八結ss (ジェイミー)
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1話

「待たないでこっちからいくの」

 

 

彼女の言葉が頭の中に浮かぶ。

文化祭で受付の手伝いをしてた時に隣に座って来て、発せられた彼女の言葉はどこか決意が込められたようにも聞こえた。

 

 

 

 

由「私たちももう3年生だね〜」

 

雪「ええ、そうね。

由比ヶ浜さんは可哀想ね、そこのヒキ…ヒキガエル?と2年連続同じクラスなんて」

 

八「おい、なぜ俺の小4のときのあだ名を知っている。

もしかしてお前俺と同じ学校だったの?」

 

雪「あら?いたのかしら、存在感がなさすぎて気づかなかったわ」

 

八「さいですか…」

 

由「あはは〜…」

 

3年生になったといってもこの部活は特に変わりはない。

百合ヶ浜さんと百合ノ下さんが相変わらずユリユリして、時々俺が反応する。

ただ去年よりもこの空間は更に心地良くなった気はする。

これなら黒歴史(本物発言)を更新してよかった、そう思えた。

 

八「3年といえば、これから受験だけど由比ヶ浜は大丈夫なのか?」

 

由「あー…、うん!これから頑張ればなんとかなるよ!ゆきのんに教えてもらうし!」

 

雪「自力でやろうとはしないのね…」

 

雪ノ下さんがこめかみに手を当てる。

あなた本当にそのポーズ好きですね。

 

八「まあ、本格的に取り組むのは夏くらいからでいいとして、今は1、2年の復習ってとこか」

 

雪「そうね、取り敢えずは基礎を固めないと」

 

由「うぅ〜、勉強イヤだな〜」

 

他愛もない会話。

紅茶の香り。

壊れかけた空間は今ではここまで修復できた。

多分俺たち3人はそれなりには絆を深められたのだろう。

 

 

 

 

 

部活が終わって自転車をとりに駐輪場に行った時だ。

玄関である男子生徒が由比ヶ浜に話しかけている。

別に盗み聞きをするつもりはなかった。

単純に声が聞こえてきた。

 

 

モブ「由比ヶ浜さん、好きです。付き合ってください」

 

ああ…

由比ヶ浜が告白されてる。

そりゃあ、あいつはかなり可愛いし、人当たりだって良い。

普通に考えて告白されるほどモテるのは当たり前だ。

それなのに、

何故だろう、すごく不愉快だ。

この気持ちは久しぶりだ。

いつだったか

 

 

そうだ、去年の体育祭の準備のときだ。

俺の前で一緒に作業していた彼女に執拗に話しかけてきた男がいたな。

アドレスすら教えてもらえず由比ヶ浜にあしらわれていたけどな。

 

 

今回はどうなのか。

何故か気になってしまった。

その場で立ち止まり、耳を澄ましてしまった。

 

由「ごめんなさい。好きな人がいるんです」

 

 

好きな人…か。

そうだよな。あんだけ可愛くて、優しいあいつなんだ。

それに年相応の女の子が好きな人がいるくらい何も不思議なことではない。

なのに…

 

 

雪「あら、比企谷菌、遂にストーカー行為に走ってしまったのかしら?」

 

八「うおっ!?

雪ノ下か、驚かすなよ…」

 

雪「本当にカエルみたいな声を出すわね。

あなたが同級生のストーキング行為にふけっていたのを注意しただけよ?」

 

八「いや、たまたまだからね?

他意はないからね?」

 

雪「あなたがそう言っても世間は私がストーカーをしていると言えばきっとあなたはストーカーになるわよ?」

 

これは否定できないな…

だって八幡目が腐ってるもん☆

 

由「むー…」

 

振り返るともう、事を終えたのか

由比ヶ浜がサブレのように唸りながらこっちを見ている。

なんだよ、その上目遣い、可愛いな。

 

由「ヒッキーの馬鹿」

 

八「なんで俺が罵倒されんだよ…」

 

雪「取り敢えずもう帰りましょう」

 

この日は何故か途中まで3人で帰った。

 

 

 

 

 

家に帰った俺は何故か普段より饒舌だった。

小町に今日の出来事を話していた。

 

ちなみに小町は総武にちゃんと受かった。

ただ奉仕部には入らず、一色の手伝いとして生徒会に行っている。

てか、こいつら会ってからすぐ意気投合してたよな。

あざとシスターズ怖い。

 

 

小「へえ〜、結衣さんが告白されたんだ〜

なんて答えてたの?」

 

八「なんか好きな人がいるんだとよ

まあ、あいつもJKだったんだな」

 

小「お兄ちゃんはどう思ったの?」

 

八「はぁ?」

 

小「だーかーらー、結衣さんに好きな人がいるってわかってどんな気持ちだった?」

 

八「まあ、別にいいんじゃねーの?

