ファイアーエムブレム オリジナル支援会話 (ダイアー)
しおりを挟む

〜封印の剣〜トレック&フィル ルゥ&リリーナ ヒュウ&ルトガー

C

 

フィル「トレック殿!トレック殿!!」

 

トレック「…………………」

 

フィル「………私の剣の修行に付き合って下さい!トレック殿!!」

 

トレック「…………………」

 

フィル「軍の噂ではあなたの実力はイリアの人でも分からないようなのです、その未知数の力を確かめたいのです!」

 

トレック「…………………」

 

フィル「では行きますよ………そちらから仕掛けないのなら……はぁ!」

 

トレック「………!!」 (トレック消える)

 

フィル「き、消えた?」

 

(フィルの背後にトレック出現)

 

トレック「ビックリしたなぁ……危ないなぁ、もう。」

 

フィル「!!!!」

 

(再び消える)

 

フィル「い、いつの間に後ろへ………ま、待ってください!今のはどうやって!!」

 

 

 

 

B

 

フィル「トレック殿!!教えてください!先日はどのようにして………」

 

トレック「………………」

 

フィル「この通りです!どうか、どうか………私は誰にも負けないような立派な剣士を目指しているのです!」

 

トレック「………………」

 

フィル「どうして教えていただけないのですか…………は!もしや、あなたが今しているように静かに無心になって精神を統一させるのですね!教えていただきありがとうございます!では早速…………………………」

 

トレック「………………ん、………俺の目の前で何してんのお前。」

 

フィル「………………」

 

トレック「変な奴だなぁ、気味悪いから場所を移すか。……風邪引くなよー。」

 

(トレック消える)

 

フィル「………………私を一人にしてくださったのですね、感謝しますトレック殿。」

 

 

 

A

 

フィル「……………」

 

トレック「ねえ、君。」

 

フィル「……………」

 

トレック「ねぇ…………もう、俺と稽古がしたい人がいるからってロイ様たちが言うから来てみたけど……何でこんなとこで立って寝てるんだ?もう。」

 

フィル「……………」

 

トレック「ま、いっか。寝てる人起こすわけにもいかないし………一回ぐらいなら付き合ってやろうと思ったけど残念だなぁ……」

 

フィル「………!?トレック殿、今何と!」

 

トレック「わ、起きた……変な奴だなぁ、今言った通りだよ君が俺と戦いたいって言ってるそうだから………」

 

フィル「つ、ついに精神統一の修行を一日6時間した甲斐が……私を認めてくださったのですね!」

 

トレック「?………んー、何の話かわからないなあ……」

 

フィル「では行きますよ!」

 

トレック「ぇ……ぁぁ…………………」

 

フィル「トレック殿?……は!その前に精神統一ですね!失礼しました………………」

 

トレック「………………ん、………変な奴だなやっぱり。」

 

 

 

 

 

ルゥ×リリーナ

C

 

ルゥ「リリーナ様!怪我はないですか」

 

リリーナ「あら、ルゥ ええ、大丈夫よ」

 

ルゥ「よかったぁ」

 

リリーナ「どうして急にそんなことを?」

 

ルゥ「だってだって、もしリリーナ様に何かあったら・・・」

 

リリーナ「気にしないで、一人でも多く戦力が欲しい戦いだから、私も頑張らなくちゃ」

 

ルゥ「無理はしないでくださいね、魔法なら僕も負けませんから!」

 

リリーナ「ふふ、ありがとう ・・・ねぇ、ルゥはどうして戦ってるの?」

 

ルゥ「え?」

 

リリーナ「私も急にこんなこと聞いて変だとは思うけど・・・やっぱり子供が戦場にいるなんてやっぱり何か理由があるんでしょう?」

 

ルゥ「・・・リリーナ様だって・・・僕とあまり変わらないじゃないですか!!」(ルゥ消える」

 

リリーナ「あ、待ってルゥ! ・・・いけないこと聞いてしまったのね」

 

 

 

 

B

 

リリーナ「ルゥ・・・」

 

ルゥ「あ、リリーナ様」

 

リリーナ「この前はごめんなさい、あなたのことを何も考えずに・・・嫌なこと聞いてしまって」

 

ルゥ「ううん 僕もカッとなっちゃって、ごめんなさい ・・・僕も1つ聞いてもいいですか?」

 

リリーナ「なあに?できる限りのことは話すわ」

 

ルゥ「・・・リリーナ様はどうして戦っているのですか?」

 

リリーナ「うーん・・・この戦いを早く終わらせたい、かな」

 

ルゥ「それだけ・・・ですか?」

 

リリーナ「それだけではもちろんないけど・・・でもこれ以上悲しむ人が増えて欲しくないから、1日でも早く・・・」

 

ルゥ「「かたきうち」のためとか・・・ベルンが憎かったりは?」

 

リリーナ「お父様が亡くなったのを聞いたときは、確かにベルンを許せないとは思ったわ でもね それじゃダメなの

憎しみだけ背負っていたら・・・またきっとこんな戦争が起きてしまうわ」

 

ルゥ「・・・憎しみ・・・だけじゃ・・・」

 

 

 

A

 

ルゥ「リリーナ様、リリーナ様!」

 

リリーナ「どうしたの、ルゥ」

 

ルゥ「あのね、あれからリリーナ様の話を聞いて考えてみたんだ 憎しみは戦う理由だけど、戦いを作る理由でもあるんだって だけど・・・僕はやっぱり許せないんだ、ベルンが 僕・・・僕達から色々なモノを奪ったベルンが」

 

リリーナ「・・・」

 

ルゥ「・・・でも、僕も頑張ってみる・・・憎しみより・・・皆を守ろう、っていう気持ちが勝つように」

 

リリーナ「ルゥ!・・・ええ、一緒に頑張りましょ」

 

ルゥ「うん!それと・・・はい、これ!」

 

リリーナ「? これは?」

 

ルゥ「焼き菓子だよ、リリーナ様にあげる」

 

リリーナ「ありがとう でもどうして2人分も?」

 

ルゥ「どうしてって・・・ロイ様の分だよ」

 

リリーナ「え、え・・・?もう、からかわないで!!」

 

 

 

ルトガー×ヒュウ

 

 

 

C

 

ヒュウ「ふんふふーん、ふふふーん」

 

ルトガー「・・・!」

 

ヒュウ「っていてぇ!おい気をつけろよ・・・って、どわああああ!!け、剣を向けるな味方だっての俺は!」

 

ルトガー「・・・そうか」

 

ヒュウ「・・・そうか、じゃねえよ!!謝りの1つもねえのか!!」

 

ルトガー「そっちもな」

 

ヒュウ「それはー・・・お、お前が俺の進む方にぼー、っと立ってたのが悪いわけで・・・どわああああ!!ご、ごめんなさい!俺が悪かった!だから剣はしまえって!」

 

ルトガー「・・・」

 

ヒュウ「・・・行ったか あの野郎・・・こっちが低く出たら調子に乗りやがって!おまけに男前と来やがる!どうせ実力は大したこともねえだろう・・・ちょっと後つけてみるか」

 

 

 

B

 

ヒュウ「なあ、剣士さんよ」

 

ルトガー「・・・ルトガーだ」

 

ヒュウ「ルトガーな、俺はヒュウってんだ あんた・・・強いんだな、見直したぜ」

 

ルトガー「・・・強くなければここまで生き残れていない」

 

ヒュウ「かもな けど、俺ってさ ホントは親父と闇魔法目指してたんだけどよ、どうも才能なくて、んで理魔法やってるってわけ」

 

ルトガー「・・・それで?」

 

ヒュウ「この先、生き延びれんのかなぁって あんた見てたらつくづく思うよ 親と同じ才能がない俺がさ」

 

ルトガー「・・・だったら後ろで仲間に守ってもらえ ・・・そして親父のとこに戻るんだな」

 

ヒュウ「え?あ、ちょ・・・なんだなんだ?急になんか訳ありな態度で去って行きやがって・・・ちょっと探ってみるか」

 

 

 

 

A

 

ヒュウ「・・・ルトガー」

 

ルトガー「・・・なんだ」

 

ヒュウ「謝りたいことがあってよ あの後、あんたの故郷について調べたんだが・・・」

 

ルトガー「・・・」

 

ヒュウ「本当にすまねぇ 冗談半分で人の過去を土足で踏みにじってよ」

 

ルトガー「・・・構わん いずれ知られるようなことだ」

 

ヒュウ「・・・なんつーか、俺もよ、もう両親はいないんだわ、いや、お前と同じだって思われたいわけじゃなくてよ、婆ちゃんはいるし あんた、俺に親がいるような言い方してたからさ そういう意味で」

 

ルトガー「・・・そうか ・・・悪かったな」

 

ヒュウ「お、なんだよ、始めて見たぜ お前の謝るところ」

 

ルトガー「・・・」

 

ヒュウ「無駄なことは喋らない、か、アンタらしいぜ、それじゃ、またな」(ヒュウ消える)

 

ルトガー「・・・そう言ってまた俺の少し後ろにいるんだろう 俺を守っているつもりか・・・ ・・・ヒュウ お前は・・・強くなれる」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~エコーズ~ ロビン&エフィ ジェニー&ノーマ バルボ&アトラス

C

ロビン「よっ、エフィ!調子はどうだ?」

 

エフィ「ロビン、大丈夫よ、アルムのためなら私、まだまだ頑張れるよ」

 

ロビン「相変わらずだなお前…よし!俺もアルムに負けないぐらいやってやるぜ!」

 

エフィ「ロビン…ロビンじゃアルムに勝てるわけないよ」

 

ロビン「な、なんだとぉ!」

 

エフィ「ふふふ…」

 

 

 

 

 

 

B

エフィ「ロビン、どうしたの?なんだか元気ないよ?」

 

ロビン「ああ…エフィか、ま、ちょっとな」

 

エフィ「考えごと?ロビンらしくないね」

 

ロビン「そうか?…あー…エフィさ、お前もしアルムが他の女と結婚することになったら、どう思う?」

 

エフィ「どうって…確かにちょっとだけ悲しいけど…でも、アルムのことは大好きなままでいたいな ううん、大好きなままでいる」

 

ロビン「…なるほどな」

 

 

 

 

 

 

 

A

ロビン「エフィ…お前、この戦いが終わったら村に戻るんだよな?」

 

エフィ「うん、私は…みんなとまた昔のような日々を過ごしたいんだ、もちろんセリカも戻ってきて、一緒に」

 

ロビン「…俺は…戻らないかもしれない アルムもみんなも、多分…」

 

エフィ「そう、だよね…みんなで一緒に遊ぶことなんて、もうないんだよね」

 

ロビン「…でもさ、何も会えないってわけじゃねえだろ?それにどれだけ離れてても、俺達が友達なことには変わらないぜ」

 

エフィ「ロビン…じゃあ、お願い…これからも時々でいいから、村に戻ってきてね?私、待ってるから」

 

ロビン「おう!そのためにも、生き残らなきゃな!」

 

エフィ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェニー&ノーマ

 

C

ノーマ「おお、ジェニー、無事なようじゃの」

 

ジェニー「ノーマさま」

 

ノーマ「まさか、お前のような子まで戦うことになるとはの…心配で様子を見にきたのじゃ」

 

ジェニー「ありがとうございます、ノーマさま わたし、ひとりぼっちは嫌だから、嬉しいです」

 

ノーマ「ほっほっほ…そうかそうか では、一緒に行くとしよう」

 

 

 

 

 

 

B

ジェニー「ノーマさま」

 

ノーマ「おお、ジェニー、今日も一緒がよいのか?」

 

ジェニー「はい、わたしノーマさまと一緒にいるのがいいな、って思うんです」

 

ノーマ「気持ちはとても嬉しいのじゃが…なぜわしなのじゃ?セリカや、他の者もおるというのに」

 

ジェニー「それは…ノーマさまといると、落ち着くんです 他の人よりも…」

 

ノーマ「ふむ…?」

 

 

 

 

 

 

 

A

ノーマ「ジェニーよ、少しよいか?」

 

ジェニー「どうしたんですか?」

 

ノーマ「お前がわしを頼りにしとるのは嬉しい…わしに家族はおらぬからの、お前やセリカ達が、わしの子のようなものじゃ じゃが…わしももう長くはない、わしがいなくなったときのことも、考えておいてくれ」

 

ジェニー「ノーマさま…わたし、嫌です…もっと…もっと一緒にいたいです わたしを置いていかないでください…」

 

ノーマ「ジェニー…それは叶わぬことなのじゃ、生まれたものは必ず死ぬもの…わしはお前達より何十年も早く生まれた、わしが先にいなくなるのは、お前も分かっておろう…」

 

ジェニー「…それじゃあノーマさま…せめて…その日まで…あなたに甘えても、いいですか? 」

 

ノーマ「ジェニー…ほっほっほ、仕方ないのう……わしは本当に良い子達に会えたわ… もう少し寄ってきなさい…できるだけ、近くにいよう…」

 

ジェニー「はい、ノーマさま…今、お側に…」

 

ノーマ「ほっほっほ…まだまだ死ぬわけにはいかんようじゃのう」

 

 

 

 

 

 

バルボ&アトラス

 

C

アトラス「おらあああああ!」

 

バルボ「お、大した腕だな」

 

アトラス「バルボ!まあ、鍛えてるからな」

 

バルボ「それでもお前の才能はなかなかのモンだ、そこらの傭兵や騎士にも劣らねえよ」

 

アトラス「はは、あんたほどの人に言われるんなら、そうなんだろうな 自信つくぜ」

 

 

 

 

 

 

B

アトラス「せいやっ!」

 

バルボ「今日も気合い入ってな、アトラス」

 

アトラス「おうバルボ!そりゃこの戦いで負けるてのは、死んじまうってことだからよ、気合いも入っちまうぜ」

 

バルボ「ははは、それもそうだな」

 

アトラス「村には弟達もいるしな…あいつらを置いていくわけにもいかねえしよ」

 

バルボ「…そうか、お前には、家族がいるんだな」

 

アトラス「バルボ…?」

 

 

 

 

 

 

A

アトラス「そうだったのか…バルボの家族は、海賊に…」

 

バルボ「もう復讐はすんだ、神官さまの力もあってな、その恩返しで俺はついてきてる」

 

アトラス「あんたも神官さまの恩返しだったんだな、それにしても…そうとは知らず、家族の話をして悪かった」

 

バルボ「なに、悪意はなかったんだ、気にしちゃいねえよ」

 

アトラス「本当か?」

 

バルボ「ああ、本当だ アトラス、家族を大事にするためにも、お前は死ぬんじゃないぞ、お前にはまだ帰る場所があるんだ」

 

アトラス「お互い様だろ、バルボ」

 

バルボ「うん?」

 

アトラス「お前が死ねば、向こうの家族が悲しむだろ?」

 

バルボ「ははは…そういうことか よし!男の約束だ!共に家族のために、戦い抜くと!」

 

アトラス「ああ!神官さまのために、家族のために!」

 

バルボ「二言はないな?」

 

アトラス「当然だ!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~聖魔の光石~ ルーテ&サレフ ラーチェル&クーガー ヨシュア&レナック

ルーテ&サレフ

 

C

 

ルーテ「…」

 

サレフ「…」

 

ルーテ「なるほど、これが空と大地と気の調和を知り、己を見つめ、世界を見つめ、森羅万象を想い、個人の欲望とは異なる、

大きな想いを成就させる『パレガ』というものですか」

 

