最低系ちうたん魔改造物 (hotice)
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1話

ぶっちゃけ想像以上にひどい作品が出来て、自身で戦々恐々としてるゾ。
てかこれBANされないよね?いけるよね?


 俺はバイブである。一体初めから何を言ってるのか分からねーと思うが、俺はバイブなのだ。

 

 まあ簡単に言えば、そう流行りの異世界転生って奴である。女の子とイチャイチャし放題、ハーレム作り放題のあれだ。全男の夢と言っても過言ではないだろう。

 

 なので俺はバイブに転生した。

 

 これはロマンなのだ。俺の中の信条なのだ。

 女の子の一番エロイ姿は一人で自らオ○ニーに耽っている姿なのである。

 

 純粋な性欲のみの行為であり、それを自覚するが故の恥じらいと開放感。

 なんというエロスであろうか。なんという悦楽感であろうか。

 もしそれを間近で見れたならどれ程素晴らしいことか・・・・。

 

 そう、賢明な諸君ならばここまで言えばお分かりになるであろうが、その誰にも明かせない秘め事を最も自然な姿を最も近くで見れるにはどうすればいいのか。

 

 それこそが、……バイブへの転生なのである。

 

 

 

 ついに私も頭がおかしくなったのだろうか。

 

 私の頭はそんな思考で埋め尽くされる。

 

 私は長谷川千雨。麻帆良学園の中等部2年生である。

 私にはいつも気に食わないことがあった。

 簡単な事だ。この麻帆良学園はおかしいのだ。明らかに世界記録よりよっぽどでかい木、明らかに人間には不可能な動きをなんなくこなす武闘派な奴ら、明らかにロボな奴とか。

 けれど一番の異常は誰もそれを異常だと認識していないことだ。それが私には理解できなかった。

 

 いや、もしかしたらおかしいのは自分の頭ではないだろうかと何度も考えた。けれど、ネットをあさり本を読むたびに、やはり私は正しいのだと認識していた。

 それを何度も友達に訴えかけたのだ。でも彼女達は決してそれを理解できない。麻帆良なら当たり前で通してしまうのだ。

 決して性格が悪い奴らではない。もちろん不真面目だったりいつも騒がしい奴であったりはするが、それでも性根は人を傷つけたりするのを嫌うような良い奴らばかりだ。

 でもまるで何か見えない認識の膜があるかのように、自分と彼女たちはずれていた。

 

 それがひどく苦しかった。

 皆が間違っているのに、私だけが正しいはずなのに、私が変な奴呼ばわりされる謂れなんてこれっぽっちもないのに。

 

 そして何よりそんな皆を恨めなかったことが・・・・・。

 だから私は物理的な膜を作ったのだ。自分だけの世界に閉じこもることの出来る膜を。おかしい世界に染まらずに済むように。

 

 けれどある日、"それ"は現れた。

 

 「…………で、お前は何なんだ?」

 

 目の前にある"それ"に話しかける。恐らく傍から自分の姿を見たならば、同級生なんか比じゃない程の変な奴認定をするだろう。ドン引き間違いなしの光景がそこにはあった。

 

 

 

 「・・・・だから、素敵な"バイブ"ですよ?」

  

 そう言って、目の間にあるピンク色の"バイブ"は先っぽをウィーンと右に曲げる。まるで人が首を傾げるかのようにだ。

 

 だが、こいつはバイブなのだ。

 それでそいつは「うん?」といった感じで今度は左に首を傾げる。

 

 おいやめろ、首をウィンウィン左右に振るな。そういう機能を使ってんじゃねえよ。

 

 「先ほどから何度も言ってる通り、私は超高性能バイブなんですよ。

 様々な機能を備えていて、変形機能や人工知能、果ては増殖機能を備えた、ね。

 

 それで前の使用者からもういらないと捨てられたので、こうして新しく使ってくれる人を探しているんですよ。

 どうですか?お願いだから使ってくれませんか?」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・。

 

 「あ、お代だとかそういうのは必要ないですよ?

 私道具ですし、使ってくれるだけで十分ですので!それに充電も不要ですし、とってもお得なんですよ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・ほー。

 

 「それとももしかして、中古なのが気になりますか?

 安心してください!このボディはきちんと複製された物なので、新品ですよ!

 だから、ね?どうですか?」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 「おっかしいいいだろうがよおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

 

 何やら当然の如く空中に浮いていたバイブを掴んで床に叩きつける。

 が、今はどうやって空中に浮かんでいるのかは置いておく。そこに構える程の余裕はないのだ。

 そのまま何度も足で踏みつける。

 ドンドンと床がなる。下の階の奴には迷惑だろうが構わず蹴り続ける。

 とにかくこの意味不明な物体はなんなんだ!?

 

 「なんだよ!なんでだよ!なんでバイブが喋ってんだ!しかも何自分のことをセールストークしに来てるんだよ!

 馬鹿じゃねえのか!?長らく麻帆良にいたけど、まさかここまで非常識でひどい場所だと思ってなかったぞ!

 明らかに忍者なやつとかロボットな奴もいるけど、でもよりによってバイブはねぇだろ、バイブは!」

 「お、落ち着いて。そんないきなり怒らなくても……。

 あ!もしかしてあの日でムラムラしてるのかい?なら僕を使ってくれt・・・・」

 「うるせぇ!違ぇよ!何いきなり下ネタぶっこんでんだよ!

 てかするとしてもお前なんか使わねーよ、ボケ!」

 「そ、そんなひどい!……あ、そうだ。」

 

 バイブが何かつぶやいた瞬間、さっきまで電源の点いていなかったパソコンが急に立ち上がる。

 スリープモードじゃなくてきちんとシャットダウンしたはずなんだが・・・・。 

 それに本来ならばもっと起動に時間がかかるはずなのに、瞬きする程の間に完全に立ち上がっている。

 そしてデスク上に現れる大量のウィンドウ。

 まさかハッキングだとかウィルスにでもやられたのかと立ち上がる。

 この超ド級に頭おかしい物体への尋問は切実な問題だが、しかしこれまで麻帆良での生活を支えてくれた相棒を見放す訳にもいかない。

 

 それなりにPC知識はあってもガチのハッカーとやり合える自信なんてこれぽっちもないのだが、やるしかないだろう。

 そう考えていると後ろから卑猥物の声が聞こえた。

 

 「えーと、何々?ネットアイドルちうたん?結構コスプレ好きなんだね。

 勿論コスプレ程度ちょちょいのちょいだよ。どんな服装にでも、髪型にでも一瞬でなれるからね!

 最悪変身してしまえばリアルアニメキャラなんてことも出来るからね!」

 「ちょ!?おいまて、お前!」

 

 こ、こいつもしかして・・・・?

 私のパソコンの中身を・・・?

 

 「お?オカズは普通の奴が多いね?コスプレ物はあんまり好きじゃないのかな?」

 「ああいうのはクオリティーが低いから嫌いなんだよ!

 てかそれ以上パソコンの中を覗くんじゃねぇ!!」

 

 床からバイブを拾い上げて睨み付ける。

 やめろ。頼むからやめてください。そこには知られちゃいけない秘密が詰まっているのだ。

 例えバイブであろうとも知られるのは恥ずかしすぎる……。

 乙女の尊厳にかけて全力で目と拳に力を入れる。

 

 「んー、でもコスプレは好きなんでしょう?」

 「ぐっ・・・・・」

 

 バイブの冷静な一言に思わず声が漏れる。致命傷だった。

 ぶっちゃけ好きだし、こいつの言ってることにかなり興味を引かれたのは事実だった。

 どんなキャラにでもコスプレし放題。材料費とか製作時間に縛られないというのはかなり魅力ではあるのだ。

 でも、やっぱり抵抗感が消えない。

 

 「じゃあ一体何が駄目なんだい?言ってくれれば大体のことはなんとかなるよ?

 自己進化機能だって持ってるから今出来ないことも大体は出来るようになるし」

 「いや、その・・・・・。だって、・・・・・・恥ずかしいし」

 「ああ、なるほど!

 しかし心配ご無用ですよ!見つかる危険性は無いんです!

 普段は異次元空間に隠れていますし、使用中は部屋を結界で囲んで隔離しますから」

 

 バイブが胸を張りながら(?)言い放つ。

 何ドヤってやがるんだ、バイブの癖に。

 いや、まあ実際今の技術とか置き去りにした超性能だし、・・・その便利であるとは思うのだが。

 

 「でもやっぱいらねーよ」

 「な、何故!?」

 「・・・・・・だってそもそもバイブ持ってるのが恥ずかしいし」

 

 なんというかこう、持ってしまうと自身の助平さを直視した気になってしまってこっぱずかしいというか。そこまで自分はエロくないというか・・・・。

 

 おい、だから何ウィンウィン動いてんだ。やめろって言ってんだろうが。

 

 「いや~、良いですね!その恥じらいが!

 素晴らしいです!これはぜひとも使っていただきたいですね」

 「ふ、ふざけんなよ、この変態野郎が!」

 「まあバイブですからね。存在そのものがシモいので許してくださいよ。

 

 ともかく!特に恥ずかしいとかは気にしなくていいんですよ。

 どうせこの世界線の現行人類は後1年もせずに滅びますから!気にせずオ○ニーライフ過ごして終わりましょう!」

 

 「・・・・は?」

 

 ━━こうして平凡な女子中学生でしかない長谷川千雨がバイブ片手に世界を救う物語が始まるのかも知れなかった。

 



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2話

 バイブの口から衝撃的な話が飛び出て1時間が過ぎた。

 そもそもバイブが話すことが衝撃的なんだが、まあそこは気にしちゃいけない。気にするだけ無駄という奴だ。私は直ぐに察した。

 とにかくこいつからはポロポロと核爆発級の事実が飛び出してくるので、一時間前の私は処理することを諦めたのだ。そして今の私は突っ込むことを諦めた。

 

 「で、お前の話を纏めるとだな。

 まずそもそもこの世界には魔法とかそういった超常の能力を使う奴がいる。そんでそいつらは一般人にはばれない様に暮らしている」

 「うんそうだよ。特にこの麻帆良はその魔法使いの為の都市だしね」

 

 初っ端でこれである。

 そして、麻帆良の魔法使い達は一つの大きな魔法をこの麻帆良という土地にかけているのだ。

 それこそが、認識誤認の魔法。科学知識から、常識からはみ出た超常の力を見ても疑問に思わなくなる魔法。

 私はたまたまその魔法の影響を受けなかった。おかしな物をおかしいと認識することが出来てしまった。

 そのせいで私は数年間苦しむことになった。

 まあでも魔法使いを責めることも出来ない。魔法使いが十全にその力を振るうには確かに認識誤認の魔法は必要なのだろうし、魔法という力を公にするべきものでないのも理解できる。

 そうして生まれた魔法使いの多数存在する学術研究都市という価値は、とても大きいのだと素人の自分にでも分かる。実際麻帆良の技術とかは明らかに外より進んだものがあるというのは事実なのだ。

 

 しかし私の数年の悩みは一体何だったのか。

 まあ私の常識は間違っていなかったというのは一つ喜ばしいことなのだが、あまりにもあっさりと真相が分かって拍子抜けといった感じがする。

 

 これだけでもう疲れてベッドに倒れ込みたい気分なのだが、悲しいことにこれはまだ序の口なのだ。

 

 「あ、そうだ。ご主人、一つ言い忘れてたんだけど」

 「ご主人はやめろ。バイブにご主人って呼ばれるとか死にたくなるわ。

 で、言い忘れた事ってのは?」

 「いやさっき言った認識誤認の魔法なんですけどね?

 あれの効果は有り得ない物事を見ても疑問に思わないっていう効果なんですよ。だから物理法則的に起こりうると思った物事には効かないんですよね。

 

 つまり何が言いたいかっていうと、外で露出オ○ニーしたら普通に痴女扱いされるので気を付けてくださいね?するなら僕に言っていただければきちんと認識阻害の方の魔法を張らせてもr・・・」

 「しないって言ってんだろうがぁ!!!!」

 

 バイブを掴んで投げ飛ばす。勿論全力でだ。

 壁に当たって大きな音を立てるが、どうやらこの部屋は多少の物音なら外には聞こえないようになっているらしいので大丈夫だ。無駄に高度な技術が使われてるけれども、そもそもこいつが凄まじい無駄な技術の塊なのでスルーする。

 なまじ麻帆良で磨いたスルー力は伊達ではないのだ。麻帆良もこいつもいちいち気にしていたら胃が持たない。

 

 「で、でも結構人気だったんですよ?認識阻害露出オ○ニーって。

 特に普段大人しめで、家とか周囲から抑圧されてる様な子とか一回やるとそりゃあもうすんごいプレイをだね・・・・」

 「詳しく話してんじゃねーよ!やんねーからな!」

 

 こいつ女子中学生になんちゅー話を吹っ掛けてきやがる・・・・!

 やめろ、なんかそういう話を聞くと同級生の宮崎とかそういう目で見ちゃうだろ!

 

 いや、別に決して宮崎をむっつりだと思っている訳ではない。・・・・ないんだけどな?

 ただ普段大人しいのに、何かしらの一線を越えると覚醒しそうなタイプだと傍目から見て勝手に思っているだけだ。

 

 「おい、とりあえずそんなことはどうでもいいんだ。話の続きだ、続き。

 そんでもって全人類を夢に引き摺り込んで救済しようとする如何にもなラスボス野郎。未来からやってきて全世界に魔法の存在を周知させた結果世界大戦を勃発させる迷惑野郎。

 さらに国一つに匹敵する程の化け物を召喚して操ろうとするテロリスト野郎の3つが特に厄介なクソ野郎ども、と」

 「少なくとも近い世界線を何百個か観測してみたけれど、世界かあるいは日本が滅びるのは大体その3つが原因だね」

 

 バイブがさらりと溢す絶望的な言葉に、思わずため息をつきながらベッドに倒れ込む。

 本当にどうしたらいいのだろうか、これは。ただの女子中学生にどうにか出来るとは全くもって思えないのだが。

 

 「おい、お前超高性能ならなんとか出来ないのかよ」

 

 正直忌々しいが、私の希望の目はこいつしかいない。

 何やらさっきからワードだけでやばそうな能力をぽろぽろ溢してるのだ。なんとかなるのではないだろうか、いやなんとかしろ。

 そんな思いを込めてバイブを見つめると、予想外の言葉が返ってきた。

 

 「出来ますよ?」

 「何!?なら問題ないじゃねーか!」

 

 思わずベッドから起き上がる。なんだよこいつ、ビビらせやがって。

 

 けれど飄々とそいつは話し続ける。

 

 「まああなた一人を別世界に送り込んだり、ある程度の土地を完全に世界から隔離する程度なら余裕ですからねー。

 少なくともあなたの万全とオ○ニーを保証するという意味でならやり方はいくらでもあります」

 「っ・・・・・!」

 

 自身とこいつとの「なんとかなる」という状況の差に言葉を失う。

 確かに私一人ならばなんとかなるのだろう。少なくとも自分一人が逃れるだけならばハードルはぐっと下がる。

 でもそれは嫌だ。地元には大好きな家族がいる。同級生の奴だって好きではないけれど、でも死んでもいいと思うほど見殺しに出来る程嫌いじゃあない。

 それに犠牲は出来るだけ少ない方がいいだろう。私にもそれくらいの良心はある。

 

 「いや、そうじゃなくて事件の解決っていうのは出来ないのか?」

 「う~ん、そうだね。程度によるとしか言えないね。

 ぶっちゃけると僕個人でも後の二人は解決できるんですよね。二つ目は未来人のアドバンテージがあるだけで所詮個人、最後も組織の内乱でしかないからね。

 その上で僕に匹敵する程の戦闘力も持ってない。特に問題はないんです。

 

 けれど最初の奴に関してはちょっときついかなぁというのが本音です。まず単純に"造物主"っていう黒幕が強い。まあ一対一でなら勝率は2,3割ってとこなんだけど。

 でもあいつは自身で生み出した人形による勢力があるんだよね。それを考えると最終的には勝率は1割を切るだろうね」

 「1割・・・・・」 

 「まあ僕個人でならという話ですがね」

 「・・・何か味方でもいるのか?」

 「いませんけど?」 

 

 まあバイブに味方なんている訳ないわな。

 いても精々ローターとかそんなんだろうし。うん、いない方がいいな。

 そんなことになったらその内部屋が喋るあれな玩具で埋まりそうだ。発狂物である。

 

 「・・・・・で。どうしたらいいんだよ、これ」

 

 現実逃避をしても結果は変わらない。

 けれどさらに恐ろしい言葉が聞こえてくる。 

 

 「まあもし仮に勝ったとしても10年後には世界大戦は起こるんですよねぇ」

 「は・・・・?」

 「いや、さっきの"造物主"も未来人も事件を起こす原因は、火星の魔力枯渇による魔法世界の崩壊とそれによる魔法世界と現実世界の世界間大戦なんですよね。

 ぶっちゃけ二人を倒してもその辺の問題は残ったままですから。それこそ数十億人が生き残るためにどんだけ犠牲が出ても終わらない地獄の戦争の始まりです。

 終わる頃には人口が元の2割を切るくらいには世界中ぼろぼろになりますからね。残念ながら日本も巻き込まれちゃいます」

 

 余りにもな言葉に頭の中が真っ白に染まる。言葉をかみ砕こうとして、余りの苦さに吐き出したくなる。

 手が震え、目の焦点が定まらない。心臓はバクバクと音を立てて血液を送っているのに、体はドンドンと冷たくなっていく。

 

 なんだよ、それ。そんなの、本当にどうしろっていうんだよ。どうあがいても戦争は起こるのかよ!

