もう1人のキッチン担当 (ユウツ)
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新人はドS
ここは店員がさまざまな属性で接客をする喫茶店スティーレ。俺、篠宮春樹はここでアルバイトとして働いている。今日も何の変哲もない日になると思っていたのだが……。
「秋月さん、あれは何ですか?」
俺は店の窓の前で頬を引っ張ったりしてる子を指差して言うと、同じバイトの秋月さんに日向もやってきた。
「あれって……せめてあの子って言いなよ」
「まあ、何やってるかはさっぱりだな」
「萌えです……」
「え……?」
すると後ろからこの店の店長であるディーノさんが窓の前にいる子に向かって走り出した。そしてその子の前に立って鼻血を出しながら求愛を叫んだ。案の定、辺りに悲鳴が響いた。
_______________
結局、少女を店内に入れて店長の告白は続いたが、何故か少女がここで働くということになった。どうやら、バイトの面接に落ちたらしく店の窓で自分の目つきの悪さを恨んでいたらしい。店長はそこに興奮を覚えたらしいが。そして今は少女が制服に着替えに行ってる最中だ。
「お待たせしました」
少し恥ずかしそうにしながらピンク色の制服に着替えて少女が戻ってきた。中々可愛い。他の3人も高評価なのがわかるような感嘆の声を漏らしている。
「そういえば、まだ自己紹介してなかったよね」
確かに、てか名前も知らない子にあれだけ好き好き言う店長は流石イタリア人。
「私は日向夏帆。ホール担当、よろしくね」
「秋月紅葉。キッチン担当、よろしく」
「篠宮春樹。同じくキッチン担当、よろしく」
3人簡潔にそう言うと、店長が……うざいので省略。まあ、とりあえずテンション高くアピールしていた。
「えっと、桜ノ宮苺香と言います。よろしくお願いします」
最後に店長のテンションに気圧されながらペコペコお辞儀をしながらそう言った。
しかし、面接も何もなしに採用してその日のうちにバイトスタートとは随分急なものだ。
その後店長が桜ノ宮(高1らしいのでさん付けはいらないとのこと。ちなみに俺は高校2年生)と鼻血を流しながら写真を撮って秋月さんに蹴られたりとあったが、遂に店のドアが開いて客が来た。桜ノ宮の初仕事となった。それと桜ノ宮はドS担当らしい。しかし、初仕事だからか桜ノ宮はプルプルと震えている。
「大丈夫ですかね……」
「さあ、やってみんことにはな……」
俺と秋月さんがカウンターから様子を見ていると、少しして桜ノ宮が口を開いた。
「何で来たんですか……」
「……大丈夫そうだな」
「……そう、ですね」
どうやら店長は逸材の入手に成功したようだ。あの声のトーンで演技はないだろう。それからもケチャップを客にぶちまけたりしてドSキャラ全開だった。
そして客がいなくなって閉店となり、桜ノ宮のバイト初日は終了した。
「私、お客様にたくさんご迷惑をおかけしてしまいました」
どうやら、あのドSキャラは無意識によるもののようで、桜ノ宮は客にケチャップをかけたり、酷い言葉を吐いたのを悔やんでいるようだった。
「何言ってるの苺香ちゃん。とっても良いドSっぷりだったよ!」
「ああ、客も満足そうにしていたからな」
落ち込んでいる桜ノ宮に秋月さんと日向の2人がサムズアップしながら称賛の言葉を口にする。
「初日としては十分すぎるほどだったと思うぞ。それに店長もほら……」
俺も2人に同意するように言って床の方を指差すと3人の視線がそこに向かう。すると3人はそれを見て驚き後ずさる。そこには大量の鼻血と倒れこんだ店長、そして鼻血によるイタリア語の称賛の言葉がまるでダイイングメッセージのように記されていた。
「店長……あんたのことは1か月くらいは忘れないぜ、多分」
「自分の運命の人と豪語する人によって出血死したんです。悔いはないでしょう」
「鼻血で出血死ってあんまり聞かないよね」
