ONEPIECE~珀鉛の少女~ (はむらび)
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CASE.1:ある少女の生存説

死んでいた。その島に住む者はすべて。子供に大人、男に女。聖職者に浮浪者。そして海賊、兵隊に至るまで。

ただ、炎だけが揺れていた。空は黒く染まり、世界は赤と、白に染まっていた。そんなある日の話をしよう。私の昔の話を。

 

 

私は街の裕福な家に育った。父親に母親と、あとは兄と暮らしていた。家族はいつも優しかったし、私は近所の子供でも活発な方で友達も多かったし、近所でも殺人とか海賊の襲撃とかがあるわけでもなく、まあ、世間一般的にはかなり幸せな生活を送っていたと思う。

 

白い街、白い国フレバンスは珀鉛の採掘で成長した国だ。鉱物資源がある国は基本的にそれが尽きるまでは豊かなもので、しかもフレバンスは巨大な珀鉛の鉱床の上に立っていた。尽きることはまずなかったし、尽きたとしたらすでに住む場所すらないだろう、とのことだった。豊かな国というのは得てして差別が起きるものでもあるが、フレバンスには差別もほとんどなかった。国の収入がほぼ完全な鉱物依存で、税金が安かったからだと今は知っている。

 

それが、国民を騙すための一手だったということも。

 

ある時からフレバンスは変わった。珀鉛病。珀鉛による重金属中毒。それはその頃知られておらず、また、今も治す方法のない病気だった。

珀鉛病には他の金属中毒と違う大きな特徴があった。体内の珀鉛濃度が一定値を越えるまでは自覚症状が出ないという特徴が。

1人の若者に毒が溜まり続けたとして、その若者が若者でなくなり子供ができた時、実は子供の寿命は短くなっており、さらにその子供が大人になり子供ができた時、もっと寿命の短い子が生まれる…

つまり、国中で中毒が一気に発症する。

 

それを、世界政府や、フレバンスの王族たちは知っていた。

 

そして、フレバンスと隣接する二つの国は、王族までも、その事実を知らなかったのだ。だから、そう。伝染病と思い込んでしまった。

 

さて、ここで問題です。「隣の国で伝染病が発生しました。治せません。放っておくと死にます。さて、貴方が王ならどうしますか?」

 

その答えは、その被害にあった私にも、その被害で家族を、友達を、故郷を失った私にも、否定できるものではなかった。彼らは、家族を、友達を、故郷を失ってしまうことを恐れたのだから。

 

 

 

戦争です。

 

 

 

 

では、その戦争をなぜ8歳の私が生き延びたか。これから移るのはその回想だ。

 

 

 

 

その日だ。病気がきついから安静にしていろ、とは言われていたし、実際にきつかったけれども、8歳の活発な子供をベッドに縛り付けておくのは無謀というものだろう。私は立ち上がり、外の空気を吸いに行こうと思ったのだ。

 

「ぐべっ」

 

転んだ。珀鉛は関節も蝕む。長い間立ち上がってもいない私だ。仕方ないよね。

 

そして床が「抜けた」。ここで死ななかったことは、私の人生で二番目に幸運だったことだ。

 

一番目に幸運だったことは、その落ちた場所が先祖か何かが遺した地下室だったこと、そして、ある悪魔の実が落ちていたことだった。壁はすべて古ぼけた本が並ぶ本棚で、見るからに「書斎」といった感じで。物珍しげなものも多く落ちていたけど、それが何なのかはわからなくて。

そして…落ちた地下室から上がる方法もなくて。ここで問題になるのは、「裕福な資源産出国の裕福な医者」である我が家はかなり広く、床が落ちた音には誰も気づかなかったこと、両親もまた珀鉛病を患っており、さらに町中の患者を引き受けてしまったことで過労死寸前であったこと。

 

つまり、助けが来なかったことだ。昼になればご飯だけでも渡しに来てくれるだろう、と思ってはいたが、それはそれとてお腹は空くもので。ついそこにあった曰くありげな木の実を食べてしまったのだ。

不思議なことに、その実を食べた途端、私の痛みは消えた。関節の痛みも内臓の痛みも。もちろん地下室に落ちた時の痛みは消えなかったけれども。

 

 

 

 

 

 

ただし、その日一番痛かったことはそんなことではなくて。消えた痛みよりも、増えた痛みのほうが多かったとすら思えた。

私の人生で一番不幸だったことは、ここから先、父にも母にも会えなくなったことだったのだから。その日の昼前に、私の家は焼けた。さかのぼることその日の前日の夜中、フレバンス軍は諸外国からの国境封鎖に異を唱え奇襲攻撃を行った。珀鉛病に苛まれるフレバンスには、皮肉にも、武器を買う巨万の富と、無尽蔵の鉛玉だけはあったのだ。軍事力も、隣接する2か国を足しても遠く及ばないほどに持っていた…はずだった。

