ゴジラに転生したらフレンズ化したんだけど (ふじシノ)
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巨大不明生物分離個体の行方に関する最終報告書

本書は巨大不明生物分離個体(仮称)の行方について作成された最終報告書である。
当時は完全に非公開であったものの、かつて特例により一部の人物にのみ、公開・閲覧が許可された。しかし一般公開はされなかった。
これはかすれ・汚れがあるものの現存する、数少ないオリジナルである。どこから流出したかは不明だが、数多くの新事実が判明した。
適宜、注釈を加えたので例の島等について知らない者が閲覧しても、幾分か分かりやすいはずである。

・・・まあ、例の島の存在を知らない者がいる方が珍しいのだが・・・

(文中の■■■はかすれ・汚れ等によって読み取り不能な部分である。その情報の補修は行っていないのでここで断っておく。)





前略~

 

2016年12月■日

 2016年■月■日に凍結された巨大不明生物(以下ゴジラ)の尾の先端に

人型不明生物 ゴジラ第5形態(仮称)を確認。

 

 

2017年■月■日

 ゴジラ 第5形態と共に生成された、第2形態に酷似した個体“巨大不明生物分離個体”

(以下フィリウス)を確認。

サイズは大幅に小型化され、全長3メートル程度となっている。また放射線・放射性物質いずれも検出されなかったのだが、研究体として米軍が回収・秘密裏にユッカマウンテン放射性廃棄物処分場に輸送・一時保管された。

なお、その回収法については一切公開されていない。

 

 

2025年■月■日

米国本土(※1)で研究が行われていたフィリウスが脱走。その際全長6メートル程度に関わらず、五重の厚さ70センチ、チタンβ型合金製の防御シールドを破壊したという。(※1)

その後、再捕獲したものの空輸時に再び脱走、太平洋に落下し消息不明。

この頃、フィリウスの原子炉は機能していたという。

 

(※1)米国のどの場所なのか、シールドの破壊方法についても一切公開されず不明。

 

 

2030年5月29~30日

 米国サンフランシスコにフィリウスと思われる個体が出現・上陸。外見は第2形態のままだが、身長70メートル 全長305メートルと2.5倍に大型化。上陸から約40時間でサンフランシスコ―ロサンゼルス間を移動。進路上の施設等を完全に破壊し、再び太平洋に姿を消した。

なお、進行中に米軍が三度攻撃。地中貫通爆弾「MOPⅢ」が使用されたが、第4形態をはるかに超える外皮強度に阻まれた。

死者推定250万人。

 

 

2031年12月■日

 ニューヨークに、ゴジラ第4形態に酷似した灰色の個体(※2)が上陸。上陸2時間後に政府は戦術核の使用を決断、市民の避難確認後200発が使用され殲滅に成功。

しかし、直後フィラデルフィアにゴジラ第2形態に酷似した個体(※2)が出現。約2時間後に活動を停止した。ニューヨーク市民の避難場所となっていたため、多くの犠牲者が出た。

死者推定640万人。

 

 

 

 

(※2)この二個体については「第2形態に酷似した個体がフィリウス本体で、灰色の個体がフィリウスから分離した個体である」との仮説があるが、第2形態に酷似した個体がサイズ共々第2形態と瓜二つで、小型化の理由が説明できず真相は不明である。

ここでは第2形態に酷似した個体をフィリウスとする。

(灰色の個体は後に“グレー・ゴジラ”と呼称された)

 

 

《フィリウスが処分されなかった理由について》

・【解体不能】外皮が異常に硬く、軍の「開発中試作レーザー」も使用されたが傷一つ付かなかった。

・【周囲への汚染】処分する際に周囲に拡散する大量の放射線・放射性物質の対策が存在しなかった。

 

 

 

2■■■年■月■日

 永らく停止状態にあったフィリウスが突如覚醒し、猛スピードで北米大陸を縦断、太平洋に消えた。その後フィリウスは確認されていない。覚醒理由について「日本の例の島(※3)の噴火が関係しているのではないか」「その噴出物に反応したのでは」との指摘があったが、目下のところ調査中でありコメントは控える。

死者・被害については事件発生から日が浅いため、詳細不明。

 

 

(※3)小笠原諸島に属し、島全体が超巨大総合動物園となっている。かつては多くの人で賑わっていたが、現在は完全退去命令が出されており、周辺の海域も併せて進入禁止となっている。

 

 

 

 

本書は『最終報告書』故、その後フィリウスに関する情報は公開されていない。

 

 

 

 

 

 

 

 



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1章 『ゴジラ』 転生

別段俺は善人というわけでもない

 

 

 

かといって悪人というわけでもない

 

 

 

ただの普通の――マンガやアニメを愛する――人間だ

 

 

 

まぁ、ようは物静かな(世間一般で言うところの)オタクである

 

 

 

 

人を助けるにしてもあまり損得勘定はしない。ただし気分次第

 

 

 

小さい子が転んでいようが、教師が大量の資料をぶちまけようが、家で親が家事の手伝いをしてくれと言おうが全てその時の気分で助けてやるかやらないかを決めるのである

 

 

 

 

そんな俺の普通でマンネリな人生は

 

 

 

あっけなく幕を閉じた

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

その日の俺は、数少ない友人と談笑しながら下校していた

 

 

談笑といっても、俺はその輪の中から外れかかっていたがな

 

 

だから気付いたのかもしれない

 

 

 

俺達が信号待ちをしているとき、フードをかぶった小4ぐらいの男の子がゲームをしながら歩いてきた

 

 

もちろん下を向いており、言うまでも無く危ない。  まぁ赤信号くらい気付くだろう

 

 

だが、その男の子はゲームをしたまま前を向こうともせず、横断歩道に侵入した

 

 

このへんは車の通りが多いというわけではないが、近くに工事現場があるので大型トラックがよく通っていた(しかも結構スピードがでてる)

 

 

  あぶないぞー。前見て歩けー

 

 

そんな俺の注意にも一切振り向こうともしない

 

 

フードで見えなかったがイヤホンでも付けているんだろう

 

 

  今度は引っ張って連れ戻すか

 

 

そう思った俺の視線は男の子の右に向けられた

 

 

 

大型トラックが迫ってきていた。その距離目測約2、30メートル

 

 

大量の鉄骨を乗せているあたり、工事関係のものだろう

 

 

運転手の顔は驚きに満ちていた

 

 

そりゃそうだろう。ニュースでよく見る事態が今、自分自身に起こっているんだから

 

 

そんなことを考えつつ俺は何も知らない男の子に向かって駆け出していた

 

 

周りの友人や大人たちは皆しゃべるかスマホを見るかで、数秒後には轢かれるであろう男の子には誰も気付いていない

 

 

さすがの俺も気分がどうたらこうたら言ってる場合ではない

 

 

 

 

男の子を掴んで向こう側に放り投げようかと思ったがすぐさま却下した

 

 

 

 

頭から落ちたりして最悪死んでしまったら元も子もない

 

 

 

 

じゃあ抱えてもとの方向に戻るか?しかし、却下

 

 

 

 

俺にそこまでの瞬発力は存在しない

 

 

 

 

間に合わず二人一緒に吹っ飛ばされ、死体が二つに増えるのがオチだ

 

 

 

 

男の子は俺がクッションになって無事という事態も想像できる

 

 

 

 

けど俺、まだ死にたくないんだよなぁ

 

 

 

 

あいにく自己犠牲の精神は持ち合わせてないんでね

 

 

 

 

迷った結果、俺はもと来た方向に男の子をぶん投げることにした

 

 

 

 

ぶん投げるといっても別に上に投げるわけじゃない。横方向に、ボールを転がすみたいに投げるだけだ(ちょっと分かりにくいかもしれないが)

 

 

 

 

そして俺は投げた反動(反作用)を利用して、反対方向に飛ぶ。そして車線の間に入ってやり過ごす。完璧だと思った

 

 

 

 

異常事態で慌てていたからか、それとも俺本来の詰めの甘さか

 

 

 

それは単純な計算ミスだった

 

 

 

()()()()()()男の子を投げた俺はちょっとしか飛べず

 

 

 

そのまま尻餅をついてしまった

 

 

 

かっこ(わり)い・・・

 

 

 

そりゃそうだ。軽いものを投げたらその反動は小さくなる。大きい反動を得ようとするなら重いものを投げなけりゃな

 

 

 

それに、俺の運動神経じゃあそんなに飛べねえしな

 

 

 

そんなことを考えながら俺は迫りくる大型トラックを見ていた

 

 

 

横目に見ると、男の子は無事俺の友人にキャッチされていた

 

 

 

ああ・・・ たかだか二十年足らずの人生だったがそれなりに楽しんだと自分では思う

 

 

 

まだ続きの気になるマンガもあったけどな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで俺の意識は暗転した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

・・・

 

 

 

・・・っは!?

 

 

あれ?俺トラックに轢かれて死んだんじゃなかったっけ?

なのにどうして思考ができるんだ?

 

・・あ、もしかして「このすば」みたいな死後の世界とか!

 

 

でも視界は真っ暗じゃなくて青っぽいんだけどなぁ・・・

 

うーん・・  どういうことだ?

 

 

そんなことを考えてたら目の前を魚の大群が通っていった

 

何だここは海か・・・

 

 

 

もちろん俺はそこで違和感を抱いた

 

 

 

え?水中で息が苦しくないこと?いや確かに苦しくないけど俺が感じた違和感はそれじゃない!

 

 

 

 

だってさっきの魚明らかにマグロだったのに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだけど・・・俺ってそんなにデカかったっけ・・・  いやいや、んなわけない

 

 

 

 

 

てかここ死後の世界じゃないの?俺生きてるの?!なんで?

 

 

 

 

 

・・・ああそうか。所謂『転生』ってやつだ。言い方が悪いけど「命の使いまわし」

確か生前の行いが悪いと人間以外に転生するんだっけ・・・

最悪の場合石とかだった気がする・・・

ラノベとかだったら普通に自我とか記憶とか保持してるけど、本来の転生は自我も記憶も受け継がれないんだったな。たまに「前世の記憶がある」って言う人もいるが

 

俺も場合は前者で、人以外の生物になったんだな・・・ ほとんど罰ゲームだ

やっぱ気まぐれで人助けとかしてたからかなぁ・・・ 最後は気まぐれじゃ無かったけど

 

 

にしても何の生物だろうか。普通に息しなくても大丈夫だし、それにでかいからクジラかなあ

でもクジラだったら――今の俺は海底に横たわってる感じだ――海底に横たわったりするか?

この足と腹は地面をしかと感じているんだから・・・・・

 

・・・・・

 

・・・「足」?

 

 

足があって、でかくて水中で生活してる生物っていたか?

そんなのって最早ゴジラくらいしか・・・

 

 

ふと俺は巨大な鏡があるのを見つけた

 

・・・なんで海底に鏡が・・・ そうかご都合主義か

 

汚れていてよく見えないが目を凝らしてみると・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラがいた

 

 

 

ゴジラ2016 第二形態がいた

 

 

 

かの蒲田に上陸し日本中を混乱に陥れたゴジラがいた

 

 

 

キモカワで「蒲田くん」の愛称で知られるゴジラがいた

 

 

 

大戸島の伝説「呉爾羅」

 

 

 

最早神といえる存在「GODZILLA」

 

 

 

 

「ゴジラ」

 

 

 

・・・・・・・・ゴジラ?

 

 

・・・・・もしかして俺ゴジラに転生したの?!もう罰ゲームじゃないじゃん!!いやっっったあああああああああ!!!

 

 

・・・・・・

 

・・・いや、冷静になれ・・

ゴジラになったらもう人として生きていけないんだぞ・・・

つまり、生前望んでいた経済的に何の心配も無く優雅で怠惰な生活も出来なくなるってことだ!

 

・・・いや、『優雅で怠惰な生活』って時点で人としてどうだろうか。なんだかカズマみたいだな

 

でも、もしかしたら『死』という概念すら克服している可能性もある・・・・

 

そうだとしたら無限の時間の中で何をしようか・・・・

 

 

俺は生前そうしていたようにその辺をうろうろしながら考えていたが、足元にある()()()()()()()()に気付かなかった

 

 

そして、思いっきりそれを踏んづけてしまい、体が光りだした

 

 

「は?」

 

 

気付いたときにはもう遅く、

 

 

 

俺の意識は再び暗転した

 

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

ザザーン・・・・

 

ザザーン・・・・

 

 

 

 

・・・・・・・

 

・・・

 

 

 

・・・っは!?

 

 

あれ?俺また気絶してたのか?別に頭打ったわけじゃあないのになぁ・・・

この体がそういう体質なのか?

 

「まったく・・・ 気をつけねぇと・・・」

 

 

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

・・・は???

 

 

 

いやちょっと待て一体全体どういうことだなぜだなぜだなぜだなぜだ・・・

 

 

え?どういうことかって?確かに文字じゃ伝わらねぇから説明するが

 

俺の声が女性の声になってんだよ!!!

 

しかも甲高い幼女の声だ!!

 

 

俺男なのに・・・・・・・・

どうしてそうなるんだよおおおおおおおお!!!!

 

 

 

 

 

 

とりあえず落ち着こう・・・ そういや今どこなんだ?

あたりを見回すとどうやら浜辺のようだ。気絶してる間に海流に運ばれたか?

 

 

 

沖のほう・・・・・って程でもないな・・・ 向こうにも陸が・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

 

「ああああああああああああああああ!!!!」

 

 

あれわぁっっ!!! あれわあああああっっっ!!!!

 

 

 

え?さっきから叫んでばっかでやかましい?字数稼ぎ?誤字?

そうじゃない!!あれを見たら誰だって驚くだろ!

しかも一回死んで転生したと思ったら体光って気絶して浜辺に打ち上げられて海の向こうを見たら!!

 

 

 

あの山の頂上から吹き出てる、ビスマス結晶を連想させるあれは・・・!

 

 

「『サンドスター』?・・・ ということはまさか・・・・」

 

 

 

 

ここは『けものフレンズ』の世界だ――――――――――!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




雑な終わり方は相変わらずです

御意見、御感想お待ちしております!




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上陸

あけましておめどとうございます(遅ぇ)

正月からほとんど書く時間をとらずに挿絵に集中したため遅くなってしまいました・・・


話題は変わりますが、先日天王寺動物園に行ってきました
フルル、アライさん、ジャガーさん、カバ姐さん、ライオン姐さん達がいました!フレンズじゃなかったけど(そりゃそうだ)


いやー。死んだと思ったらまさかのゴジラ(神の化身)に転生!

しかも転生先は「けものフレンズ」の世界!

おまけにフレンズになって、前世と同じように行動できるしなー

しかし、あの時踏んづけたのはサンドスターだったんだなー

 

 

・・・前回の駄文のせいで状況が理解できない人もいるかもしれないな・・・

いったん状況を整理しよう

 

トラックに轢かれた

 ↓

死んだ

 ↓

ゴジラに転生

 ↓

サンドスターに触れてフレンズ化

 ↓

砂浜にうちあげられる

 ↓

イマココ

 

うむ、我ながら実にシンプルだ

 

そういや立ち上がるのを忘れていたな・・・

それってヒトとしてどうだろうか。まあこの身体(ゴジラ)の性質というか・・・そもそも立つようになってないからなぁ

 

そうやって立とうとしたが・・・

 

 

んっ・・・あれっ・・・・

 

 

「・・立てねぇ・・・」

 

 

今俺は腕を立てて立ち上がろうとしているんだが、腕が動かねぇ・・・

・・そういや、第二形態は腕が身体の中にあって、肘だけ出ていたな・・・

・・・もしや・・

そう思って仰向けになってみると・・・

 

 

「・・・なんだこりゃ・・・」

腕――というより服の袖――ががっちり縫われてて動かせねぇ・・・

 

仕方なく、腕を使わずに立とうとしたのだが・・・

 

 

ガクッ

 

 

「ありゃ?」

 

あ、足の力が弱くなってる?

 

 

その後何度か挑戦したが前のめりに倒れまくって、顔面が痛くなったので断念した

 

うー・・・仕方ねぇ、腹這いで行くか・・・

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

「~~~~っ、はぁ~。つかれた~」

ジャガーはじゃんぐるちほーの河口で休憩していた

アンイン橋が修復されてから橋渡しの仕事が減った、というわけではなかった

橋があれではまだ、ジャンプ力のないフレンズは楽に渡ることは出来ない

それに、川を渡りたいフレンズは、橋の近くだけに居るわけではない。じゃんぐるちほーの各地にいるのである

それらの理由もあって、ジャガーは毎日忙しいのである

 

 

「あっ、ジャガー久しぶりー」

あちこちよごれたコツメカワウソが駈けてくる

「おお、カワウソ。最近姿見ないと思ったら・・・どこ行ってたんだ?」

「いやー。一週間前サンドスターの山を見に行ってたんだけど、噴火におどろいちゃってガケから落ちたのー」

「あぶねえな・・・気をつけろよ」

崖から落ちたというのにこの程度のリアクションなのは、フレンズの身体が異様に頑丈だからである

「それで、そのあとゆうえんちまで転がって、今までずっと遊んでた♪」

「よく飽きなかったな・・・」

「にしても最近噴火が多いねー」

「ああ。特に昨日のはすごかった」

 

実はこの一ヶ月の間、サンドスターの噴火が断続的に続いているのである

しかも、前日史上最大の噴火が起き、かなり大量に、広範囲にサンドスターが散ったのである

 

 

そんなパークのどこでも起こっている日常だったが・・・

 

 

「あれ?ねぇジャガー、あれなんだと思う?」

「ん?・・・ ほんとだ。何だろう・・・」

 

二人の目線の先には、黄土色の長い物体があった。それは川の水面に水平にのび、しばらく二人はそれを見つめていた。

が、川を逆上していたそれはにごった水の中に消えてしまった

二人はしばし呆然としていた・・・

「・・・何だったんだ今のは・・・ ぜんぜんわからん・・・」

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

「はぁーーーっっ・・・ やっと上陸できた・・・」

 

あれからずーーーーっと川を逆上して、上がれるところを探していたのだが、なかなか場所が見つからなかった

そしてようやく見つけたそこに上がるのにも一苦労・・・ やっぱり足の力が弱くなっているから、移動能力は大幅に落ちてるな・・・

それに腹ばいだし・・・

ただし、島に渡るのはさほど苦労しなかった。泳ぐのは意外と得意であった

 

「にしても・・・」

 

俺はにごった川の水面を見つめていた。そこに映っているのはもちろん「俺の顔」ではあるが・・・

 

「見るからにナマイキそうな顔だなぁ・・・」

 

前世の俺とは大幅に異なる「フレンズ化したゴジラの顔」であった

 

【挿絵表示】

 

 

・・・まぁ、顔に文句言っても何も代わらないしな

そういやここは・・・じゃんぐるちほーか。となるとさっき俺がいたのは、キョウシュウの北の離れ小島というわけだな

 

 

いよいよこのジャパリパークでの人生?が始まるのか・・・ そう思うと感慨深いな

しかし俺はアニメ版と漫画版しか詳しくないぞ。もしアプリ版の世界だったら・・・?

・・・いや、大丈夫だ。どっちにしたって俺は生きていく!

まぁ移動方法にちょっと難があるけど大丈夫・・・

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

・・・う゛ーーー

 

全然大丈夫ではなかった

どうにかなんねえかなこの移動法・・・ ホフク前進みたいなやり方なんだが、動くたびに腹や腕、あごにジャングルの木の根や石が当たったりしてうっとうしいんだよ・・・

早く進化してぇなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

そんな俺の願いが届いたのか

 

 

「ん?」

 

 

直後、俺の視界が歪み始めた

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラ 第二形態の外見

 

【挿絵表示】

 

 

本来はこのように立つことはできません。今回の挿絵のように、基本は腹ばいで移動します

「ん?何だお前ら、ずいぶんとちっこいな。私はゴジラ、完全生物だ。

まぁそうは言っても、まだ水の中のほうが落ち着くな。俺の陸上での姿が見たい奴は、少し待っててくれ。

え?見たくない?まーまー、そう言わずにさ~♪」

(フレンズ紹介ジェネレーター使用)

 

 

 




~PPP予告~

ロ「今回は『サーバルキャット』について予習するわ」
コ「高い跳躍力で鳥類、卵、爬虫類、カエル、魚類、昆虫、カニなどを捕らえ、時に犬をも殺すらしい」
イ「犬は今年の干支だろ!年始から縁起でもない!」
フ「日本では高級ペットで、飼うときには都道府県知事による飼育許可と厳重な飼育設備が必要なんだって~」
コ「フルルは相変わらずマイペースだな・・・」
ジ「次回『進化』!」


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進化

 

「ぐっ・・」

 

俺は突如襲ってきた強烈な頭痛に悶絶していた

 

 

視界は大きく 歪み、吐き気もする

 

 

かなり頭の悪い例えだが、一生分の 風邪を体感した ような・・・そんな感じだ

 

 

「うぐぁ・・・ がっ・・」

 

 

身体 の芯が 核融合を起こして いるかのように熱い・・・

 

 

この身でさえ も 消えて無くなって しまいそう  だ・・・

 

 

身体の 表面が 疼いている・・・

 

 

激痛は 最初関節だけ  だった が、今は 身体全体が それに 襲われて い     る・・・

 

 

「がっ あッ あアっ あアアあアッ・・・!!」

 

 

それら  に耐え  切れず、   俺 はつい   に   叫 んで    し  ま    っ   た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたあ~しはト~キい~ あ~おいそらをとんでい~る~♪」

トキはじゃんぐるちほーの上空を飛んでいた。さばんなちほーの端に生えている、貴重なお茶葉の採集をアルパカに頼まれたのである

「・・・ふぅ。歌もだいぶ上手くなったわ。ショウジョウトキと練習したかいがあったわ♪」

3話のあとショウジョウトキもカフェに通うようになり、アルパカの努力の甲斐もあって、少しずつではあるものの客も増えてきている

・・・まぁトキの歌はあまり変わっていないのだが・・・

「わたあ~しはどこへいくの~ かぜの~ゆくまま~♪」

 

そのようにいつもと同じ、のんびりとした日常であった・・・

 

 

 

 

 

―――――ッッッ――――ガッ――ッッァ――――――ア――ァ―――ッッッ!!!

 

 

 

 

突如響いたのは、まるで地獄から響いたかのような、音とも声ともつかないものだった

 

「な?なに?!なんの音?!」

 

もちろんトキは驚き、

 

「あっ・・・ お茶葉が・・・!」

 

集めたお茶葉の入ったかごを落としてしまった・・・

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

「―――――ッッハアッ!はっ、はぁ、はぁ・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」

 

 

 

ようやく全身の痛み、高温、吐き気らから解放された・・・

 

 

「・・・はぁ・・・・はぁ・・ なん・・だったん・・・だ・・・」

 

落ち着いたところである変化に気付いた

 

 

 

 

 

 

・・・・なんだか目線が高くなったような気が・・・

 

・・・ふと自分に目線を向けると

 

 

 

 

 

 

 

「・・・服が変わってる・・?」

 

 

それまでは第二形態の色を模した、黄土色のパーカーだったが、今の服装は第三形態を模したのか赤茶色の薄い装甲服のようになっている。装甲服といっても大して頑丈そうではないが

しかし、何よりそれまで腹ばいしか無理だったのが直立できるようになっている。身長が大きく伸び、すらりとした感じだ。中学生~高校生になるかならないかくらいの外見である

 

 

 

・・・なんでそれが分かるかって?

決まっている。「ご都合主義の鏡」があるからだ

 

・・・なかなか便利だなー(棒)

 

 

しかし進化がこんなに辛いものだったとは・・・ 劇中のゴジラも苦しくてあの声をあげたんだろうか。同情するな・・・

 

 

とにかく、これで機動力がかなり上がったはずだ。そう思って歩き出したが・・・

 

 

グラリ

 

 

「おっととと・・・」

 

 

危ない危ない。危うく倒れるところだった・・・ まだ第三形態はうまく歩けないんだった。近くに木があって寄りかかることが出来たが、無かったらまた倒れていたな

再び体勢を立て直し、再度歩き出そうとしたのだが・・・

 

 

 

 

ミシ

 

「ん?」

 

何か音がし、動きを止めた

 

 

すると・・・

 

 

 

 

ミシッ  ミシミシッ・・・

 

 

ズ、ズン・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・え?

 

う、嘘だろ・・・

 

木が・・・倒れた・・・

 

 

しかもその木は()()()()()()()()()()()()である・・・ つまり・・・

 

 

 

 

「・・・俺・・そんなに力強くなったの・・・?」

 

いくらなんでも寄りかかっただけで、木が倒れるほどの力って・・・

 

 

・・・いや、実際劇中でも踏みつけた電車が宙を舞ってたし、ありえるか・・・?

 

 

そんな思いを胸に、若干不安になりながら、再び歩みを進めた

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後・・・

 

「あ゛ぢぃ―――――――」

 

 

めちゃくちゃ暑ぃ・・・

 

なんなんだこの暑さは・・・

 

見てるだけでは伝わらないが、ありえないぐらい暑いのだ。それこそサウナにでもブチ込まれたくらいの暑さである。じゃんぐるちほーってこんな暑さだったか?

アニメを見る限り なんか蒸し暑いなー っていう位かと思ってたんだが

 

いや、もしかしたら「この身体」が原因か?

第三形態は冷却システムが不完全で、身体を冷やすため一旦海に戻って再び進化したんだったな

 

となると、俺も川にでも入って冷やさなければならない。目的変更!川を探そう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに数十分後・・・

 

「か・・・川だ―――!」

 

ようやく川を見つけ、大喜びでダイブする

 

 

「べっ」

 

思ったより浅かったので、したたか顎を川底に打ち付けてしまい変な声を出してしまった

 

「いてて・・・  あぁぁあぁ~・・ 冷たくて気持ち良い~♪」

 

身体を冷やして気持ち良くなり、そのまま寝落ちしてしまった・・・

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

・・・・ふぁ~ぁ

 

よく寝たな~

 

 

・・・っていかんいかん。寝てしまったのか。身体も冷えたことだしとっとと・・・

 

 

 

「・・・またか」

 

 

 

 

寝ている間にまた進化してた。第四形態である

 

 

「まぁいいか。もう慣れたし」

 

特に痛いとかはなかったのでそのまま受け入れることにした。慣れって怖い

 

さぁ、出発するか

 

 

 

 

・・・ああそうか。行き先についてはまだ話してなかったな

 

俺の行き先はズバリ・・・

「さばんなちほー」である。目的はもちろん「かばんとサーバルに会う」ことである

 

まぁそうは言っても、まだかばんが生まれているか分かんないからな。それにここがアニメ版の世界とも限らないわけだし・・・

まぁその時はその時だ。なんとかなるだろう・・・

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

さばんなちほー

 

 

 

「かばんちゃんおはよ~」

「おはようサーバルちゃん。まだ寝ててもいいのに・・」

「たしかに昨日は疲れたけど、今日も新しいフレンズを探しに行きたいから」

 

この小説の主人公はまだ知らないが、二人――と一機。つまりは三人――は健在しており、ここはアニメ版の後の世界である

ジャパリパークの各地をめぐり、さまざまなものに出会い、学んだ二人

その話は・・・今はしないでおこう

ジャパリバスは完全に修理・さらなる改造がなされ、現在二人の移動拠点である

 

「オハヨウ。カバン」

「おはようございます。ラッキーさん、今日も運転よろしくおねがいします」

「たのんだよ~」

「マカセテ」

 

ラッキービーストは、パークセントラルの倉庫にあった予備のボディを使用し、パーク全体でのガイドが可能になった。つまり、大幅なアップデートである

・・・それでもときどきフリーズするが・・・

ちなみに二人は、ここ最近頻発しているサンドスターの噴火で生まれた新しいフレンズを探しに、キョウシュウ中をまわっている

 

「今日はどこに行こうか?」

「きのうはロッジの近くと、海で探したから・・・今日はサバンナとジャングルで探そうか」

「いいねそれ!ボス、出発進行!」

「ワカッタ」

 

 

と、出発しようとしたところで

 

 

 

 

ズゥゥン・・・

 

 

「え?なになに?なんの音?」

 

 

ズゥゥゥゥン・・・・・・

 

 

「な、なにが・・・」

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

「ッ―――――ギ――――ァア―――――――ァアァアアァァアアアンンンン!!!」

 

 

「うわあぁああ!!」

 

 

突如響いた大音量に三人は驚く。その音は大きいだけでなく、かなり響く。それだけでバスがビリビリと共振し、震えている

 

 

「な、なんの音?」

「とりあえず行ってみよう!ボス!」

「ワカッタ。アブナクナッタラ、スグニゲルヨ」

 

三人は音源と思われるほうへ向かった

 

 

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くとじゃんぐるちほーをぬけ、さばんなちほーに着いた

「よし、まずは二人を探すか」

 

やはりサバンナというだけあって、乾燥してなおかつ暑い場所である

冷却に関しては第四形態は完成してはいるが、それでも長居は禁物だ

 

 

 

さらに歩いていると、何度も頭を小突かれた。たぶんちっさいセルリアンだろうな。ゴジラはその程度では見向きもしないが

 

 

実を言うとこの身体にはまだ、ゴジラの意識が残っている。それは意識と呼べるのかどうかは分からないが、非常に力強い存在感を俺の中で放っている。それが時々身体の制御を奪うのである

まぁ奪うと言っても、せいぜい今みたいにちょっと振り向けなくなるくらいだから、大したことはない。・・・たぶん

 

 

おそらく完全生物であるゴジラにとって、セルリアンごとき非常に矮小な存在なのだろう。だが俺としては、同じことを何回も繰り返し言ってくる奴と対応してるみたいで、すっごいムカつくんだが・・・

 

 

コツン

 

ああもう・・・!

 

 

コツン

 

ううう・・・!

 

 

・・・

 

 

・・・おわったか・・・?

 

 

 

 

コツン

 

 

 

「何してんだこの野郎―――!!」

ゴジラの意識が弱まった瞬間、振り向きざまに強烈な尻尾ビンタを食らわせてやった!

アニメの最初に登場したのと同型のセルリアンは、真横にすっ飛んでいった

 

 

 

「ふぅ・・・。スッキリ」

した と言おうとしたところ

 

 

ドゴォ

 

 

 

「・・・ん?」

 

 

少し遠くから何かが破壊される音がしたのでそちらを向くと・・

 

「・・・・・・え?」

 

 

思わずそこへ向かって駆け出した

 

 

 

 

 

・・・・え、ええ――――

 

開いた口がふさがらないとはまさにこのこと

サバンナの岩肌の露出する地帯(ちょうど1話でかばんがセルリアンと遭遇した感じの場所)。そこの岩肌に、ついさっき出来た感じの大穴があった

直径約2・3メートル、深さ50センチ~1メートルほどのものだ

その中心では、不自然にサンドスターが輝いている。つまり・・・

 

「・・・これ、俺の力・・・?」

 

ちっさいセルリアンを思い切り尻尾ビンタしただけで、遠くの岩に大穴が開くとか・・・

ヤバ過ぎだろ・・・。馬鹿力とはまさにこのこと

こんな力で常にフレンズ達と接すれば、大惨事間違いなしである。かなりセーブしとかないと・・・

 

 

「ん?」

そんな思案にふける俺の鼻腔をくすぐったのは「獣の臭い」。しかし、ただの獣臭ではない・・・。金属のような無機質な臭いの混ざった感じだ

臭いのほうを振り向くと、いつの間にそこに居たのか

 

 

 

 

大量のセルリアンがいた。十や二十は下らない、かなりの数だ

 

・・・なんだろう、なぜかムカムカしてきた

 

なぜだかセルリアンに怒りを感じながら

 

 

 

 

ズゥゥン・・・

 

 

 

 

「・・そコヲ・・・」

 

 

 

 

ゴジラの意識が強くなり、野生開放したことを感じながら

 

 

 

 

ズゥゥゥゥン・・・・・・

 

 

 

 

「どケェ・・・!」

 

 

 

 

威嚇の意味も込めて

 

 

 

 

 

 

 

 

精一杯咆哮した

 

 

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な・・・っ・・・なに・・これ・・・」

 

音がしたと思われる場所は

 

 

皆の記憶にあるような、ただの荒れ果てた場所ではなく

 

 

まさに()()()といった感じだった

 

地面はとてつもなく重い物体が落とされたかのように陥没し、

 

周囲の岩肌には無数の穴が開いていた

 

 

三人はしばらく、それを呆然と見ていたが・・・

 

「・・・・・かばんちゃん・・・もしかしたら新種のセルリアンかもしれない・・・・・・襲われたフレンズがいないか・・・わたし、見てくる!」

「あっ・・・サーバルちゃん!ひとりじゃ危ないよ、ぼくも行く!」

 

 

怯えながらもフレンズを助けようと、危険な場所へ赴く二人・・・

やはりこの二人は優しいのである

・・・まぁ襲われたのはセルリアンなのだが・・・

 

 

 

二人はゆっくりと降りていく。さすがのサーバルもひょいひょい行くほど勇気はない

 

 

 

慎重に辺りを捜索しようとしたときだった

 

 

 

 

 

「あ・・・あのー・・・」

突如かばんに心細い声がかけられる

「ひぇっ・・・・・は、はい、なんでしょ・・・う・・・・か・・・・・」

 

振り向いたかばんの目の前にいたのはフレンズ

 

 

ただし通常のフレンズではない。かばんの頭一つ分ほど背が高く、真っ黒の装甲服に身を包み、服と同じ色の太く長い尻尾を持つ、鋭い目つきのフレンズ

 

はっきり言って「怖い」

 

 

かばんもそう思い、とっさに

 

 

 

「たっ食べないでくださぁいいいいい!!!」

「たっ食べるかあああ!!」

 

思わず不明フレンズもそう叫んでしまった

 

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしはサーバル。で、こっちはかばんちゃん」

「かばんです・・・。すいません・・いきなり・・・」

「ああいいよ、気にしてないから」

 

ついに念願のサバンナコンビに出会えた・・・!

帽子の羽飾りが赤青両方あるということは、アニメ版の後の世界か・・・!よかった・・・

でも、ボスウォッチがないな・・・。まさか・・・!

 

「カバン、ドウダッタ?」

「あっ、この子がラッキービースト。みんなはボスって呼んでるの」

 

おお・・・よかった・・・復活してたんだな・・・

このラッキービーストも旅の仲間だったから、最後海に沈んだときはどうなるかと思ったが・・・こうして復活しているのを見ると、思わず感動してしまう

 

「おれはゴジラって言うんだ。よろしくな」

「よろしくおねがいします」

「よろしくね♪ あ、ボス。ゴジラってどんなフレンズなの?」

「ラッキーさん、ゴジラってどんなフレンズなんですか?」

 

やっぱり普段フレンズとは会話できないんだな。ラッキーと話してみたかったが・・・

ちょっと残念・・・

 

「ケンサクチュウ、ケンサクチュウ・・・でーたばんくニガイトウでーたナシ」

「あれ?直してからはどんなフレンズのことでもわかってたのに・・・」

「どうしたんでしょうか・・・」

 

なるほどアップデートしてたのか。あの後の旅については聞きたいことが山ほどあるが・・・今はしないでおこう

 

「それで?二人は何をしてたんだ?」

「あの山が昨日すごい噴火して、たくさんサンドスターが出たから新しいフレンズが生まれてないかなーって」

「フレンズさん探しの旅をしてて・・・きのうはロッジとかで探したんですけど、見つからなくて・・・」

「ふむ・・じゃあ俺も一緒に行っていいか?」

「もちろん!そのほうが見つかりやすいだろうし!」

「ぜひ、おねがいします!」

「ああ、よろしくな」

 

 

こうしてサバンナトリオにお邪魔して、フレンズ探しの旅に出た

 

「そうと決まったらさっそく出発だね!お日様が出てるうちにじゃんぐるちほーに行こう!」

 

 

 

設定画

 

【挿絵表示】

 

第二形態より少し大きくなりました。装甲服はまだあまり強くありません

「ふぅ、久しぶりだな。・・・ナニ?待ってなかった?もう来んな?

