Rouge et Noir (隠神刑部)
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第1話

はじめまして、隠神刑部と申します。これが処女作となりますので、色々変な所があると思いますが、どうか温かい目で見守ってください。誤字などあれば報告してくださるとありがたいです。


「血早、起きて。ご飯出来た」 ユサユサ

スー、スー。

 

「血早…起きて?」ユサユサ

スー、スー。

 

「えいっ」

「ぐわあっ⁈」ズデーン!

 

可愛らしい掛け声と共に俺の天地が反転した。

 

「いたた…何すんだよ(かすみ)。今ので脳細胞が五千個は死んだぞ」

さかさまの視界には、色素の抜けた長髪と赤い目をした幼馴染が写っていた。中学生とは思えない大きさのアレがパジャマを押し上げて自己主張しているが、視線を向けたりはしない。だってバレるし。

 

「だって、何回呼んでも血早が起きないから…」

「そもそもどうやったら60kgを超える物体をそんな簡単にひっくり返せるんだ?」

「…乙女の嗜み」

「…そうか」

 

どうも俺と霞とでは乙女の概念が大きく異なるらしい。少なくとも俺の考える乙女は寝ている幼馴染に畳返しを掛けたりはしない。

そんな馬鹿なことを考えながら階段を下りると、味噌の良い香りが漂ってきた。

 

「おはよー」ガチャリとドアを開けて挨拶をする。

「おはようなのにゃ!」

配膳をしていた幼女がこちらを向いて、挨拶を返してきた。その動作につれて二本の尻尾が揺れる。

二尾(ふたお) 火輪(かりん)。「火車」の個性を持つ少女で、俺達と同じくこの孤児院に住んでいる。

そう、ここは私立の孤児院。それも只の孤児院じゃない。(ヴィラン)を親に持つ、所謂「ヴィラン二世」の子供達を集めた孤児院だ。俺は「二世」じゃあないんだけどな。両親は一般人だったし。

 

「おはようございます」

「血早兄ぃ、遅い」

先に起きていた子供達から挨拶を受ける。

 

「悪い悪い。今度から気ぃ付けるわ。」「それ毎日言ってるじゃないですか…」「そーだっけー?」「ほら全然反省してない…」

子供達と軽い掛け合いをしながら席に着く。朝食の献立はご飯、味噌汁、出汁巻にほうれん草のお浸しの和食スタイル。育ち盛りの男子中学生には少し物足りないが、贅沢は言ってられない。

 

「それじゃ、いただきまーす」

「「「いただきます」」」

皆で食前の挨拶をして、さあ食べy

ガチャリ「ふわぁ…おはよ〜」

食堂のドアを開けて、一人の女性が入ってきた。顔立ちは整っているし、スタイルも良い。まさにオトナの美人と言うべき女性なのだが、低血圧で朝が弱いのが玉に瑕。髪は乱れ、目は半開き。足取りもフラフラして危なっかしい。それでも綺麗に見えるって、美人は得だな…じゃなくて!俺は椅子を蹴って立ち上がった。

「師匠!今起きたんですか⁈」「そうだよ〜」「じゃあ朝ご飯の支度は⁈」「ちびちゃん達がやってくれたよ〜」「あなたそれでも保護者ですか⁈」

そう、この女性森谷(もりや) 早苗(さなえ)こそ、この孤児院の主人兼俺の師匠である。

 

「子供だけで火を使わせて!何かあったらどうするんですか⁈」

「大丈夫、私がちゃんと見てたから…」

「血早兄ぃ、そんなに私達信用ないにゃ?」

うぐ、そう言われると何も言えない。俺は黙って席に戻った。

もぎゅもぎゅもぎゅ…しばらく無言の空間。

 

「ごちそうさまー」

「ごちそうさま」

俺と霞はほぼ同時に食べ終わった。食器をシンクに運び、水に浸しておく。歯を磨いて、制服に着替えて、身だしなみを整える。…よしできた。霞と一緒に家を出る。霞はフリルとレースの付いた女の子らしい黒い日傘をさしている。こいつは先天性白皮症(アルビノ)だからあまり太陽に当たるのはマズいんだ。

そろそろ俺達中三は進路を考える時期だな。まあ俺と霞はもう決まってるんだが。

ガラガラ「おはよー」教室の扉を開けて挨拶をする。

「おう、おはよう血早、と御東(みあずま)さん」

相変わらず俺は名前で霞は名字呼びか。霞は家の外じゃあまり喋らないし、何よりこの美貌だからな。とっつきにくい印象を受けるのも無理はない。

 

「しっかし、お前ら毎日一緒だな。どういう関係なんだ?」

「「只の幼馴染」」

「いや、息ぴったりじゃねえか。お前らホント仲良いな」

「「それは否定しない」」

「さいで」

クラスメイトとそんな掛け合いをしていると、扉が開いて担任が入ってきた。

「うーっす。予鈴鳴ったら席着けよー」

ガタガタガタ

皆が音を立てて椅子に座る。

「さて、中学生活も大詰めってことで、そろそろお前らも本格的に将来を考えていく時期だ。今から進路希望のプリント配るが、まぁだいたいヒーロー科志望だよな。ほい、後ろ回せ」

配られたプリントに必要事項を書き込んでいく。

「あ、そういや赤黒と御東は雄英志望だったな」

先生…個人情報を勝手に漏らさないでください。

その言葉を聞いたクラスメイト達の反応は大きく二つに別れた。すなわち「やっぱりね、そうだと思ってた」みたいなのと「マジで⁈お前が⁈」みたいなのだ。ちなみに前者が霞向け、後者が俺向けだ。

「おいお前ら、何で俺と霞でそんな反応が違うんだ?」

「「「え、だって御東さん(血早)だし。」」」

「…そーかい」

一体皆の中で俺はどういうイメージなのか物凄く気になった。

「あ、そうだ。赤黒と御東は放課後面談室に来てくれ。」

「「?はい」」

 

〜授業風景は割愛〜

 

コンコン「「失礼します」」

放課後、俺と霞は担任に言われた通り面談室に来ていた。

 

「おう、来たか。まぁ座れ」

「「失礼します」」

担任とテーブルを挟んで反対側のソファに座る。

「で、何で呼び出したかってーと、うん、率直に言おう」

担任は言葉をそこで区切って、頭をガシガシと掻いた。

 

「お前らは(ヴィラン)の肉親だ」

「「…ッ」」

そう言われることを予想していたとはいえ、面と向かって言われると、やはり辛いものがある。俺達は軽く息を飲んだ。

 

「まあ御東は品行方正だし、赤黒も…成績は悪くない」

ヒドす。

 

「だから、お前らのことは信用してるんだが、一応担任として聞いておく」

 