「ええっ、店長さん、死んじゃったんですか!?」
俺たちが南無と合掌すると店長が勢いよく起き上がった。
「勝手に私を殺さないでくだサイ!」
「あ、生きかえった」
「残念です」
「春樹君、どうしてワタシが生きかえると残念なのデスか!」
正直店長仕事しないで寝てるだけだし、いてもいなくても変わらない、というのは言わないで上げよう。いつも秋月さんが言ってるし。
店長は立ち上がって鼻にティッシュを詰めて鼻血を止めた。
「と、まあこういった喫茶店なのデスが……苺香さんが嫌なら無理にとは言いません」
店長は頬を掻きながら申し訳なさそうにそう言った。あんな誘い方をして今更そんな態度だが、もし断られたらどうするつもりだろう。何ヵ月へこむのだろうか。
桜ノ宮は少し逡巡するように俯くと決心したような表情で顔を上げた。
「あの、私うまくできるかわかりませんが、精いっぱい頑張れるよう努力しますので、どうかよろしくお願いします」
どうやら桜ノ宮はこの喫茶店を気に入った?ようだ。
店長はその言葉を聞いて桜ノ宮の手を取った。
「絶対に幸せにします!」
「受け答えおかしいだろ」
店長の妄言に秋月さんがツッコんだ。
「でも、良かった良かった」
「何が良かったの?」
店長と桜ノ宮が盛り上がってる横で俺が満足したように何度も頷くと日向が俺に聞いてくる。
「だってもし桜ノ宮が断ってたら、ただでさえ使えない店長がより使えなくなるだろ?」
「あー、そうだねぇ……。私は女の子が増えてくれて嬉しいけどね」
「ようやく男女比が同じになったな。この調子で女子がもっと増えてほしい」
「相変わらず百合が好きなんですね……」
「願わくば、女性客がもっと来ることを望む!」
そう高々と告げる秋月さんをまたか、といった風な目で見た。そして再度店長と桜ノ宮に視線を向けると2人は中々に良い感じのようだった。どうやら桜ノ宮がバイトを探していた理由は海外留学がしたいようで、その費用を貯めるためとのことだ。
「まあ、なんにせよ、これからよろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
こうして桜ノ宮は喫茶店スティーレで働くことになった。
ちなみに店長は桜ノ宮の海外が好きという言葉を自分が好きと勝手に解釈して愉悦に浸ったまま固まってしまった。
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店長は中学生
R15は……あるのかなー。ていうか書くセンスがあるのかなー。
翌日の土曜日の朝。俺はいつものように喫茶店スティーレに向かう。基本俺は平日を隔日で入って金、土、日曜日は秋月さんと一緒に朝からシフトに入っている。それもこれも店長が男を入れたがらないからだ。俺がこのバイトに入ったときは秋月さんが涙していた。まあ、かなりフリーダムな店長が店で寝て仕事をしないせいなんだけど。そんなことを考えて店の扉に手をかけながら溜め息を吐いていると不意に声がかかる。
「あっ、篠宮さん。おはようございます」
声の主は昨日から同じバイト先になった桜ノ宮だ。バイトに入ってすぐに連勤とはどうなってるのだろうか。
「おはよう。桜ノ宮は昨日の今日でバイトか。慣れないのに大変だな」
「いえ、これも海外留学のためです。それにいつまでも皆さんの足を引っ張っているのは心苦しいですから」
なんて殊勝な心構えだろうか。あの店長にも見習わせてもらいたい。俺は桜ノ宮の純粋な心に胸を打たれながら店の扉を開けた。
「「おはようございます」」
挨拶をして中に入ると店長が幼……少女に土下座させられて椅子にされていた。
「これは一体……?」
「またですか……」
「篠宮君ー苺香さんー、助けてくださーい。いじめられているんですー」
店長は泣きべそを掻きながら俺たちに助けを求める。しかし、そんな店長に向けて少女はチョップをお見舞いする。