 もはやそんなもの、どうしようもないではないか!!

 ただの一介の中学生にどうにか出来る範囲などとうに超えてしまっている。 

 

 「まあまあ落ち着いてくださいって」

 

 卑猥物の声が頭の中にスルっと入ってくる。それと同時に体が謎の光に包まれ、思考が冷静になっていく。

 これは精神を安定させる魔法だろうか。

 

 「確かにバイブでありながら、安心快適のオ○ニーライフを提供できないことはとても恥ずかしいです。

 けれども、別にどうにも出来ない訳じゃないんですよ。

 

 実はこの問題を解決できる可能性を持った人がいるんです。まあこの世界線周辺だと失敗する訳なんですが、いくつかの要点さえ越えてしまえばまず8,9割世界救えるんで」

 「ほ、本当か!?」

 「ええ。その為には千雨さんにも多少の協力をお願いせざるを得ないのが心苦しい所なんですけれど」

 「それくらい構わねえよ!

 正直ただの中学生に出来ることなんてたかが知れてるけどな。それでも世界を救えるのなら何だってやってやるさ」

 「いえいえ、結構千雨さんは重要なんですよ。

 なんたって、世界を救うその人物は今年の3学期からやってくるあなたのクラスの担任なんですから」

 「え?」

 「あ、後ちなみにその子10歳です」

 

 「・・・・・・は?」

 




ネタの少ない説明回になって申し訳ないゾ。


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3話

成人式出るのに忙しくてちょっと最後の方適当だゾ。
なので詳しいエヴァにゃんのバイブには勝てなかったよ(物理)編は後日閑話という形で投稿します。


 桜がひらひらと舞い散るのを眺める。

 春の訪れを表す花は、新しい一年の始まりを祝っていた。

 入学式の今日で千雨は中学三年生になる。元々高校へエスカレーター式の中学であるために、受験等に奔走する必要がないためにゆったりとした一年を過ごすはずであった。

 というか、今からでも過ごしたい。全てを忘れて、最近また仲良くなった友達と気楽に遊んでいたかった。

 

 でもそれは出来ない。

 世界が血と悲しみに溺れると知って、それをもしかしたら回避出来るかもしれないと知って、無視を出来る程冷たい人間には成れない。

 

 「ネギ先生か・・・・。」

 

 入学式も終わった今、クラスの担任であるネギは同級生からしっちゃかめっちゃかに可愛がられている。

 彼はこれから世界を救うための冒険をし、そして世界を変えるために人生を捧げることになる。

 

 余りにも10歳の少年に求めるにしては馬鹿馬鹿しく、またそれ以上に残酷すぎる話だ。

 出来るならばこんなことはしたくなんてない。例え彼が自身の意志で選ぶのだとしても、もっと平穏な道を歩んでほしいと思う。

 この数か月の間、ネギのことをずっと見ていたし、話してもいた。困ったことがあれば迷わずに力を貸してやったし、間違ったことをしたならネギが教師であろうと年上の立場からきちんと諭して叱ってやった。

 だからこそ分かる。あいつは確かにずば抜けた頭と、それに見合った大人びた精神をしている。

 それでもネギは少年だった。興味のあることには年相応の感情を見せるし、・・・・誰かから愛されたいと無意識に思っているのだろう。

 

 「千雨さんって意外にもかなりネギ先生に入れ込んでますよね?

 もしかしてそっち系の趣味でした?なんならちっちゃくなりますけど?」

 

 黙れ、この汚物が。さっきまでのしんみりした空気を返せ。

 異空間に潜んでいるらしいバイブに向けて思念を飛ばす。こうすれば勝手に向こうが受け取ってくれる。

 一時期はこの機能を使って、授業中ずっと呪詛を送っていたのだが全く応えていなかったのでやめた。

 

 ・・・・まあでも、確かに入れ込んでいるのは事実だった。

 ネギ・スプリングフィールドという少年の境遇を聞いてしまえば、私はこの少年に親近感を覚えざるを得なかった。

 私は心にもやもやとしたものを抱えていた。認識誤認の魔法によって私は振り回された。そうして孤立し、一人で殻に籠って生きてきた。

 

 それにネギという少年が重なって見えてしまった。魔法世界の英雄の息子という肩書に振り回され、魔族の襲撃によって村が滅び孤独になってしまったネギと、だ。

 私は周囲からの不思議なものを見る目に耐えきれなかった。孤独の寂しさをネットで埋め合わせていた。

 一体ネギはどれ程の苦しさの中で生きているのだろうか。周囲からの無自覚な期待の目、愛する家族もおらず共に育った村を失った孤独。

 それでも彼は折れずに真っすぐ生きているのが私には眩しくて、そして悲しかった。

 

 

 けれど、()()()()()()()()()()()()()()()()

 そもそも造物主を倒せる可能性があるのは、バイブとネギ、そしてなんか凄いらしい同級生のエヴァの三人(正しくは2人と汚物が一つだ)しかいない。

 そして火星の魔力枯渇問題を解決できるのはネギたった一人のみだろう。勿論解決するための方法はバイブから教えてもらった。

 けれど、その上でそれが解決につながると理解してなお、自分では実現出来る気がしなかった。恐らくネギにしかこの手段は取れない。

 

 やることは単純、火星のテラフォーミングだ。魔力が枯渇するならば、魔力を生み出せばいい。それだけの話だ。

 しかし・・・、しかし、だ。ほんとに何も計画もない状態で10年以内にある程度の目標を達成しないといけないのだ。

 

 無理だ。自分には、いや世界中を探してもそんなことを出来る奴なんていやしない。

 そのために魔法技術を公開して大幅な技術アップを図り、委員長から全面的な支援を受けたとしてもまるで希望が見えない。

 そもそも10年というタイムリミットが無かろうと、だ。資源採集が出来る程の実用的な宇宙開発技術と現代の科学技術に合わせれば分野によっては世紀単位で進めることのできる魔法技術、この二つの利権は莫大なんて物じゃない。各国はなんとしてでも有利な地位に付こうと争うことになるだろう。

 冗談抜きにこの二つの分野でリードを取れればそれだけで今後数十年、数世紀は超大国として君臨出来る。

 何せまさしく現代からSFへの時代へと踏み込むのだから。

 

 けれど火星を救うには世界中を巻き込んだ挙句に、戦争を起こさずに収めなければならない。そうでなければ10年というタイムリミットに間に合わず魔法世界が崩壊してしまう。

 全くもってなんて冗談だ。これぽっちも出来る気がしない。仮に歴史上の名君、賢君と呼ばれる偉人だったとしても無理だろう。

 

 でも、しかしネギならば出来るのだ。魔法世界からの全面的な支持を得られ、世界でもトップクラスの頭であらゆる分野の最先端の研究を統括できるネギならば。

 地球側は魔法後進国のため下手に出るを得ず、また生き残るために必死な魔法世界のごり押しがあればネギがトップに立てるだろう。そうしてトップに立ってしまえばその圧倒的な頭脳を持って、反論をねじ伏せる。

 そんなことが出来るのは、世界を救えるのはネギたった一人しかいない。

 

 こんな小さな少年に一体どれだけの責任と期待を負わせねばならないのか。

 だからこそ、出来る限りネギの傍にいて支えてやりたいと思う。

 少しでもその小さな肩に背負うことになる重みを減らしてやりたいと千雨は思う。

 けれど世界は止まらない。吸血鬼は桜吹雪へと紛れ込んだ。破滅への道は進み、そしてそれを阻止する彼の英雄譚は始まってしまった。

 

 

 「おい、千雨。まず先週辺りから生徒を何人か襲って、それを止めに来たネギ坊に退治された。

 それでこの後は、適当な理由を付けてネギを弟子にする。

 これでいいんだな?」

 「ああ、私も詳しい話は知らないからあれなんだが、多分それで大丈夫だ。

 なんなら"あいつ"に聞こうか?」

 「・・・やめろ」

 

 眉間にしわが寄るのが分かる。苦い思い出が蘇る。

 結果としては、()()だけは良かったのだ、あの出会いは。

 強制登校の呪いだって解けたし、ナギが生存していた事だって知れた。私を吸血鬼に変えた犯人である"造物主"のことも知れたし、倒すための手助けまで受けれる。

 恐らく情報が無ければまず敗北していたし、情報を聞いた後でもあいつによる対策がなければ勝率は低いと言わざるを得ないだろう。 それに造物主を倒せばナギまで帰ってくるのだ。

 

 本当に、本っ当に結果だけは最上なのだ。

 それこそこの事への対価がネギ坊に修行を付ける事とネギ坊の命に係わる危険が訪れた場合に助ける事。この二つだけでは全く足りぬほどに、恩義を感じてさえいるのだ。

 

 

 

 そう!よりによって協力相手がバイブでさえ無ければ!!!!

 

 

 長谷川千雨が私の家にやって来たのは2か月前のことだった。

 彼女が茶々丸を通して伝えた一言によって私は千雨を招かざるを得なかった。

 

 「ナギ・スプリングフィールドはまだ生きている。そして彼を救うのにあなたの力が必要となるので手を貸してほしい」と。

 

 正直に言えば非常に怪しかった。証拠もなく、また認識誤認の魔法をレジストしただけの女子中学生にはとうてい入手不可能な情報。

 しかし罠にしてはあまりにも杜撰で直球的すぎる。

 どう取り扱うべきなのかが全く分からない。

 

 結局私は判断しかねた結果、向こうの思惑通りに家へと招いた。

 どうあがこうとも長谷川千雨という少女は、ただの小娘でしかなかったからだ。例え封印された身であろうと茶々丸をどうにかは出来ない。何か策があろうとも家にはそれなりの対策も施してある。

 

 けれどこの面会は本当に欠片も予想していなかった方向へと進んだ。

 

 何故なら千雨の奴は、初めの初めから会話による理解を得ることを諦めていやがった!

 確かにいきなりこの情報源は全てバイブから得たものだなんて言われたならば、恐らく私は怒り狂っていただろう。

 いや、もしかしたらついに認識誤認の魔法で頭が少しおかしくなって未知の能力にでも目覚めたのかと哀れみ8割興味2割で研究材料にしながら治療しようとしただろうか。

 

 そうして会話を諦めた千雨の取った行動はとりあえずバイブの実力を見せる事だった。

 効果的だな。いやもう本当に効果的だよ。まさしく百聞は一見に如かずだな。

 でもな?ノリノリで魔法球に入って、かっこいい口上とか述べたりしたんだぞ?

 

 「ククク、長谷川千雨といったか。もしかしてお前封印された姿の私を見て少しでも全力の私に勝機があるとでも思ったのか?

 あれ程かよわい少女なら自分でも勝てると?甘い!甘いぞ!

 私は夜を統べる吸血鬼!人が戦う相手ではない!人という種が、人類そのものが戦うべき最強の個なのだ!

 さあ!全力を尽くし、その果てに倒れるがいい!」

 

 とか、こうね?めちゃくちゃ頑張ったんだぞ?

 中学生を15年もやってきたから威厳出そうと頑張ったんだぞ? 

 

 そこで、こうバーンとバイブを出された私の気持ちを考えたことあるか?

 バイブだぞ?バイブ。

 何でジャンプの王道バトルみたいな雰囲気からやっすいエロゲーRPG物になってるんだ?

 まあお前も顔真っ赤にしてたしな?かなり恥ずかしい思いしたのは分かるぞ?

 けれど、それでも対戦相手がバイブってお前・・・。600年を生きる吸血鬼の相手にバイブを構える女子中学生ってお前さ。

 

 しかも、あいつ強いんだよおおおおおおおおおおお!

 

 なんだよ!永遠なる氷河食らわせてやったら氷そのものを時間凍結でさらに凍らせるって!

 無茶苦茶にも程があるわ!出力は高くないから力量にしては火力、範囲共にかなり狭いみたいけど、あいつの能力はもはや魔法の域を超えてるぞ!

 どう考えても概念に影響を及ぼしてやがる!

 

 他にも魔法球の中の光を全て太陽光に変えてきやがったり・・・。

 駄目だろ。私真祖だから多少の耐性はあるけどあれなんか神性とか混じってない?

 焼けたんだけど、もうジュッって感じで灰になったんだけど?

 こう魔の物の存在など許さないとか、そういう雰囲気のやばげな光だったんだけど?

 なんかその後も時間操作とかでさらっと元に戻しやがったし。

 

 さらには闇の魔法で魔法融合したら空間切断までしやがって。

 そら魔法になって個体から形を変えても、存在してる空間そのものを切り裂かれたら分断されるんだけどさ・・・・。

 ほんとに何でもありかお前は。

 

 そんなこんなで私の切り札全部瞬殺されたんだけど?

 600年の積み重ねを、研鑽を全てバイブに粉砕されたんだけど?

 てか駄目だろ?なんでそんな強いの?

 バイブだろ?お前には股の間に突っ込まれてウィンウィン動く機能だけでいいんじゃないの?

 そんな機能を搭載して誰を満足させようとしてるんだ?

 

 私の孤高にして絶対、美しき夜のカリスマ支配者のイメージがこいつのせいでボロボロだ・・・・。

 さすがの私でもバイブにここまでコテンパンにされたら恥も外聞もなく大号泣したぞ?

