雪国のTSぎんぎつね。 (ARice アリス)
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ばんがいへん せんとーちたい
番外編『ふんそーちたい ごこくちほーへのてんい』


『ばんがいへん』のため、作風変わります


 

 

 

竦み足で階段から足を崩し、転げながらも二階に昇り

 

テレビを点けよう、と窓辺へ向かう

 

どうもおかしい、スマホを覗くと現時刻は昼の11時30分を指している

 

 

 

……曇り空ではなく、星が覗く寒空に太陽さえ覗かない。

 

 

思わずへたり込んで腰を降ろした

 

 

雲量ナシ。

 

 

ただ、深々と降り積もる雪だけが静かな世界を描いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホの通信は完全に途絶えている

 

暫く、部屋の隅で腰を下ろし、佇んでいた

 

 

腰を下ろしてTVを点ける。

 

砂嵐の様な白黒の電波が無い状態の画面が映し出される

 

「…この画面も懐かしいな。地デジ化してから、アナログ画面に切り替えてみるか」

 

 

 

 

「…―■――な■■―かッ!政府はこの、非人道的なプロジェクトを…!」

 

 

「こッ―ではま■で…ッ―――」

 

雑音に画質が荒くて何が放送されているかは分からない

 

虹色の色調テスト画面が映り、勝手に現在のアナログ放送に切り替わった

 

「現在、此方のプ(ザッ)ントパークは日米両の防衛作戦が実施されています!

 自衛隊は依然として現地生命体■■■(ザザザザーッ)ズを国民と看做し、民間人の自衛出動に呼応されるように自衛隊は午前11時現在、害獣駆除の目的として大規模な派兵を行い、基地地元でも大規模なデモ――――……」

 

 

 

「…―――また、米軍は在日米軍の日米安保条約により沖縄、グアム、各基地からも出動しています。この規模の出動は日中尖閣沖衝突時よりも膨大な派兵であり、また…」

 

 

ボタンが勝手にへこみチャンネルは次々と変わる

 

 

「政府は東京から北へと政治組織の移転を示唆して居り―――…」

 

 

「11月には福島、宮城西部、山形、群馬、新潟北部により形成された

 『第11次東北絶対防衛線』から決着の目途が付くであろうと、政府広報から発表がありました」

 

 

「黒いサンドスターは人体に有害であり、許容量を超えると―――…」

 

 

「対馬沖紛争が起き、そして、今回の『害獣生物』による人類の戦いは経過を見守るとして我々は脅威を目にし、大地のさく裂により、国土として、九州、中国地方を失いました。」

 

 

 

―――誰か。

 

 

 

 

『――――誰か生きていませんか?』

 

 

 

 

 

 

 

家のTV画面から目の前が真っ白になって…どこだ、ここは…

 

 

 

眩しい光だ…

 

 

『ジャパリエアライン・ジャパリレールウェイは全日運転停止です。お客様は日の出港への移動、若しくは最寄りのガイドロボットへとお声かけを願います』

 

 

 

…ここは、空港?

 

新品の床や大型モニター、観葉植物に、開始前なのか誰も居ないようだ

 

 

 

「職員は全員退避済み、よね。貴女は…早く!こちらへ!」

 

 

 

 

座りこんでいた処を逆光で見えないが成人女性に手を引かれている

 

 

勢いが強いものだから思わず転けそうになり走った先はここはロビー二階か

ここにも誰も居ない

 

歩き辛そうにしているのを見かねたのか階段をお姫様抱っこで駆け降りて

思ったより力強い女性だ

 

また、地下への階段を駆け降りる

 

 

 

 

 

 

 

オレ達は地下道を走り続け改札に着いた

 

その先には地下鉄の駅のホームが並んでいた

 

本来、駅職員がいるであろう詰所には、………キタキツネ!?

 

アニメでは気怠そうにしていた彼女は目を爛々と輝かせていた

 

「ミライさん。セッティング終わったよ、ようやく線路に陣構えてるヤツをやれる手段が見つかったよ」

 

「キタキツネさん、何を為さるお積りで…」

 

「まあ、見てて」

 

 

あのホームの線路の間に居るのは一話の青いセルリアンか!