「自業自得でしょ。仕事もせずに寝ている方が悪い」
「だって深夜アニメ見て寝不足なんですよー」
「録画してみればいいじゃない」
「リアルタイムで見ることに意義があるんですー」
「店長さんって子供に好かれやすいんですね」
2人の様子を見て桜ノ宮がそう言った。少女は一層不機嫌になり、店長の髪を引っ張って店長をいじめた。
「麻冬先輩、新人もいるんですからそろそろやめにして下さい」
「あら、春樹じゃない。おはよう。新人?」
少女、麻冬先輩は店長から降りて俺の言葉に首を傾げながら桜ノ宮に視線を向ける。
「桜ノ宮、この人は星川麻冬先輩。喫茶店スティーレで働くバイト仲間だ」
そうして俺は桜ノ宮を麻冬先輩の前へ促す。
「えっと、同じホールのスタッフさんだったんですね」
「そう。私は星川麻冬。よろしく」
「えっと、桜ノ宮苺香です。よろしくお願いします」
桜ノ宮は麻冬先輩をじっと見つめた。すると何を考えているのかわかったのか麻冬先輩は桜ノ宮にデコピンをお見舞いする。桜ノ宮は麻冬先輩を小学生か何かと見たようだ。実際は大学生だが……。俺も最初は上から見下ろして小学生?と思っていたら脛を蹴られたな。懐かしい。
「おっはようございまーす!」
すると店の扉が開いて日向が入ってきた。どうやら、秋月さんも奥にいるようだし、今日はバイト勢揃いのようだ。
「あっ、また店長怒られたんだ……。麻冬さん、今日シフト一緒だったんですね」
「おはー」
日向は泣いている店長と麻冬先輩を見て呆れ顔になる。すると奥から秋月さんが来た。
「そいつはまた犯罪紛いのことして桜ノ宮を連れてきたんだぞ」
「……あなたいい加減刑務所に行ったらどう?」
「また……?」
秋月さんと麻冬先輩がごみを見るような目で店長を見る。
「2人とも酷いデス! あれのどこが犯罪紛いなんデスか」
「一体どこに、初対面の相手に鼻血出して興奮しながら交際を申し込んで終いには店に勧誘する店長がいるんだよ!」
「ここにいマス!」
「「死ね!」」
店長が堂々とそう言うと秋月さんと先輩のダブルキックが炸裂した。
「まあ、普段からこういう感じだから気にするなよ」
「あ、はぁ」
「一々気にしてたらきりがないからな」
「そうそう、店長は1日10回は必ず怒られてるからね」
俺と日向は桜ノ宮にこの店でやっていくためのアドバイスとして教えた。
その後桜ノ宮と麻冬先輩は打ち解けたようで麻冬先輩が新しい妹の存在に中々上機嫌だった。
「そういえば、私はドS属性、夏帆さんはツンデレ属性ですけど、麻冬さんは何属性なんですか?」
「まあ、見てればわかる」
唐突に桜ノ宮からそう聞かれた俺は視線を店の扉の方に向けた。桜ノ宮もつられてそちらを見ると丁度客が入ってきた。するとそこに麻冬先輩が向かっていく。
「おかえり~、お兄ちゃん~♪」
先ほどとはうって変わったにっこりスマイルの甘え声が発せられる。その変貌ぶりに桜ノ宮も驚愕し、俺に視線を向けた。
「妹属性だ」
「妹?」
「そう」
「ふん、別にあんたのために用意したわけじゃないんだからね」
「お兄ちゃん、こっちこっち~♪」
流石に1年以上もこの仕事を続けている故か相当キャラが板についている。
「2人とも、すごいんですね。私は全然、うまくいかなくて……」
桜ノ宮は麻冬先輩と他のテーブルでツンデレ接客をする日向を交互に見て落ち込んだ様子になる。
君も大分いいキャラしてるとは思うが……。
「店長、こういうところで励ますのが好感度アップに繋がるんじゃないんですか?」
俺は傍にいる店長の肩に手を置いて桜ノ宮に聞こえないように小声で告げた。それを聞いた店長は握りこぶしをつくって上を見上げた。
「そうデスね。ワタシに任せてくだサイ!」
「行ってら」
店長は俺にキメ顔でサムズアップして桜ノ宮の下に向かっていく。
