crazyなLyrical (Vergil)
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プロローグ
反省はしているが、後悔はしていない。
今日はいつも通りの変わらない『日常』だった。
大学に行き、講義を友達(幼稚園からの友達というか腐れ縁の日下部 信也)とカードゲームしながら受けて学食を食べた。
その後、『もし自分がアニメの世界に行ったら、どうする? ヒロイン全員にフラグを立ててハーレムを築くのか? それとも一途に一人を狙うのか?』という無駄に名前が長く、意味不明のアホらしいサークルに出た(友達に強制的に参加させられたんだけどな。)。
言わずとも分かると思うが、このサークルは、重度のアニメオタクと妄想癖の激しい奴と中二病患者末期の奴と現実逃避をしている奴等々様々な人たちが居る。一人一人のキャラがとてつもなく濃く、全くついていけない。
そんな所に日下部は、毎日参加している。というか、その日下部がそのサークルを立ち上げた。
まぁ、それは良い。だけど、毎回毎回俺を巻き込まないでくれ!!
後は、家に帰って家族で晩飯を食べて、妹と弟の相手をした後に寝るという予定がある。
とにかく、何時もの様にママチャリに乗って家に帰っている時だった。
突如、ズボンの右ポケットに入れてある携帯が振動したので、俺はママチャリを止めて、携帯を開くとメールが一通だけ来ていた。
差出人は不明で、読んでみと内容は大分ぶっ飛んでいた。
「何じゃこれ? 何かの迷惑メールかコレ? それにしては、大分ぶっ飛んでいる内容だがな……」
そのメールには『アナタの願いは何ですか? それを書いて、私に送信してください。さすれば、願いを叶えてアナタをアニメの世界へとお連れしましょう。これだけは守ってくださいね。願いは『一つ』だけです。それと、行くアニメの世界はランダムで決まります。さぁ、速く返信をお願いしますね。ハリーハリー(^^)/』っと顔文字付きでそう書かれてある。全くもって意味の分からないメールだ。
まさしくぶっ飛んでいる内容のメールである。
「全く意味が分からん」
俺は携帯をズボンの右ポケットに突っ込んで、家に向かってママチャリをこぎ始めた。それにしても、一体誰なんだあんな意味の分からないメールを送ってきた人物は……分る訳ないか。でも、これだけは分かるぞ。ああいうメールを送ってくる奴は、相当crazyな奴だって事だ。一応良い精神科を知っているからそこに行った方が良い様な気がするが、差出人が誰かも分からないし、ましてや、どんな人物なのかも分からない。何処に住んでいるのかもな。
出来る事なら俺にメールを送ってきた奴を精神科に連れて行きたい。
俺は雲一つない青空を見ながらため息をついた。
それから、約十分後。
俺はなぜか先ほどのメールの内容が気になって仕方が無く、近くにあった公園無いに入りママチャリを止めてベンチに座った。なぜか分からんけど、もう一回いうようだがあのメールの内容が気になって仕方が無い。ありえないかもしれないが、もしアレが本当だったら……いや、それだけは絶対にありえないが、気になる。
『ありえないことはありえない』ふとその言葉が脳裏を過ぎった。ありえないことはありえない、確かにそうかもしれないが、流石にコレはありえないだろう。俺の願いを叶えて、アニメの世界に行くなんて。二次創作じゃあるまいし、普通そういうのは神の手違いによって死んでしまい。それにより、神によって転生されるときのテンプレだろう。メールでこういうのが来るって、絶対にオフザケメールだろう。
でもあの内容がマジで、本当だったら……。
「そんな考えに至るなんて、相当俺の頭も末期なようだな」
自嘲的な笑みを浮かべた俺は、メールを打った。
『なら、俺の願いは“Devil May Cry”というゲームに出てくるキャラで、バージルが使っていた“閻魔刀”をくれ。劣化物じゃなくて、マジのをくれ。』俺はそう打って送信した。
送信し終わった俺は、ポケットに携帯を突っ込もうとした時に、携帯が振動した。
「はや!?」
無意識にそんな事を口走っていた。というか、まさか返信が来るとは思ってもみなかった為内心ビックリしているし、マジかよっていう顔をしていると思う。