 私に勝つのはナギだけじゃないと駄目なんだぞ・・・・。それをお前バイブなんかが・・・・。

 

 「うっ・・・。思い出すとまた涙が・・・・。

 バイブに負ける吸血鬼、バイブに負け・・・・グスッ」

 

 今度千雨の奴を誘って自宅で飲むか・・・。あいつも命令されれば家で大人しくしてるだろうし。

 




ちうたんの心象描写頑張ったのでこれで思う存分お姉さんデレデレちうたんが書ける!てか頑張りすぎて今回もネタが少なくなってしまったゾ、申し訳ない。
でももう長文書く必要のある要素はないからこっからネタまみれになります。


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4話

なんか筆が進んだので結構遅くなっちゃった。ゆるし亭ゆるし亭。


 「さあ皆さん!今日は修学旅行ですよ!」

 

 ネギが嬉しそうに大声を張り上げた。同時にクラスから歓声が爆発する。

 事前に千雨は耳を塞いでいたが、それでもなお耳の奥まで響くほどであった。

 

 まあなんだかんだ言っても千雨自身かなり今回の修学旅行は楽しみにしていたのだが。

 魔法という存在を認識してから、千雨は不機嫌オーラを失くして徐々に友達と関わるようになった。また、ネギの世話を焼いている間にネギからも慕われてしまい、結局そのせいで(おかげか?)クラスメイトからも話しかけられるようにもなったのだ。

 なんだかんだ今の学園生活を楽しく過ごしているのは事実だった。修学旅行だって楽しくなるであろう。

 

 ニコニコと笑っているネギに向けてちょいちょいと手招きしてやると、不思議そうな顔をしてこちらにやってくる。

 

 「どうしたんですか?千雨さん?」

 「なあ、ネギ。修学旅行中は教師としてあんまり気張らずに素直に楽しめよ」

 「え!?いやでも、そんなことは出来ないですよ」

 「うるせえ、私たちの方が年上なんだよ。ガキが気にしてんじゃねーよ」

 

 そう言ってネギの頭をくしゃくしゃに撫でてやる。最初は恥ずかしがっていたのだけれど、今は結構素直に撫でられたままでいる様になった。

 実は結構ネギの髪の毛はサラサラなので撫でるのが楽しかったりする(羨ましい話だが)。ネギも嬉しそうな雰囲気をしてるし嫌がってる訳ではないのだろう。

 まあ私がよくネギの頭を撫でるせいで、クラスメイト皆からも頭を撫でられるようになってしまって教師の威厳とやらに悩んではいたが。ガキに威厳なんか必要ねーだろ。

 

 「それにお前結構京都旅行楽しみにしてたんだろ?」

 「うっ・・・・。確かにそうですけど・・・・」

 「お前な、京都の旅行パンフレットどんだけ拾って来たと思ってんだよ・・・・。

 それで自分の行きたい場所をさも定番お勧めスポットのように紹介してんのもバレバレだぞ。今更だ、今更」

 「あはははは、バレてましたか・・・・。そうですね、実は結構お寺参りとか楽しみだったんです」

 「どうせお前のことだから一応全部予定立ててあるんだろ?

 ネギが行きたいって言えば反対する奴なんていねーんだからお前の好きなようにやれよ」

 「で、でも!皆さん行きたい所とか!」

 

 ネギが反論の声を上げた。なんでちょっと強めに頭を撫でてやる。頭が揺れて慌てているが無視して撫で続ける。

 暫くすると観念したのか、素直に班員たちにお願いし始めた。もちろん結果は秒速でOKだったが。

 

 でもこうしてネギが自発的ではなくとも我が儘を言うようになったのは嬉しい事だった。

 最初は中々の頑固者でそういう面を見せまいと必死だったのだが、最近はようやく素直に表すようになってきた。

 ガキらしくない振る舞いにムカついて構い倒した結果向こうがついに折れたのだ。

 何せネギが子供っぽい面を見せたくないのは恐らく自分自身にだからだ。それが近くにいる大人にならば、あるいは同じ年頃の子供なら問題ないのだろう。

 でも自分は駄目だ。「子供でいたくない」ではなくて、「いちゃいけない」なんて悲しすぎる。

 

 「えっと、その千雨さんありがとうございます・・・」

 

 ネギからお願いされた委員長が舞い上がった結果、またもやネギがもみくちゃにされていたのだがどうやら抜け出して来たようだった。

 

 「こんくらい気にすんなよ。それより旅行楽しもうな」

 「はい!」

 

 

 「うわわ!千雨さんひどいですよ!せっかく1位だったのに!」

 「うるせえ、勝負に情けはかけられねぇんだよ」

 

 そう例え年下であろうとも私はゲームであるのならば情け容赦はしない。

 ジャンプ台から飛び出そうとするネギに向かってうまく赤甲羅をぶつけてやる。こうすれば速度を失ってジャンプ出来ずに谷に落ちて大幅なロスになる。

 

 まあ大体わかるかも知れないが私たちは今京都に向かう新幹線の中でゲームをしているところだった。

 ネギもこの半年でそれなりにゲームを教え込んだけど、それでももう同い年の子供では手も足も出ない程に上手くなっている。

 けれど勝つのは私なのだ。他の何で負けてもいいが、ネットとゲームは私の本領。ここだけは負けるわけにはいかない。 

 

 「千雨ちゃんやっぱゲームうまいわねー。私とかふるぼっこよ、ふるぼっこ」

 「いや、明日菜はプレイングが雑いんだよ。何も考えずに直感だけでプレイしてるだろ」

 「え?ゲームなんてそんな物じゃないの?なんで勉強以外で頭使わないといけないのよ」

 「なんや?まるで明日菜が勉強では頭使ってるような言い方やなー?」

 

 木乃香の一言に周りで(大体はネギの)プレイングを見ていた奴らが一斉に噴き出した。

 笑われた明日菜自身も名誉あるバカレンジャーのリーダー、バカレッドと言われる所以の自覚はあるようで歯噛みしたまま何も言えないようであった。

 それもそれで笑われているのだが、勉強していない明日菜が悪いからな。

 

 そうして楽しく新幹線の旅を過ごしていると、いきなりネギの雰囲気が切り替わる。

 バイブからの情報でネギは京都に親書を渡しに行くのだが、それを妨害する奴らがいるのは聞いている。ついでに木乃香の奴をさらって、化け物を召喚しようとしていることも。まあ仮に召喚されても今回は完全復活したエヴァがいるから大丈夫らしいが。

 

 恐らくはそいつらによる妨害なのだろう。

 今見たところ、武闘派達も何やら感づいて警戒態勢に入っているし。

 私も心構えだけはしてエヴァの近くに避難する。どうやら15年間ずっと行けなかった修学旅行がそれなりに楽しみだったらしく機嫌がいいので、多分守ってもらえるだろう。

 

 え?ネギの傍にいないのかだと?

 うるせえ!私の貧弱さをなめるな!そういうのは明日菜とかの役目なんだよ!

 それに最終決戦では明日菜がいた方が便利らしいので、なるべくネギと明日菜の二人に経験を積ませるべきだそうな。なのでこれは正当性のある行為だ。

 

 すると車両の後ろの方から悲鳴が聞こえてきた。

 何が起こったのか振りむくとそこは地獄絵図だった。

 地面から()()が生えてきているのだ!うねうねとしたピンク色のそれがクラスメイトに襲い掛かっている。

 おい、駄目だろ!もうそういう方面はバイブだけで十分なんだよ!これ以上増えんじゃねぇぞ!?

 

 バイブ、早くこいつなんとかしろよ!お前のライバルだぞ!同業者だぞ!

 

 「もうやってるので大丈夫ですよー。後はクラスメイトの皆さんが片付けてくれますからー」

 

 頭の中に声が響く。それと同時に触手の動きが止まった。

 ひどい有様だった。R15くらいは行きそうな状況だ。ちらりとネギを見ると顔を真っ赤にして目を覆っている。

 その間に、怒り狂った武闘派達によって触手は踏みにじり、引きちぎり、擦りつぶされていた。てか動きが止まるまで明日菜とエヴァの周囲以外は武闘派も例外なく触手にねちょねちょにされていたのだが、少し強すぎないか?なんでそういうとこ自重しないの?

 幸い触手が破壊されれば、ねちょねちょも消えたのだが。

 しかし、あれか?魔法使いには変態しかいないのか?

 

 それにエヴァも横で大きな溜息をついていた。どうやってかは知らないが触手を退けてくれたのは有難かった。

 けれど彼女はとても疲れたような顔をしている。体力的にはかなり余裕そうではあるんだが。

 

 

 そして、それからもネギの親書を狙った相手の妨害は続いた。

 しかし!どれもこれもエロいトラップばかりなのだ!ふざけんなよ!

 清水寺では滝が弱い魔法薬(それも媚薬に)変わっていたり!きちんとネギが解除したから良いものの、ちょっとムラって来ただろうが!お前これでのどかとか後夕映の奴が目覚めたらどうすんだよ!

 特に夕映!こいつ結構やべーやつなんだからな!あのバイブが自信満々にかなりのむっつりスケベ認定した程なんだからな!

 

 他にも落とし穴に服が脱げる系のスライムを配置したりしやがったり・・・。

 なぜかご丁寧にスライムを叩き潰せば、元々着ていたものは帰って来たのだが。

 もうほんとに駄目だろ!これ以上はR18になってしまう!

 そして夕映が本当に目覚めてしまいそうになってんだろうが!結構スライム辺りで怪しげな顔とか目とかしてたぞ!

 

 止めねばならないだろう・・・・。例えバイブアタックを仕掛ける羽目になったとしてもだ。

 特に夕映の為に。

 

 

 

 ざり、ざりと砂利を踏む音が響く。奇襲を仕掛ける側として音を鳴らすなんていうのは馬鹿極まりないだろう。

 何せ敵の隠れ家は山奥深く、人などおらず物音などまず聞こえないのだから。

 私の足音はよく響くことだろう。

 

 でもそれで構わない。というかそもそも足音を消して歩くことなんて私には出来ない。

 全てバイブ頼みだ。・・・・バイブ頼みって我ながらひでぇ言葉だな。

 

 「おっとそこで止まってもらおうか」

 

 声が掛けられた。ぶっちゃけどこにいるのかも分からない。

 けれど向こう側からうっすらと3つほど人影が見えてくる。

 女が2人に、ネギと同い年程度の子供が一人。バイブからの情報によればこいつらが犯人で違いないのだろう。

 

 この変態達は私がここで止めなければならないのだ。

 

 「それで何の用・・・ていうのは無粋やねぇ。

 ここに来る理由なんかそら一つしかあれへんやろし・・・・。

 ただ一つ聞かせてほしいんやけども、道中私らの魔法を妨害してたのってもしかしてあんさん?」

 

 真ん中の彼女が鋭い眼光でこちらを睨んでくる。

 恐らくはこいつが変態魔法を使っていたのだろうか。すごい殺気を感じる。

 基本どの魔法もバイブに頼んで止めさせてもらった。当たり前だ。

 ていうかそんな事で殺気を向けるなよ。

 

 「ああ、そうだぜ。

 そんでもって悪いが一瞬で終わらせてもらうぜ、来い!」

 

 ぶっちゃけバイブを出すのはとても、とっても!恥ずかしいのだが、私の戦闘力はクソ雑魚ナメクジなので頼らざるを得ない。

 頼りのエヴァはフェイトとネギ&明日菜のバトルを見守りに行ってもらっている。

 

 そうして私の言葉に反応してどこからともなくバイブが手に現れれる。月夜に照らされて、怪しい光を放っていた。

 ほんとこれでバイブでなければかっこいいのだがぁ。

 

 

 「っへ、変態ぃ!!!」

 

 左側に立っていた女から罵倒が飛んでくる。

 正常な反応だな・・・・・。

 

 ・・・・・・・・・。

 

 やめろおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!

 ほんとにやめてください!お願いします!私だって思ってるよ!!!!

 今この姿が完全にやばい奴だって!でも顔真っ赤にして言われるとほんとにメンタルが軋むんだよ!

 

 「変態!変態!この、変態!

 私だって人を切るのが好きですけど、でもさすがにそれはないでしょう!?

 このドスケベ女!」

 

 ぐふっ、ガハッ、ゲボォ・・・・。

 ふー、ふー、うっ!あがぁ!!

 だ、駄目だ。足から力が抜ける・・・。立っていられない・・・。

 人切りから変態認定されるのはさすがに辛いぜ・・・。

 恐らく今ならちうたんがクラスメイトにばれても涼しい顔で流せる自信がある。

 

 くそぅ・・。本当ならこんなことはしたくなかったんだ・・・。

 前から何度も何度もバイブ以外の姿に変身できないのか聞いたのだが、出来るけど絶対にしないと言われたのだ。それはもう激しい拒絶だった。勿論こっちも数か月粘ったのだが一向に頷きやがらなかった。そこになんで拘るのだ、もっと他に拘るところとかあるだろうがこのアホがあああああぁぁぁ!

 

 見ろよ!3人ともどん引きしてるだろうが!

 そんな目で私を見ないでくれ!私は変態じゃあないんだ!

 

 てか真ん中の野郎!てめーにそんな目で見られる覚えはねーぞ!

 お前だって変態魔法使ってやがる癖によぉ!!!

 

 

 「そ、それに私たちの魔法に干渉して、全部あんなエッチな物に変えて!

 ほんとに!この!変態!」

 

 ・・・・・・・・ん?

 

 「なんですか!あの触手は!?あんなので毎日オナッ・・・・////。

 そのえ、エッチなことしてるんでしょう!?その挙句クラスメイトまで巻き込むなんて!

 この、変態!」

 

 

 ・・・・・・・・・・んん??

 ・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・おい、クソバイブ。

 

 「はい?何でしょう」

 「正直に答えろよ。

 お前電車の中での妨害にどんな風に干渉した?」

 「彼女たちがですね、カエルの式神で混乱させた隙に親書を盗もうとしたので、ジャックして拘束型の式神に変えて無力化、並びに突入してきたときに確保できるようにしました」

 

 ほほー。次。

 清水寺の件については?

 

 「清水寺では滝がお酒に変えられているようでしたので、人体に悪影響を及ぼさないようにアルコールを分解して悪影響のない成分のものに変えました」

 

 ふーん。で、最後。

 落とし穴については?

 

 「これはもう単純に落とし穴で怪我をされないようにクッションを敷かせていただきました」

 

 はー。なるほどなー。

 えらいなー。おかげでこいつらのたくらみはぜんぶしっぱいだー!

 

 ・・・・・・・・・・なわけあるかあ!!!

 全部お前のせいじゃねえかあよおおおおおお!!!

 

 この人達普通の悪人(?)じゃねーか!普通に悪い事しかしてねーじゃん!

 そらそうだ!変態の一言だって言いたくなるわ!!

 まじでふざけんなよ、お前!お前のせいでこんなとこまで来て戦う羽目になってんだぞ!

 まだそっちはいい!私が戦うわけじゃないし。

 

 ただなぁ!お前な!これで夕映の奴が目覚めたらどうしてくれんだてめぇ!?

 

 あ?その時は責任をとってバイブ業に専念させていただく?

 ふざけんな!そっちの道にこれ以上夕映を引き摺り込むな!足の先くらいは沼に嵌り始めてんだよ!

 てか、てめぇ絶対に故意的にやってるだろうが!

 お前その内豚のケツに突っ込むぞ、この野郎!

