黒猫ほんわか攻略日記 (菜音)
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聖夜の思い出

どうもです。菜音です♪
記念すべきこの日にどうしても書きたくなって勢いで書きました。人気が無くとも3,4つくらい感想があれば嬉しいです。


 

 

12月25日 夜

 

 

地球

 

日本国のとある都市のとあるマンションの一室

 

 

 

 

 

「メリークリスマス♪」

 

「「メリークリスマス♪」」

 

 

クラッカーとともに部屋にいる人々は聖夜の挨拶をする。これがクリスマスパーティーの開始の合図だ。

中にはもう既に食べ始めている子もいるが‥‥まぁ、いいだろう。

 

 

自分の借りている部屋は1人で住むにはかなり広いが、今や我が部屋では過密が発生している。

 

ここに集まっているのは自分の事を慕ってくれていて一緒にクリスマスを祝ってくれる仲間達。

 

しかし、みんなそれぞれ変わった姿格好をしている。

戦士に巫女に天使に魔法使いとバライティは豊富だ。

 

 

おそらく、この様子を他人が見ても仮装パーティーをしているのだろうと思うだろう。ところがだ‥‥

 

 

「ちょっとチェルシーさん!チョコケーキを独り占めしないで下さい!!」

 

「やだもーん。みーんな私の物だもん♪」

 

「ぐむむ!セルウス!」

 

「何!やる気?!」

 

「あなた達!祝の席よやめなさい!」

 

「あらあら、アサギさん、チェルシーちゃん、どうどう。」

 

 

アサギがセルウスと呼ばれる巨体を召喚し、チェルシーが杖を構えて呪文を詠唱する。それを止めるリヴェータとフロリアさん。

 

 

そうここにいるのは自分以外はみんな異世界から‥‥‥‥、黒猫のウィズの世界からやって来た精霊達だ。

 

 

(賑やかだな‥‥)

 

料理を楽しむ者、お酒を嗜む者、今年の戦果を自慢し合う者、ガールズトークに花を咲かせる者、喧嘩する者とかつての自分なら想像も出来ないほどの賑わいだ。

 

「今年も1人だと思っていたからな‥‥」

 

 

大学への進学を機にこの都市に独り暮らしを始めた自分は彼女は出来ず、友達も用事(コイツらも彼女いない)があるから集まれないので去年はまさにクリボッチだったのだ。今までなら家族と一緒だからなぁ。

 

 

クッソ‥‥

何がクリスマスは恋人の祝日だよ!!

クリスマスの本当の意味しっているのか?

クリスマスは家族や親族と過ごす日だぞ!!

クリスチャンも怒ってるぞ!

はぁはぁはぁ‥‥とまぁそんなやがけ訳だがどうしてこうなったのかと言うとだなぁ‥‥

 

ある精霊Sが

 

「マスター、聖夜はお暇なのですね?でしたら!そちらの世界にあるボウネンカイとか言う物も兼ねてパーティーをしましょう♪」

 

この一言でこの計画は始まった。

 

しかし、さすがに全員を呼ぶのは無理なので‥‥えっ?何でかって?普通に部屋の広さの問題とドラゴン達とかの大きすぎるのとか理性ないのとかを呼ぶのは無理がある。その為、人選をしたわけだが、今回はこれまでのイベントでの功労者や古参のメンバーを優先させてもらった訳です。

 

 

「何たそがれているのですかマスター?」

 

来たな精霊S

 

 

自分に話し掛けて来たのはサーシャ、うちの古参です。

 

 

「考え事をしてただけだよ。」

 

「フゥーン。何を?」

サーシャはかなり近づくと姿勢を低くして下から覗きこみ、上目遣いで聞いてくる。これをサーシャさんみたいな美人がやって来るのだ。威力はデカイ。

 

「ちょ!サーシャさん!?近いです!近いですよ!」

 

「ふふふ、マスターはからかい概がありますね♪」

 

そう言ってサーシャは嬉しそうに微笑むと一歩後ろに下がってくれた。ふぅ‥‥

 

「去年まではまさかこんな輪の中に自分がいるなんて考えてもいなかったからさ。ちょっと新鮮でね。」

 

「ふふ、そうですね。あれからもう一年が経ちましたね。」

 

 

 

サーシャの言うとおり、本当に長くて短い一年間だった。日常生活もそうだが黒ウィズ的にもかなり劇的な一年間だったと思う。

 

 

 

そう、あれはクリスマスの少しまえの日の事‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

2016年 12月

 

 

 

 

「チーン」

息がない、まるで屍の様だ‥‥

 

 

 

俺はごく普通の学生である。

勉強して部活して普通の学生ライフを送っている。

 

そんな俺が好きなゲームがあった。

 

 

タイトルは『魔法使いと黒猫のウィズ』

 

 

黒猫や黒ウィズなどの愛称で呼ばれる大人気クイズRPGだ。自分はかなり初期の段階からの愛好者だ。しかし、勉強が忙しかったり、クイズ力なかったり、ガチャ運が皆無だったりと状況が厳しくぐだぐたプレイをしていた。そんな中、新たなに登場した精霊の最終進化Lの登場で状況は一変した。

 

それからはどんどん強くなりイベント精霊もたくさん手には入り御満悦だった。そんなまさに黄金期でクリスマスイベントを心待している時だった。

 

「あ!しまっ」

 

俺はうっかりスマホを水に落としてしまった。

 

 

 

データは消滅。

目の前が真っ暗になった‥‥

 

 

 

 

「あー、ギルマスのクリスマスイベントだ‥‥、だけどまだどこもクリアしてない‥‥ベルナデッタ欲しかったなぁ‥‥」

 

 

楽しみにしていたイベントが何もできないなんて‥‥

 

何だかかんだ言っても青春のかなりの部分を注いでいたのだ。止める事は出来ず新しいスマホを買うとまたプレイを始めた。

 

「さーてと。説明イベントも終わったし、攻略始めるか‥‥」

 

 

と、その時だった。

突然画面が真っ白になった。

 

「えっ?何?まさかまたスマホ壊れたの?呪われてるな俺‥‥」

 

しかし、それだけではない終わらなかった。

スマホの画面は光始めた。その光はどんどん強くなりやがて部屋の中は光に包まれて何も見えなくなった。

 

 

「な、なんだ?!」

 

 

俺はその光の中で見た、

光の中で何か長方形の別の光が開いたのを

 

 

 

 

気が付くと光は収まっていた。

 

「何だったんだ一体‥‥」

 

ところが安心したのもつかの間

 

「うわぁ!!」

 

またスマホが光始めた。そして、あの長方形の光が今度は明確に見えた。どこかで見た事がある‥‥あれはまるで‥‥

 

 

『叡知の扉』!!!

 

 

 

その光の中から人が出てきた。

 

 

女性です。栗色の髪に白くて綺麗な肌。そして、踊り子のような露出の多い服。

 

間違えようがない。自分は彼女を知っている。

だって今さっき選んだのだから

 

 

「サーシャ‥‥さん?」

 

とりあえず聞いてみた。

 

「はい、お久しぶりですね。マスター」

 

ほ、本物だ!しかもマスターって!

でも久しぶりって‥‥

 

「もしかして‥‥まえのデータの?」

前のデータでもサーシャを選んだのだ。

 

「はい。そうですよ。」

答えるサーシャ少し機嫌が悪そうだ。

 

「もしかして‥‥‥‥、消えたこと‥‥怒ってます?」

 

「それは突然マスターが居なくなったと思ったらみんないなくなって自分がどんどん消えていきましたから。良い気分ではありません。」

 

「ごめんなさい。」

俺は誠心誠意を込めて土下座して謝った。

おそらくこんな事では許してもらえないだろう。

きっと許せないからわざわざ向こうから来てくれたのだろう。だから潔く罰を受けることにしょう。

彼女のSAは氷の攻撃だからなぁ‥‥痛いではすまないだろうなぁ

 

しかし、じっと待っていても一向になにも起きない。

これは焦らしているのか?いつ来るかわからない恐怖で自分を追い詰めようとしているのか?

殺るなら一思いに‥‥

 

「顔を上げてくださいマスター。」

 

あぁ、とうとう来たか。

そう思い俺は顔を上げると‥‥

 

「えい♪」ぎゅう

 

「イテ!」

 

頬っぺたをつねられました。

 

 

「えっ?!」

 

「その顔はなぜ殺らないと言う顔ですね?」

サーシャは優しく微笑んだ。まるで悪戯をした子供を諭すかのような。

 

「あれがマスターの本意でなかった事は私達は誰も思っていません。だからこの件に関してはこれ以上申し上げません。」

 

 

俺は思わず泣きそうになっていた。

心の何処かでこれまで戦ってきた精霊に申し訳なく思っていた所もあった。それと同時に救いを、許しを得たかったのかも知れない。こうしてかつての精霊にまた会えて許し貰えた。こうして優しく言葉を貰えた。

 

まるで暖かい爽やかな春風に心を洗われたかのような‥‥、駄目だ語彙力が‥‥

 

 

「サーシャ、ありがとう」

 

「それに私が不満なのは別の事ですので」

その瞬間、これまで優しく春のような空間が極寒の冬にすり変わった。サーシャの笑顔が逆に恐く見える。

 

「ふえっ?!」

 

「マスター!どうして私をずっと放置していたのですか!!」

 

「あ、あの‥‥それは‥‥その‥‥」

 

サーシャは自分にとって始めてのLで戦力が整うまでの間は主力として前線で使っていたが、Lが次々と現れてイベントでの戦いも厳しくなるに連れて彼女の出番がなくなってそれからずっと使っていなかったのだ。

 

「マスター‥‥私は‥‥寂しかったです。」

サーシャは涙目になっていた。まだ涙目で今にも泣きそうだ。

 

「サ、サーシャ?!」

 

「ぐすん、私は‥‥、私達は‥‥マスターが一番辛かった時もずっと一緒に戦ってきたのに新しい子達ばかり活躍して‥‥」

 

不味い!泣き出した!

 

「マスター!お覚悟を」

 

「ええっ!?」

 

『夢に舞う千夜一夜』

 

敵(俺)に水属性の究極ダメージ

 

サーシャさん!ちょっと待って!!ぎゃああああああああああああああああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程は申し訳ありません。」

サーシャはやり過ぎたと感じたようで謝って来ました。もうそれこそさっきまでの自分みたいに。

 

「大丈夫だよサーシャ。悪いのはこっちだしね。」

 

俺はずぶ濡れになった服を着替えた。

その後に雑巾で水気を拭き取りました。

サーシャも手伝ってくれたので早く終わりました。

 

 

「それでは改めましてサーシャ・スターライトです。またよろしくお願いいたしますね♪マスター」

 

「こちらこそよろしくお願いします。あ、でも今まで会ってたのは魔法使いの方か。本体がこんなのでガッカリした?」

 

「いえ、そんな事はないですよ。とても健康的なお体をなさっています。鍛えてらっしゃって?」

 

「うん、まぁ‥‥」

 

一応、大学でも運動部に所属しているから鍛えてはいるよ。でも大したことことないよ?せいぜい地方大会でベスト10にぎり入るかぐらいだよ?

 

 

「また一からやり直しだけどよろしくね。サーシャ。」

 

「まったく、しょうがないですね。全力でお手伝いさせて貰いますよ♪」

 

(確かに一からなんて途方もないけど‥‥、またマスターのお役に立てる!一緒に居られる!嬉しい♪)

 

 

「よーし!こうなったらかつての自分を越えるぞ!!」

 

 

 

この時から俺の部屋と異世界が叡知の扉によって繋がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あれからもう一年ですね。」

 

「そうだなぁ。」

 

あれからと言う物、サーシャとその後に手に入れた精霊達と悪戦苦闘しながらも頑張って戦い続け、遂にかつてのデータのレベルを越えた。正直、前のデータの精霊がいればなぁと思う場面は何回もあったがサーシャ達の支えもありここまで来たのだ。

 

 

そう、あれから部屋には精霊がやってくる様になり物理的にも精神的にも助けられて来たのだ。それで思ったのはサーシャさんは恐ろしく家事スキルが高い事だ。

 

 

 

 

「まだメインのクリスマスイベントが残ってる。」

 

「シャロンとテオドールのですね。ガチャ当たると良いですね。」

 

「全くだ。」

 

「後、マスター?最近また私の出番がないですよ?」

 

「‥‥‥‥次のイベントの先陣をお願いします。」

 

危ない危ない‥‥、この様だとサーシャ以外にも常連(よく部屋に来る人)に不満が溜まってる子がいるかもしれないな。

 

 

「おーいマスター!」

チェルシーだ。何気にこの子も古参なんだよな。

 

「何やってるのよ。マスターもこっちに来なさいよ。」

 

「サーシャさんばかりズルいです。」

 

リヴェータとアサギが呼んでます。

 

 

「ふふ、主役が何時までも離れては行けませんね。」

 

「みたいだな。じゃあ行こうか。」

 

 

 

彼とサーシャはますます盛り上がる輪の中に戻っていきました。

 

 

 

 

 

 

 




感想御待ちしております


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精霊達の語らい



クリスマスが終わって正月のイベントに向かって準備?


 

 

とあるマンションの一室

 

 

 

 

叡知の扉の開門により異世界と繋がったこの部屋には今日も精霊達がやって来ていた。

 

 

 

 

 

「あああ、このコタツと言うものはいいですね♪」

 

「あらアサギ、貴方もう畳化したの?」

 

「でもでもそう言うリヴェータも来てすぐに畳化しちゃったじゃない?」

 

「ううっ、し、しょうがないでしょ!だ、だってこの草の感じが気持ちいいのだから!」

 

 

 

現在この部屋にはアサギ、リヴェータ、イスルギの3人が炬燵に入り暖を取っていた。

 

 

 

「そう言えば、マスターは?朝から来てますけど姿が見えませんね?」

 

アサギがミカンの皮を剥きながら二人に聞いた。

 

「ごめん、私は知らない。」

 

せんべいをかじりながらイスルギ

 

 

「マスターならこの前、シャロンとテオドール欲しさに20連ガチャして脆くも負けて意気消沈してたわよ。今は確か気晴らしにジョギングしに出てるわよ」

 

お茶をすすりながら答えるリヴェータ

 

 

「負けですか?」

 

「いいえ、正確には戦術的敗北ね。」

 

「どう言うことです?」

 

ミカンを口に入れつつアサギは首をかしげる。

しかし、とたんに表情が歪む。酸っぱいのに当たったらしい。

 

「もともと10連だけだったけど見事に全てハズレなものだから頭に来たマスターが正月用のクリスタルまで使ったわけ。それでも当たらなかったけど代わりにルツィアが出たのよ。面白かったわよ?あの嬉しいような悔しいような複雑な顔は」

 

「あれ?でもルツィアも十分レアでは?」

 

「マスターはシャロン狙いで100個も使ってそれよ?敗けではないけどそこまでして本来の目的が達成してないから戦術的敗北よ。」

 

「あらあら大変」

 

「他人事ではありませんよイスルギさん。と言う事はまたクリスタル集めのため動きますからイスルギさんの部隊がフルシフトで出る羽目になりますよ?」

 

「げっ?!」

 

マスターは幾つかのチーム(部隊)を目的事に作っています。イスルギはその中でも軽量でスピード性を重視の通常クエストや素材クエスト周回用の部隊のリーダーです。

 

 

「図鑑報酬でのクリスタル獲得の為に進化祭り、それに伴い素材集めで‥‥」

 

「あるいは通常クエストのコンプリート狙いの出陣などなど‥‥」

 

「やめてー!!」

 

アサギとリヴェータから脅されたイスルギは頭を抱えて顔を炬燵につける。

 

「二人は主力だからいいな~」

 

「「いや、それほどでも(ないわ)(ないです)」」

 

「ムッか!!」

 

 

 

 

それからしばらくしてからマスターは帰ってきたが既に10連できるだけのクリスマスはあるとの事で周回任務は少なかった。

 

 

 

むしろ、イベントやレイドの為に主力や準主力の方がフルシフトとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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「疲れた~」

 

「リヴェータさんお疲れ様です。」

 

酉年のレイドに出ていたリヴェータの部隊が帰ってきました。元々マスターはレイドに関心のない方なのでトリテンちゃんが手にはいると攻撃を止めました。とりあえずアサギはねぎらいの言葉と一緒にスポーツドリンクを差し出しまた。

 

 

「まったくよ。マスターは?出迎えの1つないの?」

 

「いえ?私は何も‥‥」

 

「あら?皆さんお疲れ様です」

 

部屋に新たにやって来たのはフロリアさんだ。

 

 

「あ、フロリアさん。こんにちは」

 

「ねえ?マスターは?」

 

「マスターさんは覇眼戦線3のクエストを解放なされて狩り部隊を組織して狩りに行きました。」

 

「はあ?!私が主役のイベントじゃあない。私抜きで行くなんていい度胸してるわね?」

 

あ、これはマスターが帰ってきたら鉄拳コース確定ですね。

 

「しかし、マスターは何でまたそんな所に?あのクエストは皇帝以外は確保していて攻略済みでは?」

 

「ま、まさか‥‥皇帝に挑戦しに?!」

 

「い、いえ水の主力の方々は今回は出てないようなのでそれはないかと‥‥」

 

「ではどうして‥‥」

 

では、ヒルベニア帝国陣営の精霊でも2体目とかで掘りにいったのでしょうか?

 

 

3人が腕を組んで考えていると‥‥

 

「おや?皆頭を使ってどうした?」

 

やって来たのはここに来るのが珍しい正道王リーブだ。

 

「あ、リーブ。今頃アンタボコられてるわよ?」

 

「何を突然。」

 

3人はリーブに事情を説明中‥‥

 

 

「それならば指揮官狩りにもいったのでは?」

 

 

「指揮官ってあの雑魚Lのこと?」

 

「うむ、マスターはモブLと呼んでたいそう気に入っている様だったが。」

 

 

「それでわざわざ狩りに?!」

 

「まぁ、あの人はL精霊に対しては平等ですからね」

 

リヴェータが叫び、アサギがため息をつく。

 

 

「今ただでさえ忙しいのにそんな事に魔力使っている場合なの?!」

 

「サーシャさんは?マスターの暴走を諌めるのはあの人の役割ですよね?」

 

リヴェータとアサギはリーブに尋ねた。

 

「狩り部隊の隊長はあやつだぞ?」

 

「「サーシャ(さん)!!?」」

 

 

「あの者かなりウキウキだったぞ。」

 

「サーシャさん‥‥」

 

久しぶりの出番で喜び過ぎです‥‥

 

 

「まぁ私の部下が増えるから別に良いがな」

 

リーブは珍しくハハハと笑うと叡知の扉から帰って行きました。

 

 

 

 

ちなみにこの狩りの成果は兵が4体に常勝王ベルルだそうです。

 

 

 

 

 

 

 



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年越し前の出来事

遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます♪
皆様は正月ガチャはいかがでしたか?
私は四十連して全てAです‥‥

今回は黒ウィズ要素なしのお話です




 

 

これはまだ新年を迎える数日前の事

 

 

 

 

とあるマンションのごくありふれた一室

 

 

今日もそこには異世界からやって来た精霊達がトークに華を咲かせていた。

 

 

「と言うことです。新年を祝う宴を開きましょう」

そう切り出したのは常連組筆頭に成りつつあるサーシャである。

 

「そうね‥‥いいんじゃあないの?」

 

「そうですね♪やりましょう新年会!」

 

それに賛成の意を示すのは同じく常連で彼の主力を担うリヴェータとアサギだ。他にもイスルギ、フロリア、エリスの顔もある。

 

 

彼女らは前回の忘年会に続いて新年を祝う会を開きたいというサーシャの考えに賛同して集まったのだった。今回はマスターに報告する前の企画会議のようなものだ。

 

 

「では、マスターが用事から戻る前に具体案を考えたいと思います。」

 

サーシャが司会進行を務め会議が始まりました。

 

 

最初に口を開いたのはエリスだった。

 

「参加者はどうするの?前回はイベントの功労者と古参を優先したけど」

 

「参加者の選抜ですね」

とアサギ

 

「まぁ、人型である事と理性がある事は絶対よね」

これはイスルギ

 

 

「前回参加出来なかった方々を呼んでさしあげたいですね。」

みんなにお茶をいれながらフロリア

 

 

「いっそのことマスターに決めさせたら?」

フロリアにもらったお茶をふーふーと冷ましながらリヴェータが言う

 

「それもそうですね。」

 

 

 

 

「ただいま。あれ?みんないたんだ。」

 

マスターが丁度用事から帰ってきました。

 

 

「あ、マスターお帰りなさい♪」

 

「丁度良いタイミングでしたね。」

 

「あの、マスター。お話があるのですが‥‥」

 

サーシャが話を切り出そうとしたがその前にマスターの口が開いた

 

 

「みんな丁度良かった。俺の方から呼ぼうと思ってたんだ。」

 

「え?」

その場の一同は戸惑った。一体何用なのだろう、クリスマスイベントも終わって正月までする事がないはずだからイベントの攻略ではないはず。まさか‥‥何かクエストをゴールドで解放するの?いやいやそれならばアサギやリヴェータ、エリスはともかく残りは関係ないし水の主力の面々も呼ばれるはず、ではでは一体?あ!もしかして新年会のこと?マスターも考えていたの?流石マスター!

 

と言った具合にその場の一同の考えがまとまったがマスターが口にしたのは彼女らの想定外のことだった。

 

 

 

 

 

「俺、もうすぐ年越しだから実家に帰るからしばらく集まれないから」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「後、10分で電車が来るな。」

 

マスターこと彼は家から少し遠くにある駅の前に来ていた。ここから電車をいくつか乗り継いで行くのだ。

 

実家に帰る事を精霊のみんなに伝えると彼女は一斉に悲しそうな顔をした。ただでさえ女性の悲しそうな顔を見るのは堪えるのに皆顔が整っている美人美少女揃い。罪悪感が凄いのなんの。

 

 

しかもだよ、リヴェータに至っては泣きそうだったので笑い事ではなかった。

 

 

 

どうにか彼女達の説得(早く帰ること、お土産を買ってくること、帰っても黒ウィズをする事を約束)して今日にいたる。

 

 

 

「さーてと、切符買ってホームに入るか‥‥」

 

俺は背伸びしたついでに首を回した。荷物が重いから肩や首が疲れるのだ。丁度その時だった。

 

 

首を回しているとふとある者が目に入った。

機械の翼‥‥、本人は電柱の影に上手く隠れているつもりだろうけど‥‥、君見えてるよ。電柱から翼が生えてるぞ。

 

なんて考えている場合ではないぞ!

 

俺は走って電柱に隠れている人物のもとにいった。

 

 

「こんなところで何やっているんだスワン!」

 

「ま、マスター‥‥」

 

やっぱりスワンだった。スワンは少し前の復刻イベントで入手した精霊だ。俺はガチャ運ないのでアイとか持ってないからこのような機械の翼を持っている精霊は彼女しかいないからすぐに分かった。

 

 

 

「どうして君がここに?」

 

「そ、それは‥‥その‥‥」

 

スワンは機械なのになぜか顔を真っ赤にしている。

どうよう?この子目立つから変装もさせずに外にいるのは不味い。かといって今から家まで送る時間もないし‥‥

 

『まもなく電車が来ます。黄色い線の内側へ‥‥』

 

 

「げっ!スワンこれ着て!」

 

俺は咄嗟に荷物の中に入れていた予備のコートをスワンに着せた。

 

「行くよ!」

 

「え?マスターどちらに?!」

 

俺はスワンの手を掴むと駅にダッショ!

二人分の切符を買い電車に駆け込み乗車!

間一髪間に合った!

 

「はぁはぁはぁ、マスター‥‥あの‥‥ごめんなさ‥」

 

「謝罪はしなくてもいいよ。取り合えず、座ろう。」

 

俺はスワンの言葉を止めて席に座ることにした。

取り合えず走ってスワンの話を聞くとしよう。そして、新たに発生したこの問題をどうするか考えるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、どうしてあそこにいたんだ?」

 

席を取れた俺は向かいにスワンを座らせると事情を聞くことにした。

 

 

 

「スワンは‥‥マスターと一緒にいたくて‥‥」

 

 

 

スワンはそう答えると赤面でもじもじしながらうつむいた。

 

 

 

く、クリティカルヒット‥‥

 

反則だろ、おい。

 

 

 

 

「スワンは新参なためマスターの側にいられないので‥‥それで‥‥」

 

 

「も、もういい‥‥」

 

これ以上聞いていたら恥ずかしくて両方が死んでしまう。見ればスワンもショート寸前だ。

 

 

 

 

「はぁ、こうなっては仕方がない。一緒に行くしかないな。」

 

今から1人で帰らせるのは不安だし、だからと言って引き返すとこの後の乗り継ぎの電車に乗れなくなる。既に切符は買ったのだ。

 

 

 

「マスターありがとうございます!」

 

スワンが凄く喜んだ。

まるで花が咲いたようだ。

赤面状態からの開花だからまるで薔薇だな。

 

 

連れて帰るのは仕方ないとしてと

さーてと、どうしたのもかな‥‥

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのー、リヴェータ様‥‥」

 

「あら、帝国兵(炎)じゃないの。何のようなの」

 

「あの‥‥その呼び名はちょっと‥‥」

 

「で、なんなの?」

 

「‥‥実は主君がお出かけになる前に火の物質で部隊を編成して出撃せよと仰せつかったのですが‥‥隊長のスワン様がどこにもいらっしゃらなくて‥‥」

 

「スワンが?何処かしら、あの子真面目だからサボりとかじゃないはず。兵達を総動員して探しなさい!」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

その頃彼とスワンは最初の乗り継ぎ駅に着いてそこでスワンはアイスをご馳走になっていました。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「参ったな‥‥」

 

 

この日はついていなようだ。

 

 

次の電車がどうやら人身事故で2時間ほど遅れるらしいのだ。なのでそれまでここで待ちぼうけなのだ。

 

 

「そう言えばスワン、今日君は部隊指揮を頼んだはずだけど?」

 

「そ、そうでした!スワンはなんて事を‥‥」

 

スワンがあわあわし始めた。カワイイ‥‥

 

「いいよ。そこまで大事な事でもないし」

 

 

その頃、帝国紅炎焔兵達が血眼になって探している事は露知らず。ほんわかした時間が続いたてた。

 

 

(あ、これってもしかして周りからはマスターとこ、こ、恋人に見えちゃったりしてませんか!)

 

そんな事を考えてしまったスワンは今度こそ完全にショート。そのまま彼の方へと倒れてしまった。

 

「お、おい!?大丈夫?」

 

しかし、これは遠くから見れば彼女が彼氏の肩に寄り添っている様にしか見えない

 

 

 

 

少し離れた所

 

 

「なんかブラックコーヒーが欲しくなってきた。」

 

「奇遇、俺もだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スワンがショートから回復した頃には電車の時間になっていた。そのままスワンを連れて乗り込み電車で揺らされること数時間‥‥

 

 

 

「やっと着いた‥‥」

 

「もう真っ暗ですねマスター」

 

 

時刻は夜の9時

 

 

とにかく風が寒い

 

 

「スワンは寒くないのか?」

 

「はい!私は機械なので大丈夫です」

 

心配されて嬉しかったスワンは元気よく答える

 

 

「お、おう。そうか。」

 

 

そうか‥‥寒くないのか。ならば

 

 

 

 

 

 

駅から歩く事少し、彼の実家に到着

 

 

「スワンいいか。俺が入ったら音を立てずに玄関からすぐの部屋に入れ。秒の勝負だぞ。」

 

「はい!」

 

 

 

「よし!」

 

ガチャ

 

「ただいま~」

 

 

 

スワンには俺の元部屋に入ってもらった。

今は使われてないので物置になっている。

 

正月の間は両親もここには来ないだろうからここにスワンを隠しておく。ただ、寒いだろうから心配だったが先の会話で大丈夫なのを確認したので良いだろう。

 

 

 

それから親や兄弟とのつもる話や用事などを済ませていき間を見てはスワンの所に行った。前の自分の部屋だから誰にも怪しまれなかった。

 

 

 

 

そして、ついにやって来た大晦日

 

 

 

「スワン」

 

「あ、マスター♪」

 

「ごめんな、年越しにこんな所で‥‥」

 

「良いですよ代わりに明日の朝は初日の出見に行きたいです。」

 

「はは、了解。はいこれ」

 

「?マスターこれは何ですか?」

 

「年越し蕎麦だよ。年が越す前に食べてね。」

 

そう言うと彼は行ってしまった。

 

 

「マスター‥‥ありがとうございます♪」

 

 

 

確かに1人でさびしいだけど

 

マスターにここまで気を使ってもらえて、マスターを独占できる事に幸せを感じるスワンだった

 

 

他の精霊達には申し訳ないけれど‥‥

 

「スワンにはもったいない程の素敵な年越しです。」

 

 

 

鐘の音が聞こえる。

 

新年おめでとうございます

これを誰よりも先に言えるスワンは幸福者です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後に

 

スワンを伴いあのマンションに帰って来た彼は帰ってきてそうそう精霊達(主にサーシャ、リヴェータ)に袋叩きにされるのはまた別の話

 

 

 

 




なぜスワンが主役かと?
たまたま火の物質で組んでいる時にスワンが見つからなかったからです。


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桃娘伝Ⅱはゆさゆさ攻略


皆さんはイベントはどの様に進めましたか?
今回の内容は私がその時思った事を少し大袈裟に書いて見ました。何だかこれと思うかもてますがそこは暖かい目で‥‥


 

 

1月31日

 

 

「いよいよイベントだな。」

 

「頑張って完走しましょうねマスター。」

 

 

 

とあるマンションのいつもの一室では彼と彼の精霊のいつもの面々が集まっていた。

 

 

「今年で二回目となるイベントは桃娘伝だ!」

 

おそらく節分とかけて来るとは思っていたけど本当に来るとは思っていなかったので正直驚いている。

 

 

「マスター気合い十分ですね。」

感心したのはアサギ

 

「マスターは前回のイベントがあまりお気に召さなかったですものね。はい、皆さんお茶をどうぞ♪」

 

 

みんなにお茶を配りながら話に交ざったのはフロリアさん

 

 

 

「おうよ、だから今回もビシッと決めるぞ。そして、ボス掘りしまくるぞ!」

 

「そう言ってるけど何だかんだで前回もボス掘りで沼ってましたよね?」

 

こう不満気に答えたのはアサギ

そして、そのアサギの発言に雷属性の参加者が頷く

 

 

「あのゴリラを掘るのにどれだけトライしたと思っているんですか!」

 

「し、仕方ないだろ?!ゴレッタの奴がなかなかドロップしなかったのだから‥‥」

 

「マスターの運が悪すぎるのがいけないのですよ!」

 

そーだ!そーだ!

雷属性の皆さんが一斉に立ち上がる

 

 

 

「俺に落ち度でも?!」

 

「マスターの失態です!」

 

 

こんな感じでアサギ達に責められていたが途中で他の精霊達が止めてくれた為、会議は再開された

 

 

 

 

ここでサーシャさんから提案が出た。

 

「マスターとりあえずもう攻略始めましょう。序盤は話し合うほど手こずらないと思いますし」

 

「そうだね。そもそも序盤は作戦の必要もないしね」

 

 

 

 

こうして、彼らのイベント攻略がスタートしました。

この先に何が起こるかはまだ知るよしもない‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし!初級ストレートクリア!」

 

「なんだか呆気ないわね」

 

報告に来たイスルギはなんだか退屈そうだ。

 

「まぁ、初級はこんなもんだろ?さてとではではお楽しみのイベント恒例の初級クリアで貰えるイベント精霊と御対面と行こう♪」

 

そう言って彼はプレゼントボックスを見た。

すると彼の表情が強張る。

 

「?‥‥どうしたの?」

 

「いない‥‥」

 

「えっ?」

 

「イベント精霊がいない!!」

 

「ええっと?」

 

「何だよまたか?今回も報酬でいないのか?前回のシュガーレスもいないから残念だなぁと思っていたのにまたしてもいないのか?!初級からシナリオにこんだけキャラ出したのなら一体ぐらいくれてもいいだろ?!だから‥‥‥‥」

 

 

ガミガミ ガミガミ

 

 

「うわー」

 

「イスルギさん、マスターどうされました?」

 

「あ、フロリアさんそれが‥‥」

 

 

フロリアに事情を説明‥‥

 

 

「なるほど‥‥そうですか。」

 

「今相当切れてます、話しかけない方が。」

 

「大丈夫ですよ、あのマスター?」

 

フロリアに声をかけられて彼はガミガミをピタリと止める。

 

「どうしたのフロリアさん?今イライラしてるから話しかけないで欲しいけど?」

 

「あの~プレゼントボックスにないのなら試しにミッションを確認してみればどうでしょうか?」

 

 

「‥‥わかった」

 

マスターはスマホを操作して確認してみた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガミガミ ガミガミ

 

 

「うわー」

 

「あらあら」

 

 

「二人ともどうしたの?」

 

中級から帰って来たフィルチが怒っているマスターとそれを見て困っているイスルギと微笑んでいるフロリアを見て何が起きたのか尋ねた。

 

 

 

「マスター、プレゼントボックスに報酬精霊がいないからミッションを確認したのだけどね。そこに居たんだけとそうしたら‥‥」

 

 

 

エリアクエストならミッションだけどこれ普通のイベントだろ、だったら何故ミッションに置いたんだよ?!

 

 

「てな感じで怒っちゃってね」

 

 

「あははは」

 

確かに苦笑いするしかないですねそれは‥‥

 

 

 

結局、報酬精霊自体は火物質で貴重だったので喜ばれたとか‥‥

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

中級を攻略したのちに上級に迫る事となった彼は攻略直前になって彼の火属性精霊の中でも特に信頼している数名を呼び出した。

 

「何なのマスター、突然呼び出して」

 

火属性を代表してリヴェータが聞いた。

 

 

「実は上級に行こうとしたらサブクエストにこれまでにない表記があったんだ。」

 

 

○火属性のみのデッキでクリア

 

○1つの属性につき3体以下のデッキでクリア

 

○1体以下のデッキでクリア

 

 

 

大分こんな感じだったはず‥‥

 

 

「これまでのクエストでも編成を制限する条件はあったけど、これはこれまでにないやつだ。」

 

マスターは深刻そうな表情で答えた。

 

 

「だったらこれまで道理にそれに合わせて編成を決めて試しに行ってみてはいかがですか?それから協議しても良いのでは‥‥」

 

他の精霊が意見を出した。しかし、マスターは首を横に振った。

 

「確かにこれまでならそうした、だけど今回はそうはいかないんだ‥‥」

 

「どうしてです?」

 

一同にざわめきが生まれる。

マスターの意図している事がわからないのだ。

 

 

「これまでなら確かに試しに行ってみて作戦を考えた‥‥、だけど今回は出せるのは1人だけ‥‥。いじり様がない。つまり‥‥」

 

「つまり、下見に誰かを送るにしてもソイツが駄目なら手詰まりだと言いたいの?」

 

「流石はリヴェータ‥‥俺の考えはお見通しか‥‥」

 

「ここにあんたの火属性の中でも精鋭が集められてる。つまりこの中からその1人を決めるとしてその代表ですら駄目ならどうしようもない、でしょ?」

 

「そうだよ。だけどこんな条件と言うことはだ、1人だけでも勝てる内容かも知れない‥‥だけど、過去にクソみたいなクエストは度々あったんだ‥‥、今回もそうかも知れない‥‥。だとしたら、その1人は大群にフルボッコにされる、死んでこいと言うんだ‥‥。俺には出来ない‥‥」

 

 

その場の精霊達は皆黙り込んでしまい、下を向いた。

1人を除いて‥‥

 

 

「なーんだ、そんな事でウジウジ悩んでんの?アンタは?」

 

リヴェータだ

 

「そ、そんな事ってなんだよ‥‥」

 

しかし、マスターが言い終える前にリヴェータは答える。

 

「私がいるじゃないの!私を出しなさい!」

 

「お前、何を言って‥‥」

 

「だから!私を頼れって言ってんのよ!」

 

リヴェータはマスターの前に立った。

その表情は、怒っている様な、微笑んでいる様な、よく分からない顔をしている。

 

 

リヴェータ

 

 

戦乱終結の煌眼 リヴェータ・イレ

 

 

去年の4月に行われた覇眼3のイベントガチャで手に入れた精霊だ。

 

 

あの頃は、データを失って再び一から立ち直している時で、まだ戦力は整っておらず、イベントの完走なんてとてもではないけど厳しい状況だった。

 

「アンタが私のマスター?‥‥ふーん、弱そうな部隊わね。」

 

それが彼女の第一声だった。

 

「良いわ!私が勝利へ導いてあげるわ!」

 

こうして、彼女が加入したわけだが彼女の宣言通り、彼女を基幹戦力としたデッキとマスターが考え出した戦術により、彼の戦力は思いの外上がり、そのお陰で彼は覇眼3を無事に完走、戦果も十分に挙げてその後の躍進の原動力になったのだ。

 

雷ではバレンタインイベントでエリスを

火ではリヴェータが手に入らなければ今に至るまでまだまだ時間が掛かっていたと思うし、ここまで来ることは出来なかったと思う。

 

 

なのでリヴェータは彼の恩人であり、ここまで苦楽を共にした同志である。

 

 

そんな彼女に死んでこいと言わないといけないのか‥‥

 

 

 

「何馬鹿な事を考えてるのよマスター」

 

「えっ?!」

 

何?考えてるの事ばれたの?エスパーなの?

