ーその転生者、滅竜魔導師ー (遊戯王を愛する者)
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プロローグ

 

 

 

 

 

その場所は数多の結晶に覆われている。

 

 

 

 

そこに7人と1人が向き合っていた。

 

だがボロボロになっているのは数が多い7人側の方である。

 

片や褐色で不気味な模様の肌をしている1人は無傷で王者の如く飄々と立っている。

 

 

 

 

「なぜ我が『竜王』と呼ばれているか」

 

 

 

無傷の男が人差し指をスッと立て、それをゆっくりと上げていく。

 

そしてこの男は言う。

 

 

 

 

「この世界で一番強いからに決まっておろう」

 

 

 

 

あまりに厚顔不遜な発言、だが実際、この男は無傷で立っている。

 

それに対し、7人はボロボロである。

 

その事実に皆、顔をしかめる。

 

 

 

ーーービシィッッーーー

 

 

 

その時、結晶の中の1つにヒビが入る。

 

その音に全員がその方向に顔を向ける。

 

それと同時に結晶が大きな音を立て、砕け散る。

 

 

砕け散った結晶の中から現れたのは7人よりもひときわひどく傷ついた男だった。

 

 

「ならよ…『竜王』、お前を倒してその称号は貰うぞ」

 

上半身は血だらけでふらついているが、足はしっかりと大地に着け、7人の側へ歩み寄る。

 

「お前たち…まだ行けそうか?」

 

そう問いかけるが、それに対する返答はーーー

 

 

粗暴な男は言う。

 

「抜かせ、誰にものを言っている」

 

紅一点の可憐な少女は言う。

 

「まだ魔力はあるので戦えますっ」

 

片目に傷がある男は言う。

 

「ユートのほうがひでぇ怪我じゃねぇか。引っ込んでろ」

 

白髪の男は言う。

 

「レクターが待っているんだ」

 

黒髪で片目が隠れている男は言う。

 

「フロッシュもな」

 

体から電気を放電し始めた男は言う。

 

「ギルドに帰る為にもあいつは倒さなきゃな」

 

最後にマフラーをしている男は言う。

 

「あいつは俺が倒すんだ!燃えてきたぜ!」

 

 

ーーーだった。

 

それを聞いた男は俯き、肩を震わせ笑い出す。

 

「くくく…上等。ならよぉ…下克上ーーー」

 

笑いを止め、真剣な顔で言う。

 

「もとい、『竜狩り』にいくとするぞっ!」

 

7人はそれに応える。

 

 

「「「「「「「おおっ!」」」」」」」

 

 

それを受け、『竜王』は呟く。

 

「面白い、ならばうぬらの言う下克上を跳ね除け、絶望を味わわせてやろう」

 

 

 

その言葉が引き金になったのか、全員が走り出す。

 

 

あるものは援護の為の魔法を発動させ、あるものは腕を鉄の剣に変え、斬撃を繰返し出していく。またあるものは息吹を吐き出そうと構える。

 

それに対し、『竜王』もただ黙って攻撃を受ける訳がなく迎撃していく。

 

そんな激闘の場から少し離れた所ではユートと呼ばれた男の両手に魔力が集まっていく。

 

そして『竜王』に向かって構えをとり、叫ぶ。

 

 

 

 

 

「おおおおおおおおおっ!滅竜魔法ーーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーこれは魔法が存在しない現実世界で命を落とし、女神の力によってーFAIRY TAILーの世界へ転生してきた男が紡ぐ物語である。




完結したFAIRY TAILが好きすぎて、投稿してしまいました。

もう1つの小説はデッキ編成の勉強不足なのと、ストーリーを見直しているので納得でき次第、そちらも投稿していく所存です。

気になる点などあれば教えていただけると嬉しいです。


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金髪の少女と『火竜』

お待たせいたしました!

プロローグだけでお気に入り21件、嬉しいです・・・21件!?

プレッシャーですが皆様を楽しませれるよう頑張ります。




 

 

 

--唐突だが、俺は転生者である。

 

 

俺は八神 遊斗だ。

 

社畜だったが、久し振りに休みが取れたので、晴天ということもあって気分転換にぶらぶらしようと思って外に出たんだ。

 

そんで交差点まできたんだけど、近くに仲が良い母娘がいたんだよ。

 

娘さんは多分4、5歳くらいか?