・・・いいだろ別に。・・は?キモさは据置き?なんだとコラァ―――!!!」

 

 

 

 

 

 




PPP予告は二回に一回入れようと思います






















夜のさばんなちほー
「・・・クンクン・・・まちがいないのだ、このまま続いているのだ!」

「まーまー。今回の道のりはそんなに長くなさそうだし、あせらず行こうー」

「だめなのだー!あんなのを『のばなし』にしていたら・・・パークの・・・パークの危機がぁぁ・・・!」

「パークの危機ねー。まえにそんなこと言ってて、失敗しなかったー?」

「こんどこそ大丈夫なのだ!アライさんを信じるのだー!」

「まぁいいけどねー」

「いそぐのだ!はやく・・・つかまえるのだ!」

「はいよー」









次回「密林」







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密林

風邪ひいて更新遅れました。すいません・・・
皆さんもお気をつけ下さい




早速「じゃんぐるちほー」に向かうことになった

 

ちなみに先ほどの大惨事の事は既に説明してある。いくらサーバルでも怖がるか?と思ったが、

 

 

「すっごーい!ねえねえ、そのセルリアンどのくらいいたの?」

「えっと・・・10か20くらい?」

「そんなに?!わたしは一度に五体くらいが精一杯なのに・・・」

 

サーバルは劇中の描写を見るに「全然弱い」なんて感じはしないが、天然というか純粋というか・・・あまり考えて戦っている様子はなかったから、そのくらいが限界だろう

(もっとも、かばん程までいかなくとも考えて戦ったらもっといけそうだが)

 

かばんは、少し怖がっていたが

 

「すごいです!そんなたくさんのセルリアンを倒せるなんて・・・頼もしいです!」

と、頼りにされてしまった

 

 

そんなこんなで三人の旅に加わることになったのだが

 

「チョット マッテテ」

突然ラッキーがピョンピョン跳ねてどこかに向かいだした。ついていくと、そこには看板のような端末?がありラッキーがそれとリンクしだした

 

「さぶでーたばんく ニ セツゾクチュウ・・・」

「ボス?どうしたの?なにしてるの?」

 

少し待つと接続完了したのか

「かこハカセ ノ『ふれんずカシタごじら』ニ ツイテノ ヨソクでーた だうんろーど カンリョウ」

 

「ふれんずカシタ ごじら ハ ショウリョウ ノ さんどすたート エイヨウブン・クウキ・ミズ ナド ナニカシラ ノ ブッシツヲ ハンノウ サセテ タイリョウ ノ さんどすたー ヤ セイメイカツドウ ノ タメノ えねるぎー・ネツ ヲ セイセイ スル ト ヨソウ サレル。ナオ コノ ハンノウデ ホウシャセン ハ セイセイ サレナイ モヨウ。ブツリホウソク ヲ マッコウカラ ムシシタ コノ ヨソウ ハ オオクノ マチガイガ シテキサレタガ ソノゴ ナンドモ ヨソクケイサン ヲ ヤリナオシテモ コノ ケツロン ハ カワラナカッタ ラシイ・・・」

 

「・・・」

「ねぇ、どういうこと?ボスはなにを言ってるの?」

「・・たぶん、俺がフレンズ化したときの予想だろうな」

しかし確かに物理法則を真っ向から無視してるな・・・ 質量保存?相対性理論?ナニソレオイシイノ? 的な仕組みだな・・・ ラッキーはこんな重要情報の(それもカコ博士の)ダウンロードもできたのか?いや、そんなわけはない。たぶんボディを新調した際、スペアの権限を上書きしたんだろうな。スペアはパークセントラルにあったっていうし・・・

・・・あれ?そういえば・・・

 

「あれ?そういえば『さばんなちほー』は探したのか?」

そんな俺の問いに対し、

「実は、さばんなちほーに『セルリアンがたくさん出るとフレンズが生まれない』っていううわさがあって・・・」

 

意外にもその噂は当たっていた、ということか

 

「ふつう一気に10や20も出ることはないから・・・それに危ないからってことで避けてるんです」

 

ふむ、なるほど・・・ってちょっと待て。二人はそんな危険地帯のど真ん中で寝てたってことか?そのことを聞くと

 

「じつは、ゴジラからたくさんでた話を聞くまでは気付かなくて・・・」

「いま思い出すとぞっとします・・・」

 

あ、あぶねぇ・・・

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

「さばんなちほー」はその名の通り、サバンナの気候である。サバンナには雨季と乾季があり、現在は・・・

 

「そういえばのど渇いたね。水のみにいこうか」

 

乾季。それゆえ乾燥しており、すぐのどが乾く

 

「そうだな。それに暑いし」

「そうなの?わたしはそんなに暑くないけど・・・」

サーバルが疑問に思うが

「あぁ、俺暑さに弱いんだ」

いくら第四形態といえど、暑さに弱いのに変わりはない

 

 

そういえば、今俺はジャパリバスに乗ってるわけだが、11話で大破・12話で修復&改造された割にはたいして変わっていない。交換した運転席の左前のタイヤの色も、赤である。塗りなおしたのか?

さらにはバスの周りの浮き代わりの丸太もない。まぁだからといってどうということはないが

 

 

あそこが水場だよとサーバルが指差す先を見ると、そこが盛り上がっており、木も周りより少し多い気がする

バスでいけるのか?水場への道はそれほど広くなかった気がするが・・・

と思ったが、ちゃんとゆるく、広い坂があったので杞憂だった

 

 

             ※       ※       ※

 

 

「だぁれ~?」

「うわっと!」

水場に着き、身体を冷ましていると、何かが飛び出してきたが

「あっ、カバ」

カバだった

 

「久しぶりねサーバル、かばん。 ・・・とこの子は?」

「ゴジラっていうんだって!さっき会ってフレンズ探しを手伝ってくれることになったの!」

「ゴジラ・・・聞いたことない動物ね」

カバはそう言って首をかしげる。そりゃそうだ、何せ怪獣だからな

「変わった動物ですわね・・・こんな長い尻尾見たことないわ」

カバは(ゴジラ)の尻尾をまじまじと観察する

「そういえばこんな長いしっぽのフレンズさんは、ぼくは見たことないなぁ・・・」

「ふしぎな動物だねー」

 

なんか珍獣になった気分だな

そう思っていると、ふと頭上に陰が差した。そちらを見てみると

 

「ふぅ・・・水をのんで行ったほうがいいわね」

「あれ?トキ?」

 

あのジャ●アンもびっくりの音痴・・・言い過ぎましたすいません・・・

 

ま、まぁあまり歌はうまいとは言えないトキである

 

「めずらしいね、ここに来るの。ふだんじゃんぐるとかで水飲んでるのに」

 

・・・ジャングルの水飲んでんのか・・・ けっこう泥水だった気がするが

 

「・・・それが、せっかく集めたお茶葉をおとしちゃって・・・また採りにいこうとしてるの」

「そうなんだ・・・ よかったら手伝おうか?」

「じゃあおねがいするわ。「さばんなちほー」のはしにあるから・・・」

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

 

 

というわけで、今バスに乗ってさばんなの端――つまり北上している――に向かっている

 

「そういえばあなたの名前きいてなかったわね。なんのフレンズなの?」

「俺はゴジラっていうんだ。パワーと硬さには自信がある」

 

どちらも規格外だが・・・

 

「わたしはトキ。歌には自信があるわ」

 

・・・そういえば上手くなったのか?

 

「トキってどうしてお茶葉おとしちゃったの?」

サーバルがそう聞くと

「じつはじゃんぐるちほーの上を飛んでるときに、変な音が聞こえたの」

「変な音?」

「ええ・・・なんか、こう・・・ごがぁあぁって感じの音だったわ。ちょっと言葉にはできないわね」

 

・・・その「ごがぁあぁ」って音・・・

 

「?どうしたのゴジラ」

「・・・すまん・・・たぶん、それ俺の声だ・・・」

「え?それって・・・」

 

かばんの予想どうり・・・

 

「つまり・・・俺のせいってことだ・・・トキがお茶葉落としたの・・・」

 

 

 

さすがにこれはまずかった・・・と思ったが

 

「全然気にすることないよ!べつに悪気があったんじゃないんでしょ?」

サーバルがフォローを入れてくる

「いやまぁ、そうだが・・・」

「それならいいわ。ちょうどあそこを飛んでいたわたしの運がわるかっただけよ」

「そうですよ!気にしなくていいんですよ!」

 

三人に励まされ

 

「あ・・・ああ・・・ ありがとう・・・」

 

ちょっと照れながらお礼を言った

 

 

そんなこんなで、件のお茶葉のある場所に着いたのだが・・・

 

「ほんとにここサバンナか?」

 

 

うっそうとした密林だった。まぁもしかしたら、サンドスターの気候制御システムが故障している影響かもしれんが・・・

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

「あっ、あったわ!」

 

トキの指差す先には、虹色に輝く葉っぱがある。そんな葉っぱなんて聞いたことないから、サンドスターの影響か?

 

そう思いつつ近づこうとしたとき・・・

 

 

 

 

 

「ち、ちょっとまったああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

設定画

 

【挿絵表示】

 

ゴジラ第四形態に酷似したフレンズです。膨大な熱はどの様に処理されているのか、よく分かっていません

「・・・また会ったな・・・ では改めて、私はゴジラ、完全生物だ・・・

まぁまだ完全とはいえんがな。人に倒されたわけだし・・・ え?「じゃあなんでここにいるんだ?」だって? ・・・まぁ気にするな・・・」

 

 

 




~PPP予告~

コ「今回はカワウソについて予習だ」
フ「数年前絶滅したっていわれてるけど、2017年に・・・」
ロ「そういえば今回じゃんぐるに行ってないわね・・・」
イ「ていうかまださばんなだぞ。ジェーン髪切った?」
ジ「切ってませんよ~」
ロ「カワウソの予習しなさい!」
フ「次回『司会』!」


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司会

前回の分かりにくいヒントに、誰が気付いただろうか


「ち、ちょっとまったああああ!」

「え?!なになに?!」

 

突然俺達に待ったをかけたのは

 

「まちなさい!それは私のものよ!」

 

深い緑色のスーツに身を包み、額にサングラス、首にヘッドホン、腰にはマイクをかけているフレンズだった

 

「え?『私のもの』ってどういうこと? ・・・というか君は?」

いきなり飛び出てきた上に、集めるお茶葉を自分の物と称するフレンズに、戸惑い訊ねるサーバル

 

「私のなまえ・・・? そんなの、生まれたばっかだからわかんないわよ」

 

「『ぐりーんいぐあな』ダネ」

 

    グリーンイグアナ(有鱗目イグアナ科イグアナ属)

         (Iguana iguana)

 

「ミミ ノ シタ ノ オオキナ エンケイ ノ ウロコ ガ トクチョウ ダヨ。タイショク ハ ハイカッショク・セキカッショク・コッカッショク。オヨギガ ウマクテ キケン ヲ カンジルト ミズ ニ トビコンデ ニゲル ヨ。スイメン ニ ハリダシタ キ ノ ウエ ニ イルコトガ オオイ ヨ」

 

 

「なるほど・・ 私はグリーンイグアナって言うのね」

「そういえば『私のもの』って・・・」

「決まってるじゃない。ついさっき通りかかったら、なんかいいかんじにキラキラしてるのがあって、気に入ったからよ」

 

なにそれ自由だな。 ・・・じゃなくて!

 

「いや、俺達それを採りに来たんだよ。それはお前だけのものでもないだろうし」

俺の指摘に対し

「いーえ、だれが何と言おうと、これは私のものよ!だって最初にみつけたんだから!」

「いいじゃない!こんなにたくさんあるのに・・・」

 

 

・・・ だめだ。一切聞く耳を持たないな・・

「じゃあどうやったらくれるの?」

サーバルが聞くと

 

 

「そうねぇ・・・ それじゃあ、なにか『光るもの』を頂戴」

「光るもの?」

「そう。見てると、なんだか落ち着くの・・」

 

なるほど、だからそのお茶葉を気に入ったんだな

 

「ぐりーんいぐあな ハ シガイセン ヨウキュウリョウ ガ タカインダ。シガイセン ヲ アビルト、びたみんD ガ カラダ ノ ナカデ ツクラレルンダ。ふれんずカ ノ サイニ ソレガ エイキョウ シタノカモ ネ」

 

・・ラッキーの解説はいつも分かりやすいな

しかし光るものか・・・ そんなもの、そこら辺に落ちてないだろうな

 

 

 

と、思ったら

 

「あれ?」

「ゴジラ?どうしたの?」

 

「・・・いや、なんかこんなのが・・・」

 

俺がなんとなくつっこんだポケットから取り出したのは、キラキラした塊

色からして、おそらくサンドスターの結晶だろう

何でこんなものが・・・

 

 

「おおお!その輝きは・・・! 私の琴線をしげきするわ・・・」

「・・え?」

「それがいいわ!それちょうだい!この葉っぱもあげるわ!」

 

 

 

なんか解決した

 

 

             の の の の の の の の の

 

 

「たすかったわ、ありがとう♪」

お礼を言ってくれるトキ

「まぁ偶然だったから、運がよかったな」

 

しかし、何であんなのがポケットの中に・・・

そういやサンドスターの無限生成ができるんだったな。余ったやつは、こうやって排出されるんだろうな

 

「それじゃあ、またカフェに寄ってね」

「バイバーイ」

 

飛び立ったトキに別れを告げ、じゃんぐるちほーへと向かった

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

かくして、じゃんぐるちほーでのフレンズ探しが始まったのだが・・・

 

「見つからねぇな・・・」

「なかなかいないね・・・」

 

なかなか新フレンズというのは発生しないのかもしれない。今のところはイグアナだけだ

じゃんぐるを東に移動し

 

「おっ・・ 川か」

 

大きい川に出た。かばんによって修復されたアンイン橋もある

 

「おっ。かばん、サーバル、久しぶりだな」

「ひさしぶり~」

 

声をかけてきたのは、ジャガーとコツメカワウソだった

 

「あれ?みない顔だね」

「俺はゴジラ。よろしくな」

「よろしく~」

 

一通りのあいさつを済ませ

 

「ねぇジャガー。あたらしいフレンズを探してるんだけど、なにか知らない?」

「うーん・・ しらないなぁ・・・ カワウソはなにか知ってるか?」

「わたしも知らないなぁ・・・」

 

皆も知らないようだな・・・ 

 

「そういえば、この橋が渡りにくいって話を聞いたんですが・・・」

かばんが訊ねる

「そうみたいだな。じっさい、落ちておぼれかける子もいるし・・・ ジャンプ力のない子には、キツいかな・・・」

「下流のほうでときどき、流されてきた子をみかけるよ~」

「やっぱり、ちゃんと作りなおした方がいいかな・・・」

「でもどうやって直そう・・・」

 

 

みんなの会話を聞いて

「なぁ、ちょっと考えがあるんだが・・・」

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

「なるほど、わかりました」

「これならみんな渡れるね」

 

川岸に吊り橋の絵をかき、説明した

 

元々ここには吊り橋があったのだろう。実際、道の跡と思われる川岸の木の板の先に、柱が立っており、その柱は川岸の方が若干高く、川の真ん中あたりが低くなっている

 

「でも問題は・・・」

 

どうやって直すかだ

もともとあったであろう柱は半分がなくなり、残ったのも倒れてしまっている

さぁ、どうしようか・・・

 

 

するとかばんが

 

「あの・・・川のながれを変えてみるというのは・・・」

「おっ、それいいな」

 

確かにいいアイデアだ。人間もそうやって、川で建築してたらしいからな

だがそれでも、まだ問題はある

どうやって川の流れを変えるかだ。もちろん流れを減らすだけでもいいが

 

「べつに流れるばしょをほるとか」

「けっこう時間かかりそうだぞ・・・」

「盛土でせきとめるとか」

「どこから土をもって来よう・・・」

「岩をおいてせき止めるとか」

「そんなおおきい岩あったっけ・・・」

 

 

・・・なかなか結論が出ないな・・・

 

 

今度はジャガーが

「おおきい岩なら近くにあるよ。でも、そうかんたんに運べるものじゃ・・・」

「それでいい。案内してくれ」

「まぁいいけど・・・」

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

「ここだけど・・・」

「なるほどな・・・」

 

ジャガーの案内で、川から少し離れた場所に来たのだが、確かに大きいな

俺の2・3倍はありそうだから、あの川をせき止めるには十分だろう

 

「いくらなんでもこれを運べる子はいないとおもうよ・・・ パワーに自信があるといっても・・・」

 

確かにこの岩を持ち上げるのは無理だろうな。()()()()()()()()()()

ジャガーの心配をよそに、俺はその岩に近づくと

 

 

「・・・よっと」

 

 

ひょいと持ち上げ

 

 

 

トトトという感じで川に向かい

 

 

 

「よっと・・・」

 

 

 

苦も無く川の流れを変えるように、岩を置いた

 

 

 

 

「こんなもんでいいか?皆は縄や木の板、それから柱を作ってくれ」

「あ・・・ う、うん・・・」

 

皆はボーゼンと、目を点にしながら生返事を返した

 

 

・・・ちょっとやりすぎたか・・・

 

 

 




前回のイワビーの「髪切った?」がヒントになってました




















朝のさばんなちほー
「っはあぁぁぁ・・・ いきかえったのだぁぁ・・」

「アライさん、あれほど水飲んでおこうって言ったのにー」

「だぁれぇ~?」

「うわぁっ!?」

「ってまたカバさんかー。おどかさないでよー」

「ごめんなさいね。どうしました?」

「あっ、あの!こんな長いしっぽのやつ、見なかったか?」

「ああ。その子なら昨日『さばんなの密林』に向かいましたわよ。その子がどうかしました?」

「あっありがとうなのだ!」

「アライさん、そっちは逆の方向だよー。ありがとうねー」

「セルリアンに気をつけなさいよー」









次回「しゅうり」







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しゅうり

動くザク・マインレイヤーを見て、昇天しかけた人の第6話です

よく見たらチョマーのガウもいるやん


「よっと・・・ こんなもんかな・・・」

 

岩を置いて流れを変え、とりあえず川底の半分が見えたところで

 

「おーい、こっちはあらかた終わったぞー。そっちはどうだー?」

少し離れたところではサーバル、かばん、ジャガー、コツメちゃんが縄を編んでいる

やはり二度目だからか、手際がいい

 

「こっちはけっこう進みました」

「でも、この長いのに手こずってるから、手伝ってくれ」

 

ジャガーの要請を受け、俺も縄作成に参加する

今ジャガー、コツメちゃんと俺が編んでいるのは柱と柱を繋ぐ、太く、長い縄だ。この橋の生命線みたいなものになる訳だから、頑丈にしておく

 

「こっちは数が多いよー。あとで手伝ってー」

「ああ、分かった」

 

サーバル、かばんはさっきの長い縄と橋げたを繋ぐ、ちょっと細い縄を編んでいる。こっちはあまり長くはないが、何せ数が数だ。あとで手伝わないとな・・・

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

「ふぅ・・・ 終わった・・・」

「まだ縄だけだけどねー」

 

前世以来の久しぶりの細かい作業に、神経をすり減らしていた俺はコツメちゃんの指摘に我に返り

 

「・・・よしっ、次は橋げただ」

 

ちなみに一部の橋げたには、かつてかばんが修復した際に使った残骸や周辺の残骸も流用している(言うまでも無く、コツメちゃんの滑り台は残してある)

しかしそれでも、どうしても足りないので、その分は作らなければならない

 

「でも、どうやって作るの?」

 

サーバルの問いに対し

「ああ、それはちょっと考えてる」

 

フレンズは戦闘時、サンドスターの消費量を増やし、身体能力を上げる

さらに高める時は『野生開放』を行うと思われる。この『野生開放』だが、野生――フレンズ化する前――だった頃を思い出す、というのもあるのかもしれない

・・・話が少し逸れたな

要するにこれを応用し、手をのこぎり等として木を加工するのである

皆のサンドスターが減ってきたら、無限生成できる俺が補給する

だが、これの問題点は・・・

 

「あれっ?お、おかしいな?」

「ちょっ、やりすぎたっ?」

「う~ん・・・ むずかしいなぁ・・・」

 

あまり、細かい作業の得意でないフレンズでは、効率が下がってしまうことだ・・・

サーバルが折っていた紙飛行機も、若干ヨレヨレだったからな・・・

他に方法もないので、こうするしかないのである・・・

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

「ふぅ―――」

「つかれたぁー」

 

一通りの材料がそろい、ひとまず休憩

ちなみに俺は

 

「・・やっぱりゴジラってみずべが好きなの?」

「あぁ、なんか落ち着くんだ」

 

例のごとく、川に浸かり休憩していた

するとコツメちゃんが

 

「うーん・・・ なんか見たことあるような・・・」

「・・・ん?どうした?」

 

俺の尻尾を見て、首をかしげている

 

「あっ。もしかして今朝のあの・・・」

「あー、あれかぁー」

 

ジャガーと二人でなんか勝手に納得していたので

 

「?どういうこと?」

「あー。じつはね、今朝それにそっくりなしっぽを見たんだー」

「ゴジラのしっぽとは色も大きさもちがうし、最初はなんかみたことあるなーって感じだったんけど・・・ よくよく見たらたぶんおなじだね」

 

 

・・・え? それって・・・

 

「そ、それって・・・ その時なにか壊したりしてたか・・・?」

 

トキの際はびっくりさせて、お茶葉を落としてしまったから・・・

 

「あー、別にそんなことはなかったな」

「何もこわれてないよー」

 

・・そうか、よかった・・・ また迷惑かけてたらどうしようかと・・・

 

 

             ※       ※       ※

 

 

「そうだ!じゃぱりまん食べる?」

「おー、たべるたべるー」

 

サーバルがじゃぱりまんを取り出し、配る

 

「はい。ゴジラも♪」

 

渡されたのはピンクのじゃぱりまん。何味なんだろうか。少なくともチョコ味ではないだろうな

「いただきます・・・」

そう思ってかぶりついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・納得ないかねぇ

全くもって、納得いかねぇ

 

これ、味噌味だぞ。なのになんで・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃうまいじゃん!

 

味噌味なのにじゃぱりまんとマッチしていて。味噌汁みたいな味と思ったら・・・

 

「? ゴジラ?どうしたの?」

「ああ・・ 思った以上に美味くってな・・・」

 

下手な食リポをやめ、食べ終えた

「ごちそうさま・・ ?」

 

なぜか皆の視線が俺に集まってた

「・・どうした?」

「いや・・ その『いただきます』と『ごちそうさま』って何だろうとおもって・・・」

 

あ・・・ そうか、フレンズにはそういう概念がないのか・・・

 

「まぁ、ご飯をつくってくれた人への感謝みたいなもので・・・」

「そうなの?じゃあ、ボスに感謝だね!」

 

 

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

 

作業再開

 

「そういえば、なんでゴジラはそんなに絵がじょうずなの?」

サーバルが俺の描いた吊り橋の絵を指し、聞いてきた

「う・・ えっと・・・ ま、まぁなんとなくだ。なぜか分からないけど・・・」

「へぇー・・・」

 

ぎこちないが何とかごまかせた・・・か?

やっぱり絵を描くフレンズは、タイリクオオカミくらいなものなんだろう

「絵」という概念を知っているフレンズはあまりいない様だ。そもそも最近生まれたばかりだと二人には説明してるわけだし、かなり不自然だ

ボロが出ないようにしないと・・・

 

 

まずはさっき作った橋げたに縄を巻いたりなんやかんやして、足場を作る

最初に修復したときは、バスを運ぶ前提で作っていたわけだから、フレンズが渡るのを前提にしてるわけではない。そのため川に落ちてしまうと思われる

なので今回は間をあけずに、頑丈にする

 

こういうやつのやり方は、あまり詳しくないので完全に試行錯誤だ。それゆえ・・・

 

「って・・ わあああ!」

「コツメちゃーん!」

「だ、だいじょうぶですか?」

 

コツメちゃんが2話のラッキーのごとく縄と絡まってしまった

 

 

充電器のコードのようだったが、すぐほどけた

 

「ありがと~・・ たすかった・・・」

 

 

             ※       ※       ※

 

 

なんだかんだで橋げたが完成し、事前に挿しておいた柱に固定した

(ちなみに岩はもうどかしてある)

 

その次の太い縄も柱に結びつけ、その縄と橋げたを結び合わせ・・・

 

「完成だー!」

ようやくアンイン橋が完成した。これで溺れるフレンズもなくなるだろう

 

「あれ・・ もう日暮れか」

気付くと西の空――さばんなやろっじ方面――が赤く染まり始めていた

 

「セッカク ダカラ、じゃぱりかふぇ デ イッパク シテイコウカ」

「いいね、それ♪」

 

へぇ・・・ カフェって宿泊とかできたんだな

 

 

「じゃあねー」

「バイバーイ」

 

ジャガーとコツメちゃんに別れを告げ、俺達はこうざんへと向かった

 

 
























さばんなの密林
「おお!フェネック、きれいな葉っぱがあるのだ!たくさんあるから、もらっていくのだ」

「って、ちょっとまったああああ!」

「わあああ! ・・・っていきなり何なのだ!」

「この葉っぱは私のものよ。ほしけりゃ、これに相当するものをよこしなさい」

「そんなものないのだ!」

「じゃあむりね・・・ そういえばひとつ聞くけど、あなたって私の同類?」

「ちがうのだ!アライさんは、おまえみたいな勝手なやつとはちがうのだ!」

「ざんねんね・・・ ()()()()()()()()()同じイグアナのにおいがしたから、タダであげたけど・・・」





PPP予告!

フ「今回はトキについて予習しよう」
コ「よく『絶滅した』と言われるが、それは日本だけでの話」
ジ「中国のトキが持ち込まれ、日本にトキを復活させる計画もあるんです」
ロ「それでも確かにトキは復活するけど、『日本の』トキは二度と復活しないわ・・・」
イ「今日本にいる動物も、絶滅すれば二度と帰ってこないんだ・・」
コ「次回『かふぇ』」





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かふぇ

いつの間にかUA8000超えてたあああ?!
ありがとうごさいますううううう!!


  チュン・・・チュン・・・

 

「ふぁ・・・ もう朝か・・」

窓から差す光に眩しさを覚え、上半身を起こす

 

「うう・・・ さみぃな・・」

布団が無かったので、普通に床で寝ていた。高山だからか、やっぱ寒い

サーバルとかばんはまだ寝ていた。仲良しの二人らしく、寄り添って寝ている

まだ起こすのには早そうだし、もう少し寝させてあげとこう

まだまだ眠いので、気分転換に朝日を拝もうと外に出た

 

「・・・」

無言でただただ、朝日を眺めていた。光のグラデーションがなんとも言えないほど、美しい

 

ふと、思う。今この朝日を眺めているのは俺達フレンズだけなのか。この世界に、もうヒトは居ないのか と

 

 

やはり『例の異変』とやらの影響で、少なくともキョウシュウ―――ジャパリパークには居ないのだろうか

 

 

『例の異変』の元凶と思われる“あの山”を見つめる。遠くてハッキリとは見えないが、あれもまたカラフルなグラデーションが非常にきれいだ

 

 

本当に“あの山”にヒトが居なくなった元凶があるのか・・・ にわかには信じがたい

 

 

「おはよう~。よく眠れた?」

 

のんびりした声が後ろからかけられる

箒を持ったアルパカ・スリがカフェの前の広場を掃除していた

 

「ああ、おかげでぐっすり。でもやっぱ寒いな。昼になったら少しは違うだろうけど」

「わたしは服?だっけ。そのおかげで、あんまり寒くないなぁ~」

 

たしかアルパカの毛は、寒い高山の衣服にも利用されるんだっけ

そりゃ、あったかいだろうなぁ・・・ 寒がりな俺にとっては、羨ましい限りだよ

 

 

             ※       ※       ※

 

 

昨日アンイン橋を出発し、高山の頂上にある「ジャパリカフェ」へ向かった

 

二人の話を聞くとどうやらバスでも行ける とのこと

いったいどうやって行くのか、車道でも造ったのかと思っていたら、何やらでっかい缶詰みたいなのをバスの天井の穴に差し込んだと思うと、缶詰モドキがバスより二回りほど大きいラグビーボール型の浮きに変化し、バスが飛行船になった。

 

突然の出来事に呆然としていた。どうやらこれもパークセントラルで見つけてきたらしい

サンドスターでも使って、圧縮してるんだろうか。まぁ、万能物質かどうかは知らん

 

そんなこんなで、付属のプロペラでゆっくりとカフェへ向かったのだ

カフェに到着した頃にはすでに日は落ち、カフェも『closed』の札が掛かってはいたものの、

アルパカは快く迎えてくれ、お茶まで出してくれた

 

 

今日はカフェでゆっくりしようと三人で決め、朝のじゃぱりまんと紅茶を飲んでいた

実を言うと、俺はあまり紅茶は好きなほうではないのだ。お茶に水を足した感じがどうも好きになれない。ミルクと砂糖を入れれば少しは良くなるが

だが、アルパカの紅茶はとてもうまかった。やっぱりお茶葉が違うからか、それともアルパカの腕がいいからか

 

 

「「わたぁ~しぃわぁ~トぉ~キぃ~」」

 

で、今の俺はトキ、ショウジョウトキの歌を聞いている。下手ではないが上手いという訳でもない。だが、ずっと聞いていられる感じだ。アニメでのあの爆音はどこへ行ったのだろうか

 

「・・ふぅ。どう?さっきよりうまくなった?」

「そりゃあ私のことですから、うまくなってるに決まってますよ(ドヤァ」

 

なぜかドヤ顔をする(しかも自画自賛する)ショウジョウを軽くあしらい

 

「ああ、だいぶ良くなったな。でも、まだ響いてる感じがしないなぁ・・・

口の中に空間をつくって、そこに響かせる感じで」

「『口の中に』・・・? まぁなんとなくわかったわ」

「要するにおおきく開ければいいんでしょ。ア゛――ア゛ア゛―――」

「やりすぎですよ!うるさすぎですよ!」

「えっ・・・ う・・うぅ・・・」

「ああっ!?言い過ぎました、すいません!」

 

分かりやすく落ち込んだショウジョウに対し、慌てて謝るチベスナことチベットスナギツネ

 

    チベットスナギツネ(哺乳綱ネコ目キツネ科キツネ属)

         (Vulpes ferrilate)

 

どうやらチベスナもここ(カフェ)の常連らしい。荒地の斜面とかに生息してると

聞いたことがあるから、近くに住んでるのだろうか

 

「じゃ、ちょっといってくるね~」

「あれ?どこに行くのですか?」

 

どうやらアルパカが出かけるようだ

 

「じつはね~、最近かふぇがカラフルじゃないから、さびしいなーと思って。

お花でもかざろうかと思ったから、摘みにいくの~」

「面白そうですね。チベスナさんもつれて行ってください。ついでにゴジラも」

「ついでって何だよ!ついでって!」

 

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

チベスナはアプリではあまり活躍してないみたいだし、漫画でもアニメでも一切出ていない。

アンソロで登場したときは、それを気にしていた

ここでも、それを気にしているのか

 

「おっ、この花とかどうですか?」

「う~ん・・ それ、けっこう早く枯れちゃうんだよね~」

「じゃあこれはどうですか?」

「それはちょっと大きすぎるね~」

 

役に立ちたいのか、目立ちたいのか。それとも単に、アルパカの手伝いをしたいのかは

分からないが、ちょくちょく「あれはどうか」「これはどうか」と進言している

 

「いくらなんでもそれはでかすぎる。カフェの天井を突き抜けるぞ」

「ううぅ・・・」

「まあまあ。手伝ってくれてるんだからそんなこと言わないの~」

 

ちなみに、今歩いている場所は若干足元が悪い。歩けないほどではないが、平地より体力を

消耗する

そんなこんなで、しばらく歩いていたのだが

 

「・・・ん、でたね」

「でましたね」

 

二人が反応すると同時に、俺の鼻腔を金属質な獣臭が襲う

前方には・・・

 

「セルリアンか・・・」

 

『橋リアン』ほどの大きさの黄土色のセルリアン5体が、道を塞ぐ様にいた

幸いすぐ茂みに隠れたので、向こうには気付かれてないはずだ

距離は10~20メートルといったところか。体色が保護色になっていたから、

そこまで気付かなかった

 

「迂回するか?」

「いや、ここを通らないとお花畑にはにはいけないからなぁ~」

 

左右はそれぞれ、ほぼ垂直に切り立った崖と荒れた岩場となっているから、避けては通れまい

 

ならば・・・

 

「倒すしかねえってか・・・!」

「ちょっ、ゴジラ?」

「危ないですよ!大丈夫なんですか?!」

 

大丈夫だと思うぞ。何せ今の俺は『完全生物ゴジラ』だからな。何とかなるだろう・・・

 

茂みから飛び出た俺に、一斉に無機質な目を向けるセルリアン達は、ちょっとした脅威だ

 

「ッ―――――ギ――――ァア―――――――ァアァアアァァアアアンンンン!!!」

 

突然飛び出てきた奴が突然地鳴りのような声を出せば、いくらセルリアンといえども

ひるむはずだ

どこぞの金髪チンピラ冒険者も、最初の脅しが大事だとかいってた気がするし

予想通りひるんだが、奴等も負けじと唸る様な声で威嚇してくる

 

しばし、にらみ合う状況が続いたが、先に動いたのは――――俺だ

先頭のセルリアンに向けて駆け出し、強力な拳をめり込ませる

後ろにいたセルリアン1体を巻き込み、吹っ飛んでいった。残りは3体

 

「□□□□□□□□―――ッ!」

唸り声をあげ、残ったセルリアンが襲い掛かってきた

 

 

 

軽く回し蹴りを入れ、石ごと衝撃波で切り裂いた

小気味よい『ぱっかーん』の音と共に5体のセルリアンは消滅した

 

「・・・よし、大丈夫だ。これで――」

通れる。そう言おうと振り向くと、二人の姿は無かった

 

「・・・え?」

まさかセルリアンに・・・? いや。だとしたら元動物が近くにいるはずだし・・・

通ってきた道を振り返り、二人を探していると・・・

 

 

 

 

「お~い。どうしたの~」

「早くいきますよー」

 

垂直の崖にアルパカ、荒れた岩場にチベスナがいた

 

「え・・? 何で・・・」

「べつにこれくらいなら、らくらく行けるよ~」

「というか自分もここよく通りますが、セルリアンがいてもフツーにスルーできますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・俺の心配返してほしい・・・

 

 




今更気付いたけど「ベイカー街の亡霊」と「SAO」って似てる
(発表時期はほとんど同じらしいので、全くの偶然みたい)

















アンイン橋
「おおー! 橋がなおってるのだ!」

「しかも前よりも渡りやすくなってるねー」

「かばんとゴジラって子がアイデアを出して、こんな感じになったんだー」

「そういえばー、こんな感じの子ってとおらなかったー?」

「あぁ、その子なら昨日かふぇに行ってた・・・」

「よぉし!かふぇに登るのだー!」

「い、いや。行って・・」

「どうもどうもありがとー。 アライさーん、急ぎすぎだよー」

「『行ってた』からもう出発して、次のちほーに・・・」

「あれー?そんな感じの子なら、かばんたちが来るまえにとおってたけどー」

「え?そうなのか?」

「うん。()()()()()()()()よく見えなかったけど・・」









次回「さばく」







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さばく

豆知識
1stガンダムの関節(丸いアレ)の仕切り板は、最初から付いてたわけではない


セルリアンを討伐したあの後も、何度かセルリアンに襲われたが、そのたびに俺が撃退し、

アルパカとチベスナがその内に足場が不安定な場所に退避(二人にとってそれくらいなら、

平地と同じとのこと)

を繰り返し、ようやく目的地に到着した

 

「おおっ。なかなか綺麗なところですね」

「いや~、やっとついたね~。道中ありがとうね~。おつかれさま~」

「ほんっとお疲れでしたよ、やっと着いたよ!」

 

セルリアンとの連戦でヘトヘトである。何がと言うと精神が

さすがゴジラ、と言ったところだ。アレくらい戦っても、全く身体は疲れない

ただ、精神はガラスでチキンな俺のものなので、いくら強いとはいえ常に死(?)と

隣り合わせの状況に、身を置いていれば簡単に磨り減ってしまう

まだ遠くから攻撃できる、光線とかは使えないからな・・・

体力の方は残っているので、早速二人と花を摘むことに

 

「根もいっしょに掘りおこしてね~。でないと、すぐ枯れちゃうから~」

「ええ?!はやく言ってください、もう20本摘んじゃいましたよ!」

 

背中に背負った籠には薄く土がしいてあり、これによって摘んだ花が

若干長持ちするようになっている

しばらく黙々と作業していたが、アルパカが突然思い出したように

「そういえば、ゴジラがセルリアンと戦ってるとき、結構怒ってたけどどうしたの~?」

「たしかに、かなり怒ってましたね。何かあったんですか?」

チベスナも訊ねてくる

「あれ、そんなに怒ってた?むしろ冷静だった気がするんだけど・・・」

「見たかんじは冷静でしたが、ただよう雰囲気は激怒そのものでしたよ」

 

マジか・・・ もしかしたら、俺の意識が弱まっていたのか?それで身体の支配率が下がり、

ゴジラ本来の意識に主導権を取り戻されかけた、ということか

なぜゴジラはセルリアンに対して、ああも激しい怒りを持っているんだろうか・・・

というか、その内他のフレンズに攻撃したりしないだろうな・・・?

