ロクでなし魔術士と赤い目を持つ義弟 (ポポポンのポン)
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1話

「やだ。死にたくない!誰か助けて」

 

私の前には怖い魔術士達が沢山いる。どうやら私の居候している所のお嬢様と間違えられたみたいだ。

 

「てめぇ、おとなしくしろ」

 

怖い…

 

なんで私がこんな目に合わないといけないのだろう。お母様には捨てられた。急に冷たくなった。そしてある貴族の家に預けられた。その家の方達は私に優しくしてくれたど、私はそれを拒絶した。だって誰も信じられないから…

おそらく私が連れ去られたことなど気にもしてないんだろう。こんなことならよく話しかけてくれた同い年の女の子と仲良くしておくべきだったかなぁ…

 

そう思っていると…

 

「ねぇおじさん達なにしてるの?」

 

ふと顔を上げると1人の少年が立ちふさがっている。フードに顔が隠れていて見えないが身長的に私と同じぐらいだろうか

 

「ガキ、そこをどきな。じゃねえと殺すぜ」

 

怖い魔術士達がそう脅す。

 

「はぁ、街中で連れ去られた子をたまたま見ちゃったから様子を見てたんだけどやっぱり誘拐か。このクズどもが。俺はお前らみたいなのが大っ嫌いなんだよ」

 

フードの男の子はそう返す。怖くないんだろうか

 

「じゃあ仕方ねぇな。死ね」

 

「はぁ…フィジカル・アップ」

 

「ぐはっ!」

 

男の子が何か呟くと一瞬にして姿が消え、私のことを捕まえていた魔術士を蹴り飛ばした。そしてそのまま私を持ち上げさっきの場所に戻る。

 

「やだ!離して!」

 

私は怖くなって男の子の手を振り払う。せっかく助けてくれたというのに…

 

しかし男の子はフードで顔は見えないが、優しく微笑んで私の頭に手を置いた。

 

「大丈夫だよ。何があっても俺は君の味方になって上げるから」

 

そう言って男の子は立ち上がった

 

「さて、お前ら死ぬ覚悟はできてるよな?」

 

それはさっき私にかけてくれた言葉とは違い、怖く冷たい言葉だった。

 

「ふん、てめぇこそこの人数相手に勝てると思ってんのか」

 

「お前らレベルの相手が何人集まったところで俺の敵じゃない」

 

そう言って男の子が構えたところで…

 

「うおぉぉぉぉ、間に合った!よし、この子は無事だな」

 

1人の男の人が走って来た。私のことを助けに来てくれた人だろうか

 

「て、うわ!なんでお前がいるんだよ」

 

今、駆けつけてくれた人が驚いて男の子を見る

 

「いや、散歩してたらたまたまこの子が連れ去られるの見ちゃってね〜そっちは任務かな?」

 

「あぁ、この子の守ってくれと、ある方にお願いされてな」

 

「そーか…まぁ任務の話だから聞かないが手伝ってやる。後で飯おごれよ」

 

「あぁわかったよ」

 

《この眼に力を》

 

「なんだその赤い目は…まさかお前は死神⁉︎」

 

「だったらどうする?」

 

「くそ、いくぞ!あいつらを殺せ!」

 

「容赦はしないぞ」

 

そう言って2人は怖い魔術師達を全員を倒した。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ルミア起きて〜」

 

私はお世話になっているフィーベル家の一人娘、そして私の一番の友達のシスティに起こさた。

はぁ、今日もあの夢を見ちゃったなぁ

 

「ルミア?」

 

「あ、なんでもないよシスティ。さ、朝食に行こ」

 

そう言ってシスティと一緒に食堂に向かう。

 

 

「はぁ、いつかお礼が言えたらいいんだけどなぁ」

 

誰にも聞こえない声でひとりの少女が、そう呟くのであった

 

 

 



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2話

「朝から寝てるんじゃないわよ!このおばか!」

 

そう言って俺は教科書の角で頭を殴られた。普通に痛い…ていうかこんなに太い教科書だったらもう鈍器並みだぞこれ。

俺を殴ったのはシスティーナ・フィーベル とても可愛い美少女だが性格は厳しく「説教女神」とか言われている、まぁ残念な人だ

 

「あはは、相変わらずだね カインくんは」

 

そう言って話しかけてくるのはいつもフィーベルの横にいるからまた美少女 ルミア・ティンジェル 誰にでも優しく接している女神みたいな人だ。

 

「もう、ルミアは甘いのよ!こいつにはこの魔術学院で学べることにもっと誇りを持ってもらわないと!」

 

「まぁまぁ、カインくんも疲れているんだよ」

 

怒るフィーベルにそれを止めるティンジェル 、そしてそれを無視して寝る俺 まぁいつもの光景だ。だが男子諸君。その殺気を込めた視線をぶつけないでくれたまえ。俺だってクラスの平凡な一人としていきたいんだ…この2人に目をつけられているだけなんだ!

 

「別にいいだろ。テストでも実習でもそこそこの成績は出してるんだし」

 

「そうゆうことじゃない!私が言いたいのは・・・」

 

「あぁ、そーだなフィーベル。俺が悪かったよ…だから寝ていいか?」

 

「全然わかってないじゃない」

 

「あ、あははは」

 

そんな感じて過ごし、授業のチャイムが鳴る。そして授業は 始まらなかった…

 

「ちょっと!どうゆうこと!なんで今日からから新任の講師がまだこないのよ!」

 

授業が開始して20分ほどが過ぎフィーベルさんが怒りだした

 

「まぁまぁ落ち着いてシスティ。なんかあったのかもしれないでしょ」

 

「甘いわよルミア!この学院の講師としてくるんだからもっと自覚を持ってもらわないと!きっとロクでもないやつに決まってるわ!はぁ、アルフォネア教授が推薦する人だからどんな人かと楽しみにしてたのに…来た時には説教してやるんだから」

 

はぁ、そんなことだから説教女神なんて言われるんだよ。

セリカ母さんが推薦する講師か…1人だけ心当たりはあるっちゃあるんだが…大丈夫だよな…?あいつはまだ…

 

すると教室のドアが開き、1人の男性が入って来た。

 

「すまん、遅れたわぁ」

 

全く悪そうに思ってない態度で入って来た男。グレン・レーダス。俺の義兄である

 

「あぁ!あなたは!」

 

「違います。人違いです」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

フィーベルさんが立ち上がり、グレン兄を指差す。そして顔をそらすグレン兄。なんかあったんだろうか…

そしてグレンが俺に気づいた。

 

「な、なんでお前がいるんだよカイン」

 

「よ、久しぶりグレン兄。なんでって言われても俺学生だし」

 

「セリカが驚くって言ってたのはこのことかよ」

 

「カインくん。知り合いなの?」

 

ティンジェルさんが話しかけてくる。俺はそうだと答えておいた

 

 

「えーと、今日から1ヶ月君たちを教えることになりました非常勤講師のグレン・レーダスです。よろしくお願いしま〜す」

 

「先生!挨拶はいいのでさっさと授業を始めてください!」

 

フィーベルさんが立ち上がってそう言う。しかしグレンは大丈夫なんだろうか…多分まだあの時の傷は消えてないだろうに…

 

そしてグレン兄はチョークを手に取り黒板に『自習』と書いた

 

「「「「「「「はぁぁぁ⁉︎」」」」」」」

 

 

 

 

やっぱり…俺はそうため息を吐くのだった

 




カインはセリカに拾われて魔術を教えてもらったと言う設定です。今は独り立ちして一人暮らしをしている設定です。セリカとも仲が良く母さんと呼び学園でよく話ます。まぁセリカは有名なんでこっそりですけど


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3話

グレン兄の授業は一言で言えばまぁ、ひどかった。

 

俺は理由を知ってはいるが、理由を知らない者たちは納得はしないだろう…

 

そして昼休み。

 

「えーと、カツ定食のカツとご飯大盛り、そして味噌汁の代わりにラーメン。あと付け合わせとしてサンマの塩焼きとサイコロステーキ。あとスコーンを3つ。それにイチゴタルトを5個ください」

 

そして俺は注文したものを受け取り席に座る。食べ過ぎじゃないかとは言われるが俺はこれでも食い足りないぐらいだ。

 

「相席いい?」

 

そう言って席に座ったのは 学院の2大女神のフィーベルさんとティンジェル さん。あの…俺許可してないんですけど…あなた達といると主に男子からの視線がとてもとても痛いんですが…

 

「相変わらず食べるんだねカインくんは」

 

「まぁ食事は俺の数少ない娯楽みたいなもんだからな〜正直この学院に毎日くる理由は食事をとるためでもある」

 

「いや、勉強しなさいよ!あなた今日もずっと寝てたでしょ!」

 

「自由の時間なんだ。俺の勝手だろ」

 

「自由じゃなくて自習よ自習!ていうかそんなこと関係なしにあなたは寝るでしょーが!」

 

「まぁそれもそうだな」

 

そんな感じで俺とフィーベルが言い合っていると

 

「邪魔するぞー」

 

そう言ってグレン兄が座って来た

 

「あ、あなたは!」

 

「違います。人違いです」

 

グレン兄はそう言ってかわす。いや…流石にそれは無理があるだろ…

 

「あぁうめぇ、こうゆう大雑把な感じが帝国式って感じがすんなぁ」

 

「そういえばグレン先生もカインくんと同じで良く食べるんですね」

 

「あぁ、食事は俺の数少ない楽しみの1つだからな」

 

「ふふ、カイン君と同じこと言ってますね。そういえばさっきカイン君が兄さんと言っていましたけど兄弟なのですか?」

 

「まぁ。義理のだけどな」

 

「あぁそうなんですか。そういえばその豆いい匂いがしますね」

 

「おう、この豆は今が旬なんだ。食べてみるか?」

 

グレン兄はそう言ったキルア豆?だったっけな?それを差し出す

 

「ふふ、それじゃ間接キスになっちゃいますね」

 

「そんなん気にするかよ。ガキじゃあるまいし」

 

そう言ってティンジェらさんがグレン兄の豆を少しすくって食べる。

 

「ほんとだ。美味しいですね」

 

「だろ」

 

「いいなーじゃあ俺もこれちょうだい」

 

そう言って俺はティンジェルさんのハンバーグを貰って食べた

 

「もう、カイン君勝手に取らないでよ〜。じゃあ私はこれもらうね」

 

「あぁ、俺のカツ!」

 

 

 

「なぁなぁ、白猫 あいつら付き合ってんのか?」

 

グレンはシスティーナに小声で話しかける

 

「白猫って…まぁ、時々早くくっつけ!って思うときもありますけど…ルミアが良く話しかけるのに対してレーダス、いや、カインのやつがそうゆうことに鈍すぎて…」

 

「あぁ、あいつはそうゆうことにとことん鈍そうだしなぁ」

 

「てかお前、そんなんで足りるのか?」

 

グレンが見ら先には スコーンが2個だけ置かれているシスティーナの皿。

 

「私はいいんです!午後の授業が眠くなるので。まぁ先生の場合は関係なさそうですが」

 

「なんだ?そうゆうのは嫌いだ。はっきり言えよ」

 

グレンがシスティーナを睨む

 

「えぇ、じゃあこの際はっきりと合わせてもらいますけど、むぐっ!」

 

そんなシスティーナの口にはグレンのスプーンが

 

「ルミアだけずるい!私にもよこしなさい!だろ。全く…がめついやつめ」

 

「違います!」

 

「なに?フィーベルさん欲しかったの?俺のカツ食べる?」

 

そう言って俺はフィーベルさんの皿にカツを1つ乗せた

 

「だから違うって言ってるでしょ!」

 

「そのかわりこれもらうぞ〜」

 

そう言ってグレン兄がフィーベルさんのスコーンを1つを、一口で食べだ

 

「なにしてるんですか!」

 

「まぁ等価交換ってやつ?」

 

どこがですか!

 

そう言ってチャンバラを始める2人

 

そしてそれを優しく見守る女神と気にせずに飯を食べる男がいた



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4話

「えーと、今日の時間も自習にしまーす」

 

グレン兄の授業は相変わらず自習だった。他のグレン兄のことなどほっておいて自習をしている。あぁ、相変わらず意識高いなぁ。でもこんな勉強してるようじゃあ…まぁいいか

 

しかし今日は違った

 

「いい加減にしてください!」

 

そう、説教女神ことシスティーナ・フィーベルである。まぁあいつは魔術を異常に神聖視しているからなぁ。グレン兄の態度がゆるせないんだろうなぁ

 

「いい加減にやっているだろう」

 

そう言ってフィーベルさんをするりとかわすグレン兄。いや、たしかにそうだけど…

 

「これ以上この態度を続けるなら、お父様に報告してあなたをやめされることも私にはできるのですよ!」

 

そう意見するフィーベルさん。でも今のグレン兄にそんなこと言うと…

 

「是非お願いします!お父様によろしくお伝えください!いや〜これでようやくやめられるぜ〜」

 

ほらな…まぁ今のグレン兄ならそんな反応するだろうなぁ

 

そして… パシッ!