サレフ「…詳しいな」

 

ルーテ「私、優秀ですから」

 

サレフ「優秀なのは関係あるのかは分からないが…余所の者がポカラの里の文化を知っているとは珍しい」

 

ルーテ「ええ、あなたのことを徹底的に調べましたから、サレフさん」

 

サレフ「…私のことを?」

 

ルーテ「あなたの魔道の才能は、どうやら並々ならぬことが分かりました。優秀である私に匹敵するほどの実力を見過ごしてはおけません」

 

サレフ「…それはつまり」

 

ルーテ「私とあなた、どちらが優秀な魔道士であるか、決めなければなりません」

 

サレフ「…そういうことに興味はない」

 

ルーテ「私にはあります、では、また今度」(ルーテ消える)

 

サレフ「…何を競うつもりなのだろうか」

 

 

B

 

ルーテ「サレフさん」

 

サレフ「お前か、ということは先の勝負の件か?」

 

ルーテ「その通りです あなたの戦いぶりを近くで見ていましたが…さすが私のライバル、殆ど互角といったところでしょう」

 

サレフ「私とお前の勝負にお前が判定するのか…」

 

ルーテ「それは盲点でした、これは公平に判定のできる方を用意しなければならないようですね」

 

サレフ「…いや待て、お前の話に合わせてはいるだけで、そもそも勝負するつもりはないと…」

 

ルーテ「それはありません、現にあなたは私に負けまいと懸命に戦っているではありませんか」

 

サレフ「それは戦争だから当たり前だろう…」

 

ルーテ「その言葉、やはり気合は十二分にあるようですね」

 

サレフ「…」

 

ルーテ「では、私は審判の方を探してきます いよいよどちらが本当の優秀であるか、決まるときが来ますね」(ルーテ消える)

 

サレフ「…どうすれば終わるのか……だが判定をしてもらうのなら、もうじき終わるだろう」

 

 

A

 

ルーテ「サレフさん」

 

サレフ「ついに終わるのだな、例の勝負も」

 

ルーテ「ええ、エイリークさんに毎晩どちらが優秀かを問いただしました 今まではどちらが優れているかなど決め付けるものではないと

ですが、昨晩の18回目にしてようやく答えを出してくれました 『あなたでいい』と」

 

サレフ「…」

 

ルーテ「これで私の方が優秀であることが証明されてしまいました ですが、あなたも私には及ばずともなかなか優秀な方です 気を落とさないでください」

 

サレフ「勝負の結果には何も思ってないが…お前はもう私のもとには来ないのか?」

 

ルーテ「そのつもりですが」

 

サレフ「そうか…実はだな、初めは早く終わってほしいものだと思っていたが、お前の魔道の才はどうやら本物のようだ、どうだ、これからも共に行くというのは」

 

ルーテ「共に…それでは、この戦いが終わればあなたの里へ行く支度をすることにします」

 

サレフ「なっ…そこまで飛躍するのか…?」

 

ルーテ「これからも優秀な私に遅れないよう頑張ってください、二番目に優秀なサレフさん」

 

サレフ「…難しいな…女心というものは」

 

 

 

 

 

クーガー&ラーチェル

 

C

 

ラーチェル「覚悟なさい!邪悪なる魔物はこのラーチェルが成敗いたしますわ!」

 

クーガー「おい!前に出すぎだぞ!」

 

ラーチェル「まあ、あなたは確かグラドの者だった…」

 

クーガー「クーガーだ。 姫、突出しすぎだぞ、大体あんたは杖の役目だろう…前に出てどうする」

 

ラーチェル「ならばクーガー、わたくしの護衛をしなさい!今からあなたはこのラーチェルの指揮下で動くんですわ!」

 

クーガー「お、俺がだと?」

 

ラーチェル「今あなたはグラドから離反し仕える者がいない身、特別にロストンの兵として採用してさしあげますわ」

 

クーガー「…俺は確かに今の帝国への忠誠をなくし、戦っている…だが、グラドそのものを見捨てたわけじゃない 折角の誘いだが、断らせてもらう」

 

ラーチェル「むむ…このわたくし自らの誘いを蹴るとは…滅多にはございませんことよ」

 

クーガー「悪いな、まあ…一国の姫に万が一があってはいけない、この戦の間なら、できるかぎりのことは尽くそう」

 

ラーチェル「よくぞ言いましたわ!さあクーガー、わたくしに続きなさい!」(ラーチェル消える)

 

クーガー「大した姫様だな…待て!あんた1人じゃ危ないぞ!」

 

 

 

 

B

 

クーガー「はぁ、はぁ…」

 

ラーチェル「息があがっておりますわよ、クーガー」

 

クーガー「自分の命すらどうなるかも分からない激戦だ…姫の護衛もやるとなると2倍…いや、それ以上に疲れるな…」

 

ラーチェル「いけませんわね、この程度で根を上げているようでは、我がロストン聖教国の騎士は務まりませんわよ」

 

クーガー「…前にも言ったが、戦が終われば俺はまたグラドに戻るつもりだ」

 

ラーチェル「まあ!しばらくは私の下にいるというのにお気持ちは変わらないようですのね!」

 

クーガー「いるからこそだよ!…俺にはロストン聖騎士ほどあんたに身を捧ぐ覚悟がどうやら足りないらしい…」

 

ラーチェル「それは違いますわ、我が国自慢のロストン聖騎士は決してわたくしのためだけに戦っているわけではありません、正義と秩序の名のもとに戦っているのですわ!

クーガー、あなたも己の正義を信じて戦うことが大事ですのよ!」

 

クーガー「俺の正義…か……俺は国を裏切り、かつての仲間に槍を向けている…寝返ったことは俺の意志だ…後悔はしていない…

…だが、そんな今の俺に…正義なんてものはあるのだろうか…」

 

ラーチェル「クーガー…」

 

クーガー「悲しそうな顔もするんだな、ラーチェル姫 悪かった、あんたにこんなこと言っても、どうにもならない話だ…」

 

 

A

 

ラーチェル「クーガー」

 

クーガー「姫…今度は何用だ?」

 

ラーチェル「あなたは間違っておりませんわ、今のあなたも立派な正義がありますわよ」

 

クーガー「…どうしてそんなことが言えるんだ」

 

ラーチェル「ここには我がロストンを始めルネスやフレリア…それにあなた以外にもグラドだった者…数々の国が1つとなって戦っていますわ…皆、世界の平和のため…希望のために…祖国を捨ててまでここで戦っているあなたも、立派な正義の使者ですわ、胸を張りなさい、クーガー」

 

クーガー「ふっ…ははは…ついこないだまでは考えもしなかった、あんたにそんなことを言われるなんてな

そうだな姫、俺はグラドをかつての立派だった国に戻さなくちゃいけない、その決意も、正義と思っていいんだな?」

 

ラーチェル「その通りですわクーガー!さあ、活力を取り戻したのならば、今一度私に颯爽と続きなさい!」

 

クーガー「ああ!俺の…兄貴の信じたグラドのために!行くぞ、ゲネルーガ!」

 

 

 

 

 

 

ヨシュア&レナック

 

C

 

レナック「なあなあ、ちょっとそこの剣士さん」

 

ヨシュア「俺のことかい?」

 

レナック「面と向かって話すのは始めてだな…俺はレナックだ」

 

ヨシュア「ヨシュアだ。で、俺に何の用だい?」

 

レナック「なーに、大した話じゃないさ…あんた、傭兵なんだって?」

 

ヨシュア「まあな、賭け事にハマっちまった以外は、ただのどこにでもいる傭兵さ」

 

レナック「へえ…ただのねえ…」

 

ヨシュア「なんだ?言いたいことがあるならハッキリ言いな、職業柄に合わず身なりのいい盗賊さんよ」

 

レナック「これは随分と丁寧なお返しを…」

 

 

B

 

ヨシュア「また会ったな、豪商のご子息レナック」

 

レナック「こいつはどうも、ヨシュア王子」

 

ヨシュア「身なりからただの盗賊じゃないってことは察せたが、まさかお前がカルチノでも有数の貿易商の息子さんとはな」

 

レナック「いやいや、それはこっちのセリフだ…俺もお前がただの傭兵じゃないってこと見抜いてあの時近づいてみたんだが…ホント驚いた、ジャハナで失踪した王子様だったなんてね」

 

ヨシュア「別にずっと逃げるつもりはなかった…国を支えるには、民の気持ちを知ることが、国を成り立たせると…そう思っただけさ」

 

レナック「なるほどねえ…大した器だよお前、うちの雇い主にも学んでほしいよ、その心」

 

ヨシュア「はっ、随分と苦労してるんだなお前も…俺は結果的に母上を死なせる羽目になっちまったんだ、愚かな奴だよ俺は…」

 

レナック「けど、その考えは間違っちゃいないと思うけどねえ?少なくとも俺は感心したけど」

 

ヨシュア「ああ、確かにこの十年間は無駄じゃなかったと思ってる…籠の中だけで暮らすんじゃその場を見渡せるだけの人生だった…まさかジャハナを…大陸を巻き込んじまう戦争が始まっちまうなんてな…ツキがなかったのかね、俺も俺の母上も…」

 

レナック「ふーん…お偉いさんはお偉いさんで苦労してるってわけね…」

 

 

 

A

 

レナック「はぁー…」

 

ヨシュア「どうしたレナック、随分と気疲れしてる様子だな」

 

レナック「これは王子、俺はルネスまでのお供としてラーチェル様に雇われて…それが気づけばこんなとこまで…約束は違うわ報酬金はもらえないわ、俺もううんざり…また放って逃げてもすぐ見つかるだろうしなあ…あの人になら」

 

ヨシュア「そうかい…じゃあレナック、ちょっとお前の人生を賭けてみるかい?」

 

レナック「というと、なんだ?」

 

ヨシュア「簡単な話さ…こいつが表か裏かお前が当てれば、この戦いが終わった後、俺はお前をジャハナの密偵として重用してやる、お前のその腕は必ず役に立てる」

 

レナック「マジっすか!?…でも、負ければ?」

 

ヨシュア「お前はずっとロストンにいろ」

 

レナック「げえっ…」

 

ヨシュア「どうする?やるかやらないかはお前次第だ」

 

レナック「そうだなぁ…どうせ降りてもあの人に引っ張られるだろうし…乗るぜ!…表だ!」

 

ヨシュア「分かった。そらっ・・・」

 

レナック「…」

 

ヨシュア「……見ろ、裏だ」

 

レナック「はあっ!?嘘だろ!イカサマでもしたかお前!」

 

ヨシュア「してないさ、お前のツキがなかっただけ…いや、ひょっとすると、あの王女に会えたことは幸運だったりするのかもな」

 

レナック「そんなわけないでしょうが!見て分からないの?俺の苦労!」

 

ヨシュア「ふっ…そうであろうとなかろうと…人生運次第ってわけさ」

 

 

 

------------------------------------------------------

奇知なる魔道 ルーテ & 黙する知の湧水 サレフ

 

魔王を倒し平和が戻った後、ルーテは言葉通りポカラの里に移住。

始めは困惑したサレフだったが、同じ里で暮らしていくうちに、

魔道の研究で互いに意気投合。2人で過ごす機会が徐々に増えていき、

里の人々は彼らを恋人だと長らく思っていたが、恋愛に疎い2人に

そのような気持ちが芽生えるのは、相当な年月を費やしたようだ。

 

 

光の聖王女 ラーチェル & 孤高の槍 クーガー

 

グラドに戻り復興に努めるクーガー、そんな彼の元を訪ねてきた

ラーチェルはできる限りの援助をしたという。そのことにクーガーは

感謝の気持ちを伝え、その地を去る…はずだったが彼女に連れられ

半強制的にロストンへ。そのままロストン唯一の竜騎士として仕える

ことになったが、彼に不満は一切なかったという。

 

 

風来王 ヨシュア & 豪商盗賊 レナック

 

ヨシュアはジャハナ国王となり、レナックは賭けの約束通り

ロストンへ滞在、時々ジャハナに訪れて、ヨシュアの賭け事

に付き合いながら、ラーチェルの愚痴話を長々と聞かせたという。

ヨシュアはその度に、「あの時の賭けはお前の勝ちだったようだな」

と、彼をからかっていたという、

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~烈火の剣~ ギィ&ワレス ロウエン&ファリナ カレル&ジャファル

ギィ&ワレス

 

C

 

ギィ「まいったなぁ…味方とはぐれたぞ 早く合流しないと危険だな」

 

ワレス「むっ!おまえ、そんなところで何をしておる」

 

ギィ「あ!見たことある顔…てことは味方か、助かった…」

 

ワレス「うむ!わしはワレス、おまえは…」

 

ギィ「俺はギィ、慣れない場所なもんだからつい迷ってたところで…」

 

ワレス「ふはははは!そうかそうか、ではギィ、わしに続くがいい!」(ワレス消える)

 

ギィ「…そういえば、他の味方はどこに…まあいいか、おーい!待ってくれー!」

 

 

 

B

 

ギィ「この前はひどい目にあった…ワレスが進んだ方向はみんなとは真反対で…結局、敵陣のど真ん中を2人で強行突破する羽目に…」

 

ワレス「ふはははは!こうして生きているのだ、過ぎてしまえば笑い話よ」

 

ギィ「笑えるかよ!大体あんたのせいだろーがっ!」

 

ワレス「だがわしのような鎧も着ずにあの中を突っ切って無事なのだからな…おまえはなかなかの器であろう」

 

ギィ「当たり前だ、サカ一の剣士になるまでは簡単には死ねないからな!」

 

ワレス「ほう、おまえ強くなることを望むか…」

 

ギィ「そうだ!弓も馬もダメだったから…せめてこれだけは一番になりたいんだ」

 

ワレス「その心意気やよーーーし!!!」

 

ギィ「うわっ!?」

 

ワレス「ギィよ、わしの手がけたこの『兵士強化マニュアル』を使うとよい、これは一人前の騎士を目指すためのものだが…強くなるための基礎にはなるであろう」

 

ギィ「えっ!本当か?ありがとうワレス!参考にしてみるよ!」

 

ワレス「ふふふふふ…これでおまえも理想の肉体美となるぞ…」

 

 

 

A

 

ワレス「あれから大分経ったが…どうだギィよ、わしのマニュアルの成果は」

 

ギィ「いや…あれからずっと試してるけど、なんか大して変わらないような…」

 

ワレス「そんなはずはない!わしのマニュアルは完璧だ、完璧がゆえ、1つでも怠けると水の泡となる…さてはおまえ、手を抜いておるな!」

 

ギィ「ば、バレた!」

 

ワレス「おのれぇ…!己の怠惰をわしのせいにしようとするとは…!!!」

 

ギィ「わ、悪かったって!お、俺には合わなかっただけだからさ、返すよ!」

 

ワレス「ならん!おまえは騎士ではないが、わしの見込んだ筋のいいやつよ!よし、特別にわしが直接みっちり鍛えてやるわ!」

 

ギィ「え…ええええええっ!?」

 

ワレス「さあ、まずは走り込みだ!あっちの方向に向かって共に走るぞ!」

 

ギィ「じょ、冗談だろ?敵陣じゃないか!それも前より多い…」

 

ワレス「弱音ばかりではいつまでも強くなれんぞ!それとも…わしを倒せるか…?」

 