 

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

 

50本ほど摘んだところで帰路に着くことにした

そんなに摘んで大丈夫かと思うだろうが、1000本くらいあったので大丈夫だと思う

途中、岩の間に胸部装甲が引っかかったり、 セルリアンよ、かかってくるがよいのです

ゴジラが相手しますよなどとチベスナが調子に乗っていたら、崖から落ちそうになっただけで

特に問題無くカフェにたどり着いた

 

「ゴジラ、もっとはやく助けてください。寿命がちぢんだかと思いましたよ」

「お前なら縮むどころか延びそうだけどな」

そんな軽口を叩き合いながら、カフェのドアを開けると

 

「いーえ!間違いないわ、この中に犯人がいるはずよ!さぁ、吐きなさい!」

「とっ、とりあえず落ち着きましょう!」

「熱くなりすぎだよ!」

網目模様のフレンズが、何やら騒いでいた

「お、おい。何があった、それからお前は落ち着け」

騒いでいたのは迷探偵ことアミメキリンだった

 

「わ、わかったわよ・・・ ってあなた誰?」

「俺はゴジラだ。よろしく」

「よ、よろしく・・・ じゃないわよ、それどころじゃないのよ!大事件なのよ!」

まず何が大事件なのか教えてくれ

「じつはね、最近じゃぱりまんが盗まれる事件がおこっているの」

 

・・・じゃぱりまんを?

「じゃぱりまんは、みんなボスからもらってるから、ぬすむ理由はないと思うけど・・・」

「いーえ!ここにいるのは間違いないわ。さまざまな目撃情報を時系列をもとに推理すると、

犯人はこのかふぇにいるはずよ!」

サーバルの指摘を無視し、なおも続けるアミメ

・・いや『目撃情報を時系列をもとに推理』って、案外まともな推理もできるのか?

 

「ていうか、外見が合うかどうか見ればいいだろう。それについても聞いて回ったんだろう?」

「え?そんなのやってないわ。とりあえず、まずは犯人の足取りを調べてるの」

・・・ちょっと待て

「それって、追いついても気付かずに逃げられるだろ」

 

「あっ・・・」

考えてなかったのか・・・ やっぱ迷探偵じゃねぇか

 

 

             ※       ※       ※

 

 

とりあえず、アミメに急かされ『さばくちほー』へ向かうことに

 

「これまで、ロッジ・ゆうえんち・さばんな・じゃんぐると辿ってきたから、

つぎはこのさばくだと思うの。さばんなには、けっこう長くいたみたいね。じゃんぐるには、ちょっとだけだったけど」

さばくちほーに着き、バスの中でアミメが言う。犯人捕縛は探偵修行の一環とのこと

 

さばくで聞き取り調査をする事になったのだが、

現在のかばん・サーバル・俺・アミメキリンだけでは人手が足りないとか

(ラッキーはフレンズに干渉できないので頭数に入らない)、

そもそもさばくはフレンズが少ないとかの指摘は華麗にスルーされた

 

そうやって目撃者を探していたら・・・

 

 

「・・・おい・・」

「ち・・ちがうの!全然ちがうの!」

「何が違うだこの状況、思いっきりお前のせいじゃねぇか!」

 

あれからアミメが あっちにいるはずよ、いや、こっちよなどと勘で進行方向をラッキーに

指示したおかげで現在・・・

 

 

砂嵐に巻き込まれ、身動きができない状態にある

 

「まあまあ・・別にわざとじゃないんだし、許してあげて?」

「むぅ・・・ 分かった」

 

なお、前後の窓とデッキはブルーシートで塞いでおり、ラッキーも運転席から退避してる

 

「しかしどうするんだ。これじゃ身動きが取れないぞ」

「たしかにこまったわね・・・このままじゃあ逃げられちゃうわ」

別にバスで追いかけてるから大丈夫だろう。そう顔に出ていたのかアミメが

「じつはね・・・その犯人はとても足がはやいの。このバスじゃ相手にならないくらいね。

さいしょはチーターが犯人だと思ったの。でも本人が被害にあい、それを他のフレンズが

目撃したことによって、その仮説は否定したの。チーターも全力で追いかけたらしいけど

すぐに振り切られ、見失ったの。だから、もたもたしてると次のちほーに逃げられるわ」

 

・・・なるほど。長距離が苦手とはいえ、時速100kmで走るチーターを振り切るとは

相当速いな・・・

どうしてそこまで調査したのに、外見は聞いてないんだろうか・・・

 

 

 

          の の の の の の の の の

 

「わっせ、わっせ、わっせ、わっせ、わっせ・・・ つ、ついたのだあああああああ!!」

 

「アライさんおつかれさま。帰りはわたしが漕ぐからねー」

 

 

「ああ~。その子なら、もういっちゃったよ」

 

「えええ――?!」

 

「ひとあし遅かったね~」

 

「ぐぬぬぬ・・・ おいかけるのだ―――!!」

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

もうすぐ昼なんだろうが、砂嵐のおかげでさっぱり分からない

じゃぱりまんを食べ終え、皆で仮眠をとっていると・・・

 

「・・・む? なんだ・・?」

突然バスのドアをノックする音が。見ると

「あれ・・ スナネコ?」

 

バスの外にいたのはおそらくスナネコだ。『おそらく』というのは、砂が窓にこびり付いており

よく見えないからだ

 

「何をやっているのですか?もうすなあらしは過ぎていきましたよ?」

ドアを開けると確かに、日本晴れの空が広がっていた。ただし、まだ太陽が真上にあることから

あまり時間は経っていないのだろう

 

「そういえばあなたは?」

「俺はゴジラだ。実はこの四人で『じゃぱりまん泥棒』を追っているんだが・・・」

するとスナネコがハッとして

「そういえばさっき、ちょうどおうちに帰ったらじゃぱりまんが無くなってました!」

「やっぱり犯人はこのちかくに来ていたようね。わたしの推理力もなかなかね!」

突然話に割り込んできたアミメ

「うわっと。いつ起きてたんだ。ついさっきまで寝てたろ」

「事件のにおいを感じれば、どれだけふかく寝ていてもすぐにおきられるわ!」

そもそもサバンナの草食動物は睡眠が浅いんじゃないのかという突っ込みをする間もなく、

どこかで聞いたことのある声がこちらへ向かってきた

 

「だあああああああああああああ!!!」

 

 




少しでも本命を期待してた僕が馬鹿だった





PPP予告!

ジ「今回はアライグマについて予習しましょう」
フ「『あらいぐまラスカル』を元にアライグマブームが起こったけど・・・」
イ「可愛らしい見た目と幼少期は人によく懐くことから、ペットとして輸入されたものの・・・」
ロ「手先が器用で脱走したり、成獣になると凶暴化することから、捨てる人が続出し・・・」
コ「現在では高い繁殖力、天敵がいないといった理由で数が増え、『害獣』指定されている」
ジ「人気者から嫌われ者へ・・・ キャラクターの方は人気者のままだけど・・・」
イ「アニメでも飼育は難しい描写もあったらしいけど・・・」
フ「次回『いせき』」


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いせき

前回の反省点

 ①PPP予告が二回連続で暗い
 ②アミメキリンの口調がうまく再現できない
 ③チベスナの出番が少ない


「だああああ!!」

その声に振り向こうとしたが間に合わず、地面に組み伏せられてしまった

うえ・・・砂が口に・・・

 

「おいついたのだ、かんねんするのだ!」

やはり声の主はアライさんことアライグマだった

「アライさんすごいねー、一日でおいついちゃったよ」

どうやらフェネックもいるようだ。ばすてきコンビの登場ってか

てかゴジラってかなりのパワーだったはずだが、不意打ちとはいえ組み伏せるのはなかなかだ

(何故か上から目線)

皆が突然の出来事に固まり、次のアライのセリフには誰もが驚いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっとつかまえたのだ、()()()()()()()()め!」

 

 

・・・・

 

 

 

 

・・・・・・・・え?

 

 

 

「「「「「えええええええええ??!!」」」」」

 

 

 

 

ちょっと待てちょっと待てちょっと待てえええええ!

 

「まっ、まさか犯人がこんな近くにいるとはっ!」

「違う違う!そもそも、俺はおととい生まれたばかりだし、じゃぱりまんを盗むような

理由もないぞ!」

アミメの疑惑の矛先が向けられ、必死で反論する

「ゴジラはそんなことする子じゃないよ!」

「そうですよ!」

サーバルとかばんも反論する

「そんなはずないのだ!匂いをたどってここまで来たのだ!この・・におい・・・は・・・・」

 

最初あった勢いはどこへやら。段々と尻すぼみになっていく

「・・・どうした・・」

「・・・あ・・・・・・あれえええええ?!」

なんか雲行きが怪しいぞ

「いやー、アライさん。またまたやってしまったねー」

「ぅぅ・・・・・こ・・・このにおいじゃ・・ない・・・のだ・・・・・とちゅうで他のにおいと

まちがえたのだ・・・・・」

 

落ち込むアライにどう言葉をかけようかと悩んでいたら

「あの、ぼくのおうちが近いから、そこに行きましょうか?」

 

ナイス、スナネコ!

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

スナネコのおかげでアライのモチベ急降下は避けられたが、いまだ立ち直れてない

「ご・・・ごめんなさいなのだ・・・」

「あ・・・ああ・・ 別にいいよ。ああ、そんなに気にしてないから・・・」

 

ちなみに現在、スナネコの家(洞窟)にて休憩中だ。サーバルもほっと一息

「どうしてゴジラがじゃぱりまん泥棒だとおもったの?」

「じつはさばんなちほーでじゃぱりまんを食べようとしたら、

ものすごく速いやつに盗られたのだ。でも、背びれと大きいしっぽは見えたからそれと

においを手がかりに追いかけてたのだ」

「でもとちゅうでほかの匂いとまちがえちゃったみたいでー。それできみに飛びついたってわけ」

なるほど、そういうわけか。しかし『背びれ』と『大きいしっぽ』が特徴の動物なんているか?

しかもチーター以上に足が速いって・・・ まぁ、いるっちゃいるがな・・・だがそいつは・・・

「とても足が速いとなるとどうやって・・・ゴジラさんはなにかアイデアありますか?」

「ん?あ、ああ。とりあえずスナネコ、そのじゃぱりまんを盗ったやつが

どこに行ったか分からないか?」

何かしらのヒントはあるはずだ

「えっと・・・たしか、あっちの方向にすなけむりが上がってたから・・・」

そう言って南西方向を指す。だいたいみずべちほーの方だ

「そういえば、ツチノコはどうしたの?まだいせきにいるの?」

サーバルがスナネコに訊ねる。確かにそれは俺も気になっていた

「じつは、このあいだ見にいったらいなかったんです。『もうすぐここの調査が終わる』って

いってたから、もうべつのところに行ったんだとおもいます」

兎に角、その方向に向かっていくことに

 

ちなみに整理すると、

じゃぱりまん泥棒活動開始

一日目ゴジラのフレンズ()誕生 夜、ばすてきコンビ追跡開始

二日目(今日)

となる

             ※       ※       ※

 

 

 

というわけでバスに乗り(狭すぎたので俺は上)じゃぱりまん泥棒の足跡を追跡し、

近くにいると思われる場所に着いたわけだが

 

「おお!ものすごくでっかいのだ!」

「他にもいろんな謎がありそうね・・・」

「ねえねえゴジラ、あれなんなのか知ってる?」

 

俺達の目の前にあったのは、俺どころか全人類が知ってるであろう

「確か『ピラミッド』ってやつだ。死んだ王が眠ってる」

わざとぼかして言うのは、訝しがられない様にするためだ

「ぴらみっど?おう?おうってなんですか?」

かばんが聞いてくる。しまった、つい口走った・・・

「えっと・・・一番偉いやつってことで・・」

「つまり、はかせみたいな存在ってことね」

 

アミメの言うとおり、そんな感じかな

「ん?・・・なにか・・むこうにいる」

スナネコが何かに反応する。見ると、ピラミッドから離れたところに何かがある

 

向かってみると、巨大なストーンサークルのような遺跡だった

ただでさえ大きい岩がさらに大きくなっている

まぁ実物見たことないから、実際は分からんが

 

【挿絵表示】

 

「あれ・・真ん中に誰かいる?」

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

 

「・・・」

「うっ・・うぅ・・・ なんでオレって・・・・・ん?」

 

じゃぱりまん泥棒の痕跡を探すサーバルらとは別行動で、俺とスナネコはサークルの中心に

来たわけだが・・・

「・・・泣き上戸だったんだな」

「泣き上戸ってなんですか?」

「まあっ、まあらおまれかあ~・・・っておまえはあ~?」

サークルの中心にいたのは、ツチノコであった

 

 

・・・ただし、酒を飲んでめそめそ泣いてるが・・・

結構飲んでるらしく、足元には酒瓶が幾つか転がっており、既に呂律も回っていない

「・・・えっと・・ゴジラだ・・・どうした、結構飲んでるが・・・」

「ろうしたもこうしたもあるかあ~!・・・うぅ・・」

顔を真っ赤にして叫び、コップに注いでまた飲み始める

コミカルなアニメの性格なぞどこへやら。てかフレンズは酒飲んでもいいのか?

いくらツチノコが酒好きとはいえ、そんなに飲んで大丈夫か?

 

「なぁ・・なぁ・・・おまれものんれ、あいへしてくれろ~・・・」

訳:お前も飲んで、相手してくれよ~

 

いや・・・相手するって言っても、俺飲んだことないから・・・

しかもツチノコの掲げている酒瓶に、ちらっと書いてたんだけど

八塩折(やしおり)の酒』って・・・

それ(ゴジラ)が飲んだらやばいやつやん。凍っちゃうよ、俺

 

「と、ところで、どうして酒なんか・・・」

「ぅうぅぅ・・・ まえの調査がおわってここにきて・・いっつもスナネコがきて・・・

うっとうしくて、なかなか進まなかったから・・・やっときらくにできるって・・

おもってたのに・・・」

やっぱりツチノコって、一人の方が落ち着くんだろうか

・・・っておいおい、スナネコちょっと泣きそうになってるぞ・・・

「・・なのにぜんぜんすすまなくて、気がついたらそいつのこと思い出してて・・・

そいつのこと・・嫌いなのかそうじゃないのか・・・じぶんでも分かんねぇんだよ・・・」

とうとう泣きつかれたのか、寝てしまった。スナネコはちょっとうれしそうだがな

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

あれからサーバルたちと合流し、簡易トラップを仕掛けることになった

サークルの中心に囮のじゃぱりまんを置いた。ここに直進に向かってくるように細工した

その進行方向のそばに大岩を置き、犯人が通ったら俺が殴り砕いて驚かせて転倒

もしくはそばに置いた別の大岩に衝突させ、その隙に確保する

岩を殴って驚かせるっていうのは他に方法がなかったからだ

それになるべく傷つけないようにするためだ。いや、加減が分からないから傷つくかも・・・

岩は遠くから持って来た。元々は、面倒だったからあの後起きてきたツチノコに猛反対されたが、

遺跡の岩を使うというのもあった

ちなみに、それでも失敗した場合の保険もある

 

 

サーバルはサークルの岩の上で監視役。俺は例の岩に隠れ、待機

他の皆は離れた場所に停めたバスの中にいる

 

 

日は若干傾き、もうすぐ夕方だ

 

そういえば、起きて来たツチノコは平然としていたが・・・

いや二日酔いとかじゃなくて、酔って愚痴ってるように見えて意外とツンデレだったあれのことだ

覚えていたら普通顔を合わせたら赤面するが、スナネコと会っても平然としていたから

忘れてしまったのだろう

 

そんなどうでもいいことを考えていたら

 

「・・・っ!来たよ!」

サーバルが声を抑え、叫ぶ

 

遠くから砂煙を立てて、何かがこっちへ向かってくる。非常に高い視力か嗅覚で

じゃぱりまんを見つけたのか、ヤツは向かってくる

 

 

・・・あと500メートル

野生開放とまではいかないが、サンドスターの消費量を上げ戦闘態勢へ移行する

 

 

・・・あと300メートル

若干周囲がスローモーションのように見える

 

 

・・・あと100メートル

慎重に、慎重に

 

 

・・・あと50メートル

本当は100メートルを一秒程度で、奴は走っているんだろうが、ゴジラには余裕で視認可能だ

 

 

・・・あと・・・・

 

・・・今だ!

 

俺の殴った大岩は、木っ端微塵に砕け散った。ドンピシャで奴の目の前で破壊したから

流石に驚いただろうし、当たってもせいぜい小石程度だから怪我は無い筈だ

実際奴の目は衝撃に満ちていた

 

しかし奴はスピードは落としたものの、手にじゃぱりまんを持ったままそのまま走り去ろうとした

何もなければそのまま奴は走り去って行っただろう

『何もなければ』な

 

奴は突如、地面に吸い込まれた。いや、正確には落ちた

さっき言ってた保険の事だ。落とし穴を仕掛けておいたのだ

スナネコに掘ってもらい、そこにブルーシートを被せ、砂を薄く敷いて作った即席落とし穴

大きめに作ってもらったからか、意外とちゃんと機能してくれた

 

しかし

 

奴はしぶとかった

サーバルと俺が確保しようと近づく前に復帰し、落とし穴から逃げ出そうとした

ヤバイ!奴は時速400キロは出せる筈だ。到底間に合わん!

 

確保失敗

 

そう思った次の瞬間

 

 

 

「うおおおおおお!!まちなさあああああああい!!!」

 

何者かが全力疾走で、奴が走り出す前に奴に飛びついた!

「きっ、きゃあっ! 何するの!放して!」

奴が悲鳴を上げる。何事かと皆が駆け寄って来た。サーバル、かばん、アライ、フェネック、

アミメ、スナネコ、ツチノコが

 

そう、奴と奴に飛びついた何者以外は8人全員いる。にもかかわらず、確保した者がいる

突然の乱入者・第三者は・・・

 

「ええっ?なんでいんの?!」

「わるいですか、私がいたら!せっかくかくほしてあげたのに!」

 

そう、チベスナことチベットスナギツネである

「い、いったいどうやってかふぇからここまで・・・?」

アミメが当然の疑問を投げかける

「きまってますよ。ばすの裏にいたんです」

「はああああああ?!!」

バスの裏?!あの地べたとすぐ近くまで迫るあそこに?!

「よ、よく無事だったな・・・」

「ぶじじゃありませんよ、せっかく出番があったのにチョイ役でおわって・・・

あのまま引き下がれないじゃないですか!それで根性でばすの裏にしがみついてたんです。

というかゴジラ、あなたが犯人あつかいされたときに、私も叫んでいたのに

みなさんよく気づきませんでしたね!やっぱり私はそんなにかげがうすいのですか!」

「わわ分かった落ち着け・・・ それより今はこっちだ」

「それより?!」

 

まだ騒ぐチベスナを無視して、俺は奴の前に仁王立ちする

ゴジラのような背びれ、尻尾・・・

やはり・・・

 

 

「やっぱりお前だったか・・・」

 

 

 

 




待って、私が推理してあげる!

イグアナ曰く「同じイグアナのにおいがした」・・・
並みのフレンズには視認できない超高速・・・
そしてゴジラそっくりの背びれ、尻尾・・・

これらの特徴から考えて、あなたは・・・!



追記:2018年2月21日、「シン・ゴジラ」で 大河内清次内閣総理大臣役を演じられた
大杉漣さんが、心不全により急逝されました
心からお悔やみ申し上げます


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神でない者

・・・

 

・・・・

 

・・・・・

 

 

あれ・・・ここどこだろう・・・

 

わたし、ついさっきまで・・・・

 

なにしてたんだろう・・・ おもいだせない・・・

 

・・それより、あつい・・・

 

すごく乾燥してる・・・はやくしのげるところを・・・

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

・・・うぅ・・・

 

あれから三日なにもたべてない・・・

 

ずっとこのほらあなにいたからなぁ・・・

 

 

・・・あれ・・・なんだろう?

 

おまんじゅう?にしてはキツイ色だなぁ・・・ たべないほうがいいよね・・・

 

でもたべないと・・・

 

・・・

 

・・・おいしい!なにこれおいしい!

 

はぁぁぁ・・・いきかえるぅ・・・

 

 

 

・・・ぜんぶたべおわった今気付いたけど、これってだれかのまんじゅうだよね・・・

 

いちおう逃げとく?・・・・ あぁ・・やっぱり・・・

 

今からあやまりにいってもだいじょうぶかな・・・

 

・・

 

・・・ちょっとまって、あれって・・・

 

・・・なんか痛い人っぽいから、かかわらないほうがいいか・・・

 

けも耳つけてるなんて、ぜったいヤバイって・・・

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

まってまってここヤバイ、ここヤバイ!

 

なんでけも耳しっぽの子ばっかなの!

 

あれから一か月たったけど、なんで痛い人ばっかりなの!

 

遠目から見ただけだけど、かなりリアルなのが気になるけど・・・

 

 

・・・あぁ・・・おなかすいたなぁ・・・

 

今日もアレしなきゃなんないのかぁ・・・

 

でもそれしなきゃ飢えちゃうわけだし・・・

 

いや、やっぱりよそう。他人に迷惑かけるわけにはいかないし・・・

 

          の の の の の の の の の

 

 

・・・またやってしまった

 

またやってしまった・・・

 

あぁ・・・ あの青い服の子、すごいしょんぼりしてる・・・

 

・・・まって、なんか犯人探しするとか言ってるし!

 

・・・

 

・・・よし、逃げよう

 

             ※       ※       ※

 

・・結局また暑いのかぁ・・・

 

砂漠かぁ・・サバンナより乾燥してるじゃん・・・

 

ジャングルのほうが、まだマシだったかも・・・

 

まぁ・・いくらか食い溜めしたし、しばらくはだいじょうぶかな

 

 

             ※       ※       ※

 

まぁ一応、念のためってやつで。もう少しとっておこうかな

 

でもこの砂漠であんまり動き回ったら、すぐ脱水症状になっちゃうからなぁ・・・

 

 

 

・・・ん?このにおいは・・・!

 

あの遺跡っぽいとこから・・・

 

よし、なるべく体力を削らないように・・・

 

にしてもわたしって走るの速かったっけ。時速100キロは超えてるよね・・・

 

 

・・・何だか視線を感じる・・・

 

あの大岩の向こう?

 

(チラッ)

 

 

・・・なんかいた

 

すっごい睨まれてた・・・

 

え?なに?なんか背中光ってる・・・?

 

あれ絶対なんか撃つよね?

 

とりあえず逃げたほうがいいかな

 

あの遺跡っぽいとこにひとまず避難しよう・・・

 

 

             ※       ※       ※

 

きゃあっ!

 

なっ、なに?落とし穴?

 

もしかして、あの青い服の子が・・・?

 

でも誰とも顔はあわせてないから、バレてるはずはないのに・・・

 

と、とにかく逃げないと! 捕まったら、なにされるか分かんないし!

 

 

 ―――うおおおおおお!!まちなさあああああああい!!!

 

なっ、なに?誰?

 

「きっ、きゃあっ! 何するの!放して!」

 

 

 

うぅ・・・ 遂に捕まった・・・

 

わ、わたしなにされるの・・・?

 

 

―――それより今はこっちだ

 

あぁ・・・ 背の高い子が・・・

 

 

―――やっぱりお前だったか・・・

 

『やっぱり』?

 

わたしの――と言うよりこの身体――を知ってるの・・・?

 

わたしは・・・

 

 

何者なの・・・?

 

おしえて・・・

 

 

 



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ほかく

「青春兵器ナンバーワン」終わっちゃったなー・・・
めでたしめでたしの大団円だったけど、個人的にはもっと続いてほしかった


「やっぱりお前だったか・・・」

俺は仁王立ちのまま、そいつを見下ろしていた

 

それと同時に―――

 

 

 

強い罪悪感と後悔の念を感じていた

 

だってこいつ、どう見てもめっちゃ怖がってるんですけど

今にもめっちゃ泣きそう。あ、もう泣いてたわ

おまけに幼女だし(言っておくが俺はロリコンではない)

 

 

ま、まぁとにかく、ファッションに疎い俺は、そいつの着ている服がなんと言うのか知らなかったが、SAOのユイが着ていたやつよりも軽装だということは分かった

髪と服の色はティラノサウルスに似ている

 

やはり、ゴジラに似た背びれと尻尾をもつのはやつしかいない

その名を口にしようとしたその時

 

 

「待って、私が推理してあげる!」

 

・・・だろうと思ったよ。お前が割り込んでくるんだねー

 

 

「イグアナ曰く『同じイグアナのにおいがした』・・・

並みのフレンズには視認できない超高速・・・

そしてゴジラそっくりの背びれ、尻尾・・・

 

これらの特徴から考えて、あなたは・・・!」

 

俺が思ってたことと同じことを言ってる・・・

案外当たるか?いやそもそも、アミメはやつを知ってるのか?

 

 

「カメね!」

 

 

 

 

・・・だろうと思ったよ思いっきりはずれてんじゃねぇか!

 

「おい、何トンチンカンな推理披露してんだ迷探偵。『超高速』って出たのに

どっからカメでてきた」

「名探偵なんて・・・ ほめても何もでないわよ」

ほめてねぇ

 

とりあえずアミメをどかし

 

「とりあえず仕切りなおしだ・・・ やっぱりお前だったか・・・(TAKE2)」

 

「『ジラ』・・・」

 

 

 

 

 

 

そいつの名は『ジラ』。怪獣だ

たぶんマイナーなやつなので解説しよう

 

ジラは1998年に封切られた映画「GODZILLA」に登場した怪獣で、

(2014年版と同じハリウッドだが、2014年版の方が有名か?)

劇中では『ゴジラ』と呼ばれていたが2004年に『ゴジラFW』に登場させるため、

名前をジラに改めた

(GODZILLA-GOD=ZILLA)

太平洋の島に生息していたイグアナが、フランスの核実験の影響で変異し生まれたキメラ怪獣で、

そのプロポーションは、昔の二足歩行恐竜のイラスト(丁度1980年版『のび太の恐竜』はそうなっている)の様に立つ、日本の本家ゴジラとは大きく異なり、現在の二足歩行恐竜のイラストの様な姿勢であるのが大きな特徴で、傍目には単なるでかいティラノサウルスにしか見えない

足が速い(480km/h)、知能が高い、体温が極端に低い等戦闘の際にかなり苦戦する要素が多かったが、ハープーンミサイル(対艦ミサイル)12発であっさり死んでしまった

(普通の生物と比べると非常に頑丈だが、ゴジラと比べるにはあまりにも脆すぎる)

 

要するに怪獣としてメッチャ弱いってこと。だから、名前から神―GOD―を抜かれたのである

ここまで弱い理由として、日本では「畏怖すべき存在」、アメリカでは「乗り越えるべき存在」

という怪獣の価値観の違いがあった というのが挙げられる

 

 

 

 

 

「・・・ジラ・・・? それがわたしの名前?」

ジラが訊ねて来る。やはりあまり自分について知らないみたいだ

なるべく怖がらせないように目線を合わせ、こっちも訊ねる

「俺はゴジラだ。じゃぱりまん・・・お前が盗ってたそれを盗んでる犯人を追っかけてたんだが・・・」

「どうして盗ったの、吐きなさい!」

「ひぃっ!」

「お前は黙ってろ!そしてそこで大人しくしていろ!」

またしてもアミメが乱入し、ジラが泣きそうになった

 

             ※       ※       ※

 

 

ジラはぽつり、ぽつりと話してくれた

 

簡単なことだった。フレンズ化したはいいものの、周りの状況が分からず洞穴でじっとしていたら

腹が減り、つい盗んでしまいそのまま常習犯になってしまったとのこと

「うぅ・・・ 本当にごめんなさい・・・」

「ま、まぁ、アライさんはもう怒ってないからいいのだ」

「ぼくも別にいいですよ。ボスからまたもらえますから」

「・・そうだった。ジラ、ラッキーってのにじゃぱりまんはもらえたんだが、

それはどうしたんだ?」

俺の問いにジラは首をかしげ

「・・・? ラッキーってなんですか?」

「ああ、この青いので、籠を持ったラッキーはじゃぱりまんをくれるんだ。おっと、

噂をすれば・・・」

丁度籠を持ったラッキーがやってきた

「え?この子からもらえたんですか?運んでるのかなって思ってたから、

もらわなかったけど・・・」

 

          の の の の の の の の の

 

あの後スナネコらと別れ、ジラは俺たちの旅に同行することに

「よろしくな、ジラ!」

「こちらこそ、よろしくおねがいします!」

 

 

 

設定画

 

【挿絵表示】

 

ジラは非常に足の速い怪獣で、400km/hにもなるそうです

同じイグアナ同士気が合うのか、一緒にいることが多いようです

「あら、見ない顔ね。ねぇキミは足速い?よかったらかけっこしない?わたし好きなの。

でも、速すぎて皆なかなかしてくれないの・・・ キミはどう?こんなわたしと

してくれる・・・?」




PPP予告!

イ「今回は、アメリカビーバーについて予習だ」
コ「湖にダムを作って、そこで生活するそうだ」
ジ「ヒト以外では唯一周囲の環境を大きく変える生物、とも言えますね」
ロ「普通は2メートルもないけど・・・カナダのダムは全長850メートルもあるそうよ!
もちろん世界最大!」
フ「宇宙からも見えるかな~?」
コ「次回『けんか』!」


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ジラ

最近フェイタルバレット始めました
中古だったのに7000円もした・・・
だが、それ相応の面白さ


20■■年 アメリカ合衆国・ニューヨーク

ニック・タトプロス 生物学者

 

まず始めに断っておくが、俺に奴について話せる事はない。いや、その言い方には語弊があるな。

これから俺が話す事は、ほとんどが俺の仮説で正しいとは限らない。しかも、俺は自分で言うのもなんだが有能な生物学者ではない。それでもいいか?

・・・数年前パナマ、ジャマイカ、大西洋で次々と漁船が沈んでいっていたのは知ってるな。

当時は大ダコやらエビラやらマンダやらにやられたんだろといわれていたが、全く違った。

・・・あの神モドキだった。神モドキといっても、奴は十分な脅威だった。

奴は卵で繁殖するんだが、その繁殖力が尋常じゃなかった。たった一つでも見逃すと

あっという間に成長し、また繁殖を始める。

成体も幼体も、また脅威だった。成体の足のすばしっこさ、ありゃなんだ。さすがに

異常だろ、生物としてありえん。まさか時速400キロを超えるなんてな・・・

幼体は成体ほどではなかったが足が速く、身体が小さいため簡単に路地裏に逃げられる。どちらも魚を主食とし、出現した周辺地域の漁業は壊滅的被害を受けた。

さらに高い知性も持っているらしく、罠を仕掛けたり、逆に俺たちの罠を見破ったりもした。奴はヤツほどじゃないが十分な脅威だった。『ZILLA(神でないもの)』の名をつけたのは案外正解だったな。

そいつがニューヨークに上陸し、あっという間にNYがジラの支配下となったのは全世界の予想を裏切ることだった。

だってそうだろ?進軍して来た怪獣はたかが一体。そのたった一体の怪獣が

その場で数を増やして町を支配するなんて、どこにそんな発想をするヤツがいる?

SF作家でもなけりゃ無理だ。成体はバンカーバスターで駆除できたが、幼体はそんなんじゃ効率が悪くて兵士が銃で撃って対処していったらしい。

それでも効率が悪いだろう、もっといい兵器はなかったのか だって?

あぁ、確かにあった。過去形なのは、全ての有効な対怪獣兵器は成体に破壊されたからだ。そして駆除しきれなかった幼体は成体へと成長し、銃を乱射する兵士を引き裂き、

噛み殺していった・・・

まぁ、そんなジラも、政府が一週間かけて国中からかき集めた――何せ怪獣は米国中に出現していたからな――対怪獣大隊にアッサリやられたが。・・・現在、ジラは四度確認され、その全てが早期に各国の手で駆除された。フランスのジラⅡ、オーストラリアのジラⅢ、ダカールのジラⅣ・・・

どれも大して苦戦はしなかったそうだ。まぁ、ジラⅢの防御力は異常だったがな。まさかバンカーバスターでも死なないとは・・・

・・・前置きが長くなったな。本題へ移ろう。

そもそもの問題として、ジラはヤツの親戚に当たるのか というのが君等の質問だな。

答えから言わせてもらおう。「NO」だ。

だって分かりきったことだろう。核すらにも耐えるヤツと、バンカーバスターでアッサリ沈むジラは比べようがない。まぁ、ジラの再生能力もなかなかだが・・・

・・・しかし何故君等が怪獣に興味を持つ?「ジャパリパーク動物研究所」は何を考えている?

まぁ、聞いても教えてはくれんだろうが・・・




誤字報告全く気付いてなかった・・・


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けんか

「ラーメン大好き小泉さん」と聞いて「ラーメン大好き小池さん」を思い出した人の第13話です

めっちゃ遅れた・・・
すいません・・・


「おお~。これがジャパリバス・・・」

さっきから車内をキョロキョロ見て、落ち着きのないジラ

「おいおい、いい加減落ち着けよ・・・」

若干苦笑気味で俺は言う

「モウスグ『コハン』ダヨ。コノ ミズウミハ びーばーガ ツクッタト イワレテイルヨ」

そういやラッキー、最近全く喋ってなかったな

「湖にはね、ビーバーとプレーリーが住んでるんだ。さいきん会ってなかったからなぁ~」

サーバルが感慨深そうに言う

「おぉ~。確かに大きい湖」

「おっ、お前いつの間に!」

ジラはバスの天井の穴から顔を出している

「・・・あれ?結構ぼこぼこしてますね。大丈夫なんですか、このまま進んで」

「え?」

どういうことだと言おうとしたその時

「アワワワ―――」

「うみゃあ!」

「うぉっ!」

バスが大きく揺らぎ、ジラが俺の腹の上に落ちて来た

「い・・いてて・・・」

「み、みんな大丈夫?」

「うん、なんとか・・・」

「だ、大丈夫だ・・・」

「ア、アワワワワ・・・」

どうやら大きな穴ぼこに落ちかけたようだ。幸いそれほど深くなく、バスは横転しなかった

まぁ、たとえそうなったとしても、俺が軽々直してしまうが

「なんなんだろうこのあな・・・」

サーバルが見る先には直径4メートル、深さ1メートル弱のそれなりの大きさの穴があり、まるでクレーターのようだ

かなり大きいが、こんな穴を掘るのは・・・

(むー!むむー!)

どこからかうめき声が聞こえてくる

「・・・ま、まさか幽霊?」

ジラは俺の背に隠れながら、かたかた震えている

怪獣もホラーは苦手なのか?

「んなわけねぇだろ、こんな真っ昼間から ・・・あれ?」

声の主がどこにも見当たらない。頭から埋まってたり、突っ伏してるものと思っていたが・・・

「あー!あんなとこに!」

サーバルの指す場所には・・・

「・・・って思ってたよりヤバイ状況じゃねぇか!おい、大丈夫か!」

地面に埋まって靴だけ覗いてるプレーリーを大急ぎで掘りおこした―――!

