クロスアンジュ 舞い降りる救世主 (ライダーGX)
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登場人物

星野真也 (ほしのしんや)

 

年齢:20歳

 

身長:177cm

 

本作の主人公

 

エンブリヲがタスクを殺した影響によって死の病に死んでしまい、神である管理者によって別世界に転生。

大のガンダムオタクであり、色んなガンダムやMSの事を知っている。

 

メカを作るのが趣味であり、様々な機体や戦艦を作り、管理者から与えられたファブリケーターで基地を建設する事も。

 

格闘能力は今ひとつだったが、管理者より格闘や射撃、肉体の能力を15倍に上昇させてもらった。

 

 

 

 

ソーン・クラウン

 

年齢:20歳

 

身長:175cm

 

真也が初めて出会い仲間にした人物。

 

ノーマであり幼馴染のメリルを連れて逃げる際、追い詰められた時に真也に助けられて以後共に行動をしている副官タイプ。

 

MSの操縦は何故か出来ず、乗ると吐いてしまうのが原因であり、自分のガンダムを持っていない。

その代わり彼には戦艦ネェル・アーガマの艦長として役立っている。

 

優しい性格で、メリルを守りたい思いが強い。

 

 

 

 

メリル・ハーマイン

 

年齢:20歳

 

身長:162cm

 

真也が初めて出会い仲間にした人物。

 

ソーンの幼馴染であり、子供が大好きな女性。戦う事は出来ないが子供達を守るためなら努力する者。

組織の女性陣の中での最年長であり、大人の女性としてしっかりしようとする。

 

学力は上位一位であった為、子供たちに勉強を教えている。

 

 

 

 

ソルト・マーク

 

年齢:21歳

 

身長:177cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

狙撃の天才で、1000フィートの的をど真ん中に命中させるほどの腕前、サリアの幼馴染である。

何年もサリアを探していたのと、ノーマを助けていた時に真也にスカウトされた。

 

ロングヘヤーが特徴でピッキングを特技としている。

 

大のコスプレイヤーであり、過激な服装を好む。

 

 

 

 

リコ・ジェイソン

 

年齢:21歳

 

身長:180cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

筋骨隆々で、パワーを生かした戦いをし、銃はガトリングガンを使用するヒルダの幼馴染。

妹の『クレア・ジェイソン』を連れて行かれそうになったのを助ける際に真也と出会い、そのまま真也の仲間になった。

 

実は暑い男の割にかなりのむっつりスケベな男で、ヒルダの胸を見たり触ろうとしたりして困っている。

 

 

 

 

ラッセル・アレイ

 

年齢:22歳

 

身長:186cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

組織のなかでの最年長、優しい性格で誰でも仲良くなれる人物、エルシャとは幼馴染である。

 

彼もまたノーマとして連れて行かれたエルシャを探し、ノーマを助けていた際に真也と出会い仲間になった。

料理が特技で、いつも皆に料理を教えたり、伝授したりしている。

 

正直戦いはあまり好まない方だが、戦いを終わらせる為に戦っている。

 

 

 

 

トラビス・ベルナルド

 

年齢:21歳

 

身長:178cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

少し小麦色の肌が特徴で、クールな感じを持つ人物。ロザリーの幼馴染。

 

砲撃射撃が得意としていて、後方支援のサポートを主に行っている。

リコには及ばないが、少々筋骨な身体をしており、なかなかいい身体をしている。

 

ロザリーが居なくなったとにノーマを助ける事をはじめて、その際に真也と出会っている。

 

 

 

ジョージ・ライカーズ

 

年齢:19歳

 

身長:170cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

大人しそうな感じの割には、行動が大胆な彼、一言余計なことをペラペラと喋る。

 

クリスの幼馴染であり、彼女は彼の発言にはいつも口が止まる。

 

接近戦を得意とし、ナイフでの攻撃を行い、MSではランスの攻撃を行う、だがそれだけでは不十分であった為、遠距離武器が必要となった。

 

 

 

 

マリー・エリシオン

 

年齢:18歳

 

身長:165cm

 

真也が5年後に仲間にした人物。

 

ノーマではないが、彼女もまたノーマ追放を反対する者。

整備を得意としていて、傷んでいる部品やパーツを瞬時に見極める事が出来て、真也の二番目に整備を担当する。

 

女子メンバーの中で、唯一胸が小さい事にかなり気にしていて、いつもバストアップの事を考えている。

 

 

 

 

リリー・ガーネット

 

年齢:18歳

 

身長:160cm

 

真也が5年後に仲間にしたノーマ。

 

マナの人間ではないノーマであり、フリーフォックスの中で数少ないノーマの1人。

 

医療を専門とし、どんな傷や病気を治そうとする。更に抗生物質を自ら作り出して、様々な抗ウィルス剤を生み出すことが出来る。

 

フリーフォックスの中でバスト98の胸囲を持つ巨乳でもある。

 



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プロローグ 神からの言葉

最新作を書きました。

またと思いますが、どうか見ていってください!


……起きて。

 

……起きてください。

 

「ぅ…、っ…?ここは」

 

突然の声で目が覚めた青年『星野 真也』は白い空間で寝そべっていた。

真也は起き上がって周りを見渡し、自分がいまどの状態なのか考える。

 

「どうなってんだこれ。俺は確か………あれ?」

 

真也は今まで何をすごしていたのかを何故か思い出せない。

 

頭に手を置き、くしゃくしゃをしながらも思い出そうとしたが、一行に思い出せないでいた。

 

「俺、今までのことが思い出せない…どうなってんだ?」

 

真也が必死に思い出そうとしていたら。

 

 

 

 

「貴方は死んでしまったんです」

 

 

 

 

「っ!!!?」

 

真也が後ろを振り向くと、そこには白いドレスを来た女性が立っていて、手には杖らしき物が握られている。

その女性に真也は見て、振り向く。

 

「君は…?」

 

「私は貴方で言う神であり、世界の調和を保つ者…と申し上げておきます」

 

その女性…神の言葉を聞いた真也は思わず耳を疑う。

 

「えっ? 神様…?」

 

「貴方から見たらそうです。それよりも真也さん、貴方はもう死んでしまったのです」

 

「はぁ…そうですか……………………はい!!?」

 

真也はその事を聞いて思わず目が飛び出しそうになる。

自分が死んだ?っと聞かされたら誰でも目が飛び出す、真也は思わず神の元に近づき問いかける。

 

「どういう事だよ!? 俺が死んだって!?」

 

「落ち着いてください、これから説明します。貴方は先程から自分がどう過ごしていたか思い出せないのでしょう? 貴方は死ぬ前に未知の心臓病にかかってしまったんです」

 

「未知の心臓病…? なんだよそれ……あ!」

 

っと真也は神の言葉を聴いて何かを思い出した。

 

それは真也が前世での大学先である講習を受けていた時だった。

突如心臓に急激な激痛が走り、それに思わず倒れ込んでしまい、周りにいた皆が真也が倒れたことに驚いてしまい、すぐに救急車で病院へと運ばれた。

 

すぐに診察で調べてもらい、駆けつけた家族が医師から謎の心臓病だと知らされる。

更にもう命がもたないと知らされて、家族が悲しむ中で真也はそのまま死んでしまった。

 

それを思い出した真也は右手を頭に載せながら膝を付く。

 

「俺…死んだんだ、でもなんで?」

 

「それは…恐らくあれのせいです」

 

神がある方を向き、真也は神が見た方向を見ると、そこには地球が目の前に浮いていたのだ。

 

それに真也は思わず立ち上がって引いてしまう。

 

「なっ!!地球!?」

 

「非常に似ていますが違います。これはある者が私の知らぬ所で独断で生み出し、作り出してしまった地球なのです」

 

神の言葉に真也は振り向く。

 

「ある者…?」

 

「教える前に真也さん、貴方は『クロスアンジュ』と言う作品をご存知ですか?」

 

「クロスアンジュ…あっ!知ってるぞ!俺それよく見た!俺の好きな『ガンダム』と一緒に!」

 

真也は実は大のアニメ好きであり、特にクロスアンジュと更に大好きなガンダムをよく好んで見ていた。

そしてガンプラをよく作っているほどに。

 

「でもなんでそのクロスアンジュの話題を出してくるんだ?」

 

「真也さん…貴方は『エンブリヲ』をご存知ですか?」

 

「うぇ!!あの変態オヤジ?! それがどうしたの…?」

 

その事を聞くと、神は少々頭を下げながらゆっくりと語りだす。

 

「実は…その主人公のアンジュに倒されたエンブリヲがあの地球で復活し、あの地球を支配しているんです」

 

「はっ!?あいつがどうして!? って言うか復活した!?」

 

「はい、どういう訳かエンブリヲはあの地球で復活し、あの地球を自分の思い通りの世界を作り変えようとしています。更にあの地球はクロスアンジュの始まる前の世界。その世界であの男はとんでもない事をしてしまったのです」

 

「とんでもない事…?」

 

真也は神が言う言葉に頭を傾げ、そして語る。

 

「あの世界の重要人物……『タスク』を殺してしまったのです。それも残酷な殺しを使って」

 

「っ!! あの重要なタスクを!?」

 

「はい、タスクはアンジュにとってとても最愛の人、それをエンブリヲは平然とタスクを殺し、更にはその仲間たちを殺して行ったんです。私が気付いた頃にはもう…」

 

神は杖を強く握り締め、真也は拳を握り締める。

 

「あいつ…!タスクを殺しやがったのか!?いくらラッキースケベな奴でもアンジュにとっては大事な人だったんだ!許せねぇ!!」

 

「はい、このままではアンジュはエンブリヲの手に落ち、取り返しのつかない事になります」

 

「確かにな…、あっでも、それと俺の何処に問題があるって言うんだ?」

 

真也は自分が死んだこととなんの関係もない事を問いかける。確かに真也が死んだことにクロスアンジュの話は関係無いはず、しかし神はその事を語りだす。

 

「恐らくタスクの死の影響が貴方の元に影響を及ぼし、貴方は死んでしまったのだと私は考えます」

 

「はぁ!? そんなの有りかよ!?」

 

タスクの死が真也に影響を及ぼしたことに、真也は驚きを隠せなかった。

 

「申し訳ありません…ですが、かえって好都合だと私は考えたんです」

 

「はっ?好都合? どういう意味だよ」

 

「それは真也さん、あなたにはクロスアンジュの世界に行き、アンジュさんを救って欲しいんです!」

 

「えっ!俺があの世界に!?」

 

神の言葉を聞いた真也は驚いて、神はそのまま語り続ける。

 

「タスクが居ない今、救えるのはあなただけ、幸い貴方にはその世界で生き返らせることが私には出来ます」

 

「本当!? それはそれで嬉しいけど…、大丈夫なのか?俺はあのタスクの様に万能男じゃないぞ?」

 

真也はタスクの様にサバイバル能力はなく、ただ単にアニメ好きの男である。

 

「心配はありません、その所は私が特別な能力をしっかりと与えます。更に一人では寂しいのでこの子とある物をお渡しします」

 

「ん?どの子?」

 

ある物を渡すと聞いて、真也は髪の方を見ると、神はある物を取り出す。

それは機械の形をした犬であった、そしてある箱を見せる。

 

「この子は『ジーク』と言いまして、貴方が今後生きていくために様々な事をサポートしていく万能ロボットです、さらにこの箱の形をした物はあらゆる物を無限に作り出して生み出す『ファブリケーター』です。

これがあればどんな物を作り出すことが出来て、食料や建設に必要な物、更には武器も作り出すことが出来るんです」

 

「すげぇ!それならどんな場所でも生きていくことが出来るな!」

 

「はい、これらを使って、貴方はアンジュを救ってください」

 

「おっしゃ!任せろ! 死んでしまったのはちょっと悲しいけど、悲しんでいられないからな!この俺様に任せとけ!」

 

真也は胸をドン!っと叩いて胸を張り、それに神はうなづく。

そして真也はジークとファブリケーターを受け取って、神の方を向く。

 

「では行きます。では!」

 

すると神はどこからと出した紐を掴んで引き、すると真也の足元に穴が出てきて、それに真也は驚きながら落ちていく。

 

「ってそっちかよ~~~~~!!!!!」

 

真也が落ちた穴は閉じて行き、神はクロスアンジュの世界の地球を見る。

 

「頼みますよ…真也さん」

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

そして真也が目を覚ますと、一人浜辺で立っていて、真也は周りを見渡す。

 

「ここは…」

 

『ここは本来タスクが隠れ住んでいた孤島だ』

 

「ああ、なるほどね…ん?」

 

っと真也が振り向くと、そこには1mくらいある犬のロボットが居た。

それに真也が見て確信する。

 

「お前がジークか?」

 

『そうだ、私が今後真也のサポートをするジークだ、よろしく頼む』

 

「おう!よろしく頼むぜ!」

 

そう言って挨拶し、真也は孤島の方を見る。

 

「さてと…まずはどうしようかな?」

 

『その前に真也、お前の姿を見てみろ」

 

「ん?どうし…うぇっ!!!!」

 

真也はジークに言われた通りに自分の姿を見て驚いた。

なんと真也の身体は縮んでいて、20歳から10歳くらいに若返っていた。

 

「なんじゃこりゃ!!?」

 

『どうやらここはまだ始まる前の世界、年齢もそれに合わすようにされていたのかも知れないな』

 

「マジかよ!? でもまあいいか。どうせこれから成長していくしな。よし!まずはこの孤島をドカンと大改装していくか!!」

 

そう言って真也はジークと共にこの孤島を今後の拠点とする為に建設を開始するのであった。

 

そして真也の物語もここから始まるのであった。

 




どうでしたかみなさん?

ちなみにジークの元はメタルギアライジングのウルフをモチーフにしています。


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始まりの時
第1話 準備


本日2回目の更新です。

ではどうぞ。


真也がこの世界に約一週間が過ぎ、大建設に向けての準備が進められていた。

 

まず手始めに建設に必要な物資をファブリケータ―で大量生産し、運搬に使う建設ロボットを作った。

そして孤島の有毒な害虫を駆除する為のマシンも作って、島の大改装は確実に近づき始めていた。

 

「よし、後はと…」

 

『真也、こっちに来てくれ』

 

っとジークが真也を呼び、それに真也は振り向く。

 

「どうした?」

 

『すぐにこっちに来てくれ、頼む』

 

真也はジークの呼び声に頭を傾げ、そしてジークの元に向かう。

 

そして真也はジークの元に来るとある物を目にする。

 

彼が目にしたのは無数の墓であった。

 

「これは…」

 

『どうやらここにあるのは、この世界の民である【古の民】の様だ』

 

「ここが…」

 

真也はエンブリヲに滅ぼされてしまった古の民の墓を見て呟き、真也は墓の前で手をあわせて祈る。

 

「この地に安らかに眠れ…」

 

祈りをした後真也が去ろうとした時に洞窟を見つけ、真也はその中に入って行く。

すると洞窟の中には白骨化した遺体があった。

 

「これ…まさか!」

 

すぐさまジークはスキャンをし、結果を知らせる。

 

『真也、この遺体はタスクに間違いない』

 

「タスク…!」

 

真也は無残な姿をさらしている遺体に心が痛み、先ほどと同じ様に死者に祈りを送る。

 

そしてタスクを古の民の墓の場所に埋めて、安らかに眠らせた。

真也は卑劣なやり方をするエンブリヲに怒りが湧き出て来る。

 

「野郎…ひでぇ事をしやがる」

 

『今すぐに攻めて行きたいが、まだまだ準備不足だ。時間はまだまだある、ゆっくり時間を掛けて行こう』

 

「分かった、さあ!作業を再開しよう!」

 

真也はジークと共に孤島の改築を進める為、すぐさま作業を再開するのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして孤島の大改築から約一年が経過し、孤島が驚くほど変わった。

 

「ふう、ようやく終わった、こんな所かな?」

 

まず外側の方はあまり変わってはいないが、内部の方は完全な基地へと生まれ変わり、島全体に覆い隠しているかの様になっている。

部屋はいくつもあって、大きな食堂、大浴場、作戦司令室、武器庫、トレーニング室、そして何より巨大な格納庫が備えられている、今後この世界で予想外の出来事の為にある物を作る為である。

 

そして今回の重要な所はファブリケータ―の保管庫であり、補給室でもある『量産生産室』が作られた、ここで必要な物を造りだし取り出すと言う仕組みである。

 

『なかなかだが少し気がかりがある』

 

「なんだよ?」

 

『何故これ程の多くの部屋を必要とする。お前ひとり十分過ぎる程だぞ?』

 

「ああこれな、ここはな…仲間が出来た時に必要な部屋なんだ」

 

真也が言った言葉にジークは耳を疑う。

 

『仲間だって?』

 

「ああ、来てくれ」

 

真也は作戦司令室に向かい、ジークはそのあとをついて行く。

作戦司令室に来た真也は、コンソールを使ってホログラフィック映像を映し出す。

 

映像には地球が映し出されていて、そこには赤い点がいくつも映し出されていた。

 

『なんだこれは?』

 

「どうもこの点、エンブリヲが自分勝手しすぎてここの世界の人たち、マナを持つ者たちが反乱している所があるんだ。そしてマナを持つ者が自らマナを捨てる事で人に戻れるっとか」

 

『ほう? どうやらエンブリヲは獲物を追い求め過ぎて、この世界の安定を無視している様だ』

 

ジークはエンブリヲの行動を見て、呆気なさを感じた。

 

「それじゃあその者たちを連れてこようか」

 

『連れてくる? 本気か?』

 

「ああ本気だ、それともダメ?」

 

『いや、まだ状況が状況だが仕方ない。それに真也が神からもらった能力も試す必要もあるしな』

 

その事を聞いた真也は思い出した、神から貰った身体能力、一体どれほどのものなのか試す価値はある。

 

「ああ、俺はこの能力をどこまで引き出せるかだな。さて行くか!」

 

そう言って真也は格納庫へ行き、整備が完了してあるヘリコプターに乗り込む。

 

ヘリコプターはそのままカタパルトへと移動し、外壁が開いてヘリコプターは外に移動し、ローターを始動させて飛び立つ。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ガリア本島、浜辺付近で10歳くらいの二人の男女が保安部から必死に逃げていた。

 

「いたぞ!こっちだ!!」

 

「ソーン!」

 

「メリル!こっちだ!」

 

ソーンとメリルと呼ばれる二人は保安部から必死に逃げるも。崖に追い込まれてしまった。

そして保安部が二人を徐々に追い込み、ソーンはメリルを後ろに隠す。

 

「貴様!そのノーマを寄越せ!」

 

「嫌だ!渡したら一生会えない! だから渡すもんか!!」

 

「ソーン」

 

その事を聞いた保安部たちは合図を出して、麻酔銃を取り出した瞬間だった。

 

バン!!

 

「っ!!」

 

一発の銃弾が保安部の一人の頭に直撃して、倒れ、それに残りの保安部たちは思わず目を向ける。

ソーンとメリルも突然の事に驚いて目が向く。

 

バン!バン!

 

そしてさらに二発の銃弾が保安部の頭を直撃し、それに一人残った保安部が慌てて銃を取り出す。

 

「く!くそ!!何処だ!!!」

 

保安部が叫んだ瞬間、ジークが真上に出てきて、保安部の頭を噛み付き、その際に頭蓋骨が割れて、脳を損傷し絶死し。

そのまま木へを叩きつけ、そのまま倒れる。

 

ジークは地面に着地してソーンとメリルを見る。

当然二人はジークを見て驚きながら震える。

 

「な!なんだこれ!?」

 

「ソーン!」

 

『落ち着け、俺は敵じゃない』

 

「「しゃ!喋った!!?」」

 

犬型ロボットが喋る事に驚いたソーンとメリル、それに気にせずジークはある方向を向く。

 

『敵は全て片付いたぞ、真也』

 

っとその言葉にソーンとメリルはジークが見る方向を見ると、手にはスナイパーライフルを持った真也がゆっくりと歩みってくる。

 

「ふう、なかなかだったぜ」

 

『はじめてにしては上出来た』

 

「うん、それで君らは大丈夫?」

 

真也がソーンとメリルに問いかけ、ソーンは少しばかり警戒しながら真也を見る。

 

「だ!誰!?」

 

「俺は星野真也、心配ない、俺はお前たちと似たものだ」

 

「私たちと?」

 

ソーンとメリルはそれを聞いて少し耳を疑うが、すぐにジークは真也に問いかける。

 

『真也、長話はそれくらいにしよう、俺のレーダーが複数の保安部を捉えた。すぐに行かないとまずい』

 

「分かった、なあ君たち、もしずっと一緒にいたいんだったら、俺と一緒に来いよ。安全な所がある」

 

「えっ?安全な所?」

 

「そうだ、それを決めるのは君だ」

 

そう言って真也はジークと共に近くに止めてあるヘリコプターの所に行く。

その際にメリルがソーンの裾を引っ張る。

 

「ねえ、行ってみようよ」

 

「えっ?行くのメリル?」

 

「うん、あの子に言う通りだとすると、わたしたちが離れ離れにならずに済むのなら行ったほうがいい!ねえ、行こう!」

 

メリルはそう言って真也とジークの後を追いかけ、ソーンは少し考えるも、すぐさま考えるのあやめてメリルと一緒に真也の元に向かった。

そして真也はソーンたちが来たのを確認した後、ヘリを起動させて、自分達の基地へと帰った。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして基地に帰ってきた真也達はソーンとメリルをこの基地を案内する。

ソーンとメリルは基地の中を見て唖然としていたが、真也が丁寧に説明をして、二人はそれに少々戸惑いながらも納得した。

 

落ち着いた後、真也が二人にこの基地の説明を行い、ソーンはそれに思わず驚く。

 

「軍事施設!? ここが!?」

 

「いや、正確にはそれに近いものだ。俺はある目的の為にこの基地を作っているんだ、それはとても大きな目的」

 

「大きな目的…?」

 

メリルがそれに頭を傾げ、それに真也はうなづく。

 

「ああ、なあ君たちはどうする、ここに居続けて、二人と同様にノーマを追いやっている者たちからノーマを助けたいか?」

 

「え? 僕たちと同じ考えを持つ人たちを…?」

 

「ああ、俺はその人たちを助けてやりたいんだ。どうする?」

 

真也にその事を問いかけられて、ソーンとメリルは少しばかり考える。

 

「…やっぱり無理か?」

 

「いややる」

 

「本当か?!」

 

『ほう? 少しは戸惑うと思っていたが』

 

ジークの言う通り拒む可能性があったが、ソーンはそれを全く拒まずに立ち上がって言う。

 

「僕は僕と同じ考えを持つ人たちとノーマの子達を助けたい! だから君の考えは全く否定しない! 協力するよ!」

 

「私も協力する。ソーンが心配だから」

 

メリルも同じ考えの様で、それに真也はうなづいて立ち上がる。

 

「よし!そうと決まればまた助けに行こう! 俺は真也!よろしくな?」

 

「僕はソーン・クラウン。よろしく」

 

「私はメリル・ハーマイン、よろしくね真也」

 

『では俺も、ジークだ。よろしく頼む』

 

こうして新たな仲間、ソーンとメリルを仲間にした真也は目的の為に更なる一歩を踏み出すのであった。

 



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第2話 フリーフォックス結成

真也がソーンとメリルを部屋に案内し、ソーンとメリルは部屋の内装を見て興奮していた。

今まで住んだことのないリッチな部屋で、ベットは勿論のことクーラー、個室シャワー、トイレ、クローゼットがしっかりと備えられている事に感心する。

 

「真也!僕この部屋はじめて入るよ!」

 

「私も!すごいわ」

 

「気に入って貰えて良かった、それじゃあ明日から大変だけどよろしくな?」

 

そう言って真也は部屋を出て、自分の部屋へと戻る。

すると突然

 

「うっ!うぇえぇぇえぇぇぇぇ!!」

 

真也は今まで堪えていたのか、一気に口から液を吐き出してしまう。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

『やはり、今まで耐えていたのか』

 

っと真也は扉の方を見ると、ジークがそこにいた。

 

「ジーク…」

 

『最初は感心したと思ったが、やはり元々アニメ好きの人間にはキツイか?』

 

「いや…もう大丈夫だ。流石にあのふたりの前で吐くなんて出来ないからな」

 

『無理はするな。真也はこれからもっと頑張って貰わなければならないんだ。エンブリヲからアンジュを守る為に。そして死んでしまったタスクの代わりに』

 

ジークの言う通り、エンブリヲからアンジュを守るためにこれからさらに頑張らなければならない真也、それを思うと徐々に心に気合いを入れなければならない。

 

「ああ、わかってるって。なんとしても頑張らないとな…、そのためにもっと仲間を集めないと」

 

そう言って真也は吐いた物を布で拭き取った後、すぐさま次の準備に取り掛かったのだった。

ジークはその様子をじっと見つめていた。

 

『…あまり無理しなければいいが、だがその時は俺とあいつ等が支えてやるか』

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

真也がソーンとメリルを基地に連れて約5年が過ぎた、その間に更に多くの仲間を集めてきて、人数は3人から約100人か200人に増えた。

この5年間で各地で連行されていくノーマの子達とそれを連れて逃げる少年達を助け、この基地へと連れて助け出している。

 

無論助け出せなかった子供は『アルゼナル』と呼ばれるノーマの隔離場所へと送られる。

 

そして格納庫で真也は増えた仲間と共にある物を作っていた。

 

「よし、これをこうやって…」

 

「真也、何作ってるの?」

 

っとそこにソーンとメリルの二人と、その他に5人の男子がやってくる。

 

1人はロングの髪をした少年『ソルト・マーク』

 

もう1人は年齢の割に筋肉ムキムキの少年『リコ・ジェイソン』

 

もう1人は少々小麦色の肌をした少年『トラビス・ベルナルド』

 

1人は長身の少年『ラッセル・アレイ』

 

最後に大人しそうな少年『ジョージ・ライカーズ』

 

彼らはこの世界でのノーマ追放の反対派で、連れてかれるノーマ達を助け出そうとしていた。

しかし彼らは文字通り子供であり、助け出すのもの無理があった。

 

そんな時に真也が彼らを助けて、仲間にし、多くのノーマと反対派の人間達を助け出していた。

 

話しを戻して、ソーンが真也にある物を作っているのを問い、それを真也が答える。

 

「おう、今ここで最新の機体を作っているんだ。ほら」

 

真也が指さした方を見ると、そこには建設中である18m級の機体が作られていて、それを見たソーン達は思わず口を開けてしまう。

 

「なにこれ…?」

 

「これはな。『モビルスーツ』と言って、俺が独自の考案によって作り出したものなんだ。まだ完成じゃないけどこれから完成していくつもり」

 

「こんなの…初めて見たよ」

 

メリルがそのMSを見ながらつぶやく。

 

「おい真也!おめぇなかなかいいの作るじぇえか!後で俺のも作ってくれねぇか?」

 

「おういいぜ、時間があったらな」

 

そう言って真也が作業を再開する。

 

「おーい真也、これってどこに付けるの?」

 

するとMSを作っている場所から金髪の少女『マリー・エリシオン』がやって来て、真也に問いかける。

 

「ん?ああそれは足の部品だよ。そこに置いといて、後でつけるから」

 

「OK」

 

マリーはそう言ってそこらへんに置いといて、再び作業に戻る。

その時にソーンが真也に問う。

 

「ねえ真也、君はこれらを作ってどうするの?」

 

「…その事についてだが、そろそろ話すべきかもな」

 

っと真也が手を止めて、ソーン達に振り向く。

 

「皆、一度作戦司令室に来てくれ、呼べる者たちは出来るだけ連れて来て欲しい」

 

っと真也の言葉にソーンたちは頭を傾げて真也の方を見るのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして作戦司令室に皆を集めた真也は、ソーンたちにある事を語り始める。

 

「なあ皆、この世界の事に付いてどう思う?」

 

「どうって…、ノーマとマナの事に付いてはあまりいい感じには見えないだけだけど」

 

「俺は妹たちを汚した世界を許せねぇ!それだけだ!」

 

ラッセルが語った後にリコが怒鳴りながらこの世界の事に怒りを覚えながら言う。

 

「僕もいい感じには見えない。メリルを危険な目に合わせた上に引き離そうとする事に」

 

「ソーン…」

 

「だろう? 実はだな…こんな世界にしたのもある男が原因なんだよ」

 

っと真也の言った言葉に皆は思わず反応する。

 

「ある男!?一体誰だよ!?」

 

「この世界をこんな風にした人が居るって言うの?!」

 

皆がその事に釘付けとなり、真也はそれを語る。

 

「そう、その男はマナ使う超能力を人間とし、使えない者をノーマとしてしてきた暗躍してきた。その男の名は…エンブリヲ」

 

「エンブリヲ?」

 

「そう…その男はこの世界を裏から掌握し、各国の首領たちを操っているんだ。気に入らないものは切り捨てていってな」

 

「そんな…!じゃああの子達が! ノーマと言われ続けたあの子達はそんな奴の都合の為に酷い仕打ちを受けてきたって言うの!?」

 

メリルの言葉に真也は静かにうなづく。

 

「そうだ、あいつはこの世界のどこかに潜んで、ある目的に動いているんだ」

 

「ある目的? それは何?」

 

「残念だがそれは俺にもまだわからない、だから俺はその日の為にこの基地を作り、やつを倒す為に動いている」

 

「そうか…、真也が5年前ある目的の為にって言ってたのはこの事だったんだ」

 

ソーンは5年前の事を思い出しながらつぶやき、それに真也は聞いてうなづく。

 

「そうだ。ソーン、俺が5年前に言ったのはこの事だったんだ。これを聞いてどうする皆?」

 

真也は話しを聞いた皆に問う。

それを聞いた皆の意思は…。

 

「俺はやるぜ、あいつの勝手な思いで好き勝手させるか!」

 

「俺もだよ、親戚がこれ以上苦しまない為にやる!」

 

「僕もやるさ、相手が誰だろうと戦うさ!」

 

「俺もいいよ、やる事はそれしかないしね」

 

皆それ等の意思を聞いた真也はうなづきながら皆に言う。

 

「よし!皆! これからが大変だぞ!皆でこの世界を自由の世界にしていくぞ!」

 

「それじゃあ!皆で組織名を作ろうよ!」

 

っとマリーが突如組織名を言い出してきて、それに真也達は振り向く。

 

「組織名?」

 

「だってこれからエンブリヲと戦って世界を自由にしていくんでしょう? だったら組織名を考えて対抗していけばいいのんじゃないかな?」

 

「う~ん…悪くはないけど、大丈夫なの?」

 

「大丈夫だって!ねえ~いいでしょう?真也」

 

マリーにその事を問いかけられる真也はなんも理由もなくうなづく。

 

「ああ、いいぜ別に」

 

「軽!そんなんでいいの?!」

 

「俺がいいって言ってるから良いんだよ、それじゃあ…」

 

真也が端末を開いて、ある組織名を提案を考えていると。ラッセルがある事を言い出す。

 

「ねえ、『フリーフォックス』って言うのはどうかな?」

 

「フリーフォックス?」

 

「うん、自由な世界を求める狐を元にした名前なんだけど、どうかな?」

 

「うん、いいんじゃないか? よし!今日から俺たちはフリーフォックスだ!」

 

その事に皆は「おー!」と掛け声を上げて、フリーフォックスが結成今ここに生まれた。

その様子をジークは。

 

『普通に決めているだけに過ぎんな、これは』

 

っとそう言うのであった。

 



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第3話 来る日

真也達がフリーフォックスを結成してから約2年が過ぎた、こうして時が過ぎていく中で、基地の中では様々な改装が施されていった。

 

まず最初に女子達が更衣する為に更衣室を作って貰おうと真也に頼み、それを真也は了解して更衣室を作った。

当然それを覗こうとするものもいると言うのは言うまでもない。

 

そして子供達の為に保育園を作って欲しいとメリルが言い出して、それを真也達は受けて作った。

 

子供達の教育、これからの時代のための世界を生き抜くためにと。

 

最後にソルト達にある訓練内容を渡した、それにソルト達は受け取るとそれに書かれれいる内容は、フリーフォックスが今後戦いに備える為の戦闘訓練内容とそれを対応するオペレーターの訓練内容だった。

それを受け取ったソルト達はすぐさま戦闘訓練やオペレーターの訓練を開始し、準備を始める。

 

真也はそれ等を終えた後、少し一休みしようと部屋に向かう途中だった。

 

「おい真也」

 

っとそこにソルトがやって来て。それに真也は振り向く。

 

「ん?どうしたソルト」

 

「お前に少し頼みがある、いいか?」

 

それに真也は頭を傾げ、ソルトの話しを聞いた。

ソルトが渡される紙の内容を見て、真也は思わず顔を傾げる。

 

書かれていた内容、それは…。

 

「おい……これって」

 

「そうだ、俺の“趣味”だ」

 

「趣味ってこれ完全に『コスプレ』じゃないか!」

 

そう、ソルトから渡された内容はコスプレの衣装の要望だった、必要のない物をなぜ彼は求めているか真也がそれを問う。

 

「お前…なぜこれを求めるんだよ?」

 

「それはだな、俺の気持ちを高めさせる為だ!!」

 

ソルトの言葉に真也は思わずズッコケそうになった。

そんな彼の行動にどうも読めない真也は彼の要望に答えようと、こっそりとファブリケーターでコスプレを作り、彼に渡した。

 

受け取った彼は部屋に入ると、大声で「よっしゃあああ!!」っと叫び、それには真也は呆れるしかなかった。

 

そんなソルトから開放された真也は部屋に戻ろとした際に、1人の少女がやってくる。

 

「真也君。ちょっといい?」

 

「ん?『リリー』じゃないか」

 

真也に声を掛けたのは『リリー・ガーネット』と呼ばれる黒髪の少女で、7年前にソルト達と共に仲間にしたノーマの1人である。

 

「どうしたんだ?君がここに来るなんて」

 

「実はね、真也君に頼みがあるの、実はね、医務室を作ってもらいたいの」

 

「医務室? どうして…あ、そうだった。ここ医務室が無かったんだ」

 

リリーが言い出した事に思い出した真也、医務室がなかったら自分達の怪我だけじゃなく子供達の病気の事もきちんと考えなくてはならない。

 

「医務室がないから子供達の健康状態を調べる事が出来ないの、ねえ出来ないかな?」

 

「ああわかった、すぐに取り掛かるよ(やべぇやべぇ…すっかり忘れてたよ)」

 

すぐさま真也は建設ロボットに医務室を作らせ、建設ロボットはすぐさま医務室を作った。

三日も立たない内に医務室が完成し、こリリーは安心した。

 

「良かった~、これで子供達の健康や皆の怪我が見られるわ、ありがとう真也君」

 

そう言ってリリーは白衣を着て、医務室へと入り、その様子を真也は安心する。

 

「ふぅ…、これで安心出来るな」

 

『真也』

 

「おわっ!!? ジ!ジーク!?」

 

突如現れたジークに驚く真也、次から次へと出てくる事に少々疲れてきた真也。

 

「今度は一体何だよ…?」

 

『真也、実はさっき神からある物を受け取った』

 

っとジークが言った言葉に真也は耳を傾ける。

 

「なんだって?神から? 何を受けとたんだ?」

 

『見てくれ』

 

ジークからあるカードを渡されて、それを真也は受け取ると、すぐに部屋に入り、パソコンのカードスロットに差し込む。

すると“ある設計図”が映し出され、それを真也は目を細める。

 

「これは…、まさか」

 

『どうやら神も何かと真也をサポートしてくれているようだな、どうする』

 

「どうするもこうも、使わせて貰うさ。丁度作りたい物があったからな」

 

そう言ってカードを取って、真也は少々笑みをこぼすのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして2年後、真也がこの世界に来て約10年、真也は昔と同じ20歳でソーンとメリルは同い年となり、ソルトとリコとトラビスは21歳、ラッセルは最年長の22歳、ジョージは19歳、マリーとリリーは18歳となった。

その他の皆も18歳か19歳になっている

 

子供達もすくすくと成長し、今じゃ7歳から12歳くらいの年齢の子達もいる。

 

言い忘れていたが、中には男の子もいて、フリーフォックスで生活している。

 

「皆も大きくなったな…、まあそうか。ここで生活していると大きくなるよな」

 

『真也、少しそのことなんだが』

 

っとジークが話しかけてきて、それに真也は振り向く。

 

「ん?どうした?」

 

『ここ最近ノーマの子供達の救出が困難になっている。我々の行動が徐々に知られつつあるかもしれん』

 

「うん…確かにな、ノーマの子供達の救出は徐々に難しくなってきている、相手側もそろそろ俺たちの存在に気づき始めた頃だろうな…」

 

『エンブリヲも我々に気づき始めたと言うことか。こちらの存在に』

 

ジークの言葉に真也はうなづき、それに少し考えていると。

 

「真也!」

 

っとラッセルが少々慌てた様子で部屋に入ってきて、それに真也は振り向く。

 

「ラッセル!どうしたそんなに慌てて?」

 

「す!すぐに基地の外の浜辺に来て欲しいんだ!早く!」

 

その事に真也は顔色を変えて、すぐに立ち上がりラッセルの後を追う。

 

そして基地の外に出て見ると、皆が浜辺に集まっていて、真也がソーン達の元に行く。

 

「どうした!」

 

「真也!これ見て!」

 

ソーンが真也を前に出して、真也はある物を目にする。

 

それはMSとはかなり小さく、白く小さい機体が浜辺に流れ着いていて、頭に女神の像を乗せ、間接部が金色の特徴を持つ機体であった。

 

「これ…なんだろう?」

 

「モビルスーツ? でも小さくないか?」

 

マリーとトラビスが言っている中、真也はその機体を見て目を大きく開かせる。

 

「(これは…ヴィルキス!! と言う事は…やはり来たか!)」

 

真也はそう心の中で言いつつ、ヴィルキスの元に行き。ソーンとソルトが顔を合わせて真也の後を追いかける。

すぐに機体の元に行く真也は、機体に着くとコックピットを開ける場所を探す。すると胴体部にコックピットのボタンらしきスイッチを見つけて押すと、コックピットが開いて真也達は中を見る。

 

機体の中には金髪の『美少女』が気を失っていて、更に身体が海水によって濡れている事に気付き、真也達は頷いて、コックピットから美少女を出してすぐにリリーに言う。

 

「リリー!すぐに治療だ!」

 

「は!はい!」

 

すぐさまリリーは医務室へと向かい、真也は美少女を連れて医務室へと向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

真也達と出会う前に少しばかり時は遡る。

ある時少女は思った。世界はどうしてこうも醜く、そして世界はこんなにも残酷なのだろうと。

 

フリーフォックスの基地とは違う場所、海に浮かぶ島『アルゼナル』である空域でこの世界にたびたびやって来る『ドラゴン』が居る空域に向かう為にある部隊が出撃した。

 

その中に一人の少女は『アンジュ』、アンジュはミスルギ皇国の第一皇女で本名『アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ』、幼い頃からノーマである事を親が密かに隠して育てて来たが。彼女が16歳の誕生祭に彼女の兄である『ジュリオ・飛鳥・ミスルギ』にノーマの事を暴露されてしまい。

この軍事施設であるアルゼナルへと送られた。最初は現実を受け止めるのも否定続けていたが。ヴィルキスとドラゴン、そして自分の行いにより仲間の死と辛い現実を突きつけられてようやく自覚した。

アンジュはこの残酷な現実と向き合う事となる。

 

 

今いる彼女の第一中隊はドラゴンの元に行く為に現隊長である『サリア』が皆に言う。

 

「総員騎乗!」

 

サリアの掛け声に皆はパラメイルに乗る。

アンジュが自分の専用機であるヴィルキスに乗り込んだ際に尻に何か痛みを感じる。

 

「イッタっ!…何!?」

 

アンジュはすぐさま調べると、画鋲が置いてあって、それに舌打ちをする。

 

「チッ…、ゴミ虫共が!」

 

画鋲を捨てるアンジュはすぐさま起動準備をし、そこのパラメイルの整備班長である『メイ』がアンジュに問う。

 

「アンジュ!出撃前に最終確認を!」

 

「ああ~もう! 問題ありません!!」

 

イラつきながらもアンジュはすぐさま確認をしてクリアである事を言う。

 

しかしその時に気付いてなかった…。

ヴィルキスのファン部に“何かが”つまっているのを…。

 

各機の発進体制が整った。

 

「サリア隊、発進します!」

 

最初にサリアが発進して、その次に中隊の仲間である『ヒルダ』や『ヴィヴィアン』が発進する。

 

「サリア隊、アンジュ機発進します!」

 

アンジュのヴィルキスが発進してその後に他の仲間の『エルシャ』と『ロザリー』に『クリス』の機体が発進し、目的地へと向かった。

 

戦闘空域に入って、空間に次元のゆがみは発生した。

 

「ドアが開くぞ!」

 

サリアの掛け声にアンジュ達は気を引き締める。

そして空から空間が割れて、そこからドラゴンの群れが大量発生する。

 

「ファイヤ!!!」

 

サリアが叫び、第一中隊は攻撃を開始する。

キャノン砲を装備しているエルシャ達が先に攻撃し、ドラゴン達の動きをかく乱していった。

 

するとアンジュが突如前に出て、突撃していく。

 

「アンジュ! 勝手に突っ込むな!」

 

サリアはアンジュ勝手な行動に怒鳴るも、アンジュはそれを無視して突っ込んで行く。

アンジュはドラゴンを次々と倒して行き、そして一体のドラゴンに集中する。

 

「はあああああああああ!!!」

 

っと突入した時にヴィルキスに異変が起き、煙が上がる。

 

「あ!アンジュが!!」

 

ヴィヴィアンが落ちて行くアンジュの異変に気付く。

 

『何をやってるの!早く立て直すしなさい!』

 

ヴィルキスの異常に気が付かないサリアはアンジュに命令する。

サリアの叫びにアンジュは五月蠅く思うも必死に体制を立て直そうとする、その時にだった…。

 

「助けてやろうか?」

 

アンジュの元にヒルダがやって来て助けを言いに来て、しかしアンジュはヒルダ達の事を嫌っていて。勿論ヒルダ達もアンジュの事を嫌っている。

それは第一中隊の前隊長である『ゾーラ』を死なせてしまい、更に同じ中隊である『ココ』と『ミランダ』を死なせてしまったからである。

 

その事で中隊では今ごたごた状態が続いていた。

 

「ッ…! 失せろゴキブリ!」

 

無論アンジュはヒルダの助けを拒否して、すぐさまアサルトモードに変形するも一体のドラゴンがアンジュに体当たりしていき、失速して海へと墜落して行った。

 

「ヴィルキス!!」

 

サリアは堕ちたヴィルキスに向かってコースを取る。

しかしその時にエルシャからの通信が来る。

 

『どこ行くのサリアちゃん!デカいのが出て来たわ!今は殲滅が最優先よ!』

 

っとその事にサリアは海で戦っているヴィルキスを見て悔やみ、そしてすぐさま前線に戻ろうとする。

 

「全機!目標ブリッグ級!一斉攻撃!!」

 

サリアの言葉と同時に皆は攻撃を行い、海で戦っているヴィルキスはドラゴンと戦闘が続き、そのまま海へと沈んで行って、コックピットに海水が入り込んだ際にアンジュは覚悟を決めた…。

 

「(く!クソ…!!)」

 

心の中で舌打ちをするも、そのまま意識を失ってしまうのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして数時間後…。

 

「…っ」

 

アンジュは意識を取り戻して薄らと目を開ける、アンジュの目の先には天井が見えて、それにアンジュは気づいて起き上がる。

そこは医務室らしき部屋で、アンジュはベットで寝かされていていた。

 

「ここ…どこ、ってあれ?」

 

アンジュは今来ている服を見てみると、服は病衣の服を着せられていて、すぐそばにはライダースーツがハンガーにかけられていた。

 

「どうなってるの…?」

 

「あっ、目が覚めましたか?」

 

っとアンジュは声が方を見ると、リリーが部屋に入ってきて、アンジュの元に寄る。

 

「どうですか?気分は? 吐き気はしますか?」

 

「えっと…私は一体」

 

「その事に付きましては今からあの人に説明しますね。真也君」

 

リリーが部屋の外の方へ声をかけると、部屋の外から真也が入ってくる。

 

「お~目が覚めたようだな。平気か?」

 

っと普通に声をかける真也。

 

そしてこれが真也とアンジュの初の対面であり、出会ったのだった。

 




ようやく真也とアンジュが出会いました。

どうなって行くのかをお楽しみ。


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第4話 遭難のアンジュ

真也が医務室へと入ってきて声を掛け、その様子に頭の中が混乱しているアンジュ。

 

「(ど、どうなってるの?! ここは一体?!)」

 

混乱しているアンジュの様子を見た真也は一度リリーに問いかける。

 

「リリー、様子はどうだ?」

 

「見たところ身体に何処も以上は見られなかったわ、もう起き上がっても大丈夫」

 

そう言ってリリーは机の方に行き、持っているカルテを置く。

するとアンジュの目にある物が写る。

 

机の上にはハサミが置いてあって、それを見たアンジュはすぐさまベットから降りて行き、そのままハサミを取ってリリーを捕まえて首元に突きつけて盾にする。

突如のことに驚くリリー、そして真也はアンジュの行動を見て目線を細くする。

 

「ひぃ!? あ!あの一体何を?!」

 

「黙って!ここはどこ!? 私をどうする気!?」

 

「おいおい、一体どういうつもりだよ」

 

アンジュは真也の方を向き、真也は少しばかり警戒しながらリリーを盾にするアンジュと向き合う。

 

「…私のパラメイルはどこ!?」

 

「ああ、あの機体ね、あれなら今格納庫だ」

 

「え?真也君あれを知ってるの?『黙ってて!』は!はい!」

 

リリーの言葉を黙らせるアンジュ、そのままアンジュはハサミを真也に向けながら言う。

 

「今すぐそこに連れて行って!早く!」

 

「落ち着けよ、俺達はお前を助けたんだ。まず助けたことに感謝を…」

 

「黙りなさい!!とにかく連れて行きなさい!! じゃないとこの子を刺すわよ!」

 

っとアンジュは再びリリーにハサミを突きつける。突きつけられるハサミにリリーは怯えて目に涙を溢れさせ、その様子を見た真也はアンジュの要求を受け入れる。

 

「…わかったよ、だがその前にリリーを離してもらおうか?」

 

「ダメよ!この子は私がここを出るまでの人質よ!」

 

その様子を見て全く離そうとしないアンジュ、全く離そうとしない事をわかった真也はそのまま格納庫までアンジュを案内する。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして格納庫、そこでは現在。アンジュが乗っていた機体『ヴィルキス』を修理している最中であった。

マリーは皆に指示を出しながら壊れている事を見ていた。

 

「さてと…どこが壊れているのかな~?」

 

そう言って探って、ファン部の方を見ると、何やら焦げているのが見えた。

 

「あれ?これって…」

 

焦げている部分を開けて、そこからある物を取り出すと、そこにはなんと大量の女性下着が出てきたのであった。

その事に思わず驚くマリー。

 

「な!何これ!?『ヴィルキスから離れて』っ?!」

 

突如大声に驚いたマリー達は声がした方を見ると、そこには少々手を挙げて前に行く真也といつの間にか着替えを済んでリリーを人質に取ったアンジュがやってくる。

 

「リリー!」

 

「マリー…!」

 

「さあ!さっさとそこから離れて!! じゃないとこの子を刺すわよ!! 本気よ!」

 

よりハサミをリリーの首元に突きつけるアンジュ、その様子を見たマリーは慌ててスタッフに言う。

 

「み!皆!離れて! あの子本気よ!?」

 

っとその言葉に皆は慌ててヴィルキスから離れる。

そしてアンジュは皆が立ち去った後を確認した後、そのままヴィルキスの方まで行き。間近までやってきたのを確認したのちリリーを離して機体に乗り込む。

 

その間にリリーはマリーの元に行き、マリーはリリーを抱きしめて皆のもとに行く。

 

アンジュは機体を発進しようとするが何も起きない。

 

「…? どうして動かないの?」

 

「ね!ねえ!その機体動かないわよ!」

 

アンジュはマリーが言った言葉に振り向き、マリーはさっき取った下着を見せる。

 

「さっき調べたらこんなもの出てきて…」

 

「(っ!!あれって!!)」

 

大量の下着を見たアンジュはすぐに犯人が分かった。大量の下着を入れた犯人は自分を虐めていたヒルダであった事を…。

 

「この…!このこのこの~!!」

 

アンジュは機体から降りてマリーから下着を奪い取り、悔しながら下着を破り捨てて踏みつける。

その様子を真也は頬を指でかきながらアンジュに問いかける。

 

「あ~…よう?お前…さっきからどうしたんだ一体」

 

真也が少々前に出てきたのを見たアンジュ、するとぐさま銃を抜いて真也の足元を撃つ。

足元の近くを撃たれた真也はすぐさま避けて、銃声を聞いたリリーは「キャア!!」と悲鳴を上げる。

 

「おっと!何をする!」

 

「それ以上近づいたら撃つわ…」

 

「おいおい…、助けた俺たちにそんなやり方はないだろう?」

 

「黙りなさい!!私の服を脱がしておいてよく言うわ!」

 

アンジュは一度気絶している間に服を取られて裸にされた事を真也に言い、その事にリリーがすぐさま答える。

 

「ま!待ってください! あれは貴方が海水に浸かっていて身体が冷えていたんです!あのまま放っておいたら低体温症で死んでたんですよ! それに脱がしたのは私です!」

 

「貴方が?! こいつじゃないの!?」

 

アンジュは真也に銃口を向けたまま言い、それに対しマリーが言う。

 

「あのね…、女の子の着替えを男がやったら完全に変態になっちゃうじゃない、普通に分かるでしょ?」

 

「っ…!」

 

マリーの言葉に顔を赤くし黙り込むアンジュ、真也はため息をつきながら言う。

 

「はぁ…とにかく、俺たちはお前をどうこうするつもりもないし、変なことをするつもりもない。だから銃を下ろせ」

 

「…う。五月蝿い五月蠅い!!!私に構うな!!」

 

アンジュは銃を真也に向けた途端。

 

 

バァァン!!

