ウルトラマン&メカゴジラ~光の巨人と銀の巨龍~ (ユウキ003)
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プロローグ1 「終わりと始まり」

はっきりって、短いです。なんでオリ主が転生するのか、
転生に際して望んだ事は?を補てんする程度の話です。
ウルトラマンティガ本編に入る前にもう2、3話投稿するかも
しれません。


唐突だが、高校生の俺はある日子供庇って死にました。

 

いや、比喩でも暗喩でもなく本当に死にました。

俺は、はっきり言って普通です。運動も勉強も中の中。

友達も多くなく少なくなく。所謂、平凡。平凡が人の皮を

被ったような人間だった。まぁ、アニメで言う所のモブみたいな

キャラだったってわけだ。

 

まぁ唯一つ、俺が常人より知識がある事と言えば……。

 

そう!それはずばり『特撮』!

何を隠そう俺は特撮オタクだ!ゴジラから始まるウルトラマンや

仮面ライダー、スーパー戦隊と言った日本を代表する特撮の

大ファンだ!戦うヒーローに憧れる男子の一人だった!

皆さんはご存知だろうか!スーパー戦隊シリーズは、実は

アメリカなどでパワーレンジャーと言うリメイク版となり莫大な

人気を得ている事を!流石特撮!

 

っと、話しが逸れてしまった。

そんな特撮オタクだった俺はある日、普通に学校から家に

向かって帰っていた。

そして、横断歩道を人の波に続いて渡っていた時、酔っ払い運転の

トラックが突っ込んできた。瞬く間に人々はパニックになり、

渡る人の多かった横断歩道上はカオスになった。

そんな中で俺は、逃げる中で倒れそうになった子供を救うために

その子の尻を全力で押した。代わりに態勢を崩した俺がその場に倒れ、

突っ込んできたトラックに撥ねられた。

 

それが俺の最期の顛末だった。

そして今俺の目の前には……。

 

 

神「………」

俺「………」

 

何か知らんけど神様が居た。

俺「か、神様ってホントに居たんだな。キリスト教信者が聞いたら

  泣いて喜びそうだ」

と、苦笑交じりにそう言うと……。

神「早速じゃが本題に入らせてもらうぞい。お主の事は色々

  見させてもらった。子供を助けようとして死んだという事実をな。

  そこで、お主の活躍を見込んであと一回だけ次の人生を

  歩ませてやろう」

俺「な、成程。つまり、ありがちな転生パターンと」

神「ありがちと言うでないわい!……お主の転生先はどこが良い?

  何ならお主の大好きな特撮の世界にしても良いぞい?」

それを聞いた俺は、一瞬思考が追い付かなかった。

俺「は?特撮の、世界?……ってちょちょちょちょっ!?

  え!?嘘!俺特撮の世界に行けんの?!」

神「当たり前じゃ。そもそも世界とは数で表現できんほど無数にある。

  お前さん達が特撮として見て来た世界が、現実と言う世界も

  あるのじゃよ」

俺「ま、マジかよ!じゃあ、ウルトラマンも、仮面ライダーも、

  スーパー戦隊も、そしてあのゴジラの世界も実在している

  ってのか!やべ~!テンション上がってきた~!

  で?で!?俺はそのどれに転生しても良いのか!?」

神「あ、あぁまぁ、その通りじゃ」

俺「よっしゃぁ!……あ~でもどこにしよう。

  仮面ライダーとかって作品を一括りにしたって色々

  あるし、どれかっても選べないし~。あ~もう

  悩む~!」

神「ハァ。そんなヘタレなお主にはこれが良いわい」

と言うと、いきなりルーレットをどっかから召喚してまわしだす

神さま。

そして、そのルーレットが止まって指さした世界と言うのが……。

 「ふむ。『ウルトラマンティガの世界』か。どうじゃ?

  候補が決まらんのならこれで」

俺「ティガの世界か~。おっしゃぁっ!良いぜ神様!

  俺をそこに転生させてくれ!」

神「まぁまぁそう急くでない。転生に当たって3つ程特典を

  つけてやろう。何が良いか申してみよ」

俺「え?特典?う~ん。特典か~。……あ!じゃあティガなら

  組織がGUTSだから、俺がそこには入れて、GUTSが3式機龍を

作るようにしといてくれよ!それがあれば俺もティガと一緒に

戦えるからな!理由は何でもいいからさ!」

神「理由じゃと?」

俺「だってさ~いきなり何の脈略も無く3式機龍があったら可笑しいだろ!?」

神「そ、そうじゃの~」

 『こやつ、妙に設定に拘るタイプじゃな』

俺「まぁそれが一つ目として、容姿が綺麗めなのと、そこそこ

  運動と勉強が出来る体ならそれでいいかな」

神「それが二つ目じゃな。で、残りはどうするのじゃ?」

俺「う~ん。あ、折角だから俺の記憶を封印してくれよ」

神「封印?どういう意味じゃ?」

俺「俺はウルトラマンティガを全話見てる。ストーリーも大体

  頭に入ってる。けど、このままティガの世界に転生したって

  流れを全部知ってたら楽しみも半減ってもんだろ?

  だから俺の記憶を封印、いや、消去してくれ」

神「本当に、良いのじゃな?」

俺「まぁ、ウルトラマンとか仮面ライダー、スーパー戦隊の事を

  忘れちまうのに後悔が無いっていや嘘になるけど、

  どうせそれとかが無い世界に行くんだ。

  無いものの記憶を持ってったって、意味ないだろ?」

神「わかった。お主の願いを聞き届けよう」

 

と言うと、神様はどっからか杖を取り出して掲げた。杖の先端が

光を放って、俺の目の前の光の池みたいなもんを作り出した。

 「それが転生の為の穴。『リインカーネイション・ホール』じゃ。

  そのホールの出口を抜けた瞬間、お主は新たなる旅に出る」

俺「そっかぁ!うし!だったら早速行くぜ!」

そう言うと、俺は穴に飛び込んだ。

 「神様の爺さん!ありがとな~~~!」

俺は、そうやって穴の中から叫んだ。

ハハ!まさか異世界に行ける日が来るなんてな!やってやるぜ!

 

 

そして、その青年が転生しホールが消えると、神様は……。

神「さてはて、お主はどんな物語を描くのかのう。

  しっかりやるんじゃぞ」

神もまた、新たな生を受けた青年にエールを送るのだった。

 

     プロローグ END

 




はっきり言ってスゴイ短いプロローグでした。


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プロローグ2 『僕の始まり』

今回は、オリ主がどうしてGUTSに入ったのかまたしても短い
プロローグになりました。
次回は本編前にもう一話、エピソード0みたいな話を書いてから
本編に行きたいと思います。

また、この作品のオリ主は男ですが、容姿はソードアートオンラインの
ファントム・バレット編(アニメ版第2期)のヒロイン『シノン』が
まんま使われています。
加えて、リクエスト頂いた方からの意見でヒロインは同じくSAOで
登場したアスナと、SAO劇場版に登場したYUNAの外見をまんま使う形と
なっております。



~~前回までのあらすじ~~

子供を守って死んだ学生の一人が神様によってウルトラマンティガの

世界に、様々な特典と共に転生する事になった。

 

 

どうも、はじめまして。僕は『シアン』と言います。今僕は、

GUTS、Global・Unlimited・Task・Squad(世界規模で無制限に仕事をするチーム)

と言う組織に所属しています。

GUTSとは地球平和連合、略してTPC直属の特別捜査チームで、

主に世界各地の超常現象を調査する非武装組織です。

 

さてはて、それが今の僕ですが、そんな僕や仲間たちの物語が始まる前に、

ちょっとだけ僕の経歴をお教えしておきます。

 

僕の父親は、そんなGUTSとTPCが生まれる前まで存在していた

防衛軍の下士官でした。日本で士官として働いていた父。

そんな父がある日出会ったのが、僕のお母さんとなるハーフの女性でした。

そう、僕はクォーターなのです。

 

ちなみに僕は周りから絶対女だろ、と言われる程、男らしくありません。

髪の色がお母さんやそのお母さんたちから受け継いだせいか、髪色は

外国人でも珍しい水色。ちょっとあっちこっちに跳ねる癖っ毛でも

あり、女の子っぽいから一度は本気で髪を黒く染めようとしたら

周りから、

『シアンちゃんが髪を染めたら私たち悲しくて死んじゃうから!』

なんて女友達の子に言われてしまい、結局染めずに今もそのまま

水色の髪をしています。

加えて僕は童顔+女顔なために周りから性格な年齢を当てられる事も

稀です。

小学校では女子たちの着せ替え人形みたいにされ、中学ではその

ルックスから美術部や写真部のモデルをやらされ、結局の所

モテているのか、それとも僕の容姿が物珍しいのか。

まぁ、今となってはわかりませんが。

 

とまぁそんな『男の娘』な僕がGUTSに入隊しようとしたのはある日の

父の一言でした。その日、僕は父に、強くなるにはどうしたらいいの?

と、聞いたのです。そして、帰ってきた言葉が……。

 

   『何でも良い。強くなれ。勉強でも、運動でも、何でも良い。

    どんな時でも諦めずに頑張って頑張って、最後まで

やり遂げた奴が、本当に強い奴なんだよ』

 

そんな父の言葉が、僕の原動力でした。その後僕は、すぐに目標を

見つけたのです。そう、お父さんです。お父さんみたいな防衛軍の

軍人になって、誰かを守れる位に強くなろうって決めたのが、

ある意味GUTSに入隊する動機の元でした。

それからという物、お父さんやお母さん、周りの人からアドバイスを

貰いながら僕は色々頑張った。勉強も運動もとにかく頑張った。

諦めそうになる度に、お父さんの言葉が蘇ってきて、たくさん頑張り

ました。

小学校を卒業して、中学に進んで陸上をやりながら3年間成績で

学年上位をキープ。更に3年後。ライフル射撃の部活を行っている

高校が偶々通える範囲にあったので、入学。陸上の時に身に付いた

僕個人の朝練も続けつつ、高校の部活と学業を両立させて自他ともに

認める努力家として更に3年間がんばりました。

 

そんなある日、お母さんと一緒に三者面談が行われた時の事でした。

シアン「TPC、ですか?」

先生「そう。実は少し前にシアンちゃ、んんっ!シアン君はビームライフル

   競技の大会で優勝をしてただろう?それがTPCの人の目

   に留まったらしく、君に、GUTSに入隊しないかとの事だ」

今、さらっとシアンちゃんと呼ばれそうになったのは置いといて……。

シアン「GUTS?」

と、僕が疑問符を浮かべると先生はパンフレットの様な物を

取り出して僕に差し出した。

ちなみに、ビームライフルとはいっても某機動戦士の様な物

ではなく、レーザーを専用の機器に向かって撃つ物です。

銃規制が厳しい日本で生まれた射撃競技の一つです。

と、まぁそんな豆知識は置いといて……。

先生「これがそうだ。中を呼んでみなさい」

シアン「はい。……地球各地で頻発している超常現象の調査解明及び

    それらの被害を最小限に抑えるために活躍するTPCの中の

    組織、それがGUTSである」

僕が声に出してパンフレットの内容を読み上げる中でそれを横から

覗き込むお母さんと聞いている先生。

 

僕は、説明文を呼んで心が、ハートがドキドキするのを感じた。

良く分からない。でも、『未知への探求心』と言う男の子なら誰でも

持っているかもしれないその気持ちが僕をかき立てた。

それに、正直この時の僕は迷っていました。ずっとお父さんの背中を

追っていたつもりだったけど、それは軍人と言う背中に、大雑把に

憧れていただけだと、今更ながらに思い知らされたのです。

だから悩んでいました。僕がなりたいのは軍人?それとも警官?

と、悩んでいた時に提示されたのがこのGUTSへの誘いでした。

 

これぞ正しく天からの授け、などと大げさに言う気はありませんが。

その時僕の背中を押してくれたのが……。

お母さん「シアン。あなたがやりたい事をやりなさい。それを私も、

     お父さんも応援しているから」

微笑みながらそう言ってくれるお母さんの一言でした。

だからこそ僕は……。

シアン「先生。僕、行きます。GUTSに」

先生「良いのかい?」

シアン「はい。……お母さんが言ってくれたように、僕は僕の

    やりたい事を精一杯やってみようと思います!」

 

こうして、僕はその場でGUTSに入隊する事を決意したの

でした。

 

とまぁ、そんなこんなで僕はその後、GUTSの正規隊員になるために

色々な訓練に参加して、晴れて2006年。僕はGUTSの一員になりました。

 

そして、そこからが僕たちの。僕と大切な仲間との、怪獣や宇宙人たちとの

戦いの日々の始まりであり、そして……。

 

光の巨人、ウルトラマンティガと共に戦う物語の始まりでもありました。

 

     プロローグ 第2話 END

 




次回以降はGUTSでのお話が展開できると思います。


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エピソード0 『始まりの日』

今回は第1話のガッツウィング1号出撃前の短いシーンです。
次回からは本編をベースに描いて行きます。


~~前回までのあらすじ~~

転生を果たした男性は、これまでの記憶を捨て、新たな人間、

『オオトリ・シアン』となった。シアンは軍人の父を持って生まれ、父に

憧れ努力を続ける中でGUTSと言う組織への誘いを受けた。

そして彼は自分のやりたい事をやるために、GUTSへと

加わる事を選んだ。

 

僕がGUTSに誘われたのが高校卒業前だった。それから2年の

訓練期間を経て、僕は成人するとともに日本の房総半島沖に建造された

TPC極東本部基地でありGUTSの作戦司令室が置かれている基地、

『ダイブハンガー』に配属になった。

このダイブハンガーは通常、海中に待機していてライドメカ、

つまりGUTSのメカが出動するときなどに海上に浮上するのです。

 

そんなダイブハンガーで働いていた僕。これは、そんなある日の

お話です。

 

朝。GUTSの制服に身を包んで司令室に向かいます。

と言っても、GUTSは超常現象を専門とするためはっきりと

言ってしまうとやる事ってあんまり多くありません。

まぁ、そんな毎日のように超常現象が起きてたら、地球なんて

もう末期じゃないか!って思うのですが……。

と、そうこうしていると司令室に到着しました。

シアン「おはようございます」

ちょっと静かめですが挨拶をしてはいると中には数人の隊員、

僕の同僚というか、仲間である皆がそろっていました。

イルマ「あら、おはよう」

まず最初に僕に気付いたのは、GUTSの頼れる女性隊長である

『イルマ・メグミ』隊長です。

ダイゴ「おはようシアン」

次は僕と同じ男性隊員で『マドカ・ダイゴ』隊員。僕の3つ上で

先輩です。

シアン「おはようございます」

ホリイ「おはようシアンちゃん」

と、僕が挨拶をしていると、一人の男性隊員、関西人で開発なども

やっている『ホリイ・マサミ』隊員が僕の事をシアンちゃん

って言ってきました。

 

シアン「ホリイさん。シアンちゃんはやめてください。これでも僕

    男なんですから」

と、困り気味に言う。実際、僕のあだ名として『シアンちゃん』なんて

呼ばれる事がままあります。

僕、これでも男なのに。トホホ……。

シンジョウ「そう言うお前も、女っぽい所に原因があるんじゃないのか?」

と、笑みを浮かべているのは男性隊員で部隊のエース、

隊員養成所の先輩に当たる『シンジョウ・テツオ』隊員。

ヤズミ「オオトリ隊員って、確かに男っぽくないよね」

と相槌を打つのはGUTS最年少の『ヤズミ・ジュン』隊員。

そこへ……。

 

ムナカタ「ほら。そう言うのは良いから手を動かせ」

そう言ってくれたのは隊の副長、『ムナカタ・セイイチ』副長。

レナ「そうよ。可哀そうじゃない、気にしてるのに」

そう続けたのは、女性隊員で男勝りでも有名な『ヤナセ・レナ』隊員。

そして……。

アイナ「まぁ、女の子っぽいのは否定しきれないけどね~」

と続いたのがレナ隊員と同じ女性隊員の『ヤシロ・アイナ』隊員。

 

僕を含めたこの総勢9人が、現在のGUTSのメンバーです。

 

で、僕はまぁその、俗にいういじられキャラでした。まぁ別に

いじめられてるとかじゃないんで大して気にしても居ないんですが…。

成人してもこの童顔と女顔は相変わらずで、この前あった同窓会

なんか、男らしくなったねって言われるどころかもっと美人に

なったねなんて言われて。

僕の男になるための道は、まだまだ険しそうです。

 

っと、ダメダメ。今は勤務中だ。仕事仕事っと。

 

と、そう思っていた時でした。

   『『PLLLLL!』』

唐突に、僕とヤシロ隊員のPDI、通信端末が音と共に振動して

着信を知らせてくれた。

同タイミングで鳴った事もあり、僕とヤシロ隊員は一度視線を

合わせてから通信に出た。

シアン「はい。こちらオオトリです」

アイナ「ヤシロです」

僕たちが開いた端末の画面に映っていたのは、TPC科学局の博士で

もある『カシムラ・レイコ』博士だった。

レイコ「おはよう二人とも。早速で悪いんだけど、二人とも私の

    開発室に来てくれないかしら?少し話したい事があるの」

シアン「はい、わかりました。イルマ隊長」

イルマ「わかってるわ。行って来なさい」

シア・アイ「「失礼します」」

そう言って、僕とヤシロ隊員は隊長に敬礼をしてから司令室を

後にしました。

 

ダイブハンガーの移動する事数分。僕とヤシロ隊員はレイコ博士の

部屋へとやってきました。

シア・アイ「「失礼します」」

レイコ「あら、いらっしゃい。待ってたわよ」

と、博士は僕たちに気付いてパソコンをタイプしていた指を止め

こちらに振り返ってから座ったまま近くのソファを指さした。

   「悪いけど少し待っててもらえる?これすぐに終わらせるから」

と言ってパソコンの方に向き直る博士。僕は仕方なく部屋の中を

少し見回していたのだけど……。

 

シアン『ん?』

不意に、視界の隅で何かが動いたような気がして僕はそちらに目を向けた。

そして僕が見たのは、部屋の隅の壁に埋め込まれた連絡用の

ディスプレイに、まるで泳ぐように黒い服の女の子が映っていた所だった。

一瞬、理解が追い付かずにそちらを見つめてしまう僕。その時。

レイコ「ごめんなさいね、待たせちゃって」

と言って、僕とヤシロ隊員の座るソファとテーブルを挟んだ反対側の

ソファに腰かける博士の声に、僕は意識を戻して博士の方を向いた。

そして、一瞬だけチラッとさっきのディスプレイに視線を向けたけど、

そこには女の子の姿は無かった。

シアン『気のせい?まいっか』

と思いつつ僕は博士との会話の方に意識を戻した。

 

レイコ「それじゃあ早速本題に入りましょうか。あなた達を

    呼んだのは、二人にテストしてもらいたいものがあるから

    なのよ」

シアン「テスト?」

レイコ「えぇ。口で説明するより、見てもらった方が早いわね」

と言うと、博士は近くのデスクの上に置いてあったタブレットを

取ってきて僕たちの前に置いた。

そして博士が画面をタップしたり操作すると、『それ』が画面に

映し出された。

 

それは、一言で言えば龍人だった。どこかの格納庫らしき背景を

背にしている銀色の龍人。それを見て僕とヤシロ隊員は驚いていた。

思わず息をのむ僕と、絶句しているヤシロ隊員。

アイナ「博士、これは……」

レイコ「これは今現在TPCの未来科学センターを中心に開発が

    進められている大型ロボットよ。未来科学センターの

    若い局長さんが提唱した『災害救助用マルチプラットフォーム

    開発計画』。まぁようは災害救助用の新型ロボットの開発ね。

    その開発計画によって作られた3番目の機体。

    『3式機龍』。それがそのロボットの名前よ」

シアン「3式、機龍」

僕は驚きながらも、その名前を口にした。

レイコ「最も、まだプラットフォーム、つまり素体としての機体が

    完成しただけなんだけどね」

アイナ「素体?あれがですか?」

レイコ「そ。これからさらに災害救助用の装備を開発して装備させる

    のが当面の計画なの」

シアン「それはわかりました。……ですがそれと僕たちに一体何の

    関係が?」

レイコ「私があなた達に頼みたいのは、この3式機龍を操る試作機の

    テストよ。3式機龍には3か所のメンテナンスブースがあるわ。

    そこから機体の操縦も可能。でも機龍が全力で稼働する時、

    ブースには殺人的な加速度、Gが加わるわ。だから3式機龍は

    緊急時以外は外部から操作するように設計されているの」

と言うと、指でタブレットの画面を横にずらす博士。

そこに映っていたのは、白い戦闘機のような機体だった。

   「TPCが開発した試作機よ。あなた達にやって欲しいのは、

    これの飛行テストよ。ここじゃあなた達GUTSが

    飛行経験一番豊富でしょ?だからあなた達にお願いしたの」

アイナ「成程。それは確かに一理ありますね。オオトリさんも

    構いませんよね?」

シアン「はい。やらせて頂きます」

 

こうして、僕とヤシロ隊員はその試作機のテストパイロットを

引き受ける事になりました。

しかし、その日の内に事件が発生したのです。

 

 

それは、午後、夜の事でした。博士からテストに関する資料を貰い

司令室で僕とヤシロ隊員が打ち合わせをしていた時でした。周りでも

他の皆が訳あって今日は遅くまで働いています。何でも不思議な

隕石が落ちて来たとからしいですが、詳しい事は、僕はまだ知りません。

そんな時でした。

イルマ「震源が、動いている?」

と、何処かと受話器で通信をしていたイルマ隊長の言葉に僕やヤシロ隊員を

始め、他のみんなが手を止めて隊長の方を向いた。

   「はい。わかりました。すぐに出撃します」

と言うと、受話器を置く隊長。

震源が動いている?どういう事だろうか?

