天邪鬼のモンハン漫遊記 (名無しさん@おなかいっぱい)
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第一話
突然だが俺は人間ではない。
じゃあ何かって?まぁ、わかりやすく言うなら妖怪だ。
何の妖怪か?そうだな、『天邪鬼』ってところか。
まぁ細かいところは違うけど、大体はそうだ。
そして天邪鬼は一応神様なわけだから神性が多少なりともある。
なんにせよ俺は天邪鬼なわけだから、ちょっとした技が使える。俺はそれを能力って呼んでいる。因みにどういう能力かというと、『あらゆるものをひっくり返す能力』だ。このあらゆるものとは、文字通り万物万象をひっくり返すことができる。
強すぎるとは自分でも思う。しかし、ものをひっくり返すことは妖怪が持つ『妖力』ないし神様が持つ『神力』が必要になってくる。それはものが大きくなる、多くなるにつれて必要量も上がっていく。
例えば、人を一人ひっくり返すのに必要な妖力または神力は百を全体とした一でいい。だが家をひっくり返すには五必要だ。
因みに俺の妖力の量は五億だ。だが神力は二千だ。
なんでこんなに妖力が多いのかは、俺は人を恐怖に陥れたり、殺したりしすぎた。すると妖怪としての格が上がり、妖力が馬鹿みたいに所有できるようになった。神力の方は人に嫌がらせなどをする時に結果が転じてそいつにとっていい事になったからだ。
さて、ここまで長々と話をしたが、それはただの現実逃避だ。
なんの現実からか、それは───
───俺、モンハンの世界に飛ばされたっぽい。
何を言っているかわからないと思うが、俺もよくわからない。
わかったことはこの世界がモンハンの世界ってことと俺がモンスター扱いされてるってことだ。
なぜモンスター扱いされてるかって?
それはこの世界に飛んだ時に体がモンハンでいうところの辿異種イナガミになってたからだな。しかも色が赤と黒と白の。おまけに角は赤っていうより紅になってる。
さて、そんなわけで俺を狩猟しに来たハンター達には土にお帰りいただいた。
そしてそうしていたらいつの間にか俺は『紅魔の神獣』と呼ばれるようになった。
紅魔といえば東方やミラボレアスなどが思い起こされるが、まぁそれらは全く関係ない。いや、ミラボレアスは世界的には関係あるか。まぁそんなこんなでよく討伐以来を出される俺だが、姿以外にもほかのイナガミと違うところがある。どうやら俺は普通のイナガミと同じ属性と二つ名通りに『紅魔属性』が扱えるようで、龍属性と火属性が扱える。
それがさらに脅威になっている故に、俺の討伐にはGR899のハンターしか向かわせていないようなのだ。
だが、俺はあくまで妖怪であってモンスターではない、そろそろこの生活にも飽きてきたから珍しく人助けでもしようかと思う。理由はそれをすることによって神性が上がり、より力が増し、強大な神になれるからだ。
さて思い立ったが吉日、俺は能力を使ってモンスターから人になり、その際に発生した俺の素材を持ち運ぶ。因みにポーチは俺が殺したハンター達からいただいた。
まぁ武器を持っていないと不自然なので、俺は俺が殺したハンターから装備を剥ぐ。
俺が装備したのは
太刀:『ゴーレマシュット』
頭:アカムトGXサクパケ Lv7 キリン射珠GX2 G級・怒剛珠 キリン射珠GX2
胴:キリンGXベスト Lv7 G級・怒剛珠 キリン射珠GX2 G級・怒剛珠
腕:ルコGXクロウ Lv7 グレン剣珠GF グレン剣珠GF グレン剣珠GF
腰:ポボルムGXフォールド Lv7 グレン剣珠GF グレン剣珠GF ルコ剣珠GX3
脚:ルコGXフット Lv7 G級・護閃珠 G級・護閃珠 集労珠G
だった。きっと大層時間とアイテムが削られたであろう装備だ。
