エグゼイドのキャラを小児化してみた (ぽかんむ)
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絶版王 まさむね君

まさむね「私こそが世界のルールだ!」ボカスカ

 

きりや「いたいよ!」

 

たいが「いじめるのやめろ! 先生呼ぶぞ?」

 

まさむね「ぽーず! はい、ぽーず使ったからお前ら止まる!」

 

男子たち「くっ......」ピタッ

 

えむ「七歳にしてげんむこーぽれーしょんの社長に就任しているとはいえ、いくらなんでもひどすぎるよ......」

 

きりや(覚えてろよ......)

 

あすな(何がぽーずよ。バカじゃないの?)

 

──────────

 

黎斗「皆さん、席についてください。今回は六時間目の総合の時間を、クラス会議に当てたいと思います」

 

たいが「なんだってそんなことを」

 

黎斗「二階の男子トイレの個室が流されていませんでした。このトイレを主に使うのは君たち三年生のみです。クラスは一組だけですので、この中に犯人がいる可能性があります」

 

ひいろ「くだらん......」

 

黎斗「ぱらど君、ゲームを止めて先生の話を聞いてください」

 

ぱらど「......しらけるぜ」

 

ぽっぴー「男子最低!」

 

あすな「先生! 私たち女子は帰ってもいいですか?」

 

黎斗「駄目です。まだ放課後ではありませんので。本やゲームで時間を潰していてください」

 

えむ「誰だよ~早く白状しろよ!」

 

ひいろ「だが、もし犯人が確定してしまえば、そいつは明日からいじめられるだろうな」

 

まさむね「......」

 

たいが「どうしたんだ? らしくねぇな、まさむね。いつもは進んで犯人をあげようとするのに」

 

まさむね「ひいろの言う通り、そいつがいじめられるかもわからない!」

 

えむ「まさか犯人って......」

 

ひいろ「間違いないな。このクラスで誰かをいじめる奴など、こいつしかいない」

 

きりや「......自分がやった。悪乗りが過ぎたぜ」

 

えむ「きりや君が!? そんな......信じられないよ」

 

黎斗「早く帰りたいからと嘘をついているのですか?」

 

きりや「本当さ。疑うならば、まだ流されていないその物を調べてみろよ」

 

ぽっぴー「きりや最低!」

 

あすな「明日から口聞かない!」

 

ひいろ「堕ちたものだな」

 

まさむね「」ブルブル

 

 

翌日、教室にて

 

 

えむ「昨日のやつさ、犯人まさむねらしいよ。きりや君が先生に涙ながらに訴えていたのを昨日見たもん」

 

たいが「きりやに罪を着せたということか......」

 

ぽっぴー「まさむね最低!」

 

まさむね「おはよう!」ニュウシツ

 

みんな「......」ゴミヲ ミルメ

 

まさむね「どういうこと? きりや!」

 

きりや「あれ? 乗せられちゃったぁ?」

 

ぱらど「ほらほら! あの台詞言ってみろよ。ほらほら!」

 

まさむね「うるさい! 全員絶版にしてやる!」

 

えむ「やってみろよ! もうすぐ朝の会が始まるけどな」

 

 

 その後まさむね君は、黎斗先生にこっぴどく叱られました。それ以来彼は、ほんの少しだけ落ち着きましたが、相変わらず友達をいじめています。




なんか......ごめんなさい
続きができるかは気分次第


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転校生にこちゃん

  席順
       黒板

ひいろ まさむね えむ ぱらど

   たいが   空席  

きりや  あすな ぽっぴー


黎斗「明日の日直当番はひいろ君ですね。よろしくお願いします。これで帰りの会を終わりに......あっ!」

 

黎斗「そうそう、明日からこのクラスに仲間が一人加わります。仲良くしてくださいね。それではこれで帰りの会を終わりにします」

 

日直(ぽっぴー)「きょうつけ! 令!」

 

みんな「「「さようなら!」」」

 

 

帰り道

 

 

えむ「誰か来るみたいだけどどう思う?」

 

ぱらど「ゲームの上手い奴だといいな」

 

ひいろ「目障りにならなければそれでいい」

 

あすな「いじめちゃ駄目だよ?」

 

きりや「ところで知ってるか? 奴が転入してくる理由を」

 

ひいろ(どうせ引っ越しとかだろ)

 

まさむね「何々?」

 

きりや「そいつは元々、ここより上位の学校にいた。しかしそこで起こった争いに破れ、自分達の側は入ることになったらしい」

 

たいが「つまり負け犬ということか」

 

ぽっぴー「ってことは、この中の誰か一人はまた別の学校に転校しなきゃならないの!?」

 

きりや「らしいぜ」

 

まさむね「やだなー」

 

たいが「俺に任せろ。転入生をより下位の学校に叩き落とす」

 

ひいろ「バカバカしい」(万が一にも俺が落とされないように努めなければ)

 

きりや(全部嘘なんだけどね)

 

 

次の日

 

 

黎斗「おはようございます」

 

みんな「「「おはようございます!」」」

 

黎斗「それでは早速、転入生の紹介に移りたいと思います。入ってきてください!」

 

転入生「はい!」ガラガラ

 

黎斗「お名前はなんですか?」

 

転入生「知らないの?」

 

黎斗「私は知ってますが、他のみんなは知りません。なので教えてあげてください」

 

にこ「先生がやればいーじゃん!」

 

たいが「ごちゃごちゃとうるせえ! さっさとしろ!」

 

ニコ「っち......ニコ。西馬ニコ」

 

黎斗「趣味や特技を教えてくれるかな?」

 

ニコ「ゲーム! 私天才ゲーマーNなんだから!」

 

たいが(つくづく気に入らない奴だ)

 

黎斗「どうしてランドセルじゃないんだ?」

 

ニコ「はっ!? あんなダサいの使えるわけないじゃん!」

 

黎斗「そうですか......それでは空いてる席に座ってください」

 

たいが(よりにもよってどうして俺の隣なんだ......ぶっ潰す)

 

にこ「よろしく......」

 

たいが「......」

 

にこ「はっ!? 無視とかマジあり得ないんだけど」

 

  

一時間目 算数

 

 

黎斗「この問題わかる人」

 

ひいろ「65/9」

 

黎斗「正解ですが、帯分数でお願いします」

 

ひいろ「なっ......帯分数だと!?」

 

みんな「???」

 

たいが(さっぱりわからん)

 

にこ「はい」

 

黎斗「どうぞ!」

 

にこ「7と2/9」

 

黎斗「正解。よくできました」

 

ぱらど「そんなの見たこと無いぞ!」ピコピコ

 

黎斗「まずはゲームをしまってください」

 

 

三時間目 体育

 

 

きりや「ゴールは自分が守るぜ!」

 

にこ「にこ! クリティカルシュート!」ボール ケル

 

きりや「あらら......入っちゃった」

 

黎斗「ピピッー! 試合終了!」

 

えむ「よっしゃー! にこのお陰で勝てたぜ!」

 

あすな「やったねえむ! ほら、たいがも喜ぼうよ!」

 

たいが「お......おう......」

 

 

四時間目 社会

 

 

にこ「瀬戸内工業地域」

 

黎斗「その通りです」

 

たいが(こいつが落ちこぼれるほどの学校とは、いったいどれほどレベルの高いところなんだ?)

 

たいが(このままじゃ俺が落とされるかもしれん......)

 

黎斗「たいが君!」

 

たいが「な、何だ!?」

 

黎斗「これを答えてください」

 

たいが「は!?」(知らん......)

 

にこ「ふふ......」ニヤニヤ

 

たいが「......」

 

黎斗「答えは石油化学コンビナート。これがわからないと水晶が曇ります」

 

 

給食

 

 

ぽっぴー「すごいねにこちゃん! 牛乳飲むの一番」

 

にこ「みんなまだ飲み切ってなかったの? 遅すぎ!」

 

ひいろ「くだらん」

 

ぱらど「牛乳早飲みとか子供かよ」(負けた!)

 

 

昼休み

 

 

まさむね「お前調子のってるから絶版だ」

 

にこ「は!? 意味わかんないし」

 

ぽっぴー「駄目! まさむねはとっても乱暴だから逆らっちゃダメなの!」

 

えむ「あいつに目をつけられたら終わりだな......」

 

にこ「私逃げる!」ピュー!

 

まさむね「あっ......待て!」ピュー!

 

ぱらど「二人とも行っちまったな」

 

たいが「どうせすぐ戻ってくるだろ」

 

ひいろ「首を突っ込むだけ時間の無駄だ」

 

ぽっぴー「助けてあげなよ! 男子最低!」

 

 

キャー!!

 

 

きりや「今の悲鳴って」

 

たいが「俺がみてくる」ダッダッダ!

 

 

校門前

 

 

たいが「声聞いてたらここに来ちまったな。さすがにここにはいな......いた」

 

 

 そこにはにこちゃんと、それを取り囲むかのように数人の男の子がいます。

 彼らにぼこぼこにされたのか、まさむね君はその辺に転がり、泣いていました。

 

 

たいが「なんだ? てめえらは」

 

児童「俺らはニコの元クラスメートだ」

 

児童「そいつらは散々俺らを虐めておきながら、そのまま勝ち逃げしやがった!」

 

児童「断じて許せねえ!」

 

児童「もしかしてお前、あいつのことが好きなの?」

 

たいが「勘違いするな。あいつはこの俺がぶっ潰す。だからてめえらの出る幕はない! 文句があるならかかってきやがれ」

 

児童「生意気な奴だ!」

 

児童「いくぞ!」

 

 

 たいが君が腰のポケットからエアガンを取り出します。引き金を引く彼。すると鉄釘が飛び出しました。どうやら改造エアガンだったようです。

 

 

ポンポンポン!