俺は恐る恐るメールを開いた。そこには、
『承認しました。アナタには“Devil May Cry”のバージルが使っていた“閻魔刀”を授けます。そして、あなたの行く世界が決まりました。アナタが行く世界は《魔法少女リリカルなのはstrikers》の世界です。』
「は?」
俺の思考は一瞬にして停止した。俺はそのアニメを知っているし、身近にそのアニメの重度なファンが居る。そう、俺のダチの日下部 信也だ。少し前にアイツが異常に嵌まっているアニメがあるらしく、それを俺にも見て欲しいとの事で、家に遊びに行ったときに、まさかその日のうちにそのアニメ全話を見せられるとは思ってもいなかった。
そう言う俺だが、以外にも嵌まっていたりもする。それを知る人物は日下部 信也だけ。
「ちょっ!! うえぇいや!!!!!」
次の瞬間、携帯の液晶から強烈な光を放ち始めた。目を開けることが出来ないほどの光、俺は目を瞑り両手で顔を覆った。
光が消えると、そこに居たはずの彼の姿は無く。彼が乗っていたママチャリだけがポツンと置かれていた。
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風間 恭介の簡単なプロフィール
名前:風間 恭介(かざま きょすうけ)
性別:男
年齢:19歳
身長:180cm
体重:70㎏(鍛えている為に逞しい肉体。)
髪型:デビルメイクライ2のダンテの様な髪型。色は黒。
顔:中の上
武器兼デバイス:閻魔刀
備考:大のデビルメイクライ好きの大学一年。ダンテ、バージル、ネロのように強くなりたいが為に体を鍛え始めた。その時は高校一年。そのお陰で、逞しい体を手に入れた。現在は二日に一回はジムに通っている。
視力がそこまで良くないので、眼鏡とコンタクトは常に持ち歩いている。
家に居る時は眼鏡で過ごし、外出するときはコンタクトに代える。
腐れ縁の日下部 信也に魔法少女リリカルなのはを見せられて、意外に嵌まっていたりする。
家族構成:父、母、俺、弟、妹の五人家族。
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1.MA☆ZI☆DE☆
「さて、どうしようかな……逃げるが勝ちってな!! アバヨ、ダンゴムシ!!」
俺は今、目の前に居る一機のダンゴムシ(通称ガジェット)に背を向けてダッシュ。そんな俺を追いかけてくるダンゴムシ……ああ、何でこうなった!! 内心でそう吐き捨てながら、死に物狂いで走る。すると、何かが俺の左頬を掠り前方にあった木に穴が開いていた。
左頬からツーッと血が流れる。
「ちょっ!! マジで、冗談じゃねぇぞコレ!!」
何で、こんな事になっているのかは、時間を少し遡らなければならない。
「うん……んあ……此処、何処だ?」
光が収まり、瞼を開き顔を覆い隠していた両手をどけると、そこには……大木があった。彼の思考は一瞬だけ停止したが、すぐに作動し、辺りを見回す。
木。木。木。まさに木が三つ足されて森と言った感じの完全な森だった。
「おいおい、マジかよ。さっきまで俺は公園に居たはずだぞ。まったどうなってんだよ、マジで……」
頭を抱えるしかない。今俺が居る場所が、マジで『魔法少女リリカルなのは』の世界だったらもう笑う事しか出来ないぞ俺……冗談なしにな。非常識にも程があるが、今の俺の状況も非常識に程がある。
「アホみたいに考えても仕方ねェ。歩くか……とその前に、」
俺は何時の間にか首にかけているアミュレット手に取った。見た目からして、あのアミュレットだ。そうデビルメイクライのあのアミュレットだ。何が何だか意味が分からない。まぁ、分らない事を気にしても仕方がねぇから、歩くか。歩いて、何かしらの手掛かりを探すしかない。
はぁ~、何でこんな目に合わないといけないんだよ俺が……全くついてねぇな。
まだここが『魔法少女リリカルなのは』の世界って決まった訳じゃないしな。俺はそうだと信じたい。
それから、約二時間ほど歩いた……多分、二時間……二時間であってほしい。
さっき携帯を開いてみたんじゃけど、圏外とかテラ鬼畜。更に充電が残り10%を切っていたよ、もうオワタだ。
