながら優奈と食堂へ向かう。すると、


「司波さん。ウィードと相席なんて辞めるべきだ」
「君たち、この席から退いてくれないか」

まただ。また、総代の子の取り巻き共が何かしている。というか、会話を聞いている限り、これは酷い。と思っていると…

「銀。有象無象を見ていて苛つくので、排除しませんか?」
なんて、優奈が言い出すのだ。仕方ないという思いと、優奈の言うように苛つきを覚えながら、俺はその場へ向かっていった。


「その辺にしときなよ。お前ら。」

―――――――――――――――――

「その辺にしときなよ。お前ら。」
言ってしまった。だがもうどうでもいい。正直、もう既にこの学校に失望を覚えているくらいには苛ついている。

「お前は、ウィードの肩を持つのか?」
ウィード、ねえ…。
「下らない。だから、そんな考えしか持てないんだよ、低脳。」

この言葉に苛ついたのか、興が冷めたのか。取り巻き共は去っていった。

「文句ないよな。優奈。」
「ええ。流石は銀ですね。」

なんて会話をしながら、その場を立ち去ろうとした時だった。

「紫藤さん、ですよね。私は司波深雪です。本当に助かりました。ありがとうございました。」

総代の子にお礼を言われてしまった。
「いえいえ。俺もムカついてたので。それじゃ俺たちはこれで。」

そう言って、司波さんと別れた俺は優奈と食券を買いに行く。

これで終われば良かったのになぁ………。



気に入らなければ、遠慮なく低評価お願いします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第4話

突然だが「諸処に啼鳥を聞く」とはよく言ったものだ。昔の人は一体どんな頭をしていたのか気になるくらいにだ。理由?じゃあ教えてあげよう。今俺に聞こえるのはというとだな。

「司波さんは僕達と帰るべきだ!」
「一緒に帰りたいなら付いてくればいいじゃないですか!」
「僕達は司波さんに相談があるんだ!」
「はっ!そういうのは自活中にやれよ」

あーあ。雑音しか聞こえてこねえ。てかコイツらウルセェ。まったく何時まで喧嘩してんだよ小学生でも仲直りくらい出来るわ発情期ですかこのやろー。ま、人間に発情期とか存在しないんだけど。って、そんな事はいい。問題はこの……

「黙れ!ウィードが指図するな!」
「さっきからウィードって…。今の私たちに一体どれだけの差があるというんですか!」

この、馬鹿ども。特に一科生のどうしようもない勘違い野郎達だ。まあ今の二科生の発言も良くないが、元はと言えばこの一科の馬鹿どもが問題なのだ。「プライド」。こんなものに一瞬で、あっさりと心を取り憑かれているのだから、人間とはこれまた恐ろしい。

て、そんな場合じゃないな。

「そんなに知りたいなら、教えてやる!」
「これがウィードとブルームの差だ!」
ほらみろ言わんこっちゃない。え、お前ひと言も口に出してない?嫌だなあ何言ってんですか。







言う言わない以前に、考えれば分かるレベルなもんだから、口にするのすら惜しい程に呆れてるんですよ。





――――――――――――――――――

とは言っても、何もしない訳にいかない。なんて事を考えながら、俺は行動に移しこう言った。

「馬鹿は馬鹿なりに学習しろ。犯罪者」
え、展開された起動式をどうやって消したって?いやぁそれは企業秘密だなあ。おしえてあげないよんっ。

「な、お前昼の!またウィードの肩持つのか!」

あらあら、すっかり取り憑かれていらっしゃる。けどまあこれなら、俺が出る幕でも無いか。

「優奈」
俺はそう言って、CADを閉まった。優奈も同様に。

その時だった。

「止めなさい!自衛目的以外の魔法の使用は、校則違反以前に犯罪行為ですよ!」
「風紀委員長の渡辺摩利だ。とりあえず事情を聞く。お前達は1-Aと1-Eの生徒だな。」

そう言って、二人の女の人がCADを構えながらやってきた。が、最悪だわこれ。何せ、どっちも………。

「さ、行くわよ?銀次君?」
「まさか言い逃れはしないよな?――銀」

昔馴染みの知り合いだ……。

―――――――――――――――――――

その後、風紀委員長こと摩利先輩と、生徒会長こと七草会長への弁明を、昼のお返しかは分からないが、深雪さんがしてくれた。それで納得がいったのか、二人は引き返していった。さて、お礼は大事だ。早急に済ませよう。

「深雪さん。すまない、助かったよ。」
「いえ、こちらこそお昼は助けて頂きましたので」
なんていい子なんだこの子は。と思いつつ、目的を済ませよう。

「改めて、紫藤銀次だ。よろしくね、深雪さん。」
「浅井優奈と申します。銀を助けて下さりありがとうございました。」
と、挨拶を交わした。ちなみに優奈はちゃっかりだ。そうして、他の二科生のメンバーである達也、エリカ、レオ、美月と自己紹介をし合い、雫とほのかも紹介した所で帰宅した。

さて、これにて波乱の1日は幕を下ろしたが忘れないで欲しい。これはまだ、高校生活初日だということを。



ヒロインどうしましょうか…。付き合わせ方は自分の考えで進めますが、誰がいいなどの希望がございましたら、感想にお願いします。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第5話

ちょっと紫藤家について触れます。(教えるとは言ってない。)


翌日。何事も無かったかのように、ただ当たり前の日常を過ごすかのように登校した俺に待っていたのは「拒絶」だった。

「あいつ、ウィードの味方したんだってよ」
「補欠護ってヒーロー気取りのつもり?」
「おい、声でかいって」

こんな会話が、彼方此方から聞こえてくる。言いたいことははっきり言えばいいのに。

まあ、だからと気にするつもりは無いし、気にしたところでどうにかなる訳じゃない。そう思っていた俺の所へ、深雪さんがやってきた。

「おはようございます。紫藤さん」
「おはよう、深雪さん。そうだ、俺の事は気軽に名前で呼んでほしいかな。」
普通の挨拶に加えて頼んだ俺に対し、深雪さんは笑顔で「はい!銀次さん」と言ってくれた。ええ子すぎるやろ…。

「そういえば、七草会長が放課後に生徒会に来て欲しいそうですよ?」
「生徒会室に?昼休みじゃなくて放課後に?」
「ええ。ご本人がそう仰ってました。」

あぁもうこれ嫌な予感しかしない、いや予感じゃないよワンちゃんレベル越えてるよ確チャンものだよ。あぁ嫌だほんと嫌だ帰るもんいいもん銀次君おうち帰るもん。……………あぁ、不幸だ。

――――――――――――――――――

放課後なんてものはすぐにやってきてしまった。あれ程嫌がっていた俺ではあるが、勿論生徒会室の前までは来ているのだ。そう、前までは。さて、生徒会室の前まで来たんだ、もう帰「れないわよ?早く入ってね?銀次君?」………うっわ怖すぎ心読みやがったよあの女。

「はいはい。入りますよ入ればいいんでしょ、入れば。」
そう言って、しぶしぶ生徒会室に足を踏み入れた。がしかし、中には誰も居らず、その部屋にいるのは、俺と会長のみだった。

「さてと。なんで2人なのか、理由はわかるかしら?」
「いいえ?全くと言っていいほど。」
「そう。でもその前にお願いがあるの。」
「お願い?ですか。どんなですか。」
「あのねぇ―――そろそろ『ソレ』やめてくれないかしら?」

あーあ。本当にこの人ときたら。まったく……

「最高だよ。やっぱり猫と化かし合いをしたって化かされるのはこっちか。流石だよ。」
「はぁ……。相変わらず性格が悪いわね。一体何がアナタをそうしたのかしら。」
「さてねぇ。というかボクにそんな事を聞いたって無駄なのは、もうとっくに知っているだろう?いい加減本題に入ったらどうだい?」
「それもそうね。」

そう言って、七草は一呼吸置いて口にした。

「ブランシュについて、持ってる情報を全部売って。」
「成程。流石に十師族ともなれば、紫藤の本質を理解しているか。うん、そうだねえ。」
「父から全て聞いたわよ。『紫藤家』『四堂家』の事。ついでに貴方の役割も、彼女の役割も。」

あの狸は何を話してやがる。

「まあいいよ。2日くれるなら、安くしとくよ。」
「ええ。分かったわ。それでお願い」

さてと。ここから起こることはトップシークレットだ。事情なんてものを今は考えるつもりは無い。だが、これが俺の一つの存在意義だということを、約束しよう。

「了解しました。―――ここに盟約を結びし依代よ、我が意に従い、我が魂の礎になる事を誓うか?」
「誓います」
「心得た。此処に、汝と我の誓約を印す。三日目の月が登りし時。それを以て、誓約を破棄する事を、我はここに誓おう。―――これで、誓約は結ばれました。今後二日間の間、会長が指定した言葉に関する情報は、俺の演算領域を通して共有されるんで。それを今回の依頼分としてください。もし足りなかったら、元から持ってる情報を紙媒体でお渡ししますので。」
「分かったわ。ねえ、最後に1つだけいい?」
「はい?なんですか?」
「これは依頼とも関係無いし、家柄の事も関係無いわ。それだけは約束するから聞かせて。」
なら何なのか、なんて事を聞くのは無粋だと思い、俺はただ「答えるかどうかはともかく、質問は聞きますよ。」とだけ答えた。彼女はそれで満足したのか、優しさのある顔つきで一呼吸置いてから話しはじめた。
「あのね」
「はい」


























「銀次君はもう、昔みたいに呼んでくれないの?」



これでいいのかと思いつつも、ここでこう書いておかないと、この作品が成り立たないんです…。ご勘弁を。これは内容とは全く関係無いですが、この作品が読んでいて苦痛だ、イライラする、読む気になれない。という事があれば、他作品へ行ってもらって構わないです。というか、そういう場合低評価を押してもらって構わないです。万人に好かれる、嫌いだという人がいない。そんな作品は、創作物においては存在しませんから。作者として、それだけは読者の皆様には把握しておいてほしいです。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。次回もよろしくお願いします<(_ _)>


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入学編 第6話

キャラがブレブレに感じる方もいらっしゃると思うので、そのうちキャラ設定をちゃんと公開します。ただ、早いうちに公開しちゃうと個人的に面白くない部分もあるので、もう少しお時間を下さい。


「昔みたいに…ねえ。ふーん。」
まるで興味が無いかのような、気の抜けた返事に思うかもしれない。だが、ここで互いの状況を説明すると印象は変わるだろう。
だって、互いに睨み合っているのだから。

「どうしても、と言っても?」
「まあ、そちらがそう望んでいるのは分かりました。ただ、こちらとしてはわざと喧嘩を売ってるようにしか聞こえないのですが?」
「あら、別にそういうわけじゃないのよ。ただ…」
「ただ?」
ただ。そう言った直後に、この女は頬を少しばかり赤らめだした。可愛いと思ったのはここだけの話にしておく。

「ただ、もう1度貴方と友人でいたい。それが私の望み…かな。」
「ふーん。あっそ。」
彼女が真剣に話すのに対し、俺は興味が無い様な態度を続ける。興味が無いと言えば本当の事だが、完全に無いという訳でもない。だから俺は、逆に話し始めた。