 

なんで分かるのかって?幼稚園で使う鞄を見たからだよ。

 

見ていて微笑ましいから眺めていたんだ。

 

でも・・・眺めていたからこそ気付いた光景だったんだ・・・。

 

母娘の向こうに見えたトラックがさ、歩道の俺たちがいる方へ向かって走ってきてるんだよ。

 

とっさに運転席見たら運転手が居眠りしてやがったんだよ・・・。

 

娘と会話していた母もトラックにやっと気付いたけど、気付くのがあまりにも遅く、轢かれる寸前だったんだわ。

 

俺はその時、何をしてたのかって?

 

・・・気付いた時にはもう走り出してて母娘をトラックの進行方向から外れるように横から突き飛ばしてたんだよ。

 

そして・・・あとは分かると思うが、母娘は助かった。

 

その代わり・・・俺は・・・。

 

・・・・・・・・。

 

・・・・・。

 

・・・。

 

 

・・・いや、この話はやめよう。

 

現在の話をしようじゃないか。

 

俺は『妖精の尻尾』でS級魔道士をやらせてもらっている。

 

今もS級依頼の帰りでハルジオンの港に来ている。

 

そこで妙な噂を耳に挟んだ。魔道士が何やら悪事を働いているらしい。

 

依頼ではないので解決する義務はない。

 

・・・が、噂の中に気になる情報があった。

 

『火竜』が船上パーティを行うと。

 

そして、その『火竜』は有名な『妖精の尻尾』の魔導士であると。

 

・・・とりあえずそいつらの目的の把握。

 

そして必要ならば殲滅だな。

 

 

 

 

 

 

情報収集の結果、どうやら噂は黒のようだ。

 

今夜に行われる船上パーティで何かが起きそうだ。

 

アイツに相談してこっそりと忍び込んでみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、船が出港してから約30分がたった。

 

・・・警備は思っていたよりザルだった。

 

おかげでスムーズに潜入できているが釈然としない気持ちだ・・・。

 

一通り船内を見回ってみたが、集められたのは若い女の子たち。

 

観察してみたところ、意識はあるようだが様子がどこか変だった。

 

アイツに確認をとってみると

 

「おそらく魔法、症状からして”魅力”・・・のようね」

 

とのことだった。

 

この後の動きを2人で考えていると近くの船室から声が聞こえた。

 

覗いてみると都合よく今回の容疑者らしき人物が集まっているようだった。

 

そしてその中に場違いと思える金髪の少女がいた。

 

複数人で押さえつけられており、そのうえ涙を浮かべていた。

 

ボスらしき男が熱された鉄を少女に押し付けようとする。

 

・・・仕方ねえ、女の子たちにかかっている魔法の解除はあいつに任せて行きますか。

 

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こうなってしまったのだろう。

 

私はただ自由になりたかっただけなのに。

 

だからこそ、あの窮屈な家を飛び出した。

 

ママの他界や屋敷の皆との別れは寂しかったがそれでも追い求めた。

 

出来る事なら魔道士ギルドに、憧れの『妖精の尾』に入りたい。

 

そう思ってた。

 

たまたま『妖精の尻尾』の魔道士、それも有名な『火竜』を名乗る人物に出会った。

 

正直に言って、いけ好かない人物だった。

 

でも、これで私も『妖精の尻尾』に入れると思ったら我慢できた。

 

しかし、それは罠だった。私に知らされたのは他国への奴隷の道。

 

悔しかった。涙が溢れた。こんな奴らに夢を汚された。

 

憧れのギルドがこんなのだったなんて。

 

信じたくない、でも・・・

 

これが『妖精の尻尾』の魔道士か!!!

 

ヤツが奴隷の烙印を押そうとしてくる。

 

ああ、もうだめなのかな。そんな考えがよぎった時だった。

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

 

 

 

 

静かに、そしてどこか力強さを感じる声が聞こえてきた。

 

相手が驚いたような顔をする。

 

私を押さえつけていた連中も同じ気持ちなのか拘束が少しゆるんだ。

 

しかし、抜け出すことはできない。

 

仕方なく私も顔だけで声の主を確認する。

 

そこに立っていたのはフード付きの服装をした男だった。

 

すると次の瞬間、いきなり彼が消えた。いや、消えたように見えた。

 

彼は一瞬で私の目の前に現れた。よく見ると私の周りにいた奴らが気絶している。

 