と、僕が疑問に思っていると……。

   「全員聞いて。今通信が入ったのだけど、西アジア支部のある

    カトマンズからよ。通信の内容は、モンゴル平原付近で謎の

    地震が発生したため我々に調査して欲しいとの事よ」

シアン「先ほど、隊長は通信で進言が動いていると言っていましたが」

イルマ「えぇ。中国とモンゴルの国境付近に埋設された地震の早期警戒の

    ためのソナーが地震を感知。データを受け取ったカトマンズの

    支部で解析が行われたけど、そのデータを解析してみると、

    震源が動いているとしか言えないそうよ」

シンジョウ「しかし、震源が動くってのはどういう事なんだ?」

ホリイ「でっかいモグラでもおるんか。はたまたそれ以外の理由が

    あるんか」

と、顎に手を当てて疑問符を浮かべるシンジョウ隊員と同じく腕を

組んで首を傾げるホリイ隊員。

ムナカタ「ともかく、ここで頭を捻っていても始まらない。

     ダイゴ隊員、レナ隊員」

ダイ・レナ「「はいっ!」」

ムナカタ「お前達はガッツウィング1号で現場に急行。何か動きが

     無いかを探ってくれ。ヤズミ隊員はカトマンズの支部に連絡して

     今あるデータを送ってもらうように伝えろ。そのデータを

     残った俺達で精査して何か手がかりが無いか調べる」

ジュン「了解っ!」

 

と、そこへ。

レイコ『ちょっと良いかしら?』

司令室の大型モニターにレイコ博士が映し出された。

シアン「カシムラ博士?」

イルマ「何か御用でしょうか?」

疑問符を浮かべる僕と問い返すイルマ隊長。

レイコ『話は聞かせてもらったわ。モンゴルへ調査に行くんでしょ?

    だったらこれも使って』

と博士が言うと、画面が切り替わってそこにあの試作機が映し出された。

アイナ「これって例の試作機ですよね?なぜですか博士」

レイコ『この機体は3式機龍の第3の目の役割もあって多種多様な

    レーダーや探知機を搭載しているの。こういった調査には

    うってつけのはずよ。テストも兼ねて初フライト。

    どうかしら?』

博士の言葉に、僕やヤシロ隊員、ダイゴ隊員達の視線がイルマ隊長に

集まる。

イルマ「……わかりました。オオトリ隊員、ヤシロ隊員。両名は

    この試作機に搭乗しガッツウィング1号と共にモンゴルに

    向かって頂戴」

シア・アイ「「了解っ!」」

 

そして、僕とヤシロ隊員、ダイゴ隊員とレナ隊員はそれぞれ分かれて

格納庫に向かった。その間に、発進の準備として海底に沈んでいた

ダイブハンガーが海上に浮上し姿を現した。

専用のヘルメットを被り、僕は試作機の後部シートへ。

ヤシロ隊員は前部シートへと体を滑り込ませた。

シアン「システムチェック、オールグリーン。各計器異常なし。

    エンジン出力正常。各部スラスターも異常なし。

    ヤシロ隊員」

アイナ「了解。……試作機より管制塔。これより発進します」

オペレーター『了解。進路クリア。クリアードフォーランチ』

アイナ「試作機、発進!」

返事をするとともに、機体を発進させるヤシロ隊員。僕は

体にGが加わるのを感じながらダイブハンガーを飛び出していくのを

横目に見ていた。

 

そして、夜の空に飛び立った僕とヤシロ隊員の試作機と、ダイゴ隊員と

レナ隊員のガッツウィング1号がモンゴルへと向けて飛び立った。

 

 

 

それが、これから始まる大いなる戦いの第一歩になると、誰も

知らぬまま。

 

     エピソード0 END

 




次回から本格的に物語を描いて行きます。また、劇中のアイナは
SAOのアスナの容姿をまんま使っています。


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エピソード1 『光と闇の始まり』

今回は本編1話がベースです。


~~前回までのあらすじ~~

GUTSに配属となったシアン。そこで彼は仲間たちと共に働いていた。

そんなある日、シアンは同僚のアイナと共に、新型の大型ロボット、

『3式機龍』を外部から操作するための試作機のテストを依頼された。

しかし、そのすぐあと、謎の地震の発生が報告されたため、シアンは

アイナと共に試作機に搭乗。同僚の『ダイゴ』、『レナ』が駆る

ガッツウィング1号と共にモンゴルを目指して基地から

夜明け前の空へと飛び出したのだった。

 

その後、モンゴル平原に到着するガッツウィング1号と試作機。

シアン「こちら試作機、現場に到着しました。これより周囲の探索を

    開始します」

ヤズミ『了解。こちらでもカトマンズからのデータを精査していますが、

    何が起こるか分かりません。十分に注意してください』

シアン「了解。……と言っても」

ダイゴ『現場付近にこれと言った異常は無し。穏やかな草原が広がっている

    くらいだね』

僕の言葉を先読みしたかのようなダイゴ隊員の言葉が通信機越しに

聞こえて来た。

   『こちらの計器にはこれと言った異常なデータは観測されてない。

    試作機、そちらは?』

シアン「こちらも特に。これといって——」

異常はありません。僕がそう言おうとしたその時。

   『ビーッ!ビーッ!』

突如として計器から警報が鳴り響いた。

   「いえ、待ってください!試作機の簡易対地レーダーが何かを

    捉えました!……ッ!これは」

アイナ「どうしたの!?何が起こってるの!?」

シアン「地面の下を何かが高速で動いてる……!そんな、これじゃ

    まるで、生物の動き……!?」

あり得ない。それが僕の言いたい言葉だ。地中を動く『何か』を

試作機のレーダーが捉えた。

レナ『オオトリ隊員、他に、他に何かわかる事は!?その何かの

   大きさとか、何でもいいから!』

通信機越しにその質問が来た時、僕の口の中は乾ききっていた。

迷い、疑っていたからだ。自分の目を。

それでも、僕は何とか自分の目で見たデータを口にした。

シアン「ち、地中を移動する、ぶ、物体の大きさは、約、

    60メートル、です」

僕がそう言った時、通信機越しに他の3人の疑問符が漏れるのを

聞いた。そうだろう。僕もみんなも、信じられる訳がない。

60メートルの巨大な生物が居る訳ない。

僕はそう信じていた。いや、信じたかった。

けれど……。

   『ビーッ!ビーッ!』

再びの警告音に僕の意識は引き戻され、僕自身は頭を

被り振って気持ちを切り替えた。

アイナ「今度は何!?」

シアン「ち、地中の物体が浮上を開始!深度80、75、70。

    このままだと地表に出現します!」

そう僕が叫んだ次の瞬間。

 

   『ドゴォォォォォンッ!』

盛大な音と共に平原の一部が崩壊。そして、その崩壊によって

出来た穴の中から、体に付いた土を払いつつ『奴』が現れた。

 

アイナ「何、あれ」

現れた奴をヤシロ隊員と僕はただ茫然と見つめてしまった。

シアン「バカでかい、怪物」

いや、違う。そうじゃない。あれは、奴は……。

 

   「『怪獣』」

 

かつての直立姿勢で描かれていた恐竜のような、どっしりとした

体つきにぶっとい手足。鋭い牙。建物さえ薙ぎ払いそうな太い尻尾。

怪獣と呼ぶにふさわしかった。

 

と、その時、奴が歩みを進め近くにあった集落に向かって行った。

アイナ「このままじゃあの村が!何か武器は」

と言う言葉を聞いた僕はすぐにシステムを立ち上げた。

シアン「機体に緊急連絡用の閃光弾が3発搭載されています。これを奴の

    顔にぶち込むんです。奴の目がどういう構造かは

    わかりませんが、さっきまで地中の暗闇に居たのなら、

    閃光で威嚇できるかもしれません」

アイナ「そうね。レナさん!聞こえますか!?こちらは閃光弾で

    奴の動きを止められるかやってみます!」

レナ『こっちも信号弾で威嚇してみるわ!』

 

そう言うと、集落の上を旋回したガッツウィング1号が奴の足元に

黄色い煙を放つ信号弾を撃ち込み、そのまま奴の鼻先を掠める形で

上昇していった。

そして、それによって奴の視線が上を向いた。今僕たちの試作機は、

ガッツウィングの辿った軌道をほぼ同じ動きで続いていた。

狙うは文字通り奴の眼前!

シアン「ターゲットロック!今です!」

アイナ「閃光弾、発射!」

奴が上を見上げている隙を逃さず、ヤシロ隊員が操縦桿のスイッチを

押し込んだ。それによって機首にあったマルチランチャーから閃光弾が

発射され、奴の眼前でさく裂し強烈な光を放った。

 

奴はそれに驚くと、その場に蹲るような姿勢から地面を掘り進んでどこか

へと去って行った。

   「オオトリさん!あいつは!?」

シアン「……。ダメです。簡易レーダーの索敵不可能深度まで

    逃げられました。追尾不可能です」

そんな現実を、僕は申し訳なさそうにそう告げた。

 

一体、奴は何者なのか。この時の僕たちにはまだ、知る由も無かった。

けれど、その疑問以上に僕は思った事があった。

『奴』は、一匹だけなのかな、と。

或いは、奴のような存在が他にも居ないのか?と。

 

そして結局、僕たちはすぐにとんぼ返りでダイブハンガーに帰還。

僕たち自信が目にした事と試作機に搭載されていたカメラで収めた

映像を報告し提出した。

僕たち9人が見つめる大型スクリーンの中で、奴が吠える姿が

映っていた。

 

シンジョウ「一体全体、何なんだこいつは」

ホリイ「化けもん。としか言いようがないなぁ」

ヤズミ「推定身長は60メートル越え。地球上でこれまで確認された

    生物の中でも群を抜いて巨大な生命体です」

戸惑うシンジョウ隊員やホリイ隊員。何とか冷静に報告するヤズミ隊員。

一応ムナカタ副長やイルマ隊長は冷静だけど、二人が驚いていない

訳では無さそう。

まぁ、かく言う僕も未だにあの驚きが抜けきらないのが現状です。

そんな時。

イルマ「ダイゴ隊員、レナ隊員、ヤシロ隊員、オオトリ隊員。

    あなた達は自分の目でこの生物を見た訳だけど、この生物の

    事をどう思う?」

ダイゴ「どうと言われましても。大きすぎて、正直夢でも見ていたん

    じゃないかって気分で、未だに信じられません」

レナ「私も、ダイゴ隊員と同じです。正直、自分の目が信じられません

   でした」

アイナ「見たのはほんの数十秒でしたから、どうと言われても狂暴なのか、

    人間を襲おうとしたのか、何も分かりませんから、私から

    言える事は無いと思います」

隊長の問いかけに答えるヤシロ隊員達。僕は……。

シアン「僕は……。恐怖を感じました。けど、改めて冷静に考えると、

    疑問も浮かんできました」

イルマ「疑問?」

僕の言葉を問い返す隊長。そう、疑問だ。それは……。

シアン「なぜ、奴は『今』現れたのか。過去にこれまであんな生物が

    存在していたなんて見た事も聞いた事もありませんでした。

    そんな、今まで存在の噂すらなかった生物が突如として

    姿を現した。……何て言うか、僕の感なのですが……。

    これって、何かの前触れなんじゃないかなって思って」

レナ「前触れ?」

ムナカタ「前触れか。……不吉な予感ほど、当たって欲しくないが

     当たるんだよな」

と、副長は僅かにぼやいていた。確かに、こんな予感は僕だって当たって

欲しくはない。けれど……。

 

そう思っていた時だった。

レイコ『イルマ隊長』

さっきまであの怪獣が映っていたスクリーンが切り替わって

カシムラ博士が映し出された。

   『例の未確認生物の件で忙しい所悪いんだけど、

    回収された隕石の解体の件いいかしら?』

イルマ「そうでした。お願いします」

 

 

それから数分後。カシムラ博士と助手の人がGUTS司令部にやってきた。

理由は先日落下した謎の隕石の分析と解体を僕たちが立ち会う事に

なっていたからだ。

アイナ「これが、変な隕石なんですか?」

レイコ「えぇ。本来なら大気圏突入の摩擦熱で燃え尽きるはずなのに、  

    見事に大気圏を突破して地表に落ちた謎の隕石。

    これがそうよ」

レナ「何か埋まってるみたい」

え?埋まってる?これに?

と、僕はレナ隊員の言葉に心の中で疑問符を浮かべた。

そしてレイコ博士がレーザーカッターで隕石の表面を削るが……。

 

レイコ「天然の隕石じゃない。作られた物よ」

ホリイ「えぇっ!?」

博士の言葉に疑問符を浮かべるホリイ隊員。僕も驚きつつ

隕石の方に歩み寄った。

天然じゃないというのなら、人工物?まさか、宇宙人からの

メッセージとか?

と僕個人で勝手に考えていると、隕石が真っ二つに割れて中から

円錐形の物体が現れた。

 

それを司令室の中央テーブルに置いたその時。

不意に司令室内の照明の光量が落ちた。

シアン「何これ?」

アイナ「発電機の電圧でも低下しているのかしら?」

僕とヤシロ隊員が呟いたその時。

   『ピカッ!』

不意に円錐形の物体が光を放った。それに気づいてみんな慌てて距離を

取った。

シアン「ひ、光った……!?」

すると、今度は円錐形の物体の一部が開き、空中に人の姿が投影された。

アイナ「これって、ホログラム?」

レイコ「えぇ、そう見て間違いないでしょうね」

突然の事で驚いていた僕たち。しかしその耳に、何かの声が聞こえて来た。

 

ホリイ「何か言うとるなぁ」

シアン「はい。……でも英語でもないし、中国語やドイツ語、

    フランス語。どれとも違います。こんな言語、聞いた事

    ありません」

僕はGUTSとして各地で活躍できるように、色々な国の言語を

初歩程度だけど学んでいた。でも、そのどれとも違う言葉が

聞こえて来た。

すると……。

ホリイ「サウンドトランスレーターで訳せるかもしれんでぇ」

と言うと、司令室のオペレーター用のデスクとトランスレーターを

使用し言語を訳すホリイ隊員。

そして……。

 

ユザレ『私は、地球星警備団の団長ユザレ』

ホログラムの言葉が、僕たちにもわかるように訳された。

その言葉に、僕たち9人とカシムラ博士は聞き入っていた。

   『このタイムカプセルが地球に到着したという事は、地球に

    大異変が相次いで起きます。その兆しとして、大地を揺るがす

    怪獣『ゴルザ』と、空を切り裂く怪獣『メルバ』が

    復活します』

ゴルザに、メルバ。大地を揺るがす?まさか……。

ダイゴ「ゴルザだ!モンゴルに現れたのはゴルザって言うんだ!」

僕と同じ推測にたどり着いたダイゴ隊員がそう言っている。

正直、僕も同意見だ。

大地を揺るがすのがゴルザだというのなら、あの怪獣の見た目が

何となく合ってしまう。現に奴は大地を割って現れた。

僕がそう考えていた間も、ユザレのホログラムはしゃべり続けた。

ユザレ『大異変から地球を守れるのはティガの巨人だけです』

ティガ?確か、インドネシア数字の3はそう発言していたような……。

   『かつて地球上の守り神だった巨人は、戦いのために用いた

    体をティガのピラミッドに隠すと、本来の姿である光と

    なって星雲へ帰って行きました。我が末裔たちよ。

    巨人を蘇らせてゴルザとメルバを倒すのです』

光の、巨人。かつての守り神。……本当にそんな存在があるのだろうか?

僕自身、ゴルザの事は何となく信じられる。でも光の巨人なんて……。

   『巨人を蘇らせる方法は唯一つ』

 

しかし、次の瞬間その方法を教えようとしたホログラムが歪んでいき

消滅してしまった。

それと同時に、暗くなっていた部屋の明かりが復活した。

イルマ「カシムラ博士、どうです?」

レイコ「太陽系の彗星を模したタイムカプセルね~。

    悪戯にしては手が込んでるな~」

と言って苦笑を浮かべる博士。すると……。

ダイゴ「本物ですよ!ゴルザが現れる事までぴったりと言い当ててる」

ムナカタ「あれがゴルザとは限らん」

ダイゴ「その内メルバも!」

レイコ「ダイゴ隊員。このタイムカプセルを信じるって事は過去に

    私達より優れた科学力を持つ文明があったと認める事なのよ?」

と言われると、俯いてしまうダイゴ隊員。

 

でも、僕も……。

シアン「ですが、だからと言って真っ向から否定するのもどうかと

    思います」

ダイゴ「シアン」

シアン「例えば、ムー大陸やアトランティス大陸のような大陸の沈没説が

    その先史文明崩壊の名残だったとしたら……」

レイコ「オオトリ隊員、それはオカルトの話?」

シアン「ですが!人間の力をもってしても未だに未知の存在は多くあります。

    あの巨大な生物、怪獣を今まで我々が知らなかったのが

    良い例です。あの常識を破るような生物が居る今、

    ある程度常識から外れて考える事も必要かと思います」

僕は、僕の思う事を口にした。

 

結局その後、カシムラ博士とホリイ隊員が放射性元素による年代測定を

行った。結果は……。

レイコ「紀元前25万世紀から38万世紀にかけての地層で

    出来てるわ」

え!?

シアン「に、25万世紀以上も前なんて、それじゃあ」

ホリイ「そ。およそ3000万年前。新生代第3紀漸新世」

アイナ「人類の祖先とされる猿人がアフリカに誕生したのが

    およそ600万年前だから」

レイコ「単純計算でも人類の祖が生まれる2000万年以上前の

    物よ。この隕石の欠片は」

驚く僕たちに説明してくれる博士やホリイ隊員。

確かに僕はあのホログラムの言葉を信じない訳じゃない。

でも、そんな大昔に人類が存在していたなんて……。

とてもじゃないけど考えられない。

……悪戯?あのホログラムが?でも、誰が何のために?

と、僕がそっちの線を疑いだしたその時。

 

   『ピーッ!ピーッ!ピーッ!』

不意に司令室内に警報が響き、大型モニターが切り替わった。

緊急の連絡が入ったんだ。相手はサンティアゴの南アメリカ支部だった。

皆がモニターに駆け寄るのと同時に、向こうのオペレーターの人の顔が

映し出された。

オペレーター『イースター島に怪獣が現れました!定点カメラの映像を

       送ります!』

次の瞬間、モニターが切り替わって映し出されたのは……。

 

   『AAAAAAAAANN!!!』

 

一言で言えば、鳥人。細長い首と翼にも刃にも見える鋭利な肩の

パーツを持った怪物が夜のイースター島で山を崩しながら現れた。

そして、その怪物、いや、怪獣のおぞましい金切り声のような鳴き声が

僕たちの耳に届く。

誰もが驚いていたその時。

ダイゴ「メルバだ!……空を切り裂く怪獣メルバ」

真っ先にダイゴ隊員が叫んだ。

ムナカタ「なぜ今怪獣が?」

驚きながらも疑問符を浮かべるムナカタ副長の方に向き直るダイゴ隊員。

ダイゴ「地球に異変が起こってるんです。ユザレが正しかった。

    タイムカプセルは本物です。ゴルザが出た。メルバも!

    後はティガの巨人だけなんです!」

ティガの巨人。確かにあのホログラム、ユザレの事が正しければ、

その巨人を蘇らせる方が良いのかもしれない。でも……。

 

イルマ「ティガの巨人?……ティガってどこなの?」

ダイゴ隊員の言葉にそう問い返すイルマ隊長。しかしこれには

流石のダイゴ隊員も答えられなかった。

シアン「ティガはインドネシア語で3を意味します。もしかすると、

    インドネシアかもしれません」

アイナ「なら、ティガのピラミッドはインドネシアに?」

咄嗟に僕の持つ知識でそうフォローする。けどこの仮説も

また素人の推察でしかない。と、その時。

ヤズミ「ティガはありますよ!今出します」

そう言って大型モニターに映っていた世界地図をズームインしていくと……。

 

ズームされた場所が……。

アイナ「日本の」

シアン「東北!?」

僕たちの生まれ故郷、日本だった。

 

 

その後、僕たちはガッツウィング1号、2号、そして試作機に分乗して

ダイブハンガーを発進。過去の言語を解析して得られた情報を元に

僕たちは東北へと急いだ。

ホリイ「ホンマにこんな所にピラミッド在るんかぁ?」

2号を操縦していたホリイ隊員の愚痴る声が通信機を通して僕の耳にも

聞こえて来た。

アイナ「オオトリさんはどう思う?ピラミッドの話」

そんな時、前のシートに座っていたヤシロ隊員の声が聞こえて来た。

シアン「僕は正直、半信半疑です。ピラミッドなんて人工物、

    仮に木々や苔に覆われていたとしても誰かが気付きそうな

    物なのに」

アイナ「だよね~」

と、二人で話していた時。

ムナカタ『上空からの捜索では埒が明かん。近くに降下できる

     場所を見つけた。そこに降下し各自足でティガの

     ピラミッドを探せ』

アイナ「了解」

 

その後、僕たちは3機を並んで降下、着陸させ、ムナカタ副長を

2号に残して各々の足でティガのピラミッドを探し始めた。

僕はダイゴ隊員と一緒に歩いていた。

シアン「……ありませんね。ピラミッド」

ダイゴ「……」

僕の言葉に無言のまま歩き続けるダイゴ隊員とそれに続く僕。

やがて小さな橋に差し掛かった時だった。

   「?」

不意にダイゴ隊員が足を止め周囲を見回し始めた。

僕はダイゴ隊員を追い越してからダイゴ隊員が足を止めているのに

気づいて振り返った。

シアン「ダイゴ隊員?どうかしました?」

橋から森の方を見つめるダイゴ隊員を見て、僕は首を傾げながらも

ダイゴ隊員が向いている方に視線を合わせ、驚いた。

 

森の向こう、黄金の『何か』が薄っすらと見えていたから。

 

その時。

アイナ「お~~い!二人とも~!」

丁度後ろから聞こえて来た声に僕は振り返った。

見ると、橋の下の川辺に他のみんな、ヤシロ隊員達4人が居た。

僕がみんなの方を向いていた、その時。

 

   『ダッ!』

シアン「え?」

唐突にダイゴ隊員が脇目も降らずに走り出した。

レナ「ダイゴッ!!」

ホリイ「アカンッ!」

咄嗟に呼びかけるレナ隊員はホリイ隊員。僕も数コンマ躊躇って

からもダイゴ隊員を追いかけた。

 

 

この時、僕たちはまだ、ゴルザとメルバがティガのピラミッドに接近

している事を、まだ知りもしなかった。

 

ダイゴ隊員を追いかける僕たち。そこへムナカタ副長も到着し、

僕たちはこちらを無視しているかのようにピラミッドの中へと

入って行ったダイゴ隊員に続くように、恐る恐るピラミッドに近づいた。

 

ゆっくりとピラミッドに触れようとした僕の手は、空しく黄金の

ピラミッドをすり抜けた。

シアン「これ。……質量が無い。ホログラム、なの?」

アイナ「え?」

僕の疑問に、他の皆が驚く中、僕たちは慎重にピラミッドの壁を

文字通り透過した。

 

 

そして、それらを、いや、『彼ら』を見つけた。

 

 

それは、光のピラミッドの中で起立する3体の巨神の石像だった。

 

シアン「これ、が。ティガの巨人」

アイナ「もしかして、この3体の石像が?」

驚きながらも、その巨人たちを見つめる僕たち。

 

しかし怪獣たちはノイズ部分を修復し巨人復活の方法を探り出す

その時まで、待ってはくれなかった。

通信によってゴルザとメルバがこちらに接近していると言う事が

伝えられた僕たちは、やむなく巨人を放置して撤退する事に

なった。だが……。

 

ダイゴ「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

不意に、叫んだかと思うとまたしてもダイゴ隊員が駆け出した。

シアン「ちょっ!?ダイゴ隊員!!」

さっきの事と言い今度は絶叫と言い。ダイゴ隊員ホントに

どうしたんだ?!

