アイドルになれなかった私は・・・・ (ひらじ)
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夢を諦める時

人は夢を諦めた時、どうなるのか?




私はあるビルの前に立っていた

 

346プロダクション

 

此処が主催する『シンデレラオーディション』に参加する為に

 

私は強い決意を込めてやって来た

 

『合格出来なかったらアイドルになるのは諦めよう』

 

自分に気合いを入れて私『島村卯月』はオーディション会場に入った

 

 

 

 

それから数時間後

 

 

 

 

審査員「今日の審査は終了です。合否は後日連絡させて頂きます」

 

『ありがとうございました!』

 

挨拶をし終えたと同時に、私は帰る支度をしていた

 

卯月「はぁ~・・・・」

 

私は深い溜め息をした

 

多分、結果は見えている

 

私は『不合格』だ

 

ダンス審査の時にやらかしてしまった

 

大事な所で転けてしまった

 

瞬間の時に、自分で顔が真っ赤になったのがわかった

 

更に言えば面接の時に『目標にしているアイドルはいますか?』という質問の時に『天海春香さんです!』て言ってしまったのも今考えたらまずかったなぁ・・・・

 

だったら765プロダクションのオーディションを受ければ?て言う話になるし・・・・

 

もう反省しかなかった

 

私がアイドルになれないのはこういう所なんだろうなぁ・・・・

 

?「ねぇ、ちょっと!」

 

卯月「はい?」

 

?「これから食事に行かない?」

 

へ?

 

同じオーディションに参加していた、確か私の隣に座っていた子に声をかけられた

 

?「ほら、オーディションのお疲れ会も兼ねてさ」

 

そういえばオーディションの時も積極的に声かけてたよね

 

卯月「良いですよ。私『島村卯月』て言います」

 

?「私は『本田未央』、よろしくね♪」

 

 

 

 

私と未央ちゃんは近くのファミレスに入った

 

未央「私さ、オーディションて初めて受けたんだけど凄いよね、雰囲気とかさ。こうピリピリして」

 

卯月「わかります!色んなオーディションを受けて来ましたけど、一番緊張感がありました」

 

未央「へぇ~、島村さんてオーディション何回も受けた事があるんだ」

 

卯月「小さい頃からアイドルを目指していて・・・・、でも中々合格までにはいけなくて」

 

未央「えぇ~、それ審査員が見る目無いんじゃないの?」

 

卯月「あはは・・・・。でも、今日で終わりだから良いんです」

 

未央「へ?終わり?」

 

卯月「私、今回のオーディションに落ちたらアイドルになるのを諦める事にしたんです」

 

未央「えぇっ!?勿体無いよ」

 

卯月「もう決めたんです。養成所も通ってるんですけど、お金もかかるし、親にもこれ以上負担はかけられないから・・・・」

 

未央「そっかぁ・・・・」

 

未央ちゃんはちょっと残念そうな顔をした

 

未央「じゃあさ、私達友達になろうよ!」

 

卯月「友達、ですか?」

 

未央「そうそう、こうして出会ったのも何かの縁だしさ♪」

 

卯月「はい、わかりました♪友達になりましょう♪」

 

未央「よろしくね、しまむー♪」

 

卯月「し、しまむー?」

 

未央「あ、私友達にはあだ名をつけてるんだ♪」

 

こうして、私は未央ちゃんと友達になりました

 

結果はどうあれ友達が出来た事は嬉しかった

 

1週間後、結果が出た

 

私は不合格、未央ちゃんは合格した

 

その日、私は養成所に辞める事を告げて、両親にもアイドルになるのを諦める事を話した

 

私の夢はこうして終わった



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次の夢

アイドルになる夢を諦めた卯月

彼女が次に目指すのは・・・・


オーディションを受けてから数週間が経過した

 

私は同級生と変わらない日常を過ごしていた

 

同級生は私がアイドルを目指していたのは知っていたし、応援もしてくれた

 

だから、私が諦めた事を伝えた時は残念がってくれた

 

未央ちゃんからはちょこちょこ電話がかかって来て、色々教えてくれる

 

レッスンが大変とか、プロデューサーはこんな人とか楽しそうに・・・・

 

あぁ、私も同級生に似たような事を話していたなぁ、なんて思った

 

暫くして私はアルバイト雑誌を見ていた

 

養成所を辞めたお陰で時間が出来たのでアルバイトを始める事にした

 

卯月「何か良い仕事無いかなぁ・・・・」

 

ページをめくっているとある募集が目に入った

 

卯月「スタッフ募集・・・・346プロダクション」

 

346プロダクションの求人募集の記事だった

 

未練とかでは無いけど・・・・

 

悩んだ挙げ句一応問い合わせの電話をしてみた

 

すると履歴書持参で来てください、と言われた

 

まぁ、当然と言えば当然なんだけど

 

翌日、私は履歴書を持って346プロダクションにやって来た

 

受付の方に面接に来た事を伝えると、すぐに対応してくれて担当の方が来てくれた

 

?「おや?君はシンデレラオーディションを受けた子だね」

 

卯月「へ?何で知ってるんですか?」

 

?「審査員としてあの現場にいたからね」

 

あぁ・・・・

 

卯月「そ、その節は失礼しました!」

 

?「いやいや、君の事は覚えているよ。結構目立っていたからね」

 

あの時の事を思い出して顔が真っ赤になっていた

 

 

 

その後、落ち着きを取り戻して、面接が始まった

 

?「改めて、『山本』と言います。えぇと、島村卯月さん、だね?」

 

卯月「はい、よろしくお願いします」

 

山本「まず、今回受けた動機は?」

 

卯月「え~と、私、アイドルになりたかったんですけど、諦めて・・・・。でも、こういう仕事には興味はあるのでそれで受けました」

 

山本「体を使う仕事もしてもらうかもしれないけど自信はありますか?」

 

卯月「はい!養成所で毎日レッスンを受けていたので!」

 

その後も色々な質問を受けました

 

山本「最後の質問になりますが、アイドルを諦めた、と言っていたけど後悔はしてませんか?」

 

卯月「後悔、というか未練はあります。でも、そんな事言っても仕方がありませんから。それに私、決めたんです。アイドルになった子達を応援していこう!て」

 

山本「成る程、わかりました。島村さん、明日から大丈夫ですか?」

 

卯月「え、それって・・・・」

 

山本「採用です。最初は事務のサポートから初めてもらいます」

 

卯月「は、はいっ!島村卯月、がんばります!」

 

ようやく、私は初めて『合格』出来た

 

 



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卯月、裏方として

346プロダクションで働く事になった卯月

その仕事は・・・・


翌日から私は放課後、346プロダクションで2時間程度の仕事をする事になった

 

山本「こちら、事務員の『千川ちひろ』さん、島村さんには彼女の下で働いてもらいますから」

 

ちひろ「初めまして、千川ちひろです。よろしくお願いします」

 

卯月「島村卯月です。よろしくお願いします!」

 

山本「じゃあ、後はよろしく」

 

ちひろ「じゃあ、早速だけど今からシンデレラプロジェクトの打ち合わせがありますから会議室に行きましょう。この資料を持って行って下さい」

 

卯月「わかりました!」

 

私はちひろさんと一緒に会議室に向かった

 

 

 

 

会議室に入って私は机の上に資料を置いて行った

 

資料をチラッと見たら色々細かいスケジュールが書いてある

 

卯月「何の会議があるんですか?」

 

ちひろ「シンデレラプロジェクトのこれからの方向性やスケジュールの確認、後ライブの打ち合わせね」

 

卯月「もうライブも決まってるんですか!?」

 

ちひろ「あくまで『予定』の話よ。この通り行くとはいかないから」

 

卯月「はぁ~、そうなんですかぁ」

 

と、ガチャと会議室の扉が開いた

 

ちひろ「あら、プロデューサーさん」

 

この人がシンデレラプロジェクトのプロデューサーさん・・・・

 

未央ちゃんが言っていた通り、一見怖そうな人に見える

 

ちひろ「どうかされましたか?」

 

プロデューサー「いえ、資料の確認をしよう、と思いまして」

 

ちひろ「ふふっ、相変わらずですね。あっ!紹介しますね。こちら今日から働く事になった島村卯月ちゃん」

 

卯月「初めまして、アルバイトの島村卯月です。よろしくお願いします」

 

プロデューサー「そうでしたか、こちらこそよろしくお願いします」

 

プロデューサーさんに挨拶して私とちひろさんは会議室を後にした

 

卯月「ちひろさんはプロデューサーさんと仲が良いんですか?」

 

ちひろ「仲が良い、というか・・・・同期入社なんです。いわゆる腐れ縁て言う奴ですよ」

 

成る程、だから仲良く話せるんだ

 

それから、デスクに戻った私は電話対応の仕方やアイドルとの接し方についてちひろさんから教わった

 

平日は主に事務対応、基本、週末はお休みだけどライブがある時は、スタッフとして参加する事もあるらしい

 

私の最初の仕事はこうして終わった

 

 

 

卯月「お疲れ様でした。お先に失礼します」

 

ちひろ「お疲れ様でした。明日もよろしくね」

 

時間となり、私はちひろさんに挨拶をした後、私は会社を出ようとした

 

その時、後ろから声をかけられた

 

未央「しまむー!」

 

卯月「あっ!未央ちゃん!」

 

レッスン終わりの未央ちゃんと出会った

 

未央「今日からだったんだねぇ。どうだった?社会人デビューした感想は?」

 

卯月「慣れてないから疲れました・・・・、あの未央ちゃん、隣の人は?」

 

未央「おぉっと!忘れてた」

 

?「未央、忘れないでよ。私は『渋谷凛』、未央と同じシンデレラプロジェクトの一員だよ」

 

卯月「島村卯月です。346プロダクションで事務員のアルバイトをしています」

 

未央「ほら、話したでしょ?」

 

凛「あぁ、未央と同じオーディションを受けて・・・・」

 

卯月「未央ちゃん!余計な事話してませんよねっ!?」

 

未央「あぁ~、全部話しちゃったかも・・・・」

 

卯月「未央ちゃん!」

 

未央「わゎっ!?ゴメンゴメン」

 

凛「仲良いなぁ・・・・」

 

これが凛ちゃんとの出会い

 

二人は『ニュージェネレーションズ』としてデビューする事になり

 

シンデレラプロジェクトのメンバーの中で一番親しくなる




1日で一気に3話も書いてしまった・・・・

勢いて怖いねぇ

ニュージェネは未央と凛の二人でデビューになります

シンデレラプロジェクトのメンバーも卯月を外したメンバーでスタートしています

やっぱりこの3人は立場が変わっても仲良しでいてもらいたいと思っています


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再会は突然に

346プロダクションでアルバイトを始めた卯月

そんな彼女にある人物と再会が・・・・


私が346プロダクションでアルバイトを始めて数日が経過した

 

仕事内容もだんだんとわかってきて、余裕が出てきた

 

たまに小さなミスをする事もあるけど、ちひろさんがフォローしてくれる

 

ちひろさんはシンデレラプロジェクトのアシスタントも兼ねているので、未央ちゃんや凛ちゃんの近況も教えてくれる

 

近々、346プロダクション主催のライブにバックダンサーとして参加するそうだ

 

確実にアイドルとしてのステップを上がっていて嬉しい

 

さて、私はと言えばちひろさんからの宿題に手を焼いている

 

所属アイドルを覚えるように、という事でちひろさんから分厚いファイルを渡された

 

ファイルには所属アイドルのプロフィールが書いてある

 

毎日ファイルに目を通しているんだけど、色んな人達がいるなぁ・・・・

 

少なくても100人以上はいるんじゃないかな?

 

目が疲れてくる・・・・

 

卯月「ちょっと休憩に行って来ます」

 

私はオフィスから一階にある喫茶店に向かった

 

 

 

 

346カフェ

 

卯月「そういえば、来るのは初めてですね」

 

喫茶店があるのは知っていたけど入るのは初めてだ

 

?「いらっしゃいませ~♪」

 

店員さんが注文をとりに来た

 

この人もアイドルなのかな?

 

・・・・あれ?

 

卯月「ひょっとして『菜々』さん?」

 

?「えっ?あっ!卯月ちゃん!!」

 

やっぱりそうだった

 

養成所の時の先輩の『安部菜々』さんだった

 

菜々「久しぶりですね~、346プロダクションにいる、という事はアイドルになれたんですね?」

 

卯月「あ、違うんです。私、今はアルバイトとして事務の仕事をしてまして・・・・」

 

私はアイドルになるのを諦めた、事を話した

 

菜々「そうでしたか・・・・。卯月ちゃんが選択したんですから菜々が言う事はありませんけど」

 

卯月「菜々さんは所属出来たんですか?」

 

菜々「はい♪今は『17歳のウサミン星人』として声優をやったりと頑張ってます」

 

養成所時代から変わって無いなぁ・・・・

 

・・・・あれ?

 

確か、養成所に通っていた時は20歳は越えていた様な・・・・

 

卯月「私、今17歳ですけど?」

 

菜々「しぃーっ!!色々あるんですよ・・・・」

 

・・・・あぁ、そういう事か

 

此処は黙っておく事にした

 

下手したら菜々さんの今までの努力を無駄にしてしまう可能性があるから

 

その後、コーヒーを頼んだんだけど、何故かケーキもついてきた

 

菜々さんがサービスしてくれたみたい

 

そこまでしなくても良いのに、と苦笑いしてしまった

 

 

 

休憩から戻って改めてファイルに目をやった

 

菜々さんのプロフィールを見た

 

確かに『17歳』、『ウサミン星出身』て書いてある

 

菜々さんのプロデューサーさんは多分わかってるんだろうな

 

それでデビュー出来たんだからその努力は見習わなきゃいけない

 

卯月「私に足りなかったのはそこなのかな・・・・」

 

ちひろ「卯月ちゃん?」

 

卯月「ひゃいっ!?」

 

突然、ちひろさんから声をかけられて思わず声が裏返ってしまった

 

卯月「え、え~と、何かご用でしょうか?」

 

ちひろ「もうすぐ346プロライブがあるんですけど、物販の手伝いをしてもらいたいんです」

 

卯月「わかりました」

 

未央ちゃん達が出るライブだよね?

 

ひょっとしたらチラッと見る事は出来るかも知れない




今回の設定としまして

・卯月と菜々は、養成所で出会っている

・卯月は、菜々の本当の年齢を知っている

を加えました


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輝きの裏側で

ライブの手伝いをする事になった卯月

その内容とは


ライブの1週間前

 

ちひろさんと一緒に会議室に入った

 

卯月「な、なんですか、これ・・・・?」

 

ちひろ「物販で販売する商品です」

 

会議室には山ほどのダンボール箱が積まれていた

 

卯月「これを1日で売っちゃうんですか?」

 

ちひろ「売っちゃうんじゃないんです。売れちゃうんですよ」

 

売れちゃう・・・・

 

ちひろ「今から品物のチェックを行います。これがリストになりますから、ラベルを見て合っていたらチェックしてください」

 

卯月「わかりました。頑張ります!」

 

私は商品リストを見ながらダンボール箱のチェックを始めた

 

 

 

卯月「これは、ウチワの箱・・・・、これがパンフレット・・・・」

 

時間はあっという間に過ぎて行く

 

すっかり夕方になっていた

 

ちひろ「卯月ちゃんに手伝ってもらって捗りましたよ」

 

卯月「でも、まだありますね」

 

チェック出来たのは全体の3割ぐらいだ

 

ちひろ「卯月ちゃんはアルバイトなんですからもうあがって良いですよ」

 

卯月「まだ大丈夫ですよ」

 

ちひろ「いえいえ、あんまり遅いとご両親が心配されますよ」

 

ちひろさんに諭されて私は帰らせてもらう事にした

 

 

 

 

帰る途中、レッスンルームの前を通ると、音楽とトレーナーの厳しい声が聞こえてきた

 

養成所の頃を思い出すなぁ

 

毎日、ダンスレッスンをしてヘタヘタになりながらも頑張った

 

絶対にアイドルになれる、て思っていたから

 

変な自信があったんだよね

 

冷静に考えたら何にも根拠が無い

 

と、レッスンルームが開いてレッスンを終えたアイドルの皆さんが出てきた

 

私は邪魔にならないように廊下の隅を歩いた

 

?「あれ?島村さん?」

 

卯月「へ?あっ!トレーナーさん!」

 

私に声をかけたのは養成所でお世話になったトレーナーさんだ

 

トレーナー「急に姿を見なくなったから心配してたんですよ」

 

卯月「すいません、何も言わずに辞めてしまって・・・・」

 

私はアイドルになる事を諦めた事、346プロでアルバイトをしている事を話した

 

トレーナー「そうだったんですか。私は姉の手伝いでたまにこっちに来てるんですよ」

 

そういえば、トレーナーさんは姉妹全員がトレーナーだ、て言っていた

 

?「トレーナーさん、知り合い?」

 

トレーナー「あぁ、美嘉さん」

 

トレーナーさんに声をかけてきたのはピンクの髪の・・・・

 

卯月「ひょっとして『城ヶ崎美嘉』さんですか?」

 

美嘉「そうだよ」

 

雑誌やテレビで見た事がある、カリスマアイドルの城ヶ崎美嘉さんだ

 