 

グレン兄の顔にフィーベルさんの手袋が投げられた。

 

「あなたにこれが受けられますか?」

 

「お前まじか?」

 

グレン兄の顔が急にマジになる

 

「ダメ!システィ謝って」

 

ルミアが止めるがフィーベルさんは止まらない。そしてグレン兄もこの決闘を承諾した。そしてクラスのみんなが決闘を見に行く。俺?俺は行かないよ。だって勝負見えてるし

 

「カイン君は行かないの?」

 

ティンジェル さんがそう聞いてくる

 

「大丈夫だよ〜絶対フィーベルさんが勝つから」

 

「何でそんなことが言い切れるの?」

 

「だってグレン兄やる気ないもん」

 

それにわざわざ生徒相手に「愚者の世界」も使わないだろうしなぁ

 

「だからティンジェル さんも安心して見てていいよ。俺は寝るから」

 

それを聞いてティンジェル さんは教室を出ていった。

 

後で聞いた話だと決闘の内容はショックボルトのみでの対決でフィーベルさんが圧勝したらしい。そしてグレン兄は決闘の約束を無視したらしい… やっぱり…

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

カン カン カン

 

 

何の音かって?これはグレン兄が黒板に教科書を打ち付けている音だ。いや、教科書はもう自分のものかもしれないが、それだと黒板傷つかないか?

 

 

そして、今日も自習とグレン兄がいい、他の生徒も呆れて自習を始めた。

 

しかし今日はそんなグレン兄に質問しにいった子がいた

 

「ダメよ、リン。そんな魔術の崇高さをまるでわかってない奴に聞いても。さぁ私が教えてあげる。私と一緒に魔術の真理を解き明かしましょう」

 

グレン兄はいつもなら無視していただろう。だが今日は違った

 

「崇高なものって何だよ」

 

どうやらフィーベルさんの言葉がグレン兄の琴線に触れたらしい

 

「聞くが崇高なものって何だよ」

 

その問いに対してフィーベルさんは、さも当然と言わんばかりに魔術は世界の真理を追求するものだの人がより高次元の存在に近づくためのものだのグレンに説明する。だがそんなものはグレン兄には通じないだろう

 

「それが何の役に立つんだ?例えば医術は人の命を救うよな?農耕技術、馬術、建築術。術とつくようなものは基本的に人の役に立つものばかりだ。だが魔術は人のなんのためになるんだ?教えてくれよ」

 

グレン兄の反論にフィーベルさんは言い返せない。言葉が詰まっている。まぁそうだろうな。今までそれが正しいと信じてやってきたんだから。

 

「はは、悪りぃ悪りぃ。魔術はちゃんと人の役に立ってるよ」

 

おい!グレン兄まじか!

 

「人殺しにな!人が剣で10人殺す間に魔術では100人殺せる!これほど人殺しに優れた術はねぇぜ」

 

「違う…魔術はそんなじゃ…」

 

「お前らもこんながだらないことに時間を割いているくらいならもっと」

 

パシッ

 

フィーベルさんがグレン兄の頬を叩いた

 

「大っ嫌い!」

 

そう言って泣きながら教室から走って出て言いてしまった

 

「カイン…今の俺どうだ?」

 

「まぁ事情はわかるけど、大人気ないな。すごくだせぇよ」

 

「そうか…今日はやる気でねぇから自習にするわ」

 

そう言ってグレン兄は教室を出ていった

 

「ねぇ、カイン君も一緒にシスティを探しに行こ?」

 

ティンジェルさんが俺を誘ってくる。だが…俺は…

 

「すまん、ティンジェルさん。俺にそんな資格はねぇよ」

 

「どうゆうこと?」

 

「俺もグレン兄ほどでもないけど、同じ意見だから…魔術なんてくだらねぇよ」

 

そう言って俺も立ち上がって教室を出ようとする

 

「ふん、あの3流魔術師の弟も3流か。魔術がくだらないなどバカバカしい」

 

「全くですわ!あの方もあなたも魔術を馬鹿にするなど。理解できませんわ」

 

そう言ったのはえーと眼鏡の…ウィズダンくんとツインテールのお嬢様のナーブレスさんだったかな?

 

俺はその2人の座っている間に服の間にしまっていたナイフを投げる。

 

スタン

 

そんな音が教室に響く。ナイフの刀身は全て後ろの席に刺さっている。人に当たれば怪我ではすまなかったかもしれない

 

目を見開く2人に俺は

 

「グレン兄を馬鹿にするなよ。グレン兄のことを何も知らないくせに」

 

殺気をぶつけた。もちろん軽くだがな

 

「だ、だがよ!間違えるのはあいつだろ!」

 

1人の少年が立ち上がる。確かカッシュくんだ。よく話しかけてくるから覚えている

 

「そうか…じゃあ」

 

俺はそう言ってティンジェル さんとリンさんの肩に手をかけ魔術を発動前の状態にして言った

 

「カッシュ…隣のセシルを殺せ。殺せばこの2人を助けてやろう。だが無理なら死ぬのはこの2人だ」

 

俺は冷たい声でそう告げる

 

「そ、そんなこと…」

 

やはり、できないよな…まぁこいつらはそうゆうことに気づいても目をそらし続けてきたんだろう。俺は2人を解放した。そして

 

「これでわかっただろ?今のお前らに害はなくてもいつかこんな機会がくるかもしれない。グレン兄が言った通り魔術というのは簡単に人を殺せる。この国が発展したのはこの魔術のおかげだ。この学院のおかげで優秀な魔術師が育ち、他の国を牽制する。他の国よりも魔術が発展しているだけで戦争に勝ち領土を得ることができる。聞くがなぜお前らが学ぶのは攻撃魔術だけなんだ?やろうと思えば土をよくする魔法とか雨を降らせる魔法が開発されていてもおかしくないだろ?それなのに全くそのような魔術は聞かない。なぜかって?それはそんなもの国が必要じゃないと思っているからだ。だから発展しない」

 

俺の言葉にクラスのみんなが黙る。言い返せないのだろう

 

「魔術をコインだとしたらお前らは表を見過ぎなんだよ。まぁ逆にグレン兄は裏を見過ぎとも言えるが…お前らは今までその裏を見て見ぬ振りをしてきただけだ」

 

「だ、だけどよ!魔術のおかげでこの国が発展してるのもたしかだろ?」

 

「たしかにそうだね。だからフィーベルさんの意見も正しい」

 

え?とクラスのみんなは思った。なにせ今までずっと魔術のことを悪く言っていたのだ。

 

「だから言ったんだよ。裏と表を見過ぎだって。正しい使い方をすれば魔術は大変素晴らしいものだ。包丁だって使い方が違うと簡単に人を殺せるしな。要は使う人次第さ。だが世の中には間違えた使い方をする奴が沢山いる。そのことを忘れるなってことだ」

 

そう言って俺は教室を出た。これで皆も少しは考えてくれるといいんだがな




すいません。少し長くなりました。読みにくいかも…


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5話

夜ある気配がして目が覚めた。何故だかわからないが俺はその時に部屋を出てしまった。そしてリビングでは…

 

「父さん!母さん!」

 

死んでいる両親がいた。そしてその側には2人の魔術師

 

「そういえばこの2人には子供がいましたね〜どうしますか?」

 

「この2人は我ら天の知恵研究会の障害になるから殺したまで。ガキには要はない…だが、現場を見られたんだ。殺すしかあるまい」

 

「えぇ、それでは」

 

そう言って2人の魔術師がこっちにくる。怖い、普通の子ならそう思うかもしれない。しかしその子は違った。

 

「父さんと母さんを殺したのはお前らか」

 

「あぁだったらどうする?まぁ安心しな。すぐにパパとママのとこに送ってやるよ」

 

「許さない許さない許さない許さない許さない」

 

その後の記憶はない。ただその後セリカ母さんに助けられて、息子として育てられた。ただそれだけだ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「魔術は偉大か…くだらない」

 

そう言って俺は廊下を歩く。そして前にある人を見つけた。壁に寄りかかって立っている女性。その美しさにあらゆる男を魅了する。そして彼女は何年も生き続けている伝説の魔女、そして俺の第2の母親である

 

「どうだ最近の様子は?」

 

「今ここにいるってことは教室での話聞いてたんだろ?てゆうか、なんでグレン兄をここに送り込んだんだよ。まだ傷も癒えてねぇだろ」

 

「なに…あいつには笑っていて欲しくてな…昔好きだった魔術をまだ若い卵達と一緒に触れ合ったら昔のように戻ると思ってな」

 

「まぁ母さんの気持ちもわかるけどな。あんな辛そうに魔術使うグレン兄は俺も見たくない…あんなことをするのは俺だけで十分だ」

 

俺はそう言って立ち去ろうとする

 

「お前はどうなんだ?私にとってお前もかけがえのない息子だ。仲の良い友でもできればと思って学院に入るように進めたが…」

 

母さんは暗い顔で俺を見てくる。俺はそんな母さんに微笑んだ

 

「大丈夫だよ。母さん。俺は今でもすごく楽しいから。でもやっぱり俺は魔術は好きになれないよ…俺の強さはあいつらに復讐するために手に入れた。あいつらを殺すために。だから、結局俺も外道魔術師達と一緒なんだよ」

 

そう言って今度こそ俺は立ち去った

 

「バカ息子が…」

 

そうつぶやく声を聞き流しながら…

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

俺は普段放課後は図書室にこもる。正直この学校で俺が学ぶことはない。だがここの図書室には面白い本が沢山ある。俺の知らないことが書いてあることも珍しくない。そして1人になれる。だからここは好きだ。

 

だが今日は違った。

 

「隣いい?」

 

そう言って座ってくるのはみんなの天使 ティンジェルさん

 

「いや、なんでさ。まだまだ席空いてんじゃん」

 

俺は1人でいたいから他の席に行けというが

 

「ここがいいの」

 

そんなことは気にしないとティンジェル さんが横に座る

 

「ねぇ、カインくん手伝って欲しいことがあるんだけどいいかな?」

 

「いや、俺は本を読むので忙しいから」

 

「じゃあ大丈夫だね。こっち」

 

そう言ってティンジェル さんは俺を引っ張って連れて行く。えぇ、俺の意見は無視ですかい…

 

そうしてティンジェル さんは俺を実験室に連れてきた。あれ?放課後の実験室の無断使用って禁止じゃなかったか?