 

 

児童「痛い!」

 

児童「やめて!」

 

児童「逃げるぞ!」

 

 

 彼らは一目散に逃げてしまいました。

 

 

にこ「あんた意外とやるじゃん。まっ、私ならあんなやつらいちころだけどね」

 

たいが「嘘をつけ。だったらなぜ逃げた?」

 

にこ「人目につく場所では殴りたくなかったの! なんなら今ここで試してあげようか?」

 

たいが「遠慮しておく」

 

 

ダッダッダッ

 

 

えむ「たいが君! にこちゃん! 大丈夫だっ......」

 

あすな「ダメ! えむ!」ヒッパル

 

えむ「うわぁ!?」コロブ

 

あすな「あの二人の邪魔しちゃダメ!」

 

えむ「どうして?」

 

あすな「いいから! 愛し合う恋人の邪魔はしちゃダメなの!」

 

たいが・にこ「「違うからな!!」」

 

 

 何はともあれ、えむ君たちのクラスに新たな友達が増えました。

 

 

放課後

 

 

ひいろ「先生、あの転入生がここに来た理由はなんだ?」

 

黎斗「父親の転勤ですよ」

 

ひいろ「そんなものは建前に過ぎない。本当の理由を聞いているんだ。前の学校の生存競争に破れたんだろ?」

 

黎斗「!?」

 

黎斗「頭の中がwish in the darkですね」

 

 

終わり



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ひいろくんの恋の行方

 廊下を走り回るたいがくんとにこちゃん。二人にその気はありませんが、端からは遊んでるようにしか見えません。

 

 

きりや「たいがとにこちゃん仲いいよな」

 

えむ「そうだね」

 

ぱらど「ひいろはいないのか? 気になる女の子とかさ」

 

ひいろ「この中にはいないな」ドクショ

 

きりや「ならどこにいるんだ?」

 

ひいろ「そ……そういうことじゃない! 色恋沙汰などくだらん!」

 

ぱらど「そんなむきになんなよ」

 

ひいろ「ところで今日はやけに静かだな」

 

きりや「ん? あぁ、まさむねは今頃、先生にどやされてるからな。体育館の窓ガラスを割ったらしい」

 

えむ「話題を変えようとしても無駄だよ。ねぇ誰なの? 気になる人って」

 

ひいろ「うるさい!」ダッ!

 

ぱらど「あっ……おい! 教室出るな!」

 

きりや「怒られちゃった」

 

えむ「でも逆に言うと、怒るほど隠したいってことか……」

 

ぱらど「放課後やるか」

 

 

放課後 まさむねの家

 

 

まさむね「私に何か用かね?」

 

きりや「お前に用はない」

 

えむ「部屋だけ貸して」

 

ぱらど「あとゲームとおやつ」

 

 

 まさむねの部屋。彼は家がお金持ちのため、家がたいそう広いのです。そのため、彼らの溜まり場と化しています。

 

 

きりや「それではこれより、作戦会議を始める!」

 

えむ「今回のミッションはひいろくんの彼女問題! 平和のため、絶対に解決しよう!」

 

まさむね「まるで前回があったかのように装うな!」

 

ぱらど「今度の日曜日にひいろはデートをすると思う。だから家を張り込めば簡単だな」

 

まさむね「その根拠はどこから!?」

 

えむ「知らないの? 付き合うってことは、デートするってことなんだぜ」

 

まさむね「むかつく……お前は絶版だ」

 

きりや「暴力はやめた方がいいぜ? もしお前がえむを殴ったりしたら、クラス全員にお前の秘密をばらすぞ」

 

まさむね「」シュン

 

きりや(ほんとは何も弱味握ってないけど)

 

ぱらど「さぁ、会議はこれで終わり。あとは遊ぼうぜ」

 

えむ「よっしゃあ!」

 

まさむね「結局それか!」

 

 

そして当日。朝6時頃……

 

 

えむ「早いね。みんなもう来てたんだ」

 

ぱらど「逃すわけにはいかないからな」

 

きりや「自分なんて夜中から張り込んでたぜ」

 

 

二時間後

 

 

えむ「出てこないね……」

 

きりや「腹へったな」

 

ぱらど「パーフェクトバズルして待ってるか」

 

 

さらに二時間後

 

 

えむ「もう我慢できない!」

 

きりや「乗り込もうぜ」

 

ぱらど「インターフォンポン!」

 

 

ピンポーン

 

 

ひいろママ「お友だち? ひいろは二階にいるから勝手に入って」

 

えむ「随分と適当だな」

 

 

ドッドッドッ! ガラッ!

 

 

きりや「遊びに来たぜ!」

 

ひいろ「うぉっ!?」

 

ぱらど「今なんか隠さなかったか?」

 

ひいろ「な……何も隠してない……」

 

えむ「どう見ても太股の下、怪しいよね。見せて!」ウバウ

 

ひいろ「わっ!?」

 

えむ「ぱらどはひいろを押さえつけとけ」

 

ぱらど「おとなしくしてろよ」

 

ひいろ「うぉぉぉ! 離せ!」

 

きりや「わかった、話すぜ」

 

ひいろ「やめろ!」

 

えむ「君を幸せにするね! もう幸せだよ? ずっと一緒だよ! ひいろに出会えてよかった! これは運命だよね?」

 

ひいろ「それ以上言うな!」

 

きりや「転校したさきとのバカップル丸出しな会話劇だな……やっぱりお前ら付き合ってたのか」

 

ぱらど「秀才どうし、気があったのか?」

 

きりや「休日なんだから直接会えよ! これだから現代の若者は……」

 

ひいろ「もちろん提案はした。しかし断られた」

 

えむ「忙しいのかな?」

 

ぱらど「しらけたぜ……スーパーのゲーセン行こうぜ」

 

 

 えむくんたちはひいろくんも巻き込んで、近くのショッピングモールにやって来ました。そこでひいろくんが見たものは……

 

 

ひいろ「さき!」

 

グラファイト「誰だ貴様は?」

 

ひいろ「さきの彼氏だ」

 

グラファイト「なに!? さきの彼氏は俺だ!」

 

きりや「まあまあ。喧嘩しないの」

 

えむ「説明してよ、さきちゃん」

 

さき「私はグラファイト君とデートしてるの」

 

ひいろ「俺に切れないものはないと常々発してきたが、まさか裏切られるとはな」

 

さき「待って! 別に私はひいろのことを嫌いになんてなってないよ!」

 

ひいろ「どういうことだ?」

 

さき「確かに私はグラファイト君のことを愛してるよ。だけどひいろのことも大好きだよ!」

 

ひいろ「ってことは......」

 

さき「来週は一緒にお出掛けしようね!」

 

ひいろ「やったぁぁ!......ふっ......当たり前だ......」

 

えむ「いいの? これ」

 

きりや「まぁこれは本人たちの問題だからな......自分達のしゃしゃり出る幕はない」

 

ぱらど「ノックアウトファイター楽しいー」アキタ

 

さき「というわけでひいろ! また今度ね! バイバイ!」

 

グラファイト「我が名はグラファイト。ひいろ......その勇気、ブレイブは俺が必ず潰す......」

 

ひいろ「臨むところだ。いつでも相手になってやる」

 

 

おわり



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ぱらどくんと宝探しゲーム

ぱらど「先生! 六時間目の総合はなにするの?」

 

黎斗先生「皆さんには宝探しゲームをしてもらいたいと思います。校庭に埋まっている宝を一番多く見つけ、先生に持ってきた子が優勝です」

 

にこ「一位は私よ!」

 

きりや「いいねいいね! フゥー!」

 

ひいろ「勝ってどうなるというんだ?」

 

えむ「もしかしてびびってる? 一個も見つけられなかったらやだもんね」

 

ひいろ「うるさい!」

 

黎斗先生「そうそう、お宝の近くにはゲームを有利に進めるための便利アイテムを置いていますので、お好みでお使いください」

 

まさむね「つまり出だしが肝心と」

 

ぽっぴー「便利アイテムって?」

 

黎斗先生「それは見つけてからのお楽しみです。それでは校庭に行きましょう」

 

 

黎斗先生「制限時間は三十分。では、いってらっしゃい」

 

たいが(考えろ……先生はこう言っていたな。"埋めた"って。もし俺たちが取り損ねたとき、埋めたものは回収しなければならない……となると、何らかの目印があると考えるのが普通だな)

 

 

 まるで自分は天才かのように思い込むたいがくんですが、他のみんなも同じことを考えています。

 

 

ぱらど「ノーヒントはあり得ない。パネルとかないか……あった」

 

 

 木製の小さい板が、木の幹に杭で打ち付けられています。それには↓と書かれていました。

 

 

ぱらど「ここにあるんだな? 掘ってみよう」

 

 

 両手を使って地面を掘ろうとするぱらどくん。しかし、グラウンドは児童に踏まれて押し固められているため、少しも堀進められません。

 ぱらどくんは靴を脱ぐと、ショベル代わりにして再び挑戦しました。だけど奥深くに隠されているのか、一向に宝は姿を現しません。

 ぱらどくんは断念し、別の場所を探しに行きました。

 

 

えむ「まずは一つ目ゲット!」

 

 

 他方でえむくんは、タイヤの下から赤い箱を見つけました。中を開けると、ゲキトツロボッツのガシャットロフィーが入っています。さらに、箱の横にはL字に曲がった太い針金が二本埋まっていました。

 

 

えむ「トロフィーの後ろに3と書いてあるけどどういう意味だろ? それになんだこれ? 先生の言っていた便利アイテムってこれのこと?」

 

 

 えむくんは二本の針金を持って、次のお宝を探しに行きます。

 ジャングルジムの周辺には、ぽっぴーちゃんがいました。近くをくまなく探しますが、なかなか手がかりは見つかりません。

 そこへ、えむくんがやって来ました。そのとき、針金がわずかに揺れます。

 

 

ぽっぴー「えむが持っているのって、ダウジングじゃない?」

 

えむ「なにそれ?」

 

ぽっぴー「簡単に言うとね、お宝がどこにあるかわかるの」

 

えむ「マジ!? 俺ムテキじゃん!」

 

ぽっぴー「歩いてみようよ。そうすればもっと反応するよ」

 

 

 えむくんがジャングルジムの端に足を踏み入れたとき、ダウジングマシーンがガバッと開きました。二人はその真下を掘ります。

 地中には宝箱が眠っていました。えむくんは箱を開けようとしますが、固くてびくともしません。ぽっぴーちゃんも試しますが、結果は同じでした。

 

 

えむ「便利アイテムもないね」

 

ぽっぴー「箱に一緒になってるのかもね」

 

 

にこ「よっしゃぁ! アイテムとお宝ゲット!」

 

 

 松の木の根元にて、ニコちゃんはジェットコンバットのガシャットロフィーと、航空写真を手に入れました。写真にはトロフィーの位置に丸がつけられています。

 

 

ニコ「お宝は全部で十個あるのね」

 

 

まさむね「どこだ? でてこい!」

 

 