「先輩。」
「な、何かしら…」
「質問をしても、いいですか?」
「ええ。」
「では、早速。


























……今、貴女は幸せですか?」




















「質問はこれくらいにしておきましょうか。すみません。お時間を取らせてしまい」
「う、ううん。大丈夫」
最初の質問がどれくらい経っただろうか。橙色の綺麗だった夕焼け空はとっくに消え去り、窓を見れば真っ暗な夜空である。日が暮れて、時間が経過した証拠である。
「さて。そろそろ時間ですし、今日は帰りましょうか。」
そう言ったのは俺だった。
「ええ。そうね。それでその…」
「分かってますよ。依頼の件はお任せ下さい。この名に恥じぬ成果を、お約束しますので。ところで、」
「ふぇっ?な、何?」
どうやら俺が話を切り替えたのが、意外だったのか。彼女は間抜けな声をつい、出してしまったようだ。こちらとしては気にしないが、淑女としてら振る舞いたい彼女としては恥ずかしいのだろう。顔をまた赤くした。

「もう暗いですし。駅までなら、送りますよ?」
「えっ!?え、ええと、直ぐそばまで迎えが来てるから。今日は、大丈夫…です…。」
「そうですか。なら、安心ですね。」
「そ、そうね…。」
帰宅準備を済ましている最中とはいえ、話題が見当たらない。なら話さなければいいのだが、それはそれで気まずい。




これが、10年という重さなのだ。



「それじゃあ。お先に失礼します。」
「え、ええ。今日はわざわざありがとうございました。」
これはきっと、生徒会長としてだろう。だが、俺はそれが何故か気に食わない。だから、敢えて今日の結論をここで出すことにした。

「いえいえ。じゃあ…………またね、真由美姉さん。」


―――――――――――――――――――――

帰宅後、優奈の雷が落ちたのは言うまでもない。連絡もせず、勝手に依頼を受け、挙げ句夕食の当番をサボって、作らせてしまったのだから、当然と言えば当然の結果である。

だがそれ以上に収穫もあった。が、それよりも先に、優奈のご機嫌取りをしなければいけない。元側近候補とはいえ、怒るとめちゃくちゃ怖いのが優奈の特徴なのだ。

「な、なあ優奈」
「………何」
「い、いやさ。本当に今日は悪かったって。今度からはちゃんと連絡するから」
「女と二人っきりでお話する事を連絡されても困ります」
「っぐ……!!い、いやそういうことじゃなくて。本当に悪かったよ。依頼の件も、夕食の事も。」
「夕食は別にいいです。でも…」
「でも?」
「依頼の件は、正直に言うともう受けて欲しくないんです。」

そう言った優奈は、涙目で心配をする様な顔をしている。
ここまで心配を掛けていたこと、ここまで気づいてあげられなかったこと。ここまで優奈が苦しい思いをする様になった原因。その全てである俺は、一体どれだけ愚か者なのだろうか。


「……理由を聞いても?」
「はい…。銀は、依頼の代償を分かっててやっているんですよね。」
「ああ。そうでもしないと…」
「そうでもしないと、奥様には辿り着けない。ですか?それとも、私の父や母、そして旦那様の情報を集められない。ですか?」
「なっ!?なんでそれを」
「知ってたんです。ずっと前から」

そう言った優奈は、既に涙を流すこと無く真剣な顔をしていた。

「旦那様方が行方を消した後、銀が跡を継いで依頼を再会するようになって少し経った頃、聞いてしまったんです。」
「聞いた?いったい何を?」
「当時の依頼主と、銀の会話をです。……悪いとは思ってます。でも、偶然の事で、それを知ってしまったんです。」

この話には、少し覚えていることがある。依頼を再会するようになった頃。初めてこの家の事を知った時の事である。しかもそれは「四堂」の情報ではなく「浅井」の情報を手に入れた時の事だ。優奈が言っているのは、恐らくこの事である。


だがそんな事はどうだっていい。
優奈に心配を掛けた事の方が大事だ。

「ゴメンな優奈。気付いてやれなくて」
「いえ。銀が無茶をする時は、いつだって人の為ですから。……………今回の依頼は別ですが。」
「そ、それもゴメンな。」
「もういいです。許してあげますから。…今回の件は別として」
「ぐ………ゆ、ゆうな?」

そう口にした俺は、恐る恐る上を向いた。そこに居たのは、涙目でもなく、真剣な顔付きでもなく、赤くしている訳でもない。ただ単純にニッコリとした黒い笑顔を見せている、「優奈様」だった…。

「銀次」
「は、はいいいい!!」
「私、前にも言ったよねえ?依頼は私の許可を取ってから受けろって。」
「あ、あはははは…。そう、だっけ?」
「銀次」
「は、はい!!」
「貴方……次は無いって前にも言ったわよねえ?」
「ぎ、銀次君馬鹿だから覚えてないなぁ…なんて」
「そう…。私との約束を守らない、連絡をせずに女とイチャイチャ二人っきりで談話。その上夕食の当番をサボって私にやらせる。へぇ、そんなにお仕置きして欲しかったんだぁ。へぇ……。」
「あ、あの優奈、さん?」
「そんな愚か者の銀次には……罰を与えます!」

そう言った直後、優奈は俺に電撃系統の魔法を放った。それをもろに受けた俺の意識はどんどん薄れていったのだった……。





これは後日談ではあるが同時刻。どうやら司波家でも同じような現象が起こっただとか。



最初は短い方がいいのかなと思っていたのですが、やっぱりこれくらいの方が良いんですかね…?宜しければ、感想にて読者様のお気持ちをお聞かせください。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第7話

依頼の件から1週間が経った。勿論、依頼については既に後腐れ無く完了し、報酬も貰った。その事もあってか、優奈も少しずつ元の対応をしてくれるくらいには機嫌もよくなった。放課後に部活をやっている訳でもない俺は、図書館に少し立ち寄ったり、買い物をして帰宅するという平和な日常を送る毎日だ。風紀委員や生徒会に誘われたが、「忙しいのは嫌だ」なんていう巫山戯た理由で断った。

深雪さんにやたらとくっ付いていた連中とも話さなくなり、放課後は雫とほのか、それに優奈は部活、深雪さんは生徒会、達也は風紀委員、その他の皆も部活をやっているらしく、放課後は必然的に1人になることが多い。何ともまあ、まるで枯れた青春を味わっている、そんなある日の放課後の事だった。


恐れていた事が、起こり出した。



――――――――――――――――――

『全校生徒の皆さん!』

それは突然の事だった。突如、放送で流れ出したこの声にビックリした人達がザワつき始めた。それと同時に、深雪さんが端末を確認し始めた。恐らく、生徒会の呼び出しだろう。そう思っていた。

「あの…銀次さん。」
なんと、俺に声を掛けたのだ。

「ん?なぁに?」
「実は生徒会長からの連絡で、銀次さんにも来て欲しいとの事なんです。」
「へ、へえー。そっか、それは仕方ないね。急ごうか。」
あんの女ァ…………!!!

―――――――――――――――――――――

「遅いぞ、って何故銀まで来たんだ。」
「呼び出しっすよ。―――あのクソ猫の。」
「なるほどな。真由美らしい」

摩利先輩とそんな会話をしているが、俺が今いるのは放送室前、つまりさっきの放送の犯人がいる部屋の前である。先程流れていた放送をここで振り返ろう。

『全校生徒の皆さん!失礼しました。全校生徒の皆さん。我々は差別撤廃と非魔法クラブと魔法競技クラブとの優遇措置の改善を求める有志同盟です。この件に対し、我々は生徒会と部活連に対等な交渉の場を要求します!』
という感じだった。……確か。

「それで、どうするんですか。摩利先輩」
「そうだな。十文字、お前はどうする」
そう言って摩利先輩が話を振った相手は、部活連会頭にして十師族「十文字家代表代理」十文字克人先輩。

「俺は、交渉に応じてもいいと思っている。」
見た目はまさしく、巌の様な人である。

―――――――――――――――――――――

その後、生徒会も交渉に応じる事を認め、達也が今回の件の主犯である、剣道部の二年生である壬生先輩に連絡をした。そして、その身柄をクソ猫こと、七草会長が預かることとなった。結果として後日討論会を行う事になり、その日は解決へ至った…………………………はずだった。


「おい」
「んぅ~?なぁに?銀次君?」
「なんで俺は帰れないんだよ」

そう。あの後、他の連中は帰っていったのにも関わらず、俺だけは帰らせてもらえなかったのだ。

「んー。ひ・み・つ!」
「よし帰「待って!」…んだよ。」
「少し、時間を貰えないかしら。」
「はぁ……。それは七草家としてか。それとも」
「七草真由美個人としてよ。」
「………………分かった。」

深呼吸をして、いよいよ口を開いた。

「お願いがあるの。」
「お願いぃ?依頼じゃなくて、か?」
「そう。これは生徒会長七草真由美個人としてのお願い。これは銀次君を生徒会にも、風紀委員にも、部活連にも入らなかった事を承諾した理由なの。」
「ま、とりあえず話は聞くよ。」
「ええ。………今回の件、やっぱり実働部隊は別にいると思うの。壬生さんのやっている事は、何処か違和感を感じるし、それに部長の司君が出てこないということ、加えて君からの情報にもあったブランシュ日本支部のリーダーの事。これを全部整理すると…」
「どうもキレイすぎる。まるで、昔から計画されているかのように」
「ええ。」

今回の件。つまり、ブランシュ―――反魔法主義団体。この連中の部下であるエガリテ。そのエガリテの証であるリストバンドを着けた生徒。そして、剣道部部長とブランシュ日本支部のリーダーの関係。これらが今回の依頼で、俺から彼女に渡した成果である。だが、この情報全てを見れば見るほどに、計画性を感じる様になるのだ。それは調べていた俺も、成果を手に入れた彼女も同様に。その事を踏まえて、俺は話を聞くことにした。

「だから、お願いがあるの。」
「聞こう。」
「討論会の日。君に学校を巡回して欲しいの。今年度の入試次席として。でも、これはただの我儘。だから、もし嫌なら「やるよ」…え。」
「だから、やるって。それ。」

「そう…。ありがと、ギンちゃん。」
「……姉さんは俺が守るよ。」
互いに聞こえないよう、二人はそう口にしたとか。

それから2週間が経過した。そして、いよいよ討論会当日を迎えたのだった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第8話

放送室騒動から2週間、いよいよ今日は討論会当日。緊張感と不安に押し潰されそうな雰囲気を持つ通学路ではあるが、一科生の校舎に入れば雰囲気はガラリと変わった。

「今日の討論会行くー?」
「行かない行かない。部活」
「私正直興味無い」
「だよなーウィードがまあ張り切っちゃってさ」

校舎に入った途端に聞こえる、この様な会話の数々。
まったく、だからこの学校には期待を出来ないというのに。


□ □ □ □ □

下らない会話を聞きながら、俺はゆっくりとHRへと向かう。
優奈は俺の考えを察したのか、黙りとしている。

「じゃ、また昼休みな」
「はい。また」

軽い会話を済ませて別れる。そして、そのまま自分の席へ向かう。

「雫、おはよ。深雪さんもおはよ。」
「おはよう銀」
「おはようございます、銀次さん。」

いつもながら、ここまではもう慣れたのだ。
だが問題はここからだ。

「ほのかも…その、おはよう」
「あ、う、うん。……おはよう」

そう。彼女、光井ほのかである。入学式翌日に再開して以来、彼女とはまともな会話をしていない。元はといえば、相談も無しに引っ越した俺が悪いのだが、それでも目も合わせてくれない。こんなやり取りがもうひと月近く続いているのだ。

□ □ □ □ □

「それで、皆は今日の放課後は?」

「参加しようと思ってる。深雪は?」
「私は生徒会があるから、勿論参加するわ」
「そっか。それで、ほのかは?」
「………え、ええと雫と見に行くよ。うん。」
俺の声に反応出来なかったのか、それともわざとなのか、ほのかは少し間を開けて答えた。
「それで銀は?」
「あぁ俺は…」