「大丈夫ですよ苺香さん。最初は失敗しても仕方ありません。それを経験して成功に変えればいいんデス。それに昨日もうまくできていたじゃないデスか」
「店長さん……」
店長はニコポスマイルでのくさい言葉に感銘でも受けたのか桜ノ宮はぷるぷると可愛く震えた。
すると桜ノ宮から店長に反撃が加わった。
「私、頑張りますね!」
「ぐっは!」
桜ノ宮は満面の笑みで店長にそう言って接客に向かった。対して店長は手で鼻を押さえて気持ち悪いぐらい震えながら鼻血を堪えている。
「やはり、苺香さんはワタシの運命の……」
「仕事しろやー!」
そんな感謝感激雨霰状態の店長に秋月さんからの蹴りがお見舞いされた。
「そんな、ワタシはずっと苺香さんの働く姿を見ていたいのに……」
「本当に通報するぞ。篠宮も早くキッチンに入ってくれ、ただでさえ今日は土曜で忙しいんだ」
「すいません、店長がキモすぎてつい……今行きます」
「篠宮くん酷いデス!」
「お前はさっさと鼻血止めてこい!」
秋月さんが怒鳴ると「秋月君の鬼ー」とブーブー言いながら名残惜しそうにキッチンに入っていった。
「さて、今日も頑張りますか」
俺は頬を叩いて気合いをいれてキッチンへと入っていった。
_______________
「何やってんですか……」
俺は休憩室での様子に呆れ顔でそう言った。そこでは、店長が秋月さんと麻冬先輩に踏まれているところだった。話を聞くと、桜ノ宮が店長の写真を見てしまったようで、その写真が女性が店長にキスをしているものだったようだ。まあ、写真の女性は店長の叔母で、イタリアではこれが挨拶だと誤解を解いていたが……。
「初な苺香さん、とっても可愛かったデス。これでワタシと苺香さんのラブストーリーも1歩進みましたね」
ふふんと、得意気の店長に冷ややかな視線が送られる。
「その発言で10歩ぐらい後退しましたね」
「ノー! そんなことありまセン!」
俺が適格な言葉を告げると店長と桜ノ宮以外の全員がうんうんと頷いた。
「あなたはそのゲーム脳がいけないのよ」
「そもそも桜ノ宮と店長との間にラブストーリーなんて始まってないだろ」
俺の言葉に続いて麻冬先輩と秋月さんが無慈悲に言い放つ。
「ぶーぶー、皆さん酷いデス」
店長は子供みたいに文句を言うと何か気づいたようで悪巧みをするような顔で俺を見た。すると、桜ノ宮に近付き何かを耳打ちした。
「えー! そうなんですか?」
「はい、そうなんデスよ」
店長の話に驚いた桜ノ宮が俺にチラチラと視線を送る。あー、なんか予想ついたわ。
「苺香ちゃん、店長に何て言われたの?」
気になった日向が桜ノ宮に聞く。桜ノ宮は未だに俺に視線を送ってくる。それと微妙に顔が赤い。
「あ、あの……篠宮さんが麻冬さんのことが好きで、告白した……と」
やっぱりな。
「そうなんデス。篠宮君はワタシのことを馬鹿にしてマスが、自分が何ら進展がないのを悔やんでワタシを僻んでるだけなんデス!」
この人は何を言ってるのだろうか、大の大人が中学生みたいに人を茶化して恥ずかしくないのだろうか。
「えっと、あの、2人は付き合っているのでしょうか?」
「いや、全然そういう関係じゃないよ」
「え、では……」
「私が振ったわ」
「そうなんですか……」
「だって彼、私がここで働いて3日で急に告白してきたのよ。ほとんど喋ったこともないのにOKするわけないじゃない」
麻冬先輩から痛い事実が告げられる。
「あの時はびっくりしたよね。急に告白して」
「ああ。あの時だけ篠宮に店長が乗り移ったのかと思ったぞ」
2人はその時を思い出すかのように話す。桜ノ宮はかなり興味津々な様子だ。ていうか、あの店長と一緒って寒気がするほど嫌だな。
「やーい、ロリコンー」
「あの、篠宮さんは何で麻冬さんに告白したんですか?」
「は? そりゃ好きだからだろ」
「どこが好きなんですか?」
「ぐいぐい来るな、どこか……全部ではないけど、ほとんど好きだな。可愛いし、優しいし、なんといっても物事に対していつでも本気なところだな」