 

「実は方陣の復習がしたくて…」

 

そう言ってティンジェルさんは方陣を描いていく。

あー魔力円環陣ねー、でも丁寧だけど所々が汚いな…

あーほら第3霊点が淀んでるし、あーそこは水銀が漏れ出てるし…

まぁなんというか…はっきり言って下手くそだな

 

そしてティンジェル さんは一応方陣を完成させた

 

「廻れ・廻れ・原初の命よ・理の円環にて・路を為せ」

 

しかし方陣は発動しない。まぁそりゃそうだろう

 

「あれぇ?発動しない…なんでだろ?システィとやった時はうまく言ったのに…」

そう言ってティンジェル さんは教科書と方陣を見比べている

 

「はぁ、水銀が足り「おい、放課後の実験室の無断使用は罰則だぞ」」

 

入ってきたのはグレン兄だった。ふぅ、あのめんどくさいハ・・なんとか先生とかじゃすげ〜怒られてたな

 

「すいません。今片付けます」

 

「いや、いいよ。ここまでできてるんだ。完成させてしまいな」

 

「でも…発動しないんです。だからもう諦めるつもりで…」

 

え?俺に聞かないの?それじゃあ俺のいる意味って…

 

「水銀が足りてねぇだけだよ。お前らは魔術を神聖視し過ぎで目に見えてるものには疎かになる。ほら、これで発動するはずだ。やってみ」

 

「は、はい。 廻れ・廻れ・原初の命よ・理の円環にて・路を為せ」

 

ティンジェル さんがそういうと魔法陣が発動し、綺麗な光を放った

 

「うわ〜綺麗」

 

ティンジェル さんも感動している

 

「これぐらい誰だってできる。あとほとんど組んだのはお前出しな。ていうかこらぐらいカインでもわかっただろ。なんで教えてやらないんだ」

 

「言おうとしたよ。でもその途中でグレン兄が入ってきたんだよ」

 

「あぁ、そうだったのか。そりゃ悪かった」

 

「まぁ別にいいんだけど」

 

「先生、今帰りですか?よかったら一緒に帰りません?」

 

ティンジェル さんがグレン兄に聞く

 

「嫌だ」

 

「え…」

 

ティンジェル さんの表情が曇る

 

「だが…付いてくるのは別にかまわねぇよ」

 

うわ〜素直じゃない。男のツンデレは需要ねぇぞ

 

「じゃあ俺は帰るな」

 

そう言って俺は部屋を出た。まぁ後はグレン兄がなんかするだろ

 

 




なんか楽くて色々書いたけど、明日からは更新速度落とします…まぁこんなに毎日かけるかないしね


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6話

次の日俺は驚きの光景を目にした。なんとグレンがフィーベルさんに謝っている…明日はショックボルトでも降るんだろうか…

 

俺はふとティンジェル さんを見るとこっちを見てウインクした。あぁ、彼女がなんかしたのか

 

「それじゃあ授業を始める。とその前にお前らってほんとバカだよな」

 

「「「「「「はぁぁぁぁ?」」」」」」

 

グレン兄の言葉にクラス全員の怒りがグレンに向く。

みんなすまん。正直俺もそう思っている

 

「ずっと授業態度見てて思ったよ。お前ら魔術のことなんもわかっちゃいねぇんだなって」

 

「ショックボルト程度の一節詠唱もできない三流魔術師に言われたくないね」

 

クラスの誰かがそうつぶやく。そしてクラス中から馬鹿にする笑い声

 

「それを言われると耳がいたい。俺には魔力操作の感覚と略式詠唱のセンスがなくてね。だが、ショックボルト程度とか言ったか?やっぱバカだわお前ら」

 

グレンはそんな笑いなど気にせず話を続けていく

 

「じゃあ今日はそのショックボルトについて教えてやるよ。基本的なえいしょは 雷精よ・紫電の衝撃持って・打ち倒せ」

 

グレン兄が詠唱すると手からショックボルトが発動した

 

「やっぱり3節詠唱…」

「とっくに極めてますわ。ショックボルトなんて」

 

「知っての通り魔力操作に長けたやつなら雷精の紫電よ の一節で詠唱可能だがじゃあ問題な」

 

そう言ってグレン兄は黒板に詠唱の言葉をかく

 

「雷精よ・紫電の・衝撃持って・打ち倒せ この4節に変えた呪文だと何が起こる?」

 

「その呪文はまともに起動しませんよ。必ずなんらかの形で失敗しますね」

 

メガネの子 ウィズダン君がそう答える。いや、それ質問の回答になってないだろ…

 

「んなことわかってんだよ、バーカ。俺はそれがどうゆう形で現れるか聞いてんの」

 

「そんなものランダムに決まってますわ」

 

「ランダム?お前極めたんじゃなかったのかよ」

 

「うぅ」

 

「なんだ?全滅か?」

 

そう聞くグレン兄の言葉に誰も答えられない。クラス1番の成績優秀者フィーベルさんも。そりゃそうだろう。今までこの人たちは魔術式を理解せずに魔法を学んできたんだ。わかるわけがない

 

「じゃあ 答えは はい、カイン」

 

おい、当てるなよグレン兄!俺は普通の生徒として過ごしたいんだよ

 

「わかりません」

 

「そうか…これしきもわからないんじゃセリカに相談するしかないな」

 

「それはずるいだろ…俺はごく普通の一般生徒として生きていきたいんだよ」

 

「カイン君。それはもう昨日の発言で無理だと思うな」

 

ティンジェル さんにそう言われて俺は周りを見る。皆俺から目をそらすか恐怖の目で見てくる…俺が何したっていうんだあれ?なんだろう。目から汗が…

 

「はい、カイン答えは?」

 

そんなこと気にせず聞いてくるグレン兄…鬼だと思う。

 

「はぁ…右に曲がる」

 

「はい、せいかーい」

 

そう言ってグレン兄は4節の詠唱で魔法を発動する。すると、黒板に向かってまっすぐ進むと思われたショックボルトが急に右に曲がった

 

「ちなみに こうやって5節にすると」

 

「射程が落ちる」

 

「一部を消すと?」

 

「出力が大幅に落ちる」

 

「ま、極めたっていうならこれぐらいできねぇとな」

 

そう言ってグレン兄はチョークを指でクルクルまわしながらドヤ顔を決める。いや、答えたの俺だからな⁉︎

 

「いいか、魔術ってのは要は超高度な自己暗示だ。呪文を唱える時に使うルーン語ってのはそれを最も効率よく行える言語で、人の深層意識を変革させ世界の法則に介入する。お前らは魔術は世界の真理を追い求めるもの なんていうけどなそりゃ間違いだ。魔術はな人の心を突き詰めるもんなんだよ。たかが言葉ごときにそんな力があるなんて信じられんとでも言いたげだなぁ。そんなら…カイン!ルミアがカインのこと好きだって言ってたぞ」

 

「せ、せせせせ先生!な、何を言ってるんですか!」

 

「はい注目!ルミアの顔が真っ赤になりましたねぇ〜見事言葉ごときがルミアの意識に影響を与えました〜比較的簡単に制御できる表層意識でもこうなんだ。制御できない深層意識に影響を与えるなんて簡単だろ?他にも…白猫!」

 

「白猫⁉︎白猫って私のこと?私にはシスティーナって名前が」

 

「愛している、実は一目見た時からお前に惚れていた」

 

「ふにぁ!」

 

「ほら!簡単に引っかかるだろ?今行ったばっかなのに。まぁ、このように言葉で世界に影響を与えるこれが魔術のきほぉっ!てバカ!教科書投げんな!」

 

「バカはあんたよ!このバカバカバカ〜!」

 

「そうだぞグレン兄。バカなのか?ティンジェル さんが俺のこと好きなわけないだろ?そういうのはもっと考えて言うべきだ」

 

「「「「「「「いや、お前は気づけよ」」」」」」」」

 

この時、クラス全員の思いが一致した。

 

 

「い、いてぇ。ま、まぁとにかくだ。魔術にも文法と公式みたいなもんがあんだよ。人の深層意識を自分が望む形に変革させるためのな」

 

頭にでかいたんこぶを作ったグレン兄が授業を続ける。グレン兄わかるぞ。あれ痛いよなぁ。俺もよくやられるぞ

 

「それがわかれば、例えば・・・まぁ・とにかく・痺れろ」

 

グレン兄がそういうとショックボルトが発動した。これにはクラス中がら驚いている。

 

「他にも…ほい」

 

そう言ってグレン兄が俺にさっきの教科書を投げてくる。て、おい!いきなりかよ

 

「え、えーと…吹っ飛べ!」

 

そう言って俺はゲイルブロウを発動した。俺の呪文にもクラス中が驚いている。

 

「ま、このぐらいの改変は簡単にできるようになるぜ。要は連想ゲームさ。例えばお前らがそこの白猫を見て何を連想するか…呪文と術式も一緒だ。それがわかればこの程度の呪文改変は難しくない。だがその基本を吹っ飛ばしこのクソ教科書でとかかく覚えろと言わんばかりに呪文を書き取りだの翻訳だの。それが今までお前らがやっていたお勉強とわかりやすい授業ってやつだ。ふん、アホかと」

 

そう言ってグレン兄は教科書を放り投げた

 

「いいか、お前らは単に魔術が使えるだけの魔術使いにすぎん。魔術師を、名乗りたいなら自分に何が足りないかよく考えとけ。じゃあ今からそのど基礎を教えてやる。興味ない奴は寝てな」

 

グレンがそう言ってもクラスで寝ているやつなんていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺を除いて…



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7話

グレン覚醒

 

今までの授業とは比べられないほどの授業をしてくれるという噂で今II組の教室には沢山の人が来ている。立ち見でもいいからとか言って他のクラスの人も来ているからだ。

 

「お前らは凡用魔術に対して個々でオンリーワンの固有魔術を神聖視しすぎだが固有魔術を作ることなんてたいしたことじゃないんだ。じゃあ何が大変かっていうと緻密に完成されたこの魔術を何らかの形で超えなければならないというこの一点に尽きる。お前らは凡用魔術なんて誰にでも使える魔術だw なんて考えてるがこのように解析していくといかに洗練されていることがわかるはずだ。そりゃ当然だ。この凡用魔術にしてもお前らの何倍、いや何百倍も優秀な魔術師が何百年とかけて完成されたものだからな。お前らこれを見て、ショックボルトを極めました〜とか言えるか?言えねーだろ。こんなもん完璧に理解しようとすると5年はかかるぜ。頭痛くなってくるだろ」

 

グレンの言葉に多くの生徒が顔をしかめる

 

「まぁ、ということでお前らに魔術式を完璧に理解してもらうことなんて時間的にも無理な話だ。だがら俺が教えるのはこれを理解するための基礎中の基礎。これを理解すると固有魔術を作るときににも役立つし、効果がかぶるのも防ぐことができる」

 

そして授業のチャイムが鳴った

 

「あ?もうこんな時間か?じゃあ今日はここまで」

 

そう言ってグレンは黒板消しを手に持つ

 

「あ、先生待ってください。私まだ写し終えてないんです」

 

その言葉を聞いてグレンはニヤリと笑い、黒板消しで消した

 

「「「「「「「「ああ!」」」」」」」」

 

多くの生徒の悲鳴が…

 

「はは!もう半分以上消えたぞ!ざまーみろが!」

 

「子供か!」

 

「まぁまぁシスティ、あとで私の写させてあげるから」

 

「はぁ、ありがとルミア。本当にあいつは…魔術講師としてはすごい奴だけど人間としては最低だわ」

 

「ははは、いつかは仲良くなれるよ。ね、カイン君。・・・カイン君?」

 

そう言ってルミアはカインを見るがなんか違和感が…

頬杖をついて前を見ているカイン

それに気づいたシスティーナ

 

「力よ無に帰せ」

 

ボンッ!と音がなり煙が晴れた先には机に突っ伏し寝ているカインが…カインはセルフ・イルージョンで自分の幻影を作っていた

 

「だーかーらー、授業を真面目に受けなさいって言ってんでしょーが!」

 

「ギャャャャー」

 

そしてカインの頭に教科書で殴られてでき大きなたんこぶができた…

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

放課後の屋上にグレンとカインがいた

 

「最近どーよグレン兄」

 

グレンは最近の出来事を思い返す。白猫やルミア、他の生徒からの質問の嵐。教科書を持ってくれるルミアに対抗して来た白猫に、残り全ての教科書を持たせる。そして騒ぐ白猫をからかう自分の姿…

 

「まぁ、悪くないかな」

 

「おーおー夕日に向かってたそがれちゃってまぁ。青春しているね〜」

 

そこに歩いて来た2人の義理の母、セリカ

 

「なんだよ、セリカ」

 

「いや、最近のお前結構いきいきしているなと思ってな。前は死んで1ヶ月経った魚のような目をしていたが、今は死んで1日経った魚のような目をしている」

 

「ぶふぉ!」

 

俺はその言葉に吹き出してしまった

 

「おい…」

 

「さて、私は明日から魔術学会だがお前らのクラスは前任のヒューイがいなくて補修だったな。他の先生がいないからって女子生徒に変なことするなよ」

 

「するか!だいたいお前みたいな女見慣れたらそこらの女に興味持てるかっつうの」

 

その言葉を聞いたセリカはニヤリと笑い

 

「私のことをそんな目で見ていたのか?この変態〜」

 

「やめろ!寄るな!胸押し付けんな!」

 

「つれない男だな」

 

「まぁたしかに母さんは魅力的だもんね」

 

「あー、もうカイン!この可愛いやつめ」

 

そんな話をしていると、向こうからフィーベルさんとティンジェル さんが歩いて来た

 

「あ、いた!グレン先生!あとアルフォネア教授とカイン君も。すいませんお邪魔でしたか?」

 

「いや、そうでもないさ。グレン何かにようか?」

 

「はい、教科書の復習をしてたんですけど分からないことがあったんで教えてもらおうってシスティが」

 

「ちょっと!それは言わない約束でしょ!」

 

「ほほぉー仕方ないなぁ、このグレン・レーダス大先生様が哀れな生徒にご教授してやっか」

 

「だからあんたにだけは聞きたくなかったのよ!」

 

「じゃあ、システィはグレン先生に聞いてね。私はカイン君に聞くから」

 

「え!俺?」

 

「うん、カイン君も今日のところは理解してるよね?だから教えて。こっち!」

 

