完璧男と美少女 (sylvi)
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1章 自由と平穏
1話 プロローグ


どーも、みなさんおはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです!あ、シルヴィと読みます。
最近は勉強のやる気が全くしません!笑
とゆーことで小説書いてみました!
是非とも読んでみてください!


「零!」

チームメイトが必死になってあげたトス

「ふっ!」

そして打ち抜く

ここ、東京の総合体育館では今、バレーボール全国中学校の最後の大会、、総体の決勝戦が行われている。

「っし!ナイス!」

チームメイトたちが喜ぶ。

俺のいる帝星中学校は24点、相手チームの名桜中学校は19点。今は2セット目で1セット目は帝星が取ったから、次に点を取れば俺たちの優勝

そして俺のサーブ

目を閉じる

集中する

ボールを上へ投げる

そして打つ!

「くっ!」

相手はレシーブをミスする

 

「おおおおお!!!」

「よっしゃあ!!」

観客席では歓声が、ベンチでは監督が騒いでいて、チームメイトも嬉し涙で顔がぐちゃぐちゃだ。

 

 

しかし俺は

零「また勝ったのか、、、。」

平然としている。

 

 

 

 

「ねーねー今の凄かったよね!」

「サーブもスパイクもレシーブも完璧だったよね!」

「しかもカッコイイ〜。」

観客席では桐生のことばかり話している

 

 

そして一人の少女も

「すごい、、。」

 

 

ー桐生家ー

 

父「零、今日の試合優勝したらしいな。おめでとう。」

零「ありがとう。」

父「やはり何をしても出来てしまうのか。」

零「ああ。」

 

零は夕食を終え、自室へ行く

電気を付けるとその部屋は輝きを増す。

部屋中にあるトロフィーや賞状の数々

零「、、はあ。別に一番に拘っているわけではないがいざやるとどうしても一番になってしまう。」

全て違う種目のスポーツ、

スポーツだけでなく研究発表、

そして更には英語翻訳など。

様々な部門で賞を獲得しているがこれは零が自分から進んで行っていたわけではない。

父一一桐生 将暉《きりゅう まさき》

が行わせたことだ。

何に対しても興味を示さない零に将暉はバスケをやらせた。すると賞状やトロフィーを貰うまで成長。将暉は零に次々と新たな事をさせる。させる度にこなしていく零に将暉は可能性を見て、自分が出来なかったバレーボール全中優勝を代わりにさせようとする。

そして代わりに成した。

 

将暉「、、一体零は何者なんだ、、。」

「あの子は奇跡。この世界の、ね。」

桐生 美羽《きりゅう みう》

零の母でありバレーボール元全日本代表。

将暉「そうかもしれないな。」

美羽「何にも興味を示さないあの子がどうなって帰ってくるのかしらね?」

美羽は手にもつパンフレットを見る

将暉「ああ。そうだな。」

美羽「あーあ、でも寂しくなるなあ、都内とはいえ会えないし。」

将暉「長期休暇には会えるんだろ?」

美羽「ええ。、、彼女の一人くらい連れて帰ってくるかな?」

将暉「はは、是非見たいものだな。」

 

 

高度聖導高校ーー就職率、進学率ともに全国3本指に入る程の学校。しかし、3年間長期休暇以外で学校の敷地外に出てはいけない。

それを除いては完璧である。

寮の生活費はタダ。敷地内に店も沢山ありバイトも自由、何より毎月一人4万円貰える。

 

 

零「じゃあ、いってくる。」

将暉「気をつけてな。」

美羽「じゃーね。頑張って!」

 

家を出る

 

零「おれは平穏が欲しい。別に勉強やスポーツなんて出来なくていい。」

零(高度聖導高校。ここなら自由だ。何かを成し遂げる必要もない。)

 

 

 

 

 




どーも!sylviです!
どうだったでしょうか?
今回はバレーボールのことを書かせていただきましたが、バレーボール小説というわけではありません!
恋愛です笑
それでは次回お会いしましょう!


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2話 入学式

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです。
最近は寒すぎて布団から中々出られませんよね~。
さて、今回ですがいよいよ愛菜ちゃんの登場です!
それではどうぞ!


零「ここか。高度聖導高校。」

東京都内にある最大規模の大きさを誇るここ、高度聖導高校

今、桐生零は校門に立っている

零「よし。」

歩みだす

 

「なあなあ、あれって桐生零じゃね?」

「うわ、ほんとだ!」

「うわ~まさか同じ学校とは。」

男女がひそひそ話をしながら俺の方を見てくる

 

零「、、、はぁ。」

桐生は歩くスピードを速め、下駄箱へと向かう

「おい、あれって!」

「きゃー、桐生君よ!」

「かっこいい!!」

 

零「、、、。」

 

桐生零は中学2年からバレーボールを始め、急成長。

3年生引退後チームのキャプテンとなり、一年後は優勝。帝星中学はバレーボール強豪校であり、桐生の世代で全国優勝3連覇を成す。2年生ながらチームのエースである桐生はそのセンスと頭脳派プレーにより、全国でも有名人。

〈バレーボールの貴公子〉とまで呼ばれた

全国の強豪高校から推薦が来たが、全て断り、自由を求めてここにいる。

 

零「俺のクラスはっと、、、1の2か。」

学校用の靴に履き替え教室へ

ガラガラ

「おいおい、まじかよ!」

「貴公子様だぜ!」

「イケメンだし。」

零(流石にもう見慣れたな。)

俺の席は廊下側

零(まだ時間あるし、トイレ行こ。)

 

零「ふぅ、、。」

零(どこへ行ってもあの反応。)

 

「はっは、そんな顔すんなよ、まだ初日だぜ?」

零「君誰?」

横を見ると、背は俺ほど高くないが、170後半はあるだろう。顔立ちもそこそこ良い。

「俺の名は風間龍也。お前さんの前の席だ。」

零「俺の名は桐生零。」

風間「知ってる。バレーボールの貴公子。」

零「そうか。」

風間「俺ボッチでよ、同じくボッチかと思われるお前と友達になろうかと。」

零「本当か!?」

風間「え!?どうしたいきなり大きな声出して!?」

零「だってよ、こんな俺に近づくやつなんていないと思ってたから。」

風間「まあ確かにお前話しかけづらい感じしてるしな。」

零「お前みたいな奴がいて良かった。」

風間「、、、零って呼んでいいか?」

零「じゃあ俺は龍也でいいのか?」

龍也「っ!あ、ああ!」

 

こうして俺は学校初日でどうやらボッチを回避した

龍也「さて、そろそろ教室戻るか。」

零「ああ。」

 

            

「えー、俺が1の2の担任の皐月正嗣《さつき まさつぐ》だ。」

担任の自己紹介が終わり体育館へ

式は順調に進められ、生徒会長の挨拶も終わり、次は新入生代表の挨拶だ。

 

「新入生代表、柊愛菜。」

「はい。」

挨拶は入試で一番の成績の人が行う

どうやら俺のクラスの子だ

 

龍也「おい零、あの子可愛くね?」

零「、、別に。」

龍也「つれねーなあ。」

零(周りの人もひそひそ話してる。みんなあの子のことかな。)

 

柊「高校生活、嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、沢山あると思います。ですが、どのような困難も仲間と乗り越えていけたらと思います。本日はこのような素晴らしい式を行っていただきありがとうございます。新入生代表、柊愛菜。」

 

龍也「おお、美少女は声も可愛いねぇ。俺惚れたわ。」

零「美少女にワンパンされる風間龍也ってか。」

龍也「そうそう。」

 

 

式が終わり下校の時間

俺は寮への道を行くと

 

 

 

「やめて、、、ください。」

「いいじゃんか。」

「そうそう。どっか遊び行こうぜ?奢るぜ?」

「結構です。」

男二人が女子をナンパしている

 

零(、、はあ。)

 

零「離してやれよ、嫌がってるだろ?」

「あ?何お前?」

「あー!俺こいつ知ってるわ!バレーボールの貴公子!」

「ふ〜ん。」

男が一人こちらに近づいてくる

「お前1年だろ?3年の俺様に何言ってくれちゃってんの?」

零「困っている人を助けるのは当然だろ?学年なんて関係ない。」

「ヒーロー気取りもウゼえんだよ!」

男が殴ってくる

「やめて。」

女子は腕で顔を隠す

 

零「大丈夫。」

「え?」

女子は腕をどける

そこには、男の拳を手のひらで受け止めている桐生零の姿がある

「おらおらおらおら!!」

男の猛烈なパンチのラッシュ

俺は全て躱し足を男の足に引っ掛ける

「うおっ!?」

男は転びこちらを睨むもすぐにニヤつく

「きゃっ!?」

零「っ!?」

もう一人の男が女子の腕を掴む

零「、、、。」

「はっは、さあどうする、貴公子様よ?」

零(もうすぐか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、手を離しなさい。」

「あ?」

男が声の方を見る

そこには俺の担任である皐月先生がいる

 

「皐月ぃ、、ちっ、行こうぜ。」

「あ、ああ。」

男たちは去る

 

皐月「君たち、大丈夫かい?」

零「ええ。」

「はい。」

皐月「まったく、3年は困ったもんだ。、、それじゃ、気をつけて。」

皐月先生は校舎へ戻ろうとする

俺の横を通り過ぎる時に、女子に聞こえないようにボソボソと話しかけてきた

皐月「よく殴り返さなかったね。」

零「ええ、先生の誰かはくると思ってましたから。」

皐月「なぜ?」

零「男の拳を躱しつつ誘導してましたから。」

皐月「誘導?」

零「俺たちのいる場所は校舎からは見えづらい。なので男の拳を躱しつつ見えやすい方に誘導しました。先生が気付かなくても他の生徒の誰かが先生に状況を伝えてくれると思いましたから。」

皐月「、、ぷっ、はははは!!」

皐月先生は急に笑い出す

女子は首を傾げている

皐月「いやぁ、流石だよ。貴公子。」

零「その呼び名、止めてくださいよ。」

皐月「はっは、、、じゃあ入試で全教科60点ってのもわざとかい?」

零「偶然ですよ。」

皐月「ふ、そういう事にしておくよ。それじゃあ。」

皐月先生が去る

 

「あの、、。」

零「ん?」

「助けていただいて、ありがとうございました!」

零「気にしないで。それより大丈夫?」

「はい!大丈夫です!」

零「そっか、それじゃあ。」

俺は男子寮へと向かう

「あ、あの!」

零「ん?」

「良かったら名前、教えてもらえませんか?」

零「桐生零。俺の名前。」

「ありがとうございます!私の名前はーーー」

この後俺は衝撃を受ける

「柊愛菜です!」

零「え、、」

柊「はい?どうかしました?」

零「確か、同じクラスだったよな?」

柊「え!?そうなんですか!?良かった〜。初日で誰も友達出来なかったから、、。」

零(確かにこんな美少女に近づくやつなんてそうそういないよな。)

柊「これから宜しくお願いします!」

柊さんは笑顔で手を差し出す

零「、、こちらこそ。」

俺は手を握り返す

 

 

これが完璧男と美少女の出会い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「はぁ、、、。」

桐生と別れ、寮の自室で私はベッドにダイブする

柊(まさか、こんなところで会えるなんて。)

 

一年前

愛菜「いけえ!結衣!」

私は妹のバレーボールの応援に来ていた。妹は東京代表のチームで2年ながらレギュラー。

結果としては優勝した

愛菜「やった、、。」

私は妹の優勝を見た後、隣のコートを見る

愛菜(帝、、星?)

コートを見ると、一人だけ違う輝きを放つ人がいる。

他のメンバーが下手というわけではない。しかし、その人だけ違うと明らかにわかる。

 

観客席はほとんどが帝星のその人を見ている

 

「ねーねー、今の凄かったよね!」

「サーブもスパイクもレシーブも完璧だったよね!」

「しかもカッコイイ〜。」

 

柊「すごい、、、。」

(かっこいいな。、、でも、何で悲しそうなんだろ、、、。)

 

 

そして現在

柊「あの時の桐生君。すごかったなぁ。それに、カッコよかったし。」

(明日、早く来ないかなぁ。)

私は明日を楽しみにお風呂へ入る

 

 

 

同時刻

 

零「はぁ。」

(流石美少女。龍也が惚れるわけだ。)

「風呂入ろ。」

 

 

 

 

これは、桐生零の心境の変化の第一歩なのだ

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
前回と比べると頑張りました笑
これから二人はどうなるんでしょうかねぇ笑
とりあえず日常編を書いて、次は、、夏休み編かな?
ということで、次回をお楽しみに!


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3話 学級委員長と係

どーも、おはようございます、こんにちは、こんばんは
sylviです。
今年も今日を合わせるとあと2日!
一年ってあっという間でしたね~
さて、今回ですが、学級委員長と係を決めます!
それではどうぞ!


皐月「えー、では、今から学級委員長と係を決めてもらいます。」

「俺何にしようかな~。」

「俺は勿論体育系だぜ!」

「あまり仕事無さそうなのにしよーっと。」

 

零(さて、何にしようか。)

そう思っていると

龍也「零、何にすんの?」

零「決めてない。」

俺たちがそう言っている間に

 

 

「はい、私は学級委員長になりたいです!」

手を上げ勢い良く言ったのは柊愛菜

「マジかよ〜。」

「ひ、柊さんが学級委員長なら僕副委員長行こうかな!」

「おい!抜け駆けすんな!俺が行く!」

 

零(お前ら柊病かよ。)

龍也「流石、学校一の美少女。モテるねえ。」

零「もう学校一とまで言われたのか?」

龍也「ああ。入学してまだ2日でここまでとは、恐るべし。」

零「へえ。」

龍也「それより、何にすんの?」

零「あまり目立たないものがいい。そうだな、図書委員とか。」

龍也「あー確かに目立たなそう。俺も行こっかな。」

零「よし。」

 

皐月「副委員長は立候補多いので後回し。他に誰か行きたい係ある?」

零「はい。」

皐月「桐生。何がいいんだ?」

零「図書委員で。」

龍也「先生〜、俺も〜。」

皐月「オーケイ。」

先生が黒板に文字を書く

順調に進められ、係は全て決まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

副委員長を除いては

 

皐月「このクラスはな、39人なんだ。他のクラスは40人いて、だから係も40人行かなければならない。しかしこのクラスは一人少ない。だから、誰かがもう一つ行かなければならない。」

 

「はい!」

「はい!」

「はい!」

「はい!」

「はい!」

「はい!」

はい!のラッシュだった

皐月「ん〜、多すぎだろ。、、じゃあ柊。」

柊「はい?」

皐月「お前が決めるんだ!!」

柊「ええー!?」

皐月「だって人多いし決めんのだりー。」

 

零(おいおい担任さん、しっかりしてくれ。)

(まあ流石に当たらないだろ。38分の1だぜ?)

柊「そ、それじゃぁ、、、」

零(俺の平穏は保たれた!!!)

柊「桐生君で。」

零(うんうん、桐生君頑張って〜。美少女と一緒で良かったね〜。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(え?桐生君って俺?)

 

皐月先生はニヤニヤしながら言ってくる

皐月「桐生おめでとう。美少女と一緒にこれから頑張ってくれたまえ。ああ、この学校の係は一年間同じだから。」

零「、、、はい。」

 

「くそーー。羨ましい!!」

「何故だ、何故奴なんだ!!!!」

「ああ、柊さんがぁ。僕の柊さんがぁ!!」

 

零(愚痴ワロタ。てか最後の奴、やばいな。わざとか?)

龍也「零良かったじゃん。柊さんと一緒で。」

零「別に良くないよ。」

 

 

皐月「それでは、学級委員長と副委員長、前に出て挨拶を。」

 

俺と柊は前に出る

柊「学級委員長の柊愛菜です!これから頑張ります!宜しくお願いします。」

零「桐生零です。これから宜しくお願いします。」

 

パチパチパチパチ

 

 

皐月「よし、じゃあ掃除だ!みんな頑張ろう!」

零(掃除だけは場所決まってんのな。)

 

 

 

こうして、俺の平穏は終わりつつある。




いかがでしょうか?
文才なくてすいません、、
駄目なとこは感想でお願いします!!
さて、いい加減勉強します笑
それでは、次回お会いしましょう!


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4話 部活動見学

どーも、みなさんおはようございます、こんにちは、こんばんはsylviです!
皆さん冬休みはエンジョイしてますか?
私は全く楽しくないです笑
小説書くのって楽しいですね。
それではどうぞ!


零(はぁ...。)

俺は柊さんのおかげではれてなりたくもない副委員長になることができた。

ガラガラ

龍也「お、ちーっす!副委員長!」

零「おはよ。」

龍也「はっはっは、頑張ってくれよ!」

零「はいはい。」

 

皐月「はーい、みんな席座れー。HR始めっぞー。」

零(今日は確か....。)

 

皐月「今日は部活動見学、そして初授業だ。」

 

零(部活動見学はどの部活に行ってもいいんだったな。)

 

龍也「しゃー!行くぜぇ!」

零「どこ行くんだ?」

龍也「サッカー部!」

零「この高校、サッカー部結構強いらしいな。」

龍也「ああ!」

 

零(俺はどうしようか。)

 

 

 

「あの、桐生君。」

零「ん?」

呼ばれた方を見ると、そこには男子の女神こと柊愛菜がいる。

柊「桐生君はどこ行くの?」

零「んー、まだ決めてないんだ。」

柊「あのさ、バレー部....一緒に行かない?」

零「...いいよ。」

柊「ほんと!?ありがとう!」

零「あ、ああ。」

 

「女神がバレー部にだと!?」

「俺も行こうかな!」

「ああ!女神よ!ああ!マイゴッテス!」

 

零(なんだあれ。最後のはわざとだよな?)

柊さんも隣で苦笑いしてるし

 

柊「行こ!桐生君!」

零「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

「チッ...」

 

 

 

体育館

 

柊「わぁ!皆さん凄いね!」

零「そうだな。」

(練習メニューも悪くない。選手の体格、運動能力も悪くない。伊達に県内4強ではないな。ただ、全国行けたとしてもキツイな。)

高度聖導高校は東京都ベスト4である

しかし、去年の春の高校バレー県内予選は東京都代表3校に入れず敗退。

 

柊「桐生君は、バレー部入るの?」

零「...いや、入らない。」

柊「..そっか。」

 

 

 

 

「あれ、貴公子じゃね?」

バレー部の一人が俺たちに気付いた

 

「ホントだ〜。うわ~強そ〜。」

「デカイな。」

 

零(さて、そろそろ帰るか。)

柊さんに帰ろうと言おうとするも

 

「このこ可愛いね〜。」

「君マネージャーとかどう?」

 

柊「え、えっと...。」

零「まだ決める必要はないですよね?」

 

「え?あ、うん。そうだね、ごめんごめん。」

 

零「行こ、柊さん。」

柊「うん。」

 

 

零(見学はもういいかな。)

柊「き、桐生君!」

零「どうした?」

柊「さっきは、その..ありがとう。」

零「どうしたしまして。」

柊「まだ時間あるけど、どうするの?」

零「特に行きたいとことか無いし、教室に帰ろうかな。」

柊「私も帰ろうかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「桐生君、柊さん、どうだったかな?」

教室へ戻ると、皐月先生がいた

零「特に何も。」

柊「皆さん凄く頑張ってました!」

皐月「はは、そうか。...桐生君、単刀直入に言う。」

皐月先生は間を置いて言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バレー部に入ってくれ。」

零「嫌です。」

皐月「なぜだい?君の実力があれば全国制覇も夢ではないよ?」

零「もう、バレーはいいんです。勝利はもう、要りませんから。」

皐月「君は勝ちに興味がないのかい?」

零「ええ。俺は平穏...自由に生きていくだけでいいのです。」

柊(桐生君.....)

皐月「そうかい。俺はいつでも大歓迎だから。」

零「ありがとうございます。」

皐月「柊さんはどうなの?」

柊「え?」

皐月「部活動。何か入る気になった?」

柊「....私も、今は何も入る気は無いです。」

皐月「そっか、まあ部活動が全てではないからね。」

零「ええ。」

 

 

「お、零!早いじゃん!」

 

 

 

 

 

零「龍也...。」

龍也「なーんか入る気なった?」

零「いや、何にも入らない。」

龍也「へぇ。柊ちゃんは?」

柊「あ、え..っと、私もいいかな。」

龍也「そっかあ。」

零「サッカー部入るのか?」

龍也「おう!」

 

皐月「続々と皆も帰ってきてるね。」

零(次は授業か。)

龍也「いきなり数学だろ?だっりぃ。」

皐月「風間ぁ、よく担当の俺の前で言えたなぁ?」

龍也「え?」

零「龍也、皐月先生は数学担当だ。」

龍也「はいぃ!?」

皐月「お前今日、当てまくるから(ニッコリ)。」

龍也「ひいいああああ!!俺数学無理なんっすよおおおおおおおおおおおおお!!」

 

零(龍也乙。)

柊「はは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでずっと一緒にいやがる...。」

廊下では、桐生のことを激しく睨みつける男がいた

 

 

 




いかがだったでしょうか?
一日2話投稿、頑張りました笑
小説書くのほんと楽しいです!
さてさて、次回はあの男が!?
それでは、さようなら!


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5話 ストーカー《1》

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです。
今年も今日で終わり。なんか一年ってすごく早いですね!
新年はお餅をたくさん食べようと思います!笑
それでは、どうぞ!


部活動見学を終えた帰り道

私は寮に向けて帰っている

柊「今日は桐生君と一緒に見学...。」

私はすこぶる機嫌が良い

 

柊「ん?」

視線を感じたので後ろを向く

しかし何もない、誰もいない。

柊「気のせいか。」

ガチャ

私は部屋に入る

 

 

 

 

「柊さん...必ず俺のものにしてあげるから。」

男は誰にも聞こえないようにボソリと言った

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

ガラガラ

 

「あ、柊さん、おはよう。」

「おはよ!柊さん!」

 

柊「おはよう!」

 

ここ数日で、私には何人か友達ができた。

みんないい人で、何でも相談に乗ってくれる優しい人たち

 

ガラガラ

龍也「お、零ちーっす。」

零「おはよう。」

 

「貴公子様、おはようございますぅ!!」

「桐生、ちーっす。」

零「おはよう。」

 

 

柊(桐生君も友達いっぱいいる....よーし!)

私は桐生君の席に向かい

柊「桐生君、おはよう!」

零「ん?ああ、おはよう。」

いつも通り挨拶は成功。

最近はちょくちょく話すようにはなった。

 

零(相変わらず眩しい笑顔だ。)

 

龍也「おい零!」

零「何?」

龍也「お前柊さんといつ仲良くなったんだよ!毎日挨拶交わしてるし!」

零「挨拶だけで仲良いっていうのか?」

龍也「だってよぉ、ほかの男は誰も挨拶されないんだぜぇ?」

零「な、何か悪いな。」

 

 

 

いつも通りの毎日、しかし、私は変わらず視線を感じるのだ。

柊「.....。」

下校時間、いつものように寮の自分の部屋の前に立つ

柊「誰かいるの?」

私は振り返り言う

しかし、返事はない。

 

柊「やっぱ気のせいなのかな。」

そう思いたい

しかし

 

 

 

 

 

 

 

「いるよ。」

柊「っ!?」

物陰から出てきた一人の男

制服を着ているが、顔はマスクとサングラスで隠れて分からない

柊「やっぱり...いたんだ。」

「ああ。」

柊「なんでストーカーなんてするの?」

「君が好きだからだよ。」

柊「好きなら何をしてもいいの?」

「そういう訳ではない。」

柊「じゃあ止めて。」

「駄目だ。僕は君を手に入れる。」

柊「...。」

「今日はこのくらいにしとくよ。じゃあね。」

男はカツンカツンと、音をたて、階段を降りていく

 

柊「...はぁ。」

私は安堵の息を漏らし、その場にしゃがみ込む

 

 

 

柊「怖いよ....助けて、桐生君。」

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

ガラガラ

「零ちーっす!」

「おはよ、桐生君。」

零「おはよう。」

龍也「今日は柊さん来てねえな。」

零「ああ。」

 

HRでは、

皐月「今日は柊は、体調不良だそうだ。」

男子たちは顔を歪める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、柊愛菜はその次も、その次も、学校に来なかった。

 

皐月「柊は、今日も体調不良。」

いよいよ男子たちの顔がゾンビと化す

「どーなってんだよよう、よう!?」

「柊さんーーーーー!」

「ああーー、まいごってすぅ!」

 

女子も

「愛菜どーしたんだろーね?」

「最近休んで。体調不良長いね?」

 

 

 

  ・・・・・・・・

零(もう休んで一週間だぞ?)

 

ただの風邪では無さそうだ

 

 

 




今年もあと二時間!!
来年は遊びます笑

次回は、ストーカー撃退!笑
それでは、良いお年を!


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6話 ストーカー《2》

どーもみなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです。
あけましておめでとうございます!
今年も完璧男と美少女を読んでいただけるとありがたいです! 
それでは、どうぞ!


龍也「零、今日見舞いでも行ってやれよ。」

零「え?」

龍也「柊さんの部屋。(ニヤニヤ)」

零「何で俺に?」

龍也「仲良さそうだし。」

零「...。」

 

柊愛菜が休んで一週間

男子がゾンビ化、女子も心配している

 

 

 

柊の部屋

柊「はぁ...。」

(体調不良なんて嘘言っちゃったけど、どうしよう。ホントは調子悪くないなんて言ったら怒られるよね?)

柊「はあ、会いたいな...。」

 

 

 

 

 

 

皐月「えー、ここはこうしてーーー」

今日最後の授業は数学

 

零(なに気にしてんだ、俺。)

朝龍也に言われたことを思い出す

零(見舞い...行こうかな。)

 

 

 

 

皐月「じゃあみんな、明日も元気に。それじゃあ、さようなら。」

学校が終わり、下校の時間

零(よし。)

俺は女子寮へ向かって歩き出す

 

 

ピンポーン

柊「はい。」

ガチャ 

零「よ、柊さん。」

柊「き、桐生君!?」

零「体調まだ悪いのか?」

柊「え、うん。まだちょっとね。」

零「そうか。これ、よかったら食べてくれ。」

柊「あ、ありがとう。」

渡された袋の中には果物や栄養ドリンクが入っている

零「それじゃ。風邪、早く直るといいな。男子たちがゾンビ化してるから。」

俺は振り返り去る

しかし

柊「ま、待って。」

柊は俺の制服の袖を掴み、小さな声で言う

零「ん?」

柊「あの...上がっていかない?」

零「え?」

(病人の部屋にか。...だが、何かあるのかもしれない。)

零「...いいよ。」

柊「じゃあ、どうぞ。」

零「お邪魔します。」

 

初めて入る女子の部屋。寮とはいえ、緊張する。

 

零「何か言いたいこと、あるみたいだな。」

柊「え?」

零「流石に病人が自分の部屋に誘うなんてしないだろ。」

柊「うん、実は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

零「なるほどな。つまり、調子は悪くなくてストーカーのせいで来られないと。」

柊「うん。四六時中見られてるっぽくて怖いの。」

零「分かった。何とかする。」

柊「え?」

零「任せろ。」

柊「助けて..くれるの?」

零「助けてほしいから相談したんだろ?」

柊「う、うん。」

零「...困っている人を助けるのは当然だろ?」

柊「あ......ふふ。」

零「ん?」

柊「いや、初めてのときもこうして助けてくれたなあって。」

零「ああ。そうだったな。」

柊「うん。」

しばらく俺たちは他愛のない会話をし、別れた。

 

零「じゃあな。」

柊「うん。」

零「明日は来いよ。」

柊「....うん。」

零「大丈夫だ。俺を信じろ。」

柊「うん。信じてる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

ガラガラ

「あ、愛菜!」

「おはよう!柊さん!」

 

柊「おはよう!」

 

 

ガラガラ

「零おはようー。」

「ちーす。」

零「おはよう。」

 

柊「桐生君おはよう。」

零「おはよう。柊さん。」

 

柊(私は桐生君を信じる。だからいつも通り過ごすだけ。)

 

 

 

 

 

 

時は経ち、時刻は放課後となる

 

 

 

柊(はぁ....)

私は寮に向かって歩く

 

「久しぶりだね。愛菜ちゃん。」

物陰から現れるストーカー

柊「気安く名前で呼ばないで。」

「いいじゃないか。時期に僕のものになるんだから。」

柊「あなたは誰?」

ストーカーはマスクもサングラスを取る

「僕の名前は北山厚《きたやま あつし》。」

柊「知らない。」

北山「違うクラスだからね。」

北山は間を置き、言う

 

 

 

 

「相変わらず綺麗だ。決めたよ。今すぐ君を僕のものにする!」

北山は走って来て、私の腕を掴み、頬を触る。

柊「止めて...。」

 

北山「ああ。柊さん、柊さん、柊さん!!」

柊「気持ち悪い!」

私は抗うも男の力には勝てない

柊(桐生君...)

私は彼の名前を心の中で呼ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシャリ

 

 

柊「え?」

北山「なんだ?」

 

 

 

 

「お前がストーカーか。」

声の方を見ると、そこにはカメラを片手に男が立っている。

その男とは

 

 

 

 

 

 

柊「桐生君!!」

「桐生ぅ....。」

 

零「大丈夫か?柊さん?」

柊「うん。」

「桐生!!」

ストーカーは殴り掛かってくる

柊「桐生君!」

 

 

 

 

零「前と全く同じ状況だな。」

ストーカーの腹目掛けて放たれるパンチを俺はあえて受ける

零「....。」

柊「桐生君!?」

北山「へへっ。」

 

だが俺は、すぐさま殴り返す

「がはっ...。」

腹の、それも急所を狙って殴った

北山は腹を抱えてうずくまる

零「正当防衛だ。」

柊(桐生君、だからさっきわざと殴られたんだ。)

北山「桐生ぅ、お前を見てると反吐が出るぜぇ.....」

零「なぜ?」

北山「僕の、愛菜ちゃんに媚び売りやがってえ!!」

北山は素早く立ち、蹴りをかましてくる

零「遅い。」

俺は北山の足首を掴み、そのまま投げ飛ばす

北山「ぐぁっ!?」

零「もうストーカーなんて止めろ。お前が柊さんを襲っている所は写真に取っている。」

北山「カメラを寄越せぇ!!」

零「しつこい。」

俺は北山のパンチを手のひらで受け止め、少し強めに殴る

 

北山「がはっ....。」

北山は気絶する

 

零「さて、どうするかな。」

俺は気絶している北山を見下ろす

柊「保健室に寝かせておけばいいかな?」

零「ああ。じゃ、行ってくる。柊さんはもう帰っていいよ。」

柊「嫌。私も行く。」

零「そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「怪我は無い?」

柊「うん。ありがと。」

ストーカーこと北山厚を保健室のベッドに届け、今は寮の道を歩いている。

柊「私、桐生君に助けられてばっか。」

零「気にしなくていいよ。」

柊「何かお礼がしたいんだけど、何かしてほしいこととかあるかな?」

零「んー、特には無....あ。」

柊「ん?なになに?」

零「いや、やっぱいい。恥ずかしいから。」

柊「えー!言ってよ!」

零「いやいいって。」

柊「おーねーがーい!」

零「はぁ、じゃあ.....」

 

言うしかないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「最高の笑顔を見せてくれ。」

 

 

 

柊「え?....ぷ、あはは。何それ〜。」

零「笑いすぎ。」

柊「だってぇ〜。」

零「で、どうなんだ?」

柊「...いいよ。」

柊さんは後ろを向く

そして、振り返ると同時に、最高の笑顔で言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「桐生君、助けてくれてありがとう!」

この笑顔は今までの笑顔で断然一番だ。

 

 

 

零「....。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、この笑顔のためなら、少しは頑張った甲斐があったな。

零(興味あるもの、見つけた。)

 

 




いかがだったでしょうか?
最後はいい雰囲気で終わることができたかと思います!
さて、次回ですが、中間テストーーー!!編にしようかと。
何にも興味を示さない天才桐生が美少女柊に興味を抱く!?
次回をお楽しみに!


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7話 中間テスト

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです!
寒い寒い寒い!
みなさん風邪には気をつけましょう!
それではどうぞ!


皐月「えー、来週から中間テストだ。」

今日のHRで告げられ、ほとんどの生徒は顔を歪める。

 

零(みんな顔死んでる。テスト範囲が配られるのは今日だが、テストの日は前々から背面黒板に書いているぞ?)

あの日から柊はストーカーされていない。良し。

 

 

 

 

 

「愛菜はテストどうなの?いけそう?」

柊「んー、頑張らないと赤点かも。数学とか…」 

「あー私も数学ヤバイかも~」 

 

皐月「よしみんな、今日も一日授業頑張ろう!」

 

「「はーい。」」 

 

 

皐月「じゃあこれでHRを終わる。あ…桐生はちょっと来てくれ。」

 

零(…はぁ。)   

こうして俺は、先生の後を追い職員室へと向かう

 

 

 

 

 

 

 

皐月「桐生、お前なら分かると思うがこのクラスはどうも成績が良くない。授業や普段の会話で分かる。」

零「ですね。」 

皐月「だからお前に頼みがある。」 

零「困っているやつを助けろ。ですか?」 

皐月「そう。このままだとうちのクラスは赤点祭りだ。」

桐生「…でも、俺に何のメリットも無いですよね?」

皐月「……ある。」

零「はい?」 

皐月「お前の数学の平常点をマックスにしてやる!」 

零「要りません。失礼します。」

皐月「ちょっとちょっと、まあまてまて!頼むって~。……柊に教えられるかもしれないんだぞぉ?」

零「っ!?」 

一瞬動揺してしまう 

 

【柊愛菜】

俺が人生の中でようやく見つけた、興味あるもの。いや、一つの光だ

 

皐月先生は俺の動揺を見過ごさなかった

 

皐月「あーあ、柊悩んでるんだろうなぁ。この学校テスト難しいからさぁ。」 

先生は煽るように言う

 

零「……俺も自分の勉強優先なんで本当に困ってるやつだけですよ?」

皐月「そうこなきゃなあ!!あと、本気で受けろよ!」

 

 

 

 

 

 

零(なんだ。案外俺は必要無さそうだ。) 

このクラスは成績が悪い人が多いと言うが、良い人もいるのだ。 

今は一時間目が終わった休み時間だ

このクラスの中でも賢い人がせっせとたくさんの人に教えている。

 

 

零(男女共に賢い人はいるみたいだな。)今は一時間目が終わった休み時間だ

このクラスの中でも賢い人がせっせとたくさんの人に教えている。

 

しかし、あまりにも馬鹿が多いので中々自分のところに来てくれず、ずっと問題を悩んでいる人もいる 

 

柊さんもその内の一人

 

零「柊さん。」

柊「え?あ!桐生君!」 

零「それ、分からないのか?」

柊「あ、うん。…ここの学校のテストや授業って難しいって聞いてたけど本当に難しいね。」

零「俺で良ければ教えさせてくれ。」

柊「え?桐生君ここ分かるの!?このクラスの賢い人たちもまだ分かってないよ!?」

零「ああ。…分かる。」

(こんな問題がテストに出るのか。100点も余裕だな。)

零「ここはこうしてーーー」

俺は柊さんが分かるよう教えた

 

 

柊「ありがと。桐生君。」

零「気にしなくていい。分かってもらえて良かった。」 

柊「桐生君なら先生代理とか出来そうだね。」 

零「俺は目立つのは御免だ。」

柊「あはは。そっか。」

 

キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る

 

零「それじゃ。いつでも聞いてくれ。」

柊「うん。ありがと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

零「ふぅ…。」

ようやく終わった学校。今日から部活動はテスト休みだ。

 

龍也「テスト勉強するか。」

零「ああ。俺もするか。」

龍也「んじゃ、お先!」

零「ああ。」

 

 

 

 

「柊さんばいばい!」

「愛菜おっつー。」

柊「ばいばい!」

さっきまで騒がしかった教室は、一瞬で静かとなる。

 

教室には俺と柊のみとなる

 

柊「桐生君。」

零「ん?」

柊「数学、教えて?」

零「ああ。」

 

 

 

零「ここはこうして代入してーーー」

俺は自分の持つ全ての力で彼女に教えた

気づけば教室は俺たちのみとなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「やっぱり桐生君は凄いね。」

零「そんなことないよ。」

柊「ううん、凄い。強くて、賢くて、かっこよくて、本当に完璧だなって思う。」

桐生「柊さん…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「お熱いね~。」

桐生「っ!?」

柊「ひゃあっ!?」

廊下からこちらを見てくる男

皐月正嗣先生だ

 

零「何しに来たんですか?」

皐月「いや、教室来たらお熱いカップルが居たからさ。」

柊「カ、カップル!?」

零「…からかいに来たんですか?」

皐月「いや、君がちゃんと教えているなぁって思って。」

零「聞いていたんですか?」

皐月「ああ。………それにしても、さっきの教えてた内容、習って無いよ?何で知ってるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の桐生の家では

美羽「そろそろ零の学校でも中間テストかしら?」

零の母 桐生美羽は一人ぼやく

 

美羽「まあ、あの子なら全て解けてしまうのよね。だってあの子は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽「人が一生に学ぶ学習量を越えているのだから。」

美羽はどこか残念そうに言う

 

美羽「完璧。確かにすごいことだけど、私たち親は何もかも無理矢理させすぎたのかも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「単に親が教えてくれました。」

俺がそう言うと

皐月「なるほど~。だから知ってたのか~。」

先生は納得する

 

皐月「さて、そろそろ君達も寮に帰りなよ?もう遅いし。」

零「はい。」

柊「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「今日はありがとう。」

柊さんを寮まで送る

零「ああ。俺で良ければいつでも教える。」

柊「うん!…あ。」

零「どうした?」

柊「いやさ、桐生君さえ良ければなんだけど……。」

零「言ってくれ。」

柊「今週末、一緒に勉強しない?……私の部屋で。」

俺より背が低いため、上目遣いの破壊力がやばい

零「…ああ。良いよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは流石に断れないだろ?

 




寒いですね。もうすぐ冬休み終わってしまう...

さて、次回は二人っきりで勉強ですねぇ(ニヤニヤ)
それでは次回お会いしましょう!


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8話 二人で勉強

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんはsylviです!
さて、今回ですが、零と愛菜が二人っきりで勉強!?
それでは、どうぞ!


時が経つのは早くもう金曜日だ

テストは月曜日からなので、学生の皆さんはさぞ週末は勉強尽くしだろう。

かと言う俺は

零「明日か。」

今週末は柊さんの部屋で一緒に勉強することとなっている。

龍也「ふっ、週末勉強しまくってクラス一番とったるぜぇ!」

零「...頑張れ。」

(お疲れ龍也。流石に無理だろ?...あ、そういえば。)

 

 

「本気で受けろよ!」

 

 

あの時の先生の言葉を思い出す

 

零(...ま、一回ぐらい本気出すか。)

自分の学力が落ちてないかの確認ってとこだな。

 

 

 

今日の授業はほとんどテスト範囲の解説で終わった

 

零「帰るか。」

柊「桐生君。」

柊さんがこちらに来る

零「明日か。」

柊「うん。よろしくね。」

零「ああ。何時がいい?」

柊「私はいつでもいいよ。」

零「じゃあ9時に行くよ。」

柊「うん!」

零「じゃあまた明日な。」

柊「うんばいばい。あ、桐生君!」

零「ん?」

柊「その..連絡先、交換しない?」

零「ああ。」

(まあその方が何かあったら連絡できるしな。)

 

 

 

 

 

 

 

柊「それじゃ、またね。」

零「ああ。またな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

零「ん...。」

携帯で時刻を見る

零(7時か。)

起き上がり準備をする

 

 

 

 

 

同時刻

柊の部屋

 

 

柊「はあぁ。」

(眠い。..けど今日は。)

私は顔がにへらとなる

柊「楽しみ。勉強するのに。」

ベッドから離れ支度をする

 

 

 

 

 

 

そして9時となる

ピンポーン

呼び出しボタンが押される

 

柊「はーい。」

ガチャ

 

零「よ。」

柊「桐生君!おはよう!」

(桐生君、私服姿もかっこいい///)

零「おはよ。」

(なんで柊さんは顔少し赤くなってんだ?)

柊「...どうぞ。」

零「...お邪魔します。」

(やはり緊張する。それに、柊さん私服姿可愛いな。)

 

 

 

柊「ジュース入れてくるから適当に座ってて。」

零「あ、ああ。」

 

 

柊「はい。」

零「ありがと。」

 

 

部屋は静かとなる

お互い緊張している

 

零「じゃあ、やるか。」

柊「う、うん。」

零「何か分からないところがあれば聞いてくれ。」

柊「分かった。」

 

 

こうして、俺達の勉強が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「桐生君、ここ分からない。」

零「どれどれ?」

(なるほど。これはなかなかめんどいな。だが、)

 

零「ここはこうするのがいい。」

俺は丁寧に教える

 

柊「へぇ。でもこんなやり方初めて。」

零「授業で習ったのと違う方法だからな。あとで授業でやった方法も教えるよ。」

柊「お願いします!」

 

 

 

零(楽しい。勉強してるだけなのに。それに柊さんといると気持ちが和らぐ。)

 

このなんとも言えない気持ちは何なんだろう

 

 

柊「桐生君?」

零「え?」

柊「どうしたの?ぼーっとして。」

零「あ、いや、何でもないよ。」

柊「そっか。あ、飲み物入れてくるね。無くなっちゃったし。...あっ。」

柊さんが立ち上がるもバランスを崩し、俺の方へともたれかかるように転ぶ

零「っ!?」

唐突のことで俺も一緒に倒れる

 

柊「う...ご、ごめん桐生く...」

柊さんは途中で言葉を止める

零「う...。」

俺が目を開けると、柊さんを抱く様に倒れていた

柊さんは顔真っ赤だ

零「あ、ご、ごめん!!」

柊「い、いや、私が悪いから気にしないで。//」

零「あ、ああ。//」

 

気まずい。非常に気まずい。

 

 

零「....。」

柊「....。」

 

零(やべぇ気まずい。)

柊さんまだ顔赤い

それにしても、柊さんファンに暗殺されそうだ。

 

柊(うう。桐生君に嫌われちゃったかなぁ...。)

 

零「飲み物、俺が入れてくるよ。」

柊「あ、ありがとう。」

 

 

 

俺は飲み物を入れて柊さんの方を見る

零(めっちゃびくびくしてる。..仕方ない。)

俺は飲み物を持っていき

 

 

柊「え?」

零(...。)

 

 

 

 

 

柊さんの頭を撫でる

 

 

零「そんな気にしなくていいよ。」

柊「...桐生君。」

零「勉強の続き、しよう。」

柊「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

しばらく勉強し、昼ご飯を一緒に食べ、また勉強。

なんとか今日を乗り越えた

 

 

 

柊「今日はありがとう。」

零「どういたしまして。明日はどうするんだ?」

柊「明日は自分で分かる教科だけやろうかな。」

零「そうか。がんばれ。」

柊「桐生君もね。って、そんな心配いらないよね。」

零「どうだろうな。」

柊「桐生君ならぜーんぶ100点かもね。」

零「じゃあ全部100点なら何かしてくれるか?」

柊「え?冗談で言ったんだけど..んー、じゃあ、一緒に買い物、とか?」

零「...頑張るわ。」

柊「ふふ、私も買い物しても楽しくないかもよ?」

零「いや、...柊さんとだから意味があるんだよ。」

柊「ふぇ?」

私はおかしな返事をしてしまった

 

零「それじゃ、月曜日。お互い頑張ろう。」

柊「う、うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

柊の部屋

 

 

 

柊「桐生君、あんなの反則だよ...けど、頑張って。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零の部屋

 

 

零「なんだろう。このモヤモヤは。」

(もしかして、俺は....)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊さんが好きなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
いやぁ相変わらず文才ねーな笑
感想一つも来ないんですけど、悪いところは遠慮無くどんどん言っちゃってください!
次回はいよいよテスト!
日曜日は...スキップ笑


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9話 中間テストの日

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、sylviです!
遂に中間テスト!来たーーー!!
零と愛菜は大丈夫かねぇ。
それではどうぞ!