 

まさか……!?

 

 

ボスことラッキィビーストがコードに繋がれていて、キタキツネのキーボードにより操作されて居た

 

警告音を放ち始めた

 

『緊急事態、緊急事態、事故発生にヨリ、車両が……』

 

「おっと、ネタバレはNGだよ」

 

警報は鳴っているがキーボードのボタン操作一つで黙ってしまった

 

キィイィィィイイィィィィイイイイイと大きなブレーキ音が遠くから聞こえてくる

 

 

 

周囲のボスも警報を流す

 

 

「ジャスト、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なう」

 

 

 

 

一瞬でトンネルから現れた車両がぶつかったと思ったら

 

 

 

 

 

眩く光ると巨大な爆発が構内を吹きすさぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆風から彼女、多分ミライさんが覆いかぶさって守ってくれたおかげで無事だった

 

 

 

 

「96kmの鉄道爆弾!人類の威力っ!見たかこのボケナスっ!」

 

あたりは崩落し、青い空が見えている

凄惨な状況に対し本人はガッツポーズまで上げている

 

 

 

「雪山頂上の源泉管理施設にでも閉じ込めようかしら?」

 

申し訳ありません

 

その一言と土下座で上下関係が分かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セルリアンと人類の戦争!?」

 

「そうですね。あの地下鉄路線は『ジャパリパーク』、といっても分かりませんねアナタの生まれと密接にかかわっているその島との連絡線の一つだったのですが、今ではあちらの方が天国かもしれません」

 

 

「こんな過激な場所ですしね?」

 

ミライさんはチラリ、とボスを弄るキタキツネを見やる

 

「しかし、まー米軍の置き忘れモノを借りたらこうなったって事は。未使用の戦車とかあるかも…?」

 

はぁ、と溜息を一つ着くと

 

「本当の緊急時だけですよ?」

渋々認めたようだ

 

 

 

「ようこそ、ここは五国地方、ある国の南に出来た新島のひとつ」

ぱちぱちと点滅する電灯の中、手を差し出した彼女は

 

「私はミライ、彼女はキタキツネ、のフレンズ」

 

ども、とキタキツネはボスのモニター面から目を放さず胡坐をかき軽く会釈で答える

 

「キタキツネさん、ここから脱出の手段は得られたんですか?」

 

 

「ご機嫌な音を奏でて鉄の騎兵隊がやってきますよ」

 

地上へ上がりましょう

 

嫌な予感がひしひしと……

 

地下道は所々崩れていたが無事通れるルートは計算していたらしい

 

地上から見る景色は変わって見えた、そこら中から遠くから立ち上る煙・硝煙・火薬の匂いと空港出入り口付近には青色の液体が撒かれていた

 

 

「キタキツネさん!セルリアンが来ますよ!」

空港出入り口のタクシー乗り場に出ると近くの立体駐車場や遠くの高層ビルから装甲車や人の服を齧っていた近くのセルリアンが殺到してきた

 

あと数分で地下鉄に陥没した下に落ちたループ状のタクシー乗り場の道路は埋め尽くされそうだ

 

「キタキツネさん!大丈夫なんですか!?」

 

 

「もうちょい」

 

 

数で階段を造っている!

 

 

 

 

「なう」

 

 

 

空の彼方からキーーーーンと甲高い音が鳴るアレは…?

 

ミライさんは私の耳を庇い頭を持ち地面に伏せさせた

 

身体が2m位浮いた、鼓膜は破れていないだろうか…

 

じゃりじゃりして口の中が血の味がする

 

「沖に監視しているどっかの空母から無理やり発進シークエンスを仕掛けて無人爆撃機に突撃させたのさ、空母本体の電磁発進装置(リニアカタパルト)が発動するかは賭けだったけどね」

 

これが天才流の賢いやり方…さ!