 

 「すいませんでした!それだけは許してください!

 僕は女の子にしか使われたくないんです!」

 

 うわ、ひっで。

 

 てか今分かったぞ。エヴァの溜息はこれが理由か!あいつ気付いた上でまだマシな方に逃げやがった!

 通りでフェイトとかいうやつとネギを上手くぶつけて見守るなんて面倒くさい真似を進んでやったんだな! 

 

 くっそ、私も帰りてぇ・・・。

 おいバイブ、なんとかしろよ・・・。もうやだ・・・。

 

 

 ━━こうして天ヶ崎の野望は潰えたのだった。



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5話

 色々とあった様な無かったような修学旅行も後半は楽しく過ごすことが出来た。

 ネギとフェイトは良い感じにエヴァが助けに入ったらしい。ただバイブ曰く想像以上にネギの奴強くなってるとのこと。

 やっぱあいつ才能はすごいよなぁ。 

 後は何やらバイブが暗躍して、桜咲が白翼の鳥人ハーフらしいことを暴露していた。何やらこうお家騒動とか白翼へのコンプレックスとかあったらしいんだけど、なんかこう木乃香と良い感じに終わった。分かりやすく言うとほとんど皆蚊帳の外だった。

 結局終わってから分かったのは、なんか二人が百合っぽいということだけだった。てかバイブ、お前偶には良い事するのな。正直今回の仕事はグッジョブと言わざるを得なかった。

 

 また大いに修学旅行を楽しんでいたらしいネギは、途中でお父さんの別荘とやらに寄ったらしい。木乃香の実家はすごい魔法使い達の拠点らしいので私は行ってないのだが、行ってきた後は珍しくネギが満面の笑みでニコニコしていた。かなり嬉しかったのだろう。

 ただ実際に父親にあったのは一回だけらしいのに、これほどまでに拘るのは少し思うところがあるが・・・。

 まるでネギには、偉大な父親の跡を継がねばならないという強迫観念を持っているかのようだった。いや、多分持っているんだろうなぁ。

 バイブに確認したが、恐らくは間違いないとの事。

 

 腹が立つ。腹の虫が治まらない。多分ここまでブチ切れたのはそうそうない程に私は苛立っていた。

 確かにスポーツ等その道で有名だった父親を持つ息子が、それにプレッシャーだとか責任感を感じて苦しく思うことなぞよくある話だ。憧れるから、そして何より期待されているのを感じるからこそ苦しんでしまう。

 まあある意味これは仕方のない事であるのだろう。

 

 だけど!なんでネギの周りの大人が皆揃いも揃って、それを諫めてやらねーんだよ!

 聞いた話だとあいつはずっと無意識とはいえ、父親の跡を継ぐことをずっと期待されていたらしい。父親にも劣らない魔法の才能を持って、性格も良好。自身も父親の跡を継ぎたいと思っているのだからつい期待してしまうのだろう。

 でもな、お前らがそうやってネギを見ているのをあいつはうすうすとでも感じ取ってんだよ!

 ガキだと思ってんのか!?あいつはその辺を察することが出来る程には機微に聡いやつなんだよ! 

 どうして一人でもいいからあいつにお前はお前でいいんだよって声をかけてやらないんだ・・・・。どうして皆ネギが心に抱えてる孤独を察してやれないんだよ・・・。

 だからいつか私がズバッと言ってやらないとな。それで少しでもネギが安心してくれるといいのだが。

 

 

 他にもいいんちょに南の島へも連れて行ってもらった!まあ正しくは付いていったのだが、それでも全額負担してくれるいいんちょほんといいやつだな。

 自他ともに認めるインドア派の私だが、しかし心配ご無用。何故なら今回は秘密兵器バイブえもんがいるからな。

 例えば日焼けしてない色白な肌は日光に晒されればすぐに日焼けを起こすだろう。けれどバイブえもんのUVカット魔法さえあれば御覧の通り、日焼け止めなど無しにいくら浴びても問題なし!

 それになんとバイブ丸君。彼の美容魔法を1日1回受けるだけで本当に最高の状態へと仕上げてくれるのだ。

 そこらのセレブがやってるエステだとかそういった物を鼻で笑えるほどに、効果的で簡単なのだ。肌はぷるっぷる、髪はさらさらで余分な脂肪が腕や足、腹にも一切つかない!

 これがなんと奥さん!無料で、それにほんとに瞬きする程の間に終わるんですよ!

 (ちなみに胸もちょっと大きくしてもらった。いいぞ。お前ほんと優秀だな、大好き)

 元々顔もスタイルも平均よりちょい上くらいにいるとは思うのだ。こういいんちょとかまき絵みたいな別格のがいるだけで。

 そう!そしてバイブ丸のお陰で今私はなんとあのいいんちょの!・・・・ちょい劣化くらいにはなったかな?

 てかマジでいんちょスタイルが半端ないわ。なんで盛る前の私より胸がでかい癖に腰は私より細いんだよおかしいだろうが。私の方が10cmくらい身長小さいんだぞ、お前。

 この世には理不尽なことが多すぎる・・・・。

 まあでもネギも私を見て顔を真っ赤にしていたし、そう悪くはないのだと自分を慰める。ここ3-Aがおかしいだけなのだ、きっと。

 

 

 そうして大いに南の島でバカンスを楽しんで来たのだが、帰ってくるなりバイブから不穏な言葉が放たれた。

 何やら私は悪魔に誘拐され、ネギを誘うための人質になるのだと。ただ今のネギならば単身でも勝てる可能性は十分あるとのこと。その上で命の危機になれば助けてくれるらしいので、私は大人しく攫われた。まあ攫われたお姫様役も安全なら一度くらいは悪くないしな。

 

 その後は、なんかブチ切れネギ君怒りの覚醒して悪魔倒したらしいっすよ?めっちゃ強かったらしい。

 ついでに巻き込まれた私もネギ本人から魔法について教わった。当然私が知ってることは秘密にしている。てかあいつの事とか言えるか。

 そして丁度いい機会だと思ったのでネギから根掘り葉掘り聞きだして(まあ大体は知ってることだったが)、その後ガツンと怒ってやった。

 

 お前はお前なのだと。父親の道を継ぐことなんて、私は期待してない。クラスの奴らだって、していない。

 勿論お前がしたいのを止める訳じゃないし、村の人だって救いたいのだろう。でもな、勘違いするなよ。村が滅んだのはお前のせいじゃねぇ。

 確かに原因はあるかもしれねぇ。でも責任はお前にはない。そこはきちんと覚えておけよ。

 それに、だ。もしお前がどんな道を選んでも、私は3-Aはお前の居場所だ。決して放ってなんか置かないからな。いつまでもあのうるさいクラスのまとめ役をしろよ。

 ・・・・・まあガキなんだから好きなようにやればいい。駄目なら駄目で叱ってやるさ。

 

 なんて風に、全く柄にもない言葉だったし行動でもあった。でもネギの目を見てこれだけは伝えないといけなかったのだ。

 あいつの奥底にある臆病虫な孤独を打ち砕いてやらないと駄目なのだ。

 口下手な私の言葉は届いたのだろうか。下を向いたネギからぽつりぽつりと涙が落ちたのを見て少し安心する。

 そのまま少しの間ゆっくりと抱きしめてやった。全く世話の焼ける奴だ。

 

 

 

 そんなこんなでやって来た麻帆良文化祭。

 今年は自分から精力的に取り組んだし、それなりに満足のいく結果になった。

 出し物はあーだこーだ悩んだ末お化け屋敷になったのだが、仮装というかコスプレには自信があるため衣装製作の大半を自分一人で担っていた。

 なんだかんだ結構いい感じの物が出来たのではないかと自画自賛している。

 そうして出来たお化け屋敷は結構な盛況ぶりだった。3-Aでも初日終わりに馬鹿騒ぎしてしまった。

 ・・・・・しかしこういうノリは苦手だったんだけど、悪くないもんだな。

 まず間違いなく前までの私ならコスプレ大会にでることを優先してただろうけどな。

 

 

 そうして普段から騒がしい麻帆良学園だが、2日目の今は8時前頃か。早朝にも関わらず格段と騒がしさを増していた。まさにお祭り騒ぎという奴だった。そこら中から楽しそうな声が聞こえてくる。

 しかしガヤガヤと流れる声は、私の耳からするりと抜けていく。

 何故かというと目の前に赤毛の青年が立っているのだ。非常に整った顔立ちで、外国のモデルか何かかと思うほどだ。周囲からも視線が彼に集まっているのが分かる。

 しかしながら、こいつにはとても見覚えがあるのだ。

 

 「なあ、ネギ」

 「はい、なんd・・・・。

 ・・・・・僕はネギじゃありませんよ?」

 

 もうちょっと粘れよ、お前・・・・。おい、目が思いっきり泳いでんぞ。

 なんか大人になってるけどさ、どうせ魔法かなんかだろ。もう諦めろよ、ネギ。丸わかりだ。

 まあそれは置いといて、だな。

 

 「おい、明日菜と祐奈はどうした?一緒に回る約束をしてるんだけど」

 「あー、えーとそれなんですけど二人とも用事が入ったらしいですよ。申し訳ないって言ってました。

 そ、それでなんですけどもし良ければ僕がご一緒しても構いませんか?」

 

 ちょうど三人共シフトが今日一日入っていないので昼まで学園祭を巡って、その後は武道会を見に行くつもりだったのに。

 全くあいつらせめて一言くらいメール入れろよ。らしいっちゃらしいんだが。一応これで結構楽しみにしてたんだけどもなぁ。

 まあ別にネギと回るのも楽しそうだし、いいか。

 ただ一つ疑問があるのだが。

 

 「ネギお前麻帆良武道会はどうするんだよ。8時だともうそろそろ始まるだろ?」

 「えーとそれは問題ないといいますか。分かりやすく言うと今ここにいる僕は2度目の僕です。

 今日武道会を戦い終えた後にタイムワープしてもう一度朝に戻って来たんですよ」

 「あー成程な。その変装もネギが2人いるのがバレない様にってことか」

 「まあ、そういうことですね」

 

 成程なー。やっぱ魔法って万能すぎるだろ。ほんとに何でもありだな。

 ん?何だよ、このクソバイブ。あ、この時間逆行は魔法じゃないのか。

 じゃあネギはどうしてるんだよ。後で説明するってお前・・・・。

 もしかして厄介事?あ、厄介事だわ、これ。

 ・・・・・まあ今はまったりとネギと学園祭を楽しむか。

 

 

 そうして二人で楽しく学園祭を回っていたんだが、一つ気付いてしまった。

 もしかして、ネギめっちゃかっこよくないか、これ?

 ぶっちゃけネギ自身は知らなくてもこいつ魔法世界の王子らしいし、顔もいい血筋を引いてるからだろうかめっちゃイケメンだしな。下手な俳優とかじゃ相手にもならない位だぞ。今は魔法で大人になってるから、普段は可愛げのある顔がきりっと引き締まってどこか色っぽさまで感じる程だ。

 加えてやはりイギリス人というかさらっとレディファーストの気遣いもしてくれるし、カフェで座るときには椅子引いたりとかもしてくれた。

 性格だっていいし、地頭もいいからかどんな話をしても楽しい。運動神経も良くて、体も鍛えてるっぽいから結構筋肉ついててがっちりしてるし。

 

 ・・・・・・・欠点ないよなぁ。こいつスペックだけならいいんちょとかと十分張り合えるか、超えられるぞこいつ。

 もはやこいつ乙女ゲーから飛び出てきたんじゃねーのかって思うくらいだ。やったことないから勝手なイメージだけど。でもそう外れちゃいないだろ。

 

 う~ん、今もネギは少し前を歩いて私が人込みの中でも歩きやすいように場所を確保してくれている。その後ろ姿をまじまじと眺める。

 大きな背中だなぁ。いつもはあんなに小さな癖に、その内こうなるのか。

 ・・・・何てったって世界を救う男だもんな。

 

 どうやらいつの間にか人込みを抜けたらしく、ネギがこちらに振り返って目が合った。ふわりと笑ったその顔に思わずドキリとする。

 ネギから手が差し伸べられる。ネギと手を握ることは初めてではないが、今日はいやに心臓がバクバクとうるさい。

 そのまま大きな手に私の手が包まれる。顔に血が上るのが分かった。

 くそ、なんだかネギに負けた気分だ・・・。

 

 

 

 あの後午前中はネギと学園祭を回った。午後からは武道会の方を見に行った。

 ネギは用事があるとかなんとかでどこかに行ったが。

 会場に行ってみれば3-Aのメンツが固まっていたので、私もそこに加わって観戦していた。

 

 結果はネギの決勝敗北だった。ただ優勝したクウネルとかいう奴は想像以上にネギが粘ったことに大変喜んでいた。

 あいつもバイブ曰く赤き翼のメンバー、ネギの父親の仲間らしい。

 そんでもって、決勝の時に変身したのがネギの父親。まあ見た感じ馬鹿という印象だったが。

 でもネギの中で何かが吹っ切れたという感じがした。自分の中で何か一つ納得できたのだろうか。

 

 

 その後、何やらネギ達は忙しそうにしていた。なんか超がいろいろやらかしたらしい。

 まあどうやらあらかじめ学園長と結託してネギの実力を確認するのと同時に経験を積ませることが目的らしかったのだが。

 そんでもって自分はバイブと一緒に超のもとへと向かっている。何やら必要な行為らしいのだ。

 いつも超のいる葉加瀬のラボに着くと、超が一人で出迎えてくれた。

 

 「よく来てくれたネ、千雨」

 「いきなり来てすまないな」

 「いや、気にしなくて大丈夫だヨ。何せ来ることはずっと前から分かっていたからネ」

 「何?そうなのか?もしかしてここ監視カメラとか仕掛けてあるのか」

 「いーや、違うヨ」

 

 超がチッチッと人差し指を振る。そのまま超は中指も伸ばしてピースサインを作る。

 

 「2年前からだヨ。私の前に君がバイブを持って現れた時からだネ」

 

 思わず目を見開く、こう前半の部分も突っ込みどころだがそこはまだいい。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 これは致命的かつ緊急性の高い問題だった。もしかすると私にとんでもない風評被害が付きかねない。

 頭の中でぐるぐると意味ない思考が続く。

 だんだん頭が冷えてくると徐々に考えが纏まってくる。

 

 何故2年前なんだ?何故ネギは時間逆行が出来た?何故バイブを知っているのか?

 

 おおよその答えは出ているが、クソバイブを呼び出す。

 なあお前この場所で何をするつもりだった?

 

 「恐らく千雨さんの予想通りこのまま2年前の超さんに会いに行くんですよ」

 

 やっぱりか。そういうことか。

 通りで世界を滅ぼすテロリストが学園長なんかと仲良くしているわけだ。

 しかし自分に超を説得するだけの自信とかないぞ?全部人任せでやって来たんだし。

 

 「まあその辺は問題ないヨ。行けば何とかなるネ」

 「そういう訳です。じゃ、行きましょうか二人とも」

 

 軽い調子で時間逆行が始まる。しけてんなぁ。

 もっとこうないの?飛べよおおおおみたいな?

 せっかくこう王道的な展開なのに。

 うわ、てかバイブ虹色に光ってる。きっしょ。きっも。

 ちょ、なんか光が飛び出してくるんだけど?めっちゃ見た目エグいぞ、きも!