「大丈夫だな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい」

俺は言葉を続ける。

「かすm…御東はまだ精神が不安定な所もあり、絶対大丈夫とは言えません」

俺は何か言おうとする霞に先んじて言葉を紡ぐ。

「ですが、もしも何かあった場合は、俺が責任持って何とかします」

うっすらと顔を赤くした霞が続いて言葉を紡ぐ。

「ちはy…赤黒は元気に振舞っていますが、心の傷はまだ癒えていません」

おい霞なn「ですが、もしも何かあった場合は、私が責任持って何とかします」

何これ凄いハズい…これが意趣返しという奴か。自分の顔が赤くなるのを自覚した俺は、個性を発動し顔に上っていく血液を胴体に戻す。

 

「…わかった」担任は深く頷いた。

「もう帰っていいぞ」そう言った担任は、胸焼けでもしたかのような顔をしていた。

「「失礼しまし…ん?」」

霞も気付いたようだ。扉の外に気配を感じる。それも一つや二つじゃない。恐らくは…うちのクラス全員。にゃろう、盗聴してやがったな。それならこっちにも考えがある。俺は深く息を吸い込み、大声を出した。

 

「ワーーーーッ‼︎」

「「「ぎゃああ⁈耳が、耳がぁ!」」」

こうかはばつぐんだ!

俺はそのまま扉を開けた。そこには【五感強化】の個性で盗聴していた男子、それを【同調(シンクロ)】の個性で同調していた男子、更にそれを【並列化(マルチプル)】の個性でクラス全員に配っていた女子、おまけに【気配希薄化】の個性でクラス全体を隠蔽していた女子、あとシンクロのせいで揃って耳を抑えているうちのクラス一同。

「何やってんだお前ら…」

「ぐうぅ、耳がガンガンするぜ…薄井さん、隠蔽してたんじゃなかったの?」「えぇ⁈私ちゃんとしてましたよ?」「なぁ釧路と並川、これ俺らまでやる必要あったか?」「お前らが言い出したんじゃねぇか」「ノリノリだったじゃない」

「そもそも校内での個性発動は禁止だ馬鹿共」

「いや〜それにしても」クラスメイト全員が同じ様なニヤニヤ顔をする。おかしいな、もうシンクロは切れてるはずなんだが…

「何だよ」

「「「別にぃ〜?」」」

うわなんかすげぇむかつく。

 

「そーいや、何で俺達に気付いたんだ?」

「修行」

「勘」

「なんじゃそりゃ」

 

クラスメイト達と掛け合いをしながら帰路につく。帰ったら勉強しないとな…霞はともかく俺はまだA判定取れてないし。



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第2話

どうも、隠神刑部です。「紅と黒」2話目ようやくできました。どうぞ。



「…でっか」

俺達の目の前には、全面ガラス張りの巨大建造物がそびえ立っていた。どっから金出てんだろなホント。今日、2/26は実技試験の日だ。筆記の方は霞が勉強手伝ってくれたこともあって、何とかA判定取れている。実技で合格点を上回れば受かるだろう。多分。

人の流れに沿って講堂を目指す。歩くのが面倒なので後ろの方の席に座った。優に1万人以上を楽に収容出来そうな巨大講堂は、早く来たからかまだ三割程度しか埋まっていない。

 

「あと30分か…暇だな」

「血早…やること無いの?」

「人事を尽くして天命を待つー」

霞の正論に諺で返した俺の目の前に、ドンッと重い音を立てて何かが置かれた。

 

「えーっと、霞、これは一体?」

「参考書」

霞は真顔で言い放った。いつも真顔だけどな。

 

「ちゃんと…人事尽くす…」

「ハイ (´・ω・`)」

 

この後めちゃくちゃ勉強した。

 

難易度高めの問題を数個解き終えて、始まってもないのにぐったりしていると、何の前触れも無く講堂中の照明がパッと点灯した。中央に設置されたステージの舞台袖から、コツコツと足音が聞こえてくる。出て来たのは、長い金髪をトサカの様に逆立て、全身をロックテイストの黒の革で固め、サングラスをかけて首回りにスピーカーを付けた中年男性だった。

 

ボイスヒーロー【プレゼント・マイク】

 

雄英教師兼任で、深夜ラジオの放送もしているプロヒーローだ。そのままステージ中央に歩み寄り、演台につく。

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!』

 

シー・・ン

 

個性を使用したとおぼしき爆音が講堂内に響き渡るが、帰ってきたのは静寂であった。

 

『こいつあシヴィーー!!! 受験生のリスナー! 実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!! アーユーレディ!?』

 

それでもめげずに説明を続ける精神力はさすがプロヒーローというべきか…などと感心していると、プレゼント・マイクがプルプルと震えているのに気づいた。さすがに一万人超のフルシカトは堪えたらしい。

 

『YEAHHHHHH!!!』

 

シーーン!!

 

ついに自分で答え出すプレゼント・マイク。そして再び返ってくる静寂。というか受験当日のピリピリした受験生に深夜ラジオのノリを求めても無駄だと思うんだけどな…

 

その後もハイテンションで説明が続く。

要約すると、

・時間は10分

・試験の場所は市街地を模した演習場

・それぞれにポイントが割り振られたロボット、仮 想(ヴィラン)を行動不能にしてポイントを稼ぐ。

・他者への攻撃などは禁止

 

途中、一人の少年が手を挙げて質問した。

曰く、三種と説明された仮想(ヴィラン)がプリントには四種記載されている、と。さらにその少年は先程からブツブツと呟いていたモジャ髪の少年に気が散ると注意する。

プレゼント・マイク曰く、0Pのお邪魔虫、スーパーマリオブラザーズで言うところのドッスンだ、と。

 

『俺からは以上だ!! 最後にリスナーへ我が校”校訓”をプレゼントしよう』

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った! 「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!』

 

『”Plus(更に) Ultra(向こうへ)”!!』

 

『それでは皆良い受難を!!』

 

説明も終わり、皆ゾロゾロと講堂から出る。これから演習場別に分かれてバスに乗り、各演習場へと向かう。

 

「そーいや霞はどこなんだ?演習場」「私A。血早は?」「俺G。見事に真反対だな」「うん…じゃあ血早、また後で」「おう」

簡単な会話を交わし、それぞれのバスに乗り込む。

 

〜少年少女移動中〜

 

「「「広っ」」」

 

バスから降りた俺達は、異口同音に呟いた。目の前には高い塀に囲まれた広大な敷地、そしてその中に立ち並ぶ建物。つまり、「街」だ。これが8個もあんのか…マジでどっから金出てんだ?まぁんなことよりさっさとスタート地点着こう。ストレッチストレッチ…足攣ったらシャレにならんからな…

念入りに筋肉をほぐしていた俺は

 

『ハイスタートー!』「へ?」『どうしたあ!? 実戦じゃカウントなんざねえんだよ!! 走れ走れぇ!! 賽は投げられてんぞ!!?』

 

不意打ち気味の合図に見事に乗り遅れた。

 

「やっべ急がにゃ」

 