キーンコーンカーンコーン

「んー。また後で話すよ。」
「分かった。」

そう言って雫は自分の席に座った。こうして、安らぎは去っていった。

□ □ □ □ □

その後何かあったかといえばそういう訳でもなく、昼休みも相変わらず優奈と二人で食事を摂った。何かあるかといえば、あるのはきっとこの後だろう。俺は生徒会長権限で、特別にCADを携帯しながら巡回を既に開始していた。授業が終わってから1時間半近くは経過したから、そろそろ討論会も終わるだろう。そう思っていた時であった。

ドォーン

実技棟から爆発音、それと同時に煙が上がったのが確認できた。

「どうやら、予想的中ってか。」

独り言を口にしていたその時だった。


「銀次君、聞こえるかしら」
声の主は、七草真由美生徒会長本人だった。

□ □ □ □ □

「銀次君、聞こえるかしら」
「こちら紫藤です。聞こえてますよ」
「良かった…!!じゃあ、現状の説明をするわね。どうやら、実働部隊は実技棟以外にも居るみたいなの。」
「でしょうね…。目的は恐らく、図書館でしょう。魔法科高校は大学の資料を謁見出来るから、大方目的は産業スパイと変わらないと思われますよ。」
「そう…。なら、この後の判断は貴方に任せます。」
「りょーかいです。では、また」

この言葉を最後に、俺は通信を切りながら図書館へと向かった。久しぶりの実戦をする羽目になってしまったんだ。それなりに痛めつけなければ、気が済まないというモノだ。



真由美との会話メインになってしまっていますが、どうにも雫やほのかは原作も影薄い話なので…。次回からはどうにかなるんですけどね…。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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入学編 第9話

気が向いたら入学編の閑話を入れるかもしれませんが、1話のみになると思います。よろしくお願いします。


図書館に向かった俺だが、明らかにミスを犯している。優奈を連れてこなかった事だ。敵の目的が図書館ならば、戦力を集めているのは間違い無いだろう。さて、どうしたものか………。

□ □ □ □ □ Side優奈

私、浅井優奈には現状が理解出来ていない。放課後になって、いつも通り部活に参加したら、なんとテロリスト。ちなみに部活は雫やほのかと同じだけど、今日は二人とも討論会を見に行ってしまった。こういう事があると、いつもなら銀からの連絡が来るのに、今日は来ない。だから、私はとりあえず銀を探す事にした。まずは体育館。中庭にも寄るけど、きっと誰かが戦っているだろう。

~Side out~

□ □ □ □ □

途中で敵を倒しながらの移動だった為、時間は掛かったものの図書館に到着した。そのまま扉を迷いなく開ける。するとやはり、と言うべきだろうか。

「あらら、沢山いるねえ」

目の前には、敵が待ち構えている。数を見れば、ざっと20人くらい。
うん、やっぱり優奈を呼ばなかったのはミスだったよ。とはいえ、そんなことを言ってる場合ではない。仕事はちゃんとしようじゃないか。

「お兄さん達さ、そこ退いてくれたりしない?」
「ここから先は通さぬ」
「だよねー。やっばりだめ?」
「貴様…余程痛い目に遭いたい様だな」
「どうかな。案外痛い思いをするのは……そっちかもよっ!!」

茶番劇程度の交渉が決裂した。
ならばやる事は1つ。















どちらかが息絶えるまでの、殺り合いだ。












□ □ □ □ □

どれくらい時間が経ったか。という程でもなく、むしろ瞬殺と言っていいレベルの圧倒的な実力差。

「まさか…貴様…」

最後の一人がそう口にしていたが気にすることもなく、ただ魔法を撃つ。照準機能の付いた銃型CADから放たれたその魔法は、一瞬にして対象を焼き尽くし、消し炭にする。遺体すら遺さないその残酷な魔法は「消滅」という言葉がよく似合う。この魔法を俺は「デモリッション」と呼んでいる。すると、それを見ていたのか…

「銀、今お前は何をした」
と、話しながら達也にCADを向けられた。解せぬ。
「テロリストを消し炭にしただけ。OK?」
「対象を消し炭にするだと?聞いたことがない。」
「そりゃあ俺のオリジナルだし、インデックスへの提供も出来ないってこんな魔法。ってそれより、まだ残ってるみたいだけど、どうする?達也の知り合いでしょ、彼女。」
俺達が話してる間に降りてきたのか、先日の放送室騒動の主犯の壬生沙也加が姿を見せたのだ。

「ここから先は、私が通さない」
そう言って、取り出したのは指輪だった。

しかも、軍事物資で有名なアンティナイト付きの。

キャストジャミングを使いたいのだろうが、残念な事にこのメンツには関係無い。何せここには、体術の天才である達也、入試首席である深雪さん、達也に付いてきた千葉家出身のエリカ、そして……

「遅いぞ。」
「私に連絡しなかったクセに」

独学ながら、剣技と柔術のスペシャリストである優奈が揃っている。今更キャストジャミングなんて、関係無い。













あ、俺?俺は……秘密♡










ま、まあそんな事はいい。問題はこれからだ。

「誰が相手になるのかしら」
壬生先輩はそう口にした。すると、何やらエリカが嬉しそうだ。

「エリカ、行くか?」
「うん。銀次君は休憩してなよ。」
「了解」


「…というわけで、初めまして壬生沙也加先輩。1-Eの千葉エリカです。お相手願えますか?」
「ええ。かかってきなさい。」
そういった直後、エリカは特攻を仕掛けた。

「これ、渡辺先輩と同じ!?」
「残念。私のはひと味違うよ!!」

□ □ □ □ □

結局、勝者はエリカだった。一度仕切り直しはしたものの、エリカの剣術はあまりにも洗練されたものであった。ただ、ちょっと本気でやり過ぎたのか…

「ごめん先輩。骨折れてるかも。」
と言うのだ。ここは仕方ない。俺の出番か。

「担架使って運ぶぞ。達也、優奈。手伝え。」
「はーい」
「分かった」



こうして、テロリスト達の襲撃は幕を下ろした。さあ、次は黒幕を当ててみせようじゃないか。

□ □ □ □ □

担架を使って壬生先輩を保健室に連れて行くと、待っていたのは「三巨頭」と生徒会であった。

「皆、お疲れ様でした。」
そう口にしたのは七草会長。
「それで、結局敵の目的は何だったんだ」
「図書館にある大学の資料で間違いないかと」
「そうか。それで有志同盟は、上手く弱みに付け込まれた。という事だな」
「恐らく」
壬生先輩の怪我を診ている間、俺は十文字会頭と情報の交換を行っていた。それが終わったところで、今度は壬生先輩に話を伺ったのだが、衝撃の事実が判明したのだ。

「摩利先輩…。流石にそれはちょっと…」
「待て!私はそんな事言っていないぞ!」
「じゃあなんて言ったの?」
俺、摩利先輩、七草会長の順で口にした。何でも壬生先輩の話によると「お前では私の相手にならない。自分の実力に合った相手を探してくれ」と言われたんだそう。これが本当なら最低だよな…。

「確か私はこう言ったはずだ。[私ではお前の相手にならないから、自分の実力に合った相手を探してくれ]と。剣術勝負ならともかく、単純な剣の勝負なら私は壬生には到底叶わないぞ。」
「本当に?嘘じゃないですね?」
「あぁ。誓って嘘はない」
摩利先輩は自信を持ってそう答えた。
なるほど、答えが見えてきた。

「そうすか…。会長、会頭。」
「何かしら。」
「これは恐らく、記憶の改ざんで間違い無いでしょう。それからエガリテが出てきたんです。黒幕もブランシュ日本支部で間違い無いかと。」
「そうか。それで紫藤、これからどうする。」
「さあ?少なくとも俺は、自分に害がなければ放っておくタイプなんで、なんとも。まあ被害が出たら徹底的に潰しますが。」
「そうか…ならば」

その直後、十文字会頭は意外な人物に声をかけた。

「司波、お前はどうする」
なんと、達也に声を掛けたのだ。

「俺は、自分と深雪の日常を壊そうとした奴らを放っておくつもりはありません。すぐにでも向かうつもりです。」
「分かった。車は手配しよう」
あらら、行くのね。すると、
どうやら行くのは二人だけじゃない様だ。

「達也、俺も行くぜ」
「達也くん、私も行く」
エリカとレオも参戦する様だ。
これなら俺は要らないだろう。

「じゃあ、俺は帰りますね。」
卑怯者だとか薄情者だとか。そう言われても構わない。それでも俺が行った所でやる事は無いのだ。周りの反応も予想通りだった。
「お前は…この状況を分かっているのか!」
「紫藤!巫山戯るのも大概にしろよ!」
「紫藤君、どういうつもり?」
「おいおい銀次、そりゃあねえんじゃねえの?」
摩利先輩や服部副会長、エリカやレオがそう言うが知ったこっちゃない。と、思っていたその時だった。

「銀次君。もしかして今日って…」
七草会長がそう言った。どうやら分かっていた様だった。

「七草先輩の予想通り、今日は【あの日】です。勿論この非常事態なのは分かっています。でも、それでも僕は、毎年この日だけは【紫藤】の名を棄てているつもりです。それだけの覚悟をしてこの場にいるんです。それに本来ならば、今日は休むつもりでした。だから申し訳ないんですけど、僕も優奈も今日だけはこれ以上、他人に時間を譲るつもりは無いです。それに今日だけは…この10年、僕は1度も【紫藤】として生きた事はありませんから。」
「私も銀と同じです。今日だけは私は…銀の友人では無いですから。浅井優奈として、一人の側近として、覚悟を決めているつもりです。だから、私も銀同様に今日はこれでお暇させていただきます。御迷惑をお掛けしますが、すみません。今日だけは譲れないです。」

そう言って、俺と優奈は座っていたベッドから腰を持ち上げた。

「じゃ、後は頼みます。押し付けた様で申し訳ないんですけど、今日はこれで失礼致します。」

その言葉を最後に、俺と優奈は保健室を、学校を後にした。


□ □ □ □ □

後日談というか、後から聞いたこと。
あの後、カウンセラーの小野遥先生から、ブランシュ日本支部のアジトの居場所を提供してもらったんだそう。場所は、意外にも一校の傍にある廃工場とのこと。メンバーは達也に深雪さん、エリカにレオ、十文字会頭にこれまた驚く事に剣術部の桐原先輩も向かったらしい。敵のボスであった司一は、やはり魔法を使って記憶の改ざんをしていたとのこと。彼の止めを刺したのが、桐原先輩でその瞬間はなかなかの迫力だったと、達也は熱弁してくれた。


ところでこれにて一件落着。というのが今回の表向きの結末なのだが、俺個人に関してはまだ終わっていないのだ。それもあり、俺は今生徒会室に呼び出された。どう答えてみようか。さて、ここまで長々と語らせてもらったが、大事な事を語っていなかった事を忘れていた。これは俺、【紫藤銀次】を語る上で重要な前提ではあるのだが………










































俺が誰かに固着する。それは決して有り得ない。





入学編は次回閑話を投稿して終わりです。九校戦編も是非お楽しみに。それとヒロインですが、実はまだ決めかねています。宜しければ是非、感想にてご意見を頂ければ幸いです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


※明日、活動報告にて本作品について投稿しますので、ストーリーには関係ありませんが。そちらも是非よろしくお願いします。


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九校戦編 九校戦編 第1話

閑話を入れるといったな、アレはウソだ!というわけで、九校戦編に行くぞ!
(なんというか、話の内容的にボツにしました。あまりにも面白くないし、そもそも要らない要素をぶち込み過ぎてもういろいろと酷かった…。)


「明日?」
「うん。空いてる?」
「んまあ、空いてるけど…」
「じゃあ、一緒に勉強しない?」
「どこで?」
「何処って…ウチの家だよ?」
「………え?」


「だから、ウチの家だよ?」

□ □ □ □ □

というわけで、雫に「一緒に勉強しないか」と誘われた俺は、優奈と雫の家に向かう事になった。俺はどっちでも良かったといえばよかったのだが、コイツ(優奈)が言うことを聞かず「行く!行こう!行きましょう!」と駄々を捏ねるので、諦めて行く事にした。まったく、どんだけ勉強がしたいんだよドMかっての。

「お前はほんっとうに…」
「ん?何か言いました?」
「いいや、何も」

おっと、口に出そうになってしまった。

□ □ □ □ □

雫に指定された通りの道を進むと、どうやら到着した様子。いやいやそれにしても……。

「デカいな…」
「家も大概ですけど、雫の家も凄いですね…」
「家は地下が広いだけだろ。地上は普通だ」
「アレで普通って………狂ってる」
「解せぬ」

外見はそうでもないんだけどなあ…。
この家と比べたら。

と、おっと大事な事を忘れていたみたいだ。

「………」
「し、雫?」

この、出迎えてくれていた雫を放置していた。

「………」
「お、おーい雫さーん」
「………」
「雫さんやーい。おーい…」
「………ブフッ」
「わ、笑った!?笑いましたね!?」
「…笑ってない。早く入って?」

………明らかに笑ってたよね!?

