ご注文は腐った魚ですか? (フリーダムrepair)
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一杯目

あ、はい、どうも、1話目です。

ご意見・ご感想お待ちしております。


『今、汝に道を選択する権利を送る。1つは堕落した生活を送り、やがて人として腐っていく道。

1つは日々己の身を磨き、神の帰依を誓う道。

何れの道を選ぶかは汝の自由、其れによってどうなるかも又汝の自由。今、選びたまえ。』

選択する自由か…

開店前のとあるカフェ、店を開く準備をしつつ、そんな呟きを漏らした。

制服のポケットの中に紛れ込んでいた一通の手紙には見慣れた字。妹の小町が俺宛に書いたものらしい。

手紙と言っても新聞のついでについてくるチラシの裏を使って書かれた物で、俺が帰った時のおみやげリストが詳細に書かれていた。

まあ、今俺はちょっと事情があって地元である千葉を離れているので、帰る時にはちゃんとリスト分位のお土産は買っておこう。

俺が開店の準備を終え、小町からの手紙を丁寧に畳んでいると、ガチャリと扉が開いた。

「…おはようございます、比企谷さん」

扉から出てきたのは、ここの喫茶店のオーナーの孫娘。

髪の左右にヘアピンを×印状に付けていて、いつも頭に毛むくじゃらの動物を乗せている

…よくそれ落ちないな。

「…おー、おはようさん」

気だるげに返事を返すと一瞬身構えたようにビクッと後ずさる。

まあ、年も俺の方が上だし、あまり知らない相手だから間が空いて気まずい雰囲気があるのも仕方がない。こういう時は自然に相手の出方に合わせるに限る。

すると、この喫茶店のオーナーの孫娘である香風智乃はいくつかのコーヒー豆をミルに入れ豆を挽き、無言でお湯が沸くのを待っている。

俺もまた特にする事もなく、近くにあった席に座ってボーッとしていた。

やがてお湯が沸くと香風はそれをカップに注ぐ。コーヒーの香りが湯気と共に立ち上がる。香風はコーヒーの入ったマグカップを俺に向けて手渡した。

「…どうぞ」

「お、おう」

突然のことに驚いて、ろくに言葉を発することも出来ずにいると、それ以上に会話が発展することもなく、向こうはすたすた出口側のテーブルの方へと行ってしまう。

香風が入れてくれたコーヒーを眺めつつ、今のやり取りを冷静に思い返してみる。

…おいおい、マジかよ、香風が俺に挨拶するだけじゃなくコーヒーまで入れてくれたよ。警戒された上、一切俺に近づこうとしなかった1ヶ月前と比べたらえらい進歩なんじゃねぇの。

とはいえ、挨拶程度は小学生でもちゃんとするしな。むしろ不審者には積極的に挨拶していけと小学校で教えてるまである。

そう考えてみると向こうから挨拶されたのは不審者に対する先制攻撃だった説が浮上してきちゃった!!あれかな?香風は学校で爪でも貰ってきたのかな?

まあ、そんなことはともかくせっかく入れてもらったコーヒーなので冷めないうちに飲むために、俺はキッチンにあった練乳を持ってきた。

ちなみにコーヒーに練乳を入れてMaxコーヒー風にして飲むことを千葉ッシュという。ついでに言うと英雄王の真名はギルガメッシュという。

ずずーっと偽Maxコーヒーを啜りつつ、ボーッとしていると、香風が思い出したように口を開いた。

「そういえば、今日から新しくウチに同居する人が来るみたいなんです」

「ほーん…へ?」

驚いたように俺が言うと、急に聞き返してきて戸惑いでもしたのだろうか、香風はまたビクッと身体を身構えた。持っていたお盆を口元まで持っていき、俺の反応を窺うようにチラッと俺を見る。

しかし新しい同居人か…流石に、この香風家も俺みたいな下宿人兼アルバイトを抱えていることもあって身内関係が来るということもないだろう。しかも今の時期となるとおそらく俺と同じような理由で下宿先を探す奴もいるはず…

「…そういえば比企谷さんは千葉から来たんでしたね」

「ああ、そうだな…まあ、ちょっと色々あってな」

そう、俺が愛しの千葉を離れ、この街にきているのには理由がある。

俺は千葉の総武高校を受験する当日、交通事故にあった。

初の第1志望受験、あまりの緊張のあまり、一時間も早く家を出てしまったのが運の尽きだ。

7時頃だっただろうか。高校付近で犬の散歩をしていた女の子の手からリードが離れ、そこへ折悪しく金持ってそうなリムジンが来た。気がついた時には全力で走り出していた。

その結果、救急車で搬送され、3週間ほど入院。もちろん総武高校なんて受けられず、その前に受かっていた、この街の学校に通うことが決定した瞬間である。

しかもこの学校、千葉からかなり遠い所に校舎を構えているため、下宿しなければならず、高校の方針で下宿させて頂く代わりにその家で奉仕をしなければならない…という訳で俺はこの香風の家の喫茶店である''ラビットハウス”で働いている。