出遅れた俺は、集団に追いつくべく走り出す…訳ではなく、細い路地裏に入る。先に行った奴等の後を追うより、人がいない所の方が効率良くポイントを稼げるはずだ。路地裏を抜けて、開けた所に出る。そこには受験生は誰一人いなかった。その代わり、仮想(ヴィラン)がwwと…間違えた、わらわらと出てきた。

 

1P(ヴィラン) ヴィクトリー 五体。

一輪走行の軽量級ロボット。機動力が高いが脆い。

 

2P(ヴィラン) ヴェネター 三体。

四足歩行の中量級ロボット。鞭の様な尾が武器と思われる。

 

3P (ヴィラン) インペリアル 二体。

二輪+アーム走行の重量級ロボット。ミサイルポッドを装備しており、自走砲の様にも見える。

 

『標的捕捉! ブッ殺ス!!』

『フルファイヤー!!』

『悪ィガコッカラ先ハ一方通行ダ。侵入ハ禁止ッテナァ! 大人シク尻尾ォ巻キツツ泣イテ、無様ニ元ノ場所ニ引キ返シヤガレェェェ!』

『スクラップノ時間ダゼェェェ! クッソ野郎ガァァァ!』

 

 

誰だこんなプログラム組んだの。

 

 

個性を発動し、血液を体外に流出させる。刹那、血液を凝固。両方の前腕部が真紅の籠手に覆われ、握り拳の先から鋭い切っ先が伸びる。籠手と一体化した剣、インドの武器「パタ」である。これにより攻撃力とリーチが大幅に増す。俺は凶器と化した両腕を構えて吼えた。

 

「スクラップになんのは…てめえらの方だぁぁ!!」

 

〜霞視点〜

 

私はプレゼント・マイクの合図と共に走り出した。走りながら個性を発動。肌から溢れ出した黒い粒子を翼の形に固め、それを羽撃かせて一気に上昇する。

(東側に(ヴィラン)が集まってる…)

そのまま突っ込んだ。

 

「機械相手なら、加減はいらない…」

 

翼を消し、追加の粒子を放出する。大量の粒子が私を中心に渦巻く。十分な回転が付いたところで、一気に解放する。

「削りきる…」

 

漆黒旋風(ネロ・テンペスタ)

 

〜霞視点out〜

 

じつは霞、隠れ厨二である。幼少の頃、必殺技を書き留めたノートを血早に見られ、羞恥のあまり殴り倒したのも今となっては良い思い出だ。

全てを薙ぎ倒す死の嵐が収まった後には、ロボットだったモノが転がっていた。

 

 

暗闇の中、声が響く。

 

 

「今年はなかなか豊作じゃない?」

「いやーまだわからんよ」

「真価が問われるのは…

 

声の主は、「YARUKI SWITCH」と書かれたスイッチをグッと押し込んだ。その瞬間、8個の演習場全てに巨大な影が現れる。

 

0P(ヴィラン) エグゼキューター

 

これからさ!!」

 

 

「ドッスンにしちゃあ…でかすぎるなぁ」

今の持ちポイントは41。多分合格ライン乗ってるだろうが、ポイントが多くて困ることは無い。赤黒血早はクールに去るぜ。

 

「いったぁ…」

「ッ!」

 

女子が一人、瓦礫に足を挟まれていた。

 

グルリと方向転換し、一人0Pに向き直る。

何がポイント、何がクール。そんなものが人の命よりも大切なのか?

 

否。

 

否!

 

否ッッッ!!!

 

〜霞視点〜

 

「ぐっ…闇が、足りないッ」

「ッ!」

 

男子が一人、瓦礫に足を挟まれていた。

 

グルリと方向転換し、一人0Pに向き直る。仮にもヒーロー志望が、人を見捨てて良いのか?

 

否。

 

否!

 

否ッッッ!!!

 

 

 

「「クレバーな撤退なんぞ犬にでも喰わせろ!」」

 

 

 

血早は全身の血液を右腕に集め、血圧を限界まで高める。

 

霞は全ての粒子を頭上に集約し、一本の砲身を作り出す。

 

 

 

「”鮮紅の閃光(スカーレット・レイ)”!!」

 

「”宵闇影閃光(シャドー・レイ)”!!」

 

 

雄英の空を、紅と黒の閃光が切り裂いた。




すみません、戦闘シーンは苦手でして…
あ、今回出てきた「パタ」については、「パタ 武器」で検索すれば出てくると思います。


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第3話

どうも、隠神刑部です。「紅と黒」第3話、どうぞ。


「実技総合、成績出ました。」

 

暗闇の中、声が響く。

 

救助(レスキュー)ポイント無しで3位とはなあ!!」

1P 2P(仮想ヴィラン)は標的を捕捉し近寄ってくる。 後半他が鈍っていく中派手な個性で寄せつけ迎撃し続けたタフネスの賜物だ。」

「対照的に敵P(ヴィランポイント)0で9位。アレ(・・)に立ち向かったのは過去にもいたけど…ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」

「思わずYEAH!って言っちゃったからなーーー」

 

「でもまさか、アレ(・・)をブッ飛ばす奴が三人も出るとはねぇ…」

「あぁ、一位と二位の奴な。えっと、ポイントは…」

 

順位  名前   (ヴィラン)P  救助(レスキュー)P

 

一位 御東 霞    56  60

二位 赤黒 血早  41  60

三位 爆豪 勝己  77   0

       ・

       ・

       ・

 

「圧倒的だな! しかしまぁ、両方同じ中学か。そんなヒーロー進学校って訳でもねぇだろ?」

「…成程」

「どうしたイレイザー?」

「あの二人は、【ドライアド】んとこのだ」

「マジか! だがそれなら納得だな!」

 

 

「「ただいまー」」

 

「おかえり、血早くん、霞ちゃん。雄英から封筒が来てるわよ。」

「お、合格通知かな?」

「そうみたいよ〜」

「「「にいちゃん(ねえちゃん)見せて!!」」」

 

子供達がキラキラとした目で見上げてくる。

 

ゴソゴソ…「なんだこりゃ?」

 

封筒の中には書類と、変な機械が入っていた。ガチャガチャと弄っていると、どうもスイッチかなんか押したらしく、ブゥン…と起動音がして立体映像がついた。

 

『私が投映された!!!』

 

「「「オールマイト!!?」」」

 

アイエエエエ!オールマイト!?オールマイトナンデ!?

 

『実は、今年から私は雄英に勤めることになったんだ』

 

MA☆JI☆KA

 

『驚いたかい?』

 

そりゃあ、もう。コクコクと首を縦に振る一同。

 

『ええ何だい!?巻きで!?後がつかえてる!?あーあーわかったO.K…』

妙に生々しい一幕。

 

『さて!本題に入ろうか!赤黒少年、御東少女、(ヴィラン)P(ポイント) 41P、56P!