「あ、あぁ ちょっと!」

 

そう言ってルミアはカインの腕を引っ張っていく

 

 

 

 

「本当になんでカインはあれで気づかないのかしら…」

「あいつは超鈍感って言う固有魔術でも持ってんだよ。きっと」

「ふふ、カインもいい友を持ったようだな」

 

 

 

「さて、ティンジェルさんわからない所って?」

「あぁここなんだけど」

「あぁここか〜ってねえ。なんか近くない?」

「気のせいだよ」

「そ、そうか?」

 

頑張るルミアであった…

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「おそーい!最近まともに授業するようになったと思ったらやっぱりこれだわ!カインなんであいつは来ないのよ!」

 

朝から怒るフィーベルさん。うるさい…

 

「そんなこと言われても知らないよ。俺一人暮らしだがら今グレン兄と住んでねえし」

 

内心、まぁセリカ母さんがいないからだよなーとか思っていると教室のドアが開いた。そして入って来たのは2人。明らかに怪しい2人にカインは戦闘に入れる準備をした

 

「ちーす!勉強かー頑張れ若者よ!」

 

頭にバンダナをつけた男がそういう

 

「誰ですかあなた達は?学校の不法侵入は犯罪ですよ!これ以上迷惑をかけるなら気絶させますからね」

 

フィーベルさんが男達の前に立つ

 

「ズドン!」

 

バンダナの男がそう唱えるとライトニング・ピアスが発動しフィーベルさんの横を通り過ぎた。少しでも間違えるとフィーベルさんは死んでいただろう…

 

「あぁ、俺らはいわゆるテロリストっていうやつでーす。次騒いだらぶっ殺すからねー」

 

男がそう言うと教室は静まり返る

 

「えーと、俺らはルミアちゃんって子を探しに来たんだけどルミアちゃんってだれ?」

 

そう言って男はリンさんに近づく

 

「君がルミアちゃんかな?」

 

「ち、違います」

 

「じゃあどの子がルミアちゃんかな?俺は嘘は嫌いだよ」

 

男がそう言ってライトニング・ピアスを放とうとすると

 

「私がルミアです!」

 

ティンジェル さんが立ち上がった

 

「うん、知ってた。君が出るまで何人死ぬかのゲームやってたんだよねー」

 

「おい、その辺にしておけ」

 

「へいへい」

 

そう言ってクールな男がティンジェル さんを連れて行き、バンダナの男が俺らにスペル・シールを貼って結界で囲みフィーベルさんを連れていった

 

その時カインは相手の行動を予想していた

 

正直こいつらを守りながら戦うのは無理だ。だがら考えろ…あいつらが結界を書き換えて学校に侵入したならこのまま馬車でトンズラこくのは考えにくい…とゆうことは転送方陣を書き換えて脱出するのが有力かな?と言うことは半日ほどの猶予がある。ここは焦るな…

 

そう言って男達が出て言ったのを確認してカインは行動を開始した

 

ボキ、ボキ、バキ

 

教室に嫌な音が響く

 

「お、おいカイン…なんかお前から嫌な音がするんだが…」

 

「なんてことはない。ただ肩の関節を外しているだけだ」

 

そう言って俺は後ろに結ばれていた手を体の前に持ってきて、歯でロープを噛みちぎった。そしてスペル・シールを剥がす

 

「ふぅ、じゃあ行くか とりあえず・眠ってろ」

 

俺はそう言ってクラスのみんなをスリープ・マインドで眠らせる

 

そしてディスペル・フォースで結界を破壊して、また結界を貼り直した。

 

「さて、久しぶりの戦いだな…まずはグレン兄と合流するか」

 

カインはそう言って廊下に出た…

 



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8話

俺は今廊下を走っている。グレンの気配は感じているのでとりあえず合流するためだ。すると前方に廊下を走っているグレン兄を見つけた。

 

「グレン兄無事だったか」

 

「カインか、まぁ、なんとかな。今の状況は?」

 

「テロリストの奴らが教室にきてティンジェルさんとフィーベルさんを連れて行った。敵の狙いはティンジェルさんみたい。教室の奴らは眠らせておいた。結界も貼ってあるし大丈夫。とりあえず、まずはフィーベルさんを助けよう」

 

「あぁわかった」

 

そうして俺とグレン兄はドアの前に到着する。フィーベルさんの気配はここからする。すると中から

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ」

 

フィーベルさんの声だ。グレン兄は急いでドアを開ける。そこにはフィーベルさんの上にのり、ちょうどフィーベルさんの下着に手をかけようとしていたバンダナの男が…

 

「すま〜ん。邪魔したわ」

「ど、どうぞごゆっくり…」

 

俺とグレン兄はそう言ってドアを閉めようとする

 

「いや、助けなさいよ!」

 

フィーベルさんのツッコミ。うん、いつものだな

 

「はぁ、お前もてないからってそうゆうの犯罪だぞ」

 

そう言ってグレン兄は教室に入る。敵から見ると隙だらけだろう。

 

さて、俺はフィーベルさんを助けるかな

 

バンダナの男はグレン兄に手を向ける。さっきのライトニング・ピアスを撃つつもりだろう

 

「ダメ!先生逃げて!」

 

さっきの攻撃を見たフィーベルさんはグレン兄を止める

 

「大丈夫だよ。あいつレベルじゃグレン兄は倒せない」

 

「カイン…」

 

俺はフィーベルさんの縄を解く。

 

「ズドン!」

 

バンダナの男が呪文を唱える。至近距離からのライトニング・ピアス普通の人ならこれで死亡。命を落とすだろう。普通の人ならばな…

 

パリン

 

そのような音を立てバンダナの男が構築した魔術が破壊される

 

「なに⁉︎ズドン!ズドン」

 

「もう魔術は起動しねーよ」

 

グレン兄はそう言ってあるカードを取り出す

 

「愚者のアルカナ?」

 

「俺はこのカードに構築された魔術式を読み取ることで俺を中心とする一定領域内の魔術起動を完全封殺することができる。これが俺の固有の魔術 愚者の世界」

 

「固有の魔術だと!てめぇその域に至ってるっていうのか!」

 

「すごい、そんなの無敵じゃない…」

 

バンダナの男がそう叫び、フィーベルさんがつぶやく

 

「ま、俺も魔術起動できないけどな」

 

「「は?」」

 

「いや、だって俺も効果領域内にいるんだしよ」

 

この言葉に声を失う2人

 

「はっははは。魔術士が自分の魔術を封じてどうやって戦うんだよ」

 

そう言って笑うバンダナの男。いや、普通こんな効果持ってるなら格闘戦やら銃撃戦をすることぐらい予想しろよ…フィーベルさんも 「もうダメだわ 」とか言って泣いてるし…

 

「てめぇ、さっさと ブオォ」

 

そう言って殴られるバンダナの男…まぁ隙だらけだし…グレン兄は少しアレンジ入ってるけど帝国軍隊式格闘術ではこの国でもトップレベルだからなぁ

 

そしてバンダナの男はグレン兄にボコボコにされ、なぜか亀甲縛りにされた…少し同情する

 

今、グレン兄はセリカ母さんに連絡しているところだ。セリカ母さんは今は動けないらしい…俺とグレン兄でやるしかないか

 

「グレン、そしてカイン…死ぬなよ」

 

「当たり前だ!こんなとこで死んでたまるか!」

「安心してて母さん。俺はもう誰も死なせるつもりはないよ」

 

そう言って母さんと連絡が途切れる

ふと横を見るとフィーベルさんが下を向いている

 

「どうした?」

 

「助けは呼べそうなんですか?」

 

「今の話聞いててそう聞こえたか?」

 

するとフィーベルさんは急に走り出そうとした。俺はフィーベルさんの手を掴んで止める

 

「離して!ルミアを助けにいかなきゃ!」

 

「よせ!無駄死にする気か?」

 

「だって…私悔しくて!先生の言った通り魔術なんてロクなものじゃなかった!魔術なんてなければルミアが!ルミアが!」

 

グレン兄はそれを聞いてフィーベルさんの頭に手を置く。

 

「泣くなバカ。ルミアは人のために魔術を使えるようにしたい。そう言ってたさ。死なせらんねぇよな」

「それにフィーベルさんはあのでっかい城について解き明かすんでしょ。こんなことで諦めていいの?」

「先生…カイン…」

 

「安心しろ。残りの敵2人は速やかに俺が殺す!」

 

「ふははは、はっはははは。なーんだそうゆうことか〜お前こっち側の人間だったってことか」

 

「な、先生はそんな人じゃ!」

 

「いーや、そいつはロクでもないやつさ。俺にはわかる。そいつは俺らと同じ人殺しの外道さ!」

 

そう言ってバンダナの男は笑う

 

すると教室に不思議な空間が発生。そこからボーンゴーレムが出てきた。

 

「おーっと!ようやくお出ましだぜ!レイク兄貴の召喚術!はは!これでお前らも終わりだ…お、おいちょっとやめろ!やめてくれ!ぎゃあぁぁぁぁぁ」

 

ボーンゴーレムがバンダナの男に対して剣を振り下ろした…

 

「きゃぁぁぉぁ」

 

そして固まるフィーベル。もちろんそんなことをしたら敵に狙われる

 

「油断すんな!フィーベル!」

 

そう言って俺はフィーベルを引っ張る。そして先ほどフィーベルがいた場所には剣が振り下ろされた。少しでも遅ければ肉塊になっていただろう…

 

「はぁぁ!」

 

グレン兄がボーンゴーレムを思いっきり殴りつける。しかし相手は無傷…

 

「いって〜牛乳飲み過ぎだろ!こんちきしょう!」

 

「その剣に光あれ!」

 

「助かった白猫!うぉぉりゃぁぉ」

 

そう言ってグレン兄はまたボーンゴーレムを殴りつける。今度は敵をボロボロにした

 

「逃げるぞ!」

 

そう言って俺たちは教室を出る

 

「すまんグレン兄!俺の得意な魔術や剣術はこいつらとは相性が悪い」

 

「あぁ、わかってるよ!そんぐらい!仕方ねぇ 俺がやる」

 

そうして俺たちは廊下の真ん中で止まり敵を待ち構える

 

「白猫!ここは俺とカインでくいとめる!お前は得意のゲイルブロウを長く、広範囲に持続できるように改変しろ!」

 

「そ、そんな高度なこと!」

 

「ティンジェルさんを助けたいんだろ!少しは役に立て!俺がやってもいいけど何があるかわかんない!今からグレン兄がやろうとしていることをすると、しばらくグレン兄は動けなくなる!少しでも魔力を温存しておきたいんだ!」

 

「なぁに生意気だか優秀なおまえなら大丈夫だ!生意気!だけどな」

 

「生意気強調しないでください!」

 

「俺がここ最近教えたことを理解しているならそれぐらいできるはずだ。できなきゃ単位落としてやる」

 

「り、理不尽だ‼︎ わかりました。やってみます」

 

頼んだぞ…白猫…

 

さて、後ろはフィーベルさんに任せて俺も集中しますかね

 

「こいよ!カルシウムども!」

「骨クズにしてやるよ!」

 

俺は懐にしまってあるナイフを取り出す。

 

動き出す2人を見てシスティーナもゲイルブロウの改変に入る

 

(風静かなる これじゃあ威力が… 嵐よ奔放なる 持続時間を伸ばすためには… 少しでもいい、敵を前に一歩もひるまなかったルミアみたいな力を!私を信じて戦っている先生やカインのような力を!今度は私が助ける!)