 

当然だ。どんなに強い武器があろうとも、肉体を内側から蝕まれ、放っておくだけで倒れていく兵士など恐るるに足らず。たったの半日。新聞が報じる暇もなく、国民に知らされることすらなく、たったの半日で隣国の軍は私の家を消し炭に変えた。

 

銃弾が飛び交う火の海の中。血と炎で赤く染まった白い街では、本来、私の命が保つはずもなかったはずだ。

 

なんとか地下室から脱出することはできたにしろ、そもそもそこで体力が尽きている。何故か病が治ったにしろ、そもそも8歳児の体力に期待するのが間違いなのだ。

 

「パパ!ママ!」だから、へとへとになった私が両親のもとに向かったのは、きっと間違いではなかったはずだ。その両親が、銃を突きつけられていた(・・・・・・・・・・・・)としても。

 

目の前で両親が死んだとしても。

 

間違いではなかったはずだ。

 

私の間違いは、そんなところにはないのだから。

 

 

「悪く思うなよ、ガキ。」両親を殺した軍人が、子供を殺す罪悪感に飲まれた泣き顔でもなく、人を殺す恍惚感に呑まれた笑い顔でもなく、ただ、無表情に引き金を引いた。滅びの引き金を。

 

 

 

鉛玉は、私の体には当たらなかった。両親を殺され、へたりこみ、逃げることも考えられない、ただの少女の体をすり抜けた。

 

そして、私の目からは涙がこぼれてきて。私は、声をあげて泣いた。そして空は、黒く染まった。

 

 

 

 

「関節がイテェ!立ってらんねェよ!」「助けてくれ!体が固まって動けねェんだ!」「ゴホッゴッオエッ」

 

 

その日のことだ。その日だけのことだ。珀鉛病は、伝染病になった。黒い煙が広がって、触れた者は皆、肌が白く染まって死んだ。死んでいた。その島に住む者はすべて。子供に大人、男に女。聖職者に浮浪者。そして海賊、兵隊に至るまで。

一つの国にあらず、その島の、三つの国の住人すべてが死んでいた。

ただ、炎だけが揺れていた。空は黒く染まり、世界は赤く、人は白に染まっていた。そんなある日の話。私の昔の話。

 




かなり強引なルートを作らないと生存すらできないラミちゃんの冥福を祈って。
戦争を生き延びても通常のルートじゃ珀鉛病で死ぬので悪魔の実に頼るしかなかった


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CASE.2:ある酒場の喧騒

原作のローやロビンみたいな一文無しのガキ、生きていくだけで一苦労だよねという話。


昨日からご飯を食べていない。理由は簡単、食べるものがないからだ。

死人しかいないあの島に留まるのが嫌で、島を飛び出したのは良いものの、家から持ち出した食べ物はもう食べきってしまった。

港にあった小船を奪うのは気が乗らず、そもそも舟を漕ぐ技術なんてないので、背中のカバンに詰められる、つまり手持ちできる量しかもっていなかったのが仇となった。あの日を過ぎ、手に入れた不思議な力で空に浮かべる、空を飛べるようになったというのも後押しをした。もしそうでなければ、あの島から出るためにどうしても小舟を奪わなければならなかっただろう。

 

いや、その時は海の藻屑になっていただろうし、今は「飛べること」に感謝すべきか。

飛べる、移動できることは温情だ。前に上陸した島は無人島で、食べられそうな果物もなかったし焼けばこの際食べられそうな動物もいなかったけれど、水は汲めた。

 

どこかの島の孤児院とかで保護してもらえればいいものの、前の島では話も聞いてもらえず、2度「撃たれた」。もう関節も痛くないし、たぶん、というか間違いなく治ったとは思うのだけれど、それでも私の肌はまだ三分の一ほどが白く染まっていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

もう3日はご飯を食べていない。切羽詰まって盗みを行ったものの、2日で島中の人に恐れられ、追い出された。昨日は頑張れば食べられそうな海鳥を見つけて、何となく使い方がわかってきた能力で仕留めるまではできたのだが、海に落ちて怪魚に食べられた。

 

 

 

 

だから、これは仕方ないことだったのだ。

 

 

 

 

「私は『悪魔の実の能力者』だ!船と、お金と、ご飯を寄越せ!」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ある日のことだ。変なガキがあたしの店にやってきた。あたしがやっているのは海上酒場「カルーア」。そう。「海上の」酒場だ。子連れ客ならつゆ知らず、子供一人でやってくるなんてまあ珍しいったらありゃしない。船でも使わなきゃ来れないんだからな。

 