 

 

 

しかし!!我々が見ていたのは(ヴィラン)P(ポイント)のみにあらず!!!

 

 

 

救助活動(レスキュー)P(ポイント)!!

 

赤黒少年、御東少女共に60P!!首席と次席だぜ!?

 

来いよ少年少女、雄英(ここ)が君達のヒーローアカデミアだ!』

 

 

 

 

「それじゃ血早くん、霞ちゃん、いってらっしゃい。サイコーにかっこいいわよ」

 

「「…いってきます!」」

 

 

 

「「…迷った」」

 

よし、落ち着いて状況を整理してみよう。ここは雄英高校内部。しかし高校とは思えないほどに広い校舎内で、二人揃って迷子になった訳だ。

…うん、整理したところでたいして何も変わらないな。そんな事より教室探そう。1-A、1-Aっと。お?人が集まってるぞ?ここか?

 

「おはよう!お前らもB組か?」

「いや、俺らA組だけど…」

「A組ぃ〜?ここはB組だぞ?」

「いや、その、恥ずかしながら迷いまして…」

「あはは、成程ね。A組ならこっち行って突き当たりを右だよ」

 

オレンジの長髪をサイドテールにした女子生徒が、快活に笑いながら教えてくれた。

 

「ありがとう。それじゃ」

「あ、ちょい待ち。私は拳藤 一佳。お前らは?」

「俺は赤黒 血早。んでこっちが」

「御東 霞…」

「おう!じゃあ赤黒と御東、またな!」

 

拳藤と別れて教えられた方に行く。

…ドアでっか。バリアフリーってやつだな。あれ、ユニバーサルデザインだっけ?まぁどっちでもいいや。

 

スイ…

あれ、ドアがガラッてならない。なんか変な感じ。

 

「おう、おはよう!お前らもA組か?」

「ああ、そうだ」

「俺は切島 鋭児郎ってんだ。お前らは?」

「俺は赤黒 血早。んでこっちが」

「御東 霞…」

「おう!赤黒と御東か!よろしくな!」

 

ドアを開けるとツンツンした赤髪の少年に話しかけられた。如何にもコミュ力の高そうな少年である。

と言うか非常によく似た会話をさっきしたような…

えっと、席はっと…俺が通路側前から二番目、霞が窓側の前から四番目だな。

しっかし、席少ないな…1、2、…22個しかないじゃん。あの頭おかしい倍率はこう言うことか…

霞と別れて席に着く。うーん、椅子も机も高級感。ここホントは大学とかじゃないよね?

まだ半分ちょいしか来てないな…と思っているうちにお一人様ご登場〜

なんか金髪イガグリヘッドの不良感半端ない少年が入って来た。うーん、あれは「高校と同時に不良デビューしました」って感じじゃないなぁ。あれはきっと筋金入りの不良。って、イガグリ君の席霞の前じゃん。大丈夫かな…

 

霞が問題起こさなきゃ良いんだけど。

 

イガグリ君は席に着くと、ドカッと足を机にかけた。すると、眼鏡をかけた大柄な少年がイガグリ君に注意を始める。あ、あのメガネ君入試の時質問してた奴だな。うん、溢れ出る真面目感。不良VS委員長だー、と馬鹿なことを考えていると、またドアが開いた。…ワカメ?違った、髪の毛だ。ワカメ君は教室内の風景(不良VS委員長)を見て固まっている。それに気づいたメガネ君がワカメ君に自己紹介をしながら話しかけた。どうやら入試試験の構造、救助活動(レスキュー)P(ポイント)のことについてのようだ。するとワカメ君の後ろからなんかほんわかした感じの少女がワカメ君に話しかける。知り合いなのだろうか。

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

モスラ?

 

違った、おっさん入りの寝袋だった。モスラは寝袋からゼリー飲料を取り出し、一気に飲み干した。

寝袋にくるまったまま立ち上がるモスラ。器用だなぁ。

脱皮して…いや違う、寝袋を脱いで出て来たのは、ボサボサの髪を肩まで伸ばし、無精髭を生やしたぬぼーっとしたおっさんだった。

 

「担任の相澤 消太だ。よろしくね」

 

(((担任!!?)))

その瞬間クラスの気持ちが一丸となった。入学初日でこれとは。以心伝心だね。

 

相澤先生はゴソゴソと寝袋を漁って体操服を取り出した。

 

「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」

 

 

 

〜グラウンド〜

 

 

 

「「「個性把握…テストォ!?」」」

あ、今度は声が揃った。仲良いクラスだね。

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

ほんわかさんが相澤先生に尋ねる。

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は”自由”な校風が売り文句。そしてそれは”先生側”もまた然り」

 

「中学の頃からやってるだろ?”個性”禁止の体力テスト」

まぁ文部科学省の怠慢だよ、と相澤先生は呟く。

 

「御東。中学の時ソフトボール投げ何mだった」

「55mです」

「じゃあ”個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ」

 

円の中に入った霞は全身から瘴気を放出し、それでソフトボールを包み込んだ。ついでに翼みたいなのもつけている。そのまま45度の角度で打ち出した。ボールはぐんぐん上がって行くが、見えなくなると霞が「あ…」と声を漏らした。コントロールが途切れたらしい。てかなかなか落ちてこないな。あ、翼つけてたのはこうやって飛距離を稼ぐためか。考えたな。1分ほど経つと、相澤先生の手の中からピピッと音がした。相澤先生は持っていた機械を俺達に向ける。〔906,6m〕とそこには記されていた。

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

「何だこれ!! すげー面白そう(・・・・)!」

「906mってマジかよ」

「”個性”思いっきり使えるんだ!! さすがヒーロー科!!」

クラスメイト達から声が上がる。

 

「………面白そう…か」

「ヒーローになるための三年間。そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

いきなり相澤先生は殺気を放つ。

 

「よし。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し

 

 

除籍処分としよう」

 

「「「はあああ!?」」」

 

相澤先生は髪を掻き揚げて嗤う。

「生徒の如何は先生(おれたち)の”自由”。

 

ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」




主人公のあだ名センスの無さは見逃してくださいお願いします。


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第4話

遅くなりました隠神刑部です。

少し言い訳をさせてください。うちの学校週休一日の上に二週連続で模試があったんです。休み、ナイ(白目

とりあえず、どうぞ。


「最下位除籍って…! 入学初日ですよ!? いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」

ほんわかさんが声を荒げるが、相澤先生は構わず言葉を続ける。

 

「自然災害…大事故…身勝手な(ヴィラン)たち…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる」

 

「そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー」

 

「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける」

 

「”Plus(更に) Ultra(向こうへ)”さ。全力で乗り越えて来い」

 

「さてデモンストレーションは終わり。こっからが本番だ」

 

 

作者の想像力不足及びgdgd展開防止の為、ここからはダイジェストでお送り致します。御容赦、平に!