俺には関係ないし」

 

そう言った途端小町がゴミを見るような目になった。

 

小「ゴミぃ…ゴミぃちゃん本当にそう思ってるの?」

 

八「小町ちゃん?言い直せてないからね?お兄ちゃんはゴミじゃないよ?」

 

小「春休み、ハニトーある店しっかり調べてGWに予約までとっておいてそれくらいの感想しかないの?」

 

八「おい待て、何故それを知っている。

俺のプライベートだぞ」

 

え、小町にバレてたのあれ。

それってPC見られたってこと?

そしたら俺の秘蔵のフォルダももしや…

 

小「あ!そこは大丈夫だよ!

『やはり俺と巨乳処女ビッチ同級生がエッチするのは間違っている』

ってタイトルのいやらしい動画があっても小町は気にしないよ!

むしろ見てないふりをするよ!

あ!今の小町的にポイント高い♪」

 

いやいやいやいやいやいや、それってポイント最低だよね?

完全に兄の性癖披露してるよね?

ハニトーなんかよりもこっちの方がキツイんだけど、、、

 

 

 

 

 

 

そのままソファで死んだように悶絶してると小町が急に真面目な口調で喋りだした。

 

小「まあ、そこは置いておいて

お兄ちゃんもう少し自分に素直になりなね?

もう、小町が動く理由をあげなくても今のお兄ちゃんなら大丈夫でしょ?」

 

八「ああ…」

 

そうだ、俺は本物を欲して

彼女たちに自分をぶつけた

今の俺は半年前とは多分違う

 

 

八「とりあえず、今のうちに予定空けといてもらうか」

 

小「それがいいよ!

結衣さんなら多分予定空けてくれると思うし!」

 

 

 

 

自室に戻った俺は慣れない手つきで某緑のSNSアプリを開いていた。

ちなみにこれは由比ヶ浜に半ば無理矢理インストールさせられた。

 

 

八『今平気か?』 21:03

 

由『やっはろー!

平気だよ!ヒッキーから連絡なんて珍しいね?

どうしたのー?』 21:04

 

うおっ、こいつ相変わらず返事早いな。

 

八『今度のGW空けといてほしい日があるんだけど空けられるか?』 21:07

 

由『うん!空けられるよ!』 21:07

 

八『じゃあ、〜日空けておいてくれ。

詳細は後日連絡する。』 21:08

 

由『わかった!〜日だね!

空けておく(*^◯^*)』21:09

 

あれ…なんか星の煌めきを感じ…

おっと、ここは千葉だきっとなにかの間違いだろう。

きっと、由比ヶ浜はなにも知らずにこの顔文字を使っているのだろう。

 

八『じゃあ、また明日な』 21:10

 

由『うん!バイバイ(`・∀・´)』21:11

 

やはりこういうやりとりが悪くないって感じる時点で俺も少しは変わっているのだろう。



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2話

三「ヒキオちょっといい」

 

炎の女帝こと三浦に呼び止められた休み時間。

なんだろう…カツアゲされるのかな。

ふぇぇ八幡お金ないよぉ…

 

八「どうした?」

 

三「結衣のこと、ちょっとね」

 

さすがおかんと言うべきか

3年になって由比ヶ浜とクラスは離れてしまったがこうして気にかけてくれる三浦さん、マジべーわ。

 

三「去年と同じクラスなのあんたと川崎さんと戸塚くらいだからね、

最近あーしとクラス離れたからなのか結衣にちょっかいだす野郎どもが増えてるから何かあったら頼んだよ」

 

やはり去年から由比ヶ浜を守っていた自負はあったらしい。

 

八「…善処する」

 

三「あんたならそれで十分」

 

あれ?なんかあーしさん俺に対して随分信頼してるんですね?

 

八「随分信用されてるな俺」

 

三「あんたはやるときはやるからね。

去年はあーし達のせいであんたを巻き込んじゃって悪いと思ってる。

けどそれ以上にあんたの性格わかったし」

 

え?三浦さんもしかして去年の戸部の件知ってんのか?

 

八「なんかやけに信用されてるが残念ながら俺はボッチだ。

そんなに期待されても困る」

 

三「ま、結衣になにかあったら守ってあげて。

あの子ああ見えて我慢しちゃうから」

 

去年教室で由比ヶ浜といざこざ?があったあのときからかなりこいつらも仲が縮まったな。

そんなことを考えながら踵を返して教室に戻る。

 

 

 

 

 

 

葉「やあ、ちょっといいかな?」

 

放課後部活にいこうとしたらいけ好かない野郎に声をかけられた。

 

八「んだよ?」

 

葉「ハハッ、中々俺は嫌われてるね」

 

八「んな事言いにきたんじゃないだろ?