 まさむねくんはなかなかトロフィーを見つけられません。そこで、彼はクラスメートからトロフィーを奪う作戦に出ました。

 まさむねくんの視線の先には、あすなちゃんがいます。彼は素早く駆け出しました。

 

 

あすな「あったあった!」

 

 

 その頃あすなちゃんは、シャカリキスポーツのガシャットロフィーを見つけていました。

 一緒に入っていた鍵を、近くに停めてある自転車に挿すことで、彼女は自転車が使えるようになりました。

 あすなちゃんはペダルをこいで、まさむねくんから簡単に逃げ延びます。

 

 

まさむね「うぐぐ……」ガックシ

 

 

 時を同じくして、ひいろくんはタドルクエストのガシャットロフィーとツルハシを、きりやくんは爆走バイクのガシャットロフィーとキックボードをゲットしました。

 

 

ぱらど「ここにあったか」

 

 

 ぱらどくんは百葉箱の下から宝箱を発見します。ギリギリチャンバラのガシャットロフィーと、スコップが入っていました。

 近くにいたまさむねくんは、それを奪い取ろうとします。そこへ、きりやくんとひいろくんが現れました。

 

 

きりや「悪乗りがすぎるんじゃ?」

 

ひいろ「ルール違反だ」  

 

まさむね「私こそがルールだ!」

 

ぱらど「どうせ自力で見つけられなかったんだろ?」

 

まさむね「……」

 

たいが「いや、他人の宝を横取りしてはいけないなんてルールはない」

 

 

 輪ゴムが発射され、ひいろくんの手に当たりました。

 たいがくんはバンバンシューティングのガシャットロフィーを見つけたとき、アイテムのゴム鉄砲を入手していたのです。

 

 

ひいろ「よくも!」

 

 

 ひいろくんはツルハシを振り上げて抵抗します。二人はトロフィーを巡って戦い始めてしまいました。

 きりやくんはさっさと離れ、まさむねくんがそれを追います。二人は本来の目的を忘れ、しばし追いかけっこに興じました。

 その間に、ぱらどくんは始めに訪れた木に戻ります。彼はスコップを用いて、宝箱を掘り起こしました。

 蓋も固くて開かなかったので、スコップで破壊します。中にはドラゴナイトハンターZのガシャットロフィーと、ペンが入っていました。

 

 

ぱらど「なんでペン?」

 

えむ「あといくつあるんだろう?」

 

ぽっぴー「わからないけどどんどん見つけよう!」

 

 

 一方えむくんはあれから、マイティアクションXのガシャットロフィーと、それに付属する便利アイテムのハンマーを掘り起こしていました。

 ジャングルジムで見つけた宝箱を、ぽっぴーちゃんは地面に置きます。

 

 

えむ「とりぁ!」

 

 

 ハンマーを振り下ろすえむくん。箱は粉々に破壊され、中からはドレミファビートのガシャットロフィーと、小さなラジカセが出てきました。

 

 

ぽっぴー「ありがとう! えむ!」

 

えむ「たくさん見つかったね!」

 

 

 えむくんたちのもとへ、みんながやって来ました。

 

 

にこ「これで最後ね」

 

ひいろ「なぜわかるんだ?」

 

にこ「ジェットコンバットを見つけたときに、写真があったのよ。それには丸が十個つけられていたの。写真見せたげようか」

 

あすな「それはどこにあったの?」

 

にこ「松の木の根元」

 

ひいろ「そこに丸はつけられていないぞ」

 

まさむね「それは本当か?」

 

ひいろ「あぁ。だいたい、すでに発見された宝の位置をわざわざ書く必要はない」

 

たいが「つまり宝はあと一つあるってことか」

 

きりや「もう残り一分しかない。ニコちゃんの地図から、すでに見つけた地点を消すんだ!」

 

 

 みんなはそれぞれ、自分が回収したトロフィーのあった場所を指で押さえました。一ヶ所だけ隠されない場所ができます。

 そこはみんなが出発したスタートであり、黎斗先生が待つゴールでもある、水飲み場の前でした。

 みんなは目的地に向かって走り出します。きりやくんとあすなちゃんは、キックボードと自転車を持っているため、みんなより一足早く到着しました。

 

 

黎斗先生「時間はまだありますが、降参ですか?」

 

あすな「とぼけないでよ。この下にあるんでしょ?」

 

黎斗先生「その通りです。しかし、残り二十秒で見つけられますか?」

 

きりや「自分たちのチームワーク、舐めてるとクラッシュするよ?」

 

 

 えむくんたちも駆けつけます。

 

 

にこ「だけど蛇口は二十個以上あるのよ? とても探しきれない……」

 

ぽっぴー(ガシャットロフィーの裏の番号にも何か秘密があるはず……もしかして)

 

ぽっぴー「みんな! トロフィー見せて!」

 

 

 ドラゴナイトハンターZの裏には1、シャカリキスポーツには2、ゲキトツロボッツには3、バンバンシューティングには5、ギリギリチャンバラには6、タドルクエストには7、爆走バイクには8、ドレミファビートには9マイティアクションXには11、と降られていました。

 これらは黎斗先生が仮に降った通し番号です。その真意を、ぽっぴーちゃんは読み解きました。

 

 

ぽっぴー「残った番号は4! ラジカセのダイヤルをそれに合わせるよ!」

 

ラジカセ『中央』

 

ぽっぴー「中央だって! えむ! 早くダウジング!」

 

 

 えむくんが真ん中の蛇口へ駆け寄ります。手のダウジングは大きく広がりました。

 すぐにひいろくんとまさむねくんが、ツルハシとスコップで地面を掘ります。

 

 

まさむね「でてきた!」

 

えむ「おれに任せろ!」

 

 

 宝箱が掘り起こされました。えむくんはダウジングマシーンをハンマーに持ち代えると、勢いよく振り下ろします。

 しかし、箱はびくともしません。

 

 

えむ「そんな……」

 

あすな「自転車で踏み潰そう!」

 

ぱらど「たぶん威力の問題じゃない。どうすればいい……」

 

黎斗先生「5……4……」  

 

にこ「ヤバイよ!」

 

たいが「カウントなんてさせるか!」

 

 

 たいがくんは咄嗟に、黎斗先生をゴム鉄砲で撃ちました。弾の輪ゴムが、握られていた懐中時計を吹っ飛ばします。

 

 

ぱらど(考えろ。このゲームで便りになるのは便利アイテムの存在だが……。宝を手にいれるため、ペン以外のアイテムはすべて使われてきた。ということは、ペンにも何か用途があるのか……?)

 

ぱらど「わかったぞ! えむ! 箱をこっちに!」

 

えむ「うん!」

 

ぱらど「パズルは解けた!」

 

 

 箱が渡されました。ぱらどくんはすぐに、箱の横の小さな穴に気がつきます。ぱらどくんはその中に、ペンの先を突っ込みました。

 その瞬間、これまでびくともしなかった蓋が、ぱっかりと開いたのです。

 

 

ぽっぴー「やったぁぁ!!」

 

まさむね「グッジョブ」

 

ぱらど「やっ……た……!」

 

黎斗先生「おめでとうございます。では、箱の中のものを取り出しましょうか」

 

ひいろ「ゲームカセットか?」

 

たいが「なるほどな、だから力づくで壊されないようにしたってわけか」

 

あすな「乱暴に扱ったら壊れちゃうもんね」

 

きりや「あれ? 見たことないゲームだな」

 

黎斗先生「それは私が新たに開発したゲームですから。その名もデンジャラスゾンビ!」

 

にこ「なんかすごそう!」

 

ぱらど「ところでこれに便利アイテムはないのか?」

 

黎斗先生「一応アイテムとして投げ縄を用意しておきましたが、それはもう必要ないでしょう。今の君たちにはより優れたアイテムがありますので。友だちはお宝ですよ」

 

ぱらど「結局、俺たちは先生の掌で転がされてただけかよ。楽しかったぜ!」



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ドキドキワクワク席替え!

今までの席順

       黒板

ひいろ まさむね えむ ぱらど

   たいが    にこ  

きりや   あすな   ぽっぴー


黎斗先生「みんなからの希望がありましたので、この時間で席替えを行いたいと思います!」

 

ぱらど「イェーイ!」パチパチ

 

ぽっぴー「楽しみ!」

 

まさむね「眠いから早く帰りたい」

 

黎斗先生「視力は全員良好ですので、公平にくじ引きで決めたいと思います。番号の書かれたクジを持って席を廻るので、自分の才能を信じて引いてください」

 

ひいろ「番号と席順はどう対応しているんだ?」

 

黎斗先生「それはあとのお楽しみです。まずはぱらどくん、引いてください」

 

ぱらど(授業中にゲームができる後ろしかあり得ないだろ。しかし窓際だと画面が見えにくくなり、真ん中はバレる可能性がある。つまり狙い目は一番後ろの廊下側、あすなの座っている席……いや、そう見せかけて一番前の真ん中だ! 教卓前は先生から見て死角となるし、まさか前でやるはずがないという先入観が働くはず)

 

ぱらど「狙うは前! 来い!」ズズッ!

 

黎斗先生「6ですね。前になれるといいですね」

 

ぱらど(残った時間でゲームっと……あれ? ない)

 

黎斗先生「ゲームは一日預かっています」

 

ぱらど「そんな! チェッ、席予想にでも興じるか……」

 

黎斗先生「次はえむくん。君はどこを望みますか?」

 

えむ「きりやくんの隣がいいな」

 

黎斗先生「なるほど。では、引いてください」

 

えむ(でもぽっぴーちゃんの隣も悪くないかな……)ポッ

 

黎斗先生「顔が真っ赤になってますよ?」

 

きりや「もしかしてえむ、自分に恋心を抱いているのか!?」

 

えむ「そ……そんなことないよ! よし、引くぞ!」ズズッ!

 

黎斗先生「9ですね」

 

えむ「どこだろ?」

 

黎斗先生「続いてはまさむねくん。誰のお隣だと嬉しいですか?」

 

まさむね「なっ! 私は別に……」

 

きりや「にこちゃん?」

 

まさむね「」ブルブル

 

きりや「ぽっぴー?」

 

まさむね「」ブルブル

 

きりや「あすな?」

 

まさむね「」マッカッカ

 

ぱらど「お前あすなのことが好きだったのか。頑張れよ!」

 

あすな「えぇっ!?」

 

まさむね「私は大変機嫌が悪い。だから絶対に掴みとる」ズズッ!