 

          の の の の の の の の の

 

「ゲホゲホッ・・・何するでありますか!生きうめに・・・ あれ・・・」

再び生き埋め宣言。何故また埋まってたのか

「ああ、かばんどの、サーバルどの。お久しぶりです! ・・・えっと」

「俺はゴジラ」

「私はジラです」

 

余談だが、プレーリードッグは繁殖期に入るとライバルの親子を生き埋めにするそうな

「はじめましてであります!わたくしはオグロプレーリードッグであります。

ご挨拶をさせてください!」

ア・・・

「むむむ~?!」

ジラがやられた。反応がかばんの時とそっくりだ

などとのんきな事を言ってる場合ではない

「つぎはゴジラどの・・・ キャン?!何で逃げるでありますか?!」

「俺はいいから、俺はいいから!」

 

はいそうです。俺生前キスのひとつしたことありません。恥ずかしいので逃げてます

 

             ※       ※       ※

 

あの後散々逃げ回った。でもなんか泣かれたから、頬にキスで済ましてもらった

(でも身長差があったから、四苦八苦していた)

「ところで、何であんなクレーターみたいなでかい穴を掘ってた?」

指差して、そう訊ねるも

「? わたくしはここの埋まってた穴しかほってませんが・・・ たぶんほかのフレンズじゃあないでしょうか」

言われてみればそうだ。直径のわりに浅い、クレーターのような穴はプレーリーは掘らない。確かに、他のフレンズが掘ったんじゃあないだろうか

「そういえば、ビーバーはどうしたの?いつもいっしょにいるのに・・・」

サーバルが聞くと、ビーバーは言いにくそうに

「あ――・・・ じつは・・・」

 

             ※       ※       ※

 

「けんか?」

「はい・・・」

聞いてみればなんて事はない。ビーバーが使おうとしてた木材を、プレーリーがそうとは知らずに全部使ってしまったという。それでちゃんとしたものができたならよかったが、まだ一人ではまともにできないため全て駄目になったとのこと

そしてその現場をビーバーに目撃され、泣いて飛び出してしまったそうな

 

・・・それって喧嘩って言わないよな。今回タイトル詐欺じゃねぇか

 

「・・・謝りには行ったのか?」

「いえ・・・ とび出してきただけでありますから・・・ それに言おうとおもっても、なかなかこっちから話しかけられず・・・ ん?」

「あれ・・・このにおい・・・」

プレーリーもサーバルも気付いたようだ。今回は展開が早いな、やはり

・・・待て、まさか・・・

「湖の方から臭ってるぞ!」

湖にビーバーがまだいるとしたら、危険だ!

 

 

「わあああああ!何スか?セルリアンがあああ!」

「・・・っ、クソッ!遅かったか!」

既に湖の家は大量のセルリアンに包囲され、家の中にはビーバーの姿がある

「ああっ!あのセルリアン!」

かばんの見る先のセルリアンは、柱づたいに進入しようとしている

「ビ、ビーバーどの!」

「プレーリーさん!」

少し遅れて来たプレーリーはビーバーと互いの姿を認め、

「いま助けるであります!突撃であります!」

「お、おい!一人じゃ危ねぇぞ!」

プレーリーは我先へと突っ込んで行った――――!

 

          の の の の の の の の の

 

『パッカーン』

「ふぅ、これで最後か」

ひとまず、全てのセルリアンを片付けた

ちなみにビーバー・プレーリー両名は先ほどから、よっぽど怖かったのか嬉しかったのか、泣いて抱き合っている

それから喧嘩の件だが・・・

 

「・・・つまりこういうことか?その木材は使えないやつで、捨てようと置いてただけ?」

「はい、そうっス。むしろプレーリーさんにとってはいい練習になったかと・・・

プレーリーさんがおれっちを見るなり、ないて飛びだしちゃったのはそういう理由だったんスか」

結局はプレーリーの早とちりということでこの件は幕を閉じた

 

・・・しかし今回はずいぶんとあっさり終わったな

何かあるんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もちろんあるとも
新しいちぇいさーを追加する





「・・・で、キョウシュウのじゃんぐるちほーのうえを飛んでたときに、その声がきこえたんだってー。『ごがああ』って」
「なるほどね・・・」
「まーそうは言ってもパフィンは聞いたってだけでしょ。風の噂だからあまり信用できないな」
「そ、そんなことないよ!エトピリカちゃんがいってたもん!」
「ま、まぁまぁ・・・ でもどうやってキョウシュウにいくの?パフィンは飛べるけどわたしたちはどうやって?」
「それならだいじょうぶ。お母さんが今度ふね?っていうのをキョウシュウに持っていくから、それに乗せてもらおうよ」

             ※       ※       ※

ノーマルエンド 「ツェリスカ死亡」 クリア・・・
トロフィー 「散った無冠の女王」 入手・・・
エクストリームモード 難しい 心折れそう・・・

次回「しんじつ」


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しんじつ

16000UA突破!?
あ、ありがとうございますううううう・・・


しんりんちほーに着いた

 

・・・いやまあ、へいげんはどうしたと言いたい気持ちは分かる。だが、事情があるのだ

 

近々ライオンとヘラジカが、ジャパリパーク中のフレンズを集めて「だいがっせんごっこ」をするそうな。

いわゆる「見てからのお楽しみ」ということで、へいげんは準備が終わるまでライオン陣とヘラジカ陣以外は立ち入りできないのだ。まぁ俺も楽しみなんだけどさ

 

 

そしてクイズの森にジラが単身突入し、道に迷って泣いて出てくるというハプニングはあったものの・・・

 

「おお、なんだかリンゴみたいね」

じゃぱりとしょかんに着いた

 

博士助手以外にも鳥系のフレンズが多いな・・・

そういえば・・・リンゴは旧約聖書では「知恵の実」だったっけ

知識をつける本が大量にあるとしょかんにはぴったりだ

いや、俗説だったか?

 

             ※       ※       ※

 

博士助手はかばんを見るなり、カレーのおかわりを要求してきた。

しかしジラがカレー以外の料理も作れるよといったので、かばんはお手伝いサイドにまわり何かの料理を作っている。(もちろん博士助手は手伝わずに待ってる)

 

 

俺も手伝おうと野菜を切ったら、ヒトだったころよりもすごいスピードで切ることができた。それに気を良くし、調子に乗った俺は野菜を粉にしてしまったため、邪魔にならないよう本を読むことにした

「ゴジラは文字がわかるのですか?」

「ヒトみたいなやつなのです」

助手と博士にそんなことを言われた。まぁ中身はヒトなんだけどな・・・

・・・そういえばジラって・・・

 

          の の の の の の の の の

 

『文字がわかるのなら、ひとつたのみごとがあるのです』

 

俺は博士に頼まれたことを思い出しながら―――

 

『かしこい我々でも、いまだによめない文字があるのです』

 

としょかんの階段の上の方に上って―――

 

『お前には、その文字でかかれている本を、我々がわかるように書きなおしてほしいのです』

 

英和辞典と英語で書かれた分厚い本、薄い本ををかき集めた

 

 

博士助手は俺に英語で書かれた本の翻訳を押し付けて来たのだ。まぁ単なる暇つぶしの一環だからいいのだが、俺は英語が嫌いなのだ。(嫌いなだけで、苦手ではない。)正直、乗る気がしない

だが、他にやることもないので渋々承諾した

 

博士助手が翻訳を依頼した本。その中には小さい子が読むような絵本まであった。山積みにした薄い本は、全て絵本だった。最初はその量に少々げんなりしていたが、残っているのは分厚い百科事典のような本だけ

 

・・・結局めんどくさくなった

 

             ※       ※       ※

 

どうやら一冊を除いて他の本は、動物関連――フレンズについて――のものらしい

ジャパリパークは日本の施設なのに、どうして英語で書かれた本だけなんだ。もしかしたら撤退の際、日本語で書かれたやつは全部もって行っちゃったんだろうか。一冊くらい残しといてくれよ

 

「ゴジラー。さぼるなですよー」

博士の偉そうな声が聞こえてきた

・・・昔の人間に文句を言ってる場合じゃない。とっとと終わらせちまおう

 

そう思って、フレンズについてのやつよりちょっと薄めの本を手に取り開くと・・・

 

「あれ・・・?」

 

表紙が英語で書かれているだけで、中身は全部日本語だ

 

 

表紙には『Outline of monster organism』と書かれている

 

 

そして、扉に英語で書かれている題名の下には、

 

 

 

『怪獣生物概要』

 

 

 

 

そう、書いてあった

 

 

 

焦る気持ちを抑えながら、俺は埃っぽいページをめくった

 

 

 

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

『――地球環境の急激な変化を起因とする、生物淘汰現象の末に発生した巨大生物“怪獣”は数十年前に現出し―――』

 

 

前書きの時点で既に訳の分からない単語が並び、すっ飛ばして読んじまおうかと思ったが、何かしらの見落としがあってはいけない

 

 

『――その数十年前に現出した、怪獣の起源(Origin)・・・ 当時の「巨大不明生物<ゴジラⅠ>」から、つい3ヶ月前に確認された<キングギドラ>の近縁種と推測される<カイザーギドラ>(仮称)まで、できる限りの情報を書き込んだ本書は――』

 

 

キングギドラまでいるのかよ。そう突っ込みたくなったが我慢して読み進める

 

 

『――本書に記載した種と同種、または酷似する個体が出現した際には、参考にしてもらえれば幸いである。

※なお、本書に付属の端末は怪獣の立体データが閲覧できる。こちらも参考にしていただきたい』

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 ゴジラⅠ/GodzillaⅠ

 

・全高:118.5m ・全長:333m ・重量:92000t

出現:2016年11月3日

人類の目の前に初めて現れた怪獣。

当時は、公式に「巨大不明生物」、非公式には「ゴジラ」と呼称されていたが、その後現在の「ゴジラⅠ」という名称が付けられた。このゴジラを皮切りに、多くの怪獣が出現する―――

 

 

 

 

 ゴジラⅡ(フィリウス)/GodzillaⅡ(Philius)

 

・全長:3m(2017年3月18日時点)

・身長:70m ・全長:305m(2030年5月29日時点)

・身長:28m ・全長:122m(2031年12月4日時点)

出現:2016年12月26日

「ゴジラⅠ」の尻尾の先端から発生した「巨大不明生物分離個体」。現在アメリカ・フィラデルフィアにて活動を停止中―――

 

 

 

 

 ゴジラⅢ/GodzillaⅢ

 

・全高:300m ・重量100000t

出現:2032年11月17日

植物由来といわれる、現時点で最大の怪獣。個としての戦闘能力ならゴジラⅠにも勝るが、出現頻度、確認されている活動時間が少ないため、あまり大きな被害は出ていない。現在行方不明―――

 

 

 

 

 ゴジラⅣ/GodzillaⅣ

 

・全高:50m ・重量:200000t

出現:2054年11月3日

最も最近に存在が確認された怪獣だが、ジュラ紀の頃から生き続けているとの仮説がある―――

 

 

 

 

 ゴジラ第五形態/Godzilla fifth form

 

・全高:1.7m

出現:2016年12月29日

フィリウス同様、東京駅にて凍結したゴジラⅠの尻尾の先端から発生した。人型をしているが、盲目でゴジラⅠの様な背びれと尻尾がある。現在はサンプル以外は全て処分され、再出現の確率は低い―――

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

・・・一通り読んでみたが、どうやらゴジラは現在5つの種類が確認されているようだ

 

他にもキングギドラ、ガイガン、マンダなどの怪獣がおり、ほとんど殲滅されたとのこと

そして、残った怪獣はフレンズ化し、人類と友好的な関係にあるという

敵対し、人類と散発的な戦闘行為を行う怪獣のフレンズも・・・

 

それから、俺はどうやらゴジラⅡ――いわゆるフィリウス――らしい

付属の端末のデータを見る限り、ゴジラⅠに酷似していたからな。(ちなみにⅢはゴジラ・アース、ⅣはFWまでのゴジラを統合した存在と同義だと思われる。そう書いてあったから)

 

 

「・・・・の・・な・・を・・とする、・・・・・・の・・に・・した・・・・・・は・・・・」

ふと後ろを見ると、鳥系のフレンズだろうか。鳥系の特徴である、翼のような髪の毛。パフィンのように、目やくちばしを模したと思われる髪の模様。

だが、サイドからのびる金髪と真っ黒な服、赤っぽいタイツはパフィンのそれと異なる

そのフレンズはかろうじて平仮名のみ読んでいる。平仮名が読めるのは博士だけじゃないのかと思っていると、

 

「その・・・・に・・した、・・の・・・・・ ・・の・・・・・・・・・・から・・・

ふぇっ!? わっ、すすすいません、じゃましましたぁ!」

読むのに夢中で俺が振り返っているのに気が付かなかったようだ

「あぁ、お構いなく。えぇと・・・」

「あっ、エトピリカっていいます」

 

    エトピリカ(チドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属)

         (Lunda cirrhata)

 

「それ、なんのほんですか?へんなのばっかりで全然よめませーん」

「・・・まぁ、ある動物についての本だよ。そういや、何でひらがなが読めるんだ?」

言いながら、ほとんどまだゴジラのとこしか読んでない本を閉じた。怪獣についてなんて説明しにくいからな

「じつは、博士助手にかくれて読みあさってたんだー。けっこうおもしろいよ♪」

そう言ってエトピリカは無邪気な笑顔を向けた

・・・やっぱフレンズって、こういう癒し系だよなぁ・・・

 

「おーい、ゴジラ。ご飯できたよー。1分遅れるごとに10分の1が減ってくから遅れてもいいよー」

「待て待てちゃんと俺の分残しといてくれよ!」

どっかの青髪女神みたいなことを言うジラを止めようと、俺は外に駆け出した

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

パフィンちゃんからまかされた、あのまっくろな子のかんし・・・

だいじょうぶかなぁ、やれるかなぁ・・・

なにしてるんだろ・・・ ほんってやつを読んでるのかな・・・

 

うわっ、けっこうほこりっぽい・・・ えぇと・・・

 

「・・・・の・・な・・を・・とする、・・・・・・の・・に・・した・・・・・・は・・・・」

 

うぅ、全然よめない・・・

 

「その・・・・に・・した、・・の・・・・・ ・・の・・・・・・・・・・から・・・」

 

・・・あっ。しまった

 

「ふぇっ!? わっ、すすすいません、じゃましましたぁ!」

 

そりゃ、あんなちかくで声にだしてよんだら気づくか・・・

・・・にしてもけっこうこわい見た目してるなぁ・・・ もしかしたらおこられるかも・・・

 

「あぁ、お構いなく。えぇと・・・」

 

よかったぁ・・・

よくよく見たら、かっこいいかも・・・

 

「あっ、エトピリカっていいます」

 

なかよくなってそんはないね。それに『かんし』ってのもやりやすくなるし♪

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

「なかなかおいしかったのです」

「また来るのですよ」

ジラの料理というのはなんとオムレツだった。しかも俺の好きなプレーンオムレツ

博士助手も満足し、何度もおかわりを要求してきた

 

ちなみに、エトピリカはサーバルかばんとは既に知り合いのようで、「新しいフレンズ」にはカウントされなかった

さばんなからとしょかんまで来たってのに、成果は俺とジラだけってのはなんか味気ない

そして・・・

 

「? ゴジラ、どうかしたの?」

「・・・いや、気のせいか」

 

なんかエトピリカが付いて来てるのだ。本人はバレないようにしてるつもりなのか、木のあいだに隠れながら追ってきてるがバレバレである

 

 

             ※       ※       ※

 

 

今度はみずべちほーだ。PPPライブも見れるかな

 

 

 

 

<ドッゴォ――――ン!!!>

 

 

「わわあっ!!」

「なになに?!」

 

・・・どうやら、一筋縄ではいかんようだな

 

ビッグドッグ(でっかい犬)のおでましか

 

 




「レディプレイヤーワン」最高っっっっっ!!!
空前絶後、前代未聞の『ガンダムVSメカゴジラ』!!(大袈裟すぎか)





「ぅう・・・ 気持ちわるい・・・」
「レフティさんはふね苦手なんですか? パフィンちゃんはへいきですけど」
「いや、パフィンはそら飛んでるから船酔いかんけいないよ・・・」
「だいじょうぶですかぁ~。ゆっくり行ってもいいですよ~」
「ぉ、おかまいなく・・・」
「あっ、キョウシュウがみえてきたよ!」



次回「さいらい」

5/2 修正しました


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さいらい

今回ちょっと短めです


みずべに着いた余韻を味わう間もなく、その音は響いてきた

 

<ズン・・・ ズズ・・・ン・・>

 

「おーい!だいじょうぶかー?」

いまだ振動は続いている。PPPステージの目の前だったため、皆が駆けつけて来た

 

「・・・?」

駆けつけて来たのはPPPとマーゲイと・・・

 

フルルがもうひとり・・・

 

「ねぇゴジラ、なんかそっくりな子がいるんだけど。双子なの?」

「いや違うな。同種別個体ってやつだ」

ジラの言う通り、確かにフルルそっくりだ。ただし若干黒の部分が茶色がかっており、髪型も少しボーイッシュな感じだ。

それに左腕に紫色のうでわを・・・

 

( ゚д゚)ハッ!

 

「・・・なんで泣いてんのさ」

「いや・・・ 無事逢えたんだなって・・・」

「そうじゃなくて、かたっぽの方」

・・・かたっぽ?

 

 

「ぅぅうぅ・・・ ひぐっ、えぐっ・・・」

「よしよし~」

 

紫のうでわをつけた―――もといグレープ君はフルルに抱きつき、泣いている。そしてそれを、フルルはなんかなぐさめてる

サーバルとかばんは、またやってる~ってかんじで見てるから、よくある光景なんだろう

 

 

          の の の の の の の の の

 

 

一通り自己紹介をすませ、エトピリカや偶然来ていたアライさんとフェネックも合流し、振動の方向へ向かっていったが・・・

 

「・・・でけぇな、なかなか」

 

あのビッグドッグ型のやつが18メートルくらいあったはずだが、目の前の球体黒セルリアンはゆうに30メートルは超えている。正直、俺でも一撃で倒せるか・・・

 

やつのせいか辺りの木々は倒れ、身を隠すものはあまりなく、あと100メートルで近づけるという今の状態で精一杯だ

 

というかセルリアンってサンドスターに反応して向かってくるんじゃなかったか?

なら密集しているのは危険だ。バラバラに散ったほうがいいな、と思ったその時

 

 

 

「いや~、けっこうでかいねぇ~」

「いやいや見てるばあいじゃないでしょ。はやく探さなきゃ」

「もくてきをわすれないでくださーい」

 

なかなかのんきな声が聞こえてきた。あんなでかいセルリアンを前にしてである

振り向くと、そこにいたのは青と赤の双子みたいなのと、エトピリカそっくりな鳥のフレンズ・・・

 

ってシーサー姉妹にパフィンじゃないか!

 

    シーサー・レフティ(守護獅子     )

         (Shisa Lefty)

    シーサー・ライト(守護獅子    )

         (Shisa Right)

    パフィン(チドリ目ウミスズメ科ツノメドリ属)

         (Fratercula arctica)

 

「たしかに、わすれるとこだった・・・ えーと・・・って、ああああああ?!」

青いほうの姉「ライト」が俺を見て突然驚愕する

「ちょっとちょっと。『灯台下暗し』とはよくいうね・・・ まさかこんな近くにいたとは」

赤い妹「レフティ」も若干驚いている。が・・・

 

「・・・ちょっと待て。今ので」

「ありゃー・・・」

 

パフィンがため息をはく。さっきライトが出した大声で、セルリアンがこっちに気付いた

こりゃ戦闘になるな、と思っていたが・・・

 

「・・・なんだ、来ないな」

セルリアンはこっちを見るだけで向かってこない。それどころか怯えている

 

「たぶん本能的につよいフレンズを感じとっているのね。・・・わたしたち姉妹やキミみたいな・・・」

ライトが解説する。「キミみたいな」ってことは、俺の正体に気付いてるってことか

・・・そういや

 

「リウキウチホーの守りはどうなってるんだ?あんたら守護けものなんだろ?」

その問いに対し、パフィンが

「だいじょーぶだいじょーぶ!リウキウのフレンズはレベル4くらいなららくしょうだよ!」

レベル4ってあの「橋リアン」がそうだったよな。リウキウすごい

 

 

とにかく、日も暮れかけ膠着状態に陥っているので、いったん退避することにした

 

 

 




次回「覚醒」


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覚醒

今回微グロです


いやグロだわこれ


セルリアンは俺たちを攻撃せず、俺たちはヤツを倒せるかどうかという膠着状態に陥り、ずっと作戦を練るもののなかなかいい案が出ない

 

ジャパリバスでは誘導できても、あの巨体を乗っけることはできない

じゃあイカダを作ろうってなっても時間がかかりすぎる

 

ないものひねり出すより休んだほうがいいので、俺とシーサー姉妹の3人で見張りをし、あとの皆は寝ている。俺たち3人まで寝ていたら、ヤツにとって好機だからな

 

ちなみに、周辺にフレンズが近付かないように、お母さんことシロナガスクジラとジャイアントペンギン先輩が誘導してくれている

 

 

「そういや、どうして俺を探してたんだ?なんの用が?」

俺がライトにそうたずねたのは見張りをはじめてから2,3時間――といっても、時計がないので正確な時間はわからない――ほど経ったときだった

 

「いや、かの怪獣の祖『ゴジラ』の(フィリウス)がフレンズになったって聞いて、興味を持った。 ・・・それだけだよ」

ライトの青いひとみは相も変わらず、30メートルほど先の黒セルリアンに向けられていた

 

「・・・そうか」

純粋なフレンズのことだ、他意はないと信じよう。・・・いや、信じたい

 

 

「――そういえば怪獣のフレンズは、普通のフレンズとは違うらしいってね」

次にレフティがたずねてきたのはさらに30分ほどが経ったころだった

 

レフティはそのまま続ける

「サンドスターを利用した通常のフレンズを超える、高い攻撃力・防御力・運動能力・再生能力を有する・・・

サンドスターを増殖させることができる

万が一サンドスターが枯渇しても、元動物―――というより元怪獣には全部戻らずに身体の一部が元に戻るだけ・・・

・・・話はずれるけど、なぜ怪獣のフレンズは全て元に戻らないのか?サンドスターが『怪獣』を駆逐しようとしているようにも見て取れる・・・ ヒトを駆逐する『怪獣』を。だから、サンドスターは人類の救世主だって言う人もいるらしいけど・・・

まぁ、話を戻そう

そしてヒトと親しくし、ヒトと怪獣双方の融和を求める『親和派』と徹底抗戦を訴え、各地で武力活動している『怪獣派』・・・ 『怪獣派』というのは彼女らがそう自称してるだけだけどね・・・」

 

 

さぁここからが本題だよ、とレフティは続ける

 

 

「フィリウス・・・キミはどっちなの?『親和派』それとも・・・

 

 

 

 

『怪獣派』?」

 

 

 

そう言ったレフティ―――のみならず、ライトもせいいっぱいの凄みをきかせてきた。流石に守護けものといえどもゴジラ(神の化身)を前にしたら、けっこういっぱいいっぱいなのかもしれない

ライトの頬から首筋に脂汗が流れる

 

 

「・・・もし・・・・『怪獣派』だと言ったら・・・?」

こちらも若干の圧をかけて訊ねる

 

 

 

「・・・御察しの通り・・・だよ」

 

 

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

 

 

やはりな。

今起きているのは俺とシーサー姉妹の3人のみ。あとでセルリアンに食われたとでも言っておけば、簡単に処分できる

 

 

だが・・・

 

 

 

「残念ながら、そのどちらでもないよ。『親和派』だの『怪獣派』だなんて今初めて聞いたんでな」

両手を挙げて答えた

 

 

「ならいいよ」

 

 

 

ただそう一言言って、二人は俺に向けていた視線を黒セルリアンに―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はいま、向かっている

 

 

目の前の、黒セルリアンへ

 

 

なぜ、向かっている?

 

 

あぁ、そうか

 

シーサー二人が視線をセルリアンに戻すと、ヤツは俺らの注意がそれた隙に自らの身体を変化させたあとだった

 

 

それで、かわいそうだが皆をたたき起こして逃げようとしたが、ヤツは自分から生えている無数の触手を、俺たちに猛スピードで、向けて来た

 

 

俺とシーサーの3人で、食い止めようとしたがいかんせん、ヒトと同じ大きさのフレンズでは防ぎきれず

 

 

かばんとサーバルが、攻撃を 受けた

 

 

そして、二人は後ろの岩に激突した

 

 

幸い気絶しただけで、大ケガはしていなかった

 

 

それで俺は今、目の前の黒セルリアンに向かっている

 

 

 

そういえば

 

 

何故だろう

 

 

俺はセルリアンを見ると、無性に殲滅したくなる

 

 

徹底的に駆逐したくなる

 

 

何故だろう

 

 

 

後ろでシーサーが何か言っている

 

 

たぶん、止めようとしてるんだろう

 

 

触手がまるでヤマタノオロチの首のような威圧感をもって、無数に迫ってくる。

 

 

だがそれでは止まらない

 

 

フィリウス(神の子)に勝てるはずはない

 

 

ふと

 

 

頭の上に、月明かりで影が差した

 

 

三角のヤツだ。空飛ぶ三角定規

 

 

 

まさか

 

 

ゴジラの意識が訴える。避けようとする

 

 

だが

 

 

 

間に合わなかった

 

 

背中に鋭い痛みが走る。刹那、

 

 

刺さったヤツが爆発した

 

 

さらなる激痛が走る

 

 

上には空飛ぶ三角定規。もといB-2

 

 

いや、正確にはそれもセルリアンだった

 

 

ヤツは、さらに巨きな針もしくは氷柱のようなものを

 

 

避けきれない

 

 

今度は左の肺を貫いた。爆発はしない

 

 

急に肺がしぼみ、息を吸おうとしてもできない

 

 

さっきまで目の前に地面しかうつってなかった。だが、突然巨大な針が

 

 

赤黒い針が。  血で

 

 

そのまま身体を固定され、今度は腹の裏に刺さった

 

 

三回目はちいさい。一回目と同じ。だから

 

 

爆発した。臓物が掻き回され、ペースト状になる

 

 

四回目 五回目 六回目

 

 

どんどん身体が壊れていく

 

 

七回目で、腹に穴が開いた

 

 

八回目で、右肺が破られた

 

 

九回目で、

 

 

 

ヤツは賢い

 

 

弱い背骨の部分を狙ってくる

 

 

このまま

 

 

このま ま

 

 

こ の  ま ま

 

 

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

 

 

なぜ  俺 は 奴ら に  あんなに も  怒り を。 憎し みを

 

 

あぁ  わかった

 

 

―――――フレンズを喰らい、サンドスターを奪い、元動物へと戻す

 

     そうして生まれた動物を復活させるのは、サンドスター(セルリアンに酷似した存在?同類?それとも)

 

     他のもののチカラを真似、自らのものにする

 

――――セルリアン

 

 

そうした俺の既知から、ゴジラは理解した

 

 

―――――他の動物を喰らい、捕らえ、命を奪い、ただの有機物の塊へ。そして全てを滅ぼす

 

     そうして生まれたDNA――遺伝子――(有機物の塊)から動物を復活させられるのも滅ぼした同類

 

     他のもののチカラを真似、それを模したものを自らのものにする

 

――――人類

 

 

そう、セルリアンを『人類』――ヒト――と理解した

 

だからゴジラはセルリアンも憎い、滅ぼすべき、殲滅すべき、駆逐すべし対象

 

 

 

 

あぁ や っと 納得  でき た

 

 

そんな こ と  を考え な がら

 

 

 

 

俺は咆哮した

 

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

 

 

 

さっきからゴジラが、上空のセルリアンに攻撃を受けている。なぜかこっちには目もくれず、ゴジラのみを攻撃している

 

助けようにも装甲が異常にかたいゴジラでさえも致命傷を負っているのだから、私たちにどうにかなる相手じゃない

 

指をくわえて見ているしかない

 

ひとつよかったのは、まだ皆が起きてない事

あんな凄惨な光景は見せられないから

 

 

と、ゴジラは上体をあげて、両胸に刺さっていたツララのような針を抜いた

 

そのまま逃げようとしないのは、回復を待っているから?

 

けど、血が滴り落ちなくなっても動こうとしない

上空を旋回していた三角のセルリアンも、針を生成し始めている

つかんで無理やりにでも一緒に逃げようと思ったそのときだった

 

 

ゴジラが突然咆哮をあげた

 

まだ身体の中は回復しきってないのか、肉片が混じっている

 

いよいよ危険そうだが、異常なサンドスターの量を感じる

いくら怪獣のフレンズでも、こんな急速に生成するとは・・・

 

ゴジラの光っている部分が紫色に転じる

特に背びれがひと際輝いている

まさか・・・

 

 

口をゆったりと開く

その口の中も紫に光っている

その光は畏怖すら覚えるのに、なぜか幻想的にも見え・・・

 

見とれていたその瞬間、ゴジラの口から大量の黒煙が吐き出された。同時に目には瞬膜がかかる

その中にも肉片は混ざっている

 

だんだんと黒煙の中にオレンジの光が混ざり始める

そして目の前のセルリアンに向けられたとき、黒煙は全て巨大な熱焔へと変化していた。

ゴジラのように瞬膜でもなければ直視できない

熱焔がセルリアンを襲い、全体を包み込む

 

けどそれでもセルリアンは健在なまま

たぶん深いところに石を隠してるんだろう。倒すためには石を直接攻撃するか、海水をかけるしかないのに・・・

もしくは・・・

 

すると今度は熱焔が急速に収束し、身体の発光部分と同じ紫色の『熱線』になった

セルリアンに大穴が穿たれた

30メートルもあったセルリアンは、おそらく中心部に隠していた石をやられたのかキューブ状になり、あっさり消滅した

 

 

まだ三角のセルリアンが残っている。そう思ったとき、そいつは静観するのをやめ、再び爆弾攻撃を始めた

 

ゴジラは熱線を上に向けて打ち落とすと思ったら、なぜか口を閉じて熱線を吐くのをやめた

 

またゴジラの背に刺さって爆発する光景が浮かび、思わず目を閉じた

けどそうはならなかった

 

発光がさらに強くなったと思ったら、背中から無数の熱線が暗闇の空へとのびていった

セルリアンの落とした針は熱線にかすると、爆発した

さらに残った三角セルリアンに直撃し、蒸発させた。キューブになる時間もあたえない

 

 

ふと大型セルリアンのいた場所の奥に目をやると、そこに亀裂が走り大量のセルリアンが湧いて出てきていた

 

「ねぇさん!あれ!」

一緒にあっけにとられていたレフティの声で我に返る

 

やつらの進行を止めるべく攻撃しようとしたけど、その必要はなかった

 

『体内放射』をとめていたゴジラが再び『放射線流』を発射。なぎ払いにセルリアンを消滅させた

 

 

 

 

もうそれでエネルギー――サンドスター――が枯渇したのか、かま首をもたげて、身体の光も消え、そのまま停止した

 

あとに残ったのは私たちフレンズとすこし残っている炎、そして―――

 

 

 

ゴジラ

 

 

ただそれだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 




次回「終焉」


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終焉

まず、危機は去った

 

 

そう、思いたかった

 

 

けれど・・・

 

 

 

<ズガガアァ―――――ン!!!!>

さらに大きな地鳴りが鳴り響いた

 

 

さっきの地割れから巨大な・・・

 

「ね、ねぇレフティ・・・」

「な、何?ねぇさん・・・」

 

となりのレフティにたずねる。といっても、もう既に分かってはいるのだけれど

それはレフティだって同じ

 

でもどっちも頭では解ってない

 

 

「わああああああああああ!!!!」

「アアアライさんおちついてー」

「なっ?!あ、あれって・・・」

 

うしろのアライグマ、フェネック、マーゲイが驚きの声をあげる

噂では前にも出たって話だから、その正体は皆知っているんだろう

 

回復して目を覚ましたかばんとサーバルは顔を真っ青にし、小刻みに震えている

たぶんトラウマでも植えつけられたんだろうな・・・

 

 

 

そこから出て来たのは――――

 

 

 

 

 

「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□―――――――――ッッッッッ!!!!!」

 

 

雄叫びとも呻き声ともとれない音をあげて這い出して来たのは、首のない四足歩行動物――ビッグフット――を想起させる巨大黒セルリアンだった

 

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

 

 

前半分しか出ていなかったのが後ろ半分を出そうとしている。ひっかかってるのか、足をかけるところがないのかなかなか出てこなかったが、ついに全身を現した

たしか、前に出たのは18メートルくらいと聞いたけど、目の前のセルリアンは30メートルはある。さすがに危険だ。逃げなければ・・・

 

 

「お、おい!逃げるよ、なにやってんの!」

みんなはなかなか走ろうとしない

 

「で、でも・・・ゴジラが・・・!」

「っ・・・・」

 

さっきからゴジラはサンドスターが大きく減ってぴくりとも動かない

そのゴジラを連れて逃げようとジラらは提案しているわけだけど・・・

 

「無理だ。背負うのに協力してくれない場合、かつぎ難いし重く感じる。だからキミたちには連れてけない。だからといって、私たちはキミたちを守らなきゃいけないから・・・ でもゴジラはサンドスターが無くなっても元動物には戻らないし、記憶も消えない。防御もかたいから、多少嬲られてもゴジラなら平気だ」

「でも置いていけません!」

 

かばんがそう反論したとき、背中に熱を感じた

最初はゴジラの熱焔だと思った。けれど振り向いてその視線の先にあったのは熱焔じゃなかった

 

太陽

 

いまは夜だ。太陽が出るのはありえない

でもそれは太陽じゃなかった

人型で、背中からは赤と黒の極彩色が刻まれた一対の金の翼が生えている

その姿は蝶・・・・・いや、まるで蛾のよう

大きく羽ばたく翼からは、金の鱗粉の嵐が起こっている

逆光でよく見えないが、鱗粉の光でディテールがすこし見える

薄い暗闇のなかには二つの青いひかりが輝いている

そんな太陽のような何者かから――太陽の温かみのような――熱が放たれていた

 

そう

 

『モスラ』

 

ゴジラらと激闘を繰り広げ、数多の都市を救ったと聞く救世主

もしかしたら目の前のゴジラ――フィリウスを倒しに来たのかと思ったが杞憂だった

鱗粉の嵐に混ぜて虹色の砂――サンドスターをゴジラに与えた

ゴジラのサンドスターが回復していく

そもそもモスラは一体じゃあ、成体でもゴジラに対抗できない。ゴジラ目当てに来るはずはなかった

 

黒セルリアンがすこしずつこちらに向かってくる

 

ゴジラが復活するのが先か、私たちがやられるのが先か・・・・

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

・・・

 

・・・・あ、れ・・・

 

何、してたんだっけ・・・

 

たしか、見張りしてたら、シーサーに危険なほうの怪獣じゃないかって疑われて、セルリアンが襲いかかって来て・・・

それでかばんとサーバルが気絶してそれで・・・・

 

・・・・覚えてない・・・

 

・・・!

 

 

ふと後ろを振り返るとビッグドッグ型――ただ足が短くて、頭?の部分が出っ張った――セルリアンが皆のほうに向かって行くところだった

あと数十メートルで攻撃が届く

そうはさせるか!そう思い、口から熱線を吐く

・・・・・あれ?いつの間に熱線が出るようになったんだ?

まぁいい。それより、セルリアンは自らの身の危険を感じ取ったのか、こちらに視線を向ける

 

「いまだ逃げろ!」

レフティのその声を皮切りに、皆一斉に駆け出した。俺もそれに続く

だが・・・・

 

「畜生!あいつ意外と速い・・・・!」

 

全高30メートルは下らない黒セルリアンは、その巨体に見合わないスピードで追いかけてくる。このままでは結局は皆食われてしまう

ならば・・・・!