 

 

一発の銃弾がアンジュの銃に当たり、何処かに飛んでいき、それを見た真也は後ろを振り向くと、ハンガーの上にアサルトライフルを構えたソルトが狙撃したのだ。

しかもアサルトライフルに付いているのはホロサイトであり、スコープとはズームが出来ない為、遠距離からの狙撃は難しい、それをソルトが難なく撃ったのだ。

 

「あいつ…俺より狙撃が高くねぇか?」

 

「くっ!」

 

アンジュは腕を抑えながらあたりを見渡すと、近くに通路があり、そこにアンジュは逃げ込み。

それにソルトは標準を合わせようとした時に。

 

「ソルト撃つな! 撃つんじゃない!!」

 

っと真也の言葉にソルトは引き金にかけている指を離す。

そしてアンジュは通路を抜けて、奥に扉が見えた。アンジュはそのまま扉を開けると、外に出られて、アンジュは外に逃げ込み、森へ入っていった。

 

アンジュの後を追いかけた真也はアンジュの根性に感心と同時に呆れ差を感じていた。

 

「やれやれ…、何てじゃじゃ馬の様な奴なんだ…」

 

「正直…怖かった」

 

リリーが少しばかり震えて、その様子を真也はじっと見る。

 

「真也!!」

 

真也達が振り向くと、ソーン達がやって来て真也達の方に集まる。

 

「真也!一体どうしたの!?」

 

「例の彼女が大暴れして、そのまま外に逃げて森へ入っていった…」

 

『むっ…マズイな』

 

するとジークが何やら呟き、その事に真也達は振り向く。

 

「何がまずいんだよ?」

 

『まもなくここに雨雲の前線がやってくる。それに森の中の害虫駆除のマシンは整備に出している為、今の森は外来生物が居てもおかしくない』

 

「何!? まずいぞ!」

 

そう言って真也は慌ててアンジュの後を追いかけていった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

そしてアルゼナルで、ドラゴンを撃退した第一中隊は戦闘の最中にヴィルキスが消息不明となり、執務室上官たちに話して問い合っていた。

その中でアルゼナルの司令官であり上官である『ジル』、アルゼナルの医者『マギー』、最年長で《ジャスミン・モール》経営者の『ジャスミン』、そして隊長のサリアとメカニックのメイが居た。

 

「ヴィルキス落ちたようだね? やっと乗りこなす者が現れたと思ったのにね…」

 

「機体の調子は良かったのにどうして…!」

 

メイは拳をぶつけながらあの時の事を悔やむ。もっとアンジュにキツく見ていておけば、あんな事には鳴らなかった筈だと。

 

「考えるのは後よ、今は機体の回収が最優先よ」

 

「分かってる!すぐに回収班を編成させる!」

 

「アンジュもだ」

 

っとサリアとメイはジルが言った言葉に振り向く。

 

「アンジュも回収しろ、最悪の場合…、死体でも構わん」

 

「ジル…アンジュも…ですか?」

 

「そうだ。文句あるか?」

 

「……」

 

ジルの言葉を聞いたサリアは納得いかない様子。どうしてそこまでアンジュにこだわるのか、その理由を聞いても決してジルはその事を言ったかだけで後は答えてはくれなかった。

 

サリアとメイはヴィルキスを回収するヘリに乗り込んだ際にある者達がやって来た。

 

「メイち~~~~ん!」

 

っとサリアとメイは振り向くと、ヴィヴィアンとエルシャがやって来る。

 

「回収に行くんでしょ?アタシ達も手伝う!」

 

「皆、さっき戻ったばかりじゃない?」

 

メイは皆に休めと言おうとするが、それをヴィヴィアンが言う。

 

「早く見つけないと死んじゃうから!」

 

「「??」」

 

サリアとメイはヴィヴィアンの言っている言葉の意味が分からず、ヴィヴィアンは元気よく答える。

 

「アンジュ生きてる!分かるもん!」

 

「早く見つけてあげないとね、きっとお腹空かしてるわ」

 

エルシャはサンドウィッチを入れているバスケットを持ってて、すでに準備万端だった。

 

「そんじゃレッツゴー!」

 

ヴィヴィアンを先頭に乗り込み、エルシャもヴィヴィアンの後に続く。

サリアとメイはヴィヴィアン達の行動に少々戸惑いながらもアンジュとヴィルキスの捜索へと向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

その頃、真也は外に出たアンジュを探しに出たが何処にも見つからなかった。

 

「クソッ!あいつどこに行ったんだ?『ポタッ』っ!」

 

一滴の雫が頭にかかり、真也は空を見ると、黒い雲が上空に舞い上がっていて、それに雨が降り始めたのだ。

 

「まずい…降ってきたぞ」

 

そう言いつつ真也は急いでアンジュの捜索を続け、森の中を駆け巡る。

 

そして徐々に空が薄暗くなり、嵐の雨が降って来た。

雷鳴がとどろく中で森へ逃げ込んだアンジュは雨宿り出来る所を探していた、すると大木の穴を見つけて雨宿りする。しかしそこにある物がゆっくりと忍び寄っていた。

 

飢えと雨の寒さで体が震える中で、アンジュはある痛みを感じる。

 

「痛っ!」

 

アンジュは下を見ると、どうやら蛇が噛みついていて、急いで振り払い、その場から走り出す。

彼女はどのくらい歩いたのか分からないが、だんだんと体力が低下してきた。

そして先ほどの蛇に毒があったのか、徐々に身体がだるくなり。おまけに雨による体温低下にアンジュは倒れてしまう。

 

「…だ、だれか」

 

助けを呼ぼうにも、彼女を助けにくる仲間はいない。

 

「…誰も、来る訳…ない」

 

助けが来ない事に涙を流すアンジュは、自分は皆の嫌われ者…自分を助けに来るはずは決してない。

起き上がろうとするもぼんやりとしていて上手く立ち上がれない。

 

手を伸ばそうとした時にアンジュの手を誰かが握った。

それにアンジュは意識が薄れていく中で握ってくる人物の方を見る。

 

アンジュの手を握ったのは彼女を追ってきた真也であった。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「…た、助け…て」

 

そう言ったあとにアンジュは意識を失う。それを見た真也はアンジュを見る。

 

「おい!ん?」

 

真也はある部分を見ると、アンジュの太ももに蛇の噛まれ傷があることに気が付く。

 

「これは…蛇の噛まれ傷?!」

 

蛇の傷を見ている真也の背後に、先ほどアンジュに噛み付いた蛇は再び近づいてきて、そのまま真也へと向かって飛びつく。

 

っが真也はすぐに気づき、蛇をすぐさま掴み、そのまま勢いよく地面に叩きつけて、蛇が怯んだ後に腰のタクティカルナイフを取り出し、蛇に突き刺す。

蛇はそのまま死に、ナイフを仕舞ってアンジュを抱き上げながら端末の通信を入れる。

 

「こちら真也!彼女を見つけた! 毒蛇に噛まれている! すぐに47番のゲートを開いてくれ!すぐにだ!」

 

その応答に答えるかのように近くの地面が開き、真也はアンジュを抱いたまま基地の中へと入っていく。

 

そしてすぐに医務室へと運んで、アンジュをベットに寝かせ、リリーはすぐに血清をうつ。

 

「どうだ?」

 

アンジュの様子を見ている真也はリリーに問いかけ、リリーは一汗を拭いて言う。

 

「なんとか間に合いました。後一歩遅かったら手遅れでしたね」

 

「そうか…」

 

そう言って真也はアンジュの方を見る。

 

「(全く…原作通りのじゃじゃ馬な奴だぜ。アンジュ…)」

 

そう思いつつ真也は血清で顔色の表情が良くなっていくアンジュの寝顔を見ながらそう思うのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

そしてアンジュとヴィルキスを捜索中のサリア達はヘリで上空を飛び回って探していたが、一行に見つからない。

 

「エルシャ そっちはどう?」

 

「駄目…見つからない」

 

サリアがエルシャに問う掛けるも、エルシャも見つからない事を言い、サリアはそれに黙り込む。

っとメイがある事をサリアに言い出す。

 

「サリア、そろそろ燃料が無くなって来たよ」

 

「そう、分かったわ、それじゃ一度戻りましょう(無事でいて…ヴィルキス)」

 

そう思いながらもサリアは一度燃料補給の為ぶアルゼナルに戻るのだった。

 

 

夜となり、アンジュが目を覚ます。気が付くとそこはアンジュが最初に見た医務室であった。

アンジュが身体を起こそうとした時、気がついたリリーが言う。

 

「ダメですよ。まだ安静にしていないと」

 

「っ!?」

 

アンジュはリリーの方を見て、リリーはコーヒーを入れてアンジュの元に近寄る。

 

「はいどうぞ、熱いので気をつけて」

 

「…いらないわよ」

 

「じゃあここに置いておきますね?」

 

リリーは近くの台にコーヒーを置き、そのままデスクの方へと向かう。

すると真也達が医務室へと入ってくる。

 

「よう、調子はどうだ?じゃじゃ馬ちゃん」

 

「だ!誰がじゃじゃ馬よ!?」

 

「うむ、そのくらいの元気があったらもう大丈夫だな」

 

真也は元気そうな様子にうなづき、ラッセルが食事を持ってアンジュの前に出す。

 

「はい食事、シチューとパンとマカロニサラダのメニューなんだけど…」

 

「いらないわよ!そんなの!」

 

ぐぅ~~~

 

っとそう言うってもアンジュのお腹が鳴り、それにアンジュは思わず顔を赤くして恥ずかしがる。

それを見た真也達は思わず笑い出してしまう。

 

「ぷはははは!」

 

「わ!笑わないでよ!!」

 

「ははは!すまんすまん! でもあんまり気を張ってると返って疲れるぜ。さあ…食べなよ」

 

そう言う真也の言葉にアンジュは出された食事を見て、スプーンを取ってシチューを食べ、その味の美味さに少し微笑みが溢れる。

 

「美味しい…」

 

そう言ってまたシチューを食べるアンジュの様子を真也達はただジッと見つめるのであった。

 

 



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第5話 巨人立つ 前編

これが今年最後の投稿となります


真也達がアンジュを保護している間の頃、アルゼナルではサリア達が乗ったヘリが帰還して燃料の補給をしていた。

 

「ヘリの補給完了まで30分です」

 

「遅い!15分でやれ!」

 

メイの言葉に皆はすぐに行動を開始して15分以内で給油を終わらせようとする。

 

その様子を遠くから休憩しているエルシャが居て。そこにヒルダがやって来た。

 

「晴が出る事で」

 

「あら?ヒルダちゃん」

 

「わっかんないね~、何であんな女を助けようとしてんのか、エルシャお得意のお節介な奴?」

 

その事にエルシャは一度目を閉じて、そしてヒルダの方を見てからある事を言う。

 

「…ヒルダちゃんたちがアンジュちゃんを許せないのは分かるわ。“機体を落としたくなる”程にね…」

 

「フッ」

 

その事にヒルダはクスリと笑う、エルシャはアンジュの墜落は事故ではなく完璧な細工によく墜落の原因だと言う事に気づいていた。

しかもその原因がヒルダの仕業である事に、しかしエルシャはそれをサリア達には言わなかった。

それはアンジュ同様、ヒルダ達も仲間だからこそ言わなかったのだ…。

 

「でも誰かが受け入れてあげないと、アンジュちゃんはずっと独りぼっち。そんなの寂しいじゃない、同じノーマ同士なのに」

 

そう笑顔で話すエルシャの言葉に、どうも納得ができないヒルダ。

 

「それにね、アンジュちゃんと似てるのよ。昔のヒルダちゃんに、だからお姉さん放っておけないの」

 

エルシャは笑顔でヒルダに言い、それにヒルダは笑いながら言う。

 

「あはは!似てる?あのクソ女と?」

 

「ええそうよ。だって貴女だって──」

 

「殺しちゃうよ~、あんたも…」

 

ヒルダの言葉を聞いたエルシャは思わず言葉を止め、そうエルシャに脅して言い聞かせて、その場を去って行くヒルダ。

 

「補給~補給っと♪ってあれヒルダ?」

 

入れ違いにサリア達は去って行くヒルダの方を向き、ヴィヴィアンは振り向いて頭を傾げ、サリアはエルシャに問う。

 

「何かあったの?」

 

「ううん。何でもないわサリアちゃん」

 

そうエルシャは笑顔でサリアに言い、サリアは頭を傾げながら考えるのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

そして一晩が明け、フリーフォックスの基地ではヴィルキスの修理が行われていた。

マリーが皆に指示を出しながらスパナを使ってヴィルキスの壊れた部分を修理している。

 

その隣で真也が完成前のMSを作っていた。

 

そこにアンジュが用意された服を来てやって来る。アンジュが来たのを感じた真也は振り向く。

 

「よう、もう動いて大丈夫か?」

 

「何してるの?」

 

アンジュが近くの台に座って問いかけ、それを真也が答える。

 

「これか?これは俺が俺のと皆のために作っている物、あと少しで完成なんだ」

 

「ふ~ん…、ねえヴィルキスは?」

 

「それならあっちだ」

 

真也は指を差しながらアンジュは見ると、マリー達がヴィルキスの修理を行っていた。

 

するとマリーが1人の作業員に言う。

 

「ねえ、そこのレンチを取って~」

 

「おう」

 

1人の作業員がレンチを持ってマリーに投げ、それをマリーは受け取って作業を続ける。

その様子を見たアンジュはなんとなく呟く。

 

「…あの男、マナで動かせばいいのに」

 

「ここに皆全員、マナを捨てている」

 

っと真也が言った言葉を聞いたアンジュが思わず振り向く。

 

「えっ!?マナを捨ててる!?」

 

「ああ、ここにいる男は俺がある薬を使って皆のマナを捨てて、ここにいるノーマの女の子達と共に暮らし、そして輸送されているノーマの子供達を救っている」

 

「そんな事出来るの!?」

 

「出来るさ、俺がそうしたんだから」

 

真也はそう言いながら作業を続ける中でアンジュは驚いたまま聞く。

 

「な!何で!?なんでそんな事をするの!?」

 

アンジュは信じられない言葉を聞いて真也に問いかけ、それを作業していたマリー達は手を止めて真也とアンジュの方を見る。

 

「…信じられないだろうが、世界はノーマ追放を反対する者たちもいる。共に暮らし平和を強調する者たちが動いているんだが、それを圧力で潰しているんだ、マナを持つたちがな」

 

「聞いたこともない、そんなの…。そもそも貴方…一体何者なの?」

 

その事を聞いて来たアンジュに真也は手を止めて立ち上がってアンジュの方を向く。

 

「俺は星野真也、フリーフォックスの束ねる者、あと普通に真也って呼んでいいぜ?」

 

「フリーフォックス…?変な名前」

 

「変なって…そう言うなよ。これでもちゃんとした組織の名前なんだぜ?」

 

少々呆れながらも作業を再開する真也、苦笑いしながらマリー達も作業を続けていて、マリーがある部分を見つけ、真也に報告する。

 

「真也ー! 壊れていた部分が見つかったよ。出力系の回路がダメになってるみたい」

 

「そうか。ならそれを修理したら無線も回復するな、それならお前の仲間と連絡とれるかも知れないな。ここで通信は出来るだろうけど、ここを知られる訳には行かないからな」

 

そう真也が言った言葉に対し、アンジュは何故か重い表情をする。

 

「直しても無駄よ」

 

「何? どうしてだ」

 

真也が無駄と言うアンジュに振り向いて問い、アンジュは後ろを振り向きながら言う。

 

「連絡しても誰も来ないし、帰ったって…誰も待ってないもの…」

 

アンジュはアルゼナルに来たとき、現実を受け入れられずにいて、ずっと現実逃避ばかりしていた。

それが理由で3人の仲間を死なせてしまった、それでもアンジュは現実を受け入れる事が出来ずに逃げようとするも、アルゼナルの司令官であるジルにヴィルキスを与えられ、それでドラゴンを倒した事でようやく事実を受け入れた。

 

しかし一人で戦う事ばかり考え、仲間の事を考えずにしていて、アンジュはその仕返しを受けて仕舞い、今この島…基地に居ると…。

 

アンジュの話を聞いたマリー達は少々重い表情をするが、真也の方は…。

 

「本当にそう思うかそれ?」

 

「えっ?」

 

「実際お前の話しがそう思っても、お前を心配してくれる人は必ず居る筈だ、絶対に」

 

真也の言葉に対し、アンジュは少しばかり考える。そう言えば何かと気を使ってくれるヴィヴィアン、そして優しく話しかけてくれるエルシャ。

その二人の事を考えると、アンジュは少しばかりそうなのかなっと考えてしまう。

 

「…そうなのかな」

 

「そうさ、きっと。そうだ、機体が直るまでここに居るといい。ここに皆もお前のことを歓迎するよ」

 

「私を…?」

 

自分のことを歓迎してくると言う事を聞いてアンジュは真也の方を向き、それに真也はうなづきながらアンジュの方を見る。

 

すると格納庫の扉から…。

 

「「「「「「お兄ちゃ~ん!」」」」」」

 

扉から大勢の子供達が入ってきて、それに真也達は振り向く。

 

「おお前等、どうした?」

 

「お兄ちゃん!遊ぼ!」

 

「メリルお姉ちゃんばかりじゃつまんない!」

 

「ねえ~遊ぼ~!」

 

大勢の子供たちが真也達の周りに集まってダダこねり、その様子をアンジュが見ていると1人の少女が真也に問いかける。

 

「ねえ?あっちのお姉ちゃんは?」

 

「ああ、昨日浜辺で助けた子だよ、そうだあの子に遊んでもらうじゃないか?皆は?」

 

「「「「「「賛成~~~~!」」」」」」

 

「えっ!ちょっと私はまだ一言も!」

 

そうアンジュが言おうとした時に子供達に連れられてしまい、それにマリー達はやや呆れながら真也の方を見て、真也はうなづきながら子供達に連れて行かれるアンジュを見るのであった。

 

「さてと…こいつを完成させますかな」

 

そして真也は完成間近の機体を見る。

その機体の顔には二つの目とある機能がある事を…。

 



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第6話 巨人立つ 後編

明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

今年の更新をどうぞ!


アンジュがフリーフォックスの基地に保護されて、ヴィルキスの修理が完了するまでの間、短い間にいろんなことがあった。

 

ラッセルがたまには皆と魚を釣ろうと言い出して、それに皆は賛成して、釣竿を持って近く崖に来た。

その崖は海にとても近く、落ちてもすぐに手が付けるほどの高さ。

 

そこで皆は釣りを始め、アンジュはその様子を見ていた。

 

真也は釣竿に餌をつけて、釣りをする。

しかし10分、15分経ってもなかなか釣れず。イライラが溜まってくる。

 

「…クソッ、なかなか釣れん」

 

真也は他の皆の方を見ると、ソーンを始めソルトやリコ、ラッセル達は次々と魚を釣っていき、その様子をアンジュが呟く。

 

「釣れてないわね」

 

「うるせぇ! 気にしている事をさらっと言うな!」

 

思わず怒鳴りを散らす真也。すると彼の釣竿に反応があり、それにアンジュは気付いた。

 

「ちょっと!それそれ!」

 

「ん?おっと! これはでかいぞ!」

 

真也は一気に引っ張り、魚を釣り上げようとする、すると魚は釣り上げられて、アンジュの手の上にのる。

初めて大きな魚を見たアンジュは驚きながら見て。真也達は魚を使って料理を食べた。

 

そして食堂でアンジュが自分が料理をしたいと言い出し、それをメリル達は心配そうに見ていた。

 

子供達も何が始まるかを楽しみに見ていて。アンジュは料理を始めた。

 

「よし!やるわよ~!」

 

っと意気込むアンジュは鍋に様々な具材を入れる。

入れると言っても何でもかんでも入れている感じであり、その様子をメリル達は徐々に心配が増す。

 

「ね、ねえ…なんかやばくない」

 

「うん…とてもね」

 

「あ、あの~…鍋から変なオーラが」

 

リリーが鍋の異常なオーラが出ているのを見て指を差し、それにメリル達は思わず目を疑う。

するとそこへ真也がやって来る。

 

「よう、何してるんだ?」

 

「真也!あの子が料理をすると言い出して…」

 

メリルが指をさした方を真也が見ると、アンジュが料理をしていた。

 

すると突如アンジュが煮込んでた鍋が急激に異常を起こし、それを見た真也はすぐさまアンジュを鍋から引き離して、鍋が爆発した。

 

それに見たソーン達は驚いて、メリルは真也とアンジュの元に行く。

 

「真也!大丈夫?!」

 

「お、おう…なんとか」

 

真也とアンジュは起き上がると鍋が爆発した際に中身の具が二人にかかり、真也は中身の具を布巾でふきながらアンジュの方を見る。

 

「おい、おめぇ何を入れたらあんな風に爆発するんだ」

 

「し!知らないわよ!」

 

っとアンジュは真っ赤な顔をしながら怒鳴り散らす。

 

そして格納庫で真也がようやく完成する間近の前で眠ってしまう。

疲れていたのかそのままベンチの寝ており、それを見ていたマリー達が見合う。

 

そしてアンジュが真也の元に来て、シーツを掛けて、優しい目で見守っていた。

マリー達はアンジュの行動を見て、またしても顔を見合う。

 

その時に彼女の心に何時しか凍りついていた心が少しずつ溶けていく様な感じがしていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

そして夜、真也達は子供たちを連れて外で花火大会をしていた。

 

子供達は花火に大いに喜び、真也達は優しく見守っており、アンジュも子供達の喜ぶ笑顔を優しく見守っていた。

花火が終えると、子供達はメリル達に連れられて基地の中へ戻っていき、ソーン達も基地の中へと戻っていく。

 

その際にアンジュが夜空の星を見上げていた。

 

「うわぁ…、こんなに星が見えるなんて」

 

「ん?これまで見なかった?」

 

「ううん、空なんて、ずっと見てなかったの…」

 

そう言うアンジュは夜空の星を見て、流れ星が流れる。

 

「綺麗…」

 

「…そうか(こんなアンジュを間近で見られるとは、俺も運がいいぜ…これを大事にしておかないとな)」

 

っとそう思いながらアンジュと同じように夜空を見上げる。

 

 

キュゥゥゥゥゥゥイン!

 

 

「っ!」

 

すると何かを感じ取った真也はアンジュをすぐに押し倒す。

アンジュは突然の事に驚いて戸惑う。

 

「えっ?!あの…」

 

「シッ!静かにしろ…」

 

真也はそう言ってアンジュに言って静かにしているとすると空にある物が見える。

 

「っ!」

 

二人の目にある光景が映る。それは身体中に氷漬けにされてしまっているドラゴンが輸送機で運ばれる様子を二人の目に映ったのだ。

 

「あれは…!?」

 

「あれって…凍結されたドラゴン?」

 

真也とアンジュが起き上がって立ち上がり、運ばれていくガレオン級のドラゴンを見る。

 

「連れて行くの? ねえ?何処に?!」

 

「知らねぇよ、俺は…大体どこに連れて行くかもわからないんだ(本当は言いたいんだが、下手に言ったら色々と煩いからな、今は黙っておこう)」

 

「真也!今レーダーが反応…、な!何あれ!?」

 

真也とアンジュが振り向くと、ソーン達がやって来て、空に映る輸送機とドラゴンを見て驚く。

 

「おいあれはなんだ!?」

 

「(ソーン達にはまだ話してないけど、簡単なところだけ話しても問題ないな)…あれは」

 

真也が簡単な説明しようとした時に、スクーナー級ドラゴン一体が海から現れた。

 

「あれは…!」

 

アンジュはスクーナー級に見覚えがあった、それはアンジュと戦っていたドラゴンの一体だった。

 

スクーナー級に襲われ、輸送機は反撃するもむなしく全て撃墜されてしまい。ガレオン級を輸送していた機体は全滅し、島の奥へと墜落した。

 

幸い島の奥にはだれも居らず、基地の外壁は強度な装甲版で出来ており、そう簡単に壊れはしなかった。

 

「大変!今すぐ助けないと!」

 

「やめとけ、もう助からない」

 

リリーが助けに行こうとした際にトラビスが止めて、真也が皆に言う。

 

「皆!基地の中にもどるぞ!」

 

真也がそう言って、皆と共に基地の中へを戻ろうとした時に目の前にスクーナー級が落ちて来た。

スクーナー級はボロボロでもう立つことができなくなっていた。

 

その様子を見た真也は目を細め、スクーナー級に近づこうとした際にアンジュが。

 

「はぁぁあああああ!!!」

 

アンジュは手にナイフを持って向かって行き、ドラゴンにナイフを刺して倒し、そのまま刺し続けた。

その光景を真也達は大きく目を開ける。

 

「死ね!!この!この!この!この!!この!!死ねこのおおおおおお!!!!」

 

刺し続けるアンジュを真也が止める。

 

「やめろ!もう死んでいる…」

 

っとアンジュは我に返ってようやく止まり、その場から少し離れて震え出し、ナイフを捨てて自分の身体をゆする。

自分が先程まで全く別の者になっていた事に気づかずに、ドラゴンに向かっていたことに身体をゆする。

 

その光景を真也達はジッと見つめていた。

 

「あいつ…」

 

「さっきまでの感じとは…全く違う」

 

「何だよあいつ…」

 

ソルトたちはアンジュの突如の行動につぶやき、真也はアンジュの異変に少しばかり気になっていた。

 

「(…アンジュの行動、もしや)」

 

真也がその事に疑問を感じていたその時だった。

 

 

 

 

「ギャアアアアアオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

 

 

「っ!」

 

真也達は突然の叫び声に思わず森の方を見ると、森の方からガレオン級ドラゴンが起き上がって来て飛び立つ。

 

どうやら凍りついていた氷が解けて、動ける様になったドラゴンはそのまま真也達の方を見て向かって行く。

 

「まずいぞ!」

 

「チッ!仕方ない! ぶっつけ本番だがやるしかないな!」

 

すると真也が前に出て右腕を上に向ける。

 

「来い!!『ガンダァァァァァム』!!!」

 

っと指を『パチン!』鳴らす。

 

すると格納庫のハンガーに設置されている、唯一エンブリヲに対抗出来る機体が立っていた。

そして凄まじい力を秘めている機体。

 

真也の専用機体『エクストリームガンダム』が起動し、ツインアイカメラを光らせて、そのまま動き出してハンガーの外に向かう。

 

そしてハンガーの外に出たエクストリームガンダムはガレオン級に向かっていき、ガレオン級がそれに振り向き、エクストリームガンダムはガレオン級を蹴り飛ばす。

 

それにガレオン級は森に叩きつけられ、エクストリームガンダムはそのまま真也の元に降り立ち、コクピットを開く。

 

真也はすぐに乗り込んでいき、コクピットを閉める。

アンジュは真也が呼び出した機体に目が奪われ見ていた。

 

エクストリームガンダムに乗り込んだ真也はガレオン級と向き合い、ガレオン級も真也が乗るエクストリームガンダムとにらみ合う。

 

「さてと…、本当はお前とはやりたくないんだが、仕方ない。悪く思うなよ!」

 

そう言って真也はエクストリームガンダムの武装『ヴァリアブル・ガン』を構えて撃ち、それにガレオン級はかわして飛び立ち、それにエクストリームガンダムもバーニアを吹かして飛ぶ。

 

ガレオン級は魔法陣を使って光線を放ち、それをエクストリームガンダムは上手くかわしつつヴァリアブル・ガンを撃ち返す。

当然かわした光線は誘導弾のように戻ってきて、エクストリームガンダムに向かっていく。

 

「ちっ!」

 

真也はスラスターを全開でかわし、向かってくる光線を打ち落とす。

 

ガレオン級は最後の突進と言わんばかりにエクストリームガンダムに向かっていき、エクストリームガンダムはガレオン級の方を向き、バックパックにある『ビームサーベル』を抜く

 

そして突進してくるガレオン級にビームサーベルを斬り込み、切り込まれたガレオン級は悲鳴をあげながら海へと落ちていった。

 

その光景を皆は見つめていて、リコは真也のエクストリームガンダムを見て興奮していた。

 

「すげぇぇぜ真也!!あんなすげぇの作るなんてよ!」

 

アンジュは真也が乗るエクストリームガンダムをずっと見つめていたのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

そして夜が明けて、真也達はアンジュのヴィルキスの修理が終えて外に運んでいた時に真也がアンジュの方を見る。

 

アンジュが殺したスクーナー級と真也が倒したガレオン級はそのまま海の向こうへと流れていき、アンジュはそれを見つめていて、真也が横に来る。

 

「あの小さいの、恐らく仲間を助けようとしたんだろうな」

 

「……」

 

アンジュはその事をただ黙って聞いていて、アンジュの様子を真也は見る。

 

そしてソーン達がヴィルキスを外に運び終えた直後にヴィルキスからヴィヴィアンの無線が入って来る。

 

『アンジュさ~ん聞こえますか~? もう死んじゃってますか~?死んじゃってるな死んじゃってるって言って下さ~い』

 

「な、何このふざけた通信?」

 

それにソーン達は頭を傾げ、アンジュはヴィルキスの元に行き、通信回線を開く。

 

「こちらアンジュ、生きてます」

 

『うそ!アンジュ!本当にアンジュなの!?』

 

「救助を要請します!」

 

『りょ!了解!!』

 

ヴィヴィアンはそう言って通信を切り、アンジュはヴィルキスから降りる。

そして真也がアンジュの元にやって来る。

 

「来てくれる様だな…アンジュ。言った通りだったろう?」

 

「ええ、私、帰るわ。今はあそこしか…私の戻る場所みたいだから」

 

「そうか…」

 

真也がそう言った時にアンジュは優しく微笑み自分の名前を名乗る。

 

「アンジュ」

 

「ん?」

 

「私の名前はアンジュよ、真也」

 

「…そうか(知ってるよ…最初っから全て)」

 

そう心の中で思いつつ、ソーン達がアンジュの元にやって来る。

 

「気をつけてね」

 

「身体を壊さないようにね?」

 

「あんま無茶して、死ぬような事するなよ」

 

「分かってるわよ」

 

アンジュはそう言い、真也は微笑みながら見ていて、そして真也はソーン達に言う。

 

「よし!それじゃあ撤収だ!じゃあな!アンジュ!」

 

真也はそう言ってソーン達と共に基地の中へと入っていき、カモフラージュ機能を展開し、外壁から見つからないようにした。

 

「真也か…変な人だったな」

 

そしてアンジュの元に一機にヘリがやって来る。

 

「問題!遭難したのに生きてるのってだーれだ! 答えは~アンジュ~!」

 

ヴィヴィアンがハッチから身を乗り出し、それにアンジュは手を振ってこちらの位置を知らせる。

 

 

そしてサリア達がヴィルキスとアンジュを回収した後、その島を離れて行き、真也が立ち去っていくのを見つめていた。

その横にソーンが真也の横に来て、アンジュの立ち去っていくのを見つめる。

 

「ねえ真也…あの子。アンジュを引き止めることも出来たでしょう? 何でしなかったの?」

 

「あいつの居場所はあいつ自身が決める事だ、俺が言ったところで何も変わらないさ」

 

「…そっか、それと真也。あのドラゴンの事だけど…知ってるよね? どう見ても…」

 

「…ああ、その事も含めてちゃんと話すべきだったと今ちょっと後悔してるよ。これから話す、来いよ」

 

そう言って真也はソーンを連れてドラゴンの事を話すべく司令室へと向かう。そしてソーンを含めソルト達も真也が話したことに少々信じられない事ばかりの表情をしたのは無理もなかった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

そしてアンジュが乗るヘリの機内で、ヴィヴィアン達を会話をしている中、メイがサリアだけにある話をしていた。

 

「えっ?間違いないの?」

 

「勿論だよ、あたしが見たんだから。ヴィルキスの状態…ほとんど綺麗になっている他、まだ直せてなかった部分が直されていたもん。

これは絶対にアンジュがやったものじゃないよ、サリア」

 

その事を聞いたサリアは目線をアンジュの方に向け、アンジュは全く気づかない様子だった。

 

それにサリアは目を細めて、前を向いてメイに言う。

 

「これはジルに報告する必要があるわ、恐らくアンジュの他に“誰か”がいたと考えるべきよ」

 

「だ…誰って?」

 

「それが分かれば苦労しないわ」

 

そう言いつつヘリをアルゼナルに向けて、アンジュ達のヘリは帰投していくのであった。

 



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第7話 対話する日

間違えてとうこうしてしまいました!

本当に申しえわけ御座いません!!!


アンジュがアルゼナルに戻って来て、その翌日。アルゼナルの司令室ではジルがサリア達を集めてアンジュの事に付いて話し合っていた。

 

「ではやはりあの場所に誰かがいたという事だな」

 

ジルがサリアにそう聞いて、それにサリアはうなづいて言う。

 

「はい、ヴィルキスの機体の状態もよく、アンジュ1人では絶対に直せない。あの島には絶対誰かがいます」

 

「誰か知らないけど、ヴィルキスを直してくれた。その事のお礼が言いたいな、私は」

 

メイがそう言うとジャスミンとマギーはその事に顔を合わせる。

ジルは少しばかり目を閉じ、サリアはジルの様子を見てジッと見つめる。

 

そしてジルが目を開けて、サリアに言う。

 

「サリア、アンジュをここに連れてこい。今すぐだ、あいつに直接問う」

 

「アンジュをここへ?! 正気ですか?」

 

「連れてこい、二度は言わんぞ」

 

その事にサリアは少々気になりながらもアンジュの元に向かう。

 

数分後、サリアはアンジュを司令室へと連れてやって来る。

 

「連れてきました。指令」

 

「ご苦労、アンジュ。お前に少し聞きたいことがある」

 

「…何?」

 

「お前はあの島で一体誰と会った?」

 

っとその事にアンジュは覆わず身体が反応する。なにかに反応したアンジュの様子を見たジルは目線を細めながら問い続ける。

 

「もう一度だけ聞く、あの島で一体誰と会った」

 

「…聞いてどうするの」

 

「お前を回収した時、ヴィルキスがどうも修理された痕跡があった、当然お前は修理に関してはド素人、決して直す事は出来ん。だが直されていた…」

 

「……」

 

ジルにヴィルキスの事を問いかけれたアンジュは少しばかり言葉を摘まされていた、あの島には真也達が居るフリーフォックスの秘密基地がある。

その事をどう話そうか迷っているアンジュの様子をサリアはただジッと見つめていた。

 

「アンジュ、答えろ。あの島には…誰がいた」

 

「……助けてくれたの、彼らに」

 

「彼ら?」

 

アンジュが答えた言葉にジルは眉を傾け、サリア達は耳を向ける。

 

「ヴィルキスが海に落ちた後、あの島で気を失った私を助けてくれた。彼ら…フリーフォックスの皆に」

 

「フリーフォックス? なんだそいつ等は?」

 

「…それは分からない。でも敵じゃなかった」

 

ジルに問いかけられた事をアンジュは言う。最も重大な事はあえて言わなかったアンジュ、あそこに者たちは皆ある薬を使ってマナを捨てている事を言えば、当然ジルは信じようとしない。

だからあえてアンジュは真也達の事を大体な所を言わなかった。

 

その事を聞いたジルは少しばかり考える。

 

「(…アンジュは“何か”を隠しているな、でなけきゃこんなくだらん質問にも答えはせんだろう…。よし、こうなれば選ぶ手段は一つだ)…アンジュ。今からお前が遭難した場所に向かう、そこでお前が会った者達とコンタクトを取る」

 

「えっ!?」

 

「指令!本気ですか!?」

 

ありえない事を言い出すサリアは思わず声を出し、それをジルはサリアの方を見ていう。

 

「私は本気だ。何心配するな、監察官には私から話しておく。サリア、メイ。お前たちはヘリを操縦しろ、以上だ」

 

その事を言ってジルは椅子から立ち上がり、司令室から去っていき、その様子をアンジュは唖然とし、サリア達はその様子をただ見つめるしかなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてフリーフォックスの基地、格納庫で真也はエクストリームガンダムを開発した後、ソルトたちの機体をなんとか完成させたのだ。

 

そこには5機の『ガンダム』がハンガーに固定されていて、真也は一汗を拭く。

 

「ふぅ…、出来た」

 

「おい真也」

 

真也の元にソルトたちがやって来て、真也がソルトたちの法に振り向く。

 

「よう」

 

「これがお前が開発した?」

 

「ああ、これがお前たちの機体だ」

 

そう真也が皆の機体に指を差しながら言う。

 

「まずソルトの機体は狙撃が得意とする機体『ガンダムデュナメス』、この機体は『GNドライブ』と呼ばれる半永久機関と呼ばれる動力炉を使っているのが特徴、この動力炉はレーダーを撹乱する能力を持つ。

そしてリコの機体はパワー系を重視とした機体『ガンダムグシオンリベイクフルシティ』、コイツの動力炉は『エイハブリアクター』と言ってGNドライブと並ぶ高出力の動力を使っているからパワーもかなりある。

次にラッセルの機体は高速戦闘を得意とする機体『Zガンダム』、この機体は『ウェイブライダー』と言う高速飛行形態を持っていて、一撃離脱の攻撃を得意としている。

動力炉は違うエンジンだけど、それでもかなり強い機体だぜ。

トラビスの機体は砲撃特化した機体『ヴェルデバスターガンダム』、圧倒的な火力を持ち、どんな状況下での後方支援が可能な機体だ、もちろん単機で制圧する事も可能だ。

最後にジョージの機体は接近戦仕様に特化した機体『ガンダムキマリス』、巨大なランスを扱い、ソードを使って敵を一網打尽出来る機体で、この機体はリコのグシオンリベイクフルシティと同じエイハブリアクターを使っている。

どうだ?中々良い機体だろう?」

 

その説明を聞いたソルトたちは感心した目で自分たちの機体を見ていた。

 

「すげぇ~! あっ、そういやソーンの機体はねぇのか?」

 

「確かに、真也、ソーンの分まで作ったの?」

 

リコとラッセルがソーンの機体が無い事を問い、それに真也は頭をかきながら言う。

 

「ああ~、ソーンの機体の事なんだけど…あいつにも一度機体のシュミレーションをやらせたんだけど…」

 

真也がソーンの操縦シュミレーションの事を思い出す。

 

 

 

一度ソーンにMSの操縦シュミレーションをやらせた結果、見事にどん底の最低ランク。

それを見た真也はソーンに問う。

 

「ソーン。操縦難しかったか?」

 

「い、いや…そうじゃないよ。ただ僕…自分で乗り物を乗ると…よ、酔っちゃうんだ。しかもうっ!!」

 

喋っている最中に口を抑えて慌ててトイレに駆け込んでいき、その様子を見た真也は頭を抱える。

 

「あちゃ~、参ったな~…ソーンは乗り物酔か」

 

『これは仕方ないだろうな』

 

っとそこにジークがやって来て、真也はジークの方を向く。

 

「ジーク」

 

『誰もが簡単に乗れると思っていない、現にソーンがその証拠だろう。恐らく乗れるのはごくわずかな数名だ』

 

その事を聞いた真也は口を閉ざしてしまうのであった。

 

 

 

 

「と言うことなんだ」

 

真也の話を聞いた皆はそれに少々納得しづらい表情をする。

 

「マジか?ソーンが乗り物酔いって」

 

「ソーンはヘリに乗っても何ともなかったのに」

 

「意外と乗り物に弱いんだな」

 

「何か悪いな~、俺たちだけ乗っててよ」

 

皆がソーンに少々面目なさそうにしている中で、ジークが走ってやってくる。

 

『真也!』

 

「ん?どうしたジーク」

 

『すぐに司令室まで来てくれ!』

 

珍しくジークが慌てている様子に真也たちはすぐに司令室へと向かう。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

司令室へとやってきた真也たちはすぐにモニターの方を見ると、基地から約80キロの距離にアルゼナルのヘリが近づいていた。

そのヘリを見て真也は頭を抱える。

 

「おいおい…来るのが早いぜ。全く」

 

「え?どういうこと」

 

ラッセルがその事を問い、それにジークが答える。

 

『恐らく修理した事により、我々の存在に勘付いたのだろうな』

 

「マジか!? どうするんだよ真也!?」

 

リコがその事を問い、真也はすぐに皆に言う。

 

「皆!子供たちを隔離シェルターに移せ! 万が一の時の為だ!」

 

「わかった!行くぞ!」

 

ソルトたちはすぐに子供達を隔離しに行き、真也は再びモニターを見る。

 

「こうもすぐ来るとは…、恐らくあそこの司令官は我慢が出来なかったんだろうな」

 

『真也、くれぐれも慎重にな。こちらの手の内をあちら側にまだ見せる訳には行かない』

 

「それは相手の出方次第だ、状況によっては相手と手を組む可能性があるかどうか…」

 

『…本気か?』

 

「ああ、大丈夫だ。俺はジル…あいつの事をよく知っている、任せてくれ」

 

そう言って真也はモニターを見た後、外に通じるハッチへと向かうのであった。

 

 

 

そしてアンジュ達を乗せたヘリは孤島の浜辺へと着陸し、アンジュを始め、サリア、メイ、ジャスミン、そしてジルの5人が降り立つ。

 

「おやおや随分とちっぽけな島だね」

 

「ヴィルキスがこの綺麗な浜辺で助かったけど…」

 

ジャスミンとメイがそう言ってる中でジルがアンジュの方を見ながら問う。

 

「アンジュ、どうなんだ」

 

「…待ってて」

 

そう言ってアンジュは少しだけ前に進んで、大声で叫ぶ。

 

「真也ー!居るんでしょ!?」

 

「大声出さなくても聞こえてるよ」

 

っとアンジュがその声を聞いて振り向き、サリアたちもその方向を向くと、森から真也が出てきて、アンジュの方にやって来る。

 

「随分と早い再会だったな」

 

「え、ええ…そうね」

 

アンジュは少々戸惑いながらも真也を見ながらうなづく。

 

「お前がそうか」

 

っと真也は声がした方を向き、ジルたちが真也を見ながらサリアが銃を構えていて、ジルが問う。

 

「お前がアンジュを助けた奴か?」

 

「ああそうだ、まず話し合う前にその銃を下ろしてもらいたいんだが?」

 

真也がサリアに向かって指を差しながら言うが、それをジルは…。

 

「ダメだ、お前と話し合うにはこうした方が手っ取り早い」

 

「そうか…ジーク!!!」

 

真也が叫ぶと、森からジークが素早く出てきて、一気に間合いを詰めてサリアの持つ銃を奪う。

ジークは距離を取りながら着地し、その事にサリア達は驚き、アンジュはジークを見て驚く。

 

「な!何あれ!?」

 

「ジークだ、俺の頼もしい相棒だ」

 

『すまないが武器は下ろしてもらうか、でなければこちらも少々実力行使で行かせてもらう』

 

するとジークの尻尾がレーザーチェーンソーに変形し、攻撃態勢に入る。

その様子にジルは少しばかり信じられない光景を見て、そしてサリアに言う。

 

「サリア、計画変更だ。武器を向けずにやろう」

 

「ジル!」

 

サリアは小声でジルに問いかけ、それをジルは言う。

 

「あんずるな、警戒を解くといっても相手の出方を見るだけだ」

 

そう言ってジルは真也の方を向き、真也はその様子を見てジークに言う。

 

「ジーク、武装を解け」

 

『了解した』

 

その命令に従うかの様にジークはレーザーチェーンソーを解除する。

そして真也は少し前に出てジルに向かって言う。

 

「俺は星野真也、フリーフォックスのリーダーだ」

 

「アルゼナルの司令官のジルだ。互いの挨拶はこれで済ませてもらいたい」

 

「ああ、こっちも早く済ませたいからな。取り敢えずヘリを格納庫に入れてもらおうとするか」

 

すると真也は通信機を取り出して通信を入れる。

 

「マリー、格納庫を開けてくれ」

 

《オッケー》

 

そう通信を入れると森のしたからハッチが開いていき、それを見たサリアとメイは驚き、ジルは目を細める。

 

「ほうほう、どうやらここはただの孤島じゃないようだね?」

 

ジャスミンは何やら感心した様な雰囲気を見せるのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして基地の格納庫にヘリを収納して、基地の中を案内させている真也、アンジュは少々ジルの方を見て警戒する様な目をしながら気づかれないようにしていた。

サリアとメイはフリーフォックスの基地内を見て唖然とし、ジャスミンはたまに見かけるフリーフォックスの仲間たちを見て、ジルもその様子を見て問う。

 

「見た限りじゃあ若い者ばかりだな」

 

「そうだね~、もしや数年前にアルゼナルに送られる際に何者かに襲われてノーマを連れ去っている者は…」

 

っとジャスミンの聞いたジルは真也の方を見て、真也はそれに答えないまま進み続ける。

 

そしてある部屋に入ると、ソファーが左右並べてあって、そこに座って向かい合う。

 

「では改めて俺たちフリーフォックスの基地へようこそ、さっきあんた等が話していた内容、大体合ってるぜ」

 

「…ではお前がノーマを連れ去っていたと言うのか」

 

「まあ、連れ去っているのは間違いだ。俺は助け出しているだけだ」

 

「なんだと?」

 

その事を聞いたジルは目線を更に鋭くし、真也の隣に座っているアンジュが真也の方を見て、少しばかり心配な表情をする。

 

「俺はある目的の為に動いていて、その際に連れて行かれるノーマを助けて仲間にしているのさ」

 

「ある目的? なんだそれは」

 

「それは…お前がよく知る“ある男”さ」

 

真也の言った言葉を聞いたジルは思わず眉が反応し、それにはジャスミン以外のアンジュ達は頭を傾げる。

すると真也はジークにある事を言う。

 

「ジーク、アンジュ達を少しばかり案内させてやってくれ。俺はこの司令官と少しばかり話をしたい」

 

『分かった』

 

そう言ってジーク達はアンジュ達を連れて案内をし、二人っきりになった真也とジル。

ジルはある事を真也に問う。

 

「おい貴様…、先ほどの言葉…まさか」

 

「そう…俺はある男を…。『エンブリヲ』を倒す為に俺は動いている」

 

「っ!!? 何故…お前がそいつの事を知っている!? お前は一体!?」

 

「落ち着け…そこでどうだ、俺はあんたに知っている情報をあんたに渡す。そこであんたも俺に知っている情報を渡すってのはどうだ?ギブ&テイクってやつをだ」

 

その事を問いかけられたジルは少しばかり考える。

 

「(…うむ、食えない上に恐ろしい男だな。しかも奴を倒すとは…、どうやら使えるかも知れんな…)…良いだろう。取り引き成立だ」

 

そう言って真也は笑みを浮かばせながら手を差し出し、ジルも手を差し出して握手するのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてジークはアンジュ達を格納庫へと連れて、そこにジルはヘリの側で待っていた。

 

サリアがジルの元に近づいて問う。

 

「ジル、どうなの?」

 

「問題ない、あの男…なかなか食えん奴だが、悪くはない」

 

そう言ってヘリに乗り込み。サリアもその様子を見てジルの後について行く。

アンジュもヘリに乗り込もうとした際に、ジークがアンジュの腕にある物を打ち込み、それにアンジュは思わず腕を抑える。

 

「痛っ!何するのよ!」

 

『落ち着け、心配はない、真也がある物を開発したものを打っただけだ』

 

ジークはある注射銃を見せて、アンジュは打たれた腕を見ると、すぐに血は止まり、傷跡も消えていく。

それを見たアンジュは驚いて、ジークは簡単な説明をする。

 

『それは真也がアンジュの為に作った専用のナノマシンだ、それがあればどこででも危機が訪れた時にあいつはお前の元に駆けつけるだろう』

 

「真也が…私を?」

 

アンジュはジークから自分の為に動く真也の行動を少しばかり驚いて、ジークはアンジュに言う。

 

『さあ行け、そろそろお前の行く場所に戻るんだ』

 

そう言ってジークはその場を去り、アンジュはその様子をただ見つめるだけであった。

 

そしてアンジュはヘリに乗ったあと、ヘリはアルゼナルに向かっていき、真也は外に出てその様子を見届ける。

ジークが真也のそばに来て、真也はジークに問う。

 

「どうだった。そっちの方は」

 

『問題ない、あのサリアと言う娘は少し用心した方がいいな、明らかにこちらを警戒している』

 

「そうか、分かった」

 

「真也」

 

真也は振り向くと、ソーンがやって来る。

 

「もう子供達を隔離シェルターから出していいよね? 子供達が出たがってて」

 

「ああ、もういいぜ」

 

そう言ってソーンはうなづいて。皆のもとに向かう。

そして真也は今後のアルゼナルの様子をうかがいながらも、様子を見るだけで基地に戻っていくのであった。

 

 

一方アンジュたちが乗るヘリでは。

 

「ジル…本気かい?」

 

アンジュには聞こえない小声で喋っているジャスミンがジルにある事を聞いて問い、それにジルはうなづく。

 

「ああ、相手にはあんな風に言ったが、使える者はなんでも使うさ…利用出来るものは全てな」

 

っとそう言って何かを企む目をしながら言うのであった。



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第8話 慣らし試し

今度は投稿する作品を間違えずに更新しました。

どうか見てください。


アンジュがジルたちをフリーフォックスの基地に連れて来て、一度対話をした真也、その後に互いの情報交換をした後去っていき、その日の夜のことだった。

 

真也は自室で何やら作業をしていて、そこにソーンとメリルが扉をノックする。

 

コンコン

 

「真也、居る?」

 

「ああ、入ってもいいぞ」

 

真也の許しが出て、ソーンとメリルが入ってくる。

 

「真也、今日の事なんだけど…」

 

「ああ、アルゼナルの連中か。それがどうした?」

 

「本当に大丈夫? 何だかあの人何考えてるのかわからないんだけど…」

 

メリルの言葉を聞いた真也は一旦手を止めて、ソーンたちの方を向く。

 

「まあ、あらがちメリルの言葉は間違ってはいないけどな、あの女、ジルは恐らく俺たちを利用するさ」

 

「ええっ!?利用するって本当に!?」

 

「っていうか真也!なんでそんな事が分かるの!?」

 

「俺があいつの事を知らず知らずに話していたと思っていたのか? そう簡単に利用されねぇよ。俺たちの組織はな」

 

そう言って真也はデスクの上に置いてあるコーヒーを取って飲む。

ソーンはそんな様子を見て、真也にある事を問う。

 

「ねえ、どうしてそんなに自信があるの?」

 

「簡単さ、やり遂げる思いがあるからさ。さて俺はソルトたちのガンダムのテストを行う、ソーン、一緒に来てくれ」

 

そう言って真也は資料を持って部屋を出ていき、ソーンはメリルと一度顔を合わせて、「行ってくるね」と言った後に真也の後を追いかけて行くのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

浜辺へとやってきた真也はエクストリームガンダムを始め、ガンダムデュナメス、ガンダムグシオンリベイクフルシティ、Zガンダム、ウェルデバスターガンダム、ガンダムキマリスが並んでいた。

其の足元にはソルトたちが既にいて、準備に取り掛かっていた。

 

そこにはジークも居て、ソーンはジークの隣に立つ。

 

「集まったな」

 

「おうよ、早くこいつを試したくてうずうずしてきたぜ!」

 

「慌てんなよ。まずはソルト。お前から試してくれ」

 

それにソルトは頷き、ガンダムデュナメスに乗り込み、コクピットに乗り込む。

ソルトが乗り込むとすぐそばにはソルトの狙撃の為に真也が用意したサポートメカ『ハロ』が搭載されていた。

 

『ソルト、訓練カイシ訓練カイシ』

 

「ああ、わかってるよ」

 

《ソルト、聞こえるか?》

 

ソルトは真也の通信を聞き、真也はエクストリームガンダムに乗り込んで指示を出す。

 

「今から俺が遠くに標的を落とす、それを狙い撃て」

 

「それを撃つだけか?」

 

「ああそうだ、それじゃあ行くぞ」

 

真也はヴァリアブル・ガンを撃って、遠くに標的を三つ落とした。

それにソルトはデュナメスの右肩に付いている狙撃銃『GNスナイパーライフル』を構え、Vアンテナが下りて、そこから狙撃スコープが出てくる。

 

コクピット内にも専用のライフルコントローラーが出てきて、それを取って構えて狙うソルトは波の高さ、そして大気の気温と距離を計算し、そして引き金を引いて撃つ

 

GNスナイパーライフルから放たれるビームが遠くの標的に命中し、残りの二つも撃って見事に命中させる。

 

『全弾メイチュウ!全弾メイチュウ!』

 

「ふぅ」

 

「よし、OKだな、次リコ!」

 

真也がそう言うと、リコは既にグシオンリベイクフルシティに乗り込んでいて、近くに大きな的が現れる。

 

「リコ、その機体にはサブアームがバックパックに内蔵されている。それを使ってシザーシールドを使ってちょん切れ!」

 

「サブアーム? シザーシールド? あっこれか」

 

っとリコはすぐにリアスカートに装備されている『シザーシールド』を取り、シザーモードに展開した後、的に向けて一気に切り込む、最後の踏ん張りにバックパックにある『サブアーム』が動き、シザーシールドを掴んで一気に切り込む。

 

ズバッと切られた的は綺麗に落ちて、シザーシールドの切れ味にリコは驚く。

 

「すげぇなおい!」

 

「次はラッセル、Zガンダムをウェイブライダーになって高速飛行をしてくれ」

 

「うん」

 

ラッセルはバーニアを点火して飛び立ち、コンソールを操作して、Zガンダムを変形させてウェイブライダーにする。

そしてバーニアを最大出力にし、飛行していって、その様子を真也はモニターで確認をしていた。

 

確認し終えた真也はラッセルに通信を入れる。

 

「ラッセル、OKだ。戻ってきてくれ」

 

「うん」

 

「よし、次はトラビス、ウェルデバスターの砲撃の威力を試す番だ」

 

「ああ」

 

トラビスはウェルデバスターガンダムに乗り込み、右肩と左肩に装備されている『350mmガンランチャー』と『94mm高エネルギービーム砲』、そして両腰に装備されている大型ビームライフル『M9009B複合バヨネット装備型ビームライフル』を構え。

真也が放った標的に狙いを定める。

 

そして狙いを定めた時にトリガーを引いて、標的を粉砕していった。

 

圧倒的な火力を見たトラビスは少々唖然とし、それを見たソーン達も少々驚いた。

真也は少々頭をかきながら自分が設計した機体を見て呟く。

 

「ありゃま~、まさかここまでとは…」

 

『自分で作っておいてか?』

 

その事にジークが通信で言ってきて、それには真也は少々呟く。

 

「ああ。ここまでの威力とは、自分で作ったものとして驚くぜ…。さて!最後はジョージ。お前だぜ」

 

「遅いよ、待ちくたびれた」

 

ジョージは既にガンダムキマリスに乗り込んでいて、ランスを構えていた。

 

「よーし、ジョージ。そのキマリスには『キマリスブースター』が装備されている。出力と推進力が高いから機動性も高い、あとそいつには遠距離武器がない分近距離戦を常に頭に入れておいてくれよ」

 

「分かったよ。行くぞ」

 

ジョージは大型ランスの『グングニール』を構えて、バックパックに装備している背部高機動ブースター「キマリスブースター」を使って、大出力で突進し、並んである的を一気に貫いていった。

 

その様子を真也は見た後、ソーンに問いかける。

 

「どうだ?」

 

「記録完了。大丈夫だよ」

 

「よし…。皆、テスト終了だ。降りてきてくれ」

 

真也の言葉にソルト達が降りてきて、皆が自分達のガンダムを見る。

もちろん真也もエクストリームガンダムを降りて、皆の元に来る。

 

「最高だぜ…」

 

「ありがとう真也、僕たちにこれをくれて」

 

「いいさ、あとソルトとラッセルの機体は普通に空を飛べるけど、本来リコとトラビスとジョージの機体は空は飛べない、元々機体が重くジャンプ程度しか出来ないんだけど。俺が三機とも空を飛べる様作ってある」

 

「そうなのか? それは嬉しいな、狙い撃ちされたらもともこうもないからな…」

 

トラビスは嬉しながら自分のウェルデバスターガンダムを見上げて言う。

 

そして真也は自分の機体、エクストリームガンダムを見る。

 

「(…さて、俺の機体の“各フェース”はどうするかな、簡単には行かないけど、それでも使いこなせる様にしないとな)」

 

真也はそう自分の中でエクストリームガンダムの“秘められた能力”を考えながら見るのであった。

 



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第9話 出撃 Gチーム

ソルトたちのガンダム達のテストが終えた後、真也は自室のパソコンでアンジュのその後の様子を見ていた。

 

何故真也がアンジュの様子を見れるのかと言うと、前回ジークがアンジュに打った注射器のナノマシンにGPS機能が搭載されていて、更にその日の様子を記録することが出来る為、その記録を読んでいたのだ。

更にそのナノマシンは健康状態も管理してくれる為、風邪を引いた時もナノマシンがウイルスを除去してくれる。

 

アンジュはアルぜナルに戻ったあとに何やら色々なことがあったようだ。

まずアンジュの元に、元筆頭侍女である『モモカ・荻野目』がやって来て、アルゼナルでは少々大騒ぎになっていたようだ。

 

どうやって探し当てたかと言うと、ある情報を入手して、アルゼナルに密航してやってきたと言う。

 

しかしアンジュはモモカを突き放すように拒絶し、受け入れようとしなかった。

 

そしてモモカと過ごす中で、アンジュはモモカが自分を騙していたのではなく。心からアンジュに忠実であった事を知り、彼女を買い取る為大金を払い、モモカをアルゼナルに置いたのだった。

 

その事を真也は笑みを浮かばせていた。

 

「あいつ…、本当に素直じゃない奴だ」

 

『ほう、なかなか面白いではないか』

 

っと真也が後ろを振り向くと、そこにジークがいて、それに真也は少々呆れながら言う。

 

「おいジーク、いい加減黙って入ってくるのはやめたらどうだ?」

 

『すまない、どうも隠密に入って行きたくてな、それよりも真也。そろそろ“あの艇”の完成を急がせた方が良いと思うがな』

 

ジークの言葉を聞いた真也は思い出したかの様に立ち上がる。

 

「そうだな。ソルトたちのガンダムを作っていたのを先にしていたからな、そろそろ完成させるか…あいつをな」

 

真也はパソコンの画面を変えて、ある『戦艦』の画像を映し出し、そういうのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

場所は変わって、アルゼナルの食堂。

 

「ありえないわ!人間がノーマの使用人になるなんて!」

 

叫んでいるのはアルゼナルの監察官『エマ・ブロンソン』がアンジュがモモカを買い取った事に納得出来ない様子で叫んでいたのだ。

 

「いいです事!ノーマは反社会的で無教養で不潔で、マナが使えない文明社会の不良品なのよ!?」

 

「はいはい」

 

アンジュは空になった器を置き、モモカが次の食事を差し出す。

 

「モモカさん! あなたはそれでいいの?!」

 

「はい!わたくし幸せです!」

 

満面な笑顔で言うモモカに対し、エマはただ思わず見て呆れかえるのだった。

それを見ていたヴィヴィアンは飲み物を飲みながら言う。

 

「良かったねモモカ、アンジュと一緒に居られて」

 

っとその中でエルシャがため息をする。

 

「ん? どしたのエルシャ?」

 

「もうすぐフェスタの時期でしょ? 幼年部の子供たちに色々と送ろうか迷ってるんだけど…」

 

エルシャが自分の通帳を見て苦笑いしながら言い、それにサリアが聞く。

 

「アンジュのせい?」

 

その事を問うと、エルシャは目線をサリアに向けて、その様子をうなづくしなかった。

 

「何とかしなくちゃ…」

 

「どんな罰でも金でなんとかするだろうねアイツ…聞きやしないさアンタの命令なんてさ」

 

アンジュの事を考えているとヒルダがサリアに何やら嫌みそう言い放って。

 

「何が言いたいの?」

 

「舐められてるんだよアンタ。ゾーラが隊長だった時はこんな事なかった筈だけどね現隊長さん? 変わってやろうか?あたしが」

 

その事を言われてただ黙っているサリアはその場を立って、食堂を後にする。

 

「(皆…ほんと自分勝手、私だって好きで隊長をしてる訳じゃないのに…)」

 

っとそう心の中でそう思うサリアなのだった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そしてフリーフォックスの基地では、真也は格納庫にある溶接機を使ってある部品を作っていて。マリーもそれを手伝っていた。

そこにソーン達がやって来る。

 

「真也、何してるの?」

 

「今度は何を作ってるんだ?」

 

「おう。今は今後の必要な物を作ってるんだ」

 

真也がそう言いつつ、別の部品を持って、溶接機を当てて溶接する。

 

その様子を見ているソーン達は顔を合わせて、見た後その場を後にする。

ソーン達は廊下を歩きながら真也が作っていた物を考えていた。

 

「ねえ、真也が何を作ってるのかな?」

 

ソーンの質問にリコが答える。

 

「あいつはなんでも作っちまうからな。もしかしたらとんでもねぇ物かも知れねぇぞ?」

 

「有り得るな。もしかしたら宇宙船とか作ってしまうかもな」

 

「なるほどね、確かにそうかも知れない」

 

トラビスとラッセルがそう言ってるとジョージが呟く。

 

「戦艦だったりして」

 

「ん?戦艦? あ~…それもありか」

 

そう言って皆は各自の訓練や子供達の世話をしに向かった。

 

 

そしてまたアルゼナルでは…。

 

「アンジュ大丈夫?」

 

「何よ、何だか関係ない様な言い方して。おまけにエルシャはあれを投げ飛ばしてくるから」

 

「あははは…」

 

ヴィヴィアンとエルシャは昨日お風呂場でアンジュとサリアがもめているのを目撃し、見なかったことにする際にエルシャが火に油を注ぐよな真似をして、二人は反省文を欠かされる羽目になった。

 

「でもアンジュとサリア、よく風邪引かなかったね?」

 

「そうね、特にアンジュちゃんはいつ引いてもおかしくなかったらか」

 

「そう…(言われてみれば私全然どこも悪くないわ…どうしてかしら?)」

 

そう思うアンジュ、しかしそれは真也が作ったナノマシンのお陰である事を気づいてない。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして翌日、ドラゴンが出現した事に第一中隊に出撃命令が下る。

 

「総員騎乗!」

 

サリアの掛け声にアンジュ達はすぐさまパラメイルに乗り込み、サリア隊が全機出撃した。

 

 

戦闘地域に入った第一中隊、そこにゲートが開きスクーナー級が無数出て来て、そしてそこに角が生えた巨大なドラゴンが三体出現し。それを見たアンジュ達は驚く。

 

「三匹!?」

 

「って言うかでか!?」

 

「あらあら大きいわ~」

 

ヴィヴィアンが思わず驚き、エルシャは苦笑いしながらのん気に言っていた。

 

「サリア、アイツのデータは?」

 

「あんなの、見た事無いわ…」

 

サリアはデータのないドラゴンに悩まされる中でロザリーとクリスが驚く。

 

「見なことないって事は!」

 

「まさか…まさか!」

 

「初物か!」

 

ヒルダは思わず喜びの笑みを上げる。

 

「初物?」

 

司令室でジル達と見ていたエマは聞き慣れない言葉を聞いて首を傾げる。

 

「監察官は初めてでしたか、過去に遭遇のないドラゴンの事ですよ」

 

ジルはエマにその事を説明し、納得させる。

一方戦場では未遭遇のドラゴンにヒルダ達は盛り上がっていた。

 

「コイツの情報持ち帰るだけでも大金持ちだぜ!」

 

「どうせなら初物喰いして札束風呂で祝杯といこうじゃないか!」

 

そう言ってヒルダ、ロザリー、クリスの三人が未遭遇のドラゴンに突撃して行った。

それにサリアは慌てる。

 

「ちょっと!待ちなさい!!」

 

「…なんか髪の毛がピリピリする」

 

っとヴィヴィアンが言った言葉に近くにいたアンジュが振り向く。。

そしてヒルダ達が大型ドラゴンに突撃しようとしたその時!