 

黎斗先生「1ですね。次はひいろくんですね。何か希望はありますか?」

 

ひいろ「隣が騒がしくなければそれでいい……4だ」

 

黎斗先生「お次はたいがくんですね」

 

たいが「にこの隣だけは勘弁だ」

 

にこ「はぁ? 私がなにしたっていうの!?」

 

たいが「袖を掴むな! 引けないだろ」ズズッ!

 

黎斗先生「5ですね、にこちゃんはどうですか?」

 

にこ「もっと素直な子がいい」ズズッ!

 

黎斗先生「結果は7ですね。折り返しまして次はあすなちゃんですね。もしまさむねくんが隣だったらどうしますか?」

 

あすな「ムリムリムリムリ絶対ムリ! やだよあんなやつ! 無難にひいろとかがいいわ」ズズッ!

 

黎斗先生「8ですね。次はぽっぴーちゃんですが、ぽっぴーちゃんは誰でもよいでしょう」

 

ぽっぴー「いや聞いてよ! となり誰でも構わないけど!」

 

黎斗先生「では引いてください」

 

ぽっぴー「ピプペポパワー!」ズズッ!

 

黎斗先生「2ですね。最後はきりやくんです。意気込みをどうぞ!」

 

きりや「ここを死守する!」ズズッ!

 

黎斗先生「3です。これでみんな引き終わりましたね? それでは、用意しておいた模造紙を黒板に貼ります。紙に席の番号が書かれていますから、対応する場所に荷物を持って移ってください」

 

 

模造紙 

 

     黒板

 

 

 6    3   1   8

9 2

 7    5     4

 

 

新席

 

       黒板

 

 

ぱらど きりや まさむね  あすな

えむ ぽっぴー

 にこ たいが    ひいろ

 

 

 

ぱらど「そこじゃない……ちょっと違う……」

 

きりや「ノリきれないぜ」

 

まさむね「はっはっは!」

 

あすな「最悪……今こそ審判のときでしょこれは」

 

えむ「きりやくんが前だ! ぱらどとも近い! それにぽっぴーちゃんも一緒だ!」

 

ぽっぴー「みんな! よろしく!」

 

ひいろ「悪くはない」

 

たいが「」ワナワナ

 

にこ「迷惑かけちゃうけど許してね!」

 

たいが「……ほとほどにしてもらいたいものだがな」

 

黎斗先生「決まりましたね、では朝の会を始めます」

 

きりや「今日何時集合だよ」



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ベースボールバトル! VSぐらふぁいとくん

前回のあらすじ
 ひいろくんの彼女であるさきちゃんは、ぐらふぁいとくんと二股をかけていました。二人とも平等に愛すと宣言するさきちゃんですが、彼らは納得できません。
 そこで、二人は野球で勝負をすることを決めました。勝った方だけがさきちゃんと付き合うのです。


学校

 

 

ひいろ「……というわけなんだ。頼む俺に力を貸してくれ」

 

たいが「当たり前だ」

 

えむ「絶対に勝とう!」

 

にこ「……やめとかない……?」

 

ぽっぴー「どうしたの? らしくないね」

 

にこ「……いや、なんでもない……」

 

ひいろ「嫌なら無理にとはいわない」

 

にこ「そ……そんなわけないじゃん! やってやるよ」

 

黎斗先生「面白そうですね、場所は決まっていますか?」ガラッ

 

ひいろ「ここのグラウンドでおこなう」

 

ぱらど「先生の頭脳が合わされば無敵だぜ。必勝法とかないのか?」

 

黎斗先生「基本的なルールと初歩的な戦略と効率的な練習方法以外を教える気はありませんよ」キッパリ

 

あすな「そんな……」

 

まさむね「至れり尽くせりじゃないか」

 

黎斗先生「人から教わるだけじゃない。失敗しても躊躇わずに、自分たちで必死に考えるのも勉強です。三人いるだけで文殊の知恵が生まれるのです。ましてや君たちは九人! 恐れることはありません」

 

きりや「まっ、乗せられてみっか」

 

ひいろ「早速作戦会議を開始する! まずは打順……」

 

黎斗先生「駄目です。授業はしっかり受けましょう」

 

 

 それから一週間、ひいろくんたちは猛特訓を重ねました。

 そしてきたる決戦の日……!

 

 

黎斗先生『こちら、本日実況解説審判を受け持つ檀黎斗です。そしてゲストにお迎えするのは、我が校を転校したさきちゃん!』

 

さき『よろしくお願いします』

 

黎斗先生『いやー、しかし連日の猛暑の中、両チームともさぞかし努力したのでしょうね』

 

さき『そうですね、どんな試合運びになるのか楽しみです!』

 

黎斗先生『両チームとも服装は白い体操服。胸元にそれぞれの校章と名前が記されています。ぐらふぁいとくんだけは緑の服を着ていますが、あれにはどのような意図があるのでしょうか?』

 

さき『私にアピールしたいのではないでしょうか?』

 

黎斗先生『なるほど。さて、時間になりました。両チームは向かい合ってください』

 

ぐらふぁいと「ひいろ、お前は絶対に俺が潰す。だが、あと二人許せない奴がいる」

 

えむ「誰?」 

 

ぐらふぁいと「一人目はにこ! 貴様は俺たちから逃げ出した裏切り者だ。その代償は払ってもらおう」

 

にこ「うぅ……」

 

えむ「どういうこと?」

 

ぐらふぁいと「そいつは元々俺たちと同じ学校に通っていたのに転校した。だから裏切り者だ」

 

きりや(だからにこちゃん怯えてたのね)

 

ぐらふぁいと「そして二人目はたいが! 貴様は俺の仲間に傷を負わせた。その借りを返す」

 

たいが「にこに襲いかかってきた奴等のことか? それならお前らが先に乗り込んできたんだろうが」

 

さき『雰囲気が悪いですね』

 

黎斗先生『それだけ彼らの士気が充分ということですね。面白いゲームになるでしょう。それでは代表者通しでじゃんけんを行ってください。勝った方が先攻です』

 

ひいろ「じゃん」

 

ぐらふぁいと「けん」

 

「「ぽん!」」

 

ひいろ「俺の勝ちだ」

 

黎斗先生『先攻は我らが来騨(らいだ)小です! どれだけ先制点を取れるかで変わるでしょう。それでは各自持ち場についてください』

 

さき『各選手が持ち場につきましたね。ではここでルールを確認します。試合は最高で五回まで! また、制限時間は一時間とします。もし途中で時間が過ぎた場合は、その回限りで終了です。また、今日は暑いため、一回が終わる度に三分の休憩を取りたいと思います』

 

 

黎斗先生『来騨小VS馬救須田(ばぐすた)小が今始まりました。馬救須田の先発、ぐらふぁいと、実力は未知数。来騨の1番バッターきりやがバッターボックスに入る』

 

えむ「頑張って!」

 

きりや「おう! なんとしてでも塁に出てやる!」

 

ぐらふぁいと「まずは肩慣らしだな」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいと一球目を投げる! 内角低めの球に対して、きりや動けない! なんという球の速さなんだ! とても小学生とは思えない!』

 

さき(人格変わった!?)

 

きりや「球威も速さもコントロールも桁違いだな」

 

ぐらふぁいと「バットくらい振ったらどうなんだ?」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャー二球目を投げる! 外角高めだ!』

 

きりや「次はそうさせてもらうわ」カキーン!

 

黎斗先生『きりや宣言通り打ったぞ! そしていきなりのツーベースヒット! ピッチャーぐらふぁいとを過信しすぎた守備陣! 反応が遅れた! ノーアウトランナー二塁!』

 

きりや「へへーん! どうよ」

 

がっとん「ぐらふぁいと! しっかりしろ!」

 

ぐらふぁいと「雑魚だと思って油断した。次はない」

 

あすな「私もきりやに続くよ」

 

黎斗先生『二番のあすながバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! 球は先程よりさらに速い! あすなはバットを振るも空振り! ストライク!』

 

あすな「えっ?」

 

ぐらふぁいと「少しレベルを上げた。まさかもう着いてこれないのか?」ビシュッ!

 

あすな「そんなわけないでしょ?」スカッ!

 

黎斗先生『内角低めの二球目も空振り! 三球目が投げられた! 外角高めだ! あすな打ったがフライ! センターのちゃーりーがキャッチしてアウト! 走り出したきりやは、慌てて戻ったためセーフ! ワンアウトランナー二塁!』

 

あすな「ごめん……」

 

ぱらど「いや、お前のお陰でやつの打ち方を模索できた」

 

黎斗先生『三番レフトのぱらどが登場だ! 日頃のゲームの成果は発揮されるのか!?』

 

ひいろ「頼むぞ……」

 

ぐらふぁいと「はぁぁ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ぱらど! 三球三振! バッターアウト! ツーアウトランナー二塁!』

 

えむ「ぱらど?」

 

にこ「さっきまでの自信はなんだったの?」  

 

ぱらど「いや……模索はしたけど答えはでなかったというか……」

 

まさむね「安心するといい。次は私だ。ホームランを打って二点先取するだけだ!」

 

ぽっぴー「あ、うん。頑張ってね」

 

黎斗先生『四番ファーストのまさむねがバッターボックスに入る!』

 

グラファイト「四番か。一応警戒しておくか」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいと投げた! 球の速さは若干遅く、外角高めだ! これなら打てるか!?』

 

まさむね「ふん!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! もっとよく見ろ! 振ってなかったらボールじゃないかあれは!?』

 

まさむね「次こそは!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! ストライク! 三振だ! なんでもかんでも振ればいいわけじゃない! スリーアウトにつきチェンジ! この回来騨は一点も取ることができなかった! 残念!』

 

まさむね「なぜだ?」ダッ!

 

たいが「初めから誰もお前には期待してねぇよ。打順決めるときに駄々こねただけのド素人じゃねぇか」ダッ!

 

にこ「マジあり得ないんだけど」ダッ!

 

ひいろ「仕方ない。切り替えるんだ」ダッ!

 

えむ「ひいろくん、ピッチャーよろしく!」ダッ!

