転生者は真実を知りたい。 (アラセイトウ)
しおりを挟む

プロローグ〜平和な日常〜

続くか分かりません。
不定期連載になるつもりです。
それでも良い方はどうぞ。


ああ、どうしてこの世界はこんなにも残酷なのだろう。

いくら屍を積み重ねても何を犠牲にしても結果は変わらない。

知っているのに断片的過ぎて役に立たない。

この世界なんで嫌いだ。

だけどさらに自分なんて大嫌いだ!

だけど、私はこの世界で生きていかなくてはならない。

彼らを助けるためには。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

842年シガンシナ区

 

「エレン!アルミン!私、訓練兵団に入ってくるね!」

 

「えっ!」

 

「姉さん何で!」

 

「外の世界を見たいから!塩の味がする大きな水たまりや炎の水や氷の大地を見てみたいの!」

 

私は、記憶を取り戻したい。

幼い頃、アルミンと一緒に見た本の中で描かれていた世界。

それに妙に既視感を覚えた。

その瞬間何故か思い出した。

この世界はあの世界では物語なのだと。

もし、塩の味をした大きな水たまりや炎の水、氷の大地を見ることが出来たらあの世界の事を少しでも思い出す事が出来るかもしれない。

この世界をより良い方向に変えていけるかもしれない。

だから、私は外の世界に行きたい。

 

 

842年

少女は知るために戦う事にした。

知れば守れるかも知れないから。

弟を。祖父を。友人を。友人の母を守りたいから。

 

 

845年

少女は必死に努力し、並の兵士100人分の実力を持つと判断された。

 

「帰ってきたー!

ハンネスさんお久しぶりでーす!」

 

少女は喜びを抑えきれないかのように跳ねながら門を通る。

 

 

「おう!クセロじゃねえか。久しぶりだな。

酒は持って来ているんだろうな。」

 

ハンネスは酒臭い息を振り撒きながらクセロに言う。

 

「ふふふ。勿論じゃないですか!はい、これお土産です!」

 

とクセロは用意して置いたお土産ですを渡す。

 

「わかっているじゃあねえか」

 

とふたりして悪どい笑みを浮かべた。

クセロはハンネスと話した後家に帰った。

 

「おじいちゃん!ただいま!」

 

祖父は優しく笑いながら

 

「おかえり、クセロ。」

 

クセロはにこにこと笑いながら

 

「おじいちゃん!カルラさん誘って買い物行って来るね!

今日のご飯は私が作るから!

イェーガーさん一家も誘って!」

 

「ああ、気をつけて行くんじゃぞ。

楽しみにしているからのう。

わしはウォールマリアで畑を耕してくるのう。」

 

「はーい!」

 

クセロはそう言うと腰に付けた立体機動装置とマントを羽織ったまま鞄を抱え家を出ていった。

 

クセロはイェーガー家に着くと扉を大きく開け

 

「こーんーにーちーはー!カルラさんいるー?」

 

と尋ねる。

カルラはふんわりと笑いながら

 

「あらあら、クセロじゃないの。

久しぶりね。」

 

エレンはニッと笑い

 

「クセロ!久しぶりだな!」

 

アルミンは驚きながら嬉しそうに

 

「姉さん!おかえり!」

 

クセロは嬉しそうに

 

「お久しぶりですカルラさん!久しぶりエレン!ただいま!アルミン!大きくなったわね!

そこの黒髪の子は誰?

新しい友達?」

 

と聞くとエレンは自信満々に

 

「俺の家族だ!ミカサっていうんだぜ!」

 

黒髪の子いえ、ミカサは少し警戒しながらクセロを睨む。

クセロはにっこり笑いながら目を合わせ

 

「こんにちは!ミカサ。私はクセロ。クセロ・アルレルトっていうの。アルミンの姉よ。」

 

と言いミカサに少し近寄り小声で

 

「ねぇ、ミカサってエレンの事好きなの?