服は上等、だがボロボロ。それに、服と似合わず顔をぼろ布で覆っている。うちの店には民間船も海軍も、また海賊もやってくるが、だとしても奇妙。今泊まっている船は海賊船1隻と海軍の軍艦1隻。海賊なら売られて奴隷か何かになっていたろうし、海軍ならきちんと保護されて服の洗濯くらいはさせてもらえただろう。どちらもまあ、正直「強い」側ではないが、だとしても10かそこらのガキが忍び込み、「密航」できるほど甘くはないだろうし。船を漕いでくるのはなおさら無理だ。

 

まあ、来る者は拒まない。それがあたしが決めた、この店のルールだ。どんなに曰く付きの奴だろうが、金さえ払ってもらえるならば飯と飲み物くらいは出してやる。さすがにあの歳のガキに酒を出すのは憚られるが。

 

そう、ほろ酔いの頭で考えていたところに、

「私は『悪魔の実の能力者』だ!船と、お金と、ご飯を寄越せ!」

女児らしい、高い声が、響いた。

 

 

そして次の瞬間、笑いが起こった。

 

「嬢ちゃんが『能力者』ぁ?この俺様、『鉤爪のベディ』様もまだ食えてねェのにか?羨ましいなァ!」「ああ、まったくだ。悪魔の実でも食べていれば、すぐにでも貴様を牢獄に送ってやれるのにな。」「バカ言えウィーン!言い訳にもならねえぞ雑魚中佐ァ!」

飛行系能力者。希少ではあるが、まあ、軍艦に乗り込み密航したり海賊船に乗り込み密航するよりはマシな答えだ。大方どこかのお嬢様で、クーデターか、海賊の襲撃か、あとは権力闘争か何かで一家皆殺し。たまたま悪魔の実を食べていたガキが逃げ延びた、という話だろう。

悪魔の実は確かに希少ではあるが、だからといってそのへんの幼女が食べているのは、一笑に付すほど珍しくもない。名だたる海賊、海軍は大体能力者だし。それに悪魔の実を食べたから成功できるわけでもない。だから、悪魔の実を食べた一般住民という存在も、実はそんなに珍しくはないのだ。

 

 

だから、笑いごとで済んだんだ。たとえ能力者であろうと、なかろうと。一文無しのガキが酒場に入ってきた。其れだけの話で。

 

 

鉤爪のベディの腕に、黒い斑点が浮かびだすまでは。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

仕方なかったのだ。このままでは私は死ぬ。だから、ある程度の実力行使は仕方ないことだったのだ。

 

この1週間で把握した私の能力。「肉体を『病気』に変え、感染する」。追ってきたおじさんは倒れこみ、飛ぶ海鳥は墜落する。出力を上げれば死病になり、出力を下げれば風邪になる。私が感染させ(うつし)た病気は、たぶん私以外には治せない。逆に、私には治せる。だから、大丈夫なのだ。きっと誰も傷つかないから。

 

 

「うわァァァァ!」「船長!」「薬を持ってこい!今すぐ!ありったけだ!」

 

偉そうで、悪そうな人を選んだんだけど、船長だったみたいだ。

 

「私が欲しいものをくれるなら、治してあげる。」 そこに銃声!一瞬で、交渉は決裂した。

「なにッ!効かな…?」

私の左胸に空いた穴を、黒い煙が埋めていく。

 

次善の策だ。こんなことはしたくなかったが、命には代えられない。『全員(うつ)して力づくで奪い取る』。

 

客たちがこちらに銃を向ける。カウンターに座った長身の女性が憤怒の形相で爪を噛む…あれ、指しゃぶってるよね?

 

だが、関係ないのだ。睨んでも、銃を向けても。ただ、一声ですべては終わる。

 

 

黒死病(ペスト)

 

 

客たちが一斉に倒れこむ。その肌には黒い斑紋が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

客たちが?

 

次の瞬間、私は、壁にぶつかっていた。

『うわばみ酔拳『荒走り』』

その女の拳は、黒斑よりも黒く染まっていた。

 

 




己のことを無敵だと勘違いしてきた自然系の寿命は短い。
若いうちに知れてよかったね!ラミちゃん!
いや、「北の海」のただの海上酒場に武装色の覇気が使えるやつがいる方がおかしくてですね…


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CASE.3:百薬の長、万病の元

 そもそもの話をしよう。なぜ、酒場に居た海軍と、海賊が争いすら起こさなかったのか。海軍と海賊。それ以外に客はいなかったにもかかわらず。懸賞金2000万ベリーの海賊「鉤爪のベディ」と、海軍第132支部ウィーン中佐の部隊に、いざこざすらも起こらなかったのか。答えは簡単だ。

 

「この酒場では争ってはならない」。そう、店主たる彼女、ステア・エリクシルによって定められていたからだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「あたしの酒場で死人を出そうとする気か、クソガキ。いい度胸だな。」