トレーナー「こちらは島村卯月さん。養成所の教え子ですよ」

 

卯月「元、ですよ。今は346プロの事務アルバイトですから」

 

美嘉「養成所行っていたて事はアイドル目指してたんだ?」

 

卯月「えぇ、そうだったんですけど、色々あって諦めました」

 

トレーナー「養成所では一番頑張ってたんですけどねぇ」

 

美嘉「そっかぁ。まぁ、卯月ちゃんが選んだんだからしょうがないけど」

 

卯月「今度、346プロライブで私の友達が美嘉さんのバックダンサーをやるんですよ」

 

美嘉「へぇ~、誰なの?」

 

卯月「シンデレラプロジェクトの本田未央ちゃんと渋谷凛ちゃんです」

 

美嘉「あぁ、あの二人?シンデレラプロジェクトは妹の『莉嘉』も参加してるんだ~。だから、ちょっと気になってるんだよね」

 

その後も色々話して別れた

 

卯月「意外と話しやすい人だったなぁ・・・・」

 

そんな事を思いながら家路についた

 

 

 

 




どうも、作者です。

今回登場したのは『ルーキートレーナー』です。卯月の事を理解している人物です。名前は検討中です


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見えない壁

養成所時代にお世話になったトレーナーと再会、更にカリスマアイドルの城ヶ崎美嘉と思わぬ出会いをした卯月

そして、ライブ当日


日曜日

 

私は事務所では無く、ライブが行われる会場に来ていた

 

ライブは夜からだけど準備の為に朝からスタッフの出入りが激しい

 

私は物販の売り子としてスタッフジャンパーに身を包んで準備に明け暮れていた

 

ちひろ「卯月ちゃん、それはそっちに置いて下さい」

 

卯月「わかりました!」

 

ちひろさんが陣頭指揮を取って商品を置いていく

 

一番売りたい物は目立つ所に置く

 

何処に置くかによって、売上が違ってくるらしい

 

卯月「よく出来てるんだなぁ」

 

業界の裏側を知ってちょっと複雑な気分になった

 

?「おはようございます」

 

ちひろ「あら、シンデレラプロジェクトの皆さん」

 

?「見学に来ました」

 

プロデューサー「将来的には、皆さんも同じステージに立つ事になりますから」

 

プロデューサーさんが一緒にいる、という事はあの子達がシンデレラプロジェクトのメンバー・・・・

 

私が入る事が出来なかった・・・・

 

一瞬、ちょっとネガティブな気分になっちゃったけど、すぐに切り替えた

 

卯月「ちひろさん、グッズの配置終わりました」

 

ちひろ「ありがとうございます」

 

プロデューサー「島村さん、休日なのにお疲れ様です」

 

卯月「いいえ、お手伝い出来るだけで楽しいですから」

 

?「P君、この人も先輩アイドルなの?」

 

卯月「違います。私、ただのアルバイトです。ちひろさんの元で働いている島村卯月て言います」

 

?「そうなんですか。私『新田美波』て言います」

 

卯月「確か、大学でラクロスをやってるんですよね?」

 

美波「わぁ~、良く知ってますね」

 

卯月「はい、皆さんのプロフィールは覚えてますから、『前川みく』さん、『多田李衣菜』さん、『緒方智絵里』さん、『諸星きらり』さん、『三村かな子』さん、『アナスタシア』さん、『双葉杏』さん、『神崎蘭子』さん、『赤城みりあ』ちゃん、『城ヶ崎莉嘉』ちゃん」

 

私はスラスラと名前を読み上げた

 

みんなが『おぉ~』と驚きの声をあげた

 

李衣菜「そういえば、未央ちゃんから名前は聞いた事あるよ」

 

莉嘉「私もお姉ちゃんから聞いた事ある」

 

プロデューサー「じゃあ、そろそろ行きましょうか」

 

プロデューサーさんに連れられて中に入って行った

 

ちひろ「卯月ちゃん、気に入れられたみたいですね」

 

卯月「私、只のスタッフですよ」

 

ちひろ「いえいえ、第一印象て大事ですからね。ちゃんと名前を言ってくれた、というのはかなり好印象ですよ」

 

実際、私はシンデレラプロジェクトのみんなと仲良くなっていく事になる

 

 

 

ライブが始まる2時間前

 

スタッフ「それでは開場します!しっかり並んでお入り下さい!」

 

係員がドアを開けたと同時にお客さんの波が一気になだれ込んできた

 

次々と購入されていく

 

正直私はてんてこ舞いになってしまった

 

客「お姉さん、ひょっとして新人のアイドル?」

 

卯月「いえ、違います。ただのスタッフです」

 

客「え~、そうなのっ!?可愛いからアイドルだと思ったよ」

 

一回だけじゃなくて何回もそんな声をかけられた

 

内心は嬉しいんだけど、直ぐに現実にかえるから、複雑な気分になる

 

 

 

卯月「漸く静かになりましたね」

 

ちひろ「さぁ、これから後片付けしないと」

 

卯月「もうですか」

 

嵐の後の静けさとはこの事だろう

 

商品は無事完売

 

途中から記憶が飛んだ所もあったけどトラブルも無かった

 

でも、中ではライブが行われている

 

防音なので全く漏れてこない

 

私は淡々と片付けをしていた

 

ちひろ「そろそろ美嘉ちゃんの出番ですね。卯月ちゃん、チラッと覗いて来ても良いですよ」

 

卯月「えっ、良いんですか?」

 

ちひろ「だいぶ、片付けも済みましたから」

 

私はちひろさんの言葉に甘えて会場の中に入った

 

 

 

扉を開けた瞬間、一瞬にして空気が変わった

 

お客さんの熱気とライトの眩しさと音楽

 

別世界にいる気分だ

 

正に美嘉さんのライブが始まったぐらいだった

 

未央ちゃんと凛ちゃんは・・・・

 

あ、いた

 

遠いから見にくいけど確かに未央ちゃんと凛ちゃんだ

 

凄く良い笑顔してるなぁ・・・・

 

羨ましさと同時に悔しさが込み上げてきた

 

あのステージに私も立ちたかった

 

バックダンサーでも良いから、ライトを浴びたかった

 

でも、それはもう叶う事は無い

 

自分で退路は断ったんだ

 

私はアイドルになる器じゃない

 

シンデレラにはなれない

 

私は静かに出ていった

 

 

 

卯月「ふぅ・・・・」

 

ちひろ「卯月ちゃん、どうでした?」

 

卯月「凄かったです。輝いていました」

 

ちひろ「そうですね。でも、輝くには一人じゃ出来ないんですよ」

 

卯月「えっ・・・・」

 

ちひろ「協力してくれる仲間やスタッフがいないと輝けないんですよ。私達の仕事はアイドルを最高に輝かせる事だと思うんです」

 

卯月「・・・・」

 

まるで、見透かされているようだった・・・・

 

 

 

ライブも無事に終了して、私は一人、帰宅した

 

打ち上げをやってるみたいだけど参加せずにそのまま帰る事にした

 

私は自然に『お願い!シンデレラ』を口ずさんでいた

 

気持ちがまだモヤモヤしている

 

やっぱり未練があるんだろうなぁ・・・・

 

卯月「今日はお月様が綺麗だなぁ」

 

私の体を月の光が包んでいる

 

卯月「私も輝く事が出来るかな・・・・」

 

 

 

 




どうも、作者です

僕はコンサートとかライブなどに行った事がありません

なので、今回のライブの話は想像です

実際とは違う所もあると思いますがご勘弁を



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言葉に出す事

ライブにスタッフとして参加した卯月

そこで見たのは最高のステージ・・・・

改めて、アイドルに慣れなかった現実を受け止めるしか無かった


ライブから数日後

 

あの日、見た光景は幻だったんじゃないか、と思うぐらいの日常を送っている

 

学校に行って、放課後は346プロに行って事務の仕事

 

チラホラとアイドルの噂が聞こえてくる

 

それを聞いていると、あぁ、芸能事務所で働いてるんだな、て思う

 

ちひろ「卯月ちゃん、すいませんけどこの書類、シンデレラプロジェクトのプロデューサーさんに渡して来てくれませんか?」

 

卯月「あ、わかりました」

 

私はシンデレラプロジェクトのオフィスルームに向かった

 

 

 

 

卯月「失礼します」

 

ノックとして入るとプロデューサーさんとプロジェクトのみんながいた

 

プロデューサー「島村さん、どうかしましたか?」

 

卯月「ちひろさんから書類を渡す様に言われて来ました」

 

プロデューサー「ありがとうございます」

 

書類を見たプロデューサーさんはみんなの方に向き

 

プロデューサー「皆さん、大事なお知らせがあります。デビューが決まりました」

 

きらり「Pチャン、ほんとにぃっ!?」

 

杏「まだ早いんじゃないの?」

 

かな子「全員デビュー出来るんですか?」

 

プロデューサー「いえ、全員ではありません。まずデビュー出来るのは、本田さんと渋谷さん。お二人には『ニュージェネレーションズ』としてユニットを組んで頂きます。それから新田さんとアナスタシアさんには『ラブライカ』としてデビューして頂きます」

 

未央「デビューだよ、デビュー!やったね!しぶりん!」

 

凛「落ち着いてよ、未央・・・・。デビューか・・・・」

 

美波「アーニャちゃん、頑張りましょう♪」

 

アナスタシア「ミナミとユニット・・・・、嬉しいデス」

 

デビューが決まった四人は勿論、喜びを爆発していた

 

他のメンバーも喜んでいたけど、一人みくちゃんだけは悔しそうな顔をしているのは見逃さなかった

 

卯月「じゃあ、これで失礼します」

 

私が部屋を出た直後

 

みく「卯月チャン、ちょっと待つにゃ!」

 

卯月「へ?どうかしましたか?」

 

みく「今から暇だったらちょっと付き合ってほしいにゃ!」

 

卯月「は、はい・・・・」

 

 

 

 

ちひろさんに断って、私はみくちゃんと一緒にカフェに来ていた

 

みく「何で、あの四人が先にデビュー出来るんにゃ!?みくだって頑張ってるのにっ!!」

 

席についた早々、不満を爆発した

 

みく「特に未央チャンと凛チャン!こないだのステージに抜擢されたのもそうだし、贔屓されてるにゃ!!」

 

言われてみれば恵まれてるし、未央ちゃんと凛ちゃんが中心になってる事は否定出来ない

 

みく「少なくともみくは他の誰よりもアイドルになりたい気持ちはあるにゃ!それをPチャンはわかってないにゃ!」

 

菜々「爆発してますねぇ・・・・」

 

菜々さんも苦笑いしている

 

みく「で、卯月チャンはどう思うにゃ?」

 

卯月「へ?どう思うて・・・・」

 

みく「Pチャンの判断は正しいのか、て言う事にゃ」

 

卯月「何で私なんですか?」

 

みく「こういうのは第三者の意見が大事にゃ。みく達には見えない部分もあるにゃ」

 

卯月「う~ん・・・・、私はプロデューサーさんの肯定も否定も出来ないんですけど」

 

私は言葉を選びながら

 

卯月「でも、確実に言えるのはプロデューサーさんはみんなのデビューを企画してますよ」

 

みく「・・・・ホントに?」

 

卯月「はい!本当ですよ。前に聞いた事がありますから」

 

と言ってもちひろさんとプロデューサーさんの会話をちょっと聞いただけの話だけど

 

卯月「それに、逆に未央ちゃん達が大変ですよ。だって、プロジェクトの先陣を切ってデビューするんですから。プロジェクトの先行きを左右する事で、此所で失敗したらその後にも影響が出ますよ」

 

みく「そ、そんなに大事にゃ?」

 

菜々「大事ですよ、一番最初が肝心なんですから。だから、みくちゃんも焦らないで応援してあげて下さい」

 

みく「そ、そうにゃ!嫉妬してる場合じゃないにゃ!」

 

ちょっと厳しい事、言っちゃったかなぁ?

 

ちょっとだけ焼きもちも入っていたかもしれない

 

アイドルとして事務所に所属出来る事がどれだけ大変な事なのか

 

そのスタートラインにも立てない人がいる、という事を忘れないでほしい

 

後にみくちゃんは未央ちゃんから私の事を聞いて謝ってきた

 

これがきっかけで私はみくちゃんや、他のみんなから相談を受けるようになった




どうも、作者です

今回はみくがストライキを起こす前の話です

なので、みくはストライキを起こしてはいません

アニメの中で起こる様々な出来事を卯月は巻き込まれたり止めたり、と言う感じになる

冷静にシンデレラプロジェクトを見守っている、それがこの作品での卯月の立ち位置になります


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過剰な期待は禁物

みくの愚痴を聞いて、何とか宥めた卯月

いよいよ未央達の初ライブの日がやって来た




未央ちゃん達のデビューライブの前日

 

私はお手伝いを頼まれたので、会場にやって来た

 

野外の広場にステージがある

 

此処が未央ちゃん達の出発点になるんだ

 

スタッフさんと一緒に機材の運搬を手伝う

 

卯月「何人のお客さんが入るのかな・・・・?」

 

プロデューサー「数百人が入る会場ですが、良くて数十人でしょう」

 

卯月「ひゃっ!?」

 

プロデューサー「驚かしてすみません」

 

卯月「い、いえ・・・・。ちょっと驚きましたけど。でも、そんなに少ないんですか?」

 

プロデューサー「いくら346プロライブに出たとしても、新人ですからね。まだメディア露出も出来ていませんからであくまで顔を知ってもらうのが目的です」

 

なるほど・・・・

 

卯月「でも、その事未央ちゃん達に言いましたか?多分、勘違いしてる、と思いますよ。満員だと思っていますよ」

 

未央ちゃんの電話でのやり取りを聞いているとそんな感じがした

 

プロデューサー「そ、そうでしょうか・・・・」

 

卯月「そうですよ。この後、未央ちゃん達と食事する機会がありますから私からも伝えておきますね」

 

プロデューサー「すいません・・・・」

 

 

 

会場のセッティングが終わって私は事務所近くのファミレスにやって来た

 

未央「しまむー、こっちこっち」

 

卯月「ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」

 

凛「うぅん、別に待ってないから」

 

未央「さぁさぁ、明日のライブの成功を祈っての乾杯といきましょう」

 

卯月「じゃあニュージェネレーションズのデビューと明日のライブの成功を祈って」

 

『乾杯!』

 

ジュースが入ったグラスがカチンとなった

 

 

 

 

未央「ねぇねぇ、しまむー。会場の雰囲気どうだった?」

 

卯月「えっと、野外の広場で多くて数百人ぐらいが入りますよ」

 

凛「最初はそれぐらいだよね」

 

未央「でも、きっとたくさん来るよ。ひょっとしたら溢れちゃうかもしれないよ」

 

やっぱり勘違いしている

 

卯月「未央ちゃん、あんまり期待しない方が良いですよ」

 

未央「へ?」

 

卯月「だって、未央ちゃん達はまだ新人ですよ。ファンがいない状態なんですから」

 

未央「でも、ライブの時はたくさん来てくれたでしょ?」

 

卯月「あれはあくまで他のアイドル、美嘉さん達を見に来たんですから。バックダンサーである未央ちゃん達を見に来た訳じゃないんです」

 

未央「そ、そうか・・・・。私達、まだテレビや取材も受けてなかった・・・・」

 

漸く、未央ちゃんは冷静さを取り戻したようだ

 

凛「卯月が言ってくれて助かったよ。勘違いしたままステージに上がる所だったよ」

 

未央「ありがとう、しまむー!とりあえず学校の友達にライブを見に来てくれるようにメールしなくちゃ!」

 

卯月「凛ちゃんは良いんですか?」

 

凛「私は・・・・いいよ。アイドルやってる事、ちょっと恥ずかしくて・・・・」

 

 

 

 

翌日、結果から言えばミニライブはまずまずの成功だった

 

お客さんは未央ちゃんの凛ちゃんのお友達や家族、それにみくちゃん達も来てくれた

 

それでも、空席が多かった

 

でも、私はお客さんの多さは関係ないと思う

 

以下に歌をファンの皆さんに受け止めてもらうかが大事だと思う

 

二人は笑顔でステージを終えた

 

私はそんな姿を見て心がいっぱいだった

 

 

 




どうも、作者です

ちゃんと言葉に出さないと伝わらない事もあります


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思いやる心

妙な期待をしていた未央と凛に釘を刺した卯月

おかげで、観客は少なかったが二人は無事ステージをやりきった

さて、今回は・・・・


未央ちゃん達がデビューして、1ヶ月が経過

 

事務所にはCDの売り上げが否応なしに入ってくる

 

ラブライカ、ニュージェネレーションズも概ね新人としては合格点をもらえたみたいで安心した

 

ちひろ「此所でコケちゃったら大変ですよ」

 

卯月「次は誰がデビューするんですか?」

 

ちひろ「次は蘭子ちゃんですね」

 

卯月「やっぱりユニットになるんですか?」

 

ちひろ「う~ん、プロデューサーも悩んでるみたいですよ」

 

確かに悩む、と思う

 

蘭子ちゃんはシンデレラプロジェクトのメンバーでも個性的だからなぁ・・・・

 

 

 

ある日の日曜日

 

私は毎月買っているアイドル雑誌を買う為に書店に来ていた

 