 

ダイゴ隊員の事が判らなくなりつつも、僕たちはそれぞれの機体に

戻った。ダイゴ隊員が1号、ムナカタ副長以下4人が2号。

僕とヤシロ隊員が試作機に戻った、その時。

 

レイコ『オオトリ隊員』

シアン「ッ。カシムラ博士?」

ダイブハンガーに居るカシムラ博士から通信が届いた。

レイコ『突然で悪いと思うけど、今そっちに向かって3式機龍を

    発進させたわ』

シアン「……。えぇっ!?」

突然の事で、数秒間をあけてから驚く僕。

   「ちょ、ちょっと待ってください!3式機龍は災害救助用の

    大型ロボットのはずじゃ!?」

レイコ『そうよ。だから武装も無い。……けど、このままあの二匹を

    無視する事は出来ないと判断したTPC上層部の決定よ。

    目には目を。歯には歯を。でっかい化け物にはでっかい

    ロボットを、って事よ。

    そして当然、それを操縦できるのは操作系統を搭載した

    試作機に乗っている、あなただけよ』

え?えぇぇっ!?それってつまり……。

シアン「僕に、3式機龍を動かせ、と?それこそあり得ません!

    僕は3式機龍の事を何も知らないんですよ!?」

レイコ『悪いけど、これはもうすでに決定した事なのよ』

そ、そんな。僕に3式機龍を動かせと?そんな事、出来る訳。

 

と、僕が思っていた時。

???『大丈夫大丈夫!私が居るから!』

不意に、通信機からカシムラ博士とは別の声が聞こえて来た。

これは?通信に割り込まれてる?

   『ねぇねぇお姉ちゃん!シートの上にレバーがあるでしょ?

    それ引っ張って見て!』

レバー?

シアン「これ?」

僕は天井部分にあったレバーを見つけそれを引っ張った。すると

モニターらしき物が現れた。

???『やっほ~』

すると、そこに両肩を露出したカットアウェイショルダーの黒い服を

纏い、腰元まで届きそうな白髪ロングヘアの少女がそのモニターに

いきなり現れた。

シアン「なっ!?き、君は誰?」

ユナ『私?私は『ユナ』だよ~!よろしく~!』

と、快活に挨拶されたけど僕が知りたいのはそこじゃなくて……。

そんな風に思っていると。

レイコ『オオトリ隊員。その子、ユナは3式機龍に搭載されている

    支援用自立AIよ』

通信機からまたカシムラ博士の声が聞こえ、説明してくれた。

けど、AI、人工知能って、この子が?

改めて僕はモニターを見ると、画面の中の女の子、ユナちゃんが

ん?と首を横に傾げている。

まるで普通の女の子みたいだ。

 

その時。

   『GAAAAAN!!』

陸路で接近していたゴルザがティガのピラミッドの真ん前まで接近。

僕たちが見守る事しかできないまま、ゴルザは額からエネルギーの

ような物を照射しピラミッドを破壊してしまった。

 

アイナ「ピラミッドが!」

シアン「ッ!カシムラ博士!機龍は今どこですか!?」

カシムラ『現在VTOL機4機により岩手県内を飛行中。

     後数分でそちらに到着するわ』

シアン「急いでください!このままじゃ巨人の石像が!」

アイナ「あっ!メルバを確認!」

え!?

通信に集中していた僕が視線を戻すと、太平洋方面から飛来した

メルバが巨人たちの近くに着陸した。

来た。来てしまった。

 

そして、石像を破壊し始めるゴルザとメルバ。その時。

ダイゴ「止めろぉぉぉぉぉっ!」

ガッツウィング1号、ダイゴ隊員が二体に向かって行った。

 

シアン「ッ!?無茶です!引き返して!」

咄嗟に警告する僕やムナカタ副長たちの声を無視して、ダイゴ隊員は

果敢に二匹に向かって行った。

でも、メルバの放った光弾が1号のエンジンに被弾。みんなが脱出を

促すが、故障らしく脱出できないって。

そんな、まさか……。

 

そして、僕たちの予想が現実となった。

   『ドォォォォォンッ!』

1号が山間部に墜落してしまった。激しい爆音を爆炎が上がる。

 

嘘、そんな、まさか。……ダイゴ隊員が?

僕が自分の目を疑っていた時。レーダーが反応した。見ると、

山を越えて4機の垂直離着陸機にワイヤーで吊るされた銀一色の

3式機龍が現れ、僕たちの近くに着陸した。

ワイヤーが離され、機龍が地面に起立している。まるで、あの

巨神たちのように。

 

レイコ『オオトリ隊員。良い?今あなたのPDIに機龍起動用の

    電子キーをインストールしたわ。それを操縦席の右側にある

    スロットに装填して。……できるわね?』

そう言われた僕は、震える手で右腰のPDIを抜き取り、点滅している

スロットにそれを差し込んだ。

 

   ≪起動キー、装填確認≫

すると、唐突にユナちゃんが喋りだした。かと思うと、突如シートの

左右の床下から操縦桿らしき物が二つ、せりあがってきた。

   ≪遠隔操縦システム、アクティベート。

    操縦桿を握ってください≫

その言葉に、僕は震えながら操縦桿に手を伸ばした。

震える理由は、緊張と怒り。

そして、僕の手が操縦桿をギュッと握った次の瞬間。

   ≪3式機龍、アクティベート≫

 

   『KYUAAAAAAAANN!!』

 

そして、3式機龍の甲高い金属の咆哮が周囲に響いた。

 

一瞬、こちらを向くメルバとゴルザ。

しかしゴルザは視線を戻すと自分の前に倒した最後の一体の

石像の胸を踏みつぶそうとしていた。

 

そんな事、させるか!ダイゴ隊員の仇!

そう思い僕が操縦桿を動かそうとした、その時。

僕の場所では見えなかったが、石像の腕が動き、ゴルザの脚を

受け止めた、そして……。

 

   『タァッ!』

何かの掛け声とともに、瞬く間に色づいた巨人がゴルザの足を押し戻し

転倒させた。

すぐさま起き上がる巨人。

 

赤、青紫、銀の3色で色付けされたトリコロールの巨人が突如として

復活した。

僕以外のみんなが、その事に驚いている中で僕は3式機龍を

動かしていた。

狙うは、あの巨人と向かい合っているゴルザ。

 

僕は機龍の両腿のスラスターを展開させ、機龍をゴルザ目掛けて突進

させた。

ゴルザがスラスターの音に気付いて機龍の方を向いた。

でも遅い!

シアン「喰らえっ!!」

次の瞬間、スラスターで加速した機龍の右腕のラリアットが

ゴルザの胸に命中し盛大に火花を散らした。

   『GAAAAAN!』

一撃に悲鳴のような声を上げながら後退るゴルザ。

しかしどうやら大したダメージになっていないのか、奴は

すぐさま機龍の方に向かって来た。

不味いっ!

遠隔操作の機龍と生物の奴じゃ格闘戦で組疲れたらこちらが

不利になる!

 

だが、僕がそう思った瞬間。

   『タァッ!』

巨人がゴルザを側面から攻撃し、その頭部にチョップを叩き込んだ。

そのまま連続で攻撃をし、そのままゴルザを抑え込む巨人。

しかしそこにメルバが向かって来た。

けど!

シアン「ダイゴ隊員の!」

僕は目一杯操縦桿を操作し、そして……。

   「仇ぃぃぃぃぃぃッ!」

ユナ『スラスター、全快ィィィィッ!』

スラスターを全力噴射して機龍をメルバの横から突進させた。

   『AAAAN!!』

どうやらゴルザより軽いのか、メルバは機龍の体当たりで盛大に

吹っ飛んだ。

その間に、巨人は再び光線を放とうとしていたゴルザを抑え込んだが、

押され気味だ。

ここは!

   『KYUAAAAANN!』

 

僕は3式機龍を走らせ、ゴルザの右腕に掴みかかり、両手でその

右腕を抑え込んだ。

シアン「機龍のパワーがお前より低いとしても!」

ユナ『2対1なら負けないよ!』

機龍と巨人でゴルザを抑え込むが……。

 

   『AAAAN!!』

そこに翼を展開したメルバが突進してきて巨人と機龍を弾き飛ばした。

   『ダァッ!?』

ユナ『イッタ~~~イ!』

倒れた巨人と機龍。

巨人は素早く起き上がるが、僕の操作する3式機龍は機械操作のためか

やっぱり他の3体より動きが鈍い。

そして、起き上がった巨人に攻撃が集中した。

ゴルザの光弾を側転で避ける巨人。しかし直後メルバに組みつかれ、

無防備な背中をゴルザが攻撃する。そのままメルバの腕に弾き飛ばされ

倒れる巨人。

 

だけど!

シアン「僕たちを!」

ユナ『忘れるな~~~!』

もう一度、僕はスラスターを吹かしてゴルザの背後から体当たりをした。

突然の背後からの奇襲で驚きでバランスを崩して前に倒れるゴルザ。

そしてさらにスラスターで巨人に集中していたメルバ目掛けて突進。

対応が遅れたメルバが胸にショルダータックルを喰らって倒れた。

 

その隙に、僕は機龍を巨人の近くに着陸させた。立ち上がった巨人が

機龍の隣に並ぶ。起き上がったゴルザとメルバも並んでこちらを

威嚇するように咆哮している。

 

そんな時、ガッツウィング2号から見ていたホリイ隊員が一言

呟いた。

 

ホリイ「なんちゅうタッグマッチや」

 

と、僕たちには聞こえなかったが、そうホリイ隊員が呟いたすぐあと、

巨人の額のクリスタルらしき物が光ったかと思うと、巨人が

眼前で手首をクロスさせ、振り下ろした。

 

すると、青紫色の部分が赤く変色。これで赤と銀のツートンカラーに

なってしまった。

アイナ「色が変わった!?」

驚くヤシロ隊員。

一方ゴルザとメルバはそれに危機感を覚えたのか、それぞれが光線を

放つ。けどそれは右手をかざした巨人が生み出したシールドに

よって防がれた。

そして巨人は振り返って機龍に向かって頷いた。

モニター越しにそれを見た僕は、すぐに機龍を操作し、巨人を

『飛び越えた』。

そして……。

シアン「このぉぉぉぉぉっ!」

機龍のスラスターを生かした大ジャンプでメルバに向かって跳躍。

フライングボディプレスを繰り出しメルバを押し倒した。

その隙に、巨人は先ほどパワーで負けていたはずのゴルザを相手に

そのパワーで圧倒していた。

アイナ「あの巨人、さっきよりパワーが増してるの?」

上空を旋回しながらのヤシロ隊員の言葉に、一瞬僕の注意が

そちらに向いた。

その隙に、メルバは機龍を弾き飛ばして上空へと飛んで行った。

シアン「ッ!しまった!」

ユナ『あ~!逃げられた~!』

 

メルバはそのまま空中から攻撃を始めた。巨人は何とか反撃しようと

しているが、空を飛ぶメルバ相手に攻撃を当てられずに苦戦した。

しかもその隙に地中に逃走しようとしているゴルザ。

  『もう一匹が逃げるよ!』

シアン「このっ!」

咄嗟に尻尾を掴んで引き抜こうとしたけど、背中にメルバの

突進を受けて前のめりに倒れる機龍。

巨人の方もメルバの攻撃を受けて動けず、結局ゴルザを

逃してしまった。

 

くっ!?そもそも3式機龍は非武装の設計だから飛び道具なんてない!

かといってスラスターで突進しても、機龍にはそこまでの旋回性能

なんて無い。簡単に背後を取られて落とされる。

どうすれば……。

 

と、その時。突然巨人の胸に合った青く輝くクリスタルが赤く点滅を

始めた。そして、巨人は再び頭上で手を交差させ振り下ろした。

すると今度は青紫と銀の二色に変化。すぐさま飛び上がって

メルバの頭部にキックを打ち込み撃墜させた。

 

そして巨人は、のろのろと起き上がったメルバに対し、エネルギーを

集めるような動作で作り出したエネルギー弾を手裏剣のように

投げつけた。

それを躱す事が出来ずに、胸に受けたメルバは一拍置いて

バラバラに砕け散った。

 

それを、モニター越しやその目で見ていた僕たち。

アイナ「倒した、の?」

ユナ『っぽいね』

驚くヤシロ隊員とユナちゃん。

やがて巨人はメルバを倒すと、どこかへと飛び去って行った。

 

何はともあれ、僕たちはメルバを倒しゴルザを撃退した。

巨人も一人だけだが復活した。

……しかしダイゴ隊員は。

 

僕がそう思い、唇を噛みしめたその時。

ユナ『あっ!ねぇねぇあそこ!誰かいる!』

シアン「え?」

ユナちゃんの声に落としていた視線をモニターに移すと、そこには

川辺を走るダイゴ隊員の姿があった。

   「ダイゴ隊員!生きてたんだ!」

元気に走りこちらに手を振るダイゴ隊員。

 

その後、僕たちはダイゴ隊員を回収して一路ダイブハンガーへと

戻った。

 

しかし、この時の僕たちにはまだ、知る由も無かった。

 

ゴルザとメルバとの戦いが、これから地球に襲い掛かる

幾星霜の戦いの中の、たった一粒の、初戦でしかない事を。

 

 

果たして、これから彼らに襲い掛かる物とは一体?

 

その答えを知る者は、まだ誰もない。

 

     第1話 END

 




え~、と言うわけでしょっぱなから機龍参戦でした。
物語りは基本、シアンの視点で行くつもりです。


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エピソード2 『その巨人の名は——』

今回は本編第2話がベースです。


~~前回までのあらすじ~~

世界各地の超常現象を調査するチーム、GUTSに所属する

シアンや彼の仲間たち。ある日彼らは正体不明の怪獣と遭遇する。

そして直後、過去に存在した古代文明のタイムカプセルからの

情報を得た彼らは、怪獣と戦うためにティガの巨人を探し

見つけ出した。しかし巨人の復活方法が分からないまま現れた

怪獣ゴルザとメルバが2体の巨人の石像を破壊。あわや最後の

石像も破壊されかけるが、シアンたちの知らぬうちに彼の仲間で

あるダイゴ隊員が光となって巨人、ウルトラマンティガと

融合し復活。更に巨大ロボット3式機龍も駆けつけ、

ティガとシアンが操る機龍はゴルザを退けメルバを粉砕するのだった。

 

 

ゴルザとメルバとの戦いから数日が経ったある日。

GUTS司令室では一つの報告が行われていた。

アイナ「3式機龍を!?」

シアン「GUTSの所属とする!?」

それは、対ゴルザ・メルバ戦での活躍を評価して3式機龍を

GUTS所属の対怪獣兵器とすると言う旨を伝える物だった。

レイコ「知っての通り、機龍はあの戦いで怪獣と互角に戦ったわ。

    そのため、急ではあるけどTPC上層部は機龍を

    あくまでも対怪獣用と限定しての武装化を決定したわ。

    加えて、試作機に関しても急きょGUTSへの正式

    配備が決定。以降は『ガッツウィングSS』となるから

    よろしく。パイロットは引き続き、操縦士をヤシロ隊員。

    機龍の操作及び索敵をオオトリ隊員が担当して頂戴」

シア・アイ「「は、はい」」

カシムラ博士の言葉に、僕とヤシロ隊員は驚きつつ頷く事しか

出来なかった。その時。

 

ユナ『ね~ね~!次は私に自己紹介させてよ~!』

ムナカタ「な、何だっ!?」

突如として司令室にユナちゃんの声が響き、驚くムナカタ副長や

ダイゴ隊員達。

その時、司令室の大型モニターにあの時の姿のユナちゃんが

映し出されみんながそっちを向いた。

ホリイ「子供?」

ユナ『はじめまして!ユナだよ~!これからよろしくね!』

と、元気良く挨拶をするユナちゃんだけど僕とカシムラ博士以外の

みんながポカンとしている。

 

レイコ「オオトリ隊員は知っているでしょうけど、改めて紹介するわね。

    彼女の名前はユナ。3式機龍内部のコンピューターに存在する

    パイロット支援用AIよ。名前は、

    『汎用次世代型人工知能』の試作機、『Utility・Next-generation・

    Artificial-intelligence』に試作機の意味を持つYを

    頭文字にして、Y、U、N、A。だからユナよ」

ユナ『これからよろしくね、ヤシロお姉ちゃん、オオトリお姉ちゃん』

そう言ってはにかんだ笑みと共に挨拶をするユナちゃん。

……ってちょっと待って。お姉ちゃん?

シアン「あのね、ユナちゃん。僕男だから、男だからね?」

ユナ『え?そうなの?だってお姉ちゃん、『女の人みたい』だよ?』

 

『女の人みたい』。

そんな思い言葉が僕の背中にのしかかる。い、いや、分かっていた。

分かっていた事だけど、やっぱり面と向かって言われると辛い。

僕がそう思いながら項垂れていると、苦笑していたカシムラ博士が

説明を再開した。

レイコ「ユナの大本は3式機龍のCPだけど、それはTPCのメイン

    サーバーと常時オンラインで繋がってるから、ユナも

    ちょくちょくここに顔を出すでしょうからよろしくね」

アイナ「はいっ!」

シアン「りょ、了解しました」

と、僕とヤシロ隊員は返事をした。

 

その翌日。何と西南諸島に怪獣が出現したという報告が現地を

訪問中のTPC総監、『サワイ・ソウイチロウ』総監から送られ、

機龍の武装化を追う形で急きょGUTSのライドメカを戦闘用に

改造する事になった。

 

その一方で、僕は……。

シアン「う~~ん」

ユナ『シアン~。何してるの~?』

僕が司令室で書庫から漁ってきた古い書物と睨めっこしていると

近くに開いたまま置いていたPDIにユナちゃんが現れて首を

傾げて来た。

シアン「うん、ちょっと過去の文献を見直してたんだ」

ユナ『過去の文献?それって、古い本の事だよね?』

シアン「そ。それこそ紀元前の頃のとかにあった物の写本の

    翻訳版を見返しているの」

ユナ『どうして?』

シアン「もしかしたら過去の伝承の中に怪獣の居場所を記した物が

    無いかと思ってさ」

なんて言っていると僕の横にお茶が置かれた。それに気づいて視線を

移すとヤシロ隊員が居た。

シアン「ヤシロ隊員。ありがとうございます」

アイナ「どう?何か分かった?」

シアン「駄目です。過去の文献に何か巨大生物の伝承とか無いかと

    思ったんですが、ゴルザに匹敵する程の大きさの物は  

    殆ど。精々、ダイオウイカが元のクラーケンの話程度

    でした。仮に怪獣の大きさをゴルザやメルバ、あの巨人と

    同等だとして、最低でも身長は50メートル。そんな大きな

    生物を見たとなれば如何に昔とはいえ本か何かにデータとして

    残ってるかと思ったのですが……」

僕が目頭を押さえながら体を伸ばしていると、ヤシロ隊員が本の一つを

持ってペラペラとめくり始めた。

アイナ「これって、日本の?」

シアン「はい。怪獣の事もそうですが、巨人の事も調べてみようと

    思って。巨人が3体だけ、という証拠もありませんから。

    日本にあのピラミッドがあったならもっと他に何か情報が

    無いかと思いまして」

アイナ「そうね~。……ん?」

本をめくりながら相槌を打っていたヤシロ隊員が疑問符と共に

手を止めた。

シアン「どうかしました?」

アイナ「あぁ、うん。これ、どう思う?」

そう言いつつ僕の前に本のページを置くヤシロ隊員。そこには……。

   「沖縄の方にある西南諸島の久良々島って所の伝承

    何だけど……」

シアン「えっと。彼の島には石を喰らう大蛇の姿有り。大蛇は

怪しき光にて万物を石に変えそれを喰らう」

と、僕は文章の一部を読み上げていたのだけど……。

   「島の民はその大蛇を、えっと……。これ、何て読む

    んでしょうか?この漢字の部分」

その大蛇を指す単語の部分、『牙琥魔』と言う場所だけは

読めなくてヤシロ隊員の方に見せたんだけど……。

アイナ「こっちは牙、だから『きば』とか『が』って読むの

    かな?最後のは悪魔の魔だから『ま』、かな?