 

 

さき『さて、一回裏になりました』

 

黎斗先生『馬救須田小の一番はショートのばーにあ! どんな活躍を見せてくれるのか?』

 

ばーにあ「爆撃こそ正義!」

 

ひいろ「これより投薬治療を開始する」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャーひいろ投げた! 内角低めの鋭いピッチング! ばーにあ軽々と打つ! 球はレフト方向に飛んだ! ばーにあセーフ! ヒットだ! ノーアウトランナー一塁!』

 

ひいろ「次はない。特訓の成果を見せてやる」ビシュッ!

 

もーたす「そんなものか」ブン!

 

ちゃーりー「特訓の成果とやらは!」ブン!

 

黎斗先生『二番のもーたす、三番のちゃーりーに相次いでヒットを打たれ、あっという間にノーアウト満塁だ! そして四番はピッチャーぐらふぁいと! 来騨いきなりのピンチ!』

 

ひいろ「はぁぁ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「焦ってるな」

 

黎斗先生『ひいろ一球目はボール。立て続けにヒットを量産されたことに対する恐れが見受けられる! もっとリラックスするんだ!』

 

あすな「打たれても私たちが取るから! 安心して投げて!」

 

ひいろ「俺としたことが完全にビビってしまった」

 

ぐらふぁいと「そうだ。それでこそ打ちがいがある」

 

ひいろ「はぁ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「!」スカッ!

 

黎斗先生『二球目はバッターの空振りによりストライク! 完全に調子を取り戻したか! 私との一週間のゲーム修行を思い出せ!』

 

ぐらふぁいと「ゲームだと? 舐めやがって……」

 

黎斗先生『ピッチャー三球目投げる! 外角低めだ! ぐらふぁいと打った! 打球はセンター方向に飛ぶ! タイムリースリーベースヒット! 馬救須田一気に三点を獲得! ノーアウトランナー三塁!』

 

さき『決まっちゃいましたかな?』

 

黎斗先生『五番ファーストのかいでんがバッターボックスに入る! ピッチャーひいろが第一球を投げた! スラッガーを警戒して外角低めを狙うが、これはボール!』

 

ひいろ「これ以上失点するわけにはいかない」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目も外角低めだ! かいでん打った! 打球は三遊間を抜けていく! タイムリーツーベースヒット! ぐらふぁいとがホームインして一点追加! 早くも0VS4だ! ノーアウトランナー二塁!』

 

さき『馬救須田、圧倒的な強さを見せつけております!』

 

黎斗先生『続いてのバッターは六番キャッチャーがっとん。ひいろ一球目を投げる! 内角高めだ! がっとん空振り!』

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目は外角高め! がっとん見逃しストライク!』

 

ぱらど「ここに来てバッターの質が低下してきたな」

 

黎斗先生『三球目を投げた! 今度は内角高めだ! がっとん空振り! ひいろ初の三振を獲得した! ワンアウトランナー二塁!』

 

さき『最低限これくらいらしてもらわないとね』

 

黎斗先生『次のバッターは七番レフトのそるてぃ! ひいろ一球目を投げた! 外角低めのストレート! そるてぃ打った! 打球はショートのあすながダイレクトキャッチ! ファーストのまさむねに送球してそるてぃアウト! まさむねさらに、サードのぽっぴーに送球! ぽっぴーしっかりキャッチして、かいでんアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『一回裏までの点数は0VS4。それでは三分の休憩に入ります。水分補給を忘れずに!』

 

 

黎斗先生『二回表、ピッチャーは引き続きぐらふぁいと! バッターは五番キャッチャーにこ!』

 

ぐらふぁいと「降参はしないか」

 

にこ「当たり前でしょ。それにあんたの球は見切った!」

 

ぐらふぁいと「ハッタリか」ビシュッ!

 

にこ「いけー!」カキーン!

 

ぐらふぁいと「なに!?」

 

黎斗先生『にこ打った! 球は高度を上げていく!』

 

ぐらふぁいと「そんなフライでよく大見得を切れたな」

 

黎斗先生『レフトのそるてぃ! グローブを掲げて後退し、球の落下を待つ! が、球を落としてしまった! エラーだ! もたもたと球を拾って、ファーストのかいでんに投げるが、そのときにこはすでにベースを踏んでいた! ノーアウトランナー一塁!』

 

たいが「あいつやるな。次は俺の番だ」

 

黎斗先生『六番たいががバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! 内角低め! たいが豪快にバットを振るが空振りだ!』

 

たいが「間近で見て速さは覚えた。次こそは!」スカッ!

 

黎斗先生『またしても空振り! ぐらふぁいとは球の速度を変えることで緩急を生み出し、バッターを惑わしているぞ! しかしたいが、格好つけている割にはまさむねと同程度には下手だ!』

 

きりや「そういうこというのやめてやれよ」

 

黎斗先生『ぐらふぁいと三球目を投げる! たいが打った! 球はセカンドのりぼるがキャッチし、ファーストのかいでんに送球。たいが、間に合わずアウト! ワンアウトランナー一塁!』

 

ぽっぴー「いくよー!」

 

黎斗先生『続いては七番サードのぽっぴーだ! 趣味の歌やダンスで身につけた体力はどこまで通用するのか!? 目が話せない!』

 

さき『そりゃそうでしょ』

 

黎斗先生『あっ、誤字った』

 

ぐらふぁいと「それ!」ビシュッ!

 

ぽっぴー「うわっ!」スカッ!

 

黎斗先生『一球目はストライク!』

 

ぐらふぁいと「雑魚は引っ込んでろ」ビシュッ!

 

ぽっぴー「ピプペポパワー!」ブン!

 

黎斗先生『ピッチャー二球目を投げた! 内角高めだ! ぽっぴー打った! 打球はレフト方向に流れる! ぽっぴーセーフ! ワンアウトランナー一二塁!』

 

ぽっぴー「やったー!」

 

あすな「ぽっぴーちゃんやるー!」

 

えむ「次は僕だ。緊張するな……」

 

ぱらど「大丈夫だ。もしお前がダメでもひいろが何とかしてくれるさ。だから安心して空振ってこい」 

 

えむ「その言い方はなんか嫌だけど」

 

黎斗先生『八番ライトえむがバッターボックスへ! ぐらふぁいとに対して天才ゲーマーはどう挑む!?』

 

えむ「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」ギラッ!

 

ぐらふぁいと「雰囲気が変わった?」

 

黎斗先生『ここで説明しよう! えむはゲームをプレイするときに性格がちょっと荒くなるのだ! これまでの優男はもういない!』

 

さき『むしろ猛威上がってませんかね』

 

ぐらふぁいと「ゲームと実戦は違う」ビシュッ!

 

えむ「そんな球で俺に勝つつもりか?」カキーン!

 

黎斗先生『外角高めの球をえむ打った! ランナーたちが激走し出す! 球はセンター前に流れる! ツーベースヒット! にこがホームインして一点を獲得! ワンアウトランナー二三塁!』

 

にこ「よし!」

 

きりや「お疲れ!」

 

黎斗先生『にこがチームメートとハイタッチを始めた! 初得点はやはり嬉しいものだからな! しかしまだ1VS4! もっと点を稼ぎたいところ!』

 

さき『まあ私としてはどちらが勝っても構わないのですが』

 

ひいろ「俺に切れないものはない」

 

黎斗先生『満を持して来騨のキャプテン 九番ピッチャーひいろのお出ましだ! ぐらふぁいとが一球目を投げる! ひいろが打つがこれはファウル!』

 

ぐらふぁいと「俺の球に適応しつつあるというのか?」ビシュッ!

 

ひいろ「この手で必ずさきを取り戻す!」カキーン!

 

黎斗先生『ピッチャーの二球目をひいろ打った! まずい! フライだ! えむはセカンドに留まるが、ぽっぴーは走る! レフトのそるてぃがキャッチしてひいろアウト! 続いてそるてぃはサードのもーたすに球を送球! 引き返すぽっぴーだが間に合わない! ぽっぴーアウト! ゲッツーが決まった! スリーアウトチェンジ!』

 

ひいろ「すまない」ダッ!

 

ぽっぴー「判断誤った私が悪いよ」ダッ!

 

えむ「まだ挽回できる」ダッ!

 

 

黎斗先生『さあ二回裏! 馬具須田の攻撃だ! 来騨としてはこれ以上の失点は避けたいところ!』

 

りぼる「行ってくるかな」

 

黎斗先生『八番りぼるがバッターボックスに入る! ひいろ第一球を投げた! 内角高めだ! りぼる空振りでストライク!』

 

ひいろ「無駄だ」ビシュッ!

 

黎斗先生『二球目は外角低め、三球目は内角低め! りぼる相次いで空振り、アウト! よく見るとさっきまでとひいろの投球ファームが違う!?』

 

ぐらふぁいと「俺のスタイルを真似しやがったな。お前にプライドはないのか?」

 

ひいろ「優れた者から学び自らの糧としただけだ。次はどいつが相手だ?」

 

あらんぶら「わたしだ」

 

黎斗先生『九番あらんぶらが登板! ひいろが第一球を投げる! あらんぶら打った! 打球はサード前に転がる! あらんぶらセーフ! ヒットだ! ワンアウトランナー一塁!』

 

ばーにあ「ここからはいいようにはさせない」  

 

ひいろ「同じ手は通じない」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろ一球目はボール! 気持ちが先行してしまったか!? 二球目はばーにあ空振りによりストライク!』

 

ひいろ「はぁぁ!」ビシュッ!

 

ばーにあ「俺たちも進化することを忘れるな!」ブン!

 

黎斗先生『ばーにあ打った! 打球はセンター前に飛ぶ! ばーにあセーフ! ツーベースヒットだ! ワンアウトランナー二三塁!』

 

もーたす「ここいらでもう一点いれるぜ!」

 

黎斗先生『バッターボックスにもーたすが入る! ひいろ一球目を投げた! 球は内角低め! もーたす打った! セカンドのたいがが球をキャッチして、ファーストまさむねに送球! もーたすアウト! ツーアウトランナー二三塁!』

 

ちゃーりー「あいつしくじりやがったな……」

 

黎斗先生『次のバッターはちゃーりー! ひいろ一球目を投げる! 内角高めを狙うがこれはボール! 続いて二球目! 今度は内角低めだ! ちゃーりー空振りストライク!』

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

ちゃーりー「!!」ブン!