 

「ちょっ、何する気?!」

急に振り返り、地面にもぐり始めた俺に気付いたライトが声をかけてくる

「大丈夫だ!心配すんな!!」

 

流石はゴジラだ。地面の中にもぐっても、振動でヤツがどのくらい離れているのか手に取るようにわかる。あと100メートルくらいか・・・

 

 

「・・・・・そこだっ!!」

「□□□□□□□□□□□□――――――?!!」

セルリアンはなにが起こったのか、一瞬理解できないようだった

溜まった熱線のエネルギーを瞬間的に背中から放つ『体内放射』はヤツの身体を串刺しにした。セルリアンの動きが止まり、慣性の法則にしたがって腹を地面に打ちつけた

その機会を逃さず、セルリアンの真下まで掘り進める。そして・・・・・

 

〈ズルゥッ!〉

「よしっ!」

地面を熱で溶かし、溶岩へと早変わり。流石のセルリアンといえども溶岩で焼かれればただじゃ済むまい。だがそんな慢心を持つべきでは無かった・・・・・

 

溶岩に全身が沈み込む直前、ヤツの頭だけが飛び出した

ビッグドッグ型だと思っていたら、実は()()()()()()()だったのだ

足が短く、頭が出っ張っていたのはそういうことだった

ジャパリバスの特性を得て、身体の一部を分離することができるようになったようだ

20メートルほどの体躯は、大きな地響きを起こして着地した

「う・・・わぁっ!!」

即席の溶岩池は全くの役立たずだったわけだ。そのまま落ちていれば・・・

現に切り離された後部は力無く沈み、溶けている

 

・・・まったく。ゴジラに成ってもフレンズに成っても、詰めの甘い中身は変わらんか・・・

 

 

 

         の の の の の の の の の

 

 

「シュウヘン ニ せるりあん ハンノウ ナシ。ゲンジョウ ナラ アンゼンダヨ・・・」

「ありがとうございます、ラッキーさん」

 

ペンギンカラーのラッキーが、PIP仕様のカートの運転をしながら、かばんの問いに答えた

カートがなければバスに全員おしくらまんじゅうせざるを得なかったから、来てくれて助かった

セルリアンはゴジラが足止めしてくれているから、バスとカートの足で振り切れただろう

そういえば、モスラはどうしたのだろう。あれから全く姿が見えない。それどころかあのあたたかな光すら感じない

・・・まぁいい。今は囮を買って出てくれたゴジラの身を案じるべき

そういや後ろはどうなっ・・・

 

 

「ぎゃあああああああ!!!」

「うわあああああああ!!!」

私につられて見たレフティも悲鳴を上げた

ふと後ろを振り向くと、さっきのセルリアンがものすごいスピードで追いかけてきていた。しかも、ありえないほど静かに。全く気付かなかった

ゴジラの足止めが失敗?まさか・・・

 

「ねぇさん!こいつは私が!」

そう言ってレフティは目の前のセルリアンに飛び掛った

<ビー、ビー、ビー、ビー>

ラッキーが突然警告音を鳴らした

「?! どうしたのさラッキー!」

運転したままのラッキーにたずねる

 

「ア、ア、アワワワワ・・・ キョウリョクナ せるりあんハンノウ カンチ。チョウキョダイせるりあん ノ シュツゲン ガ ヨソウサレマス・・・」

「いまそれかよっ!」

 

 

             ※       ※       ※

 

 

ドチャッという、血まみれの肉塊を落としたような音がしたが、すぐに自分が落ちた音だと分かった

しばらく視界が真っ暗、その上聴覚以外の五感が機能していなかったが、段々と見えるようになり、感覚も回復してきた

 

どうやら横向きに倒れているようで、視界の端に俺が仕留め損ねたセルリアンをレフティが懸命に押さえ込んでいる様子だった。あとPIPカートにライトとペンギンっぽいカラーのラッキーがいた

どうやらここには3人+1機+1体しかいないみたいだ

未だにサンドスターが回復していないからか、身体が異常に重い。せめて陽動くらいは・・・

 

「お、おい・・・・」

ライトの若干の震え声を聞いて振り返る

「か、身体が・・・・・」

その言葉に自分の身体を見下ろして、気付いた

 

脚は極太く、ヒダの様になっている。そのヒダの間に内組織が鈍く光っており、それはマグマを思わせる。足のほうは、探検家がはくようなごつい靴ではなく、ごつごつし恐竜のような黄色い爪が生えている

胸はただの装甲板で守られていたが、そのような見た目の肥大化し、赤黒く光る胸骨むき出しの様な何物かになっていた

腕はほっそりとし、ただの突起物から肘から先が生えてきたと思わせる外見で、元からすると、かなり短くなっている。指の数も3つしかない

これは後から聞いたことだが、目の色も赤から――ヒトの眼球を思わせる――黒になっていたそうだ

 

要するに、身体の一部が元のゴジラに戻っているわけだ。そういや「万が一サンドスターが枯渇しても、元怪獣には全部戻らずに身体の一部が元に戻るだけ」ってレフティが言ってたな

 

ライトは相変わらず、恐怖と悲愴が入り混じった視線で俺を見続けている。おそらく俺だけ退避させるつもりなんだろう

「そんなこと・・・・・ できるかよっ・・・・!」

そう言って、先っちょを空に向けたままの尻尾から熱線を発射した。収束率低のまま発射したため、熱線ではなく熱焔だが

 

「・・・・っ! その身体じゃあ囮は無理だ!一緒に避難するぞ!」

やはり俺の読みは当たっていたようだ

「・・・いやっ断る・・・・!」

そのまま駆け出し、海のほうへ向かう。みずべちほーは海に隣接している。まだセルリアンの弱点が「真水」や「淡水」ということはわからないからな

途中、先行していたサーバルらとすれ違ったが、たぶん気付かれなかった

 

 

セルリアンが崖の手前で急停止した。崖のすぐ先は深い海だ

ヤツは急に俺の姿―――というより熱焔を見失い、若干焦っているようにも見えた。ま、そんな感情、ヤツにゃないと思うがね

そこへヤツの真後ろから跳び蹴りをくらわしてやった。身体のバランスが変化したから若干運動性は落ちているような気がする。まぁそもそも跳び蹴りなんてやったことないんだけどね

これでヤツは海へ落ち、石化しておしまいとかそういうわけにはいかなかった。ここでまた俺の詰めの甘さが遺憾なく発揮されたわけだ

 

最後の足掻きとばかりに俺の足を掴んだまま、ヤツは海へ落ちていった。――当然、俺を道連れに

 

 

視界が突如ブラックアウト・・・というよりディープブルーアウトした(訳分からん)

 

そのまま深く、深く沈んでゆく

セルリアンの表面は完全に石化し、俺の足をガッチリと離さずにいる

 

「・・・まったく・・・・・ はやく離してくんねぇかなぁ・・・・・」

誰に言うともなくつぶやいた

 

そんな声は、はるか海面の上のかばんたちにとってはセルリアンの咆哮の一部にも聞こえないだろう

 

 

月の光がおぼろげに輝いている光景を最後に、俺の意識は暗転した

 

【挿絵表示】

 



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2章 『怪獣』 雪山

ハーメルンよ、私は帰ってきたぁぁぁあああ!!!

お久しぶりです。5ヶ月ぶりでございます。
Thicchi改めふじシノです。

6月に念願の板タブを購入。早速本作の2章を漫画版として投稿したのですが、自らの画力と時間の壁によって、たいしたものは出来上がらず・・・・
再びここへ戻ってきました。
一応pixivでは挿絵を投稿しようと思っているので・・・・
(まぁアブノーマル絵ばっかですので、苦手な方は気をつけてください)

あと、「ジラも元ヒトの転生者」という設定をリセットしました。
たいして使い道が無いんですよね・・・・

それでは本編をどうぞ


「う゛~・・・ さぶぶぶぶ」

なんだよさぶぶって

「そんなに寒いの苦手ならついて来なくてもいいじゃねぇか」

「ま、まさかこんなに寒いとは思わなくて・・・ そもそもなんで温泉に行かなきゃなんないのさ」

「仕方ねぇだろ・・・ 俺、海に落ちちまったんだから」

「あー・・・・」

なるほどという顔をしてジラは納得する

現在俺とジラはゆきやまちほー

 

あれからどうなったか、少し説明する必要があるな

あの後、セルリアンと共に海に沈んだが、完全に石化したセルリアン(だったもの)は急浮上し、海面に顔を出したわけだ。どうやらセルリアンは水より密度が大きいが、石化すると小さくなるらしい

なんとかそれで助かった後、旅の本来の目的であった「新しいフレンズ探し」を思い出したのだが、またいつこのような事態が起きないとも言い切れない

結果、旅は中止。かばんとサーバルはしばらくみずべでじっとする事にしたらしい

だが、俺は先ほど言ったように海に落ちてしまった。元々水棲生物のゴジラは海に落ちようが、塩は一切身体に付着しない。しかし気持ち的な問題だ。海に落ちてそのままというのは、中身がヒトの俺にとってはいい気持ちではない。それでゆきやまちほーの温泉に行くことになったのだ

一応みずべの海以外の水は淡水だが、どうせきれいにするなら風呂入ってサッパリしたほうがいい。他意はない←重要

 

 

※       ※       ※

 

 

「・・・・どうしたもんだか・・・・」

緊急事態である。あまりの寒さにジラが動かなくなった

おそらく変温動物ゆえ、急速に体温が下がった結果だろう

そうなるだろうと早めにかまくらを作ったから事なきを得たが、このままじゃあ動けんぞ・・・・・

一応尻尾から炎を出して暖めてはいるけども、あんまりやりすぎるとかまくらが溶ける

 

外はいまだに吹雪いており、当分止みそうにない。目を凝らすと遠くのほうに、うっすらと旅館らしき影が見える。たぶんギンギツネたちの温泉だろう

うーん・・・・もう少しなんだがなぁ・・・・

温泉と俺たちを遮る、ひとつひとつは小さくとも強固な雪の壁を睨む

すると、

 

「なんでしょうこれはぁぁあああ!!!」

「うわわわわわわっ!!」

 

突然鋭い双眼が目の前に現れ、驚いて後ずさり。勢い余ってかまくらの壁に激突した

「っておいおい。おどかすなよ」

「そりゃあ変なのあったらのぞきたくなりますって。とりあえず寒いので入れてください」

 

かまくらの入口から覗いて来たチベスナは、返事を待たずに入ってくる

いいって言ってないんだが・・・

まぁちょっと大きめに作ったからいいけどさ

 

「久しぶり・・・と言いたいとこだが、どうしておまえがこんなとこに?」

チベスナの本来の生息地は、その名の通りチベット高原。確か高山気候で、それなりに寒いところだ。

そのチベスナが、どう考えても適応していないゆきやまちほーに来ているというのは・・・

 

「そりゃ、温泉に入りにきたんですよ。かばんさんから教えてもらいましたからね」

やっぱかばんから話を聞いたんだな。しかしその内ゆきやまで遭難者出ないだろうな

 

 

※       ※       ※

 

 

「着いた着いたやっと着いたああああああ・・・・」

(精神的に)疲れ、ゼイゼイ荒い息をする。吐いていくそばから白い煙へとなる

温泉旅館の中なら、いくらか外よりマシだろう

 

「いらっしゃい。あら、見ない顔ね」

くろがねを思わせる灰色の髪に、寒色を基調とする服。ギンギツネだ

 

「最近生まれたゴジラですよろしくおねがいしますさっそく風呂にコイツを入れてぇぇぇええ・・・」

「ちょ、ちょっとどうしたのその子!?」

背中ですっかり冷えているジラをギンギツネに差出し、その場にくずおれる。駆けてくギンギツネの後ろについて行くチベスナ。3人とも、特に気にしたそぶりを見せずに青色ののれんをくぐる

「・・・・・」

玄関に一人取り残される

 

・・・・いや

「・・・・・」

少し離れた物陰から、こちらをじっと見ているフレンズが一人。

黄色みの髪に、暖色を基調とする服。先ほどのキタキツネとは対照的な、キタキツネ

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

お互い無言のまましばらく見つめ合っていると

「・・・・ねぇ、キミ・・・・」

「ん?・・・・」

「げーむ・・・・知ってる・・・・?」

「ああ・・・・うん・・・・」

再び沈黙。き、気まずい・・・・ なぜこんな空気に・・・・

さっきより短い静寂の後

 

「こっち・・・・来て」

先に口を開いたのはキタキツネ。そう言って奥に歩いていった

いまだに震える体に鞭打ち――こたえちまったのは体じゃなく精神的にだが――腰を上げて後をついて行く

廊下の奥、若干薄暗い突き当りの扉には「きたきつねのへや」と、幼稚園の子みたいな字で書かれた札がかかっている。しかも“の”に耳がついている。パークでよく見かけるのがこの字とはいえ、ちゃんと教えてんのかギンギツネ

いや、キタキツネの独学ってのも・・・・

 

「どうしたの。早く入って・・・・」

キタキツネの声に思考の海から引きずり出されると、既に扉は開かれていた

「あ・・・・ああ、すまん」

「足元気をつけて。踏まないでね」

部屋に入り、電気をつけると・・・・

「・・・・あ・・・・・・」

無意識のうちに声が出た。目の前にあったのは、かつてよく目にしたもの

折りたたみ式のボディのは赤青黒などいくつもあり

四角い箱型のやつは形、サイズが異なるがほとんどが黒色をしている

NEW3DS、WiiU、PS4、スイッチetc・・・・

俺が向こうで持ってたやつもそうでないやつも

パーク職員がこっそり持ってきたんだろうか。ただ例の異変で持って帰れずにここに・・・・

キタキツネがゲーム好きなのはこれの所為か・・・・?

「家中探してやっと見つけたんだけど使い方わからなくて・・・・ キミならわかりそうだから・・・・」

「・・・・すげえ・・・ 赤い黒歴史まで・・・・」

「・・・・」

無言で頭たたかれた

 

          の の の の の の の の の

 

 

(マジでマジでマジでマジでマジでどうしてこうなったぁぁぁぁぁああああ!!)

 

現在俺は風呂に入っている。ただ・・・・

「・・・・ちょっとその石鹸ください。ちょっとでいいので」

「あなたさっきそう言って遊んでたら、おもいっきり転んだじゃないの。その1個で十分でしょ」

「お願いですからそれください。ほんとにちょっと・・・・ちょっとで・・・・」

「ちょ・・・・いいかげんにしなさいって・・・・ 手放しなさいよ」

「だ、だから石鹸ください・・・・ ってぁぁぁあああ!?」

「ちょ、ちょっとぉぉぉおおお!!」

後ろで盛大にびたーんと誰かさんがズッコケた音がした

「ああっ!?チベスナが白目むいて気絶した!」

「・・・・ねぇゴジラ、運ぶの手伝って」

無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!

俺は耳を塞いで、風呂の中に潜った

 

 

キタキツネの要望通り、全てのゲーム機を使えるようにした。まぁ、ただのバッテリー切れでコンセント挿すだけでよかったが

2人でゲームに興じ、フルダイブマシンと思しきハードを、キタキツネがうっかり破壊してしまったことを除けば、まぁ楽しかったのだが・・・・

フルのフロンタルなギンギツネが部屋に飛び込んできて、キタキツネを連行。ついでにあなたも入りなさいと言われて、俺も一緒に連れてかれ・・・・

 

今に至る

 

「ちょっとキタキツネー。2人で運び出すわよー」

「わかった。そっち持って」

「あら・・・・この子案外肌すべすべね。キタキツネといい勝負じゃない?」

「・・・・ボクもうちょっと白いよ」

「それは外出てないからでしょ。ほら、体たるんでるわよ」

「別に何でもいいじゃん・・・・ ゴジラはどう思うの?」

俺の思ってることはただひとつ

 

「・・・・早く・・・・2人ともあがって・・・・・・」

顔を真っ赤にして蚊の鳴くような声で答えた

 

※       ※       ※

 

「づがれだ・・・・」

風呂に入ったのによけい疲れた

なんなのさフレンズって!ほんとはわざとあんな事してんの?!わかっててやってんの?ねぇ?!

風呂に浸かった時も体いろいろいじくられたし・・・・

マジでちょっとやそっとじゃ動じない、鋼のメンタルが欲しい・・・・

「ねぇゴジラ、さっきの続きしよー」

「・・・・わかった、そっち行くー」

重い腰をあげ、さっきのゲーム部屋に行く

疲れて本調子じゃないから、どこまでやれるかわからんが・・・・

 

 



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遺跡

「失礼します。矢島少将入ります」

「うむ・・・・」

暗闇に包まれた司令室に入ってきたのは地球連合軍統合部長官矢島少将

対して司令室の椅子に座っているのは私―――同軍の総司令西前大将

 

 

「―――怪獣の魔の手から全地球の民を守るべく、我等奮闘せん」その理念の下、残った世界各国の軍を統合、創設された地球連合軍は、現在組織としての体を成しているかどうかすら怪しい

というのも、創設の僅か3ヵ月後に総司令部が壊滅したからである

まさか地下から新個体のゴジラが出現するなど誰にも予想できることではなく、あっさりと上層部の構成員は全滅。再編中も、各地で補給線を断ち切られた兵士が民間人から物資を略奪するという、あってはならない事態が多発した

本来ならすぐさま軍は糾弾の波に揉まれ、消滅するはずだった

しかし世界中の軍隊は連合軍に吸収されたゆえに、怪獣の脅威からの庇護を、強力な盾を市民は失いたいはずも無く、連合軍はしぶとく残っている

 

ただ、昨今の急激な人口減少の影響で人員不足の感は否めない。事実、35にして総司令官の職に就いた私は、年に全く釣り合わない重責で今にもぶっ倒れそうな状況にある。目の前の矢島少将だって、私と年は4つも違わない

若い人材が払底している中で、我々のような人間が貴重なのはわかってはいるのだが・・・・

 

矢島少将の表情は暗い。「予想していた中で最悪の状況」を報告に来るときはいつも大体こんな顔だ

まぁ結構大袈裟な所があるから、大したことは無いかもしれない。というよりそう思いたい

何せ今日来る報告といえばあれしかないからな

 

「指令、やはり奴等は・・・・()()()には・・・・」

そう言って渡された端末を見る。昔の報告書等は、今では貴重な紙を使っていたという

そのときの司令室は明るく照らされていたのだろうか。今のように、折からの電力不足で司令室の照明すら照らすことの出来ない今とは違って・・・・

「・・・・っ!」

状況は「予想していた中で最悪」では無かった。「()()()()()()()」だった

「・・・・っ!まさか()()もいるのか・・・・あの島には・・・・」

「・・・・」

無言を返事にし、少将は敬礼して退室した

はっきり言って無茶だ、こんな奴等を相手するなんて。歴代指令ですら直面したことの無い状況、私程度に一体どうしろと・・・・

投げやりな気持ちで、報告書を執務机に放るように置く

 

 

『―――報告書

先に確認されていたゴジラⅡ、Ⅲ、ジラの3個体をジャパリパーク跡地・キョウシュウエリアにて確認

3個体とも、駆除又は捕獲の必要があると判断

つきましては、テスト体C-G001の運用・実戦導入を進言します―――』

 

 

             ※       ※       ※

 

 

「遺跡調査?」

「ああ。俺がお前と最初に会った遺跡とは別に、離れたところにでっかいのがあっただろう」

八塩折の酒を飲みながら赤い顔のツチノコが言った。まだほろ酔いくらいだから、止めなくてもいいか

「前に一回調査したことがあったんだが、よく分かんなくってな・・・・ そっちの面の勘がいいお前なら、何か分かるんじゃないかって」

「ん・・・・まぁそうだけどさ」

 

以前からツチノコの遺跡調査には、単なる興味から同行してはいるがこういう風にヘルプを出してきたのは初めてだ

話をする間にも何杯か呷る。そろそろ止めた方がいいかもな

ツチノコは猪口を傾けるのとは反対の手で、次の酒瓶に手を伸ばし

「・・・・んで、スナネコは?誘わないのか」

「ブフッ!!」

口に含んだアルコールを思い切り噴き出す。すぐさま避けたので直撃は無し

「ささ誘うわけ無いだろ!アイツの所為で、どれだけ貴重な遺物が失われたと・・・・!」

顔を真っ赤にし、必死にここにいないスナネコを糾弾する。だが、どう見ても照れなどの感情を隠し切っていない

口先ではやれ邪魔だのもう来んなだのと言ってはいるが、嫌いじゃないんだよな。本心では

「そうは言いながら、毎回連れて行ってるじゃないか」

「あ、あれはだな、アイツがなかなか食い下がらなかっただけで・・・・!」

「誰がくいさがらなかったんですか?」

「なっ?!」

ツチノコの後ろから突然声が掛けられた。不意をつかれ、目に見えて慌てるツチノコ

 

「『くいさがる』って何ですか。新しい遺跡ですか」

「そそんなんじゃねーよ!ていうか、いつの間にそこに・・・・」

「あ。なんですか、これ。面白いですね」

「ちょっとはこっちに話し合わせろよおおおお!切り替え早過ぎだろおおお!!」

あっさり飽きて、俺がこの前見つけてきた腕時計に興味を移す。まあどうせすぐに・・・・

「あれ、なんですかこれ・・・・あ」

「あああああああああ!!!俺の酒がああああ!!!」

今度は八塩折の酒に気を移したが、手を滑らして酒瓶を落とし、中のどろっとした乳白色の液体が砂漠の砂に吸い込まれていく

 

絶叫を上げるツチノコをよそに、いつもののほほん顔でぽかんとしているスナネコ。お酒の価値というものを知らないようだ。俺も知らんけど

「おおおお前ええええっ・・・・!最後の一本だったのに・・・・新しいの見つけるのにも、苦労するんだぞ!」

ツチノコのあまりの嘆きように、流石のスナネコものほほん顔を崩す

「す、すみません・・・・じゃあ新しいの探すの手伝います」

「お前はいらん!!」

 

 

             ※       ※       ※

 

 

現在ツチノコ、スナネコ、俺の3人は件の遺跡――ピラミッドみたいなヤツ――の中にいる

どうやら今までの酒も遺跡の中で見つけたらしいので、調査に酒の捜索が加わった

遺跡の内部は4話の地下遺跡となんら変わらず、アトラクション感を未だに強く残している

ツチノコが「よく分からない」と言ったのは何故だろうか

 

そんな他愛の無いことを考えている俺は現在――――

 

「バカヤロおおおおおおおお!!!何やってんだお前えええええええええ!!!」

「わあ・・・・速いですね、あのセルリアン」

 

2人と一緒に疾走中。2人は全力だけど

大量の大セルリアンに見つかり、長い通路を走っている。だがいつ行き止まりになるか・・・・

撃退しようと熱線を吐こうものなら、もれなく遺跡が融解する

ならここは・・・・

 

「おい!そこに隠れとけ!」

「わ、分かった!」

すぐそこにあった丁字路に2人を押し込む

「ちょ、ちょっと待て!ここ行き止まりだぞ!」

「分かってるからそこから出るな!」

確かにその通路の先は行き止まりだが、今重要なのは2人に被害が及ぶのを避けること

その被害というのは・・・・

 

「ぬんっ!」

「▅▇█▅█▇▆▅▂█▅▃?!・・・・・」

いきなり自分達の懐に入り込んできたかと思うと、謎の衝撃を受け混乱の意を浮かべる

吹き飛ばされ、石にダメージがはいる。断末魔を上げながらサンドスターへと還るセルリアン

この技は「体内放射」

熱線のエネルギーを溜め込み、一気に開放する事で衝撃波を発生させて攻撃へ転じる

元々は使えなかったのだが、以前洒落でやってみた所、弱いものではあったが衝撃波が発生した

その後鍛練を重ね、こうして実戦に耐えうるレベルにまで強化できた

奴等のど真ん中に入り込んで打ち込む方がいいと思ったが、やはり効果てきめん。あっさり粉々に吹っ飛んだ

狙ったとおり、遺跡にはほぼ被害なし。ただ、先程言った被害というのは「遺跡に」ではなく、もちろん「2人に」の方である

大セルリアンの大群を軽々吹っ飛ばす威力を、フレンズとはいえ2人に喰らわせる訳にはいかんからな

 

「・・・・おーい・・・・大丈夫か・・・?」

「ありがとうございます。すごいですね、さっきの」

おそるおそる出てくるツチノコとのほほんスナネコ

「まあな・・・・探索はどうする?続けるか?」

「む・・・・」

俺の問いに悩むツチノコ

「・・・・まあわざわざ危険を冒してまで続ける意味は無いしな。酒なんて無くったって生きてけるんだし」

今回の探索酒メインだったのかよ

口ではそう言っているが、いつもの様に残念そうな顔は隠せていない

「・・・・そろそろ帰るか」

そう言って出口へ向かおうと・・・・

 

 

「あれ、これですか?『おさけ』って」

見るとスナネコが何かを見つけたようだ。それは大きな酒瓶

間違いなくツチノコが探していた「八塩折の酒」だ

ツチノコは安堵の表情を浮かべ、スナネコに駆け寄ろうと―――

 

 

「へーこうなって・・・・」

どうやらフタがかなりボロかったらしく、逆さにしたとたんポロッと取れた

その中身が、興味津々に観察していたスナネコにふりかかる

しばらくその場に立ち尽くしていた3人だったが、元々耐性が無いのか、飲んだことが無いからか、顔を真っ赤にしたスナネコが倒れた

 

「・・・・・・・」

その場に立ち尽くす俺とツチノコ

「・・・・あいつを持って、安全に出られる方法はあるか・・・・?」

「たぶん・・・・」

ツチノコの問いに歯切れの悪い答えを返す俺であった

 

 

             ※       ※       ※

 

 

 

・・・・・・この力・・・・以前から感じていた・・・・

 

 

だが今回は、更に強い・・・・・

 

 

・・・・・ヤツは、駆逐すべき者か・・・・・

 

 

・・・・・しばらく様子見といくか・・・・・

 

 



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ライブ

書いてたやつボツにしてやった。後悔は無い。


「・・・・・はぁッ!」

「██▇▅▃▁▂▃・・・・・・」

断末魔を上げて8体目のセルリアンがサンドスターへと還っていく。

残り2体。どちらも丸い大型。

こういうタイプは背中に――勿論目玉(?)を前にするとだが――石が付いている。回り込めば難なく倒せるが、たまに素早い動きをするヤツがいる。今回はさほど早くは無いから、助走をつけてジャンプすりゃあ、後ろはとれるか。

「よッ!・・・・」

軽い助走をつけて跳躍。狙い違わずヤツらの真後ろを―――と思いきや、高さがタリナーズコーヒー。セルリアンの上にぽすっと着地。

「・・・・・・」

思ったより体内放射に気合入れ過ぎたようだ。サンドスターが結構減っている。しばらくなんだこいつと言いたげに、こっちを見ていたセルリアンだが、好機と見て触手を伸ばしてくる。

「うぉッ!」

すぐさま飛びのき、再び着地。さらにそこを狙ってくるので再び回避。

 

・・・・・そろそろ溜まってきたな。

喉奥にエネルギーを供給・・・・ 収束・・・・ 今ッ!

「▁▂▃▇█▅?!」

熱線を掃射、セルリアンを薙ぎ払う。

ぱっかーんして、辺りにサンドスターをバラまく。

「ふぅ・・・・・」

流石に10体も一気に来られちゃキツいってもんよ。体内放射って、結構使った後が疲れるからなあ・・・・・・。最初の一発で7体。その後に残った3体は格闘戦で仕留めようにも、パワーダウンの影響は大きかったゆえ、1体に気合を込めて打ち込んだ。そして再びエネルギーが溜まったので、残る2体を熱線で吹っ飛ばした。

思ったよりヤバかった・・・・・。流石に安請け合いし過ぎたか?報酬はしっかり貰っとかないとな。

なんてことを考えながら、遠くのライブハウスを見る。

どうやらまだライブは続いているらしく、時折観客の歓声が聞こえてくる。少し行ってみたい気もするが、そもそも依頼された仕事がライブ中の観客の護衛みたいなもんで。そういう訳だから依頼はライブが終わるまで――要するに、俺はライブが見れないことを承知の上で、依頼を引き受けたのだから見ることは出来ないのだ。

 

どうして俺はこんなことをやってるかというと。

遡ること3日前―――

 

 

※       ※       ※

 

 

近々PPPの第10回大規模ライブが行われるという。暇を持て余していた俺は、準備が行われている〈みずべちほー〉に遊びに来ていたのだが。

「観客の守りをして欲しい?」

「はい。というのも、最近セルリアンが〈しんりんちほー〉の方から流れてきているみたいで。ここら辺でもちょくちょく見かけるんです。」

PPPのマネージャー、マーゲイは神妙な面持ちで俺の問いに答えた。

楽屋に入るなり、鼻血を流しながら床に倒れ、悶絶していたマーゲイは来客を悟るとすぐさま自らの醜態を片付けて、椅子を用意してくれた。

そしてマーゲイから依頼されたのは「セルリアンからの観客の守り」だった。

確かに、たまに手伝ってるリカオンから、最近〈へいげん〉の辺りから〈ろっじ〉方面にセルリアンが移動しているとか聞いていた。

 

セルリアンというものはサンドスターそのもの以外にも、フレンズ(正確には体内のこれまたサンドスター)にも反応して、捕食しようと近づいていく性質があるというのは知っている。

しかし強大な力を持つフレンズからは、逆に遠ざかっていく。

――強大な力を持つほど内に秘めたるサンドスターの量も膨大である。にもかかわらずセルリアンが遠ざかるのは、自らの身を案じての行動である―――ヒグマから聞いた事を要約するにそういうことらしい。

確かに身の危険を冒してまで、でかい食い物に有りつこうとは俺も思わない。

じゃあ俺はどうかというとその実、大して強大と言える程でもないらしい。事実、セルリアンは近寄りもしないし逃げもしない。所詮はフィリウス(神の子)ということか。神には及ばぬ。

 

つまり〈へいげんちほー〉かそれより向こうに、辺りに規格外の強さを誇るフレンズが存在するということになる。

一度ヘラジカとライオンを含めた〈へいげん〉の皆かと考えたものの、ヒグマが「“強大な力”というのは群れから生み出されるものじゃあない。一個人によってのみ生み出されるんだ。」と言っていたのを思い出した。

即ちゴジラ・フィリウス()を超える“強大な力”を持つフレンズが存在する・・・・・?

有り得ない話である。いや、認めたくないだけだ。フィリウスを超えるとなれば、それもまさしく「怪獣のフレンズ」以外の何があろうか。同じ〈キョウシュウ〉という、地球からすれば芥子粒同然の狭い狭いこの島に「怪獣のフレンズ」が3体も存在するというのは・・・・・

 

「・・・・ジラさ・・・・・ゴジラさん!」

「あ、え、は?」

間抜けな声で返事をする。どうやらしばらく思案に耽り過ぎたようだ。

「どうしたんですか、いきなり黙りこくっちゃって!」

「ああ・・・・・すまんすまん。ちょっと考えてただけ、気にしないで。」

本当ですかー?と溜め息とともに吐き出し、怪訝な目線を向けてくる。

まあいいですけど、と言いパイプ椅子に座りなおすマーゲイ。

「そんな訳で、当日観客の皆さんを守っていただきたいのです。ああ無理にとは言いませんので、なるべく秘密裏に。何事も無く楽しんで貰いたいので。」

「まあ・・・・・やれるだけやってみるよ。」

俺の答えにマーゲイは、お願いしますと言って頭を下げた。

 

 

※       ※       ※

 

 

「報酬はでき高制だから・・・・・今倒したのが34体で・・・・・残りは貯蓄とギロギロの新刊にまわして・・・・・・」

早速報酬の使い道を考えながら次の見回りに。

現在ライブ会場の周囲に子機を飛ばして、随時状況を確認している。

いくら会場の周囲が水ばかりとはいえ、そことを繋ぐ一本橋のみ守っているわけにはいかない。

水が弱点というのは、溶岩由来の黒セルリアンのみに存在する。その他のセルリアンは、近づこうとはしないが弱点ではない。しかし、それを克服する個体が現れないとも限らないし、飛行タイプが再び出現しないとも言い切れない。

今会場の南側に異常を確認したのでそこまで移動している。

この前空を飛べるようになったので、水面上を滑空する様なかたちで飛行している。

なんとなくケンプファーみたいだなぁ・・・・・などと考えていた。

(飛行・・・・・ペンギンって空飛べないよな。

PPPは空飛びたいとか思ったこと無いのかな。フルルはそんなこと考えてそうにないけど。

・・・・・フルルといえば・・・・・・)

「・・・・そういやどうなったんだろ。グレープ君・・・・・」

ふと彼女――もとい彼のことを思い出す。

どこか危なっかしい彼を心配して浮かんだのだろう。

これまた遡ること1時間前―――

 

 

※       ※       ※

 

 

ライブ当日。改めて挨拶にと楽屋を訪れたところ、グレープ君が楽屋の入口辺りで、何やらそわそわしていた。

    グレープ(フンボルトペンギン)(ペンギン目ペンギン科フンボルトペンギン属)

         (Spheniscus humboldti)

ちらりちらりと、中を覗いてはそこを離れるを繰り返している。こちらには全く気付いていない。

「どうした?用事あるなら入れば?」

「ふぇ?!!え、え?」

不意を突かれて、妙な声で驚いた。

「あ・・・・ゴジラさん・・・・」

「入れないんだったら、俺から言っておこうか?」

「ああ、えっと・・・・その・・・・」

「わかってるよ。フルルだろ?」

「あ・・・・・」

「別に楽しめばいいんだぜ?せっかくの()()()()()()なんだからさ。」

「・・・・・・はい。」

グレープ君はしばし黙考した後、こくりと頷いた。

「あれ、2回目ってどういう・・・・」

バレタカ―。(棒

「ありゃ。『人生』じゃ無くて・・・・この場合何生だ?ははは・・・・」

わざとらしく雑に誤魔化して、楽屋に入る。

 

 

結局、グレープ君は楽屋には入ってこなかった。

ライブが終わったらまた訪ねるつもりだろうか。

そのことはとりあえず思考の隅に置き、次の巡回へと飛んでいった。

 



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First, from there

――ライブ終了後

 

「いやー。お疲れさまでした~。」

「また来ようね~。」

ライブが終わっても、名残惜しいのか皆すぐには帰らずに、おのおのの感想を語り合いつつ、今ようやく三々五々に橋へと向かいはじめた。

「おっ、ゴジラ。今回はどうもありがとう。」

「おかげで安心してライブを見られました。」

声をかけてきたのはマルタタイガーとゴールデンタビータイガー。

    マルタタイガー(ネコ目ネコ科ヒョウ属)

         (Panthera tigris)

    ゴールデンタビータイガー(ネコ目ネコ科ヒョウ属)

         (Panthera tigris)

俺は、この2人のどちらかだけを見かけたことが無いのだ。四六時中一緒にいるのだろうか。

イロイロと妄想が膨らm(ry

「ところで、ゴジラはどちらに?もうライブは終わってますが・・・・・」

タビーが訊ねてくる。

「ああ、今回の報酬を受け取りにマーゲイのところにな。出来高制だから結構もらえるはずなんだ。」

「へぇ・・・・・じゃあ今度おごってもらおうかな。アルパカさんちの一番高いやつで。」

「りょーかいっ。」

そう言って2人と別れる。その後も何人かのフレンズとちょっとした会話を交わしながら楽屋のほうへ向かっていると、最後に会ったのが・・・・

 

「どうした?帰るのか?帰らないのか?」

「・・・・・」

未だ楽屋の前でうじうじしているグレープ君だった。

「いつまでもそうやってなよなよしない、ほらっ!」

背中を押して、若干抵抗するグレープ君を中へ押し入れようとする。

「や・・・・でも・・・・・ぼくなんかじゃ・・・・全然っ・・・・釣り合わなっ・・・・」

「そんなこと言ってないでっ、まず友達からでいいじゃんか。」

『友達』のワードにピクリと反応する。

「ともだち・・・・?」

「そうだ。最初はそんくらい軽くったっていいの。そっからもうちょい仲良くなりゃいいからさ。」

「・・・・・でも・・・」

それでもなお躊躇するグレープ君。楽屋の中からはマーゲイが恨めしそうにこちらを見ているが知ったこっちゃねぇ。

他人(ひと)の恋路は応援するが、変態の道は邪魔する主義なんでね。

 

しかしグレープ君が反論しようとしたところで、

『ひゃあああああああッッ!!』

 

橋の方―――ライブに来た皆が向かっていった方―――から何重もの悲鳴が聞こえてきた。

いやまさかと思いつつそちらを見ると、青いセルリアンの大群がこちらへと向かってきていた。

その大半が大型で数は20や30よりまだ多く、観客のフレンズの手に負えるレベルじゃあない。

「・・・・ッ!ヤバッ!」

無意識の内に駆け出し、翼を広げて滑空して向かう。

すぐにフレンズたちの頭上を通過し、まだいくらか遠くにいる先頭のセルリアンに体当たりする。

かなりの衝撃が石に加わり、あっさり吹き飛ぶ。ショックでその後ろも動きが鈍る。

そしてすぐさま後ろに飛び退いて皆と合流する。

「おいおいおい、何だこりゃあ!?」

「た、たぶん最近〈へいげん〉の辺りから来てるセルリアンじゃあ・・・・」

「にしても多すぎいいいいい!!」

タマちゃんの言う通り、そうかもしれないがこのサイズがこれだけいるというのは、はっきり言って異常だ。よくよく見ると手傷を負っているヤツがほとんどで、これなら普通のフレンズでもやれるか?と一瞬思ったが、やはり手に余る。

 

「戦えるヤツはこっち来て手伝ってくれ!あとはライブハウスの方に!」

俺のその声に10人ほどのフレンズが集まる。これなら、なんとか支えきれそうだ。

後ろのライブハウスの方を見ると、避難していくフレンズたちと入れ違いにPPPも向かってくる。

PPPも加われば撃退できるかと淡い希望を抱いた。

が、しかしセルリアンの一体がPPPに気付き、触手を伸ばして―――

「なあッ?!しまッ!」

フルルを掴んで吸収しようとする。場所的に熱線は当たるが、フルルが巻き添えを食らう可能性が高い。接近して直接攻撃が最善手か?