「すごい好きなんですね」
「まあ、弟みたいって言われて振られたけどね」
麻冬先輩には3人の弟がいるようだ。ちなみに全員麻冬先輩よりも身長が高い。
「やーい、幼女好きー」
「振られたのに一緒に働きづらくないですか?」
「あ、確かに。私も絶対辞めるな、って思ってたー」
「折角入ったバイトだから元々辞める気はなかったんだけど、秋月さんが超必死に絶対辞めないでくれって懇願してきて、一切辞める気は起きなかったね」
俺がそう言うと秋月さんに視線が集中する。ていうか後ろのブロンドの残念イケメンがさっきからウザいんだけど……。誰も聞いてくれないみたいだけど。あ、麻冬先輩に蹴られた。幼女に反応したか。
「篠宮が辞めたらただでさえ忙しいのに使えない店長と2人でどうしようもなくなるだろ。それに店長、男はいれる気はないとか断言するし、篠宮が辞めたら大事な女性客が減ってしまう」
「……? 何で篠宮さんが辞めると女性の方が来なくなるんですか?」
「あ、もうすぐあれがあるんだっけ、なら、その時になったらわかると思うよ」
「あれ……ですか?」
「ついに、負けられない戦いが始まるのか」
「ええっ、戦い!?」
「気にするな、勝手に皆がそう言ってるだけだから」
秋月さんの闘志に桜ノ宮は驚いたが、俺がフォローしておく。まあ、あれはある意味では戦いではあるが……。
「やーい、幼女好きのロリコン変態野郎ー」
…………。
「し、篠宮? 何で帰り支度をしてるんだ?」
「すいません、秋月さん。ちょっと持病の偏頭痛が酷いので早退させてもらいます」
「待ってくれ篠宮、頼む! これから忙しい時間帯なんだ、お前が帰ったら俺は死んでしまう!」
俺は店長に視線を向けると秋月さんもそれに習う。
「どうせ、篠宮君は麻冬先輩ペロペロしたいーとか考えてる変態なんデスよ、苺香さん」
頬を膨らませてそんな発言をする店長を見て秋月さんに視線を戻す。秋月さんは絶望したような表情で震えている。それに対して俺はにっこりと笑った。
「帰ります」
俺は神速の動きで店を出た。後ろでは秋月さんが「篠宮ー、カムバックー!」という叫びが響き渡った。
_______________
篠宮さんが偏頭痛で帰ってしまいました。それと、また店長さんが秋月さんに泣きながら踏まれています。
「どうしてくれるんだ店長! これから忙しいっていうのにあんたのせいであんたのせいで!」
「痛いデスよ秋月君!」
「俺がこれから受ける苦しみに比べたら大したことはない!」
あれではどちらの方が偉いのかわかりません。
「まあ、今回のはしょうがないね。明日には篠宮君も普通に来るよ」
「でも、心配ですね」
「苺香ちゃんはとりあえず、その勘違いを直した方が良いと思う」
勘違いとは何のことなのでしょうか。私が首を傾げると夏帆さんは何とも言えない表情で私を見ました。
「麻冬さーん、篠宮君にあれだけ言われて嬉しかったんじゃない?」
すると夏帆さんがニヤニヤと笑いながら麻冬さんに問います。そういえば、いつもは麻冬さんが秋月さんと一緒に店長さんを蹴ったりしてるのに今はしてません。
「別に……」
「へー、そうなんだー」
「何なのその知った風な顔は」
「別にー」
「あ、麻冬さん、顔が赤いです。体調が悪いんですか?」
「……っ!」
私がそう言うと麻冬さんは夏帆さんのお尻を叩き始めました。何ででしょう。
「痛い痛い麻冬さん、ごめんって」
「許さないわ」
「苺香さーん、助けてくださーい!」
「どうしてくれるんだー!」
色々ありましたが、今日もスティーレはとっても賑やかです!
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無知って怖いね。あ、この場合無知と言うより天然か。
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