アイドルになる夢を持っていた頃から買っている本で、小さい頃は載っているアイドルを自分に置き換えて妄想していた

 

諦めてしまった今は、他の事務所のアイドルの動向や、シンデレラプロジェクトの評価を気にするようになった

 

卯月「後は何か小説でも・・・・、てあれ?」

 

小説コーナーに来た時、見覚えのある人がいた

 

卯月「蘭子ちゃん」

 

蘭子「おぉ、我が友!」

 

蘭子ちゃんは私の事を友達として認識しているみたい

 

卯月「蘭子ちゃんは、何を買いに来たんですか?」

 

蘭子「我が愛読書の最新章よ、フフフ、心が躍るわ・・・・」

 

卯月「へぇ~、私も読んでみようかな?」

 

蘭子「ならば我が友よ、序章より我と共にその旅路を歩むとしよう!」

 

卯月「え~と、1巻から読んだ方が良い、て事?」

 

蘭子ちゃんは激しく頷いた

 

とりあえず蘭子ちゃんのオススメの本を購入した

 

 

 

 

書店を出た後、近くのカフェで蘭子ちゃんと食事を取る事にした

 

卯月「そういえば、蘭子ちゃん、デビューの話は聞きました?」

 

蘭子「うむ、魔法使いより話は聞いた!」

 

プロデューサーさん、話はしたんだね

 

蘭子「だが・・・・」

 

急に不安そうな顔をした

 

蘭子「・・・・魔法使いは我を導いてくれるだろうか。我が言霊が通じぬ・・・・」

 

卯月「蘭子ちゃんの言葉を理解するのはちょっと時間がかかるかも知れませんね」

 

蘭子「うぐっ!?・・・・や、やっぱりそうかな?」

 

急に素で話し始めた

 

蘭子「私・・・・、人前に出るのが恥ずかしくて・・・・、でも好きな小説のキャラのマネをしたりすると・・・・、凄く安心出来るの・・・・」

 

顔を赤くしながらポツリポツリと喋る蘭子ちゃん

 

卯月「ちゃんとプロデューサーさんはわかってくれてると思いますよ。その為には蘭子ちゃんもプロデューサーさんを信じてあげてください」

 

蘭子「卯月ちゃん・・・・、ありがとう」

 

 

 

 

その後、蘭子ちゃんはソロユニット『Rosenburg Engel 』としてデビューを果たした

 

ちなみにプロデューサーさんも蘭子ちゃんの世界観を知る為に、小説を買ったそうで、デビュー曲も蘭子ちゃんの世界観をイメージしたものになった

 

私も蘭子ちゃんに薦められた小説にはまってしまい、最新刊まで揃えて、蘭子ちゃんと盛り上がっている

 

 

 

 




どうも、作者です

今回は所謂『厨二病』の言葉に苦労しました

正直合ってるかどうかわかりません


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周りは意外と心配している

夢を諦めた卯月に対して周りの反応は・・・・?


私が346プロでアルバイトを始めて数ヶ月が経過

 

シンデレラプロジェクトのみんなも徐々にテレビで見かける様になった

 

この間はかな子ちゃん、智絵里ちゃん、杏ちゃんの『CANDY ISLAND』がテレビのバラエティ番組に出演していた

 

3人とも体張るイメージが無いからビックリしたけど頑張ってたなぁ

 

最後に後ろでポスター持っていたのはプロデューサーさんだよね?

 

3人とも息が合ってたなぁ

 

同級生(女)「ねぇねぇ、昨日のテレビ見た?」

 

卯月「うん、見たよ。かな子ちゃん達、頑張ってたね」

 

同級生2(女)「卯月も現場に行ってたんでしょ?」

 

卯月「私は只のアルバイトだから行けないよ」

 

同級生「でも、シンデレラプロジェクトの皆とは仲良いんでしょ?私、渋谷凛のファンなんだ」

 

卯月「そうなんだ。凛ちゃん、喜ぶよ」

 

同級生2「でも、まぁ安心したよ」

 

卯月「へ?何が?」

 

同級生「卯月がアイドルになるのを諦める、て聞いた時、心配してたんだよ。ひょっとしてグレたりするんじゃないか、て」

 

同級生2「そうそう、卯月は真っ直ぐだからその反動があるんじゃないか、て」

 

卯月「ちょ、ちょっと~!私、そんな風に思われてたの?」

 

同級生は頷いた

 

苦笑いするしかなかった

 

 

 

 

346カフェ

 

卯月「・・・・て言う風に言われたんですよ」

 

かな子「それだけ卯月ちゃんの事、心配してくれてたんだよ」

 

智絵里「そうですよ。私も同級生が応援してくれてるんだけど・・・・、嬉しいけど恥ずかしいです・・・・」

 

杏「友達てそんなもんだよ。まぁ、勝手に応援してくれれば良いんだけど」

 

たまたまかな子ちゃん達と会い、同級生の話をした

 

卯月「そういえば杏ちゃん、頑張ってたよね?」

 

杏「杏はね、将来、イヤ明日からでも楽して生きたい為に頑張ってるんだよ。印税入ったら即引退するから」

 

智絵里・かな子『なんでやねん!』

 

卯月「息、揃ってますね。でも意外でしたよ。杏ちゃんはきらりちゃんと組むのかな、て思ってましたから」

 

智絵里「私もです。いつも一緒にいるから・・・・」

 

杏「きらりが勝手にくっついてくるんだよ。まぁ、嫌いじゃないから良いけどさ」

 

 

 

 

かな子ちゃん達は次の仕事があるため出かけていった

 

菜々「かな子ちゃん達も形になって来ましたね」

 

卯月「そうですね」

 

菜々「あ、さっきの話じゃないですけど、菜々も卯月ちゃんの事、心配してたんですよ」

 

卯月「菜々さんも?」

 

菜々「ほら、養成所の卯月ちゃんの同期の皆は辞めていって、残ったのは卯月ちゃんだけだったじゃないですか。仲間が辞めていくのて寂しいですよ」

 

菜々さんの言う通りだ

 

たくさんいた同期が一人辞め二人辞め、気がついたら私だけになっていた

 

いつの間にか、辞める事前提に話をしている子もいた

 

凄く寂しかったし、私だけ一生懸命レッスンも受けて夢を追いかけていた

 

私だけ変わってるのかな、とも思った

 

菜々「まぁ、菜々は別の意味で親が心配してますけどね・・・・」

 

菜々さんが急に遠い目をしたので苦笑いした

 

 

 

 




どうも、作者です

この物語の1つのテーマに『夢との決着』があります

どう自分で決着をつけるのか

諦めきれずにずっと引きずっている人

早い段階で見切りをつける人

夢は叶ったけど、その先が見えていない人

色々います

さて、卯月はどう決着をつけるのか


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イベントの裏のハプニング

ある日の休日に街に出掛けた卯月

そんな卯月がある騒動に巻き込まれます


ある日の休日

 

私は街に買い物に来ていた

 

卯月「そういえば、今日はきらりちゃん達のイベントがあるんだよね・・・・」

 

きらりちゃん、みりあちゃん、莉嘉ちゃん達のユニット『凸レーション』が、あるブランドのイベントに出演するそうだ

 

その様子も見ていこうかな・・・・

 

美嘉「うーづき♪」

 

卯月「へ?あっ!美嘉さん!」

 

後ろからポンと肩を叩かれたので振り向いたら美嘉さんだった

 

卯月「今日は休日なんですか?」

 

美嘉「そっ。それに莉嘉達の様子も、ね」

 

卯月「あぁ、成る程・・・・」

 

美嘉「卯月は買い物?」

 

卯月「はい、ズボンを買いに」

 

ちひろさんから『ライブの時は動きやすい格好が良いですよ』と言われた

 

所謂『女の子らしい』服しか買ってこなかったらズボンはほとんど無い

 

美嘉「あ、だったら私がコーディネートしてあげようか?」

 

卯月「良いんですか?ありがとうございます!」

 

私は美嘉さんと一緒に買い物をする事になった

 

 

 

 

 

卯月「結構買いました」

 

美嘉「スタッフでもオシャレじゃないとね」

 

美嘉さんとの買い物は刺激的だった

 

私が普段買わない物を買ったりした

 

私は普通で美嘉さんはギャル系だからしょうがないんだけど

 

 

莉嘉「あっ!お姉ちゃん!」

 

きらり「卯月ちゃんもいるにぃ」

 

みりあ「よかったぁ。心配だったんだぁ」

 

きらりちゃん達が私達の姿を見つけて駆け寄ってきた

 

卯月「あれ?プロデューサーさんは?」

 

きらり「途中ではぐれちゃったにぃ・・・・」

 

莉嘉「時間があるから買い物してたんだけど、いつの間にかはぐれちゃったの・・・・」

 

みりあ「イベントの場所も聞いてないから」

 

美嘉「えっ!?イベントの場所、聞いてないのっ!?」

 

莉嘉「うん、P君が案内してくれる、て思ったから」

 

美嘉「バカッ!!普通は聞くのが当たり前でしょっ!?」

 

イベントの時間までそんなに時間はない

 

卯月「私、ちひろさんに電話してみます!」

 

すぐにちひろさんに電話した

 

ちひろ『わかりました。私も現場に向かいますから卯月ちゃんは案内をお願いします』

 

ちひろさんからすぐに場所の地図が入ったメールが来た

 

幸いにもここから数分の所だ

 

卯月「私が案内しますから一緒に行きましょう!」

 

みりあ「卯月ちゃん、お姉ちゃんみたい!」

 

きらり「凄く頼もしいにぃ」

 

美嘉「イベント終わったら説教だからね、莉嘉」

 

莉嘉「うわぁ、お姉ちゃんのお説教、怖いんだよぉ・・・・」

 

私が先頭になりイベント会場に向かった

 

 

 

 

 

結果的に言えばイベント開始時間には間に合い、イベントは成功に終わった

 

因みにプロデューサーさんはお巡りさんに怪しい人物と思われたらしく、交番に連れていかれたそうで

 

ちひろさん曰く『何回もあるんですよ』だそうです

 

凛ちゃんをスカウトした時も似たような事があったそうです

 

莉嘉ちゃんは美嘉さんにお説教されてました

 

それから、みりあちゃんから『卯月お姉ちゃん』と呼ばれるようにもなりました

 

 




どうも、作者です

冷静沈着に行動したいですね


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番外編1

今日はクリスマスイブですな

今回はちょっと番外編

765とも、ちょっと関わりあいのある話


346プロダクション内喫煙所

 

そこでタバコを吸っているのは人事部長の山本

 

卯月を採用した張本人である

 

?「やぁ、休憩中かい?」

 

山本「おぉ、『今西』か」

 

やって来たのは、シンデレラプロジェクトの責任者である『今西』

 

二人は同期である

 

山本「シンデレラプロジェクト好調じゃないか。評判が良いぞ」

 

今西「私は何もやって無いよ。彼やアイドル達の努力の賜物だよ。勿論サポートしてくれるスタッフの力もあってだがね」

 

山本「今度の346プロライブ、シンデレラプロジェクトも参加する話で進んでいるそうだ」

 

今西「ありがたいね。そういえば、あの子・・・・、島村卯月、彼女も仲良くしてくれているみたいだ」

 

山本「やはり、採用して正解だったよ。彼女はシンデレラプロジェクト、いやアイドル部門に必要な人材だよ」

 

今西「君の人を見抜く目は確実だからねぇ、それに・・・・、彼女は最後まで入れるか入れないかで悩んだからね」

 

 

 

実はオーディション最終選考時、ほとんどのメンバーはすんなりと決まったが、一番難考したのが卯月だった

 

オーディション時に失敗したが挫けずに最後までやりきったのが評価されていた

 

それでも合格にするべきか悩んだ

 

何故、悩んだのか?

 

それは、『ある失敗』が大きく関わっていた

 

それは山本が初めて関わったオーディションのでの出来事

 

ある一人の少女がそのオーディションを受けた

 

山本は、この少女に光る何かを感じていた

 

だが、当時山本には発言権が無く、少女は不合格になった

 

しかし、山本は彼女の才能を、自分の見る目を信じて、当時独立して芸能事務所を立ち上げた同期の男性に彼女を紹介した

 

勿論、346プロダクションには言っていない

 

それを知るのは数人だけだ

 

それから数年後、少女はトップアイドルとして現在も活躍している

 

山本は、少女の活躍が嬉しかった

 

自分の目は正しかった

 

山本には、卯月がその少女と被ったのだ

 

だが、議論の結果、卯月は不合格となった

 

 

 

山本「人の人生を左右する仕事だからね、慎重にしなくてはいけないんだが・・・・、だからアルバイトとして面接に来た時は嬉しかったよ」

 

今西「そうだね、彼女はひょっとしたら化けるかもしれないよ」

 

山本「さて、そろそろ仕事に戻るよ。あ、そうそう、近日、『美城常務』がアメリカから戻ってくるそうだよ」

 

今西「そうか・・・・」

 

山本は喫煙所を出ていった

 

 

 

346プロダクション前

 

卯月が入ろうとしていた時、玄関前に一人の少女が立っていた

 

卯月「あの、346に何かご用でしょうか?」

 

?「へっ?ひゃあっ!?」

 

卯月に声をかけられた少女は驚いてそのまま転んでしまった

 

あれ?このこけ方、見た事あるような・・・・

 

卯月「だ、大丈夫ですか?」

 

?「あはは、だ、大丈夫です・・・・」

 

卯月は少女の顔を見て、その少女が誰かわかった

 

卯月「あの、ひょっとして・・・・、『天海春香』さんですか?」

 

?「あぁ~、ばれちゃいましたか・・・・」

 

その少女とは765プロダクション所属のトップアイドル『天海春香』だった

 

 

 




どうも、作者です

今回は番外編、オーディションの裏事情とあり得なかった卯月と春香の出会いの話を書きました

独自設定として、高木社長は元は346プロダクションの社員で理想のアイドルを作るべく独立した、とさせて頂きました


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番外編2

昨日の続きです

突然、憧れのトップアイドル『天海春香』と出会った卯月

この出会いがもたらす物とは・・・・


346カフェ

 

春香「い、良いのかな?入っちゃって・・・・」

 

卯月「此処は他の事務所やテレビ局の方も打ち合わせに来ますから、あ、私、島村卯月て言います。346プロダクションで事務のアルバイトしてます」

 

春香「えっ!?事務員なのっ!?私、アイドルかと思っちゃった」

 

卯月「たまに言われるんですけど・・・・、目指してはいたんですけどね、諦めちゃいました」

 

春香「そっかぁ・・・・」

 

卯月「あの、何で346に?」

 

春香「たまたま、近くで仕事があったからチラッと覗こうと思ったんだけど・・・・」

 

そこを私が声かけちゃったんだ・・・・

 

春香さんだと気づいた時、私は思わず大きな声が出そうになったけど騒ぎになるとマズイので、とりあえず346カフェに案内した

 

一応、ちひろさんには連絡は入れた

 

春香「それに、一回だけ346のオーディションを受けた事があるんですよ」

 

卯月「えっ!?本当ですかっ!?」

 

初耳だ

 

春香「私、アイドルになる為に色んな事務所のオーディション受けたんですけど、どこに行っても一歩及ばず不合格で・・・・、それで最後のオーディションにしよう、と受けたのが346のオーディションだったんです。結果は不合格だったけど、オーディションの審査員の方が今の事務所を紹介してくれたんです」

 

春香さんもデビュー前は苦労していたんだ・・・・

 

卯月「私もアイドルになる為にオーディション受けたんですけど・・・・、全部落ちちゃいました」

 

春香「わかるよ~、心が折れちゃいそうになるんだよね~」

 

卯月「私は折れちゃいましたけど・・・・。あの、聞いても良いですか?」

 

春香「良いよ」

 

卯月「アイドルて・・・・、楽しいですか?」

 

何でこんな質問をしたのかわからない

 

ただ聞きたかった

 

春香さんは少し悩んだ顔をして

 

春香「楽しくもあり・・・・苦しいかな」

 

意外だった

 

いつも笑顔で輝いている春香さんの姿しか見てなかったから

 

春香「最初は念願のアイドルになれて嬉しかったよ。でもね、長く続けているとたまに苦しくなって歌えなくなったりするんだ。夢であるアイドルになれたのに何で辛いんだろう?て」

 

だけどね、と一旦区切って

 

春香「仲間、765プロの皆が一緒にいてくれたから頑張れたんだ、と思うの。一人だったら多分、すぐに辞めていたかもしれない。まぁ、それでも悩みはつきないんだけどね。今は後輩が出来て先輩としてのプレッシャーがあるし」

 

卯月「えっと、『ミリオンスターズ』ですよね」

 

765プロダクションが新たに立ち上げたプロジェクト、『ミリオンシアター』

 

専用の劇場で新人アイドルの公演を行う

 

346プロ内でも話題になっている

 

春香「毎日、大変なんだよ。目が回るぐらい忙しいんだ」

 

そう言って笑う春香さんの笑顔は凄く輝いて見えた

 

と、ちひろさんがやって来た

 

ちひろ「春香ちゃん、お久しぶりです」

 

春香「ちひろさん、ご無沙汰しています」

 

卯月「えっ!?知り合いなんですか?」

 