まさかあの一瞬で!? 全然見えなかった。

 

彼はこちらに一度視線を向けると、敵へと向き直る。

 

するとアイツも気を持ち直したのか彼に向かって話し始めた。

 

「何者だ、きみぃ? 勝手に人の船に乗っちゃダメじゃないか」

 

「そりゃ悪かったな。てっきりこの船で悪事が行われると思ったのでな」

 

「そりゃあいいがかりだ。僕はただパーティを開いただけだよ?」

 

「な、何を言ってんのよアンタ!! 奴隷船だってさっき・・・・・・」

 

「ん~? もしかしてまだ酔ってるのかな? まったくしょうがないなぁ」

 

「なっ!?」

 

思わず声が止まってしまった。なんて言い草だ。

 

しかし彼は大丈夫だというようにこちらを見てまたもやアイツに向き直る。

 

「誤魔化しは無駄だ、さっきの話は聞いていた。

 

それに使用禁止となっている”魅力”の魔法も使用しているようだし・・・。

 

他にも聞きたいことがいくつかある。おとなしくしてもらおうか」

 

「嫌だといったら?」

 

「力ずくで聞き出す」

 

「はっはっは。力ずく?・・・どうやら僕を知らないようだね。

 

僕は『妖精の尻尾』の『火竜』だよ? そこらの魔道士が勝てると思っているのかい?」

 

「『妖精の尻尾』、『火竜』ねぇ・・・」

 

男がそう呟いてると、新たな乱入者が現れた。

 

 

 

バキィッ!!!!

 

 

 

船の天井をぶち破って少し前に知り合った少年、ナツが現れた。

 

「き、気持ち悪い・・・。や、やっぱダメだ」

 

と思ったらダウンしてしまった。

 

一体どういう事なのだろうか。

 

彼がナツを一瞥したあとに上を見上げる。

 

私もつられて見てみると、穴の向こう側に青猫、ナツと一緒にいたハッピーが空を飛んでいた。

 

彼は驚いた様子もなく、ごく普通に話しかける。

 

「ようハッピー。何やってんだ?」

 

「ちょっとね。ユートこそ何やってんの?」

 

え?お互い面識あるの?

 

「仕事帰りだが噂を耳に挟んでな。・・・丁度いい。この娘を頼む」

 

「あい」

 

そんなやり取りをしてると思ったらハッピーに持ち上げられて私は空に向かった。

 

突然の事に驚くが、慌ててハッピーに伝える。

 

「ちょっと待ってハッピー!! あの2人は!?」

 

「1人しか無理。それにあの2人ならあの程度問題ないからね」

 

「なにを言って――」

 

「それより、ルーシィ」

 

「何よ!?」

 

「羽消えた」

 

「くそネコーーーー!!」

 

そして私たちは海へと落下した。

 

 

 

 

 

 

海に落ちた私は奴等に捨てられた鍵を拾って、星霊である”アクエリアス”を呼んだ。

 

私ごとだったのは不満だけどおかげで船を岸に戻せた。

 

去り際に彼氏のアピールをしてきてウザかったので文句を言おうとしたが、彼女は星霊界へと帰ってしまった。

 

言いたい事たくさんあったけど、今はそれどころではない。

 

早くナツたち、と捕まった少女達を助けに行かなきゃ!!

 

私が船内に戻った時、ほぼ全員がのろのろと立ち上がりつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おおう。やっと止まった。

 

急に船が流されだしたのには流石に少しビビったぞ。

 

「と、止まった」

 

お、ナツがやっと乗り物酔いから復活した。

 

「おーい、大丈夫かナツ?」

 

「・・・・・・何でユートがいるんだ?」

 

「今頃かよ。ハッピーにも言ったが仕事帰りに噂を耳に挟んでな」

 

「そうか。それよりアイツ――」

 

とそこへ先ほどの少女が戻ってきた。

 

・・・ナツはあっちに集中してるし、アイツ等も気にしてないようだが。

 

しょうがない、俺が対応するとしよう。

 

「おう、君、無事だったようでなによりだ。」

 

「へ? あ、はい。 て、そうじゃなくて――」

 

「悪いが・・・話は後にしてくれ」

 

ナツが飛びかかってきた雑魚2人を殴り倒した。

 