□ □ □ □ □
それから何も無かったかのように、のんびりと勉強する事になった。メンバーは俺、優奈、雫、ほのかと優奈のクラスメイトであるエィミィだ。エィミィとは今日知り合ったのにも関わらず、なんか仲良くなれた。似たもの同士…では無いのに。

ちなみに今は「魔法言語学」というのを勉強している。
ちなみに俺は専門外。

「光あれをラテン語で?」
「Sia la luce!」(スィーア ラ ルーチェ!)
「銀、それはイタリア語でしょ……」
「grazie!」
「褒めてない。じゃあエィミィ」
「Fiat lux!」(フィアット ルクス!)
「正解」
「光は得意範囲なのに〜…」
「Capisco」

「…銀はいい加減イタリア語止めてね?」

いいじゃない、イタリア語。

□ □ □ □ □

「後は必修の魔法学かぁ…」
「魔法学って実技が影響してくるし…」
「しかも理論って覚えにくいんだよね…」

あれま、この娘達は理論全滅ですか。と、そんな会話を聞いていた優奈が悪い顔をしている。まさか。いやまさか…

「あれ、銀を呼んだ理由ってその為じゃないの?」
「…えぇ?優奈どういうこと?」
「だって、銀って一般教養は数学と物理を除いたらどうしてこうなるのか理解出来ないって程に壊滅的だけど、実技と魔法系筆記科目だけなら天才的だから…。あれ、もしかして皆知らなかったの?」
言いやがった!コイツ本当に言いやがった!よしこれは帰ったらお仕置きだ。うんそうしようそれがいい。

「そ、そうなの!?」
「さてね。どうでしょう?」
「演技は良くないですよ、銀」
優奈の奴、謀りやがった。…まあいい。

「確かに自信はあるよ。でもあるってだけ」

「ふーん。」
「そうなんだ…」
「へえー…」
「銀…?」

何故だろう。何も悪いことはしてない筈なのに、それなのにこの少女達の視線は。酷い、酷いよ。俺が何をしたというんだ。何処かに救いの手は伸びてこないだろうか。

そんな馬鹿な事を考えている時だった。

「雫、ちょっとお邪魔するよ。」
「あ、パパ」

……………パパ?

「おや、ほのかちゃんじゃないか。お小遣いをあげよう。」
「ええっ!?い、いいです!悪いですって!」
「いいからいいから」
「いえいえ!貰えませんって!」
「いいからいいから」

………え、何?何この状況。優奈さえポカーンとしてるけど?え、何?どうしたらいいの?え?え?………え?

「パパ、そんな事いいから。皆に挨拶」
「おっと済まない。私は雫の父の潮だ。この子のことをこれからもよろしく!!」
「…あ、はい」
「…どうも」
「こちらこそ…」

何となくだが、雫のお父さんと知り合いになった…。

□ □ □ □ □

「それでパパ。どうしたの?」
「あぁ。えっと…紫藤銀次君って、君の事かい?」
「ええ、まあ。自分です」
まさかのご指名…?いやまさか。
「ちょっと時間を貰えないかな?」
「あ、はい。構いませんが…」

ご指名かーい!!

□ □ □ □ □

雫のお父さん、潮さんの後を付いていった俺は和室に案内された。さて、この部屋にいるのは俺と潮さん、それから……

「私は雫の母の紅音です。よろしくね、紫藤君」

雫のお母様のようだ。って、おいおいおい……。

「いえいえ、こちらこそ。A級のライセンスを持っている事で有名な北山紅音さんに、実業家の北山潮さん。こちらとしてもお会いできて光栄です。」
「そんなに持ち上げないでくれていいわよ。ただの母親だから」
「そうだね。私もただの父親に過ぎないからね」

「そ、そうですか…。」
うーん。やりづらい…。

なんて事を考えていると、先に二人が動いた。

「紫藤君。君の聞きたいことがある」
「?聞きたいこと、ですか?」
「ええ。無礼を承知で貴方のパーソナルデータについて、調べさせてもらったわ。浅井優奈さんについてもね。」
「へえ。そうなんですか。でも、俺なんかのデータを調べる意味なんて、無いでしょう?」
「意味はあるよ」


「へえ。……どんな」
「君の、本名とか。かな。」
「っ……!!」
「そう殺気立たないで欲しい」
「……すみません」
建前だが謝ることにした。いやだって、勝手にプライバシーもクソもないこと調べられて殺気立たないわけないでしょ。

「これについてなにかする訳じゃない。だから聞かせて欲しいんだ。」
「何を」
「君は、雫とこれからも友人でいてくれるかい?」
「は…?」
え、何言い出すのこの人達。あんなシリアス要素出しておいて言いたい事それって……ちょっと。俺のイラつき返してくれない?

「言ってる意味がわかりません」
「私はね。雫に酷いことをするような輩を、雫の友達と認める訳にはいかないの。だから聞かせて。あまりにも異常なデータを持っている君や優奈さんが、雫の友達で居てくれるのかしら。」

はあ、まったく。これだから親っていうのは。







好きになれない。







「さてね。どうでしょう。……ただ」
「ただ?」
「俺が、いや。アイツを傷つけるようなことがなければ、俺は良い友達でいたいとは思ってますよ。」
「…そうか。君を信用しよう」
「ありがとうございます」

「さて、長く拘束して悪かった。そろそろ戻るとしよう」
「ええ」

こうして、俺の北山家訪問は幕を下ろした。余談だが、あれから優奈たちは勉強しないでダラダラ話していたらしい。………俺が苦労していたというのに。

いよいよ期末テスト。今回は真面目にやるとしよう。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


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九校戦編 第2話

今年ラス投稿です。
来年ものんびりやっていこうと思います。
よろしくお願いします。


期末テストが終了し、いよいよ結果が出た。

総合成績
1位 司波深雪(1-A)
2位 紫藤銀次(1-A)
3位 光井ほのか(1-A)
4位 北山雫(1-A)
5位 浅井優奈(1-B)

実技
1位 紫藤銀次(1-A)
2位 司波深雪(1-A)
3位 北山雫(1-A)
4位 浅井優奈(1-B)
5位 森崎駿(1-A)

総合で2位と5位が変わるという事態が起きたが、まだ許容範囲である。問題はここからであった。

筆記
1位 司波達也(1-E)
2位司波深雪(1-A)
3位 光井ほのか(1-A)
4位 吉田幹比古(1-E)
5位 紫藤銀次(1-A)

筆記では二科生がトップに入るという異常なことが起きた。更に、上位20名の中には、この他に2人の二科生がランクインするという結果となった。

こうして期末テストも終わり、一学期は終わりを告げた。

……はずだった。

「銀次君には必ず出てもらうから」
「…………………はァ!?」

□ □ □ □ □


~それは期末試験の結果発表当日の事であった。

「深雪さん。総合トップおめでとう。」
「ありがとうございます。会長」
「発表はまだなんだけど、深雪さんには九校戦の主力選手としても頑張って貰わないとね。」
「私で良ければ、是非努めさせていただきます。」
「ええ。期待してます。それで実はお願いがあるのだけど…」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「という事だから。」
「え、いやちょっ。は?九校戦?……ってなに?」
「まずそこからなのね……」
そう言うと、七草会長はため息を吐きながら項垂れた。
銀次が九校戦を知らないのには理由があるが、それを聞かれる事はなく、説明してもらうことになった。

「九校戦っていうのはね、全国にある9つの魔法科高校が優勝を争う場なの。ちなみに第一高校は現在2連覇をしているの。私達3年としては、今年優勝してこそ本当の優勝だと思っているの。この説明で分かったかしら?」
「大体は。で、どんな競技があるんすか?」
「まず決められた水上コースでタイムを競うバトル・ボード。時間内に標的を狙って得点を競うスピード・シューティング。それからクラウド・ボールに遠隔魔法を使うアイス・ピラーズ・ブレイク。後は男子限定のモノリス・コード。この5つの種目を主に2,3年生が出場する本戦と、1年生のみが出場出来る新人戦に分かれて得点を競うの。勿論だけど、銀次君は新人戦の男子筆頭だから。宜しくね?」
「そうすか。了解です。」
「ええ。よろしくお願いします。」

といったところで説明が終わり、同時に昼食を摂ることになった。生徒会室で食事というのは銀次にとっては初めての事であった。すると、そんな食事中にまたもや問題が。

「会長。エンジニアの件は?」
「そうなのよね。まだ足りてないのよ…」

なんだがまたよく分からない話をしている。そんな顔をしながら、銀次は自分から質問をした。

「エンジニア?っていうのは?」
「ええっと、エンジニアっていうのは選手の調整をする人の事よ。実はそれが足りていなくて…。」
「そうなんですか。候補は?」
「うーん。リンちゃん、やっぱりダメ?」
「無理です。私では中条さん達の足を引っ張るだけです」
「そっか…。」
と、会長は早速スカウトに失敗した。どんまい。と、考えていた銀次だが、ここでひとつ忘れていた事があった。
とてもとても大事な事を。

「そういや……達也は候補にいないんですか?深雪さんの調整って確か達也がしてるって聞いたことありますけど」

俺がそう言った瞬間、生徒会メンバーは全員固まり、達也は俺の事を思いきり睨んできやがった。……道ずれじゃ。

「…盲点だったわ。そうよ、新人戦女子は達也くんに任せちゃいましょ!!」
会長が思い切った事を口にした。さて、ここで問題。

二科生で1年生。そんな人材が、九校戦スタッフとして歓迎されるか。答えは勿論。






否。であった。


「納得いきません!」
「その二科生をエンジニアにするのは反対です!」

あーあ。選定会議が始まったと思ったら予想通りだ。てか達也ってトラブルメーカーですよね、ほんとに。ちなみに新人戦の選手の主な知り合いを挙げると、女子は深雪さん、ほのかに雫とエィミィ。それからイソギンチャク。