    でもこの真ん中の字って何だっけ~?」

とヤシロ隊員も首を傾げてしまった。

ユナ『どれどれ?ユナに見せて』

そう言われた僕は本をPDIの方に向けて来た。

  『あぁこの部分ね。ちょっと待って』

と言うとユナちゃんはいきなり眼前に本の様な物を

出現させるとそれをパラパラめくった。

後から聞いた話だと、これはネット検索の行動を絵として

表現していたらしい。

 

で、結果はと言うと……。

ユナ『あった。それっぽい噂あったよ』

と言うと、司令室に大画面にその情報が映し出された。

  『その漢字はそれで『ガクマ』って読むみたい。大昔から

   沖縄とかで言い伝えられてる土地神って奴の話が

   ネットに載ってたよ。……まぁUMAとかを探す人が

   やってるサイトだから信ぴょう性は無いかもね~』

と言うと、ユナちゃんは本をほっぽりだすとどこかへと行ってしまった。

それを見つつ、僕はPDIを閉じて、本に映っていた大蛇らしき

物の絵に視線を移した。

シアン「ガクマ、か」

それだけ言うと、僕は粗方読み終えた本を書庫に戻すために司令室を

後にした。

 

 

~~

その後、ダイゴがヤズミと巨人、ティガの観察をしたり

ユザレと一人で会話していたりしていた中。シアンは書庫に本を

返し司令室に戻ろうとしていた時だった。

 

~~

結局、古い本を漁っても怪獣らしき物の話は無かったな~。

……でも、欧州なんかには古い竜の目撃情報なんかもあるし、

やっぱり神話なんかの怪物の元って、怪獣なんじゃ……。

と、僕がそんな風に考えながら書庫室を出て歩いていた時だった。

イルマ「オオトリ隊員」

シアン「あ、イルマ隊長」

イルマ「書庫室に何か用でもあったの?」

シアン「はい。古い書物に何か怪獣の手がかりになる物は無いかと

    思って漁っていたんですけど……」

イルマ「で、成果は?」

シアン「期待できる程の物は何も。気になる記述はいくつかあったん

    ですが、それも怪獣かどうかは判別できない物でした」

そう言ってイルマ隊長と並んで歩いていた時だった。

 

   『『PLLL!PLLL!』』

不意に僕と隊長のPDIが同時に振動しながら着信音を

鳴らした。何だろうと思いつつ僕と隊長がPDIを開くと、

そこにはGUTS、延いてはTPCのトップに立つサワイ総監

が映っていた。

サワイ『GUTSに告ぐ。直ちに出動せよ』

それは、僕達に対する出動の命令だった。

シアン「隊長!」

僕が咄嗟にイルマ隊長の方を向くと、隊長は無言で頷いた。

イルマ「司令室に。急ぐわよ」

シアン「はい!」

 

その後、僕達は司令室へと急ぎすぐさまカシムラ博士の元に通信を入れた。

今、ガッツウィング全機が博士の元で強化改修を受けていたのだけど……。

レイコ「そんな無茶な!」

出撃したいと言う隊長の発言にそう言われてしまった。

   「出動するって言っても、2号は改造の真っ最中でバラッバラなの!

    SSは何とか機首のランチャーをバルカン砲に換装したけど、

    けどそれだけよ!?戦力としてまともとは言えないわ!

    3式機龍だって今はオーバーホール中で動かせないし!」

と、出撃に反対する博士だったけど、同じ部屋に居たレナ隊員や

ホリイ隊員の説得によって、何とかレーザー砲を搭載した

ガッツウィング1号とガッツウィングSSが出動する事になった。

すぐさま、僕とヤシロ隊員。レナ隊員達が1号とSSに分乗して

ダイブハンガーから発進。南西諸島を目指した。

 

~~

一方、基地では残っていたイルマがサワイの元に通信を入れていた。

イルマ「現在、ガッツウィング1号とガッツウィングSSがそちらに

    向かって発進しました」

サワイ『わかった。……イルマ隊長、実は君に伝えておくことがある』

イルマ「なんでしょう?」

サワイ『数日前、我々TPC本部がGUTSの武装化を決定したが、

    その際に1名ほど人員を追加する事になった。本来なら今日

    そちらに合流する予定だったのだが、先ほどこちらから

    連絡を入れ、GUTSに追加する予定の改良型ガッツウィング

    1号と共に南西諸島に向かってもらった』

イルマ「新たな隊員ですか?それで、その隊員とは一体?」

サワイ『うむ。彼女の名は———』

その時、サワイの口から聞こえた名を聞き、その場にいたイルマだけが

驚くのだった。

 

~~

現場へと急行する1号と僕を乗せたSS。そして、僕達が到着した

時には4足歩行で頭部に結晶のような角を持った怪獣、『ガクマ』が

暴れていた。

採石場の大型ダンプや機材を、その口から吐く青い光で石に変えて

行くガクマ。

あれじゃまるでギリシャ神話のゴーゴンじゃないか!

シアン「ヤシロ隊員!あの光線だけは何があっても回避して

    下さい!当たった瞬間に終わりです!」

アイナ「了解っ!!」

シアン「レナ隊員!数です!2機で数の有利を生かして奴の的を

    絞らせないでください!石化光線を撃てるといっても

    口からだけです!」

レナ『了解!』 

短く提案を伝えると、1号とSSが左右に、Y字を描くように散開した。

案の定、ガクマは左右どちらを狙うかを悩んだ末、ガクマ側から

見て左に回り込んだ1号に的を絞った。

シアン「ガクマ、1号を狙ってます!」

機体の下部にあるガンカメラからの情報を見て、状況を逐次

パイロットであるヤシロ隊員に伝える。

アイナ「了解っ!だったら!」

次の瞬間、ヤシロ隊員の操縦で機体下部にある姿勢制御バーニアを

利用した急激な旋回を行い、ガクマのがら空きの背中を射線に

捉えた。

ぐぅっ!すっごいGだ!

そんな中、僕は体に掛かるG、重力に呻き声を上げてしまった。

   「そこっ!」

そんな中でも呻き声一つ出さずにヤシロ隊員が操縦桿のトリガーを

引いた。

   『ババババババッ!』

機首に内蔵されたバルカン砲が火を噴き、ガクマの背中に命中。

いくつもの火花を散らした。しかし、それだけで倒れる程

ガクマは軟ではなかった。

僕としては、それで終わって欲しかったと思っていたのだけど……。

   『QUUUUUN!!!』

するとガクマから、金切り声のような悲鳴とも怒りの咆哮とも

取れる声が聞こえて来て、こちらに体を向けて来た。

不味いっ!

シアン「攻撃が来ます!ブレイク!ブレイク!」

僕の声に従い、操縦桿を倒して機体を捻らせたヤシロ隊員。

そしてSSの僅かに離れた地点を青白い光線が通過していく。

その隙に、今度はガクマの背中に接近した1号がビーム砲をその

背中に叩き込んだ。

しかし……。

ムナカタ「クソッ!ダメだ!こっちの攻撃も殆ど効果が無い

     ように見えるぞ!」

レナ「だからって、諦める訳には!」

そう言いつつ、レナ隊員が操る1号が攻撃を仕掛けた。しかし……。

   『ぐわっ!』

なんと、ガクマがその巨体で立ち上がった!

シアン「なっ!?」

僕がその様子を見ている中、ガクマに接近していた1号は回避が

間に合わずにその背のトゲトゲの装甲に激突。

幸いと言うべきか、1号は砂利の上に胴体着陸した。

   「ムナカタ副長!レナさん!大丈夫ですか!?

    返事をしてください!」

咄嗟に呼びかける僕。

レナ「う、うぅ。な、何とか」

ムナカタ「オ、オオトリ隊員か。こっちは何とか無事だ」

通信機越しに、二人の声が聞こえて来た。

しかし、撃墜した1号に向かってガクマが歩みを進めていた。

シアン「ガクマがそっちに向かっています!早く脱出を!

    ヤシロ隊員!」

アイナ「うん!わかってる!二人の所へは、行かせないっ!」

その言葉通り、ヤシロ隊員の操るSSが急反転。ガクマの背中に

機関砲弾を叩き込んだ。

   『QUUUUUN!!!』

咆哮を上げ、注意をこちらに向けるガクマ。

シアン「食いついた!二人は今の内に退避してください!」

ムナカタ「すまないっ!」

1号から脱出したムナカタ副長がレナ隊員に肩を貸しながら離れていく。

ガクマがその二人に気付いた様子はなく、奴は相変わらず僕達の

SSに狙いを定めていた。

 

しかし、SS一機になってしまった以上ガクマの攻撃がこちらに

集中してしまった。

   『ギュゥゥゥゥンッ!』

シアン「うぅぅぅぅぅっ!!」

背面のスラスターも使って、地面スレスレに飛んで攻撃を回避する

ヤシロ隊員の腕前に正直驚いてるけど、完全に避けの一辺倒で

まともに攻撃に移れなかった。

   「また来ます!」

アイナ「くぅぅぅっ!!」

ひらりと、横へのロール運動で回避するアイナ隊員。

   「あの怪獣が弱ってる様子はない!?せめて光線を

    吐けなくなる前兆とか!」

シアン「ダメです!全然疲れている様子がありません!」

奴は何度も石化光線を吐き続けているけど、疲れている気配はない。

アイナ「このままじゃ、光線に当たらなくても燃料が切れちゃうよ!」

ヤシロ隊員の言う事も最もだった。

SSは通常のエンジン以外にも機体下部のスラスターを使って

高機動戦闘が出来るけど、その分燃費は1号より悪い。

このままだと完全にじり貧だ!

せめて、あの巨人か3式機龍があれば……。

 

そう思って僕が苦虫を噛み潰したような表情をしていた時。

   『ピピピッ!』

シアン「ッ。レーダーに感あり。何かが光速でこちらに接近

しています。2号機、じゃない。……12時方向、

正面より接近。まもなく視認可能距離に接近。

交差します」

僕が報告を続ける中、僕達の目の前にそれが近づいて来て、

瞬く間にSSの隣を通り過ぎて行った。

そして、僕達が見たのは……。

 

 

   「紫色の、ガッツウィング1号?」

咄嗟に、見えた物を声に出して呟く僕。見えたのは、正しく

ガッツウィング1号のフォルムをしていた飛行機だった。

けど僕達の1号とはカラーリングが違い、機体全体が紫で

塗装されていた。

と、その時。

???『こちらガッツウィング1号MkⅡ。そちらを援護

    します』

不意に、僕とヤシロ隊員の通信機に通信が入った。

シアン「こちらガッツウィングSS了解」

咄嗟に返答する僕だったけど、今の声からして、女の人?

声からして多分そうかな?と思いつつ、ガンカメラを動かし

あの人の1号機MkⅡを追った。

 

MkⅡは既に武装が施されているらしく、機首からビームを発射。

ガクマの顔に命中し、ガクマは苦悶の悲鳴を漏らした。

攻撃された事で怒ったのか、ガクマは標的を僕達からMkⅡに

変更し、攻撃を開始した。

けどMkⅡはヒラリヒラリと攻撃を回避しては、山を盾にしたり

山肌や地面スレスレに飛行したりしてガクマの死角に回り込み、

何度もビームを叩き込んだ。

 

アイナ「すごい腕前。あのガッツウィングに乗ってる人は一体」

MkⅡの戦いぶりに、それを遠巻きに見ていた僕達は驚嘆した。

と、その時……。

 

   『ビシュッ!ドォォォォンッ!』

   『QUUUUUN!!!!』

何処からともなく放たれた、1号のビームの比じゃない太さの

ビームによる攻撃がガクマの背中に命中し、ガクマが絶叫の

ような悲鳴を上げた。

僕がガンカメラを動かすと、そこに居たのは……。

シアン「ガッツウィング2号!」

アイナ「改修作業、終わったんですね!」

 

船体を左右に開き、でっかいビーム砲の砲口らしき物を覗かせる

ガッツウィング2号だった。

ホリイ『待たせたなぁみんな!さぁダイゴ!

    トドメのデキサスビームをお見舞いやぁ!」

ダイゴ『了解っ!』

通信機越しに、2号に搭乗しているホリイ隊員とダイゴ隊員の声が

聞こえてくる。

   『デキサスビーム、発射!』

次の瞬間、その声と共に発射された黄緑色の極太のビームが

僅かに立ち上がったガクマの腹部に直撃。

盛大な煙と火花を上げながら倒れこんだガクマは、そのまま

爆散した。

 

シア・アイ「「やったぁぁぁぁぁっ!!」」

そして、それを見た僕とヤシロ隊員はSSのコクピットの

中で喜びのあまり叫んでしまうのだった。

 

 

その後、SS、2号、1号MkⅡを適当な空き地に着陸させ

サワイ総監の元に集まる僕達7人と、例のMkⅡの女性パイロットさん。

その女性パイロットさんというのが……。

サワイ「折角なので紹介しておこう。本日付けでGUTS10人目の

    メンバーとなる予定だった、『コウブイン・ユウヒ』隊員だ」

ユウヒ「コウブイン・ユウヒです。初めまして」

そう言って挨拶をするユウヒ隊員の髪の色は、どことなくMkⅡの

紫にも似て、立ち姿や顔立ちなんかを見ていると、正に

『凛々しい』って言葉が似合いそうな人だった。

でも、ユウヒ隊員は何か長方形のでっかいケースを片手に下げていた。

何だろうと僕が思っている中、サワイ総監が話を始めたので、

僕もそちらに耳を傾けた。

サワイ「元々は対怪獣部隊として変更が決まった際に、あの

    武装を施した1号、MkⅡを受領次第合流する予定

    だったんだが、運悪く今日あの怪獣が出現してしまった

    為、急きょこちらに向かってもらったと言うわけだ」

シアン「そうだったんですか。ありがとうございます。助かりました」

ユウヒ「いえ。未来の戦友を助けただけです。お礼を言われるような

    事は何も。……しかし」

と、最初は笑みを浮かべていたユウヒ隊員だったけど、すぐに

表情を引き締めた。

   「これまで何千年もの間姿を現さなかった怪獣が、ゴルザと

    メルバ出現後。これほど短時間で3体目が現れるなんて」

ムナカタ「これがもし、世界規模での怪獣出現の、前兆なのだとしたら。

     世界は大変な事になりますね」

サワイ「うん。本部に戻ったら早速、TPC全支部の改革に着手

    しようと思う」

シンジョウ「それまで、しばらくはこのGUTSにお任せください」

ホリイ「いやしかしスキッとしたでぇ。また怪獣にお目に掛かりたい

    くらいやぁ」

いやいやいや。

シアン「僕は嫌ですよ~怪獣なんて。僕達石にされる所だった

    んですから~」

なんて冗談めいた事を言っていたその時。

 

   『グララッ!』

唐突に地面が揺れ始めた。

な、何だ?地震?

 

と、僕達がそう思っていた次の瞬間。

   『ドォォォォォンッ!』

ガッツウィング2号、1号MkⅡ、SSが着陸していた

すぐそばの地面の下から、『もう一体のガクマ』が出現した。

アイナ「なっ!?もう一体のガクマ!?」

シアン「ホリイ隊員が変な事言うから!」

ホリイ「それ今言う!?」

と、若干悲鳴じみたコントをしながら、僕達は駆け出した。

近くの岩陰に、僕とヤシロ隊員、ユウヒ隊員の3人が逃げ込んだ

 

そしてガクマがTPCのテントを踏みつぶそうとしたその時。

 

   『ピカッ!』

何かが光ったかと思うと、突如としてあの光の巨人が現れた。

アイナ「光の巨人!?」

シアン「来てくれたんだ!」

ユウヒ「あれが、噂の」

驚く僕達を後目に、2体目のガクマと戦い始める巨人。

 

巨人は突進してきたガクマの顎を掴んで受け止めると、ガクマ

を上に持ち上げ、がら空きの腹部にキックを入れて吹き飛ばし、

起き上がったガクマの背中に馬乗りになりながら何度も

チョップを叩き込んだ。

しかし、2体目のガクマは背中から赤い雷撃の様な物を放ち、

背中の巨人を弾き飛ばした。

更にガクマは石化光線を吐きかけるが、巨人はそれを華麗に回避して

ガクマに掴みかかった。

そのまま肉弾戦を続ける巨人とガクマだが、ガクマは頭部の角からの

雷撃、伸長した爪と、前を向いた角の突進攻撃の前に、次第に

巨人は押されていった。

 

そして、更に投げ飛ばされ立ち上がった直後の巨人の足に石化光線が

命中。一瞬で石になる事は無かったけど、あれじゃ巨人は動けない!

不味い、このままじゃ!

と思っていた時。

ユウヒ「お二人とも、どちらか射撃に関する経験はありますか?」

そう言いつつ、ユウヒさんはさっき持っていたケースを開いた。

中に入っていたのは、大きな銃、俗に言うアンチマテリアルライフル、

対物銃のような形をした物だった。

(※ イメージは『バレットM82』)

 

シアン「これって」

ユウヒ「対怪獣用のために、元防衛軍の技術者が設計した

    大型ライフルです。特殊な徹甲弾を使用するもので

    試作品です。どちらか使える方は?」

アイナ「わ、私は、長距離射撃はあんまり……」

そう言うヤシロ隊員。それにさっきまでヤシロ隊員は

SSを操縦して集中力を失っているかもしれない。

だったら……。

シアン「僕にやらせてください。実物の使用経験は

    ありませんが、長距離射撃なら経験があります」

ユウヒ「わかりました。弾はこの弾倉1つ分、5発だけです。

    お願いします」

そう言われた僕は手早く対物ライフルを受け取り、マガジンを

セット。銃弾を薬室に送り込み、バイポッドを展開して

ガクマを狙った。

 

そうこうしている内に、石化は巨人の胸元まで達していた。

ガクマも巨人目掛けて突進しようとしている。

させない!

 

僕は備え付けのスコープを覗き込み、ガクマの『目』を狙った。

 

いかに皮膚は強靭とはいえ、眼球なら!

 

 

 

すぅ、はぁ、すぅ、はぁ………。

 

息を吐き出しながら、指と目に集中する。

 

狙うのは目。奴の移動のテンポと、風を考えて。

 

狙う。当てる。当てる。絶対に当てる。

 

そして……。

 

ここだ!