そして肩にある妖精の尻尾の紋章を見た事でアイツ等が騒ぎ出す。

 

「あの紋章!! 本物だぜボラさん!!」

 

「バカ!! その名で呼ぶな!!」

 

ボラァ?・・・少しだけ聞いたことがあるな。

 

「『紅天』のボラ。数年前に『巨人の鼻』って魔道士ギルドから追放された奴だね」

 

「聞いたことがある・・・。確か魔法で盗みを繰り返して追放されたって」

 

「ま、要するに小物ってことだ」

 

 

 

 

 

「おめェが悪党だろうが善人だろうが知った事じゃねェが、妖精の尻尾を騙るのは許さねェ」

 

「ええいっ!!!ゴチャゴチャうるせえガキだ!!!!」

 

ナツが怒りの表情でそういうが、ボラが魔法で火をぶつけ、ナツが火に包まれてしまう。

 

「ナツ!!!」

 

少女が心配そうに前に出たので、腕を横に出してそれ以上前に出ないようにする。

 

「どうして止めるの!!?」

 

「心配はいらん。あいつに火は効かないのでな」

 

 

 

 

 

「まずい」

 

 

 

 

たった一言。

 

だが静かに、その場に響き渡る。

 

 

火に包まれてよく見えないがゆっくりと立ち上がっていくのが見える。

 

「何だコレぁ。お前本当に火の魔導士か?」

 

そう言いながらモグモグと”火”を食べる・・・

 

「こんなまずい”火”は初めてだ」

 

「はあ!!?」

 

「な?言った通りだろ?」

 

「え、あ・・・そうですね。」

 

少女が呆然としてる傍ら、ナツはボラを殴って壁に穴を開けていた。

 

それを見てさらに呆然とする少女。・・・無限ループじゃないんだから。

 

「”火”を食べたり”火”で殴ったり・・本当にこれ・・・魔法なの!!?」

 

「・・・ハッピー、説明よろしく。」

 

「ユートも知ってるんだから説明すればいいのに」

 

「ナツが壊し過ぎないよう抑えにかからんといかんから任せた」

 

「あい。」

 

そしてハッピーが説明を始めるが・・・邪魔が入らんよう雑魚共には睨みを利かせておくか。

 

「おーいナツ、後で軍隊に引き渡すんだからボラ逃がすなよ。あとアイツも来てるからな。船壊しすぎるなよ?」

 

「おお、わかった」

 

そういってナツは壁に空いた穴から飛び出していった。

 

さて、俺たちも―――っと。

 

穴から出ようとしたが、衝撃から抜けた男達に行く手を阻まれた。

 

「待ちな兄ちゃん、オメェらは逃がさねえ」

 

「もうボスはヤられたんだぜ。それでもやるか?」

 

「うるせー!! このままやられっぱなしでいられるか!!」

 

「そうだ!! お前たちだけでも痛めつけてやる!!」

 

「だとさ、よろしくハッピー」

 

「あい!?」

 

「冗談だ。2人共下がってな」

 

ほっと安堵の息を吐くハッピーと少女を後ろにして奴らに向き直る。

 

「ボラ以外に魔道士はいないみたいだな。俺もさっきの奴と同じように魔法が使えるがそれでもやんのか?」

 

「いいから死んどけッ!!そんでその少女は俺たちがいただくッ!!!」

 

3人程こちらに向かってきたのでステップを刻む。

 

左側から1人が足払いをしてきたので左足で防御、ジャンプして右足のハイキックで顎に当て気絶させる。

 

「10点。工夫が足りん」

 

右側から右手で剣を振りかぶってきたので左足を高く振り上げ足裏で肘を蹴飛ばす。

 

剣を持っていた右腕を弾き飛ばされたことで硬直した男に容赦なくサマーソルトで1人目と同様に顎に当て脳震盪を起こさせる。

 

「体幹がぶれぶれ、鍛えて出直してこい」

 

残りの正面の男はこれといった内容もなく回し蹴りで壁まで蹴飛ばす。

 

「くくっ。全員、ハンデだ。魔法を使わず蹴りだけで倒してやるよ」

 

「なめんじゃねぇぞ!!」

 

「かかれー!!」

 

『うおおおおおっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

私は自分の目で見ている光景が信じられなかった。

 

壁から飛び出したナツもそうだけど、目の前の男の体術も凄い。

 