 

 

第1種目 50m走

 

血早side

さてどうするかな。俺の個性は身体能力を底上げできる様なモンじゃない。持久力は別だけど。

…やっぱ、小細工しかねぇよなぁ。

 

まぁ普通に走るけど。

 

『6秒63!』

 

おぉ、中学の時より速なった。ずっと修行してたから遅くなっても困るが。

 

霞side

特に工夫することも無いので、背中から翼を伸ばして飛ぶ。

 

『3秒87!』

 

うん、悪くない。

 

第2種目 握力

 

血早side

普通に計った。記録は59kg。

 

霞side

瘴気を固めて大きな腕を作る。記録は428kg。

 

第3種目  立ち幅跳び

 

血早side

普通に跳ぶしかない。記録は261cm。

 

霞side

瘴気の翼を羽撃かせる。敷地の端まで着いてしまったので、飛んで戻って来た。

 

「御東、ソレ後どのくらい続く」

「後1時間くらいなら」

「…そうか」

相澤先生は手元の機械を操作する。画面に現れたのは”(インフィニティ)m“だった。

「すげぇ、無限が出たぞ?!」

クラスメイト達がざわめいている。

 

第4種目 反復横跳び

血早side

これも普通に…やるとでも思ったか?

靴を脱いで、足の裏から血液を流出。靴の様に足を覆う。ただし、裏がトゲトゲしており、これがスパイクの役割を果たすだろうと思うかも!

 

結論。結構役に立った。記録は83点。

 

霞side

血早がスパイク作ってたのを見たので、パクることにした。記録は74点。

 

第五種目 ボール投げ

血早side

やることないので普通に投げる。記録は62m。

 

霞side

デモンストレーションと同じ様に投げる(飛ばす)。記録は912m。あ、ちょっと伸びた。

 

 

「SMASH!!!」

おおすげぇ。ワカメ君がボールを遥か彼方に吹き飛ばした。増強系の個性かな?なんか指すごいことになってるけど…代償?それとも暴発かな?

 

「どーいうことだこらワケを言えデクてめぇ!!」

イガグリ君が右手を爆発させながらワカメ君に突っかかる。あれちょっとマズいんじゃないか?特に顔が。

 

「”闇ノ拒絶(ダークリジェクション)”!」

霞がワカメ君とイガグリ君の間に壁を生み出す。一瞬動きが止まったイガグリ君に布の様な物が巻き付いた。右手の爆発もいつの間にか収まっている。

 

「よくやった御東」

あ、相澤先生の首元の…あれマフラーじゃなかったのか。

 

「ったく何度も個性使わすなよ…俺はドライアイなんだ」

 

相澤 消太

見た相手の個性を消す!まばたきすると解ける!

 

(((個性すごいのにもったいない!!)))

またしてもクラス中の思いが一つになった。

 

第6種目 持久走

血早side

さてと、行きますか。スタートラインに立ち、クラウチングスタートの構えを取る。

 

『ヨーイ、スタート!』

 

全力ダーーッシュ‼︎

 

説明しよう!俺は個性の関係で赤血球の性質が変異しているらしい。具体的には取り込める酸素の量が通常の数十倍。

つまり!

 

1500m走を50m走のペースで走っても全く息切れしない‼︎

流石に脚にエンジン付いてるメガネ君には敵わないが、普通の人間には負けない!

 

『3分12秒!』

 

結論。雄英のヒーロー科にいる時点で普通の人間とかいなかった。ポニテさん、バイクは反則じゃないの?

 

第七種目 長座体前屈

血早side

普通に伸びる。記録は53cm。霞柔らかいなぁ。

 

霞side

普通に伸びる。記録は58cm。

 

第八種目 上体起こし

血早side

唸れ俺の腹筋‼︎うおおお!記録は41回。

 

霞side

血早スゴイ…記録は27回。

 

〜全種目終了〜

 

 

「んじゃパパッと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。

 

 

 

ちなみに除籍はウソな」

 

「「「…………!?」」」

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「はーーーーーー!!!!??」」」

 

おぉワカメ君がブレて見える。体力テストであれくらい動ければ強いのに。

 

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えればわかりますわ…」

「いやいやポニテさん。そうでもなさそうだよ」

「ポニテさん…?八百万(やおよろず) (もも)ですわ。それで、えーっと、あなたは…」

「俺は赤黒 血早。あんときの相澤先生の目ェ見たか?あれは本気(マジ)の目だ。今だからああ言ってるが、もし見込み無しと判断してたなら即刻除籍してただろうな」

「そうなんですの…でも赤黒さんはどうしてそれを?」

「言ったじゃん。目に殺気が籠ってた。普通教師が生徒に向けるモンじゃねぇよ」

「なるほど…」

 

「おい赤黒、八百万。話の途中だ」

「「すみません」」

 

「まぁいい。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」

相澤先生はクルリと身を翻し、校舎へと消えて行った。

 

 

〜初日終了下校時間〜

 

「血早、一緒に帰ろ」

「おう」

 

おや、あの人影は…

「あ、ワカメ君にメガネ君にほんわかさん」

「ワカメッ!?」

「メガネッ!?」

「ほんわかッ!?」

 

「あ、俺名乗ってないや。赤黒 血早。よろしくな」

「御東 霞です」

 

「あ、え、ぼ、僕緑谷(みどりや) 出久(いずく)。よろしく」

「私立聡明中学出身、飯田(いいだ) 天哉(てんや)だ。よろしく」

麗日(うららか) お茶子(おちゃこ)です! てか緑谷くんの下の名前『いずく』だったんだね。私てっきり『デク』かと」

「デク!!?」

「え?だってテストの時爆豪って人が『デクてめェー!!』って」

「あの…デクはかっちゃんがバカにして…」

「蔑称か」

「えーーそうなんだ!!ごめん!! でも『デク』って…『頑張れ!!』って感じで、なんか好きだ私。響きが」

「デクです」

デクは赤面してそう言った。

 

「「緑谷くん!!」」

 

「浅いぞ!! 蔑称なんだろ!?」

「それでいいのか?デク君」

「コペルニクス的転回…」

「コペ?」

 

 

「私空気…」

 

 

??????「安心している時間はないぞ少年…明日からが…本番だ」

 

 

〜次の日〜

 

午前は必修科目・英語等の普通の授業!

 

『んじゃ次の英文のうち間違っているのは? おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!!』

(普通だ)

(普通だ)

(普通だ)

(くそつまんね)

((関係詞の場所が違うから…4番))

(高校英語ってむずかしいなぁ)

 

昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!

 

「俺唐揚げ定食で」

「私(さわら)定食」

 

「あ、血早くんと霞ちゃん! おーい!」

 

〜少年少女食事中〜

 

「出久、カツ一切れくれよ。唐揚げやるからさ」

「あ、うん。いいよ」

「ふむ、うまそうだね赤黒君。ぼ…俺にも一つくれないか? こちらからはエビフライを出そう」

「よし、交渉成立だ」

 

「男子ってあーいうの好きだね、霞ちゃん」

「そうね」

 

そして午後の授業!いよいよだ! ヒーロー基礎学!!