…しかし奉仕という言葉を聞くだけで寒気が走るんだからやっぱり労働はダメだと思いましたまる。(こなみかん)

 

そんなどうでもいいことを考えながら ふと時計を見るともう開店時間を20分も過ぎていた。

俺達は慌てて最終チェックをすませ、店の看板札をOPENに変える。

そして、店の扉が開かれると新鮮な春のそよ風と共にコーヒーの香ばしい香りがふわっと立ち込めるような気がした。

「食材の買い出しに行って来てください」

時刻は12時を少し過ぎたかというところで香風に買い出しを命じられた。

いつもラビットハウスが利用している市場は店からその場所まで往復30分かからないくらいだ。ゆっくりだらだら歩いていても特に問題にはならないだろう。

そんなこんなでだらだらと市場まで行き、頼まれていたものを適当に購入し帰路につく。

…適当さって超大事だけど自分の適当さと他人の適当さは違うから難しいな。適当でいいよって俺の口癖だけど、他人がやると『適当なことしてんじゃねぇよ』って思うから世の中マジ結果オーライでしかない。

そんな壮絶なまでにどうでもいいことを考えながら、ようやく店にたどり着く。

店のドアを開くと、そこには俺同様にラビットハウスで働くバイトの先輩がキッチンでコーヒーカップを拭いていた。

「お、比企谷、お帰り」

こちらに気がついたのか、俺に声をかける。

俺はペコリと頭を下げ、買ってきた物をカウンターテーブルに乗せ普段通り制服を取りに更衣室に行こうとすると見馴れない女子がラビットハウスの制服を着て、こちらを驚愕の瞳で見つめていた。…誰?

「…ああ、比企谷さん、お帰りなさい」

「チ、チノちゃん!リゼちゃん!お店に目が腐った変な人が!?」

店の奥の部屋から出てきた香風をガバッと庇うように立つ女子。

…それにしても俺の目ってそんなに腐ってる?

俺が女子なら『え?私ってそんなに発酵の美女?』とプラスに解釈するところだよ?

と、現実逃避していても仕方がないので、この女子が誰なのか知ってそうな人に聞いて見ることにした。

「…天々座先輩、この人は?」

俺の率直な質問に、天々座先輩は肩にかかったツインテールの髪の毛を払いながら言う。

「ん?ココアか?ココアは今日からラビットハウスで働くことになった新入りだ」

ああ…コイツが新しい同居人って奴か、俺がココアたらいう女子を眺めていると、香風が俺について説明してくれたらしく、ポンっと手を叩いてこちらにやって来た。

「保登心愛です!!これからよろしくね。えっと…」

「…比企谷八幡だ、まあ、その、よろしく?」

何故か疑問系になりつつも保登に返事を返す。

すると、俺に向かって1歩踏み出し、距離を詰める。

「八幡君か…うん、八幡くん」

名前呼び…しかも近い距離で名前を呼ばれ、思わず俺の足が1歩引く。

「お、おお」

あいまいな返事をすると、保登はうんと頷いた。

「八幡くんもこの家に下宿しているんだよね?私もね、今日からここでお世話になるし、頼りにしてるね。サー」

無邪気に微笑まれると、目が腐ってるとか言われたことなんて大したことじゃないように思える。というか、俺の目が腐ってるなんていつものことだしな。

しかし、同じ位の年齢の女子に純粋に頼られるというのは、やはり少し照れ臭い。

お互いの顔が至近距離まであるというのに、保登はそんなことが気にならないようで変わらず、俺に真っ直ぐほんわかした笑顔を向けていた。

おかげで、俺の方が顔を逸らしてしまう。

「お、おう…でも、そのサーって何?」

「え?」

小首を傾げる保登の隣で、バタバタしている奴がいた。

「コホン…よし、ココア、ラテアートやって見るか?」

急速な話のすり替えを見た。あっ天々座先輩(察し)

「らてあーと?」

不思議そうな顔をする保登に天々座先輩が説明していく。

そのおかげか保登や香風も一緒にラテアートを作り始める。

「八幡くんも一緒に作ろうよー!!」

「やだよ…と、言うよりもな、お前らそんなにラテアート作って誰が飲むんだ?」

「「「 あ」」」

見れば誰がどのラテアートを作ったのかがよく分かる。天々座先輩や、香風はともかく初めてな保登のラテアートも割とうまく出来ていた。…え、まじでこの大量のカプチーノどうするの?