 

わたしを壁まで殴り飛ばして、彼女はそう言い放った。

 

『殴られた』。銃弾もナイフも効かない私に、打撃を当てた。それに、「病気」が感染しない。どんなに無双の英傑でも、そんなに怖い海賊でも、そしてどんなに偉い王様でも。絶対に、「老い」と「病」には勝てない。それは、子供の私にすらわかる当たり前のことなのに。

 

空気感染、ダメ。飛沫感染、ダメ。接触感染、ダメだった。血液感染、粘膜感染。ムリ。アレに血を流させるのは。ぜったいに。

 

私には、ただ睨むことしかできなかった。邪魔なぼろきれを投げ捨てて。立ち上がるのがやっとでも、それでも、運命に抗わないわけにはいかなかった。せっかく生き残ったのに、ただで死ぬわけにはいかなかった。

 

「変色した白い肌… なるほど、フレバンスの生き残りか。『「病気」だから病気にかからない』。だから生き残った。そういうカラクリだろ。違うか?」

 

酒場に来た客との雑談のように。客のプライベートに踏み込む、不躾とはいえ、気さくな話。それでも、その声に優しさはなく、その視線は冷たかった。養豚場の豚を見る目、という言葉もあるが、彼女の瞳は、私を(てき)としてとらえていて、だからこそ恐ろしかった。

 

私は、逃げ出した。体をすべて黒い煙に変えて。今度こそ殴られないように。今度も生きられるように。

 

だけど………

 

「この期に及んで自分が無敵だと錯覚してんのかクソガキ!」

 

無駄だった、肌色の一片さえ残さないほど、体を瘴気に変えたのに。

ダメだった。ダメだからと言って、逃げなくてもいい道理はなかった。殺される。そう、思ったからだ。

あいにく、這いつくばるのには慣れていた。1週間ほど前までは、這いつくばってしか動けなかったのだから。

 

這いつくばって、這いつくばって。客席まで逃げた。でも、追ってくる。前のように見切れない動きじゃない。ただ、ゆっくり歩いてくるだけなのに。逃げられない。

 

バァン!と、

その時、銃声が鳴った。私は何が起きたのか、とっさには理解できなかった。違う。何をしたのか理解したくなかったんだ。

 

私は、近くの客の持っていた銃を奪って、撃ったんだ。私は生きたかったから。当たれば死んじゃうかもしれないけど、それでも、生きたかった。フレバンスで倒れていた人たちみたいに、友達みたいに、お母さんやお父さんみたいに、なりたくなかった。

 

店主の脳天に穴が開いた。強い、不快なにおいのする液体が飛び散った。

 

 

 

 

それでも、店主は止まらなかった。

「やめて!やめて!」

恐怖を振り払うように、私はまた、引き金を引いた。

パァン!パァン!パァン!店主の心臓に、脇腹に、穴が開いた。まるで吸い込まれるように。避ける気がないように。まるで、店を、客を、庇うように。

 

 

液体が飛び散った。強い、不快な…… アルコールのにおいがする、透明な液体が。

 

店主は、意にも介さず歩いてくる。

「不思議かクソガキ」

不思議……どころであるものか。銃弾を避けられる奴はいるだろう。銃弾を耐える奴とか……銃弾を掴んで握りつぶす奴なんかもいるかもしれない。だけど、この世に、脳天を貫かれてなお生きていられる人間など……

 

 

いた。そうだ。まさか……

 

 

「簡単だ。てめぇと同じだよ。私はステア・エリクシル。ベロベロの実の『(アルコール)人間』。てめぇだけじゃないんだ。銃も剣も、あいにくあたしには通用しないし、『百薬の長』たるあたしは病気なんかにもならない。諦めな。ガキ。」

 

歩いてくる。歩いてくる。店主は怒りの形相で。カランカランと、店主の体から勢いを失った銃弾が落ちてくる。

 

「加減は抜きだ。あたしの酒場に騒ぎを持ち込んで、客をみぃんな倒しやがって。挙句の果てに、逃げようってならつゆ知らず、私を『殺そうと』したな?」

加減どころの騒ぎではない。自然系(ロギア)の能力者が能力を使わず体術だけで戦っていた。

本来なら彼女は……

『絡み酒「どぶろく」』

ただ、掴むだけ。その腕は、液体と化し、並の人間の半身ほどに巨大化する。それだけ。それでも、逃れられない。覇気すら使う大人と、ただの子供。

覇気も使えないのならば、触れることもできないのならば、抵抗なぞ、できるわけがない。

それに… (あつい!体が…灼ける!)