 

黎斗先生『三球目をちゃーりー打った! レフト方向に飛ぶ! 球はぱらどがキャッチ! サードのぽっぴーを中継して、キャッチャーにこに送球! あらんぶらアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『それでは三分間の休憩に入ります』

 

 

たいが「ひととおり投げてみたがどうだ?」ゴクゴク

 

ひいろ「ぐらふぁいと以外はなんとかなりそうだ」ゴクゴク

 

あすな「ぐらふぁいとを封じるのは難しい?」ゴクゴク

 

ひいろ「方法はふたつ。ひとつはデッドボールやフォアボールにしてファースト以上に行かせないこと」ゴクゴク

 

ぱらど「でも打たれたらヤバイこと代わりはないぜ?」ゴクゴク

 

ひいろ「その通りだ。そこでもうひとつの手が……」ゴニョゴニョ

 

えむ「なるほど! それなら倒せるかも」ゴクゴク

 

まさむね「しかしリスクもあるぞ。例えば…………」ゴクゴク

 

ひいろ「覚悟の上だ」

 

黎斗先生『時間になりましたので選手の皆様はグラウンドにお集まりください』

 

きりや「さっきから先生の情緒が妙に不安定だな」

 

 

黎斗先生『三回表! 現在は1VS4で馬具須田が優勢だ! 負けるな来騨ナイン! この回の打順は一番センターのきりやから! 先程何やら作戦会議が開かれていたが、果たして逆転の糸口は掴めるのか!? ピッチャーぐらふぁいと一球目を投げた!』

 

きりや「ノリに乗ってるぜ!」カキーン!

 

黎斗先生『打った! ファウルだがいい当たりだ! 二球目が投げられる! 外角低めだ! きりやが打った! ライト方向に打球が転がる! そしてきりや足も早い! もうファーストを越えたぞ!』

 

あらんぶら「うわっ!」

 

ばーにあ「早くしろ! ヘイパス!」

 

あらんぶら「それっ!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ライトのあらんぶらが投げた球は、ショートのばーにあを飛び越えてあらぬ方向へ! その隙にきりやはセカンドをも踏み越える!』

 

もーたす「ばーにあ!」

 

黎斗先生『サードのもーたすが催促するが、ばーにあはまだ球を捕れていない! 壁まで転がった球を追いかけている! きりやは三塁をも過ぎた!』

 

えむ「いっけー!」

 

ぱらど「回れ回れ!」

 

黎斗先生『ばーにあようやく球に追い付く! もーたすに球を投げた! きりやはホームベースまで走っている! きりや間に合うか!?』

 

あすな「……!」

 

黎斗先生『セーフだ! ぶへへへへ! ばーにあの投げた球をもーたすが捕る前に、きりやの足がホームベースに触れていた! ランニングホームラン! 来騨貴重な追加点だ! 2VS4!』

 

きりや「サイコー!」

 

ひいろ「作戦とは異なるがいい仕事をした。ありがとう」

 

黎斗先生『バッターボックスには二番ショートあすなが入る! ぐらふぁいと一球目を投げた! しかしやや雑だ! あすな打った! ツーベースヒットだ! ノーアウトランナー二塁!』

 

ぐらふぁいと「このままじゃダメだ」ビシュッ!

 

黎斗先生『おっと、ぐらふぁいとが調子を取り戻した! 三番のぱらどと四番のまさむねを三振で抑える! あっという間にツーアウトだ!』

 

えむ「やっぱり強いね」

 

ひいろ「奴は打たれてもいい相手とそうでない相手を分けている。きりやのホームランは例外だろうが。そうして体力の消費を抑えているのだろう」

 

まさむね「次の打者はにこだが、あいつはどっちにカテゴリーされているんだ?」

 

ひいろ「十中八九後者だ。勝手に裏切り者扱いされているのだからな」

 

にこ「逆に言えば、私が打てれば動揺を誘える。見てなって」

 

黎斗先生『五番キャッチャーにこがバッターボックスに入る! ぐらふぁいと一球目はボール! にこは上手く見極める!』

 

きりや「自分なら今のは振ったな」

 

黎斗先生『二球目もボール! 今度は大きく逸れた! キャッチャーのがっとんはなんとか捕る!』

 

ぽっぴー「どうしちゃったの?」

 

たいが「ぐらふぁいとの事情などどうでもいい。にこを信じろ!」

 

ぐらふぁいと「死ね!」ビシュッ!

 

にこ(種は割れてんだよ。わざと下手に投げて心理戦を仕掛けたいんでしょ?)

 

にこ「そんな手に引っ掛かるかよ!」ブン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと三球目はうって代わって豪速球! 緩急をつけることが目的だったのか! ところがにこ打った! サードのもーたすは球を捕ると、ファーストのかいでんに送球! にこ走るが間に合うか!?』

 

えむ「……!」

 

黎斗先生『セーフだ! ヒット! ツーアウトランナー一三塁! 迎えるバッターはたいが! 更なる追加点を稼げ! きりやの変えた流れに乗れ!』

 

あすな「頑張って!」

 

ぐらふぁいと「いい気になるなよ。貴様は潰す」ビシュッ!

 

黎斗先生『一球目は空振りストライク! 二球目はファウル! 三球目も空振りストライクだ! ヘタクソなたいがはチャンスを活かせられるのか!?』

 

にこ「打てなかったらどうなるかわかってる?」

 

ぽっぴー「お願い!」

 

ぐらふぁいと「くらえ!」ビシュッ!

 

たいが「きた! もらった!!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライクバッターアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

にこ「ふざけんな!」

 

たいが「うるせぇ……」

 

ぱらど「ダメなもんはしょーがねぇだろ。守備に行くぞ」

 

 

黎斗先生『三回裏、バッターボックスには四番のぐらふぁいとが入る! ピッチャーひいろ一球目を投げた! 外角低めだ! ボール!』

 

にこ(ぐらふぁいととの直接対決は避けたいよね。ひいろはフォアボール狙いかな?)

 

ひいろ「はぁっ!」ビシュッ!

 

ぐらふぁいと「そんな真似はさせん!」カキーン!

 

黎斗先生『二球目をぐらふぁいと打った! 打球は逸れファウル! ストライクゾーンを外れているにも関わらず手を出すとは、ひいろへの牽制が目的か!?』

 

ひいろ「ならば手を変えるまで」ビシュッ!

 

黎斗先生『ピッチャー三球目を投げる! 外角低めだ! ぐらふぁいと打った! 大きい! 打球が外野のフェンスを越えた! 先程のお返しといわんばかりのソロホームラン! ぐらふぁいとが一点追加して2VS5!』

 

ぱらど「やつは化け物か?」

 

黎斗先生『続いてのバッターは五番かいでん! ひいろ一球目を投げた! 内角高めだ! かいでん空振り! 続いて二球目が投げられる! かいでん打った! 打球はレフト方向に流れる! かいでんセーフ! ノーアウトランナー一塁!』

 

さき『ひいろから動揺が伝わってきますね』

 

黎斗先生『バッターボックスには五番がっとんが入る! ひいろ一球目を投げた! 外角低めだ! がっとん打った! 打球は左中間へ転がる! がっとんセーフ! ヒット! ノーアウトランナー一二塁!』

 

たいが「さっきは威勢のいいこと言ってたじゃねぇかよひいろ……」

 

黎斗先生『次のバッターはそるてぃ! 一球目と二球目はストライクで抑える! しかし三球目! 内角低めの球を打たれヒット! ノーアウト満塁だ!』

 

さき『この回バッターの調子は良好です。大量得点に繋げられるでしょう』

 

黎斗先生『七番りぼるがバッターボックスへ! ひいろ一球目を投げる! 内角高めだ! りぼる打った! 打球はセンター前に転がる! センターきりや、セカンドのたいがに送球! そしてたいが、ランナーのそるてぃをタッチアウト! 続いてたいがはキャッチャーにこに送球! しかし間に合わない! かいでんによって馬救須田さらに一点を獲得!』

 

さき『これにより5VS2となりました。現在ワンアウトランナー一三塁。一塁にはりぼるくんが、三塁にはがっとんくんが待機しています』

 

黎斗先生『バッターボックスに九番あらんぶらが入った! ひいろ一球目を投げる! 外角低めだ! 見逃しストライク! 続いて二球目! あらんぶらレフト前に打った! セーフ! さらにがっとんが帰ってきて一点追加だ! これはまずい! ワンアウトランナー一二塁!』

 

ひいろ「まるでウィルスのような成長速度だな」

 

黎斗先生『次のバッターはばーにあ! ひいろ一球目を投げた! ばーにあ打つ! 打球はレフト方向に飛んだ! ぱらどがダイレクトキャッチ! ばーにあアウト! ツーアウトランナー一二塁!』

 

ばーにあ「ノーバンで取るとかイカれてやがる……」 

 

黎斗先生『バッターボックスにもーたすが入る! ひいろ呼吸を整えると、第一球を投げた! 内角高めだ! 空振りストライク! 続いて二球目もストライクを取った! ひいろ三球目を投げる!』

 

ひいろ「はぁっ!!」ビシュッ!

 

もーたす「おらぁぁぁ!!」スカッ!

 

黎斗先生『ストライク! バッターアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

さき『6VS2……馬救須田の勝利でゲームセットでしょうね。では休憩に入ってください』 

 

 

黎斗先生『ゲームは折り返しに突入! 三回までの点差は2VS6! 来騨巻き返しなるか? 七番サードのぽっぴーがバッターボックスに入った! ぐらふぁいと一球目を投げる! ぽっぴー見逃しストライク!』

 

ぐらふぁいと「ぼさっとすんなよ」

 

ぽっぴー「そう見えた? ごめんね」

 

ぱらど「力づくじゃパズルは解けない。あいつにはそれがわからないのか、それとも知る必要がないのか」

 

黎斗先生『二球目が投げられる! ぽっぴー打った! 打球はセカンドの手前に転がる! ぽっぴーセーフ! ヒットだ! まずはノーアウトランナー一塁。滑り出しは良好

!』

 

えむ「早く投げろ!」

 

黎斗先生『八番えむはバッターボックスに入るなりぐらふぁいとを挑発! 投げられる球を勢いよくスイングするが、これはファウル!』

 

ぐらふぁいと「貴様の打順と守備位置に俺は疑問しか浮かばない」ビシュッ!

 

えむ「余計なことを考えてんじゃね!」ブン!

 

黎斗先生『打った! 打球はレフト方向に飛んでいく! えむ余裕のセーフ! ノーアウトランナー一二塁!』

 

ぐらふぁいと「ここまで食らいついてくるとは正直予想外だ。だがそれも終わりだ」ゴォォ!