ちひろ「知り合いというか、765プロダクションの事務員の『音無小鳥』さんを通じての知り合いなんですよ。たまにテレビ局でも会いますしね」

 

春香「そうなんですよ、他の事務所だけど仲が悪い訳じゃないから。だから、シンデレラプロジェクトのみんなと共演出来る日を楽しみにしています」

 

 

 

春香さんは、次の仕事の為に出ていった

 

ちひろ「どうでした?憧れのトップアイドルとお話し出来て」

 

卯月「夢みたいでした・・・・」

 

更に言えば、春香さんと私の決定的な『差』を見せられた

 

上手くは言えないけど、私がアイドルになれなかった理由がなんとなくだけど理解が出来た

 

夢を叶えた分、大変な事もあるんだなぁ、てわかった




どうも、作者です

卯月と春香はこの出会いを期に仲良くなります

番外編ではミリオンのキャラも出そうと思っていて、今回はそのきっかけの話です


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見方を変えれば

次々とデビューしていくシンデレラプロジェクト

いよいよ、最後のユニットがデビューする事になるが・・・・


346カフェ

 

卯月「遂にデビューですね!おめでとうございます♪」

 

みく「嬉しい気持ちはあるんだけどにゃあ・・・・」

 

遂にデビューが決まったみくちゃん

 

だけど浮かない顔をしている

 

みく「パートナーがにゃあ・・・・」

 

卯月「あぁ、李衣菜ちゃんですね」

 

みく「正直合わないんだよにゃあ・・・・。みくは可愛い猫ちゃんアイドルを目指してるけど、向こうは自称ロックなアイドルでしょ?」

 

卯月「方向性は違いますね・・・・」

 

みく「上手くやっていけるか不安にゃ・・・・」

 

この不安は見事に的中する事になる

 

 

 

別の日

 

みく「だーかーらー!此処はもっと可愛くしなきゃダメにゃ!!」

 

李衣菜「そんなの全然ロックじゃないじゃん!!ここはもっとカッコよくした方が良いよ!!」

 

事務所の一室で二人の口論する声が聞こえる

 

卯月「二人とも、声が外まで聞こえちゃってますよ」

 

私はお茶とお茶菓子を持って部屋に入った

 

プロデューサーさんが二人に言い渡したのは、デビュー曲は二人で歌詞を考える事

 

その為に、みくちゃんと李衣菜ちゃんは現在寮のみくちゃんの部屋で合宿をしている

 

今日も会議室を借りて歌詞を考えているそうだけど上手くいかないみたい

 

みく「卯月ちゃん、ありがとうにゃ~」

 

卯月「少し冷静になった方が良いですよ」

 

李衣菜「冷静になっちゃったらロックじゃないよ。ロックは熱い物だからさ」

 

みく「また!大体李衣菜チャンが言うロックて具体的じゃないにゃ!!」

 

李衣菜「言葉に出せないからロックなんだよっ!!」

 

卯月「まぁまぁ抑えて下さい」

 

また口論が始まりそうなのでやんわりと止めに入った

 

みく「卯月チャンはみく達の事、どう思うにゃ?」

 

卯月「へ?どう思う、て・・・・」

 

李衣菜「私達が合ってるかどうか、て事」

 

卯月「そうですね・・・・、私は合ってると思いますよ」

 

みく「そうかにゃ?」

 

卯月「だって、二人は『こうなりたい』て言う具体的な目標があるじゃないですか」

 

李衣菜「そ、そうかな・・・・」

 

卯月「そうですよ。多分プロデューサーさんもそこを組んで二人のユニットを誕生させたんだと思いますよ」

 

みく「そう言われると・・・・、悪くないにゃ」

 

卯月「だから、お互いの良い所を見つけて行けば良いと思うんですよ。悪い所ばっかり見つけちゃうと本当に仲が悪くなりますよ」

 

李衣菜「成る程・・・・」

 

みく「ねぇ、前から聞きたかったんだけど、卯月ちゃんて誰とでも仲良く出来るよね?どうしてにゃ?」

 

李衣菜「あ、それ私も聞きたかった!いつの間にかプロジェクトメンバー全員とも仲良いし・・・・」

 

卯月「へ?う~ん・・・・、ママの影響かな」

 

李衣菜「お母さんの?」

 

卯月「はい、昔から『人を否定するより認める人間になりなさい』て言われてきたんです」

 

人は考えや性格に違いがあるのは当たり前

 

他人の考えを否定するんじゃなくて、認める様にする

 

だから、私がアイドルになりたい、て言った時もママは賛成してくれた

 

ママはいつでも私の味方だ

 

みく「卯月ちゃんのママて、良く出来た人にゃ・・・・」

 

李衣菜「認める事もロックだね・・・・」

 

 

 

 

この後、二人は無事に歌詞を完成させて、ミニライブを行った

 

ライブは好評で二人の絆は深まったみたいだ

 

 




どうも、作者です

SNSを見ていると他人を厳しい言葉で攻撃しているのを良く目にします

そういうのは時間の無駄だと思うんです

常に他人を認めたい人でありたい、と思っています


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合宿へ

遂に全員デビューを果たしたシンデレラプロジェクトの面々

そして、次なるステージへ・・・・


ある日の346プロダクション

 

卯月「合同サマーフェス、ですか?」

 

ちひろ「はい、346のアイドル全員参加のイベントです。勿論シンデレラプロジェクトのみんなも参加します」

 

私はちひろさんから、合同サマーフェスの話を聞いた

 

ちひろ「それで、卯月ちゃんにお願いがありまして、サマーフェスで新曲を披露するんですが、それに伴って合宿をする事になったんです」

 

卯月「へぇ~、それで私に頼み、とは?」

 

ちひろ「卯月ちゃんにも参加してもらいたいんですよ」

 

卯月「へっ!?参加て・・・・、私、アイドルじゃないのにっ!?」

 

ちひろ「勿論、スタッフとしてですよ。プロデューサーも私も準備で忙しいので」

 

卯月「あ、そういう事ですか・・・・」

 

つまり、マネージャー係という事か

 

ちひろ「それに、これはプロジェクトメンバーやプロデューサーさんからの希望なんですよ」

 

卯月「えっ?みんなから、ですか」

 

ちひろ「それだけ、信頼されてるんですよ」

 

卯月「そうですか・・・・、わかりました!島村卯月、頑張ってサポートします!」

 

こうして、私も合宿に参加する事になった

 

 

 

 

合宿所

 

未央「此処が合宿所かぁ」

 

莉嘉「見て見てー、海が見えるよーっ!!」

 

美波「みんな、早く荷物を部屋に持って行きましょう」

 

プロデューサー「それでは、私は仕事がありますので。島村さん、これがスケジュール表になります」

 

卯月「わかりました」

 

私はプロデューサーさんからスケジュール表を渡された

 

合宿期間は1週間、ほぼレッスンの毎日だ

 

プロデューサー「リーダーは新田さんに任せてあります。島村さんはサポートの方をお願いします」

 

卯月「はい、頑張ります!」

 

みく「ちょっ、ちょっと見てにゃ!!」

 

玄関に飾られていた『ある写真』をみくちゃんが見つけた

 

みりあ「あぁー!!765プロオールスターズだぁーっ!!」

 

卯月「そう言えば、アリーナ公演前に合宿した、て聞きました」

 

かな子「765プロの皆さんと同じ合宿所で出来るなんて・・・・」

 

智絵里「縁起が良さそうですね」

 

美波「じゃあ、早速レッスンを始めましょう」

 

杏「えー、ちょっと休んでからで良いでしょ?」

 

きらり「杏ちゃん、一緒にやるにぃ」

 

杏「ちょっ、抱えないでよ!歩けるからっ!!」

 

私も、自分の荷物を持って部屋へと向かった

 

 

 

 

レッスンルームでは、トレーニング着に着替えて早速レッスンが始まっている

 

私は、地元のスーパーに行って食材を買って夕食作りを始める

 

因みに今日のメニューはカレーライスだ

 

作った事は勿論あるけど、大人数の分を作るのは初めて

 

食材を切るだけで時間がかかる

 

凛「卯月、手伝おうか?」

 

レッスン終わりの凛ちゃんがキッチンにやって来た

 

卯月「すいません、レッスン終わりで疲れてるのに・・・・」

 

凛「まだ始まったばかりだから大丈夫だよ。それにいくらサポート役でも、全部、卯月に任せる訳にはいかないからね」

 

最初は冷たいイメージがあった凛ちゃんだけど、誰よりも真面目にアイドルに向き合っている

 

凛「・・・・卯月は今、満足してる?」

 

卯月「へっ?」

 

凛「元々はアイドルになりたかったのに、裏方に徹しているでしょ?本来、やりたかった事じゃないのに・・・・」

 

卯月「・・・・まぁ、未練はあります。凛ちゃん達のステージを見てると、ちょっと胸がギュッてなります。だけど、引きずっていたら前に進めないし、私自身がダメになっちゃいそうな気がするんです」

 

凛「卯月・・・・」

 

卯月「私、この合宿に参加出来て嬉しいんです。少しでも同じ空気を吸えるだけで満足なんです」

 

凛「・・・・卯月は強いな」

 

卯月「そんな事無いですよ」

 

 

 

 

その日の夜

 

夕食の後片付けをして、私はプロデューサーさんにメールをした

 

毎日、起きた出来事を知らせてほしい、とプロデューサーさんに言われたからだ

 

初日だから、特に変わった事は無いから、『無事に終わりました』と書いて送信した

 

皆がお風呂に入った後、私は一人でお風呂に入った

 

窓から見える月が綺麗だ

 

お風呂から出た後、戸締まりをして私は布団に入った  




どうも、作者です

今回は合宿話になります

裏方としての卯月が合宿にどう影響してくるのか


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リーダーとは

サマーフェスに参加する為に合宿を始めたシンデレラプロジェクトの面々

卯月はサポート役として参加する


合宿が始まって丁度真ん中

 

卯月「みんな、息が合ってきたなぁ・・・・」

 

私は中庭にみんなのレッスン着や布団カバーを干している

 

清潔な匂いが気持ち良い

 

最初の頃は途中で止まったり、息が合ってなかったり、と上手くいってなかったけど、徐々に上手くなって来ている

 

美波さんが頑張ってくれてるみたいだけど・・・・

 

笑ってはいるけど疲れてるのもわかる

 

美波「卯月ちゃん、手伝おうか?」

 

卯月「大丈夫ですよ。美波さんは休んで下さい」

 

美波「でも・・・・」

 

卯月「美波さん、ちょっと疲れてませんか?リーダーだから、てあんまり自分を追い込まないで下さい」

 

アナスタシア「ウヅキの言う通りデス・・・・。ミナミ、ちょっと疲れてマス・・・・」

 

美波「アーニャちゃん・・・・」

 

アナスタシア「ミナミ、倒れたらみんなが心配シマス・・・・」

 

美波「・・・・ありがとう、アーニャちゃん、卯月ちゃん。心配してくれて。そうね、私リーダーだから、てちょっと気を張っていたかもしれないわね」

 

苦笑いする美波さん

 

卯月「私も養成所時代に美波さんみたいにリーダーを任されて、失敗した事があるんです」

 

美波「えっ・・・・」

 

 

 

養成所では月に一回、業界関係者を呼んでのミニライブを行っていた

 

グループに別れて、自分達で曲を選び振り付けを考えて披露する

 

私はある時、5人組のリーダーを任された

 

ひょっとしたらデビュー出来るかもしれない

 

私は張り切って曲から振り付けまで考えてメンバーに指導した

 

そして、当日

 

卯月「本番直前に倒れちゃったんです。無理が祟っちゃったんでしょうね。結局、私を除いた四人で披露して評価されて、四人はスカウトされてデビューしました」

 

あの時は、流石に凹んだなぁ・・・・

 

美波「そんな事があったの・・・・」

 

卯月「だから、美波さんには私みたいになってほしくないんです。全員が笑顔でステージに立ってほしいんです」

 

美波「そうね。ありがとう、卯月ちゃん。ちょっと楽になったわ」

 

卯月「私の経験が参考になるんだったらいつでも言って下さい」

 

こういう風に言えるのも裏方になったからかなぁ

 

 

 

 

その日の夜、中庭で花火をした

 

未央「線香花火なんて何年ぶりだろうね、しぶりん」

 

凛「小学校以来だね」

 

みりあ「ロケット花火、やろうよ!」

 

みんな、楽しそうだ

 

アナスタシア「ウヅキ、空を見てクダサイ」

 

夜空には満天の星が輝いていた

 

卯月「わぁ、綺麗ですね・・・・」

 

アナスタシア「私、北海道にいる頃から、ズヴィズダー、星が大好きデス」

 

そう言えば、天体観測が趣味だ、て聞いた事がある

 

アナスタシア「ズヴィズダー、星にも輝きは色々ありマス。でも、色んな輝きがあるから星は綺麗だと、私は思いマス・・・・」

 

卯月「アーニャちゃん?」

 

アナスタシア「ウヅキも・・・・、輝いてマス」

 

卯月「・・・・そうですね」

 

星空がいつもより輝いて見えた




どうも、作者です

今回は、本編では美波がライブ直前に倒れましたが、卯月にも似た経験をした事がある事に致しました

卯月は養成所の時に色々苦労した、と思うんです

その経験での笑顔ですからそりゃあ魅力はあるんじゃないかな、と・・・・


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思わぬ訪問者

サマーフェスに向けて団結力を増しているシンデレラプロジェクトの面々

卯月も陰ながらサポートをしていく

そして、合宿終了まで、後1日・・・・


長かった合宿も残すところ後1日

 

怪我せずに無事に終わりそうで良かった

 

李衣菜「でも、結局海とか行けなかったなぁ。せっかく近くにあるのに」

 

みく「李衣菜チャン、みく達は遊びに来た訳じゃないにゃ」

 

李衣菜「そう言いながら、水着用意してたんじゃないの?」

 

みく「に゛ゃ゛!?李衣菜チャーン!?」

 

卯月「あんまり走ると怪我しますよ」

 

李衣菜ちゃんの指摘にみくちゃんが顔を真っ赤にして李衣菜ちゃんを追いかける

 

みりあ「じゃあ、明日帰る前にみんなで海に行こうよ!みりあも海で遊びたいよ」

 

美波「う~ん、じゃあちょっとだけなら」

 

卯月「じゃあプロデューサーさんに連絡しておきますね」

 

 

?「ごめんくださーい」

 

あれ?誰か来たみたい

 

卯月「ちょっと行って来ますね」

 

私は玄関に向かった

 

 

 

 

卯月「はーい、どちら様で・・・・」

 

途中で言葉が詰まった

 

未央「しまむー、どうしたの?て、・・・・え?」

 

未央ちゃんは固まった

 

何故なら・・・・

 

 

 

春香「合宿してる、て聞いたんで来ちゃいました♪」

 

未央「な、765プロの天海春香さんっ!?」

 

そう言えば、私合宿行く前日に春香さんに言ってました

 

当然、未央ちゃんの声でみんなが玄関前にやって来て軽い騒ぎが起こりました

 

 

 

 

 

 

数分後

 

卯月「すいません、騒いじゃって・・・・」

 

春香「うぅん、今日がたまたまオフだったし、それに一回は行かなきゃいけない、と思ってたんだ」

 

休憩所に案内して話をする私と春香さん

 

前、会った時にメアドと電話番号を交換したんだった

 

因みにみんなは遠巻きに見ている

 

卯月「此処でアリーナライブの合宿をやってたんですよね」

 

春香「そうなんだよ。その時は、私がリーダーに指名されて・・・・。更にバックダンサー、今のミリオンスターズのみんなも見なきゃいけないから大変だったんだよ」

 

卯月「大きいステージに立つ、て大変なんですね・・・・」

 

春香「アリーナライブにいくまでも・・・・。バックダンサーの子が自信無くしちゃって失踪して・・・・」

 

卯月「それって『矢吹可奈』ちゃんの事ですか?」

 

春香「可奈ちゃんの事、知ってるの?」

 

卯月「養成所で一緒だったんです」

 

そう、可奈ちゃんは一時期、養成所で一緒だった

 

だから、可奈ちゃんが起こした事は、本人から聞いている

 

春香「そうなんだ・・・・」

 

未央「あの、1つ質問して良いですか?」

 

春香「良いよ」

 

未央「でかいステージに立つ時の心構えてありますか?」

 

春香「心構え、かぁ・・・・。『信じる』事かな」

 

凛「それは仲間やプロデューサーを?」

 

春香「それだけじゃなくてスタッフのみんなや、見に来ているファン、会場にいる全員を信じる事、だってライブは一人では出来ないから。会場に来ているみんなで作るのがライブだと思うんだ」

 

智絵里「みんなで作るのがライブ・・・・」

 

春香さんの言葉は間違いなくみんなの心に刺さった

 

 

 

その日の夜

 

卯月「その後、春香さんに振り付けまで見てもらったんですよ。みんな、興奮してました」

 

プロデューサー『それは・・・・、765プロさんにお礼を言わないといけませんね』

 

春香さんは数時間滞在して帰って行った

 

その後、私は『なんで春香さんと知り合いなのっ!?』と軽く尋問を受けた

 