 

そして術式が完成する

 

「先生できました!」

 

それを聞いて俺とグレン兄は下がる

 

「よし!ぶっ放せ!」

 

「拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢に安らぎを」

 

するとフィーベルさんからまとわりつくような風が発生する

 

「改変時間16秒。ストームウォールって言ったところか。やっぱりフィーベルは天才だったんだね」

 

しかし敵は少しずつだか前にすすんでくる

 

「ダメ…完全には足止めできない…ごめんなさい先生」

 

「いいや、十分だ。続けろ」

 

そう言ってグレン兄はポケットから赤色の宝石のようなものを取り出す

 

「フィーベル、よく見とけよ。なかなか見ることができない大魔術だせ」

 

「え?」

 

そしてグレン兄は手を前に突き出した

 

「我は神を斬獲せし者

 

我は始原の祖と終を知る者

 

祖は摂理の円環へと帰還せよ

 

五素より成りし者は五素に

 

象と理を紡ぐ縁は乖離すべし

 

いざ神羅の万象は須くここに散滅せよ

 

遥かな虚無の果てに

 

 

 

えーいぶっとべ!有象無象!黒魔改! イクスティンクション・レイ」

 

グレン兄の手から全てを破壊する光が発射される

 

 

そして全てのゴーレムを吹っ飛ばし、学園の一部も吹っ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ修繕費どうすんだろ…

 




ようやく次回主人公が戦う回だーーー
長かった…でもやっぱり圧倒的強さがいいから戦いすぐに終わりそうなんだよなぁ…どうしよ…


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9話

戦闘描写が下手くそすぎ…


「すごい…こんな高等魔術を使うなんて」

 

グレン兄のイクスティンクション・レイを見てシスティーナはそうつぶやく

 

「ぐはっ!」

 

「先生!」

 

血吐きながら倒れるグレン。その顔は血の気がなく真っ青になっている

 

「これは…マナ欠乏症」

 

「裏技で身の丈に合わない魔術を無理やり使ったからなぁ」

 

「しっかしグレン兄。前使った時よりもひどくなってない?ここまで症状ひどくなかったでしょ」

 

「当たり前だっつーの。ちゃんとした魔術使うなんて1年ぶりぐらいだぞ…そりゃ効率も悪くなるさ。さて、急いでここから離れるぞ」

 

そう言ってグレン兄は無理やり立ち上がる

 

しかし廊下の先から足音が…

 

「残念、グレン兄。敵は見逃してくれないみたいだよ」

 

そして歩いて来た敵の男。周りには五本の剣が浮かんでいる

 

「イクスティンクション・レイまで使えるとは。三流魔術師と侮っていた。まさか2人もやられるとはな」

 

「1人やったのはおまえだろ。人のせいにすんな。しっかし、浮かぶ剣ってだけでもやな予感がするなぁ」

 

「ここまで粘ったことは褒めてやろう。だが、マナ欠乏症のお前と使えない生徒が2人。お前らはもう終わりだ」

 

「使えない生徒ね〜流石の俺でもカチンと来たわ」

 

そう言って俺は男の前に立つ

 

「ダメ、カイン!貴方じゃ勝てない」

 

フィーベルさんが俺を止める

 

「いーや大丈夫だ白猫。ここはカインに任せる」

 

「で、でも先生!」

 

「大丈夫だよフィーベルさん。グレン兄下がってて。今の状態でもフィーベルさんを守ることはできるでしょ」

 

「あぁ、頼んだ。すまん…またお前にこんなことさせてしまって」

 

そう言ってグレン兄とフィーベルさんは下がる。さて、グレン兄なら大丈夫だ。俺は目の前の敵に集中するとしよう

 

「作戦会議は終わったか?」

 

「なに?待っててくれたの?」

 

「ふん、ただの魔術学院の生徒の最期の悪あがきだ。余興にのってやろうと思ってな」

 

「そっか〜じゃあ遠慮なく行かせてもらうよ」

 

『この眼に力を』

 

 

そして俺の固有魔術 写輪眼が発動する

 

 

「紅い眼…なんだその眼は?」

 

「なに、ただの魔術だよ。俺専用だけどな」

 

「固有魔術か?その年で使えるとは大した者だ。それなら遠慮はいらないな。容赦なく行かせてもらおう!」

 

すると五本の剣が俺に迫ってくる

 

早い上に数が多い。そして不規則な動き…普通ならかわせないだろう

 

だが、写輪眼は全てを見通す眼

 

こんなものなど余裕で見切れる

 

右 右 左 上 後 左 下・・・

 

様々な方向から繰り出される剣を俺は全て避ける

 

「くそ!何故だ!何故当たらない!」

 

動揺しているな…二本の剣筋がぶれて来ている。二本は手動か…

 

剣を全て避けながら隙を伺う…そして一緒の隙を見つけた。ここだ!

 

「雷槍よ!」

 

俺はライトニング・ピアスを放つ。

 

「なに⁉︎くそ! 霧散せよ!」

 

しかし、男はとっさにそれをトライ・バニッシュで無効化した

 

俺への攻撃は止まり、剣はまた男の周りを漂う

 

「俺の攻撃を全て交わし、一瞬の隙をついてライトニング・ピアス…そしてそれを行える身体能力に判断力。貴様何者だ?」

 

「外道魔術士を許すことができないただの一般生徒だよ。さて、時間が惜しい。ここで終わらせてもらうよ」

 

俺はそう言って 右手に魔力を貯める

 

「叫べ雷鳥・走れ雷・我が望むは神の矛なり」

 

 

チッ チッ チッ チッ

 

 

俺の手に魔力が集まる。まるで千もの鳥の地鳴きのような音を立てながら。

 

「なんだ!その目に見えるほど魔力は」

 

「千鳥…俺の固有魔術だよ。さて…いくぞ!」

 

そう言って俺は走り出す。

 

「正面から突っ込むとは血迷ったか!」

 

そう言って男は剣を俺に飛ばしてくる。

 

 

 

 

この千鳥はいわゆるただの突きだ。

 

威力とスピードは申し分ないが、移動速度が早すぎて相手のカウンターを見切ることができない。最初にこの魔術を使った時、それに気づき必至に打開策を考えた。そして完成したのが今の俺の目 写輪眼。この2つが合わさるおかげでようやく術が完成し、誰にも止められない最強の矛となった

 

だからこの程度のスピードの剣など障害にもならない

 

俺は敵の剣を紙一重でかわしていく。そして敵に右手を突き出す。男は二本の剣をクロスし受け止めようとする。

 

 

 

 

 

 

しかしそんなものでは千鳥は防げない…

 

俺は敵の剣を破壊し、相手の心臓に右手を突き立てた

 

 

「ぐはっ……はぁ、はぁ、思い出したぞ…数年前に我が組織の傘下が凄腕の魔術士に壊滅させられた。その敵は紅い目を持ち、雷を右手に纏っていたという…そしてつけられた名前が『死神』…お前がそうだったのか・・・」

 

そう言って男の命がつきた。俺は右手を男から引き抜く

 

俺はまた人を殺してしまったな…

 

そして俺はグレン兄のもとに向かう

 

 

 

 

「終わったぞグレン兄」

 

「あぁ、お疲れさん。またお前に人殺しをさせてしまったな…」

 

そう言ってグレン兄は下を向く

 

「気にしなくていいよグレン兄。俺はなんとも思ってないからさ。俺は何があっても外道魔術士を許すとができない。知ってるでしょ」

 

「そうか………んじゃ、ルミアを助けに行かとするか」

 

そう言ってグレンは歩き出すが、力の抜けたように倒れてしまった

 

「くそっ…体がうごかねぇ」

 

「久しぶりに大魔術を使うからだよ。マナ欠乏症だ。とりあえず寝てろ。あとは俺がやる」

 

そう言って俺は立ち上がる

 

「カイン…すまねえ」

 

そう言ってグレン兄は目を閉じた。そしてすぐに寝てしまった。寝息が聞こえる

 

 

「任せろグレン兄。ティンジェルさんは俺が助けるから。フィーベルさんグレン兄をお願い」

 

「わかったわ」

 

俺の言葉にフィーベルさんは頷く

 

 

「そうだ。グレン兄が起きたら敵は多分転送方陣のとこだって伝えといて。あぁ、あとこれ」

 

そう言って俺は魔力結晶を取り出した

 

「これに俺の予備の魔力が入ってる。フィーベルさんを通してグレン兄に流し込んであげて。効率は落ちるけどグレン兄を少しでも早く回復させたいんだ」

 

「え、えぇ!それってたしか結構高度なことなんじゃ」

 

魔力結晶を自分で取り込むのは簡単である。しかし一旦自分で取り込みそれを他者に与えるのは、かなり高度なことなのである。しかしフィーベルさんは天才だ。多分大丈夫だろう

 

「フィーベルさんなら大丈夫だよ。あ、そうだ少しでも効率の上がる体制なんだけど、首を少し高くして鼻の上の方に魔力を送り続けるかんじがいいよ」

 

「え…それができる体制って…」

 

フィーベルさんはロボットのように ギ ギ ギ って音が鳴ってるような動きで俺を見た

 

「そ、膝枕してあげな」

 

俺は笑顔でそう言って転送方陣に向かう

 

フィーベルさんがグレン兄のことを少し気にしているのは知っているので、俺は少しいたずらをすることにした。実は、体制などは別に関係ない

 

後ろでフィーベルさんが慌てている声が聞こえるけど無視だ無視w

 

さぁて、起きた時のグレン兄の反応はどうなるかなぁ

 

 

俺はそんなことを考えながら急いでティンジェルさんのもとに向かった

 

 

 

 

 

 

 




カインは自分のことは鈍感ですけど、他人のことは気づくというありがちなタイプの人です


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10話

そびえ立つ白亜の塔。学院の転送方陣はここにある。その塔の周りには壊れて粉々になったゴーレムで埋め尽くされていた。

 

その内部の螺旋階段を登った先、最上階の大広間にルミアとある青年がいた。今回の事件の黒幕。学院の裏切り者ー ヒューイ・ルイセンである

 

転送方陣の上で魔術によって拘束されていたルミアが叫んだ。

 

「ヒューイ先生!あなたはこんなことする人じゃなかった…!私を転送してこの自分の命と引き換えにこの学院を爆破するなんて!」

 

ヒューイは静かにルミアの叫びを聞いていた。やがてヒューイは口を開いた。

 

「僕は元より、王族 もしくは政府にとっての重要人がこの学院に入学した時にーーー」

 

「そいつを殺すために元より仕掛けられていた人間爆弾ってところかよ。ヒューイ・ルイセン」

 

ヒューイに割りいって声を発した人物がいた。その人物に2人は驚きを隠せない

 

「あなたは…」

「そんな…カインくん」

 

しかしその人物は2人の知っている顔と違った。目が紅く勾玉文様が浮かんでいる

 

「その赤い目に勾玉の文様…そうですか、あなたがあの『死神』でしたか…」

 

「そういうことだ。ヒューイ先生。あんたじゃ俺には勝てねぇよ」

 

「えぇ、私じゃあなたには傷1つつけられないでしょう。ただ……転送方陣の書き換えは終わっていなくても、この魔術は起動済みです」

 

そう言うとヒューイとルミアの周りに巨大な魔法陣が出現した

 

「白魔儀《サクリファイス》か…厄介だな」

 

「えぇ、貴方にこれを解除できますか?あぁ、もちろん僕を殺すのは無しですよ。すぐに魔法が発動してしまうので」

 

ヒューイは余裕そうにつぶやく。今から死のうとしているのに…

 

「くそっ!」

 

そうして俺は急いで解呪に取り掛かった

 

「あぁ、知っているかと思いますが 解呪に失敗してもこの魔法は発動しますので」

 

その言葉を聞いてルミアは青ざめる…

 

「そんな!カインくん 逃げて!私のことはいいから!」

 

「うるさいよ」

 

カインがそう呟くと方陣の1つ目が解呪された。

 

「早い、そして正確ですね。しかしまだ一層目。貴方だけならこの塔の地下に投げ込めば助かる見込みはありますが….その気は無いようですね…」

 

カインはその言葉を無視して解呪に取り掛かっている。その手際は素晴らしい

 

ヒューイはカインの手際の良さに驚いていた。これならばあるいはーーーそう考えたヒューイは自分自身に驚いた。

 

(僕はこの《サクリファイス》が解呪されることを望んでいるのか?そうか…僕は心のどこかで生徒の無事を祈っていたのか…)

 

ヒューイがそう考えているうちにカインは第2層を解呪した

 

「逃げたって誰もカインくんのことを責めないよ…だから逃げて…貴方だけでも…お願い…」

 

ルミアは消え入りそうな声で訴える

 

「いいわけないでしょ、ティンジェルさんが死んだら悲しむ人が沢山いる。自分を犠牲にしようなんて考えたらダメだ」

 

そして第3層を突破

 

「俺は昔は壊れていた…親を殺したのと同じような外道魔術師を殺すために独学で力をつけた。その時の俺は何も感情がなかった。だけどセリカ母さんやグレン兄に出会って変われた。自分のことを大切に思ってくれてる人はティンジェルさんにもいるだろ!その人達のことも考えろ!」

 

そしてカインはついに4層を突破した。

 

マナが少なくなってきて目眩がしてきやがった….くそっ!でもまだだ!