 

「わーたーしーがー!!」

 

「普通にドアから来た!!!」HAHAHAHA

 

「オールマイトだ…!!すげえや本当に先生やってるんだな…!!!」

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ…………! 画風違いすぎて鳥肌が……」

 

オールマイトは鼻歌交じりに教壇に立った。

「ヒーロー基礎学! ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!! 単位数も最も多いぞ」

 

オールマイトは鋼の様な体をグッと曲げ、溜めをつくる。伸ばした手には『BATTLE』と書かれた一枚のカードが握られていた。

「早速だが今日はコレ!! 戦闘訓練!!!」

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

オールマイトの言葉に合わせて壁の一部が迫り出してくる。

 

「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた…

 

戦闘服(コスチューム)!!!」

 

「「「おおお!!!!」」」何人かの生徒が椅子を蹴って立ち上がる。

わかるわその気持ち。漢のロマンだもんね。え?女子もいる?性別じゃないって。心の持ち様だって。

 

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

「「「はーい!!!」」」

 

「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!! 

 

自覚するのだ!!!! 今日から自分は…

 

 

ヒーローなんだと!!」

 

「さあ!!始めようか有精卵共!!」




なんか今回会話ばっかりになってしまいましたごめんなさい。


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第5話

どうも、隠神刑部です。留年しないか心配でなりません。
それではどうぞ。


俺は歩きながら自分の戦闘服(コスチューム)を確認する。ぴったりしたダークレッドの上下に鈍色に輝くライトアーマー。鎧は胸当、腰当、籠手、脚絆だけ。機動性重視のスタイルだ。あ、漢字で書いてるけど西洋風ね。更にその上から目の覚めるような真紅のマントを羽織っている。こんだけ。そこはかとなくコスプレ感が漂うが、まぁいいだろう。これくらいしないとヒーロー感出ないし。などと自分に言い聞かせているうちにグラウンドに着いた。

 

なんかざわめいてる。最初の感想はそれだった。俺はざわめきの中心を見て、

 

 

 

 

 

 

 

絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは2人の少女。それ自体にはなんら不思議なことはない。問題は、その格好だった。

かたや胸から臍までを大胆に露出したレオタードに、スカートとも言えない短い腰巻姿。それを着ている本人が高校生離れしたプロポーションの持ち主だから尚悪い。

 

そしてもう1人。

俺としてはこっちの方がショッキングだった。

黒を基調にしたビキニアーマー…いや、ドレスアーマー?そっち方面の知識はないのでよくわからないが、それっぽいもの。

随分と面積の小さい胸当と腰布。腰布には大胆にスリットが入っており、チラチラと覗く素肌が目に毒だ。肩から二の腕を覆う物は無く、肘から振袖の様な物が伸びている。腹と脛は黒タイツに包まれ、片方よりは露出が少ない様に見える。しかしこちらも負けず劣らずのナイスバディ。健全な男子高校生には劇物だろう。

 

それより気にする所は

 

 

 

 

それを着ているのが

 

 

 

 

 

 

霞だということだ。

 

 

 

 

 

「あ、血早」

霞がこちらに気付き、声を掛けてくる。こちらに振り向くことで、霞の姿を正面から見ることになってしまった。

 

心臓が激しくビートを刻む。

 

顔に登ろうとする血液を気合いで押し留める。こんなことに己の個性を使うことは、俺のプライドが許さない。

 

「どう?似合うかな?」

霞はその場でくるりと一回転し、花が咲く様に微笑んだ。

 

前言撤回。

 

俺は全力で個性を発動。さっきの何倍もの力で登り詰めようとする血液を押し戻す。結果的に頭に血が足りずフラフラしてきたが問題ない。プライド?ナニソレオイシイノ?

 

「あ、ああ。似合ってるぞ、霞」

声が多少上擦ったのは仕方がなかったと思う。

 

周りを見渡すと、殆どの男子生徒が顔を赤くしてそっぽを向いていた。若干一名血走った目で凝視していたが。どうしたのだろう。霞は俺に微笑んだだけであってクラスメイトに微笑んだ訳では無いというのに。

 

そうか!そういうことか!

 

俺は名探偵コ○ンのテーマを脳内再生しながら頭に浮かんだことを整理する。

考えてみれば簡単なことだ。回転したことによって霞の腰布がフワリと浮き上がった。そのせいだ。尤も、最後まで見えたら鼻血を出す奴がいたっておかしくは無い。だから、ギリギリまで見えたという所が妥当だろう。違うか男子諸君‼︎」

 

ふと周りを見ると、男子生徒達はよりそっぽを向き、女子達は呆れた様な目をしていた。

 

「あの、血早さん。まったくもってその通りだと思うのですが、あまり大声で言うことではないかと…」

 

ゑ?

 

「もしかして、声に出てた?」

 

コクリ、とクラスメイト達が首を縦に振る。

 

しまった、赤黒血早一生の不覚ッ…と脳内反省。と同時に個性で血液を操作。なんか最近こんなことにしか使ってないな。許せ…

 

「大丈夫。ちゃんとスパッツ履いてるから…」

 

そういう問題じゃない、とクラスの(ほぼ)全員が思った。

 

「世界は、残酷だッ…!」

1人だけ歯を食いしばり涙を流し、五体投地して拳を振り下ろすブドウ頭の少年の名は峰田 実。後に【性欲の権化】と称される、変態の中の変態であった。

 

Eli,Eli,Lema,Sabachthani?(神よ、何故私を見捨てたのですか?)

「響香ちゃん、いきなりどうしたの?」

 

 

出久が走ってきた。これで全員揃ったな。

 

 

 

「始めようか有精卵共!!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

オールマイトの一声で授業が始まる。

 

「良いじゃないか皆。カッコイイぜ!!」

 

「先生! ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

流線形のヘルメットに白いアーマーを装着した生徒が手を挙げて尋ねた。てかあれ天哉だったのか。

 

「いいや!!もう二歩先に踏み込む!! 屋内での対人戦闘訓練さ!!」

統計的にも、屋内の方が凶悪敵出現率は高く、真に賢しい敵は屋内(やみ)に潜む、とオールマイトは続ける。

敵組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦を行うことが今日の授業内容の様だ。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマントやばくない?」

「チーム名は自由に決めていいのですか?」

 

「んんん〜〜聖徳太子ィィ!!!」

生徒達から機関銃(マシンガン)のように質問を浴びせられる新米教師・オールマイト。頑張れ!一流教師への道は遠いぞ!