今日は月曜日。いよいよ中間テストの日だ

クラスのみんなはさぞ週末勉強尽くしだったことだろう。

零(100点...取るか。)

 

全教科100点で柊さんと買い物。あの子のことが少しでも分かる絶好の機会だ。

 

龍也「零〜、数学を極めた俺に勝てると思うなよ〜。」

零「そんなに自身あるのか?」

龍也「おうよ!翔に教えてもらったしな!」

翔とは、クラスの男子でも上位な賢者

四宮翔《しのみや かける》だ

零「まあ頑張れ。」

 

 

 

ガラガラ

 

「おはよー。」

「おはよう愛菜〜。」

柊「おはよう。」

 

「おお!朝一番の我らが女神!」

「これでテストなんて余裕だぜ!」

「柊さぁん!柊ちゃぁん!あああ!!!!」

 

零(毎回思うが最後のやつはわざとだろ?)

 

 

 

 

柊「おはよ、桐生君。」

柊さんがこちらに来て挨拶

 

零「おはよう。」

 

 

 

 

「な、なあ、あの二人って付き合ってんじゃね?」

「めっちゃ仲いいし先週放課後桐生が柊さんと勉強してたよ?」

「イケメンと美少女は結ばれるってか。」

 

男子やら女子やらがヒソヒソ話している

零(まったく、冗談止めろ。柊さんに迷惑だ。)

柊「今日は頑張る。桐生君がたくさん教えてくれたから。」

零「柊さんなら大丈夫。自分を信じて。」

柊「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「では、始め!」

先生の声とともに、みんなが一斉にテスト用紙をひっくり返し問題を見る。

 

零(テスト範囲の中とは違う問題か。だが、....簡単すぎる。)

テストには多少は範囲の中の問題とは違うものがある

零(流石に丸々同じだとみんな解けるしな。)

 

 

 

俺は柊さんの方を見る

零(ペンが動いてる...ちゃんと解けてるみたいだ。良かった。)

 

テストとなると、テスト範囲と同じ問題。なので多くの人間は教科書の解法を覚えテストを受ける。 

だからイレギュラーな問題には対処できない。

零(...。)

実際このテストの最後の問題、圧倒的に難しい。

零(だが。)

俺は柊さんに教えている 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イレギュラーな問題でも解ける解法を

零(俺もそろそろやるか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(ふぅ。)

テスト一枚目が終わる

零(簡単だったな。) 

クラスでは最後の問題について話している

ちなみにさっき受けたのは物理

零(数学は...最後か。)

柊さんには色々な教科を教えたが、特に数学は念入りに教えた。

零(赤点は流石に無いだろ。この学校のテストがいくら難しいとしても。)

 

 

 

 

 

 

 

 

時は経ち、いよいよ数学のテストとなる。

 

 

皐月「これが今日最後だ。気を抜くなよ。....始め!」

 

テスト用紙をひっくり返す

問題は...中々難しい

零(数学はテストの中で一番きついだろうな。)

柊さんの方を見る

零(流石に考えこんでいるな。まあ無理も無い。)

この数学のテストは、最初に難しい問題を出し、そして少し難易度を下げた問題、そして最後は超難しい問題という構成だ。

人間はテストで前から前からと問題を解いていくのが普通

だがこのテストは、前から解いていたら残りの問題が解けなくなってしまう。

 

零(....。)

俺は簡単な問題を速攻で終わらせにいく

 

 

 

皐月(お?桐生のやつ、このテストの罠にはまらなかったな。流石だ。)

 

零(次は...最初の問題を。)

最初の問題を解く

 

 

 

 

 

 

零(最後はこれか。)

この問題はこのクラスでも解ける人少ないだろう

零(だが、柊さんは解ける。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皐月「はい、止めっ!」

先生の合図でみんなペンを置く

 

 

 

皐月「テストと成績表はまとめて俺が返却する。じゃあ、今日は帰ってよし。明日でテスト終わりだから今日は勉強しまくれ!」

 

 

 

 

 

 

柊「桐生君。」

零「柊さん。どうだった?」

柊「うーん...赤点は無さそうだけど数学はそんなに点良くないかなぁ。」

零「数学最後の問題解けた?」

柊「う、うん。多分合ってると思う。」

零「良かった。」

柊「桐生君のおかげ。ありがとう!」

零「ああ。明日も頑張ろう。」

柊「うん!」

 

 

 

2日目も順調にテストを乗り越えた

柊さんも大丈夫そうと言っていた。良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「さて、今日はテスト返却アーンド、成績表だぁ!」

 

あれから数日、今日はテストと成績表が返される

 

 

皐月「出席番号順に来いよ〜。」

 

生徒たちが取りに行く

 

 

「ああ!赤点無し!しゃら!」

「お、俺も!」 

 

 

皐月「桐生〜。」

零(...。)

 

皐月「良くやった。このクラスは赤点者無しだ。」

零「俺は何にもしてませんよ?」

皐月「柊のことだよ。」

零「ああ、そっちですか。」

皐月「あの子、赤点無しだ。しかも数学....最後解けてたぞ?それに高得点だし文句無し。」

零「良かったです。」

皐月「かと言うお前は...何食って生きているんだ?」

先生はそう言いテストと成績表を返す

 

零「はは。普通のご飯食べてますって。」 

皐月「次も本気な。」

零「..どうですかね?」

俺は受け取る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全教科に100点と書かれた成績表を

 

 

 

柊「桐生君!」

零「柊さん。」

柊「て、テスト赤点無かった!ほんとにありがとう!」

零「良かった。先生が言ってたけど、苦手な数学高得点だったって?」

柊「うん、92点!今回のテストで一番高かった!」

零「凄いじゃん。」

柊「桐生君は?」

零「俺は....」

言葉が詰まり、成績表を見せる

柊「え?最初から最後まで100だ....。凄い。」

零「これで買い物行けるな。」

柊「え?あれ本気だったの?」

零「ああ。」

柊「ふふ、じゃあ、今週末どうかな?土曜日。」

零「ああ。行こう。」

柊「凄く楽しみ。それじゃ!また明日!」

柊さんは手を振り、教室から出ていく。

 

 

 

 

零「さて、俺も帰るか。」

 

 

 

 

 

こうして俺は、最初の壁《中間テスト》を、たやすく越える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
いやぁ、零チート笑
全部100って中々いませんよね?
そんなわけで愛菜との買い物デートを!?
次回、デートじゃあ!!!! 
お楽しみ会に!


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10話 買い物デート!!

皆さん、おはござ、こんちわ、こんばわ、sylviです!
遂に遂に遂に遂にデートじゃあ!!
では、どうぞ!


今日は土曜日

そして、柊さんと一緒に買い物する日だ。

現在俺は待ち合わせ場所にいる

腕時計で時刻を確認する

零(少し早く来すぎたか?てか、誰かに見られたら勘違いされるかもな。)

高度聖導高校は敷地がとにかく広い。

店もたくさんある。

だが、誰かに見られる可能性は大いにある

零「ま、いっか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐生君、お待たせ。」

横から声が聞こえ、声の主の方を向くと、柊さんが小走りでこちらに来る。

零(それは可愛すぎだろ。)

いつもはクールな俺も彼女の前では丸くなった態度となってしまう

柊さんは白シャツに青のカーディガン、白スカート。春が終わり夏が来ようとしている今にはちょうどいい格好だ。

対する俺は、黒シャツに、赤のラインがあるズボン。

零「その格好、似合ってる。可愛い。」

デート定番の、【服装を誉める】をする。実際可愛いしな。

柊「あ、ありがとう。」

柊さんは頬を赤らめて顔を附せる

いちいち仕草が可愛い。男どもがワンパンされるのも無理ないな。

零「じゃ、行くか。」

柊「うん!」

零「柊さんは何買うの?」

柊「うーん、服かな。あんまり家から服持ってきてないから。」

零「あ、俺も服あんま無いな…。」

私服なんてそうそう着ないと思ってあんまり持ってない

零「今日はお互いの服の買い物だな。」  

柊「うん。あ、でもそれだと案外早く終わるかもしれないし、せっかくの休日だしどこかに行かない?」

零「いいよ。行きたい場所ある?」

柊「うーん。…じゃあさ。」

零「ん?」

柊「水族館。」

零「え?」

柊「だ~か~ら~水族館!」

零(いくらここの敷地が広いっていっても流石に水族館なんてあるか?)

柊「今、流石に水族館あるかって思ったでしょ?」

エスパーか

 

零「あ、ああ。」

柊「実はあるの。聖導水族館っていうのが。観光客もたくさんいるんだって。」

零「なるほど、だから学校区と商業区で別れているのか。」

柊「私たちの毎月4万も店で得たお金が入ってるかもね。」

零「そうかもな。……じゃあ行くか!」

柊「うん!まずは買い物ね!」

柊さんは笑顔で言う

零(元気だな。ま、それが一番だな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいあれ、柊さんだぜ?」

「うおっ!?まじか!可愛い!」

「俺惚れてもうたわ。」

 

俺達が服を見に店に来ると、誰だか知らないが柊さんに反応する

 

 

 

 

「見てみて、桐生君よ!?」

「うわ~かっこいい~」

「しかも隣にいるのって柊さんよね!?」

「ほんとだ~大カップルだね~。」

 

 

 

 

 

 

零「好き勝手言うな。」

柊「あはは、そうだね。」

零「俺と付き合ってるなんて嘘な噂とか流されたら悪いな。」

柊「ううん、いいの。…それに桐生君となら……。」

零「え?」

柊「ううん、何でもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は服を買い終え、昼食を食べる。次はいよいよ水族館だ。

零「広いな。」

柊「うん。あ!ジンベエザメ!」

零(高度聖導高校、ほんとに何でもあり完璧だな。観光者もたくさんいるしな。)

柊「桐生君!ラッコいるよラッコ!可愛い!!」

零「ああ。可愛いな。」

ラッコラッコ言ってる柊さんがな。

柊「魚いっぱいいる~。」

零「そりゃ水族館だからな。」

柊「私ね、水族館なんてあんまり来たこと無かったから凄く新鮮。」

零「俺は初めて来た。」

柊「え?そうなの?」

零「ああ。昔から運動以外であんま外出たこと無いんだ。」

柊「へぇ。外出してもらえなかったの?」

零(世界でも屈指の金持ちの親の子であんまり自由が無かったなんて言えない。)

零「まあ、スポーツ一筋、的な?」

柊「はは、何それ~。」

 

 

零(柊さんが楽しそうで良かった。彼女には笑顔が似合ってる。)

俺達は魚巡りを続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「はぁ、長かった~。」

 

なかなかの広さの水族館を全て見て回り、今は公園のベンチに腰を掛けている。

 

柊「今日は楽しかったな~。」

零「そうだな。水族館、悪くなかった。」

(収穫は、柊さんが結構動物好きってことぐらいだったが、まあいい。)

 

柊「桐生君といると楽しいよ。」

零「そうか?」

柊「うん、他の人とは違う様な感じ。」

柊さんは、下を向き照れくさそうに話す。

零「俺も柊さんと過ごす時間は嫌いじゃないよ。」

柊「ふふ、ありがとう。………ねぇ。」

零「ん?」

柊「………これから零君って呼んでいい?」

零「え?」

俺は突然のことで驚く

柊「だめ…かな?」

零「いい、よ?」

柊「ほんと!?やったぁ!」

零(可愛いすぎか。)

柊「じゃあさ……」

零「私のこともこれから名前で呼んで。か?」

柊「な、何で分かるの!?」

零「何となく。」

柊「そ、そうだよ!」

零「分かった。」

柊「ありがとう!じゃあ早速お願い!」

零「……愛菜さん。」

愛菜「さん付けはちょっと~。」

零「愛菜ちゃん。」

愛菜「ん~呼び捨てで。」

零(結構恥ずかしいんだぞ?)

零「………愛菜。」

柊「……うん。呼び捨てが一番いい。」

零「そうか。」

柊「よし、帰ろっか。」

零「ああ。」

今の時刻は夕方

俺は愛菜を寮に送る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「今日はありがとう。凄く楽しかった。」

零「こちらこそ。楽しかったよ。」

 

愛菜「また行こうね、零君!」

零「っ!?」

とびきりいい笑顔だ

ああ、多分俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜が好きだ。どうしようも無いくらい。

 




いかがでしたか?
二人の中縮まったと思います。
いつカップルにしよっかな〜笑
デートも終わったことで、次は球技大会!
いやぁイベント多いですよね?
球技大会終われば期末テストして、夏休み!
期末テストはちゃちゃっと終わらせて夏休みをじっくり書こうかと。
それでは、次回お会いしましょう!


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11話 球技大会に向けて

こーんばーんはー!!
こんな夜中ですが、投稿です!!
今回は新キャラでます!笑
それでは、どうぞ!


愛菜「ふふ。…零君。」

(やっぱ苗字で呼ぶのと名前で呼ぶのとじゃ全然違う。)

 

零との買い物を終え、今は自分の部屋にいる。

 

愛菜「早く会いたいなあ。」

私は彼が好きだ。いつからだろう。

ストーカーから助けてくれたとき、ナンパから助けてくれたとき、あるいは、初めて彼のバレーする姿を見たとき。

 

愛菜「あ、そう言えば!」

(あと数日で球技大会!!)

愛菜「確か種目は…男女ともバレーかサッカーだったよね。」

零君、バレー出てくれるかな?

私はまた見たいよ。君だけにしかできないプレーの数々をね。

 

愛菜「よし、お風呂入ろ!」

 

 

 

 

 

零の部屋

 

零「明日は球技大会の種目決めか…。」

 

(バレーとサッカーだったな。)

 

目を瞑ると、頭の中に浮かぶのはバレーの試合のプレーの数々

 

 

 

 

「零!」

「っしゃー!ナイス!零!」

「このまま優勝だぜ!」

 

 

零「あの頃はみんないいやつばっかりだったな。」

 

帝星バレー部はインターハイで2年連続の全国制覇を成し遂げた

当然チームメイトの殆どはスポーツ推薦で高校に入学

しかし、零は全て断った。

零(今思うと、バレーに興味無かったのによく続けたよ。)

目立たないようにひっそりと興味あるものを見つけるのが俺の目的

まさかそれがあの子とはな

 

零(バレー……出るか。)

そして俺の意識は途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ふぁ~あ。」

朝の日差しが俺の意識を覚まさせる

零「学校行こ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラ

 

龍也「お、零ちーす。」

零「おはよ。」

席に座る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「おはよう……零君。」

零「おはよう。愛菜。」

 

龍也「え、何々!?君ら付き合ってんの!?」

零「違えよ。」

愛菜「ま、友達だし…ね?」

龍也「ほうほう。」

零(疑ってそう。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、桐生君と柊さんって付き合ってるんだって!」

「あー、知ってる!一緒に買い物してたらしいよ!!」

「桐生君が柊さん毎日部屋に連れ込んでるんだって!」

 

 

零(変な噂出来てても仕方無いけど、流石に最後のは明らかわざとだろ?)

 

愛菜「なんか言われてるね。」

愛菜も苦笑いだ

零「噂というのは恐ろしい。」

愛菜「あはは、そうだね。……零君。」

零「ん?」

愛菜「零君は、球技大会どっちに出るの?」

零「…バレーかな。」

愛菜「本当!?」

零「ああ。」

愛菜「やったあ!!」

零「何でそんなに嬉しいんだよ?」

愛菜「だってだって、貴公子のプレーを近くから見れるんだよ!?」

零「そんな期待するなよ。」

愛菜「するって!多分みんなするよ?」

零「そ、そうか。」

(めっちゃ目が輝いてる。これは真面目にしないと。)

 

 

 

 

皐月「よーしHR始めるぞ~。早速だがもうすぐの球技大会に出る種目決めな~。」

 

俺はバレーにした

案外早く決まった

どうやらこのクラスは俺含めバレー経験者が三人いるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

「はい。今日の授業はここまで。気を付けて帰りなさい。」

今日の授業が全て終わり放課後だ

零「帰るか。」

教室を出たところで皐月先生に会う

 

皐月「まさか、バレーにするとは思わなかったよ。」

零「そうですか。」

皐月「興味出たの?」

零「バレーじゃないものには興味は出ましたけどね。」

 

 

 

 

愛菜「零君~、帰ろう。」

零「ああ。……さようなら、先生。」

愛菜「さようなら!」

皐月「さようなら。」

俺は生徒たちが見えなくなるのを確認すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「はは、面白いな。貴公子よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「球技大会木曜日か~。もうすぐだな。」

今日は月曜日なのであと3日

 

愛菜「そうだね。早く零君のプレーを見たいな。」

零(微笑みながら言われるとなんか恥ずかしいな。)

「期待に応えられるよう頑張るよ。」

愛菜「うん!」

 

女子寮に着く

 

 

愛菜「それじゃ、また明日。」

零「またな。」

愛菜が部屋に入るのを確認すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…いつまで見ている?」

 

 

「いやぁ、懐かしの後輩を見たもんでなぁ。」

零「その声、まさか……。」

 

「よ。」

物陰から現れたのは

零「雄大さん…。」

雄大「よう零。お久~。」

この人は佐伯雄大【さえき ゆうだい】

俺の中学の時の部活の1つ年上の先輩だ。当時レギュラーでアタックもかなり決めていた。

聖導には推薦で入学した

零「あなたがこの学校にいるのはしってましたが、部活見学のときいなかったので辞めたかと思いました。」

雄大「風邪気味だったから休んでた。」

零「そうですか。」

雄大「んなことより零、さっきの子お前の彼女?」

零「違います。」

雄大「可愛いかったな。俺の学年でも人気だぜ?男子にはあの子、女子には……お前。」

零「俺が?」

雄大「ああ。…よし、今回の球技大会で優勝してあの子に告るわ。」

零「頑張ってください。」

雄大「ああ。そういや、お前球技大会何でんの?」

零「バレーです。」

雄大「は?辞めろよ?俺が優勝しにくいだろ!」

零「もう決まりました。」

雄大「そうかよ。…お前、まだ興味あるもの無いとか言ってるのか?」

零「こないだまでは。」

雄大「ふーん、やっと見つかったんだな。」

零「ええ。」

雄大「そか。……それじゃ帰るわ。」

先輩は後ろを向く

零「さようなら。」

先輩は手で返事を返し帰っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(流石にあなたと言えど、あの子は渡しません。)

 




佐伯先輩登場!!
次回は球技大会!
零の活躍に期待!
ちなみに愛菜ちゃんもバレーです!
それでは、次回をお楽しみに!


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12話 球技大会《1》

どーも、sylviです!
いよいよ零の活躍ですね!
本人は楽しそうじゃないですが笑 
では、どうぞ!


皐月「お前ら、今日は楽しめえ!!」

今日はみんな楽しみ球技大会だ

「うおらあ!優勝すっぞ!」

「柊さんにいいとこ見せる!」

「うほうほうほ!」

零(みんなテンション上がりすぎ。)

と言う俺だが、今日くらいは俺も緩んでしまう。

 

皐月「お前ら優勝したら打ち上げだ!俺が奢る!!」

 

 

「「うおー!!先生かっけぇ!!」」

 

 

 

皐月「勝つぞ!」

 

「「おお!!」」

 

零(....。)

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「零君。」

零「ん?愛菜か。」

気付けば愛菜がこちらに来ていた

愛菜「今日、頑張って。」

おいおい、上目遣いからの微笑みは破壊力抜群だって

零「ああ。しっかり見ていてくれ。」

愛菜「うん。」

 

 

火曜と水曜で経験者たちを中心にポジションを決め練習した

零(さて、どうなることやら。)

聖導のバレー部は中々いい選手が多い

球技大会は荒れそうだ

 

 

 

 

 

一回戦

俺たちはいきなり試合だ。相手は3年。

 

「桐生君!!」

仲間が上げたトス

零「任せろ。」

 

ズドンと、俺は打つ

零(余裕だな。半分くらいの力で決まる。)

 

 

「ナイス!」

零「ああ。」

 

 

(これなら本気をださなくてもよさそうだ。)

いきなり初戦で本気を出し力量を知られるのはNGだ 

 

 

 

「よっしゃ!」

 

皐月「よくやった!」

 

 

 

結果は25対4で圧勝。相手にバレー経験者がいなかったからというのもあるが、3年に勝てたことはみんなの自身に繋がる。

 

 

零「ふぅ。」

喉が乾いたので冷水機で水を飲む

「相変わらず上手えな。」

 

 

零「見てたんですね、雄大さん。」 

雄大「なまってないかをな。」

零「多少なまってました。」

雄大「多少か。はは、全力のお前を倒したいから、早くなまり直しとけよ?」

零「はい。」

(今は本心で言う。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あなたじゃ俺は止められない。)

零「失礼します。」

雄大「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍也「いやっほう!」

 

次はサッカーの試合だ。うちのクラスは経験者が何人かいて、圧勝だった

零「お疲れ様。」

龍也「さんきゅ!いやあ余裕だぜ。優勝もらったな。」

零「油断大敵。」

龍也「はは、わかってるって。」

 

 

 

皐月「みんなよーやった!次も勝つぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは順調に勝っていき、次は女子のバレーの試合が始まる。

 

 

 

 

 

「おい、早くいこーぜ!」

「女神が戦うぞ!」

「ああ、僕のハートにもアタックを!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

 

「愛菜!」

愛菜「うん!」

 

愛菜がアタックを決める

 

 

「ひゅーナイス!」

「ああ、僕のハートにもぉ!!」

 

皐月「いいぞ!柊!!」

 

零(上手いじゃん。)

 

 

 

 

愛菜(ああ、零君見てる、恥ずかしい....。)

私は零君を見る

愛菜「あ...。」

零「...。」

目があった

 

零「!!」

愛菜「えっ!?...えへへ。」

零君が手でグッジョブをしてくれた

 

零(愛菜、頑張れ。)

 

 

 

 

 

 

皐月「よしよし順調。」

 

 

結果は1の2の勝利だ

 

 

愛菜「やった!!」

 

 

 

 

 

「女神の笑顔、いとうつくし!」

「かわええなあ。」

「ハァハァ、ハァハァ。」

 

零(なんだあいつら、最後のやつ、アーユーオーケー?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後も順調よく勝ち抜いていくが、男女サッカーは負けてしまう。

 

 

龍也「くっそ!!」

零「龍也....。」

龍也「来年こそは優勝だ!」

 

 

 

 

二回戦

 

 

 

 

 

零「ふう。」

 

 

ボールを上げる

ゆっくりと助走をし

打つ

 

 

「うおっ!?なにこれ!?」

相手はミスをする

 

 

零(よし、まずは一点。)

 

「桐生ナイス!」

「零も一本!」

 

 

俺が今打ったのはジャンプフローターサーブと言って、

打ったボールが無回転なのだ。初心者にはきつい。

 

 

零(もう一点だ。....取る。)

 

こんどは人と人との間

 

 

「あっ!?おまっ!?」

「え!?ええ!?」

 

どちらも譲り合ってボールは落ちる

 

零(全力ではないがスピードはかなりあるぞ。)

 

 

「さっすが貴公子!」

「バレーボールの貴公子かっけえ!」

 

 

 

「桐生君かっこいい!」

「私告っちゃおうかな!」

「えー、抜け駆け!?」

 

 

愛菜「うう。」

(零君人気だ。...そりゃあんなにかっこいいもんね。)

 

 

皐月「どした?」

愛菜「え?は?せ、先生。何でもないです。」

皐月「そうか。....それにしても桐生のやつ、本気じゃねえな。」

愛菜「ですね。」

(零君あんまり楽しそうじゃない。やっぱり勝っちゃうからかな。)

 

 

今の得点は24対5だ。圧倒的に勝っている。

なぜなら、桐生零のサーブでほとんど点を稼いでいるからだ。

 

 

零(これで、終わり。)

サーブを打つ

(こんどは少し遅いぞ。)

 

 

 

「え?こんなん余裕でとれ...ない!?」

ボールはレシーバーの腕を弾き後ろへ飛んでいった

 

 

零(今まで同じ速度だったが急に変えられると焦るだろ?)

 

 

 

皐月「.....素晴らしい。」

愛菜「え?」

皐月「いや、初心者相手とはいえここまで点を取るとは素晴らしいって意味。」 

愛菜「そうですね。」

(零君、君はすごすぎるよ。) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが桐生零。」

「あれぜってえ本気じゃねえ!」

「ああ。」

「俺らで倒すぞ!」

 

 

 

「「この、千鳥ヶ淵ツインズでな!!」」

似顔同士が高笑いをしていた

 

 

 

 




いかがでしたか?
桐生零君冷めてる笑

さてさて、次回ですが!
二年の千鳥ヶ淵ツインズたちとの勝負です!!
お楽しみに!


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13話 球技大会《2》 〜千鳥ヶ淵ツインズ〜

どーも、sylviです!
今回は千鳥ヶ淵ツインズとの戦いです!
零の本気の一部が見られます!
それではどうぞ!


球技大会二日目

昨日は順調よく勝っていった。

今日は男女のサッカーとバレーの準決勝と決勝だ。

 

零「……ふぅ。」

(ここまで来られたが、ここからが正念場だな。)

 

愛菜「零君。頑張って。」

愛菜が俺の席に来て、俺に元気を与える言葉を言ってくれる。

零「ああ。愛菜も頑張れ。」

愛菜「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

「おいおい、どっちが勝つと思う?」

「ん~貴公子かなぁ。」

「俺は千鳥ヶ淵コンビ!」

「両クラスとももうバレーチームって感じだよな?」

 

 

 

皐月「いけえ!桐生!負けたらクラスみんなに焼肉な!!奢れよ!!」

 

零(理不尽だろ。)

 

 

愛菜「零君…頑張れ。」

 

 

 

 

 

 

 

零(小声で応援とか女神か。)

 

 

 

「随分余裕の顔だな!」

「俺らに負けるってのによぉ。」

 

零「あの…どちら様?」

 

「なに!?俺ら千鳥ヶ淵コンビを知らないだと!?」

「なんたる哀れな!!」

 

零「…これから倒すやつのことなんてどうでもいいんっすよ。」

 

千鳥ヶ淵コンビ「っ!?」

 

千鳥ヶ淵(この気迫……。)

千鳥ヶ淵(恐ろしい…。)

 

千鳥ヶ淵「ならばこの千鳥ヶ淵龍【ちどりがふち りゅう】と。」

千鳥ヶ淵「千鳥ヶ淵虎雄【ちどりがふち とらお】が。」

 

千鳥ヶ淵「「全力で叩きのめそうぞ!!」」

 

 

「ただいまより、男子バレーボールの準決勝を始めます。選手のみなさんは並んで下さい。」

マイクで生徒会の人が言う

 

 

 

「ピー。」

 

 

「「お願いします!!」」

挨拶を交わし、試合が始まる。

 

サーブは千鳥ヶ淵弟から。

このチームは千鳥ヶ淵兄弟を対角にし、常に千鳥ヶ淵兄弟のどちらかが前衛でアタックを打てるフォーメーションだ。

 

 

 

虎雄「いっくでぇ!!」

虎雄はジャンプサーブを打つ

ジャンプサーブはサーブの中でも最も攻撃力があるサーブだ。

 

龍「虎雄のサーブは高校2年の中でも上位や!!受けてみろ!」

 

零「うるさい。」

(狙いは俺か。)

俺はサーブをレシーブする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セッターの頭上に完璧に

 

虎雄「何ぃ!?」

龍「まじバケモンやな!ブロック三人とも桐生に付いて!!」

 

 

 

零「橋本!」

 

俺はセッターの橋本塁【はしもと るい】を呼ぶ

 

 

橋本「おけい!!」

 

橋本のトス

零(流石もとバレー部。綺麗はトスだ。)

 

 

零「ふっ!!」

俺はレフトから相手コートのストレート側、千鳥ヶ淵龍の目の前にアタックを叩き落とす。

7割りくらいの力で。

 

 

龍「な!?身長180超えブロッカー三人居たのにブロッカーの上から打っただと!?」

 

零「……サーブ弱すぎて片手で上等だぜ?」

 

龍「く!!」

 

 

 

皐月「いいぞ桐生!!」

 

愛菜(かっこいい……。)

 

 

「今の見たかよ!?貴公子様すげえ!」

「アタックの角度エグすぎだろ!?」

「全日本レベルじゃね!?」

 

 

 

 

 

今度はこちらのサーブ

サーバーは橋本

 

 

 

ピー

 

橋本「ふ!」

橋本はフローターサーブ

 

龍「俺がとる!!虎雄!上げてくれや!!」

虎雄「おけい!!龍いけ!!」

 

龍「おらあ!!」

 

千鳥ヶ淵龍のアタック

狙いは初心者

 

「うわ!?」

無論、取れない。

 

「ごめんよみんな。」

橋本「気にすんなって。」

松田「そーそー。」

橋本やもう一人の経験者の松田英人【まつだ えいと】が優しく声をかける

 

 

龍「どうや桐生。俺のアタックは。」

零「……すごいです。……弱すぎて。」

龍「なにい!?」

 

 

 

 

 

この後も点を取り合うが、1年2組が有利だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「あと一点!!」

愛菜(零君……。)

 

 

 

得点は25対10で圧倒的俺達が有利

 

龍「く……ここまでとはな。貴公子。」

虎雄「強い……。」

零「勝負ありだな。」

(まだ本気じゃないことは黙っていようか。)

 

 

サーブは俺の番だ

 

 

零「…ふぅ。」

(今だけ本気で打つ。これで決める。)

 

 

 

 

 

 

 

 

ボールを上げる

そして打つ

 

零「仕返しな。」

俺は千鳥ヶ淵虎雄目がけ本気で打つ

俺の最も得意なサーブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンプサーブで

 

虎雄「ぐっ!」

ボールは千鳥ヶ淵虎雄の腕を弾き、横へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おお!!!!!」」

皐月「っしゃあ!!」

 

 

龍也「……すげぇ。」 

 

「キャー!!」

「凄い!!」

「桐生君かっこいい!!」

 

 

 

零(ふぅ....。)

 

 

 

 

 

 

千鳥ヶ淵兄弟「「………く。」」

 

零「残念だったな。」

 

龍「貴様ぁ……。」

虎雄「くそぉ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

零「....バレー部、全国行けるといいな。」

 

 

兄弟「!?」

 

零「先輩たちや他の部員も上手いし、行けるよ全国。白英も天正も聖クラストアも弓鳴も倒して全国制覇、出来ると思う。」

俺が今言ったのは、高校バレーのベスト4常連校。中でも白英学園は優勝候補筆頭だ。

 

 

龍「桐生……。」

虎雄「お前……。」

 

零「…それじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

皐月「桐生!君は素晴らしい!」

零「いきなりっすね。他のやつに言ってやって下さいよ。」

皐月「もう言ったさ。お疲れと。」

零「それで、何の用ですか?」

皐月「……最後本気で打ったね?」

零「……ええ。」

皐月「やっぱり…。あれは威力も速さも凄すぎた。是非決勝でも君のスーパープレーを見せてくれ!!」

零「気が向いたらで。...それじゃ。」

 

 

 

 

一方、隣のコートでは

 

 

雄大「ふっ!!」

佐伯雄大が率いる2年5組が、3年相手にアタックを打っている。

 

 

「雄大すっげ!!」

「いけいけ雄大!!」

 

 

 

零(決勝はあなたとですね。雄大さん。)

心の中でそう思っていると、雄大と目が合う

 

 

 

 

 

雄大「へへっ。」

 

雄大さんは笑っていた

どうやら勝つ自信満々のようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「はやく戦いましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
零のサーブ凄まじい笑
次回は決勝です!
それでは、ごきげんよう。


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14話 球技大会《決勝》1

どーも!sylviです。
センターまであと2日ですね!
寒いよぉ。
それでは、どーぞ!


零「あと、20分か。」

時計を見る

決勝が始まるまであと20分

俺達の準決勝が終わった後、女子のバレーは準決勝で負けてしまった。3位決定戦は無いので3位だ。

 

 

 

零「...。」

俺は今、教室で一人。

みんなは体育館や外にいる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?一人でぼーっとして。」

突如、廊下から声が聞こえる。

 

 

 

 

零「なんだ、先輩ですか。」

「むー、私のことは名前で呼んでよ。」

零「はぁ....琴音さん。」

この人は蓬連琴音《ほうれん ことね》

彼女のことを簡単に言うとすれば、美少女だ。

2年生の中では一番と言われる程。愛菜ともいい勝負とも言われている。

白魚のように美しい手足、黒髪ロング、二重の目。

「うん、よしよし、偉いぞ。」

一番の特徴はこの笑顔だ。

零「何の用ですか?」

琴音「零って相変わらず寂しい人だねぇ。せっかく決勝進出おめでとって言いに来たのに。」

零「寂しい人は昔からです。それと、ありがとうございます。」

琴音「うん。...楽しいかどうかともかく、零がまたバレーしてる姿見れて良かったよ。」

零「え?」

琴音「私がマネージャーしてた時全然バレー楽しそうじゃなかったからさ、もうしないかと思って。」

 

 

 

 

蓬連琴音は帝星時代バレー部マネージャーだった。

情報をもとに相手を分析していた。正直かなり助けられた。

 

零「ま、サッカーよりバレーかな、と。」

琴音「そっか。.....あ、そろそろだね、決勝。頑張って。応援してるから。」

そう言い残し、琴音は体育館の方へと向かった

 

 

 

零「まあ、優勝はしますよ。雄大さんに愛菜を取らせはしない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、いよいよ男子決勝!女子の決勝は先程しましたが、実に熱かった試合でした!男子はどうでしょうか!?それでは、選手のみなさんは並んでください!」

 

 

 

 

 

皐月「桐生ー!!」

 

 

 

雄大「やっとだな、零。待ちわびたぜ。」

零「そうですね。」

雄大「あの子が見てるから、今日の俺は一味違うぜ?」

零「それは楽しみです。」

 

 

 

 

 

 

 

「「お願いします!!」」

両チームは挨拶を交わし、配置に着く。

 

サーブは相手から。

零「...さっそくバレー部のサーブか。」

相手のサーバーはバレー部だ。

 

 

「ふっ!」

相手のジャンプサーブ

千鳥ヶ淵虎雄のサーブよりは軽い

だが、ボールは初心者の方へ。

 

松田「俺が行く!」

松田が初心者の前に立ち、何とか上げる。

零(ナイスだ、松田。)

 

そしてセッター橋本がトス

橋本「桐生君!」

 

 

零(えー、ライン沿いストレートにバレー部、クロス側に雄大さん、と。さて、どうしたものか。....よし。)

 

「ふっ!!」

 

俺は相手のストレート側のブロッカーの右手狙って打つ。

ボールは相手の右手に当たった後、弾かれてコートの横に落ちる。即ちブロックアウトだ。

 

雄大「く、流石。」

 

 

次は俺達のチー厶のサーブ。サーバーは橋本だ。

 

零「橋本、ちょっといいか?」

橋本「ん?」

俺は橋本に近寄り、言葉を告げる。

 

橋本「......やってみるよ。」

 

 

 

 

 

橋本(えっと、あそこらへんだな。)

 

フローターサーブ、バレーの中でも基本なサーブだ。

俺は橋本にこう告げた

 

 

 

「相手コートの前らへん、ネットぎりぎりに打ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

橋本「ふっ!」

サーブを打つ

ボールは相手コートの前に向かう

 

「くっ!!」

相手のセッターが拾う

 

 

最初のボールをセッターが取ることで次にトスを上げる人はセッターでは無くなる。つまり、雄大さんが打ちやすいトスを上げにくくなる。

 

「雄大!!」

セッターでは無い人が上げる。しかし、初心者なのかあまりいいトスとは言えない。

 

雄大(く、ボールがネットから離れすぎている。これでは思いっきり打てない。....なら!)

「おら!」

俺は相手コートの角目掛けて打つ

俺のポジションはレフトなので、相手コートの左奥に打っていることになる。

雄大「どうだ!...何っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ!結構痛い。」

初心者が胸でボールを上げる

零(いくらバレー部とは言え、あんな奥に打ったら流石に威力は落ちる。)

俺は試合前に初心者達にこう言った

 

「コート奥に打たれたボールは胸で取ろう。」

 

 

零(結構痛いだろ。すまないな。....だが。)

 

 

何とか上がったボールを松田がアンダーハンドで上げる

 

松田「桐生!」

 

 

 

零(本気は要らないな。)

俺は雄大さん目掛けて半分くらいの力で打つ

 

雄大「くっ!!」

雄大さんはレシーブ出来なかった

 

 

零「レシーブが苦手なのは相変わらずですね。」

雄大「くっそが、今の半分くらいの力だろ?」

零「どうですかね。」

雄大「へへっ、面白れえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

両チームとも攻めと守りを交互に続ける

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「あとちょっと!」

得点は23対15で1の2が有利

 

雄大「くそ!何で初心者狙ってんのに点差が縮まらねえんだ!」

 

 

 

零(このセットは貰った。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橋本「桐生君!」

 

零「ふ!」

 

 

 

「「おお!!」」

 

皐月「よしいいぞ!!」

 

 

 

こうして、1セット目は俺達が取る

 

 

零(さあ、どうくる?先輩。)

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
桐生君チート笑
次回で決着です!
それでは、さようなら!


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15話 球技大会«決勝»2

皐月「よしよしいいぞお前達!次のセットも取って優勝だ!!」

 

橋本「そうですね!!」

松田「俺の活躍を見よ!!」

 

チームメイトがギャーギャー騒いでいる。

今は3分の休憩だ。

 

 

 

 

零(さて、次も上手く行くかな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄大「すまんみんな!!俺がもっとしっかりしていれば…。」

 

「雄大のせいじゃねーよ!!」

「そーだよ!俺らもミス多かったし。」

「次は取ろうぜ!」

 

雄大「みんな……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、第2セットを始めます。選手の皆さんは並んでください。」

 

 

 

 

 

 

零(いよいよか。)

 

 

「零君。」

零「愛菜…。」

愛菜がこちらに来て、心配そうな顔をしている。

零「そんな顔をするな。勝つから。」

愛菜「うん、信じてる。かっこいいところ見せてよね!!」

眩しい笑顔だ

零「ああ。よく見とけよ!」

(あんな顔されちゃ、勝たないわけにはいかないな。)

 

 

 

「「お願いします!!!」」

 

 

 

 

雄大「なんかすっきりした顔じゃねえか。」

零「ええ、まあ。」

雄大「手を抜くなよ?」

零「勿論です。」

雄大「とか言ってさっきはまったく本気じゃなかっただろーが。」

零「そんなことは無いです。」

雄大「まあいい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄大「いくぜえ!!」

サーブは雄大さんから。

雄大「おらあ!!」

ジャンプサーブだ

初心者の方に打たれる

 

「う!?」

 

雄大「っしゃおらぁ!!」

 

零(いきなりか。きついな。)

橋本「ドンマイドンマイ!」

松田「次々!!」

「次取ろうぜ!!」

 

 

零(さて、次はどう来る?)

 

 

雄大「おらあ!!」

中々強烈なサーブ

ボールは初心者の方へ

 

松田「ふ!」

松田が初心者の前に立ち代わりに取る

橋本「桐生君!」

零「ここだな。」

 

 

 

 

雄大「ぐ!?」

ボールは雄大さんの前に落ちる

 

 

零(フェイント、中々効くでしょう?)

そう、俺はボールに少し力を入れ雄大さんの前に落とす。

 

 

 

雄大「やんなあ零。」

 

 

 

そしてサーブは俺のチーム

 

「ふ!」

初心者のサーブ

 

雄大「オッケ!」

雄大さんが取る

 

「雄大!」

 

雄大「おら!!」

雄大さんのアタックが俺達のコートに叩き落とされる

 

雄大「よし!!」

「ナイス雄大!」

「すげえぞ雄大!!」

 

 

 

零(お見事。)

 

 

 

 

 

それから攻防が続き、得点は24対23だ。

 

零(まさかここまでやられるとは。)

俺達が1点差で勝ってはいるが、途中随分とミスがあった。

零(あと一点。)

 

 

 

 

 

 

 

皐月「桐生早く決めちまえ!!」

「いけ貴公子!!」

「イケメンの力!!」

 

 

零(まったく急かすなよ。……まあ、次で決めたいな。)

 

 

 

 

 

サーブはこちらのチームだ

 

橋本「ふ!!」

橋本のサーブ

ボールは無回転で中々の取りづらさだろう。

雄大「おら!」

雄大さんが取る

 

「いけ雄大!!」

 

雄大「しゃらあ!!」

 

雄大さんのアタック

方向は俺の方だ

 

零(ふ!!)

俺はセッターの橋本の頭上に上げる

雄大「く!!」

橋本「ナイスレシーブ!桐生君!」

橋本がトスを上げる

零「終わりだ!」

  

  ・・

俺は全力で打つ

 

 

雄大「っ!?」

雄大さんは一歩も動けず、ただ自分の足元のボールを見ているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「おお!!」

「なんだ今の!?」

「貴公子のアタックめっちゃ速くて強そうだったぞ!?」

「あれが本気か!?」

 

 

 

 

 

雄大「………ふぅ。」

 

「仕方ないよ。」

「雄大が悪いんじゃ無いから。」

「そうそう。」

 

雄大(零、お前はどれだけの力を…。)

 

 

 

 

 

 

零(やっちまった。つい本気で打ってしまった。)

 

 

 

 

「零君!!」

 

零「愛菜……。」

愛菜「おめでとう!」

零「ありがと。」

愛菜「どうしたの?嬉しくないの?」

零「いや、嬉しいよ?」

愛菜「なーんか言ってることと表情が違うよ?」

零「顔は元々こんな感じだよ。」

愛菜「あ!さては、本気出しちゃった~って思ってる?」

零「っ!?」

愛菜「やっぱり!零君目立つの嫌って言ってたもんね。」

零「何で解るんだよ……。」

愛菜「ふふ、内緒。」

 

 

こうして俺達の球技大会は終わった

 

零(そういやこの後打ち上げだっけ?)