足払いを防いでからの蹴りで気絶させたと思ったら残りの2人も華麗な足捌きでの蹴りで倒していく。

 

男の勢いが止まらない。

 

体術のみで相手を倒している・・・凄い。

 

 

 

 

 

 

・・・数分後

 

 

 

「ま、魔法が使えん奴らならこんなもんか」

 

「す、すごい」

 

「相変わらず理不尽な強さしてるね」

 

あの大人数を1人で倒した彼は、倒れた奴らを積み上げた上に座っていた。

 

私も助けに入ろうとしたが、そんな隙はなかった・・・。

 

しかも、本当に魔法を使わずに蹴りのみで全員倒しちゃった。

 

「よし、ナツんとこ行くか」

 

「え、あ・・・はい」

 

 

降りるとナツとボラは一方的な展開のまま決着がついていたようだ。

 

ボラがかなりボロボロ・・・よく見ると髪が焦げている・・・。

 

男に促されるまま船を降りたけど・・・あの人何者なんだろう?

 

ナツとかなり親しげに話していたけど・・・そういえばまだ名前とか聞いてない。

 

「あの「こ・・・この騒ぎは何事かねーー!!!」・・・え?」

 

大量の鎧を着た人がこっちへ向かって走っている。

 

「うげっ、逃げんぞ!!」

 

「あいさー!!」

 

ナツが顔色を変えてるけど何やったのよアンタ。

 

「ナツ、ハッピー、俺ともう一人は軍隊に報告しなきゃならん事あるから別行動だ」

 

え? わ、私はどうすればいいんだろ?

 

皆の対応の早さに混乱してしまう私に彼が声を掛けてくる。

 

「君はどうする?」

 

「わ、私は・・・、私を『妖精の尻尾』に入れて下さい!!」

 

し、しまった。何を言ってるのよ私は!? そんな場合じゃないでしょ!?

 

しかし彼は戸惑った様子もなく笑顔で言った。

 

「そうか。ナツ、この娘を頼む!!」

 

「わかった、行くぞ!!」

 

すれ違いざまにナツに手を取られる。

 

そしてそのまま流れで走り出す。

 

走っているのは私とナツ、それとハッピーが飛んでおり彼は立ち尽くしたままだ。

 

「え!? な、なんで!?」

 

「だって俺たちのギルドに入りてーんだろ?」

 

「あい。それにユート達なら大丈夫だから気にしないで」

 

それって・・・・・・

 

「来いよ」

 

「うん!!!!」

 

 

 

 

 

---そうして妖精の尻尾へと走る少年、青猫に少女も加わった。




そのキャラの心境や状況を文章で説明するって難しいですね。

力不足です。精進せねば。

今後とも宜しくお願いいたします。

ちなみに主人公はナツと同じく滅竜魔導士ですが、乗り物酔いしないのはある魔法を使っています。

どのような魔法かはいずれ説明が入りますのでぜひお楽しみに。


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鎧の魔導士

 

 

 

 

あたしの名前はルーシィ

 

17歳の”星霊魔導士”よ

 

ある街で炎(?)の魔導士ナツと羽のあるネコ(?)のハッピーと出会ったのがきっかけで魔導士たちの集まる冒険ギルド『妖精の尻尾』に入ることができたの。

 

 

ギルドに来て最初にミラさんと出会った。ミラさんは雑誌で見るよりも凄い美人だった。

 

気がついたらギルド内で乱闘が始まっており、それに狼狽えているとマスターが現れてお説教が始まった。

 

でも次第に話が変わり、その話に引き込まれた。凄いカッコよかった。

 

その時聞いた事なんだけど、ハルジオンの件はユートという青年ともう一人が上手く収めてくれたそうだ。

 

それから現在に至るけど、そこに至るまでの内容は濃かったわ

 

行方不明になっていたマカオさんを探して吹雪の山ハコベに行ってはモンスターのバルカンと戦闘したり、カービィさんから依頼され本を盗みにエバルーの屋敷に入ったり・・・ね。

 

そういえばナツやハッピーと出会った街にいたあのフードの青年は誰なんだろう?