早く要件を言え。部活があるんだから」

 

葉「優美子にも言われたと思うけど結衣のことがね。

ちょっと心配だから比企谷に俺からもお願いしようかと」

 

八「なんだ、そんなもんか。

三浦にも言ったが俺はあいにくボッチだ、できることなんて限られてるし、お前らが評価するほど俺はできてない」

 

葉「本当に君は変わらないな」

 

いつものキラキラオーラをなくして葉山は俺に鋭い目線を送った。

しかしそれも一瞬で終わり、いつもの笑顔に戻った。

 

葉「まあ、俺や戸部よりも君が適任だと思うからね。

頑張ってとしか言えないが応援してるよ」

 

葉山は最後に訳のわからないことを言って部活に向かった。

難聴系でも鈍感系でもない俺だが最後の言葉は本当に訳がわからなかった。

 

由「ヒッキー、隼人君となに話してたの?」

 

唐突に後ろから由比ヶ浜に声をかけられた。

 

八「ああ、別に大したことじゃない。

ただ現国2位と3位のレベルの高い話だ。

お前には関係ないぞ?」

 

由「唐突にバカにされた!?

ていうか、ヒッキーと隼人君って意外と話す機会多いよね」

 

そうなのか?

まあ、ボッチの俺に話しかけてくるのなんてマイエンジェル戸塚と材なんとかってやつくらいだしな。

あいつはたまにくるから、そう見えるのだろう。

ああ、あとあざとい生徒会長もいたな。

あいつ最近部室に来ないけど仕事が忙しいのだろうか。

 

 

由比ヶ浜ととりとめもない会話をしながら数分、部室の前につきいつものように入っていく。

 

由「やっはろー!」

 

八「うす」

 

雪「由比ヶ浜さんこんにちは」

 

い「こんにちは〜☆」

 

小「結衣さん、こんにちはです!」

 

あれ、なんかデジャブ?

ていうか一色の挨拶語尾に星が見えるぞ、さすがのあざとさ。

 

八「お前らどうしたんだ?」

 

い「ようやく仕事が落ち着いたんですよ〜。

なので部活に顔出すことができました!」

 

小「新年度ってことでかなりあったからね〜。

で、落ち着いたから奉仕部に来ちゃった☆」

 

本当にこいつらはどうやって語尾に星を出してるんだ?

あざといやつらの必須スキルなの?

てか、一色はサッカー部あるだろ。

 

八「小町が来るのは理解できるけど一色、お前はサッカー部があるだろ?

葉山も今日普通に部活行ってたぞ?」

 

い「えーだってマネージャーの仕事って疲れるじゃないですか〜。

戸部に絡まれるのもめんどくさいですし〜。

それに!私は奉仕部員でもあるので!」

 

こいつ遂に戸部のこと呼び捨てにしやがった。

由比ヶ浜が苦笑いしてるぞ。

べーわ、マジいろはすべーわ。

 

雪「あなたは部員ではないのだけれど…」

 

い「細かいことはいいんですよ〜」

 

八「ていうかお前、葉山の追っかけでマネージャーやってんだろ?

こんなとこで油売ってる暇ないんじゃないのか?」

 

素直に疑問に思ったことを口に出した。

そしたら何故か女性陣にこいつ何言ってんだ?みたいな視線を送られる。

 

い「本当にこの人は…

まあ、今日はゆっくりしたいんですよ」

 

小「ゴミぃちゃん、いつから鈍感系になったの?」

 

雪「あなたって本当にそういうのは疎いのね」

 

由「まあ、ヒッキーだしね」

 

たははーと言いながら由比ヶ浜が締める。

え?なに、俺が悪いの?

なんか変に罪悪感あるんだけど。

 

 

 

 

 

 

部活が終わってから一色に少し話があると言われ生徒会室まで来た。

なんだろう、告白かな!?

八幡ドキドキする!!

なんてことはもちろん無く昼の三浦や葉山と同じ内容のことである。

 

い「せんぱいはどうなんですかー?」

 

八「なにがだ?」

 

い「なにがって、結衣先輩のことですよー」

 

八「まあ、あいつが本当に困るようなことがあるなら助けなくもない」

 

い「そうじゃ無くて、せんぱい自身の気持ちですよ。

結衣先輩のことをどう思っていて、もし、結衣先輩が他の人と付き合い始めたらどう感じるかとか」

 

八「あいつがいいならそれでいいんじゃないのか?」

 

…違う、これは嘘だ。

本心はこんなこと思っていない。

それは一色にも見破られていたらしく、言葉を返された。

 

い「嘘ですよね?

せんぱいのことだから本心は話さないとは思っていましたよ。

まあ、相手のことを1番に考えるって部分は本心だと思いますけど」

 

はあ、この後輩には敵わないな。

いつの間にこんな理解されてたんだか。

八幡検定準2級はあるぞ。

 

い「だから今のうちに言っておきたいんです。

せんぱい達をみて私も本物を探したんです。

そして、見つかったんです。私なりの本物が。

けどそれはきっと届かない…。

見ててわかるんです。お互い想い合ってるって。私の入る隙間はないって」

 

一色は徐々に目に涙を浮かべながら言葉を紡いでいる。

俺はそれを最後まで聞き届けてやるのが仕事だ。

 

い「届かないってわかってても、入る隙なんてないってわかってても、この想いは伝えたいんです。

今までステータスでしか人を見ず、葉山隼人が好きな私を演じていただけの私がようやく見つけられた、本物の恋なんです。

だから、言います」

 