 

「でも…私は異能者…私がいる限りまた大きな組織に狙われる。そうしたらみんながーー」

 

「そんなことは関係ない!ルミア!お前はどうしたいんだ?生きたいのか!そうじゃないのか! それに前にも言ったはずだ…何があっても俺はお前の味方になってやるって!」

 

その言葉を聞いてルミアの目には涙が浮かんだ

 

「やっぱりあの時の人はカインくんだったんだ…うん、そーだよね….カインくん。ひとつお願いしていい?」

 

「なんだ?」

 

「やっぱり私は生きたい。だから…助けて」

 

その言葉を聞いて俺は笑みを浮かべる

 

「りょーかい『終えよ天鎖・静寂の基底・理の頸木は此処に解放すべし!』」

 

そして静寂に包まれ、方陣が消えた

 

「カインくん!」

 

そう言ってルミアは飛び込んでくる

 

「ちょっ!ティンジェルさん?」

 

「ルミア……ルミアって呼んで」

 

「いや…でも…「ん?」は、はい わかったよルミア」

 

ルミアの笑顔には勝てなかった…

 

そんな2人の様子を見てヒューイはつぶやく

 

「僕の負けですか…でも、よかった…」

 

そうして魔術学院自爆未遂テロ事件は幕を閉じた

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

魔術学院のテロ事件の数日後、学院のテラスに俺はグレン兄とセリカ母さんといた

 

「まさかルミアが3年前に病死したエルミアナ王女だったとはな」

 

「いや〜びっくりしたね〜」

 

「あぁ、異能者に対する迫害は根強い。それが王族なら国がひっくり返る。この学院でも知っていたのは学院長と私ぐらいだ」

 

「まぁどーでもいいけど」

 

グレン兄は頬づえをつきながら答える

 

「そーいえばどうして学院の講師を続けることにしたんだ?」

 

「あ?」

 

セリカ母さんがグレン兄に問う。するとちょうど

 

「あ、いた!グレン先生〜 カインくん〜」

「先生!さっきの授業で言いたいことがあるのですが」

 

ルミアが手を振って呼んでいて、フィーベルさんが怒っている。絶対さっきの錬金術で金もどきを作って、売って小遣い稼ぎしていたことだよな…

 

「見て見たくなったんだよ。あいつらがこれからどんな成長を見せてくれるかを…まぁ暇つぶしにはちょうどいいだろ」

 

「え?フィーベルさんがセラ姉さんに似てて欲情したんじゃないの?」

 

ごん!と音がするほどの威力で俺はグレン兄の軟骨を食らった

 

「そんなわけあるか!」

 

そう言ってグレン兄は階段に向かって歩いていった

 

「グレン兄が立ち直ったみたいでよかったね 母さん」

 

「あぁ、あいつは今いい目をしているよ。さて…カイン。お前はどうなんだ、何か変わったか?」

 

「どーだろ…」

 

「お前は優しい。確かに 今までは自分みたいに外道魔術師に苦しむ人達を無くすために手を汚しできた…だけどもう自分を苦しめる必要はないんだぞ…」

 

セリカ母さんは優しく伝えてくる

 

「まだ外道魔術師を許すことはできてないよ。でも、今はそれよりもルミアを守りたいと思った。沢山の人を殺してきた俺なのにね…でもこの汚れた手で人を守るなんて…」

 

俺の言葉を聞いてセリカ母さんは優しく微笑んだ

 

「カイン、確かにお前は沢山の人を殺してきたかもしれない。だけどそれ以上に沢山の人を救ってるんだ。いいじゃないか。たった1人を守るために行動しても。お前のやりたいようにすれば良い」

 

その言葉を聞いて俺は気持ちが軽くなったような気がした

 

「うん、わかった。ありがとう母さん」

 

「あぁ」

 

そうして俺はテラスから飛び降り、ちょうど歩いてきたグレン兄と並んだ。そしてその後にルミアとフィーベルさんがついてくる。

 

「もう、あんなとこから飛び降りたら危ないよ カインくん」

「あれぐらいの高さなら平気だよ」

「ダメ、怪我でもしたらどうするの?」

「はいはい、わかったよ」

「ならよろしい」

「あ、そうだカイン!あなたよくも騙してくれたわね!」

「何が?」

「何がって…そのひざ・・・ひざま・・・のことで…」

「あぁ.あの膝枕のことか」

「はっきり言うな!このバカ!」

「嬉しかったろ?」

「うるさい!」

 

校庭にはそんな楽しそうな声が響く

 

 

 

 

「カイン。楽しくやれよ」

その光景を見て、セリカは微笑んだ

 

 

 

 

 

 



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11話

「じゃあ『変身』の競技出たい人はいませんか〜」

 

フィーベルさんが皆に聞くが誰も手を上げない。それがもう30分ほど続いている。

 

「困ったなぁ、もう来週になるのに…」

 

魔術競技祭

学年で年に数回行われるクラス対抗イベント。まぁ運動会のようなもの。だが、この学院ではいかにそのクラスの講師が優れているか競うような大会になってしまっている。毎回クラスの成績上位者しか出場せず、成績が下位の者は参加しない。いや、クラスの講師に参加させてもらえない。

 

だの競技も優れた点を見せるため難易度が高いのも多い。だから練習をしないといけないのだが、うちのクラスはまだ出場選手が決まっていなかった。

 

「せっかくだからみんな出てみようよ」

『………』

 

というか誰も出ようとしない。あのルミアの声ですら顔を渋るほどだ。

 

(まぁ俺も出ようとは思わないけどな。めんどいし…)

 

競技祭には数多くの来賓があり、自分をアピールする絶好の機会だ。だが今年は違う。女王陛下がご来賓なさるのだ。なので女王殿下の前で無様な真似は晒したくない。だからみんな出場を渋っている。他のクラスは担任の講師がアピールするために出場選手を勝手に決めるとこもあるようだが、うちのクラスの担任はグレン兄だし…そんなことはめんどいからしないだろう…

 

しかしフィーベルさんは全員を出場させたいらしく、必死に説得している。しかしそれはきついだろう。まぁ、俺が勝手に競技を決めて良いなら勝てなくはないがな

 

「ねぇ、カインなんとかならない?」

 

ちょっ!フィーベルさん!ここで俺にふります⁉︎

 

「い、いや〜きついだろう。全員出るのは………」

もちろん俺は競技なんてでたくないのでごまかす。

 

「じー・・・・・」

「………」

「じ〜〜・・・・・・・」

「………あ、あの?ル、ルミアさんは な、なんでこっちを見てくるんですかねぇ?」

「ねぇカインくんは何か考えがあるんじゃないかな?」

「 ………」

「あるんだね?」

 

る、ルミアさん怖いっす!そんな冷たい目で見ないでください…

 

「まぁ、あることはあるんだが…それはグレン兄の仕事だろ」

 

俺がそう言った途端

 

バン!

と、扉が開いた

 

「ここは俺にまかせろ!このグレン・レーダス大先生様にな!」

 

『ややこしいのが来た……』

 

クラスの全員がそう思った

 

「遊びは無しだ!勝ちに行くぞ!」

 

そう言ってグレン兄は不敵に笑った

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「はぁ、グレン兄のやつやってくれたな…」

 

俺は今 中庭の広場にある木の上にいる。しかしここは意外と心地よい。日差しがいい感じで入って来て、風も心地よい。寝るには絶好のスポットかもしれない。俺はそうして木に背中を預ける。下では皆が競技祭に向けて練習をしていた。

 

グレン兄のおかげでクラスの皆が出場できるようになり、さらにハ、ハ…ハードゲイ先生?との決闘騒ぎでクラスのボルテージは今MAXの状態だ。俺はグレン兄に、決闘戦の出場を命じられたが正直誰が来ても勝てる気がするのでここでグータラしている。

 

「あ、いた!もう カインくん サボっちゃダメだよ」

 

俺は呼ばれて下を見ると顔をプクーっと膨らて、私怒ってます!とアピールしているルミアがいた。俺はルミアを見て木から飛び降りた

 

「どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ、カインくんも練習しないと」

「いや、別に誰が来ても負けないし…」

「そうゆう問題じゃないの!」

 

そう言ってルミアは俺の手を引っ張って皆のところに連れて行く。そこには指導しているグレン兄とカインとロッドがいた。

 

「おお、カインちょうどいいところに来た。俺だけじゃまわんねぇ。お前も指導に回ってくれ」

「えーーーー」

 

俺はグレン兄のお願いに渋る。だってめんどくさいんだもの…ていうかグレン兄なんか痩せた?飯食ってんのかな?・・・あ、だから真面目に競技祭の指導に当たってんのか!特別手当目的だな…

 

「と、いうことで、ルミア頼んだぞ」

「はーい、先生!」

「お、おい!」

 

なんか勝手に決められてる⁉︎

 

「ほら、カインくん行くよ!」

 

ルミアはそうして俺を引っ張る

 

「あ、ちょっ!あーもうわかったよ!グレン兄!その代わりに優勝できたら昼飯1週間おごりだからな!」

「な、お前の飯代 どれだけかかると思ってんだよ!」

「知るか!」

 

そうして俺はルミアに引っ張られて行く…後ろから何か聞こえるが気にはしない…

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「で、ルミアどこに行くの?」

「ウェンディのとこだよ。なんかグレン先生に聞きたいことがあったみたいなの」

 

そうして俺とルミアは教室に入った。そこには辞書と睨めっこしているナーブレスさんがいた。すごい…眉間にシワやってるよ…

 

「おーい、ウェンディ!」

「あぁ、ルミアにカインさん どうしましたの?」

「カインくんがグレン先生に指導役お願いされて、私は逃げないようにその監視してるの」

「あぁそうゆうことでしたか。私はてっきり放課後デ「ちょっと!ウェンディ何言ってるの⁉︎」」

 

ルミアは慌ててナーブレスさんの口を塞いでいた。どうしたんだろう?顔が真っ赤だ

 

「ん?ルミアどうしたの?顔が赤いけど…保健室いく?」

「「はぁ…」」

 

俺はルミアの心配をしたのに2人にため息をつかれた、、、なぜ?

 

「で、ナーブレスさんはどこがわからないの?」

「ウェンディで構いませんわ。同じクラスメイトですし」

「じゃあウェンディさんはどこを聞きたいの?」

 

確かウェンディさんは『暗号早解』だったか?

 

「実は竜王語に難航しておりまして…解いては見たのですが、文法がバラバラになってしまうんです…」

 

そう言ってウェンディさんは俺に問題用紙を見せて来た

 

「あぁ、竜王語なら1回ルーン語に翻訳してから訳したほうがいいよ。竜王語は文法がごちゃごちゃだから理解が難しいけどルーン語なら文法をはっきりさせることができるんだ」

「そんなこと聞いたことありませんわ!」

 

バン!と机を叩いて立ち上がるウェンディさん

 

「まぁまぁ、1回騙されたと思ってやってみなって」

「わかりましたわ」

 

そう言って問題を解き始めるウェンディさん。というか普通に竜王語からルーン語に直すのも難しいのにそれを簡単にやってるウェンディさんって頭いいんだなぁ…呪文噛むのはもったいないけど…

 

「 『最も切れる剣は箱の下に保管しない。それは英雄も同じ』ですか?」

「正解、よく解けたね」

「ま、まぁ当然ですわ」

 

うわ〜ウェンディさんちょろーい

 

「カインくん そんなこと知ってるね?」

「昔、俺も解けなくていろいろ試してたんだよ。そしたらできたんだ。まぁ偶然だね」

「それでもすごいですわ」

「そーかな?」

「えぇ、見直しましたわ。あ、他にも聞きたいことが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、疲れた…」

「ふふっ、お疲れ様」

 

俺はウェンディさんに教えた後、リンにギイブル、テレサに指導していた。

 

「でもカインくん すごかったよ。知らないことばかりだった」

「そうでもないさ。ルミアでもすぐあれくらいできるようになるよ」

「そうかな?」

「そうさ」

 

俺とルミアが歩いていると

 

「あ、いた!」

 

そう言って、ある男子が走ってくる。あれは…カッシュかな?彼も俺と同じ決闘戦に出る

 

「どったの?」

「いや、グレン先生に質問に行ったらお前に聞けっていうからよ」

 

はぁ、またグレン兄か…こっちに回しすぎじゃね?