 

   『ドォォォンッ!』

 

ここだと思った僕は、ためらわずに引き金を引いた。

 

盛大なマズルフラッシュと共に巨大な銃弾が放たれ、一直線に

ガクマへと向かって行った。

そして……。

   『ズシャァァァッ!』

   『QUUUUUN!?!?!?!』

僕の放った銃弾は見事にガクマの左目に命中した。

シアン「やった!!」

その痛みで地面を転げまわるガクマ。

と、その時。

 

   『ンンンンッ!ハッ!』

巨人があの時と同じようにタイプを変化させ、更にその

衝撃で石化した部分を弾き飛ばした。

そして、痛みで転げ回っているガクマの顎を持ち上げ、

腹部にパンチを叩き込む巨人。

しかしガクマもやられっぱなしではなく、起き上がって

飛びかかってきた巨人を背中からの赤い雷撃で迎撃した。

しかし巨人はそれすらもはじき返し、飛び上がってチョップで

ガクマの2本角をへし折った。

そのまま弱ったガクマを持ち上げ、投げ飛ばす巨人。

 

そして巨人の放った赤い光流を受けたガクマは、最後はその体を

石のように変化させると、バラバラに砕け散って消滅した。

 

それを見届けた巨人は、僕の方を向くとサムズアップをした。

どうやら、僕の援護に気付いていたらしい。

僕も同じようにサムズアップを返すと、巨人はどこかへと

飛び去って行った。

 

 

その後、ダイブハンガーに戻った僕達は改めてユウヒ隊員の

自己紹介をしつつ、今後に向けて話をしていた。

その時、ダイゴ隊員が言った事というのが……。

ダイゴ「あの、ウルトラマンティガ、なんてどうですか?」

そう言って、巨人の名前を決める事になり、ダイゴ隊員の案が

採用された。

 

こうして、僕達はあの巨人を、『ウルトラマンティガ』と呼ぶ

ようになったのだった。

 

     第2話 END

 




と、こんな感じです。作中後半に登場したのは、
『マブラヴ オルタネイティブ』という作品に登場する、
名前通り(漢字だと煌武院 悠陽)のキャラの姿かたちをしていますが、設定とうは
ほぼオリジナルです。
性格などは、シアンやアイナを始め、ベースとなったキャラに似せている
つもりです。


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エピソード3 『魔人襲来』

今回は第3話ベースですが所々オリジナルが
入ってます。


~~前回までのあらすじ~~

GUTSに配備される事になった3式機龍。

そんな中でシアンは怪獣に関する記述を探すために過去の書物を

調べたり、ダイゴ達は光の巨人についての詮索を

進めたりしていた。

そんな中、西南諸島に怪獣『ガクマ』が出現。

武装を施したガッツウィング1号、SSで立ち向かい

奮戦するシアンたち。あわや2体目のガクマに敗れそうに

なるながらも、巨人によって守られたシアンたち。

新たな仲間、ユウヒを迎えつつもダイゴの提案によって

光の巨人は『ウルトラマンティガ』と名付けられたのだった。

 

 

ガクマ出現から数日後。

僕はヤシロ隊員と一緒に支給された新装備の銃、GUTSハイパー

の射撃練習をしていた。

何回か射撃を行うけど……。

命中率じゃヤシロ隊員には敵わない。

シアン「ヤシロ隊員、凄いですね」

目を保護するゴーグルと耳を保護するヘッドフォンを外し隣に居る

ヤシロ隊員に話しかける僕。

アイナ「え?そうかな?けど、私だって狙撃に関しては

オオトリさんには勝てないし」

そう言って笑みを浮かべながら謙遜するヤシロ隊員。

一方そう言われた僕は、近くのガンケースに立てかけられた

あの対物銃に目を向けた。

 

僕がこれまで握った経験があるのは長距離射撃用の

ビームライフル。短距離射撃用の拳銃の類はあんまり

経験が無かった。そのため、GUTSハイパーの

ような射撃ならシンジョウ隊員やヤシロ隊員に及ばない。

でも逆に長距離狙撃ならまだ自信がある。

……今にして思えば、僕が他の皆より少しばかり

得意な事って、それくらいしか無い。

と、僕がそんな事を思っていた時。

   『シュッ』

訓練場の扉が開いて、ユウヒ隊員が現れた。

ちなみに、コウブインだと堅苦しいから、と本人から

言われたため、普段はみんなユウヒ隊員と呼んでいる。

ユウヒ「お二人とも、こちらに居られたんですね」

アイナ「あ、ユウヒさん。何か御用ですか?」

ユウヒ「そろそろイルマ隊長が出演する番組が始まるので

    二人を探してきてくれとホリイ隊員が」

アイナ「あ、そっか。そろそろですね。それじゃあ

    オオトリさん、戻りましょうか」

シアン「あ、はい」

ヤシロ隊員の声に我に返った僕は、慌てて頷くと二人の後に

続いて司令室へと戻って行った。

 

実は今日、とあるテレビ番組にイルマ隊長が出演する事に

なっていた。理由としては、怪獣と最前線と戦う部隊の

指揮官だから、というわけだ。

そして、僕達が司令室に戻ると丁度そのテレビ番組が

中央の大型モニターに映し出された所だった。

 

ナレーション「21世紀。今や我々の生活も大きく変わろうと   

       しています」

アイナ「あ、やってますね」

ホリイ「おお、二人も来たか。丁度今始まった所や」

流れる映像を見つつ、僕やヤシロ隊員、ユウヒ隊員が

中央テーブルを囲む席に座って行く。

その後、女性キャスターと対談するイルマ隊長を見ながら

みんなで雑談していた時だった。

 

シアン「ん?あれ、何かキャスターの人、可笑しくありません?」

レナ「え?」

画面の方に視線を向けていた僕やダイゴ隊員達が気付いた

異変。それはキャスターの女性がまるで幽霊か何かに

乗っ取られたような、変な様子になる所だった。

すると……。

突然キャスターの女性の体が宙に浮いた。

ユウヒ「なっ!?」

シアン「浮いた……!?」

驚く僕達を後目に、キャスターの人は話し始めた。

女性「地球はもうすぐ生まれ変わる」

アイナ「え?」

女性「聖なる炎が穢れを焼き払うだろう」

シアン「穢れを、焼き払う?」

シンジョウ「何言ってんだこいつ?」

テレビの画面を見ながら、僕達は半信半疑でキャスターの

言葉を聞いていた。

 

女性「キリエル人に従うのだ。その証を見せよう」

と、最後にそう言うと宙に浮いていた女性が倒れ、

テレビの画面が切り替わり、『しばらくお待ちください』

という単語だけが映し出された。

 

ホリイ「な、何や今のは」

ヤズミ「演技、だと思いますか?」

レナ「それなら笑い話で済むけど、アイナ隊員達はどう思う?」

アイナ「確かに、レナさんの言う通り演技でした、なら

    笑い話で済みますけど、でももしそうじゃないと

    したら……」

と、話をしていた時。今まさにさっきのテレビ局に居た隊長から

通信が入った。

イルマ『何者かが遠隔的にキャスターの精神を乗っ取ったと

    見るわ。デフコン1の態勢で待機してください』

ムナカタ「了解。気を付けて。……シンジョウ、ホリイ、

     シアン、アイナ、ユウヒの5名は各種装備を携帯の上

     1号、SS、MkⅡに搭乗用意の上待機」

5人「「「「「了解っ!」」」」」

と、その時。

ヤズミ「ッ!大変です!隊長の居る区域の地震計が異常な

    振動を検知しました!」

ダイゴ「え?」

ムナカタ「現場付近のカメラの映像は出せるか!?」

ヤズミ「メインモニターに回します!」

カタカタとヤズミ隊員がタイプをする音がして、

メインモニターに振動で揺れるカメラの映像が映し出された。

と、思った次の瞬間。

   『ボォォォォォォンッ!』

市街地にあったビルの一つが、爆発した。

 

シアン「び、ビルが、爆発した」

その時司令室に居た僕達9人は、その光景に唖然とする

事しかできず、それが始まりの合図である事を、まだ

知らないのだった。

 

その後、ハンガーに戻ったイルマ隊長が参謀会議に

出席している中、僕とヤシロ隊員のSS、シンジョウ隊員と

ホリイ隊員の1号の2機が現場付近に向かった。

 

SSを近くの広い場所に着陸させ、未だに炎が燻っている

建物の残骸に近づく僕とヤシロ隊員。

僕はヘルメット脇に装着したCCDカメラで周囲を

撮影しながらPDIを取り出しそれを開いた。

シアン「どうユナちゃん。何か分かった?」

ユナ『う~~ん。……TPCのデータベースにある

爆発物のデータと照合してみたけど、該当する物は

無いね。と言うか、この辺爆発物の反応自体無いみたい』

PDIの画面に映ったユナちゃんは困り顔で首をひねった。

人工知能であり人との対話型インターフェースでもある

ユナちゃんはこうして現場でも調査に協力してもらうように

なった。

とはいっても、それで何かを必ず発見できる訳じゃないけど。

アイナ「未知の爆発物なのか。それとも別の何かなのか。

    それにしても……」

瓦礫の上に立ち、瓦解したビルを見つめるヤシロ隊員。

   「爆破されたのが無人の建設中のビルで幸いだったわね。

    これがもし工事中だったら……」

ユナ『まぁ軽~く数十人は死んでたかもね』

と、笑みを浮かべているユナちゃん。これには流石の僕も……。

シアン「ユナちゃん!そんな不謹慎な事言っちゃダメでしょ!

    人が死ぬなんて、軽々しく言う事じゃないの!」

ユナ『は、は~い。ごめんなさい』

と、僕の声にびっくりしてから頭を下げるユナちゃん。

シアン「うん。分かってくれれば良いよ。これからは

    気を付けてね」

そう言って笑みを浮かべると……。

ユナ『うん!分かった!』

彼女も笑みを浮かべてくれた。

というか、ホントにユナちゃんは人間みたいなだ~。

そう思った後、気持ちを切り替えて現場の調査に戻る

僕達だった。

 

結局、爆発物に関する反応は何一つなく、僕とヤシロ隊員は

現地にシンジョウ隊員達を残しダイブハンガーへと帰還した。

結局、僕達の見解としては爆発物ではない『何かの力』を

『何処からか加えた』が為にビルが崩壊したと言う事になった。

ダイゴ「力、か。けど一体どこから」

レナ「現場に何か、可笑しな発生装置みたいなものとかって

   無かった?」

シアン「はい。消火作業後に瓦礫の下までをスキャナーで

    一通り調べましたが、特にこれと言ってビルの崩壊

    させる事が出来るような資材の欠片はありません

    でした」

ムナカタ「となると、何等かの時限装置が稼働した結果、

     という訳では無さそうだな」

アイナ「はい。一応現地の警察と消防が検分を進めていますが、

    私達の見て来た限りでは手がかりになりそうなものが

    出るとはとても……」

レナ「そう」

ユウヒ「キリエル人を名乗る奴らが警告のために無人のビル

    を狙ったのか、それとも偶然か」

その時、顎に手を当てたユウヒ隊員の言葉にその場にいた僕達の

視線が彼女に集まった。

ムナカタ「何が言いたい?」

ユウヒ「あの時、キャスターの女性を介して奴らは言いました。

    浄化の炎が穢れを焼き払う。その証を見せる、と」

シアン「まさか。あの無人ビルを狙ったのはその証?」

ユウヒ「無論確証はありません。しかし、何の予兆も

    無い破壊活動が市街地で行われようものなら……」

ムナカタ「建造物、人的被害がどれほどになるか。見当も

     付かない」

苦々しい顔で最悪のシチュエーションを考えるムナカタ副長。

そうだ。もしあの力が、人が住んでいる人口密集地の

マンションに向けられよう物なら……。

その先を考え、僕もゴクリを唾を飲み込む。

ヤズミ「あの力の事、急いで解明する必要がありそう

    ですね」

ヤズミ隊員の言葉に、その場にいた僕達は無言で頷いた。

 

シアン「爆発物以外でビルを倒壊させる力か。……あれ?

    そう言えばイルマ隊長は?」

と、その時僕は隊長が部屋、司令室に居ない事に気付いた。

ムナカタ「昨日のテレビの一件以降会議やなんやらで

     忙しかったからな。今は自室で休んでいるはずだ」

 

その後も僕達は司令室でデータの解析を行っていたその時。

 

イルマ『キリエル人はどこから来たの?』

シアン「え?この声、イルマ隊長?」

不意に司令室に隊長の声が響いた。恐らく隊長室にある通信機の

者だろうけど、キリエル人ってまさか……。

   「まず自己紹介をするのが筋ってもんじゃないかしら?」

???「はっはっは。流石GUTSの隊長だ。ユーモアがある」

ッ!?誰の声だ?隊長室に、イルマ隊長以外の人が居る?

その時、驚く僕達にムナカタ副長が頷き、僕とヤシロ隊員、

ユウヒ隊員、ダイゴ隊員、レナ隊員の5人が武装、

GUTSハイパーを手に司令室を飛び出し隊長室へと

向かった。

 

ユウヒ「なぜこの厳重な警備のダイブハンガーに部外者が!」

アイナ「何の予兆も無くビルを吹っ飛ばす相手です!ここの

    セキュリティーを突破して侵入したとしても、

    可笑しくは……!」

シアン「とにかく隊長が心配です!部屋に急ぎましょう!」

叫びながら、僕達は隊長の部屋を目指した。

そして、僕達5人は部屋の前までたどり着くとそれぞれ

GUTSハイパーを取り出し、安全装置を解除。扉の脇に

立ち、互いに頷く。

と、その時突如として部屋の扉が開き、僕達は驚きつつも

ハイパーを構え周囲を囲んだ。

 

しかし、飛び出して来たのはイルマ隊長だけだった。

   「イルマ隊長!?」

慌てて銃口を下げつつ、僕とヤシロ隊員、ユウヒ隊員は

部屋の中に侵入し、僕は自動ドアを背中で押しながら部屋の

中に向かってGUTSハイパーを構え、他の二人が

突入するけど中には誰も居なかった。

 

ユウヒ「クリア」

息を付き、ハイパーの銃口を下げるユウヒ隊員とヤシロ隊員。

その時だった。

イルマ「K-1地区!」

不意に叫び、駆け出したイルマ隊長。その慌てぶりから、

何かあると考え僕達も急いで隊長に続いた。

 

   「ヤズミ隊員!デフコン4の警戒態勢!

    1号機をK-1地区へ!」

そして、司令室に戻った隊長は矢継ぎ早に命令を飛ばし、

更に現地の映像を中央モニターに映し出した。

K-1地区は完全な人口密集地だ。昼間と言う事もあり

車の通りも多い。完全な都心。

 

と、その時。

   『ピカッ!』

ビルの地面辺りが光ったかと思った次の瞬間。

   『ドォォォォォォンッ!』

ビルが内部から爆発した。

周辺一帯を爆炎が覆い、道を行く車に瓦礫の雨が降り注ぐ。

盛大な爆発が、地区一帯を覆う。

 

シンジョウ『ビルの中には多数の市民が居た模様!被害は、

      被害は甚大です!』

 

現場の燃え盛るビルの残骸がモニターに映し出される。

 

これが、これが浄化の炎だと?

ふざけるなっ!あのビルに、どれだけの人が生活していた

と思ってる!どれだけの人の命が……!!!

 

そう思いながら、僕はギュッと拳を握りしめるのだった。

 

となりで、同じように唇を噛みしめるヤシロ隊員や

モニターに鋭い視線を向けるユウヒ隊員に気付かぬまま。

 

その後、僕達はあの正体不明の攻撃の解析を続けた。しかし

攻撃の正体は未だに分からず、煮詰まっていた僕は頭を冷やすために

お手洗いへ行き、そこで顔を洗ってから司令室に戻ろうと

した。のだけど……。

 

あれ?

その時ふと、僕は私服姿で地下の駐車場に向かう姿を見てしまった。

こんな時にどこへ?と思いつつ僕は隊長を追った。

そして僕が駐車場に辿り着いた時には、イルマ隊長は私物の車で

日本本土と繋がっているシークレット・ロードへと丁度

出て行く所だった。

と、そこへ……。

ダイゴ「シアン」

シアン「あ、ダイゴ隊員」

後ろからダイゴ隊員が現れて声を掛けられた僕は振り返った。

 

ダイゴ「今出て行った車、イルマ隊長が?」

シアン「え、えぇ。私服姿でどこかへ。けど、こんな時に

    一体どこへ……」

ダイゴ「……追ってみよう」

シアン「え?」

ダイゴ「もしかしたらキリエル人に関する手がかりを掴んだ

    のかもしれない。シアン、GUTSハイパーと

    PDIは?」

シアン「ちゃんと携帯しています。……って、まさか……!」

ダイゴ「もし仮に、イルマ隊長の向かった先にキリエル人が

    待ち構えていたとしたら、イルマ隊長が危ない。

    すぐに追うぞ!」

シアン「は、はいっ!」

 

その後、僕はダイゴ隊員が運転する車に同乗し、急いでイルマ隊長

の後を追って行った。

 

 

一方そのころ、GUTS司令室ではアイナやユウヒ達が

知恵を出し合いあの攻撃の解析を行っていた。

 

~~~

今、司令室では私やユウヒ隊員、他のみんなが意見を

出し合い色々探っていたけど、まだわかりそうになかった。

そんな時だった。

ヤシロ「あの攻撃の前兆は、360度どの方向からも検知できて

    いません」

ユウヒ「まさか、攻撃自体が透明なのでは?」

ホリイ「せやけどそれなら熱探知とかに引っかかるはずや」

そんな事を考えていた時。

 

ユナ『ねぇねぇ、ちょっと良い?』

と、急に大型モニターにユナちゃんが姿を現した。

ヤシロ「何?どうかしたのユナちゃん」

ユナ『あのね、お母さんに言われてさっき攻撃の時の震度計の

データを見てたんだけどね、変なの』

変?どういう意味だろう?

ヤシロ「変って、何が?」

ユナ『普通地震って波でしょ?大陸のプレートの振動が地震の

   元だけど、当然波は小さくなって段々大きくなって、

   また小さくなるでしょ?でもあの攻撃の時の地震って

   目一杯大きくなった後すぐに消えちゃうの。これって

   普通の地震と違うよね?』

ッ!もしかして……!

アイナ「ヤズミさん!2回目の攻撃の時って、地震は

    観測されてますか!?」

ヤズミ「待ってください。……これはっ!はい!

    確かにヤシロ隊員の言う通り、地震は確認

    されています!と言う事は、まさか……」

ユウヒ「地下からの攻撃。そう言う事ですか……!」

ホリイ「じゃああの地震は、攻撃が地下から地表に向かう

    時の振動っちゅう事か!」

ムナカタ「と言う事は、これからの攻撃も……!」

アイナ「奴らの居るであろう地下から、地表のいづれかに

    向けて放たれるでしょう」

こうして、私達はようやく敵の攻撃を突き止めた。

 

って、あれ?そう言えば誰かを忘れてるような……。

あぁっ!

   「そう言えば、隊長とダイゴさん!それにオオトリさんは!?」

レナ「あれ?そう言えば姿が見えないわね」

3人が居ない事に気付いた私は、オオトリさんのPDIに

通信を入れた。

アイナ「ちょっとオオトリさん。今どこに居るの?」

シアン『すみません。連絡が遅れましたが今僕とダイゴ隊員は

    市街地に向かってます』

アイナ「え?市街地に?」

私が声を漏らすと周りのみんながこちらを向いた。

シアン『今僕達はイルマ隊長を追っています。恐らく隊長は

    キリエル人に関して何かを掴んだのかもしれません。

    これから僕達は隊長に追いついて援護をしたいと

    思います』

ムナカタ「ヤシロ隊員、少し貸してくれ」

そう話していた時、ムナカタ副長がPDIを貸してくれ、

と言ったので私は渡した。

    「ムナカタだ。二人とも、イルマ隊長を頼むぞ」

シアン『はいっ!』

その返事を最後に、通信は途切れ私達は攻撃に対処するための

話し合いを始めた。

そんな中で私は……。

 

お願い。二人とも、どうかイルマ隊長を守って。

私は、秘かにそう願い祈るのだった。

 

 

~~~

イルマ隊長の車のGPS信号を追って僕とダイゴ隊員の車は

市街地のマンションの一角に到着した。

そこから更にイルマ隊長のPDIの信号を追って、そのうちの

一室の前に辿り着く僕達。

そして、その玄関の前に立つと僕達はGUTSハイパーを

取り出した。互いの玄関の左右に立ち、ハンドサインで僕が先に突入

する事を伝えると、扉をダイゴ隊員が開け、僕が先に突入した。

そして、そのまま各部屋を静かに確認しながら奥の部屋の前

まで進んでいくと、声が聞こえた。

 

???「……来ていたのです」

何やら聞こえる声を耳にした僕はダイゴ隊員に頷くと、声がする

部屋のドアを静かに開き、中の様子を見ると、男と、

何かの力で捕らえられているのか、壁に貼り付けられた状態の

イルマ隊長を見つけた。

そして、隊長の危機を悟った僕は考えるよりも先にドアを

蹴破り部屋へと侵入した。

 

男がその音に振り向くが、こっちの方が早い。

   『ビシュッ!!』

僕のGUTSハイパーが男の胸の中央を撃ち抜いた。だが。

   『シュゥゥゥ……』

シアン「えっ!?」

男の体はまるで煙のようになり、消えた。

イルマ「あっ」

驚き僕が周囲を警戒する中、床に落ちたイルマ隊長に

駆け寄るダイゴ隊員。

 

イルマ「ありがとう二人とも。助かったわ。けど、どうして、

    ここへ」

シアン「僕が、隊長がダイブハンガーを出て行くところを見た

    んです。近くに居たダイゴ隊員の提案で二人して

    万が一を考え、それで」

イルマ「そうだったの。ありがとう」

 

と、その時。

???「最後の予言を語ろう」

何処からともなく声が聞こえてくる。

ダイゴ「最後?」

シアン「それは一体どういう意味!?」

イタハシ「あなた達が生きて聞く事のできる最後の、

     という意味だよ」

僕が叫ぶように問い返すと、後々知った名前だけど、

イタハシと言う男の声が響いた。

 

    「次に聖なる炎が焼くのは、ここだ!」

ッ!それじゃ!

ダイゴ「何だって!?」

このままここに居ちゃ不味いっ!

シアン「ダイゴ隊員!イルマ隊長と外へ!後、司令室への

    通信をお願いします!僕はこのマンションの人々に

    避難誘導を!」

ダイゴ「わかった!隊長、行きましょう!」

イルマ「えぇ。オオトリ隊員、無茶だけはしないでね」

シアン「はいっ!!」

 

返事をすると、僕はイタハシの部屋を飛び出し、通路に

あった非常用ベルを鳴らした。

   「こちらはGUTSの者です!このマンションに

    お住まいの方全員にお知らせします!現在

このマンションには爆発の恐れがあります!

皆さん、必要最低限の貴重品だけを持ち、

即刻このマンションから離れてください!」

僕は叫ぶように、マンション全体に響くスピーカーに

向かって警告を飛ばした。

そして僕はそのまま、マンションから逃げる人々の

誘導を開始した。

 

市民「まさか、この前の爆発事件みたいに……」

  「ほら!急いで!」

マンションに住んでいた人たちが、老若男女、様々な

姿で飛び出してくる。

  「ママ待って!まだお家にクマさんが!」

  「そんなの良いから!」

そして、その中には子供の姿もあった。

 

2件目の事件の被害者名簿の中には、小さい子供の名前だって

あった。

もう、二度とやらせない!物は壊れたって直せる!けど

人の命は!

そう思いながら、僕は歯を食いしばり、避難誘導を続けた。

 

と、そこへ、携帯していた無線機に通信が入った。

 

アイナ『オオトリさん、聞こえてますか?今、あの攻撃を

    阻止するためにポイント33上空から地上に

    マイクロウェーブ砲を照射します』

シアン「ッ!待ってください!周辺住民の避難がまだ

    完了していません!」

アイナ『そんなっ!避難を急いでください!』

レナ『急いで!攻撃はそのワンチャンスしかないの!』

シアン「了解っ!皆さん!ここは危険です!遠くへ!