 

 

「私に任せなさい」

 

彼女の目は真剣だ。覚悟は出来ているようだ。

 

「‥‥わかった。」

 

 

だったら自分も覚悟を決めよう。

 

 

「リヴェータ、1人で上級攻略に行ってくれ!」

 

「了解したわ!」

 

リヴェータはそう答えると踵を返して叡知の扉に向かった。その背中には凛とした物があった。

 

それまでの二人の会話を聞いていた他の精霊達は急に発生したドマラの様な展開に感化される者、泣く者もいたが、多くは気まずそうな表情をしていた。

 

それもそのはず

 

 

 

 

 

ヨミビトシラズ「しょせんはノーマルの上級でそこまで鬼畜な訳もなく、まるで決死の作戦みたいに望んだクエストがあまりに呆気ない物だからすぐに帰って来て、マスターもリヴェータもあんな会話をした事が急に恥ずかしくなり二人して気まずそうに顔を真っ赤にしたそうな。」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

その後、上級で醜態を晒したマスターは勢いに任せて攻略を進めその日のうちにノーマルを完走しました。

 

 

「何だかな‥‥物足りないな‥‥」

 

「そりゃノーマルは楽でしょうね」

 

完走後、いつもの面々が再び集合して今回のイベントの反省会が開かれた。

 

「今回のイベントは地味な新しい試みがなされたせいでマスターが大分揺さぶられましたね」

 

まず冷静な分析に入るのはアサギの役目だ。

 

 

「その揺さぶりの結果、マスターは冷静さを失って上級ではあのような事になりました。」

 

「まぁ、一番攻略に時間かかったもんね。主に作戦会議(茶番劇)にw」

 

「叩くわよ‥‥」

 

痛い所をついてからかうイスルギと怖い顔をしてイスルギを睨み付けるリヴェータさん。

 

 

「ぐぅ‥‥、ともかくみんなお疲れさま。後はボス掘りに移るから周回メンバー以外は休んでもでいいよ。」

 

「それはそうと、今日はもう遅いからマスターもお休みください。」

 

サーシャさんに言われて時計を見てみると既に日付は変わっていて2月になっていた。

 

「それもそうだね。じゃあ今日はこれにて御開きにしょうか。みんなお休みなさい。」

 

「おやすみなさいマスター」

 

 

 

 

 

こうして、待ちに待ったイベントを1日でクリアしてしまった彼はまた次のイベントを待ち続ける暇な時間を過ごす羽目なったのはまた別の話‥‥

 

 

 

 

 

 



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臨時部隊を編成せよ!その1



前回の事とあまりイベントまで暇なので‥‥
突然何やってると思うかも知れませんが応援よろしくお願いいたします♪


 

 

節分も終わり、暦ではもう春なのにいまだに雪が猛威を奮っている頃

 

 

マスターこと彼は日課のジョギングから帰って来た。

 

 

「さ、さぶい!突然雪降ってきた!」

 

雪にさらされて寒い思いをした彼は暖を取ろうといつもの部屋に入った。やけに静かだと思っていると今日はいつもの面々の姿はなかった。

 

 

「あれ?今日は来てないのかな?」

 

疑問に思いつつ、彼はとりあえず練習着から着替えると炬燵のスイッチを入れた。

 

「修練終わりか?精が出るな、マスター」

 

突然声をかけられてドキッとなるマスター

あわてて振り替えると部屋の隅に刀の手入れをするキュウマの存在があった。

 

(全然気が付かなかった‥‥)

 

武人は気配を消すのが好きなのか?

 

 

 

鬼となり鬼を斬る キュウマ&フウチ

 

 

去年の6月に行われた八百万4で入手した精霊で、当時は多少は戦力が整って来ていたが敵のダメージブロックやバリアーなどのスキルが多発し火力不足に悩まされていた。そんな時、キュウマの圧倒的攻撃力を見た時は思わず叫んだものだ。

 

今でも水属性部隊のエースを担っている。

 

 

 

 

「あれ?フウチは?」

 

「そこだ」

 

キュウマが指差したのは炬燵

 

中を開けると丸くなって寝ているフウチの姿があった。猫は炬燵で丸くなる、なんて言うけど‥‥これはイタチが炬燵で丸くなるだな。

 

 

「珍しいね。キュウマがこっちに来るなんて」

 

「何、マスターに悲報を伝えようと思ってな‥‥」

 

「悲報?」

 

「とりあえず、そこの報告書を見てみろ」

 

炬燵の上になにやら紙の束が置かれていた。

かなりの量だ。恐る恐る一番上の紙を見てみた。

 

 

 

休暇申請

 

私、サーシャは2月13日まで休暇をいただきたく存じます。

 

以下略

 

 

 

「えっ?!」

 

何?!、休暇申請って何?!

 

彼は驚いて他の紙も確認する。しかし、どれも同じく休暇申請の紙だった。アサギにリヴェータにイスルギ、フロリアさんまで‥‥

 

 

「あれ?うちに休暇申請とかそんなシステムあったっけ?あれ?休暇ってどういうこと?待って、主力がみんな一斉に休み?まさかストライキ?俺に何かした‥‥」

 

マスターはかなり混乱してきた。それを見てキュウマがあわてて止める。

 

「マスター、落ち着け。説明する。」

 

(来といて良かったな‥‥)

 

 

「‥‥頼む。この休暇申請は一体?」

 

「これはだな。お前、この日付を見て何か思わないか?」

 

「日付‥‥?」

 

2月13日‥‥、この日が何か?あっ!

 

 

「バレンタインと関係が?!」

 

「そうだ。だから女性達は全員それぞれの異界に帰ってチョコの準備だそうだ。」

 

なるほど?世界によってはチョコが手に入りづらい所もあるんだろうな。きっと!

 

精霊達の人間関係はよくは知らないけど、きっと我が陣営の男性達に告白でもするのかな?義理チョコでも期待しておこう‥‥

 

 

「で、女性達が一斉に休んだ訳と‥‥」

 

うーん、一応申請書?が来てるからズル休みではないのかな?でもせめて直接許可を認めて欲しかったなぁ。

 

 

「そうか‥‥、女性はみんないないのか‥‥。今素材クエストとかでそれなりに忙しいのに、なら男だけで行くか。」

 

「残念だがマスター。奴らもいないぞ。」

 

「へっ?!」

 

これにはマスターに衝撃が走った。

 

 

「お、おい!女性陣ならともかく、何で男衆もいないんだよ?!」

 

「あいつらなら女性陣がチョコ作ると知ってそのチョコを貰える様にと自分磨きにどこか行ってしまったぞ?」

 

な、なんじゃあそりゃあ?!

 

 

「ちなみにあいつらは申請書出してない。」

 

ガチのサボりだ!しかも理由が許せん!

 

「全員か?!流石に元帥はいるだろ?あの方はこういうの興味無さそうだし‥‥」

 

「元帥閣下殿なら雲隠れしたぞ?」

 

な、何ですと?!

 

「な、何で?!」

 

「あいつは結構モテるからな、わずらわしのは御免だからバレンタイン終わる間では消えるだそうだ。」

 

あ、察します‥‥

 

 

「ならば、兵士は?帝国兵とかロストメアとか‥‥」

 

「あいつらは女性陣にパシリとして連れてかれた」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

その頃‥‥

 

 

 

 

?「後要るものは‥‥砂糖かな?貴方、買ってきて!」

 

兵士A「は、はい!」

 

「貴方はこれとこれを探して来て下さいね」

 

兵士B「か、かしこまりました!!」

 

 

兵士はこき使われて‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「もう、私のチョコ食べただけで倒れるなんて失礼しちゃうわ‥‥」

 

 

本来、メアレス以外に倒されないはずのロストメア達がチョコで毒殺されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「えーっ!、な、ならば!人以外は?龍とかラパパとか猫は?」

 

「あいつらなら味見(毒味)要員不足で駆り(狩り)出されたばかりだ。」

 

 

 

 

えーと?、それってつまり‥‥

 

 

 

「誰もいないの?」

 

「そうなるな。」

 

ちょっと待ってよ、確かに今次のイベントまで暇だけどそれでも仕事はあるんだよ?戦力0ってどうしろと?

 

 

「あ、でもキュウマがいるだけマシか‥‥」

 

そうだ!まだ頼りになるキュウマさんがいるじゃあないか!!

 

 

「と言うことで、みんな休んでるから俺も休暇をもらうぞ、と直接言おうと思ってな。」

 

 

律儀です。他の精霊達よりも律儀です。

だけどその一言で完全に終わった、頼みの綱が‥‥

 

 

「キュウマさん‥‥待って下さい」

 

「だから言っただろ?悲報だと。帰るぞフウチ。」

 

「ふぁぁ」

 

フウチが目を覚ました。

 

 

キュウマは帰り際に思い出したかのように振り替える。

 

「そう落ち込むなマスター、ではな‥‥」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

キュウマが叡知の扉から帰った後

 

 

俺は絶望的な気持ちだった。

そう、まるでスマホを壊してデータが全消したあの時並みの絶望感がする。

 

 

 

「どうしよう‥‥」

 

1体も精霊がいない‥‥、どうする事も出来ない。

出撃無しで新たに精霊を得るにはガチャをするしかないけど今はイベントに備えてクリスタルを蓄えている時、使う事が出来ない‥‥

 

 

「13日まで黒ウィズを我慢するか?無理だ‥‥」

 

打つ手なしだけど何かないかと思い、黒ウィズを開く。

すると、奇妙な事になっていた。

 

 

「あれ?今週のウィークリーが終わってる?」

 

確かまだ残ってたはず、一体誰が?

 

 

その時、キュウマの一言がよぎる

 

『そう落ち込むなマスター』

 

 

 

(ま、まさか‥‥キュウマが‥‥)

 

 

「これで一回だけガチャが引ける。」

 

ありがとうキュウマ!このチャンス無駄にはしない!

 

 

 

 

 

「いないなら一から作るまで!」

 

このガチャで出た精霊を相棒にして臨時の部隊を作る!

 

 

「誰が来てくれるかな?」

 

それでこの数日の運命が決まる‥‥

 

 

 

 

 

「頼む!運命のドロー!」

 

ガチャのスタートを押す。

後は手を合わせて祈るばかりだ。

 

 

ピカン! ピカン! ピーン! テーン!!

 

 

音が鳴りやんだ。恐る恐る画面を見る。

出てきたのは‥‥

 

 

すると今度は叡知の扉が光る。

早速来たようだ‥‥

 

 

扉から出てきたのは元気そうな少女だ

 

 

「はじめて、ヒカリって言います。アナタがマスターさんかな?」

 

「はじめまして、自分がマスターだよ」

 

「そっか♪ウンウン、なかなかいいね君。」

 

「ど、どうも?」

 

ヒカリはこれで二人目だけど彼女に比べるとどこか違うような‥‥

 

そう言えば‥‥、前にウシュガ先生が、

 

 

『んんー?、あくまで予想だけどね、ここって同じ存在が複数いたりするだろ。だからもしかしたら同じ存在同士が何かしらの反発を起こして違いをつけようと二人目に性格の変化とかが見られるかもだね。んんー!』

 

 

その現象が今はじめて発生しました。

 

 

 

「なんか、空間に誰もいなかったけど君魔力的に新人ではないよね?」

 

「実は‥‥」

 

俺はヒカリに事情を説明‥‥

 

 

 

「なるほどねー、みんなどこかに行ってしまって戦力がないと。」

 

「だから臨時に部隊を創設したいけど人がいないんだ。お願いします。助けてくれませんか?」

 

「そう言うことなら仕方ない。このヒカリさんに任せなさい!」

 

 

とりあえず、何とか1人確保できた。

まずは彼女をL化して今後の策を練る。

 

 

 

「とにかくまずは数を増やさないと!」

 

「ウンウン!」

 

とはいえ、彼女1人ではまともなクエストに出撃出来ないし‥‥あ、そうだ!低級ならば

 

 

「そうだ!今ギルフェスだから報酬がある!」

 

低級クラスなら彼女1人でも何とかなる。

それで回数行ってしまってミッションをクリアすればクリスタルが手にはいる。

 

 

「でも、マスター。使っちゃてもいいの?」

 

「既に十分あるから新しく集めた物を一回だけ使う分には問題ないと思う。」

 

 

 

 

こんな感じでクリスタルが五個集めたので一回だけガチャとついでにメイトガチャを引いてみたら‥‥

 

 

 

クリスタルガチャからは玲華、メイトガチャからはメタルドラコンが出ました。

 

 

「よっし!やったぞ」

 

「そんなにいいの?」

 

「両者とも雷属性、これで形だけでも雷属性デッキを組むことができる!」

 

 

二人もL化して組まれたのが、

 

臨時第1チーム

 

 

悠遠の星間を繋ぐ ヒカリ・スフィア

 

爆裂!料理長 李玲華

 

超越の金剛龍 インフェルナグ

 

エーテルグラス

 

エーテルグラス

 

 

 

 

「ちょっと待ってマスターさん!後2つはアイテム精霊だよ!どうしているの?!」

 

「メタルドラコンを引いたメイトガチャで二枚出たから。数会わせに」

 

「なら他にもいたでしょう?」

 

「グラスだったら使わないから置いてもいいかと」

 

「はぁ、マスターが良いのならいいかな?」

 

「ところで残念な事に進化素材が底をつきました。集めに行こうにもまだ戦力不足だ。」

 

「あ、マスターが作業している間暇だから倉庫見てきたけどね、Sクラスの火属性がいたよ」

 

「あれ?倉庫のL化できる精霊のこの間に全部進化祭りに使ったはずだけど‥‥余ってた?」

 

「それは知らないけど‥‥、どう?火の素材はまだあるの?」

 

「あるけど‥‥一体誰なんだ?」

 

 

 

「じゃあ、私がL化してから連れて来るね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

「よくも長々と仕舞ってくれたわね!」

 

「ご、ごめんなさい‥‥」

 

今俺は女の子に首を絞められている。

彼女はエステル、特徴は毒舌である。

 

 

「これで火属性の部隊も作れますね♪」

 

ヒカリさん!仲間が増えて嬉しそうだけどこのままだと1人減ってプラマイ0だよ?!

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

どうにかエステルに許してもらえたマスターはヒカリ、エステル、李玲華の3人と会議を行った。ん、1人いない?ドラコンは呼べないだろ?

 

 

「俺はとりあえずは1つの属性から整えるのが良いと思う。とにかく戦える部隊がないと動けないし、動ける様になれば他の属性も集めに行けるし。」

 

「だったら、今一番マシなのは雷だから雷属性ね。」

 

エステルは不服そうだけど流石ゲート精霊だけあり、指揮官らしい判断ができる。

 

「エステルさんがいますから火属性チームが作れますから雷属性相手に戦えますしね。」

 

これは李玲華さんだ。

 

「エステルに部隊を任せるにしても1人では無理なんじゃ?」

 

ヒカリが心配する。

 

確かにそうだ‥‥

どこかに1人で行っても大丈夫でLを確保できるクエストは無いものか‥‥

 

 

あっ!

 

 

 

「あった!」

 

俺が醜態を晒したあの場所だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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臨時部隊を編成せよ!その2



皆さんコロプラからのバレンタイン(ガチャ)はいかがでしたでしょうか?私は40連して爆発しました。


 

 

「まほろバスター!」

 

「うるさい!レジオン・ファンタズム!」

 

 

 

 

ここは桃娘伝Ⅱの上級

 

 

かつて恥をかいたこの場所でHRT8(覚えにくいのでまほろと呼んでます)とエステルが激戦を繰り広げていた。

 

 

 

 

現在、火属性がエステルしかいない彼は彼女1人でも戦えるクエストを考えた時にここを思い出した。

 

 

 

「うーん‥‥、エステルだけでも戦えるけど接戦だなぁ。」

 

「いっそのこと私達でタコ殴りにする?」

 

エステルの戦いぶりをマスターと見ていたヒカリは雷属性3人で殴りに行くことを提案する。

 

 

「悪く無いけど‥‥ここは火属性で行きたいからなぁ‥‥そうだ、数の暴力!ヒカリちょっとクエスト行ってきて。」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったわよ」

 

「お、エステルお帰り」

 

「何とか倒したけどめんどくさ過ぎ!」

 

エステルの報告の後に来るであろうと思っていた文句が来た。

 

「エステル、次からは部隊を率いて行ってきて」

 

「え!もしかして私の配下の支度ができたの!?」

 

「ああ勿論!これがそのデッキだよ」

 

 

 

臨時第2チーム

 

 

 

覚醒 天元魔導師 エステル・モカ

 

深紅の魔道書

 

赤の魔道書

 

赤の魔道書

 

赤の魔道書

 

 

 

 

「ちょっと!?何よこの赤の魔道書ばかりの編成?!」

 

「何を言ってる!深紅の魔道書も居るだろ?」

 

「そう言う問題じゃあなくて!!」

 

 

この魔道書達はヒカリ達に魔道書クエストに行ってもらって集めた物でこれで数は稼ぎた!

 

 

「とりあえず!これで行ってきて!」

 

「まぁ‥‥いないよりはマシだけど‥‥覚えてなさいよ!」

 

 

エステルはこうしてリーダーとして部隊を率いてまほろを殴りに行きました。

 

 

 

「マスター流石にあれじゃあかわいそうだよ?それにあんなの役に立つの?」

 

ヒカリはエステルを見送った後にマスターに尋ねる。

 

「いやいや、数の力は凄いよ?それにちゃんと策も考えてるって!」

 

「へー?その策とは?」

 

李玲華が台所から出て来て聞いてきた。これまで料理とか担当してくれていたサーシャさんやフロリアさんがいないから今は彼女が料理、お茶担当だ。

 

「はい、ほうじ茶です♪ヒカリさんもどうぞ♪」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがと」

 

3人にお茶が行き渡った所で彼は説明を始めた。

 

 

彼の簡易の策はこうです。

 

 

まずは敵はそもそも1体だから数で攻めれば有利であることは勿論のこと、最大の目的はエステルのスキルを最大限生かす事だった。

 

彼女のスキルは味方全体の体力を消費して味方精霊の数×130のダメージを与える物、だから置物でも数はいた方が良いのだ。つまりあの魔道書達は生け贄みたいな物だ。

 

 

 

「だけどマスター?魔道書は弱いから下手すると道中で倒されますよ?」

 

「それも折り込み済みだよ、その時はそこに助っ人さんのLが入るからL2体でまほろを殴れるという寸法だ!」

 

 

何事もなければエステルのスキルで燃やす事ができ、事故が起こっても数の力で殴れる。確実に勝てる!

 

 

 

「ぐふふ♪まほろを殴って殴って殴り続けてやる♪」

 

「ま、マスター‥‥?」

 

「俺に恥をかかせた恨みを晴らしてやる」

 

 

((ウワー逆恨み‥‥))

 

 

 

 

こんな感じで暴力に屈したまほろを加えて雷属性は4体になった。

 

 

 

 

 

「うーん、多分ガムシャは要らないな」

 

「ま~、攻撃が低いからね~」

 

雷が揃ってきたので次は1人もいない水属性を求めに行こうとして彼等は真っ先にガムシャを対象から外した。

 

 

 

「じゃあどうすんのよ!水属性いないと火属性が掘れないでしょう!私の部下が魔道書のままでしょう!」

 

エステルが怒る。しかし、エステルの言うとおりで水がいないと火のクエストに行けないままである。

 

 

「そうだ!マスター、お金だけはわんさかあるんだから魔道士の家でクエスト解放すれば?」

 

「ヒカリ‥‥お金だけはって‥‥言い方が、まぁでもいいアイデアだと思う。よし!行こう!」

 

 

彼はゴールドを使い、メアレスⅡを解放した。

 

 

 

「マスター、どうしてメアレス?」

 

「メアレスⅡとエタクロだけまだ全然進めてないんです。ボス掘りついでにストーリー進めてクリスタル稼ぐならメアレスⅡが良いかと」

 

 

と言うことで、まずは上級のラウズメアから狙いを定めた。はじめはこんなバランスも戦術もないこんな雷チームで勝てるのかと思っていたが予想以上に敵が弱くラウズメアは僅か五回戦で掘れた。

 

 

 

「初の水属性だねマスター♪」

 

仲間が増えて大喜びのヒカリ。勿論、俺も嬉しいがそれよりもたったの5回でラウズメアを掘れた事の方が嬉しかった。

 

 

「ラウズさんには水属性部隊のリーダーをお願いします」

 

「それは良いのだけれども‥‥この編成は一体?」

 

そう、ラウズメアの部隊もエステル同様、魔道書で構成されていた。一体だけAランクユグドラシルがいたのが雄一の違いだ。

 

 

「さてと、お次は中級でラスティメアだな。ラウズさんよろしくね!」

 

「同じロストメアに同士打ちをさせるなんてなかなか鬼ね、アナタ‥‥」

 

 

流石にラウズメアしかいないようなこんな部隊で簡単にいけるとは思っていなかったがここでも予想を裏切られ敵は呆気なく叩かれたがラウズメアと打って変わってラスティメアはなかなかドロップしないため沼りそうになってしまった。

 

 

「ようやく諦めたか‥‥」

 

「ちっ!テメェもしつこいな‥‥」

 

これがラスティメアとの最初の会話だった。

それからいつもの3人に新たに加わったロストメアの2人を入れて新しい方針を考える会議が開かれた。

 

 

「流石にエステルとラスティだけでは封魔は無理だよね。」

 

メアレスⅡを進めようにもレベルメアを倒すのに手数が不足していた。

 

「なんか期待もしてないのに無駄に硬いなぁ。流石一昔前にその硬さでわずかに話題になった子だな!」

 

「それ本当なの?」

 

「さあ?なんかすごい前に硬いだけとか書いてるサイトがあった気がする。」

 

「やっぱり戦力不足だね。」

 

ヒカリのその一言でその場の空気がさらに重くなる。

そんな中、発言したのはラスティメアだ。

 

 

「オイ、マスター。」

 

「どうしたラスティ?」

 

「お前の前の出撃について書いてあるレポートがあったから読ませてもらったが、これによれば前に覇眼Ⅲで指揮官狩りをしたようだな。」

 

「まぁ、モブとは言え一応Lだから‥‥」

 

「だったら覇眼Ⅲで指揮官狩りとボス掘りをいっぺんにやれば良いだろう?兵士も戦力が集まるまでの代用にはなるだろうよ」

 

「お前は天才か!!」

 

 

ラスティメアの提案を受け、早速狩りにやって来た彼の部隊は次々と帝国兵をドロップするまで薙ぎ倒し続けた。その様子はまるで一方的な殺戮でまるでこちらが攻めに来ている気がしていた。

 

 

「このシナリオでは帝国軍が島に侵略に来てるのにね。まるで立場が逆転したみたいだね♪」

 

狩りの結果は上々、ワルダン、ベルル、リーブ、ヴァヌススと帝国の将の首を全てあげて兵士もデッキの隙間を埋めるには十分なだけの数が集まった。

 

 

「いやー♪大漁だね。これで大分マシになったかな?」

 

「そうね、魔道書よりは兵士の方がいいわね。」

 

エステルは火属性が1人増えて魔道書よりもステータス的にマシな兵士に変わってご満足のようだ。

 

 

「ではエステルはメアレスの封魔級に行ってきて!ヒカリ達はガムシャを殴って来て!今まではいらなかったけど兵士は物質だからガムシャと相性いいかも!」

 

 

戦力が整い出したので一気に忙しくなった。そう思ったが‥‥

 

「エステルが殺られたわ」

 

ラウズさんから知らされたのは火属性チームの惨敗だった。ガムシャは楽に掘れたもののやっぱり役に立ちそうになかった。

 

 

「ウーン、どうにか火属性を強化出来ないかな‥‥」

 

俺がこうやって悩み始めると‥‥

 

「また別のクエスト解放する?それともガチャ?」

 

「解放はともかくガチャはないでしょ!」

 

「いいじゃない!これ以上私に負けろとでも?これじゃあアネモネ様に顔向け出来ないわ!」

 

会議参加者が騒ぎ始めた。不味いなこんな時に仲間割れされては余計に厳しくなってしまう。何か打開策を俺の方で提示しなければ‥‥

 

 

そう思って考えるが何も思い浮かばず、そして皆の言い争いがエスカレートしそうになったその時だった。

 

 

「あ!電話。ちょっと皆静かに!」

 

これによりヒートアップしていたその場は一旦静められた。

 

(ああよかった~、物理的にでもこの流れにストップ入れられて‥‥さて、こんな素晴らしいタイミングで電話をくれた人は誰だ?)

 

 

 

「もしもし?」

 

『おう、俺だ俺。』

 

「‥‥オレオレ詐欺なら他をあたって下さい。」

 

『オイ、待てって!俺だよ、お前の親友の○○だよ?!』

 

「親友かどうかは議論のしどころはあるな‥‥、でどうしたよ?」

 

『いやいや、この前俺が二人協力クエストしたいと言ったら今度やってくれると言っだろ?』

 

そう言えばそんな約束したようなしなかったような?

 

 

「でも、今二人協力はないだろ?」

 

『馬鹿言え、魔道士の家で解放すればあるだろ』

 

「わかった、でもどこに行く?」

 

『サタ女に決まってるだろ(ドヤ)』

 

決まってるだろって‥‥、通話越しでも分かるドヤ顔っぷり、これだからコイツは‥‥。

 

『よーし、俺がボス4体揃うまで付き合ってもらうからな!ターゲットはギブンな』

 

ギブンか‥‥

火属性‥‥

 

 

グッドタイミングではないか

 

 

「よし!わかったギブン掘りだな!」

 

電話でこの場を止められただけでなく、火属性を掘りに行けるなんてまさに鴨がネギを背負って来ただな!この場合、鴨がギブンになるのかな?

 

 

「水属性部隊出撃!」

 

 

 

それからは、通話を電話からLINE電話に移行して黒ウィズを開始、サタ女を解放しLINEでしゃべりながらひたすらギブンを叩きのめした。○○が!

 

『なんだよお前のその統制感のないデッキは!』

 

「うるさい。どうせお前は脳筋デッキなんだろ?だから俺は支援型だよ」

 

と嘘をついた。流石に精霊がみんなどこかに行っちゃって今集めているのしかいないとか言えないし、それに。

 

『そうか、なるほどな!』

 

コイツは馬鹿だからな!

 

 

ついでにコイツはドロップ運が俺よりも悪いので結局コイツがギブンを4体集めるまでにこっちはギブンが2体作れるだけ集まっていた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「よし!ギブンが2体手に入って戦力アップだ!良かったなエステル?」

 

「こんなキモい鳩モドキとか本当なら嫌よ!」

 

「「チチチ?!」」

 

 

 

エステルはこんな事言ってるが、ギブンが加わった事で火力が上がりレベルメアを撃破、そのまま掘りをしてレベルメアをゲットしてその次のオルタメアをラウズさん達とまさに必死の戦いの末に打ち倒し、メアレスⅡを完走。ついでにドレスメアも手に入れて雷属性はかなり充実した。

 

 

「かなり黒ウィズした感のある充実した戦いだったな♪」

 

「うーん?」

 

ヒカリが何か考えてるようだ。

 

 

「ヒカリどうしたの?」

 

「いや、ね。そもそもマスターが戦力集めしてたのって何の為だったのかなぁって」

 

「それは素材クエスト行きたいのに誰もいないから‥‥あっ!」

 

あ、ヤバい!

いつの間にか手段が目的に刷り変わっていた。

既に素材集めするのに十分な戦力が揃ってるのにいつの間にか戦力集めの為に始めたメアレスⅡを攻略する為に動いていた。

 

 

「ヤバい!観賞に浸ってる場合じゃあない、素材クエスト行かないと!」

 

「ウンウン♪」

 

 

 

 

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2月12日

 

 

 

 

「いやー、疲れたな。」

 

素材集めは一通り集めたので一段落着く事にした。

 

 

 

「ほんと!アンタ私達をコキ使いすぎよ」

 

エステルさんは相変わらず当たりが強いな。

 

「本当御苦労様ですエステルさん」

 

俺は茶化して労りの言葉を言うついでに頭を撫でてみた。彼女は背が低いので撫でるには丁度いい高さだった。

 

 

あ、でもあんまりやるとエステルが怒るな。

そう思ってエステルを表情をうかがうと‥‥

 

 

「ななな、な?!」

 

顔が真っ赤だ!ヤバいこれはかなりキレてる!

 

 

「え、エステルさん!す、すいません‥‥」

 

俺は素直に謝る。

 

「ベツニヨカッタノニ‥‥」

 

「え?何か言った?」

 

エステルが何かボソッと言ったそよだけど小さくて全然聞こえなかった。

 

 

「アレ~?エステルどうしたの♪」

 

「クスクス♪」

 

他の女性がなぜかエステルをからかい始めた。

そして、離れた所でラスティがため息をつき、ギブン達が寄ってきた。

 

「チチチ!マスター俺も俺も!」

 

「撫でて欲しいチチチ!」

 

「い、良いけど?」

 

うわぁ、思ったよりギブンの頭ふわっふわっで気持ちいい?!

 

 

「そうだ!マスターマスター!」

 

「どうしたのヒカリ?まさか君も撫でて欲しいと?」

 

冗談で言ってみたのだが‥‥

 

「う~ん、じ、じゃあ♪」

 

あれ?意外にもまんざらではなく無さそう‥‥

 

「ヒカリさん?何か要件があるのでは?」

 

李玲華さんが怖い、突然どうした?!

遠くでさらにラスティが深いため息をつく。

 

 

「そ、そうだった~。クソ‥ヨケイナコトヲ‥」

 

「?」

 

「マスター!明日は何か出撃予定あるの?」

 

「う~ん、特に急ぎはないかな?」

 

「じゃあ、何人か明日お休みしてもいいかな?」

 

あれ?どこかで聞いたパターン?

 

 

「心配しなくてもギブン達は仕事させるわ。ねぇ?お前達?」

 

「「チチチ!エステル様の言うとおりですぜ!!」」

 

いつの間にかエステルとギブン等の間に危ない関係が!

 

 

 

 

 

 

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2月13日

 

 

「お待たせ!」

 

「もうヒカリさん!立案者が遅刻しないでください!」

 

 

 

某異世界

 

 

ここで臨時部隊の女性陣であるヒカリ、エステル、ラウズメア、レベルメア、李玲華が集まっていた。

 

 

「あれ?ドレスメアとヴァヌススは?」

 

「あの二人なら今日来ないわよ」

 

「それにドレスならともかくヴァヌさんが来たら恐いしね♪」

 

「それに女性がみんないなくなったらマスター達に怪しまれるでしょ?」

 

 

 

 

そう彼女達がこの世界に来たのは明日の為だった。

せっかくなので自分達もチョコを渡そうと思たのだ。

 

 

「エステルは誰にあげるの?」

 

ヒカリの何気ない質問が飛んだ。

 

「な、何よ急に!」

 

「ダメだよヒカリちゃん、そんなのマスターに決まってるでしょ?」

 

ここでレベルメアが答えた。彼女も悪気なく言うので質が悪かった。

 

「な、何を言うのよアンタは!?私は‥‥そ、そうよ、ギブン達にあげるの!」

 

「あらあら♪本当に?」

 

ここで攻めかかるのは李玲華さん。彼女は分かってからかっていた。

 

「もう!知らない!」

 

エステルがあまりにいじられてとうとう拗ねてしまった。

 

「ああ!ごめんなさいエステル」

 

李玲華はエステルに謝るがこれは難しいそうだ。

 

「レベルとラウズは誰に買うの?」

 

「私はラスティかな♪誰からも貰えないと思うし♪」

 

「私は部隊の皆さんに、御世話になったので。」

 

「そっか‥‥」

 

確かにそうだ。私達はあくまで臨時に集めれて急拵えで組まれた部隊、14日になれば解散されるかもしれない。

 

 

「私もリーブさんに買っておこっと‥‥」

 

 

 

それからヒカリ達はみんなでいくつかのお店屋を巡りそれぞれ思い思いの物を買い、最後に買い物した店にカフェが備わってたのでここで一休みすることにした。

 

 

「楽しかったねみんなでショッピング♪」

 

「そうですね。いい思い出になりましたね。」

 

レベルメアははしゃいでいるが他は少し寂しそうだ。

わずかな期間とは言え、共に苦しい戦いを乗り越えた仲間なのだ。それが今日が終われば解散になるかも知れない。ヒカリはチョコを買うものそうだが最後に思い出作りしたかったのもあったのだ。

 

 

「みんな何でそんな顔してるの?」

 

レベルメアがようやくみんなの表情に気づく。

 

「レベルちゃん‥‥あのね‥‥」

 

「‥‥部隊が解散?でもだからといってもう会ったらいけないとかないでしょ?」

 

「「あっ!」」

 

言われて見れば‥‥、ただ部隊が解散になるだけで私達はそのままなのだからフリーの時にでもまた集まれば良いではないか!

 

 

「私は逆に出番がなくて暇になるんじゃあないか心配だけど?」

 

「「た、確かに‥‥」」

 

出番がなければまた集まって遊べるが出番が無いのはそれはそれで嫌である。

 

 

 

「やっぱりマスターにもチョコ買っとこ~♪」

 

レベルメアはにこやかに言うが、他の心内は穏やかではなかった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

2月14日

 

 

 

ヒカリ「ハーイ、マスターチョコあげる♪」

 

遂に来たXデイ。

 

 

夕方から来るであろうバレンタインイベントの情報を吟味しているマスターに臨時部隊のメンバー達からチョコが手渡された。

 

 

「べ、別にアンタの為じゃあないわよ!部下に御世話になったからお礼にチョコ買ったついでよついで!」

 

 

「「チチチ!!エステル様ありがとうっす!!」」

 

「俺がいつテメェの部下になった‥‥」

 

「全くだ‥‥」

 

ギブン達はチョコに大喜び、ベルルとラスティはエステルの言葉に不服のようだ。

 

 

「じゃあ、私からもあげるね♪はい、ホンメイ♪」

 

レベルメアがラスティメアにハートのチョコを渡す。

 

 

「テメェ‥‥おちょくるなよ!」

 

「うん?」きょとん

 

(こ、コイツ‥‥、本気なのか、馬鹿にしてるのかわからん‥‥)

 

 

「へっww良かったな~、ラスティ?」

 

レベルの反応に困るラスティを隣で笑っているが常勝王

 

その彼の肩を誰かが掴んだ。

 

 

 

「うわっ!」

 

「そんなに欲しいなら私からやろう‥‥」

 

彼の背後にはいつの間にか現れた不気味な包みに包装されたチョコらしい何かを抱えたヴァヌススだった。

 

 

「それ、食べよ。そして私の部下になれ」

 

「お、お前!お、俺に何を食わそうと!」

 

 

 

ラウズ「御世話になりました。また何かあればよろしくお願いします」

 

ガムシャ「おお、これはわざわざスマンな」

 

ワルダン「ありがとよー!礼はするから楽しみにしてな!」

 

 

 

 

「うんうん、みんな楽しそうだなぁ」

 

ただ、思っていたより甘酸っぱい展開にはなってないのは残念だな。

 

 

ラスティ(コイツ鈍感だなぁ‥‥)

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「ただいま戻りました♪」

 

みんなでチョコをあげたりもらったりして楽しんでいると叡知の扉が開きいつもの面々がやって来た。

 

 

 

リヴェータ「マスター、元気だった?」

 

アサギ「長らく不在にして申し訳ありませんでした」

 

サーシャ「あの‥‥その方達は?」

 

 

 

「おう!みんなお帰り実はな‥‥」

 

「マスター、その手にあるのは何ですか?」

 

サーシャさん達が手に持つチョコの山を見るや否や突然怖い顔になった。な、何故か不倫現場を妻に押さえられた現場の夫の気分になったのは気のせいかな?

 

 

 

「これは‥‥その‥‥」

 

「私達が留守の間に何をしてたのかしら?」

 

リヴェータが指揮棒をバシバシ鳴らしながら迫る。

 

「返答次第では‥‥」

 

アサギはセルウスを展開

 

「フフフ♪」

 

サーシャさんの周りに水が発生

 

 

「あらあら大変‥‥」

 

後ろではフロリアさんやエリス、イスルギ達が事情を察したようであるが助けてくれそうにない。

 

 

 

「ま、待って!」

 

「ちょっと!アナタ達!」

 

そんな窮地のマスターの前に立ったのはヒカリ達だった。

 

 

「アナタ達なの?職務放棄していなくなった人達は!」

 

「アナタ達がいない間マスターがどれだけ苦労したと思ってるんですか!」

 

 

「な、何よアンタ達は!人が留守の間に!」

 

「では何故留守にしたのですか!」

 

 

 

サーシャさん達古参組とヒカリ達臨時組が対決しはじめました。どうしよう?

 

 

「止めておけ。女の喧嘩に下手に手を出すとろくなことはないぞ?」

 

「あ、キュウマさん」

 

また気配を感じなかった。

 

 

「キュウマ、ウィークリーありがとう」

 

「ふっ、何の事だか‥‥」

 

「素直じゃあねぇなキュウマは、なぁマスター?」

 

「なぁフウチ?」

 

 

「ところでマスターよ」

 

「ガムシャか、どうしたよ?」

 

「こうして主力も帰って来たし部隊は解散か?」

 

「いや?せっかくだから今日からのイベントの先陣は君達に頼むよ」

 

 

 

 

臨時部隊は直ぐに解散されることもなくバレンタインイベントの先鋒を勤める事になったが結局は石板と言う新たなギミックにより編成を変えざるをえなくなり結局はその日に部隊は解散された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回の企画を通して自分が今どれだけ恵まれいるのか再確認する事ができました。一年前は丁度私が建て直し中の苦しい時でした。初心に戻って精霊達への感謝する良い機会になりました。

皆さんも愛用の精霊達に感謝してますか?