携帯を開いたら時間が分かるじゃんと思うが、俺の予想では、多分時間はあっていないと思う。
だから、俺は直感を信じることにした。
それまでの時間は、普通に歩くのはつまらないから何デカ知らないが首にかかってあったアミュレットを首から外して、手に取って眺めたりしていた。うん、只それだけだから直ぐに飽きた。
このアミュレットが一体何なのかは全く分かっていない。
話がガラリと変わるが小腹が空いて堪らん。腹の虫がさっきから何度も鳴っている。
そして、グゥ~っと一際大きい腹の虫が鳴った。うん、突然盛大な音鳴らすなボケ!! そう叫びながら、俺は自分の腹を押さえつけた。
その時、後ろの草むらの方からガサガサっという音が聞こえた。
普通の人なら恐怖感が先に来ると思うが、この時の俺は腹が減りすぎてストレスでマッハだったんだ。意味は分からないと思うが、雰囲気で察してくれ。
「メシーーーーー!!!!!」
俺はその草むらに向かって、ダイブをした。今になって思う……なんで俺はあんな事をしたんだろうなってな。仕方ねぇって言えば仕方が無かったんだよな……もう、まともに思考する事なんて出来る様な状態じゃ無かったからな。
ガツンと何かしらの鉄の様な硬い物に額をぶつけた。鉄の様にヒンヤリしてて、手で触るとツルツルしている。更に万遍なく触ってみると、卵型というのが分かる。丁度目の前には丸い赤いレンズが見える。そのレンズが赤く光り出していて嫌な予感がヒシヒシと伝わってくる。
「ヤバスッ!!」
俺は体を捻って、この良く分らんダンゴムシ(俺が勝手につけた名前だ。)から離れた直後。赤いレーザーが赤いレンズから発射された。それは後ろにあった大木を貫通していった。
全身から冷や汗が流れる。
それから、冒頭に至る。
「今の状況って、冗談なしにヤバイよな……誰も答えてくれるわけねえか!!」
嫌な予感がした俺は、スグに横っ飛びをした。すると、先ほどまで俺が居た場所に赤いレーザーが迸った。何かしらんが今日の俺の直感は冴えてるかもしれんな。
そして、また悪寒が背中に走った瞬間に体を前に倒した。丁度頭があった所をあの赤いレーザーが通って行った・今のはヤバかった!! マジでヤバかった。アレが当たっていたら、頭が完全にザクロ状態だ……シャレになんねぇな。
つうかよぉ、何で俺はこんな目にあってんだよ。ふざけんじゃねぇぞ!! だんだんと血が頭に上り、怒りが溜まって行く。
どうにかしてこの怒りをぶつけたい俺は、とうとう逃げる足を止めて後ろを振り向いて、ダンゴムシに向かって猛然とダッシュした。
「只のダンゴムシ風情が、人間様に刃向ってんじゃねェ!!」
超低空ドロップキックをダンゴムシのドテっ腹ぶちかましてやった。それにより体勢が不安定になったダンゴムシが大木に突っ込んでいった。
「人間様なめんじゃねぇぞ!! クソダンゴムシ!! Fuck you!!!!」
感情の行くままに、言葉を発して中指を立てた。このクソッタレ!! 俺は背を向けて歩き出した。もう関わりたくない、その一心によっての行動だった。
「こんな所にいたら、命が幾つあってもたりねぇ。さっさと移動しよう」
言葉に出して、自分に言いかける。こうでもしないと、精神がマッハでヤバイ。背を向けて一歩目を踏み出そうとした時ジワリと腹部に熱が広がるのを感じた。その部分を手で触れた。
「ハハハハハ……マジで、冗談じゃねェ……」
手は血に染まっていた。それを認識した瞬間、腹部が熱くなるのを感じた。まるで、熱した鉄を押し付けられたような熱さ……痛みより熱さの方が強い。頭がおかしくなりそうだ。両膝を地面に付いて、すぐに両手も地面に付けた。
そして、ドバっと赤黒い血を吐きだした。
意識が朦朧とする。
焦点が合わない。
視界が霞む。
ああ、マジで冗談じゃねェよ。
俺はまだ死にたくねぇよ。
やりたい事は沢山あるんだよ。
美人な嫁さん貰って、子供が二人から三人ぐらい作って平和に過ごして、息子と一緒に飲みに行くのが夢なんだよ。
こんな所で死ぬなんて……マジで……冗談じゃ……ねェ……冗談……じゃ……ね……ぇよ……。
俺の意識は落ちた。
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