ギィ「い、行きます行きます!くそー…!もうどうにでもなれー!」

 

 

 

 

 

 

ロウエン&ファリナ

 

C

 

ロウエン「ファリナさん、見事な戦いぶりですね」

 

ファリナ「あ!あなたは確かエリウッド様のとこの…」

 

ロウエン「はい、ロウエンって言います」

 

ファリナ「ロウエンさん!今の私の戦い見てたんだよね?他の人より活躍するでしょ!」

 

ロウエン「すごい腕前です、俺なんかまだ半人前で…」

 

ファリナ「当たり前よ!なんてたって、2万ゴールドで雇われたすご腕の傭兵なんだからね!ロウエンさん、特別報酬だって考えてくれてもいいんだよ?」

 

ロウエン「特別な報酬か…そうですね、俺のでよければいくらかあげましょうか?」

 

ファリナ「えっ、ロウエンさんが!?やったー!」

 

 

 

B

 

ファリナ「…」

 

ロウエン「あ、ファリナさん、どうでした?特別報酬は」

 

ファリナ「…やっぱり…アレのことだったの」

 

ロウエン「ええ、この前の食事のとき、あなたにだけ一品特別に作ってあげたんですよ」

 

ファリナ「…違う」

 

ロウエン「えっ」

 

ファリナ「ちがーーーう!特別ってそういうことじゃないでしょ!」

 

ロウエン「ち、違う!?味付けが!?」

 

ファリナ「そっち!?そこじゃなくて、報酬ってのはね、お金のことよ!お・か・ね!」

 

ロウエン「ああ、そっちか!」

 

ファリナ「普通に考えたら分かるでしょ!?確かにロウエンさんがあんなこと言うなんてと後々思ったけど…」

 

ロウエン「でも、2万ゴールドで雇われたなんて言ってたじゃないですか、それだけあればしばらくは…」

 

ファリナ「お金はいくらもらっても困らないの、食事の礼なんて一回きり!」

 

ロウエン「な、何を言うんですか!『腹満たされずして心もまた満たされず』と昔の格言にも…」

 

ファリナ「お金さえあればご飯だって好きなだけ食べられるわよ!」

 

ロウエン「それは…!……確かに……す、すみませんでした…」

 

 

 

 

A

 

ロウエン「はあ…」

 

ファリナ「ロウエンさん…空になった食料袋に手突っ込んで何してるの」

 

ロウエン「え…ああ、すみません、ちょっと考え事を…」

 

ファリナ「…ねえロウエンさん」

 

ロウエン「どうしました?」

 

ファリナ「その…前のことなんだけどさ、くれたものが思ったのと違ったことにがっかりしただけでさ、その…別に料理自体には不満はなかったから、それだけは知っててほしくて」

 

ロウエン「本当ですか?よかった、不味くて俺のこと嫌いになったんじゃないかと思ってましたよ」

 

ファリナ「だからさ、こんなのはどう?すご腕傭兵の私がうんっと稼いで、ロウエンさんがそのお金でとびきりの料理を私に振舞う、どう?私達、結構相性いいんじゃない?」

 

ロウエン「え…それって…」

 

ファリナ「あ…い、今のはものの例えで…」

 

ロウエン「普通の家庭と役割が逆のような…」

 

ファリナ「…そっちなんだ」

 

 

 

 

 

 

カレル&ジャファル

 

C

 

ジャファル「……!」

 

カレル「俺に気づいたか…さすがは【死神】だな」

 

ジャファル「…【剣魔】…カレルか」

 

カレル「ほう、俺を知っているのか」

 

ジャファル「…」

 

カレル「ふっ…余計な言葉は交わさぬか…」

 

ジャファル「! …何のつもりだ」

 

カレル「この刃を見て分からないのか?【死神】とあろうものが」

 

ジャファル「…」

 

カレル「まあいい…今回はやめておく 【死神】ほどの強者を、すぐに斬るには勿体ないからな…」

 

 

 

 

B

 

カレル「また会ったな」

 

ジャファル「…俺を狙う理由は…賞金か」

 

カレル「違う…俺が求めるのは、血…強者の血だ…」

 

ジャファル「…」

 

カレル「俺は元々手練の揃う【黒い牙】の連中を斬れるからここにいる、他の理由はない

他の奴らは…お前がこの軍に加わっていることを受け入れたようだが…俺にそのつもりはない、何よりお前は【黒い牙】の中でも極上…」

 

ジャファル「…斬られるつもりはない」

 

カレル「それでこそ斬りがいがある!」

 

ジャファル「!」(カレル、ジャファルすれ違う)

 

カレル「…なかなかやる、だが…」

 

ジャファル「…ぐっ」

 

カレル「お前の方が深いようだな……どうした【死神】…この太刀筋は…」

 

ジャファル「……まだだ…俺は…まだ…」

 

カレル「………やめだ」

 

ジャファル「!」

 

カレル「お前を斬るのはやめにした…それだけだ」

 

 

 

 

 

 

A

 

ジャファル「…【剣魔】」

 

カレル「お前から話しかけるとは珍しい…なんだ」

 

ジャファル「…あのまま続けていれば…俺を殺せたはずだ いや、今やっても結果は同じ…」

 

カレル「…お前は」

 

ジャファル「…」

 

カレル「お前は俺と似て、人を斬ることに何の罪悪も感じない、そのためだけに生きている存在…そう思っていたが…どうやら違ったようだ」

 

ジャファル「…何がだ」

 

カレル「情だ、お前の刃には、情が感じてとれた」

 

ジャファル「情…」

 

カレル「お前の刃はただ冷たいばかりではなかった、ここで負けられない、死ぬわけにはいかない…そんなものが剣を通じて俺に流れてきた」

 

ジャファル「…」

 

カレル「興が冷めただけだ、俺が期待していた【死神】は、そんなものではなかった…だから、生かす。

…斬る気がなくなったのもあるが、お前がまた斬りがいのある奴に戻るまで…待つためでもある」

 

ジャファル「………俺は…死ぬつもりはない………俺にできた感情を…消すつもりもない」

 

カレル「…なるほど、【死神】であったお前も…変われる、か…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~エコーズ~ クレーベ&ジーク ティータ&マチルダ ボーイ&エスト

試験的に、最初以外に名前を入れないようにしてみました


クレーベ&ジーク 

 

C

 

クレーベ「ジーク殿、少しいいか?」

 

ジーク「ジークで構わない…どうした、クレーベ」

 

「すまない、ではジーク 君の過去についてなのだが…」

 

「私の…過去、か」

 

「思い出したくないなら、言ってくれ 私も無理に詮索するつもりはない」

 

「私は…いや、少しだけ聞かせてくれ」

 

「分かった、今度また話そう」

 

 

 

 

B

 

クレーベ「君はどこかの大陸から流れてきたのだったな?そのことなんだが…」

 

ジーク「手がかりがあるのか?」

 

「私も詳しくは知らないのだが…アカネイアという大陸は、名高い将が数多くいるらしい、その見事な槍さばき、君はアカネイアの騎士だったのかもしれないな」

 

「なるほど…」

 

「どうかな?何か思い出せそうか?」

 

「ああ…ハッキリとした記憶は出てこない…だが、妙な違和感がするんだ…思い出せない、というよりは…思い出してはいけないような…」

 

「ジーク……すまない、良かれと思ってのことだったが、君を苦しませることになってしまうとは…」

 

「気にするなクレーベ、その心使いには感謝している 私には昔を忘れ、今を生きるぐらいがちょうどいいのかもしれないようだ」

 

「ああ、それがいい もう君の過去のことは言わないようにするよ それに今の君には、大切な方がいるものな」

 

「ふっ…お互い様だ」

 

 

 

 

A

 

ジーク「ううっ…」

 

クレーベ「どうしたジーク!?どこかをやられたのか!?」

 

「い、いやそうではないんだが…今朝、ティータが焼いてくれたパンを食べたのだが…味が濃すぎてまだ口に残っている…どうやら塩の量を間違えたようだ」

 

「ははは、そういうことだったのか 彼女はそそっかしい人なのだな」

 

「ああ…だが、誰にでも優しく振舞う心を持っている 私はティータのそういうところに惹かれたのだろうな」

 

「戦いの中で大切な人がいるというのは、大きいことだな 私にもマチルダがいるから、分かるつもりだよ」

 

「だが、今は大陸中を巻き込む戦い…ティータもマチルダも戦場に出ていることが、辛いところだな…」

 

「確かにそうかもしれない…けれど私はマチルダの強さを信頼している なに、ティータも強い子ではないか、きっと大丈夫さ」

 

「そう、だな…ありがとうクレーベ、お前が味方で心強い …よし、行くぞ!」

 

「…あの戦いぶり…ここに来る前からも並大抵の将ではなかったのだろう…アカネイア随一と噂される黒騎士…まさか、彼なのだろうか…?」

 

 

 

 

 

 

 

ティータ&マチルダ

 

C

 

ティータ「マチルダさん、怪我してるよ!待ってて、私が治すわ」

 

マチルダ「すまないティータ、お願いする」

 

「ねえねえ、マチルダさんって、少し前に捕虜にされてたところを助けられたんだよね?」

 

「う、うむ…?…確かにそうだが、それがどうかしたのか?」

 

「ほら、私も捕まってたところをアルム達に助けられたからさ、私達、気が合うのかもね!」

 

「その気の合い方は何か嫌だな…」

 

 

 

 

B

 

ティータ「はあ…」

 

マチルダ「浮かない顔だなティータ、どうかしたのか?」

 

「あ、マチルダさん 何か起きたわけじゃないんだけど…もし、ジークの記憶が戻ったら…そこに帰っちゃうのかな、って思うの」

 

「確かにな…仮にクレーベが彼と同じ境遇だと思うと、私も心苦しくなる」

 

「ジークは、どっちがいいのかな…記憶が戻らないでほしいって思うのは、いけないことなのかな?」

 

「…分からない、だからこそ、彼のことを大事に思うべきだ 彼とティータが互いに想い合っているのは変わらない事実なのだから 記憶が戻っても、お前を忘れることなどあるものか」

 

「…ありがとうマチルダさん、ちょっとだけ気が楽になったよ」

 

 

 

 

A

 

ティータ「うーん…」

 

マチルダ「ティータ、また悩んでいるのか?」

 

「前とはちょっと違うんだけど・・・そういえばジーク、始めて会ったときに、誰かの名前を口にしてたの」

 

「名前を?記憶の手がかりになることなのかもしれないのだな…」

 

「うん…確か…ニーナって」

 

「………女の、名前だな」

 

「きっと家族だよね、やっぱり家族の人もジークの帰りを待ってるんだわ、うーん…困ったな…」

 

「ま、待てティータ!もしかしたらその女性は家族というよりは…」

 

「えっ?」

 

「…いや、やめようこんな話は!彼の記憶を私達が探る必要はない!そうだろう!」

 

「そうだよね…うん、分かった、やめよっか」

 

「…私も今回の件は忘れることにしよう」

 

 

 

 

 

 

 

ボーイ&エスト

 

C

 

ボーイ「ふぅー…この辺はなんとかなりそうだな」

 

エスト「お疲れボーイ!大丈夫?」

 

「おう、まだまだ…しっかし…ギースに捕まってるなんていうから、か弱い女の子なのかと思ってたが…まさかここまで強いとはね」

 

「私だって元とはいえ騎士だったんだよ!姉さま達やみんなには負けないよ!」

 

「はあ…世の中意外に女性の方が強いのかもな」

 

 

 

 

B

 

ボーイ「エストってよ…ホントに三姉妹なんだよな?」

 

エスト「ええっ?いきなり何言い出すの?」

 

「いやあ、姉2人はどっちも真面目でおしとやかって感じだから分かるけどよ…お前は全然違うじゃねえか」

 

「ちょっと!それどういう意味!」

 

「うわっ、怒るなよ!だって全然似てないじゃねえかよ!」

 

「そ、それは確かにそうだけど…いつからこういう違いが出るものなんだろう」

 

「姉の面倒見がいいから、そうなっちまうものなのかもな」

 

「だーかーらー!」

 

 

 

 

 

A

 

ボーイ「おいあそこ!敵がいる…俺の魔法じゃ届かねえか」

 

エスト「よーし!だったら私に任せてー!」

 

「…うわー…やっぱ大した機動力だなあ…」

 

「ただいま!私がやっつけてきたよ!」

 

「なんかちょっと羨しく感じるなあ、天馬ってよ 乗りこなせればどんなとこでもひとっ飛びじゃねえか」

 

「えへへ、まあね!でも良いことばかりじゃないんだ、弓に狙われたら危ないし、ここに来たのだって飛んでるときに風で流されてきたからだし…」

 

「で、姉が助けに来た、と」

 

「そ、それは…私、運が悪いからなのかな…いつも助けられてばっかりだよ」

 

「まあ、姉にとっちゃそういうところも可愛いところなんじゃねえの」

 

「あれ、今日は優しいんだね?」

 

「いや…今日はっていうか…なんていうか…なーんかお前見てると放っとけないんだよな…なんでだろうな…」

 

「ふうん…へんなの」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~封印の剣~ ギース&スー レイ&キャス ララム&ファ

ギース&スー

 

C

 

ギース「おい、お前 おーい」

 

スー「…私?」

 

「そうそう、お前だよ さっきからボー、とそこにいるもんだからよ 気になっちまって」

 

「…気を抜いてたわけじゃない。話をしてたの」

 

「話…?」

 

「ええ。」

 

「そりゃ、一体誰とだ?」

 

「…耳をかたむけてみて。」

 

「どれどれ………風の音が聞こえるな。」

 

「そういうこと。」

 

「…へ?」

 

 

 

 

 

B

 

ギース「お、確か…スー。また『お話』か?」

 

「…そう。」

 

「風か?」

 

「それだけじゃない。」

 

「ん………草や木が風に揺られてるな」

 

「そういうこと。」

 

「ははは、俺もなんとなく分かってきた気がするぜ。」

 

「でも、まだある。」

 

「ま、まだあるのか?…よし、全部聞き取るまで俺も付き合うぜ!どれどれ…」

 

「…ふふ。」

 

 

 

 

 

A

 

ギース「戦いも随分と激しくなってきたな」

 

スー「そうね。」

 

「初めは仲間の仇討ちだったが、すっかりこの軍にも馴染んじまったな。」

 

「…仇討ち?」

 

「ああ、俺は元々、それが目的でここにいる。」

 

「あなたも…仲間を」

 

「…も、か…戦いに出る奴なんて、似た者揃いってわけか。」

 

「…」

 

「…そうだ、スー。お前、船に乗ったことはあるか?」

 

「この前乗ったのが、初めて」

 

「サカ育ちなら、まあそうだろうな。この戦いが終わったら一度でいい、俺の船に乗ってみないか?」

 

「あなたの?」

 

「ああ、空や大地もいいが、やはり俺には海だ、海の声を、お前にも聞かせてやりたいと思ってな」

 

「…そうさせてもらう。ありがとう、ギース。」

 

「おう、いいってことよ。」

 

 

 

 

 

 

レイ&キャス

 

C

 

キャス「よーし、次はあっちに行って……いてっ!」

 

レイ「うわっ!…なんだよお前!危ないじゃないか!」

 

「はあ!?こっちのセリフなんですけど!そんなとこで突っ立ってさ!」

 