結局、残ったラテアートは4人で分担して飲むことになり、俺は深夜カフェインで眠れないことになった。

 

 




はい、という訳で1話目でした!
以前少しだけお話させていただいた俺ガイル×ごちうさのクロスを書きたいなーなんて思ったところから、今回のご注文は腐った魚ですか?を復刻…ないし書かせてもらいました。

…突然だけど、ごちうさって凄いと思うの…
何が凄いって基本的にどんな作品でも好きなキャラ嫌いなキャラっていると思うんですけど、ごちうさってそういうの無いのよね…
人にもよるとは思うんですけど、あの可愛い!!を追い求めた感じ…もはや1つの道の極みまで至っているのでは…??
ちなみに、ごちうさ道を歩む人々を見てよく思うのは、こういう感じで極めてく人多いよね。(個人調べなので他説様々なものがあります)
嗜み ココア
初心者 シャロ
中級者 リゼ ↓この順に好きになっていく
上級者 チノ
極み 千夜
とまあ、大体こんな感じ(個人差が大きくあります)。
(一部の紳士達はチノからごちうさ道に入る人も多いと聞くし、人によってシャロとリゼとココアの位置が移動されたりする)
何が言いたいかと言いますと、…千夜好きな奴少な過ぎんだろ…(個人調べ)
いや、まあ、確かにココアとかと比べて主張が強いタイプでは無いけど可愛いと思うんですよね!!
まあ、そんなことはともかく。ごちうさは最終的に行き着くところがみんな可愛い!!ってところが凄いよねっていうお話でした!!
…というか、なんだよごちうさ道って…

と、いう訳で今後もし続くのであれば劣等生と並行して進めることになるのかなぁ…という次第であります。(需要なければやめる)
そんなことはおいておいて、ここまでお付き合い頂いた方に感謝を込めて今後とも読んで頂けますように…


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二杯目

こちら、前回お読み頂いたお客様にもう一杯サービスでございます…
なーんてとりあえず、あんな1話だけで伸ばすのもアレなので2話目も投稿しちゃいます。






喫茶店でいつものようにコーヒーカップを拭いていて、ふと時計を見ると、午後2時を過ぎようとしているところだった。

そろそろ今日始業式だった香風が帰ってくるだろう。

「…もう、八幡くんも同じ学校なら教えてくれればよかったのに…」

俺と同じようにテーブルを拭いていた保登がしょんぼりとため息混じりに言った。そういや今日、お前学校行ってたな。

確かに昨日保登が妙にはしゃいでいたのを覚えている。

ああ、とか、おお、とか適当に返事を返していたので実を言うと保登の話の8割方聞いていなかったのだが、普通、入学式の日位自分で確認しろよ。

「あのなぁ、保登。だいたい自分の学校の入学式くらい自分で確認しろよ、人に頼りすぎてるとあっさり騙されるぞお前」

見損なってもらっては困る。俺は楽をするためならどんな努力も惜しまないのだ。故に、これ以上ぐちぐち言われるとめんどうなので保登を言いくるめくりいのことはする。

保登はむーっと不満げなご様子だが、ふと何かに気がついたように首を捻った。

「ねえ、八幡くん。どうして八幡くんは私のこと苗字で呼ぶの?」

「どうしてって…そりゃお前の名前が保登心愛だからだろ?」

「そうだけど…みんな私のことココアって名前で呼んでくれるし…そうだ!!八幡くん。私のことココアって呼んで!」

「保登」

「ココアって呼んで!!」

「…おい、保登」

「ココアって呼んで!!!」

「保登…いいから仕事しろ、さっきから客に笑われてる」

照れ隠しの変わりにこほん、と小さく咳払いをして周りを見渡すとクスクスと小声で笑われていた。うん、普通に恥ずかしい。

しばらくコーヒーカップ拭きに身を呈していると、保登はある常連客の所にオーダーを取りに行き、ニコニコしながら戻ってくる。

「ねえねえ八幡くん!さっきお客さんにココアちゃんはシスターコンプレックスだねって言われちゃった!」

「…は?」

「響きがかっこいいよね」

目をキラキラと輝かせながら何度もシスターコンプレックスと呟く保登。…コイツ意味分かってんのか?

大体、まだ妹(香風)帰って来てねえだろ、や、香風 自体 保登の妹じゃないけど。

そんなことを思っていると店の扉の鐘がチリンチリンと鳴り、誰かが扉を開けたことを知らせる。ガチャリと扉が閉まり、店内に香風が現れた。

「ただいま」

「あっ!チノちゃん!!聞いて!聞いて!!私ねー」

保登がテテテーと香風に駆けていく。さっきの話の続きでもする気なのかしら…(困惑)

まあ、シスコンに関しては俺も一家言ある。俺もお兄ちゃん歴15年やそこらの大ベテランだ。むしろ、アイツ(保登)のレベルでシスコンを語るとか片腹痛いよ?