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モブトーク

何だか遅すぎますが黒ウィズ五周年おめでとうございます!五周年がらみの事は追々書くつもりです。


 

 

いつもの部屋ではなく、ここは彼の精霊達が収容されている空間にある個室。

 

 

 

現在、五周年記念でマスターをはじめとする面々はイベントとお祝いで大盛り上がりだ。

 

そんな中、出番の無い精霊達はそれぞれ思い思いの方法で楽しんでいた。

 

 

 

その数多ある部屋の一つに集まる者達がいた。

 

 

 

「えー、それでは改めて乾杯!」

 

「「乾杯!」」

 

「「ガウガウ!(乾杯!)」」

 

幹事役のバーニングソードフィーンドの音頭で会は始まった。

 

集まっていたのは帝国紅炎焔兵はじめとする帝国兵とロストメア亜種、ソードフィーンド達とマスターからはモブL御三家と呼ばれる者達だった。

 

 

「皆飲みながらでも聞いてくれ、今回の集まりの主旨を改めて確認するぞ。」

 

幹事のバーニングソードフィーンド(以降フィーンド火)が再び壇上に上がる。

 

今回は初となる彼の陣営の雑役担当である兵士達のオフ会であり、モブ達のモブによるモブについての討論をする為に集まったのだ。

 

 

「今宵は日頃の苦労を忘れると忘れそれぞれの思いを存分に語り明かして貰いたい」

 

 

「いえぇぇぇぇぇい!」

 

「お疲れサマ!」

 

 

 

帝国兵(水)「いや~、バレンタイン前とか毎日毎日パシられて大変だったな~」

 

帝国兵(雷)「いやいや、パシりだけならまだマシだろ。ロストメアどもなんて大半が毒殺されたぞ。」

 

ロストメア(赤)「ガウガウ‥‥(同胞たくさん死んだ‥‥)」

 

フィーンド火「大変と言えば、帝国兵(火)達なんて毎日大変だろ?」

 

「そうだよ!俺達はよく火属性の主力の面々に使われるからな‥‥」

 

「それに少し前までなんて物質の精霊がいないもんだから数合わせの為に使われることもしばしばあったしなぁ‥‥」

 

「年越し前に火物質で部隊組む時なんて隊長のスワン様がいなくて俺ら血眼になって探したんだぜ」

 

「それに火属性のボスのリヴェータ様はイベントのシナリオでは俺ら敵だからなぁ‥‥、扱いが雑なんだよ。」

 

これまでの事を思い出し帝国兵(火)達が一斉に落ち込みだした。

 

 

「お、おう。元気だせ?今日は辛い事忘れて飲もうぜ?」

 

 

 

こんな感じで最初はそれぞれの苦労話から始まり、話しては落ち込み、落ち込んだら周りが慰めて飲みまた誰かが話をするの繰り返しだった。しかし、話し合って慰めてなっている内に杯がどんどん進み次第に話題は次のステージへと移っていった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

1時間後‥‥

 

 

 

 

「俺が思うにモブの扱い酷くないか?」

完全に出来上がった帝国兵(水)が唐突に切り出す。

 

「いやいや、モブってそんな物では?」

 

「しかしだなぁゲームはモブあっての物なのだ。某クエストもモブの知名度と人気があるからこそゲームは人気なのだと思うんだよ俺は!」

 

「そ、そんなもんかねぇ?」

 

「ガウ?(さぁ?)」

 

「水の奴の言い分はともかく、俺は最近の運営の扱いは良いと思うぞ。」

こう述べるのはフィーンド雷である。

 

「昔のクエストとかのモブ達は絵が明らかに酷かったり使い回しがあったりしたが今では絵がカッコ良くなったりイベント毎に専用の奴出したり、質は上がってると思うぞ?」

 

「逆に俺らよりグラフィック良いしな‥‥」

 

「言うなよ‥‥」

 

「質が上がったと言うが、性能は酷いままだろう」

帝国兵(水)はふてくされる。

 

「そこはモブだから仕方ないだろ」

 

「だから俺達使って貰えないだろうが‥‥」

 

「ガ、ガウ(た、確かに)」

 

「俺らフィーンドとかロストメア亜種は皆集めに来てくれるけどあくまで図鑑の為だしなぁ‥‥」

 

「その後は売られるか素材にされるかだしなぁ」

 

「お前とかはまだ良いぞ、俺らとかホイホイ出るから有り難みすらなく格好の資源扱いだからな!」

帝国兵達が一斉にぼやき始める。

 

「それを考えるとうちの主君は俺らの扱いは寛大?だなぁ」

 

「まぁ‥‥売られないし‥‥」

 

「たまに使ってくれるし‥‥ねぇ?」

 

「俺達帝国兵とかは数が月前までは普通にデッキに組まれてたし」

 

「ああ、火物質デッキの時か‥‥」

 

当時、物質の精霊をあまり保持していなかった彼はその数合わせにモブLを採用していた。帝国兵は考えようによればステータスの低いパネチェン要員と思えばまだ使えるからである。

 

「正月のあのコイン集めのクエストがあっただろ。あの時とか物質デッキでクリアがあったからスワン様をリーダーに行こうとしただろあの時とか大変だったな。」

 

「スワン様が失踪したもんな」※3話

 

「探しても見つからないだからなぁ」

 

「どうしたらモブを使ってくれるかな?」

 

「うーん、性能をあげる?」

 

「それならもはや配布精霊で良いじゃないか。モブの領域越えてるぞ」

 

「ガウガウ(そもそも帝国兵とフィーンドがモブにしては規格外だけどな)」

 

「お前達‥‥、そのガウにどれだけ意味を込めてるんだ‥‥」

 

「突っ込むなよお前。」

 

「種族とかは?龍族とか妖精とかの希少なのだったらさ、使う人とか保持してくれる人いるんじゃあ?」

 

「それなら俺ら物質もそこそこ希少なのにな‥‥」

 

「「‥‥‥‥。」」

 

「お前ら、一番大事な事を忘れているぞ!」

 

「フィーンド(水)!何かあるのか?」

 

「一番俺らに求められるのは、絵だろ!」

 

「た、確かにそうだ!」

 

「絵か‥‥、もし既にいるモブの中でLにしたら受けそうな奴らは何よ?」

 

「神龍降臨2のドラゴンとか?」

フィーンド火はドラゴンを推す。

 

「ちなみにここだけの話、昔のデータでマスターはなぁ、まだレアリティがSの時代が暗黒時代で全然戦力が揃わず神龍2のモブドラゴンを戦力として使ってたらしいぞ。」

 

「フィーンド火の話を追加するとその時はサッカーのイベントも同時にやってたからその時のモブにも世話になったからまた会いたいらしいぞ?あ、俺はサッカーのモブに1票な。」

これはフィーンド水

 

「ガウガウ(メアレス2のモブに1票)」

 

「ガウガウ(メアレス3のモブに1票)」

 

「ガ、ガウ(じゃあ、俺もメアレスに)」

 

ロストメア亜種達は自分の同系統の登場に期待しているようだ。

 

「覇眼のグランファランクスとか出たら俺らの対抗馬みたいで面白いね。」

 

「帝国兵(水)よ‥‥、それが出てしまったら俺らの出番は持ってかれるぞ‥‥。俺は無難にコラボイベントのモブとかLは良いと思う。コラボの奴は保管している人もいるだろうし。」

と帝国兵(雷)言い切った。

 

「無難なのかそれ?」

それを疑問視するフィーンド雷

 

「お前ら、全然分かってないぞ。」

帝国兵(火)がやれやれと首を振る。

 

「んだと?!」

 

「そこまで言うなら何かあるのか?」

 

「うちの主君いわく、最も衝撃を受けたモブはクロマグ5の学生だとおっしゃってた!それにこれは俺個人の意見だが女子学生可愛い!てかモブLに女性が必要だと思うよ俺は!!」

 

「た、確かにそうだ!」

 

「お前は天才だ!」

 

「俺彼女欲しい~!」

 

「あれ結局極論は?」

 

「クロマグ5のモブ、てか女性モブだな!男子学生も人気あるし!」

 

「ここだけの話、マスターの友人はクロマグ5のイツキとアーシアの話で出てくる学生のイメージはあのモブ達らしいぞ?」

 

「はあ?!大出世したモブではないか!」

 

「何にしても‥‥次のLはどんな奴が来るかな‥‥」

 

 

 

 

そろそろ日も跨ぎ、会の参加者も酔いが回ってきたようだ。いつもなら職務に差し障る為ここいらで切り上げる所だが今回は特別だ。朝まで飲み明かすつもりだ。話題は次の話へと移り彼らはその日は存分に楽しみ尽くそうな。

 

 

 

 




これ書くために何人かに聞き込みしました。皆さんそれぞれ思いがありまして、私個人としましても大変興味深い内容だと思いました。


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女子会に恋話は要りますか?

 

 

 

五周年記念やバース、アイドルキャッツなどイベント続きで彼と精霊達が戦い続け忙しかった日々も終わり、騒がしかった空間も今では静かになり今はつかの間の休息の時期です。

 

いつもの部屋には今日も女の子達が集まり会話は華を咲かせていました。

 

 

春になり流石に炬燵は仕舞われた部屋には少し多目のテーブルとマスターが彼女達の為にと用意した赤、青、黄のクッションがあり、彼女達は思い思いの方法でクッションを使い寛いでいました。

 

丁度読んでいた本に一区切りをいれたサーシャは部屋の中を見渡して見ました。

 

すると、一番最初に目についたのは部屋の隅でぐったりしている二人でした。

 

「アイドルキャッツきつかった‥‥」

 

赤いクッションに寝そべてうだれるのは火属性の代表格のリヴェータ。しわがよるのを気を付けてか軍服は着替えて楽な格好をしていた。

 

 

「ええ、今回の周回は終わりが見えませんでしたね。」

 

リヴェータに同意するのは黄色のクッションに座る雷属性主力のアサギ。クッションが大きい為少しクッションに埋まっている。

 

 

この所主力部隊はフル稼働であった為二人とも本当にお疲れのようで疲れを溢す。

 

「だったらリヴェータもアサギさんも自分の空間で休んでればいいのに」

 

そんな二人に返事したのはテーブルでエリスとチェスをしているイスルギでした。ちなみにイスルギは青の小さなクッションを座椅子代わりに、エリスは黄色のクッションを膝の上に置いている。イスルギが白でエリスは黒、どうやら白が押しているの追い詰められたのなエリスは先程から唸っている。

 

「エリスさん、あそこの前。チャンスですよ!」

 

「あ!ホントだ!」

 

「ちょっと!それはズルい。」

 

今エリスに助言したのはエルナさんです。

 

 

 

 

エルナさんはマスターの編成しているデッキの中でも最強と言われている精鋭部隊「第3水」に所属する精霊です。この部隊は元帥閣下により率いられていてマスターはよく、「困った時は第3水だ!」とおっしゃってました。

 

ちなみに各属性の最精鋭は第3に集められる事が多くリヴェータさんは第3炎のリーダーです。

 

彼女は最近になって来るようになりました。

なんでも彼女によると、

 

 

「閣下はあまりこちらにいらっしゃれないのでこれまで私達水部隊は他の隊と疎遠でしたので私が連絡役としてこれから来ます♪」

 

だそうです。

他にも今日は火属性からはスワンちゃんも来ていて今は窓際で赤いクッションを抱いて寝ちゃってます。

 

 

 

「チェックメイト」

 

「ま、待った!!」

 

「待ったなし♪」

 

「う、うううう(涙)」

 

 

先程のエルナさんの助言が致命傷となり逆転されてイスルギさんがチェックを掛けられてました。

 

「あ、終わったなら次私がやっていい?サーシャやりましょう。」

 

「あら?私とですか?」

 

リヴェータさんが起き上がりチェスをやりたいようなので私は御相手することにしました。

 

 

「皆さん、お茶にしません?」

 

「ありがとうございますフロリアさん。手伝います。」

 

「リヴェータさん、チェスはお茶の後で」

 

「もちろん!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あ~フロリアさんのいれてくれるお茶は美味しいです。」

 

「ふふ、お粗末様です♪」

 

最近はこのような感じに集まってフロリアの出すお茶を楽しみながら各部隊の近況を話すのが日常だが‥‥

 

 

 

 

「と、言うわけで最近ストルがいじって貰いたいが為にエステルにちょっかいかけてるの」

 

「エステル‥‥、ああ。あの子口悪いから」

 

「い、イスルギさん!その言い方は、せめて毒舌と‥‥」

 

「スワンちゃん‥‥、全然フォローになってない」

 

 

 

とまぁ、このようにただの世間話である。

 

 

 

 

 

 

「アサギ、エリス。雷では何かないの?」

 

話し終えたリヴェータは次の番だと雷陣に話を振った。

 

 

「うーんと。あ!この前ログオーズがアフロディテに告白してたわ。」

 

「えっ?!何その組み合わせ‥‥」

 

「というかあれにそんな感情あったんだ‥‥」

 

「リヴェータさん、イスルギさん、ドン引きしないで下さい!ねぇスワンさん!‥‥スワンさん?」

 

「アフロディテちゃんが‥‥、アフロディテちゃんが‥‥‥‥」

 

スワンがショックでオーバーヒートしました。

 

 

「その子、アフロディテと友達だからねぇ‥‥」

 

リヴェータが説明してくれました。

そう言えばスワンもアフロディテも種族が物質です。

 

「それで?アフロディテはなんて?」

 

サーシャが尋ねた。

 

 

「それが‥‥、出来ちゃった‥‥」

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あぅ。」バタッ!

 

「ああ!スワンちゃんがショックのあまりショートした!?だ、誰か!い、医者を!」

 

「いやいやサーシャさん落ち着いて!スワンは機械だから医者じゃなくて機械が得意な人に!」

 

「アサギさん誰か知り合いにいないの?」

 

「ウシュガでも呼びます。あれ?つながらない‥‥」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

とりあえずスワンは少し休めば回復するそうなので隅の方で寝てもらっています。

 

 

 

「我が陣営のファーストカップの誕生ですね!」

 

エルナさんが興奮気味です。多分この手に興味があるのであろう。

 

 

「そう言えば皆さん何時もこっちにいますけどもしかしてマスターが好きなのですか?」

 

エルナが突然爆弾を落とした。

その言葉でそれまで平静を保っていたフロリアさんまでもがお茶を吹いていた。

 

 

「だ、誰があんな奴!」

 

「そ、そうですよ!よく使われるから仲が良いだけです!」

 

「へぇー?てことはマスターはお二人様が好きなのでしょうか?」

 

「え、そうなの?!」

 

「え、ええっと?ああっと?」

 

(うわー、この二人分かりやすい‥‥、多分遊ばれてる。)

 

「まあ、でもこんだけ女の子がいたら誰か興味ある子がいてもおかしくないんじゃあ?」

 

とエリスが言う。

 

 

「確かに、気になりますね。あの人の好み。」

 

「それでは今日の議題はそれにしましょう!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「それでは第1回マスターの好みの女性精霊は?の会を開催します。」

 

アサギの進行のもと会議のようなものが始まりました。

普段この手の話に興味の無さそうなエリスやイスルギも参加していました。

 

 

「それでは私からいきます。」

 

トップバッターはまさかのフロリアさん

 

「フロリアさん何か知ってるの?」

 

「うーん、これは前にマスターさんが仰ってた事なのですけどマスターさんいつもルシエラさんが出るガチャの時はドキドキすると仰っていました。」

 

「ドキドキする?ルシエラが出るかそわそわすると言う意味かしら?」

 

リヴェータとイスルギ、フロリア、エルナは首をかしげた。しかし、雷属性の二人は苦笑していました。

 

「ああ、それはですね‥‥」

 

「実は‥‥」

 

 

二人によると、雷属性の主力にアルドベリクがいるがそのアルさんが前に『ルシエラは居ないのか?』と尋ねたらしくルシエラを持っていないマスターは罪悪感に苛まれたらしいです。アルさんもたまに寂しい表情をする時があり、それがマスターに無言の圧力をかけてるらしくルシエラを当てようと必死になっていたらしいです。

 

 

「あるよねぇ‥‥そんな事。」

 

「そう言えばうちのファムもフィルチが欲しいと泣いていた時期がありました。」

 

 

家族や兄弟、姉妹。仲間に恋人などのいる精霊の中にはどうしても来てほしくてマスターに無理なお願いをする者もいるのです。

 

 

「確か、この中だとサーシャさんはシンシア、エリスはアリエッタ、リヴェータはル‥‥」

 

「イスルギ!それ以上喋ったら殺すわよ?」

 

 

「でしたらイスルギさんですね。」

 

次に爆弾を投下したのはエルナ

 

 

「はぁ?!私!?どうして?!」

 

「あなたこの中ではサーシャさんに次ぐ古参でかなりご活躍もなされているじゃあないですか。それにこの前なんてわざわざ魔道士の家で解放してイスルギ艦隊とか完成させてましたし♪」

 

「確かにそうですね。そこの所どうなのですかイスルギさん?」

 

「た、確かにマスターとは長い付き合いだし前のデータの時も使って貰ってたからそれなりに仲はいいけどべ、別にそんなんじゃないし‥‥」

 

「そこの所どうなんですかサーシャさん?」

 

リヴェータ達は昔事は知らないので最古参で全てを知るサーシャに聞いてみた。

 

 

 

 

「実は‥‥あながち間違ってないかも‥‥」

 

「えっ?!」

 

「げっ?!」

 

「本当ですか?!」

 

「あらあら?」

 

 

「昔、マスターはねぇ。今ほどクイズ力も無くガチャ運も今ぐらいに、いえ今以上に悲惨で戦力も無くて本当に暗黒時代だったのよ」

 

「ガチャ運は昔から酷かったのね‥‥」

 

「でも、いくら当たらなくてもガチャで手にはいる精霊を進化させればいくらでもやりようはあったのでは?」

 

「それが昔の素材クエストはゲリラだったり曜日ごとでなかなか集めにくく、それに事故死も多かった時代だからそもそも素材クエストに勝てないなんてのもあってそれも厳しかったのよ」

 

それでもやっとの思いで進化させてもA止まりばかりでしかもイベントでも中級で殺される有り様でした。

 

 

「ガチャ運がダメ。戦力不足。そんなマスターを救ったのがイスルギだったの。」

 

 

当時、覇眼戦線が始まった時。

マスターは負けるの前提でクエストに突入。

 

しかし、今回は初級でボスドロップがあり、彼は偶然初回でドロップしたのだった。

 

彼はあまりイベントに参加していなくてボスドロップの事を知らなかったでの衝撃を受けました。それから必死に回って回収して初めてのボス産の精霊がイスルギとなったのだった。

 

イスルギの確保はマスターを変えたのだった。

これまでガチャで失敗(本当に何も出なかった)ばかりで戦力強化は運のある人しか出来ないと思っていたら努力すれば手にはいる精霊の存在で彼は大いに元気付いてそれからはボス狙いでイベントに参戦!

 

それにあたってイスルギは長らくマスターの一軍として活躍を続けて最終レアリティがSSになりSが手に入りやすくなったり、生まれて初めて当たりを引き当ててSSを得るまでの間彼を支えてきた。

 

SSの入手成功を受けてデッキから外されてそれ以降は出番が無かったがLが解放された事で再び彼のデッキに戻ってきたのだった。

 

「マスターはよく言ってました。あの暗黒時代を戦い抜けたのはイスルギのおかげでSSが出てからも外したくないって。」

 

「‥‥‥‥‥‥」カァァァ

 

「イスルギ、顔真っ赤よ」

 

イスルギが既に死にかけているがサーシャは止めをさす

 

「ちなみにデータが無くなって立て直しを始めた時、家が解放されると真っ先にイスルギさんを回収に行きました。」

 

 

「キュウ」ばたん!

 

イスルギは落ちた

 

 

「サーシャさん‥‥実際は?」

リヴェータが恐る恐る聞く。

 

「まぁ、イスルギさんに並々ならぬ思い入れがあるのは間違い無いでしょう。でも、マスターの初恋の相手ではありませんよ?」

 

「イスルギじゃあないの?!てか知ってるの!!」

 

「教えて下さい!」

 

「ふふ、それは‥‥」

 

「「それは‥‥」」ゴクリ

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘密です♪」

 

 

 

 






皆様!今日は魔道杯ですね。魔道杯頑張りましょうね♪


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幻魔特区は癒し系



もとは別の話だった2つをくっつけたので文章が少し変な事になっているかもです。


 

 

 

いつものマンションの一室にて、

 

 

「‥‥」チーン

 

息がない。まるで屍のようだ‥‥

 

 

 

「ねぇ。マスターどうしたの?」

 

部屋の隅で死んでいるマスターを見て、もはや居ることが普通になってきたリヴェータが同じ立場のサーシャに聞いた。

 

 

「それがですね。先程魔道杯が終わったのですが‥‥結果が芳しくなくて‥‥」

 

「あれ?うちのマスターって魔道杯にはそんなに積極的ではない気がするけど?」

 

「まぁ‥‥そうなのですが‥‥」

 

 

この話は数日前にさかのぼる

 

 

 

 

 

 

 

 

魔道杯 前日

 

 

 

「まーた、魔道杯か~。」

 

マスターは少しつまらなさそうでした。

この人は一応は古参なのに魔道杯にはてんてん興味ないのです。

 

 

「今回もスルーですか?」

 

「うん、累計報酬だけもらって後はのんびりしとこう。」

 

サーシャは思った。だからいつまで経ってもトーナメント戦が苦手なのだと。

 

 

 

「はぁ、わかりました。既に報酬精霊のイラストが出てると思うので確認だけどもどうですか?」

 

「そうだな。今回の累計は何が貰えるのかな♪」

 

 

 

彼は黒猫を開いてお知らせを見た。

 

 

「おお!タモンさんだ!これはなかなか‥‥ん?!」

 

「マスター?どうされました?」

 

マスターの目付きが変わっていた。

 

 

「サーシャさん!俺今回の魔道杯は挑戦するよ!」

 

「えー!?一体どんな風の吹き回しですか?」

 

「今回のデイリーのホルンブルーノさんとフルートミツボシさんが欲しい!」

 

「‥‥はい?」

 

 

「性能はあまり好みではないけど、ホルン吹いてるブルーノさんがカッコいいし、フルート持ってるミツボシさんとかかなり可愛い!絶対に欲しい!!」

 

 

サーシャは唖然としていた。マスターのあまりの手のひら返しに‥‥‥‥にではなく、珍しく魔道杯に意欲を見せている事に対して。

 

「サーシャさん!今すぐトーナメント用の部隊を召集して!今回のマラソンするよって!」

 

 

「わ、分かりました!」

 

 

 

 

と、言うことで欲望を剥き出しにしたマスターはトーナメント仕様に組んだ部隊を連れて四日間走り続けたが、そもそも魔道杯慣れしていないマスターはトーナメントに苦戦を強いられてランキングが伸び悩み、ホルンブルーノを確保することには成功するが目標の7000にはあと一歩及ばずフルートミツボシを逃してしまったのだ。

 

 

 

 

「なるほどね‥‥。」

 

「マスターかなりショックなようで‥‥」

 

「無理も無いわよ、だってここの所色々あったから。」

 

 

 

この1ヶ月はかなり多忙だった。

 

 

 

 

それなのにここの所良い成果を出せてないマスターはとうとう慣れない魔道杯にまで手を出してしまったのだ。そして、失敗して落ち込んでしまった。

 

 

「ま、去年に比べると雲泥の差よ。贅沢な悩みだわ。」

 

「まあ、確かに去年の今ぐらいに比べるとかなり大きくなりましたね。」

 

 

あのときは戦力の建て直しの最中でとても苦しい時期でした。しかし、マスターが輝いていた時でもあります。

 

 

「レベル100以下とは思えない程の指揮で驚いたわ。」

 

「そう言えばあの時はリヴェータさんがエースでしたね。」

 

「そうね‥‥。私だけでなくもはやアサギも降格よ。」

 

 

リヴェータはこれまでは火属性のエースだったが主力からはずされてサーシャ達と同じになったのだ。

 

 

「はは、思い出したらいきなり‥‥」

 

「リヴェータさん‥‥」

 

 

 

 

 

それからしばらくしてからのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっし!いいぞ!」

 

マスターこと彼は今日は何時にも増して上機嫌でした。

 

 

 

「ねぇ?マスターどうしたの?この間まであんなに機嫌悪かったのに‥‥」

 

 

今日来ているのはイスルギ、スワン、フロリア、エリスである。リヴェータ達はどうやら来ていないようだ。

 

後から来たイスルギは事情が飲み込めていなかった。

 

 

 

ここしばらく彼はずっと不機嫌だった。

 

 

コラボ復刻が思わしくなく、初の全力参戦の魔道杯も後少しでフルートミツボシを逃し、空戦イベントも気に食わなかった等々と黒猫にストレスがあったのだ。

 

 

 

「まぁ、魔道杯に関しては普段慣れない事をした罰と言うことで。」

 

エリスはこのように言う。彼女は前回の魔道杯には参加していないので興味がないらしい。

 

 

「ここのところガチャが爆死し過ぎてますのでマスターが可哀想です。」

 

スワンは相変わらずマスター押しのようで優しいです。

 

 

まぁ、スワンの言うことも最もである。

 

 

マスターは最近ガチャを引いても失敗ばかり、何十連しても何もでないのだ。挙げ句の果てには騎士団が3人(オルハ)も出る騎士団ガードをもろに受けたのだ。

 

 

ショックが大きかったのだ。

 

課金をしない彼が何十連も仕掛けるだけのクリスタルを集めるのは並みの苦労ではないのはその為の作業に駆り出された事のある精霊なら誰でも知っている。

 

同情もする。

 

 

 

空戦も大爆死、ならばせめてクエストを楽しもう。

彼はそう考えて立ち直ろうとした。ところが‥‥

 

 

 

 

「ボ、ボスが‥‥ポイント制だと?!」

 

今回のボスは掘りではなくポイント報酬制でマスターの一番嫌いなパターンでした。

 

マスターのイベントの楽しみの一つはボス掘りである。

彼はシナリオを楽しんだ後は周回してボスを掘り、集めてLにするのが何よりも好きなのだ。

 

 

これはその楽しみをことごとく奪い去り、しかも一体ずつしか手に入らない仕様なのです。

 

 

ガチャに失敗した彼は大抵はイベントのボス掘りでその鬱憤を晴らす。しかし、その捌け口を失ったマスターはLを求めて暴走を繰り返して‥‥

 

 

「更に悲惨な事になって余計に機嫌が悪いと」

 

「お体に障りそうでしたね。」

 

フロリアさんの言うとおりでストレスでかなり参っていたのだ。

 

 

「それがあの復活ぶり‥‥何がどうなってるの?」

 

「それがですね‥‥」

 

 

フロリアさんによると、先日から始まった新イベント『幻魔特区RELOADED2』に参戦したらしいです。

 

ガチャをしたそうだがまた爆死で怒っていたそうだがイベントをやり始めると次第に落ち着きはじめそして遂には、

 

「今回は神イベだぞ!!」

 

と言い出したらしいです。

 

 

 

 

 

「今回のボスは進化不要‥‥つまり、Lの状態でドロップするようです。しかもドロップ率が高いのか先程から大漁です。」

 

「あれ、それだと掘りの苦労も醍醐味だと言ってるマスターにしてみれば物足りないんじゃ?」

 

「それがちゃんと掘り要員としてゼストさんがいるので大丈夫だと‥‥」

 

掘りも出来て、しかも大漁。さらに性能も面白いものばかり、確かにマスター好みの環境が整ってます。

 

 

「でも、水、雷ばかりね‥‥」

 

「それがそれが唯一の欠点ですね。」

 

 

 

 

 

「いや~大漁大漁♪」

 

「お疲れ様マスター」

 

「おっ!、イスルギ来てたのか。」

 

「今回はやる気見たいね。」

 

「まー、前回はサボり過ぎたからね。」

 

ここの所、人気シリーズのイベントだったり、キャラクター人気投票の為の票集めるだったり、レイドだったりと、世の魔道士は忙しいみたいだけど、マスターはここのところ不機嫌で動きが悪かったのである。

 

 

「どうせマスターのことだから投票とかしてないでしょ?」

 

今回からはイベント精霊も投票できるのでマスターが誰に入れてくれるのか皆気になっているのだ。

 

 

しかし、この様子だと望み薄だな。

そうイスルギは思った。

 

 

「うーん、なんか魔道杯やってたらかなり集まってたから千票ぐらいイスルギに入れた。」

 

「えっ?!」

 

「あらあら♪イスルギさん、好かれてますね♪」

 

「ふ、フロリアさん!冗談はやめてよ!」

 

「いや、冗談じゃあないぞ!」

 

「ま、マスター!?」

 

「俺はそろそろいい加減にイスルギの限定が欲しいのだ!」

 

「‥‥マスター、前に魔道杯でイスルギさんの限定を逃したのまだ悔やんでいます?」

 

 

 

「勿論です!」

 

「あきらめなさいよ。どうせマスターが入れた所でイスルギが入賞することはないのだから。」

 

「それなんだけど。これってなんで一人が何票も入れられる仕様にしているの?これでは一部の人達の意向のみが反映される危険が高くない?まぁ、既にあの中間を見て薄々察したけど」

 

「‥‥スワンは、入賞できなくてもマスターが入れてくれるだけで嬉しいです。」

 

「ふふ、そうですね。」

 

「ま、まあ。私に入れてくれた事には感謝するわ。」

 

「スワン、フロリアさん、イスルギ‥‥」

 

 

そこになぜか感動が生まれた。

 

 

「あの‥‥私は?」

 

イベント部門の精霊ではないエリスだけが取り残されてしまったのだった。

 

 

 

その後は幻魔特区で遊び続けた。そして、既にもう次回のイベントに思いを馳せるマスターと精霊達でした。

 

 

 

 

 





次回、またあの企画が‥‥


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新たなる編成と試練

 

 

いつものマンションの一室

 

 

 

今日はいつもの面々のみではなく、各部隊のリーダー達も勢揃いした物々しい雰囲気だった。新エースと旧エースが一同に揃う様子はなかなか見応えがあった。

 

 

 

俺はメンバーを確認した。どうやら欠席者はなし、問題なく始められそうだ。

 

 

「それでは、時間になったのでこれより始めさせてもらおう。」

 

「皆さん、飲み物は行き渡っていますか?」

 

「アルコール無しはこっちですよ~。」

 

 

給仕をしてくれるサーシャさんとフロリアさんがみんなに飲み物を配っている。みんなすでに思い思いのものを手に取っている。

 

 

「みんな飲み物は持ったね?じゃあ、これより雪降る町 ヴィルタの攻略祝賀パーティを始めたいと思います。それじゃあ、ルカさん、乾杯の音頭お願いしてもいい?」

 

「はい!任されました。それでは皆さん思い切って楽しみたら~い!」

 

「「「ら~い!!」」」

 

こうして独特な乾杯をおこないパーティは始まりました。

このパーティはこのエリアの攻略に少しでも関わった全精霊とバックアップを務めた精霊達が全て集また。

 

 

「今回はスタートからの攻略期間が早かったですね。」

 

「一体どんな風の吹き回しなのかしら。」

 

さっそくサラダに手を付けていたリヴェータとアサギが話している。

 

「多分ですけど、今回のコラボイベントの影響が少しあるでしょうね。」

 

「ああ、あれなんか全クリした後みたいな感じだったものね。」

 

丁度二人が話していると新たに三人が話に混ざった。ルカとラーシャ、そしてエルナだ。

 

「今回のイベントははっきり言って楽でしたね。」

 

そう答えるのは現在水部隊エースのルカさん。

 

 

「そもそも今回はエース格のいる部隊は出動してませんからね。」

 

これは雷の新エース、ラーシャさん。

 

 

「つまらん戦だ。と閣下は言っていました。」

 

旧エースの元帥はエルナさんいわく、ここの所出番がないので退屈しているらしいです。

ちなみに閣下は会場の隅で部下と話している。

 

なにやら面白そうな話をしているので俺も混ざった。

 

 

「まぁ、今回はコラボクエストだからね。多分このこのコラボ狙いで来る人達の為に難易度を落としたんでしょう。」

 

それについては俺も同意だ。

まぁ、そうでなくてもここの所、クエストの難易度が上がりまくってたのでたまには楽させて貰っても良いだろう。

 

 

「ただ俺としては今回の掘りに不満があるな。」

 

「マスター、今度はなんですか?」

 

ルカが尋ねてきた。

 

 

「今回のボスはLでドロップで掘りの楽しみがない。しかも進化がLtoLとかヤル気が失せる。」

 

そもそもL素材にする事自体に抵抗がある。

 

「あと、今回も火属性が掘りにない。今火属性を強化したから何か新しい精霊が欲しいところ。」

 

「ボス産が使えるのかしら?」

 

「ちょ?!ラーシャさん、それはマスターに言っては‥‥」

 

ラーシャの発言にアサギは慌てて止めに入るが既に遅かった。

 

「何か言ったかな?」

マスターの顔は笑っている。しかし、目が本気だ。

 

(あ、手遅れ‥‥)

 

 

「だ、だってそうでしょう?」

 

「ほう、そうかそうか‥‥。これだからガチャ産は困るよ‥‥。いいかい!ボス産Lはね!!」

 

 

 

 

二十分後‥‥

 

 

 

 

 

「と言うわけだ。わかったか?」

 

「わ、分かりました‥‥」

 

マスターの長い熱弁にラーシャはもはや抜け殻と化していた。

 

 

(だ、だからダメなのに‥‥マスターの前でボス産馬鹿にするのだけは‥‥)

 

 

(あーあ、やっちゃった‥‥)

 

 

 

「そ、それでマスター、今回の攻略の成果はL精霊三体ですね。」

 

話題を変えてラーシャを助けなければ!守ったらーい!

 

 

「うん、そうだな。念願のキーラさんのゲットで嬉しいよ。これで前データの無念をまた一つ晴らせたよ。」

 

このエリアを攻略してキーラを手にするのは昔の自分の悲願の一つであった。

しかし、その前のアユ・タラを攻略出来ずに指をくわえていた時にあの事故である。

 

「それでわざわざお祝いを?」

 

アサギが皿をテーブルに置く。もう次の料理らしい。

 

「そうだよ、でもそれだけでなくてね。このエリアは新旧エースが総動員したやり遂げた感のある戦いだったからね。」

 

「なるほど、思い入れが強いと。」

 

「あの‥‥やり遂げた感のあるでしたら‥‥」

 

「なんだい?ルカさん。」

 

「はい、ここのところ、皆さん働き詰めのようなので、これを機会に皆さんに休暇を与えてはいかがですか?」

 

「なんと?!」

 

「あ、それいいわね!」

 

「賛成です。」

 

ルカの提案にその場にいた精霊が全員賛成してしまった。

 

「ちょっと!それじゃあ攻略は?」

 

「攻略もなにも、イベントは完走して掘りも終わった。ノクトニアポリスもまだ本前哨戦程度でしょう?」

 

リヴェータさんの言う通りですが、そうじゃなくて!

 

 

「もうすぐ魔道杯ですよ?そんな時に休まれても‥‥」

 

「なら、バレンタインの時みたいにまた臨時部隊を作れば?」

 

「あれは素材クエスト程度だから良かったけれど、それに部隊を3つも一から作るのは大変なんだよ!?」

 

「ならこうしません?」

 

アサギが何か思いつたようだ。

 

「マスターが魔道杯が終わって次のイベントが始まる前に休暇を下さい。」

 

「???」

 

「つまり、休暇の前に部隊作りをすればいいのですよ!」

 

「アサギ、話が飛躍し過ぎよ。多分、マスターわかってないから。」

 

 

アサギが言うのはこう言う事らしい、

 

 

 

臨時部隊編成の辛いのは戦える戦力が僅かでどうやってLを集めるかだ、前は一体で挑戦できるクエストがたまたまあったから良かったけれども今はそうではない。

 

なので、今から作ってしまおう、つまり今から集めた精霊は臨時部隊として使えるようにするのだ。

 

今の戦力で掘りが出来るならばやっている事はいつもと同じなので大した手間ではない。

 

そして、魔道杯には出てくれるとの事なのです。

 

つまり、次のイベントが今から集めた精霊のみで攻略すると言う縛りプレイをするだけだ。

 

だけだ、とか言っているが全然だけとかじゃあないよ、次のイベントが鬼畜だったら完走できないぞ!

 

 

ヤバいぞ‥‥

 

 

けれどもリヴェータの言った通り、既にイベントは攻略済みである。時間と魔力は余りに余っている。

 

 

魔道杯が始まるまでにどれだけ集められるかが次回イベントを攻略できるかのキーだな。

 

「その戦力のカウントに今回手にはいったキーラさん達も入れてもいいか?」

 

「‥‥まぁ、いいでしょう。」

 

よし!これでステアップを確保できた!

 

 

「わかった!休暇を認める。ならば、みんなも戦力集めに尽力して貰うからね!」

 

 

「ふふ、お任せあれです。」

 

「て事は、また昔のイベントに掘りに行くのか‥‥。私達旧エースにも仕事が来そうね♪」

 

 

おお、皆さん(特に旧エース)はやる気だな。それなら休暇の必要性あるのか?