明日が土曜日だから今日は食いまくれってか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、とんでもないことが起こるのを、俺は知るはずも無かった。

 




次回なんと!?!?!?


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16話 影合わさりし時

どーも、久しぶりです!!
久しぶりということで、今回いつもより頑張りましたよ~。
タイトルで内容分かった方もいらっしゃると思います!
では、どうぞ!!


皐月「お前らぁ!!今日は俺の奢りだ!!食いまくれぇ!!」

 

 

「先生お金大丈夫?」

「そうそう。」

 

 

皐月「ノープロブレム!!気にすんな!!」

 

「じゃあ食うか!」

「そうだね。」

 

 

零(みんな元気だな。こういう空気は中3以来だ。)

 

 

 

球技大会を優勝し、今は打ち上げだ。

ちなみに店は焼肉店。今日は貸しきりだ。

試合終わっていきなり貸しきりはほぼ無理なので事前に予約していたのだろう。つまり、優勝をしていなくとも残念会だったというわけだ。

 

零(早く帰りてぇ……。)

俺はこのクラスのやつらとそこまで仲が良いわけではない(基本喋らないから)のであまり楽しくはない。

1つの机を四人が囲み1グループ、

それが何グループもある。

ちなみに俺のグループは俺、愛菜、龍也、まではよしとしよう。だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……何であなたがここに座るんですか?」

皐月「え?駄目なのか?」

 

残り1人はカオスティーチャーの皐月先生だ。

 

愛菜「まあまあ零君。先生ぼっちだから仕方ないよ。」

皐月「………。」

愛菜、今のはフォローのつもりみたいだが逆効果だぞ。先生顔死んでる。

 

龍也「ぼっちを放っておけないだろ?」

龍也がニヤニヤしながら言う。絶対わざとだ。

 

皐月「………風間、期末テスト楽しみにしとくぞ。たった今お前の平常点は0になったから自分の実力で頑張れよ。赤点回避51点以上だから。8科目ともな。」

龍也「ええ!?何で俺だけぇ!?」

皐月「言い方うざかったから。」

龍也「柊さんには!?」

皐月「柊は赤点なんて取るようなやつじゃねーよ。平常点無しでもな。」

愛菜「ええ!?そんなこと無いですって。」

皐月「さあ食べよう。肉が冷める。」

先生の声と共に、俺たちは肉を食べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ふぅ。」

(今日は良く食べたな。)

周りを見渡すと、話しをしている者、寝ている者、腕相撲をしている者など、みんな時間を潰している。

先生はと言うと、

 

皐月「そこで俺は言ったんだ、俺はお前しか見えてねえ!ってな。」

龍也「まじすか!?格好いいっすね!」

先生が長々と龍也に恋話?をしている。結婚してないみたいだがな。少し酔いもあるようだ。

零(帰りちゃんと歩いて帰れるのかよ。)

先生も生徒同様、寮に住める。殆どの先生は自分の家に帰っているが、皐月先生は寮生活だ。

いくらここが学校の敷地内としても、酔った状態で自分の寮に帰るのは困難だ。

 

 

零(さて。)

俺は立ち上がり、店の外に出る。

 

愛菜「零君、どこ行くの?」

零「ちょっと風に当たってくる。」

 

皐月「すぐにぃ、戻るんだじょお。」

龍也「先生早く続き話して下さいよ!恋バナだか自慢話だか!」

 

零(大丈夫かよ先生。てか龍也もよくこんな話聞いてるよな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「やっぱ一人が落ち着くな。」

俺は今、外のベンチに座っている。

目を瞑ると、今日の試合の光景が脳裏をよぎる。

 

零(…結構、楽しんだのかな、俺。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「一人で何暗い顔してるの?」

零「真顔だろ。」

愛菜は何故か来る。俺が一人の時、辛い時、いつも必ず来る。

愛菜「……今日の打ち上げどうだった?」

零「どう、とは?」

愛菜「楽しかったかつまらなかったか。」

零「別にどっちでも。」

愛菜「そっか。」

零「愛菜は楽しかったのか?」

愛菜「うん!みんなでいい思い出になったし、最高だよ!!」

 

零「お前はいつも明るいな。」

愛菜「そう?まあでも、私は明るいままが一番だと思う。」

零「ああ。愛菜には明るく元気が一番似合う。」

愛菜「あ、ありがとう。///」

愛菜は照れ臭そうに俺から視線を外す

 

愛菜「零君どうかしたの?今日店内でもあまり喋って無いし。」

零「いや。喋らないのは元々だ。」

愛菜「そうかな?元気無さそうだったよ?どうしたら元気でるの?」

零「それ、俺に聞くか?……まあ、愛菜が近くに居たら元気でるかも。」

愛菜「そっか、じゃあ居るね。」

零「いいのか、戻らなくても?」

愛菜「うん。それに、私も零君と居ると元気出るし。」

零「そ、そうか。」

(愛菜は何言っても可愛いな。)

 

愛菜「うん。」

(やばい、緊張するなぁ。零君間近で見るとほんとカッコいい。……ダメ、我慢できないよ……よし!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「そろそろ戻るか?」

 

愛菜「うん。」

 

 

俺は立ち上がり、店へと戻ろうとする。

 

愛菜「れ、零君!!」

零「ん?どうし……!?」

俺が振り向くと、唇に柔らかい感触がする。

そう、今俺と愛菜の唇が合わさっている。

零(ん!?んんんんん!?)

愛菜は頬に赤みを帯びながらも目を瞑り静かにキスをしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「ん……はあ。」

数十秒の二人の甘い時間は終え、愛菜から唇を放す。

 

零「あ、愛菜。今のは……。」

愛菜「ふふ、これで元気でるかなって。」

愛菜は恐らく俺があの空気を苦手としているのが分かったのだろう。しかし、何でキスなんだ?まあ俺は嫌じゃ無かったけどさ。

零「…ありがと。最高に元気貰った。」

これは嘘ではなく、本心だ。だんだんと、桐生零は柊愛菜が居なくては駄目になってきている。

 

愛菜(ああ、私って駄目だな。付き合っても無い人にキスしちゃってさ。零君も仕方なく元気出たって言ってるかもしれないし。ただの片想いがでしゃばるのは駄目だよね。でも私、零君居ないとダメダメになっちゃったかもね。)

 

二人が同じことを考えている。まるで運命の赤い糸のように。

 

 

 

 

愛菜「……それじゃ、戻ろっか。」

零「ああ。」

 

愛菜(あーあ、明日からどんな顔すればいいんだろう。)

 

そう心の中で思いつつ、一歩、また一歩と歩み続ける。

 

零「愛菜。」

零君の横を通りすぎた時、声を掛けられる。

愛菜「え?」

私のお腹の前で、零君の両手が触れている。

愛菜(もう……これは反則だって。)

零君が私を包み込むように、後ろから抱いている。

零「……お前は元気出たか?」

愛菜「出すぎて止まらないよ……。」

零「そうか、良かった。」

本当に君は優しい。君の全てが大好きだよ。

 

愛菜「零君、お願いがあるんだけどいいかな?」

零「言ってくれ。」

私を抱いたまま放たれる優しい言葉

 

神様、ちょっとくらい許してね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「…………私にキスして。」

凄く言いづらい。零君にもし彼女さんが居たらと思うと、意味の無い言葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「分かった。」

零君は私を放す

 

 

愛菜「……。」

私は何も言わず、正面を向く。

そして、目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、彼がだんだん近づいてくる。

彼の両手が私の両方の肩に触れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私達の影が合わさった。




甘いですね笑
そろそろ二人くっつけようかな笑


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17話  ※登場人物紹介

ここまでの登場人物紹介です。


桐生零(きりゅう れい)

15歳  誕生日12月24日

身長182センチ、体重68キロ。

髪は黒髪で長さはそこそこ。

何でも出来る完璧男。家は超金持ち。

父親に色々させられていたが全て興味が無かった。自室のトロフィーや賞状もどうでもよかった。

中学2年生から3年生までバレーボールをしていて、【バレーボールの貴公子】という二つ名を付けられた。東京内でも有名人物。

とてつもない学力を持ち、人が人生の中で学ぶ学量を越えており、日本トップクラスだ。

それに加え、護身術やあらゆる格闘術も身に付けている。

本人は自由に、平穏に過ごすことを望んでいる。高度聖導高校の長期休暇以外外部との接触は禁止するという制度に目をつけ、入学する。

今まで何にも興味を示さなかったが、柊愛菜という1つの光が彼を照らす。

本人はあまり目立ちたくは無いようだが、愛菜のためなら動く。

 

 

 

柊愛菜(ひいらぎ あいな)

15歳  誕生日12月24日

身長157センチ、体重??キロ。

髪は黒髪ロング。

学校一と言われし美少女。誰にでも優しく、いつも明るくまっすぐだ。

学力は学年上位だが、テスト前には桐生に教えてもらったりしている。

桐生のことは、中学3年生のバレーボールの全国大会で妹の応援をした後に知る。彼のプレーを見て、凄いの一言だ。同じ高校となり彼のことをだんだん知り、恋心を抱くようになる。

 

 

風間龍也(かざま りゅうや)

16歳  誕生日4月6日

身長176センチ、体重65キロ。

髪は茶髪で短め。

零の高校生活初の友達。クラスに一人はいるやんちゃボーイ。

サッカー大好き少年で部活は勿論サッカー部。

入学式の日に零に愛菜のことを可愛いと言っていたが、他にも可愛い女子を見つけており、入学2か月で学校中の可愛い女子をほとんど把握済み。

友達思いのいいやつだ。

 

 

 

皐月正嗣(さつき まさつぐ)

24歳  誕生日5月6日

身長178センチ、体重70キロ。

髪は黒髪で短め。

零たち1年2組の担任。未婚。

生徒同様、寮に住んでいる。

桐生のことを気にしており、彼の能力の高さに日々驚き。

生徒に優しい先生だ。

 

 

 

蓬連琴音(ほうれん ことね)

17歳  誕生日8月9日

身長163センチ、体重??キロ。

2年生の中では一番、学校内では愛菜といい勝負と言われる美少女。

零と同じく帝星中出身で、バレー部マネージャー。

零のプレーが好きで、動画にしている程。

自分の世代で帝星が全国大会優勝したことを誰よりも喜んでいた。

高校でもバレー部マネージャー。

 

 

佐伯雄大(さえき ゆうだい)

16歳  誕生日1月4日

身長183センチ、体重74キロ。

零の中学からの先輩で、バレー部でもレギュラーだった。

高校でもバレー部に所属。

 

 

 

橋本塁(はしもと るい)

16歳  誕生日4月5日

身長167センチ、体重63キロ。

中学までバレー部だった。

 

 

 

松田英人(まつだ えいと)

15歳  誕生日9月8日

身長173センチ、体重61キロ。

中学までバレー部だった。

 




次回……どういう展開にしよっかな笑


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18話 期末テストに向けて

どーも、久々夜中投稿です!
今回は進展無しですね。
期末テストをさっさと終わらせたいと思います。



零「ん…朝か。」

カーテンの隙間から漏れる光が俺に朝を告げる

零「気まずいよな……。」

金曜日、零は愛菜と二回もキスをしてしまった。

(学校行きたくねぇ……)

今日は月曜日、学校の日だ。

土日はと言うと、愛菜とのキスのことばかり考えてしまっていた。

(平穏に過ごすつもりだったのにな。)

零は今まであらゆる事をさせられてきた。勉強、スポーツ、武術、護身術など様々だ。

零(今思えば、くだらない。)

ここまで完璧な15歳など世界で自分だけだろう。

零(俺にとっての勝利はテストで一番でも、スポーツでいい成績を取ることでも無い。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自由を得ることただ一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラ

教室に入る

みんなが喋っている

いつもの光景だ

 

零(愛菜は……居るな。)

教室の中でも圧倒的輝きを放つ

柊愛菜

 

 

 

愛菜「あ、零君おはよ!」

零「ああ、おはよう。」

まるで何も無かったかのような笑顔で挨拶をしてくる

(俺が気にしすぎ?いやでもさ、付き合ってないやつに普通キスなんてするか?まあ愛菜が嫌じゃないなら俺は何度でも……って、何考えてるんだよ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「再来週は期末テストな~。お前らちゃんと勉強しとけよ~。」

もう7月か。入学したのが4月だからもうすぐ3ヶ月が経つ。実に時の流れは速い。

 

龍也「テストごときでこの俺様が屈するとでも?そんなんまとめて51点とってやんよ!!」

お前調子乗る癖やめろ。まじで平常点消え去るぞ?

皐月「この学校の期末の成績は各教科中間テストの点足す期末テストの点足す平常点に二分の一をかける。お前の平常点をマイナス300点くらいにしとくから期末テストで何点取っても成績は赤点だ。おめでとう。」

龍也「すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません。」

呪いのように言葉が並べられる。

 

(ま、今回も余裕だろ。50点くらいにしとくか。)

 

皐月「これでHRを終わる。」

 

 

 

 

 

 

愛菜「零君~。」

零「ん?」

HR終了と同時、愛菜が俺の席にやって来る。

 

愛菜「テスト勉強…一緒に、しよ?」

可愛すぎだろ。こんなの断れます?

上目遣いプラス首かしげるのは最強コンボだろ。庇護欲がそそられるよ。

勿論返事は

零「いいよ。今回はテスト範囲が広いから何日か一緒にしよう。」

愛菜「うん!ありがと!」

ああ眩しい。心の氷が溶けていく。

俺なんかに話しかけてくれるこんな可愛い子のお願い断れないし、どうせ俺一人だと勉強しないし、それに愛菜の私服姿がまた見られるかもしれないしな。

楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、中間テスト以来の勉強会が行われるようになる。

 




テスト終わったら7月真ん中あたりから8月末までながーい夏休み編です!
夏祭りや自宅に帰るなどなど、今まで以上に面白い展開にしようかと思います!
次回は勉強会&テストです!お楽しみに!!


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19話 期末テスト

机と椅子以外何も無い空間

部屋には二人の人間がいる

一人は椅子に座っている俺、一人は机の前から俺を見下ろしている男。

 

「零。素晴らしい。流石は私の---だ。」

一部聞こえづらかったが気にしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは夢の中なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

零「う……はぁ、夢か。」

時刻は7時

(今日は勉強会か。と言っても愛菜と俺の二人だけだけどな。)

テスト発表から日は経ち、今日は休日。

(確か一緒に勉強するのは今週の土曜日と来週の日曜日だったな。)

再来週の月曜日からテストだ

テストが終われば夏休み

課題に追われつつもみんながエンジョイできる長期休暇だ

自宅に帰る者もいるだろう

そして俺もその一人

先日母から、夏休み少しでもいいから帰ってこいと言われたのだ。

 

(さて、準備しようか。)

愛菜の部屋には9時に着くようにすると言ってある

 

 

 

 

 

準備を終え、もうすぐ約束の時間ということで、部屋に鍵を掛け愛菜の部屋に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(もう緊張はしない。慣れって怖いな。)

 

ピンポーン

 

 

ガチャ

愛菜「おはよ、今日はよろしくね。」

愛菜が笑顔で挨拶をする

零「おはよう。」

笑顔に元気を貰う。ほんと目の保養だ。

愛菜「入って。」

零「…お邪魔します。」

前と何ら変化なしの部屋

置いてある物は同じ

 

零(それに、今日の愛菜の私服も可愛い。生足見えてるけど、凄く綺麗だ。この世のものとは思えないな。)

 

愛菜「じゃあ早速だけど、数学お願いね。」

零「ああ。」

 

俺は前と同様に、完璧に教えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「今日はありがと。」

零「ああ。次は来週の日曜日だな。」

愛菜「うん。楽しみにしてる!」

零「ただ勉強してるだけなのによくそんな嬉しそうな顔できるよな。」

愛菜「ふふ、零君との勉強はなんか楽しくってさ。時間の流れが速く感じるよ。」

零「それは良かった。……それじゃ。」

愛菜「うん。ばいばい!」

 

俺は愛菜の部屋から出ていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……楽しい、か。」

 

 

「零、ここはこうだ。」

 

「そうそう、よくやった。」

 

「流石は私の---だ。」

 

 

 

零「う……。」

思い出したくもない記憶が脳内でリピートされる

 

 

零「…俺にとって勉強など楽しくは無い。地獄でしかなかった。」

 

 

 

 

 

 

全てはあの男のせいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日が経ち、遂にテストの日がやってきた。

俺は愛菜が解らないとこを全て教えた

テスト問題は多少難しいだろうが、愛菜なら問題無いだろう。

 

 

 

「始め!」

試験監督者の指示で、みんなが一斉にペンを持つ。

愛菜の方を見る

ペンが走っている

(よし、心配が無くなったところで、俺もテストに集中しよう。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして2日間のテストを乗り越えた

 

 

皐月「テストと成績表返すぞ~。」

先生が名前を呼び、生徒たちが番号順に取りに行く。

皐月「桐生~。」

零「はい。」

返事をし、受けとる。

 

全教科60点くらいだ

なんとも普通の得点

 

 

愛菜「…やった。」

愛菜がぼそりと呟く

俺はそれを聞き逃さなかった

(どうやら大丈夫っぽいな、良かった。)

 

 

龍也「よし全部51点越えた!!」

龍也がガッツポーズをする

しかし、お前は平常点がえぐいことになってたはず、大丈夫なのか?

 

零「龍也、平常点は大丈夫なのか?」

龍也「ああ。流石にマイナス300は嘘って。」

零「そうか、良かったな。」

 

 

 

 

 

 

 

皐月「みんな、明後日から夏休みだ!課題をしつつ楽しめよ!」

 

 

「「おおおおお!!!」」

「夏休みどーするよ」

「彼女作ろ!」

「海だー!!」

「柊さんを、ああ、ハアハア。」

 

零(みんな盛り上がってるな。最後のやつは最近見ないと思ったらまた出てきたな。)

 

 

愛菜「零君は予定とか決めてるの?」

零「とりあえずちょっとだけ家に帰ろうかなって。それ以外は決めてない。」

愛菜「そっか。」

零「愛菜は何かすることあるのか?」

愛菜「うーん、どうしよっかなぁ。」

零(夏休みは約40日。長すぎて逆に暇になりそうだ。)

 

愛菜「う~、暇になりそう。」

零「ま、慌てることはない。」

愛菜「そうだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は愛菜の中で1つはしたいことを見つけている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜(なんとしても夏祭りに誘おう!そして、言うんだ。好きだって。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

チャイムが学校終了を感じさせる。

 

零「それじゃ、また明日。」

愛菜「うん。」

 

 

零(明日は終業式か。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は我が家へ!
新キャラも!?


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20話 家へ

どーも、sylviです。
最近お腹痛くてやばいです笑
今回は新キャラでます!


皐月「よしみんな、体育館に移動だ。」

 

「あー終業式だる~。」

「校長の話聞いて校歌歌って終わりだろ。」

「柊さんをはあはあ。」

 

 

 

零(確かに面倒だ。)

龍也「行こうぜ。」

零「ああ。」

 

 

今日は終業式をして掃除をするだけなので、半日程度で終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、私は……」

 

校長の話は結構長かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍也「あ~終わった終わった。」

零「やっぱ長かったな。」

龍也「そうだな。…さて、掃除行くか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「お前ら席に着け。1学期の成績表を返す。」

掃除が終わり、1学期最後のHRだ。

「え?こないだ返したでしょ?」

皐月「それは期末テストの点の結果だ。今から返すこれは平常点、中間テストの点、期末テストの点を足し2分の1をかけたものだ。これで51点未満の欠点者は留年となる。」

 

龍也「ええ!?留年なんて聞いてなかったっすよ!?」

皐月「入学時に配られた冊子に書いてある。」

龍也「まじすか…。」

 

 

なるほどな。この学校は進学率、就職率は高い。決まった点を取れないクズはもう一度勉強してから上に行けということか。

しかし中間テストや期末テストで赤点を取っていても平常点さえあれば乗り越えられる。意外に甘いところはある。

 

 

 

皐月「安心しろ。今回は欠点者はいない。」

 

「よし!」

「ひやひやするぜ。」

 

 

 

皐月「どうせお前ら冊子読んでないだろうから言っとく。留年二回目の者は退学となる。」

龍也「ええ!?」

「まじかよ!?」

 

皐月「お前ら本当に読んで無いのか…。」

 

流石に俺も読んで無かった。

 

 

皐月「今回の成績はみんな欠点を回避した。だが、2学期や3学期は今までよりテストは難しくなる。しっかり勉強しておくんだ。夏休み遊ぶのもいいが勉強もな。課題ちゃんとやれよ?」

 

 

「「はーい。」」

 

いつもより元気が無い。そりゃあんなこと急に言われたらな。

 

 

皐月「2学期も元気に来てくれ。」

 

 

1学期最後のHRはこれで終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

零(さて、家帰るか。確か先生に一言言わないといけなかったな。)

 

俺は職員室へ向かう

 

 

 

 

 

「桐生君。」

 

零「ん?」

あともう少しで職員室だという所で呼び止められる

後ろに振り向くと、知らない男が立っている。

 

零「えっと…誰?」

「初めまして。男は3年で生徒会長の堀内圭<ほりうち けい>だ。」

零「俺に何か用ですか?」

この人と接点は無い

一体何なんだ

 

堀内「君、生徒会に興味ない?」

零「無いです。」

堀内「即答!?…いやさ、君のことを色々皐月先生から聞いたんだよ。なかなかユニークな生徒だね。」

 

まったくあの先生は。余計なことしないでほしい。

 

堀内「まあいきなり何だよって思うよね。だからゆっくり考えてくれ。」

零「はい。」

堀内「それじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

零「失礼します。」

先生どこだ?…いたいた。

 

 

零「先生。」

皐月「桐生か、どうした?」

零「夏休み家に帰るので連絡しておこうかと。」

皐月「そうか、分かった。」

零「あと、あんまり俺のこと誰かに言ったりするの止めてくださいよ。」

皐月「何のことだ?」

零「生徒会長に絡まれましたよ。あなたのせいで。」

皐月「堀内にか。いやぁ悪いな。お前面白いからさ。つい言っちまうんだよ。」

零「止めてくださいね。」

皐月「わかったわかった。そんな顔すんなって、怖い怖い。」

零「失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ふう。」

俺は今、電車の中にいる。

家までは電車と徒歩で2時間くらいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「懐かしいような感じだ。」

徒歩で家に向かって歩く

まだ寮に住み始めてから3ヶ月だというのに、この道が凄く懐かしい。

 

 

 

零「……。」

家の前に着く

大きな家、豪邸だ。

しかも、ここだけではなく日本中に家を持っているとか。

流石日本屈指の金持ち

 

 

敷地に入る

 

 

「お帰りなさいませ、零様。」

零「ああ、ただいま。利人<りひと>。」

見た目は60代の老人

この人は、俺の世話係をしていた。

利人「お久しぶりでございます。」

零「そうだな。元気そうで何よりだ。」

利人「ありがとうございます。」

 

 

利人との会話を終え、扉の前に立つ。

そして、扉を開ける。

 

 

 

玄関に人が一人

 

 

「母さんから聞いてた。今日帰ってくるって。」

零「そうか。てか自分こそ帰ってたんだな。」

「だって零が帰ってくるって聞いて久しぶりに話でもと思って。」

零「そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり零。」

桐生より少し年上な女性が微笑んで迎え入れてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ただいま。姉さん。」

 




まさかの姉!
次回、更に新キャラでます!
完璧な零を更に完璧にした張本人です!
お楽しみに!


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21話 完璧というのは必ずしも良いとは限らない

「早く荷物部屋置いてきてみんなで昼ご飯食べよ。」

零「ああ。」

「何か零と話すの1年ぶりくらいだね。」

零「姉さんは忙しすぎるんだよ。」

「世界中飛び回ってるから、ね。」

この人は桐生朱里<きりゅう あかり>

俺の姉であり、世界中から人気を集めている美少女歌手<AKARI>である。

歳は19歳で、高校卒業後歌手となった。

 

 

朱里「父さん母さん、零帰って来たよ!」

 

 

美羽「おかえり。零。」

将暉「おかえり。意外に早かったな。」

 

零「…ただいま。」

 

美羽「ご飯できてるから食べましょう。」

 

 

 

 

 

食事が始まって最初に口を開いたのは姉だ

朱里「ねーねー零、彼女とかできた?」

零「開口第一声がそれか。」

朱里「だって零イケメンだし女の子めっちゃよって来たでしょ?」

零「そんなこと無い。」

嘘では無い

龍也曰く、女子たちは俺のことを色々話しているらしいが近寄りにくい雰囲気を晒していて話しかけにくいらしい。俺に話しかける女子など愛菜くらいだ。

 

朱里「ふーん。」

零「そういう自分はどうなんだ?」

朱里「私は恋愛してる暇無いよ。」

零「まあそうだろうな。」

 

 

 

 

美羽「あっちの生活には慣れた?」

姉の次は母だ

零「ああ。」

美羽「そう、良かった。」

 

 

将暉「部活は入ったか?」

零「いや、帰宅部。」

将暉「そうか。」

 

全員が質問し終えると、沈黙が続く。

四人が皆食事をしているだけ

 

零「ご馳走さま。」

将暉「零、今日はお前に話をしに来ている人がいる。」

自室に戻ろうとする俺を父が止める

零「話?」

一瞬誰かと思うが、すぐに分かった。

このタイミング、おそらくあいつだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私だよ。零。」

零「……やっぱり、あんたか。」

美羽「零、お祖父様にあんたは無いでしょ?」

零「……。」

俺に話しかけてきた老人

桐生元師<きりゅう げんすい>

父方のじいさんだ

元師「いいんだよ、美羽さん。」

美羽「…そうですか。」

将暉「父さん、二階に部屋空けてるから使ってくれ。」

元師「ああ、すまんな。…零、来なさい。」

零「…。」

俺は黙って付いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「それで、俺に何の用だ?」

元師「零。私の元へ帰ってこい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー流石は私の孫だ。」

頭の中でリピートされる言葉が再び俺を襲う

 

 

零「……嫌だ。」

元師「変わったな零よ。かつては私の言うこと全てをお利口に聞いていたと言うのに。あんな学校に通いおってからに。」

零「……。」

元師「お前はこの世界を正しき方向に変えていける力がある。何故分からない?」

零「あんたの中で俺をヒーローにするのは止めろ。」

元師「あんな学校今すぐにでも潰してやりたいぞ。」

零「止めておけ。政府が敵になる。」

元師「わかっている。あの学校が政府が関わっていることくらいな。」

零「なら俺のことは諦めろ。違うやつをせいぜい籠で育てることだ。自慢の権力でな。」

この男は、あろうことか総理大臣と友人という立場があり、それなりに権力があるのだ。超金持ちであり、総理大臣と友人。チートだな。

元師「…お前をいずれ私の元に取り戻す。……今日は久しぶりの挨拶程度だ。じゃあ私はもう帰る。」

 

 

そういい部屋を出ていく

 

 

零「……ふぅ。」

元師が出ていったのを確認し、安堵の息を漏らす。

(あいつとの会話は緊張する。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元師「零、こうするんだ。」

零「うん。」

幼いころからあらゆることをさせられた。勉強や武術、処世術。

元師が忙しくなってからは、将暉が代わりに色々させていたのだが、それは主にスポーツばかり。

学校から帰っては元師のもとで言うことを聞いてばかりの毎日。もううんざりだ。

高校をどこにしようか迷っていた時、たまたま高度聖導高校のことを知る。

 

 

長期休暇以外は基本寮生活、携帯で連絡するのはありだが直接の接触を禁止する。

俺はすぐさまこの高校を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自由と平穏のために

 




この先どういう話にしようか悩んでます笑


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22話 過去

今回は短いです


零の部屋

 

零「ふう。」

3ヶ月ぶりの自分の部屋のベッドにダイブする

 

 

 

 

 

 

零「…いつまでここに居ようかな。」

コンコン

零「?…どうぞ。」

 

 

 

 

「疲れてるね。」

零「なんだ姉さんか。」

朱里「なんだとかひど!?」

零「何の用だよ?」

朱里「おじいちゃんに何言われたのかなって。」

零「だいたい予想つくだろ?」

朱里「学校辞めて私の所に来い、かな?」

零「そんな感じ。」

朱里「…何でおじいちゃんあんな感じなんだろ。零にここまで英才教育するなんて。」

零「ああ。よほど俺を自分のために利用したいらしいな。」

朱里「零が生まれる前はあんな感じじゃ無かったよ。」

零「どうでもいいよ。あいつのことなんて。」

朱里「零……。」

桐生零という人間は幼き頃から元師の言うことを聞いてきた

他に誰もいない、机と椅子だけの空間

幽閉の籠<ゆうへいのかご>で。

幽閉の籠は一つの部屋のことであり、

他にもいくつもある。

幽閉の館の中にいくつもの幽閉の籠と言う部屋があり、俺は小学1年の頃から中学2年までそこで暮らしていた。

自分から家族に会うことはできないが、家族はたまに様子を見に来てくれていた。

俺以外も子供が何人か幽閉の籠で暮らしていて、一部屋に一人はいた。

俺と違いそいつらは学校に行くことも無く、ずっと籠の中だった。

しかし、俺が中学3年の時に元師が一度幽閉の館の設備を調節し直していたので、俺を含む子供は全員自宅へ帰る

俺が高校に入る頃には直っており、俺以外の子供たちはまた籠の中だ。

本当は俺が高校に入っても籠の中に入れるつもりだっただろうが、高度聖導高校のルール上、寮生活なので手出しはできない。

ただでさえ何をしても完璧な俺を更に完璧にしてしまった。

やつの目的は何だろうか。

今はどうでもいいことだが。

 

朱里「何かあったらいつでも言って。おじいちゃんのことは嫌いじゃ無いけど零に何かあったらほっとけない。」

零「ありがと。でもいいんだ。姉さんは忙しいんだから俺のことなんて気にーー」

するな、と言いかけたところで姉さんの人指し指が俺の口に当てられる。

朱里「そんなこと言わないの。零。」

零「姉さん…。」

朱里「あなたは私のたった一人の弟なんだから。」

零「うん…ありがとう。」

朱里「ふふ、私の優しさに惚れちゃったかな?」

零「ないない。」

朱里「ええ!?私って可愛く無い!?」

零「そんなこと言ってないだろ?」

朱里はとても美少女だ。金髪ロングで肌は色白、まるでアニメの美少女だ。だが姉に対して恋愛感情は無い。

姉さんの方は少しブラコンな気もするけど。

朱里「ふふん、冗談だよ。じゃあね。」

姉さんは部屋を出ていく

再び部屋は俺一人となる

 

 

 

零「……昼寝でもするか。」




ついに明かされた零の過去!
次回は!……どうしよっかな笑


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23話 桐生朱里の思い

ポケモンクリスタルしてて昨日は投稿できませんでした。
すいませんんん!!


零「う……。」

目が覚めると、部屋は真っ暗だ。

ベッドの側にある机に手探りでリモコンを探す。

零(あった……。)

ピッ

スイッチを入れ、部屋の明かりを付ける。

そして壁に付けてある時計を見る

零(6時43分…。3、4時間は寝てたか。)

ゆっくりと立ち上がり、部屋を出ようとする。

零(ん?)

妙に背中に違和感を感じる

首を傾け後ろを見ると、そこには姉である桐生朱里が気持ちよさそうに寝ている。しかも、寝ているだけでなく、両手で俺を抱いている。

それによって朱里の豊かな2つのメロン(比喩)が俺の背中に当たっている。

零「何やってんだあ!!」

朱里「ん…ん、零?おはよ…。」

零「姉さん部屋出てったはずだろ!?何でまた居るんだよ!?」

朱里「だってぇ…もうすぐご飯だよって言いに来たら返事無いし、部屋入ったら可愛い顔して寝てるから久しぶりに一緒に寝ようと思って☆」

零「てことは寝始めたのはさっきか。」

朱里「今何時?」

零「6時43分。」

朱里「30分くらい寝てたか〜。」

零「起こしてくれれば良かったのに。何でわざわざ一緒に寝るんだよ。」

朱里「いーじゃん別に。兄弟は仲良くするもんでしょ?」

零「...。」

この馬鹿アイドルにはついていけない

これが世界の歌姫様の正体だ

零「ご飯食べるか。」

俺はブラコンを置いて部屋を出て行く

朱里「ま、待ってよぉ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

零(こういうご飯は久しぶりだ。)

綺麗な皿の上に乗せられた一流シェフ達による料理

普段見慣れていない者なら即座に箸を動かすだろう

食欲そそる料理だ

朱里「いただきま〜す。」

零「いただきます。」

親二人は俺らが寝てる間に食べたらしい。姉さんと二人だ。

 

「お味はどうですかい?」

朱里「さいっこうだよ!」

零「久しぶりに食べたが、相変わらずの腕だな。ゼル。」

ゼル「ありがたきお言葉ですね。」

食事を始めたばかりの俺らに話しかけてきたこの男はゼル・マキシクス。

30代という若さで一流シェフである。本人はまだまだ上を目指しているようだ。

零「ゼルも今から食べるのか?」

ゼル「ええ。他のやつと一緒に。」

零「他の皆にも、久しぶりに食べたが相変わらず美味しかったと伝えておいてくれ。」

ゼル「了解。それでは。」

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「ねえ零。」

零「どうした?」

朱里「いつまでここにいるの?」

零「あと一週間くらいかな。」

朱里「そっか。」

零「急に何だよ?」

朱里「いやさ、一週間後にはまた零はいなくなっちゃうんだよね…。」

零「寂しいのか?」

朱里「あたりまえでしょ!?」

姉さんの目の端には涙が溜まっている

朱里「ただでさえ幽閉の籠のせいで全然一緒の時間とか無かったのに、今度は学校?冗談じゃない。」

零「俺が家に居ても姉さんは仕事でどのみち一緒に過ごすことなんて無いだろ。」

朱里「…もし零が家にずっといるなら歌手なんて辞めるよ。」

かつて、歌を歌うのは楽しいと言っていた自分を否定するかのような一言。

こんな状態の姉に俺がしてあげられることはただ1つ

零「心配するな。」

俺は、姉さんの隣に行き、ゆっくりと頭を撫でる。

朱里「零……。」

零「長期休暇は毎回帰って来ようとは思ってるから。」

朱里「…絶対よ?」

零「ああ。約束する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……。」

(俺の選択は間違ってないよな?)

祖父から逃げ、自由に青春。

誰もが青春する権利はある

だが、その権利をことごとくねじ伏せるのがやつのやり方。

 

 

 

 

零「……会いたいな。」

頭の中で浮かぶ、彼女の太陽のような笑顔。

 

そんなとき、一本の電話が掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(愛菜……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ブラコンな美少女姉っていいよね笑


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24話 誘いとナンパと美少女と

頭が痛い……
風邪かな……


俺にかかってきた一通の電話

携帯の画面には『柊愛菜』という文字

俺はすぐさま電話にでる

零「どうした愛菜?」

愛菜「零君。今大丈夫?」

零「ああ。」

愛菜「そっか。良かった。」

零「何かあったのか?」

愛菜「いや、そういうのじゃないんだ。………一週間後空いてる?」

一週間後…俺が寮に戻る予定の日だ

零「ああ。」

愛菜「一週間後の夏祭り、一緒に行ってほしいの!」

零(確か都内に一週間後夏祭りするとこあったな。)

愛菜「ごめん…迷惑だったよね…。急に誘ってさ。」

俺がすぐ返事しなかったため、愛菜は不安そうな声を出す。

零「いや、迷惑じゃない。いいよ、行こう。」

愛菜「ほんと!?やったあ!!」

すごく喜んでくれた。良かった良かった。

愛菜「待ち合わせとか時間とか後で連絡するね!」

零「ああ。頼む。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「夏祭りか…。」

人生で一度も行ったことが無い

どういうものか分からない

それも自分の気になる女の子と二人でなんて

(ま、何とかなるか。……それに、もしかしたら愛菜の可愛らしいであろう浴衣姿が拝めるかもしれないし。)

零「楽しみだ。」

今日は色々あったが、頭の中は愛菜との夏祭りデートのことでいっぱいな零だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「はあぁ…。」

目が覚める

自宅生活二日目だ

特にやることも無い

 

零(飯食べたら課題でもするか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「あ、零!おはよ!」

零「おはよ。」

朱里「今日はいつにも増して暗いね。」

零「ほっとけ。俺はいつも暗い。」

事実、俺はずっとこんな感じだ。

朱里「今日何するの?」

零「課題。」

朱里「私が手伝ってあげようか?」

零「いいから仕事しろよ。」

朱里「今日はオフ。」

零「今日も、だろ?」

朱里「正解!」

世界の歌姫さんなんだからちゃんと歌ってほしいものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(ここはこうだな……。)

俺は今、課題を神速に終わらせている。

こんな簡単な問題が課題とは。

 

 

 

 

多かった課題は1日で半分終わった

明日も頑張れば残りの夏休みは遊んで終われる

 

零「疲れた~。」

窓から外を見ると、外は真っ暗だ

(勉強はもう疲れたし、コンビニでも行くか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!」

店員が笑顔を向ける

 

零(久しぶりに来たな。アイスでも買うか。)

 

 

「176円になります!」

なんとも微妙な数字

俺は迷わず百円玉を二枚渡す

 

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

さて、食うか。

そう思えるはずだった

 

 

 

 

「離して!警察呼ぶよ!」

「いいじゃねえか。一緒に遊ぼうぜ。最高の気分を味あわせてやれるぜ?」

「行こうぜ?へへっ。」

二人組の男が女の子をナンパしている

一人が腕を掴んでいて、一人は眺めている。

(コンビニの近くで堂々とナンパか。この暑さで狂ったか?…面倒だが行くか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「君可愛い。それに胸もでかいし。」

腕を掴んでいる男が、腕を掴んでいない方の手で女の子の胸に手を近づけていく

胸まであと数センチ

「やめて……。」

 

 

 

零「おい、嫌がってるだろ。彼女を放せ。」

俺は男の腕を掴み、胸から遠ざける。

ナンパから助けるなんて、愛菜の時以来だな。

「…ちっ、わかったよ。」

男は女の子から手を放す

それを確認し、俺も放す。

刹那、男の裏拳が俺に向けられる。

零(……。)

俺は後方に下がり、避ける。

男は追撃のように回し蹴りをしてくる

俺はそれも避ける

「いい動きじゃん。高校生か?」

零「ああ。」

「へへ。面白れえ。いくぜ!」

男が殴ってくる

 

もうお前の技自慢はいいよ

 

 

 

俺は拳を避け、殴ってきた方の腕と胸ぐらを掴み、男を投げ飛ばす。

 

「がはっ…」

「おい、大丈夫か!?」

先程まで眺めていたもう一人の男が、心配し、投げ飛ばされた男に近づく。

零「死なないよう加減はしたつもりだ。」

「そうか。…行こうぜ。」

「ぐ…お前、次は倒す。」

男達は去っていった

もう二度と関わりたく無いのでリベンジマッチは他をあたってほしい

 

「あの……。」

零「ん?ああ、大丈夫だった?」

「はい!ありがとうございました!」

女の子は笑顔で礼を言う

零(よく見たら、なかなか可愛いな。)

黒髪ロング、大きな瞳、優しい雰囲気を晒している。愛菜とはまた別の意味で魅力的だ。美少女だ。

 

零「それじゃ。」

「あ、あの!名前教えて下さい!」

もう会うことも無いと思うが……

零「桐生零。」

「桐生……零。」

零「何か?」

「い、いえ。あの…高校生、ですよね?」

零「ああ。高1。」

「そうですか…。年上と思ってました。」

零「そういうあなたは?」

「あ、私は高校2年生です。」

零「タメ口すいませんでした……。」

「いいえ、お気になさらず。」

零「…はい。」

「あの!質問答えてくださってありがとうございました!それでは!」

先輩は走り去っていった

 

この人とは二度と会わないと思っていた

先のことを言うならば、また会うのだ。

但し、それはまた別のお話だ。

 

 

 

 

 

零「あ……。」

俺の手元に残るのは、袋の中で液体となったアイスのみだった。

 




新キャラ出すぎ笑


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25話 暇潰し

今回は短いです
デート前に一話入れたかったんで


「ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

零「はぁ……。」

俺は再びアイスを買い、食べながら帰る。

家にアイスはあるっちゃあるのだが、

シェフの手作りだ。

俺は普通のアイスを食べたい

さっき溶けた液体アイスは……ジュースにでもしよう。

 

零(それにしても…結構可愛かったな。)

さっきの先輩のことを思い出す

(…まあ愛菜が一番だけどな。)

 

俺の太陽たる愛菜に勝るものは無い

そう思っているうちに家に着く

 

 

 

 

 

利人「お帰りなさいませ、零様。」

零「ただいま。」

玄関で利人が掃除をしている

俺は、邪魔にならないよう素早く部屋に戻る

 

 

 

 

 

 

 

零「…暇だな。」

課題はもう今日はしたくない

(…バカ姉にでも絡むか。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里「それでね~、私の新曲『恋は盲目なり!』が10万枚売れたらしいの~。」

零「お、おう。」

絡みに来たはいいが、予想通りまったく暇潰しにならない。

新曲のCDの売り上げ数なんて俺に何の得も無い。

 

 

朱里「零、カラオケ行ったこと無いでしょ?また今度一緒に行こうよ!」

零「いいよ、どうせ歌下手だろうし。」

姉の言う通り、俺はカラオケに一度も行ったことが無い。

そんなやつが絶賛売れっ子歌手とカラオケに行くなど気が乗らないのは当然のこと。

 

朱里「う~、残念。」

零「友達とでも行ってくれ。」

朱里「分かったよ。Risaや水木ナナと行ってくる。」

零「とんでもない面子だな…。」

Risaや水木ナナはAKARI同様、世界の歌姫である。世間知らずの俺でも知っている。

朱里「…私は零と行きたかったのに。」

朱里は不満そうに頬を膨らませ、そっぽを向く。

 

零(悪いな。俺は歌にあまり興味は無い。)

零「暇潰しできたことだし、もう部屋戻る。ありがとな。」

朱里「暇潰しって、あんたねえ…。私に対する扱い酷いね。」

零「悪い悪い。じゃ。」

朱里「ちょ、ちょっと零~。」

俺はそそくさと部屋に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「はああ、眠くなってきたな。そろそろ寝るか。」

ベッドにダイブし、布団を被る。

眠りについたのは案外早かった

 

 

 

 

 

 

それから数日間は課題をしつつ、暇をもて余していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「いよいよ明日か。」

部屋のカレンダーを見る

明日は愛菜との夏祭りデート

すごく緊張する

緊張するのと同時に、すごく楽しみだ。

零「…人生ほんと何が起こるかわからないな。」

平穏主義でクラスでもあまり目立たない俺が、学校1の美少女とデートなんてとてもじゃないが信じられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「ふふ、明日は零君と夏祭り。」

私はすこぶる上機嫌

好きな人とのデートは楽しみなものだ

 

 

 

 

 

愛菜「告白…絶対しよ。」

 




次回はいよいよデート回!
愛菜は本当に告白するのか!?
まあ告白は次では無さそうだが……
次回またお会いしましょう!


