Aikuthi。
一
彼は頭が冴えている。しかも周囲の同年代とは比べ物にならない程。
確かに上を向けば見切れるほど人が居る。
然しながら彼が置かれている状況に至っては、それは事実なのだ。
これを羨むか、又は妬むかは、これを読んでいる
二
一般論で考えると、誰もが羨むであろう才能だが、其れにも本人しか分からない物がある。
其れに限らず他も同じだ。例えば自殺する動機等も他人には何もわかりはしない。
其れを分かった振りをして語るのは醜い────と、そんな事を解説しても意味が無いので本題に戻る。
繰り返す様だが、彼は奇才とも言える存在だった。
彼は小学四年の時点で、パソコンを弄り、ツイッタア等をしていた。中学一年には、右にスマアトフオンとテレビ。目の前にモニタア。そんな状態だった。(そうであれば奇才という事ではない。)
定期的に行うテストも、何も勉強せずとも、100点近くは安定だった。平均点以上なんてハアドルは目にもなかった。
そんな彼に何の不満があるであろう。
其れは、周囲とのレベルが違いすぎる為、話が通じない、故にストレスが溜まりやすい、という事であった。
これを甘くみてはいけない。一時二時なら善いのだが、其れが何年間も付いて回るからだ。
分かり易くする為に、彼と彼の同級生との日頃の会話を綴っておこう。小学六年の頃だ。
「お前こっち見んな。」
そう同級生は言った。初っ端から笑ってしまうほどの汚言である。
「見てないよ。」
「今見てるだろ。」
「其れは今、君が僕に話しかけたからだろう。」
「
この様な会話に日々耐えている。
これだけでは彼の知能の発達の速さは表現出来ない上、周囲が遅いとも考えられてしまうが、最大限まで表現しようとすると終わりが見えないので、これだけにする。
正直、そう言うが微妙なものだ。結局。
確実に断言出来るのは、誰とも
それを君が羨むか。嫌うか。
確かに頭が良いのは善い事だ。当り前である。
だが、反面があると言うのだから、考え物なのだ。
僕が
三
一回進んだ知能は戻せはしない。唯耐え、善い加減に調子を合わせるしかない。
否応無しに進む時を待つしかないのか。
そう頭に問いかけながら、彼は橙の空に欠伸をした。
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