「魔法の詠唱してたんだ!あんたみたいなコソ泥には分からないだろうけどね!」

 

「コ…コソ泥ですってー!あたしよりチビなくせに偉そうにしないでよ!」

 

「チ…チビだとー!?ふん、コソ泥やってるぐらいなら、頭悪いんだろ、このバカ!」

 

「言ったわねー!」

 

「そっちこそー!」

 

 

 

 

 

 

B

 

キャス「あらおチビさん、まだしぶとく生き残ってんのね」

 

レイ「そっちも、すばしっこさだけは一人前みたいだな」

 

「ふん、経験が違うのよ、あんたとは」

 

「大して変わりゃしないだろ…おまえと話してるだけ時間の無駄だ、さっさと終わらせて…あれ?」

 

「これ、なーんだ?」

 

「お、俺の魔道書…!?いつの間に!」

 

「頭悪い奴に、一本とられてやーんの。」(キャス消える)

 

「お、おい逃げるな!待て!待ちやがれー!!」

 

 

 

 

 

 

A

 

キャス「よっ、おチビさん。調子はどう?」

 

レイ「…いい加減に返せよ、この前の魔道書」

 

「バカにしたこと、謝るのが先よ。」

 

「だ、誰が言うかよ!」

 

「じゃあ返さないよーだ。」

 

「ぐぐ…ふん!お前に頭下げるぐらいなら、それでいいさ!」

 

「あっそ、しょうがないなあ、私お金持ちしか盗まないって決めてるから、これは返したげる。でも結局謝ってくれなかったから、あんたは今日から私の子分ね。」

 

「はあ!?もっと嫌だよ!」

 

「闇魔法って結構貴重なんでしょ?勿体ないことするなあ~」

 

「こ、この野郎…調子に乗りやがって」

 

「分かったらさっさと行くよ、子分その2。」

 

「俺でその2なのかよ!?」

 

 

 

 

 

 

ララム&ファ

 

C

 

ララム「ひらひら~ひらひら~。」

 

ファ「じー」

 

「あら、可愛いお客さんね。どう?私の踊り。」

 

「ファも、それやりたい。」

 

「踊りを?それって私に憧れて?やだー、私の魅力もとうとうここまで来たのね。きゃー!」

 

「?」

 

「いいわよ、教えてあげる!私のとっておきの踊りをよ!これをこなせばもう道行く人たちはみんな振り向くこと間違いなし!立派なレディ目指して頑張るわよ!」

 

「ふりむく?れでぃ?」

 

「とりあえずこういう時は、喜べばいいのよ!」

 

「わーいわーい。」

 

 

 

 

B

 

ララム「ここをこうして…」

 

ファ「ぐるぐるー」

 

「それじゃ回ってるだけよ、うーん、ファにはまだ難しかったかしら?」

 

「どう?お姉ちゃん。」

 

「よく考えたらファより私は何年も生きてきたものね!人生の大先輩じゃない!うんうん、まだまだこれから伸びるってことよね!」

 

「お姉ちゃん?」

 

「ファ、立派なレディは踊りだけじゃないわ、料理ができるのも大切よ。」

 

「りょうり?」

 

「まあまあ、お姉ちゃんを信じてついてきなさい!」

 

「はーい。」

 

 

 

 

 

A

 

ファ「ララムおねーちゃん。りょうり、たのしかったからまたしよーよ。」

 

ララム「ファ、残念だけど、料理は禁止されたわ、うっかりテントが3つ燃えただけなのに、ケチよね、マリナスって!」

 

「ぶー」

 

「けど挫けちゃダメよファ、これは立派なレディを目指す試練の1つなのよ」

 

「しれん?」

 

「そうよ、ここを乗り越えれば、きっと素敵な日々が待っているわ!」

 

「すてき?」

 

「私も…白馬にまたがったロイさまが迎えに来て…私に婚約を迫って…」

 

「こんやく?」

 

「『ララム、君は僕だけのものだ』…きゃっ、ロイ様って大胆!きゃーきゃー」

 

「ぐるぐるーぐるぐるー」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~蒼炎の軌跡~ ワユ&ソーンバルケ マカロフ&ウルキ シノン&ツイハーク

ワユ&ソーンバルケ

 

C

 

ワユ「あ、いたいた。ソーンさん発見!」

 

ソーンバルケ「お前は確か…ワユ、と言ったな。」

 

「その通り!突然だけどソーンさん、私と勝負してくれない?」

 

「ほう…それはまた、なぜだ?」

 

「あたし、傭兵なんだけどまだまだ修業中の身でさ。だからソーンさんとならいい修行になりそうだな!って。」

 

「なるほど…そのなりを見る限り、おまえも剣士と見える…いいだろう、我が剣、おまえに見切れるかな。」

 

「上等!絶対に負けないんだから!」

 

「心意気はよし、来い。」

 

 

 

 

B

 

ワユ「ソーンさん今日も発見!さあ、勝負勝負!」

 

ソーンバルケ「おまえが望むなら、何度でも受けよう。」

 

「そう来なくっちゃ、今日こそ絶対一本取らせてあげるから!」

 

「…その言葉も何度か聞いたな。」

 

「た、確かに今日が何度目の勝負かは数えてないけど…でも、あたしも一回目のときとは違う…ずーっとソーンさんに勝つために技を磨いてきたんだから!」

 

「本当にそうか?」

 

「え…」

 

「まだ見ぬ敵に備え己の実力を磨き続ける…それ自体は素晴らしいことだ。だが、お前は私に勝てていない。ただ特訓するだけでは届かぬ境地…お前はそれに気づけていない。」

 

「…それじゃあ!どうすればもっと強くなれるの!?教えてよ師匠!」

 

「師匠…?…まあいい、己より強い者の技を盗め、そして、技を極めることだ。ワユ、これからの戦い、私の見せる技に一層注意を払え、おまえになら剣を極めしものの奥義、必ず会得できるはずだ。」

 

「奥義…いいねぇ、なんだかいい響きじゃん!よーし、それじゃあ早速行くよ!」

 

 

 

 

 

A

 

ソーンバルケ「はあっ!」

 

ワユ「来た!今日こそはその動き…見切った!」

 

「! ……」

 

「はあっ、はあっ…始めて…止められた…?今の技…」

 

「ああ、見事だ。並の者が1回剣を振る間に、5回剣を振る奥義、『流星』…おまえは確かにそれを防いだのだ。すなわち、それを会得したと同じ。」

 

「本当!?よっしゃー!……でも、あたしはソーンさんの剣を止めるつもりで動いただけだよ?身に付いた…のかな?」

 

「奥義とは決して狙って出せるものとは限らない、何度も連続で出すことなど殆ど無理だ。

しかし、一度出せたのなら二度もある。いずれ実戦でも使える時が来よう。

なあに、先の動きはまぐれあたりではない。今までおまえの成長を見てきた私が保証しよう。」

 

「…そっか。よーし!俄然やる気が出てきちゃった!ソーンさん、もっと色んなこと教えてよ!あたしまだまだ頑張れるから!」

 

「いいや、教えることは何もない。これからどこまで登りつめられるかは、お前次第だ。」

 

「じゃあ!今日からは師匠としてじゃなくて、あたしのライバルとして、また勝負!今の奥義の感覚、完全にものにしたいからね!」

 

「…よかろう、おまえはまだ若い、まだまだ上を目指せる…超えてみろ、私を。」

 

「望むところ!」

 

 

 

 

 

 

マカロフ&ウルキ

 

 

 

C

 

マカロフ「へへ、今回の報酬はいつもより多かったらしいから、特別に…なんて懐が広くて助かるぜ。

いつもは借金の返済でタダ働きのところだが…毎回返してる分を差し引いて…余りはそれなりにあるな。

よーし、このマカロフ!久々に賭場にでも行って借金を一気にパーっと返済といきますか!」

 

ウルキ「…………」

 

「! は、はは。やあ、こんちは…えーと半…ラグズの………ウルキ!…さん。」

 

「…………」

 

「あ…違いました?」

 

「いや…合っている…それより……お前はマカロフ……だな?」

 

「え?俺は確かにマカロフだけど…わざわざ何か用?」

 

「……俺はないが……お前を呼んでいる声がする……」

 

「呼んでる声が…する?何言ってんだ?どこから?」

 

「……東の方だな……お前を探しているようだ……」

 

「す、すごい聴力してんだな~……探してる……って……あのー…話してる内容は分かるのか?」

 

「………『こんなとこまではるばるやって来たんだ マカロフがここに雇われてるって噂聞いてなぁ いい加減貸した金返してもらうんだよ 分かったか』」

 

「ひえええ…!あ、ありがとよウルキ!感謝感謝!俺は隠れるから、もしそいつらが俺のこと聞きにきても知らないって言えよー!」

 

「…………」

 

 

 

 

B

 

ウルキ「…………」

 

マカロフ「お、いたいた。探すの苦労しましたよ、ウルキさん!」

 

「…………マカロフ………久しいな。」

 

「そうっすね!いやー、あの時はウルキさんのおかげで借金取りから逃げることができて…ホントに感謝してるんですよ!うん!」

 

「………………今まで通りの話した方で……いい……」

 

「あ、そう?じゃあそうさせてもらうけど…そうだ!今日はウルキにお礼がしたくて来たんだよ!ほら、これ。」

 

「…………これは?」

 

「その果実、甘くてすごい美味しいらしいぞ~、俺が誰かに贈り物するなんて滅多ないことだから、喜んで受け取ってくれ!…まあ、賭場仲間の貰い物だけど…」

 

「…………」

 

「いや!なんでもない、独り言だ!あ、それとまたあいつらが来たら教えてくれよな!じゃあ俺は酒場…訓練に行ってくるから!」

 

「…行ったか。

…………………………

…………………美味いな。」

 

 

 

A

 

マカロフ「ふああ…前に貰えた報酬も酒と賭け事ですっからかんだなぁ…あーあ、他に借りられるところ、探さなきゃなあ…」

 

ウルキ「…………」

 

「わっ、わわっ!?…ってなんだ、怖い面してるからまさかと思ったが、ウルキだったか。」

 

「……お前に…言いたいことがある……」

 

「げっ!?てことは、借金取り!?」

 

「………………違う………この前の実……美味かった…礼を言う…」

 

「へ?まさか…それを伝えに?」

 

「…………」

 

「ははは…見かけによらず、良い奴なんだねえ、アンタ。」

 

「だが…せっかく手に入った金を………借金返済にあてず……」

 

「!」

 

「賭け事とやらに負けたことを人のせいにし……」

 

「! !」

 

「酒場では……私がいるから借りるだけ借りて……逃げればいいと……」

 

「! ! !」

 

「……そういうところは……見直した方がいい………」

 

「ひ、ひえ~…恐るべき地獄耳…そんな力をベオクが持ってなくて良かった良かった…」

 

 

 

 

シノン&ツイハーク

 

 

C

 

 

ツイハーク「やあ、シノン。新しい矢を持ってきたよ。」

 

シノン「これはこれは…ご親切にどーも。」

 

「あ、俺はツイハークって言うんだ、よろしく。悪いね、戦場以外で一緒になるのは初めてなのに、なれなれしくて。」

 

「いーや…それは別に構いはしねえ。そう言う奴は案外腐るほどいるからよぉ。」

 

「しかし…何故か君は俺のことを快く思っていないように見える。」

 

「ご名答、俺はお前のことは快く思ってねえよ。」

 

「…理由を聞かせてくれないか。」

 

「はっ、自分で分かんねーのか?聞いたぜ、半獣を守るために進んでアイク達について行ったってなあ。」

 

「…ラグズだ。」

 

「俺達が呼ぶ分にはどっちだっていいだろうが。人間の癖には半獣の肩を持つなんてとんでもねえ奴がいたもんだぜ、まったくよぉ。」

 

「……」

 

「おおっと悪い悪い、うっかり二度も半獣って呼んでしまったなぁ。」

 

「…あのアイク将軍の仲間だったというから、きっとすぐ打ち解けられると思っていたが…

…どうやらそれは無理なようだな…失礼するよ。」

 

「…けっ、俺はそいつも嫌いなんだよ!」

 

 

 

 

B

 

ツイハーク「…やあ、また会ったね。」

 

シノン「これはこれは、誰かと思えば半獣のお仲間のツイハークさんじゃないか。」

 

「……ふふっ」

 

「…何が可笑しい?」

 

「いいや、すまない。今まで君のことを誤解していたんだ。」

 

「はぁ?前も似たようなこと言ってたじゃねえか。」

 

「実はあの後…傭兵団のみんなに君がどんな人かを聞いたんだ。ミストや、副団長…他の人にもね。

そしたら、満場一致の意見だったさ。『憎まれ口はいつものこと、むしろ喋ってくれるのは友好的な方』…ってね。」

 

「あいつら…」

 

「それに、傭兵の身で本当にラグズを妬み嫌うというのなら…連合であるこの軍についてくるわけがないからね。」

 

「馬鹿なこと言ってんじゃねえ!俺が今ここにいるのはアイクの野郎といずれ決着をつけるためだ!それに俺がいない間に素人のガキ共まで戦場に出てやがる、放っとけるか!」

 

「そうかい。」

 

「…くそっ!気分悪ぃ…にやつきやがって!」

 

「すまない、つい顔に出てしまったようだ。」

 

 

 

 

A

 

ツイハーク「…突然だけどシノン、君に頼みがある。」

 

シノン「ああん?この軍から出てけとでも?」

 

「いいや、そうじゃない…俺達は傭兵だ。この戦いが終わって…もしまた戦争が起きたとすれば…今度は敵同士になりかねない。」

 

「そりゃそうだ、そのときは容赦しねえからな。」

 

「ああ、それを言いに来た。」

 

「…傭兵が傭兵にいちいち頼むことじゃねえだろ。」

 

「…この傭兵団は優しい人ばかりだ。きっと、戦うのを拒んだり、躊躇してしまう人が多いはずだ…

でも、君ならそう答えてくれると思ってたよ。」

 

「……気に入らねえな。」

 

「…だから、戦える。」

 

「そうじゃねえ!まるで、今やってるデインとの戦いは、生き残れる前提の話しやがってよぉ。

傭兵ってのはその日その日の戦いを必死に生き残るものだろうが、今日生き残ったら明日、明日生き残ったら明後日…先の戦いなんて考えるんじゃねえ。言うとしても、デインに勝ってからにしやがれってんだ。」

 

「…」

 

「……ま、とはいえ頼まれちまったからには引き受けてやるとするかなぁ。だから、この戦いでくたばんじゃねえぞ。自分から頼んどいて約束破られたんじゃあ、たまったもんじゃねえからな。」

 

「………ありがとう、シノン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

暁の女神 オリジナル戦闘会話

 

シノン「……よぉ、3年振りだな」

 

ツイハーク「…シノン、君か。」

 

「お前、どういうつもりだ?ラグズに刃向けるってのは、余程の事情ありってか?」

 

「………『ラグズ』、か………お互い変わったな、シノン。」

 

「ちっ…お前のそういうところが俺は気に食わなかったんだよ。

あの時自分で言ったこと…覚えてるな?容赦はしねえ、できるだけ早いうちに仕留めてやるよ。

……苦しまないようにな。」

 

「…俺のために、か?」

 

「両方だ!」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~封印の剣&エコーズ~ キャス&クラリーネ セリカ&セーバー ジェシー&エスト