い「比企谷八幡さん、あなたのことが好きです。

生徒会選挙の時、乗せられてやった役職が今では本当に楽しくなりました。

クリスマスイベントの時、何度もあなたの不器用な優しさに触れることができました。

そして、あの時の言葉で私は変わることができました。

猫被っている私ではなく、一色いろはを見てくれたあなたが好きです。

たとえ、せんぱいが見ている人が違っても、私はせんぱいが好きです」

 

泣きながらも、一色は力強く言葉を発した。

そんな一色に俺は…

 

ハ「一色、すまない…

こんなにも俺のことを想ってくれていて、本当に嬉しい。

だけど、俺はお前の気持ちには答えられない」

 

一色は俺の言葉を聞き、

少し口角を上げながら言った

 

い「はー、わかってはいましたけどやっぱり辛いですね。

けど!私はまだ諦めませんよ!

せんぱいにも前に言いましたよね!

降った女の子のことは気にしちゃうって!

これは宣戦布告です!せんぱいが私に振り向いちゃうくらい、私がアピールしまくるための!

なので覚悟してくださいねせーんぱい☆」

 

そう言った彼女の笑顔はすごく綺麗で、普段のあざとさは全く感じられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、けど、か弱い女の子を守るっていうのはいろは的にポイント高いんで、結衣先輩を守ってくださいね!」

 

帰り道、一色と別れる直後に言われたことを思い出しながら家の扉を開けた。

普段ならうるさい小町が今日はやけに静かだ。

と、思っていたらふと小町が口を開けた。

 

小「お兄ちゃんがどんな選択肢をとっても、小町はお兄ちゃんの味方だよ。

あ!今の小町的に超ポイント高い!♪」

 

本当にできた妹を持ったよ俺は。



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3話

少し…いや、かなり暑くなってきた5月の頭。

普段なら休日に目一杯休む俺がわざわざ自分から予定を立てるなんてな。

それも女の子と出かけるために。

 

そう、今日は約束をしたハニトーを奢る日だ。

先月、一色と色々あったがあいつは相変わらずの態度でいてくれた。

そして、一色に告白された時ようやく自分の感情に気づけた。

あの時、脳裏にいた女の子

きっと俺は知らないうちに惹かれて、恋をしていたのだろう。

理性の化け物はその感情すらも押さえつけていたわけか。

しかし、この気持ちに気づけた今は違う。

今日俺はこの想いを告げるのだろう。

 

 

由「ごめんね!待った?」

 

八「おお、すげぇ待ったぞ」

 

由「待ってないとは言わないんだ…」

 

苦笑いしながら由比ヶ浜が言う。

 

八「一色もそうだが俺にそういうのは期待するな、なんならこれから一生期待しなくてもいいぞ?」

 

由「むー、、なんでいろはちゃんの名前出すかなぁ、

まあ、ヒッキーだしね、仕方ない!」

 

あれ、なんか俺ってことで納得された?

腑に落ちないけどまあいいか。

 

由「それで、今日はどこにいくの?」

 

八「あぁ、パセラ予約しといたから千葉中央に行くぞ」

 

場所を告げた途端、由比ヶ浜がキョトンとした顔をした。

どうでも良いがその顔かなり可愛いな。

 

由「え、ヒッキー覚えててくれてたの?」

 

八「まあ、去年は色々あって行けなかったからな、

それに俺は約束は一応守るぞ?」

 

由「えへへ、なんか嬉しいなぁ」

 

とりあえず喜んでもらえているので今回の企画は良かったらしい。

さすがにグーグル先生頼みなのは黙っておくか。

 

 

 

 

休日のお昼時、電車内には多くの私服の若者が載っていた。

まあ、みんな遊びに行くよね。

この県、ディスティニーもあるし。

まあ、何が言いたいかってさっきからこの満員具合だから由比ヶ浜と密着しているのです。

はい、俺が理性の化け物でなければ危なかったです。

 

八「悪い、まさかこんな混むなんて」

 

由「仕方ないよ、休日なんだし…

けど、ちょっと苦しいね」

 

本当にどうにかならないのかこの電車は。

ほら、由比ヶ浜なんて顔真っ赤にして怒っちゃってるよ。

そんなことを考えながらようやく目的地へと到着した。

 

予約の旨を伝え、部屋へ通される。

少ししたらハニトーが来た。

うお、こんなすげえのか専門の人が作ると。

 

由「うわぁぁ、ヒッキー見て見て!

すごいよこれ!」

 

由比ヶ浜が子供のようにはしゃいでる。

こいつはこういう行動がとても似合うな。

なんだろうな、守ってやりたくなるというか、そんな気持ちになる。

 

由「あ、そうだ、

すみませーん、写真お願いしていいですか?」

 

店「いいですよー、ではお二人とも近づいてもらっても良いですか?」

 

由比ヶ浜と近くなる。

電車の中では動揺しててあまり気にしなかったが、由比ヶ浜からは香水の柑橘系の匂いがしてドキドキする。

というか、本当にこいつ可愛いな。

クリッとした大きな目、長い睫毛、ピンクがかった茶髪

 

なんて変なことを考えてる間にシャッター音が聞こえた。

 

由「ありがとうございますー

ほら、見て見て!」

 

由比ヶ浜に今撮った写真を見せてもらう。

うわ、俺の顔めっちゃ赤いじゃん、なんかすげえ恥ずかしいんだが。

 

由「後で送るね!