俺はこれを装備し、自分の巣から旅立つ。思わず飛びそうになったが人間になったのでそれは自重した。
さて、俺は今旅をしているわけだが、どうも森で迷ってしまった。今まで迷うといったら数える程なので、少しショックを受けたが、それも僅かな時間。
ついさっき、少女の悲鳴のようなものとモンスターの鳴き声が聞こえた。
おそらくジンオウガだろう。遷悠種が来るとは思っていなかったが、力加減を知る絶好のチャンス、逃す手はない。
俺は迷ってしまって疲れ果てた体に鞭を打ち、声の聞こえた方へ走り出す。
俺が着いた先にはやはりジンオウガがいて、少女のことを噛み殺そうと大きく口を開けているところだった。
「せい!」
俺は急いで走り出し、ジンオウガを太刀で吹き飛ばす。
思ったより火力が出たな。
「……え?」
俺の後ろから少女の声が聞こえたので振り返って見ると、少女が目を丸くしてこちらを見ていた。
「よう、大丈夫か?」
俺は太刀を肩に担ぎ、少女に安否を聞く。
「あ、はい。大丈夫です」
少女は軽く混乱していながらも俺の質問にしっかりと受け答えをした。
「ちょっと待ってな。トドメを刺してくる」
俺は満身創痍のジンオウガの方へ太刀を抜いて走り出し、走りながら地面に太刀を走らせ、ジンオウガの前まで来てから振り抜く。それでもまだ死に切らないので最後に『解放連撃』という技を使い、ジンオウガを仕留める。
「っし、終わりっと」
俺はジンオウガの素材を剥ぎ取り、少女の方へ向かう。
「無事か?」
「はい。あの、ありがとうございました」
少女が礼儀正しくお辞儀をしてきたので、俺は別に気にすることじゃない、と言った。
「そうだ、この近くに街か村はあるか?実は俺、旅をしてたんだ。そろそろ腰を落ち着かせたいから街か村に行きたくてな」
「そうなんですか。じゃあ私の村に来てください。ここからすぐなんですよ」
お、どうやら俺はついているらしい。
よし、じゃあ村に着いたら俺の素材で装備でも作ってもらうかね。
俺が少女と歩いていると、少女が話しかけてくる。
「あの、お名前を伺っても…?」
あぁ、そういえば言ってなかったな。うーんそうだな、特に決まった名前はないんだよな、飛ばされる前から。生き残るために名前なんてコロコロ変えてたし。丁度いい、じゃあ今作るか。そうだな、『エア』なんてのはいいんじゃないか。メソポタミア神話で知恵の神とされる神の名前だ。このモンハンの世界で俺のようにすべてのモンスターの知識を持ってるやつはまさに知恵の神だろうからな。
「あぁ、いいぜ。俺の名前はエアだ」
「エアさん…いい名前ですね!」
そう言ってくれると嬉しいが、俺の本当の名前という訳ではないから少しアレだな。まぁ、この世界ではこの名前でずっと通すか。その内馴染むだろう。
「お前の名前は?」
「あ、はい。ルトナといいます!」
「ルトナか、いい響きじゃないか」
さて、そうしているとどうやら村についたようだ。
ここは…ユクモ村か。
ルトナが門番に話しをして事情を伝えると、門番は俺を快く通してくれた。
門を通ると、そこは絶対にゲームでは味わえない様な絶景が広がっていた。
ユクモ村ってこんなに綺麗だったのか。
「どうです?この村は」
ルトナが俺の方を振り返り、笑顔でそう問う。
「…とても、いい村だな」
「でしょう?」
ルトナは俺の言葉に一層笑顔を深める。
「エアさん、今からあなたにはハンター登録をしてもらいます。ついてきてください」
ルトナはそういうが早いが、さっさと集会場の方へ向かって行ってしまった。
「ハンター登録…か」
俺は一言そう漏らし、ルトナのあとを追う。
その道中色んな人に挨拶をしていたが、その途中で村長に挨拶はいらないのかなー?とか思いながらルトナのあとを追うのであった。
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