時間的にもそろそろ俺のシフトが上がる頃だ。丁度香風と入れ替わりになるように店を出る。

さて、どうするか。受験終了後も結構バタバタしていてゆっくり1人静かに落ち着いて過ごせる時間というのは少なかった。こちらに来てからの休日も特に何もしないまま終わってしまった。

ようやく羽を伸ばすことができる。俺はもともと1人の時間が好きなのだ。

どの辺をぷらぷらしてようかなーと考えていると、だんだん気持ちも弾んでくる。

自前の自転車を取りに行き、鼻歌混じりにペダルを踏む。

そして、延々と続くように見える石畳の通りをひた走った。

 

 

商店街付近に着くともう夕刻というにはだいぶ日が暮れ街は歓楽街の顔を見せていた。川沿いから街の中ほどへ進んで行き、喫茶店フルール・ド・ラパンの方へと向かう。

この辺りはよく野生のうさぎが出没するので気をつけて運転しなければならない。

野生のうさぎなんて物をこの街に来るまで見たことがなかったが、アイツら、本当によく通行の邪魔をしてくるので迷惑この上ない。

そんなこんなでいつもの如く、表通路にはうさぎが沢山いて運転しずらかった。

仕方なく自転車で真っ直ぐ進むのを諦め、比較的野良うさぎの少ない路地裏を通ることにすると、今度は金髪の女子と野良うさぎが睨み合いをしていてどちらにしろ通れなかった。

「…うう…せっかくリゼ先輩に助けてもらったのにどーしてまたコイツがここにいるのよ…」

少しその場で待ってみて、いつまでたっても退く気配がなかったので、気がついたら手を伸ばし うさぎを通路から退かせていた。

うさぎと睨み合っていた女子が驚いたように俺を見る。

何か苦情を言われるかと身構えてはいたものの特には何も言われず、金髪の女子は何か言い出そうと口を開くが、声は出てこない。

身体こそこちらに向けられているものの、視線は合わさず床へ向けられていた。

少し気まずい雰囲気であり、ここは早々に立ち去った方が吉だ。

向こうが目線を下げてるうちに、俺はその場をあとにする。

どうせ二度と会いはしないのだ。見た目清楚可憐な金髪美少女と孤高の一匹狼たる比企谷八幡に接点などない。

路地裏を出ると、近くにあった映画館のディスプレイを眺める。

ちょっと興味があった映画が始まるまでにはまだ小一時間ほとの時間があった。どこかで暇でも潰しておけば、ちょうどいい時間になるだろうか。

ちょうど映画館の付近にはこじゃれた喫茶店がある。あるのだが、見た目のこじゃれさとここにいる客のオサレ満喫感がどうにも得意ではないので他の店に行くことにした。こうゆう喫茶店でワイワイガヤガヤしている調子に乗った頭の悪い学生のウザさは言い表すことが出来ない。そのような理由も含めてやはりこの店はダメ。

映画館からはす向かいにあるファーストフード店のコーヒー無料券(2枚一組セット)の有効期限は今日までだったはずだ。この店は

カフェオレでもOKなので俺としてもありがたい。寧ろカフェオレを甘くして飲むと千葉県民らしくてさらにいい。ここは千葉じゃないけどな!!

店内に入って、アップルパイとカフェオレを注文した。二階へと上がり、席を探す。

いやー、1人で甘いものを食いながら甘いカフェオレでティータイムとか充実すぎてヤバイ。大体、俺が、他人と生活している方がおかしいんだよ、やはりぼっちたる俺は自分で考えて、自分で調べ、自分で楽しまないと!!誰かに頼らず自分でなんでも出来るゼネラリストじゃないとな!!

軽くウキウキで空いている椅子を探す、1階、2階含め空いている椅子は3つ。かなり店の中は混雑している状況だった。

さて、どこに座るか、1つはテーブル席で2人用のもの、もう1つはカウンター席なのだが、自分でも何故だか分からないが空いているカウンター席の方は座りたくなかった。

その隣が超が付くほど美人なお姉さんだったからだろうか、その席に座る、という行動自体を身体が無意識的に避けようとしていた。

となると、少し迷惑だがテーブル席を使わせてもらおう。

テーブル席に座り、とりあえず購入したアップルパイをがぶっと噛む。

鞄の中から文庫本を取りだし、スピンをつっと動かし、読みかけていたページを開いた。

いやー、1人で甘いものを甘い飲み物で(以下略)

しばらく本を読んでいると、とんとんと肩を叩かれた。あん?ちょっと今いいところなんだから邪魔すんじゃねえよ。と思いつつも叩かれた方を振り向くと店員が満点の営業スマイルでこちらを見ていた。