もしそうなら応援するよ?」

 

と言うとミカサは顔を真っ赤に染めて

 

こくり。

 

と頷く。

 

クセロは内心可愛い!と悶えながら小声で

 

「頑張ってね!」

 

と言いミカサから少し離れる。

まだまだ、ミカサの顔は真っ赤に染まっていた。

 

その間カルラはニヤニヤとにこにこの中間の笑みだった。

 

「ねぇ、カルラさん!今日は私の家にカルラさん達を招待してご飯作っても良い?」

 

と不安そうに聞く。

カルラはにっこり笑い

 

「勿論よ。じゃあ、一緒にお買い物に行きましょう。

エレン達は外で遊んでおいで。」

 

と言いエレン達を追い出しカルラはクセロを連れ北門の方へ買い物へ行った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日常から戦場へ

12月25日タイトルを変更しました。


カルラとクセロは買い物を楽しんでいた。

つい、カルラはずっと不思議に思っていたことを聞いた。

 

「クセロ。何故、立体機動装置をつけているの?」

 

と不思議そうに

 

「えーと、ねぇカルラさん。壁って壊れないと思う?」

 

と不安そうに聞く。

 

「ええ、当たり前でしょう。」

 

カルラは何当たり前の事を言っているのからしらという感じでこたえる。

クセロは恐る恐るでも、少しだけ反論するように

 

「でもさ、100年壁が壊されなかったからといって今日壊されない保証なんかどこにもないのに!

だから、わた」

 

クセロかそう続けようとした瞬間

 

“ドォン”

 

地震みたいな大きな揺れが襲ってきた。

クセロは慌てて態勢を整えるとカルラを支えた。

 

「えっ?」

 

「きゃあ!」

 

「ああっ」

 

「巨人………?」

 

そう誰かが言い皆が音のした門の方向を向いた。

そこにはクセロが夢で見た思い出した超大型巨人がいた。

巨人は壁を掴むと

 

“ドゴォォォオン”

 

とどうやら門を蹴飛ばしたみたいで北門の近くにいるクセロとカルラは何個もの石、岩が飛んで行くのが見えた。

そのうちの一つがイェーガー家に当たるのも。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ーそれで いずれ 人類は外の世界に 行くべきだって 言ったら殴られた 異端だって」

 

とアルミンはしょんぼりしながら言う。

 

「くっそー 外に出たいってだけで何で白い目で見られるんだ」

 

「そりゃ…壁の中の中にいるだけで100年ずっと平和だったからだ

下手に外に出ようとしてヤツらを壁の中に招くようなことが起きないように 王政府の方針として外の世界に興味を持つこと自体をタブーにしたんだ」

 

「つまり王様はビビリすぎっづーだけの話だ!」

 

「姉さんも言っていたんだけど

でも本当にそれだけの理由なんだろうか?」

 

「自分の命をかけるんだ 俺たちの勝手だろ!」

 

「絶対 駄目」

 

「……」

 

「……駄目」

 

「そーいやお前よくも親にバラしたな!!

クセロは賛成してくれたのに!」

 

「え!姉さんが!」

 

「協力した覚えはないだけど、クセロは何故?」

 

「まあ、姉さんだから。

で……どうだった……」

 

「そりゃあ 喜ばれはしない……」

 

「……そりゃそうだよ……」

 

「なっ なんだよオマエもやめろって言うのか!?」

 

「だって……危険だし……いくら姉さんが賛成していても……気持ちは姉さんを見てきたから分かるけど 確かに この壁の中は未来永劫安全だと信じきっている人はどうかと思うよ 100年壁が壊されなかったからといって今日壊されない保証なんかどこにもないのに……」

 

 

奇しくも、アルミンとクセロが同じことを言った時の事だった。

 

ヤツが、来たのは

 

その日人類は思い出した ヤツらに支配されていた恐怖を……鳥籠の中に囚われていた屈辱を……

 

ーーーーーー

 

「カルラさん!逃げますよ!」

 

慌ててクセロはカルラの腕を引っ張る。

 

「でも!エレンとミカサ、アルミンが!」

 

カルラはその場に留まり今にも駆け出しそうになっていたが

 

「3人はカルラさんが避難した後に迎えに行きます!早く逃げますよ!この街はもう無数の巨人に占領される‼︎

カルラさんでは無駄死にするだけです!」

 

クセロがそう言うと

 

「……わかったわ。でも、必ず迎えに行ってくれる?」

 

泣きそうになるのを堪えながら

 

「もちろんです!さあ、行きましょう!」

 

と言いクセロは顔を引き締めた。

 

二人は駆け出し内門を出ると船着場が見えた。

そこにはクセロとアルミンの祖父がいた。

 

「ふたりとも無事じゃったか?