 

「っ!! ヒルダ戻れ!!」

 

ドラゴンが咆哮を上げたと同時にと角が光りその瞬間周囲が何かに包まれた。

ヴィヴィアンが警告を促したが時既に遅くヒルダ達の機体が囚われてしまった。

 

それにヒルダ達は苦しむ。

 

「なっ!?」

 

「う…動けねえ…」

 

「一体何なの…コレ!?」

 

三人が混乱している中、アンジュ達が上空で見ていると。

 

『新型ドラゴン周囲に高重力反応!』

 

「重力!?」

 

オペレーターからの解析結果にサリアは驚く。

 

更にドラゴンが角を光らし、重力範囲を広げ始めた。

 

「か!回避!!」

 

サリアが叫ぶも時は既に遅し、アンジュ、サリア、エルシャ、ヴィヴィアンが重力に捕まってしまい、三体のドラゴンはアンジュ達を包囲して行きながら、高重力を高めていく。

その影響はパラメイルにも徐々に影響を及ぼし、機体に亀裂が入り始める。

 

「おい!やばいって!」

 

「つ!潰れるよ!助けて!ヒルダ!ロザリー!」

 

「動けよ!お前にどれだけ大金描けたと思ってんだ!」

 

上手く動かそうにも動けない皆、アンジュの必死に動かそうにも高重力場の影響で動けなかった。

 

「(くっ! このままじゃあ…!本当にやられる…!)」

 

その思いは体内にあるナノマシンがそれを感知し、すぐにフリーフォックスの元に送信した。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして真也が例の物を完成させる間近の時に基地の緊急警報機が鳴り響き、それに真也は見上げる。

 

「(これは!)」

 

「おい真也!」

 

すぐさまソーン達が駆け寄ってきて、真也はソーン達と顔を合わせると、それにソーン達はうなづいて、真也はソーン達と共に司令室へと向かう。

 

司令室へと到着した真也達はモニターを見ると、近くの大陸に大型のドラゴンとアンジュ達が戦闘している映像が映し出される。

アンジュたちが重力場に捕まっており、絶体絶命のピンチに立たされていた。

 

その映像を見た真也。

 

「アンジュ!」

 

「おい真也! ちょっとヤバくないか?!」

 

「助けないと死ぬよあれ」

 

ジョージの言葉を聞いて、真也はすぐに決断をする。

 

「よし!皆!助けに行くぞ!」

 

「初の出撃だね!」

 

そう言って皆は格納庫へと向かっていき、その様子をソーンとジークはジッと見つめていた。

 

 

格納庫へと付いた真也たちはすぐにガンダムへと乗り込み、起動させて、格納庫のハッチを開ける。

 

真也のエクストリームガンダムば前に出て、スラスターを全開にする。

 

「星野真也!エクストリームガンダム出る!」

 

エクストリームガンダムが格納庫から飛び出していき、その後にソルト達がスラスターを全開にする。

 

「ソルト・マーク! ガンダムデュナメス出る!」

 

「リコ・ジェイソン!ガンダムグシオンリベイクフルシティ!行くぜ!」

 

「ラッセル・アレイ!Zガンダム行きます!」

 

「トラビス・ベルナルド!ヴェルデバスターガンダム発進する!」

 

「ジョージ・ライカーズ ガンダムキマリス出るよ」

 

ソルトたちのガンダムが真也のエクストリームガンダムの後に続き、Zガンダムがウェイブライダーに変形して、真也達はアンジュ達の元へ駆けつけるのであった。

 

 

アンジュ達の様子をアルゼナルの司令室で見ているジル達、するとパメラがレーダーにある物を捉えた。

 

「指令!第一中隊の元に謎の飛行物体6体が接近!」

 

「何?」

 

っとその事にジルは眉をひそめ。エマは驚く表情をする。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

重力場で絶体絶命のピンチを迎えている中でサリアはこの状況をどうするかを考えていた。

 

「(どうする…、部隊の全滅だけは避けなければいけない、最悪我々だけでも機体を捨てて脱出…いえ、そんな事をすればこの重力場に!それにヴィルキスも!どうすれば…!)」

 

厳しい決断を迫られていると、一発のビームが大型ドラゴンに向けて放たれる、しかし重力影響で軌道が僅かにずれて、それにドラゴンは回避する。

 

「「「!?」」」

 

アンジュたちが振り返ると、エクストリームガンダム達が飛行しながらやって来て、エクストリームガンダムがヴァリアブル・ガンを構えて撃ったのだ。

 

「はっ!?」

 

「何あれ!?」

 

「うおおおおおおお!!何あれ!かっけええええええええ!!」

 

ヒルダとエルシャが驚き、ヴィヴィアンはエクストリームガンダムの姿を見て興奮していた。

 

そんな中でアンジュはエクストリームガンダムを見て驚く。

 

「真也!?」

 

「真也…! まさか!?」

 

アンジュが言った言葉にサリアは驚きの表情をする。

 

そしてエクストリームガンダムに乗る真也は撃ったビームがそれたことに舌打ちをする。

 

「チッ、やはり重力場の影響でビームにも影響が出るか。でも大出力のビームだったら。トラビス!」

 

「分かった!」

 

トラビスはヴェルデバスターの350mmガンランチャーと94mm高エネルギービーム砲、M9009B複合バヨネット装備型ビームライフルを同時に構えて狙いを定める。

 

「発射!!!」

 

トリガーを引いて、無数のビームが放たれていき、そのまま一体の大型ドラゴンに直撃し、倒れていく。

 

「おっしゃトラビスの奴やったな! 次は俺の番だ!!」

 

リコのグシオンリベイクフルシティがそのまま重力場に突入し、なんの違和感もなく着地してシザーシールドを構える。

 

「ちょっと!なんで平然と立てるの!?」

 

「すげぇえ!」

 

平然と着地するグシオンリベイクフルシティをアンジュ達は唖然としながら見て、ヴィヴィアンはのんきに興奮しながらリコは笑みを浮かばせながら突っ込む。

 

「行くぜええええええ!!!」

 

バーニアを吹かせながら突っ込み、斬り込みながら押し込むが、あとちょっとの所で止まってしまう。

大型ドラゴンはそのままグシオンリベイクフルシティを見て、リコがやばそうな表情をする。

 

「やべ!」

 

「何やってるの」

 

っとそこにジョージのキマリスがキマリスブースターを使って突進していき、一気に横腹を貫き通していく。

 

大型ドラゴンは悲鳴をあげながら倒れていき、キマリスはその場で着地する。

 

「油断しない事だね」

 

「ぐっ…」

 

ジョージの突っ込まれた言葉に悔やむリコ、そして真也とソルトとラッセルはヴァリアブル・ガンとGNスナイパーライフルとビームライフルを構える。

 

「ソルト、ラッセル。同時攻撃で仕掛けるぞ」

 

真也がその事を二人に言い、それに二人はうなづく。

 

「一発じゃダメだしな」

 

「同時なら行ける可能性ありだもんね」

 

「よし!行くぞ!」

 

真也の掛け声と同時に発射して、三つのビームは地場の影響を受けながらも一発ずつ当たり、大型ドラゴンは悲鳴をあげながら倒れていった。

三体の大型ドラゴンは倒され、アンジュたちはただその光景を見ていた。

 

そしてアンジュの前にエクストリームガンダムがゆっくりと降りてきて、真也はアンジュに通信を入れる。

 

「ようアンジュ、大丈夫か」

 

「真也!?あなたどうしてここに!?」

 

「お前のナノマシンが救難信号を発信したから、駆けつけたんだよ」

 

っとアンジュは以前ジークからナノマシンを打たれた際にその事を言われたことを思い出し、それで真也たちが駆けつけたとなれば納得が行く。

 

そんな中でヴィヴィアンはレイダーから降りて、真也達のガンダムに駆け寄ってくる。

 

「すっげぇぇぇぇ!!ねえこれ何で出来てるの?! めっちゃ知りたーい!」

 

「ヴィヴィちゃん、ダメよ勝手に近づいてちゃ」

 

興奮してくるヴィヴィアンに止めに入るエルシャ、真也達は思わず下を見る。

 

「ありゃりゃりゃ、どうするよ真也」

 

「う~ん…このまま見せてやりたいけど、そろそろ退散しないとな。ソルト、GN粒子散布、レーダーをジャミングしながら帰投するぜ」

 

「了解だ」

 

「おし、じゃあなアンジュ」

 

そう言って真也達はバーニアを点火させて、そのまま上昇していき、ガンダムデュナメスがGN粒子を散布しながら、フリーフォックスの基地に帰還していった。

 

「真也…(…ありがとう真也、来てくれて)」

 

アンジュは心の中で真也にお礼を言い、立ち去っていく様子を見届けた。

 

その際にヒルダとロザリー、そしてクリスの3人は何故か思い当たる表情をしていた。

 

「(リコって…まさか)」

 

「(トラビス…、どこかで聞いたような)」

 

「(あの声…まさかジョージ?)」

 

っと何故か思い当たる表情をするヒルダ達に当然リコとトラビスとジョージの3人は気づかずにいた。

そしてサリアは…。

 

「指令…」

 

『今は泳がせて置く、だがいざと言う時は…』

 

「はい、なんとかします」

 

っとジルと極秘通信で話すサリアは一体何をするのかまだわからなかった。

 




考えてる最中なんですが、一応真也とアンジュ以外のキャラのカップルの成立はこの様に考えています。

ソルトとサリア

リコとヒルダ

ラッセルとエルシャ

トラビスとロザリー

ジョージとクリス

このメンバーです、ヴィヴィアンの方はまだありませんが、少なからずフリーフォックスの者たちじゃありません。


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第10話 嵐の前触れ

真也達が出撃してアンジュ達を危機から救い出した後、そのままフリーフォックス基地に帰投する中で、真也は少々心の中で悩んでいたことがあった。

 

「(…勢いでドラゴン達を倒しちまったが、どうしよう…相手は…)」

 

っとそう考えていると、ソルト達から通信が入る。

 

「真也、さっきの戦闘の事なんだが」

 

「え? あ、ああ…どうした?」

 

「もう少し武装を付けてもらいたいんだ。スナイパーライフル一丁じゃあ物足りない」

 

「こっちもだ、シザーシールドじゃあダメだぜ、遠距離武器がちょっと欲しいぜ」

 

ソルトとリコから武器の追加の要望が来て、それに真也は少しばかり考える。

 

「(う~ん…そうだな、GNスナイパーライフルは遠距離からの攻撃は強いけど、近距離じゃあ分が悪いからな…。それにシザーシールドは攻撃の最中に動きが止まるし、遠距離武器がないと不便だ…)」

 

そう考えて、真也はうなづいてソルト達に言う。

 

「分かった。帰ったらすぐにデュナメスとグシオンリベイクフルシティの武装追加を作るよ」

 

「済まない真也、面倒をかける」

 

「少なからず帰ったら俺らも開発に付き合うぜ」

 

「止めといた方が良いと思うよ」

 

っとジョージの言葉にリコは反応する。

 

「なんでだよ?」

 

「リコ不器用だし、それに脳筋ですぐドジるって事」

 

「おいひでぇぞ!ジョージ!?」

 

ジョージの言葉に傷つくリコ、そんな中でトラビスは少し考えていて、その時にラッセルが話しかける。

 

「どうしたのトラビス、珍しく考えてるなんて」

 

「いや、今回の出撃した際に、あの場に妙に知っている人物を感じていたんだ。それをどこかで…」

 

「えっ?(知ってる事物…そう言えば僕も何か…)」

 

トラビスの言葉にラッセルは耳を傾き、それにリコとジョージも思わず振り向く。

 

「おお、実は俺も妙に感じたんだよな?」

 

「俺も、でもなんでだろう?」

 

その事を聞いた真也は少しばかり考えていた。

 

「(知っている人物? どういう事だ…俺の知っている原作はちょっとかけ離れているぞ? 少しばかりジークと相談をしてみよう)」

 

っとそう思いつつ、真也達はフリーフォックス基地へと帰投するのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてアルゼナルの方では、大型ドラゴンを真也達が撃退したの関わらず、皆への今回の戦闘配給が行われたのだ。

 

「うひょお~~!こんな大金!夢みたいだ!」

 

「ゆ…夢じゃないよ!」

 

「でも不思議ね。今回私たちは見ていただけなのに、こんなに支給されるなんて」

 

「何かラッキーだったね!」

 

ロザリー達は山積みにされたキャッシュを見て顔を綻ばせ、エルシャとヴィヴィアンは大金が貰えた事に呟いていた。

サリアの方は真也達の事を考えていて、アンジュが問う。

 

「どうしたのよ」

 

「…ねえ、どうして彼らが駆けつけてくれたか分かる?」

 

「…さあね、私もわからないわ。ただ言えることは、助けに来てくれた、ただそれだけね」

 

少しばかり誤魔化しを言うアンジュの言葉を聞いたサリアは少しばかり考え、そして「そう」と言っただけで済ます。

 

そしてコホンッと咳払いするサリアはヒルダ達にある事を言う。

 

「どう?大金もって満足? 今回は異例の事態も含めて色々あったけれど私達はこのチームでやっていかなくちゃいけない。アンジュを後ろから狙うの…もうやめなさい。

そしてアンジュも報酬独り占めやめなさい。アンタは放っておいても稼げるんだから。これは隊長命令よ」

 

「へっ、誰もアンタの言う事なんか聞きやしないって『良いわよ別に』!?」

 

「私の足さえ引っ張らなければね」

 

っとアンジュは予想外に肯定する。

 

「私も良い…かな。今回はあの未確認機に助けられたし…」

 

いつも隠れがちなクリスがそう言う。

 

「ま、まぁ~…アタシはしばらく金がある内は…良いかな」

 

クリスに釣られるようにロザリーも続けて言う。

 

「アンタ達何言いくるめられてるのよ!?」

 

「そ、そういうワケじゃないけど…」

 

「チッ…! 納得行かねえ! 暫く1人になる!」

 

納得できないのかそう言って立ち去っていくヒルダ。

 

「ヒルダ…」

 

「ロザリー、どうしよう」

 

「まあまあ、暫く1人にさせておきましょう。それじゃあ!私たちはアンジュちゃんを連れて行きましょうか!」

 

「えっ?どこへ!?」

 

アンジュは行き先も分からないままエルシャに連れられて、サリア達もその後を行くのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてフリーフォックスの基地では、真也はすぐにソルトとリコの追加武器『GNピストル』と『120mmロングレンジライフル』を開発し、デュナメスとグシオンリベイクフルシティの戦力増強させた。

 

その後に真也はジークに今日の事を話し、それにジークは少しばかり考える。

 

『ふむ…、第一中隊の中に知り合いが居る…か』

 

「ああ、まだ確証はないんだけど、これが本当なら俺の知っている原作はまたかなり違ってくる。どういう事だ?」

 

『真也、お前はソーン達を仲間にし、そして多くのノーマの子供達を救い、そして育てて来た。だとすると何かしらこの世界バランスが変わり、彼女達の中にソルト達の知り合いが居ても不思議ではない。お前も同様に』

 

「じゃあ…、俺はあのエンブリヲ同様にこの世界に影響を与えてしまっていると?」

 

『考えられない話しではないからな』

 

ジークの言葉を聞いて、信也は少しばかり考え込み、そして頭を悩ませるのだった。

 

そんな中でソルトは外で精密射撃の訓練をし、6マイルの海面に浮かばせている的を狙っていた。

スナイパーライフルを構えながら距離と風、大気の気温と湿度を計算しながら狙いを定めて、引きがねを引いて撃つ。

 

 

バァァァァン!!

 

 

ソルトが撃った的は綺麗に的のど真ん中に当たり、ソルトはそれを確認した後立ち上がり、潮風に当たりながら夜空を見てある事を考える。

 

「(…なあ、こんな世界に今でも何処かに居るか? 俺は何時までもお前の事を思っているぞ…サリア(・・・))」

 

っとソルトは第一中隊の隊長であるサリアの事を思いながらライフルを持ってその場から去って基地の中に戻って行くのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてまた別の場所では…。

 

「ふぅ…、なかなか良いものだな」

 

ある男は片手に紅茶を持って、一口飲んだ後にテーブルの上に置く。

 

「一度蘇ると中々面白い事が分かる。以前の事を覚えているし、更にあの力も使える。なかなか面白いものだ、おまけに『楽しい玩具』も手に入ったしな」

 

っとそう言いながらその男は立ち上がって窓の外をみる。

 

「そろそろ気ばなしは済んだし、楽しみも終えた。そろそろ迎えに行くとするか…、待っていてくれよ…『アンジュ(・・・)』」

 

っとその男は振り向きながら歩き出して、その部屋を立ち去って行く。

だがその部屋には意識を失い、大勢の少女達の姿がそこに捨てられたかのように生まれた姿で倒れていた。

 

そうしたのが、先ほどの男、『エンブリヲ』が卑劣な事をして、彼女達を貪りつくしたのだった。

 



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第11話 動き出す運命

真也達のガンダム出撃から数日後、真也はフリーフォックスの基地の最下層である艦の最終点検を行っていた。

 

「よし、後はこの艦の最大の武器であるあれを…」

 

『ここに居たか真也』

 

っと真也は後ろを振り向くと、そこにはジークと真也を探していたソーン達もいた。

それに真也は作業を止めて、ジークとソーン達の方を向く。

 

「よう皆、どうしたんだ」

 

「どうしたんじゃないぜ真也、最近姿が見えないと思ったらこんな所にいたのか」

 

「それよりも真也、それが真也が言っていた例のやつ?」

 

ラッセルが真也が作っている『戦艦』見て言い、それに真也はうなづいて言う。

 

「ああ、これが俺が言っていた例のやつで、機動戦艦及び強襲揚陸艦である『ネェル・アーガマ』だ!」

 

真也が手を差し伸べる先にある白き戦艦、ネェル・アーガマは建造されたばかりの輝き出していて、それにリコは思わず口笛を吹く。

 

「♪~、すげぇえ! こんな艇は見たことないぜ!」

 

「当然だ、こいつは戦艦で、普通の艇じゃないんだ。折角だ、中も見てみるか?」

 

そう言って真也はソーン達をネェル・アーガマの中に案内させる、ソーンたちはまず真也に案内されて格納庫へと着いた。

格納庫の中は見た目よりかなり大きく、MSを25機から30機ぐらい入る大きさのものだった。

 

「すごい!中は広いんだ!」

 

「ああ、ある技術を使って中は圧縮空間にしていてな、かなり広く設計しているんだ。更に居住区画も多めに作ってあって、万が一の時の為にこの艦の入れる人数を1000人位入れる様にしている」

 

「1000人!? そんなに入るのか!?」

 

「元々この艦は400人位まで入れる艦だからな。それくらいじゃないとダメだ。さっ、次は動力室へ案内してやる」

 

そう言って真也はソーン達を動力室へと案内し、通路を進んで行くと奥に厳重そうな扉を見つける。

真也はその扉の横にあるパネルを操作して、それにその扉は開いて真也は入っていく。

 

ソーン達は入っていくと、前方にガラス張りの通路が動力炉の周りを囲んでおり、通路の至る所にコンソールが置かれていあった。

真也がソーン達の方に向き、動力炉の説明をする。

 

「此処にある動力炉は全て俺がオリジナルで組み込んだ物が数多くある。まず核融合炉が2期、これはメインエンジンの出力を主に使う為に使用する、それには莫大な出力を必要とする。

次にエネルギー供給はGNドライブを3期使用している、これは知っての通りGNドライブは半永久的なエネルギーを持っていて、電気や主砲のビームの供給を主にする、これがあればエネルギーは問題ない。

そして最後に戦艦用のエイハブリアクターが2期、これはこの艦の重力を発生させて、急激な加速や空中へのバレルロールを制御する為に使用している、またこれは宇宙に行ってもそのまま重力を得られる事が出来る」

 

「えっ?宇宙? なんで宇宙が出てくるの?」

 

ソーンの言葉に真也はちゃんと説明をする。

 

「宇宙は地上とは違って重力が無い、俺たちはこの星の重力を受けているから何も問題ない、しかし慣れてない者がいきなり宇宙に行っても無重力の影響で生活はかなり困難になる。

そこでこのエイハブリアクターを使えば擬似重力を発生させることが出来て、宇宙での生活を快適にしてくれる。

もちろん、エイハブリアクターを使えばエネルギーも問題なく使えるが、そっちはGNドライブを使うため、こっちは重力担当を行ってもらうんだ。動力はかなり贅沢なものばかりだぜ」

 

真也は「どうだ!」と胸を張り、それにソーン達は感心し、ジョージはそれを見て呟く。

 

「まあ動力は分かったけどさ、他はどうなの?」

 

「ああ、他の所はこの基地と同じだが、ブリーフィングルームや量産生産室、洗濯場やゴミ処理施設、必要なものはなんでも揃っている」

 

「へぇ~、じゃあ仮にこの基地が襲われてダメになったとしても、この艦で逃げれば問題ないって事だね?」

 

「その通り! 万が一の時はこれが俺たちの新しい基地であるフリーフォックスの旗艦でもあるのだ」

 

ラッセルの言葉に真也はうなづきながら言い、それを納得した時であった。

 

『真也!真也大変!!』

 

っと突如メリルが通信端末に連絡をしてきて、それに真也は見て繋ぐ。

 

「どうしたメリル、そんなに慌てて」

 

『すぐに司令室まで来て!早く!皆も!!』

 

メリルの慌てる様子に真也達は表情を変えて、すぐに作戦司令室へとむかうのだった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

作戦司令室へとやってきた真也達はメリルが慌てている様子にソーンが声をかける。

 

「メリル!一体どうしたの?!」

 

「じ!実はね! さっきアルゼナルから通信が入ってきて…!」

 

「アルゼナルから…?!」

 

メリルの言葉に真也は思わず目を細め、メリルの指差す方に真也は見ると、赤い点灯が光っていて、それに真也は無線機を取る。

 

「こちらはフリーフォックスのリーダー、星野真也だ」

 

『繋がったようだ』

 

「お前は…ジル」

 

『よく覚えていたな。星野真也』

 

無線に出てきたのはなんとアルゼナルの司令官であるジルだった、ジルが出てきたことにソーンたちは思わず表情が変わり、真也は警戒しながら問う。

 

「どうやってこの基地の周波数を…」

 

『以前我々がそっちに来た際にサリアにここの位置情報を調べてもらった。それで後はこちらの努力次第と言う事だ』

 

っとサリアの言葉が出てきた際にソルトは思わず目を大きく開く。

 

そんな中で、真也はジルが通信してきた理由を問う。

 

「それで、アルゼナルの司令官がこっちに通信して来る目的はなんだ?」

 

『こちらで大変な事態が起きた、出来ればこちらに来て欲しい。それだけだ』

 

「なんだって? どうしてだ」

 

『…アンジュ、いや…一名を除き、アンジュを含めた第一中隊が連れ去られた』

 

っとジルの言った言葉に真也たちは驚く表情をするのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

真也達がガンダムでアルゼナルの方に向かっており、真也達はジルが言った言葉に耳を疑いを持ちながら進んでいた。

 

そしてジークが真也のエクストリームガンダムの同乗しており、センサーにある島をキャッチする。

 

『真也、あの島だ』

 

ジークの言葉に真也はある方を見ると、ある軍事施設の島が見えてくる。

 

そこがノーマ達に隔離場でもあり、軍事施設もある『アルゼナル』であった。

 

「あれがアルゼナルか…」

 

「フリーフォックスの基地より虚しい場所だな」

 

ソルトとリコがそう呟き、トラビスとジョージは思いつめた表情をしながらアルゼナルを見つめる。

その様子をラッセルが見ていて、真也に通信を入れながら問う。

 

「ねえ真也、ソルトたち…」

 

「わかってる。だが今は別の事に集中だ」

 

そう言って真也たちがガンダム達をアルゼナル上部へと向かい、その広場には大勢のノーマたちが集まっていて。その近くにジルとジャスミン、マギーにメイの四人が前に出ていた。

 

真也達はガンダムを皆の前にゆっくりと着陸させて、地面に足を付く。

コクピットを開き、タラップで降りてきて、ジル達の前に歩み寄る。

 

そしてジルは一歩前に出て、真也の前に立つ。

 

「ようこそ、アルゼナルへ」

 

「…それで状況は?」

 

「それについては司令室で話そう。付いてこい」

 

そう言ってジルは振り向いて歩き出し、ジャスミン達もジルの後について行く。それに真也は目線を細めながらジークに言う。

 

「ジーク、ガンダムを頼む。だれも近づかせるな」

 

『分かった、任せろ』

 

真也の命令に従うジークはガンダムの側に待機して、真也達はそのままジル達の後についていくのだった。

 

そして司令室へと到着した真也達はジルと向かい合わせとなり、ジルは椅子に座りながらタバコを吸う。

一服した後に真也達に状況を説明する。

 

「アンジュたちが連れ去られたのは昨日のマーメイドフェスタの日だった」

 

 

 

 

アルゼナルの休日の日である『マーメイドフェスタ』、その日にアンジュは休日を楽しんでいる中で、アンジュがサリア達とあるくじ引きを引いていた。

 

「これを取ればボーナスが出るって本当なのよね!」

 

「ええ間違いないわ、さっき確認したから」

 

「おっしゃ!これを取ったら確実に儲かるぜ!」

 

ロザリーが気合いを入れながらくじ引きを引き、それに釣られるようにクリスもくじ引きを引く。

 

エルシャもくじ引きを引いて、アンジュとサリアも残ったくじ引きを引くと、アンジュにくじ引きが当たった。

 

「やった!」

 

「くっそ!!またアンジュかよ!?」

 

「アンジュ強いよ」

 

ロザリーとクリスはそう言って悔しそうに見ていたが、すぐに諦めてまたの機会にと心の中で誓った。

 

「…随分と楽しんでんな」

 

っとロザリーとクリスが後ろを振り向くと、パラソルの下で椅子に座りながらジュースを飲んでいるヒルダの姿があった。

 

「ヒルダ!」

 

「ねえ!一緒にお祭り回ろう!」

 

「嫌だね、今はそんな気分じゃねえ」

 

ヒルダはそう拒絶してジュースを飲む。

アンジュは少しばかり警戒する目をするも、すぐにもう1人の隊員がいない事に気づく。

 

「あれ?ヴィヴィアンは?」

 

「そう言えばヴィヴィちゃんは何処いったんだろう?」

 

「ヴィヴィアンはあちこちの屋台に行ってるわ。あの子食べ物には滅法弱いから」

 

サリアの言葉に呆れるアンジュは近くの椅子に座ってくつろぐ。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

アンジュは呼ばれた方を見ると、モモカが何やら食べ物を持ってやって来て、

それにアンジュは身体を起こしてモモカの方を見る。

 

「モモカ、どうしたの?」

 

「とても美味しい物を見つけましたので、アンジュリーゼ様に食べて貰うと!」

 

モモカはアンジュに売店で見つけたりんご飴を渡し、それを受け取るアンジュ。

 

「へぇ…美味しそうじゃない」

 

アンジュがりんご飴を食べようとする。

 

っがその時。

 

 

「そんな汚いものを食べてはいけないよ。アンジュ」

 

 

「っ!!?」

 

突然の声にアンジュは思わず後ろを振り向く。

するとそこに、金色の髪をした男、エンブリヲが立っていて。それにアンジュだけじゃなくサリア達も驚いていた。

 

「誰!?」

 

「どっから湧き出ててきた!?」

 

「おや、丁度いい、君たちも一緒に来てもらうよ」

 

そう言ってエンブリヲは人指を差し出すと同時にアンジュ達の意識は失い、その場で倒れ込んでしまう。

 

エンブリヲはアンジュの方を見て微笑みながら見る。

 

「さて、アンジュ…ようやく迎えにこられたよ『あれ?皆何寝てるの?』ん?」

 

エンブリヲは後ろを振り向くと、ヴィヴィアンがたこ焼きの箱を持って食べながらやって来たのだった。

 

「あれ?おじさん誰?」

 

「やれやれ、おじさんと呼ばれるとはな。まあ仕方ない、君から見ればおじさんだろうしね。私はエンブリヲ、以後お見知りおきを『エンブリヲ!!!!』ん?」

 

またしても別の声に反応して、エンブリヲは振り向くと、そこにはリボルバーを構えて水着を来たジルがいた。

 

「貴様!!!」

 

「おやおや、懐かしいな…《アレクトラ》、だが私は忙しいのでな、また会おう」

 

そう言ってエンブリヲはアンジュたちを連れてその場から消えていった。

消えたアンジュ達とエンブリヲを見たヴィヴィアンは驚き。ジルは拳を握り締めながら叫ぶ。

 

「エンブリヲオオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

 

 

 

「…と言う事だ。連れ去られたのはアンジュ、サリア、ヒルダ、エルシャ、ロザリー、クリスの6名だ」

 

ジルは昨日の出来事を全て真也達に話し、それに真也は少しばかり表情を鋭くしていた。

 

「(エンブリヲ…、奴が動き出したというのか…。くそ…原作より早い。しかもアンジュだけじゃなくサリア達まで連れ去るとはな…)」

 

真也がエンブリヲの事を考えていると、ソルトが前に出てジルに問う。

 

「なあ、なんでサリアが連れされてしまうんだよ?」

 

「ん? 何故貴様がサリアの事を知っている。サリアとどういう関係だ?」

 

サリアの事を聞くジルに真也は思わずソルトの方を見る。

 

「俺は…あいつの幼馴染だ」

 

「何?」

 

「(っ?! ソルトがサリアの幼馴染?!)」

 

ソルトの言葉を聞いた真也は思わず驚く表情をし、ジルは目線を細めながらソルトを見る。

ジャスミン達は驚いた表情をした後に互いの顔を見合う。

 

「ソルト!それは本当か!?」

 

「ああ、本当だ真也」

 

「実はな…真也」

 

リコ達の言葉に真也は振り向き、リコ達は少し考えたあとに真也に言った。

 

「実はな…俺もそうなんだ、特にヒルダっていう奴と馴染みでな」

 

「僕もなんだ、さっき言っていたエルシャと言う子、幼馴染で…」

 

「俺もだよ真也、ロザリーは昔馴染みだ」

 

「俺も、クリスとはね、幼馴染」

 

「お!お前らもか!?」

 

リコ達の発言に驚きを隠せない真也。

そんな中でジルは真也の方を見る。

 

「仲間の事情をあまり知らなかったようだな…」

 

「皆の事はあまり聞かなかったからな」

 

「すまない真也」

 

ソルトたちは真也に謝りながら言い、それに真也は頭を横に振る。

 

「もういいよ、気にしすぎると今後の活動に影響が出るからな、ジル。アンジュたちを連れ戻して欲しんだな?」

 

「そうだ、監察官にはこちらで対処する、お前たちの今後の事の為にな」

 

そう言ってジルはタバコを吸い、それに真也は目線を細めるのだった。

 

真也達が話を終えた後に司令室から出てガンダムの元に戻る際。

 

「あっ!ねえねえ!君たち~!」

 

っと声を掛けられて、後ろを振り向くと、ヴィヴィアンが手を振って走ってくる。

 

「ねえ!君達がアンジュの助けに行く者たち?」

 

「ああ、そうだ」

 

「やっぱり!なんだかそんな気がしてたんだ! アンジュたちの事お願い!」

 

「ああ、任せろ。俺は星野真也、フリーフォックスのリーダーだ。覚えておいてくれ」

 

「うん!あたしはヴィヴィアンね!」

 

そう挨拶をした後、真也達はガンダムの元に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして真也達がガンダムの元に戻ってきて、ジークが真也達の方を向く。

 

『状況はどうなった?』

 

「救出に向かうことなった。アンジュの居場所はナノマシンが特定してくれる。乗り込むぞ」

 

そう言って真也達はガンダムに乗り込み、真也はソルト達がサリア達の事に付いて呟く。

 

「全く驚いたよ、ソルトたちが彼女たちと知り合いとはな」

 

「悪かったな真也、ヒルダは俺の妹と仲良く遊んでくれた奴だったからな」

 

「そうか…(本当に原作とは違っている…これはマジで混乱してくるぞ)」

 

そう思いながら、真也はアンジュに入れているナノマシンのGPSを探知させて、アンジュ達が何処に連れて行かれたかを特定させる。

するとアンジュの居場所が特定する。

 

『真也、アンジュの居場所が特定した。場所はミスルギ皇国だ』

 

「ミスルギ皇国…そこに向かったのか? エンブリヲめ…行くぞ!!」

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

真也達はガンダムを上昇させてミスルギ皇国へと向かわせるのであった。

 



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第12話 故郷への最後

真也達がミスルギ皇国へと向かっている中で、ミスルギ皇国では皇宮での寝室でアンジュがベットの上で寝かされていた。

そしてそこへ…。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「…っ、ぅ~…あれ?」

 

誰かの声に目を覚ましたアンジュはベットから起き上がると、そこには見え覚えのある部屋があった、そこはかつて皇女だった自分の部屋であった。

 

「ここは…」

 

「アンジュリーゼ様!気が付きました!此処はアンジュリーゼ様のお部屋です!」

 

「っ!モモカ!」

 

ベットの隣にモモカが居て、それに振り向くアンジュ。

アンジュはベットから降りて自分の姿を見ると、嘗て来ていたドレスを身に纏っていた。

 

そして窓の方を見て、暁ノ御柱を見て呟く。

 

「私…戻って来たんだ…。モモカ、私どうして此処に? それにどうしてミスルギ皇国に?」

 

「分かりません、あの男性と会った瞬間に意識が失ってしまって…」

 

っとその言葉を聞いたアンジュは思い出す、マーメイドフェスタの時にある男が現れて、その際に何故か気を失ってしまってその後の事は何も思い出せないでいた。

 

「ダメ…その後の事は思い出せない…、モモカ。サリア達は何処に?」

 

「それが私にも分からないんです、皆さん何処におられるのか…」

 

「私達なら此処に居るわよ」

 

その言葉にアンジュ達は扉の方に振り向くと、そこにはドレス姿をしたサリア達の姿があった。

 

「皆!無事だったの!」

 

「ええ、それにしてもここは一体何処なの?」

 

「私達、どこか知らない場所に来ちゃったのかな?」

 

サリアとエルシャの言葉にアンジュは答える。

 

「ここは…ミスルギ皇国よ。私の故郷」

 

「アンジュの?」

 

「ええ、でも一体誰が連れて来たのかしら…?」

 

その事をアンジュ達が考えていると…。

 

 

「私が、君達を此処へ連れて来たんだよ。特にアンジュ。君をね」

 

 

『『『っ!?』』』

 

その言葉にアンジュ達は再び後ろを振り向くと、そこにテーブルで紅茶を飲んでいる男、エンブリヲが座っていて、アンジュ達はその事に警戒していた。

 

「誰!?」

 

「おや、これは失礼。私はエンブリヲ。以後お見知りおきを」

 

そう言ってエンブリヲは紅茶を置いて立ち上がり、アンジュ達の方を向く。

そしてアンジュ達に歩み寄って来て、アンジュの方を見ながら微笑む。

 

「アンジュ…、やはり君は美しい…誰が見ても」

 

「あんた、いきなり現れておいて何口説いてるの? それ返ってダサいわよ。キモイし、ウザいし、その髪も気色悪いわ」

 

「フッ、その下品な言葉もまた美しい」

 

「って!聞いてねえしこいつ!?」

 

ロザリーは話しを聞いていないエンブリヲを見て驚き、エンブリヲはアンジュの前にひざまつき、アンジュの手を握る。

 

「いつ見ても輝かしい闘争心、そして何よりその絶対的な自信。何を取っても完璧だ」

 

「気安く触らないで!!!」

 

強引にエンブリヲの手を離すアンジュは距離を取って警戒し、モモカがアンジュに近寄る。

 

「アンジュリーゼ様!大丈夫ですか!?」

 

「平気よモモカ」

 

エンブリヲは何やら少々ため息を付きながらアンジュを見る。

 

「やれやれ…、やはり“以前と同じ”の結果だな。これは…」

 

「え?以前?」

 

アンジュはその言葉を聞いて耳を疑うも、すぐさまエンブリヲは指を鳴らす、すると近くにいた衛兵が集まって来て、アンジュ達に銃を突きつける。

 

「衛兵、アンジュ達を公表場へと連れて行け、少し皆に彼女達の痛々しい場面を見せてやるのだ。殺さん程度にな」

 

「「「はっ!」」」

 

「ちょ!離せよおい!!」

 

「離せって!!」

 

アンジュ達は抵抗するも、大人と子供、ましてや女の力では大人である男の力には勝てず、そのまま連れて行かれてしまう。

 

「全く…言う事を聞かない女は嫌いだ。アンジュ。君も少しは素直になりたまえ…」

 

エンブリヲは一息する為にテーブルの近くの椅子に座り、紅茶を一口飲んだ後に小説を読むのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

その頃、真也達がガンダムでミスルギ皇国へ向かっている中で、真也が基地に居るソーンに連絡を取っていた。

そしてソーンは真也が言った言葉に驚きを隠せない。

 

「えっ!? 僕がネェル・アーガマの指揮を!?」

 

「そうだ、お前は俺の次に指揮を任せる事が多い、俺達がアンジュ達を救出した後にネェル・アーガマでミスルギ皇国を脱出するんだ」

 

「で!でも出来るの!?」

 

「心配ない。ネェル・アーガマは少人数でも動かせるよう自動オートメーション化してある。頼めるな?」

 

その事を聞いたソーンは少しばかり考え、そして決意した表情をして真也を見る。

 

「分かったよ真也、僕がネェル・アーガマを指揮するよ!」

 

「頼むぞ、ソーン」

 

そして通信を切って、ジークが真也に問う。

 

『大丈夫なのか? ソーン達に任せても』

 

「心配ないよ、ソーン達なら出来るさ」

 

『そうか…、ん?真也、見えたぞ』

 

ジークの言葉に真也は見ると、前方に陸が見えて来て、その奥に暁ノ御柱がみえていた。

 

「皆、ミスルギ皇国だ」

 

「あそこに…、サリア達が居るのか」

 

「待ってろよ…ヒルダ。俺が助けてやるからな」

 

「エルシャ…。無事で居て」

 

「ロザリー、くたばるなよ」

 

「クリス、死んだら呪うよ」

 

それぞれ皆が意気込みを入れながら、真也達はミスルギ皇国へと入って行った。

 

ミスルギ皇国に侵入した真也達は、ガンダムを一旦森に隠し、真也はソルト達にあるブレスを渡す。

 

「真也、このブレスは何だ?」

 

「そのブレスはソルト達のガンダムを呼ぶ為のブレスだ。それがあれば何処でも呼ぶ事が出来る。それと武器も取り出す事が出来る代物だ」

 

「成程な、サンキュー真也!」

 

「おう、おしっ!ジーク。早速だが偵察に向かってくれ」

 

『任せろ』

 

そう言ってジークは皆より先に街に向かい、偵察をしに向かった。

 

そして真也達は街に入り、警戒しながら街を見渡す。

しかし街には誰一人居なかった。

 

「おい真也、ミスルギ皇国はこんなに静かなのか?」

 

「…妙だ、こんな静かなはずは…」

 

『真也!』

 

っとそこに偵察して行った筈のジークが戻って来て、真也達はジークの方を見る。

 

「どうだジーク、何か分かったか?」

 

『真也!これを見ろ! お前たちもだ!』

 

ジークはホログラフの映像を映し出し、それを真也達に見せる。

するとその映像にはアンジュ達がボロボロの服の処刑服の物を着せられ、腕を吊るされていた。そしてマナの電動車いすに乗っている少女『シルヴィア・斑鳩・ミスルギ』がムチでアンジュの身体に打ち付けて痛みつけ、それにアンジュ達が悲鳴を上げる。

 

「がぁあ!」

 

「この野蛮なノーマ!!」

 

「やめて!あなたアンジュちゃんの妹なんでしょ!?」

 

「お黙りなさい!!」

 

「きゃあ!!」

 

エルシャが止めようとした際にシルヴィアがムチを打つ付けて黙らせ、それにエルシャは悲鳴を上げる。

 

その映像を見た真也達は拳を握りしめ、そしてジークに問う。

 

「ジーク!この場所の位置は!」

 

『すぐ近くだ!』

 

「よし!ソルト!お前はビルの屋上から狙撃して援護してくれ! リコ!トラビス!俺と一緒に来てくれ! ラッセルとジョージはガンダムに乗り込んで脱出の経路を確保!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

ソルトはスナイパーライフルを取り出して近くの高いビルに行き、リコとトラビスはすぐに武器を取り出し、ラッセルとジョージはガンダムを呼ぶ。

真也はジークの方を向きながら言う。

 

「ジーク!そこに案内しろ!」

 

『了解だ!』

 

ジークはすぐに真也達をアンジュ達が居るへ向かった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そんな中でアンジュの兄である『ジュリオ・飛鳥・ミスルギ』はエンブリヲに殺すなと言われている事にイラ立ちを見せていた。

 

「(何故殺してはいけないのですか…エンブリヲ様…! もう我慢出来ません!)もういい!!その害虫共を殺せ!!まずはアンジュリーゼからだ!」

 

痺れを切らし、ジュリオが命令を下し、それに近衛兵が従い、アンジュを絞首台に送られる際に国民からは極悪非道な声援が送られて来る。送られる声援の中にはたまごをぶつける人も居て、それにはもう人間の欠片すらなかった。

サリア達はそれを見て言葉を失くす程だった。

 

「これが人間…もはや異常としか言いようがないわ」

 

そう呟くサリアにヒルダは歯を噛みしめる。

 

「お止めください!!アンジュリーゼ様に!! 他の皆さまに乱暴な事をしないでください!!」

 

モモカがその声援をやめさせようとするも、一向に収まる気配は無く、逆に声援が大きくなっていく。

 

『『『つーるーせ!つーるーせ!』』』

 

声援の中でアンジュは完全に泥沼に落ちているミスルギを見て、心の中で決意する。

 

「(これが人間とノーマとの差、何をしても無駄な結果…。ようやく目が覚めた…、こんな世界…こっちから否定してやるわ…!)」

 

っとそう決意した途端にアンジュは歌い始めて、その場にいた者達は突然の事に静まり返る。

 

「アンジュ…」

 

「それはお母様の歌!貴女の様な汚らわしい者が歌う物じゃありません!」

 

シルヴィアがそう叫ぶもアンジュは無視したまま歌い続ける。

しかし彼女の兄であるジュリオは近衛兵に目線を向き、それに頷く様にすぐさまアンジュの歌をやめさせて、強引に絞首台に首を輪を掛ける。

 

「さらばだ、アンジュリーゼ」

 

それにジュリオは手を上げて、近衛兵がレバーを引き、アンジュがその場に吊るされる。

 

「アンジュ!!」

 

「アンジュちゃん!!」

 

「アンジュリーゼ様ああああああああああああああ!!!」

 

モモカがアンジュが吊るされて叫んだその時だった。

空から閃光弾が放たれて、それに皆は思わず目がくらむ。

 

『『『っ!!』』』

 

そして森からある人物が出て来て、その隙にジュリオに向かって拳を叩き付ける。

 

ドゴッ!!!

 

「ぐはっ!!」

 

叩き付けられたジュリオはその場に倒れ、そしてすぐにアンジュの元に行き、銃を取り出してロープを撃つ。

アンジュを吊るしているロープは切れ、アンジュが落ちて行く時にその人物がアンジュを受け止める。

 

「げほっ!げほっ…!」

 

「大丈夫か!アンジュ!」

 

っとその言葉を聞いたアンジュはその人物を見ると、そこには真也の姿が居て、アンジュを受け止めていたのだった。

 

「真也!あなたどうして!?」

 

「話は後だ!さあ他の子達を助けるぞ!リコ!トラビス!!」

 

「わかってらぁ!!」

 

するとリコとトラビスがガトリングガンやライトマシンガンを持って撃ちまくりながらやって来て、ヒルダとロザリーはリコとトラビスの姿を見て驚く。

 

「っ!?リ!リコ!?」

 

「トラビス!?あんたなのか!?」

 

「ようヒルダ! やっと会えたぜ!」

 

「久しぶりだなロザリー、話はあとで聞くぜ」

 

そう言いながらトラビスはライトマシンガンを撃ちまくり、リコはガトリングガンを豪快に撃ちまくり、それに多くの国民達が悲鳴を上げながら逃げ出していた。

 

そして近衛兵が銃を構えた瞬間、ビルの屋上からソルトが狙撃して、近衛兵の頭が吹き飛ぶ。

サリア達を解放している真也は改めてソルトの腕前に感心する。

 

「やるなソルト、良い腕だ!」

 

「えっ!ソルト!?」

 

開放されたサリアは真也の言葉を聞いて驚き、そしてモモカを捕まえている近衛兵が狙撃で倒れる。

 

「アンジュリーゼ様!!」

 

「モモカ!こっち!」

 

モモカがアンジュの元に行く際、リィザはジュリオを起こしてその様子を見る。

 

「ノーマを助けるあの者達は一体…?」

 

リィザはその事を呟くと、ようやく意識を取り戻したジュリオが言う。

 

「反乱分子共だ…。昔ノーマとの共存とやらほざくバカ共が居たが…今でも存在するとは。ええ~い!ノーマに加担するテロリスト共め!」

 

ジュリオが命令を下す際に近くの輸送機が一発のビームに撃たれて爆発し、それに驚く。

それに真也達は見ると、空からZガンダムとガンダムキマリスがやって来て、Zガンダムがビームライフルを撃って来たのだ。

 

真也はそれを見て通信機を使って言う。

 

「ラッセル!ジョージ! 脱出経路は!?」

 

『確保したよ!』

 

『早くした方がいいよ。五月蠅いハエがどんどん来る』

 

っとその言葉を聞いたエルシャとクリスが驚き、それに頷いた真也はソルトに連絡する。

 

「ソルト!脱出するぞ!」

 

『分かった!真也!サリアは無事なんだろうな?』

 

「ああ、ピンピンしてるぜ」

 

そう言って真也はサリアの方を見る。

その事にサリアは唖然としていて、真也はリコとトラビスに言う。

 

「リコ!トラビス!ガンダムを呼ぶぞ!」

 

「おう!」

 

そう言ってガンダムを呼ぶ真也達、それにガンダム達は反応し、すぐに真也達の元にやって来る。

 

そして真也がガンダムに乗り込む際にアンジュが。

 

「真也待って!止めて!」

 

「あっ? 何か忘れもんか?」

 

「そうよ忘れものよ! それと銃を貸して」

 

アンジュの頼みに真也は「やれやれ」と呟きながら銃を渡し、ジュリオはアンジュを睨む。

 

「おのれアンジュリーゼ…!」

 

「感謝してるわお兄様、私の正体を暴いてくれて。ありがとうシルヴィア、薄汚い人間の本性を見せてくれて」

 

アンジュはシルヴィアに向かって冗談でもない笑みを見せ、その事にシルヴィアは思わず引く。

そしてアンジュは銃をジュリオに向けて撃ち、足を撃たれて悲鳴を上がる。

 

「ぐあああああああああ!!!」

 

「さようなら!腐った家畜の故郷よ!!」

 

そう言って真也に合図を送り、それに呆れながら真也はエクストリームガンダムを動かし、ソルト達とミスルギ皇国を脱出する。

 

足を撃たれたジュリオは苦しみながらもがいて、リィザは去って行く真也達を見つめるのであった。

 

 

 

ミスルギ皇国を脱出際、真也はジークにある事を頼む。

 

「ジーク、お前は此処に残り、今後の情報収集に当たってくれ」

 

『分かった、任せろ』

 

「ええっ!? 任せて大丈夫なの!?」

 

『心配ない。俺は隠密行動が得意なのだ』

 

そう言ってジークはコクピットから出て、足からロケット噴射で飛んで行き、ミスルギ皇国へと向かって行った。

そして真也はコクピットを閉めると、ソルトが前方にある物をキャッチする。

 

「真也、前方にある物をキャッチした」

 

ソルトの言葉に真也は前を見ると、前方にこちらへと向かって来る船がやって来る。

 

それはソーン達が動かしている戦艦、ネェル・アーガマが来たのだ。

 

「何あれ?!」

 

「あれは俺が作った機動戦闘艦、ネェル・アーガマだ」

 

「…あんた、どんだけ凄いものを作ってんのよ?」

 

っとそう呟きながら真也の事を言うアンジュ、それに真也はドヤ顔になりながらネェル・アーガマの元に行き、真也達はネェル・アーガマの格納庫へと入って行く。

そしてネェル・アーガマのブリッジで、ソーンは艦長席に座り、仲間の一人が報告する。

 

「ソーン、真也達が帰って来たよ」

 

「うん、それじゃあ即撤収! 急いで逃げよう!」

 

それに従いネェル・アーガマはすぐ反転して、アンジュ達を乗せてミスルギ皇国から脱出して行った。

 

その際にエンブリヲはその様子をミスルギの浜辺で見ていた。

 

「(何だあの船は…? この私が知らないもの…? どうやら調べる必要がありそうだ…)」

 

っとそう言って何処かへ消えて行った。

 

 



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第13話 思い人との再会

真也達がアンジュ達をミスルギ皇国から助け出してすぐにソーンに頼んでおいたネェル・アーガマで脱出し、現在海面のギリギリまで飛行しながらアルゼナルの安全ルートを通っていた。

 

そんな中でアンジュと一緒にいるモモカは真也達に渡された毛布に包まれながら静かに泣いていた。

 

「申し訳…申し訳ありません。アンジュリーゼ様…」

 

「どうしたのよモモカ、そんなに落ち込むような顔をして?」

 

「だって!私は…私は…アンジュリーゼ様の為にわざわざあの島までやって来たと言うのに…、私は…ジュリオ様にまんまと…!」

 

そう…モモカはアンジュ達が国民に吊るされながらシルヴィアにあの仕打ちを受けていた時にジュリオに騙されていた事を聞かされた。

自分が利用されていた事に気付かず、主であるアンジュや他の者達を危険な目に合わさせて仕舞った事に罪悪感を感じており、必死に頭を下げながら謝っていた。

しかしそれをアンジュは頭を横に振る。

 

「何言ってるのモモカ、お蔭でスッキリしたんだから」

 

「え?」

 

アンジュの意外な言葉にモモカは顔を上げる。

 

「私には、家族も仲間の故郷も…何にもないって分かったんだから」

 

「アンジュリーゼ様…」

 

「何もない…か」

 

っとそこへ真也がコーヒーを二つ持ちながらやって来て、それにアンジュは振り向く。

 

「何よ…?」

 

「お前、本当に何もないって感じるのか? お前はノーマだったからもう何もないって感じているだろうけど。実際はあんな仕打ちを受けてしまったが、本当は両親の故郷…守りたかったんじゃないか?」

 

「っ…それは」

 

真也のその言葉にアンジュは口を詰まら、そして少しばかり考え込む。

確かにミスルギ皇国では嫌な思いが沢山溢れてくるが、その中では父と母との暖かい思い出が沢山詰まっている。

 

それを考えるとアンジュはどうも悩み込んでしまう。

 

「っ~~~だあ~~~!!もう!考えると余計頭の中がごちゃごちゃになってくる~!」

 

「(う~ん…ちょっと言い過ぎたかな?)」

 

アンジュの様子を真也はちょっとばかり後悔し、頭をかいてるとモモカがその様子を見て。

 

「あの…、アンジュリーゼ様。そちらの方とは一体どう言う関係で?」

 

「えっ?えっと…」

 

その事にアンジュが考え込んでいると、真也がモモカの方を向いて自己紹介する。

 

「ああ、君とは初めてだったな。俺は星野真也、フリーフォックスのリーダーで、アンジュとはある任務の際に遭難して、その時に俺たちが救助したんだ」

 

「まあ!そうだったのですか! お二人はその様な関係でしたか!でなきゃ命懸けで助けに来たりしませんものね! 男勝りのアンジュリーゼ様にもようやく春が…筆頭侍女としてこんなに嬉しい事はありません」

 

「ん?(ありゃりゃ。自分の世界に入ってる)」

 

「ってそこまで行ってないわよ!!モモカ! 何を考えてるのよ!!」

 

アンジュはモモカに言いながら真也の顔に指を刺さるように突き刺しながら言う。

 

「大体こいつはそんな関係じゃないし!こんなスケベで馬鹿っぽい奴とどうして!!」

 

「おい待てこら、それはどういう意味だ?」

 

「だってそうでしょう!? さっきから私の服の間の胸とかチラチラ見てる癖に!」

 

「見てねえよ!何言ってんだお前は!!?」

 

っと真也とアンジュはその場で口喧嘩を始め、モモカはその様子をジッと見つめていた。

誰から見ればその様子は夫婦喧嘩に見えて、その様子をモモカは微笑みが出て来る。

 

そして別の場所でソーン達が見ていて、呆れながら言う。

 

「真也とアンジュ、どう見ても…」

 

「ああ、完璧に夫婦喧嘩だな」

 

「ソルト…」

 

っとその言葉にソルト達は振り向くと、そこに毛布を羽織ったサリア達が近くにいた。

 

「あなた…本当にソルトなの?」

 

「ああ、俺だよサリア」

 

そう自信に言うソルト、サリアの言葉に頷きながら言うソルト。

 

サリアはその事に目に涙を浮かばせ、そして思わずソルトに歩み寄ってもたれかかる。

 

「馬鹿…!どうしてこんな事をしてるのよ…。私の事はもう忘れていると思ってたのに…!」

 

「…俺がお前の事を忘れる筈はないだろう。たった1人の幼馴染をさ」

 

そう言ってソルトはサリアを優しく抱きしめながら言い、それにサリアは一滴の涙を流す。

そしてリコの方はヒルダと向かい合う。

 

「リコ…お前なのか?」

 

「あったり前だろう!俺が俺じゃなかったらなんだってんだよ!」

 

その事を聞いたヒルダはそれに目を大きく開き、そして右手を握り締めて、リコの腹にワンパンチを放つ。

 

ドゴッ!