 

「いいかい!?状況設定はーーー」

○ヒーローの勝利条件

・敵を捕まえる

・核兵器を回収する

 

●敵の勝利条件

・ヒーローを捕まえる

・核兵器を守る

 

◎コンビ及び対戦相手はくじ

 

オールマイトがカンペを見ながら言ったことをまとめると大体こういうことだ。

 

コンビは以下の通り。

 

A.緑谷出久 麗日お茶子

B.轟焦凍 障子目蔵

C.八百万百 峰田実

D.飯田天哉 爆豪勝己

E.赤黒血早 芦戸三奈

F.砂藤力道 口田口司

G.耳郎響香 上鳴電気

H.御東霞 常闇踏陰

I.葉隠透 尾白猿夫

J.切島鋭児郎 瀬呂範太

K.青山優雅 蛙吹梅雨

 

「最初の対戦相手はこいつらだ!!」

オールマイトが箱から二つのボールを取り出す。

 

「Aコンビが『ヒーロー』!!Dコンビが『敵』だ!!」

敵チームが先に入ってセッティングし、五分後にヒーローチームが潜入するようだ。俺らはモニタールームで観察しよう。

 

〜地下モニタールーム〜

出久とお茶子ちゃんを見守っていると、いきなりイガg…爆豪君が曲がり角から飛び出してきた。そのまま右手を振り抜いた。爆発が起こり、コンクリートの壁が砕け散る。出久はお茶子ちゃんを抱えて飛び退く。

 

「爆豪ズッケぇ!!奇襲なんて男らしくねえ!!」

「奇襲も戦略!彼らは今実戦の最中なんだぜ!」

「緑くんよく避けれたな!」

「オールマイト先生、それを言うなら戦術では?」

 

爆豪君は右手を大きく振りかぶって殴りかかるが、出久はその腕を抱え込み、背負い投げの要領で投げ飛ばす。格闘技をやってるような動きじゃなかったから、きっと爆豪君の動きの癖とかを知ってたんだろう。

 

オールマイトの説明によると、事前に渡されている確保テープを巻きつけると「捕らえた」証明になるとのこと。

ヒーローが圧倒的不利だと言う生徒に、オールマイトは何を答えるかと思ったら

「相澤くんにも言われたろ?アレだよせーの! Plus U「あ ムッシュ爆豪が!」…まぁいいや

 

爆豪君は両手の爆発を推力にして、飛び蹴りを放つ。出久は両腕をクロスしてそれをガードし、その隙にお茶子ちゃんが走って戦場を離れる。出久はいつのまにか確保テープを取り出し、逃れようとした爆豪君の爆撃を地面に転がって避ける。そのまま角を曲がって消えた。なんか爆豪君イラついてる。目を釣り上げ、敵もいないのに両手から爆発を迸らせている。

 

あ、5階の真ん中、天哉がいるフロアの定点カメラにお茶子ちゃんが映った。柱の陰に隠れて動かないということは、出久が来てから仕掛けるつもりか。

と、いきなりお茶子ちゃんが噴き出す。そのせいで天哉に見つかってしまった。何やってんだ。

よく見たらフロアに物が全く無い。どうも天哉が片付けたらしい。触れた物を浮かすお茶子ちゃんには厳しい戦いになりそうだ。

一方、物陰に隠れていた出久も爆豪君に見つかってしまった。

爆豪君は出久にマンg…手榴弾を模した籠手を向けてレバーを引き、ピンを抜く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄の業火が地上に顕れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




霞のコスチュームは、【神界のヴァルキリー】の【憂王 カラミティ】を参考にしました。というかパクりました。霞本人の方もカラミティそのまんまです。


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第6話

申し訳ございません、隠神刑部です。

えー、無事進級できたのですが、やはり去年とは勝手が違い、課題とか課題とか課題とかに追われておりました。

よく考えたら去年もそうでした。









すまんかった。


轟音。

 

ビルの一部が跡形も無く吹き飛んだ。

 

なんなんだアレは?!

おかしい。勝己の個性は確かに爆発系だったが、あんな大規模な爆発は見ていない。出来たとしても恐ろしい程の反動があるはずだ。何か戦闘服(コスチューム)に仕掛けがあるのだろうか。

 

「授業だぞコレ!」

「緑谷少年!!」

鋭児郎とオールマイトが声を上げる。

 

「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ殺しちまうぜ!?」

「オールマイト、ありゃほっといたら出久が死んじまう。俺もそう思います」

 

鋭児郎と合わせて訴えるも、オールマイトは次同じことをしたら強制終了だと告げる。それを聞いた勝己は両手を爆発させ、出久に接近。タイミングを合わせて反撃を試みる出久だが、勝己は目の前で爆発を起こして目眩しと同時に背後を取り、空中で出久に爆撃を浴びせる。更に、硬直した出久に籠手での打撃。よろめいた出久の腕を掴み、もう片方の手を爆発させて推進力を生み出し、回転しながら地面に叩き付けた。

 

息もつかせぬ連続攻撃。

あまりの惨さにリンチだ、ヒーローじゃないなどと声が上がる。

出久は勝己から距離を取ろうとするも、壁際に追い詰められてしまう。

 

はて、妙だな。どうして出久は個性を使わない。何か理由があるのか?

 

二人は向かい合い、何事か叫んでいる。音声が伝わって来ないので内容までは分からないが、二人共感情を剥き出しにしている。

 

出久の腕に緑のスパークが走り、勝己の手に紅蓮の爆発が宿る。

互いの拳が交わる、と思ったその瞬間。

出久はその腕を真上に振り抜いた。

その衝撃は四階にまで到達し、床が砕け散る。飛び散った瓦礫を、待ち構えていたお茶子ちゃんが柱を振り回して吹き飛ばした。飛んでいった先には天哉。その隙を突いて、自身を浮かせたお茶子ちゃんが核兵器(ハリボテ)にタッチ。

 

 

『ヒーローチーム…WIIIIIN!!』

 

 

出久の身体が、ドサリと崩れ落ちた。

 

 

『保健室へ』『I know』

 

気絶した出久は小型搬送用ロボ(ハンソーロボ)に運ばれていった。

 

 

〜地下モニタールーム〜

 

「まあつっても…今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」

「なな!!?」

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」

「何故だろうなあ〜〜〜? わかる人!!?」

オールマイトが霞むような速度で拳を天に突き上げた。張り切る新米教師といった風情である。

 

「「ハイオールマイト(先生)」」

おや百ちゃんも手挙げてる。

 

「どうぞどうぞ」

「あ、いいんですの? コホン。では失礼してーーー」

正に立て板に水。流れるような弁舌はとどまるところを知らない。誠に遺憾ながら、長かったので割愛する。

 

 

場所を変えて第二戦。

 

「お次は…Eチーム(赤黒・芦戸)が『ヒーロー』、Hチーム(御東・常闇)が『敵」だ!!」

 

マジかー。

 

 