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26話 夏祭り

甘ったるい時間が来ます笑


零「すぅ、はぁ。」

深呼吸をし落ち着く

今日は愛菜とデート...

零(緊張する...。会話が続くといいが。)

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ。零君。」

声をかけられる

零「いや、俺も今来たと...こ...。」

横を見ると愛菜がいる

俺の想像通り浴衣で来てくれた

だが、あまりに美しい。

髪をまとめてくくっているから、普段は見えないうなじが色っぽさを晒している。

普段は可愛い雰囲気だが、今は大人っぽい雰囲気と捉えるべきだろう。

 

愛菜「?どうしたの?」

首を傾げながら聞いてくる姿はもう女神級だ

零「いや、あまりに似合いすぎて悩殺されていた。」

愛菜「あはは...ありがと。」

零「どういたしまして。」

愛菜「それじゃ、行こ。」

零「ああ。」

二人並んで歩く

周囲から視線を集めた

 

「おい、あのカップル似合ってね?」

「だな。彼はイケメン!彼女は美女!」

そんな声が聞こえる

 

 

愛菜「私達も、他の人から見たらカップルに見えるんだね。」

零「そうみたいだな。」

愛菜「なんか嬉しい。」

零「俺もだよ。」

そう言いつつ、俺は愛菜の手を自分の手に繋ぐ。

愛菜「え!?」

急のことで、驚いている。いちいち可愛い。

零「これで迷子にならないだろ?」

愛菜「...うん。」

 

 

零(思ったより会話が続いていて良かった。緊張も和らいできたし。)

愛菜(零君の手、すごく大きくてたくましい。男の子の手ってみんなこんな感じなのかな。)

 

零「愛菜、何か食べたいものあるか?あったら言ってくれ。」

愛菜「んーじゃあ、たこ焼きで。」

零「分かった。」

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい。一パック6個入りです。何パック入りますか?」

零「一パックで。」

「まいど。200円です。」

俺は200円払う

 

愛菜「私が払うよ。私が食べるんだしさ。」

零「気にしないでくれ。たまにはかっこつけさせてくれ。」

愛菜「あ、ありがとう。」

(君はいつも輝いていてかっこいいのに...。ほんと優しくて強い。そんな君にどんどん惹かれちゃう。)

 

「まいど、たこ焼きです。」

零「え?」

俺に渡されたたこ焼きは二パック

俺は一パックしか頼んでない

間違えて聞いたのか?だが、一パック200円で会計も200円と言われたし...

零「あの、俺一パックしか頼んでないです。」

「ええ。二パック目は私からのサービスです。」

零「え?」

「いいもの見せてもらったんで。」

零「..ありがとうございます。」

俺は2つ受け取る

いいもの、とは恐らく愛菜の前でかっこつけさせろと言ったことだろう。今思うと恥ずかしいな。

 

愛菜「良かったね。2つ貰えて。」

零「ああ。優しい人だ。..どこか座って食べようか。」

愛菜「うん。」

零(どこか空いてないか...あった。) 

「あそこが空いてる。行こう。」

愛菜「うん!」

元気よく返事をしてくれる。可愛い。この子はどれだけ俺を惚れさせたら気が済むんだ...

 

 

 

 

 

 

愛菜「おいしい。たこ焼き最高だね。」

愛菜は満足そうに食べる

食べてる姿もキュート。...よし。

お互いが最後の一個になった瞬間、俺はダメ元で提案する。

零「なあ愛菜。」

愛菜「ん?」

零「あのな....食べさせあいっこ、しないか?」

愛菜「え..........えええ!?」

食べさせあいっこってあの食べさせあいっこだよね!?

零君の唾液が付いた楊枝で突き刺したたこ焼きが私の口の中でとろけ....って、何考えてるの私!?

でも...したい。

愛菜「....いい、よ。」

零「じゃあ、いくぞ?」

愛菜「うん。」

愛菜は小さな口を開け、俺のたこ焼きを待っている。

俺は口めがけてゆっくりとたこ焼きを近づける

愛菜「ん...」

たこ焼きからゆっくり楊枝を引き抜く

愛菜「美味しい。」

零「味はさっきと変わらないだろ?」

愛菜「ううん。さっきよりも美味しい。」

零「それは良かった。」

愛菜「じゃあ、私もいいかな?」

零「ああ。いつでもいい。」

俺は目を瞑り、口を開ける。

愛菜(うう、目を瞑ってる姿も..かっこいい。)

学校でおそらく1番であろう美男の顔に近づく

愛菜(えい!)

零(...来た。確かにいつもより美味しい。)

「うん、美味いな。」

愛菜「でしょ?」

零「ああ、最高だ。」

愛菜「ふふ、じゃあこれ捨てて次の店回ろ!」

零「お、おい。」

愛菜は俺の手を勢いよく引き、走り出す。

俺たちの夏祭りはまだまだ続きそうです

 

 

 

 

 




私も食べさせあいっこしたいなあ笑


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27話 告白 ~あなたへの気持ち~

いよいよ来ました。告白です!
最後まで二人のことを見届けてあげてください!!


俺たちはたこ焼きを食べた後も色んな店を回っていた

 

零「次はどこ行く?」

愛菜「んーどうしよ…あ。」

零「ん?」

愛菜が急に立ち止まる

その視線の先には、射的の屋台がある。

零「もしかして、何か欲しい景品があるのか?」

愛菜「…うん。あの猫のぬいぐるみが可愛いなって思って。」

零「じゃ、やってみるか。」

愛菜「え?」

俺は愛菜の手を引き、射的の屋台へと向かう。

「いらっしゃい。挑戦するなら200円で五発まで撃てる。」

零「します。」

そう言い200円渡す

「まいど。」

そう言い射的用の銃を渡してくる

愛菜「零君ほんとにやるの?」

零「ああ。それにもうお金払ったしな。」

「お客さん、彼女の前で良いところ見せようってか?いいね!」

何故か煽ってくる

零「まあ、そんなところです。」

「だったら頑張りなよ?あの一番距離離れてるやつ撃ち抜けたら北海道ペア旅行券だ。ただしまだ誰も撃ち抜けてないけどな。」

そりゃそうだ。あれすごく距離離れてるし。

「へへっ。」

凄いニヤニヤしてる…だが、今回はそんなものを狙っているんじゃ無い。

北海道なんて利人に頼めば永久旅行できる。俺が今狙うべきは……

 

スパーッン!

 

零「景品が猫のぬいぐるみの的だ。」

「お、とりあえず猫のぬいぐるみの景品ゲットだな。」

愛菜「零君凄い!」

零「もういいよ。一回だけでいい。」

「え?いいのかい?あと四回あるぞ?」

零「ええ。猫のぬいぐるみください。」

「はいよ。」

よし、目的の物ゲット。

「あんたなら旅行券も撃ち抜けそうなのになぁ。」

全く、せっかく人が黙っていてやってるのにわざわざその事を言うとは。

俺は小声で言う

零「さっきの一発でわかった。あれ、ぎり届かない距離に置いているだろ?」

「っ!?……何の事だ?」

零「しらばっくれても無駄だ。さっき猫のぬいぐるみの景品の的当てたときのスピードと威力でわかったんだ。絶対届かないしもし届いても的を倒せないってな。」

「……あんた、何者だい?」

零「ただ祭りを楽しむ者、とでも言っておく。」

「誰かに言うつもりかい?」

零「いいや、俺はあんたのことなんてどうでもいい。好きにすればいい。」

「クク、ありがたい。」

零「俺としても猫のぬいぐるみを景品にしてくれてありがたいからな。」

「早く行ってやんな。彼女待ってるぜ?」

後ろを向くと愛菜が首をかしげている。うん可愛い。

零「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「何話してたの?」

零「ぬいぐるみを景品にしてくれてありがとうってな。」

嘘ではない。事実だ。

愛菜「そ、そっか。」

零「ほら。これ欲しかったんだろ?」

ぬいぐるみを差し出す

愛菜「ありがとう!すっごく可愛い。」

愛菜はぬいぐるみを抱き締める

そのまま俺も抱き締めたい

零「嬉しそうで何より。」

愛菜「絶対大切にする!」

笑顔で言ってくる

零(破壊力が日に日に増してるような……)

その後も屋台を回った

 

 

零「ふぅ、結構食べたな。」

愛菜「そうだね。どこかで休憩する?」

零「そうだな。あ、あそこのベンチ空いてる。」

愛菜「行こ?」

零「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……」

愛菜「……」

ベンチに座ると、唐突に沈黙が続く。

 

零(やばい、気まずい。ここは俺か何か喋った方がいいのか?)

 

 

そんなことを思っていると、愛菜の方から喋りだした。

愛菜「ねえ零君。」

零「ん?」

愛菜「これは嘘じゃ無いから。聞いてね。」

零「あ、ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「私、君のことが好きなの。」

零「え……」

一瞬俺の思考が停止する

零(え?愛菜が俺のこと……好き?夢じゃ、無いよな?)

愛菜は俺の方を向く

愛菜「私は君のことが好きなの!大好きなの!どうしようもないくらい好きで好きで、君のこと考えなかった日は無いの。」

零「愛菜……」

愛菜「初めて君がナンパから助けてくれたとき…ううん、中学3年の全国大会のとき、君のバレーを見たときから一目惚れしてるの!」

愛菜の目から雫が落ちて行く

零(中学は違うからともかく、高校入ってこんなに一緒にいるのに俺は気づけて無かったのか……けど!)

零「俺もお前のことは大好きだ。」

愛菜「零、君……」

今この瞬間は他のことなんてどうでもいい。籠のことも、他の人間のことも。今は目の前のこの少女のことだけを考えていればいい。

零「俺は幼い頃から愛菜や龍也のような普通の人間の普通の生活を送っていなかった。ただ完璧な人間になるため色々させられていた。」

愛菜「……。」

愛菜は黙って聞いていた

こんな俺のつまらない話を聞いてくれるなんて本当にいい子だ

零「無機質な空間で育った俺は欲が無かった。学校に行っても何も思わなかった。けど、俺は高校で変わろうと思った。そんな時出会ったのが愛菜だ。」

愛菜「零君……。」

零「初めはナンパされ困ってそうだったから助けただけ。だが、お前と話をするうちに柊愛菜という一人の人間に興味を持った。お前に惹かれていった。お前無しじゃいられなくなった。だから……」

俺はまっすぐに告げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「俺と、付き合ってください。」

これは俺の本心だ

嘘など1%も無い

 

 

 

 

愛菜「もう、ずるいよ……。」

愛菜の目から再び雫が垂れていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「好きな人から言われて、断れるわけ無いよ。」

零「愛菜……。」

愛菜「私も、君と…零君と付き合いたい。」

零「じゃあ、今から恋人同士だな。」

愛菜「うん……ひっく、う、うええん!!」

零「愛菜!?ど、どうしたんだよ!?」

愛菜「だってぇ…ぐすん、れいぐんと、お付き合いでぎるなんてぇ、夢みだいなんだもん!!」

零「嬉し泣きか。」

愛菜「うん……。」

零「泣いて喜ぶ女の子も悪くないが、俺はどっちかと言うと素敵な笑顔な女の子の顔が見たい。」

愛菜「じゃあ、抱いてキスして。」

零「え!?」

突然ハードル上がりすぎだろ!?

愛菜「してくれたら、もう泣かないから。」

零「……。」

もうやるしかないな

俺は愛菜の背中に手を回し、ゆっくりとこちらに近づける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「ん……」

俺達は、恋人としての初めてのキスをする。

暫くキスをし続け、やがて息が切れそうなのか愛菜の方から離れる。

その顔は、もう泣き顔ではない。

すっきりとしていて、まっすぐな瞳。

そして俺がずっと待っている最高の『笑顔』で、

愛菜「零君、ありがとう。私今凄く幸せだよ!!」

俺は今日という日を生涯忘れることは無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「俺も、凄く幸せだ。」

そして俺も、人生初の満面の笑みで彼女に言い返した。

 




いかがでしたでしょうか?
次回からは2学期偏です!
どんなことが待ち受けているのでしょうか!?
お楽しみに!


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2章 それぞれの気持ち
28話 恋人になってからと言うものの


ども!sylviです!
今回から2学期編です!
新たな敵、出来事なども用意しております!
それでは、どうぞ!


9月1日

今日は高度聖導高校の始業式だ

長かった夏休みは一瞬で終わった

今日という日を楽しみにしている人もいれば、最悪と思っている人もいる。おそらく後者が多いだろう。

かと言う俺は

零(早く会いたいな。)

前者の方である

 

 

夏祭りで愛菜と俺は恋人となった。

それからはほぼ毎日電話するようになり、お互いが寮に戻って来たときはどちらかの部屋に行くようにもなった。

今の俺は凄く幸せだ

 

 

 

零(着いた。)

教室のドアの前で立ち止まる

いつも愛菜は俺より先に来ているのでこのドアを開ければ会える

そう思い開ける

案の定、居る。

友達と会話しており、俺が自分の席に行くと、気付きこちらにやって来る。

 

愛菜「おはよ!零君!」

零「おはよう、愛菜。」

愛菜「今日から学校だね。一緒に教室に居られるだけでも、嬉しいな。」

零「ああ、俺もだ。学校なんて面倒だが、愛菜に会えるなら喜んで行く。」

愛菜「零君…。」

零「愛菜…。」

愛菜「零君…。」

 

 

「あーはいはい、イチャイチャは家でしてくれ。」

俺と愛菜の二人だけの時間を止めたのは風間龍也。

 

零「なんだよ龍也。」

龍也「いやぁ、お二人さん仲睦まじいな。もしかしてこれ?」

そう言い、龍也は手をグーにしてから小指を立てる。

零「ならなんだよ。」

龍也「ええ!?まじすか!?美男美女のビッグカップルじゃん!!」

零「お前はほんと元気すぎ。」

龍也「はは、あんがと。それより零、お前から告ったのか?」

零「それは秘密だ。」

龍也「ええーケチ。」

零「お前に言ったら瞬間校内中で広まるだろ。」

龍也「どうせ二人が付き合ってるという噂自体は夏休み前から広まってるし今更ちょっとくらいいいじゃん。」

恐らく買い物デート後からの噂のことだろう

零「HR始まるから席付け。」

龍也「ちぇ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「みんな、よく元気に来てくれたな。全員揃っているようで俺は嬉しいぞ。さて、早速だが始業式だから体育館にレディゴーだ。」

 

龍也「クク、レディゴーだってよ?クククク。」

龍也がわざわざHR中に後ろを向いてきて何を言うかと思えばただの爆笑だった。

 

零(はぁ……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長「……以上で、始業式を終わります。」

案外早く終わったものだ

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「よし、じゃあ席替えするぞ。」

席替えだと?突然すぎて驚いたが、愛菜の隣の席になるチャンス

零(絶対なってやる!)

 

 

 

 

皐月「よし!全部決まったな。」

そう言い先生は黒板に座席表を書く

 

零(俺の名前はっと……は?え?まじ?)

俺は自分の名前の位置を見て驚く

教室の一番左の一番後ろ

廊下側じゃない方の窓際だ

しかもなんとなんと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(愛菜が隣だ!)

そう、俺が一番嬉しいのは自分の席の位置ではなく愛菜が隣ということ。まあ席の位置も完璧だが。

 

愛菜方を見ると、嬉しそうに手を振ってくれた。

俺も振り返す。

 

皐月「じゃあ早速だが、机の中の物全部持って席移動な~。」

 

 

零(最高の席だ。場所は完璧、隣は愛菜!)

 

 

 

皐月「じゃあ今日から席はこれでいく。俺の気分で次の席替えの日が決まるから。」

 

「えー。」

「俺この席でいいっすよ!」

「一年間この席で~。」

 

零(どうやら今回の席替えは俺以外も喜んでいるやつが多いな。)

 

 

皐月「一年間一緒か~。うーん、どうする委員長?」

先生は愛菜に話しかける

他の生徒たちは期待の眼差しを向けている

 

愛菜「えっと、じゃあ……一年間一緒で。」

 

「「よっしゃあ!!」」

 

どんだけみんな今の席が嬉しいんだよ

俺は内心そう思いつつも、密かに心の中でガッツポーズをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

いつものように寮に帰る

基本愛菜を送ってから俺は自分の部屋に帰る

 

愛菜「今日はなんか楽しかったな。」

零「何で?」

愛菜「君が隣の席だから、かな?」

零「でもこれから毎日隣同士だな。」

愛菜「うん!ずっと零君を見ていられるね。」

零「ああ。俺もずっと愛菜を見ていられる。」

愛菜「でも来年は違うクラスかもしれないと思うと、寂しいな。」

零「愛菜…。」

愛菜「え?」

俺は優しく抱き締める

誰にも見られていないからこそできる

愛菜「男の人ってこんなにたくましいんだね……。」

零「そうか?人によると思うけど。」

愛菜「でも君の体は凄いたくましい。守ってくれそうで安心する。」

零「必ず守る。俺の平穏が崩れてでもな。」

愛菜「ふふ、ありがと。でも風間君も言ってたけど私達の関係って噂になってるらしいし、もう平穏とか無理じゃない?目立ちすぎてるよ。」

零「そうかもな。…まあお前と居られるならそれでいい。」

愛菜「うん、私も。」

二人だけのイチャラブな時間

だが、それは唐突に終わりを告げる。

 

 

 

 

 

「桐生零、それに柊愛菜。」

 

零「……何だお前。」

 

後ろに振り向くと、制服を着崩した男がいた。

髪は肩くらいまであり、前髪を左右に分けている。ワックスを使ったのだろう。

目は細く、後ろに生徒を3人連れていることから恐らく不良と思われる。

 

愛菜「君は…竜咲君、だよね?」

竜咲「俺のこと知ってるのか?そりゃ嬉しい限りだぜ。」

零「知り合いか?」

愛菜「ううん…けど、この学校で知らない人はいないって言われるほど有名だよ。竜咲帝<りゅうざき みかど>。1年4組を支配してる独裁者だよ。」

俺は知らなかったけどな

竜咲「へぇ…詳しいじゃねえか。俺に興味あんのか?」

愛菜「そんなわけないよ。」

竜咲「俺はお前に興味あるぜ?なあ、俺のものになれ。」

愛菜「嫌だよ。」

竜咲「クク、そう言うと思ったぜ。だがな、俺は欲しいものは全て手に入れる主義なんだよ。いずれお前を手に入れる。」

愛菜「悪いけど私は彼のものなの。諦めて。」

愛菜はそう言い俺の腕に抱きつく

嬉しいんだが、2つのメロンが……

 

零「だそうだ。諦めろ。」

竜咲「なら早い話、お前をぶっ壊す。それだけだ。」

零「悪いが俺は平穏主義だ。喧嘩なら他を当たってくれ。」

竜咲「クク、まあ今日はほんの挨拶だ。」

竜咲は俺に近づいてくる

竜咲「……クク。」

俺の前で立ち止まる

そして、俺の腹部をめがけて蹴りを放つ。

零「っ!?」

俺は後ろに下がる

 

竜咲「ただのイケメン貴公子様かと思ったらなかなかやるじゃねえか。」

零「挨拶じゃなかったのか?」

竜咲「これが俺の挨拶なんだよ。暴力って言うな。」

零「……。」

竜咲「行くぞ。」

竜咲は取り巻きを連れ、寮へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「はぁ~、緊張した~。」

零「そうなのか?竜咲相手に言い返してたじゃないか。」

愛菜「だって、零君が居たから……。」

零「お、おう。」

気づけばもう女子寮だ

 

愛菜「じゃあね。また明日。」

零「ああ。またな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零(竜咲…帝か。)

やつとは、戦うのかもしれないな。

 




柄悪いのきましたね笑
零はどうするのでしょうか!?


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29話 体育祭に向けて

一日二話更新!
今回は短いですすいません。


皐月「えーでは、皆さんお待ちかねの体育祭の種目決めだ。」

 

「やっふう!俺の時代が来たぜ!」

「活躍して女子にモテモテモテ!」

「ひ、柊さんを……ハアハア。」

 

零(…相変わらず騒がしいクラスだ。最後のやつは次言ったら殺す。)

 

 

先生は黒板に種目を書く

 

全生徒参加

1 100m走

2 綱引き

3 ハードル競争(男子のみ)

4 二人三脚リレー

5 障害物競争

6 ダンス(女子のみ)

7 二十人二十一脚

 

~昼休憩~

 

個人参加

8 200mリレー

9 玉入れ

10 騎馬戦

11 男女混合1000mリレー

 

 

零(11種目か。なかなかハードな競技が多いな。)

 

 

皐月「体育祭は、各学年1組と2組が赤組、3組と4組が青組となる。」

 

なるほど、つまり1組が味方か。

 

皐月「そして、各学年クラスの総合ポイント順位をつける。」

 

 

「一位になったらなんか良いことあるんすか?」

一人の生徒が質問する

いい質問だ。順位をつけるだけでは到底やる気は出ない。何か報酬がなければ。

 

 

皐月「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた!」

先生は、待ってましたと言うように言う。

皐月「赤組と青組、勝ったほうのクラス全員に、来月元々の生活費4万円に加え、更に1万円与える!!」

 

「「えええ!!!」」

 

驚くのも無理はない

1万は決して安い額じゃ無いからだ。

バイトをしていなかったら4万あっても1ヶ月ぎりぎりだ

親から仕送りがあれば話は別だが。

ただ、授業料はそこそこ高いのでほとんどの親は生活費を仕送りしていないだろう。授業料に回していると思う。

まあ奨学金も借りれるし生活はできるだろう。

授業料と外部接触禁止以外はほんと完璧だな

寮はタダだし。

 

 

皐月「……まだ終わりじゃないぞ?」

「え?」

「何があるって言うんすか!?」

「早く早く!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「クラスの総合ポイントで1位になれば1万円、2位なら5000円来月生活費が追加だ。」

 

 

「まじか!?てことは最大2万円追加か!!」

「おっしゃあ!やったるでえ!!」

「グヒヒヒヒ!!」

 

零(流石日本屈指の金有り高校だな。)

 

 

愛菜「とんでもないこと聞いちゃったね?」

零「そうだな。2万円はでかい。」

愛菜「頑張ろうね!」

零「ああ!」

 

 

 

皐月「じゃ、早速決めていくとするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「はあ~。」

零「どうした?」

愛菜「いやさ、男女混合1000mリレーに出ることになったんだよ~。」

零「へえ、凄いじゃん。足速いってことだろ?」

愛菜「足引っ張りそう……。」

零「大丈夫。愛菜ならな。」

愛菜「ありがと。そう言う零君は個人参加何か出るの?」

零「いや、俺は何にも出ない。」

愛菜「そうなんだ。運動神経いいのにね。」

零「ま、目立たないようにな。」

愛菜「ほんと平穏好きだね。」

零「好きと言うより経験してみたいんだよ。何にも縛られないということをな。」

愛菜「まあ零君の活躍は全生徒参加種目で目に焼き付けるね!」

零「あ、ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育祭まであと数日

愛菜に少しでも良いとこは見せれるといいな

 




夏休み終わってすぐ体育祭ってのもいいですね!!


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30話 体育祭

体育祭だあ!!


9月7日

今日はみんなお待ちかねの体育祭だ

どのクラスでも組勝利とクラス優勝の両方を狙っているだろう。

そして今、俺は女子寮の愛菜の部屋の前にいる。

愛菜「お待たせ!行こっか。」

零「ああ。」

二人並んで歩く

愛菜「あ...」

俺はさり気なく手を繋ぐ

零「嫌か?」

愛菜「うん。...こっちの方がいい。」

そう言い指を絡めてくる

世に言う恋人繋ぎと言うやつだ

 

愛菜「遂に始まるね。体育祭。」

零「ああ。」

 

零(まあ、目立たないようにしつつ愛菜に良いとこ見せるってのが理想だな。)

 

愛菜「楽しみだなぁ。」

零「やる気マックスか?」

愛菜「うん!君にかっこいいとこ見せられるよう頑張るね!」

零「かっこいいとこじゃ無くて、可愛いとこ、だろ?」

愛菜「ううぅ...。」

零「かっこいいとこは俺が見せるから。」

愛菜「うん!期待してる!」

零「プレッシャーだな。」

愛菜「ふふ、彼氏のかっこいいところを見たくない彼女なんて居ないからね。」

零「...頑張ります。」

愛菜「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「お前たち、今日は暴れろぉ!!」

 

「「おおおおお!!!」」

 

 

「目指せ2万円!!」

「モテたるぞ!」

「ひゃっはあ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、以上で体育祭開会式を終わります。」

校長の手短な言葉。本当に助かる

ぐだぐだ言われるとやる気が失せる

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、最初は一年生による100m走です。」

全生徒参加に100m走というのは無理と思っていたが、

一つのクラスでも何グループかに別れ、出場するらしい。5人グループを8つ作り、一人20mだ。

A〜Hグループの8つで、それぞれのグループの順位でクラスの総合ポイントをつける。

俺たちのクラスは39人なので、誰かが2回出るのだが、クラスで最も速いのがなんと龍也なので、龍也が2回出る。

100m走だけでなく、ほとんどの競技で誰かが2回出ることになる。唯一の奇数クラスだから仕方ない。

 

 

 

零(...。)

俺はCグループの3番目だ。

 

 

「よう、スカしたイケメン。」

俺の隣に立つ人物ーー竜咲帝だ

俺たちとは敵対している青組だ

この男も報酬狙いなのか?まあどうでもいいが。

 

零「何か用か?」

竜咲「いや、相変わらず冷めてる野郎だぜ。」

零「余計なお世話だ。」

竜咲「それじゃせいぜい頑張れよ。スカメン君。」

それだけ言い、去って行った。

 

さて、そろそろ俺の出番だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

零(...。)

走り終えた俺は、自分のクラスのテントに戻る。

結果はCグループは3位だった

他のグループに託すしかない

だが、俺のせいで3位という訳ではない。Cグループは出だしから4位だった。3位になれただけでもよしだろ。

 

 

 

 

龍也「よっしゃあ!一位〜。」

零「良かったな。」

龍也「最初から調子いいぜ〜。次も一位だぜ!」

龍也は二回目を走るべく、また向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次は、綱引きです。一年生の皆さんは並んで下さい。」

 

愛菜「零君と力を合わせて一緒の縄を..うう、手と手が触れ合ったら..ふふ。」

零「どうした?」

愛菜「い、いや、な、何でもないよ!?」

零「お、おう。」

何をそんなに否定するのかわからない

 

さて、綱引き頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「おらおら!もっと引け引け!いけいけ!やったれ!おらおら!!」

零(....。)

五月蝿すぎだろ

 

松田「おらあ!」

先生の声に共鳴するかのごとく松田が力を入れる

相手は3組だ

なかなか体格がいいやつが多いが、俺達が有利。

 

 

 

 

「オーエス!オーエス!」

みんな精一杯引っ張る

そして

 

 

「2組の勝ち!」

俺達の勝利だ

 

 

「おおしゃあ!」

「まずは1勝!」

 

 

 

 

 

そして4組も順調よく倒した

仲間の1組も勝ったようだ

結果は赤組の勝利に終わった。

 




眠い、、、


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31話 俺に出来ることはただ一つ

体育祭はこれで終了です


綱引きが終わり、それからも競技は続き、午前の競技は全て終了した。

2組は各競技でそこそこの順位を残せている。後は午後の競技を頑張るしかない。

 

愛菜「はあ~。」

零「どうした?」

愛菜「最後のリレーがすぐそこまで迫ってきてるからさ~。」

零「緊張か。」

愛菜「うん。」

零「俺はどんな結果であれ愛菜の頑張っている姿が見られたら満足だ。」

愛菜「ありがとう!昼ご飯食べよっか。」

零「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、昼からの競技がいよいよ始まります!まずは200mリレー!これは男女混合でも男子女子どちらかでも構いません!」

 

まあ普通男子だけにするよな。うちもそうだし。

 

松田「やってやるぜ。」

龍也「俺の活躍を見よ!」

「はは、しっかり頼むぜ~。」

 

うちのクラスからは足の速い順に男子を選んだ。

一番は龍也でアンカーは栖号<すごう>だ。栖号はクラスで2番目に足が速い。

 

「よーい、ドン!」

 

龍也「っしゃらあ!!」

開始早々、龍也は1、3、4のクラスの走者を抜き一位となる。

 

 

龍也「へへっ余裕だ。」

 

「そうはいかないよ!」

龍也「んを!?」

龍也の横に並ぶ男ーー1組の平井和佐<ひらい かずさ>だ。

勉強もそこそこでき、運動神経抜群のイケメンだ。彼女もいる。

 

龍也「うおおお!!」

平井「くっ、流石だね!風間君!」

龍也「お前みたいなイケメンに負けんのは嫌なんだよぉ!!」

どうやら龍也はイケメン嫌い、なのか?

龍也「橋本!頼むぞ!」

橋本「うん!」

龍也の次は橋本だ

バトンを受け取り走る

1組とは僅差で勝っている

 

 

 

皐月「いーけいけ橋本!おーせおせ橋本!」

先生は一人乗り乗りだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「よーし!よくやった!」

結果、2組は一位である。2万ゲットも夢じゃないと言いたいが、午前はそこそこの順位というだけであって、一位では無い。午後に頑張るしかないのだ。

 

 

続く玉入れでは

 

「おらおら!!」

「ふふふ!!」

みんな玉を投げまくっている。

ジャンプして入れた方が距離が縮まり入る可能性があるのではないか?と思ってしまうが、言わないでおこう。

 

 

「2位、60個、2組!」

 

皐月「おおし、いいぞ!」

二位か、悪くないが、一位の回数が多い1組に恐らく総合ポイントは負けているだろう。

 

まあでも赤組が勝つだろうな。2、3年も1組と2組が有利だし。1万は貰えそうだ。

 

 

騎馬戦

この競技は赤VS青だ

馬に乗っている人の腕の紐を取っていく競技だ。

竜咲「おらおら、掛かってこいよ。フンどもが。」

「んだとお!」

竜咲の挑発により、赤組の騎馬戦の一つが掛かっていく。

「貰った!」

竜咲「甘いぜ。」

「なっ!?」

竜咲は赤組の騎馬の手をかわし、カウンターを仕掛ける。

その騎馬の紐は取られてしまった。

「くっそお!!」

竜咲「雑魚はベンチでも温めてろ。」

「く!」

 

 

 

 

 

結果は青組に負けてしまう。

竜咲の紐取りセンスは異常だ。

運動神経は恐らく良い。

 

 

 

 

「最後の競技となりました。男女混合1000mリレーです。選手の皆さんは並んでください!」

これは、3学年合同の大競技だ。

3年1組が一番トラックの外側、1年4組が一番内側だ。

男子3女子2か、男子2女子3人だ。

うちのクラスは前者だ。

 

 

 

 

 

皐月「よし!頑張れ!ラストだ!」

先生がエールを贈る

 

 

 

「みんな、ちょっといいか?」

「ん?どうした?」

「実は、競技の最中足をくじいてしまって……。」

栖号だ。うちのアンカーをするつもりだった

龍也「まじか!?」

橋本「誰か代わりを頼むしかないね。」

龍也「でも他に誰が足速いやついるんだ!?」

橋本「それは……。」

愛菜「……。」

愛菜も微妙な表情だ

 

 

愛菜「上級生相手だけど、一位取りたいね。」

 

昼食の時、そんなことを言っていた。

他の誰も自ら行こうとはしない。

それはそうだ。最後の競技ということもあるが、栖号の代わりになれる自信が無いからだろう。

 

愛菜「誰か代わりでも、最後までみんなで頑張ろう!」

愛菜は力強く、強い瞳で言う。

零(愛菜……。そうだ、俺は彼女のこの凛々しさにも惚れたんだ。)

 

龍也「柊さん……そうだよな!」

橋本「うん!誰か代わりを頼むよ!」

 

彼女があんなに言っているんだ。だったら彼氏として今やるべきことは一つだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

零「俺でもいいか?」

 

龍也「零!?」

橋本「桐生君……。」

愛菜「零君……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「俺も、しっかりと結果を残してくれるやつだと思うぞ?」

そこに助太刀先生ときた。ナイス。

 

龍也「じゃあ頼むぜ、零!」

 

こうして、最後の競技が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーい…ドン!!」

 

龍也「おらあ!!」

一番手は相変わらず龍也。スタートダッシュから12人中4位だ。やるな。

俺たちは男、男、女、女、男の順だ。

俺はアンカーで、俺の前は愛菜だ。

彼女からバトンを受けとる、うん、最高。

 

龍也「橋本!」

橋本「うん!」

2組のイケメン枠橋本。

高校では帰宅部でありながら、運動神経は良い。

イケメンはここでも華麗に走る。

2人抜き、2位だ。

橋本「欄月さん!」

欄月「任せて!」

欄月香代子<らんげつ かよこ>

2組の女子の中では運動はできる方だ。

しかし、三番手を男子にしているクラスに抜かれ、5位。

欄月「愛菜!」

愛菜「ん!」

4番手ときた。次はいよいよ俺。

愛菜も頑張っているが、やはり男子相手は辛い。男子に抜かれ7位。

2組のみんなは見守っている。決して誰も1位を。諦めていない。

 

愛菜(はあ、はあ、もう一番は無理かなあ。)

自分の前には6人。ここから一番となるのはきついだろう。

愛菜(……いや、諦めたくない!零君にこのバトンを!)

君ならきっとどんな状況でも何とかしてくれる。私はそう思うな。

目立つことは嫌い、そう言いつつも最後には助けてくれる。

私はそんな君が大好きだ。

だからお願い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝って!!

 

愛菜「零君!!」

零「後は任せろ。」

 

 

 

 

 

 

 

俺は全力フルで走った

今までこんなに全力で走ったことなど無い

今この瞬間は前にいる6人を抜くことだけを考える。

一人ずつ抜くだけだ

もっと加速する。足の回転を速くする。

「っまじか!?」

結構差はあったのに、と言う声は無視。

 

一つ目のカーブ

ここでも抜いていく

一人、また一人と、次々に抜く。

 

 

「「おおおおお!!」」

歓声が聞こえる

だがどうでもいい

 

そしてまた抜いた

 

 

 

 

そして、遂には俺の前には誰も居なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍也「めっちゃ速えじゃん!俺より速いぞ!?」

自分のクラスのテントに帰った俺は早速やんちゃボーイに絡まれる。

 

零「たまたま他のクラスのアンカーが遅かっただけだろ。」

龍也「いや流石にそれは無いって!」

零「ま、気にするな。」

皐月「みんなお疲れ様!桐生は特にな。」

零「……どうも。」

皐月「でも流石にあれは以外だったよ。」

零「まあ火事場の馬鹿力ってやつです。」

皐月「はは、そういうことにしとく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛菜「お疲れ様。」

零「お前もな。」

愛菜「本気出したの?」

零「……ああ。」

愛菜「嘘。」

零「え?」

愛菜「……まだ加速できたでしょ?」

零「……お前はエスパーか。」

何故分かる、と言いたい

愛菜「凄いよね、6人抜き。」

零「そうか?6人とも僅差だったから一気に抜けただけだぞ。」

愛菜「私の彼氏は最強だね。」

そう言って笑顔を向ける

何回見ても癒してでしかない。最高。

 

 

「ただいまより、閉会式になります。全クラスの皆さんは、並んでください。」

 

 

 

「それでは、勝利した組を発表します。勝利は……赤組!」

 

「「おおおおお!!」」

 

やはりな。まあこれで1万ゲットだ。

 

「次に、クラス別の順位を発表します。」

 

3年から順番に発表される

 

 

そして俺達の番

順位は

 

 

1位 1組

2位 3組

3位 2組

4位 4組

 

 

龍也「がああああ!!1万どころか5千もねえ!!」

「ちっくしょー!!」

 

零(午前にもう少し順位が良ければ1位だったな。)

 

 

「以上で、閉会式を終わります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

零(さて、寮に帰るか。)

 

「これ。」

 

零「え?」

女子から手紙を渡される。女子はささっと消える。

零(何だろう。)

手紙を見る

内容は

『閉会式が終わり次第、校舎入り口に来い。』

 

零「はぁ……。」

疲れているのに止めて欲しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校舎入り口

 

「来たね。」

零「何か用か?」

「……。」

女子は黙って去る

零「は?おい……。」

イタズラか?何なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、用があるのは私です。」

突然後ろから声がする

零「あなたは……」

振り向くと、一人の少女がいた。

「初めまして。1年1組の柳愛楽<やなぎ あいら>と言います。」

零「桐生零。」

柳「知っています。最後のリレーは大活躍でしたね。」

零「ありがとう。」

柳「幽閉の籠。」

零「っ!?……何故知っている?」

幽閉の籠のことを知るのは日本でもあまりいないはず

 

柳が近づいて来る

そして、俺の真横に立つ。

 

柳「貴方のことはよく見ていましたよ。元師様の完璧な傑作。」

零「それで、何?」

柳「いえ、用はありません。…ただ」

零「ただ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柳「あなたを倒します。天才が完璧をね。」

そう言い残し、柳はどこかに行ってしまった。

零「……お前に俺を倒せるのか?」

俺にとってそれは願ったり叶ったりだ

俺を倒すことで元師は俺ではなく更なる完璧を作る。俺はめでたく解放。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「楽しみだな。」

 




いやあ6人抜きってやばいね笑


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32話 貴方を探していた

どーも。
最近体がだるい。
みんなも体調には気をつけて~


「ん……朝か」

いつものように、カーテンの隙間から漏れる太陽の光が俺を覚醒させる。

時刻は9時ジャスト

「やべ!?………あ」

時間で言うと学校には遅刻。だが、今日は土曜日だということを思い出す。

 

「……寝るか」

俺は二度寝を決意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽閉の籠」

 

 

昨日、俺を呼び出した謎の少女ーー柳愛楽の事が気になりあまり眠れなかった。好意を抱いて気になる、と言う訳ではない。

ただ単純に何故籠のことを知っている

のか気になるだけ。

 

 

「あいつも籠出身か、もしくは……」

元師と手を取り合っているだけか

いや、俺を倒すと言ってたしそれはないか。

 

 

 

まあ考えても仕方ないので、俺は再び寝る。

 

 

 

 

俺の休日は特に何も無く過ぎ去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月曜日

今日からまた登校となると、体がだるい。今日はちゃんと起きてるな。当たり前だが。

いつものように通学、と言っても寮から校舎へ行くだけ。

 

 

 

「みんなおはよう! この休日で疲れはとれたか? 今日からまた授業だ!」

朝から元気な皐月先生

体育祭では一番のハイテンションだった。

授業もいつも通り。

 

 

 

 

 

こうしていつものように時間が過ぎていく

 

 

 

ん?

 

廊下の方が騒がしい。クラスの人間がどんどん減っていく。

 

 

「どうしたんだろうね?」

愛菜も気になっているので、二人で廊下へ。

 

「龍也、この集まりは何?」

傍にいる友達、風間龍也に訪ねる。

 

「ああ、実は! 清条先輩が何故かいるんだよ!」

「え、誰?」

「お前知らねえのかよ!?」

「ああ。」

聞いたことも無いぞと言ってやった

「お、お前! 人生紙飛行機だな!」

何だこいつ

 

「彼女は2年1組の清条命<せいじょうみこと>。金持ちの令嬢さんだよ! そんでもってこの学校のトップクラスの美少女だよ!」

こいつは詳しすぎ。女に飢えてんな。

金持ちなら父さんと知り合いかもな。

あと、生徒会副会長だぞ!と言う声も。どうでもいい。

 

「そんな人が1年のクラスに何の用なのかな?」

「一人ずつ顔見てるな」

「きっと誰か探してるんだね」

龍也を放って愛菜と会話

 

 

その清条さん?が、4組の方へ向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カスどもが何馬鹿騒ぎしてるかと思えば、これはこれは生徒会副会長の清条先輩じゃねえか。」

 

4組の支配者ーー竜咲帝だ

辺りは人で溢れかえっている

支配者と美少女が面と向かって会話しているからだろう

 

 

「相変わらずだね、竜咲君」

清条さんは、教卓に座っている竜咲を見てものを言う。

「へっ、何しに来やがった?」

「探し物ならぬ探し人だよ」

「ならとっとと探して出ていくんだな」

「言われ無くても、と言いたいけどどうやらここに居ないみたい。」

「あ?」

「君の横に置いてあるはちまき、紫でしょ? 彼のは赤だったから」

教卓で竜咲の座っている真横に置いてあるはちまきのことだ。

「彼?は、男かよ」

「うん。……それじゃあ。」

そう言い4組を出ていく

 

「え?」

清条さんはこちらに視線を向けると、近づいてくる。

「な、なあ零、なんかこっち来てね?」

「ああ、お前何かしたのか?」

「してねーよ! 柊さんは?」

「私も何も。」

 

だんだんこちらとの距離が縮まる

そして俺は、ふと思い出す。

 

この人どこかで……

何か引っ掛かる。思い出せない。

 

 

 

 

「桐生、零君だね」

あ、ああ!!この人!

黒髪ロングに大きな瞳!

それでこの笑顔!

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時コンビニでナンパされていた人!!

 

 

 

 

「ようやく会えたね。私は2年1組清条命。よろしくね」

「はい、こちらこそ。清条さん」

「……君のことずっと探してたよ。それがまさか同じ高校だったなんて思わなかったけどね」

「それで、俺に何か用ですか?」

周りに人も多い

目立ちたく無いから早く終わりたい…

 

 

「あの時助けてくれたことを父に話をしたら、是非お会いしたいって言ったの。」

「え?」

それほどのことか?と思った

しかし、この学校は長期休暇以外は外に出られないはず。

 

「学校には私の父が許可を貰ってるから安心して!」

 

仕事早すぎません?

元師ですらそんなことしないのに。

絶対学校関係者に友人でもいるだろ。

 

「あ、あの」

ここで久しぶりに口を開いたのは愛菜

 

「ん?どうしたの?」

「零君とはどういう関係なんですか?」

心配そうに言う

 

「彼は私をしつこいナンパから助けてくれたのよ」

「へ、へぇ……」

愛菜がジト目で見てくる

今の思考は恐らく

私もナンパからかっこよく助けられたい!

だろうか

いやいや、ナンパされないでくれよ?

 

 

「桐生君。連絡先教えて?」

「はい。」

携帯を取り出す

そして交換

横では愛菜が頬を膨らめていた。可愛い。

 

 

「今週末暇?」

「今のとこ予定は無いです」

「じゃあ、来てくれるかな?」

上目遣いで聞いてくる

美少女の上目遣いは反則だ

愛菜で学んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、はい。」

俺はこう答えるしかなかった

 




いつもと書き方変えてみました
「」の前に話をしてる人の名前を無くしました。
どっちがいいとかあったらコメントお願いします。


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33話 明日に向けて

短いですすいません。


「………」

「そんな顔すんなって。学校トップクラスの美少女の家行けんだぞ? 金持ちだから豪邸だぞ?」

俺を羨む龍也

そんな羨むなら代わってやろうか?