 

「ゴホッ!」

 

「く!来るのが遅いんだよ…バッカ野郎!!」

 

「お…お前。いきなり腹にワンパンチかよ?」

 

リコは呆れながらヒルダを見て、ヒルダは真っ赤な顔をしながら視線を逸らす。その際に目に涙が浮かんでいたのは知るよしもない。

 

そしてラッセルはエルシャにコーヒーを渡し、それをエルシャは受け取る。

 

「ラッセル…どうしてなの? 私を…ノーマである私を助けるなんて」

 

「僕は…どうしても放って置けなかった」

 

ラッセルはエルシャの近くにある椅子に座りながら今までの事を話し、エルシャはラッセルの方を向く。

 

「僕は君を…エルシャが連れて行かれた時に他の子達を助け事にしていたけど…心の奥では君をどうしても助けたかったんだ」

 

「ラッセル…。貴方は分かっている筈でしょう?ノーマは人じゃない野蛮な者なの」

 

「僕はそう思わない!」

 

すぐに否定するかのようにラッセルは立ち上がってエルシャの両肩に手を置く。

その際に手に持っていたコーヒーを床に落とし、コーヒーが一面に広がる。

 

「君が連れて行かれて13年! 君を助ける為に家を出た! そして真也のおかげで僕はようやく君を助けられたんだ!」

 

「ラッセル…」

 

その言葉を聞いたエルシャは心の中でラッセルの想いが強く伝わる。

 

トラビスはロザリーの傷を少し見ていて、それに恥ずかしそうなロザリー。

 

「や!やっぱいいって!!あたしは平気だから!」

 

「そうも行かないって。取りあえず応急だ、リリーが此処に居ない以上は俺達が見てやる」

 

そう言ってトラビスは傷を見ながら消毒液を出して、ロザリーの足に縫って包帯を巻く。

 

「(ま、マジかよ…///)」

 

その様子をロザリーは顔を赤くしながら見ていた。

 

そしてクリスはジョージの近くに来て、ジョージはクリスの方を向く。

 

「…久しぶり、クリス」

 

「ジョージ、本当にジョージなの?」

 

「俺だよ、俺じゃなかったら何?」

 

「いや…その…」

 

クリスはその言葉に少々戸惑いながら考え込み、ジョージはそれに呆れる。

その様子をよそで口喧嘩をしてる真也とアンジュが気付いて、真也が皆に問う。

 

「おい皆、一応聞くけど、何時頃から知り合いだったんだ?」

 

「ああ、俺とサリアは8歳と4歳時くらいだな」

 

「俺も同じような物だ」

 

「僕は9歳の時、エルシャが5歳の時だったよね」

 

「俺も8歳くらいの時だ」

 

「俺は7歳の時、クリスはまだ3歳の時だったけど、よく覚えてたよね」

 

それにサリア達は頷き、それに真也は少々考える。

 

「(う~ん…、ここまで俺の知識が違ってくると、もう完全にパラレルだなおい…)」

 

真也がそう考えていると、アンジュが意外そうな表情をする。

 

「意外だわ。サリア達がそいつ等と知り合いだったなんて」

 

「貴女が知る必要無かったから、でも前来た時には居なかったけど…」

 

「それは子供たちを匿ってたからさ、ジルに見つかったら大変だからな」

 

「え!?子供たちがいるの?!」

 

エルシャは真也の言葉を聞いて驚き、それに真也は頷く。

 

「ああ、俺達フリーフォックスは各地に連れてかれるノーマの子供たちを助け出している。でも今じゃ助けるのも徐々に困難になってる」

 

「あなた達だったのね…、アルゼナルに連れて来る筈のノーマを連れて行った者達は」

 

「そうだ。俺達がノーマの自由の為に動いているんだ」

 

そうソルトは言ってサリアは納得するかしないかの表情をする。

そんな中でアンジュが真也に気になっていた事を問う。

 

「ねえ真也、一体どうして私だけじゃなくサリア達もいるって分かったの?」

 

「ああ~それな、ジルが連絡して来たんだよ」

 

「っ!ジルが!?」

 

「ああ、第一中隊が攫われたと聞いてすぐに駆けつけたんだよ」

 

その事をアンジュ達に言った真也、すると壁にある端末がなり、それに真也は向かって受話器を取る。

 

「俺だ」

 

『真也、アルゼナルのジルが連絡して来たよ』

 

「そうか、分かった、こっちの端末の映像に出してくれ」

 

『了解』

 

仲間の通信にすぐさま答え、壁にあるモニターにジルの映像が映る。

それにサリアはすぐに前に出る。

 

「ジル!」

 

『皆無事の様だな。星野真也、借りが出来たな』

 

「別に構わない。それで今そっちに向かっている所なんだが」

 

『その事だが、こちらへの帰還は変更になった』

 

ジルの言葉にサリア達は驚き、それにアンジュは問う。

 

「どうしてよ?」

 

『監察官の様子が先ほどからおかしい、さっきからアンジュ達の帰還に準備せよとの事で苛立っている。これはどうもおかしい』

 

「えっ!本当なの?!」

 

その事にサリアは驚きを隠せない。

 

『ああ、今帰れば何が起こるか分からん、よって星野真也の基地に一時預かって貰いたい』

 

「俺の所でか…、良いだろう」

 

その事に了解した真也、それにアンジュ達は真也達の方を見て、ジルはさらに言い続ける。

 

『すまない、あとこちらの事も考えて、こちらからヴィヴィアンと第一中隊のパラメイルを送る。こちらも万が一の為だ』

 

「ああ分かった、俺も受け取りの準備をするよ」

 

そう言ってジルは通信を切って、それに真也は一息をしようとした際にサリアが壁に手を置く。

 

「嘘よ…帰れるかと思ったのがまさか。私達が…私達が…」

 

サリアはそう呟くように暗くなり、それにソルトは手を置く。

 

「ドンマイとしか言いようがないな」

 

「簡単に言わないで…!」

 

その事に思わず怒鳴り声を出そうにも出せないサリア、それに真也は呆れながら見ていた。

 

「やれやれ…、ソーン、俺達は基地に帰投するぞ。ネェル・アーガマを基地に航路変更だ」

 

「了解だよ真也」

 

そう言って真也とソーンはブリッジに向かい、その様子をアンジュは見つめていた。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

進路変更をしてそのままフリーフォックスの基地へと向かっているネェル・アーガマ。

 

真也は甲板上に出て、夜空の月を見上げながら見ていた。

するとそこにアンジュがやって来る。

 

それに真也は気づく。

 

「ん?どうしたアンジュ」

 

「真也、あのね…ありがとう」

 

アンジュのお礼に真也は頭を傾げる。

 

「何をだよ?」

 

「あそこで助けに来てくれてありがとう、あそこで来てくれなかったら私…死んでた」

 

「その事か、気にすんなよアンジュ。それによりもアンジュ…お前エンブリヲに何かされなかったか?」

 

その事を聞かれるとアンジュは嫌な雰囲気へとなる。

 

「何かされたかって?! たっぷりされたわよ!手をギュッと握って来るわ口説いて来るわ!もう散々よ!」

 

「そ…そうか。でも無事であるならそれは良かったぜ、アンジュ…これは俺の予想だがアイツはまた来る可能性はあると思うぞ」

 

「ええ!?じゃあどうするのよ一体!?」

 

「心配するなアンジュ、俺がお前を護る…何があってもだ」

 

そう言って真也はアンジュの肩に手を置いて言い、それにアンジュはその言葉を聞いて思わず顔を赤くする。

 

「な!何を言ってるのよ貴方は!?バッカじゃないの!?」

 

っとそう言ってアンジュはその場を慌てて去って行き、それに真也は微笑みながら見る。

 

「(ふふふ…面白い奴だぜ本当に、アンジュ…お前は俺が必ず護る…何があってもだ)」

 

そう思いながら真也は夜空の月を再び見るのだった。

 



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第14話 束の間の一息

アルゼナルの帰投になるはずのアンジュ達をフリーフォックスの基地へと連れ帰る事になった真也達、当然その中でサリアは少々納得が行かないものの幼馴染のソルトと一緒に過ごせる為、多少我慢した。

 

そして基地へと帰投し、ネェル・アーガマの元に子供達が一斉にやって来る。

 

「「「「お帰りー!」」」」

 

「おお~、お前ら。元気に留守番やってたか?」

 

「無事に帰ってきたよ」

 

真也とソーン達は出迎えてくれた子供達とふれ合い、その様子をアンジュ以外のサリア達は唖然として見ていた。

 

「これが本来こっちに来るはずのノーマ達…」

 

「でも男の子も混じっているわ、ここはどうやらノーマとか人間とか関係なさそうね」

 

そして1人の子供がアンジュを見かける。

 

「あっ!アンジュお姉ちゃんだ!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

子供達がアンジュに向かっていき、それにアンジュが優しく迎える。

 

「久しぶり皆、元気?」

 

その様子を見たサリア達はアンジュの変化に戸惑いを感じていた。

 

「アンジュちゃん…、そんな優しい言葉をかける事が出来たの?」

 

「意外…」

 

「何よ。私だってちゃんとした言葉くらい出来るわよ」

 

その事にサリアはありえない表情をする、そこへソルトがサリアの元にやってきて、耳元で言う。

 

「ああ見えて、最初は戸惑いがあったんだが、暫く過ごした間に何かしら変化が見られた。あれがその結果だ、不思議に見えるだろう?それくらい子供達の影響もあるんだよ」

 

「…そうなんだ」

 

サリアはアンジュの方を見ながら呟き、そしてモモカはアンジュの元に近づく。

 

「アンジュリーゼ様!子供達に人気ですね!」

 

「よしてよモモカ、子供達に好かれてるだけだから」

 

そうモモカに言うアンジュ、真也は子供達に向かっていう。

 

「さあ皆! 戻ってお勉強だぞ!」

 

「「「え~!」」」

 

「もう勉強やだ~!」

 

「メリルお姉ちゃんに沢山やってきたもん!」

 

子供達のワガママに真也は呆れる。

 

「(おいおい…、これからの事を考えての事だって言うのに~…どうすんだよ)」

 

「皆~」

 

するとメリルがやって来て、子供達の所にやって来て言う。

 

「今から浜辺に行ってお遊びしましょう。気分を変えて沢山遊びましょう」

 

「「「「わーい!」」」」

 

そう言って子供達は浜辺へと向かい、それに真也は少しばかり唖然としながら固まる。

 

「…最近俺の言葉に反抗してきたな…子供達」

 

「子供達も良い年頃なの、少しは勉強ばかりじゃなく、他の事も考えないと」

 

メリルはそう言って子供達の後を追いかけ、それに真也は少々ため息をつき、その様子をアンジュが側にやって来て言う。

 

「子供達も見ない間に大きくなったわね」

 

「あったのはこの間だぞ、ちょっとしか大きくなってねぇよ」

 

そんな様子にエルシャは子供達の方を見て、何やら思いつめる表情をし、それにラッセルが問う。

 

「どうしたのエルシャ」

 

「…幸せそうね、ここの子供達。アルゼナルの子供達とは大違いだわ」

 

「そうでしょう。ここなら安全に暮らせる…、僕たちは子供達の安全の為に保護しているんだ」

 

「そう…(それを考えるとこっちは…、成長すれば戦場に出てドラゴンと戦い…そして負けたら食われる。それを考えればここにいる方が…)」

 

そう考えるエルシャにラッセルは心の中で少しばかり改心した事に嬉しさが出て来る。

そんな中でマリーがやって来て、真也に問いかける。

 

「真也、そろそろガンダムを下ろす?」

 

「ああそうだな、皆、ガンダムを下ろすの手伝ってくれ」

 

それにソルトたちはうなづいてネェル・アーガマに積んであるガンダムを下ろしに行く。

アンジュ達はそれを見学するかのように見ていた。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

アルゼナルの方では先程から監察官の様子をジルが見つめていて、監察官は大声で叫びながら怒鳴る。

 

「まだ帰ってこないの!!? さっさと連れて帰ってきなさい!!」

 

「お言葉ですが、そんな怒鳴っていては血圧が高くなります。落ちつたらどうですか?」

 

「これが落ち着いていられますか!! さっさと帰ってきてもらわないと困るのです!!」

 

それにジルはため息をつき、その場を後にして司令室に戻る。

椅子に座り、タバコを吸って一息をし、その場にいたジャスミンが言う。

 

「どうするんだい、監察官は?」

 

「どうもこうも、あの様子ではまだ収まりそうにない。もう少し様子を見る」

 

「そうかい、やれやれ…一体どうしたんだろうね監察官は」

 

「(…もしやエンブリヲか? いや…あの男がそこまでする筈はないが…)」

 

そう思いつつもジルはタバコを吸いながら今後の事を考えて行くのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして翌日のフリーフォックスの基地では、ヴィヴィアンとヴィルキスとパラメイルを詰んだ小型輸送艇が到着して、ヴィヴィアンがアンジュたちに駆け寄る。

 

「皆~!」

 

「ヴィヴィアン」

 

「ヴィヴィちゃん、心配させてごめんね」

 

「皆が無事で安心だよ! ねえねえ、ここが真也の基地なの?」

 

それにサリアが答える。

 

「ええそうよ、それよりもヴィヴィアン、あなた彼を知ってるの?」

 

「うん、アルゼナルに来た時に知り合ったんだ? ねえ真也は何処?」

 

「ここにいるぞ」

 

すると真也がやって来て、ヴィヴィアンは真也の方を振り向く。

 

「ヤホー!真也! ありがとう!皆を助けてくれて!」

 

「礼ならいいさ、それより。ようこそ俺たちの基地『フリーフォックスベース』へ」

 

「おお~!何かカッコイイ名前!!」

 

「別にかっこよくないわよ」

 

っとアンジュがつぶやく言葉に真也の耳には聞こえて、思わずイラっといた。

そしてそんな中で輸送艇に積んであるパラメイルで、聞き覚えのある声がする。

 

「おーい、こっちを下ろすの手伝って~」

 

それにアンジュたちは振り向くと、そこにはアルゼナルの整備士であるメイがいたのだ。

サリアはメイを見かけたことに駆け寄る。

 

「メイ!どうしてここに?」

 

「あたしがいないと、このパラメイルは整備出来ないし、ヴィルキスだって整備出来ないよ」

 

自分じゃないとヴィルキスやパラメイルの整備は出来ない。そう言い張るメイに少しばかり安心するサリア。

っがしかしその事にソルトがやって来ていう。

 

「それはないと思うぞ、ここには真也がいて、マリーや他の者たちが居るから、それにそれを修理した際にパラメイルの事も十分分かったしな」

 

そう言うソルトにメイは振り向く。

 

「あなた…、確かサリアの幼馴染の」

 

「ああ、また会ったな」

 

「えっ? メイ知ってるの?」

 

「うん、アルゼナルで会ったから、でも驚いたな。サリアに幼馴染が居たなんて」

 

「ええっ!それは…!」

 

サリアはメイにその事を言われ、思わず顔を赤くしてしまう。

ソルトもその事を聞かれると少々照れてしまい、顔を指でかく。

 

そして真也がその場所にやって来る。

 

「おい、そろそろこいつ等を下ろしたいんじゃないのか?」

 

「あっ!そうだった。手伝ってくれる?」

 

「いいぞ、おい整備班!こっちきて手伝ってくれ!」

 

「おう!」

 

整備班たちが真也たちの元に行き、パラメイルの積み下ろしを行った。

その様子をアンジュたちが見ていて、その際にヴィヴィアンがヒルダとロザリーとクリスがいない事に気づく。

 

「あれ?ねえ、ヒルダたちは?」

 

「ヒルダはリコと一緒にトレーニングよ、あの二人結構二人で居る事が多いわ、ロザリーはトラビスと他の者達と共に魚釣り、クリスはジョージとゲームしているわ」

 

アンジュがその事を説明して、それにヴィヴィアンは意外そうな表情をする。

 

「へぇ~!ヒルダ達が?意外だー」

 

「意外でしょ。私もびっくりよ」

 

「この事、あの三人の前では話しちゃダメよ。絶対にね」

 

「ガッテン!」

 

サリアの言葉に承知するヴィヴィアン。

 

そしてパラメイルの積み降ろしが完了して、メイがヴィルキスを見てつぶやく。

 

「さて、ここの人たちには悪いけど。ヴィルキスを直せるのはアタシだけ…頑張らなきゃ」

 

「その心配はないと思うわよ」

 

マリーがメイの言葉に思わず言い、それにメイは反応する。

 

「どうして?」

 

「この前修理した際にあちこち見たけど、こっちの方が簡単に直せる部分が多かったから、すぐに直せるわよ。こっちと比べたらね」

 

っとマリーがガンダムの方に指をさして言い、それにメイは苦笑いしながら言う。

 

「あ、あははは……た、確かに…」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてその日の夜、真也は格納庫でガンダムとパラメイルが置かれている場所にやって来て、ヴィルキスを見る。

 

「…ヴィルキス、か…」

 

「何をしてるの」

 

真也は声がした方を見ると、そこには上に毛布を羽織ってやって来るサリアが来た。

 

「ヴィルキスを見ているんだよ」

 

「そう。でもヴィルキスはあなたには関係のない筈よ」

 

「確かにな…、だがこれは普通の機体じゃない、それだけは確かだ」

 

っとその事にサリアが反応する。

 

「どういう事?」

 

「ちょっと真也、何よそれ」

 

「真也、それを知っているのか?」

 

真也とは別の声がして、サリアは振り向くとアンジュとソルトがやって来る。

 

それに真也はうなづいて言う。

 

「ああ、こいつはパラメイルとは違う機体『ラグナメイル』だ」

 

「ら、ラグナメイル?」

 

「なにそれ…、な!何よそれ!? なんで貴方がそんな事を知っているの!」

 

サリアはその事に思わず声を上げ、それに真也は言う。

 

「ああ、こいつはあのエンブリヲが作った絶対兵器だ」

 

「エンブリヲ!あいつが!?」

 

「ああ、エンブリヲがある目的のために作り、ジル達がこいつを奪う際にあるプロテクトをかけたんだ。誰も操れないように」

 

「プロテクト!?」

 

またしてもサリアは驚きの声をあげ、それにアンジュはそれに問う。

 

「真也、どうしてあなたはそれを知っているの?」

 

「俺はアイツの事を調べる際にラグナメイルの存在を知った、そしてそれを作ったのがあいつだと分かった、俺もそれを知って驚いたがな」

 

「そ!そんな…!アレ…ジルはそんな事を言ってくれてなかったわ!?」

 

サリアがそれに言うと、真也がサリアの方を見ていう。

 

「あいつはお前を巻き込みたくなかった…、だろうな、恐らく」

 

「ま、巻き込みたくない…?」

 

「あの女だ、不器用な所が多くて上手く言葉にすることが出来なかったんだろうな。だからお前の知るきつい言い方しかできないんだろうな」

 

それを聞いたサリアは真也の言葉を聞いて唖然としていた。

ジルは巻き込みたくなかった…、何故そんな事をするのか訳が分からず、それに頭の中が混乱状態だった。

 

「そんな…どうしてジルは…ジルは何も言ってくれなかったのよ?!」

 

その様子をソルトが見て、真也に問いかける。

 

「真也、それは本当なのか?」

 

「ああ、俺もエンブリヲを調べた際に確かに確認したよ。この眼でな」

 

真也の言葉を聞いたソルトはそれに思わず考え込む、するとまさかと思いながら真也に問う。

 

「おい真也、そいつがこいつを作ったんなら、何らかの制御装置があるんじゃないか? ヴィルキスを再び自らの元に戻る為に」

 

「その可能性は高い、あいつが作った機体だ。サリア、混乱中に悪いが明日メイにヴィルキスには触らないで欲しいと頼んでくれるか?」

 

「えっ、な、なんでそんな事をするの?」

 

「さっきの話を聞いてたか? こいつの制御装置を取るために作業するからお願いを頼んでるんだよ。頼むぜ?」

 

そう言って真也はある作業をするためにどこか行ってしまい、それにアンジュは思わず真也の後を追いかける。

残されたソルトとサリアはヴィルキスを見つめ、少しばかしサリアはジルの考えが分からなくなってきた。

 

そしてアンジュが真也を追いかけて問い詰める。

 

「ちょっと真也! さっきの話本当なの!?」

 

「ああ、本当だ」

 

「じゃあプロテクトはどういう物なの? あれを動かせない理由って」

 

「あれは三つの鍵が必要としているんだ。一つは皇族の血筋を持つ者、二つは皇族の指輪、そして三つは…『永遠語り』」

 

っとそのことを聞いたアンジュは驚く表情をし、真也はアンジュの方を見ていう。

 

「あいつが何のためにそんな物を組み込んだのかは分からない。だが理由もなしにそんな面倒な物を入れはしないだろう…絶対に」

 

「じゃあ…あのエンブリヲって奴は何を考えて…?」

 

「それは俺にも分からん、それを探るのも俺の役目だな、きっと」

 

そう言い残して真也はその場を去っていき、アンジュは真也の後ろ姿を見つめるのであった。

 




ちょっとばかし真相を話した真也、それにアンジュはどんな反応を見せるか。
そして真実を知ったサリアは今後どのような感じになっていくかお楽しみを


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第15話 終わりの休暇

最新話を投稿、どうか見て下さい。


アンジュ達をフリーフォックスの基地に連れて来て、約三日が過ぎた。

 

今日は真也達はアンジュ達と一緒にあるスーツのテストを行う為に船を使って海に出ていた。

アンジュ達は真也に渡されたスーツを着て、何やら違和感を感じていた。

 

「ちょっと真也、これ一体何よ?」

 

「ああ、それはお前達専用のパイロットスーツだよ」

 

「パイロットスーツ?」

 

真也が言った言葉にクリスが反応し、それに真也はうなづく。

 

「そうだ。お前達のスーツってあの肌むき出し状態のスーツだろ? それだと寒い地域や雨の場合、体温が上手く調整出来ないし、海に落ちた場合水中で窒息死になる。

そうなるとやはりしっかりとしたパイロットスーツが必要となった訳だ、因みにこれは外気の温度を一切遮断することが出来て、内部の温度調整も後ろのバックパックが調整してくれる」

 

「ええ~、でもライダースーツも結構いいよ、風に当たると結構気持ちいいし、すぐに着替えられるから」

 

「だからそれだと万が一の事を考えてのスーツなんだよ、ちゃんと聞いてたかヴィヴィアン?」

 

話しが微妙にかみ合わない様子に一緒にいるマリーやリリーが苦笑いし、共にいるメイはやや呆れる感じになる。

一方サリアはこの間の事を聞いて、ちょっとばかしモヤモヤが残っていた。それを見たソルトが問う。

 

「どうしたサリア」

 

「…何でもないわ、ごめんなさい」

 

そんな中で一応一緒にパイロットスーツを着ているソーンが真也に話しかける。

 

「真也、そろそろ始めようよ。時間が勿体無いし」

 

「ああそうだな。それじゃあ皆、ヘルメットを着けてくれ」

 

そう言って真也がヘルメットを被り、ソーンも同じようにヘルメットを被り、ソルト達とアンジュ達もヘルメット被って準備を終える。

 

「それじゃあまずはメットのバイザーを下ろす、メットの横にあるボタンがあるから、それを押すんだ」

 

真也がまず手本にヘルメットの横にあるボタンを下ろし、ヘルメットのバイザーが下りる。

それを見たアンジュ達が同じようにボタンを押し、バイザーが下りる。それに続いてソーンとソルト達も同じようにメットのバイザーを下ろす。

 

「よし、それじゃあ皆。俺の後についてきてくれ」

 

皆にそう言って真也は先に海の中へ入る。

それを見たソーン達は顔を合わせると、アンジュが一足先に向かう。

 

「お先に」

 

アンジュが海の中へと入り、その次にヴィヴィアンが続く。

 

「やっほ~!」

 

「待ってヴィヴィちゃん」

 

エルシャが続いて海に入り、サリアとヒルダ、ロザリーとクリスが続く。

 

「ちょおい!!」

 

出遅れた男性陣は慌てて入っていく。

そして全員海の中へと入って、皆はパイロットスーツの性能を存分に感じていた。

 

「信じられない…、海の中だって言うのに、全然水が入ってこない上に寒くも冷たくもない」

 

「驚いただろうアンジュ、それがあれば万が一パラメイルが海に落っこちても溺れたりはしないぜ」

 

「しかし真也、俺達にの機体には機密性がしっかりしているはずなんだが、どうして必要なんだ?」

 

ガンダムの機密性に問いかけるトラビスに真也は答える。

 

「ああ、それはコクピットのシートに固定する為だよ。一応ベルトはあるんだけどそれだけだ被弾した際にベルトがちぎれて飛ばされる可能性がある。それを考えてのスーツなんだ」

 

「なるほどな…」

 

それを聞いたソルトは納得し、ソーンはスーツの計測を確認し、真也に伝える。

 

「真也、スーツの状態問題ないよ」

 

「よし、それじゃあ上がるとするか」

 

そして真也達は海から上がり、船に乗るとマリーがやって来る。

 

「真也!大変だよ!」

 

「ん?どうしたんだ慌てて?」

 

「実はね!さっきジークから連絡があったの!」

 

「ジークから!?」

 

それを聞いた真也はすぐに通信機へと向かい、上がってきたソーン達は顔を合わせる。

真也は通信機を取って、すぐに返答をする。

 

「こちら真也!」

 

『真也か、ジークだ』

 

「お前今状況はどうなんだ? そっちで何かあったか?」

 

『ああ、聞いてくれ真也』

 

真也はジークの無線からある情報を聞く。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ジークが真也達と別れたあと、独自にミスルギ皇国の情報を探っていた。

 

皇国の皇宮に忍び込んだジークがその様子を探っていると、とある部屋である声が聞こえてきて、その部屋を見る。

そこにはジュリオとリィザが話し合っていた。

 

「あの者達の行方はまだ掴めないのか?!」

 

「どうか落ち着いてください閣下、それにつきましてはもう調べてあります。あの筆頭侍女のマナを探知した結果、その場所は各国の海との中心にある島だと判明しました」

 

「そうか!!ならすぐに部隊を向かわせるのだ!!すぐに!」

 

「ですがどうやってですか?」

 

その事をリィザが問いかけ、それにジュリオが堂々とした態度で言う。

 

「実はな!先ほどエンブリヲ様から“コレクション”を渡されて、それを使っていいと言われた!それを使ってあの忌々しいテロリスト共を根絶やしにするのだ!」

 

「…分かりました、では行きましょう」

 

そう言ってジュリオ達はその部屋を出ていき、隠れているジークがゆっくりと姿を現す。

 

『…まずいぞ、この事をすぐに真也に伝えなくてはな』

 

すぐさまジークは皇宮から出て、安全な場所で真也に通信を入れたのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ジークの話を聞いた真也は心の中で驚きながらも目を細める。

 

「ジーク、それは本当か?」

 

『ああ間違いない、もうじきそっちに到着するはずだ。急いだほうがいいぞ』

 

「分かった、ジーク、お前もそこを脱出してこっちに戻ってきてくれ」

 

『分かった』

 

真也は通信を切ってため息をつく。

その様子をアンジュ達はそれを見つめていて、ソーンは真也に近づく。

 

「どうなの真也?」

 

「…まずい事になったぞ。皆、至急島に戻り、ネェル・アーガマに荷物を詰め込め! 急いでだ!」

 

「えっ?どういう事?」

 

ソーン達は真也の突如言い出した言葉が理解出来ず、アンジュ達もその事に理解できずにいて、アンジュが問う。

 

「一体どうしたのよ?」

 

「ミスルギ皇国の連中にこの島がバレた!すぐにこの島を脱出する!」

 

っとその事を聞いたソーンたちは驚きの表情をするのだった。

 

 

そして基地に戻り、真也達はすぐさまネェル・アーガマに自分たちの荷物を詰め込み。エクストリームガンダム以外のガンダムやパラメイルも急いでネェル・アーガマへと運ぶ。

急いでる中でアンジュが真也に島の位置がバレたかを聞く。

 

「どうしてここがバレたのよ!?」

 

「どうもモモカちゃんのマナの位置情報を見つけられてしまったようだ。この島で唯一マナを持ってるのはあの子だけだからな」

 

「ええっ!?モモカの!?」

 

その事に驚きを隠せないアンジュ、モモカはまさか自分と言われた事に驚いて戸惑いを隠せなかった。

 

すると基地の警報音が鳴り響き、それに真也達は振り向く。

 

「なんだ!」

 

《警告!基地から約100キロの距離に艦隊が接近中、警告!基地から約100キロの距離に艦隊が接近中》

 

「まずいぞ、いくらこの基地の強力な装甲版でも艦隊の砲撃やミサイル攻撃を喰らい続けると持たない。皆!急いで積み込め!」

 

真也は皆に急がすように言い、皆は残りの荷物を急いで詰め込む。

そんな中でヴィヴィアンはソーンにこの基地の防衛機能はあるか聞く。

 

「ねえ、この基地って守りはどうなってるの?」

 

「それがまだ全然設置してなくて、防御面だけしかなかったんだ。真也はそれを付けるかどうか考えていたんだけど」

 

「それに間に合わずにこの有様って事、真也君も頑張っていたんだけど」

 

ソーンとメリルがそう言って、ヴィヴィアンは何やら難しそうな表情をし、真也がソーンたちに言う。

 

「おいソーン!メリル! 積み終えたらすぐに発進するから皆を頼む!」

 

「真也はどうするの?」

 

「俺はネェル・アーガマの退路を確保する!」

 

そう言って真也はエクストリームガンダムを乗り込み、エクストリームガンダムを起動させる。

真也は基地の中を見てつぶやく。

 

「案外、短かったな…ここでの生活は」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ミスルギ艦隊を率いる旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗り込んでいるジュリオは到着するのを楽しみにしていた。

 

「早く到着しろ…、あの者達をこの手で八つ裂きにするのが楽しみだ…!」

 

「…」

 

それを聞いていたリィザは黙りながら様子を見ていて。ジュリオの態度を見守る。

 

そして島の近づいた時にクルーの兵士1人が島に起きている状況を報告をする。

 

「陛下!島に大規模なエネルギー活動を確認! 何やら動いている模様です!」

 

「ほう、それは面白い、こちらの動きを察知して今頃動きてるのか、なんとも脆い奴らだ」

 

ジュリオはそう言いながらマイクを取って各艦隊に放送を流す。

 

「こちら旗艦エンペラージュリオ一世より各艦へ、敵は我々の動きを察知して反撃の様子見ている。こちらにとてチャンスである!テロリスト共を決して生かすでないない!全艦攻撃開始!!」

 

ジュリオの命令と同時に全艦隊からミサイルが発射されて、島全体にミサイルが着弾する。

島の装甲版がある程度持ったが半分は爆破して崩れてしまい、外壁が剥がれ、装甲版がむき出しとなった、その際にそこから一発のビームが飛び出て、艦隊の一隻に直撃する。

 

その艦は火花を散らしながら爆散し、それを見たジュリオは驚いてしまう。

 

「な!何が起きた!?」

 

「分かりません!!」

 

「いや!何か来ます!!」

 

その言葉にジュリオは前を見ると、島から一機のガンダムが出て来る。

 

それは真也が乗るエクストリームガンダムであった。

 

「全く、撃ち放題と撃ってくれた物だ。しかしあの様子じゃあ何時崩壊してもおかしくないな、皆!今の内に脱出だ!!」

 

真也の言葉にソーン達を乗せたネェル・アーガマは基地から脱出し、潜航しながら逃げて行く。

因みにネェル・アーガマにはバラストタンクが内蔵されていて、潜航が可能である。

 

その隙に真也がヴァリアブルガンを構える中で、今エクストリームガンダムが使えるフェースを見ていた。

 

「こいつの今使えるフェーズはあるか…?」

 

エクストリームガンダムのフェーズを確かめていると、今使えるフェーズは『エクリプスフェーズ』と言う物が在った。

 

「よし!こいつが使えるぞ!!」

 

それに決めた真也はすぐにエクリプスフェーズのボタンを押す。

 

「フェーズアップ!」

 

すると両肩とサイドアーマーに粒子が集まり、その粒子が形成し、両肩にショルダーアーマー付きのビームキャノン『ブラスター・カノン』、姿勢制御のサイドアーマーが取り付けられる。

そしてヴァリアブルガンが少し大型になり『ヴァリアブル・サイコ・ライフル』が二丁握られる。

 

そして構えて旗艦のすぐ目の前の海を狙う。

 

「大波に飲まれな!」

 

引きがねを引いたヴァリアブル・サイコ・ライフルから強烈なエネルギー砲が放たれ、エンペラージュリオ一世の前の海に直撃し、巨大な波が発生する。

ジュリオはそれに驚きながらリィザに抱き付く。

 

「うわあああああああああああ!!」

 

そのままエンペラージュリオ一世は大波に飲まれて体制を崩し、艦隊も大波に飲まれて体制を見出してしまった。

真也はそれを見てチャンスと見た。

 

「よし!それじゃあな!」

 

反転したエクストリームガンダムはバーニアを全開にして、ネェル・アーガマの後を追いかけて行った。

 

何とか体制を取り戻したエンペラージュリオ一世は逃げて行ったガンダムを見て、ジュリオは悔しそうな表情をする。

 

「くぅ~~!!おのれ~!!!」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてその後、何とかネェル・アーガマに合流した真也、その際に通信でジルに起きた事を話した。

 

『何?それは本当なのか?』

 

「ああ、いよいよ動き始めたって所だな」

 

『…アンジュ達は無事なのか?』

 

「無事だ、何とかな」

 

『そうか…、だが幸いにこちらの方は監察官の様子が元に戻り、一体何が起きたのか何一つ覚えていない』

 

その事を聞いた真也は頭を傾げる。

 

「それ本当か?」

 

『ああ、だから何一つ覚えてない間にアンジュ達をこちらに戻して貰いたい、頼むぞ』

 

「ああ、分かったよ」

 

そう言って真也は通信を切る。

そこにアンジュ達がやって来る。

 

「真也。私達…アルゼナルに戻るの?」

 

「ああ、だが一応用心しておかないとな。ジルが子供たちを見つけたら間違いなくアルゼナルに強引に引き入れるだろう、それだけは何としても阻止しないとな」

 

「でもそれどうやって「私が何とかするわ」えっ?サリア」

 

っとアンジュが喋っている時にサリアがその事を言い出して、それに真也は意外そうな表情をする。

 

「意外だな。お前がそんな事を言い出すなんて?」

 

「ジルが私にヴィルキスの事を何一つ教えてくれなかった…そんなジルに私は少しばかり疑問が持っているの、だから私はジルに直接聞く。それに貴方にヴィルキスの秘密を教えてくれたお礼として、子供達は内緒にしておく」

 

「サリア、お前…」

 

ソルトはサリアの変わり風を見て唖然とし、サリアはソルトの方を見る。

 

「私だって、変わるわよ…あんな話を聞いたらね」

 

「そうか…ありがとうサリア」

 

真也はサリアに礼を言い、サリアは「いいわよ、別に」と言いながらソルトを連れてその場を去って行く。

そしてアンジュは真也の元に近づき、今後の事を聞く。

 

「真也…あなた達はこれからどうするの?」

 

「どうするって、基地は失ったもののネェル・アーガマは移動基地と一緒みたいな物だ。それにこいつには武装はかなりあるから攻撃の際には何とかなる、だが…」

 

「どうしたの?」

 

「子供達をあまり危険な目に合わせるわけには行かない。それを考えないと行けないな…」

 

っとそう言って真也は近くの椅子に座り、今後の事を考えるのであった。

 

 

 

そしてミスルギ皇国では、ジュリオがエンブリヲにさっき起きた事を話して、それを聞いたエンブリヲは目を細める。

 

「それは本当かい?」

 

「はい!間違いありません!」

 

エンブリヲはそれに考えるそぶりをし、その後にジュリオに礼を言う。

 

「ありがとう、もういいよ」

 

「はい!」

 

ジュリオはその場を離れて行き、エンブリヲは窓の外を見る。

 

「(…私の知る機体とは全く異なる機体、気になるな…一体何者なのだ?)」

 

っと考え込むエンブリヲであった。

 



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第16話 突如の襲来

お待たせしました。

オリジナルの部分が追加されます。


ミスルギ艦隊の襲撃を受け、すぐさま脱出した真也達はアンジュ達をアルゼナルに送り届ける事にし、アルゼナルへと向かった。

 

その間、サリアはメイにアルゼナルではネェル・アーガマにいる子供達の事をジルに内緒にするよう頼む。

それにメイは驚きを隠せない。

 

「い!いいのサリア!? 仮にもジルにだよ!それを内緒にするなんて!」

 

「分かってる。でもジルが何を隠しているかわからないんだもの。だからそれを知るまでは子供たちを内緒にして、お願い」

 

「さ、サリア…」

 

メイはサリアの言葉を聞いて唖然とし、サリアはその場を後にする。

その際にサリアはついさっき、真也にヴィルキスに付いてあるプロテクトの事を聞いて思い出していた。

 

《ヴィルキスに付いてあるプロテクトか? それは三つある》

 

《三つ?》

 

《ああ、一つは皇族の血筋、二つは皇族の指輪、最後に三つ目は永久語りだ、これはアンジュがあいつの母親から教えて貰った物らしい、それ等がないと動かせない》

 

《…じゃあ仮に指輪を持ったとしても?》

 

《無理だろうな、特にヴィルキスはかなりデリケートで細かい機体だからな。指輪だけじゃあ動かせなかっただろう》

 

その事を思い出すサリアは歩きながら思う。

 

「(ジルはそのプロテクトの事を私に一切話さなかった、ヴィルキスを私にくれると言った筈がアンジュに渡した。ジル…一体貴女は何を考えてるの…?)」

 

っとそう思いながら廊下を歩いていた。

 

そして真也の部屋にはジョージがやって来て、キマリスの機体の追加装備に付いて聞かされていた。

 

「コイツの武装追加?」

 

「うん、やっぱりこいつには接近戦だけじゃなく、遠距離の武装も必要だって事が分かった、だからライフル頂戴」

 

「そうか…、じゃあ大型ランスを元にした『GNランス』はどうだ?」

 

「えっ?そんなのあるの?」

 

ジョージはそれを問い、真也はそれにうなづいて言う。

 

「ああ、GNランスは文字通りGN粒子を必要とするが、粒子カートリッジで使うなら全く問題ない。ライフルの装弾数は威力の高い単発で70発くらい、威力は弱まるが連射が高いものだと800くらいかな」

 

「それいいね、じゃあお願い」

 

「分かった、じゃあ作っておくよ」

 

そう言ってジョージはうなづいて去っていき、真也はパソコンの方を向きながらデータを見る。

 

「そろそろトラビスとラッセルの機体にも追加武装を入れたほうがいいかな? ラッセルは機動性を生かした武装を追加したりとか、トラビスには接近戦の為にビームサーベルを追加したりとか…」

 

真也がそう考えていると、ソーンが端末で通信してきた。

 

『真也、そろそろアルゼナルに着くよ』

 

「おっ、もう着いたか。分かった」

 

そう言って真也は部屋を、ブリッジへと向かった。

 

そしてアルゼナルの横にネェル・アーガマがゆっくりと着水し、その様子をアルゼナルのノーマ達は見に来ていた。

当然窓からは見えないが、そこからクルーの皆もアルゼナルのノーマを見ていた。

 

真也達はアンジュ達を連れてアルゼナルに向かい、そこにジル達がやって来る。

 

「よく戻った」

 

「ただ今戻りました、指令」

 

サリアが前に出て敬礼をし、それにジルも敬礼をする。そして真也の方を向く。

 

「よく来た、すまなかったな」

 

「いやいい、それよりもそっちは大丈夫なのか?」

 

「ああ、監察官はまだ何が起きたか混乱中で状況が飲み込みていない、だが丁度いい時期に戻ったから安心した」

 

それを聞いた真也はそう納得し、アンジュは真也の方を見る。

 

そんな中でサリアはジルの方を見つめていて、それにジルは気づく。

 

「どうしたサリア?」

 

「…何でもありません」

 

サリアはそう言い残してその場を去っていき、それにジルは何やら異変を感じ取って真也の方を向く。

 

「サリアはどうしたのだ」

 

「さあな、それは自分で聞いてみてくれ」

 

そう言った真也はネェル・アーガマに戻って、ソーン達も真也の後を追いかけていく。

 

その様子をジルは全くわからなかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして数日が経って、真也はジョージに粒子カートリッジ式のGNランスを渡して、徐々に皆の機体のアップグレートを行っていた。

ある日、アルゼナルの司令室で本を読んでいるパメラ、編物をしているヒカル、爪の手入れをしているオリビアは時間が空いている時にそれをしていた時であった。

 

ヒカルが担当するレーダーに何かをキャッチした。

 

「これは…シンギュラー反応です!」

 

「場所は?」

 

ジルが出現地を特定しろと命令を言い、それにパメラが急いで特定する。

 

「それが…アルゼナル上空です!」

 

何と出現場所はアルゼナル上空、そしてアルゼナルの上空にゲートが出現し、そこから大量のドラゴン達が現れる。

 

「スクーナー級、数は…20…45…70…120…、数特定不能!」

 

「電話もなっていないのにどうして?!」

 

エマが司令室に到着して、電話が鳴らなかった事に疑問を感じていた。しかし今はそんな事を考えてる場合ではない。

ジルはするに基地全体放送で、アルゼナルの皆に言う。

 

「こちらは司令官のジルだ、総員第一戦闘態勢を発令、シンギュラーが基地直上に展開、大量のドラゴンが効果接近中だ。パラメイル第二、第三中隊全機出撃。総員白兵戦準備、対空火器重火器の使用を許可する、総力を持ってドラゴンを撃破せよ」

 

っとそれを聞いたエマが思わずそれに抗議する。

 

「そんな!全員出たらアルゼナルは誰が護るのですか!?」

 

っとヒカルがエマにライフルを投げ渡し、それに思わず受け取って唖然とする。

 

ネェル・アーガマでもアルゼナルの放送を流せるようにしていて、それを聞いた真也は目を細める。

 

「(遂に来たか…、しかし俺達がどこまで介入していいのか判らないが、取り敢えず行くか)」

 

そう思いながら向かう。

 

そしてアルゼナルの対空火器が展開して上空に居るドラゴンを撃ち落として行く。

 

ネェル・アーガマもそれに加わるように対空機関砲を起動させてドラゴンを撃ち落とそうとしていく。

 

しかし数が多いのか一向に数が減って行かない。そして一体のドラゴンが司令室へと向かって行き、そのまま突っ込んでいく。

 

パメラとヒカルは慌てて離れて行き、ドラゴンは司令室へと突っ込んだ。

 

「ひっ!!」

 

エマは怯えながら後ずさりをするも、ドラゴンは吠えた時に瞳のハイライトが消えて、マシンガンを構える。

 

「悪い奴…死んじゃえ!!」

 

そのままマシンガンを撃ちまくり、辺り構わずばらまいていく。それもその筈今の彼女は意識が飛んで行ってしまって暴走している状態なのだ。

それにジルはエマに手刀で首を打ち、気絶させて、マグナムを構えドラゴンの頭部に撃ちこみ、それによりドラゴンはそのまま絶命する。

 

すぐさまパメラがコンソールを調べる。

 

「司令!通信機とレーダーが!」

 

「…現時刻を持って司令部を破棄、以降通信は臨時司令部にて行う」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

一方アンジュ達第一中隊はカタパルトデッキでドラゴン達をライフルで撃退していた。

 

「もう…なんで出撃出来ないのよ」

 

「一応ジルがそう言った、仕方ないけど…ジル、一体何考えてるの?」

 

「珍しいねぇ、隊長殿がそんな事を言うなんてさ」

 

ヒルダがサリアが言った言葉に反応し、それにサリアはヒルダの方を向く。

 

「私だって不満をこぼす時だってあるわ」

 

ヒルダは「へぇ~」と言ってサリアの方を見て、その様子をクリスが見ていう。

 

「皆、今はなんとかドラゴンを落とそうよ、でも大分減って来たみたい」

 

「エレノア隊とベティ隊に感謝ね」

 

クリスとエルシャが第二中隊と第三中隊に感謝し、しかしロザリーはその逆だった。

 

「アタシ等の分も稼ぎやがって!」

 

っとその時に歌が聞こえて来る。

 

 

『♪~♪~♪』

 

 

「「「っ??」」」

 

そしてドラゴン達が突如アルゼナルから離れて行く光景が目にして、それにヴィヴィアンが指をさす。

 

「あれ? 逃げるよ?」

 

「…歌?」

 

アンジュがその事につぶやく。

 

そして真也達はパイロットスーツに着替えてガンダムに乗り込もうとした際にその歌が聞こえてくる。

 

「っ、この歌は」

 

そして上空に居るドラゴン達はゲートの回りを飛び回ると、そのゲートから三機のパラメイルがゆっくりと降下してきた。

その内の一機の紅いパラメイルはヴィルキスと同じ間接部が金色のパラメイルであり、そこから歌が流れていた。

 

その光景を臨時司令部にいるジルが双眼鏡で見ていた。

 

「パラメイルだと…、っ!?」

 

っとその時ジルの目にある物が映った。

 

三機のパラメイルが降下してきたゲートに更にもう一機が降下してきたのだ、その機体は通常の機体より大きく、その大きさは真也達が乗るMSと全く同じ、いや、そっくりだった。

それは真也達が乗る『ガンダムエピオン』がパラメイル達とドラゴン達の共にいるからである。

 

「あの機体は…!」

 

同じ様にアルゼナルの上空で戦っている中隊の隊長のエレノアもその機体に目を奪われる。

 

「何こいつ? 何処の機体?」

 

皆が見ていると、その一体の機体がいきなり金色の染まり始め、そしてその両肩が露出展開し、そこから光学兵器が発射されてそれにエレノアを含め第二中隊と第三中隊の数名を含むメンバーは消し炭へとなっていた。

それを見たネェル・アーガマにいるソーンが驚いて皆に言う。

 

「まずい!急速回避!!」

 

それに慌てて仲間達が舵を切り、ネェル・アーガマはすぐさま回避する。

中隊を消し去った光学兵器はそのままアルゼナルに直撃し、強烈な光が包み込む。

 

そして静まり返り、アンジュ達は身体を起こし立ち上がらせると目の前に驚きの光景を目にする。

そこには半分ほど削られたアルゼナルを目にした。それをチャンスとしたドラゴン達は一斉に向かって行った。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

謎のパラメイルの光学兵器の攻撃で、戦場の戦況は変わり始めていた。

 

「第二中隊全滅! 第三中隊!隊長と部下四名以下ロスト!」

 

パメラの報告を聞いたジルはすぐさま次の指示を出す。

 

「残存部隊を後退!第一中隊のサリア達に集約。サリア達を出せ!」

 

「了解!」

 

パメラはすぐに通信し、ジルは上空のパラメイルを見ながら思った。

 

「(あの武装…まさかな…)」

 

そして格納庫内でドラゴンと戦っているサリア達に命令が下る。

 

「了解! 皆!パラメイルに騎乗!」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

サリア達が自分達のパラメイルに搭乗し、そしてサリア達のパラメイルはデッキへと上げる。その時にジルからサリアに通信が来る。

 

『サリア、もう説明しなくても分かってるな?』

 

「はい、わかっています」

 

『よし、アンジュ。あの敵はお前しか倒せない、分かったな?』

 

「分かったわ」

 

そう言って通信を切り、アンジュはサリアの方を向く。

 

「私が直接行くけど、良いかしら?」

 

「構わないわ、あと真也達にも連絡しておくわ」

 

「ありがとうサリア、それじゃあ行きます!」

 

アンジュ達はすぐさま出撃していき、その際にサリアは真也達に連絡を入れる。

 

そして真也達も揺れが収まったの見て、すぐさまガンダムに乗り込み、丁度そこへサリアから連絡が来る。

 

「ん?どうしたサリア」

 

『真也、ちょっと大変な状況が起きたわ』

 

「大変な状況? なんだ」

 

真也はその事を聞くと、サリアは少し間を開けて答える。

 

『あなた達と同じ機体…、ガンダムが出たからよ』

 

「っ!?何!?」

 

その事を聞いた真也は驚き、それを聞いていたソルト達も驚いていた。

 

そして上空では生き残っていたパラメイル残存隊がドラゴンの攻撃から必死に逃げまくっていた。

内の一体がドラゴンに追われていた。

 

「うわあああああああああああ!!!」

 

っとその時に味方が来てくれて難を逃れる、第一中隊のアンジュ達がドラゴン達に向けてマシンガンを撃つ。

 

「皆!一度下がって補給を!」

 

「ここはアタシ等が引き受けたなり~!」

 

エルシャとヴィヴィアンが残存隊にそう言って、その部隊は頷きながら撤退して行く。

臨時司令部では発進したのをパメラが確認する。

 

「第一中隊、出撃しました!」

 

「よし…」

 

ジルはパメラの報告を聞いて、無線機を取り話す。

 

「アンジュ、聞こえているな? お前の敵はあの所属不明機のパラメイルだ、未知の大出力破壊を搭載している。注意してかかれ」

 

『了解』

 

そう言って通信を切るアンジュ。

 

「何度も言わなくても分かってるわよ!」

 

同時にネェル・アーガマから発進した真也達はその方向を見ると、確かにガンダムエピオンがドラゴン達とパラメイル達と共に居ることに驚く。

 

「た!確かにあれはガンダムだ!」

 

「僕たちと同じ機体が他にもあるなんて!」

 

そんな中で真也はガンダムエピオンを見て唖然としていた。

 

「(あれはガンダムエピオン! どうしてあの機体がここに!? どういう事だ…!?)ソルト!トラビス!お前らはネェル・アーガマを守れ!リコ達はアルゼナルの安全確保だ!」

 

「おい真也!お前はどうするんだ!」

 

「俺はあのガンダム所に行って迎え撃つ!」

 

そう言って真也はエクストリームガンダムを加速させて、ガンダムエピオンの元に向かう。

 

そしてアンジュはドラゴンとパラメイル側にいるガンダムを見て、疑問を持ちながら見ていた。

 

「どうして真也達の機体がドラゴン達と共にいる訳? まあいいわ、さ~てやりましょうか!」

 

っと言った途端にアンジュの横を真也のエクストリームガンダムが通り過ぎて行き、それにアンジュは思わず見る。

 

「真也!?」

 

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

真也がエクストリームガンダムのビームサーベルを抜き構え、それを対抗しようとガンダムエピオンが右腰に付いている『ビームソード』を抜き、スラスターを点火させてエクストリームガンダムに向かっていく。

そしてエクストリームガンダムとガンダムエピオンがビームサーベルとビームソードをぶつけ合って、激しいスパークが飛び散る。

 

その様子をアンジュは思わず見る。

 

「凄い…、おっと!見ている場合じゃないわね!」

 

そう言ってアンジュはヴィルキスをフライトモードからアサルトモードへと変形させて、不明機へと突っ込んで行く。

不明機もそれに対し右腕のブレードを展開し、ヴィルキスに向かって行き、交互しながら飛んで周り、剣を切り合ったり、ライフルを使って行った。

 

「スゲェぇぇ!」

 

その様子を見たヴィヴィアンは声を出していい、サリアはそれに目を細めて見る。

 

そしてアンジュはその不明機を蹴り飛ばして、不明機は距離を取り、歌を歌いだす。

 

「♪~♪」

 

その機体の色は赤色から金色へと変わる。それにアンジュは気づく。

 

「これは…」

 

それは永遠語りと似ていて、それにアンジュは同じように歌いだす。

 

「♪~♪」

 

するとヴィルキスの色が金色に変化して両肩が露出展開し、隣で戦っていた真也と、臨時司令部のジルも目にする。

 

「あれは…!」

 

ヴィルキスと不明機から光学兵器が発射されて、同時にぶつけ合う。

そして強烈な光が包まれて行き、その光は戦っているエクストリームガンダムとガンダムエピオンに巻き込む。

光が止むと真也とアンジュが目を開けると不思議な空間へと居た。

 

『偽りの民が、何故『真なる星歌』を?』

 

すると目の前に不明機が現れて、そしてその不明機からコクピットが開かれて人が現る。

それにアンジュは目を開かせる。その姿は人と同じであり、年齢もアンジュと全く変わらない。

 

アンジュはそれに負けずに出て来て、その女性と対面する。

 

「あなたこそ何者!? その歌は何!!」

 

真也がそれを見た時にガンダムエピオンが出て来る。

 

『相変わらず、真っ直ぐな所は変わらないな。真也』

 

するとガンダムエピオンのコクピットが開き、そこから一人の男性が出て来る。

真也はその男性を見て驚きの表情をする。

 

その男性は真也と同じ日本人であり、年齢も同じくらいで髪も肩くらいある男性であったのだ。

 

「こ!『小林 武尊(こばやし たける)』!?」

 

その男性、武尊の姿を見た真也は信じられない表情をして、思わずコクピットから出る。

 

「武尊!!お前どうしてそこにいるんだ!?」

 

「えっ?」

 

その事を聞いたアンジュは思わず真也の方を見る。

 

っとその時その女性からの機体にある警報がなり、そして武尊の方を見る。

 

「武尊、時間です」

 

「分かったよ、『サラ』」

 

そう言って武尊はコクピットに入り、サラと呼ばれた女性もコクピットに入る。

その様子に真也とアンジュはそれに慌てて言う。

 

「お!おい武尊!!」

 

「ちょっと!!」

 

『また会おう真也、待ってるぜ』

 

『真実は『アウラ』と共に』

 

そう言いってガンダムエピオンその機体は残りの機体とドラゴン達と共にゲートの先へと消えていった。

 

去っていった様子を見て、アンジュは真也に問う。

 

「真也、さっきの知ってるの?」

 

「…ああ、さっきの男…俺の幼馴染だ」

 

「ええっ?!」

 

それを聞いたアンジュは思わず驚く表情をする。

 

同時に臨時司令部でも…。

 

「なるほど、最後の鍵は歌か…」

 

っと煙草をくわえ、火をつけるジルはそう呟く。

 

そしてサリアもまたその様子を見て感じた。

 

「(あれがヴィルキスの真の力…、真也の言う通りだったわ…。ジル…貴女はこれをアンジュが使いこなせると思って渡したの? じゃあ私は一体何だったのよ。嘘つき)」

 

サリアは心の中でジルの嘘に心に残ってしまうのだった。

 



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第17話 真相の日

ある場所に無数の島が浮いていて、その場所に社交場の様な丸くて大きなテーブルが置いてあった、その場所に各国の首相達が集まっていて。

彼らの回りにはアルゼナルを襲撃しているドラゴンの映像が映し出されていた。

 

「まさかドラゴンが自ら攻めて来るとは…」

 

「それにこのパラメイル、まさかドラゴンを引き連れて?」

 

一人の首相の目に映る映像にはあの不明機が映し出されていた。

 

「シンギュラーの管理はミスルギ皇家のお役目、ジュリオ…いえ陛下。ご説明を」

 

女性の首相がジュリオにシンギュラーの発生に付いて聞いてきた。

しかしジュリオは頭を傾げながら言う。

 

「それが…暁ノ御柱には起動した形跡が全くないのです」

 

「馬鹿な!あり得ん。なにかの間違いだ!」

 

肥満な首相がジュリオの説明に納得が行かない事に拳をテーブルに叩き付ける。

 

「直ちにアルゼナルを再建し、力を増強せねば」

 

「だが、そうも簡単に行かんのだ」

 

っと年老いた首相がマナで次の映像を映し出す。すると光学兵器を発射するヴィルキスの映像が映し出された。

 

「この機体…まさか!」

 

「ヴィルキスだ」

 

それにはジュリオを含め各国の首相達は言葉を詰まらせていた。

 

「前の反乱の時に破壊された筈では?」

 

「アルゼナルの管理はローゼンブルム王家の役目。何故放置していた?」

 

それにはローゼンブルム王家の首相は表情を歪めながら黙る。

 

「監察官からは異常なしと報告を受けていた…」

 

「まんまとノーマにあしらわれていたと言う事か、無能め」

 

そう肥満体の首相は腕を組んで呟く。

 

「そしてその襲撃の最中、こんな物を見つけたのだ」

 

っと一人の首相がマナで新たな映像を映し出す。それはエクストリームガンダム、ガンダムデュナメス、ガンダムグシオンリベイクフルシティ、Zガンダム、ヴェルデバスターガンダム、ガンダムキマリス、そしてネェル・アーガマの姿もあった。

 

「なんだこれは? 他のパラメイルとは比べものにならないほど大きいぞ?」

 

「うわっ!!! こ!こいつだ!!!」

 

1人の首領が言ってる中でジュリオは思わず椅子から落ちて、怯えながらエクストリームガンダムに指をさす。

 

「こ!この私の顔に殴りつけ傷をつけた奴だ!!! どどどど!どうして!!」

 

「落ち着け!今はそんな事を知った事ではない。この機体に一体何があると言うのだ!」

 

「落ち着きなさい、今はどう世界を守って行くかを話し合うべき時ではない筈では?」

 

女性の首相が皆にそう言い聞かせ、一人の首相が言う。

 

「ノーマが使えない以上、私達人類が戦うしかないのでしょうか?」

 

っとその事に各国の首相達は思わず戸惑いの声が上がる、そして木の裏で聞いていた一人の男性…エンブリヲが立ち上がる。

 

「やれやれ…、全く」

 

「え、エンブリヲ様?」

 

一人の首領がエンブリヲの方を見て言い、エンブリヲは呆れた様子で髪を指でなぞる様に回す。

 

「本当にどうしようもないな…、しかし、これは面白い」

 

エンブリヲは映し出されているエクストリームガンダム達、ネェル・アーガマを見る。

 

「(これがこの前見たあれか…、それにこの機体…なにやら“別の力”を感じるな…)」

 

エンブリヲはエクストリームガンダムを見て、何やら力を感じていた。

 

「エ、エンブリヲ様、どうしますか? ヴィルキスがある以上アルゼナルを再建させる訳には…」

 

「なら選択権は二つだ」

 

それに皆はエンブリヲに目線が行く。

 

「一、ドラゴンに全面降伏する」

 

「「「!!?」」」

 

それには思わず息を飲む首相達、エンブリヲは構わず言う。

 

「二、ドラゴンを全滅させる…」

 

「そ!そんな…!」

 

「だから…三、全ての世界を作り直す事」

 

っとそれにはジュリオが反応する。

 

「え?」

 

「全部壊してリセットする、害虫を殺し土を入れ替える。正常な世界に」

 

エンブリヲは肩にのって来た小鳥をなでながら言う。

 

「壊して作り直す…、そんな事が可能なのですか?!」

 

ジュリオは理論上不可能の事を問いかけ、それにエンブリヲは笑みを浮かばせながら言う。

 

「可能だよ。すべてのラグナメイルとメイルライダーが揃えばね」

 

それを聞いたジュリオは思わず立ち上がる。

 

「素晴らしい!!やりましょう!! そもそも間違っていたのです!いまいましいノーマと言う存在も!奴らを使わねばならないこの世界も!」

 

「馬鹿め!今までの文明を捨てろと言うのか!?」

 

他の首相が反対意見を出すも、それをジュリオは問う。

 

「他に策がありますか?」

 

っとその事に皆は口が止まってしまう。

 

「他に…どうする事もないな」

 

その様子を見てエンブリヲは笑みを浮かばせ、ジュリオを呼ぶ。

呼ばれたジュリオはエンブリヲからある物を渡される。

 

「これはこの前渡したコレクションの中でも最高級の物を動かす鍵だ、前に言ったが扱いには十分気を付けてくれたまえ、期待しているよ」

 

「お任せ下さい!エンブリヲ様!!」

 

ジュリオはそう言い、エンブリヲと他の首相達は消えていき、そしてジュリオはマナを解いてミスルギの部屋へと戻っていた。

 

「出るぞリィザ!」

 