今回は某所でのリクエストに応えた組み合わせのため、作品は統一されていません。


キャス&クラリーネ

 

C

 

クラリーネ「そこのあなた、怪我をしているじゃありませんの 私がこの杖で治してさしあげ…」

 

キャス「やめて 必要ないから」

 

「! わ、私の御厚意に対してその態度はなんですの!?あなた、私を誰だと思って…」

 

「分かるよ どー見てもどこかの貴族でしょ あたしはね、あんたみたいな貴族が大キライなの!」

 

「き、嫌いですって!?…わ、私もあなたのように私利私欲で動く賊のような方と仲良くするつもりは最初からありませんわ!」

 

「フン! そこどいて!」

 

「痛っ!…い、いきなりぶつかって一体何…って、もういないじゃありませんの!?どこまでも失礼な方ですわね!」

 

 

 

B

 

キャス「へへ…今日も上手くいったね、楽勝楽勝 …っ! …でもないか…無理しすぎちゃったかな…あ、あれ…体が思うように動かないや…」

 

クラリーネ「あ…あなた、その大怪我は!?」

 

「…あーあ、またあんたか 最期に見るものが貴族だなんて最悪…」

 

「…動けないんですのね、それならば、今度は嫌でも治してさしあげますわ!」

 

「!…どう…して」

 

「誰であろうと平等に接して差し上げるのが貴族というものですわ それに…クレインお兄様なら絶対怪我人を見捨てるようなこと、しませんもの」

 

「……ふーん」

 

 

 

A

 

キャス「あ、いたいた」

 

クラリーネ「? どうしたんですの?」

 

「これ、返す」

 

「これは…私の手鏡ではありませんの 返すって……!あ、あの時にですわね!?」

 

「…あたし、貴族はみんな嫌い…どいつもこいつも自分のことしか考えてない奴だから…そう思ってたけど、あんたはちょっと違うみたいだね」

 

「わ…私も賊などと野蛮で醜い方ばかりだと思っていましたわよ…けれど、この軍にいる方は少し違うようですわね…」

 

「…な、なによ 違うってだけで別に好きとか誰も言ってないからね!」

 

「わ、私だってあなたを認めたわけではありませんわよ!勘違いしないでもらいたいですわ!」

 

「フンッ!」

 

「ふんっ!」

 

 

 

 

 

 

エコーズ

 

 

 

セリカ&セーバー

 

C

 

セリカ「セーバー、無事みたいね。」

 

セーバー「おいおい、俺がお嬢ちゃん達より先にくたばるわけねえだろ?場数が違うぜ。」

 

「ごめんなさい、それもそうね。」

 

「とはいえ…ここまで激しい戦いは久々だな。骨が折れるぜ、全くよぉ。」

 

「そこまでかしら?」

 

「…大した器だな。」

 

 

 

B

 

セーバー「はあ…」

 

セリカ「どうしたのセーバー?元気ないみたいね。」

 

「あん?いやあ…魔物と戦ってたら思うんだよなあ。ああいうの相手するときは、魔法の方が有効だろうなってよ。」

 

「…ふふっ」

 

「何がおかしいんだよ?」

 

「ごめんなさい…セーバーが魔法を使ってるところを考えてみたら…ちょっと面白かったの。」

 

「どういう意味だ、そりゃ…」

 

 

 

 

A

 

セーバー「お嬢ちゃん、好きな男とかいるのかい?」

 

セリカ「い…いないわよ、そんなの。」

 

「そうかい、お嬢ちゃんの年頃ならいるもんだと思ってたがな。」

 

「そういうセーバーはどうなの?」

 

「俺?今はいないが…いつかは、俺にも惚れる女ができるのかね。」

 

「…ふふっ」

 

「おいおい、今度はどういう笑いだ?」

 

「そうじゃないわ、セーバーでも、そんなこと考えるのね、って。」

 

「そりゃ俺だって人間だからな…お嬢ちゃんもだ。」

 

「え?」

 

「素性がどうであれ…お嬢ちゃんも俺達と同じ人間なんだよ、何かあったら俺でも、誰でもいい。信用できるやつに話してみろ。」

 

「…セーバー、ありがとう。」

 

「ふっ、傭兵への礼は言葉じゃないぜ?この旅が終わったら、弾んでもらおうかね。」

 

 

 

 

ジェシー&エスト

 

C

 

 

 

ジェシー「やあ、エスト。今日も素敵だね。」

 

エスト「あ、ジェシーさん。こんにちは。」

 

「そんな君に、これをプレゼントしよう。」

 

「わあ…素敵な髪飾り!本当にいいの!?」

 

「もちろんだよ、こういうのは、君みたいな女性が身につけてこそ価値があるのさ。」

 

「えへへ、ありがとう、ジェシー!大切にするね!」(エスト消える)

 

「うーん…あの笑顔…これってもしかして、両思いかな…?いやー、参っちゃうね。これはどんどん、話しかけてみてもいいかな?」

 

 

 

B

 

ジェシー「やあ、エスト。」

 

エスト「あ、ジェシー!今日はどんな話をしてくれるの?」

 

「そうだなあ…最近色んな話をしたしね。おっと、その前にこれをあげるよ。」

 

「わあ、綺麗な花…!」

 

「君にぴったりだと思ってね。さあ、遠慮なく受け取ってくれ。」

 

「嬉しいよ、ジェシー!アカネイアに帰ったら、アベルにも見せてあげよっと!」

 

「……アベル?も、もしかして…」

 

「そうだ!今日はジェシーの若い頃の話、聞きたいな!…ジェシー?」

 

「いやあ…恋って美しいものだけど…その分脆いものだねえ…」

 

 

 

 

A

 

エスト「ジェシーは、昔家を飛び出したって前に言ってくれたよね?」

 

ジェシー「そうだね、それがどうかしたのかい?」

 

「どうしてかな、って。裕福な家だったんでしょ?」

 

「うーん、確かにそうなんだけどね。裕福なのが幸せってわけじゃないからさ。…周りからしてみれば幸せなんだろうけどね。」

 

「えーっと…つまり、どっち?」

 

「一見幸せに見えることでも…本当はそうじゃないことがあるのさ。人間の関係って、本当複雑だよ。もしかしたら、君にも…」

 

「…」

 

「って、冗談だよ、冗談。あんまり気にしないでよ?」

 

「う、うん…そう…だよね。」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~蒼炎の軌跡&エコーズ~ セネリオ&ジル セーバー&ディーン ノーマ&ソニア

今回も別所でのリクエストになります。ここでもリクエストがあれば是非言ってください。(絶対に応えるわけではないので、その時は伝えます。)


ジル&セネリオ

 

C

 

ジル「……」

 

セネリオ「…そんなところで1人何をしているのです?」

 

「…おまえは、軍師の……少し、考え事をしていた。」

 

「そうですか。」

 

「…詮索はしないのか?」

 

「ええ、元々僕はあなたを信用してはいませんから。」

 

「…私が、デインの人間だからか。」

 

「…デインに反感を抱きこちらについたのならともかく…あなたが僕たちといるのはただの成り行き…そんな人を信じろというのも無理な話です。」

 

「…最もな意見だな。…それなら、もう少し1人にさせてくれないか。私も…皆と仲良くできるとは思っていない。」

 

「分かりました。くれぐれも変なマネは起こさないように…」(セネリオ消える)

 

「…」

 

 

B

 

ジル「軍師殿…まだ私を信用してはいないよな?」

 

セネリオ「ええ。」

 

「…そう…だな…本来、許されるようなことではない…分かってはいるが…」

 

「…どうやら、長くここにいすぎたようですね。」

 

「私の信じていたものが…間違いだと思えてきた…分からなくなってきたんだ…私のいるべき場所が…」

 

「いるべき…場所…」

 

「すまない、おまえにこんなことを話しても…何も変わらないのにな。」

 

「…はい。私があなたに対する気持ちは変わりません。…ですが…」

 

「…?」

 

「あなたがどれだけ悩もうと…いられる場所は1つです…それが、ここであろうと、デインであろうと、僕は何も言いません。そこがあなたの居場所です。」

 

「軍師殿…?なぜ、私にそのような…」

 

「…少々、喋りすぎたようですね…失礼しました。」

 

A

 

ジル「軍師殿…おまえもデインの育ちなのか?」

 

セネリオ「…なぜそのような質問を?」

 

「以前、私にあのような言葉を…言って、くれたから…そ、それに!おまえはベオクよりラグズを避けているようにも見えるから…」

 

「…質問の答えをするならば…僕は、デインで育ったわけではありません。…ですが、ラグズについてはそのとおりです。」

 

「それなら軍師殿…いや、セネリオは…どうして、クリミア軍に…この傭兵団にいるんだ?聞けば、意見が合わず一度ここから抜けた人もいるというのに…」

 

「…それは、愚問ですね。」

 

「え?」

 

「僕の居場所が、ここにあるからです。深い意味は…ありません。」

 

「…そう…か。簡単なことだったんだな…セネリオ…私は…ここにいていいんだな?」

 

「…あなたが、そう決めたのであれば。」

 

 

 

 

セーバー&ディーン

 

C

 

セーバー「ディーン、お前の腕 なかなかやるじゃねえか。」

 

ディーン「…」

 

「おっと、こうして話すのは初めてだったか。馴れ馴れしいのは好かないか?」

 

「そうだな…無駄話はしたくないんだよ。」

 

「暗い奴だねえ。」

 

 

B

 

セーバー「ディーン、今度はちゃんとした用があってきた。」

 

ディーン「何だ?」

 

「まぁ、大したことじゃねえんだが…お前はその目の傷、どんな奴にやられたんだ?」

 

「…突拍子に何を言っている。」

 

「何となくだが…お前と俺は、何となく似ている気がしてね。」

 

「…そうだとしても、俺はお前に言うつもりはない。いや、誰にもな。」

 

「へぇ…分かるぜその気持ち。やっぱ似た者同士だな。」

 

 

A

 

ディーン「セーバー。」

 

セーバー「どうした?ディーン。」

 

「…俺のこの剣…預かってくれないか。」

 

「はあ?なんだそりゃ?」

 

「…この旅が終われば、俺は二度とお前達に顔を合わせるつもりはない。こいつで俺の墓でも立ててくれ。」

 

「おいおい…そんな理由なら受け取れねえな。お前ほどの実力者が、簡単にくたばるわけねえだろ。」

 

「…そうか。」

 

「なーに、俺も雇われであちこち回る傭兵だ。生きてりゃ、またどっかで会えるだろ。…しかし、なんで俺に頼んだんだい?」

 

「…似ているからな。」

 

「ははは、お前意外と面白いな。」

 

 

 

 

ノーマ&ソニア

 

C

 

ノーマ「おおーっ!いいのう、なかなか素敵なお嬢さんじゃ。」

 

ソニア「あら…誘ってるつもり?悪いけど、あなたみたいな年寄りはさすがに無理ね。」

 

「そんな固いこと言わんでほしいのう、ほれほれ。」

 

「ちょっと…どこ触ってんのよ!」

 

「おお…あいたたた。こ、腰が…」

 

「とんだ司祭もいたものね、まったく…」

 

 

B

 

ノーマ「また会えたのう、ソニアのお嬢さん。」

 

ソニア「あなたこの間の…」

 

「どうじゃ?これが終わればわしと、お茶でもせんか?」

 

「お断りするわ。」

 

「ありゃりゃ、冷たいのう…」

 

「当たり前じゃない、なんか私によく絡んでくるけれど…何か理由でもあるの?」

 

「そりゃあお前さんみたいな美人とは仲良くしたいからのう。ほっほっほ!」

 

「…はあ。」

 

 

 

A

 

ノーマ「うう…ソニア…」

 

ソニア「爺さん…どうしたの、その傷は!?」

 

「わ、わしはどうやらここまでみたいじゃ…セリカに、すまんと伝えといておくれ…」

 

「ちょっと…冗談じゃないわよ!今まであんなに元気だったじゃない!目を開けなさい!」

 

「…なんてな。驚いたかのう?」

 

「は?」

 

「どうじゃ、この格好。まるで本当に死にそうなもんじゃろう、ほっほっほ。」

 

「な、何よ…こっちの寿命が縮まるわよ。…ふふっ」

 

「やれやれ…やっと、笑ってくれたかい。」

 

「え…?」

 

「お前さん、微笑んだりはするけどのう、いつもどこか悲しそうな目をしておった。せめて、わしらといる時ぐらいは笑顔になってほしくての。」

 

「爺さん…じゃあ、今までのは全部…芝居…?」

 

「まあの!じゃが、お前さんと仲良くしたいのは本当じゃな。いらん気遣いじゃったかのう?」

 

「本当よ!はあ…年の割に元気な奴ね。…私の父親も…あなたみたいな人なら、もっと笑える人生だったかしらね。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

烈火の剣 ヘクトル&プリシラ エリウッド&セーラ マシュー&フィオーラ

ヘクトル&プリシラ

 

C

 

ヘクトル「おっ、プリシラ、大事はねえか?」

 

プリシラ「ヘクトル様、こちらは心配いりません。」

 

「そうか、よかった。もし何かあったらすぐに呼んでくれよ。お前みたいなのを前に出させねえのが俺らの役目だからな。」

 

「ありがとうございます。ですが、ヘクトル様も本来は守られる立場ですから…あまり無理をなさらないでくださいね。」

 

「へっ、俺が簡単に負けるかよ。………」

 

「ヘクトル様…?私の顔をじっと見て何か?」

 

「おっと…悪い。なんか、お前とは初めて会った気がしなくてな…」

 

「私と、ヘクトル様がですか…?…すみません、この旅が始めてのはずですが…」

 

「だったら、俺の気のせいだろうな。よし!今は戦いに集中しようぜ!」

 

 

 

 

B

 

ヘクトル「プリシラ…1つ聞いていいか?」

 

プリシラ「ええ…何か?」

 

「お前…生まれもエトルリアなのか?」

 

「…それは…」

 

「やっぱ、どーもお前とは会ってる気がするんだよ…リキアでな。」

 

「……コンウォル」

 

「!」

 

「…私の生まれた場所は、かつてリキア諸国のうちにあった…コンウォルです。」

 

「…10年前は、もう養子だったのか?」

 

「いいえ、ちょうど10年前は、まだ…」

 

「そうか、盟約の儀式の時に子息で集まってた時…あの時に見たんだな、お前を。」

 

「…よく…覚えていますね。」

 

「ついこの前まで、忘れていたけどな。お前を見た記憶もその1度ぐらいだしよ。」

 

「言われてみれば、思い浮かびます…あの時に、一番目立っていた方…あれがヘクトル様だったのですね。」

 

「…コンウォルのこと、知ってるか?」

 

「はい…私は今…両親を探すために、旅をしています。取り潰されたと聞いて…動かずにはいられませんでした。」

 

「………」

 

 

 

A

 

ヘクトル「プリシラ…前から考えてたけどよ、やっぱり、話さなくちゃいけねえよな。コンウォルのこと…」

 

プリシラ「…私の父さまと母さまは…今何処へ?」

 

「………」

 

「ヘクトル様!お願いします!」

 

「…死んだんだよ」

 

「!」

 

「どっちも自害だ。取り潰しの理由も煮え切らねえ、友人の肩代わりしたとんでもねえ量の借金をどうにかするためにした、同盟の資金の横領…殺されたのと同じようなもんだ。」

