クレセント×シグニット劇場晒し (観葉植物くん.room3)
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クレセント×シグニット劇場晒し

 アズールレーンにはチャット機能が実装されており、その際、プレイヤーのアイコンは、秘書艦に選択されている艦になります。
 この機能を利用し、アイコンのキャラクターになりきって演劇を行うことを、劇場といいます。

 本作は元々別の方が書き始めたリレー劇場なのですが、その方が通報されてチャット機能を凍結されてしまったため、私が引き継いで完結(?)させました。
 前走者の方が書いた内容は、以下の通りです。

 指揮官とのデートを明日に控えたクレセント。デートに着ていく服に悩んだ彼女は、シグニットに服選びを手伝ってもらうことに。
「あんたはいいわね。こんなに胸が大きければ、何を着ても似合うでしょう」
 そう言ってクレセントはシグニットの豊満な胸を揉む。すると、シグニットは顔を真っ赤にして俯いてしまって――


「ねぇ、おねぇちゃん」

 

 シグニットが顔を俯かせたまま、不意に声を発する。

 

「おねぇちゃんって、指揮官のこと、好きなの?」

 

「はっ、えっ!? そ、そそそ、そんなことあるわけないでしょ!」

 

 突然の問い掛けに、私はしどろもどろに答える。

 

 顔に熱が集まっているのが、自分でも分かる。これでは、図星だと自白しているようなものだ。

 

「やっぱり、そうなんだ……」

 

 私の態度から察したのだろう、シグニットはそう言葉を漏らした。

 

「じゃあ、うちは?」

 

 続けて、私に問い掛ける。

 

「うちのことは、どう思ってる?」

 

 シグニットが、俯かせていた顔を上げる。

 

 私を見つめるその眼差しには、いつものおっとりしたものとはまるで違う、何か覚悟を決めたかのような、とても力強いものが宿っていた。

 

 思わず、一歩引き下がってしまう。

 

「ど、どうって、大切な妹だと思ってるに決まってるじゃない」

 

「……やっぱり、おねぇちゃんにとってうちは、ただの『妹』なんやね」

 

 一拍、間を置いて。シグニットは、口を開いた。

 

「うち、おねぇちゃんのことが好き。姉妹としてじゃなくて、恋愛対象として」

 

 私を見つめるその瞳は、真剣で、とても嘘を言っているようには見えなかった。

 

 突然のことに呆然とし、動けずにいる私に近付くと、シグニットは私の肩を掴み、そのままベッドへと押し倒した。

 

「おねぇちゃんが、指揮官のこと、本当に好きなのは知ってる。だから、おねぇちゃんの心が欲しいだなんて我が儘、言わへん」

 

 だけどな……

 

「身体は、うちのものにさせて……」

 

 いつも表情豊かで、私たちの心を明るくしてくれるシグニットの顔には、今、能面のような『無』しかなかった。

 

 だけど、その『無』の中に、悲しさや、寂しさが見えたような気がして――

 

 ――結局私は、抵抗せず、されるがままになった。

 

「おねぇちゃん……」

 

 シグニットが、私の服のボタンに指をかける。

 

 そして、私の服をはだけさせると、鎖骨に口付け、そのまま、力強く吸い付いた。

 

「んっ……」

 

 僅かな痛みに、顔がしかみ、声が漏れ出る。

 

 シグニットが顔を離すと、そこには赤い痕がついていいた。まるで、この身体はうちのものだと主張するかのように。

 

「ぺろっ、んちゅ、ん……」

 

 シグニットの熱を帯びた舌は、鎖骨から、私の右胸へと移動していく。

 

「あっ、んぅ……ひゃうっ……」

 

 その熱が肌を這う旅に、私の身体は敏感に反応し、嬌声を上げてしまう。

 

 そして、とうとう丘の頂きに到達したシグニットは、すっかり硬くなってしまった蕾を口に含み、舌で転がすようになめ回した。

 

「んんっ、それ、駄目っ……」

 

 鳴かされながらも、どこか冷静な頭で、思考する。

 

 ――ここで、止めるべきなのだろう。

 

 これ以上一線を越えてしまう前に、シグニットを突き放す。そして、以前と同じ、『ただの姉妹』に戻る。きっと、それが正しい行動だ。

 

 だけど、あの時。

 

 彼女が見せたあの『無』の表情が、頭を過る。

 

 彼女を拒絶してしまえば、大切な『なにか』が壊れてしまうような気がして。

 

 それが、私の身体から、抵抗する意志も、気力も、奪っていた。

 

 シグニットは、私の右胸の頂点を苛めながら、空いた手を使い、私の左の膨らみをさわさわと撫で回す。

 

「ねぇ、おねぇちゃん……」

 

 そして、口を乳頭から離したシグニットは、私の左胸――調度、心臓の真上の位置に手を置きながら、私に語りかけた。

 

「おねぇちゃんの心臓、凄くドキドキしてるね……」

 