リィザと共に出るジュリオ、彼等はアルゼナルに向かい、忌々しいノーマを消しに向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてアルゼナルでは損害が大きかった外壁はどうにもならず、そのままの状態だった。

その場所でジャスミンがドラゴンの死体を大きな穴に落としていく。格納庫ではメイが必死にパラメイルの修理を当たっていて、医務室ではマギーは負傷者の手当てをしていた。

 

そんな中でネェル・アーガマの自室で真也は先ほどの戦闘で幼馴染の武尊と再会した事に混乱していた。

 

「(どういう事だよ一体、なんであそこに武尊がいたんだ…? これはもしや管理者が送ってきたからか? いや…まだわからん…、こればかりはジークが戻ってこない事には)」

 

真也がその事を考えていると、ソーンが通信端末で連絡してくる。

 

『真也、ジークが戻ってきたよ』

 

「何!? よし!丁度いい! 今どこだ!?」

 

『え? 今格納庫だけど…』

 

「よし!」

 

それを聞いた真也はすぐに向かう、格納庫では皆がジークの帰投に賑わっていた。

 

「ジーク!ようやく帰ってきたか!」

 

「寂しかったよ~!」

 

『皆すまない、それにしても基地が壊されるとはな、これは予想外だったな』

 

っとそこに真也が大急ぎでやって来て、それに皆は真也の方を見る。

 

「真也?」

 

『真也、今戻ったぞ』

 

「ジーク!!今すぐ話したいことがある! こっちだ!!」

 

そう言って真也はジークを連れて行った。その様子を皆はただ唖然としていた。

 

そして真也がジークを自室に連れて、ジークも突然の事に困惑していた。

 

『真也! 一体どうしたのだ?』

 

「ジーク!今から俺が言うことにすぐに答えてくれ!頼む!」

 

『む?一体何がどうしたのだ?』

 

ジークは真也の様子がどうも変だと気づき、真也が話しかけてくる事に聞いていた。

そしてアルゼナルに襲ってきたドラゴン、そして例の機体、ガンダムエピオンがいた事、最大の疑問である武尊の事を聞いて、ジークは暫し驚きを隠せなかった。

 

『なんと…!それは本当か!?』

 

「ああ、俺もあいつの姿を見て驚いたよ、しかし何故武尊がここに? なんであっちのアウラの民と一緒にいるんだ?管理者がここに呼んだのか?」

 

『うむ…、恐らく管理者が呼んだのだろうな。エンブリヲのまだ知らぬ能力に少々焦りもあるのだろう』

 

「そんなまさか」

 

真也はその事を考えていると、通信端末から連絡が来る。

それに真也は出る。

 

「どうした?」

 

『真也、さっきアルゼナルからドラゴンの生き残りが居たって言う連絡が』

 

「なんだと? まさか…!ソーン!俺達もすぐに向かう! 準備しておけ」

 

『えっ? う、うん』

 

真也の言葉にソーンは了解し、通信を切る。

 

「ジーク、すぐに俺たちも向かおう」

 

『分かった、戻ってきて色々と混乱状態だな』

 

そう言って真也とジークは部屋を出て、ソーン達と一緒にアルゼナルの方に向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

それはかれこれ数分ほど前になる、部屋で寝ていたヴィヴィアン。

っと寝ているハンモックが急に落ちて、それに痛がる。

 

「いった~い、落ちてる~?何で…?うわ!寝過ごシング!」

 

ヴィヴィアンは慌てて皆の所に向かう、っがその時に自分の目線が高い事に気が付く。

 

「何か…背が伸びた気がする? 成長期かな?」

 

しかしその時に自分の身体に異変が起きている事にまだ気が付いていない。

そこにエマが通り過ぎて、ヴィヴィアンは気づく。

 

「あ!エマ監察官だ! おーい!」

 

「っ!? え!エマ監察官だーー!!!」

 

悲鳴を上げながらエマはそのまま気を失い、慌ててヴィヴィアンは駆け寄る。

 

「うわ!大丈夫…って!うわ!」

 

ヴィヴィアンは自分の手を見て驚く、それは全く自分の手じゃない何かの手だった。

 

「何じゃこりゃ?! …うえ!」

 

っとヴィヴィアンは目の前にあった鏡を見て驚く。今のヴィヴィアンは人ではなく『ドラゴン』だったからだ。

 

「これあたし~!!?」

 

「なに?今の」

 

偶然に近くに居たパメラ達が駆け寄り、ドラゴン態のヴィヴィアンを見て悲鳴を上げる。

 

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

「うわ~~~!!!」

 

ヴィヴィアンも慌ててその場を離れて行き、パメラがすぐに無線で基地内に知らせた。

 

『総員!第一種戦闘態勢!ドラゴンです!基地内にドラゴンの生き残りです!!』

 

その放送を聞きつけ、皆はすぐに準備をし、サリアが部隊の皆に命令をする。

 

「ロザリーとクリスは居住区を捜索、ヒルダとエルシャは捜索して」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

「私はアンジュと一緒に各区を捜索するから、他の皆は警備に当たって、そう言えばヴィヴィアンは?」

 

「それが部屋にも居なくて…」

 

エルシャがその事を言い、そこへアンジュが到着する。

 

「アンジュ、遅かったわね」

 

「待たせたわね」

 

「じゃあ皆、行くわよ」

 

それに皆は頷き、それぞれ捜索に当たる。

アンジュと共に行動するサリアは、先ほどジルと話し合っていた事を聞く。

 

「アンジュ、ジルに何を聞かされたの?」

 

「え? えっと~…あの司令官の素性とかヴィルキスの事とか、あとリベルタスの事とか…」

 

「っ!(アレクトラ…、貴女は重要事項の事をアンジュに…)」

 

サリアは更にジルの行動に警戒心が強まってきて、彼女との間に亀裂が生まれた。

 

その頃ドラゴンとなっていたヴィヴィアンは何とか食堂の方に逃げ切っていた。

 

『はぁ~お腹空いた~…、う~…何でこんな事に?』

 

すると厨房からなにやら良いによいがし、それにヴィヴィアンはつられて行く。

目の先には土鍋にカレーが入れてあった。

 

『やっぱりカレーだ~! いっただっきま~す!』

 

っが土鍋を持った瞬間につぶれてしまい、それにヴィヴィアンは頭を傾げる。

 

『あれ? どうなってるの? あっアタシ今この状態だった』

 

「見つけた!!」

 

っとある声が聞こえ、ヴィヴィアンは振り向くとそこにヒルダとエルシャがライフルを持って構えていた。

 

「『ヒルダ!エルシャ!!』クワアアアアア!!」

 

ヒルダ達がドラゴン態のヴィヴィアンに向かってライフルを撃ち、それに慌てて逃げるヴィヴィアン。

 

『うわ~~~!!』

 

「チッ!」

 

「追うわよ!!」

 

ヒルダ達はすぐさま後を追いかけ、外へ逃げたドラゴン態のヴィヴィアンは丁度アルゼナル上部に出て来たアンジュ達と出会う。

アンジュとサリアはドラゴンを見つけてライフルを構える。

 

その時にドラゴン態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュは聞いた事歌だった。

 

「これは…」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと行く。

サリアはアンジュが歌いだしたのを見て、様子を見ていた。

 

そしてそこへ真也達が到着して、ソルトたちがライフルを構えると真也がそれを止める。

 

「待て」

 

「ん?真也?」

 

っとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

ヒルダ達がライフルを構えた瞬間、アンジュがヒルダ達の足もとを撃ち、それに思わずロザリーは驚いてしまう。

 

「うわっ!! 何すんだよお前!!」

 

アンジュは歌い続け、そのままドラゴン態のヴィヴィアンに近寄る。

 

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧状になって行った。

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってなーんだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

その時真也達は今のヴィヴィアンの姿を見ないように後ろを向く。

 

「あっ違うかドラゴンなのに人間…? あれれ…意味分かんないよ…!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は…、ヴィヴィアンだって」

 

「あ、有難う…アンジュ」

 

っとヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣きつき、後からやって来るモモカ達は今の光景に目を奪われる。

 

「アンジュリーゼ様…」

 

「どうなってるんだよ…?」

 

「今ドラゴンからヴィヴィアンが出て来た様に見えたけど」

 

そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。

 

その様子を真也達は見ていて、真也はアンジュの元に近寄り、アンジュは真也の方を見る。

 

「真也…」

 

「あのドラゴン、ヴィヴィアンだったんだな」

 

「うん…」

 

『真也』

 

ジークの言葉に真也はジークの方を見る。ジークの見る方向に真也見ると、アルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。

それ見た真也は慌ててその場から去って、ドラゴンの死体の山に行く。

 

「真也?!」

 

真也の行動を見たアンジュは、すぐさま真也の後を追いかける。

ジークも真也とアンジュの後を追いかける。

 

「ちょっと真也!?」

 

「アンジュリーゼ様!」

 

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンが真也達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「来るんじゃないよ!」

 

そう言ってジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。

 

「(くっ!間に合わなかったか…!)」

 

一歩遅かった真也は燃えている死体の近くで止まり、アンジュもその場に来て驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

そしてそこにソーン達とサリア達がやって来る。

 

「真也!…っ!?」

 

「何…これ?」

 

「ドラゴンが…人間に」

 

その光景に真也とジーク以外の皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

それにアンジュは息を飲み、再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。

っとアンジュは思わず口を抑え、真也の腕を掴み、地面に向けて嘔吐する。

 

「う!うえぇぇぇぇ!?!」

 

「アンジュ!!」

 

「アンジュリーゼ様!!」

 

真也とモモカが心配する中でアンジュの頭の中は混乱していた。

 

「私…人間を殺していた…? この手で?ねえ!真也!! 私…私…!!?」

 

アンジュは真也の腕を掴みながら何度も問い、それに真也はジルを少しばかり睨みながら見る。

 

「あんた…完全なサディストだな?」

 

「フッ、アンジュ。お前は気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが」

 

その言葉を聞いたソーン達は思わず怒りが込み上がり、そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! リベルタスなんてクソくらいよ!!!」

 

その言葉を聞いたサリアはジッとジルを睨みつけ、ジルはそれに全く反応もなくタバコを吸う。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行き、真也はその様子をジッと見つめていたのだった。

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「フフフ、『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。

 

「私は自分から名乗った事は一度もないぞ? まあ~『創造主』と言う意味であれば…正解かもしれんがな」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してエンブリヲに撃ちこむ、しかし弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…!!!」

 

「怒った顔も素敵な表情だなアレクトラ…、おっと…今の名は司令官のジルだったか…ん?」

 

エンブリヲは何かを感じ取って上を見る。

 

「来たようだ…」

 

エンブリヲの見る方向にルも同じ方を見るとマナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘──』

 

っと気を取られたジルは前を見ると、既にエンブリヲの姿はなく。それに舌打ちをしてその場から離れて行く。

その様子を真也達も見つめていて、真也がソーン達に小声で話しかける。

 

「皆、すぐにネェル・アーガマに戻って出来るだけアルゼナルの子供たちをこっちに移せ」

 

「えっ?どうして?」

 

「お前らも感じただろう、ミスルギの様子をよ」

 

っとその言葉を聞いたソーン達は気づいて、すぐさま動き始める。

その様子をサリア達が見て、すぐさま後を追う。

 

その中でアルゼナル付近の海域で、フリーフォックスの基地を襲撃してきたミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。

その艦の中でエンペラージュリオ一世に再び乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」

 



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第18話 アルゼナル脱出

ドラゴン態となったヴィヴィアンの騒動からすぐの事、突如アルゼナルに突如流されるノーマへの救援放送、その放送を聞いていたモモカは嬉しながらアンジュに言う。

 

「アンジュリーゼ様!助けです! 助けが来ましたよ!」

 

その様子を見ていたアンジュは何やら違和感を感じていて、真也はそれを見て疑問を感じていた。

 

「…そう簡単に行くか?これは…」

 

「真也。これってまさか」

 

「ああ…、アンジュ。少し耳貸せ」

 

その言葉にアンジュはうなづいて、真也に耳を貸し、小声でアンジュに言う。

 

「今からアルゼナルの子供等をネェル・アーガマに移す。お前も手伝ってくれないか?」

 

「いいけど、それ…ジル達にバレない?」

 

「そうなんだが…出来るだけの子供達をネェル・アーガマに移したい、無理ならジル達に預けるだけだ」

 

「そう上手く行くかしら…」

 

そう心配そうになるアンジュ、真也はそれを聞いて少しばかり考え、その様子を見ていたジャスミンは何やら目線を細める。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして臨時司令部でパメラ達がその放送を見ていた。

 

「耳を貸すなよ、たわ言だ」

 

っとパメラ達が振り返るとそこにジルがやって来て命令を言う。

 

「対空防御態勢!今すぐだ!」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

ジルの命令と同時にアルゼナルは対空防御態勢へと入る。

 

アルゼナルの動きを知ったミスルギ艦隊、その事を兵士はジュリオに報告する。

 

「アルゼナル、対空兵器を起動しました!」

 

「やれやれ、平和的に事を進めたかったが…、まあいい、折角エンブリヲ様から“アレ”を貰ったんだ、使うのに丁度いい」

 

ジュリオはそう言いつつマイクを取り、全艦艇に流す。

 

「旗艦エンペラージュリオ一世より全艦艇へ、たった今ノーマはこちらの救援を拒絶した。これは我々…いや全人類に対する明白は反逆である、断じて見過ごすわけには行かない、全艦攻撃開始!それと『ピードル』を出せ!!」

 

命令と同時に全艦隊からミサイルが発射されて、アルゼナルへと向かう。そして後方の大型艦のハッチが開放され、そこから“鳥の機械獣『ピードル』”の様な機体が出てきて、飛び立つ。

それにジークのレーダーが反応する。

 

『真也!北北東14キロの海上からミサイルの発射を確認した!目標はここだ!』

 

「何!?」

 

その事を聞いた真也達は驚き、その後にバルカンも吠える。

バルカンの吠える所を見たジャスミンは見る。

 

「どうやらあっちの方がいち早く気づいた様だね、坊主!小娘!来るよ!」

 

「え?」

 

モモカは何のことか分からず、真也はそれに心の中で舌打ちをする。

 

「(チッ、結局こうなるか。それと俺は坊主じゃねえぞ婆さんよ!)ほら行くぞ!」

 

真也は状況が読めていないモモカの手を握り、アンジュと一緒にアルゼナルの中へと連れて避難する。

 

そしてミサイルがアルゼナルに直撃し、あちこち爆発が起きる。その様子をネェル・アーガマも例外ではない。

 

ミサイルがネェル・アーガマに向かってきて、それを自動迎撃システムが作動し、ミサイルを撃ち落としていく。

 

アルゼナルの攻撃を受けた事に内部にいるソーン達とサリア達が見る。

 

「本当に攻撃して来やがった!」

 

「救助なんて嘘だったんだ…」

 

クリスは予想通りの事に思わず言葉を漏らす。っとそこにジルの放送が流れる。

 

『諸君…これが人間だ。人間は我々を助ける気などさらさらない上に完全に使い尽くして切り捨てるのが本心だ、よって我らは人間の監視下を離れ、反攻作戦を実行する。作戦名『リベルタス』』

 

それを聞いたソーン達は顔を見合い、サリア以外のヒルダ達も顔を見合う。

一方メイ、マギー、ジャスミンの三人はそれに表情を硬め、真也と共にいるアンジュはそれに嫌みが出て来る。

 

『共に来るものは、アルゼナルの最下層に集結せよ』

 

放送を終え、ジルは最下層へと続くエレベーターでパメラ達に向いて問う。

 

「お前たちはどうする」

 

「私達も参加します!」

 

それに二人は頷き、着いた先に何やらブリッジらしき場所に着く。

 

「いつの間にこんな…?」

 

「パメラは操縦席だ、ヒカリはレーダー席、オリビエは通信席へと座れ」

 

ジルはそう三人に命令し、ジルはすぐにサリアに通信を入れる。

 

「サリア、何がなんでもアンジュを連れて来い」

 

『…』

 

「ん?どうしたサリア、返事をしろ」

 

『…分かってるわよ、ジル』

 

インカムで聞いているサリアの様子にジルは目線を細くする。

 

そんな中でソーン達は今の状況を考える。

 

「どうする?このまま子供達をネェル・アーガマに移す?」

 

「いや、どう見てもこの様子じゃあネェル・アーガマに移すのは無理があるぜ」

 

「じゃあジルに預けるのか?」

 

「今はそうするしかないわ」

 

っとサリアが横から入ってきて、それにソーン達はサリアの方を見る。

 

「今から行って子供達を移すのは無理があるわ、ここはジルに任せましょう」

 

「でもサリアちゃん!子供達が!!」

 

その事にエルシャが言い出してきて、それにサリアが言う。

 

「エルシャ、今は我慢よ。そうするしかないわ」

 

「で、でも…」

 

「エルシャ、ここは任せようよ。ね?」

 

ラッセルがそうエルシャに言い聞かし、それにエルシャは黙ったまま静かにうなづく。

 

そして真也とアンジュはその放送を聞いて、真也はアンジュの方を見る。

 

「…平気か?アンジュ」

 

「平気よ、それよりもどうするのよアルゼナル。これじゃあ壊されるわよ」

 

その事を聞いた真也は少しばかり考える。

 

「…仕方ない。アンジュ、ジークを残すからお前はすぐにヴィルキスの所に行け、俺は外に出てガンダムで何とかする」

 

「分かったわ、行くわよモモカ!ジーク!」

 

「はい!」

 

『分かった、真也、気をつけろよ』

 

そう言ってジークはアンジュとモモカと一緒に向かい、真也はすぐに外に出て、ガンダムを呼ぶ。

 

「来い!!ガンダァァァァァム!!」

 

叫んだ際に指を鳴らし、エクストリームガンダムを呼んで乗り込み、上空に飛んでミサイルを打ち落とすのだった。

しかしその時。

 

《ビー!ビー!ビー!》

 

「っ!?」

 

警報音を聞いた真也は横を見ると、ビームがこちらに向かってきて、それをかわしてその方向を見ると。

何やら鳥の姿をした機体ピードルがこちらを狙い定めていて、それに真也は目を細める。

 

「(何だあの機体、この世界の機体じゃない。まさか…!)」

 

真也が考えていると、ピードルは真也のエクストリームガンダムに突っ込んでいき、それに真也は構えるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてアンジュ達は格納庫へと向かう際に突如後ろから銃口が向けられる。

 

「っ!?」

 

「動かないでもらいたいねアンジュ、あんたには来てもらわなければならないんでね」

 

アンジュの後ろにジャスミンがライフルを構えていて、それにジークはジャスミンの存在に気付かなかったことに驚く。

 

『馬鹿な、この私のセンサーが反応しなかっただと?』

 

「悪いね、センサーをジャミングする装置があるんだよこっちは、さあアンジュ、来な」

 

その事にアンジュは歯を噛み締める、その時足元に催涙手榴弾が転がり、催涙ガスが発生する。

 

ジャスミンはそれに思わず口を閉じて目を瞑り、バルカンもその場から逃げ出す。

アンジュとモモカが口を閉じようとした際に何者かに腕を掴まれて、その場から逃げ出す。

 

そしてアンジュがその人物を見たのは意外な人物だった。

 

「っ!サリア!?」

 

「何してるの!走って!!」

 

サリアがアンジュをその場から逃がして、アンジュはジークとモモカと一緒にその場から逃げる。

催涙ガスで動けなかったジャスミンがサリアの後ろ姿を見て唖然とし、ジルに連絡する。

 

そしてジルがジャスミンの報告を聞いて驚きを隠せない。

 

「なんだと!サリアが!?」

 

『そうなんだ!あの子がこんな真似をするなんて!』

 

ジルはその報告を聞いて、思わず義手を握りしめる。

 

「あのバカが…!!」

 

そしてサリアの後を追うアンジュ達、アンジュはサリアの行動を見て問う。

 

「ねえ!どうしてサリアがこんな行動を!あなたソルト達と一緒じゃなかったの!?」

 

「ソルト達ならネェル・アーガマに戻ってガンダムに乗り込むって言ってたわ、ヒルダ達は一足先にパラメイルの所よ。さあ、付いてらっしゃい、ここなら食堂を通れば近いわ」

 

そう言ってサリアは走り、その後を追うアンジュ達は食堂へと向かう。

 

そしてヒルダ達はなんとかパラメイルにたどり着いたヒルダたち、だがその時電源が落ちてそれに驚く皆。

 

「何だ?!」

 

そして最下層にある船の中に居るジルはすぐさま聞く。

 

「砲撃による損傷か?」

 

「侵入者による攻撃です!」

 

マナの特殊部隊にアルゼナルの電力を落とされた事に、放送が流れる。

 

『アルゼナル内に侵入者があり、敵の目的は不明!総員退避!!』

 

それを聞いたエルシャはその場から離れる。

 

ヒルダはエルシャの行動を見て問う。

 

「おいエルシャ!」

 

「ゴメン!!すぐ戻るから!!」

 

そう言ってその場を離れようとする、その時壁が崩れてしまい、扉を塞いでしまい、それにエルシャ驚いて唖然とする。

 

「っ!そんな!?」

 

エルシャが叫んだ際にジルから放送が来る。

 

『デッキ上の各員に告ぐ、敵の狙いはヴィルキスだ、デッキ上の下層へと運搬を最優先事項とする!』

 

聞いたメイはすぐさま整備班達に言う。

 

「整備班集合!ヴィルキスは手動で下ろす!」

 

「「「イエス・マム!!」」」

 

整備班の一人が手動で動かそうとした時に頭を撃たれてしまう、それにヒルダ達が振り向くとマナの特殊部隊が現れて攻撃を仕掛けて来た。

 

 

 

同時に医務室の方でも特殊部隊がやって来て、マギーが応戦していた。

 

「重傷者の搬送が最優先だ!ちょっとぐらい内蔵出ても我慢しろ!」

 

マギーが指示を出していると隠れていたエマが出て来る。

 

「助けて!私ノーマじゃな『馬鹿!!』うわっ!!」

 

マギーがエマを押し倒し、エマの帽子が撃たれて穴が開く。

 

「殺されたいのか!? チッ、此処はもう駄目か。撤退する、ヴィヴィアン!」

 

ヴィヴィアンを運ぼうとマギーが部屋に入ると、既に特殊部隊が中にいて、端末を開いて確認していた。

 

「該当アリ、メイルライダーです」

 

「その子、どうする気だ!」

 

マギーが銃を向けた瞬間、特殊部隊がすぐさま撃って来て、マギーはすぐさま出る。

 

「ヴィヴィアン!!」

 

マギーが返事をしても、今のヴィヴィアンは気を失っていて返事がなかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてネェル・アーガマに到着し、ガンダムに乗り込むソルトたち。

 

ソーンはすぐさまブリッジに入って状況を聞く。

 

「どうなの?」

 

「現在アルゼナルで侵入者が入り込んで、皆を皆殺しにしているみたい、このままじゃあ全滅するよ」

 

その事を聞いたソーンは少しばかり考え、すぐに真也に通信を入れる。

 

「真也!アルゼナルで少し大変なことが起きてるみたい!そっちにいけそう!?」

 

『すまない!こっちはいま忙しい!』

 

真也はそう言い残して通信を切り、それにソーンは頭を抱えながら次にソルトたちに通信を入れる。

 

「ソルト!アルゼナルでいま!」

 

『ああ分かってる! こっちでもサリア達から連絡が来た! すぐに向かう!』

 

それにソーンは少しホッとし、ソルトたちはすぐに出撃した。

 

そして食堂に付いたアンジュ達、モモカはマナの光で灯りを照らしていた。

 

「こちらですアンジュリーゼ様、ここから行けそうです」

 

灯りを前に向けた途端二人は息を飲む、そこには焼け焦げた人が沢山いた。

 

『うむ…、やはりノーマは虐殺か』

 

それにジークが呟くとアンジュはまたしても嘔吐し、それにモモカは駆け寄る。

 

「アンジュリーゼ様! み!水!!」

 

すぐさま食堂のキッチンに向かったモモカ、アンジュはあたりを見渡していると。

 

「大切な物は失ってから気づく、何時の時代も変わらない心理だ。全く酷い事をするのだな、私はこんな事を許した覚えはないんだが」

 

後ろから突如声がして、それにアンジュ達は振り向いてみる。

 

そこにはエンブリヲが居た。それにアンジュ達は警戒する。

 

『エンブリヲ!』

 

「っ!!あなた!!」

 

「どうして!?」

 

「おやおや、そんなに警戒する必要はないんだがね、それにその機械の犬…どうも私の知らない物が使われているみたいだな」

 

エンブリヲはジークを見ながら言い、ジークはそれを鼻で笑うかのようにする。

そしてアンジュの方を見る。

 

「それと君のお兄さんだよ、この虐殺を命じたのは」

 

「えっ?!」

 

その事にアンジュは驚き、エンブリヲは言い続ける。

 

「北北東14キロの場所に彼は来ている、君を八つ裂きにする為にね。この娘たちはその巻き添えを食ったようなものだ」

 

 

バン!!

 

 

「きゃあああああああ!!」

 

その瞬間キッチンから銃声がし、モモカの悲鳴が聞こえてアンジュ達はすぐに向かう。

 

向かうと二人の特殊部隊がモモカを狙っていて、モモカは左肩を撃たれていたが、動ける右手でマナの光を出して防御をしていた。

アンジュとサリアが銃を取り出そうとした時にジークが瞬時に飛び出し、レーザーチェーンソーを展開させてマナの特殊部隊を切り刻んだ。

 

それにより体はバラバラになり、モモカはマナの防御を解除する。

すぐにアンジュはモモカに駆け寄る。

 

「大丈夫!モモカ!」

 

「は、はい…」

 

そしてジークがエンブリヲの方を見ると、すでにエンブリヲの姿はなかった。

 

『逃げたか…』

 

アンジュはその言葉を聞いて振り向き、ジークの言った通りエンブリヲの姿は無く、それにアンジュは決心する。

 

「行かなきゃ…!」

 

「えっ?」

 

「アンジュ?」

 

サリアとモモカはその事に意味が分からずだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてソルト達はアルゼナルで起きている侵入者達を倒すためにガンダムで出撃し、特殊部隊達はガンダムの姿を見て驚いていた。

 

「何だあれは!?」

 

「巨人か!?」

 

そしてソルトたちは武器を使って上部の敵を倒し、それにより特殊部隊達は全滅してしまう。

 

「フッ、ん?」

 

その時別の所からヴィヴィアンを抱えてくる特殊部隊の1人がやって来て、それにソルトはコクピットを開かせてスナイパーライフルを構える。

狙いを定めるソルトは特殊部隊の頭を撃ち、それに倒れる。

 

「ソルト?」

 

「ラッセル、ヴィヴィアンを頼む、俺達はヒルダ達の元に行く」

 

「え? うん」

 

それにラッセルは承知し、ソルトたちはすぐにヒルダたちの救援に向かい、ラッセルは倒れているヴィヴィアンをマニピュレーターで上手く掴み、そのままコクピットに連れて、ラッセルが乗せるのだった。

 

そしてパラメイル格納庫ではマナの特殊部隊との銃撃戦が続いていた、すると敵が投げたグレネードがエレベーターシャフトに直撃して、シャフトが崩れる。

 

「エレベーターシャフトが!」

 

「これではパラメイルを下ろせません!」

 

部下の言葉にメイは歯を噛みしめ、不味い状況になって来る事にロザリーが問いかける。

 

「どうするんだよ!ヒルダ!?」

 

「くっそ~…!」

 

ヒルダが舌打ちをした時、特殊部隊の一人が頭を撃たれて死に、その方向を見るとアンジュ達がやって来ていた。

 

「アンジュ!!サリア!!」

 

アンジュ達が撃っている中でジークが飛び出していき、レーザーチェーンソーで特殊部隊を切り刻んでいき、それに特殊部隊達は驚きを隠せない。

 

「うわああ!!なんだこいつは!?」

 

「手強いぞ!!気をつけろ!!」

 

ジークが特殊部隊を相手にしている中、ヒルダがアンジュとサリアに向かって怒鳴り散らす。

 

「何処に行ってたんだ!このバカ!!」

 

「モモカをお願い!」

 

アンジュがモモカをヒルダに任せたと言ってそのままヴィルキスに乗り込む。

サリアもアーキバスに乗り込んで起動する準備し、ヒルダたちに言う。

 

「あなた達も乗り込みなさい!行くわよ!」

 

「先に行くわ!」

 

ヴィルキスを起動して飛び立つも目の前の通路がふさがれていた。

 

「おい待て!滑走路は使えねえぞ!!」

 

「そう、だったら…」

 

アンジュはヴィルキスのアサルトライフルに搭載しているグレネードランチャーを起動させて撃ち、滑走路を塞いでいる瓦礫を撤去する。

 

「進路クリア!」

 

そう言ってアンジュはヴィルキスを発進させる。

 

それを見たヒルダ達は呆れて物も言えない。

 

「たく、乱暴な女」

 

そう言って自分のパラメイルの所に行くとソルト達のガンダムがやって来る。

 

『おい、大丈夫か?』

 

「ソルト!」

 

『ん?アンジュはどこいった?』

 

『もう先に出て行ったぞ』

 

っと特殊部隊全員を倒したジークが言ってきて、それにソルト達は唖然とする。

 

「(あ~あ、もう行ってしまったのか。仕方ない)真也に連絡しよう、お前らも早く来いよ」

 

そう言ってソルトたちはすぐにその場を去って行き、サリア達もすぐに出撃しようとした時、メイがやって来る。

 

「サリア!!何処に行くのさ!!」

 

「メイ…、ごめんなさい」

 

そう言い残してパラメイルを発進させて、メイはその風圧をなんとか耐え、サリア達が去っていくのただ棒立ちするしかなかった。

 

その頃真也はピードルを相手に少々苛立っていた。

 

「だーもう!!この機体メチャうざいぜ!!」

 

イラつかせながらもヴァリアブル・ガンを撃ち、それにかわそうとしたピードルはヴァリアブル・ガンのビームを一発貰っていまい、機動性の半分を失う。

 

「今だ!!」

 

そう言ってビームサーベルを手にし、スラスター全開にして突っ込んでいき、一閃で切り込んだ。

 

ピードルは切られて、そのまま位置がずれて爆発していく。

その様子を真也はジッと見つめていた。

 

 

ドゴォォオォォォオン!!!

 

 

突如後方から途轍もない爆音が聞こえ、それに真也は驚いて振り向くと、アンジュが乗るヴィルキスが急に赤色に変化し。艦隊に向かって突進して行く。

それを見た真也はヴィルキスのモードチェンジを間近で見て、その力を薄々感じる。

 

「あれがヴィルキスの力か…、感情を高ぶらせるとあんな風になるのか…」

 

『真也!ヴィルキスのあれは何!?』

 

っと近くにネェル・アーガマが近寄り、通信でソーンが問いかけてくる。

 

「ヴィルキスの眠っていた力が徐々に覚醒しつつあるんだ。ソーン、ソルトたちを艦に戻してくれ。すぐにだ」

 

『うん!分かった! あっ、でも真也は…?』

 

「俺はアンジュの所だ」

 

真也はそう言ってアンジュの所に向かう。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

真也が向かう直前、アンジュは敵艦隊を攻撃して行く中で一発の砲弾がアンジュに突き刺さろうとする、っがアンジュのヴィルキスに光の障壁がある事に気が付く。

 

「光の障壁? これなら!!」

 

アンジュはその障壁を利用して敵艦隊へと突っ込んで行き、その障壁で次々の敵艦隊を撃破して行く。

 

その様子をエンペラージュリオ一世に居る兵士たちはジュリオに報告する。

 

「ヴ!ヴィルキス!! こちらに突っ込んできます!!」

 

「何をしている!相手はたったの一機だぞ!」

 

っとそう言った途端にブリッジの半分が割れて、ジュリオの前にヴィルキスに乗ったアンジュが現れる。

その隙にリィザはその場から離れて行く。

 

「あ!アンジュリーゼ!」

 

 

バン!!

 

 

 

ジュリオの足に銃弾を撃ち込むアンジュ、それにジュリオはもがく。

 

「今すぐ虐殺をやめさせなさい!! 死にたくなければ!!」

 

それにジュリオはすぐにマナの通信で部下達に虐殺をやめるように指示を出す。

 

命令を言ったジュリオはすぐにアンジュに言う。

 

「辞めさせたぞ!!早く医者を!」

 

するとアンジュはヴィルキスに乗り込み、サーベルを上に構える。

 

「ま!待ってくれ!! ど!どうか!!どうか命だけは!!!」

 

「生きる価値のないクズが! くたばれーーーーーーー!!!!!」

 

アンジュがサーベルを振りかぶろうとした、その時にそのサーベルを謎の機体がエネルギーシールドを展開して受け止める。

それにアンジュは目の前の光景に驚く。その機体は真也達の機体と同じ大きさの物で、その肩にエンブリヲが乗っているのだ。

 

「貴方は!!」

 

「エンブリヲ様!! そいつを!アンジュリーゼをぶっ殺してください!! 今すぐ!!!」

 

ジュリオは必死に助けを求めていたが、エンブリヲはそれを無視しアンジュの方ばかり見ていた。

 

「アンジュ、君は美しい…本当に。君の怒りは純粋で白く何よりも厚い。理不尽や不条理に立ち向かい…焼き尽くす炎の様に、気高く美しい物。つまらない物を燃やして、その炎をこの様に燃やしてはいけない」

 

「あなたに何が分かる──」

 

「だから…私がやろう」

 

「え?」

 

突如言い出したことにアンジュの口は思わず止まる。

 

「君の罪は…私が全て背負う」

 

するとエンブリヲはその機体を上昇させて、エンブリヲは何かを歌いだす。

 

「♪~♪」

 

その歌にアンジュとジュリオは聞き覚えがあった、その歌は『永遠語り』だった。

 

「あれは…!?」

 

「永遠語り!?」

 

アンジュの元に向かっている真也もエンブリヲが永遠語りを歌いだした事に気づく。

 

「っ!まずい!!」

 

ネェル・アーガマに帰投したソルト達と乗艦したサリア達は歌が聞こえたことに耳を向く。

 

「ん?なんだ…?」

 

「これは…歌?」

 

「なんで歌が聞こえるの…?」

 

皆が聞こえている中でジークがその歌声に思わず振り向く。

 

『っ!!この歌は!!』

 

同時の外に出ているリィザは【謎の翼】を出して飛んでエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…」

 

そしてエンブリヲの機体の翼が露出展開して、ヴィルキスと同じものが出て来る。

 

「ヴィルキスと同じ武器…!?」

 

アンジュが驚いてる中でその機体は光学兵器を発射て、ジュリオが乗っている旗艦へと直撃する。

 

「う!!うう!!うわあああああああああああああああ!!!!!!」

 

アンジュが目の前の光景に驚きを隠せず、ただ跡形もなく消え去った旗艦を見て唖然する。

 

そしてアンジュがコクピットハッチを開かせて、エンブリヲに問う。

 

「何なの!貴方!? その歌は何処で知ったの!?」

 

「フッ…、さあアンジュ…私と一緒に『バシュン!!』ッ!?」

 

っとエンブリヲは横からの攻撃に気付き、すぐさまかわして、撃たれた方を見ると、そこからエクストリームガンダムがやって来て、アンジュの前に立つ。

 

「真也!」

 

「アンジュ、無事だったようだな」

 

そう言ってヴァリアブル・ガンを構えて、真也はハッチを開かせてエンブリヲと対面する。

 

「…やっと会えたな、エンブリヲ」

 

「…誰だ貴様は」

 

エンブリヲは鋭い目線で真也を睨みつけ、真也もエンブリヲを見て鼻で笑う。

 

「フッ、簡単には教えられないな」

 

「貴様…、ん?」

 

何かを感じ取ったエンブリヲは振り向くと、ネェル・アーガマがゆっくりと近づいてきて、ブリッジにいるソーン達にジークが急がせる。

 

『急いで向かってくれ!』

 

「急がせないでよ!こっちだってやってるんだから!」

 

それを見たエンブリヲは。

 

「フッ、邪魔だな」

 

するとエンブリヲは目標を真也じゃなくネェル・アーガマに向け、それに歌い出す。

 

エンブリヲの目標に気づいた真也とアンジュは慌てる。

 

「っ!!まずい!!!」

 

「行けない!!!」

 

急いでハッチを閉めて、ネェル・アーガマに向かう真也とアンジュ。

 

そして歌が終えると光学兵器が放たれる。

 

「だ!だめええええええ!!」

 

その時アンジュが必死に向かう際に叫んだ時、アンジュの指輪が反応する。

 

するとヴィルキスが青くなり、エクストリームガンダムやネェル・アーガマを巻き込み消えて行き、光学兵器はそのまま通り過ぎて行く。

 

「ほう?」

 

光学兵器はそのまま海へと直撃して、そのまま海に大きな渦が出来た。

 

「つまらない筋書だが…悪くないな? しかしあの男…一体何者だ」

 

エンブリヲは真也の存在に異常なほどに気になりながらも崩壊したアルゼナルを後にするのだった。

 




最後辺りで真也とエンブリヲ、因縁関係がようやく出会いました。

どう戦っていくのか楽しみです!


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ドラゴンとの対話
第19話 真の世界 前編


新しい章が始まります。

ではどうぞ…。


エンブリヲの光学兵器から逃れた真也達、真也とアンジュが乗るエクストリームガンダムと少し損傷しているヴィルキスはネェル・アーガマとは全くの別の場所の廃墟の場所に倒れていた。

 

エクストリームガンダムのコクピットで目を覚ます真也は辺りを見渡すと、廃墟らしき場所を見てすぐに納得し、コクピットを出る。

そしてアンジュの居るヴィルキスの場所へと行く。

 

「おいアンジュ、起きろ」

 

「っ…ん?真也?」

 

真也に起こされたアンジュは真也の顔を見て、すぐに起き上がる。

 

ヴィルキスの外に出たアンジュは辺りを見渡し、風景がガラリと変わっている事に驚く。

 

「ええっ!?ここ…何処!?皆は!?」

 

「…恐らく別の場所に飛ばされているさ、あともしかしたらここ…シンギュラーの向こうの世界だろうな。ここの風景を見れば」

 

っと真也の言った言葉を聞いたアンジュは思わず真也の方を見る。

 

「はぁ!?シンギュラーの向こうの世界!? どうしてそんな事わかるのよ!」

 

「ああ、それは───」

 

真也がアンジュに説明をしようとした時、突如空が暗くなり、それに真也とアンジュが上を見る。

 

すると上空にはネェル・アーガマが現れた、それにアンジュはネェル・アーガマを見て表情を明るくする。

 

「ネェル・アーガマ!」

 

「どうやら無事みたいだな」

 

そう言っていると真也の通信機に連絡が来て、それに真也は出る。

 

「おう、俺だ」

 

『真也!良かった!!無事だったんだ!』

 

ソーンの通信に真也は安心感が出て来る。

 

「そっちも無事だったようだな」

 

『うん、突然場所と風景がガラリと変わってびっくりだよ』

 

『アンジュはどうなんだ? あいつも無事なのか?』

 

「ああ、アンジュなら一緒に居る」

 

アンジュの方を見ながら皆に無事を伝える真也。

 

『そっか、それじゃあ今からそっちを収容するね?』

 

「ああ、頼む」

 

そう言って通信を切る真也、その後回収機がネェル・アーガマからやって来て、エクストリームガンダムとヴィルキスを回収した。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして格納庫に収容されて、エクストリームガンダムとヴィルキスから降りた真也とアンジュ、その時背後からアンジュの頬を何かが舐めて来る。

 

「っ!!うあああああ!!何!!?」

 

それに驚いたアンジュは思わず後ろを振り向くと、そこにはドラゴンがアンジュを見つめるように見ていた。

 

「うわっ!?」

 

アンジュはまたしてもそれに驚くが、そのドラゴンは自分に指を指しながらジェスチャーする。

 

『アタシアタシ!』

 

「え? もしかして…ヴィヴィアン?」

 

『そうそう!』

 

再びドラゴン態へとなっているヴィヴィアンは「キュ~イ!」と吠えた、アンジュはヴィヴィアンを見ながら微笑む。

 

「貴女…またなったの」

 

そう言ってアンジュはヴィヴィアンの頭を抱きしめる。

真也がドラゴン態となったヴィヴィアンを見て、そこにソーン達とサリア達がやって来る。

 

「ヴィヴィアン、またドラゴンの姿になったのか」

 

「うん、僕たちも驚いたよ。目が覚めた時はあんな姿になってたもん」

 

『真也』

 

っとジークが真也の元にやって来て、それに真也は振り向く。

 

「ん?どうしたジーク」

 

『この世界の事、ソーン達やアンジュ達に話しておく必要があると思うが、どうだ?』

 

「ああ、その事か。実は俺も教えようかなっと考えて所なんだが、もう少し待って話そう、今は少しだけ話す事だけにする」

 

「ん?一体なんのことだよ真也?」

 

リコが真也達の会話を少し聞いて、それに真也は振り向く。

 

「ああ、少しな、あと皆…この世界は多分ドラゴンの住む世界、シンギュラーの向こうの世界だ」

 

っと真也の放った言葉を聞いた皆は思わず驚く表情をする。

 

そしてブリッジで真也達が集まって、真也が言った言葉に今ひとつ信じられないアンジュはそれに反論していた。

 

「嘘よ!!ここがあのシンギュラーの向こうだって言うの!? 第一どうして真也は分かるのよ!?」

 

「考えてみろよ、この場所と荒れ果てた大地、こんな所が各国にあると思うか? それに俺達はノーマを助ける為に各国を回っているんだ。こんな所まずない」

 

「確かに、俺たちは各国に行ってノーマを助けてきた。こんな所はまずない。だが…」

 

ソルトが何やら考える素振りを見せ、それにラッセルが見る。

 

「どうしたの?」

 

「真也、どうしてお前はここの事をよく知っているんだ? あまりにも知りすぎて何か変な感じだぞ」

 

っとその事に少々言葉が止まる。

 

「(…どうしよう。このまま話してしまえばいいんだけれど。それだと…)」

 

そのことを考えていると、コンソールのレーダーが何かをキャッチし、警報音を鳴らす。

 

それに真也達は振り向き、真也は仲間に状況を聞く。

 

「なんだ!」

 

「何かがこちらに接近中! あっ!」

 

すると目の前にドラゴン、ガレオン級が降り立ってきて、それに真也達は思わず構える。

そしてガレオン級の頭に“四人”の男女が乗っており、その内の2人の若者の男達が真也達に向かって言う。

 

「お前達か?この世界に迷い込んだ者達は」

 

「へぇ~、なかなか可愛い子達だね?女の子達は特に」

 

「「「「「「ド!ドラゴン!!!」」」」」」

 

アンジュ達はドラゴンに驚いている中、青い服装を着た女性が真也達に言う。

 

「ようこそ、偽りの民達よ。我らの世界…『本当の地球』へ」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

真也達がドラゴンの誘導である場所に向かわせていて、ブリッジであの男女四人が居て、真也達はただ黙って見ていた。

 

そんな中でアンジュが真也に耳元で話してくる。

 

「ねえちょっと!」

 

「何だよ」

 

「なんで何もしていかないよの! 今やらなきゃこの船乗っ取られちゃうわよ!」

 

「分かってねぇな、今倒したってこの状況でどうにか出来るって訳じゃない。それに今は情報が欲しい、彼らが何かを知っているのならそれを聞きたい」

 

っとそんな事を言う真也にアンジュはただ呆れてしまう。

そんな中で真也は四人の内の男二人を見ていた。

 

「(一体何だあの二人…俺の知っている人物とは全く違う。それに…)」

 

真也は外を見る。都市の外れには何やら避難場所の様な所があり、そこには人の姿が確認できたのだ。

 

そこからネェル・アーガマを見る人々が興味本位と見ていた。

 

「(この世界の人口はまだ居るみたいだ…、この世界は確かエンブリヲによって滅ぼされた筈…一体どういう事だ…?)」

 

そんな事を頭の中で考える真也。そしてドラゴンの誘導により、ネェル・アーガマはドラゴンの宮殿にたどり着いた。

 

そしてドラゴン側の男が腰にある剣を抜いて真也達に向けて言う。

 

「着いたぞ、外に出るんだ」

 

男の言葉に真也達は素直に従い、艦内にいる子供たちも一緒に外に出る。

すると真也は外にある物を目にする。

 

それはアルゼナルを襲ったパラメイルの他にドラゴン型の『ovv-f ガフラン』の姿があった。

 

真也はガフランの機体を見て思わず目が釘付けとなる。

 

「(おいおいマジかよ…!oov-fガフランが何故こんな所に!? 一体誰が…っ! まさか…!)」

 

真也がガフランの事を考えていると、ドラゴン側の『ナーガ』と『カナメ』が刀と薙刀を持って構えて、ナーガが真也たちに言う。

 

「“大王龍様”と大巫女様がお会いになる。こちらへ」

 

大王龍と呼ばれる人物に真也とジークは更に警戒心を持つ。

 

するとその時ヴィヴィアンの背中に麻酔弾が撃ち込まれ、それにヴィヴィアンは気を失う。

ヴィヴィアンの異変に気付いたアンジュ達はヴィヴィアンの方を向く。

 

「っ!? ヴィヴィアン!?」

 

「ヴィヴィアンに何をしたの!?」

 

アンジュ達が問うとナーガとカナメは警戒するかの様に構え、その様子に黙り込むアンジュ達。

すると男がナーガとカナメに停止の手を出す。

 

「やめろ、今はそんな事をしている暇はない」

 

「しかし『タイガ』殿!」

 

「俺の言葉が聞けないのか?」

 

っとタイガと呼ばれる男性にナーガは思わず口を閉ざし、もう1人の男がナーガ達に言う。

 

「さあさあ、もたもたしてると大王龍様と大巫女様に怒られますよ~?」

 

「『アマツ』、もう少し緊張感を持て」

 

タイガがアマツと呼ばれる男にそういい、アマツは「はいはい♪」と言う。

 

そして玉座の間に連れて来られた真也達、そこに数人の者達がその場に座っていて、すざれに隠れていた。

 

ナーガとカナメが前に出て言う。

 

「「連れて参りました」」

 

その言葉に大巫女と大王龍が頷き、大王龍が真也達を見る。

 

「その者達か、男たちに…女たちか」

 

「お主等、名は何と申す?」

 

大巫女が問い出した時にアンジュが痺れを切らす。

 

「人の名前を聞く時は、まずは自分から名乗りなさいよ!」

 

っとアンジュが怒鳴り声で叫び、それに他の者達はざわつく。

 

ナーガとカナメはアンジュに睨みつける。

 

「大王龍と大巫女様に何たる無礼!」

 

「アンジュ!怒らせてどうするのよ!!」

 

アンジュの行動にサリアが怒鳴る。

 

「こっちは何も知らないのにあれこれ質問に答えてられないわよ!!」

 

しかし大王龍と大巫女はアンジュの問いには全く答えず、更に大王龍その事に笑っており大巫女が更に言い続ける。

 

「『特異点』はこちらでは全く開いてはおらぬ、どうやってここに来た」

 

大巫女はアンジュ達に問う、それに対するかの様にアンジュも黙り続ける。

 

「大王龍様と大巫女様の御膳ぞ! 答えよ!」

 

「どうしてシルフィスと共に居た?」

 

「あの見慣れぬ物はお前たちのか?」

 

他の者達がなりふり構わず問いかけにアンジュはとうとうキレた。

 

「うるさい!!!こっちは何があったかさっぱり分からないのよ!!一体此処は何処!!何時!? 貴方達一体何者!?」

 

アンジュの態度に痺れを切らす真也、すると拳を握り締めて、アンジュの頭に拳骨を叩き入れる。

 

 

ゴンッ!!!

 

 

「イタッ!!?」

 

「アンジュ、少し黙れ、俺が喋る」

 

その事にアンジュは「はぁ!?」っと言い返すが、既に真也は無視して質問を返す。

 

「俺達はヴィルキスの力によってここに来た。何故だか判らないが…そういうことだ」

 

っとその事に他の者達がざわつき始め、それに答えようとした時に。

 

「やれやれ、そう言ったところは変わらないな、真也」

 

「それにそちらの方は威勢がいい事で」

 

すると別の男性の声と別の女性の声が聞こえ、そのすざれから男性と女性が出て来た。

そして真也とアンジュはその男性と女性に見覚えがあった、それはアルゼナルを襲撃してきたあの武尊とサラだった。

 

「っ!!武尊!!!」

 

「あなた!」

 

「ガンダムエピオンのガンダムマイスターにして、ドラゴン軍の大将、小林武尊」

 

「神祖『アウラ』の末裔にしてフレイヤの一族の姫、近衛中将サラマンディーネ」

 

そう自分の名を言う武尊とサラに対し、真也はただ唖然としアンジュはサラを睨みつけていた。

アンジュは未だにアルゼナルを潰した事を根に持っていた。

 

「よく来たな真也、歓迎するぜ」

 

「そしてようこそ真なる地球へ、偽りの星の者達よ」

 

その事に真也は少々戸惑っていて、それにソーン達は問う。

 

「ね、ねえ真也…、知り合いなの?」

 

「…ああ、武尊は…俺の幼馴染だ」

 

『『『『『ええ~~~~~!!!』』』』』

 

真也が放った言葉にソーン達とサリア達は思わず大声を上げて驚くのだった。

 



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第20話 真の世界 中編

ドラゴンの世界に来て、武尊と再会し、真也が放った言葉を聞いてソーン達とサリア達は驚きを隠せなかった。

 

「し!真也の幼馴染!?」

 

「おい嘘だろう!? だって相手はドラゴンの仲間じゃねぇか!」

 

「本当なの真也!?」

 

ソーン達の言葉を聞いた真也はただ黙ったままうなづく。

武尊はその様子を見て笑いをこらえていた。

 

「くくく! 黙って見てたらこれはまたおもしれぇぜ」

 

「武尊、不謹慎ですよ」

 

「…すいません」

 

っとその事にサラが注意し、それに武尊は少々反省する。

 

そしてその様子に大王龍と大巫女が問う。

 

「武尊殿、サラマンディーネ」

 

「知っておるのか?」

 

大巫女がサラに問いかけ、それにサラが答える。

 

「この者ですわ、先の戦闘で我が機体と互角に戦った、ヴィルキスの乗り手は」

 

「そしてあいつは俺のエピオンと互角に渡り合うエクストリームガンダムの乗り手であり、俺の幼馴染だよ」

 

「なんと…」

 

「ヴィルキスの乗り手…」

 

大王龍と大巫女が真也とアンジュをそう見て呟き、そして他の者達が大王龍と大巫女に言いだす。

 

「大王龍様!大巫女様!あの者達は危険です! 生かして置くわけにはなりません!」

 

「早急に処分を!!」

 

「やれば、死刑には慣れている、ただし…ただで済む事は思わない事ね」

 

アンジュがそう言った時に真也がアンジュに口元にテープを張る。

 

「んっ!!?」

 

「お前は黙ってろ、話しが全く進まん」

 

「真也…、かなり強引だね…」

 

「て言うか、テープどっから出したんだ?」

 

その事にソーンとリコがツッコミを入れる。

皆が言っている時に武尊とサラが言い出す。

 

「おいおい待てよ皆、焦りすぎだって」

 

「あの者はヴィルキスを動かせる特別な存在。あの機体をよく知る為にもここは生かして置く方が得策かと…、それにもう1人の方は武尊の幼馴染です、ここで彼を手にかけたらどうなるかご存知の筈」

 

武尊とサラの言葉に他の者達はただ黙って聞いていた。

 

「この者達の命…私におわずけ頂けませんか?」

 

「な~に、あんたらのイメージは崩さねえよ。おい大王龍。いいよな?」

 

「た!武尊殿!」

 

「す!少しは言葉を謹んで下さい!」

 

タイガとナーガが注意するが、それに大王龍は全く気にせずに言う。

 

「構わん、お主にはかなり世話になったからな」

 

「サンキュ、大王龍」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして真也達は武尊達に連れられて大広場にやってきた。

 

大広場を見ているソーン達とアンジュ達、真也は大広場の和室を見て、何か懐かしさを感じていた。

武尊とサラは護衛のタイガ達とナーガ達に振り向いて言う。

 

「すまねえがタイガ、アマツ。“アイツ”を呼んできてくれねえか?」

 

「アイツを? …分かりました」

 

「貴女方は外にいて下さい」

 

「なっ!しかし!」

 

ナーガが食いつこうとするも、サラの圧倒的な鋭い目線にナーガとカナメは思わず黙り込み、タイガ達と共にすぐさま退室して行く。

 

アンジュはその際に大広場の事を問う。

 

「随分と広くて立派な牢獄ね」

 

「何言ってんだよ、牢獄じゃねえ」

 

「私はあなた方を捕虜扱いにするつもりはありません」

 

武尊とサラの言葉もアンジュ達とソーン達は驚き、真也は振り向いて言う。

 

「この世界の事を詳しく教えてくれるんだろう? 武尊」

 

「おう、お前が知りえない情報や色んな事を全てな」

 

「そして貴方方と共にしていたシルフィスの娘とは治療が済めばすぐに会えます」

 

「ヴィヴィちゃん!? ヴィヴィちゃんは無事なんですか!?」

 

エルシャがその事を聞いて来て、それに武尊が答える。

 

「へぇ~、あの子ヴィヴィちゃんって言うのか。まあ心配するなよ、ちゃんと会えるからさ。お前さん達の機体は俺がきっちりと修理するから心配すんな」

 

「修理って、その言い方…」

 

「真也にそっくりだな」

 

ラッセルとソルトは真也の方を見ながら呟き、それに真也は少々照れながら武尊のさっきの言葉を聞いて見る。

 

「何だ、お前も同じようにメカの修理とか開発もしているのか?」

 

「ああ、まあな」

 

「さあ、立ち話もなんですし。どうぞ」

 

っとサラが真也達に座布団に座らせるよう進めて、真也はその座布団に座り込み、ソーン達もそれを見て恐る恐る座る。

アンジュ達もその後に座り込み、サラがお茶を真也達に入れて渡す。

 

「なんの真似?」

 

「長旅でお疲れでしょう?」

 

「いや、そんなに長かった訳じゃない。ここに来てすぐだったからな」

 

「へぇ~、そうなのか?なるほどな」

 

真也の言葉を聞いた武尊は納得し、そしてソーンは武尊にある事を問いかける。

 

「あの…少し聞いていい?」

 

「ん?何だ、えっと…」

 

「ソーン。ソーン・クラウン」

 

「そうか、ソーン。一体何が聞きたいんだ?」

 

武尊はソーンが聞きたかったことを問い、ソーンは思っていたことを言う。

 

「ここって…本当に地球なの?」

 

「ああ、そうだ」

 

武尊のあっさりな即答にソーンは思わずズッコケそうになる。

 

「あっさり?!」

 

「じゃあ君は?ドラゴンなのか?」

 

ソルトはサラの方を見ながら問い、それにサラは答える。

 

「人間…ですわ」

 

「人間!?羽と尻尾があんのにか!?」

 

「信じられない!」

 

ロザリーとクリスが思わず声をあげるが。

 

「だが、目の前にあるのが真実だ」

 

トラビスが二人の言葉に割って入るかのように言い、ロザリーとクリスはトラビスの方を見て、それにジョージが追加の様に言う。

 

「確かにね。俺も今の様子を見たら完全に人間ぽい感じがするから、言ってること…本当かもね」

 

「し、信じるの?ジョージ」

 

クリスはジョージの言った事を半信半疑で問い、それをジョージは平然とうなづく。

 

「信じるしかないでしょう、この状況」

 

「(やれやれ、簡単に納得しちゃってるよ。まあいいか、これはこれで良いとするし)」

 

そう思いながら真也は出されたお茶を飲む。

そんな中でソーンがサラが言った言葉に疑問を持っていた。

 

「でも人間は僕たちで地球は僕たちの星の筈、だとしたらここは…」

 

ソーンはそう考えると、武尊はその言葉に言う。

 

「もし、地球が“二つ”あるとしたら?」

 

『『『『『『『ええっ!!』』』』』』』

 

武尊が言った言葉に皆が驚き、サラが武尊の言った後に答える。

 

「並行宇宙に存在したもう一つの地球、一部の人間がこの星を捨てて移り住んだのが、別宇宙にあるもう一つの星、それがあなた達の地球なのです」

 

「地球を…捨てた?!」

 

「な!何のために!?」

 

ソーンとラッセルが思わずその事を問い、サラがそれにまた答える。

 

「この星で戦争が起きたのです、この世界は統合経済連合と汎大陸同盟機構による大規模国家間戦争「第七次大戦」「ラグナレク」「D-War」などと呼ばれる戦争により地球の人口は11%まで減少したのです。

更にその引き金を引き起こしたのが…エンブリヲです」

 

『『『『『『『『エンブリヲ!!?』』』』』』』

 