「…申し訳ございませんお客様、こちらご相席よろしいでしょうか?」

「…はぁ、いいですけど」

適当に返事を返し、また読書に戻る。すると、見覚えのある人物が目の前の席についた。

「あ」

ウェーブの掛かった金髪にカチューシャを付け、お嬢様学校と名高い学校の制服着用していて、雰囲気にまで気品を感じる。

先程会ったばかりだが見た目からして家柄や育ちの良さを醸し出していた。

こういうファーストフード店ではなく、むしろ、さっきの喫茶店のカウンターにでも腰かけていると相当絵になっていただろう。

まさかここで再び出会うとは思っていなかっただけに我知らず身体が固まってしまう。

様子を窺ってみると、その金髪の女子は目をぱちぱちと瞬きさせ、こちらを見つめていた。

くっそ…なんで会うんだよ…。ここんとこ辛い試練続きでなんかこう神に愛されてる感あるけど、ちょっと愛が重い。

とにかく、さっさと食べて飲んで出ちまおう。

と思ってカフェオレに口をつけるのだが、あいにく俺は猫舌なのである。

必死にふーふー吹いていると、金髪の女子は俺に話しかけてくる。

「あの…さっきはありがとうございました」

「…はい?」

「?さっき助けてくれたでしょ?」

あれ、困ってたの?むしろウサギの観察か何かしてるのかと思ったので絶対何か言われると身構えてたまである。

「…別にそんなつもりもなかったし、あの場にいられると通行の迷惑だったから退かせただけだ。だから、その、こうなに…感謝されるようなことじゃない」

そう言ってまた読書を再開する。大体、俺が個人を特定して恩を売った訳じゃないんだから、個人が俺を特定して感謝する必要がない。

こんな些細なことに拘る必要はないのかもしれないが、筋はきちんと通しておかないとな!!うわ、なにこの偏屈、超めんどくせぇ!!

そして、静かな、まったりとした時間が流れて行く。

向こうから話しかけてこない以上、そうそう会話も生まれない。

静かな空間の中でカフェオレを啜る。…ああ、カフェオレ美味いなー…。でも、甘さが足りないかもな。練乳置いてたりしないかしら。代替策としてスティックシュガーをさらさら投入して飲んでいると、視界の端に金髪の少女が目に入る。

金髪の少女は机の上に手帳を広げ、頬杖をついては時折、フライドポテトに手を伸ばしていた。

しかし、本当上品そうに食うなコイツ、ポテトを一本一本そんな上品に食う奴初めて見た気がする。

しかし、不意に俺の視線に気がついたのか、驚いて食べていたポテトを喉に詰まらせてしまったらしく、苦しそうに胸元を叩き始めた。

「…おい、大丈夫か?」

声をかけるも、手で制され、うずくまるだけだった。

俺は1つため息をつき、近くを通った店員さんにカフェオレのお代わりとアイスコーヒーを注文する。受け取ったコップを苦し悶えている金髪女子の前にそっと置いた。

金髪女子が勢いよくアイスコーヒーを飲み干したのを見届けた後、俺も読書に戻る。

なんかよく分からん海外ソングが店内を支配し、お代わりのカフェオレを飲みつつ、本のページをめくると、目の前の金髪女子は口を開いた。

「あのさ」

「…あん?」

「今日は私を助けてくれてありがとー!」

「え?…あ、はい?」

突然の変わり様に思わず動揺してしまった。たぶん驚いたのが表情まで出ていたのだろう。なんなのこの人…と金髪女子を見ると、金髪女子は満面の笑みである。

「だってー、助けてくれたことには変わりないでしょー?もう、この捻デレさんめー!!」

そう言ってつんつんと俺のアホ毛を触る。

うわぁ…ウゼェ…というよりめんどくせぇ…。初対面でちょっと会話しただけでこの疲労感。丸くなった背に加えてさらに俺の肩ががくりと下がる。

ここはそろそろ本格的に撤退した方がいいかもしれない。

予想外の邂逅はすぐさま撤退すべし。慢心よくない。

「じゃあ、まあ、俺はこれで…」

「えー、今日は帰っちゃヤダー!」

椅子をずらしてぐいぐい近寄ってくる。近い近い柔らかい近い近いいい匂い近い…。

てゆうか、こいつなんでこんなに近いの…。てゆうかていうか、なんでこんなに柔らかいの…。女の子は柔らかいって本当ですか?おしえて!知恵留先生!!

とは言ってもこうガシッと腕にホールドされていると身動きが取れない。ここはもう一度帰るタイミングを見計らうべきかもしれない。

ただ黙っている分には俺も困らないし、むしろ俺の得意分野だ。

あれだな、やっぱり寡黙な男のほうがいいわけで。

来たな…。これは来ましたよ、ぼっちの時代。これからは会話しない系男子が流行る(モテるとは言っていない)

しばらく黙って様子を窺っていると、その金髪女子は俺の腕を掴んだまま眠ってしまった。え…まじでどうするのこの状況。

一応、ゆすったり、叩いたりしてみたがこの様子だとテコでも起きそうにない。

机を見るとこの金髪女子の物とおぼしき生徒手帳がぽつん、と置いてあった。

名前は桐間紗路。住所は…ああ、ここ、あれだ甘兎庵の近くだ。ということは思いっきり方面がウチと同じな訳で…。コイツ運ばなきゃいけないのかなぁ…でも流石にこのままここに放置していくのもなぁ…。

甘兎庵といえばウチのラビットハウスとは昔からのライバル店だと、タカヒロさんから聞いたことがある。ついでに店の位置もラビットハウスからたいして離れていないため、見学も兼ねて行ったことがあるくらいラビットハウスから近い。