いや、こっちはこっちでタマちゃんがセルリアンに吸収されて、救出しようとしているところだ。そちらに行くことは出来ない。

だあああもおおおどうすりゃあああ!!?

 

だが、その時。

「うわああああああああ!!!」

叫び声を上げながら、フルルを拘束しているセルリアンに突進するフレンズがいた。

「わああああ!!は、放せ!放せええええ!!」

彼は両目を泣き腫らしつつ、強力なフリッパーでセルリアンをゴリゴリ削っていく。

セルリアンはひるみ、フルルの吸収が止まった。

おかげでこちらに気持ち的な余裕ができ、タマちゃんを引っ張り出して救助に成功する。

タマちゃんにサンドスターを補給して、目の前のセルリアンに牽制の熱線を浴びせる。

セルリアンは一時的に動きを止め、その隙にフルルの方に向かった。

自分もいくらか傷を負いながらもなおダメージを与え続け、必死にフルルを助けようとする彼。

セルリアンは注意を彼に向けたまま。そのため、斜め前から接近してきた俺に気付かないまま、フルルを掴んでいる触手を手刀で切り落とされた。

彼は落下するフルルをしかと抱きしめ、着地。しかしその瞬間を別のセルリアンが狙い、押しつぶそうと覆いかぶさる。

俺はそのボディプレスを仕掛けようとしたセルリアンを押しとどめる。思った以上に重く、若干押されながらも後ろで目を赤く腫れ上がらせている彼――グレープ君に言った。

「なかなかベタベタな展開に持って行ったなあ!よくやったよこんにゃろう!」

分かりにくい褒め方をしたものの理解できたようで、はにかみコクリと頷く。

「ほら、早く下がって!しっかり守ってやれよ!」

「は、はいっ!」

俺の言葉に、グレープ君は安全な遠くに退避。

「おっし皆!残らず叩き潰すぞー!!」

『おおー!!!』

集まったフレンズは大概好戦的。鶴の一声で、失いかけていた気勢を取り戻した。

だが残ったセルリアンの数を見るに、それでもまだまだ掛かりそうだ。

 

※       ※       ※

 

戦いが終わったのは夕暮れ時だった。

皆かなり疲れてはいるが、犠牲者は出なかった。

はっきり言って今回は運がよかった。

皆にサンドスターを補給して回っていた。

「しかし今回のセルリアン、ここら辺じゃ見かけない色だったな。」

そう言うのは「L❤Lベアーズ」のリーダーであるエゾヒグマ。

    エゾヒグマ(ネコ目クマ科クマ亜科クマ属)

         (Ursus arctos yesoensis)

彼女の言うとおり、〈みずべちほー〉では先の青いタイプはほぼ見かけない。代わりにピンク色のタイプが、ここではオーソドックスなセルリアンである。

青いタイプは基本的に〈さばんな〉や〈へいげん〉くらいにしか発生せず、一応発生するとは言っても、あれほどの数の青いセルリアンが〈みずべ〉に発生するというのはまず考えられない。

おまけにほとんどが既にかなりのダメージを被っており、それらの事象から例の『規格外の強さのフレンズ』が関わっていると見て間違いないだろう。

そのときライブハウスの方から泣き声が聞こえた。

気になって行ってみると、泣いていたのはフルルだった。

顔をグレープ君の胸に押し付けながら泣いている。

ああ、やっぱ怖いよな。『自分』っていう存在が死ぬようなものだし、いくらフルルが天然でも耐え切れなかったようだ。

他のメンバーは少し離れて見守っている。マーゲイは、普段なら若干顔をしかめるのだが今回は流石に心配そうな面持ちで、事の成り行きを見守っている。

そしてグレープ君は自分の腕の中で弱弱しく泣き腫らむ少女の頭を、ただただやさしく撫で続けた。

 

 

の      の      の

 

 

・・・・・再び感じたこの力・・・・・・

 

 

また更に強靭になったな・・・・・

 

 

・・・・やはりヤツは脅威

 

 

ヤツは駆逐すべき者

 

 

・・・・・ではそろそろ動き始めるとするか・・・・

 

 

待っていろ 必ず我が駆逐してみせようぞ

 

 




今回で1年なんですねこのシリーズ。
1年で22話、だいたい16日に1話更新っていう感じ。

いろいろあったなぁ・・・・
全く書く時間取ろうとしないし、書こうとしないし・・・・
途中漫画でやろうとして失敗して・・・・
3歩進んで2歩下がり、2歩進んで1歩下がる。
要はトータル1歩ですねはい・・・・
こんな僕ですが、これからもよろしくお願い致します。

次回から2章が本格的に動き出します。お楽しみに!

たぶん今回が今年最後の更新になるかと。
よいお年を!



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Earth

長いとはいえ結構時間が空いてしまいました……


「失礼します。矢島少将入ります」

「ああ……」

少将の入室に、幾分疲れた声で応対する。

しかし普段ほとんど疲れを見せない相手の方も、今回ばかりは声に疲れが表れている。

人員不足による規模縮小の影響で、いくらか軍のフットワークが軽くなったとはいえ、特殊部隊の編成は2週間程かかる。それをたった1週間でやってのけたのだから、上出来だろう。

おかげで全く休みが取れなかったそうだが。

 

「ご苦労様、他の仕事は代わりに私がやっておくから。楽にしてくれ」

「はい」

そう言って執務机の前のソファに、ばすんと体を沈め、深く息を吐く。

他の将官以下の軍人なら、こうまで律儀に体勢を崩してくれない。

皆地球連合軍のトップに対して、気を遣いすぎているのか。

それとも、若き総司令官の人徳のなさか。

ともかく、彼のように割りきりがよいと、こちらは助かるものだ。

「部隊の編成は完了したのか」

「はっ。ただ、()()()()は先日トラブルがあったので……」

「あぁ、聞いているよ」

例の機体というのは、あのテスト体のことか。

やはりまだ不完全な代物だったのだ。

まだあれには不明な部分も多いという、SS研究所の忠告を聞いておくべきだった。

さりとて、いずれは実現に漕ぎ着けて見せると言っている、うちの開発部の声も無視できない。

組織のトップというのも大変なものだ。まだ中間管理職時代の方が気が楽だったと、懐かしく思えてくる。

しかし、私は今この椅子から降りるわけにもいかない。新しい()()を探すのも、参謀達にとってはかなり骨の折れることらしいからな。

今以上の苦労をかけたら、ただでさえ薄い頭が余計淋しくなってしまうだろう。

などと余計なことを考えていると、少将が咳払いしアメリカ仕込の鋭い眼光でこちらを見据えてくる。考えていることはお見通しのようだ。

「代わりに別ルートで開発されていた機体を使用します。よろしいですか?」

そう言って少将は、許可申請書を渡してくる。

 

『―――許可申請書

テスト体C-G001のトラブルにより、別機体の使用が必要となりました。

ゴジラⅡ、Ⅲ、ジラの3個体の駆除又は捕獲作戦に〈Ω‐U〉の運用・実戦導入を進言します。

署名________―――』

 

 

※       ※       ※

 

 

――一週間後

 

「ぶぇっくしょいっ!!……風邪引いたかな?いや違うか」

女子のものとは思えない盛大なクシャミをし、風邪を疑うも即座に否定する。

ゴジラは風邪など引かないだろう。

だったら誰か噂でもしているんだろうか。

 

噂といえば、グレープ君が最近色々話題に上っている。

というのも、先日のセルリアン騒ぎの後に、グレープ君がフルルを慰めた後―――

あんなことするなんて思いもしなかった!

思い出しただけで赤面する、衝撃の光景だった。

もう草食系男子超えて草食系女子なんじゃないかってくらい女々しいと思っていたのに、なんであんなに漢らしいのさ?!

グレープ君のあの行為は、そういうのに慣れていないフレンズたちの間で、物議をかもしている。

皆プレーリーの挨拶とは違うということは理解しているので、よけい混乱しているのだろう。

幸いというかフレンズらしいというか、現在否定的な意見は出てきていない。というかマルタとタビーを筆頭に、ソレを始めるフレンズが増えてきた。歓迎すべきことなんだろうか?

いや、やっぱ止めさせた方がいい。パークの外にまだいる――かもしれない――ヒトが帰ってきたときに、百合百合パークに変貌していたら全くもって洒落にならん。マーゲイは喜ぶかもだが。

 

それはそれとして、現在俺を含めた何人かのフレンズは例の『規格外の強さのフレンズ』を捜索中である。あのライブ後の一件以降も、度々セルリアンの大群が押し寄せることがあり、流石に危険だという。探し出して何とか対策できないかと、交渉しようということになっている。

流石に皆がいきなり襲われるってことは無いと思う。が、俺とジラは例外だ。

相手が怪獣のフレンズって事は、もうあらかた予想が付いている。何の怪獣かということも。

そしてその予想が当たっていれば、俺とジラは――――まず斃される。

生かしてくれるならまだいいが、ヤツは決して見逃さないだろう。

しかもただ殺すのではなく―――

そのような状況に他の皆をも巻き込む―――というより見せるわけにはいかない。

なので俺はジラと一緒に捜索する事を、自ら申し出た。

俺の考えている対策はこうだ。

俺がヤツに気付いたとき、ジラにはそのスピードでとにかく逃げてもらう。他のフレンズには、「巨大セルリアンが出た。危ないから、なるべく近づかないほうがいい」とでも言ってもらって離れさせる。

その後はヤツを無力化し、何とか〈あのやま〉辺りに住んでもらうよう説得する。無力化に関しては返り討ちに遭うかもしれないが、その辺は全くと言っていいほど考えていない。まあ何とかなるだろうと、自分に言って聞かせて納得しているだけだ。

勿論こちらが無力化された挙句、死ぬこともあるだろうが、どのみち一度死んだ命だ。

最近、俺はこの永遠の命を生きることができるのかと考えることが多くなった。そして、ヒトにはやはり、永遠の命など使い切ることはできないと思った。

おそらく、どこかで無限の時間に苛まれて、狂いながら死んでゆくのだろう。身ではなく、心が。

そのような死に方をするのであれば、捨石であってもまともな形で今度こそ死ねるというのなら本望である。

――――などとほざいてはみたものの、やっぱり「死」というのは怖いもので、ちょっとした木々が擦れ合う音にも身を縮こませ、おっかなびっくり一歩一歩を踏み出している。その様子にジラも訝しむが、すぐにそっぽを向く。例のフレンズを探すという目的も忘れたのか、雲の形を見て涎を垂らしている。食べ物みたいな形でも見つけたんだろうか。

そんなジラを見て、流石に遺書でも書いておけばよかったかなぁ……と考えたが、書いたところで重々しい内容がフレンズに伝わるかどうか。そもそも遺書なんて概念があるんだろうか?

 

なんて事を考えながら歩くこと一時間。〈さばんなちほー〉の中央から〈じゃんぐるちほー〉側に少しずれた地点たどり着く頃になって、()()を感じた。

殺気。それもただの殺気ではない。ヒトならざるモノの、ヒトそして己以外の怪獣への醸成されきった濃密な、しかし神気すら感じさせる殺意。地球そのものの怒りとも感じ取れる、圧倒的存在。

「………」

隣のジラは硬直したまま微動だにしない。「蛇に睨まれた蛙」とはこのことか、などとのん気な事を考えられるものだと自分でも思う。全く動けないのはこちらも同じだというのに。

「ジラ……おいジラ!」

動かないジラに声をかけるも反応しない。三度目でようやくこちらを向くも、状況がつかめていない様子。

「いいか、よく聞け。すぐに皆と合流して、大セルリアンが出たってこの近くから離れさせろ。俺一人で処理する」

「え……?でも………」

セルリアンはあんな感じしない、においがない、とでも反論しようとしたのだろうが、肩を掴んで必死な目で訴えかけてくる俺の様子に不信感を覚えるそぶりを見せながらも、無言で頷いた。

そして暴風が吹いたと思った刹那、ジラの姿は遥か彼方へと小さくなっていた。あの足の速さならば、流石のヤツでも仕留められまい。

ジラがもう見えなくなるところまで行ったことを確認し、そちらの方へ向き直る。

ついに気配だけでなく、その音すら聞こえるほどにまで接近しているようだ。

勿論、音自体が大きいので、まだ遠くにいるだろうが。

 

()()がやってくる。

 

ズ…ン……

 

Godzilla

 

ズ…ン……

 

呉爾羅

 

ズン……

 

 

「▂▃▇▆▁▁▆▅▄▂▄▂▁▂▃▃▂▆▂▁!!!」

 

 

形容し難きその雄叫び。

目測でも俺の身長を超える身体は、しなやかながらも力強い筋肉で構成されている。

緑がかった髪の下の、これまた緑の瞳には王としての獰猛さは欠片もなく、むしろかけているモノクルで老哲人の知性をうかがわせる。

腕は下に下がり、一見力を抜いているようにも見えるが、次の瞬間には俺の首を撫で飛ばせるエネルギーを集中させていることが分かる。

脚力はジラ程のスピードは出ないにしても、地を踏み抜く程の力はあるだろう。

身長と同程度の長さの尻尾は、先端が高密度化しており、抜き身のナイフがごとく、鈍色の光沢を帯びている。

柊の葉を模した背びれには、特にエネルギーが集中している。シールド展開の前兆か、それとも死の熱線発射の予兆か。

 

 

ゴジラ

 

目の前の龍神はみなぎる殺気を止めようともせず、ただただ堂々たる構えで立ち続けている。

 

「……すまねぇが、あんたの『気』でセルリアンってぇのが、こっちに大群で来て困ってんだ。なんとか〈あの山〉辺りに越してくんねぇかな…?」

元々会話する気は無かったのだが、思ったより会話できそうだったから―――いや、ただの興味心からか?向こうはこちらの話なぞ、聞こうとしないと思っているのだが……

「……貴様に我が返答する義理があると?」

なんと、意外にも返してきた。てっきり無言を貫くかと。

「じゃあどうすりゃいいの?」

「……先程言ったことをもう忘れたか?」

会話するけど返答はしないんかい。

「本来貴様ごときと、こうして会話していることすら珍しいというものだ。だが我にとっては不愉快極まりない。にもかかわらず、何故こうして会話しているのか、我にも解せぬわい。……いや待て……さんど……すたあ……とか言ったか?それが………ほう、貴様も同類だったのか。今気付いたわ、道理で不快感が微々たるものであった訳だ…… しかし同格というわけでは無さそうだな。よって手心を加える道理なぞ無い」

 

けっこうおしゃべりなのな、なんて完全に気を緩めて考えていたからであろう。その後起こったことを瞬時に理解する事が出来なかった。

突如視界が白一色に染まり、すぐに灰がかった光景にうつる。猛吹雪のホワイトアウトが如き光景だが、不思議と焦りは無かった。

白の世界が徐々にフェードアウトしていき、元の〈さばんな〉の景色が戻る。が、何かおかしい。何かがおかしい。地面が傾いているかのように、俺の目には〈さばんな〉が映っている。だがよくよく考えてみれば傾いているのは俺の方であった。どうやら左方向に飛び退いたようだ。景色が上―――正確な向きに直せば左上―――へとスライドするのに気付くと同時に、別の違和感を感じた。

右肘の辺りが痺れたような感覚がし、そこから先の感覚が無い。視界にも異常がある。右瞼が開かないばかりか、無事な左目での視界も歪んで見える。

左半身に一瞬の衝撃を感じ、続いて地面を削る感覚が伝わる。そこでようやく気付いた。右腕を失い、右瞼が焼け爛れてくっついたために開かないことを、ゴジラⅢ―――ゴジラⅡ()と区別がつきにくいので便宜上〈アース〉―――が何をしたのかも。瞬膜を展開したが防ぎきれなかったため、左目も若干ダメージを受けて爛れたようだ。

尻尾をもたげて後方の状況を確認すると(尻尾の先にも意識を集中すれば、尻尾視点での視界に切り替わるようにできた)隕石でも落下したと言えば納得しそうな光景がそこにあった。

先程俺が突っ立っていた場所から、遥か彼方までの一直線を黒化し、一部がガラス化した地面が貫いていた。さらに視線を後ろへ送ると、4、50メートル後方にあったはずの大岩が、ほぼ原型をとどめずに消滅していた。

 

俺の右の腕と目では飽き足らず、その先の岩すら吹き飛ばす威力。

さらにその道中で土をガラスへと変化させるほどの熱量。

間違いない、熱線である。

 

 

※       ※       ※

 

 

そもそも俺と〈アース〉の熱線は、エネルギーの発生からして異なっていると思われる。

まず俺の場合、熱線のエネルギー源はサンドスターだが、熱線クラスの攻撃はさしものサンドスター量を誇るこの身体であっても、かなりの量を消費してしまう。怪獣系フレンズの特徴である『サンドスター無制限自動回復』(俺命名)により、完全にガス欠になる事はありえないが、連続発射で供給量が使用量に追いつかず、その結果身体能力の強化にまわしているサンドスター量が減少、全体的な戦闘能力低下につながる。

しかしあちらの〈アース〉は、どう見ても「ゴジラ・アース」のフレンズとしか言いようが無い。擬似的な金属筋繊維で全身が構成されており、ただ停止しているだけでもエネルギーは充填されていく。(実際には体内組織が微妙に動くことで、停止状態でもエネルギーが生成されると推測される)そして元の「ゴジラ・アース」と異なるのが、生み出されるものが、電気エネルギーではなくサンドスターであるということだ。

要するに動けば動くほど、逆にサンドスターが溜まってゆくというのである。実際は動く分の消費量との差が、実質的に増加する分量であるというのは言うまでも無い。

俺は突っ立っていようが動いていようが、サンドスターの生成量は変わらんが、〈アース〉は動くだけで生成量が増えるのだ。このアドバンテージは大きすぎる。どう考えても長期戦になれば、こちらがガス欠で動きが鈍ったところを、多くのエネルギーを有する〈アース〉に撃ち抜かれておしまいである。

などとつらつらと言っておいてなんだが、これらは全て〈アース〉の外見から推測したことである。見た目の特徴は「ゴジラ・アース」だが中身は全くの別物、などということも十分有り得るわけで、そうなればここでの推測―――というより妄想―――は無に帰すこととなる。

まあそんときはそんときだ、と持ち前の能天気で気を持ち直して立ち上がり、10数メートルほど向こうの〈アース〉を正面から見て構える。

既に右腕と両目のダメージは応急処置で回復させた。回復した視界に映る〈アース〉は意表を突かれたという表情をあらわにしていた。

「あれを避けたか……不意を突いたつもりであったがな。次ははずさぬぞ」

〈アース〉はそう言って、口の先に青白の光を生み出した。

 

 

※       ※       ※

 

 

『ゴジラⅡ、Ⅲの二個体を確認、交戦中と思われます。なお、ジラは既に索敵範囲外から離脱した模様』

オペレーターの報告に、内心焦りを覚える。隣の上官の顔色をうかがうと、やはり案の定だった。

「フンッ、逃げたか。勘のいいヤツめ……」

岩石から切り出したようなシワだらけの顔の上官―――地球連合軍海軍小笠原方面第一隊司令浅山中佐―――はそれのシワを一層深くしてモニターを一瞥したのち、すぐさま苛立った口調で命令を飛ばす。

「観測ドローンの精度を上げろ」

「は……精度は、既に最大となっておりますが……」

「ならばもっと高度を下げろ。口答えする暇があったら、それくらいやって見せるんだな」

「………」

後々面倒なことになるのを恐れたのか―――なにせ黒い噂が付き纏っているわけだから―――観測班のクレイグ中尉はしぶしぶドローンの高度を下げる。〈G〉でも察知できない隠密性を確保するため、高度を7000メートルほどとってはいるが、それでも発見されるかされないかのギリギリの高度であり、高度を下げるのは無しにしようと事前に戦略会議で決定したのだが、当の中佐はそんなことなど忘れて―――いや、自らの任務を遂行するのに対する、ただの障害としか考えていないのだ。

私―――地球連合軍海軍小笠原方面配属タピオス級輸送艦三番艦コマイト艦長マルリアーニ少佐―――は、噂通りの横暴な人だなと感じ、改めて正面のメインモニターを見据える。

降下を開始してからおよそ20秒。ドローンは健在であり、対峙し続ける2人のアニマルガールを映している。

黒いアニマルガールもといゴジラⅡは、先程緑のアニマルガールことゴジラⅢからの熱線の直撃を受けて負傷したようだ。だが、ダウンサイジングされても全く威力の衰えない熱線の直撃を受けても、なお生きているというのは驚きを隠せない。アレに耐えられるのは、この世界ではⅢ自身、ゴジラⅡ、〈X〉、我が軍の炊飯器(スーパーX系)、そして最近噂されている()()位なものだろう。

メインモニターの次に、サンドスターセンサーを見やる。SSセンサーは、巨大な反応をひとつだけ捉えているように見えるが、よくよく見ると中央付近に、特に濃度が高いことを示す赤白い点がふたつ存在する。

これがⅡ、Ⅲ双方のサンドスター量が、異常なまでに高いことを表しているのは言うまでもない。そして2人が会敵する前に、Ⅱと共にいたジラらしき反応は、そこにはない。付近の森に隠れたのだろう。〈サバンナエリア〉の両隣は密集した森林地帯なので、捜索は困難だろう。というかやりたくもない。別に自分がやるわけではないのだが、こんな司令の言いなりなぞ御免被りたい。

モニターの、高度を表す数字がもう少しで6000と1000の半ばを切ろうとしたその時。

ドローンからの映像が突如白一色に染まった。だがそれも一瞬のことで、すぐに画面は灰色になり、『NO SIGNAL』と白いゴシック体の文字が表示される。

しばらくブリッジ要員は皆、予想通りの結果に全く意外性を感じることも無く、各々の作業を続けていたが、次の中佐の怒声で再び剣呑な空気が流れる。

「なッ………おい貴様!降下速度が速すぎだバカモノ!ったくそんなこともできんのか……」

どちらにしても見つかっていたでしょう、と言いたくなるも言葉を飲み込む。文句を言われた当のクレイグ中尉はというと、「申し訳ありません」と言い、すぐコンソールに向き直って作業を再開した。

その後も中佐は苛立ちを隠せないようで、わざとらしく軍靴を床にコツコツ当てている。

気が散るので止めて貰いたいと言おうとしたその考えを、中佐の憤りを込めた静かな声が吹き飛ばした。

「……もういい、輸送機全機発進、〈Ω‐U〉を使用する」

「………」

全く持って馬鹿げている、今この地点でソレの使用を指示するなど。開いた口が塞がらない、というのはこのことか。本来揚陸艇で〈Ω‐U〉を輸送、上陸させる予定だというのに、今更輸送機に積み替えている余裕は……

まさか、と思い恐る恐る横暴な司令の方を向く。

「……司令、今ソレを積み替える余裕はありませんが……」

できるだけ平静を装って訊ねる。すると中佐は正面の予備ドローンからの映像―――勿論高度は7000メートル―――を見つつ、口の端を大きく歪め、言った。

「私は貴様らとは違い、先を見据えて作戦を遂行しているのだ。将棋やチェスと同じであろう?」

やはり出航前の積み込みの際、作業員を買収して揚陸艇ではなく輸送機に積むよう指示したのだろう。思えば輸送機なぞ、本作戦に何の用かと怪しく感じてはいたのだが……

以前中佐の指揮下だった友人から聞いた話は本当だったのだ。

中佐は、顔に浮かべている常習犯特有の笑みを消すことなく、目だけをこちらに向けた。

「そうだろう、マルリアーニ少佐殿?」

その目を見て怖気を感じた。彼は解っているのだろうか、その決断が我々にどのような最期をもたらすのか。解っているのだろうか、あの世に着いてからその愚かな決断を後悔しても遅いのだという事を。

私は中佐の向こう、ブリッジの窓の外で離陸する輸送機を見ながら思った。

腹の中に、貪欲なる金属の化け物を孕んだ鳥を……

 



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sinking

ちょっと時間軸飛びます。
次話で前回の続きに戻ります。


ズ…ン……

 

ズ…ン……

 

「クソッ!ここはもうダメだ、撤退するぞ!」

ベテランであるアラン大佐の動揺ぶりは、私を不安にさせる。

「しっ……しかし、まだ敵は……」

「バカヤロウ!」

大佐の目に鬼気迫るものを感じた。ただの恐怖ではない。畏怖や憎悪、悲しみが混ざり合ったその光に気圧されて、思わずたじろぐ。

「お前は士官学校で何を学んだんだ?!ヤツだ……ヤツが来たんだぞ!……ヤツと会敵したら即刻逃げろって……!」

そしてそのまま大佐はコントロール・ルームから出て行ってしまった。

確かにここは総司令部周辺の基地の末端もいいところで、失われても大した戦略的価値は無いので、戦術上放棄してもかまわないだろうが……

だが我々は何だ。生き残った人類をを護る最後の砦だ、ここで戦わずしてどうやって散れというのか。民間人は皆既に避難して、誰もいないだろうがあれらはその人々の帰る場所だ。護れるときに護らずして何とする。

この場に残っているのは、私と同じくらいの歳の士官ばかりで、大佐のような歴戦の軍人はただの一人もいない。しかしそれでも戦わないという意義は無い。全力で迎え撃つまでである、相手がヤツならばなおさらだ。

『筑波方面基地、残っている人員はいないか?』

霞ヶ関の総司令部から、脱出する航空機への通信がコントロール・ルームにも響く。

『いや、まだヒヨっ子共がコントロール・ルームにいやがる。逃げろっつっても聞かねぇんだ!奴等は放って俺達は撤退する!』

答えたのはアラン大佐だった。

『……了解、無事に帰って来い』

少しの沈黙の後、総司令部のオペレーターは撤退の許可を出した。(後で知ったことだが、このような光景は各地の基地でもよくあったことらしい)

少しして、第二発進テラスを映す外部カメラが離陸する脱出機を捉える。

おそらくその中にアラン大佐は搭乗しているはず。一瞬の名残惜しさが頭をよぎるが、すぐに切り替えてヤツの迎撃に集中する。

脱出機は北へと向かう。鹿島灘から上陸し、都心へと向かっているヤツは丁度ここの筑波基地の先を横切るはずだ。

「目標までおよそ40キロ、脱出機は既に日立方面基地へと向かっています」

大佐の機も十分離れた、そろそろ頃合いだろう。

「いいか皆、タダでは死なんぞ。ヤツに一矢報いてからだ!我々の背負っているものを忘れるな!」

皆は無言を返事にして各々の作業を進める。長い間実戦を経験しているだけあって、少人数でも十分武装は動かせるだろう。

「誘導弾全弾装填、いつでも撃てます」

残った兵の中で最も階級が高く、司令代行を務めることになった私に指示を請う。

ヤツまでの距離はいまだ40キロ、十分射程内だ。

「ヨシ……発射口開け、誘導弾全弾発射」

「了解。対応可能な56番から74番、88番から107番誘導弾発射口開放」

オペレーターのカウントダウンの後、山に開いたそれらの小さな口から無数の誘導弾が飛び立ち、ヒトに群がる蜂のごとくヤツに殺到する。ヤツのその緑がかった体表面で、蜂の群れは青紫の爆発光を咲かせる。

「全弾命中。効果なし」

流石ヤツだ、やはりこの程度の攻撃では効果は無い。

しかし狙いはそれだ。ヤツの注意をこちらに向ければ、他の部隊が展開するだけの時間は稼げる。あとは我々はどうなったっていい。それはここにいる全員の総意だった。

こちらへと向かってくるヤツを、モニター越しに見たのを最後に目を閉じた。

脳裏に目を閉じる前に見た、口先に青白い光を生み出すヤツの姿が浮かぶ。

フィルターがかかっても、なお衰えない光を瞼越しに感じながら、そのまま最期の時が来るのを待った。

 

 

 

ズン……

 

ズン……

 

 

※       ※       ※

 

 

 

「―――れい……しれい……司令殿!」

「……ふぁ?」

まどろみの夢の世界から引き戻され、おぼろげな視界が徐々に鮮明になっていく。前に立っているのは矢島少将。

周りを見渡すと、視界に朝日に照らされる司令室が映り込む。

口の端にベタっとした感触があるからに、椅子に座ったまま寝込んでしまったらしい。

確かに、最近捕獲作戦の許可承認許可承認なんやかんやetc.あと許可承認で寝る暇も無いくらい、ぶっ続けの作業が多かったことを差し引いても、流石に総司令官が椅子でよだれ垂らして寝るのはいかがなものかと自分でも思う。

しかし随分と久しぶりにあの夢を見た気がする。まぁ、あまりいい夢ではないからか……

「……司令こちらを……」

「む……?」

寝惚け眼を擦りながら、渡された端末に目を移す。

「とりあえず一段落、と言ったところでしょうが……」

「確かに、まだ油断はできんな」

浅山中佐麾下の部隊がゴジラⅡ、Ⅲ両個体の捕獲成功の報を受け、少しだけ肩に入れ続けていた力を抜いた。

 

一旦服を整えて参謀達の所へと向かった。

―――これでふたつ、人類の脅威を排除できることになる。二個体は研究、解析の後処分される手筈になっており、残る怪獣型アニマルガールに対するアドバンテージを得ることとなる。

未だブラックボックスである、ゴジラクラスのアニマルガールが有する「サンドスター自己生成機能」の分析に成功すれば、人類はほぼ無限のエネルギー源を手にし、ゴジラホイホイな核発電や、わざわざ物量による自然エネルギー発電に頼る必要が無くなるのだ。

我等の軍事面でもメリットがある。これまでサンドスター炉の機能停止ができたのは、単なる大型生物と言っていい程度の怪獣アニマルガール位なものだったが、これからはそれらに加えて、ゴジラクラスのアニマルガールの機能停止も可能になる。人類は霊長の座に返り咲くのも、そう遠い日ではない―――などと参謀達は熱弁していた。

取らぬ狸のナントヤラもいい所だろうとかツッコミそうになったが、実際そういうことだから何も言えない。だが私はその参謀達の意見には賛同できない。そうやって楽天的になって付け上がって、人類はゴジラに対して敗北を重ねて来たというのに参謀達は一体これまでに何を見てきたというのか。

まぁ、あれこれ言っても無駄だ。どうせお飾りの司令官の意見なぞ、聞こうとしないだろうから。

バカバカしくなって席を立ち、廊下に出る。

しかしまぁよくあんな問題大ありの浅山中佐が司令で、作戦が成功したものだ。参謀達の間でも最初は浅山に任せることで揉めに揉めたのだが、兎に角サンドスター炉が早く欲しい一派の強硬論に押し切られて、彼に任せることなったのだ。中佐が乗艦している補給艦の乗員である、マルリアーニ少佐以下には全くもって同情するしかない。

窓の外を見ると、太平洋がその身を横たわらせている。今はただ、その遥か彼方からこちらへ向かってきている艦隊の無事を祈るしかなかった。

 

 

※       ※       ※

 

 

私は、隣で恍惚を浮かべる中佐の方を見ずにブリッジのモニター、本艦の位置情報を見ていた。

出航した銚子港まであと800キロ余り、その間ずっとこの司令の自慢話を嫌でも聞いていなければならない。

「だから言ったであろう?私には先見の明があるのだよ。総司令閣下はそれを分かった上で、私を本作戦の司令に任命したわけだ」

もとい、自慢話ではなくただの独り言だ。聞いている者は私を含め誰一人としていないのだから。

というより貴方にナントカの明なんてあるわけ無いでしょう。他に手の空いている者がいなかっただけなんだし……

作戦が終わってから何度も繰り返すが、よくこんなのが司令で上手くいったものだとつくづく思う。いくら〈Ω‐U〉を使用したとはいえ、だ。

後は無事に帰還できるか、ということが重要だ。何せ中佐がやらかしたので、絶対に帰路で何かがあるはずだ。というより「ある」と断言できる。今まで中佐の様なふざけた連中の所為で、その後散々な目に何度遭ったことか…… 確かこういうのをフラグとか……

 

その思考は、右舷からブリッジの壁を貫いた轟音によって彼方へと吹き飛ばされた。

すぐさまオペレーターがモニターに映像を投影する。そこには、リル級輸送艦一番艦スィールが緑色の極太の縄で締め上げられ、真っ二つに寸断されている光景があった。全幅が30メートルも無いリル級に二重三重に巻き付いていることから、長さは優に300メートルはあるだろう。その縄、いや生物だ、怪獣だあれは。しかもあの怪獣は……

『ス……スィール……沈没……』

オペレーターは気付いたのだ。いや、今この海域にいる全ての者が、あれが何かと。

ヤツは判っていてスィールを襲ったのだ。次に襲われるのは恐らく……

再び轟音、襲われたのはリル級二番艦マナナンだろう。

何故なら、スィールとマナナンにはそれぞれ捕獲したゴジラⅡ、Ⅲの両個体が積載されているからだ。ナノメタルで凍結し、活動を停止させたが体内の膨大なサンドスターは健在だった。ヤツはその反応を頼りに攻撃したのだ。

「ぼ、防衛班、何をしている!折角捕獲したアレに逃げられてしまうわ、とっとと打ち落とせ!」

2人のアニマルガールを、ただ出世のためのアイテムとしか考えていない中佐がそう叫ぶも、既に手遅れであった。怒号が飛んだ刹那、異様な高音が艦を包み込み全システムがダウン。防衛どころか航行すらできない状況である。流石に水中の潜水艦の様に大破こそしなかったものの、シールドで保護されているとはいえ、脆い電子機器はあっという間に吹っ飛ばされてしまった。船体もすぐには崩れないだろうが、そう長くはもたない。すぐさま退艦命令を出して、ブリッジ要員が全員出たことを確認し、私も救命ボートへと向かう。浅山中佐は真っ先に逃げ出していたが。

やがて船体は崩壊を始め、乗員は救命ボートへたどり着く前に海へと投げ出される。深く、蒼いあぎとを広げる水の塊に、乗員は為す術も無く飲み込まれていく。私もすぐにその列に加わらねばならない。遂に目の前の通路の床が抜け落ち、海に食われる。そしてヤツの声を聞いた。身体が共振を始めたことを感じるのを最後に、私の全感覚は途絶えた。

そして二度と繋がることは無かった。

 



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participation

いくらなんでも1ヶ月以上間空けるのはヤバイ……


凍て付く冷気に苛まれていく感覚が、腹から沁みる様に広がってゆく。

見ると白銀の水晶が腹に刺さっている様に見えるが、実際はそれすら生易しく思えるほど恐ろしい状況であるのは、その水晶―――もとい腕の付け根がくっ付いている胴体、更にその上に乗っているソードゴーレムもしくはメカゴジラが如き、刃物を幾重にも重ねたような頭部の顔にただの機械には決して宿らない、歪な悦びを浮かべていることから明らかである。

だというのに、何故か恐怖や苦痛は感じない。むしろ侵食され、一体化していくことに些かの違和感すら存在しないのはどういうことか。

10メートル程向こうでも〈アース〉は同様に胸を穿たれ、完全に侵食されていた。だがその表情には穏やかさすら感じられる。

やがて完全に侵食され、五感が遮断されることになるだろうが、既に手は打ってある。

PPPライブの時に使用していた子機の応用で、尻尾の先に意識を移し変えている。

その子機というのはある程度の自我を有するユニットで、その姿―――ゴジラ第五形態がフレンズ化したらこんな感じだろうなというイメージ―――を思い浮かべるだけで、たやすく生成できる。

しかし当初は気付いていなかったのだが、生成の際に自分の意識を分離し、それを空の身体に植えつけることで子機を生み出しているようなのだ。その応用で、意識を一部ではなく全て尻尾に移管出来ることが可能となった。

まぁこの状況だと尻尾動かせないから、元々狭い視界が更に狭くなってるんだけど、贅沢は言えない。音は聞こえないけど大体の状況は分かるんだし、これでも十分だ。ギリギリ侵食されなかった尻尾の先端では視覚しか確保できなかったからな。

 

―――あの後〈アース〉は急に熱線を吐くのをやめ、海の方角を見た。俺もそれに倣ってそちらを向くと、輸送機がハッチを開き、何かを投下しようとしているところだった。不意に胸騒ぎがし、それは〈アース〉も同じだったようで、輸送機に対して同時に熱線を発射した。だが時既に遅し。距離がある程度ありしかも上空にいたので、熱線が届くのにほんの少しの時間があった。そのタイムロスは今はとても大きく、熱線が到達する寸前に全ての積み荷は投下され、腹を空にした輸送機を撃ち落とすだけにとどまった。

積荷が何かは確認できない。森の中に投下されたようなので、現在の向こうの状況を確認する事が出来ない。

そして、そのメカゴジラモドキは一瞬でこちらまでやってきた。なのだからろくに反応する事も出来ずに、あっさり腹をランスのような武器で貫かれ、侵食が始まった。〈アース〉の方はまだ無事で、背ビレを発光させて他のモドキに熱線を放つも大体かわされ、直撃したヤツも何かしらのコーティングを施されているらしく、外装が焼け爛れるくらいで終わった。直撃で大きなダメージが入らなかったことは無かったのだろう。〈アース〉は驚愕の色を浮かべ、一瞬動きが止まった。その隙を見逃さなかったモドキは、展開したランスで俺にしたのと同じように、〈アース〉の胸を貫いた。

 

そしてその後、隔離コンテナらしき、厳重な巨大金庫が如き金属製の箱の中に入れられた今に至る。視覚のみの状況では推測するしかないが、恐らく輸送機に積まれた後、母艦にお持ち帰りされたんだろうと。〈キョウシュウ〉の周りは海だから、行くとしたら他のちほーか別の陸地かだからな。

暫く視覚以外の感覚遮断で、『擬似的な死亡状態ってこんな感じかー』などとのんきに考えていたら、突然自分の身体がコンテナの側面に張り付いた。いや、たぶんコンテナが傾いたんだろう。やべーな、また海の底かよと思っていると、突然コンテナが凹み、浸水するや否や緑色の大蛇が見えたような気がして、そのまま意識を失った。

 

【――――そしてあと3ヶ月】

 

 

※       ※       ※

 

 

「……ぅ…う………」

次に目を覚ましたのはベッドの上だった。せいぜい5、6畳あるか無いかの小さい部屋で、傍にある窓から光が差し込んでくる。あとは扉が2つだけ。

窓からの光は若干暗く、どうやら夜っぽい。あの後沈没したコンテナから引き上げたんだろうと、大体の場合考える。

 

 

幼女達の枕代わりにされてなけりゃ。

「………」

 

「はぁ~……。やっぱりなんどねても………っておきてるううっ!!」

少しの間、幼女達は俺が目を覚ましたことに気付いていなかった。が、すぐそれに気が付いて俺からパッと離れ、部屋の隅に固まってガタガタ震えながらうずくまる。

「ひひあぁぁぁ……ごめんなさいゆるしてくださいぃぃぃぃ………」

5人いる内の1人が目を潤ませながら前へ進み出て、見事な土下座体勢に移行する。

と、そこで自分の胸部装甲板とスカートが外され、ほぼ全身タイツ状態になっていることに気が付いた。

状況は……まぁ、うん…… 大体察した。

とりあえず、『傍から見たら〈幼女5人を泣かせる全身黒タイツ女〉って警察いたら間違いなく逮捕されるよねコレ』みたいな状況だから(いや、まぁ警察こんなとこいないってのは分かってるけど……倫理的にね…)なんとか泣き止ませねば。でもどうやって泣き止ませればよいのやら。

「あぁ……別に気にしてないから大丈夫」

「ほ…ほんとですか……?」

土下座してきた子が目を潤ませながら、上目遣いに見上げてくる。

すると今度は隅にいた内の1人が前に出てきた。

「だ……だいじょうぶなら もいっかい いいですか……?」

そう言って俺の返事を待たずに、こちらへとおそるおそる歩いてくる幼女5人。

その目には光が灯っている。サンドスターの輝き?知性の光?