 

 

 虹色の光に包まれて反射的に目を瞑ってしまう。その後一瞬全身を浮遊感が走った。

 少し経つと足元に感覚が蘇る。

 そのままもう少しだけ待って、光が収まってから目を開けるとそこにはあんぐりと口を開けた超が立っていた。

 

 ・・・・・・。いきなりバイブを持った同級生がいたら驚きますよね。

 でも実はこのバイブはですね。ちょっと色々と事情があってですね。

 とりあえず何も言わずに話を聞いて頂けるとありがたいのですが。

 ほんとに、あの変態とかじゃないんで。落ち着いて話を聞いて欲しいんだ。

 て、あれ話聞いてない?待って。ね?ちょっとだけでいいから、ね?

 

 「な、何で私がいるネ!?」

 「いや、まあ色々と馬鹿げた話だから、詳しい話はあとでするヨ。とりあえずまあ火星は救われるだろうって話ネ」

 「っ!それは本当カ!?」

 「恐らくは大丈夫だろうとは思うヨ。逆に私が成功した場合の方がひどいことになるらしいヨ」

 「・・・・・・・。今私たちがこうして会話しているということはそういうことなのか」

 

 あれ?私完全に蚊帳の外?てかバイブには微塵も触れないのか。

 嬉しいというべきか、早く私の誤解を解かねばと焦るべきなのか。

 てかどういうことだ?本人同士で分かり合ってるんじゃねえ。

 私にも説明してくれ。なんで一切の説明なしに分かり合ってるんだよ。

 

 「簡単なことあるヨ。私の持ってる航時機は本人と会話が出来ないからネ」

 「時間を越えた自分同士の会話は一気に世界の矛盾を引き起こすんだヨ」

 

 何やらいきなり難しそうな話が飛び込んできやがった。あ、こういう話って長くなるんだよな。

 分かるよ、だって自分も長くなるもん。オタク趣味の私にもその気持ちはよく分かるよ。

 けどその辺はあまり分かるとは思えないんだが、まあ説明してくれるならば一応理解する努力はしてみるか。

 

 「んーそうだな、千雨。

 同時に時を越えた複数の自己が存在すると世界は許容できるパラドックスの絶対値を示すのサ。分かりやすく例えると過去に戻って躓いた小石をどかすとするだろう?

 その時未来の自分には小石で躓かなくなったという過去が挟み込まれるんだヨ」

 「この過去に事象が挟み込まれるという事象は世界の修正力による物ダ。もちろん世界の修正力にも限界はある」

 「そして会話はこの行為を爆発的な勢いで生み出すことになるんだヨ」

 

 そうすると当然修正力は追い付かなくなり、破綻するのか。

 ・・・・・で、破綻したらどうなるんだ?

 

 「そのまま世界は崩壊するヨ」

 

 ちょ!?そんな危ない行為をしていたのかよ!?

 今すぐやめさせろ、バカ!

 

 「安心してください、千雨さん。そうならない様に僕が管理しているんですから。

 まあ仮に崩壊したら修正力で近くの問題ない世界線に統合されるので、そもそも会話できてる時点でこの世界線はいけるという事ですよ」

 

 えーと?そうなのか?

 麻帆良上位勢に叶うような地頭なんてないからよく分からないんだが・・・・。

 てかよくよく考えれば魔法関係なんて一切何も理解してないんだから、こっちも理解する必要はないか。

 おい、バイブ良い感じにやれよ。頼んだわ。

 

 「千雨さん・・・・・。いやまあ頑張りはしますけども」

 「じゃあまあ私たちで色々と情報交換するから終わるまでは適当にしてていいヨ。

 

 後一応言っとくヨ。ありがとうな千雨」

 

 ぶっちゃけ私は何もしてないんだけどもな・・・・・。

 

 「バイブにお礼は言いたくないあるヨ」

 

 成程、ご尤も。とても共感できる話だ。

 じゃあ、まあどういたしまして。

 

 




幾つかのちうたん視点では説明しにくい事への補足を。
まずネギ君。現状かなりちうたんへの好感度高いです。ちうたんは気付いてないけど。今回のデートも傍で見ていてじれったく思った明日菜が仕組みました。
また戦闘力も原作に比べかなり高くなってます。ちうたん効果やバイブのちょっとした補助もありますが、大体の要因はエヴァにゃんが早期から本気で特訓を付けていることが原因です。

次、バイブ丸。彼はバイブへの揺るぎない誇りを持っているので決してバイブ以外の姿には変わりません。逆にオ○ニーのためならば容易く誇りを捨てて生身の人間以外になら何にでも変身します。
別名こっちの方が面白いから生えてきた設定です。皆も真っ赤になるちうたんが見たいんやろ?

また結構こいつ忠義は尽くしてくれます。どこぞのプリヤなステッキとは違って命令すれば基本いたずらしたり、愉悦したりはしません。独自解釈くらいはしますが。
他にも自身のせいで行き遅れたりなどはしないように細心の注意を払ってくれますし。主人の幸福をなんだかんだ一番には考えてくれます。オ○ニーで身を亡ぼしたりとかもさせません。

後こいつ能力の合計値とかはすごい高いです。能力のほぼ9割がバイブ機能なのに、まともに造物主に勝率がある時点で察してください。ぶっちゃけ戦闘向きの能力の使い方が致命的に下手なので2,3割しか勝てないという状況です。

・・・・・。自分で考えといてあれだけど、なんだこいつ。
馬鹿じゃねーの。

次クラスの状況ですが、大体原作通りのはずです(考えてない)。
なんだかんだ白き翼も学園長がどうせ手を回すので大体は揃うと思います。

最後ちうたんからネギ君への感情について。
基本的に姉心がほとんどです。デートでドキドキはしてますけど、現状恋愛対象としてはみていません。今回ので多少ポイントは上がりましたがまだまだそういう対象として見るには足りません。




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6話

前回の予告通り今回かなり最低だゾ。
ついにちうたん魔改造編です。


 期末試験を一週間後に控えた今、クラスは阿鼻叫喚とした状況になって・・・はいなかった。

 そもそもエスカレーター式で高校に上がれるここでそこまで本気で勉強しようとする奴はまずいない。それでも少しばかりテンションは低くはなっているが。

 

 そうした中でネギにお願いがあるとの事で一人呼び出されたのだ。

 どうやら親父さん関係の事らしい。この間の武道会辺りから何か色々と悩んでいたっぽいが一つ決心はついたってことか。

 

 放課後待ち合わせの屋上に行くとネギは既にそこにいた。

 言葉を掛けようとした時ネギと視線が交差する。その目の色に、思わず背筋に痺れが走った。

 覚悟の色だった。自身の生涯、たった10年でしかなくともそれを重しにした決意。

 多分これはネギの一生を決めうる問題なのだった。

 

 そういうシリアスなのは苦手なんだけどなぁ。

 

 「千雨さん。わざわざ来ていただいてありがとうございます。

 本当ならばこんなことを相談するのは筋違いなのかもしれないんですけれど、でも千雨さんには話しておきたくて。きっとそうじゃなかったら僕は未だにどこか迷っていましたから。

 

 お願いします。千雨さん。どうか僕と一緒に魔法世界に来てくれませんか?そこで父親を捜したいのです。

 勿論父親に会いたいという気持ちもあります。恐らく血のつながった唯一の家族ですから。憧れの前に寂しいという気持ちがあったのだと今の僕ならば分かります。

 

 でも、決してそれだけじゃないんです。僕が、ネギ・スプリングフィールドが前に進むためにはもう一度だけお父さんに会って話をしなければならないんです。

 あの雪の日の決着をつけないといけないんです。僕の原点はどうしようもなくあの日なんです。

 そして僕はこの心に抱いた憧れをきちんと形にすることもしなければならない。漠然としたままじゃ()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言ってネギはにやりと笑った。目は未だに鋼色の光を放っていて、笑う顔はどこか野生らしさを感じさせる。

 いつものほんわかしたネギからは全く想像のつかない姿がそこにはあった。

 

 そして、それ以上にネギの言葉が耳に残る。

 父親を超える。恐らく今までのネギならばそんな言葉は決して口にはしなかっただろう。

 あれ程必死に父親の背中を追っていたのに。まるで迷子になった子供がなんとか遠くに親の姿を見つけた時のようにだ。

 

 ネギも自覚はあるのだろうか。私の戸惑いに気付いたように苦笑いする。

 

 「あはは、まあ似合ってないのは分かってるんですけどね。でも間違いのない本心なんです。

 あんまりこう言うことを話すのは恥ずかしいんですけど、多分僕が父さんに憧れていた一番の理由は皆が僕を父さんの息子として見ていたからなんです。

 だから認められたくて僕は必死に父さんみたいになろうとしていました。

 

 でもそれはもういいんです。この前千雨さんが僕を叱ってくれた時に、僕以上に僕の為に怒ってくれた時に、ああ自分は自分でいいんだと思えました。

 自分には3-Aの皆が居るんだと言われたときに、僕は寂しさを手放すことが出来ました。

 あなたがあの日のことを自分のせいじゃないと言ってくれた時、僕は自分の闇を見つめなおすことが出来ました。

 

 

 僕はもう大丈夫なんです、千雨さん。あなたがいて、そして3-Aの皆さんがいてくれるのなら。

 だから今度は僕が認めさせてやるんです。皆が父さんの息子として見るのならば、父さんを超えてしまえばいいんです。

 ナギ・スプリングフィールドではなく、ネギ・スプリングフィールドだと言うことを示してやりますから。

 村の皆もいつか治して見せます。そうじゃなきゃお父さんを超えられませんから。

 

 だからどうかお願いします。僕と一緒に父さんを探す事に、そして父さんを超える事に協力してください!」

 

 ネギが深々と頭を下げる。

 そっか、父さんを超えるのか。世界を一つ救った英雄を超えるのか。

 全く、それを超えようと思ったら現実世界と魔法世界、この二つを救わないといけないぞ?

 

 しかもお前そんなことに協力したら私の平凡で平穏な人生がめちゃくちゃになるだろうが。私は省エネな人生を送るつもりだったんだがなぁ。

 はあ、全く・・・。

 

 「しょうがねぇな・・・。最後まできちんと見届けてやるよ、ネギ」

 

 

 

 「で、話ってなんだ?このクソバイブ」

 

 部屋に帰ってきて早々同じくバイブからも話があると言われてしまった。

 今日は色々と疲れたし、ゆっくりゲームしたいんだが?

 

 「あの、千雨さん。ネギ君と僕とでちょっと態度の差が酷すぎないですか?」

 

 うるせぇ、お前相手なんてこんなもんで十分だろうが。

 いいからとっとと要件を話せ。要件を。

 

 「ひ、ひどい。千雨さん修学旅行辺りからほんとに対応が適当になってますよ。

 最早前回なんて僕のセクハラ発言全カットじゃないですか。スルーならまだしもカットって。描写すら存在しないなんて。

 おかげで前回の僕普通の便利なお役立ちグッズですよ。僕のキャラの全否定ですよ」

 

 黙れ、何いきなりメタっぽい事言ってんだよ。

 大体お前がセクハラ発言しかしないのが悪いんだよ。お前スケベ親父でももうちょいまともな会話するわ。

 そんなに連呼されればいやでも慣れるし、反応返すのも面倒くさくなるんだよ。

 

 「うう、ご主人が図太くなってしまったことを喜ぶべきなのか悲しむべきなのか・・・・。

 こんなにも私めが尽くしているというのに。この塩対応・・・」

 

 バイブがよよよと泣き崩れるがスルーする。

 無駄に涙を流すな。どこから出てんだその涙。

 

 大体お前そんなに大して働いて・・・・あれ?

 ・・・・・・・働いてるな。

 正直かなり働いてくれてるわ。

 毎日の美容魔法であったり、いざという時のボディガードであったり、世界滅亡の阻止だったり・・・。

 

 あれ?そんなバイブに対して自分何か返したっけ?

 一応こいつセクハラはするけど言うことは大体きちんと聞いてくれるし、自分が気にしてることに陰ながら手を回してくれたりもするんだよな。

 なんだかんだと世話にもなってる。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 

 「バイブ、正直すまんかった。お前の言う通り確かに色々と尽くしてくれてるわ」

 「ぐすん、いいんですよ。私道具ですから使っていただけるならそれで」

 

 おい白々しくしてんじゃねえぞ、バイブの癖に。

 なんか私が一方的にこき使ったブラック上司みたいじゃねえか。

 間違っては無いのが癪だな。

 

 「まあもし千雨さんが気になさるのであれば、こう本来の使い方をして頂ければそれで満足ですので」

 「っ・・・・それは/////」

 

 いきなりの直球ストレートに久しぶりに顔が真っ赤になる。

 いや、本来の使い方ってお前さ。つまりそういうことだろ?

 さすがに恥ずかしいというか・・・・/////

 

 「う~ん、僕としては強くお勧めしますけどね。

 ネギさんと魔法世界に行くんでしょう?あれテロに巻き込まれて大変になりますよ?

 そうすると魔法世界でそのインドアひょろひょろボディだと色々苦労します。

 しかし僕を使えばそれだけで麻帆良武闘派レベルの身体性能が!」

 

 お前がテロを防ぐのは駄目なのか?そうすれば何も問題はないだろ。

 がんばれ、バイブ。いけるぞ、バイブ。

 

 「いや~、まあ止めるだけならばそんなに問題でもないんですけどね?

 それがこれ造物主によるテロなんでここで防ぐと最終決戦がどうなるかが予測しづらいんですよね~。

 下手な展開になるとバタフライエフェクトでかなり悲惨なことになるので、ぶっちゃけあまり手を出さない方がいいというか。ここ結構な分岐点なんで。

 逆にテロに巻き込まれても、クラスメイトが誰一人死なずに世界を救えるルートが大半なので正直手出しする意味の方がないというか」

 

 つまり、テロを防がずに巻き込まれた方が安全ってことか?

 なんというかすごい本末転倒な結果だが、それなら仕方ないか。

 

 で、魔法世界ではドキドキワクワクファンタジーが開催されるのか・・・。

 やっぱその辺はオタクとして興味があるのは否定できないし、ちょっと楽しみだな。

 けどわざわざお前を本番使用する必要があるのか?

 

 え、魔法によって皆バラバラに飛ばされる?私はジャングルの中に放り出される?

 おま、超ハードじゃねぇか。私はドラクエ世界を観光したいのであって、マインクラフトとかしたくもないんだけど。

 あ、ネギが助けに来てくれんのね。

 くっそ・・・。そうなるとネギと会うまではお前がなんとかしてくれるんだろうけど、そっからはお前使うと絶対バレるよな。

 

 うわ、面倒くせぇ。インドア派の私を殺そうとする世界の殺意が見えそうだ。

 

 ちくしょう・・・。恥を取るかしんどいのを取るかか。

 ・・・・・・・・・おいクソバイブ。

 こうなったら腹くくってやる。分かったよ、使ってやんよ。

 お前にはかなり世話になったからなぁ!

 

 だけどてめぇ、これで勝ったと思うなよおおおお!!!!

 

 

 

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 「ふ~、どうでした千雨さん?中々すごいでしょう?