 

 

と、などと考えていたが結局は休ませることに話は決まってしまった。

 

 

その日はみんなので楽しんだが、その会の閉めにこの話をした。酔いが回ってきたみんなにも丁度よいサプライズになって喜ばれた。

 

 

さてと、ノクトニアポリス攻略はひとまず‥‥、いや、魔力がいらないから掘りと平行してやろう。

 

 

やれやれ、イベントが終わったばかりなのになんだか忙しくなってきたな。

 

 

彼が再興して二年目の夏が迫るなか、魔道杯の後にどのようなイベントが来るのか分からないが、はたしてどうなることやら‥‥

 

 

 

 

 

 

 






と言う訳で次回のイベントは縛りプレイで攻略します。お楽しみに♪


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夏イベントに海と縛りは付き物 1



さぁ!始まってしまった夏のイベント!
果たして完走できるのか!‥‥‥‥できなかったらどうしよう。


 

 

 

 

6月30日 4:00頃

 

 

 

日本国はまさに梅雨時であり、至るところ大雨です。

そんな誰しもが少しは憂鬱になるこの季節に黒猫ユーザーの彼はある疑問を抱いていた。

 

 

「どうしてイベントが今日からなんだ?」

 

これは別に俺だけでなく、多くの黒猫ユーザーが思ったに違いない。いつもなら金曜から始まるイベントがなぜか土曜からのスタートなのだ。いつもは金曜の夜にイベントのシナリオを堪能して次の土日のドロップ率アップの時にボス掘りをするのが彼の楽しみだ。

 

 

まぁ、今回は期待を裏切りられてボス掘りのやりがいを奪われた内容なので気にはしてないけど。

 

ここは別の怒りなので取り上げないとしよう。

今彼が疑問にすべき事はない土曜のこの時間にしたことだ。そして、今の状況が彼をこんな思考に陥らせているのだ。つまり、現実逃避だ。

 

 

「なんだかな‥‥」

 

学生の彼は部活動に積極的だ。

今日も練習でちょうどイベントが始まる時間帯からスタートです。しかし、

 

「これは‥‥無理だろ‥‥。」

 

現在の天候

 

豪雨に強風に雷と、三拍子揃ったザ.悪天候だった。

 

 

「こんな中、練習したくないな。」

 

まぁ、この苦難を乗り越えてからの黒猫はさぞや楽しい事だろう。といつもの俺なら思ったであろう。

 

 

 

「今回はどうなることやら‥‥」

 

まさに今回のイベントはこの天候のように苦難が待ち受けている事だろう。しかも、ボス掘りの楽しみが少ない。ああ、ダメだ。なんか急に怒りが‥‥

 

 

帰ったら早速メンバー達と顔合わせだ。

しかし、不安だな。

 

 

 

今回のイベントは長い黒猫人生において初めてとなる縛りイベント攻略だ。その内容は、ある期間に集めた精霊のみでイベントを攻略するという暇なプレイヤーでもしない遊びだ。

 

 

いや、うちの場合は遊びではない。

この手の企画は折れたら主力も使うよ的なことができるがうちではできない。

 

今朝方既にうちの精霊達は休暇と言うことでどこかの異世界にバカンスに行ってしまった。

 

もう後には引けないのだ。

 

 

「あっ!そうだ。」

 

そろそろイベントガチャ始まってる頃だ。

 

「気分転換も込めてガチャ引こう。戦力増強になるかも。」

 

今回のイベントは予想通り、エステレラの続編だった。実は一番攻略の進みが悪いシリーズで今回の戦力集めでここでボス堀りをしていたらイラストの発表があってあれ?と思ってたらこれだよ。

 

正直今回のガチャ精霊の性能はそこまで欲しいと思うものがない。どちらかと言うと前作の方がイラスト的に欲しいので待つべきだが、

 

 

「えい♪」

 

やっぱり我慢できないものなんだねこれが。

なんだか、去年の覇眼3を思い出すね。あの時のガチャもイベント攻略できるかを掛けたガチャだったからね。結果、リヴェータのお陰で完走できたのだ。

 

「そういえば最近使ってないな。」

 

たとえ性能が時代遅れになってもお世話になった精霊だからな。あれ?そういえばリヴェータより古いエリスさんはまだ使えてるな?

 

 

このときのガチャ結果が果たして彼の運命を変えてくれるのかそれともただの引き損だったかは、まだ分からない。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「た、ただいま‥‥」

 

彼はまさに命からがら帰宅した。ずぶ濡れで夏なのに寒いです。いつもならここでサーシャさんなど常連の誰かがお帰りを言ってくれるのだが、

 

「あら、お帰りなさいマスター。」

 

今日は何時もと違う女性の声だ。まぁ、誰かは分かってるけど。

 

「はい、タオルよ。後、みんな集めてるからシャワー浴びてから来てね。」

 

気が利いていて有難いです。

 

「ありがとう、キーラさん。」

 

まさか前データで夢にもまで見ていたキースさんを手に入れられてまさかリアルで会っているなんて、数年前なら考えられないな。

 

「どういたしまして」ニコッ

 

ああ、あの豪雨の中の練習の疲れも吹き飛びます。結局あの雨の中、やったんだよ。近くで雷落ちたぞ!後少しで多分死んだぞ?!

 

 

「何か、考え事?」

 

おっと!キーラさんが心配そうにしている。早くシャワーで暖まって着替えなければ!

 

 

 

マスター着替え中‥‥

 

 

 

 

 

「おまたせ。」

 

「来ましたね。では、始めましょうか?」

 

これからイベント攻略前の最初の会議だ。

来ているのは今回頑張って編成した臨時部隊の各リーダー達である。本当は各属性のリーダーだけのつもりが水属性がかなり多いのでここはリーダーと顔役が二人ほど来ている。なので集まったのは五人だ。

 

 

ちなみに俺があの期間に集めた精霊は全部で30体だ。

その内訳は水14、火8、雷8である。うむ、頑張った方だ。

 

 

 

火属性の臨時部隊のリーダーはタマギク。

 

真夜の紅蝶姫 タマギク・イオリ

 

回復・解答持ちで初心の頃はお世話になった人も多いだろう精霊で、ウィークリーで手に入れた精霊の中ではまだ扱いやすい精霊です。

 

 

水属性の臨時部隊のリーダーはベアトリーゼさん。

 

綺光の聖姫 ベアトリーゼ・テルラ

 

かなり前のウィズセレの精霊でかなり古い精霊です。L化されていはいるが彼女のスキルは旧式化した種族強化である。あまりに戦力が揃わないので一回だけクリスタルガチャを引いたらまさか出てきたのだ。何気に初ゲットなので嬉しかった。

 

 

つづいて、顔役だ。

 

 

開け暗黒の夏 ダンケル・アダムス

 

全てを救済する神 ウルディア・フレド

 

 

うん、古いです。というかどちらも各イベントの黒幕達ですね。てか、今回エステレラですけど、ウルディア様出ても大丈夫なの?なんか恨みとか‥‥

 

「いえいえ、恨んでなどありませんよ。むしろ、怪物に成り下がってしまった私を止めてくれたのだから感謝すらしてますよ。」

 

おお!さすが神様、懐が広い!

 

 

あとはダンケルですがこの人がいる理由は、

 

「夏と言えば私だろう!」

 

だそうです。いえ、確かに夏イベのいかにもな精霊ですけど、それは違うと思う。

 

 

 

雷属性の臨時部隊のリーダーはキーラさんです。

 

 

以上が今回共に戦う頼れる?仲間達である。

 

 

 

「それじゃあ始めようか。キーラさん、今回の攻略の概要を。」

 

「はい、それじゃあ説明するわ。」

 

 

今回のイベントはエステレラ3である。イベント要素は今まで同様ポイントを集めてその数で報酬がもらえるといった面倒な仕様です。

 

前回の幻魔特区やさくらコラボと違い支援システムがないため自力での戦いとなる。まぁそもそも、あの手の要素があるクエストはそれらをフル活用しないと勝てない難易度にされるからそれはそれで安心だけどね。

 

 

ボスは堀りが一体でかなり後半、つまりイベント中の戦力増強は期待できない。

 

そして、最後のボスは水属性と思われることから雷属性の頑張りにかかっている部分がおおきい。

 

「以上が今の時点で予測されることです。」

 

「ふーむ、これは難儀だな。ただの海水浴ではすまなそうだね。」

 

ダンケル学園長が腕を組む。

 

「初戦の敵は?」

 

ウルディア様がキーラさんに聞いています。

 

「水です。なので雷属性部隊の出番です。」

 

「そうですか。では、マスター。」

 

「は、はい!」

 

「貴方は確かガチャを引いたそうですね。何かアタリがありましたか?」

 

「は、はい。一応‥‥」

 

「なら雷部隊は早速出撃しましょう。初級であれば苦戦もしないはず、腕試しも兼ねて今のままで出てみましょう。その間に、引いた精霊を何体か進化させて各部隊に再編しましょう。それでいかがですか?」

 

「うん、申し分無い、採用。キーラさん、行けます?」

 

「もちろん。」

 

 

 

キーラさんが臨時雷部隊を従えて初級に向かった。

 

 

その間に俺はガチャで当てた精霊の内、8体をL化した。これまでゴールドや素材を大量に蓄えてたので久しぶりの進化祭りで楽しかった。

 

 

キーラ達は危なげなく攻略してきたが少し浮かなそうだった。

 

「キーラさん、どうかしたか?」

 

ベアトリーゼが聞いてくれた。

しかし、俺は分かっていた。なぜキーラが暗いのかを。

 

「それが‥‥あまりにまとまりのない上に攻撃役がいないのでこのまま行くと火力不足で苦戦しそうと思って。」

 

確かにそうだ。

何せ急設の部隊だ、数を合わせる為に適当に集めた烏合の衆、メロウとかさくらの魚モドキなどすぐに集められる奴等を並べただけの何の戦略も戦術もないデッキだ。

 

雑魚でもある程度は戦術があれば有効なものだ。

しかし、ここまで種族、スキルにムラがありすぎると戦術も立てられない。

 

「せめて種族だけでも揃えられたら旧式戦術を使って戦えるけど‥‥」

 

水だとベアトリーゼやウルディア様は種族強化だな。

 

だけど不味いぞ、キーラさんが既にその危機を感じるということは火属性はもっと不味いぞ!

 

火属性のリーダーがタマギクの時点でおわかりだろうが特に人材不足が酷いのは火属性なのだ。

 

 

「マスターはん、あちき達も頑張るけん。」

 

「タマギク‥‥」

健気だな。

 

うん、彼女は悪くない。彼女は悪くはないんだよ。彼女を見破る要員にした運営と良い火属性を用意できなかった俺が悪いんだ!

 

「そうだ、マスター君よ。」

 

「何ですか学園長?」

 

「結局君はガチャで何を引いたんだ?」

 

「そういえばそうですね。」

 

「新しいお仲間はんはどげんなお人なん?」

 

「あ、ああ。限定が2枚にその他Aランクが大量だよ。」

 

「で、その限定は?」

 

「マーガレットです。しかも二枚。」

 

「むむ、それは‥‥」

 

「難しいですね‥‥」

 

マーガレットのスキルは5属性もののパネチェンである。もし、5属性揃えられたら使えるかもだけど‥‥

 

「火光と火闇がいない‥‥」

 

火闇はともかく、火光が掘れるクエストってどこかあったか?どこか、どこかないか‥‥

 

その時ウルディア様の見てしまった。

 

 

「な、何ですかな?」

 

「そういえば、ウルディア様の成れの果ては火光でしたね。」

 

「らしいですね。しかし、今の戦力で掘れますかな?」

 

「‥‥ですよね。」

 

これは詰んだか?いや、もしかしたらAランクの中に進化したら火光になるやつがいるかも‥‥

 

「フレデリカは火闇だね。」

 

「後出てる者は火単の者ばかりだな。」

 

既に学園長とベアトリーゼが確認してくれていた。

 

 

「火光‥‥。」

 

うーん、他に思い浮かぶのはギブンぐらいしかない。てか、考えてみたら火光って火闇より少ない気がする。もっと出してよ。

 

 

「まぁ、とりあえず。マーガレットの扱いは保留にして、その他の精霊達はデッキに組み込もう。少しはマシになるはず。それから中級に行こうか?」

 

 

「それよりももう時間ですし、夕御飯にしません?」

 

キーラさんがご飯の提案、確かに部活動から帰って来てからすぐ攻略を初めていて何も食べてない。気が付いたら途端にお腹空いてきた。

 

「た、確かに‥‥。お腹空きました。」

 

「なら、私達が腕をふるいますよ!」

 

キーラ、タマギク、以外にもダンケルも名乗りを上げた。たしか、今ある材料から推測すると作れるのは和食かな?

 

「あ、ウルディア様は和食大丈夫なの?」

 

「ええ、構いませんよ。」

 

 

ところが出てきたのはなんと中華でした。

 

 

吸血鬼に神様に亡国の姫と異色なメンバーでの夕食は案外楽しかった。みんな色々な会話をしている。うん、フレンドリーなことは良いことだ。

 

「マスターは今の黒猫に願い事はあるのですか?」

 

ウルディア様が突然聞いてきた。

 

「突然ですね、ウルディア様は。」

 

「人の願いに興味があるのですよ。願わなければ苦しまずに、望まなければ絶望しなくて済むのになぜ人は願うのかが。」

 

「そうだな。そういえばまだ誰にも言ったことないかもな。俺の黒猫での今の願いは、前のデータでお世話になった、共に戦っていた精霊達と再開したい。少しでも元に戻したい。」

 

「それはほぼ不可能なのでは?」

 

ウルディア様の言うとおりだな。

 

かつて戦友だった精霊達はその年のゴールデンウィークやバレンタイン、ゴールデンアワードなど、二度と手に入らない限定精霊達も含まれている。また最も古い戦友はもうガチャからリストラされてしまった。

 

彼等‥‥かつて最もキツい時に一緒だったBランク達や黄金期を作ったあの時のエース達、そして、その時の限定やコラボ、イベント精霊達‥‥

 

 

もう会えない戦友達、そして、かつて持っていた彼等を他人が使っているのをたまに見ると思ってしまう悔しい気持ち。

 

「いっそのこと、諦めた方が貴方の為ですよ?」

 

諦めたら楽だろうな‥‥

でもね‥‥

 

 

「確かに、全部は無理でも、少しは戻せるなら戻したいです。」

 

「そうですか。」

 

ウルディア様もこれ以上は言わないようだ。

 

「あーあ、本当、運営にはBランク精霊をまた出るようにして欲しいな。せめて彼女らには再開したいよ。」

 

「へー、マスターがそこまで言うなんて、そんなに優秀か可愛い子だったの?」

 

キーラさんが聞いてくる。あれなんだ?女性陣がみんな注目してる。

 

「あの時代は学園長が現役だったね。」

 

「そうだな。クロマグでは特にゼロではその精霊達が出てくるな。そういえば、初めて君と戦った時の精霊達がそうだったな。」

 

「あの時は世話になったな。」

 

思い出した。コイツのクエストは推奨殺しがいたり、コイツがえげつなかったらり色々大変だった記憶がある。

 

「ダンケルさん、この子達はどんなでしたか?」

 

「うむ、お世辞にも強いとは言えなかったな。むしろ、あんな奴等を後生大事にしていたコイツは相当ガチャ運のないと思ったぞ。」

 

 

「はああ 、ダンケル学園長、次の中級は水推奨だから貴方の手勢だけで行ってきてください。」

 

「よかろう!ひと泳ぎしてくる。」

 

ダンケルは食べあげると立ち上がり出掛けていった。

 

 

「ダンケルさんに手勢とかいたの?」

 

「ああ、だから顔役なんだ。」

 

「しかし、彼の手勢だと‥‥」

 

ウルディア様は少し困惑している。

 

「まあ、負けても様子見できるから別に♪」

 

「う、うわぁ‥‥」

 

 

 

 

 



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夏イベントに海と縛りは付き物 2

 

 

 

某異世界

 

 

 

 

「うわ~♪」

 

「きゃははは♪それっ!」

 

「やったわね、お返しよ!そーれ♪」

 

 

 

休暇を貰った彼の精霊達はとある異世界のこの綺麗な海にやって来ていた。

 

 

「キシャラさん達楽しそうですね。」

 

「あら、クリネアさん。でしたらあなたも混ざってはいかがです?」

 

「羽が海水に濡れるのはちょっと‥‥」

 

「あらあら。」

 

 

パラソルの下でクリネアとフロリアが涼んでいる。

他にもいくつかパラソルはあり、隣のパラソルではラーシャが読書をしている。さらにその隣ではウシュガが何かしているが‥‥

 

 

 

その他にもルリアゲハなどの水光はサングラスで日光浴を、キュウマや一部の軍属の者達は競泳に勤しみ、チェルシーやリルムたちはスイカ割りをしているが、

 

 

「おいこら小娘!私は棒ではない杖だ!ま、待て、目隠しをするな!人の話を‥‥私を振り上げるなぁぁぁぁ‥‥」

 

しかし、ロアはスイカに当たらず砂に叩きつけられただけであった。

 

 

(‥‥皆さん、思い思いの方法で楽しんでいますね。)

 

 

「あっ!フロリアさん、クリネアさん。」

 

「スワンちゃん、遊ばなくてもいいの?」

スワンが二人のいるパラソルにやってきた。

 

「私機械ですから、もしかしたらが恐いので。」

 

「なるほどです。」

 

「あの‥‥リヴェータさんにアサギさん、サーシャさんは?」

 

 

「彼女達ならあそこです。」

 

クリネアが指さしたのは少し離れた所にある木でできたバーのようなものでした。

 

 

 

 

 

 

 

「「はぁ~」」

 

そのバーの中ではリヴェータとアサギが飲んでいた。

 

 

「何なのよ‥‥。この間までエース部隊だったのに、AS3倍のスキルなんて持ってる奴が来たから降格されてそれっきりよ‥‥」

 

「私も‥‥単属性デッキがまだ主流なのに降格ですよ?なのにエリスさんはまだ現役なんて‥‥」

 

「彼女、LtoLが出たからねぇ。」

 

「私にもください!LtoL!」

 

「それよ!!」

 

二人は飲んでいたカクテルを一気に飲む。

 

先程からこの調子でエースだったのに降格されそれ以降出番がなくなった彼女達はここでやけ酒を浴びていた。

 

 

「マスター、もう一杯おかわり。」

 

「私はウイスキーを。」

 

 

「あの‥‥飲み過ぎには気を付けて下さいね。」

 

シェイカーを振っているのはサーシャさんだ。

ずっと彼女達にアルコールを提供させられているのだ。

 

 

「それにどうして私がこんな事を‥‥」

 

「また活躍したいな‥‥」

 

「もう素材クエスト要員なんて、いやです。」

 

二人は泣きはじめた。これもさっきから繰り返しだ。二人とも泣き上戸なのにすぐ泣き止んでまた飲んで泣いて‥‥。

 

 

「そろそろ可愛そうになってきました。」

 

「サーシャさん、おかわり。」

 

「はいはい、まったく今回だけですよ。」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

翌日

 

 

その頃マスターとキーラ達はイベントの攻略を再開していた。

 

 

「マスター、ダンケルさんが中級を突破しましたね。」

 

「そうだね。流石に中級では負けないよな。」

 

「思ったのですが、このデッキはなんですか?」

 

キーラさんも気づくよね。

 

ダンケルのデッキは回復要員が一人もいないのだ。

なのにダンケルのASは大した火力もないのに毎ターン10%の体力を削るのだ。

 

つまりノーダメで行っても十回攻撃したら自滅するのだ。

 

「まぁ、勝ったからいいでしょう?それより次は上級だけどそろそろ真面目にやろうか。」

 

次は火属性推奨のクエストだ。

 

はたしてタマギク達に突破できるのか‥‥

 

 

「とりあえずチャレンジかな?」

 

 

臨時火部隊

 

 

タマギクをリーダーに

 

紅蓮鳳凰炎煌伸 マオ・パイロン

 

死界の獄犬 ネブラフィス

 

白日に見る貴方 夢の存在

 

焔昏竜 ラグナバース

 

 

で編成された。

 

 

「いくぞ!」

 

まずは上級に入った。まずは序盤戦だが2ターン程で突破した。

 

 

「うむ、少し手間がかかるな。」

 

「マスター今何か仕込みましたね?」

 

ウルディア様が聞いてきた。流石神様、鋭いですね。

 

 

「まぁ、なんも勝算もなく精霊を犬死にはさせませんよ。」

 

「先程ダンケルを自滅させようとした奴の言葉とは思えないな。」

 

ベアトリーゼさん手厳しいですね。

 

「夢の存在がラーシャさんと同じスキルだから使えると思って入れたけど、正解のようだね。」

 

敵を倒しただけ攻撃力が上がっていく。

これで他の精霊達の攻撃力を補正して、後は犬の連撃とかで叩くだけ。

 

後はタマギクとか夢の存在が回復もしてくれるから安心。

 

 

 

「即席にしてはなかなか機能してるな。」

 

「あ、学園長。泳ぎはいかがでしたか?」

 

ダンケルが帰って来た。

 

「なかなか楽しかったぞ。」

 

 

 

結果、上級は呆気なくクリア。

そのまま封魔級に突撃させたがここも難なくクリアしてしまった。

 

「多分、勝因は夢の存在だな。」

 

「さくらイベントのハード頑張ってクリアしていて良かった。」

 

さくらの最終ステージのボス戦はなかなか鬼畜なもので勝つだけでも大変なのにその大変なクエストに限って全問エクセレントでクリアしろだから達が悪い。

 

 

「次はペスカとかいう少年がボスとして出る掘りクエだな。」

 

「火属性だから次は水の出番かな?」

 

 

封魔級が終わったのでさっさと次の攻略会議だ。

 

 

「次の編成どうしますか?」

 

キーラさんが尋ねてきた。まずは様子見を兼ねてできれば一発で勝てるようなデッキを組みたいから、まずはまとまりのある部隊を作ろうかな。

 

 

「ベアトリーゼさんかウルディア様がリーダーで出て欲しいな。」

 

まぁ、折角のエステレラだから、ここはウルディア様に任せるか。

 

「よろしいでしょう。ダリアなんぞに踊らされた少年ぐらい私が解放して差し上げましょう。」

 

ウルディア様がカッコよく見える。

 

「お願いします。早く解放(ドロップ)してきてください。」

 

「分かりました。」

 

 

と言うわけで組まれたのが、

 

 

ウルディア様がリーダー

 

 

このへんの海の女神 ミーテ・マレア

 

引き際を知らぬ神 リッキー・リック

 

其は新しき光 シャロン・イェルグ

 

昏き水に蠢く インベル・ゲッタ

 

 

 

「どうにか神を集めてみたけどこれが限界だな。」

 

「あの‥‥なんだか変なものが混じってますけど?」

 

「キーラさん、変なものってそれは貴女のエリアのボスですぞ?」

 

「どうしてスキルなしの精霊なんて入れているのですかと言っているのですよ!」

 

「だって‥‥ステータスはなかなかいい感じなんですよ。どうしてスキルがないんだろうね。変なスキルでもいいからもしスキル持ちだったら使う人も多いと思うけどね。」

 

 

 

 

 

「解放されなさい。」

 

ウルディア様率いる部隊ははじめから苦戦を強いられていた。

 

道中も回復がシャロンのみなので一問でも間違えるとキツイところである。

 

 

「なんとかボス戦まで行けたぞ!」

 

「マスター、慎重にですよ?」

 

「わかってる。」

 

とりあえずシャロンのダメージ強化を使って威力を上げてから攻撃をはじめた。

 

両脇の敵は呆気なく落ちていくがペスカは諦めない。

 

「願わなければ、絶望しないのに。」

 

「うるさいうるさい!」

 

な、なんかこの二人話合いそうだな。

てか、ペスカ君、初恋失敗お疲れ様です。

 

 

 

「よし!トドメだ!」

 

彼はクイズパネルを押した、しかし、

 

 

「あ、やば!間違えた!」

 

「うわぁ!ウルディア様達が!」

 

クイズ外して敵の攻撃が来る。これは死んだと思ったら何とか生き延びて次の問題は外さずどうにか勝てた。

 

 

「ひ、冷や汗が‥‥」

 

「やってくれたわね。これでサブクエは失敗ね。」

 

「え、てことは‥‥」

 

「またやり直し。」

 

「そ、そんな‥‥」

 

それからウルディア様達のデットレースが始まった。

 

 

そして、四回目でようやく全問エクセレントでクリア。

 

 

「貴方は私を殺す気ですか?」

 

ウルディア様が少し怒ってます。

 

「ウルディア様こそ一回もペスカをドロップしてませんじゃあないですか。」

 

「いや、そもそも勝てたのが2回だけですが。」

 

「まぁ、ペスカは掘りはまたにして次が正念場だぞ。」

ダンケルの言葉でとりあえずケンカはストップした。

 

次がいよいよ最終関門である。

気合が入る。

 

 

最後はダリアがボスの水がメインのクエスト、当然推奨は雷なのでキーラさんの出番である。

 

 

 

編成はキーラさんをリーダーに、

 

『疾風』に秘められた力 ことさくらの魚モドキ

 

アフロディテ

 

イリ&ジン

 

ラエド

 

 

である。

 

 

 

「それで作戦は?」

 

「残念だけど、作戦を立てられるほど雷も揃ってないからなぁ。強いて言えば回復持ちをたくさん用意して簡単には殺されない布陣にしてます。あとは、ラエドが道中の掃除役かな。」

 

「ああ、たしか魔法生物に特攻があったはずだな。」

 

「学園長の言う通りです。見たらあの海獣どもは魔法生物だったのでちょうど良いかと。」

 

 

「わかりました。とりあえず行ってみる。」

 

キーラさんがクエストに入りました。

 

 

「うわぁ、やっぱり敵が5体もいるよ!」

 

「これはきついぞ!」

 

「お、落ち着け!まだラエドがいる!あいつは全体攻撃だからもしかしたら。

 

しかし、敵は生きていた。

 

「‥‥どうしよう?」

 

「持久戦しかないですね。」

 

「そ、そんな‥‥」

 

しかし、それ以前に途中で問題を間違えてしまい結局退却した。

 

 

「どうする?あの様子だと仮にボスまで行っても刺さらないかなぶり殺されるかもだぞ。」

 

「それ以前に長期戦になると、マスターが誤答するから厳しいです。」

 

うるさい、そもそもサブクエがいけないんだ。

 

 

「やっぱり、火力不足かな。」

 

「せめて一人でもいいから攻撃のエースがいればいいのだけれど。」

 

 

うーん、火力か‥‥

 

そうだ。こうなったら奥の手だ。

 

 

「魔道杯報酬を使うか。」

 

「魔道杯報酬?しかし、モーニンググローリーは水属性ですが?」

 

「いや、もう一体いるだろ。苦労してデイリーで入手した。」

 

「ああ、あの口の悪い子ですか。」

 

「ウルディア様、そこは現代風と呼んでください。でないと、今時の子がみんな口が悪いみたいですよ?」

 

いやキーラさん、あながち間違ってないから訂正させなくてもいいよ。

 

さて、彼女はたしか、単雷デッキで力を発揮するから‥‥

 

 

「申し訳ないけど、キーラさんはサンフラワーとチェンジで、後だめ押しで魚モドキをサイラスに変更して火力を上げる。」

 

「しかし、ステータスの火力は魚モドキの方が上だぞ?」

 

「ASがサイラスの方がマシだ。そもそも魚モドキが動くまで時間がかかりすぎる。」

 

 

「でもサイラスなんかで‥‥」

 

「まぁ他にマシなのいないし、いいんじゃあない?」

 

この適当なのが後で効を奏した時、俺は過去の自分を誉めた。

 

 

 

 

かくしてエニグマサンフラワーをリーダーにした改変デッキで覇級を再挑戦した。

 

その結果は、

 

 

「よーし!いけるぞ!」

 

「マスター後少しですよ!」

 

「ここで誤答が無ければ‥‥」

 

「お、お前ら、やめろ、本当に間違えたらどうする!」

 

落ち着け‥‥

 

今出てるパネルは

 

雑学(火) ニュース(水)

 

文系(三色) アニメ(雷)

 

 

うぐぐ、これは悩むぞ。雷は1つだけ。しかし、アニメか。たまに変なのが来るから油断できないジャンルなんだよね。

 

一番得意なのはニュース、文系だけど水と三色だし、いや文系なら三色でもいけるか‥‥

 

でももし間違えたらどうする?!

 

 

クソっ!イリ&ジンのパネチェンはさっき使ったしな。

このニュースが雷ならば‥‥

 

 

「マスター。」

 

「ベアトリーゼさん、今悩んでるから‥‥」

 

「いや、もしニュースの件で悩んでるのならサイラスを使えばよいだろ?」

 

サイラス?

 

たしか、こいつのSSは‥‥

 

 

1チェインプラスのパネチェンだ!

 

 

「ベアトリーゼさんありがとう!」

 

パネルチェンジで問題は解けたも同然!

 

 

「よし!いくぞ!これが俺の、俺と臨時部隊の皆の力だ!」

 

 

俺は答えを押す。

 

 

それによって部隊の総攻撃がダリアを襲い彼女は倒れた。

 

これによりこのステージはクリア、そして、

 

 

「今回のイベント完走だ!やったぞ!」

 

「まぁ、ノーマルがですけどね。」

 

き、キーラさん、折角皆が勝利に喜んでいるのだからね?

 

 

「臨時の急造部隊にしてはよくやりました。」

 

「これは君の気合いの成せたことだよ。」

 

「私、出番がなかったな。」

 

ウルディア様‥‥学園長‥‥ありがとう。

ベアトリーゼさん、すいません。

 

 

さて、ハード攻略は流石に今のメンバーでは荷が重いので主力が戻ってからだな。

 

しかしそれ以外にもペスカ君を殴りに行ったり、集めた輝石を納めるクエストとかあるからまだ終わりではないかな。

 

 

「みんな、もうしばらくよろしくお願いします。」

 

はい!

 

おうとも!

 

ああ!

 

わかりました

 

ええ

 

 

 

 

 

 



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真夏のバカンスと陰謀 part1




 

 

いつものマンションの一室

 

 

 

「いやー今回の覇眼イベントも面白いかったな!」

 

マスターこと彼は今回イベントに参加した部隊のリーダー達と攻略後の反省会で感想を述べていた。

 

 

「何よりもボスだ、今回のボスは絵が素晴らしい!セツナとサキアは艦隊にしたいぐらいだ!」

 

「彼女達は艦隊性能ではないでしょう?」

 

マスターの発言に胃を唱えるのは覇眼2のルミア。

今回は覇眼の精霊達がかなり参加している。

 

「いえ、そもそも艦隊はその人の好きな精霊で統一したお遊びデッキの事を言うから間違いではない。」

 

彼女はペトラ。

 

マスターが前データの時に欲しがっていた精霊だ。

前の復刻で引いたら念願が叶った。今では準主力部隊のリーダーだ。

 

「ふん、くだらん‥‥」

 

そのとなりでつまらなそうにしているのは今回の主役のアリオテスの父親のイリシオス・ゲーさん。

 

他にもスワンとルリアゲハ(メアレス4)が来ている。

 

 

「てか今回は主力はほぼ使ってないわね。」

 

今日はルリアゲハさんがお茶を出してくれた。

 

「ハードの攻略も進んでいますけど、サキアさんの所で詰まってますね。」

 

「マスターは無能‥‥」

 

「ル、ルミア?!し、仕方ないだろ?だって、サブクエが4体以下だし‥‥」

 

「ごめんマスター、私が悪い‥‥」

 

「ペトラさんは悪くない!悪いのはガチャ運と戦術眼のない俺だから!」

 

「やっぱりマスターは無能。」

 

「だから違うって!ああもう!!」

 

「なんなんだこの会議は‥‥」

 

 

 

「それにしても、今回はリヴェータほぼ出てないな。」

 

「世代交代ですかね?」

 

「いやスワン、考えてみろ?あのリヴェータだぞ?あの出たがりがそう易々交代なんてするか?」

 

「た、確かに‥‥」

 

「じゃあどうして?」

 

「あの小娘なら最近寝てるぞ?」

 

まさかのアリオテスパパから情報が‥‥

 

「そうなの?」

 

「そう言えば最近見ませんね?」

 

「それなんだけど、最近リヴェータをはじめとした主力の連中があの休暇の後からかなりお疲れみたいだけど、何か知らない?」

 

もしかして最近疲れてるから今回のイベント出番減らしたのかな?

 

 

「あれ?聞いてないの?」

 

「ルリアゲハさん知ってるの?」

 

「ええ、て言うか誰もマスターに言ってないの?」

 

スワン「もう誰か言ってるかと‥‥」

 

アリオテスパパ「興味ないな‥‥」

 

ルミア「私休暇は別行動だった。」

 

ペトラ「私その休暇の後に来たし。」

 

 

「もういいよ‥‥」

 

何があったんだ‥‥

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それはマスター達が縛り攻略を敢行していた時でした。

 

 

 

「島でバカンスってなかなか息な企画よね。」

 

バーでやけ酒を煽っていたリヴェータ達はルリアゲハ達パラソル組と合流して今度はトロピカルジュースを手に話に華を咲かせていた。

 

 

「今回企画したのは何方でしたっけ?」

 

「んんー!ボクじゃあないよアサギ先生!」

 

「誰もウシュガに聞いてません。それよりアナタずっと近くの洞穴に込もってましたけど何やってたのですか?」

 

「いや、そもそもいつの間にいたの。」

しかし、リヴェータのツッコミはスルー

 

「やだなーアサギ先生。やましい事は何もしてませんよ?」

 

「‥‥それで、話を戻しますけど。」

 

「アサギさん、今回の企画はエリスさんがしてくれました。」

 

「ヘェーあの子がねぇ。」

 

「そう言えば、今日はお姿は見えませんけど‥‥」

 

「どこに行ったのかしら?」

 

ルリアゲハ達が思った事を口にしていた。

 

 

「あっー!」

 

突然クリネアが叫んだ。

 

「うわっ!突然どうしたの?」

 

「今日ルカさんとユッカさんがライブをやるんです。もうすぐ始まっちゃいます!」

 

「あら、なかなか面白そうね?」

 

「折角だからみんなで行きましょう。ウシュガ、アナタもですよ?」

 

「うひぁ!?」

 

 

ライブの話題でエリスの事は一旦忘れ去られた。

 

 

 

 

 

 

 

ビーチからかなり離れたとある所にて‥‥‥‥

 

 

エリスは禍々しい魔力を放つ男と会っていた。

 

 

「約束通り、みんなを島に呼び寄せたわよ。」

 

??「ふふふ、よくやってくれた。これは約束の礼だ。」

 

男はエリスに金塊を渡した。

 

??「ここまで計画が上手くいくなんて、やはり世の中金かな?」

 

「止めて、どこぞのソフィーが飛んで来るわよ。」

 

 

それにアナタに彼らを倒せるかしらね?

まんまと手を貸した私が言うのもなんだけどね。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

島の内部、ジャングルの中を進むのはアルドベリクをはじめとする雷の面々とサクトなどの火属性の面々である。

 

 

「アルドベリクさん、どこまで行くんです?」

 

「何もしないと体がなまるからな。強いて言えば奥までだ。」

 

「な、なんてアバウトな。」

 

「嫌ならお前の隊は付いてこなくもいいぞ?」

 

「いやいや、比較的新参者の集まりのうちが訓練しなくてどうするんですか!」

 

「ふん、好きにしろ。」

 

「はい、好きにします。」

 

アルドベリクはやれやれと仲間を連れて歩き始めたが何かに気が付いた。

 

そしてまた歩き始めたサクトをアルドベリクは突き飛ばした。

 

「イテテ‥‥何するんですか?!」

 

「サクト!よく見ろ!」

 

「え?なっ!これは!」

 

先ほどまでサクトが立ってい所に矢が刺さっていた。

 

そして、ジャングルの奥から何やら原住民らしき者達が大挙とした押し寄せてきた。

 

「殺せ!」

 

「皆殺しだ!」

 

 

「な、何だよアイツらは!」

 

「サクト、お前達は戻って他の奴等に伝えろ。」

 

「アルドベリク達は?」

 

「俺達はアイツを仕留める。」

 

この集団の向こう、何やら女がいて命令を出している。

 

「あの女がリーダーだ。ならば頭を潰せばいい。」

 

「なら俺達も!」

 

「ダメだ。」

 

「けどよ!」

 

「俺を助けたいなら、早くこの事を伝えて応援を呼んでくれ。」

 

「はっ!わかった!待ってろ、すぐに呼んでくる。」

 

「そうか。」

 

こいつがクィントゥス並みに扱い安くて助かる。

 

 

 

「かかれ!」

 

女の指示で奴等は武器を構えた。

 

 

「我らも行くぞ!」

 

アルドベリク隊、グウィンと対決開始

 

 

 

 

 

「待ってろよアルドベリク。」

 

「サクトさん!前方から何か来ます!」

 

急ぐサクト達の前に頭が三つある蛇のような化け物が現れた。

 

 

「な、何だよコイツは!」

 

「逃げしては‥‥くれなさそうですね。」

 

「仕方ない、殺るぞ!」

 

サクト隊、エクシュと対決開始

 

 

 

 

 

「各クエストにて戦闘が始まりました。」

 

「そうかい、ならお次は我らだ。」

 

 

 

彼女達の休日は何者かの手により戦場へと誘われてしまっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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真夏のバカンスと陰謀 part2

 

 

アルドベリク達が戦闘を開始したころ、ビーチではルカとユッカによるライブが始まっておりその盛り上がりによって戦闘の音は書き消され誰も気付いていなかった。

 

 

 

「うーわ、すごい盛り上がりだこと。」

 

「流石はアイドルにして現役水属性エースと雷のダークホース様だね。んんー!」

 

「あれ?ウシュガはこんなのに興味はないと思ってましたが?」

 

「んんー!ほら?人気者は人気者について知っておかないと?」

 

「ネタにされてる人がよく言いますよ。」

 

アサギ達は特等席でライブを聞いていたが、会場は既に彼女達のファンでいっぱいだった。よく見るとルカのファンがおにぎりの形をした紙を、ユッカのファンは歯車の形をした物を持っていてる。

 

「ファンか‥‥同じマスターの精霊なのにここまでファンを作るなんて‥‥」

 

「そうだけど、同じマスターの精霊と言う陣営の中に派閥みたいなのができるのは不味いんじゃあ?」

 

「ルリアゲハさんの疑念も最もですけどそれは組織の場合では?」

 

「確かに、ここは組織って呼ぶには自由過ぎるわね。」

 

「それにしても、クリネア達も大変ね。」

 

今頃会場の舞台裏ではステージの仕掛けを動かしたり二人の衣装の着替えを手伝ったりとルカとユッカが所属する部隊の精霊達が奮闘していた。

 

「あのステージを作ったのはハツセさんでしたっけ?」

 

「んんー!そうらしいですよ。ちなみにライブのフィナーレには花火が上がる仕掛けらしいですよ。」

 

「てことはもうそろそろかしら。」

 

確かにライブ会場のボルテージは最高潮に達してる。

曲の方も一番盛り上がる所に近づきつつあり、ここで花火なんて上がれば更に盛り上がるのは間違えないだろう。

 

 

ところが、

 

 

突然ライブ会場の一部が爆発した。

 

 

「な、なに?!」

 

「花火の不備?!」

 

 

しかし、爆発は一度のみではなく何度も起こった。

リヴェータにはしっかり爆発の前に何か光るのが見えた。

 

「違う、これは事故なんかじゃあないわよ!敵襲よ!」

 

「まさか?!あり得ない。」

 

「まさかも何も、現に起こっているこれは明確な攻撃よ!ウシュガ!」

 

「うぎゃ?!」

 

「アンタは早く機械でも何でもいいから情報をみんなに伝達して!早くこの騒ぎを止めないと取り返しのつかない事になるわ!」

 

「んんー!わかったよ!」スタ スタ

 

「リヴェータさん?取り返しのつかない事とは?」

 

「スワンちゃん、もしもここで会場を作りライブをすると敵は知っていたとするわ。私ならここで何でもいいから騒ぎを起こして混乱を引き起こすわ。」

 

「な、何の為に‥‥」

 

「はっ!そうですか!」

 

「そうよアサギ‥‥敵はこの混乱を突いて攻めて来るわよ。」

 

「で、でもそれが本当なら敵にここでのバカンスを教えた人がいることになります!」

 

「確かに、仲間の中に裏切り者がいるとは考えたくないわね。」

 

「そうね‥‥でも丁度1人いるわよ?」

 

「ルリアゲハ?」

 

「いつもなら私達とつるんでる子でしばらく顔を見せてない子。そして、この島へのバカンスを企画した張本人がね。」

 

「ま、まさかエリスが裏切り者なの?!」

 

「そ、そんな!?エリスさんに限ってそんな事は‥‥」

 

「リヴェータ様!」

 

いつもリヴェータに従っている帝国兵達がやってきた。

 

「アンタ首尾は?」

 

「はっ!既にリヴェータ様、アサギ様、ルリアゲハ様の隊の者には事情を伝えて編成させています。しかし‥‥」

 

「しかし‥‥なによ?」

 

「恐れながら報告します。敵と思われる魔物の群れが間もなくこの会場を襲います。編成は間に合いません。」

 

「はぁ?!」

 

この会話のすぐに会話の真ん中に敵の攻撃が放たれた。

 

 

「フフフ、無様だな!」

 

数多のタコの魔物を従えて海からやってきたのは魔導都市トランディアだった。彼女が攻撃をしていた犯人だった。

 

「あ、あいつは‥‥誰?」

 

「リヴェータさん?トランディアですよ?!アルティメットガールズ2のボスの!」

 

「てことは、この島はアルティメットガールズ2のクエストの舞台になったあの‥‥」

 

「その通りだ!」

 

アサギの問に答えたのはトランディアの隣にいる禍々しい魔力の男だった。

 

 

「我こそは!魔導王!ブルル・アルガムナドだ!」

 

「その魔導王なんかが私達に何のよう?」

 

ルリアゲハが皆の思っていた事を代表して言ってくれた。

 

「お前ら!いつまで経っても我らのイベントクエストに攻略に来ないではないか!!」

 

ああ、そう言えばマスターが優先度が低いとかやる気がないとかでずっと放置してましたね。

 

 

「だからこっちから来たやった、いや!来るように仕向けてやったのさ!」

 

「折角の休みなのになんて迷惑な!?」

 

「五月蝿い!魔物どもかかれ!!」

 

アルガムナドの命令で魔物の群れが押し寄せて来た。

 

しかし、タコ達は次の瞬間に刺身に変えられていた。

 

 

「な、何だと?!」

 

「はい、一丁上がり!」

 

「あっ!イスルギ!」

 

「正確にはイスルギ達ですね。」

 

なんと、五人のイスルギがタコ達に切りかかっていた。

 

 

「イスルギの分身‥‥じゃあなくてイスルギ艦隊か。」

 

「ほら!私達がここの雑魚を押さえるからアンタ達はあの馬鹿二人を倒して来てよ!」

 

「言われなくても!」

 

「あっ!リヴェータ様、アサギ様ストップ!」

 

「何よ?!兵士!」

 

「お二人は行けません。相手は水推奨です。」

 

「なら、ここは私の出番かしらね?」

 

ルリアゲハがいつの間にか集合していた仲間と共にトランディアに挑もうとした。

 

 

「ふふ、私に勝てるとでも?」

 

「最新の水光デッキの恐ろしさをたっぷりと味あわせてあげるわ!」

 

「面白い来い!ひぁ?!」

 

突然トランディアが海に落ちた。

 

 

「へ?」

 

「え?」

 

これにルリアゲハ達も敵も驚いていた。

 

 

「ほう?面白い事になってるではないか?」

 

「あ、あれは?!」

 

「げ、元帥!?」

 

沖から現れた船の先端にいるのはベルク元帥に率いられた水戦士部隊だった。

 

どうやらトランディアを落としたのは元帥らしい。

 

「な、何をする?!」

 

「お前の相手は私がしよう。退屈しのぎにはなるだろう。」

 

「な?!嘗めるなよ!?」

 

元帥部隊

 

トランディアと戦闘開始!