 

「で?何が聞きたいの?」

「いや、俺 決闘戦の出場になったけどはっきり言ってギイブルの方が強いじゃんか…どう戦えばいいのかな?って思ってさ…」

「うーん…そうだなぁ、とりあえず新しい呪文は覚えなくていいよ。はっきり言って今から物にするのは厳しいから。それなら今使える魔術を伸ばした方がいい。あとは上手いこと相手の隙を作るとかかな?」

「隙を作る?どうやって?」

「なんでもいいよ。例えばグレン兄の最初の授業でやったように改変呪文で相手の動きを封じて、その間に大技を放つ的な感じで」

「いや、改変呪文なんてそんな高度なこと…」

「あぁ、そんなに難しく考えなくていいよ…なんならショック・ボルトを4節にして右に曲がるだけでも隙が生じる可能性が高い。それならできるだろ?」

「まぁ、それなら…」

 

しかしカッシュは未だにしっくりと来ていないようだ…

 

「仕方ない…じゃあ俺の奥義を見せてやるよ」

「お、奥義⁉︎」

「あぁ、絶対どんな奴でも一瞬動きを封じられる最強の魔術だ。グレン兄も倒れた技だぜ」

 

そう言って俺はカッシュと距離を取る。

 

「じゃあ本当の試合のような感じでやってみようか」

「あぁ、わかった」

 

そうして俺とカッシュは向き合う。2人の雰囲気に周りで練習していた二組の奴らも手を止めて俺たちの試合を見ている。緊迫した雰囲気の中俺はカッシュに向かって走り出す

 

「行くぞ カッシュ!『変化』」

 

そう言うと ボンッ! と音を立てて俺が煙に包まれる

 

「『セルフイルージョン』の一節詠唱⁉︎くそっ!いったいどんな・・・」

俺の変身を見てカッシュが言葉を失う

 

そこには 金髪をツインテールにし、素晴らしい体型をした絶世の美女がいた。しかも格好は裸。しかし周りにはそれを隠すように煙が配置されており、見えそうで見えない。これが逆に色っぽい。

 

「お色気の術」

「ぐはっ」

 

カッシュはそのまま 倒れこむ。鼻から赤い血が出ているのは気にしないでおいてやろう。周りの男子も前かがみになっているやつや、鼻を抑えているやつがいるが俺は気にしない。女子は冷たい目で見ているがまっったく気にしない

 

「ふふっ、どうだ。昔グレン兄に勝つために必死に開発した魔術だ。苦労したぜ。この顔、抜群のプロポーション、そしてどの角度から見ても絶対見えないこの煙の配置」

「あぁ、すげぇ…こんなの最強の技じゃねーか…」

「あぁ、そうだろう。はっははは《ガシッ!》は・・・?」

 

俺は突然肩を掴まれたので振り返ると其処には、後ろに般若のオーラが見えるルミアがいた。

 

「ねぇ、カインくん。あっちでお話ししようか…」

「え、い、いや…その…俺もう帰りたいな〜なんて…」

「ふふっ、だ〜め」

 

こ、怖いっす!ルミアさん。なんで顔は笑顔なのにそんなに冷たい声が出せるんですか⁉︎

 

そうして俺は襟を掴まれ引きずられて行く…

 

「ぎゃあああー ルミアさん助けて!ゆ、許してー」

「ふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこの日二度とルミアを怒らせないようにしようと決めた…

 

 




競技祭の種目決め

「決闘戦は…カイン、白猫、それから…カッシュ。錬金術はギイブル。暗号早解はウェンディ一択。それから…」

「ちょっと待ってください。なぜ僕が決闘戦から漏れてるんですか!」

「ん?たしかにお前は優秀だけどお前まだ戦闘用の錬金術はそんなに獲得してないだろ。まだ学生だしよ….それならお前の得意な錬金術の競技にそのまま出すだけだ。お前はまだカインよりも呪文の数も知識も少ないが、はっきり言って正確さはお前の方が上だ。是非それを発揮してくれ」

「それなら…」

そう言って渋々 ギイブルは錬金術の競技に出ることになりました。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
昔話

カインvsグレン

「で、今日は俺に勝つって?それ何回目だ?カイン」

「うるせー、今回は絶対 負けねぇーから」

「ふっ、じゃあ来い!」

「行くぞ!『変化』」

「なに?『セルフイルージョン』?なにを考えて・・・」

「お色気の術」

「ぶっ…」

「隙ありーー!」


そう言って俺は隙だらけになったグレン兄の顔面を殴り飛ばした。その後グレン兄は2日目を覚まさず俺はセラ姉さんとセリカ母さんにこっぴどく怒られた…


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12話

魔術競技祭

学年次ごとにクラス対抗戦で行われるこの競技祭は2年次のみに限り、女王陛下自らが表彰台に立ち優勝クラスを表彰する帝国民が誰もが羨むような名誉。

その中でカインのクラスの2年次2組だけが全員参加という注目を浴びる中、誰も奇異な目で見て、期待していなかったのだが…

 

『そして差しかかった最終コーナー!!!2組のロッド君がスピードを上げた!抜くか!抜くか!抜いたー!2組逆転!まさかの2組が3位入賞!誰がこの展開を予想というのかー!一体どーなっているんだ!』

 

まさかの2組が奮闘!誰もが予想出来なかったことに会場中から戸惑いの声が…

 

「うそーん…」

「何驚いんてんだよグレン兄。ふつーに考えればグレン兄の作戦は正しいだろ。俺らは1つの競技に集中できるし仮に負けても相手は魔力を多く消費してんだ。その分後が楽になる。てか、それ知っててメンバー編成したんだろ?」

「それはそうだが、ここまでうまくいくとは…」

 

 

グレンが予想外の結果に驚いている中、クラスの皆はグレンについて行けば勝てると確信し、大いに盛り上がっていた

 

その後もセシルが『魔術狙撃』、ウェンディが『暗号早解』で高得点を出して俺とハイタッチしたら何故かルミアの機嫌が悪くなったりして競技は午前の部最後の『精神防御』が始まろうとしていた。

 

「ふぅー」

次の競技の緊張かルミアは大きく息を吐いた

「ルミア大丈夫?」

 

親友のルミアがこの競技祭の中でもかなり危険な競技に参加するからかシスティーナは心配して声をかけた

 

「うん、大丈夫だよ。ありがとうシスティ。クラスのために私頑張るから」

 

両手で小さくガッツポーズを作ったルミアは競技が行われる会場に歩いて行った

 

「ねぇカイン。今からでもルミアと交代してくれないかしら…カインならこの競技も大丈夫でしょう…?」

 

システィーナは本当にルミアが心配なようでカインにお願いする

 

「ん?ルミアなら大丈夫でしょ。てか、俺はこの競技で、このクラスでルミア以上に強い人は知らないよ。『マインド・アップ』は素の精神力を強化するだけの魔法だ。正直言って俺はそこまで精神は強くないよ。いつも戦闘中は怖くて怖くて仕方ないからね。でもルミアは違う…境遇が境遇とはいえ、俺らと同い年の彼女がここまで死ぬ覚悟ができてるのは異常だよ……まぁ、だからルミアなら大丈夫。絶対負けな・・・どうしたの?」

 

俺が話している途中でフィーベルさんが嬉しそうに微笑んでいた

 

「よくルミアを見てるのね」

「まぁ最近よく一緒にいるからなー、あれ?俺からルミアに話かけたことなくない?」

「まぁいいわ。ルミアを泣かしたら承知しないからね」

「ん?よくわからないけど努力するよ」

「はぁ・・・鈍感」

「?」

 

なぜかフィーベルさんがため息をついた。どうしてだろう?

 

そうして『精神防御』の競技は進んでいき、ついにルミアと5組のジャイルとの一騎打ちになった。てか、ジャイル君は本当に魔術師志望なのか⁉︎明らかに物理メインな気がするんだが…

 

というか俺はルミアの圧勝だと思っていたんだが、ジャイル君のことは予想外だった…

 

「頑張れ、ルミア」

 

俺は小さい声でそう呟いた

 

 

 

 

 

ツェスト男爵の『マインド・ブレイク』を一度耐えたルミアだが額には脂汗が浮かんでおり、今もやせ我慢で立っているようなものだ。

洪水のような感性の中ジャイルはルミアに声をかけた

「ふん、女のくせにやるじゃねぇか。ここまで肝が座っている奴は男でもそうはいねぇ」

「そ、そうかな?」

「だが、そろそろ限界なんじゃねーか。脂汗かいてるぜ、棄権しな。3日寝込むのはいやだろ」

「あはは…わかる?結構辛いかも…でも大丈夫。私も負けられないから」

「ふん、そうか」

そして2人はツェスト男爵の『マインド・ブレイク』に備え詠唱を始めた

 

 

「ふむ、それではこれで最後にしよう。威力をあげるぞ」

「はい」

「あぁ」

 

そして威力をあげた『マインド・ブレイク』が2人を襲った

 

「うっ…」

そして耐えられなくなったのかルミアが膝から崩れ落ち・・・

 

「大丈夫ルミア?よく頑張ったね」

 

・・ることなくカインが支えた

 

「カイン君・・・大丈夫だよ。まだいけるから…みんなのためにも勝たないと…」

「え、いやもうルミアはか「2組は棄権する!」よ」

 

俺の声にかぶせてグレン兄が棄権を宣言した

 

「ルミア大丈夫?辛くなったら無理しなくていいのよ」

「いや、だからルミアは…」

「ううん、私は大丈夫だよシスティ。だから…」

「いや、もういいよルミア。すまんかった。あんなバケモンがいるなんて俺も予想外だった」

「あの〜3人ともだから…」

「いえ、私も楽しかったです。みんなと共に戦える気がして」

 

 

「いい加減話を聞けー!!!!!!」

 

「うわっ!どうしたカイン」

「よくジャイル君を見てみろよグレン兄。気絶してんぞ」

「「「え⁉︎」」」

 

カインに言われ3人がジャイルを確認するとジャイルは立ったまま気絶していた。

 

『な、なんとーーー!!ルミアちゃんが膝をつき、勝負が決したと思いきやジャイル君が気絶している!!ということは『精神防御』優勝は紅一点!2組のルミアちゃんだー!!!!!!』

 

この声をきっかけに会場から割れんばかりの大歓声が聞こえた

 

「お疲れ様、ルミア」

「ありがとうカイン君」

 

そう言ってルミアは天使のような笑顔で微笑んだ

 

 

_________________________________________

 

魔術競技祭の午前の部と午後の部に分かれた昼食の時間、カインはシスティーナとルミアと一緒にお弁当を食べていた。

カインは一人でお気に入りのベストスポットの木の上で食べようとしていたのだが、ルミアからの強引な誘いで断れずに一緒に昼食をとることにした。

 

「カイン君。私、今日ね、システィと一緒にお弁当作ってみたの。でもつくりすぎたから良かったら食べてくれない?」

 

そう言ってカインはルミアからお弁当箱をもらった。開けてみると不恰好だが美味しそうなサンドイッチが入っていた

 

「いいの?」

「う、うん。あんまり綺麗に作れなかったんだけど…」

「ん?そんなことないよ?ふつうに美味しそうだけど」

 

そう言ってカインは1つ手にとりサンドイッチを頬張った

 

「うん、すごく美味しいよ」

「そそそ、そう?それならよかったよ、、、あ、私先生にこれ届けてくるね!」

 

そう言ってルミアはなぜが顔をして、フィーベルがグレン兄のために作ったサンドイッチを持って言ってしまった

 

「フィーベル、直接渡さなくてよかったのか?」

「別に誰が渡しても一緒よ。あと!私のことはシスティーナでいいから。ルミアもウェンディもリンもテレサも名前呼びなのに私だけ仲間ハズレみたいでなんか嫌なのよ」

 

そっぽを向いてフィーベルはそう言った

 

「素直じゃねーなー。そんなんじゃモテねーぞ シ ・ ス ・ テ ・ ィ ・ ー ・ ナ !」

「うるさい!」

 

そう言って俺はケラケラ笑う

 

「それしても本当にうまいなこのサンドイッチ。というかルミアもおっちょこちょいだよなーサンドイッチを作りすぎるなんてw」

「はぁ……本当にこいつは…ルミアが不憫でならないわ」

「ん?何が?」

「自分で考えなさい!」

 

うーん…なんでだろうか…………?