 

ひいろ「!」スカッ

 

黎斗先生『一球目はさらに速さと勢いを増している! 読みが外れたひいろ空振りだ!』

 

ぐらふぁいと「本来ならわざわざ貴様に使うほどではないが、肩慣らしとして利用させてもらった。俺の投球は超絶進化を遂げ、レベル99(ナインティーナイン)だ!」

 

ひいろ「なに!?」

 

ぐらふぁいと「まだ数回の使用が限界だがな」ビシュッ!

 

ひいろ「緩急……!」スカッ!

 

黎斗先生『レベル99の投球に圧倒されるひいろ! しかしあれは変化球ではなくただの速い球! 必ず突破できる!』

 

ひいろ「確かに……速いとはいっても充分目に写る範囲だ。日頃先生のゲームで動体視力を鍛えられている俺たちならばいける!」

 

ぐらふぁいと「この勝負に勝って、ゲームよりも外で遊ぶ方が健康にいいことを証明してやる!」ビシュッ!

 

ひいろ「99投げと見せかけて通常の球で挑んできたか。だがこんなものもはや止まって見える!」カキーン!

 

黎斗先生『打った! 打球は大きくレフト方向に飛ぶ!』

 

にこ「回れ回れ!」

 

黎斗先生『レフトのそるてぃが球を捕るが、どこに投げるか一瞬戸惑う! その間に走者たちは塁を越える! そるてぃはセカンドのりぼるに送球した! しかしりぼる痛恨のミス! 球を落としてしまう! ぽっぴーホームインして一点追加! えむもホームベースを目指す! りぼるはキャッチャーのがっとんに、球を送る! 果たして先に到着するのはどちらだ!?』

 

たいが「……」ゴクッ

 

黎斗先生『えむセーフ! さらに一点追加だ! 現在4VS6! ノーアウトランナー三塁!』

 

きりや「あれ~? ゲームをした方が強い身体に育つんじゃない?」

 

ぐらふぁいと「ゲームへの理解は示してやる。だがバランスが大事ということを忘れるな!」ビシュッ!

 

きりや「おうよ!」ブン!

 

黎斗先生『きりやヒットだ! ひいろがホームインして来騨はさらに一点追加!』

 

あすな「ゲームと勉強のバランスは大切だね」カキーン!

 

黎斗先生『バッターあすなもヒット! ノーアウトランナー一二塁! 続いてバッターボックスには三番ぱらどが入る!』

 

ぐらふぁいと「なぜこうもことごとく打たれる……」

 

ぱらど「ぐらふぁいと、不調の理由を教えてやる。それは疲労だ。俺たちはお前の体力を削るため、わざと球を見逃したことが何度もあったからな」

 

ぐらふぁいと「姑息な手を使いやがって」ゴォォ!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと一球目を投げた! ぱらど空振りでストライク! 二球目、三球目も空振りでバッターアウト! ワンアウトランナー一二塁!』

 

まさむね「刻めクロニクル」

 

にこ「意味わかんないし。まあアウトで許すからさ」

 

まさむね「あいつは私の手で絶版にする。やり方は強引だったとはいえ私は四番。これ以上失態を晒すわけにはいかない」

 

ぽっぴー「本当に大丈夫なの?」

 

まさむね「げんむこーぽれーしょんの社長に不可能などない」

 

きりや「こいつが珍しくやる気に満ちてんだ。信じてやろうぜ」

 

黎斗先生『四番まさむね三振! バッターアウト!』

 

えむ「……」チベットスナギツネ

 

黎斗先生『バッターボックスに入るのは五番キャッチャーのにこ! ぐらふぁいと一球目を投げた! 外角高めだ! にこ空振り! ワンストライク!』

 

にこ(今のが99投球? 間近で見ると迫力が桁違いだね)

 

ぐらふぁいと「ラァァ!!」ゴォォ!

 

にこ「もらった!」ブン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいとの二球目をにこ打った! 打球はセンター方向に飛ぶ! ツーベースヒットだ! きりやホームイン! 一点を獲得! にことあすなもセーフし、順調に塁を進めた! ツーアウトランナー二三塁! 並んだ! 6VS6でついに馬救須田に追いついた!』

 

ひいろ「よしっ!」ガッツポーズ

 

えむ「万歳!」

 

たいが「さっきもだが、どうして俺の番はこんなに精神が磨り減るんだ」

 

ぽっぴー「不満なの?」

 

たいが「むしろ逆だ。今にも発狂しそうな心を楽しんでいる節すらある。ミッション開始!」ドッ!

 

黎斗先生『バッターボックスには六番たいがが入る! しかし、顔を合わせるのは今日が初めてなのに因縁の相手だというのは不思議だ!』

 

さき『ぐらふぁいとくんの一方的な感情ではありますからね。だけどたいがくんには見たところ、にこちゃんの受けた痛みに対する憎しみも込められているのでしょう。つまりもっと前から、二人の盤外戦は始まっていたのです』

 

黎斗先生『なるほど……さて、ぐらふぁいと一球目を投げた! 内角低め! たいが打ったがこれはファウル!』

 

ぐらふぁいと「ふむ……かくなる上はこの技で仕留めてやる」パシッ!

 

たいが(99を越える豪速球でも来るのか?)

 

ぐらふぁいと「激怒竜牙(げきどりゅうが)!」シュン!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと二球目を投げた! 球の速度はあまりに遅く、ふらついている!』

 

たいが「???」スカッ!

 

黎斗先生『たいが空振りストライク!』

 

さき『あの技は初見殺し程度ですが問題はそこではありません。超絶遅球と豪速球が使い分けられることをバッターに知らしめ、択ゲーに持ち込む戦略なのです』

 

黎斗先生『三球目も激怒竜牙だ! たいがまたしても空振り! 狙いを定められない!』

 

ぐらふぁいと「くらえ!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

黎斗先生『ぐらふぁいと四球目を投げる! 球が消えた!? 見失うほどの豪速球! たいが振ることすらできない! バッターアウト! スリーアウトチェンジ! それにしても今の球……99以上の球速を出しているのか!』

 

さき(いや、あれは……。ついに本気を出したのね)

 

 

黎斗先生『四回裏! 三番ちゃーりーがバッターボックスに入る! ピッチャーひいろ一球目を投げた! 外角高めだ! ちゃーりー打つ! 打球はサードのぽっぴーがダイレクトキャッチして、ファーストのまさむねに送球! ちゃーりーアウト!』

 

ひいろ「次はぐらふぁいとだ。心してかかるぞ!」

 

ぽっぴー「オーー!」

 

黎斗先生『四番ぐらふぁいとを迎えるにあたって守備陣が気を引き締める! ひいろ一球目を投げた! ボール! その後残りの三球もボールにして、ぐらふぁいと出塁! フォアボールだ! ワンアウトランナー一塁!』

 

ぐらふぁいと(直接対決を挑む振りをして、俺に悪球打ちをさせないようしたってわけか)ザッザッ

 

さき『その後次のバッターであるかいでんくんはフライを打ってアウトになりました。六番のがっとんくん、七番のそるてぃくんは連続でヒット! ツーアウト満塁。そして次バッターボックスに入るのは八番りぼるくんです! チャンスをものにして、再び点差をつけて!』

 

りぼる「俺は負けん。友のために!」

 

ひいろ「俺とて同じこと。恵まれた友人に付き合ってもらっている以上、無様に負けるなど許されない」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろ一球目を投げた! さらに球速を増したアウトロー! りぼる空振り! ストライクワン!』

 

さき『極度の緊張感がこちらまで伝わってきますね。八番という、どちらかといえば守備での活躍を期待されるりぼるくんに背負わされた重圧は計り知れません!』

 

ひいろ「術式レベル50(フィフティー)!」ズバーン!

 

黎斗先生『ひいろ第二球を投げた! 素早い内角低め! りぼる打った! 打球はレフト前に転がる! ぱらど、取った球をキャッチャーのにこに送球! 三塁からはランナーぐらふぁいとが走る!』

 

えむ「……」

 

きりや「こればっかりは信じるしかないな」

 

あらんぶら「同点のまま次イニングなんて嫌だ……」

 

黎斗先生『……』

 

さき『……!!』

 

黎斗先生『ぐらふぁいとアウト! 来騨は見事この回無失点に抑えた!』

 

にこ「よっしゃぁぁぁ!!」

 

あすな「でもまだ油断はできないね」  

 

たいが「ようやく振り出しに戻れただけだからな」

 

さき『これより三分間の休憩に入ります。水分補給を忘れずに!』

 

 

ぐらふぁいと「おのれ! このまま負けてたまるか!」ゴクゴク

 

あらんぶら「ところで、私たちはなぜ野球のために集められたのだ?」ゴクゴク

 

ぐらふぁいと「そういえばまだ言ってなかったな。俺はこの試合に勝ってさきを手に入れるのだ」ゴクゴク

 

かいでん「手に入れるとは恋人の関係になるということか?」ゴクゴク

 

ぐらふぁいと「あぁ! そのとおりだ」

 

そるてぃ「さきは私の彼女だ!」ゴクゴク

 

ちゃーりー「いや僕のだよ?」ゴクゴク

 

もーたす「俺もだぞ!」ゴクゴク

 

りぼる「何を、一番は我だ!」ゴクゴク

 

あすな「うわぁ……さきちゃん何股かけてるの?」

 

えむ「ねぇひいろくん。これでもさきちゃんが好きなの?」

 

ひいろ「当たり前だ!」

 

 

黎斗先生『ゲームは最終回! 来騨必死の追い上げにより、同点にまで追い詰めた! ピッチャーぐらふぁいとから緊張がひしひしと伝わってくるぞ! さあぐらふぁいと、一球目を投げる!』

 

ぐらふぁいと「いくぞ!」ゴォォ!

 

えむ「えい!」カキーン!