 

 

「‥‥。」

 

「‥‥。」

 

「‥‥な、なら今度こそ。私は敵の親玉でも仕留めようかしら?」

 

「‥‥あ?ああ!そうだな!我らも戦うとしようか!」

 

「らーい!」

 

「むぎゃ!?」

 

今度はアルガムナドが海に落ちた。

 

 

「よくも!私達のライブを台無しにした上に皆の休暇を危機に陥れたな!」

 

「えっ?いやその‥‥」

 

「皆の休暇を守ったらーい!!」

 

「え、えい?!こうなればお前らと勝負だ!来い!小娘が!」

 

ルカ部隊

 

アルガムナドと戦闘開始

 

 

「あちゃー。」

 

「これはあのボスが可哀想だわ。」

 

「うん、だってね‥‥」

 

 

「キシャラちゃん!パネル!」

 

「うんオッケー!」

 

ゴールデン2018のキシャラのパネチェンの効果で攻撃力がプラス400もされる。

 

そこにルカのAS威力3倍が加わり、キシャラならASが3連撃で250でしかも属性強化付きです。しかも他の精霊のASも似たような者で構成されており、ルカとキシャラのコンボが炸裂して恐ろしい威力になるのだ。

 

もし仮に生きていても、ハツセの張ったダメブロによって完全にガードされてしまい、旧式のボスであるアルガムナドにはどうすることも出来ずに倒されてしまった。

 

 

「これがパワーインフレの結果よ。」

 

「クワバラクワバラ‥‥」

 

 

アルガムナド戦死

 

 

その頃、元帥とトランディアの対決も、

 

 

「食らえ!」

 

元帥のSSが発動!

 

敵単体に無属性の1500のダメージが入る!

既にトランディアはボロボロである。

 

 

「クッ!だが!お前ら!パネルは既に複色に囲まれている。次の攻撃に繋げられまい!」

 

ここで奴らが誤答すれば時間を稼げる!

そうすればまだチャンスがある!

 

「フェリクス!」

 

「はいよ!」

 

ゴールデン2017のフェリクスによるスキルチャージで元帥をチャージ、スキルの発動準備ができた。

 

「うっそん?!」

 

「はは!悪いな。うちの元帥は二回連続に撃てるんだよ。」

 

今でこそダブルスキルとかがいるが昔はそんな大層な物をうちの陣営が持っている訳などないからな‥‥

 

 

「こうやって代用してましたとさ!」

 

「つまらん戦だったな。お前にもう用はない。」

トランディアもアルガムナドの後を追って海の藻屑となった。

 

本来ならトランディア、アルガムナドの順番にクエストを進めるのに逆なのだからおかしな話である。

 

海での戦いが終わった頃にはジャングルでの戦いも終わっており、アルドベリク隊もサクト隊も帰って来た。

 

 

出番のなかったリヴェータ、アサギ達はころころ逃げようしていたエリスを捕縛、彼女は最後までこの件には無関係だと証言したがアルガムナドから貰った金塊が見つかったのと、取引の現場をインゴットソフィーに見つかっていた事が分かって逃げ道はなかった。

 

 

こうして無謀にも現在の力に挑んでしまった過去のボス達の企みも無惨にも返り討ちを受けるだけで終わってしまった。

 

 

その日の夜にまたライブはどうに無事に再開さた。

ライブに勝利の宴と夜のビーチは大にぎわいとなり、イスルギ達が捌いた大量のタコで料理が振る舞われた。

 

「んんー!今度こそ締めの花火だよ!」

 

修理に協力したウシュガの新しい花火がライブのみならずバカンスの宴の締めとして盛大に打ち上げられた。

 

 

「綺麗です♪」

 

「らーい♪」

 

「うわー!」

 

「さーて、次がラストだよ!それダンケル式特大花火!んんー!」

 

「ダンケル式?」

 

ウシュガの操作で大きな花火が上がった。

その花火は先の戦いでボコられたアルガムナドをはじめとするボス達とエリスの顔だった。

 

 

「エリスさん?!」

 

「ありゃりゃ、これはまた‥‥」

 

「アイツらは罰として花火の筒に詰めときました!」

 

 

「まぁ、綺麗だからいっか?!」

 

「そ、そうですね♪」

 

 

 

 



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マスターのスキルを鍛えよう!

 

 

 

いつもマンションの一室

 

 

「大変だったけど楽しかったね、ノクト。」

 

「本当に、今さら攻略って感じでしたけどね。」

 

 

いつものメンバーとこの前の攻略に関わった何名かが加わったお茶会である。今は前回おこなわれたノクトニアポリス攻略をネタに話していた。

 

 

先日、激しい戦いの末にようやくノクトニアポリスを完全攻略した。これで悲願の一つが達成された。

おっと、そう言えばクォをまだドロップしてなかったな。面倒だけどドロップ狙いで周回しようか。

 

「流石はラストってだけあって手強かったな。」

 

「いやいやマスター!まだですよ。クルイサ残ってますよ?と言うよりあのエリア見たらまだ広がりそうですけど?」

 

「分かってるってサーシャさん。」

 

確かに、ノクト攻略後に増えたあの次のワールド。

はじめて生で見たけどかなり空白があったな。

 

「まだクルイサもあるわけだからさっさと攻略しなさいよ。」

 

「そうです。またいつ次のエリアが解放されるか分かったものではないのですから。追い付ける内に追い付いて下さい。」

 

「うぐっ」

 

た、確かに‥‥

リヴェータとアサギの言い分は最もだな。

 

 

リヴェータ「それにノクトだって前のクエストでしょう?今の最新精霊でゴリ押しすれば普通に勝てるって。」

 

グサッ!

 

アサギ「それなのにあの勝った時の自分凄いみたいなガッツポーズ、それはクルイサまで取っておいて欲しいです。」

 

グサッ!グサッ!

 

フロリア「いえ、一応クルイサには行ったらしいですが敵が予想以上に強かったのですぐに逃げたらしいですよ。」

 

グサッ!グサッ!グサッ!

 

 

イスルギ「それから‥‥」

 

スワン「やめてあげてください!マスターが!」

 

 

息がない。まるで屍のようだ。

 

「私、まだ何も言ってないのに‥‥」

 

「誰か!早く回復スキルを!」

 

 

 

マスター回復後‥‥

 

 

「まぁとくもかくにもマスターは長期戦とか泥沼化しそうなクエストから逃げる癖があるわね。」

 

「昔のマスターはむしろ回復系スキルの精霊ばかりの防御デッキで殴りあってたのに。」

 

「いやー、あの時は今みたいに高火力の精霊とか持ってなかったのとお気に入りの精霊で戦いたいってのを優先してたから。」

 

たいして戦力のない自分はイベントを攻略するために取った行動は完全防御のデッキで負けない戦いをする事だった。

 

あとは今言ったようにあの頃はスキル構成とかでなく、単に使いたい精霊を使っていただけだった。そして、なぜか当時のお気に入り精霊が揃いに揃って回復系だっただけなんだが‥‥

 

 

「言い訳させて貰うがな。今ってサブクエとかで全問正解とかが乱出してるからコンプリートを狙うとどうしても長期戦は避けたいと言うか‥‥」

 

「うーん、それだけです?」

 

「何がですかフロリアさん?」

 

「この間のノクトもそうですが、マスターが完全攻略してるクエストって少し前のクエストばかりですよね?対して最近のクエストはハードの封魔とかで止まりますよね?」

 

「うぐぐ、いやだって、ただでさえ最近のイベントは難易度が高いのにあんなの勝てるわけないよ。」

 

「マスターはクイズ力はそこそこありますし、あとは長期戦慣れとプレイヤースキルを磨いて欲しいです。」

 

「長期戦‥‥うっ頭が‥‥」

 

「そう言えばマスターの歴代最も泥沼化した戦いって‥‥」

 

「初音ミクコラボの最終クエストだよ。」

 

攻略時間は一時間以上、解いた問題は100問越えの恐ろしく長い対決だった。今の所この記録を越える対決はない。

 

「相手も死なないし、こっちも死ねない上に決め手なしのザ泥沼だったよ。」

 

「うん、無駄にクイズは解いてるわね。」

 

「まぁでも、ある意味精霊の性能に頼ってないわ。」

 

 

「マスターの精霊としてはもっとマスターには頑張って欲しいです♪」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「まぁ確かに今後高難易度クエストとかにも挑みたいからな。プレイヤースキルアップ、いいかもな。」

 

「じゃあ早速マスターには試練を与えないと‥‥」

 

リヴェータが何か考え始めた。あっ!ヤバい‥‥この人確かにイベントストーリーでジミー達に拷問に近いことやってはず。そんなにリヴェータに試練なんて考えらしたら‥‥終わる!!

 

「あっ!でしたら!」

 

スワンが何か思い付いたようだ。

ふぅ、リヴェータじゃなくて良かった。

 

それにスワンならそんなに酷い内容ではないはず。

 

 

「高性能精霊に頼らないでイベント攻略させて鍛えると言うのは?」

 

前言撤回します。スワンもなかなかだった。

 

「いいわねそれ。」

 

「やらせましょう。」

 

エリアとエルナがすぐに賛同した。

 

「嫌な予感‥‥」

 

「なら次のイベントで縛りでもさせますか?」

 

「賛成!」

 

「やっぱり!ちょっと待って!前のイベントでやったでしょ?臨時部隊縛り!」

 

「でもノーマルしかやってませんよね?」

 

「そ、それは‥‥」

 

「と、言うわけで次のイベントはまたあのルールで縛りをして今度はハードまで攻略して下さい。」

 

「ちょっと待ってください!もう次のイベントの情報が出ちゃってますよ?多分今週にはスタートだからもう準備期間がないよ。いくら何でもそれじゃあハードはおろかノーマル完走も無理だよ。」

 

「確かにそうですね。」

 

「それに今回のイベントはそのチャレンジには向いてませんしね。」

 

「今回は2つのイベントが同時開催、しかも新ルール付きで。なんだっけラビリンスってやつ。これ多分縛りはキツいと思う。」

 

「イスルギさんの言ったようにこれは安定した部隊を組まないといけないので今から集めたまとまりゼロの部隊では攻略は無理です。」

 

「それに今回はおそらく量の少ないミニイベントみたいなモノかもしれないから‥‥」

 

「では今回のなしで。」

 

「なら今から精霊集めの期間をスタートしましょう。今からであれば次の月のイベントまで時間はありますし、そこそこ集まるかと。」

 

「うん、それだけ準備期間があれば攻略可能かもです。」

 

「と言う訳だけど、マスター。それでいい?」

 

みんながこっちを見た。

逃げられそうにない。もし断ったら何をされるかわからないし‥‥

 

「わかった。次の次のイベントで縛り完全攻略をやってやるよ。」

 

 

「では精霊集めたとクリスタル集めですね。」

 

「今回のイベントはガチャ回しますかマスター?」

 

「いや、今回はいいよ。と言うかクリスタルガチャで出るのだろ?多分やっても出ない気がするんだ。」

 

「そもそもマスター、凱旋ガチャで全部使ってるでしょ。」

 

「凱旋ガチャは高確率で何かしら出るから引いてて楽しくてつい。」

 

「まぁ、それについては同意しますけど。」

 

「話変わるけど、今週金曜に高校生クイズやるからてっきりグレートウォーの復刻ないし新作を期待してたんだがな。」

 

「それも含めて今回のイベントは驚いたね。」

 

「グレートウォーだとマスターのお目当てはガチャ?」

 

「うん、前に持ってた精霊を引きたいから。」

 

「いや、クリスタルないじゃん。」

 

「‥‥‥‥何にしても10月はいきなり縛りか‥‥。クリスタル貯めてガチャ引いて何か戦力が手に入るといいな。」

 

「おいこらスルーするな。」

 

 

 

 

 

 






と言うことでまた臨時部隊縛りが決まりました。
ルールについは前のお話で見てください。


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仮説は潰れもイベントは負けるな


この話を投稿と同時にイベントの情報ですかね?
私が生きるか死ぬかがこれで分かりますね。


 

 

 

とあるマンションの一室

 

 

時期は今月の魔道杯の少し前

 

 

いつもの部屋では彼の精霊達からマスターと呼ばれる男が東に向かってお祈りを捧げていました。

 

 

「‥‥マスターさんは一体どうしたのでしょうか?」

 

 

今日は今来たばかりエルナは現状に困惑していた。

 

今日は火と雷の常連精霊達は出払っており、水属性のサーシャ、フロリア、アネモネ、イスルギが来ていた。

 

 

「も、もしかして、マスターはイス○ム教にでも入信したのですか?」

 

「いや、それならメッカの方向に祈るから。マスターが祈ってるの反対の東ね。」

 

「それからあれは祈りを捧げているのではなく感謝を捧げているらしいです。」

 

「どこに?!」

 

「多分運営さんにじゃあないかな?」

 

 

 

事の起こりはエルナが来る数分前‥‥

 

 

「デイリー終わりました!」

 

「アネモネさんご苦労様。」

 

「あ、アネモネさんじゃあないですか。久しぶり!」

 

「イスルギさん!お久しぶりです!」

 

 

この日クエストに行ったのはアネモネをリーダーにした旧レイド部隊でした。

 

一時期はレイド仕様になったことで多くの魔道士に使われ出番の多くなった彼女だが、その性能はデッキ次第では優秀な火力を出す指揮官になり、マスターが個人的にラグナロク戦役と呼んでいるドラゴンブレイダーではルカと併用したテンプレが出た事で更に人気の出た精霊です。

 

ちなみにどこかでは騎士団唯一の当たりと呼ばれてます。

 

 

それな彼女はそれらの実積を抜きにしてもマスターのお気に入り精霊でたまにこうして出番を与えているらしいです。

 

 

「さてと、デイリーコンプリートだしガチャするか。」

 

サーシャ「今縛りの為の戦力集めてる最中ですもんね。」

 

フロリア「デイリーは貴重な入手源ですから。」

 

「いやいや、これで何か当たった試しなんてないだろ?どうせ今回も外れ‥‥ホゥア!?」

 

「どどうしました!?」

 

「当たった‥‥」

 

「まさか!」

 

「フィオルさんが来てくれたぞ!!」

 

おっしゃー!!ガッツポーズ三連撃!

 

 

 

「おめでとうございますマスター♪」

 

「そう言えば、今回のプラチナガチャの中で唯一欲しい精霊だとおっしゃってましたね。」

 

「そうだよ!スキルは解答時間で変化する新しいもので何より絵が好み!」

 

イスルギ「あ、そうかも。」

 

エルナ「確かマスターさんの性癖って‥‥」

フロリア「スワンさんみたいな方でしたっけ?」

 

「性癖とは人聞きの悪い!機械っ娘の何がおかしい!」

 

「道理で毎回キャラプレの時にアイは入れるわけだ。」

 

「いや、アイを入れたのは前回だけで、毎回入れてるのはアメリーさんとミルドレッドです。」

 

「そうだっけ?」

 

「ともかくだ!もちろん彼女も次の戦いの戦力として使うぞ!ふふ、最新精霊がいるのは少し心強い。」

 

「でもマスター?最近の精霊ってそれだけいても力を発揮しないわよ?」

 

アネモネ「精霊の相性がかなり明白ですからね。」

 

「てことはせっかくのフィオルも寄せ集め程度では有効利用できないと。」

 

「はは、それはどうかな?」

 

「何ですかその自信は‥‥」

 

サーシャ「実はこの人、今回ばかりは何故かツイてるんです。」

 

「おう、実は凱旋ガチャの1日一回無料のやつで数回限定を引きました。」

 

「本当に!?それはおめでとうございました。」

 

「け、けどどうせ昔の精霊だし、それにいくらいても活躍させられるデッキを作らないと‥‥」

 

「それも問題なし。今回の戦力集めはそれらの精霊を活躍させる為に必要な精霊を集める事にしているから。」

 

「あ、つまり今までみたいにとにかく数を集めるとかじゃあないんだ。」

 

「とりあえず数は揃えた。その上で今集められる精霊で今回の当たり精霊と組ませる精霊を取りに行く事にしている。」

 

「今回は指針が決まってるんだ‥‥」

 

「ちょうど9月はイベントもなかったから時間と魔力はあったしね。」

 

「いやいや、プラチナとか黒猫ミュージアムの復刻とかあったから。」

 

「あれ前にそこそこ回ったからあんまり興味ない。」

 

「あっそう。」

 

「と言うわけで今日からはフィオルを活躍させるデッキを作るぞ!さて早速作業‥‥」

 

エルナ「マスター、明日から魔道杯ですよ?」

 

「‥‥マジ?」

 

「はい、だから来たんです。今回の報酬に私がいるから必ず手に入れて欲しいと。」

 

「そうか。今回の上位デイリーはエルナさんか。」

 

「ところで今回の魔道杯はどのようにやるおつもりですか?」

 

「今回はサボらず上位デイリー狙いでいく。あ、例の如く総合は諦めてる方向で。」

 

「総合取ってる人ってどんな人なんでしょうね?」

 

「少なくともうちのマスターより魔道士としては優秀だと思いますがね。」

 

「魔道杯報酬も戦力強化のためには是非とも必要だ。負けないぞ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔道杯最終日

 

 

「世の魔道士は大変だろうね。」

 

「何を他人事な‥‥」

 

ぼちぼち寒くなったので熱々のコーヒーを飲みながら魔道杯の順位を見ていたマスター。

 

サーシャとアネモネにもいれたてのコーヒーを渡す。

 

「ありがとうございます。」

 

「どういたしまして。ところでサーシャは寒くないの?」

 

「いえ、大丈夫です。慣れてますので。」

 

大変だね。

 

「私の事よりも、マスターも魔道士ですよね?」

 

「そうだけど?」

 

「ではなぜ他人事なのです?」

 

「いやだって‥‥下位、上位のデイリー報酬を手に入れてクリスタルも稼いだからもう走る必要はないかと。」

 

「確かに一刻も早く戦力を整えなければいけないマスターがいつまでもここで魔力を使えませんからね。」

 

「魔道杯が終われば次のイベントの情報が、早ければ今週末には開戦だからね。」

 

「忙しいですね、ところでクリスタルは集まりましたけどどうなさいます?凱旋に使いますか?」

 

「うーむ、できれば次のイベントガチャに使いたい所、でも今は一体でも強い精霊が欲しい。確率の高い凱旋ガチャに使うぞ。」

 

「確率って‥‥ガチャはどれも公正ですよ?」

 

「でも凱旋でかなり当たってるし‥‥」

 

「マスターの凱旋ガチャ高確率説‥‥」

 

 

「俺はやるぞ!いけー!」

 

「あっホントにやった。」

 

「しかも爆死‥‥」

 

「‥‥。」

 

「マスター‥‥ドンマイです。」

 

彼の説が爆破され、まもなく迎えるイベント。

 

 

果たしてどうなるのやら。

 

 

 



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攻略開始!いや、終わり?

今回から今までとは違う空気になると思います。
是非とも最後までお付き合いください!



 

 

 

いつもマンションの一室にて

 

 

 

「いやー、今回も凄いシナリオだった。常にドキドキしぱなっしだったよ。」

 

熱く今回のイベント、burst of Neworder2のシナリオを語る彼ことマスター。

 

 

それを聞くのはいつもの面々はなんだか重い空気を放つ精霊(猛者)達だった。

 

 

「ホント!今回も素晴らしかった。ただ‥‥」

 

ここでマスターの雰囲気も変わった。

 

 

「この後に我々の本当の戦いがなければもっとシナリオに集中できたのにね。」

 

折角の神シナリオも、この後の地獄を考えるとあまり入って来なかった。

 

 

「では、シナリオは終わったが!俺たちの戦いは此れからだ!」

 

「マスター、茶番はいい。早くミーティングを。」

 

「あ、はい‥‥」

 

マスターに厳しい事を言ったのはフィオル。

今回の攻略メンバーの1人である。

 

 

「えー、では、これからNeworder2の第1回目の作戦会議を始める。」

 

 

今回はこれまでの臨時部隊史上、最も数、質が整ったと言える大規模なものだ。

それ故にここにいる者達もなかなかの風格だ。

 

 

「貴公、無駄話はそれくらいにしろ。」

 

「‥‥眠い‥‥寝てていい?」

 

「テルミドさん、いけませんよ!」

 

「時間がもったいないですよ!」

 

 

今回は水、火、雷で2つの軍、計6軍編成であり、それぞれのリーダーが集まっていた。

 

 

第1水軍隊長 フィオル

 

第2水軍隊長 アルドベリク(2017アワード)

 

 

第1火軍隊長 サユリ

 

第2火軍隊長 テルミド(初代)

 

 

第1雷軍隊長 オウゼン

 

第2雷軍隊長 ユッカ(アイドル)

 

 

 

これを見ても分かるように限定精霊もかなりの数を手に入れている。

 

かなり心強いが‥‥クセの強い奴ばかりだな。

 

 

「そ、それじゃあまず、現在の戦力と敵の戦力予想から始めようか。フィオル。頼む。」

 

「了解しました。」

 

俺は席につき代わりにフィオルが前に出た。

 

 

「それではノーマルの様子から敵の戦力の推察ですが‥‥」

 

 

ノーマルの感じから大々的なものは掴めた。

戦力は申し分ない。

 

イケるかもしれない!

 

 

さあ!始めようか!

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「クッソ!ここまでなのか!」

 

「申し訳ございません‥‥私達の力が及ばないばかりに‥‥」

 

 

現在、7回目の対策会議

 

俺達はハードの4で詰んでいた。

 

 

「いや、サユリさんは悪くない。だが予想外だな。」

 

正直、火はサクチャアリの捕虜達を使わないと戦力不足なくらいだ。

 

フィオル率いる第1水軍とアイドルユッカが率いる第2雷軍の完成度は高い。

 

ところが火軍は完成した軍はない。

 

 

「火は揃わなかったからなぁ‥‥」

 

「マスターこれからどうしますか?」

 

フィオル達がこちらを見る。そうだ。愚痴を溢す前に善後策を‥‥

 

 

「次はテルミド隊を出す。安定性はサユリ隊には劣るけど単純火力なら火闇で構成したあの部隊が上だ。」

 

「ああ、あのネコか‥‥」

 

「いや、ペオルタンはネコじゃあないよ。」

 

雷陣のオウゼンとユッカの会話

 

 

「我が軍にはネコがたくさんいるが奴らいわく奴はネコだと。」

 

「多分騙されてる。それにオウゼンさんの所にいるのは嘘猫、ネコじゃないよ。」

 

「そうか‥‥」

 

 

この会話が場を少し和ませた。このオウゼンは場の空気を常に変えてくれるのでありがたい。

 

「さて、テルミド!いくぞ!あれ?どこいった?」

 

「そこです。」

 

フィオルの指の先‥‥

 

布団で寝てるテルミドの姿。

 

 

「‥‥起きるまで休憩。」

 

「かしこまりました。」

 

「じゃあ!パンケーキ焼いてあるからみんなで食べよ~♪」

 

「いいですね♪なら私はお茶を」

 

 

 

みんなと楽しくティータイムをしていると、

 

 

「君主様!」

 

「あれま、バーニングフィーンドが直接来るなんて珍しい。どう?一緒にお茶する?」

 

「いえ、私は結構です。それよりも、ウシュガ様がお呼びです。」

 

「ウシュガが?何のよう?」

 

「それが直接話すと。」

 

「ふーん、わかった。」

 

俺はカップを置いた。

 

「みんな、ちょっと行ってくる。テルミドが起きたら呼んでよ。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

精霊達の空間 ウシュガの部屋

 

 

「ウシュガー!来たぞ!」

 

「んー!マスターくんよく来たね。」

 

「それで何のようだい?今攻略中なんだけど。」

 

「もちろん知ってるさ!だからこそだよ。」

 

「ほう?」

 

「実はね、今のマスターくんの危機を救える策を考えついたんだ!」

 

「なんだと!本当にか!」

 

「奥にその作戦概要をまとめたボードがあるから。」

 

「そうか!早く見せてくれ!」

 

「はい、ではこっち‥‥んふふ。」

 

ビリリ!

 

「ぐあっ!?ウシュガ‥‥なぜ‥だ‥‥」

 

ガクッ

 

 

「ごめんね‥‥これもマスターくんの為でもあるんだよ?」

 

「ウシュガ様。」

 

「フィーンド達、マスターくんを奥の装置に運ぶんだ!」

 

「はは!」

 

二人のバーニングフィーンドがマスターを奥へと運ぼうとする。その時だった。

 

 

バッコンーー!

 

「ギャアアア!」

 

突然扉が破壊され見張っていたはずのフィーンドが飛んできた。

 

 

「マスターをどこに連れていく気だ?」

 

破壊された扉からフィオル、アルドベリク、サユリ、テルミド、オウゼン、ユッカが入ってくる。

 

 

「返答次第では覚悟はできてるんだろうな?」

 

アルドベリクが剣を抜く。

 

「お覚悟を!」

 

サユリも刀を構える。

 

「殺す‥‥」

 

「うむ!」

 

「ハンマー用意!」

 

テルミド、オウゼン、ユッカも臨戦態勢だ!

 

 

これに中にいたフィーンド達はたじろいだ。

 

しかし、ウシュガだけはまだ笑っていた。

 

 

「んー?どうしてわかったんだい?」

 

「テルミドが起きたら伝えてられるように通信機を持たせてた。」

 

「なるほど、会話は筒抜けか‥‥言い逃れはできないってわけかい?」

 

「そう言うことだ。下らんお喋りはここまでだ。さぁ、吐いてもらうぞ!」

 

「んーふふふ!部隊長が勢揃いは予想外だけど、丁度いい!」

 

ウシュガは腕にバンクルを装着する。

 

 

「君達以上に怖い人達がいるからねー。その対策をしなきゃと思ってたんだ!」

 

ウシュガが腕を振り上げる!

 

その腕に装着されたバンクルが光輝く!

 

 

「なんだ!?目眩ましか!」

 

「無駄な事を!」

 

フィオルはウシュガに向かって攻撃するが、その攻撃は届かなかった。

 

「あ、あれ‥‥力が‥‥」

 

「うぐ‥‥」

 

フィオル以外にも後ろのみんなも次々と膝を着けていく。

 

 

「な、何を‥‥」

 

「んー!!君達のソウル!使わせて貰うよ!」

 

 

「マ、スター‥‥」

 

そこでフィオル達の意識は完全に失われた。

 

 

 

 

 




さて、突然の展開に少しは驚いてくれたでしょうか?
プロローグはこの辺で次からです!


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秋に見る夢は黄昏へと part1



今回はかなり本気です!
縛り攻略?知らないです‥‥


 

 

 

「う、うん‥‥」

 

アイテテ‥‥ここは‥‥?

 

マスターこと彼は重たい体を起こす。

 

 

ここはいつものマンションの一室‥‥

 

 

「ここどこ?」

 

 

ではなかった。見知らぬ草原が広がっていた。

 

「あれ?どうしてこんな所にいる?あれてか、これ俺の服じゃないし!」

 

俺は何故かクロマグの学生達の着る制服を着ていた。

 

 

「ハハハ‥‥ワケわからん。」

 

俺は軽くパニクっていた。

 

本来はもっと混乱するところだけど俺の頭がオーバーしたおかげで逆に冷静だった。

 

 

「落ち着け、こんな時はパニックになったら死ぬ!これが小説とかでの定石!」

 

まずは理由だけど、たしか最後に覚えてるのは‥‥

 

 

「そうだ!ウシュガ!俺はアイツにスタンガンで!」

 

 

あの野郎‥‥帰ったら絶対に覚えてろ‥‥

 

 

「次はここは?」

 

見たことのないどこまでも続く草原

 

少なくとも家の近所ではない。

 

 

「俺、一応地理得意だからわかるんだけど、ここまで何にもない草原って日本にはない気がする。」

 

日本の平地はほとんど土地利用されてるからこんなに広い所はまず残らんしあったら観光名所ものだよ。見たところ人の気配はなし。

 

 

なら海外か?

 

ヨーロッパとか‥‥

 

いや、どうやって来たんだよ。

 

 

寝て起きて気付けば知らない土地なんてまるで黒ウィズあるあるじゃんそれ‥‥まるで異世界に行くみたいな‥‥

 

 

あ‥‥

 

もしかして‥‥そもそもここは地球じゃない?

 

 

普通なら馬鹿だと思ってそうは考えない。

しかし、現にその世界の住人達には日頃から会ってる。

 

 

「はは、リアル異世界移動かよ‥‥まさか実際に体験する日が来るなんて‥‥」

 

これで俺も正式に魔法使いってか‥‥

 

嬉しくないな‥‥

 

 

「だとしたらなぜ学生服なんだ?」

 

俺は自分の服装を確認する。

 

その時だった。

 

「おわっ!?」

 

突然画面が開いた。黒ウィズのゲーム画面だ。

 

 

「おいおい、それじゃあまるでゲームだよ。あれか?ここはデスゲームか?」

 

レベルやランクはない。

 

あるのは合成、売却、進化、デッキ、魔力、ゴールドくらいか?初期の黒ウィズみたいだな。

 

ゴールドはゼロ

 

試しに強化合成を開くが精霊は一体もいない。

 

 

「これでどうしろと?」

 

さて、ここがどこの異界から知らないけど、黒ウィズの異界なら魔物ないしそれに順するモノがいるはず。

 

ここにいつまでもいるのは危ない。

 

「だって魔法使いみたいに魔法は使えんし、ウィズ師匠みたいな相談相手もいないしね。」

 

 

俺はとりあえず人のいる場所を求めて歩いた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ほどなくして町にたどり着いた。

 

 

「町並みは近代ヨーロッパのそれか?」

 

ヨーロッパ風ファンタジー世界に近代を取り入れたような町‥‥そして町行く人々、これは明らかに地球じゃないな。これは俺の私服だと悪目立ちしてたな。

 

 

少し人気のない噴水のある小さな広場

 

ここで腰を掛けた。

 

 

「ふう!歩いた歩いた。なんとか町に着いた。」

 

さて、これからどうするかな‥‥

 

どうにかして帰る手立てを考えないと、あと見つかるまでの身の振り方を‥‥

 

ああ‥‥頭が痛い‥‥‥

 

 

「夕方か‥‥」

 

うっ、今日はあれだけ歩いたから疲れたし腹も減った。

 

 

「宿とかあればいいけどねぇ。いや、そもそもこの世界の金ないし。」

 

参ったな‥‥と考えたてた時だった。

 

 

「あれ?なんか大通りが騒がしい何かあったのか?」

 

俺の疑問は直ぐに答えられた。

 

 

「グガガガガガ!!」

 

突如として現れたそれは‥‥

 

「ロ、ロストメア!?そ、そうか!ここはメアレスの世界か!」

 

て、考えてる暇はなし、逃げるんだ!今の俺に勝てるわけがないよ!

 

 

俺はロストメアに背を向け逃げの姿勢に入るが、

 

 

「ぐぎぎぎぎ!」

 

「げっ!」

 

なんと進行方向からも別のロストメアが!

 

さらに四方、八方と周りは既に囲まれており逃げ道はなかった。

 

 

「う、嘘だろ‥‥」

 

いきなり異界に飛ばされていきなり詰むなんてなんてついてないんだろう。

 

「ま、まだ死にたく‥」

 

「グガガガガガ!!」

 

「うわああああ!!」

 

もうダメだ!俺は目をつむる。

 

 

「はぁ!」

 

しかし、最後の時は訪れなかった。

 

目を開けるとロストメア達は薙ぎ倒されたいた。

 

 

「大丈夫?マスター」

 

「うん?大丈夫‥‥ってマスター!」

 

俺はその女性を見た。

 

「そう、ならよかった。」

 

俺を助けたその精霊、彼女はよっぽど心配してくれたのか無事を確認するとかなり安心していた。

 

彼女はイザヴェリ・ヘイズである。あれ?

こんなに優しい人だったっけ?

 

 

あ、もしかしてこのイザヴェリは今週のデイリーのやつか?て事は二人目だから性格が変わっちゃった?

 

ウシュガ現象が発生してるなこれ。

 

 

「助けてくれてありがとう。けどお前どうしてここに?」

 

「わかりません。私も気が付けばと言った感じなもので。」

 

ふーむ、彼女もわからないか。

試しに画面を見たけどイザヴェリが入ってる。

 

それに満タンだった魔力が減ってる。

 

「黒ウィズにfate要素が加わった感じだな。」

 

「!マスター、考えるのは後です。来ます!」

 

イザヴェリが構えた。

 

 

すると先ほどの何倍もの数のロストメアが襲ってきた。

 

「コイツらはロストメアじゃない!悪夢のかけらだ!どこかに本体が‥‥」

 

イザヴェリがなんとか防いでくれてるうちに本体を見つけなくては‥‥

 

すると屋根の上に人、いやあれはイザヴェリ!?

 

イザヴェリ?「‥‥‥‥」

 

いや、何故かわかる。

アイツはロストメアだ!

 

 

「しかし、イザヴェリの姿をしたロストメアか、イザヴェリの夢か何かか?」

 

「しまった!マスター!」

 

振り向くとさばききれなかった敵の一体が突破してくる。どうやら俺を狙ってるようだ。

 

 

「くっ!」

 

避けられない!俺は左腕を捨てる事にした。

 

 

「利き手で防御しなかった点について誉めてあげるわ!」

 

上の方から声が!

 

敵は弾の雨にやられて消滅した。

 

 

「これはもしや!」

「ねぇ君達、見ない顔だけどお困りかしら?なら手を貸すけど?もちろん報酬は山分けで。」

 

「繋げ、〈秘儀糸(ドゥクトゥルス)〉!」

 

今度はイザヴェリが相手していた大群に雷が迸る!