 

 

親指を立ててニヤリ、その目の前には修羅が居た

 

思わず冷や汗をかいているようだがもう遅い

 

「ごめんなさい」

 

笑って済ますミライさんハ偉大ダナア…

 

 

茫然としているオレを見て、目を合わせ

 

二人は一頻り笑いこう言った

 

 

「Welcome to

ようこそ ジャパリパークへ!」

 

 




パトレイバー劇場版2とシンゴジラ見ながら書いてたら
こんなことに、このお話はお蔵入りで番外編として出します


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すがた かわって どうしよう!?
雪降る村のTSぎんぎつね。


文章荒くても許して下さい


 

暗い廊下に備えた全身鏡には黒色をベースとした服装のケモミミ、ケモシッポの美少女が映っていた……

 

 

何で、こんな姿に………

 

 

何でオレはけもフレのギンギツネに変わってるんだーーー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

そうなる前のオレは

一般的な少年、であろう俺にも中学二年の冬が訪れた、住んでいるのは………

 

 

 

 

 

 

田舎の山間のY県Z市U村としよう

 

 

現在深夜1時、外の出発の準備をしているところだ

 

 

 

今年もドカ雪で一晩で屋根の上には2メーターは積もっているだろう

 

 

 

圧し積もった雪で窓は昼でも真っ暗で村民は朝4時から数キロの雪を指定した場所に

 

例えば2、3m離れた用水路などに投げたり

 

 

一か所に集めるのだ

 

 

それを何往復もしていれば嫌でも筋肉だってついてくる

 

 

人より成長の具合が大きいのか2m50cmの高身長、胸板幅40cm筋肉の付いた体は自身のコンプレックスである

 

 

 

母方のおじいちゃんが大柄だったようでこの村の働き頭だった様だ

 

 

 

その血を受け継いだのか俺は高齢化の進む村でも

雪かきのボランティアに小学五年生の頃には自然と加わることになっていた

 

 

村役場の除雪車がそろそろ来るので

それに乗せてもらう

完全防備で安全綱、アイスザック、カンジキ、カイロ、ココア入りの保温ポット、チョコバー

 

チョコバーと飲み物は何か途中口に入れないと持たないので水分補給と手軽な朝ごはんに持って行っている

 

全て大きなベストにひとまとめに入っている

 

カンジキの紐を縛り、防寒着服の帽子を被ると装備のチェックを終え二階の窓から階段状になっている道路に降りると除雪済みの道路に出た、こういう道路は路面が凍っていて車も注意が必要だ、例えばスリップしたり…………

 

 

 

 

 

くらくしょん……スリップ音……

 

うん、夏場軽トラとぶつかって平気だったから軽自動車くらいはいけると思っていたけれども………

 

ん?服装がベストは元のままだが…ブレザー?制服を着た覚えはないが…?

 

 

 

「なんなんだ…んんッ、Ah-♪」

 

声も高いな

 

 

ここはどこだ?うん、除雪済みの家の前…まだ暗い…家にいったん帰るか

 

立とうと雪面に手を着いたら有る筈のない腰の延長線上(・・・・・・・・・・・・)と言うべき場所に痛み(・・)が走った

 

何、このくろい塊。

 

 

腰からかんかくが、あるよ…

 

 

はっ、となって頭に手をやると

 

ミミ、ケモミミ

 

 

 

 

大急ぎで家に帰る

 

やはり、歩いていてもバランスを時折崩す

 

それはそうだろう

 

 

 

性差があるのだろうから

 

 

玄関に入り、雪を落とすことなく急いで玄関の全身が映る鏡を眺める

 

 

 

そこには、自分と同じ動きの驚いた表情のけもフレのギンギツネが居た

 

 

 




亀・不定期更新


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ゆきあいのむら の不思議な夜

大体こんなもんです
まず、姿を確認


思わず全身を弄った

 

頭の耳、触感はコリコリしているくすぐったい。横にも耳がある。四つ耳…?