 これぞわが研鑽、数千年に及ぶデータを元にした女神ですら昇天させる神技ですよ。

 いや~、久しぶりに本来の仕事ですよ。やっぱ堪りませんね~。

 

 ついでに身体能力向上、免疫向上、魔法の潜在能力向上等もろもろ支障が出ない程度には色々と上げておきました。

 他にもいざという時の保険も掛けておきましたし、これで魔法世界も安心ですよ」

 

 負けました。負け、ました・・・・。

 ぐうの音も出ない程に負けました。

 

 冷静に考えれば実戦経験なんて一つもない新兵の私が熟練の専門家に敵う訳とかないじゃないか。

 くそぅ、めちゃくちゃ良かったのがとても悔しい。強がりでもこのバイブのドヤ顔を否定できないのがとてもとても悔しい。

 

 てかお前これ癖になったらどうすんだよ。やばいじゃんかよ、これ。

 

 なんかネギの奴、エヴァから闇の魔法とかいうヤバそうな魔法を習得してるらしいが今の私なら使える自信があるぞ。

 心が闇に閉ざされそうだ。闇落ち展開不可避だわ。

 

 これもう私変態じゃん。変態さんじゃん・・・・。

 

 やばい。やばすぎる。

 特に何がやばいって、全くやめれる気がしないのがやばい。

 

 ああ、ごめんよ、ネギ。どうやらお姉ちゃんは汚れてしまったようだ。ぐふっ・・・・。

 

 

 ちなみに次の日、エヴァにあったら一発でバレた。

 ニヤニヤした顔で「使ったのか?」なんて聞いてきやがったのだ。

 

 

 ああああああああああああああああ!!!!!

 死にてぇ!!!誰か私を殺してくれぇ! 

 そんなニヤニヤした顔で変態を連呼するんじゃねぇ!!

 やめろぉ、私は変態じゃない、違うんだぁ!!

 ああああああああああああああ!!!!!

 ああああああああああ!!!!!!!

 

 




ちなみにネギ君魔法世界突入する頃には多分ラカンにお遊び抜きの本気出させるくらいには強くなります。


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7話

投稿時間ミスってました。すいません。(追記)


 人は時として、ふとした事でその内にある狂気を覗かせることがある。

 その手に持った傘をなんとなく喉に突き立てたならどうなるだろうかとか、高い場所から人を突き落としたらどうなるだろうかとか。

 別に全くそんなことをしたいとも思わないのに、ふと魔が差したことが誰にでもあるだろう。

 

 まるでじとりと滲み出すような心の奥底に潜んでいた人間の獣性がそうさせるのか。

 しかしながら、今この時ばかりはそれに委ねるのもいいかもしれない。

 目の前にいるのは、伝説の吸血鬼である。闇の福音、600年を戦い、生きぬいた化け物。

 私など遭遇しただけで確実に生きて帰れない相手だ。

 

 けれど、だからこそ頭を上げることが出来ない。必死に地面を睨み付けたまま何も話すことが出来ない。

 体はぶるぶると震え、涙が出てきそうになる。

 

 どうしようもない状況だ。私にはこれを耐えるしかない。

 しかし、一矢報いたい。このまま嬲り殺しにされるくらいならいっそ反逆してやりたい。

 その先に待っているのは悲惨な未来だとしても。

 どうしようもなく、今よりもひどい未来になると分かっていてもその破滅した未来を選んでしまいたい。

 

 

 「クククク・・・・・・。

 お前この2週間どうやらほとんど毎日能力が向上しているようだが?

 いやぁ、どうやら随分凄まじい特訓をしているようだな?」

 

 ・・・・・・・・・くそがぁあああああああ!!!!

 てめぇ、毎日毎日弄り回して来やがって!!

 もう許さねぇぞ!覚悟しろよ!このロリっ子吸血鬼があああああ!!!

 お前もこいつの餌食にしてやらぁあああああああ!!!!!

 

 「おい、ちょ、待て!!

 そいつは駄目だろうが!そいつだけは駄目だろうが!!!!

 

 千雨!お前はこんなことするキャラじゃあないだろう!?」

 「うるせぇ!いい加減私だって堪忍袋の緒が切れるんだよ!!!!

 てめぇも同じ目に合わせてやる!!

 やれ、バイブ!!」

 「いや~、吸血鬼の中は久しぶりなので心躍りますね~」

 

 その瞬間、周囲の風景が切り替わる。恐らくここは魔法球の中なのだろう。

 同時に右手にバイブが現れる。

 しかしながらエヴァに取り乱した様子は見られなかった。

 お前最後の最後で私が許すとでも?

 

 実はこのバイブには色々詳しく聞き出した結果自動で動いてくれる機能があるんだぜ?

 確かに私が突っ込めと言われたら、間違いなく諦めてエヴァを許しただろう。さすがにそこまではまだ堕ちてないというか。

 けど勝手にやってくれるのなら話は別だ!いい加減私もブチ切れてんだよぉ!!

 

 「ちっ、こうなれば仕方ないか。

 全くまだこれは使わないでおきたかったのだが・・・・。

 

 おい、千雨。この私がバイブに何の対策もしてないと思ったのか?そんなはずなかろう!

 この私を舐めるなよ!こう見えて案外私は頭脳派だ!!

 

 食らえ、凍りゆく世界!!」

 

 エヴァの魔法が発動すると同時に、エヴァを中心に莫大な量の氷が辺りを埋め尽くしていく。

 まるで塗り絵のように魔法球の中が氷で埋め尽くされていく。

 

 「あちゃ~、これは厄介ですね」

 

 バイブが珍しく弱音を吐いた。

 あの万能のバイブがそんなことを言うとは思ってもいなかった。

 ちらりと目線を魔法に向けると真正面からこちらに向かってくる氷は止まっていた。あれは以前にも見たことがある。

 恐らくは時間凍結による物だ。どんな魔法障壁があろうとも時間対策が出来なければ止められない最強のデバフ魔法。

 

 しかしながら、エヴァの魔法そのものは止まっていない。横方向からの氷が迂回するようにせり出してくる。

 どうやらその都度氷を止めている様だが、またその奥からどんどんと氷が現れる。

 徐々に、氷はこちらへと向かってきていた。 

 

 「ふははは、バイブ!お前の弱点は分かり切っている!

 大規模魔法になると制御の甘さ、発動速度の遅さが目立つようになるからな!

 ならばこうして圧倒的物量で攻め続ければいい!この魔法は凍らせた辺りの氷を触媒にしてさらに魔法を発動する自動増殖型魔法だ!

 

 確かにお前は対処しづらい厄介な能力ばかり備えているが故、ごり押しするだけで強いのだろう。

 確実に拘束できる時間凍結、防御不可の空間切断、どんな相手の弱点もつける概念付与。これ程シンプルで対処しづらく万能な上に強力な魔法なんてそうそうないからな。正しく一撃必殺を名乗るに相応しい魔法だ。

 しかしそれを操るお前そのものは大して強くはない!現にこの魔法を全て凍結することも破壊することも出来ていないのだから!

 

 そもそもお前の魔法技術は杜撰すぎる!魔法技術で、戦闘技術で一流には遠く及ばん!」

 

 エヴァの笑い声が魔法球の中に響き渡る。

 おい、これやばいんじゃねーの?

 やっぱ、伝説の吸血鬼ってぱないのな。無敵だと思ってたバイブでもこうして封殺できるとか。

 まあそりゃバイブが世界最強ってのも変な話か。造物主にはこいつも勝てないらしいし。

 こりゃ負けたっぽいな。しゃーねぇ。

 

 今までこいつに頼りすぎたのもダメだよなぁ~。私も四の五の言わずに後でみんなと一緒にエヴァに特訓つけてもらうか?

 

 「う~ん、困りましたね~。仕方ないですか。

 他人の能力を使うのは気が引けるのですが・・・。

 

 【()()()()】」

 

 

 

 「ごめんなさい、許してください」

 

 恐らく世にも珍しいエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの土下座が炸裂していた。

 魔法使いが見れば驚愕して腰を抜かしそうな光景がそこにはあった。

 

 どうやらこの吸血鬼の中で土下座とバイブ刑を天秤にかけた結果、バイブの方が嫌であったようだ。

 まあそうだろうな。私も土下座するだろうし。

 

 まだ少し怒りは残っているがまあ土下座までされれば許すしかないだろう。

 

 「というか何だあの反則技は!?攻撃が当たらないなんてチートだろ!チート!

 本当にふざけるなよ、お前!」

 

 ガバッと起き上がりながらエヴァがぷりぷりと怒り出す。

 正直ゲーマーの私から見てもあれは酷かった。当たり判定が無い癖に自分の攻撃判定は残ったままとかひどすぎる・・・。

 正しくチートじゃねえか。一方的に防御不可の空間切断を次々打ち込まれるとか怖すぎるわ。

 

 ごめんな、バイブ。やっぱお前強いわ。

 てかそんなお前でも2,3割しか勝てない造物主って何もんなんだよ。

 それネギで勝てるのか?

 

 「まあぶっちゃけ相性ですね。正直私が戦うとなると魔法の打ち合いになるので厳しいです。

 彼女、いえ今は彼ですか。彼には私の魔法に対処できるだけの実力がありますからね。

 逆にネギ君ならば明日菜さんに防御を任せて、本人が莫大な魔力量をもとに固定砲台になれますから。

 純粋な魔法技能だけならぶっちゃけ私雑魚ですので、ていうかバイブですので」

 

 まあ私が聞いてもよく分からないがそういう事なのだろう。

 てかつまり、あれか?お前厨性能のキャラ使ってるだけのクソPS野郎ってこと?

 うわ、だっさ。はっず。バイブ野郎が更に恥ずかしくなってるぞ。

 

 「まあつまりなんとかなるんだな?じゃあいいや。

 それでさ、エヴァにお願いしたいことがあるんだけど」

 「ん?どうした?」

 「いや、私にも特訓付けてくれないか?簡単なのでいいから」

 

 魔法世界にいくのなら仕方ない事だろう。どうせ向こうでもゴタゴタに巻き込まれることは確定しているんだ。

 なら諦めて少しでも力を付けておいた方がいいだろう。

 

 「それくらい別に構わんが、お前ならバイブに教えて・・・・。

 いや、うん。分かった。私が教えてやろう」

 「ありがとうな・・・・」

 

 最近バイブへの精神障壁が薄くなった自覚はあっても、まだバイブを師匠にはしたくないのだ・・・。

 何も言わないエヴァの優しさが心に沁みる。

 

 「そういやほかの皆もここで特訓してるんだよな?」

 「まあな。といっても大半はお前と同じく初歩的な魔法を使わせたり、アーティファクトの特訓といったレベルだがな。

 桜咲だとか神楽坂辺りには一応特訓を付けてやったりはしているが、まああいつらも基礎が出来ているとは言いづらい。

 半分程度はまだ基礎を固めている段階だ」

 

 ・・・こいつ結構トレーナー向いてるんじゃないか?

 まあ600年あればだれかを育てた経験くらいはあるのだろう。

 

 「それで、ネギ坊だが・・・。

 くくっ、千雨。礼を言っておくぞ。あいつは面白かったぞ。まさに天才という奴だ。

 一を聞いて十を知る、な。この3か月で一級に仕上げねばならなかったからな。強引に基礎を叩きこんでからはひたすら実戦形式で戦わせた。

 本当にズタボロになるまでいじめぬいたら、魔法で回復してもう一度。なんて半ば拷問じみた特訓を付けたやったんだが・・・・。

 ククク・・・。まさか本当に一線級にまで上り詰めるとは思わなかったぞ。

 最近闇の魔法も習得したし、恐らく魔法世界でも10本の指、下手すれば5本の指に入るだろう実力者だ」

 「随分と嬉しそうだな」

 「まあな。なんてったってそれ程の抜きんでた才能を持ちながら、しかしあいつの最大の武器には遠く及ばないのが堪らなくてな。

 

 クハハハハ、バイブに聞いて半信半疑で試してみたが本物だったよ!あいつの武器は開発力だ!

 人類最強のナギから戦闘への才能を十分に譲り受けておきながら、それを容易く凌駕したあいつ個人の才能。全くほんとにあいつは化け物さ」

 「そんなすごいのか?いやまああいつの頭はめっちゃすごいけどさ。

 なんてったって世界を救うくらいなんだし」

 

 エヴァは本当に嬉しそうにネギのことを語っている。

 ネギの父親について語る時とは違って、どこか狂気というか歓喜に近いのだろうか?とにかく少し違った様子ではあるが、それでも全身からご機嫌オーラを放っている。

 

 んー、あれか。漫画とかでよくある強キャラが主人公に見事!っていうあの感じが近いのか。

 600年を生きた吸血鬼が、たった10歳の少年を化け物とまで絶賛する程に、これほどまでの歓喜を見せる程にネギは凄まじいのだろうか?

 

 「人類史において前にも後にもあいつを超える奴なんていないレベルだぞ、間違いなく。

 こう見えてさっきもいったが私は結構頭脳派なんだ。元々そういう性格なのもあるが暇をつぶすのによく魔法開発をしていたからな。

 600年の経験と技術をこの私は持ってるんだ。

 その私が技術的問題によって諦めていた14の魔法を試しにあいつに資料ごと渡してやったんだ。そしたらどうなったと思う?

 

 2週間で4つの魔法を実用化しやがったよ!

 他の6つの魔法についても何かしらの解決法を編み出しやがったぞ!問題点も無くなった訳じゃあないから実用化はまだだが、時間さえかければその内実用化できるだろうな。

 この私が!世界でも最高峰の魔法開発者のこの私が諦めた問題だぞ!?