    少しでも遠くへ避難してください!」

と、そこへ……。

 

ダイゴ「シアンっ!」

シアン「ダイゴ隊員!?イルマ隊長は!?」

ダイゴ「隊長はマンションに残って中から避難誘導を

    している!ここは俺が受け持つからお前はもっと

    先を頼む!」

シアン「は、はいっ!皆さん!こっちへ!こっちへ避難して

    ください!」

そう叫びながら僕はポイント33とマンションから離れるように

住民を誘導していった。

 

そして、ダイゴ隊員の避難完了の報告を受けると1号が

攻撃ポイント上空にスタンバイモードで移動していった。

上空ではさらに2号、SS、MkⅡが待機している。

その時。

アイナ『オオトリさん!乗って!』

避難する人を逃がし終えた僕の近くの大通りにSSが着陸し、

僕は急いでSSの後部シートに搭乗するとシーの上に

置かれていたヘルメットを装着。

ガンカメラの映像でマンションの方へとカメラを向けた

のとほぼ同タイミングでマイクロウェーブ砲による

攻撃が行われた。

 

と、その時。

   『ピカッ!』

突如として光と共に、ウルトラマンティガが現れた。

そして、ティガはその手に保護していたイルマ隊長を

近くの安全な場所に置いた。

アイナ「イルマ隊長!良かった。ご無事で」

どうやら、逃げ遅れていたイルマ隊長をティガが

助けたようだった。

 

その事実に僕やヤシロ隊員が安堵していた時。

 

イタハシ「君を待っていたのだよ、ウルトラマンティガ!」

 

不意にどこからかあの男の声が聞こえて来た。ガンカメラを

操作すると、僕は路上に立つあの男の姿を捉えた。

    「君はこの星の守護神になるつもりかね!

     おこがましいとは思わないか!」

おこがましい?……ふざけるなっ!

ガンカメラを操作するレバーを握る手がカタカタと震える。

 

    「君がその巨大な姿を現すずっと前からこの星の

     愚かな生き物たちはキリエル人の導きを待って

     居たのだよ」

 

愚か、愚かだと?何が導きだ。大勢の命を奪っておいて、

浄化だの導きだの。ふっざけんなぁっ!!!!!

ブチッ!!!

その時、僕の中で何かが切れた。

    「君は招かれざる者なの——」

 

シアン『招かれざる者はそっちだバカヤロォォォォォッ!!!!!』

 

文字通り、キレた僕はスピーカーの音量を最大にして

キリエル人に向かって叫んだ。

その音量に、ティガも驚いてSSの方を向いてるが今は

関係無い。

  

   『良いかこのキリエルだかカマキリだか知らねえ

    怪人が!その腐った耳でよ~く聞きやがれ!

    こちとら誰もキリエル人の導きなんざして欲しく

    もねぇんだよ!それを勝手に導くだぁ!?

    そっちこそなんだ!地上最強生物にでもなった

    つもりかあぁ!?良いか聞けクソキリエル人!

    俺達はなぁ、誰もテメェらなんか必要としてねぇんだよ

    分かったかこの大量殺戮者がぁっ!!!

    大勢の命奪っておいて、今更聖人なんざ気取ってんじゃ

    ねぇよコラァッ!!』

 

と、僕はその時胸の中に溜めていた怒りを文字通り吐き出した。

そして、普段の僕からのあまりの代わりように、ヤシロ隊員を

始めみんな目をぱちくりさせている。

 

アイナ『え~嘘~。どうしちゃったのオオトリさん。こんな

    キャラだったっけ~』

と、僕のあずかり知らぬところで戸惑っていたヤシロ隊員。

しかしまぁこの時の僕は頭に血が上っていた訳で……。

シアン「アイナっ!」

アイナ「ひゃ、ひゃいっ!?」

シアン「俺を今すぐ下ろせ!あのイカレ聖人!俺がGUTS

    ハイパーで叩きのめしてやる!」

アイナ「そ、そんな無茶な~」

未だに頭に血が上っている僕と、なぜか涙目のヤシロ隊員。

 

と、その時。

 

イタハシ「何と愚かな。やはりこの世界は我々キリエル人が

     導くべきなのだ!ウルトラマンティガ!そして

     GUTSの者共よ!見よ、これがキリエル人の

     怒りの姿だ!」

 

すると、地面に亀裂が走ったかと思うとそこから炎が噴き出し、

その炎の中から、何と巨大な人型、ティガと同程度のサイズの

巨人が出現した。

 

驚くホリイ隊員。それを司令室から見ていたムナカタ副長たち

曰く、挑戦するために巨大化したとの事。

 

と、その時。

    『ヒュヒュヒュヒュヒュンッ!』

    『ドガガガッ!』

    『キリッ!?』

何処からともなく銃弾の雨が降り注ぎ、ティガと向き合っていた

巨大なキリエル人、キリエロイドに命中し火花を散らした。

僕達がそちらを向くと、そこには……。

 

ユナ『おっまたせ~!3式機龍あ~んどユナ!ただいま到着!』

両腕に武装らしき物を装備した3式機龍がVTOL4機に運ばれて

来た。

シアン「ユナちゃん!」

ユナ『お待たせ~シアン!お母さんがもしもの場合のために

   行ってきなさいって言うから来ちゃった!』

カシムラ博士!グッドタイミングです!

 

そう思いながら僕は鍵となっているPDIをスロットに

装填しモニターを上から引き下ろし、そして現れた操縦桿を

強く握りしめた。

 

   ≪3式機龍、アクティベート≫

ユナちゃんの電子音が響く。

こうなったら、徹底的にやってやる!あいつをぶっ飛ばして

やる!

そう思いながら、僕は切り離された機龍をティガの隣に

着地させ、機龍のスピーカーをオンにした。

 

シアン『ウルトラマンティガ!一緒に戦って欲しい!

    あいつを一緒にぶっ飛ばそう!』

僕がそう言うと、ティガは頷き、構えた。

   「レナさん達は隊長の救出を!」

ホリイ『お、おう!』

ユウヒ「では、私とヤシロ隊員は……!」

アイナ「ティガと機龍の援護ですね!!」

 

と、二人もまた命を簡単に奪うキリエル人に対して燃やしていた

怒りを爆発させるように、攻撃態勢に移った。

 

最初に仕掛けたのはティガだった。

足払いをするティガの足を、ジャンプして回避するキリエロイド。

しかしそのがら空きの側面に、急造とはいえ追加された3式機龍の

射撃武器、『0式レールガン』の攻撃が命中した。

それによって、動けない空中でバランスを崩し、地面に膝をつく

キリエロイド。

   『タァッ!』

そして、その隙に胸を蹴とばすティガ。蹴とばされ、

ズズンと音を立てて倒れるキリエロイド。

そこへ……。

 

ユウヒ「怒れる者が一人だけと、思うなよ!」

アイナ「私達だって、怒ってるんだからねっ!」

    『バシュバシュッ!』

    『バババババッ!』

その時、倒れたキリエロイド目掛けてMkⅡのレーザーと

SSのバルカン砲が放たれ、倒れたキリエロイドの

周りで無数の火花が散った。

 

しかしすぐさま起き上がったキリエロイドは、鈍重な機龍を

標的にすると真っ直ぐ向かって来た。咄嗟にレールガンを連射

するけど、キリエロイドはそれを飛び越え、3式機龍の背後を

取った。そのまま奴は周り蹴りを繰り出そうとしたが……。

   『タァッ!』

   『ドガッ!』

   『キリッ!!』

注意が逸れていたキリエロイドを今度はティガが蹴とばした。

今度は転がって態勢を立て直すキリエロイド。しかし

そこに今度は機龍のレールガン、SSのバルカン砲、

MkⅡのレーザー砲が一斉に発射され命中。如何に単発の

威力が低くても合わさったその威力は高く、奴を再び

地面に倒した。

 

その時、倒れたキリエロイドに掴みかかったティガは

キリエロイドの腕を掴んで振り回し始めた。そして、

一瞬だけティガは3式機龍の方を向いた。

そっか!

シアン『よしっ!来いっ!』

その意図を理解した僕は機龍のスピーカーを

通して叫んだ。

すると……。

   『ダァッ!』

ティガが全力でキリエロイドを3式機龍めがけて

投げ飛ばした。

地面の上を自力で止まれずにどたどたと走るキリエロイド。

そして、奴が3式機龍に近づいた次の瞬間。

ユナ『行っけぇぇぇぇぇぇっ!』

   『ゴガァァァァァンッ!』

ユナちゃんの叫びと共に全力の右ラリアットを奴の腹部

目掛けて繰り出し、そこから更に腹を持ち掬い上げるように

してキリエロイドを空中で一回転させた。

   『ドガァァァァァンッ!』

そして、そのまま背中から盛大にビルに突っ込むキリエロイド。

   『キ、キリ……』

だけどそれだけじゃない。僕は機龍を操作し、キリエロイドの

腕をがっしりと掴み、後ろに手を回して捕まえた。

シアン『今だ!ティガ!』

僕がスピーカー越しに叫ぶと、ティガは動けないキリエロイドに

接近しその腹部にラッシュを叩き込んだ。

 

何とか足で反撃するキリエロイド。しかしティガはそれを瞬時に

察し後ろに飛んで回避。僕の操る機龍はキリエロイドの手を

離すとその背中に思いっきりショルダータックルをかました。

ヨロヨロとさっきみたいに前に進んだキリエロイド。そこへ

ティガが飛び込んできて、キリエロイドの頭を掴むと

自分の体ごと奴を倒し、後頭部を地面に叩きつけた。

ドガァァンッ、という盛大な音と共に砂煙が巻き起こる。

 

そこから、前転して距離を取るティガと、ヨロヨロと立ち上がる

キリエロイド。しかしそこに、有無を言わさず機龍、SS、

MkⅡの一斉射撃が襲い掛かる。

 

ちなみに、これを見ていたホリイ隊員は……。

 

ホリイ「何や、凄まじいリンチやな!」

そんな叫びが通信機越しに聞こえて来たけど、僕は無視して

キリエロイド目掛けて機龍を前進させた。そして……。

 

シアン「これは、お前達の身勝手に巻き込まれた人たちの分!」

    『ドガッ!』

フラフラと立ち上がったキリエロイドの胸に機龍のクローが

突き立てられる。

   「これは、お前達に殺された人の分!」

もう一撃、機龍の爪がキリエロイドの皮膚を切り裂く。

胸を押さえ、呻きながら数歩後ろに下がるキリエロイド。

   「そしてこれが、そんなお前達への、俺の怒りの

    一撃だぁぁぁぁぁっ!!」

   『バシィィィィィッ!』

両腿のスラスターを使って機龍の体を回転させ、鋼鉄の

尻尾を叩きつけた。再び吹っ飛ばされ、背中から地面に

倒れるキリエロイド。

 

既に奴の体はボロボロだ。一気に決める!

   『ウルトラマンティガ!十字砲火だ!

    ヤシロ隊員とユウヒ隊員も!』

アイナ「はいっ!」

ユウヒ「承知っ!」

スピーカーを通した僕の声にティガは頷くと

立ち上がろうとしているキリエロイドの真正面に

立った。

更に左右をSSとMkⅡが包囲。後ろには3式機龍が立った。

そして……。

 

   『フッ!』

腕を交差させるポーズを取り、ティガが必殺技の光線を

放つのに合わせ、僕の操る機龍のレールガン、SSのバルカン砲、

MkⅡのレーザー砲が放たれた。

そして、ダメージで回避も防御も出来なかったキリエロイドに

それら4つの力が命中し、僅かに呻いた次の瞬間……。

   『ボォォォォォォンッ!』

盛大な音と共にキリエロイドは爆散した。

 

そして、ティガは3式機龍に向かってサムズアップすると、

どこかへと去って行った。

 

その後、無事だったダイゴ隊員も乗せ、基地へと帰還する

僕達。

 

ホリイ『いや~。にしてもさっきのシアンの怒鳴り声、

    すごかったな~』

レナ『ホントホント、任侠映画のヤクザみたいだったわね』

と、通信機からみんなの声が聞こえて来た。

シアン「うっ!?そ、その話はもう良いですよ。あれは僕の

    堪忍袋の緒が切れたと言うか、何と言うか……」

ユウヒ『温和な人ほど怒らせると怖い、と言いますが正しく

    その通りでしたね』

ホリイ『今後シアンを怒らせない方が良いと思う人~』

レ・ユ・ア「『『は~い』』」

シアン「だ、大丈夫ですよ!皆さんにはあそこまで怒りません

    から~!」

と、アセアセと戸惑いながら僕はコクピットの中で叫び、

その声を聞いたみんなは笑みを漏らすのだった。

 

 

また、キリエル人と会い見える日が来るとは、知りもしないで。

 

     第3話 END

 




次回は機龍やオリキャラのシアンたちにスポットを当てた
オリジナル回、3.5話になると思います。
登場怪獣として、ウルトラマンダイナ第3話に登場した
グロッシーナを登場させます。依頼者の方の指摘で、
グロッシーナ自体がダイナ本編の10年前にGUTSと
戦い仮死状態になった、という事らしいので、機龍と
グロッシーナを戦わせようと思っています。


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エピソード3.5 『戦え機龍』

今回はほぼオリジナルです。しかし、投稿間隔が空いてしまいすみません。
次回はもっと早くに投稿できるように努力します。



~~前回までのあらすじ~~

次第に民衆に知られる事になっていく巨人、ウルトラマンティガ。

しかし、そんなティガのニュースの最中に突如として

キャスターを乗っ取りキリエル人を名乗る生命体が浄化を宣言。

その宣言を実行するかのように次々と建物が爆破。1件目は

無人のビルであったため被害はなかったが、2件目は人口

密集地であったため多数の死者を出した。そんな中キリエル人の

手がかりを追うイルマとそれに気づいて後を追うシアンとダイゴ。

その後、何とか3件目の爆破を防いだがキリエル人はキリエロイド

となって出現。キリエル人の言い分に激怒したシアンたちは

ティガと協力してキリエロイドを撃破するのだった。

 

 

キリエル人の一件が落ち着いた頃。僕達は相変わらずの日々を

送っていた。まぁ、僕達の仕事は少ないに越したことは無いの

だけど。とか思いつつ、ヤシロ隊員が淹れてくれたお茶を

飲みつつ作業していた時、僕はふと時計を見て呟いた。

シアン「今頃、ダイゴ隊員とレナ隊員はモンゴルですか」

そう呟く僕。実際、今のここにはその二人は居ない。

じゃあその理由は何かと言うと……。

 

ヤズミ「逃亡したゴルザの調査ですからね。何か発見があれば

    良いんですけど」

と、僕の言葉に相槌を打つヤズミ隊員。

ユウヒ「ゴルザ?と言うと、あの黄金のピラミッドを破壊後に

    ティガと戦い逃走したと言う?」

そんなヤズミ隊員の言葉に、あの場に居なかったユウヒ隊員が

首を傾げる。

アイナ「はい。あの戦いのとき、出現した怪獣は2体です。

    モンゴルから出現したゴルザと、イースター島から

    出現したメルバ。メルバはティガと3式機龍の協力で

    何とか倒せたんですが、ゴルザは地中へ逃亡後に

    行方を眩ませたままなんです」

ムナカタ「かといって、実在する脅威を見逃す訳にも行かない

     からな。念のため初出現地であるモンゴル平原の

     調査が成される事になった、と言うわけだ」

ユウヒ「成程。……しかし、怖い物ですね」

シアン「怖い、ですか?」

不意に呟かれた言葉に、僕は疑問符を浮かべた。

 

ユウヒ「皆さんがゴルザやメルバを目撃するまで、怪獣と言う

    存在は実在しないと思われていました。それが今や

    当たり前のようになりつつある。平和とはあまりにも

    脆く、そして怪獣の力は絶大。どこに現れるかも

分からないとなると、その事実に少し……」

そう言って少しばかり俯くユウヒ隊員。

 

そうか。そうだよね。

改めて思えば、怪獣はティガのような人知を超えた存在。

3式機龍で倒せない訳じゃないけど、それでもその力は絶大で、

ゴルザみたいに地下から現れたり、メルバみたいに空を飛んで

現れたり。人の手に負えない存在が何処から現れるかも

分からない。それが怖いと言うのも、僕には分かる。

でも、だからこそ……。

 

シアン「なら、何とかするまでです」

ユウヒ「え?」

シアン「今の僕達には3式機龍があります。確かに怪獣は手強いし

    神出鬼没です。でも、戦えない訳じゃないです。相手は

    銃弾もレーザーも聞かないお化けじゃないんですから、

    多分頑張れば何とかなりますよ」

 

と、この時シアンは彼成りにユウヒを励まそうとしていた。

 

ホリイ「それに任侠モードのシアンちゃんだともっと強くなるし」

ユウヒ「……。ふ、ふふっ」

そこへすかさずなホリイ隊員の一言に、驚いてから笑みを浮かべる

ユウヒ隊員。

シアン「って、ホリイ隊員良いところなんだから茶々入れないで

    下さいよ!後、いい加減任侠モードはもう良いですから!」

と、僕は涙目でその事を訴えるのだった。

 

ちなみに……。

ユウヒ「≪相変わらず≫、あなたは優しいですね」

シアン「?ユウヒ隊員、何か言いました?」

ユウヒ「いいえ、何も」

と、首を振って否定したユウヒ隊員。今何か聞こえた気がした

んだけど、気のせい?まいっか。

と、そう考えながら僕は仕事に戻った。

 

その後、僕とヤシロ隊員はユナちゃんとカシムラ博士に呼ばれて

3式機龍のドックへと向かった。機龍の格納庫が見渡せる

管制室に入る僕達。

レイコ「あら、来たわね。待ってたわ」

シアン「失礼します。今日はどういった話なんですか?」

レイコ「大した話じゃないんだけど、機龍に武装を追加した

    からそれの説明をね」

と言うと、近くに居たオペレーターの人に声をかける博士。

すると丁度管制室から見える機龍の口が開いた。

よく見ると口の中にパラボラみたいなものがあった。

シアン「博士、あれは?」

レイコ「あれは『2連装メーサー砲』。元々は防衛軍が存在した

    時代に日本の技術廠で研究されていた物を今の技術で

    発展改修したものよ。指向性エネルギーである

    メーサーの力で敵怪獣の細胞を焼き払うための物よ」

シアン「なんだか、聞いてるだけでも物騒な武器ですね」

本来は、救助用に作られたはずなのに。

僕はそう思いながら3式機龍を見つめた。

 

レイコ「仕方ないわよ。世界各地で怪獣が目撃され始めた今、

    人類には怪獣と対等に戦えるだけの力が求められているの。

    あの巨人、ティガだったかしら?お偉いさんや一部の

    人にとっては、ティガと言う存在を完全に信用している

    訳でもないだろうし、仮にもティガが出現しない場合も

    含めた戦力が、私達には必要なのよ」

と、そう言って自論を語るカシムラ博士に、僕とヤシロ隊員は

何も言えなくなるのだった。

 

その後の昼食時。僕はヤシロ隊員、ユウヒ隊員と一緒に食堂で

昼食を取っていた。

そんな時だった。

シアン「怪獣、かぁ」

僕は一人、スプーンでカレーをいじっていてそう呟いた。

ユウヒ「どうかされましたか?」

シアン「あぁ、いえ」

と、独り言に質問を返されたのでちょっと慌てて返す僕。

   「……ユザレ、あのホログラムの言っている事が

    正しければゴルザとメルバの出現は大異変の前触れ、

    らしいです」

ユウヒ「ユザレ。……私が配属される前に皆さんが見たと言う?」

アイナ「はい。地球星警備団団長ユザレ。って、その名称が

    本当かどうかは分かりませんけど、発見された

    タイムカプセルから出て来たホログラムの事です。

    ゴルザとメルバの出現の予期、ティガの存在の示唆。

    大異変を象徴するような各地での怪獣の出現。

    そのすべてを言い当てたホログラムですよ」

ユウヒ「そうでしたか。……オオトリ隊員はそれが何か?」

シアン「その。……僕は元々未知への興味からGUTSへ

    入隊したんです。男として、探求心の表れ、みたいな

    感じで。……けど、今の僕達って防衛軍の軍人と

    やってる事、やろうとしている事が変わらないんだなって

    思って、少し……」

ユウヒ「そうですか。……しかし、それでもまだ良いと思います」

シアン「え?」

ユウヒ「市政の人々には我々のように怪獣と戦う術がありません。

    一度怪獣が市街地に現れたならば、逃げ惑う事しか

    出来ません。そう言う意味では、力を持つ私達には

    人々を護るために戦う義務があると私は思います」

……力を持つ者の義務、かぁ。けど、今にして思えば、僕が

GUTSに入ったのは未知への、新しい事への探求心だった。

それが今や……。ハァ、悩むなぁ。

そう思いながら、僕は視線を下の落とすのだった。

 

その後、食事を終えた僕は一人シューティングレンジで

GUTSハイパーを使った射撃訓練をしつつ、ユウヒ隊員の

言葉を思い返し、その意味を考えていた。

戦う事、守る事は力を持つ者の義務。

その言葉の意味は分かるけど、僕自身は戦いたいからGUTSに

入った訳じゃない。いや、強くなりたいって思いは違わないけど、

それは戦いたいからじゃない。ここに来たのは、色々な物を、

まだ知らない世界を見たいからでもあった。

けど……。ユウヒ隊員の言っている事も分かる。

 

シアン「……ハァ。ダメだ」

全く集中できなかった僕はゴーグルとヘッドフォンを外して

GUTSハイパーを戻した。

結局、考えても答えはあんまり出ず、夜。僕は自室に

居る時もどこか悶々としていた。

 