「てか、前々から思ってたがどんだけ可愛い女の子把握してんだよ」

「え~とな…柊さん、蓬連先輩、清条先輩、柳さん……まあ他にもいるがきっとお前は知らない」

ふと、聞き覚えのある名前が聞こえた。

 

 

 

柳?

 

 

「ちょ、龍也、柳って?」

「ん?ああ、1年1組の柳愛楽さんのことだ。小さくて可愛いのが特徴だ」

やっぱりな

けど、モテてるのは以外だ。

まあ確かに可愛いっちゃ可愛い。

だが俺は、彼女の見た目より何故籠のことを知っているかの方が気になっている。

「おまけに学力は学年1位。すごいよな。期末は8教科で788点だぞ?」

「そうなんだな」

ま、中間テストでは俺がオール100点で1位取ってやったがな。期末は適当にやったが。

 

「それより零、柳さんがどうしたんだ?……ま、まさかお前!柊さんという美少女彼女がいながら、柳さんをねらっ…」

「それはない」

最後まで言わせず速攻言ってやった

「そ、そうかよ……」

 

 

 

 

1週間は早く過ぎていった

今は金曜日の放課後

 

「零君明日だね」

「ああ。…緊張するよ」

「お礼…言われるだけだよね?」

不安そうな愛菜

「多分な」

こう言うしかない

俺自信、ただお礼を言われてはい、さようならだとしか思っていない。

「そっか……」

まだ心配そうな顔をしている

仕方ない

 

 

 

 

「心配ない。安心してくれ」

俺は愛菜の頭を撫で、微笑みかける。

 

「うん」

そう言い微笑み返してくれる

いい子だ

 

「それじゃ、帰るか」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、また月曜日ね」

「ああ。じゃあな」

 

俺達は別れ、俺は男子寮へ。

 

 

 

 

 

「はあ~」

ベッドにダイブする

眠気に襲われるが、一本の電話が鳴ったおかげで目が覚める。

 

「あ……」

携帯の画面には『清条命』という名前

 

俺は明日のことだろうと思いながら電話に出る

 

「……もしもし」

「やあ桐生君、久しぶり~」

「久しぶりってほどでもないですけど。それで、明日のことですよね?」

「うん。朝9時に君の部屋に行っていいかな?」

「いいですよ」

「わかった。多分2時間くらいで私の家に着くから、昼ご飯は私の家で食べるのでいいかな?」

「はい。ありがとうございます」

「ん。それじゃまた明日、じゃあね」

「はい。また明日」

 

画面がブラックアウトする

 

 

清条……か。聞いたこと無いな。

まあ俺にそんな名前知る時間も無かったけどな。

 

とにかく明日のため風呂入って寝よう

 




次回、清条家へ!


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34話 清条家へ

ピンポーンと

部屋に鳴り響く音

 

「来たか……」

 

ガチャ

 

「おはよう桐生君。昨日はよく眠れたかな?」

「おはようございます清条さん。はい、よく眠れました」

「それは良かった。それじゃ、行きましょうか」

「ええ」

 

今日はいよいよ清条家へ

ナンパから助けたことで、清条さんの父親が会いたいとのこと。

 

俺そんな大層なことしたかな?

疑問に思いつつも部屋に鍵をかけ、清条さんと二人並んで寮の階段を降りていく。

 

 

 

「この車で行くの」

「はい」

校門まで歩いた俺達

そこには、いかにも高級車と見える車が一台ある。

 

 

 

 

「お嬢様、そちらの男性が桐生様でございますね?」

一人の老人が車の中から出てきて言う

歳は60歳くらい

「ええそうよ」

「初めまして、桐生零です」

軽く挨拶をしておく

「初めまして、命お嬢様の執事を努めさけていただいている中野です。ささ、どうぞ中へ」

そう言い車のドアを開けてくれる

 

「ありがとうございます」

「いえいえ、お気になさらず」

俺が入った後、ドアを閉めてもくれた。軽く礼をする。

 

「お嬢様もどうぞ」

「ありがと」

 

 

「それでは清条家へ参らせていただきます」

 

車が走り始める

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかして緊張してる?」

「え?」

車が走り始めておよそ10秒といったところで、急に声をかけられた。

 

「なんか顔が強ばってるから」

「顔はもともとこんなんですけど、少しは緊張してます」

「そっか~。でも、多分一瞬で緊張なんて吹っ飛ぶと思うよ~」

「そうだといいです」

 

「お嬢様、失礼ながら発言させてもらって構いませんでしょうか?」

「ダメ。また怒るんでしょ?」

「いつになったら令嬢らしいお話方をしてもらえるのでしょうか?」

「話すのダメっていったのに……」

 

確かに令嬢ってのはもっと丁寧な話し方をするものだと思っていた

だが、清条さんの話し方はそこらの女子と変わらない。

 

 

「面倒なのよ。丁寧さとか。私はありのままの自分を晒すの!」

胸を張って言う清条さん

清条さんはスタイル抜群なので、それにより2つのメロンが強調される。

 

「はあ~、お堅いですね」

諦めたように言う中野さん

なんか可哀想。執事も大変なんだな。

でもこの会話のおかげで俺の緊張も無くなった

「さっきよりいい顔になったね。緊張ほぐれちゃった?」

「顔は変わってませんよ。でも緊張はほぐれましたね」

「良かった~。でも家に着く前にほぐれちゃうとはね~」

「そんなに家は緊張しない感じなんですか?」

「うん。すぐ分かるよ。もうすぐ着くから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした。清条家でございます」

 

でかすぎだろ

窓からでもわかる

俺の家ほどでは無いが、十分でかい。

 

 

「行きましょう」

清条さんが扉を開ける

 

 

 

 

 

「「おかえりなさいませ。お嬢様」」

 

「うん、ただいま」

 

俺の家と同じ感じ

まあ夏休み帰った時は俺が事前にやめてくれと連絡しておいたからされなかったが。

やばい緊張してきた

 

「桐生君、こっち」

「は、はい」

 

後をついていく

 

 

 

「ここよ。……父さん、入るよ?」

「ああ」

返事を貰い、部屋の扉を開ける。

するとそこには

 

 

 

 

「命ぉ! 帰ったかぁ! 俺は待っておったぞぉ!」

部屋に入った途端、40代と思われる男性が、両手を広げ清条さんの方に向かって走ってくる。

 

「きも」

『きも』の2文字とともにするりと避ける清条さん

 

「なんで俺のこと避けるんだよ!」

「だってきもいから。それにお客様の前よ? ちょっとはそのきもさを隠そうとしてよ」

「ツンデレかあ~。そうかそうか」

 

この男性は勝手に解釈するのが十八番のようだ。俺の緊張も瞬間消えた。ありがとうございます。

 

「父さん」

「わ、わかってるって。そんな怒んなよ」

「別に怒ってない」

「ふう……」

男性は視線を清条さんから俺に向け、

俺の前に来る。

「初めまして桐生零君。俺は命の父親の清条蘭牙<せいじょうらんが>だ。よろしくな」

「桐生零です。こちらこそよろしくお願いします」

「おう!……それにしても、命を助けてくれたんだってな。ありがとう」

「いえ、困っているのを見過ごせ無かったので」

「いやいや感謝してるよ。俺の命たんの柔肌を守ってくれたんだから」

笑って言っている。この人親馬鹿だろ。

そう思った瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ!」

蘭牙さんの右拳が俺の顔面へ

結構なスピードだが、俺は右へ避ける。

 

 

 

 

 

「君、強いね」

突き出した拳を戻し蘭牙さんは笑う

「マグレですよ」

 

「ちょっと父さん、いきなり何してるの!危ないから!」

「いいや大丈夫だ。俺は彼が避けると分かっていた。そんな気がしたんだ。」

「避けられない可能性もあったでしょ!」

「いや……それは無い」

「え?」

確かに疑問だろう

避けられない可能性が無いなんて普通あり得ないと思うからな

 

「桐生君。君、何か習ってただろ? いや、それとも……将暉さんの教えかな?」

ここでまさかの父さんの名前。完全に予想外だ。驚いた。

 

「はい」

嘘だ

本当は元師に教わった。だが、名前は伏せておく。

 

「はっはっは、やっぱりか~。将暉さんと同じで強そうなオーラだったし、それに体つきもいいし」

「父と知り合いですか?」

「ああ。桐生家と俺ら清条家は仲が良いよ。知らなかった?」

「はい」

「そっかそっか、将暉さんは俺が慕ってる人なんだ。いい人だよな~」

 

そんなことは無いと言ってやりたいものだ。父さんは元師に言われたとはいえ、俺の人生を操っていた。

 

「てかさ父さん、さっきの発言気持ち悪いよ?」

「ん?何が?」

「命たんの柔肌」

「何?デレた? 可愛いなあ、ぶふ!?」

蘭牙さんの腹を殴る清条さん。痛そう……

 

「それで、何か話があるんじゃないの? 早くしないと。桐生君も暇じゃ無いんだし」

「悪い悪い。じゃあそこ座って」

「はい」

俺は指定された所に座る

とても大きなソファーだ。座り心地もいい。

 

 

「まずは改めて、先程はいきなりパンチして悪かった」

「いえ、気にしてません」

「それはありがたい。……それで今日君に来て貰ったのはね、一つ言うことがあるからなんだよ」

「何ですか?」

「命と……」

 

命と?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結婚してくれぇ!!」

「「はいい!?」」

俺と清条さんは二人してはもった

 

 

「と、父さん何言ってるの!?」

「命、お前の為なんだ!」

どこが為なんだ……

 

「あの、どういうことですか?」

素直に聞く

「命は可愛いだろ? てことはお見合いされるだろ? けど今までのお見合い相手は全部ししゃも見たいな奴ばっかなんだよ! そんな奴等に命の柔肌渡してたまるか!」

ししゃもって...お見合い相手たちがさぞ可哀想だ

てか俺には渡していいのかよ

「だが桐生君、君は顔良し、そしてさっきの俺のパンチを避けたから恐らく運動神経良し、そして多分頭良しだ。完璧だ! 君になら命を託せられる」

顔は今見てるからともかく何故頭と運動神経が良いと言い切れるんだ……

 

 

 

 

「勝手に決めないでよ父さん」

そこで割り込む清条さん

「何だ? お前は彼が嫌か?」

「別に、嫌じゃ無い…けど」

少し頬を赤らめて言う

「ならいいじゃないか。何も問題無い」

「でも、桐生君は何も言って無いのに私たちが勝手に決めるのはおかしい」

「ならば聞こう。桐生君、君は命と結婚するのは嫌か?」

率直に聞いてくる。清条さんもチラチラ見てくる。

 

普通の男なら嫌と言わないだろう

スタイル抜群で美人な彼女を拒否するはずがない。

だが、俺の答えは決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お断りします」

「何!? 何故だ! 何処が不満なんだ!?」

「不満な所なんてありません」

これは嘘では無い。本心だ。

 

「なら他に何があると言うのだ!?」

当然来る質問だ

清条さんも黙って俺を見ている

俺は思っていることをそのまま口にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、こんな俺を好いてくれた彼女を裏切ることはできません」

 

 

「……そうか。君にはお付き合いしている人がいるんだな」

「……」

 

 

「……すいません」

 

「いいや、謝ることじゃないよ」

「うん。桐生君が悪いんじゃないから」

「ありがとうございます」

 

良かった。変な雰囲気になると思っていた。

 

 

「桐生君、昼食はまだかい?」

「はい」 

「それなら是非食べていってくれ」

「いいんですか?」

「ああ。わざわざ来てくれたからな。それくらいはするさ」

「ありがとうございます」

お言葉に甘えて、昼食をいただくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ? 口に合うか?」

「はい。凄く美味しいです」

「良かったよ。遠慮せず食べてくれ」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

蘭牙さんは俺が結婚を拒否したにも関わらず優しくしてくれた。いい人だった。急にパンチされたときは焦ったが、あれは恐らく俺の運動神経を見極めるためだったと勝手に思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中野、桐生君を無事寮へ送ってくれ」

「かしこまりました」

「それじゃ桐生君、さようならだ。気が変わったらいつでも大歓迎だから」

蘭牙さんはまだ結婚のことを諦めていなかった

「父さん、しつこいね」

「ふん、命をししゃもたちにやれるかよ」

「ししゃもって...」

「まあとにかく、早く行け。桐生君を待たせるな」

「分かってる。中野、行って」

「はい」

 

最後にお礼くらいは言っとくか

 

 

「あの、今日はありがとうございました。ご飯、凄く美味しかったし、何より清条さんのお父さんが優しい人で良かったです。緊張も無くなりましたし」

「うむ、君はいい人だ。今からでも命とけっこ..」

「中野」

「はい」

清条さんに名前を呼ばれ、中野さんは車を走らせる。

蘭牙さんの言葉は最後まで聞くことはできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着でございます」

辺りはオレンジ色の世界と化している

もう夕方か。時間が経つのは早いな。

「ありがとう」

「ありがとうございました」

「いえいえ、気をつけて寮へお帰りください」

そう言い中野さんは再び車を走らせる

 

 

 

 

 

 

「なんか今日はゴメンね」

「なんでですか?」

「いきなり結婚とか、正直困るよね」

「気にしてませんよ」

「ほんと?」

「はい」 

「それじゃあさ、もし桐生君に彼女がいなかったら私と結婚してくれるのかな?」 

ニヤつきながら聞いてくる

 

「してると思います」

こんな美少女から求婚され断る男はほとんどいないだろ

「そっか...」

「逆に先輩は、俺なんかと結婚していいんですか?」

「うん。私は君のこと好きだよ?」

即答のうん。そして以外な言葉を受け取る。

「え? でも俺先輩に会うのまだ3回目ですよ?」

「そうだね。でも、あの日助けてくれた時から、私は君に興味があったよ」

「清条さん...」

「その時はこれが恋なんて思って無かった。でも今は言える。この気持ちは、君を好きな気持ちなんだって。...だから」

清条さんは一呼吸し、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君に好きになってもらえるように努力するから」

 

瞬間、びゅっと風が吹く。

まだ9月序盤だというのに、肌寒い。

 

 

 

 

「それと、清条さんなんて堅苦しいから嫌。命って呼んでよ」

「随分ハードル高いです」

「なんで?」

「年上の女の人をいきなり下の名前呼びはきついです」

まだ会うの3回目だぞ?なんかいきなり距離縮まったみたいだ

 

「いいから〜、はやく呼んで」

頬を膨らませる。愛菜もそうだが、頬を膨らませるのは可愛いから反則だろ。

 

「命さん」

「さんも敬語も要らないんだけど、まあ許す! 良くできました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はあ、今日はなんか疲れたな。明日は一日寝ていようか。

そう思いつつ、俺達は寮へ。

命さんを送った後、俺は男子寮へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
不満なところがあれば感想で言ってください。
あと、何かしてほしい行事などがあれば感想で言ってください。

今後の展開どうしようか笑


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35話 夢

時が経つのは早く、もう10月中旬。

 

「ひゃっはあ!」

一枚の紙を見て、上機嫌な龍也。

「今回も赤点回避だったんだな」

「ああ! 残るテストは3回。余裕だぜ! どんなテストでもかかってこいや!」

あとは2学期の期末、3学期の中間と期末か。

俺も成績表を見る

そこには60やら62やら普通の点数が記されている

俺達は2学期の中間テストを乗り越えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4組

 

「竜咲さん、どうぞ」

おどおどした男子生徒が、パンを差し出す。

竜咲は無言で受け取り、食べる。

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ奪うか。

そう思い携帯の画面を見る

そこに写っているのは、体操服姿で懸命に走っている柊愛菜だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、この後空いてるかな?」

可愛い顔して聞いてくるのは、俺の彼女の柊愛菜。

「ああ。空いてるよ」

相手が話しやすい様笑いかける

「一緒に買い物行こう?」

NOなんて言えない。言わないけど。

「ああ。いいよ」

「やった!」

と小さくガッツポーズする女神。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

愛菜の買い物とは、どうやら服の様だ。冬が近づいてきたからかな。冬じゃ寒くて動きそうにないから、俺も今のうちに冬服買っとこうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~いっぱい買った~」

「体育祭のおかげでもあるな」

「うん!」

 

先月の体育祭で俺達赤組は青組に勝利した。普通なら4万円なのだが、今月は5万円なのだ。

と言っても、1万円で服はたくさん買えるわけではない。

基本俺も愛菜も金を無駄使いしないので、4月から少しづつ金額が貯まっているのだ。

俺も愛菜も親の仕送りは無いので、学校がくれる金だけで生活している。

案外生活できるものだ。

 

 

 

気付けばもう女子寮

今日も無事、家まで送った。

「それじゃ、また明日ね。今日はありがとう」

「おう。いつでも誘ってくれ」

「うん」

 

俺達は無言で抱き合う

お互いの考えは読めているかの様に

 

 

 

「んん、大好き……」

「俺も同じくらいは好きな自信はある」

 

 

数十秒のハグを終え、俺達は離れる。

 

「別れる時が一番辛いよ」

「俺もだ」

恋人とはずっと一緒に居たいものだ

 

「また明日ね」

「ああ。また明日」

 

名残惜しかったが、別れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前には真っ白な世界

そこにいるのは二人

一人は俺、そしてもう一人は愛菜。

 

 

「ごめんね」

そう言い俺に背中を見せ遠ざかっていく

 

「まて愛菜!」

呼んでも止まってくれない。どれだけ走っても追い付けない。

更に遠ざかり、もう見えない距離に行ってしまった。

真っ白な世界は黒々しく染まり、遂に俺は何も見えなくなる。

「待ってくれ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「愛菜!」

起き上がる

目の前には自分の部屋

 

 

夢……か

 




短くてすいません…
次回は時間がぶっ飛び期末テストの何日か前です!
期末テスト終わってからはもう少し長く書きます。
そして、期末テスト終わってからが2学期で一番の見所かと。
それでは、次回お会いしましょう!


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36話 期末テストを乗り越えろ

中間テストが終わってあまり日も経ってはいないと言うのに、周りの人間はもう期末テストのことで頭がいっぱいだった。

11月25日が期末テスト開始日

テストは25、26日の二日間だ

そして現在は10月30日。

2学期の期末テストは難しいと皐月先生がHRで言っていた。

そして今俺は何をしているかと言うと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはこうして……そうそう。それが答え」

「うん。ありがとう」

 

絶賛彼女とお勉強なう

しかも愛菜の部屋で

休日ということで二人でテスト勉強だ

今回は範囲広いらしいからテスト対策は早めが良い。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり零君は教えるの上手だね」

「そうか? あまり自信無いが」

「ううん、とっても分かりやすい」

「良かった。俺も教え甲斐がある」

 

 

俺達はイチャイチャしつつも勉強をした

 

平日は無理だが、休日は必ず俺か愛菜の部屋で勉強をした。

 

 

 

「テスト終わって少ししたら冬休みかぁ」

「確か12月4日から1月5日までだったな」

「うん。なんか時が経つのは早いね」

「そうだな。今年は色々あったからな」

 

ナンパやストーカーやジジイのこととかほんと色々あったな

 

「でも私は今こうして零君と一緒に居られるのが嬉しいよ。勉強だとしてもね」

「俺もだよ。それに、ここに来て良かったと思ってる。でなきゃ愛菜に出会って無かったし」

「そうだね!」

「ああ。テストまでもう少しだし、頑張るか」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてテスト当日

 

「CO2が二酸化炭素、Sが硫黄……」

龍也が化学式を呪文の様にひたすら言っている。

 

「いーんすーうぶーんかーいたーのしー仲間がポポポポーン……」

壊れた男

松田英斗

 

教室にいる生徒はみんな勉強なうだ

 

 

 

「みんな凄く熱心だね」

「ああ。中間テストは乗り越えはしたがギリギリのやつもいるだろう。期末で51点とるしかない状況だろうな」

「私も頑張らないと!」

「中間悪かったのか?」

「ううん。みんなが頑張ってるし私もね」

「そうか。」

 

俺も51点取るか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「試験開始!」

合図とともに一斉に問題用紙をめくる

 

 

 

 

 

 

これは…………

 

問題は今までより格段と難しくなっている

 

(これ…詰んだやついるんじゃね?)

 

平常点あったとしてもなあ

平常点なんてほんの少しだしなあ

 

 

波乱の期末テストが二日間俺達に地獄を見せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今から成績表を返す。」

テスト成績表じゃなく、平常点とか中間テストの点を足して2で割った方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員分返すと、先生は告げる。

「今回の欠点者は………無し!」

 

「「おおおおおお!!!」」

 

へぇ、みんな頑張ったんだ。

 

 

「冬休みをぜひエンジョイしろ! でも宿題もしろよ!」

 

「「はーーーーーい!!」」

 

冬休みか。初めての自由な冬休みだ。

 

あ、長期休暇は家帰る約束だったな。

せっかくだし愛菜を連れて行きたいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ~、あと少しで冬休みだね」

「ああ。やっと学校行かなくて済む」

「1ヵ月冬休みは嬉しいな」

「ほんとそれだ」

俺達は二人で帰ろうと靴箱に来た

 

 

この時までは俺達はいい気分だった

これから起こることなど知りもしないのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛菜、お前の全てを俺が貰う。そして桐生、お前は俺がぶっ壊してやるよ……ククク」

一人の男が物陰から二人を見ていた




次回、いよいよやつが動く!?


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37話 俺と付き合え

やつが動く!


11月27日

冬休みまであと少しだ

ほとんどの生徒は冬休みを楽しみにしているだろう

実際俺も楽しみだ。愛菜とクリスマスデートしたい。なんかもう、愛菜依存病だ。

 

現在授業中だが、俺の頭の中に先生の言葉は入ってこない。

 

「おい桐生、何ニヤニヤしている」

何か注意されたぞ

「ニヤニヤなんかしてませんよ」

口角が上がった覚えがないからな

 

「ったく聞いてたのか? ここの答えは?」

先生が黒板に指で示す

 

 

「2xです」

「う……正解だ」

 

俺の冬休み妄想を邪魔しないでもらいたい。授業なんてどうでもいい。

 

 

 

 

結局俺は今日一日全ての授業を聞いてなかった

気づけば下校時刻

 

 

「今日は放心状態だったね」

「ああ。冬休みのこと考えてた」

「何かしたいことあるの?」

よし、言おう。

「愛菜、クリスマス俺とデートしてくれ」

「いいよ?」

「よし!」

「私だって…一緒に居たいし」

可愛すぎか

 

「……あれ?」

「どうした?」

「何か入ってる」

「え?」

愛菜は靴箱から何やら取り出す

その手にあるのは、手紙だった。

まさかラブレターというやつか!?

 

「開けてみるね」

「あ、ああ」

「えーと……零君ごめん、先帰ってて」

「え? ああ。」

 

何だったんだ?

ラブレターかな

 

そう思いつつ俺は帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

あれは零君に言わなくて良かった

 

 

 

 

『放課後一人で屋上に来い。でなければ桐生やお前の友達の安全の保証は無い』

 

何だろう。誰が一体こんなこと……

 

 

 

 

 

 

屋上

 

私は屋上に来る

そこで待っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜咲君……」

「よお愛菜」

竜咲君は8人の男子と一緒に居る

 

 

「それで、何の用かな?」

「そう怖い顔すんなよ。せっかく可愛い顔が台無しだぜ?」

「余計なお世話だよ。それで、零君と私の友達は無事なの?」

「ああ。横見てみろ」

「え?」

私は言われた通り横を見る

 

「そんな……」

 

そこには、風間君、松田君、それに、私の友達の西宮さんがそれぞれ手足を縄で結ばれて口にガムテープを張られている。

みんなが私の方を見ている

 

 

「早く放してあげて」

「お前が俺の彼女になればいいぜ」

「ふざけないで。私は零君以外愛せる自信ないの」

「愛ねぇ………やれ」

 

「はい、ボス」

体つきがよく大柄な男が、風間君と松田君のお腹を蹴った

 

「ぐはっ!?」

「が!?」

 

「止めて! こんなことするのおかしいでしょ!」

「おかしい? はっ、よく言うぜ。だったらお前は今何で止めにそいつらの方へ行かなかった?」

「それは……」

「怖いんだよなぁ。人間ってのは自分が優先だからよ。巻き沿いくらいたくねえもんな。てか何で来たんだ? 手紙なんて無視して良かったじゃねえか」

「万が一本当に私や零君の友達が危険な目にあってたらと思ったからだよ」

「は。いい友情だ」

 

 

「ん!んん!」

西宮さんが必死に何かを言おうとしている

 

「あ? うるせえ。おい、黙らせろ」

「はい」

 

「んん!? ん!」

男が西宮さんの髪を掴み上げ、そのままコンクリートの床に投げる。

 

「んん!! っはあ! 柊さん、逃げろ!」

風間君の口のガムテープが剥がれて私に必死に言う

 

「ん! っはあ、そうだ! 逃げろ柊さん! 俺らは大丈夫!」

松田君の口のガムテープも剥がれる

 

「うるせえ蟻だ。黙らせろ」

「イエス、リーダー」

 

「が!?」

「ぐは!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

止めて

 

「おーらおらもっとやれー」

煽る竜咲君

 

 

 

 

 

止めて

 

「ぐ!」

「い、てえ」

二人は痛そうにしている

西宮さんはコンクリートに頭からぶつかったからか気絶している

 

 

 

 

 

 

もう止めて

 

 

私はいつの間にか涙を流していた

 

「どんな気分だ? 自分のせいで周りが傷つくのは」

 

 

 

 

私に力があれば……

 

 

 

 

「俺と付き合え。そうすれば全て解決する。桐生にはお前から別れるって言えばきっと納得するぜ?」

付き合えば……みんな助かる?

 

 

「ああ。助かる」

 

 

 

 

 

『付き合って』の五文字でみんな助かる……

 

 

「ああ。言うんだ」

 

 

「つ…き……って」

「もう一度、大きな声でゆっくりと言うんだ。さあ言え」

 

 

 

 

零君……ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と付きーー」

 

 

ドン

 

「がああ!?」

 

 

 

 

「え?」

「……来やがったか」

屋上入り口には、扉を勢いよく開け、男子生徒の首を掴みそのまま持ち上げている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐生零がいた




次回、戦争だあ~


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38話 竜咲帝の決意

戦闘が多めです


「零……君……」

私は体中から力が抜け、その場にしゃがみこんでしまう。

 

「胸騒ぎがして来てみたら、これはひどいな」

俺は男を放し、愛菜に近づく。

龍也、松田、西宮はロープで縛られている。

 

 

「おやおやこれはこれは桐生零。何か用かな?」

余裕の笑みの竜咲

 

「彼氏が彼女を助けるのは当たり前だろ?」

 

「こいつはもう精神ズタズタだ。あと一歩で俺に告白してたぜ?」

「それで?」

「お前は目障りだ。ぶっ壊す」

「ボス、もう俺らの勝ちっすよ!」

「なんせ9人いるっすからね!」

 

「零、柊さんを連れて逃げろ! そんで学校側にこのことを報告するんだ!」

龍也が必死に言うが、多分無駄だ。

 

「無駄だぜ? 屋上の監視カメラはスプレー吹っ掛けて見えないようにしてるし、お前らの顔に目立った傷は無い。腹にあざができてても俺らがやった証拠になんねえぜ?」

 

その通りだ。

 

 

「く…零、俺のことほっといて行け!」

「そうだ行け!」

「うるせえ。やれ」

「はい」

 

「ぐ…う」

「が……」

龍也と松田は蹴られ、遂に気絶する。

 

「大丈夫だ、心配するな」

俺は、聞こえていないと分かっていつつも声をかける。

 

「クク、そうだ。お前はこれからボコられるんだから少しでも無様な姿を愛菜に見せる方法でも考えてろ」

 

「ボコる、か」

「怖いか? そうだよなあ。でも安心しろ。お前が学校生活送りたく無くなるまでボコってやっから」

 

愛菜はじっとこちらを見ている

「確かに力でねじ伏せるのは最も相手を屈することができる」

 

「で? それがなんだよ?」

竜咲が疑問を抱く

 

「ここにいる9人じゃ俺を屈することができない」

 

「……クククク、ハハハハハハ!それじゃ見せてもらおうか! やれ!」

竜咲の指示のもと、一人の男がこちらに近づいてくる。

大きな体だ。俺より背もある。

 

「いくぞ」

律儀にも戦い宣言する

 

「ああ」

答えてやると

 

 

 

「おらあ!!」

大きな拳を突き出してくる

 

高校生ともなれば、殴るスピード、パワーは凄まじい。しかし、人間は殴る時に必ず一度腕を引く。その隙に一気に詰め寄ることもできるのだ。

だがあえてしない。

戦いに置いて相手がどれだけの力を持っているかを知るのは基本中の基本

 

俺は殴ってきた拳を右手で受け止める

 

「なっ!?」

 

自慢のスピードパンチを受け止められ驚いたのか、一度距離をとる。

 

「ふ!」

また俺に詰め寄り、連続パンチをする。

ある程度力量が分かったところで、俺は相手のパンチを左手で横に弾き、そのまま腹に右手で殴る。

 

「ぐ……」

うずくまりしゃがみこんだところをすかさず顔面キック。

男は倒れた。まず一人。

 

 

 

「おおおお!!」

今度は後ろから、これまた巨体の男が腕を振り回す。

まずは拳を受け止める。

腕がじんじんする。さっきから受け止めているのでダメージが蓄積する。

「流石に痛いな」

「う!う!う!」

連続パンチ。こいつらは連続にすればいいと思っているのか。

だが、連続パンチということは、下ががら空きということ。

俺は右足で男の股間を蹴る

 

「~~~~!!」

声にならないくらい効いたのか、倒れる。そして保険に顔を一蹴りしておく。

動かなくなったので、戦闘リタイア。

これで二人。

 

「いくぜ!」

「おうよ!」

今度は二人で攻めてくる

俺の左右に別れた。挟み撃ち作戦か。

「おらよ!」

「ひゃはあ!」

二人が同時に俺の顔めがけパンチする

防ぐ方法は何個かあったが、俺は一番体力を消費しない方法を選んだ。

それはーーーしゃがむことだ

二人同時に顔に向かってパンチしてくる。それじゃあ俺が退けばどうなる?

 

「が!?」

「ぎょ!?」

 

そりゃお互いの顔を殴るよな。

全力パンチだし急に俺が退いても止まらない。

二人とも頬を触っていた。

俺は片方のやつの腹を蹴る

「が!?」

そしてそのまま回転し、後ろのもう一人を左手の裏拳ではたく。

二人が崩れ落ちていくのを確認した。

これで四人。

 

 

 

「あ、あいつやべえよ……」

一人の男がびびる

 

「いいから行け」

竜咲は命令する

「う…うう」

びびりながらも俺の方へやってきた

 

「ううう…」

単純なストレートパンチ

普通に避けられる

俺は避けた後、膝で腹を蹴ってやる。

「う…が…」

これであと四人

 

 

「よーしお前ら、三人同時に行け。殺す気でな」

竜咲の命令で三人が俺の方へ

 

「おら!」

殴ってくる。それを受け止める。

すると、もう一人も殴ってくる。

それも受け止める。

「食らえや!」

三人目が俺の後ろから飛び蹴りしてきた。なるほど、両手を塞がせたのか。

だが、甘い。

俺は受け止めている両手を前に押し出す。これにより、二人は後ろに退けぞる。

その隙に後ろに向き、飛び蹴りを避け、そいつの首を掴み、コンクリートに叩きつける。

 

「があ!?」

目を見開き、気絶する。

そしてまた後ろに向く。

 

 

「おおお!!」

一人が走ってくる。

「よっ、と」

俺は避け、足を絡ませる。

「何っ!?」

大いに転んでくれた。なんか転ばすの楽しいわ。

そして腹を蹴る

 

「がは……」

 

あと二人か

 

「死ねぇ!!」

殴ってくる

俺はしゃがみ、腹をワンパンチ。

男は倒れた。

 

 

 

 

 

「まさか8人退けるなんてな。バレーだけじゃなく暴力も一級品とはな」

 

 

「こい、竜咲。お前だけ逃げる、なんてのはしないよな?」

 

「ったりめえだろ。俺は敗北を知らねえ。」

「何を言っている?」

「俺はな、喧嘩はあんま負けたことねえ。負けても必ず勝利の秘策を考え、勝ってきた。最終的には全てが俺にひれ伏せた! だから、逃げるなんてのは知らねえ。俺は戦い続ける」

「そうか」

 

しばしの沈黙の後、動き出す。

 

「いくぜ!」

 

竜咲はパンチをするが、

俺はかわす。

 

「おらおらこいよ!」

煽ってくるが、俺は挑発には乗らない。

 

竜咲のパンチをかわし、カウンターとして脇腹を殴る。

 

「ぐ!…へへ、面白れえなあ」

 

何を言っているんだろう

こんなつまらない事したって何の意味もない

 

「お前はそんな強いのになんで独裁政権をしない? いいぜぇ支配ってのはよぉ」

「生憎と俺は平穏主義なんでな」

「へ、そうかよ!」

竜咲は俺の両肩を掴み、膝で腹を蹴る。

 

「零君!?」

愛菜が叫んで言うが、心配ない。

 

「どうだ? 怖いか?」

「別に、ただ痛みがあるだけだ」

「そうかよ!」

竜咲は更に腹を蹴るつもりだが、もういいよ。

俺は蹴りを左手で防ぎ、右手で竜咲の頭を俺の膝の方へ寄せ、蹴る。

 

「が……!?」

竜咲はその場に倒れる

俺はしゃがみこみ、竜咲の顔を殴り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたな」

俺は愛菜の方へ歩く

「零……君…」

愛菜は、俺の胸に崩れ落ちる様に抱きついてきた。

「怖かった……怖かったよぉ」

「もう大丈夫だ。安心しろ」

頭をポンポンと叩いてやる

「私、風間君達の為とは言え、竜咲君に付き合ってって言いかけたの。ごめん」

「それで、愛菜は竜咲と付き合うのか?」

「ううん、君じゃなきゃ嫌」

「なら気にするな」

「……ありがと」

 

さて、後の問題を解決するか。

 

 

「桐生、終わったんだな?」

「はい」

さっそうと現れたのは、皐月先生。

「え!? 先生なんでここに!?」

「そりゃあ桐生に、こいつら連れてけって言われたからな」

そう言い龍也と松田を持つ

「龍也と松田と西宮が竜咲に連れて行かれるのを見た生徒がいたらしいからもしやと思い先生にはずっと屋上入り口で壁に隠れてもらっていたんだ」

「そゆこと。あ、西宮は柊が連れて行ってくれ。俺もう持てないから」

「あ、はい!」

私は西宮さんを頑張って連れていく

「あ、零君はどうするの?」

「俺は用があるからまだ残る。先帰っててくれ」

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~桐生あんな強かったんだな~。9対1だったしな」

「はい! 本当に頼りになります」

「このこと学校にバレないようにしてくれるかな、桐生は」

「きっと大丈夫です。零君は、完璧男ですから!」

「はは、期待しとく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は竜咲の顔を叩き、起こす。

 

「ぐ……桐生」

「ようやく目が覚めたか」

「何だよ。まだやんのか?」

「いいや、俺達の間で決着はついた。これ以上やっても無駄だ」

「けっ、分かってるよ」

「それで、今回のことなんだが、どうするつもりだ?」

「別に誰にもバレてねえし気にすんなよ」

「その顔の跡とかだよ」

「お前が言うか? クク、お前にやられたって言えば俺の勝ちだな」

「止めておけ。こっちにも愛菜含め四人証言者がいる」

「クク、そうだな。……ふう」

竜咲は笑みを消し、真顔になる

「どうした?」

「暴力は俺の専売特許だと思ってたが、これじゃもう無理だな」

「いや、中々の勝負だったぞ?」

「嘘はいい。俺は分かっていた。お前に余裕があったことくらい」

 

そう言われると否定できない

 

「……さて、ケジメをつけるか」

「何するんだ?」

「別に何もしねえ。俺の戦いを終わらせるだけだ」

「何でだ?」

「支配が許されるのは最強無敗の間だけだ」

「そうか」

 

「おいお前ら起きろ!」

竜咲の叫びで、男子たちは目を覚ます。

 

「今回のことは4組内の喧嘩ってことにするぞ! 桐生一人に負けたんだ、言い訳すんなよ!」

 

「「はい」」

 

「それと、現時刻をもって、俺は独裁政権を放棄する」

 

「え!?」

「竜咲さん何言ってるんすか!?」

「俺竜咲さんいないとダメっすよ!」

 

「ったくうるせえよ」

そう言いつつも笑う竜咲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の戦いは、もう終わったんだよ」

そう言い残し、竜咲は屋上から去って行った。

 

 

 

 

 

あの後龍也達にこっぴどく質問された。先生達が来て止めてくれたと言っておいた。

 

俺と愛菜は少なくとも1年の間では付き合っていることは知られている。それなのに今の時期告白なんて怪しいと思った俺は帰るのを止め校舎へ向かった。すると龍也達が竜咲に連れて行かれるのを見たと言う生徒がいたらしく、もしや愛菜も向かったのかと思った。

目立たない屋上へ向かうだろうと予想できていた。まさか喧嘩することになるとはな。今日は疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何日か経ち、1年4組 竜咲帝が、独裁者では無くなったことが、学校中で噂となった。

 




次回は終業式かな?
竜咲を倒しましたが、彼の出番はまだ終わりにはしないつもりです!

それでは次回お会いしましょう!!


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39話 彼女を連れて桐生家へ

お久しぶりです~
忙しくて……すいませんでした


12月3日 終業式

 

明日からはいよいよ冬休みか。

とりあえず家に帰ろうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……では、良い冬休みを……」

 

校長先生の言葉が終わる

 

 

「それでは、次期生徒会長、清条命さんより挨拶をお願いします」

 

この学校は2学期終了と共に生徒会も変わるんだな。

 

 

 

 

 

 

「初めまして。次期生徒会長の清条です。3学期からは会長として、今までよりこの学校に貢献していくのでよろしくお願いします」

 

 

パチパチパチパチ

 

 

 

 

 

 

こうして終業式は終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛菜」

「何?」

 

言うんだ、家来ないかって。男を見せろ、俺。

 

 

「ふ、冬休みの予定とか……ある?」

 

チキンが。率直に言えよ。

 

 

「ん~、家には帰ろっかな~って」

「そ、それっていつ?」

「二週間後くらいかな~」

「最初の一週間は?」

「こっちで宿題でもしよっかな」

「あ、あのさ…」

「ん?なあに?」

「よ、良かったら、俺の家来てください!」

言ってやったぞ!

 

「いいよ?」

「え? まじか!」

「うん。でも何で明日なの?」

「俺の親が長期休暇は毎回一日目に帰って来いって言うんだ」

「へえ~。でも零君の家行ってみたいかも」

 

よし!

 

「じゃあ学校終わったら行こうか」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら冬休みは宿題しつつ遊べよ!」

 

「「はーい!」」

 

「今年度最後のHRを終わる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くか」

「うん!」

 

俺達は新幹線に乗るべく駅へ向かった

 

 

 

 

 

「零君の家ってどんな感じ?」

「雰囲気か?」

「うん」

「まあ、うるさいかな」

 

父さんはあまり騒がないけど

てかじじい頼むから帰って来るなよ?

 

 

 

 

 

 

「さて、ここからは歩きだな」

「あとどれくらいで着くの?」

「もうすぐだぞ」

「楽しみ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぞ」

「え……」

絶句している。そりゃこんな豪邸だし当然か。

 

「れ、零君……桐生ってまさか……」

「ああ、愛菜の思っている通りだ」

「凄いよ! ただでさえ完璧な彼氏が金持ちってどこのアニメ設定!?」

「そ、そんなに驚くか?」

「うん!」

 

まあとりあえず家入るか

と、その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、零様」

「久しぶりだな、利人」

「はい。この利人、零様の帰りを待ち続けて早4ヶ月でございます」

「はは、それって夏休みからだろ」

「そうでございます……零様、恐れながらお一つお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」

「何?」

「そちらの女性は……」

恐る恐る聞いてくる

 

「俺の一番大切な人だ」

「うう……」

隣で愛菜がりんごの様に頬を赤らめ下を向いている

 

「そうでございましたか。さぞ将暉様や美羽様が喜ばれるでしょう」

 

「ありがと」

そう言い家の中へ

 

 

ガチャ

扉を開けると

 

 

 

 

「零ーー!!待ってたわ……よ?」

朱里姉さんがまじまじと愛菜を見ている。愛菜はまじまじと朱里を見ている。

 

 

「「ええーー!?」」

 

二人して驚いていた

 

 

「れ、れれれ零!? その超絶美少女誰よ!?」

「れ、零君!? 何で世界の歌姫 AKARIが!?」

 

 

「えーと、姉さん、この子は俺の彼女の柊愛菜さんで、愛菜、この人は俺の姉だ」

 

「れ、零にまさか彼女が…てか可愛い!!」

 

そう言い愛菜に抱きつく朱里

美少女二人の百合百合はなんかいいな

 

「あ、あの……わ、私は、柊愛菜です。よろしくお願い、します」

抱きつかれ言いにくそうだった

 

「よろしく~。私は桐生朱里で~す。零の姉で~す」

「姉さん、そろそろ解放してあげてくれ」

「ん、りょーかい」

「はふぅ……」

解放された愛菜はどこか残念そうだった。何でだ?まあいいか

 

 

 

 

 

 

「騒がしいと思い来てみれば、まさか彼女を連れて来るとはな」

「父さん、聞いていたのか?」

「ああ。いつまでも立たせているのは失礼だ。」

そんなことは分かっている

「愛菜、上がって」

「う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングには現在、俺、愛菜、姉、父、母の五人だけがいる。執事やメイドさんは出ていってもらっている。

 

「あ、あの、零君とお付き合いさせていただいてます、柊愛菜です!」

 

「柊……愛菜……」

「は、はい!?」

いきなり将暉に呼ばれ愛菜は驚く

 

「君……御影の子かい?」

「はい……え? えええ!? な、何故それを!?」

「柊グループとうちは仲良いからね」

 

なんかこの会話、前にどこかで……あ、蘭牙さんだ!

てか、愛菜も金持ちってことかよ!?