とりあえずハニトー食べよっか!」

 

八「おお、そうだな」

 

 

由比ヶ浜と時間をかけてハニトーを食べた。

てかこいつ、本当にうまそうに食うな。

 

 

由「よし!食べたし歌おっか!」

 

八「え?」

 

まあ、たしかにここカラオケですけど。

けどハニトーしか約束していないからなぁ、帰宅を提案しようとしたのだが。

 

 

と今までの俺なら思ってるだろう。

しかし、今の俺は違った。

これからまた黒歴史を更新するため、少し浮き上がっていたのだろうか。

 

八「まあ、たまになら歌うのもいいな」

 

由「ヒッキーがすんなり了承した!?」

 

由比ヶ浜さん?さすがに俺をなんだと思っているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

由「いや〜、楽しかったね!」

 

八「そうだな、この後どうする?帰る?」

 

由「なんですぐ帰宅を提案するし…

ちょっと行きたいところあるから行っていい?」

八「まあ、いいぞ、暇だし」

 

 

もう一度電車に乗った俺たちはお互い話すことなく、揺られていた。

ディスティニーの最寄駅につく、ここでディスティニー特有のメロディが流れるのを聞き流しながらボーッとしていると由比ヶ浜が口を開いた。

 

由「次で降りるね」

 

八「おう」

 

次の駅…か

 

由比ヶ浜がどこに行こうとしてるのか大体予想はついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅を出て、観覧車を見上げる。

こいつとここに来るのは2回目か、いや、2人きりでは初めてだな。

 

八「この水族館も久しぶりだな」

 

由「そうだね、だけど今日は水族館じゃなくて、観覧車に乗りたいんだ」

 

 

俺たちはおもむろに観覧車に乗った。

2人に沈黙が流れるがそれはすぐに破れた。

 

由「あのさ、ここで私たちの最後の依頼受けたよね」

 

八「ああ、そうだな」

 

由「ヒッキーはさ、本物、見つけられた?」

 

八「どうだろうな。

これを本物と呼んでいいのか、まだわからない。

けど、それに似ているものに最近気づけた」

 

由「そっか…」

 

由比ヶ浜はそう言うと、決意を固めたような顔をした。

丁度、文化祭の受付で言われたあの時のように。

 

由「あのね、ヒッキーに言いたいことがあるんだ。

今日はケータイの電源切ってるし、観覧車の中だから、ヒッキーも逃げることできないよ」

 

やっぱり私はずるいね。と由比ヶ浜はどこか自虐的な声音でそう言った。

 

八「お前はずるくなんてないさ。

誰よりも優しい、素敵な女の子だ」

 

そうだ、だから俺は、俺は。

 

例え勘違いをしようと

どんなに自分が乏しめられようと

この子の笑顔があればそれでいい

そう思える存在だ

 

そりゃあ、俺なんかといたら評価は下がる。

これは1番悩んだことだ。

けど、きっと今のこいつはこう言うだろう。

 

『私はもう、そんなのに気にしない。

自分の思ったことをやる』

 

だから俺も

少しは自分に素直になってみよう

 

八「なあ、お前の話を聞く前に俺が今から話をしてもいいか?」

 

由「う、うん」

 

 

スゥー、ハァー

うん、よし、八幡緊張してない。

まあ、嘘なんだけどね。

けど、不思議と怖くはなかった。

何故だろうな。

 

八「由比ヶ浜結衣さん、

あなたのその誰よりも優しいところが、

その太陽みたいな素敵な笑顔が、

どんな時も明るくいてくれるところが、

料理が下手でも一生懸命作ってくれるところが、

俺という存在を否定してくれないで隣にいてくれるところが、

あなたの全てが好きです」

 

 

言ってしまった。

今思ったけど観覧車まだ頂点少し過ぎたくらいだぞ。

振られたら気まずすぎるだろ。

そんなことを考えながら由比ヶ浜を見ると、彼女は涙を流していた。

 

由「私でいいの?」

 

八「お前がいいんだよ」

 

由「けど、私、修学旅行のときヒッキーを否定するだけで、何もできなかった」

 

八「あれは俺のやり方が悪かったんだよ」

 

由「文化祭で悪口言われてたのに黙って見ていることしかできなかった」

 

八「そこでお前が何か言っても無意味だったし、お前にも矛先が向いただろう。

なにより俺への悪口もエスカレートしてたさ」

 

由「私ゆきのんみたいに頭良くないし、

いろはちゃんみたいに要領良くないよ?」

 

八「そんなの関係ねえよ」

 

由「でも…でも…「なぁ、由比ヶ浜」え?」

 

八「俺と付き合うのは嫌か?」

 

由「嫌じゃない!