「誰がイソギンチャクですか!」

お前だよ優奈。

と、失敬。男子は俺を筆頭に、森崎もチームメイトにいる。
そして今もコチラを睨んでくる。嗚呼怖い。



□ □ □ □ □

結果として、達也はエンジニアに採用された。実力を示して、支持をされたからである。担当は新人戦女子と……………






「担当の司波達也です。よろしくお願いします」
「どうして俺まで……」




男子である俺1人だ。

□ □ □ □ □

それから月日は経ち、7月31日。明日には移動というのもあり、俺と優奈は荷造りをしていた時であった。

「銀。一般回線です。」
「はいはい今出る」

急な事であったので、少し慌てながら返事をした。急いでリビングに向かい、回線を繋いだ。出た相手というのは……


「はぁ……なんの御用ですか。………四葉様」

四葉家現当主である四葉真夜御本人であった。

「銀次さんに優奈さん。お久しぶりね。」
「ご無沙汰しております。四葉様」
「そう畏まらないで下さいな優奈さん」
「それで要件は?」
「大した事ではないのよ?でも貴女達が九校戦に出ると聞いたものだから。」
「………。」
「そんな顔をしないで頂戴、銀次さん。私はただ応援するだけですもの」
「………どこまで出して良いのですか?」
「はあ……。別に私を気にすることなど無いのに。まあ【双頭龍】や【楽園狂】は使わない方がいいんじゃないかしら…」
「それくらい心得ておりますよ。…荷造りもあり、そろそろ睡眠時間もないので、これで失礼します。」
「ええ。楽しみにしてます」

その言葉を最後に、通信は切断された。
さて。あの女が出てきた、という事はこれが俺のデビュー戦。という事である。この舞台、どうしてくれようか。



四葉真夜と銀次の関係についてはまだまだ秘密にしていく予定です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。皆様、良いお年を。


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九校戦編 第3話

あけましておめでとうございます。昨年は小説投稿を始めて、私生活でも色んな事がありました。大学受験は勿論ですが、職質みたいなものを受けたりもしました(笑)
原因は街を歩いていた時間帯(笑)
平日の昼間でした。こんな時間に何をしてるんだ、学校をサボったのかという濡衣を着せられて、交番で色々と調べられました。今でもその事を忘れてませんし、その交番の人は今でも嫌いですね。骨折して病院行っただけで不良みたいな言われ方、何か悪いことでもしようとしてるんじゃないのか、財布にこんなにお金入ってるけど何でこんなに入ってるのか、盗んだお金じゃないか。などいろいろ言われましたね。ムカつきましたね。診断書や保険書、バイトの社員証や銀行の通帳を利用して黙らせましたが。ちなみにそれ以来、その横の病院には行かなくなりました。病院に事情を説明して、ほかの医院を紹介して貰うという事をしました。その交番の前を通るのも嫌だったので。そんな1年でした。

さて、2018年は大学生活が始まり、これまで以上に執筆時間が増えると予想してます。バイトも増やす予定ですが、執筆時間を増やせるよう頑張りたいと思います。こんな駄作者ですが、読んでくださっている読者の皆様に、これまで以上に面白いと思って頂けるよう頑張っていく所存です。本作品「数字落ちの優等生」を今年もどうぞ宜しくお願いします。


夏休みももう残り一ヶ月。そんな由々しき事態だというのに、今日は九校戦会場への移動日である。厳密に言うと会場側のホテルへの移動だが。選手の宿泊施設も試合会場も国防軍の施設というのもあり、移動は学校単位である。我ら第一高校も勿論バスと車での移動なのだが、問題が発生した。


それは七草真由美の遅刻である。

家の事情なので仕方ないと言えば仕方ないが、七草の当主は一体何を考えているのだ。と言いたいくらいである。そういう俺達も移動をすればいいのだが、3年が待つという判断をした事により移動が出来ないとのだ。さて、これにより司波深雪の怒りも溜まり始めたぞ?何せ、選手の出欠を達也が、炎天下の下、1人で行っているのだから。しかもあの女の為に未だに待っているのだ。そろそろ冷房(深雪の魔法)効きすぎてバスが寒い。何とかしようか。

「おい優奈」
「何ですか銀」
俺の隣は優奈である。てか安定過ぎる。

「氷の女王様をどうにかして来い」
「嫌ですよ。怖いし。銀が行って下さい。」
「俺も怖えよ。つかてめえ俺の側近だろ」
「それ元ですし。しかも候補ですし。」
「変わんねえだろ」
「変わります〜。変わっちゃいます〜」
「…………イソギンチャクのくせに」
「今言いましたね!?イソギンチャクって!」
「うるせえ!言ってねえ!」
「いーや!言いました!銀のバカ!」
「バカとはなんだ!バカとは!早く行ってこい!」
「嫌です!誰が女王様の所なんて行くもんですか!」
「おま…え…っ!!!」
やべえ。何がやべえってとにかくやべえ。死んだ。俺死んだこれ死んだ確実に死んだわ。
「ふっ、怖気づきましたか!なら銀が氷の女王様の所へ行ってください!」
「いや、バカ、おま…」
優奈のバカ…もう知らん。俺は知らんぞ。このバカがどうなっても知らんぞ。だって後ろ見ろよ。てか気配で気づけよ。
「さあ!さあ早くお行きなさい!そして逝きなさい!」
「誰のもとへかしら?」
「そりゃ勿論氷の女王様もとい!深雪の下へ!」
あー言っちゃった。言っちゃったよこのおバカ。これじゃイソギンチャクどころかお猿さんだよ。
「そう。…優奈ったら、そんな事思っていたのね?」
「へ…?」
「ねえ優奈。涼しくしてあげる…!」
「え、ちょ!深雪!?へ!?」
「さあ…こっちへおいでなさい…!」
「いやァァァァァ!!!!!!」

そうして優奈は逝きましたとさ。めでたしめでたし。

□ □ □ □ □

あの後、まもなく会長が到着した。優奈はそれからというもの深雪と二人で座っている。というのも、深雪が優奈を離さないのだ。監視、というやつだ。これ以上勝手なことを言うな、という意味での。
それによって俺の隣も変わっている。


それがなんと………



「あ、あはは…」
「ははは……」

よりにもよって、ほのかである。気まづい。

□ □ □ □ □

さて。こうしてバスの座席が変わり、隣がほのかとなってから随分と時間が経った。バスはとっくに移動しており、もう高速の中である。するとその時だった。何やら騒がしい。

「おいあれ…」
「逆走…?」
「こっちに向かって来てないか…?」

そんな声が聞こえる。何とまあ悠長な。
仕方ない。ここは俺が「止まれ!」ここは俺「止める!」ここは「ぶっ飛ばす!」こ「待て!」…コイツら…!!

「あーもう!お前ら全員やめ!真由美姉は後ろのエンジニア組に報告!摩利さんはそこの2年生叱っといて!会頭は車停めて下さい!深雪は火を消して!ほかの者はシートベルトして待機!以上!」

『了解(したわ)』

俺のこの指示通りに事は進んだ。この後も何事も無く、逆走車の確認も済んだ。という事で会長とお話をしよう。

「先輩方に深雪ちゃん。お疲れ様でした。」
「ううん。流石は銀次君ね」
「いえいえ。会長のお陰で、後ろに被害は出ませんでしたよ。ありがとうございます。」
俺はこう言ったのだが、何やら不服そうだ。
「…あの、会長?」
「……………」
「かーいーちょーうー?」
「……………」
「七草先輩〜?」
「……………」
「はぁ……。分かったよ。真由美姉」
「ふふ♪やっと呼んでくれた♪」

憎たらしい。この猫被りめ。

「あの銀次君が、やっと♪」
「そんなに嬉しいかよ」
「もちろん♪」
「はあ………」

□ □ □ □ □

その後は一度も同じようなことは無く、予定よりかなり遅れたがホテルに到着した。ホテルでは二人部屋か三人部屋で部屋割りが決まっており、俺のルームメイトは達也と機材である。うわあいやったあ。

と、そんな事を考えながら荷物を運んでいると、驚く人物がいた。エリカ達である。

「あ、紫藤君」
「ほんとだ!銀次じゃねーか!」
「こんにちは紫藤君」

エリカにレオ、美月もいる。何しに来たのだろうか。

「お前ら、何でこのホテル居るんだよ」
「関係者よ関係者」
エリカはそう言う。だが何のだろうか。よく分からないがまあいいだろう。
「そっか。悪いけど、この後忙しいからまた後でな」
「うん、またね」

□ □ □ □ □

「良かったのか?」
部屋に着いての第一声がこれである。意味不明だ。
「何がだよ達也」
「忙しいなんて嘘をついて」
「嘘じゃねえだろ」
「俺の場合はな。だが、銀次の場合は嘘だろう。」
「これから忙しくなんだよ」
「そうか。」
「……………故意によるもの、か?」
「その可能性が高い」
「そっか……」

故意によるもの、ということは第一高校を狙っているものがいる。という事だろう。ブランシュとは別件で。さて、どうしたものかな。


九校戦で問題は起こしたく、無いんだけどな。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回も宜しくお願いします。


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九校戦編 第4話

三校メンバー初登場です。(個人的には「一色」といえばソーマの某元七席の先輩や俺ガイルの生徒会長のあざとい後輩を連想しちゃいます……)




ホテルについてからというもの、本当に忙しくなってしまった。原因は「懇親会」というパーティーの所為である。俺が今いるこの場には、一校から九校までの全スタッフにエンジニア、選手と来賓が揃っている。有名な人で言うと、ドイツ発のCADを販売も行っている大手ブランド「ローゼンマギクラフト」の日本支部の社長などだ。高校生の大会によくも来るもんだ。

「あの、少し宜しくて?」
いきなり来たので何だこいつ。と思ったが相手は金髪に赤い制服。三校が視察に来たのか。

「どちら様で?」
「私は第三高校1年の一色愛梨と申します。貴方は?」
「第一高校、紫藤銀次だ。同じく1年」
「そう。貴方、実績は?」
「そんな大層なもんねえよ。興味も無い」
「あらごめんなさい。一般の方でしたの。今年の一校は一般の方が多いようね。」
あ?何だこいつ。てかムカついたわ。
「おい」
「何かしら?」
「さっきからアンタ、一般がどうのこうのうるせえよ」
「あら、一般の方が私達に勝てるわけないでしょう?これなら、新人戦は三校の優勝で確実ですわね」
「どうかな。少なくとも一般で実戦で活躍してきた奴を俺は何人も見てきたしな。実戦で大したこと出来ねえ様な数字付きを何度も見てきたから分かるんだよ」
「なっ!一色家は師補十八家!よくもそんな事が言えたもんですわね!」
「十八家、ねえ……」

十八家。これは数年に一度、師族会議で行われる「十師族選定会議」に呼ばれる二十八家のうち、十師族に選ばれなかった18の家の事である。個人的にあまりいい思い出は無い。

「補欠、か」
「黙りなさい!一色家をこれ以上侮辱するなら!」
「そこまでだ一色」

一色と名乗るこの女が俺に平手打ちしようとした時の事だった。彼女の腕を掴み、止めたのだ。制服は赤、顔立ちの良いその男に、俺は見覚えがあった。

「一条…」
「顔見知りなんだから将輝でいいだろ。」
「僕もいること忘れてない?」
「ジョーか。久しぶり」
「うん。銀次こそ」

彼らは一条家時期当主の一条将輝に、加重系「基本コード」を13歳で発見した天才の吉祥寺真紅郎。赤い制服という事は三校に入学したのだろう。ジョー、もとい吉祥寺は彼女を追い返して行ってしまった。

「さてと。一色が悪かったな」
「気にしてないよ」
「アイツは数字に誇りを持っていてプライドが高くてな」
「雰囲気で分かったよ。」
「だろうな。」
「ま、俺は数字に興味なんて無いし、数字が全てを示さない事も知ってるからな。あれを何とも思わない俺が被害者で良かったよ本当に」
「全くだ。ところで紫藤」
「競技なら秘密だ。お前の競技を知るつもりも無いからな。」
「そうかい。…当たったら、全力でやろう」
「御手柔らかに頼むぞ」