 

「桐生グループを筆頭に、清条グループ、柊グループ、この3つは日本の看板と言われている」

「そ、そうなんですか!?」

驚くのも無理はない。俺もあんまりそういうことは知らないからな。

「自己紹介が遅くなったな。零の父の桐生将暉だ」

「母の桐生美羽です」

「さっきもしたけど、桐生朱里で~す」

 

「あの、不束者ですがこれからよろしくお願いします!!」

 

「可愛い……」

姉さんは百合に目覚めましたとさ

 

「まさか零がねぇ……。どうやって落としたの?」

「母さん……」

「ふぇっ!?」

 

 

俺は逃げるべく、愛菜を部屋に連れていった。

 

 

 

 

「はぁ。なんかごめん」

「ううん、面白い家族で良かった」

「そっか。あ、着替え持ってきてる?」

「うん。でも1週間分は無いかな」

「洗濯するから大丈夫」

「ありがとう」

「おう」

「……ほんとびっくりだよ~」

「何が?」

「お姉さんがあのAKARIなんて」

「まあ驚くよな」

「うん。私AKARIの歌好きだからさ」

 

だから抱きつかれても抵抗しなかったのか。自分の好きな歌手だから。

 

「零君……」

「愛菜……」

お互いの手を、指を絡める

そして、顔を近づけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「ん……」

 

キスをする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、息がもたないのか

「ぷはっ…」

「はぁ…」

愛菜の顔はトロンとしていて、名残惜しそうでもあったが

「えへへ…久しぶりのキス……」

どうやら満足したようだ

 

「愛菜、風呂入りたいか?」

「え、あ…うん。」

「連れていくから、おいで」

俺は立ち上がり、手招きする。

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ~」

 

愛菜が入ること20分、暇だ。

 

 

 

 

 

 

「零いる~?」

ドアの方から声がした

 

「ああ」

「入るよ~」

ドアを開け入ったのは、朱里だ。

 

「どうしたの姉さん?」

「いや~愛菜ちゃんのこと聞きたいな~って」

「なんだよ。好きなの? 百合?」

「なんか可愛すぎてね~」

 

 

 

こうして愛菜が出てくるまで俺は語り続けた

 




次回はどうしようかな


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40話 恋愛は人を狂わせる

「ふぅ……」

愛菜の事を語り尽くした俺は、現在風呂にいる。

温泉の様に広い風呂だ。そりゃシェフ達も入るからな。

 

「お……」

どうやら先客がいるようだ

 

「あ、坊っちゃん。帰って来たんですね」

「ゼルか、久しぶりだな」

「そうですね。坊っちゃんと風呂とか昔みたいっすねえ」

「だな」

 

大きな風呂で、俺達は同じ湯に浸かっている。

 

「いつまでいるんです?」

「1週間だ」

「そんで帰るんすか?」

「いや、彼女の家に行く」

「へぇ……え? か、彼女ぉ!?」

あ、そういやこいつ知らんのか

 

「ぼ、坊っちゃんにか、彼女ぉ!?」

「騒ぐな」

「可愛んすか!? 名前は!?」

「学校一の美少女って言われてる。名前は柊愛菜」

「え? それって…」

「ああ。柊グループの、御影さんの娘だ」

「やっぱりそうですか。いやぁ、坊っちゃんにも春がね~」

「なんだよ……」

「誰しもを振ってきた坊っちゃんがまさか彼女を……どこまでしたんすか?」

「ん? 何を?」

「Aすか? Bすか? ま、まさか…」

「なっ!? お、お前何を聞くんだよ!?」

「それでどこまでっすか~?」

 

こいつなんかうざいな

 

「………キス」

「おーーう!?」

何はしゃいでるんだよ

「坊っちゃんやるっすね! まだ高校生なんで避妊はしてくださいよ?」

「ばっ、馬鹿か!? 何言うんだよ!」

「そんじゃ俺はもう出ます」

 

そう言いゼルは去った

 

 

 

「…………あの馬鹿」

 

 

でも将来、愛菜と結婚したらそういうことするんだよな。

結婚は勿論愛菜としたい。でも彼女はしてもいいと言うのだろうか……

 

「ま、今は考えても仕方ないな」

 

まだ問題が残っている

 

 

柳愛楽、そして桐生元師。

こいつらを封じ込め、俺は平穏を続ける。

「こないだみたいなことはもううんざりだ」

 

竜咲帝……元4組の独裁者。

あの日以降何もしてこないから、もう愛菜に手出しはしないだろう。

勿論俺にもだが。

 

 

 

 

「さて、出るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「零ったら昔はこんなに可愛かったのよ~」

「わぁ! 小さくて可愛いです!」

「でしょう!」

 

 

何でいる?

ここは俺の部屋だ。今ソファーで姉と彼女が俺の小さい頃の写真を見ている

 

 

「あ、零。お風呂終わったのね」

「零君、お帰りなさ~い」

「……ただいま」

 

写真を見られるのは恥ずかしいものだ

 

「じゃあ私はお風呂入るからごゆっくり~」

姉さんはニヤニヤしながら出ていった

 

 

 

「零君、可愛かったよ!」

「お、おう」

 

そう言うお前が一番可愛いんだよ

風呂上がりのパジャマ姿は可愛く、写真集を両手で抱いている姿は庇護欲がそそられる。

 

「もう寝るか?」

「う~ん、まだ眠くないんだよね~」

「何かしたいことあるか?」

「……一緒にソファー座りたい」

「いいぞ」

彼女の隣に座る

すると、俺の肩に頭を乗せた。

 

「零君の隣は落ち着くよ」

「良かった良かった」

そう言って頭を撫でる

風呂上がりということもあり、いい匂いがする。

 

「ん…気持ちいい……」

「そうか?」

「零君上手いね」

「はは、ありがと」

 

俺は愛菜の頬をつつく

「ん?」

「可愛いな」

「えへへ、急にどうしたの?」

「改めて思ったが、俺はもう愛菜無しじゃ生きられなくなってしまったよ」

「ふふ、私もだよ……ねえ」

「何だ?」

「もしもだよ、私が死んじゃったら零君どうなっちゃう?」

「俺もお前の後を追う」

 

則ち、死だ。

 

「そっか。そこまで愛されてるんだ、私」

「当たり前だろ? 他の誰もがお前を嫌おうとしても、俺は好きなままだ」

「今年は幸せだったなぁ」

「まだ終わってないだろ?」

「あ、そうだね。ふふ」

「来年はもっと幸せに、再来年はもっともっと幸せにするからな」

「うん、ありがとう。大好きだよ」

「俺もだ」

 

愛菜を抱き締める

 

「ん…温かいよ。包み込まれていくみたい」

「可愛いすぎだろ。永遠に抱いていたい」

「来世でも恋人になってるかな?」

「きっとな。俺達は運命と言う名の糸で繋がっている」

「だといいね」

「ああ」

「なんだか眠くなっちゃったよ」

「じゃあ寝るか」

「うん」

「俺ソファー使うからベッド使っていいよ」

「ええ~、一緒に寝てくれないの?」

「寝るよ。今のは冗談だったんだよ」

「連れてって?」

 

まったく、このお姫様には困ったものだ。

 

「仰せのままに」

 

愛菜をお姫様抱っこし、ベッドに連れて行く。

 

「零君、来て」

「ああ」

 

こうして俺と愛菜は、初めて同じベッドで眠った。

 

 

 

 

 

何もかも興味無かった俺にまさか彼女ができたとはな。

そして、愛菜の存在が俺の生きる意味となってしまった程だ。

もし彼女に何かあったのならば、俺はきっと立ち上がることすらできないだろう。

それほどまでに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女を愛してしまった




そろそろ愛菜の家に……


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41話 彼女の家へ

一週間はあっと言う間にすぎた

彼女と自宅で過ごした日々は忘れない。来年も連れて来たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「零、もう行っちゃうんだね」

「ああ。一週間は早かったよ」

「そうね。愛菜ちゃん、零のこと頼んだわよ?」

「はい! 任せてください!」

今は姉に見送られている。

親には別れの挨拶を済ました。

 

 

「ふふ、それじゃあね」

「ああ」

「お邪魔しました!」

 

 

 

 

 

 

 

「次は愛菜の家か~。楽しみだ」

「なーんにも無いけどね」

「彼女の家に行けるってだけでも嬉しい」

「お父さんにお母さん、びっくりするだろうなあ。こんなイケメン連れてくからさ」

「俺の名前を言えば、久しぶりだね、とでも言うかな」

「私の親に会ったことあるの?」

「御影さんの方は、昔俺の家に来たとき話したことある」

「へぇ。そうなんだあ」

「昔だったからあんま覚えてなかったけど、父さんが御影って言った時思い出したよ。そういや昔話したことあったなーって」

「清条先輩の親には昔会ったことある?」

「いや、多分ないな。愛菜はあるのか?」

「私もない。清条先輩も私のことは知らないんじゃないかな?」

「まああんまり金持ちパーティーとか行かないしな」

「うん」

 

俺達は他愛のない会話を続け、駅に向かう。

愛菜の家は新幹線ですぐ行けるらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだよ!」

「おぉ、でかい」

やはり金持ちの家はでかい。

流石日本の看板。

 

 

 

 

 

「行こ!」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまぁ」

「お邪魔します」

 

 

 

 

「おかえり愛菜」

「うん。ただいま!」

 

男の人だ。御影さんかな。

「そちらの男性は?」

「彼氏だよ!」

「か、彼氏だと!?」

「うん!」

「愛菜、彼氏を連れてこちらに来なさい」

「うん。行こ?」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングに行くと、愛菜の母と思われる人もいた。

 

「初めまして、愛菜の父の御影<みかげ>です」

「母の千秋<ちあき>です」

「娘の愛菜です!」

 

おい、お前もか。

 

 

「桐生零です」

 

「桐生……零」

御影さんが何かを考える素振りを見せる

「御影さん、覚えていますか? 昔貴方が桐生家に来たときに会話をしたことがあります」

「ああ! 将暉の息子か!?」

「はい」

「そうかそうか、どこかで聞いたと思っていたんだよ」

「思い出していただき光栄です」

「いや~零君と付き合うなんて、愛菜もやるじゃないか」

「そうね、色仕掛けかしら?」

「ちっ、違うよ!」

 

 

楽しそうな家族だ。

本当に羨ましい。

 

 

 

 

 

「もう! 零君部屋行こう?」

「あ、ああ」

 

 

「幸せにね~」

「するときは静かにな~」

「あーはいはい」

 

愛菜も呆れている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが私の部屋」

「何か緊張する」

「気楽に、ね?」

 

ガチャ

 

 

「おお……」

 

いい匂いがする。

女の子独特のいい香りだ。

俺の鼻孔をくすぐる。

 

 

 

「飲み物持って来るね」

「ありがとう」

 

 

 

 

 

クッションやぬいぐるみとかある。

可愛い部屋だ。

賞状やトロフィーまみれの俺の部屋と違っていいな。

愛菜は何も言って来なかったけど、少なからず賞状の多さとか気にしてるだろうな。

 

 

 

 

 

「零君はい」

「お、ありがとう」

 

女神が帰ってきた

 

 

「いい部屋だな」

「そうかな?」

「うん。女の子らしい」

「ふふ、私女の子だよ?」

「ああ。とっても可愛い女の子だ」

「それじゃあ零君はとってもかっこいい男の子だね」

「ありがと」

 

頭を撫でる

 

「ん……気持ちいい」

「可愛い反応だ。もっと撫でていたい」

「もう、いじわる」

「はは」

「ふふ。座ろ?」

「ああ」

 

 

ジュースを飲みつつ、会話を続ける。

お互いの知らないところを知れた。

賞状の多さのことも話した。

命さんのお父さんに結婚させられそうになったって言った時は愛菜の目が死んでいたが、断ったと言ったら笑顔になった。

だが、柳やジジイのことは話してはいない。

 

 

気付けばもう夕方近くになった

 

 

「零君お風呂入る?」

「いいのか、先入っても?」

「いいよ。着替え持ってきてるかな?」

「ああ。あるよ」

「分かった。私の着替え洗濯してもらっちゃったから零君のも洗濯するね」

「ありがとう」

「うん!」

 

着替えは1週間分有るわけじゃなかったから洗濯してくれるのは助かる。

着替えは家から持ってきたのを、愛菜の家で着た後、寮に持って帰るつもりだ。

 

「それじゃ、こっちだよ」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お風呂は温泉みたいにみんなで入れるのと、個人用のがあるけど、どっちがいい?」

 

ま、他の人に会うのは気まずいから個人用にするか。

てか、風呂は俺の家と同じでみんなで入れるのと個人用のがあるんだ。

 

 

「個人用で」

「分かった。じゃ、ごゆっくりね」

「ああ。ありがと」

 

愛菜は帰っていく

 

 

 

 

 

 

「はああ、一人の風呂って久しぶりだな」

 

 

俺は基本みんなで入れる方を入ってるからな。

男湯と女湯で別れており、改めて家のでかさを感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラ

 

ん? ガラガラ?

 

 

俺が後ろを振り向くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お邪魔します!!」

 

バスタオル一枚の愛菜がいました




最近筋トレ始めました!
どうでもよくてすいません


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42話 積極的な美少女

俺は今、夢を見ているんだろうか。

それとも幻覚?

目の前に彼女がいる

バスタオル一枚ということで、白い手足が丸見えとなっており、つい見てしまう。

それに、胸も凄く大きい。服を着ていないので余計大きく見える。

 

 

 

 

はは、好きすぎて遂に幻覚見ちゃったか

 

 

「れ、零君……あんまりこっち見ないでよぉ……」

 

夢や幻覚じゃなく現実でした

 

 

恥ずかしすぎるだろ

「あ、愛菜さん!? 何来てるんですか!?

「背中を洗ってあげようと思って……」

 

くそ可愛い……

 

 

「嫌、かな?」

 

断りづらい

 

 

 

「嫌、じゃない」

「ほんと!? じゃ、じゃあ洗うね!」

「ああ」

 

愛菜が俺の後ろに来る

 

「その、何で……来たの?」

「部屋に帰ろうとしたんだけどね、お母さんが、彼女は彼氏の背中を洗ってあげるものよ! って言ったから」

 

チアキサン………

 

 

「丁度背中洗おうと思ってたから、じゃあ頼む」

「うん」

 

キュッキュッと、ボディーソープを手のひらに出す音が、俺の緊張をより高める。

 

「いくよ?」

「ああ」

「えいっ!」

「うっ……」

 

俺の背中に愛菜の白身魚の様に美しい手が……

 

「どう、かな?」

「え?」

「その…気持ちいい?」

「あ、ああ」

「良かったぁ」

 

手は背中の次に脇へと向かう

 

 

ヤバイ……くすぐったいが、自分で洗うより気持ちいいから拒否できない。

 

 

「ま、前は自分で洗うから」

「うん」

 

流石に前はさせられない

愛菜に見えないよう素早く洗い、湯船に浸かる。

 

「それじゃ、私も洗っちゃおかな」

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

「え? 背中洗いに来たんじゃないのか?」

「そうだけどさ、ついでに入ろうかなって。嫌?」

「大丈夫です……」

「それじゃ、あっち向いてて」

「わかった」

 

言われた通り向く

 

ああ、隣では彼女が体を洗って……

それにしても、バスタオルからでも愛菜の体は美しかったな。

 

 

 

 

「私も湯船浸かっていいかな?」

「え!? 俺いるし、それに色々見えちゃうんだけど!?」

 

今日の愛菜は積極性がありすぎだろ。

どうしたんだ?千秋さんに何か言われたのか?

 

 

「ダメ?」

そんなウルウルした瞳で俺を見ないでくれ……答えはもう決まってるだろ

 

 

「ど、どうぞ」

「やった! 零君はあっち向いてて」

 

最近思うんだけどさ、男って好きな女の前では無力だよな。絶対悲しませたくないようにするよな。逆らえないよな。

 

しかもこんな可愛い子の笑顔を崩すとか絶対できない。

 

 

「お邪魔しま~す」

 

愛菜が入ってきたので、湯が込み上げてくる。

 

 

「なぁ、今日はどうした? 積極的と言うかなんと言うか」

「お母さんがね、一緒に湯船に浸かるともっとラブラブになれるって言ってたの。それで私、もっと零君とラブラブになりたいから思いきって浸かったの」

 

それ、絶対間違ったこと教えられてると思う。

まあでも

 

 

「そんなことしなくても、俺はお前ともっと愛し合えるよ」

「零君……うん、そうだね!」

 

俺達の仲は誰にも引き裂くことは出来ない、そう俺は思う。

これから先どんなことが待ち受けていたとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱこうなるのね」

「勿論! 一緒に寝たいから」

 

俺達は今、同じベッドで寝ている。

ソファーで寝ようと思ってたんだけど、見事に上目遣いに敗北したよ。

 

 

「風呂上がりに愛菜の両親凄い俺の方をニヤついて見てたよ」

「私が風呂に乱入したからだね」

「晩御飯の時気まずかったわ」

「でもまあ、私達のことを認めてくれたって感じで私は嬉しいよ」

「ああ、そうだな」

 

 

こうして、一日目は終わる。

その頃、リビングでは

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方、次はどう仕向けましょうか?」

「そうだな~、じっくり考えようか」

「あの子達には早く結婚してほしいわね!」



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43話 俺の思い、彼女の思い。

「んん……」

カーテンから漏れる光が、俺の意識を呼び覚ます。

時刻はまだ7時を過ぎたくらい。

この時期、7時起きは寒すぎる。

俺はゆっくりと起き上がり、右下に目を向ける。

 

「……すぅ」

 

隣では、愛しの彼女が可愛く寝息を漏らして寝ている。

そんな彼女の寝顔を堪能した俺は、きっと頬が緩んでいることだろう。

小さな頭を優しく撫でてやる。

 

 

「んぅ……れい……くん?」

「おはよ、お姫様」

「おはよ……」

 

 

眠たそうに目をこすり、彼女も起き上がる。

 

 

「眠そうにしてるお前も可愛いな」

「えへへ……ん!」

「お!?」

 

愛菜が俺に抱き付いた勢いで、俺達は再びベッドに横になる。

 

 

「まったく、困ったお姫様だ」

そう言い俺も抱いた。

 

 

しばらく抱き合ってから、俺達は顔を洗い、着替え、下の階へと降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

「どうした?」

「お父さんとお母さんがいない」

「まだ寝てるんじゃないのか?」

「ううん、いつも早起きだからもうとっくに起きてるはずなんだけど」

そう言って辺りをキョロキョロ。しかし、俺達以外の人影は無い。

 

 

「ん?」

 

俺はふと、机に目を向ける。

 

(これは……)

 

机の上には、折り畳まれた一通の紙。

 

「どうしたの?」

 

俺が紙を開けようとすると、愛菜が後ろからひょこりと顔を出す。

 

 

「紙が置いてあった」

「開いてみて」

「ああ」

 

俺は紙が破れないように、ゆっくりと開けていく。

 

紙の内容はーーーー

 

 

 

『零君と愛菜へ 

私達は1週間程旅行をしてきます。家のことは頼みますね? 二人きりのスイートタイムを是非楽しんでね☆

         御影 千秋  』

二人きりにして新婚感を出そうって訳か。

 

 

「うう……うう」

 

え?

 

後ろを向くと、俺と同じことを悟ったのか、顔を赤くしている愛菜さん。

 

 

「……とりあえずご飯だな」

「うん………」

 

 

 

俺と愛菜で朝ご飯を作る。

朝だし軽いものでいいだろう。

 

 

 

 

「……………」

「……………」

 

沈黙が続き、俺達は最も新婚らしくない朝を迎えている。新婚ではないが。

 

 

 

 

 

 

 

「零……君…」

 

無言を貫き通すのに我慢の限界を迎えたのか、彼女から口が開いた。

 

「何だ?」

 

短く返事をする。

 

 

「あのね……将来さ、その……私と結婚したい?」

 

やはりこの質問。ある程度予想はしていた。

高1で結婚のこと言ってるの俺達くらいだろう。

 

 

 

 

「したいとは思ってる。愛菜さえ良ければだけどな」

 

本心のまま語る

 

 

「私のことは好き?」

「嫌いならもうとっくに別れてるよ」

「そう、だよね」

「お前は俺が嫌いか?」

「好き……ただ……」

「ただ?」

「私は一度君と別れようとしたのに、何でこんな私を好きなままなのかなって」

 

それは恐らくあの時のことーーー竜咲帝の一件だ。

 

 

「あれは仕方なかった。俺がもう少し早くあの手紙のことを怪しんでいたら、あんなことにはなっていなかった。あれは俺のせいでもある。だから気にするな」

「でも……」

どうやらこの子はまだ納得いかないらしい。

 

 

「だったら聞くが、お前は俺と別れたいのか? 竜咲と付き合いたいのか? 何で俺の家に来ることにした? 何で自分の家に誘おうとした?」

「そ、それは……」

 

俺は、彼女の心を傷つける覚悟で言った。

 

「お前はあの時、竜咲と付き合うことで龍也達が安全になると本気で思ったのか? 俺の知る限り、竜咲は相当冷酷で邪道な男だ。あのまま付き合っていても、竜咲は調子に乗り続け今度はクラスを超え学年を支配しようとしていたかもしれないんだぞ?」

 

ここまで言えば嫌々でも気付くだろう。愛菜と竜咲が付き合うことで竜咲が更に独裁者として頭角を現すことを。

 

「お前が竜咲とどうしても付き合いたいなら俺はお前を諦める。けどそうじゃないんだろ?」

「……うん」

「あれは俺のせいでもある。竜咲にしてやられただけだ。だから気にするな。お前はいつも通り俺の前で元気に振る舞えばいい。お前のことは必ず守る。だから、俺を信用しろ」

 

今柊愛菜に必要なことは再生、そして寄生。

 

 

 

 

「……うん。そうだよね! ごめんね、何か重たい空気にしちゃって」

「いや、俺の方こそすまないな」

「ううん、私のせい」

「俺のせいでもあるよ」

「私だよ」

「俺だって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷっ、あははは!」

「ふっ、ははは!」

 

俺達は同時に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切なものほど壊れやすい。

だからしっかりと守ってやるのだ。

これが俺に今できる最大限のことなのだから。




次はデートにします!


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44話 久々のデート

「ねね、デスニーランド行こう!」

「デスニーランド? 確か遊園地だっけ?」

「うん! 私たちって学校の外でデートしたことあんまりないからさ」

 

デスニーランド……行ったこと無いな。確かに行ってみたい。

 

「いいぞ。じゃあ準備して行こう」

「やった!」

 

 

先程までの雰囲気は無くなり、いつもの仲良しな雰囲気となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、行こっか」

「ああ」

 

財布とスマホさえあればいいよな。

 

「デスニーランドってどこにあるんだ?」

「東京都内にあって、ここから新幹線で2時間くらいだよ」

 

今が8時30分だから、駅までの移動時間、むこうの駅に着いてからランドまでの移動時間を考えると、11時30分くらいにはランドのゲートをくぐれるかな。

 

 

玄関から出る時、俺は壁に額縁で飾られた賞状に目を向けた。

 

 

「ああ、それね。妹が全国優勝した時に貰ったの」

「結衣ちゃん、今中3だっけ?」

「うん。相変わらずバレー好きだよ」

「そっか。頑張ってるんだな」

「うん。零君のこと話したら、一緒にバレーしたいって言ってた」

「俺はいつでも大歓迎って言っといて」

「うん!」

「それで、その本人は?」

「それが、私たちが帰ってくる時にちょうど合宿スタートだって」

「会えなくて残念だ」

「いつか会えるよ」

「ああ。そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

新幹線で一気にデスニーランド近くの駅へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でっか~い!」

「確かに大きい」

 

遂に死の楽園ーーデスニーランドへ来た俺たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはこれは、桐生君に柊さんじゃないですか」

 

 

ったく、何でこんな時に会うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だ、柳」

 

柳愛楽。

俺を倒そうとしている天才であり、籠を知る者。

 

「あ、柳さん! こんにちは」

「こんにちは柊さん。桐生君とデートですか?」

「うん! 柳さんは?」

「見ての通り、1組の友達と遊びに来ています」

 

柳の後ろには、何人かの男女がいる。

 

 

「桐生君、私と遊んではくれないんですか?」

「俺はデート中だ」

「今のこのことではありません」

「俺はこのこと以外は分からない」

 

 

 

しばしの沈黙の後

 

 

 

 

「また学校でお会いしましょう。それでは」

 

柳はクラスを率いて去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「零君柳さんと知り合い?」

「体育祭でリレー凄かったって言われたぐらい。そんなに話す仲じゃない」

 

愛菜には柳のことはあまり言わないでおこう。

 

 

「柳さん凄いよね。零君が本気出していないとはいえ、入試は1位だし、期末もトップだし」

「じゃあ何で入学式の時新入生代表は柳じゃなかったんだ?」

「この学校の新入生代表は入試のテストと面接の総合で決めるらしいよ。私は面接がめちゃめちゃ良かったらしいからテストで高得点を取れなかったけど代表にされたの」

「なるほど。けど愛菜って賢いよな?」

「う~ん、この学校では上位だと思うけど、入試は緊張したから」

「そっか。柳は面接あんまりだったんだな」

「多分ね。それで零君、まずはどこ行きたい?」

「俺はどこでもいいから、愛菜に合わせるよ」

「う~ん…じゃあ、これは?」

 

いきなりジェットコースター来ました

 

 

「いいぞ」

「じゃあ行こ!」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう……」

「どうした?」

「久しぶりだからちょっと怖いなぁって」

 

何この可愛い生き物

 

 

「大丈夫。俺もいるから」

「うん」

 

ごめんな、俺ジェットコースター乗ったことないから怖いとかわからないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に来た

 

 

「きゃーーーーーーー!!」

 

みんなめちゃくちゃ悲鳴をあげている。

 

 

「零君~まだ死にたくないよ~!」

「何言ってるんだお前は」

 

まあ思ったより揺れてはいるが、そこまで怖くない。

 

 

 

 

 

 

「はぁ…天国への階段が見えたよ…」

「そりゃやべーな。ちょい休憩するか?」

「うん……ありがと。最初からジェットコースターはダメだね……」

「そうだな」

 

 

五分程休憩し、次はコーヒーカップがクルクル回るやつにした。名前は忘れたよ。

 

「わー!! すごいすごい!!」

「ちょ!? 回しすぎだろ!?」

「へへーん! もっと回すもんねー!」

愛菜のキャラが壊れてきた?

 

 

 

そんなこんなで俺たちは色々回り、最後に観覧車に乗ることにした。

 

 

 

「もう暗いね」

「ああ。結構遊んだな」

「これでラストだね」

「ああ」

 

 

そして観覧車へ

 

 

 

 

 

「綺麗……」

景色を見て嬉しそうだ

「お前の方が綺麗だよ」

 

デートで観覧車乗った時はこの台詞言えって龍也が前に言っていたので、言う通りにした。

 

 

「もう、ベタだなぁ……でもありがと」

 

彼女は不服そうにしながらもにっこりと笑う。

 

カプセルはもうすぐ最高の高さに上がる。

 

「ねえ零君」

 

そんな時、彼女が話しかけてくる。

 

 

「なんーー!?」

 

『なんだ』と言おうとしたが、俺の口は彼女の口によって塞がれた。

 

 

「ん……」

「……」

 

不意打ちのキス。

それは、真冬だと言うのに俺の体をドキドキで温めるには充分だった。

 

 

 

 

 

 

「……ぷはぁ!」

「……はぁ」

 

お互いに見つめ合う

 

 

 

 

「どう? 不意打ちのキス」

 

悪戯っ子の様な笑みを浮かべ言う彼女。

 

 

 

 

「お前はどれだけ俺を惚れさせたら気が済むんだ……」

「ふふ。その様子じゃ、気持ち良かったんだね?」

「当たり前だ」

「ドキドキした?」

「………した」

「そっか。本当はもっとしたかったけど、どうやら終わりみたい」

 

 

カプセルはもう底辺近くまで来ていた

 

「そのようだな」

なんとも残念だ。もっとドキドキさせてくれただろうに。

 

 

 

 

「次は、クリスマスデートだね」

「あと1週間ちょいだな」

「うん。楽しみ」

「どこか行きたい場所あるか?」

「今のところは無いけど、どこかいいところ見つけるね」

「ああ。俺はどこでもいいから」

「うん……あ、来ちゃった」

「降りようか」

「うん」

 

今日分かったこと。

観覧車はイチャイチャに欠かせないものだ。

 

 

 

 

「今日は楽しかったなぁ」

「俺もだ。お前の可愛い姿も見れたしな」

「どうせジェットコースターの時でしょ?」

「ああ。怖がる愛菜は正直萌えたぞ」

「!?……もう!」

「はは、今のも最高だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスデートが待ち遠しい。

そんな思いが強くなった。

 

 



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45話 密会

柳愛楽、俺を倒そうとしている面倒くさそうなやつ。

俺としては好都合だったが、やっぱり排除するべきだ。

この先俺の平穏と、愛菜との楽しい学校生活のために。

 

 

ジリリリリと、スマホの目覚ましが鳴る。

「……」

この季節にこの時間の起床はなかなかできない。

午前6時。

 

「さて、行くか」

 

 

柊家での1週間はとても早かった。

俺と愛菜は、昨日学校に帰って来たのだ。

 

 

「寒すぎだろ」

 

ぼやきながら一人道を歩く。

目的地の公園に着くと、ベンチに腰を掛ける。

 

「…………」

 

しばらくぼーっとしていると、その男は現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「お前か? 俺を呼び出したのは」

「ああ」

「けっ、こんな朝に呼ぶんじゃねえよ」

 

そう毒づいたのは、4組の元独裁者の竜咲帝。

 

 

「この時間じゃないと他の生徒に見られるからな」

「自分勝手なやろうだぜ。お前の都合だろうが」

そう言いつつも、ベンチに座る。

 

仕方ないのだ。竜咲といるところを見られると変な噂を流される可能性があるからだ。

 

俺は昨日愛菜と別れた後、竜咲の部屋のポストに手紙を置いた。

明日の朝6時30分に公園で待つ、と。

部屋の場所は命さんに聞いて分かった。生徒会長は、誰がどこの部屋か分かるらしいからな。

 

 

 

 

 

「それで、何の用だ?」

「面白い話でもしよう、と言ったら?」

「クク、笑わせんな。そんなこと話に来たわけじゃねえだろ?」

「ああ…お前に聞きたいことがあってな」

「聞きたいことだと?」

「ああ。柳愛楽のことについて、お前の知る限りを教えてくれ」

「柳? ああ、1組の学級委員長か。クソ高い学力と信頼で1組をまとめているらしいぜ」

まさか、俺の質問にちゃんと答えてくれるとは思わなかった。

「他に何かないのか?」

「は、知るかよ。俺は柳に興味無いんでな」

「そうか。ありがとう」

「それだけかよ?」

「ああ」

「柳のやつに目を付けられたのか?」

「そんなところだ」

すると竜咲は目を細め、言う。

 

「あいつは強いぜ? 頭の方でな」

「らしいな。学年1位だろ?」

「ああ。それに、知性もある。厄介だぜ」

 

竜咲でもここまで言うのか。もっと情報が欲しいんだがな。

 

「お前なら暴力でなんとかなるんじゃないのか?」

「初めは柳を狙っていたさ。なんせ学校トップ10の美少女って言われてるからな...だが」

「そこに愛菜が現れた、だろ?」

「ああ。柊は柳を超えた。流石学校一の美少女だぜ」

「名前を止めて苗字呼びにしたんだな」

「名前で呼ぶとどっかの誰かさんが怒るからな」

そう言い口角を上げる竜咲。

 

「もう諦めてくれたんだな」

「俺はもう戦いからは降りたからな」

そう言い、上を向く竜咲。

「あの場では良く素直に負けたな。長引いて戦っているといつ先生が来るか分からないからな」

「そういうことだ。教師相手は俺でもだりい」

 

恐らく竜咲一人なら俺とまだ戦っていた可能性はある

だが、教師が来れば竜咲だけでなく他の4組のメンツも怒られていた。それが竜咲の選択を急かしたのだろう。

なんだかんだ取り巻きの面倒は見る男だ。

 

「柳を手に入れようと思わないのか?」

「アホか。降りたと言っただろ」

「一回負けたくらいでもう自分の覇道を諦めたのか?」

刹那、竜咲の鋭い瞳が俺を捕らえる。

「あ? なんなら今再戦してやるぜ?」

「すまん。言い過ぎたな」

ここで喧嘩していたら間違いなく目立ち、目撃者ができてしまう。

「ったく、どこまでも人を見下す姿には恐れ入るぜ」

「そんなつもりは無いんだが...」

「それよりもう用は済んだのか? 済んだなら俺は帰らせてもらうぜ」

「ああ。済まなかったな」

「けっ、本心なんだか」

そう言い残し、竜咲は立ち上がった。

「じゃあな。精々勝てよ」

俺に背を向け、歩いていく。

そんな竜咲に声をかけた。

 

「これからずっとぼっちライフをおくるのか?」

「俺はこっちの方が自分に合ってんだよ」

 

そう言い、今度こそ去って行った。

 

 

 

 

「失敗か。まあ元々成功すると思ってなかったが」

 

俺は、竜咲を柳にぶつけようとしたが失敗。

これでいよいよ俺が戦いをしなくてはならない。

 

 

問題は、どう倒すかだ。

単にテストの成績? それとも運動?

俺に思いつくのはこれくらいだ。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……俺も帰るか」

 




寒い…………………………


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46話 突然の電話とお約束

「簡単すぎる」

 

竜咲との密会が終わり、俺は現在自室で宿題の最中だ。

 

(でもまあこの学校の上位組でも完全に正解するのは無理かな)

 

宿題はかなりの量で、やってやれるか!と言いたいほど。

1年でこの量だと2年は地獄かもな

そんなことを思っていると

 

プルルル

コールが部屋に鳴り響く。

 

 

「え?」

 

スマホの画面を見て少し驚いた。

とにかく電話に出る。

「おはようございます命さん」

『おはよう零君。』

 

そう。俺に電話をしたのは、3学期から生徒会長となる清条命だ。

そしてちゃっかり名前呼びだが、スルーしてみた。

 

「どうしたんですか? 急に電話してきて」

『ええと…今電話してて大丈夫かな?』

「はい、大丈夫です」

『私が前に言ったこと覚えてる?』

「前に言ったこと?」

 

 

 

 

 

 

 

『竜咲君の部屋の場所を教える代わりに、何でも一つ言うことを聞くこと』

「ああ、あれですか」

 

命さんは正確にはまだ生徒会長では無い。けれど、俺のためにわざわざ先生に頼んで生徒の部屋の場所が分かるパソコンで調べてくれたのだ。

 

『まったく、大変だったんだから。上目遣いをしたくらいには』

「ありがとうございました。おかげさまで助かりましたよ」

『じゃあ言うこと聞いてよ?』

「いいですよ」

『結婚しーーー』

「それは無理です」

俺は最後まで言わせなかった。

 

「てか、まだ諦めてなかったんですか?」

「諦めたらそこで試合終了だからね」

 

どっかで聞いたような台詞だ……

 

 

「それ以外なら何でも」

『じゃあ付き合おう?』

「俺をからかってます?」

『ふふ、冗談だって。ごめんごめん』

「どうせもう決まってるんでしょう?」

『うん……デートしてくれないかな?』

「はい?」

 

今何て? 

 

『だ~か~ら~、デート!!』

「う!?」

あまりの声の大きなにスマホを耳から離す。

てか先輩ってこんなキャラだっけ?

なんか変わった気がする。

 

でもデートかぁ

愛菜と最近したし、もうすぐのクリスマスにもするんだよな~。

最近デート多くね?

 

 

『ダメ、かな?』

 

でも、先輩も俺なんかのためにわざわざ竜咲の部屋調べてくれたからな。

 

「いいですよ?」

『そっかあ…………え? ええ!?』

何を驚いているんだこの人は。

 

『いいの!?』

「自分がしてくれって言ったでしょうが」

『だって本当にOKしてくれると思わなかったしさ』

「先輩も頑張ってくれたので俺で良ければデートしましょう」

『でも、その……柊さんには……』

「心配しなくてもあいつには黙っときます」

『でも隠し通せるの?』

「もしもの時は、クリスマスデートいっぱい甘えていいから許してくれと言います」

『クリスマスデートするんだ』

「はい。冬休み入ってすぐ約束しましたから」

『早すぎでしょ……』

「とにかく、デートの場所はどこにするんですか?」

『東京都内の最大級の水族館』

「どこですか?」

『ビッグマリンワールドだよ!』

 

知らない。

 

 

「それは楽しみです。いつにします?」

『明日は大丈夫?』

「ええ」

『じゃあ明日の昼頃に零君の部屋行っていいかな?』

「はい」

『うん。それじゃまた明日~』

「はい」

 

 

プツリ

 

 

ビッグマリンワールドか……

水族館デートとか愛菜としたくらいか。懐かしいな。

 

 

 

とりあえず宿題しようかな

 



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47話 天才と呼ばれた女

デートは、この次の話にします。


「久しぶりですね、姉さん」

視線を下に向けつつも話しかける。

 

 

 

 

しかし、返事は無かった。

それもそうだ。この少女が今話しかけたのは、墓であるからだ。

 

 

「姉さんを精神的に追い詰めた、あの人の子を見つけましたよ」

顔を上げ、墓と見つめ合う。

 

 

 

 

 

 

墓に彫られた名はーー柳愛理<やなぎあいり>。

 

彫られた文字を手のひらで優しく触る。

 

 

「愛理姉さん、桐生零君を倒します。そして、あの人……元師様の驚いた顔を見て、姉さんの墓の前で土下座させますから」

そう言い、柳愛楽は墓に微笑んだ。

 

 

三年前、私の姉である柳愛理は、幽閉の籠と言う場所へ連れていかれた。

私の家に来た謎の老人と、ボディーガードらしき人によって。

親は黙って見ていることしかしなかった……いや、それしかできなかった。

 

 

「姉さん、どこへ行くのです?」

当時中学1年だった私は、姉のことが大好きで、常に一緒だった。

その時の私は、不安そうな顔をしていた。

 

 

「大丈夫よ愛楽。すぐ帰って来るから」

 

姉は、いつも通りの笑顔を私に向けた後、親にも笑顔で、行ってきますとだけ言って家から出ていった。

 

「父さん、姉さんはいつ戻ってくるのですか?」

「分からない……」

「……そう、ですか」

 

今は信じて待つのみ。

そう思っていた。

しかし

 

 

 

 

 

 

「愛楽、お姉ちゃんの所へ行くが一緒に来るか?」

「え? 愛理姉さんの所?」

姉が連れて行かれてから1ヵ月が経ち、父はそう言った。

「ああ。愛理のいる施設はな、家族が様子を見に行っていいらしい」

「行きます!」

 

私は即答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが愛理のいる施設……」

「大きいわね」

 

親二人の会話を耳に入れつつ、私は周りをキョロキョロした。

大きな建物。名は、幽閉の籠と言う。

建物内には、沢山の部屋があった。

プールやグラウンドまであり、まるで学校を思い出させるかのようだ。

 

「あ!」

 

親に聞こえないような声で、ある光景を目にする。

 

それは、姉さんを連れていった老人が、男の子の頭を撫でている。

老人は嬉しそうな顔をしているが、男の子は無表情だ。

 

私は透明なガラスの窓付きのドアから、その部屋の中を見る。

 

 

 

「流石は私の孫だ」

「ありがとうございます」

 

 

そんな会話が聞こえた。

 

 

「愛楽、何をしている? 早く行くぞ」

「はい」

父が私を呼んだので、窓から目を逸らした。

 

 

 

しばらく歩いていると、姉の部屋を見つけた。ガラスの窓付きドアから覗いて探していたので、見つけるのに時間がかかった。

「姉さん……」

 

久しぶりに見た姉の姿。

男に勉強を教えられている。

 

 

「愛理……」

父が不意に呟いた。

その顔は険しく、同時に、怒りも募っている様だった。

 

「さて、帰るか」

姉の姿を見た父は、微笑んで私と母に言った。

「そうね」

母もまた、微笑み返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「柳愛理さんは、死亡しました」

「え……?」

 

姉が連れて行かれてから4ヵ月、私の家に来たスーツの男性が告げた。

 

「なんの冗談です?」

父は真剣な顔で言った。

 

「冗談ではございません。これを」

そう言い男は写真を見せる。

「そん……な……」

父の顔は、絶望した顔だった。

「私にも見せて」

母が写真を見て、父同様絶望する。

 

「見せてください」

「いいのか? どんな光景が待っていても」

父が言う。

しかし、答えはイエスのみだ。

私に恐る恐る写真を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……………」

その写真は、姉が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口から血を流し、倒れている姿が写っている。

 

「姉……さん……」

私は全身から力が抜け、その場にしゃがみこんだ。

「愛理は自殺か?」

父がスーツ男に聞く。

「はい」

とだけ答えた。

 

「原因は何だ?」

「恐らく、精神的に不安定だったと思われます。前々から状態が可笑しかったので。それで、舌を噛み切って死んだのかと……」

「……ふざけんなよ。ふざけんなぁ!」

 

父はスーツ男の顔を殴った。

 

「お前ら、愛理を精神的に痛めつけたのかぁ!? 死ね! お前らが死んで愛理に詫びろ!!」

 

激怒した父は、スーツ男の首を締めた。

 

 

 

 

 

「あなたやめて! そんなことしても、愛理は帰って来ないわ……」

 

父の暴走を止めたのは、母だった。

 

 

「う……ぐぅ……」

泣いてその場に崩れる父。

 

「今回の件は我々が悪いです。本当に申し訳ありませんでした」

スーツ男が頭を深々と下げて言った。

 

「こちらをお受け取りください」

そう言いケースを差し出した。

父はそれを開ける。

 

「な!?」

 

中身は、1万円札の束だった。

 

 

「1億です。それが我々の今できる償いです……」

「……もう帰れ」

父は怒りを込めて言った。

 

「失礼します……」

スーツ男は去って行った。

 

 

 

 

私は父以上に絶望した。

そして、大切な姉を失ったことが、私を変えた。

 

 

 

 

 

姉を連れて行かれた時に、老人が父に渡した資料を見て、籠のことを知った。私自身も籠に出向いて、姉のことを聞くのと同時に籠のことを教えてもらった。

 

 

 

まず、普通の人は籠のことを知らない。知っている者は、他の人に言ってはならないらしい。言えば家族をめちゃくちゃにされる。

そして、権力がある。世界でもトップクラスの金持ちの桐生グループが関連しているから。それは、総理大臣に近い程の権力だ。

そして、籠の管理人の名は、桐生元師。

そして、連れて行かれるのは、能力ある人間のみ。実際、姉は賢かった。

まあ頭の良し悪しだけではないだろうが。そして、最後に知ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最高傑作であり、お気に入りの孫がいること。名は、零。

私はすぐに誰のことか分かった。

あの時頭を撫でられていた子だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元師様、貴方の傑作を壊してあげます。それで、父さんと母さんの無念を晴らします」

父と母は、権力でねじ伏せられると分かっているので、姉さんが死んでも桐生元師に何も言えない。

私の家は結構裕福だ。その状態を壊したくはない。

 

 

 

 

私たちでは、桐生元師に権力で敵わない。なら、最も身近な人物を潰すしかない。

だが、桐生零をどう潰すか悩んでいた。

そんな時、私には運が味方してくれた。

 

 

 

 

 

 

私と桐生零を同じ学校にしてくれた。

何と言う幸運だ、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

「桐生零君、貴方に恨みはありませんが、私の……いや、私たち家族の為に、負けてもらいます」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私は猛勉強をし、運動能力も上げ、高校生になった時には天才と呼ばれる様になった。

 




語られし過去!
柳はどう零を倒すのでしょうかね。


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48話 ビッグマリンワールド

ピンポーンと、部屋のチャイムが鳴る。

 

ガチャ

 

「おはよう、零君」

「おはようございます、命さん」

「昨日はちゃんと寝られた?」

「はい、寝ましたけど...どうしたんです?」

「いや、私とのデートが楽しみすぎて夜寝られなかったら悪いなと思って」

ニヤニヤして言う命さんに、少し意地悪しようと思った。

「凄く寝られたので、安心してください」

「もうっ!」

そう言って頬を膨らます姿は可愛い。流石は高度聖導高校の美少女トップ10の一人だ。

 

「早く行くよ!」

目も合わせず言ってくるあたり、機嫌を損ねているんだと思う。

そんな彼女には

 

「はい、行きましょう」

と言って、微笑みかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清条家の車に乗ること1時間30分。

ビッグマリンワールドに着いた。

 

 

 

「凄い! とっても大きいね!」

子供の様に目を光らせ、喜ぶ命さん。

 

「俺はどこからでもいいので、命さんの行きたいところに行きましょう」

「うん!」

 

俺たちはビッグマリンワールドの中へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっきいね」

ジンベエザメをまじまじと見て、ぼやく命さん。

「そうですね。凄く強そうです」

「零君の方が強いでしょ」

 

はい?