 

敵は一撃で全滅した。

 

 

「にしても、やけに数が多いわねぇ。これがアイツの能力かしら?」

 

「なら、手数で勝負するまで。」

 

 

リフィルにルリアゲハ!

 

やっぱりメアレスか!

 

 

二人を見るとロストメアは逃げ始めた。

 

 

呆然と二人を見ていた俺をリフィルの瞳が捉えた。

 

 

「ついてきなさい。話はその後で聞く。」

 

 

「いいの、リフィル?戦ってた子はともかく、この子もロストメアとの戦いに巻き込んじゃうわよ。」

 

 

「あれに襲われいながら防御はできてた。普通なら身動きできない。それにアイツの事を知ってそうだし。」

 

 

「そういえば、そうね。なら、問題ないか。」

 

「待ってください!マスターを危険な目に合わせるなんて」

 

「わかった。行くよ。」

 

「ですよねって!マスター!」

 

「俺もアイツが気になっ仕方がない。」

 

「う~、わかりました。マスターが仰るなら。」

 

「いくぞ!」

 

 

 

俺たちは、逃げるロストメアを追って、

家屋の屋根を飛び石代わりに跳躍していく。

 

時折、悪夢の夢達が行く手を阻んだが、敵ではなかった。

 

 

「悪夢のかけらくらいならどうとでもなるのね。それにしても君、しっかりついて来てるし体力ある方?」

 

屋根の上を並走しながら微笑むルリアゲハに、俺は少し息を上げながらも返事した。

 

「まぁね!これも日頃の鍛練の成果だよ。」

 

まさか部活で鍛えた体力と走力を活かす日が来るなんて

ね!

 

 

「ルリアゲハさん!そこに伏兵!」

 

「お、ありがとさん!」

 

敵は屋根や煙突などの模様に完全に擬態して待ち受けていた。敵は悪夢のかけらの形状を自由に変えられるようだ。

 

そして、何故か俺には敵の位置が丸わかりだった。

 

 

「君を連れて来て正解ね!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「見えた!」

 

逃げるイザヴェリ似のロストメア

 

 

「変ね!門はあっちじゃないのに。」

 

「それは後にしろッ。墜とせッ、ルリアゲハッ!

 

 

「ちょうどそうする1秒前よ!」

 

答えた直後、響く銃声。弾ける銃火。

 

 

「これがルリアゲハさんの早撃ちか!」

 

撃った、と遅れて気づくほどの早撃ちだった。

 

 

その弾はロストメアの背面にある翼に直撃する。

体勢を大きく崩し、空から地へと叩き落ちた。

 

 

「繋げ、〈秘儀糸(ドゥクトゥルス)〉!」

 

続けて、リフィルが叩き込む!

 

「修羅なる下天の暴雷よ、千々の槍以て降り荒べ!」

 

リフィルがすばやく糸を繰るのに呼応し、人形の指が複雑怪奇な印を結ぶ。すると人形の眼前に無数の小さな印が浮かび、そのすべてが迅雷の槍となってほとばしった!

 

 

「イザヴェリ!スキルだ!」

 

俺達も!負けられない!

 

 

「了解!カオティックフォーム!」

 

リフィルの雷撃とイザヴェリのアンサースキルがロストメアを襲う。

 

 

声にならない断末魔を叫ぶロストメア。

 

しかし、一瞬であるがはっきりと聞こえた。

 

 

 

私達は忘れてない

 

 

なんだ‥‥今のは‥‥

 

 

本体の消滅により残りの悪夢のかけら達も消滅した。その際に俺のボックスに大量のモブロストメアのカードが入ってきた。

 

 

「へぇ、魔力を回収する能力ね。」

 

「あなた達、何者?」

 

 

魔力、そう言えばコイツら魔力だったな。

 

たしかこれを売ったりものできるって。

 

これを今の俺に当てはめると魔力はカードでお金はゴールドだな。

 

 

 

「俺は‥‥」

 

どうしょう。俺のアカウント名で名乗るわけには‥‥もしこの世界がそうなら俺が魔法使いだとばれると色々話が壊れそうだし。

 

 

「私はイザヴェリと申します。こちらは私のマスターです。本名は‥‥クロム様です。」

 

「え?」

 

小声「バレると不味いんでしょう?できたら偽名しかないかと。丁度クロムマグナの学生の姿ですし。」

 

小声「なるほど、ナイス!」

 

「クロムにイザヴェリね。二人ともメアレスなの?」

 

「じゃないと思うけど、なあ?」

 

「はい、私はそもそもガチャで引かれたばかりなので夢自体まだないです。」

 

うん?

 

イザヴェリに夢がないのだとすればじゃあ、あのロストメアは一体なんなんだ?

 

 

 

「メアレスじゃない?なのに戦えるの?」

 

「本当に何者なの。」

 

 

「ええっと‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

 




今回はリアル異世界移動!
数ヶ月温存してたシナリオをどうぞです!

感想をお待ちしております。


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秋に見る夢は黄昏へと part2

 

 

 

なんの事故によるものか、はたまたウシュガの陰謀なのか、俺とイザヴェリがこの夢と現実の狭間の都市にやって来て早くも2週間ほどが過ぎようとしていた。

 

あの後俺たちは何者かを調べるとかでアフリト翁のもとへと連れられた。

 

そこでアフリト翁からこの世界の者ではないと言われたのでとっさに異世界からきた召喚術師とその従者という設定にした。その証拠を見せるために先ほどドロップした雑魚のカードを使って見せたりした。このなんとも胡散臭い設定だがどうにか信用してもらえた。

 

行くあてが無いのならと、アフリト翁からの提案で〈見果てぬ夢〉から生まれた怪物〈ロストメア〉と戦ってくれたら生活費を出してくれるとの事だった。なんだか魔法使いみたいな展開でこのままではせっかくの偽名や設定が台無しになると思ったよ。

 

 

けど、その心配はまったくなかった。

 

その後はリフィルやルリアゲハ達メアレスと共闘して〈ロストメア〉と戦い続けたが、イベントストーリーで戦うはずの〈ロストメア〉がまったく違う形で襲撃してきたのだ。

 

ここで俺が建てた推論は、ここはメアレスの世界でありそうでない、いわゆるY軸のようなものではないだろうか?

 

これで身バレの心配とかもろもろがなくなった俺は倒した〈ロストメア〉をドロップして集めて行き少しは戦力を充実させていた。

 

 

 

「ただロストメアしかいないからリフィルに〈悪夢使い〉なんて渾名を付けられたよ。」

 

「それなら私なんて〈ラギト擬き〉ですからね。」

 

「おおっと!イザヴェリか。おはよう。」

 

「おはようございますマスター。」

 

 

現在、リフィル達の手伝いをしながら帰る手掛かりを探している。その間、この宿室を使って良いとのことだった。ちなみにイザヴェリは寝るときはカードに戻っているのでやましい事は何も起きてない。

 

ただ、イザヴェリが精霊なのは伝えそこなっているから端から見れば男女が一部屋に一緒に暮らしている構図になってしまうが‥‥

 

 

「あの?マスター、いかがしましたか?」

 

「あ、ああ、いやその‥‥そう!イザヴェリ今さらだけど悪いね。こんな事に付き合わせて。」

 

「いえ、私はマスターの精霊、私も迷い混んだ口なので。それに‥‥マスターのその感が今は唯一の手掛かりですから。」

 

 

俺の感‥‥

 

それはある日、イザヴェリの姿をしたロストメアと戦った時に感じたなんとも言えない感覚の事だ。

 

 

それからも他のロストメア達と戦ったがあの感じがしたのはイザヴェリのロストメアだけだった。

 

 

「もう一度確認するけどあれはお前のじゃあないんだな?」

 

「はい、私はまだ夢らしいものがないで‥‥」

 

 

イザヴェリの夢じゃない。まぁ彼女のではなくてもうちにいるもう1人の方のかも知れないけど、あのロストメアは何かありそうだ。

 

 

 

もしかしたら、このままロストメアを相手にしていれば、またあの感じのするロストメアに会えるかもしれん。そうしたら、何かがわかるかもしれない。」

 

 

違和感のロストメアとウシュガの思惑‥‥

 

どう繋がるのかはわからんけど、他に思い付かないから。

 

 

 

「そう言えば、私も聞きたいのですが」

 

「なにか?」

 

「マスターの感じたその感覚とは一体どのようなものだったのですか?」

 

「うーん、いざ言葉にすると難しいな‥‥。そうだな‥‥あえて言葉にするならそう、懐かしい?」

 

「懐かしい、ですか?」

 

「うん、なんかこう‥‥」

 

 

 

トントン

 

ノックだ。誰か来たようだ。

 

「誰だろう?ハーイ。」

 

「悪夢使いさんにイザヴェリさん、おはよう。」

 

「あら、ルリアゲハさん。」

 

「おはようございます。どうかしました?」

 

「朝食はまだよね。今からリフィルの所に行くけどご一緒にどう?」

 

「おお!いいですね。イザヴェリはどう?」

 

「マスターがいいのならそれで構いませんよ。」

 

「よし決まりね。じゃあ行きましょう。」

 

 

今日の朝はルリアゲハ達と朝食から始まる。

 

と思ってたよ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「あれ?マスターは?」

 

いつもの部屋にはアネモネやサーシャ、リヴェータ、アサギをはじめとする常連達が来ていた。

 

縛りを頑張るマスターと臨時部隊を励ましに北のだ。

 

 

「誰もいない‥‥イベント攻略でしょうか?」

 

「ならなおのことマスターと他の隊長格がいないのはおかしいわ。マスターが留守だから隊長達も帰ってるのよ。」

 

「そ、そうですね。」

 

リヴェータの意見にみんなが納得した時だった。

 

 

叡知の扉が新たに開く。

 

 

「あ、これはアネモネさん。それに他の部隊の皆様も。ご無沙汰です。」

 

 

現れたのは臨時部隊所属の魔道杯報酬のエルナさんだ。

 

 

「兎エルナさん、こんにちは。今日は攻略はお休みですか?」

 

「いえそれがですね‥‥昨日からマスターが行方不明なんです。」

 

「な、なんだって!?」

 

「それに部隊長の6人も行方が分からなくて‥‥それで探しているのですが‥‥」

 

「隊長達も行方不明‥‥これはただ事ではありませんね。」

 

「この中で昨日くらいにマスターか部隊長を見たって子いる?」

 

サーシャがみんなに尋ねた。

 

すると1人だけ小さく手をあげる。

 

 

「わ、私見ました‥‥」

 

スワンだ。

 

 

「スワン!どこで見たの!?」

 

リヴェータがスワンの両肩を掴む。

 

「ふぁあああ!?」

 

「リヴェータさん、落ち着いて!それじゃスワンちゃんも話せないわ。」

 

「う、ごめんなさい。」

 

「それでスワンちゃんはどこで見たの?」

 

「は、はい。見たと言っても遠くからなので。昨日、火属性のフロアでマスターがウシュガさんの研究室へ入るのを見ました。」

 

「ウシュガ‥‥ですか‥‥」

 

「アサギ、どこに行くの?」

 

「ちょっとウシュガの所へ。何か知ってるはずなので。」

 

「1人で行く気なの?」

 

「話を聞いて来るだけです。それに大勢で押し掛けるのも悪いですから。」

 

「分かった。お願いね。」

 

 

 

 

 

ウシュガの研究室

 

「あら、扉がいやに新しいですね。」

 

トントン

 

 

アサギはノックした。すると10秒位で扉は開いた。

 

 

「アサギ先生!先生がわざわざ来るなんて珍しいですね。さあさあこちらへ!」

 

「ええ、お邪魔しますね。」

 

 

 

「それで‥‥アサギがわざわざ来てくれた理由は何です?」

 

「ウシュガ。実は今マスターが行方不明なのです。」

 

ウシュガが少しピクリと動いた。

 

「へぇーマスター君が。」

 

「それで目撃者によるとここに来てた事がわかりました。昨日マスターに会いましたね。」

 

「うんそうですよ。昨日マスターはここに来ました。」

 

「それで、マスター何のようで来たのですか?」

 

「それは‥‥攻略に行き詰まってるからって相談に‥‥」

 

「それは変ですね。攻略関係ならアナタより私達の方に来そうですのに。」

 

「ん‥‥」

 

ウシュガが突然黙りはじめた。

 

 

「ウシュガ、私は無駄な疑いをかけたくない。正直に話して欲しい。」

 

「先生は優しいな‥‥でも。」

 

ウシュガは指を弾く。

 

 

すると壁がくるりと回転し、中からバーニングフィーンド達が現れアサギを取り囲んだ。

 

 

「ウシュガ!?」

 

「今はバレてなくても、そこまで掴まれてたらもう時間の問題って奴ですよ。」

 

「ま、まさかお前が!?」

 

「先生、お引き取りを。流石の先生もこの数には勝てませんよ。」

 

アサギは強いが雷属性。火属性であるウシュガやフィーンド達が数でかかれば勝てる。

 

 

「ボクも無駄な戦いは避けたいですし。んんー!」

 

「それは私の台詞ですよ。ウシュガ!」

 

ドッカーン!!

 

 

せっかく作り直した扉が再び爆発する。

 

 

「んひゃ!?何事!」

 

「あんたの仕業だったのね!」

「覚悟はできてますでしょうか?」

 

 

サーシャ、アネモネ、リヴェータ、イスルギ、エリス、スワン、フロリア、ラーシャ、ルリアゲハ‥‥

 

いずれも顔が怖い。

 

 

「んげっ!?フィーンド達!こうなったらやるぞ!」

 

「残念でした。」

 

「んんー?」

 

後ろを振り返るとあれだけいたフィーンド達が全て倒されていた。

 

「守護天使の意地!見せたらーい!」

 

「うっそーん!?」

 

「さて、数でもこちらが勝ちました。無駄な抵抗はよせ。」

 

アサギがウシュガを問い詰める。

 

 

「さあ!吐きなさい!マスターはどこですか!」

 

全員がウシュガに向けて武器や魔術を向ける。

 

 

しばらく黙っていたが、観念したのかウシュガが口を開いた。

 

 

「マスター君ならこの奥の装置の中だ。」

 

「装置?お前は一体なにを!」

 

イスルギがウシュガの首に剣を向ける。

 

 

しかし、ウシュガがまだ余裕そうだった。

 

 

「んんー!やっぱりこうなるよねー」

 

今度は笑いはじめた。

 

 

「今回の事を起こす前からこうなる事ぐらい予想してって!じゃあ!何の用意もしないわけないですよー!!」

 

「ウシュガさん!なにを!」

 

「今回ばかりは!例え君たちにでも邪魔をされる訳にはいかないのさ!」

 

ウシュガは再び指を弾く!

 

 

その瞬間!突然ウシュガの研究室が黒く染まり別の空間へと変貌していく!

 

 

「ウシュガ!」

 

「はははは!んんー!これはウシュガフィールド!大丈夫!ゲスフィールドみたいなものじゃないから!ただあそこで暴れられても困るから場所を変えたのさ!」

 

 

ウシュガは空間その物を変えたようだ。

そして、その隙にイスルギからも逃れていた。

 

「暴れるもなにも既に勝敗は‥‥」

 

「決したと、言いたいのかなアネモネさん!でもね!僕にはこれがある!」

 

 

ウシュガはなにやらバンクルを取りだし装着した。

 

 

「これは僕の最高の発明!その名も〈オメガバンクル〉!」

 

 

それは徐々に光出すと6つの光が浮かび上がる。

 

 

 

「あれは‥‥フィオル!」

 

リヴェータが気付いた。

 

スワン「それにあれはアルドベリクさん!サユリさん!テルミドさん!」

 

ルリアゲハ「オウゼンにユッカちゃんも!」

 

 

行方不明になっていた部隊長達が光に囚われていた。

 

 

「まさか部隊長達もウシュガに!?」

 

「そうさ!君たちを迎え撃つ為にソウルを借りたのさ!」

 

「ソウル!?」

 

「そう!これがあればこのバンクルの真の力を発揮できる!さあ!進化を越えた更なる力を!」

 

バンクルが更に強く輝き始める。

 

 

「んんー!本当はこんな事をしたくないけど‥‥こうなっては仕方なし!先生達にはここで足止めさせて貰うよ!」

 

「何を馬鹿な!この戦力差がわからないアナタでも‥‥」

 

「そう言ってられるのも、今のうちだけですよ!んんー!」

 

あれ?ウシュガのようすが‥‥

 

 

 

光は最高潮になりその光はアネモネ達の視界を防いだ。

 

 

 

次に目を開けると、世界は紅く点滅していた!

 

 

「な、なんなのこれは!?」

 

「皆さん気をつけてください!何か来ます!」

 

フロリアさんが注意を促す!

その視線は上だ!

 

 

「な、なによ!この禍々しい程に恐ろしい魔力は!」

 

「この気配‥‥ウシュガさん、でも‥‥何この恐怖は!」

 

 

それは上からゆっくりと降りて来た。

 

恐ろしいBGM付きで‥‥

 

 

 

 

 

 

 

ウッシュガーン~♪

 

ウッシュガーン~♪

 

ウッシュガーン~♪

 

 

 

 

そして、それがある程度降りてくると点滅とBGMは止まる。

 

 

『んんはっはははははは!!んはははっ!』

 

 

それは高い笑い声を放つ!

 

 

そして、その怪物に頭と思われる部分。

そこにあるテレビにウシュガが映る。

 

 

『これぞ!!オメガ進化した僕の姿!オメガ化ウシュガ改めて〈オメガシュガウィー〉だ!』

 

 

 

 

「な、なんですとー!?」

 

 

今まさに絶望的な戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 



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秋に見る夢は黄昏へと part3

 

 

 

〈巡る幸い〉亭で朝食を食べた彼とイザヴェリとルリアゲハは食後の運動がてら朝の町を散歩していた。

 

 

「まぁこれも立派な仕事だけどね。」

 

いつロストメアに出くわすか分からないから捜索も兼ねたパトロールと言った所だな。

 

 

「それにしてもあそこのメニューはどれも美味しいな。」

 

クソっ。魔法使いはあれを食べてたのか!

 

 

「はい!とても素晴らしいかったです。」

 

イザヴェリも大満足のご様子。

 

てかこの人、魂とか食べてるから普通の食事ができるか心配だったけど普通に食べてたわ。

 

 

 

 

「イザヴェリさんってホントよく食べてたわね。」

 

「だ、だって、本当に美味しかったもので‥‥」

 

あーあ、ルリアゲハさんがイザヴェリをからかったから萎んじゃった。

 

ここはフォローしよっと。

 

 

「まぁ別にいいと思うよ。たくさん注文してあげればリフィルの稼ぎにもなるし、そもそも支払いは全部アフリト翁持ちなんだから。存分に食べなよ。」

 

「あはは♪それもそうね!たくさん食べてやればアフリト翁があわてふためく顔が見られらかも。」

 

俺のフォローにルリアゲハさんも乗ってくれる。

 

 

「わかりました。では次回からは遠慮なく‥‥もっとおかわりを!」

 

あれで遠慮してたんだ‥‥

 

 

なんて考えていたその時だった。

 

「何!?」

 

「地震‥‥いや、これって!」

 

街のいたるところで爆発が起きていた。

爆炎、雷撃などなどバリエーションこそ違うが。

 

 

「おお!君たちか、ちょうどよかった!」

 

「ラギトさん!」

 

屋根を跳び渡っているところだったのをこちらを確認すると降りてきた。

 

 

「ラギトさん、これは一体?」

 

「それがだな、〈ロストメア〉、それも人擬態級が複数一気に現れた。」

 

「人擬態級が!?」

 

ルリアゲハが驚愕している。

 

当たり前だ。自分もこれまで直に戦ってきたからわかるが一体だけでも強力な相手だ。確実に倒すために数人がかりで相手しているのにそれが複数体一斉に、それもあれだけの爆発を起こせるだけの怪物が。

 

 

 

「幸いなぜか奴らは門を目指していない。連携の気配もないから他のメアレスが各個撃破のため向かっている。ゼラード達もすでに向かっている。」

 

「そう、なら私達も行くわ。」

 

「助かる。俺は東地区の援軍に向かう。君たちはこの先の奴を頼む。」

 

「わかりました。ラギトさんもお気を付けて。」

 

「そちらもな。」

 

ラギトは飛躍すると屋根を跳び渡っていった。

 

 

「悪いけどお二人さんは先に行ってて。私はリフィルに声をかけてくるから。」

 

「いいですけど、早く来ないと私とマスターで終わらせちゃいますよ?」

 

「あら、言うわね。なら急いでくるから私たちの分の取っといてね。」

 

 

ルリアゲハが〈巡る幸い〉亭の方向へと走っていく。

 

「さてと、私たちも行きましょうかマスター!‥‥ってマスター!?大丈夫ですか!顔が真っ青ですよ。」

 

「ああ‥‥大丈夫だ。」

 

「いえ全然大丈夫そうには‥‥」

 

「いるんだ‥‥」

 

「いるって一体なにが?」

 

「あの時、あの時と同じこの感覚、間違いない。今回の〈ロストメア〉にいる。」

 

「それは本当ですか!」

 

「ああ間違いない。いくぞイザヴェリ!」

 

「はい!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

彼とイザヴェリが駆け付けた時にはその場静かになったいた。

 

 

 

おそらく〈ロストメア〉に打ち負かされたのだろう。

武器を完全に破壊され気絶しているメアレスの男たちが倒れていた。

 

 

「みんなやられたのか?」

 

「マスター、おかしいです。」

 

「ああ確かに、こんなに早くこれだけの人数が倒されるなんて。」

 

「いえ、そうでなく。皆さん、武器があれだけ破損しているのに身体のほうはほぼ無傷です。」

 

〈夢〉を叶えるためならば〈ロストメア〉、たとえ人擬態でも人を殺すことにためらいなんてない。それを宿敵であるメアレスがこうして生きているのはおかしい。イザヴェリはそう言いたいのだ。

 

 

「てことは武器だけ狙ってみねうちってことか。相当な実力差がないとできない芸当だな。」

 

カツ カツ カツ‥‥

 

 

「マスター‥‥」

 

「ああ、来たぞ。」

 

足音なくてもわかるぞ。

俺の感覚が叫んでいるよ。

 

それはある距離までくると足を止める。

 

 

 

「お前‥‥。なぜお前がここに、いや!〈ロストメア〉なんてやったんだよ!スモモ!!」

 

 

スモモ?「アハハ、久しぶりマイロード―!」

 

 

 

イザヴェリがとっさに俺とスモモの間に入る。

 

スモモの方は、今すぐ戦うという雰囲気は感じられない。ただこちらの敵意を察知したらいつでも臨戦態勢に入れるように刀に手を置いてこちらをうかがっている。

 

 

「マイロード、おかしいな。俺の所にスモモはいないはずなんだけどな~」

 

「つれないねー。本当はもう気がついてるんでしょう?」

 

「そうなんですかマスター?」

 

まぁ‥‥ほとんど直感みたいなもんだけどね?

 

 

「お前、そしてあの時俺を襲ったイザヴェリの〈ロストメア〉の正体、お前達、前のデータの奴らだな。」

 

「そうだよ。私やイザヴェリ、ううん、今日暴れてるみんなはかつてマスターの精霊だった子達だよ。」

 

 

 

スモモ・プルーム

 

GW2016ガチャで手に入れた精霊でその火力から当時の雷属性デッキのエースを張っていた精霊だ。

 

 

そして、イザヴェリ‥‥

 

あれは今持っているノーマルではなく、限定ガチャのイザヴェリか‥‥

 

 

「最初の質問に答えて貰おうか,どうして‥」

 

「どうして〈ロストメア〉になっているかって?よく言うよ、私達はねえ!捨てさせられたんだよ!マスター!君によってね!」

 

「なっ!?それ一体どういう意味だ」

 

「別に知らなくてもいいよ、ここでマスターには倒されてもらうからさ!」

 

スモモは刀を抜いた!

 

「す、スモモ‥‥」

 

「悪いけど、邪魔されたくないんだ。できればこんな事したくない、でも仮にここでマスターをやっても私達の誰か一人が門をくくれば私達の願いは叶うんだ。」

 

スモモは一気に加速、距離を詰めてくる。

 

「マスター!」

イザヴェリが促す。

 

「ああ!やるしかないか!ラウズメア、オルタメア!」

 

俺はカードに魔力を込めて〈ロストメア〉を二人召還する。

 

イザヴェリ、ラウズメア、オルタメアがスモモを迎え撃つ、ところが‥‥

 

「きゃああああ!?」

 

「イザヴェリ!?ラウズメア、オルタメアも!」

 

三人がスモモの刀の間合いに入ったとたん、目にも見えない早い剣捌きで三人の急所を狙い切る!

 

ラウズメア、オルタメアは体力の限界でカードに戻る。こうなっては回復するまでこのカードは使えない。

 

「クッ!やはり敵に回すと厄介すぎるぞ!」

 

彼は改めたかつての戦友の恐ろしさを噛みしめた。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

そのころ‥‥

 

 

 

『んんー!防戦一方だね!』

 

「くっ‥‥」

 

 

アネモネ達はオメガシュガウィーの猛攻の前に手が出せない状況だった。

 

アネモネやリヴェータなどが前衛として敵の攻撃を捌き、フロリアやスワンは後ろで支援、サーシャやエリス達はスワン達を守りつつ隙を見て反撃をしているが‥‥

 

 

「ダメだわ硬すぎる!」

 

「諦めたらだめです!次の攻撃が来ます!前衛の援護を!」

 

サーシャは珍しく弱気になりかけたエリスを鼓舞した。

しかし、彼女自身この圧倒的過ぎる敵の前に屈しそうになっていた。

 

 

(このままじゃいつか‥‥)

 

 

「わかりました!」

 

前衛で攻撃を防ぎつつ分析を行っていたアサギがみんなに聞こえるように伝える。

 

 

「何がわかったのアサギさん!」

 

「あの怪物の正体です。あれはC資源、つまりソルニウム技術を応用したものです。」

 

「どういうことなの?」

 

「私達の世界ではソルニウムを使いガーディアンアバターは作られます。人の心にソルニウムが反応し具現化したものと言っても良いです。」

 

 

「つまりどういうことなの?」

 

リヴェータが首をかしげる

 

「私の分析が正しければあれは囚われた6人の心(ソウル)を媒体にソルニウムによって作られたガーディアンアバターです。」

 

「6人分のアバター‥‥まるでキメラねぇ‥‥」

 

『んははっ♪流石アサギ先生!もうそこまで解っちゃいますか。』

 

ウシュガ、いやオメガシュガウィーが肯定した。

 

 

『そして!6人のソウルを使ったこの体はこんなこともできるのさ!』

 

するとこれまでウシュガが映っていた画面が変わる。

 

 

WARNING

アルドベリクの顔

 

 

謎の警告音とともに映るそれは何か仕掛けてくる合図だと皆が気づく。

 

 

「何か仕掛けくるわ!皆!気を付けて!」

 

アネモネが剣を構えて備える。

 

 

現れたのは無数の剣、それもアルドベリクの剣だ。

 

 

無数の剣が円を描くように向かってくる!

 

 

イスルギやアネモネなどの剣士は受け止めようとするが、

 

「くっ!重い!」

 

「きゃあ!?」

 

その一振り一振りがアルドベリクの太刀筋と同じ威力を持っていた。この場にいる剣使い達も未熟ではない。どうにか一撃は防げてもすぐに別の剣が襲いかかる!

 

「みなさん!無理に防がずに避けてください!」

 

「アサギ!これは一体!?」

 

「おそらく‥‥ウシュガは囚われた6人の力を使える‥‥そう考えた方が‥‥」

 

「嘘でしょう?」

 

全員なんとか剣の攻撃を避けきった。

気づけば剣は消えており画面もウシュガになっていた。

 

『あれれ?もうへばったの?まだ僕の力はこんなもんじゃないよ!』

 

 

オメガシュガウィーは次の警告画面になる。

 

 

「後5人もいるのですか‥‥」

 

「いいわ!やってやろうじゃないの!」

 

しかし、まだこちらの戦意は健在だ。

 

 

「ウシュガ!何も奥の手があるのはそちらだけではないですよ!」

 

何もただ耐えていただけではない。

 

「アサギさん!スキル溜まりました!」

 

ルカが声を上げる。

 

ルカだけでなくほぼ全員のスペシャルスキルがチャージが完了している。

 

 

「いくらキメラアバターの化物でも、この数の精霊のSSを喰らえばただでは済みませんよね。」

 

『ま、まさか‥‥』

 

「皆さん!一斉射です!」

 

攻撃系スキルを使う全精霊によるSS連携攻撃!

 

 

これには高い防御力を誇るオメガシュガウィーもたまったものではなかった。

 

 

『うぎゃああああ!?』

 

オメガシュガウィーは苦しみ画面にヒビが入る。

 

 

『まさかそんな!こんなことが!この僕が!この僕!』

 

ウシュガのこの反応に皆が勝利を確信した。

 

ところが

 

 

ファイル1 ロード完了

 

 

『なんちゃって♪』

 

次の瞬間、オメガシュガウィーのダメージが消えていた。

 

 

「ど、どうして!?」

 

「ま、まさか回復スキル!」

 

「いえそのような気配は‥‥」

 

ファイル2 セーブ

 

 

『お返しだよ。』

 

 

突然のことに狼狽える精霊達、しかし、そのすきにウシュガは攻撃を仕掛けてきた!

 

 

「きゃああああ!!」

 

精霊達は力尽きてしまう!

 

 

「く、くそ‥‥ここまでか‥‥」

 

「ま、マスター‥‥」

 

ファイル2 ロード完了

 

 

 

「あれ?」

 

気がつくと精霊達は何事もなかったかのように立っていた。

 

 

「私達‥‥今ウシュガの一撃で‥‥」

 

「夢?幻覚?」

 

困惑が隠せない彼女達の質問に答えたのは意外にもウシュガだった。

 

『いや、今のは現実にあったことだよ。ただその前に戻ったのさ!』

 

「なに!?」

 

『このウシュガフィールド内であれば僕はセーブを行いそのセーブした時間に戻ることができるのさ!』

 

「じゃ、じゃあ!先程ダメージが回復したのも!」

 

『ただ戦闘の前に僕が戻っただけさ。』

 

「そ、そんなの反則じゃない!ならアンタはこの世界にいる限りは不死身ってことじゃない!」

 

リヴェータが叫ぶ

 

 

『んんー!その通り!皆さんに僕を倒す事は不可能さ!でもでも、安心して下さい。皆さんも死んでも何度でもやり直しさせてあげますから。』

 

「なっ!」

 

『皆さんには僕の目的が果たされるまでの間‥‥ここで何度も何度でも死んで貰いますから!』

 

再びオメガシュガウィーの攻撃が始まる。

 

 

歴戦の精霊達ですら感じる圧倒的なモノに押し潰されそうな恐怖、しかし、マスターを救う、その確かな決意を抱き苦しい戦いに望む!

 

 

「私達をなめないで下さい!」

 

 

 

 

 






それぞれの世界で圧倒的な敵と戦うマスターと精霊達、果たして彼等はこの戦いに勝機を見いだせるのか?

そして、ここまで狂気化してまで果たしたいウシュガの目的は?

次回、いよいよ秋の特別編完結!(予定)


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最古の戦友な彼女


どうもです♪

この小説は今年初です!秋の話をまとめてたら何か収拾がつかなくなったので秋の話はひとまずおいて置くことにしました。なるべく早く書き上げます!


 

 

 

水の魔力を感じる‥‥

 

と言ってもただの人である彼には微塵も感じられない。けれど何か澄んだような空気を感じている。

 

ここは彼の所有する水精霊達の部屋がある空間である。

 

 

これまで精霊達の空間に来たことがあるにはあるが水精霊達の、それもこんなに奥までは来たことはない。

 

 

「何か‥‥思ったより静か‥‥水の音しかしないな。」

 

「はい、基本的に各部屋内部から音が漏れることもなく、この最深部の住人は私以外出入りは少ないので。」

 

彼の前を歩く栗色に白が合わさったような色の髪の少女、サーシャが説明してくれる。

 

出入りは少ない‥‥

 

それはつまり出番が少ない、また彼の部屋に遊びに来ることもないということだ。

 

「静かなのは気になりますか?」

 

「いやむしろ、何だか落ち着くな。」

 

様々な水の音‥‥

 

川のせせらぎ、水滴が地に落ちる音、何か池にぽつんと立てる音‥‥

 

聞いているだけで心が休まりそうな気がする。

 

 

「精霊達の空間の奥がこうなってたなんて。」

 

「ふふ、さぁこちらですよ。」

 

 

サーシャに案内されて向かっているのはこの空間の最深部の更に奥、一番隅の部屋だ。

 

サーシャさんの部屋‥‥の隣の部屋だ。

 

 

「ここです。」

 

「ここが彼女の部屋か‥‥」

 

わざわざこんな辺境とも言える場所にやってきたのはこの部屋の主に会いに来たのに他ならない。

 

 

「では‥‥」

 

サーシャが部屋をノックする。

返事はすぐに帰って来た。

 

『ハーイ!』

 

「サーシャです。今お時間は大丈夫ですか?」

 

『いいですよ。開いてますので入って下さい。』

 

サーシャが彼を向く。その目は覚悟はいいのか、しっかりねと言っている様に感じた。

 

彼は頷いてみせる。

 

それを合図にサーシャは部屋の扉を開ける。

 

 

 

二人は中へ入っていく。

これまで精霊の部屋の内部にはウシュガの所にしか入った事はないが、思った以上に中は広い空間になっていた。

 

 

「いらっしゃいサーシャさん‥えっ!?ま、マスター!?」

 

サーシャを出迎えようと出てきた彼女だったがサーシャの他に連れがいて、しかも彼だったことに驚きを隠せないようだ。

 

「よう!突然押し掛けてすまない。迷惑だったか?」

 

「めめめ迷惑だなんてとんでもない!わざわざ来なくも呼び出しくくれれば良かったのに‥‥」

 

「悪い‥‥少し驚かせようと思ってな。まあ特も各にも元気そうでよかったよ、リィル。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

奥に上がらせてもらいお茶を出して貰った。

 

 

慣れない手つきでお茶を出してくれる彼女はリィル・ライル。一見はサーシャの最終進化と間違えそうな見た目で二つの水鉄砲がトレードマークの水精霊である。

 

そして、空間の最奥の部屋にいるということは彼女こそが彼の今現在のデータにおける最古のL精霊である。

 

 

「久しぶりだな。」

 

「ホント、久しぶりです。最後に御会いしたのはいつでしたっけ?」

 

「そうだな‥‥サーシャさん達と戦って頃だから‥‥覇眼3辺りまでじゃあなかったか?」

 

リィルはこのデータで初めて引いたガチャで陣営に迎えた精霊である。

 

多くの魔法使いはリマセラを行い確実に優秀な精霊を手にしようとするが、出会いを重視する彼はそれをせず彼女を迎え入れることにした。

 

 

その後どうにか集めた進化素材をどうするかを話し会った結果、サーシャさんより先に彼女を進化させることにした。

 

まぁ結局、サーシャさんは元々素材をあまり食わない人だったのですぐに進化したし、その時やってた聖夜イベントで手にいれた隠密メイドを含めたこの三人が最初の部隊だった。

 

「懐かしいですね。あの頃は臨時部隊縛り以上に戦力が限られた厳しい戦況が続いてましたからね。」

 

「そうですね。上手く季節イベントに乗って良いスタートを切ったと言う点では流石は長年やってだけのことはありましたね。」

 

「まぁ‥‥今にして思えばあの頃は情報縛りもやってたみたいなものだからな。あの頃に少しでも攻略サイトを活用してればもっと上手に振る舞えたって今でも思うよ。」

 

 

そこから少し三人で昔話に興じる。

この三人が三人だけで揃うのはかなり懐かしいことだ。

 

ところが、リィルは本題へと切り出した。

 

「それで‥‥マスターは何の用で私の所までに?わざわざ昔話をしに来ただけとはおもえません。」

 

「‥‥ふ、流石は元参謀役。俺の事をよくわかってる。」

 

彼もそろそろ今日来た理由を話すことにした。

 

 

「まぁ‥‥昔話をしたかったのもあるけど、君を尋ねたのは他でもない。君とまた戦いたいと思ったからだ。」

 

「‥‥何を、いまさら。ムリだよ‥‥」

 

リィルは少し体を背ける。

 

怒らせたか?仕方がない。

俺は彼女に恨まれても怒られても仕方ない。

 

彼女は精霊が揃わない悪戦期を他の仲間達と共に何とか戦い抜き、そして最も揃うのが遅かった水部隊を支え、最も長く苦労を共にした戦友の1人である。

 

ただ‥‥その後はむしろ水戦力が圧倒的に充実してきたことにより、彼女の出番はなくなり、主力や素材狩りなどの出撃をルカやルリアゲハ、イスルギに譲り、参謀の座をサーシャやアネモネに委ねると自分は身を引きいてしまった。

 

いや、違うな。彼女の性能ではこれ以上は無理だと判断したのは俺であり、彼女の面子を潰したことで彼女を俺の側にいづらくしたのもまた俺だ。

 

上がっていくクエストの難易度で旧式化を否めない彼女に彼自身も彼女に活躍の場を与えることもできず、ただ最古参の1人であることだけを覚えていて放置してしまっていた。

 

 

「これまで君に活躍の場を用意できなかったのは俺の失態だ。それは謝らる。‥‥すまなかった。」

 

彼は誠心誠意、頭を下げて謝る。

下げたまま続けた。

 

「そして、今さらながら頼みたい。俺は君とまた戦いたい!」

 

「違うよマスター、そうじゃないよ。」

 

彼は恐る恐る顔を上げる。

 

彼女は泣いていた。

 

「私はマスターを恨んでなんてない!だって勝つための部隊編成をするのは当然のことだもん。そして、私の力じゃもう役に立てないことも‥‥」

 

「り、リィル‥‥」

 

「それどころかマスターは私の事を忘れずにいてくれた!こうして来てくれた!あの時‥‥一刻も早く戦力が欲しいはずなのに、私なんかを歓迎してくれた‥‥」

 

彼女の涙がぽろぽろと落ちる。

 

 

「必要としてくれて嬉しかったし、だから役に立ちたいと頑張った。そして、戦力が揃うまだの繋ぎとしての役目は十分に果たした‥‥」

 

「リィルさん‥‥そんな事を思って‥‥」

 

「だから‥‥後は頼りになる後輩達に任せて邪魔にならないように‥きゃん!?」

 

リィルは突然マスターからチョップを受けた。

 

「マスター!?何を!」

突然のことにサーシャは驚いた。

 

されたとうのリィルは何がなんだかわからず混乱している。

 

 

「役目が終わったらハイさよならだと?お前は傭兵か!」

 

「えっ!?私、設定は傭兵です!」

 

「そうじゃない!お前の話だとまるでお前が臨時で雇ってたみたいじゃないか!お前は繋ぎのための傭兵じゃない!歴とした俺の正規精霊だ!」

 

「‥‥!」

 

「それに何が邪魔にならないようにだ。そんな事思ってもないし、参謀みたくそんな客観的な分析とかは聞いてない!俺がお前を使いたいと言ってそしてお前は戦ってくれるかと聞いた!お前の思いを聞いたんだ!」

 

「で、でも‥‥私はもう旧式‥‥」

 

「リィルさん、この人前まで縛りとかやらされて大分無理が好きになってます。そんなことは気にしませんよ。」

 

「サーシャさん!?人をドMみたいに言わないで!」

 

マスターは無理やり咳払いする。

 

「それに、お前はもう旧式じゃないぞ。」

 

「えっ?それってどうゆう‥‥」

 

「お前の正式イベント参加、限定、ボイス化が決まった!これでお前はまた戦える!」

 

「ええっ!?ホントに!」

 

「ああ!本当にだ!ただ‥‥カフェだがな‥‥」

 

「私傭兵なのに!?」

 

「それでも初イベントに最新カードだぞ。俺はこの日をずっと待ってたんだ!」

 

「マスター‥‥それってガチャだよね?手にはいる自信あるの?」

 

「‥‥‥‥」

 

「‥‥サーシャさん?」

 

「十連分なら石が貯まってます。けれどそれだけでアナタを当てられるかどうかは‥‥」

 

「お、俺はやるぞ!絶対当ててやる!」

 

リィルは笑い出した。

 

「あはは、ごめんね。もう‥‥そうならそうと言って欲しかったな‥‥」

 

「はは、これもサプライズさ。まぁ当たらんでもお前は使うぞ。」

 

「そっか‥‥また、出番ね。」

 

「一年ぶり以上だが‥‥鈍ってないだろうな?」

 

マスターは右手を差し出す。

 

「むしろ体力が有り余りよ。私の心配よりもマスターはしっかり、私を引いてよね?」

 

リィルも手を差し出しマスターの手をぎゅっと握る。

 

 

 

 

 

 

 






リィルさんのイベント参加、ボイス化おめでとうです♪

本当に嬉しいです!彼女は一番大変だった時に使っていた精霊でかなり思い入れがあったものですから‥‥

ガチャ‥‥絶対に引き当てます!!