こう言いながら握手を交わし、将輝は去っていった。こんな災難がいきなり襲ってきたから改めて会場を見渡してみた。にしてもこの会場さあ………



「人多すぎだろ…」
「そりゃ全選手がここにいるんだもの」
俺が独り言を口にしていると、真由美姉が近づいてきた。おい猫、何を企んでいる。
「独り言にツッコむなよ」
「それを言うと独り言の効力無くなると思うわよ?」
「俺の負けか…」
「お姉さんに勝とうだなんて10年早いわよ♪」
「お姉さん、ねえ……ふーん」
「な、なによ」
「いやあ?べっつにぃ?ただ俺の、お姉さんは、自分のどこを、どう、お姉さんっぽいのかなぁ、と思って」
「なっ!それどういうこと!?」
「別にどうもしてませんよ?」
「ウソ!絶対なんか隠しt」

『それでは九島烈閣下より、ご祝辞となります』

真由美姉が口を開こうとすると、そんなアナウンスが流れた。だが簡単には現れないようで、魔法を使って隠れている。

相変わらず、あの男は意地が悪い。
10年前もそうやって……!!!」
「銀次君…落ち着いて」
え、まさか。
「声、出てた?」
「ええ……」
「悪い」

最悪だ。最悪で最悪の最悪だ。俺の馬鹿野郎が。
と、そこで閣下の魔法は途切れた。

「済まない。今のはちょっとした悪戯でな。だが、この悪戯に気づいたのはこの会場で7人のみだった。それも1人を除き、全員同じ学校の生徒であった。すなわち、もし私がテロリストだとしたらそれを止めることが出来たのはその7人であり、尚且つ円滑に避難や対策をとることが出来たのはその1つの学校のみということだ。魔法師の諸君、魔法とは手段に過ぎない。例えどんなに大規模な魔法であったとしても、工夫をすれば、小規模な魔法でも勝つことができるという事だ。諸君の工夫を、期待している。」

そう言って、閣下は下がっていった。その直後の事であった。

『本日はもう一方、世界的企業の紫電様より、ご祝辞となります』

おい、今なんつった?

『紫電様、ステージにご登壇をお願いします』

いや、聞いてねえよ!?

というのも、名前を呼ばれているこの『紫電』というのは、現在世界で最も人気のある【LFile】という仮想型デバイスを販売した人物の事で、他にも純金のみの外装のCADや世界で唯一、認識阻害魔法の為だけに作った小型CADや、銃タイプの刻印型CAD、自己加速術式専用のシューズ型デバイス、左利き専用の汎用型CADなどだけではなく、一部のCADマニア向けの特殊なCADも作っている人物である。



ちなみに『紫電』の正体は、俺と優奈だ。



(いや聞いてねえよ!?何やってんの誰だよこんなこと思いついたの優奈はねえなあの爺でもねえなじゃあまさか……真夜様?)

恐らくだが、これは四葉真夜の仕業だろう。

仕方ない。やるしかない。

□ □ □ □ □

俺は今、ステージに登っている。スーツに仮面で。
何でだよと言いたいくらいに用意の良いセットが用意されていて、これを着ろと言わんばかりの場所にあったのだ。音声変換の魔法も準備出来た。では始めよう。

「はじめまして。私は紫電グループの責任者です。今回、この九校戦に招待して頂きましたので、ここでお話をさせてもらいます。まあ、簡単な話です。魔法は工夫。ごもっともだと思いました。でもね、私はそれだけでは悩む方もいると思いました。確かに工夫は大事です。でもそれだけでは足りないと思いました。何かと。それは心です。心の持ち方次第で、コンディションだとかモチベーションだとか。色んなものが変わってくると私は思ってます。選手の皆さん。体調管理は勿論ですが、エンジニアやスタッフへの感謝を忘れずに。今こうして試合ができるのは、支えがあるからです。エンジニアの皆さん。仕事を全うするのも大事です。でも選手への感謝を忘れずに。皆さんの手腕が振るえるのは選手がいるからです。互いにその気持ちを忘れないで下さい。最後に。

ここは軍の施設だ。魔法科高校を出た魔法師は大抵軍に入ると言われている。そして道具だ、作り物だと非魔法師に言われる毎日だ。でもそれがどうした!我々にそんなこと関係ない。我々だって同じ人間なんだ!怒りや憎しみ、喜びや悲しみ。色んな感情を持っているんだ。泣いたり笑ったり、喧嘩したりもする。恋だってする。子供だって産む。食事に洗濯、掃除だってする。睡眠も取る。我々は同じ人間なんだ。当たり前だろう。道具には全部要らないことだ。

何が言いたいか。今を忘れるな。今こうして仲間と共に立てること、笑う事、泣く事。忘れるな。人間なんだ。人間としての当たり前を忘れるな。それを忘れたら、世間の見る道具と同じになっちまう。

皆さんの人間らしいところが見れること、楽しみにしてます。」

俺はそう言って壇上が去っていった。


いやあほんとに。

臭い。言葉が臭い。どこのカッコつけだよ。あぁ恥ずかしい恥ずかしい。一生の黒歴史だよ一族の恥晒し過ぎて恥ずかしいよ優奈に会いたくねえよお恥ずかしいよお………。……恥ずかしにたい。



最後まで読んで下さり、ありがとうございました。次回も宜しくお願いします。

ps ヒロインをそろそろ決めようと思います。
今のところ候補は真由美、優奈、リーナです。
真由美とリーナはコメントから。優奈はかなり何となくです。この作品にしか存在しないオリキャラなので…。
これ以外も勿論募集してます。感想にてお願いします。


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九校戦編 第5話

「アンタだろ」
「何のことかしら?」
「とぼけるなよ?」
「あら、とぼけてなんていないわよ?」
「はあ………。」

懇親会の犯人はやはり真夜様だった。
まったく、本当に人騒がせな。
と、ここまで笑顔だった顔つきから真剣な顔つきになった。
別件ですか。

「ところで銀次さん?」
「なんすか真夜様」
「九校戦にちょっかいを出している輩がいるみたいだから。気をつけてね?」

ちょっかいを出している輩…ねえ。去年からそういう風潮が裏社会ではあったみたいだから、ある程度犯人は絞れる。

「まあ大丈夫でしょう」
「そうね。貴女達なら問題無いわね」
「ええ。問題無いです」
「なら、期待してるわ」
「はいはい」

通信は途絶えた。要するに逃げられた。
ちくせう………。

□ □ □ □ □Side 優奈

「温泉?」
「うん。聞いてみたら使っていいって」
「そっか。うん!行こ!」
私、優奈はこうして温泉に行く事になった。
メンバーは新人戦女子の皆と。

温泉かあ………。




何年ぶりだろ。

□ □ □ □ □

温泉に着た。皆可愛いしスタイルがいい。

のだが、やっぱり格差社会はあったようで。

「わあ……!ほのか……」
「な、何エィミィ」
「………もんでいい?」
「だ、ダメ!」

エィミィがやたらと親父くさい。
これはどうにかしないと止まらないぞ。




そう思っていたけど、話題は一気に変わった。

「懇親会の時、三校の一条君凄い深雪の事見てたね〜」
「そうそう!しかも凄くカッコよかった〜」
「で、深雪はどうなの?」
「え、私?」

いきなり自分にくると思ってなかったのか、深雪は少し戸惑っている。まあ、答えの予想つくけど。

「そこまではっきりと見たわけじゃないの。それに意識する必要も無いじゃない?」
「じゃあやっぱり、深雪は達也さんのことが好き?」

そう聞いたのは雫だった。
きっとこれはほのかのタメなんだろう。

「お兄様は血の繋がった兄妹よ?恋愛感情は無いわよ」

『……………』

私はこの答えを分かっていたけど、皆は分かってなかったみたい。


「と、ところで優奈ってさ」
お、今度は私ですかい。
「ん?なあに?」
「優奈って、紫藤君といつも一緒にいるじゃない?そこのところどうなの?」
何を言い出すかと思えば……。
まあ確かに、私は四六時中銀の傍にいる。
それ故の質問なんだろうけど、誤解は解こう。

「んー。無いかな。銀はない。有り得ない。」
「え!そうなの!?」
「うん。恋愛感情で一緒にいるわけじゃないの。なんというか」

『なんというか?』

あら、皆さん食いつくわね。

「腐れ縁って感じ。もう10年以上一緒に暮らしてるからかな。何とも思わないんだ。銀の寝顔を見てもマヌケ顔だなって思う程度だし、銀と一緒に寝ても特に思うことも無いし、銀の下着を見ても何とも思わないし、銀の裸見ても見苦しいって思うくらい…かな。」
「な、何それ……。」
「前半はともかく、後半はもう末期じゃないかな…」
エィミィにほのかはそこで引くのやめようね。
素直に傷つくから。



そんなこんなで長風呂も体に良くないから、浴場をあとにした。…………銀ってそんなに人気あるのかな。

Side out

□ □ □ □ □

翌日。開会式が終わった直後にバトル・ボードの予選がある。ということで、皆で観戦することにした。初観戦だから楽しみにしていたが、いやいやこれはなあ…。だって会場がさあ…

「摩利様〜!!」
「渡辺先輩〜!」
「きゃー摩利様〜!」
「摩利様素敵〜!!」

とか、黄色い声しか聞こえないんだもの。
これにはいろいろと尋ねたい。

「なあ雫」
「ん、なあに?」
「九校戦ってどれもこんな感じなの?」
「ううん。注目選手はこんな感じだけど、無名の選手とかだとこうはならないよ。」
「んじゃあ摩利先輩がおかしいののか」
「ん、そういうこと。」

なんだそういうことか。じゃあつまり真由美姉や克人さん、一条やジョーはこういう試合になるって訳だ。成程な。

そんなことを考えていると、レースが始まった。

摩利先輩は開始直後に水面を揺らして妨害をしてスタートをした。その後も加速術式等を駆使。予選は1位通過となった。

□ □ □ □ □

さて。あっという間に夜になった訳だが、俺も暇ではない。
やらなくてはいけない事があるのだ。

何というと…。

「失礼します。」
「久しぶりだな。銀」
「風間さんこそ。元気そうで」

そう。この男、国防陸軍の風間少佐との食事である。
この他にも、他の軍人との食事に、閣下とのお茶会もある。

閣下のところは行きたくないけど。

「二人とも九校戦に出るようだな」
「新人戦ですが。」
「それでも素直に喜ぶべきだろう。」
「それ、実力を考えてから言ってくださいよ?」
「それもそうか。」
「ええ。ただの暇つぶしにしかなりませんよ」

「ところで銀次」
「なんです?」
「お前は…いや、貴女方は、どこまでやる気ですか?」
「そうだね。それを言わないと安心出来ないか」
「申し訳もございません。」
「いやいや。そっちの立場なら仕方ないよ」
「そう言ってくれると助かります。」
「それでどこまで、だったね。勿論【双頭龍】や【楽園狂】は使わないよ。【流星群】やムスプルヘイムは使うかもだけど。」
「左様で。それで例のあれは…」
「使わない。というか、使わせない。絶対にね。」


アレは、あの魔法だけは使ってはならない。それは優奈自身も知らない【究極の魔法】だから。少し間違えれば【全てを壊せる】あの魔法を、優奈は知ってはいけない。知られてはいけない。


アレは、魔法という言葉を越えているから。



最後まで読んで下さり、ありがとうございました。次回も宜しくお願いします。


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九校戦編 第6話

数日ぶりで、文章がいつも以上に酷いかもです。
悪しからず。


「ほらここ座って?」
「え、いや、そ「座って?」はい…」
「それじゃあ聞かせてもらおうかしら」

只今、時刻は九校戦三日目の午前1時。俺は何故かロビーの椅子に座らされている。いや、どうしてこうなった。俺は悪いことなんてしてないぞ。してないはずなのに、何故だ。何故……



真由美姐さんはお怒りなのでしょう…。

□ □ □ □ □

「私が言いたいこと。分かるわよね?」
「え?言いたいこと?しらn「分かるよね?」…」

うわあ怖い。笑ってるのに怖い。とても笑ってるなんて言えないくらい怖い。目が笑ってなさすぎて怖い。

「ねえ、銀次君…?」
「は、はい……」

ああ死んだ。俺なにやらかしたんだろ。
せめて遺書は書くべきだったなあ…。
ああ………冥土の土産は何にしよ…。

そう思っていたが、答えはあっさりしていた。

「私の試合、全部見に来なかったでしょ」

真由美姐さんの試合?の事だった。
え?てか、今日やってたの?余裕で寝てたけど。

「試合って?今日やってたんですか?」
「……知らなかったの?」
「はい。」
「パンフレットは?」
「優奈が持ってるんで」
「自分のは?」
「無いですね」
「私渡したはずなんだけど……」

うわあやっちまってるじゃーん。これどんなバツが待ってんだろ。斬首かな?銃殺かな?呪殺かな?あ、ドライミーティア(真由美の得意魔法)かな?