 

「なんでです?」

「だって、君は喧嘩とか負けそうな気がしないもん」

「そんな事無いですよ」

「でも9対1は凄いね」

「誰から聞いたんですか?」

「皐月先生」

 

あの野郎...

 

「君が私に竜咲君の部屋聞いてくるからさ、何があったんだろうって思って。君の担任の皐月先生が何か知ってるかなと思って聞いたの」

「先生は喧嘩のことしか言って無かったんですか?」

「うん。それにしても、竜咲君が独裁政権を放棄するなんてどうしたんだろうと思ってたの。まさか零君絡みとはね」

「仕方なかったんですよ。俺にも事情がありましたから」

「わあ! タツノオトシゴ!」

「......」

 

聞いていたのかいなかったのか。まあどっちでもいいけど。

 

 

「今度あっち行こ!」

「はい」

 

俺は先輩に流されるまま、色々見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~凄かったぁ。色々見れて楽しかったよ」

「俺もです。普段見れない先輩の姿を見れて良かったです」

「へぇ、どんな姿?」

「魚を見るたび子供の様にはしゃぐ可愛らしい姿です」

「もう、君はそういうこと素で言えちゃうんだね」

「事実、本当に可愛かったですしね」

「あんまりそういうの言ってると柊さんに怒られるよ?」

「大丈夫です。俺も愛菜も絶対にお互いを裏切りませんから」

 

俺は絶対に愛菜を悲しませることはしない。

彼女の為ならなんでもする覚悟はあるつもりだ。

 

「凄いリア充感溢れてるね」

「彼氏彼女がいるからリア充、とは俺は思いませんがね。自分自身が毎日を楽しんだならそれでもうリア充だと思います」

「ふふ、そうかも。零君はなんか変わってるね」

「そうですか?」

「うん。普通の人が言わないこと言うしさ」

「ま、それが俺です。それに俺はちゃんとした普通の人間ですよ」

「え、どこが? 頭いいし、運動できるし、冷静だし、それに強いし。君が普通ならもう世界は天変地異だよ」

 

天変地異...

 

「零君はさ、どんな中学生だったの?」

「普通でしたよ」

「嘘。普通じゃないでしょ。少なくともバレーは上手だったんでしょ?」

「まぁ、バレーだけですね」

「普段の生活とかは? 家に帰ってから何をしていたか、とかさ」

「予想でどうぞ」

「う~ん...ゲーム? 勉強? あ~もう、分かんないよ。答えは?」

「秘密です」

「うわ~聞いといてそれ言う?」

「答える、とは言ってないので」

「もう、いつか絶対教えてもらうからね!」

「聞いてもつまらないですよ」

「別にいいの! ほら、もう入口だから帰るよ!」

 

そう言って俺の手を引っ張っていく命さん。

 

 

 

 

 

 

 

今日の水族館は楽しかった。

だが、3日後にはまたデートなのだ。

クリスマスプレゼントを買っておかなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとね。楽しかったよ」

「俺もです」

「クリスマスデート、しっかりね」

「はい。ありがとうございます」

「うん、それじゃあね」

 

そう言って、命さんは自身の寮部屋へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ...」

さっきは無理に別れるようで感じ悪かったかな。

でも、あんまり話してると好きすぎになっちゃいそうだよ。

 

 

 

 

 

 

「恋って難しいなぁ」

 

 

 




お久しぶりでございます。
なんかここ数日、書く気になれなくて...
すいませんでした!!!

そしてそして、なんかデートばっかりもすいません笑
次クリスマスデートなんです笑
でも、3学期入ってからは、新しい展開にしようかと思います。
それでは、次回お会いしましょう!


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49話 クリスマスデート 1

すいませんね、デートだらけで。


外は、朝から雪が少しだが降っている。

12月24日、クリスマスの真っ只中だ。

世界の人々が、家族や恋人との時間を過ごすだろう。

この高校にも少なからずそんな人はいるはず。

 

「そろそろか」

約束の時間が近づいてきた。

身だしなみを整える。

 

 

「もう、半年以上か」

 

高度聖導高校に入学してからの時間の経過は早すぎる。

それだけ楽しんでいるということなのか。

窓の外を見ると、男女が仲良く歩いている。

デートなのだろう。

 

「俺も行くか」

 

そう、今日は愛菜とのデートだ。

初めてのクリスマスデート。幽閉の籠の中では味わえ無かったことが味わえるのかどうかは分からない。

しかし、何かしら得ることはあると信じている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜どうしよう」

鏡の前に立つ私は、ずっと服装で悩んでいた。

「零君どんな服が好きかなぁ」

 

思えば、どんな服装、どんな髪型が好みか聞いたこと無い。

 

「よし、これにしよう!」

私は服を選んだ。

 

「今日は初めてのクリスマスデート...ふふふ」

顔がにへらとなってしまうのは仕方ない。

クリスマスは特別な日。普通のデートとは違うのだ。

「行こっかな」

私は紙袋に包まれた物を持って、部屋の鍵をかける。

 

 

 

 

 

 

 

12月24日、今日はクリスマス。

しかし、それと同時に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐生零と柊愛菜の誕生日なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石に、まだ来てないか」

俺の現在いる場所はマーケット。

買い物をしたり、イルミネーションを見るという予定だ。

約束の時間まであと10分。

 

 

(そういや、初めてのデートも買い物デートだったな)

 

本当に懐かしい。

俺はデートの為だけにテストで満点を取ったんだ。

そんなことを思っていると、急に視界が闇に覆われた。

 

 

 

 

 

 

「だ〜れだ」

後ろから聞こえる声、背中に当たる柔らかい感触。

俺の大好きな人のご登場だ。

 

「今日も可愛い声だな」

そう言うと、視界が元に戻った。

 

「もう、可愛い声って...」

彼女は照れながらも、そう言った。

 

「約束の時間まで10分あったのに、随分と早いな」

「それは君もでしょ」

「楽しみだからな。クリスマスデート」

「私もだよ」

「さて、行くか。と言いたいが、一つ言うことがある」

「奇遇だね。私もだよ」

「じゃあ同時に言うか?」

「うん」

 

俺と彼女の言いたいことが同じかは分からない。

だが、同じと信じて言おう。

 

 

「じゃあいくぞ。せーの」

 

 

 

 

 

 

 

「「誕生日おめでとう!!」」

俺たちは、互いの誕生日を祝い合った。

 

 

「それじゃ、行こっか」

「ああ。そうだな」

 

二人並んで歩きだす。

互いの指は絡め合い、恋人繋ぎの状態。

他の生徒、客の視線などどうでもいい。

俺たちは堂々と歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、零じゃない」

「え?」

 

呼ばれた方を向いた。

 

「琴音さん」

声の主は、篷連琴音先輩。俺の帝星中学時代の先輩だ。

 

「久しぶりね、零」

「そうですね。全然会わなかったですし」

「えっと...そっちのかわい子ちゃんは、彼女?」

「そうですよ」

 

すると、琴音が愛菜に近づいた。

 

「あ、あの...何ですか?」

「君、可愛いね!」

「えっ!?」

愛菜を見つめ、急に笑顔で言った琴音。

愛菜はさぞ驚いているだろう。

「零のこと、頼んだよ。こいつ人間不信だから」

「いや、それは違います」

 

実際違うしな。嘘言われても困る。

 

「は、はい! 頼まれました!」

「ふふ、それじゃあ私はこれで。バイバイ!」

「1人ですか?」

「ううん、雄大に買い物の荷物持ちさせる予定」

「雄大さん...」

可哀想に。

 

「それじゃ、デート楽しんで!」

 

そう言って、今度こそ琴音さんは去って行った。

 

 

 

「じゃあ、行くか」

「うん!」

「どこから行く?」

「買い物でいいかな?」

「ああ。行こう」

 

 

俺たちのデートは続く

 

 

 

 

 

 




なんか最近体がだるいですねー。
重たいです。


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50話 クリスマスデート 2

久しぶりです〜


「はあ〜、色々買っちゃったぁ」

「俺はあんまり買ってないけどな」

買い物を終えた俺たちは、現在昼食を食べるべく店を見て回っている。

愛菜と俺とでは買ったものの数がだいぶ違う。女の子は色々と買うものあるんだな。

 

「ご飯、どこにする?」

「俺はどこでもいいぞ?」

「う〜ん...じゃあ、あれは?」

そう言って指で示したのは、パスタの店だ。

 

「いいな。行こうか」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、2名様でしょうか?」

「はい」

「こちらへどうぞ」

 

店員の後を付いていく

 

 

 

 

「ご注文が決まりましたら、そこのボタンでお呼びください」

「はい」

 

 

 

 

「何にするの?」

「何にしようか」

 

どれも美味そうだ。迷う。

よし、ナポリタンにしようか。

 

 

「俺はナポリタンにするよ」

「じゃあ私も」

「ボタン押すぞ?」

「うん。お願い」

 

俺はボタンを押した。

 

 

「何にされますでしょうか?」

「ナポリタン2皿で」

「かしこまりました」 

 

 

 

 

 

 

 

「ご飯食べたらどうしよっか」

「俺はどこに行くのでもいい。愛菜に任せるよ」

「零君って欲が無いね。行きたいところないの?」

「イルミネーション」

「それは最後でしょ?」

「そうだな」

「他は?」

「特に無いな。俺はお前と居られるのならどこでもウェルカムだ」

「そ、そっか...」

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

店員がナポリタンを2皿持ってくる

 

 

 

「じゃあ食うか」

「うん」

 

「「いただきます!」」

 

 

 

 

 

「これ、美味しいね!」

「ああ、値段が高いだけではなかったな」

 

ナポリタン最高だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおやぁ? 桐生君じゃあないかぁ」

俺たちが食べ始めたすぐに、声がかけられた。

 

 

 

「何の用ですか、皐月先生」

「いやぁクリスマスに彼女とメシかぁ。青春してんなぁ」

「先生はボッチですか」

「失礼な。他の先生と食いに来てるよ」

「じゃあ何で俺たちの席に?」

「お前が青春してるの見てるとさぁ、なんか嬉しいよ。変わったなお前」

「俺は変わってませんよ」

「そんなことないよ!」

ツッコミを入れたのは意外にも愛菜。

 

「そうそう。最初の頃なんて、俺に近づくなオーラ出してたし」

「はぁ...」

 

出した覚えはない。

 

 

「邪魔したな。それじゃ、俺はこれで」

「さようなら!」

「さようなら」

 

これで俺は安心してナポリタンを食べられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹いっぱいだよ〜」

「ああ、俺もだ」

「それで、結局どこに行くか決めてなかったね」

「ああ。どうしようか」

「うーん...あ! ねえねえ」

「ん? なんだ?」

「ゲームセンター行こうよ!」

「はい?」

「だーかーらー、ゲームセンター!」

なんでゲーセン?

「高校入学してから行ってないからさ、久しぶりに行きたいなって思ったの」

「じゃあ行くか」

「レッツゴー!!」

 

俺、ゲームセンター行ったことないんだよな。

行ってみたいという気持ちはある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ! 広いね!」

「ああ、広いな」

「零君は何がしたい」

「そうだなぁ...あれは?」

「ああ、太鼓の名人かぁ。昔は結構ハマってたよ」

「じゃあやるか」

「うん」

 

 

 

 

 

 

「二人で200円だって。100円ずつにしよっか」

「いや、俺が200円払うよ」

「それは悪いよ〜」

「いいよ、200円くらい」

「...わかった。ありがと」

「その代わり、やり方教えてくれないか?」

「初めてやるの?」

「ああ」

「ええとねえ、このバチで、赤の丸いのが流れたら面を叩いて、青の丸いのが流れたら縁を叩くの」

「分かった」

「じゃあまずは簡単からにしよっか」

「ああ」

 

 

 

 

 

ドンカッ、ドンカッ。

 

(簡単なだけあって余裕だな)

 

 

 

『もう一回遊べるドン!』

 

 

 

 

「愛菜、一番難易度高いのやろう」

「ええ!? 別にいいけど、大丈夫なの!?」

「ああ。愛菜は大丈夫か?」

「まぁ、クリアならいけそうだよ」

「難易度高いのどれ?」

「ええと、鬼レベルで難しさ10だね」

「じゃあこれは?」

 

俺はざいだま2000という曲を指で示した。

 

「これは結構難しいよ? 私クリアしかできない」

「愛菜もしかして太鼓の名人オタクか?」

「ち、違うよ!! ただ、面白いから...」

恥ずかしそうに言う姿は、天使だった。

 

「太鼓の名人オタクは嫌い?」

急にそんなことを聞いてきた。

 

「そんなわけ無い。俺はお前がどんなオタクだったとしても好きだ」

「零君...」

 

『残り時間10秒だドン!』

 

「じゃあざいだまやるか」

「うん! 負けないからね!」

 

 

 

ドンカッ、ドドンカドンドンドンドンカッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「れ、零君、強すぎるって!」

「え? そうなのか?」

「これ見てよくそんなこと言えるね!」

 

 

画面には、俺と愛菜のスコアが表示されており、俺は

1190850、愛菜は1055860と表示中。

 

「何でこんなスコアなの!?」

「そりゃミス1回だからか?」

「うぅ...ショック。完璧男はここでも揺るがないんだね...」

「いやマグレだって」

「そんなわけないよ! まだ二回しかしてないのに!」

「ま、気にするなよ」

「はぁ、また練習しに来よかな」

「付き合うよ」

「ありがとう」

 

 

 

こうして、俺と愛菜は広いゲームセンターを遊び尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう暗くなってきたね」

「そうだな」

「そろそろ、イルミネーション見に行かない?」

「行こうか」

「うん」

 

二人でイルミネーションの方へ歩いて行った。

勿論手を繋いで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綺麗...」

「ああ、綺麗だ...」

大きなクリスマスツリーが光り輝く光景。

絶対に忘れないだろう。

 

「零君、君に渡したい物物があるの」

「奇遇だな、俺もだ。」

「じゃあ、交換しよっか」

「ああ」

 

愛菜はバッグの中から、俺はコートのポケットから、リボンで結ばれ、紙袋で包まれたある物を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

「「メリークリスマス!!」」

 

 

俺たちはクリスマスプレゼント兼誕プレを交換した。

 

 

 

 

 

「開けていい?」

「いいぞ。俺も開けるから」

 

 

 

二人同時に紙袋を開ける。

 

 

 

 

 

「あ...ふふふ」

「お...ははは」

「これは流石に笑っちゃうよ」

「そうだな」

 

 

俺がプレゼントしたのはピンクのマフラーで、愛菜から貰ったのは黒のマフラーだった。

 

 

「巻いていい?」

「ああ。俺も巻く」

 

 

 

 

 

 

 

 

「暖かいな」

「うん。すっごい暖かい」

「ありがとうな」

「私の方こそありがとうね」

 

俺たちはまたイルミネーションを見た。

 

 

「来年も来ようね?」

「ああ、来よう」

「零君!」

「え.....ったく、お前は本当に甘えん坊だな」

 

愛菜が俺の名前を呼ぶと同時に、胸に抱き着いて来た。周りに少々人がいるのにお構い無しだ。クリスマスだからテンションが高いのかは分からない。

だが、それは俺とて同じ。

彼女の背中にゆっくりと、優しく両手を回す。

 

 

 

 

 

 

「身長差があるから、全てを包み込んでくれる感じ、好きだよ? 癖になっちゃう」

「俺も、お前を胸の中で抱きしめることができて最高だ」

 

しばらく抱き合い、俺は彼女を開放した。

すると、愛菜は周りを確認し始めた。

 

「みんな、もう帰っちゃったね」

「ああ、そうだな」

 

 

先程までとは違い、俺たちの周りの人はもう片手で数える程しかいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「キス...したい」

普段あまりキスなど言わないのに、今日はやけに素直に言う愛菜。

 

 

「俺もだ」

 

すると、彼女は目を瞑り顎を少し上に傾けた。

妖艶はその唇に、俺は優しく自分の唇を重ねた。

「ん.......」

愛菜が俺の背中に再び両手を回す。

俺も回す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒間の甘いキスは終わりを告げる。

 

「気持ち...良かったね」

笑顔で言ってくる。可愛すぎだろ。

 

「ああ、気持ち良かった」

「それじゃ、帰ろっか」

「ああ」

「ご飯どうしよっか?」

「帰りに何か食材買って一緒に作らないか?」

「賛成!」

 

 

 

 

 

俺たちはスーパーで食材を買い、その後は愛菜の部屋で晩ごはんを作って食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹いっぱい〜」

「結構食ったな」

二人同時に寝そべる。

 

 

 

「次はいつ一緒に出かけられるかなぁ」

「正月初詣行かないか?」

「うん! 行こう!」

「決まりだな」

 

 

 

 

 

俺たちの冬休みは、あと少しで終わりを迎える。

3学期からは、今までより苦労もするだろう。

でも、二人でなら何でも乗り越えることができると思う。

当たり前だが、この一年、一番距離を縮めたのは愛菜とだ。最初は友達、そして恋人。

何にも興味が無かった俺だが、多少の変化はあったと思う。

彼女のおかげで人の温もりを知ることができた。

そして、もっと何かを知りたい。人間の探求心は無限大だからな。

 

 

 

「愛菜」

「なーに?」

俺が起き上がり名前を呼ぶと、彼女も起き上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大好きだ。これからも俺の隣に居てくれよ」

素直に言う。すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当たり前だよ、君の隣は...一生私だけのものだから」

その笑顔は、イルミネーションより輝いていた。

 

 

 

 




次回はキャラ紹介かなぁ


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51話  ※登場人物紹介2

キャラクター紹介です


北山厚(きたやまあつし)

15歳 誕生日5月4日

愛菜にしつこくストーカーしていた男。零にボコられてからは改心。

 

堀内圭(ほりうちけい)

18歳 誕生日5月7日

命の前の生徒会長。

 

千鳥ヶ淵龍(ちどりがふちりゅう)

17歳 誕生日6月6日

千鳥ヶ淵ツインズの兄の方。

高度聖導高校バレー部。スパイクに自信がある。

 

千鳥ヶ淵虎雄(ちどりがふちとらお)

17歳 誕生日6月6日

千鳥ヶ淵ツインズの弟の方。

高度聖導高校バレー部。アタックに自信がある。

 

桐生将暉(きりゅうまさき)

45歳 誕生日7月6日

零の父。

元師の代わりに零を完璧にしていた時期があった。

後々後悔している。

今は零を縛る気は無い。

 

桐生美羽(きりゅうみう)

40歳 誕生日8月9日

零の母。

零の完璧さをあまり嬉しく思っていない。

 

桐生朱里(きりゅうあかり)

19歳 誕生日9月15日

零の姉。

大人気歌手 AKARI。高校卒業後、すぐ歌手となる。

世界の歌姫と呼ばれるほど。ブラコン。

 

桐生元師(きりゅうげんすい)

68歳 誕生日1月1日

零の祖父。

零を完璧男にした本人。幽閉の籠の管理者。

総理大臣と仲が良く、かなりの権力者。

零のことを最高傑作と言っている。

 

ゼル・マキシクス

35歳 誕生日3月5日

一流シェフ。零の家で料理をしている。

常に上を目指している。

零のことを気にする。

 

 

利人(りひと)

60歳 誕生日7月23日

零の家の執事。

 

 

 

清条命(せいじょうみこと)

17歳 誕生日10月26日

日本三大トップの金持ち清条家の娘。

零のことを好いている。

学校では琴音や愛菜同様、トップクラスの美少女。

堀内が生徒会長の時は副会長だったが、次期生徒会長となる。

 

 

清条蘭牙(せいじょうらんが)

43歳 誕生日3月6日

命の父。命ラブの親馬鹿。

将暉をいい人と思っている。

 

 

命の母

?歳 誕生日?

Unknown

 

 

中野

60歳 誕生日4月12日

清条家に仕える人。

 

 

柊御影(ひいらぎみかげ)

44歳 誕生日4月23日

愛菜の父。

昔零と話したことがある。

いい人だ。

 

柊千秋(ひいらぎちあき)

40歳 誕生日5月24日

愛菜の母。

御影同様いい人。

 

 

竜咲帝(りゅうざきみかど)

16歳 誕生日10月21日

1年4組の独裁者。

暴力でねじ伏せるのが得意。

欲しいものは何でも手に入れる主義。

愛菜を狙おうとしてあと一歩まで追い詰めたが、零に倒された。

負けたことで暴君のケジメとして独裁者を辞め、今は誰に対しても口出しはしなくなった。

 

 

 

柳愛楽(やなぎあいら)

16歳 誕生日12月20日

1年1組の学級委員長。

成績は学年でトップ(零が本気を出していない時)。

姉を自殺に追い込んだ籠の管理者の元師を憎んでいる。

元師の傑作の零を倒し、元師の活動を止めようとする。

天才の域に登り詰めている。

 

 

柳愛理(やなぎあいり)

?歳 誕生日?

愛楽の姉。籠にずっと閉じ込められたことのストレスにより、自殺。

 

 

愛楽の父

?歳 誕生日?

Unknown

 

 

愛楽の母

?歳 誕生日?

Unknown

 

 

平井和佐(ひらいかずさ)

16歳 誕生日5月5日

1組のイケメンであり、彼女持ち。体育祭で活躍。

 

 

欄月佳代子(らんげつかよこ)

16歳 誕生日7月16日

愛菜の友達。運動神経は良い。

 

 

西宮ゆま(にしみやゆま)

16歳 誕生日7月15日

愛菜の友達。

 

 




こんな感じですかね。最初いきなりストーカー笑


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52話 正月は彼女と

1月1日 新年を迎える日。

初日の出を見るために夜から外にいる人もいれば、部屋に籠もってお餅三昧の人もいる。

俺たちは後者の方。

 

「零君、お餅できたよ?」

「ああ」

 

お雑煮を食べるため、机に座る。

 

 

「それじゃ、改めて」 

愛菜がそう言い

 

 

 

 

 

 

 

「「あけましておめでとうございます!」」

2回目の挨拶をした。

0時を回った時、あけおめは言ったのだが、まあ気にしない。

 

 

 

 

 

「「いただきます!」」

 

二人で一斉にお餅を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ〜、たくさん人いるね〜」

「そりゃ正月だしな」

 

お餅を食べた後、俺たちは神社に来た。

予想以上の人の多さに驚いた。

 

 

 

 

「おうおう、お前ら来てたのかよ」

そう言い俺たちに近づいて来たのは風間龍也。

男子数名も一緒だ。

「龍也か。あけおめだな」

「零あけおめ〜。柊さんも」

「うん! あけましておめでとうございます! 今年もよろしくね」

 

いつもながらの愛菜スマイル。

 

 

 

「ああーー! 柊さんに挨拶されちまったよぉ!」

「今日はー大吉の日なり〜」

「天の階段が見えてしまった...」

 

 

おいおい、新年早々大丈夫かお前ら。

龍也は苦笑いかよ。

 

 

「さて、お二人さんの邪魔しちゃわりいからこの辺で。じゃな」

「おう」

「ばいばーい」

「「〜〜〜〜!!」」

 

愛菜のばいばーいに反応した男たち。

 

 

 

 

 

 

それから俺たちは絵馬を書いて、鐘を鳴らすべく行列に並んだ。

 

 

 

 

 

 

「零君は何を願うの?」

「秘密だ」

「ええー、教えてよ〜」

「秘密だ」

「むぅ」

 

そんなに可愛い顔されても無理だ。恥ずかしいからな。

 

 

 

 

そしてついに俺たちの番となる。

 

 

 

ガラガラ

 

鐘を鳴らし、手を合わせる。

願いを込めた鐘鳴らしは終え、次はおみくじタイムだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「零君! 大吉だよ!! ふっふっふ!」

驚いた顔をしたかと思えば、すぐさまドヤ顔となる。

 

さて、俺も引くか。

 

箱の中から一枚の紙を取り出す。

 

 

「何吉? 大? 中? もしかして大凶!?」

予想は勝手だが、大凶はやめろよ。本当に来るかもしれないだろ?

 

俺は期待せず、紙を広げる。 

 

 

 

 

 「大吉だ....」

「え!? 嘘!?」

 

どうやら俺には運がついてるのか。

 

「完璧男はくじでも完璧かぁ」

相変わらずだと言わんばかりに空を見つめる彼女。

 

 

「今のはただ単に運だろ」

「千里眼でも持ってるの?」

「そんなわけないって」

 

他愛のない話をし、俺たちは寮へと帰る。

 

 

 

 

 

 

 

帰りの電車の中、お姫様は眠っていた。

人混みの中歩きまくったのが疲れたのだろう。

俺の肩に頭を乗せ、可愛らしく寝息をたてる。

 

 

 

「お前は何を願ったんだ?」

勿論返事は帰ってこない。

 

「俺の願いはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前と自由に生きていくことだ。

 

 

 

 

この願いが叶うかどうかは、正直なところ分からない。

 

 

 

 

 

「3学期は荒れそうだな」

そう思わずにはいられなかった。

 

 

 




次回から3学期?


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3章 特別試験の始まり
53話 冬明けの3学期


ジリリリと、目覚まし時計が俺を起こす。

目を覚まし、窓の外を見る。

校舎に向かって歩いている生徒がちらほらと見えた。

「スノウデイ、と名付けるか」

外の生徒たちは、自分たちの頭上に降り続ける雪を気にせずまっすぐと目的地へと歩いている。

 

「俺も準備をして行くか」

 

そう、今日から3学期の始まり。

1年生最後の学期なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちーす」

「あけおめ〜。彼女できたか?」

「俺今年大吉だった! 凄えだろ!!」

 

 

クラスは相変わらず元気で個性豊かなメンツ。

 

 

 

「おはよう」

その一言で、クラスの男子どもの目が声の方へと向く。

 

 

「おはよう」

 

俺は声の主ーーー柊愛菜へと挨拶をし返す。

 

 

 

「柊さんと桐生君ってどこまでいったのかなぁ」

「も、もしかしてCまでいっちゃったのかな!?」

「でも桐生君が柊さんの部屋に行くの見たって人がいるらしいよ?」

 

 

おいおい、なんて事言ってくれるんだ。

部屋に行っただけだぞ? いかがわしい事なんてしてねえって。

 

 

 

「異性の部屋に行くのはルール違反じゃないし、絶対にしちゃってるよねぇ」 

「かもぉ」

 

 

 

無視しよう。

 

 

 

「なんか凄い言われちゃってるね」

「ほっとこう」

「うん」

 

 

 

 

 

「おっしゃお前ら席座れ〜」

 

久々の皐月先生。

 

 

 

 

 

 

「お前ら、あけおめ!」

 

「「あけましておめでとうございます!」」

 

「今日は掃除やって、始業式して終わりだからな〜」

 

 

さて、掃除場所へ行こうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらずだるい」

俺は今、箒を両手で握り廊下を掃除している。

場所はクラスから少し離れた人気のない廊下。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、お前桐生零だろ?」

突然話しかけられ、後ろを振り向くと、知らない男がいた。

 

「どちら様ですか?」

「ああ、悪い。自己紹介がまだだったな。俺の名前は暁憲伸(あかつきけんしん)。2年1組であり、生徒会で副会長をやってる」

「そんな副会長さんが俺になんの用ですか?」

そう聞くと、暁さんはニヤリと笑った。目は笑っていないが。

 

 

「俺さ、生徒会長になりたいんだよね」

「無理でしょう」

 

この学校の生徒会長は命さんだ。何を言ってるんだこの方は。

 

 

「それがよ、生徒会長は自分で辞めて、他の人に譲ることができるらしい」

「じゃあ譲ってくださいと言えばいいでしょう。俺には何も関係ないでしょう」

「それが関係あるんだよなあ」

 

暁さんは笑みを消し、俺を見た。 

 

「清条がお前のことを気に入ってるってのを聞いたもんだからよ」

 

まあ一緒にいたところを誰かに見られた可能性はある。

だが、気に入ってるとはそれだけでは分からない。

「気に入ってるというのは誰が言ってたんです?」

「清条」

「え?」

 

今なんて?

清、条?

 

「え? 命さん本人がですか?」

「ああ」

「具体的に言ってください」

「桐生零が付き合ってくれるなら譲ってあげる、と言っていた」

 

まじかよ。てか譲ってとは一応言ったんだな。

てか命さんのことだから俺が自分と付き合ってくれるとは思っていないだろう。つまり生徒会長の座は譲る気はないということだ。

 

「先輩諦めましょう」

「そうだな...」

 

諦めてくれるのか?素直だな。

 

「じゃあ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1年の3学期の特別試験の内容を教えてやるって言ったら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

特別、試験?

 

 

「この学校はな、地獄だぜ?」

「どういうことですか?」

「こんな入試もそこまで難しくない学校でよ、みんなが将来ハッピーエンドを迎えられると思っているのか?」

「...」

俺は何も返事をできない。 

それは、この男の言っていることが嘘に聞こえないし、興味があるからだ。

実際、中間テストなどは難しく、赤点者が出てもおかしくない。

赤点を1回でも取ると留年する。

留年を2回、もしくは3年間の中で欠点を2回取ると退学だしな。

(欠点はその学期毎に中間、期末の2テストの点を足し、平常点を足し、その数値に二分の一を掛けて50点以下だったな。)

 

 

 

「特別試験はな、クラス対抗でやる。順位が悪いクラスはそのクラスの生徒全員の平常点が下がる」

「なっ!?」

「つまりよ、馬鹿なやつは平常点がマイナスになる可能性もある」

「...」

なるほど。普通に勉強していればテストで赤点、欠点は取らない。

特別な試験で根こそぎ点を引くしかないということか。

 

「どうする桐生? お前の友達が3学期にクラスからいなくなるかもしれないんだぜ? ここで試験内容を聞き、攻略法、作戦を考えた方がいいだろ?」

「...それでも、命さんと付き合うことはできません」

「柊愛菜がそんなに大事か」

「はい」

「そうか、だが俺は生徒会長に必ずなる。そんでこの甘い学校を変える」

「と言うと?」

「強者のみが残る学校にする。雑魚はいらねえ」

 

 

随分と言うものだ。

 

「今までの学校は面白くねえんだよ。月4万もあげてよぉ。これからは金の増減もルールに入れていきたいぜ」

「そういうのは、生徒会長になってから言ってくださいよ」

「ははっ、そうだな....桐生」

「何です?」

「俺の暇つぶし相手にもなってくれよ? 学年が違っても、特別試験では戦うかもしれないからな」

 

つまり、特別試験は学年単位で行うのも存在するのか。

 

「俺は基本、目立ちたくないんで」

「ははっ、そうかよ。じゃな」

俺に背中を向け、暁憲伸は去って行った。

 

 

 

 

「特別、試験か」

 

 

 

 

 



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54話 面白くなかったんだよ

お久しぶりです! 新キャラでるよ?


生徒会室

 

中には二人の男女がいる。 

 

「清条、俺に生徒会長の座をよこせ」

「嫌よ。貴方も随分しつこいのね。暁君」

 

生徒会長 清条命

生徒会副会長 暁憲伸

二人の生徒会の人間が、互いを睨み合っている。

その光景は、まさしく犬猿の仲といったところだ。

 

「俺が生徒会長になったほうがこの学校を面白い方向へもっていけるぜ?」

「貴方が会長になれば退学者が増えるだけでしょ」

「そこが面白いんじゃねえか」

「何にも面白くないわ」

命が呆れたように言うと

「今までの学校が甘すぎたんだよ。中々退学者もださねえ」

暁はこの学校に呆れたように言った。

「特別試験で退学者が出るかもしれないでしょ?」

「だが今の一年は特別試験の結果がどうだろうと退学にならねえような成績だぜ?」

「何で貴方はそんなに退学者にこだわるの?」

待ってましたと言わんばかりに、暁が笑う。

「スリルある学校生活の方が面白いだろ? この学校に入学したからもう安心。なんて思ってるやつらが突然退学になったら面白いだろ。要は俺が楽しめたらいい」

「自己中だね」

「ああ。自己中だ」

「嫌われるよ?」

「生憎と俺のこの性格を知るのはお前だけなんでね」

「バラしてあげよっか?」

「そんなことしたらお前のお気に入りの桐生零が病院送りだぜ?」

暁が両手で握りこぶしを作り言った。

「零君は暁君なんかには負けないよ」

「何故言い切れる?」

「確かに貴方は空手と柔道をしている。けど、上には上がいる。ただそれだけのことよ」

「面白いことを言う。じゃあ桐生零に喧嘩で勝ったら会長の座をくれよ」

「それは無理。私の勝手で零君を巻き込みたくないから」

「じゃあ俺が桐生をボコってお前と付き合うようにしてやる」

「え?」

唐突すぎた言葉に命が驚く

「そしたら会長の座をくれよ」

「...無理。彼を巻き込まないで!」

「どうするかは俺が決める。お前は桐生と付き合えるかもしれないんだから黙って祈ってろよ」

「止めて...」

「じゃあな」

 

暁は生徒会室から出ていった。

 

「止めてよ...」

 

 

その小さな声は、決して届くことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、おおおおお!!」

 

訓練所と書かれた部屋では、一人の少年が立っている。

 

「.....」

少年は目を細め、周りに倒れている男たちを一瞥した。

男たちは苦しそうな顔をしている。

全身に痣だらけだ。

 

 

「遂に、遂にやったぞ! 零と同等か、それ以上の人間が、誕生した!」

 

部屋の外から、ガラス越しに中を見ている老人が一人。

桐生元帥。

 

 

「こっちへおいで」

元帥はその少年を手招きした。

「...」

少年は老人の方へ駆け寄り、礼をした。

 

「いい子じゃのう。お前にはある男を儂の元へ連れてきてほしい」

「...わかり、ました」

「まだいいからのう。そのうち頼むぞーーーゼロ」

「はい」

ゼロ、と呼ばれた少年は、その場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景を、物陰から見ている者が一人。

 

「ありゃりゃ、あれは厄介だなぁ。何とかして零に報告しとかねえと」

 

赤い髪、口元を黒のマフラーで覆った男。

 

「さてさてさーて、忙しいな」

 

 

 

 

男は静かに去って行った。

黒いマフラーをなびかせて。

 




新キャラ二人!!

次回、遂に特別試験の内容が!?


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55話 明かされる特別試験

マチアソビ楽しかったあ〜!!


長期間の冬休みが終わって早くも5日が経過した。

生徒たちの大半は、学校が始まったことに嫌気がさしていることだろう。

俺もその内の一人。

 

「特別試験...一体どんな内容なんだ?」

 

気になるに決まっている。最下位クラスは平常点がかなり引かれ、退学も有り得るから。

俺は少し不安になりつつも、学校へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスはいつも通りの雰囲気だ。みんな特別試験のことを知らないのだ。知っている者もいるが口にだしていないだけだろう。

「よーっす、零」

「おはよう、龍也」

 

風間龍也。いつも通りの爽やかフェイスだ。

試験の内容を知ればその爽やかさは無くなるのかもな。

 

 

「よーしお前ら、席着け〜」

「皐月先生来た。じゃな、零」

「ああ」

 

(先生、何処かしら元気がいつもより無い? いや、あれは真剣な顔だ。)

 

 

まさか、語られるのか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2週間後、特別試験を行う」

先生が一言、そう述べた。

 

やっぱり。そろそろ言われるとは思っていた。

 

 

「特別試験? なんすかそれ」

「なんかいいことあるんすか?」

 

クラスのみんながお互いに試験内容の予想を話し合っている。

 

 

 

 

「君たちの今後の生活を左右する大切な試験だ」

 

「はぁー? どゆこと?」

「先生今日どしたんすか? 暗いっすよ」

 

生徒たちが笑っているが、先生は1回も口角を上げていない。

 

 

 

「この試験で最下位のクラスは、退学の可能性もある」

 

 

その一言が、みんなの笑みを消した。

 

 

 

「え、は? 何? 退学?」

「嘘だろ?」

 

動揺する生徒たち。無理もない。

いきなり退学という言葉を口にされると、誰でも驚く。

 

 

 

「今回の特別試験は...鬼ごっこだ」

 

 

 

 

......?

 

 

 

 

「...あっはっは! 鬼ごっこぉ!? 何が試験だ! 楽勝っすよ」

龍也が大笑いするに連れ、他のみんなも笑いだす。

 

 

 

「試験は、学校から離れた無人島で行う。ルールは、後でそれぞれの携帯端末にメールで送る」

 

 

ルールだと? 

 

鬼ごっこのルールくらい誰もが知っているだろうに。

 

 

 

「以上、HRを終わる」

 

そう言い先生は教室から出ていった。

 

 

 

 

「零君、鬼ごっこって...」

愛菜が俺の席まで来て、不安そうに言う。

「何か嫌な予感がする...」

 

この学校のことだ。何かあるんだろう。 

 

 

 

 

 

ピロン♪

 

(ん? メール?)

 

 

一通のメールが俺の携帯に届く。

 

 

(っ!? これは...)

 

 

 

 

 

『零へ、今日の放課後に高校敷地内商店街の時計屋の裏に来い』

                    

 

 

(....)

 

 

 

 

 

 

 

 

ー放課後ー

 

 

さて、時計屋の裏に行きますか。

 

 

「零君かーえろっ!」

しかし、天使がそれを邪魔する。

 

「ああ。帰ろう」

 

 

愛菜を送ってから行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあまた明日ね」

「ああ」

愛菜と別れる。そして目的地へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー時計屋裏ー

 

店の裏には、大量の木材が置かれている。

密会には売って付けだ。

 

 

 

「来たぞ。でてこい」

返事は無い。

 

 

(ったく、仕方ないな。)

 

 

 

「ユート、俺だ」

 

 

 

 

 

 

「来たか」

 

木材の陰から現れた男―――ユート。

赤い髪に口元を黒のマフラーで覆っている。

元帥の研究所に務めているが、主に元帥の行動を監視し、俺に伝えてくれる。

 

「一体何の用だ。わざわざこんな辺鄙(へんぴ)な場所に呼ぶなんて」

「零。遂にやつが作ってしまった」

「作った?」

「お前だよ」

「言ってることの意味が分からない」

 

そう言うと、ユートは自分の携帯端末を操作し、俺に写真を見せた。

 

「これは...」

 

その写真は、俺と同い年くらいの少年が、男たちを相手に殴っている姿が写っている。

そして何より、見た目が俺に似ている。

 

「元帥が作ったお前のクローンだ。名はゼロ」

「ゼロ...」

「元帥はこいつを使ってお前を無理にでも奪うつもりだぞ」

「政府を敵に回してでも、か」

「ああ。お前の力を使い、世界征服でもしようとしているのかもな」

「まったく、しつこいぜ」

「さて、ゼロの存在を伝えることはできたし、俺はもう帰る」

「ああ。ありがとな」

「...気にするな。じゃあな」

 

ユートは去って行った。

マフラーを風になびかせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは柳潰しだ。そして、次は元帥、お前だ」




マチアソビ1日目だけ行ったのですが、朝から駅長のために並びました笑
自分の一番好きな歌手であるLiSAさんを間近で見られたことは本当に嬉しかったです!!


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56話 鬼ごっこ

特別試験の存在が発表された日の夜、高度聖導高校全1年生の携帯端末に、特別試験の内容がメールで送られた。

 

 

 

●ルールと対戦クラス

 

第1ゲーム 1年1組VS1年4組 鬼 1組 

第2ゲーム 1年2組VS1年3組 鬼 3組

 

・第1、第2ゲームで勝敗が決まり次第、勝ったクラス同士、負けたクラス同士でゲームを行う。

 

・優勝クラスにはクラスのメンバー全員に50000円与える。2位、3位のクラスにはメンバー全員にそれぞれ20000円、5000円与える。

 

・最下位のクラスは、メンバー全員の平常点を減点する。

 

 

 

 

 

●鬼ごっこ 具体的内容

 

・各ゲームは2日間行う。

・鬼側は逃げる側の体に触れることで逃げる側の人間を失格にする。ただし、逃げる側が女子の場合は胸や尻に触れてはいけない。触れた場合、鬼側が失格となる。

・失格となった生徒の元には、教員が現れ、教員の指示に従い、島に停船している船の中へ入る。

・逃げる側のクラスで一人リーダーを決める。

・リーダーが失格となった瞬間、鬼側の勝利となる。

・2日間の間でリーダーが失格とならなかった場合、逃げる側の勝利となる。

・2日間、鬼側、逃げる側全員に携帯端末を渡す。端末はマップ機能のみ使用可能で、試験開始から8時間毎にリーダーの位置が5秒間表示される。

・全生徒には、ゲーム中GPS付きの腕時計型体温計を付けさせる。体温計が異常な数値となった場合、教員がその生徒の元へ現れる。尚、体温計を外した場合は失格となる。

・ゲームをしていないクラスは、船の中で待機となる。

・リーダーが体調不良の場合、失格となっていない生徒にリーダーを任せることができる。

・午前0時1分から午前3時0分までは、鬼側は逃げる側を失格にすることはできない。 

          以上がルール内容である。

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「なるほどな。中々ハードだな」

 

俺は寮で鬼ごっこの内容を見ていた。

 

 

 

「初戦に勝てば柳とは決勝で当たるのか」

 

柳の初戦の相手は竜崎のクラス。

竜崎のことだからもう何もしないだろう。

 

「俺たちが逃げる側か。良かった」

 

リーダーの位置がGPSで表示させるとはいえ、鬼側より逃げる側の方が有利だ。リーダーさえ隠しておけば勝てるゲームだ。

 

 

「しかしまあ、鬼ごっこなんかして何になるんだ?」

そう言い時計を見る。

午後5時10分

 

(よし、行くか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、貴方から呼んでいただけるとは思いませんでした」

「話しておきたいことがあるんだ」

「なんですか? 桐生君」

 

俺は以前竜崎と密会をした場所に柳を呼んだ。

竜崎の時と同様、手紙だ。

 

 

「今度の特別試験、俺と勝負しろ」

「....ふふ」

柳が笑う。しかし、目は笑っていない。

 

「やっと私と勝負してくれる気になりましたか。いいですよ、その勝負受けて立ちます」

「だが、条件がある」

「なんなりと」

「この勝負で俺が勝った場合、二度と俺の平穏を崩そうとするな」

「了解です。では、私が勝った場合のことも言っていいですか?」

「ああ」

 

そう答えると、柳は考える素振りをし、言った。

 

 

 

 

「桐生元帥を殺してください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!? 何故そんなことを言うのか理由を聞いてもいいか?」

「今は言いません。ゲーム次第です。ちなみに、私か貴方が初戦のゲームで敗北した場合はどうします?」

「その時は勝負は別の機会にする」

「了解です」

 

柳はくるりと回転し、俺に背中を見せるように立った。

 

 

 

「それでは、勝負できることを楽しみにしていますよ」

そう言い残し、去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「俺は絶対にお前に勝つ。そして、元帥にも...」

 

 

 

 

 

 




遂に明らかとなった内容!
次回からは特別試験です!