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秋に見る夢は黄昏へと part4



遅れに遅れてようやく続きです。 でもまだ完結編じゃないです‥‥。


 

 

 

「はぁぁぁ!」

 

スモモは一気に詰めてきた!

 

「くっそぉ!」

 

彼はとっさに落ちていた壊れた武器を拾い構えるも、

 

 

「残念だね!」

 

「あっ!」

 

カキーン!

 

握っていた武器は一瞬で弾かれ手から飛んでいく。

 

その勢いでスモモの蹴りをくらい彼は呻く。

 

 

「ぐうっ!」

 

そして地面に倒される。起き上がろにもすでにスモモの刀が首をとらえていた。

 

「チェックメイトって言うのかな舶来の将棋では。」

 

「スモモ‥‥」

 

駄目だ‥‥

殺される。この状況を打破する手が思い付かない。

 

 

コイツがこんなに強いなんて‥‥

 

これもロストメアとなって力を得たからなのか?

 

うん?

 

待てよ‥‥

 

 

俺はこの状況を打破する方法は思い付かなかった。

しかし、それ以上の事に気が付いてしまった。

 

 

「お前、再び俺の精霊になることが目的だって言ったな。」

 

「うん、そうだよ。」

 

「それは全員そうなんだよな?」

 

「そりゃ勿論。だからみんな協力して事にあって‥‥」

 

「誰か一人でも門を潜ればってお前言ってたけど、それ嘘だろ?」

 

「なっ!?何を言うのかな!」

 

ビンゴって言うのかなこれは‥‥

だがこれで状況は一変するぞ!

 

 

 

「これだからマイロード油断できないね。だから早いうちに!」

 

スモモが刀を構える。あ、不味い!

その前に俺が助からないと!

 

 

「死ね!」

 

スモモの刀が降り下ろされた。

 

「うわあああああ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「ガバッ!?」

 

オメガシュガウィーの攻撃がアネモネの胸を貫く。

 

これが致命傷となりアネモネは確かにやられた。

 

 

 

「くっ!」

 

そして目を開けると何事もなかったかのように立っている。

 

「イスルギ!アンタ何回やられた!」

 

「もう数えるの止めたわ!そう言うリヴェータも覚えてないでしょう!」

 

既に何度もセーブによって死亡と復活を繰り返している。

 

 

「これじゃあ詰みセーブですね‥‥」

 

「くそっ!わざわざ生き返らせるなんて!舐めた真似を!」

 

『いやいやいや、ボク言ったよね?何度も死んでもらいますって。あ、でもご心配なく。本当には殺さないので。』

 

んんーんんっはっはははは!

 

状況はオメガシュガウィーの圧倒的優位

彼の笑い声が空間内に響き渡る

 

 

 

「ウシュガなんぞにここまでしてやられるとは‥‥」

 

「何度生き返らせるですって?ならば何度だろうと私達も立ち上がりアナタを、倒します!」

 

そう言ってアネモネは立ち上がる。

 

ところが、

 

 

「あ、あれ‥‥体が動かない‥‥」

 

周りを見ると彼女だけでなく、みんなが体を震えさせて動けないでいた。

 

「ど、どうして‥‥」

 

『んんーん!ようやくかい。』

 

「ウシュガ!一体なにを!」

 

『ふふふ、君たちは既に何度も死んだ。その結果、つまり死んだ時の記憶は前に戻っても君たちに残っているように君たちの体にも苦痛、恐怖が記憶されているのさ。そして、その蓄積の結果、君たちの体は僕に恐怖のあまり動けなくしているのさ!』

 

「なんだと!」

 

「そんなことは、おわっ!」

 

「う、動け!動いてよ!私の足!」

 

ある者は武器を握れず取りこぼし、ある者は魔力を練ろうとしても出来ずにいる。

 

そう、私たちは完全に戦闘能力‥‥いや戦意を失ったのだ。

 

 

『そのまま僕の計画が終わるまでじっとしてて。そうしたら元に戻してあげるからさ。んんーん!』

 

ウシュガはもう既にアネモネ達を脅威と感じないのか後ろを振り返り小さな画面を開く。

 

『んん~マスター君は苦戦しているようだねぇ。』

 

 

「マスターに何をした!!」

 

ルカがオメガシュガウィーに飛び掛かる。しかし

 

 

『ほいな。』

 

「きゃあああ!」

 

オメガシュガウィーの巨腕がルカを払う。

さらに大量の爆弾を投下、アネモネ達に襲いかかる。

 

爆発が晴れるともはや立ち上がっている精霊はいなかった。

 

 

「くっ‥‥マ、スター‥‥」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「死ね!」

スモモの刀が降り下ろされる!

 

 

「死にたくなかったら動かないでね!!」

上から突然の声!

 

俺はええい、ままよ!と声を信じじっと動かない。

 

 

すると俺のすぐ真上を雷が通る。つい一瞬までいたスモモは雷にさらわれそのまま路地の壁へと打ち付けられていた。

 

「アガッ!」

 

「今!ファニング!」

 

叩きつけられた衝撃と感電による麻痺で立て直せないスモモに弾丸が雨となり襲いかかる。彼女は刀で弾き返そうとするが手が痺れて刀を取り零す。

 

「キャアアアアアアア!!!」

 

弾丸はスモモの全身を穿つ。しかし、それでも彼女は消えない。最後の力を振り絞り立ち上がる!

 

「マダァ‥‥オワラナイ‥‥ワタシタチノヒガンハ‥‥」

ヨロヨロとこっちにくる。

 

ぼろぼろでもまだ足掻こうとする彼女を見て俺は無性に心が痛かった。

 

「朽ちよ!悪夢め!」

 

詠唱を終えたリフィルがトドメの一撃と魔法で雷撃をほとばしる。

 

「わ、ワたしガ、キエテ‥‥モねがイはかなウヨ‥」

 

 

彼女の最後の言葉は雷鳴で書き消され、彼女の体は雷光の飲まれて消滅した。

 

 

「大丈夫か悪夢使い?」

 

「リフィル‥‥ありがとう‥‥」

リフィルに手を差し出され立ち上がる。

 

「ずいぶんやられちゃってるみたいだけど‥‥もしかしてあの夢、アナタの知り合いのとか?」

 

「‥‥‥‥。」

 

俺はルリアゲハの問には答えず辺りのスモモに打ちのめされたメアレス達に目をやる。

 

 

遠くからではあるが戦闘音が聞こえる。

 

おそらくラギトをはじめ多くのメアレス達があのロストメア‥‥いや、俺の精霊達と戦っているのだろう。

 

 

俺のせいだ‥‥

俺のせいで関係ない世界の人達に迷惑が‥‥

 

 

俺があの時‥‥いや俺が彼らを失った後でも忘れさえしなければこんな事にはならなかった。

 

 

ならばせめてこの戦いは俺が止める!

 

もうこれ以上この世界の人を犠牲させないし、精霊達にこれ以上罪を重ねさせない!

 

 

「リフィル、ルリアゲハ‥‥実は‥‥」

 

俺は簡潔に事情を伝えた。

 

 

「これは俺の責任だ。だから俺が止める!」

 

それだけ伝えると俺は"気配"のする方向へと行こうと‥‥

 

 

「待って。」

 

リフィルに止められた。

 

「異界とか精霊とかよくはわからない。けど、相手はロストメアでロストメアと戦うのがメアレス。だから彼らがやられたのはアナタのせいじゃない。」

 

「それに、アナタ一人の問題じゃないしね。相手がロストメアで街を滅茶苦茶にされた。これだけで十分よ。」

 

「二人とも‥‥」

 

「手を貸すわ。」

 

「さあ!サクッとこの騒ぎを終わらせてその賞金でパーっとやるわよ。」

 

 

 

 

俺達は"気配"を追いかけていた。

 

 

「これは門の方向ね。他の奴らは遠くで戦ってるうちに一人だけこそこそと!」

 

「よく他は全部囮ってわかったわね。」

 

「スモモのやつが言ってたんだ。アイツらの誰か一人が門をくぐればいいとな。」

 

「願いが同じなら誰か一人がくぐればいいってことじゃない!」

 

「いや。そうじゃない。もしそうなら変だ。」

 

「何が?」

 

「ロストメアは願いの内容に応じて能力が変わるんだろ?なら最初のイザヴェリやスモモはどうして能力が違ったんだ?」

 

「ハッ!まさか!」

 

「そうだ。確かに奴らは共通の願いを持ってはいる。しかし、かつての仲間と再び俺の精霊になると言う夢で生まれたのは一人だけなんだろう。」

 

「誰か一人ってそういう!?」

 

「ああ!アイツが正直で助かったよ!」

 

「!見えた、多分あれじゃない!?」

 

ルリアゲハが指を指したのは通りを静かに進む機械の塊‥‥その機械を操るのは

 

「ジル!」

 

俺の呼び声で機械は振り返る。

 

「あ、やっぱりマスターですね。はやり気付きましたか。もっと早く始末するべきでしたね!」

 

いきなりの一斉射撃だ!

 

三人はそれぞれ路地や店などに隠れて攻撃から逃れる。丁度俺とリフィルは同じところに隠れた。

 

 

「あいつは?」

 

「あいつはジル。俺の精霊の中でもかなりの古参でエースだった奴だ!」

 

「凄い弾幕ね。これじゃ近づけないわ。」

 

「数打ちゃ当たるは私の十八番なのに!」

少し離れた所に隠れたルリアゲハが毒づく。

 

 

アイツの持ち味はこの連撃だ。アイツの攻撃回数の多さには初めて会ったときには驚いたさ。頼りになるやつほど敵にすると面倒だな。

 

「二人とも、このままだとジリ貧だ。俺に任せてくれ。」

 

 

 

 



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秋に見る夢は黄昏へと part5

いよいよ長かった戦いも完結編!

クロスディラブ3や魔道杯などと、忙しいのにこれを読んでくれる人がいたら感謝に絶えません。



 

 

 

「皆さん!お待たせしました!ってあれ?誰もいない‥‥」

 

ウシュガの研究室に遅れて駆けつけた元帥、エルナ、フェリクス率いる水戦士やサクト隊達。

 

現場にはフィーンド達が倒れているだけで他の姿が全くなかった。

 

「時すでに遅しってやつか?」

 

「いえいえ、後の祭りです。」

 

「どっちも意味は同じだろ‥‥それにしても元帥閣下、いかがしやすか?」

 

「サクト」

 

「お、おう!」

 

「コイツらはウシュガの手下だ。お前の仲間にはコイツらの治療と拘束のために応援を呼んでこい。」

 

「わかった!お前ら二手に別れろ!ヒーラーと兵士を連れて来い!」

 

元帥の指示を受けてサクト達は早速走っていく。

 

「さて、我々の何か痕跡がないか探す。」

 

「元帥殿、その必要はない。」

 

キュウマが何かを見つけたようだ。

 

「ほう?」

 

「説明するより見てもらった方がいい。」

 

研究室の奥に進む。すると部屋の最奥のフロアを占領する巨体な装置が2つあった。一つはカプセルがついておりその中には、

 

「マスターさん!?」

 

「やっぱりウシュガは黒か!」

 

「でもだとしたら先に行ったサーシャさん達は?それに、ウシュガさんも‥‥」

 

「諸君。その答えはこれだろう。」

 

今度は元帥が見つけた。

2つあるもう1つの装置。大きな画面と無数のスイッチがついているものでその大画面には、

 

「サーシャさん!アネモネさん!それに、皆さん!」

 

「それに、あのなんかヤバイのはウシュガか?」

 

「どこかで戦ってるのか?」

 

「大分押されてるようだな。だが、助けようにも一体どこで‥‥」

 

珍しく困った顔をする元帥。どうやら元帥にも今の状況が見えてこないようだ。

 

 

「その装置を調べろ。もしかしたらどこで戦っているかわかるかもしれん。」

 

「わかりました閣下!このエルナにお任せ‥‥おおっと!」

 

元帥の指示で装置を調べようとしたエルナは何もないのになぜか滑ってしまった。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「エヘヘ‥‥大丈夫ですよフェリクス隊長。あっ‥‥」

 

エルナは滑った拍子に装置のスイッチ。それも大きな文字で『セーブ装置 絶対に触るな』を押してしまった。

 

 

「どどどどどどうしましょう!?私、絶対に触るなを押してしまいました!?」

 

「落ち着けエルナ。何も変化は‥‥無いな。」

 

「これは何のスイッチなんだろうな?」

 

「さあ?」

 

悩むエルナ、フェリクス、キュウマの三人。

丁度その時、近くを捜索していた別の精霊が戻ってきた。

 

「失礼します!向こうでこれを見つけました!」

 

「これは‥‥この装置の設計資料だ!」

 

「後、サクトさん達が戻ってきました。フィーンドどもは全て拘束、ガトリンが連行しました。」

 

「そうか、ご苦労。」

 

 

 

「ふむ?どうやら向こうで動きがありそうだ。」

 

会話に入らず映像の方へ視線を向けていた元帥が唸った。

 

「閣下?」

 

「エルナ、その資料を見せろ。フェリクス、向こうにいる者共を呼んでこい。」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

『んんんっはっははははは~♪』

 

その時はウシュガはマスター達の戦いを見ていた。

 

 

『いいよ~そうだよ!これで僕の計画は達成だよ。』

 

勝利を確信し、完全に油断したウシュガ。それがウシュガを敗北させることになった。

 

 

「調子に‥‥乗るな!!」

 

仲間達が動けない中、やっとの思いで魔力を練る事ができたエリスがオメガシュガウィーに攻撃を仕掛けた。

 

完全に警戒を解いていたオメガシュガウィーの防御は下がっておりオメガシュガウィーに有効打となった。

 

『んんーーなっ?!まだ動けたんですか!?でもざんね~ん!このダメージもロードすれば‥‥あれ?』

 

ウシュガは困惑している。

 

それをアネモネは見逃しはしなかった。

 

 

「はああああ!」

 

アネモネは剣を握りウシュガに斬り込む。

 

『取り込み中ですので!!』

 

「ぐあああっ!」

 

しかし、オメガシュガウィーの巨腕に払われる。

 

 

『おかしい‥‥何故だ?何故ロードができない‥‥はぁ!もしや誰がセーブ装置をOFFに!?』

 

 

 

「ウシュガは何を困惑してるの?」

 

「ダメ‥‥体がもう動かない‥‥」

 

ウシュガが何故かうろたえてる。確かにチャンスではあるがすでに戦意は奪われ体力は底をついた。

 

 

『でも、でも!アサギ先生達はもう動けない!だから問題はない!』

 

「ホントにそうかしら?」

 

『んんー?ほぎゃあ!?』

 

誰かがオメガシュガウィーにキツイ一撃を与えた。

 

 

「い、今の‥‥誰がやった?」

 

「いえ、私達じゃあ‥‥」

 

「私達ですよ先輩!」

 

「アネモネ様~♪助けに来ました!」

 

「あ、アナタ達は‥‥」

 

アネモネ達の前に現れたのはヒカリにエステル、バレンタイン前に臨時部隊を編成した精霊達だ。

 

 

「あ、アナタ達‥‥どうしてここに?」

 

「私達だけじゃないですよ。」

 

 

 

『え?あの人達どこから‥‥』

 

「よそ見するんじゃない!くらえ!絶望のオーラ!」

 

『!?』

 

突然の不意打ちにオメガシュガウィーは触手攻撃で防御する。 しかし、それは囮だ。

 

「「はぁぁぁぁ!」」

 

二人の女性が剣と本でオメガシュガウィーの頭部を叩く!

 

『ウゴッ!?』

 

更に追い討ちと火、水、雷の攻撃が一斉にオメガシュガウィーを襲う。

 

 

「夏の特別部隊ここに再編成!」

 

「キーラさん!ベアトリーゼさん!ダンケル学園長に‥‥」

 

「ウルディアです。」

 

「そ、そう。ウルディアさん!」

 

 

『ど、どうして‥‥どうやってこの空間に‥‥』

 

「困惑してるな?切り札のセーブ装置を止められ更に増援をこれだけ呼んだのだからな。」

 

『何故だ!何故セーブ装置を!?ま、まさか‥‥』

 

「そうだ。お前の装置はすでに掌握した。なればこの状況の理由なぜ想像するまでもない。」

 

 

「元帥閣下まで‥‥」

 

後ろに水戦士をはじめ数多の精霊を従えるその姿はまさに英雄と呼ぶのに相応しかった。

 

 

「エルナ!」

 

「はい。支援班はサーシャさん達の回復を!ヒカリさん達第1臨時部隊はその援護を!他の皆さんは私達とアイツをボコりますよ!」

 

「よーし!みんな俺に続け!」

 

「行くぞ!」

 

うおおおおおおおっ!

 

フェリクスとキュウマを先頭に精霊達はオメガシュガウィーに攻撃をしかける。

 

 

『くっそー!元帥が犯人か!こうなったら僕もやけだ!』

 

ウシュガも負けじと何やら召喚陣を生み出す。するとそこから大量の機械兵が出てきた。さらに火フィーンド以外のウシュガに協力している水、雷フィーンドや帝国兵達までもが精霊達に立ちはだかる!

 

『数ならこっちの勝ちだんんーー!』

 

 

ウシュガと精霊達の最後の戦いだ。両軍は入り乱れたちまち大乱闘となった。

 

 

 

「待っててください!今の回復する。」

 

「ありがとうフィルチ。」

 

「みなさん回復~それ~♪」

 

支援班のフィルチやグレイス、クリネア達がボロボロのサーシャ達を回復する。

 

「よーし!これでまた戦えるわ。」

 

「はい、今までの倍、いえ十倍返しといきましょう!」

 

と、意気込むアサギとリヴェータをウシュガの機械兵達が取り囲む。

 

「遅れないでよアサギ!」

 

「リヴェータさんこそ!」

 

リヴェータは覇顔、アサギはセレウスを展開する。

 

 

「この戦い、マスターの為にも勝ったらーい!」

 

ルカの強烈な一撃がオメガシュガウィーへの道を塞ぐ者達を凪ぎ払う。そこにルカのチームメイトが集まりルカのSSが発動する。

 

「高火力でなぎはらったらーい!」

 

更に圧倒的な攻撃でウシュガ軍の壁に穴が空いた。

 

 

「行って!アネモネ!」

 

「はい!サーシャさん!」

 

「ええ!これで終わらせます!」

 

 

ルカ達の作った道をアネモネとサーシャが進む。途中それを防ごうと躍起になりフィーンド達が来るがキーラ達がそれをさせない。

 

「ウシュガさん!」

 

「お覚悟!」

 

『んひぃぃぃぃ!け、けどね!僕はまだ力が!ん?!クソっ!ソウルが暴れて‥‥こらっ!僕の言うことを‥‥』

 

「一体何が?!」

 

「きっと囚われているフィオルさん達です!ウシュガさんに抗っています!」

 

「つまり!今ウシュガは力を活かせない!!」

 

 

『オノレーー!!!』

 

ウシュガは巨腕を振りかざすものの二人はそれを回避、逆にその腕を登りオメガシュガウィーの頭部へと迫る。

 

触手で振り落とそうとするが剣で捌かれ、術で防がれる。もう防げない!

 

 

『く、来るなーー!』

 

「月光のダイヤモンドォォォォ!!」

 

「宙星覇斬ッ!!」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「それじゃあ‥‥合図したらいくぞ。」

 

「ええ!」

 

「頼んだわよ。」

 

俺は画面を開く。二人も俺の合図を待て静かに構える。そしてその時‥‥ジルの猛撃が止んだ次の瞬間

 

 

「召喚!レベルメア!ロードメア!オルタメア!」

 

 

俺は3体ものロストメアを召喚!いきなり飛び出して来た俺に当然ジルは攻撃してきた。が、ジルの攻撃はレベルメアとオルタメアのお陰で防御できている。

 

 

「なっ!?防いだ?」

 

「へへ‥‥防御には優れた二人だからな‥‥」

 

「何をすればと思えばただ防ぐだけなんて!マスター!」

 

「そうだな。俺は防ぐだけだ。俺はな!!」

 

 

この言葉が合図となった!

 

今まで隠れてたリフィルとルリアゲハが出て来てそれぞれジルの側面をつく。

 

それに気が付いたジルが二人に照準を合わせてレーザーを発射するが、その攻撃は二人に着弾するところかあろうことか曲がって俺のロストメアの盾に向かっていった。

 

「なっ!?何が起こって‥‥」

 

「ロードメアのシナリオの能力は導く力だ!お前の攻撃を俺の鉄壁へと導かせてやったまでだ!」

 

それを聞いたジルは頭に血がのぼったのか何度も攻撃を仕掛ける。しかし、全て導かれてしまった。

 

 

「くらえ!」

 

「さっきのお返しよット!」

 

そうこうしていると両脇の二人がジルの装甲を攻撃する。機械の鎧には雷で穴が空き、兵装が銃弾でダメにされた。

 

 

「くぅおののののの!」

 

ほとんどの無力化されつつもまだ暴れるジルの物理攻撃だ。しかし、怒りに任せたそんな攻撃など歴然の二人は簡単に避けてしまう。

 

 

二人はそのまま俺と合流、それと同時に俺のロストメア達は強制送還される。ここで俺の魔力が尽きたのだ。

 

 

「良くやった悪夢使い!」

 

「信用はしてたけど博打みたいな作戦よね。」

 

「それは、こんな作戦しか提案できなかったこと申し訳ない。」

 

 

俺のロストメア達でジルの攻撃を受け止めてその間に二人が攻撃する。作戦は大成功だ。

 

しかし、これを実行するにあたり主に俺に幾つかの不安要素があった。

 

 

 

「え?アナタが敵の攻撃を受けるって?」

 

「おう。俺の使えロストメアには防御自慢がいるからな。ソイツを盾にして更に二人により安全に行かせる為にロードメアの力を使う。」

 

「それ、ホントに大丈夫なの?」

 

「正直あの火力だと一体では無理だな。せめて二体欲しいがとなると問題が。」

 

「問題?」

 

「俺はこれまで精霊を同時に二体までしか使ったことがない。果たしてそれだけの数を召喚するのに俺の魔力がもつのか、ちゃんとコントロールできるかわからない。」

 

まぁイザヴェリ含めれば三体だけどアイツは自分で考えて動いてたからほぼ指示してないし、魔力も自分持ちだったからな。

 

 

「後、不安をあげるなら二体の防御であれを防ぎきれるかすら推測できかないからな。」

 

「それだと悪夢使いさんが危険だわ。」

 

「‥‥どのみちこのままだとやられる。私は悪夢使いの作戦に乗ったぞ。ただし!絶対に成功させろ。」

 

 

 

と、まぁそんなこんなでギャンブル作戦は成功し、ジルはほぼ無力だ。だが‥‥

 

 

「まだまだまだまだ!!!」

 

ジルはまだ諦めていない!雷を周囲に発生させてそれをまるでバリアのようにしている。

 

それと同時に悪夢のかけら達が現れた。

 

 

「無駄な足掻きを!」

 

「でーも、この数。前の奴より多いわよ。」

 

「‥‥二人はかけらども相手してくれない?」

 

「悪夢使いさん?」

 

「しかし、お前はもう魔力は‥‥」

 

「ああ、もうロストメアを出すだけの魔力はない。けど心配するな。まだ手はある。それに」

 

俺はジルを睨む。

 

「アイツとの決着は俺がしないとな!」

 

「わかった。ここは任せた。」

 

「美味しい所をあげるんだから今晩おごりなさいよ。」

 

「おう!好きなだけ飲ませてやる!」

 

 

会話はそこまでだ。三人は一斉に動き各自のやるべき事をする。

 

リフィルの雷が大軍を襲う。多くのかけら達が消滅し、雷が逃れた奴等をルリアゲハが仕留めていく。

 

 

そうして出来た突破口を俺は進む。無力化されたとはいえ元は精霊のジルはその本来の魔力で雷撃を繰り出す。

 

俺はそれを知ったことかとただひたすらに走った。

 

 

「クッ!でも!いくら私に近づけたところで今のマスターに私の雷の結界は破れない!」

 

「それはどうかな!」

 

俺は残りカスに等しい最後の魔力を使う。

 

 

「イザヴェリ!行くぞ!」

 

「はい!マスター!」

 

イザヴェリならこの魔力でも召喚できる!

 

 

「アアアアアアア!?」

 

火属性のイザヴェリの登場で明らかな敗北を予想するジル。それもそのはず。

 

「雷属性は火属性に弱い。これは黒猫の鉄則だからな!」

 

「はああああ!」

 

イザヴェリの一撃でジルのバリアは破壊させる。

 

「そ、そんな!?」

 

 

「これで終わりだ!イザヴェリ!俺の残ってる力全てぶつけろ!」

 

「わかりました!ジルさんお覚悟!」

 

「マスター!どうして!マスターだって一度は望んでたじゃない!私達と再び歩む未来を!私はただ‥‥」

 

 

 

「滅魂焔ディストピア!!」

 

 

私は、私達の願いは‥‥

 

 

 

俺とイザヴェリの最大の一撃がジルを被う。

 

 

ジルは‥‥まだ消滅していなかった。

 

しかし、機械は全焼し本体もボロボロで一部消えかかっているところからもう彼女が消滅するのも秒読みだった。

 

 

「ジル‥‥聞こえるか?」

 

「‥‥‥‥ええ。」

 

「俺は確かにお前達と再び戦いたかった。けれど諦めちゃったんだ。それはあの運営の硬派な部分を知っていたからだ。だが、それだけはない。」

 

俺はイザヴェリを見る。

 

「彼女達のように、今の俺には一緒に頑張ってくれる頼もしい奴等が沢山いる。お前達の夢を認めたら、今度は彼女達が消える羽目になるかもしれない。そうなれば彼女達はお前達と同じ苦しみを味わう。そして、お前達もその罪を背負うことになる。仮にもお前達の魔道士だ。そんなの、させなくないよ。」

 

「じゃあ‥‥私達は‥‥私達はどうすればよかったの?」

 

「‥‥勝手な話だと思うかもだけど、いいか?」

 

「‥‥」こく

ジルは頷いた。

 

「俺はもうお前達の事を忘れない。約束する。全員は無理でも、一人でも多くの仲間と再び契約してみせる。」

 

「‥‥‥‥。」

 

「それまでは‥‥もう少しだけ待っててくれないか?」

 

「‥‥ふふ。やっぱりマスターはマスターだね。」

 

「ジル?」

 

「ふふふ。私、はじめてマスターとケンカしゃったけど。楽しかったな‥‥」

 

「あはは、今後はお前を起こらせないようにしよう。」

 

「うんん。またケンカとかしてみたい。だから‥‥約束‥‥今度は守ってよ。」

 

「ああ。勿論だ。」

 

ジルは微笑んだ。それから徐々に消滅していきそれまで俺は彼女の手を握り続けた。彼女の手が消えるまで。

 

その時はすでに黄昏も終わっていた。戦いの音も止んでおり、戦いはメアレスの勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「あれ‥‥ここは?」

 

気が付くと俺とイザヴェリは床に伏せていた。周りにはようやく見慣れたあの街やリフィルの達の姿はない。俺はまた知らない所にいた。

 

 

しかし、それ以上に見慣れた者達の顔がこっちを覗いていた。

 

 

「ま、マスターが!目を覚ましました!」

 

「マスター!気分はいかがですか!?」

 

「全く!心配させて‥‥まぁ!私はそこまで心配してないけど?」

 

「う、うええん~~。マスタ~~!」

 

「よかった‥‥」

 

「はい!ホントに無事で何よりです。」

 

 

サーシャ、アネモネ、リヴェータ、スワン、エリス、アサギ‥‥

 

俺は順に顔を見ていく。

 

それに、みんな‥‥

 

 

少し起き上がり周りを見ればウシュガ研究室に集まった俺の主力精霊達の姿が‥‥

 

「なんだ、皆ボロボロじゃないか‥‥」

 

「はい!」

 

「本当、誰のせいなのでしょうね」

 

「そうだ!ウシュガ!あの野郎は?」

 

「そこです。」

 

アサギの指し方にはガトリンに拘束されたであろうフィーンド達や原型を留めないほどにボコボコにされたウシュガの姿が‥‥

 

 

「う、うん!もうなんか満身創痍だしいっか。」

 

 

 

 

その後、俺達は互いに怒った出来事を共有した。

 

 

俺達はメアレスの世界でかつての精霊達と戦ったこと。

 

サーシャさん達は6人の部隊長のソウルを使い化け物となったウシュガと戦ったこと。

 

 

 

それぞれの話に驚いたところで俺はなぜウシュガがここまでしたのか、その理由が知りたくなった。

 

 

ウシュガの回復を待って話を聞きに行った。

 

 

ウシュガはその訳を語ってくれた。

 

 

「それはね、マスター君のためさー。んんー。」

 

「俺の為だと?」

 

 

ウシュガの目的は、俺のかつて抱いていた目標が薄れてきいているのに気付きそれを問いたかったこと。そして、それが原因で別の世界軸で本当に彼女らが見果てぬ夢になり、世界を滅ぼす危険があったのでその対処をさせたかったからだそうだ。

 

誰にも伝えず強行した訳は、俺には説明せず俺自身に気付かせた方が良いと考えたこと。サーシャさん達は俺にそんな危険なことはさせられないと反対される事を恐れたからだ。

 

 

理由を聞いてアネモネ達はウシュガに激怒したが俺は怒る気にはならなかった。

 

ウシュガとそれに加担したフィーンド達にはしばらく空間内の掃除をやらせることでこの件は不問にしてもらった。

 

 

 

 

更に時は流れて‥‥

 

 

 

「ま、マスター!?ビッグニュースです!」

 

いつにも増して慌てるサーシャさん。

うん、可愛な‥‥

 

「うん?どうしたの?」

 

「次の六周年ガチャから前のSランク精霊達が復帰するそうです!」

 

「なんだと!?よっしゃー!またヴィヴィやテオドール達に会える!」

 

また昔の仲間を取り戻せるチャンスだ!絶対にものにするんだ!

 

「このような復帰があると言うことは‥‥」

 

「いつか、あるかもな。Bランク精霊の復帰も。」

 

 

ジル‥‥ほんの少しだけど、希望が見え始めたよ‥‥

 

 

だから

 

「ほーら!今回はかなりボリュームあるそうですから!早く準備しておきましょう!パーティーもやりますよ!」

 

「おお!流石は宴会大臣殿!」

 

「誰が宴会大臣ですって!」水魔法!

 

「ぎゃあん!」

 

 

だから‥‥待ってろよ!

お前が復活するまで、俺はこのゲーム辞めないからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて特別編は終了です。御愛読ありがとうございました♪

ここからはお知らせです。実は投稿してなかった期間で引いたガチャで念願のアリエッタやエニーなどのメイン精霊達を多く入手することができました。

役者も増え、デッキも大幅に改造されたので、これまでマスターの周りにいた精霊は私がお世話になったりお気に入りだった精霊ですが次回からはキャストが若干入れ替わります。

質問があれば気軽にどうぞ。感想は心よりお待ちしております!


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新戦力整いました

令和になって初の投稿ですね。新年号になっても黒猫を楽しみたいと思いますのでよろしくお願いいたします♪



 

 

 

 

「なんだかどこも騒がしいね~」

 

少女が部屋のPCをいじりながら言う。それを聞いていたもう1人がお菓子を食べる手を止める。

 

「なんでも年号が変わったとかでみんな少し浮かれてるみたい。」

 

 

いつもマンションの一室にて、GWのイベントに参加していた二人の少女が休憩していた。

 

 

「あ。これはマスターのお部屋で会うなんて珍しい二人ですね。」

 

丁度出撃から帰るついでに報告に来たフィオルが二人に少しだけ驚いた。

 

「あ、フィオルさんお疲れ。なに?マスターさんに報告?」

 

「はい。先程の出撃で私の契約レベルが3になったのでその報告を‥‥」

 

「報告って言って実はマスターに何かご褒美とかねだろうとか考えてたんじゃ?」

 

「‥‥成果を上げる度にキノコを要求するアナタに言われたくありませんよルミス。」

 

 

ルミスは丁度食べていたお菓子を指されてぐぅと唸る。

 

 

「まぁまぁ、ルミちゃんもフィオルさんもその辺で。」

 

「ではリレイ。マスターは現在どちらに?」

 

「ええっと。マスターさんならさっき引いたガチャで新しく仲間入りした精霊の所に挨拶に行ったよ。」

 

「あら、引けたんですか?」

 

「30連してようやくね‥‥」

 

「まだクロスディライブでも欲しいのがいるのに‥‥無茶しますね。」

 

「全くよ!そのせいで過去クエのエクストラ行かされた私の身にもなってよ!」

 

「なるほど。それはそのお菓子ですか。」

 

 

フィオルは改めて二人を見る。この二人はフェアリーコードガチャのメイン精霊で特にリレイはマスターが是が非でも手に入れようと躍起になった精霊だ。

 

 

単にマスターの好みもあるが、当時強化が停滞していた水雷の主力復帰に貢献した精霊だ。

 

クリスマスで手に入れたアリエリとの相性が思ったより良くて、更に大量のチェインが必要となることから出番がなくてひもじい思いをしていた銀アイにもようやく仕事が来たとか。

 

それは同じ物質としては喜ばしい。

 

 

この三人のコンボでこそこそ火力が出るから現在は常設されて第2水軍に任命されている。

 

 

もう1人のルミスは悪い言い方をすればリレイ狙いのガチャで二人も出てしまった精霊だ。

 

引かれてからしばらくは出番がなかった。うちの陣営は単属性が優秀だったからな。ところが、前のフェアリーコードの高難易度クエスト、おギン戦にて真価を発揮して現在は第4雷軍のリーダーをしている。

 

 

更に二人は早くも進化が解放されて例の力も得ている。

 

 

実績、能力、容姿とマスターにとっては才色兼備のこの二人が活躍するのは当然だ。

 

 

「それにしても私の契約レベル後回しにされ過ぎだと思うが‥‥」

 

「突然の愚痴!?」

 

「フィオル!アンタ私と大差ないでしょう!私もさっきのエクストラで3レベよ!それを言ったらいまだに後回しにされてるリヴェータなんて‥‥」

 

「ルミちゃん!それ以上は!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

とりあえずマスターが帰るまで一緒にお茶をすることにした。リレイがお茶を出してルミスがご褒美のお菓子を二人にも分けた。

 

 

「フィオルさんのところって大変だよね~。5色だもん。相性とか大変そう。」

 

「はい。私の所も大変ですが、それならお二人の所も大変でしょう。なにせ、水雷と雷火は人手不足でしょう?」

 

フィオルのこの発言にルミスは大きく頷いた。

 

「そうよ!私のところガチャ産が少ないのよ。いても補助系だから火力ないし。せっかく私のスキルがあるんだから!」

 

「私んところ今のメンバーが意外に噛み合ってるから問題ないかな。ただ連撃が有効な所じゃないと活躍しにくいからね。」

 

「私の方は最近5色用の精霊がガチャに来ませんから。」

 

「それ以前に、来てもマスター引けないし。」

 

「「ああ、確かに‥‥」」

 

 

「あはは、あの人運ないもんね。」

 

「マスター、以前に『リレイ引いて運使い果たしたわ。』と申してました。」

 

「アイツ‥‥どんだけリレイが欲しかったのよ‥‥」

 

「サーシャさんに聞いたところ、マスターの昔の一押しはアーシアだったそうです。」

 

「まさかの学生キャラが好きと。」

 

ルミスとフィオルはリレイの方を見る。

 

途中からお菓子に夢中で話を聞いてなかったリレイが突然こっちに視線が向けられたことに首をかしげている。

 

 

「この子、見た目が普通過ぎるから‥‥」

 

「黒猫しらない人から見たらリアルの学生ですね。」

 

二人は少し考えた。

 

 

「なんと急に犯罪の匂いがしてきた。」

 

「マスターはお年的にもう成人。成人男性が女子高生を部屋に連れ込む‥‥」

 

 

「「‥‥‥‥。」」

 

リレイ「‥‥?」

 

 

 

 

「ただいま~あれ?みんな黙ってどうしたの?」

 

「マスター!!」

 

「どうしたフィオル!?突然大声だして!」

 

「アンタ!今ならまだ間に合う!自首して!」

 

「ルミスはなんてことを!?」

 

「マスター!これ以上罪を重ねないで下さい!なんなら私は機械なので私ならセーフです!」

 

「ぶっ!?お前!何を言い出す!」

 

「フィオル!アンタ回路壊れたの!」

 

「さあ!マスター!私を撫でて下さい!」

 

「ちょ!何があったんだ!リレイ!」

 

「あははは~ごめん。さっぱり?」

 

 

新年号そうそう精霊達と賑やかなマスター。

 

 

この後、暴走したフィオルを止める為に応援を呼び、何故かマスターが犯罪者扱いされてその冤罪を晴らす為にバタバタすることになるがそれはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 



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星戦と書いて聖戦

 

 

 

いつもマンションの例の一室

 

 

「むふー!どうよ強化された私は!」

 

「お、おう!流石はリヴェータ!」

 

「でしょう!」

 

マスターに誉められて満面の笑顔になるリヴェータ。

 

 

 

今月のイベントはなんと覇眼戦線の最終章前編

 

 

これまで長く続いて来たロングセラーなイベントなだけあり終わるのかと残念であるが同時にこのシナリオの最後とだけありどのように終わるのかは非常に気になるところ。

 

 

早く攻略をはじめたい‥‥

 

 

が、その前にも色々やらないといけない事をやってたら流れること一週間。

 

いざ始めようとしたら恒例の前作精霊の強化のお披露目というわけだ。

 

 

「これで私も強くなったよね?」

 

「そうだな、所属先とか用途はこれから決めるとして、今回はお前のイベントだしね。思い存分暴れてこい!」

 

「ええ!」

 

「リヴェータさんおめでとう。」

 

「おめでとうございます。」

 

「ありがと、リレイ、フィオル。今回はアナタ達も出るの?」

 

「いや~私の部隊はチェイン乗らないと火力出ないから様子見かな。」

 

「私は隊に所属してませんので出番なしです。」

 

 

リヴェータの出番に喜ぶ精霊達。

 

俺も古参のリヴェータをまた活躍させられそうで嬉しい限りだ。後はアサギだが‥‥。そのうち強化されるだろうか?