 それをこの短期間でここまで出来るなんて常識外だ!余りにも出鱈目が過ぎる!」

 

 エヴァはそう言って抑えきれなくなったかの様に笑い始める。

 おかしくて、おかしくて堪らないといった風に。

 

 その様子をみて、私は初めてエヴァが吸血鬼なのだと実感した。

 物語のそれとは違って小さくて迫力がなく、またなんだかんだ根は優しいエヴァに今まで私は人外であることでの差を感じなかった。

 あまりにもこいつがぽんこつすぎるから、というのも恐らくは大きな原因の一つではあるだろう。

 

 けれど今のエヴァは、まさしく化け物だった。

 まるで童女の様に笑っているけれど、そこに少しの遊び心なんてなかった。

 600年を生きる化け物が10歳の少年に負けた事への、自身の長き生命への、そしてこの世界の運命への圧倒的な皮肉だった。年老いた老人が最後になって、自身とそれを取り巻く全てを馬鹿にしながら笑う皮肉であった。

 それはとても愉快気な嘲笑で、聞いている私の背筋を嫌な悪寒がびりびりと走り抜ける。

 

 「全く、全くもってこれは堪らない。

 それに聞くところによればあいつ闇の魔法に完全に適合できるらしいからな。あいつはその内私と同じところに来る。

 

 ふふふ・・・・。くははははは・・・。いいぞ、ネギ。魅せてみろ。この私にもっとだ。

 

 なあ千雨。多分お前が生きている間ネギの奴はお前に懐くだろうよ。それはいい。

 あいつを導いたのはお前だ。真っ黒な闇に染まったあいつを綺麗な黒に磨き上げたのはお前だ。だからそれくらいは許してやる。

 けれど、お前が死んだらならば()()()。私はあいつが欲しくて堪らないんだ」

 

 どろりとした目が向けられる。

 15年前闇に溺れた化け物が、光に憧れた。光は彼女を救い出そうとした。

 けれどもし仮に光に救われたとして、光はその内消えてしまうだろう。そこから先はまた真っ暗闇だ。彼女は一人取り残されてしまう。

 

 でもそこで彼女は輝く黒を見つけてしまった。傍にいて、目を潰すことなく輝くそれに魅せられてしまった。

 太陽の様に輝けずとも、その輝きを反射して夜を照らす月に吸血鬼は抗えなかった。

 なぜなら月は彼女の傍から消えないだろうから。彼女をずっと暖かな月の光で照らしてくれるだろうから。

 闇の福音、誰もが恐れる夜の女王は、月を求めてしまった。

 

 「・・・・・色々と訳は分からんが、ネギの道はネギだけのもんだ。

 私がどうこう言ったりしねーよ。適当に自分で口説け」

 

 吸血鬼はその言葉を聞いてただ笑うだけだった。

 

 

 

 

 

 

 「全く私に言ってくだされば何百年でもお供しますよ?キティさん」

 「黙れ、私が憧れたのは輝く黒色なんだ!ピンク色なんぞいらん!」

 

 




最近なろうでおっさんの農業スローライフが流行っているからここは幼女の血みどろ殲滅ライフを書こうかと思ったけどただの幼女戦記じゃんってなって辞めたぞ。
他にもゲームが上手くなるチートだけもらってゲームの中で俺TUEEするだけのほのぼの日常物とか書きたいけど話の内容が思い浮かばない。

あ、ちなみに幻想郷での持ち主は未確定です。シュレディンガーのバイブなのです。魔理沙が一番面白うではあるけども。

また今回エヴァにゃんの高好感度の理由についてですが。
エヴャにゃん攻略フラグは2つあります。600年生きたが故のプライドと孤独です。原作ネギ君は前者を超えれなかったわけですが、ここのネギ君は開発力をじかに見せつけた結果突破出来ました。後者は言わずもがなですね。後はちうたんの影響でちょっとエヴァ好みの正確になった感じです。


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8話

 あの後私もなんやかんや白き翼に入った。

 てかぶっちゃけエヴァの完全な依怙贔屓だったが。まあでも何かしらの事情があると汲んでくれて言及しないクラスメイトには正直助かった。

 いや、あれか。なんか最近皆から半ば公認気味でネギのお姉さん役だと思われ始めてる影響もあるのか。

 多分完全にネギへの態度が姉貴100%なのが功を奏してるんだとは思うが。そうじゃなかったらいいんちょ辺りが絶対に止めに来るしな。

 

 そして魔法世界に入る数日の間、エヴァの魔法球で特訓を付けてもらった。

 ちなみに魔法に関しては結構楽しかったと言っておく。

 元々地頭は結構いい方だとは思うのだ。(一般的な程度で、だ。上限値が色々と振り切れてる3-Aの基準ではない)

 だからそれなりには魔法を覚えるのも早かった。夕映程じゃないがな。

 てかあいつバカレンジャーの癖にかなり頭いいっぽいんだが?ただのむっつりスケベじゃなかったんだな。

 

 ちなみにバイブに多少の助言をこっそり貰ったのは内緒だ。

 それに異世界の魔法もちょっと教えてもらった。

 まあエヴァ(後で教えてもらったらしい)とバイブの二人共から燃費悪い、操作性悪いの2重苦な魔法と言われたけど。

 しかし、問題はない。私が魔法を覚える理由の8割はロマンだからだ。

 戦いは全てバイブとネギてんてーに任せる所存である。エヴァからの視線が刺さるが無視だ。

 

 ちなみに途中でネギの幼馴染のアーニャちゃんがやって来た。

 ネギ、お前ツンデレ幼馴染までいるのかよぉ!!どんだけレベル高いんだよ!

 ちなみに私は創作全般において幼馴染党になることが多いので、アーニャちゃんは全面サポートさせてもらうつもりだ。

 どうやらアーニャちゃんもかなりネギのこと好きなようだしな。

 

 とてもほっこりする。心が洗われるようだ。

 なんていじらしい恋愛だろうか。何やらネギと仲のいい私にかなりの敵意を向けてきたが、それすらも可愛げがある。

 どこぞのドピンク、ド汚物とは文字通り格が違うわ。

 まあ使ってる私のいう事じゃないよなぁ・・・。はぁ・・・。

 結局合宿でも我慢できなくて一回トイレでしちゃったし。

 ・・・とにかく、頑張れアーニャちゃん。こんな私だが精一杯応援させてもらうぞ。

 

 

 後夜大部屋で寝ることになったんだが、しかしそこはえげつない戦場であった。

 誰がネギの隣に寝るか大作戦が始まってしまったのだ。

 結局中立派とされる奴が寝ることになったのだが、何故か私だけは強く否定された。

 まあ私は中立派とはいえ、ネギとはかなり仲がいいから仕方ないっちゃあ仕方がないんだが。

 それでも争ってる奴ら全員一致で却下はひどくない?

 

 

 まあそんなこんなで、合宿は終わり楽しい魔法世界に突入だー!

 はい、バイブ君の言う通りテロに偶然出くわした挙句皆ちりぢりバラバラだー。

 てかフェイトの奴初めて見たけど、すんげー強キャラ臭がするんだけど。エヴァの方が強いとか言われてもエヴァの戦ってる所見てないと冗談乙で流しそうなほど。

 てか武器がなければあいつとも対等に戦えるってマジかよネギ。やっぱ強いんだなネギ。

 

 そんでもってジャングルを彷徨ってたら1時間ほどでネギに拾ってもらった。大した怪我もしてなくて一安心だ。

 そのままクラスのメンバーを探していたらどうやら夏美達が奴隷商に捕まっているのを見つけた。

 しかしながら、現状私たちは指名手配犯の為名乗り出ることが出来ない。そのため指名だけしておいてネギが拳闘士の大会で一稼ぎすることになった。

 

 なんか親父の名前で名乗り出て、大暴れしている様だ。

 どうやらエヴァの言っていた通りにネギの強さは圧倒的らしく、連日そのニュースが世間を賑わせていた。

 一つの町にいた剣闘士全員で掛かっても攻撃を掠らせることすら出来ぬその姿に正しく再来ではないかと騒ぎ立っているのだ。

 目立つのが目的なので、正しい判断だったと言えるだろう。

 

 しかしながらその結果非常にまずいことが起こった。主に私にとって。

 ネギが有名になって少し経った頃、何やらカゲタロウとかいう奴が町中で勝負を仕掛けてきたのだ。

 ・・・・実はこれは何の問題もない。ぶっちゃけネギが勝ったし。まあ相手もかなり強い様で、初めてネギがワンパン出来ていなかったが。

 結局このやり取りは、間違いなく一流の相手を一方的に破ることの出来る実力があるとして、さらにネギの評判を押し上げることになったので良い事である。

 

 じゃあ何が問題なのか。

 それがこのおっさん。筋肉ムキムキのおっさん。ジャック・ラカンとかいう奴だ。

 何やら物凄い強いらしいんだが、そこはどうでもいい。チート無限のバグキャラらしいが、似たような奴は良く知ってるからな。

 

 何やらネギの父親の仲間らしく、ネギの変装に気付いていたらしい。

 ・・・・・が、これもいい。そのことを別に言いふらす気はないようだし。

 何やら拳闘士の大会に出てネギと戦うらしいけどこれも別にいい。ネギが勝つって信じてるし。

 

 

 で、肝心の問題だ。

 このおっさん、バイブに感づきやがったんだけど。

 なんかバイブからこのおっさんについて色々と聞いてたら、いきなりこっちの方を見た挙句に誰かいるだろとか問い詰めてくるのだ。

 誤魔化そうとしたけど完全に確信を持ってるようで、警戒の色をピリピリと見せ始めた。

 

 正しく人生最大の危機だった。私がネットアイドルだとばれることくらい今なら余裕で許容できる。

 絶体絶命。バイブになんとかしろって言ってもこのおっさんバグキャラだから無理とかいいやがるし。

 目の前が真っ暗になる。駄目だろ。ここ町中だぞ?

 こんなとこでバイブなんか出したら指名手配中にさらに顔出しすることが出来ない状況に陥るぞ・・・。

 誰か助けて、ネギ助けて、バイブ助けて。助けて、助けて。

 お願いします。助けて。助けてよおおおおおおお!!

 

 「仕方ないですね・・・。千雨さん、これ本当に特別ですからね?」

 

 そう言って私の隣に人影が現れる。目の前の男ほどではなくとも、恐らく180cmくらいの高身長であった。

 一見すらりとした体に見えて意外に鍛えられている。短く切りそろえられた金色の髪に、全身を覆う金属の鎧が光を反射する。

 最後に顔が飛び込んでくるが、これがまたイケメンであった。私はどっちかというとネギの成長した方が好みではあるが、しかし高貴さと野性味が程よく混ざった顔で負けず劣らずときめくものがあった。

 

 この場で出てくる奴なんて、一人しかいないよなと思いつつも頭の処理が追い付かない。

 え?お前こんな姿になれるの?

 

 「初めまして、ラカンさん。陰から見ていたことは申し訳ありません。

 ただ色々と事情・・・というほどの物ではなくとも色々ありまして。

 私、あれなんですよ。アルビレオさんと似たような感じの奴なんですよ」

 「あー、なるほどな。お前から感じる違和感はそういうことか」  

 「ええ。で、私は彼と違って余りこの形が好きではないんですよね」

 「ふーん、まあそんなこともあるか。俺にはよく分からんが。

 まあでも確かにオコジョになるのが刑になるんだし、むしろあいつがおかしいんだろうな」

 

 なんか私が茫然としている間におっさんは納得して帰っていった。

 何やら色々と皆から、特にネギの奴が結構色々聞いてこようとしてたが適当に追っ払った。

 頭が追い付かない。気が付けばホテルの一室だった。ぶっちゃけあいつらに何を言ったかも覚えていなかった。

 

 ・・・・あいつ人間になれたの?

 私のこれまでの恥ずかしい思いはなんだったんだ?

 それこそ身を切る思いでバイブを掲げていた私のあの苦悩は?

 

 クソバイブウウウウウウウウウゥゥゥゥ!!!!!!!!

 

 「いや、それに関してはすみません。でもこっちにも色々と理由があるんですよ?

 これにもほんと切実な理由があってですね・・・」

 

 おう、どうした言ってみろよ。この汚物が。

 それはもう御大層でまともな理由なんだろうな、ペッ。

 

 「だってあの恰好していたら持ち主の大半が付き合ってくれとか結婚してくれって言いだすんですもん。

 いやまあ、持ち主の幸せが第一ですし付き合いますけども、なんかバイブの存在価値を全否定されるというか・・・・。

 生身の男になってやったら完全にバイブの存在意義が消滅するじゃないですか。それただのチ○コじゃないですか」

 

 ・・・・・・否定できないのが悔しいな。

 確かにさっきのイケメン顔でお前の性能考えればすごいありな選択肢に見えてくるな。

 あれ?お前一切喋らなければガチでありじゃない?

 

 まあいくらこいつでも結構嫌なことを押し付けるのは良くないか・・・・。

 それに冷静になれ、私。なんだかんだ言ってもバイブだぞ、こいつは。

 そこまで堕ちる訳には行かないんだ。

 

 そういえば変身してたのってあれ誰だ?オリジナル?

 

 「あれは僕の親友ですね」

 

 親友ぅ!??お前にいいいい!?

 ねーだろ!ありえねーだろう!よりによってお前なんかに!

 

 「うわ、ひどい。てか親友いない千雨さんにそこまで言われたくないですよ」

 

 グフッ・・。バイブに人間的な要素で負けるとか死にたくなるな・・・・。

 あ、待って。これ結構致命傷だわ。余りボッチなの気にしないタイプだけど、これはダメージでかすぎるわ・・・。

 てかなんで、お前みたいなやつに親友なんかいるんだ? ウッ!

 

 「あー、それはですね。うわちょっと恥ずかしいな。

 えーと確か26人目の持ち主でしたっけ。

 血の魔女って呼ばれてた性格の壊滅的な凄腕魔女だったんですけどその人がこう世界を救う勇者メンバーの一人でして。結局僕の体とか力が目当てで一度も使ってくれなかった極悪非道のマスターだったんですけども。

 まあそれは置いといて、正直この世界よりよっぽど滅亡に近くてですね。正しく崖っぷちって奴でした。

 そういう訳で僕も今なんかに比べればほんとゴミみたいな力しかなくても精一杯協力したんですよ。

 あいつはそのメンバーのリーダー。つまるところ勇者でした。ついでに神族の血筋を引く人間の国の正統な王位継承者でもありました。

 まあ後はなんかこうテンプレな流れって奴ですね。皆で必死に力を合わせ、時には意見をぶつけ合い、誰かが落ち込めば皆で励まし合う。

 そんな世界を救うために頑張った旅に僕も加わったんですよ。ほんと勇者メンバーの一人がバイブってなんだよって感じですけどね。

 

 でもあいつは、あいつらはどれだけの時間が経とうとも僕の親友なんです」

 

 あれ?なんか眩しいぞ?

 この下ネタしか吐かない存在下ネタ野郎(事実)が、とても眩しく見えるぞ?

 お前ピンク色の怪しい光しか放ってなかっただろう。そんなジャンプ主人公みたいなキラキラ輝く光を放つな。

 陰キャの私がその光で溶けて消滅するだろうが。

 やばいこんな汚物に浄化されるとかこの長谷川千雨一生の恥だぞ。

 

 「まあそういう訳でこの姿になりたくない理由の一つがこれだったりするんですけどね。

 まあ何回か自分があいつに変身して囮になったりして、その時にあいつの身体情報とか手に入れたんですけども。

 でもだからこそ、他の持ち主とそういうことするとあいつに申し訳ないというか。まああいつは美女と出来るとか役得だとか言って笑うでしょうけどねー」

 

 あああ・・・、浄化されてしまう・・・。

 いい話だよぉ。感動秘話だよぉ。

 なんでその綺麗な状態を保てないんだよぉ。

 

 くそ。・・・で、事実は?ほんとは何かあるんだろう?あるといってくれよ?

 

 「まあ大体の理由はこのバイブフォルムに誇りを持ってるからなんですけどね!

 数多の女性を夢中にさせてきたこの機能美!どうしようもなく見ただけで感じる卑猥さ!

 やはりこの姿が一番なんですよ!」

 

 良かった、私の知ってるバイブだ。

 しかし危なかったぞ、こんな奴に9割くらい浄化されかけたぞ。

 てか誇りってお前、バイブの誇りって・・・。

 そんなこと誇っても仕方ないだろうが・・・。しょうもなさすぎるだろうが・・。

 

 「失礼な!これでも世界を滅ぼそうとした女神をバイブ堕ちさせて世界を救ったんですよ?」

 

 すげぇ!

 世界を救った偉業なのに、その反面内容のあまりのひどさがすげえ!

 

 




多分次回最終回になるぞ。


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9話

相変わらずひどい話になってしまった・・・・。


 なんやかんやがあって、ラカンのおっさんと一緒に行動することになった。

 ネギの奴このおっさんに弟子入りするつもりらしいっすよ?お前まだ強くなるつもりなのか?