1つ大きなため息をつき、この桐間たらいう女子を背負う。たぶん、本来ならこんなことをする必要もないのだろう。

だが、それでもこのまま放置していくのはなんとなく目覚めが悪い。だから、これは単なる自己満足だ。

店を出た辺りでよいしょっと桐間を背負い直す。

空はもう暗く星が点々と輝いているのを眺めながら俺はコイツの家があるという甘兎庵に向かって歩き始めた。

そして、結局俺は桐間を家まで運んだ後。後日自転車を取りにまたファーストフード店まで戻ることになってしまった。

 




はい、という訳で2話目でした!!
なんというかアレだね…ココアとの下りを書きたかったが為にこのssを書き始めたんだよなぁ…しみじみって感じですね!!

そして出てきた甘兎庵、なんでもラビットハウスとは因縁の中にあるとか無いとか、ダンディなおじさんことタカヒロさん…通称アゾットタカヒロが教えてくれたらしい…またれよ…

…この世界にはカフェインで自我が吹っ飛ぶ程酔う人間がいるらしいですね…そんな人物との邂逅のお話でした!!
兎ヤベエよ…というか兎が街中を徘徊するってどこの世界の常識だよ…奈良?
まあ、そんなことよりも面倒くせーと言いながらも見捨てるのもちょっと忍びねえなぁ…という八幡の心情が表すことが出来たらいいなぁ…と思っております。
まあ、その後、甘兎庵に連れて行って変な誤解を受けたり、そこの若女将(予定)な人物におもてなしを受けたりもするのですが、それはまた別のお話(無い)

さて、ここまで読んで頂いた皆様に感謝を込めて…次回もまた読んで頂だけますように。


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三杯目

あ、どうも、3話目です。

ご意見・ご感想お待ちしております!!


 

高校の入学式が終わると、生徒達は一様にぞろぞろと新しい自分の生活に向っていく。

新春、新しく学校や会社も始まり、スーツや残った冬物の服などがよくセールに出されるのを見る季節になった。

喫茶店へと向かう道には人であふれており、夏はまだ遠いというのに蒸し暑さを感じて制服のワイシャツでパタパタと仰いでいる。

「おーい!!八幡くーん!」

後ろで、呼ばれたような気がして振り返ると声の主は俺に気づいて、元気よく手を上げると、さらっと髪が軽く揺れた。

保登心愛。最近こちらに引越して来て、俺と同じく喫茶店ラビットハウスでバイトをしている。見た目は今時の女子高生って感じで普通に考えれば俺に気軽に声をかけてくるような存在じゃなさそうだが、いつの間にか名前呼びをされるまでになってしまった。それどころか、最近は俺に対しても名前呼びを強調するようになってしまった…割とめんどくさい奴である。

保登は配布されたクラス表を片手に、そのまま俺の横に並んで歩く。

「八幡くん!八幡くん!!クラス表見た!?見た!?私達同じクラスだよー!!下宿先もバイト先もクラスも同じなんて、これはもう運命だよ!!」

目をキラキラと輝かせながら語る保登に対し、はいはいっと適当に返事を返す。

もう毎度毎度色々な所で繰り返し言っているような気もするので、今更あえて掘り下げて言う必要もないとは思うが、俺は運命なんてものを信じてはいない。

大体、こんな事で何度も運命感じるとかずいぶんチープな運命もあったものである。ありがたみまるでねぇな。一生今だけ!!な進研ゼミの広告マンガなの?どんだけ毎日がデスティニィーなんだよ。

「…で、何か用か?」

横にテクテクと並んで歩く保登に尋ねると、質問の意図が伝わらなかったのか、キョトンとされるだけだった。…いや、そんな不思議そうな顔されても。

「んー、特に用事はなかったけど…八幡くんを見かけたから?」

にっこりと笑いながらちょこんと小首を傾げる保登。…んだよ、ちゃんと伝わってんじゃねぇか。

「ねぇねぇ八幡くん、八幡くんはバイト以外になにかするの?例えば…部活とか」

「特には何もする気は無いな、お前は?」

「私?私はねー…うーん」

首を傾げながら保登は考えていく。

まぁ、実際コイツ(保登)も俺同様に喫茶店のバイトもあるし、やれるものは必然的に限られてくる。

週に何度も練習を入れなければならない運動部系は入れないし、文化系の部活といえど、活動の日程がシフトと被っていたら考え直さなければならない。

総じて考えるに、やはり何も入らない方がいいな。

運動部とか体育で特定の競技の時、必ず貧乏くじ引かされるし、見本見せてみろとか言われるし、終いにゃ用具の片付けや準備までやらされる。これらの時間外労働が平気でまかり通ってしまうのが体育会系の闇である。運動部は社畜予備軍ともっぱらな噂だ、俺の中で。