 

顔…  依然と変わっているが何故だか面影は有る気がする

 

手   厚い手袋、裏起毛でファーも付いてあったかい

 

胸   服と下着と肌の触感がある。ちょっと、気まずい……触らない

 

ウエスト 理想的なのではないだろうか、やせ過ぎずかといって太目ではない

 

腰  ここが一番不思議だ、基本的な生体活動は行われているようだが尻尾が細かくブルブルと揺れている。猫とかが興奮しているような感じで毛並みが逆立っている、実際に驚いているが、スカートや尻尾がある感覚が一番慣れない。

 

脚 温かいタイツにファーの付いた黒い靴。

そこまでスカートが寒くないのも彼女の毛皮としての機能なのだろうか

 

暫く経ってこの身長にも立つのにも慣れてきた

 

そのまま一階リビングへ向かう

 

リビングには三人掛けのソファー、六人ほど座れそうな長こたつ机。

リビングダイニングキッチンに今朝温めたヤカンのお湯はまだ温かい

 

収納横の両親の仏間の写真に

 

『これから、オレ、如何すればいいかな…父さん、母さん』

と呟いた

 

 

その瞬間思い出してオレは急いでスマホを取り出した

 

 

時刻は夜3時34分

 

オレとぶつかった車はどうなったのだろうか

 

市役所に務める親戚の叔父さんに連絡を取ってみる

 

『現在、電話の通じない場所にいらっしゃるか、電源が…』

 

使えない…っ

 

二階に上り自室のノートPCを立ち上げる

 

が、無線ネットワークも有線も通じない。雪の重みで電柱か電線に異常が?

 

……

 

…それは無いな。停電には至っていないわけだし、TVはちゃんと点く

 

バラエティー番組が放送されているのだが、これって10年近く前の年末放送か…?

 

今11月だし再放送は有り得る話なんだが唯一映るのが何故かこのアナログ放送だってことだ

 

 

 

…また会ったなアナログマ…

 

 

 

 

 

という冗談は置いておいて

 

 

一回、市役所に向かおう

 

 

リビングの両親に手を拝んで安全を祈ろう

 

 

電池式のロウソクを立てて手を拝む

 

小さい頃不安な時、よく身につけていた母の残したお守りを首に掛け、真っ暗な雪道には心もとない小さな懐中電灯で外に出た

 

市役所まで9km

 

凍り付いた道に『原付が使えればなー』と綺麗な声で愚痴った

 

月の綺麗な夜であった

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

…しばらく歩いていると軽トラがスリップしたように田んぼに落ちていた

 

中には誰もおらず、扉も開きっぱなしで中に雪が積もってる。

 

不気味だ。と感じさせた

 

『まさか、セルリアン…とか言わないよな…?』

 

 

セルリアンの仕業…そう考えても自衛するための手段は限られている。

 

前に進むしかない

 

 

山間、途中の自販機はさび付いていた筈の昭和自販機が新しくなり。設置台数も増えており赤いランプが付いていたため

 

この怪奇現象にも幸運と平成っ子には見慣れない商品を適当に選ぶと

現代とは違うプルタブ式の缶オレンジ味のジュースだったらしく美味しくいただいた

 

漸く山と田んぼの平原を越え、市役所が見えてきた

 

 

『明かりが灯ってる!』

どこも可笑しい場所は無い

 

車も現代の物だ、叔父さんの車を認めると裏に回り裏口のチャイムを鳴らし、職員を呼び出した

 

「姉さん…?」

 

後ろから沢山の書類の入ったダンボール箱を持った叔父さんが驚いた顔でこちらを見ていた




アナログマ:釣られ…クマーーーー・TVを見たら横綱。ほえー!
数々の伝説を残した八木宇田アンテナの巨熊
主人公の顔は中性的で元々『彼女』と似ていました
イメージとしてはカードでキャプターなやつとかのクラ○プ系の顔と謂えば良いかな?
次回は叔父さんと主人公の核芯の一端へと迫る会話シマス


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鏡写し、あなたの心音 私のみみとしっぽ

辿り着いたのは暖かなストーブに囲まれた静かな村役場

かれの一端が語られる


 

 

 

 

 

業務用の灯油ストーブと

 

叔父さんのデスクの上の一台のノートPCの作動音のみが

 

業務を終えたこの静かな室内の環境を物語っている

 

 

 

 

叔父さんはあの後ここでは寒いだろうからと、役所内へ招き、給湯室へと向かった

 

 

椅子に背を預けると

 

ぎし、と組み立て式のアルミ椅子がきしむ

 

 

叔父さんは『姉さん』と言っていた…あの言葉の意味はなんだったのか

 

 

 

 

 

暫く獣耳を弄っていると嗅覚が給湯室の何かに反応した

 