そんな時だった。

ユナ「シアン~。お話しよ~」

そう言って、部屋の壁に埋め込まれた通信用の端末が開いて

そこからユナちゃんが映し出された。

シアン「あ、ごめんユナちゃん。今日はちょっと考え事

    したいから」

ユナちゃんの声に気付いて、僕は体を起こしてそう言ったの

だけど……。

ユナ「え~?そんな~」

と、しょんぼりした様子のユナちゃん。

うぅ、ちょっと罪悪感が……。あ、折角だから……。

シアン「ユナちゃん。やっぱりお話する?僕も、ちょっと

    聞いてほしい事があるんだ」

ユナ「え?良いの!わかった!じゃあお話しよっか!」

と言うと、通信端末からユナちゃんが消えて、僕のPDIが

震えた。それを開くとそこにユナちゃんの姿があった。

PDIを机の上に置く。

  「それで、どんなお話するの?」

シアン「うん。実はその、相談なんだけど。僕今、悩んでるんだ」

ユナ「へ~。シアンに悩み事?」

シアン「うん。……僕は元々、軍人だったお父さんに憧れていた。

    そのお父さんに言われて、強くなろうって決めた。

    色々頑張って、色んなことをしていたんだけど、

    高校卒業を控えたある日、GUTSからの誘いを

    貰ったんだ。……けど、僕は今の今まで、こんな風に

    怪獣と戦う事になるなんて、夢にも思ってなかった。

    GUTSに入ったのは、新しい事への探求心、

    だったんだ。だから、怪獣と戦う事が、自分の

    やりたい事なのかなって、思って。悩んでるんだ」

ユナ「えっと、つまりシアンは怪獣と戦いたくないの?」

シアン「……そうまでは言わないよ。必要な事だとは

    思ってる。けど、こういうのには人命が掛かってるから。

    GUTSの隊員だから、とか生半可な覚悟で臨みたく

    無いんだ」

ユナ「そういう物なんだ~。……う~ん、だったら今を

   頑張ればいいんじゃないかな?」

シアン「え?」

腕を組み、首を傾けてからのユナちゃんの言葉に、僕は疑問符を

漏らした。

ユナ「シアンって、もっとも~っと、色んな新しい物を

   見て見たいんでしょ?」

シアン「う、うん。まぁそうだね」

ユナ「じゃあ、その新しい物を見るために怪獣なんて

   コテンパンにぶっ飛ばして、平和な世界にすれば

   良いんだよ!」

と、ボクシングみたいな動きと共に笑みを浮かべながら

教えてくれるユナちゃん。

  「そうすれば、シアンもゆっくり探し物が出来るでしょう?」

その言葉に、僕は少しハッとなった。

 

そうか。そうだよな。この戦いを、怪獣と人間の戦いを一日でも

早く終わらせる。僕には、僕達にはその力がある。

この力で、戦いを終わらせて、また平和な世界を取り戻す。

そして、僕の望んだ未来のために、今ここで戦う。

そうか。それも有りだよな。

シアン「ありがとうユナちゃん。吹っ切れたよ」

ユナ「ホント?ユナ、シアンの役に立てた?偉い?」

シアン「うん、偉い偉い」

ユナ「えへへ~。やった~。ユナ褒められた~」

と、ユナちゃんが画面の中で喜んでいる姿を見て、僕も

笑みを漏らすのだった。

 

そして翌日。事件が起こった。

 

シアン「駿河湾沖の海底で、動く震源、ですか?」

イルマ「えぇ。本日未明、静岡県の沿岸部に設置された震度計が

    僅かな振動を検知したわ」

そう言うと、ヤズミ隊員の方に頷くイルマ隊長。それに頷き返した

ヤズミ隊員がキーボードを叩くと、前方の大型モニターに

震源を現す点が打たれた画像が映し出された。

ムナカタ「本日午前4時過ぎ、静岡県伊豆半島の南西数十キロの

     地点で最初の振動が検知された。その後も定期的に

     振動が検知され、データをもとに震源を割り出すと、

     震源は徐々に太平洋から駿河湾方面へと移動している

     事が分かった」

ユウヒ「地中を移動する怪獣。……まさかゴルザ、ですか?」

ムナカタ「不明だ。しかし、ゴルザではないという確証も無い。

     そこでTPC本部は俺達GUTSに出撃を命じた。

     俺達は駿河湾にてこの移動物体の迎撃作戦を

     行う」

シアン「ッ、迎撃」

と、すぐに表情を引き締めるシアンやアイナ、ユウヒなホリイ達。

ムナカタ「3式機龍及びガッツウィングSSは海岸線で待機。

     敵怪獣の出現に備える。ユウヒ隊員はMkⅡで。

シンジョウ、ホリイの両名は俺と共にガッツウィング2号

による周辺の索敵を行う」

ユウヒ「了解」

ホリイ「あの、ダイゴ達は?」

ムナカタ「残念だが、今からではモンゴルから戻ってきてもらう

     余裕が無い。TPCの地震観測センターによる計算では

残り数時間で目標が駿河湾内に到達する。それを阻止する

為にも、二人の帰還を待っている余裕はない。

以上だ。各自、出動準備!」

そう言われると、僕達はヘルメットなど手に司令部を飛び出した。

ヘルメットを被り、ヤシロ隊員と共にSSに搭乗。2号、MkⅡに

続いてダイブハンガーを発進した。

そして、そんな僕たちの後を、4機のVTOLに吊るされた

3式機龍が少し遅れて続く。

その様子をガンカメラで見ていた時、僕はふと、

『ウルトラマンティガ』が現れるのだろうか?と言う不安に

かられた。

僕はそんな考えを、頭を振りながら否定しつつ、任務に

意識を戻した。

 

そして数十分後。

駿河湾に到着した機龍が着水するのをガンカメラで確認しながら

最新式に換装されたレーダーに目を向けた。

幸い、と言うべきか主だった動体反応や生体反応は無い。地中

レーダーも機影などは無し。

それを確認した僕は2号とMkⅡへデータリンクを形成した。

 

データリンクとは、レーダーなどの換装に合わせて実装された

システムで、友軍機とデータを共有するための物だ。これによって

例えば2号が敵を発見すると、敵の場所や様子等がほぼリアルタイム

で確認できるシステムだ。

シアン「こちらガッツウィングSS及び3式機龍。

    現在予定ポイントで待機中。周辺の異常なし。

    そちらの様子はどうですか?」

ムナカタ『こちら2号ムナカタ。こちらも特に異常なし』

ユウヒ『同じくMkⅡ。こちらも現海域ではこれと言った

    怪獣出現の兆候は見られず。引き続き監視を続行します』

シアン「こちらシアン、了解。こちらも警戒を続けます」

そう言うと、僕は通信を切った。

既に3式機龍はアクティベート、起動状態だ。いつでも戦える。

今の武装は、両腕のレールガンと口の2連装メーサー。

メーサーはこれが初めてだから、怪獣に効くかどうか……。

 

と、そんな事を考えていた時だった。

   『ビーッ!ビーッ!』

唐突に警報が聞こえて来て僕は操縦レバーを握り直した。

ムナカタ『こちら2号!現在駿河湾内の海底を移動する

     巨大物体の影をレーダーで捕捉!シアン!

     そっちに向かってるぞ!注意しろ!』

シアン「了解っ」

副隊長の報告に、もう一度レバーを握り直す僕。

 

数秒後、3式機龍に内蔵されたセンサーが微弱な振動を

検知。次第にそれは大きくなっていた。そしてSSの地中センサーも

移動物体を捉えた。

ユナ『移動物体確認。深度、50、45、40。シアン!浮上

   してくるよ!』

シアン「見たいだね……!」

そう呟きながら、モニターを見つめる僕。と、その時。

 

   『ザッパァァァァァァァァァァンッ!』

突如として巨大な水柱が現れた。空中に飛散する海水。

と、その海水の柱の奥に、黒い影が見えた。そして、

海水が重力に逆らって落ちて行った時、僕達の、正確には

3式機龍の前に怪獣が現れた。

   『GIAAAAANN!!!』

 

シアン「来た……!こちらSS及び機龍!怪獣を視認!」

現れたその怪獣は、特徴的な頭に、多層構造にも見える背中。

腹部には規則正しく一列に黄色い模様が縦に並んでいた。

にらみ合う怪獣と機龍。そこに本部から通信が届いた。

 

イルマ『オオトリ隊員。以降あの怪獣をグロッシーナと

    命名します。グロッシーナの力が未知数である以上、

    都市部への侵攻は避けたいわ。出来るうる限り、

    水辺で進行を阻止して。後ろの街は既に避難警報が

    発令されているけど、気を付けて』

シアン「了解。……行くよ、ユナちゃん」

ユナ『OK~!レッツ、ゴー!!』

通信機越しにユナちゃんの声を聞いた僕は、すぐさま機龍を

操作した。

 

ここに、3式機龍とグロッシーナのタイマンバトルが始まった。

 

 

ちなみに、そのころモンゴルでは……。

ダイゴ「え!?駿河湾に怪獣が?!」

レナ「うん。さっき本部から連絡があったの」

ダイゴ「それで隊長は何て?」

レナ「それが……。私達は調査任務を続行。

   怪獣グロッシーナには3式機龍を中心にみんなが

対処するって」

ダイゴ「そうか……」

その事を聞くと、ダイゴは無意識に制服の上から胸、正確には

そこにしまわれたスパークレンスに手を当てるのだった。

   『シアン、そっちは頼んだぞ』

そう言って、ダイゴは遥か彼方の空に目を向けるのだった。

 

場所は戻って駿河湾。

 

シアン『まずは……』

相手の出方を見る。そう考えた僕はスラスターを使って

グロッシーナを基点に、反時計回りで12時の地点から

9時の地点、つまり奴の左側に回り込む。そこから更に

牽制のレールガンを叩き込む。

   『ヒュヒュヒュンッ!』

   『ガガガッ!』

   『GIAAAAANN!!』

数発のレールガンがグロッシーナの体に命中し火花を散らすが、

当のグロッシーナは大してダメージを受けた素振りも無く

機龍を睨みつけている。

   『くっ!?やっぱりレールガンじゃダメか!』

そう考えている内に、グロッシーナが咆哮と共に機龍

目掛けて突進してくる。

   『機龍じゃ近接戦は分が悪い!距離を取って、

    メーサーで焼く!』

そう考えたシアンはレバーを操作し、スラスターを使って

機龍を背後へと大きくジャンプさせる。そして、着地に

合わせてすぐにメーサーを発射した。

   『ビィィィィィィィッ!』

黄色い稲妻のようなメーサーの光がグロッシーナの

胴体に命中する。

   『GIAAAAANN!?!?!?』

どうやらダメージが入ったのか、悲鳴のような声と

共にグロッシーナが悶えるように体を震わせる。

アイナ「グロッシーナにダメージを確認!行けるよ

    オオトリさん!」

シアン「了解……!こちらSS。新型兵装はグロッシーナに

    対して有効の模様。このまま一気に畳みかけます」

ムナカタ『こちら2号了解。だが無茶はするな。MkⅡが

     あと数分で。俺達ももう少しで到着する』

シアン「了解」

僕は無線に答えつつ、目の前のモニター越しにグロッシーナを

睨みつける。

メーサーは効く。だからこのまま……!

そう思い、もう一度トリガーを引こうとしたその時。

   『GIAAAAANN!!!』

   『ババッ!』

グロッシーナの口から、赤い針状のエネルギーが多数。

まるでショットガンの散弾のように発射された。

   『ドガガガッ!』

ユナ「イッタ~~~イ!!!」

発射されたエネルギーの散弾が機龍の胸部装甲に命中して

火花を散らす。

モニターの中でユナちゃんが涙目で痛そうにしている。

それを見た僕はすぐさまスラスターを使って機龍の

体を縦横無尽に動かしたが……。

如何せん機械VS生物。反応速度で言えば奴の方が上。

しかもここは足場の悪い水辺だ。

放たれる攻撃が機龍の体に当たる。更に……。

   『ドガッ!バチバチッ!』

シアン「ッ!?レールガンユニット、強制排除!」

攻撃が左腕のレールガンに命中し、火花を散らす。僕はすぐに

スイッチを押してユニットを爆砕ボルトで強制的に切り離す。

火花を散らしながら海面に落下するユニット。僕はスラスターを

使って機龍をすぐにその場から横へとスライドさせる。

その刹那。

   『カッ!ドォォォォンッ!』

海水を打ち上げるように、レールガンユニットが爆発する。

これで武器は、右手のレールガンと口のメーサーだけだ。

と、その時。

 

ユウヒ「させないっ!」

   『ビシュビシュビシュッ!!』

   『ガガガァァァァンッ!』

   『GIAAAAANN!?!?』

横合いからレーザーの雨が降り注ぎ、グロッシーナの体に

命中した。それに気づいてレーダーに目を向けると、外洋から

こちらに戻ってくるMkⅡの機影を捉えた。

シアン「ユウヒ隊員!」

ユウヒ「すみません。遅くなりました。私も攻撃に参加します!」

よし。これで機龍に、SS、MkⅡが揃った!それに

もうすぐ2号も到着する!そうすれば、デキサスビーム砲も

ある!

シアン「2号が到着次第、デキサスビームとメーサーの一斉射で

    奴を倒します!それまで足止めをお願いします!」

ユ・ア「「了解ッ」」

僕の言葉に、ユウヒ隊員とヤシロ隊員が頷く。

 

よし!このまま行ければ!

   『ビュッ!』

唐突に奴が体を回転させ尻尾で薙ぎ払いをかけて来た。

その時は咄嗟の事で反応できなかった。

   『グルグルッ!』

そして、僕が反応するよりも先に尻尾の先が機龍の首に

巻き付いた。

と、次の瞬間。

   『バチバチバチッ!!』

ユナ「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」

アイナ「ッ!?雷撃!?」

シアン「ユナちゃん!」

コクピットから見ていたヤシロ隊員とモニターで叫ぶユナちゃんを

見ていた僕がほぼ同時に叫ぶ。

そして、尻尾の先が離れた時、機龍が体のあちこちから煙を

吹き出しつつ、姿勢が下がる。

その様子を見て、咄嗟に機龍を下がらせようと僕はレバーを

操作するが……。

   「くっ!?動かない!?」

ユナ「し、システムがオーバーヒートしてるぅ。

   動けない~」

画面の中でユナちゃんが呻いている。まさか、今の

電気攻撃で……。

その時、グロッシーナは動かなくなった機龍を見ると、

踵を返して海岸線の方へと歩みを進めた。

アイナ「ッ!?グロッシーナ、方向転換して海岸部へと

    移動を開始しました!オオトリさん!機龍は!?」

シアン「ダメです!機体各部がオーバーヒートしていて……!

    駆動系も一部応答なし!ユナちゃん!そっちから

    復旧できないかな!?」

ユナ「む、無理だよ~!今のままじゃ、頭動かすくらいしか

   出来ないよ~!」

そう言って涙目のユナちゃん。

くっ!?このままじゃグロッシーナが市街地に……。

 

どうする!?どうするどうする!?考えろ。考えろ!!

目を瞑り、必死に考える僕。

だが、僕に何ができる?SSを操縦している訳でもない。

機龍も動かない。2号だってまだ……。

 

……こんな時、ウルトラマンティガさえ居てくれれば……。

 

そう、僕の中で心が呟いた。

 

だけど、僕はすぐに首を振って、頬をパンと両手で叩いた。

 

居ない存在を頼って何になるんだ。今、ここに居るのは

僕達GUTSだけなんだ!僕達しか戦えないんだ!

 

考えろ!考えろ!僕達がこれまで経験してきたこと全てを

前提に考えろ!

僕達の今出来る最大火力は……。メーサーとデキサスビームの

集中攻撃!これだ。

そう思った僕はモニターを切り替え、今の機龍のメーサーで

狙えるポイントを割り出した。

そして、その場所にポイントするとすぐにみんなとの

通信を繋ぐ。

シアン「皆さん!聞いてください!これから指定した場所のデータを

    送ります!その地点までグロッシーナを誘導してください!」

アイナ「ゆ、誘導って!怪獣を!?」

ユウヒ『何か策があるんですか!?』

前に座るヤシロ隊員と、グロッシーナを攻撃するユウヒ隊員の声が

聞こえる。

シアン「確証はありませんが、奴を機龍の眼前におびき出し、

    そこでメーサーと2号のデキサスビーム砲を撃ち込みます。

    これが僕が考えられる、今の僕達に出来る最大火力です」

ムナカタ『……今はそれしかない、か。隊長』

イルマ『えぇ。聞こえていたわ。ティガの現れる様子が無い以上、

    今は我々が人々を護るしかない。みんな、出来るわね?』

6人「「「「「「はいっ!!」」」」」」

イルマ隊長の言葉に、僕達が頷く。

 

シアン「ヤシロ隊員、ユウヒ隊員!二人はグロッシーナを

    攻撃して何とか奴を指定したポイントに誘導して

    ください!2号、そちらはどうですか!?」

ムナカタ『心配するな!後数分で着く!』

シアン「了解。二人とも、お願いします」

ア・ユ「「了解っ」」

 

僕の考えた作戦に従い、MkⅡとSSがグロッシーナに攻撃を

仕掛けた。

   『ドドドドドドッ!』

   『ビシュビシュッ!』

   『『ドガガァァァンッ!』』

   『GIAAAAANN!?!?』

攻撃を背中に食らい、悲鳴を上げて振り返るグロッシーナ。

奴はMkⅡとSSに注意を向け、攻撃態勢に入った。

シアン「ショットガン!来ます!」

僕がガンカメラでその予備動作に気付いて声を飛ばす。

2機が横へのロール回転を行い、寸での所で攻撃を回避した。

 

そのまま、何とか奴を目標地点へと誘導する。

 

じわじわと、MkⅡを追いかけて歩みを進めるグロッシーナ。

 

更に……。

ムナカタ『こちら2号、目標地点に到達。いつでも行けるぞ』

グロッシーナの背後に回り込んだ2号が、既にデキサスビーム砲を

準備していた。

シアン「よし。ここまでは……。ユナちゃん。メーサーは行ける?」

僕はもう一度ユナちゃんに声を掛けた。

ユナ「行けるよ!さっきの仕返し!百倍にして返して

   やるんだから!」

と、画面の中で鼻息も荒くしているユナちゃん。

 

よし、これで後は……。

シアン「目標!指定ポイントまで後60!55……50……45」

静かに、僕がカウントを刻む。上手く行ってくれ、と僕は

頭の中で祈る。

冷や汗が顎を伝う。

   「25……20……15……」

他のみんなも固唾を飲んで待機している。

   「10……5……0!今です!」

シンジョウ「デキサスビーム!発射!」

シアン「メーサー砲!発射!!」

 

次の瞬間、僕とシンジョウ隊員がほぼ同時にトリガーを引いた。

   『ビシュゥゥゥゥゥッ!』

   『ビィィィィィィッ!!』

発射された二つの光線。それは……。

 

   『『ドガァァァァァァァンッ!!!』』

見事にグロッシーナの腹と背中に命中した。

   『GIAAAAAAANN!?!?!?!?!』

そして、グロッシーナが悲鳴のような叫びを上げ、そして

倒れた。

   『ザッパァァァァァァンッ!』

水しぶきを上げながら倒れるグロッシーナ。そして、奴は……。

   『GI、GIAAAA………』

体のあちこちから血を流しつつ、這う這うの体で外洋へと

去って行った。

 

それを、しばし茫然と見送る僕達。

シアン「逃げ、た?」

アイナ「見たいですね」

しばらく滞空していた僕達。と、そこへ。

 

イルマ『みんな、ご苦労様』

本部の隊長から通信が届いた。

   『怪獣グロッシーナは逃がしてしまったみたいだけど、

    市街地への侵攻を水際で抑えられただけでも

    上出来よ。よくやったわ』

シアン「は、はい」

と、その時の僕はまだ少し、呆然としていた。

理由としてはまぁ、何とかティガ無しでも怪獣を

撃退できたからだ。

 

その後、結局僕はダイブハンガーに戻るまで、少し呆然と

していた。でも……。

 

帰ってくる時に見えた何気ない街の景色を見た時、

僕は何かを護れた気がして、少しだけ嬉しい気持ちになった。

 

 

    第3.5話 END

 




次は4話をベースにします。
お楽しみに!


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エピソード4 『天秤』

前回から実質5ヶ月。投稿スパンが~~!
亀更新ですんません!


~~前回までのあらすじ~~

ダイゴとレナがゴルザ調査のためにモンゴルへと向かった。

そんな中でシアンは軍隊のようになっていく現状に何処か

迷いを感じていたが、ユナの一言で吹っ切れるのだった。

そんな中、駿河湾に怪獣グロッシーナが迫っているとの

報告が入った。

ダイゴがティガである事など知らないGUTSのメンバーは

機龍を中心とした布陣でこれを迎撃。ティガの力無しで、

初めて怪獣を撃退するのだった。

 

 

僕達がグロッシーナを撃退してから、かなりの時間が

経った。そんな中で、僕達の話題の中心になっている事件が

あった。

木製探査に向かったジュピター3号という探査船が消息不明

のまま、既に2か月が立っていた。

シアン「……ジュピター3号の行方は依然として不明。

    捜査は引き続き行われる予定である、か」

そんな中、僕は司令室でPCを使った作業をしていた中、

ネットニュースの一覧からその話題を見ていた。

アイナ「まだ見つからないんですね、ジュピター3号」

そんな僕の隣に、ヤシロ隊員がお茶を入れたカップを

置いてくれた。

ユウヒ「既に連絡が途絶してから2か月。何等かの

    トラブルがあったんでしょうか?」

そして更に、僕のPCの画面のニュース記事を覗き込む

ユウヒ隊員。

シアン「唯単に通信機器にトラブルがあって連絡が

    出来ないだけなのか、或いは……」

と、僕達がそんな話をしていた時だった。

 

   『ビーッ!ビーッ!』

シアン「警報!?」

イルマ「どうしたの!?」

ヤズミ「大変です!先ほどTPCのレーダーが地球外から

    飛来する物体をキャッチしました!」

ユウヒ「飛行物体!?隕石ですか!?」

ヤズミ「いえ、そこまでは何とも……」

 

と、会話をしていると定時パトロールに出ていたダイゴ隊員

達の方から通信が届いた。

ダイゴ『こちらガッツウィング1号、本部、応答願います!』

イルマ「こちら本部」

ダイゴ『隊長、謎の飛行物体を発見しました!』

イルマ「こちらもモニターしているわ。その物体が

    何か確認できる?」

ダイゴ『現在高度2万メートル、マッハ4の速度で急速

    降下中です。航空機にしては巨大すぎます』

 

ユウヒ「航空機ではないとすると、衛星?」

ヤズミ「いえ、それにしても大きすぎます」

ユウヒ隊員の声に、基地の方のレーダーで確認していた

ヤズミ隊員が即座に否定する。

イルマ「到達予想地点は?」

ダイゴ『このままだと……。鹿島灘付近だと思われます』

鹿島灘?その辺って確か!