私はヒッキーが好きなんだもん!

誰よりも!この気持ちは誰にも負けない!」

 

八「さすがにそこまで言われると照れるんだが…

まあ、お前がなんと言おうと俺はお前の全てが好きなんだ。

それでもお前が何か言うなら2人で直していこう。

2人で道を歩いていこう。

それじゃダメか?」

 

由「ううん…

まさかヒッキーから告白してくれるなんて。

すごく、嬉しい。

えへへ、これからよろしくね!」

 

八「ああ、よろしく」

 

由「ヒッキー大好き!」

 

由比ヶ浜に勢いよく抱きしめられる。

今はこの子と幸せな時間に浸れた。

 

 

 

 

もうすでに降りるところについていて、係員さんや周りの人の生暖かい視線に気づくまでは。

 

 

 

まあ、こんなのも悪くはないか。

間違い続けた俺の青春ラブコメはここで終わり、正しい道に戻る。



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最終話

由「ごめんね〜、待ったよね?」

 

八「あぁ、すげえ…

いや、俺もさっき来たところだからそんなに待ってないぞ?」

 

由「………」

 

八「どうした?」

 

由「ヒッキーが男っぽいこと言ってる…」

 

八「いや、俺は男だろ生物学上的に考えて」

 

由「いや、そうじゃなくてさ…」

 

八「まあ、言いたいことはわかるよ」

 

由「自覚あったんだ!?」

 

 

さすがにお前の前でくらいはカッコつけたいんだよ俺も。

あの日から約3ヶ月が経った。

俺と結…由比ヶ浜は順風満帆ともいえる交際を送っていた。

そして、今日一年ぶりにこの祭りに来た。

まあ、勉強の息抜きにもなるし丁度良いよな。

 

由「ねえねえ!何食べる!?

りんご飴!?りんご飴だよね!?」

 

八「お前去年もりんご飴押してたよな。

そんなに食いたいのか」

 

由「だってりんご飴だよ!

食べたいに決まってるよ!」

 

八「じゃあ、その辺から回るか」

 

今年も同じやりとりをした。

あれ、これってもしかしてさぁ…

 

 

 

 

相「あれ?結衣ちゃん?

おー、結衣ちゃーん!!」

 

由「あ!さがみん!やっはろー!」

 

あー、やはりこいつとエンカウントしたか。

相模南、現状こいつは去年のやらかしをほとんど誰にも知られないまま3年になり、学校生活を謳歌できてるらしい。

まあ、今年も三浦と同じクラスらしく、隅でオドオドしながら暮らしているらしいが。

 

相「あれぇ〜?もしかして結衣ちゃん、今年もヒキタニときてるの?」

 

相模がニヤニヤしながら俺の方を向いて言う。

ああ、ムカつくな。

さすがに由比ヶ浜が気にしないと言っても、こうやって見下されるのは些か不愉快だ。

 

由「うん!去年はまだ付き合っていなかったから堂々とできなかったけど、今は違うからね!

さがみんも恋人できるといいね!」

 

相「あ、、うんそうだねぇ〜」

 

皮肉で言ったはずの言葉に、由比ヶ浜が純真無垢に返答するから相模は困ったような顔をした。

 

相「けど、ウチってなんていうか〜

釣り合い?みたいなのがとれる人があんまりいないからね〜。

それこそ付き合うなら葉山君みたいな人とがいいし〜」

 

うわー、なんかこいつ本当モブって感じだなぁ。

まあ、言いたいことはわからなくはないけどね。

 

由「?、けどそういうの気にしているってさ、あんまり良くないんじゃない?」

 

相「はぁ?…

え、なんでぇ?」

 

おい、相模言い直しても遅いぞ、

思い切り素が出てたからな。

 

由「だって自分が好きならさ、周りからどんなこと言われようと、気にしなくない?

周りにとやかく言われるのが気になるんならその程度ってことだよね?

私はヒッキーが大好きだし、誰に何を言われようとこの気持ちは曲げないし、気にするつもりはないからさ」

 

由比ヶ浜は当たり前のことを言ってるようにスラスラと言葉を並べる。

それが相模には気に食わず、しかし間違っていない、むしろそれが正しいのは頭で理解できているからこそ、苦虫を噛み潰したような顔をしているのだろう。

 

相「あ、そうだ!友達待たせてたんだ、

ごめんね!ウチもう行くね!」

 

由「あ、そうなんだ!

ごめんね止めちゃって!」

 

相「いいの!いいの!じゃっ、またね!」

 

相模は逃げるように人混みへと消えていった。

あいつほど小物臭溢れる奴はいないと思います(小並感)

 

由「ヒッキー?」

 

八「ん?なんだ?」

 

由「大好き!」

 

八「なんだよ急に…」

 

由「あ!ヒッキー顔赤くなってる!