すると叔父さんが『ホットミルク』が入ったマグを両手に持ち現れた

 

 

 

 

叔父さんと座っているとそちらから話が始まった

 

 

「名前は、なんて言うのかな?」

 

岩掛(いわかけ) (すぐる)

 

やはりか、と少し俯き

 

 

「いつからその姿に?」

 

 

「…除雪車を炉端で待っていたら何かにぶつかって……」

 

 

「スグル、あのお守りは持っているね?」

 

 

はい、とぼろぼろになった、大切なお守りを叔父さんへ渡す

 

 

「これを見ても、ビックリしないで欲しい」

 

 

 

 

おじさんが手をかざすと、固く結ばれていた紐が緩み

 

 

だらん、と垂れた紐口を広げ

 

 

 

中身を逆さにひっくり返すと

 

 

 

 

 

 

  『サンドスター…?』

 

 

 

 

僅かに黒い虹色の宝石が現れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君のその姿は我が家に関係があることは確かだ」

 

 

息をのんだ叔父さんが持っていた資料を見せてくれた

 

それはこの地方の郷土資料で幾年経っているのか

茶色い歴史書をめくり、その頁を此方に向けた

 

ここだよ、と古い浮世絵に勇ましい人と獣耳の着物を着た女性が黒い一つ目の怪物と戦っている

そんな絵柄が古文と共に映し出されていた

 

 

「山奥のある処に人が行ったら帰ってこられない沼があり」

 

 

「当時この地域の地主と藩主は一大事業として山の開拓と

      暴れ竜とも呼ばれた山の奥地から続く大河の治水工事を行っていた」

 

「沼の周囲には立派な建材となる木が生い茂り

  河川を見渡す拠点としては良い場所にあった

   そんな沼があるならば確かめてみるしかあるまいと」

 

 

「ここらで一番の体格を持つ大男を連れ、村人十三人と探索へ向かった」

 

 

 

 

「暫く歩いていると横の草むらから物の怪の女性が現れ

 

  『これ以上先へは危ないからお戻りなさい』と呼びかけた

 

    大男は『物の怪め懲らしめてやる』と力任せに暴れました

 

    しかし女はひょい、ひょいと軽々と躱してゆきます

 

     男は苦し紛れに自分に相撲で買ったらその案を受け入れると言い」

 

 

「それを受け入れた獣の娘へと力自慢の大男は突っ込んでいくと

 

           直ぐさまひっくり返されてしまった」

 

「怒り狂った力自慢の大男は何度も何度もその物の怪に勝負を挑み

  数えるのも飽きた秋口のその頃に事は始まった」

 

 

 

 

 

「夜更けにどんどん

 と村の大男の家の戸を叩く音に男は起きると

    怪我をした姿で物の怪の女性は現れた」

 

「あなたに悪い妖怪を倒してもらいたい、でなければこの村が危ないのです、と」

 

「すると男は怖気づきお前をそこまで追い詰める奴に歯が立つものかと言い放った」

 

「物の怪は暁に私が妻になり、『貴女に幸運をもたらしますから、どうか』とせがんだ」

 

「男は今までの勝手に付き合った彼女に詫びの形として僅かに悩み、肯いた」

 

 

 

 

「満月の夜、月明りに沿い歩いていくとすぐに沼に着いた

 

 

     そこには黒く瘴気を放つ汚泥のような沼があった」

 

「その周囲にはたくさんの一つ目の上半牛下半人の

      一つ目の怪物が棍棒を持ち待ち受けていた」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、これをどうやって倒したのかはページが無い」

 

 

 

 

 

あとは結末だけ

 

「そうして、獣の妻は清らかな湧き泉の傍に腰かけ

 

   娘と息子を残し、夫と共に岩になった」

 

 

 

「獣の、娘?」

 

 

 

 

「今の君の姿は完全にそれだ」

 

叔父さんは困り眉で肩をすくめた

 

「こっちの資料には沼は冥界へ続く門だった、こっちには……」

 

「ま、姿はどうあれ。この夜は今日中には終わるよ」

 

 

おじさんはニッと笑うと力を抜くように肩を落とした

 

 

「明日には元の姿に戻っているよ」

 

何の根拠があるのだろうか…と思った

 