レナ「確かあそこには、宇宙開発局の施設があったはずよ」

ホリイ「そうや!次世代恒星間ロケット用に開発中の

    高純度エネルギーの備蓄基地です」

シアン「ちょっ!?ちょっと待ってください!そんなのが

    もし間違って周囲に漏れだしたら……!」

ホリイ「最悪、辺り一帯が吹っ飛ぶで!」

アイナ「そんなっ!?」

 

僕達は、その最悪の事態を想定して顔を青ざめさせる。

イルマ「ここは……。ムナカタ副長以下、レナ隊員、

ホリイ隊員は2号で現場へ。オオトリ、ヤシロ

両名はSSで。ユウヒ隊員もMKⅡに搭乗後

直ちに現場へ!何としても被害を最小限に

食い止めるの!」

6人「「「「「「了解ッ!」」」」」」

 

そして、僕達はそれぞれの機体に搭乗し、浮上した

ダイブハンガーから発進した。

 

1号に遅れて僕たちが到着した時、驚いた。

シアン「あれって!?」

アイナ「怪獣!?」

施設に上陸したそれは、間違い無く怪獣だった。

そこへ。

ムナカタ『各機に通達する。これから我々全機で

     奴の前方から一斉攻撃をする』

ア・ユ・ダ・レ「「「「了解っ!」」」」

2号に乗っていたムナカタ副長の命令に従い、

1号、2号、MkⅡ、SSが怪獣の前方に回り込む。

ムナカタ「攻撃開始っ!」

レナ「発射!」

ダイゴ「発射!」

ユウヒ「撃ちます!」

アイナ「一斉射!」

 

   『『『ビシュビシュッ!』』』

   『ババババババババッ!』

1号、2号、MkⅡのレーザーが火を噴き、

SSもバルカン砲を斉射する。

しかしそれでも怪獣は止まらずに、施設のプラントを

破壊していく。

そして、奴は……。

シアン「ッ!?敵怪獣、プラント内部の高純度

    エネルギーを吸収しています!」

ガンカメラで奴の動きを観察していると、奴が

破壊されたプラントの中にあったタンクに両腕を

突き刺し、エネルギーを吸収する。

と、その時プラント周囲の施設が稼働して奴を

囲った。

   「あれって……」

アイナ「多分、施設を守るための防衛設備ですね。

    これで動きが止まってくれれば……」

周囲を旋回しながら様子をうかがっていた僕たち。

と、その時。

   『ビカッ!』

シアン「光ったっ!?」

奴の目が瞬いたかと思うと、稼働していたシールドが

消滅してしまった。

そして、そのまま怪獣はプラントの破壊を再開する。

ダイゴ「クソォ!怪獣め!」

ユウヒ「これ以上はやらせません!」

 

その時、背後から接近した1号とMkⅡのレーザー

攻撃が怪獣の背面を焼く。更に旋回した2機の

ミサイル攻撃が命中。

しかし、攻撃を受けた怪獣は両腕を左右に広げると、

体から白煙を吹き出しつつ飛行して逃走していった。

シアン「……。本部、敵怪獣は逃走。施設の損害は

    大規模なれど、エネルギー漏れ等の心配は

    ありません」

奴が逃げていったのを確認し、僕が本部に報告する。

イルマ『こちら本部了解。それと、交戦後で悪いけど、

    みんなはそこに降りて所長の人と話を』

シアン「ここの局長さんと?なぜですか?」

イルマ『先ほど、敵怪獣の攻撃で施設の防衛設備で

    あるDCSが停止したのは見ていたわね?

    どうしてもそれが気になって』

シアン「なるほど。分かりました」

 

その後、僕たちは4機を着陸させ、DCSの

管制室へと足を運んでいた。

今は、僕のPDIを有線でDCSのコントロール

システムに接続。ユナちゃんにシステム内部の精査を

行って貰っている。

ユナ『う~~ん』

シアン「どうユナちゃん。何か分かった?」

ユナ『うん、分かったには分かったよ。システムが

   停止する直前、外部からアクセスした形跡が

   あるね。それもハッキングじゃなくて、正規の

   IDでパスして、システム権限をオーバーライドして

   強制的に止めてるね」

ムナカタ「正規のIDだと?誰だ?」

ユナ『う~ん、分かってるのはアクセスした時間と

   IDの持ち主だけだね。名前は……。

   ドクターエザキ、この人だね』

エザキ博士、か。……あれ!?その名前って確か!

アイナ「ま、待ってユナちゃん!確かエザキ博士って……!」

局長「はい。あの人は現在、ジュピター3号と共に、

   行方不明です」

 

局長さんの言葉に、僕たち全員が絶句する。

 

結局、それくらいしか事実は分からずに僕たちは

ダイブハンガーに帰還した。

 

シアン「行方不明のジュピター3号の搭乗している

    はずのエザキ博士。怪獣の侵攻と同時に、

    博士のIDでハッキングされ停止したDCS。

    ……頭がこんがらがってきました」

アイナ「そうですね。……それに、あの怪獣も現在

    行方をくらませています。飛行能力を持つと

    なると、移動範囲も広いでしょうし……。

    しばらくは、また警戒態勢ですね」

シアン「はい」

そんな話をしながら、僕たちはダイブハンガーに

帰還した。

 

お昼時、僕はヤシロ隊員、ユウヒ隊員と一緒に食堂で

食事をしていた。

しかし………。気になる問題は尽きない。

現在地球には居ないはずの博士のIDを使って

行われたDCSへのアクセス。でも、誰が?あれを

停止して得をしたのは?あの怪獣?

  「あ~も~」

アイナ「オオトリさん、どうかしたんですか?」

シアン「いえ、あの一件が一体どういうわけなのか、

    分からなくて……」

ユウヒ「確かに。分からない事が多すぎますね。

    怪獣の事と言い、DCSのアクセスと言い」

シ・ア・ユ「「「ハァ」」」

そして、その謎を前に僕たちはため息をついた。

 

そんな中、しばらくしてある情報が入ってきた。

 

それは、消息不明の3人が、『家族の前に姿を現した』、

と言う物だった。

 

その日僕たちが司令室に集まっている時。シンジョウ

隊員が入ってきた。

シンジョウ「隊長。宇宙開発局の連中がジュピター3号の

      家族達を嗅ぎ回ってるってのは本当なんですか?!」

入ってくるなり、少し気が立っているようにも見える

シンジョウ隊員。

ムナカタ「おい、何熱くなってんだ。ん?」

シンジョウ「あの怪獣、ジュピター3号と密接な関係が

      あるんじゃないんですか?」

シンジョウ隊員が問いかけるが、イルマ隊長は何も

言わない。

     「隊長!」

イルマ「ジュピター3号の件は、宇宙開発局の管轄

    なのよ」

シンジョウ「なら直に掛け合ってきます……!」

そう言って出て行こうとするシンジョウ隊員。

イルマ「待ちなさい!」

しかし、声を上げてそれを阻止する隊長。

   「彼らには彼らの。我々には我々のやり方が

    あるわ。互いの領分を踏み越える事は

    絶対に出来ないルールなの!」

 

結局、シンジョウ隊員は何も言わずに、悔しそうに

表情を歪めながら司令室を出て行ってしまった。

それを追うように、無言で出て行くダイゴ隊員。

シアン「……シンジョウ隊員、何だかいつにも増して

    気が立っていますね」

ムナカタ「……まぁ、無理も無い」

シアン「ムナカタ副長、それって……?」

出口を見つめ、呟いた僕の言葉に副長が答え、僕は

聞き返した。

ムナカタ「あいつは元アストロノーツ、宇宙飛行士だ。

     仲間を何人も失ったと聞いた事がある。

     今回の件も、それに通ずる物だ。何か、

     思う所があるんだろう」

アイナ「そうだったんですか。……何だか、頭の中が

    こんがらがった毛糸玉みたいです。色んな事が

    あって、怪獣とか、居ないはずの人が現れたり」

ユウヒ「……いつだって、生きると言う事は複雑だと

    思います。仕事や人間関係。いつだって

    物事が上手くいく事なんて事はありません」

二人の会話に、僕を始めみんな黙り込む。

けれど、それでも……。

 

シアン「どれだけ世の中が複雑でも、今この世界で

    戦える力を持っているのは、僕たちだけです。

    だから、僕たちには人々を守れる力が

    ある。違いますか?」

ムナカタ「……そうだな。そこは間違い無い。俺たち

     には、戦う力と義務がある」

アイナ「そうですね。私達は私達に出来る事で、

    人々を守りましょう」

ユウヒ「はい」

 

そうだ。僕たちが戦わなければならない。力無き、

人々を守るために。

 

その後、カシムラ博士が司令室にやってきた。

理由は、あの戦闘によって怪獣の体から剥離した

皮膚片の解析結果を伝える物だった。

カシムラ「現場から発見されたこの怪獣の破片を分析した

     結果、ジュピター3号の外壁の一部が発見されたわ」

イルマ「すると、ジュピター3号のアストロノーツ達は……」

ナハラ「あの怪獣に襲われたか、或いはそれ以前に不慮の事故に

    遭遇したか」

置かれた欠片を前に、ナハラ参謀や隊長が呟く。

シアン「じゃあ、彼らの安否は……」

イルマ「残念だけど、3人の生還は絶望視せざるを得ないわね」

苦々しい表情を浮かべながら呟く隊長。そのことに

みんなが俯き掛けた時。

 

ヤズミ「やった!ついに突き止めたぞ!」

不意に、オペレーター席に座っていたヤズミ隊員が

呟く。

アイナ「ど、どうしたんですか?」

ヤズミ「エザキ博士ほどの人物なら何かメッセージを

    残しているに違いない。そう思って、

    コンピューターをしらみつぶしに当たって

    居たら」

ホリイ「あったんか!?」

ヤズミ「えぇ。エザキ博士の研究室の施設コンピューター

    から見つけました」

イルマ「流石。我がGUTSの頭脳だわ」

シアン「流石ですヤズミ隊員」

ヤズミ「い、いやぁそれほどでも」

こうして、僕達は次へと続く手がかりを見つけた。

 

 

そして、僕たちはモニターに映し出されたエザキ博士の

動画から事の顛末を聞いた。

博士たち3人を乗せたジュピター3号は木星の衛星軌道付近

で謎の光球に襲撃を受けた事。逃げようとするが追いつかれ、

ジュピター3号諸共光球に取り込まれてしまった事。

取り込まれ、変異した3号があの怪獣である事。

怪獣には、感情もなく、ただエネルギーを求めて彷徨う事。

そして奴が次に目を付けたのが、地球だったと言う事。

やがて、画像が乱れていき、そして動画は途切れた。

 

イルマ「何とか、彼らを元に戻す方法はないかしら?」

カシムラ「……」

隊長の言葉に、博士は無言になってしまう。

何も言わない、と言う事は、その方法が思いつかない

と言う事なのかもしれない。そこへ。

ムナカタ「謎はまだある。怪獣の虜であるはずの彼らが、

     なぜ姿を現したかだ」

確かに。

ダイゴ「多分、ピュアな家族や肉親への慕情のような物を

    怪獣が理解出来ずに、彼らの意識が怪獣の能力を

    借りて実体化したんじゃないんですか?」

シアン「……だとしても」

と、僕が呟くとみんなが僕の方を向く。

   「彼らを、助ける事が出来るのでしょうか?

    あの怪獣と融合しているのなら、それを

    引き剥がすにしろ、方法も何も分かっては

    居ないんですよ?」

僕の言葉に、みんな黙り込む。

ナハラ「……この通信は既にTPC本部でも解析中だ。

    間もなくその回答が出る」

と、その時。

   『PLLLL!』

司令室の通信回線がコール音を鳴らし、ムナカタ副長が

出る。

   『PIPIPIPI!』

更に中央テーブルにあった電話回線が鳴り、それを

ナハラ参謀が取る。

 

何だか、嫌な予感がした。そして、それは当たってしまった。

ムナカタ「隊長、怪獣が鶴ヶ崎発電所を狙って現れました!」

伝えられたのは、あの怪獣出現の報だった。

僕たちが驚く中、ナハラ参謀も受話器を置く。

ナハラ「怪獣を倒せと言う命令が正式に下った」

イルマ「……分かりました」

静かに頷く隊長。でも、その判断に納得出来ない人

が居た。

シンジョウ「参謀!我々GUTSは彼らと戦うん

      ですか!?」

ナハラ「我々が戦うのは、地球の平和を脅かす宇宙怪獣だ!」

シンジョウ「しかしっ!!」

 

ユウヒ「シンジョウ隊員、割り切れないのなら、ここに

    残るべきです」

未だに食ってかかろうとするシンジョウ隊員の肩に、

ユウヒ隊員が静かに手を置き呟く。

   「我々が戦わなければ、彼ら3人以上の被害が

    出ます」

シンジョウ「なら博士達は死んでも良いのか!?」

ユウヒ「……そうです」

シンジョウ隊員の言葉に、ユウヒ隊員が静かに頷き、

他のみんなが絶句する。

 

   「私達には、天秤に掛けられた両方を救う力はない。

    大勢の市民か、博士達3人か。

    あの3人の生還の方法を探すために、一般

    市民を危険に晒すのか。それとも、あの3人

    諸共怪獣を倒す覚悟で臨むのか。

    私は、後者を選びます」

シアン「ユウヒ隊員」

彼女の毅然とした態度に、みんな何も言えなくなる。

ムナカタ「ここで語っていても始まらない!

     GUTS出動!」

   「「「「「了解っ!」」」」」

 

副長の言葉で、僕たちは司令室を飛び出した。

1号、2号、MkⅡ、SSがダイブハンガーから

飛び出していく。今回、グロッシーナとの戦いで

損傷した3式機龍はオーバーホール中

で生憎出動不可能だった。

 

ムナカタ『鶴ヶ崎発電所は関東一連の電力の60%を供給

している。もし破壊されたら、都市機能は完全に

麻痺してしまうだろう。

良いか!怪獣を必ず倒すんだ!』   

通信機越しに、副長の命令が聞こえてくる。

 

シアン「……博士達は、助けられないのかな?」

アイナ「……。もし、助けられるのなら、私も

    助けないです。でも、私達が躊躇って

    いる内に大勢の人々が危険に晒される

    のなら……」

シアン「そうですね。……今戦えるのは、僕たち

    だけなんだ」

今は、悩むのも後悔するのも後だ。今は目の前の

怪獣をどうにかするんだ。

 

   『ピピピッ』

シアン「ッ。レーダーに感あり。……敵怪獣もカメラで

    視認しました」

レーダーが怪獣の姿を捉え、ガンカメラを操作して

怪獣へと目を向ける。

   「発電所までは後10キロ程度。怪獣の

    進行速度を考えれば、5分もあれば発電所に

    到達します」

ムナカタ『よし、発電所を背にして怪獣に攻撃を

     加えるんだ。奴を鶴ヶ崎発電所まで

     行かせるな!』

   「「「「「了解っ!」」」」」

副長の言葉に頷き、僕たちは攻撃を開始する。

 

1号、2号、MkⅡがレーザーによる攻撃を、

更にSSがバルカン砲を掃射しつつ怪獣の脇をすり抜け

上昇する。

シアン「攻撃命中。しかし効果は不明。以前発電所へ

    向けて進行中」

ダイゴ「この~~!」

ガンカメラで怪獣の様子を見ながら報告する僕。

すると背後を取った1号がミサイルを撃ち込む。

それにダメージを受けたのか怪獣の注意が1号に

向く。が……。

シアン「ッ!敵怪獣内部でエネルギー値が上昇!

    1号、避けて下さい!狙われています!」

しかし、僕の言葉が届くのと、敵怪獣が両腕を

合わせた先から水色の雷撃状の光線を放つのは

ほぼどうタイミングだった。

 

   『ビビビビッ!』

   『ボォォォォンッ!』

光線が1号の機関部を掠め、機関部から炎と煙が上がる。

そして怪獣は自分の近くを落ちていく1号に視線を

向けるが……。

ユウヒ「お前の相手は私達だ!」

   『ビシュビシュッ!』

そこへ、直上からレーザーを頭に浴びせるMkⅡ。

それによって怪獣がひるむ中、不時着する1号。

僕は急いで1号へガンカメラをズームさせた。

見ると、ハッチが開いて中からダイゴ隊員と

彼に肩を貸して貰う形でシンジョウ隊員が

現れた。

良かった!

シアン「1号、撃墜されましたが二人は無事です!」

ホリイ「よっしゃぁ、ならこっちに集中出来るって

    もんやぁ!」

 

そして、僕とヤシロ隊員のSS、ユウヒ隊員のMkⅡ、

レナ隊員達の2号が断続的な連係攻撃で何とか

怪獣の動きを止めていた。

シアン「命中!しかし……!ダメです!どの攻撃も

    決定打に掛けています!」

ホリイ「クッソ~~!こうなったら一か八か、

    デキサスビーム砲を~!」

と、その時。

   『デュワ!』

光が瞬き、ウルトラマンティガが現れた。

シアン「あ!ティガです!ウルトラマンティガが

    現れました!」

驚き、叫ぶ僕。そんな中でティガは怪獣と戦い始める。

 

ムナカタ「来てくれたか。よし、俺たちは墜落した

     1号の二人を助けに行く。SSおよびMKⅡは

     ウルトラマンティガを援護!」

レ・ユ・ア「「「了解っ!」」」

副長の命令で2号が少し離れた所に着地。

残った僕たちのSSとMKⅡが周囲を旋回しながら

攻撃を繰り返し、ティガを援護する。

 

   『ン~~!ハァッ!』

そして、ティガがタイプチェンジを行い、赤い姿へと

変わる。

攻撃を受け、ひっくり返った怪獣の背に馬乗りになり

攻撃を加えるティガ。しかし背面のスラスターから

吹き出した白煙がティガを吹き飛ばす。

ティガは更に光線技を放つが……。

 

シアン「くっ!撃破出来なかったか!」

怪獣の強固な鎧は、ガクマを一撃で倒したあの

光線技でも撃破しきれず、逆に怪獣が反撃の

レーザーを撃ちまくる。

それがティガの胸に命中し、のけぞるティガ。

 

そこから次第にティガが押され出した。

  「このままじゃティガが!」

アイナ「こちらSS!ティガを援護します!」

ユウヒ『私もっ!』

怪獣の背面に回り込んだSSとMKⅡがレーザーと

バルカン砲を放つ。しかしそれは怪獣の背中に

着弾し火花を散らしただけで、こちらに注意を

向ける事さえ出来なかった。

シアン「ダメかっ!?」

こちらの攻撃は、一切効かない。しかもティガの胸の

タイマーが鳴り出した。もう時間が無い。

……僕が、内心諦め掛けた時。

ユウヒ『諦めてはダメです!ここで私達が退けば、

    鶴ヶ崎発電所が!』

 

ッ!そうだ。ここで退くわけには行かない!

シアン「もう一度、奴に攻撃を!」

アイナ「ッ!待って下さい!怪獣の様子が!?」

僕が叫ぼうとした時、前に居たヤシロ隊員の声が

聞こえてきた。

慌ててガンカメラを怪獣に向けると、怪獣が

もがき苦しむように震えだした。

シアン「あれは……!?」

 

シンジョウ『あれは、エザキ博士達3人のおかげだ。

      本部から、ジュピター3号内部の

      コンピューターに3人の家族の写真を

      送っている!それが彼らを呼び覚ました

      んだ!』

通信機から、シンジョウ隊員の声が聞こえてくる。

 

あれは、3人のアストロノーツが起こした奇跡、

なのか?

ただ、僕は呆然ともだえ苦しむ怪獣を見ている事しか

出来なかった。

そして、ついに怪獣が動きを止める。

その体から、三つの光球を排出しながら。

 

怪獣の様子を見ていたティガが、体色を変え

トリコロールのバランスタイプになる。

   『デュワッ!』

そして、放たれた白い光線が、怪獣の体に命中し、

怪獣は白煙と共に地に伏し、爆発した。

 

シアン「……勝った」

それを見ていた僕が小さく呟く。

しかし、その内に喜びは沸いてこなかった。

 

ダイゴ隊員達は、怪獣から離れ空へと上っていく

光を見上げていた。でも……。

シアン「僕たちは、あの3人を救えたのでしょうか?」

アイナ「……どうして、そう思うんですか?」

シアン「もし、僕たちにもっと力があるのなら、

    3人を、残された家族に合わせる事だって

    出来たかもしれない」

そうだ。彼らには家族が居た。でも、もう二度と

会う事は出来ないかもしれない。

 

僕たちに、もっと、力があったのなら……。

 

そう思うと、僕はやるせなさからギュッと手を

組み合わせる。

そして……。僕の目から涙が溢れ出す。

僕は、彼らも助けたかった。でも、出来なかった。

ユナ「シアン、泣いてるの?」

俯く僕を見て、ガンカメラのモニターに映った

ユナちゃんの声が聞こえる。

 

シアン「僕は、強くなりたい。もっと、誰かを

    守れるように。こんな事が、二度と

    起こらないように」

僕は、嗚咽を押し殺しながら呟く。

アイナ「……なれますよ。私達は強く。

    今日よりも、ずっとずっと」

 

前のシートに座るヤシロ隊員の優しい声色に

励まされた僕は、ゴシゴシと涙を拭う。

そうだ。僕達が立ち止まってる訳には

行かない……!

 

明日を、そして、人々を守るために!

 

これからも、僕は戦う。一人の犠牲だって、

出しはしないために!

 

     第4話 END

 




投稿が遅いな~。次はもっと早く出来るように
頑張りたいです。
感想や評価、お待ちしています。


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