実際問題、アルコールは「液体」、それも、「消毒液」だ。「疫病人間」の「能力者」では、相性が悪すぎた。

 

 

「わ、わたしを殺したら、この人たちの病気は治らなくなるぞ!」「残念だがそうでもないな。こういう手合いの能力の効力は『術者が意識を失えば切れる』もんだ。」

そんな馬鹿な。いや、だから彼女は私を殺そうと……

 

「これは慈悲だ。ただ、安らかに眠らせてやる。感謝しな。」そうして、彼女は私の額に、口づけを。

 

『眠り酒「ナイトキャップ」』。

 

そして、私は意識を失った。

 

 

 




ラミちゃんの能力もたいがい強力ですが、ステアさんのも十二分に… よくSSにある水人間の上位種みたいな性質してますからね…海には弱いですけど。

【ベロベロの実】:???系「酒人間」。
・体を(アルコール)に変える能力。
・「酒」は液体扱いなので能力者の力を削ぐ。
・酒は百薬の長。つねに内臓が消毒液に浸かっているようなものなので病気にならない。
・「ベロベロ」は「べろべろに酔う」より。

あたり。
ステアさんは自分のことを自然系だと思い込んでいるようだが、実態は不明。特殊な超人系である可能性もあり。
このSSではステアさんの認識に従い自然系(ロギア)として扱います。


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CASE.4:ある店主の心象風景

むかし、店に来ていた、海賊がいた。むかし、店に来ていた、海軍がいた。海賊は、略奪のために店に来て、海軍は、そんな海賊を捕まえるためにうちの店に来ていた。父や母は、こんなに頑張って、こんなにしがない酒場を切り盛りしていたというのに、だれも、そこを酒場だと思っていなかった。わたしは、戦場に棲んでいた。そんなある日の話をしよう。あたしの昔の話を。

 

偉大なる航路。新世界のとある島。水の代わりに酒が湧く、酒呑みの島、バッカス島。そこがあたしの故郷だった。今になって思えば、ガキの成育には極めて悪い環境だったと思うが、陽気なオッサンと陽気なおっちゃんと陽気なババアと陽気なオカマに囲まれて、みんな優しくて、まぁ、人間的には恵まれていた。

 

 

だけど、それは島に住んでいる人の気質。外からやってきたやつらは、「酒癖が悪い」ことも多かった。

だから、争いが多い島だった。ババアとおっちゃんとオカマは強かったから生き残れたが、オッサンは酔った海賊…大酒のバスコ・ショットだったか…に絡まれて死んだ。そういう島だった。酒を呑むのは、気心の知れた仲間とでないといけない。この島では、気心の知れた仲間以外とはともに居てはいけない。とくに明文化されたそういうルールがあったわけではないが、それは、生き残るための常識だった。

 

 

だけどある日、うちの店に大酒呑みの海賊がやってきた。常人の数倍の身長を持つ、白い髭の大男は店には入れなかったが、店の外であっても、うちの店の飯を食い、うちの店の酒を呑んで、笑っていた。だけど、それを追う海軍がやってきた。よくあることだ。酒を呑んで宴会をする気のいい海賊は、つまりゆったりしているということでもあり、海軍に居場所をつかまれやすい。だからこの日も。いつものように暴動が起きて、うちの店がまた戦場になるのだと思っていた。

だけど気づけば、その老齢の海軍将校は。ともに海賊と酒を酌み交わしていた。何があったか知らないけれど、それでもあたしは気づいたんだ。

 

「ほんとうは、気心知れた仲間のように、誰とでも酒は酌み交わせる。」きっと、みんな立場に縛られ、できないだけなんだ。

 

だから、あたしは島を出て、この酒場を開いた。「海賊と海軍が酒を酌み交わせる場所」「復讐鬼と親の敵が、ともに語り合える場所」。たとえここを一歩出たら戦争になるとしても、この店では酒を飲み、笑っていられるように。国にも立場にも縛られない。それが、あたしの海上酒場「カルーア」だったんだ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「起きたかクソガキ」

「まだぁ…もうちょっと……。」

何かの気の迷いだろう。あたしはこのガキを匿っていた。

本当なら、海楼石の鎖で巻いて、起きたウィーン中佐に持ち帰ってもらおうと思っていた。うちの店では海賊を捕まえることすら許さない。だが客に手を出したやつは話が別だ。

だけど…

 

ここは。誰もが笑いあえる酒場だ。腹が減った、金を持ってないガキだから。そんなものは元来、理由になどならないはずなのだ。

 

だから。

「ほら、メシだ。たっぷり食え。」

キョトンとした顔。誰だってこの状況ならそうするだろう。警戒してしかるべきだ。

「毒とかは入ってねェよ、うちは酒場だ。毒入りのメシを出す酒場がどこにある。」

海鮮のピラフ。余り物で作った、所詮まかない料理だ。

 

でも、何日もメシを食ってないガキにはきっと、ご馳走だったのだろう。勢いよくかきこんで、むせて。

 