 

黎斗先生『いいところに打ったぞ! ノーアウトランナー一塁! 続いて九番ひいろがバッターボックス入り!』

 

ぐらふぁいと「貴様は我が奥義で打ち破る」

 

ひいろ「奥義だと?」

 

そるてぃ「おいおい、あれを使うつもりか?」

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

ひいろ「!?」

 

ぽっぴー「まさか奥義って……球を投げるふり? なにも見えなかったよ」

 

がっとん「そんなわけないだろ」スッ

 

黎斗先生『私にも球が見えなかったぞ!? しかしキャッチャーがっとんのグローブには、確かに球が収まっている! なにが起こったんだ!?』

 

さき『あれこそぐらふぁいとくんの三大奥義の一つ・黒球拳! ここで使ってくるとは、まだまだ勝負はわかりませんね。ちなみに、四回表でたいがくんに使った投球も黒球拳です』

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

ひいろ「うわぁぁぁ!!」スカッ!

 

ぐらふぁいと「さきは俺のものだ!」

 

黎斗先生『ピッチャーぐらふぁいとの奥義にひいろは翻弄されっぱなしだ! そしてそのまま三球三振! ワンアウトランナー一塁!』

 

たいが「なぜ奴は初めからあれを使わなかった?」

 

にこ「なにか秘密があるのかな? それにしてもうるさいね、投球の音」

 

黎斗先生『一番きりやがバッターボックスに入ります。彼は今試合において三打数三安打! 必ずや攻略してくれるでしょう』

 

ぐらふぁいと「貴様は最大限警戒しなければならない。レーザー!」 

 

きりや「アダ名までつけられちゃった」

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

きりや「うわっ!?」スカッ!

 

黎斗先生『流石のきりやも打つ手なしか!? ここに来てぐらふぁいとの独走だ!』

 

きりや(速すぎて球が見えねぇ。どうせ打てないのならいっそのこと……)

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

きりや「ピッチャーの手が振り下ろされる瞬間に振る!」カツン!

 

黎斗先生『きりや打った! が、球は高く上がってしまう! センターのちゃーりーがキャッチ! ツーアウトランナー一塁! 投げられる度に轟音が鳴り響く!』

 

ぽっぴー「あんなのズルいよ! ピプペポパニックだよ!」

 

あすな「大丈夫。みんなの笑顔は私が取り戻す」

 

たいが「何か策はあるのか?」

 

あすな「……賭けだけどね」

 

ひいろ「次の攻撃を無失点で乗りきればまだ勝機はある。その事を忘れるな」

 

あすな「いや、制限時間が設けられているから延長が行われる可能性は低いと思う」

 

黎斗先生『バッターボックスに二番あすなが入る! このままぐらふぁいとに蹂躙されてしまうのか!?』

 

ぐらふぁいと「怖じ気づいたか?」

 

あすな「まさか」

 

ぐらふぁいと「このままこいつで押しきってやる。ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

黎斗先生『一球目投げた! あすな棒立ちのまま動けずストライク! 続いて二球目、またもやぐらふぁいとは奥義を発動!』

 

ぐらふぁいと「ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

あすな「ときめいた」ブン!

 

黎斗先生『あすな打った! ヒット! ついに黒球拳を打ち破った!』

 

にこ「どうやったんだろ?」

 

きりや「たいが、あんたさっき疑問に思ってたよな? どうして初めから使わなかっのか」

 

たいが「あぁ。やはりなにか弱点があるのか?」

 

ひいろ「あの耳障りな騒音になにか突破口が隠されているのだろう」

 

ぱらど「俺が種を明かしてやる」

 

黎斗先生『三番ぱらどがバッターボックスに入る!』

 

ぱらど「ぐらふぁいと! お前の奥義は見切った!」ザッ

 

ぐらふぁいと「そんなはずはない! ドドド黒球拳!」ビシュンビシュンズババババーン!!

 

にこ「ぱらどが目を瞑った!?」

 

ぱらど(使えない視覚を捨てて、聴覚を頼りに打つ!)ブン!

 

黎斗先生『ぱらども奥義に打ち勝った! ヒットだ! 守備陣の反応が遅れている!』

 

ぐらふぁいと「我が奥義が打ち破られただと!?」

 

ぱらど「他のやつらにも教えてやる。黒球拳の正体は、色を周りに同化させた球だ。投げる前に塗料を球に付着させていたんだよ。あれは目にも止まらぬ豪速球なんかじゃない。文字通り視認不可のインチキだったのさ」ハァハァ

 

がっとん「疑うのならこの球を見ろ! 普通のボールだぞ!」スッ

 

きりや「あの轟音は塗料が剥がれる音なんだろ? そうしないとバレちゃうからな! だがそこが欠点でもある」

 

ぐらふぁいと「肝心の塗料はどこにあると言うんだ?」

 

あすな「あんたの服だよ。服に塗料をつけてあるんでしょ。だから回数に限りができる」

 

黎斗先生『インチキで勝とうとするなんて君は最低のクズだ! 私たちの反則勝ちにすべきだ!』

 

さき『どうしてですか? 彼は後ろ指を指されることを覚悟してそれでも、私を手に入れるため実行したんです。立派な心がけだと思います。よって試合は続行します』

 

えむ「ごみかよ」

 

黎斗先生『気づけばツーアウト満塁! そして次に控えるのは我らが四番! まさむね!』

 

たいが「一瞬勝てる気がしたけど気のせいだったか」

 

ぱらど「まさむね! せめて後悔しないように思いっきり打て!」

 

まさむね「くっ……」

 

ぐらふぁいと「奥義がなくてもお前ごとき! くらえ!」ゴォォ!

 

まさむね「うおぉぉぉ!!」スカッ!

 

ぐらふぁいと「気迫だけで実力差をひっくり返せると思うな」ビシュッ!

 

まさむね「今度こそ!」スカッ!

 

ひいろ「まさむね……頼む!」

 

ぐらふぁいと「こんな雑魚に賭けるとは堕ちたなブレイブ!」ビシュッ!

 

まさむね「」キッ

 

ぽっぴー「気のせいかな? 目が緑に光ったように見えたよ」

 

まさむね「私の商品価値は……無限だ!」カキーン!

 

たいが「当てやがった……!」

 

黎斗先生『まさむね打った! 打球は大きくレフト方向に飛ぶ! 三塁からえむがホームイン! 一点を獲得! レフトのそるてぃ、サードのもーたすに送球! しかしその前にあすなは三塁を踏みセーフ!』

 

もーたす「がっとんに投げれば……あれ? 向こうの四番走ってなくね?」

 

にこ「まさむね!」

 

まさむね「腰が……抜けた……」

 

黎斗先生『もーたすは送球相手をキャッチャーから、ファーストに変更! 送球した! 三塁からホームを目指すあすな! 間に合うか!?』

 

かいでん「あっ……」

 

あすな「うっ!」ズズズ!

 

黎斗先生『あすなセーフ! ホームインだ! もーたすの判断遅れが、来騨にさらなる追加点を与えた! そしてかいでんが球を受け、まさむねアウト! スリーアウトチェンジ!』

 

きりや「へぇー、やるじゃん」

 

ひいろ「あえて走らなかったのか。まさかそんな戦略が……」

 

まさむね「ははは……」

 

ぐらふぁいと「ここに来て逆転されるとはな。面白い」

 

 

黎斗先生『五回裏! ひいろが最後の追い上げを見せる! まずはあらんぶらを三振で仕留めた! ワンアウト!』

 

りぼる「何をしている!」

 

ばーにあ「追い詰められて焦る気持ちはわかるけど、もう少し落ち着こうぜ」

 

黎斗先生『一番ばーにあがバッターボックスに入る! ひいろ一球目を投げた! 外角高めだ!』

 

ひいろ「はっ!」ビシュッ!

 

ばーにあ「!」ブン!

 

黎斗先生『ばーにあ打った! 打球はレフト前に転がる! ヒット! ワンアウトランナー一塁!』

 

さき『続いてバッターボックスにもーたすくんが入ります。ひいろくんが一球目を投げます。内角低めの術式レベル50! もーたすくん打ちます。ヒットです。ワンアウトランナー一二塁になりました。次のバッターは三番ちゃーりーくん』

 

ちゃーりー「俺も続くぜ!」

 

ひいろ「はぁっ!」ズバーン!

 

ちゃーりー「ちくしょう!」スカッ!

 

黎斗先生『ひいろが三球ともストライク! ちゃーりーを三振に沈めた! ツーアウトランナー一二塁だ! しかし次のバッターは馬救須田小エースぐらふぁいと! 打率10割で内一回はホームランの超強打者に対し、ひいろはどう戦う!?』  

 

ぐらふぁいと「仲間がお膳立てを果たしてくれた。俺はここでホームランを打ち、期待に応える!」

 

ひいろ「これよりぐらふぁいと切除手術を開始する!」ビシュッ!

 

黎斗先生『ひいろの一球目はストライク!』

 

ぐらふぁいと「やはりな。今の貴様は、四回までとはなにもかも違う。格なる上は……」

 

黎斗先生『ぐらふぁいとがバットを振り回し始めた! いったい何を企んでいる!?』

 

ひいろ「オペを完了させる。キメワザ! ファミスタ クリティカルストライク!」ギュイイン!

 

ぐらふぁいと「超絶奥義! ドドドドド 紅蓮爆竜剣!」カキーン!

 

ひいろ「バカな……うわぁ!」ドン!

 

黎斗先生『打球がひいろの顔面に命中! ボールは高く舞い上がる!』

 

 

ポンッ

 

 

たいが「あっ捕れた」

 

もーたす「なに!? 引き返さなきゃ……」ドタドタ

 

たいが「はい、タッチ。逃がさねぇよ」パシッ!

 

黎斗先生『もーたすアウト! ここでゲームセット! 8VS6で来騨小の勝利だ!』

 

にこ「よっしゃぁぁ!」

 

ひいろ「……やったのか……」

 

ぐらふぁいと「ちくしょう!」

 

黎斗先生『ひいろくんの勝利という結果に終わりましたが、さきさんはいかがでしたか?』

 

さき(戻った)

 

さき『はい、ひいろくんがとっても格好よかったです! なのでこれからは週二回、木曜日と日曜日はひいろくん専用の彼女になります!』

 

ひいろ「えっ?」

 

黎斗先生『と言いますと?』

 

さき『あとは今まで通りみんなの彼女に居続けます!』

 

ぐらふぁいと「やったー!」

 

そるてぃ「キタコレ!」

 

あらんぶら「うぉぉぉ!!」

 

きりや「よかったじゃんひいろ、特別待遇だぞ」

 

ひいろ「うん……」

 

ぽっぴー「みんな仲良しが一番だよ!」

 

あすな「ひいろ……考え直した方がいいと思うよ」

 

にこ「女って怖いね」



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