否。ただひたすらなまでに純粋な、欲望の輝き。幼き故の、無垢な光。

俺はそれに若干気圧されて反応が遅れ、動きを止めてしまった。

そして1人がゆっくりと俺のたわわな胸に手を伸ばし―――

 

 

「ち、ちょっとアンタ達、何やってんの!」

突然扉のひとつが――文字通り――弾け飛んだかと思いきや、そこから部屋に入って来たのは緑の髪をした少女だった。

もちろんヒトでない証拠に、頭からは鋭い角が何本か生えており、ディジェを思わせる1対の背ビレ、更には尻尾まであるのだから、完全に怪獣フレンズだろう。

だが、どちらかと言うと怪獣には疎い俺でも何の怪獣かはすぐに分かった。

額にかけている、イカツイ赤いバイザーに、腰に下げている鈍色の2本の大型鈍器。

〈ガイガン〉だ。

 

「ああもう全く……目離した隙に、あっという間にいなくなるんだから……さぁ怪我人相手は私に任せて、出てった出てった」

「……はーい」

ガイガンの言葉に、案外すんなり従う幼女たち。

5人全員が出て行くと、ガイガンは自分が吹き飛ばしてしまった扉を元の場所にあてがい、手に持っていた黒い塊を蝶番に塗り込む。塊が虹色の輝きを生むと、歪んだ蝶番が元に戻る。

数度開閉を繰り返し、上手く直ったことを確認するとこちらへと向き直る。

「いやーごめんねー。あの子達『ああいうの』好きだから……大目に見てやってくんないかな?」

そう言う間に、腕や脚のあちこちをペタペタ触る。

「んー、だいぶ良くなったみたいだね。これはもう無くてもいいかな」

そう言って、手に持っている、先程扉に使った黒い塊を懐にしまい込む。

「えっと……それで、さっきの子たちも……」

「そ、あなたと同じ、怪獣のフレンズ。変わってたでしょ?なんかさー、ヒトと関わってるほど変な子になりやすいんだよねぇー」

俺が言おうとしたことを先読みし、そこから雑談でも始めようとするガイガン。

先の幼女5人とは違うだろうと、まともなヤツだと油断していた。

 

 

それが駄目だったのだろう。

ガイガンのバイザーの奥の目が妖しく光り、背中に背負っていたチェーンソーを素早く手に取り、それで俺の服をあっさりと引き裂いた。

「!?」

これまでは、黒セルリアンにしか破壊されたことの無かった服が、いとも容易く引き裂かれた事実に呆然としていると、

「ふふふううへへへ……いやーだめだよぉ~ いくらなんでもその外皮は弱すぎるってぇ~えへへへへへ……」

口の端から涎を垂らし、目は虚ろである。それは、目に何かしらの欲が黒く渦巻いているからか。

「お、お前……!」

「大丈夫だからぁ~ 痛くしないよぉ~」

そしてそのままガイガンはこちらに歩いて―――

 

 

《ぽむん》

突然こちらに倒れ、そこだけ服が無いゆえにむき出しの素肌――正確には俺の胸――に顔をうずめるガイガン。

先程の様子から何かあるのかと身構え、しかしガイガンはなんだか息が荒く顔も赤くなっており、どこか悪いのだろうかと思い、無闇に動いて悪化させるのもよくないと考え、ちょっと身動きがとれない。

「……おいどうした?どこか」

悪いのか、と言おうとしたが、

「ひゃうっ!」

代わりに出たのはこの身体になって初めて位の、女の子の様な高い声だった。

その声が出た原因と思われる、胸の辺りを見ると、ガイガンがくわえていた。

何が、とは言わない。胸でくわえると言えばアレしかないが。

「んむっ……んんん…んちゅっ」

「ひゃっ……あ…あぁ…ん…… ちょっ……やめぇぇぇ………」

抗議の声を上げようとするが、無言のガイガンの舌使いで変にあえぎ声を出すだけだった。

ふとガイガンが、赤子の様にしゃぶりついていた乳首から口を離す。

「ふぇ……?」

こちらも完全に蕩けきった声しか出せない。自分の胸からつうと糸を引く唾液の先をたどる。その先に続くガイガンの艶やかな唇が、徐々にこちらとの間を縮めてくるのを見つめながら―――

 

「なっ…貴様いい加減離れっ……」

もうひとつの扉が開き、こちらも俺と同様に軽装の〈アース〉があお向けに倒れこんできた。

そしてその腹には、これまた幼女が張り付いている。

ただし先程の幼女たちが緑色の服であったのに対し、こちらは白っぽい服だ。髪も透き通るようなロングである。

突然の乱入者に、ガイガンは慌ててバッと飛び退き、懐から黒い塊を取り出して俺の服の破れている部分にべちーんと投げつけてきた。するとそこが急速に修復されていく。

そして〈アース〉がこちらに向き直る直前、完全に元に戻った。ガイガンはほっと息をつく。

「おい貴様、この小娘を剥がせ。鬱陶しくてかなわん」

「…………♡」

明らかにイラついている〈アース〉を尻目に、鍛え抜かれた腹にしがみつき、幸福を顔に浮かべる幼女。なかなか図太い神経を持っているようだ。

しぶしぶ立ち上がり、剥がそうとしてみるが、接着剤でくっ付いているようにビクともしない。

「……無理だからしばらくそのままで」

両手を挙げてそう言った。〈アース〉は暫し黙考していたが、

「………分かった」

と、絞り出すように答えた。

 

 

「あっ、そうそう忘れてたよー」

パチンと手を合わせ、「まともモード」に戻ったガイガン。

「うちのボスから、キミ達を連れて来いって言われてたのさー。ボスの前じゃ色々気を付けといた方がいいよー」

 

ボス……?

 



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kaiser

サブタイでネタバレなり


ガイガンに連れられ、暗い通路を〈アース〉と共に歩いていく。

ちなみに〈アース〉にくっついていた、なかなか離れない白い幼女は、ガイガンの殺気であっさりと離れていった。どうやらあの子は筋肉フェチと思われる。

しばらく歩き続けていると、大きい両開きの扉の前に着いた。もちろんただの鉄扉である。だがそこから感じる圧倒的なまでの圧力、そして恐怖は尋常ではない。

ガイガンが扉をノックするが返事は無い。それでも中の状況は分かっているのか、そのままドアノブに手をかける。

「そいじゃ、開くねー。…ボスー、連れて来ましたー」

そして中では―――

 

 

「zzz……zzz……」

黒と金色にその身を染め上げ、頭から2本の角を生やした少女が寝ていた。

………

寝ていた(大事なことなので二回言いました)

「ちょ、ちょっとサブローボス、何で寝てるんですか。起きてくださいボス-」

ガイガンが何度声をかけても起きようとしない。

「ボースー、おーきーてーくーだーさーいー!」

業を煮やしたガイガンは、寝ているボスの頭を引っ叩いた。

何で俺達を呼んだほうが、それもここのボスが寝てるんだとか、そのボスを起きないからといって、思い切り叩いていいのか等々突っ込みたいところは多いが、そうしていると話が進まないのでこのまま黙っている。

まぁ目の前の少女が、先程の殺気の主とはとても思えないがな……

やがてむにゃむにゃ言いながら、そのボスは顔を上げた。

「んみゅ……あ。おー来た…の……か………」

その黄色い目で俺と〈アース〉を一瞥すると、そのままフリーズするボス。

するとタラリと冷や汗を流し、

「ち、ちょっと待ってよガイガン、聞いてないから。ゴジラ2人なんて聞いてないから」

「えー、そうでしたっけー?……あ。ジローさんにそれ言ったんだ」

「むぅ…ちゃんとしてよねー、たのむから」

そしてボスは唇を尖らせ、

「じろー姉ちゃーん、代わってー。あとはよろしくー」

目を閉じる。すると、両肩についている竜の頭を模した飾りの内、左肩の目も閉じる。次に目を開けたときには、彼女の目は澄んだ青、左の竜飾りの目は黄色に変わっていた。心なしか表情が引き締まり、雰囲気も変わった気がする。鋭くなった目つきが、俺と〈アース〉を認める。

「…成程。そっちの筋肉は〈アース〉で、見るからにしょぼそうなのが〈Ⅱ〉か」

なんか俺しょぼいって言われた。中身ヒトなの差し引いても、ゴジラなのに。〈アース〉は〈アース〉で筋肉って呼ばれて、若干不機嫌そうだ。じゃあ熱線撃ちゃあいいのにと思ったが、そうしない理由にはすぐ気が付いた。

遭ってからまだ短いが、俺が『筋肉』なぞ言えば、すぐさま熱線で消し炭にしちゃいそうな位の誇りがあるのは分かる。相手がそれを言ったにも関わらず、不機嫌を露わにする程度なのは、その相手が自分よりも格上だと気付いているからだろう。

ギドラの頂点にして皇帝たる〈カイザーギドラ〉だと……

よくよく考えてみれば、先の白幼女に対しても、吹っ飛ばされてもおかしくない程には〈アース〉はイラついていた。俺が白幼女を剥がせなかったときも、熱線撃ちそうな感じだったけど、そうしなかったのは〈カイザー〉の報復を恐れてのことか。でっかいヤンキー集団の縄張りの中で威張れない、弱小ヤンキー集団みたいなところか。

……例えが分からん?言ってる俺もよく分からん。

 

「戦力としては心許ないが、まぁ無いよりかはまだマシか」

……ん?

「ち、ちょっと待て、勝手にお前等に巻き込まないでくれよ。助けてくれたことには礼を言うが、俺はパークに戻りたいんだ」

俺は相手が〈カイザー〉だということも忘れて反論する。どうやら彼女らはヒトと対立している勢力のようで、(どう考えても〈カイザー〉がヒトに対して友好的とは感じない)助けた俺と〈アース〉を自身の陣営の戦力として組み込もうとしているようだ。

勿論そんなのは御免被りたい。彼女等の相手が軍隊―――すなわちヒトだと、察しがついているからだ。いくら俺の今の身体がゴジラだからと言って、殺人なんて無理だ。

「ここがどこなのか教え」

兎に角パークに帰りたい一心で〈カイザー〉に詰め寄る。

身の程も知らずに。

皆まで言う前にあっさりと背後を取られて、首元に鋭い爪が突きつけられる。

案の定というか何というか……意外にも冷静な頭に、〈カイザー〉は

「…分かったか?」

と一言のみ言葉を発したが、それだけでも俺を従わせるには十分な恐ろしさを持っていた。

少し向こうでガイガンが、だから気を付けた方がいいって……等とブツブツ何かを言い、〈アース〉は平静を保っている様に見えるが若干ゃ冷や汗をかいている。

 

こうして俺と〈アース〉は、彼女等怪獣の“自称”レジスタンスに加わることとなった。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

「まったくもー… やってくれちゃったねキミ」

「う…… つい我慢がきかず…」

その後俺と〈アース〉はそれぞれ別の部屋に連れられ、現在俺とガイガンは同じ部屋にいる。

「んで、今日からここがキミの部屋ね。ある程度は自由に使っていいから」

ガイガンと同じ部屋に2人きり… 先の()()から少し身構えてしまう。

さほど長くない沈黙を破ったのはガイガンだった。

「あー大丈夫。あんな風になるのは1日1回だから」

それでも1日1回かよ。

「…あんなのが毎日あるなら、〈カイザー〉の存在があっても逃げたくなるな」

ガイガンは俺の言葉に心底困った顔をし、

「えー?…… いいじゃん別に。イイコトしよーよ?」

「断じて断る」

分かりやすく落ち込むガイガン。

「そういやさ、さっきの幼女らは?姿が見えんが」

ふと思い出し、それとなく聞いてみる。

「えーと… キミにくっついていた5人は〈カマキラス〉だね。今は船内のどこかにいる」

「…どこかって?」

「さあ?すぐいなくなって、気付いたら出てくるって感じで…」

「なるほど。そうやあいつら5つ子なのか。誰が誰か分かってんのか?」

「大体ね。皆全く同じ見た目だけど、それぞれ好きな身体の部分があるから、それで見分けがつく。分からなかったら、全裸待機しとけば分かるから」

「で、〈アース〉にくっついてた白幼女は?」

当然最後の発言はスルーして、先を促す。

「あの子は〈ドゴラ〉。見た通り、筋肉フェチだね。今〈アース〉の部屋にいるよ」

直後、〈アース〉が入っていった部屋の方から叫び声と罵り声が聞こえてきたが、聞かなかったことにする。

するとこの部屋の物置からも、ガタガタと音がし出し、中から〈カマキラス〉たちがなだれ出てきた。

「巨乳担当〈カマっち〉だち!」

「むに腹担当〈カマに〉だに!」

「ぷり尻担当〈カマさん〉ださ!」

「むちむち太もも担当〈カマよ〉だよ!」

「ごっつい尻尾担当〈カマこ〉だこ!」

……なんつーか

「名前も語尾も安直過ぎね?」

「それ言っちゃダメなやつ」

 

 

【――――そしてあと2ヶ月半】



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from end

ガイガンは1人立ち尽くしていた。周りは天まで届かんとする焔に包まれ、地獄の様相を呈して―――いや、実際地獄であった。ガイガンの視線の先には、金色を身に纏い、その身の端々を黒で補う少女が1人佇んでいる。

ガイガンはただただ恐怖する他無かった。金色の少女の足元には、不恰好な肉の塊が散らばっている。それらは、かつてガイガンのボス()()()()()()だった。

 

既にガイガンの仲間は誰もいない。味方もいない。恐怖と孤独が胸をひたりひたりと満たし、絶望に押しひしがれてゆこうがお構い無く、その間にも死はガイガンの元へと少しずつ、しかし確実に近付いていった。

そして金色の少女がその身の輝きを、一層強めたかと思うと―――

 

 

 

【――――そし¤Æ¤¢¤È5ÉáÛ

 

 

 

※       ※       ※

 

 

【――――そして1ヶ月半前】

 

 

〈カイザー〉らに強制参加させられて、既に1ヶ月が過ぎた。それに伴い、周りの事も分かり始めてきた。

まず彼女らの拠点だが、彼女らが鹵獲した軍艦――すなわち鹵獲艦を集め、サンドスターローで繋ぎ合わせたり、補強することで拡張しているそうな。現在も拡張し続けているそうだが、実のところ、ほとんどのスペースは全く使ってないらしい。

じゃあ拡張する意味無くね?と、思ったままの疑問そのままを口にすると、なんか作るの大好き系のヤツがいるとの答えが返ってきた。止めろと言っても止めないそうで。さりとて力で従わせようにも、それだと拠点に傷が付く。外の海に誘導して闘おうとも考えたそうだが、この複雑化した拠点は最早ヤツの庭も同然で、神出鬼没のヤツに翻弄され、逆に閉じ込められかけたこともあったとのこと。

「めちゃ怖かったんださ(カマさん談)」

流石の〈カイザー〉もお手上げで、皆手を焼いているらしい。

……ボスが自分たちの拠点の構造知らない時点で。いや、それ以前の問題として、ボスが押さえられないヤツがメンバーにいる時点で、組織としてどうかと思うが。

ちなみにこの拠点、底部のサンドスターローを〈カイザー〉が制御、変形させて移動できるらしい。あの時この場所が何処なのか問いただそうとしたが、上手くいっていたとしても、どの道意味は無かったのだ。

 

次に、彼女らの構成だ。

トップたる〈カイザー〉。戦闘力からして幹部クラスの立ち位置(たぶん)である〈ガイガン〉。拠点周辺の警戒を担当している―――俺と〈アース〉を確保の手助けもしたそう―――〈マンダ〉。一応下っ端の5人の〈カマキラス〉姉妹と〈ドゴラ〉。俺が現在知っているのは、ここに挙げたこの9人を含めても、ただの20人もいない。

〈カイザー〉曰く、他にも多数の幹部及び無数の下っ端がいるそうだが、皆世界各地に出向き、人類との戦いに明け暮れているそうな。

 

 

まぁそんなこんなで、よくも悪くも彼女らと馴染んできたのだが、このおよそ半月の間俺は一体何をしていたかと言うと―――

 

敢えて言おう、食っちゃねであると。

はい、日本のニートと何ら変わりはありません。寝て海潜って魚食って、あとはしたりガイガンたちと遊びまくってただけです。たまに戦闘訓練的なのに駆り出されたりしていたけれど、ほとんど遊び呆けてました。じゃなくて〈カイザー〉からは特に何も言われてないので。

………いや、用事のあるヤツを遊びに誘うなって、叱られたっけな。あともう少し節操を持てと言われたが、ソレはガイガンとカマキラス姉妹が勝手にやってることだから、俺に言われてもって感じで…

……何のことか、だって?言わせんじゃねぇよ恥ずかしい///

 

 

とまぁ、そんなこんなで今日も今日とて食っちゃねだー、なんて自室でダラダラしていると、〈アース〉共々〈カイザー〉からお呼びがかかった。面倒だなと思いつつ、しぶしぶ彼女の部屋に向かった。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

「貴様らには、暫く遠征に行ってもらう」

「断る」

俺があっさり断ったので、〈カイザー〉は鬼の形相で迫ってきた。

「貴様ふざけているのか?ただの1ヶ月前のことだというのに、もう忘れたか?」

首元に、その鋭くもゴツい爪を添えてくるが、内心ビビりつつも表面では平静を保っている。

実はこの1ヶ月の間、同じようなことは何度かあったものの、〈カイザー〉は脅してくるのみで、一切手出しはしてこなかった。こんな俺でも、一応は戦力として計算しているようだ。

「というのは冗談で。まぁ話進めて」

何か言いたげだった〈カイザー〉だが、なんとか自分の椅子に座り直した。

「…この1ヶ月間、貴様らの様子を見させてもらった。それらを踏まえての我の判断だ。異論は認めん」

 

その後の〈カイザー〉の発言を要約するに、近々大きい作戦が始まるそうなので、それの前準備とのこと。念のため監視はつけるそうだが、有事には基本各自の判断を尊重するとのこと。まぁそんな感じだ。

パッと終わらせてパッと戻るかー。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

結果から言わせてもらうと、

『〈カイザー〉マジふざけんな』だった。

ほんと何なん?何でいきなり最前線に、こんなぺ―ぺ―を出すかなぁ?

俺と〈アース〉を凍結した金属水晶のバケモノが大群で押し寄せ、2人一緒に震え上がったり、メーサー車に意外と苦戦したりと、比喩でもなんでもなく、本気で死ぬかと思った。

兎にも角にも散々だったが、〈カイザー〉は満足げで、俺と〈アース〉は図らずも、短い間でそれなりの信頼を得ることとなった。

 

そんな俺にひとつの任務が与えられた。

 

「前々からヒト共の動きが怪しかった。かつて空から金の光が落ちてきた時も、我々が落下地点へ向かった際、先にその光の正体を確保したと思われるヤツらから、異常とも思える攻撃を受けた。あの光の正体が、ヤツらにとってどれ程のものなのか…

ヤツらは禁忌に触れて何かを生み出した。それが何かまでは分からんが、危険なものだということは確かだ。

事実、北の海へ遠征に行った者たちが戻らんのだ。どうやら光の正体はその時その場所にいたらしい。現在はヒト共の拠点へ輸送中らしい」

〈カイザー〉はそこで一呼吸置いて、言った。

「その新兵器を破壊、もしくは鹵獲しろ」

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

監視兼案内役のオルガの後ろに付き、翼を大きく広げて艦隊のいる場所へと向かっていた。

何故目標の新兵器が輸送中という、ヒト側でも一部の者しか知らないであろう情報を知っているのは何故か。

最初は聞こうとしたが、すぐに大体の予想がつき、また俺が聞くほどのことではないと思い、聞くのを止めた。

まぁ、ヒトも怪獣も、()()あるんだろうと思ったからだ。

そんなことを思い出していると、オルガが

「見えてきた」

と言ったその方向を俺も見る。

なんとまぁご立派な艦隊だ。足の速い駆逐・巡洋艦だけでも20、高火力の戦艦クラスは10を下らない、馬鹿げた大艦隊だ。

しかし、戦闘艦とは異なる様相の輸送艦が3隻、それらの艦隊に守られていた。

情報と〈カイザー〉自身の感覚によると、新兵器はひとつのみとのこと。それを信じるなら、残り2隻はただのフェイクか。

そうであってほしいとおもいながら俺はスピードを上げ、艦隊へと突っ込んだ。オルガはスピードを落として姿を消す。透明化の能力は彼女のみのもので、レーダーにも映らない。攻撃を受けずに、安全な監視を行う。

暫く飛んでいると、向こうも此方に気付いたのか、メーサー、ミサイルや対空砲で濃密な弾幕を形成する。

前にも言ったが、はっきり言って人殺しなぞ御免だ。ヒト側の被害は艦船のみにするため、熱線は使用せず、メーサーとミサイルは回避、対空砲は効かないのでそのまま受ける。

前の遠征で確立した戦法だ。他の怪獣たちも似たような戦法だが、攻撃はバンバンしており、俺の攻撃をしない戦法は彼女らから「手ぬるい」等と不評を買ったのだから、たぶん幾らかは人道的だと思う。まぁ戦争やってる時点で、人道的とか言えた口じゃあなかろうが。

 

艦内に簡単に侵入できる方法を模索しながら、対空砲を受け続けていた。

ふと、他と明らかに異なるミサイルが迫って来た。嫌な予感がしたが間に合わず、対空砲と同じように受けてしまった。ドロリともねっとりとも言える内容物を全身に被ってしまい、歯噛みする思いと何故かどこか興奮する自分がせめぎ合っていると、今度は対空砲を撃ち込んで来た。効く訳がないと思って受けた。

しかし、何故か当たった感触がないのだ。当たった左腕を見ると、頑強な外皮で覆われている筈が、そのほとんどが吹き飛び、残った部分もドロドロに爛れていた。

その光景に、ただただ驚愕する他なかった。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

『軟化剤誘導弾、命中を確認』

オペレーターである私の見事命中の報を受け、対空砲の砲手たちが一斉に〈Ⅱ〉に対して弾幕を形成する。皆並々ならぬ思いを抱いているだろうと思いながら、目の前の光景を見ていた。

やはり、効かないと踏んでいた不動の〈Ⅱ〉だが、対空砲ですら効くようになったと気付いたのか、目に見えて慌て始めた。それを対空砲が追い詰める。弾に弄ぶ様な狂喜を見た気がして、かぶりを振った。

止めの一撃として誘導弾が発射される前に、私は身体を計器類に向けた。

もう結末は分かりきっていたからだ。

 

次の瞬間、艦橋を他とは異質な、鮮やかな虹色の光が塗り潰した。

『〈Ⅱ〉反応消失しました』

『…分かった。皆ご苦労』

指揮官の短い、しかしを労る気持ちを計り知れる言葉で艦橋の雰囲気は〈Ⅱ〉を倒した感激に包まれた。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

先の戦闘結果を聞いた、俺を含む大勢のメカニックマンの間では、〈Ⅱ〉の討伐の話題で持ちきりだった。

流石『C-G001』輸送の護衛艦隊だけあって、潤沢な新装備が優先して供給される。「軟化剤誘導弾」もその新装備のひとつで、頑強な怪獣の外皮を文字通りトーフのごとき軟らかさにしてしまうというものだ。

まだ不完全な代物でトーフまでとはいかなかったが、ゴジラに対してあれ程の威力を発揮するとは夢にも思わなかった。

今後、〈ゴジラⅡ〉討伐という実戦での結果を踏まえて「軟化剤誘導弾」は本格的に量産されるだろうという噂が早速出始めている。

それの開発部署にも多くの予算がつくだろうし、やはりメカニックマンであっても世渡り下手では駄目だと改めて感じた。

 

 

 

 

 

西暦2■■■年10月27日

この日、フレンズ化したゴジラ型怪獣〈ゴジラⅡ〉は消滅した。現場海域にはその尻尾が残るのみだったという。

 

 

【――――そしてあと半月】

 

 

 

 



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gigan

それはガイガンにとって大きな喪失であったが、不思議と何の感慨も湧かなかった。

オルガから〈Ⅱ〉死亡の報を受けた〈カイザー〉はすぐにそれを皆に伝えた。そしてこう続けた。

「我らの同胞がまた1人消えた。だが立ち止まってはいられん。決起の日まで、あと14日しかないのだ。それまで、各々は自らをより洗練するよう」

確かに感慨は湧かなかった。しかし〈カイザー〉の素っ気ない言葉であっても、ガイガンはそう簡単には割り切ることは出来なかった。この時ガイガンは初めて〈カイザー〉に対して、少しではあるが憤りを感じていた。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

かつてガイガンはアフリカに生息する雁の怪獣だった。怪獣たちが我が物顔で跋扈跳梁しているサバンナでも、単独で生きて行ける力を持っていたのだから、それに目をつけた人類の手によって〈対怪獣用怪獣〉に仕立て上げられるのは至極当然の流れとも言えた。

脳にチップを埋め込まれ、骨格を金属で補強されて、最前線部隊のひとつに送られた。

勿論、最初兵達の信用はゼロにも等しいもので、除隊しよう等と言い出す者もいたという。上層部はイカれちまったと思われるのも無理は無かった。

 

基本戦術は、ガイガンが最も強力な怪獣を相手にし、そこそこの強さの怪獣はヒトが対処するというものだった。

―――個対個で真価を発揮するガイガン

―――群対群で有利なヒトの軍

意外にもこの組み合わせはぴたりとはまり、部隊は次々に怪獣らを倒し、戦果を伸ばしていった。

勿論、そんな彼らをそのままにしておく上層部では無かった。

―――『正義のサイボーグ怪獣〈ガイガン〉』

―――『人類との見事な連携に敵無し』

前者の触れ込みは兎も角後者の通り、確かにその戦果はずば抜けており、民衆好みの英雄に仕立て上げるのには丁度良かった。

端的に言えば、ガイガンは人類のプロパガンダに利用された訳だ。

 

一方そんなこととは露知らず、ガイガンの部隊は英雄像に見合う戦闘を要求されるようなった。

連日連戦、休む暇などある訳も無く、兵達の間には次第に不満と疲労が溜まっていった。ガイガンも幾度と無く、その身を削っていった。目を失い、鋭い鉤爪を持つ両腕を失い、義眼をはめられ両腕は鈍器、チェーンソー、ミサイルランチャー、胴体には回転ノコギリetc. 諸々失い付けられ失い付けられの繰り返し。ガイガンの負担も相当なものだったのは想像に難くない。それでも、部隊の者達とガイガンの間には、確かな信頼と深い愛情があった。

極限の死地の中でのみ、育まれるもの。背中を預け、己を犠牲にせんとまで互いを守ろうとするそれは、普通の世界では決して存在し得ないものだった。

しかし上層部はそんなことなどお構い無く、更に過酷な作戦を強いるようになった。

兵達の限界は存在しないと思い込んでいた、上層部の愚かさは留まるところを知らず―――

そして来るべき時が来たのだ。

 

疲弊しきった兵達、そして―――全てのリソースをガイガンに詰め込まされた結果―――ロクに補給も修理も受けられなかった兵器までもが限界に達し、その隙を怪獣達に突かれ、部隊は壊滅してしまったのだ。

唯一生き残ったガイガンですら、もう用済みと回収部隊が放棄しようとしたのだ。

 

―――自分達をいいように使っておいて、お前らの失態でこうなったというのに、要らなくなったらあっさりこれか。

お前らヒトはもう信用ならん。私が愛したのは、常に私の側にいた者達だけだ。しかし彼らはもういない。

私が彼らと過ごした時間は確かに輝いていた。だがいずれ失われるものであるなら、果たしてあの出会い、あの時間に意味はあったのだろうか。そもそもあのような出会いなぞ、無い方が良かったのではないのか?

ヒトなぞ……ヒトなぞ………

 

 

 

薄れゆく意識の中で、ガイガンは今は亡き戦友達を除く、全ての人類を憎み、怨みながら最後の時を待った。

しかし死への道筋は閉ざされた。

〈カイザー〉らのレジスタンスがガイガンにサンドスターを使用し、戦力に組み込んだのだ。

自分らはもう使わないにも関わらず、やはりレジスタンスには渡したくなかったのか、回収部隊は対抗したが、その脆弱さ故にあっさりと壊滅したのだった。

しかしこの戦闘には妙な部分があった。

 

戦場だけとは限らないが、死に過ぎた人々の恨みは生き残る人々を取り込もうとするらしい。(科学的根拠は勿論無いが所謂ジンクスというものである)

この時もガイガンと共に戦い、散っていった兵達の無念はその場に渦巻いていたのだろうか。回収部隊は十二分な兵力を以て現地にやって来た。中には最新のメーサー車があった程だ。一方レジスタンスの派遣隊は、『ヒト共が、死んだ同族の骸の回収に、それ程戦力を割く訳なかろう』という〈カイザー〉の判断により、大した怪獣は送らなかった。事実、派遣された怪獣はカマキラス姉妹だったのだから…

にも関わらず、回収部隊は壊滅し、カマキラス姉妹に被害は一切無かった。もしかしたらガイガンの亡き戦友達の思念は、味方に打ち捨てられるより、敵地で自由にしていられる方が―――そんな保証などほぼ無かったが―――ガイガンにとって幸せではなかろうか。そう思って味方の部隊を壊滅へと追い込んだのだろうか。

 

勿論何の根拠も無い戯れ言ではあるが、何かしらの巡り合わせがなければ、完全武装の部隊がたかが下っ端のカマキラス姉妹に壊滅させられるなど説明が付かないのである。



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ghidorah

〈カイザー〉の背を始めとして、数多の怪獣フレンズが群れを成している。その中には勿論カマキラス姉妹、ドゴラやガイガン、〈アース〉の姿もあった。

 

〈Ⅱ〉が死んでおよそ半月。しかしそれは、彼女らの士気に大した影響は及ばさなかった。

今まで幾度と無く、仲間の死はあったのだから既に慣れきっていたのだ。

 

そして彼女らの見る先には、人類が世界中からかき集めた討伐部隊。その数およそ3万。多数の陸上艦やメーサー車に加え、炊飯器━━もといスーパーXが数千。試作段階の兵器群に、骨董品レベルのものまで駆り出され、まさしく『総力戦』であった。

 

対して"レジスタンス"の戦力は、2000にも満たないだろう。

しかもその大半は下位怪獣、即ち生物の延長線上でしかないのだから、その戦力差は圧倒的に怪獣らにとって不利なものだ。

しかし、彼女らには信念があった。自らを霊長と自称するまで付け上がった人類を、その高見から引きずり下ろして地球をあるべき姿に戻すという信念が。

自らを、負けるわけにはいかないと鼓舞し、奮い立たせることで圧倒的なまでの戦力差を埋めようというのだ。

 

しかし、それは人類側も同じことだった。

いや、同じではない。より深く、暗く、淀みきった思い。最早『怨み』といえる信念。故に強く、流れを乱す力がある。

怪獣達の信念は、人類に対して多少の恨みこそあれども、純粋なただの『怒り』で、人類の様な怨みとは似て非なるものだ。

色に例えるならば、『怒り』は澄んだ赤。『怨み』はドス黒く淀んだ血の赤。後者の方がより強く、相手を飲み込む力も強い。

そのような深い怨みを持つ人類が、禁忌を犯さないと思い込んでいたのだろうか。

最早人類は手段を選ばない。恐るべき黄金は、その力を抑えたまま時を待つのみである。

 

 

いよいよ最後の幕が上がる。

「では……ゆこう」

〈カイザー〉は一言、それだけ言うと身を翻して正面の討伐部隊に身体を向ける。そうする前の刹那、〈カイザー〉の双眸が紅く輝いているのを見逃した者はいなかった。

〈カイザー〉が今の今まで敵であるヒトはおろか、味方にまで見せたことのない〈イチロウ〉の姿であった。

直後、〈カイザー〉は眩い光を発し、3つの身体に分裂した。紅の〈イチロウ〉、青の〈ジロウ〉、黄の〈サブロウ〉の3人が揃うのは、勿論これも初めてだった。

そして〈カイザー〉3人が一歩踏み出した瞬間━━

 

討伐部隊中央の陸上輸送艦から発した黄金の奔流は、〈イチロウ〉の胴を容易く貫いた。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

そこからはもう戦いと呼べるものではなかった。

その後、〈ジロウ〉〈サブロウ〉も討ち取られた。

下っ派怪獣は悲鳴を上げて逃げ狂うが、3つの黄金はお構いなしに蹂躙し続ける。開幕からまだ4分足らずだというのに、そこかしこに割れたザクロの様な末路を辿った屍の山が堆く積み上がり、比喩でもなんでもなく、本当に血の海が出来ているのだから、その異常さがよくわかると言うものだ。

合体したカマキラス姉妹も、巨大化したドゴラも何もできずに息の根を止められた。

 

〈アース〉はとっくに離脱した後だった。〈アース〉がレジスタンスに残留していたのは、単に己の上位者たる〈カイザー〉の存在があったからであり、その〈カイザー〉亡き今残留する意味は全く無い。そもそも〈アース〉にとって、この総攻撃は丁度渡りに船ではあったものの、正直だめで元々な感じだったので、自らの命を賭してまでレジスタンスを勝利に導くつもりなどさらさらないのだった。元々そのような大儀などない、己の哲学のみに従って行動する〈アース〉ならなおのことである。

 

結果、残ったのはガイガンただ1人であった。

かつて仲間であったものが死屍累々としている状況にも関わらず、少なからずの正気を保てているその精神力には感服せざるを得ないが、その命が風前の灯火であることは、黄金の姿を見れば明らかだった。

 

黄金。どこまでも澄んだ、美しき黄金。

その調和を乱すはずの、所々に入ったサンドスターローの黒は、むしろエッセンスとして黄金の美しさを際立たせている。

その黒は人類の欲望の醸成とも取れる程、禍々しいものであった。

先の3つの黄金の奔流は、この1体のみによって放たれたものだ。〈カイザー〉を一撃で葬ったことから、その威力は想像を絶する。

これ程の力を、人類は独力で産み出したのか?