だけど。それじゃダメなんだ。コイツを外に放り出したら、また同じことをする。反省はしただろう。後悔もしただろう。罪悪感もあったろうし、二度とやるもんか!と思っているはずだ。というか腹が減ったからといって略奪に手を染めようなんて(クズ)は、まぁ、何度だって同じことに手を染めるだろうよ。

だけど。人は誰でも、命が大事だ。飢えて死にそうな時に。そのための圧倒的な力があるときに。略奪に手を染めない(・・・・)やつは、自分の命すら大切にできないロクデナシ、クズ未満のクソ野郎だ。

 

なにより、こんなガキを。生きていく当てもないガキを。そのまま世に放り出すのは、「カルーア」らしくない気がしたんだ。

だから。

「お前、うちで働くつもりはないか?」

「え……?」

「実のところ、あたしは店員が欲しかったんだ。ここにはあたしがいるとはいえ、無法者すら受け入れるカルーアは、銃弾飛び交う戦場だ。そんなところで働きたい店員がどこにいる?」

「……」

「お前は、銃弾飛び交う酒場でも問題ない(・・・・)よな?」

「……」

「ああ。強要はしない。これはスカウトだ。今度からウチで略奪をしないなら……まあ、今回は見逃してやる。」

「いや……」

「ん?」

「私を!ここで働かせてください!」

突然の大声で、彼女はそう言った。

ああ。了解だ。

「そういえば聞いてなかったな。お前、名前は?」

 

「ラミ…トラファルガー・ラミ。」

 

「じゃあ今度はあたしの番だな。もう一度、今度は店主として自己紹介しよう。」

スゥっと、息を吸った。

「あたしはステア!ステア・エリクシル!ただのしがない、酒場の店主だ!私は厳しいぞ!年がら年中働かせるし、休みだってそんなにない!だけど……お前には二度と、ひもじい思いはさせない!なんてったって、飲食店(さかば)だからな!」

「はい!」

私は笑った。ラミも笑った。ついさっきまで相手を殺そうとまでしていたのに、何の因果か、店の一員にしようとしている、そんな気の迷い(ごつごうしゅぎ)が、心から笑えた。

 



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CASE.5:病気の少女、病気の症状

更新遅れました。かなり日常回。


北の海、チーズが名産の島「セルニック」。焦土と化したその島に佇むは、ピエロのような長身痩躯の男。

彼は足元にあったそれを海に蹴り飛ばし、言った。

「もう二度と会うことはない。あばよ。」

これはただの日常だ。彼にとっては、なにも、珍しいことではなかった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(悪魔の実の図鑑…こんなものがあったんだ…)

私は、自分の能力がなんなのか、実のところ全く知らなかった。「悪魔の実の能力者」という名前も、1週間前に私を撃った果物屋のおじさんが言っていた言葉の受け売りだった。それでは不都合だと、ステアは、この本をくれたんだ。

「イルイルの実の…疫病人間。」本には名前と、『体を病気に変える』という、私が知っていることしか書いていなかったけれど、それでもその名前は、私にふさわしく思えた。

 

 

 

 

「サボってんじゃねェぞラミ !」

酒場の喧騒の中でも、その怒号は、いちだんと響いた。

「今行きまーす!」私は浮いた。

海上酒場カルーアは、大型の屋形船だ。大きな吹き抜けに二階席まである。ひとりで切り盛りするのは無理だ。手が何本あっても足りない。はずなのだが、ステアは何の問題もないかの如く運営していた。なるほど。私を救った理由はこれに違いない。やさしさとかもあったのだろうが、実際問題店員は欲しかったのだろう。

 

腕を体より大きく変化させ、大皿を両手に載せて浮く。2階席までの直線移動が可能であることは、正直便利だ。

「おいラミ!ここは食い物屋だぞ!」「大丈夫!絶対うつらない(・・・・・)から!」

そう。簡単な話。感染させなければよい。感染したとしても症状を出さなければよい。

だけど、それを、ステアに説明し、納得してもらうのがムズカシイ。

 

 

「ああ、なら、良い。」

あれ?

 

私が店員になってからというもの、ステアは妙に私に甘い。怒声罵声は飛び交うものの、店の危機にならなければ意外と怒らない性格らしい。

私への信用度も高いし、かなりいい人と言えよう。

 

ヒュン、と音がし、私の頬を銃弾が掠った。私の頬からは、赤い血の代わりに、黒い煙が噴き出し、すぐに頬に戻った。直後、ステアの怒りを買った下手人は、海に突き落とされた。今週に入って2回目だ。ステアの望みがどうであれ、荒くれ物、無法者をも容認する酒場は、一時のミスで銃弾が飛び交う。それを店員が受ければ、まあ、ケガをしたり、死んじゃったりするわけで。

 

だからこんな風に。「ああ、ステア。お前は強い。お前に勝てるなんて思っちゃいねぇさ。攻撃が当たらないとか、そういう問題じゃなかったってのは、今の俺にはわかる。だが、弱くなったな(・・・・・・)!こいつの命が惜しければ金を出せ!」

掴まれて人質に取られて銃を突きつけられても大丈夫な店員でなければ店員に取ることができな……掴まれても?