 

 

 

そして『妖精の尻尾』に入ってから1週間が経過した。

 

今日、彼らが帰ってくるそうだ。

 

 

 

 

 

 

ギルドの扉の前に2人組の男女が立っていた。

 

 

「やっとギルドに着いた。ハルジオンの件も思ったより時間がかかったが、まあ上々の結果か」

 

「依頼人も報告を受けて喜んでくれたしやったね、ユート」

 

「そうだな・・・入るか、ゼーラ」

 

「うん」

 

 

そして男が扉に手をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉が開いたので皆一斉に扉の方向を見た。

 

 

 

「帰ったぜ。疲れた・・・」

 

「皆、ただいま」

 

 

男女が入口で一声かけてから中に入る。

 

そこからは声を掛けてくる連中に言葉を返しながら進む。

 

「おかえりユートにゼーラ」

「ようカナ。相変わらず飲んでるね」

「まあねー。今度付き合ってよ。ゼーラもね」

「時間があったらね」

 

 

「よう、お疲れ」

「服を着ろグレイ」

「服を着なさいよグレイ」

「うおっ!?」

 

「やあ、お疲れ様。仕事はどうだった?」

「問題ねえよ、ロキ」

「私とユートが組んでるんだもの、当然よ」

「ふふ、流石だね」

 

 

「ユート、俺と勝負しろー!!」

「いいだろう」(足を払って背負投で地面に叩きつけてナツを気絶させる)

「うごッ!?」

「あははっ、ナツまたあっさり負けたねー」

 

 

 

「2人とも凄い人気なのね」

 

「それがユートとゼーラだよ」

 

ミラと話してるといつのまにか目の前にいた。

 

「む?ハルジオンで会った娘か。自己紹介といきたいが少し待っててくれ、報告を先に済ませる」

 

「は、はい」

 

「「ミラ、ただいま」」

 

「2人ともおかえりなさい」

 

その時のミラは頰が少し赤かったが素敵な笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

マスターが不在だったので俺は依頼の結果報告をミラにした。

 

今は一通りの報告が済んだので飯を作ってもらっている。

 

カウンターの椅子に腰掛けたまま、体の向きを金髪少女の方に変える。

 

「それじゃあ改めて八神遊斗・・・ユートと呼んでくれ。よろしくな」

 

「私はゼーラ。よろしく」

 

「ルーシィです。よろしくお願いします。」

 

「おう。敬語はいらないからな。それで・・・何か困ったことがあれば俺たちに言ってくれ」

 

「あ、はい・・・」

 

ちょうどいいタイミングで頼んだ物が来たのでそれに手をつける。

 

夢中で飯を頬張る俺にミラが話しかけてくる。

 

「どうユート? 美味しい?」

 

「ああ。うまいよ」

 

「それはよかった」

 

頰が赤いながらも微笑んでくるミラ。

 

「あ、前に食べた時より美味しくなってる。」

 

盛り上がってるゼーラとミラを置いといて俺は食事を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま。 ・・・・・・ふあ~、眠い」

 

飯を食ったら、睡魔が襲ってきた。

 

「大丈夫? 帰って寝る?」

 

ミラがそれに気づいて声をかけてくる。

 

「おう・・・そうだな。そうするわ。」

 

「私も疲れちゃったし帰るね。お疲れ様。またね」

 

そうしてユートとゼーラはギルドを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……」

 

 

ユート、ゼーラが帰ってきて数日後、ルーシィは依頼板の前で悩んでいた。

 

「魔法の腕輪探しに…呪われた杖の魔法解除、占星術で恋占い希望!? 火山の悪魔退治!?」

 

「気に入った仕事あったら私に言ってね。今はマスターいないから」

 

「あれ? 本当だ」

 

「定例会があるからしばらくいないのよぉ」

 

「定例会?」

 

ミラが言った聞きなれない単語にルーシィは首を傾げる。

 

「定例会って言うのは、地方のギルドマスターたちが集って定期報告をする会よ。評議会とは違うんだけど…うーん…ちょっと分かりづらいかなぁ?」

 

「リーダス、光筆貸して?」

 

「ウィ」

 

ミラが近くに居た大柄な男…リーダスから一本のペンを借り、空中に文字と図式を書き始める。そして一通り書き終えると、ルーシィに説明する。

 

 

「魔法界で一番偉いのは政府との繋がりもある評議員の10人。魔法界におけるすべての秩序を守るために存在するの。犯罪を犯した魔導士をこの機関で裁くこともできるのよ。その下にいるのがギルドマスター。評議会での決定事項などを通達したり、各地方ギルド同士の意思伝達を円滑にしたり、私たちをまとめたり。まあ、大変な仕事よねぇ」