ちなみにパンフレットは優奈に取られてしまっている。2枚貰ったのは確かだけど、1枚は家に忘れてしまった。優奈が悪い。

「そ、それで…?」
「それでって?」
「俺を呼び出した理由は…?」

呼び出した理由。正直分かってはいるけど、念の為。万が一、もしかしたら、本当にもしかしたら、怒る為に呼び出したのでは無い可能性がある。……と、思いたいから一応聞いておく。

「銀次君がそんな事ありえないかなーと思ってたけど、これではっきりしちゃったからバツを与えるタメ、かな。」
「斬首ですか?銃殺ですか?呪殺ですか?」
「へ…?」

ああどうしようどうやって謝るよ死んで詫びないといけないんじゃねえのどうするよ十師族しかも直系怒らせちまったよこれタダではすまねえよなあこりゃあ七草家の闇に葬られるかなあやべえよなあ明日から俺どうやって生きてこ。

「あ、あの銀次くん?」
「俺、死んで詫びますね………」
「お、落ち着いて?殺さないから。」
「へ…?」

俺、死なないの…?殺されなくて済む…?
闇に葬られる事もなし…?

「その代わり明日は私と居てもらうから」
うわあいやっt……。………え?

「今なんて?」
「だから、明日は私と一緒に居てもらうからね?」

は………?なんて……?

「……わんもあぷりーず」
「だから、明日は私と一緒に行動してもらうからって!もう言わないからね!?」

明日、一緒に、行動……?つまり……?


強制連行及び、危険人物の監視…………?


「……………終わった」

嫌な予感しかしないぜベイベー。。。

□ □ □ □ □

という理由で、九校戦3日目。今日は達也たちとではなく、この悪魔と行動することになりました。やったね。。。

「で、今日は何するんですか?」
「何ってもちろん、試合を見に行くのよ?」

試合観戦…。今日は確か……あ、摩利さんの試合だ。

「バトル・ボードですか?」
「ええ。……それは覚えてたのね」
「偶々ですよ」

ほんとに偶々だった。それでも真由美さんは不機嫌だ。
ねえ、俺ほんとに何かやらかしたんじゃない?


そんなこんなで会場に到着した。
さて、摩利さんは優勝できるかな?
まあ、聞くのが早いか。

「摩利さんって優勝可能なんですか?」
「可能も何も、去年優勝してるわよ?」
「じゃあ今年も…?」
「順当に行けば、間違いないわね」
「oh………」

摩利さんマジすげえっす………。

□ □ □ □ □

試合が始まるまで、俺はそのまま真由美姐さんと雑談を繰り広げていた。いやあほんとにいろいろ話しましたよ。最後の方なんて一世紀前の音楽の話とかしてたから。これマジで。

………RADWIMPASとかいいよね。

「そろそろですか?」
「そうね……」

そう言った直後、選手が入場してスタンバイした。
いよいよ始まる。

『オン・ユア・マーク』

そんな放送が聞こえた直後、レースは開始した。

摩利さんは文句無しで、とは言いづらいがトップを走っている。このまま行けば、間違いなく優勝。








そのはずだった。






だが、結果はそうはならなかった。





□ □ □ □ □

バトル・ボード女子は三校の優勝となった。
摩利さんは、CADの不具合で操作が出来なかった他校の選手を庇い、怪我をした。結果から言えば、棄権。

それによる順位は5位、つまりは得点なしである。

さて。そういう俺は今、摩利さんの病室にいる。
そろそろ起きるんじゃないだろうか……。

「………っ!!」
「ホントに起きた。」
「言ってる場合じゃないでしょ。何処だか分かる?」

ちなみに、勿論真由美姐さんも一緒にいます。
「何を言ってるんだ……。痛っ」
「確かに何を言ってるんだって感じですね。」
「はあ…。摩利、肋骨が折れてるから、安静にしててね?」
「おい!それじゃあ!」

驚いたような顔をしているが、よく考えてみよう。
レース中に魔法を使わずに吹っ飛んできた魔法師を庇ったんだ。肋骨が折れたくらいなら、正直安い話だ。でもそんな考えを持てるのはきっと、俺だからなんだろうけれど。

「残念ですが、競技はもう無理ですよ」
「2、3日は安静にして。完治には10日掛かるそうよ」
「そうか…。」

残念そうにしてはいるが、言わなきゃいけないことがある。
俺はそれを言わなきゃいけないんじゃないのか。

そんな使命感が、俺の思考を遮った。
そして、その使命を果たすことにした。

「摩利さん」
「お?どうした銀次」






「……命に別状はないだけ、運が良かったです。」





「あぁ………。」

勘違いかもしれないが、声を聞いた摩利さんは何処か寂しそうで、それでも安心したような顔をしているように見えた。

そんな摩利さんをみて、俺は病室を後にした。

□ □ □ □ □

そして、翌日の九校戦四日目。
九校戦史上異例の事態が、幕を開けた。



別にRADWIMPSだけが好きという訳では無いです。あ、「おしゃかさま」と「最大公約数」は普通に好きですが、「前前前世」は全然聴かないです。あ、RADWIMPSの曲全然知らないと全然わかんないですよね。すみません。あ、現在ちょっと私生活が多忙なので、投稿頻度が相変わらず疎らになります。すみません。
あ、最後まで読んで下さり、ありがとうございます。次回もよろしくお願いします。<(_ _)>


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九校戦編 第7話

こんにちは、こんばんはキィチャです。LINEでイキり出しておいてネタだと、後から言う奴にキレてます。本音で言ったとしてもネタでもつまらない。そんな感想しか湧いてこないですが(笑)



九校戦四日目。

今日からは新人戦が始まる。
九校戦は四日目から9日目までが新人戦、9日目の夜からはまた本戦が再開するという、少々めんどくさい日程になっている。

ところで俺、紫藤銀次はどの競技に出るのかというと。



「CADも問題ないね。」
「新人戦トップバッター。頑張れよ」
「りょーかい。」

1つは、新人戦初日のスピード・シューティング。
しかも、新人戦選手で1番最初の出番である。

□ □ □ □ □

優奈Side

皆、雫の応援に行ってしまい、達也さんも雫の方に行ってしまい、銀の応援は誰も居ない。可哀想だから、という理由で深雪とエリカが来てくれたので、3人で銀の試合を見ることにした。
大前提として、銀はこれまで世間に名を出した事は無い。それもあって、試合を見に来ている人はきっと『カーディナル・ジョージ』を目当てに来ているんでしょうか。欠伸したり、友人と喋ったりしてる人が殆ど。

銀は、何処までこの人達を唸らせられるでしょうか。

「ねえ優奈」
話しかけてきたのはエリカ。
「なあに?」
「銀次君って、どんな魔法を使うの?」
やっぱり気になるのだろう。質問の内容は予想通り。

でも、それもそのはず。銀は普段、みんなと一緒に過ごしていながら、魔法を使ったところを見られていない。否、『魅せていない』。
私でさえ、あまり見ることもない。

「驚くと思うよ。」
「驚く?そんなに凄いの?」
エリカは半信半疑のようだった。でもそれ以降の事を、私は口にしなかった。

試合が始まるからだ。

□ □ □ □ □

開始の合図が鳴った。普通の選手なら同時にCADを構えるが、銀はそれをしない。その姿を見て、エリカは立ち上がってしまった。

「銀次君!?何してるの!?」

立ち上がりながら、声を荒らげていた。私はその魔法を知っていたから黙っていたが、深雪も驚いていた。それは何故か。

それは 「達也さんと話し合った作戦じゃない」 から。

達也さんと打ち合わせをした本来の銀の作戦は、放出系統の魔法を使い、ひたすら撃ち続ける。

という、単純な作戦の筈だった。

でも、銀はやっているのは全く別の事。

射撃エリアを、ただ黒く染めているだけ。
それだけなのに、得点は次々に増えていく。

「なんだよアレ……」
「一高にあんな逸材がいたのかよ…」
「あんな魔法、見たことないぞ…」

会場がざわめきに溢れる。
深雪もエリカも、驚きを隠せていない。
正直、私も驚いている部分はある。
それでも銀は100/100点で、予選を終えた。

Side out

□ □ □ □ □

それは開始してすぐの事だった。
俺ら魔法式を展開しようとした。だが出来なかった。

魔法式が、展開されない。
何度同じことをしても、使用する魔法を変えても。
魔法式はいつまでも展開されない。
有り得ないと思いながらも、俺はCADを閉まった。

(緊急時とはいえ、もう使うとはなぁ………)

正直に言うと、その魔法を使いたくなかった。
でも、その魔法以外に使える魔法はなかった。

そして、ボソボソと声に出して、魔法を展開した。

「アクティベイト シャドウ・レイン」

展開した瞬間。有効エリアは一瞬で黒く染まった。
この魔法の効果である。

この魔法【シャドウ・レイン】は影を収束して、それを硬化させながら針状に変形させる。そして針状の影がクレーに雨のように突き刺さるという魔法である。

発動時こそ見た目は地味だが、触れれば人間くらいは一瞬で殺せる。威力はもちろん抑えたが、それでも強力な魔法だ。
ついでに、俺のオリジナルの1つである。

ここまで説明しているが、何故エリアが黒く染まっているかは別である。実はこれ、放出系魔法でカモフラージュを作り出して【シャドウ・レイン】を隠しているだけである。

そんな黒く染まった有効エリアは、次々にクレーを破壊する。恐らくだが、この魔法を見ればインデックスへの登録を迫られる。だが、それをさせたくないのだ。何故か?