 

「まぁいいや、俺はそこら辺をぶらぶらしてくるから」

「ちゃんと帰って来なさいよ」

「へいへい」

 

そう言って俺は立ち上がって歩き出した

 

カインは時間を潰そうとあたりをぶらぶらしていると

 

「久しぶりですねカイン」

 

「なんであなたがここにいるんですか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・アリシア女王陛下」

 

 

 

そこにいたのはアルザーノ帝国で最も偉い、皆の憧れであるアリシア女王陛下だった

 



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13話

アルザーノ帝国女王アリシア7世、この名前を知らない人はこの国にはいないだろう。しかし、そんな有名人が俺の目の前にいる…

 

「アリシア女王陛下だなんて、前のようにアリシアおばさんと言ってくれてもいいのですよ」

そう言って彼女は優しい微笑みを見せる

 

「いやいやいや、前にあった時は母さんに無理やり連れていかれて、あなたが女王陛下とは知らなかったんですから・・・そんな呼び方はできませんよ。それよりも、なんであなたがこんなところに?」

 

そう、彼女が護衛も付けずに一人でこんなところにいるはずがないのだ。まぁ、大体の理由は予想できるんですけど…

 

「実は先ほどエルミアナ…いや、ルミアとあったんですけど、拒絶されちゃいました…こうなることはわかっていたんですけどね、でも…やはり彼女に謝りたかったんです。許してもらおうとは思っていません。でも、私は実の娘にとてもひどいことをしてしまった…娘よりも国をとったんです…許されないのは当たり前…だけど、そのことだけでも謝りたかった…」

 

そう話す彼女の顔はとても悲しげだった

 

「カイン、これは女王からではなく一人の母親としてお願いします。彼女を、ルミアを守ってあげてください」

 

そう言って彼女は俺に頭を下げた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

午後の競技が始まった。

午後の最初の種目は白魔「サイ・テレキネシス」。重りの入った袋を触れずに空中に持ち上げる競技。うちのクラスからはテレサが参戦している。

 

「ねぇ、カイン」

「ん、どうしたの?システィーナ」

「ルミアがいないのよ…たしかに午後の部にルミアは出ないけど、そんなんでサボるような性格じゃないし…さっきグレン先生にも相談したんだけどやっぱり心配で…」

 

システィーナはルミアの身の上を知る数少ない内の1人だ。そんなルミアを知るシスティーナだからこそ何かあったのではないかと心配しているのだろう

 

「そっか…じゃあ俺も行ってくるよ」

「ええ、ルミアをお願い」

「わかった」

 

そしてカインは競技場の外を歩き始めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「グレン先生、私はどうすればよかったんでしょうか…」

 

中身のないロケットを片手にルミアはグレンに問いかける

 

「私を捨てた理由はわかるんです。王室や国のためには必要なことだって……でも」

 

異能者だから自分は捨てられた。

 

でも、そんな理由だからで割り切れるほど彼女は大人ではない

 

「もう一度母と会いたい、抱きしめてもらいたい、そんな思いもあって…」

 

どうすればよかったんでしょうか…そうやって彼女は再び問いかける

 

その問いに対してグレンは「持論だが」と話しはじめる

 

曰く、『悔いが残らないように選択しろ』というのは無理だということ。

曰く、どんなに悩んで道を選んでも何かしら後悔するということ

 

「だから本音というのが大事だと思っている。・・・ルミアお前はどうしたいんだ?」

「私は…」

 

あと一歩が出ないルミアに対してグレンは独り言のようにつぶやく

 

「昔、俺は帝国に所属する魔導師だったんだが…それと同じものを宮廷内で見たことがある」

「それって…」

「捨てられなかったんだろうな…ずっと大事そうに持ってたよ」

「………っ」

 

ルミアはグレンが誰のことを言っていることを理解できた。つまり、そうゆうことなのだろう

 

「恨み辛みでもなんでもいい。正直に話すのが大事なんじゃないのか?」

 

「私、怖いんです…またあの冷たい表情をされると思うと…」

 

そんなルミアの頭にグレンはそっと手を置く

 

「大丈夫だ。俺もついて行ってやるから。なんならカインも連れてくぞ。その方が心強いだろ」

「えぇっ!」

ルミアはグレンの言葉に対して顔を真っ赤にする

 

「か、からかわないでください!」

 

それを見てグレンはニヤニヤしている

 

しかし、そんな2人を前に

 

「ルミア=ティンジェル だな?」

「え?はい」

 

女王直属の部下である王室親衛隊がいた

 

「ルミア=ティンジェル !貴様を女王陛下暗殺を企てたとして処刑する」

 

そして彼らはルミアに矛先を向けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「大人しくすることだ。そうすれば楽に逝かせてやる」

「はい…」

 

会場の外れ、人通りの少ない場所で私は剣を向けられている

 

グレン先生は私を庇ったことにより気絶させられてしまった…

 

私はこれから殺されるのだろう…

怖くはない、殺される覚悟は3年前のあの日からできている

ついこの間も殺されかけたんだ…

怖くないんか………

 

 

 

 

怖く…なんか…

 

 

 

 

 

(怖くないわけないよ!)

 

 

死にたくない!

 

もっとシスティとお話ししたかった!

 

もっとグレン先生にいろんなことを教えてもらいたかった!

 

カイン君ともっと仲良くなりたかった!

 

 

 

カイン=レーダス。私の初恋の人。怖い魔術師達に殺されそうになった時に助けてくれた私の王子様…学園であった時は運命だと思った。そして、もっともっと仲良くなりたい!そう思った…

 

彼にもう会えなくなる

そう思うと涙がこみ上げてくる…

 

(嫌だよ…死にたくないよ…)

 

「助けて…カイン君…」

 

私は消え入りそうな声で、そう呟く…

 

 

「さらばだ!ルミア=ティンジェル!」

 

親衛隊が私に剣を振り下ろしてくる

 

その剣が私にはゆっくりと見えた。

走馬灯というのだろうか…いろんな思い出が流れてくる…

私の頬に一筋の涙が流れた

 

 

 

 

 

 

「させるか!千鳥流し!」

 

「「「「ギャャャー」」」」

 

 

 

しかし、その剣は私に届くことはなかった。

 

 

「ふぅ、間に合った…大丈夫?」

 

「カイン君!」

 

 

私の王子様。彼がまた助けてくれた

 

 




あー、なんか久し振りに書いたら文法がバラバラになってる…ひでぇ…


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14話

お久しぶりです!
なんかこれ書くの久しぶりだわ〜
いろんなは物書いては見るけど長続きしない。
アイデアは出るんだけど、それを言葉にするって難しいよね…




「カインくん!」

 

親衛隊を倒し、捕まっていたルミアの縄を解いてあげるとルミアは俺に抱きついてきた。その手は震え、目には涙が溢れている。よほど怖かったんだろう。俺はそんなルミアの頭を優しく撫でた。

 

「大丈夫だよルミア。遅れてごめんね」

「ううん、助けてくれてありがとうカインくん」

 

しかし、なぜ王室親衛隊はルミアを狙ったのだろうか…

 

「おーおーお熱いことで」

 

考え事をしてるとグレン兄が木の裏から出てきた

 

「せ、先生⁉︎」

 

グレンを見てルミアは急いでカインから離れた

 

「遅いよグレン兄。何やってたんだよ」

「すまん、油断して気絶させられた」

「何やってんの…それよりなんでルミ「いたぞ!あそこだ!」ア…とりあえず逃げた方が良さそうだね」

「だな」

 

そう言って俺とグレン兄は『グラビティ・コントロール』の魔法をかける

 

「ルミアちょいと失礼するよ〜」

 

そう言って俺はルミアを横向きにし、左手をルミアの腰に回して持ち上げた。もちろんルミアにもグラビティ・コントロールをかけているのであまり重さは感じない

 

「えぇぇぇぇ!ちょっとカインくん⁉︎」

「カイン…お前もう少し持ち方とかあるだろ…」

「え?だって片手開けとかないと何かあった時対応できないし」

 

俺の行動にルミアは顔を真っ赤にし、グレン兄は呆れている。

俺がに何かしただろうか…

 

 

 

 

「こんなことならダイエットしておくべきだったなぁ…」

 

 

ルミアはカインに触れられ、嬉しさの反面恥ずかしさからそう呟いた…

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

カインたちはその後、なんとか親衛隊を振り切り路地裏に逃げ込んだ。そして、今の状況をグレンたちから聞いた。どうやら親衛隊がルミアを国家反逆罪として殺そうとしているらしい…

 

そしてグレン兄は今セリカ母さんになぜこんなことが起きているのか聞き出そうとしている

 

『いいかグレン。もう一度言うぞ。私は何もできないし何も言えない』

「ふざけているわけじゃないんだな」

『ああ』

「なぜ王室親衛隊が暴走している。その理由はなんだ?」

 

しかしセリカ母さんからの返答はない

 

「言えないってことか」

『いいかグレン。お前だけがこの状況を打破できる。カインや他のもの達ではなくお前だけがな。この意味をよく考えろ。そしてなんとしてでも女王陛下の前に来るんだ』

「あ、おい!」

 

どうやら通信が切れたらしい

 

「あーどうしたらいいってんだよ、相手は精鋭の王室親衛隊。そして団長はあのゼーロスだぞ。絶対俺の手に余るだろ…

それよりカイン。今のを聞いてどう思う?」

「セリカ母さんが言ったことが気になる。俺じゃなくてグレン兄にしかできないことか…」

 

なんだろう…他の誰でもないグレン兄だけのもの。『愚者の世界』か?でもなんで…あの母さんが何もできなくて何も言えない?でも、女王陛下の前にグレン兄をつれていかないとけない…と言うことはやはり陛下の身に何かあったということ。でも母さんが何もできないと言うことはもう後手に回ってるということ・・・

 

 

そういうことか、条件発動式の魔術具が取り付けられてるってことか!

 

 

それを急いでグレン兄に伝えようとすると通路の奥から2人歩いてくるのが見えた。グレン兄は後ろを向いているので気づいていない。俺はその2人が誰なのかを確認した後、嫌な予感がしたのでルミアを連れて少し下がる。グレン兄は考えごとをしているのでそのことに気づいないない。

そして、2人のうち1人がこちらに向かって走ってきた

それにようやくグレン兄が気づく。

 

「なに⁉︎カイン!ルミアを連れて下がれ!って…なんでそんな後ろにもういんだよ!」

 

そりゃ先に気づいたからだよグレン兄。

あ、ほ〜ら来たよ〜

 

「お、お前は⁉︎」

 

グレン兄は誰かがわかったらしい

 

そして自分の身長はどの大剣を、その少女は振り下ろした

 

 

ドッカーンとあたりに土煙が舞う。もちろん俺はゲイル・ブロウを改良して防いでましたよ。ルミアも一緒に

「カインくん先生が!」

「あー大丈夫大丈夫。いつものことだから」

 

慌てるルミアを俺は落ち着ける

 

「あぶね!」

 

グレン兄はなんとか躱したようだ。

その後、その少女はまた新たに新しい大剣を生成しまた斬りかかろうとしたところ、もう1人の男の魔術が命中し止められた

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「このバカ!」

「いたい〜グレンやめて〜」

 

グレン兄は先程の大剣の少女 リイエルに頭ぐりぐりをしてる。あれ地味に痛いんだよな〜

 

「久しぶりだなカイン」

「お久しぶりです。アルベルトさん」

 

先程のリイエルを止めた魔術師の男。アルベルトさんが挨拶をしてきた。この人はグレン兄がいなくなった後問題児リイエルの監視役となった苦労人さん。仕事ができ行動力のある人。わぁ、グレン兄と大違い〜

 

「アルベルト」

「久しぶりだなグレン。お前が急にいなくなった話は後で聞こう。その前に今はこの元王女のことだ」

 

ルミアはアルベルトさんに見られるとピクッと反応し俺の後ろに隠れた。

まぁ。わかるよ。初めて見るとアルベルトさん怖いもんな

 

「ねぇカインくん。この方達は?」

「グレン兄の元同僚。腕は確かだし信用はできるよ」

 

俺の言葉を聞いてルミアは安心したらしい。後ろで小さく息を吐いていた

 

 

 

そしてなぜ、アルベルトとリイエルがここにいるのか

どういう状況なのか

そして、俺の先程辿り着いた答えを皆に説明した

 

 

 

「ならほど、条件発動式の魔術具か…だから俺の固有魔術が必要なわけね」

「だか、どうやって女王陛下に近づく?」

「なら、私がいい作戦を思いついた」

「ほぉ言ってみな」

「まず私が敵に正面から突っ込む。

次にグレンが敵に正面から突っ込む

その次にカインが敵に正面から突っ込む

最後にアルベルトが敵に正面から突っ込む」

 

・・・・・場に静寂が流れた

 

「だ〜か〜ら〜、てめぇのその脳筋思考をなんとかしろっていってんだろ!」

「グレン痛い〜やめて〜」

 

はぁ、なにやってんだか…

いや、まてよ・・・そうだ

 

「正面から行く。たしかにいいね。グレン兄いい考え思いついたよ」

「あ?なんだ?お前もリイエルと同じ考えか?」

「んなわけあるか!いいか・・・

 

 

「たしかにこりゃいい案だ。だか、カインかの案を実行するには…」

「うん、II組の優勝が必須」

「だけどこれしかない」

「それもそうだな!よし、やるか!」

 

そしてそれぞれ作戦で動き出した

 

 




なんか文章おかしい気がするなぁ

あとルミアの空気感…


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