などと頭の悪いことを考えながら2人して歩いていると、またしても見覚えのある顔に遭遇してしまった。

「あ」

「あら?」

確か名前はチヨ…いやヤチヨ?あるいはキミガヨ?なんか日本っぽい名前だったはずなんだよな…今は、ウチの学校の制服だが、前会った時の服装からして茶道家って感じ。茶道って言えば緑茶か?緑茶緑茶…、麦茶抹茶…宇治抹茶、宇治松、宇治松?うん、たぶん宇治松で合ってるはずだ。

「あっ!!千夜ちゃん!」

「ココアちゃんと…あなたは確か、シャロちゃんの時の…」

「…どうも」

どうやら保登の知り合いだったらしい。

俺との関係はと言うと、昨日、ファーストフードで絡まれた女子高生を家まで送り届けた際の受け取り人という関係で、その後お礼にと色々とその家の和菓子屋でおごってもらったりしたが、実を言うとほとんど赤の他人である。

「へ~でも驚いちゃった、まさか八幡くんと千夜ちゃんが知り合い同士だったなんて」

その言い方だとまるで俺に知り合いがいたことに驚いてるっぽく聞こえるからやめようね、まさかってなんだまさかって…まぁ、正しいんだけどさ…驚くポイントとしては的確だが、驚かれるポイントとしては最低の部類だった。

「人の縁の不思議よねぇ~私もココアちゃんと同じクラスでよかったー」

「本当!?じゃあこれからも一緒に帰れるね!!」

…気づいていなかったのか。まぁ、それも致し方ない。

本来どの学校も入学式を終えると新教室で初の顔合わせが行われるが、ウチの学校は学校側の用事で急遽明日に延ばされることとなった。

しかし、そんな中で俺を真っ先に見つけてくるとか…コイツ(保登)俺のこと好きなの?それともあれか、これを切っ掛けにクラスで俺に精神的に優位に立つ作戦か。残念だったな!その手には乗らないぜ!

そうやって深読みすると墓穴掘るって八幡知ってるもん!

とか勝手に思っていたが、保登のほうにそんな深い考えはないようで、何故かパン屋の店棚に並ぶパンを見て、はふーとため息を吐く。

「…かわいい」

「パンが?」

「………………ああ、そういや実家がパン屋だって言ってたっけか」

あまりにどうでもいい情報だったので、思い出すのに少し間を取ったが、以前保登がそんな話をしていたのを思い出した。

「うん、ウチでよく作ったんだー。また作りたいなぁ…パンをみてると私の中のパン魂が高ぶってくるんだよ!」

「わかるわ!私も和菓子を見ているとアイディアが溢れてくるの」

言うと、保登は宇治松の同意を得られて嬉しかったのか、妙にテンションが高い気がする。

…つーかパン魂ってなんだよ。なに、お前手に太陽の手とか宿してるのん?

まぁ、保登にしても宇治松にしてもタイプが同じと言うか、波長が近いのだろう。実際、宇治松の甘兎庵のメニュー名を見ているとなんとなく分かる。

それにこのおっとりポアポア感もかなり似てると言っていい。ただ分からないのは何故コイツ(保登)は俺に対してここまで距離感が近いのかという点である。

「んー、でも八幡くんは私にちょっと距離があるよね」

「…ちょっと、人の心勝手に読むなっての、お前はエスパーの人かよ」

「声に出てたよ」

言うと、保登は苦笑しながらこちらに振り返る。

その場に、ちょっとした静寂が流れ、少々居ずらい空気が生まれる。

尻の辺りがむずむずするような、妙な沈黙を破ったのは宇治松だった。

「…そうだわ!ならこれから親睦を深めるためにもどこか遊びに行かない?」

「おお!!いいね!じゃあどこ行こっかー!」

「そか、なら、俺は先バイト行ってるわ、じゃな」

言って俺はその場を後にしようとすると、驚いた表情の保登に袖を引かれてしまった。

「え…ちょ、ちょっと待って、八幡くんも一緒に行こうよ!」

「えっと…これから何か用事でもあるの?無ければ私たちと一緒に遊ばない?」

宇治松にも聞かれてしまったので少々考える様子を取る。

遊ぶ…遊ぶねぇ…。

遊ぶ、と言う言葉ほど多種多様な意味合いを持ち、かつ定義があいまいな言葉、あるいは行為はあるまい。

例えば、『へいへーい、ねぇちゃん遊ぼうぜ』と言う使い方ならリア充は死ねと思うし、『私とは遊びだったのね!』という使い方ならやっぱりリア充は死ねと思う。

遊び心を入れた料理は大抵悲惨なことになるし、何かに挑戦して失敗したときの言い訳に『これは遊びだから~』なんて言い出すこともままあることだ。

つまり、遊びなんて録でもないものである。

よって、俺の回答は決まったようなものだろう。

「あー、俺のところのバイト、シフトが早いんだよ」

誘われたらとりあえず断る。これはぼっちの安定行動であり、回避本能でもある。だってほら、行くって答えてそれが社交辞令だった場合、『あ、行くんだ…』とか苦笑いされる中学のクラス会みたいなことになったら申し訳ないじゃん?その気づかいに対しては気づかいで応じるのが大人の礼儀と言うものだ。