でも何度聞いても『大丈夫だから』『問題ない』の一辺倒だった

 

先程のお守りのことと言いおじさんも何か特別な力があるのだろうか

 

 

すっかり冷めたホットミルクを飲むと叔父さんが家まで車で送ってくれた

 

叔父さんも 同類 (オタク気質)なので「それよりお風呂!って言ってみ」とか弄られたが

 

 

ここまでの経緯を話すうちに

自販機のあたりの話をすると叔父さんはちょっと苦笑いしていた

 

 

家の前で叔父さんが俺の写真を撮っていた

 

 

 

 

「明日、学校だよね?」

 

 

 

「大丈夫、村の人もクラスメイトも分かってくれると思う」

 

 

「制服はすぐには用意できないから」

 

 

「明日の朝には登校用のバスが来るから」

 

 

などと言い残し、車でどこかへ行ってしまった

 

 

すっかり疲れたので装備諸々整備や洗いを行い元の身長と比べキングサイズとなったベッドに倒れこんだ

 

小さい身体って結構便利

 

しかし仰向けだと「あ、尻尾痛い」とうつぶせで眠ってしまった

 

 

 

………

 

 

――――

 

 

ベーコンの匂い

 

 

 

あ、…あさ…?

 

………

 

 

 

スマホのアラーム音が鳴り響く

 

 

 

いつも通り棚に置いてあるスマホを取ろうと腕はブンブン、とベッドの上で宙を舞う

 

 

 

 

「うっるさーーーーいっ!」と甲高い声が鳴る

 

 

黒っぽい袖……

 

ぺたんと座った下を見てもご立派な双丘が

 

 

 

うん

 

 

「朝ごはん出来てるよ」

 

 

 

叔父さん、そういうことか

 

 

「ギンギツネのままだ、わー……」

 

 

 

モフモフのしっぽを見てがっくりと肩を落とした

 

 

 

 

 




後にまた前話とおかしな点などを編集します

2018.8/22 22.30 微編集


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えっと、ハジメマシテ、わたしは。ギンギツネ

すみません。年内に投稿できるか不安だったので超展開ですが書き上げていたここで一旦投稿します
後ほど編集、追加かもです


朝、起きたらいつも通り。

 

 

「起きたね。説明は昨日言った通り、帰ってから。顔を洗ってこれに着替えて降りな。ご飯は出来てるから」

 

………だと思っていたのに

 

…今はなぜかぱんつにスポブラの下着姿になっているけれど…

 

じゃあね。といい、今の俺の格好を見て思わず胸元を隠すが

 

ミリとも気にせずおじさんは部屋から去っていた

 

僕の家は二階建て平屋、母屋と平屋の接続しているL字型の大きな家だ

 

その玄関から入ってすぐの階段から上がる二階狭い階段となっており

昔からこの階段の軋む音が苦手だった

 

父さんと母さんが交通事故で亡くなってからはおじさんが跡見人となってくれた

 

親戚は集落に三人ほど、従兄妹の二人に母さんの妹のおばさん

 

そして母さんの弟のおじさん

 

いつも通りの二階の洗面所で顔を見るとちらりと美人の顔が写って思わずあいさつにペコリ、と首を振ると

あっ、自分だったと(美少女になっていたと)気が付くと

数秒顔を赤くして固まってしまったが居なおして正面から目を合わせる

 

やっぱり、うゥぅ。と自ら尻尾が股に巻いてしまう感覚にあらためてついていないのを実感して上の耳まで垂れてしまった

馬鹿やってないで早くしなきゃ

 

うぅ、冷えた水がつめたっ

 

 

 

 

…敗北を感じ一回に降りた

 

「おじさん…くぅ…」

 

「髪の梳き方からかあ、ソファーに座って。」

 

髪の毛をここまで長くしたことはないので櫛が通る感覚はとても気持ちがよかった。とだけ

 

 

 

…叔父さんの作るいつもの食卓には珍しく。

 

近所の知り合いの猟師さんの獲った貰い物のジビエのイノシシベーコンを米と一緒に食べる

 

 

噛むとじゅわっ。と中から口の中で飛び出す肉汁と油分、カリカリに焼けた香ばしい香りの肉の触感

 