卯月「春香さんて、アイドルが好きなんだなぁ、て思いました。普通は他事務所の新人アイドルの練習なんて見ませんよ」

 

プロデューサー『確かにそうですね。これがきっかけで良い関係が出来れば良いんですが。・・・・それから島村さん。ありがとうございます」

 

卯月「はい?」

 

プロデューサー『本来ならば私が合宿についていなければいけないのですが・・・・』

 

卯月「良いんです。私、みんなが素敵なステージを作ってくれれば、それだけで私、嬉しいんです!」

 

プロデューサー「そうですか・・・・」

 

こうして、合宿最後の夜は終わった

 

翌日、プロデューサーさんが迎えに来る時間をちょっと遅らせてもらって、みんなで海に行った

 

流石に水着にはなれなかったけど、ちょっとだけ夏をエンジョイする事ができた




どうも、作者です。

今回、独自設定として卯月と『ミリオンライブ!』の矢吹可奈は養成所での顔見知り、とさせて頂きました。

勿論、今後登場します

そういうのがダメな方もいらっしゃる、と思いますがそこはご容赦を


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卯月、ミリオンライブシアターに行く

合宿最終日前日に突然春香の訪問を受けたシンデレラプロジェクトの面々

そこで春香からアドバイスを受け更に気合いを入れるシンデレラプロジェクト

卯月はそんな面々を見て頼もしくもあり羨ましさを感じるのであった


合宿が終わって、数日が経過

 

サマーフェスに向けて、シンデレラプロジェクトのみんなを初め、参加するアイドルは本番に向けて、最終調整に入っている

 

レッスン場も夜遅くまで光が灯っている

 

卯月「みんな、頑張ってるなぁ・・・・」

 

私もアイドル目指していた時、オーディション前日の時は自主練はしてたなぁ

 

・・・・思えば、自主練を頑張りすぎてオーディション当日は寝不足になった事もあった

 

やっぱりほどほどが一番なんだよね

 

 

 

 

卯月「ただいま~」

 

ママ「卯月、貴女に郵便が届いてるわよ」

 

卯月「私に?」

 

ママから封筒を渡され、私は部屋に入り封筒の中身を確認した

 

卯月「チケット・・・・?」

 

中に入っていたのはチケットだった

 

卯月「え~と・・・・、『ミリオンライブシアター』・・・・、て、えぇっ!?」

 

慌てて宛名を見た

 

卯月「可奈ちゃんからだ・・・・」

 

一緒に手紙も入っていて、『卯月ちゃん、お久し振りです。矢吹可奈です。養成所の時はお世話になりました。春香さんから卯月ちゃんの事を聞いてビックリしました。良かったら会えませんか?チケットを一緒に送るので是非見に来てください』という内容だった

 

春香さんから聞いたんだ・・・・

 

可奈ちゃんの姿が想像つく

 

チケットには次の日曜日の午後の公演、と書いてある

 

卯月「行ってみようかな・・・・」

 

ただ、問題が1つあって・・・・

 

卯月「なんで2枚あるんだろう?」

 

 

 

そして、当日

 

卯月「みくちゃん、その格好は?」

 

みく「一応、みくもアイドルとして顔を出してる身だから、騒ぎになるといけないにゃ」

 

チケットをもらった翌日、たまたま、みくちゃんに話した結果、即答で『行く!』という返事をもらった

 

今日のみくちゃんの格好は地味で帽子をかぶり眼鏡をしている

 

みく「それにミリオンスターズはみく達にとってはライバル!これは敵情視察にゃ!」

 

まぁ、未央ちゃん達には何にも話してないんだけどね

 

卯月「でも、良いの?サマーフェスまで後数日だよ」

 

みく「今日はオフだから問題ないにゃ」

 

心なしか、みくちゃんはちょっとワクワクしている様にも見えた

 

話している間にも、シアターに到着した

 

既に会場はオープンしているけど、ライブの時間にはまだ早い

 

 

?「卯月ちゃーん!」

 

卯月「あっ!可奈ちゃん!!」

 

声をかけてきたのは可奈ちゃんだった

 

可奈「おひさしぶりです、卯月ちゃん。春香さんから卯月ちゃんの事聞いてビックリしました」

 

卯月「あはは、デビュー出来たら一緒のステージに立つ約束してたけど・・・・、ごめんね」

 

可奈「そんな謝らなくても良いですよ。卯月ちゃんが頑張っていたのは養成所のみんなも知ってますから」

 

みく「卯月チャン、本当にアイドルになりたかったんだにゃあ・・・・」

 

可奈「あれ?もしかして前川みくさん?」

 

みく「みくの事、知ってるにゃ!?」

 

可奈「はい、シンデレラプロジェクトの皆さんは話題になってます。あっ、せっかくだから楽屋に案内しますよ」

 

卯月「良いの?本番前なのに?」

 

可奈「大丈夫です。今日、卯月ちゃんが来る事、言っておきました」

 

私とみくちゃんは可奈ちゃんの案内で楽屋に行く事になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、作者です。

今回は、ミリオンライブの面々が登場する話です

そんなに長くする話ではありません


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そこは近くて遠い場所

可奈からシアターのチケットをもらった卯月

オフのみくと共にシアターへやってきた卯月は、可奈と再開する


可奈ちゃんに案内されて楽屋へやってきた私とみくちゃん

 

卯月「今日は、可奈ちゃんは出ないの?」

 

可奈「残念ながら出番じゃないんですよ」

 

せっかく私のステージ見せたかったのになぁ、と残念そうな顔をする可奈ちゃん

 

?「可奈ちゃん、お友達?」

 

可奈「はい!養成所時代の友達の島村卯月ちゃん、それと346プロの前川みくちゃん」

 

?「私、『春日未来』て言います」

 

卯月「島村卯月です」

 

みく「前川みくにゃ。よろしくにゃ」

 

未来「みくちゃんて、シンデレラプロジェクトのみくちゃん、ですよね?卯月ちゃんは・・・・」

 

卯月「あ、私はアイドルじゃないんですよ。今は346プロの事務のアルバイトしてます」

 

未来「えっ!?てっきり新人アイドルだと思ってました」

 

このリアクション何回見たんだろう・・・・

 

みくちゃんはキョロキョロと観察している

 

卯月「専用の劇場が出来るなんて凄いですね」

 

可奈「先輩方のおかげですよ。劇場が無かったらデビュー出来ませんよ。私なんて、あんな迷惑かけたのに・・・・」

 

卯月「アリーナライブのバックダンサーの件だよね?」

 

みく「何があったのにゃ?」

 

可奈「ちょっと落ち込んじゃって・・・・、それで食べ過ぎちゃったんですよね。それで逃げちゃって・・・・」

 

あの時の可奈ちゃんからメールはもらっていたけど、段々と追い詰められていく状態は心配していた

 

結果としては立ち直ってくれたから安心したけど

 

その後も、色々な話をしてライブの時間になり、私とみくちゃんは客席に向かった

 

みく「アイドルになって人のライブを見るなんて初めてにゃ」

 

卯月「何か掴めると良いですよね」

 

ブザーがなりいよいよライブが始まった

 

 

 

 

 

ライブ終了後

 

みく「凄く良かったにゃ~」

 

卯月「楽しかったですね」

 

感想はやはり楽しかった

 

ただ、裏側を知っている身としては、ステージの演出とかが気になったりした

 

私、完全にスタッフ側についちゃったなぁ

 

でも、やっぱりステージで歌い踊る姿は憧れる

 

みく「卯月チャン、やっぱりアイドルになりたいにゃ?」

 

卯月「う~ん、裏方の重要さもわかってきましたから・・・・」

 

 

ちひろ「あれ?卯月ちゃんにみくちゃん?」

 

卯月「ちひろさん、なんで此所に?」

 

ちひろ「用事があって来たんですよ。二人はプライベートですか?」

 

卯月「はい、チケットを貰いましたから」

 

みく「ちひろさん、みく達が此所に来たの内緒にしてほしいにゃ」

 

ちひろ「わかりました」

 

可奈「卯月ちゃん、どうでしたか?ライブは?」

 

卯月「とっても良かったよ」

 

可奈「ライブに出ていた『北沢志保』ちゃんて、私の友達なんですよ♪今度は私が出てる時に来てください」

 

卯月「今度はチケットは自分で買って来るよ。可奈ちゃんのステージ楽しみにしてるから」

 

 

 

その帰り道

 

みく「卯月チャンと可奈チャンて似てると思うにゃ」

 

卯月「そうですか?」

 

みく「だって、卯月チャンは、未央チャンと凛チャンがステージに出てたりすると自分の様に嬉しかったりするにゃ。可奈チャンも似たような感じにゃ」

 

卯月「かもしれないですね。甘いと言われればしょうがないですけど」

 

みく「でも、悪くないと思うにゃ。ギスギスしてるのはみくも嫌にゃ」

 

帰り道、月の光が私達を照らしていた

 

 

後日、みくちゃんはシアターに行った事がバレてみんなから責められたのは別の話

 

 

 

 




どうも、作者です

年末なのに、夏の話を書いているこの季節感の無さ(笑)

流石にステージの模様は書けませんでした



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サマーフェス前

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

まぁ、本編は夏の話です




サマーフェス前日

 

会場のセッティングや、準備で大騒ぎになっていた

 

そんな中、私はと言うと今回も物販、しかもシンデレラプロジェクトのグッズを担当する事になった

 

会場は野外の為、テントを設営する

 

スタッフさんを手伝いながらグッズをトラックから降ろしていって物販会場へと運んでいく

 

真夏の太陽が容赦なく体力を奪っていく

 

卯月「ちょっと休憩しよう・・・・」

 

会場からはリハーサルの音声が聞こえてくる

 

ジュースを飲みながら日陰で休んでいる

 

プロデューサー「お疲れ様です、お弁当をどうぞ」

 

卯月「あ、ありがとうございます。プロデューサーさんは暑くないんですか?」

 

プロデューサー「まぁ、暑いですよ。ですが仕事着ですので」

 

そう言えば、プロデューサーさんはいつもスーツ姿だ

 

流石に暑さ対策はしているとは思うんだけど・・・・

 

プロデューサー「島村さんもあまり無理をなさらずに。倒れてしまったら元も子もありませんから」

 

卯月「はい、そういう経験をしてるんで、痛いほどわかってます・・・・」

 

プロデューサー「そうですか・・・・。私もよく失敗をしますから」

 

卯月「プロデューサーさんも失敗した事あるんですか?」

 

プロデューサー「えぇ・・・・、昔、シンデレラプロジェクトの前にアイドルプロジェクトを担当していた事があるんですが・・・・。当時は私も若手ですから、とにかく無我夢中で彼女達を一流のアイドルにしなくてはいけない、必死に頑張っていました」

 

卯月「それで、そのプロジェクトはどうなったんですか?」

 

プロデューサー「デビュー曲もヒットし、コンサートも満員御礼でした。しかし、一年足らずで消滅してしまいました・・・・。思えば、私は彼女達とコミュニケーションを上手く取れず、彼女達の意思を尊重しなかったので、彼女達の心が離れていったのでしょう・・・・。私はその失敗で暫くプロデュース業から離れていました」

 

卯月「そうだったんですか・・・・」

 

プロデューサー「しかし、何処かでもう一度プロデューサーをやりたい、という思いがありました。そして、今回シンデレラプロジェクトを立ち上げました」

 

卯月「プロデューサーさんは強いんですね。転んでも起き上がる事が出来るんですから」

 

プロデューサー「私は強くありません。シンデレラプロジェクトが始まってからも、いつも不安でいっぱいです。アクシデントはいつ起こるかわかりませんから」

 

そう言えば、プロデューサーさんとこんなに話す事は無かった

 

プロデューサーさんの過去の話も聞けて新鮮だった

 

プロデューサー「島村さん、野外のイベントの時は天気に気をつけてください。この時期は急激に変化がありますから」

 

このプロデューサーさんの忠告は翌日、現実となる

 

 




どうも、作者です

今回は卯月とプロデューサーの会話が中心となりました

プロデューサーの過去の話を書いて無かったな、と

次もよろしくお願いいたします


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サマーフェス当日

サマーフェス前日にプロデューサーと話した卯月

そして、サマーフェス当日がやって来た


サマーフェス当日

 

卯月「午後から曇り、夜はところによっては豪雨になる、か・・・・」

 

ライブは夕方からだけど、朝から準備が始まっている

 

前回は初めてだったから戸惑ったけど2回目なので準備はスムーズに出来た

 

今回はシンデレラプロジェクトのブースがある

 

グッズを見たみんなの目がキラキラしているのを忘れられない

 

だからこそ、少しでも多く売らなきゃ・・・・

 

グッズも缶バッジからTシャツまである

 

開演前にはスタッフ全員集まり、注意事項等の打合せがあった

 

スタッフ「それでは各自現場に着いてください。お客様が満足して帰られる様に頑張りましょう!」

 

私はシンデレラプロジェクトのブースに行く

 

スタッフ「開場します!」

 

お客さんがゾロゾロと入って来た

 

卯月「シンデレラプロジェクトのグッズはこちらで販売していまーす!!」

 

客「凛ちゃんのグッズはありますか?」

 

卯月「はい、こちらになります。××××円になります」

 

客「みくちゃんの猫耳のカチューシャ、ありますか?」

 

卯月「はい、こちらです」

 

客「サイリウムの電池が切れちゃったんですけど」

 

卯月「はい、電池ですね」

 

次々とお客さんがやってくる

 

忙しいけどシンデレラプロジェクトのみんなが有名になって来てるんだな、と実感する

 

ライブ前には全て完売となった

 

ちひろ「卯月ちゃん、お疲れ様です」

 

卯月「お疲れ様です。全部売れちゃいました」

 

ちひろ「卯月ちゃんが頑張ってくれたおかげですよ。それで、次はお客様からの差し入れのチェックをするので一緒に来てくれませんか?」

 

卯月「わかりました」

 

 

 

 

ちひろさんに着いていき、差し入れが置いてあるボックスの前に来た

 

ちひろ「なかには怪しい物がありますからね。アイドルに渡す前に私達でチェックするんですよ」

 

私は差し入れが入った箱を持って楽屋へと向かった

 

手紙から小包まで色んな物がある

 

アイドルごとに分けてチェックを行う

 

封がしてある物は丁寧に開けて、中身をチェックする

 

卯月「よく、カッターの刃がついてる、て聞きますけど」

 

ちひろ「たまにありますね。ライバルのアイドルに出したりとかあるみたいですよ」

 

本当にあるんだ・・・・

 

 

スタッフ「ちひろさん、雨が降って来てました!」

 

天気予報、当たっちゃった・・・・

 

ちひろ「お客様に傘を用意してください。卯月ちゃんはステージ裏に向かってください」

 

卯月「わ、わかりました」

 

私はステージ裏に向かった

 

 

 

未央「あっ、しまむー!」

 

卯月「雨、凄く降ってますね・・・・」

 

凛「お客さんが少なくなってきてる、戻ってくるかな・・・・」

 

卯月「大丈夫ですよ。本当に応援してくれていたら戻って来ますから」

 

その後、雨は無事止んで、私はモップを持ってステージの清掃をした

 

チラッと客席を見るとお客さんが徐々に戻って来ている

 

やっぱりステージから見ると景色が違う

 

ちょっとだけステージに上がれたのは少し気分が良かった 



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祭りの後

サマーフェス当日、売り子をしたり雨で濡れたステージを拭いたりとバタバタしていた卯月

サマーフェスは無事に終了した・・・・


サマーフェス終了後

 

私はステージの後片付けをしていた

 

卯月「ついさっきまで、此処でアイドルのみんなが立ってたんだ・・・・」

 

片付けが行われて、徐々に只の野外のステージへと戻って行く

 

なんだか切なさを感じる

 

みんなで騒いで楽しんだ後、一人で帰る虚しさ

 

一気に夢から現実へと戻る時のなんとも言えない気持ち

 

卯月「本当に夢みたいだったなぁ・・・・」

 

スタッフ「島村さん、この段ボール運んでください」

 

卯月「あっ!はいっ!」

 

感傷に浸っている場合じゃなかった

 

急いで片付けないと、帰りが遅くなっちゃう

 

スタッフさんの指示で、慌てて段ボール箱をトラックまで持っていった

 

 

 

卯月「ようやく終わった・・・・」

 

片付けが終わったのは0時近く

 

ママに車で迎えに来てもらい家まで帰った

 

ママ「どうだった?ライブは?」

 

卯月「ライブは直接見れてないけど、一緒の空気が吸えたのは凄く良かったよ。それに未央ちゃん達が有名になってきてるのを肌で感じ取れたのが嬉しかったよ」

 

ママ「そう・・・・。卯月が楽しんでくれればママは安心だわ。卯月がアイドルになるのを諦める、て聞いた時、心配したのよ」

 

卯月「ママもっ!?」

 

ママ「だって、卯月は真っ直ぐでがんばり屋さんだから、夢を諦めた時、グレちゃうんじゃないか、てドキドキしてたんだから」

 

卯月「ちょっ、ちょっとー!」

 

ママ「でも、思っていたより強かったのね、卯月は。すぐに新しい目標を見つけたみたいだし」

 

卯月「目標、かぁ・・・・」

 

346プロで働き始めて数ヵ月

 