アルミンやエレン、ミカサは?」

 

祖父は心配そうに2人を見つめ3人足りない事に気付き慌てて聞いた

 

「今から迎えに行って来る!おじいちゃん。カルラさんをお願い!」

 

クセロは立体機動装置を準備しながら祖父にカルラを頼むと

 

「もちろんじゃ!必ず4人で帰って来るんじゃぞ!」

 

と任せておけとばかりに頼もしそうに請け負う

 

「お願い!クセロ。あの子達を………。」

 

カルラは懇願するように

 

「任せて!」

 

そう言うとクセロは立体機動装置を使い一直線にイェーガー家を目指して行った。




現在公開出来る情報

クセロ・アルレルト



14歳

ウォールマリア南区第99期訓練兵団所属

原作知識と前世はうろ覚え

かろうじて超大型巨人の襲来とカルラが死亡する事を覚えていた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

覚悟

 

 

「か、壁に穴を開けられた……」

 

「………。」

 

『きゃああああああああああ!!!!!!!!!!!!』

 

皆、悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「逃げるぞ二人とも!早くしないと次々と巨人が入ってくる!!」

 

アルミンがそう言い2人の手を引いて逃げようとするとエレンはその手を振り切り慌てて駆けていく。

 

『エレン!』

 

「壁の破片が飛んでった先に家が‼︎ 母さんが!」

 

「‼︎」

 

「ミカサ!エレン待って!」

 

アルミンはそう言い追いかけて行く。

 

イェーガー家までの道は投石で日常(いつも)と変わっていた。

 

イェーガー家は潰れていた。

アルミンが追いついた時には二人とも瓦礫を退かしていた。

アルミンは息を切らしながら

 

「ハァ、ハァ、二人、とも、カルラさん、は、姉、さんとか、い物に出掛けた、はずだよ!二人、も聞、いただろう?」

 

とアルミンが言うとエレンとミカサは

 

『あっ』

 

どうやら忘れていたらしく惚けた顔をする。

アルミンは呆れた顔をしたがとりあえず逃げようと二人の手を改めて繋ぎ

 

「とりあえず、逃げよう!」

と言い3人は北門に向かって駆けて行った。

 

ーーーーーー

 

お願い!無事でいて!

 

クセロは立体機動装置を使い黒煙の上がる故郷をシガンシナ区を飛び駆けて行った。

カルラや祖父とよく買い物に行った市場を駆け、イェーガー家を目指して。

 

たくさんの巨人の姿が見える。

 

「もう、あんな所まで!」

 

クセロは唇を噛み締め覚悟を決めた。

もともと人間だったものを殺す覚悟を。

本当は怖い。

嫌だ。

でも、それで弟が。(アルミン)

祖父が。

弟同然に思っていた子が。(エレン)

母同然に思っていた女性が。(カルラさん)

もしかしたら、私の前世と同郷かもしれない子が。(ミカサ)

死んだら?

私は私を許せなくなる。

覚悟を決めろ。クセロ。

守るって決めたんだ!

 

奇行種だろうか?

一直線にこちらに向かってくるのが見える。

何故?

それを考えても仕方ない。

早く!早く!どこ?どこ?

3人ともどこにいるの?

早く見つけないと!