 

くすんだ灰色の髪を短髪に切りそろえた大男。太い腕に浮かび上がった傷は、彼のかつての戦いを物語る。

「あー、お前、誰だ?前に店から蹴り出したことは覚えてるんだが…」「ああ。あの時の名前を思い出してもらえなくても構わねぇ。昔の未熟な俺を覚えてもらってても困るだけだ。だから、今こそ覚えておけ!俺は懸賞金9700万B(ベリー)、灰熊のグリズ! 残念だが今の俺は昔とは違う!武装色の覇気も会得した!そう、偉大なる航路の冒険でな!」「あー、つまり逃げ出してきたやつか。で、金も船も仲間も失って…と。」

なんとなく同情心が湧いてくる境遇だ。

ただ、人質に取られている側としては同情している場合ではない。どちらかというと恐怖心が…

 

ダメだ、それもあんまないかな。

「ラミ、まぁ、とりあえずアレだ。寝かしとけ(・・・・・)。」

「了解」

だって、私を掴んでいるということは。病に触れているということだ。

疾病返し(しっぺがえし)

それは毒人間に、雷人間に、ガス人間に不用意に触れているのと同質。首をつかんでいるのはどちらなのか。物理的にはあちらだが、比喩的にはこちらだ。私に触れた腕から、黒い斑紋が浮き上がって。『失神(シンコープ)』。

人は、老いと、病には勝てない。例外は見つかったものの、それは、確かに、真理であるはずだ。

 

ドサッ!

私を掴む腕がとたんに力を失う。灰熊のグリズはその場に倒れこんだ。

 

「いいや、まだだ!」否。まだ動ける。体格によるものか免疫によるものかは知れないが、効きが弱かったようだ。すでに私には触れていない。黒死病(ペスト)を発動し、揮発するよりも早く、その拳は私を殺傷し得るだろう。

「じゃあもう少し。」だけれど。私は病気であるからして。毒ともガスとも雷とも違う。感染している以上、何もしなくとも、容易く悪化する。ぱちん、と指を鳴らすだけで、悪化「させられる」。すでに感染した病を体内で増殖させる。体内で変性させる。それができるのが、それであるのが、(わたし)

故に、今度こそ、動けないだろう。

 

 

 

「仲間を失って自棄になって、うちの店員(なかま)に手を出したか。ほう。いいご身分だなゴミめ。」何もしていないステアが言った。「ああ。強くなったと……思ったんだけどな。こんなガキにまで負けるとは思っちゃいなかった。」「当然だろうが。お前、前のほうが強かったぞ。」「ああ、そうかい。」なんか満足した顔で死ぬ感じで倒れてるけど、失神(シンコープ)は死ぬ技ではない。「まあ、お前を海軍に突き出すのは良いんだが…まあ、ガキの情操教育に悪いしな。特別にタダでいい。食ったら出てけ。」さっき海に突き落とされた海賊のことは覚えていないらしい。

銃弾飛び交う常在戦場酒場は、たぶん私の情操教育的にはよろしくない。

だけど、天国のお父さん、お母さん、わたし、楽しいです。

 

 

 

 

 




【イルイルの実】:自然系「疫病人間」。
・体を「病気」に変え、感染する。
・感染した相手に、病気の症状を引き起こすことができる。
・「病気」は黒い煙の姿を取る。
・もとから病気なので病気にならない。ただし、それは体内から病原がなくなったことを意味しない。たんに症状が消えるだけ。だからラミの肌はまだ白い。
・「イル」は病気の「ill」より。
・「疫病人間」であり、「ウィルス人間」でないが故の自然系。細菌・ウィルス・果ては公害病・生活習慣病まで含む、「疫病という自然現象」のロギア。故に「動物系」にカテゴライズできない。
同類には「氷人間」ではなく「凍結人間」のヒエヒエの実、同じく「氷人間」ではなく「雪人間」のユキユキの実、「泥人間」ではなく「沼人間」のヌマヌマの実(なので「水を含む自然物」の能力者であることが容認されている)や、「重力人間」でなく「ブラックホール人間」でもなく「闇人間」のヤミヤミの実などが存在する。


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CASE.6:おかしなお菓子なシャーロット

目を覚ますと、そこは海の上だった。わたしは、海の上をゆらゆらと漂っていたのだ。思い当たることはない。昨日だってよく眠れた。体に合わせて形を変える、やわらかで上等なベッドの上で。それが今はどうだ。海の上だ。やわらかなベッドはどこへやら、背中にあたる感触はただただ硬い。鉄のような質感だが、そこまで冷たいわけではない。海と同じようなあったかさだ。そして揺れている。つまるところ、これは船だ。わたしはどうやら、いつのまにか1人乗りの小船に乗せられて、大海原へと冒険の旅に飛び出してしまったらしい。

 

なんです?