最初はアイドルになる夢を捨てきれないで、少しだけアイドルのそばにいれたらいいな、て思ったけど

 

裏方には裏方なりの面白さがあって

 

関わっているアイドルがだんだんと有名になっていく事が、自分の事の様に嬉しく感じる

 

今は手伝うだけだけど、その先にある物が見つかりそうになってる

 

 

 

 

サマーフェスから数週間後

 

ちひろ「サマーフェスの事が記事になってる雑誌が届きましたよ」

 

芸能事務所には週刊誌や芸能に関する雑誌が前日には届く様になっている

 

どう扱われているかによって、仕事とか取材対応とかに影響する

 

卯月「わぁ、大きく扱われてますね」

 

ライブは好意的に書かれている

 

お客さんの感想とかレポートとか

 

パラパラと見ていると

 

卯月「あれっ!?私が写ってる!」

 

ちひろ「あら、本当ですね」

 

私が売り子をしている姿が小さいけど載っていた

 

こんな形で、好きなアイドル雑誌に載る事になるなんて・・・・

 

ちひろ「記事にも卯月ちゃんの事、書いてありますよ」

 

卯月「へっ!?ど、どこにっ!?」

 

ちひろ「お客さんの感想で『シンデレラプロジェクトの売り子さんの笑顔が良かった』、『シンデレラプロジェクトの売り子さんの対応が良かった』て。これ卯月ちゃんの事ですよ」

 

恥ずかしかったけど見てくれている人もいる、と思うとちょっと嬉しかった

 

 

 

 



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卯月、自宅を訪問される

サマーフェスは無事に終了

卯月は新しい夢を見つけつつあった


ちひろ「卯月ちゃん、今日は早めに上がって良いですよ」

 

卯月「そうですか?じゃあ失礼します」

 

ちひろさんから帰って良い、と言われたので私は家に帰る事にした

 

未央「あっ!しまむー!今、帰り?」

 

卯月「はい、今日は仕事も少ないみたいで。未央ちゃんもですか?」

 

未央「それがさぁ、今日入ってた仕事、キャンセルになっちゃったんだぁ」

 

凛「だから、何処か寄って帰ろう、て言う話になったんだ」

 

未央「そう言えば、しまむーて、どんな家に住んでるの?」

 

卯月「へ?普通ですよ。一軒家にママとパパと3人で」

 

未央「しぶりんは花屋なんだよね?」

 

凛「そうだよ。最近はファンの子が来てくれてるみたい」

 

未央「ねぇ?せっかくだからしまむーの家に遊びに行って良い?」

 

卯月「へっ!?私の家にですかっ!?」

 

未央「しまむーの部屋、興味あるし」

 

凛「未央、いきなりは失礼だよ」

 

卯月「あ、多分大丈夫ですよ。友達も遊びに来ますから」

 

未央「決まりっ!しまむーの家にレッツゴー!!」

 

未央ちゃんの提案で二人を急遽私の家に招く事になった

 

 

 

 

島村家

 

卯月「ただいま~」

 

ママ「お帰りなさい、あら?お友達?」

 

未央「初めまして、本田未央ていいます」

 

凛「渋谷凛です。いきなり訪ねてすみません」

 

ママ「初めまして、卯月の母の『美月』といいます。卯月、後でお菓子持っていくわ」

 

卯月「うん、お願いね、ママ」

 

私は未央ちゃんと凛ちゃんを部屋に招いた

 

未央「おぉ、いかにもしまむーの部屋、て感じだね」

 

卯月「そうですか?普通だと思いますけど」

 

凛「でも、アイドル雑誌があるよね」

 

卯月「アイドル目指していた頃から買っていたんです。今はシンデレラプロジェクトのみんながどんな風に記事になっているかチェックも兼ねて買ってますけど」

 

未央「へぇ~、しまむーてさ、何でアイドルになりたかったの?」

 

卯月「う~ん、物心ついた時からテレビで見ていて・・・・、キラキラしてるなぁ、て。私もなりたいな、て思ったんです」

 

未央「養成所の写真てある?」

 

卯月「ありますよ。確か此処に・・・・」

 

本棚からアルバムをとった

 

卯月「これです。養成所にいた皆と撮ったんです」

 

未央「へぇ~、あれ?これ菜々ちゃんじゃない?」

 

卯月「養成所で一緒だったんですよ。先輩なんです」

 

凛「ふーん・・・・、あれ?確か卯月と菜々ちゃんて同い年だよね?」

 

卯月「あっ!え、えーと年齢は一緒なんですけど、先に養成所に入ったのが菜々さんなんです」

 

未央「同い年なのにさん付け?」

 

卯月「あぁっ!?」

 

凛「未央、止めとこうよ。触れてはいけない部分みたいだし」

 

未央「そうだね。止めとこうか」

 

二人とも察してくれてありがとう・・・・

 

 

 

 




どうも、作者です

卯月の母親、こちらで『美月』とつけさせてもらいました


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卯月のルーツ

未央の思いつきで、突然自宅を訪問された卯月


未央「そう言えば、しまむーて絶対お母さん似だよね」

 

凛「うん、そっくりだよ。私もお母さん似なんだけど」

 

卯月「よく言われます」

 

未央「髪の毛長かったら、どっちがしまむーかわからないよ」

 

言われてみれば確かにそうだなぁ

 

友達からも『私のママ、てすぐにわかる』て言われた事もある

 

コンコン

 

美月「卯月、お菓子とジュース、持って来たわよ」

 

卯月「ありがとう、ママ」

 

ママがお菓子とジュースを持って来てくれた

 

美月「未央ちゃんと凛ちゃんはアイドルをやってるの?」

 

凛「はい、ニュージェネレーションズて言うユニットを組んでます」

 

未央「しまむーのママもアイドルを目指していた事あるんですか?」

 

美月「私は無いわよ。でも、アイドルは好きだったわ。一時期、真似していた事もあるわ。自主製作でCDも出した事あるから」

 

へぇ~・・・・

 

・・・・あれ?

 

卯月「ママ!今、何て言ったのっ!?」

 

美月「え、だからアイドルの真似事をしていた事がある、て」

 

卯月「私初耳なんだけどっ!?」

 

美月「そう言えば言って無かったわね。私もすっかり忘れてたわ」

 

未央「しまむーのママ、アイドルだったんだ・・・・」

 

美月「アマチュアよ。大学生の時にアイドルサークルに入ってて、四年間だけやってたのよ。あくまで身内受けだったんだけど」

 

卯月「それも初めて聞いたっ!!」

 

凛「卯月が取り乱す姿、初めて見たよ・・・・」

 

 

 

 

数分後

 

美月「これが大学時代の私」

 

未央「わぁ、やっぱりしまむーそっくり」

 

ママの衝撃的な告白の後、ママはアルバムと一枚のCDを持って来た

 

写真には若い頃のママが写ってる

 

私と同じ髪型をしていて確かに私とそっくりだ

 

凛「でも、何でアイドルをやってたんですか?」

 

美月「当時の先輩にスカウトされたのよ。理由が『笑顔がいいから』て。確か、その先輩、お爺さんが芸能事務所を経営していて、将来はプロデューサーになる、て言ってたわね。その一環で私に声をかけたみたい」

 

未央「で、これが自主製作したCDですか」

 

美月「私をイメージして作ってくれたそうよ」

 

卯月「そうなんだ・・・・」

 

ジャケットにはシンプルにタイトルとママの名前が書かれている

 

美月「あの時は、学祭のステージにも上がったし楽しかったわ・・・・」

 

卯月「ママは何でプロにならなかったの?」

 

美月「一応、スカウトされた事もあるけど・・・・、そんなに甘くないのはわかっていたし、両親からも反対されたから。だから、卯月がアイドルになりたい、て言った時、やっぱりこの子は私の子なんだなぁ、て思ったわ」

 

初めて知ったママの昔の話

 

ママが一時期アマチュアだけどアイドルをやっていた事

 

自主製作ながらCDを出していた事

 

私がアイドルになりたい、て言った時反対しなかった理由がようやくわかった

 

 

 

 

未央ちゃん達が帰った後、私は改めてママに聞いた

 

卯月「ママ、何で黙ってたの?」

 

美月「う~ん、忘れてた事もあるけど、なんだか私の夢を娘に託すのが嫌だったのよ。卯月は卯月の人生を歩めば良いんだから」

 

卯月「ママは、今幸せ?」

 

美月「幸せよ。家族で一緒にいられる事が一番幸せよ」

 

 

 

その日の夜、私はママのCDを聞いた

 

歌は、下手でもないけど、ちょっと上手い

 

それよりも歌詞が凄く良い

 

ママをイメージしたらしいけど私にもぴったりくる

 

改めてタイトルを見る

 

『S(mile)ING!』

 

この曲は私にとっての大事な曲になる

 

 

 

 

 




どうも、作者です

オリジナル設定としまして

・卯月の母、美月は大学生の時にアマチュアでアイドル活動をしていてCDを作った事がある

・『S(mile)ING!』は美月の歌である

とさせて頂きました


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ある出逢い

自分の母がかつてアマチュアながらアイドルをやっていた事を知った卯月




ママの告白は正直ビックリした

 

気になったのはママをスカウトした、という当時の大学の先輩の事

 

お祖父さんが芸能事務所を経営している、て言っていたから結構大きな事務所だと思う

 

少し考え事をしながら346プロに入っていたら

 

ドンッ!

 

卯月「ひゃっ!?ご、ごめんなさいっ!!考え事をしてましたっ!!」

 

?「・・・・うちの社員か?」

 

私がぶつかったのはスーツ姿の女性だった

 

卯月「あ、あの事務アルバイトの島村卯月です」

 

?「島村・・・・」

 

卯月「本当にすいませんでした」

 

私は謝りながらその場を後にしようとした

 

?「待て」

 

卯月「は、はい?」

 

?「アルバイトでもわが社の社員だ。身だしなみには気をつけなさい」

 

そう言って、服を正してくれた

 

卯月「ありがとうございます」

 

?「1つ聞きたい事がある。母親の名前は?」

 

卯月「へ?美月ですけど・・・・」

 

?「やはりか・・・・」

 

部下「常務、そろそろ・・・・」

 

えっ!?この人、常務だったの!?

 

常務「わかった。島村卯月、と言ったな」

 

卯月「は、はいっ!!」

 

常務「美月によろしくと言っておいてくれ」

 

・・・・え?

 

常務さんはママを知ってる?

 

もしかして、ママをスカウトしたのは・・・・

 

聞く暇もなく常務さんは行ってしまった

 

 

 

ちひろ「確か、『美城常務』は最近までアメリカの系列会社に行ってらっしゃったんですよ。今回、アイドル部門の統括重役になったんですよ」

 

卯月「それってシンデレラプロジェクトのみんなにも影響が出てくるんでしょうか?」

 

ちひろ「少なからず影響は出てくると思いますよ。346プロには多くのアイドルが所属してますけど、なかなか結果が出るのに時間がかかってるんです。今勢いがあるのは765プロですからね」

 

そうなんだ・・・・

 

シンデレラプロジェクトはどうなっちゃうんだろう

 

 

 

数日後

 

美城常務からの今後の方針として、現在進めているアイドルプロジェクトは解体して全て白紙、新たなプロジェクトが立ち上がる事になった

 

みく「せっかく順調に仕事してきたのに・・・・」

 

みりあ「みりあ達、どうなっちゃうんだろう?」

 

シンデレラプロジェクトルームも地下に移動する事になった

 

プロデューサー「申し訳ありません。私も何とか常務に交渉していきますので・・・・」

 

凛「私達はプロデューサーを信じるしかないよ」

 

未央「そうそう、プロデューサーが何とかしてくれるって。私達は私達のやれる事をやろうよ」

 

卯月「私もサポートしますから」

 

未央「ありがとね、しまむー」

 

私のやれる事て言ったら限られているけど、出来る限り応援していこう

 

 

 

 



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変化が起きる時

美城常務により、シンデレラプロジェクトを含むアイドルプロジェクトは白紙、新たなプロジェクトを立ち上げる、と通達があり激震がおこる346プロダクション

そして、卯月は・・・・


シンデレラプロジェクトルームが地下に移動して数日が経過

 

シンデレラプロジェクトのみんなは変わらず仕事をこなしているけど、どこかしら不安を感じている

 

プロデューサーさんは常務と交渉をしているみたいだけど、なかなか上手くはいかないみたい

 

卯月「プロデューサーさん、大丈夫ですか?」

 

プロデューサー「えぇ、何とか・・・・。常務も決して独断的な方では無いので、こちらが対案を出せば・・・・」

 

卯月「常務さんは、何で白紙にする、なんて・・・・」

 

プロデューサー「商売だからですよ。やはり、効率的に売り出す方がコストがかかりませんからね。その為には『才能重視』の方が一番なのでしょう。しかし、それではアイドルとしての個性が無くなってしまう危険性がある。それは私のやり方と反します。少しでも輝くものがあればそれを伸ばすのが私の方法です」

 

卯月「輝く物・・・・」

 

プロデューサー「私がシンデレラプロジェクトを立ち上げたのはそれも理由の1つです」

 

その後、プロデューサーさんは『シンデレラの舞踏会』というライブを提案、冬までに一定の成果を出す事を条件に自由裁量権を得る事が出来た

 

でも、それは冬までに結果を出さないとシンデレラプロジェクトは解体、下手したらプロデューサーさんの今後にも影響が出てくるかもしれない

 

つまりは『シンデレラの舞踏会』は、一種の『賭け』である

 

 

 

346カフェ

 

菜々「一体どうなっちゃうんでしょうねぇ・・・・」

 

美嘉「菜々ちゃんは、すぐにキャラ変なんか言い渡されるんじゃないの?」

 

菜々「なっ!?菜々はキャラじゃないですぅっ!!」

 

私は美嘉ちゃんと菜々さんと話していた

 

美嘉「卯月ちゃんは影響は無い?人事異動とか」

 

卯月「私はアルバイトだから、影響はまだ・・・・。美嘉さんはどうするんですか?」

 

美嘉「私はさ、今はアイドルを辞めるつもりはないけど・・・・、正直このままで良いのかな~、何て思っちゃう」

 

菜々「将来なんてわかりませんからね」

 

美嘉「そうそう、私も新しい事始めた方が良いのかな~、て。でも自分のスタイルを曲げる訳にはいかないし・・・・」

 

卯月「莉嘉ちゃんも見てますからね」

 

美嘉「それが結構プレッシャーなんだよね。莉嘉は過大評価してるからね」

 

苦笑いをする美嘉ちゃん

 

 

?「美嘉ちゃん、菜々さん」

 

美嘉「あっ、『楓』さん」

 

美嘉さん達に声をかけてきたのは『高垣 楓』さん

 

確か元モデルで、神秘的な魅力がある人だ

 

楓「あら、貴女は島村卯月ちゃんね?」

 

卯月「あっ!はいっ!!島村卯月です、て何で私の事を?」

 

楓「シンデレラプロジェクトのメンバーから聞いてるから」

 

未央ちゃん達、何言ってるんだろう・・・・

 

美嘉「楓さんは今日はオフ?」

 

楓「そうなの。だから菜々ちゃんを誘いに」

 

菜々「いや、あの、誘ってくれるのは嬉しいですけどっ!此所で誘うのはちょっと!」

 

菜々さんがアタフタしてるのを見て察した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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変わるべき事、変わらない事

アイドル部門の改革に複雑な心境を見せるアイドル達

そんな中、卯月は高垣楓と出会う


美嘉「楓さんは、今回の改革はどう思ってるの?」

 

楓「う~ん・・・・、変化は必要だけど強制的に行われるのは変か?なーんて・・・・」

 

・・・・え?今のダジャレ?

 

楓さんて、こういう事言う人なの?

 

菜々「こういう時にかましてくるのは流石、というか・・・・」

 

楓「深く考えてもしょうがないわ。私達はやる事をやるだけよ」

 

美嘉「そう言えば、楓さんて、シンデレラプロジェクトのプロデューサーと仲が良いんだよね?」

 

卯月「え、そうなんですか?」

 

楓「そうよ。あの人が私を346プロにスカウトしてくれたのよ」

 

プロデューサーさんがスカウトしたんだ・・・・

 

楓「私は前の事務所にいた時はモデルをやっていたの。ただ、事務所の方針で『笑わない』モデルとしてやっていたのよ。神秘的に見せようとしたんじゃないかしら」

 

確かに見た目、オッドアイの目は神秘的に見える

 

楓「ただ、ずっと悩んでいたのよ。このままモデルとしてやっていけるのか、て。そんな時にプロデューサーからスカウトの話がきたの。裏で色々交渉してくれて穏便に異動出来たのよ」

 

菜々「事務所異動となると色々トラブルがありますからね」

 

楓「私としては、グッドタイミングだったわ。おかげで仕事で大好きな日本酒も飲めるし」

 

美嘉「そっち!?」

 

卯月「あの、ダジャレを言う様になったのは?」

 

楓「私なりのイメチェン、て言う所かしら。たまたまプロデューサーが私が言ったダジャレに笑ってくれたから」

 

えっ!?あの、プロデューサーさんが?