世界を破滅に導いた人物がエンブリヲだと知って驚くアンジュ達とソーン達、真也は目を細めながら武尊の方を見て、それにうなづく武尊。

サラは更にその続きを言い続ける。

 

「そしてエンブリヲは終わりとするために絶対兵器である『ラグナメイル』を使い、この星の“ドラグニウム”の制御施設を破壊、この星を死の星へと変えたのです。

そして地球は生存困難な環境となり、人類は滅亡に向かうかと思われましたが、その時武尊が私たちを滅亡から救ってくれたのです」

 

サラは武尊の方を見ながらそう言い、武尊はそれに「まあな」と言いながら嬉しそうな表情をする。

 

「武尊が?一体どうやって?」

 

真也はこの星を救ったと言うサラの言葉に武尊に問いかける。

 

武尊は真也の質問に当然と答える。

 

「実はな、ファブリケーターを使って環境汚染完全無害化する装置を作ったんだよ」

 

「ファブリケーター!?真也が使っているあの?!」

 

「なんでそっちにもあるんだよ?! なんでだよ!?」

 

『それは私から説明しよう』

 

っと後ろから突然の声に真也達は振り向くと、タイガが入って来ただけじゃなくそこには鳥の形態をした機械が一緒に入って真也達を見ていて、それにアンジュ達だけじゃなく真也もそれを見て驚きを隠せない。

 

「(っ!?あれは!)」

 

「ええっ!?何あれ!?」

 

「って言うかあれ! 何かジークに似てない!?」

 

その事に真也は耳にしてジークの方を見て、ジークはその鳥型ロボットを見る。

 

『ほう、《スパロー》ではないか』

 

『久しぶりだなジーク、元気そうでなりよりだ』

 

「し!知ってるのジーク!?」

 

アンジュが互いに知っていることに驚きながら問い、それにジークはうなづく。

 

『ああ、まあな』

 

「武尊殿、スパローを連れてきました」

 

タイガが武尊にそういい、武尊はそれにうなづく。

 

「ああ、ありがとさん」

 

武尊は礼を言い、タイガは頭を下げた後に部屋を出て行く。

そしてスパローは武尊の元に近づき、武尊は皆にスパローの事を話す。

 

「皆、こいつが俺の相棒、スパローだ」

 

『お初にお目にかかる、スパローだ』

 

「(ジークと同じAI搭載ロボットか、それよりもようやく分かったぜ…武尊がここにいて、ファブリケーターとあのロボットがいると言うことは、完全に神の計らいだな)」

 

そう思いながら武尊の方を見て、武尊は真也の考えを読みながらうなづく。

 

そしてスパローは皆がファブリケーターの事を問いかけていた事を話す。

 

『皆が先ほどファブリケーターがあることを気にしていたことだが、あれは私が持ち込んできたものだ、当然武尊も一緒にやって来ての事だが』

 

「お、お前が?」

 

『そうだ、私がファブリケーターを渡し、それを武尊が使って汚染物質完全無害化装置を作り、私が過去に送り何とか滅亡を回避させたんだ』

 

『なるほどな、それで各地に人々がいると言う訳か』

 

ジークはそれに納得し、真也もそれに納得する。

するとアンジュが…。

 

「…でも気になるわね、そのドラグニウムって言うの。聞いたことないわ」

 

「では直接見せた方が納得しやすいと思いますわ」

 

「直接?」

 

ソルトはサラの言った言葉に頭を傾げ、武尊が皆に言う。

 

「この世界のエネルギー源であり、破滅へと導いた元凶にな」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

真也達は武尊達が用意した輸送機を使ってある場所に向かっていた。

 

「着きましたわ」

 

サラが見る先にある塔が見えて来た、それはミスルギ皇国にある暁ノ御柱と同じ塔であった。

それをアンジュがそれを呟く。

 

「暁ノ御柱…?」

 

「『アウラの塔』と私達は呼んでいます。そしてここが嘗てのドラグニウムの制御施設ですわ」

 

それに真也とジーク以外の皆は思わず息をのむ。

そして制御施設内を進みながらサラが説明していた。

 

「ドラグニウム、22世紀末に発見された強大なエネルギーを持つ超対称性粒子の一種」

 

そしてあるエレベーターの場所に着き、サラがそれを操作して下へと向かって行く。

 

「世界を照らす筈だったその力は、すぐに戦争へと投入されました。そして環境汚染、民族対立、貧困、格差、どれ一つも解決しないまま人類社会は滅んだのです」

 

「ひどい…」

 

「それが人の本質だ。強大なエネルギーをすぐに使いたがるのがな」

 

リリーがそれを言う事にトラビスがそれを上乗せするかの様に言う。

 

「そんな地球に見切りをつけた一部の人間たちは、新天地を求めて旅立ちました」

 

「似たような話、聞いた事あるわ」

 

っとアンジュはその事をサラに言い、サリアはそれに気づく。

 

「ジルから聞いたのね」

 

「ええそうよ」

 

そして目的地へと到着したエレベーターは止まり、武尊とサラはエレベーターを降りながら言う。

 

「そして汚染は回避させたが、一部の人間はよりまだ汚染された場所を元に戻すためにある事をした」

 

「ある事…そうか」

 

「ああ、遺伝子操作だ。それでドラグニウムの汚染に対応し、浄化を行っていたんだ」

 

「浄化…」

 

ソーンはその言葉を聞き、ドラゴン達は自分達は全く違う考えで動いていたことにようやく気づいた。

 

そして真也達の前に巨大な空洞が広がり、それにアンジュは問う。

 

「ここは?」

 

「ここに『アウラ』が居たのです」

 

「アウラ…?」

 

アンジュはその事を問うと、武尊はスパローの方を向き、それにスパローはうなづいてある映像を見せる。

それは巨大でガレオン級よりも大きい、見た事もないドラゴンだったのだ。

 

「アウラ、残された汚染を取り除くために、自らの肉体を改造した偉大なる始祖」

 

「更にアウラはエンブリヲと戦うために能力まで作り上げたんだが、最終的にはエンブリヲにしてやられたんだ」

 

「してやられた…?どういう事だ」

 

武尊の言葉にソルトは問い、それに武尊は言う。

 

「エンブリヲに連れて行かれたんだ、俺が留守の間にな」

 

「っ、あいつ…」

 

真也は武尊の言葉を聞いて思わず拳を握り締める。

 

そしてサラはアンジュ達に言う。

 

「あなた達の世界はどんな力で動いているか、知っていますか?」

 

「えっ…マナの光よ」

 

「そのエネルギーは?」

 

「マナの光は無限に生み出される…って、まさか」

 

その事にアンジュはようやく気づき、気が付いた事にサラは答える。

 

「マナの光、理想郷、魔法の世界。それを支えているのはアウラが放つドラグニウムのエネルギーなのです。

ですがエネルギーは何時か尽きる、補充する必要がある…ドラゴンを殺してドラグニウムを取り出し、アウラに与える必要があったのです」

 

それを聞いたソーン達とアンジュ達は大きく目を開き、真也とジーク、武尊とスパローは勿論黙って聞いていた。

 

「それが…あなた達の戦い、あなた達が命を懸けていた戦いの真実だったのです」

 

『『『『『『『っ!!!!』』』』』』』

 

ソーン達とアンジュ達はサラの真実を聞いて衝撃が走り、唖然とするしかなかったのだった。

 



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第21話 真の世界 後編

2週間以上も空いてしまって申し訳ございません。

MGS5を再び遊んでいて遅れました。


サラの真実の言葉を聞いたソーン達とアンジュ達は当然ながら言葉を失い、ただ唖然としていて、その事を恐れながら知っていた真也は改めて心に響く。

 

「(…我ながらやはり響くな、原作を知っているとは言え聞けば聞くほど痛いな)」

 

そう思いながらもサラはソーン達とアンジュ達に話の言葉の続きを言う。

 

「あの世界のエネルギーを維持する為、私達の仲間は殺され、心臓をえぐられて、結晶としたドラグニウムを取り出された…」

 

「結晶…っ!?まさか!?」

 

「俺達の基地に通過してきたあの輸送機とドラゴン!?」

 

「(あれってそう言う事!?)」

 

ソーン達とアンジュは基地に通過してきたあの輸送中のドラゴンと輸送機の事を思い出しながら、ようやくその真実の意味を知る。

 

「ソルト、一体何の事?」

 

「以前俺達の基地に輸送機が通過して来てな、その時に凍結されたドラゴンが輸送されていたんだよ」

 

「ドラゴン…、っ!」

 

サリアはソルトの言葉を聞いてすぐに気が付く。

以前自分たちが出撃した際にドラゴンを撃退し、その時のドラゴンだと言うことにようやく気付く。

 

「分かって頂けましたか? 偽りの地球、偽りの人間、そして偽りの戦いと言った意味が」

 

サラの言葉にアンジュとソーン達はサラの方を向き、サリア達はその事を聞い振り向く。

 

「それでもあなたの世界に帰りますか? 偽りの地球へ」

 

「当然でしょ! 貴方の話が全部本当だったとしても私達の世界はあっちよ!」

 

「同感だね」

 

っとヒルダが珍しくアンジュの言葉に賛同し、それにロザリーとクリスがヒルダの方を見る。

 

「ヒルダ?!」

 

「珍しい…!」

 

「へっ!あんな話を聞かされちゃあ驚くが、戻る場所があっちなんだよアタシ達はな」

 

ヒルダはそう言ってアンジュの隣に立ち、ロザリーとクリスも見合ってうなづいて隣に立つ。

その事を聞いていた真也と武尊は「やれやれ」と言いながら見て、それにソーン達は。

 

「おいおいヒルダ、おめぇ何勝手な事を言いやがるんだ!」

 

「ロザリー、お前も少しは大人になれ」

 

「ここで暴れても無駄だよ、クリス」

 

「はぁ!?オメェ等少しは納得しろよ!」

 

「あたし達の世界はあっちなんだぞ!」

 

「私!すぐにでも帰りたいのに!」

 

その事にソーン達は同じく、サリアとエルシャは少しばかりため息をつき、真也と武尊はお互いの顔を見合う。

そしてその事を聞いたサラは…。

 

「そうですか…では貴方達を拘束させて頂きます、これ以上私達の仲間を殺させる訳には参りませんから」

 

「やれるものならやって見なさい!私達が大人しく捕まると思ってるの!?」

 

「無論思っていません」

 

っとサラが言うと背中にある翼が大きく広げられて、それにサリアとエルシャが大きく目を開く。

 

「(化け物…)」

 

「(ドラゴンと同じ…)」

 

それを見たアンジュ達は…。

 

「本性を表したわね! トカゲ女!!」

 

っとアンジュはサラに殴り掛かるも、いとも簡単にかわす、無論ヒルダ達も殴りにかかるが、空中に逃げられてかわされる。

 

その様子を真也達はただ黙って見ていて、サリアとエルシャはただ見ている真也達の方を見て、エルシャが言う。

 

「あの!見てないで止めて下さい!」

 

「いや、少しは懲りないと分からない奴らだ」

 

「こうなったらとことんやって来い…だな」

 

真也達の言葉にエルシャは少し言葉を詰まらせ、サリアはアンジュ達の様子を見る。

 

そしてアンジュ達の攻撃をかわすサラはアンジュ達の背後を回り込み、腕を取る。

 

「殺しはしませんよ、私達は残虐で暴力的なあなた達とは違います」

 

「アルゼナルをぶっ壊して置いて、何を!!」

 

アンジュが強引に振りほどくも、すぐに間合いと取られる。

 

「あれは【龍神器】の起動実験です。あなた達はアウラ奪還の妨げになる恐れがありましたから」

 

「それで何人死んだと思ってんの!!」

 

「貰いは請いません」

 

アンジュは再び殴り掛かるも、すぐにかわされて空に浮かぶ。

 

「私の世界を護る為です、あなたも同じ立場なら同じ選択をしたのではありませんか? 皇女アンジュリーゼ」

 

「えっ!?」

 

自分の名を知っているサラの言葉に驚くアンジュ。

 

「貴方の事はよく聞いていました、“リザーディア”から。近衛長官リィザ・ランドックっと言えば分かりますか?」

 

「リィザ…? あいつ…あなた達の仲間?」

 

ようやく分かった事に気が付いたアンジュはサラの方を向くと、サラはそれを笑うかの様に見る。

それを見たアンジュは馬鹿にされた事に怒りが爆発する。

 

「バカにして!!!」

 

アンジュが怒り任せにサラに蹴りを入れた瞬間掴まれて、地面に叩き付けられる。

 

「アンジュ!!」

 

ヒルダ達が助けに入ろうとした時。

 

ドンッドンッドンッ!!

 

サラは素早い動きでヒルダ達に首に強烈な峰打ちを入れ、それにヒルダ達は気を失う。

 

アンジュは起き上がろうとした時にサラに足で首元をロックされる。

 

「貴女は何も知らなかっただけ」

 

そう言って彼女はアンジュの首元を絞め、それに苦しむアンジュは睨みつける。

 

「馬鹿にして…!馬鹿にし…て」

 

そしてアンジュは気を失い、サラは足を退ける。

サラの元に武尊がやって来る。

 

「お疲れさん」

 

「いえ、これくらいは大したことじゃありません」

 

サラはそう言って武尊は頷き、真也はアンジュの元により、アンジュを背負う。

 

「全く。度胸が有り余ってる奴だ」

 

「それには全く同感だな」

 

ソルトが真也の元に近づきながら言い、リコたちは気を失っているヒルダたちの肩を持つ。

 

「大丈夫なのか?こいつ」

 

「心配いりません。命の別状はありません」

 

「なら良かった」

 

そして真也達は武尊とサラの輸送機で再び宮殿へと戻っていった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

宮殿へと戻ってきた真也達は気を失ったアンジュ達を医務室へと送った後に、ソーン達は少しばかりサラの言葉を聞いて考え込んでいた。

 

「僕たちの世界はアウラの力で保たれていた…」

 

「マナの秘密がそれだったなんて…」

 

「思いもよらなかったよな」

 

自分たちのマナが元々アウラのエネルギーによって保たれてた事にソーン達は少々戸惑いが隠しきれなかった。

そんな様子にサリアは少しばかり顔を下に向けていて、その様子を気づいたソルトが近寄る。

 

「どうした?」

 

「…私たちのやっていた事が、まさかあの世界のエネルギーを維持するために動いていたなんて…。私たちは一体何をやっていたの…?」

 

「…それは分からない。いくら俺でもな」

 

そう答えるソルトにサリアはただため息をつくしかない。

 

「おーい!」

 

聞き覚えのある声がして、真也達は振り向くとアウラの民の服を着たヴィヴィアンがやって来た。

 

「ヴィヴィちゃん!元に戻ったのね!」

 

「うん!そうだよ」

 

っとそう言ってると…。

 

「うわあああああっ!!!」

 

アンジュが大声を上げながら勢いよく起き上がって来て、それに真也達とサリアとエルシャ、そしてヴィヴィアンが驚く。

 

「「っ!?」」

 

「おおっ!すごい大声だな?」

 

「ひぃ~~! ふぅ…ビックリした」

 

「あれ? ヴィヴィアン!」

 

アンジュはヴィヴィアンが元に戻ってることに驚き、それにヴィヴィアンは笑顔でアンジュの方を向く。

 

「オイッス!」

 

「えっ?ヴィヴィアン…どうして?」

 

「さあ~ここでクイズです、私はどうやって人間に戻ったでしょうか!」

 

っとここでヴィヴィアンのお得意のクイズが出て来て、それにアンジュは少々困った表情になる。何も知らないのにどうやって人間に戻ったか分からないからだ。

 

「ぶ~!残念! 正解は…え~と~…何だっけ?」

 

それに思わずズッコケそうになるソーンとラッセル、サリアとエルシャはそれに呆れてしまい、真也はやれやれとした表情をする。

 

するとそこに医者の『ドクター・ゲッコー』がやって来る。

 

「D型遺伝子の制御因子を調整しました、これで外部からの投薬なしで人間の状態を維持出来る筈です」

 

「って事でした~♪」

 

『お前が言った訳ではない』

 

ジークがその事を言うと、ヴィヴィアンは思わず笑いながら頭をかく。

そしてドクター・ゲッコーはアンジュの元に近づく。

 

「身体の具合は?」

 

「え? え…ええ、何とも」

 

「それは良かったです、姫様が“手加減”して下さったようで」

 

「えっ?手加減…?!」

 

そこの事にアンジュは驚き、サリア達も驚きを隠せない。

 

「あれで手加減…!?」

 

「ええ、せっかくのお客ですもの、怪我をされては申し訳がないですもの」

 

そう言ってドクター・ゲッコーがその場を離れて行き、アンジュ達は互いの顔を見合い、真也はその様子を見るのであった。

 

 

 

そして真也達は外に出て、アンジュが顔を洗っている。

ヒルダ達はまだ目が覚めていない為、リコたちがもうしばらく様子を見ると言って残っている。

 

「よう、ここにいたか」

 

「その様子ですと、もう大丈夫の様ですね」

 

真也達は声の主の方を向くと、そこに武尊とサラ達と一人の女性が居て、アンジュはサラを睨みつけ、その様子に真也は呆れ返り、ソーン達は苦笑いするしかなかった。

そんな中で武尊とサラが一人の女性性の方に話しかける。

 

「ラミア、彼女です。遺伝子照合で確認しました、貴女の娘で間違いありません」

 

「お待ちかねの再会だぜ」

 

っと彼らはヴィヴィアンの方を見て、ヴィヴィアンも自分に指を差しながら傾げる。

 

「行方不明になったシルフィスの一族、貴女の子『ミィ』よ」

 

「ミィ…ミィ!本当にミィなの!?」

 

ラミアと呼ばれる女性はすぐさまヴィヴィアンの方に向かい、そして泣きながらヴィヴィアンに抱き付く。

 

「ミィ…!」

 

「いや!アタシはヴィヴィ…ん?」

 

するとヴィヴィアンは突如匂いを嗅いで、少しばかり唖然とする表情となる。

 

「この匂い…知ってる、まるでエルシャみたい、アンタ誰?」

 

「えっ?」

 

その事にエルシャは驚く表情をし、ラミアはヴィヴィアンを見て言う。

 

「お母さんよ…!」

 

「お母さん…さん? 何それ?」

 

ヴィヴィアンはそれに問い、それを武尊が答える。

 

「お前さん産んだ人だよ」

 

っとその事にアンジュ達は気付く。

 

「えっ、って事は」

 

「ヴィヴィアンのお母さん?」

 

「ええ、彼女のお母さんを追って、あちらの地球に迷い込んでしまったのしょう」

 

その事を聞いてソーン達アンジュ達は納得し、真也は武尊に目線を向けて、それに気付いた武尊はこっそりと親指を立てる。

そしてサラはすぐにナーガとカナメに言う。

 

「皆、祭りの準備を。祝いましょう、仲間が10年ぶりに帰って来たのですから」

 

それにソーン達とアンジュ達はただ見つめるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして夜になり、アウラの塔で皆が集まっていた。中には避難場所からその祭りを見に来ている人たちがいた。

そこにサラが儀式用の蝋燭を手に持ち、皆の前に姿を現す。

 

「サラマンディーネ様よ!」

 

「サラマンディーネ様ー!」

 

蝋燭を持っているヴィヴィアンが隣に居るラミアに聞く。

 

「何をするの?これから」

 

「サラマンディーネ様のマネをすればいいだけよ」

 

ラミアがそうヴィヴィアンに言って微笑み、真也達はその様子を人混みの中で見ていた。

 

「殺戮と試練の中、この娘を悲願より連れ戻してくれた事を感謝いたします」

 

そう言った後にサラは儀式の蝋燭を空へと舞い上げ、それに皆も同じように舞い上げる。

 

「アウラよ!」

 

『『『アウラよ!』』』

 

ラミアも同じように舞い上げ、隣に居るヴィヴィアンも同じように舞い上げる。

その様子を見ている真也達の元に目を覚ましたヒルダたちがリコたちに連れてやって来る。

 

「へっ、あの女…」

 

「ん?ヒルダたち目が覚めたか」

 

「ああ、たった今な」

 

リコは真也にそう言い、真也はヒルダたちの方を見ると、ヒルダたちはサラの方を睨みながら見ていて。それには真也はただ呆れるばかりであった。

そんな中でサリアとエルシャはラミアと楽しむヴィヴィアンを見て少しばかり微笑む。

 

「良かったわね…ヴィヴィアン」

 

「ええ、何だか泣けてきちゃう…」

 

「ええ、本当ね」

 

っとアンジュも同じように頷き、それに真也は振り向く。

 

「ん? なんだって?」

 

「ヴィヴィアンが人間で良かったって事」

 

「ああ、そういう事か」

 

そう言って真也は前を向く。

するとアンジュがある事をつぶやく。

 

「これからどうなるの? 私達、こんな物を見せて、どうするつもり?」

 

「サラは知って欲しかったんだよ、サラたちの事を」

 

っとそこに武尊が居て、武尊の後ろにはタイガとアマツ、ナーガとカナメが居て。カナメが真也達に話し続ける。

 

「そしてあなた達の事を知りたいと、それがサラマンディーネ様の願い」

 

それを聞いたアンジュは振り向いて言う。

 

「知ってどうするの? 私達はあなた達の仲間を殺した。あなた達も私達の仲間を殺した、それが全てでしょ?」

 

アンジュがそう武尊達にそう言うも、カナメは頭を横に振る。

 

「怒り、悲しみ、幸福。その先にあるのは滅びだけです、でも人間は受け入れ、許す事が出来るのです。その先に進むことも…全て姫様の請け売りですが、どうがごゆるりとご滞在下さい…っと姫様の伝言です」

 

そう言ってナーガとカナメがその場を去り、そして武尊が真也に言う。

 

「真也、これが終わったらこっちに来てくれるか? 少しばかり話があるんだ」

 

「ああ、分かった」

 

武尊の誘いにうなづく真也、それに武尊はうなづいた後にその場を去り、タイガとアマツもその後をついて行く。

 

その様子を見たアンジュは真也に問う。

 

「行くの?」

 

「ああ、あいつの誘いを断らない訳には行かない」

 

「…そう」

 

アンジュがそう言い、そんな中でサリアが呟く。

 

「…私達、帰るべきかしら」

 

「えっ?」

 

「何?」

 

真也とアンジュはサリアの言葉に振り向き、サリアは真也達の方を見て言う。

 

「アレクトラ、アルゼナル、リベルタス。もしも…それを今なさない時が今だとしたら」

 

それを聞いたアンジュ達はサリアの口から信じられない言葉を聞いて驚き、真也は少々思いつめる表情をしながらも空に浮かぶ儀式の蝋燭を見るのだった。

 



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第22話 世界の変化

お待たせしました。どうぞ…。


祭りを見終えた真也は武尊との約束のために向かい、武尊が待つ場所に着いた。

そこはMSが整備されている格納庫で、ガフランが大量に整備されていた。

 

その中にガンダムエピオンの姿がある、武尊はエピオンの調整を少しばかりやっていて、真也は武尊の姿を見て近寄る。

 

「武尊」

 

「おう真也、どうだ俺のエピオンは?」

 

「悪くないな」

 

その感想に武尊は何やら気に入らない表情をするが、すぐに頭を切り替えて近くの棒に飛び移り降りていく。

真也は武尊に近づき、武尊も真也に近づく。

 

「悪いな、わざわざこっちに来てもらってよ」

 

「お前が誘ってきたんだ、断らない訳にはいかない。それで用は?」

 

「ここじゃ気が散る。俺の部屋に来いよ」

 

そう言って武尊は持っている道具を置いて、自分の部屋へと向かい、真也はその後をついて行く。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

真也は武尊の後をついて行き、武尊の部屋へとたどり着く。

武尊はその部屋に入ると、広い部屋で、少し大きなローテーブルやソファー、壁には絵とウイスキーがなれべてあり、そして何より大きなベッドが置かれてあった。

 

その部屋を見る真也は武尊に問う。

 

「武尊。この部屋随分と広いな?」

 

「へへへ、そうだろうそうだろう! なんせこの部屋は俺とサラの部屋なんだぜ!!」

 

「ぶっ!!!?」

 

っとその言葉に思わず吹いてしまう真也。

 

「お!お前とサラマンディーネさんの部屋だって!?」

 

「そうだ! ここで暮らす為に大王龍はこの部屋をくれた、そして俺はサラと毎晩ここでベッドの上で…でへへへ!」

 

「くっ!!なんて羨ましいんだ!!」

 

悔しそうな表情をする真也、それを自慢そうに言う武尊。

 

っとするに真也は武尊の用事の事を思い出していう。

 

「って!それじゃあねえだろう! お前は自慢するために俺をここに呼んだのか?!」

 

「ん!?しまった! 俺としたことがあまりの自慢の事にすっかり忘れてしまった! ゴホン! 真也、お前はこの世界に来てからどれくらい立つ?」

 

「この世界にか? …約10年だな。結構色んな事をして来たな俺、ガンダムを作ったり基地を作ったり、艦まで作ったり…お前は?」

 

「俺? 俺はお前と同じ10年だ、全く驚いたもんだぜ、お前がいきなり死んで悲しんでいる間に俺は交通事故でぽっつりと行ってしまった。ただそれを神さんが俺を真也が居るこの世界に送られて、サラ達と出会い、あれこれと色々とな…」

 

武尊はウイスキーが置かれてある横の壁に行き、その壁にある端末を操作すると壁が開いて、そこから大量の氷が入った器が出て来る。

そしてウイスキー用のグラスを二つ取り、ローテーブルの上に置き、グラスに氷を入れていく。

 

「お互い、結構時間掛かってるよな~…、原作までの道のりが」

 

「仕方ないさ、一気に進んでしまったら混乱するし、そして何よりエンブリヲだ。あいつは一度死んだはずなのに蘇り、本来アンジュと結ばれる筈の存在…タスクを殺した」

 

「タスクか…、あのラッキースケベの事は神さんから聞いたが、まさかエンブリヲがそんな事をするとはな」

 

武尊は壁に置いてあるウイスキーを取り、ローテーブルに置いてあるグラスに注いで、一つを真也に渡す。

それに真也は受け取り、武尊はグラスを上げて、真也に言う。

 

「それじゃあ、今一度幼馴染再会を祝して乾杯するか」

 

「そうしよう」

 

そう言って互いにグラスを当てて、乾杯をする。

 

 

そして二人はソファーに座り込み、真也と武尊は今までの事を話し合っていた。

 

そんな中で武尊はある事を言い出す。

 

「なあ真也、お前。この世界の“異変”に付いてどう考えてる?」

 

「ん?異変? どういう事だ」

 

真也は武尊が言い出した事に頭を傾げ、武尊はグラスを置いて真也と面を向ける。

 

「真也、俺達はある程度この世界の状況を変えてきた。しかしそれは同時に“ある代償”を受けてしまっている。真也…このことに付いてはある程度気づいている筈だぞ」

 

「ある程度…? どう言う…っ!」

 

っと真也はある事に気付く。

 

特にエンブリヲのことだった…、その事に気付いた真也は武尊の方に目を向ける。

 

「……奴の、今操っている“機体”の事か?」

 

「ああ…、俺達は奴がヒステリカに乗っていない事に気づいたのはアウラを奪われた後の事だった。俺はサラにエンブリヲの映像を見せてもらったら案の定、奴はラグナメイルに乗ってるんじゃなくMSだ。しかも“ゴールドフレーム天ミナ”だ」

 

「何!?ゴールドフレーム天ミナだって!?」

 

真也は武尊が言った言葉を聞いて驚く。

 

ゴールドフレーム天ミナ、ASTRAYシリーズの中で金色のフレームを持つガンダム、しかも天ミナは右腕が『ブリッツガンダム』の腕であり、それを元に強い機体となったのがゴールドフレーム天ミナであった。

 

「そう言えばあいつの機体の事、アンジュの事で気にしなかったが、何やら大きな機体だった様な気がするが」

 

「そう…そしてサラが俺に映像を見せた時の写真もある」

 

武尊は近くの棚から写真を取り出し、それを真也に見せる。

真也はそれを受け取り、その写真を見てみると驚く物を目にする。写真は確かにゴールドフレーム天ミナのものだが、左腕と背中のバックパックが全く違っていたのだった。

 

「こ!これ!!」

 

「ああ、見てわかるだろう? 奴はゴールドフレーム天ミナの左腕をブリッツの腕に変えていて。そして背中のバックパックは…」

 

「ヒステリカのディスコード・フェザーの翼」

 

その言葉に武尊は頷き、真也は思わず写真をテーブルの上に置く。

 

「…まさかとは思っていたけど。あいつどうやってガンダムを? ガンダムはそう簡単には手に入れる事は出来ない筈」

 

「俺もそう思った。奴は何処でそれを手に入れたのかが不明だ、たくぅ…インチキな野郎だぜ」

 

そう言って武尊はグラスと取って飲み、真也は少しばかり考える様子をする。

 

「…なあ武尊、俺達もう少し奴の事を警戒した方がいいかもしれないな」

 

「何?」

 

「あいつの機体。まだ奥の手を出していない…となるとディスコード・フェザーだけがあいつの手段だけじゃない」

 

「…確かに、少しばかり警戒する必要はありそうだな。っでお前の仲間にも伝えておくのか?」

 

「ああ、ソーン達にも伝えておくのもいいかもしれないな。だがアンジュ達にどう話せばいいのか…」

 

アンジュ達にどう話すか迷う真也、その様子を武尊は声をかける。

 

「それはそれで何とか話せばいいさ、一つ一つ話せば。そうだろう?」

 

「…そうだな。そうしよう」

 

そう言って真也はうなづくのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして同時刻の深夜、宮殿の玉座の間で大王龍と大巫女とサラ、そしてアウラの民の巫女たちが集まっていて、彼女達の前にリザーディア事…リィザがホログラムで通信回線を開き話していた。

 

「何と…! 真かリザーディア!」

 

『はい大巫女様、新生ミスルギ帝国の地下。アウラの反応は確かに此処から』

 

リィザの報告に巫女たちは思わず声を上げ、大巫女は頷きながらリィザをほめる。

 

「よくぞやってくれたリザーディア、時は来た。アウラの子よ、これよりエンブリヲの手から全能の母、アウラを奪還する。リザーディア『特異点』解放のタイミングは手筈通りに」

 

『おおせのままに…』 

 

そう言い残してリィザは通信を終えて消える。そして大巫女は皆に言う。

 

「これはこの星の運命を掛けた戦い、アウラと地球に勝利を!」

 

『『『勝利を!』』』

 

大巫女の声と同時に皆も頭をさげる。

その中でサラは少々思いつめた表情をしていて、その事を言おうか迷っていた。

 

しかしその考えは大巫女の隣にいる大王龍も考える表情をしていた。

それを大巫女は見る。

 

「どうしたのだ」

 

「…この事を武尊殿に知らせる必要があるな」

 

「何?」

 

「彼は我らアウラの民や人々の未来を繋ぎ止めた者。更に我らに力を与えてくれた…それを無視するなど出来ん」

 

「大王龍様…」

 

サラは思わず顔を上げて、大王龍の方を見る。

 

「…よかろう、サラマンディーネ。武尊殿に報告して来てくれぬか」

 

「はい、大巫女様」

 

サラは立ち上がって玉座の間を後にし、大巫女は少々ため息をつく。

大王龍はそれに反応する。

 

「気に入らんか?」

 

「…あの者は確かに我らの未来を繋ぎ止めた者、しかし我は全て受け入れてはおらぬ、サラマンディーネを気安く接している上に何やら不埒な考えを持っておる。あのような男を何処がいいのだ」

 

「そう言うでない、むしろ我は感謝している。武尊殿はサラマンディーネをこよなく愛しておる。それを考えるなら例え言葉使いが悪かろうが不埒な事を考えようが我は気にもしない」

 

「…お主の考えは理解出来ぬ(まあ、そういう考えが出来るそなたも我は好きではあるがな…)」

 

そう考える大巫女である事を大王龍は気づきはしなかった。

 

 



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第23話 己の意思 前編

またしても一ヶ月を開けてしまって申し訳ございません。

ようやく時間が出来ましたので、更新をします。


祭りが終えた後の翌日、宮殿の隣に止めてあるネェル・アーガマの寝室でアンジュが目を覚まし、起き上がって寝間着のまま部屋の外に出る。

そして廊下の窓の外を見ると、そこは同じ様な景色が広がるドラゴンの世界である。

 

「ドラゴンの世界…」

 

その事にアンジュは考えるも、その事を後回しにして着替えをする為に部屋に戻るも、部屋の片隅にある花瓶を見る。

 

昨日サラが言った事を思い出す。

 

 

 

──私はあなた方を捕虜扱いにするつもりはありません。

 

 

 

「っ! もう!何なのよ!」

 

そしてアンジュは服を着替えて、隣にいる真也の部屋に向かう。

 

「真也、起きてる?」

 

アンジュが外に壁の端末で返事をするも、全くなく、それにアンジュは部屋に入るとその光景を目にする。

 

「…なにこれ?」

 

アンジュが見たものは、それは真也が完全にグロッキー状態になっており、気持ち悪そうな表情でベッドに完全に倒れ込んでいた。

 

「うぇぇ~~……、気持ちわりぃぃ~~……」

 

その近くにはジークが居て、ジークはアンジュの方を見る。

 

『見ての通りだ、真也は昨夜、武尊と酒を飲んでいて酔がまわってしまったのだ。完全に』

 

それは昨夜、真也が武尊との会話でエンブリヲの警戒を改めてする為に話し合った後、改めて酒を飲んでいて、それに二人は酔っ払ってしまって倒れこみ、報告に来たサラが二人の状態を見てジークとスパローに連絡をしたのだ。

ジークはそれを見て呆れながら真也を担いで、ネェル・アーガマへと戻った。

 

『今リリーが酔止めの薬を持ってきている所だ、今日は大事な日だと言うのに、全くこいつは…』

 

「す、すまん……久々の酒だったから酔に負けちまった……」

 

「情けないわねぇ、あんた何やってるのよ?」

 

そう言ってアンジュは真也の近くに寄り、背中をさする。

その様子を気持ち悪そうにする真也はアンジュの行動を見ていう。

 

「…お、お前。そのくらいの気遣いが出来るなら、武尊達の話し合いでも気遣ってくれよ…」

 

「それとこれは別よ! アイツ等の話しはまだ完全に信用した訳じゃないから!」

 

「全く違うわ、たくぅ…」

 

真也がそう言ってると、リリーが真也の部屋にやって来て入ってくる。

 

「真也君、お薬持ってきたよ?」

 

「おう。すまん」

 

それに何とか起き上がる真也はリリーが薬を貰い、それを飲むと少しばかり気力が戻る。

 

「ふぅ…」

 

「効果は数分後に効くから、もうしばらくしたら楽になるよ」

 

「すまない、助かるよ」

 

リリーは真也にそう言って部屋を後にし、真也は礼を言ったあとに立ち上がる。

 

「さてと、着替えるとするか」

 

「っ!!!わ!私外に出てるから!!!」

 

顔を真っ赤にするアンジュはすぐさま外に出て行き、その様子を真也は見る。

 

「ふむ、行ったか」

 

『男の着替えを見るのは恥じるか、やはり年頃の娘だな』

 

そう言いつつ、真也はすぐに着替えをすみ、外に待たせているアンジュと一緒にある場所へと向かう。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてネェル・アーガマの外に出ると、ソーン達やサリア達、子供達が居て、真也達の方に気づきその方を見る。

 

「よう真也」

 

「おはよう、何だか昨日はちょっとすごい状態だったけど大丈夫?」

 

リコが声を掛けてきて、ラッセルが心配そうな感じをしながら真也に問いかけて、真也はそれに答える。

 

「大丈夫だ、さっきリリーから薬をもらったからすぐによくなる」

 

「そうか?あんまり無理はしないでくれよ」

 

「倒れたらそれはそれでややこしいから」

 

ジョージの容赦ない言葉に真也は少しばかり心に傷が付く。

 

「そうね、真也さんがまた倒れたら大変ですものね」

 

「こっちは考える余裕がないから」

 

エルシャとクリスがそう言い、真也は少々飲みすぎた事に反省をするのだった。

するとそこへ。

 

「ようお前さん等」

 

真也達は呼ばれた方を見ると、武尊達がやって来て、真也は武尊の方を見る。

 

「よう武尊、お前の方は大丈夫か?酔は」

 

「ああ、ドクター・ゲッコーが酔薬を貰ったから何とかな」

 

「全く、武尊も飲み過ぎには注意してください。いくら懐かしい友人との再会だからといって…」

 

「…はい、すいません」

 

その事に少々反省する武尊。それには真也を除くアンジュ達はただ苦笑いするしかなかった。

そして武尊達は真也達と子供達を連れて食堂へと連れて行き、そこにはヴィヴィアンとラミアが食事を取っていた。

 

「おかわり♪」

 

「もう…ちゃんと噛まないと駄目でしょう?」

 

ラミアはご飯を噛まないで食べるヴィヴィアンに注意をしながら言い、ヴィヴィアンは笑顔のまま頷く。

 

「うん♪ お母さんさん♪」

 

「あれ?ヴィヴィアン」

 

「ヴィヴィちゃん」

 

アンジュとエルシャの声にヴィヴィアンは反応する。

 

「おお~!おはようさ~ん!」

 

「武尊様、サラマンディーネ様」

 

「おはようさん、お二人さん」

 

「よく眠れましたか?」

 

サラはラミアと会話をし、それにラミアは少々笑いながら言う。

 

「それが、ミィと朝まで喋りしてまして」

 

「だから寝不足~」

 

それを聞いていた真也達は微笑みながら見ていた。そんな中で子供達が食事を見つけると大喜びをする。

 

「あ~!ご飯だ!」

 

「「「「「「うわーい!」」」」」」

 

「あっ!コラ!勝手に行っちゃダメでしょ!」

 

メリルが子供達を注意するも、子供達はそれを聞かずにそのまま直進していきご飯の方へ向かっていく。

その様子をタイガ達とナーガ達が見て。

 

「ははは、流石は子供たちは喜んでいるな」

 

「そうだね~」

 

「それも朝からあんなに元気とは」

 

「子供は元気が一番って決まってるじゃないですか」

 

その言葉を聞いた真也達はそれに振り向く。

 

「そこまで言ってくれると、こっちは嬉しい気分だ」

 

「わざわざ助けてきた回がある」

 

そう言って真也達は出された朝食の元に行き、子供達は「いただきまーす!!」と言いながら食べて始め、真也達もその食事を食べようとするも、アンジュは何故か手を付けなかった。

その様子に真也は振り向く。

 

「ん? どうしたアンジュ」

 

「注意して、何か毒が入ってるかもしれないわ」

 

「毒って、お前な…」

 

「毒なんて入って居ませんよ」

 

っとサラの言葉を聞いてアンジュは思わず睨みつけるが、隣に居るヴィヴィアンがアンジュの方を見て言う。

 

「アンジュアンジュ、大丈夫だって!アタシ食べても何ともならなかったよ」

 

「そうよアンジュちゃん、そんな身勝手な事をばかり言っちゃだめよ」

 

「少しは警戒を解きなさい、何時までも意地を張ってるんじゃないわよ」

 

エルシャやサリアの言葉にアンジュはそれに何とも言えない風な感じになり、真也はもちろんの事、ソーン達もそれに少しばかり呆れ返る。

 

そして真也と武尊の元にサラがある物をテーブルの下に置く。

真也と武尊が見たのは、しじみ入りの味噌汁だった。

 

「あっ、味噌汁」

 

「しかもしじみ入りだ」

 

「あなた方お二人はお酒の影響がまだありますので、それにはこれが一番の食事です」

 

それに真也と武尊は感謝しながらしじみ入りの味噌汁を飲み、それにはソーン達は納得する表情をする。

 

「へぇ~、二日酔いって味噌汁がいいんだ」

 

「初めて知ったね」

 

その様子をアンジュは呆れる風に見ていて、サラの方を見ると、彼女は何やらうっすらと微笑みながら見ているのを感じて、アンジュは何か引っかかりを感じていた。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして食事を終えた真也達はパイロットスーツとライダースーツに着替え、宮殿の外でラミアが真也達に言った言葉に真也達が頭を傾げる。

 

「家に帰る?」

 

「ヴィヴィアンを連れて?」

 

それに頷くラミアはヴィヴィアンを抱き付いて言う。

 

「この子が生まれて家を見せてあげよかと思って」

 

「おお~!見る見る!」

 

ヴィヴィアンがそう言ってラミアの方を見て、ラミアがそれに頷きながら言う。

 

「そう言うと思って“彼”に連絡を入れておいたの」

 

「おっ、あいつが来るのか」

 

「あいつ?」

 

武尊が言った言葉に真也は振り向く。そして空から何か飛行して来たのをジークが反応する。

 

『真也、6時の方向にMSが接近』

 

「何?」

 

真也達はジークが言った方角を見ると、空から一機のMSがやって来る。

その機体は両腕にドラゴンの腕をした『ドラゴンクロー』が装備されており、バックパックには接近戦の『フェイロンフラッグ』が装備されてある機体、『ドラゴンガンダム』が飛行してきたのだった。

 

ドラゴンガンダムを目にした真也達は思わず驚きを隠せない。

 

「ド!ドラゴンガンダム!?」

 

「あれもガンダムなのか?!」

 

「驚いたろう真也、あれも俺が開発したガンダムの一つさ」

 

そう言っている間にドラゴンガンダムは着陸し、コクピットから一人の少年が出て来る。

 

「武尊さーん!ラミアさーん!」

 

「おう『ジョイ』、よく来たな」

 

「ジョイ君。待ってたわ」

 

二人が声を掛け、それにジョイは頷きながらドラゴンガンダムから下りて、皆の元に向かう。

真也は武尊に問いかける。

 

「おい武尊、彼は?」

 

「彼はジョイ、この世界に残った人類の生き残りで俺達ドラゴン軍の仲間だ」

 

「ジョイです、ラミアさん、迎えに来ました」

 

「ご苦労様ジョイ君、あっ、ミィ、紹介しておくわ、彼はあなたの“婚約者”よ」

 

っとラミアの言った言葉に思わず真也達は固まる。

 

「「「「…はっ!!?」」」」

 

『『『『『婚約者~!!?』』』』』

 

「へ? あたしの?」

 

ヴィヴィアンはまだ状況が理解出来ずに居て、ただジョイを見つめ、またジョイも不思議な感じでヴィヴィアンを見つめていたのであった。

 



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第24話 己の意思 中編

お待たせしました。

更新です。


真也達の前に現れたジョイと言う少年がヴィヴィアンの婚約者だと聞いて驚きを隠せない皆。

アンジュ達は戸惑いながらも指を差しながら問う。

 

「そ、それって本当なの…?!」

 

「ヴィヴィちゃんの婚約者って…!」

 

「ええ、本当よ、この子がまだ小さかった頃に決めたのよ。もっともこの子は覚えていないかも知れないけど」

 

「(ん?それって婚約者と言うより許嫁に近い様な…)」

 

っとその時真也は思わずそんな事を考えているとジョイが。

 

「ラミアさん。まさか彼女…ミィですか?」

 

「ええ、そうよ。この子がすっかり大きくなった帰ってきたの」

 

「この子が…ミィ」

 

っとジョイがヴィヴィアンを見て、ヴィヴィアンがジョイに近づいて匂いを嗅いだ。

 

「クンクン」

 

「えっ?何?」

 

「…このにおい、知ってる。ずーっと知っている感じのにおい」

 

「ヴィヴィアン…」

 

サリアがその事を呟くとヴィヴィアンは笑顔になりながら言う。

 

「まあいいや! 君の事はこの後話し合えば分かると思うし♪」

 

「適当だなおい」

 

リコが思わずツッコミが入り、それにラッセルが呆れてしまう。

ヴィヴィアンの様子を見て、ジョイはすぐにうなづく。

 

「うん、この雰囲気とすぐに決める様子。間違いなく彼女だ!」

 

「でしょう! それじゃあ行きましょうか?」

 

「はい!」

 

そう言ってジョイはドラゴンガンダムに乗り込み、ラミアとヴィヴィアンを手に乗せて立ち上がる。

その時にヴィヴィアンは真也達に手を振った。

 

「そんじゃ行ってくるね~!」

 

ヴィヴィアン達を手に乗せたドラゴンガンダムが飛び去る様子を見送った真也達、その中でソルトが腕を組みながら笑みを浮かばせる。

 

「親子水入らず…か」

 

「良い光景だね」

 

その事を言うラッセル、そんな様子をロザリーは不安を隠せない。

 

「大丈夫なのかよ…ヴィヴィアン」

 

ロザリーの言葉にクリスも頷く。

 

「うん…、だって仮にもドラゴンの世界なんだよ…。なのに…」

 

「心配いらないわ」

 

っとエルシャの言葉にロザリーとクリスは振り向き、エルシャはヴィヴィアン達が向かった方を見ながら言う。

 

「だって…ここはヴィヴィちゃんの生まれた場所なのよ…、それならいいじゃない…生れつきながらアルゼナルで育った私とは…違うもの」

 

「エルシャ…、そうね…親子水入らず、邪魔しちゃ悪いわ」

 

「ほう?サリアにしては言うじゃないか」

 

「何よソルト、私変なことを言ったかしら?」

 

その事を睨みながらソルトの方を見るサリア、それにソルトは頭を横に振りながら言う。

 

「いや、そんな事はないさ」

 

ソルトはサリアにそう言う中、アンジュは先ほどの様子からムスっとした表情となり、それに真也は気付く。

 

「どうした?」

 

「…やっぱり気に入らない、何もかも」

 

「はぁ…、またか」

 

アンジュの定番的な発言にもはや呆れかえるとしか言い様がない真也。

そして真也は武尊の方を見向きながら問う。

 

「それで武尊、どうするんだよこれから」

 

「ああ、腹いっぱいになったし、そろそろそこのお嬢さんと話し合いのケリをつけたいしな」

 

「やっぱりそういう事なのね。あなたの目的は何?私達をどうする気なの?」

 

アンジュの問いにサラが武尊の代わりに答える。

 

「それは場所を変えて教えますわ。では、参りましょう」

 

そう言って真也達は武尊達と共に輸送機である場所へと向かった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてある建物「HUSTLE1」へとやって来る。真也を除くソーン達のその建物を見て唖然とする。

 

「なにこれ…?」

 

「此処は一体…?」

 

「古代の闘技場ですわ、嘗ては多くの者達が集い、強さを競い合ったそうです」

 

サラの説明を聞いてトラビスはそれに驚く。

 

「まさか…500年前の施設!? 完璧な保存状態じゃないか…!」

 

「これは姫様自ら復元されたのだ」

 

「え?サラマンディーネさんが?」

 

ナーガの言葉にソーンが反応し、それにナーガはうなづく。

 

「そうだ!サラマンディーネ様はその頭脳を持って旧世界の文明を研究し、様々な遺物を現代まで甦らしたのだ! 更に我々の龍神器も、サラマンディーネ様が『ドンッ』っ!?」

 

「ナーガ、言葉を控えろ。お前は興奮するとペラペラ喋る所があるからな」

 

タイガの横腹つつきでナーガを黙らせ、それにカナメも呆れながらうなづく。

 

「そうよ、それにあれは機密事項でしょ?」

 

「あっ!御免なさい!」

 

ナーガはそれに気づいて、慌てて謝る。

 

そんな中で真也が武尊の方の向き、小声で問う。

 

「(おい…これってあれだよな? 例のR○UN○D○1の…)」

 

「(ああ…、いや~…こればかりはすまん)」

 

武尊は例の遊び場で決闘とすることに謝り、真也はそれにはなんとも言えない感じになった。

そしてアンジュが真也達の前に出てサラに問う。

 

「それで、此処で何するの?」

 

「…共に戦いませんか? 私達と」

 

「はっ?」

 

サラの言葉にアンジュは思わず言葉をこぼし、それには真也以外のソーン達は反応する。

 

「はい、それに目的は違うとはいえエンブリヲを倒す、そして我々の世界を救う。なので───」

 

「フフフ…ははは」

 

っと突然アンジュが笑い出し、それに真也達はアンジュの方を向き、サリアが問う。

 

「アンジュ? 何笑っているのよ」

 

「な~んだ、そう言う事、結局は私を利用したいだけなの…戦力として。知って欲しかっただの、解りあえただの、良い人ぶっていたのも全部打算だったじゃない」

 

「おいおいアンジュ、お前そんな言い方かは───」

 

真也がアンジュの言葉に注意をしようとした時にサラは笑みを浮かばせて言う。

 

「その通りです、武尊の幼馴染である真也殿や他の者達は兎も角として。あなた達はそれなりの利用価値がありますから」

 

サラの言葉を聞いたアンジュ達は思わずキレる。

 

「なっ!」

 

「なんだと!!」

 

「っ!? ふざけるな!私はもう!」

 

「“もう、誰かに利用されるのはウンザリ”…ですか?」

 

その事を聞いてアンジュは思わず拳を握りしめる。その事には勿論サリア達も同じように拳を思わず握り締め、エルシャは少々戸惑いならラッセルの方を見る。

 

「ラッセル…」

 

「エルシャ…、これには僕は…」

 

そんな中で真也は武尊の近寄り耳元で話す。

 

「なあ武尊。彼女意外と大胆発言するな?」

 

「ああ、これはちょっと俺も予想外…かな?」

 

武尊の言葉にタイガとアマツはうなづいてしまう。

そして真也達を差し置いてサラは更に言い続ける。

 

「そう言うと思いまして此処へお連れしたのです、アンジュ。勝負しませんか?」

 

「はっ?勝負??」

 

「はい、貴女の未来を掛けて。私が買ったあかつきには貴女達は私の所有物となって頂きます、無論貴女達が勝てば自由ですわ」

 

サラの説明にアンジュは思わず驚きを隠せないでいた、それを聞いていた真也達は。

 

「はぁ…、仕方ない。こうなってしまったらもうやるしかないな」

 

「はぁ!?あなた本気で言ってるの?!」

 

「じゃあお前はこのままいいなりになってもいいのかよ? 言っとくけどこれはお前達の勝負だぜ? 俺たちは加勢は出来ないからそのつもりでいろよ?」

 

その言葉にアンジュ達は思わず言葉を詰まらせ、ソルト達の方を見ると、ソルトたちも何やら気まずそうな雰囲気を出していた。

 

「それをどうするかは自分で決める…か、良いわ!やってやろうじゃないの! ただし私一人でやるわ!」

 

「アンジュ!?」

 

「そう来なくては…!」

 

話が纏まってアンジュとサラが勝負する為の闘技場へと向かう。サリア達はその後をついていき、真也達もその後をついて行く。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

真也達とアンジュ達はサラに連れられてテニスコートにやって来て、まず最初にテニスが始まった。

 

「その玉を打ち返して、枠の中に打ち込めばいいのね?」

 

「その通り、では始めましょう」

 

「サービス!サラマンディーネ様!」

 

試合が始まり、アンジュとサラが構える中で、コートの外にいた真也達はその様子を見ている。

 

「もうアンジュったら、何を考えてるのよ」

 

「勝手に決めやがって」

 

「っま、それがあいつのやり方…なんだけどな」

 

サリアとヒルダの言葉に真也が言っていると、サラの強烈なサーブが一気に決まる。

 

それにアンジュは驚いてしまう。

 

「なっ!?」

 

「おお~サービスエース やるな」

 

「15-0!サラマンディーネ様!」

 

サラの方にポイントが入る、それにアンジュは思わず舌打ちする。

 

「くっ!」

 

「あら? 速すぎました?手加減しましょう…か!!!」

 

サラが再びサーブを放つ、っがそれをアンジュはレシーブをする。

 

「結構…よ!!!」

 

それにサラは驚いてしまい、ラケットを伸ばす反応が遅れてしまアンジュの方にポイントが入る。それを見た皆は驚く。

 

「「なっ!!?」」

 

「リターンエース、アンジュも初めてにしてはやるじゃないか」

 

「ふぃ!15-15!」

 

カナメが慌ててポイントを言い、アンジュとサラはお互い睨み合いながらも笑みを浮かばせていていた。

 

そしてテニスの後に野球、未来的なレース?的なマシン『サイバーフォーミュラ』、ゴルフ、卓球、クレーンゲームをやっていた。

途中で何やらソルト疑問に思い始めていた。

 

「…なあ皆、これ…本当に決闘か?」

 

「うん…僕もそう思う」

 

そして最後にツイスターゲームをする前にサラが。

 

「どうせならアンジュだけじゃなくそちらの方々やナーガとカナメも加わってください」

 

「「「「「ええっ?!」」」」」

 

「「かしこまりました」」

 

当然ツイスターゲームをする為に水着に着替えたアンジュ達、その光景はあまりにも刺激が強すぎた。

 

「(これはこれで…Good!!)」

 

『『『『『(Good!!!)』』』』』

 

シンクロがしたのかソルトたちも同じように心の中でグッドをした、しかしその中でラッセルは顔を赤くしながら顔を背けていた。

 

「(と、とても見ていられない…!)」

 

ソーンはルーレットを回して、色をと位置を教える。

 

「サラマンディーネさん、右手、緑。サリア、右足、青。ヒルダ、左足、緑」

 

サラとサリア、ヒルダが慎重に色の位置に手足を置く。

 

「アンジュ、左手、赤」

 

アンジュも言われた通りに手を位置に置く。

苦しみながらサラはアンジュに言う。

 

「予想以上ですわ…アンジュ」

 

「何が…?」

 

「少し…楽しみだったのです。今まで私と互角に渡り合える者などいませんでしたから、無論武尊とは何度もやりましたが」

 

その事に武尊は思わず心の中でドキッとする。

ソーンは次のルーレットの色と位置を言う。

 

「サラマンディーネさん、左足、赤」

 

「ですから…すごく楽しいのです」

 

「へえ、そう…なの!」

 

っとアンジュがサラをわざと押して倒そうとする、しかしサラの尻尾がそれを抑える。

 

「なっ!」

 

「嘘!?」

 

「尻尾は反則よ!」

 

アンジュは思わずサラの尻尾を噛みつき、それに悲鳴を上げるサラがアンジュ達を巻き込んで転倒し、それに皆は唖然とする。

 

「ありゃりゃ、引き分けだ」

 

「惜しかったな」

 

真也と武尊がそう言ってると、サラがすぐに起き上って言う。

 

「尻尾を噛むのは反則です!」

 

っと起き上がったアンジュが突如笑い出して、それにはサラも見ていてしばらくすると笑い出す。

その光景をサリア達やナーガとカナメ、そしてタイガとアマツは唖然とする。

 

「アンジュ…?」

 

「アンジュちゃん?」

 

「姫様が…笑った?」

 

「姫様が笑う所、初めて見た…」

 

アンジュとサラの笑っている風景を真也と武尊は笑みを浮かばせるのであった。

そしてアンジュが立ち上がって言う。

 

「よし!もう一回するわよ!」

 

「ええ!望むところです!」

 

そう言ってサリア達も同時に立ち上がったその時、水着のブラがスラリと落ちてしまい…。

 

「「「「「「「「ぶぅーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

 

真也たちは思わず鼻血を噴き出してしまい、アンジュ達は。

 

「「「「「「「「「きゃああああああああああああああ!!」」」」」」」」」」」」

 

アンジュ達はすぐさま腕で出てしまった所を隠す。

 

「ソルトのバカ!!」

 

「リコのアホ!!」

 

「ラッセルのエッチ!!」

 

「トラビス見るな!!」

 

「ジョージ見ちゃダメ!!」

 

「タイガ殿ダメだ!!」

 

「アマツさん今はダメ!!」

 

「武尊!!これは夜の時だけです!!」

 

「真也の変態スケベ発情期ーーーー!!!!」

 

するとアンジュ達は悲鳴をあげながら落ちている物を投げて、真也達の顔面へと直撃させ、それには真也達は避けることもなく辺り倒れてしまうのであった。

 




だいぶ待たせてしまってすいません。

それと今後の更新ですが、ようやく時間に余裕が出来てきたので、更新も出来ると思います。



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第25話 己の意思 後編

ミスルギ皇国でのとある私室、そこにはエンブリヲの姿が居て、彼は紅茶を飲みながらある事を考えていた。

 

「…そろそろ迎えに行かないと、いけないかな?」

 

エンブリヲは紅茶をテーブルに置き、立ち上がって扉の方を見る。

 

「誰か居るかい?」

 

『いるよ』

 

すると女性の声がして、扉から一人の女性が入ってくる。

 

「呼んだかい」

 

「ああ、そろそろ我が花嫁を迎えに行かなくては行けない、しかし私は少々忙しくて行けないんだ。代わりに行ってもらえるかな?」

 

「ケッ、調子がいいね、本当はまだ女とヤるつもりなんだろう?」

 

「その言い方は好きじゃないな。まあいい、では頼むよ」

 

その女性は「ケッ」と舌打ちをしながらも扉から出ていき、エンブリヲは部屋にあるもう一つの扉の方に向かい、その扉を開けると寝室となっている部屋に入る。

寝室には一人の少女がエンブリヲの姿を見ると怯える様に震える。

 