 

大海原へと。冒険の旅に。すごいエキサイティング。

ひとつ不満点があるとすれば、もうこの小船には財宝が載っていることだ。冒険のロマンというものが失われた気がする。水も食料もあるのだ。3日分はあるだろう。こういうのをなんて言うんだっけ。無粋?

 

だからわたしは、船を捨てて、冒険の旅に「歩き出した」のでした。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「なぁ。レイリー。なんでこんな所(・・・・)にいる。」「決まっている。酒を呑む為だ。」「いや、そう言うことを聞いてるんじゃない。ここは偉大なる航路(グランドライン)じゃない、北の海(ノース・ブルー)だぞ!?」「何を今更。『この店は移動酒場だから、場所がわからないと困る』と言って、ビブルカードを渡したのはどこの誰だった?」「お爺ちゃん、ビブルカードって何?」「ああ、偉大なる航路の職人に爪の欠片から作ってもらう不思議な紙でな?その依頼人のいる方向がわかる、道標になるのさ。」「そんな不思議なものがあるんだ……」「ああ!この海には不思議なものがいっぱいある。お前も大きくなればわかるさ。」「い い か げ ん に し ろ!」

この人はレイリーさん。偉大なる航路のコーティング職人らしい。

 

 

「だいたいレイリー!お前、金はどうした!ツケが溜まってるんだ!まだ払えねえのか!」「ああ。流石に金は持ってきてる。今日の飲み食いの分はな。」「結局ツケは払えないんじゃねェか!」

そして、ダメ人間でもあるらしい。ステアさんの昔馴染みらしく、ツケが溜まっていても海に捨てられずに済んでいる。首根っこは掴まれているけど。

「流石にタダ酒を飲ませるわけにはいかねェんだ。」「タダで出せるのにか?どうせ能力で出したものだろう?」「そういう問題じゃねェんだよ。原価で酒が飲めてたまるか。まあ、レイリーなら海に落ちても問題ないだろう。」

ステアさんはレイリーさんを掴んだままバルコニーに出た。本気で海に捨てるつもりだ。

そうやって一歩一歩レイリーさんの処刑が近づいて……

 

「ん?」少女と目が合った。ここは海の上。船の上でないにもかかわらず。キャンディのような水色とピンク交じりの髪の、浮世離れした少女と。「なにしてるの?」少女はそう問いかけた。

 

「いや、お前が何してるんだ」「えーっとね、歩いてきたんだけどね、道に迷っちゃって。」歩いて?

よく見ると海面からバルコニーの高さまで、グミ状の塊が持ち上がっている。それが意味することはただ一つ。

 

「そうか。あたしはこの悪ぅいオッサンを海に捨てるところなんだ。ちょっとそこをどいてくれるか?あれ?」

しかし、レイリーさんはすでにその腕の中にはいなかった。すり抜けるように腕を抜け、元の場所で悠々と酒を飲んでいる。

「でも、悪いおじさん、逃げちゃったよ?」「そうだな。次は容赦せず捕まえるとしよう。」

 

 

「そうだね!わるいひとなら、やっつけなきゃね!」

『ジェリーロール』。

少女の腕から発生した莫大な量の液体が、濁流となって店の中のモノを押し流す。対象となった「悪い人(レイリー)」のみならず、客が、食事が、机が、酒場のすべてが呑み込まれ、扉を突き破って海へと押し流されていく。

 

そして。

 

ぶち抜かれた扉の前で、少女は笑う。さも善行をなしたかのように。

「わたし?わたしはね、『シャーロット』・ジュレ!プルプルの実の『ゼラチン人間』!」

 

 

 

「あたしの店が……あたしの客が……」「せっかく掃除したのに……!」

悪い人はやっつけたよ!と言わんばかりの満面の笑み。

「「出てけ!」」

そして、自分が悪い人になったことに気づかないのは、少女の、少女ゆえの業であった。

 





【プルプルの実】:超人系「ゼラチン人間」
・体をゲル質に変える能力。
・原形を留めない特殊な超人系。
・触れた液体をゼリー状に固めることができる。そのため、能力者には珍しい海への耐性を持つ能力の一つ。

モチモチの実の相互互換。粘着質を失った代わりに水と炎への耐性が上昇。

何だこの店……物理攻撃が誰にも効かない……(作者の趣味です)


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