 

なんか意外な感じがする・・・・

 

楓「卯月ちゃんはプロデューサーさんと親しいの?」

 

卯月「親しい、というか・・・・。シンデレラプロジェクトのみんなと仲が良いので、お手伝いとかさせてもらってます」

 

楓「そう、彼女達も大変だけどプロデューサーさんが着いてくれてるなら大丈夫だと思うわ」

 

楓さん、プロデューサーさんの事、信頼してるんだ・・・・

 

 

 

 

未央「えっ!?あの、楓さんと話せたの?」

 

卯月「はい、意外と面白い人でしたよ」

 

凛「大人の女性、て感じがするよね」

 

私は楓さんと出会った事を未央ちゃん達に話した

 

未央「私達もさぁ、変わんないといけないのかな?」

 

凛「必要だったらね。無理に変わろうとしても駄目なんじゃないかな?」

 

未央「う~ん・・・・」

 

未央ちゃんも凛ちゃんも色々悩んでいるみたい

 

 

 

 

島村家

 

卯月「ママ、美城常務さんて、どういう人なの?」

 

美月「どういう人、て言われても・・・・、凄く真面目な人よ。勿論、厳しい部分もあったけど」

 

卯月「ふーん、何でママをスカウトしたんだろう?」

 

美月「『笑顔がいいから』て言われたわ。『笑う事は誰でも出来る、しかし、君の笑顔は人を魅力する』て」

 

へぇ・・・・

 

ん?それって『個性』て事?

 

プロデューサーさんと同じじゃないかな?

 



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常務の思い

楓からプロデューサーの昔の話を聞いた卯月

更に母親から常務の昔の話を聞き卯月は昔の常務とプロデューサーは同じ考えでは無かったのか、と思う


ちひろ「卯月ちゃん、この資料を会議室に持っていって下さい」

 

卯月「わかりました」

 

私はちひろさんに頼まれて会議室に資料を持っていった

 

卯月(常務さんのプロジェクト関連の資料かな?)

 

大切な資料みたいなので余り見ない様にする

 

卯月「失礼します」

 

ノックして会議室に入って資料を机の上に置いていく

 

 

ガチャリ

 

卯月「あっ!常務さん・・・・」

 

常務「島村卯月か・・・・、会議の手伝いか、ご苦労だな」

 

いきなり入って来た常務さんに驚きの声をあげてしまった

 

そんな私に目もくれず常務さんは資料のチェックをしている

 

卯月「あの、ママから聞きました・・・・。ママをスカウトしてCDを作ってくれたのは常務さん、ですよね。曲も聞きました。凄く良い曲でした」

 

常務「・・・・たまにあの頃が懐かしく思う時がある」

 

ボソッと常務さんが呟いた

 

常務「美月は、あのCDを持っているのか?」

 

卯月「はい、大事な曲、て言ってました」

 

常務「そうか・・・・。あの曲は私が初めて作った曲だ。あの頃は経営や利益なんて考えずにただ、サークルのメンバーで楽しくやっていた」

 

懐かしそうな顔をしていた

 

卯月「なんで、ママをスカウトしたんですか?」

 

常務「彼女、島村美月は笑顔がいつも似合っていた。笑う事なら誰でも出来るが、私は美月の笑顔に言葉には出来ない何かを感じた。だからスカウトしアイドルとして育ててみよう、と思った。あくまで実験として」

 

卯月「実験、ですか?」

 

常務「私のやり方でアイドルとして育てれるかどうか、だ。美月はそれなりの実積を作ってくれた。しかし、実際に経営側に回ると状況がガラッと変わる。会社である以上、利益を出さなければならない。その為には、無駄を省き効率よく売り出さなければならない・・・・」

 

私は常務さんの話を黙って聞いていた

 

常務「アイドルでいる期間は短い。私は彼女達の人生を無駄にしてもらいたくない」

 

常務さんも常務さんなりにアイドルについて考えているんだ・・・・

 

常務「島村卯月、君はアイドルに未練はあるのか?」

 

卯月「・・・・未練は無い、て言ったら嘘になります。だけど、それを言っていたら前に進めなくなる様な気がして」

 

常務「そうか、人生は長い。自分が納得出来る答えを見つけるべきだ」

 

自分の答え・・・・

 

 

 

 

ちひろ「常務とそう言う話をされたんですか」

 

卯月「はい、私常務さんがそんなに悪い人ではない、と思うんです」

 

ちひろ「厳しい方ですけどアイドルを思っていますからね」

 

卯月「そうですよね」

 

何が正しいなんかはわからない



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卯月、ウサミン星へ行く

常務から母親の話、そしてアイドルに対しての思いを聞いた卯月




常務さんの改革はアイドル達に大きな混乱を招いた

 

楓さんは、大きな仕事を受けたそうだけど断った

 

美嘉さんは、化粧品ブランドのCMが決まって悩んだみたいだけど、『自分らしさ』を忘れなかったおかげで何とか乗り切ったみたい

 

そして、菜々さんも・・・・

 

 

 

卯月「確かこの辺りのはずなんだけど・・・・」

 

私は菜々さんが住んでいるアパートの近くに来ていた

 

養成所時代に何回か来た事あるので、引っ越してなければ合ってると思うんだけど・・・・

 

卯月「あっ、あのアパートだ」

 

私はアパートを見つけ、菜々さんの部屋の前に来た

 

ピンポーンとインターフォンを鳴らす

 

卯月「卯月です。菜々さんいますか?」

 

ガチャリ

 

菜々「あぁ、卯月ちゃん、いらっしゃい」

 

いつもの菜々さんでは無く、ジャージ姿の菜々さんの姿があった

 

 

 

 

所謂昔ながらのアパートの一人暮らしの部屋

 

これが菜々さん曰く『ウサミン星』だ

 

菜々「卯月ちゃんは養成所時代にたまに来てくれましたよね?」

 

卯月「そうですね、最初はビックリしましたよ」

 

菜々「プロデビュー出来たら引っ越そうと思ってたんですけどね、なかなか難しくて・・・・、もう結構住んでますよ」

 

苦笑いしながらお茶を出してくれる菜々さん

 

卯月「常務さんの命令により『ウサミン星人』を名乗るのを禁止された、て聞いたんですけど」

 

私はちひろさんからその話を聞いて、菜々さんの事が心配になって来た

 

菜々「まぁ、遂に来たか・・・・、て感じですね。年相応の落ち着いた雰囲気を出した方が良いんじゃないか、て言われちゃって・・・・」

 

年相応と言われても『ウサミン』は養成所の頃からやっていた

 

いきなり『止めろ』と言われてどうしょうもない話なんだけど・・・・

 

菜々「小さい頃に見ていた魔女っ子アニメの影響でアニメに興味を持って、更にテレビの中で輝くアイドルに憧れる様になって、結果自分でウサミンて言うキャラを作って・・・・はやウン年ですよ。一緒にメイド喫茶で働いていた同期の子達は結婚して下手したら子持ちですよ・・・・」

 

何処か遠い目をする菜々さん

 

菜々「勿論キャラなんて永久に続く訳じゃ無いのはわかっていますよ。でも・・・・」

 

菜々さんの中には色々な想いがあるみたいだ

 

菜々「今度のイベントどうしようかな、て思ってるんです」

 

卯月「う~ん、菜々さんのファンが当然来るんですよね?」

 

菜々「そりゃあ勿論」

 

卯月「だったらファンの皆さんが菜々さんに何を求めているか、じゃないでしょうか?」

 

菜々「菜々のファンが・・・・」

 

 

 

 

イベント当日、最初はウサミンを封印していたけど、ファンの声が菜々さんの背中を押して途中からウサミン星人を解放、イベントは盛り上がった

 

それはみくちゃんにも影響を与えたみたいで、みくちゃんは菜々さんの事を尊敬するようになった



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卯月、進路に悩む

菜々の事を心配して『ウサミン星』へ行ってきた卯月

その後のイベントで吹っ切れた菜々を見て安心した卯月だった


担任「一週間後に提出するように」

 

クラス中からため息や『どうしよう・・・・』みたいな声が漏れてくる

 

私も当然、ため息をつく

 

手にしているのは『進路希望届』

 

人生の選択が目の前にやって来た

 

 

 

346プロ

 

未央「進路かぁ、進学か就職か、悩む所だよねぇ」

 

卯月「そうなんですよ・・・・」

 

凛「卯月は具体的な進路は決めてるの?」

 

卯月「一応、進学を希望してるんですけど・・・・、お金もかかるし」

 

私がアイドルになっていれば悩む問題では無かった

 

・・・・多分、別の所で悩んでいたかもしれないけど

 

でも、現実は普通の高校生だ

 

進学となるとやっぱりお金がかかる

 

就職は出来ると思うけど限られてくる

 

正直悩む

 

凛「卯月の悩む理由もわかるよ。私も正直、アイドルとしてこのままで良いのかな、て思う時もあるよ」

 

未央「私もだよ。CD出してライブ出てテレビ出て嬉しい反面、将来どうなるんだろう?てちょっと不安になっちゃうよ」

 

 

?「わかるわ」

 

へ?

 

?「ごめんなさいね、3人して不安そうな顔をしてるから思わず声をかけちゃった」

 

凛「もしかして『川島瑞樹』さんですか?」

 

瑞樹「そうよ♪」

 

川島瑞樹さん、確か元は地方局のアナウンサーをやっていた、という異色の経歴を持っている

 

瑞樹「人生の進路に悩むのは当然の事よ。私も悩んでいた事あるから」

 

卯月「川島さんて、元はアナウンサーなんですよね?」

 

瑞樹「ええ、地方局のね。元々アナウンサーになるのが夢で入社当時は自分なりに頑張ってきたけどね、まぁ自分の限界を知っちゃったのよ。これ以上アナウンサーとしての実力は上がらない、て思っちゃって。その時に346プロに声をかけられたのよ。しかもアイドルとして」

 

凛「アイドルになる事に、その躊躇いは無かったんですか?」

 

瑞樹「躊躇いは無かったわよ。周りからは色々言われたけど。でもね、それよりも新しい自分を見つかるかもしれない!て言うワクワク感の方が強かったのよ。二十歳越えてアイドルなんて呆れるかもしれないけど、周りから反対されるほど燃えるタイプなのよ」

 

瑞樹さんの話を聞いていて、何だかちょっと気持ちが軽くなった様な気がした

 

それは凛ちゃんや未央ちゃんも同じみたい

 

後日、凛ちゃんはアーニャちゃんと共に『プロジェクト・クローネ』に参加、未央ちゃんはソロ活動を始める事になった

 

そして、私は進路希望届に『進学』と書き第一志望にママや美城常務の母校の大学を書いた

 

 

 

後日、三者面談が行われた

 

担任「島村さんは、進学で良いんですね?」

 

卯月「はい!大学に入って色々勉強して卒業出来たら芸能関係の仕事に就きたい、と思っています」

 

担任「芸能関係というと?」

 

卯月「えっと・・・・、スタッフとしてです。アイドルを輝かせる様な仕事がしたいんです」

 

担任「なるほど、お母様はどうですか?」

 

美月「娘が決めた事なので、私は娘を支えていきたい、と思っています」

 

担任「わかりました。じゃあその進路で進めていきましょう」

 

私の進路は決まった

 



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自分の可能性

進路に悩んでいた卯月

たまたま出会った川島瑞樹の話を聞いた卯月は進学を決める


公に新たなアイドルプロジェクト『プロジェクト・クローネ』が発表された

 

メンバーは凛ちゃんやアーニャちゃんの他に『神谷 奈緒』、『北条 加蓮』『速水 奏』、『塩見 周子』、『宮本 フレデリカ』、『鷺沢 文香』、『大槻 唯』、『橘 ありす』というメンバー

 

見た感じシンデレラプロジェクトのみんなよりもちょっとクールな感じがする

 

ただ、マスコミに発表する時の準備が大変だった

 

プロフィールやらイメージ写真やら用意しなきゃいけない物があったし

 

発表された後も問合せがあった

 

やっぱり凛ちゃんやアーニャちゃんが参加する、という事もあり『シンデレラプロジェクトはどうなるんだ?』とか、中には見当違いな意見もネットに書かれていたりして、他人事ながら新しい事を始めるのは大変だなぁ、と思った

 

さて、大学に進学する事を決めた私は、ちひろさん達に相談してアルバイトの時間を少なくさせてもらい、その分、受験勉強の方に力を入れさせて貰うようにした

 

美波「卯月ちゃん、進学する事にしたんだ」

 

卯月「はい、今の学力だとギリギリなんですけど・・・・」

 

先生からはもう少し勉強すれば合格出来る、と言われた

 

美波「良かったら、勉強見ようか?私も資格の勉強しなきゃいけないから」

 

卯月「良いんですか?アーニャちゃんがクローネに参加して大変な時期なのに?」

 

美波「大丈夫よ、それに私もアーニャちゃんに負けていられないから」

 

やっぱり凛ちゃんやアーニャちゃんがクローネに参加している事が少なからず影響をしているみたい

 

この日から美波さんに時間が空いた時に勉強を見てもらう事になった

 

 

 

暫くしてオータムフェスの時期がやって来た

 

今回のオータムフェスは各部署の査定会も兼ねていて、いくら冬迄に結果を出さなきゃいけないにしても、まずは中間報告としてシンデレラプロジェクトも参加する事になった

 

そうなると問題は凛ちゃんとアーニャちゃんだ

 

二人はクローネでの参加が決まっている

 

そうなると、ニュージェネとラブライカは一人ずつになってしまう

 

プロデューサーさんは苦肉の策として、未央ちゃんと美波さんのユニットを作る事で対応した

 

で、私は今回も売り子として参加した

 

流石に三回目なのでもう慣れてきた

 

ただ、明らかに今までと違う点が出てきた

 

以前、アイドル雑誌に私の写真が載ったせいか、話題になって私を目当てにするお客さんが明らかに増えた

 

握手を求められたり、サインが欲しい、とか・・・・

 

私、アイドルじゃないのにな・・・・

 

ちひろさんは『卯月ちゃんが嫌ならこちらで対応しますよ』て言ってくれた

 

でも、シンデレラプロジェクトのみんなの為になるなら、と笑顔で対応した

 

勿論シンデレラプロジェクトの宣伝も忘れない

 

そう言う事もあってシンデレラプロジェクトのグッズは無事に完売した

 

 

 

 



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卯月、インタビューを受ける

オータムフェスが開催され売り子として参加した卯月

いつの間にか『シンデレラプロジェクトの売り子』として有名になっていたのだった


オータムフェス終了から数日後

 

山本さんから会議室に来て欲しい、と言われた

 

私、何かしたのかな?とちょっと不安になった

 

卯月「失礼します」

 

山本「悪いね、仕事中に」

 

会議室には山本さんともう一人の男性がいた

 

山本「紹介するよ。彼はアイドル専門のライターの『小柳』と言ってかつては私の部下だったんだ」

 

小柳「どうも、小柳と言います」

 

小柳さんは私に名刺を渡した

 

卯月「島村卯月です。あの、ライターさんが私に何か・・・・」

 

小柳「実は今、ネットで卯月さんの事が話題になってましてね・・・・」

 

そう言って私にタブレットを見せてくれた

 

そこには書き込みで

 

『シンデレラプロジェクトの売り子の子、笑顔が良いな』

 

『頑張ってる感がスゴい。けど悪くない』

 

『あの子がアイドルじゃないのが信じられない!』

 

卯月「これ、全部私の事ですか?」

 

小柳「はい、ネットでここまで良い評判が上がるのは珍しいですよ。それで、インタビューさせてほしいんです」

 

卯月「えぇっ!?わ、私がですかっ!?アイドルじゃないのにっ!?」

 

思わず驚きの声をあげた

 

小柳「実は、こういう連載をやっていまして・・・・」

 

カバンからある雑誌を取り出した

 

それは私が定期的に購読しているアイドル雑誌だった

 

ページを巡りある記事を見せた

 

タイトルは『アイドル残酷物語』

 

卯月「あっ!?私、この連載好きで読んでますよ」

 

小柳「本当ですか?ありがとうございます」

 

アイドルのグラビアやインタビューがメインの中で、この連載は異質だ

 

書かれているのは、リアルな実態、アイドルを襲ったトラブルやスキャンダル、メジャーを目指して頑張っている地下アイドル等、アイドルのもう一つの姿を描いている

 

小柳「山本さんが言いましたが、私は346プロでアイドル関連の仕事をしていた事があります。嫌というほど現実を見てきました。聞けば卯月さんもアイドルを目指していだけども自ら終止符をつけた、と聞きました。これもアイドルの一つの真実だと思います」

 

卯月「それで、私ですか?」

 

小柳「はい、勿論匿名でも構いません」

 

卯月「良いですよ。私の話で良かったら話しますよ」

 

小柳「そうですか!ありがとうございます」

 

私はアイドルに憧れた頃の話

 

アイドルを夢見て養成所に入りオーディションを受けた話

 

オーディションで失敗した話

 

落ち続けて凹んだ話

 

結局、諦めた話

 

今はスタッフとしてシンデレラプロジェクトの皆を応援している話をした

 

山本さんは、黙って話を聞いていた

 

時間にしては短くかんじた

 

小柳「ありがとうございました。インタビューはこれで終わりです」

 

卯月「こちらこそありがとうございました。・・・・私、変な事、話してませんよね?」

 