ふざけるな。
この言葉しか出てこない。

だってこんな魔法を登録すれば、軍事的利用なんていくらでもするでしょ。はっきり言って、この魔法の規模によっては戦略級魔法にもなるし。通常でも戦術級と言っても刺し違えない。

こんな魔法。知らない方が幸せだ。


さて。長々とよく分からない事を考え込んでいたが、もうすぐ100点だ。妨害こそあったが、これで予選突破は確実だろう。


今回の妨害の件、一体どうしてくれようか。

□ □ □ □ □

「予想通り、妨害工作をされていたよ」
「やはりか…。名の知られていないお前はもしかしたらと、可能性を考慮していたが、やはり手を出してきたか。」
「ああ。……ったく、癇に障る奴らだよ。」
「これで犯行場所が分かったが、問題はここからだ」
「ああ。一体どうやって、だな。」

試合が終わった後、俺は達也に即連絡をした。
元々は囮としての作戦だったから、引っ掛かってくれた奴さんには感謝しかない。まあ、今は気にしても仕方ない。

「雫はどうだった?」
「予選は通過したよ」
「流石は女子2番手だね。午後はバトル・ボードか」
「ほのかと、優奈か。」
「まあ、二人は大丈夫でしょ。」
「問題は……」

問題は、俺。これ以上の妨害工作をされれば、はっきり言って危ない部分もある。『カーディナル・ジョージ』は伊達じゃない。これは建前ではなく、本心である。ほのかに関しても、あの作戦なら問題ない。

優奈も、手筈通りにやってくれるだろう。

「試合の時間だ、行ってくる」
「頑張れよ。銀次」
「雫によろしく伝えておいてくれ」

通信はここで切れた。さあ、始めよう。

□ □ □ □ □

時刻は23時49分。九校戦も五日目に入ろうとしている。
そんな時の事だ。俺は1人、会議室に呼び出された。

「失礼します。紫藤です」
「よし、入れ」

会議室に入ると、中にいたのはたったの2人。
七草真由美・十文字克人の2名である。

「スピード・シューティング優勝おめでとう。」
「ありがとうございます。七草会長」
「ご苦労だった。この後も宜しく頼む。」
「お任せ下さい。十文字会頭」

まずは手探りに。この二人だけが揃う。
深く考えるのも良くないが、呼ばれた理由は大体分かる。

「会長。今回は何の話ですか?」
「とぼけないで。…貴方の予想してる通りよ。」
「やっぱり………」

深く考えて良かった。という程ではないが、安心した。これで期待外れの答えだとしたら、ガッカリしていただろうから。

予想通り。つまり、呼び出された理由はこうだ。

「インデックスへの登録、ですよね。」
「ええ。大学からその要請をされています」

真由美さんからは、いつもの様なタチの悪い笑顔は全くない。これは生徒会長としての威厳を保つ為だろうけど、関係ない。

「お断りします」

キッパリと言ってやった。登録する訳にはいかないから。

「理由はなんだ」
今度は会頭から。説明するのだるいなぁ…。
まあいいや。簡単に話すか。

「危険すぎるからですよ。殺傷効果さえあるので。」
「殺傷効果だと?」
「はい。規模によっては戦術級と同等の威力にもなる」
「そうか……。分かった。此方で説明しておこう」
「ありがとうございます。」

話が終わると、真由美さんは笑顔を戻した。
なるほど、この時間でも小悪魔降臨ですか。

一方で十文字先輩からは先程までの表情は消えない。
そんな事を考えていると、意外な言葉が飛んできた。

「紫藤、今から言うことは、学校とは関係ない」
「?はい。」
「この話を聞き流しても、構わない。」
「わかりました。なんですか?」
後から考えれば、この言葉が飛んできたのはきっと十文字家からの指示なんだろう。だからこそ、先輩という立場で話していた訳では無かったのだろう。

考えれば考える程、嫌な事しか思いつかない。

十文字会頭が言った言葉はこうだ。



















「4の数字がお前に帰ってくることは、ない。」



今回は結構吹っ飛ばし回でした。バトル・ボードに関しては次回キチンと触れますので、お楽しみに。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。


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九校戦編 第8話

あれ、メインヒロイン要らないんじゃない…?
ちょっとどうしようか迷ってます。
横浜編には間に合わせます。


九校戦6日目。この日は男女アイス・ピラーズ・ブレイク決勝リーグとバトル・ボード決勝がある。

戦績から言うと、銀次、深雪、雫、エイミィが「棒倒し」(ピラーズの略称)で決勝リーグに勝ち残り、女子に関しては1〜3位までを独占できる可能性が残っている。
バトル・ボードにおいては、男子は全滅。女子はほのかと優奈が勝ち残っている。タイムで見ると、1位は優奈である。

さて。六日目の試合で九校戦の全出場試合が終わる銀次は、決勝の準備をしながらある事を思い出していた。

『4の数字が戻ってくることはない』

何も知らない人からすれば意味がわからない言葉ではあるが、少なくともこの青年は違った。

「4の数字…ね。別に愛着はないんだけどなあ」

愛着はない。だが気にはなる。そんな表情をしながらの準備を見ている者は、誰も居なかった。本人以外のいない殺風景なその部屋と、真剣で何処か寂しげな顔をしていた本人。それだけで部屋の雰囲気は作られてしまっていた。その時だった。

「時間になりましたので、移動をお願いします」
それはアナウンスではなく、係員からの口頭の連絡だった。それに対する彼の返事はというと。
「分かりました。」
と、だけ。何もなく普通だ。

□ □ □ □ □

『3…2…1…ピーッ!!』

男子アイス・ピラーズ・ブレイク決勝が始まった。
銀次の相手は一条将輝。三校のエースにして十師族「一条」の長男。次期当主になる日も近いとも言われている。

開始直後に彼は得意魔法「爆裂」を使用した。だが発動することは無かった。銀次の魔法である。

「これ程の領域干渉…。流石銀次だな…」

彼はそう口にしながら魔法を展開し直した。だが次の瞬間、防いだ銀次から魔法式が展開されていた。その魔法陣は大きく、将輝の氷を全て埋めつくしていた。そして魔法は発動された。

「将輝…これでお終い。星屑の力に、君は勝てない」

発動された魔法の名は『星屑の裁き』。魔法陣からはプラネタリウムの様な光景が映し出され、同時に星々が魔法陣の上を舞っているかのようだった。だが星々は次の瞬間、砕け散り、そして氷に落ち、将輝の氷は全て粉々に砕け散った。その間僅かゼロコンマ3秒。その圧倒的な力を前に息を呑んだのは将輝だけでなく、会場にいる全ての者が、とある1つの魔法を連想していた。

まるで『夜』の支配者であると。

こうして、男子アイス・ピラーズ・ブレイク新人戦決勝は異様な光景を残して幕を下ろした。

□ □ □ □ □

午前中に新人戦の全試合を終えた銀次は、急いでいた。午後からはバトル・ボードがあり、ほのかと優奈が出場する。彼の目的は無論、優奈の試合を見に行く為であるが、それだけではなかった。試合開始まで30分。急がなければ席は取れない。会場まで走っていたその時であった。

ドンッ!!

「イタタ…。もう誰ですの…?って…」
「イタタ…。ごめん。急いでたから…って」

『え?』

銀次がぶつかったのは、金髪で紅い制服の女子。懇親会で彼が揉めた三校の一色愛梨だった。

「あ、一色さん…だよね。ゴメン急いでたから」
「いえ…。バトル・ボードの観戦かしら?」
「うん。大事な仲間が出るんだ。」
「そう…。あの紫藤、さん」
「ん?なに?」
銀次と話す愛梨の顔は真っ赤だった。それはまるで片思いをしている少女のような顔つきで。

「あの。もしよければ……」

□ □ □ □ □

『オン・ユア・マーク……ピーッ!!』

バトル・ボード女子決勝が開始した。選手はほのかと優奈、三高の四十九院沓子、七高と四高の選手。スタートの時点で、トップは三校。真後ろには優奈。少し離れた所にほのかという順位だ。

さて。これを観戦しに来た銀次はというと…

「まさか席が余ってるなんてな。一色さん、ありがとね」
「いえ。お気になさらないで?」

先程ばったり会った愛梨と観戦していた。銀次は楽しそうな目で試合を見ていたが愛梨は違った。深呼吸をして、口にした。

「……懇親会の事。本当にごめんなさい。」
「え?…あぁ。あれか。」
「その…貴方に失礼な事を言ったわ。本当にごめんなさ「気にしてないよ」…え?」
「別にそんな事気にしてないって。」
言葉にすればするほど愛梨は下を向いていった。いつ泣き出しても普通なくらい涙目な彼女の声も、段々細々としていった。それでも銀次は下から顔を覗き込んだり、頭を撫でたりする事は無かった。ただ淡々と彼女と会話をするだけだった。
「でも、私の気が済まないわ」
「えー?いいのに」
「罰を与えて」
「罰?」
「ええ。罰よ」
「わかったよ。じゃあ、下の名前で呼んで?」
「下の名前?」
「銀次って呼んでよ。俺も下の名前で呼ぶからさ」

「は…はい!銀次さん!」

返事をした彼女からは既に、先程までの暗い雰囲気は消えていた。それは懇親会の時の様な圧力的な笑顔ではなく、友達と笑っているかのような笑顔であった。

□ □ □ □ □

二人が話していた最中も試合は続いていた。出だしとは変わり、三校の選手は3位、ほのかが少し前を行く2位。だがしかし、トップはそれよりも遥かに前を進む優奈であった。

「んーちょっとがっかりかなあ。退屈」

トップを行く彼女からしたら、後ろの4人は退屈しのぎにもならなかった。スタートこそ策を駆使していたものの、今となっては移動魔法を掛けているだけで、座禅を組んでいるのだ。そんな彼女は、途端に目を見開いた。

「そうだ。イイこと思いついた…!!」

□ □ □ □ □

結論から言うと、バトル・ボードの優勝はほのかだった。トップだった優奈は準優勝。ほのかの逆転優勝となった。

そんなバトル・ボードも終了し、時刻は21時。銀次はとある所で待ち合わせに来ていた。

「よっ。退屈しのぎはどうだった?…優奈」

彼が待っていたのは優奈だった。ホテルの屋上のベンチに座りながら、二人は隣り合わせになっていた。

「うーん。トップはつまんないから、狙ってみました」
「狙った?何を?」
「…ジャストタイム」
「あぁ。成程」
「……怒る?」

恐る恐る聞いた彼女は銀次の顔を覗き込んだ。
それに対する銀次は、彼女にとっては普通だった。

「いいんじゃねえの。俺はお前らしくて好きだよ。」
「ふぅん…ならこの後も好きにします」
「けど、気付かれるなよ?」
「分かってます。それも……退屈しのぎですから」

そう言った彼女は屋上を後にした。それに変わって、屋上には別の人間がやってきた。

「どういうおつもりですか…?銀次さん」

やってきたのは深雪だった。彼女の服装が制服という事はまだシャワーを浴びる前なのだろう。

「どうもこうも…聞いてた通りだ。」
「聞いてた通りって…!!じゃあほのかが優勝出来たのは!」
「思ってる通りだよ。………四葉のお嬢さん」
「…!!どうしてそれを」

その頃には既に、深雪はCADを構えていた。それもその筈。なにせ彼が口にした事は彼女が秘匿していた情報であったから。

「他にも知ってるよ。言いふらす気は無いけどね」
「そうですか。…見返り、ということですよね」
「よく分かっていらっしゃる。」
「それが貴方の本性ですか。性格が悪いですよ?」
「よく言われる。…これで失礼するよ」

その場を後にした銀次は、無表情だった。一方で深雪は、それはそれは恐ろしいものであった。鋭い目付きに眉間に寄った皺、未だに降ろすことのないCAD。一歩間違えたら彼女の魔法の餌食になり兼ねない。そんな状態だった。

様々な目的が動きながらも、九校戦は六日目を終えていた。



バトル・ボードは正式なタイムが分からないので、あくまでもジャストタイムを狙ったとだけ。タイムを狙ったら準優勝になった。そういう解釈をしてもらえるとありがたいです。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


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