 シグニットは、そっと私の手を取ると、それを自らの胸に押し付けた。同じ姉妹なのに、私とはまるで違う、豊かな乳房。

 

「うちもね、今、凄くドキドキしてる」

 

 分厚い脂肪の壁に阻まれている筈なのに、私の手の平には、確かに彼女の脈拍が伝わってきた。それは自己申告の通り、かなり早いテンポを取っていた。

 

 手慣れているのかと思いきや、シグニットも、ひどく緊張しているらしい。

 

 そこで、やっと理解できた。

 

 目の前にいるのは、いつもと違う彼女ではない。

 

 いつも通りの、何をするにも自信がなくて、人を傷付けることを嫌う、臆病で、優しい彼女なのだ。

 

「……」

 

 私は無言でシグニットの服のボタンに手を伸ばすと、手早くそれを外す。

 

 更に、ブラのホックを外して彼女の胸を露にさせると、勢いそのままに、彼女を抱き締めた。突発的な事態に対応できなかったのだろう。シグニットは、されるがままにされていた。

 

「……おねぇちゃん……?」

 

 何テンポか遅れ、やっと出てきたシグニットの声には答えず、そっと、彼女の頭を撫でる。

 

 密着した胸から、互いの鼓動が伝わり合う。

 

 最初は異なるリズムを刻んでいたそれが、徐々に同調し、一つのリズムになっていく。

 

 シグニットが不安そうにしていたときや、緊張していたとき、私はいつも、こうして彼女を落ち着けていた……流石に、裸で胸を密着させたことは無かったが。

 

 暫く、無言で彼女を抱擁した後――

 

「シグニット……」

 

 私は、そっと口を開き――

 

「私は、指揮官のことが好き……そして、あなたに、姉妹として以外の愛情を向けることはできない」

 

 ――残酷な言葉を投げ放った。

 

「……」

 

 シグニットは、なにも言わず、私の次の言葉を待っていた。

 

「あなたが私のことを諦めるのならば、私は今日あったことを全部忘れる。そうすれば、私たちは今まで通りの、ただの仲良し姉妹に戻れる」

 

「……」

 

 シグニットは、まだ、沈黙を保っていた。

 

「シグニット、あなたは……私を、諦められる?」

 

「無理、だよ……」

 

 震え声で、シグニットが答える。

 

「ずっと、ずっとおねぇちゃんのこと好きやったから……」

 

 密着しているため、私はシグニットの顔を見ることが出来なかったが、彼女がどんな顔をしているのかは、容易に想像できた。

 

「諦めるなんて、無理だよぉ……」

 

 私の肩に、ポツリと、水滴が落ちる感触がした。

 

 本当は、気付いていた。けれども、私はずっと、目を背けて、気付かないふりをしていた。

 

 シグニットが、覚悟を決めて、私に想いをつげた時点で――

 

 ――もう、『ただの姉妹』に戻ることなんて、出来なくなってしまったのだ。

 

「ごめんね、シグニット」

 

 私はそう言うと、抱擁を解く。

 

 それから、シグニットの肩に手をかけ、体重を前にかける。

 

 押し倒されたシグニットは、ポカンとした顔をしている。多分、最初に押し倒されたときの私も、こんな表情を浮かべていたのだろう。

 

「私は今から、あなたにとても酷いことをする」

 

 シグニットの目尻についた涙を、ペロリと舐め取る。

 

「おねぇちゃん、なに言って……んん!?」

 

 そして、疑問の声を発しようとして開いた彼女の唇を、私の唇で塞いだ。

 

 唇を合わせていた時間は、僅かなものだった。

 

 それでも、シグニットを黙らせるのには十分な効果があったようで、顔を離すと、彼女は声を失ったように、ただ呆然としていた。

 

「私は、あなたを突き放すことが出来ない……だけど、指揮官への恋慕を諦めることも出来ない」

 

 シグニットの頬に手を当て、彼女の目を真っ直ぐに見つめる。

 

「だから、あなたとは身体だけの関係」

 

 結局は、シグニットが最初にやろうとしていたことと同じだ。

 

 もう、『ただの姉妹』という繋がりが壊れて使えなくなってしまった2人を、心ではなく、身体で無理矢理繋げる、愚かで、間違った手段。

 

「ごめんね。私は馬鹿だから、あなたを突き放さない方法が、これしか思い付かなかった」

 

 倫理的には、ここで彼女を突き放すのが正解なのだろう。

 

 それで2人の関係が消滅してしまったとしても、いつ崩壊するかも分からない、間違った関係を続けるよりは、遥かにマシだ。

 

 けれど私は、シグニットと――大切な『妹』と離れることに、耐えられない。

 

 自分勝手な理由で、彼女の心を傷付け続ける関係を築こうとしている。

 

 だから――

 

「ごめんね、酷いおねぇちゃんで」




 あらすじにも書いたとおり、何か問題等あれば感想、メッセージで連絡してください。
 連絡に気付き次第対応します。


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