「そうなの?ココアちゃん」

「ん?そんなことないよ?だって今日八幡くんも私もバイト遅番でしょ?」

問われて保登が首を振った。当たり前だが即バレた。まぁ、あそこの従業員はほとんど学生だからな。もちろんシフトが一緒になる日がほとんどなんだが、たまにバラバラのシフトになるときがある。

保登は答えると、ふぅと小さなため息をつく。

「八幡くん、もしかして…私のこと嫌い?」

控え目な、けれどほんのわずかに一歩、いや半歩くらいだろうか、試すように踏み込まれた距離。

保登の叱られる前の子供の様な不安げな瞳に見つめられ、うっと一瞬言葉に詰まる。

「…別に嫌いじゃねぇよ、そもそも嫌いになるほどお前のこと知らねぇし…」

大体、人間関係のイザコザなんてものは、ある程度近しい者にしか発生しないし、好き嫌いで判別できるものでもない。

まぁ、俺の場合は大抵の人を嫌ってきたからな、今更ちょっとやそっとじゃ人を嫌いにならないが…。

すると、保登はパァァァっと表情が晴れていく。

「本当!?よかったー!!八幡くんそっけないし、私が話かけてもいつも適当に流されちゃうから嫌われてるかと思ったよ―」

よほど安堵したのか保登は若干涙目ながら微笑む。

そして一つ大きな深呼吸をした。

「よし!!私、八幡くんに好きになってもらえるように頑張るね!!」

「…そうかよ」

「うん!!」

元気よく返事をされてしまった。

全く…コイツ(保登)はなんでこう男子を勘違いさせる発言が多いのだろうか。

しかもこれ、素でやってるのだから始末に終えない。

普通に照れくさくて保登から顔をそらすと、そこにはどこぞの高校生アイドルもびっくりな笑顔の宇治松がいた。…これが本当のニコニコニー。

「…なに?」

「ううん、ココアちゃんと仲いいなぁっと思って、そうだ自己紹介ちゃんとしていなかったわ!昨日はあんまり時間もなかったし改めて言うわね、私は宇治松千夜。よろしくね、えっと…八幡君?」

そう言ってスッと右手を差し出してきた。

「…比企谷八幡だ」

言って宇治松の手を軽く払い、自己紹介を済ませる。

それじゃあ、と宇治松が前置きをして、こちらの反応を窺うように照れながら、上目づかいで俺を見る。

「私も八幡君って呼んでいい?」

「…お好きにどうぞ」

もうこの手の輩に何を言っても変わらないのは保登で確認済みである。

俺が肩をカクッと落とし、降参したのを確認すると宇治松はまたもやにっこりと微笑んだ。…くそう、笑うと口元にえくぼができるとか、それがちょっと可愛いとか死ぬほどどうでもいい知識を得てしまった。

「よーし、八幡くんも千夜ちゃんもオッケーってことで遊びに行こー!!」

保登がグッと拳を空に突き上げ、その勢いのまま俺と宇治松の手を掴んで歩きだす。

…だからなんでコイツはこういう行動を取るんだっつーの。いいですか?そういう無邪気な行動がですね、多くの男子を勘違いさせ、結果、死地へと送り込むことになるんですよ?そこんとこちゃんと考えて行動してもらいたい。

と、赤くなっていそうな頬を誤魔化すためにも反論しておこうと保登を見る。

「…つーか、まだ俺行くって言ってねーんだけど…」

すると返答は保登ではなく宇治松から帰ってきた。

「まあまあ…いいんじゃない?行ってるうちに楽しくなって来るかもしれないわよ?」

「えー…」

なんかうまく乗せられてるような気もする…。

とはいえ、先ほども言ったが遊びなんて録なものじゃない。

遊んでばかりいるとどうなってしまうのか。その悲惨な未来を想像するのは難しくない。

が、故事来歴を紐解くに、『遊び人はレベル20で賢者に転生できる』。

だから、まぁ、なんだ…ちょっとくらいは遊んでいいやな…。

そんなアホなことを考えながら、俺は保登が進むがままに手をひっぱられて街の中を進んで行った。

 

 




はい!という訳で3話目でした!!

今回は千夜が初登場という訳で下校中の一幕という形を取らせていただきました!!
それにしてもココアの使い勝手の良さは異常…ココア可愛い…ココアは良い文明。多分今後もよく出る。
バイトも下宿先もクラスも同じとか、それもう運命!!
運命て凄いですね!!でも作者的には自由の方が好きなんですけどね!!

千夜にも名前呼びされるようになってしまった八幡…でもね、もう、この手の人間には言ってもどうしょうも無いことを悟った八幡なのであった…まる。

さて、ここまで読んでくれた方に感謝を込めて、また次回も読んで頂けますように…

次は劣等生だな、うん。


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