「アタシ芦戸三奈! 個性は【酸】!体から酸を放出できるよ!」

「俺は赤黒血早。個性は【血】だ。主に血液の硬化とかができるぜ。よろしく、三奈ちゃん」

「入試の時はありがとう!すごいね、あのデカロボ倒しちゃうなんて!」

「あーその、俺が好きでやったことだし、そんな気にしなくてもいいぜ?」

「うん、わかった。それで、作戦どうする?」

「ああ、俺に考えがある。聞いてくれるか?」

「もちろんだよー!」

 

〜少年説明中〜

 

「私は御東霞。個性は【瘴気】。粒子を放出して、固めたり動かしたりできるよ」

「俺は常闇踏陰。個性は【黒影(ダークシャドウ)】だ」

『ヨロシクナ!』

「入試の時は助かった。あの時お前があの傀儡を倒してくれなければ、俺は疾うに冥府の門をくぐっていただろう」

「私が好きでやったことだから、そんなに気にしてくれなくてもいいよ」

「ああ、承知した。それで、何か策などはあるか?」

「うん。私に考えがある」

 

〜少女説明中〜

 

「それじゃあ少年少女、スタートだ!」

 

 

ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。

短めに固めたパタをビルの壁に突き刺し、登る。

「こっち側にはいねえな…」

 

ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。

ーーぴちょん。

「うわっぷ!?」

雫が顔に直撃した。

「なんだ、雨か? いや、今日は一日晴れだったはず…」

 

ザグ、ザグ、ザグ、ザグ。

「よいしょっと」

ありゃ、貯水タンクが水漏れしてる。オールマイトに報告しとこう。

 

「こちら血早。屋上に到着。どうぞ」

『こちら三奈!核兵器らしきものと霞ちゃんを発見!どーぞ!」

「ん? らしきもの?」

『なんか大きなのが黒いのに覆われてるよー?』

「成程。多分霞の個性だ。今そっちに向かう」

『イエッサー!』

 

「この部屋か?」

「うん」

「んじゃ打ち合わせ通り」

「イエッサー!」

 

屋上の手すりに手を掛け、思いっ切り体を振り上げる。その勢いで今度は体を振り下ろし、メタルブーツで窓ガラスをブチ破る。

ガラスの破片が飛び散る中、前転して着地する。

 

「こちら霞、血早と遭遇。戦闘を開始する」

「こちら血早、霞と遭遇! 戦闘を開始する!」

全身から血液を迸らせると、白銀の鎧が紅く染まる。俺の個性因子を混ぜてあるため、俺の血液と融合して性能が上がるのだ。両手の籠手から剣を伸ばし、霞に斬り掛かる。

 

ガキィィィン!!

 

甲高い音を立てて紅剣が弾かれる。

「まぁ、んな楽に行く訳がねえか!」

霞の背から黒い霧が溢れ出し、蛇のように蠢いている。いっつも思うけど、メデューサみたいだな。いや、どっちかってーと八岐大蛇か?

 

「りゃああぁぁぁ!!」

 

斬り上げ。避けられる。

 

斬り下ろし。弾かれる。

 

薙ぎ払い。逸らされる。

 

袈裟斬り。止められる。

 

全く攻撃が通じないが、通じる必要はない。

「今だ!!」

「とうっ!!」

俺が蹴り破った窓から、三奈が飛び込んで来た。

「核を!」

「ラジャ!」

三奈が黒い壁に手を当てると、そこから壁が溶けていく。

 

「っ!」

それを見た霞が核の方に近づこうとするが、それを黙って見てる訳がない。全身の力を振り絞って霞を抑え込む。時間を稼げば俺達の勝ちだ!

 

「うわあぁ!?」

なんだ!?

 

思わず振り返った俺の目に映ったのは

 

 

 

なんか黒いやつだった。

 

 

 

「まさか…」

「その通りだ、赤黒」

 

霞は、核兵器じゃなくて、常闇を覆ってたんだ(・・・・・・・・・)

「くそっ!!」

霞の横をすり抜け、部屋を飛び出す。

 

どこだ、核兵器はどこだ!?

この残り時間じゃ虱潰しに探しても見つからない!!

 

 

いや、まてよ?

 

 

窓を開けて剣を外壁に突き刺し、屋上まで登る。右手の剣を長く伸ばし、貯水タンクを切り裂くが、水が出てこない。

やっぱりだ!!

貯水タンクを切り開くと、そこに核兵器が鎮座していた。

 

 

 

「させない!」

 

 

 

「クソ、まぁそう来るよなぁ…」

仕方無い、ここで霞を倒すしかないか。

 

 

「行くぜェ!!」

 

 

『ヒーローチーム、WIIIIN!!!』

 

 

「あらら?」

走り出していた俺の体はいきなりの音声に止まれず、つんのめった。

 

 

 

 

柔らかい。それが最初に抱いた感想だった。

 

 

 

 

「ち、血早…それはちょっと、ほら、三奈ちゃんもいるし…」

「ごごごごめん!! その、なんというか全く悪気は無く、あくまで不慮の事故であって」

「ううん、別にいいよ血早なら…

「なんか言った?」

「な、なんでもない!!」

 

 

「え〜っと、アタシはどういう反応すればいいのかな?」

「「見なかったことにしていただけると大変ありがたいです」」

「ん、わかった! それにしても息ぴったりだねぇ」

 

 

〜少年少女移動中〜

 

 

「よし、それじゃあ今回の総評だ!…と言っても、屋上にはカメラ設置してなかったからね、四人に話を聞こう」

 

「先ず、我々は屋上の貯水タンクの水を抜き、核兵器を其処に隠した。そして屋内に御東の個性で囲いを作り、俺がその中に潜んでいた、という訳だ」

「んで俺がそれに気づいて貯水タンク開けたら、霞が追っかけて来てなんか終わった」

「アタシ常闇くん倒したから上に登って来たの!そしたら誰も気づいてなかったからさー!裏からこっそりタンク溶かしてタッチしたの!」

「なるほどそれでか。ありがとう三奈ちゃん」

「そう言えば、どうして貯水タンクに気づいたの?」

「壁登ってたらさ、雲一つ無いのに雫が落ちて来たんだ。んで上着いたらタンク水漏れしてたんだけどさ、明らか勢い弱かったんだよ。漏れるっていうより垂れてるって感じ。だから中が空だと思ったんだ」

俺がそう言うと霞と常闇は顔を見合わせた。

 

「やっぱり全部抜いた方が良かったね」

「いや、あの時間で其処までするのは無理だろう。あれが我々にとっての最善だ」

 

 

「成程、それじゃこの話を踏まえて、今戦のベストは誰だ!?」

「はい、オールマイト先生。常闇さんの奇襲をいなし、なおかつ戦いにピリオドを打った芦戸さんですわ。御東さんは見事な作戦を立案されましたがーー」

 

 

キング・クリムゾン!!

 

 

冗談です、ハイ。

 

 

「そんじゃ、次行ってみようか!」



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