アブソリュート・デュオ ~ Lost Blaze ~ (永遠の中級者)
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一の焔
昊陵学園。
そこは一般の高校とは違い、あることを
あることとは―――戦闘技術。
比較的平和な国である日本において、戦闘技術を教えるというのはかなり異質である。
ゆえに、そこに入学しようとする者もまた異常である。
…とここだけ聞くとそう思われるが、この学園は、学費無料、食費無料、全寮制、生活費全負担という破格の好待遇な為、そこに釣られた者が多いのだろう。
何故、ここまで好待遇なのかという理由は戦闘技術を教えるという部分にある。
この学園は、ドーン機関という、なんかそっち系のそれらしいことをしている機関が関わっており、
このように表向きは学校、その実態は研究施設というものが昊陵学園である。
と言っても、
それもそうだ。どう考えても機密事項レベルである。
入学式場である講堂内で静かに始まるのを待っている少女、
星羅はその時のことを思い出す。
「―――――ッ!!」
炎を纏っているかのように、全身に尋常ではない熱が襲う。
まるで細胞の一つ一つが破壊と再生を繰り返すように、壮絶な痛みが襲う。
痛みが治まらぬうちに、
焔と壮絶な痛みが全身を襲う中、星羅は己の願いを、目的を思い出し、抗う。
(――――まだ…私は……私は…!!)
抗う意思に反応するかのように《焔》は時折《蒼焔》へと変わる。
「
《キーワード》を唱えると、《焔》は右腕に収束し、形を成していく。
焔の輝きが完全に治まると、右腕には肘まで覆うほどの装甲を持った大きな爪があった。
《
でも、これで正式な
要は、学園の
『これより、貴方達にはパートナーと決闘をして頂きますわ』
ふと、聞こえて来た言葉で、式が始まっていることに気付く。
壇上の方を見ると ゴシックドレスを身に纏った西洋人形のような少女が何かを宣言していた。
可愛い顔してるだろ?信じられるか?理事長なんだぜ。アレ。
『此より開始する伝統行事《資格の儀》は昊陵学園への入学試験ということになりますの。勝者は入学を認め、敗者は《
要は入学したければ勝ち取れと。
まさか就活戦争がこんなところにも…。就活じゃないけど。
この言葉には流石に周りも反感が生まれる。
「負けたら入学できないなんて、いくら何でもそれはあんまりじゃないですか!!」
「そ、そうだそうだ!」
「負けたやつの将来はどうなるんだよ!!」
「ふざけるな!」
だが、理事長はそんな反感を『どこにでもある入学試験』と切り捨てた。
それだけで反感の持っていた者たちの大半は静まり、続けて言葉を発すると反感があっても声を上げる者は居なくなった。
それから理事長は試験のルールを軽く説明すると、皆、試験へと渋々移った。
試験の内容はこうだ。
試験は決闘形式。
対戦相手は、現在自分の隣に座っている人。
勝利条件は、相手を戦闘不能にするか、相手が敗北宣言をした場合。
制限時間は、十分以内に決着がつかなかった場合はどちらも失格。
武器の使用制限は特になし。といっても皆
周りが次々に覚悟を決め、散らばる。
それを確認し、理事長が宣言する。
『闘いなさい、
「「「「「
その合図を皮切りにあちこちで力強い言葉が発せられ、小さな焔の輝きと共に講堂内が戦場へと変わる。
皆、身体能力が超化しているだけあって人並み外れた動きを見せる。
星羅も自分の相手を見る。
対戦相手は斧の形をした
「女子が相手は正直やり辛いけど、悪く思うなよ!」
男子は武器を構えて地面を蹴ると、一瞬で距離を詰めて来た。速い。だけど…。
振るわれるそれをバックステップで避けると、追うように右に左にと続けて振るわれる。
それをも避ける。前までなら避けることができなかっただろうが身体能力が超化されているだけあって、反応が追い付く。
「―――
一つ思ったが、この《
とはいえ両方同時と言うのは流石に無理だが。
爪と斧がぶつかりあう。
時折、近くの組に接触しそうになったりしながら、幾度となくぶつかり合う。
「貰った!」
左腕が弾かれ、斧でみねうちを叩きこまれようとするその瞬間―――
「
右手に焔が巻き起こり、
「…焔牙が二つあるなんて聞いてないぞ……っく…」
地面に倒れながらも、状況を把握できない様子の相手に《
これで勝利と判断されたようで無事、合格を貰った。
気付くと周りの視線がこちらに向いていた。
星羅はそんなことを気にせず、二つの《焔牙》を消す。
すると、視線の先で決着が着いた二つの戦いが目に入った。
一つは、縦横無尽に駆け巡る《双剣》を持った少女。
もう一つは、《楯》を携え大きな衝撃を起こした男子。
タイトルを決めている時に自分で思ったこと。
タカ クジャク、コンドル!は関係ありません。
※01/04 焔牙を変更。
棍→薙刀
ストーリーにあまり変化はなし
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