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57話 特別試験 鬼ごっこ 〈1〉

お久しぶりです! sylviです!
遂に始まる特別試験です!
勝つのは零か?それとも柳か?
一匹狼となった竜咲の活躍も考えております!


「うっひょ〜! 新年早々の潮風は冷てえぜ!」

冬休み明けだというのに、半袖の服を着て深呼吸をする男は、風間龍也。

特別試験のことなどまるで気にしていないようだ。

 

「はは、試験に対しプレッシャーを感じないのはいいことだよ」

 

龍也の隣にいる橋本が、微笑みながらそう言った。

 

 

「零もしかして緊張してんの? 大丈夫大丈夫、なんとかなるって」

「お前はほんと呑気だな」

今は龍也のその呑気さを分けてもらいたいものだ。

 

緊張していない――と言えば嘘だ。

退学になる可能性を高めたくはない。それに、優勝で金をくれるのは嬉しい。

と言っても、金には一切困っていないが。

 

 

「あ! 島見えてきたぜ!」

「本当だ。もうすぐ着くね。船の上から見る景色が終わるのが残念だよ」

 

 

 

そう、俺たちは今、船の上にいる。

特別試験を行う無人島へと向かっているのだ。

 

 

(ん? あれは...)

俺は、遠くからでも見えるくらいの長い木を、静かに見つめた。

 

 

 

 

 

 

「零君」

船内に入ると、天使がいた。

黒髪ロングにパチリとした目。

 

「よ、愛菜」

 

柊愛菜。俺の天使だ。

 

「いよいよ、だね」

「緊張するのか?」

「うん。だって、もし最下位になったゃったら、みんなといられないかもしれないでしょ?」

 

不安そうに言う彼女を、俺はそっと抱き締める。

 

「大丈夫だ。愛菜は何も心配しなくていい。必ず勝つ」

「うん。」

 

 

 

 

俺は彼女を抱き締めながら、勝つための作戦を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー皆さん、今日は特別試験です。みんなも知っての通り、鬼ごっこです。この試験では、皆さんの運動能力、判断力、そして連携力を観察します。ルールはメールで書いてある通りです。正々堂々と戦ってください。

あと、各クラスで一人一人にパン1個、ペットボトルの水500mlを渡します。それでは、解散です」

 

 

 

 

校長の話が終わる。

 

1試合目は、1組と4組。

鬼は1組だ。

竜咲に勝つ意志はあるのだろうか?

いや、どうでもいいな。

 

俺はみんなを追って、船の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、1組と4組の生徒の皆さんは集まってください」

先生の声により、2クラスの生徒は集まる。

 

 

「.....」

俺―――竜咲帝は、一匹狼の如くみんなから離れて立っている。

すると、柳と目が合った。

彼女はニコっと笑って、こちらへ歩いてくる。

 

 

「久しぶりですね、竜咲君」

「よお、ちびっこガール」

「ちびっこガールはやめてください」

「お前がちびじゃなくなったらやめてやるよ」

「そうですか」

柳は呆れながら答える。

 

 

 

数秒、互いが互いの目を見る。

先に口を開けたのは、柳だった。

「竜咲君に恨みはないですが、この試合勝たせてもらいますね」

そう言い、クラスの仲間の方へと戻って行った。

 

 

 

 

(さて、せっかくのゲームだ。俺も動くとするかな)

そう思い、クラスの方へ向かい始めた。

 

 

 

 

「それでは、今のうちに4組で一人リーダーを決めておいてください。時間は10分間です」

 

すると、4組がざわつき始めた。誰がリーダーになるかを考えているようだ。

 

 

 

 

(まったく、俺が指揮ってなきゃまともにリーダーも決められないのかよ。雑魚どもが)

 

今までは、竜咲がクラスを統率していたおかげでまとまっていたと言っても過言ではない。その均衡がなくなった。当然クラスはバラバラとなる。

 

 

(ま、俺は最下位にならなきゃいいんだけどな)

 

 

中々リーダーが決まらないなと思っていると、クラス全員がこちらへ歩いて来た。

 

「あの、竜咲さん...」

俺に話しかけてきた男は、俺が統率していた時の取り巻きだ。

 

「なんだよ」

「リーダー、決めてもらえませんか? やっぱり俺らには竜咲さんの指揮が必要なんです」

「暴力を振るわれて言うことを聞かせてきた俺が必要だと? お前そうとうドMなんだな」

「竜咲君、お願い!」

取り巻きの横に立つ女生徒も頼んできた。

 

「無理だ。俺はもうお前らにどうこう言うつもりはねえ。自分らで決めろ」

 

俺の一言に、俺の元にやって来た全員は黙りこんだ。

 

 

 

「なら....」

取り巻きが何かを言おうとしているので、黙って聞く。

 

 

 

 

 

 

「竜咲さんが決めてくれるまで、俺らはここから動きません!」

「なんだと?」

 

10分でリーダーを決めなかった場合、教員が勝手にリーダーを決めることになっているらしい。

なんの作戦もなしにリーダーを決められても、負けるだけだ。まだこのゲームだけならまだしも、もし負けて、次の試合も同じ状況になったならば、また負けるだろう。そうなれば、最下位まっしぐらだ。

 

 

 

(チッ、役立たずどもが)

俺は呆れながらも仕方なく言ってやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がリーダーをしてやる」

 

 

 

 

 




次回、竜咲回なるか?


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58話 特別試験 鬼ごっこ 〈2〉

どうも、sylviです!
今回は竜咲の過去が主な話の内容となっております。



『独裁』

俺はその言葉がとても嫌いだった。

あの日までは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帝! 今日俺の家でゲームしようぜ!」

「またかよ。お前ほんとゲーム好きだな」

 

当時中学生だった俺――竜咲帝には、一人の親友がいた。

そいつは、俺とよく遊んでいた男だ。

アニメ、漫画、ゲーム、小説が大好きのオタク野郎でもあった。

 

「帝は何をしたら楽しいんだ?」

「なんだよ急に」 

「いや、お前中々笑わないしさ」

「俺にもよく分かんねえよ。」

大笑いなんて昔以来したことがない。

する機会もない。

 

「そんな感じに生きてて楽しいのかよ?」

「楽しくなんかねえよ。毎日つまんねえからな」

「じゃあ俺が帝が楽しく生きられるようにゲーム誘って誘って誘いまくるぜ!」

 

はいはいと答え、二人並んで下校する。

俺はいつまでもこのゆったりとした時間が続いて欲しいと、そう願った。

しかし、神はそれを許してはくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わった休み時間、俺はトイレに行った。すると、声がしたので、入り口で隠れて中を見てみた。

そして、ある光景を見てしまったのだ。

 

 

「お前キモいんだよ! アニメとかゲームばっかりしててよお!」

「ぐはっ....!!」

 

俺の親友が、男たちに囲まれて、蹴られていたのだ。

何度も何度も、色んな方向から蹴られ続けていた。

蹴っていた男たちは、この中学のいじめグループだ。

 

(どうする、助けるか...いや、俺が行ってもやられるだけか...)

 

俺は内心苦しみながらも、見てみぬふりをしてトイレを我慢した。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何日も、親友へのいじめは続いた。

その都度俺は見てみぬふりをした。

その親友は、俺といる間は元気に振る舞っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いじめが1ヶ月続いた。

そして親友は、俺に手紙を残し―――自殺した。

 

 

『帝、お前に楽しい生活をおくってやれなくてごめん。俺は一足先に向こうに行くよ。じゃあな。』

 

 

俺は泣いた。泣いて泣いて泣き喚いた。

後悔し、絶望した。

たった一人の友を俺は見捨てた。

スクールカーストでは俺は所詮下の下だ。俺に助ける力はなかった。

 

「くそ、くそぉ...」

俺はこれからあいつなしでどうやって生きて行けばいいのか分からなかった。

 

 

しかし、何日か経ったある日、俺は思いついた。

 

『自分がスクールカーストの最上位に君臨すれば、二度とこんなことは起こらない』

 

 

 

 

 

俺は自分を変えようとした。

髪を伸ばし、ワックスでセット。

制服も真面目に着ず、学校に行く時間も自分の気まぐれだった。

喧嘩もした。最初は負けて負けての敗戦ばかりだったが、次第に作戦を考えるようになり、最後はみんな俺の前にひれ伏せた。

 

 

 

 

 

 

「りゅ、竜咲さん。これどうぞ...」

そう言いパンを渡す男は、俺の親友をいじめていたグループのリーダーだ。

 

「何やってるんだ。俺はこんなもの頼んだ覚えはないぞ?」

「え? で、ですが先程はこれと...」

「あ?」

「すいません! 買い直してきます!」

 

 

スクールカースト最上位は本当に気分が良かった。

俺は学校に行くのが楽しくなった。

 

 

(二度とあんな真似はさせない。絶対に)

 

スクールカーストに囚われ、高校でも一向にスクールカースト最上位になった俺は、学校一の美少女に手を出した。

 

しかし、その彼氏に負けた。

 

―――桐生零

 

俺は幾度も同じ相手に挑み、勝ってきたが、こいつにはまるで勝てる気がしなかった。

 

 

 

 

 

(そうか、俺が甘かったのか。こんなこと、お前は望んでいなかったよな、大樹(たいき)

今は亡き親友に聞いても、返事はない。

(すまねえな、こんな俺になっちまって)

 

 

「俺は独裁政権を放棄する」

言ってやった。今まで積み重ねたものが吹っ飛んだ感じだ。

だが、もういい。

「俺の戦いは、終わったんだ」

 

(なあ、大樹。俺、これからはもうちょっと頑張って生きてみるわ)

 

(そんでいつかは皆から信用を得てみるのも悪くねえかもな)

 

 

 

 

 

(だからもう、心配するなよ。安心して休んでろ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ...」

久しぶりに過去を思い出していた。

 

(試験が始まっちまう。集中するんだ)

 

特別試験 鬼ごっこ。

最下位のクラスは平常点が減る。

勝てば金が貰える。

 

 

「それにしても、俺を今更頼るなんて、あいつらもどうかしてるぜ」

 

 

けど、頼られるのは案外悪くはない。

 

 

 

 

 

「この試験、勝たせてもらうぜ。柳」

俺は、リーダーの名を教員に伝え、勝つための作戦を実行するべく森の方へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、逃げる側が逃げてから10分経過したので、試験を開始します。鬼は全力で探しに行ってください。制限時間は48時間です」

教員がそう言ったのを聞き、1組の生徒たちはぞろぞろと動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、ゲームの始まりです」

私――柳は、4組を仕留めに森へと向かった。

 




次回からはいよいよ二日間の鬼ごっこが始まります。
竜咲の作戦とは!?
次回をお楽しみに!!


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59話 特別試験 鬼ごっこ 〈3〉

「クク、せいぜい頑張って探してくれよ? 柳さんよ」

俺こと竜咲帝は今、無人島で一番大きな木から島を見下ろしている。

俺は予め船の中から、島の形を見ていた。そして一際目立っているこの木を発見した。

とりあえず木をなんとか登った俺は、あるものを見つけた。

 

「へへ、まさか穴が空いていたとはな」

そう、巨大な木の上の方の幹には、人が入れる穴があったのだ。おそらくこの穴は下からは見えないだろう。

腕時計型体温計を見る。

時刻は8時26分。

試験はまだ始まったばかり。

「8時間毎にリーダーの位置が分かっちまう。16時前にはここを出ないとな」

 

この穴を見つけることは簡単ではない。人間は見えないものの方が見えるものより敏感となるからだ。

普通の人間からしたら、『この木は大きいだけ』や、

『木の幹に何か隠してあるかも』としか思わないだろう。

わざわざ15メートルくらいある木を登る物好きは少ない。

 

(けど、柳は見つけちまうんだよなあきっと)

 

あいつは異常だ。隅々まで探すだろう。

 

俺の本来の作戦はこうだ。

1 リーダーマップ表示10分前まで巨木に隠れて過ごす。

2 10分前に巨木を離れ、適当に動き回る。

3 リーダーマップ表示が来たら、5秒間適当に動く。

4 走ってまた木まで戻る。

5 1から4を繰り返し、深夜0時1分から3時に食料をさがす。

 

だが、柳のことだ。木を調べているかもしれない。

試験終了は明日の深夜0時。

今日はこの作戦でいき、深夜が来たら、島を探索。

隠れられる場所を見つけるのだ。

そして明日は見つけた場所に隠れる。

 

 

 

「クク、まーた一人捕まったか」

上から見下ろす。

かつての俺の取り巻きの一人が、何人かに囲まれて捕まった。

 

「柳のやつ、考えてやがるぜ」

 

鬼ごっこにおいて、1対1の場合は、逃げる方は逃げられるかもしれない。だが、3対1の場合は、逃げる方に逃げられる可能性はほぼないだろう。囲まれて詰みだ。

 

(4組の連中がみんな捕まっちまうのも時間の問題だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「柳さん、4組の生徒を一人捕まえたぜ」

「こっちも一人捕まえたよ!」

 

 

「ありがとうございます。その調子です」

嬉しそうに言うクラスメイトにニコっと笑う。

 

(...竜咲君はまだ捕まっていないのですね)

 

私は彼がリーダーだと確信している。

4組にまとまりがあるとは思えない。彼が統率しなければ4組は終わる。

 

しかし、試験開始から既に2時間経った。

竜咲の気配は無い。

それが私を少し悩ませる。

 

 

 

 

 

 

 

7時間後

 

「さて、そろそろ離れるか」

俺は木をゆっくりと降り、歩き出す。

 

(島が広いからか知らねえが、ここらには誰もいないな。好都合だぜ)

 

 

 

しばらく歩く。

そして、遂に一度目のリーダーマップ表示が来た。

端末を見ると、俺の位置が分かっていた。

5

(さて)

4

(精々)

3

(頑張って)

2

(見つけろよ)

1

(柳さんよ!)

 

リーダーマップ表示終了

 

(行くぜ)

俺は元いた場所へ走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そんなところにいたんですね。竜咲君」

 

勿論、竜咲かどうかは分からない。しかし、竜咲を未だに捕らえていないことから予想がつく。

 

私は端末をポケットにしまい、近くにいるクラスメイトに言う。

「向こうへ行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、とりあえずは騙せたか」

俺は巨木まで戻って来た。

今頃柳たちは俺がさっき居た場所を探しているだろう。

作戦成功だ。

あとは0時にもう一度場所を移り、3時間の間食べ物確保と隠れる場所を探索し、明日を乗り越える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8時間後、現在の時刻深夜0時。

 

 

 

 

「さて、探索するか」

 

俺は気配を消しつつゆっくりと歩く。

3時まで捕まらないとはいえ、姿を晒すのはNG。

こっそりつけられている可能性があるからだ。

 

 

 

しばらく俺は島を探索し、木の実や川の水をゲットした。

 

 

 

 

午前3時

 

 

 

「さて、ここでしばらく居るか」

 

俺の現在居る場所は、巨木とは離れた洞窟だ。

1組が昨日、巨木周辺をあまり探索してなかったため、今日探索する可能性がある。

 

(洞窟じゃさすがに巨木より見つかるな)

 

洞窟を出て、近くの木を登る。

 

 

 

 

 

(ん?)

 

4組の生徒を一人も見かけない。

 

 

 

(まさか、もう捕まっちまったのか? ったく、ほんと役に立たねえなあ)

 

木を降り、洞窟に戻ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「洞窟へは行かせませんよ?」

「っ!?」

 

後ろから聞こえる突然の声に心臓がどくり。

 

「流石竜咲君ですね。見つけるのに苦労しましたよ」

俺は振り返る。

 

「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、1組全員がいた。




次回で竜咲VS柳が終わり、2組VS3組になります。


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60話 特別試験 鬼ごっこ 〈4〉 ※挿絵あり

無人島の西側、洞窟の前には1組全員がいる。

そして、俺――竜咲帝もいる。

 

(やべえな)

どうこの状況を切り抜けるか。

とりあえず適当な会話をしながら頭の中で考える。

 

「どうしてここが分かった?」

そう聞くと、柳はニコっと笑い言った。

「勘です」

「勘だと?」

「ええ。リーダー表示の時貴方がいた場所の近くに1組の生徒を何人か配置していました。ですが貴方の姿は見ていなかったそうです。何故なら表示が終わってからすぐにその場を離れたから。なのでその場所から離れていて尚かつ隠れられそうなここに絞ったわけです」

「リーダー表示場所から離れていて隠れられそうな場所はほかにもあったと思うがよく見つけたな」

「私は一日目はリーダーを捕まえる気はありませんでした。島の地形を覚えようとしていましたから。そして地形を覚え、1組の生徒を配置しました。この洞窟以外」

「なるほど」

 

確かに、俺が見つけていた隠れられそうな場所はほとんど1組のやつらがいたな。

 

「つまり、俺をあえてこの場所に誘導したと?」

「ええ。そうです」

 

なるほどな。中々やるじゃねえか。

 

「降参、してくれますか?」

 

どうやら、ここまでか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「降参する....わけねえだろ!」

俺は全速力で走る。1組の生徒たちに背を向けて。

 

「捕まえてください」

 

柳の言葉で1組の全員が竜咲を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、負けられねえ! この戦いは!」

なんとか1組の生徒と距離を保ち走るが、体力にも限界がある。

 

 

 

 

 

 

 

「竜咲君、もう無駄な足掻きは止めましょう」

逃げる竜咲をゆっくりと追う柳。

その背中を見続けた。

 

「もう、チェックメイトですよ」

 

 

 

 

 

 

 

それからほどなくして、ゲームが終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『WIN 1組』

 

船内のモニターにゲーム結果が表示された。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり1組の勝利か」

「結果が分かってたの?」

「まあ、なんとなくだな」

「次は私たちだね、零君」

「ああ。必ず勝つよ。退学で愛菜とお別れなんて嫌だからな」

 

俺たちはゲームの準備をするべく、船内を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あーあ、捕まっちまったぜ。これで次勝たなきゃ最下位だぜ)

汚れた服を着たまま、船内へと戻る。

 

 

 

 

 

 

「竜咲君!」

「竜咲さん、捕まってしまいすいませんでした!」

 

船に入った瞬間、4組全員が俺に詰め寄って来た。

 

「何誤ってんだよ。リーダーの俺が捕まったのが悪いだろ。なんで責めねえんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「何言ってんすか! 竜咲さんのお陰で俺たちはちゃんとゲームに臨めた! もうそれで十分ですよ!」

「っ!?.......随分言うようになったじゃねーか。だが負けは負けだ。俺に責任はある」

 

俺があと少し考えていたら勝てていた可能性は十分ある。俺もまだまだだ。

 

 

「竜咲君、まだ終わってないんだからさ、次勝とうよ! リーダー!」

「そうだよ! まだ終わってないじゃん!」

 

「お前ら....」

 

つくづくこいつらはおかしな集団だぜ。

 

「リーダーとして、最後まで俺らのこと頼んます!」

「元舎弟のくせによく言うぜ」

 

あはははと、笑い声が響く。

 

 

 

「じゃあな」

俺は部屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「只今より、2組と3組のゲームを始めたいと思います。2組はリーダーを決めてください。制限時間は10分です」

 

 

 

 

 

(さてと、どうなることやら)

俺――桐生零は、クラスのみんなと船外へ来た。

 

(誰がリーダーをやるんだろう)

とにかくこのゲームに必ず勝つ。今の俺にはその思いしかない。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 



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61話 特別試験 鬼ごっこ 〈5〉

「みんな、誰がリーダーに一番向いてるかを決めようと思うんだけど、誰が適任だと思うかな? みんなの意見を聞かせてほしい」

そう言ったのは橋本。クラスのメンバーの信頼を一番得ているからこそ、発言力がある。そういう人はこういう時に本当にリーダーシップを発揮する。

 

「橋本でいいんじゃねえの?」

真っ先に意見を述べたのは若林(わかばやし)。龍也並の学力だ。(笑)

 

 

「僕が!? 僕なんかがリーダーなんておこがましいよ...」

 

 

(みんなのこと第一に考えてるイケメンは流石の謙虚さと言ったところか)

 

「零君は行かなくていいの?」

愛菜が聞いてくる。

「俺よりあいつの方が信頼されている。退学の可能性がある試験はみんな不安だ。信頼してるやつに任したいだろう」

「そっか」

 

 

 

結局リーダーは橋本に決定した。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、2組のみなさんは今から逃げてください。10分後に3組はスタートします」

 

 

 

(さて、逃げるか)

 

 

 

 

「桐生君」

「え?」

 

後ろに振り向くと、橋本がいた。

 

「何だ?」

「ちょっといいかな? 逃げながら」

「ああ。いいぞ」

「ありがとう」

 

 

 

森に入ったところで、橋本は言った。

 

「僕と2日間、一緒に逃げてくれないかな?」

「え?」

 

これは驚いた。俺のイメージでは、橋本塁という男は誰かを頼ろうとせず、寧ろ頼られて当然の人間だったからだ。

 

 

「なんで俺なんだ?」

「君がクラスで一番賢いからだよ」

「それと鬼ごっこに何の関係が?」

「正直僕は君にリーダーになってもらった方が嬉しかったんだよね」

「俺が? 無理だよ」

「.....桐生君」

「なんだ?」

「僕に2日間力を貸してくれないかな?」

 

俺としては2日間適当に逃げるつもりだったんだがな。

俺が作戦を考えなくても3組になら多分勝てる。

けど、橋本がここまで言うんだ。協力するのは悪くないだろう。

 

「分かった。俺で良ければ協力する」

「っ!? ありがとう!」

 

そして俺たちは森の奥へと進んで行った。

 

 

 

 

 

 

「桐生君はどこか隠れるのに最適な場所とか思いつく?」

「一つ気になるところがある」

 

それは、俺が船から見た巨木だ。

あそこには何かがある....と、思う。

 

「島の中央辺りに巨大な木があった。それが気になる」

「ああ、あれは僕も気になってたよ。なんせ島の木の中でダントツに大きかったからね」

「行くか?」

「うん。3組がもうすぐ追ってくるから急ごうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大きいね...」

「ああ。目立つだけあって巨大だ」

目の前の巨木は他のどの木よりも太く大きい。

 

「さて、登ってみるか」

「え? 登るのかい?」

「上に何かあるかもしれないからな」

 

そして俺では巨大な木を登っていった。

 

 

 

 

「ほう、空洞か」

 

巨木の上の方には幹に穴が空いていた。

下からだと恐らく見えない。

 

(これも勝つための手段に使えるな...ん?)

穴の中にペットボトルが捨てられていた。

そのペットボトルは潰されており、中身は空だった。

「誰かここで生活していたか」

 

 

 

 

「桐生くーーーーーーーん!!」

下から橋本が呼びかけてきた。

 

「橋本! 登って来てくれ!」

「わかったよ!」

 

橋本が登っている間に穴の中をもう少し見てみる。

 

 

「特に何も無し、か」

「うわ! こんな穴があったんだね。驚いたよ」

登り終えた橋本がそう言った。

 

「誰か生活してたっぽいな」

「そうだね。とりあえずここに隠れる?」

「そうだな。こんな木を登るの奴なんて早々居ない」

 

(リーダー表示が来るまでここで時間を潰すか)

 

「うわ! 島全体が見えるね!」

「ああ。早速誰か逃げてるみたいだぞ」

「お、あれは多分葉術(はすべ)さんだね」

 

(葉術一人に対し向こうは二人か。不利だな。)

 

鬼ごっこは数が多い方が有利。それはこの試験でも同じこと。葉術は挟み撃ちにされるか、運良く逃げられたかのどちらかしかないだろう。後者はほとんど希望は無い。女子の体力は少ないものだ。しかも、今葉術を追っているのは二人共男だ。捕まるのも時間の問題だ。

 

 

(さて、これからどうするかな)

 

 

 

この試験、中々ハードだな。

 

 

 




60話に挿絵を入れてみました!!(笑)
挿絵第一弾は竜咲です!
よければ見てください笑




これから挿絵ちょくちょく入れよかな笑


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62話 特別試験 鬼ごっこ 〈6〉

「捕まってしまったね」

「ああ」

 

葉術が3組の男子2人に捕まってしまった。

 

(流石に2人はきつかったか...それにしても)

 

捕まった後の教師の登場が早い。

 

(GPSの偉大さには恐れ入る)

ヘリコプターから登場し、そのまま連れて行く。

 

葉術は先生に船へと連れて行かれてしまった。

3組の2人は何処かへ消えていった。

 

 

 

「桐生君、これからどうする?」

「とりあえずリーダー表示が来るまではこの近くで過ごすか」

「食料集めや水集めでもするかい?」

「そうだな」

 

 

この島には結構な量の木の実がある。食料には困らないだろう。だが一つ問題がある。

 

 

(食料を取っている最中に捕まらないかどうか)

まあ考えても仕方ない。行くしかないしな。

 

若程の不安を抱えつつも、俺は橋本と食料を取りに行った。

 

 

 

 

道を歩くこと10分。俺たちはようやく食料を見つけた。

 

「結構木の実あるね、桐生君!」

「ああ。とりあえず鞄の空きスペースに入るだけ入れるか」

「そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「自然の木の実は美味しいね」

「ああ。これならしばらく食べても飽きないな」

「みんな今頃どうしてるかな...」

「そうだな」

 

(愛菜...お前は今どうしてるんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、この木の実美味しい〜」

「柊さん緊張感無いね...」

「緊張してても仕方ないよ。とりあえず、お腹が減っちゃ鬼ごっこはできぬ! でしょ?」

「あはは...」

「それにしても、よくこんなところ見つけたね。海堂さん」

「偶々だよ。ほんとラッキーだよ」

 

私――柊愛菜は今、同じクラスの海堂紗友里(かいどうさゆり)さんと川の近くの洞窟に居る。

誰も人は通らず、中々安全だと思う。

 

 

「ねえ柊さん」

「ん?」

「暇だからさ、お話しようよ」

「いいよ」

「じゃあさ、聞いていい?」

「私に答えられる範囲ならなんでもいいよ」

「桐生君とはどこまでいったの?」

「え? どーゆーこと?」

言ってることが理解できてない。

 

「だーかーらー! その...したの? 男女のあれを」

あ、なるほど。そういうことか。

 

「え? あ、あーあー。してないよ」

「そっかあ。桐生君そんなことしなさそうだもんね」

「零君が望むなら私はいいけどね」

「なんかいいなあ美男美女カップル」

「海堂さんは付き合ってる人いるの?」

「ううん、今は居ないよ」

「そっかあ」

「桐生君告白された回数絶対やばいよね?」

「零君基本静かだからあんまり人寄ってこないって言ってたから多分いろんな人から好かれてるけど告白はされないんじゃないかな?」

「まあそれに柊さんと付き合ってるしね」

「この高校女子のレベル高いから零君が他の子の方へ行かないか心配だよ」

「多分行かないと思うけどなー」

 

私たちは恋愛トークで盛り上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は経ち、1回目のリーダー表示の時間が迫ってくる。

 

「橋本、行くぞ」

「うん!」

 

 

まだまだ試験は続く



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63話 特別試験 鬼ごっこ 〈7〉

「橋本、急げ。もうすぐだぞ」

「うん!」

 

リーダー表示まであと3分。その間に早く巨木から離れて別の場所に行く。それが鬼ごっこで勝つための俺たちの作戦。

 

 

「よし、ここにするか」

「そうだね。周りに誰もいなさそうだし」

 

 

 

 

そしてリーダーの位置が表示された。

 

 

 

 

「おい、2組のリーダー結構近くにいるぜ!」

「よし、とっとと捕まえるか!」

 

3組の生徒達は固まって動き、リーダーを捕まえようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「よし、表示終了だし戻るか」

「そうだね、早くしないと3組が来てしまうね」

 

俺たちは巨木の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「くそ! 逃げるの早すぎだろ!」

「もう居ないぜ」

「まだ近くの草や木に隠れているはずだ。探すぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても桐生君の作戦すごく楽で且つ勝てる方法だよね」

「まあ次は使えなさそうだがな」

「柳さんのクラスかい?」

「ああ。俺たちが次も逃げる側だとしたらこの作戦はそう通用するものじゃないだろうな」

「柳さんは学年一の頭脳だし作戦を見破るかもしれないね」

「ああ。でもまあとりあえずこの試合はもらったな」

「油断大敵だけど、僕もこの試合は勝てると思う」

「ああ。さて、恐らくあいつらは固まって動くだろうな」

 

リーダーが近くに居るとなると、敵は必ず集団で来て試合を終わらそうとすると予想していた。

なのでリーダー表示の少し前に木の上から、鬼が固まっていて且つ木から離れた場所を見つけ、表示時にその近くに向かった。

 

 

(そうすることで表示時に俺たちが居た場所を集団で探すだろう。となれば巨木の安全性が上がる)

 

実際巨木の近くに鬼は居ない。みんな集団の方へと向かったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある洞窟

 

 

「あ~あ、なーんか暇だなー。早く終わんねえかなあ」

「それなー。あー彼女欲しい」

「全くお前たちはたるみすぎている。風間、暇と言っている場合ではないだろ! 堺、彼女は試験が終わってから作れ!」

「うっせーよインキャメガネ」

「そーだそーだインキャメガネ」

「なっ!? この僕にインキャメガネだと!?」

「あーーーー早く終わんねえかなあーーーーー!!」

この洞窟では、風間龍也、そして龍也と同じくらいの低学力の堺直也(さかいなおや)、そして学年30位の大竹卓(おおたけたく)が虚しく会話していた。

 

 

 

 

 

 

川の近くの洞窟では

 

 

「それでそれで、桐生君は甘えたりするの!?」

「うん。人前ではそんなことしないけど二人きりだと結構甘えたりするんだ! そこが可愛いんだよねぇ」

 

彼女たちの恋愛トークはまだまだ続きそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間経った。

3組の生徒は焦りだし、2組の生徒は希望を抱いた。

 

 

 

 

「くそ! なんでリーダーが見当たらねえんだ!」

「2組のやつら一体どんな手を使ってやがる...」

 

 

 

 

 

 

「桐生君、この試合も残すところあと8時間だね」

「ああ。この試験は明日の8時に終わる。本当に長かった」

「うん。頑張ろうね!」

「ああ。最後まで捕まるなよ」

「勿論さ」

 

(さて、今のうちに作戦練っとかないとな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船内 教員室

 

ここでは、島の上空からのカメラの映像を24時間モニターで見ることができる。

そして、鬼に捕まった生徒の元へ向かう教員たちが多数居るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐生...柳の本当の作戦に気づけないとお前は次の勝負、絶対に負けるぞ」

 

 

モニターを見ながら皐月はそうぼやいた。

 

 

 

 




特別試験もあと少しとなりました。
次回は2組と3組の試合が終わって柳VS桐生となります。


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64話 特別試験 鬼ごっこ 〈8〉

「さあ、もう終わりだ」

「本当に長かった。ありがとう桐生君」

「気にするな」

 

俺たちは、作戦通り巨木の穴に身を潜めて、試験終了を待っていた。

終了まであと5分。

5分間で俺たちの居る場所に登って、体に触れる可能性はほぼゼロだ。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「さあ、俺たちの勝利は目前だぜ!」

「このまま乗り切るぜ!」

龍也と直也が希望を抱き、宅は安心していた。

 

(ようやくこのバカ2人との生活が終わる...)

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

『WIN 2組』

 

 

 

船内のモニターに映し出された試合結果を見て喜ぶ少女が1人。

 

 

「流石ですね桐生君。楽しみですよ。あなたを倒すその瞬間が」

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「終わったな」

「うん、船内へ帰ろうか」

 

 

先程試合終了の知らせが上空のヘリから聞こえた。

生徒は速やかに船内へ帰れと。

道に迷ったらマップ限定の端末を見ろと言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

船に入ると、2組の生徒たちと会った。

凄く久しぶりな気がする。

 

 

「よう零」

 

真っ先に話しかけてきたのは龍也。どうせすぐ捕まったのだろう。

 

「船の中での生活は楽しかったか?」

「ふっふっふ、聞け零。俺はなんと捕まってないのだ!!」

「え!? 嘘だろ...」

「なんでそんな顔するんだよ!!」

「いや、だってなあ...」

「もういいよ! どーせ誰も信じないと思ってたよ」

「悪かったって」

「仕方ないから許す。それよか柊さんのところに行かなくていいのか?」

「そうだな。ちょっと行ってくるよ」

「おう」

 

 

(さて、マイプリプリプリティーエンジェルはどこにいるんだろうか....ん? あれは...)

 

船内の隅の方に愛菜と柳が対面していた。

 

 

 

 

 

 

「柊さん、次はよろしくお願いします」

「うん、私の方こそよろしくね」

「2位になるからといって悲しまないでくださいね? 最下位にはならないんですから」

 

それはつまり、試合前から自分たちのクラスが優勝すると思っているのだろう。

 

「そっちこそ悲しまないでね? 1位を取る夢を見すぎて2位になっていたとしても」

 

二人とも笑っているが目は笑っていない。

 

 

 

「桐生君の力を使っても無駄です。私は倒せません」

「傲慢だなぁ。零君以外眼中になしなんだね」

「当然です」

「零君に勝てる人を見たことないなあ。少なくとも君では無理だよ」

「ふふ、そうですか。鬼ごっこ楽しみです。そして勝つのは――」

 

 

 

 

 

「俺たちだ」

 

「零君!?」

「これはこれは、桐生君」

 

二人の間に入るように立ち、柳の方へと向く。

 

 

「2日振り、ですかね? お疲れ様でした」

「さんきゅー。それよりさっきの会話少し聞いてたよ」

「そうですか。柊さんに挨拶しておこうと思いまして。2組の中心人物のうちの1人として」

「そうか。お前、竜崎倒したからって調子に乗っているんじゃないのか?」

「いいえ、私が竜崎君を倒したのは必然です。彼の敗因は私が相手だったこと、そして仲間を信頼していなかったことです」

「そうかい」

こいつの言ってることも一理はある。竜崎はクラスメイトを一切頼っていない。単独で勝てるほどこの試験は甘くはない。

「桐生君の方こそどうなのですか? 籠の中の鳥が凄いとは限りませんよ?」

「別に俺は自分を凄いとは思わない。けどな」

隣にいる愛菜を抱き寄せる

「え!?」

 

 

「俺たちの平穏を乱すやつは、どんなやつだろうと許さない」

 

柳を睨みつけて言う。しかし、柳は一切臆さず言い返してきた。

 

「そうです。その目ですよ。本気で掛かって来てくださいね? それではまた後で」

 

柳は自分のクラスメイトの方に戻って行った。

 

 

「ねえ零君」

「なんだ?」

「絶対勝とうね!」

「ああ、勝ってこの試験を乗り切ろう」

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

その日の夜、メールが届いた。

 

 

『決勝 1組VS2組 鬼2組 』

『3位決定戦 3組VS4組 鬼4組』

 

先に決勝を行い、後に3位決定戦を行う。

ルールは同じ。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

「桐生零は特別試験の初戦に勝利しました。はい、わかりました。それでは」

 

プツリと電話が切れる。

 

 

「さて、明日はどうなることやら...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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65話  決勝戦 〈1〉 柳の作戦

『決勝 1組VS2組』

 

初めての特別試験の1番を決める戦いが今、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、集まってくれないか?」

 

橋本がみんなを呼び掛ける。

次第にクラスメートたちは橋本の元へ集まった。

 

「1組がリーダーを決めている間、勝つための作戦を何か考えようかと思って」

 

今回俺たちは鬼だ。リーダーを決める必要はない。

 

 

(作戦か。柳がリーダーをするのはほぼ間違いないだろう。)

 

「ねえねえ零君」

「ん? 何だ?」

 

マイエンジェルが小声で話しかけてきた。

 

「なんか作戦ないの?」

「特にないな。2日間ひたすら走ってリーダーを見つけるしかないな」

「そっかあ。勝てるかなぁ」

「勝つしかないだろ。あの自信たっぷりの顔を変えてやりたいだろ?」

「うん。頑張ろうね!」

「ああ」

 

 

 

「僕は2、3人のグループをたくさん作り島中散らばるのがいいと思うんだ」

「まあそれが一番いいだろうな」

「流石橋本だぜ!」

「じゃあそれでいこうぜ!」

 

(どうやら作戦は決まったようだな)

 

 

 

「じゃあみんな、グループを作って」

 

 

 

 

 

 

しばらくしてグループは完成した。

 

 

 

 

 

 

 

「まさかこうなるとはな」

「ふふ、私は嬉しいけどね」

 

桐生零&柊愛菜

 

 

「やる気でてきたよ」

「今までやる気なかったの!?」

「今までより更にやる気でてきたよ」

「それは良かった」

 

 

 

 

 

「それでは、試験を開始します! 2組の生徒は1組の生徒が逃げた15分後に開始します」

 

 

そして1組の生徒たちは森へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

15分後

「それでは、試験開始!!」

 

 

 

「おら行くぜえ!!」

開始早々龍也が突撃していた。

 

 

(グループの仲間も連れて行ってやれよ...)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐生君。貴方に私の居場所が分かりますかね? ふふ。楽しみですよ」

 

 

「柳さん、本当にこの作戦でいけるの?」

クラスメイトの矢島君が不安そうに話しかけてきた。

 

「問題ありません。4組のときにも使った作戦じゃないですか」

「そ、そうだけど...」

「ルールに反してはいません。現に初戦後に注意されることもなかったですしね」

「それにしてもよく思いついたよね。()()()()()()()()なんて」

 

そう。柳の作戦の一つは私物の持ち込みだ。

鬼ごっこのルールの連絡には私物の持ち込み禁止とは書いてはいなかった。そして、試験開始前に持ち物チェックはされなかった。私物の持ち込み自体は単純なことなのだが誰も持ち込みありということには気づかない。退学のことで頭がいっぱいなのだろう。

 

 

「ふふ。竜崎君に見つからないように隠せたのはラッキーでした。おかげでこの戦いでも使えますから」

「最初の試合でリーダー決めの時4組の生徒に見つからないように持っていたのは苦労したけどね」

「ふふ。この試合も勝ちましょう」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始から既に15分が経過していた。

 

 

「とりあえず、リーダー表示までは何もできない。食料調達が優先だな」

 

愛菜を連れて森へ入るとするか。

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

「橋本〜どうするんだよ〜」

「とりあえず食料調達をしよう」

「まったく、風間は呑気で羨ましいよ」

 

橋本&龍也&吉川聖(よしかわせい)のグループだ。

 

 

 

 

(桐生君、僕は君なら必ず勝利に導いてくれると信じているよ!)



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66話  決勝戦 〈2〉 考え

「ここは本当にいいですね。二日間過ごせそう」

「ここを作るのには苦労したよ」

「ですね。本当に感謝してますよ」

「いえいえ。みんな柳さんを信頼してるから柳さんの言うとおりに従うのが一番さ」

 

柳は目の前にある()()()()()()()を見ながら、1組の生徒と話をしていた。

 

「島中にこっそりセットした超小型監視カメラに映る映像をモニターで見る。この試験のために用意するのは大変でしたね」

「そしてここは()()()()。絶対バレないね!」

「よくシャベルで掘ってくれましたね」

「まあ一日あればみんなで頑張れば掘れると思ってたけど、まさか実現するなんてね」

「地面が柔らかかったですから」

 

(食料は初戦のときにここに貯めておきました。そして島中の状況をモニターで見ることができる。あとはリーダー表示の時のみ適当に何処かに行けばいいだけ。抜かりはないです)

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

 

 

「食べ物いっぱいあるね!」

「ああ。しばらく困らないな」

俺たちは食料を探しつつ、1組の生徒も探していた。

 

「ん? 何か光って...」

 

何か光るものが見えたので近づいてみた。

 

 

「これは...だが何故こんなところに」

「どうしたの?」

「ん? いや、何でもない」

「そっか。木の実たくさん集まったしそろそろ休憩する?」

「だな。少し休憩して、そしたら鬼ごっこ頑張ろう」

「うん!」

 

 

(もしかして...あいつが? けど、いつ準備したんだ?)

 

 

 

俺はさっき見つけた()()()()()()のことが気になっていた。

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

橋本&龍也&吉川グループ

 

 

「ふあ〜ぁ。なぁ橋本〜。見つかんねえよぉ」

「風間君。そんな簡単に見つかったら鬼ごっこじゃないよ」

「だが既に3人捕まえている。立派だろう」

 

2組の作戦は、いくつかのグループに分かれて各グループ自分たちで食料を調達し、1組を捕まえるのだ。橋本たちのグループは1組の生徒を捕まえているものの、まだ食料を調達できていない。パン一つと水500mlでは到底生きていけない。

 

 

「零のやつ、柊さんとイチャコラしてんだろーなー」

「桐生君のことだから何か作戦を考えていると思うんだけどね」

「桐生は何者なんだ? そんなに凄いのか?」

「そういえば吉川君は桐生君と話したことなかったんだね」

「ああ。あのイケメンには近寄りがたい」

「零はな、いつもクールで俺たちとは別種の存在みたいな感じだけど、必ず助けてくれる。優しいやつだよ」

「そうなのか」 

「うん。桐生君ならこの試験もきっとなんとかしてくれる。僕はそう思う」

 

 

 

 

 

 

 

「さっそくばれちゃったね」

「上手く隠したと思っていましたが。カメラのレンズが太陽の光に反射したのでしょう」

「折角小型のカメラにしたのに...どうします?」

「別にどうもしませんよ。私はリーダー表示前までここに居ます」

「この地下の入り口ばれないかな?」

「大丈夫でしょう。川の近くに近づく人なんてそうそういません」

 

柳たちの居る地下は、川の近くの木の根本が入り口となっている。

 

 

「木の実ばかり集めていては私を見つけることなんて到底無理ですよ? 桐生君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小型カメラ...これは一体何を意味しているんだ」

 

(いや、もしかすると...)

 

 

俺は周りをよく見回しながら、歩いていった。

 

 

 

 

 



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