それに気を取られていると

 

「姉さん!!」

 

弟のアルミンの声がした。

慌てて声のした方を向くと巨人がすぐそこまでに迫っていて今にも、エレンとミカサ、アルミンを捕食しようとしている所だった。あまりの惨状にブチ切れかけて慌てて立体機動装置を使いアンカーを壁に刺し、うなじを狙う。

ギリギリ、だった。

怒りで手元が少し狂ってしまった。

後、1センチずれていたら救えなかった。

もっと、私に力が、有ったら良かったのに。

私はまだまだ半人前だなと思った。

そんなこと考えている余裕無いはずなのに。

巨人は白煙を上げている。

私はとりあえず3人に声をかけた。

 

「大丈夫⁉︎⁉︎怪我とかない?」

 

3人とも一応、首を縦に振ったので私は

 

「ごめん、3人ともまだ走れる?」

 

と言うとエレンとミカサは頷き、アルミンは顔を歪め首を横に振った。

私は深呼吸を繰り返すとアルミンを背中に背負いミカサとエレンを連れて船着場を目指した。




現在公開出来る情報

クセロはアルミンの実姉

巨人が元々人間であった事を知っている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

許して

あけましておめでとうございます。
更新遅くなり申し訳ございません。
短いですがどうぞお楽しみください。


「ハァ、ハァ、カルラさん!おじいちゃん!」

 

何とか、ウォールマリアまで着いた。

おじいちゃんとのカルラさんとの約束守れた。

 

「クセロ!アルミン!エレン!ミカサ!大丈夫かのう?」

 

と心配そうに聞いてくる。

 

「大丈夫!」

 

と私は安心させるようにニッと笑って答える。

目の端では3人(カルラさん、エレン、ミカサ)が抱き合っているのが見える。

良かった。未来、変えれた。

私なら、何とかなる!

みんな、救える!

未来を変えてみせる!

 

「3人をお願い!私はシガンシナ区に戻って逃げ遅れた人たちを探してくる!」

 

「駄目よ!クセロ!待って!行かないで!私達と一緒に逃げましょう!」

 

「ごめん。カルラさん。私は兵士だから。守らなければいけないの!」

 

「貴方はまだ、子供なのよ!」

 

悲鳴のような声が聞こえる。

でも…………………。

 

「………。ごめん、3人をお願い!」

 

私はこの後何が起こるか知っているから戦わなければならない。

 

「クセロ!必ず生き延びて!」

 

かすれた悲鳴のような声が聞こえる。

 

「クセロ!必ずじゃ、必ず帰って来るんじゃぞ!」

 

「わかった!行ってきます!」

 

そう言いニッと笑うとクセロは内門へ飛んで行った。

 

ーーーーーー

 

…………………やっぱり、酷すぎるよ。

覚悟していたとはいえ。

巨人が襲ってくるたびに返り討ちにして生存者を門の近くまで運んだり途中でハンネスさんや他の駐屯兵の人たちに預けたりして気づいたら日が沈みかけていた。

あと、もう少しで奴が来る。

 

アニメの中では確かそう!

鎧の巨人と呼ばれていた。

裏切り者がエレンやミカサ、アルミンと同期だったことは覚えている。

 

記憶が虫食いで役に立たない。

こんな時こそ必要なのに!

前世の事を話したら化け物扱いされたり、きっと頭がおかしい人って言われるだろう。

誰かに相談したい。

話を聞いてくれるだけでも良い。

どうして、私はこんな記憶を持って生まれてきたのだろう?

………。悩んでいる暇なんてないみたい。

おかしな動きをする巨人(鎧の巨人)がいる。

止めなきゃ、みんなが死ぬ前に。

怖い、戦いたくない、逃げたい、だけど、動こう。

 

私がこの記憶を持っているのは多分一人でも多くの人を救うためだから。

 

ーーーーーー

 

「クセロ‼︎」

 

誰かの声が聞こえる。

私、空を飛んでいるみたい。

だって、風の音がする。

景色がものすごい速さで流れているみたい。

新幹線に乗ったような景色の見え方。

止められなかった。

必死に鎧の巨人の弱点ぽいとこ攻撃したのに。

止めれたのは1分くらいかな。

みんな、逃げれたかな。

ワイヤー掴まれて投げられて終わり。

ここで死ぬのかな?

虫ケラみたいに。

未来変えられなかったなぁ。

 

意識が遠のいていく。

 

誰か、誰でも良い。

 

助けて。

 

未来を、変えて。

 

ごめん。

 

アルミン。

 

不甲斐ない姉を許して。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。