 

 

ミラの説明を聞いたルーシィは感嘆の声を上げる。

 

「知らなかったなぁ…ギルド同士の繋がりがあったなんて」

 

「ギルド同士の連携は大切なのよ。これをおそまつにしてると…ね」

 

「黒い奴らが来るぞォォォ」

 

「ひいいいっ!!!」

 

ミラが言いかけたところで、ナツがルーシィの後ろで声色を変えて囁き、ルーシィは大声を上げて驚く。

 

「うひゃひゃひゃ!!!「ひいい」だってよ なーにビビってんだよ」

 

「もォ!!!驚かさないでよォ!!!」

 

「ビビリルーシィ略してビリィーだね」

 

「変な略称つけんなっ!!!」

 

「でも黒い奴らは本当にいるのよ。連盟に属さないギルドを闇ギルドって呼んでるの」

 

「あいつ等法律無視だからおっかねーんだ」

 

「あい」

 

「じゃあいつかアンタにもスカウト来そうね」

 

ルーシィはそう言うが、ナツはスルーして言う。

 

「つーか早く仕事選べよ」

 

「前はオイラたち勝手に決めちゃったからね。今度はルーシィの番」

 

「冗談!!!チームなんて解消に決まってるでしょう」

 

「なんで?」

 

「あい」

 

ルーシィの言葉にナツとハッピーは不思議そうに首を傾げる。

 

「だいたい金髪の女だったら誰でもよかったんでしょ!?」

 

「何言ってんだ…その通りだ」

 

「ホラーーー!!!」

 

「でもルーシィを選んだんだ。いい奴だから」

 

ニカッと笑いながらそう言うナツにルーシィは何も言えなくなる。

 

すると、今までの会話を近くで聞いていたグレイとロキが話しかけてきた。

 

「なーに、無理にチームなんか決めるこたァねぇ。聞いたぜ、大活躍だってな。きっと嫌ってほど誘いがくる」

 

「ルーシィ、僕と愛のチームを結成しないかい? 今夜二人で」

 

「ほらな」

 

「イヤ…」

 

ロキの誘いを即座に断るルーシィ。

 

「傭兵ギルド、南の狼の二人とゴリラみてーな女やっつけたんだろ? すげーや実際」

 

「そ…それ全部ナツ」

 

「テメェかこのヤロォ!!!」

 

「文句あっか! おぉ!!?」

 

ルーシィの一言で睨みあうナツとグレイ。

 

「グレイ…服」

 

「ああああっ!! また忘れたぁっ!!」

 

ミラの一言で自分が服を着ていないことに気付くグレイ。

 

「うぜぇ」

 

「今うぜぇつったか!!? クソ炎!!」

 

「超うぜぇよ変態野郎!!!」

 

そう言って今度は殴り合いの喧嘩を始める二人。その間に、ロキがルーシィを口説いていた。

 

「君って本当にきれいだよね。サングラスを通してもその美しさだ…肉眼で見たらきっと眼が潰れちゃうな……ははっ」

 

「潰せば」

 

口説いてくるロキに冷たくそう言い放つルーシィ。すると、そんなロキの目にルーシィの腰に提げられていた鍵が映る。その瞬間、ロキはルーシィと距離を取る。

 

「うおおっ!! き…君、星霊魔導士!?」

 

「?」

 

「な、なんたる運命のいたずらだ…!」

 

先ほどまでとは明らかに様子が違うロキにルーシィは首を傾げる。

 

「ごめん! 僕たち、ここまでにしよう!!!」

 

「何か始まってたのかしら……」

 

ロキは慌てて出口に向かって駆け出して行き、ルーシィは一人ぼやいた。

 

「何あれぇ」

 

「ロキは星霊魔導士が苦手なの」

 

「はぁ?」

 

「どうせ昔女の子絡みで何かあったんでしょ。」

 

ミラががロキに向かって辛辣な言葉を吐くと、ロキが慌てて戻って来た。

 

そしてそのまま喧嘩しているナツとグレイに向かって叫ぶ。

 

「ナツ! グレイ! マズイぞっ!!!」

 

「「あ?」」

 

「エルザが帰ってきた!!!!」

 

「あ"!!!?」

 