やはり獣なのか、後からあふれる獣臭い血の匂いに少し興奮している

 

現にケモ尻尾とケモミミの毛が『モッふぁー』と逆立っているし

 

瞳孔も鼻息も荒ぶる

 

そ、そういうときは。

 そうるふーど ライス、あんど。緑茶でスッキリ

 

ジャッパニーズはこれでないと

 

噛みしめる度の旨みの連鎖反応(・・・・)につい頬に手を当てニヤニヤしてしまう

 

そんな食事を叔父さんは静かに笑いながら見ていた

 

 

そんな叔父さんの姿にむっ。として思わず頬を膨らませながら尋ねる

 

「でーっ。叔父さんは今日になっても何故この姿なのか、知ってるの?」

 

我ながらボイスもすっかりギンギツネ…

 

「うーん、今日の晩、帰ってきたら話そうかな。取り敢えず食べちゃいな。水につけて洗っておくから」

 

うむむ、納得できないけれど…

 

はーい。

 

 

「うん、そろそろだね。このコート着ていきなさい」

おじさんは

 

「コート…」

全体的に白い首周りにファーのついたケープ付きのダッフルコートを肩にかけてくれた

下回りが少し黒に染まっている

 

ありがとう!と返すとおじさんははにかんで、なぜか照れていた

 

時刻にして始業時間の二時間前

 

『身長で以前まで乗れなかったバス』が到着した。少し古めかしかったが内装は趣がある、といったところか

 

出入口で整理券を手に取り、少し型の古いバスに乗り込み一番後ろの席に座った

 

車内には誰も乗っておらず同級生の姿は無い

 

当然だ、クラスメイトは殆どは家族の車に送ってもらっているのだから

 

温かい車内の座席の足元からはヒーターがごうんごうんと唸りを挙げて足が熱すぎるくらいに温めていた

 

外との気温差にハンカチで拭ったほどだ

 

「それじゃあ、今日は午前中で終わりだろう?帰りは昼には迎えに行くよ」

 

「何から何までありがとう、おじさん」

そうしてバスは走り出し

 

段々と慣れてくるころには一面の白銀の世界の景色を楽しむ余裕もあった

 

 

 

 

 

雪の白い坂道を上りだし、山間に差し掛かってきた、久々に乗ったバスから見える様々な白の結晶、雪で彩られた銀世界

 

何処もかしこも雪は覆い隠す雪平原となっていた

 

このトンネルを抜けると

 

 

又もや白い。しかし、車道の周りには雪が細かく枝に積もった木が僅かな木漏れ日を照らし出し

 

遠く山の斜面には樹氷が出来ており、凄まじい豪雪風だったことが窺い知れる。

 

暫く走っていると道の両側には雪で積みあがった雪壁が聳えており。バスの周りは薄暗くなってしまった

 

 

なんだか、どきどき、ワクワクしているのは何故だろう

 

ふふ、驚くだろうなあー

 

みんなどんな反応なのか…楽しみ

 

 

「まもなく、中高前、中高前。」

 

ドキドキしつつお札と小銭をぴったり出口の支払い機に入れ「ありがとうございました」と言いステップを小さな足でおぼつかず降りてゆくと

 

木造平屋の校舎が見えてきた

 

見た目はあれだがここらへんでも合併した村と市がなけなしの人口を集めて僕を除いて五人の子供が集う学び舎だ

 

 

「こんにちわ~!!」

 

 

「ぴぃ!!!」

 

バス停の横合いからステップで降りてすぐに声がかかると思うだろうか

 

「かわいー!どこの子?それどこのメーカー?あたしはねー…」

いつもだったら気持ちのいいあいさつで先輩!と声をかけてくれる-『』-…変わらんわ…いつもと

 

「バカ!すみません、こいつ礼儀知らずなもので…転入生…だよね。まだ雪が積もっているから…ん」

しっかり者の弟君、小学生ながら苦労人…そして…

 

「がっつり防寒着着てんじゃん!今日四月だからあったかくなるって…ん…?」

ま、まさか

 

「「あー!」」

 

 

 

「いやー、マッソー・バベル(筋肉要塞)がこうなるなんて…神様って何考えてんだろ…」

 