「ひっ!!」

 

「そう怖がらなくていいさ、私は傷つけたりはしないさ、安心してくれ」

 

「そ!それの何処が安心なの?! 帰して!家に帰して!!」

 

少女はその場から逃げようとするも、エンブリヲは手をかざすと少女を動けなくさせ、エンブリヲはゆっくりと近づく。

 

「心配しなくていい、君はこれから…私と結ばれるのだよ…」

 

「い!い! いやあああああああああああああああああああ!!!!!」

 

少女の悲鳴がその寝室に響き渡るも、その悲鳴は外に漏れる事は一切なかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてサラの世界で、自分達の自由の為に勝負をしたアンジュ達は戦いの汗を流すためシャワー室で汗を流していた。

その間に真也達はアンジュ達から綺麗な一撃を貰ってしまい、その受けた傷を救急箱で手当してした。

 

「いてて。アンジュの奴…思いっきり投げてきやがって…、おかげでいいものが見れたが」

 

「真也、それ言うな。俺はまだサリアの痛い目線が頭から離れない」

 

ソルトはサリアから痛い目線に少々落ち込んでいる様子であり、その事にはラッセルもうなづく。

 

「はぁ…エルシャになんて言おう」

 

「後で謝ればいいだけの事、我々も後からそうするつもりだ」

 

タイガも当てられた部分を手当しながら言い、ラッセルはそれに同意しながら自分の傷を手当する。

そんな中でアマツは。

 

「それにしても、サラマンディーネ様があんな風に笑うのは始めてだね」

 

「え? あんまり笑わなかったの?」

 

ジョージはその事を聞くとアマツは頷き、それに真也は耳を傾けながら武尊に問う。

 

「彼女、そんなに笑わなかったのか?」

 

「ああ、いつもアウラの事ばかりで頭が一杯だったんだが、今回の事でいい経験になったと思うぜ。それはそっちの彼女も同じだろう?」

 

「…ああ、アンジュもいい経験になった」

 

っと真也はそう言いながらアンジュ達が居るシャワー室を向きながら言うのだった。

一方ソーンの方はと言うと…。

 

「メ、メリル…一体どうしたの?」

 

「どうしたの?…じゃないわよ。聞いたわ…あなた、見たんですって?」

 

「ち!違うんだ! 別にわざと見た訳じゃ!」

 

メリルから途轍もないドス黒いオーラが放たれていて、それにソーンは冷や汗を大量に流しながら言い返す。

 

「言い訳は結構!! もう!私という者がいながら~!!!」

 

「だ!だから~!!」

 

っとメリルから痛いお仕置きを受けてしまったソーンだった。

その頃アンジュ達は汗を流しながらも真也達の事をブツブツと呟いていた。

 

「全くもう、真也のバカ、私の胸を見るなんて…」

 

「全くだぜ、リコの奴」

 

「ま、まあ皆、ラッセル達はわざと見たわけじゃないんだし」

 

「それはそうだけど…」

 

サリアは先ほどの事を思い出すと、顔を真っ赤にし、それと同様にロザリーとクリスは顔を真っ赤にしながらも黙りながらシャワーを浴びていた。

 

その中でサラがアンジュの方を向く。

 

「流石ですわねアンジュ、この私と互角に渡り合えるとは」

 

「私、これでもエアリアで優勝してきたんだもん」

 

「成程…、では今度はそのエアリアと言うもので勝負しませんか?」

 

サラがそれを聞くも、アンジュはそれを拒否する。

 

「無理よ、あれはマナが必要よ。私達…ノーマには出来ないから」

 

その事を聞いたサラはそれに頭が下がってしまう。

 

「ノーマ、マナを持たぬ者として差別されるもの。何て歪なんでしょう。私達はどんな苦しい時もアウラと共に学び、互いに思う絆を結んできました…」

 

「…でも私には関係ないわ、あなたたちがどう言おうと何を言おうと、私は関係ないもの」

 

「アンジュちゃん…」

 

アンジュの言葉を聞き、サリア達はただアンジュを見つめることしか出来なかった、しかしサラはそれを気にせずに言い続ける。

 

「貴女は本当にそう思いですか?」

 

「えっ?」

 

「本当は自分でも分かっているのではないですか? 今自分が何を考え、何をするべきかを」

 

「(自分が…何をすべき…)」

 

その言葉にアンジュはただ何も言えなかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてヴィヴィアンが居る実家ではジョイとラミアの三人で楽しく賑わっていた。

 

「ふふふ、そんな感じなの?」

 

「うん、サリアっていつも引き出しに隠している本を───」

 

すると地震と地鳴りが響き渡り、それにヴィヴィアンとラミアは反応する。

 

「あら?」

 

「おろ?なんぞ?」

 

そんな二人に対し、ジョイは何やら不吉な予感をしながらも周りを見渡していた。

 

同時に真也達もその地震の様子を見て見渡し、外に出る。

 

屋上に出た真也たちその原因がすぐに分かった。

 

「あ!あれは!」

 

それはアウラの塔からある空間が変化して行き、その様子を見つめていた真也達。そしてアンジュ達も合流して、アンジュはその空間の様子にある光景が映し出される。それはアンジュがまだ学生だった時に試合した事がある試合会場であった。

 

「あれは…エアリアのスタジアム!?」

 

「何!?(まさかエンブリヲか!?)」

 

真也はアンジュが言った言葉に驚きながらもある程度予想しながら思う。

そして町にいるヴィヴィアンはラミアと共に逃げて行き、その光景を目にする。

 

異変の空間はその人々を飲み込み、街を崩し、がれきと共に生き埋めにさせて行く光景を…。

 

「うわっ!街が!皆が!!」

 

一方でジョイはすぐさまドラゴンガンダムで自体の抑えようとする。

飛んでくる破片を蹴りで破壊し、その間に皆に放送で答える。

 

「皆さん!すぐに宮殿に避難してください! 急いで!!」

 

街の皆はそれに従い宮殿へと避難していく。

 

その様子を見届けたジョイが次の行動を取ろうとした時にアウラの塔からある物が出て来るの見る。

それは黒いボディに青い色のラインが入ったパラメイルが一体出てきて、その後ろに何やらサポートメカがついて来ていた。

 

「なんだあれ…? もしかして敵?」

 

そう思いつつジョイは相手に向かって構え、それにパラメイルのライダーは見る。

 

「なんだい、あたしの相手をするっての言うのかい? 笑わせてくれるね」

 

 

そして同時に真也達は。

 

「真也!なんだよあれ!?」

 

「まだ分からないが、とにかく向かうぞ!」

 

そう言って真也はガンダムを呼び出す。

 

「来い!ガンダァァァァム!!」

 

叫びながら指を鳴らしてガンダムを呼び、ソルト達も同じようにガンダムを呼ぶ。

すると宮殿近くに止めてあるネェル・アーガマからエクストリームガンダム、ガンダムデュナメス、ガンダムグシオンリベイクフルシティ、Zガンダム、ヴェルデバスターガンダム、ガンダムキマリスが起動し、ネェル・アーガマから飛び立った。

 

「こっちも呼ぶぞ!ガンダム!!!」

 

「「ガンダム!!」」

 

すると武尊の他にタイガやアマツも呼びだし、それに真也は思わず振り向く。

 

武尊の格納庫からガンダムエピオンが起動し、他にタイガのガンダム『ガンダムAEG-2』、アマツのガンダム『ガンダムレオパルドデストロイ』が起動してエピオンと共に飛び立つ。

 

そして真也達のガンダムが到着したと同時に武尊達のガンダムが到着し、そのガンダムを見て真也は驚く。

 

「え!AEG-2にレオパルドデストロイ!?」

 

「俺がタイガやアマツの為に作ったガンダムだ! サラ!お前も龍神器を呼べ!」

 

「はい!焔龍號!!」

 

すると額の宝玉が光り、空から焔龍號がやって来て。それにはアンジュ達は思わず見る。

 

「自動操縦…」

 

サラすぐさま焔龍號に乗り込み、起動準備をさせる中で言う。

 

「カナメは大巫女様に報告! ナーガは皆さまを安全な場所に!」

 

「「はい!!」」

 

そう言ってサラはアンジュに向かって言う。

 

「アンジュ、決着はまた今度で。武尊!」

 

「おう!真也!行こうぜ!」

 

「分かった!行くぞ!!」

 

真也達はガンダムに乗り込み、武尊達もガンダムに乗り込んで現場へと向かう。

その間にナーガとカナメはガレオン級を呼んでソーンとメイル、そしてアンジュ達を乗せて宮殿へと向かうのであった。

 

 



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第26話 都での戦闘

大変長らくお待たせしました

最新話をどうぞ


都のど真ん中でジョイは謎のパラメイルとサポートメカらしき機体と交戦し、苦戦を強いられていた。

 

「ぐぅ!強い! 小さい機体の癖に何てパワーとスピード!」

 

「はっ!それであたしに挑もうなんて、100年早いね!」

 

謎のパラメイルがライフルを構えた瞬間、別の方向からビームらしきものが飛んで来て、それに気付いたライダーはそのビームをかわす。

 

「何だい?」

 

ライダーは飛んで来たビームの方向を見ると、エクストリームガンダムを先頭にガンダムエピオン、焔龍號、ガンダムデュナメス、ガンダムグシオンリベイクフルシティ、Zガンダム、ヴェルデバスターガンダム、ガンダムキマリス、ガンダムAEG-2、ガンダムレオパルドデストロイが飛んで来た。

 

「ようジョイ!大丈夫か!」

 

「大丈夫ですか!」

 

「武尊さん!サラマンディーネ様!」

 

一方で真也は謎のライダーが乗るパラメイルを見てすぐさま確信を付く。

 

青のラインが入った黒いボディ、頭部には女神の様な小さな象が載せられていた。

その機体を見た真也と武尊は互いの目を見て頷く。

 

「真也、あれは間違いない」

 

「ああ、あれはラグナメイル、しかも“クレオパトラ”だ。だが後ろのメカは一体何だ? 初めて見る」

 

クレオパトラの背後にある謎のサポートメカを見て首を傾げる真也と武尊、ソルト達は真也と武尊が二人で話している様子を見て問う。

 

「おい真也、お前等二人で何話しているんだ?」

 

「て言うかよ、あれを知っているのか?」

 

ソルト達の問いに真也と武尊はそれを言い返す。

 

「ああ、まあな。それは後で詳しく話すが、簡単に説明すれば…あれはラグナメイルだ」

 

「っ!ラグナメイルって確かアンジュが乗っているヴィルキスと同じ奴か?!」

 

ソルトはその言葉に驚き、リコ達はその言葉に驚きを隠せず、真也はそれに頷く。

 

「ああ、そうだ(だが本来クレオパトラに乗るサリアは俺達と共に居る、乗っているのは誰だ…)」

 

そんな中でクレオパトラに乗っているライダーはエクストリームガンダムを見て目を細める。

 

「あれはたしか旦那の言っていたゲス野郎…だったけ? まあ別にゲス野郎はあの旦那なんだけど…。邪魔をする気ながら容赦しないよ、例え多対一だろうとね」

 

主であるエンブリヲを自らゲスと言うライダーは呟きながらも操縦桿を握り、スロットルを全開にする。

相手が来た事に真也達は振り返り、真也達はビームライフルとビームソード、ジョイは背中にある『フェイロンフラッグ』を取り出して構え、向かって来るクレオパトラを迎え撃つ。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

その頃ネェル・アーガマに戻ったソーンはすぐさまブリッジで状況を確認しようと、都の映像を見る。

 

「っ!これって…!」

 

ソーン達が見た映像は街が瓦礫と化して行き、人々が岩の中に埋もれて、被害が拡大して行くのを目にする。

 

「酷い…」

 

「街が…」

 

マリーとリリーもその様子を見ていて、ソーンはどうするかを考える。

するとブリッジにアンジュがやって来る。

 

「ソーン!マリー!ヴィルキスを出せる!?」

 

「アンジュ?!」

 

「ええ!?行くの!? だってまだあれは修理は──」

 

「そんな事を言っている場合じゃないわ! 今すぐにハッチを開けて!お願いね!」

 

そう言ってアンジュはすぐさま格納庫へと行き、すれ違いにサリア達がアンジュを見る。

 

「アンジュ!」

 

「皆!アンジュが出撃するみたいだから!一緒に行って!」

 

マリーの言葉にサリア達が驚く。

 

「はぁ!? あいつの機体はまだ直ってないだろう!?」

 

「無茶し過ぎ!」

 

すぐさまサリア達はアンジュの後を追いかける。

格納庫へと着いたアンジュはすぐさまライダースーツに着替え、ヴィルキスに乗り込む。その足にスタッフの皆が気づく。

 

「ん?っておい!それはまだ!」

 

「ぐだぐだ五月蠅い! 行くからハッチを開けて!」

 

アンジュの無茶振りにスタッフは呆れつつもハッチを開けて、ヴィルキスはすぐに発進して行く。

その後にサリア達が到着し、出てしまったアンジュの後ろ姿を見る。

 

「アンジュ!」

 

「たくっ!あの馬鹿野郎が!」

 

すぐにサリア達もパラメイルに乗り込んで、アンジュの後を追いかけて行った。

 

 

一方都では、真也がエクストリームガンダムのエクリプスフェーズを展開し、ヴァリアブル・サイコ・ライフルをクレオパトラに向けて放ち、それをかわしてビームライフルを放つ。

それを真也はかわして、ソルト達は後方援護をしながらビームを撃ち、その隙を付くかのように武尊がガンダムエピオンのビームソードを持って突っ込む。

 

しかしライダーはソルト達の砲撃攻撃をかわしながら武尊の動きを読んでいたのか、ビームソードを宙返りするかのようにかわして行く。

 

「ぬるいんだよ!!」

 

クレオパトラはビームライフルを連射しながら後ろに後退し、武尊はかわしながら真也の隣に並ぶ。

 

「くそっ、あの野郎なんて動きしやがるんだ」

 

「動きを読まれる上に遊んでやがる、手強いぞ」

 

そう言って再び構える真也達、っとそこに。

 

「真也!!」

 

『『『『『『!!?』』』』』』

 

聞き覚えのある声に振り向く真也達、すると上空からヴィルキスが飛んで来て、アンジュは音声を最大にして叫ぶ。

 

「真也!!大丈夫なの!?」

 

「あの馬鹿!来たのかよ!?」

 

「いいんだ、どうせ仮に止めてもあいつは聞かない」

 

真也はそう言い、サラはその様子を見て呆れながら再び敵を見る。

そしてライダーはヴィルキスを見ながら舌をなめる。

 

「へぇ、自ら来てくれるとは嬉しいね。なら即行で終わらせるとしますか」

 

するとライダーは端末を操作して、サポートメカにある指令を出す、するとサポートメカは動き出してクレオパトラの背後に付く。

 

真也達はサポートメカが何をするかを警戒し、様子を見ようとする。

するとサポートメカは胴体部に空洞を残したまま人型へとなって行き、そしてクレオパトラは開いた部分とドッキングするかのように合体し、そして頭部が兜に被さってカメラアイを光らせて、ガンダムと同じ大きさの機体となった。

 

それを見た真也達はより警戒を強める。

 

「何だあれ!?」

 

「(なっ!エンブリヲは一体何を作ったんだ!?)」

 

そしてライダーはアンジュの機体を見る。

 

「さて…」

 

そう言うと機体が突如消えて、真也達は突如慌て、アンジュとサラもそれに驚いて探すも、その時アンジュの後ろにクレオパトラが現れて、それにアンジュは気づく。

 

「っ!!」

 

「さっ、さっさと来な」

 

クレオパトラがヴィルキスを掴もうとした時、右手が突如撃ち抜かれて爆散し、それにはライダーは驚いて離れて撃ってきた方を見る。

そこにはサリア達のパラメイル達が来ていて、サリアがスナイパーライフルを使って狙撃した。

 

アンジュはそれを見て驚く。

 

「サリア!」

 

「アンジュ!貴女はいつも勝手なことをして! 少しは立場をわきまえなさいよ!」

 

「五月蠅いわね!私の勝手でしょうが!」

 

っとまたアンジュとサリアはここで言い争いが始まり、それにサラは言う。

 

「アンジュ、少しは感謝をしたらどうですか?」

 

「黙ってなさい!サラマングリス!」

 

「サラマンディーネです!」

 

そんな中で右手をやられたライダーは舌打ちをし、サリアを睨みつける様に見る。

 

「やってくれたね…“サリア”、今度は『ビービー!』あん?」

 

突如コンソールから警報機ななり、それにライダーは見ると、エネルギー残量が10%まで低下していた。

 

「クソッたれ!!まだ燃料問題が解決してないじゃんか!あのクズめ!」

 

するとそのライダーはスピーカーをオンにし、真也達に向かって叫ぶ。

 

「いいかいあんた等!! 今日の所は見逃してやるよ、だが今度会う時は首を洗って待ってな!!」

 

そう言ってライダーはクレオパトラと共に消えて行った。

真也達は互いを見合った後に武器を下ろして、アンジュ達はその声を聞いた途端、思わず言葉を失くす。

 

「…今の声」

 

「まさか…」

 

アンジュ達の頭の中にある人物が思い浮かぶ中、嵐の影響がより強くなり、真也達に迫りつつあった。

 

「ぐっ!あいつは消えたが、あの嵐をどうにかしないとな」

 

「しかしどうやってだ?」

 

「簡単だ、アンジュ!サラマンディーネ! お前等だ!」

 

っと真也の言葉にアンジュとサラが反応する。

 

「ええ? 私達?」

 

「どう言う事ですか?」

 

「お前等のアルゼナルで使ったディスコード・フェザーと収斂時空砲、二つの砲撃をぶつけ合えばあの嵐を打ち消す事が出来る!」

 

「貴方!どうしてそんな事知ってるの!?」

 

サリアは思わず真也に問いかけるも、今は状況が状況で答える暇はなかった。

それを聞いたアンジュは納得する。

 

「そっか!聞いたサラマンブンブン!」

 

「…それは駄目です」

 

拒否をするサラにアンジュは納得出来ず、すぐに問い返す。

 

「どうしてよ!?」

 

「収斂時空砲の破壊力では都はおろか、神殿事消滅してしまいます!」

 

「そんなの三割引きで撃てばいいじゃない!」

 

「そんな都合よく調節出来ません!」

 

「そんな事を言ってる場合じゃないでしょう!!」

 

アンジュとサラが言い争っているのを見た真也はすぐに答える。

 

「心配ない!!俺が指示した通りにやればいいんだ! 一度だけでもいい、俺達を信じてくれ!!」

 

「で!ですが!」

 

「サラ!真也を信じろ…」

 

っと武尊の言葉を聞いたサラはようやく決心をする。

 

「分かりました…やりましょう!」

 

そう言って二人は歌を歌い出す。

 

 

 

「「♪~♪♪~♪」」

 

 

 

その歌は遠くへ避難していたヴィヴィアン達にも聞こえ、ネェル・アーガマにもその歌は聞こえた。

 

「この歌…」

 

「アンジュと…あのお姫様?」

 

「綺麗な歌…」

 

そして二人の機体の色が金色の変化して行き、サラの焔龍號が収斂時空砲を放ち、異変の空間に直撃する。

 

「アンジュ!!」

 

それにアンジュは頷き、撃とうとした際に機体が爆発してコックピットハッチが吹き飛んでしまい落ちて行く。

 

「アンジュ!落ちてますわよ!!」

 

「見れば分かるわよ!!」

 

「なら早く立ちなおしなさい!!」

 

「分かってるわよもう!!こんな時に!!あなた世界を破壊した兵器何でしょう!? 気合い入れないさよヴィルキス!!!!」

 

するとアンジュの指輪が反応し、ヴィルキスの負傷部が直って行き、更にコックピットハッチも修復された。

それにサリア達は驚き、ヴィルキス立ち直してヴィルキスの『ディスコード・フェザー』は放たれ、収斂時空砲と共に直撃して、大爆発して行き、異変の空間は消滅した。

 

「やった!!」

 

「やりましたわ!!」

 

空間の消滅を確認したのを見た二人は思わず声を上げて、真也達はそれにホッと一息をするのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

事態は収まり、被害が最小限に抑えられた確認されて、真也は一息を付く。

 

「真也」

 

「おう武尊」

 

武尊が真也の所にやって来て、真也にある事を話し、それに真也は驚きの表情を隠せない。

 

「ええ?!“この地球の世界評議会”!? そこに俺達が!?」

 

「ああ、どうも今回の事で事情を聞きたい様だ、勿論俺もサラも同行しに行くが…お前等はどうする?」

 

その事を聞いた真也はまた新たな問題抱え込みそうな予感がしてならないのだった。

 

 




いかがだったでしょうか。

もし誤字があったりしたら言って下さい


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第27話 世界評議会

この作品が止まって早一年近く、別作品でリハビリしようやく動き出すことが出来ます…

長い間更新できずにすいません、更新です!

そしてクロスアンジュよ!私は帰ってきました!!


サラ達の都を謎の敵、クレオパトラから守り抜いた真也達、しかし武尊からこの地球の世界評議会から何やら話を聞かされる事となり、そこに向かう事となった。

 

太平洋上でエクストリームガンダムとガンダムエピオン、ヴィルキスと焔龍號にパラメイル中隊の機体を輸送機に載せて操る真也と武尊、ソーンとメリル、そしてジークとスパローにアンジュ達が居て。

その周りにソルト達のガンダム達が護衛するかの様に共に飛んで向かっていた。

 

そこで真也は武尊に評議会のことを問う。

 

「おい武尊。この世界の評議会ってどんな所なんだ?」

 

「まずデカイが一言、そして世界中の人達がこの世界のエネルギー問題や各国の都市の再建に付いて語り合っている。それも何度も話し合ってる」

 

「何度もって…、大丈夫なのか?」

 

「まあそれに付いては着いてからで良いだろう、おっ?そろそろ見えてきたぞ」

 

武尊の言葉に真也は前を見ると、遠くに大きく空高く伸びているビルらしき建物が見えてきた、そして周りに輸送機や船が辺りにいて、滑走路に着陸や港に停泊する様子が見えた。

 

その様子を見て、真也達は思わず目が釘付けとなる。

 

「凄いな…あれがか?」

 

「ああそうだ、あれがこの世界の世界評議会『ワールドセンタータワー』だ」

 

「ワールドセンタータワー…」

 

その言葉に真也は呟きながら操縦桿を操作して、指定された着陸場に向かう。

そしてワールドセンタータワーの着陸場に近づいて、その場に居た係員達が誘導ライトで指示を送り、その指示に従って着陸する。

 

輸送機とガンダム達が着陸し、その場にいた係員たちはソルトたちのガンダムを見て騒ぎ出す。

 

「おいおい見ろよ、ガンダムだぞ?」

 

「アウラの都の物じゃないな? 形がいつもと違うぞ?」

 

「もしかして新しく作ったのか?」

 

「いやそれはないだろう~。いくら何でもファブリケーターでは何機も作ることは出来ないだろう」

 

っとあちらこちらでガンダムの会話が聞こえてきて、輸送機から降りてくる真也達はそれに思わず黙り込んでしまう。

 

「これがか…」

 

「まあ無理ないだろうな、なんせエピオン以外のガンダムは皆真也が作った物ばかりだからな」

 

武尊の言葉に真也は素直に従う、そんな中でアンジュはワールドセンタータワーを見上げていて、ヴィヴィアンとエルシャが寄ってきて問う。

 

「アンジュ、どうしたの?」

 

「このタワーが気になるの?」

 

「ええ…まあ、この広い海の真ん中にこんなのがあるなんて…」

 

そう言いつつ、真也達は武尊とサラの誘導に従い進むのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ワールドセンタータワーの中に入った真也達、中はかなり広く大勢の人がいて、中央は柱が立っていて、そこに受付の案内所があった。

 

そこに武尊とサラが向かって、案内所の係員に問いかける。

 

「すまない、アウラの都から来た者達だ。議会の例の件で来た」

 

「お待ちしておりましたわ。中央のエレベーターに乗って最上階に上がって下さい。そこであなた達を待っている方がいます」

 

「分かりました。では行きましょう」

 

武尊とサラの案内に従い、真也達は中央のエレベーターで最上階に上がる、途中で外の光景が写り、周りに広がる海が太陽の光に反射してキラキラと光る。

その光景にヴィヴィアンが興奮する。

 

「おお~周りの海がキラキラ!」

 

「これほどのタワーを建設するのにどれほどの時間がかかったんだろう…」

 

ソーンがこのワールドセンタータワーの建設の事を呟き、それにサリアも頷く。

 

「そうね…普通はこれほどのタワーを作ることはまず出来ない…」

 

「それがファブリケーターの力だ。建設マシンと無限の物資があれば可能だ」

 

武尊の言葉を真也も頷く、確かにファブリケーターの力があれば不可能も可能にする事が出来る。

ソーンとサリアはその事を考えると少しばかりため息を吐く。

 

そんな中でメリルとエルシャが何やら考え事をしていた。それにラッセルが問う。

 

「どうしたの二人共?」

 

「都に置いてきた子供達の事を考えてたの」

 

「マリーさん達が見てくれているとは言え、少しだけ離れているとなると…」

 

「大丈夫だよ。マリー達を信じてあげなよ」

 

ラッセルは心配するメリルとエルシャの事を励まし、それに少しだけ悩むのをやめる2人。

 

そしてジークはメリル達とは違う事を考えていた。

 

『(なるほど…この建造物は他の金属とは全く違う物質で出来ているな。しかも海水に錆びない特殊な物だ…)』

 

このワールドセンタータワーの金属を確かめながら辺りを見渡していて、その様子にスパローは何とも言えなかった。

 

一方真也は海を眺めながら考え、それにアンジュは問いかける。

 

「どうしたのよ?」

 

「いや、何もない…のだが。この先の事を少しばかり考えててな…」

 

「この先の事?どういう意味よ?」

 

「俺達はこれからエンブリヲとの対決が本格化してくる、あいつの素性はまだ謎のままだし、これからの戦いはますます激しくなるな」

 

「…そう(真也は何か隠している…こうなったらこれが終わったら聞いてやるわ!)」

 

アンジュは心の中でそう思い、真也達が乗るエレベーターは最上階に到着する。

ドアが開くとそこに一人の女性が立っていた。

 

「ようこそ、ワールドセンタータワー世界評議会へ、私はマベル・ヤングスです。すでに皆様はお待ちしております、こちらです」

 

マベルの案内に真也達はその後をついていく。

 

そして大きな扉に前に付いて、その扉が開くと、そこには大きな部屋があり、その奥には7人の初老の男女がこちらを見ていた。

 

マベルは頭を下げた後にその場を去り、残った真也達は7人の初老の男女を見る、すると武尊とサラが前に出て言う。

 

「アウラの都から来た小林武尊、ドラゴン軍の大将です」

 

「同じく近衛中将サラマンディーネです」

 

「よくぞ参った、私が世界評議会最高議長、アンドレイ・ガフタールだ。そしてよく来られた別地球から参られた者達よ」

 

アンドレイ最高議長等が出迎え、それに武尊とサラは頭を下げ、それに釣られるかのように真也達も一度頭を下げる、っがその中でアンジュだけは頭を下げなかった。

それにサリアはすぐにアンジュに怒鳴る。

 

「ちょっとアンジュ!何やってんの! 早く頭を下げて!」

 

「うるさい!私はどんな人物だろうと頭は絶対に下げない!」

 

「いや下げろ」

 

っと真也が強引にアンジュの頭を下げさせ、それにアンジュはジタバタと暴れだす。

それにソーンたちは思わず呆れながら見ていて、議員たちは笑いながら見ていた。

 

「はははは、なかなか面白い2人だ」

 

「まるで夫婦ね」

 

「いや、本当の夫婦なのかもしれんあ」

 

議員たちの冗談話の事にアンジュは思わずイラっとする。

 

「ち!違うわよ!!!誰がこんなおバカでスケベそうな奴なんかと!!!」

 

「誰がスケベそうな奴だ!!それにおバカはお前だろう!!!」

 

っと2人の痴話喧嘩が始まってしまい、それにソーンとラッセルが真也を抑え、ヴィヴィアンとエルシャがアンジュを抑えるのだった。

 

「まあまあ真也」

 

「抑えなよ」

 

「ほらほらアンジュも」

 

「アンジュちゃん、貴女もみっともないわよ」

 

「「ぶ~~~!!!」」

 

何とも子供っぽい感じの雰囲気になってしまっている様子に武尊はコソコソ笑いを堪えていたが、サラに横腹をつつかれてちょっと黙り込んでしまう。

その様子に何とも微笑ましい様子で見ていた。

 

「ほっほっほ、やはり若いの~。見ているこっちが少々恥ずかしい感じじゃわい」

 

「っ!!!ゴホン! 失礼しました。自分はフリーフォックスのリーダーの星野真也です」

 

っとすぐに気持ちを切り替える真也、それに対しアンジュの方はまだムスっとした感じだった。

 

「最高議長殿、そろそろ本題に入ったほうが…」

 

「ああ分かっている。では早速だが都で何が起こったのか報告してくれないか?」

 

「はい最高議長、実は…」

 

武尊とサラは都の方で何が起こったのかを全て話す、ラグナメイルの襲撃、時空の影響、その他すべてを話し、アンドレイ最高議長はそれに納得する表情をする。

 

「なるほど…、その機体と竜巻の関係。恐らくエンブリヲ以外考えられないな」

 

「エンブリヲ!?」

 

「あの男がまたしてもですか!?」

 

「どれだけこの星を破壊すれば気が済むのですか…!」

 

っと皆がエンブリヲの話をすると表情を暗くする。

その様子を真也達は黙って見ていて、アンジュは少々厳しい目線で見ていた。

 

「あの男がアウラを連れ去る以前にあちこちの街を破壊し、好き放題にしてはあっさりとこの星を捨てて、次の星に人類の半分を連れて行った…残った人類は武尊が提供してくれたファブリケーターのお陰で何とかなったのだが…」

 

「未だに都市の復旧は半分以上に至っていません。まだまだ先になります」

 

「エネルギーだってそうです、火力発電や水力発電、それに太陽光発電だってまだなんです、インフラに関しては先月ようやく繋いたとの報告を聞きます」

 

「原子力はエネルギーを発動するに何ヶ月も掛かるが、他の者達はそれを断固反対している。また放射能の脅威から怯えて暮らすのはゴメンだと聞く。まあ当然と言えば当然か…」

 

アンドレイ最高議長と議員たちの会話を真也達は互いの顔を見ながら聞いていて、それに少しばかり考える。

今の状況でどう考えてもまだまだ存亡の聞きがあると見る、それを思うと少々重たい感じになる。

 

っがそれをアンジュが割り込んでくる。

 

「もうなによ!!何が問題よ!何が復旧よ! この際皆で新しい目標に目指すべきじゃないの!?」

 

「アンジュ」

 

真也はアンジュを抑えようとするも、こう熱くなったアンジュはなかなか止まらない。

だがそれをアンドレイ最高議長は頭を横に振る。

 

「そう簡単には行かないんだ。皆今の暮らしで生きていくのに精一杯なんだ、それに新しい事を目指すと言うがそれを考える余裕もない」

 

「そんなのやってみなくちゃ分からないでしょう!」

 

「だからそれを簡単に言わないでくれたまえ…、第一…君が言う新しい目標や目指すものと言ってるが、一体どう言う風な物だ?」

 

「っ、それは…」

 

その事を問いかけられたアンジュは少しばかし言葉が出ない。それに真也達は言うまでもなかった。

結局行き当たりばったりのか感じだった。

 

「それだよ…我々は今出来る事を最善としてやっている、そこから頑張っていく他ないんだ…すまない」

 

っとそれにアンジュは歯を噛み締め、黙り込むしかなかった。

いや…それが今彼女が出来る唯一の方法だった。

 

真也は一度武尊の方を見て、それに武尊も見て頷き、真也は頷いてアンドレイ議長に話す。

 

「議長、我々は出来る限りのことをします、ですが我々の本来の目的はエンブリヲです。彼を倒さない限り恐らく未来はないでしょう」

 

「彼を倒す…?どうやってだね。あの強大なロボット兵器を持っているのだぞ?」

 

「そのためにあるのです、我らにはガンダムがあります」

 

その言葉にアンドレイ議長達はただ言葉が出なかったのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして報告は終わり、ワールドセンタータワーを後にする真也達、輸送機の中でアンジュは少し考え事をしていた。

アンドレイ議長に言われた事を…。

 

《君が言う新しい目標や目指すもの。一体どう言う風な物だ?》

 

「…はぁ」

 

「議長に言われた事が引っかかるか?」

 

っと真也がアンジュの隣に座り、アンジュは顔をそらしながら言う。

 

「ええ…、悔しいけどあの時言い出せなかった…私が目指すものが」

 

「まあそうだろうな、俺も議長の器のデカさには流石に参ったよ。世界の議長を務めているだけの事はある」

 

「ねえ真也、あんたはどう考えてる?未来の事を…」

 

「俺か?俺はすでに決まってあるしさっき言った言葉と同じ、エンブリヲを倒して未来を切り開く。今はそれだけだ、後の事はそこから考えればいい…」

 

その言葉を聞いたアンジュは少しため息をつく。

 

「はぁ…、ホント真也は単純で良いわね」

 

「ありがとよ、それは俺に取って最高の褒め言葉だ」

 

っとそれにアンジュは笑い、それに真也は笑みを浮かばせながら見つめあうのだった。

その様子に武尊とサラは見る。

 

「良い感じだな」

 

「ええ、そうですわね…。武尊」

 

「わかってる、真也に言わなきゃな…攻撃の事を」

 

っとその言葉に武尊は表情を引き締めながら真也を見るのであった。

 

 




こっちでの更新は久々ですが、もし誤字があるなら気楽にどうぞ。


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第28話 自分の意思 前編

真也達がワールドセンタータワーでアンドレイ議長達との会話が済んだ翌日、真也達とアンジュ達は武尊とサラからある事を聞いた。

 

「何? ミスルギ皇国に侵攻だと?」

 

「ああそうだ」

 

「リザーディアの話しではミスルギ皇国の機密区画の地下でアウラを発見したと」

 

「っ!皇国の地下…?!」

 

それを聞いた真也以外のソーン達とアンジュ達は驚きを隠せない。

まさか自分の故郷であるミスルギの地下にアウラがいる事を聞いて、驚かない者はいない。

 

「アンジュちゃん、大丈夫?」

 

エルシャがアンジュの事を心配して問いかけ、それにアンジュは振り向いて頷く。

 

「大丈夫よ…エルシャ」

 

それにエルシャは少しホッとする。そしてサラが真也達とアンジュ達に向けて言う。

 

「私達は明朝、ドラゴン軍とアウラの民の総力を集めて、ミスルギ皇国へ進行し…アウラを奪還いたします」

 

サラの言った言葉にソーン達とサリア達が少しばかり考え、そしてソルトが言う。

 

「それで俺達にその配下に加わって欲しいって言うのか? 無茶言うな…俺達は子ども達を連れているんだぞ?」

 

「そうだよ。子どもを連れたまま戦闘なんて無茶が有りすぎる…」

 

ラッセルの言葉にサリア達が思わず振り向いて、そして考える。

確かにネェル・アーガマには子ども達が大勢いる、それを考えるとこのまま連れて戦闘はとても危険過ぎる、ソーンたちはそれを考えていると、アンジュがある事を言う。

 

「それで?その事を聞かせてどうするつもり? 私…私達も戦線に加われっとでも言うつもり?」

 

「アンジュ…」

 

アンジュの問いにヒルダは見て、それにサラは微笑みながら話す。

 

「…まさか、貴女達は自由ですよ?アンジュ…それに貴女方も。この世界に暮らす事もあちらの地球に戻る事も…。勿論我々と共に戦っても貰えるとなればそれ程心強い物はありませんが。明日の出撃の前に貴女達の考えを聞いて置きたくて…」

 

「私達の…?」

 

アンジュはそれに頭を傾げ、それにサラは頷く。

 

「あなた達は、民を救っていただいた恩があります。出来る事なら何でもお手伝いしますわ」

 

アンジュ達はそれを聞いて少しばかり考えいた。確かにここにいればもう戦う必要も、争う必要もない、だがそれはここだけの話である。

実際にジル達はまだ元の世界で戦っている、それを放っておく訳にも行かない…。

 

すると真也がある事を言う。

 

「すまないが武尊。お前たちに頼みたいことがあるんだ」

 

「ん?なんだよ真也」

 

真也が言い出す事に、ソーン達が勿論の事、アンジュ達も真也の方を振り向き、真也は少し間を空けながら言う。

 

「ここに…子ども達を預からせて欲しいんだ」

 

「えっ!?」

 

「真也!?本気なの!?」

 

ソーンとメリルは真也の言った言葉に驚きを隠せない。当然真也はその言葉の意味を言う。

 

「ああ…やはりどう考えても俺達は子ども達を連れたまま戦闘を行うのは無理がある、ネェル・アーガマは文字通り戦闘艦だ、艦が攻撃を受け、艦内に爆発が起きれば子ども達も被害が出る。それだけは避けたい」

 

「真也…」

 

アンジュは真也の言った言葉を聞いて少し言葉を無くすも、その言葉にエルシャが言う。

 

「……私もそれが良いと思います」

 

「エルシャ?」

 

「おほ?エルシャがそんな事を言い出すなんて」

 

サリアとヴィヴィアンはエルシャの言葉を聞いて驚くも、エルシャはその重い言葉を放つ。

 

「フリーフォックスの子ども達はアルゼナルの子ども達よりも活発でとても幸せな感じでした、その様子を見ると連れて行く事なんで出来ません…。それにここの人たちはとても親切にしてくれる…ここに居させた方が安心です」

 

「…うん、そうだね…それを考えると確かにエルシャの言う通りだよ」

 

ラッセルもその言葉を聞いて賛同し、エルシャの方を向きながら頷き、エルシャもそれに頷く。

その様子にソーン達とサリア達は黙り込み、その様子に武尊とサラは頷く。

 

「分かった、子ども達は俺達が預かるよ」

 

「我が民達が安全に守らせるので、どうかご安心を…」

 

「すまない」

 

真也が深く頭を下げ、その様子をアンジュはジッと見つめるのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして宮殿で、アンジュは沈んでいく夕日を見つめていた。

その様子をサリア達も近くで見ていて、そこに真也達が来る。

 

「何夕日を眺めてるんだ?」

 

「真也…、…ねえ、私達って本当に正しい事をしてるのかな?」

 

「何?」

 

アンジュの言葉に真也は首を傾げ、ソーン達やサリア達もそれに振り向く。

 

「私…何もかも信じられないのよ、聞いて来た事全てが…」

 

アンジュは空を見上げながら言い、それに真也達は黙って聞いていた。

 

「ドラゴンが人類世界に侵攻してくる敵だって言うのも嘘、ノーマの戦いが世界の平和を守るってのも嘘…あれもこれも嘘ばっかり。もうウンザリなのよ…嘘は」

 

「世界のバランスを保つために嘘を付く…か」

 

真也はエンブリヲが作り出した世界の事を呟く。

 

「ドラゴン達と戦って、それが間違いだったとしたら…。それにだいたい元皇女がドラゴン達と一緒にミスルギ皇国に攻め入るなんて…悪い冗談みたい…。…分からないわ、何が正しいのか…」

 

「アンジュ…あなた」

 

サリアがその事を言おうとすると、真也がその事を言う。

 

「そんなもん誰も分かるはずがないさ、誰が正しいのかも」

 

「えっ?」

 

アンジュは真也の言葉を聞いて振り向き、真也はアンジュの隣に並んで言う。

 

「どんな行動を行っても、結局間違いなのか正解なのか誰も分からない。ただ大事なのは自分がどうしたいかだ」

 

「自分が…どうしたいか」

 

「そうだ。アンジュ…それはお前が決めるんだ」

 

真也は自分の決断を自分で決めさせるようアンジュに言い、それにアンジュは考える様子を見せる。

 

そして真也達の元にタイガとアマツがやってくる。

 

「お前達、ここにいたか」

 

「ミィの母親と民達が皆にお礼がしたいって言ってたよ」

 

「お礼?」

 

「え?お母さんが?」

 

その事に真也達は首を傾げならタイガ達の後をついていくのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

アウラの都で、街の人たちがバーベキューをしながら楽しみ、そこには避難所からの人々も呼ばれて楽しんでいた。

真也は武尊と肉を取り合い楽しみながらラミアからのお礼を聞いていた。

 

「本当にありがとうございました、街と私達を護って頂いて」

 

「いえ、俺達は俺達の出来る事したんで…それに」

 

真也はまだ崩壊している街の様子を見ながら言う。

 

「それでも守れなかったものはあります」

 

「…確かにな」

 

武尊も肉を食べながらアウラの民の数名が犠牲になってしまった事を考え、少ししんみりとした雰囲気になる。

それをラミアが頭を横に振る。

 

「いえいえ、それでも護って頂いたのは確かです。武尊様もそうお気になさらずに、我々は心から感謝しています」

 

「それはありがとう…、それを聞いて安心するよ」

 

そう言って2人は肉を食べるのだった。

 

ソーン達は子ども達と一緒に食べて、メリルが野菜を食べない子ども達に注意していた。

 

「こら~!皆野菜残ってるわよ! 野菜食べないと大きくなれないわよ!」

 

「だって~」

 

「野菜嫌いなんだもん」

 

「味ないんだも~ん」

 

子ども達の分かりやすいワガママの言い分にメリルは仕方なくため息をつく、するとエルシャが子ども達にこう言う。

 

「こらこら、皆ワガママ言っちゃダメよ。野菜はね?とても栄養価が高いの、野菜を食べると皆たくましく成長するのよ? 男の子は身体が大きくなるし、女の子は胸が大きくなることがあるのよ」

 

「「「「「ええ~~~!そうなの~~~~!」」」」」

 

 

ズッゴ~~~~~!

 

 

エルシャの言葉にソーン達は思わずズッコケてしまい、サリアたちは呆れそうな表情をしてしまう。

ソーンとラッセルは起き上がりながらエルシャに言葉を放つ。

 

「え、エルシャ…どこでそんな知識を?」

 

「それに子ども達にそんな知識は要らないと思うんだけど…」

 

「あら、こう言う場合はこう言った方が子ども達に効果的なのよ。ほら」

 

エルシャが指を指すと、子ども達は先程まで食べなかった野菜を食べ始め、美味しそうに食べていた…風に見えた。

 

子ども達は野菜を難しい表情をしながら食べていて、一部の子は仕方なく食べている感じに見えた。

 

そして真也は武尊と一時別れ、近くの階段に座りながら、手に持っているワインを飲んでいた。

 

そこにアンジュがやって来て、真也の隣に座る。

 

「良い所ね…」

 

「ああ、武尊の援助もあるが、それでも皆一生懸命生きている」

 

「一生懸命…か、あ…そっか」

 

アンジュは何かに気付いて、それに真也は問う。

 

「どうした?」

 

「アルゼナルみたい…なんだ」

 

アンジュが自分が居た場所の事を呟き、それにアンジュは立ち上がって真也の方を見る。

 

「私…帰るわ。モモカが待ってるわ!」

 

「そうか…。なら彼女との関係をしっかりとしておくんだな」

 

「え?」

 

その言葉にアンジュは傾げ、真也は目線をある方向に向ける。

するとそこに武尊とサラ達がやって来たのだ。

 

「それが…貴女の選択なのですね。また…戦う事になるのですね? 貴女と」

 

「サラ子…」

 

アンジュはサラの言葉を聞いて少し表情を重くする。

 

「やはり危険です!この者達は我々の事を知り過ぎました!」

 

ナーガは後ろにある刀を手を伸ばしてアンジュ達を警戒する、しかしそれをタイガがナーガの刀を取り上げる。

 

「すぐに刀に手を伸ばすのはやめろ、それに真也殿達は街を救った」

 

「そうよ!真也さん達は都の皆を救ってくれたわ!」

 

カナメもタイガと同じ意見であるが、それをナーガは言う。

 

「それでもこの間まで殺し合っていたんだぞ? 拘束するべきだ!」

 

その様子に真也はアンジュの方を見て、それにアンジュは決意を決めた表情で言う。

 

「…私は、もうあなた達とは戦わないわ」

 

「ほら!私達は…えっ?!」

 

その言葉にナーガは思わず驚き、アンジュはその事を言う。

 

「私達はもう殺し合わないし、戦いもしない。分かり合わなければいけないもの」

 

「という事だ、武尊にサラマンディーネ。俺達もこいつと同じだ」

 

その言葉を聞いた武尊とサラは頷きながら言う。

 

「よっしゃ。なら決まりだな」

 

「ええ、明日開く特異点により、あちらにお戻りになる際に私と武尊があなた方と同行します」

 

「「え?」」

 

その事に真也とアンジュは首をかしげる、その理由を武尊が説明する。

 

「俺とサラはこのままミスルギに進軍するのもいいかもしれないが、あのエンブリヲは何を考えてるか分からん。それを考えると俺もサラも同行したほうが良いと思ってな」

 

「そういう事です。アンジュ、私達も共に戦いますわ」

 

「サラ子…でもいいの? 貴方達には率いる者達が」

 

「それについては問題ない、タイガ達がドラゴン軍を率いてくれるし、ナーガ達がサラの変わりにしてくれるみたいだ」

 

「本当に用意周到だなお前ら…、だが助かるよ」

 

真也はエンブリヲに対抗する策を考えてくれる者が増えればより戦いやすと考え、真也はその考えに賛同する。

 

「それじゃあ頼む、あと子ども達の事…忘れないでくれよ?」

 

「分かってるよ。ラミアさんたちに話しておくって」

 

そう言って武尊はその場を去って、真也は夜空の星を見るのであった。

 

 




そろそろこの作品も成人向けのあれを作ろうかな。

見たがっている人が居ると思いますので


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第29話 自分の意思 後編

真也がアンジュの意思を聞いて、元の世界に帰ると聞き、その事をソーン達に教えに来た。

ソーン達とサリア、エルシャは今ヴィヴィアンの母親のラミアの所に来ていた。

当然そこにはジョイもいた。

 

「そっか…、アンジュは帰ると決意したんだ」

 

「ああ、そうだ」

 

「おお!なら私も行かなきゃ。皆が心配しているだろうし」

 

「ヴィヴィちゃん…」

 

エルシャがヴィヴィアンに問いかけると、ヴィヴィアンが今自分のいる場所の事に気付き、ラミアは黙ったまま立ち上がりその場を後にする。

それにヴィヴィアンは何も言えずに黙ってしまう、っがラミアはある物を持ってきた。

 

「問題です。これは何でしょうか?」

 

っとラミアは赤ちゃん用の衣服を持ってきてヴィヴィアンに見せ、それにヴィヴィアンは見る。

 

「正解はミィの赤ちゃんの服でした~」

 

ラミアはヴィヴィアンが赤ん坊の時に着ていた服を見せてきて、それにヴィヴィアンが近づき、ラミアは衣服を見ながら言う。

 

「あなたがこれを着ていた時はまだ小さかったな~。そんなあなたがいなくなって帰ってきたらこんなに大きくなって…、本当に月日が経つのは早いわ…あなたは行きたいんでしょう?」

 

「え?う、うん…」

 

「ふふふ…、なら行きなさい。あなたが待つ所に…お母さんは止めないわ。でも約束してね?またここに帰って来てくれる事を…」

 

「お母さん…」

 

ヴィヴィアンはラミアの心の広さの器に心を引かれ、そしてラミアはヴィヴィアンを抱きしめる。

 

「そしてありがとう…、帰ってきてくれて」

 

「お母さん…、うん」

 

そう言ってヴィヴィアンもラミアに抱きつき、その様子を真也達は優しく見守り、ジョイがヴィヴィアンの隣に来て見る。

ラミアがジョイの方を見ていう。

 

「ジョイ君。ミィの事をよろしくお願いね? あなたはこの子の婚約者なんだから」

 

「はい、勿論です。必ず帰ってきますよ、ミィと一緒に」

 

「よろしくね、出来ればあなたたちの“子ども”も見たいから♪」

 

 

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!

 

 

 

っとラミアの言葉に真也達は飲んでいるお茶を思わず吐き出してしまう。

 

その言葉を聞いたヴィヴィアンはそれを聞いて気が付く。

 

「おお!もしかして赤ちゃんの事? なら今作る?」

 

「いいの!」

 

っとジョイが喜んでいた時に。

 

 

バコン!!!