 

「そんな…もう、父さまにも、母さまにも…二度と…」

 

「…お前が行方を追ってたんなら、遅かれ早かれ知ってたことだ。…辛いか?」

 

「予感は…していました。…けれど、こうして…事実として知られると…ここまで、重いものだったなんて…」

 

「…プリシラ、お前がいいなら…俺の側にいろ。」

 

「ヘクトル様…?それは…」

 

「こういうのは苦手なんだよ、俺は!湿っぽい奴をそっとしとくなんてことはできそうにもねえんだよ。お前そんなんじゃこれから先、余計に危険だろ?側にいてくれた方が、俺も守りやすいってわけだよ。」

 

「ヘクトル様…私は…プリシラは…」

 

「…気持ちは分かるからよ、何時までも悲しむんじゃねえぞ!今だけだ、分かったな!」

 

「はい…ありがとうございます。あなたのおかげで…私は、救われたような気がします。」

 

 

 

 

 

 

エリウッド&セーラ

 

C

 

セーラ「はい!エリウッド様、これでもう全快よ!」

 

エリウッド「ありがとうセーラ、いつも助かるよ。」

 

「やだ、エリウッド様ったら!私に感謝する気持ちをはっきり言うなんて分かってるじゃない!ヘクトル様は滅多に言ってくれないのに!」

 

「なに、礼を言うぐらいしかしてやれないのが申し訳ない位だ。ただ…」

 

「ただ?ただ、なんですか?」

 

「君は杖を使っているとき、片目を閉じたり、回ったり…どうも動作が激しいというか、無駄が多いような…」

 

「無駄って失礼ですね!決めてるんで!私みたいに高貴で綺麗な人は、目立つ方がいいんですから!必要な動きなんです!」

 

「そういうものなのか…?」

 

「そういうものなんです!」

 

 

 

 

 

B

 

セーラ「そうしたらオズイン様って何て言ったと思います!?君はそもそも落ち着きが…」

 

エリウッド「…セーラ」

 

「どうしたんです、エリウッド様?」

 

「前のような決める動きはなくなったが…今度は回復しに来た者に世間話をするようになったんだね…」

 

「はい!この前戦いの勝敗は兵の士気が大きく分けると教わりましたから!だから、元気づけるために始めたんです!」

 

「心がけは良いことなんだが…こう…少しずれている気もする」

 

「えー!?どうしてですか!?」

 

「…話が終わってから、回復を行うところだ。」

 

「なるほど!じゃあ、今度から後でしますね!」

 

「それも意味がないような…」

 

 

 

 

A

 

セーラ「エリウッド様…」

 

エリウッド「セーラ…?何かあったのか?」

 

「私は…迷惑なんでしょうか?この一行の…足手まとい…なんですか?」

 

「なぜそのようなことを…」

 

「私は…私は誰かを困らせようと振舞ってるつもりはないんです…ただ…自分らしく…それなのに…みんなが言ってくるのは小言ばかりで…エリウッド様だって…」

 

「何を言っているんだ!」

 

「え…」

 

「確かに、君のことをよく思わない人だっているかもしれない。僕も、君に直してほしいことが全くないわけじゃない。けれど、君の杖で助けられた命が、多くあるのも本当なんだ。そんな人を邪険に扱う人がどこにいるんだ?もしいるのなら教えてくれ。僕は…それを見過ごしはしない、必ずだ。」

 

「エリウッド…様…」

 

「早速だけど、今の君の改善するべきところを言うよ…笑顔を見せるべきだ。今まで通りの、曇りない笑顔を。君の明るさは迷惑なんかじゃない、杖とはまた違う、元気をもらえるんだ。」

 

「…」

 

「だから、この旅を最後まで共にしよう。そして…平和になった世で一緒に待とう。エトルリアの君の家族を。」

 

「! どうしてそのことを!?」

 

「君がこの前、僕に話してくれたことじゃないか。」

 

「エリウッド様…私の話…ちゃんと…」

 

「話は終わりだ。さあ、綺麗な君は明るく振舞わないと損なのだろう?」

 

「はい…はい!」

 

 

 

 

 

マシュー&フィオーラ

 

C

 

フィオーラ「マシュー、この前の戦いのことなんだけど…」

 

マシュー「…」

 

「マシュー?」

 

「ん、ああ、悪い悪い!ちょっと考え事してたよ。お前が敵だったら死んでるな。密偵、向いてないな!ははは!」

 

「…時々、悲しそうな顔をするのね。」

 

「時々って…何度も見てるのかよ。」

 

「気にもなるわよ。明るく見せてるから、余計にね」

 

「……あー、そうか。お前ちょうどいなかったのか。」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない。で、話ってのは……」

 

 

 

 

B

 

フィオーラ「マシュー、聞いたわ。魔の島に着いた時のこと…」

 

 

マシュー「…趣味が悪いね、お前も」

 

「…知らなかったのよ。まさか、あなたの恋人があそこで…」

 

「…俺は止めたんだ、魔の島は危険だっていうのに、あいつは…まあ、あそこで止めるような奴じゃないって、分かってはいたんだけどな。」

 

「私と…一緒ね 私も迂闊な判断で…大切な部隊を…」

 

「レイラは迂闊に動いて死んだわけじゃない!…はずだ」

 

「…ごめんなさい…一緒にされたら…困るわよね。私なんかと…」

 

「いや…悪い、俺もついカッとなっちまった。」

 

「…私はあなたの気持ちを完全に汲み取れるわけではないけれど…大切な人を亡くした気持ちは…分かるつもりだわ。」

 

「そう言ってくれる人は…何人でもいるが…お前に言われるのは…少し、違うな。」

 

 

 

 

 

A

 

フィオーラ「マシュー…」

 

マシュー「どうした、フィオーラ。」

 

「私は…あなたの支えになれるかしら?」

 

「…なんだよ、改まって」

 

「私はレイラを知らないけれど…あなたにとってレイラがどれほど大きな人だったかは…あなたを見て分かるわ。だから、マシュー…私はあなたの力になってあげたい。私は、レイラの代わりでいてあげたい…」

 

 

「…ありがとう、フィオーラ。…だけど、俺にはレイラがいるんだ。もうこの世にいなくても…俺の傍には、あいつがいる。代わりがどうとか…そういう話じゃないんだ…」

 

「…ダメね、私ったら。私が思ってるより、あなたにとってのレイラは、大きな存在だったのね…そんなことも知らずに…私は…」

 

「この旅で知り合った仲だってのに、お前はここまで俺のことを思ってくれた。…お前の気持ちは受け取る。言葉にできないくらいの…感謝はしてる。………ありがとうな。」

 

「…マシュー、じゃあ最後に1つだけ… 生きて、どんなことがあっても…生きることだけを考えて。生きている姿を、私と、レイラに見せて…それだけが…今の私の願い。」

 

「…やれやれ…やっぱり密偵向いてないのかね、俺は。いつ死ぬか分からない仕事だってのに、生きなきゃいけない理由ばっかり増えていくなんてな…」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~エコーズ&聖魔の光石&蒼炎の軌跡~ カムイ&ジェシー エイリーク&ミルラ フォルカ&サザ   おまけ有

おまけは暁の拠点会話のイメージです。


カムイ&ジェシー

 

C

 

ジェシー「なあカムイ、この旅、すごく充実してるなんて思わないかい?」

 

カムイ「いきなりどうした?確かに、退屈はしないけどよ」

 

「ここは女性がたくさんいるじゃあないか。傭兵なんて基本男ばかりだからさ、こういうのって珍しいだろ?」

 

「あー、なるほどな。純粋だねぇ、あんたは」

 

「おいおい、君も男だろ?興味ないのかい?」

 

「女性ばかりとは言うけどねぇ、年下の子供ばかりじゃねえかよ。」

 

「あ…まさか君って…」

 

「いや、そういう意味じゃないからな?」

 

 

 

B

 

ジェシー「ねえ、カムイはどうして傭兵をしてるんだい?」

 

カムイ「俺か?理由ってほどじゃないが…色んなところを転々としてるのが、俺に合うってだけだよ」

 

「ははは、俺も殆ど同じ。」

 

「そりゃそうだ、傭兵なんてそんなもんだろ。」

 

「けど少し違う。俺は俺に合う場所を探してる。」

 

「自分に合う場所、か…そいつは考えたことなかったね。」

 

「もしよければ、俺と一緒に考えてみるかい?」

 

「いいねえ、そいつは面白そうだ。」

 

 

 

 

A

 

ジェシー「礼を言うよカムイ、おかげでいいアイデアが生まれたよ。」

 

カムイ「そりゃどうも。それにしても、傭兵の国か…すごいこと考えついたもんだ。」

 

「いい案だと思うよ?誰にも縛られない居場所…まさに傭兵の理想郷だ。」

 

「そうかい、じゃあ頑張れよ、ジェシー。」

 

「おっと、君も手伝いなよ?せっかくなんだから最後まで付き合ってよね?」

 

「仕方ねえな…でも、この旅に生き残れたらの話になるだろ。お前が死んだら俺はどうすればいいんだよ?」

 

「そのときは、君が僕の分まで頑張って王になってもらいたいけどね。」

 

「はぁ?随分と身勝手だねえアンタ…」

 

「傭兵って、そういうもんじゃないの?」

 

「ははっ、分かってるよそんなこと。俺達2人で考えた夢だ、お前の気が済むまで付き合ってやるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

エイリーク&ミルラ

 

 

C

 

ミルラ「あ…」

 

エイリーク「? こんにちは、ミルラ」

 

「…あの、あなたに、聞きたいことがあるんです」

 

「聞きたいこと?…どんなことですか?」

 

「…エフラムのことです」

 

「兄上の?」

 

「エフラムのこと…もっと知りたいです。でも…本人が教えてくれないこともあります。だから…エイリークに、聞きたいです。」

 

「そういうことなら協力しますが…どういったことを知りたいんですか?」

 

「…エフラムの、好きな人は誰ですか?」

 

「…それは…誰なんでしょう」

 

 

 

B

 

エイリーク「ミルラ、1人で何をしているんですか?」

 

「あ…おねえちゃん」

 

「! おねえちゃん…私がですか?」

 

「この前…エフラムがおにいちゃんになってくれました。そうしたらエフラムは、エイリークはおねえちゃんになると言いました。だから、エイリークはおねえちゃんです。」

 

 

「な、なるほど…私に妹はいないから、不思議な感じがします…」

 

「…今は、おとうさんのことを、考えていました。」

 

「ミルラのお父上ですか。きっと優しい方なのでしょう。」

 

「はい。…本当のおとうさんではないですが…大好きです。…おにいちゃんとおねえちゃんにも、会わせてあげたいです。」

 

「…兄上から聞いているかもしれませんが、私の両親ももういません。父上は…この戦いで」

 

「…おねえちゃん、どうして、戦争をするんですか?嫌な気持ちになるだけなのに、なぜみんな止めないのですか?」

 

「それは…私にも分かりません。けれど、私達とは違って、正しいことだと思っている人もいるから…争う気持ちを持った人がいるから…それを止めるために、戦うしかないのでしょう。」

 

 

「…おねえちゃん、私…悲しいです。」

 

「ええ…私もです。」

 

 

 

 

A

 

ミルラ「あの…おねえちゃん」

 

エイリーク「どうしたんですか?ミルラ」

 

「あの…私、戦争は、嫌いです。でも…良いこともありました。」

 

「良いこと?」

 

「おにいちゃんとおねえちゃんに会えました。他にも…色んな人と。…この戦いは、早く終わってほしいです。でも、終わったら 私は樹海に帰らなくちゃいけません それは…寂しいです」

 

「…あなたは竜だから…人と生きることはできないから…そうなんですか?」

 

「はい…」

 

「でも、私はあなたのお姉ちゃんです」

 

「!」

 

「私と兄上にとって、もうミルラは大事な妹です。一緒にいる理由は、それだけでいいんですよ。」

 

「おねえちゃん…ありがとう あの…お願いがあります」

 

「ええ、どうぞ。」

 

「おとうさんに、よく撫でてもらいました。おねえちゃんにも…撫でてもらいたいです。」

 

「可愛いお願いですね。そういうことなら、喜んで」

 

 

 

 

 

 

フォルカ&サザ

 

 

C

 

サザ「……」

 

フォルカ「…見つかっていないとでも思っているのか?」

 

「! 嘘だろ…こんなに早くばれるのか」

 

「俺を遠くから見張って、何をするつもりだ?」

 

「あんた、味方なのにどんな奴なのかまるで分からないじゃないか。俺が言えることじゃないけど…馴れ合うの、好きじゃないのかなって。」

 

「確かに人の多いところは好きじゃない。」

 

「もしかして、あんたも本当は盗賊なのか?」

 

「10万だ」

 

「え?」

 

「俺を知りたいのなら、10万用意すれば教えてやる」

 

「いや、10万って…貴族でも悩む額じゃないか」

 

「なら、教えてやる理由はない お前に探られるつもりもだ」

 

「まさか、図星だったのか?」

 

「…」(フォルカ消える)

 

「あ、おい!逃げるなよ!」

 

 

 

 

B

 

サザ「なあ、フォルカ」

 

フォルカ「…」

 

「睨むなよ、もうヘタに探るつもりはないって。」

 

「用はそれだけか?」

 

「あんた…金さえ出せば大体のことはしてくれるんだろ?」

 

「金額は、要件によるな。」

 

「それって、儲かるのか?」

 

「それを知りたいのなら、相応の分を頂くが?」

 

「なんだよ、それぐらい教えてくれてもいいじゃないか。」

 

「情報屋がみだりに自分のことを話すものじゃない。」

 

「それは、確かに…」

 

「払う気がないなら、俺はもう行くぞ。金を用意したら再び呼ぶことだな。」(フォルカ消える)

 

「…気になる。よくできた商売だな…」

 

 

 

 

A

 

サザ「フォルカ!」

 

フォルカ「呼んだか?」

 

「なあ、あんた………これだけなら、どの程度のこと教えてくれる?」

 

「ふむ…10万には遠いようだが?」

 

「あったとしても、お前に使うわけないだろ!」

 

「しかし、充分な額だ…耳を貸せ」

 

「よし…」

 

「俺は………」

 

「…え!?」

 

「それと…」

 

「………冗談だろ?」

 

「信じるかは、お前の勝手だ。続きは、また金を用意してからだ。」(フォルカ消える)

 

「…もし今のが本当だとしたら…何者なんだよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

おまけ 

 

暁の女神 第一部 終章

 

仲間たち  ☆

 

 

 

エディ「なあ、昨日ミカヤを守ったっていう騎士って…」

 

レオナルド「ああ、違いないよ…漆黒の騎士だ。」

 

ブラッド「あの時に戦死したって聞いてたが…生きているとはな。」

 

ローラ「あのー…皆さん、あの騎士を知っているのですか?」

 

エディ「ん?ローラはデイン育ちなのに知らないのか?」

 

レオナルド「あの人は見ての通りの名前、漆黒の騎士…かつての【四駿】の一人だよ。3年前に当時の【四駿】は全滅したはずなんだけど…あの人は生き延びていたみたいだ。」

 

ローラ「漆黒の騎士とは、異名ではないのですか?彼のお名前は?」

 