可愛い〜」

 

八「いいからりんご飴買いに行くぞ」

 

由「あー、待ってよー」

 

本当こいつはなんでそう恥ずかしいことを普通に言えるのかな。

 

 

 

 

 

花火を見終わって帰り道、由比ヶ浜を送っているこの道も懐かしいものだ。

今回は魔王こと雪ノ下陽乃に会わずにすんでよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

由「ねえ、ヒッキー」

 

八「どした?」

 

由「私さ、そういえばヒッキーに告白してもらったときさ、ほんとは自分から告白するつもりだったんだよね」

 

由「だけどヒッキーが先に言ってくれてさ、そういえば私はまだ告白してないなーって」

 

八「いや、さっきもそうだし、結構俺に向かって好きって言ってくれてるだろ」

 

由「ううん、それとは違くて、私の胸中をさ、ヒッキーみたいにまだ打ち明けてないなって」

 

由「去年はこの電柱の下で言おうとしたら、言いそびれちゃったよね。

急にケータイが鳴って、ヒッキーが出ないのか?って

雰囲気台無しだったよ?あのとき」

 

由比ヶ浜は笑いながら

懐かしむような口調で言う。

 

八「まあ、あのときはな

それは勘違いだってきっと言っていただろうし、

それにあの空間に亀裂が入るのを恐れていたからな」

 

由「うん、けど今は違う」

 

八「そうだな」

 

由「だから、一年越し、三ヶ月越しに私の気持ちを言うね」

 

由「ヒッキーのことが好き

捻くれているところも

他人には分かりづらい優しさがあるところも

その優しすぎるがゆえに自分を傷つけることに躊躇なく動いちゃうところも

それで傷ついた私たちのために悩んでくれたところも

あの場所を守るために動いてくれたことも

私たちと一緒に『本物』を探してくれたことも

全部、全部好き

サブレを助けてくれたことがキッカケだけど、それでヒッキーと関わるうちにこの気持ちはどんどん大きくなった。

本当は事故のこともっと早く謝るべきだった。

文化祭の後私たちが助けてあげるべきだった。

修学旅行のあと、否定するだけじゃなく、気持ちをわかってあげるべきだった。

 

 

もう、あんな後悔はしたくない、これからはどんなときも2人で手を取り合って歩いて行こ。

 

 

大好きだよヒッキー」

 

 

言い終わった由比ヶ浜は俺に抱きついてきた。

本当に俺は幸せ者だな。

こんなにも可愛い子に健気に想われるなんて。

だから俺も俺なりに返事をする。

 

ハ「これからも迷惑をかけると思う。

もしかしたらまたバカなことをすると思う。

そんなときは俺のことを助けてくれ。

 

俺を好きになってくれてありがとう。

好きだ、

 

 

 

結衣」

 

 

 

 

 

どうやらここ数ヶ月で

俺の青春ラブコメはかなり正しい道に戻ったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

い「〜〜送辞とさせていただきます」

 

 

時は流れ卒業式

周りを見れば涙を流す者、笑顔で歩く者十人十色だ。

式が終わると俺は行き慣れた特別練の1つの部屋へ向かう。

 

軽く、背中に何かがぶつかる。

 

由「なんで先行くし…」

 

八「いや、一緒に行こうとか言ってないだろ」

 

由「んー?それも…そうなのか?」

 

八「…こんなやりとり1年前にもしてたな」

 

由「あはっ、確かにね!」

 

結衣がニコニコしながら俺の横を歩く。

歩くこと数分、部屋の前につく。

今日でここに来るのも本当に最後か…

こう考えると感慨深いものがあるな。

 

由「やっはろー!」

 

八「うす」

 

雪「こんにちは」

 

い「こんにちはでーす☆」

 

小「やっはろーですー!」

 

この部屋は本当に居心地が良い。

こうして居場所を見つけられたのもあの人のおかげだな。

 

そう思っていると

ガラガラっとノックもなく扉が開く。

 

平「やあ、どうだい?」

 

雪「平塚先生、ノックを…」

 

平「はは、すまんなぁ」

 

雪「結局私がいる間はしませんでしたね」

 

雪乃がジト目で先生を見る。

こいつは本当動作1つ1つが様になるな。

 

い「まあまあ〜、そんなことよりみなさんご卒業おめでとうございます!」

 

いろはが普段のあざとさを見せずしっかりと言う。

こういうところは本当にこいつのすごいところだ。

ONとOFFをしっかり切り替えられる。

 

平「私からも改めて、雪ノ下、由比ヶ浜、そして、比企谷…

卒業おめでとう」

 

雪・由・八「ありがとうございます」

 

平「あまりしんみりしちゃうのは嫌でね、

簡潔に話をしよう。

君たちは見つけられたかね?