 

 

真也とアンジュのげんこつが二人の頭に直撃し、大きなたんこぶが出来た。

 

「ダメに決まってるだろう…!」

 

「ヴィヴィアン! 少しは恥じらいを知って!!」

 

「「いた~い…」」

 

叩かれた頭を抑えながら涙目になるジョイとヴィヴィアン、その様子にラミアは微笑みながら見るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして早朝。ドラゴン軍とアウラの民がアウラを奪還するべく総力を持って進攻する為、戦力を集結させていた。更に戦艦が数隻やって来て、ガフランが大量に投入されて格納にされている様子が見える。

真也達はネェル・アーガマの近くでその様子を見ていて、ヴィヴィアンはドラゴン軍とドラゴンの総力を見て感心していた。

 

「うお~!ドラゴン軍とドラゴンのフルコースなり~!」

 

「うっひょ~すげぇなおい、こんなにもあったのかよ?」

 

リコはその事に感心している中で子供達が泣きながら訴えていた。

 

「やだ~~!僕たちも行きたい~~~!」

 

「兄ちゃん達と離れ離れになるのはやだ~~~!!」

 

「行っちゃやだ~~~!」

 

子供達の様子を見た真也達はどうするかちょっと困ってしまう、しかしそれをメリルとエルシャが止める。

 

「ダメよ、わがまま言っちゃ、いい?これから私達はとても危険な場所に行くの。それもこれから私たちの運命を掛けた戦いに…」

 

「それを皆連れて行ったままじゃあとても守りきれないの、私達はそれを防ぐ為にもここに残ってもらいたいの。どうか分かってほしいの」

 

「どうしても…?」

 

子供達は涙目で下から目線をするも、メリルとエルシャは頷きながら言う。

 

「そうよ、だから我慢してちょうだい」

 

「大丈夫。必ず迎えに行くから」

 

メイルとエルシャはそう子供達に言い聞かせ、子供たちにはその場で俯いてしまう。

そこにラミアがやって来て、子供達を寄り添う形で言う。

 

「安心して、子供達の事は武尊様から聞いています。子供達は私達がしっかりとお守りしますわ」

 

「すいません、どうかよろしくお願いします」

 

メイルは頭を下げながら言い、子供達は寂しい目で見る。

 

そしてアンジュの元にサラがやって来て、話しかける。

 

「アンジュ、貴女にはこれを差し上げます」

 

するとヴィルキスに焔龍號と同じ銃剣付きビームライフルが装備させられる。

 

「何よこれ?」

 

「これは私の焔龍號と同じ武装のバスターランチャーです。そのライフルだけでは心苦しいので渡しておきます」

 

「なんか失礼な言い方ね…!」

 

アンジュは拳を握り締めながら呟き、真也は呆れながら見ていた。

 

武尊もサラの容赦ない言葉に何とも言えなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてドラゴン軍が集結し、空中戦艦の上にはガフランが大量に立ち並んで、ある人物の搭乗を待っていた。

そこに大王竜と大巫女が皆の前に現れる。

 

大王竜と大巫女はまだ幼く、10歳か9歳くらいの年頃だった。

 

大巫女はアウラの民達に宣言をする。

 

「誇り高きアウラの民よ、アウラと言う光を奪われ幾星霜…ついに反撃の時が来た。今こそエンブリヲに我らの怒りとその力を知らしめる。我らアウラの子!例え地に落ちてもこの翼は折れず!!」

 

その言葉にドラゴン達は雄叫びをあげる、それを大王竜がそれを止め、大巫女の前に出て、皆に宣言する。

 

「この星に住む者たちよ…、今この時エンブリヲに対する戦いが始まる…だが決して油断すな…、あの者は我らとは全く違う存在、人とはもう違う力を秘めておる。だが我々は決して揺るがない、奴を倒し、平和を取り戻すのだ!!」

 

 

「「「「「「おおおーーーーーーーー!!!」」」」」」

 

 

大勢のドラゴン軍が腕を上げながら叫び、その様子を真也達は見ていた。

ヴィヴィアンもつられるように興奮しながら吠えた。

 

宣言が終えた後に武尊がドラゴン軍やドラゴンたちに向かって言う。

 

「それでは全軍出撃! 後の指示はタイガやアマツに任せる!」

 

「「はっ!!」」

 

武尊達のガンダムエピオン、ガンダムAEG-2、レオパルドデストロイが飛び出して、それに続くドラゴン軍。

 

「我らも続きます!出撃!」

 

サラが乗る焔龍號が発進して、それに続くかの様にナーガとカナメの蒼龍號と碧龍號が続き、ドラゴン達もその後を追いかけるように出撃した。

 

そしてネェル・アーガマが発進して、地上でラミアと共にいる子供たちが手を振っていた。

 

「行ってきまーす!」

 

ヴィヴィアンがネェル・アーガマのブリッジで手を振って、ネェル・アーガマがドラゴン軍とドラゴン達の後を追いかけていた。

真也は格納庫でエクストリームガンダムのコクピットで待機していて、アンジュがその場にやってきた。

 

アンジュが来たのを感じた真也は見る。

 

「ん?どうした」

 

「別に…。ねえ、皆エンブリヲに勝てると思う?」

 

「…さあな。それは俺にも分からない(実際奴はガンダムの他にまだ隠されている能力があるかもしれない。それを考えると…)」

 

そう真也が考えるとソルト達とサリア達がやって来る。

 

「おうおう? 2人で夫婦水入らずで何してるんだ?」

 

「っ!!!? だ!誰が夫婦よ!!!」

 

っとリコの言葉にアンジュはキレて、リコに足をヒルダが踏みつける。

それによりリコは足を抑えながら痛がり、それに真也達は呆れながら見ていた。

 

するとヴィヴィアンがある事を言ってくる。

 

「ねえねえ、この戦いが終わったら平和になるんだっけ?」

 

「え? う~ん…そうかもしれないね」

 

「そうね…本当に平和になるかどうかわからないけど。でもそう願いたいわね」

 

ラッセルとサリアがその事を言い、それにヴィヴィアンは笑顔満載で言う。

 

「なるほど~そしたら暇になるね、実はね、私戦いが終わったら皆をご招待するんだ。あたしん家に♪ねえ皆は?」

 

っとその事に皆は考え、それにソルトは答える。

 

「俺はサリアと暮らす事だな。もうこいつを1人にさせる訳には行かない」

 

「っ!そ、ソルト…」

 

真っ赤になりながらソルトの言葉に恥ずかしがるサリア、そしてリコも同じように言う。

 

「そうだな。俺も同じ考えだぜ、ヒルダと同様に妹のクレアと一緒に平和に暮らす。それだけだ」

 

「ば!馬鹿! それを堂々と言うな…!」

 

恥ずかしがりながら文句を言うヒルダ、しかし内心では嬉しそうな感じになっていた。

 

「僕も同じ感じかな、あと子供たちも安心して暮らせる感じの所に住みたい」

 

「あら私も同じよ(出来ればラッセルとの…)」

 

っとエルシャは言い出せない事を思い、それにラッセルは首をかしげる。

 

「そうだな…。ロザリーが不安な物を克服してくれる感じな世界がいいな俺は」

 

「な、なんだよそれ…!?」

 

「僕はクリスが満足出来る様な感じになれたらいい。それだけ」

 

「わ、私の満足?例えば…」

 

「それはまだわからないけど、その内に分かると思う」

 

ロザリーとクリスはその事を聞いて少々ため息を付く。

 

「ねえ!アンジュは?」

 

「え? 私は…」

 

ヴィヴィアンの問いかけに中々答えられないアンジュ、それに真也は言う。

 

「今答えなくていいさ、お前はお前らしく考えればいい。それが人生さ」

 

っとアンジュは真也の言葉に少しばかり考える。

そしてドラゴン軍では武尊達がゲートを開ける準備が完了し、アマツが合図を送る。

 

「ゲート開放!開きます!」

 

すると皆の目の前にシンギュラーが解放されて、武尊達が叫ぶ。

 

「全軍突撃!我に続け!!」

 

ガンダムエピオンを先頭にドラゴン軍とドラゴン達が後を続くかの様にシンギュラーに突入して行き、ネェル・アーガマもその後を続くのだった。

 

そしてその後、最も最悪な事が起きてしまう事を真也達はまだ知りもしなかった。

 

 

 



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第30話 待ち伏せ

またしても遅れてすいません。

更新です。
そして最後らへんがまたすごいです…。


アウラを取り戻す為にシンギュラーで真の世界を出た真也達が率いるネェル・アーガマと武尊とサラ達のドラゴン軍、その際にヴィヴィアンが鼻を嗅ぐ。

 

「くんくん…おお! さて皆さん。ここでクイズで~す! 此処は一体どこでしょうか! 正解は!あたし達の風、空、世界でした~!」

 

「もう…ヴィヴィちゃんたら」

 

いつもの雰囲気に笑みを浮かばせるエルシャ、それにはサリアも同じように笑みを浮かべる。

 

だが真也だけは違っていた。

 

「っ!!これは!」

 

真也は近くにあるマイクを取り、ネェル・アーガマの皆に叫ぶ。

 

「全員!戦闘配置に付け!!!」

 

「え?」

 

真也が放った言葉にアンジュは首をかしげ、同時にサリア達も振り向く。

そしてその言葉と同時にソーン達は一気に表情が緊張が高まる。

 

しかも真也だけじゃなく、武尊も同じような状況だった。

 

「っ!!皆!!警戒だ!警戒レベルを最大だ!」

 

「ええ!?武尊!どうしたのですか!?」

 

サラの言葉に武尊は言う。

 

「ここはミスルギ皇国じゃない!荒れ果てた大地だ!!」

 

その言葉通り、現在真也達と武尊達がいるのはミスルギ皇国とは全く逆の南東約4万8000キロの位置にいた。

座標とは全く違う事に武尊は舌打ちする。

 

「(チッ!やはりか…!!)」

 

「到着予定座標より南東4万8000…?! どうなっているのですか!これは!」

 

サラは到着する予定位置が違うことに困惑し、それにはナーガが困り果てた様子になる。

 

「分かりません…!確かに特異点はミスルギ上空に開く筈…!」

 

「おい!誰か確認しろ!! 俺達は目的地の場所に着くはずだろう!!」

 

「現在確認中です!」

 

ドラゴン軍が慌てる中で真也がエクストリームガンダムを起動させて、皆に言う。

 

「皆!今のうちに機体に乗っておけ! すぐに戦闘が始まるぞ!!」

 

「ええ!?どういう事よ!!」

 

アンジュがそう言うと同時にサラの機体のレーダーに警告熱反応が表示され、それにサラは前方を見る。

 

「っ!武尊!前を!!」

 

「ん!?」

 

武尊が前を見ると、そこには数隻の艦隊が何処からと現れ、その先頭に5機のラグナメイルとサポートメカ5機がいた。

それに1機だけ違う物がいた、それはどこからどう見ても『ガンダムアストレイゴールドフレーム天ミナ』だった。

 

そのゴールドフレーム天ミナのバックパックはあのヒステリカのウイングと左腕がブリッツの物であった。

 

それを見た武尊がすぐに真也に通信を入れる。

 

「おい真也!!奴だ!! エンブリヲが直接来やがったぞ!!!」

 

「っ!!あいつか…!!」

 

真也はその通信を聞いて葉を噛み締める。

その間にドラゴン軍達は散開し、ナーガとカナメはサラに通信を入れる。

 

「サラマンディーネ様!これは!?」

 

「恐らく待ち伏せです…!」

 

サラが言った言葉にナーガとカナメは驚きを隠せない。

 

「待ち伏せ?!」

 

「では!リザーディアからの情報は…!?」

 

「その話は後だ!」

 

武尊の通信にナーガとカナメは振り向き、武尊のエピオンはビームライフルを構える。

 

「全軍!攻撃開始!! この状況を打破するぞ!!」

 

『『『『了解!!』』』』

 

ドラゴン軍は一斉に攻撃を開始して、タイガがアマツ、ナーガとカナメもその交戦に参加する。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

真也達が警戒すると同時にゴールドフレーム天ミナに乗るエンブリヲ、その者はドラゴン軍の奥にいるネェル・アーガマを見て微笑みを浮かばせる。

 

「ふふふ…。諸君…目標の人物はあの白い船の中だ、そして我々が出てきたの見てすぐに出てくる筈だ。その時がチャンス。いいね?」

 

「「「「了解しました!」」」」

 

「ハッ、言われなくてもやるよ…きっちりな」

 

そう言ってクレオパトラに乗るライダーはそのまま突っ込み、その後に他のラグナメイル等もその後に続く。

 

「さて、この状況をどう見るかな?リィザ、いや。リザーディアと言うべきかな?」

 

っとエンブリヲは艦隊の一隻の船を見る、その中には膝まついて、両手を後ろに結ばれて、悔しそうにしているリィザがいた。

 

「…っ」

 

そして艦隊からもそれに続く様に、カタパルトが展開され、そこから無人モビルスーツ『モビルドール:トーラス』が無数に出てくる。

エンブリヲはネェル・アーガマを見ながら笑みう浮かばせる。

 

「さあ…、可愛い娘達よ、私の元においで…」

 

トーラスの登場に武尊は思わず目を向ける。

 

「何!?トーラスだって!? 真也!!」

 

タケルはすぐに真也に知らせ、それに真也は驚きを隠せない。

 

「トーラス!? あいつが何故あれを…今はそれよりも出撃だ! 皆行くぞ!」

 

『『『『おう!』』』』

 

ソルトたちは大きく叫び、真也達は出撃体制に入る。

勿論アンジュ達も出撃体制に入る。

 

真也達のガンダムがカタパルトに運ばれ、中央にエクストリームガンダム、右側にデュナメス、左側にグシオンリベイクフルシティが付く。

リニアカタパルトにセットされて、真也達は叫ぶ。

 

「星野真也!エクストリームガンダム出る!」

 

「ソルト・マーク! ガンダムデュナメス出る!」

 

「リコ・ジェイソン!ガンダムグシオンリベイクフルシティ!行くぜ!」

 

発進と同時にリニアカタパルトが射出されて、同時に3機はバーニアとGN粒子を噴射しながら飛び出していく。

次にZガンダム、ヴェルデバスター、ガンダムキマリスがカタパルトに配置される。

 

「ラッセル・アレイ!Zガンダム行きます!」

 

「トラビス・ベルナルド!ヴェルデバスターガンダム発進する!」

 

「ジョージ・ライカーズ ガンダムキマリス出るよ」

 

ラッセル達のガンダムは発進されて、ネェル・アーガマから飛び出す。

 

そしてアンジュたちのヴィルキス達も位置につき、ハンガーのロックが解除される。

 

「行くわよ!!」

 

その言葉と同時にアンジュたちのヴィルキスが出撃し、残されたヴィヴィアンはブリッジに移動して見守る。

 

 

 

武尊達は出てくるモビルドール、トーラス達を相手にしながらビームライフルを撃ちまくっていた。

 

その内にジョイはドラゴンガンダムでフェイロンフラッグで応戦し、トーラスを撃退しているが、なかなか減らないことに焦る。

 

「武尊さん!全然減らないよ!」

 

「押しのけ!ここを持ちこたえろ!」

 

『武尊殿!戦力!消耗三割を超えました!!」

 

「早くも戦況が維持出来ません!!」

 

ナーガとカナメの報告に武尊は思わず舌打ちをする。

 

「チッ! この状況では無理があるか…!」

 

「何を言っているのですか!相手はラグナメイルで5機なんですよ!」

 

「その上多数の無人機だ!分が悪いのは目に見えてる!」

 

っとその時クレオパトラがエピオンの横をすり抜け、それにタケルは思わず振り向く。

 

「しまった!」

 

そしてクレオパトラはサーベルをサラの焔龍號に振りかぶろうとした時に、ヴァリアブル・ライフルがその行く手を防ぐ。

焔龍號の元にエクストリームガンダムとヴィルキスが来る。

 

「大丈夫!サラ子!」

 

「アンジュ!!」

 

「武尊!待たせたな!」

 

「真也!」

 

そしてクレオパトラのライダーは目を細める。

 

「来たね…」

 

真也とアンジュは周辺の様子を見て、アンジュはサラに部下の撤退を推奨する。

 

「サラ子!皆を早く撤退させて!」

 

「出来ません!エンブリヲからアウラを取り戻すまでは!」

 

「ダメだ!君達の部隊をこれ以上失うわけには行かない! 早くしろ!」

 

「ですが…!」

 

サラは真也とアンジュの考え込む、っとそこに武尊がサラに言う。

 

「サラ、俺達の軍はここで失うわけには行かない。今は引かせろ!そして体制を立て直すんだ!」

 

「…分かりました。全軍!撤退する!! 戦線を維持しつつ特異点に撤退せよ!」

 

 

 

それによりドラゴン軍達は特異点に向かい撤退し始め、それに緑のラインが入ったヴィルキス『テオドーラ』がビームライフルで追撃していた。

 

しかしその前にデュナメスのビームスナイパーライフルのビームがテオドーラの動きを止め、ヴェルデバスターガンダムが右肩と左肩の350mmガンランチャーと94mm高エネルギービーム砲を発射して、相手を後退させる。

 

そしてアンジュが攻撃しようとした時にライフルの弾倉が弾切れだった事に気が付く。

 

「くっ…!」

 

「アンジュ!先ほど渡したバスターランチャーを使ってください!!」

 

っとサラの言葉に思い出したアンジュはアサルトライフルを仕舞って、バスターランチャーを構える。

その間にドラゴン軍が撤退を完了したのを確認したタイガとアマツ、ナーガとカナメは武尊とサラに言う。

 

「撤収が完了しました!」

 

「もう残っているものはいません!」

 

「あとは武尊さんと!」

 

「姫様だけです!」

 

タイガ達の様子を武尊とサラは言う。

 

「お前達は早く行け!!!」

 

「私達の事は構わず行きなさい!」

 

「何を言っているのです姫様!早く!!」

 

『引けお前達』

 

するとタイガ達の前にスパローが飛行してきて、タイガ達に言う。

 

『先ほどの命令を忘れたのか。タイガにアマツ、お前達が今のドラゴン軍を率いるんだ。急げ、武尊は我に任せろ』

 

「くっ…分かった。武尊殿!姫!どうかご無事で…」

 

そう言ってタイガ達はその場を離れていき、シンギュラーを通って自分たちの世界に戻っていった。

そしてゲートは閉じ、それを確認した真也は皆が相手をしているトーラスを片付けようとする。

 

っがその時真也に一発のビームが飛んでくる。

 

それに真也は気付き、そのビームをかわすとすぐそこにはゴールドフレーム天ミナがいた。

真也はその機体にエンブリヲである事に気付き、ヴァリアブル・ライフルを構える。

 

「貴様は…エンブリヲ!!」

 

「フッ、悪いが貴様に邪魔される訳にはいかん」

 

「真也!!」

 

真也の元に武尊が来て、エクストリームガンダムとガンダムエピオンはビームサーベルとビームソードを構える。

 

「ふふふ…、丁度いい、貴様も私にとっては邪魔者だ。少しばかり相手をしてやろう…この『カプリディウス』でね」

 

そう言ってエンブリヲは自らの機体、カプリディウスを操作しながら真也と武尊の相手をする。

そしてアンジュはクレオパトラに驚きながら回避し、フライトモードになってその場を離れようとするがそこにクレオパトラが追跡しながらアンジュの姿を確認し、笑みを浮かばせる。

 

「へっ、確認した…久しぶりだねあんた」

 

「え?…」

 

アンジュはクレオパトラの方を見ると、クレオパトラがフライトモードになり、そのライダーのバイザーが透通って素顔が現る。

 

なんとその人物は、最初にアンジュが戦闘に出た際に巻き添えを与えてしまい、死なせてしまった筈のライダー、ゾーラだったのだ。

 

「どうだい。このあたしの様子を見て…」

 

「っ!あんたは…!」

 

アンジュはクレオパトラのライダーがゾーラだと知り、サラはその事にアンジュの方を見る。

そしてその様子をサリア達も見て驚きを隠せない。

 

「ええ!?ゾーラ隊長!?」

 

「はっ!?ゾーラ!?」

 

「ええっ!?」

 

「姉さま!?」

 

「嘘!?」

 

サリアたちの言葉にソルトたちは振り向いて見る。

そして同時にその様子をネェル・アーガマのブリッジでソーン達といるヴィヴィアンの方にも伝わっていた。

 

「ああ!隊長だ! でもなんで!?死んだはずなのに!」

 

「ええっ?!死んだって…!」

 

『やはりあの男が関わっているな…』

 

っとソーン達が驚く中でジークはエンブリヲが関わっている事に勘付いた。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

真也と武尊はその様子を見て、向かおうとすると、エンブリヲが邪魔をして、真也達の行く手を阻む。

 

「チッ!エンブリヲ!」

 

「邪魔しないでもらおうか」

 

アンジュはゾーラが生きている事に理由を問う。

 

「貴女!なんでそこに居るの?!どうして生きてるのよ!?」

 

「へぇ~、威勢だけは良くなったじゃないか。でもまだまだだね、お前達!」

 

「「はいお姉さま」」

 

するとアンジュの元にレイジアとテオドーラが来て、バイザーが透き通って素顔が現れる。

その素顔はココとミランダである事に驚きを隠せない。

 

「ココ…ミランダ!」

 

アンジュはココとミランダが居ることに驚き、サリア達がアンジュの元にやって来て、ココとミランダの姿を見て驚く。

 

「ココ!?」

 

「ミランダ!お前らがなんで!?」

 

ゾーラがサリアたちが来た事に振り向き、笑みを浮かばせながら言う。

 

「揃ったね…。あんたら!分かってんだろうね!」

 

「「はい、お姉さま…いえ、ナイトリーダー」」

 

「よろしい、じゃあ行くよ!!」

 

その言葉と同時にゾーラたちに付きまとっているサポートメカが変形し、クレオパトラとレイジア、テオドーラが少し変形して合体し、大きな機体『モビルメイル』となる。

 

「さあ!大人しく捕まりな!お前達!!」

 

ゾーラの言葉にモビルメイルとなったクレオパトラ達、それにアンジュ達は思わず回避し始まる。

 

っがレイジアとテオドーラが行く手を阻み、その背後にクレオパトラが迫る。

 

「くっ!」

 

アンジュたちのピンチに真也たちは思わず見る。

 

「アンジュ!邪魔だ!!!」

 

真也は一気にスラスターを全開にして、カプリディウスを退かし、一気にアンジュたちの元に行く。

その隙を当然武尊も見て向かい、それにエンブリヲは舌打ちをする。

 

「チッ、逃がすか!」

 

 

 

「待ってろよ…アンジュ」

 

「サラ、今行くぞ」

 

「真也!武尊!」

 

真也と武尊がアンジュたちの行く中でソルトたちがやって来る。

どうやらトーラス部隊を倒したようだ。

 

そしてクレオパトラの両腕にワイヤーらしきものを展開し、アンジュたちの機体に向けて放とうとする。

っがその時に真也達が来て、アンジュ達の前に来る。

 

「真也!!」

 

「すまない!遅れた!」

 

「遅いですよ!武尊!」

 

「遅れた分は取り戻すさ!」

 

その様子をカプリディウスがやって来て、クレオパトラ達の横に並ぶ。

 

「全く…余計なことしないで貰いたいな!」

 

エンブリヲが手をかざすと、真也達のガンダムのみ動けなくさせ、操作が効かない事に驚く。

 

「何!?操作が効かない!」

 

「どうなってるんだ!?」

 

真也達が驚く中、アンジュ達は真也達の様子に驚く。

 

「どうしたのよ!」

 

 

ガシャン!!

 

 

「ぐっ!えっ!?」

 

アンジュたちは周りを見ると、クレオパトラたちがワイヤーを使ってアンジュたちを捕まえていた。

それにアンジュたちは振りほどこうとしたが、びくともしない事に焦る。

 

「なによこれ!」

 

「振り解けねえ!!」

 

「黙って見てな、おい旦那」

 

「口が悪いね…。まあいい…なら始めるか」

 

そう言ってエンブリヲはビームライフルを構えて、真也達に向けて撃つ。

 

何発のビームが真也達の機体に直撃して爆発し、更に装甲が剥がれ落ちる所もあった。

 

『『『『ぐあああああああああああ!!!』』』』

 

「はっはっはっはっはっはっは!どうだね、第一君がアンジュを横取りしなければこんな目にあわずに済むのだ。手を出したことに後悔するんだな!!」

 

エンブリヲはビームライフルを連射し、真也達の機体に次々と当てていく、そしてエクストリームガンダムの頭部に直撃し、そして爆発してしまい、真也のエクストリームガンダムは機能停止する。

 

「エクストリーム!『ドガン!!』ぐあああ!!」

 

丁度胴体部にビームがあたり、コクピットのコンソールが爆破して、破片が真也の身体に襲いかかる。

 

『『『『真也!!』』』』

 

「真也!!」

 

ネェル・アーガマもその様子を見て、ソーンが皆に言う。

 

「皆!僕たちも突撃するよ!いい!!」

 

「「おう!!」」

 

『ダメだ!』

 

っとジークがそれを止めて、それにソーンが言う。

 

「なんで!?」

 

『今出れば艦隊の砲撃を受けてしまう、そうなったらこの艦も無事じゃすまない。皆の帰る場所が無くなる』

 

その事に歯を噛み締めるソーン。

 

その間にビームライフルを撃ち続けるエンブリヲ、真也達が動けない事をアンジュ達は悔しさが出てくる。

 

「真也!!」

 

「武尊!!」

 

「ソルト!!」

 

「リコ!!」

 

「ラッセル!!」

 

「トラビス!!」

 

「ジョージ!!」

 

エンブリヲは笑みを浮かばせながら真也達を見下ろす。

 

「さあ…このまま消えてしまえ、下等なサルよ」

 

そう言ってエンブリヲがビームライフルを真也に向けて、止めを刺そうとした時、アンジュが叫ぶ。

 

「やめてええええええええええええ!!!」

 

するとヴィルキスや焔龍號、そしてアーキバス達のカメラアイが光り出して、それにゾーラ達は見る。

 

「あっ?なんだ」

 

そして同時にエクストリームガンダムの機体が光り出して、それにエンブリヲは目を開く。

 

「っ!?」

 

エンブリヲの手が止まり、その様子を見ていると、エクストリームガンダムが武尊達とアンジュ達、そしてソーン達がいるネェル・アーガマも含ませて何処かへとジャンプして行き、その場から消えた。

真也達が消えた事にエンブリヲ達は驚き、辺りを見渡す。

 

「どこだ!どこに行った!!アンジュ!己~~~~!!!」

 

エンブリヲは叫びながら悔しがり、ゾーラたちは歯を噛み締めるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

そしてアンジュは突然の光に目を瞑っていて、そして目を開けるとそこには白い空間があたりに広がっていた。

アンジュはその光景に唖然としてしまう。

 

「何…ここ?」

 

「アンジュ!」

 

アンジュは振り向くと、そこにはソーン達とサラ達が居て、アンジュはソーン達の元に駆け寄る。

 

「皆!無事なの!?」

 

「うん、でもここは一体…」

 

「一体、どこなのでしょう…」

 

っとソーンとサラがその事を言っていると。

 

「ここは神の領域…。私の空間です、ここなら安全です」

 

『『『『っ!!?』』』』

 

アンジュ達は突然の女性の声に驚き、振り向いてみると、杖を握り白いドレスを着た女性が居て、その女性にアンジュは問う。

 

「貴女!誰!?」

 

「私は貴女方の言う神であり、世界の調和を保つ者です」

 

っと神様がアンジュ達の前に姿を現し、その言葉にアンジュ達は思わず言葉を無くすのであった。

 

 



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第31話 神様との対話

アンジュ達の前に現れたのは真也を転生させて、アンジュ達の世界に送った人物、神様が姿を現し、自らの名を騙る。

 

「……ふふふ、ふははははははは!」

 

っと突如アンジュが高みに笑い出して、ソーン達とサラ達はアンジュの方を見る。

 

「アンジュ?」

 

「神ですって…? 何馬鹿なこと言ってんの? 私をからかってるの!?」

 

アンジュは神様に対し強気の態度で問い、それに神様は首を横に振りながら言う。

 

「いいえ、私は決してからかってなどおりません。それに私は本当の神様です」

 

「へぇ~、ならその証拠は?本当に神ならなにか見せてみなさいよ!」

 

「いいでしょう」

 

すると神様は手を差し出すと、手のひらから巨大なスイカが出てきて、更にそれを上に投げると、そのスイカは大量のスイカとなり、後ろに大量に積み並ぶ。

そしてその横には大量のお菓子や編み物、パラメイルの強化パーツが出てくる。

 

最後に多くの動物たちがアンジュ達の目の前を通り、それにはアンジュ達は唖然とする。

 

そしてパラメイルのパーツを見て、その様子に思わずヒルダ達は目を向ける。

 

「嘘だろう!?これ最新式の強化パーツじゃねえか!」

 

「しかも新型の連装砲! マジで信じらんねぇ!」

 

「うおおおおおおおお!!! お菓子!それも大好きなポテチだ~!!!アンジュ!この人本当に神様だよ!」

 

他の者達はそれに目がいって、そちらの方に行ってしまう。

アンジュの他にサリアは信じられない表情をしているが、その状況を見て信じるしかなかった。

 

「…アンジュ、納得出来ないけど…認めるしかなさそうよ」

 

「なんでそう簡単に決めつけられるのよ…!」

 

「突然目の前にこんなのが現れるのはどう考えてもありえないからよ。それにこの空間だって…」

 

「すでにわたくし達の推測を超えています」

 

っとサラがサリアの言葉に続くように言い、それに納得の行かないアンジュは更に言い続ける。

 

「何が推測を超えてるよ! 第一ここは何!! 真也達は何処にいるのよ!!」

 

「ここは私があのエンブリヲから逃れるために用意した空間です。そして真也さん達は無事ですよ」

 

その言葉にアンジュやサラを始め、ソーン達は振り向いて問う。

 

「真也達は!? どこにいるの!?」

 

「ご安心を、こちらです」

 

そう言って神様はすぐ後ろに扉を出現させて、その扉を開けて入っていく、アンジュ達とソーンもその様子を見て頭を傾げ、その後を付いて行く。

するとそこにはベッドが並んでいて、そこに包帯を巻かれていた武尊達がいた。

 

「武尊!」

 

「ソルト!」

 

「リコ!」

 

「ジョイ!」

 

「ラッセル!」

 

「トラビス!」

 

「ジョージ!」

 

サラ達はすぐさま武尊達の元に行き、武尊達の様子を問う。

 

「武尊、大丈夫ですか!?」

 

「ああ…すまないな、まあ…この通りボロボロだ」

 

「みんなすまねぇ」

 

「俺達手も足も出なかった…くそぉ」

 

リコは悔しがりながら拳を握り、それにヒルダは少しばかり暗い表情になる。

 

そんな中でアンジュは真也がいない事に気付き、神様に問う。

 

「ちょっと!真也は何処よ!」

 

「こちらです…」

 

別の扉に進む神様の後ろにアンジュは付いて行き、そしてその部屋に入ると、アンジュの目に信じられない光景が目にする。

 

その部屋には回復用の医療機材が置かれていて、その中央に真也が酸素マスクをしながら寝ていた。

 

「真也!?」

 

アンジュはすぐさま真也の元に駆け寄り、アンジュの後を着いてきたソーン達も来て、今の真也の様子を見て驚きを隠せない。

 

「真也!!」

 

「なんて事だ…」

 

ソーン達も真也の元により、リリーがその様子を見る。

神様がアンジュ達の横に寄り、今の真也の姿を見て言う。

 

「現在、真也さんはエクストリームガンダムの損傷の際にコクピット内での破片が体に複数刺さり、現在回復の最中です」

 

「…貴女、真也の事を知っているの? 一体何者なの?」

 

アンジュが神様の事を何度も聞いて、それには流石の神様もため息を吐く。

そしてその事をサラの肩を借りながら来る武尊が話す。

 

「その人は俺と真也をお前達の“世界”に送り出してくれた方だよ」

 

「え?」

 

武尊の言葉にアンジュ達は思わず言葉を失う。

 

「どういう事? 世界に送ったって…」

 

「それは──」

 

「俺が説明するよ」

 

『『『『!!?』』』』

 

アンジュ達が振り向くと、真也が酸素マスクを外して起き上がってくる様子を目にした。

その様子にリリーが慌てて支えるも、真也はそれを押しのけて立ち上がる。

 

「真也!」

 

「真也さん、お体の方は大丈夫なんですか?」

 

「ああ、少しはな。皆…そいつの言っている事は本当だ。俺と武尊は…この世界の者じゃない」

 

「真也…どういう事? 説明してよ…武尊も」

 

ソーンの言葉に真也は静かに頷き、武尊もそれに静かに頷くのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

真也と武尊はアンジュ達やソーン達に自分たちの素性を話した。

 

この世界とは全く別の世界、アンジュ達とサラ達の地球とは全く別の地球…。そして一度死んで神様によって転生し、その世界へとやって来た事を全て…。

そしてエンブリヲが一度死んで蘇り、今の状況を作っていることを…。

 

真也達の真剣な話にアンジュ達は聞いていた、もっとも…アンジュの方はどう思っているかは分からない。

 

そして真也と武尊の会話を聞いたソーン達はその重い口を開かせる。

 

「つまりこういう事? 真也達は生き返って原因不明のエンブリヲを倒す為にこの世界に来た…」

 

「まあ…そういう事だな」

 

ソーンの言葉に真也は頷きながら言う、武尊も同じように頷く。

 

するとアンジュが。

 

「ふ~ん…理由は分かったわ…、前々から何か可笑しいと思ったのよ、どこかしらね。真也達の機体もそう、パラメイルとは違う所が沢山あったし、艦艇だってそうよ」

 

「アンジュ…」

 

ソーン達とサラ達はアンジュの方を見て、真也はそれにジッと見つめる。

 

「でも一つだけ分からないのよ、その転生って言うのはさておき、どうしてあんたはこっちに来たの? 何しにここに?何が目的なの?」

 

アンジュはその事を問う、真也がそれに答えようとすると、神様が横から割って入る。

 

「それは…あなたです。アンジュさん」

 

「え…、私…?」

 

神様の問いにアンジュは思わず戸惑う、それにはアンジュだけじゃなくソーン達やサラ達も同じだった。

 

「どういう事?どうしてアンジュが?」

 

「単純です、あの者は…アンジュさんの全てを手に入れたいからなんです、それも心だけじゃなく身体も全て…」

 

「っ!?それってつまり…アンジュを自分の物にしたいって事…」

 

サリアの言葉に神様は頷き、それにアンジュは思わず怒りが爆発する。

 

「ふ!!ふざけんじゃないわよ!! どうして私なの!?どうして私じゃなければいけないのよ!!?」

 

「…それは貴方の存在全てがエンブリヲの望んでいる全てなんです。自分に相応しい存在、待ち望んでいた存在、何事にもくじけず真っ直ぐ進み続ける女性、それがエンブリヲが望んでいた物だったのです」

 

神様の言葉にアンジュは言葉を失い、思わず後ろに下がる。

それにはアンジュだけじゃなく、サリア達もそれには引いてしまう感じになっていた。

 

「まさか…エンブリヲはそれだけの為に?」

 

「はい…そうです」

 

ソーンの言葉に神様は頷く。

皆はそれに言葉を失っている中で、一つだけ気になっていた事をメイルが問う。

 

「で、でも…どうしてそれが真也くんと関係あるの? どうも無関係としか見えないんだけど…」

 

その事に神様は答える。

 

「…実はこの世界にはアンジュさんを守る人物が存在したんです、その人物の名は…タスク」

 

「タスク…?」

 

「はい、タスクはアンジュさんと結ばれる人物…でもタスクはエンブリヲに無残にも殺され、白骨化されてしまいました、タスクが殺されてしまっては肝心のアンジュさんを守るものがいなくなる。

そんなアンジュさんを守る為に真也さんに頼んだのです、アンジュさんを守る為にも」

 

神の言葉にアンジュは真也を見つめ、真也はそれに頷く。

アンジュはその事に思わず考え込み、そして神様は皆に言い続ける。

 

「後皆さん、この事は出来れば他の者たちにはどうか内密にお願いします。どうか…」

 

っと神様は頭を下げ、その事にアンジュたちはただ唖然とするしかなかった。

 

そして真也は武尊と共に今後の事とガンダムの修理について考えるのであった。

 

「さて真也、俺達のガンダム…どうする?」

 

「決まっている、修理するさ…」

 

そう言う真也。するとアンジュがやって来て…。

 

「真也、ちょっといい?」

 

「ん?どうした?」

 

「少しだけ話があるの…お願い」

 

アンジュは真也の腕を掴み、それに真也は武尊の方を見る。

 

「すまない、後のことは任せるか?」

 

「…ああ、分かった」

 

武尊はそう頷き、真也はアンジュと別の場所へと移動するのであった。

 

 

 



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第32話 思いの心 新たなる力

真也はアンジュに連れられて、誰もいない場所にたどり着く。

そして真也はアンジュに連れられたことを問う。

 

「それでアンジュ、俺をここに連れてきた理由は?」

 

「…真也。私を守るのは…もうやめて」

 

っとその事を聞いた真也は黙ったまま見つめる、アンジュの考え的には予想通りの行動だった為、何も驚くことはなかった。

 

「…フッ、やはりそうきたか…」

 

「何?そう来るって思っていた事だったの? なら話は早いわ真也…私はもう誰かに守られたり、自由を奪われるのはもう嫌なの」

 

「なぜそう思うんだ? お前の自由を奪った覚えはないぞ」

 

「今はそうでしょうね…、でも今後の事を考えると私を守るためにはどうしても必要な事なんでしょう?」

 

アンジュは真也の方を見て思っている事を話し、その事には真也はただ黙り込む…いや、何も答えなかった。

 

今のアンジュに言ったところで聞いてくれるかどうか分からないからだ、だが少しでも分かって貰うためには多少な強引も必要なのだろう。

 

「アンジュ、お前は子守を必要としない事は分かる。だがな、エンブリヲは今のお前がどうこう出来る奴じゃない」

 

「出来るわ!私は今のヴィルキスを最大限まで発揮することが出来る!それを使ってあいつを!」

 

「簡単に潰されるぞ」

 

っと真也の言葉アンジュの言葉は止まり、真也は真剣な目でアンジュを見る。

 

「いいかアンジュ。お前がどう言おうが勝手だがな、あのエンブリヲから勝とうなどという考えはまずないぞ? 奴は本来のラグナメイル…ヒステリカには乗っていないんだ」

 

「あれがどうしたっていうのよ? 別に大した問題じゃ──」

 

「エンブリヲの本体なんだよ、ヒステリカは」

 

真也の言葉にアンジュは驚きの表情をし、真也は更に言い続ける。

 

「ヒステリカはエンブリヲが実験で使っていた機体で、とある実験で肉体の意思がそこに移り、不滅の身体を手に入れた。更にエンブリヲは時空を操ることも出来て、そこから至る所の全てを掌握して行ったんだ」

 

「あいつはそれが出来るって事?」

 

「そうだ」

 

真也の言葉を聞いたアンジュはそれでもなお、言いたい事がある顔をする。

 

「でも私は──」

 

「アンジュ」

 

っとそこにサラがやって来て、真也とアンジュはサラの方を見る。

 

「サラマンディーネ」

 

「な、なによ…」

 

「いい加減に素直になったらどうですか。さっき話した通りにすればいいのに、どうして素直になれないのですか、話しが完全にズレてますよ」

 

「…え?」

 

真也はその事に思わず唖然とした表情となり、アンジュは先ほどとは違った様子を見せ、少しばかり頬を赤くした様子になる。

どういう状況なのか理解出来ず、アンジュは言葉を詰まらせながら語る。

 

「……もう、無茶しないで」

 

「え?」

 

先ほどとは全く別の様子となってしまった感じに戸惑いを隠せない真也、アンジュは本当の本音を語る。

 

「実は…あの時、真也があの男に殺されると思った時、私…震えた。もし…真也が死んでしまったら私…どうしたらいいか分からなくなって、助けに行こうにもゾーラたちに動けずにいて、それでサラ子に話してそれで…」

 

アンジュの目元にうっすら涙が浮かばせているのが見え、それに真也はようやく理解した。

 

当時真也たちは動けない状態で、エンブリヲにタコ殴りにされている様子をただ見つめていただけで、何も出来なかったアンジュはその悔しさが心の中に残っていた。

それに真也は気づけなかったことに少々情けなくなってしまい、アンジュの頭を撫でる。

 

アンジュはそれに思わず驚いて後ろに下がる。

 

「ちょ!なに!?」

 

「悪かった…、その所を気にしてなかったよ」

 

「と、当然でしょう! もう馬鹿なんだから…」

 

そう言ってアンジュはその場を去っていき、真也は頭をかきながら見届けた。

そしてサラは真也の方を向いて言う。

 

「真也殿、アンジュの気持ち、少しは分かりましたか?」

 

「…面目ないな、これは」

 

そう言う事しかな出来ない真也だった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして真也達は神様にネェル・アーガマが格納されているドックへと案内されて、そこで真也達のガンダムの修復作業へと入る。

 

あちこちボロボロの状態のガンダム達だったが、幸いソルト達のガンダム達は修復可能な状態であったため、何とかなったが、肝心のエクストリームガンダムはひどい状態だった。

 

「真也、エクストリームガンダムだけど、ここまでボロボロだと修理するの難しいと思うよ?」

 

「ああわかってるよ。さて…どうするかね」

 

真也が酷い状態のエクストリームガンダムの事を考える所に神様がやって来る。

 

「真也さん、どうか私に着いてきて下さいますか?」

 

「ん?どうした」

 

突然の誘いに首をかしげる真也、そのまま神様について行くと、そこには武尊の姿もあった。

 

「武尊」

 

「真也、お前もか?」

 

「ああ…。それで神様、一体何のようだよ」

 

「真也さん、武尊さん。貴方達にこれをお渡ししようと思いまして」

 

神様が上に手をかざすと、すると上から光が差し引かり、2人の手元にあるものが握られる、それは柄だけのもので、まるでライトかマイクの筒の様なデザインの形だった。

 

真也と武尊がそれを持って確かめ、赤いボタンがある事に気付き、それを押すと青と赤の光の刃が現れる。

その刃の形状に見覚えのある真也と武尊。

 

「おい…これ!」

 

「ああ!こいつは『ライトセーバー』だ!」

 

真也と武尊は自分たちが持っている物がライトセーバーを見て、それを神様に問いかける。

 

「なぜこれを俺達に?」

 

「今のエンブリヲは貴方達の想像を超えています。それに対抗する為にもそれともう一つの力を授けようと思うのです」

 

すると神様は真也達に向けて手をかざし、二つの光の玉を真也達に入り込ませる。

その中で真也達は何かの力がみなぎるのを感じ、そのパワーの意味が理解出来る。

 

「この力…『フォース』!」

 

「おいおい…俺達は『ジェダイ』になったのかよ。どう使うんだ?」

 

「その力は時期使えるようになります、それを使ってエンブリヲを倒してください。お願いします」

 

そう言って神様は頭を下げ、それに真也と武尊は互いの顔を見合い、その様子を見るのであった。

 

 

 

そして真也はエクストリームガンダムの状態を見ていて、少しばかり考えていた。

 

「さて…こいつをどうするかな~…、いっそのことパワーアップした方が手っ取り早いが」

 

エクストリームガンダムを見てそう呟く真也、するとそこにアンジュがやって来る。

 

「真也、その機体は直るの?」

 

「ん?アンジュか。まあ~何とかしてみるさ、それにあいつにやられたまま終わるのは尺だしな」

 

そう言う真也に思わず笑ってしまうアンジュ、すると彼女の持つ指輪が光だし、それに真也とアンジュは見る。

 

「っ!?なんだ!?」

 

「指輪が…!」

 

すると指輪の光がエクストリームガンダムの所に向かい、その光がエクストリームガンダムを光の球体の中に包み込んでしまう。

その様子を真也とアンジュは唖然としてしまう。

 

「おいおい真也!どうなってるんだ!?」

 

っとそこに武尊とソーン達やサラ達がやって来て、エクストリームガンダムの様子を見て驚きを隠せない。

 

「ええ~~!?なんじゃこりゃ!?」

 

「おい!一体何をしてこうなったんだ!?」

 

「俺が知るか!」

 

リコが真也に問うことに言い返し、それを見に来た神様がやって来る。

 

「奇跡が起きました」

 

「奇跡?何のだ?」

 

「よく見てください。エクストリームが生まれ変わります」

 

っとその言葉に真也達はエクストリームガンダムを見る。

そして光の球体は割れて、中に入っていたエクストリームガンダムが姿を現す。

 

エクストリームガンダムの形状が少し違うものとなっており、背中のバックパックにウイングが装備されて、ファンネルらしきものがある。

肩のアーマーも胴体も少し違う形状をし、色も赤から青と赤としろのトリコロールカラーとなっている。

 

その機体の状態を見て、真也達はただ唖然とするしかなかった。

 

 

 



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第33話 合流 ジルの思惑 前編

クロスアンジュファンの皆様。

大変ながら長らくお待たせしてすみませんでした。

33話を投稿いたします。


真也のエクストリームガンダムが形状を変化した事に、真也はもちろんの事、アンジュ達やソーン達も驚きを隠せないでいた。

 

「これは…」

 

「それは私の力でエクストリームガンダムを進化させた『エクストリームガンダム type-レオスⅡ』です」

 

真也達が釘付けになって居る時に神様がそう説明し、真也達はそれに振り向く。

 

「進化させた…? ガンダムを?」

 

「はい、アンジュさんが持つ指輪を使って、エクストリームガンダムをパワーアップさせたのです、その指輪は特別な力が宿されているようですから」

 

「これが…?」

 

アンジュは自分の指輪を見つめながら言い、それに頷く神様。

 

「はい、それからついでにあなた達のガンダムを進化させておきます、エンブリヲの戦いに向けて…」

 

すると神様はソルト達のガンダムに向けて手をかざすと、ガンダム達が光りだし、それに真也達は思わず目を瞑る。

そして光がやむと、ソルト達のガンダムが変わっていた、ソルトのガンダムデュナメスが『ガンダムサバーニャ』に、ラッセルのZガンダムが『ZZガンダム』に、ジョージのガンダムキマリスは『ガンダムキマリスヴィダール』へと進化した。

 

だがリコのガンダムグシオンリベイクフルシティとトラビスのウェルデバスターガンダムだけが変わっていなかった。

 

「おお~…、俺たちのガンダムが変わった…」

 

「っておい!何で俺のガンダムだけ変わってねえんだよ!?」

 

「俺もだ、どう言う事だ?」

 

その事をリコとトラビスがその事を言うと、神様は頭を抱えながら言う。

 

「う~ん…どうも君たちの機体だけは強化できる範囲を超えているようですね、こればかりは私の力ではどうにも出来ません」

 

「マジかよ~!?」

 

「それは残念だな」

 

リコは悔しがっていて、トラビスは仕方ないと言わんばかりの表情をしながら呟く。

そして武尊は真也の肩に手を置き言う。

 

「まっ、何はともあれ、真也のガンダムだけじゃなく、ソルト達のガンダムがパワーアップした事だし、結果的に良かったんじゃないか?」

 

「まあ…そうだな。それに俺たちはフォースの力も手に入った。これであいつと対等に渡り合える」

 

それに武尊は頷き、その会話を聞いていたアンジュとサラは一度目を合って、少し考えるよな素振りを見せるのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてネェル・アーガマにガンダムを収納させて、真也達を見送る神様。

 

「ではいよいよ元の世界に戻しますね、長く居させては影響も出始めるでしょう」

 

「ああ、治療には世話になったよ神様」

 

「いえ、これもすべてあのエンブリヲを倒す為、大した事はございません」

 

っとそう言い放つ神様、その様子に真也達は苦笑いをしていて、アンジュはつまらなそうにしていた。

 

「では皆さん、幸運を祈ります」

 

「ああ、んじゃ」

 

そう言って真也達はネェル・アーガマに乗り込み、神様は真也達を元の世界へと戻す為、転移させる。

 

ネェル・アーガマの周辺に光のドームが現れ、それに包まれていき、ネェル・アーガマはその場から消えた。

 

そして神様は両手を握り締めながら祈り、真也達の無事を祈るのであった。

 

 

 

 

アルゼナル近海の海上の上に光のドームが出てきて、、ネェル・アーガマが光のドームから出てきて、ブリッジから真也達は外の景色を見る。

外を見ると夕方で、既に日が沈みかけであった。

 

「帰って来たな。アンジュ達の古巣に…」

 

「え? あっ…」

 

「あれは…アルゼナル」

 

真也の言葉にアンジュとサリアが振り向くと、完全に基地機能を失ったアルゼナルが正面にあって、それにアンジュはただアルゼナルを見て呆然とする。

 

そして夜、アルゼナルの付近の海に着水して停泊するネェル・アーガマ、真也達はアルゼナルに放置されていた死体を集めて、埋葬をしていた。

その中には焼け焦げた子供たちの姿があり、それにはエルシャの他にメリルやリリーが涙を流して悲しみながら埋葬をした。

 

アンジュはそんなアルゼナルを見ながら暗い表情に包まれていた。

 

「帰って来たんだ…アルゼナルに」

 

アンジュはアルゼナルを見上げて言い、悲しみの声で言う。

 

「皆…何処に行ったの? まさか…」

 

「大丈夫だ、あいつらはそう簡単にはやられていない、脱出している筈だ」

 

真也の言葉にアンジュはただ頷くしかなかった。

その様子に真也がまた声を掛けようとした時に、海から気配を感じ取り、腰からライトセーバーを取り出す。

 

アンジュは真也の行動を見て問う。

 

「真也?」

 

「そこにいるのは誰だ、さっさと出て来い」

 

その言葉に従うかのように、海から誰かが出てきて、それにアンジュは思わず怯えて真也に寄り添う。

 

その中で一人がアンジュの姿を見て。

 

「あ…あ…アンジュリーゼ…様?」

 

「えっ?どうして私の名を?」

 

アンジュは自分の本名を知っている事に反応し、その人物はマスクを外すとモモカが現れる。

 

「モモカ!?」

 

「アンジュリーゼ様ー!!!」

 

モモカはアンジュに駆け寄って抱き付き、アンジュもモモカが現れた事に嬉しながら抱き付く。

真也はその様子を見て、ライトセーバーを腰に仕舞おうとした。

 

っがその時、背後から強烈な殺気を感じ取り、真也はライトセーバーを構え、青い刃を発光させて光の刃を作る。

 

すると背後にはいたのは銃を構えたのはダイバースーツを着込んでいたジルであった。

 

それに真也は薄っすら笑みを浮かばせながら言う。

 

「よう…久しぶりだな」

 

「ああ、よく帰った来たな…」

 

っと睨み合いながら武器を構え続け、それにアンジュとモモカは騒然としてしまう。

するとそこに武尊たちがやって来た。

 

「真也、埋葬は全部終えた…って、ありゃま…」

 

「うわ~…、気まずい雰囲気」

 

「(っ!ジル…!)」

 

サリアは真也と睨みあっているジルを見て、途轍もなく気まずい空気を作っているのであった。

 

 




感想や誤字がございましたらどうぞ。

それと活動報告を書きましたのでご覧ください。


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第34話 合流 ジルの思惑 後編

神様と別れ、無事アルゼナルの皆と合流した真也達、ネェル・アーガマはアルゼナルの旗艦である『アウローラ』と共に海底へと進んでいた。

 

アウローラのブリッジに居るオリビエが提示報告をする。

 

「第一警戒ライン通過」

 

「まさか生きてたとは…」

 

ヒカルがネェル・アーガマで話し合っている真也達を見ながら言い、それにはオリビエも同意しかねる。

 

「あの人達はともかく、サリア達てっきりロストしたかと思ってました」

 

「今まで何処に行ってたんだ…?」

 

「シンギュラーの向こう…だって」

 

っとパメラが言った言葉にヒカルとオリビエが思わず驚きを隠せない。

 

「「うっそ~!?」」

 

そしてネェル・アーガマの作戦司令室で真也達とジル達が自分達が行っていた並行世界の事を話していた。

 

「並行宇宙ともう一つの地球…、ドラゴン、いや…遺伝子改造した人間の世界か」

 

そうジルは呟きながら煙草を取り出す。

 

「おまけにまだそこに人類が残っていて、その人類の生き残る希望を作ったのがその男という訳かい」

 

ジャスミンは武尊の方を見ながら言い、それに真也は頷きながら言う。

 

「そうだ、俺たちは武尊や彼女達の話を聞いて、対抗策があると考えたんだ」

 

「ええ、手を組むべきじゃないかしら。ドラゴンと…彼らと」

 

アンジュがそう提案して来たのを聞いたマギーとメイは驚きを隠せず、ジルはそっと眉を顰める。

 

「武尊や彼女達の目的はアウラの奪還、武尊達が上手くアウラと取り戻せば全てのエネルギーが断たれ、人間のマナも世界も停止するとう話だ、そしてエンブリヲも倒せる」

 

「勿論それだけじゃない、そうなればシンギュラーも開けなくなるし、パラメイルも必要なくなる。何よりマナのエネルギーを得るために、ノーマがドラゴンを狩る。そんな馬鹿げた戦いを終わらせる事が出来るわ」

 

真也とアンジュの言葉を聞いているジルはただ黙って聞いていた。

 

「だが俺たちの軍は先の戦いでかなりの痛手を受けてしまった。再編成するのに時間がかかる。だから…」

 

「わたくし達と手を組めば、エンブリヲの野望も打ち砕けます」

 

「ほお~、敵の敵は味方か、成程~…」

 

っとジャスミンが真也達の会話を聞いて納得する、だがジルは…

 

「無駄だ、奴らは信じるに値しない…」

 

「へぇ~、その理由は?」

 

「簡単だ、アウラなんだか知らないがドラゴン一匹助けただけでリベルタスが終わると思っているのか? 神気取りの支配者エンブリヲを抹殺し、この世界を壊す…それ以外にノーマを解放するすべはない。それにお前たちの軍など信用できんからな」

 

「(随分な言い方だな…。だがこいつが警戒するのはそれだけじゃないな…)」

 

っと真也はそう思いつつ、ジルのこの事を言う。

 

「いいのか?そんな事を言って。お前のリベルタスはエンブリヲにはとうにお見通しだぞ?」

 

「構うもんか。あいつを殺せばそれでいい」

 

「おいおい本気で言ってんのか?」

 

「まずないだろうな」

 

リコとトラビスはそう言い、そしてサリアが前に出てジルに申し出る。

 

「ジル、どうか信じて、私たちはこの目で見たの。あのシンギュラーの向こう…サラマンディーネさん達の世界は賢明に生きていることを…、そして希望を捨てていない事を」

 

「だまれサリア、お前は引っ込んでろ!」

 

サリアに睨む様にジルはそう切り捨て、それにサリアは思わず怯えてしまう。

だがそれをソルトがサリアの肩に手を置き、引き寄せる様にする。

 

「ソルト…」

 

「貴様、サリアをガキ扱いするんじゃない」

 

「ふん」

 

貴様には関係ないと言わんばかりに煙草を吸い、その様子にソルトは思わず銃を取ろうとする。

だがそれをサリアは止めて、頭を横に振る。

 

それにはソルトは小さく舌打ちをし、後ろに下がる。

 

その光景を見ていたジャスミンが止める。

 

「やめないか。ジル、こいつらの言葉にも一理あるよ。現にわたし等の戦力が心持たないのも事実だ」

 

「死んだはずのゾーラが蘇っちまったからね。おまけにココもミランダもそうだし、他のメイルライダーは寝返るし、でっかいメカも現れるしさ」

 

っとっとその事を聞いた真也達は顔を合わせる、どうやらジル達はもう既にMSとの戦闘は開始していた様だ。

 

そしてジャスミンは真也達にある事を問いかける。

 

「アンジュ、そこの姫さんとの世界にコンタクトは取れるかい?」

 

「ええ、サラ子に何とか頼めば出来るわ、それにヴィルキスでも行けると思うわ」

 

「それは凄いな。ジル、ドラゴン軍達との共闘。考えてみる価値はあるんじゃないのかい」

 

ジャスミンの提案に聞いたヴィヴィアンは思わず嬉しがる。

 

しかしジルは黙ったまま返答せず、それに真也達は厳しい表情で見ていた。

 

「…ジル」

 

ジャスミンが再び問いかけ、それにジルはようやく口を開く。

 

「…よかろう」

 

そう言ってジルは扉の方に向かう。

 

「情報の精査の後、今後の作戦を通達する。以上だ。私はアウローラに戻る。此処に居ると気がまぎれん」

 

そう言ってジルは出て行き、アウローラに戻っていく。

それに真也達は浮かない顔をしていた。

 

「ねえ真也、あの人何か考えてなかった?」

 

「そうだよ、僕達もそうだが武尊達の事を全く信用してない上に何か嫌なことを考えてる様な感じだったよ?」

 

ソーンとラッセルがそう真也に問いかけ、それに真也はそう思っているとジャスミンがこう言ってくる。

 

「それはないよ。あの子はただ嬉しさを隠しているんだよ。アンジュ達が帰って来たのがさ、それにあの子は決して妙な事を考えてはいない。アタシが保障するよ」

 

そうジャスミンが言うが、それを真也がこう言う。

 

「悪いがジャスミン、あまりジルを過剰評価をしない方がいい。絶対にだ」

 

「…何故だい?」

 

「それは…」

 

っと真也はジャスミン達にある事を話し、ジャスミン達はその事に驚きを隠せないでいた。

 

そしてアウローラに戻ったジルは頭の中で光景が思い出される。

 

 

 

 

 

───そう…可笑しくなっても良いんだよ。アレクトラ…。

 

 

 

 

 

っと吸っていた煙草を握りしめて潰し、恐ろしい表情をする。

 

「エンブリヲ……!」

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして翌日、真也達はアウローラにやって来て作戦会議を開いていた。

 

「よく眠れたか?」

 

「ええ…」

 

ジルがアンジュに眠った感想を聞き。

 

アンジュはそう答え、ジルが笑みを浮かばせる。

 

「それは結構…、ではお前たちに任務を与える。ドラゴンと接触、交渉した後お前たちの軍との共同戦線の構築を要請」

 

それにアンジュとサラは驚きの表示を隠せず、真也達はそれに顔を合わせる。

 

「どうした?お前の提案通り、一緒に戦うと言っているんだ」

 

「…本気?」

 

「リベルタスに終止符を打つには、ドラゴンとの共闘…それがもっとも合理的で効率的だと判断した…」

 

その事を聞いたアンジュ達は思わず顔を合わせる。

 

「アンジュ!」

 

「ええ!」

 

「イエーイ!」

 

そんな中で真也達は何やら真剣な表情を保ったままジルの話を聞く。

 

ジルによる作戦は、エンブリヲが率いるラグナメイルとMS部隊が居る場所、暁ノ御柱にエンブリヲが居ることが判明し、そこにドラゴン達と共にミスルギ皇国に進行すると言う作戦。ネェル・アーガマとアウローラはドラゴン達の後方支援にあたり、ミスルギに向かうと言う説だ。

 

その作戦を聞いている中でアンジュがある事を問う。

 

「ねえ、そう言えばゾーラ達はどうするの?」

 

「何?」

 

「生き返ったなら、もう一度こっちに呼び戻す事が出来る筈じゃない。撃つ落とすつもり?」

 

その事にジルは思わず鼻で笑う。

 

「フッ、持ち主を裏切る様な道具はいらん」

 

「道具って…!だってゾーラ達よ!?」

 

ジルが道具と言った言葉にアンジュはそれに反応して言い、ジルは言い続ける。

 

「全てはリベルタスの為の道具に過ぎん。ドラゴン共も、アンジュも、私もな…」

 

「えっ?!ドラゴンも…!?」

 

「貴女…一体何をするつもりですか? 我が民に何をするつもりで!」

 

「ドラゴンと共闘…?ふはははははは!! アウローラの本当の浮上ポイントはここだ!」

 

っと机の画面にアウローラだけが浮上ポイントが違う場所であり、それに真也達を除くアンジュ達はそれに目を奪われる。

 

アンジュ達が驚いてる中で、ジルがアンジュに言う。

 

「ネェル・アーガマとドラゴン共がラグナメイルとモビルスーツ部隊と交戦している間に、アンジュ…お前はパラメイル隊と共に暁ノ御柱に突入…エンブリヲを抹殺しろ!」

 

「はぁ~!?」

 

アンジュはジルのとんでもない作戦に驚きが隠せず、サラは思わず立ち上がる。

 

「貴女!!我が民を捨て駒にするつもりですか!?」

 

「切り札であるヴィルキスを危険にさらす様な真似はできんからな…」

 

「ジル!今すぐこの作戦を取り消して!」

 

サリアが立ち上がりながらそう怒鳴り、それにジルは言う。

 

「無理だな、これはエンブリヲを殺す為の作戦…犠牲は付き物だ!」

 

「はい、そこまでだよジル」

 

するとジャスミンが銃を取り出してジルに向けて、それにジルは思わずジャスミンの方を見る。

 

「っ!ジャスミン!?」

 

「やっぱり、真也の言っていた通りになったか…。あんたには失望したよジル」

 

「なに!?どういう事だ!!」

 

「全て真也から聞かせて貰ったのさ。あんたが嘗てエンブリヲの奴隷だったこともね」

 

「っ!!!!!」

 

その言葉を聞いたジルは目を大きく開き、マギーは立ち上がってジルと向かい合う。

 

「さあジル…どうなんだい、ここまで証拠が揃ってんだ!もう言い逃れは出来ないよ!!」

 

マギーに問いかけられるジルはただ唖然とするだけで、真也は少しばかり冷たい目線を向ける。

 

「さあ、もう話せよ。お前がいくら言い訳しても、もう言い逃れることができないんだ」

 

もうなすすべもないジルは観念したかのようにうつむいて仕舞い、そして語り始める。

 

「…ああそうだ、私は…エンブリヲの人形だった」

 

ジルは一度椅子に座り、自身の過去を語る。

 

「…私はあの時、リベルタスを行い…エンブリヲを殺そうとした。だが奴に身も心も憎しみ…全てを奪われた。誇りも使命も純潔も…。

 

ああ…怖かったよ。リベルタスの大義…ノーマ解放の使命…仲間との絆、それが全部…奴への愛情、理想、快楽へと塗り替えられていった。何もかもあいつに踊らされていると感じたんだ…。全て…見抜かれていたかの様に」

 

それを聞いたアンジュ達はただ唖然とし、マギーはジルを見ながら問う。

 

「何で黙ってたんだ…」

 

「フッ、どう話せばよかったのだ? エンブリヲを殺しに行ったが…逆に見も心も奪われましたと言えばいいのか? 全て私のせいさ…リベルタスの失敗も仲間の死も全部…、こんな汚れた女を救う為に皆死んでしまった…!!」

 

「そんな…そんな!!」

 

メイはとても残酷な事実を知って、自分の姉の死がジルに当たる事に困惑していた。

 

「私に出来る償いはただ一つ…エンブリヲを殺す事だ。奴を殺して…過去の過ちに決着をつける。だがまだ可能性があるとしたら…古の民、タスクが生きている事を願うだけだ。あいつが生きているなら必ず」

 

「残念だが、タスクはもうこの世にはいない…」

 

っと真也の言葉を聞いたジル達は思わず真也の方を見る。

 

「どういう事だ!」

 

「タスクはエンブリヲによって殺された。覚えてるか?俺達が居たあの島、あの島にタスクの遺体があった。勿論俺達が埋葬したが」

 

そのことを聞いたジルは思わず崩れる。

 

「っ…もうおしまいだ、古の民が滅んでしまってはもうあいつを殺す事は…」

 

「その事なら心配ない」

 

真也がそう言うとジル達はもちろんアンジュ達も真也の方を見る。

 

「俺はエンブリヲを倒す為に“この世界”にやって来た。そしてこの悪夢を終わらせる為にな」

 

「何…?」

 

「真也は別の世界からやって来たの。サラ子たちとはまた別の世界…、真也だけじゃなく武尊もそう」

 

アンジュの説明にジル達は真也と武尊がエンブリヲとは違う存在、神様によってこの世界に転生し、世界を救うためにやって来たと語る、当然それを知ったジル達は驚きを隠せなかった。

 

「馬鹿な…そんな事が」

 

「事実だ。俺が全て知っている理由もこれに含まれるんだ」

 

「なるほどね…、さてジル」

 

するとジャスミンがジルの方を見て、そしてジルもジャスミンの方を見る。

 

「エンブリヲの奴隷だったあんたをこのまま指揮官にはして置けない。何より皆を切り捨てる様な真似は見過ごせないからね。指揮権を剝奪する。いいね?」

 

「…ああ」

 

観念したジルは指揮権を剝奪され、ただの女となってしまった。

それを見ていたサリアはただ重たい表情をするしかなかった。

 

「さて…真也、俺達はどうする?」

 

「エンブリヲが仕掛けてくる前に、俺達は行動する必要がある。全員ネェル・アーガマに移動!俺達は一度この海域を離れる」

 

「待て!エンブリヲが仕掛けてくるって!」

 

マギーがその事を問うと、真也は頷きながら言う。

 

「ああ、エンブリヲは当然ここを襲ってくる、間もなくな」

 

っと言っていると警報音が鳴り響き、それにアンジュ達は振り向くのであった。

 

 



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