ブラッド「誰も見たことがないんだよ、名前も知られてなければ、顔も知られてない。だから、みんなそう呼ぶんだよ。」

 

ローラ「まあ…一体中身はどんな人なのでしょう?」

 

レオナルド「うーん…見られたくないほど、全身に傷があるとか…?」

 

ブラッド「デインの人間じゃないから、隠してるんじゃないか?」

 

エディ「あんなに重たそうな鎧着込んで、大剣を持ってるからさ、厳つい顔した大男のおっさんなんだろうな!」

 

ローラ「すごい!いよいよ本物の山賊らしくなってきましたね!」

 

ブラッド「…まだ誤解してたのか。」

 

レオナルド「そもそも山賊をどういうものだと思ってるんだろう…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~エコーズ~ フォルス&リュート レオ&カチュア セリカ&クリフ

フォルス&リュート

 

C

 

フォルス「そこの君!」

 

リュート「なんだ、俺に何か用か?」

 

「君の今読んでいた本…あ、やっぱり!その学術書、僕も昔読んだことがあるよ、なかなか興味深いことが書いてあったから、覚えているよ 君も読書をよくするのかい?」

 

「まあ…そうだな することといえば魔術の修行か読書くらいだ」

 

「そうか!僕は魔術は分からないが、読書は好きだよ よければ、少し話さないか?」

 

「あ、ああ…いいだろう」

 

 

 

B

 

フォルス「やあ、リュート!」

 

リュート「お前は…フォルスだったな 何用だ?」

 

「リュート、これを見てくれ!この前君が読んでいた学術書の続きの刊だよ。 昔読んだものだったからどこにやったか不安だったけど…なんとか見つけられたよ。」

 

「ほう…続きがあったのか それで、どうしたんだ?」

 

「僕はもう読み終わったものだから、君にあげようと思ったんだ。パイソンのやつは大事にしないし…」

 

「これを俺に?それはありがたい、ではいくらだ?」

 

「お金なんて取らないよ!あげると言ったじゃないか」

 

「バカな…何も取らずに物のやり取りをするのか?なぜだ?」

 

「なぜって…そういうものだろう」

 

 

 

A

 

フォルス「リュート!この前の本、読んでくれたかい?」

 

リュート「ああ…まだ途中だがな。」

 

「そうか!読み終わったらまた感想について語り合おうじゃないか!」

 

「…なあフォルス、なぜお前はいつも俺に話しかける?」

 

「え…最初は君と趣味が合っているからと思って…」

 

「それ以降は?」

 

「それからは………そういえば、君から話しかけられたことは一度もなかったな…君は僕のことが嫌いか?」

 

「そういうわけではない、ただいまいち解せないのだ。私に構っても何がうまれるわけでもないのに…」

 

「そうか…そうだな、あえて理由とするなら、僕は君と友達になれたと思っていたんだ。でも、それは僕だけだったみたいだな。」

 

「なにっ!?俺とお前は…友達なのか!?」

 

「僕はそのつもりだったが…」

 

「友達…友達は話しかけるものなのだな…失礼した、私に友人はアルムしかいないのでな。どういうものかが分からなかったんだ」

 

「た、大変なのだな…よし!ならば今日から正式に僕と君は、友達だ!」

 

 

 

 

 

 

レオ&カチュア

 

C

 

レオ「あらカチュア、ごきげんよう」

 

カチュア「あ、レオさん…どうも」 

 

「顔色が良くないわよ、どこか怪我でもしたの?」

 

「い、いえ…少し考え事を…」

 

「ふうん、あなた可愛いんだから、暗い顔ばかりしてたら損よ?まあ、それでも私にはちょっと負けちゃうかしらね」

 

「は、はあ…」

 

 

 

B

 

カチュア「…」

 

レオ「あらあら、また考え事かしら?」

 

「レオさん…まあ、そんなところです。」

 

「ふうん…恋ね」

 

「えっ!?」

 

「私も乙女なんだから、それくらいのこと分かるわよ。まあ誰が好きなのかまでは無理だけれどね。」

 

「ち、違います…別にそんな悩みじゃ…」

 

「隠さなくてもいいの!ほら、私に話してみなさい、別に誰かに言いふらしたりしないわよ、私、口は固い方なの」

 

 

 

 

A

 

レオ「あら、この前よりは少し明るくなったんじゃないかしら?」

 

カチュア「レオさん…はい、誰かに話すことなんてありませんでしたから…」

 

「ふうん、姉妹もいるのに誰にも話さないなんてね、損してるわよ 女ってのはね、堂々としてた方が綺麗にみえるんだから!

それに一度うまくいかなかったからってなによ!世界はバカみたいに広いんだから、その人ぐらいの男、まだまだいるに決まってるわ!

 

「ありがとうございます…でも、いいんです 私が初めて誰かを好きになったのは、あの人だから…

それが叶わないものだとしても、彼が幸せならそれでいいかなって…きっと、それも間違ってないと思うんです」

 

「そう、なら何も言わないわ。それじゃ、さっさとこの旅を終わらせましょう、1日でも早くアカネイアってところに帰るためにね。」

 

「はい、頑張りましょう」

 

 

 

 

 

 

セリカ&クリフ

 

C

 

セリカ「クリフ、大丈夫?怪我はしてない?」

 

クリフ「なんともない。別にいちいちそんなことで構わなくても結構だよ」

 

「でもクリフ、ロビンやグレイ達とは違って気が弱かったじゃない。そんな人が戦うなんて、やっぱり心配だわ」

 

「それは…君も人のこと言えるほどじゃなかったでしょ。昔と一緒にしないでよ」

 

「そうね、ごめんなさい」

 

「まったく…」

 

 

 

 

B

 

セリカ「ねえ、私がいない間はどうだった?何か特別変わったことはあったの?」

 

クリフ「そうだなあ…今起きてることは言うまでもないだろうけど…戦争が起きる前は、特に何もなかったしなあ…」

 

「あの時から変わらないってこと?」

 

「アルムはマイセンおじさんと剣の稽古ばかりだったかな、グレイは騎士を信用しなくなったみたいだったな、ロビンは逆に憧れてる、エフィは…あの頃のままだよ」

 

「そう…みんな、思ったより変わってなかったのね クリフはどうなの?」

 

「僕は街に出て学校へ行ってたけど…人と無駄に関わるのは嫌いだったな」

 

「そう…それじゃ、今私と話してるのも嫌?」

 

「それは…別に」

 

「ふふ…良かった、私のこと嫌いじゃないのね」

 

「…今の、もしかして茶化した?」

 

 

 

A

 

セリカ「クリフ…私以外のみんなとは、滅多に話さないわね やっぱり、人と関わるのは嫌なの?」

 

クリフ「まあ…そうなるかな 君の仲間なんだから悪い人じゃないってのは分かるけどさ…でも、関わってるとお互い嫌になる部分とか出てくると思うからさ…僕って、面倒な奴だよね」

 

「ううん、クリフの言いたいことも十分に分かるわ。でも、ずっと一緒にいれば、そういうところもだんだん嫌じゃなくなってくると思うわ 友達って、そういうものでしょ?」

 

「そうなのかな…」

 

「確かに、色んな人がいるから絶対とは言えないけれど…ほら、村のみんなも性格はバラバラだったじゃない」

 

「はあ…変わったねセリカ 今の君には全然かなわないや…」

 

「そうかしら…でも、私達は変わらずにずっと友達よ?」

 

「急にそんなこと言うなよ…うん、よろしく…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~聖魔の光石~ ガルシア&デュッセル カイル&アメリア ジスト&ナターシャ

ガルシア&デュッセル

 

C

 

デュッセル「むっ…凄まじい戦ぶり、誰かと思えばルネスの猛将、ガルシア殿であったか」

 

ガルシア「そういうあなたははグラド帝国の『黒曜石』…デュッセル殿 なに、ルネスに仕えていた頃はもう昔の話、あの頃と比べると数段劣っている」

 

「それでいてあの強さか…国を越えて伝わる軍功、間違いではなかったようだ」

 

「なに、今もなお現役のあなたに比べれば大したことなどありますまい」

 

「・・・これ以上続けても謙遜ばかりになってしまうか」

 

「そのようですな いやあ、何分あなたの戦いをこの目で見るのはこれが初めてでしたから 敵として出会わなかったことを感謝せねばなりません」

 

「うむ、その通りであるな …しかし、1人の武人として、あなたと戦いたくあるのも事実。今度、手合わせを願えないだろうか」

 

「この老骨であればいつでも付き合いましょう では、まずは此度の戦を終わらせるとしよう」

 

 

 

 

 

B

 

ガルシア「いやあ、デュッセル殿 わしの話を聞いていただけないだろうか」

 

デュッセル「ふむ、話とは?」

 

「わしのこの力、皆のためにと奮ってはいるが…この頃の若者は皆なかなかの実力、肩を並べるのがやっとなのだ」

 

「なるほど…実はわしも似たようなことを思っておった」

 

「なんと、デュッセル殿も!」

 

「うむ まだまだ実戦の経験は浅いが、成長の早さは凄まじい。わしが抜かれるのもそう遠くはない、とな」

 

「ううむ、わしらのあとを継ぐ者が出てくるのは心強いことではあるが、複雑でもありますな 功を焦り取り返しのつかないことにならなければいいが…」

 

「一番槍をとろうと先走る兵を見ていると、若い頃を思い出す あの頃はわしも無茶をしておったものだ」

 

「ははは デュッセル殿にもありましたか わしも当時は何かと突っ込むことが多かったものですなあ…」

 

「…あの頃の同期は軍をやめたのもの、戦死した者が大半…今も騎士を続けているのはどれくらいか…」

 

「…わしと同じ位のルネスの老将は、きっと王都で命を落としたであろうな …最期に何を思っていたのだろうか…」

 

「………すまぬ」

 

「デュッセル殿が謝ることなどない 戦いとはそういうものだ…」

 

 

 

A

 

デュッセル「聞けばガルシア殿、家族のために軍をやめたとか…」

 

ガルシア「うむ デュッセル殿に妻子は?」

 

「わしはずっとグラドに尽くすことばかり考えてきた身でな…そのようなこととは無縁なのだ」

 

「そうか…まさに理想の忠臣であるな しかし、家族はいいですぞ 息子が生まれてからは、その育っていく様を見届けるのがわしの人生の楽しみとなっておる」

 

「そういう意味では、ここの若者が成長をしていく様子を感じ取れるのは…幸せかもしれんな わしにとっての子は、彼らというところか…」

 

「ガハハハハ!デュッセル殿らしい!では、次代を彼らに託すためにも、一層励まないといけませんな!」

 

「うむ、力尽きるまでわしは戦おう、己のためならず、後世のため…」

 

「そして今いる若き者は、わしらの頃になればさらに次の世代に…」

 

「その大役を担えただけでも、わしらが生きてきた意味はあるのだな」

 

 

 

 

 

 

カイル&アメリア

 

 

 

C

 

カイル「そこの君!確か先の戦いでこちらに同行することになったグラドの兵士だな?」

 

アメリア「あ…は、はい!アメリアって言います!」

 

「そうか、私はカイル ルネスの騎士だ。」

 

「あ、あの…実は、前々からカイルさんの戦いは見ていました 私もいつかこんな騎士になってみたいなあ…って」

 

「なに、私のように?参ったな…私も憧れるほどの実力はまだついていない 私なんかよりゼト将軍のような…」

 

「もちろんゼト将軍も立派な方です!でも、ついこの前から槍を握り始めた私にとっては、カイルさんも充分立派な人ですよ?」

 

「そうか では、君の手本となるよう、一層気を引き締めるとしよう これからもよろしく頼む」

 

「はい!」

 

 

 

B

 

カイル「………」

 

アメリア「あの…カイルさん?さっきからなんだか見られてるような気がするんですけど…何か問題ありましたか?」

 

「アメリア、軍に入ったのは本当に最近なのだな?」

 

「は、はい 軍にいた時より、今の方がずっと長いです」

 

「…驚いたな アメリア、君の才能は素晴らしい もう基礎の殆どを身につけている。これは私も負けていられないな」

 

「あ、ありがとうございます!……あ、あの…それだけ…ですか?」

 

「? ああ、君を見ていたのはそのためだ 怖がらせてしまったのなら謝ろう」

 

「いえ…全然嫌じゃないです。その…」

 

「どうしたアメリア?何か言いたいことがあるなら…」

 

「なんでもないです!あはっ、褒めてもらえて嬉しいです!これからの励みにしますね!」(アメリア消える)

 

「…何か別に言いたいことがありそうだったが…ううむ」

 

 

 

A

 

カイル「アメリア…」

 

アメリア「! は、はい…どうかしましたか?」

 

「すまない…私は昔からどうも鈍感なところがあるらしい…君が何か私に隠しているのは分かるのだが、どうも心当たりがない… よければ、話してくれないだろうか?」

 

「え、えっと…あの、すみません 謝らなきゃいけないのは私の方なんです…」

 

「なんだと?」

 

「ここに来てから…本当に間もない頃、私は敵を正面にしてもまともに槍すら振れなくて…死んじゃうのかな、って思ったときに、カイルさんが駆けつけてきて…私、助かったんです。すぐに別のところに行ったから、お礼を言いたかったんですけど…どうしても、緊張しちゃって…その…」

 

「…そうだったのか 確かに、味方を救援に行くことはするが、その中に君がいたのだな」

 

「で、でもどうしてなんでしょう?お礼を言う位なんでもないことなのに…それに、私カイルさんに抱いているのは憧れよりも…なんだろう?うまく言えないです…」

 

「うまく言えない、か 実は私も最近君のことがよく心配になってな 不安というのもあるのだが…説明が難しい」

 

「あはっ…カイルさんもだったんですね」

 

「ダメだな、この答えはじっくり考えるとしよう アメリア、力を貸してくれないか」

 

「はい!喜んで!」

 

 

 

 

ジスト&ナターシャ

 

 

 

C

 

ジスト「悪い、シスター 回復を頼む」

 

ナターシャ「分かりました………これで大丈夫です」

 

「ありがとよ、助かったぜ」

 

「ええ………」

 

「どうした?俺の体をジロジロと見てよ」

 

「よく見ると…体中傷だらけで…見ているだけでも…とても痛々しく…」

 

「ん、まあな。傭兵なんてそんなものだ 戦うことを稼ぎにしてるから、これくらいのは腐るほどつくもんだ まあ…聖職者のお前にとっちゃ辛いだろうがね」

 

「っ…すみません その…無理はしないでくださいね」

 

「こっちの台詞だ あんまり傷だとか血だとか見慣れてないんだろ?」

 

「はい… ですが、覚悟のうえです 皆さんが平和のために戦っているのを…ただ眺めているわけにはいきません」

 

 

 

 

B

 

ジスト「なあ、ナターシャ…お前やっぱり無理してるだろ?」

 

ナターシャ「ジストさん…決してそのような」

 

「馬鹿、俺は見てたぜ この前敵兵の死体を見て吐きそうになってたのをよ」

 

「………そう、でしたか」

 

「お前は戦いに向いてない。悪いことは言わないからもうやめておいた方がいいんじゃないか?この軍はいいやつばかりだ、誰も咎めはしないだろうさ」

 

「…好きで戦っている人は、いるのですか?」

 

「!」

 

「ジストさんは…なぜ、戦っているんですか?生きていくためと言いながら、なぜ死の危険が常に伴う傭兵稼業を続けるのですか?」

 