小柳「大丈夫ですよ。凄く良い記事にしますから」

 

 

 

 

数週間後、雑誌は発売され、私の記事がのっていた

 

全体的にはマイナスな事は書かれていなくて安心した

 

そして、記事はこう締められていた

 

『今まで色んな人々にインタビューしてきたが、ここまで前向きにアイドルになれなかった自分と向き合う少女はいなかった。彼女の歩む未来はきっと明るいだろう・・・・』

 

 



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思わぬ反響

アイドル専門のライターから取材を受けた卯月

卯月は今の本音をさらけ出した

後日、記事は載った

その記事は卯月の前向きさを出せた記事だった


未央「しまむー!読んだよ、あの記事」

 

卯月「あ、読みましたか?何だか恥ずかしいですね・・・・」

 

凛「そんな事無いよ。卯月の良さを凄く出してるよ」

 

未央「うんうん、しまむーの純粋さが凄く出てるしさ、アイドルに対する想いとかも伝わってくるよ」

 

杏「この記事書く人、結構ドライな感じがいつもするけど、今回だけは温かい感じがするんだよね」

 

みく「みく達も卯月チャンの想いに答えないといけないにゃ!」

 

みんな、それぞれ感想を持ってくれている

 

因みに記事には私の名前は出ていない

 

イニシャルの『U.S』で出ている

 

それでもわかる人にはわかるみたいで、同期生もすぐに私だ、とバレた

 

まぁ、自分から話している部分もあるので当然かな、と思う

 

 

 

 

慶「養成所でも話題ですよ」

 

卯月「そ、そうなんですか?」

 

トレーナーさんこと『青木 慶』さんから記事の事が話になった

 

慶「えぇ、『私達も悔いを残さない様に頑張ろう!』て、より真剣にレッスンに励む様になりましたよ。前みたいにすぐ辞める人達は減りましたよ」

 

私と一緒に入って来た人の中には、一回オーディションを受けて不合格になって辞めちゃった人達も少なくはない

 

菜々「菜々も読みましたよ。卯月ちゃんの良さが出ていて良かったですよ。やっぱり何事も真っ直ぐにやり抜く事が大事ですよね」

 

慶「菜々さんの事も養成所では語り草になってますよ。菜々さんは養成所に長くいましたからね」

 

菜々「なっ!?そんなに長くはいませんよぉっ!」

 

私の事を知らない人にも影響は出てるんだ・・・・

 

マスコミの力て凄いなぁ

 

自分の事なんだけど、他人事に思えてしまう

 

暫く私の事を書いた記事は話題になっていた

 

 

 

そんなちょっとした騒ぎが落ち着いた頃

 

卯月「お茶を持ってきました」

 

プロデューサー「ありがとうございます」

 

この時、舞踏会まで残りわずか

 

大体の準備が出来上がっていた

 

卯月「舞踏会まであと少しですね」

 

プロデューサー「えぇ、何とかクローネの皆さんにも協力していただけますから」

 

卯月「成功すると良いですね」

 

プロデューサー「そうですね・・・・」

 

その時、私は鼻唄を口ずさんでいた

 

プロデューサー「島村さん、今の歌は?」

 

卯月「へっ!?あっ!!聞こえちゃいましたか・・・・、これ、ママの歌なんです」

 

プロデューサー「島村さんのお母様はアイドルをやられていたんですか?」

 

卯月「いや、そうじゃなくて・・・・」

 

私はママと常務の大学の頃の事を話した

 

プロデューサー「なるほど・・・・、島村さん、そのCDはお持ちでしょうか?」

 

卯月「はい、家にありますよ」

 

プロデューサー「持って来て頂けないでしょうか?」

 

卯月「良いですよ?」

 

翌日、私はプロデューサーさんにCDを渡した

 

プロデューサーさんは、CDを聞き何度も頷いていた

 

プロデューサー「島村さん、この曲を預からせてもらえませんか?」

 

卯月「へ?良いですけど・・・・」

 

この時、プロデューサーさんが何を考えているのかわからなかった

 

 



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卯月、如月千早と出会う

ある日の休日

 

私はジャージ姿で近所の土手を走っていた

 

アイドルを目指していた時からの日課で、今も続けている

 

河川敷には草野球の試合をやるんだろうか、ユニフォームを着た人達が集まっている

 

走った後は河川敷に降りて余り人気の無い場所でボイストレーニングをやっていた

 

流石に今はやっていないけど・・・・

 

卯月「あれ?」

 

ボイストレーニングをやっていた場所で、青色のジャージを着た子が同じくボイストレーニングをやっている

 

蒼く長い髪に歌声は明らかにプロだった

 

思わず聞き惚れてしまう

 

その顔がはっきりとわかった時、思わず声をかけてしまった

 

卯月「あの・・・・、もしかして『如月千早』さんですか?」

 

?「え?そうですけど・・・・」

 

卯月「すいません、声をかけてしまって・・・・、私、島村卯月て言います」

 

千早「島村卯月さん?346プロの?」

 

卯月「はい!あっ、でもアイドルじゃなくて只の事務員のアルバイトなんですけど・・・・」

 

千早「・・・・なるほど、春香が気にしているはずだわ」

 

千早さんはクスッと笑った

 

 

 

 

千早「デビューした頃から、毎日の日課でトレーニングに来ていたのよ。最近は忙しくて来れなかったんだけど、時間があったから今日は久しぶりに来てみたの」

 

卯月「そうなんですか、私も良く来ています。あの、春香さんから私の事聞いたんですか?」

 

千早「春香が勝手に言い出したのよ。『この記事に載っているのは私の知り合いだよ』て」

 

あぁ、あの記事の事か

 

春香さんも読んだんだ

 

千早「夢を諦める、て大変な選択だけど後悔はしてなくて前向きだ、て春香が言ってたわ」

 

卯月「あはは、そんな立派な話じゃないですよ」

 

千早「きっと昔の春香と重ねていたのよ。似てるから」

 

卯月「に、似てますか?」

 

千早「私は似てると思うわよ。純粋で真っ直ぐで自分の事より他人を心配して・・・・。今も変わらないけど」

 

何だか私の事、言われてるみたい・・・・

 

卯月「千早さんも同じ場所でトレーニングしていたなんてビックリしました」

 

千早「デビュー当時はお金も無いし、仕事もそんなに無かったからトレーニングする時間は余るほどあったわ。あの頃は歌う事しか考えて無かったから・・・・」

 

卯月「でも、今はアメリカでもレコーディング出来るんですよね」

 

千早「ありがたい話なんだけど・・・・、たまにデビュー当時を思い出す事があるわ。あの頃は色々あったけど、皆で協力したり騒いだり楽しかったわ。今はなかなか皆が集まる機会は少なくなったんだけど」

 

千早さんは懐かしそうな目をする

 

 

 

 

 



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卯月、765プロを訪問

ある日の休日、偶然、如月千早と出会った卯月は・・・・


千早「島村さんは、この後予定はあるの?」

 

卯月「いいえ、今日はお休みですから」

 

千早「良かったら事務所に来ない?春香はいないけど」

 

卯月「へっ!?い、良いんですかっ!?私、346プロの関係者ですよ!?」

 

千早「うちはそういう事に関しては壁が無いから大丈夫よ」

 

これが私がアイドルだったら変な噂を立てられてるんだろうなぁ・・・・

 

せっかくのお誘いなので私は765プロに行く事にした

 

 

 

765プロダクション前

 

千早「ここがうちの事務所よ」

 

卯月「へぇ~・・・・」

 

私はちょっと言葉を失った

 

346プロの様な立派なビルでは無く、小さなビルで一階は居酒屋になっている

 

千早「驚くでしょうね。トップアイドルが所属している事務所とは思えないでしょう」

 

卯月「え~と、そうですね・・・・」

 

苦笑いするしか無かった

 

凛「あれ?卯月?」

 

卯月「へ?凛ちゃん?」

 

花束を持った凛ちゃんが突然現れたのはビックリした

 

卯月「なんで凛ちゃんが?」

 

凛「家の手伝いだよ。なかなか忙しくて実家の手伝いが出来ないから・・・・」

 

凛ちゃんが固まった

 

千早さんに気づいたみたいだ

 

千早「346プロの渋谷凛さんね。はじめまして、如月千早です」

 

凛「あ、あの、え~と・・・・、し、渋谷凛です・・・・、て言うかなんで卯月が一緒にっ!?」

 

凛ちゃんが慌ててふためく姿を初めて見た

 

未央ちゃんが見たら弄るんだろうなぁ・・・・

 

 

 

 

765プロ内

 

凛「う、卯月、私此処にいて良いのかな・・・・?」

 

卯月「しょうがないですよ・・・・。せっかく誘ってもらったんですから」

 

あの後、凛ちゃんを落ち着かせて一緒に765プロに入った

 

今は事務所の応接室にいる

 

?「どうぞ、お茶です」

 

卯月「あ、ありがとうございます」

 

事務員の方がお茶を出してくれた

 

?「緊張しなくて大丈夫ですよ。私、事務員の『音無小鳥』て言います」

 

卯月「346プロで事務アルバイトをしている島村卯月て言います」

 

小鳥「あぁっ!春香ちゃんが言ってた」

 

ポンと手を叩く小鳥さん

 

春香さん、本当に色んな人に話してるんだ

 

千早「みんながいる前で話していたから少なくとも765プロのみんなは知ってると思うわよ」

 

恥ずかしいなぁ・・・・

 

小鳥「春香ちゃん、気にかけてるのよ」

 

千早「その前からシンデレラプロジェクトの事は765プロで話題になってたわ。雑誌で私達と比べられたりしてるから」

 

そう言えば、何かと春香さん達と凛ちゃん達を比較する記事を見た事あるなぁ

 

凛「比べられる、てそんな・・・・」

 

凛ちゃんは千早さんと比較される事が多い

 

千早「私は渋谷さんに注目してるわ。近いうちに競演出来るかもね」

 

千早さんの言葉に凛ちゃんが顔を真っ赤にした

 

 

 

 



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トップアイドルとは・・・・

暫く更新できなくてすみませんでした・・・・(土下座)

更新、ぼちぼちと再開します


凛「あの一つ聞いて良いですか?」

 

千早「私で良かったら答えるけど」

 

凛「その・・・・、トップアイドルて、どういう風景が見れるんでしょうか・・・・。・・・・将来がまだ全然見えてなくて・・・・、2つのユニットに参加してるんですが、それで良いのかな、て・・・・」

 

意外だった

 

凛ちゃんは余り悩みを出さないタイプだから

 

凛ちゃんも不安だったんだ

 

千早「難しい質問ね・・・・。そもそも私はまだトップアイドル、て言う自覚は無いから。多分765プロのみんなもそう思っているはずよ」

 

凛「でも、海外でレコーディングやライブもやってますよね?」

 

千早「確かにやっているけど、海外で成功したからトップアイドルとは言えないわ。私自身はまだ道の途中だから・・・・」

 

小鳥「なかなか難しいのよね。この仕事てゴールが見えないから。それに疲れて途中で辞めちゃったり、別の道に行っちゃったり・・・・」

 

小鳥さんが言ってる事は何となくわかる

 

養成所時代にオーディションを受けて不合格になって辞めていった子達を何人も見てるから・・・・

 

一つの夢を追い続ける事は凄く大変な事だと思う

 

千早「それに・・・・、海外なんて行くものじゃないわ・・・・」

 

・・・・あれ?

 

急に千早さんの後ろに黒い影が・・・・

 

千早「確かに本場の音楽に触れたり、ライブハウスで歌わせてもらったりしたのは良い経験になったけど・・・・、コンプレックスを刺激されて・・・・くっ!」

 

小鳥「(小声)千早ちゃん、胸が小さいの気にしてるのよ。渡米で更に気にしているみたいで・・・・」

 

ドヨーンとした空気を纏った千早さんに私は声をかける事も出来なかった

 

 

 

 

あの後、千早さんはレッスンがある、という事で部屋を後にした

 

小鳥「卯月ちゃん、スタッフの仕事は楽しい?」

 

卯月「はいっ!シンデレラプロジェクトのみんながどんどん有名になっていくのが嬉しいです!」

 

小鳥「わかるわ、その気持ち。・・・・私も卯月ちゃんと同じだから」

 

卯月「え?小鳥さんて、アイドル目指していたんですか?」

 

小鳥「目指していた、て言うか元アイドルなのよ」

 

卯月&凛『えぇっ!?』

 

小鳥「まぁ、私は売れなくて自然にフェードアウトして行っちゃったんだけど・・・・、でも今でも歌うのは好きよ。たまに知り合いのクラブで歌わせてもらってるから。卯月ちゃんも『好き』という気持ちを忘れちゃダメよ」

 

小鳥さんの言葉は凄く心に入って来た

 

 

 

 

765プロを退出した後

 

凛「・・・・私達てまだまだ走り出したばっかりなんだね」

 

卯月「凛ちゃん?」

 

凛「ニュージェネやトラプリの活動をしていて、自分のやりたい道を模索してたんだ。アイドルにスカウトされる前は特に何もやって来て無かったから・・・・。だけど千早さんの話を聞いてまだまだなんだなぁ、て思ったよ。ゴールはまだまだ先にある・・・・」

 

卯月「凛ちゃん、アスリートみたいですね」

 

凛「そこまでストイックじゃないよ」

 

 



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卯月、リーダーになる

シンデレラの舞踏会まで後数日

 

卯月「へっ!?私がリーダー、ですか?」

 

ちひろ「えぇ、シンデレラプロジェクトのブースのリーダーをやってもらいたいんです」

 

ある日、ちひろさんから言われた

 

ちひろ「今回はシンデレラプロジェクトがメインですからね。グッズも多くなりましたから、売り子の数を増やす事になりました。初期から売り子をやっている卯月ちゃんに任せてみよう、という事になりました」

 

卯月「そうですか、わかりました!頑張ります!」

 

 

 

その翌日

 

私も含めたスタッフが会議室に呼ばれて会議、というか説明会が行われた

 

お客さんの流れや、何時に混むとか、当日の動きとか・・・・

 

勿論、これは基本的な動きなので、当日何が起こるかわからない

 

最近はチケットの転売が問題になってるけど、その時の対処法とかも学んだ

 

ちひろ「卯月ちゃん、ちょっと良いですか?」

 

卯月「はい、なんですか?」

 

ちひろ「卯月ちゃんの下で働いてもらうバイトの皆さんを紹介します」

 

会議室の一角に四人の女の子がいた

 

卯月「シンデレラプロジェクトブース担当の島村卯月です。よろしくお願いします」

 

全員が名前と挨拶をすると、最後の一人の子に私は気づいた

 

卯月「あれ?もしかして養成所で一緒だった・・・・」

 

?「『北村 雪乃』です。・・・・久しぶり」

 

 

 

 

私は簡単な打ち合わせをした後、雪乃ちゃんと二人でファミレスに来た

 

卯月「ビックリしましたよ、まさか雪乃ちゃんがアルバイトに来るなんて・・・・」

 

雪乃「うん、まぁ・・・・。実は、卯月に言わなきゃいけない事があって・・・・」

 

卯月「へ?私に?」

 

雪乃「卯月・・・・、ゴメン!!」

 

雪乃ちゃんはいきなり頭を下げた

 

雪乃「私、卯月に全部任せて・・・・、養成所のミニライブを自分達の実力で成功した、て思い込んじゃって・・・・」

 

以前、美波さんに話した養成所のライブ

 

雪乃ちゃんはそのメンバーだった

 

私がリーダーとして曲とか振り付けを考えた

 

ライブ当日に私は体を壊してしまい、欠席

 

雪乃ちゃん達だけでライブを行い無事に成功

 

雪乃ちゃん達は、芸能事務所にスカウトされデビューした

 

そこまでは私も知っている

 

卯月「いや、あの謝らなくても良いですよ。あの時は私も自分が見えてなくて結果、迷惑をかけちゃって・・・・」

 

雪乃「それでも、卯月がいなかったらあのライブは無かったよ。私ね、アイドル駄目だったよ」

 

卯月「え、じゃあ今は・・・・」

 

雪乃「フリーター、て言うか最近まで引きこもっていたんだ」

 

雪乃ちゃんは、その後の事をポツリポツリと話した

 

アイドルとしてデビュー後、CDを何枚か出してライブも行った

 

でも、だんだんと仕事が減りはじめて、結果、事務所を解雇された

 

ショックで引きこもっていたらしい

 

一度あのライブの感覚を知ってしまうと他の仕事が出来なくなってしまうらしい

 

そんな時に、あの記事を読んだらしい

 

すぐに私だ、とわかったみたい

 

雪乃「卯月は前向きに頑張っているのに・・・・、何やってるんだろう、て。せっかくアイドルになれたのに、て。だから、自分をもう一回スタートさせる為に、それにはまず卯月に会わないと、て思って・・・・」

 

卯月「雪乃ちゃんも大変だったんですね」

 

雪乃「卯月、怒って無いの?」

 

卯月「怒ってませんよ。私、雪乃ちゃん達がデビュー出来て嬉しかったんです」

 

雪乃「変わって無いね、私、頑張るよ」

 

卯月「はい、一緒にシンデレラの舞踏会を成功させましょう!」

 

 



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