「バカ姉が思考したところで今朝のたくあんがしょっぱかった程度しか思い出せないでしょ。すみません、先輩」うちの馬鹿が、といったところで弟君がぶん殴られるばさり、と雪面に倒れヒト型ができた

胸元に何かの衝突の衝撃が走る

 

ああ、いつものだ

 

 

「ふァ、ふ、ふぁ~~。しぇ、しぇんぱい(せんぱい)の胸板が…はわわわわぐへへっ、へへへ」

 

自然な流れでそのまま胸元に突っ込んできた変態がヘッドを片手で持ち上げられた

 

その様子のまま隣に合流した同級生

 

「や、いつものだ、この変態はこれさえなければなんだがね」

 

その持ち上げられて返答しない彼女の作った弁当は毎日風邪でも引かない限り持ってきてくれる

 

今では見上げる形になった怪力の持ち主の高身長のすらりとしたモデルのような女子は同級生の-『』-だ

 

その調子で気絶した弟君を背負い。校舎に入る。先生が先に暖房を利かせているようだが廊下は冷えている

 

同級生の-『』-は片手で持っていた妹を小中学生教室にブン、と投げるとそのまま自分たちの教室へと無言で向かう

 

背中の弟君をイスに座らせて寝かせると手紙と今朝作ったホットココアと手作りトリュフチョコをこっそり忍ばせて『ごめんね』と言いつつ自分の教室へ向かった

もちろん弟君のお姉さんにも二つ渡すとちゃんとぐったりとした同級生を机に座らせていたのでなんだかんだで面倒見がいい子である

 

 

-

――

「お、遅れました…?」

都会から来た新任の先生、雪道で遅れたそうだけど

 

「先生、スタッドレスタイヤ…-」

 

「はい、でーは。朝礼をー」

 

 

「きりーつ」

 

「礼!」

 

 

 

「では、この作者は………年…病に…の…果てに…ます、この作品はこのような意味合いだったのですね。

 では作品の…行目ここを朗読を…」

 

「ギンギツネさん、おねがいします」

 

「……私ですか」

 

 

「はい!」笑顔でおっしゃる

 

 

「先生…少し遠慮というものを」

 

ヒィ!とか悲鳴上げてるからやめたげて

 

「キミも甘いよね…」

 

 

弁当、二つ…

 

 

「しぇ、しぇんぱい…ごべんなさい"~!」

 

 

「え、いいよ!-「」-のごはんおいしいし、たくさん食べて早く元気になるから!」

 

「ふむ、たまごはまずまず、からあげは…」

 

「何やってんのよ!姉さん!」

 

「だから?ふむ、まだあたたかいな」

 

「食っていいぞ」

 

そうして持つ箸でからあげを口にもっていく-『』-

「え、あ、ありがとう?」

 

「…そうじゃない」

 

 

「あーん、だ」

 

「うぅ、あの、あの」「なんだ、その声と態度は。狙っているのか」

 

「だ、駄目よ!暴走してる!-「」-ちゃん!先生!誰でもいいから!助けてー!」

彼女は両腕を必死に取り押さえているのだが肉汁あふれるからあげを口元に押し付けられている

 

目が正気じゃない…何故…なんか鼻息荒い…きもちわるい…

 

 

「よし、それならくっ…ウッ」

 

「ヤりましたッス…!チョコレートホールケーキで手を打つッスよ!」

キミがオシャレな都会で流行りの吹き矢の部を作るとか言って飽きたまんま廊下に転がってた

ホームセンターで購入したビニールパイプ(こんぼう)が役立つ日が来るとは…

 

鼻血を出し幸せそうな顔で倒れ伏す同級生の-『』-に

 

ぺたりと座り込み息も絶え絶えな-『』-

 

そんな彼女たちを見てクスクス笑う-『』-

 

 

教室の入り口の影から恐ろし気に見やる-『』-弟君…

 

 

それを無口な中学教員の先生がたわら持ちで担いで車に載せて学校から出ていった

 

 

 

「「「うぇ!?えぇ…ええええ!?」」」

 

    超展開に三人で叫んだ

 

 

 

 




2019.12.22.1.30


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