「参ったな…急にそう言われると、どう返したもんか…気がつけば団長になって、俺を慕ってくれる奴がたくさんいたんだ。今はそいつらのためにも戦ってる…そうなるかな

若い頃は負けるはずない、死ぬはずない、って調子乗って戦ってたが、今は死が怖いさ。俺が死ぬだけじゃない 仲間を失うことも、な そいつらのために戦うのも、悪くねえだろ?」

 

「…すみませんジストさん あなたは…私が思っていたよりもずっと立派な心をお持ちだったのですね。

私は、傭兵は賊のようにお金と戦いにしか興味のない野蛮な方々だと…そう思っていた時期が昔ありました。

けれど…誤解だったみたいです。」

 

「それは育ちの違いってもんだな、仕方ないものさ。ま、気持ちが伝わったんなら嬉しいぜ」

 

 

 

 

A

 

ナターシャ「ジストさん…」

 

ジスト「なんだ、ナターシャ」

 

「この戦いが終わっても…あなたはまだ傭兵を続けますか?」

 

「ん…どうかな、大陸全土を巻き込んだでかい戦だ、これから先はしばらく誰も戦なんてしないだろうな

まあ、賊に討伐とか復興支援だとか、仕事は色々あるさ」

 

「そう、ですか…やはり傭兵は続けるのですね」

 

「まあ…お前の傍でのんびり暮らしてくってのも、悪くないって思うがな」

 

「! ジスト…さん?」

 

「嫌か?」

 

「………嫌では、ありません」

 

「この戦いがなければ、出会うこともなかった俺達だ…どうだ、悪いことばかりじゃあないだろ?1人で気負わなくていいから、俺達は戦い続けられるんだ」

 

「…はい」

 

「なんだ、いつにも増してしおらしいな?」

 

「…これからも、頼りにさせていただきます…ジストさん」

 

「おう、よろしくな、ナターシャ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~風花雪月~ ベルナデッタ&マリアンヌ カスパル&フェリクス リシテア&アロイス

お久しぶりです


ベルナデッタ&マリアンヌ

 

 

 

C

 

ベルナデッタ「ふんふふーん、いい本を見つけたから、今日は絶好の引きこもり日和だなー」

 

マリアンヌ「…わっ」

 

「ふぎゃっ!?」

 

(ぶつかる)

 

ベルナデッタ「いたた…ついよそ見を…!?」

 

「あの…すみません…私の不注意で…あ、拾うの手伝いま…」

 

「ぎゃああああああああああ!お助けえええええええええ!」

 

「あ…もう見えなくなって… やっぱり…私が怖く見えるから……あれ?この本…」

 

(場面 寮の前へ)

 

マリアンヌ「どうしよう…あの時本が入れ替わって…でも…私が訪ねたらきっとまた…出てくるまで待つしかなさそう…」

 

(夕方)

 

「……」

 

(夜)

 

「…出てくる気配がない…『食虫植物の育て方』……ベルナデッタさんって…私が思っているより変わった人なのかも……」

 

 

 

 

B

 

ベルナデッタ「ど、どどどどうしよう…!あの時マリアンヌさんと本が入れ替わったことを言い出せないまま随分と経ってしまったあ…!でも、向こうも何も言ってこないし…まだ気づいていないのかな…はっ、マリアンヌさんのことだからもしかして、ベルを恨んで夜な夜な呪いにかけているとか…!?そしてベルをじわじわと追い詰めたところを…す、すぐに返さなきゃ命が危ない!」

 

(場面 厩舎へ)

 

「マリアンヌさんはよくここにいるみたいですけど…あっ!マリアンヌさ…」

 

マリアンヌ「今日もお疲れ様、ドルテ…どこも怪我してない?え、お腹が空いてるの?いっぱい動いたのね…」

 

「…どうしよう、思ってたのとは別の意味でやばそう…」

 

「…あ…ベルナデッタさん…?」

 

「ひいっ!?じゃ、邪魔してごめんなさいいいいい!どうか、どうか命だけはああああああ!」

 

「あの…命とかじゃなくて…本…」

 

「返します返します!本なら返しますからあああああああ!」

 

「あの…私が怖いのは分かります…ぶつかったことは私の責任ですから…その、本は部屋に置いてきたので今は渡せませんが…」

 

「本は渡せないから引導を渡すつもりですか!?」

 

「え、どうしてそうなって…」

 

「だだだだって、マリアンヌさんはいつもベルをこわーい顔で見つめてくるじゃないですか!それってベルが知らず知らずのうちにマリアンヌさんにとって気に食わないことを重ね重ねて恨みつらみ…!」

 

「…ふふっ」

 

「笑った!?なんで!?」

 

「あ…すみません その…殆ど話したこともないのにそこまで考えるのが面白くて…」

 

「ま、マリアンヌさんも…そんな風に笑うんだあ てっきり、お人形に嫌いな人の絵を貼って釘でも刺してるような人かと…」

 

「ど、どうしてそこまで考えて…ふふふ…」

 

 

 

 

A

 

マリアンヌ「ベルナデッタさんは、1人でいるのが好きなんですね…」

 

ベルナデッタ「うん、みんなといるのは絶対嫌!ってわけじゃないけど、引きこもっている時が一番ベルは幸せだなあ。」

 

「そうですか…私も、あまり人と関わるのは得意じゃなくて…」

 

「うんうん!最初はものすごく怖かったけど、私たち気が合いそう!その、この前のことはごめんね…?」

 

「いいんです…私にも非はありましたから…それより、私も誤解していました。ベルナデッタさんは思っていたよりもずっと…面白い人で…」

 

「ね、ねえ。前も思ったんだけど…ベルってそんなに面白いかな?」

 

「食虫植物が好きなところとか…」

 

「え、まだ言ってないのにどうして…あっ、本…!」

 

「ふふ…ベルナデッタさん…ありがとうございます。」

 

「ふぇ?今、お礼を言われる流れだったかな?急にどうしたの?」

 

「こうして話す前は…ベルナデッタさんみたいな人は、私を避けるばかりだろうって…私にとってはその方が都合がいいって思っていたんです。でも、こうやって話してみないと…何も進まないんだって…あなたにそのつもりがなくても、そう教えてくれました。…そのお礼です。」

 

「マリアンヌさん…それを言うならベルも同じだよ。ベルも誰かと話すのが怖くて逃げてばかり…だから、今回みたいなきっかけでもないとマリアンヌさんとは話さないままだったんだろうなあ。」

 

「あ…!それなら、ぶつかっていけばいいんでしょうか。」

 

「いや…そういうのって、ものの例えだからね?あれは事故だよ?本当にぶつかっていったら絶対おかしい人だよ!?」

 

「分かってますよ…ふふ」

 

 

 

 

 

カスパル&フェリクス

 

C

 

カスパル「うおおおおおおっ!どりゃあああああっ!」

 

フェリクス「……」

 

「おっ、フェリクスじゃねーか!お前も訓練だな!」

 

「聞かずとも分かるだろう、こう何度も居合わせてはな。」

 

「俺が言うのもなんだけど、お前大体ここにいるもんな!そうだ!たまには一緒に訓練するか?」

 

「お前の腕を過小評価しているわけではないが…断る。」

 

「えっ…なんでだよ!?強くなりたいもん同士、模擬戦とか悪くねえだろ!?」

 

「分からないのか?」

 

「全然!」

 

「…だろうな。これで察するような奴なら、俺は誘いに乗っている。」

 

「うーん…俺、お前に何かしたか?やばいな、全く心当たりが…」

 

「とにかく、そういうことだ。俺は先に失礼する。」

 

「…行っちまった。なんだよ、訳分かんねえな…」

 

 

 

B

 

 

 

カスパル「おーいフェリクス!」

 

フェリクス「お前か…何の用だ。」

 

「分かったんだよ!お前が俺を避けた理由!」

 

「ほう…では聞かせてもらおうか。」

 

「ずばり、戦い方の違いだ!」

 

「…どういうことだ?」

 

「俺は自信のある力で押し切ろう!てことがよくあるんだよ、でもお前は技の鋭さや身のこなしがすごいだろ?だからお前は俺みたいな勝手の違う相手と戦っても得意な部分は伸びねえから、断った…どうだ!」

 

「なるほど…まさかお前のような奴からそんな答えが出てくるとはな。ただの猪ではないというわけか。」

 

「へへっ、座学と比べりゃこんなもん楽勝よ!」

 

「いや、合ってはいないぞ。」

 

「なにいいっ!?」

 

「だが…俺はお前のことを買いかぶりすぎていたようだ。どうだ、一度でいいなら付き合ってやる。」

 

「本当かよ!?よっしゃあ、絶対負けねえからな!」

 

「ふっ…こちらも負けるつもりはない。」

 

 

 

A

 

 

(場面 市場)

 

フェリクス「…さて、どれにするか。」

 

カスパル「おーいフェリクス!お前も新しい武具買いにきたのか!」

 

「……」

 

(場面 書庫)

 

フェリクス「…よし、これだけ揃えば充分だろう。」

 

「おーいフェリクス!お前も試験の勉強か!」

 

「……」

 

(場面 食堂)

 

フェリクス「…ふう。」

 

「フェリクス!どうだ、一緒に食べねえか!」

 

「……カスパル、俺があの時お前の誘いを断った理由……やはり理解はしていないようだな。」

 

「え?あー…そんなこともあったな!でも、もうそんなのどうでもいいんじゃねえか?俺とお前はもう友達だぜ?細かいことは水に流せばいいじゃねえか!」

 

「…一度気を許すとこれだ。」

 

「ん?」

 

「俺は人と馴れ合うのは好かん。前にも言ったようにお前の腕は認めているが…お前みたいな奴はすぐ仲良くなった気になって付きまとう。俺とお前の違いは戦い方ではない、性格だ。」

 

「ああー…なるほど!そういう話だったのか!」

 

「まったく…やはり猪は猪か。」

 

「よし、フェリクス!ご飯食ったら1戦やろうぜ!」

 

「…一度だけだと言ったはずだ」

 

「一日一度、じゃねえのか?」

 

「なぜそうなる…」

 

「はは!でもさ、お前が答えを教えてくれたってことはよ、俺のこと本気で嫌なわけじゃないんだろ?付き合い方は考えるけどよ…訓練相手、ぐらいならもういいんじゃねえか?」

 

「都合のいい解釈をしてくれるな… いいだろう、お前の飽きるまで相手してやる。勝つのは俺だ。」

 

「よっしゃあ!その意気だぜフェリクス!」

 

 

 

 

 

リシテア&アロイス

 

 

 

C

 

 

 

アロイス「う…うううむ む、むむむむ!むうううう……」

 

リシテア「アロイスさん?1人でなーにやってんですか。」

 

「おお、リシテア殿!ちょうどいいところに!実は、夜中に誰もいないはずの騎士の間で物音がするという噂が流れ…後日、私が夜警の当番となってしまったのだが…!」

 

「えっ」

 

「しかし困ったことに私は幽霊が苦手でなあ…女性の兵士も手伝ってくれているなか、私が断るわけにもいかず…」

 

「そ、そうなんですか。でも、皆さんそんな迷信に本気になっちゃって…おかしいですよねえ?ははは」

 

「盗賊の恐れもあるため楽観視もできず…リシテア殿、幽霊の類は如何か?」

 

「えっ!?そ、そんなものいるわけないじゃないですか!アロイスさんも騎士でありながら可愛いところが…あ、あるんですねえ!」

 

「おおー…!その若さでなんという頼もしさ!そうだ、リシテア殿!どうか私の夜警の日、一緒にいてはくれないか!」

 

「え、えええっ!?」

 

「このところ様々な件で忙しく、他の騎士の手が借りれないのだ…しかし幽霊に強いリシテア殿がいれば、まさに文字通りの心強さ!お願いだリシテア殿、このとおり!!」

 

「ちょ、ちょっと!こんなところで座り込まないでください!ああ…もう、分かりました!付き合います!付き合いますから!」

 

「かたじけない…!このアロイス、リシテア殿の慈悲にそれ以上感謝の言葉が見つからん!」

 

「お、大袈裟です!早く立ってください!」

 

「うむ…ではリシテア殿、頼みましたぞ!」

 

「…行っちゃった…ど、どうしよう…!」

 

 

 

 

B

 

アロイス「ううむ…そろそろ約束の時間……おおっ、来た!リシテア殿」

 

リシテア「お…お待たせしました。い、行きましょう…!」

 

「リシテア殿…声が震えているような…」

 

「き、気のせいです!そういうアロイスさんは体が震えてます!」

 

「こ、これは武者震い……ではないのだ!夜中にこんなところで1人では怖くてたまらなかったのだ!」

 

(場面 夜 騎士の間)

 

リシテア「………」

 

アロイス「………リシテア殿」

 

「ひゃいっ!?急に話しかけないでくださいよ!」

 

「ああ、いや!脅かすつもりは!その…お互い黙っていては2人になった意味がないと思い…」

 

「わ、私も同じことを考えていました…」

 

「その…リシテア殿、私の考えが正しければもしかして……」

 

「! ひいいいいいいっ!?アロイスさん、後ろおおおおおお!」

 

「うし…ぎゃあああああああ!」

 

兵士「なんだ、どうした!?」

 

(場面 騎士の間前)

 

兵士「まったく…思い違いでよかったが、大袈裟な真似はやめていただきたい…」

 

リシテア「お騒がせしました…」

 

アロイス「反省しています…」

 

「…アロイスさん、ごめんなさい…まさか物音の正体がただの野良猫だったなんて…」

 

「う、うむ…しかしリシテア殿も幽霊が嫌いだったとは」

 

「うう、隠すつもりは……ありました……」

 

 

 

 

A

 

アロイス「リシテア殿!これは先日のお詫びとはいってはなんだが…」

 

リシテア「わっ…美味しそうな茶菓子…!でも、受け取れませんよ。私がウソをついていたのも悪いのに…」

 

「いやいや!私があそこまでして断るような人ではあるまい!元を辿れば私の幽霊嫌いが招いたこと…」

 

「うむむ…しかし、アロイスさんもお化けが苦手なのは少し意外だったかも…」

 

「私は軍人…この手で多くの人間を殺してきた身…いつかその恨みが自分に返ってくるのではないかと思うと…どうしても怖くなってしまうのだ。」

 

「アロイスさん…」

 

「はっ、いかんいかん!詫びをしている中で辛気臭い雰囲気にしてしまった!茶菓子だけに、楽しく茶化していかなければな!わーはっはっはっは!」

 

「……」

 

「…こほん、いやーこれはそのいつもの癖というか…お、怒ってはいないよな?」

 

「アロイスさん、子供みたいだって言われませんか?」

 

「えっ!?うーむ、人が良すぎるとは言われたことがある。……良くも悪くもと。」

 

「騎士でここまで純粋な人は、アロイスさんぐらいしか知りません…でも、アロイスさんみたいな人、嫌いじゃないですよ。」

 

「り、リシテア殿…!」

 

「この茶菓子、一緒に食べませんか?今はアロイスさんと一緒に食べたい気分です。それから2人で一緒にお化けを克服して、見返してやりましょう!私、仲間に会えて本当は嬉しかったんです!」

 

「おお、なんと可愛げのある微笑み…!よおおおし!このアロイス、望みとあらばどこまでもお付き合いするぞ!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。