否、人類は偶然によって手にした〈ギドラ〉の身体を高濃度のサンドスター━━すなわちサンドスターローによって修復し、新たな駒として再生したのだ。

 

最後の抵抗を見せた、もう殆ど血と肉の塊となった最後の味方が〈ギドラ〉によって、無慈悲なまでに処理される光景を焦点の定まらない目で見つめていたガイガンは、〈ギドラ〉の方へと顔を向けた。

両目とも虚ろを宿しているが、左目のみがセルリアンのそれとなっている。左右に髪を垂らしており、それを上へと辿っていくと、側頭部から突き出、左右非対称にねじくれた角が見て取れる。上着は鱗の模様があしらわれ、腰には殆どクズ切れの様になったベルトが何重にも巻かれている。

背中からは、完全修復はままならなかったのか、それともこの戦闘でダメージを負ったのか、ダラリと爛れたままの翼が不定形に生えている。

何より、その身の欠けた部分をサンドスターローで補っていることが、最大の特徴と言えよう。

 

そういった特徴を朧気な目で見つめながら、ガイガンは〈ギドラ〉の振り下ろす腕が己の身を切り裂くのを待った。

 

 

 

 

 

━━

 

 

━━━━

 

 

 

【━━━━そしてあと

 

 

 

 

 

0秒】

 

 

ふと、視界を土煙が覆った。

 

何事かと顔を上げたガイガンは、その姿を見た。

 

〈ギドラ〉のではない。黒い外皮に身の丈程もある、長い尻尾を携えた━━

 

 

 

 

 

「……ゴ…ジ………ラ…」

 

 

 

半月前、欠片も残さず消え去ったはずの

〈Ⅱ〉であった。

 

 




次回 最終回


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GODZILLA

長らくお待たせいたしました。最終回()です。
それでは、見納め下さい。



「…ゴ…ゴジラ……?どうして…」

オルガ曰く、〈Ⅱ〉はヒトの新兵器により、欠片も残さず消滅したはずであった。しかしガイガンの目の前に背を向け佇んでいるのは、所々差異はあるものの〈Ⅱ〉であることは間違い無い。

「…久しぶり、だな。おっと」

飄々とした似合わない雰囲気を漂わせる〈Ⅱ〉は、〈ギドラ〉の右腕から繰り出される攻撃を左の手で受け止め、いとも容易く防いでみせた。そこでガイガンは〈ギドラ〉の攻撃が実は単調で、タメの長いものであることに気づいた。高い威力こそあれど、当たらなければどうということはなく、防げないものではなかった。大将の〈カイザー〉が簡単に斃された衝撃と恐怖が、その事実を霞ませていたのだ。

「…死んだはずじゃあって顔してるな」

〈Ⅱ〉は涼しい顔をこちらに向けた。完全に静止している様に見える二人の腕だが、実際は限り無く高いエネルギーがそこに集中しているのだろう。相手を押し返そうとするエネルギーの余波が、周囲の空気をビリビリと振動させている。

「単純なことだ。尻尾だけ残ってて、後から復活したのさっ…」

〈Ⅱ〉の左腕が〈ギドラ〉の攻撃を押し返した。〈ギドラ〉はバランスを崩して後退する。

「んで、つい2日程前にここまで回復して、やって来てみたけど…」

10メートル以上後退した〈ギドラ〉だが、すぐさまその腐食しかけている両翼を広げ、再びこちらへと突進してくる。

「…残ってんのはお前だけか、ガイガン」

ガイガンの答えを待たず、〈Ⅱ〉は熱線を発射した。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

全く…ようやく復活して来てみれば全滅か… 意外とこの〈ギドラ〉はヤバそうだな。油断できん。

あれから大体どのくらい経ったのかは分からない。ヒトの攻撃で尻尾のみになった後━━金属水晶のナントヤラの時と同じ様に、直前にそこへ意識を移した━━、たまたま断層深くまで沈んでいき、運良く底に露出していた、サンドスターローを使って復活した。(サンドスターローも、と言うよりセルリアンも色々考えているようで、純度の低いサンドスター、すなわち溶岩としての性質の薄い方を海中に露出させることで、ローは自らを保護していた。)

彼女らの拠点へと戻ってみたものの、周辺警戒を担当しているマンダ以外皆出払っており、聞けばもう既にヒトとの決戦へと向かったとのこと。そこで、尻尾のみになる直前に輸送艦隊が運んでいた新兵器のことが脳裏をよぎった。

ミサイルで身体が爆発四散する直前の刹那に感じた「何か」が、もしその戦いで使われたら…?

襲ってきた嫌な予感に急かされ、決戦場所をマンダに聞き、大急ぎで向かったが、この有り様であった。

 

別に〈カイザー〉達に加勢するつもりは無かったし、勿論彼女らが成してきた行動を肯定することもない。しかし俺も結果として、ヒトを直接手に掛けたことは無かったとはいえ彼女らと同じことをした訳だ。殺されはしなかったものの、「〈カイザー〉からの圧力があった」というのは言い訳に過ぎない。俺は既に、本当の意味での〈カイザー〉ら"レジスタンス"の一員であったとも言え、今この場所にいるのは至極当然の流れなのだろうか?

 

などと浮かんできた思考の流れを断ち切り、今尚照射し続けている熱線の制御に集中する。流石高濃度のサンドスターローを用いただけあって、今までとは比較にならない威力だ。

流石の〈ギドラ〉も危険と判断したのか、熱線発射と同時に急停止。そして大きく反転し、振り向き様に引力光線を放ってきた。

あちらもサンドスターローは使ってはいるのだろうが、いかんせん〈ギドラ〉は初陣だ。まだ実戦に慣れておらず、光線の威力が低い。パークでの対セルリアン戦を含めた、俺の経験の方が〈ギドラ〉より上だろう。そのまま押し切ろうと熱線の威力を強めた。

が、やはり素体からして違う様だ。〈ギドラ〉は弱いながらも重力制御を行い、僅かではあるが俺の熱線の軌道を逸らして回避してみせた。高威力故に動きを掴まれ易いのがこの熱線の欠点だ。

経験差を埋める程の高い基礎能力を前にして、どうしたものかと思案していると、周囲に大規模な爆発が起こる。大量の岩塊や土砂が巻き上げられ、視界を遮る。どうやらヒトの本隊が砲撃を開始した様だ。後少しで最後の怪獣フレンズを倒せるという所で、とっくに死んだはずの俺の邪魔が入り、〈ギドラ〉━━と言うよりヒト━━の勝利に陰りが見えたのだから、俺とガイガンに対して〈ギドラ〉以外の攻撃を加えるのは至極当然と言える。

そんな俺だが、既に獲得していた各種空間認識能力で周囲の状況を確認している最中だ。

 

赤外線━━爆発の熱源で良く分からん。ただ、着弾地点は確認できた。ガイガンがいた所には直撃していないようだ。

音━━赤外線と同じく、爆発の影響でさっぱり分からん。特に有益な情報はナシである。

超音波━━様々な波長のものを使えば状況確認はできようが、めんどいからやらね。

放射線━━そもそも怪獣フレンズになってる時点でそんなものは出してねぇ。クリーンで環境に優しい反乱分子こと俺達である。強いて言えば、サンドスターロー位か。

 

 

 

…サンドスター……

 

━━━!

そうか、それがあった!あーもう何でその事忘れてるかなぁ……!

兎も角サンドスターで周りを見てみると、バッチリ〈ギドラ〉の位置丸分かり。だがこれ程の濃度、量はこれまで見たことがない。一旦退くのもひとつの手だ。

「ガイガン、これからお前を抱えてトンズラするぞ。いいな」

ガイガンのいる場所まで行き、〈ギドラ〉には聞こえない音量で話し掛ける。しかし、難色を示すガイガン。

「で…も……それって負け…」

「でももだっても無い。戦略的撤退だ。このままじゃお前まで死ぬぞ?」

「………分かった」

渋々といった様子で頷いたガイガンを抱え、翼を広げて海へと翔んだ。

どれ程遠くへ翔んだとしても〈ギドラ〉は追ってくるだろうという嫌な予感は、身に叩きつけられる風でも吹き飛ばしてはくれそうになかった。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

その後なんとか海へ出て、拠点へと戻ってくることができた。〈カイザー〉の能力がまだ残留しているのか、主を失ってもなおその威容を保っていた。

俺とガイガンを除く全員の怪獣フレンズが全滅したことと、じきに〈ギドラ〉がここにやってくるだろうということをマンダに言ったところ、

「己に与えられた役目の果てる時、己のこの命尽きる時」

とだけ言い残し、周辺の警備へと戻っていった。

俺としては逃げて貰いたかったのだが、あまり聞き入れて貰えそうにない。本人の意志なんだから、無理強いすることもできない。

 

兎に角〈ギドラ〉を迎え撃つ為の手立てを講じるべく、この拠点を維持しているサンドスターローを、俺でも制御出来ないものかと試行錯誤していたところ、

「ねえ……これからどうなるのかな……」

ガイガンが物憂げな顔をして訊ねてきた。

「…そりゃあ〈ギドラ〉に怯えながらコソコソ生きるか、このあと殺されるのどっちかだろ。ま、実際どうなるかは俺にも分からんが」

「嘘、本当は知ってるんじゃないの」

突然何だ?とりあえず、作業を続けたまま話をすることにした。

「何を根拠にそんなことを?俺は本当に、これからどうなるか知らんぞ」

「じゃあ何であいつの名前を知ってるの?キミ知らないはずなのに。〈ギドラ〉って名前、キミがあの時いなくなるまでボスの口から出たこと無いんだよ」

成る程、それは盲点だった。外観からキングギドラ━━と言うよりアニゴジのギドラだろうと推測した結果、〈カイザー〉の知っていた呼称と被っただけなんだろうが。

「それに、あいつに対して全く躊躇せずに向かって行ったよね?初めて見る敵に、正面切ってやり合うなんて愚策、普通しないよ。……知らないはずのあいつのことはすぐ分かった癖に、何でこのあとのことは簡単に分からないの?」

最後の方は少し震えていた。やはり怖いのだ、彼女も。俺とマンダを除く仲間が全滅したのだから、当然だ。俺は暫し作業の手を止め、改めてガイガンへと向き直った。

仕方ない。もう誤魔化す気も無い。というか、次こんな風に話せる機会など無さそうだ。

伝えよう、俺の知ること全てを。

 

ガイガンの、期待と不安がないまぜになった顔を見据え、一呼吸置いてから口を開いた。

「…実は俺は元々ヒトだったんだ。死んだと思ったらゴジラになって、そのあとフレンズ化したんだ。だが、俺が死ぬ前にはゴジラはおろか、怪獣なんてただの1体も実在しなかった。いや、フレンズだってサンドスターなんて物も無かった。全て空想上の存在だったんだ。俺がかつて生きていた世界ではな」

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

「…つまり、この世界は実在しないはずの世界ってこと?」

「多分な。まぁ実際は、所謂〈けものフレンズの世界〉に〈怪獣〉の要素がゴッチャになった世界なんだろうけど。所謂パラレルワールドってやつだな」

「ぱ、ぱられる…?」

聞いたことの無い単語に、首をかしげるガイガン。

「ああ、えーと…なんて言ったらいいのかな…… 平行、つまり〈交わったりしない世界〉って意味だな」

「成る程… ヒトの空想上の存在が融合した別世界ってこと…」

未知の知識を、既知でどうにか理解しようとするガイガン。

今まで別の世界なんて考えたことも無かったのだろうから、戸惑うのも無理はない。

「でもさ、キミは元いた世界に何で戻れないの?こっちこれたんなら戻ることだって…」

「いや。帰る方法が分かっていれば、こっち来た時に実行してるさ… その時はまだ〈けものフレンズの世界〉だって分からなかったからな」

 

 

━━━こんな調子で話を続けていると、やがてガイガンの身の上話へ自然と変わっていった。

「あたしさ、元々ヒトと一緒にボスたち相手に戦ってたんだ。でもさ、同じ部隊のヒトはとてもいいヒト達だった。それ以外はクソだったけど… 言っちゃなんだけど、けっこう楽しかった。ある時そのクソ達の所為で無茶な戦闘を繰り返して、部隊は全滅。あたしも死にかけで… でもボスがあたしに価値を見出だしたのかな。サンドスターを使われて、フレンズになった。わざわざ瀕死の状態のあたしを引き入れたかったのは、今となってはわからないけどね」

確かに、俺の外皮をあっさり破った戦闘力は評価されるだろうが、一日一回、しかも短時間となれば、大した価値は無いはずだ。〈カイザー〉は一体どういう考えで……

そこまで思考を進めた時。

ドオオオオォオォォォオオォ……

 

「!!?何だ?!」

拠点が轟音と共に大きく揺れ、あちらこちらが悲鳴を上げる。

その時、拠点周辺の海域にあった"気"が不意に消えた。

ガイガンが大きく身体を震わせた。恐らくマンダがやられたのだろう。

遂にヤツが来たのだ。

ついガイガンとの話に気をとられてしまっていたが、既に用意はできている。

「ガイガン…!お前は遠くへ逃げろ。一緒に戦おうとか言うな、犠牲はひとりで十分だ!」

返り討ちにすべく、外壁を熱線でぶち破った。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

拠点の外に出て、強大なサンドスター反応のする方を向くと、左手でマンダの身体を貫いた〈ギドラ〉が佇んでいた。

〈ギドラ〉が無造作に腕を振り、マンダはゆったりと海溝へと吸い込まれていった。

遺体を回収して弔ってやりたいところだが、〈ギドラ〉を前にしている今の状況では不可能だ。

心苦しいが、今は気持ちを切り替え、目の前の存在と向き合うしかない。

先に会敵した時よりも、その黄金の輝きを一層強めており明らかにヤバい。

 

爛々とした目を見開き、一瞬の加速で体当たりしてくる。

水中での戦闘であっても、こちらを圧倒する気なのだろうが━━━

 

《………?》

「はぁっ…!」

《……!》

 

俺を見失って戸惑う〈ギドラ〉に熱線を浴びせるが、すんでのところで回避された。

元々このゴジラは水棲生物だ。水中戦を戦うなぞ造作もない。〈ギドラ〉との実力差はかなり縮まっており、さっき掠めただけでも、十分まともに戦えるということだ。

今度は鋭い爪で引き裂こうとしてくるが、これまた回避。ふと、上下左右に何度も腕を振ってくる、〈ギドラ〉の無表情であった眉間にしわを寄せているのに気が付いた。

 

どういうことだろうか。兵器として改造された〈ギドラ〉には不要な感情があると言うのか?感情をそのままにしたのであれば、兵器として非効率的だ。流石の人類でもそんな間抜けた失態はしないだろう。であれば、無いもしくは消した感情が新たにないし再び発生したということか……?

 

自身の攻撃が全く当たらないばかりか、余裕の表情を浮かべて全てかわされているためなのか、〈ギドラ〉に焦りが表れ始め、蹴りも含めた無茶苦茶な攻撃になってきた。

いずれ大きな隙が出来るだろうから、そこを突けば…

 

ふと、右と後ろから殺気を感じ、ほとんど無意識的に海面方向へと上昇した。

間髪入れず、俺のいた空間を二条の光線が薙ぎ払う。

光線の発射されたと思われる方を見ると、なるほど黄金の龍の双頭が長い首を介し、〈ギドラ〉と繋がっている。

どのように繋がっているかは言わないでおこう。まあ有り得ないところから生えているからな。「言わないでおく」というより「言いたくない」

しかしオールレンジ攻撃までしてくるとは。長期戦を覚悟しといた方がいいな…

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

しかし、その後は散々であった。

首が両方とも高威力の光線を放ってくるものだから、敵の数がただ増えるだけでも十分脅威だというのに、その攻撃が強いのであれば、言わずもがなである。

首からの光線を避けきれず何発か被弾し、その一瞬の隙を突かれて〈ギドラ〉の直接攻撃を食らう、といったことが何度か繰り返された。

そして今日一番の強烈な蹴りが入り、水中であるにも関わらず、凄まじい勢いで海底へと叩き付けられた。

既に外皮はズタズタで、後一回強力な光線を受ければ終わりだろう。〈ギドラ〉が三つの首から光線を発射しようとした。が、

 

突如巨大な影が海底に差す。影が巨大であるなら、その元の物体もまた巨大であり、動きは鈍いはずだ。しかし『突如』であるなら、その物体の動きは非常に素早いということである。

その様な物体と言えば━━━

 

《……!?》

〈ギドラ〉はその物体に弾き飛ばされ、あちらもまた遠くの海底へと沈んだ。

〈カイザー〉の様に離れていても、というわけにはいかなかったが、触れさえすればある程度操れる様になった。丁度蹴り飛ばされた先が、サンドスターローの近くだったのは僥倖であった。拠点を構成する鹵獲艦をサンドスターローによって動かし、〈ギドラ〉へとぶつけたのだ。

とりあえず反撃はできた。今のところ〈ギドラ〉に動きは無い。

今の内に畳み掛けるしかない。

痛む身体を無理矢理起こし、海底を二本の足でしかと踏みしめる。両サイドのサンドスターローの塊に触れ、流動的かつ強固なこれらを支配下に置く。背後の拠点をバラすことで、拠点は物理攻撃武器へと変化させた。

黒きサンドスターローによって後部で接続され、複数の艦が鎌首をもたげているその光景を正面から見れば、さぞかし圧倒的な威圧感を誇っているだろう。正面から見る奴がいれば、の話だが。

正面の〈ギドラ〉は気絶しており、ピクリともしない。

 

随分あっさりとしたものだったが、これで俺はパークへと帰ることが出来るだろう。道中ヒトの部隊と鉢合わせることもあるだろうが、〈ギドラ〉に比べれば大したことはない。その時はガイガンも共に来てくれるだろうか。仲間達と共にいたこの場所で果てると言うのであれば、俺も止めることはしない。

でも、もしそうしないと言うのであれば…

ジラもいるんだし、仲良くしてくれるだろうか。

そう思いながら、操る艦達を順に〈ギドラ〉へ向けて動かした。すぐに艦は先ほどと同じような速度に達し、鈍い振動を断続的に響かせて、〈ギドラ〉へと降り注ぐ。

祈るような気持ちで、〈ギドラ〉が行動不能もしくは戦意喪失していることを期待する。

 

 

だが、四隻程〈ギドラ〉へとぶつけたところで、続く艦が爆散しはじめた。

〈ギドラ〉との戦いで、艦艇操作に意識を向けていたのが災いしたようだ。接近してくる潜水艦隊に気付けなかったのだ。恐らく本隊に先じて掩護にやって来たのだろう。魚雷を次々と浴びせ、〈ギドラ〉へ襲い掛かる脅威を排除する。そして最後の艦が吹き飛んだ少し後、ほんの少しだが呆然としていた俺を、六つの禍々しい視線が射抜く。

ああ、これはマズイな。

そして〈ギドラ〉の光線と潜水艦の魚雷が一斉に発射され、それらは大量のサンドスターローの操作の反動で動きの鈍る俺へと集中する。

 

 

しかしそれらが俺に直撃することはなかった。

既に遠くへ逃げたはずのガイガンが間に割って入ったのだ。迫り来る光線と魚雷がガイガンに触れ、爆発のものであろう眩い輝きはガイガンの身体を焼き尽くすかに思えた。

だが光はそれ以上輝くことはなく、収まろうともしない。

否、輝きは爆発のものではなかった。ガイガン自体が発光しているのだ。そしてその輝きは今もなお、更に増していっている。

やがて輝きは銀がかった虹色へと移り変わり、一層強く輝いたかと思うと視界一杯が白色に塗り潰され、そこで意識が途切れた。

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

 

 

《ぁ゛っ……い゛ゃ゛あ゛…… げで…ぇ゛っ……》

「!?」

 

不意に誰かの苦悶の声が、直接脳内に響く。声の主はというと、今俺の周囲には〈ギドラ〉しかいないので、必然的に〈ギドラ〉になる。

今二人は宇宙(そら)にいる。

地球を丸いと言える程の高度では無い。にも関わらず、青く仄かに、しかし強い輝きの何と美しいことか。そのまま地球に息づく生命の強さを表しているかのようだ。良くも悪くも、怪獣とヒトの負の輝きも伴って。

しかし美しいと思ったのは、どうやら青の輝きのみだったらしい。既に陸地は荒れ果て、荒んでいた。外縁が形を留めておらず、すぐには記憶にある世界地図と合致しなかった。そして地形の崩壊は、ある一点から離れる程激しくなっていた。その一点━━日本列島が人類最後の砦らしかったが、それもまた無惨なまでに変わり果てていた。細長い体躯の三分のニを覆っていた森林は、彼方此方に点々と斑点の様に残るのみで、跡は赤茶けた土か、奇妙な色に変色した大地か、それか殆どグレー一色に塗り潰されていた。赤茶色の部分は分からないが、変色は何かしらの汚染で、グレーは要塞都市的な何かだろう。よくよく見ると、無事に見えた海岸線も所々歪になっていた。主に大都市の周辺で。

しかし大きく変わり果てた故郷を見ても、特に感慨が湧くことはなかった。

まぁこの世界の日本と、元の世界の日本は多分全くの別物と思っているからなんだろうが。

 

そして、美しい輝きを放つのは地球だけではなかった。

先程の戦闘区域から流水の様な曲線美を描きつつ、宇宙までその身を伸ばす、虹が結晶化したと言っても信じてしまいそうな水晶体。

どうやら身体の殆どをナノメタル的なのもので形作られていたのだろう。御身を犠牲にして俺を庇ったガイガンは、爆発的な奔流へと身を変え、俺と〈ギドラ〉を遥か上空へと打ち上げてしまった。所々に魚雷や潜水艦だったものと

おぼしき鉄塊や、金属片が絡み付いている。予期せず巻き込んでしまったのか、単に排除しようとしたのかは分からないが。

 

 

『━━━ほら、ボサっとしてないで早くケリつけなよ』

「ふぁおっ?!」

 

元の姿を失い、その意識も霧の如く霧散してしまったかと思っていたが、未だくたばる気は無いらしい。思案に耽っていたところの不意をつかれ、意図せず変な声を上げてしまった。

 

クスクスと笑った後、態度をぴしりとしたものに変える。

『━━━「彼女」はこの世界のイレギュラー。この世界に在るべきでない存在』

私と同じく。言外にそう言い、ガイガンは意識をその「彼女」へと向けた。身体が残っていれば、目か頭を動かして

いるであろう気配を伴いながら。

 

《あぁ゛っ……ぃ゛あ……う゛…ぐ……ぁあ゛》

黄金色の奔流を流しつつ、あらぬ角度に身体をねじ曲げながら、苦しみ悶える〈ギドラ〉の姿があった。

黄金が湯水の如く流れ出る度に、〈ギドラ〉の輝きも明滅を繰り返しながら鈍っていく。

 

『━━今なら』

ガイガンがそう呟くと、パキリ、パキリとナノメタルが伸び、少しずつ〈ギドラ〉へと近づいていく。勿論〈ギドラ〉が、それに気付く様子は無い。

そして、その先端が〈ギドラ〉の身体に触れた瞬間━━━

 

 

 

「が…あっ?!!」

突然脳へと流れ込んで来た、膨大な何かに圧倒されて思わず喘ぐ。視界と鼓膜にノイズが横入りし、暫くの間白黒の砂嵐の渦中を漂っていたが、少し経つと徐々に視界が回復し始めた。

 

 

※       ※       ※

 

 

始めに写ったのは、星が輝いていながら暗い、暗い宇宙(そら)の只中に浮かぶ地球の姿であった。俺の直ぐ足元にある今の地球よりも、心なしか少し青い。それと、視界に金色のもやの様なものがかかっている。

が、ある程度近付いたところで、再びノイズがかかった。視界が遮られる直前、目の前に虹色の何か━━サンドスターらしきものが広がった気がした。

 

 

※       ※       ※

 

 

『……が………は……可…で………』

『…まっ…く幸運な…のだ』

再びノイズが晴れた時、次はグレーの天井があった。それに加えて、気味の悪い位の白やら、天井と同じグレーやら、生理的に受け付けない黒やらのゴテゴテした何かしらが幾つも天井から生え、様々な形状の先端の全てが此方を向いていた。解析装置か何かだろうか。

視界の左端にガラス窓らしきものが映り、そのガラスの向こうでは白衣の男女がしきりに何かを話し合っている。しかしガラス窓は何重にも重ねられ、声など通るはずが無いのに、彼らの声は普通に此方へと届いている。だが鼓膜を通して聞こえている訳では無さそうで、頭に直接響いている感じだ。この記憶の主。即ち〈ギドラ〉は心を直接感じとることが出来るのだろうか。

 

 

※       ※       ※

 

 

『いやあああああ!!やめぐぇっ』

三度目のノイズを挟んで次に目にしたのは、胴体と頭がお別れした少女の姿だった。

 

『すばっ、素晴らし過ぎるぞこれは!!』

『雑魚相手とは言え、こうまで圧倒的とはな…!』

『報告書の提出が待ちきれないものだ!』

 

〈ギドラ〉か感じ取った軍の高官らしき者達の心の声に、周囲を見渡すと、同じ末路を辿ったであろう少女、と言うよりその装いから怪獣フレンズだったと思われる物が、赤い水溜まりのそこかしこに点々と転がっているのが見て取れた。そしてそれは水平線の彼方まで続いていた。

だがその光景を他所に、〈ギドラ〉はゆらりとした動作で背後を振り返る。

少しして、周りの風景が後ろへと急に流れた。そして上空へと急上昇の後急降下。バンカーバスターの如く、〈ギドラ〉は分厚い土と鉄の層を貫いて━━

 

 

※       ※       ※

 

 

今度は右手足を喪失しつつ、胴体を削られがんじがらめに拘束された状態だった。

 

『こん…の馬鹿者共があああああっっ!!!あれ程抑制剤の投与量が足りんと言った筈だ!それでこの有り様とわあっ!!』

『しっ…しかし!我々は開発部からの指示に従っただけで……!』

 

どうやら整備兵が何かしでかしたらしい。先程の記憶の続きなのだろうか。あの後高官らは《ギドラ》に惨殺されたらしく、それなら上官の怒り様もよく解る。

 

『たわけ!あんなナルシスト共の戯れ言等、聞いたところで何になるか。当てになる訳が無かろうに!』

『まぁまぁそれはともかく、コイツ本当に間に合うのか?三日後なんだろ、()()

『フンッ。どの道こんな強硬作戦なぞ、元々間に合うものでも無かろう。その様な些細な心配をするなら、参謀共にに文句を言っておけ』

『浅山中佐のことか?……気持ちは分かるが、俺達がそんなこと言ってみろ。大西洋の便所掃除に回されるぞ。分かりきっているクセに…』

『………』

 

 

唯今絶賛お怒り中の上官と、その同僚らしき男の二人の会話に耳を傾けつつ、その内容について思索を巡らせていた。

 

が、突如記憶の再生速度がアクセルをベタ踏みしたかの如く、急激に上昇した。早送りのコマの様に目まぐるしく変わる視界に、俺の意識は過負荷に晒されて悲鳴を上げようとするが、現在意識が自分の身体から切り離されている状態らしく、声を出そうにも出すことが出来ない。行きどころの無い苦痛は吐き気となって現れる。

カチャカチャと変わる視界も少しずつフェードアウトしていき、ようやく〈ギドラ〉の追憶から開放された。

 

 

「うぐっ…う゛え゛ぇ゛え゛え゛ぇ゛っ…」

 

と同時に、抑圧されていた吐き気が一気にこみ上がり、胃の中の内容物を勢いよく吐き出した。

復活してからこっち、一切口にしておらず、何も入っていないはずの胃袋は、黒煙を押し出し続けている。

 

せめて液体でなかったのが救いだったか。そう思うとガイガンが語りかける。

『時間が無いから、急がせてもらったよ。今キミに干渉しているから、あまり暴れないでね』

 

…干渉?

朦朧とした頭でガイガンの声を聞いていたが、少しずつ身体の自由が奪われていくように感じた。

喉奥が絞まり、いつの間にか黒煙は熱焔へと変わっており、その熱焔でさえも収束してとうとう熱線へと変化した。

そこで熱線の直撃しているナノメタルに視界に入った。その威力は明らかに違っていた。銀の鎧と形容できる程高い耐久性を有する筈のナノメタルが、赤熱を通り越して白熱化、溶融しているのだ。

 

『さぁ…「彼女」へ』

ガイガンがタクトを振るかの様に、手を〈ギドラ〉の方に向けた気配がした。それに従い、俺の身体が動く。じりじりと熱線が〈ギドラ〉へと近付いていく内にも、ナノメタルは豆腐の様に溶けていく。〈ギドラ〉は相も変わらず苦しみ続け、全く逃げようとはしない。

 

 

 

━━本当にこれで……

 

〈ギドラ〉はガイガンの言う通り、確かにイレギュラーだ。ヒトが手にしてしまった禁忌は存在すべきではない。

だがナノメタルだってそうだ。ガイガンと繋がっているから、互いの既知は共有されている。

ナノメタル化が成功した怪獣及び怪獣フレンズはガイガンのみであると。完全なナノメタル製兵器では成し得ない『奇蹟』を発現する力があると。

〈ギドラ〉は宇宙(そら)の彼方から飛来した、異次元の存在。サンドスターによるフレンズ化で、無理矢理こちらに繋ぎ止められている故、サンドスターローによって常に身体の崩壊を留められていると。

 

 

今後ガイガンや〈ギドラ〉の様なイレギュラーが再現しないとは限らない。だが、ここで流れを一度断ち切るべきではないのか?

 

━━でも、せめて…

 

 

 

言葉を交わしたい

 

 

 

俺を操っていたナノメタルが弾け飛び、支配から抜け出して閉口する。

熱線が口内を焼いたが、止めることは出来た。

 

『…ゴジラ……?』

 

にも関わらず、ガイガンは一切止めようとしない。

眼前の〈ギドラ〉をしかと捉え、一歩を踏み出す。

歩く度にナノメタルをパキリと鳴らす。〈ギドラ〉までのカウントダウンともとれる。

近付いていって初めて気付いた。〈ギドラ〉もまた、ナノメタルによって拘束されていた。なおも苦悶の声を上げ続ける〈ギドラ〉の虚ろであった瞳に、涙が浮かんだ気がした。

そこで視界がぐらりと傾く。慌てずに数歩退くと、先程熱線で切断された部分が崩落したのだと気付いた。塊が重力の井戸の底に吸い込まれて次第に小さくなり、やがて流れ星となったのを、正面に〈ギドラ〉を見据えながら、視界の端で捉えていた。

崩落しなかった部分を渡り、大きく左へとカーブするナノメタルの道を進む。宇宙(そら)をバックに、目に涙を湛える〈ギドラ〉はそら美しくすらあった。

 

 

 

そして〈ギドラ〉の目の前に立ち、その目を真っ直ぐに見つめて、ただ、ただ訊ねた。

 

 

『━━━━━━━』

 

 

多くの言葉を乗せた意思を受け取ったのを、確かに感じた。

 

 

“彼女”の答えは示された。

彼女自身とガイガンの崩壊によって。

 

 

 

〈ギドラ〉の最後の輝きが静かに解き放たれ、波となってこの宙域に広がると、内側から繋ぎ止める力を失った様に崩れていった。

ガイガンの、ナノメタルの、虹を纏った身はやがて砂となって霧散した。ガイガンの言葉は無かった。気持ちだけが届いた。

〈ギドラ〉もサンドスターローを失い、身体の大半を欠いていた。彼女は儚く微笑むと

 

 

 

『あ  り  が  と  う  』

 

 

 

その言葉を最後に、ぱっと散った。

 

 

 

 

※       ※       ※

 

 

 

 

今流れ星となって、地球へと還っている。大気の圧縮熱で真っ赤に燃えて、決して穏やかな帰還とは言えないが。

頭をふと上━━と言うより地上━━に向けると、小さく丸まった日本列島の様な島が見えた。

 

 

「ジャパリ……パーク……」

 

俺の、こんな世界での故郷。俺の、帰る場所。

 

 

みんな、いきなり帰ってきたら驚くだろうな…

グレープ君はフルルとはどこまで進んだかな…

ジラ…元気だろうな…

 

 

宇宙(そら)に視点を戻すと、金の点と虹色の点が輝いていた。

静かに手を伸ばし、ふわりと微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




第二章完結です。最後の回のあたりは駆け足になってしまいましたが、再び区切りを迎えることができました。ありがとうございます。

この作品は、だいたい四章くらいまでいけたらなぁ…くらいの感じで進めてきたのですが、どうにもこの第二章は自分の求めていた形になり切れませんでした。
もっと展開の緩急を付ければよかったのですが、ただ自分の圧倒的技量不足を痛感しただけでした…

この反省を活かせるか、活かせないかは分かりません。ただ、自分のやりたいと思ってやり続けてきたことですから、最後まで書き切りたい気持ちが強いのは確かです。

しかしそうは言っても、このままでは続く三章四章も、二章の二の舞であります。そこで一旦この作品から離れ、新しい作品に踏み込んでいきたいと思った次第です。並行しての掲載か、区切り毎に切り替えるかは未定です。

どうにも口下手…と言うより駄筆な自分の気持ちが、どうか伝わっていることを願います。

改めて閲覧ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


それでは



















「なんか、次また長いやつ書きたあなってきたわ… こう、SAOとガンダムのクロスオーバーで…」

「まずこのすばの短編からですよっ…」


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