その言葉を聞いた瞬間、ナツとグレイは身体から尋常じゃない汗が吹き出す。

 

その時……

 

 

 

 

ズシィィン…

 

 

 

 

ギルドの外からそんな地響きが聞こえてきた。

 

段々と近くなる地響きながら、固唾を呑んでいるギルドメンバーたち。

 

そして…巨大な角を担いだ鎧を纏った緋色の髪の女性『エルザ・スカーレット』が現れた。

 

「今戻った。マスターはおられるか?」

 

担いでいた角をその場において尋ねるエルザ。

 

「おかえり。マスターは定例会よ」

 

「そうか……」

 

「え…エルザさん…そ、そのバカでかいの何ですかい?」

 

「ん? これか?討伐した魔物の角に地元の者が飾りを施してくれてな……綺麗だったので、ここへの土産にしようと思ってな……迷惑か?」

 

「い、いえ滅相もない!!」

 

エルザの問いに慌てたように答える。

 

「それよりお前たち。また問題ばかり起こしているようだな。マスターが許しても、私は許さんぞ」

 

そう言ってメンバーを睨むエルザ。

 

「な…なにこの人…」

 

「エルザ!! とっても強いんだ」

 

ルーシィの質問にハッピーが答える。

 

「カナ…なんという格好で飲んでいる」

 

「う…」

 

カナと呼ばれた女は酒樽を下ろしてしまう。

 

「ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸殻が落ちているぞ。」

 

ビジターと呼ばれた男は動きを止めてしまう。

 

ワカバと呼ばれた男は慌てて吸殻を纏める。

 

「ナブ…相変わらずリクエストボードの前をウロウロしているのか? 仕事をしろ」

 

ナブと呼ばれた男は体を小さくしてしまう。

 

メンバーに一通りダメだしをした後、エルザは溜め息をつく。

 

その後ろでは指摘をされた人々が意気消沈していた。

 

「まったく……世話がやけるな。今日のところは何も言わずにおいてやろう。」

 

ずいぶんいろいろと言っていたような・・・と思っていたが、心の中で思うだけにとどめたルーシィだった。

 

「風紀員か何かで・・・?」

 

「エルザです」

 

「ところで、ナツとグレイはいるか?」

 

「あい」

 

エルザに問われたハッピーは返事をする。そして同じく呼ばれたナツとグレイは……

 

「や、やぁエルザ…オ、オレたち今日も仲よし…よく…や…やってるぜぃ」

 

「あい」

 

「ナツがハッピーみたいになった!!!!」

 

先ほどとは打って変わって肩を組みながら仲の良さをアピールしていた。

 

「そうか…親友なら時には喧嘩もするだろう……しかし私はそうやって仲良くしているところを見るのが好きだぞ」

 

「あ…いや、いつも言ってっけど…親友ってわけじゃ……」

 

「あい」

 

「こんなナツ見たことないわっ!!!」

 

普段見ないナツの姿にルーシィは愕然とする。

 

「仕事先で少々やっかいな話を耳にしてしまった。本来ならマスターの判断をあおぐトコなんだが、早期解決がのぞましいと私は判断した。2人の力を貸してほしい、ついてきてくれるな」

 

「え!?」

 

「うそっ…!?」

 

「はい!?」

 

エルザの思いがけない言葉にギルドはざわつく。

 

「出発は明日だ。準備をしておけ」

 

「あ…いや…ちょっ…」

 

「行くなんて言ったかよ!!!」

 

「それと……」

 

ナツとグレイの言い分を無視して、エルザはさらに続ける。

 

「ここへ来る途中で会ったユートとゼーラにも協力を頼んでおいた」

 

「ユートとゼーラも!?」

 

「明日、マグノリアの駅で落ち合う予定だ。詳しくは移動中に話す」

 

そう言い残して、エルザは帰って行った。

 

ミラにルーシィが問い掛ける。

 

「エルザと…ナツと…グレイ…そしてユートとゼーラ…今まで想像したこともなかったけど……」

 

「?」

 

すると…ミラが小さく呟き、それに首を傾げるルーシィ。

 

「これって、『妖精の尻尾』最強チームかも…」

 

「!!!!」

 

 

 

 

その言葉に驚きのあまり、ルーシィは口を大きく開けたのだった。




ユートとゼーラ、次から本格的に動かします。

戦闘描写うまく書けるといいなぁ・・・


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