自分たちが探し求めていた物を」

 

俺と結衣と雪乃は目を合わせる。

そして、俺は軽い深呼吸をし、言葉を発した。

 

八「はい、見つかりました。

俺たちの最後の依頼から1年、俺が求めていた『本物』を見つけることができました。

雪乃と冗談交じりの小言を言い合い、

いろはの手伝いを渋々ながらして、他愛もない会話をし、

小町とお互いもっと自分のことを話し、

 

 

 

そして、結衣と一緒に歩いている。

 

この空間が、『本物』です」

 

 

平塚先生は目尻に涙を浮かべながら、嬉しそうに俺たち3人を抱きしめた。

 

平「君たちは自慢の教え子だよ。

今後の人生、もし何かあったら私のところへ来い。

何があろうとお前達を助けてやる」

 

先生の男らしすぎる、かっこよすぎる言葉は俺たちの胸をうち、3人とも涙を浮かべる。

本当にあと10年生まれるのが早ければこの人に心底惚れたんだろうな。

 

 

平塚先生が諸用で戻ったあと、いろはが突然言った。

 

い「そうだ!写真撮りましょう!」

 

小「お!いいですね〜、

では撮りましょう!はい!3人並んで並んで!!」

 

小町といろはの連携はスムーズすぎて恐ろしい。

なにアライバなのお前ら?

 

そして、並んだ配置は俺が真ん中で椅子に座り、両隣に結衣と雪乃がいる。

あれー?この配置前にも見た気がするなー。

 

八「だからなんで七五三みたいなんだよ…」

 

立とうとしたがやはり、両隣に肩を抑えられた。

 

雪「強情よ?八幡」

 

由「ヒッキーちゃんと止まってて!」

 

い「ではいきますねー、

ハイチーズ!」

 

 

 

いろはに写真を見せてもらう。

なかなか悪くないな。

 

 

 

由「あ、そうだ!」

 

由比ヶ浜が声を上げる。

 

由「ヒッキー!はいこれ!」

 

八「これは…」

 

渡されたものは綺麗にラッピングされた普通のクッキーだ。

もう一度言おう、普通の、クッキーだ。

 

八「もしかして…」

 

由「うん!私が作ったの!

覚えてる?初めてここに来て、3人が揃った日。

あれが最初の依頼だったよね!

で、ヒッキーが言ったでしょ?

女の子からもらったら心揺れるって!

ねえ?揺れた?」

 

上目遣いで結衣が見る。

すげえ可愛い。

顔が赤くなるのがわかる。

 

八「揺れるもなにも、普段から揺らぎっぱなしだよ…」

 

い「うう…雪乃さん、この空間甘すぎです」

 

小「小町もこれは耐えられないなぁ…」

 

雪「ごめんなさい、いろはさん、小町さん、生憎ブラックコーヒーはないのよ」

 

あいつらがなにか言ってるが気にしないでおこう。

 

八「それにしても、どうしたんだ?」

 

由「んー?ほら、なんかヒッキーに渡した時ってお礼ってことだったじゃん?

だから正式に渡したかったの!」

 

本当にこいつはいいやつだな。

 

八「ありがとう結衣、すげえ嬉しいぞ」

 

結「えへへ〜、褒められた〜」

 

なんなのこの子?

ちょっと可愛すぎない?

すごく愛でてあげたい。

 

雪「いちゃいちゃするのはそこまでにして、とりあえず解散しましょ?」

 

由「あ!そうだね!」

 

雪「結衣さん、友達になってくれてありがとう。

これからもよろしくお願いしたいのだけれど、いいかしら?」

 

由「もちろんだよ!私たちずっと親友だよ!」

 

雪「それと、八幡?」

 

八「なんだよ?」

 

雪「まずはごめんなさい」

 

八「いや、まず友達になってくれとも言わせてくれないの?」

 

雪「やっぱり、あなたとの距離感はこれくらいがいいのよ」

 

可愛らしい笑みを浮かべながら雪乃は言う。

 

雪「あなたには何度も助けられたわ。

だから、今度は私が救う番よ」

 

八「まあ、その時は頼りにするぞ」

 

雪「ええ、けど」

 

八「なんだ?」

 

雪「結衣さんを泣かそうものならあなたを潰すわよ?」

 

八「さらっと怖いこと言うなよ…

大丈夫だ、そんなこと断じてないだろ」

 

雪「ふふっ、信じてるわ」

 

雪「ごめんなさいね、挨拶が長くなってしまったわ。

帰りましょう」

 

い・小・由「はーい」

 

 

八「なあ」

 

八「今までありがとな。

そしてこれからもよろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「お父さ〜ん、見て見て!クッキー作ったの!」

 

八「おお、よくできてるな」

 

?「ママに教えてもらった!」

 

八「結衣…お前…」

 

結「パパのその目はなんだし!

私だって主婦なんだから料理やお菓子くらい作れるし!」

 

八「なんだろう。クッキーを見ると、結衣と出会った日を思い出すな」

 

結「そうだね」

 

?「お父さんとママの出会い聞きたい!」

 

結「クスッ、どうする?パパ?」

 

八「まあ、教えてやってもいいだろ。

こっちおいで愛衣」

 

 




あけましておめでとうございます。
これにて今回でこのssは一区切りです。
初めての投稿で不安しかありませんでしたが予想以上に皆さんに見ていただき本当に感謝しかありません。
自分の自己満足に付き合っていただき誠にありがとうございます。
よろしければ感想お待ちしてます\(^o^)/


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