 ラカンのおっさんも完全に呆れてたぞ。どうやらおっさん的にネギは自分と同じレベルにいるらしい。その年で俺と変わらないとかさすがナギの息子だなとも溢していたが。

 

 んで、どうやらネギ的には近距離戦闘について学びたいらしい。古菲の奴からも色々と習っていたけどこのおっさんは格が違うんだとか。

 そうだろうな。もう見るだけで圧が違うもんなこのおっさん。

 

 ただこのおっさんはただのおっさんでは無かった。助平な上にケチなおっさんだったのだ。

 友人の息子を鍛えることに金を要求しやがった。しかも一切値引きなんてしない。まあどうやらおっさん的には金さえ出せばわざわざ面倒くさい鍛錬の依頼を受けてやるだけ優しいのだとか。

 ほんとこのおっさんケチだな。面と向かって言っても笑って認めるだけだし、駄目な大人がそこにはいた。

 

 しかも結構いい値段なのだ。まあこれ自体は仕方ない。噂じゃあ正しくこのおっさんは人類最強、単体で戦力換算される程に強いらしいからだ。適正価格ではあるのだろう。

 それをびた一文負からないのはさすがにどうかと思うが。

 後少しで造物主との戦闘が始まるので少しでもネギが強くなるならそれに越したことはないんだがな...。

 

 しょうがないな・・・。エヴァから万が一の時に、と教わっていた最終兵器を使うか。

 

 「おい、ネギパクティオーカードを出せ」

 「え?...はい」

 

 そう言って不可解な顔をしつつもネギは複数のカードを掲げる。ラカンも不思議にそれを見つめる。

 ちなみにこれを見て、見事に全部女の子だななんて声がラカンのおっさんから漏れる。そうだな、私もそう思う。私は契約してないが、確かこれ契約する時キスするんだろ?

 お前どんだけの女子とキスしてんだよ。

 

 そうしてしげしげとカードを見つめていたおっさんは、あるカードを見た瞬間に息を止めた。

 

 「お前、それ...」

 「え?これですか?」

 「お前、そのカードは()()()の奴じゃーか!!

 ……しかもお前が主人側だと?あいつどんだけお前に入れ込んでるんだ?ナギの奴でもそんなこと認めないぞ!?」

 「まあそういう訳だ。最悪ある程度ならばエヴァに吹っ掛けれるぞ」

 

 その声を聴いておっさんは黙る。まああのエヴァ色々とポンコツだけど、それでも実力は確かなのだ。そして実力に相応しいプライドだってきちんと持ってる。

 まず間違いなく10歳の子供の従者となるなんて普通は断るだろう。

 ネギはスーパーにぶちん野郎だから全く気付いてないが、エヴァの入れ込み様は正直かなりの物だ。魔法世界に来る前に闇の魔法に完全適合した時なんていつもの不機嫌面がどこかに行って超上機嫌だった。そっからは魔法球の中だとかなりべったりだったからな。

 

 ぶっちゃけ完全にエヴァには事後報告の形になるが、多分笑って許してくれるだろう。

 どうやらラカンのおっさんも思うところがあったのだろうか、とにかくネギの修行については付けてくれる次第となった。

 

 

 そして大会までの間ネギはラカンに修行を付けてもらい、私たちは他のクラスメイトを探しに行くことになった。

 ……はずだったんだが、気が付けば何故か私だけネギとおっさんの修行に付き合う羽目になった。なんで?

 私がいても特に何が出来る訳ではないんだが...。

 

 と思ったらラカンさんはバイブ君に興味を向けていらっしゃいました。やめろぉ(建前)やめろぉ(本音)!

 そこは触れちゃいけないんだ。見ろ、私のこの滝の様な冷や汗を。

 ネギも食らいついてくるな!!駄目です、駄目なんです。そこは暴いちゃいけない秘密なんです。

 だからネギそんなに心配するな!あくまでこれは個人的な問題であって、別にあいつが危険とかそういう問題はないんだ!だからこれ以上探るのはやめるんだ!

 

 結局どうにも出来ず、少しの間だけバイブ改めライル君に少しだけ登場してもらうことに...。

 あぁどうかバレません様に。どうかバレません様に...。

 

 てかネギの奴なんかバイブのことめっちゃ敵視してない?こんな目つきのネギ見た事ないんだけど?

 

 「ライルさん、あなた千雨さんとどういう関係なんですか?」

 

 ネギの鋭い質問が刺さる、……私に。

 バイブとその持ち主です。言える訳のない答えが心に刺さって自滅する。

 穴があったら埋まりたい。なんなら今からでも掘らせてほしい。

 頼むから変なこと言うなよ、お前。

 

 「んー、そうですね。まあぶっちゃけると私自我のある魔法具なんですよ。

 千雨さんとは持ち主と所有物の関係になりますね。だから心配しなくていいですよネギさん。

 あなたの心配しているようなことはまあ、...ちょっとしかないですから」

 

 そう言ってバイブはにやりと笑う。その答えを聞いた瞬間にネギの目が吊り上がる。

 杖を抱えて戦闘態勢に入る。何も言わずとも怒気がこっちにまで伝わってくる。

 思わず二人の間に割って入り込む。

 

 「待て待て!ネギ、別にこいつは危険なんてねーよ!

 何にも危害なんて加えてなんて来ないからな?こいつは完全に私の味方だよ。

 

 最後のも別に本当に被害を受けたことは...ことは...」

 

 ……精神的ダメージはめちゃくちゃ受けたなぁ。本当に恥ずかしい目に色々とあったし。

 でもこいつがいたから私は立ち直れたのは事実だし、いなかったら今でも辛い学園生活送ってだろうしなぁ。

 

 なんてことをつらつらと考えていたら、またネギの機嫌が急降下した。

 やっべ、つい考え事して黙っちまった。

 

 とりあえずさっき思ってたことをそのまま口に出すとさらに機嫌が下がった。なぜぇ?

 色々こいつには振り回されたけど、今の私があるのはこいつのおかげだと説明したじゃん?腹が立つけどそれでも私が一番信頼してる奴とも言ってるじゃん?

 

 なんかネギ超不機嫌じゃない?もはやバイブへの殺意に満ちてない?

 そんなにバイブが気に食わないのか?...まあ気に食わないな。私もそう思う。

 でも下手に動いてバイブバレだけは避けねばならないのだ!

 やばいと思っておっさんの方を見ると、とても楽しそうにニヤニヤしていた。駄目だこいつは役に立たない。

 後ろを振り向いてバイブに助けを求める。残念、こっちもニヤニヤしたままで役に立ちそうにない。てかお前の事だろうがよぉ!お前の為にこうして気を使ってんだぞ!

 

 まあ結局敵ではないと分かったのか、ネギもそれ以上追及はしてこなかった。

 た、助かった。もし万が一こいつがバイブだとバレたら私は世を儚むしかなくなってしまう。

 

 

 その後、ネギとおっさんがめっちゃ殴り合うだけの日々が続いた。

 最初はぼっこぼこにされてたネギも最後の方ではそれなりに殴り返していたっぽい。速すぎて見づらいから正確なことは分からんが、でも明らかにネギの反撃回数は増えていた。

 

 あとあの助平親父私の水浴び覗いてやがった。コロス。

 確かにバイブ丸を本格使用してから結構いいスタイルになった。自分でもどうかとは思うんだが綺麗になってると思うと中々これが止めにくいもので...。

 結局3-Aでもトップ争い出来るくらいのボュッキュッボンなスタイルになってしまった。ぶっちゃけ中学生離れしているとは思う。

 

 だがな、中学生を覗いてんじゃねぇよ!このロリコン!

 てか目が合って動揺すらせずに親指立てんなよ!金払えって冗談で言ったのにガチで払うんじゃねぇよ!

 しかも結構な金額とか反応に困るだろうが!

 

 ほんとにろくでもないおっさんである。結局私の細腕じゃどうにも出来ないので、ボロッカスに罵倒したのにまるで聞いちゃいねぇ。

 てかこの金どうしよ。なんか売春的な行為でとても嫌なんだが。

 

 後なんか妙に気に入られた感がある。全く嬉しくないな。

 なんか私はアリカっていう女に似てるんだとさ。誰だよ。

 これもある意味で運命って奴なのか・・・とか意味深なこと言いやがって。だから誰なんだよ。

 

 まあそんなおっさんだが結局大会でネギと大暴れした挙句、負けたので良しとする。

 私も好機とばかりにボロボロのおっさんに乙女の一撃を叩きこんでやった。全く効いてなかったけど。

 てか叩いた私の拳の方がダメージでかい。あのおっさん鉄で出来てんの?

 

 でもあの試合は色々と魔法、戦闘知識に乏しい私でも熱くなるほどのいい試合だった。

 色々と策を仕掛けるネギに、全てを経験と技術で打ち破っていくおっさん。間違いなくあれ程の試合は見ることが出来ないだろう。

 ほんとネギは良くやった。試合の余韻が冷めず、ついついネギに抱き着いて頭を撫でまわしてしまった。

 いやー、ほんとネギ格好良かったぞ。

 

 

 ちなみにだが、一番魔法世界で辛かったのがあのおっさんがいる間怖くて出来なかったことだった。バイブをして気付かれるかもしれないというバグキャラなのだ。

 いや~、本当にもう戻れないなって。実はこう人間姿のバイブを見て色々悩んだけど我慢できなかったわ。しかも我慢した後はやっぱすごかったし。

 ……ああもうおしまいだ。私は夕映と同じレベルになってしまった。

 

 

 で、その後優勝賞金で夏美達を買い戻し、各地でクラスメイトと合流し、なんやかんやで明日菜が攫われて...。

 なんか造物主が倒された。

 

 え?雑い?

 だってよく分からないんだから仕方ないじゃん。私全部ネギとバイブに任せていい感じについていっただけなのだから。

 一応ネギと仮契約したんだけど全く戦闘能力のないアーティファクトだったし。

 てかこの作品でそういうシリアスな戦闘シーンとかいらなくね?

 どうせバイブに倒されるラスボスだし。

 

 

 そうしてネギは英雄になりました。おめでとう!

 ちなみにナギの変装もバレて、今のネギはすんごい人気だ。

 その人気と実績をもとに、今は「Blue Mars」計画とやらをめっちゃ忙しそうに進めている。

 

 そんでもって私は今何故かネギの相談役に収まってるんだが...。こいつの話す内容正直私には難しすぎるんだが、ほんとに私が相談相手でいいんだろうか?

 今の自分、ネギが迷ったらケツを叩いてやるだけで具体的な相談には何一つ乗れてないぞ。

 ネギからの物凄い厚い信頼が心苦しいわ...。

 

 

 そんな超忙しいネギとは真逆に残りの中学の半年間はとても平和で楽しかった。本当に一瞬で過ぎ去っていった。

 いやー、まさかこんな青春を自分が送るとは思ってもいなかったが、まあ悪くないな。

 

 もう2月なのだ。中学を卒業することになる。

 本当ならばエスカレーター式のここは、皆がそのまま高校生に上がるはずだった。けれど超の奴が未来に戻ってしまうらしい。

 どうやらこの世界はもう大丈夫との事なので、少しでも元の未来を良くするために頑張りたいという事だった。

 なので皆で卒業式の前に2,3日連続で超のお別れ会パーティーを開いた。あいつもかなり楽しんでくれたみたいで良かった。

 

 そうして卒業式当日。

 皆で大騒ぎして、何人かは号泣して。私ももらい泣きしそうになってしまった。

 そのまま3ーA全員で桜の木の下でわいわい騒いでいると、ネギに呼び出された。

 なんかバイブと話がしたいらしい。

 なんで?今日は平和に、いい日で終わろうぜ・・。

 

 「いや、千雨さん。ここはさすがに無視は出来ませんよ...」

 

 何故かバイブが呆れた声で私の意見を否定する。

 そうして勝手にとなりに王子様の姿を借りてバイブが現れる。急なイケメンの登場にクラスメイトの歓声が爆発した。

 そうだろうな。ぶっちゃけ神族の血を引いてるから超美形だもんな、王子様。

 そのままバイブはネギの前へと進んでいく。自然体で悠々と近づくバイブに対し、どんどんとネギの全身に力が入る。

 

 「...それでネギ君、どうしました?」

 

 「ライルさん、本当にいきなりですみません。でもここで言っておかないと絶対に後悔しますから。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 ……what's happen?

 え?どゆこと?

 周りの奴からギャーギャーよく分からんことを耳に叩きつけられるわ、もみくちゃにされるわで大変なことになっているが意識がそちらに向かない。

 え?え?それってそういう事?

 え……あ……。あう...////。

 う、うあああああああああああああああ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 結局試合はネギが勝った。人間形態だと弱くなるらしいからな。

 聞いた話だとエヴァも結構手を貸したそうだ。恨みあるもんな、お前。

 で、その...。あれだ...。

 告白については、その保留という形に、なりまして...。いやだっていきなり言われても恥ずかしいし。

 結局そもそもこいつとはそういう関係じゃないと分かって、ネギも納得してくれたし...。

 

 

 「それでですよ。千雨さん。

 一応ネギ君への答えは保留らしいですけど、でも結構揺れてるんですよね?」

 「う...////。……まあな」

 

 あれ程のスペックの男とかまずいないしな。正直魔法世界辺りからかなり格好良くなってドキリとすることも増えたし。

 でもやっぱ年下のガキとしてのイメージが抜けなくて。散々甘やかして来たし。

 

 「まあ素直になるのをおすすめしますけどねぇ、僕としては。ほら委員長とかを見習って、...見習ってでいいのか?とにかくショタコンになっちゃいましょうよ」

 

 いや、ならないからな。ぶっちゃけ私にそういう性癖は一切ないからな。

 ただ将来のネギの姿はぶっちゃけかなり私の好みドンピシャなんだよなぁ。

 

 「なら迷う必要ないと思いますけどねぇ...。はあ、これは仕方ありませんね。

 

 ちょっといきなり本題の話をするとしましょうか。

 多分僕がいると千雨さん色々と気にするでしょう?

 だから最低限のバイブ機能だけ残して僕は別の人の所に行こうかと思うんですけども」

 

 それは...。確かになんというかネギへの保留の理由のいくらかはこいつが理由ではある。

 だって恥ずかしいし、今更10歳のネギので満足でk...なんでもない。

 独り言だが多分そもそもスタンダップしないだろうしな。

 

 なんかそういう心配をこいつにされるのは癪だが、実際そういう奴を沢山見てきたんだろうな...。

 そういう意味じゃあ多分ここでずるずると行っちゃうのは一番不味いんだろう。

 けどこいつには世話になったし、色々と思うところはあっても嫌いな訳じゃあない。

 

 ...……しゃあねえな。お前の心配も尤もだ。

 よし、ネギの告白は受ける。そんでもってあれだ。

 こうその日までは責任をとってここにいろ。んで仕事しろ。もう戻れないんだからな、てめー。

 

 「おお、さすがは千雨様!豪快かつ最低なセリフだー!!オブラートに包んでますけど多分僕のも含めてこの作品で一番最低のセリフですよ!

 

 ですが、ということはこれからも素晴らしいオ○ニーライフをお過ごしになるのですね!?」

 

 その通りだよ。もうお前無しの生活は無理だろうし、めくるめくオ○ニーライフだ!

 

 「ヒャッハー!!!」

 




とりあえず一旦これで終了です。ほんとこんな最低な作品を最後まで書ききってしまうなんて・・・。
ぶっちゃけ1話書いた時から一切プロットなし書き溜め無しの作品でしたので、色々と酷い所はあると思いますが大目に見てください。かなりひどいオリ主君は特に大目でお願いします。

また恥ずかしがって真っ赤になる魔改造ちうたん物が書きたかったので、バイブ主人公によるハイテンションギャグ物を期待していた方には申し訳ないです。

それと閑話は気が向いたら書きます。
その前にちょっと書きたい短編が出来たんで、そっちを先に投稿するかと思います。


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