 

 

「しかも今回のガチャのリヴェータ、かなり強そうだしね。これでリヴェータの株がまた上がるな。」

 

「そうよ!こんなに強い精霊滅多にいないんだから。しっかり当ててよね。」

 

「と、言うわけで。リィルさん。クリスタルは?」

 

「うんとね‥‥」

 

俺に言われて石の集まり具合をまとめたモノを確認してくれる。前の告白からまた参謀役に戻ってくれたリィルさんだが、リレイとかはじめ新規水精霊たちとも仲良くやっているようだ。

 

「十連分は確保したわ。あとイベントやれば更に集まるからいけるんじゃない?」

 

ただ少しふくれてる。

 

ふもとのカフェガチャで彼女を引けなかった事をまだ根に持たれてるようだ。

 

 

 

「よ、よし。じゃあガチャを引いたら早速イベントを‥‥」

 

「マスター!ご報告します!」

 

俺が画面を開く前に叡知の扉から急いだ様子でサーシャさんが出てきた。

 

 

「またまた慌ててどうしたの?」

 

「そ、それが新イベントです!」

 

「うん?これから覇眼だろ?これから行くけど‥‥」

 

「いえ!AbCdの新イベです!そして新キャラのガチャも始まりました。」

 

これのその場にいた一同が固まった。

 

 

「ウソでしょう?」

 

「私達、まだあの魔女に勝ててないのに‥‥」

 

「ついに来たか‥‥」

 

度々復刻したりレイドしたりしてたからこうなるのではと危惧していたけど、まさかこのタイミングとは。

 

 

「どうしよう。石どっちに回そう?」

 

「はぁ?私の方に決まってるでしょう!」

 

当然リヴェータが抗議する。

 

「AbCdガチャはどうせテルミドガチャでしょう?あのガチャでテルミド以外出た記憶あるの?」

 

「いや、変態の兄の方が当たってる‥‥」

 

「アイツだけでほとんどテルミドでしょうが。もう三人いるのよ。」

 

 

「でも!AbCdのと戦いはマスターの願いでもありますよ!」

 

「そうだ。あんな神々しいキャラ達とあのストーリー‥‥真面目に黒猫やってる人ならあの聖戦を戦いたいと思うだろ?」

 

そして、あの鬼畜イベントを戦い抜くにはAbCd精霊が必要なこともわかっていた。

 

 

「そりゃわかるけど!でも!」

 

リヴェータが言いたいこともわかる。もし仮に引けても勝てるかを言いたいのだろう。

 

 

現にあのクソBBA。ストルがいても勝てなかった。もし妹がいたら違った結果かもだけど。

 

 

「マスター!しかしAbCd精霊は滅多にチャンスがありません。しかも過去の精霊も出るのですしここで悲願のミルドレッドを!」

 

「いや!ここは覇眼の精霊達にするべき!うちの陣営にどれだけいると思ってんの。彼らに恨まれるわ。」

 

フィオルとリィルの意見が真っ向からぶつかる。

 

サーシャさんとリレイはどちらとも言いにくいという顔をしている。リヴェータにいっては懇願するような顔でこっちを見てくる。

 

 

むむむ‥‥こんな時どうすれば‥‥

 

 

「よし、とりあえずストーリーを見ようかな。」

 

 

 

数分後‥‥

 

 

「感動したぞ!」

 

「早っ!」

リヴェータのツッコミ

 

「いや、マスターこの手のシナリオいつも感動してません?」

今度はフィオルがツッコミ

 

「だって!今までのAbCdみたいに二人が望まない戦いをするのではとひやひやしてたら、まさかのハッピーエンド‥‥うっううう‥‥」

 

「ええっと、星滅んで二人だけになってたけど?」

 

「決めた!俺はこの二人を我が陣営で再会させる!」

 

「え‥‥まさか。」

 

「このガチャを引くぞ。」

 

「イヤイヤイヤ!引けるわけないじゃん。それに引けたとしても勝てるの?相手はAbCdだよ?」

 

「リレイの疑念ももっともだ。」

 

「なら‥‥」

 

「でもそれを言ったら覇眼でリヴェータ引くのと大差ないだろうが。」

 

「あ、ホントだ。」

 

リレイは丸め込まれた。

 

「しかし、AbCdに挑むのは無謀かと。」

 

「そ、そうよ!」

 

「俺が困った時助けてくれるのが参謀だよな?」

 

「いや、参謀は上を諌めるのもしご‥」

 

「フィオル、リィル。期待してもいいかな?」

 

「‥‥しょうがないわね。」

 

「リィル?!」

 

「この人、言い出したらやるまで止まらないし。だったらあんまり悲惨なことにならないようサポートした方が早いかな?」

 

「はぁ‥‥リィルがそう判断するのなら。」

 

リィルとフィオルも丸め込まれた。

 

「よーし!じゃあいくぞ!」

 

「「はーい!!」」ぞろぞろ

 

 

「え、ちょっと‥‥」

 

リヴェータのみが残された。

 

 

 

ちなみにガチャの結果は大勝利

 

アステラとテルミド(四人目)をGETした。

 

更に雷軍は余裕でクエストにも勝利、覇眼そっちのけで掘り作業が始まってしまった。

 

 

「わ、私の、私が主役のイベントなのに~~!!」

 

 

 

 

 

 

 



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絶体絶命!マスター死す?

 

 

 

いつもマンションの一室

 

 

 

待望の新作シリーズが始まったり、イベントレイドが行われたりと世の魔道士達が忙しくしているこの時期に彼らはと言うと……

 

 

「………。」

 

「だれか!マスターがもう息してない!」

 

「ウッソ!?」

 

「だ、誰か医者を!ガトリン以外で!早く!」

 

「わ、わかった!」

 

 

 

「……で?何があったの?」

 

事情が飲み込めていないリヴェータがリレイ達に説明を求めた。

 

「マスター、今ので通算50連敗だったの。」

 

「ああ、もういいわ。何となく分かったから。」

 

 

 

 

ことの発端は9月後半から始まったり新シリーズイベントの「アンダーナイトテイル」からだった。

 

 

このイベントはクリスタルガチャのメメリーやリコラ達のショートストーリーやAbCd6のキャラ達が出てくる温められていた物語だ。

 

 

 

リコラを当てているマスターは当然このイベントが来るのを心待にしていた。

 

 

そのはずだった……

 

 

 

 

キッカケはリレイの何気ない質問からだった。

 

 

 

「あ、復刻にAbCdがある!」

 

「うん?ああ、トルテ達が出てくるから関連でだろう。」

 

「マスターさん、これはいつもの流れで掘り行くの?」

 

「え?」

 

「え?」

 

そう、AbCdに異常な執着心があるこの男は復刻がある度に義務だとでも言うように必ず堀に行くのだ。しかし、そんな彼だったが…

 

 

「あっ!リレイさん、マスターはその…AbCd6は苦手でして…一度勝てた事が…」

 

不味いと感じたサーシャさんが説明する。

 

 

「そうなんだ……マスターさん、ドンマイ♪」

 

「止めてくれ…さてと、では早速新イベントへ…」

 

「なんだ、諦めてるのね。」

 

ルミスのこの一言がいけなかった。

 

 

 

「んだと!!?」

 

 

「だって!これ何年前のクエストよ!流石にウィズ歴長いんだから勝ちなさいよ!」

 

「ああ!いいぞ!ワンパンしてやるよ!」

 

「言ったわね!なら勝てなかったこれクリアするまでイベント行ったら駄目よ!」

 

「いいよ!ならもし勝てたらお前一人でクエスト行って来て貰うからな!」

 

 

こうしてルミスからの喧嘩が発端となり謎の賭けがはじまった。そして、結果は惨敗。

 

 

それからずっと勝てずに今に至る。

 

 

 

 

 

「ね、ねえ…もう賭けなしでもいいから…もう止めて!」

 

流石のルミスも反省したようで死にかけのマスターに必死に呼び掛けている。

 

「あ、あ……。」

 

「あの人、大丈夫?」

 

リヴェータが心配そうにしている。

 

「まぁ…案外頑固なところがあるから…」

 

とは言うサーシャも心配だった。

 

「いや、何か覇気がないし…なんかクイズミス多くない?」

 

「きゃあああああ!ま、マスター!?」

 

「スワンちゃん!?どうしたの?」

 

「マスターが!気絶しました!」

 

「マスター!!?」

 

「皆さん落ち着いて!リヴェータさん!スワンさん!手伝って!マスター運ぶから!」

 

 

「ええ!」

 

「はいなのです!」

 

 

「ルミスさんは誰か呼んできてください!」

 

 

「わかった!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

そして、その惨劇から数週間後

 

 

「それでは?マスターの容態は?」

 

アサギが先ほどまで看病していたフロリアに尋ねた。

他にもいつものメンバー達が全員集まっていた。

 

「まぁまぁです。とりあえず香水で寝かせてます。あと私は調香師であって医師ではありませんよ?」

 

「ガトリンよりはマシです。それに内の陣営で他に医者ぽいのはあの忍者モドキだけなので。」

 

「ああ……納得。」

 

 

「それよりどうするのです?もう童話も終わってメアレス来てますよ!!」

 

 

「マスターがゲームをやらない期間がこんなに続くなんて……。初めてよね?」

 

リヴェータが不安そうに呟く。

 

 

それを聞き精霊達はうつむく。

 

 

 

そう。あれ以来。マスターは謎の恐怖症を引き起こしてスマホゲームをしなくなったのだ。

 

 

「まさか。リレイの一言でこんな事態になるなんて。そう言えば彼女は?」

 

「あの子は……。責任感じちゃって部屋に籠ってる。」

 

ルミスが答えた。

 

「ああもう!!どうすんのよ!?」

 

「そうですよ。メアレスが終われば、豪華イベント祭りですよ。クリスタルを集めなければいけない大事な時期なのに……。」

 

 

「それ以前に!私!あんな惨めなマスター見たくないよ!」

 

 

「わ、私もよ!」

 

「わたしも!」

 

「私もです!」

 

「……。」

 

「どうしたのアネモネ?」

 

「ええっと…。私に考えがあります。少し荒っぽいですが……。上手く行けば必ず!」

 

一同はどよめいた。代表してリィルが尋ねた。

 

「詳しく聞かせて。」

 

 

 

 

 

 

 

 




果たしてどうなるマスター!?
そして、精霊達の秘策とは?


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古き因縁と敗北を超えて

 

 

翌日の夕方

 

 

いつも通りに学校から帰ってきたマスターにフロリアはお茶を出した。

その隣には同じくお茶を楽しんでいるイスルギとサーシャさんもいる。

 

「ふう・・・・。最近冷えてきたから助かるよ。ありがとう、フロリアさん。」

 

「い、いえ。」

 

この時マスターは少しばかり違和感があった。いつもならお礼を言うと笑顔で返してくれるあのフロリアさんが少し無理をしているようだ。

 

「あれ?フロリアさん?どうしたの?」

 

「いえ・・・本当に何でもありませんよ。ただ・・・少し目眩が・・・」

次の瞬間フロリアが倒れた。

 

「フロリアさん!?」

 

慌てて駆け寄るマスター。フロリアを揺さぶって声をかけ続けるが目覚める気配がまるでない。

 

「ど、どうしよう!?サーシャさん!イスルギ!」

 

とっさに助けを求めて見る。しかし、先ほどまで一緒にお茶を飲んでいたはずのふたりも倒れて目を開けない。

 

「2人ともしっかりしろ!!一体何がどうなって・・・。」

 

突然の事にパニックに陥る。そこに待ってましたとばかりに叡智の門から精霊がやって来た。

 

「マスター!大変です!」

 

「アサギ!大変だ!サーシャさん逹が倒れて目が覚めない!」

 

「やはりここもですか・・・。

 

「やはり?」

 

「はい。実は空間内にて複数の精霊が同時に倒れました。」

 

「何!?原因はなんだ?」

 

「分かりません。ただ、皆さん状況が同じなのと同時に起きたことから原因は同じではないかと推測しています。現在調査しています。」

 

「そうか・・・。」

 

同時に俺の精霊達が倒れた?何が起きてるんだ?

 

「失礼するよ。んんーん!」

 

「あ、ウシュガ。無事だったんだ。」

 

「はいです。アサギ先生、マスター君、報告します。倒れた精霊達の共通点が分かりました。」

 

「共通点?」

 

「んんーん!!どうやら倒れたのはみんなマスター君の前データからの古参精霊だけだったよ。」

 

「なんだと!?」

 

しかし、ここで倒れているサーシャ、フロリア、イスルギは確かに昔から共に戦っている最古参であることは間違いない。

 

「後なんだけど・・・。」

 

「他に何か?」

 

「んー。関係あるか分かんないけど、アネモネさんが倒れる寸前に」

 

『守り人の呪いだ・・・』

 

「って言ってたようです。」

 

「守り人・・・?」

 

なんだ。もしかして、それがこの騒動の原因か?

 

「アサギ、ウシュガ。もしだぞ。精霊達が病気になることってあるの?」

 

「さあ?怪我とか風邪・・・あとは黒猫内のシナリオにちなんでることぐらいしか僕らには関係ないよ。んんーん!」

 

てことは、黒猫関係の何かが原因だよな。しかし、守り人なんて設定があるイベントなんて・・・まさかそんな。

 

「ああ、そう言えば。」

アサギが突然声を上げた。

 

「どうしたんです先生?突然声荒げて。」

 

「先ほどかなり昔のクエストが復刻されたらしいです。たしか名前は・・・」

 

「ジェニファーの大冒険・・・・」

 

「そう!それです!マスターご存じで?」

 

ご存じもなにも。あのクエストは俺が黒猫をはじめた時期にやっていた古いやつだ。当時は力不足で上級を突破できなかったことを今でも覚えている。

 

「あのイベントに出てくる敵が確か守り人とかそんな設定だったはず・・・まさか!」

 

「マスター!これはもしかしますと、昔クリア出来なかったことが何らかの形で呪いになり当時のデータからいた精霊を蝕んでいるのでは?」

 

くっ!?いつもなら、なんだその強引な結びつけはと思うけど・・・。今は可能性があることを全てやらねば!!

 

「アサギ!大至急動ける部隊のリーダーに連絡してくれ。この復刻イベントを・・・完全クリアするぞ!!」

 

「はい!行きますよウシュガ!」

 

 

 

 

 

 

「それでは、これよりジェニファーの大冒険攻略会議って参加者少ない・・・・」

 

参加しているのは、アサギにリヴェータ、そしてバツの悪そうなリレイとルミスのみだった。

 

「今回前調べによると、難易度はそのままでハードやエクストラなどの追加はありません。なので各属性一部隊のみで十分かと。」

 

「それに、ほとんどの子達は他の原因究明だったり看病だったりで手が足りてないの。」

 

アサギとリヴェータの説明を聞いて納得した。

 

「わかった。しかし、その話がただしければ攻略は時間の問題だな。」

 

流石にL精霊を使えばあの最高ランクSの時代のクエストなんて手こずらないだろう。とマスターは思っていた。

 

ところが・・・・

 

「きゃあ!」

リレイがイサールの攻撃に晒された。

 

初級の敵は炎属性の猫?イサールだ。昔の自分でも倒すことのできた相手だ。何も恐れることはない。そのはずが。

 

「な、なんでだ?なんで正解しない・・・?」

 

いつもなら余裕で答えられる問題ができない。いくら精霊が強かろうと敵が弱かろうと戦えるはずがない。

 

「マスター!落ち着きなさい!」

リヴェータがマスターを励ます。

 

何問目かでようやく正解しリレイ達は敵を一掃する。

 

「ぐっ・・・」

 

「まったく!なに調子崩してんのよ!」

 

「すまない・・・。」

 

「それは私じゃあなくてリレイに言いなさい。彼女、ホントならノーダメだったのよ。」

 

「・・・・・すまない。」

 

「はぁー。もういいわ。次、私が出てくるから・・・しっかりやりなさいよ?」

 

そう言うとリヴェータは出撃していき、入れ替わりにリレイがやって来る。

 

「ただいま、マスターさん。その・・・大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だよ。その・・・ごめんね。間違えまくって。」

 

「ううん、全然平気だから。それより私こそあの時は・・・ごめん。」

 

「う・・・・・。」

 

「ん・・・・・。」

 

お互いに謝るとたがいに気まずくなる。

そんな中迎えた中級のファサール戦は勝ちはしたが褒められた内容ではなかった。

 

次の出撃の前にアサギとリヴェータは密かに話した。

 

「結局、性能でゴリ押しただけと。」

 

「ええ、なんかマスター弱くなってない?アサギはどう思う?」

 

「んー。私はひとえに自信が喪失しているからだと思います。」

 

「自信?」

 

「おそらく、前回のAbCd戦での失敗がマスターの自身の判断を信用させなくしているのでしょう。」

 

「つまり、自信さえ、戻れば・・・・?」

 

「おそらく。」

 

「アネモネの予想通りってわけね。」

 

「なので、簡単に勝ててかつマスターと因縁のあるこのイベントはうってつけだと思いましたけど。」

 

「後一押し、何かが欲しいわね。」

 

2人が話し込んでいるところに別の精霊がやって来た。

 

「あ!アサギさんにリヴェータさん!」

 

「アナタは確かルミスのところの・・どうしたの?」

 

「そ、それがルミスフィレスさんがどこにもいなくてメンバー全員で探しているのですが。」

 

「ルミスがいない?」

 

「でも先ほどクエストに行ってくると・・・まさか!?」

 

2人は急いでマスター元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「おい!ルミスなんのつもりだ!」

マスターは画面に叫んだ。なんとルミスが一人でクエストに向かったのだ。

 

「今すぐ戻れ!」

 

「ふん!こんな低難易度私一人で十分よ!」

 

「ルミちゃん・・・」

リレイも心配そうに見つめている。

 

「さあ!来なさい!雑魚ども!」

 

ルミスは果敢に敵に挑んでいく。しかし、まったく答えられず何もできないルミスは敵に一方的に殴られるだけだった。

 

「まだまだ・・・!」

 

しかし、どんなに殴られようとL精霊である彼女は簡単には倒れない。つまり、終わることのないなぶり殺しだ。

 

「もういい!リタイアしよう!」

 

「待って!」

 

「リレイ!?なぜ止める!」

 

「まだルミちゃんはあきらめてない!」

 

俺はルミスに振り返る。たとえ倒れなくても痛いはず。それなのに・・・。

 

「はぁはぁ・・まだよ」

 

ルミスは少しふらつきながら呼吸を整える。

 

「マスターが!本気を出せば!こんな雑魚なんて!きゃあ!」

 

「・・・・!!!」

 

この時俺は忘れかけていた昔の記憶を思いだした。

今ルミスを殴っている敵ども、そして奴らにやられてむざむざ撤退する精霊達。

 

俺はまたしても。またしても奴らに、大事な精霊を傷つけられるのか?

 

「・・・・・だよ。」

 

「えっ?マスター?」

 

「何やってんだ俺ぇぇぇぇぇ!!」

 

「え、ええ!?どうしちゃったの?」

 

「本当にすまない二人とも!いいぞ!やってやる!」

マスターはクイズに正解した。

 

それによりルミスはようやく敵を切り倒した。

 

「もう・・・遅いわよ・・・。」

 

そうしてそのまま一問も間違えず進んで行き、ネームレスを撃破。上級を突破した。

 

 

「ふう・・・なんとなっおわっ!?」

リレイに肩を叩かれて驚いた。

 

「やったね!マスター!」

 

「ああ!俺、目が覚めたよ。」

 

二人はハイタッチした。よし!このまま攻めて・・・

 

「ま、マスター!大変!ルミスが一人で・・・ってあれ?」

 

「あ、二人ともどこ行ってたの?次いくよ次!」

 

「・・・・なにがあったの?」

 

 

 

 

 

 

その後、本調子を取り戻したことで難なく攻略を終えた。

 

攻略が終わるとアネモネたちが出てきて事情を話してくれた。

どうやらこれまでのことは全て演技で俺にまた黒猫をやって欲しかったがために倒れたり、呪いだとか言ったそうだ。事情を知らないのはリレイとルミス、後はウシュガだけのそうだ。

 

なぜかれが省かれたかは知らない。

 

「さてと、これまでやらなかった分仕事しないとな。ほら、次は素材だ、行ってらっしゃい。」

 

「い、いくらなんでも働かせすぎよ!」

 

「俺のためとはいえあんな心臓に悪いことしたことはゆるせないので、計画立案者達は全員あと30周して来てね。大丈夫、最近やってなかった分魔力はたんまりあるから。」

 

「そんな・・・・」涙目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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今冬の予想は大荒れです

 

 

 

いつものマンションの一室

 

 

 

「あ~~寒い。」

 

「ホントですね。この国は急に気候が変わりますよね。」

 

マスターの住む都市はここしばらくで一気に冷え込んだ。なのでマスターは昨日からコタツを出してためそれ目当てに今日も4人ほど来ていた。

 

「アサギ~。あんたんとこの技術なら作れるんじゃないの?精霊の部屋に一つずつ作ってよ。」

 

「リヴェータさん、できないことは無いですがそのためのリソースをどうするのです?」

 

「‥‥やっぱり何をするにも先立つものか。」

 

「あ、先立つものと言えばリィル。クリスタルは貯まってるの?」

 

「ええ、11月後半のイベントがマスターの予想通りのビッグイベントではなかったのでガチャしなかったから。」

 

「でもハロウィンとメアレスでかなり使って爆発してたよね?」

 

「ええ、だから正直プラスなのかマイナスなのかもうわかんない。」

 

「でもまさかエニグマが来るなんてエニグマビックリだよね。」

 

「あ、マスターお帰り。」

 

「ただいま。イベントの話かい?」

 

「そうです。今回のイベントあまり好みではありませんか?」

 

「と言うよりこの時間は凄いイベントが来るイメージが強かったから。去年なんてコラボイベントやってたし。」

 

「確かに。」

 

「でも予想外れましたね。」

 

「いやでもさあ?何かはじまりの塔とか明らかな初心者救済システム入れたからもしかしたらこのタイミングでコラボとかするのかなと。」

「確かにコラボは新規がたくさん入りますしね。」

 

「しかし、次来るとしたら何のコラボ来ますかね?」

 

「う~ん。コラボよくしてる有名どころはほとんどやった気がします。」

 

「そう言えば皆にもアニメとか見せたけど個人的に来て欲しいコラボとかあるの?」

 

「私は戦記ものならいいわ。」

 

「リヴェータさん‥‥もしや戦記ものならワンチャン覇眼とのコラボあるとか考えてる?」

 

「それもありよ!」

 

「いやリヴェータさん、それは厳しいかと。ねぇマスター?」

 

「いや。ありなのでは?」

 

「ありなの?!」

 

「だってクロマグがやったじゃん?覇眼もかなりロングセラーなイベントでもう少しで完結するじゃん。ならその前とか後に記念としてコラボするとか?」

 

「確かにそれなら‥‥」

 

「俺なら絶対にやりたい!」

 

「ええっと。発言していいか?」

 

「お?フィオルか。そんな所にいないでコタツ入る?」

 

「いえ、機械なので。」

 

「いや。機械だけどスワンちゃんが入って寝てるよ?」

 

コタツに入っていた四人目はスワンだった。

 

 

「ふにゃ~マスタ~」

 

「この子夢でも俺を見てるの?ういやつめ。」

 

「マスター」

 

「おっとすまない。それでなんだフィオル?」

 

「いろんな新システムが入ったからコラボと予想したな?」

 

「うん?そうだが?」

 

「ならもっと注目を集めやすい時期にコラボをした方が新規を得やすいと考えるのでは?」

 

「つまり?」

 

「つまり。クリスマスにコラボをするのでは?」

 

「はぁ!?それは駄目だ!」

 

「確かに!今年こそ私がサンタコスでガチャに出るのに!」

 

「いやいや、確かに見たいけどアサギのクリスマス化はないだろう。」

 

「クリスマスって貴重な季節物だからね。」

「そうだよ!しかもこれまで陽の目を見なかった子が陽を浴びるチャンスだぞ!今度こそマイナーキャラの救済を!」

 

「いや、せめてアンタのメイン精霊の誰が出ることに期待しなさいよ。」

 

「いやだって、サンタの格好とかなら皆にお願いすれば見れるから別にいいかなと。」

 

「そうじゃなくて!強化されて出番が増やせるとか!この変態!」

「すいません‥‥」

 

「マスター。私ならコスプレしますよ?」

 

「フィオル!!」

 

「ちょっと!フィオル!何を抜け駆け、じゃなくて変な事を言ってるの!」

 

「私だけではないですよ?」

 

「ふぁ~。なんだか騒がしいです。」

 

スワンが起きた。

 

「スワン、マスターの為ならコスプレくらいしますよね?」

 

「ふぇ?はい、マスターの為ならスワンはなんなりと。」

「ほら。」

 

「ほら、じゃなわよ!」

 

リヴェータとフィオルが喧嘩をはじめてしまった。一回始まると止められないのでほっとこう。

 

 

「まぁでも。コラボが来るとしてら12月前半がラストチャンスだよね?」

 

「はい、そうですね。」

 

「これ、コラボ来ても来なくても誰かが悲しがりそうだな。」

 

「そうなりますね。ところで私は出番がなくて悲しいです。」

 

「そう?ならこれからエニグマ攻略に行くけどアサギ行く?」

「是非!」

 

「マスター!スワンも!」

 

 

「よーしっ!あの二人はほっといて!アサギ、スワン。イベントに行くぞ!石集めだ!」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 




コラボ来ると思ったんだけでね?
今年中に来るのだろう‥来るなら何が来るのか‥


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クリスマス前だけどヒロインはいませんが?

 

 

 

 

「魔道杯大変だな‥‥」

 

「いきなり何ですかマスター?」

 

「いや、昨日デイリー上位取れたからもう用がないんだよね。だから魔道杯をまだ頑張ってる人大変だなって。」

 

「そう思うならマスターも一度くらいボーダー狙って下さいよ。」

 

「興味ないな。」

 

「もう‥だからいつまで経っても中堅なんですから。」

 

「来年頑張りますよ」

 

「まったくもう。それで‥マスター‥今年のクリス‥」

 

 

「あの‥‥マスターさんとサーシャさんが話してると熟練夫婦に見えるのですけど」

 

「リレイさん、違いますよ。」

 

「そうそう。ただの腐れ縁。」

 

「あ、なら幼馴染み系ヒロイン?」

 

「それってもし俺がラノベの主人公なら間違いなく俺に好意があるポジションだな。」

 

「まぁ‥主として友としてなら好意はありますけど。」

 

「へぇ‥‥。じゃあサーシャさんが幼馴染み系ヒロインなら先輩系ヒロインは?」

 

「フロリアさん?」

 

「いや、あの人どちらかと言えばお母さんだし。てか、あの未亡人だし。」

 

「偉そうって意味ではリヴェータさん?」

 

「いや‥‥うちのリヴェータって何かドジだし違う気がする。」

 

今期初期からの腐れ縁って意味ではむしろ幼馴染みかもね。

 

「アサギさん‥いえ何でもないです。」

 

 

 

「てか何で急にヒロインの話?」

 

「いやーそろそろクリスマスだけどマスターにヒロイン(彼女)はいるのかな~と。」

 

「リレイさん!失礼ですよ!彼女持ちが黒猫やってる訳ないです!」

 

「お前の方が失礼極まりないわ!とりあえず俺と俺以外の黒猫ユーザーに謝れ!!」

 

「せっかくマスターの陣営綺麗な人たくさんいるから雰囲気だけでも楽しめば?」

 

「リレイ、それなんか悲しくなるから止めて。てか、ストーリーのヒロインに手なんて出したらその世界の精霊達に殺される。」

 

誰とは言わないけど、某生徒会長とかに告白したら副会長に刺される気がする。

 

 

「じゃあクリスマスは何もないんだ。」

 

「リレイさん、その‥‥そもそもなぜそんな事思ったのですか?」

 

「いや~マスターがいつまで経ってもクリスマスガチャのシナリオ読まないから気になって見ちゃって」

 

「おい!それ俺が魔道杯後の楽しみに取ってたやつ!」

 

「そしたら、りんちゃん、いやサーヤさんのシナリオがもう感動しちゃって」

 

「ああ、それでマスターにも何か甘い話がないかと」

 

「え?リレイ、そんなに面白かったの?」

 

「うんうん!ホント凄かった!」

 

「よーし!石も貯まったし、魔道杯も終わったのでシナリオ見てきますか」

 

 

数分後

 

 

「うう‥ぐすっ。これは泣けるな」

 

「でしょ?」

 

「よし!貯まった石を使ってクリスマスガチャ引いていい夢見てくるぞ」

 

「あ、リヴェータさんが出てるので必ず引いて下さいね。前回そもそもガチャすらしなかったことを影で泣いていたので」

 

「マジ?」

 

それは本当に申し訳ないな。

 

「あ、今なら私のイベントガチャもやってるよ?」

 

「今の話からどうして俺を誘惑する言葉を吐く!?」

 

 

そう言えば彼女もガチャこそ引いたがリレイ自身が引けてないからな。これ以上話すとねだられて正月分を使われそうだ。

 

 

「あ、マスター!」

 

「何か?サーシャさん」

 

「あの‥先程聞きそびれましたので、今年のクリスマスはいかが過ごされますか?」

 

「クリスマスはそうだな‥‥例年通り何人か集めてやるか!!」

 

「えっ!?クリスマスパーティーするの?」

 

「そう言えばリレイは今年からだな。おうとも。忘年会も兼ねてるから今年頑張った精霊みんな呼ぶぞ!」

 

「わーい!ルミちゃんとミホロさんも教えてあげないと!」

 

「あ、リレイさん!‥‥行ってしまった」

 

「まぁ、フェアリーコードの女性陣は今年大活躍だったからどうせ呼ぶし。だからその‥」

 

「はい。パーティーの計画はおまかせ下さい。マスターは早くガチャを引けて下さいね。」

 

「任せろ。最近爆発してるから今は運気が‥高まる!溢れる!だぜ!」

 

そのマスターの発言は正しくクリスマスガチャは三人も引き当てる大勝利となった。

 

 

ただし、リヴェータは引けなかったので火属性の部屋から夜な夜な泣く声が聞こえるのは一部のみが知るのであった。

 

 

 

 

 

 

 




今年も黒猫とクリスマスを過ごして年越しします!
投稿速度を元に戻すのでこれからよろしくお願いいたします♪


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マスター不在時の精霊達の大晦日

 

 

 

12月30日

 

いつものマンションの一室ではなく、駅前のカラオケ屋の一室にて

 

 

「流石ルカさんとユッカさん!自分の曲で99点です!」

 

「ふふ♪ありがとうございます」

 

「いや~まさか自分達の曲が入ってるなんて」

 

 

マスターが地元に帰ってしまったので暇になった精霊達は自由に行動していた。ルカ、ユッカ、アサギ、スワン、リレイ、ルミス達はマスターから貰っておいたお金を使ってカラオケに来ていた。

 

「はい。次どうぞ」

 

ユッカはマイクを次の人(リレイ)に渡した。

 

「え、でも私の曲なかったけど?」

 

「別に自分の曲でなくてもいいからね」

 

「誕生パーティーをカラオケでやるくらいなんだから四の五の言わないの。」

 

「じゃあ‥‥歌います!」

 

「よっ!待ってました!」

 

「リレイ~♪がんばれ~♪」

 

「スワンも応援します」

 

 

その頃

 

 

「何で私も誘わなかったのよ」

 

リヴェータがカラオケからハブられたことに拗ねていた。なので暇なら手伝えとサーシャと一緒に料理をしている。

 

「いやだってリヴェータさんって前にマスターも一緒だった時に他国の軍歌歌い始めますし」

 

「あ、あれは受け狙いのつもりで‥‥」

 

「あそこでマスターが国歌を熱唱して茶化してなければ大変な空気になってましたよ?」

 

「うっ」

 

「ハイハイ、その話は終わりですよ。正月の料理を仕上げてしまいましょう」

 

「李ちゃんとかに料理人に任せればよかったのに。」

 

「毎年精霊が増えてますからその分料理も増えるんです。ほら、リヴェータさん手元に集中しないと」

 

「え?」グサッ

 

「イッ!?」

 

「ほら、言わんこっちゃ‥‥ほら、見せて下さい。」

 

「いいわよこれくらい。」

 

「ダメですよ?‥‥素直に見せないとルドヴィカさんを呼びますよ?」

 

「それだけは止めて!わかったわよ!」

 

「素直でよろしい。」

 

 

 

 

台所の隣 炬燵の部屋

 

 

「石‥‥何とか貯まりましたね。」

 

「ええ、本当に大変でしたね。」

 

マスター参謀役のリィルとフィオルが寛いでいた。

 

 

「今年もマスターの無理な攻略やガチャに振り回されましたね。」

 

「ええ、ホントに無茶苦茶過ぎて人様にお見せできないような企画もあってお蔵でしたからね。」

 

「何言ってるのフィオル?」

 

「何かと20連分貯まりましたね。」

 

「マスターは新年に入った瞬間にガチャを引くそうです。」

 

「それで爆死なら今年も厄年ですね。」

 

「逆に大勝利だと運を使い果たして厄年では?」

 

「‥‥どの道マスターは厄引くの?」

 

「まぁ、今度話す時にでも結果を聞きましょう。」

 

「ところでマスターのガチャの予想は?」

 

「ええっと、帰る前に聞いておいたのですが、新年ガチャはたいていその年の新イベントの精霊が押されることが多いのでやはりその辺りかと」

 

「今年、マスター忙しいとかで2つくらいイベントサボってるけど大丈夫?」

 

「次回、可愛ければ知らない子でも好きになるのでは?」

 

「そのアニメにありそうなタイトル止めて下さい。」

 

「ただいま~」

 

「あらイスルギ、今帰り?」

 

「ええ、素材集め。」

 

「素材とは言えイスルギさんを使ってる人ってもうマスターくらいですね。」

 

「まぁ、昔馴染みだから。」

 

「イスルギも語りましょ?今年の苦労話。」

 

「いいわよ。多分私が一番苦労してるから。」

(つまり、一番頼られてる)

 

「いえいえ、出番こそないとは言えずっと側で支えているってことでは私ですとも。」

(側にいるってことは仲が良い)

 

「ふん、出番もあり、尚且つ参謀もしていてマスター肝いりの機械も私こそ大忙しだ!」

(二人には負けない)

 

三人の苦労話合戦が始まった。その戦いは熾烈を極めてその声の大きさから台所にまで聞こえてきた。

 

 

「私が一番付き合い長いし苦労してるわ!!」

 

「サーシャさん!手!手!」

 

リヴェータが慌てて包帯を巻くことになり、料理ができなくなったサーシャの代わりに炬燵の三人が料理を参戦することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 




遅いですが、明けましておめでとうございます。
皆さんのガチャ結果はいかがでしたか?
私は案の定、知らない子達が来てしまって急いでイベントやってます!


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